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特表2024-519949ワード線信号タイミングを改善するためのワード線回路を含むメモリアレイ回路及び関連方法
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  • 特表-ワード線信号タイミングを改善するためのワード線回路を含むメモリアレイ回路及び関連方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-21
(54)【発明の名称】ワード線信号タイミングを改善するためのワード線回路を含むメモリアレイ回路及び関連方法
(51)【国際特許分類】
   G11C 8/08 20060101AFI20240514BHJP
【FI】
G11C8/08
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023572091
(86)(22)【出願日】2022-05-02
(85)【翻訳文提出日】2023-11-21
(86)【国際出願番号】 US2022027186
(87)【国際公開番号】W WO2022250866
(87)【国際公開日】2022-12-01
(31)【優先権主張番号】17/332,629
(32)【優先日】2021-05-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】314015767
【氏名又は名称】マイクロソフト テクノロジー ライセンシング,エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】ゲ,シャオピン
(72)【発明者】
【氏名】チャイ,チアミン
(72)【発明者】
【氏名】マルツロフ,ジェイソン・フィリップ
(57)【要約】
ワード線信号の安定性を提供するワード線回路を含むメモリアレイ回路を開示する。メモリアクセス動作において、メモリアレイのメモリ行のワード線上のワード線信号の状態は、ラッチクロック信号の第1のクロック状態の間のワード線ラッチの状態に基づくことができる。ワード線ラッチは、復号化したメモリアドレスから生成されたアドレスデコード信号を受信する。反転遅延クロック回路が、ラッチクロック信号からクロックパルスを生成する。ワード線ラッチは、クロックパルス中にアドレスデコード信号を格納し、格納したアドレスデコード信号に基づいてワード線信号を生成する。メモリアドレスはアドレスバスから受信される。パススルー・アドレス捕捉ラッチは、デコーダがメモリアドレスを復号化するために利用できる時間を最大化し、ワードラインラッチは、ワードライン信号に伝播されるアドレス信号の変動を低減する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
メモリアレイ回路であって、当該メモリアレイ回路は、
複数のメモリ行であって、各メモリ行には、
複数のメモリビットセル回路と、
該複数のメモリビットセル回路のそれぞれに結合されるワード線と、が含まれる、複数のメモリ行と、
反転遅延クロック回路であって、
第1のクロック状態及び第2のクロック状態の一方を構成するラッチクロック信号を受信し、
前記第1のクロック状態を構成する前記ラッチクロック信号を受信することに応答して、前記第2のクロック状態を構成する反転遅延クロック信号を生成し、及び
前記第2のクロック状態を構成する前記ラッチクロック信号を受信することに応答して、前記第1のクロック状態を構成する前記反転遅延クロック信号を生成するように構成される反転遅延クロック回路と、
複数のワード線ラッチ回路であって、各ワード線ラッチ回路が、前記複数のメモリ行のうちの1つのメモリ行のワード線に結合され、
前記ラッチクロック信号及び前記反転遅延クロック信号を受信し、
アクティブ状態及び非アクティブ状態の一方を構成するデコード状態を含むアドレスデコード信号を受信し、
前記第1のクロック状態を構成する前記ラッチクロック信号と前記第1のクロック状態を構成する前記反転遅延クロック信号とに応答して、前記受信したアドレスデコード信号の前記デコード状態を格納し、前記アドレスデコード信号の前記格納したデコード状態を含むワード線信号を、前記複数のメモリ行のうちの1つのメモリ行の前記ワード線上に生成し、
前記第1のクロック状態を構成する前記ラッチクロック信号と前記第2のクロック状態を構成する前記反転遅延クロック信号とに応答して、前記アドレスデコード信号の前記格納したデコード状態を含む前記ワード線信号を、前記複数のメモリ行のうちの1つのメモリ行のワード線に保持し、及び
前記第2のクロック状態を構成する前記ラッチクロック信号に応答して、前記アドレスデコード信号の前記非アクティブ状態を構成する前記ワード線信号を、前記複数のメモリ行のうちの1つのメモリ行のワード線上に生成するように構成される複数のワード線ラッチ回路と、を含む、
メモリアレイ回路。
【請求項2】
前記反転遅延クロック回路は、前記ラッチクロック信号を受信した後の遅延期間の満了に応答して、前記反転遅延クロック信号を生成するようにさらに構成される、請求項1に記載のメモリアレイ回路。
【請求項3】
前記反転遅延クロック回路は、
前記ラッチクロック信号を受信するように構成される遅延回路と、
該遅延回路に結合された入力を含むインバータ回路と、を含み、
前記反転遅延クロック信号は前記インバータ回路の出力で生成される、請求項2に記載のメモリアレイ回路。
【請求項4】
前記ワード線ラッチ回路は、
内部ノードに結合されたプルアップ回路と、
前記内部ノードに結合されたプルダウン回路と、
前記内部ノードから前記ワード線に結合されたインバータ回路と、を含む、請求項1に記載のメモリアレイ回路。
【請求項5】
前記プルアップ回路は、
前記第2のクロック状態を構成する前記ラッチクロック信号に応答して、前記内部ノードを前記アクティブ状態に対応する第1の電源電圧にプルアップするように構成される第1のトランジスタ回路と、
前記非アクティブ状態を構成する前記ワード線信号に応答して、前記非アクティブ状態を構成する前記アドレスデコード信号に応答して、前記内部ノードを前記第1の電源電圧にプルアップし、及び前記第2のクロック状態を構成する前記反転遅延クロック信号に応答して、前記内部ノードを前記第1の電源電圧にプルアップするように構成される第2のトランジスタ回路と、を含む、請求項4に記載のメモリアレイ回路。
【請求項6】
前記第1のトランジスタ回路は、第1のトランジスタを含み、該第1のトランジスタは、
第1の電源電圧ノードに結合された第1の端子と、
前記内部ノードに結合された第2の端子と、
前記第2のクロック状態を構成する前記ラッチクロック信号に応答して、前記第1の電源電圧ノードと前記内部ノードとの結合を制御するように構成されるゲート端子と、を含む、請求項5に記載のメモリアレイ回路。
【請求項7】
前記第2のトランジスタ回路は、第2のトランジスタ、第3のトランジスタ、及び第4のトランジスタを含み、
前記第2のトランジスタは、
プルアップノードに結合された第1の端子と、
前記内部ノードに結合された第2の端子と、
前記非アクティブ状態を構成する前記アドレスデコード信号に応答して、第1のプルアップノードと前記内部ノードとの結合を制御するように構成されるゲート端子と、を含み、
前記第3のトランジスタは、
第1の電源電圧ノードに結合された第1の端子と、
前記プルアップノードに結合された第2の端子と、
前記非アクティブ状態を構成する前記ワード線信号に応答して、前記第1の電源電圧ノードと前記プルアップノードとの結合を制御するように構成されるゲート端子と、を含み、
前記第4のトランジスタは、
前記プルアップノードに結合された第1の端子と、
前記内部ノードに結合された第2の端子と、
前記第2のクロック状態を構成する前記反転遅延クロック信号に応答して、前記プルアップノードと前記内部ノードとの結合を制御するように構成されるゲート端子と、を含む、請求項5に記載のメモリアレイ回路。
【請求項8】
前記プルダウン回路は、前記第1のクロック状態を構成する前記ラッチクロック信号に応答して、
前記アクティブ状態を構成する前記ワード線に応答して、前記内部ノードを、前記非アクティブ状態に対応する第2の電源電圧にプルダウンし、
前記アクティブ状態を構成する前記アドレスデコード信号及び前記第1のクロック状態を構成する前記反転遅延クロック信号に応答して、前記内部ノードを前記第2の電源電圧にプルダウンするようにさらに構成される、請求項4に記載のメモリアレイ回路。
【請求項9】
前記プルダウン回路は、第5のトランジスタ、第6のトランジスタ、第7のトランジスタ、及び第8のトランジスタを含み、
前記第5のトランジスタは、
前記内部ノードに結合された第1の端子と、
プルダウンノードに結合された第2の端子と、
前記第1のクロック状態を構成する前記ラッチクロック信号に応答して、前記内部ノードと前記プルダウンノードとの結合を制御するように構成されるゲート端子と、を含み、
前記第6のトランジスタは、
前記プルダウンノードに結合された第1の端子と、
