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特表2024-520004ポンプのベントを備える飲料の保存のための方法および装置
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  • 特表-ポンプのベントを備える飲料の保存のための方法および装置 図1
  • 特表-ポンプのベントを備える飲料の保存のための方法および装置 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-21
(54)【発明の名称】ポンプのベントを備える飲料の保存のための方法および装置
(51)【国際特許分類】
   A23L 2/42 20060101AFI20240514BHJP
   A23L 2/44 20060101ALI20240514BHJP
   A23L 3/34 20060101ALI20240514BHJP
【FI】
A23L2/00 N
A23L2/44
A23L3/34
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023572770
(86)(22)【出願日】2022-05-24
(85)【翻訳文提出日】2023-12-19
(86)【国際出願番号】 EP2022064128
(87)【国際公開番号】W WO2022248514
(87)【国際公開日】2022-12-01
(31)【優先権主張番号】21175892.5
(32)【優先日】2021-05-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】505422707
【氏名又は名称】ランクセス・ドイチュランド・ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】弁理士法人ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ブルクホルツ、ヨナス
(72)【発明者】
【氏名】フォーグル、エラスムス
(72)【発明者】
【氏名】ザルトリウス、ゲルハルト
(72)【発明者】
【氏名】クバッツ、アクセル
【テーマコード(参考)】
4B021
4B117
【Fターム(参考)】
4B021LA42
4B021LT03
4B021LT06
4B021LW06
4B021MC01
4B021MK08
4B021MK16
4B021MP10
4B117LC15
4B117LK01
4B117LK06
4B117LP20
4B117LT05
(57)【要約】
本発明は、飲料ライン(10)を通って流れる液体の流量の決定に適しており流量を決定するように意図された測定装置(3)を有し、保存料、とくには二炭酸ジアルキルを、飲料ライン(10)へと運ぶポンプ装置(4)を有し、ポンプ装置(4)は測定装置(3)によって決定される流量の関数として制御可能であり、ポンプ装置(4)をベントするためのベント装置(2)を有し、ベント装置(2)が弁装置(22)を有する、ことを特徴とする飲料を保存するための装置(1)に関する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
飲料ライン(10)を通って流れる液体の流量の決定に適しており流量を決定するように意図された測定装置(3)を有し、保存料、とくには二炭酸ジアルキルを、前記飲料ライン(10)へと運ぶポンプ装置(4)を有し、前記ポンプ装置(4)は前記測定装置(3)によって決定される流量の関数として制御可能であり、前記ポンプ装置(4)をベントするためのベント装置(2)を有する、飲料を保存するための装置(1)であって、
前記ベント装置(2)が弁装置(22)を有する、ことを特徴とする装置(1)。
【請求項2】
前記弁装置(22)が電磁弁(22)である、ことを特徴とする請求項1に記載の装置(1)。
【請求項3】
前記装置(1)は、前記弁装置(22)を制御するための制御装置(30)を備える、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の装置(1)。
【請求項4】
前記装置(1)は、ベントプロセスを監視するための監視装置(12)を備える、ことを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の装置(1)。
【請求項5】
