(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-21
(54)【発明の名称】2つの半カプセル殻の重なりにより形成される隙間を有するカプセル装置
(51)【国際特許分類】
A61K 9/48 20060101AFI20240514BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20240514BHJP
A61J 3/07 20060101ALI20240514BHJP
A61M 31/00 20060101ALI20240514BHJP
【FI】
A61K9/48
A61K45/00
A61J3/07 Z
A61M31/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023571969
(86)(22)【出願日】2022-05-20
(85)【翻訳文提出日】2024-01-09
(86)【国際出願番号】 EP2022063730
(87)【国際公開番号】W WO2022243516
(87)【国際公開日】2022-11-24
(32)【優先日】2021-05-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521382023
【氏名又は名称】エゾカップ アーゲー
【氏名又は名称原語表記】EsoCap AG
【住所又は居所原語表記】Switzerland 4052 Basel Malzgasse 9
(74)【代理人】
【識別番号】110003395
【氏名又は名称】弁理士法人蔦田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】クリストフ ローゼンバウム
(72)【発明者】
【氏名】ビビアン ガンボーニ
(72)【発明者】
【氏名】シルビオ モーザー
(72)【発明者】
【氏名】ピーター フレッチ
(72)【発明者】
【氏名】アンドレアス カイザー
(72)【発明者】
【氏名】ピーター スタンジャー
【テーマコード(参考)】
4C047
4C066
4C076
4C084
【Fターム(参考)】
4C047AA40
4C047LL11
4C066AA01
4C066AA02
4C066AA05
4C066BB05
4C076AA62
4C076BB01
4C084AA17
4C084MA37
4C084MA52
4C084NA10
(57)【要約】
本発明は、粘膜、特に頬、腸、直腸、または膣の粘膜に適用され、医薬品有効成分を含む少なくとも1つのひも状またはストリップ状の調製品を含む薬剤剤形に関し、剤形は、調製品を放出する隙間のサイズを共同で画定する第1および第2の半カプセル殻からなる。本発明は、薬剤剤形を製造する方法にも関する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
粘膜、特に頬または胃腸、特に食道の粘膜に適用される、細長い形状を有し、医薬品有効成分を含み、圧縮状態および展開状態に配置されることが可能な薬剤調製品(2)を収納するように構成されたカプセル装置(13)であって、
前記圧縮状態の前記調製品(2)を収納する中空空間(14)を備え、
隙間(15)を有し、前記圧縮状態の前記調製品の第1の端部(2a)が前記隙間(15)を通って延びるのを可能にし、それにより、前記調製品を前記中空空間(14)内における前記圧縮状態から前記カプセル装置(13)の周囲領域における前記展開状態に移行することができるように構成され、
第1の半カプセル殻(11,11’)および第2の半カプセル殻(12)を備え、前記第1の半カプセル殻(11,11’)および前記第2の半カプセル殻(12)は、接合位置で前記第1の半カプセル殻(11,11’)および前記第2の半カプセル殻(12)を重ねることにより接合され、
前記第1の半カプセル殻(11,11’)は、開口部(16,16’)を含む中空円筒壁(11c,11c’)を有し、
前記第2の半カプセル殻(12)は、前記開口部(16,16’)の断面と重なる壁(12c)を有し、それにより前記接合位置に前記カプセル装置(13)の前記隙間(15)を形成することを特徴とする、カプセル装置(13)。
【請求項2】
前記第1の半カプセル殻(11)の前記中空円筒壁(11c)は、第1の端部(11a)で閉じられ、第2の端部(11b)で開けられ、前記開口部(16)は、前記中空円筒壁(11c)の材料により完全に囲まれる、請求項1に記載のカプセル装置。
【請求項3】
前記第1の半カプセル殻(11)の前記中空円筒壁(11c’)は、第1の端部(11a)で閉じられ、第2の端部(11b)で開けられ、前記開口部(16’)は、前記第2の端部(11b)を起点とし、前記第1の端部(11a)に向かって延びるくぼみとして形成される、請求項1に記載のカプセル装置。
【請求項4】
前記開口部(16,16’)の断面は、前記第1の半カプセル殻(11,11’)および前記第2の半カプセル殻(12,12’)を接合する前の前記圧縮状態の前記調製品(2)を収納するように寸法決めされ、好ましくは前記接合位置に、前記開口部(16)および前記第2の半カプセル殻(12,12’)の壁(12b,12c)により画定された前記隙間(15)は、前記圧縮状態の前記調製品(2)が前記隙間(15)を通るのを防止するように寸法決めされた断面を有する、請求項1~3のいずれか1項に記載のカプセル装置。
【請求項5】
前記隙間(15)の断面のサイズは、前記開口部(16,16’)の断面のサイズA_aの画分fであり、A_o=f*A_aであり、好ましくは0.0010<f<0.7500である、請求項1~4のいずれか1項に記載のカプセル装置。
【請求項6】
前記接合位置で、前記第1の半カプセル殻(11,11’)は、前記第2の半カプセル殻(12,12’)に挿入される、請求項1~5のいずれか1項に記載のカプセル装置。
【請求項7】
前記隙間(15)は、前記調製品(2)が前記隙間(15)を通ることを可能にするように構成されるスリット状の開口部であり、前記隙間(15)の断面(CS)は、ストリップ状の前記調製品(2)が前記隙間(15)を通って延びるとき、ストリップ状の前記調製品(2)の断面よりも大きい、請求項1~6のいずれか1項に記載のカプセル装置。
【請求項8】
前記カプセル装置(13)は、患者が飲み込むのに適するように構成される、請求項1~7のいずれか1項に記載のカプセル装置。
【請求項9】
前記中空空間の一部を占有し、前記カプセル装置に追加の重量を提供する重り装置(60)を備える、請求項1~8のいずれか1項に記載のカプセル装置。
【請求項10】
薬剤調製品を収納するための請求項1~9のいずれか1項に記載のカプセル装置(1,10,51)を製造するための方法(100)であって、
a)開口部(16,16’)を含む中空円筒壁(11c,11c’)を有する前記第1の半カプセル殻(11,11’)と、前記第2の半カプセル殻(12,12’)とを提供するステップと、
b)接合位置に前記第2の半カプセル殻(12,12’)および前記第1の半カプセル殻(11,11’)を摺動し、前記第2の半カプセル殻(12,12’)の前記壁(12b,12c)は、前記第1の半カプセル殻(12,12’)の前記開口部(16,16’)の断面と重なり、それにより前記接合位置に前記カプセル装置(13)の前記隙間(15)を形成するステップとを含む、方法(100)。
【請求項11】
前記ステップa)は、さらに
a)前記カプセル装置(13)、具体的には前記第1の半カプセル殻および前記第2の半カプセル殻を形成するための材料を提供するステップと、
b)前記第1の半カプセル殻および/または前記第2の半カプセル殻の前記材料に開口部(16,16’)、具体的には矩形の開口部(16,16’)を作り出すステップとを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記開口部(16,16’)は、前記第1の半カプセル殻および/または前記第2の半カプセル殻の前記形成された中空円筒壁の材料に作り出される、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
請求項1~9のいずれか1項に記載のカプセル装置(13)と、細長い形状を有し、医薬品有効成分を含み、圧縮状態および展開状態に配置されることが可能な薬剤調製品(2)を含む、薬剤剤形。
【請求項14】
請求項13に記載の薬剤剤形を製造する方法であって、請求項10~12に記載のカプセル装置(13)を製造する方法を含み、
a)細長い形状を有し、医薬品有効成分を含む前記調製品を提供するステップと、
b)開口部(16,16’)を含む中空円筒壁を有する前記第1の半カプセル殻および前記第2の半カプセル殻を提供するステップと、
c)前記調製品の一部または端部が前記開口部(16,16’)を通って延びるように、前記開口部(16,16’)を通して前記第1の半カプセル殻に前記調製品を好ましくは圧縮状態で収納するステップと、
d)前記開口部(16,16’)により前記第1の半カプセル殻および前記第2の半カプセル殻の前記接合位置に前記カプセル装置(13)の前記隙間(15)が形成されるまで、前記第1の半カプセル殻上に前記第2の半カプセル殻を前記接合位置に摺動し、または前記第2の半カプセル殻上に前記第1の半カプセル殻を前記接合位置に摺動し、それにより前記開口部(16,16’)の断面を低減し、前記調製品の前記端部は、前記開口部(16,16’)を通って延びるステップとを含む、方法。
【請求項15】
前記ステップa)または前記ステップb)の後に回転軸(X)を設け、好ましくは前記回転軸(X)を前記開口部(16,16’)の前または前記開口部(16,16’)の断面内に位置決めし、前記調製品が圧縮状態に到達するまで、前記回転軸を回転させ、それにより好ましくは前記調製品を案内および/または位置合わせするために前記開口部(16,16’)を用いて細長い状態の前記調製品を巻くステップを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記ステップb)または前記ステップc)の後に、前記第1の半カプセル殻および/または前記第2の半カプセル殻の前記中空空間の少なくとも一部に重り装置を配置するステップを含む、請求項14または15に記載の方法。
【請求項17】
請求項13に記載の薬剤剤形と、飲料コップと、前記薬剤剤形を患者に投与するためのアプリケータとを含むキットであって、前記アプリケータは、前記飲料コップと流体接続され、前記薬剤剤形を含み、前記患者への投与後に前記カプセル装置から前記調製品を引き抜くために、前記薬剤剤形の前記調製品は、固定器具により前記アプリケータに接続される、キット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粘膜、特に頬または胃腸の粘膜に適用されるカプセル装置および薬剤剤形に関する。また、本発明は、カプセル装置、ならびにカプセル装置を含む薬剤剤形を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
そのようなカプセル装置として特許文献1または特許文献2が知られている。特許文献2のカプセル装置の形は、医薬品有効成分を含む少なくとも1つのシート状、具体的にはフィルム形状、フォイル形状、またはウェハ形状の調製品と、放出機構と、始動機構とを備えるように設計され、始動機構は所定の、具体的には胃腸管、直腸、または膣の作用部位で放出機構によるシート状調製品の放出を始動するように適合される。特許文献2の
図8a、
図8b、
図8cによる実施形態からは、細長くストリップ形状の調製品を有し、医薬品有効成分を含む剤形が知られており、当該調製品は圧縮状態および展開状態に配置することが可能であり、当該剤形は圧縮した調製品を収納する中空空間を含むカプセルを有し、当該カプセル装置は隙間と、中空空間からカプセルの周囲領域に調製物を引っ張り出し、それにより調製品を圧縮状態から展開状態に移行させることを可能にする、圧縮状態で隙間を通って延びる調製品の第1の端部とを有する。
【0003】
さらに当技術分野では、胃腸粘膜、特に食道粘膜の治療に特に関連して有効成分の局所適用にカテーテルやステント状装置を用いることが知られている。別の手法は、比較的高い粘性を有する液体またはジェル状の媒体を用いる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2020/183005号公報
【特許文献2】国際公開第2016/102067号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の基礎となる目的は、効率的に生産することができるカプセル装置を提供し、かつカプセル装置および薬剤剤形を効率的に製造するための方法、ならびにカプセル装置を製造する方法を含む、薬剤剤形を製造するための方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
問題は、請求項1のカプセル装置および請求項10の薬剤剤形のカプセル装置を製造する方法により解決される。本発明の好ましい実施形態は、従属請求項の主題である。
【0007】
本発明によれば、カプセル装置は、第1の半カプセル殻と、第2の半カプセル殻とを含み、第1の半カプセル殻および第2の半カプセル殻は、接合位置で第1の半カプセル殻および第2の半カプセル殻を重ねることにより接合され、第1の半カプセル殻は、開口部を含む中空円筒壁を有し、第2の半カプセル殻の壁は、開口部の断面と重なり、それにより接合位置でカプセル装置の隙間を形成する。
【0008】
したがって、接合位置は、第1および第2の半カプセル殻が互いに対して嵌め込まれ、または摺動され、それによりカプセル装置を形成する位置に関連する。第1および第2の半カプセル殻を互いに対して部分的に押し込むことにより、2つの半部が機械的に接続され、効率的に安定する。
【0009】
開口部を有する第1の半カプセル殻は、開口部、またはこれに代えて第1の半カプセル殻の開口端部を通して薬剤調製品で容易に満たすことができる容器として機能する。第2の半カプセル殻は、開口部のカバーとして機能し、開口部上に容易に配置することができ、隙間の望ましい寸法をもたらす。本発明による薬剤剤形は優れた機械的安定性を有し、患者がカプセルを飲み込む際に有利である。さらに、薬剤剤形は、本発明による方法により効率的に製造することができる。