第2の端末と、
前記アクティブ状態を構成する前記アドレスデコード信号に応答して、前記プルダウンノードと前記第6のトランジスタの前記第2の端子との結合を制御するように構成されるゲート端子と、を含み、
前記第7のトランジスタは、
前記第6のトランジスタの前記第2の端子に結合された第1の端子と、
第2の電源電圧ノードに結合された第2の端子と、
前記第1のクロック状態を構成する前記反転遅延クロック信号に応答して、前記第6のトランジスタの前記第2の端子と前記第2の電源電圧ノードとの結合を制御するように構成されるゲート端子と、を含み、
前記第8のトランジスタは、
前記プルダウンノードに結合された第1の端子と、
前記第2の電源電圧ノードに結合された第2の端子と、
前記アクティブ状態を構成する前記ワード線に応答して、前記プルダウンノードと前記第2の電源電圧ノードとの結合を制御するように構成されるゲート端子と、を含む、請求項8に記載のメモリアレイ回路。
【請求項10】
復号化回路をさらに含み、該復号化回路は、
第1のアドレスバスに結合された入力と、
複数の出力であって、各出力が前記複数のワード線ラッチ回路のうちの1つワード線ラッチ回路に結合される、複数の出力と、を含み、前記復号化回路は、
前記第1のアドレスバス上で第1のアドレス信号を受信し、
該第1のアドレス信号を復号化し、
該復号化した第1のアドレス信号に対応する前記複数の出力のうちの1つの出力上で、アクティブ状態を構成する前記アドレスデコード信号を生成し、及び
前記復号化した第1のアドレス信号に対応しない前記複数の出力のうちの出力上で、非アクティブ状態を構成する前記アドレスデコード信号を生成する、ようにさらに構成される、請求項1に記載のメモリアレイ回路。
【請求項11】
前記第1のアドレスバス及び第2のアドレスバスに結合されたアドレス捕捉回路をさらに含み、該アドレス捕捉回路は、
前記第2のアドレスバス上で第2のアドレス信号を受信し、
システムクロックアクティブ状態及びシステムクロック非アクティブ状態の一方を構成するシステムクロック信号を受信し、
前記システムクロックアクティブ状態を構成する前記システムクロック信号に応答して、前記第2のアドレス信号を格納し、前記アドレス捕捉回路に格納した前記第2のアドレス信号に基づいて、前記第1のアドレスバス上に前記第1のアドレス信号を生成し、及び
前記システムクロック非アクティブ状態を構成する前記システムクロック信号に応答して、前記第2のアドレスバス上で受信した前記第2のアドレス信号に基づいて、前記第1のアドレス信号を前記第1のアドレスバス上に生成するようにさらに構成される、請求項10に記載のメモリアレイ回路。
【請求項12】
前記第1、第2、第3、及び第4のトランジスタは、PMOSトランジスタを含む、請求項7に記載のメモリアレイ回路。
【請求項13】
前記第5、第6、第7、及び第8のトランジスタは、NMOSトランジスタを含む、請求項9に記載のメモリアレイ回路。
【請求項14】
メモリアレイ回路を含む集積回路(IC)であって、前記メモリアレイ回路は、
複数のメモリ行であって、各メモリ行には、
複数のメモリビットセル回路と、
該複数のメモリビットセル回路のそれぞれに結合されるワード線と、が含まれる、複数のメモリ行と、
反転遅延クロック回路であって、
第2のクロック状態及び第1のクロック状態の一方を構成するラッチクロック信号を受信し、
前記第2のクロック状態を構成する前記ラッチクロック信号に応答して、前記第1のクロック状態を構成する反転遅延クロック信号を生成し、及び
前記第1のクロック状態を構成する前記ラッチクロック信号に応答して、前記第2のクロック状態を構成する前記反転遅延クロック信号を生成するように構成される反転遅延クロック回路と、
複数のワード線ラッチ回路であって、各ワード線ラッチ回路が、前記複数のメモリ行のうちの1つのメモリ行のワード線に結合され、
ラッチクロック信号を受信し、
前記反転遅延クロック信号を受信し、
アクティブ状態及び非アクティブ状態の一方を構成するデコード状態を含むアドレスデコード信号を受信し、
前記第1のクロック状態を構成する前記ラッチクロック信号と前記第1のクロック状態を構成する前記反転遅延クロック信号とに応答して、前記受信したアドレスデコード信号の前記デコード状態を格納し、前記アドレスデコード信号の前記格納したデコード状態を含むワード線信号を、前記複数のメモリ行のうちの前記1つのメモリ行の前記ワード線上で生成し、
前記第1のクロック状態を構成する前記ラッチクロック信号と前記第2のクロック状態を構成する反転遅延クロック信号とに応答して、前記アドレスデコード信号の前記格納したデコード状態を含む前記ワード線信号を、前記複数のメモリ行のうちの前記1つのメモリ行のワード線上に保持し、及び
前記第2のクロック状態を構成する前記ラッチクロック信号に応答して、前記アドレスデコード信号の前記非アクティブ状態を構成する前記ワード線信号を、前記複数のメモリ行のうちの前記1つのメモリ行の前記ワード線上に生成するように構成される、複数のワード線ラッチ回路と、を含む、
集積回路。
【請求項15】
複数のメモリ行を含むメモリアレイ回路における方法であって、各メモリ行には、ワード線に結合されたメモリビットセル回路が含まれ、当該方法は、
第1のクロック状態及び第2のクロック状態の一方を構成するラッチクロック信号を受信するステップと、
前記第2のクロック状態を構成する前記ラッチクロック信号に応答して、前記第1のクロック状態を構成する反転遅延クロック信号を生成するステップと、
前記第1のクロック状態を構成する前記ラッチクロック信号に応答して、前記第2のクロック状態を構成する前記反転遅延クロック信号を生成するステップと、
前記複数のメモリ行のうちの1つのメモリ行で、アクティブ状態及び非アクティブ状態の一方を構成するデコード状態を含むアドレスデコード信号を受信するステップと、
前記第1のクロック状態を構成するラッチクロック信号と前記第1のクロック状態を構成する前記反転遅延クロック信号とに応答して、前記受信したアドレスデコード信号の前記デコード状態を格納し、前記アドレスデコード信号の前記格納したデコード状態を、前記複数のメモリ行のうちの前記1つのメモリ行の前記ワード線上に生成するステップと、
前記第1のクロック状態を構成する前記ラッチクロック信号と前記第2のクロック状態を構成する前記反転遅延クロック信号とに応答して、前記アドレスデコード信号の前記格納したデコード状態を、前記複数のメモリ行のうちの前記1つのメモリ行の前記ワード線上に生成するステップと、
前記第2のクロック状態を構成する前記ラッチクロック信号に応答して、前記アドレスデコード信号の前記非アクティブ状態を、前記複数のメモリ行のうちの前記1つのメモリ行の前記ワード線上に生成するステップと、を含む、
方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の技術は、デジタルデータを格納するメモリアレイ回路に関し、より具体的には、タイミングマージンを改善し、ワード線の変動を回避するように構成されるメモリアレイ回路に関する。
【背景技術】
【0002】
メモリアレイは、処理装置による迅速なアクセスのために大量のデジタルデータを格納するために電子装置で使用される。メモリアレイは、典型的に、メモリ行及びメモリ列に編成されたメモリビットセル回路(「メモリビットセル」)の2次元(2D)アレイである。メモリアレイは、メモリ行のメモリビットセルにデジタルデータビットが書き込まれ、メモリビットセルから読み取られるように構成される。メモリアレイ内のメモリビットセルのメモリ行は、例えば64、128、又は256ビットのデータであり得るデータワードを格納することができ、エラー検出及び訂正のための追加ビットを含むことができる。メモリ読み取り動作では、処理回路は、読み取られるデータのアドレスをメモリアレイに送信し、読み取り動作の指示も提供する。アドレスの一部のビットは、どのメモリ行を読み取るかを決定するために使用される。これらのアドレスビットは、メモリアレイ内の復号化(decoding)回路に提供され得る。メモリアレイは、各メモリ行に対応するワード線と、各メモリ列に対応するビット線とを含む。読み取り動作には、メモリ行内の全てのメモリビットセルに結合されたワード線をアクティブにすることが含まれる。
【0003】
復号化回路は、読み取られるデータワードを含む、メモリ行に対応するワード線をアクティブにする。各メモリビットセルは、対応するメモリ列のビット線にも結合される。メモリ行のワード線がアクティブにされることに応答して、メモリ行からのデータワードの格納したデータビットがメモリ列のビット線上に生成される。ビットライン上で生成されたデータビットは、メモリアレイの出力に提供され、処理回路及び/又は別の回路に送り返される。読み出し動作中にワード線をアクティブにするワード線信号に変動があると、読み出し動作で誤ったデータが返される可能性がある。
【0004】
