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特表2024-519952ポリマー組成物を含有するカメラモジュール
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-21
(54)【発明の名称】ポリマー組成物を含有するカメラモジュール
(51)【国際特許分類】
   C08L 67/04 20060101AFI20240514BHJP
   C08K 3/013 20180101ALI20240514BHJP
   C08K 3/30 20060101ALI20240514BHJP
   C08L 23/00 20060101ALI20240514BHJP
   G03B 30/00 20210101ALI20240514BHJP
【FI】
C08L67/04
C08K3/013
C08K3/30
C08L23/00
G03B30/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023572107
(86)(22)【出願日】2022-05-13
(85)【翻訳文提出日】2024-01-16
(86)【国際出願番号】 US2022029228
(87)【国際公開番号】W WO2022245660
(87)【国際公開日】2022-11-24
(31)【優先権主張番号】63/191,394
(32)【優先日】2021-05-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500100822
【氏名又は名称】ティコナ・エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100129458
【弁理士】
【氏名又は名称】梶田 剛
(72)【発明者】
【氏名】キム,ヤン・シン
【テーマコード(参考)】
4J002
【Fターム(参考)】
4J002BB002
4J002BB072
4J002BB082
4J002CD192
4J002CF161
4J002DA017
4J002DA027
4J002DA037
4J002DA067
4J002DD036
4J002DE236
4J002DE286
4J002DG046
4J002DG056
4J002DH046
4J002DJ006
4J002DJ036
4J002DJ046
4J002DJ056
4J002DK006
4J002EN137
4J002EW177
4J002FA047
4J002FD016
4J002FD107
4J002GP00
(57)【要約】
約50wt.%~約90wt.%のポリマーマトリックスと、約10wt.%~約40wt.%の無機フィラー粒子と、約0.1wt.%~約10wt.%の耐衝撃性改良剤とを含むポリマー組成物が提供される。ポリマーマトリックスは、ヒドロキシカルボン酸から誘導された1つ以上の繰り返し単位を含有する液晶ポリマーを含み、ヒドロキシカルボン酸繰り返し単位は、ポリマーの約50mol%以上を構成しており、さらに、液晶ポリマーは、ナフテン系ヒドロキシカルボン酸および/またはジカルボン酸から誘導された繰り返し単位をポリマーの約10mol%以上の量で含有する。ポリマー組成物は、約4.5%以上の引張伸びおよび約10kJ/m以上のシャルピーノッチ付き衝撃強度を呈する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリマー組成物であって、
ヒドロキシカルボン酸から誘導された1つ以上の繰り返し単位を含有する液晶ポリマーを含む約50wt.%~約90wt.%のポリマーマトリックスであって、前記ヒドロキシカルボン酸繰り返し単位が、前記ポリマーの約50mol%以上を構成しており、さらに、前記液晶ポリマーが、ナフテン系ヒドロキシカルボン酸および/またはジカルボン酸から誘導された繰り返し単位を前記ポリマーの約10mol%以上の量で含有する、前記ポリマーマトリックスと、
約10wt.%~約40wt.%の無機フィラー粒子と、
約0.1wt.%~約10wt.%の耐衝撃性改良剤と
を含み、
前記ポリマー組成物が、ISO試験番号527:2019に従って決定して約4.5%以上の引張伸びおよびISO試験番号179-1:2010に従って23℃で決定して約10kJ/m以上のシャルピーノッチ付き衝撃強度を呈する、
前記ポリマー組成物。
【請求項2】
前記ポリマー組成物が、ISO試験番号11443:2014に従って400秒-1のせん断速度および前記組成物の溶融温度よりも15℃高い温度で決定して、200Pa・s以下の溶融粘度を呈する、請求項1に記載のポリマー組成物。
【請求項3】
前記ポリマー組成物が、ISO試験番号527:2019に従って決定して、100MPa以上の引張強度を呈する、請求項1に記載のポリマー組成物。
【請求項4】
前記液晶ポリマーが、約280℃以上の溶融温度を有する、請求項1に記載のポリマー組成物。
【請求項5】
前記液晶ポリマーが、4-ヒドロキシ安息香酸、6-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸、またはそれらの組み合わせから誘導された繰り返し単位を含有する、請求項1に記載のポリマー組成物。
【請求項6】
前記液晶ポリマーが、4-ヒドロキシ安息香酸から誘導された繰り返し単位を前記ポリマーの約60mol%~約90mol%の量で含有し、6-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸から誘導された繰り返し単位を前記ポリマーの約10mol%~約30mol%の量で含有する、請求項5に記載のポリマー組成物。
【請求項7】
前記液晶ポリマーが、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、ヒドロキノン、4,4’-ビフェノール、アセトアミノフェン、4-アミノフェノール、またはそれらの組み合わせから誘導された繰り返し単位をさらに含有する、請求項6に記載のポリマー組成物。
【請求項8】
前記無機フィラー粒子が略球形である、請求項1に記載のポリマー組成物。
【請求項9】
前記無機フィラー粒子が、モース硬度スケールに基づいて約2.0以上の硬度値を有する、請求項1に記載のポリマー組成物。
【請求項10】
前記無機フィラー粒子が、約0.1~約20マイクロメートルのメジアン径を有する、請求項1に記載のポリマー組成物。
【請求項11】
前記無機フィラー粒子が硫酸バリウムを含む、請求項1に記載のポリマー組成物。
【請求項12】
前記ポリマー組成物がガラス繊維をほぼ含まない、請求項1に記載のポリマー組成物。
【請求項13】
前記耐衝撃性改良剤がオレフィンポリマーを含む、請求項1に記載のポリマー組成物。
【請求項14】
前記オレフィンポリマーが、(メタ)アクリルモノマー単位を含有するコポリマーである、請求項13に記載のポリマー組成物。
【請求項15】
前記ポリマー組成物が静電気防止フィラーを含有する、請求項1に記載のポリマー組成物。
【請求項16】
前記ポリマー組成物が、ASTM D648-18に従って1.8MPaの指定荷重で決定して、約160℃~約220℃以上の荷重たわみ温度を呈する、請求項1に記載のポリマー組成物。
【請求項17】
請求項1に記載のポリマー組成物を含む、カメラモジュール。
【請求項18】
前記カメラモジュールが、1つ以上のレンズを含むレンズモジュールが内部に位置しているハウジングを含む、請求項17に記載のカメラモジュール。
【請求項19】
前記ハウジング、レンズモジュール、またはそれらの組み合わせの少なくとも一部が前記ポリマー組成物を含有する、請求項18に記載のカメラモジュール。
【請求項20】
前記レンズモジュールが、レンズホルダに結合されたレンズバレルを含む、請求項19に記載のカメラモジュール。
【請求項21】
前記レンズホルダ、前記レンズバレル、またはそれらの組み合わせの少なくとも一部が前記ポリマー組成物を含有する、請求項20に記載のカメラモジュール。
【請求項22】
前記レンズバレルが前記1つ以上のレンズを収容している、請求項21に記載のカメラモジュール。
【請求項23】
前記レンズバレルおよび前記レンズホルダが略円筒形である、請求項21に記載のカメラモジュール。
【請求項24】
請求項17に記載のカメラモジュールを含む、電子デバイス。
【請求項25】
前記デバイスが無線通信デバイスである、請求項24に記載の電子デバイス。
【請求項26】
1つ以上のレンズを含むレンズモジュールが内部に位置しているハウジングを含むカメラモジュールであって、前記カメラモジュールが、液晶ポリマーを含むポリマーマトリックスを含むポリマー組成物を含み、前記ポリマー組成物が、ISO試験番号527:2019に従って決定して約4.5%以上の引張伸びおよびISO試験番号179-1:2010に従って23℃で決定して約10kJ/m以上のシャルピーノッチ付き衝撃強度を呈する、カメラモジュール。
【請求項27】
前記ハウジング、レンズモジュール、またはそれらの組み合わせの少なくとも一部が前記ポリマー組成物を含有する、請求項26に記載のカメラモジュール。
【請求項28】
前記レンズモジュールが、レンズホルダに結合されたレンズバレルを含む、請求項27に記載のカメラモジュール。
【請求項29】
前記レンズホルダ、前記レンズバレル、またはそれらの組み合わせの少なくとも一部が前記ポリマー組成物を含有する、請求項28に記載のカメラモジュール。
【請求項30】
前記レンズバレルが前記1つ以上のレンズを収容している、請求項29に記載のカメラモジュール。
【請求項31】
前記レンズバレルおよび前記レンズホルダが略円筒形である、請求項29に記載のカメラモジュール。
