(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-21
(54)【発明の名称】ヒドロゲル
(51)【国際特許分類】
A61K 8/02 20060101AFI20240514BHJP
A61K 8/04 20060101ALI20240514BHJP
A61K 8/26 20060101ALI20240514BHJP
A61K 8/81 20060101ALI20240514BHJP
A61K 8/39 20060101ALI20240514BHJP
A61K 8/86 20060101ALI20240514BHJP
A61Q 19/00 20060101ALI20240514BHJP
【FI】
A61K8/02
A61K8/04
A61K8/26
A61K8/81
A61K8/39
A61K8/86
A61Q19/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023572793
(86)(22)【出願日】2022-05-25
(85)【翻訳文提出日】2023-11-24
(86)【国際出願番号】 IB2022054880
(87)【国際公開番号】W WO2022254289
(87)【国際公開日】2022-12-08
(31)【優先権主張番号】202110625077.8
(32)【優先日】2021-06-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202210402526.7
(32)【優先日】2022-04-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000084
【氏名又は名称】弁理士法人アルガ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ス ハイボ
(72)【発明者】
【氏名】リウ ヤンチン
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AB271
4C083AB272
4C083AB332
4C083AB352
4C083AC122
4C083AC181
4C083AC182
4C083AC401
4C083AC402
4C083AC421
4C083AC422
4C083AC431
4C083AC432
4C083AC441
4C083AC482
4C083AC582
4C083AD091
4C083AD092
4C083AD111
4C083AD112
4C083AD161
4C083AD201
4C083AD202
4C083AD271
4C083BB05
4C083CC03
4C083DD27
4C083DD41
4C083EE06
4C083EE07
(57)【要約】
本発明は、以下の成分(A)、(B)、(C)及び(D)を含有するヒドロゲルを提供する。
(A)アニオン性ポリマー
(B)三価金属塩及び/又はホウ酸塩
(C)IOB値が0.1以上2以下である非イオン性界面活性剤
(D)水
【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の成分(A)、(B)、(C)及び(D)を含有するヒドロゲル。
(A)アニオン性ポリマー
(B)三価金属塩及び/又はホウ酸塩
(C)IOB値が0.1以上2以下である非イオン性界面活性剤
(D)水
【請求項2】
成分(A)は、以下の成分(A1)、(A2)、(A3)から選ばれる1種又は2種以上である、請求項1に記載のヒドロゲル。
(A1)アニオン性ポリビニルアルコール
(A2)アクリル酸、メタクリル酸、及びアルキル基の炭素数が1~30であるアルキル(メタ)アクリレートから選択される少なくとも1つのモノマーを重合することによって得られるアクリル系コポリマー
(A3)カルボキシメチルセルロース
【請求項3】
成分(B)はアルミニウム塩及び/又はホウ酸塩から選ばれる、請求項1又は2記載のヒドロゲル。
【請求項4】
成分(C)は、PEG 脂肪酸エステル、PEG 硬化ヒマシ油、PEG 脂肪酸グリセリド、PPG グルコースポリエーテル、PPG ポリグリセリルエーテル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、PEG ポリジメチルシロキサン、ソルビタン脂肪酸エステル、PEG ソルビタン脂肪酸エステル、脂肪族アルコールポリエーテル、グルコシドから選ばれる1種又は2種以上の非イオン性界面活性剤である、請求項1~3のいずれか1項に記載のヒドロゲル。
【請求項5】
成分(A)に対する成分(C)の質量比(C)/(A)は0.15~2である、請求項1~4のいずれか1項に記載のヒドロゲル。
【請求項6】
ヒドロゲル中の成分(A)の含有量は5~20質量%である、請求項1~5のいずれか1項に記載のヒドロゲル。
【請求項7】
ヒドロゲル中の成分(B)の含有量は0.2~3質量%である、請求項1~6のいずれか1項に記載のヒドロゲル。
【請求項8】
ヒドロゲル中の成分(C)の含有量は2~10質量%である、請求項1~7のいずれか1項に記載のヒドロゲル。
【請求項9】
ヒドロゲル中の成分(D)の含有量は60~93質量%である、請求項1~8のいずれか1項に記載のヒドロゲル。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか1項に記載のヒドロゲルの皮膚外用剤としての使用。
【請求項11】
請求項1~9のいずれか1項に記載のヒドロゲルを皮膚に適用するスキンケア方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はヒドロゲルに関する。
【背景技術】
【0002】
中国では、フェイシャルマスク製品が多くなるにつれて、消費者のフェイシャルマスクの種類に対する意識が徐々に高まり、スキンケアの必需品としてフェイシャルマスク製品を使用し始めた。
なかでも、エッセンスを不織布に含浸させたフェイシャルマスクは、スキンケア効果が高いものの、使用時に顔に密着させるためには何度も貼り付ける位置を調整しなければならないので、使うのが面倒である。また、スキンケア効果を発揮するためには不織布からエッセンスがにじみ出なければならないので、これらのフェイシャルマスクの肌触りも非常にベタベタしており、消費者から非難されている。