【0010】
「半カプセル殻」という用語は、カプセル装置が「半部」と呼ばれる2つの部分から構成されるのが好ましいという事実を指す。2つの半部の寸法、例えばサイズは互いに異なる場合があるが、好ましい実施形態では、2つの半部は実質的に同じ寸法、すなわち同じサイズを有するように寸法決めされる。第1および第2の半カプセル殻のそれぞれが中空円筒壁を有する。中空円筒壁は、好ましくは丸い形状を有し、具体的には中空の半球形状を有するキャップ部により蓋をされるのが好ましい。第1および/または第2の半カプセル殻に加えて、カプセル装置を形成するために用いられる少なくとも1つの第3の部分があってもよい。第3の部分は、例えば円筒形または環状の要素である。第1および/または第2の半カプセル殻は、圧力嵌め接続および/または形状接続および/または接着もしくは溶接により接合位置で互いに接続されてもよい。
【0011】
第1の半カプセル殻は、好ましくは第1の端部で閉じられ、第2の端部で開かれている中空円筒壁を有し、開口部は、中空円筒壁の材料で完全に囲まれるのが好ましい。このように、第1の半カプセル殻、具体的には開口部の周りの壁が機械的に安定したままであり、強度をカプセル装置に提供する。
【0012】
代替として、また好ましくは、第1の半カプセル殻の中空円筒壁は、第1の端部で閉じられ、第2の端部で開かれている。開口部は、第2の端部を起点とし第1の端部に向かって延びるくぼみとして形成される。このように、開口部のサイズが最大化され、薬剤剤形の組み付けを容易にするのを可能にすることができる。
【0013】
好ましくは、接合位置で第1の半カプセル殻を第2の半カプセル殻に挿入する。好ましくは、接合位置で第2の半カプセル殻を第1の半カプセル殻に挿入する。
【0014】
好ましくは、開口部の断面は、第1の半カプセル殻および第2の半カプセル殻を接合する前の圧縮状態の調製品を収納するように寸法決めされ、好ましくは接合位置に、開口部および第2の半カプセル殻の壁により画定された隙間は、圧縮状態の調製品が隙間を通るのを防止するように寸法決めされた断面を有する。「開口部の断面」という用語は、第1の半カプセル殻の壁の開口部により占有される領域を指す。「隙間の断面」という用語は、カプセル装置の壁内のまたはそれぞれ第2の半カプセル殻の壁が交差もしくは重なるときの第1の半カプセル殻の壁内の、隙間により占有される領域を指す。
【0015】
具体的には、第2の半カプセル殻は、接合位置に第1の半カプセル殻の開口部またはくぼみと重なる第2の開口部または第2のくぼみを含んでもよい。このように、カプセル装置の長さに沿って隙間を位置決めするためにより高い柔軟性が得られる(当該長さは、カプセル装置を通る軸線A、具体的には円筒軸線Aに沿って測定される)。
【0016】
好ましくは、隙間の断面のサイズA_oは、開口部の断面のサイズA_aの画分fであり、A_o=f*A_aであり、好ましくは0.0010<f<0.7500であり、好ましくは0.0100<f<0.5000であり、好ましくは0.0100<f<0.2500であり、好ましくは0.0500<f<0.15000である。面積A_oは、ストリップ状の細長い調製品を隙間から引っ張り出すのを可能にするように適合されるのが好ましい。
【0017】
好ましくは、隙間は、ストリップ状の調製品が隙間を通ることを可能にするように構成されるスリット状の隙間であり、隙間の断面(CS)は、ストリップ状の調製品が隅間を通って延びるとき、ストリップ状の調製品の断面よりも大きい。
【0018】
好ましくは、カプセル装置は、患者が飲み込むのに適するように構成される。
【0019】
好ましくは、カプセル装置は、中空空間の一部を占有し、薬剤剤形に追加の重量を提供する重り装置を備える。一実施形態では、重りは、半カプセル殻の一方に配置される。好ましくは、重りは、第2の半カプセルに配置される。したがって、第2の半カプセルは、第2の半カプセルの中空空間内に重りをおおまかに配置するために保持手段、例えば切り欠きを備え、それによりカプセルをひっくり返しても、重りは第2の半カプセルの中空空間内にとどまり、例えば重力により第1の半カプセルに滑り混まず、例えば重りが調製品に滑り込むのを回避する。切り欠きは、カプセルの外部を締めつけて内部に湾曲させることにより作製することができる。
【0020】
隙間の形状は、細長い調製品の長軸線に直交する平面で細長い調製品の外部輪郭に対応するのが好ましい。例えば、ストリップ状の調製品の場合、スリット状の隙間が好ましく、ひも状の調製品の場合、円形の隙間が設けられてもよい。ここで、隙間は、基本的に矩形の通路断面を提供し、ストリップ状の調製品の断面も基本的に矩形である。ひも状の調製品の場合、隙間は、円形の通路断面を提供してもよく、ストリップ状の調製品の断面も基本的に円形であってもよい。このように、カプセル装置に対する細長い調製品の動作は、隙間により案内され、カプセル装置から調製品を引き出す間、調製品およびカプセル装置の相対位置は安定する。
【0021】
好ましくは、隙間は、ストリップ状の調製品が隙間を通ることを可能にするように構成されるスリット状の隙間であり、好ましくは、隙間の断面(CS)は、ストリップ状の調製品が隅間を通って移動するとき、ストリップ状の調製品の断面よりも大きい。本明細書では、隙間の断面が表面を画定し、ストリップ状の調製品の断面は、当該表面内で測定されるのが好ましく、ストリップ状の調製品は、隙間内の中央に配置されるのが好ましい。
【0022】
細長い調製品と、隙間を画定するカプセル装置の表面との間の隙間の隙間断面の間隔Sは、隙間の断面および細長い調製品の断面が中央揃えされ、仮想の軸線Aがカプセル装置を通って長さ方向に延びるときに測定されるのが好ましい。間隔Sをもたらす隙間の寸法は、隙間の直径または幅である寸法a、ひも状の調製品の直径またはストリップ状の調製品のストリップの厚さであるtにより計算されるのが好ましく、a=t+2*Sである。
図1cを参照。Sは、10~2000、または20~1500、または50~1000、または100~750、または200~500、または300~400マイクロメートル(μm)のそれぞれの範囲であるのが好ましい。Sは、ゼロよりも大きく、好ましくは値tよりも大きく、具体的にはS=f*tであり、fは、1~20、好ましくは2~15、より好ましくは3~12から選択される数値係数である。aの寸法は、100~4000、100~2000、または200~1500、または300~1000、または400~800、または500~700、または600マイクロメートル(μm)のそれぞれの範囲になるように選択されるのが好ましい。
【0023】
ストリップ状の調製品およびスリット状の隙間の場合、外側に引っ張られるときにストリップ状の調製品が通る通路断面の長さcは、ストリップ状の調製品のストリップの幅wよりも大きい。通路断面は、同一平面の細長い調製品の断面よりも大きい。
【0024】
一般に、カプセル装置は、頬または胃腸へのそれぞれの投与のために構成されている容器である。具体的には、カプセル装置は飲み込み可能な物体である。これは具体的には、カプセル装置の寸法および外形がカプセル装置を飲み込むのに適していることを意味する。具体的には、寸法はカプセルの幾何学的サイズに関連する。
【0025】
第1の半カプセル殻は、第1の半殻および第2の半殻が互いに嵌め込まれてカプセル装置を形成するときに第2の半殻を案内するように構成された摺動面をさらに備えてもよく、さらに、第1の半カプセル殻の開口部は摺動面に延びることができ、それにより第1の半殻および第2の半殻が互いに嵌め込まれると、開口部は第2の半殻により部分的に覆われる。
【0026】
カプセル装置は、細長い形状を有してもよい。これは、カプセル装置の仮想の中心軸線Aに沿って測定される長さが横方向の外部寸法よりも大きいことを意味する。隙間を考慮することなく、カプセル装置は、中心軸線Aに対して回転対称であってもよい。
【0027】
カプセル装置は、2つ以上の隙間、具体的には2つの隙間または3つ以上の隙間を有してもよい。
【0028】
本発明は、先行する請求項のいずれかに規定されるカプセル装置を製造する方法にもまた関し、少なくとも
a)開口部(16,16’)を含む中空円筒壁(11c,11c’)を有する第1の半カプセル殻(11,11’)と、第2の半カプセル殻(12,12’)とを提供するステップと、
b)接合位置に第2の半カプセル殻(12,12’)および第1の半カプセル殻(11,11’)を摺動するステップであって、第2の半カプセル殻(12,12’)の壁(12b,12c)は、第1の半カプセル殻(12,12’)の開口部(16,16’)の断面と重なり、それにより接合位置にカプセル装置の隙間(15)を形成するステップとを含む。
【0029】
摺動という用語は、第1の半カプセル殻を第2の半カプセル殻に、または逆に第2の半カプセル殻を第1の半カプセル殻に接合し、または嵌め込み、それにより両方の半部が重なり位置に到達し、例えば2つの半部をさらに嵌め込むことまたは接合することにより開口部をさらに低減する必要なく、好ましくは最終状態の隙間を形成することを指す。これには、ロック機構が含まれてもよく、例えば一方または両方の2つの半部により構成される摺動面の機械的摩擦を意味する。これにより両方の半部を一緒に固定し、それにより剤形での適用に適した方法で2つの半部を一緒に接合するためにさらなる製造ステップは一切に必要なくなる。しかし、適用に適した方法で、例えば加熱または溶接により、特に材料の結合により半部を接合するために、好ましくは機械により実行されるプロセスステップも必要となる場合がある。
【0030】
好ましくは、カプセル装置を製造する方法は、
a)カプセル装置、具体的には第1の半カプセル殻および第2の半カプセル殻を形成するための材料を提供するステップと、
b)第1および/または第2の半カプセル殻の材料に開口部、具体的には矩形の開口部を作り出すステップとのうちの1つまたは2つを含む。
【0031】
例えば、円形の開口部の場合、第1および第2のカプセル半部は、それぞれ弧状の開口部を有し、それにより接合位置に一緒に摺動する半部により円または楕円が形成されてもよい。これは、円形の断面積を有する調製品が用いられる場合に有利である。
【0032】
カプセル装置を形成するための材料を用いてカプセル装置を形成するステップは、第1の半カプセル殻の材料に開口部を作り出すステップの後に適用されてもよい。また、カプセル装置を形成するための材料を用いてカプセル装置を形成するステップは、第1の半カプセル装置の材料に開口部を作り出すステップの前に適用されてもよい。
【0033】
開口部またはくぼみは、適した形状を有するワークピースを用いて、例えば押し抜き工具により作り出してもよい。カプセル装置を形成するための材料がワークピースであってもよい。それぞれの好ましい実施形態では、ワークピースは、立方体、フォイル、中空円筒、カプセル、またはカプセル半部の形状を有してもよい。
【0034】
好ましくは、本方法は、開口部を第1の半カプセル殻および/または第2の半カプセル殻の中空円筒壁の材料に作り出すステップを含む。
【0035】
すなわち、実際の殻形状を形成する前に第1および/または第2の半カプセル殻の壁材料に開口部を作り出すことができる。すなわち、開口部は、二次元材料の形状で作り出され、それから殻形状がさらなるステップで形成される。あるいは、開口部は、半カプセル殻に作り出される。すなわち、開口部は、実際の殻形状を形成した後に第1および/または第2の半カプセル殻の壁材料に作り出される。すなわち、開口部は、形状製造のステップで殻を形成する三次元の材料形状で作り出される。
【0036】
材料をカプセル材料から切断または剥離するためにレーザーを用いて、開口部が作り出されてもよい。さらに、カプセル材料を通る開口部を作り出し、せん断により矩形の穴を作製するために、押し抜きが用いられてもよい。しかし、開口部は、カプセル装置を形成するのに適した材料、例えばプラスチックの射出成形により作製されるのが好ましい場合がある。隙間は、平面湾曲スリットの形状を有するのが好ましい。湾曲スリットの平面特性により、引っ張り出し方向Pにおけるスリットをストリップ状の調製品が通ることが容易になり、それにより調製品を圧縮状態から展開状態に展開する機械的加工の信頼性がさらに向上するという利点を提供する。カプセル壁材料の開口部が押し抜き工具により作製される場合、カプセル壁の押し抜きされる材料は、理想的には押し抜き工具に一体化されている吸引装置により、例えば圧力吸引によりカプセルから搬送することができる。
【0037】
カプセル装置は、細長い形状を有し、医薬品有効成分を含む調製品がカプセル装置の中空空間内に調製品の圧縮状態で挿入され、調製品の端部部分が隙間を通って延び、調製品を隙間から引っ張り出すことが可能である場合に、調製品と、隙間を画定するカプセル装置の表面との間の隙間の隙間断面(CS)に間隔が設けられるように形成されるのが好ましい。カプセル装置は、患者が飲み込み可能に形成されるのが好ましい。
【0038】
開口部を形成するステップは、以下の特徴のうちの少なくとも1つを含んでもよい。
・平面フライス加工工具、例えば平面のこぎり刃、または板形状の切断塊をもたらす別の工具、例えば横方向の動作を実行する円筒フライス加工ヘッドの使用
・研磨ウォータージェット切断加工で横方向に移動するウォータージェットの使用
・材料をカプセル材料から切断または剥離するレーザーの使用
・せん断により穴を作製するための半カプセル殻材料の押し抜き
・半カプセル殻を形成するための適した材料、例えばプラスチックの射出成形
【0039】
カプセル装置を形成するステップは、例えば、基本的に欧州特許出願公開第0102832号明細書に説明されているように、カプセルを形成するために接合されるカプセル装置の2つの半カプセル殻を製造するためにディップ成形加工を適用するステップを含んでもよい。カプセル装置を形成するステップは、適した材料からカプセルを形成するための積層造形加工、具体的には適した材料からカプセルを形成する3次元印刷加工を適用するステップを含んでもよい。カプセル装置を形成するステップは、適した材料からカプセルを射出成形するステップを含んでもよい。