【請求項32】
前記ポリマー組成物が、ヒドロキシカルボン酸から誘導された1つ以上の繰り返し単位を含有する液晶ポリマーを含むポリマーマトリックスを含み、前記ヒドロキシカルボン酸繰り返し単位が、前記ポリマーの約50mol%以上を構成しており、さらに、前記液晶ポリマーが、ナフテン系ヒドロキシカルボン酸および/またはジカルボン酸から誘導された繰り返し単位を前記ポリマーの約10mol%以上の量で含有する、請求項26に記載のカメラモジュール。
【請求項33】
前記ポリマーマトリックスが、前記ポリマー組成物の約50wt.%~約90wt.%を占める、請求項32に記載のカメラモジュール。
【請求項34】
前記液晶ポリマーが、約280℃以上の溶融温度を有する、請求項26に記載のカメラモジュール。
【請求項35】
前記液晶ポリマーが、4-ヒドロキシ安息香酸、6-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸、またはそれらの組み合わせから誘導された繰り返し単位を含有する、請求項26に記載のカメラモジュール。
【請求項36】
前記液晶ポリマーが、4-ヒドロキシ安息香酸から誘導された繰り返し単位を前記ポリマーの約60mol%~約90mol%の量で含有し、6-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸から誘導された繰り返し単位を前記ポリマーの約10mol%~約30mol%の量で含有する、請求項35に記載のカメラモジュール。
【請求項37】
前記液晶ポリマーが、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、ヒドロキノン、4,4’-ビフェノール、アセトアミノフェン、4-アミノフェノール、またはそれらの組み合わせから誘導された繰り返し単位をさらに含有する、請求項36に記載のカメラモジュール。
【請求項38】
前記ポリマー組成物が、約10wt.%~約40wt.%の無機フィラー粒子および約0.1wt.%~約10wt.%の耐衝撃性改良剤をさらに含む、請求項26に記載のカメラモジュール。
【請求項39】
前記無機フィラー粒子が略球形である、請求項38に記載のカメラモジュール。
【請求項40】
前記無機フィラー粒子が、モース硬度スケールに基づいて約2.0以上の硬度値を有する、請求項38に記載のカメラモジュール。
【請求項41】
前記無機フィラー粒子が、約0.1~約20マイクロメートルのメジアン径を有する、請求項38に記載のカメラモジュール。
【請求項42】
前記無機フィラー粒子が硫酸バリウムを含む、請求項38に記載のカメラモジュール。
【請求項43】
前記ポリマー組成物がガラス繊維をほぼ含まない、請求項38に記載のカメラモジュール。
【請求項44】
前記耐衝撃性改良剤がオレフィンポリマーを含む、請求項38に記載のカメラモジュール。
【請求項45】
前記オレフィンポリマーが、(メタ)アクリルモノマー単位を含有するコポリマーである、請求項44に記載のカメラモジュール。
【請求項46】
前記ポリマー組成物が、ISO試験番号11443:2014に従って400秒-1のせん断速度および前記組成物の溶融温度よりも15℃高い温度で決定して、200Pa・s以下の溶融粘度を呈する、請求項26に記載のカメラモジュール。
【請求項47】
前記ポリマー組成物が、ISO試験番号527:2019に従って決定して、100MPa以上の引張強度を呈する、請求項26に記載のカメラモジュール。
【請求項48】
前記ポリマー組成物が、ASTM D648-18に従って1.8MPaの指定荷重で決定して、約160℃~約220℃以上の荷重たわみ温度を呈する、請求項26に記載のカメラモジュール。
【請求項49】
請求項26に記載のカメラモジュールを含む、電子デバイス。
【請求項50】
前記デバイスが無線通信デバイスである、請求項49に記載の電子デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
[0001]本願は、2021年5月21日を出願日とする米国仮特許出願第63/191,394号に基づき、その優先権を主張するものであり、これは、参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
[0002]カメラモジュール(またはコンポーネント)は、多くの場合、携帯電話機、ラップトップコンピュータ、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラなどで用いられる。例としては、例えば、基部に取り付けられた支持体を含むコンパクトカメラモジュール、デジタルカメラシャッターモジュール、デジタルカメラのコンポーネント、ゲーム内のカメラ、医療用カメラ、監視カメラなどが挙げられる。そのようなカメラモジュールは、より複雑になっており、現在では、より多くの可動部品を含む傾向にある。いくつかの場合において、例えば、画質を改善するために、2つのコンパクトカメラモジュールアセンブリが単一のモジュール内に取り付けられ得る(「デュアルカメラ」モジュール)。他の場合では、コンパクトカメラモジュールのアレイが用いられ得る。これらの部品の設計がより複雑になるにつれて、カメラモジュールの成形部品を形成するために使用されるポリマー組成物が、組み立てプロセスに耐えることができるように十分に延性であることがますます重要になる。ポリマー組成物はまた、使用中に破断または欠損なくある程度の衝撃エネルギーを吸収することが可能である必要がある。今のところ、ほとんどの従来技術は、ポリマー組成物の強度および他の特性の改善を助けるために、繊維状フィラーの使用を伴う。しかしながら、残念なことに、これらの技術は、最終的には、加熱時に部品の寸法安定性の低下などの他の問題をただもたらすだけである。
【0003】
[0003]したがって、カメラモジュールの成形部品における使用のための改善されたポリマー組成物が必要とされている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
[0004]本発明の一実施形態によると、約50wt.%~約90wt.%のポリマーマトリックスと、約10wt.%~約40wt.%の無機フィラー粒子と、約0.1wt.%~約10wt.%の耐衝撃性改良剤とを含むポリマー組成物が開示されている。ポリマーマトリックスは、ヒドロキシカルボン酸から誘導された1つ以上の繰り返し単位を含有する液晶ポリマーを含み、ヒドロキシカルボン酸繰り返し単位は、ポリマーの約50mol%以上を構成しており、さらに、液晶ポリマーは、ナフテン系ヒドロキシカルボン酸および/またはジカルボン酸から誘導された繰り返し単位をポリマーの約10mol%以上の量で含有する。ポリマー組成物は、約4.5%以上の引張伸びおよび約10kJ/m以上のシャルピーノッチ付き衝撃強度を呈する。
【0005】
[0005]本発明の別の実施形態によると、1つ以上のレンズを含むレンズモジュールが内部に位置しているハウジングを含むカメラモジュールが開示されている。カメラモジュールは、液晶ポリマーを含むポリマーマトリックスを含むポリマー組成物を含み、ポリマー組成物は、ISO試験番号527:2019に従って決定して約4.5%以上の引張伸びおよびISO試験番号179-1:2010に従って23℃で決定して約10kJ/m以上のシャルピーノッチ付き衝撃強度を呈する。
【0006】
[0006]本発明の他の特徴および態様は、以下でより詳細に示されている。
[0007]本発明の完全かつ実現可能な開示は、当業者に対するその最良の形態を含むものであり、添付図面の参照を含む明細書の残りの部分においてより具体的に示されている。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】[0008]図1は、本発明の一実施形態に従って形成され得るカメラモジュールの斜視図である。
図2】[0009]図2は、本発明のカメラモジュールを含む電子デバイスの一実施形態の上面斜視図である。
図3】[0010]図3は、図2に示されている電子デバイスの底面斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
[0011]当業者であれば、本議論が例示的な実施形態のみを説明するものであり、本発明のより広範な態様を限定するものとして意図されることはないと理解されたい。
[0012]一般に言うなら、本発明は、カメラモジュールにおける使用に特に適したポリマー組成物を対象とする。組成物に用いられる成分の特定の性質および濃度を注意深く制御することによって、本発明者は、得られる組成物が高度な柔軟性と衝撃強度との独自の組み合わせを呈し得ることを発見した。より具体的には、組成物は、ISO試験番号527:2019に従って23℃で決定して、約4.5%以上、いくつかの実施形態では約4.8%以上、いくつかの実施形態では約5%以上、いくつかの実施形態では約5%~約12%、いくつかの実施形態では約5.5%~約10%の、柔軟性の特徴である引張伸びを呈し得る。シャルピーノッチ付き衝撃強度も同様に、ISO試験番号179-1:2010に従って23℃の温度で決定して、約10kJ/m以上、いくつかの実施形態では約12~約60kJ/m、いくつかの実施形態では約15~約50kJ/mであり得る。
【0009】