処理回路及びメモリアレイ回路の動作は、周期的なシステムクロック信号によって同期される。システムクロック信号は、典型的には、クロックデューティサイクルに基づいて、クロック周期の一部では第1のクロック状態にあり、クロック周期の残りの部分では第2のクロック状態にある。信号は、システムクロック信号のエッジ(例えば、電圧レベルの立ち上がり又は立ち下り)によって送信元(source)から送信先(destination)に伝播するようにトリガされ、別のクロックエッジで捕捉され得る。信号の状態を捕捉し、ラッチ、フリップフロップ、レジスタ、ビットセル、又は他のメモリ回路等のシーケンシャルなストレージ回路に格納することができる。捕捉される信号は、例えば、電圧レベル(例えば、それぞれVSS又はVDD)によって示されるバイナリ値(例えば、「0」又は「1」)であり得る。受信信号が安定に保たれていれば、信号の電圧レベルを正確且つ確実に捕捉することができる。さらに、読み出し又は書き込み動作を制御する信号の変動により、メモリアレイ回路に書き込まれるデータ及びメモリアレイ回路から読み出されるデータにエラーが生じる可能性がある。処理回路の速度が向上すると、システムクロック信号の周期が短くなり、信号が安定するまでの時間が短くなる。メモリアレイは、短いクロック周期内でメモリアドレスを受信して復号化し、タイミングの堅牢性を向上させる必要がある。
【発明の概要】
【0005】
本明細書に開示する例示的な態様には、ワード線信号タイミングを改善するためのワード線回路を含むメモリアレイ回路が含まれる。メモリアレイ内に安定したワード線信号を供給する関連方法も開示される。例示的な態様のメモリアクセス動作では、メモリアレイのメモリ行のワード線上のワード線信号の状態は、ラッチクロック信号の第1のクロック状態中のワード線ラッチに基づいて生成され得る。ワード線ラッチは、復号化したメモリアドレスから生成されたアドレスデコード信号を受信する。反転遅延クロック回路は、第1のクロック状態のラッチクロック信号からセルフタイム(self-time)パルスを生成するように構成される。ワード線ラッチは、セルフタイムパルス中にアドレスデコード信号を格納し、格納したアドレスデコード信号に基づいてワード線信号を生成し、メモリアドレスの変動からワード線を隔離する。いくつかの例では、メモリアドレスは、アドレスバスに結合されたアドレス捕捉回路から受信され得る。アドレス捕捉回路は、デコーダがメモリアドレスを復号化する時間を最大化するためにパススルー(pass-through)ラッチを含むことができる。ただし、メモリアドレスの変動は、パススルーラッチを介してアドレスデコード信号に伝播する可能性がある。ワード線ラッチは、メモリアクセス動作中にワード線を安定に保持する。この点に関して、メモリ行にアクセスするためのより安定したワード線信号を生成する時間が最大化され、メモリアクセス動作中のワード線信号の変動が減少する。
【0006】
本明細書で開示する例示的な態様はメモリアレイ回路を含み、メモリアレイ回路は、複数のメモリ行であって、各メモリ行には複数のメモリビットセル回路が含まれる、複数のメモリ行と;複数のメモリビットセル回路のそれぞれに結合されたワード線と;を含む。メモリアレイ回路は、第1のクロック状態及び第2のクロック状態の一方を構成するラッチクロック信号を受信し、第1のクロック状態を構成するラッチクロック信号を受信することに応答して、第2のクロック状態を構成する反転遅延クロック信号を生成し、及び第2のクロック状態を構成するラッチクロック信号を受信することに応答して、第1のクロック状態を構成する反転遅延クロック信号を生成するように構成される反転遅延クロック回路を含む。メモリアレイ回路は、複数のワード線ラッチ回路も含み、各ワード線ラッチ回路が、複数のメモリ行のうちの1つのメモリ行のワード線に結合され、ラッチクロック信号及び反転遅延クロック信号を受信し、アクティブ状態及び非アクティブ状態の一方を構成するデコード状態を含むアドレスデコード信号を受信するように構成される。複数のワード線ラッチのそれぞれは、第1のクロック状態を構成するラッチクロック信号と第1のクロック状態を構成する反転遅延クロック信号とに応答して、受信したアドレスデコード信号のデコード状態を格納し、アドレスデコード信号の格納したデコード状態を含むワード線信号を、複数のメモリ行のうちの1つのメモリ行のワード線上に生成するようにさらに構成される。複数のワード線ラッチ回路のそれぞれは、第1のクロック状態を構成するラッチクロック信号と第2のクロック状態を構成する反転遅延クロック信号とに応答して、アドレスデコード信号の格納したデコード状態のワード線信号を、複数のメモリ行のうちの1つのメモリ行のワード線に保持し、第2のクロック状態を構成するラッチクロック信号に応答して、アドレスデコード信号の非アクティブ状態を構成するワード線信号を、複数のメモリ行のうちの1つのメモリ行のワード線上に生成するようにさらに構成される。
【0007】
例示的な態様では、メモリアレイ回路を含む集積回路(IC)を開示する。メモリアレイ回路は、複数のメモリ行であって、各メモリ行には複数のメモリビットセル回路が含まれる、複数のメモリ行と;複数のメモリビットセル回路のそれぞれに結合されたワード線とを含む。メモリアレイ回路は、第1のクロック状態及び第2のクロック状態の一方を構成するラッチクロック信号を受信し、第1のクロック状態を構成するラッチクロック信号を受信することに応答して、第2のクロック状態を構成する反転遅延クロック信号を生成し、及び第2のクロック状態を構成するラッチクロック信号を受信することに応答して、第1のクロック状態を構成する反転遅延クロック信号を生成するように構成される反転遅延クロック回路を含む。メモリアレイ回路は複数のワード線ラッチ回路も含み、各ワード線ラッチ回路が、複数のメモリ行のうちの1つのメモリ行のワード線に結合され、ラッチクロック信号及び反転遅延クロック信号を受信し、アクティブ状態及び非アクティブ状態の一方を構成するデコード状態を含むアドレスデコード信号を受信するように構成される。複数のワード線ラッチ回路のそれぞれは、第1のクロック状態を構成するラッチクロック信号と第1のクロック状態を構成する反転遅延クロック信号とに応答して、受信したアドレスデコード信号のデコード状態を格納し、アドレスデコード信号の格納したデコード状態を含むワード線信号を、複数のメモリ行のうちの1つのメモリ行のワード線上で生成するようにさらに構成される。複数のワード線ラッチ回路のそれぞれは、第1のクロック状態を構成するラッチクロック信号と第2のクロック状態を構成する反転遅延クロック信号とに応答して、アドレスデコード信号の格納したデコード状態のワード線信号を、複数のメモリ行のうちの1つのメモリ行のワード線上に保持し、及び第2のクロック状態を構成するラッチクロック信号に応答して、アドレスデコード信号の非アクティブ状態を構成するワード線信号を、複数のメモリ行のうちの1つのメモリ行のワード線上に生成するように構成される。
【0008】
別の例示的な態様では、複数のメモリ行を含むメモリアレイ回路における方法が開示され、各メモリ行にはワード線に結合されたメモリビットセル回路が含まれる。この方法は、第1のクロック状態及び第2のクロック状態の一方を構成するラッチクロック信号を受信するステップと;第2のクロック状態を構成するラッチクロック信号に応答して、第1のクロック状態を構成する反転遅延クロック信号を生成するステップと;第1のクロック状態を構成するラッチクロック信号に応答して、第2のクロック状態を構成する反転遅延クロック信号を生成するステップと;を含む。この方法は、複数のメモリ行のうちの1つのメモリ行で、アクティブ状態及び非アクティブ状態の一方を構成するデコード状態を含むアドレスデコード信号を受信するステップと;第1のクロック状態を構成するラッチクロック信号及び第1のクロック状態を構成する反転遅延クロック信号に応答して、受信したアドレスデコード信号のデコード状態を格納し、アドレスデコード信号の格納したデコード状態を、複数のメモリ行のうちの1つのメモリ行のワード線上に生成するステップと;を含む。この方法は、第1のクロック状態を構成するラッチクロック信号及び第2のクロック状態を構成する反転遅延クロック信号に応答して、アドレスデコード信号の格納したデコード状態を、複数のメモリ行のうちの1つのメモリ行のワード線上に生成するステップをさらに含む。この方法は、第2のクロック状態を構成するラッチクロック信号に応答して、アドレスデコード信号の非アクティブ状態を、複数のメモリ行のうちの1つのメモリ行のワード線上に生成するステップをさらに含む。
【図面の簡単な説明】
【0009】
本明細書に組み込まれ、その一部を形成する添付の図面は、本開示のいくつかの態様を示しており、明細書とともに本開示の原理を説明するのに役立つ。
図1】ラッチクロック信号の第1のクロック状態においてセルフタイムパルスを生成するように構成される反転遅延クロック回路と、セルフタイムパルス中にアドレスデコード信号を捕捉するように構成されるワード線ラッチとを含むメモリアレイ回路であって、ワード線ラッチに基づいて、第1のクロック状態中にワード線信号をワード線上に生成するメモリアレイ回路の概略図である。