【0040】
カプセル装置は、湾曲キャップ部材により両側に蓋をされる中空円筒を含むカプセルであってもよい。キャップ部材は、基本的に半球の形状を有してもよい。1つの部品としての円筒部を有するキャップ部材が製造されてもよい。カプセル装置の2つの部分が接合されてカプセル装置を形成してもよい。これは、まず調製品を2つの部分のうちの一方の内部に配置した後、カプセル装置の2つの部分を接合して調製品を固定することにより剤形を組み付けることを容易にする。また、カプセルは、楕円または長円形の断面を有する形状にし、それによりカプセルが例えばオリーブ形状を有してもよい。
【0041】
好ましい実施形態では、カプセル装置は、隙間が中心軸線Aからずらすように構成される。これは、中心軸線Aが隙間の断面と交差しないことを意味するか、または中心軸線Aが隙間の断面の中心点と交差しないことを意味する。そのような実施形態の利点は、調製品をカプセル装置から引っ張り出してカプセル装置を患者に投与する場合に、カプセル装置の壁に作用する力が低減され、それによりカプセル装置を損傷するリスクが低減されるということである。本発明者らの実験で、特にストリップ状の調製品では、隙間の中心位置(当該中心位置では、カプセル装置の中心軸線Aが隙間の中心を通って延びる)よりも、中心軸線Aからずらして配置された隙間からのほうが巻かれた調製品の巻きをほどくのが容易になることが分かった。
【0042】
スリット状の隙間の場合、隙間は、カプセル装置の中心軸線Aからずらして配置されるのが好ましい。スリットは、カプセル装置を形成する壁の対向面により形成されるのが好ましい。
【0043】
例えば、第1の半カプセル殻および切断塊を三次元の数学的物体として考えた場合に、スリットの好ましい形状は、第1の半カプセル殻を形成する円筒壁をフライス加工することにより初めに開口部を準備し、それにより板形状の塊を壁から取り去ると、達成される。カプセル材料から取り去られた板形状の塊の向きは、具体的にはカプセル装置の仮想の中心軸線Aの方向に対する板形状の塊の主平面の向きにより特徴付けられる。
【0044】
カプセル装置内の中空空間は、カプセル装置の少なくとも1つの内壁、具体的には第1および第2の半カプセル殻により画定される。
【0045】
好ましい実施形態では、カプセル装置は、カプセル装置の周囲と向かい合う外側と、中空空間と向かい合う内側とを有する少なくとも1つの壁により画定される。好ましくは、内側(内面)および外側(外面)が互いに平行に延びる。これは、中空空間の外側輪郭面がカプセル装置の外側輪郭面に類似することを意味する。しかし、カプセル装置の内面がカプセル装置の外側輪郭面に少なくとも部分的に平行でないことも可能であり、好ましい。そのような構成により、カプセル装置内に付属構造体を画定することを可能にし、それによりカプセル装置内で調製品の動作を案内することまたは他の機能に役立つ。
【0046】
好ましくは、付属構造体は、カプセル装置内の調製品を伸ばすおよび/または巻きをほどくのを案内するために配置されたカプセル装置の内側案内壁である。案内壁は、調製品を伸ばすおよび/または巻きをほどく間の調製品の位置決めを案内するために配置される。案内壁は、調製品が隙間に向かってカプセル装置内で移動する移動方向Pと平行に配置されてもよい。好ましくは、案内壁は、隙間と位置合わせされるように配置される。例えば、案内壁は、隙間の長手方向の向きに平行、すなわち
図1aに規定されるY方向に平行であるのが好ましい。案内壁は、カプセル装置の内壁の領域内の突出部によっても実現されてもよい。この場合、調製品は、隙間を通して巻きをほどくように配置される。カプセル装置の壁のそのような突出部、またはカプセル装置の外側から見た切り欠きは、例えば、特に調製品の巻きほどき動作中に回転することができるようにして、巻かれた調製品の内側部分、すなわちコアが突出部により機械的に支持されていることによって、巻きをほどく間の調製品を案内するのに役立つことができる。
【0047】
好ましくは、カプセル装置の1つ以上の内壁が配置され、カプセル装置内に案内区画を形成する。案内区画は、圧縮状態の調製品を支持するように配置され、調製品の巻きをほどくのに役立つ。好ましくは、カプセル装置の1つ以上の内壁は、圧縮状態の調製品を収納する立方体の中空空間の側壁を形成するように配置される。
【0048】
好ましくは、カプセル装置は、案内部材を備える。案内部材は、カプセル装置の内側空間内に配置され、カプセル装置の隙間に向かってひも状またはシート状の調製品の動作を案内する。案内部材は、カプセル装置の内壁の一部、またはカプセル装置の内壁により支持されるかもしくはカプセル装置の内壁に接続されている部分、具体的には壁部材であってもよい。例えば、案内部材は、隙間の縁部の1つの辺に配置された案内リップまたは案内スパウトであってもよく、あるいは隙間または開口部の周囲一帯に取り付けられてもよい。
【0049】
好ましくは、カプセル装置は、具体的には付属構造体の1つ以上のロッドまたは円筒の周りに調製品を丸めることまたは巻くことにより、ひも状の調製品を巻くおよび/もしくは巻きをほどくのを、あるいはストリップ状の調製品を巻くおよび/もしくは巻きをほどくのを案内するように構成された付属構造体を含んでもよい。ロッドまたは円筒は、伸ばし、または巻きをほどくのを容易にするためにカプセル装置内に回転可能に配置されてもよい。
【0050】
別の好ましい実施形態では、カプセル装置ならびに薬剤剤形がそれぞれ重り装置を備える。重り装置は、カプセル装置に負の浮力を提供するように構成される。この好ましい実施形態の調査結果の基礎となる本発明者らの実験で、例えばカプセル装置の質量を増大させることにより浮力を減少させると、カプセル装置の飲み込み可能性の向上、すなわち圧縮状態から展開状態に調製品を展開する機械的プロセスの信頼性の向上をもたらすことが分かった。ストリップ状の調製品の場合、ストリップ状の調製品が巻き軸線の周りに巻かれている圧縮状態から展開状態に調製品の巻きをほどくことが相当に容易になり、より効率的になった。例えば、そのような重りは、国際公開第2020/183005号パンフレットに説明されている。
【0051】
本発明は、本明細書に規定するカプセル装置を含み、さらに、細長い形状を有し、1種類以上の医薬品有効成分を含み、圧縮状態および展開状態に配置されることが可能な薬剤調製品を含む薬剤剤形にも関する。
【0052】
本発明は、薬剤剤形を製造する方法にも関し、本方法は、応じたカプセル装置を製造する方法のステップを含み、さらに
a)細長い形状を有し、1種類以上の医薬品有効成分を含む調製品を提供するステップと、
b)開口部を含む中空円筒壁を有する第1の半カプセル殻および第2の半カプセル殻を提供するステップと、
c)調製品の一部または端部が開口部を通って延びるように、開口部を通して第1の半カプセル殻に調製品を好ましくは圧縮状態で収納するステップと、
d)開口部により第1および第2の半カプセル殻の接合位置にカプセル装置の隙間が形成されるまで、第1の半カプセル殻上を第2の半カプセル殻を接合位置に摺動し、または第2の半カプセル殻上を第1の半カプセル殻を接合位置に摺動し、それにより開口部の断面を低減する一方、調製品の端部は開口を通って延びるステップとを含む。
【0053】
好ましくは、本方法は、
薬剤剤形を製造する方法のステップa)またはステップb)の後に、回転軸(X)を設け、好ましくは回転軸(X)を開口部の前または開口部の断面内に位置決めし、調製品が巻かれて圧縮した状態に到達するまで、回転軸を回転させ、それにより好ましくは調製品を案内および/または位置合わせするために開口部を用いて細長い状態の調製品を巻くステップを含む。このように、カプセルの内部に到達する前に調製品の巻きをほどくことに関する任意の問題を低減または除去することができる。というのも、調製品の圧縮形態は開口部内および第1の半カプセル装置の内部で形成されるからである。
【0054】
好ましくは、薬剤剤形を製造する方法は、
薬剤剤形を製造する方法のステップb)またはc)の後に、第1および/または第2の半カプセル殻の中空空間の少なくとも一部に重り装置を配置するステップを含み、重り装置は、薬剤剤形に追加の重量を提供する。これにより、具体的には薬剤剤形の飲み込みを容易にしてもよい。
【0055】
好ましくは、方法のステップのいずれか、特に圧縮形態の調製品を第1の半カプセル殻に装填することは、好ましくは複数の薬剤剤形を並行して製造するために機械により自動的に行われる。それにより、時間当たりで大量の薬剤剤形を製造する処理能力を向上させる。
【0056】
細長い形状を有し、医薬品有効成分を含む調製品をカプセル装置の中空空間に調製品の圧縮状態で配置または収納し、隙間を通して調製品の端部部分を延ばすステップは、調製品が隙間から引っ張り出されると、調製品と、隙間を画定するカプセル装置の表面との間の隙間の隙間断面(CS)に間隔が設けられるように構成される隙間および調製品を含む。
【0057】
調製品を配置するステップは、好ましくは第1の部分または第1の半カプセル殻内に調製品を配置し、好ましくはその後、隙間を通して調製品の端部部分を延ばし、第1の部分または第1の半カプセル殻に第2の部分または第2の半カプセル殻を接続することにより行われる。第1の部分もしくは第1の半カプセル殻または第2の部分もしくは第2の半カプセル殻は、それぞれ管要素もしくは蓋をされた管要素であってもよく、あるいは円筒区間、具体的には半円筒要素であってもよい。
【0058】
本発明は、請求項13に記載の薬剤剤形と、飲料コップと、薬剤剤形を患者に投与するためのアプリケータとを含むキットであって、アプリケータが、飲料コップと流体接続され、薬剤剤形を含み、患者への投与後にカプセル装置から調製品を引き抜くために、薬剤剤形の調製品は、固定器具により前記アプリケータに接続される、キットにも関する。
【0059】
本発明による薬剤調製品を含むカプセル装置および薬剤剤形は、粘膜、具体的には頬または胃腸の粘膜、特に上部胃腸管内の粘膜、例えば咽喉、食道、噴門、および/または胃への適用に特に適している。薬剤調製品を含む薬剤剤形およびその適用は、国際公開第2016/102067号パンフレットに説明されており、これは参照により全体が本明細書に組み込まれる。具体的には、その中にすでに開示されているカプセル装置および薬剤調製品の形状、サイズ、および(化学的)組成、特定の状態および疾病の医薬品有効成分、ならびに治療および予防法に関連してである。したがって、換言すれば、カプセル装置および薬剤調製品の化学成分が上記参考文献に少なくとも相当な程度に説明されている。これはカプセルにも当てはまる。
【0060】
有利には、本発明の薬剤剤形は、所定の作用部位における医薬品有効成分のバイオアベイラビリティの向上を可能にする。
【0061】
本発明の薬剤剤形は、所定の作用部位において全身作用を有する医薬品有効成分を含むひも状またはストリップ状、具体的にはシート状、フィルム形状、フォイル形状、またはウェハ形状の薬剤調製品を急速に放出することが可能であり、かつそのように適合される。さらに、本発明による薬剤剤形により、バイオアベイラビリティが低いために経口投与することができない医薬品有効成分を所定の作用部位に適用することが可能になる。
【0062】
医薬品有効成分を含むひも状またはストリップ状、具体的にはフィルム形状、フォイル形状、またはウェハ形状の調製品は、複数層の単層構造体または多層構造体を含んでもよい。多層構造体の場合、第1の層は第1の医薬品有効成分を含んでもよく、第2の/さらなる層は少なくともさらなる医薬品有効成分を含んでもよい。これにより、例えば2種類の、そのままでは互いに両立しない医薬品成分の適用を可能にする。
【0063】
好ましくは、有効成分の標的放出を可能にするために、調製品を粘膜付着性にする。これは、医薬品有効成分を含むだけでなく、粘膜付着性になっている単層を設けることにより、または少なくとも1つの、好ましくは最も外側の層が粘膜付着性になっている多層形態の調製品を提供することにより達成することができる。
【0064】
好ましい実施形態では、本発明による薬剤剤形は、経口投与されるように適合される。
【0065】
カプセル装置は投与の部位、具体的には胃腸管の部位にカプセル装置を搬送する経路に存在する液体に本質的に不溶性の材料からなるか、または主としてなる。そのような材料が当技術分野で知られており、国際公開第2016/102067号パンフレットに説明されている。具体的には、既知の胃液耐性ポリマー、例えばポリメタクリル酸(オイドラギッド)、HPMCAS、セラック、ゼラチン等が挙げられる。これらは、加工性を向上させる既知の添加剤、例えば可塑剤、香料、および香味剤とともに調剤される場合がある。
【0066】
調製品は、
診断物質、例えば染料もしくは染色剤、鎮痛剤、好ましくはNSAID、例えばイブプロフェンもしくはフルルビプロフェン、
局所麻酔薬、例えばベンゾカイン、ブタムベン、ジブカイン、リドカイン、オキシブプロカイン、もしくはノボカイン、
抗生剤、例えばペニシリン、アモキシシリンもしくはバンコマイシンや、消毒剤、例えば2,4-ジクロロベンジルアルコール、アミルメタクレゾールまたは塩化セチルピリジニウム、
ステロイド類、例えばコルチコステロイド類、グルココルチコイド類、フルチカゾン、ブデソニド、クロコルトロン、ペルデソニド(perdesonide)、ヒドロコルチゾン、酪酸クロベタゾン、フルメタゾン、フルプレドニデン、アセポン酸ヒドロコルチゾン、ヒドロコルチゾンブテプレート、ヒドロコルチゾン-17-ブチレート、トリアムシノロンアセトニド、アムシノニド、ベタメタゾン-17,21-ジプロピオネート、ベタメタゾン-17-バレレート、デソキシメタゾン、ジフルコルトロン-21-バレレート、フルオシノロンアセトニド、フルオシノニド、フルチカゾン-17-プロピオネート、アセポン酸メチルプレドニゾロン、フロ酸モメタゾン、プレドニルカルベート、もしくはクロベタゾール-17-プロピオネート、
寄生虫駆除剤とも呼ばれるparasizide、例えばメベンダゾール、アルベンダゾール、チアベンダゾール、ジエチルカルバマジン、ジアミノジフェニルスルホン、ベンズニダゾール、イベルメクチン、ピランテル、プラジカンテル、
