IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ダイムラー・アクチェンゲゼルシャフトの特許一覧

特表2024-519976ヘッドライトシステムを調整する方法
<>
  • 特表-ヘッドライトシステムを調整する方法 図1
  • 特表-ヘッドライトシステムを調整する方法 図2
  • 特表-ヘッドライトシステムを調整する方法 図3
  • 特表-ヘッドライトシステムを調整する方法 図4
  • 特表-ヘッドライトシステムを調整する方法 図5
  • 特表-ヘッドライトシステムを調整する方法 図6
  • 特表-ヘッドライトシステムを調整する方法 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-21
(54)【発明の名称】ヘッドライトシステムを調整する方法
(51)【国際特許分類】
   B60Q 1/04 20060101AFI20240514BHJP
   B60Q 1/076 20060101ALI20240514BHJP
【FI】
B60Q1/04 Z
B60Q1/076
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023572534
(86)(22)【出願日】2022-03-29
(85)【翻訳文提出日】2023-11-22
(86)【国際出願番号】 EP2022058287
(87)【国際公開番号】W WO2022248105
(87)【国際公開日】2022-12-01
(31)【優先権主張番号】102021002775.2
(32)【優先日】2021-05-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】598051819
【氏名又は名称】メルセデス・ベンツ グループ アクチェンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Mercedes-Benz Group AG
【住所又は居所原語表記】Mercedesstrasse 120,70372 Stuttgart,Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100090583
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 清
(74)【代理人】
【識別番号】100098110
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 みどり
(72)【発明者】
【氏名】クリスティアン・シュナイダー
【テーマコード(参考)】
3K339
【Fターム(参考)】
3K339AA02
3K339BA01
3K339BA02
3K339BA25
3K339BA30
3K339CA01
3K339GB01
3K339LA06
3K339LA21
3K339LA27
3K339MB05
3K339MC24
3K339MC31
3K339MC45
(57)【要約】
本発明は、自動車(3)の自動化されたヘッドライトシステム(8)を調整する方法(1)に関する。その場合、ヘッドライトシステム(8)は、ロービームを生成するためのヘッドライトと、ロービームの下部カットオフライン(9)を調整するための制御装置とを有する。
本方法において、以下の順序において、以下の工程、すなわち、
-デジタル高さモデル(2)の抜粋(4)から標高勾配(5)を計算する工程、
-標高勾配(5)から2つの次の前方の転換点(6a、6b)を決定する工程、
-転換点(6a、6b)に基づいて平均経路位置(7)を決定する、及び特徴付ける工程、
-少なくとも第1の転換点(6a)に到達したときに、平均経路位置(7)の中央点(10)に合わせて下部カットオフライン(9)を調整する工程
が実行される。
本発明は、この方法(1)を実行するための自動車(3)の自動化されたヘッドライトシステム(8)にも関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車(3)の自動化されたヘッドライトシステム(8)を調整する方法(1)であって、前記ヘッドライトシステム(8)が、ロービームを生成するための少なくとも2つのヘッドライトと、前記ロービームの下部カットオフライン(9)を調整するための制御装置とを有し、
以下の順序において、以下の工程、すなわち
-マッピングにより、デジタル高さモデル(2)の抜粋(4)から前記自動車(3)の前方のルート(11)の標高勾配(5)を計算する工程、