[0013]上述の特性に加えて、組成物は、他の優れた機械特性も呈し得る。例えば、組成物は、ISO試験番号527:2019に従って23℃で決定して、約100MPa以上、いくつかの実施形態では約110~約500MPa、いくつかの実施形態では約120~約400MPa、いくつかの実施形態では約150~約350MPaの引張強度、および/または約5,000MPa~約30,000MPa、いくつかの実施形態では約6,000MPa~約25,000MPa、いくつかの実施形態では約7,000MPa~約20,000MPaのMPaの引張弾性率を呈し得る。組成物はまた、約40~約500MPa、いくつかの実施形態では約50~約400MPa、いくつかの実施形態では約100~約350MPaの曲げ強度、約0.5%以上、いくつかの実施形態では約1%~約15%、いくつかの実施形態では約3%~約10%の曲げ伸び、および/または約5,000MPa以上、いくつかの実施形態では約6,000MPa~約30,000MPa、いくつかの実施形態では約7,000MPa~約25,000MPaの曲げ弾性率を呈し得る。曲げ特性は、ISO試験番号178:2019に従って23℃で決定され得る。組成物はまた、ISO試験番号75-2:2013に従って1.8MPaの指定荷重で決定して、約160℃~約220℃、いくつかの実施形態では約165℃~約215℃、いくつかの実施形態では約170℃~約210℃の荷重たわみ温度(DTUL)を呈し得る。
【0010】
[0014]ポリマー組成物の溶融粘度も比較的低くてもよく、それによって、加工の最中の流動性を向上させることができるのみならず、組成物の他の特性も相乗的に改善することができる。例えば、ポリマー組成物は、1,000秒-1のせん断速度で決定して、約200Pa・s以下、いくつかの実施形態では約1~約100Pa・s、いくつかの実施形態では約2~約80Pa・s、いくつかの実施形態では約5~約60Pa・s、いくつかの実施形態では約10~約40Pa・sの溶融粘度を有し得る。溶融粘度は、ISO試験番号11443:2014に従って組成物の溶融温度よりも15℃高い温度(例えば、約325℃の溶融温度では約340℃)で決定され得る。
【0011】
[0015]ポリマー組成物は、他の優れた特性も呈し得る。ポリマー組成物は、例えば、ASTM D785-08(2015年)(スケールM)に従って決定して、約65以下、いくつかの実施形態では約60以下、いくつかの実施形態では約40~約55のロックウェル表面硬度を呈し得る。この組成物がカメラモジュールの製造または使用の最中に熱に曝されたときに膨張する程度であり得る線熱膨張係数も低い場合がある。より具体的には、ポリマー組成物は、ISO11359-2:1999に従って-45℃~200℃の温度範囲にわたって決定して、流れ方向に対して横断方向に、約50℃-1以下、いくつかの実施形態では約40℃-1以下、いくつかの実施形態では約35℃-1以下、いくつかの実施形態では約1~約35℃-1、いくつかの実施形態では約2~約30℃-1のCLTEを呈し得る。ポリマー組成物は、同様に、ISO11359-2:1999に従って-45℃~200℃の温度範囲にわたって決定して、流れ方向に対して平行方向に、約25℃-1以下、いくつかの実施形態では約20℃-1以下、いくつかの実施形態では約15℃-1以下、いくつかの実施形態では約1~約13℃-1のCLTEを呈し得る。ポリマー組成物はまた、ASTM E1461-13に従って決定して、約2.5W/m・K以上、いくつかの実施形態では約3W/m・K以上、いくつかの実施形態では約3.5W/m・K以上、いくつかの実施形態では約3.8W/m・K以上、いくつかの実施形態では約4W/m・K以上、いくつかの実施形態では約4~約10W/m・Kの面内熱伝導率を呈し得る。同様に、組成物は、ASTM E1461-13に従って決定して、約0.6W/m・K以上、いくつかの実施形態では約0.7W/m・K以上、いくつかの実施形態では約0.8W/m・K以上、いくつかの実施形態では約0.8~約2W/m・Kの面直通熱伝導率を呈し得る。そのような高い熱伝導率値によって、組成物は、これが用いられる電気回路保護デバイスから離れる熱伝達のための熱経路を作製することができるようになる。このようにして、「ホットスポット」を迅速に排除し、全体温度を使用の最中に下げることができる。
【0012】
[0016]これより、本発明の様々な実施形態をより詳細に説明する。
I.ポリマー組成物
A.ポリマーマトリックス
[0017]ポリマーマトリックスは、典型的には、1種以上の液晶ポリマーを、一般に、ポリマー組成物の約50wt.%~約90wt.%、いくつかの実施形態では約55wt.%~約85wt.%、いくつかの実施形態では約60wt.%~約80wt.%の量で含有する。液晶ポリマーは、一般に、これらが棒状構造を有し得、かつそれらの溶融状態(例えば、サーモトロピックネマチック状態)で結晶挙動を呈し得る限りにおいて「サーモトロピック」として分類される。ポリマーは、約280℃以上、いくつかの実施形態では約280℃~約380℃、いくつかの実施形態では約290℃~約350℃、いくつかの実施形態では約300℃~約330℃などの比較的高い溶融温度を有する。そのようなポリマーは、当技術分野で知られているように、1つ以上のタイプの繰り返し単位から形成され得る。液晶ポリマーは、例えば、一般に、以下の式(I):
【0013】
【化1】
【0014】
[式中、
環Bは、置換もしくは非置換の6員アリール基(例えば、1,4-フェニレンもしくは1,3-フェニレン)、置換もしくは非置換の5員もしくは6員アリール基に縮合した置換もしくは非置換の6員アリール基(例えば、2,6-ナフタレン)、または置換もしくは非置換の5員もしくは6員アリール基に結合した置換もしくは非置換の6員アリール基(例えば、4,4-ビフェニレン)であり、
およびYは、独立的に、O、C(O)、NH、C(O)HN、またはNHC(O)である]
によって表される1個以上の芳香族エステル繰り返し単位を含有し得る。
【0015】
[0018]典型的には、YおよびYの少なくとも1つはC(O)である。そのような芳香族エステル繰り返し単位の例としては、例えば、芳香族ジカルボン酸繰り返し単位(式IのYおよびYはC(O)である)、芳香族ヒドロキシカルボン酸繰り返し単位(式Iにおいて、YはOであり、YはC(O)である)、およびそれらの様々な組み合わせが挙げられ得る。
【0016】
[0019]例えば、4-ヒドロキシ安息香酸、4-ヒドロキシ-4’-ビフェニルカルボン酸、2-ヒドロキシ-6-ナフトエ酸、2-ヒドロキシ-5-ナフトエ酸、3-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸、2-ヒドロキシ-3-ナフトエ酸、4’-ヒドロキシフェニル-4-安息香酸、3’-ヒドロキシフェニル-4-安息香酸、4’-ヒドロキシフェニル-3-安息香酸など、ならびにそれらのアルキル、アルコキシ、アリールおよびハロゲン置換物、ならびにそれらの組み合わせなどの芳香族ヒドロキシカルボン酸から誘導された芳香族ヒドロキシカルボン酸繰り返し単位が用いられ得る。特に適した芳香族ヒドロキシカルボン酸は、4-ヒドロキシ安息香酸(「HBA」)および6-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸(「HNA」)である。望ましい特性の達成を助けるために、ヒドロキシカルボン酸(例えば、HBAおよび/またはHNA)から誘導された繰り返し単位は、典型的には、ポリマーの約50mol%以上、いくつかの実施形態では約60mol%以上、いくつかの実施形態では約70mol%以上、いくつかの実施形態では約80mol%以上、いくつかの実施形態では約85mol%~100mol%、いくつかの実施形態では約90mol%~約99mol%を構成している。
【0017】
[0020]テレフタル酸、イソフタル酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルエーテル-4,4’-ジカルボン酸、1,6-ナフタレンジカルボン酸、2,7-ナフタレンジカルボン酸、4,4’-ジカルボキシビフェニル、ビス(4-カルボキシフェニル)エーテル、ビス(4-カルボキシフェニル)ブタン、ビス(4-カルボキシフェニル)エタン、ビス(3-カルボキシフェニル)エーテル、ビス(3-カルボキシフェニル)エタンなど、ならびにそれらのアルキル、アルコキシ、アリールおよびハロゲン置換物、ならびにそれらの組み合わせなどの芳香族ジカルボン酸から誘導された芳香族ジカルボン酸繰り返し単位も用いられ得る。特に適した芳香族ジカルボン酸としては、例えば、テレフタル酸(「TA」)、イソフタル酸(「IA」)、および2,6-ナフタレンジカルボン酸(「NDA」)が挙げられ得る。用いられる場合、芳香族ジカルボン酸(例えば、IA、TA、および/またはNDA)から誘導された繰り返し単位はそれぞれ、任意選択的に、ポリマーの約0.1mol%~約20mol%、いくつかの実施形態では約0.5mol%~約15mol%、いくつかの実施形態では約1mol%~約10mol%を構成し得る。
【0018】
[0021]他の繰り返し単位もポリマーに用いられ得る。ある特定の実施形態では、例えば、ヒドロキノン、レゾルシノール、2,6-ジヒドロキシナフタレン、2,7-ジヒドロキシナフタレン、1,6-ジヒドロキシナフタレン、4,4’-ジヒドロキシビフェニル(または4,4’-ビフェノール)、3,3’-ジヒドロキシビフェニル、3,4’-ジヒドロキシビフェニル、4,4’-ジヒドロキシビフェニルエーテル、ビス(4-ヒドロキシフェニル)エタンなど、ならびにそれらのアルキル、アルコキシ、アリールおよびハロゲン置換物、ならびにそれらの組み合わせなどの芳香族ジオールから誘導された繰り返し単位が用いられ得る。特に適した芳香族ジオールとしては、例えば、ヒドロキノン(「HQ」)および4,4’-ビフェノール(「BP」)が挙げられ得る。用いられる場合、芳香族ジオール(例えば、HQおよび/またはBP)から誘導された繰り返し単位はそれぞれ、任意選択的に、ポリマーの約0.1mol%~約20mol%、いくつかの実施形態では約0.5mol%~約15mol%、いくつかの実施形態では約1mol%~約10mol%を構成し得る。