殺菌剤、例えばナイスタチン、イミダゾール、トリアゾール、チアゾール、クロトリマゾール、ケトコナゾール、またはウンデシレン酸、
塩化ヘキサメチルパラローザニリン、アンフォテリシンB、ボツリヌス毒素、スクラルフェート、酸化窒素、または酸化窒素形成剤、例えば硝酸イソソルビドもしくはニトログリセリン、フラノクマリン、安息香酸、クエン酸、乳酸、pH緩衝液、制酸剤、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウムもしくは炭酸アルミニウム
の群から選択される少なくとも1種類の医薬品有効成分(薬物名にはそれらの薬学的に許容可能な任意の塩も含まれる)を含む。
【0067】
これに加えてまたは代えて、調製品は、特に炎症レギュレーター、例えばモンテルカスト、インターロイキン受容体、またはインターロイキン抗体を含んでもよい。これに加えてまたは代えて、シート状の調製品は、特にジプロピオン酸ベクロメタゾン、ブデソニド、またはシクレソニドを含んでもよく、これらは特にぜんそく治療に有利である。これに加えてまたは代えて、シート状の調製品は、特にメサラジン、スルファサラジン、またはオルサラジンを含んでもよく、これらは特に炎症性腸疾患の治療に有利である。
【0068】
本発明による薬剤剤形のシート状の調製品に含まれる医薬品有効成分は、具体的にはタンパク質類およびペプチド類、具体的にはインスリン、ブセレリン、デスモプレシン、カルシントニン、およびエストロゲン、ならびにバイオテクノロジーにより製造された薬物、例えば抗体、例えばリツキシマブを含む群から選択されてもよい。ここで、タンパク質およびペプチド、具体的にはインスリン、ブセレリン、デスモプレシン、カルシオトニン、およびエストロゲンは、特定の状況下では低い、具体的には経口の低いバイオアベイラビリティを示し得るので、本発明による剤形の適用の有望な候補であることを理解されたい。
【0069】
骨格および筋肉に作用する薬物、神経系に作用する薬物、ホルモン系に作用するホルモンおよび薬物、婦人科の作用薬物、心臓血管系に作用する薬物、呼吸器系に作用する薬物、胃腸管に作用する薬物、利尿剤、感覚器に作用する薬物、皮膚薬、ビタミン、および微量栄養素、ペプチド系薬物およびタンパク質、鎮痛剤、抗感染薬、ならびに殺寄生虫薬の群の物質は、医薬品有効成分として用いられてもよい。
【0070】
一実施形態では、有効成分はコルチコステロイド類から選択される。例示的には、ブデソニド、モメタゾン、フルチカゾン、およびシクレソニド、ならびにそれらの薬学的に許容可能な塩が挙げられる。
【0071】
治療するべき状態については、例示的には胃腸粘膜、好ましくは食道に関連する状態、例えばGERD、NERD、および好酸球性食道炎が挙げられる。これらは、特に上記の群のステロイドおよび挙げられた酸化窒素または酸化窒素形成剤を用いて良好に治療される。
【0072】
薬剤調製品は、投与の部位および有効成分に応じて、治療するべき状態に対して効果的であることが知られている量の医薬品有効成分を含む。例えば、剤形中のブデソニドの濃度/量は、モメタゾン含有剤形と比較して相当高いからである。
【0073】
これに加えてまたは代えて、本発明によるカプセル装置の特定の実施形態では、ひも状またはストリップ状の調製品は、好ましくは時間制御された方法で、例えば1時間以内、または1~2時間以内、または1~5時間以内、または1~12時間以内、または1~24時間以内に溶解、例えば生物学的に変性するように適合される。これにより、ユーザの利便性を向上させる。というのも、シート状の調製品を取り除く必要がないからである。
【0074】
これらの有効成分を含む調製品を調製する方法は特に限定されず、当業者には既知である。さらに、本発明の薬剤剤形に関連して、国際公開第2016/102067号パンフレットを参照する。
【0075】
具体的には、ひも状またはストリップ状の調製品は、基本的には既知の方法により、例えば不活性支持体に、ポリマー、医薬品有効成分、および任意に添加剤、ならびに溶媒を含む液体組成物をコーティングすることにより、例えばドクターブレード、噴霧加工機、または押し出し成形加工機を伴う方法により当業者が調製することができる。そのようにして得られた薄いフィルム層を乾燥させる。多層シート状の調製品では、1種類以上のコーティングが同じ様式で既存のフィルム層に塗布されてもよく、または別々に製造され、その後積層されてもよい。
【0076】
隙間の形状は、細長い調製品の長軸線に直交する平面で細長い調製品の外部輪郭に対応するのが好ましい。例えば、ストリップ状の調製品の場合、スリット状の隙間が好ましく、ひも状の調製品の場合、円形の隙間が設けられてもよい。ここで、隙間は、基本的に矩形の通路断面を提供し、ストリップ状の調製品の断面も基本的に矩形である。ひも状の調製品の場合、隙間は、円形の通路断面を提供してもよく、ストリップ状の調製品の断面も基本的に円形であってもよい。このように、カプセル装置に対する細長い調製品の動作は、隙間により案内され、カプセル装置から調製品を引き出す間、調製品およびカプセル装置の相対位置は安定する。
【0077】
好ましくは、ひも状またはストリップ状の調製品は、具体的には好ましくはひも状、コード状、ストリップ状、または管状の形状を有してもよい折りたたまれ、分解され、巻かれ、丸められ、またはとぐろ巻きされたシート状の調製品による圧縮形態から展開形態に変形し得るようにして、曲げ可能である。例えば、そのようなシート状の調製品が国際公開第2020/183005号パンフレットに例示的に説明されている。
【0078】
カプセル装置の好ましい実施形態では、カプセル内に格納された調製品をカプセルの中空空間からカプセル装置の周囲領域に引き抜くために、調製品は圧縮形態から展開形態に展開可能である。したがって、調製品は、保持装置を備えるのが好ましい。保持装置を固定すると、引っ張り動作および/または引っ張り力により、調製品をカプセル装置から引き抜くことができる。保持装置の固定は、好ましくは保持装置を固定器具に接続することにより得られる。そのような固定器具は、ひも部材、例えばコード、ひも、ロープであってもよい。その場合、固定器具は、例えば保持装置がカプセル装置とともに移動するのを防止し、それにより引っ張り力を生成する。固定は、例えば保持装置をコードの一方の端部に接続し、コードの他方の端部をアプリケータに固定することにより行われる。したがって、アプリケータからカプセルを移動することにより固定器具のコードが引っ張りを受けると、保持装置は、引っ張り力を確立し、それにより調製品がカプセル装置から引っ張り出される。保持装置が好ましくは調製品の一部であるか、または調製品に取り付けられる場合、保持装置は、ハンドル、吊りひも、もしくは接着テープであってもよく、または接着領域を含んでもよい。保持装置は、保持装置と、保持装置が取り付けられている領域との間に力を伝達することができる接続を増強・維持するように適合される。さらに、剤形および/またはシート状の調製品が圧縮形態および/または展開形態である間、この接続は増強または維持されてもよい。好ましくは、画定された位置または領域で圧力嵌めにより、具体的には摩擦係合的に、形状接続的に、またはカシメ加工(material engagement)により、具体的には粘膜接着、好ましくは接着剤により保持装置、場合によってはさらなる部品が保持されてもよい。例えば、そのような保持装置は国際公開第2016/102067号パンフレットに説明されている。
【0079】
本明細書で用いる「圧縮形態」という用語は、好ましくは折りたたまれた形態、巻かれた形態、丸められた形態、とぐろ巻きされた形態、または分解された形態を指す。具体的には、ひも状またはストリップ状の調製品は、圧縮形態では、圧縮形態でない形態、具体的には展開形態よりも小さな空間的範囲を有し、および/または少ない量の表面を露出する。好ましくは、圧縮形態のひも状またはストリップ状の調製品は、折りたたまれ、分解され、巻かれ、丸められ、とぐろ巻きされ、押し込まれ、一緒にまとめられ、または別の方法でより小さい形式にされる。具体的には、圧縮形態であるときに、ひも状またはストリップ状の調製品は所定のサイズまたは空間的範囲を有することができる。
【0080】
本明細書で用いる「展開形態」という用語は、好ましくは折りたたまれない形態、広げられた形態、開かれた形態、細長い形態、伸張された形態、または長方形の形態を指す。具体的には、ひも状またはストリップ状の調製品は、展開形態では、展開形態でない形態、具体的には圧縮形態よりも大きな空間的範囲を有し、および/または大きな量の表面を露出する。好ましくは、展開形態のひも状またはストリップ状の調製品は、折りたたまれず、広げられ、開かれ、巻きをほどかれ、伸ばされ、開かれ、細長く、伸張され、展開され、または別の方法でより大きな形式にされる。具体的には、展開形態であるときに、ひも状またはストリップ状の調製品は所定のサイズまたは空間的範囲を有することができる。あるいは、ひも状またはストリップ状の調製品のサイズまたは空間的範囲は、存在する条件および作用部位または適用部位に左右され、したがって予め定められない場合がある。
【0081】
特に好ましい実施形態では、調製品はカプセル装置の外側に巻かれる。そのような場合、例えば第1の半カプセル殻内に圧縮形態の調製品を配置し、その後にのみ第2の半カプセル殻を第1の半カプセル殻に接続してカプセル装置を形成することが意図される。
【0082】
しかし、これに代えて、調製品はカプセル装置の内側に巻かれる。カプセル装置の内側に巻かれる場合、調製品は有利には調製品の外側から展開状態で提供され、巻かれる間に、例えばカプセル装置の開口部および/または隙間を通してカプセル装置に供給される。そのような場合、カプセル装置には開口部を含む中空円筒壁を有する第1の半カプセル殻が提供されるのが好ましく、第2の半カプセル殻の壁は、開口部の断面と重なる。しかし、2つの半部は、必ずしも隙間が最終的に形成されるように重なるわけではない。あるいは、開口部を覆って隙間を形成するために用いられる壁部品は、巻きを完了する最中ではなく完了した後に設けられるのが好ましい。
【0083】
好ましくは、調製品を巻くことは、機械により、例えば巻き取り装置または巻き取りユニット手段により行われる。あるいは、調製品を手動で巻くことができる。調製品を手動および機械で巻く間、調製品の端部区間は、例えば2つの保持顎の間で締め付けられるか、または本質的に連続した調製品が用いられる場合、調製品の一区間が締め付けられ、締め付けられた区間よりも外の部分は切断され、それにより調製品の締め付けられた区間が、巻かれる調製品の端部区間を形成する。さらに例示的に、調製品の締め付けられた区間は編まれて巻きピンのフォークまたはU字形状の端部となり、それによりピンを回転させることでピン端部の周りに調製品が巻かれる。その後、周りに調製品が巻かれたピンは、例えば開口部を通してカプセル装置内に置かれ、ピンは巻かれた調製品から引っ張り出される。特に好ましい実施形態では、巻かれた調製品は、開口部を通して第1の半カプセル殻内に配置される。
【0084】
あるいは、コンベア、例えばコンベアベルトにより調製品は展開状態でプレス室に供給される。好ましくは共通の方向に回転する複数の表面がプレス室内に配置され、これにより引っ張りこまれたが、まだ折りたたまれていない調製品を回転させる。さらに、調製品の回転運動をローラにより支援することができる。その原理は干し草梱包機の原理に類似する。プレス室内の回転する表面の回転運動が調製品に伝達され、それにより調製品自体が回転運動し、従って巻かれ始める。調製品が所定のサイズおよび/または重量を有するとすぐに、回転運動は停止し、巻かれた調製品はプレス室から、例えばカプセル装置の開口部に直接押し出される。
【0085】
調製品を圧縮形態に巻く機械は秤を有し、それにより巻き加工中に重量を測定し、または巻き取り対象の調製品の一区間の重量を測定することにより、調製品が含む有効物質の量を決定することができる。あるいは、巻かれる調製品の一部の長さ、または幅、または厚さ、またはこれらの量の任意の組み合わせ、例えば体積を測定する装置を用いることができる。さらなる代替の場合、圧縮状態にある調製品の有効成分の濃度を決定することが可能である必要がある。
【0086】
本発明は、特に本発明の方法を実行することにより本発明による薬剤剤形を製造する製造機にも関する。本製造機は、取り付け位置に第1の半カプセル殻を位置決めする位置決め装置を備える。
【0087】
接続装置は、第1の半カプセル殻および第2の半カプセル殻を互いに向けて移動することにより第2の半カプセル殻および第1の半カプセル殻を接合位置に接続するように構成された可動要素を有し、それにより第2の半カプセル殻の壁は、可動要素の移動により制御される量だけ開口部断面と重なり、それにより接合位置にカプセル装置の隙間を形成する。
【0088】
位置決め装置は、第1の半カプセル殻および/または第2の半カプセル殻のうちの1つ以上を定位置に保持する1つ以上の保持部材を備えるのが好ましい。保持部材は、形状接続により第1の半カプセル殻および/または第2の半カプセル殻を固定する形状の固定空間を含むのが好ましい。位置決め装置、具体的には保持部材は、複数の第1および/または第2の半カプセル殻を並行して定位置に保持するように構成されてもよい。このように、製造方法の処理能力を増大することができる。第1の半カプセル殻および/または第2の半カプセル殻のうちの1つ以上を2つ以上の取り付け位置に位置決めする位置決め装置が設けられてもよい。それにより、複数の取り付け位置、具体的には作業ステーションを用いて薬剤剤形のいくつかの製造ステップを並列して実行することができる。
【0089】
