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特表2024-520013オフセット重心を有するナセルを備える風力タービン
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-21
(54)【発明の名称】オフセット重心を有するナセルを備える風力タービン
(51)【国際特許分類】
   F03D 80/80 20160101AFI20240514BHJP
【FI】
F03D80/80
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023572816
(86)(22)【出願日】2022-03-16
(85)【翻訳文提出日】2024-01-24
(86)【国際出願番号】 DK2022050049
(87)【国際公開番号】W WO2022247999
(87)【国際公開日】2022-12-01
(31)【優先権主張番号】PA202100557
(32)【優先日】2021-05-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DK
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】514130633
【氏名又は名称】ヴェスタス ウィンド システムズ エー/エス
(74)【代理人】
【識別番号】100094112
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 讓
(74)【代理人】
【識別番号】100101498
【弁理士】
【氏名又は名称】越智 隆夫
(74)【代理人】
【識別番号】100107401
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 誠一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100120064
【弁理士】
【氏名又は名称】松井 孝夫
(74)【代理人】
【識別番号】100182257
【弁理士】
【氏名又は名称】川内 英主
(74)【代理人】
【識別番号】100202119
【弁理士】
【氏名又は名称】岩附 秀幸
(72)【発明者】
【氏名】バウン,トーベン ラデガード
(72)【発明者】
【氏名】デムトローダー,イェンス
【テーマコード(参考)】
3H178
【Fターム(参考)】
3H178AA03
3H178AA40
3H178AA43
3H178BB35
3H178CC23
3H178CC25
3H178DD08X
3H178DD12Z
3H178DD51X
(57)【要約】
風力タービンは、タワーと、前記タワーに取り付けられるナセルと、垂直中心方向面に延在するロータ軸を画定し前記ロータ軸周りにロータ回転方向にブレードの回転により風力エネルギーを抽出するようになっているロータと、を備える。ナセルは、メインフレームを備えるロータ支持組立体を備え、前記ロータから前記タワーへの荷重経路を形成し、ロータの回転によって引き起こされるロータのトルクを受け取るようになっている。タワーの荷重を低減し、潜在的に安価な構造を提供するために、ナセルは、ロータトルクを打ち消すために、ロータ回転方向に相対的な方向で中心面からオフセットされた重心を有する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
タワーと、前記タワー(3)に取り付けられるナセル(2)と、垂直中心方向面に延在するロータ軸(7)を画定し前記ロータ軸の周りのロータ回転方向にブレード(5)の回転により風力エネルギーを抽出するようになっているロータと、を備える風力タービンであって、
前記ナセルは、メインフレーム(40)を備えるロータ支持組立体を備え、前記ロータから前記タワーへの荷重経路を形成し、前記ロータの前記回転によって誘起されるある程度のトルクを受容し、
前記ナセルは、前記ロータの前記回転によって誘起されるトルクを打ち消すために、前記ロータの回転方向に対する方向に前記中心面(8)からオフセットされた前記重心(COG)を有する風力タービン。
【請求項2】
請求項1に記載の風力タービンであって、前記ロータの回転方向は前記ロータの風側から見たときに時計回りであり、前記COGは中心面の左側にオフセットされている風力タービン。
【請求項3】
