(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-21
(54)【発明の名称】選択的バリア層を備えた収着性物品
(51)【国際特許分類】
B01D 53/04 20060101AFI20240514BHJP
B01D 53/14 20060101ALI20240514BHJP
B01J 20/26 20060101ALI20240514BHJP
B01J 20/34 20060101ALI20240514BHJP
B01J 20/18 20060101ALI20240514BHJP
B01J 20/20 20060101ALI20240514BHJP
B01J 20/08 20060101ALI20240514BHJP
B01J 20/22 20060101ALI20240514BHJP
C01B 32/50 20170101ALI20240514BHJP
【FI】
B01D53/04 110
B01D53/04 230
B01D53/14 100
B01J20/26 A
B01J20/34 B
B01J20/18 B
B01J20/20 B
B01J20/08 A
B01J20/22 A
C01B32/50
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023571913
(86)(22)【出願日】2022-05-17
(85)【翻訳文提出日】2024-01-10
(86)【国際出願番号】 US2022029583
(87)【国際公開番号】W WO2022245790
(87)【国際公開日】2022-11-24
(32)【優先日】2021-05-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-08-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】391028362
【氏名又は名称】ダブリュ.エル.ゴア アンド アソシエイツ,インコーポレイティド
【氏名又は名称原語表記】W.L. GORE & ASSOCIATES, INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100128495
【氏名又は名称】出野 知
(74)【代理人】
【識別番号】100208225
【氏名又は名称】青木 修二郎
(74)【代理人】
【識別番号】100144417
【氏名又は名称】堂垣 泰雄
(74)【代理人】
【識別番号】100147212
【氏名又は名称】小林 直樹
(72)【発明者】
【氏名】エドワード エイチ.カリー
(72)【発明者】
【氏名】クリスティーン エム.スコッティ
【テーマコード(参考)】
4D012
4D020
4G066
4G146
【Fターム(参考)】
4D012BA01
4D012BA02
4D012BA03
4D012CA03
4D012CB01
4D012CD02
4D012CG01
4D012CG03
4D020AA03
4D020BA21
4D020BB07
4D020BC01
4D020CA01
4G066AA05B
4G066AA14D
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4G066AA61B
4G066AB24B
4G066AC11B
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4G066AC13C
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4G066AC33B
4G066CA35
4G066DA01
4G066GA06
4G146JA02
4G146JC08
4G146JC24
4G146JC25
4G146JC27
4G146JC36
4G146JC37
(57)【要約】
収着剤領域、脱着媒体領域及び少なくとも前記2つの領域の間に配置された選択的バリア層を含む収着性物品は記載されている。また、収着性物品を形成する方法、及び二酸化炭素の直接空気捕捉(DAC)を含むスイング吸着の目的で収着性物品を使用する方法も記載されている。選択的バリア層は収着剤領域を保護するために水及び水蒸気に対して不透過性であることができる。収着性物品は崩潰性であることができ、選択的バリア層は、吸着中に収着剤領域へのアクセスを最大化するために吸着構成へと崩潰し、脱着中に脱着媒体領域へのアクセスを最大化するために脱着構成へと拡張する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物質を吸着及び脱着するように構成された収着剤材料を含む収着剤領域、
前記収着剤領域に隣接して配置され、前記収着剤材料から前記物質を脱着する脱着媒体を受け入れるように構成された脱着媒体領域、及び、
少なくとも前記収着剤領域と前記脱着媒体領域との間に位置する選択的バリア層、
を含む、収着性物品。
【請求項2】
前記収着性物品は少なくとも一方向に可撓性である、請求項1記載の収着性物品。
【請求項3】
前記収着性物品は合計厚さが約0.5mm~1.0cmである、請求項1又は2記載の収着性物品。
【請求項4】
前記収着剤領域は、少なくとも多孔質ポリマー及び前記収着剤材料を含む収着剤ポリマー複合材領域である、請求項1~3のいずれか1項記載の収着性物品。
【請求項5】
前記選択的バリア層はポリマーを含む、請求項1~4のいずれか1項記載の収着性物品。
【請求項6】
前記ポリマーはポリテトラフルオロエチレン(PTFE)である、請求項5記載の収着性物品。
【請求項7】
第二の収着剤領域をさらに含み、前記収着剤領域及び前記第二の収着剤領域は前記選択的バリア層の反対側に位置する、請求項1~6のいずれか1項記載の収着性物品。
【請求項8】
前記収着剤領域及び前記第二の収着剤領域は同一である、請求項7記載の収着性物品。
【請求項9】
前記選択的バリア層は少なくとも1つのチャンネルを含む、請求項1~8のいずれか1項記載の収着性物品。
【請求項10】
前記少なくとも1つのチャンネルは、前記選択的バリア層の少なくとも第一、第二及び第三の壁によって画定されている、請求項9記載の収着性物品。
【請求項11】
前記少なくとも1つのチャンネルは圧縮又は拡張されうる、請求項9又は10記載の収着性物品。
【請求項12】
前記収着性物品の前記少なくとも1つのチャンネルはほぼ長方形の断面プロファイルを有する、請求項9~11のいずれか1項記載の収着性物品。
【請求項13】
前記選択的バリア層の前記少なくとも1つのチャンネルは、拡張時はほぼ円形であり、崩潰時はほぼ卵形である断面プロファイルを有する、請求項9~12のいずれか1項記載の収着性物品。
【請求項14】
前記少なくとも1つのチャンネルのそれぞれは、拡張時に約0.5mm~2mmの高さを有する、請求項9~13のいずれか1項記載の収着性物品。
【請求項15】
前記少なくとも1つのチャンネルは、多孔質で水透過性の材料を含む少なくとも1つのチャンネル壁によって画定されている、請求項9~14のいずれか1項記載の収着性物品。
【請求項16】
前記少なくとも1つのチャンネルは、前記チャンネルの端部に近接して位置した排出物開口部を含み、前記排出物開口部を通して、前記収着性物品内から水が排出されるように構成されている排出物開口部を含む、請求項9~15のいずれか1項記載の収着性物品。
【請求項17】
前記選択的バリア層は少なくとも2つのチャンネルを含む、請求項1~8のいずれか1項記載の収着性物品。
【請求項18】
前記少なくとも2つのチャンネルは相互接続されている、請求項17記載の収着性物品。
【請求項19】
前記少なくとも2つのチャンネルは互いにほぼ平行に配置されている、請求項17又は18記載の収着性物品。
【請求項20】
前記選択的バリア層は、前記選択的バリア層が、吸着構成と脱着構成との間でその形状を保持するように非崩潰性である、請求項1~12のいずれか1項記載の収着性物品。
【請求項21】
前記選択的バリア層は、水及び水蒸気に対して選択的に不透過性である、請求項1~20のいずれか1項記載の収着性物品。
【請求項22】
前記選択的バリア層は、水蒸気に対して選択的に透過性であり、水に対して選択的に不透過性である、請求項1~20のいずれか1項記載の収着性物品。
【請求項23】
少なくとも1つの収着性物品であって、各収着性物品は、少なくとも1つの収着剤領域、脱着媒体領域、及び、少なくとも前記脱着媒体領域と前記収着剤領域との間に位置する選択的バリア層を含む、少なくとも1つの収着性物品、及び、
前記収着剤領域と連通する少なくとも1つの吸着経路、
を含む、モジュール。
【請求項24】
前記選択的バリア層は少なくとも1つの脱着チャンネルを含む、請求項23記載のモジュール。
【請求項25】
前記モジュールは複数の収着性物品を含み、少なくとも1つの吸着経路は前記複数の収着性物品のそれぞれの間に形成されている、請求項23記載のモジュール。
【請求項26】
前記複数の収着性物品のそれぞれは、2つの収着剤領域を、前記脱着媒体領域、及び、前記2つの収着剤領域の間に挟まれた選択的バリア層とともに含む、請求項25記載のモジュール。
【請求項27】
前記複数の収着性物品のそれぞれは、前記脱着媒体領域が拡張可能及び崩潰可能であるように、少なくとも一方向に可撓性である、請求項25又は26記載のモジュール。
【請求項28】
少なくとも1つの収着剤材料を含む収着剤領域を提供すること、
脱着媒体領域を提供すること、
少なくとも前記収着剤領域と前記脱着媒体領域との間に選択的バリア層を提供すること、及び、
前記収着剤領域を前記選択的バリア層に取り付けること、
を含む、収着性物品を形成する方法。
【請求項29】
前記選択的バリア層を提供することは、前記選択的バリア層が少なくとも1つの脱着チャンネルを形成するように、前記脱着媒体領域を取り囲むように前記選択的バリア層を提供することを含む、請求項28記載の方法。
【請求項30】
前記選択的バリア層を提供することは、前記収着剤領域を取り囲むように前記選択的バリア層を提供することを含む、請求項28又は29記載の方法。
【請求項31】
熱伝導性を促進する接着材料を添加することをさらに含む、請求項28~30のいずれか1項記載の方法。
【請求項32】
前記収着剤材料は、イオン交換樹脂、ゼオライト、活性炭、アルミナ、有機金属フレームワーク又はポリエチレンイミン(PEI)である、請求項28~31のいずれか1項記載の方法。
【請求項33】
前記収着剤領域は多孔質ポリマーをさらに含み、前記多孔質ポリマーは延伸ポリテトラフルオロエチレン又は膨張ポリエチレンである、請求項28~32のいずれか1項記載の方法。
【請求項34】
前記選択的バリア層は、前記少なくとも1つの脱着チャンネルのそれぞれを境界とする可撓性ポリマーを含む、請求項29記載の方法。
【請求項35】
前記可撓性ポリマーはポリテトラフルオロエチレン又はポリエチレンである、請求項34記載の方法。
【請求項36】
前記収着剤領域を前記選択的バリア層に取り付けることは、前記収着剤領域を前記選択的バリア層の第一の側にラミネート化することを含む、請求項28~35のいずれか1項記載の方法。
【請求項37】
少なくとも収着剤材料及び多孔質ポリマーを含む第二の収着剤領域を提供すること、及び、
前記第二の収着剤領域を前記選択的バリア層の第二の側に取り付けること、
をさらに含む、請求項36記載の方法。
【請求項38】
前記第二の収着剤領域を前記選択的バリア層の第二の側に取り付ける工程は、前記第二の収着剤領域を前記選択的バリア層の第二の側にラミネート化することを含む、請求項37記載の方法。
【請求項39】
複数の収着性物品を有するモジュールを使用する方法であって、
(a)隣接する収着性物品間の空間が吸着経路を形成し、各収着性物品が選択的バリア層によって取り囲まれた少なくとも1つの脱着チャンネルを含むように、互いに隣接して配置された複数の収着性物品から構成されるモジュールを提供すること、
(b)供給流を前記モジュールの吸着経路に指向させることによって前記供給流から二酸化炭素を吸着すること、ここで、前記吸着経路は拡張し、前記脱着チャンネルは崩潰する、及び、
(c)前記モジュールの前記脱着チャンネルを通して脱着媒体を指向させることによって二酸化炭素を脱着すること、ここで、前記脱着チャンネルは拡張し、前記吸着経路は崩潰する、
を含む、方法。
【請求項40】
前記脱着媒体はスチームである、請求項39記載の方法。
【請求項41】
前記吸着工程(b)は、前記供給流を前記モジュールの略水平軸に沿って指向させることを含む、請求項39又は40記載の方法。
【請求項42】
前記脱着工程(c)は、前記脱着媒体を前記モジュールの略垂直軸に沿って指向させることを含む、請求項39~41のいずれか1項記載の方法。
【請求項43】
(d)工程(c)で脱着された二酸化炭素を収集することをさらに含む、請求項39~42のいずれか1項記載の方法。
【請求項44】
前記脱着工程(c)の後に前記吸着工程(b)を繰り返すことをさらに含む、請求項39~43のいずれか1項記載の方法。
【請求項45】
複数の収着性物品であって、各収着性物品は、少なくとも1つの収着剤領域、脱着媒体領域及び選択的バリア層を含み、前記選択的バリア層は少なくとも一方向に可撓性であり、前記選択的バリア層は、吸着構成時に減少した厚さを有し、そして脱着構成時に増加した厚さを有する、複数の収着性物品、
を含む、モジュール。
【請求項46】
前記選択的バリア層は複数のチャンネルを含む、請求項45記載のモジュール。
【請求項47】
前記収着性物品は、前記吸着構成において減少した合計厚さを有し、そして前記脱着構成において増加した合計厚さを有する、請求項45又は46記載のモジュール。
【請求項48】
前記脱着媒体領域は、前記吸着構成において減少した幅を有し、前記脱着構成において増加した幅を有し、前記収着剤領域は、前記吸着構成と前記脱着構成とで実質的に同じ厚さを有する、請求項47記載のモジュール。
【請求項49】