前記弁装置(22)を、手動および/またはユーザ操作によって作動させることもできる、ことを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載の装置(1)。
【請求項6】
前記弁装置(22)は、前記ポンプ装置(4)のポンプヘッドの領域に配置され、
かつ/または前記弁装置(22)は、前記ポンプ装置(4)の最も高い領域に配置される、
ことを特徴とする請求項1~5のいずれか一項に記載の装置(1)。
【請求項7】
ベントの気体および/または液体を導くライン(24)が、前記弁装置(22)に接続される、ことを特徴とする請求項1~6のいずれか一項に記載の装置(1)。
【請求項8】
前記装置(1)は、液体媒体および/または気体媒体のレベルを検出するための測定容器(28)を有する、ことを特徴とする請求項1~7のいずれか一項に記載の装置(1)。
【請求項9】
前記弁装置(22)に接続されたベントの気体媒体および/または液体媒体を導くライン(24)が、前記測定容器(28)内へと開口する、ことを特徴とする請求項8に記載の装置(1)。
【請求項10】
前記測定容器(28)は、液体のための入口および/または液体のための出口を有し、好ましくは前記出口は、前記ポンプ装置(4)に連通している、ことを特徴とする請求項1~9のいずれか一項に記載の装置(1)。
【請求項11】
前記装置(1)は、前記ポンプ装置(4)の少なくとも1つの要素の温度を検出するための少なくとも1つの温度測定装置(18)を備える、ことを特徴とする請求項1~10のいずれか一項に記載の装置(1)。
【請求項12】
飲料ライン(10)を通って流れる液体の流量が、測定装置(3)によって決定され、
保存料、とくには二炭酸ジアルキルが、ポンプ装置(4)によって前記飲料ラインへと運ばれ、
前記飲料ライン(10)へと開口するデリバリラインおよび前記ポンプ装置(4)が、前記飲料ライン(10)を通って保存料を届け、
前記ポンプ装置(4)は、前記測定装置(3)によって決定される流量の関数として制御される、
飲料を保存するための方法であって、
前記ポンプ装置(4)は、ベント装置(2)によって少なくとも一時的にベントされ、
前記ベントは、制御された弁装置(22)によって実行される、
ことを特徴とする方法。
【請求項13】
稼働モードにおいて、前記弁装置(22)は周期的に制御され、
かつ/または、稼働モードにおいて、前記弁装置(22)は前記ポンプ装置(4)のポンプ動作を考慮して制御される、
ことを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記弁装置(22)を介して排出される気体媒体および/または液体媒体が、容器、とくには測定容器(28)へと通され、
かつ/または、前記弁装置(22)を介して排出される媒体が、気体媒体であるか、あるいは液体媒体であるかを判断するために分析される、
ことを特徴とする請求項12又は13に記載の方法。
【請求項15】
前記ポンプ装置(4)の少なくとも1つの要素の温度が、少なくとも一時的に決定される、ことを特徴とする請求項12~14のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飲料を保存するための方法および装置、ならびにこの目的のための装置の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
二炭酸ジアルキル、二酸化硫黄、ナタマイシン、ベンゾエート、またはソルベートなどの保存料が、非アルコールの発泡または非発泡果汁飲料、果汁、ワイン、非アルコールワイン、サイダー、アイスティー、および他の飲料の低温殺菌のために、飲料業界において使用されている。とくには二炭酸ジメチルまたは二炭酸ジエチルなどの二炭酸ジアルキルは、いくつかの利点を有する特別な低温殺菌剤の代表である。顕著な利点は、高温充てんとは対照的に、味および色が影響を受けないという事実にある。また、安息香酸ナトリウムまたは安息香酸あるいはソルビン酸カリウムまたはソルビン酸などの持続性の保存料と比較して、利点は、とりわけ味を損なうことがなく、効果が消失することである。二炭酸ジアルキルは無害な成分に分解されるため、実際の消費者が保存料を摂取することがない。
【0003】
低温無菌充てんと比較して、二炭酸ジアルキルを使用する利点は、プラント技術における大幅に低い投資コストである。
【0004】
技術水準によれば、二炭酸ジアルキルの添加には、オンラインのダイアフラム投入ポンプのみが使用されている。これは、処理される飲料の量が、初めから固定されていないがゆえに必要である。ダイアフラムポンプの利点は、ポンプ室が完全に密閉されていることである。