請求項1または2に記載の風力タービンであって、電力変換システムの一部を構成する一以上の作動コンポーネント(34、35)は、結果として生じるオフセットCOGを有するように配置される風力タービン。
【請求項4】
請求項1に記載の風力タービンであって、前記作動コンポーネントは変圧器および/または変換器を備える風力タービン。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載の風力タービンであって、前記ナセルは、前記ロータ支持組立体を備える主ユニット(20)と、前記主ユニットに取り付けられ、一以上の作動コンポーネントを収容する第1補助ユニット(21)とを備える風力タービン。
【請求項6】
請求項5に記載の風力タービンであって、前記第1補助ユニットは、第1変圧器と第1変換器とを収容する風力タービン。
【請求項7】
請求項6に記載の風力タービンであって、前記第1変換器から前記中心面までの距離は、前記第1変圧器から前記中心面までの距離よりも大きい風力タービン。
【請求項8】
請求項6に記載の風力タービンであって、第2補助ユニット(22)を備え、前記第1ユニットおよび第2補助ユニットは、前記中心面の反対側の主ユニットに取り付けられている風力タービン。
【請求項9】
請求項8に記載の風力タービンであって、前記第2補助ユニットは前記作動コンポーネントを収容し、第1補助ユニットおよび第2補助ユニットの前記作動コンポーネントが前記中心面に対して非対称に配置されている風力タービン。
【請求項10】
請求項8または9に記載の風力タービンであって、前記第2補助ユニットは第2変圧器と第2変換器とを収容し、前記第1変換器から中心面までの距離が前記第2変換器から中心面までの距離よりも大きい風力タービン。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか一項に記載の風力タービンであって、前記ナセルは、前記垂直中心面(8)と垂直な垂直横断面(10)に延在するヨー軸(9)をまわりに回転するように前記風力タービンタワーに回転連結され、前記横断面は前記COGと前記ロータとの間にある風力タービン。
【請求項12】
請求項3から11のいずれか一項に記載の風力タービンであって、動力変換のための前記第1コンポーネントの第1重心(第1COG)がナセルCOGに対して風上になるように、前記第1作動コンポーネントを前記ロータ支持組立体に取り付ける風力タービン。
【請求項13】
請求項3から12のいずれか一項に記載の風力タービンであって、動力変換のための前記第2作動コンポーネントの第2重心(第2COG)が前記ナセルCOGに対して風下になるように、前記第2作動コンポーネントの前記第2重心が前記ロータ支持組立体に取り付けられる風力タービン。
【請求項14】
請求項3から13のいずれか一項に記載の風力タービンであって、前記ロータ支持組立体は、主フレームと、前記主フレームに取り付けられた主ベアリングハウジング(50)と、を備え、前記主ベアリングハウジングは、前記主フレームに対してロータシャフトを回転懸架する主ベアリングを備え、前記主ベアリングハウジングは、前記作動コンポーネントから前記タワーへの荷重経路の一部を形成する風力タービン。
【請求項15】
請求項3から14のいずれか一項に記載の風力タービンであって、作動コンポーネントは前記ロータ支持組立体に直接取り付けられる風力タービン。
【請求項16】
請求項3から14のいずれか一項に記載の風力タービンであって、前記作動コンポーネントは前記ロータ支持組立体に間接的に取り付けられる風力タービン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、タワーと、タワーに取り付けられたナセルと、ロータ軸を中心とするロータの回転により風力エネルギーを収集するロータとを備える風力タービンに関する。ナセルは、ロータからタワーへの荷重経路を形成するロータ支持組立体と、ロータ支持組立体に取り付けられ、ロータ支持組立体に対するロータの回転を支持する主ベアリングとを備える。
【背景技術】
【0002】
風力タービンは、公称出力の観点からも、風力タービンの個々の部品の物理的寸法の観点からも、大きさが大きくなる。したがって、必要な風力タービンコンポーネントを収容するために、ナセルの大きさも大きくする必要がある。風力タービンは、通常、個々の部品の製造場所から、道路、鉄道、船舶、またはそれらの組み合わせによって風力タービンが設置される運転場所まで輸送される。