-前記標高勾配(5)から、前記自動車(3)のY軸の周りの前記自動車(3)の傾きにつながる、前方にある次の2つの転換点(6a、6b)を決定する工程、
-前記前方にある次の2つの転換点(6a、6b)に基づいて平均経路位置(7)を決定及び特徴付ける工程、
-少なくとも前記前方にある第1の転換点(6a)に到達した場合、前記ヘッドライトシステム(3)の前記ロービームの前記下部カットオフライン(9)を前記平均経路位置(7)の中央点(10)に調整する工程、
を備える、前記方法。
【請求項2】
標高勾配(7)を計算する前に、以下の順序において、以下の工程、すなわち
-前記自動車(3)の周辺の前記デジタル高さモデル(2)を決定する工程、
-上位の座標系において前記自動車(3)を位置特定する工程、
-前記自動車(3)の前方のルート(11)に関連する、前記自動車(3)の周辺の前記デジタル高さモデル(2)の前記抜粋(4)を提供する工程、
が実行されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記自動車(3)を位置特定する場合、前記自動車が内部GPSシステム、及び/又はGCPシステムにより位置特定されることを特徴とする、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記デジタル高さモデル(2)がSAR測定により決定されることを特徴とする、請求項2又は3に記載の方法。
【請求項5】
前記平均経路位置(7)を決定する場合、前記平均経路位置が交点分析によって決定されることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記平均経路位置(7)を特徴付ける場合、水平線又は垂直線に対する前記経路位置(7)の傾斜角度が決定されることを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記ロービームの前記下部カットオフライン(9)を調整する場合、前記平均経路位置(7)の前記傾斜角度が前記ヘッドライトシステム(8)の前記制御装置に伝送されることを特徴とする、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記ヘッドライトシステム(8)の前記ロービームの前記下部カットオフライン(9)の調整は、前記傾斜角度に依存して、時間的に第1の通り抜けるべき転換点(6a)に到達する前、又は時間的に前記第1の通り抜けるべき転換点(6a)に到達したときに行われることを特徴とする、請求項6又は7に記載の方法。
【請求項9】
前記標高勾配(7)を計算すると、前記標高勾配から、新たな平均経路位置(7)を計算する頻度が決定されることを特徴とする、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
自動車(3)用の自動化されたヘッドライトシステム(8)であって、前記ヘッドライトシステム(8)が、ロービームを生成するための少なくとも2つのヘッドライトと、前記ロービームの下部カットオフライン(9)を調整するための制御装置とを有する、前記自動化されたヘッドライトシステムにおいて、
請求項1から9のいずれか一項に記載の方法(1)を実行するように設計されていることを特徴とする、前記自動化されたヘッドライトシステム(8)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車の自動化されたヘッドライトシステムを調整する方法に関し、ヘッドライトシステムは、ロービームを生成するための少なくとも2つのヘッドライトと、ロービームの下部カットオフラインを調整するための制御装置とを有する。本発明は、自動車用の自動化されたヘッドライトシステムにも関する。
【背景技術】
【0002】
最新の自動車では、ロービームを生成するヘッドライトを備えた自動若しくは適応ヘッドライトシステムが使用可能であり、かつたびたび使用される。ヘッドライトシステムは、カメラベースの車線認識により道路の進路を決定し、これに基づいて、ヘッドライトの機構若しくはサーボモータによりロービームを道路の進路に適応させることができる。それにより、ヘッドライトシステムが操向するように設計され、ロービームを道路に対して水平に調整することができる。ヘッドライトのロービームの垂直方向の調整は、同じようにカメラベースで、ロービームの明暗境界を物体の境界、例えば先行車両に適応させることにより行うことができる。この場合、道路の急な傾斜を検出できないことが不利である。例えば、丸い山頂を越える場合、カメラが道路の傾斜を有効範囲に含まないか、若しくは検知できないため、ヘッドライトシステムは空を照らすことになる。