位置決め装置は、1つ以上の作業ステーションを担持する可動プラットフォームを備えるのが好ましい。作業ステーションは、少なくとも1つ以上の保持部材を備えるのが好ましい。可動プラットフォームは、製造機の作業位置にそれぞれの作業ステーションを回転させるように構成される、軸線の周りを回転するベース部材に回転可能に配置されてもよい。第1の作業位置に、少なくとも1つの保持部材により提供される少なくとも1つの取り付け位置に少なくとも1つの第1の半カプセル殻を供給する供給装置が配置されてもよい。第2の作業位置に、少なくとも1つの保持部材により少なくとも1つの取り付け位置に少なくとも1つの第2の半カプセル殻を供給する供給装置が配置されてもよい。第3の作業位置に、好ましくは圧縮状態の調製品を第1の半カプセル殻に備え付ける備え付け装置が配置されてもよい。備え付け装置は、場合によっては取り付け位置に調製品の少なくとも一部または全体を搬送する搬送装置を備え、および/あるいは細長い状態から圧縮状態、具体的には丸められ、または巻かれた状態に調製品を移行させる圧縮装置、具体的には巻き取り装置を備える。第4の作業位置に、用意された製造された薬剤剤形を受け取り、場合によっては薬剤剤形を保管またはコンベアシステムに送付する受け取りステーションが設けられてもよい。
【0090】
好ましくは、製造機は、細長い形状を有し、医薬品有効成分を含む調製品の端部を、調製品の保管位置から取り付け位置に搬送する搬送装置を備える。ここで、調製品は、取り付け位置にある第1の半カプセル殻の中空空間内に挿入されるように、具体的には開口部を通して挿入されるように配置される。好ましい実施形態では、搬送装置は、調製品の少なくとも一部または調製品の全体を第1の位置で、具体的には調製品保管装置から受け取り、回転により調製品の当該一部を取り付け位置に搬送するように構成される回転可能な搬送部材を有する。回転可能な搬送部材は、回転可能な棒部材またはディスク部材であってもよい。搬送装置の移動または回転は、製造機の電子制御装置により制御されてもよい。製造機および/または回転可能な搬送部材は、細長い状態から圧縮位置に調製品を巻く巻き取り装置を含む。回転可能な搬送部材は、細長い状態の調製品を巻き取って巻かれた状態を形成する巻き取り装置を含んでもよい。巻き取り装置は、製造機の電子制御装置により電気的に駆動・制御されるように構成される1つもしくは2つ、またはそれより多い回転可能軸を備えてもよい。1つもしくは2つ、またはそれより多い回転可能な軸が回転可能な搬送部材の回転軸線からずらした位置に配置されてもよい。回転可能な搬送部材および/または巻き取り装置は、具体的には回転可能な軸が開口部の前または開口部内に配置される場合に、細長い状態の調製品を取り付け位置で巻き取るように構成され、それにより第1の半カプセル殻が取り付け位置にあるときに、圧縮状態での調製品の形成が圧縮位置で行われてもよい。これは、好ましくは、開口部前またはさらには開口部内に、それにより第1の半カプセル殻の中空空間の少なくとも部分的に直ぐ内部に配置される。それにより、カプセルへの調製品の移動が著しく容易になる。調製品の巻き取りは、巻き取りピンを用いて行われるのが好ましい。したがって、巻き取り装置は巻き取りピンを含むのが好ましい。
【0091】
好ましくは、製造機および/または搬送装置は、細長い状態から圧縮位置に調製品を巻く圧縮装置、具体的には巻き取り装置、または細長い状態から圧縮位置に調製品を折りたたむ折りたたみ装置を含む。この圧縮は、好ましくは製造機の圧縮位置で行われる。
【0092】
好ましくは、製造機は、第1の半カプセル殻の中空空間に挿入される調製品を切断して調製品を形成する切断装置を備える。
【0093】
好ましくは、製造機は、圧縮位置から第1の半カプセル殻の中空空間内の最終位置に圧縮状態の調製品を移動する作動装置を備える。
【0094】
好ましくは、製造機は、さらに、重り装置が得られるように重り材料、例えばパウダーをプレス加工するプレス装置を備える。好ましくは、プレス装置は、薬剤剤形を製造するさらなる加工装置に得られた重り装置を供給するように構成される。
【0095】
一実施形態では、飲料コップと組み合わせてカプセル装置を飲み込むのを支援するアプリケータが投与に用いられてもよい。例えば、そのようなアプリケータは国際公開第2020/183003号パンフレットに説明されている。これは、専門職の支援なしでカプセル装置の投与が可能であるために剤形が定期的に、具体的には毎日投与される場合に特に有利である。
【0096】
アプリケータは、カプセル装置を収納するように構成された筐体およびカプセル保持器具を含む。アプリケータは、さらにスペーサを含むのが好ましい。アプリケータの一実施形態では、アプリケータは、飲料コップの開口部に直接には取り付けられない。それに代えて、スペーサが飲料コップとアプリケータとの間に配置される。それにより、スペーサは、例えば、アプリケータに入り込む飲料コップの残留湿度により使用前に剤形が使用不可能にならないうちに飲料コップから湿度のリスクを低減する。スペーサは、管の形状を有し、または環状形状を有するのが好ましく、対応するキャップが取り外された後にアプリケータの開口部と飲料コップにそれぞれねじ止めされるのが好ましい。スペーサは、好ましくは1~10mm、好ましくは2~8mm、最も好ましくは5mmの長さを有する。
【0097】
本発明は、固定器具にも関する。固定器具は、アプリケータがさらに固定器具を含むという点でアプリケータの一部である。好ましい実施形態では、固定器具はひも要素からなり、またはこれを含む。固定器具は、カプセル保持器具の周りに巻かれる。したがって、カプセル保持器具は壁構造体を含む。固定器具は、カプセル保持器具に取り付けられ、または固定されるのが好ましく、それにより固定器具がカプセル保持器具、したがってアプリケータに力、例えば機械的牽引力を伝達することができる。固定器具は、第1の端部および第2の端部を有する糸、または繊維、またはひも、または撚り糸から作製され、または含むのが好ましい。固定器具は、第1の端部で、カプセル装置の隙間を通って延びる調製品の一方の端部、例えば調製品の保持装置に接続される。固定器具は、第2の端部でアプリケータのカプセル保持器具、例えばカプセル保持器具の壁構造体に接続される。固定器具が調製品に接続されると、カプセルがアプリケータから移動して固定器具が引っ張りを受けたときに、固定器具はカプセル保持器具から巻きをほどかれる。患者がカプセルを飲み込むと、カプセルはカプセル保持器具から移動し、それによりカプセル保持器具から固定器具の巻きをほどく。患者がカプセルを飲み込むと、固定器具は、どこかの時点でカプセル保持器具から完全に巻きをほどかれ、引っ張り応力が増大し、これにより調製品をカプセルから引っ張り出すことになる。したがって、有利には固定器具、例えばひも部材は、特にどちらかと言えば小さいルーメンまたは腔、例えば食道腔または鼻腔を囲む粘膜に医薬品有効成分を放出するのを可能にする。
【0098】
アプリケータ使用前には、固定器具は、保持器具の壁構造体の周りに巻かれている。保持器具の周りに固定器具を巻き付けることにより、結び目が固定器具に形成されるのを防止する。患者が剤形を飲み込むと、固定器具は保持器具から巻きをほどかれる。
【0099】
保持器具の構造体の周りに固定器具を巻き、および/または調製品、例えば調製品を含むひも、もしくは調製品の保持装置に固定器具を結合することは、機械、例えば巻き取り機および/または結合機により、具体的には機械の結合領域で行われるのが好ましい。
【0100】
保持器具の周りに固定器具を巻く第1のステップでは、固定器具は機械に機械的に固定され、例えば支持顎により締め付けられる。第2のステップでは、固定器具は引っ張りを受ける。第3のステップでは、保持器具は引っ張りを受けた固定器具(機械的クラッチを意味する)に沿って配置され、固定器具は、保持器具の壁構造体の溝で締め付けられる。第4のステップでは、固定器具を締め付ける支持顎が開かれる。第5のステップでは、保持器具を固定・支持するクラッチを回転させることにより、保持器具が回転し、それにより保持器具の周りに固定器具を巻き付ける。カップリングの回転運動が垂直並進運動に重ねられ、それにより固定器具は並列位置で保持器具に巻き付けられる。第6のステップでは、支持顎が固定器具を再度固定し、第7のステップでは、機械のナイフ状の部品により固定器具の一方の端部が切断され、さらなるステップで調製品に接続される。第8のステップでは、固定器具が周りに巻き付けられた保持器具は、具体的には機械によりアプリケータ筐体の開口部上に配置され、好ましくは、その開口部は、機械内に配置された筐体を通って延びる軸線、例えば補助管上に押される。さらに、固定器具の切断端部は、調製品の一方の端部に配置され、調製品は後でカプセルから引っ張り出される。
【0101】
第9のステップでは、固定器具は、クランプ結合領域で調製品の一方の端部に結合される。説明したように、巻き軸線を中心にして保持器具を回転させることにより、固定器具を保持器具の周りに巻くことができ、あるいはこれに代えて、固定器具を固定した保持器具を中心にして回転させ、固定器具を巻くことができる。
【0102】
アプリケータの好ましい実施形態では、アプリケータの開口部を覆い、剤形がアプリケータ本体から出るのを可能にするために使用前に取り外されるアプリケータのキャップは、蓋と、支持要素をカプセルに対して押し付けるように構成される複数のばねとを含む。これは、好ましくはキャップの方を向く保持器具内に配置されたカプセルの一方の端部に触れるのが好ましい。例えば、このキャップは、発泡性錠剤用のキャップと類似している。
【0103】
したがって好ましい実施形態では、カプセルは、保持器具内に垂直に配置され、支持要素は蓋の方を向くカプセルの一方の端部に向かって押し付けられる。蓋は、さらに乾燥剤を含み、例えば保管中に湿度により剤形が使用不可能になるのを防止するのが好ましい。
【0104】
複数のばねは、プラスチックまたは任意の弾性材料から作製することができ、それによりばねが支持要素に圧力を加えると、支持要素をカプセル表面に向かって押すことにより保持器具内のカプセルを機械的に固定する。支持要素は、カプセルの輪郭に相補的な形状を有するのが好ましく、これによりカプセルの輪郭が支持要素に嵌合される。
【0105】
好ましい実施形態では、薬剤剤形は、粘膜、好ましくは食道の粘膜に適用される薬剤調製品と、重りを含むカプセル装置を含み、調製品は、剤形を飲み込むと、調製品を引き抜くように構成されたアプリケータの固定器具に接続され、その後、固定器具は口内である期間後に溶解し、調製品は、具体的には食道の粘膜に付着し、重りとカプセル装置が胃の中で溶解する。
【0106】
好ましい実施形態では、薬剤剤形は以下のプロセスステップにより製造され、固定器具に接続され、アプリケータに充填される。
【0107】
第1のステップでは、カプセル装置は、挿入ケースにより機械に挿入される。カプセル装置は、接合位置で第1の半カプセル殻および第2の半カプセル殻を重ねることにより接合される第1および第2の半カプセル殻を含む。
【0108】
第2のステップでは、第2の半カプセル殻が挿入ケースにより把持され、第1の半カプセル殻から分離される。さらに、アプリケータ筐体は機械に配置される。
【0109】
第3のステップでは、ピストンにより第1の半カプセル殻が押し抜き工具の方向に移動し、それにより押し抜き工具の挿入ピンは中空、具体的には第1の半カプセル殻の円筒中空に入る。それにより、挿入ピンは第1の半カプセル殻を保持し、それにより挿入ピンの移動方向に対して横方向に移動する押し抜き工具の一部が、開口部および/またはくぼみを第1の半カプセル殻の壁から押し抜く。
【0110】
第4のステップでは、挿入ピンは、第1の半カプセル殻の中空から引っ張り出される。第1の半カプセル殻は、押し抜きされた開口部が好ましくはアプリケータ筐体の方向に向くように配置される。押し抜き工具は、陰圧を用いてカプセル壁から押し抜きされた材料を第1の半カプセル殻から搬送する。
【0111】
第5のステップでは、調製品は2つの保持顎の間で締め付けられ、2つのクランプ顎の間の距離を大きくすることによりわずかに伸張する。2つの保持顎のうちの一方の1つの側面で、この保持顎を越えて延びる調製品が保持顎と同一平面で切断され、それにより調製品がまだ伸張している間に調製品の切断端部を作り出す。調製品のこの切断端部が調製品を巻く起点として機能する。したがって、巻き取りマンドレルは、2つの顎の間に伸張した調製品に通される。ここで調製品の端部部分も巻き取りマンドレルにより保持されるので、切断に用いられる保持顎のうちの一方が開かれる。当該顎を開いた後、または開いている間、巻き取りマンドレルは、当該保持顎ですでに締め付けられた調製品の切断端部が巻き取りマンドレルに巻かれるように回転し、それにより第1の巻き線を作り出す。
【0112】
第6のステップでは、2つの保持顎のうちの他方が開かれ、巻き取りマンドレルが回転する。このプロセスでは、さらなる調製品が回転する巻き取りマンドレルに巻かれる。所定の長さの調製品が巻き取られた後、巻き取りマンドレルの回転運動が停止する。この長さは、好ましくは調製品の端部区間が巻かれない、すなわち調製品が完全には丸められないように決定される。調製品の当該端部区間は、調製品を固定器具、すなわち固定器具の端部区間と接続するために用いられる。
【0113】
第7のステップでは、巻き取りマンドレルに巻かれた調製品は、第1の半カプセル殻に打ち抜きされた開口部の前に配置される。巻かれた調製品は、打ち抜きされた開口部またはくぼみにも部分的に突出することもできる。調製品の巻かれていない端部区間は、第1の半カプセル殻の外部に残される。
【0114】
第8のステップでは、巻き取りマンドレルは、丸められた調製品から引っ張り出され、丸められた調製品は、開口部を通して丸められた調製品を第1の半カプセル殻に機械的に押し込むことにより第1の半カプセル殻の開口部を通して第1の半カプセル殻の内部に配置される。
【0115】
第9のステップでは、挿入ピンは、第1の半カプセル殻の具体的には中空円筒開口部に移動し、ステップ8で第1の半カプセル殻内に配置された丸められた調製品は、第1の半カプセル殻のより奥に配置される。丸められていない調製品の端部区間は、機械の結合領域に配置される。
【0116】
第10のステップでは、固定器具は、アプリケータの保持器具の周りに巻かれるように構成される。また、ステップ10は、他の製造ステップと同時に、またはそれより早く、またはその後に行うことができる。保持器具の周りに固定器具を巻くために、固定器具は、クランプ・切断ユニットにより機械に機械的に固定される。クランプ・切断ユニットはクランプ顎を備え、クランプ顎の間で固定器具が締め付けられて固定器具に引っ張りを与えることができる。クランプ・切断ユニットは、固定器具および案内ブロックを切断して固定器具の滑らかな切断部を確保するカッターをさらに備える。第10のステップでは、クランプ顎を動かすことにより固定器具が引っ張られる。