【0003】
大きさの増加は、風力タービンの複数の場所に収容されなければならない荷重の増加につながる。ナセル内では、トルクに基づく荷重、すなわちパワートレインで力を発揮するときにロータから生じる反応荷重の問題に取り組む必要がある。かなりの反応トルクがパワートレイン、特にギアボックスから発揮される。多くの設計では、駆動系からのトルクは、トルクアームを介してギアボックスを搭載するフレームに取り込まれる。通常、このような力は主フレームに向けられ、非対称荷重として経験される。したがって、ロータ支持コンポーネントは、トルクに対応するように構成および寸法を設定する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示の実施形態の目的は、荷重、特に駆動トレーンでエネルギーを発揮するときにロータから生じる反応荷重を低減することである。特に、風力タービンのタワーにかかるこのような非対称荷重を低減し、したがって風力タービン、特にタワー部分の重量、大きさ、およびコストを潜在的に低減することである。これは、風力タービンの可能な大きさを制限することなく、輸送および取り扱いコストを潜在的に削減することができる。さらなる目的は、重量分布とモジュール性の間の良好なバランスを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
これらおよび他の目的によれば、本開示は、第1態様において、タワーと、タワーに取り付けられたナセルと、垂直中心面に延在するロータ軸を画定し、ロータ軸を中心とするロータ回転方向におけるブレードの回転によって風力エネルギーを収集するように構成されたロータとを備える風力タービンを提供する。
【0006】
ナセルは、主フレームを備えるロータ支持組立体を含み、ロータからタワーへの荷重経路を形成し、ロータの回転によって誘起されるトルクを受ける。
【0007】
ナセルは、ロータの回転によって誘起されるトルクを打ち消すために、ロータの回転方向に相対する方向に中心面からオフセットされた重心(COG)を有する。
【0008】
COGはロータトルクを打ち消すようにオフセットされるので、タワーのこの非対称トルク由来の荷重が低減され、ナセルをヨー化するためのヨー組立体を含み、タワーとナセルとの間のタワーおよびタワーインターフェースが、選択的に小さく、安価にすることができる。
【0009】
ロータを風側から見た場合、ロータの時計回りの回転を考慮してもよい。この場合、COGは中心面の左側に変位させるべきである。
【0010】
風力タービンには珍しく、ロータが反時計回りに回転する場合は、COGを中心面の右側に変位させるべきである。
【0011】
ナセルは、タワーによって直接または中間タワー構造を介してタワーによって間接的に搬送され得る。風力タービンが伝統的な水平軸タイプである場合、ナセルは通常、タワー頂部とナセルの間のヨーイング配置によって搬送される。しかしながら、本開示は、たとえば、タワーと横断梁構造との間のヨーイング配置を介して、タワーによって再び搬送される横断梁構造によって一以上のナセルが搬送される種類の複数ロータ風力タービンに関するものであってもよい。
【0012】
本開示は、風上風力タービンまたは風下風力タービンに関するものであってもよい。
【0013】
風力タービンは、典型的にはナセルの外側に配置された発電機を有する直接駆動風力タービンであってもよく、または風力タービンは主ユニットに配置された発電機を有するものであってもよい。主ユニットは、ロータシャフトを介してロータを支持する。
【0014】
ナセルは、たとえば、前記中間タワー構造を介して、および、たとえば、前記ヨーイング配置を介して、ロータからタワーへの荷重経路を形成するロータ支持組立体を備える。ロータ支持組立体は、たとえば、1つの部品で鋳造された部品のような鋳造部品の形態の主フレームを備える。
【0015】
ナセルはさらに、発電、油圧制御、およびコンピュータなどのための様々なコンポーネントを含んでもよい。
【0016】
主フレームに加えて、ロータ支持組立体は、風力タービンにおいてロータを支持するベアリング構造および他のコンポーネントを含んでもよい。
【0017】