【0003】
一方、ジェルタイプのフェイシャルマスク素材もあり、通常は目の周りなど、顔の特定の部分に貼り付けるのにのみ適し、形状の改変が不可能な素材を使用しているので、消費者の多様なニーズに応えることはできない。
そのため、消費者は、使い心地が良く、乾燥感やべたつき感の問題がなく、本来のスキンケア機能が維持されたフェイシャルマスク製品を求めており、さらに、顔の任意の位置にも便利に貼り付けることができるフェイシャルマスクを求めている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】中国特許出願公開第110430859号明細書
【特許文献2】中国特許出願公開第101002722号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
以上のことに鑑みて、本発明は、べたつき感と乾燥感がないという優れた効果を有し、良好な肌触りと使用感を実現可能なヒドロゲルを提供し、さらに、顔の任意位置にも簡単に貼り付けることができるヒドロゲルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、ヒドロゲルに非イオン性界面活性剤を含めることにより、乾燥感及びべたつき感を改善することができ、皮膚に適用した時にべたつき感及び乾燥感のないヒドロゲルが得られることを見出した。
【0007】
本発明は、以下の成分(A)、(B)、(C)及び(D)を含有するヒドロゲルを提供する。
(A)アニオン性ポリマー
(B)三価金属塩及び/又はホウ酸塩
(C)IOB値が0.1以上2以下である非イオン性界面活性剤
(D)水
【0008】
本発明のヒドロゲルにより、べたつき感及び乾燥感がないという優れた効果が得られるメカニズムはまだ解明されていないが、以下のことが考えられる。
即ち、ヒドロゲルが乾燥感を発現する主な理由は、ヒドロゲルに3価の金属イオン又はホウ酸塩陰イオンが存在することにあり、しかし、ヒドロゲルに非イオン性界面活性剤が含まれている場合、界面活性剤の親油性末端は良好な皮膚への親和性を示し、これによって、イオンによる渋滞感が低減され、また、界面活性剤が添加されると、ヒドロゲルに潤滑感が生じ、べたつき感が改善される。
【0009】
また、本発明は、ヒドロゲルの皮膚外用剤としての使用を提供する。
さらに、本発明は、本発明のヒドロゲルを皮膚に適用するスキンケア方法を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明のヒドロゲル及びその製造方法、使用方法をそれぞれ詳細に説明する。
【0011】
<ヒドロゲル>
[成分(A)]
本発明に使用する成分(A)はアニオン性ポリマーであり、その分子鎖に一定量の極性基を含むため、水素結合、イオン結合、又は配位結合のような結合様式により特定のイオンと大きなネット状構造を形成することができる。
【0012】
成分(A)のアニオン性ポリマーとしては、以下の成分(A1)、(A2)、(A3)から選ばれる1種又は2種以上が挙げられる。
(A1)アニオン性ポリビニルアルコール
(A2)アクリル酸、メタクリル酸、及び炭素数1~30のアクリル酸アルキルから選択される少なくとも1つのモノマーを重合することによって得られるアクリル系コポリマー
(A3)カルボキシメチルセルロース
【0013】
成分(A1)、(A2)、(A3)に存在するカルボキシル基は極性基であり、溶液に他のイオンが存在する時に、カルボキシル基は他のイオンと結合して三次元のネット構造を構成することができる。
【0014】
成分(A1)
本発明のヒドロゲルは、成分(A1)としてアニオン化ポリビニルアルコールを含有する。
成分(A1)は、例えば、スルホン酸基、硫酸基、カルボキシ基、リン酸基、ホスホン酸基等のアニオン性基を有するポリビニルアルコールである。
成分(A1)は、べたつき感をより抑制する観点から、好ましくはスルホン酸基及びカルボキシ基の少なくとも1つのアニオン性基を有するポリビニルアルコールであり、より好ましくはカルボキシ基を有するポリビニルアルコールである。
ここで、本明細書において、アニオン性基とは、アニオン基自身、又は、イオン化されてアニオン基になり得る基をいう。
カルボキシ基を有するポリビニルアルコールとしては、(1)ポリビニルアルコールとカルボキシ基を有する不飽和単量体とのグラフト重合又はブロック重合により得られるもの、(2)ビニルエステル化合物と、カルボキシ基及びカルボン酸エステル基から選ばれる少なくとも1つを有する不飽和単量体とを共重合した後、ケン化することにより得られるもの、(3)カルボキシ基を有する連鎖移動剤を用いてビニルエステル化合物を重合した後に、ケン化することにより得られるもの、及び(4)ポリビニルアルコールにカルボキシ化剤を反応させて得られるもの等が挙げられる。
【0015】
上記(1)及び(2)の方法で使用されるカルボキシ基を有する不飽和単量体、(2)の方法で使用されるカルボン酸エステル基を有する不飽和単量体としては、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等のエチレン性不飽和ジカルボン酸;マレイン酸モノアルキルエステル、フマル酸モノアルキルエステル、イタコン酸モノアルキルエステル等のエチレン性不飽和ジカルボン酸モノエステル;マレイン酸ジアルキルエステル、フマル酸ジアルキルエステル、イタコン酸ジアルキルエステル等のエチレン性不飽和ジカルボン酸ジエステル;無水マレイン酸、無水イタコン酸等のエチレン性不飽和カルボン酸無水物、(メタ)アクリル酸等の不飽和モノカルボン酸、(メタ)アクリル酸アルキルエステル等の不飽和モノカルボン酸エステル等が例示される。また、カルボキシ基及びカルボン酸エステル基から選ばれる少なくとも1つを有する不飽和単量体として、上記の化合物の塩を使用してもよい。これらの化合物は、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0016】