【0005】
ダイアフラムポンプ装置は、通常は、磁気または電気によって駆動されるダイアフラムポンプ、貯蔵容器、二炭酸ジアルキルを霧化させるための飲料ラインに取り付けられた装置、飲料ラインに取り付けられた流量計、および電子制御システムからなる。この形式の投入ポンプは、通常は、飲料ラインに恒久的に設置される。
【0006】
投入ポンプは、いくつかの異なる性能パラメータ、とくには少量およびきわめて少量に適していなければならない。加えて、これらの投入ポンプは、高い投入精度、高い霧化圧力、および広い制御範囲を有さなければならない。
【0007】
これらの装置の動作モードは、飲料配管を流れる飲料の流量のオンライン測定と、並行して計算される投入すべき二炭酸ジアルキルの量とに基づく。したがって、二炭酸ジアルキルは、必要な量にて飲料配管に比例的に投入される。これらのポンプの例は、Lanxess社のVelcorinDTというユニットである。
【0008】
飲料、例えば非アルコールのソフトドリンクまたはワインまたは混合ビール飲料の処理において、例えば細菌または酵母と戦うために、二炭酸ジアルキルによる低温滅菌処理が必要となり得る。したがって、前述の投入装置が処理に使用される。
【0009】
液体を計量して届けるための投入ポンプが、国際公開第1998042983号から知られている。
【発明の概要】
【0010】
そのような装置および方法に使用される投入ポンプは、さまざまな性能パラメータを満たさなければならない。一方では、少量またはきわめて少量の供給に適していなければならない。加えて、これらの投入ポンプは、高い精度を有すると同時に、とくには最も多様な用途のために、高い霧化圧力を提供し、広い制御範囲を有するべきである。
【0011】
しかしながら、使用される保存料が或る程度の脱気を生じることが示されている。技術水準において使用されているポンプは、脱気媒体に敏感に反応し、これが投入量の大きな変動につながり、機能障害につながる可能性もある。
【0012】
したがって、従来技術に基づいて、目的は、投入プロセスを安定させることである。これが、本発明によれば、独立特許請求項の主題によって達成される。好都合な実施形態およびさらなる発展が、従属請求項の主題である。
【0013】
本発明の飲料を保存するための装置は、飲料ラインを通って流れる液体の流量の決定に適しており流量を決定するように意図された測定装置と、保存料、とくには二炭酸ジアルキルを飲料ラインへと運ぶポンプ装置と、を有し、ポンプ装置は測定装置によって決定される流量の関数として制御可能である。
【0014】
本発明によれば、飲料を保存するための装置は、ポンプ装置をベントするためのベント又は脱気装置を有し、このベント装置が弁装置を有する。
【0015】
本明細書で説明される発明は、とくには、気体をできる限り含まない投入プロセスを実現するための予防措置を講じ、とくにはポンプ装置から気泡を安全に除去するのに役立つ。
【0016】
好ましくは、装置は、飲料ラインへと開口するデリバリラインを有し、好ましくは、ポンプ装置は、このデリバリラインを通じて保存料を届ける。
【0017】
以下においては、簡略化のために、排出される媒体が空気以外の気体であっても「ベント」という用語を使用する。好ましくは、気体は、CO、メタノール、炭酸メチル、および炭酸ジメチルを含有する気体の群から選択される気体である。
【0018】
さらなる好ましい実施形態において、装置は、ノズル装置を有し、とくには飲料ラインに保存料を注入し、かつ/または飲料ラインおよび/または飲料において保存料を霧化させるノズルヘッドを有する。このノズル装置またはこのノズルヘッドは、好ましくは、少なくとも部分的に飲料ライン内に突出する。
【0019】
好ましくは、ノズル装置またはノズルヘッドは、デリバリラインの構成要素であり、とくにはこのデリバリラインの端部を形成する。
【0020】
したがって、好ましくは、ポンプ装置は、保存料を飲料ラインおよび/または飲料へと注入する役割を果たす。好ましくは、ポンプ装置は、この場合には保存料などの媒体の圧力下での搬送に適しており、かつそのように意図されたポンプ装置、および/または飲料ラインにおける保存料の霧化を生じさせるために適しており、かつそのように意図されたポンプ装置である。
【0021】
好ましくは、弁装置は、制御される弁装置である。制御される弁装置は、制御プロセスによって能動的に作動させることができ、とくには逆止弁などの過圧または流れの動きによって開くことがない(とくには、能動的な)弁装置であると理解される。