タービンのモジュール化を容易にする開発において、ナセルは、ロータ支持組立体と、主ユニットに取り付けられた第1補助ユニットと、電力変換のための作動コンポーネントを収容する第1補助ユニットとを備える主ユニットを含んでもよい。このような構成では、ユニットは、風力タービンが立てられる場所から離れた製造施設で生産され、ユニットは、ナセル全体のサブセットであり、より小さい大きさと重量のためにより効率的に輸送されるという点で、組立のための利点がある。風力タービンが設置される場所では、ユニットはタワーの横の地面またはタワーの上のいずれかに組み立てることができる。
【0018】
作動コンポーネントは、第1変圧器と第1変換器とを備えてもよく、第1変換器から中心面までの距離は、第1変圧器から中心面までの距離より大きくてもよい。
【0019】
風力タービンは、第1補助ユニットおよび第2補助ユニットが中心面の反対側に位置するように配置された第2補助ユニットを備えることができる。
【0020】
補助ユニット内にかなりの重量を有する主要な作動コンポーネントを提供することにより、従来の設計と比較して、反力トルクを打ち消すように結果として生じる重心の大きな変位の機会を与える。第2補助ユニットは、電力変換のための作動コンポーネントを備え、第1補助ユニットおよび第2補助ユニットの作動コンポーネントは、中心面から離れたCOGのオフセットを提供するために、中心面に対して非対称に配置されてもよい。
【0021】
第2補助ユニットは、第2変圧器と第2変換器とを備え、第1変換器から中心面までの距離は、第2変換器から中心面までの距離よりも大きくてもよい。それにより、変換器は中心面から離れるCOGのシフトに寄与する。
【0022】
ナセルは、垂直中心面に垂直な垂直横断面に延在するヨー軸を中心とした回転のために風力タービンタワーに回転連結されてもよい。この実施形態では、横断面は、COGとロータの間にあってもよく、すなわち、COGは、風の方向から見て垂直ヨー軸の後方にある。
【0023】
電力変換のための第1作動コンポーネント、特に変圧器は、第1作動コンポーネントの第1重心(本明細書では第1COGと称する)がCOGに対して風上になるように、ロータ支持組立体に取り付けられることができる。風上とは、ロータが風に対して上方の作動位置に配置されているときの風の方向を意味する。
【0024】
電力変換のための第2コンポーネント、特に変換器は、ロータ支持組立体に取り付けられ、ロータが風に対して上方の作動位置に配置されたときに、第2コンポーネントの第2重心(本明細書では第2COGと称する)が、風から離れる方向のCOG.風下手段に対して風下になるようにすることができる。電力変換のための第1作動コンポーネント、特に変圧器は、第1作動コンポーネントの第1重心(本明細書では第1COGと称する)がCOGに対して風上になるように、ロータ支持組立体に取り付けられることができる。風上とは、ロータが風に対して上方の作動位置に配置されているときの風の方向を意味する。
【0025】
ロータ支持組立体は、主フレームと、主フレームに取り付けられた主ベアリングハウジングとを備えることができ、主ベアリングハウジングは、主フレームに対するロータシャフトの回転懸架のための主ベアリングを備える。
【0026】
主ベアリングハウジングは、ナセルからタワーまで、特に第1作動コンポーネントからの荷重経路の一部を形成することができる。
【0027】
中心面から離れたCOGの変位は、荷重コンポーネント、たとえば、電力変換のための第1作動コンポーネントが、ロータ支持組立体に直接取り付けられること、たとえば、主フレームに直接取り付けられることによって生じることがある。
【0028】
中心面から離れたCOGの変位は、荷重コンポーネント、たとえば、電力変換のための第2作動コンポーネントが、たとえば、補助ユニットおよび主ユニットを介して主フレームにロータ支持組立体に直接取り付けられることによって引き起こされ得る。
【0029】
主ユニットおよび/または補助ユニットの例には、任意の大きさおよび形状のユニットが含まれ、組み立てられるように構成される。
【0030】
補助ユニットおよび/または主ユニットは、輸送貨物コンテナの大きさおよび形状と同等または同等の大きさおよび/または外形で形成することができる。これにより、各ユニットは、取り扱い、輸送および保管に関する輸送貨物コンテナの利点を継承する。たとえば、貨物コンテナの輸送は、船舶、列車、トラックなどで世界中のどこでも行うことができ、バルク輸送に比べて低コストで行うことができる。
【0031】