【0019】
[0022]芳香族アミド(例えば、アセトアミノフェン(「APAP」))および/または芳香族アミン(例えば、4-アミノフェノール(「AP」)、3-アミノフェノール、1,4-フェニレンジアミン、1,3-フェニレンジアミンなど)から誘導されたものなどの繰り返し単位も用いられ得る。用いられる場合、芳香族アミド(例えば、APAP)および/または芳香族アミン(例えば、AP)から誘導された繰り返し単位は、任意選択的に、ポリマーの約0.1mol%~約15mol%、いくつかの実施形態では約0.5mol%~約10mol%、いくつかの実施形態では約1mol%~約6mol%を構成し得る。様々な他のモノマー繰り返し単位がポリマーに組み込まれ得ることも理解されたい。例えば、ある特定の実施形態では、ポリマーは、脂肪族または脂環式ヒドロキシカルボン酸、ジカルボン酸、ジオール、アミド、アミンなどの非芳香族モノマーから誘導された1個以上の繰り返し単位を含有し得る。当然のことながら、他の実施形態では、ポリマーは、非芳香族(例えば、脂肪族または脂環式)モノマーから誘導された繰り返し単位を欠くという点で「全芳香族」であり得る。
【0020】
[0023]ある特定の実施形態では、液晶ポリマーは、NDA、HNA、またはそれらの組み合わせなどのナフテン系ヒドロキシカルボン酸およびナフテン系ジカルボン酸から誘導された比較的高含有量の繰り返し単位を含有する限りにおいて「高ナフテン系」ポリマーであり得る。すなわち、ナフテン系ヒドロキシカルボン酸および/またはジカルボン酸(例えば、NDA、HNA、またはHNAとNDAとの組み合わせ)から誘導された繰り返し単位の総量は、典型的には、ポリマーの約10mol%以上、いくつかの実施形態では約12mol%以上、いくつかの実施形態では約14mol%以上、いくつかの実施形態では約16mol%~約50mol%、いくつかの実施形態では約18mol%~約30mol%である。一実施形態では、例えば、HNAから誘導された繰り返し単位は、ポリマーの約10mol%~約30mol%、いくつかの実施形態では約12mol%~約26mol%、いくつかの実施形態では約15mol%~約30mol%を構成し得る。液晶ポリマーはまた、様々な他のモノマーを含有し得る。例えば、ポリマーは、HBAから誘導された繰り返し単位を、約60mol%~約90mol%、いくつかの実施形態では約64mol%~約88mol%、いくつかの実施形態では約70mol%~約85mol%の量で含有し得る。用いられる場合、HNAに対するHBAのモル比は、望ましい特性の達成を助けるための特定の範囲内、例えば、約0.5~約20、いくつかの実施形態では約1~約10、いくつかの実施形態では約2~約8、いくつかの実施形態では約3~約6で選択的に制御され得る。ポリマーはまた、芳香族ジカルボン酸(例えば、IAおよび/またはTA)を、約0.1mol%~約20mol%の量で、および/または芳香族ジオール(例えば、BPおよび/またはHQ)を、約0.2mol%~約10mol%、いくつかの実施形態では約0.5mol%~約5mol%の量で含有し得る。しかしながら、いくつかの場合では、望ましい特性の達成を助けるために、ポリマー中のそのようなモノマーの存在を最小限に抑えることが望ましくあり得る。例えば、芳香族ジカルボン酸(例えば、IAおよび/またはTA)の総量は、ポリマーの約20mol%以下、いくつかの実施形態では約15mol%以下、いくつかの実施形態では約10mol%以下、いくつかの実施形態では0mol%~約5mol%、いくつかの実施形態では0mol%~約2mol%であり得る。すべての場合に必要というわけではないが、多くの場合、ポリマーマトリックスのかなりの部分が、そのような高ナフテン系ポリマーから形成されることが望ましい。例えば、本明細書に記載されているような高ナフテン系ポリマーは、典型的には、ポリマーマトリックスの50wt.%以上、いくつかの実施形態では約65wt.%以上、いくつかの実施形態では約70wt.%~100wt.%、いくつかの実施形態では約80wt.%~100%(例えば、100wt.%)を構成している。
【0021】
B.無機フィラー粒子
[0024]ポリマー組成物はまた、一般に、ポリマーマトリックス内に分散され得る無機フィラー粒子を含有する。そのような粒子は、一般に、ポリマー組成物の約10wt.%~約40wt.%、いくつかの実施形態では約15wt.%~約38wt.%、いくつかの実施形態では約20wt.%~約35wt.%を構成している。典型的には、無機フィラー粒子は、組成物の機械強度、接着強度、および表面特性の改善を助ける特定の硬度値を有し、これは、組成物をカメラモジュールの小さなコンポーネントの形成に独自に適合させることができる。例えば、硬度値は、モース硬度スケールに基づいて、約2.0以上、いくつかの実施形態では約2.5以上、いくつかの実施形態では約3.0以上、いくつかの実施形態では約3.0~約11.0、いくつかの実施形態では約3.5~約11.0、いくつかの実施形態では約4.5~約6.5であり得る。
【0022】
[0025]一般に、タルク、マイカ、ハロイサイト、カオリナイト、イライト、モンモリロナイト、バーミキュライト、パリゴルスカイト、パイロフィライト、ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ウォラストナイトなどの天然および/または合成シリケート鉱物、スルフェート、カーボネート、ホスフェート、フッ化物、ボレートなどから形成されたものなどの様々な異なるタイプの無機フィラー粒子のいずれかが用いられ得る。炭酸カルシウム(CaCO、モース硬度3.0)、炭酸水酸化銅(CuCO(OH)、モース硬度4.0)、フッ化カルシウム(CaFl、モース硬度4.0)、ピロリン酸カルシウム((Ca、モース硬度5.0)、無水リン酸二カルシウム(CaHPO、モース硬度3.5)、水和リン酸アルミニウム(AlPO・2HO、モース硬度4.5)、ケイ酸アルミニウムカリウム(KAlSi、モース硬度6)、ケイ酸銅(CuSiO・HO、モース硬度5.0)、水酸化ホウケイ酸カルシウム(CaSiO(OH)、モース硬度3.5)、硫酸カルシウム(CaSO、モース硬度3.5)、硫酸バリウム(BaSO、モース硬度3~3.5)、マイカ(モース硬度2.5~5.3)など、ならびにそれらの組み合わせなどの望ましい硬度値を有する粒子が特に適している。例えば、マイカが特に適している。一般に、例えば、白雲母(KAl(AlSi)O10(OH))、黒雲母(K(Mg,Fe)(AlSi)O10(OH))、金雲母(KMg(AlSi)O10(OH))、レピドライト(K(Li,Al)2-3(AlSi)O10(OH))、海緑石(K,Na)(Al,Mg,Fe)(Si,Al)10(OH))などを含むいずれの形態のマイカも用いられ得る。白雲母ベースのマイカがポリマー組成物における使用に特に適している。
【0023】
[0026]特定の実施形態では、硫酸バリウムおよび/または硫酸カルシウム粒子などの無機フィラー粒子は、一般に本質的に顆粒状または結節状の形状を有し得る。そのような実施形態では、粒子は、(例えば、Horiba LA-960粒子サイズ分布分析装置を用いて)ISO13320:2020に従ったレーザー回折技術を使用して決定して、約0.1~約20マイクロメートル、いくつかの実施形態では約0.5~約18マイクロメートル、いくつかの実施形態では約1~約15マイクロメートル、いくつかの実施形態では約1.5~約10マイクロメートル、いくつかの実施形態では約2~約8マイクロメートルのメジアンサイズ(例えば、直径)を有し得る。他の実施形態では、約4以上、いくつかの実施形態では約8以上、いくつかの実施形態では約10~約500などの比較的高いアスペクト比(例えば、平均厚さで割った平均直径)を有するマイカ粒子などのフレーク状の鉱物粒子を用いることも望ましい場合がある。そのような実施形態では、粒子の平均直径は、例えば、約5マイクロメートル~約200マイクロメートル、いくつかの実施形態では約8マイクロメートル~約150マイクロメートル、いくつかの実施形態では約10マイクロメートル~約100マイクロメートルの範囲であり得る。平均厚さは、同様に、(例えば、Horiba LA-960粒子サイズ分布分析装置を用いて)ISO13320:2020に従ったレーザー回折技術を使用して決定して、約2マイクロメートル以下、いくつかの実施形態では約5ナノメートル~約1マイクロメートル、いくつかの実施形態では約20ナノメートル~約500ナノメートルであり得る。
【0024】
C.耐衝撃性改良剤