【0022】
したがって、本発明は、ポンプのベント、とくにはポンプヘッドのベント、とりわけポンプヘッドの完全に自動的なベントのための装置および方法を説明する。加えて、以下で詳細に説明されるように、手動での介入の選択肢および/またはユーザによる介入の選択肢も提供されることが好ましい。
【0023】
とくに好ましい実施形態において、ポンプ装置は、投入ポンプ、とくにはダイアフラムポンプまたはダイアフラム投入ポンプである。ダイアフラムポンプは、上述の基準を満たすための好適なポンプ装置であることが証明されている。
【0024】
好ましい実施形態において、このポンプ装置は、0.01l/hを超え、好ましくは0.02l/hを超える流量を有する。好ましくは、ポンプ装置は、60l/h未満、好ましくは50l/h未満、好ましくは40l/h未満、好ましくは30l/h未満、好ましくは最大20l/h未満の流量を有する。
【0025】
好ましくは、ポンプ装置を、最低流量と最高流量との比が0.1未満、好ましくは0.01未満である出力範囲内で制御することができる。
このようにして、飲料を充てんするための多種多様な要件を、単一の種類のポンプで満たすことができる。
【0026】
好ましくは、ポンプ装置は、圧力下、好ましくは5bar~100barの間、好ましくは15bar~50barの間の圧力下で、保存料をノズル装置へと届ける。
【0027】
好ましくは、飲料は、40l/h~80000l/hの流量で飲料ラインを通して運ばれる。
【0028】
とくに好ましくは、上述の弁装置は、ポンプ装置のポンプヘッドおよび/または脱気媒体が集まる可能性があり、かつ/または飲料ラインの方向に投入されるべき媒体を押すポンプ装置の所定の領域をベントするように機能する。
【0029】
ポンプヘッドは、文献において投入ヘッドまたはデリバリユニットと呼ばれることもある。とくには、ポンプヘッドは、搬送される媒体が流れる(吸い込まれ、かつ/または搬送される)領域である。好ましくは、ポンプヘッドは、吸い込み弁、圧力弁、およびデリバリ要素(ピストンの膜など)によって境界付けられる。したがって、ポンプヘッドを「投入装置」と呼ぶこともできる。
【0030】
さらに好ましい実施形態において、弁装置が電磁弁である。電磁弁または電磁制御弁は、きわめて迅速に、かつきわめて高いサイクル速度でも切り換えることができるという利点を有する。
【0031】
さらに有利な実施形態において、上記飲料を保存するための装置は、弁装置、特に電磁弁として設計された弁装置を制御するための制御装置を有する。とくには、この制御装置は、電磁弁の周期的な制御に適する。
【0032】
とくに好ましくは、制御装置は、ポンプ装置の(送出)運動、とくにはポンプ行程に応答し、あるいはこれを考慮する弁装置の制御に適しており、そのように意図される。例えば、電磁弁を、n番目のポンプ行程(nは、好ましくは自然数である)ごとに周期的に制御することができる。
【0033】
例えば、弁装置を、ポンプ装置の要素の位置を考慮し、例えばポンプピストンの位置、ダイアフラムポンプのダイアフラム、またはポンプ装置の弁の位置(とくには、ポンプ装置がダイアフラムポンプである場合)を考慮して、制御することができる。好ましくは、この位置を検出する検出装置が設けられる。しかしながら、このデータをポンプ制御部から得ることも可能である。
【0034】
さらに、以下で詳細に説明されるように、制御装置は、装置の異なる動作モードに応じた弁装置の制御にも適しており、そのように意図される。例えば、投入モードにおいて、この投入モードにおいて生じる気泡を安全に排出するために、弁装置を周期的に開くことが可能である。より詳細な手順は、後述される。弁装置のこの周期的な開放は、好ましくは、ポンプ装置のポンプサイクルに適応させられる。
【0035】
さらに好ましい実施形態において、上記飲料を保存するための装置は、ベントプロセスを監視するための監視装置を有する。このようにして、動作中であっても、ベントが実行されているかどうか、およびどの程度まで実行されているか、あるいは必要であるかを、常に監視することができる。弁の制御を、この監視に適応させることができる。
【0036】
好ましい実施形態において、弁装置は、手動および/またはユーザの介入によって作動させることも可能である。例えば、弁装置の手動操作も可能である。このようにして、例えば、緊急操作または緊急ベントが可能である。したがって、ユーザが弁装置を直接作動させることが可能である。しかしながら、ユーザが制御装置によって弁装置を作動させることも可能である。