上記(2)及び(3)の方法で使用されるビニルエステル化合物としては、酢酸ビニル、ギ酸ビニル、プロピオン酸ビニル、バーサチック酸ビニル、ビバリン酸ビニル等が挙げられる。これらの中でも、合成時の反応性及び入手容易性の観点から、酢酸ビニルが好ましい。これらの化合物は、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0017】
上記(4)の方法で使用されるカルボキシ化剤としては、無水コハク酸、無水マレイン酸、無水酢酸、無水トリメリット酸、無水フタル酸、無水ピロメリット酸、無水グルタル酸、水添フタル酸無水物、ナフタレンジカルボン酸無水物等のカルボン酸無水物が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0018】
アニオン化ポリビニルアルコール中のアニオン性基量(アニオン性基を有するモノマー由来の割合)は、べたつき感をより抑制する観点、及び、水の保持力やゲル強度を向上させる観点から、好ましくは0.1モル%以上、より好ましくは0.5モル%以上、更に好ましくは1モル%以上であり、密着性をより向上させる観点、及び、水の供給量や皮膚へ適用した際の保湿感を向上させる観点から、好ましくは10モル%以下、より好ましくは5モル%以下、更に好ましくは3モル%以下である。
【0019】
アニオン化ポリビニルアルコール中のアニオン性基量は、ケン化前のアニオン化ポリビニルアルコールを、1H-NMR(溶媒:CDCl3)を用いて分析することにより求めることができる。
【0020】
アニオン化ポリビニルアルコールのケン化度は、べたつき感をより抑制する観点、及び、水の保持力やゲル強度を向上させる観点から、90モル%以上、より好ましくは95モル%以上、更に好ましくは98モル%以上であり、前記ケン化度の上限は特に限定されないが、例えば100.0モル%以下、好ましくは99.9モル%以下、より好ましくは99.5モル%以下である。アニオン化ポリビニルアルコールのケン化度は、JIS K6726:1994に準じて測定される。
【0021】
アニオン化ポリビニルアルコールの重合度は、べたつき感をより抑制する観点、及び、水の保持力やゲル強度を向上させる観点から、好ましくは100以上、より好ましくは500以上、更に好ましくは1,000以上であり、密着性をより向上させる観点、及び、柔軟性や伸びを向上させる観点から、好ましくは20万以下、より好ましくは1万以下、更に好ましくは4,000以下である。アニオン化ポリビニルアルコールの重合度は、完全ケン化したポリビニルアルコール水溶液と水との相対粘度から算出することができる(JISK6726:1994参照)。
【0022】
アニオン化ポリビニルアルコールの具体例としては、株式会社クラレ製のKL-118、KL-318、KL-506、KM-118、及びKM-618;三菱ケミカル株式会社製のゴーセネックスCKS50、ゴーセネックスT-330H、ゴーセネックスT-330、及びゴーセネックスT-350;日本酢ビ・ポバール株式会社のAP-17、AT-17、及びAF-17等が挙げられる。
【0023】
本発明の成分(A1)は1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
【0024】
好適な硬度を得る観点から、成分(A1)アニオン性ポリビニルアルコールの20℃での4%水溶液の粘度(Brookfield 粘度計により、S61ローター、回転速度20rpmの測定条件下にて測定)は、好ましくは 10mPa・s以上、より好ましくは20mPa・s以上、更に好ましくは25mPa・s以上であり、好適な柔軟性を得る観点から、粘度は、好ましくは50mPa・s以下、より好ましくは40mPa・s以下、更に好ましくは35mPa・s以下である。よって、好適な硬度と柔軟性を兼ねる観点から、粘度は、好ましくは10~50mPa・s、より好ましくは20~40mPa・s、更に好ましくは25~35mPa・sである。
【0025】
好適な硬度を得る観点から、本発明のヒドロゲルにおいて、成分(A1)の含有量は5質量%以上、好ましくは8質量%以上、且つ、20質量%以下、好ましくは12質量%以下である。要するに、本発明のヒドロゲルにおいて、成分(A1)の含有量は5質量%以上20質量%以下、好ましくは8質量%以上12質量%以下である。
【0026】
成分(A2)
成分(A2)は、アクリル酸、メタクリル酸、アルキル基の炭素数が1~30であるアルキル(メタ)アクリレートから選択される少なくとも1つのモノマーを重合することによって得られるアクリルポリマーである。成分(A2)としてのアクリルポリマーは、ポリアクリル酸及びポリアクリル酸ナトリウム、架橋ポリアクリル酸ナトリウム、カルボマー、及びアクリル樹脂を含む。
【0027】
ポリアクリル酸は、アクリル酸モノマーの付加重合により形成されるポリマーであり、ポリアクリル酸ナトリウムは、ポリアクリル酸を水酸化ナトリウムで中和することにより得られるものである。ポリアクリル酸とポリアクリル酸ナトリウムとしては、分子量は、好ましくは100~4000000であり、粘度は、好ましくは100~50000mPa・s(0.5% aqueous、25℃、Brookfield粘度計を使用し、S61~S64ローターを利用し、具体的なローターと回転速度は測定対象の粘度に応じて選択する。)であり、その市販品としては、Merck社製の323667、181285、306215、306231、306223、447013、420344、81123等、Nihon Junyaku社製のAC-10HとJurymer AC-10LHP、Synthron社製のModarez V 1300 PX、Orient Stars社製のOristar PALA、C.I.T.社製のCreagel TN 500等が挙げられる。カルボマーはポリアクリル酸ポリマーであり、高分子量の架橋ホモポリマーである。その粘度は、好ましくは500~80000mPa・s(0.2% aqueous、25℃、KOHでpHを中性に調整し、Brookfield粘度計を使用し、S61~S64ローターを利用し、具体的なローターと回転速度は測定対象の粘度に応じて選択する。)であり、その市販品としては、Lubrizol社製のUltrez 10、Ultrez 21、Ultrz 30などが挙げられる。
【0028】