前記収着性物品は、前記吸着構成と前記脱着構成とで実質的に同じ合計厚さを備える、請求項45又は46記載のモジュール。
【請求項50】
前記収着性物品の前記収着剤領域は、前記吸着構成において増加した厚さを有し、前記脱着構成において減少した厚さを有し、前記脱着媒体領域は、前記吸着構成において減少した厚さを有し、前記脱着構成において増加した厚さを有し、その結果、前記収着性物品の合計厚さは、前記吸着構成と前記脱着構成で実質的に同じになる、請求項49記載のモジュール。
【請求項51】
少なくとも1つの収着性物品を含む一定体積を有するモジュールを使用する方法であって、前記収着性物品は、収着剤領域、脱着媒体領域、及び、少なくとも前記収着剤領域と前記脱着媒体領域との間に位置する選択的バリア層を有する、方法であって、
(a)前記収着性物品の前記収着剤領域に供給流を指向させることによって、供給流から二酸化炭素を吸着すること、及び、
(b)前記収着性物品の前記脱着媒体領域を通して脱着媒体を指向させることによって、前記収着剤領域から二酸化炭素を脱着すること、
を含み、
前記収着剤領域は、脱着工程よりも吸着工程中に前記モジュールの一定体積のより多くの体積を占め、そして
前記脱着媒体領域は、吸着工程よりも脱着工程中に前記モジュールの一定体積のより多くの体積を占める、方法。
【請求項52】
(c)前記脱着工程(b)の後に二酸化炭素を収集することをさらに含む、請求項51記載の方法。
【請求項53】
前記収集工程(c)の後に前記吸着工程(a)を繰り返すことをさらに含む、請求項52記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本出願は、2021年5月18日に出願された米国仮出願第63/189,750号及び2021年8月20日に出願された米国仮出願第63/235,426号の利益を主張するものであり、すべての目的で、両方とも、その全体を参照により本明細書に組み込む。
【0002】
分野
本開示は、選択的バリア層を備えた収着性物品、収着性物品の形成方法、及び、二酸化炭素の直接空気捕捉(DAC)を含むスイング吸着の目的で収着性物品を使用する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
背景
温室効果ガスの排出に伴う二酸化炭素(CO2)レベルの上昇は、環境に有害であることが示されている。Climate.govの文献「気候変動:大気中の二酸化炭素」で報告されているように、2019年の大気中の平均二酸化炭素レベルは409.8ppmで、過去80万年間で記録された最高レベルであった。大気中のCO2の増加速度も、過去数十年間の速度よりもはるかに高くなっている。
【0004】
気候変動の影響を抑えるためには、近い将来にCO2排出量をゼロにするだけでなく、CO2排出量をマイナスにすることが必要である。マイナス排出を達成するには、幾つかの可能性が存在し、例えば、発電のためのバイオマテリアルの燃焼と、煙道ガスの燃焼からCO2を捕捉すること、ならびに、その後のCO2隔離(「BECCS」)又はCO2の直接空気捕捉(「DAC」)を組み合わせたものである。
【0005】
吸着によるガス分離は、ガス流から特定の成分を除去するなど、産業において様々な用途に使用でき、ここで、所望の生成物は、ガス流から除去された成分、残りの減損流、又はその両方であることができる。これにより、ガス流の微量成分と主要成分の両方を吸着プロセスの対象にすることができる。重要なガス分離用途の1つは、煙道ガス、排気ガス、産業廃棄ガス、バイオガス、大気などのガス流からCO2を捕捉することである。大気は、CO2の希釈供給流と考えられる。
【0006】
DACと呼ばれる大気からのCO2の直接捕捉は、人為起源の温室効果ガス排出を軽減する幾つかの手段のうちの1つであり、商品市場及び合成燃料の生産のための非化石で場所に依存しないCO2源として魅力的な経済的有望性を有する。大気からCO2を捕獲することの具体的な利点としてはa)DACは、世界の温室効果ガス排出量の大部分を占め、経済的に実現可能な方法で、排出現場において現在捕獲することができない分散発生源(例えば、陸、海、空の乗り物)の排出に対処できること、b)DACは従来の排出に対処でき、真にマイナスの排出を生み出すことができること、c)DACシステムは排出源に取り付ける必要がなく、場所に依存せず、CO2をさらに処理又は使用する場所に設置することができることが挙げられる。
【0007】
これらのプロセスをより効率的に発展及び改善させ、プロセスで必要なエネルギーを最小限に抑えながら大気から除去されるCO2量を最大化する意欲が高まっている。
【0008】
図1は、従来のDACシステム10に関与するプロセスの概略図である。非CO
2希釈剤18中のCO
2分子16の混合物を含む入り口供給流11が提供される。例えば、入口供給流11は空気流であることができる。吸着プロセス中に、入口供給流11は吸着剤12にさらされる。CO
2分子16は吸着剤12に吸着するが、非CO
2希釈剤18は吸着剤12を通過してシステム10から排出される。次いで、吸着剤12は脱着プロセスを受け、吸着剤12からCO
2分子16を放出する。脱着プロセスには、液体水又はスチームの形態の水分、又はシステムに供給される反応又はエネルギーによるシステム温度の変化が関与することができる。この脱着プロセスは、CO
2の吸着と脱着を繰り返す周期的なプロセスを定義するために「スイング」吸着と呼ばれる。水分スイング吸着が使用されているならば、吸着剤12は、CO
2分子16の脱着を引き起こすために、水蒸気又は液体水の形態の水分にさらされることができる。温度スイング吸着が使用されているならば、吸着剤12に熱が加えられて、CO
2分子16の脱着を引き起こすことができる。これらの水分及び/又は温度のスイングは、分子を吸着剤12に保持する結合を一時的に破壊し、CO
2分子16を放出できるようにする。したがって、脱着されたCO
2分子16は吸着剤12から分離され、生産物14として収集される。収集されたCO
2分子16は次に濃縮され、使用又は保管される前にさらに必要な処理を受けることができる。使用される吸着剤12が、CO
2分子16を分離するのに必要な環境、例えば高温及び高湿条件に繰り返し耐えることができることが重要である。
【0009】
DACについては確立された論文及び技術が存在する。1つの例は、収着剤材料を支持するか又は収着剤材料でコーティングされたモノリスなどの基材を含む物品を使用することである。基材の種類と使用する収着剤を変更することで変形例が確立される。しかしながら、これらの以前に確立された物品及び方法では、吸着状態と脱着状態の間を効率的に循環させる能力に限界がある。また、物品の耐久性に関しても制限がある。また、物品は、高温又は高湿度の環境、あるいはそれらの組み合わせにさらされると劣化する可能性があり、その結果、寿命が短くなる可能性がある。
【発明の概要】
【0010】
要旨
収着剤領域、脱着媒体領域、及び、少なくとも前記2つの領域の間に配置された選択的バリア層を含む収着性物品は記載される。また、収着性物品を形成する方法、及び二酸化炭素の直接空気捕捉(DAC)を含むスイング吸着の目的で収着性物品を使用する方法も記載される。選択的バリア層は、収着剤領域を保護するために水及び水蒸気に対して不透過性であることができる。収着性物品は崩潰可能であってよく、選択的バリア層は、吸着中に収着剤領域へのアクセスを最大化するために吸着構成に崩潰され、脱着中に脱着媒体領域へのアクセスを最大化するために脱着構成に拡張する。
【0011】
第一の例(「例1」)によれば、収着性物品は、物質を吸着及び脱着するように構成された収着剤材料を含む収着剤領域と、前記収着剤領域に隣接して配置され、前記収着剤から前記物質を脱着する脱着媒体を受け入れるように構成された脱着媒体領域と、少なくとも前記収着剤領域と前記脱着媒体領域との間に位置する選択的バリア層とを含む。
【0012】
例1に加えて、1つの例(「例2」)において、前記収着性物品は少なくとも一方向に可撓性である。
【0013】
例1又は2に加えて、1つの例(「例3」)において、前記収着性物品は約0.5mm~1.0cmの合計厚さを有する。
【0014】
前述の例のいずれかに加えて、1つの例(「例4」)において、前記収着剤領域は、少なくとも多孔質ポリマー及び収着剤材料を含む収着剤ポリマー複合材領域である。
【0015】
前述の例のいずれか1つに加えて、1つの例(「例5」)において、前記選択的バリア層はポリマーを含む。
【0016】
例5に加えて、1つの例(「例6」)において、前記ポリマーはポリテトラフルオロエチレン(PTFE)である。
【0017】
前述の例のいずれか1つに加えて、1つの例(「例7」)において、前記収着性物品は第二の収着剤領域を含む。前記収着剤領域及び前記第二の収着剤領域は、選択的バリア層の反対側に配置される。
【0018】
例7に加えて、1つの例(「例8」)において、前記収着剤領域及び前記第二の収着剤領域は同一である。
【0019】
前述の例のいずれか1つに加えて、1つの例(「例9」)において、前記選択的バリア層は少なくとも1つのチャンネルを含む。
【0020】
例9に加えて、1つの例(「例10」)において、前記少なくとも1つのチャンネルは、前記選択的バリア層の少なくとも第一、第二及び第三の壁によって画定されている。
【0021】
例9又は例10に加えて、1つの例(「例11」)において、前記少なくとも1つのチャンネルは圧縮又は拡張されうる。
【0022】
例9~11のいずれか1つに加えて、1つの例(「例12」)において、前記収着性物品の少なくとも1つのチャンネルは、略長方形の断面プロファイルを有する。
【0023】
例9~12のいずれか1つに加えて、1つの例(「例13」)において、前記選択的バリア層の少なくとも1つのチャンネルは、拡張時はほぼ円形であり、崩潰時はほぼ卵形である断面プロファイルを有する。
【0024】
例9~13のいずれか1つに加えて、1つの例(「例14」)において、前記少なくとも1つのチャンネルのそれぞれは、拡張したときに約0.5mm~2mmの高さを有する。
【0025】
例9~14のいずれか1つに加えて、1つの例(「例15」)において、前記少なくとも1つのチャンネルは、多孔質で水透過性の材料を含む少なくとも1つのチャンネル壁によって画定されている。
【0026】
例9~15のいずれか1つに加えて、1つの例(「例16」)において、前記少なくとも1つのチャンネルは、前記チャンネルの端部に近接して位置する排出物開口部を含み、この開口部を通って前記収着性物品内から水が排出されるように構成されている。
【0027】
例1~8のいずれか1つに加えて、1つの例(「例17」)において、前記選択的バリア層は少なくとも2つのチャンネルを含む。
【0028】
例17に加えて、1つの例(「例18」)において、前記少なくとも2つのチャンネルは相互接続されている。
【0029】
例17又は18に加えて、1つの例(「例19」)において、前記少なくとも2つのチャンネルは互いにほぼ平行に配置されている。
【0030】
例1~12のいずれか1つに加えて、1つの例(「例20」)において、前記選択的バリア層は、吸着構成と脱着構成との間でその形状を保持するように非崩潰性である。
【0031】
前述の例のいずれか1つに加えて、1つの例(「例21」)において、前記選択的バリア層は、水及び水蒸気に対して選択的に不透過性である。
【0032】
例1~20のいずれか1つに加えて、1つの例(「例22」)において、前記選択的バリア層は、水蒸気に対して選択的に透過性であり、水に対して選択的に不透過性である。
【0033】
別の例(「例23」)によれば、モジュールは、少なくとも1つの収着性物品、ここで、各収着性物品は、少なくとも1つの収着剤領域、脱着媒体領域、及び、少なくとも前記脱着媒体領域と前記収着剤領域との間に位置する選択的バリア領域、及び、前記収着剤領域と連通する少なくとも1つの吸着経路を含む。
【0034】
請求項23に加えて、1つの例(「例24」)において、前記選択的バリア層は少なくとも1つの脱着チャンネルを含む。
【0035】
請求項23に加えて、1つの例(「例25」)において、前記モジュールは複数の収着性物品を含み、少なくとも1つの吸着経路は前記複数の収着性物品のそれぞれの間に形成されている。
【0036】
請求項25に加えて、1つの例(「例26」)において、前記複数の収着性物品のそれぞれは、2つの収着剤領域を、脱着媒体領域、前記2つの収着剤領域の間に挟まれた選択的バリア層とともに含む。
【0037】
請求項25又は26に加えて、1つの例(「例27」)において、前記複数の収着性物品のそれぞれは、前記脱着媒体領域が拡張可能及び崩潰可能であるように、少なくとも一方向に可撓性である。
【0038】
別の例(「例28」)によれば、収着性物品を形成する方法は、少なくとも収着剤材料を含む収着剤領域を提供すること、脱着媒体領域を提供すること、少なくとも前記収着剤領域と前記脱着媒体領域との間に選択的バリア層を提供すること、及び、前記収着剤領域を前記選択的バリア層に取り付けることを含む。
【0039】
例28に加えて、1つの例(「例29」)において、前記選択的バリア層を提供することは、前記選択的バリア層が少なくとも1つの脱着チャンネルを形成するように、前記脱着媒体領域を取り囲むように前記選択的バリア層を提供することを含む。
【0040】
例28又は29に加えて、1つの例(「例30」)において、前記選択的バリア層を提供することは、前記収着剤領域を取り囲むように前記選択的バリア層を提供することをさらに含む。
【0041】
例28~30のいずれか1つに加えて、1つの例(「例31」)において、この方法は、熱伝導性を促進する接着材料を添加することをさらに含む。
【0042】
例28~31のいずれか1つに加えて、1つの例(「例32」)において、前記収着剤材料は、イオン交換樹脂、ゼオライト、活性炭、アルミナ、有機金属フレームワーク、又はポリエチレンイミン(PEI)である。
【0043】
