(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-21
(54)【発明の名称】認知症患者の腕固定装置
(51)【国際特許分類】
A61G 13/00 20060101AFI20240514BHJP
【FI】
A61G13/00 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023572115
(86)(22)【出願日】2022-05-31
(85)【翻訳文提出日】2023-11-20
(86)【国際出願番号】 KR2022007715
(87)【国際公開番号】W WO2022255767
(87)【国際公開日】2022-12-08
(31)【優先権主張番号】10-2021-0069673
(32)【優先日】2021-05-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】523438555
【氏名又は名称】ジョ ヒョンチョル
(74)【代理人】
【識別番号】100083138
【氏名又は名称】相田 伸二
(74)【代理人】
【識別番号】100189625
【氏名又は名称】鄭 元基
(74)【代理人】
【識別番号】100196139
【氏名又は名称】相田 京子
(74)【代理人】
【識別番号】100199004
【氏名又は名称】服部 洋
(72)【発明者】
【氏名】ジョ ヒョンチョル
【テーマコード(参考)】
4C341
【Fターム(参考)】
4C341MM02
4C341MM20
4C341MN20
4C341MS24
(57)【要約】
本発明の認知症患者の腕固定装置は、認知症患者が手を動かして注射針を抜く、自害、治療部位の損傷、排泄物接触など不注意な行動をすることを防止するように腕を保護し、ベッドフレームに固定することができるとともに、腕を直接縛らないため、腕に傷がつかず、着用が容易であり、分離および結合が自由であるため、手を管理することができ、風通しがよく、着用感および肌の保護に良く、行動が自由な腕固定装置を提供することに目的がある。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
管体形状で手と腕が収容される腕抑制部;および
先端は腕抑制部に連結され、中心部は肩と鎖骨、首を囲むように着用される肩着用部;を含み、
腕抑制部は、
上膊部を収容し、外周面に多数の通風孔が形成される上膊部;
上膊部に繋がって下膊および手を収容する下膊部;および
下膊部の内側面に密着して手を収容し、脱着方式で設けられる手保護部;をさらに含み、
上膊部は、
一端上面から三角筋に延びて形成され、所定角度回転される三角筋カバー端;
一端の枠が上膊部の一端上面および両側面に沿って取り付けられて三角筋カバー端を包むように形成され、他端の枠に沿って連結脱着部材が設けられて肩着用部に結合される肩連結端;および
一端は肩連結端に取り付けられ、他端は肩着用部に結合されるロック解除防止部材;を含み、
肩着用部は、
首着用口を中心として一側と他側を結合または分離する着用部材;
連結脱着部材に対応して結合される脱着固定部材;および
ロック解除防止部材に対応して結合される解除対応部材;を含む、認知症患者の腕固定装置。
【請求項2】
上膊部は、
脇の下の下面に取り付けられて肩を囲むように縛る肩固定バンド;をさらに含み、
肩固定バンドは、一側に設けられたバンド脱着部材;を含み、
肩固定バンドは、バンド脱着部材を結合させると1つの円状環で肩を縛り、バンド脱着部材を分離させると両側に分離されて肩の縛り状態を解除できることをさらに含む、請求項1に記載の認知症患者の腕固定装置。
【請求項3】
下膊部は、
中央の所定の位置から先端まで、上面、下面、両側面をそれぞれ覆うように、下膊上端、下膊下端、及び下膊側端に分割形成される下膊カバー端;および
下膊カバー端の外周面を囲むように下膊上端、下膊下端、および下膊側端を縛るが、両先端が分離されて着脱方式で結合される下膊開放バンド;をさらに含み、
下膊部から手保護部を脱去して下膊固定バンドを緩めると、下膊上端、下膊下端および下膊側端は下膊部の外表面の方向に曲がって、下膊部の先端の内部に収容される手首が露出するようにすることができることを特徴とする、請求項1に記載の認知症患者の腕固定装置。
【請求項4】
下膊部は、
外周面に対応する形状で外周面の所定区間を囲むように装着される固定ユニット;および
固定ユニットの一側に取り付けられ、ベッドフレームと下膊部とを結束するフレーム結束バンド;をさらに含み、
固定ユニットは、下膊部の外周面に沿って所定の区間を摺動できることを特徴とする、請求項1に記載の認知症患者の腕固定装置。
【請求項5】
肩着用部は、
三角筋に接する部位に貫通形成される腕貫通口;をさらに含む、請求項1に記載の認知症患者の腕固定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、認知症患者の腕固定装置に関し、認知症患者が手を動かして注射針を抜く、自害、治療部位の損傷、排泄物接触など不注意な行動をすることを防止するように腕を保護し、ベッドフレームに固定することができるとともに、腕を直接縛らないため、腕に傷がつかず、着用が容易であり、分離および結合が自由であるため、手を管理することができ、風通しがよく、着用感および肌の保護に良く、行動が自由な腕固定装置に関する。
【0002】
より詳細には、本発明の認知症患者の腕固定装置は、肩を包むように着用される肩着用部の両側端または一側端に四角形もしくは円状の管体で形成され、三角筋から上膊、下膊、手まで一字型に収容して部位別に結合および分離することのできる腕抑制部が設けられ、腕抑制部内で腕が所定の空間で動くことができ、上膊部に通風孔が形成されて腕が苦しくなく、痛みおよび傷の発生する心配がなく、腕抑制部の外側には下膊部の外周面を摺動しながらベッドフレームに縛ることのできる固定ユニットが設けられ、腕固定装置のフレームへの縛り付けが容易であり、手保護部は下膊部に脱着自在に構成され、手保護部を脱去すると、下膊部のバンドを緩めてカバーを曲げるように構成され、腕固定装置を取り外さなくても、手首と手が露出して血糖チェックなどの治療、検診行為を可能にする、患者保護および安全に加えて、治療の実用性も備えた認知症患者用の腕固定装置に関する。
【背景技術】
【0003】