主ユニットおよび/または補助ユニットが輸送貨物コンテナである場合、コスト削減はさらに顕著である。海運貨物コンテナは、インターモーダルコンテナ、標準貨物コンテナ、ボックスコンテナ、海上貨物コンテナ、またはISOコンテナとも呼ばれ、一般的には、大陸間交通のためのグローバルなコンテナ化されたインターモーダル貨物輸送システムで材料および製品を保管および移動するために使用されるコンテナを指す。輸送貨物コンテナは、シリーズ1貨物コンテナのISO規格ISO668:2013の寸法および構造仕様に従ってもよい。
【0032】
主ユニットと補助ユニットとは、回転軸方向に互いに離間するのではなく、ロータ支持組立体によって規定される回転軸から離れる方向に中心面で離間するように並べて配置してもよい。
【0033】
2つの補助ユニットの各々は、シリーズ1貨物コンテナに関するISO規格ISO668:2013の寸法および構造仕様に従い、1つの輸送貨物コンテナの半分の大きさを有し、コンテナの半分の部分の2つの部分が輸送中に1つのコンテナを形成するように組み立てられ、2つの補助ユニットに分割されて、たとえば主ユニットの反対側に配置されるように配置され得る。容器は、特に、容器の長手方向、すなわち容器の最長寸法に延在するインターフェースにおいて分割され得る。
【0034】
以下の通り、実施形態は以下の図面を参照して説明される。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1a】タワーに取り付けられたナセルを有する風力タービンを示す図である。
図1b】タワーに取り付けられたナセルを有する風力タービンを示す図である。
図1c】タワーに取り付けられたナセルを有する風力タービンを示す図である。
図2】主ユニットと2つの補助ユニットとを備えるナセルを示す図である。
図3】ナセルの斜視図である。
図4】ロータ支持組立体の一部、すなわち、単一の部品、鋳造された部品として形成された主フレームを示す図である。
図5】ロータシャフトの端部から見たロータ支持組立体を示す図である。
図6】上から見たナセルの異なる実施形態を示す図である。
図7】上から見たナセルの異なる実施形態を示す図である。
図8】異なるコンポーネントの重心に関する詳細を示す図である。
図9a】作動コンポーネントと主フレームとの間の異なるインターフェースを示す図である。
図9b】作動コンポーネントと主フレームとの間の異なるインターフェースを示す図である。
図10】作動コンポーネントと主フレームとの間の異なるインターフェースを示す図である。
図11】主ユニットと補助ユニットとが別の装置であることを示す図である。
図12】主ユニットと補助ユニットとの異なるインターフェースを示す図である。
図13】主ユニットと補助ユニットとの異なるインターフェースを示す図である。
図14】主ユニットと補助ユニットとの異なるインターフェースを示す図である。
図15】主ユニットと補助ユニットとの異なるインターフェースを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
詳細な説明および具体例は、実施形態を示しながら、例示のみによって与えられるものであって、本開示の精神および開示の範囲内における様々な変更および修正は、この詳細な説明から当業者に明らかになる。
【0037】
図1aおよび図1bは、タワー3に取り付けられたナセル2を有する風力タービン1を示す。3つのロータブレード5を担持するハブ4は、ロータを形成し、ナセル2内のロータ支持組立体によって担持される。代表的には、ロータ支持組立体は、ギア配列および発電機をハブに接続するロータシャフトを備える。しかし、発電機はシャフトによって直接駆動することができるので、ギアは必ずしも必要ではない。図1bは、発電機6がナセルの外側に配置された直接駆動風力タービンを示す。ロータ支持組立体は、主フレームに接続された主ベアリングハウジング内の主フレームと主ベアリングをさらに備える。
【0038】
ロータが回転すると、エネルギーは、特にベアリングの損失、オプションのギアボックスの損失として、また、電気エネルギーに変換するために発電機に転送されるエネルギーとして、駆動トレーンに散逸する。散逸したエネルギーに応答して、ロータ支持組立体は、駆動トレーンで力を発揮するロータから生じるトルクを相殺しなければならない。この反応性トルクは、ロータ支持組立体からタワーに向けられた荷重として認識される。
【0039】