例28~32のいずれか1つに加えて、1つの例(「例33」)において、前記収着剤領域は多孔質ポリマーをさらに含み、前記多孔質ポリマーは延伸(エキスパンデッド、膨張、延伸または発泡)ポリテトラフルオロエチレン又は膨張(エキスパンデッド、膨張、延伸または発泡)ポリエチレンである。
【0044】
例29に加えて、1つの例(「例34」)において、前記選択的バリア層は、前記少なくとも1つの脱着チャンネルのそれぞれを境界とする可撓性ポリマーを含む。
【0045】
例34に加えて、1つの例(「例35」)において、前記可撓性ポリマーはポリテトラフルオロエチレン又はポリエチレンである。
【0046】
例28~35のいずれか1つに加えて、1つの例(「例36」)において、前記収着剤領域を前記選択的バリア層に取り付けることは、前記収着剤領域を前記選択的バリア層の第一の側にラミネート化することを含む。
【0047】
例36に加えて、1つの例(「例37」)において、方法は、少なくとも収着剤材料及び多孔質ポリマーを含む第二の収着剤領域を提供すること、及び、前記第二の収着剤領域を前記選択的バリア層の第二の側に取り付けることをさらに含む。
【0048】
例37に加えて、1つの例(「例38」)において、前記第二の収着剤領域を前記選択的バリア層の第二の側に取り付けることは、前記第二の収着剤領域を前記選択的バリア層の第二の側にラミネート化することを含む。
【0049】
第四の例(「例39」)によれば、複数の収着性物品を有するモジュールを使用する方法は、(a)隣接する収着性物品の間の空間が吸着経路を形成し、各収着性物品が選択的バリア層によって取り囲まれた少なくとも1つの脱着チャンネルを含むように、互いに隣接して配置された複数の収着性物品を含むモジュールを提供すること、(b)供給流を前記モジュールの前記吸着経路に指向させることによって前記供給流から二酸化炭素を吸着すること、ここで、前記吸着経路は拡張し、前記脱着チャンネルは崩潰する、及び、(c)前記モジュールの前記脱着チャンネルを通して脱着媒体を指向させることによって二酸化炭素を脱着すること、ここで、前記脱着チャンネルは拡張し、前記吸着経路は崩潰する、を含む。
【0050】
例39に加えて、1つの例(「例40」)において、前記脱着媒体はスチームである。
【0051】
例39又は40に加えて、1つの例(「例41」)において、吸着工程(b)は、前記供給流を前記モジュールのほぼ水平軸に沿って指向させることを含む。
【0052】
例39~41のいずれかに加えて、1つの例(「例42」)において、脱着工程(c)は、前記脱着媒体を前記モジュールのほぼ垂直軸に沿って指向させることを含む。
【0053】
例39~42のいずれか1つに加えて、1つの例(「例43」)において、本方法は、(d)工程(c)で脱着された二酸化炭素を収集することをさらに含む。
【0054】
例39~43のいずれか1つに加えて、1つの例(「例44」)において、本方法は、脱着工程(c)の後に吸着工程(b)を繰り返すことをさらに含む。
【0055】
第五の例(「例45」)によれば、モジュールは、複数の収着性物品を含み、各収着性物品は、少なくとも1つの収着剤領域、脱着媒体領域及び選択的バリア層を含み、前記選択的バリア層は、少なくとも1つの方向で可撓性であり、前記選択的バリア層は、吸着構成にあるときに減少した厚さを有し、脱着構成にあるときに増加した厚さを有する。
【0056】
例45に加えて、1つの例(「例46」)において、前記選択的バリア層は複数のチャンネルを含む。
【0057】
例45又は46に加えて、1つの例(「例47」)において、前記収着性物品は、吸着構成で減少した合計厚さを有し、脱着構成で増加した合計厚さを有する。
【0058】
例47に加えて、1つの例(「例48」)において、前記脱着媒体領域は、吸着構成において減少した幅を有し、脱着構成で増加した幅を有し、前記吸着性領域は、吸着構成及び脱着構成で実質的に同じ厚さを有する。
【0059】
例45又は46に加えて、1つの例(「例49」)において、前記収着性物品は、吸着構成と脱着構成で実質的に同じ合計厚さを備える。
【0060】
例49に加えて、1つの例(「例50」)において、前記収着性物品の収着剤領域は、吸着構成で増加した厚さを有し、脱着構成で減少した厚さを有し、前記脱着媒体領域は、吸着構成で減少した厚さを有し、脱着構成で増加した厚さを有し、それにより、前記収着性物品の合計厚さは、吸着構成と脱着構成で実質的に同じである。
【0061】
第六の例(「例51」)によれば、少なくとも1つの収着性物品を含む一定体積を有するモジュールを使用する方法であって、前記収着性物品は、収着剤領域、脱着媒体領域、及び少なくとも前記収着剤領域と前記脱着媒体領域との間に位置する選択的バリア層を有する方法は、(a)供給流を前記収着性物品の前記収着剤領域を通るように指向させることによって供給流から二酸化炭素を吸着すること、及び(b)脱着媒体を前記収着性物品の脱着媒体領域を通るように指向させることによって前記収着剤領域から二酸化炭素を脱着することを含む。この方法はさらに、収着剤領域が、脱着工程(b)中よりも吸着構成(a)中に前記モジュールの一定体積のより多くの体積を占めること、及び脱着媒体領域が、吸着工程(a)中よりも脱着工程(b)中に前記モジュールの一定体積のより多くの体積を占めることを含む。
【0062】
例51に加えて、1つの例(「例52」)において、本方法は、(c)脱着工程(b)の後に二酸化炭素を収集することをさらに含む。
【0063】
例52に加えて、1つの例(「例53」)において、本方法は、収集工程(c)の後に吸着工程(a)を繰り返すことをさらに含む。
【図面の簡単な説明】
【0064】
図面の簡単な説明
【
図1】
図1は、従来技術のDACシステムに含まれるプロセスの概略図である。
【0065】
【
図2】
図2は、本開示の収着性物品の立面図である。
【0066】
【
図3A】
図3Aは、吸着構成にある本開示の収着性物品の立面図である。
【0067】
【0068】
【
図3C】
図3Cは、本開示の端部シーリング領域とともに示されている
図3Bの収着性物品の立面図である。
【0069】
【
図3D】
図3Dは、本開示の連続コーティングを有する収着性物品の概略図である。
【0070】
【
図4A】
図4Aは、吸着構成における本開示の収着性物品の態様の立面図である。
【0071】
【0072】
【0073】
【
図6】
図6は、本開示のモジュールの態様の立面図である。
【0074】
【
図7A】
図7Aは、吸着構成における本開示のモジュールの上面図である。
【0075】
【0076】
【0077】
【
図9A】
図9Aは、1つの構成における本開示の例Aによる収着性物品の断面図である。
【0078】
【
図9B】
図9Bは、別の構成における本開示の例Aによる収着性物品の断面図である。
【0079】
【
図9C】
図9Cは、別の構成における本開示の例Aによる、複数の相互接続されたチャンネルを有する選択的バリア層の画像である。
【0080】
【
図10A】
図10Aは、水滴を収集するための管腔を備えていない、本開示の例Bによる収着性物品の断面図である。
【0081】
【
図10B】
図10Bは、本明細書に開示されている例による水滴を収集するための管腔を備えた、本開示の例Bによる収着性物品の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0082】
詳細な説明
本開示は、収着性物品、収着性物品を形成する方法、及び投入物から1つ以上の所望の物質を吸着し分離するために収着性物品を使用する方法に関する。以下では、空気供給流からのCO2の捕捉に使用するための収着性物品を記載するが、他の吸着方法及び用途にも使用することができる。これらの方法としては、限定するわけではないが、他のガス供給流(例えば、燃焼排気)及び液体供給流(例えば、海水)を含む様々な投入物からの物質の吸着が挙げられる。吸着される物質はCO2に限定されない。他の吸着される物質としては、限定するわけではないが、他の気体分子(N2、CH4、COなど)、液体分子、溶質などを挙げることができる。特定の実施形態において、投入物は、所望の物質を100万分の1(ppm)オーダーで含む、希釈物であってもよい。
【0083】
図2は、本開示の収着性物品20の立面図である。収着性物品20は、収着剤領域28、選択的バリア層56及び脱着媒体領域50を含む。例示的な収着性物品20は、空気供給流68からCO
2を捕捉するように構成されているが、上述したように、収着性物品20は、他の吸着方法及び用途にも使用できる。
【0084】
収着剤領域28は収着剤材料24、24’を含む。収着剤領域28は、供給流68が収着剤領域28に隣接して、又は収着剤領域28内を通過して、供給流68内のCO2が収着剤領域28内の収着剤材料24、24’上に吸着できるように配置されている。
【0085】
脱着媒体領域50は脱着媒体66を受け入れる。脱着媒体66は、供給流68の吸着された物質を収着剤材料24、24’から脱着するために使用される物質であることができる。脱着媒体66については、
図3A及び3Bを参照してさらに説明する。
【0086】
収着性物品20は、少なくとも収着剤領域28と脱着媒体領域50との間に位置する選択的バリア層56を含み、少なくとも収着剤領域28と脱着媒体領域50との間に選択的透過性バリアを形成する。選択的バリア層56は、収着剤材料24、24’から吸着された物質を脱着できる脱着媒体66の少なくとも脱着要素に対して選択的に透過性である一方、脱着媒体66の他の要素、特に収着剤材料24、24'を損傷する可能性のある要素に対しては選択的に不透過性である。したがって、選択的バリア層56は、どの要素が収着剤領域28に入り、どの要素が収着剤領域28に入らないかを制御するゲートとして機能することができる。様々な実施形態において、脱着媒体領域50中の脱着媒体66はスチームであることができる。温度スイング吸着が使用されるならば、選択的バリア層56は、スチームからの熱に対して選択的に透過性であってもよく、その結果、熱は脱着媒体領域50から収着剤領域28に移動して、収着剤材料24、24’からCO2を脱着する。しかしながら、選択的バリア層56は、水蒸気に対して選択的に不透過性であることができる。幾つかの実施形態において、選択的バリア層56は水蒸気に対しては選択的に透過性であるが、液体水に対しては選択的に不透過性であることができる。
【0087】
選択的バリア層56の形状はさらに変化しうる。幾つかの実施形態において、選択的バリア層56は、収着剤領域28及び脱着媒体領域50の一方又は両方を取り囲んで、収着剤領域28及び/又は脱着媒体領域50のためのチャンネルを画定する。これらの実施形態において、選択的バリア層56は、
図3A及び3Bの例を参照して本明細書でさらに説明されるように、複数の壁を含むことができる。さらに、選択的バリア層56は、崩潰しそして拡張することができるように可撓性であることができ、これにより、収着剤領域28及び/又は脱着媒体領域50も崩潰しそして拡張することができる。他の実施形態において、選択的バリア層56は、収着剤領域28と脱着媒体領域50との間の収着性物品20の長さに及ぶ単壁構造であることができる。要約すると、収着性物品20は、吸着及び脱着が起こることができる収着剤領域28を含み、また、脱着媒体66を含む脱着媒体領域50を含み、収着剤領域28と脱着媒体領域50を分離するように構成された選択的バリア層56を含む。
【0088】
本開示の収着性物品20の第一の例は
図3A及び3Bに示されている。これらの実施形態において、収着性物品20は、少なくとも一方向に可撓性であることができる。特に、収着性物品20の選択的バリア層56は、少なくとも一方向に可撓性であることができる。この可撓性により、収着性物品20は、吸着構造(
図3A)に崩潰し、脱着構造(
図3B)に拡張することができる。図面は収着性物品及びその構成要素の描写を補助するために描かれており、したがって構成要素を明確にするために比率が誇張されている場合があることに留意することが重要である。
【0089】
図3Aは、崩潰された吸着構成にある収着性物品20を示す。図示の実施形態において、収着性物品20は収着剤領域28を含む。
図3Aの例示の実施形態において、収着剤領域28は、第一の多孔質ポリマー22と、例示的に収着剤材料24、24’を含む保持固体とを含む収着剤ポリマー複合材領域である。収着剤領域28はまた、任意選択的なキャリア26を含むことができる。収着剤領域28の各要素については以下でさらに説明する。図面及び以下の説明は、収着剤領域28を有する収着性物品20を対象としているが、収着剤材料24及び/又は24’が他の形態で存在することも本開示の範囲内である。
【0090】
収着剤領域28の第一の多孔質ポリマー22は、延伸ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、膨張ポリエチレン(ePE)又は別の適切な多孔質ポリマーのうちの1つであることができる。様々な実施形態において、収着剤領域28の第一の多孔質ポリマー22は可撓性多孔質ポリマーである。ナノスパン、メルトブローン、スパンボンドなどの不織材料及び多孔質キャストフィルムは、他の様々な適切な多孔質ポリマーに含まれることができることが理解されるであろう。第一の多孔質ポリマー22は、制御された温度及び制御された延伸速度でポリマーを延伸し、ポリマーをフィブリル化させることによって膨張させることができる。膨張に次いで、第一の多孔質ポリマー22は、複数のノード30と、隣接するノード30を接続する複数のフィブリル34との微細構造を含むことができる。これらの例において、第一の多孔質ポリマー22は、フィブリル34とノード30によって境界が定められた細孔32を含む。例示的なノード及びフィブリル微細構造は、ゴアの米国特許第3,953,566号明細書に記載されている。第一の多孔質ポリマー22の細孔32はミクロ細孔と考えられることができる。このようなミクロ細孔は、単一の細孔サイズを有していてもよく、又は細孔サイズの分布を有していてもよい。平均細孔サイズは、特定の実施形態において、0.1ミクロン~50ミクロンの範囲であることができる。