【0037】
好ましい実施形態において、弁装置は、ねじ込み弁、すなわちポンプ装置の特定の領域にねじ込むことができる弁である。好ましくは、弁装置は、二方向弁である。
【0038】
例えばポンプヘッドとノズル装置との間など、さまざまな位置にベント用の弁配置することが可能であると考えられる。しかしながら、とくにはノズルが直接取り付けられた構成において、ポンプヘッドの最高点に設置することが有利である。
【0039】
好ましい実施形態において、弁装置は、座シールを有し、とくには軟質の座シールを有する。加えて、弁装置は、とくに好ましくは、デッドスペースが小さくなるように設計される。
【0040】
この設計は、弁の内容積(すなわち、媒体と接触する部分)が可能な限り小さいという(構造的な)利点を有する。このようにして、ポンプ装置の効率および投入精度への過度の影響が防止される。
【0041】
したがって、ダイアフラムとノズルとの間の「ダメージ空間」がきわめて小さいポンプが達成される。このようにして、精度および信頼性(とくにはベントに関する)を向上させることができる。
【0042】
さらなる好ましい実施形態において、弁装置は、ポンプ装置の一領域、とくにはポンプ装置の製品チャンバの一領域に配置され、かつ/または弁装置は、(搬送される媒体に関して)ポンプ装置および/または製品チャンバの上部、とくには最高領域に配置される。最高領域は、他の領域と比較して、垂直方向または地球の中心に向かう方向において最も高く配置された領域であると理解される。好ましくは、弁装置は、気体媒体が弁装置の一領域に集まることができるように配置される。
【0043】
このようにして、ポンプ装置のベントが、とくに有利な様相で可能である。とくには、気泡をきわめて有利な様相でポンプ装置から除去または排出することができる。
【0044】
さらなる好ましい実施形態において、ベントの気体および/または液体(とくには、搬送される液体)を導くためのラインが、弁装置に(とくには、弁装置の出口に)接続される。原理的には、環境へとベントを実行することも可能であると考えられる。しかしながら、とりわけ保存剤に関して、これらを再循環されることが提案される。この場合、気体および液体の両方がベントプロセス中に排出される可能性がある。この理由で、ラインは、少なくとも部分的にこれらの媒体、とくには液体媒体を、回路に戻し、かつ/またはポンプ装置に戻すように機能する。以下でさらに詳細に説明されるように、排出された気体および/または液体を、このラインを介して容器へと送ることができる。
【0045】
さらなる好ましい実施形態において、装置は、液体および/または気体媒体のレベルを検出するための測定容器および/または測定装置を有し、好ましくは、上述のラインは、この測定容器内へと開口する。測定容器は、例えば、測定ビュレット、すなわち測定目盛りを有する容器であってよい。一般に、本発明の文脈において、測定容器は、液体媒体を受け入れるための受け入れ容積を有し、さらにこの容積を決定することを可能にする装置であると理解される。測定容器は、測定容器を液体が通過することも可能にすることができる。
【0046】
さらなる好都合な実施形態において、装置は、弁装置を介してポンプ装置から排出された液体媒体を少なくとも一時的に受け入れるための受け入れチャンバを有する。この受け入れチャンバは、好ましくは、弁装置に接続された上述のラインに連通する。この受け入れチャンバは、好ましくは、上述の測定容器によって形成される。
【0047】
好ましくは、排出された気体または液体の量が、ラインを介して吸引側の較正容器または測定容器に搬送される。好ましくは、この測定容器は、気相を逃がすことができ、液相をプロセスおよび/またはポンプ装置に再び送り、あるいは送ることができるように設計される。
【0048】
したがって、好ましくは、装置、とくには測定容器は、ベント弁を介して逃げる媒体の気体成分および液体成分を分離することができるように分離装置を有する。この分離装置を、測定容器自体の形状によって形成することも可能である。
【0049】
好ましくは、測定容器は、充てんレベル測定装置を有する。とくに好ましくは、この測定容器は、とくにはレベル測定のためのフロート装置を有する。しかしながら、測定容器内の充てんレベルの決定に適し、そのように意図された他のセンサも可能である。
【0050】