【0003】
ステアリングセンサベースのヘッドライトシステムも従来技術から知られている。ステアリングセンサベースのヘッドライトシステムでは、ステアリングコラムの舵角センサによって道路の傾斜が評価され、状況に応じてヘッドライト若しくはロービームが調整される。しかし、ステアリングセンサベースのヘッドライトシステムでは、調整のために舵角センサの入力が必要であるため、ヘッドライトの予測調整は可能でない。更に、この場合、自動車のZ軸周りの動きのみが評価され、したがってピッチングモーメントに関する調整を考慮できない。
【0004】
ヘッドライトを知覚的に調整するヘッドライトシステムも知られている。ロービームを状況に応じて道路の傾斜に適応させるためのアプローチが知られており、これは、例えば、車線認識又はフリースペース認識に基づいている。今日のヘッドライトシステムには、ロービームを道路の傾斜に適応させるためのレーダシステム及びライダシステムも設けられる。その場合、自動車の周辺を決定するためにセンサが利用される。しかしセンサにはFOV(FOV:Field Of View)があるため、丸い山頂を越えることを検知できないことが不利である。
【0005】
例えば、特許文献1は、ヘッドライトの到達範囲が道路の3Dプロファイルから検知される方法を開示している。3Dプロファイルは車両ベースで作成され、この場合、ヘッドライトを用いて道路にパターンが投影され、カメラで記録される。パターンの歪みから前方の道路の3Dプロファイルを検知し、それに応じてヘッドライトを制御することができる。
【特許文献1】DE102018100738A1
【0006】
特許文献2は、ヘッドライトを道路の進路に対して垂直に調整する方法を開示している。その際、調整にはデジタルマップの道路トポロジに関する情報が使用される。特許文献3は、自動車のピッチング運動を認識することができ、それによって引き起こされる明暗境界の変化を補償することができる方法を開示している。特許文献4は、ロービームとハイビームの計算された視程差に応じてヘッドライトを制御する方法が開示されている。視程差の計算にトポグラフィデータを考慮に入れることができる。
【特許文献2】DE102018219604A1
【特許文献3】DE102017005019A1
【特許文献4】DE102014225513A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、本発明の課題は、上述の欠点を克服する、自動化されたヘッドライトシステムを調整するための改良された、又は少なくとも代替の方法、並びに自動化されたヘッドライトシステムの改良された、又は少なくとも代替の実施形態を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題は、本発明によれば、独立請求項の主題によって解決される。有利な実施形態は、従属請求項の対象である。
【0009】
本発明による方法は、自動車の自動化されたヘッドライトシステムを調整するために企図されている。その場合、ヘッドライトシステムは、ロービームを生成するための少なくとも2つのヘッドライトと、ロービームの下部カットオフラインを調整するための制御装置とを有する。この方法では、まず、マッピングにより、デジタル高さモデルの抜粋から自動車の前方のルートの標高勾配が計算される。この方法では、次に、標高勾配から、自動車のY軸の周りの自動車の傾きにつながる、前方にある次の2つの転換点が決定される。その後、この方法では、前方にある次の2つの転換点に基づいて平均経路位置が決定及び特徴付けされる。その後、この方法では、少なくとも前方にある第1の転換点に到達した場合、ヘッドライトシステムのロービームの下部カットオフラインが平均経路位置の中央点に調整される。
【0010】
本発明による方法では、デジタル高さモデル(DHM)若しくはデジタル地形モデル(DGM)が使用される。それにより、ヘッドライトシステムのヘッドライト、したがってロービームを、通り抜けるべき第1の転換点を通過するときにY軸を中心とした自動車の傾きに合わせて予測的に、かつ状況に応じて調整することができる。特に、標高勾配及び平均経路位置は、通り抜けるべき第1の転換点に到達する前にすでに計算若しくは決定することができる。その結果として、ロービームの下部カットオフラインを、少なくとも前方にある第1の転換点に到達したときに迅速に調整することができ、かつ通り抜けるべき第1の転換点を通過若しくは越えるときに前方の道路を十分に照らすことができる。転換点は、例えば、山の頂上、又は尾根、又は山の谷、又は山の円頂によって形成され得る。