【0091】
収着剤領域28の収着剤材料24、24’は、投入物からの所望の物質を吸着によって表面上に保持するように構成された表面を有する基材である。収着剤材料24、24’は、どの物質が吸着の対象となるかに基づいて変化する。様々な実施形態において、収着剤材料24、24’は二酸化炭素吸着性材料であり、限定するわけではないが、イオン交換樹脂(例えば、Dow Chemical Companyから入手可能なDowex(商標)MARHATRON(商標)A樹脂などの強塩基性アニオン交換樹脂)、ゼオライト、活性炭、アルミナ、有機金属フレームワーク、ポリエチレンイミン(PEI)又は別の適切な二酸化炭素収着剤材料、例えば、乾燥剤、炭素モレキュラーシーブ、炭素吸着剤、グラファイト、活性アルミナ、モレキュラーシーブ、アルミノリン酸塩、シリコアルミノリン酸塩、ゼオライト吸着剤、イオン交換ゼオライト、親水性ゼオライト、疎水性ゼオライト、変性ゼオライト、天然ゼオライト、フォージャサイト、クリノプチロライト、モルデナイト、金属交換シリコアルミノリン酸塩、単極性樹脂、二極性樹脂、芳香族架橋ポリスチレン マトリックス、臭素化芳香族マトリックス、メタクリル酸エステル共重合体、グラファイト吸着剤、炭素繊維、カーボンナノチューブ、ナノマテリアル、金属塩吸着剤、過塩素酸塩、シュウ酸塩、アルカリ土類金属粒子、ETS、CTS、金属酸化物、化学吸着剤、アミン、有機金属反応体、ハイドロタルサイト、シリカライト、ゼオライト性イミダゾレートフレームワーク及び金属有機フレームワーク(MOF)吸着剤化合物及びそれらの組み合わせを挙げることができる。
【0092】
収着剤材料24、24’は、以下にさらに説明するように、コーティング、充填物、同伴粒子として及び/又は別の適切な形態で第一の多孔質ポリマー22中に存在することができる。
図3Aの例示の実施形態において、第一の多孔質ポリマー22は、収着剤材料24が第一の多孔質ポリマー22のノード30及び/又はフィブリル34上に実質的に連続したコーティングを形成するように、収着剤材料24でコーティングされている。収着剤材料24が第一の多孔質ポリマー22のノード30及び/又はフィブリル34に組み込まれるように、第一の多孔質ポリマー22が収着剤材料24で充填されることも本開示の範囲に入る。
図3Aの例示の実施形態において、キャリア26上の収着剤材料24’の粒子は、収着剤材料24’が第一の多孔質ポリマー22のノード30とフィブリル34との間の細孔32を占めるように、第一の多孔質ポリマー22中に同伴される。
【0093】
収着剤領域28の任意選択的なキャリア26は、それが占める領域の表面積を増加させるように構成された材料であり、これにより、所望の物質の吸着に利用可能な表面積の増加を可能にすることができる。キャリア26としては、メソポーラスシリカ、ポリスチレンビーズ、多孔質ポリマー床又は球体、酸化物支持体、別の適切なキャリア材料を挙げることができる。キャリア26は、硫酸カルシウム、アルミナ、活性炭及びヒュームドシリカなどの多孔質無機材料を内部に含む多孔質フィルムをさらに含むことができる。上述したように、キャリア26は、収着剤材料24’でコーティング又は機能化された高表面積粒子として収着剤領域28の細孔32内に存在することができる。収着剤材料24’でコーティングされたキャリア26の組み合わせにより、吸着に利用可能な表面積が増加する。これらの実施形態において、ノード30及びフィブリル34は、収着剤材料24でコーティングされても又はされなくてもよい。ノード30及びフィブリル34がコーティングされないときに、第一の多孔質ポリマー22の元の疎水性は保持されうる。
【0094】
収着性物品20の収着剤領域28は、第一の側72(例えば、
図3Aの上側)及び第二の側74(例えば、
図3Aの下側)を含む。幾つかの実施形態において、収着性物品20は、第二の多孔質ポリマー40を含む外側多孔質ポリマー領域36をさらに含み、外側多孔質ポリマー領域36は、収着剤領域28の第一の側72に隣接して配置される。外側多孔質ポリマー領域36の第二の多孔質ポリマー40は、複数のノード42、隣接するノード42を接続する複数のフィブリル46、及びそれぞれのノード42とフィブリル46との間にそれぞれ形成される複数の細孔44を含むことができる。上でさらに説明したように、第二の多孔質ポリマー40の細孔44はミクロ細孔と考えることができる。
【0095】
収着性物品20の収着剤領域28及び外側多孔質ポリマー領域36は、異なるプロセスを使用して形成されうる。特定の実施形態において、収着剤領域28及び外側多孔質ポリマー領域36は、別個の層として形成され、その後、互いに結合されうる。この場合に、収着剤領域28の第一の多孔質ポリマー22及び外側多孔質ポリマー領域36の第二の多孔質ポリマー40は区別される構造であることができる。他の実施形態において、収着剤領域28及び外側多孔質ポリマー領域36を一緒に形成し、その後、以下にさらに説明するように、異なるコーティングプロセス又は表面処理を施して、特定の領域を差別化することができる。この場合に、収着剤領域28の第一の多孔質ポリマー22及び外側多孔質ポリマー領域36の第二の多孔質ポリマー40は、連続構造又は一体構造であることができる。
【0096】
収着性物品20の収着剤領域28及び外側多孔質ポリマー領域36は、異なる程度の疎水性を有することができる。疎水性は、コーティング又は表面処理を施すことなどの様々な方法によって変更することができ、これらとしては、限定するわけではないが、プラズマエッチング及びミクロトポグラフィー特徴部の適用を挙げることができる。収着剤領域28は第一の疎水性を有し、外側多孔質ポリマー領域36は第二の疎水性を有することができる。第一の疎水性は第二の疎水性よりも低い。外側多孔質ポリマー領域36のより高い疎水性は、収着剤領域28を通る汚染物質の透過を減少させることができ、それにより、供給流68(
図2)中、又は供給流68が通過する環境中の汚染物質と収着剤領域28の構成要素との間にバリアを形成することができる。これにより、水又は他の汚染物質によって引き起こされる可能性のある収着剤領域28内の収着剤材料24、24'の劣化が減少し、収着性物品20の寿命及び耐久性が向上する。収着剤領域28に対する外側多孔質ポリマー領域36の疎水性が大きいことは、外側多孔質ポリマー領域36内の収着剤材料24、24’の欠如に起因しうる。
【0097】
幾つかの実施形態において、収着剤領域28はコーティング(図示せず)でシールされる。特定の例において、コーティングは、上述の収着剤材料24、24’と同様の二酸化炭素収着剤材料となるように構成されている。
【0098】
外側多孔質ポリマー領域36のポリマーは、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、延伸ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)、膨張ポリエチレン(ePE)及び他の適切な多孔質ポリマーのうちの少なくとも1つであることができる。幾つかの例において、収着剤領域28の第一の多孔質ポリマー22は、外側多孔質ポリマー領域36の第二の多孔質ポリマー40と同一であることができる。様々な実施形態において、外側多孔質ポリマー領域36の厚さは、収着剤領域28の厚さよりも薄い。
【0099】
収着剤領域28及び外側多孔質ポリマー領域36の第一及び第二の多孔質ポリマー22及び40の細孔特性は可変である。特定の実施形態において、所望の分子(例えば、CO2)の収着剤領域28への透過を可能にしながら、所望されない汚染物質(例えば、水)の収着剤領域28への透過を選択的に制限するために、外側多孔質ポリマー領域36は収着剤領域28よりも少なく及び/又は小さい細孔44を有することができる。対照的に、収着剤領域28は、吸着及び脱着のために収着剤領域28を通るCO2の移動を促進するために、外側多孔質ポリマー領域36よりも多く及び/又は大きい細孔32を有することができる。
【0100】
さらに、細孔特性は、異なる実施形態の間で変えることができる。細孔特性のこの変化は、収着性物品20の厚さT1、T2、ならびに収着剤領域28及び外側多孔質ポリマー領域36の個々の厚さに依存することができる。
【0101】
図3Aの例示の実施形態において、選択的バリア層56は、脱着媒体領域50を取り囲んでいる。例示的な選択的バリア層56は、収着剤領域28に隣接して配置された第一の壁51(例えば、
図3Aの上壁)と、第二の壁53(例えば、
図3Aの下壁)及び1つ以上の可撓性内部壁54とを含む。一緒になって、選択的バリア層56の第一の壁51、第二の壁53及び内部可撓性壁54は協働してチャンネル52a~52fを画定する。脱着媒体領域50は、選択的バリア層56のチャンネル52a~52f内に位置しており、したがって、チャンネル52a~52fは、本明細書で「脱着チャンネル」とも呼ばれることができる。選択的バリア層56の周囲壁51、53、54は、脱着媒体領域50を隣接する収着剤領域28から分離する。選択的バリア層56の外壁51、53は、上述したように、選択的透過性であることができる。特定の例において、選択的バリア層56の外壁51、53は、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレンなどのポリマー又は別の適切な材料から形成される。選択的バリア層56の内部壁54は、同じポリマー又は異なる材料から形成されうる。したがって、選択的バリア層56は、上述したように、選択的透過性で適用され及び収着剤領域28へのアクセスを与える脱着媒体66(
図2)のための別個の脱着チャンネル52a~52fを提供する。温度スイングの例において、収着剤領域28の収着剤材料24、24'は、脱着媒体領域50を通過する脱着媒体66の流体から保護された状態とすることができ、ここで、流体は、収着剤材料24、24’と接触することができるならば収着剤領域28内の収着剤材料24、24'を損傷しうる。収着剤領域28が選択的バリア層56内に存在する実施形態では、チャンネル52a~52fは、本明細書において「吸着チャンネル」と呼ばれることがあることが理解される。
【0102】
図3Aの吸着構成において、選択的バリア層56の脱着チャンネル52a~52fは、不使用時に脱着媒体領域50が占める体積を最小にするために幅D1まで崩潰されている。
図3Aの例示の実施形態において、内部可撓性壁54は、この崩潰された構成を達成するために、曲げられ、座屈され、傾斜され又はその他の方法で短縮される。結果として、収着性物品20の全体の厚さT1は、その後の
図3Bの脱着構成よりも小さくなることができる。様々な実施形態において、
図4A及び4Bを参照して説明するように、少なくとも1つの収着剤領域28の厚さが変化しながら、収着性物品20の全体の厚さT1は一定であることができる。
【0103】
脱着チャンネル52a~52fの断面形状は変化しうる。
図3A及び3Bの例示の実施形態において、脱着チャンネル52a~52fのそれぞれの断面プロファイルは、ほぼ長方形である。他の実施形態において、脱着チャンネル52a~52fのそれぞれの断面プロファイルは、円形、卵形又は正方形などの異なる形状であることができる。
【0104】
脱着チャンネル52a~52fの配置及び他の特徴もまた、変化しうる。例えば、脱着チャンネル52a~52fは相互接続されていてもよいし、又は、互いに独立していてもよい。
図3A及び3Bの例示の実施形態において、脱着チャンネル52a~52fは、互いにほぼ平行に配置される。他の実施形態において、脱着チャンネル52a~52fは、交差及び/又は重なり合う様式で互いに横切るように配置されうる。また、脱着チャンネル52a~52fは、収着性物品20の相対的な中心内に配置されるように示されているが、選択的バリア層56は、収着性物品20全体にわたって様々な脱着チャンネル52a~52fを形成するように、収着性物品20の様々な所望の領域に配置されうる。さらに、選択的バリア層56は、収着性物品20全体に配置されたマイクロチャンネルから構成されうる。
【0105】
実施形態において、収着性物品20は、第二の収着剤領域28’を含むことができる。第一の収着剤領域28は、選択的バリア層56の第一の壁51に隣接して配置することができ、第二の収着剤領域28'は、選択的バリア層56の第二の壁53に隣接して配置することができる。このようにして、収着剤領域28及び第二の収着剤領域28'は、選択的バリア層56の反対側に位置し、従って、脱着媒体領域50は、2つの収着剤領域28、28'の間に挟まれる。この挟まれた配置により、収着性物品20を他の収着性物品20に隣接して配置することができ、依然として所望の吸着機能を保持することができ、また、
図6、7A、及び7Bを参照して後述するように、脱着媒体領域50の使用が最大化され、モジュールによって使用される空間体積が最大化される。さらに、
図3Aに示すとおりの幾つかの実施形態において、第二の収着剤領域28’に隣接して配置される外側多孔質ポリマー領域36’の追加層が存在することができる。
【0106】
図3Bは、拡張された脱着構成の
図3Aの収着性物品20を示す。この脱着構成において、選択的バリア層56の脱着チャンネル52a~52fは、脱着媒体66(
図2)が脱着チャンネル52a~52f内に位置する脱着媒体領域50を通過できるように幅D2に拡張される。より具体的には、内部可撓性壁54は、
図3Aの吸着構成における曲がった、座屈した、傾いた又は短縮された構成から、
図3Bの脱着構成における直線状又は長尺構成に移動している。特定の例において、脱着媒体66はスチームである。スチームからの熱は、脱着チャンネル52a~52fのそれぞれを透過して収着剤領域28、28’に入ることができ、その結果、熱は収着剤材料24、24’から二酸化炭素を脱着させる。脱着媒体66は、しばしば、スチームを参照して説明されるが、脱着媒体66は、収着剤材料24、24’から吸着物質を脱着できる脱着要素を有する任意の媒体(例えば、熱)を含むことができる。幾つかの実施形態において、熱伝導性を支援する材料及び構成要素の使用を用いることができる。例として、選択的バリア層56の上面及び下面は金属化されてもよく、又は、選択的バリア層56を収着剤領域28に取り付けるために使用される接着剤は金属粉末又は他の熱伝導性材料を含んでもよい。脱着構成において、収着性物品20は、約0.5mm~5.0mmの範囲であることができる全体厚さT2を有することができる。