さらなる好ましい実施形態において、装置は、(測定容器の)充てんレベルを評価および/または決定するための評価装置を有する。例えば、測定容器内の充てんレベルを監視するカメラなどの画像記録装置を使用することができる。この充てんレベル測定装置は、ポンプ装置および/または弁装置を制御するために使用することができるデータを出力することもできる。
【0051】
さらなる好ましい実施形態において、装置は、弁装置から送られる物質または媒体に特徴的な少なくとも1つのパラメータを検出するセンサ装置を有する。例えば、弁装置へとつながるラインに流量測定装置を設け、ラインを流れる気体および/または液体媒体を流量に関して決定することができる。
【0052】
加えて、逃げ出す媒体が気体媒体であるか、あるいは液体媒体であるかに特徴的なパラメータを出力する測定装置を設けることもできる。
【0053】
好ましくは、ここでは(測定装置またはセンサ装置として)温度センサを使用することができる。好ましくは、この温度センサは、適切な温度に保たれる(とくには、電子的に制御される)。液体媒体が弁装置から通過して温度センサに到達するとすぐに、液体の温度は好ましくはセンサの温度よりもいくらか低いため、センサの温度が変化する。このように、温度センサは、制御システムが逆流媒体を検出するための信号を提供することができる。
【0054】
しかしながら、超音波測定または質量流量検出などの他の測定方法も考えられる。しかしながら、上述のように、熱量に基づく流量検出方法が好ましい。
【0055】
このセンサ装置の測定値に基づいて、気体がポンプから漏れているかどうか、または液体がすでに漏れているかどうかを判定することができる。
【0056】
したがって、とくに好ましくは、センサ装置が設けられ、とくには、センサ装置が、ベント機能を監視する前記ラインに設置される。例えば、気体がセンサ装置を通過して流れている限り、ベントプロセスが続けられるべきである。液体がセンサ装置に沿って流れる場合、ベントは無事に完了している。
【0057】
さらなる好ましい実施形態において、測定容器は、液体用の入口および/または液体用の出口を有し、この出口は、ポンプ装置に連通している。好ましくは、測定容器は、気体媒体を排出するための排出装置をさらに有する。この排出装置は、排出される媒体をろ過するためのフィルタ装置を有することができる。
【0058】
吸入側の測定容器または測定ビュレットは、好ましくは、上述のようにフロートを有し、このフロートによって容器内のレベルが監視され、とくには、ポンプの実際の投入量の計算が通常の動作において可能にされる。
【0059】
ポンプのベント中に、例えばポンプ装置が作動しており、弁装置が開いているとき、ポンプは液体を吸引するが、電磁弁を介して気体を排出するため、測定容器内のレベルは低下する。この動作手順において、ベント動作におけるポンプのベントが無事に完了すると、ポンプによって吸い込まれる液体の量が、弁およびラインまたは戻りラインを介して測定容器に供給される量と釣り合う。この状態において、測定容器内のレベルは安定したままである。
【0060】
さらなる好ましい実施形態において、装置は、ポンプ装置の少なくとも1つの要素の温度を検出するための少なくとも1つの温度測定装置を備える。好ましくは、対応する要素は、ポンプヘッドおよび/またはポンプ装置のピストンおよび/またはダイアフラム部分、あるいは一般に、送り出される媒体と直接接触するポンプ装置の可動要素である。高温(しかしながら、45°C未満の温度)は、二炭酸ジメチルの分解プロセス、したがって気相の形成を増加させる。
【0061】
とくに好ましくは、上述の制御装置は、この測定温度を考慮して弁装置も制御する。例えば、制御装置は、周期的なベント行程の間隔および/または弁の開放の間隔を短くすることができる。
【0062】
本発明はさらに、飲料ラインを通って流れる液体の流量が、測定装置手段によって決定され、保存料、とくには二炭酸ジアルキルが、ポンプ装置手段によって飲料ラインへと運ばれ、飲料ラインへと開口するデリバリラインおよびポンプ装置が、飲料ラインを通って保存料を届け、ポンプ装置は、測定装置手段によって決定される流量の関数として制御される、飲料を保存するための方法に向けられている。
【0063】
本発明によれば、ポンプ装置は、ベント装置手段によって少なくとも一時的にベントされ、ベントは、制御された弁装置手段によって実行される。したがって、方法側において、ポンプ装置の制御されたベントが少なくともいくつかの動作状態で行われることも提案される。
【0064】