【0117】
第11のステップでは、保持器具は、巻き取りユニットに配置され、引っ張りを受ける固定器具に沿って載置され、固定器具は、保持器具の壁構造体に取り付けられる。固定器具が保持器具に取り付けられるので、保持器具が回転すると、固定器具は保持器具に巻かれる。
【0118】
第12のステップで、クランプ・切断ユニットのクランプ顎の一方が開かれ、それにより固定器具は、巻き取りのため案内されてクランプ顎を通って摺動することができる。カッターをさらに含む、当該ユニットの他のクランプ顎は、閉じられたままである。
【0119】
第13のステップでは、保持器具を固定・支持するクラッチを回転させ、それにより保持器具の周りに固定器具を巻き付けることによって、巻き取りユニットは、回転を開始する。理想的には、回転運動が垂直並進運動に重ねられ、それにより固定器具は並列位置で保持器具に巻き付けられる。
【0120】
第14のステップでは、固定器具の所定の長さが保持器具の周りに巻かれた後、巻き取りユニットのクランプ顎が固定器具をさらに締め付け、それにより、クランプ・切断ユニットのまだ閉じられているクランプ顎のカッターにより固定器具を切断しても、固定器具は巻き取りユニットのクランプ顎により締め付けられたままである。次に、カッターにより固定器具を切断する。しかし、固定器具は巻き取りユニットのクランプ顎で直にではなく、当該ユニットから遠くで切断される。それにより、切断後に、固定器具の短い区間が巻き取りユニットのクランプ顎外部に依然として残る。固定器具のこの短い区間は、さらなる加工ステップで固定器具を調製品に接続するために用いられる。巻き取りユニットは、ロボット把持部をさらに含む。
【0121】
第15のステップでは、巻き取りユニットのロボット把持部が、保持器具(固定器具が保持器具の周りに巻かれている)および固定器具(巻き取りユニットのクランプ顎により一方の端部で締め付けられている)を、第1の半カプセル殻が位置決めされ、アプリケータの筐体が載置されている機械部に搬送する。ロボット把持部は、筐体内に配置されている軸線に保持器具を押すことにより保持器具を軸線に位置決めする。これを行う際、固定器具を調製品と接続するために用いられる固定器具の短い区間を、筐体の外部に配置されている結合領域に位置決めできる程度だけ、保持器具は軸線に押される。結合領域は、両方の半殻が接合位置で接合されると、第1の半カプセル殻の開口部を通って延び、すなわちカプセル装置の隙間を通って延び、巻かれていない調製品の端部区間をさらに含む。
【0122】
第16のステップでは、固定器具および/または調製品は、好ましくは噴霧器のノズルにより湿らされる。加湿は、結合領域で行われる。
【0123】
第17のステップでは、調製品を固定器具に接続するために、固定器具は、スタンプにより調製品に対して押し付けられる。接続は、引っ張り力を固定器具と調製品との間に伝達することができるように行われる。
【0124】
第18のステップでは、重りが製造され、第2の半カプセル殻に挿入される。また、ステップ18は、他の製造ステップと同時に、またはそれより早く、またはその後に行うことができる。重りは、好ましくは、プレスピンを用いることによりパウダーからプレス加工される。ロボット回転アームがパウダーに移動し、所定量のパウダーを吸い上げ、パウダーをプレス加工することができる。次に、ロボット回転アームはパウダーから移動し、第2の半カプセル殻の上方で回転する。ここで、プレス加工されたパウダーは、重りとして第2の半カプセル殻内に直接挿入されるのが好ましい。重りを製造するステップは、他の加工ステップから独立して行うことができる。すなわち、重りは、さらなる加工ステップに先立って、または並行して製造することができ、ロボットアームは、プレス加工されて出来上がった重りまたは別の方法で製造された重りのみを把持してもよい。また、カプセル装置内に重りが全くなく、第18のプロセスステップを省略してもよいことも考えられる。
【0125】
第19のステップでは、第2の半カプセル殻は重りありでおよび/またはなしで、挿入ケースにより第1の半カプセル殻の上方に配置される。カプセル半部どうしが互いの上に載った後、第2の半カプセル殻は、挿入ケースから第1の半カプセル殻上または第1の半カプセル殻内へと押し付けられ、それにより第2の半カプセル殻が開口部の断面と重なる壁を有し、それにより接合位置にカプセル装置の隙間を形成する薬剤剤形が得られる。それにより、調製品の端部区間は、巻きをほどかれ、隙間から結合領域に延び、固定器具の端部区間に接続される。
【0126】
第20のステップでは、薬剤剤形のカプセル装置は、把持工具を用いて把持され、保持器具上に位置決めされた後、保持器具内に配置される。
【0127】
第21のステップでは、筐体は、保持器具に向かって、かつ保持器具上に押される。端部キャップが筐体上に配置される。これにより、現在は保持器具に巻かれた固定器具と、保持器具内に配置された薬剤剤形とを格納する筐体を閉じる一方、固定器具の端部区間は調製品の端部区間に接続され、それにより固定器具の巻きが完全にほどかれ、例えば患者が剤形を飲み込んだときに、固定器具はカプセル装置から調製品を引っ張り出す。
【0128】
本発明による薬剤剤形を製造する方法のさらなる好ましい実施形態および本発明による薬剤剤形のカプセル装置を製造する方法のさらなる好ましい実施形態は、本発明およびその実施形態の説明、ならびに図面による実施形態の説明から理解することができる。
【0129】
本発明の例示的な実施形態を、添付の図面および実例を参照して以下により詳細に説明する。それらからさらなる特徴、利点、および実施形態を知ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0130】
【
図1a】本発明の第1の実施形態による剤形の概略側面図を示す。
【
図1b】
図1aの「X」の符号を付けた領域の詳細を示す。
【
図1c】
図1aの「X」の符号を付けた領域の代替的構成を示す。
【
図2a】本発明の別の好ましい実施形態による薬剤剤形のカプセル装置を形成するために互いに位置合わせされた第1および第2の半カプセル殻の上面図を示す。
【
図2b】本発明の別の好ましい実施形態による薬剤剤形のカプセル装置を形成するために互いに位置合わせされた第1および第2の半カプセル殻の上面図を示す。
【
図2c】移動方向Mに沿って付け合わされた、
図2aの第1および第2の半カプセル殻の上面図を示す。
【
図2d】
図2aの第1および第2の半カプセル殻の接合位置により形成されたカプセル装置の上面図を示す。
【
図2e】
図2dに対応し、開口部と重なり、それにより隙間を形成している第2の半カプセル殻の壁の領域を示すために、第2の半カプセル殻を透明なものとして示す。
【
図3b】圧縮形態の薬剤調製品が第1の半カプセル装置の開口部に挿入され、薬剤剤形を製造する本発明による方法の例示的なステップを形成することを示す。
【
図3c】圧縮形態の薬剤調製品が第1の半カプセル装置の中空空間内に挿入され、薬剤剤形を製造する本発明による方法の別の例示的なステップを形成することを示す。
【
図3d】
図2dのカプセル装置を用いる本発明の実施形態による薬剤剤形を示す。
【
図3e】
図3dの薬剤剤形を示し、第2の半カプセル殻を透明なものとして示す。
【
図4a】薬剤調製品の第1および第2の半カプセル殻を示し、かつ回転軸Xが開口部内に配置され、当該軸にストリップ状の調製品が接続され、薬剤剤形を製造する本発明による方法の例示的なステップを形成することをも示す。
【
図4b】
図3dによる薬剤調製品の第1および第2の半カプセル殻が、開口部内に配置されている回転軸Xを含み、ストリップ状の調製品が回転(R)により当該軸の周りに部分的に巻かれ、薬剤剤形を製造する本発明による方法の例示的なステップを形成することを示す。
【
図4c】
図3dによる薬剤調製品の第1および第2の半カプセル殻が、開口部内に配置されている回転軸Xを含み、ストリップ状の調製品が回転(R)により当該軸の周りに完全に巻かれ、薬剤剤形を製造する本発明による方法の例示的なステップを形成することを示す。
【
図4d】
図3dによる薬剤調製品の第2の半カプセル殻が、第2の半カプセル殻の中空空間内に挿入される重り要素を含み、薬剤剤形を製造する本発明による方法の例示的なステップを形成することを示す。
【
図5a】患者が薬剤剤形を飲み込む前に剤形の投与を容易にするためにキットを用いる第1のステップを図示する。
【
図5b】患者が薬剤剤形を飲み込んだ後に剤形の投与を容易にするためにキットを用いる第2のステップを図示する。
【
図6a】キットに関連して、保持器具の壁構造体に固定器具を取り付ける方法のステップを図示する。
【
図6b】キットに関連して、固定器具が保持器具の壁構造体に取り付けられた後にアプリケータの保持器具の周りに固定器具を巻く方法のステップを図示する。
【
図6c】キットに関連して、調製品の保持器具に固定器具を接続する方法のステップを図示する。
【
図6d】キットに関連して、固定器具が調製品に接続されている間に第1の半カプセル殻を第2の半カプセル殻と接合する方法のステップを図示する。
【
図6e】キットに関連して、固定器具が調製品に接続されている間にアプリケータにカプセル装置を組み付ける方法のステップを図示する。
【
図7】アプリケータの固定器具に接続されている調製品の端部部分を図示する。
【
図8】特に本発明による方法を実行することにより、本発明による薬剤剤形を製造するための本発明による製造機を例示的に示す。
【
図9a】細長い調製品が取り付け位置で巻き取られる第1のステップで調製品を第1の半カプセル殻に備え付ける製造機の備え付け装置を例示的に示す。
【
図9b】細長い調製品が容易に巻き取られ、切断装置により直ちに切断される第2のステップにおける
図9aの備え付け装置を例示的に示す。
【
図9c】作動装置の作動により細長い調製品が容易に巻き取られ、保管ロールから切断され、開口部を通して第1の半カプセル殻の中空空間内に挿入された第3のステップにおける
図9bの備え付け装置を例示的に示す。
【
図10a】薬剤剤形がアプリケータ保持器具の底部内に配置され、アプリケータキャップにより覆われているアプリケータの概略断面を示す。
【
図10b】薬剤剤形が内部に配置され、改良したアプリケータキャップを有するアプリケータの概略断面を示す。
【
図11】本発明のさらなる実施形態による薬剤剤形の概略側面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0131】
図1aに粘膜に適用するカプセル装置1を示す。カプセル装置1は細長い形状を有し、医薬品有効成分を含有する調製品2を含む。調製品2を圧縮状態で示す。調製品がストリップ状の形状を有することを前提として、
図1aに図面シートに垂直な仮想軸線の周りにらせんとして巻かれているストリップ状の調製品の側面図を示す。調製品がカプセル3のスリット状の隙間5から引っ張り出された展開状態では、ストリップ状の調製品は実質的に真直ぐなストリップの細長い形状を有することになる。
【0132】
カプセル装置3はカプセル形状を有し、中空空間4を備える。中空空間4は圧縮状態にある調製品2を収納する。カプセルは約50μm~200μmの厚さを有する薄い壁からなり、生分解性または非生分解性の材料から構成される。
【0133】
カプセル装置は、平面湾曲スリットを形成する隙間5を有する。
【0134】
湾曲スリットとして形成された隙間5の幅は、長軸線Aに平行な方向の第1の半カプセル殻3aおよび第2の半カプセル殻3bのカプセル壁の対向する表面5aの距離を測定することにより画定される。距離「a」は、例えば200μm~600μmの一定値であってもよい。調製品の厚さtは、例えば20μm~150μmの一定値であってもよい。
【0135】
カプセル装置の外側寸法に関しては、例えばカプセル3の高さHは8mmであってもよく、カプセルの幅Wは4mmであってもよい。しかし、患者の望ましい投与部位を考慮すれば、カプセル装置の他の寸法が一般に考えられる。
【0136】
調製品2の第1の端部2aは、調製品の圧縮状態で隙間5を通って延び、中空空間からカプセル装置の周囲領域に調製品を掴んで引っ張り出すことを可能にし、それにより調製品2を圧縮状態から展開状態に移行させる。調製品の引っ張り出し、すなわち引っ張り出し動作P(
図1bを参照)は、調製品2の端部2aを固定し、Pと反対の方向Mにカプセル装置を引っ張ることによる結果であってもよい。これは、例えば
図5a、
図5bに示すようにカプセル装置を飲み込み、飲料コップを含むアプリケータの固定器具に調製品の端部2aを接続することによりカプセル装置を投与するプロセスを用いる場合に当てはまる。
【0137】
第1の端部2aは、ストリップ2とは異なる形状を有する端部部分(
図1cを参照)を有してもよい。例えば、端部部分が隙間から引っ張り出される前に隙間5を封止するために隙間5に配置するのに適した封止部を、端部部分は形成してもよい。さらに、端部部分は、結合領域を提供することによりアプリケータの固定器具に接続されるように構成されてもよい。
【0138】
図1bに隙間領域5の拡大図を示す。
図1b、
図1cに示すように、隙間5は第2の半カプセル殻3bを起点とし、第2の半カプセル殻3bが第1の半カプセル殻3a上に嵌め込まれ、それにより第1の半カプセル殻の開口部6と重なり、スリット状の隙間5を形成する。スリット状の隙間5およびストリップ状の調製品2は、調製品を隙間から引っ張り出すと、間隔(S1、S2)が設けられる(調製品2と、隙間5を画定するカプセル装置の表面5aとの隙間5の隙間断面CSで測定される)ように寸法決めされる。ここでは、カプセルの中心長軸線Aは隙間断面CSと平行に延びる。
図1aに示すカプセル装置3は、第1の半カプセル殻3aおよび第2の半カプセル殻3bを含む。第1の半カプセル殻3aおよび第2の半カプセル殻3bが互いに対して嵌め込まれてカプセル装置3を形成すると、第1の半カプセル殻3aの開口部6は、第2の半カプセル殻3bに部分的に覆われてスリット状の隙間5を形成する。そのような開口部6は、板形状のフライス加工工具、例えば板形状のこぎり刃を用いてカプセル材料をフライス加工することにより開けてもよい。重なる位置、すなわち2つの半カプセル殻3a、3bの間の接合位置は、