図3Bの脱着構成における全体厚さT2は、
図3Aの吸着構成における全体厚さT1以上であることができる。
【0107】
図3Cは追加の端部シール領域21を有する
図3Bの収着性物品の追加の立面図である。特定の実施形態において、収着性物品20は、収着性物品20の構成要素を保護するためにこの端部シール領域21を含む。例えば、収着性物品20が生産又は製造目的など何らかの方法で切断又は分割されるならば、収着剤領域28、28'、したがって収着剤領域28、28'内の収着剤材料24、24'が水又はスチームなどの外部環境要素にさらされた状態になる可能性があり、このことは収着性物品20の特性に有害な場合がある。したがって、端部シール領域21を備えた実施形態が望ましい場合がある。
図3Cに示されるように、端部シール領域21は、少なくとも外側多孔質ポリマー領域36の第二のポリマー40と収着剤領域28の第一のポリマー22とを接続するように配置される。ある実施形態において、それは外側多孔質ポリマー領域36、36'のポリマー40を接続する。さらなる実施形態において、端部シール領域21は、外側多孔質ポリマー領域36の第二のポリマー40、外側多孔質ポリマー領域36'の第二のポリマー40、収着剤領域28の第一のポリマー22及び収着剤領域28’の第一のポリマー22のうちの少なくとも2つを接続する。端部シール領域21は、収着剤領域28、28’の露出した第一のポリマー22を少なくとも1つの側で覆う。
【0108】
図3Cの例示の実施形態において、端部シール領域21は、シーリング材料層47の追加の層を収着性物品20上に適用することによって形成される。シーリング材料47は、外側多孔質ポリマー領域36、36'の材料と同じであっても又は異なっていてもよい。例えば、シーリング材料47は、ePTFE(
図3Cに示すとおり)、ePE、シリコーンエラストマー又は収着剤領域28、28’を保護する任意の他の適切な非孔質及び/又は疎水性材料であることができる。他の実施形態において、端部シール領域21は、外側多孔質ポリマー領域36、36’を延長し、領域36、36’を結合(例えば、挟む、接着)することによって形成されうる。この端部シーリング工程を追加すると、複合材内に保持された収着剤を保護し、また複合材の前方端(空中の破片及び高速衝撃による損傷が最も起こりやすい領域)を強化することにより、複合材に利益がもたらされる。
【0109】
図3Dは、
図3Cに示されるように、外側多孔質ポリマー領域36、36’の第二の多孔質ポリマー40と端部シール領域21のシーリング材料47が単一の、モノリシックな、又は連続的な材料(例えば、閉ループを形成するように端部が接続されたチューブ又はシート)から形成され、第一の多孔質ポリマー22及び選択的バリア層56を覆うシームレス保護層48を形成する収着性物品20の例を示す。
【0110】
図4Aは、崩潰された吸着構成で示される本開示の選択的バリア層56’によって取り囲まれた脱着媒体領域50’の別の実施形態である。崩潰された吸着構成において、収着性物品20は全体厚さT1’を備える。収着性物品20はさらに、選択的バリア層56’に隣接して配置された少なくとも1つの収着剤領域28を含む。収着剤領域28は、選択的バリア層56'に隣接して収着性物品20の上部境界まで測定した第一の厚さT3'を有することができる。選択的バリア層56'は、脱着媒体領域50が配置されている少なくとも1つの脱着チャンネル52a'を備える。
図4Aの例示的な実施形態において、選択的バリア層56’は6つの脱着チャンネル52a~52f’を含む。脱着チャンネル52a~52f’のそれぞれは、連続した円形壁54’によって取り囲まれており、脱着チャンネル52a~52f’と、脱着媒体領域50’に隣接して配置された少なくとも1つの収着剤領域28との間にバリアを形成する。この実施形態において、収着剤領域28は、選択的バリア層56’の全体、従って脱着媒体領域50’の全体を取り囲むように配置される。この吸着構成において、脱着チャンネル52a~52f’の壁54’は、幅D1’(すなわち、直径)を有する略卵形の断面プロファイルに崩潰される。
【0111】
図4Bは、拡張された脱着構成の
図4Aの選択的バリア層56’及び脱着媒体領域50’を示す。拡張された脱着構成において、収着性物品20は全体厚さT2’を備える。収着剤領域28は、選択的バリア層56'から収着性物品20の上部境界まで測定した第二の厚さT4'を備える。この脱着構成において、脱着チャンネル52a~52f'は、拡張された状態で示されており、脱着チャンネル52a~52f'のそれぞれは、ほぼ円形の断面プロファイルを有する。脱着チャンネル52a~52f’のそれぞれは、
図4Aの崩潰された幅D1’を超える幅D2’(すなわち、直径)を有し、約0.5mm~2mmであることができる。脱着チャンネル52a~52f’は、脱着プロセス中に脱着媒体66(
図2)がチャンネル52a~52f’を通って指向されるように機能する。
【0112】
図3A及び3Bを参照して説明したように、収着剤領域28の第一の多孔質ポリマー22(
図3A)は可撓性であることができる。したがって、収着剤領域28は、圧縮及び拡張できるように、少なくとも一方向に可撓性であることができる。
図4Bに示される収着剤領域28は、
図4Aの吸着構成と比較して概して圧縮されて示されており、その結果、第二の厚さT4’は第一の厚さT3’よりも小さくなる。これらの実施形態において、収着性物品20は、収着剤領域28が圧縮される間に吸着構成から脱着構成に移行するときに、実質的に一定の全体厚さT1’を保持することができる。この圧縮は、脱着媒体66(
図1)が脱着媒体領域50’を通って指向されるときの脱着媒体領域50’の膨張によるものである可能性がある。この圧縮により、収着性物品20が脱着構成にある間に収着剤領域28の密度も増加する可能性がある。収着剤領域28を第二の厚さT4’に圧縮することは、
図4Bの脱着中に様々な理由で有益であることができ、これは、限定するわけではないが、収着剤領域28内の保温能力の向上、及び収着性物品20を一定体積のハウジング内に保持する能力などのためである。脱着媒体領域50’が圧縮されて
図4Aの吸着構成に戻ると、収着剤領域28に対する圧力の減少により、収着剤領域28が第一の厚さT3’まで膨張して戻ることが可能になる。他の実施形態において、収着剤領域28は、脱着構成における収着剤領域28の厚さT4’が吸着構成における厚さT3’と実質的に同じであるように、剛性であることができる。このようにして、脱着媒体領域50’の幅を変化させると、収着性物品20の厚さT1’が実質的に同じ量だけ変化する。
【0113】
図5は、
図3A及び3Bの収着性物品20を形成するための方法100の例示的な実施形態である。方法100は、
図4A及び4Bの脱着媒体領域50’を有する収着性物品20を形成するように調整することができる。しかし、それは
図3A及び
図3B又は
図4A及び4Bの実施形態の形成に限定されない。
【0114】
ブロック102において、方法100は、まず、少なくとも1つの収着剤領域28を提供する工程を含む。様々な実施形態において、この工程は、収着剤領域28と、収着剤領域28に取り付けられるように構成された外側多孔質ポリマー領域36を提供することをさらに含む。
【0115】
ブロック104において、方法100は、脱着媒体領域50を提供する工程をさらに含む。
【0116】
ブロック106において、方法100は、少なくとも収着剤領域28と脱着媒体領域50との間に選択的バリア層56を提供することをさらに含む。様々な実施形態において、この工程は、選択的バリア層56が第一の壁51、第二の壁53及び少なくとも1つの可撓性内部壁54を含むように、選択的バリア層56で脱着媒体領域50を取り囲むことをさらに含む。他の実施形態において、この工程は、収着剤領域28を選択的バリア層56で取り囲むことを含むことができる。選択的バリア層56を提供することは、収着剤領域28を選択的バリア層56の第一の壁51に取り付けることをさらに含むことができる。特定の例において、提供する工程は、収着剤領域28を選択的バリア層56の第一の壁51にラミネート化することを含む。ある実施形態において、第二の収着剤領域28'は存在する。これらの実施形態において、方法100は、追加の収着剤領域28'を、脱着媒体領域50を取り囲む選択的バリア層56の第二の壁53に取り付けることをさらに含む。特定の例において、この取り付け工程は、追加の収着剤領域28’を第二の壁53にラミネート化することを含む。他の実施形態において、取り付け工程は、追加の収着剤領域28'を選択的バリア層56の第二の壁53に結合又は接着することを含むことができる。
【0117】
図6は、本開示のモジュール60の立面図であり、モジュール60は2つの収着性物品20を含む。他の実施形態において、モジュール60は、より多くの数の収着性物品20を含むことができる。
図6の収着性物品20はそれぞれ、
図4Bの選択的バリア層56’に示されるような脱着チャンネル52a~52f’を含む。脱着チャンネル52a~52f’は、
図4Bの拡張された脱着構成で示されている。これは、ほぼ円形の断面プロファイルを有する。脱着構成は、拡張された脱着チャンネル52a~52f’を通る脱着媒体66の流れが最大化されるように構成されている。特定の実施形態において、この脱着媒体66はスチームである。脱着媒体66は、ほぼ垂直軸64に沿って脱着チャンネル52a~52f’を通って指向される。このように、脱着媒体66は、選択的バリア層56’の壁54’とのみ接触し、収着剤領域28(
図3A)には直接接触しない。さらに、垂直軸64に沿って脱着媒体66を課すことにより、過剰な脱着媒体66(例えば、スチームからの凝縮水)が重力によってモジュール60から離れることが可能になる。さらに、供給流68は、ほぼ水平軸62に沿って、個々の収着性物品20の間でモジュール60に適用されうる。特定の実施形態において、供給流68は空気流である。場合によって、空気流は二酸化炭素を含む。この供給流58が指向される収着性物品20間の空間は、モジュール60の吸着経路78を構成する。
【0118】
幾つかの例において、冷却液体(冷却剤)も脱着媒体領域50内に受け入れられ、収着性物品20を酸化を妨げる温度まで能動的に冷却することができる。例えば、チャンネル52a~52fを通過する収着性物品20において、そのような冷却剤は、チャンネル52a~52fを介して収着性物品20を通過することができる。幾つかの例において、収着性物品20は、収着剤領域28で供給流68にさらされてもよく、その後、CO2の脱着を促進するために、スチームなどからの熱などの脱着媒体66が適用されうる。脱着が完了した後に、例えば冷媒又は冷水を脱着媒体領域50に通すことによって収着性物品20を冷却することができ、その後、吸着プロセスを再び開始して次の吸着/脱着サイクルを開始することができる。
【0119】
図7Aは、吸着中の吸着構成にある本開示のモジュール60’の上面図である。モジュール60’は、外側ハウジング80内に互いに隣接して配置された複数の収着性物品20から構成される。この実施形態は、外側ハウジング80内に配置された6つの収着性物品20を示しているが、収着性物品20の数及び配置は変更可能である。幾つかの実施形態において、収着性物品20の数は、所望の実施形態の外側ハウジング80のサイズの制約に基づいて選択される。
【0120】
外側ハウジング80は、サイズ及び形状が異なっていてもよい。ある実施形態において、外側ハウジング80は、内部に収着性物品20を配置するために、少なくとも4つの壁と少なくとも1つの開放面を有するほぼ正方形の容器である。他の実施形態において、外側ハウジング80は、収着性物品20の配置を維持するために、少なくとも2つの側を有する平坦面であってもよい。さらに、他の実施形態において、外側ハウジング80は、収着性物品20の保持及び吸着中の供給流68及び脱着中の脱着媒体66の導入を可能にする任意の形状又は構造を有することができる(
図6)。
【0121】
モジュール60'は、隣接する収着性物品20の間の空間を含めて、各収着性物品20の両側に形成される吸着経路78a~gを備える。複数の収着性物品20のそれぞれの脱着チャンネル52a~gは崩潰構成で示されており、吸着経路78a~78gは拡張されている。この吸着構成は、吸着経路78a~gを供給流68で加圧し(
図6)、実質的に空の又は未使用の脱着チャンネル52a~gを崩潰することによって引き起こすことができる。このようにして、吸着経路78a~78gは、供給流68を収容するために、吸着構成(
図7A)の方が脱着構成(
図7B)よりも大きなサイズを有する。脱着プロセスを支援するために、真空又は負圧を使用するシステムにおいて、収着性物品20を崩潰させる力として負圧を使用することもできる。
【0122】
図7Bは、脱着中の脱着構成における
図7Aのモジュール60'の上面図である。この構成において、複数の収着性物品20のそれぞれの脱着チャンネル52a~52gは拡張される。脱着チャンネル52a~gの拡張及び吸着経路78a~gの圧縮は、脱着媒体66(
図6)で脱着チャンネル52a~gを加圧し、実質的に空の又は未使用の吸着経路78a~gを崩潰することによって達成されうる。特定の例において、脱着媒体66はスチームである。これらの例において、スチームからの熱は、脱着チャンネル52a~gを通って各収着性物品20の少なくとも1つの収着剤領域28(
図3A)に透過することができる。前述したように、追加の構成要素、コーティング及び接着剤が使用されて、熱伝導性、特に脱着媒体領域50及び収着剤領域28の界面での熱伝導性を増加させることができる。さらに、前述したように、スチームの代わりに脱着媒体66の追加の変形例を使用することもできる。