【0011】
有利にも、本発明による方法では、デジタル高さモデル若しくはデジタル地形モデル(DGM)が使用される。その場合、デジタル高さモデルは、トポグラフィを3次元で、かつ世界的に10cm未満の精度で画像化するデータを含む。その場合、デジタル高さモデルは、衛星ベースのシステムによって周期的に、例えば一日一回生成される。これによって、本発明による方法を国に関係なく使用することができる。更に、本発明による方法は、光学データ取得に基づく従来の方法と比較して、天候及び雲の状況、また一般に自動車の周辺の光の状況に依存しない。更に、この方法は、例えば光学センサにおける外的及び/又は内的偏差などの誤較正とは無関係であり、ヘッドライトシステムの再較正を必要としない。それに加えて、本発明による方法は、自動車の装備とは無関係であり、特別なセンサのセットを必要としない。それに加えて、本発明による方法は、ヘッドライトシステムのロービームのカットオフラインを状況に応じて、かつ予測的に調整することによって走行快適性と走行安全性を向上させる。
【0012】
有利にも、標高勾配を計算する前に、以下の順序において、以下の工程、すなわち自動車の周辺のデジタル高さモデルを決定する工程、上位の座標系において自動車を位置特定する工程、及び自動車の前方のルートに関連する、自動車の周辺のデジタル高さモデルの抜粋を提供する工程が実行されることを企図することができる。すでに上述したように、この方法では、デジタル高さモデル若しくはデジタル地形モデルが使用される。有利にも、自動車を位置特定する場合、自動車は内部GPSシステム(GPS:Global Positioning System:全地球測位システム)及び/又はGCPシステム(GCP:Ground Control Point:地上基準点)により位置特定されることを企図することができる。
【0013】
有利にも、デジタル高さモデルは、SAR測定(SAR:Synthetic Aperture Radar:合成開口レーダ)により決定されることを企図することができる。これによって、この方法は、天候や雲の状況、また一般に自動車の周辺における光の状況に依存しない。
【0014】
有利にも、平均経路位置を決定する場合、これが交点分析によって決定されることを企図することができる。その場合、平均経路位置を、前方にある次の2つの転換点を通り抜ける直線として決定することができる。有利にも、平均経路位置を特徴付ける場合、水平線又は垂直線に対する経路位置の傾斜角度が決定されることを企図することができる。有利にも、ロービームの下部カットオフラインを調整する場合、平均経路位置の傾斜角度がヘッドライトシステムの制御装置に伝送されることを企図することができる。
【0015】
有利にも、ヘッドライトシステムのロービームの下部カットオフラインの調整は、傾斜角度に依存して、時間的に第1の通り抜けるべき転換点に到達する前、又は時間的に第1の通り抜けるべき転換点に到達したときに行われることを企図することができる。このために、ヘッドライトシステムのヘッドライトと、それによりロービームの下部カットオフラインとを傾斜角度に依存して調整する関数グラフを企図することができる。
【0016】
傾斜角度が大きい場合、自動車は第1の通り抜けるべき転換点を通過するときにY軸を中心に大きく傾き、時間的に第1の通り抜けるべき転換点に到達する前にヘッドライトを事前コンディショニング若しくは事前アライメントすることができる。これによって、ヘッドライトのモータ系の慣性を考慮することができる。その場合、第1の通り抜けるべき転換点の前に道路の照明が不利に妨げられないようにするために、第1の通り抜けるべき転換点に到達若しくは通過する前に事前コンディショニング若しくは事前アライメントを短いインターバルで行うことができる。傾斜角度が小さい場合、自動車は、第1の通り抜けるべき転換点を通過するときにY軸を中心にごくわずかに傾き、ヘッドライトは第1の通り抜けるべき転換点の到達若しくは通過時に直接、方向合わせされ得る。換言すれば、この場合、ヘッドライトの事前コンディショニング若しくは事前アライメントを省略することができる。
【0017】
有利にも、標高勾配を計算すると、この標高勾配から平均経路位置を計算する頻度が決定されることを企図することができる。その場合、前方のルートの変化プロファイルに依存して計算することができる。前方のルートが、Y軸を中心とした傾きを引き起こす複数の転換点を有する場合、平均経路位置がより高い頻度で計算される。前方のルートに、Y軸を中心とした傾きを引き起こす転換点が少ない場合、平均経路位置はより低い頻度で計算される。これは、例えば、ルートが単調若しくは平坦な区間にわたって延びる場合などに当てはまる。頻度を決定するために、例えば標高勾配のフーリエ変換を考慮に入れることができる。