アクリレートコポリマーは、メタクリレート、アクリレート、アクリル酸などのモノマーを一定の比率でコポリマー化してなるポリマーである。本発明において、メタクリレート、アクリレートは全てアルキル基の炭素数が1~30であるアルキル(メタ)アクリレートであり、なかでも、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、C10~30のアルキルアクリレートが好ましい。アクリレートコポリマーとしては、粘度が好ましくは100~80000mPa・s(0.2% aqueous、25℃、KOHでpHを中性に調整し、Brookfield粘度計を使用し、S61~S64ローターを利用し、具体的なローターと回転速度は測定対象の粘度に応じて選択する。)であり、その市販品としては、Lubrizol 社製のPemulen TR-1、Pemulen TR-2、SF-1、SF-2、ETD 2020 等、Rohm and Haas 社製のACULYN 88、ACULYN 22、ACULYN 28、ACULYN 38等が挙げられる。
【0029】
好適な硬度を得る観点から、本発明のヒドロゲルにおいて、成分(A2)の含有量は0.1質量%以上、20質量%以下、好ましくは15質量%以下である。要するに、本発明のヒドロゲルにおいて、成分(A2)の含有量は0.1質量%以上20質量%以下、好ましくは0.1質量%以上15質量%以下である。
【0030】
成分(A3)
成分(A3)はカルボキシメチルセルロース(CMC)であり、セルロースのカルボキシメチル化により得られるセルロースエーテル化合物である。
【0031】
好適な硬度を得る観点から、成分(A3)カルボキシメチルセルロースの20℃での1%水溶液の粘度(Brookfield 粘度計を使用し、S61~S64ローターを利用し、具体的なローターと回転速度は水溶液の粘度に応じて選択する。)は200mPa・s以上であり、好適な柔軟性を得る観点から、粘度は、好ましくは5000mPa・s以下である。よって、好適な硬度と柔軟性を兼ねる観点から、粘度は、好ましくは200~5000mPa・sである。
【0032】
カルボキシメチルセルロースとしては、その市販品は、Ashland 社製のAqualon、Blanose、Bondwellシリーズ、例えば TH10A、9H4FU等が挙げられる。
【0033】
好適な硬度を得る観点から、本発明のヒドロゲルにおいて、成分(A3)の含有量は0.2質量%以上、好ましくは0.5質量%以上、20質量%以下、好ましくは15質量%以下である。要するに、本発明のヒドロゲルにおいて、成分(A3)の含有量は0.2質量%以上20質量%以下であり、好ましくは0.5質量%以上15質量%以下である。
【0034】
本発明において、成分(A)は、成分(A1)、(A2)、(A3)から選ばれる1種又は2種以上であり、好ましくは、成分(A)がポリビニルアルコールである。
【0035】
好適な粘度のゲルを得る観点から、成分(A)の合計含有量は0.1質量%以上、30質量%以下であり、好ましくは20質量%以下である。要するに、本発明のヒドロゲルにおいて、成分(A)の合計含有量は0.1質量%以上30質量%以下であり、好ましくは0.5質量%以上20質量%以下である。
【0036】
[成分(B)]
本発明に使用する成分(B)は、三価金属塩、ホウ酸塩から選ばれる1種又は2種以上である。
本発明に使用する成分(B)の三価金属塩としては、鉄イオン(Fe3+)を含む鉄塩、マンガンイオン(Mn3+)を含むマンガン塩、クロムイオン(Cr3+)を含むクロム塩、アルミニウムイオン(Al3+)を含むアルミニウム塩等が挙げられ、なかでも、入手の容易性の観点から、アルミニウムイオン(Al3+)を含むアルミニウム塩が好ましい。
【0037】
アルミニウム塩としては、塩化アルミニウム、カリウムミョウバン、アンモニウムミョウバン、酢酸アルミニウム、メチルケイ酸アルミニウム・マグネシウム、ケイ酸アルミニウム・マグネシウム、メタケイ酸アルミニウム・マグネシウム、EDTA・アルミニウム、アラントイン酸アルミニウム、水酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム・マグネシウム、P-ヒドロキシアルミニウムグリシン、硫酸アルミニウム、硫酸カリウムアルミニウム、乳酸アルミニウム、ジヒドロキシアルミニウムアミノアセテート、グリシン酸アルミニウム、酸化アルミニウム、ホウ酸アルミニウムから選ばれる1種又は2種以上が挙げられる。
【0038】
これらのなかでも、入手の容易性の観点から、塩化アルミニウム、カリウムミョウバン、アンモニウムミョウバン、酢酸アルミニウム、メチルケイ酸アルミニウム・マグネシウム、アラントイン酸アルミニウム、硫酸アルミニウム、硫酸カリウムアルミニウム、乳酸アルミニウム、ジヒドロキシアルミニウムアミノアセテート、グリシン酸アルミニウムが好ましく、塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム、カリウムミョウバン、グリシン酸アルミニウムがさらに好ましく、塩化アルミニウム、硫酸アルミニウムがより好ましい。
【0039】
本発明に使用する成分(B)中のホウ酸塩は主に四ホウ酸塩(M[B4O5(OH)4]、Mはナトリウム、カリウム又はアンモニウムである。)と五ホウ酸塩(M[B5O6(OH)4]、Mはナトリウム、カリウム又はアンモニウムである。)を含み、入手容易性の観点から、四ホウ酸ナトリウムが好ましい。市販品としては、和光純薬株式会社製のBORAX等が挙げられる。
【0040】
ホウ酸塩を水に溶解してホウ酸塩水溶液を形成する場合、水溶液中に存在するホウ酸塩アニオンは主に[B(OH)4]-、[B3O3(OH)4]-、[B4O5(OH)4]2-、[B5O6(OH)4]-等を含む。
【0041】
成分(A1)のアニオン性ポリマーの水溶液を成分(B)のホウ酸塩の水溶液と混合すると、不可逆的なゲル化反応が起こり、そのうち、ホウ酸塩中の三価ホウ素イオンは、成分(A1)中のヒドロキシル基と共有配位結合を形成して、ネット状ゲルを形成する。
【0042】
配位共有結合が繋がってなるヒドロゲルは、良好な硬度と延展性を有し、長時間皮膚に貼り付けられても形状を維持することができる。
【0043】