認知症患者は、異常な判断により常識的なカテゴリーを外れた行動をしばしば起こしてしまい、保護者や医療従事者が困ることが発生するが、特に手足の動きは問題ないが、重症の認知症を患ったり、特定の精神疾患によって正しい判断ができない場合、手を使って自害したり、腕に付着した注射針や口に付着した呼吸器などを抜いてしまう場合もあり、自分の傷のある部位を掻いて傷がさらにひどくなったり、爛れてしまうこともあり、ひどい場合は、自分の排泄物に触ったり飲み込んだりするなどの行為をしてしまい、重度の認知症患者や精神疾患者の場合、病院、療養院、家庭などの保護施設では、上記患者の腕をベッドフレームに縛り付けて固定することが日常的になされている。
【0004】
これは患者を拘束して面倒な事を防止する次元ではなく、患者の円滑な治療と苦痛の軽減を図り、排泄物接触、傷の損傷など、患者の健康に直接の危害になり得ることを防止しようとする窮余の策として施行されている。
【0005】
それで、従来は腕を直接ベッドフレームに紐で結んだり、患者服の腕の部位に紐を付けてベッドフレームに縛る場合があったが、こうなると患者の腕に圧迫が加わって痛みを感じ、患者が苦しくなって抵抗が激しくなって動きが多くなり、そうすればするほど、傷がついて爛れるという悪循環が繰り返される大きな問題点を示すことになる。
【0006】
そのため、腕が挿入される管体の固定装置が開発されていたが、腕に密着して締め付けることで、腕が苦しく、空気が通らないため、皮膚に悪い影響を与え、座っているか歩行している時に固定装置が滑り落ちる不具合があり、手から採血して血糖チェックをしたり、手首に針を挿入しようとするときに固定装置を完全に取り外して、ベッドフレームに固定された状態を解除しなければならないため、血糖チェックや針を刺したり抜いたりするとき、患者の突然の動きや攻撃的な行動によって正常の診療ができないなどの様々な問題点を抱えている。
【0007】
それで、認知症患者などが危険な行動をしないように腕を保護しながらも、ベッドなどのフレームに縛ることもでき、または歩行時や座っている場合などでも滑り落ちないため、着用感がよく、腕が圧迫されず、痛むことや苦しむことなく円滑に縛ることができ、腕が固定された状態で血糖チェックなどの診療行為も円滑に行なうことができ、患者の保護と安全を守りながら患者が気楽に生活できる腕固定装置が必要な実情である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】韓国登録特許公報10-1446763
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上記従来技術上の諸問題に鑑みて、これを解決するために創出されたものであり、肩を包むように着用される肩着用部の両側端または一側端に四角形もしくは円状の管体で形成され、三角筋から上膊、下膊、手まで一字型に収容して部位別に結合および分離できる腕抑制部が設けられ、腕抑制部内で腕が所定の空間動くことができ、上膊部に通風孔が形成されて腕が苦しくなく、痛みおよび傷付く心配がなく、腕抑制部の外側には下膊部の外周面を摺動しながらベッドフレームに縛ることのできる固定ユニットが設けられ、腕固定装置のフレームへの縛り付けが容易であり、手保護部は下膊部に脱着自在に構成され、手保護部を脱去すると、下膊部のバンドを緩めてカバーを曲げるように構成され、腕固定装置を取り外さなくても、手首と手が露出されて血糖チェックなどの治療、検診行為を可能にすることで、認知症患者が手を動かして注射針を抜く、自害、治療部位の損傷、排泄物接触など不注意な行動をすることを防止するように腕を保護し、ベッドフレームに固定することができるとともに、腕を直接縛らないため、腕に傷がつかず、風通しがよく、着用感および肌の保護に良く、患者保護および安全はもちろん、治療の実用性も備えた認知症患者の腕固定装置を提供することにその目的がある。
【0010】
本発明の上記目的といくつかの利点は、当技術分野の当業者によって本発明の好ましい実施形態からより明らかになる。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は上記目的を達成するためのものであり、
本発明の実施形態による認知症患者の腕固定装置は、管体状に手と腕が収容される腕抑制部;および先端は腕抑制部に連結され、中心部は肩と鎖骨、首を包むように着用される肩着用部;を含み、腕抑制部は、上膊を収容して外周面に多数の通風孔が形成される上膊部;上膊部に繋がって下膊および手を収容する下膊部;および下膊部の内側面に密着して手を収容し、脱着方式で設けられる手保護部;をさらに含み、上膊部は、一端の上面から三角筋に延びて形成され、所定の角度回転が行われる三角筋カバー端;一端の枠が上膊部の一端上面および両側面に沿って取り付けられて三角筋カバー端を囲むように形成され、他端の枠に沿って連結脱着部材が設けられて肩着用部に結合される肩連結端;および一端は肩連結端に取り付けられ、他端は肩着用部に結合されるロック解除防止部材;を含み、肩着用部は、首着用口を中心として一側と他側を結合または分離する着用部材;連結脱着部材に対応して結合される脱着固定部材;およびロック解除防止部材に対応して連結される解除対応部材;を含むことを特徴とする。
【0012】
一実施形態によれば、上膊部は、脇の下の下面に取り付けられ、肩を包みながら縛る肩固定バンド;をさらに含み、肩固定バンドは一側に設けられるバンド脱着部材;を含み、肩固定バンドは、バンド脱着部材を結合させると、1つの円状環で肩を縛り、バンド脱着部材を分離すれば両側に分離されて肩の縛り状態を解除できることをさらに含む。
【0013】
一実施形態によれば、下膊部は、中央の所定の位置から先端まで上面、下面、両側面をそれぞれ覆うように、下膊上端、下膊下端、および下膊側端に分割形成される下膊カバー端;および下膊カバー端の外周面を包み、下膊上端、下膊下端、および下膊側端を縛りながら、両先端が分離されて着脱方式で結合される下膊開放バンド;をさらに含み、下膊部から手保護部を脱去して下膊固定バンドを解すと、下膊上端、下膊下端、および下膊側端は、下膊部の外表面の方向に曲がり、下膊部の先端の内部に収容された手首が露出することを特徴とする。
【0014】