[0027]耐衝撃性改良剤はまた、ポリマー組成物中で、典型的には、ポリマー組成物の約0.1wt.%~約10wt.%、いくつかの実施形態では約0.4wt.%~約8wt.%、いくつかの実施形態では約0.8wt.%~約5wt.%の量で用いられる。ある特定の実施形態では、耐衝撃性改良剤は、1種以上のα-オレフィンから誘導されたオレフィン系モノマー単位を含有するポリマーであり得る。そのようなモノマーの例としては、2~20個の炭素原子、典型的には2~8個の炭素原子を有する線状および/または分岐状のα-オレフィンが挙げられる。具体例としては、エチレン、プロピレン、1-ブテン、3-メチル-1-ブテン、3,3-ジメチル-1-ブテン、1-ペンテン、1個以上のメチル、エチルまたはプロピル置換基を有する1-ペンテン、1個以上のメチル、エチルまたはプロピル置換基を有する1-ヘキセン、1個以上のメチル、エチルまたはプロピル置換基を有する1-ヘプテン、1個以上のメチル、エチルまたはプロピル置換基を有する1-オクテン、1個以上のメチル、エチルまたはプロピル置換基を有する1-ノネン、エチル、メチルまたはジメチル置換された1-デセン、1-ドデセン、およびスチレンが挙げられる。特に望ましいα-オレフィンモノマーは、エチレンおよびプロピレンである。オレフィンポリマーは、当技術分野で知られているような他のモノマー単位を含有するコポリマーの形態であり得る。例えば、別の適したモノマーとしては、アクリルおよびメタクリルモノマー、ならびにそれらの塩またはエステル、例えばアクリレートおよびメタクリレートモノマーを含む、「(メタ)アクリル」モノマーが挙げられ得る。そのような(メタ)アクリルモノマーの例としては、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n-プロピルアクリレート、i-プロピルアクリレート、n-ブチルアクリレート、s-ブチルアクリレート、i-ブチルアクリレート、t-ブチルアクリレート、n-アミルアクリレート、i-アミルアクリレート、イソボルニルアクリレート、n-ヘキシルアクリレート、2-エチルブチルアクリレート、2-エチルヘキシルアクリレート、n-オクチルアクリレート、n-デシルアクリレート、メチルシクロヘキシルアクリレート、シクロペンチルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、2-ヒドロキシエチルメタクリレート、n-プロピルメタクリレート、n-ブチルメタクリレート、i-プロピルメタクリレート、i-ブチルメタクリレート、n-アミルメタクリレート、n-ヘキシルメタクリレート、i-アミルメタクリレート、s-ブチルメタクリレート、t-ブチルメタクリレート、2-エチルブチルメタクリレート、メチルシクロヘキシルメタクリレート、シンナミルメタクリレート、クロチルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、シクロペンチルメタクリレート、2-エトキシエチルメタクリレート、イソボルニルメタクリレートなど、およびそれらの組み合わせが挙げられ得る。一実施形態では、例えば、耐衝撃性改良剤は、エチレンメタクリル酸コポリマー(「EMAC」)であり得る。用いられる場合、モノマー成分の相対的な割合は、選択的に制御され得る。α-オレフィンモノマーは、例えば、コポリマーの約55wt.%~約95wt.%、いくつかの実施形態では約60wt.%~約90wt.%、いくつかの実施形態では約65wt.%~約85wt.%を構成し得る。他のモノマー成分(例えば、(メタ)アクリルモノマー)は、コポリマーの約5wt.%~約35wt.%、いくつかの実施形態では約10wt.%~約32wt.%、いくつかの実施形態では約15wt.%~約30wt.%を構成し得る。
【0025】
[0028]他の適したオレフィンコポリマーは、分子1個当たり、平均して2個以上のエポキシ官能基を含有するという点で「エポキシ官能化」されたものであり得る。コポリマーはまた、エポキシ官能性モノマー単位を含有し得る。そのような単位の一例は、エポキシ官能性(メタ)アクリルモノマー成分である。例えば、適したエポキシ官能性(メタ)アクリルモノマーとしては、1,2-エポキシ基を含むもの、例えば、グリシジルアクリレートおよびグリシジルメタクリレートが挙げられ得るが、これらに限定されることはない。他の適したエポキシ官能性モノマーとしては、アリルグリシジルエーテル、グリシジルエチルアクリレート、およびグリシジルイトコネートが挙げられる。望ましい分子量の達成を助けるために、他の適したモノマーも用いられ得る。1つの特定の実施形態では、例えば、コポリマーは、エポキシ官能性(メタ)アクリルモノマー成分、α-オレフィンモノマー成分、および非エポキシ官能性(メタ)アクリルモノマー成分から形成されたターポリマーであり得る。コポリマーは、例えば、ポリ(エチレン-co-ブチルアクリレート-co-グリシジルメタクリレート)であり得る。用いられる場合、エポキシ官能性(メタ)アクリルモノマーは、典型的には、コポリマーの約1wt.%~約20wt.%、いくつかの実施形態では約2wt.%~約15wt.%、いくつかの実施形態では約3wt.%~約10wt.%を構成している。
【0026】
D.任意選択的な成分
i.電気伝導性フィラー
[0029]必要に応じて、ポリマー組成物が一般に本質的に静電気防止性であるように、電気伝導性フィラーが用いられ得る。より具体的には、ポリマー組成物は、かなりの量の電流が部品を通って流れないように、一般に本質的に静電気防止性を維持することを可能にする制御された抵抗率を呈し得るが、それにもかかわらず、必要に応じてめっきすべき組成物の能力を促進するのに十分な程度の静電散逸を呈する。表面抵抗率は、ASTM D257-14(技術的にはIEC62631-3-1と同等)に従って決定して、例えば、約1×1012Ω~約1×1018Ω、いくつかの実施形態では約1×1013Ω~約1×1018Ω、いくつかの実施形態では約1×1014Ω~約1×1017Ω、いくつかの実施形態では約1×1015Ω~約1×1017Ωの範囲であり得る。同様に、組成物はまた、ASTM D257-14(技術的にはIEC62631-3-1と同等)に従って約20℃の温度で決定して、約1×1010Ω・m~約1×1016Ω・m、いくつかの実施形態では約1×1011Ω・m~約1×1016Ω・m、いくつかの実施形態では約1×1012Ω・m~約1×1015Ω・m、いくつかの実施形態では約1×1013Ω・m~約1×1015Ω・mの体積抵抗率を呈し得る。
【0027】
[0030]望ましい程度の静電気防止挙動を達成するために望ましい抵抗率を有する単一の材料が選択されても、または得られるフィラーが望ましい抵抗率を有するように複数の材料が一緒にブレンドされてもよい(例えば、絶縁性および電気伝導性)。1つの特定の実施形態では、ASTM D257-14(技術的にはIEC62631-3-1と同等)に従って約20℃の温度で決定して、例えば、約1Ω・cm未満、いくつかの実施形態では約0.1Ω・cm未満、いくつかの実施形態では約1×10-8Ω・cm~約1×10-2Ω・cmの体積抵抗率を有する電気伝導性材料が用いられ得る。適した電気伝導性炭素材料としては、例えば、グラファイト、カーボンブラック、炭素繊維、グラフェン、カーボンナノチューブなどが挙げられ得る。他の適した電気伝導性フィラーとしては、同様に、金属(例えば、金属粒子、金属フレーク、金属繊維など)、イオン液体などが挙げられ得る。一実施形態では、例えば、静電気防止フィラーはイオン液体であり得る。そのような材料の1つの利点は、静電気防止剤であることに加えて、イオン液体が溶融加工の最中に液体形態でも存在し得ることであり、それによって、この材料をポリマーマトリックス内でより均一にブレンドすることが可能になる。これによって、電気的接続性が改善され、それによって、組成物がその表面から静電荷を急速に消散させる能力が向上する。イオン液体は、一般に、液晶ポリマーで溶融加工されたときに液体の形態であり得るように十分に低い溶融温度を有する塩である。例えば、イオン液体の溶融温度は、約400℃以下、いくつかの実施形態では約350℃以下、いくつかの実施形態では約1℃~約100℃、いくつかの実施形態では約5℃~約50℃であり得る。塩は、カチオン種および対イオンを含有する。カチオン種は、「カチオン中心」として少なくとも1個のヘテロ原子(例えば、窒素またはリン)を有する化合物を含有する。そのようなヘテロ原子化合物の例としては、例えば、以下の構造:
【0028】
【化2】
【0029】
[式中、R、R、R、R、R、R、R、およびRは、水素、置換または非置換のC~C10アルキル基(例えば、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、n-ペンチルなど)、置換または非置換のC~C14シクロアルキル基(例えば、アダマンチル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロオクチル、シクロヘキセニルなど)、置換または非置換のC~C10アルケニル基(例えば、エチレン、プロピレン、2-メチルプロピレン、ペンチレンなど)、置換または非置換のC~C10アルキニル基(例えば、エチニル、プロピニルなど)、置換または非置換のC~C10アルコキシ基(例えば、メトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、イソプロポキシ、n-ブトキシ、t-ブトキシ、sec-ブトキシ、n-ペントキシなど)、置換または非置換のアシルオキシ基(例えば、メタクリロキシ、メタクリロキシエチルなど)、置換または非置換のアリール基(例えば、フェニル)、置換または非置換のヘテロアリール基(例えば、ピリジル、フラニル、チエニル、チアゾリル、イソチアゾリル、トリアゾリル、イミダゾリル、イソオキサゾリル、ピロリル、ピラゾリル、ピリダジニル、ピリミジニル、キノリルなど)などからなる群から独立的に選択される]
を有する第4級オニウムが挙げられる。1つの特定の実施形態では、例えば、カチオン種は、構造N[式中、R、R、および/またはRは、独立的に、C~Cアルキル(例えば、メチル、エチル、ブチルなど)であり、Rは、水素またはC~Cアルキル基(例えば、メチルまたはエチル)である]を有するアンモニウム化合物であり得る。例えば、カチオン性成分は、R、R、およびRがブチルであり、Rがメチルである、トリブチルメチルアンモニウムであり得る。
【0030】