成分(B)は水に溶けて水溶液として使用される。且つ、成分(B)は、単独で使用されても、2種以上を組み合わせて使用されてもよく、ヒドロゲルの延展性を得る観点から、本発明のヒドロゲルにおいて、成分(B)の含有量は0.2質量%以上、3質量%以下である。要するに、本発明のヒドロゲルにおいて、成分(B)の含有量は0.2質量%以上、3質量%以下である。
【0044】
よって、ヒドロゲルのネット状構造の安定性を得る観点から、成分(B)と成分(A)との関係は、成分(A)に含まれるカルボキシル基のモル量に対する成分(B)に含まれる三価金属イオンのモル量の比率((B)の三価金属イオンのモル量/(A)のカルボキシル基のモル量)で 0.5~10であり、好ましくは3~6である。この比率は以下の方法により得られる。先ず、成分(B)中の三価金属イオンは、B成分中の三価金属イオンのモル量を算出する方法から得られ、M1で表される。次に、成分(A)中のアニオン性基のモル量は、成分(A1)中のカルボン酸基のモル量を測定する方法で得られ、M2と表される。M1をM2で割ると前記のモル比が得られる。
【0045】
一方、ヒドロゲルのネット状構造の安定性を得る観点から、成分(B)と成分(A)の質量比((B)の含有量/成分(A)の含有量)は0.001~0.5、好ましくは0.01~0.06である。
【0046】
[成分(C)]
本発明に使用する成分(C)はIOB 値が0.1以上2以下である非イオン性界面活性剤である。
IOB値が2以下である非イオン性界面活性剤は界面活性を有し、親水性と親油性の両親性を示し、ゲル体系に添加されると、非イオン性界面活性剤の親油性末端がソフトで滑らかな感触を発現し、肌への親和性が強く、べたつき感と乾燥感を改善するという役割を果たす。IOB値が2より大きいと、非イオン性界面活性剤の界面活性が下がり、水への溶解力が強くなるが、その親油性末端が発現するソフトで滑らかな感触が低下し、乾燥感を改善する効果が良くない。IOB値が0.1未満であると、ゲル体系の安定性には好ましくない。ヒドロゲルの、べたつき感及び乾燥感がないという効果を得る観点から、非イオン性界面活性剤のIOB値は2.0以下、好ましくは1~1.5、より好ましくは1.16~1.37である。ゲル体系の安定性を得る観点から、非イオン性界面活性剤のIOB値は0.1以上である。
【0047】
成分(C)の非イオン性界面活性剤としては、具体的にはPEG 脂肪酸エステル、PEG 硬化ヒマシ油、PEG 脂肪酸グリセリド、PPG グルコースポリエーテル、PPG ポリグリセリルエーテル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、PEG ポリジメチルシロキサン、ソルビタン脂肪酸エステル、PEG ソルビタン脂肪酸エステル、脂肪族アルコールポリエーテル、グルコシド等が挙げられ、なかでも、PEG 脂肪酸エステル、PEG 脂肪酸グリセリドなどが好ましい。
【0048】
成分(C)の非イオン性界面活性剤としては、具体的にはPPG-9 ジポリグリセロールエーテル(IOB値:0.90)、PPG-10 メチルグルコースエーテル(IOB値:0.95)、PEG-7 グリセロールココエート(IOB値:1.16)、PEG-6 カプリル酸/カプリン酸グリセリド(IOB値:1.25)、PEG-60 ヒマシ油(IOB値:1.36)、PEG-12 ラウレート(IOB値:1.37)、ポリグリセロール-6ジステアレート(IOB値:0.76)、PEG-11 メチルエーテルポリジメチルシロキサン(IOB値:1.45)、ラウリン酸ソルビタン(IOB値:0.86)、PEG-6 ソルビタンステアリン酸エステル(IOB値:0.96)、ポリソルベート-40(IOB値:1.56)、ラウレス-9(IOB値:1.34)、セテス-13(IOB値:1.42)、デシルグルコシド(IOB値:1.57)などが挙げられる。
【0049】
成分(C)としては、1種を使用するか、2種以上を組み合わせて使用することができ、ヒドロゲルの、乾燥感及びべたつき感がないという効果を得る観点から、その含有量は、全組成において2.0質量%以上、好ましくは3.0質量%以上であり、且つ10.0質量%以下、好ましくは5.0質量%以下である。要するに、本発明のヒドロゲルにおいて、成分(C)の含有量は、2.0 質量%以上10.0質量%以下、好ましくは2.0 質量%以上5.0 質量%以下、より好ましくは2.0質量%以上4.0質量%以下である。
【0050】
また、べたつき感の改善及び乾燥感の改善を兼ねる観点から、成分(A)の含有量に対する成分(C)の含有量の質量比[成分(C)の含有量/成分(A)の含有量]は0.15~2.0、好ましくは0.15~0.5である。
【0051】
[成分(D)]
本発明に使用する成分(D)は水である。
本発明に使用する成分(D)水としては、脱イオン水、蒸留水、高純度の水、超高純度の水など化粧品分野に一般的に使われている水が挙げられる。
本発明において、ヒドロゲルの形態を良好に保つ観点、及び、ヒドロゲルの乾燥感とべたつき感をよく改善する観点から、ヒドロゲル中の成分(D)水の含有量は60質量%以上、好ましくは70質量%以上、且つ97質量%以下、好ましくは95質量%以下である。要するに、本発明のヒドロゲルにおいて、成分(D)水の含有量は60質量%以上97%質量%以下、好ましくは70質量%以上95質量%以下である。
【0052】
また、本発明のヒドロゲルにおいて、水は、特別に添加された水、又は他の原料に含まれる水(例えば、成分(A)~(C)に含まれる水)であってもよい。
【0053】
[その他の成分]
本発明のヒドロゲルは、分子量50~380のポリオールを含むこともできる。
ヒドロゲル粘度への影響が小さいという観点から、主鎖がアルキル基であるアルコールが好ましく、より好ましくはジオールであり、さらに好ましくは、主鎖が隣接しないヒドロキシル構造を有するジオールである。