図2】ワード線信号の変動を低減するように構成される、図1のメモリアレイ回路の例示的な反転遅延クロック回路及びワード線ラッチの概略図である。
図3】従来のメモリアレイで使用されるワード線回路の概略図であり、アドレスバス上の変動が伝播してワード線上の変動及びホールドタイム違反を引き起こす。
図4図3のワード線ラッチを使用する従来のメモリアレイ回路の信号の状態と、図2の例示的な反転遅延クロック回路及びワード線ラッチを使用する図1の例示的なメモリアレイ回路の信号の状態とを示すタイミング図である。
図5A】アドレスバス変動によるワード線信号エラーを低減するためのセルフタイムパルスに応答して、メモリアレイ回路におけるアドレスデコード信号を捕捉するための方法を示すフローチャートである。
図5B】アドレスバス変動によるワード線信号エラーを低減するためのセルフタイムパルスに応答して、メモリアレイ回路におけるアドレスデコード信号を捕捉するための方法を示すフローチャートである。
図6】システムバスに結合された複数の装置を含む例示的なプロセッサベースのシステムのブロック図であり、プロセッサベースのシステムは、ラッチクロックの第1のクロック状態でセルフタイムパルスを生成するように構成される反転遅延クロック回路と、図1に示されるメモリアレイ回路と同様に、セルフタイムパルス中にアドレスデコード信号を捕捉し、第1のクロック状態中にワード線ラッチに基づいてワード線を生成するように構成されるワード線ラッチとを含む。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本明細書に開示する例示的な態様には、ワード線信号タイミングを改善するためのワード線回路を含むメモリアレイ回路が含まれる。メモリアレイ内に安定したワード線信号を供給する関連方法も開示される。例示的な態様のメモリアクセス動作では、メモリアレイのメモリ行のワード線上のワード線信号の状態は、ラッチクロック信号の第1のクロック状態中のワード線ラッチに基づいて生成され得る。ワード線ラッチは、復号化したメモリアドレスから生成されたアドレスデコード信号を受信する。反転遅延クロック回路は、第1のクロック状態のラッチクロック信号からセルフタイムパルスを生成するように構成される。ワード線ラッチは、セルフタイムパルス中にアドレスデコード信号を格納し、格納したアドレスデコード信号に基づいてワード線信号を生成し、メモリアドレスの変動からワード線を隔離する。いくつかの例では、メモリアドレスは、アドレスバスに結合されたアドレス捕捉回路から受信され得る。アドレス捕捉回路は、デコーダがメモリアドレスを復号化する時間を最大化するためにパススルーラッチを含むことができる。ただし、メモリアドレスの変動は、パススルーラッチを介してアドレスデコード信号に伝播する可能性がある。ワード線ラッチは、メモリアクセス動作中にワード線を安定に保持する。この点において、メモリ行にアクセスするためのより安定したワード線信号を生成する時間が最大化され、メモリアクセス動作中のワード線信号の変動が減少する。
【0011】
図1は、反転遅延クロック回路102と、安定したワード線信号106をワード線108上に生成するように構成される複数のワード線ラッチ回路(「ワード線ラッチ」)104とを含む例示的なメモリアレイ回路100の概略図である。メモリアレイ回路100は、メモリアクセス命令を実行するように構成される処理回路(図示せず)に結合され得る。メモリアレイ回路100は、複数のメモリビットセル回路(「メモリビットセル」)112を含むメモリ行110を含む。メモリビットセル112のそれぞれは、データワード116のデータビット114を格納する。データワード116は、処理回路内で実行されるメモリ命令に応答して、メモリアクセス動作においてアクセス(例えば、読み取り又は書き込み)され得る。
【0012】
メモリアレイ回路100は、アドレスバス120上で受信したアドレス信号118に基づいて、メモリアクセス動作においてアクセスされるデータワード116を含むメモリ行110を決定する。アドレス信号118は、アドレス捕捉回路122で受信される。アドレス信号118は、システムクロック信号CLKSYS(「システムクロックCLKSYS」)が第1のクロック状態にある間に、アドレス捕捉回路122に捕捉されて格納され、内部アドレスバス124上に保持される。システムクロックCLKSYSが第1のクロック状態から第2のクロック状態に移行した後に、アドレスバス120上に供給されるアドレス信号118は、アドレス捕捉回路122を介して内部アドレスバス124に伝播する可能性がある。この点に関して、アドレス捕捉回路122は、システムクロックCLKSYSが第1のクロック状態にないときに、パススルー回路と呼ばれ得る。
【0013】
システムクロックCLKSYSの第1及び第2のクロック状態等の信号の状態は、ライン又は導体上の信号の電気的状態を指すことに留意されたい。例えば、クロック状態又は信号状態は、第1の状態では第1の電圧レベルで生成され、第2の状態では第2の電圧レベルで生成される信号の電圧レベルを指し得る。この点に関して、電圧レベルは、バイナリ値に対応することができ、第1のバイナリ状態(「0」又は「1」)を示す接地電圧(例えば、VSS又は0ボルト)と、他のバイナリ状態(「1」又は「0」)を示す電源電圧(例えば、VDD)とを含むことができ、電源電圧は正又は負の電圧である。
【0014】
内部アドレスバス124から、アドレス信号118は復号化回路126に供給され、復号化回路126は、アドレス信号118を復号化して、アクセスすべきメモリ行110を識別する。復号化回路126は、メモリ行110のそれぞれに対応するアドレスデコード信号128を生成する。アドレスデコード信号128のそれぞれは、アドレス信号118に基づいてデコード状態(すなわち、アクティブ状態又は非アクティブ状態)にある。例えば、メモリアレイ回路100が256個のメモリ行110を含む場合に、アドレス信号118は8ビットを含むことができ、復号化回路126は、最大2(256)個のアドレスデコード信号128を生成することができ、各アドレスデコード信号128がメモリ行110のうちの1つのメモリ行に対応する。アドレスデコード信号128のうちの1つのアドレスデコード信号はアドレス信号118に対応し、他のメモリ行110のアドレスデコード信号128が非アクティブ状態にある間に、その1つのメモリ行はメモリアクセス動作のためにアクティブ状態に駆動される。アドレスデコード信号128はワード線ラッチ104で受信され、そこからワード線信号106が生成される。ワード線ラッチ104は、システムクロックCLKSYSの立ち上がりに同期することができるラッチクロック信号CLKLATに応答して動作する。CLKLAT及びCLKSYSの第2のクロック状態の開始は、異なる実施態様では互いに同期される場合とされない場合がある。
【0015】
さらにアドレス捕捉回路122を参照すると、システムクロックCLKSYSが第1のクロック状態にある間に、アドレス信号118が捕捉され、安定に保持される。この状態の間に、アドレス信号118は、内部アドレスバス124及び復号化回路126上で一定に保持され、変動しないアドレスデコード信号128をワード線ラッチ104に供給する。システムクロックCLKSYSが第2のクロック状態にあるときに、アドレス信号118は、アドレス捕捉回路122を通過し、復号化回路126に入る。アドレスバス120上のアドレス信号118の変動は、アドレスデコード信号128の状態変化を引き起こし得る。この文脈では、アドレス信号118に対する「変動」という用語は、アドレスバス120上の2進ビットが「0」から「1」、又は「1」から「0」に変化すること、或いはアドレスバス120上の信号の他の不安定性(アドレス信号118によって示される復号化したアドレスを変化させ得る)を指す。メモリアクセス動作中のワード線108上のワード線信号106の電圧変動等の変動又は不安定性は、メモリアクセス動作にエラーを引き起こし得る。例えば、メモリ読み取り動作において、読み取られているメモリ行110上のワード線信号106の変化により、メモリアレイ回路100内のビット線上に不正確なデータが生成され、メモリ読み取りエラーが発生する可能性がある。
【0016】