一実施形態によれば、下膊部は、外周面に対応する形状に外周面の所定の区間を包むように取り付けられる固定ユニット;および固定ユニットの一側に取り付けられてベッドフレームと下膊部とを結束するフレーム結束バンド;をさらに含み、固定ユニットは、下膊部の外周面に沿って所定の区間摺動できることを特徴とする。
【0015】
一実施形態によれば、肩着用部は、三角筋に接する部位に通孔形成される腕貫通口;をさらに含む。
【0016】
その他の実施形態の具体的な事項は、詳細な説明および図面に含まれている。
【発明の効果】
【0017】
本発明の認知症患者の腕固定装置によれば、次の効果を得ることができる。
第一に、腕と手を直接的に圧迫せず、所定の空間で円滑に動かすことができるようにし、痛みを与えないと同時に腕と手をベッドフレームなどに縛って安全に抑えることができる。
【0018】
第二に、腕をフレームに縛らない場合でも、腕固定装置の先端に手保護部が装着されており、手を利用した自害、傷の損傷、排泄物の接触などを遮断することができる。
【0019】
第三に、手保護部は脱着方式で容易に分離かつ結合することができ、腕が収容される上膊部および下膊部をベッドフレームに固定した状態で手保護部のみ脱去すれば、手が露出して血糖チェックなどの診療行為が可能であり、必要な場合、下膊部だけを曲げてさらに開放することができるため、腕の固定状態でより多様な診療行為を安全に行うことができる。
【0020】
第四に、腕抑制部は管体であって、腕と手を収容して危険行為を防止するとともに、肩に着用される肩着用部に連結されて垂れ落ちないため、ベッドに縛りつけて固定されるだけでなく、座ったり歩いたりするときにも着用し続けることができ、肩の回転が自由であるため、活動性に優れる。
【0021】
第五に、肩着用部は、肩にかけてボタンを閉め、ファスナーをロックする簡単な動作で着用が行われ、簡単に着用と脱衣が可能であり、便利に使用することができる。
【0022】
第六に、腕抑制部は肩着用部の一側にのみ設けられてもよく、この場合、肩着用部の他側には腕貫通口が形成され、肩を挟んで便利に着用することで簡単に使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本発明の一実施形態に係る認知症患者の腕固定装置の着用斜視図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係る腕抑制部の斜視図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係る腕抑制部の手保護部の分離した姿を示した斜視図である。
【
図4】本発明の一実施形態に係る肩着用部の上面図である。
【
図5】本発明の他の実施形態に係る肩着用部とその着用斜視図である。
【
図6】本発明のまた他の実施形態に係る腕抑制部の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明を十分に理解するために、本発明の好ましい実施形態を添付の図面を参照して、より詳細に説明する。
【0025】
本発明の説明に先立って、以下の特定の構造乃至機能的説明は、単に本発明の概念による実施形態を説明するための目的で例示されており、本発明の概念による実施形態は様々な形態に変形して実施されてもよく、本発明の範囲は、以下で詳細に説明する実施形態に限定されるものと解釈されてはならない。
【0026】
また、本発明の概念による実施形態は様々な変更を加えることができ、様々な形態を有することができるため、特定の実施形態は図面に例示し、本明細書にて詳細に説明しようとする。
【0027】
しかしながら、これは、本発明の概念による実施形態を特定の開示形態に限定することを意図するものではなく、本発明の思想および技術の範囲に含まれる変更物、均等物ないし代替物を含むものと理解すべきである。
【0028】
本実施形態は、当業界において平均的な知識を有する者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。したがって、図面における要素の形状などは、より明確な説明を強調するために誇張して表現することがある。
【0029】
各図において同一部材は同一参照符号で示される場合があることに留意されたい。 本発明の要旨を不要に曖昧にすることがあると判断される公知の機能及び構成に関する詳細な記述は省略する。
【0030】
図1は、本発明の一実施形態に係る認知症患者の腕固定装置の着用斜視図であり、
図2は、本発明の一実施形態に係る腕抑制部の斜視図であり、
図3は、本発明の一実施形態に係る腕抑制部の手保護部を分離した姿を示した斜視図であり、
図4は、本発明の一実施形態による肩着用部の上面図であり、
図5は、本発明の他の実施形態による肩着用部とその着用斜視図であり、
図6は、本発明のまた他の実施形態による腕抑制部の斜視図である。
【0031】
本発明の腕固定装置は、認知症患者を例示として説明しているが、これは認知症患者に限られた用途ではなく、腕と手を任意に使用して患者本人の健康及び治療に危険状況をもたらし得る全ての場合に対して、療養院 、病院、家庭で使用することができるものであり、認知症患者を始めとして、例えば精神疾患者、苦痛を伴う患者の治療時の腕の固定などを含めて、腕を安定的に固定しながら、腕と手に何らかの傷や圧迫が加わらないようにすることで、患者が患っている病気や置かれている環境において追加の危険因子が発生しないようにするために発明された腕固定装置を包括するものである。
【0032】
本発明の好ましい実施形態による認知症患者の腕固定装置10は、腕抑制部100と肩着用部200とを含む。
【0033】
腕抑制部100は、腕と手を収容する管体として形成され、腕抑制部100内に腕と手がある程度動ける所定の空間を提供し、腕と手を圧迫しないように構成され、本発明の一実施形態として、四角形の断面を有する六面体として形成されてもよい。
【0034】
この状態で、腕抑制部100の外側に腕抑制部100をベッドフレーム等に固定できる固定部材が設けられ、患者の腕を縛って固定された状態を成すようにしながらも、患者の腕と手にはいかなる圧迫や痛みも加えないように形成される。
【0035】
肩着用部200は、腕抑制部100に連結され、肩に着用される部材であり、両腕と手に腕抑制部100が着用されると、それぞれの腕抑制部100の一端に肩着用部200の両側の先端が連結されて、肩から鎖骨、首を包むように着用することができ、患者は腕抑制部100が垂れ落ちることなく快適な着用状態を保つことができ、ベッドフレームに縛られていない状態でも腕と手が保護され、日常生活を営むことができる。