この分子量が50~380のポリオールとしては、例えば、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、グリセリン、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、ジプロピレングリコール、トレハロース等が挙げられる。これらのうち、ヒドロゲル粘度への影響が小さく、ヒドロゲルの適正な粘度を確保する観点から、1,3-プロパンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,2-プロパンジオール、グリセリン及びトレハロースの中の1種又は2種以上が好ましく、1,3-プロパンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオールの中の1種又は2種以上がより好ましい。
【0054】
ヒドロゲルの安定性の観点から、上記のポリオールの含有量は全組成中0.1質量%以上であり、好ましくは2質量%以上、より好ましくは5質量%以上、また、好ましくは27質量%以下、好ましくは20質量%以下、より好ましくは16.5質量%以下、さらに好ましくは10質量%以下、さらに好ましくは8質量%以下である。
【0055】
また、本発明のヒドロゲルにおいては、本発明の効果に影響を与えない限り、前記成分に加えて、保湿剤、美白剤、血液循環促進剤、抗炎症剤、殺菌剤、UV吸収剤、着色剤、防腐剤、抗酸化剤、香料、pH調整剤、キレート剤などの化粧品に一般的に使用される成分を使用することができる。
【0056】
<ヒドロゲルの調製方法>
本発明のヒドロゲルの調製方法は以下の方法が挙げられる。即ち、成分(A)、成分(C)及び成分(D)を混合して水溶液を形成し、成分(B)を成分(D)に溶解して水溶液を形成し、次に成分(B)の水溶液を成分(A)と(C)の水溶液に加え、攪拌して放置し、ヒドロゲルを得た。
【0057】
粘度は限定されていないが、本発明のヒドロゲルの室温(25℃)での粘度は、好ましくは500Pa・s以上且つ8000Pa・s以下である。
【0058】
本発明のヒドロゲルは、チューブ状又は袋状の持ち運びが容易であるパッケージ内に充填されていても、パッケージ内に残留せずに容易に取り出すことができる。
本発明のヒドロゲルは、皮膚、好ましくは頭皮以外の顔、体、手足等の任意の部分に貼り付けることによって使用され、使用時に自由に伸び広がることができ、肌へのフィット感が良く、保湿性に優れ、べたつき感や乾燥感がなく、使用後に肌からはがれやすい。
【0059】
<ヒドロゲルの使用方法>
本発明のヒドロゲルは、いずれの場合も、皮膚外用剤として皮膚に適用することができ、それにより、スキンケアを実現することができる。具体的には、使用時に、ヒドロゲルを適切なサイズに伸ばしてから皮膚に貼り付けるか、又は先ずヒドロゲルを皮膚に貼り付け、その後一定の時間、好ましくは1分間~2時間、より好ましくは5分間~1時間皮膚に保持してから適切なサイズに伸ばすことができ、使用後に容易に剥がすことができ、これにより良好なスキンケア効果が得られる。さらに、ヒドロゲルを使用するとともにマッサージをすることもでき、マッサージは、手で直接マッサージすることも、スポンジなどのツールを使用することもできる。
【0060】
更に、本発明は、本発明のヒドロゲルを皮膚に適用して皮膚を保湿する、皮膚保湿方法を提供する。
【0061】
以下、前記実施形態について、本発明の好ましい実施形態を更に開示する。
<1>
以下の成分(A)、(B)、(C)及び(D)を含有するヒドロゲル。
(A)アニオン性ポリマー
(B)三価金属塩及び/又はホウ酸塩
(C)IOB値が0.1以上2以下である非イオン性界面活性剤
(D)水
【0062】
<2>
成分(A)は、以下の成分(A1)、(A2)、(A3)から選ばれる1種又は2種以上である、前記<1>に記載のヒドロゲル。
(A1)アニオン性ポリビニルアルコール
(A2)アクリル酸、メタクリル酸、及びアルキル基の炭素数が1~30であるアルキル(メタ)アクリレートから選択される少なくとも1つのモノマーを重合することによって得られるアクリル系コポリマー
(A3)カルボキシメチルセルロース
【0063】
<3>
(A1)アニオン性ポリビニルアルコールの20℃での4%水溶液の粘度は、10mPa・s以上、より好ましくは20mPa・s以上、更に好ましくは25mPa・s以上であり、且つ、好ましくは50mPa・s以下、より好ましくは40mPa・s以下、更に好ましくは35mPa・s以下であり、そして、好ましくは10~50mPa・s、より好ましくは20~40mPa・s、更に好ましくは25~35mPa・sである、前記の<2>に記載のヒドロゲル。
【0064】
<4>
ヒドロゲルにおいて、成分(A1)の含有量は5質量%以上、20質量%以下、好ましくは12質量%以下であり;そして、成分(A1)の含有量は5質量%以上20質量%以下、好ましくは8質量%以上12質量%以下である、前記<2>又は<3>に記載のヒドロゲル。
【0065】
<5>
成分(A2)は、ポリアクリル酸およびポリアクリル酸ナトリウム、カルボマー、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、C10~30アルキルアクリレートから選択される1種又は2種以上である、前記<2>~<4>のいずれか1項に記載のヒドロゲル。
【0066】
<6>
ヒドロゲルにおいて、成分(A2)の含有量は0.1質量%以上、20質量%以下、好ましくは15質量%以下であり、更に成分(A2)の含有量は0.1質量%以上20質量%以下、好ましくは0.1質量%以上15質量%以下である、前記<2>~<5>のいずれか1項に記載のヒドロゲル。
【0067】
<7>
成分(A3)カルボキシメチルセルロースの20℃での1%水溶液の粘度は200mPa・s以上であり、好ましくは5000mPa・s以下であり、更に、好ましくは200~5000mPa・sである、前記<2>~<6>のいずれか1項に記載のヒドロゲル。
【0068】
<8>
ヒドロゲルにおいて、成分(A3)の含有量は 0.2質量%以上、20質量%以下、好ましくは15 質量%以下であり;さらに、ヒドロゲルにおいて、成分(A3)の含有量は0.2 質量%以20質量%以下であり、好ましくは0.5質量%以上15質量%以下である、前記<2>~<7>のいずれか1 項に記載のヒドロゲル。
【0069】
<9>
ヒドロゲルにおいて、成分(A)の合計含有量は0.1質量%以上、好ましくは0.5質量%以上であり、且つ30質量%以下、好ましくは20質量%以下であり、更に、成分(A)の含有量は、0.1質量%以上30質量%以下、好ましくは0.5質量%以上20質量%以下である、前記<1>~<8>のいずれか1項に記載のヒドロゲル。