前述したように、ワード線ラッチ104は、システムクロックCLKSYSに同期して立ち上がるラッチクロック信号CLKLATに応答して動作する。具体的には、システムクロックCLKSYSが第2のクロック状態から第1のクロック状態(例えば、クロックの立ち上がりエッジ)に移行することに応答して、ラッチクロック信号CLKLATも第2のクロック状態から第1のクロック状態に移行する。ワード線信号106は、ラッチクロック信号CLKLATが第1の状態にある場合にのみ、ワード線108上にアクティブ状態で生成される。ワード線信号106は、第2のクロック状態にあるラッチクロック信号CLKLATに応答して非アクティブ状態で生成される。システムクロックCLKSYSは、メモリアクセス動作全体を通じて第1のクロック状態に留まらない可能性がある。こうして、メモリアクセス動作を実行するのに十分に長くワード線信号106をアクティブに保つために、ラッチクロック信号CLKLATは、システムクロックが第2のクロック状態に移行するのに応答して第2のクロック状態に戻ることができない。換言すれば、ラッチクロック信号CLKLATのデューティサイクルは、システムクロックCLKSYSのデューティサイクルよりも長くてもよい。システムクロックCLKSYSが第2のクロック状態にあるときに、アドレスデコード信号128が組合せ論理を介してワード線ラッチ104に供給された場合に、ラッチクロック信号CLKLATが未だ第1のクロック状態にある間に、ワード線信号106が不安定になる可能性がある。こうして、ラッチクロック信号CLKLATが第1のクロック状態にある間に不安定なアドレスデコード信号128をワード線ラッチ104に通すのではなく、ワード線ラッチ104は、アドレスデコード信号128のデコード状態を格納し、格納したデコード状態に基づいてワード線信号106を生成するように構成される。さらに詳細には、反転遅延クロック回路102は、ラッチクロック信号CLKLATを受信するように構成され、第1のクロック状態のラッチクロック信号CLKLATを受信することに応答して、反転遅延クロック回路102は、第2のクロック状態の反転遅延クロック信号CLKDLYを生成するようにさらに構成される。しかしながら、反転遅延クロック回路102は、ラッチクロック信号CLKLATが反転遅延クロック回路102を通って伝播する時間である遅延期間後に、反転遅延クロック信号CLKDLYを生成する。
【0017】
ワード線ラッチ104は、反転遅延クロック信号CLKDLYを受信し、2つのデコード状態、つまりアクティブ状態又は非アクティブ状態の一方でアドレスデコード信号128を受信する。ワード線ラッチ104は、第1のクロック状態のラッチクロック信号CLKLATと、同様に第1のクロック状態の反転遅延クロック信号CLKDLYとに応答して、アドレスデコード信号128のデコード状態を格納する。すなわち、ラッチクロック信号CLKLATの第2のクロック状態から第1のクロック状態への移行に応答して、反転遅延クロック信号CLKDLYが第1のクロック状態から第2のクロック状態へ移行する前に、ラッチクロック信号CLKLATと反転遅延クロック信号CLKDLYとの両方が、第1のクロック状態にある。これは、システムクロックCLKSYSが依然として第1のクロック状態にあり、アドレスデコード信号128がアドレス捕捉回路122によって安定に保持されている間に起こる。この状態では、ワード線ラッチ104は、アドレスデコード信号128を捕捉し、アドレスデコード信号128の格納したデコード状態に基づいてワード線信号106をワード線108上に生成する。メモリアクセス動作のターゲットメモリ行110に対するワード線108のうちの1つは、アドレス信号118に基づいてアクティブ状態のワード線信号106で受信する。他のメモリ行110(例えば、256個のうちの255個)のワード線108は、非アクティブ状態のワード線信号106を受信する。
【0018】
上述したように、ラッチクロック信号CLKLATの第1のクロック状態への移行は、反転遅延クロック回路102を介して伝播し、遅延期間の終了時に反転遅延クロック信号CLKDLYを第2のクロック状態に移行させる。第1のクロック状態のラッチクロック信号CLKLATと第2のクロック状態の反転遅延クロック信号CLKDLYとに応答して、ワード線ラッチ104は、ワード線108上のワード線信号106をアドレスデコード信号128の格納したデコード状態で保持する。ラッチクロック信号CLKLATは、第2のクロック状態に移行して戻り、第2のクロック状態のラッチクロック信号CLKLATに応答して、ワード線ラッチ104は、非アクティブ状態のワード線信号106をワード線108上で生成する。
【0019】
図2は、図1の反転遅延クロック回路102及びワード線ラッチ104の一例の詳細な説明において参照のために提供される概略図であり、反転遅延クロック回路102及びワード線ラッチ104はワード線信号106の変動を低減するように構成される。ラッチクロック信号CLKLATが反転され、遅延期間又は「セルフタイムパルス」が反転遅延クロック回路102によって生成され、反転遅延クロック回路102は、ラッチクロック信号CLKLATを受信する遅延回路202と、インバータ回路204とを含む。インバータ回路204は、遅延回路202に結合された入力を含む。反転遅延クロック回路102を通るラッチクロック信号CLKLATの伝播遅延により、ワード線ラッチ104へのセルフタイムパルスが生成され、その間(つまり、システムクロックCLKSYSが第1のクロック状態にある間)に、アドレスデコード信号128のデコード状態は安定していると予想される。ワード線信号106は、格納したアドレスデコード信号128によって生成され、セルフタイムパルス後のアドレス信号118の変動を受けない。セルフタイムパルスは、ラッチクロック信号CLKLATが第2のクロック状態から第1のクロック状態に移行し、反転遅延クロック信号CLKDLYが依然として第1のクロック状態にあるときに開始する。セルフタイムパルスの期間は、反転遅延クロック回路102を通るラッチクロック信号CLKLATの伝播遅延時間によって(すなわち、遅延期間が終了するまでに)決定される。セルフタイムパルスは、反転遅延クロック信号CLKDLYが第2のクロック状態に移行すると終了する。
【0020】
図2は、ワード線ラッチ104が、内部ノード208に結合されたプルアップ回路206と、内部ノード208に結合されたプルダウン回路210とを含むことを示す。また、ワード線ラッチ104は、内部ノード208及びワード線108に結合されたインバータ回路212も含む。プルアップ回路206は、ラッチクロック信号CLKLATが第2のクロック状態にあることに応答して、内部ノード208を電源電圧(例えば、VDD)にプルアップ(例えば、電圧レベル)するように構成される第1のトランジスタ回路214を含む。内部ノード208上に生成されたアクティブ状態は、インバータ回路212によって反転されて、非アクティブ状態のワード線信号106をワード線108上に生成する。
【0021】
第1のトランジスタ回路214はプルアップトランジスタ215を含み、プルアップトランジスタ215は、電源電圧VDDを供給する電源電圧ノード218に結合された第1の端子216をさらに含む。プルアップトランジスタ215は、内部ノード208に結合された第2の端子220を含む。プルアップトランジスタ215は、第2のクロック状態のラッチクロック信号CLKLATに応答して、電源電圧ノード218と内部ノード208との結合を制御するように構成されるゲート端子222も含む。
【0022】
プルアップ回路206は、ワード線信号106の格納した非アクティブ状態を維持するように構成されるキープアップ(keep-up:状態保持)回路224も含む。非アクティブ状態のワード線信号106に応答して、キープアップ回路224は、以下の2つの条件のいずれかの下で、内部ノード208(すなわち、その電圧レベル)を電源電圧VDDに保持するように構成される。第1に、ワード線ラッチ104に供給されるアドレスデコード信号128が非アクティブ状態にあり、ワード線信号106が非アクティブ状態にあるという条件では、内部ノード208は、プルプルアップ回路206によってアクティブ状態に保持され得る。第2に、反転遅延クロック信号CLKDLYが第2のクロック状態にあり、ワード線信号106が非アクティブ状態にある条件では、内部ノード208は、プルアップ回路206によってアクティブ状態に保持され得る。これらの条件のいずれにおいて、内部ノード208上に生成されたアクティブ状態は、インバータ回路212によって反転され、非アクティブ状態のワード線信号106をワード線108上に生成し続ける。
【0023】
詳細には、キープアップ回路224は、第2のトランジスタ226、第3のトランジスタ228、及び第4のトランジスタ230を含む。プルアップトランジスタ215、第2のトランジスタ226、第3のトランジスタ228、及び第4のトランジスタ230は、P型金属酸化膜半導体(PMOS)トランジスタであってもよいが、これに限定されない。P型トランジスタの一例は、アルミニウム、インジウム、又はガリウム等の5価のドーパントがドープされたシリコントランジスタである。第2のトランジスタ226は、プルアップノード234に結合された第1の端子232、内部ノード208に結合された第2の端子236、及びゲート端子238を含む。ゲート端子238は、非アクティブ状態のアドレスデコード信号128に応答して、プルアップノード234と内部ノード208との結合を制御するように構成される。第3のトランジスタ228は、電源電圧ノード218に結合された第1の端子240、プルアップノード234に結合された第2の端子242、及びゲート端子244を含む。ゲート端子244は、非アクティブ状態のワード線信号106に応答して、電源電圧ノード218とプルアップノードとの結合を制御するように構成される。第4のトランジスタ230は、プルアップノード234に結合された第1の端子246、内部ノード208に結合された第2の端子248、及びゲート端子250を含む。ゲート端子250は、第2のクロック状態の反転遅延クロック信号CLKDLYに応答して、プルアップノード234と内部ノード208との結合を制御するように構成される。