【0036】
以下では、腕抑制部100と肩着用部200の構成および機能について詳細に説明する。
【0037】
腕抑制部100は、本発明の一実施形態として、上膊部110、下膊部120、および手保護部130を含む。
【0038】
上膊部110は、腕部位のうち上膊部を収容し、外周面に多数の通風孔111が通孔形成され、腕抑制部100の内部と外部の空気の通風を円滑にして腕抑制部100内側に収容された腕と手が快適さを感じるようにし、病菌の繁殖などによる皮膚疾患を予防することができるようにする。
【0039】
上膊部110は、肩着用部200に連結される部位であり、腕抑制部100が肩着用部200に結合固定できる機能をする。
【0040】
上膊部110は、このために、三角筋カバー端112、肩連結端113、ロック解除防止部材114、肩固定バンド115を含んで構成される。
【0041】
三角筋カバー端112は、上膊部110の上面一端、すなわち肩着用部200に連結される部位の上面が肩方向に延びて三角筋を覆う形状の板状の一面で形成されてもよく、三角筋カバー端112は、延長接合部位を基準にして上下に所定の角度回転することができ、腕抑制部100を着用した状態で肩を上げると、肩が曲がることにより、上膊部110本体は腕に固定された状態で三角筋カバー端112の延長部位のみ回転されるため、三角筋が保護されると同時に腕の動きが自由になるように機能をすることができる。
【0042】
肩連結端113は、一端の枠が上膊部110の一端上面と両側面に沿って取り付けられ、三角筋カバー端112を包みながら肩部位に囲むように形成され、肩連結端113の他端の枠に沿って連結脱着部材113aが備えられて肩着用部200に結合される。
【0043】
肩連結端113は、好ましい実施形態として、丈夫かつ柔らかい織物の材質で設けられ、着用及び活動しやすくすることができ、連結脱着部材113aは肩着用部200の脱着固定部材240と結合及び解除が可能なため、腕抑制部100と肩着用部200との結合状態が維持され、簡単に分離することができる。
【0044】
連結脱着部材113a及び脱着固定部材240は、本発明の一実施形態としてファスナーで形成されてもよく、着脱が円滑で結合状態が堅固に維持される限り、着脱部材の種類に制限はなく、ボタンおよび孔、スナップボタン、ベルクロなどがさまざまに使用され得る。
【0045】
また、肩連結端113にはロック解除防止部材114が設けられ、肩着用部200の解除対応部材230と結合することができるが、ロック解除防止部材114の一端は肩連結端113の所定の位置に取り付けられ、他端は肩着用部200の解除対応部材230に結合されることで、連結脱着部材113aを横切って肩連結端113と肩着用部200とを結合させ、連結脱着部材113aによる結合に加え、結合力をさらに増加させることができる。
【0046】
したがって、連結脱着部材113aとしてのファスナーが腕及び肩の頻繁な動きによって結合状態が維持できずに緩む場合に備えて、ファスナーの結合力が維持されるようにロック解除防止部材114が補完すると同時に、ロック解除防止部材114自体が肩連結端113と肩着用部200との結合状態を強固にすることができる。
【0047】
ロック解除防止部材114は、
図1に示すように、肩の前面部に取り付けてもよく、または
図4に示すように、肩の後面部に取り付けてもよく、結合状態を強固にすることができ、行動に制約がない限り、その位置に制限はなく、またその数にも制限はなく、肩連結端113と肩着用部200の結合部位に沿って多数のロック解除防止部材114が備えられてもよい。
【0048】
本発明の一実施形態として、ロック解除防止部材114は、ボタンおよびボタンに結合された紐状の織物または革素材の組み合わせからなってもよく、解除対応部材230もボタンの形で設けられてもよいが、他にも、紐状のフックと肩連結端113に固定されたループのベルクロ組み合わせで形成されてもよく、この場合、解除対応部材230もベルクロループの形状で設けられてもよいが、ロック解除防止部材114および解除対応部材230も、結合力に優れ、着脱が円滑に行われる限り、その種類に制限はない。
【0049】
そして、腕抑制部100には、上述した連結脱着部材113a及びロック解除防止部材114に加えて、腕抑制部100の堅固な結合状態を補うために、肩固定バンド115がさらに構成されてもよい。
【0050】
肩固定バンド115は、上膊部110の一端下面に取り付けられて肩を包むように縛る着脱方式の環状に設けられてもよく、腕抑制部100を着用して肩固定バンド115をかけて着用すると、肩固定バンド115が上膊部110の下面、すなわち脇の下の部位から始まって、肩と首の間を包んだ後、再び脇の下の部位につながる形状となり、まるでバッグを背負ったときの肩紐のような機能をすることになる。
【0051】
肩固定バンド115は、2本の紐が構成された形態で、織物、革を含む紐状に備えられた全ての材質を用いることができ、各紐の一端は上膊部110の下面に取り付けて固定された状態であり、各紐の他端が肩を包むようにして当接して相互結合されるが、前記結合される各他端には着脱方式のバンド脱着部材115aがそれぞれ設けられて他端同士が当接してバンド脱着部材115aが結合されて2つの紐を結合させることができ、これにより、1つの円状の環を形成しながら肩を縛り、バンド脱着部材115aを分離させると、両側に分離されて肩の縛り状態を解除することができるようになる。
【0052】
このとき、肩着用部200の両側上面、すなわち首着用口210の両側にはバンド肩章260がそれぞれ設けられ、肩固定バンド115がバンド肩章260の内側面を通過しながら着用が行われた後、バンド脱着部材115aで結合されることができるため、肩固定バンド115を着用した後、垂れ落ちることを防止する機能をすることができる。
【0053】
バンド肩章260は、本発明の一実施形態として肩章の形態で設けられているが、肩固定バンド115の垂れ落ちを防止する機能を果たすことができる限り、その形態に制限はなく、したがって、例えば、前記バンド肩章260が取り付けられる位置にスナップボタンの雌ボタンが設けられ、肩固定バンド115にそれに対応するスナップ雄ボタンが設けられた形態であってもよく、またはベルクロのループとフックが肩着用部200と肩固定バンド115とに分離して設けられ、ベルクロ結合により垂れ落ちることを防止する機能をすることもできる。