特に好ましくは、ポンプ装置は異なる作動状態で作動させることができる。好ましい方法では、ベント装置は稼働モードで周期的に制御され、および/または弁装置はポンプ装置のポンプ動作を考慮した稼働モードで制御される。
【0065】
例えば、投入動作において、動作中に発生する気泡を確実に排出するために、とくには電磁弁である弁装置を周期的に開くことが可能である。好ましくは、弁装置のこの開放は、後続の投入行程の前に、好ましくはこの投入ストロークの前の所定の期間に行われる。
【0066】
好ましくは、この所定の期間は、0.5秒未満、好ましくは0.3秒未満、好ましくは0.2秒未満、好ましくは0.1秒未満、好ましくは0.08秒未満、好ましくは0.06秒未満、好ましくは0.05秒未満、好ましくは0.04秒未満、好ましくは0.03秒未満、好ましくは0.02秒未満である。
【0067】
好ましくは、この期間は、1/100秒より長く、より好ましくは2/100秒より長く、より好ましくは3/100秒よりも長い。
【0068】
このようにして、減圧状態または低い内部ポンプ圧力での弁の作動が可能である。このようにして、ポンプ装置の投入精度はわずかに影響を受けるだけであり、他方で、電磁弁またはその作動に必要な力はわずかである。
【0069】
加えて、生産が行われているが、保存料を飲料ラインに導入するポンプ動作が行われていない動作モードにおいて、生産休止中にベントを行うこともできる。この場合、発生する気泡を確実に排出するため、および/または次のポンプ行程において必要な精度で投入を行うために、弁装置を周期的に開くことができる。
【0070】
さらに、装置は、好ましくは、動作モード加熱で動作し、かつ/または少なくとも一時的にこのモードで動作する。これは、とくには、充てんされるべき飲料のさらなるバッチの到着前の待機位置である。この動作モードにおいて、周期的な自動のポンプ行程は、好ましくは弁が開いているときにトリガされる。この動作においては、ポンプヘッド内に気泡が形成されているにもかかわらず、ポンプの準備状態が維持されることが好ましく、これらの気泡は、この動作で周期的に排出される。
【0071】
上述したように、ポンプヘッドへの熱伝導の増加が、より高い温度にさらされると発生する可能性があり、温度の上昇は、分解プロセスを増加させ、したがって気泡の形成を増加させる。好ましくは、(動作モード加熱において上述したように)周期的なベント行程の間隔は、ここで変更され、とくには短縮される。好ましくは、システム制御部は、手動または一般的にユーザの介入によって選択することができ、ポンプ装置が弁を開いた状態で(好都合には、固定された)時間間隔で動作する動作モードベントを可能にする。この動作モードにおいては、集中的なベントまたは脱気プロセスが行われる。
【0072】
さらなる好ましい方法において、弁装置を介して排出される気体媒体および/または液体媒体が、容器、とくには測定容器へと通される。さらなる好ましい方法において、弁装置を介して排出される媒体が、気体媒体であるか、あるいは液体媒体であるかを判断するために分析される。
【0073】
さらなる好ましい方法において、ポンプ装置の少なくとも1つの要素の温度が、少なくとも一時的に決定される。
【0074】
さらなる利点および実施形態を、添付の図面に見て取ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0075】
図1】本発明による装置の概略図を示している。
図2】ベントプロセスの詳細図を示している。
【発明を実施するための形態】
【0076】
図1が、本出願人の内部先行技術による飲料を保存するための装置1を示している。ここで、参照符号10は、容器へと充てんされる液体、とくには飲料を、充てん機20へと供給する飲料ラインを指す。参照符号2が、飲料ライン20を通る飲料の流量を決定または測定する流量測定装置を示している。この流量測定装置3は、制御信号Sを制御装置14に出力する。この制御装置14は、この制御信号Sを考慮して、ポンプ装置4を制御する。
【0077】
ポンプ装置4は、リザーバ8から保存料を送り、ノズルヘッド6を介して飲料ライン10へと届け、より正確には、ここでは、飲料ライン10の湾曲領域10aに届ける。参照符号5が、デリバリラインを示しており、好ましくは、ノズルヘッドもこのデリバリライン5の構成要素である。
【0078】
図2が、本発明のより詳細な図を示している。ここでも、ポンプ装置4が示されており、ポンプ装置4は、この場合には、ダイアフラムポンプ、とくには投入ポンプである。
【0079】