【0123】
上記では、モジュール60、60’が区別される収着性物品20を使用して説明されているが、モジュール60、60’の様々な他の実施形態は本開示の範囲内で想像される。例えば、収着性物品20は、1つの収着性物品20が複数の層を形成してモジュール60、60’を形成するように、コイル状に巻くか又は折り畳む様式でラップすることができる1枚のシートとして形成することができる。このようにして、1つの収着性物品20が使用されるが、互いに隣接して配置された脱着媒体領域50の複数の層が存在する。
【0124】
図8は、例示的に
図7A及び7Bのモジュール60’である、本開示のモジュール60’を使用する方法200の例示的な実施形態である。実施形態において、方法200は、
図6のモジュール60を用いたDACにも使用されうる。
【0125】
ブロック202で、方法はまず、それぞれが収着剤領域28、脱着媒体領域50及び選択的バリア層56を含む1つ以上の収着性物品20から構成されるモジュール60’を提供することを含む。1つを超える収着性物品20が使用されるときに、収着性物品20は互いに隣接して配置される。収着性物品20は、上で説明したように、外側ハウジング80内に配置される。
【0126】
ブロック204において、方法200は、供給流68がモジュール60’内に指向され、モジュール60’を通過する間に、供給流68(
図6)から二酸化炭素を吸着することをさらに含む。供給流68の適用は、供給流68をモジュール60’の吸着経路78a~78eに指向させることを含む。供給流68の適用中に、
図7Aに示すように、圧力により脱着経路52a~52gを崩潰させ、吸着経路78a~78eを拡張させることができる。このようにして、モジュール60’を通過する供給流68の量を最大にすることができ、供給流68を強制的に通過させるのに必要な圧力が最小限に抑えられる。様々な実施形態において、モジュール60’は一定体積を有する。これらの実施形態において、吸着工程中に、収着剤領域28は、脱着工程(
図7B)中よりもモジュール60’の一定体積のより多くの体積を占める。供給流68内の二酸化炭素は、収着性物品20の少なくとも1つの収着剤領域28(
図3A)に暴露される。少なくとも1つの収着剤領域28内の収着剤材料24、24'(
図3A)は、最大吸着容量に近づくか、最大吸着容量に達するまで、二酸化炭素を吸着する。他の実施形態において、少なくとも1つの収着剤領域28内の収着剤材料24、24’(
図3A)は、平衡に達するまで二酸化炭素を吸着する。
【0127】
次いで、ブロック206で、方法200は、脱着媒体66がモジュール60’内に指向され、モジュール60’を通過する間に二酸化炭素を脱着することを含む。この工程中に、脱着媒体66(
図6)は、脱着チャンネル52a~52gを通って指向される。脱着媒体66を脱着チャンネル52a~52g内に適用することにより、脱着チャンネル52a~52gの拡張及び吸着経路78a~78eの崩潰を可能にすることができる。様々な実施形態において、モジュール60’内の圧力変化により、吸着経路78a~78eが崩潰し、その結果、システムは脱着構成に切り替わることができる。幾つかの例において、圧力変化は、吸着経路78a~78eを通過する供給流68の欠如によるものである。このようにして、モジュール60’を通って指向されうる脱着媒体66の量は最大化される。さらに、モジュール60’が一定体積を有する様々な実施形態において、脱着工程中に、脱着媒体領域50は、吸着工程(
図7A)中よりもモジュール60’の一定体積のより多くの体積を占める。特定の例において、脱着媒体66はスチームである。スチームからの熱は、収着性物品20の脱着媒体領域50から選択的バリア層56を通って収着剤領域28(
図3A)に透過し、収着性物品20内の二酸化炭素を脱着することができる。この実施形態において、二酸化炭素は温度スイング吸着を使用して捕捉される。
【0128】
実施形態において、方法200は、各収着性物品20から脱着された二酸化炭素を収集することをさらに含む。二酸化炭素の脱着及び収集が完了すると、方法200は、供給流68を収着性物品20の吸着経路78a~78eに適用してモジュールを吸着構成に戻すこと、ブロック204で吸着プロセスを繰り返すことをさらに含む。モジュール60’は収着性物品20がブロック204での吸着とブロック206での脱着の繰り返しサイクルを受けることができるように構成されている。これは、選択的バリア層56が可逆的に崩潰及び拡張することができる能力によるものである。前述したように、吸着経路78a~e及び脱着チャンネル52a~fが様々な構成中に崩潰及び拡張する能力により、モジュール60'の体積を、それぞれの構成中に吸着又は脱着のために最大化することができ、同時に、モジュール60'の全体の寸法は、外側ハウジング80に基づいている。
【0129】
上述の実施形態において、選択的バリア層56は、収着性物品20が吸着構成(
図3A)に崩潰し、脱着構成(
図3B)に拡張することを可能にする内部可撓壁54を含む。他の実施形態において、選択的バリア層56は非崩潰性であり、吸着と脱着の間でその形状を保持することができる。これらの非崩潰性の実施形態においても、選択的バリア層56は、様々な脱着チャンネル52a~52fを通過する脱着媒体66から収着剤領域28の収着剤材料24、24’を保護するために、水及び水蒸気に対して不透過性であることができる。
【実施例】
【0130】
例A
以下の構成要素について、
図9A及び9Bを参照して説明する。
図9Aは、第一の構成にある収着性物品20’の断面図である。第一の吸着性ポリマー及び第二の吸着性ポリマー複合材(SPC)領域92、96のそれぞれについて、収着剤充填テープを組み込んだ収着性物品を製造した。サンプルは、非晶質シリカ粉末(Syloid C 803、メリーランド州コロンビアのGrace Industriesから入手可能)を入手し、PTFE樹脂と混合することによって製造した。ブレンドの割合は、シリカが60質量%、PTFEが40質量%であった。成分は、Mortimer,Jr.の米国特許第4,985,296号明細書に記載のプロセスを用いてブレンドした。このプロセスは、水性分散液中で60質量%のシリカと40質量%のPTFEのブレンドを混合することを含んだ。次に、プロセスはフィラーとPTFEを凝集させることを含んだ。次に、このプロセスは、充填されたPTFEを押出潤滑剤(Isopar K)で潤滑し、ペーストを押出してテープを形成することを含んだ。次に、このプロセスには、テープを引き伸ばしてテープを延伸させ、充填剤が内部に分散された多孔質PTFEテープを形成し、最後に材料を所望の厚さに圧縮して材料を部分的に緻密化することを含んだ。得られた充填テープの厚さは約0.762mm、幅は150mmであった。このテープを約53mmx85mmのサンプルに切断した。
【0131】
内部チャンネル構成要素については、Goreに対する米国特許第3,082,292号明細書の教示に従って、ePTFE多導体を製造した。
【0132】
第一の外層及び第二の外層90、98のそれぞれについて、Brancaらの米国特許第5,814,405号明細書の教示に従って製造された延伸ePTFE膜を得た。
【0133】
ePTFE膜をサンプルの両面に配置した。
【0134】
構成要素の組み立てられたスタックは、次の順序でコンパイルされた:(1)第一の外部領域/層90、(2)SPC領域92、(3)選択的バリア層95に取り囲まれた内部チャンネル94、(4)SPC領域96、及び(5)第二の外部領域/層98。次に、この5領域の構成要素のスタックをCarver液圧プレスに置き、アルミニウムのシムの間で圧縮した。圧力によりサンプルは元の厚さの約1/3に圧縮された。サンプルをプレスから取り出し、導体を内部チャンネル構成要素の内部から取り外し、サンプルを約53mmx85mmにトリミングした。得られたサンプルには、収着剤ポリマー複合材の領域内に幾つかの0.5mmチャンネルがあり、両面に通気性がありながらなおも防水性のある ePTFE層を有した。
【0135】
図9Aは、厚さT7を有する第一の外層90と、全体厚さT5を有する収着性物品20’を示す。
図9Bは、第二の構成にある収着性物品20’の断面図である。
図9Bに一般に示されるように、第一の外層90は、T7とは異なる厚さT8を有し、及び/又は収着性物品20’は、T5とは異なる全体厚さT6を有する。幾つかの例において、非圧縮であるか又はより少なく圧縮されている構成であることができる第一の構成と比較して第二の構成が圧縮された構成であるときに、第二の構成における厚さT6及び/又はT8は、それぞれ厚さT5及び/又はT7より小さくなることができる。圧縮は、収着性物品20’の外面に何かを押し付けることなどにより手動で、又は収着性物品20’の周囲の環境の圧力変化などにより受動的に生じさせることができる。幾つかの例において、第二の構成が第一の構成と比較して拡張された構成であるときに、第二の構成における厚さT6及び/又はT8は、それぞれ厚さT5及び/又はT7よりも大きくなることができる。
【0136】
厚さT5、T6、T7及び/又はT8は、ある構成から別の構成に移行するときに変化しうるが、内部チャンネル94及び/又は選択的バリア層95のサイズ及び/又は形状は同じままとすることができることに留意されたい。すなわち、選択的バリア層95を形成する材料は、外層90、98に加えられる圧力によって厚さをそれぞれT5及びT6からT7及びT8に変化させるには、十分に硬く、半追従性であり又は非追従性であることができ、内部チャンネル94及び/又は選択的バリア層95のサイズに影響を及ぼさない。例えば、限定するわけではないが、形状又は直径を含む、内部チャンネル94及び/又は選択的バリア層95の断面サイズは、そのような厚さの変化による影響を比較的に受けないままであることができる。
【0137】
図9Cに示されるように、選択的バリア層95は、相互接続されたチャンネル97を有する単一の支持層構成要素によって画定されうる。すなわち、各内部チャンネル94は、支持層構成要素に組み込まれた1つ以上の相互接続されたチャンネル97を介して、少なくとも1つ、又は、幾つかの場合にはすべて他の内部チャンネル94と相互接続される。したがって、内部チャンネル94は、互いに独立している(すなわち、隣接する別の内部チャンネル94と接続されていない)か、又は、1つの内部チャンネル94から隣接する別の内部チャンネル94への例示的な流体流99によって示されるように、相互接続されたチャンネル97を介して相互接続されることができる。
【0138】
例B
以下の構成要素について、
図10A及び10Bを参照して説明する。
図10Aは収着性物品300の断面図であり、
図10Bは、チャンネル307を有する収着性物品300の断面図である。
図10A及び10Bの断面図は、収着性物品300に対する様々な向き又は視野角を表すことができる。幾つかの実施形態によると、
図9A及び9Bの断面図は、収着性物品の上面図又は平面図(例えば、y軸に沿った)でありうるのに対し、
図10A及び10Bの断面図は、同収着性物品の側面図(例えば、x軸又はz軸に沿った)でありうる。
【0139】
CO2を捕捉するプロセスにおいて、収着性物品300は、スチームの形態で収着性物品300の内部に水を受け取ることができる。スチームからの水蒸気の蒸発は、収着性物品300の内部温度を低下させ、CO2捕捉プロセスを促進することができる。しかしながら、水蒸気のすべてが完全に蒸発することができるわけではないため、水蒸気の一部が収着性物品300の内部に(例えば、水滴又は凝縮物として)残ることがある。幾つかのシナリオで、収着性物品300内に凝縮物が存在すると、収着性物品300のCO2捕捉能力の効率が低下する可能性がある、すなわち、収着性物品300内に増加した水分が存在すると、CO2捕捉能力が低下する可能性がある。したがって、収着性物品300を比較的乾燥した状態に保つために、収着性物品300からできるだけ多くの凝縮物又は他の水分を除去することが好ましい場合がある。これに関して、さらに説明するように、チャンネル307は、収着性物品300の内部に収集された水(例えば、水滴又は凝縮物)が収着性物品300から排出されるのを促進するように構成されうる。
【0140】
収着性物品300は、収着性物品300の片面又は両面に配置又は位置する1つ以上の層301及び/又は302を有する。幾つかの実施形態において、層301、302は、水蒸気に対して選択的に透過性であるが、液体水に対して選択的に不透過性である選択的バリア層であることができ、その結果、水蒸気はバリア層を通過できるが、液体水(例えば、水滴)がバリア層を通過するのは妨げられる。幾つかの実施形態において、層301、302は、例えばePTFEなどの疎水性材料から作られているか、又は疎水性材料でコーティングされていることができる。
【0141】
幾つかの例における収着性物品300は、収着剤及び親水性材料303を含むことができ、材料303は、水蒸気の一部を生じて(例えば、スチームにより生じる)、収着性物品300の構造内で凝縮物を形成させることができる。収着性物品300は、複数のノード304と、隣接するノード304を接続する複数のフィブリル305との多孔質微細構造を含むことができる。収着性物品300は、例えばePTFE、ePE及び適切な収着剤材料を含むSPCであることができる。収着性物品300は、例えば親水性表面改質などの方法により、親水性となるように処理又は他の方法で改質されうる。これらの例において、ノード304及びフィブリル305は、ノード304及びフィブリル305によって境界付けられる細孔306を形成する。
【0142】
幾つかの例による収着性物品300の親水性要素314の一部は