【0070】
<10>
成分(B)は鉄イオン(Fe3+)を含む鉄塩、マンガンイオン(Mn3+)を含むマンガン塩、クロムイオン(Cr3+)を含むクロム塩、アルミニウムイオン(Al3+)を含むアルミニウム塩から選ばれる1 種又は2 種以上であり、
成分(B)は好ましくはアルミニウム塩及び/又はホウ酸塩であり、
成分(B)は更に好ましくは塩化アルミニウム、カリウムミョウバン、アンモニウムミョウバン、酢酸アルミニウム、メチルケイ酸アルミニウム・マグネシウム、ケイ酸アルミニウム・マグネシウム、メタケイ酸アルミニウム・マグネシウム、EDTA・アルミニウム、アラントイン酸アルミニウム、水酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム・マグネシウム、P-ヒドロキシアルミニウムグリシン、硫酸アルミニウム、硫酸カリウムアルミニウム、乳酸アルミニウム、ジヒドロキシアルミニウムアミノアセテート、グリシン酸アルミニウム、酸化アルミニウム、ホウ酸アルミニウム、四ホウ酸ナトリウム、四ホウ酸カリウム、四ホウ酸アンモニウム、五ホウ酸ナトリウム、五ホウ酸カリウム、五ホウ酸アンモニウムから選ばれる1種又は2種以上である、前記<1>~<9>のいずれか1項に記載のヒドロゲル。
【0071】
<11>
ヒドロゲルにおいて、成分(B)の含有量はホウ酸ナトリウムに換算される量で0.2質量%以上、3質量%以下であり、更に、ヒドロゲルにおいて、成分(B)の含有量はホウ酸ナトリウムに換算される量で0.2質量%以上且つ3質量%以下である、前記<1>~<10>のいずれか1項に記載のヒドロゲル。
【0072】
<12>
成分(B)中の三価金属イオンのモル量の、成分(A)中のアニオン性基のモル量に対する比は0.5~10、好ましくは3~6であり、成分(B)と成分(A)との質量比は0.001~0.5、好ましくは0.01~0.06である、前記<1>~<11>のいずれか1項に記載のヒドロゲル。
【0073】
<13>
成分(C)IOB 値が0.1以上2以下である非イオン性界面活性剤は、好ましくはPEG 脂肪酸エステル、PEG 硬化ヒマシ油、PEG 脂肪酸グリセリド、PPG グルコースポリエーテル、PPG ポリグリセリルエーテル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、PEG ポリジメチルシロキサン、ソルビタン脂肪酸エステル、PEG ソルビタン脂肪酸エステル、脂肪族アルコールポリエーテル、グルコシドから選ばれる1種又は2種以上である、前記<1>~<12>のいずれか1項に記載のヒドロゲル。
【0074】
<14>
成分(C)の非イオン性界面活性剤のIOB値は好ましくは1~1.5、より好ましくは1.16~1.37である、前記<1>~<13>のいずれか1項に記載のヒドロゲル。
【0075】
<15>
ヒドロゲルにおいて、成分(C)の含有量は2.0質量%以上、好ましくは3.0質量%以上であり、且つ10.0質量%以下、好ましくは5.0質量%以下であり、
更に、ヒドロゲルにおいて、成分(C)の含有量は、2.0質量%以上且つ10.0質量%以下、好ましくは2.0質量%以上5.0質量%以下、より好ましくは2.0質量%以上4.0質量%以下である、前記<1>~<14>のいずれか1項に記載のヒドロゲル。
【0076】
<16>
成分(A)の含有量に対する成分(C)の含有量の質量比[成分(C)の含有量/成分(A)の含有量]は0.15~2.0、好ましくは0.15~0.5である、前記<1>~<15>のいずれか1項に記載のヒドロゲル。
【0077】
<17>
ヒドロゲル中の成分(D)水の含有量は60質量%以上、好ましくは70質量%以上、且つ97質量%以下、好ましくは95質量%以下であり、
更に、ヒドロゲル中の成分(D)水の含有量は60 質量%以上97%質量%以下、好ましくは70質量%以上95質量%以下である、前記<1>~<16>のいずれか1項に記載のヒドロゲル。
【0078】
<18>
ヒドロゲルの室温(25℃)での粘度は、500Pa・s以上8000Pa・s以下である、前記<1>~<17>のいずれか1項に記載のヒドロゲル。
【0079】
<19>
前記<1>~<18>のいずれか1項に記載のヒドロゲルの皮膚外用剤としての使用。
【0080】
<20>
前記<1>~<18>のいずれか1項に記載のヒドロゲルを皮膚に適用してスキンケアをするスキンケア方法。
【0081】
<21>
前記<1>~<18>のいずれか1項に記載のヒドロゲルを皮膚に適用して皮膚を保湿する皮膚保湿方法。
【実施例】
【0082】
以下、実施例を、比較例を利用して本発明をより詳しく説明する。ただし、本発明は下記実施例に限られるものではない。また、各成分の量は質量%である。
【0083】
1.調製方法
表1~3に示す組成(表1に示す値は有効成分の含有量)に従い、成分(A)、(C)、及び(A)以外のオプションの成分を室温で脱イオン水に分散し、80℃以上の水浴で攪拌してすべてを溶解させ、室温まで冷却して、蒸発した水分を補足し、その後成分(B)の水溶液を加え、得られた混合物を手動で攪拌して成分(A)と成分(B)をゲル化させ、静置後に再び攪拌してヒドロゲルを得た。
【0084】
2.使用感の評価
(1)乾燥感改善効果の評価
官能評価法を使用した。非イオン性界面活性剤を添加していない対照群のサンプルと、非イオン性界面活性剤を添加した、本発明の実施例及び比較例の比較用サンプルをそれぞれ2g取り、指でこすり、サンプル間の違いを感じた。乾燥感の違いは、以下の採点基準に従って評価した。被験者は10人おり、それぞれが対照群のサンプル及び本発明の実施例と比較例のサンプルについて乾燥感を評価して採点した。最後に、10人のスコアの平均を取った。
【0085】
3点:対照群と比べ、比較用サンプルに改善がある。
2点:対照群と比べ、比較用サンプルに少々の改善がある。
1点:対照群と比べ、比較用サンプルに改善がない。
【0086】
(2)べたつき感改善効果の評価