【0024】
プルダウン回路210は、ラッチクロック信号CLKLATが第1のクロックにある条件で、2つの追加条件の一方が存在する場合に、内部ノード208(すなわち、その電圧レベル)を接地電圧等の第2の供給電圧にプルダウンするように構成される。第1に、プルダウン回路210は、ラッチクロック信号CLKLATが第1のクロック状態にあり、ワード線108上のワード線信号106がアクティブ状態にあるときに、内部ノード208を保持(抑制)することができる。第2に、ラッチクロック信号CLKLATが第1のクロック状態にあり、アドレスデコード信号128がアクティブ状態にあり、反転遅延クロック信号CLKDLYが第1のクロック状態にある場合に、プルダウン回路210は、内部ノード208をプルダウンすることができる。
【0025】
詳細には、プルダウン回路210は、第5のトランジスタ252、第6のトランジスタ254、第7のトランジスタ256、及び第8のトランジスタ258を含む。第5のトランジスタ252、第6のトランジスタ254、第7のトランジスタ256、及び第8のトランジスタ258は、N型金属酸化膜半導体(NMOS)トランジスタであってもよいが、これに限定されない。N型トランジスタの一例は、ヒ素、アンチモン、ビスマス等の三価のドーパントがドープされたシリコントランジスタである。第5のトランジスタ252は、内部ノード208に結合された第1の端子260、プルダウンノード264に結合された第2の端子262、及びゲート端子266を含む。ゲート端子266は、第1のクロック状態のラッチクロック信号CLKLATに応答して、内部ノード208とプルダウンノード264との結合を制御するように構成される。第6のトランジスタ254は、プルダウンノード264に結合された第1の端子268、第2の端子270、及びゲート端子272を含む。ゲート端子272は、アクティブ状態のアドレスデコード信号128に応答して、プルダウンノード264と第2の端子270との結合を制御するように構成される。プルダウン回路210の第7のトランジスタ256は、第6のトランジスタ254の第2の端子270に結合された第1の端子274と、第2の電源電圧(例えば、VSS又は接地)を供給する第2の電源電圧ノード278に結合された第2の端子276とを含む。ゲート279は、第1のクロック状態の反転遅延クロック信号CLKDLYに応答して、第2の電源電圧ノード278と第7のトランジスタ256の第1の端子274との結合を制御する。第8のトランジスタ258は、プルダウンノード264に結合された第1の端子280、第2の電源電圧ノード278に結合された第2の端子282、及びゲート端子284を含む。ゲート端子284は、アクティブ状態のワード線信号106に応答して、第2の電源電圧ノード278とプルダウンノード264との結合を制御するように構成される。
【0026】
図1に戻って参照すると、復号化回路126及びアドレス捕捉回路122の詳細な説明が提供される。復号化回路126は、内部アドレスバス124に結合された入力130と、複数の出力132とを含み、各出力132が複数のワード線ラッチ104のうちの1つに結合される。復号化回路126は、アドレス信号118を内部アドレスバス124上で受信し、アドレス信号118を復号化し、アドレスデコード信号128のデコード状態を出力132上で生成するように構成される。特に、アドレス信号118に対応する1つの出力132上で、復号化回路126は、アクティブ状態のアドレスデコード信号128を生成するように構成される。他の出力132(すなわち、アドレス信号118に対応しない)では、復号化回路126は、非アクティブ状態でアドレスデコード信号128を生成するように構成される。メモリアレイ回路100は、例えば、処理回路(図示せず)をさらに含む集積回路(IC)134に含めてもよい。
【0027】
第2のクロック状態のアクティブ・パススルー・アドレス捕捉回路122は、内部アドレスバス124に結合され、さらにアドレスバス120にも結合される。アドレス捕捉回路122は、アドレスバス120上のアドレス信号118を受信し、システムクロックCLKSYSを受信するように構成される。アクティブ状態のシステムクロックCLKSYSに応答して、アドレス捕捉回路122は、アドレス信号118を格納し、アドレス捕捉回路122に格納したアドレス信号118を内部アドレスバス124上に保持する。非アクティブ状態のシステムクロックCLKSYSに応答して、アドレス捕捉回路122は、アドレスバス120上で受信したアドレス信号118を内部アドレスバス124上に生成する。システムクロックCLKSYSが非アクティブ状態にある間に、アドレス捕捉回路122は、アドレスのデコードに使用できる時間を最大化するためにパススルー状態である。
【0028】
図3は、アドレスバス上の変動が伝播し、ワード線上の変動及びタイミングマージン違反となり得る従来のメモリアレイで使用されるワード線回路300の図である。内部ノード302は、ラッチクロック信号CLKLATが第2のクロック状態にあるとき、またアドレスデコード信号304が非アクティブ状態にあるときは常にアクティブ状態にプルアップされる。内部ノード302は、ラッチクロック信号CLKLATが第1のクロック状態にあり、アドレスデコード信号304がアクティブ状態にあるという条件下でプルダウンされる。インバータ306は、内部ノード302の状態の逆であるワード線信号308を生成する。こうして、ワード線回路300は、アドレスデコード信号304を格納せず、代わりに、メモリアクセス動作において潜在的にエラーを引き起こす可能性のある変動又はタイミング変動が含まれるアドレスデコード信号304に基づいて、ワード線信号308を組み合わせて生成する。
【0029】
図4は、図3のワード線回路300を使用する従来のメモリアレイ回路の信号の状態と、図1及び図2の例示的な反転遅延クロック回路102及びワード線ラッチ104を使用する図1の例示的なメモリアレイ回路100の信号の状態を示すタイミング図である。図4の信号は、図1図3と同じラベルを使用して参照される。信号は、図4のタイミング図の上部にある第1の信号(アドレス信号118)から降順で以下に説明する。示されるように、図4の第1の信号は、アドレスバス120に到達するアドレス信号118である。時間T0の前に、アドレス信号118は、処理回路によって提供されるメモリアドレスに基づいて、第2のクロック状態(例えば、ロー(low))から第1のクロック状態(例えば、ハイ(high))に移行する。図4の第2の信号はシステムクロックCLKSYSである。時間T0において、システムクロックCLKSYSは、第2のクロック状態から第1のクロック状態に移行し、クロックデューティサイクルに基づく時間だけ第1のクロック状態に留まり、時間T2において第2のクロック状態に戻る。図1のアドレス捕捉回路122は、システムクロックCLKSYSが時間T0から時間T2まで第1のクロック状態にあることに応答して、アドレス信号118の状態を捕捉する。アドレス捕捉回路122は、システムクロックCLKSYSが第2のクロック状態に戻るときに、時間T0から時間T2まで、アドレス信号118の捕捉状態を内部アドレスバス124上に保持する。
【0030】
図4に示される第3の信号は、アドレス信号118を搬送する内部アドレスバス124である。時間T0の前と時間T2の後に、アドレス信号118は、アドレス捕捉回路122を通ってアドレスバス120から内部アドレスバス124に伝播する。こうして、時間T0の前及び時間T2の後にアドレスバス120上で発生し得る変動は、内部アドレスバス124上のアドレス信号118に変動を引き起こす。
【0031】
図4の第4の信号は、内部アドレスバス124上のアドレス信号118に対応するアドレスデコード信号128である。時間T3の前に、アドレス信号118は非アクティブ状態からアクティブ状態に移行し、アドレス信号118の変動の一例として、時間T3の後に、非アクティブ状態に戻る。システムクロックCLKSYSが第2のクロック状態にあるときに、アドレス捕捉回路がパススルーラッチであるため、アドレスデコード信号128は、非アクティブ状態からアクティブ状態に移行し、非アクティブ状態に戻る。こうして、アドレスバス120上のアドレス信号118の変動は、アドレス捕捉回路122及び復号化回路126を介して伝播される。
【0032】
図4の第5の信号は、システムクロックCLKSYSに同期して立ち上がるラッチクロック信号CLKLATである。ラッチクロック信号CLKLATが第1のクロック状態に留まる時間量は、セルフタイム回路又は別の方法によって決定することができる。この点に関して、ラッチクロック信号CLKLATは、時間T0におけるシステムクロックCLKSYSに応答して、第2のクロック状態から第1のクロック状態に移行する(例えば、立ち上がる)が、ラッチクロック信号CLKLATは、システムクロックCLKSYSよりも長いデューティサイクルを有する。