図1aではBで符号を付けた点線により示す。
【0139】
図1bに示すように、ストリップ2の厚さtは平面湾曲スリット5の幅aよりも著しく小さい。例えば、厚さtは20μm~150μmの一定値であってもよい。間隔S=S1=S2が隙間5の中心、かつカプセルの表面5aに平行かつ対向するストリップ表面の中央揃えにした位置に調製品2を配置することにより測定される。調製品2が隙間から引っ張り出される間、間隔Sが存在し、平均的には実質的に一定になってもよい。これは、細長い調製品の全長に実質的に沿っていることを意味する。しかし、本発明の範囲は、調製品2の厚さtの変動により調製品と表面5aとの間の間隔(隙間を画定する)が変動し、または寸法aおよびtの部分的変動(a=tの部分的寸法を含む)により間隔が部分的に遮断される剤形の実施形態も包含してもよい。
【0140】
調製品がひも状の形状を有する場合、寸法を類推により測定してもよく、不規則な形状の調製品の場合、寸法を平均により決定してもよい。
【0141】
図1cに示すように、第1の端部2aは拡大部を形成する端部部分を有してもよく、これにより調製品がカプセル3内で失われるのを回避するように構成してもよい。これは、ストリップを引っ張り出し、所定の方法で剤形を適用するために端部2aを回収することを、患者または希望者にとって異なるものにするであろう。また、端部部分2aは、端部部分2aを隙間から引っ張り出す前に隙間5を封止するために隙間5に配置するように構成されてもよい。部分7は端部部分に設けられ、線、例えばアプリケータの固定器具を端部部分2aに接続するように構成されてもよい。軸線Aと直交して延び、カプセル3の細長い形状を示す方向の隙間5の幅a’は、第2の半カプセル殻の対向面5a’の間で測定される。幅a’は、調製品端部部分2aの幅と同じように寸法決めされされてもよい。
【0142】
図2aに本発明の別の好ましい実施形態による薬剤剤形10のカプセル装置13を形成するために互いに位置合わせされた第1の半カプセル殻11および第2の半カプセル殻12の上面図を示す。第1の半カプセル殻11は、回転楕円形キャップ11aにより閉じられた第1の端部を有し、かつ第1の半カプセル殻11の開口部が設けられた中空円筒壁11bである第2の端部を有する。第2の半カプセル殻12は、回転楕円形キャップ12aにより閉じられた第1の端部を有し、かつ第2の半カプセル殻12の開口部が設けられた中空円筒壁12bである第2の端部を有する。第1の半カプセル殻11は、開口部16を完全に囲む中空円筒形状壁11cを有する。開口部16は基本的に壁11cの穴である。開口部16の周りの壁枠11cにより安定性が提供される。
【0143】
図2bに本発明の別の好ましい実施形態による薬剤剤形のカプセル装置を形成するために互いに位置合わせされた第1の半カプセル殻11’および第2の半カプセル殻12’の上面図を示す。第1の半カプセル殻11’は、回転楕円形キャップ11a’により閉じられた第1の端部を有し、かつ第1の半カプセル殻11’の開口部が設けられた中空円筒壁11b’である第2の端部を有する。第2の半カプセル殻12’は、回転楕円形キャップ12a’により閉じられた第1の端部を有し、かつ第2の半カプセル殻12’の開口部が設けられた中空円筒壁12b’である第2の端部を有する。中空円筒壁区間11c’は、開口部16、具体的にはくぼみ16’を完全には囲んでいない。くぼみ16’は、第2の端部11b’の壁境界から第1の端部11a’に向かって延びる。くぼみにより、第1の半カプセル殻11’の中空空間内において、調製品の取り扱い、具体的には図面平面に直交する方向に沿っておよび/または方向Mに沿ってどちらかで圧縮形状の調製品2の挿入に十分な空間を提供する。
【0144】
図2cに移動方向Mに沿って摺動動作により付け合わされた、
図2aの第1および第2の半カプセル殻の上面図を示す。第2の半カプセル殻12の円筒部は、第1の半カプセル殻11と第2の半カプセル殻12との係合を容易にするために第1の半カプセル殻11の円筒部よりわずかに大きな直径を有してもよい。
【0145】
図2dに
図2aの第1の半カプセル殻11および第2の半カプセル殻12の接合位置により形成されたカプセル装置13の上面図を示す。隙間15は、カプセル壁内で軸線aの周りに円周方向かつ接線方向に延びるスリットである。隙間の断面A_oは、例えば係数f=0.05~0.2、すなわちA_o=f*A_aで開口部16の断面A_aよりも著しく小さい。このように、第1の半カプセル殻11および第2の半カプセル殻12の結合位置で開口部16を通して容易に挿入された調製品は、圧縮状態で隙間15から外れることができないが、飲み込み中(
図9bを参照)に巻き状態から巻きをほどくと、細長い体勢で隙間15から容易に引っ張り出すことができる。
【0146】
図2eは、
図2dに対応し、第2の半カプセル殻の壁12bの領域12cが開口部16と重なり、それにより隙間15を形成していることを示すために第2の半カプセル殻を透明なものとして示す。
【0147】
図3aは、
図2aの状況の側面図である。平面に投影されると、開口部16は矩形形状を有するが、円周方向に壁11bの円筒形状をたどる。開口部16は基本的にほぼ全幅W(
図1bを参照)に沿って円筒を開き、軸線A(
図3bを参照)に直交する方向Nに沿って開口部16を通してカプセル装置または第1の半カプセル殻のそれぞれの中空空間14に、圧縮状態の調製品を挿入することが可能になる。
【0148】
図3bに第1の半カプセル殻11の開口部16に挿入される圧縮形態の薬剤調製品を示す。
【0149】
図3cは、圧縮形態の薬剤調製品が第1の半カプセル殻11の中空空間14内に完全に挿入される一方、第2の半カプセル殻12が移動して第1の半カプセル殻11と係合する間であっても圧縮形状の調製品の端部2aが開口部16を通って延び、それにより
図3dの接合位置に到達するまで開口部16の自由断面を継続的に低減することを示すものであり、完成した薬剤剤形10を示す。
【0150】
図3dに
図2dのカプセル装置を用いる薬剤剤形10を示す。
図3eに薬剤剤形10を示す。中空空間14内の圧縮状態の調製品の位置を示すために第2の半カプセル殻12を透明なものとして示す。
【0151】
図4aに薬剤調製品の第1の半カプセル殻11および第2の半カプセル殻12を示し、かつ回転軸Xが開口部16内に配置され、軸Xにストリップ状の調製品2が接続され、カプセル装置を製造し、薬剤剤形を組み付ける本発明による方法の例示的なステップを形成することを示す。
【0152】
図4bに
図3dによる薬剤調製品の第1の半カプセル殻11および第2の半カプセル殻12が回転Rの軸Xを含み、当該軸が開口部内または開口部の前に配置され、回転(R)により軸の周りにストリップ状の調製品2が部分的に巻かれ、カプセル装置を製造し、薬剤剤形を組み付ける本発明による方法の例示的なステップを形成することを示す。
図4bにおける回転(R)の方向は例として選択されており、したがって示している回転(R)の方向と反対の方向であってもよい。
【0153】
図4cに
図3dによる薬剤調製品の第1の半カプセル殻11および第2の半カプセル殻12が、開口部内に配置されている回転軸Xを含み、回転(R)により軸の周りにストリップ状の調製品が完全に巻かれ、カプセル装置を製造し、薬剤剤形を組み付ける本発明による方法の例示的なステップを形成することを示す。
【0154】
図4dに
図3dによる薬剤調製品の第2の半カプセル殻が、第2の半カプセル殻12の中空空間に挿入されている重り要素60を含み、カプセル装置を製造し、薬剤剤形を組み付ける本発明による方法の例示的なステップを形成することを示す。
【0155】
図5aに本明細書で患者により表される、カプセル装置を含む薬剤剤形の投与を示す。飲料コップ901は、液体で満たされ、アプリケータ902はコップ901に取り付けられる。アプリケータ902は、カプセル装置903および固定器具904を含む薬剤剤形を含む。固定器具904はカプセル装置903に含まれる調製品に接続されている。
【0156】
図5bに患者がカプセル装置903を飲み込み、カプセル装置903が食道を通って胃まで搬送される際の手順を図示する。固定器具904によりカプセル装置903から調製品905を引っ張り出す。その後、調製品905は食道に沿って広がり、それにより調製品905の有効成分が食道の粘膜に送達される。
【0157】
図6aは、機械100によりアプリケータ103の保持器具102の周りに固定器具101を巻く方法に関する。したがって
図6aに示すように、保持器具102の周りに固定器具101を巻く第1のステップでは、固定器具101はクランプ・切断ユニット110を備える機械100に機械的に固定される。切断ユニット110は、クランプ顎106と、カッター108と、案内手段107とを備える。第2のステップで、固定器具101はクランプ顎106を動かすことにより引っ張られる。第3のステップで、保持器具102は引っ張られた固定器具101に沿って材料クラッチ109および固定器具101により位置決めされ、保持器具102の壁構造体の溝で締め付けられる。
【0158】
図6bは、固定器具が保持器具の壁構造体に取り付けられた後にアプリケータの保持器具の周りに固定器具を巻く方法に関する。第1のステップでは
図6bに示すように、固定器具101を締め付ける顎106が開かれる。
【0159】
第2のステップでは、例えば保持器具102を固定・支持するクラッチ109を回転させることにより保持器具102を巻きユニットで回転させ、それにより保持器具102の周りに固定器具101を巻く。回転運動が垂直並進運動に重ね合わされ、それにより固定器具101が並列位置で保持器具102に巻かれる一方、固定器具が保持器具102の周りに十分に巻かれた後に、クランプ顎は第6のステップで固定器具101を再固定する。
【0160】
第3のステップでは、機械100のナイフ状の部品108により固定器具101の一方の端部を切断し、固定器具101はさらに続くステップで調製品104に接続される。
【0161】
図6cは、固定器具101を調製品104と接合する調製手段の保持器具に固定器具を接続する一方、機械によりキットをさらに組み付ける方法に関する。第1のステップでは、アプリケータ筐体111の開口部110の上方の保持器具102と保持器具102の周りに巻かれた固定器具101との位置決めは、具体的には機械により行われる。したがって、保持器具102はその開口部110により軸線112、例えば補助チューブ上に押される。それにより、軸線112は機械100内にすでに位置決めされている筐体111を通って延びる。カプセル装置105の第1の半カプセル殻105aは機械100内にさらに位置決めされ、アプリケータ筐体111の隣りに配置され、それにより調製品104は少なくとも部分的に第1の半部105aから機械100の結合領域113に延びる。固定器具101の切断された端部101aは、機械100の結合領域113内にさらに配置される。その後、切断された端部101aにより、カプセル装置103から調製品104を引っ張り出す。
【0162】
図6dは、固定器具が調製品に接続されている間に第1の半カプセル殻を第2の半カプセル殻と接合する方法に関する。第1のステップに示したように、固定器具の端部部分101aは、クランプ結合領域113内の調製品104の一方の端部に結合される。それにより、支持体114が結合領域113に向かって下方に移動し、互いに重なる調製品104および固定器具の端部部分101aに押し付けられる。結合については
図10でさらに説明する。第2のステップでは、第2の半カプセル殻105bは重り要素115とともに第1の半部105aの上方に位置決めされる。第3の機械ステップでは、2つの半部105a,105bは互いに対して嵌め込まれるか、接合されるか、摺動され、それにより開口部が部分的に閉じられてカプセル装置105の隙間を形成する一方、調製品104の端部部分は、隙間を通して現在は最終的に接続または接合されている固定器具101により引き抜くことができる。
【0163】
図6eは固定器具が調製品に接続されている間にアプリケータにカプセル装置を組み付ける方法に関する。したがって、
図6eにアプリケータ103とともに調製品104を含み、示している事例では重り要素115を含む薬剤剤形、すなわちカプセル装置105を組み付けるステップを示す。したがって第1のステップでは、例えば陰圧によりカプセル装置103を保持する把持要素116がカプセル装置103の上方に位置決めされて装置103を把持し、アプリケータ105の筐体111の上方にカプセル装置103を搬送する。第2のステップでは、カプセル装置103は筐体111内に置かれる。さらに、筐体111は、
図6cおよび
図6dに関連してすでに説明したように、保持器具102の周りに巻かれ、筐体111の開口部110内に位置決めされた固定器具101を格納する。第3のステップでは、アプリケータ105の筐体111は端部キャップ117により閉じられる。
【0164】
図7に固定器具702、例えばアプリケータの固定器具の端部部分に接続されている調製品701の端部部分を示す。第1のステップで固定器具702を調製品701の端部部分に接続するために、固定器具を純水溶液に浸す。この実施形態では、水は接着剤として機能する。しかし、水以外の物質を接着剤として用いることができる他の実施形態も考えられる。
【0165】
固定器具は、1~10秒もしくは1~5秒の期間、または約1秒間、水溶液に浸されるのが好ましい。第2のステップでは、浸された固定器具702は水でぬれている端部部分701に位置決めされる。それにより、固定器具702は0.5~2cmもしくは0.5~1.5cmもしくは0.5~1cmの範囲、または好ましくは1cmの重なり距離dにわたって調製品701の端部と重なる。固定器具702を位置決めした後、固定器具702は調製品701の端部部分に対して押し付けられる一方、端部部分701はなおも水でぬれている。押し付けは、好ましくは1~10秒、または1~5秒、または2~3秒の期間行われる。押し付けは、接触圧力スタンプを用いることにより行われる。さらなる第3のステップでは、接合した固定器具702-調製品701を、接合した部品を加工するさらなるステップの前に1~10分または2~8分、または好ましくは5分の期間乾燥させる。あるいは、固定器具702を浸さずに乾燥状態で端部部分701に配置し、それにより固定器具702は重なり距離dにわたって調製品701の端部部分と重なり、端部部分701とともに固定器具に純水を噴霧した後、押し付けられる。噴霧は、噴霧するべき表面に対して液体を霧化するためにノズル、例えば噴霧ノズルまたは霧吹きノズルの支援で実行することができる。ノズルを用いることにより、噴霧で液体を分散させることを容易にする。それにより、ノズルは少なくとも重なり距離dを含む領域にわたって液体を分配し、液体表面積を増大させ、固体表面上に慣性前進力を生成する。