ここでの定義では、ロータはロータ軸7を中心に回転する。風ナセル2を長手方向に二等分する垂直中心面8は、この面内に延在するロータ軸で定義することができる。風に対してロータを風上方向に向けるために、ナセル2は垂直ヨー軸9を中心として回転可能である。横方向に延在する横断面10を定義することができ、ヨー軸はこの横断面10内に延在する。横断面10は中心面に垂直である。ヨー軸9は横断面10と中心面8の両方に延びている。
【0040】
図1cは、ナセルを上から見たときの中心面および横断面を示す。タワーは、円11で示され、矢印12で示される半径寸法を有する。
【0041】
図2は、特定の作動コンポーネントが別個のモジュール内に提供されるモジュール構造を有するナセルを示す。より具体的には、ナセルは、主ユニット20および2つの補助ユニット21,22を備える。補助ユニットは、別々に組み立てられ、輸送され、主ユニットに取り付けられる。ナセルの上部には冷却領域23が配置されている。冷却領域は、主ユニットおよび/または補助ユニットの一部を形成することができる熱交換器によって形成される。主ユニット20は、ロータ支持組立体およびヨーイング配置(不図示)を介してタワー3に取り付けられる。ヨー組立体により、ナセル2はヨー軸を中心に回転してロータを風に向けることができる。
【0042】
図3は、図2のナセル2の斜視図を示す。図3において、ナセル2の外壁は(説明のために)透明であり、それによって、ナセル2の内部部分とそこに収容された風力タービン部品が明らかになる。主ユニット20は、ロータを支持するロータ支持組立体を収容する。ロータ支持組立体は、特に、主フレームと、ロータの回転を容易にするために主フレームに取り付けられた主ベアリング31とを備える。
【0043】
図3は、図2のナセル2の斜視図を示す。図3において、ナセル2の外壁は(説明のために)透明であり、それによって、ナセル2の内部部分とそこに収容された風力タービン部品が明らかになっている。主ユニット20は、ロータを支持するロータ支持組立体を収容する。ロータ支持組立体は、特に、主フレームと、ロータの回転を容易にするために主フレームに取り付けられた主ベアリング31とを備える。
【0044】
開示された風力タービンは、ロータの回転軸によって規定される方向に沿ってハブ4の後方に順次配置されたギア配置32と発電機33とをさらに備える。主ユニット内のコンポーネントは、主に駆動系の一部を形成する。別の実施形態では、発電機は、図1bに示すようにナセルの外側に配置される。
【0045】
補助ユニット22は、電力変換システムの一部を構成する主要なコンポーネント、より具体的には変換器ユニット34および変圧器ユニット35を収容する。別の実施形態では、補助ユニット22は、たとえば、電解セルスタックまたは電池などを収容する。他の補助ユニット21は、中心面の反対側の主ユニットに取り付けられ、同様の作動コンポーネントまたは他の部品、たとえばクレーンなどを備えることができる。以下では、このような部品を作動コンポーネントと呼ぶ。
【0046】
作動コンポーネントは、完全なナセルの重心(COG)がロータ回転方向に相対する方向に中心面からオフセットされるように選択され、配置されて、受容トルクを相殺し、必要に応じて除去する。
【0047】
図4は、単一の部品、鋳造された部品として形成された主フレーム40を示す。主フレームはさらに、鋳造された部品に直接ボルトで固定された組立体構造41を備える。ロータ支持組立体は、ナセルの一部を形成し、ロータからタワー3への荷重経路を規定する。図1および図2の実施形態では、ロータ支持組立体は、通常、主ユニット20内に配置される。
【0048】
図5は、ナセル後部からロータに向かって風上方向に見たロータ支持組立体を示す。主フレーム40には、主ベアリングハウジング50が取り付けられている。主ベアリングにより、ロータは主フレームに対して回転する。矢印51は、ロータ支持組立体が受けるトルクを示す。
【0049】
図5は、矢印53によって示されるように、ナセル(COG)の重心を中心面8から離れるように移動させる役割を果たす荷重成分52が組立体構造41上に配置されていることを概略的に示す。中心面に存在しないCOGは、ロータの回転によって生じる経験トルク51を打ち消す。シフトCOGによって提供される打ち消すトルクは、矢印54によって示される。後述するように、荷重成分は、たとえば変圧器のような大きな重量を有する主要な作動成分である。定格が10から15MWとなっている現在の最新世代の設計では、変圧器の重量は数トン、最大で20トンにもなり、したがってその配置はCOGの位置に大きな影響を与える。