【0018】
本発明は、自動車用の自動化されたヘッドライトシステムにも関する。ヘッドライトシステムは、その場合、ロービームを生成するための少なくとも2つのヘッドライトと、ロービームの下部カットオフラインを調整するための制御装置とを有する。本発明によれば、ヘッドライトシステムは、上記の方法を実行するように設計されている。
【0019】
本発明の更に重要な特徴及び利点は、従属請求項、図面、及び図面に基づく対応する説明から明らかになる。
【0020】
上記に挙げた特徴、及び以下において更に説明する特徴は、本発明の範囲から逸脱することなく、それぞれ示された組み合わせにおいてのみ使用されるのではなく、他の組み合わせにおいても又は単独でも使用可能であると解されたい。
【0021】
本発明の好適な実施形態を図面に図示し、下記においてより詳細に説明するが、同一の参照符号は、同一若しくは類似の、又は機能的に同一の構成部材を表す。
図面は次のものをそれぞれ模式的に示す。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明による方法の模式的なフローチャートを示す。
図2】本発明による方法の工程を視覚化する図である。
図3】本発明による方法の工程を視覚化する図である。
図4】本発明による方法の工程を視覚化する図である。
図5】本発明による方法の工程を視覚化する図である。
図6】本発明による方法の工程を視覚化する図である。
図7】本発明による方法の工程を視覚化する図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1は、本発明による方法1のフローチャートを示す。方法1の個々の工程は、図2図7に視覚化されている。方法1の個々の工程及び図2から図7の視覚化について、以下により詳しく説明する。
【0024】
図1を参照すると、方法1の第1の工程VS1において、自動車3の周辺のデジタル高さモデル2若しくはデジタル地形モデルの決定が行われる。デジタル高さモデル2は、SAR測定により決定される。
【0025】
図1及び図2を参照すると、方法1の第2の工程VS2において、自動車3の位置特定が上位の座標系において行われる。その場合、自動車3の位置特定は、内部GPSシステム及び/又はGCPシステムにより行うことができる。
【0026】
図1及び図3を参照すると、方法1の第3の工程VS3において、自動車3の前方のルート11に関連する、自動車3の周辺のデジタル高さモデル2からの抜粋4の提供及びダウンロードが行われる。
【0027】
図1及び図4を参照すると、方法1の第4の工程VS4において、マッピングにより、デジタル高さモデル2の抜粋4から自動車3の前方のルートの標高勾配5の計算が実行される。更に、第4の工程VS4において、標高勾配5から、自動車3のY軸の周りの自動車3の傾きにつながる、前方にある次の2つの転換点6a、6bの決定が行われる。図5において、工程VS4で計算された標高勾配5と、工程VS4で計算された転換点6a及び6bを示す。
【0028】
図1を参照すると、方法1の第5の工程VS5において、平均経路位置7を計算する頻度が決定される。この頻度は、例えば標高勾配5のフーリエ変換によって実現できる。前方のルートが複数の転換点を有する場合、平均経路位置7はより高い頻度で再計算される。前方のルートが少数の転換点を有する場合、平均経路位置7はより低い頻度で再計算される。
【0029】
図1及び図6を参照すると、方法1の第6の工程VS6において、平均経路位置7の決定及び特徴付けが転換点6a及び6bに基づいて実行される。平均経路位置7の決定は、交点分析によって行うことができる。その場合、平均経路位置7を転換点6a、6bを通る直線として決定することができる。更に、水平に対する平均経路位置7の傾斜角及び中央点10が計算される。中央点10は、例えば、平均経路位置7と実際の経路位置若しくは実際の道路との交点として計算することができる。或いは、中央点10を2つの転換点6a及び6bの間の中央に設定することもできる。
【0030】
図1を参照すると、方法1の第7の工程VS7において、自動車3のヘッドライトシステム8の制御ユニットへの平均経路位置7の傾斜角度の伝送が行われる。
【0031】