【0033】
図4の第6の信号は、従来のメモリアレイ回路のワード線回路300で生成されるワード線信号308である。比較のために、ワード線信号308は従来の方法の問題点の一例である。図4に示されるように、システムクロックCLKSYSが第2のクロック状態にあるときに、アドレスバス120上のアドレス信号118の変動(例えば、時間T3)は、ワード線回路300を介して伝播し、ワード線信号308の変動を引き起こす。
【0034】
図4の第7の信号は、反転遅延クロック信号CLKDLYである。図示されるように、反転遅延クロック信号CLKDLYの状態は、ラッチクロック信号CLKLATの遅延状態及び反転状態に基づく。図1のワード線ラッチ104は、ラッチクロック信号CLKLATと反転遅延クロック信号CLKDLYとの両方が第1のクロック状態(例えば、ハイ)にあるときに、アドレスデコード信号128を捕捉して格納する。この状態は時間T0から時間T1まで存在し、本明細書ではセルフタイムパルスと呼ばれる。ワード線信号106は、ラッチクロック信号CLKLATが第2のクロック状態に移行する(例えば、ロー状態に下がる)まで、捕捉したアドレスデコード信号128によって決定される状態に保持される。ラッチクロック信号CLKLATが第2のクロック状態に移行して戻った後に、ワード線信号106は非アクティブ状態にプルダウンされる。
【0035】
図4の第8の信号は、図2の内部ノード208であり、この信号は反転されてワード線信号106を生成する。図4の最後の信号は、ワード線108上のワード線信号106である。アドレス信号118によって特定されるアドレスに対応するメモリアレイ回路100内のワード線信号106のうちの1つがアクティブにされる。ワード線信号106は、アドレスバス120上のアドレス信号118の変動に応答して変化しない。何故なら、それらの変動はワード線ラッチ104を通って伝播しないからである。
【0036】
図5A及び図5Bは、図1のメモリアレイ回路100における方法500を示すフローチャートであり、メモリアレイ回路100は、アドレスバス120上のアドレス信号118の変動によるエラーを低減するために、クロックパルスに応答してアドレスデコード信号128を捕捉する。方法500は、複数のメモリ行110を含むメモリアレイ回路100における方法であり、各メモリ行には、ワード線108に結合されたメモリビットセル回路112が含まれる。方法500は、図5Aで始まり、第1のクロック状態及び第2のクロック状態の一方のラッチクロック信号CLKLATを受信するステップ(ブロック502)を含む。この方法は、第2のクロック状態を構成するラッチクロック信号CLKLATに応答して、第1のクロック状態を構成する反転遅延クロック信号CLKDLYを生成するステップ(ブロック504)と、第1のクロック状態を構成するラッチクロック信号CLKLATに応答して、第2のクロック状態を構成する反転遅延クロック信号CLKDLYを生成するステップ(ブロック506)とを含む。この方法はさらに、複数のメモリ行110のうちの1つのメモリ行で、アクティブ状態及び非アクティブ状態の一方を構成するデコード状態を含むアドレスデコード信号128を受信するステップ(ブロック508)を含む。方法500はさらに、第1のクロック状態を構成するラッチクロック信号CLKLATと第1のクロック状態を構成する反転遅延クロック信号CLKDLYとに応答して、受信したアドレスデコード信号128のデコード状態を格納するステップと、アドレスデコード信号128の格納したデコード状態を、複数のメモリ行110のうちの1つのメモリ行のワード線108上に生成するステップ(ブロック510)とを含む。この方法は、図5Bに続き、第1のクロック状態を構成するラッチクロック信号CLKLATと第2のクロック状態を構成する遅延クロック信号CLKDLYとに応答して、アドレスデコード信号128の格納したデコード状態を、複数のメモリ行110のうちの1つのメモリ行のワード線108上に保持するステップ(ブロック512)をさらに含む。この方法はまた、第2のクロック状態を構成するラッチクロック信号CLKLATに応答して、アドレスデコード信号128の非アクティブ状態を、複数のメモリ行110のうちの1つのメモリ行のワード線108上に生成するステップ(ブロック514)を含む。
【0037】
図6は、命令処理回路604を含むプロセッサ602(例えば、マイクロプロセッサ)を含む例示的なプロセッサベースのシステム600のブロック図である。プロセッサベースのシステム600は、電子基板に含まれる1つ又は複数の回路、例えばプリント回路基板(PCB)、サーバ、パーソナルコンピュータ、デスクトップコンピュータ、ラップトップコンピュータ、携帯情報端末(PDA)、コンピューティングパッド、モバイル装置、又は任意の他の装置等であってもよく、及び例えば、サーバ又はユーザのコンピュータを表してもよい。この例では、プロセッサベースのシステム600はプロセッサ602を含む。プロセッサ602は、マイクロプロセッサ、又は中央処理装置等の1つ又は複数の汎用処理回路を表す。より具体的には、プロセッサ602は、EDGE命令セットマイクロプロセッサ、又はプロデューサ命令の実行から生じる生成値を伝達するための明示的なコンシューマ命名をサポートする命令セットを実装する他のプロセッサであってもよい。プロセッサ602は、本明細書で議論する動作及びステップを実行するための命令内の処理ロジックを実行するように構成される。この例では、プロセッサ602は、命令処理回路604によってアクセス可能な命令を一時的に高速アクセスメモリに格納するための命令キャッシュ606を含む。システムバス610を介してメインメモリ608等のメモリからフェッチ又はプリフェッチされた命令は、命令キャッシュ606に格納される。データは、プロセッサ602による低遅延アクセスのためにシステムバス610に結合されたキャッシュメモリ612に格納され得る。命令処理回路604は、命令キャッシュ606にフェッチされた命令を処理し、実行のために命令を処理するように構成される。
【0038】
プロセッサ602及びメインメモリ608は、システムバス610に結合され、プロセッサベースのシステム600に含まれる周辺装置を相互結合することができる。よく知られているように、プロセッサ602は、システムバス610を介してアドレス、制御、及びデータ情報を交換することによってこれらの他の装置と通信する。例えば、プロセッサ602は、スレーブ装置の一例としてメインメモリ608内のメモリコントローラ614にバストランザクション要求を通信することができる。図6には示されていないが、複数のシステムバス610を設けることができ、各システムバスは異なるファブリックを構成する。この例では、メモリコントローラ614は、メインメモリ608内のメモリアレイ616にメモリアクセス要求を提供するように構成される。メモリアレイ616は、データを格納するための格納ビットセルのアレイから構成される。メインメモリ608は、非限定的な例として、読み出し専用メモリ(ROM)、フラッシュメモリ、同期DRAM(SDRAM)等のダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM)、及びスタティックメモリ(例えば、フラッシュメモリ、スタティックランダムメモリ(SRAM)等)であってもよい。
【0039】
他の装置をシステムバス610に接続することができる。図6に示されるように、これらの装置には、例として、メインメモリ608、1つ又は複数の入力装置618、1つ又は複数の出力装置620、モデム622、1つ又は複数のディスプレイコントローラ624が含まれ得る。入力装置618は、入力キー、スイッチ、音声プロセッサ等を含むがこれらに限定されない任意のタイプの入力装置を含むことができる。出力装置620は、オーディオ、ビデオ、他の視覚インジケータ等を含むがこれらに限定されないが、任意のタイプの出力装置を含むことができる。モデム622は、ネットワーク626との間でのデータの交換を可能にするように構成される任意の装置であり得る。ネットワーク626は、有線ネットワーク又は無線ネットワーク、プライベート又はパブリックネットワーク、ローカルエリアネットワーク(LAN)、ワイヤレスローカルエリアネットワーク(WLAN)、ワイドエリアネットワーク(WAN)、BLUETOOTH(登録商標)ネットワーク、及びインターネットを含むがこれらに限定されない、任意のタイプのネットワークであり得る。モデム622は、所望の任意のタイプの通信プロトコルをサポートするように構成することができる。プロセッサ602は、システムバス610を介してディスプレイコントローラ624にアクセスして、1つ又は複数のディスプレイ628に送信される情報を制御するように構成することもできる。ディスプレイ628は、ブラウン管(CRT)、液晶ディスプレイ(LCD)、プラズマディスプレイ等を含むがこれに限定されない、任意のタイプのディスプレイを含むことができる。
【0040】