【0054】
バンド脱着部材115aは、本発明の好ましい実施形態としてバックルで設けられてもよく、肩固定バンド115の一側バンドには雌バックルが設けられ、他側バンドには雄バックルが設けられ、雄バックルが雌バックルに嵌め込まれて互いに結合され、雌バックルの所定の部位を押して雄バックルを分離することができ、一側バンドは、雌バックルに長さ調節できる方式で結合されることができるため、肩固定バンド115を着用する際にバンド脱着部材115aを結合させて肩に結束させた後、肩に密着して堅固に支持できるように肩固定バンド115の長さを合わせて調節することができる。
【0055】
これにより、上述した連結脱着部材113a、ロック解除防止部材114及び肩固定バンド115は、腕抑制部100を身体に固定する機能を果たすことになり、連結脱着部材113a及びロック解除防止部材114は、肩連結端113と肩着用部200を連結して固定しながら腕抑制部100を支持し、肩固定バンド115は、上膊部110に連結された状態で、肩に巻くことにより腕抑制部100を支持する機能を果たすことになる。
【0056】
ロック解除防止部材114と肩固定バンド115は、少なくともいずれか1つ以上が適用されてもよく、場合によっては、連結脱着部材113aのみから構成された形態で腕抑制部100が支持されることができるため、本発明の使用環境と腕抑制部100及び肩着用部200の材質などにより多様に活用されることができる。
【0057】
上膊部110が上膊部位を保護し、肩に連結されて固定する機能をするとしたら、下膊部120は上膊部110に繋がって下膊部位を収容して保護し、ベッドフレームに腕抑制部100を結束する機能をしながら、結束位置を調節することができ、手を露出させて血糖チェックなどを行うようにすることができる。
【0058】
下膊部120は、このために、下膊カバー端121、下膊開放バンド122、および固定ユニット123を含む。
【0059】
下膊カバー端121は、下膊上端121a、下膊下端121b、及び下膊側端121cに分割形成され、下膊カバー端121の中央の所定の位置から手保護部方向の先端まで、上面、下面および両側面をそれぞれ覆うように構成されて四角形の断面の管体を形成することができ、下膊上端121a、下膊下端121b及び下膊側端121cは、下膊部120の外表面の方向に曲げることができる。
【0060】
そして、下膊開放バンド122が下膊カバー端121に設けられ、下膊上端121a、下膊下端121b、および下膊側端121cの外周面を囲い、これにより、下膊上端121a、下膊下端121b及び下膊側端121cが四角形の断面の管体形状を保つことになるが、下膊開放バンド122の一側は、下膊カバー端121の所定の位置に固定して取り付けられた状態で、両先端は着脱方式で結合および分離できる構造で形成される。
【0061】
下膊開放バンド122は、本発明の好ましい実施形態として所定の幅を有する直線状のバンドで形成されるが、下膊開放バンド122の中心は、下膊下端121bの外側面に固定して取り付けられた状態で設けられ、下膊カバー端121が手保護部の方向に広がって集められた状態で、下膊開放バンド122が下膊カバー端121を包みながらかけることになり、この状態で、下膊開放バンド122の両先端を結合させると、下膊上端121a、下膊下端121b、及び下膊側端121cを結んで下膊カバー端121の管体形状を維持させる。
【0062】
下膊開放バンド122の両先端の結合部位には着脱方式の種々の部材が用いられてもよく、好ましくはベルクロ部材で形成されることができ、下膊開放バンド122の一端にはフックが、他端にはループが形成され、ベルクロによる着脱結合および分離が行われることができる。
【0063】
下膊開放バンド122の結合部位を分離してバンドを広げると、下膊上端121a、下膊下端121b及び下膊側端121cの固定状態が解除されてそれぞれ曲げられるようになるが、このためには、まず、手保護部130を下膊部120から分離することが先行されなければならない。
【0064】
手保護部130は、下膊部120の内側面に密着して手を収容する形状に設けられるが、手保護部130は、下膊部120の内周面に対応して密着する形状で内挿され、手保護部130と重なるように設けられた後、患者に着用されることができる。
【0065】
下膊部120の先端の内側は、患者の手が当たる部位であって、患者が下膊部120の内側を掻いて傷つけることがあり得るため、このとき、手保護部130のみ取り替えできるように、下膊部120の内側面に着脱方式で備えると、患者の手が手保護部130に触れることになっても、手保護部130は硬くて柔らかい材質で形成されるため、患者の手を保護し、手保護部130が損傷すると手保護部130のみ取り替えて装着できるため、下膊部120の先端内側の損傷により、腕抑制部100の全体を交替する非効率性を防止することができる。
【0066】
下膊部120に着脱方式で結合または分離されてもよく、例えば、手保護部130の枠は凹凸形成され、これに対応する下膊部120の枠は凹溝形成されて相互着脱結合されてもよく、さらに手保護部130の枠の所定の位置には凹溝が形成され、これに対向する下膊部120の枠には、前記凹溝に嵌め合う突起が形成されて着脱結合できる。
【0067】
上述したように、好ましくは、手保護部130が下膊部120の内側に挿入された形態で嵌めて装着されれば、枠間の結合がスムーズに行われることができ、患者が任意で取り抜くことを防ぐことができるが、手保護部130と下膊部120との着脱構造及び結合関係を阻害しない限り、その方式に制限はなく、上述したように、手保護部130が下膊部120に内挿される形態であってもよいが、逆に下膊部 120が手保護部130に内挿された形態であってもよく、または、手保護部130と下膊部120とが互いに正確に枠が水平をなして結合されてもよい。
【0068】
手保護部130の前面は開放された形態で形成されることが好ましく、これにより、腕抑制部100内の通風効果が良く、手の状態を確認することができるが、患者の中では爪で手保護部130を掻いて手に傷がついたり、手保護部130が破損したりすることがしばしばあり、このような場合、手の状態を容易に確認することができ、必要なとき、手の治療と手保護部130の取り替えに有用に使用されることができる。