図10Aにも示されている。親水性要素314は、収着性物品300全体にわたって均一に又は不均一に分布しうることが理解されるべきである。例えば、親水性要素314は、要素314の表面に適用された親水性材料303のコーティング、又は、そのような親水性材料303が吹き込まれた又は吸収された要素によって生じることができる親水性を有する別個の成分又は粒子であることができる。例えば、親水性材料303は、とりわけ、ポリエチレンイミン(PEI)、塩、又はイオン交換樹脂であることができる。幾つかの例において、親水性要素314は、充填粒子又は同伴粒子として存在しうる。幾つかの例において、収着性物品300は、親水性材料303が収着性物品300のノード304及び/又はフィブリル305上に実質的に連続したコーティングを形成するように、親水性材料303でコーティングされる。親水性要素314が収着性物品300のノード304及び/又はフィブリル305中に組み込まれるように、収着性物品300が親水性要素314で充填されることも本開示の範囲内にある。幾つかの例において、親水性要素314の粒子は、親水性要素314が収着性物品300のノード304とフィブリル305との間の細孔306を占めるように、収着性物品300内に同伴される。
【0143】
幾つかの例において、親水性要素314は、親水性材料303から作られた親水性コーティングの複数のキャリアであることができる。キャリアは、それが占める領域(例えば、細孔306)の表面積を増加させるように構成されることができ、これにより、所望の物質の吸着に利用できる表面積を増加させることができる。キャリアとしては、メソポーラスシリカ、ポリスチレンビーズ、多孔質ポリマー床又は球体、酸化物支持体又は任意の他の適切なキャリア材料を挙げることができる。キャリアは、硫酸カルシウム、アルミナ、活性炭及びヒュームドシリカなどの多孔質無機材料を内部に含む多孔質フィルムをさらに含むことができる。キャリアは、親水性材料303でコーティング又は機能化された高表面積粒子として収着性物品300の細孔306内に存在しうる。親水性材料303でコーティングされたキャリアの組み合わせにより、吸着に利用可能な表面積が増加する。
【0144】
幾つかの実施形態において、ノード304及びフィブリル305は、収着剤材料、例えば、幾つかの例では親水性材料303であることができる収着剤材料(24、24')で部分的又は完全にコーティングされうる。ノード304及びフィブリル305がコーティングされていないときに、収着性物品300の元の疎水性は保持されうる。
【0145】
図10Aに示されるように、外層301及び302は、水滴又は凝縮物311が収着性物品300の親水性内部材料303から流出するのを防止することができる。水の排出を促進するために、チャンネル307は、矢印308A及び308Bによって示されるように、凝縮物311が内側に、又は外層301及び302から離れてチャンネル307に向かって移動するように指向されるように、収着性物品300内の内部に配置される。この場合において、示されているように、チャンネル307は、内部材料303によって両側が取り囲まれているが、幾つかの例において、チャンネル307の片側だけが内部材料303と接触しているが、チャンネル307の反対側は、外層301又は302によって覆われてもよく、あるいは周囲環境に露出されてもよいことを理解されたい。幾つかの例において、矢印308A及び308Bによって示される凝縮物311の移動は、例えば、外層301、302に内向きの圧力を加えることによって、又は収着性物品300にその両側から空気又はガスを吹き込むことによって促進されうる。幾つかの例において、疎水性(すなわち、疎水力)は、収着性物品内での水の移動を促進する。このような動きを容易にするために、他の任意の適切な能動的又は受動的な方法を実装することができる。
【0146】
チャンネル307の壁(又は複数の壁)312は、多孔質で水透過性の材料から作られていてもよく、これにより、壁312を通る凝縮物311の通過及びチャンネル307内部の凝縮物311の収集が容易になる。重力により、チャンネル307内の凝縮物311は矢印309で示されるように収着性物品300内で平行移動し(例えば、下方に落下し)、その後、凝縮物311は、チャンネル307の端部又はその付近に又はチャンネル307の別の場所に形成された排出物開口部310を介して収着性物品300から出ることができる。幾つかの例において、排出物開口部310は収着性物品300の底部に位置し、幾つかの例では、壁312は収着性物品300の端部313を越えて突き出ている。これにより、チャンネル307の一部は端部313を越えて延在し、その結果、排出物開口部310は収着性物品300の外部に位置するようになる。
【0147】
幾つかの実施形態において、チャンネル307は、壁(又は複数の壁)312のサイズ及び形状によって適切に規定されるように、実質的に真っ直ぐで管状の構成をとる。幾つかの実施形態において、チャンネル307は、実質的に湾曲又は曲がった構成をとる。幾つかの実施形態において、チャンネル307はらせん構成をとる。そして、幾つかの実施形態において、チャンネル307は、その全長に沿って一貫した断面形状(例えば、円形、卵形、多角形など)又は面積を有する。幾つかの実施形態において、チャンネル307は、その長さに沿って変化する断面形状又は面積を有し、例えば、他の部分よりも広い特定の部分を有する。例えば、チャンネル307は、円錐台形の構成をとることができる。
【0148】
本開示の範囲から逸脱することなく、説明した例示的な実施形態に対して様々な変更及び追加を行うことができる。例えば、上述の実施形態は特定の特徴について言及しているが、本開示の範囲には、特徴の異なる組み合わせを有する実施形態、記載された特徴のすべてを含むわけではない実施形態も含まれる。したがって、本開示の範囲は、特許請求の範囲に含まれるすべてのこのような代替、変更及び変形形態を、そのすべての均等形態とともに包含することが意図されている。
【手続補正書】
【提出日】2024-01-10
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0148
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0148】
本開示の範囲から逸脱することなく、説明した例示的な実施形態に対して様々な変更及び追加を行うことができる。例えば、上述の実施形態は特定の特徴について言及しているが、本開示の範囲には、特徴の異なる組み合わせを有する実施形態、記載された特徴のすべてを含むわけではない実施形態も含まれる。したがって、本開示の範囲は、特許請求の範囲に含まれるすべてのこのような代替、変更及び変形形態を、そのすべての均等形態とともに包含することが意図されている。
(態様)
(態様1)
物質を吸着及び脱着するように構成された収着剤材料を含む収着剤領域、
前記収着剤領域に隣接して配置され、前記収着剤材料から前記物質を脱着する脱着媒体を受け入れるように構成された脱着媒体領域、及び、
少なくとも前記収着剤領域と前記脱着媒体領域との間に位置する選択的バリア層、
を含む、収着性物品。
(態様2)
前記収着性物品は少なくとも一方向に可撓性である、態様1記載の収着性物品。
(態様3)
前記収着性物品は合計厚さが約0.5mm~1.0cmである、態様1又は2記載の収着性物品。
(態様4)
前記収着剤領域は、少なくとも多孔質ポリマー及び前記収着剤材料を含む収着剤ポリマー複合材領域である、態様1~3のいずれか1項記載の収着性物品。
(態様5)
前記選択的バリア層はポリマーを含む、態様1~4のいずれか1項記載の収着性物品。
(態様6)
前記ポリマーはポリテトラフルオロエチレン(PTFE)である、態様5記載の収着性物品。
(態様7)
第二の収着剤領域をさらに含み、前記収着剤領域及び前記第二の収着剤領域は前記選択的バリア層の反対側に位置する、態様1~6のいずれか1項記載の収着性物品。
(態様8)
前記収着剤領域及び前記第二の収着剤領域は同一である、態様7記載の収着性物品。
(態様9)
前記選択的バリア層は少なくとも1つのチャンネルを含む、態様1~8のいずれか1項記載の収着性物品。
(態様10)
前記少なくとも1つのチャンネルは、前記選択的バリア層の少なくとも第一、第二及び第三の壁によって画定されている、態様9記載の収着性物品。
(態様11)
前記少なくとも1つのチャンネルは圧縮又は拡張されうる、態様9又は10記載の収着性物品。
(態様12)
前記収着性物品の前記少なくとも1つのチャンネルはほぼ長方形の断面プロファイルを有する、態様9~11のいずれか1項記載の収着性物品。
(態様13)
前記選択的バリア層の前記少なくとも1つのチャンネルは、拡張時はほぼ円形であり、崩潰時はほぼ卵形である断面プロファイルを有する、態様9~12のいずれか1項記載の収着性物品。
(態様14)
前記少なくとも1つのチャンネルのそれぞれは、拡張時に約0.5mm~2mmの高さを有する、態様9~13のいずれか1項記載の収着性物品。
(態様15)
前記少なくとも1つのチャンネルは、多孔質で水透過性の材料を含む少なくとも1つのチャンネル壁によって画定されている、態様9~14のいずれか1項記載の収着性物品。
(態様16)
前記少なくとも1つのチャンネルは、前記チャンネルの端部に近接して位置した排出物開口部を含み、前記排出物開口部を通して、前記収着性物品内から水が排出されるように構成されている排出物開口部を含む、態様9~15のいずれか1項記載の収着性物品。
(態様17)
前記選択的バリア層は少なくとも2つのチャンネルを含む、態様1~8のいずれか1項記載の収着性物品。
(態様18)
前記少なくとも2つのチャンネルは相互接続されている、態様17記載の収着性物品。
(態様19)
前記少なくとも2つのチャンネルは互いにほぼ平行に配置されている、態様17又は18記載の収着性物品。
(態様20)
前記選択的バリア層は、前記選択的バリア層が、吸着構成と脱着構成との間でその形状を保持するように非崩潰性である、態様1~12のいずれか1項記載の収着性物品。
(態様21)
前記選択的バリア層は、水及び水蒸気に対して選択的に不透過性である、態様1~20のいずれか1項記載の収着性物品。
(態様22)
前記選択的バリア層は、水蒸気に対して選択的に透過性であり、水に対して選択的に不透過性である、態様1~20のいずれか1項記載の収着性物品。
(態様23)
少なくとも1つの収着性物品であって、各収着性物品は、少なくとも1つの収着剤領域、脱着媒体領域、及び、少なくとも前記脱着媒体領域と前記収着剤領域との間に位置する選択的バリア層を含む、少なくとも1つの収着性物品、及び、
前記収着剤領域と連通する少なくとも1つの吸着経路、
を含む、モジュール。
(態様24)
前記選択的バリア層は少なくとも1つの脱着チャンネルを含む、態様23記載のモジュール。
(態様25)
前記モジュールは複数の収着性物品を含み、少なくとも1つの吸着経路は前記複数の収着性物品のそれぞれの間に形成されている、態様23記載のモジュール。
(態様26)
前記複数の収着性物品のそれぞれは、2つの収着剤領域を、前記脱着媒体領域、及び、前記2つの収着剤領域の間に挟まれた選択的バリア層とともに含む、態様25記載のモジュール。
(態様27)
前記複数の収着性物品のそれぞれは、前記脱着媒体領域が拡張可能及び崩潰可能であるように、少なくとも一方向に可撓性である、態様25又は26記載のモジュール。
(態様28)
少なくとも1つの収着剤材料を含む収着剤領域を提供すること、
脱着媒体領域を提供すること、
少なくとも前記収着剤領域と前記脱着媒体領域との間に選択的バリア層を提供すること、及び、
前記収着剤領域を前記選択的バリア層に取り付けること、
を含む、収着性物品を形成する方法。
(態様29)
前記選択的バリア層を提供することは、前記選択的バリア層が少なくとも1つの脱着チャンネルを形成するように、前記脱着媒体領域を取り囲むように前記選択的バリア層を提供することを含む、態様28記載の方法。
(態様30)
前記選択的バリア層を提供することは、前記収着剤領域を取り囲むように前記選択的バリア層を提供することを含む、態様28又は29記載の方法。
(態様31)
熱伝導性を促進する接着材料を添加することをさらに含む、態様28~30のいずれか1項記載の方法。
(態様32)
前記収着剤材料は、イオン交換樹脂、ゼオライト、活性炭、アルミナ、有機金属フレームワーク又はポリエチレンイミン(PEI)である、態様28~31のいずれか1項記載の方法。
(態様33)
前記収着剤領域は多孔質ポリマーをさらに含み、前記多孔質ポリマーは延伸ポリテトラフルオロエチレン又は膨張ポリエチレンである、態様28~32のいずれか1項記載の方法。
(態様34)
前記選択的バリア層は、前記少なくとも1つの脱着チャンネルのそれぞれを境界とする可撓性ポリマーを含む、態様29記載の方法。
(態様35)
前記可撓性ポリマーはポリテトラフルオロエチレン又はポリエチレンである、態様34記載の方法。
(態様36)
前記収着剤領域を前記選択的バリア層に取り付けることは、前記収着剤領域を前記選択的バリア層の第一の側にラミネート化することを含む、態様28~35のいずれか1項記載の方法。
(態様37)
少なくとも収着剤材料及び多孔質ポリマーを含む第二の収着剤領域を提供すること、及び、
前記第二の収着剤領域を前記選択的バリア層の第二の側に取り付けること、
をさらに含む、態様36記載の方法。
(態様38)
前記第二の収着剤領域を前記選択的バリア層の第二の側に取り付ける工程は、前記第二の収着剤領域を前記選択的バリア層の第二の側にラミネート化することを含む、態様37記載の方法。
(態様39)
複数の収着性物品を有するモジュールを使用する方法であって、
(a)隣接する収着性物品間の空間が吸着経路を形成し、各収着性物品が選択的バリア層によって取り囲まれた少なくとも1つの脱着チャンネルを含むように、互いに隣接して配置された複数の収着性物品から構成されるモジュールを提供すること、
(b)供給流を前記モジュールの吸着経路に指向させることによって前記供給流から二酸化炭素を吸着すること、ここで、前記吸着経路は拡張し、前記脱着チャンネルは崩潰する、及び、
(c)前記モジュールの前記脱着チャンネルを通して脱着媒体を指向させることによって二酸化炭素を脱着すること、ここで、前記脱着チャンネルは拡張し、前記吸着経路は崩潰する、