図6のプロセッサベースのシステム600は、命令に従って所望される任意のアプリケーションのためにプロセッサ602によって実行される命令セット630を含むことができる。命令630は、非一時的なコンピュータ可読媒体632の例として、メインメモリ608、プロセッサ602、及び/又は命令キャッシュ606に格納され得る。命令630はまた、完全に又は少なくとも部分的に、実行中はメインメモリ608内に及び/又はプロセッサ602内に常駐し得る。命令630はさらに、ネットワーク626がコンピュータ可読媒体632を含むように、モデム622を介してネットワーク626上で送信又は受信してもよい。
【0041】
コンピュータ可読媒体632は、例示的な実施形態では単一の媒体であるように示されているが、「コンピュータ可読媒体」という用語は、1つ又は複数の命令セットが格納される単一の媒体又は複数の媒体(例えば、集中型又は分散型データベース、及び/又は関連するキャッシュ及びサーバ)を含むものと解釈すべきである。「コンピュータ可読媒体」という用語は、処理装置によって実行される一連の命令を格納、符号化、又は搬送することができ、処理装置に、本明細書で開示する実施形態の方法論のいずれか1つ又は複数を実行させる任意の媒体も含むものと解釈される。従って、「コンピュータ可読媒体」という用語は、ソリッドステートメモリ、光媒体、及び磁気媒体を含むものと解釈されるが、これらに限定されない。
【0042】
図1及び図2に示されるように、プロセッサベースのシステム600のプロセッサ602は、その中の装置のいずれかに、メモリ行のワード線上により安定したワード線信号を生成するために反転遅延クロック回路及びワード線ラッチを使用するメモリアレイ回路を含むことができる。
【0043】
本明細書に開示する実施形態には、様々なステップが含まれる。本明細書に開示する実施形態のステップは、ハードウェアコンポーネントによって形成してもよく、或いは命令でプログラムされた汎用又は専用プロセッサにステップを実行させるために使用され得る機械実行可能命令で具体化してもよい。あるいはまた、これらのステップは、ハードウェア及びソフトウェアの組合せによって実行してもよい。
【0044】
本明細書で開示する実施形態は、本明細書で開示する実施形態によるプロセスを実行するためにコンピュータシステム(又は他の電子装置)をプログラムして使用され得る、命令を格納した機械可読媒体(又はコンピュータ可読媒体)を含み得る、コンピュータプログラム製品又はソフトウェアとして提供され得る。機械可読媒体には、機械(コンピュータ等)が読み取り可能な形式で情報を格納又は送信するための任意のメカニズムが含まれる。例えば、機械可読媒体には、機械可読記憶媒体(例えば、ROM、ランダムアクセスメモリ(「RAM」)、磁気ディスク記憶媒体、光記憶媒体、フラッシュメモリ装置等)が含まれる。
【0045】
特に別段の記載がない限り、また前述の説明から明らかなように、明細書全体を通じて、「処理する」、「計算する」、「決定する」、又は「表示する」等の用語を使用する議論は、コンピュータシステムのレジスタ内で物理的(電子)量として表されるデータ及びメモリを操作し、コンピュータシステム内のメモリ又はレジスタ内で、或いは他のそのような情報ストレージ装置、送信装置、又は表示装置内で物理量として同様に表される他のデータに変換する、コンピュータシステム又は同様の電子計算装置の動作及びプロセスを指す。
【0046】
本明細書で提示するアルゴリズム及び表示は、本質的に特定のコンピュータ又は他の機器に関連するものではない。本明細書の教示に従ったプログラムとともに様々なシステムを使用することができ、或いは必要な方法ステップを実行するためにより特化した機器を構築することが便利であることが判明することもある。これらの様々なシステムに必要な構造は、上記の説明から明らかになろう。さらに、本明細書で説明する実施形態は、特定のプログラミング言語を参照して説明したものではない。本明細書で説明する実施形態の教示を実現するために、様々なプログラミング言語を使用してもよいことが理解されよう。
【0047】
当業者はさらに、本明細書に開示する実施形態に関連して説明した様々な例示的な論理ブロック、モジュール、回路、及びアルゴリズムが、電子ハードウェアとして実装され、メモリ又は別のコンピュータ可読媒体に格納されプロセッサ又は他の処理装置或いはその両方の組合せによって実行される命令によって実装され得ることを理解するだろう。本明細書で説明した分散型アンテナシステムのコンポーネントは、例として、任意の回路、ハードウェアコンポーネント、集積回路(IC)、又はICチップで使用され得る。本明細書に開示するメモリは、任意のタイプ及びサイズのメモリであってもよく、所望の任意のタイプの情報を格納するように構成してもよい。この互換性を明確に示すために、様々な例示的なコンポーネント、ブロック、モジュール、回路、及びステップを、それらの機能の観点から一般的に上記で説明した。このような機能がどのように実装されるかは、特定のアプリケーション、設計上の選択、及びシステム全体に課せられる設計上の制約によって異なる。当業者は、特定のアプリケーション毎に説明した機能を様々な方法で実現することができるが、そのような実施態様の決定は、本実施形態の範囲から逸脱するものとして解釈すべきでない。
【0048】
本明細書で開示する実施形態に関連して説明した様々な例示的な論理ブロック、モジュール、及び回路は、プロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、又は他のプログラマブル論理装置、ディスクリートゲート又はトランジスタロジック、ディスクリートハードウェアコンポーネント、又は本明細書で説明した機能を実行するように設計されたそれらの任意の組合せで実装又は実行され得る。さらに、コントローラはプロセッサであってもよい。プロセッサはマイクロプロセッサであってもよいが、代替として、プロセッサは任意の従来のプロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ、又はステートマシンであってもよい。プロセッサはまた、コンピューティング装置の組合せ(例えば、DSP及びマイクロプロセッサの組合せ、複数のマイクロプロセッサ、DSPコアと連携した1つ又は複数のマイクロプロセッサ、又は任意の他のそのような構成)として実装してもよい。
【0049】
本明細書に開示する実施形態は、ハードウェア、及びハードウェアに格納される命令で具体化することができ、例えば、RAM、フラッシュメモリ、ROM、電気的プログラマブルROM(EPROM)、電気的に消去可能なプログラマブルROM(EEPROM)、レジスタ、ハードディスク、リムーバブルディスク、CD-ROM、又は当技術分野で知られている任意の他の形式のコンピュータ可読媒体に常駐し得る。例示的な記憶媒体は、プロセッサが記憶媒体から情報を読み取り、記憶媒体に情報を書き込むことができるようにプロセッサに結合される。代わりに、記憶媒体はプロセッサと一体であってもよい。プロセッサ及び記憶媒体は、ASIC内に常駐してもよい。ASICはリモートステーションに常駐してもよい。代わりに、プロセッサ及び記憶媒体は、リモートステーション、基地局、又はサーバ内の個別のコンポーネントとして常駐してもよい。また、本明細書の例示的な実施形態のいずれかで説明した動作ステップは、例及び議論を提供するために記載していることに留意されたい。説明した動作は、図示したシーケンス以外の多くの異なるシーケンスで実行することができる。さらに、単一の動作ステップで説明した動作は、実際には多数の異なるステップで実行してもよい。
【0050】
さらに、例示的な実施形態で議論した1つ又は複数の動作ステップを組み合わせることができる。当業者であれば、情報及び信号は、様々な技術及び手法のいずれかを使用して表現できることも理解されよう。例えば、上記の説明全体を通じて参照となり得るデータ、命令、コマンド、情報、信号、ビット、シンボル、及びチップは、電圧、電流、電磁波、磁場、又は粒子、光場、又は粒子、或いはそれらの任意の組合せによって表され得る。
【0051】
特に明記しない限り、本明細書に記載した方法は、そのステップを特定の順序で実行することを必要とするものとして解釈されることを決して意図していない。従って、方法の請求項がそのステップが従うべき順序を実際に記載していない場合に、或いは特許請求の範囲又は明細書にステップが特定の順序に限定されることが特に明記されていない場合に、それは決して特定の順序を推測されることを意図していない。
【0052】
本発明の精神又は範囲から逸脱することなく、様々な修正及び変形を行うことができることは、当業者には明らかであろう。本発明の精神及び内容を組み込んだ、開示した実施形態の修正、組合せ、サブコンビネーション、及び変形が当業者には想起され得るため、本発明は、添付の特許請求の範囲及びその均等物の範囲内の全てを含むものと解釈すべきである。

図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6
【国際調査報告】