【0069】
固定ユニット123は、下膊部120の外周面に対応する形状で両断面が開放された六面体形状であり、外周面の所定区間を包んで装着されることができる。
【0070】
固定ユニット123は、下膊部120を収容して密着形成されるが、下膊部120を収容した状態で、下膊部120の外周面に沿って摺動可能に結合される。
【0071】
固定ユニット123の一側には、フレーム結束バンド123aが取り付けられてベッドフレームに結束されることができるが、フレーム結束バンド123aは本発明の一実施形態として両分岐の紐が固定ユニット123の一側の一地点にそれぞれの一端が集められたまま取り付けられ、両分岐に分かれたフレーム結束バンド123aの両先端がベッドフレームを包んだ後に当接して、互いに結ばれて固定ユニット123とベッドフレームを固定して結束することになるが、これにより腕抑制部100の全体をベッドフレームに固定して結合させることができるようになる。
【0072】
このとき、固定ユニット123は、下膊部120に沿って所定の区間移動することができるため、ベッドフレームにフレーム結束バンド123aを結束する適正の位置に合わせて固定ユニット123を移動させた後、結ぶ作業を行うことができ、これにより、ベッドフレームの結束位置に合わせて患者の横たわる位置を変更するか、あるいはフレーム結束バンド123aの長さを必要以上に長くする必要がなく、固定ユニット123とベッドフレームが最短距離で結ばれることができるため、短く、しっかりと結束することができ、ベッドフレームと腕抑制部100との間が緩くならず、固定効果が高いという利点を有することができる。
【0073】
手保護部130は、下膊部120から繋がって手を収容することになるが、上述したように、手保護部130と下膊部120とは着脱方式で結合することができ、手保護部130を分離した後、下膊開放バンド122を緩めてから下膊カバー端121を曲げると、手と手首が露出されるが、これは、腕抑制部100が固定ユニット123によってベッドフレームに縛られた状態を維持しながら手および手首だけが露出するため、患者の抵抗や突発行動を適切に阻止しながら、安全に血糖チェックなどの診療および治療を進めることができる特徴となり得る。
【0074】
患者、特に認知症患者または精神疾患者の場合、過敏反応により手保護部130内に収容された手を動かして爪で手保護部130の内部を掻いたり、傷つけたりすることがしばしばあるが、手保護部130は下膊部120に着脱方式で結合されるため、このように損傷した手保護部130は取り替えが可能であり、掻く行為による爪などの手のケガを防止するため、手保護部130の内部はウレタン、ゴム、織物などの爪で掻いてもケガをしない、柔らかくて硬い、安全な材質で形成されることが好ましい。
【0075】
このように、腕抑制部100は、上膊部110、下膊部120及び手保護部130が肩の結合部位の上膊部から手先まで順に連続して形成され、外部から見るには四角形の断面を有する一体型に観測されることができるが、ただし固定ユニット123が下膊部の外周面に四角形状の端を形成し、腕抑制部100に囲むように装着された形状を有することとなる。
【0076】
腕抑制部100の材質は、ハードボード紙や段ボール類を含む紙の材質、軽量の合板など木材の材質、そしてウレタンなど様々な材質で形成されてもよく、軽い同時に頑丈で硬く、健康に有害ではない材質で形成されることが好ましく、本発明の機能及び構造を阻害しない限り、その材質の種類に制限はない。
【0077】
肩着用部200は、先端は腕抑制部100に連結して結合され、中心部は肩と鎖骨、首を囲むように着用されることができ、中心部には首着用口210が形成されて首を嵌めて着用でき、首着用口210を中心に両側に広がって長方形のショール状に設けられる。
【0078】
首着用口210の前面又は後面の少なくとも1箇所以上には、首着用口210を中心に肩着用部200の一側と他側を結合又は分離する着用部材220が備えられ、着用部材220を分離して首着用口210に首を着用した後、着用部材220を結合させて肩着用部200を肩と首に着用完了することができる。
【0079】
着用部材220は、本発明の好ましい実施形態としてボタンまたはファスナーで構成されることができ、これにより肩着用部200の着用は、シャツやジャンパーを着るのと同様の手順で簡単に行うことができ、他の着用部材220の種類としては、ベルクロなどが用いられ得るが、衣類に取り付けられて容易に着脱できるものであれば、その種類に制限はない。
【0080】
このとき、本発明の一実施形態として、腕抑制部100は肩着用部200の両端に結合され、患者の両腕ともに保護して固定する機能をすることができ、本発明の他の実施形態として腕抑制部100は、肩着用部200の一端のみに結合され、片腕だけを保護及び固定する機能をしてもよい。
【0081】
肩着用部200は、上述したように、腕抑制部100と結合されるための結合用部材であり、先端に脱着固定部材240、解除対応部材230が形成されてもよいが、一実施形態による肩着用部200は、前記結合用部材が両端のいずれにも設けられ、他の一実施形態による肩着用部200は、前記結合用部材が一端のみに設けられる。
【0082】
脱着固定部材240は、肩着用部200の連結脱着部材113aに対応する結合用部材が用いられてもよく、本発明の好ましい実施形態として、連結脱着部材113aとしてファスナーが適用されると、脱着固定部材240は、連結脱着部材113aと1つの部材として対をなしてファスナーを形成することができる。
【0083】
また、解除対応部材230は、肩着用部200のロック解除防止部材114に対応する結合用部材であり、本発明の好ましい実施形態として、ロック解除防止部材114が肩連結端113にボタンが形成され、革または織物の材質の紐が肩連結端113のボタンに一端が結合されると、前記肩連結端113のボタンに対応するボタンが解除対応部材230として肩着用部200で形成され、前記紐の他端が解除対応部材230に結合されることにより、紐の両端が複数のボタンに結合固定され、これにより肩連結端113と肩着用部200を相互結束させ、連結脱着部材113aによる結合状態を補完支持することができる。