図1及び図7を参照すると、方法1の第8工程VS8において、ヘッドライトシステム8のロービームの下部カットオフライン9が、平均経路位置7の中央点10に合わせて調整される。この調整は、平均経路位置の傾斜角度に依存して、かつこの実施例ではすでに第1の前方の転換点6aに到達する前に行われる。
【0032】
図1を参照すると、方法1では、第8の工程VS8の後に第2工程VS2が実行される。第8の工程VS8から第2の工程VS2への移行速度は、第5の工程VS5による頻度によって決まる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【手続補正書】
【提出日】2023-11-24
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車(3)の自動化されたヘッドライトシステム(8)を調整する方法(1)であって、前記ヘッドライトシステム(8)が、ロービームを生成するための少なくとも2つのヘッドライトと、前記ロービームの下部カットオフライン(9)を調整するための制御装置とを有し、
以下の順序において、以下の工程、すなわち
-マッピングにより、デジタル高さモデル(2)の抜粋(4)から前記自動車(3)の前方のルート(11)の標高勾配(5)を計算する工程、
-前記標高勾配(5)から、前記自動車(3)のY軸の周りの前記自動車(3)の傾きにつながる、前方にある次の2つの転換点(6a、6b)を決定する工程、
-前記前方にある次の2つの転換点(6a、6b)に基づいて平均経路位置(7)を決定及び特徴付ける工程、
-少なくとも前記前方にある第1の転換点(6a)に到達した場合、前記ヘッドライトシステム(3)の前記ロービームの前記下部カットオフライン(9)を前記平均経路位置(7)の中央点(10)に調整する工程、
を備える、前記方法。
【請求項2】
前記標高勾配()を計算する前に、以下の順序において、以下の工程、すなわち
-前記自動車(3)の周辺の前記デジタル高さモデル(2)を決定する工程、
-上位の座標系において前記自動車(3)を位置特定する工程、
-前記自動車(3)の前方のルート(11)に関連する、前記自動車(3)の周辺の前記デジタル高さモデル(2)の前記抜粋(4)を提供する工程、
が実行されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記自動車(3)を位置特定する場合、前記自動車が内部GPSシステム、及び/又はGCPシステムにより位置特定されることを特徴とする、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記デジタル高さモデル(2)がSAR測定により決定されることを特徴とする、請求項2又は3に記載の方法。
【請求項5】
前記平均経路位置(7)を決定する場合、前記平均経路位置が交点分析によって決定されることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記平均経路位置(7)を特徴付ける場合、水平線又は垂直線に対する前記平均経路位置(7)の傾斜角度が決定されることを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記ロービームの前記下部カットオフライン(9)を調整する場合、前記平均経路位置(7)の前記傾斜角度が前記ヘッドライトシステム(8)の前記制御装置に伝送されることを特徴とする、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記ヘッドライトシステム(8)の前記ロービームの前記下部カットオフライン(9)の調整は、前記傾斜角度に依存して、時間的に第1の通り抜けるべき転換点(6a)に到達する前、又は時間的に前記第1の通り抜けるべき転換点(6a)に到達したときに行われることを特徴とする、請求項6又は7に記載の方法。
【請求項9】
前記標高勾配()を計算すると、前記標高勾配から、新たな平均経路位置(7)を計算する頻度が決定されることを特徴とする、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
自動車(3)用の自動化されたヘッドライトシステム(8)であって、前記ヘッドライトシステム(8)が、ロービームを生成するための少なくとも2つのヘッドライトと、前記ロービームの下部カットオフライン(9)を調整するための制御装置とを有する、前記自動化されたヘッドライトシステムにおいて、
請求項1から9のいずれか一項に記載の方法(1)を実行するように設計されていることを特徴とする、前記自動化されたヘッドライトシステム(8)。
【国際調査報告】