[0031]カチオン種についての適した対イオンとしては、例えば、ハロゲン(例えば、塩化物、臭化物、ヨウ化物など)、スルフェートまたはスルホネート(例えば、メチルスルフェート、エチルスルフェート、ブチルスルフェート、ヘキシルスルフェート、オクチルスルフェート、硫酸水素、メタンスルホネート、ドデシルベンゼンスルホネート、ドデシルスルフェート、トリフルオロメタンスルホネート、ヘプタデカフルオロオクタンスルホネート、ナトリウムドデシルエトキシスルフェートなど)、スルホスクシネート、アミド(例えば、ジシアンアミド)、イミド(例えば、ビス(ペンタフルオロエチルスルホニル)イミド、ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、ビス(トリフルオロメチル)イミドなど)、ボレート(例えば、テトラフルオロボレート、テトラシアノボレート、ビス[オキサラト]ボレート、ビス[サリチラト]ボレートなど)、ホスフェートまたはホスフィネート(例えば、ヘキサフルオロホスフェート、ジエチルホスフェート、ビス(ペンタフルオロエチル)ホスフィネート、トリス(ペンタフルオロエチル)トリフルオロホスフェート、トリス(ノナフルオロブチル)トリフルオロホスフェートなど)、アンチモネート(例えば、ヘキサフルオロアンチモネート)、アルミネート(例えば、テトラクロロアルミネート)、脂肪酸カルボキシレート(例えば、オレエート、イソステアレート、ペンタデカフルオロオクタノエートなど)、シアネート、アセテートなど、および前述のいずれかの組み合わせが挙げられ得る。液晶ポリマーとの相溶性の改善を助けるために、イミド、脂肪酸カルボキシレートなどの本質的に疎水性であることが一般的な対イオンを選択することが望ましい場合がある。特に適した疎水性対イオンとしては、例えば、ビス(ペンタフルオロエチルスルホニル)イミド、ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、およびビス(トリフルオロメチル)イミドが挙げられ得る。
【0031】
[0032]用いられる場合、電気伝導性フィラーは、ポリマー組成物の約0.1wt.%~約10wt.%、いくつかの実施形態では約0.2wt.%~約8wt.%、いくつかの実施形態では約0.5wt.%~約4wt.%を構成し得る。
【0032】
ii.金属水酸化物
[0033]一実施形態では、金属水酸化物もポリマーマトリックス内に分散され得る。用いられる場合、金属水酸化物は、例えば、ポリマー組成物の約0.01wt.%~約5wt.%、いくつかの実施形態では約0.05wt.%~約2wt.%、いくつかの実施形態では約0.1wt.%~約1wt.%を構成し得る。金属水酸化物は、典型的には、一般式M(OH)を有し、式中、0≦a≦3(例えば、3)およびb=(3-a)/2であり、式中、Mは、金属、例えば、遷移金属(例えば、銅)、アルカリ金属(例えば、カリウム、ナトリウムなど)、アルカリ土類金属(例えば、カルシウム、マグネシウムなど)、ポスト遷移群金属(post-transition group metal)(例えば、アルミニウム)などである。特に適した金属は、アルミニウムおよびマグネシウムを含む。理論によって制限されることを意図するものではないが、そのような化合物は、プロセス条件(例えば、高温)下で水を効果的に「失う」ことができ、それによって、溶融粘度の低下を補助し、ポリマー組成物の流れ特性を改善することができると考えられる。適した金属水酸化物の例としては、例えば、水酸化銅(II)(Cu(OH))、水酸化カリウム(KOH)、水酸化ナトリウム(NaOH)、水酸化マグネシウム(Mg(OH))、水酸化カルシウム(Ca(OH))、水酸化アルミニウム(Al(OH))などが挙げられ得る。金属水酸化物は、典型的には、粒子の形態である。1つの特定の実施形態では、例えば、金属水酸化物粒子は、水酸化アルミニウムを含み、任意選択的にギブサイト結晶相を呈する。粒子は、比較的小さなサイズ、例えば、約50ナノメートル~約3,000ナノメートル、いくつかの実施形態では約100ナノメートル~約2,000ナノメートル、いくつかの実施形態では約500ナノメートル~約1,500ナノメートルのメジアン径を有し得る。本明細書で使用される場合、「メジアン」径という用語は、粒子の50%がより小さなサイズを有する点である、粒子の「D50」サイズ分布を指す。粒子は、同様に、上述の範囲内のD90サイズ分布を有し得る。粒子の直径は、超遠心分離、レーザー回折などの公知の技術を使用して決定され得る。例えば、粒子サイズ分布は、ISO13320:2020に従ってレーザー回折で決定され得る。
【0033】
iii.ガラス繊維
[0034]本発明の1つの有益な態様は、得られる部品の寸法安定性に悪影響を与えることなく、良好な機械特性が達成され得ることである。この寸法安定性が維持されることを確実にすることを助けるために、一般に、ポリマー組成物がガラス繊維などの従来的な繊維状フィラーを実質的に含まないままであることが望ましい。したがって、たとえ用いられるとしても、ガラス繊維は、典型的には、ポリマー組成物の約10wt.%以下、いくつかの実施形態では約5wt.%以下、いくつかの実施形態では約0.001wt.%~約3wt.%を構成している。
【0034】
iv.エポキシ樹脂
[0035]ある特定の実施形態では、芳香族ポリマー(例えば、液晶ポリマーおよび半結晶性芳香族ポリエステル)のブレンドがポリマー組成物の形成の最中に一緒に反応する程度を最小限に抑えることを助けるためなどに、エポキシ樹脂も用いられ得る。用いられる場合、エポキシ樹脂は、ポリマー組成物の約0.01wt.%~約5wt.%、いくつかの実施形態では約0.1wt.%~約4wt.%、いくつかの実施形態では約0.3wt.%~約2wt.%を構成し得る。ある特定のエポキシ当量を有するエポキシ樹脂は、ポリマー組成物における使用に特に効果的であり得る。すなわち、エポキシ当量は、ASTM D1652-11e1に従って決定して、一般に、グラム当量当たり、約250~約1,500、いくつかの実施形態では約400~約1,000、いくつかの実施形態では約500~約800グラムである。エポキシ樹脂はまた、典型的には、分子1個当たり、平均して、少なくとも約1.3個、いくつかの実施形態では約1.6~約8個、いくつかの実施形態では約3~約5個のエポキシド基を含有する。エポキシ樹脂はまた、典型的には、ASTM D445-15に従って25℃の温度で決定して、約1センチポアズ~約25センチポアズ、いくつかの実施形態では2センチポアズ~約20センチポアズ、いくつかの実施形態では約5センチポアズ~約15センチポアズなどの比較的低い動粘度を有する。室温(25℃)では、エポキシ樹脂はまた、典型的には、約50℃~約120℃、いくつかの実施形態では約60℃~約110℃、いくつかの実施形態では約70℃~約100℃の融点を有する固体または半固体の材料である。
【0035】
[0036]エポキシ樹脂は、飽和または不飽和、線状または分岐状、脂肪族、脂環式、芳香族または複素環式であり得、オキシランとの反応を大きくは妨げない置換基を有し得る。適したエポキシ樹脂としては、例えば、エピクロロヒドリンと少なくとも1.5個の芳香族ヒドロキシル基を含有するヒドロキシル化合物とを任意選択的にアルカリ性反応条件下で反応させることによって調製されるグリシジルエーテル(例えば、ジグリシジルエーテル)が挙げられる。多官能性化合物が特に適している。例えば、エポキシ樹脂は、二価フェノールのジグリシジルエーテル、水素化された二価フェノールのジグリシジルエーテル、三価フェノールのトリグリシジルエーテル、水素化された三価フェノールのトリグリシジルエーテルなどであり得る。二価フェノールのジグリシジルエーテルは、例えば、エピハロヒドリンと二価フェノールとを反応させることによって形成され得る。適した二価フェノールの例としては、例えば、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン(「ビスフェノールA」)、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3-tert-ブチルフェニル)プロパン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)エタン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)イソブタン、ビス(2-ヒドロキシ-1-ナフチル)メタン、1,5-ジヒドロキシナフタレン、1,1-ビス(4-ヒドロキシ-3-アルキルフェニル)エタンなどが挙げられる。適した二価フェノールは、フェノールとホルムアルデヒドなどのアルデヒドとの反応からも得ることができる(「ビスフェノールF」)。そのような多官能性エポキシ樹脂の市販の例としては、Hexionから、862、828、826、825、1001、1002、1009、SU3、154、1031、1050、133、および165の名称で入手可能なEpon(商標)樹脂が挙げられ得る。他の適した多官能性エポキシ樹脂は、HuntsmanからAraldite(商標)(例えば、Araldite(商標)ECN1273およびAraldite(商標)ECN1299)という商品名で入手可能である。
【0036】
v.他の添加剤