【0084】
したがって、肩着用部200と腕抑制部100は、複数の結合用部材によって結合され、その状態が維持されることになるが、特に、連結脱着部材113aおよび脱着固定部材240とロック解除防止部材114および解除対応部材230は、互いに交差して配置されて結合力が増加し、荷重の分散を誘導して堅固な結合を維持することができ、ロック解除防止部材114および解除対応部材230は、肩連結端113および肩着用部200の多数の地点に設けられ、連結脱着部材113aを多数の地点で交差して設置されることができ、結合及び固定効果はさらに倍増することができる。
【0085】
本発明の一実施形態として腕抑制部100が肩着用部200の両端に結合されると、肩着用部200の両端に同時に荷重が生じて複数の腕抑制部100がバランスをとることになるため、肩着用部200は安定した着用状態を維持することができるようになる。
【0086】
一方、本発明の他の実施形態として、腕抑制部100が肩着用部200の一端のみに結合され、片腕のみを保護及び固定する機能をすると、肩着用部200の一端のみに荷重が発生して肩着用部200が傾くことになるため、これを防止するために、肩着用部200の他側端には三角筋に接する部位に腕貫通口250が通孔形成されて腕を嵌めて着用することができ、これにより、肩着用部200の他端は、肩によって支持されることにより、一端に作用する荷重に対応して肩着用部200の安定した着用を維持することができるようになる。
【0087】
腕貫通口250は、腕抑制部100が肩着用部200の一端に連結される場合に、他端の三角筋部位に形成され、肩着用部200の他端には解除対応部材230、脱着固定部材240は形成されず、滑らかな枠に片付くことができる。
【0088】
他の一方で、肩着用部200の両端には、解除対応部材230、脱着固定部材240のいずれもが形成され、腕貫通口250も両側端の三角筋部位のいずれにも形成されることができ、腕抑制部100が肩着用部200の両側ともに備えられると、腕貫通口250に腕を嵌めることなく腕抑制部100に直ぐに着用でき、本発明の一実施形態のように使用されることができ、腕抑制部100が一端あるいは他端の一側のみに設けられると、反対側の他端または一端の腕は、該当部位に形成された腕貫通口250に嵌められて着用され、本発明の他の実施形態のように使用されることができる。
【0089】
したがって、解除対応部材230、脱着固定部材240が肩着用部200の両端のいずれもに形成され、腕貫通口250も肩着用部200の両側に形成される場合、本発明の使用環境および必要に応じて、腕抑制部100の数および着用位置が選択的に適用されることができるため、その活用度が増大できる。
【0090】
以上の説明に基づいて、本発明の好ましい実施形態による認知症患者の腕固定装置10の使用例は以下の通りである。
【0091】
本発明は、患者本人が自ら着用するよりは、使用対象の特殊性により、一般としては看護人の補助により着用されることがあるため、看護人が患者に着用させることを前提として説明する。
【0092】
本発明の着用時に、まずは、着用部材220を緩めて首着用口210に首を合わせて肩着用部200を首と肩に整列させて配置させる。
【0093】
その後、腕抑制部100が肩着用部200に分離された状態で、腕抑制部100に片腕を嵌めた後、肩着用部200の一端に腕抑制部100の肩連結端113を合わせて連結脱着部材113aと脱着固定部材240を相互結合させるが、好ましい実施形態として、連結脱着部材113a及び脱着固定部材240はファスナーで形成されることができ、連結脱着部材113a及び脱着固定部材240のそれぞれの歯が噛み合うように配置した後、握り手を移動させて相互ファスナーを結合でき、これにより肩着用部200の一端に腕抑制部100が結合される。
【0094】
そして、他側の腕も腕抑制部100に嵌めた状態で肩着用部200の他端に肩連結端113を合わせて腕抑制部100を配置し、連結脱着部材113a及び脱着固定部材240を結合することになり、これにより、両腕に腕抑制部100のいずれもが着用され、両側の腕抑制部100は肩着用部200の両端に結合されることとなる。
【0095】
これにより、腕抑制部100と肩着用部200とが一次結合され、この状態で患者の手は手保護部130に包まれており、腕抑制部100によって曲げることができない状態であるため、自分で着用部材220をロックすることができず、看護人が着用部材220をロックすると、一次着用が完了する。
【0096】
その後、連結脱着部材113aの結合力を支持し、腕抑制部100の着用結合状態を堅固に維持するために、ロック解除防止部材114及び肩固定バンド115がさらに着用されてもよい。
【0097】
ロック解除防止部材114は、本発明の好ましい実施形態として、肩連結端113に設けられたボタンに紐の一側が嵌合結合された状態であるため、紐の他側を解除対応部材230に嵌めてロック解除防止部材114を交差し、両端で肩連結端113と肩着用部200を掴むことになり、必要に応じて、ロック解除防止部材114及び解除対応部材230は、多数の対として設けられ、相互結合されることができる。
【0098】
そして、肩固定バンド115が着用されてもよく、看護人は、肩固定バンド115の両分岐の先端が肩を包んだ後、肩の一側で互いに会うようにした後、バンド脱着部材115aを相互結合させる。
【0099】
バンド脱着部材115aは、本発明の好ましい実施形態として、バックルの形態であってもよく、肩固定バンド115の一側分岐の先端に設けられた雌バックルに他側分岐の先端に設けられた雄バックルを挟み込んで取り付けて互いを結合し、結合が完了すると、雌バックルに連結された肩固定バンド115の長さを調節して肩に密着するように締め付けることにより、腕抑制部100が肩着用部200を囲んで肩に頑固に着用されるようにする。
【0100】
腕抑制部100を片腕にのみ着用しようとする場合は、腕抑制部100は、肩着用部200の一端のみに結合させた後、結合過程を有することになるが、結合前に他方の腕を肩着用部200の他端の腕貫通口250に通して着用させた後、肩着用部200の一端に腕抑制部100を結合させることが好ましい。
【0101】