を含む、方法。
(態様40)
前記脱着媒体はスチームである、態様39記載の方法。
(態様41)
前記吸着工程(b)は、前記供給流を前記モジュールの略水平軸に沿って指向させることを含む、態様39又は40記載の方法。
(態様42)
前記脱着工程(c)は、前記脱着媒体を前記モジュールの略垂直軸に沿って指向させることを含む、態様39~41のいずれか1項記載の方法。
(態様43)
(d)工程(c)で脱着された二酸化炭素を収集することをさらに含む、態様39~42のいずれか1項記載の方法。
(態様44)
前記脱着工程(c)の後に前記吸着工程(b)を繰り返すことをさらに含む、態様39~43のいずれか1項記載の方法。
(態様45)
複数の収着性物品であって、各収着性物品は、少なくとも1つの収着剤領域、脱着媒体領域及び選択的バリア層を含み、前記選択的バリア層は少なくとも一方向に可撓性であり、前記選択的バリア層は、吸着構成時に減少した厚さを有し、そして脱着構成時に増加した厚さを有する、複数の収着性物品、
を含む、モジュール。
(態様46)
前記選択的バリア層は複数のチャンネルを含む、態様45記載のモジュール。
(態様47)
前記収着性物品は、前記吸着構成において減少した合計厚さを有し、そして前記脱着構成において増加した合計厚さを有する、態様45又は46記載のモジュール。
(態様48)
前記脱着媒体領域は、前記吸着構成において減少した幅を有し、前記脱着構成において増加した幅を有し、前記収着剤領域は、前記吸着構成と前記脱着構成とで実質的に同じ厚さを有する、態様47記載のモジュール。
(態様49)
前記収着性物品は、前記吸着構成と前記脱着構成とで実質的に同じ合計厚さを備える、態様45又は46記載のモジュール。
(態様50)
前記収着性物品の前記収着剤領域は、前記吸着構成において増加した厚さを有し、前記脱着構成において減少した厚さを有し、前記脱着媒体領域は、前記吸着構成において減少した厚さを有し、前記脱着構成において増加した厚さを有し、その結果、前記収着性物品の合計厚さは、前記吸着構成と前記脱着構成で実質的に同じになる、態様49記載のモジュール。
(態様51)
少なくとも1つの収着性物品を含む一定体積を有するモジュールを使用する方法であって、前記収着性物品は、収着剤領域、脱着媒体領域、及び、少なくとも前記収着剤領域と前記脱着媒体領域との間に位置する選択的バリア層を有する、方法であって、
(a)前記収着性物品の前記収着剤領域に供給流を指向させることによって、供給流から二酸化炭素を吸着すること、及び、
(b)前記収着性物品の前記脱着媒体領域を通して脱着媒体を指向させることによって、前記収着剤領域から二酸化炭素を脱着すること、
を含み、
前記収着剤領域は、脱着工程よりも吸着工程中に前記モジュールの一定体積のより多くの体積を占め、そして
前記脱着媒体領域は、吸着工程よりも脱着工程中に前記モジュールの一定体積のより多くの体積を占める、方法。
(態様52)
(c)前記脱着工程(b)の後に二酸化炭素を収集することをさらに含む、態様51記載の方法。
(態様53)
前記収集工程(c)の後に前記吸着工程(a)を繰り返すことをさらに含む、態様52記載の方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物質を吸着及び脱着するように構成された収着剤材料を含む収着剤領域、
前記収着剤領域に隣接して配置され、前記収着剤材料から前記物質を脱着する脱着媒体を受け入れるように構成された脱着媒体領域、及び、
少なくとも前記収着剤領域と前記脱着媒体領域との間に位置する選択的バリア層、
を含む、収着性物品。
【請求項2】
前記収着性物品は少なくとも一方向に可撓性である、請求項1記載の収着性物品。
【請求項3】
前記収着性物品は合計厚さ
が0.5mm~1.0cmである、請求項
1記載の収着性物品。
【請求項4】
前記収着剤領域は、少なくとも多孔質ポリマー及び前記収着剤材料を含む収着剤ポリマー複合材領域である、請求項
1記載の収着性物品。
【請求項5】
前記選択的バリア層はポリマーを含む、請求項
1記載の収着性物品。
【請求項6】
前記ポリマーはポリテトラフルオロエチレン(PTFE)である、請求項5記載の収着性物品。
【請求項7】
第二の収着剤領域をさらに含み、前記収着剤領域及び前記第二の収着剤領域は前記選択的バリア層の反対側に位置する、請求項1~6のいずれか1項記載の収着性物品。
【請求項8】
前記収着剤領域及び前記第二の収着剤領域は同一である、請求項7記載の収着性物品。
【請求項9】
前記選択的バリア層は少なくとも1つのチャンネルを含む、請求項1~
6のいずれか1項記載の収着性物品。
【請求項10】
前記少なくとも1つのチャンネルは、前記選択的バリア層の少なくとも第一、第二及び第三の壁によって画定されている、請求項9記載の収着性物品。
【請求項11】
前記少なくとも1つのチャンネルは圧縮又は拡張されうる、請求項
9記載の収着性物品。
【請求項12】
前記収着性物品の前記少なくとも1つのチャンネルはほぼ長方形の断面プロファイルを有する、請求項
9記載の収着性物品。
【請求項13】
前記選択的バリア層の前記少なくとも1つのチャンネルは、拡張時はほぼ円形であり、崩潰時はほぼ卵形である断面プロファイルを有する、請求項
9記載の収着性物品。
【請求項14】
前記少なくとも1つのチャンネルのそれぞれは、拡張時
に0.5mm~2mmの高さを有する、請求項
9記載の収着性物品。
【請求項15】
前記少なくとも1つのチャンネルは、多孔質で水透過性の材料を含む少なくとも1つのチャンネル壁によって画定されている、請求項
9記載の収着性物品。
【請求項16】
前記少なくとも1つのチャンネルは、前記チャンネルの端部に近接して位置した排出物開口部を含み、前記排出物開口部を通して、前記収着性物品内から水が排出されるように構成されている排出物開口部を含む、請求項
9記載の収着性物品。
【請求項17】
前記選択的バリア層は少なくとも2つのチャンネルを含む、請求項1~
6のいずれか1項記載の収着性物品。
【請求項18】
前記少なくとも2つのチャンネルは相互接続されている、請求項17記載の収着性物品。
【請求項19】
前記少なくとも2つのチャンネルは互いにほぼ平行に配置されている、請求項1
7記載の収着性物品。
【請求項20】
前記選択的バリア層は、前記選択的バリア層が、吸着構成と脱着構成との間でその形状を保持するように非崩潰性である、請求項1~
6のいずれか1項記載の収着性物品。
【請求項21】
前記選択的バリア層は、水及び水蒸気に対して選択的に不透過性である、請求項1~
6のいずれか1項記載の収着性物品。
【請求項22】
前記選択的バリア層は、水蒸気に対して選択的に透過性であり、水に対して選択的に不透過性である、請求項1~
6のいずれか1項記載の収着性物品。
【請求項23】
少なくとも1つの収着性物品であって、各収着性物品は、少なくとも1つの収着剤領域、脱着媒体領域、及び、少なくとも前記脱着媒体領域と前記収着剤領域との間に位置する選択的バリア層を含む、少なくとも1つの収着性物品、及び、
前記収着剤領域と連通する少なくとも1つの吸着経路、
を含む、モジュール。
【請求項24】
前記選択的バリア層は少なくとも1つの脱着チャンネルを含む、請求項23記載のモジュール。
【請求項25】
前記モジュールは複数の収着性物品を含み、少なくとも1つの吸着経路は前記複数の収着性物品のそれぞれの間に形成されている、請求項23記載のモジュール。
【請求項26】
前記複数の収着性物品のそれぞれは、2つの収着剤領域を、前記脱着媒体領域、及び、前記2つの収着剤領域の間に挟まれた選択的バリア層とともに含む、請求項25記載のモジュール。
【請求項27】
前記複数の収着性物品のそれぞれは、前記脱着媒体領域が拡張可能及び崩潰可能であるように、少なくとも一方向に可撓性である、請求項25又は26記載のモジュール。
【請求項28】
少なくとも1つの収着剤材料を含む収着剤領域を提供すること、
脱着媒体領域を提供すること、
少なくとも前記収着剤領域と前記脱着媒体領域との間に選択的バリア層を提供すること、及び、
前記収着剤領域を前記選択的バリア層に取り付けること、
を含む、収着性物品を形成する方法。
【請求項29】
前記選択的バリア層を提供することは、前記選択的バリア層が少なくとも1つの脱着チャンネルを形成するように、前記脱着媒体領域を取り囲むように前記選択的バリア層を提供することを含む、請求項28記載の方法。
【請求項30】
前記選択的バリア層を提供することは、前記収着剤領域を取り囲むように前記選択的バリア層を提供することを含む、請求項
28記載の方法。
【請求項31】
熱伝導性を促進する接着材料を添加することをさらに含む、請求項28~30のいずれか1項記載の方法。
【請求項32】
前記収着剤材料は、イオン交換樹脂、ゼオライト、活性炭、アルミナ、有機金属フレームワーク又はポリエチレンイミン(PEI)である、請求項28~
30のいずれか1項記載の方法。
【請求項33】
前記収着剤領域は多孔質ポリマーをさらに含み、前記多孔質ポリマーは延伸ポリテトラフルオロエチレン又は膨張ポリエチレンである、請求項28~
30のいずれか1項記載の方法。
【請求項34】
前記選択的バリア層は、前記少なくとも1つの脱着チャンネルのそれぞれを境界とする可撓性ポリマーを含む、請求項29記載の方法。
【請求項35】
前記可撓性ポリマーはポリテトラフルオロエチレン又はポリエチレンである、請求項34記載の方法。
【請求項36】
前記収着剤領域を前記選択的バリア層に取り付けることは、前記収着剤領域を前記選択的バリア層の第一の側にラミネート化することを含む、請求項28~
30のいずれか1項記載の方法。
【請求項37】
少なくとも収着剤材料及び多孔質ポリマーを含む第二の収着剤領域を提供すること、及び、
前記第二の収着剤領域を前記選択的バリア層の第二の側に取り付けること、
をさらに含む、請求項36記載の方法。
【請求項38】
前記第二の収着剤領域を前記選択的バリア層の第二の側に取り付ける工程は、前記第二の収着剤領域を前記選択的バリア層の第二の側にラミネート化することを含む、請求項37記載の方法。
【請求項39】
複数の収着性物品を有するモジュールを使用する方法であって、
(a)隣接する収着性物品間の空間が吸着経路を形成し、各収着性物品が選択的バリア層によって取り囲まれた少なくとも1つの脱着チャンネルを含むように、互いに隣接して配置された複数の収着性物品から構成されるモジュールを提供すること、
(b)供給流を前記モジュールの吸着経路に指向させることによって前記供給流から二酸化炭素を吸着すること、ここで、前記吸着経路は拡張し、前記脱着チャンネルは崩潰する、及び、
(c)前記モジュールの前記脱着チャンネルを通して脱着媒体を指向させることによって二酸化炭素を脱着すること、ここで、前記脱着チャンネルは拡張し、前記吸着経路は崩潰する、
を含む、方法。
【請求項40】
前記脱着媒体はスチームである、請求項39記載の方法。
【請求項41】
前記吸着工程(b)は、前記供給流を前記モジュールの略水平軸に沿って指向させることを含む、請求項
39記載の方法。
【請求項42】
前記脱着工程(c)は、前記脱着媒体を前記モジュールの略垂直軸に沿って指向させることを含む、請求項
39記載の方法。
【請求項43】
(d)工程(c)で脱着された二酸化炭素を収集することをさらに含む、請求項39~42のいずれか1項記載の方法。
【請求項44】
前記脱着工程(c)の後に前記吸着工程(b)を繰り返すことをさらに含む、請求項39~
42のいずれか1項記載の方法。
【請求項45】
複数の収着性物品であって、各収着性物品は、少なくとも1つの収着剤領域、脱着媒体領域及び選択的バリア層を含み、前記選択的バリア層は少なくとも一方向に可撓性であり、前記選択的バリア層は、吸着構成時に減少した厚さを有し、そして脱着構成時に増加した厚さを有する、複数の収着性物品、
を含む、モジュール。
【請求項46】
前記選択的バリア層は複数のチャンネルを含む、請求項45記載のモジュール。
【請求項47】
前記収着性物品は、前記吸着構成において減少した合計厚さを有し、そして前記脱着構成において増加した合計厚さを有する、請求項45又は46記載のモジュール。
【請求項48】
前記脱着媒体領域は、前記吸着構成において減少した幅を有し、前記脱着構成において増加した幅を有し、前記収着剤領域は、前記吸着構成と前記脱着構成とで実質的に同じ厚さを有する、請求項47記載のモジュール。
【請求項49】
前記収着性物品は、前記吸着構成と前記脱着構成とで実質的に同じ合計厚さを備える、請求項45又は46記載のモジュール。
【請求項50】
前記収着性物品の前記収着剤領域は、前記吸着構成において増加した厚さを有し、前記脱着構成において減少した厚さを有し、前記脱着媒体領域は、前記吸着構成において減少した厚さを有し、前記脱着構成において増加した厚さを有し、その結果、前記収着性物品の合計厚さは、前記吸着構成と前記脱着構成で実質的に同じになる、請求項49記載のモジュール。
【請求項51】
少なくとも1つの収着性物品を含む一定体積を有するモジュールを使用する方法であって、前記収着性物品は、収着剤領域、脱着媒体領域、及び、少なくとも前記収着剤領域と前記脱着媒体領域との間に位置する選択的バリア層を有する、方法であって、
(a)前記収着性物品の前記収着剤領域に供給流を指向させることによって、供給流から二酸化炭素を吸着すること、及び、
(b)前記収着性物品の前記脱着媒体領域を通して脱着媒体を指向させることによって、前記収着剤領域から二酸化炭素を脱着すること、
を含み、
前記収着剤領域は、脱着工程よりも吸着工程中に前記モジュールの一定体積のより多くの体積を占め、そして
前記脱着媒体領域は、吸着工程よりも脱着工程中に前記モジュールの一定体積のより多くの体積を占める、方法。
【請求項52】
(c)前記脱着工程(b)の後に二酸化炭素を収集することをさらに含む、請求項51記載の方法。
【請求項53】
前記収集工程(c)の後に前記吸着工程(a)を繰り返すことをさらに含む、請求項52記載の方法。
【国際調査報告】