【0166】
図8に特に本発明による方法を実行することにより、本発明による薬剤剤形を製造するための本発明による製造機を例示的に示す。製造機200は特に本発明の方法を実行することにより本発明による薬剤剤形を製造するように構成され、製造機は取り付け位置に第1の半カプセル殻を位置決めする位置決め装置240を備える。接続装置260は、第1の半カプセル殻11,11’および第2の半カプセル殻12,12’を互いに向けて移動することにより第2の半カプセル殻および第1の半カプセル殻を接合位置に接続するように構成された可動要素261を有し、それにより第2の半カプセル殻の壁12cは、可動要素261の移動により制御される量だけ開口部16,16’の断面と重なり、それにより接合位置にカプセル装置3,13の隙間5,15を形成する。
【0167】
位置決め装置240は第1の半カプセル殻および/または第2の半カプセル殻のうちの1つ以上を定位置に保持する4つの保持部材243.1,243.2,243.3,243.4を備える。保持部材は、形状接続により第1の半カプセル殻および/または第2の半カプセル殻を固定する形状の固定空間を提供する。位置決め装置240の保持部材は、複数の第1および/または第2の半カプセル殻を並列して定位置に保持するように構成されてもよいが、ここでは1つのカプセルのみがそれぞれの取り付け位置に作り出される。このように、製造方法の処理能力を増大することができる。位置決め装置240により、それぞれが保持部材243.1,243.2,243.3,243.4により提供される4つの第1の半カプセル殻および4つの第2の半カプセル殻の4つの取り付け位置への位置決めを提供する。それにより、複数の取り付け位置、具体的には保持部材により画定される作業ステーションを用いて薬剤剤形のいくつかの製造ステップを並列して実行することができる。
【0168】
位置決め装置240は作業ステーションを担持する回転可能プラットフォーム241を備える。それぞれの作業ステーションは、回転プラットフォームの半径方向外側の領域に沿って配置される1つの保持部材を備える。可動プラットフォーム241は、軸線242の周りで回転するベース部材(図示せず)に回転可能に配置され、製造機の作業位置にそれぞれの作業ステーションを回転させるように構成される。第1の作業位置(
図11では保持部材243.1を示す)には、保持部材243.1により提供される取り付け位置に少なくとも1つの第1の半カプセル殻11,11’を供給する供給装置251が配置される。第2の作業位置(
図11では保持部材243.2を示す)には、保持部材243.2により提供される取り付け位置に第2の半カプセル殻12,12’を供給する供給装置252が配置される。
【0169】
第3の作業位置(
図8では保持部材243.3を示す)には、好ましくは圧縮状態の調製品2を第1の半カプセル殻11,11’に備え付ける備え付け装置201が配置されてもよい。備え付け装置201は、取り付け位置に調製品の端部212a,2aを搬送する搬送装置220を備え、かつ細長い状態から圧縮状態、具体的には折りたたまれた、または巻かれた状態に調製品212,2を移行させる圧縮装置223.1,223.2、具体的には巻き取り装置を備える。
【0170】
第4の作業位置(
図8では保持部材243.4を示す)には、既に製造された薬剤剤形10を受け取り、場合によっては薬剤剤形10を保管またはコンベアシステム(図示せず)に送付する受け取りステーション270が設けられてもよい。
【0171】
その都度、製造機はそれぞれの動作を制御する電子制御装置280を備えることが好ましい。それぞれの動作は、具体的には軸線242の周りの位置決め装置の回転を駆動する少なくとも1つの駆動部の動作とパラメータ、装置252および251によるカプセル部分の供給、搬送装置による調製品の搬送、圧縮装置の動作、具体的には巻き取り装置の回転、切断装置の切断動作、作動装置の作動動作、接続装置260の接続動作、ならびに任意のさらなる装置を制御することにより製造機で自動的に行われる。電子制御装置280は、ユーザが製造機、ならびに/または製造機を制御する制御ソフトウェア、具体的には本明細書で説明するすべての考えられる好ましいステップを含む本発明による方法のそれぞれのステップを実装するようにプログラムされたコンピュータプログラムを制御するのを可能にするユーザインタフェースを備えてもよい。
【0172】
製造機は調製品保管装置210を備える。調製品保管装置210は、調製品の保管ロール212を提供する。調製品は、軸211の周りでロール212を回転させることによりロールから放出され、それにより切断装置230および保持部材243.3に向かう方向に沿って細長い調製品を移動させることができる。保持部材243.3は作業位置を提供し、細長い調製品212の移動は、ロール214も含む案内ユニット213により案内される。調製品212の位置212a(その後、細長い調製品2の第1の端部2aを形成する)は回転軸223.1により把持される。回転軸223.1は軸線R1を中心にして回転ディスク222を保持部材243.3の取り付け位置に回転させることにより動く。
図9aを参照。
【0173】
図9aに細長い調製品212が保持部材243.3の取り付け位置で巻き取られる第1のステップで第1の半カプセル殻11,11’に調製品2を備え付ける製造機200の備え付け装置201を例示的に示す。
【0174】
製造機200は、細長い形状を有し、医薬品有効成分を含む調製品212aの端部を調製品の保管位置から取り付け位置に搬送する搬送装置220を備える。調製品は第1の半カプセル殻11,11’の中空空間14に挿入されるように位置決めされる。第1の半カプセル殻11,11’は取り付け位置243.3で具体的には開口部16を通して挿入される。ここで、搬送装置は、回転可能な搬送部材222を有する。回転可能な搬送部材222は、具体的には調製品保管装置210から放出された後、223.2の第1の位置で調製品212の少なくとも一部212aを受け取り、回転R1により調製品212aの当該一部を取り付け位置243.3に搬送するように構成される。搬送装置222の移動または回転は、製造機200の電子制御装置280により制御されてもよい。
【0175】
回転可能な搬送部材222は細長い状態の調製品を巻き取り、巻かれた状態を形成する巻き取り装置223.1,223.2を備えてもよい。巻き取り装置は、電気的に駆動され、製造機の電子制御装置280により制御されるように構成された2つの回転可能な軸223.1,223.2を有する。2つの回転可能な軸は、回転可能な搬送部材222の回転軸線R1からずらした位置に配置される。具体的には、回転可能な軸223.1が開口部16の前かつ開口部内に位置決めされる場合、回転可能な搬送部材222および/または巻き取り装置は、243.3の取り付け位置で細長い状態の調製品212を巻き取るように構成され、それにより第1の半カプセル殻が243.3の取り付け位置にある場合、圧縮状態の調製品2の形成が
図9aおよび
図9bに示す開口部の前、かつさらに開口部16内(それにより、少なくとも部分的には、第1の半カプセル殻11,11’の中空空間14のすぐ内側)にある圧縮位置で行われる。それにより、カプセルへの調製品の移動が著しく容易になる。
【0176】
図9bに細長い調製品212が容易に巻き取られ、切断装置230により直ちに切断される第2のステップにおける
図9aの備え付け装置201を例示的に示す。
【0177】
製造機は、調製品を切断し、第1の半カプセル殻の中空空間に挿入される調製品を形成する切断装置230を備える。切断装置は、第1の刃先を有する第1の部分231と、第2の刃先を有する第2の部分232とを備える。
【0178】
図9cに本事例では第2の部分232の一部である作動装置233の作動により、細長い調製品2が容易に巻き取られ、保管ロール212から切断され、開口部16を通して第1の半カプセル殻11の中空空間14に挿入された第3のステップにおける
図9bの備え付け装置201を例示的に示す。製造機は、圧縮状態の調製品2を圧縮位置から第1の半カプセル殻11の中空空間14内の最終位置に移動する作動装置233を備える。
【0179】
図10aにアプリケータ保持器具1007の底部1005内に調製品1013が配置され、蓋1004を含むアプリケータキャップ1003により覆われている薬剤剤形1002を含むアプリケータ1000の概略断面を示す。底部を上部、すなわちキャップ1003から分離するように底部1005を点線により示しているが、両方の部分はアプリケータ1000の筐体1006を形成する。剤形1002は、筐体1006の内部、詳細には保持器具1007の内部に配置されている。したがって、剤形1002は垂直に、したがって細長い形状を示す軸線に沿って保持器具1007の内部に配置されている。保持器具1007は、棒1007aを備える。棒は、剤形1002に沿って延び、保持器具構造体1007内の垂直位置で剤形1002、すなわちカプセル装置を支持するのに役立つ。固定器具1008は、棒1007aの周りに巻かれている。剤形1002内には、重り要素1009がさらに格納されている。保持器具1007の棒構造体により、剤形1002は、矢印により示す垂直方向に移動することが可能になる。
【0180】
図10bに
図10aに示したアプリケータの概略断面を示す。剤形1002の垂直移動を抑制するために、アプリケータ1000が逆さになり、または振動する場合のために、湾曲保持器具1010が剤形1002の球状形状キャップ上に配置される。したがって、保持器具1010は剤形1002の端部キャップと類似の外部輪郭を有するのが好ましい。さらに、保持器具1010は、ばね1011により固定される。ばね1011は、剤形1002のキャップに対しても保持器具1010を押し付ける。したがって、剤形1002は、垂直方向に移動することができない。さらに、アプリケータ1000の蓋1004は、剤形1002が使用不可能になるのを防止するために乾燥剤1012を含む。
【0181】
図11に薬剤剤形1100の半透明図を図示する。剤形1100は、互いに対して嵌め込まれた第1の半カプセル殻1102および第2の半カプセル殻1101を含む。隙間1106は、第1の半部1102の開口部1104が部分的に覆われて隙間1106を形成するように第1の半部1102および第2の半部1101を互いに摺動することにより得られる。調製品1105を圧縮形態で示す一方、調製品の端部1107は、隙間1106から剤形1100の外部に延びる。剤形1100は、調製品1105の上部に描かれた重り要素1103をさらに含む。重り要素1103は、剤形1100の長軸線に沿った要素1103の垂直移動を防止するために切り欠き1108により固定される。好ましくは、複数の切り欠き1108が剤形1100の壁上に分配される。
【符号の説明】
【0182】
図1a~
図1c
1 薬剤剤形
2 調製品
2a 調製品の端部部分
3 カプセル装置
3a 第1の半カプセル殻
3b 第2の半カプセル殻
4 中空空間
5 隙間
5a,5a’ カプセル壁の表面
6 第1の半カプセル殻の開口部
7 調製品の端部部分の一部
図2a~
図2e、
図3a~
図3e、
図4a~
図4d
10 薬剤剤形
11 第1の半カプセル殻
11a 回転楕円形キャップ
11b 中空円筒壁
11c カプセル壁
12 第2の半カプセル殻
12a 回転楕円形キャップ
12b 中空円筒壁
12c カプセル壁の領域
13 カプセル装置
14 中空空間
15 隙間
16 開口部
17 中空円筒壁部品
18 小旗
60 重り要素
図5a、
図5b
901 飲料コップ
902 アプリケータ
903 カプセル装置
904 固定器具
905 調製品
図6a~
図6e
100 機械
101 固定器具
101a 固定器具の端部部分
102 アプリケータの保持器具
105a 第1の半カプセル殻
105b 第2の半カプセル殻
106 クランプ顎
107 案内手段
108 カッター
109 支持クラッチ
110 切断ユニット
111 アプリケータ筐体
112 軸線
113 結合領域
114 支持体
115 重り要素
116 把持要素
117 端部キャップ
図7
701 調製品
702 固定器具
図8、
図9a~
図9c
200 製造機
201 備え付け装置
210 保管装置
211 軸線
212 調製品の保管ロール
212a 調製品の端部部分
213 案内ユニット
214 ロール
220 搬送装置
222 回転ディスク
223.1 圧縮装置
223.2 圧縮装置
230 切断装置
231 切断装置の第1の部分
232 刃先を有する切断装置の第2の部分
233 作動装置
240 位置決め装置
241 回転可能プラットフォーム
242 軸線
243.1 保持部材
243.2 保持部材
243.3 保持部材
243.4 保持部材
251 供給装置
251 装置
252 装置
260 接続装置
261 可動要素
270 受け取りステーション
280 制御装置
図10a、
図10b
1000 アプリケータ
1002 薬剤剤形
1003 アプリケータキャップ
1004 蓋
1005 アプリケータの底部
1006 筐体
1007 保持器具
1008 固定器具
1009 重り要素
1010 湾曲保持器具
1011 ばね
1012 乾燥剤
1013 調製品
図11
1100 薬剤剤形
1101 第2の半カプセル殻
1102 第1の半カプセル殻
1103 重り要素
1104 開口部
1105 調製品
1106 隙間
1107 調製品の端部部分
1108 切り欠き
【国際調査報告】