弁装置22が、このポンプ装置の(好ましくは)上部領域に設けられ、これは、全体が2として指し示されているベント装置の構成要素である。この弁装置22は、上述したように、好ましくは電磁弁である。この電磁弁を、制御装置30(概略的にのみ図示)によって制御して開閉させることができる。
【0080】
ベントライン24が、この電磁弁装置22に接続される。参照符号3が、この通気ライン24に気体媒体が流れているか、あるいは液体媒体が流れているかを判断する測定装置を示している。このようにして、ベントが成功したかどうか、あるいはポンプ装置4に空気または気体全般が依然として存在するかどうかを、判断することができる。
【0081】
ライン24は、好ましくは測定容器28内へと開口し、測定容器28は、測定装置3または測定容器28における液体のレベルを確認することができるフロート装置34および目盛りを有する。
【0082】
参照符号32が、測定容器内の液体の充てんレベルを検出する随意により利用可能なセンサ装置を示している。この測定装置32からのデータも、好ましくは、弁装置22の制御および/またはポンプ装置4の制御に使用される。
【0083】
参照符号16が、ポンプ装置4の少なくとも1つの要素の温度、とくにはポンプヘッドの領域内の温度を測定する随意により利用可能な温度測定装置を示している。この温度に応じて、投入されるべき液体内の脱気挙動も変化し得る。したがって、好ましくは、この温度測定装置16からのデータも、好ましくは、弁装置22および/またはポンプ装置4の制御に使用される。
【0084】
加えて、好ましくは、ポンプ装置4自体の動作に関するデータも、弁装置22の制御に用いられる。例えば、ポンプピストンなどのポンプ要素の位置を表すデータを使用することが可能である。このデータも、好ましくは、弁装置22を制御するために使用される。例えば、弁装置22を、例えば上述したように、別のポンプ行程が生じる直前など、特定の時間に常に動作させることが可能である。
【0085】
好ましくは、二炭酸ジアルキルが、保存料として使用される。きわめて好ましくは、二炭酸ジメチルが使用され、さらにより好ましくは、99.8%超の純度の二炭酸ジメチルが保存料として使用される。
本発明のさらなる実施形態において、適切なプロセスによって安定化された二炭酸ジメチルが使用される。
【0086】
一連のリン酸化物、リン酸素酸、およびそれらの誘導体からのリン化合物の使用など、そのような方法は、例えば欧州特許第2 013 160号明細書から知られている。欧州特許第2 016 041号明細書が、化学的および熱的分解反応に対して二炭酸ジアルキルを安定にするために、無機酸および有機カルボン酸ならびにそれらの誘導体から選択される少なくとも1つのプロトン酸の使用を記載しており、有機カルボン酸20は、飽和およびモノまたはポリ不飽和脂肪族モノカルボン酸ならびに飽和およびモノまたはポリ不飽和脂肪族ジおよびポリカルボン酸であり、それらの誘導体の場合には、ヒドロキサム酸、ヒドロキシカルボン酸、アルデヒド、およびケト酸であり、プロトン酸またはその混合物は、二炭酸ジアルキルまたはそれらの混合物に対して0.01~100 000 ppmの量で使用される。
【0087】
本発明のさらなる実施形態において、二炭酸ジメチルは、好ましくはリン酸塩などのリン化合物、さらにより好ましくはリン酸トリメチルまたはリン酸との混合物にて使用される。好ましくは、リン化合物30は、二炭酸ジメチルとリン化合物との混合物の総量に基づいて0.01ppm~1000ppmの量で使用される。
【0088】
出願人は、個別にまたは組み合わせて従来技術と比較して新しい場合に限り、出願書類に開示されたすべての特徴を本発明に必須であると主張する権利を留保する。さらに、図には、それ自体で有利になる可能性のある機能も記載されていることが指摘される。当業者であれば、図からさらなる特徴を採用しなくても、図に記載されている特定の特徴も有利であり得ることを直ちに認識する。さらに、当業者は、個々の図または異なる図に示されるいくつかの特徴の組み合わせからも利点が得られることを認識する。
【符号の説明】
【0089】
1 装置
2 ベント装置
3 測定装置
4 ポンプ装置
5 デリバリライン
6 ノズルヘッド
8 リザーバ
10 飲料ライン
10a 湾曲領域
12 監視装置
14 制御装置
16 温度検出装置
18 温度測定装置
20 飲料ライン
22 弁装置
24 ライン/ベントライン
28 測定容器
30 制御装置
32 センサ装置
34 フロート装置
図1
図2
【国際調査報告】