[0037]滑剤、熱伝導性フィラー、顔料(例えば、カーボンブラック)、酸化防止剤、安定剤、界面活性剤、ワックス、難燃剤、滴下防止添加剤、核形成剤(例えば、窒化ホウ素)、ならびに特性および加工性を向上させるために添加される他の材料などの幅広い種類の追加的な添加剤もポリマー組成物に含まれ得る。例えば、実質的な分解なしで液晶ポリマーの加工条件に耐えることができる滑剤がポリマー組成物に用いられ得る。そのような滑剤の例としては、脂肪酸エステル、それらの塩、エステル、脂肪酸アミド、有機ホスフェートエステル、およびエンジニアリングプラスチック材料の加工において滑剤として一般に使用されるタイプの炭化水素ワックスが、それらの混合物を含め、挙げられる。適した脂肪酸は、典型的には、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキン酸、モンタン酸、オクタデシン酸(octadecinic acid)、パリン酸(parinric acid)などの、約12~約60個の炭素原子の骨格炭素鎖を有する。適したエステルとしては、脂肪酸エステル、脂肪族アルコールエステル、ワックスエステル、グリセロールエステル、グリコールエステル、および複合エステルが挙げられる。脂肪酸アミドは、脂肪第1級アミド、脂肪第2級アミド、メチレンおよびエチレンビスアミド、ならびにアルカノールアミド、例えば、パルミチン酸アミド、ステアリン酸アミド、オレイン酸アミド、N,N’-エチレンビスステアラミドなどを含む。ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウムなどの脂肪酸の金属塩;パラフィンワックス、ポリオレフィンワックスおよび酸化ポリオレフィンワックス、ならびにマイクロクリスタリンワックスを含む炭化水素ワックスも適している。特に適した滑剤は、ステアリン酸の酸、塩、またはアミド、例えば、ペンタエリトリトールテトラステアレート、ステアリン酸カルシウム、またはN,N’-エチレンビスステアラミドである。用いられる場合、滑剤は、典型的には、ポリマー組成物の約0.05wt.%~約1.5wt.%、いくつかの実施形態では約0.1wt.%~約0.5wt.%(重量)を構成している。
【0037】
II.形成
[0038]ポリマー組成物の成分は、溶融加工され得るか、または一緒にブレンドされ得る。これらの成分は、バレル(例えば、円筒形のバレル)内に回転可能に取り付けおよび収容された少なくとも1つのスクリューを含む押出機に個別にまたは組み合わせて供給することができ、供給セクションと、スクリューの長さに沿って供給セクションの下流に置かれている溶融セクションとを画定し得る。押出機は、単軸スクリュー押出機または二軸スクリュー押出機であり得る。スクリューの速度は、望ましい滞留時間、せん断速度、溶融加工温度などを達成するように選択され得る。例えば、スクリュー速度は、約50~約800回転毎分(「rpm」)、いくつかの実施形態では約70~約150rpm、いくつかの実施形態では約80~約120rpmの範囲であり得る。溶融ブレンディングの最中の見かけのせん断速度はまた、約100秒-1~約10,000秒-1、いくつかの実施形態では約500秒-1~約5000秒-1、いくつかの実施形態では約800秒-1~約1200秒-1の範囲であり得る。見かけのせん断速度は、4Q/πRに等しく、式中、Qは、ポリマー溶融物の体積流量(「m/s」)であり、Rは、溶融ポリマーが流れる毛細管(例えば、押出機ダイ)の半径(「m」)である。
【0038】
III.カメラモジュール
[0039]先に示されているように、本発明のポリマー組成物は、カメラモジュールにおける使用に特に良好に適している。典型的には、カメラモジュールは、1つ以上のレンズを含むレンズモジュールが位置しているハウジングを含む。しかしながら、カメラモジュールの特定の構成は、当業者に知られているように変更されてもよい。
【0039】
[0040]図1を参照すると、例えば、ハウジング内に含まれているレンズモジュール120を含むカメラモジュール100の一実施形態が示されており、レンズモジュール120は、レンズホルダ123に結合されたレンズバレル121を含む。レンズバレル121は、物体を撮像するための1つ以上のレンズが光軸方向1でレンズバレル121内に収容され得るように、中空略円筒形状を有し得る。レンズバレル121は、同様に略円筒形であり得る、レンズホルダ123内に設けられた中空キャビティに挿入されていてもよく、レンズバレル121およびレンズホルダ123は、締結具(例えば、ネジ)、接着剤などによって互いに結合されていてもよい。レンズバレル121を含むレンズモジュール120は、アクチュエータアセンブリ150によって(例えば、自動焦点合わせのために)光軸方向1で移動可能であり得る。図示されている実施形態では、例えば、アクチュエータアセンブリ150は、レンズモジュール120を光軸方向1で移動させるように構成された磁性体151およびコイル153を含み得る。磁性体151は、レンズホルダ123の片側に取り付けられていてもよく、コイル153は、磁性体151に面するように配設されていてもよい。コイル153は、基板155上に取り付けられていてもよく、基板155はまた、コイル153が磁性体151と面するようにハウジング130に取り付けられていてもよい。アクチュエータアセンブリ150は、基板155上に取り付けられており、かつ制御入力信号に応じてアクチュエータアセンブリ150を駆動するための信号(例えば、電流)を出力する、駆動デバイス160を含み得る。アクチュエータアセンブリ150は、信号を受信することができ、レンズモジュール120を光軸方向1で移動させる駆動力を発生させることができる。必要に応じて、ストッパー140も、光軸方向1におけるレンズモジュール120の移動距離を制限するためにハウジング130上に取り付けられていてもよい。さらに、シールドケース110も、ハウジング130の外面を囲むようにハウジング130に結合されていてもよく、このようにして、カメラモジュール100の駆動の最中に発生させられる電磁波を遮断することができる。
【0040】
[0041]アクチュエータアセンブリはまた、レンズモジュールの動きのガイドを助けるようにハウジングとレンズモジュールとの間に位置しているガイドユニットを含み得る。当技術分野で知られているように、ばね、ボールベアリング、静電気力発生器、液圧力発生器などの様々なガイドユニットのいずれかが用いられ得る。例えば、レンズモジュールに作用してこれを望ましい光軸方向にガイドする予荷重力を発生させるばねが用いられ得る。あるいは、図1に示されている実施形態に図示されているように、ボールベアリング170は、アクチュエータアセンブリ150のガイドユニットとして機能することができる。より具体的には、ボールベアリング170は、レンズホルダ123の外面およびハウジング130の内面に接触して、光軸方向1におけるレンズモジュール120の移動をガイドすることができる。すなわち、ボールベアリング170は、レンズホルダ123とハウジング130との間に配設されていてもよく、回転運動を通じて光軸方向におけるレンズモジュール120の移動をガイドすることができる。この目的のために、一般に、2個以上、いくつかの実施形態では3~20個、いくつかの実施形態では4~12個などの任意の数のボールベアリング170が用いられ得る。ボールベアリング170は、離間されていても、または互いに接触していてもよく、また、光軸方向1に垂直な方向に積層されていてもよい。ボールベアリング170のサイズは、当業者に知られているように変更されてもよい。例えば、ボールベアリングは、約800マイクロメートル以下、いくつかの実施形態では約600マイクロメートル以下、いくつかの実施形態では約400マイクロメートル以下、いくつかの実施形態では約50~約200マイクロメートルの平均サイズ(例えば、直径)を有し得る。
【0041】
[0042]注目すべきは、本発明のポリマー組成物が、カメラモジュールの様々な部品のいずれにも用いられ得ることである。再び図1を参照すると、例えば、ポリマー組成物は、アクチュエータアセンブリ150(例えば、磁性体151、ボールベアリング170など)、ハウジング130、レンズバレル121、レンズホルダ123、基板155、ストッパー140、シールドケース110、および/またはカメラモジュールのその他の部分のすべてまたは一部を形成するために使用され得る。例えば、光学的位置ずれを最小限に抑えることを助けるために、磁性体151、レンズバレル121および/またはレンズホルダ123に組成物を用いることが特に望ましい場合がある。
【0042】
[0043]望ましい部品は、これが使用される手法に関係なく、様々な異なる技術を使用して形成され得る。適した技術としては、例えば、射出成形、低圧射出成形、押出圧縮成形、ガス射出成形、発泡射出成形、低圧ガス射出成形、低圧発泡射出成形、ガス押出圧縮成形、発泡押出圧縮成形、押出成形、発泡押出成形、圧縮成形、発泡圧縮成形、ガス圧縮成形などが挙げられ得る。例えば、ポリマー組成物が射出され得る鋳型を含む射出成形システムが用いられ得る。ポリマーマトリックスが事前に凝固しないように、射出機内の時間が制御および最適化され得る。サイクル時間に達し、バレルが排出に向けて満ちたら、組成物を鋳型キャビティに射出するためにピストンが使用され得る。圧縮成形システムも用いられ得る。射出成形と同様に、望ましい物品へのポリマー組成物の成形も鋳型内で生じる。組成物は、自動ロボットアームによって拾い上げられることなどによる任意の公知の技術を使用して圧縮鋳型内に設置され得る。鋳型の温度は、凝固を可能にするのに望ましい期間にわたって、ポリマーマトリックスの凝固温度以上に維持され得る。次いで、成形される生成物は、これを溶融温度未満の温度にすることによって凝固され得る。得られた生成物は、離型され得る。各成形プロセスのサイクル時間は、十分な結合を達成し、全体的なプロセス生産性を向上させるように、ポリマーマトリックスに合わせて調整され得る。
【0043】