この状態で本発明の認知症患者の腕固定装置10の着用が完了し、患者は認知症患者の腕固定装置10を着用した状態で、移動したり、座ったり、横になったりすることができ、上膊部110に通風孔111が設けられているため、快適な着用感を維持することができる。
【0102】
患者の腕を固定しなければならない状況であれば、患者がベッドに横たわっている状態で、腕抑制部100をベッドフレームに縛り付けて固定することにより、腕の使用を制限することができる。
【0103】
このために、フレーム結束バンド123aをベッドフレームに結んで腕抑制部100をベッドに結束させて腕が動かないように固定するが、フレーム結束バンド123aを結ぶことのできるベッドフレームが現在の着用状態でのフレーム結束バンド123aとの距離が遠い場合、固定ユニット123を下膊部120に沿って摺動させて当該ベッドフレームにできるだけ隣接するように配置した後、フレーム結束バンド123aをベッドフレームにしっかり結んで結束することができる。
【0104】
このように腕を固定した状態で血糖チェックをする状況になると、上膊部110と下膊部120を着用したまま、手と手首を露出させることができるが、看護人はまず、手保護部130を下膊部120から長手方向に引っ張って分離し、下膊開放バンド122を緩めた後、下膊上端121a、下膊下端、下膊側端121cのそれぞれを曲げて前記下膊上端121a、下膊下端、下膊側端121cの外表面が下膊部120の外表面に当接するようにしながら、下膊カバー端121が形成された下膊部120の所定の区間が開放されるようにする。
【0105】
このように手保護部130が分離されて下膊カバー端121が開放されると、手と手首が露出することができるが、腕抑制部100に腕が着用され、腕抑制部100はフレーム結束バンド123aによってベッドフレームに縛られた状態であるため、患者の腕は固定され、安全な状態で血糖チェックなどの診療行為を行うことができる。
【0106】
一方、本発明のさらなる実施形態として、腕抑制部100は、矩形断面ではなく円状断面の管体で形成されて円柱状に形成されてもよい。
【0107】
このとき、固定ユニット123も円状断面の管体で形成されることができ、したがって本発明の一実施形態と同様に、追加の実施形態でも、固定ユニット123が下膊部120に沿って所定の区間を摺動することができ、移動後、フレーム結束バンド123aを用いて腕抑制部100をベッドフレームに結束することができる。
【0108】
腕抑制部100を着用した状態で血糖チェックなどの診療をする場合、手と手首を露出させるために、下膊部120を上膊部110から分離することができるが、上膊部110の結合面の枠は内側方向に段差形成され、段差面に螺旋が突出形成され、これに対向する下膊部120の結合面の枠には、前記突出螺旋に結合できる凹溝螺旋が枠に沿って形成され、下膊部120と上膊部110とが互いに螺旋が合わせられた後、回転させると、上膊部110と下膊部120が結合固定され、円柱状の管体を完成して腕抑制部100を形成することになり、結合された状態で反対方向に回転させると、上膊部110から下膊部120を分離して、手と手首を露出させて診療行為を行うことができるようになる。
【0109】
本発明のさらなる実施形態において、下膊開放バンド122は、下膊部120と上膊部110の結合面を囲むように設けられ、相互の結合状態を強固にする機能として設けられることができるが、一方で、下膊部120と上膊部110とが螺旋結合となって容易に分離されない上に、本発明の基本の実施形態のように、下膊カバー端121が追加の実施形態では設けられておらず、下膊開放バンド122が必ず必要なわけではないため、設けられていなくてもよく、使用者および患者の状態に応じて任意に決定されてもよい。
【0110】
手保護部130も同様の方式で円状の枠に螺旋が形成され、これに対応する下膊部120の結合面の枠の螺旋に結合されることができ、手保護部130と下膊部120は螺旋回転結合および回転分離されることができる。
【0111】
したがって、手保護部130を回転させて下膊部120から分離した後、下膊部120を上膊部110から分離して手と手首を露出させることができ、または手保護部130を分離することなく、手保護部130と下膊部120が結合された状態で、下膊部120を回転させて上膊部110から分離させた後、手を露出させて診療行為をすることもでき、別途の必要に応じて手保護部130のみを分離することもできる。
【0112】
上述の説明のように、本発明の認知症患者の腕固定装置10は、身体への着用が簡便で、結合及び固定が円滑でありながら、各連結部位別に肩着用部200、上膊部110、下膊部120、手保護部130の分離及び開放が容易な利点を有し、着用状態で腕に痛みを与えずに快適さを維持しながら腕を外部の特定のフレームに縛り付けることができ、この状態で、手の部位のみを露出させて血糖チェックなどの診療行為まで行うことができるため、本発明を着用する患者と保護者、看護人ともに非常に便利かつ安全であり、有用に使用できる特徴を有する。
【0113】
以上で説明した本発明の実施形態は例示的なものに過ぎず、本発明が属する技術分野の通常の知識を有する者であれば、これから様々な変形及び均等な他の実施形態が可能であることが容易に理解できる。
【0114】
したがって、本発明は、上記の詳細な説明で言及された形態に限定されるものではないことが理解できる。したがって、本発明の真の技術的保護範囲は、添付の特許請求の範囲の技術的思想によって定められるべきである。
【0115】
また、本発明は、添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の精神とその範囲内にあるすべての変形物と均等物および代替物を含むものと理解されたい。
【符号の説明】
【0116】
10:療養院患者腕固定装置
100:腕抑制部
110:上膊部
111:通風孔
112:三角筋カバー端
113 : 肩連結端
113a:連結脱着部材
114:ロック解除防止部材
115:肩固定バンド
115a:バンド脱着部材
120:下膊部
121:下膊カバー端
121a:下膊上端
121b:下膊下端
121c:下膊側端
122:下膊開放バンド
123:固定ユニット
123a:フレーム結束バンド
130: 手保護部
200:肩着用部
210: 首着用口
220:着用部材
230:解除対応部材
240:脱着固定部材
250 : 腕貫通口
260:バンド肩章
【国際調査報告】