官能評価法を使用した。非イオン性界面活性剤を添加していない対照群のサンプルと、非イオン性界面活性剤を添加した、本発明の実施例及び比較例の比較用サンプルをそれぞれ2g取り、指で押して、サンプル間の違いを感じた。べたつき感の違いは、以下の採点基準に従って評価した。被験者は10人おり、それぞれが対照群のサンプル及び本発明の実施例と比較例のサンプルについてべたつき感を評価して採点した。最後に、10人のスコアの平均を取った。
【0087】
3点:対照群と比べ、比較用サンプルに改善がある。
2点:対照群と比べ、比較用サンプルに少々の改善がある。
1点:対照群と比べ、比較用サンプルに改善がない。
【0088】
【0089】
【0090】
【0091】
表1~表3から、本発明のヒドロゲルは、べたつき感と乾燥感がないという優れた効果を有し、良好な手触り及び使用感が達成したことが分かった。
【0092】
(注)表1~表3中の成分は下記のものである。
ポリビニルアルコール:GOHSENX T-330H(有効成分含有量:96%)、Mitsubishi Chemical Corporation社製。
塩化アルミニウム:Sinopharm Chemical Reagent Co., Ltd.社製。
硫酸アルミニウム:Sinopharm Chemical Reagent Co., Ltd.社製。
グリシン酸アルミニウム:Sinopharm Chemical Reagent Co., Ltd.社製。
ホウ砂:健栄製薬株式会社製。
PPG-9 ジポリグリセリルエーテル:商品名SY-DP9(有効成分含有量:100%)、Sakamoto Yakuhin Kogyo Co., Ltd. 社製。
PPG-10 メチルグルコースエーテル:商品名MACBIO BRIDE MG-10P (有効成分含有量:100%)、日本油脂株式会社製。
PEG-7 グリセリルココエート:商品名CETIOL HE(有効成分含有量:100%)、BASF SE 社製。
PEG-6 カプリル酸/カプリン酸グリセリド:商品名TEGOSOFT GMC 6(有効成分含有量:100%)、Evonik Operations GmbH 社製。
PEG-60 ひまし油:商品名NIKKOL HCO-60(有効成分含有量:100%)、Nippon Surfactant Industries Co., Ltd.社製。
PEG-12 ラウリン酸エステル:商品名EMANON 1112(有効成分含有量:100%)、花王株式会社製。
メチルグルシトールポリエーテル-20:商品名MACBIO BRIDE MG-20E(有効成分含有量:100%)、日本油脂株式会社製。
メチルグルシトールポリエーテル-10:商品名MACBIO BRIDE MG-10E(有効成分含有量:100%)、日本油脂株式会社製。
PROPYLENE GLYCOL(JSQI):プロピレングリコール、商品名(有効成分含有量:100%)、AGC Inc.社製。
1,3-BUTYLENE GLYCOL-P:1,3-ブタンジオール、商品名(有効成分含有量:100%)、KH NeoChem Co., Ltd.社製。
MEKKINS-M (UENO METHYL PARABEN NF):メチルパラベン、商品名(有効成分含有量:100%)、Ueno Fine Chemicals Industry, Ltd.社製。
【0093】
以下、本発明のヒドロゲルの処方例を列挙する。留意されたいのは、本発明は決してこれらの処方例によって限定されていない。配合例のヒドロゲルはいずれもべたつき感や乾燥感がなく、手触りや使用感が良好である。
【0094】
処方例1:
ポリビニルアルコール(T330H) 11.2質量%
グリシン酸アルミニウム 0.345質量%
PEG-6 カプリル酸/カプリン酸グリセリド 0.33質量%
PEG-12 ラウリン酸エステル 1.67質量%
【0095】
処方例2:
ポリビニルアルコール(T330H) 11質量%
ホウ砂 10質量%
PEG-6 カプリル酸/カプリン酸グリセリド 0.33質量%
PEG-12 ラウリン酸エステル 1.67質量%
【手続補正書】
【提出日】2023-12-06
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の成分(A)、(B)、(C)及び(D)を含有
し、
成分(A)に対する成分(c)の質量比(c)/(A)が、0.15~2であり、
25℃での粘度が、500~8000Pa・sである、
ヒドロゲル。
(A)アニオン性ポリマー
5~20質量%
(B)三価金属塩及び/又はホウ酸塩
(C)IOB値が0.1以上2以下である非イオン性界面活性剤
(D)水
【請求項2】
成分(A)が、以下の成分(A1)、(A2)、(A3)から選ばれる1種又は2種以上である、請求項1に記載のヒドロゲル。
(A1)アニオン性ポリビニルアルコール
(A2)アクリル酸、メタクリル酸、及びアルキル基の炭素数が1~30であるアルキル(メタ)アクリレートから選択される少なくとも1つのモノマーを重合することによって得られるアクリル系コポリマー
(A3)カルボキシメチルセルロース
【請求項3】
成分(B)が、アルミニウム塩及び/又はホウ酸塩から選ばれる、請求項1又は2記載のヒドロゲル。
【請求項4】
成分(c)が、PEG脂肪酸エステル、PEG硬化ヒマシ油、PEG脂肪酸グリセリド、PPGグルコースポリエーテル、PPGポリグリセリルエーテル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、PEGポリジメチルシロキサン、ソルビタン脂肪酸エステル、PEGソルビタン脂肪酸エステル、脂肪族アルコールポリエーテル、グルコシドから選ばれる1種又は2種以上の非イオン性界面活性剤である、請求項1~3のいずれか1項に記載のヒドロゲル。
【請求項5】
ヒドロゲル中の成分(B)の含有量が、0.2~3質量%である、請求項1~
4のいずれか1項に記載のヒドロゲル。
【請求項6】
ヒドロゲル中の成分(C)の含有量が、2~10質量%である、請求項1~
5のいずれか1項に記載のヒドロゲル。
【請求項7】
ヒドロゲル中の成分(D)の含有量が、60~93質量%である、請求項1~
6のいずれか1項に記載のヒドロゲル。
【請求項8】
請求項1~
7のいずれか1項に記載のヒドロゲルの皮膚外用剤としての使用。
【請求項9】
請求項1~
7のいずれか1項に記載のヒドロゲルを皮膚に適用するスキンケア方法。
【国際調査報告】