[0044]得られるカメラモジュールは、当技術分野で知られているように、幅広い種類の電子デバイス、例えば、ポータブル電子デバイス(例えば、携帯電話機、ポータブルコンピュータ、タブレット、時計など)、コンピュータ、テレビ、自動車部品などにおいて使用され得る。1つの特定の実施形態では、ポリマー組成物は、無線通信デバイス(例えば、携帯電話)において一般に用いられるものなどのカメラモジュールにおいて用いられ得る。図2~3を参照すると、例えば、カメラモジュール100を含む電子デバイス2(例えば、電話機)の一実施形態が示されている。図示されているように、カメラモジュール100のレンズは、外部の物体を撮像するために、開口部2bを通じて電子デバイス2の外部に露出されていてもよい。カメラモジュール100はまた、ユーザの選択に応じて制御動作を実施するために、特定用途向け集積回路2cに電気的に接続されていてもよい。
【0044】
試験方法
[0045]溶融粘度:溶融粘度(Pa・s)は、ISO試験番号11443:2014に従って、1,000s-1のせん断速度および溶融温度よりも15℃高い温度で、Dynisco LCR7001キャピラリーレオメーターを使用して決定され得る。レオメーターオリフィス(ダイ)は、直径1mm、長さ20mm、L/D比20.1、および入口角180°を有していた。バレルの直径は9.55mm+0.005mmであり、ロッドの長さは233.4mmであった。
【0045】
[0046]溶融温度:溶融温度(「Tm」)は、当技術分野で知られているように、示差走査熱量測定(「DSC」)によって決定され得る。溶融温度は、ISO試験番号11357-2:2020によって決定されるような示差走査熱量測定(DSC)のピーク溶融温度である。DSC手順では、TA Q2000装置において行われるDSC測定を使用して、ISO規格10350に述べられているように、サンプルを毎分20℃で加熱および冷却した。
【0046】
[0047]荷重たわみ温度(「DTUL」):荷重温度下でのたわみは、ISO試験番号75-2:2013(技術的にはASTM D648-18と同等)に従って決定され得る。より具体的には、長さ80mm、厚さ10mm、および幅4mmの試験片サンプルを、指定荷重(最大外部繊維応力)が1.8メガパスカルであるエッジワイズ三点曲げ試験に供することができる。試料をシリコーン油浴中に下げることができ、そこで、試料が0.25mm(ISO試験番号75-2:2013では0.32mm)たわむまで、毎分2℃で温度を上げる。
【0047】
[0048]引張弾性率、引張応力、および引張伸び:引張特性は、ISO試験番号527:2019(技術的にはASTM D638-14と同等)に従って試験され得る。弾性率および強度の測定は、長さ80mm、厚さ10mm、および幅4mmの同じ試験片サンプルについて行われ得る。試験温度は23℃であり得、試験速度は1または5mm/分であり得る。
【0048】
[0049]曲げ弾性率、曲げ応力、および曲げ伸び:曲げ特性は、ISO試験番号178:2019(技術的にはASTM D790-10と同等)に従って試験され得る。この試験は、64mmのサポートスパン(support span)で実施され得る。試験は、切断されていないISO3167多目的バーの中心部分において実行され得る。試験温度は23℃であり得、試験速度は2mm/分であり得る。
【0049】
[0050]シャルピー衝撃強度:シャルピー特性は、ISO試験番号ISO179-1:2010(技術的にはASTM D256-10、方法Bと同等)に従って試験され得る。この試験は、タイプ1の試料サイズ(長さ80mm、幅10mm、および厚さ4mm)を使用して実行され得る。ノッチ付き衝撃強度を試験する場合、ノッチは、タイプAノッチ(基部半径0.25mm)であり得る。試料は、単刃フライス盤を使用して多目的バーの中心から切断され得る。試験温度は23℃であり得る。
【0050】
[0051]平均線熱膨張係数(「CLTE」):この特性は、ISO11359-2:1999に従った熱機械分析によって測定され得る。分析の最中、試料を室温のサンプルステージ上に設置する。試料は、ISO294-4:2018に示されているようなISO引張バー(80mm×10mm×4mm)の中央から調製された5mm×5mm×4mmの部品である。サンプルステージ上に設置したら、試料の高さをプローブによって測定する。炉を下げ、温度を目的の最低温度まで下げる。試料を、熱記憶を除去するための第1の加熱、冷却サイクル、および分析のための第2の加熱によって、所望の温度範囲、すなわち、-45℃~200℃にわたって、指定された速度(例えば、毎分5℃)で加熱する。寸法変化(μm)が温度(℃)の関数としてプロットされているグラフを作成する。次いで、CLTEであるαを以下の方程式に従って決定する。
【0051】
α=ΔL/ΔT×1/L
[式中、
ΔT=200℃(T)- -45℃(T)=245℃、
ΔLは、2つの温度TおよびT間の試験試料の長さの変化であり、
は、測定軸(例えば、流れ方向または横断方向)における室温での試験試料の基準長さである。]
測定は、一般に、流れ方向に対して平行に、および/または流れ方向に対して横断して行われる。
【0052】
比較例1
[0052]53.2wt.%のLCP1、10wt.%のLCP2、2.5wt.%のカーボンブラック、4wt.%の耐衝撃性改良剤(12g/10分のメルトフローレート(190℃、2.16kg)を有するエチレン/N-ブチルアクリレート/グリシジルメタクリレートターポリマー)、30wt.%の硫酸バリウム粒子(3.6マイクロメートルのメジアン径(D50))、および0.3wt.%の滑剤を含有する比較サンプルを形成した。LCP1は、約43%のHBA、9%のTA、28%のHQ、および20%のNDAから形成されている。LCP2は、73%のHBAおよび27%のHNAから形成されている。
【0053】
比較例2
[0053]53.2wt.%のLCP3、10wt.%のLCP2、2.5wt.%のカーボンブラック、4wt.%の耐衝撃性改良剤(12g/10分のメルトフローレート(190℃、2.16kg)を有するエチレン/N-ブチルアクリレート/グリシジルメタクリレートターポリマー)、30wt.%の硫酸バリウム粒子(3.6マイクロメートルのメジアン径(D50))、および0.3wt.%の滑剤を含有する比較サンプルを形成した。LCP3は、約60%のHBA、13%のTA、12%のBP、8%のHQ、および7%のIAから形成されている。
【0054】
比較例3
[0054]55.6wt.%のLCP4、10wt.%のLCP2、2.5wt.%のカーボンブラック、1wt.%の耐衝撃性改良剤(12g/10分のメルトフローレート(190℃、2.16kg)を有するエチレン/N-ブチルアクリレート/グリシジルメタクリレートターポリマー)、30wt.%の硫酸バリウム粒子(3.6マイクロメートルのメジアン径(D50))、0.6wt.%のイオン液体(トリ-n-ブチルメチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド)、および0.3wt.%の滑剤を含有する比較サンプルを形成した。LCP4は、約60%のHBA、4%のHNA、18%のBP、および18%のTAから形成されている。
【0055】
実施例1
[0055]53.2wt.%のLCP5、10wt.%のLCP2、2.5wt.%のカーボンブラック、4wt.%の耐衝撃性改良剤(12g/10分のメルトフローレート(190℃、2.16kg)を有するエチレン/N-ブチルアクリレート/グリシジルメタクリレートターポリマー)、30wt.%の硫酸バリウム粒子(3.6マイクロメートルのメジアン径(D50))、および0.3wt.%の滑剤を含有するサンプルを形成した。LCP5は、約79%のHBA、20%のHNA、および1%のTAから形成されている。
【0056】
実施例2
[0056]55.6wt.%のLCP5、10wt.%のLCP2、2.5wt.%のカーボンブラック、1wt.%の耐衝撃性改良剤(12g/10分のメルトフローレート(190℃、2.16kg)を有するエチレン/N-ブチルアクリレート/グリシジルメタクリレートターポリマー)、30wt.%の硫酸バリウム粒子(3.6マイクロメートルのメジアン径(D50))、0.6wt.%のイオン液体(トリ-n-ブチルメチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド)、および0.3wt.%の滑剤を含有するサンプルを形成した。
【0057】
実施例3
[0057]54.6wt.%のLCP5、10wt.%のLCP2、2.5wt.%のカーボンブラック、2wt.%の耐衝撃性改良剤(12g/10分のメルトフローレート(190℃、2.16kg)を有するエチレン/N-ブチルアクリレート/グリシジルメタクリレートターポリマー)、30wt.%の硫酸バリウム粒子(3.6マイクロメートルのメジアン径(D50))、0.6wt.%のイオン液体(トリ-n-ブチルメチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド)、および0.3wt.%の滑剤を含有するサンプルを形成した。
【0058】
[0058]上述サンプルをISO引張バー(80mm×10mm×4mm)へと射出成形し、熱特性および機械特性を試験する。結果を以下の表1に示す。
【0059】
【表1】
【0060】
[0059]本発明のこれらおよび他の修正形態および変形形態は、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、当業者によって実践され得る。さらに、様々な実施形態の態様が全体的または部分的のどちらで交換されてもよいと理解されたい。さらに、当業者であれば、前述の説明は単なる例であり、そのような添付の特許請求の範囲にさらに記載されている本発明を限定することを意図していないと理解するであろう。
図1
図2
図3
【国際調査報告】