【0050】
主フレームに取り付けられたときに、主ベアリングハウジングは荷重コンポーネント52からナセルおよびタワーへの荷重経路の一部を形成する。
【0051】
図6はナセル2を上から見た図である。主ユニット20はロータ支持組立体40を含み、補助ユニット21,22はそれぞれ変換器34と変圧器35を備える。
【0052】
主フレーム40は、主フレーム40の両側に一対の組立体構造41,42を備える。この例では、変圧器35の形態の作動コンポーネントは、主フレームに直接取り付けられる。主フレームは、ヨー軸周りの回転を可能にするヨー組立体を介してタワーに固定される。それにより、主フレームは、主フレームを通ってタワーに直接延在する作動コンポーネント35からの荷重経路を定義する。
【0053】
他の作動コンポーネント34は、補助ユニットを介してロータ支持組立体に間接的に取り付けられる。第2作動コンポーネントは、たとえば、補助ユニットの床や壁に取り付けられ、補助ユニットは主ユニットに取り付けられる。補助ユニットおよび主ユニットは、それによって、第2作動コンポーネントから補助ユニットを通ってロータ支持組立体およびタワーへの荷重経路を画定する。
【0054】
図6は、作動コンポーネント35、この場合は変圧器35が中心面8に対して同じ距離で配置され、変換器34によって例示される第2動作部品が中心面に対して異なる距離で配置されることを示している。これにより、COGが中心面8から離れるように移動し、それによって、経験トルクが打ち消される。
【0055】
最適な逆作用は、位置の異なる組合せによって得られる。変圧器は、典型的には変換器(ただし、変換器の重量は数トン、最大でも15トンである。よりも重く、変圧器35のわずかな変位は、変換器34の比較的に大きな変位よりも大きな影響を有する。
【0056】
図7は、1つの補助ユニットのみが中心面8の一方の側に配置され、したがって補助ユニットの全質量がナセルのCOGを中心面から非常に大きくシフトさせ、経験トルクを打ち消す別の例を示す。
【0057】
図8は、図4の単一ピース、鋳造された主フレームを有するナセルを示す。第1作動コンポーネント35は、第1COGとしてマークされた第1作動コンポーネントの重心を有するロータ支持組立体に直接取り付けられる。この第1COGは、横断面10の近くに位置する。第1作動コンポーネントの1つを移動させるか、または異なる重量の第1作動コンポーネントを選択することによって、中心面から離れるCOGの変位は、ロータ支持組立体に直接取り付けられた第1作動コンポーネントの形態の荷重コンポーネントによって引き起こされ得る。
【0058】
第2作動コンポーネント34は、補助ユニットの床に配置され、したがって、補助ユニットと主ユニットとの間の接続を介してロータ支持組立体に間接的に取り付けられるだけである。第2作動コンポーネントの重心は、第2COGとしてマークされる。この第2COGは、横断面10からさらに離れた位置にある。第2作動コンポーネントの異なる位置により、中心面から離れたCOGの変位は、ロータ支持アセンブリに間接的に取り付けられた荷重コンポーネントによって引き起こされる。
【0059】
補助ユニットには、図面内でAU-COGとしてマークされた重心があります。ロータ面80からAU-COGまでの距離は、ロータ面から第1COGまでの距離よりも大きい。
【0060】
第1成分の第1COGはCOGに対して風上であり、第2成分の第2COGはCOGに対して風下である。
【0061】
図9aは、主フレームを作動コンポーネントに接続する別の組立体構造を示す。図示の実施形態では、組立体構造90は、変圧器91を主フレームに接続する。組立体構造の上端部では、横ピン92を主フレームに吊り下げることができ、組立体構造の下端部では、組立体構造が穴93を介して主フレームにボルトで固定することができる。組立構造はさらに、たとえば最終的な組立および主フレームへの取り付けまで、変圧器をナセルの床に運ぶことができる下部支持構造94を備える。特に、変圧器は補助ユニットの床に置くことができ、補助ユニットが主ユニットに取り付けられると、主フレームにボルトで固定される。
【0062】
図9bは、上端部と下端部の両方が主フレームに吊り下げられるピン92、95を備える代替組立体構造を示す。
【0063】
図10は、一方の側の上端および下端の両方が主フレームに係合するボルト構造100を含み、組立体構造の他方の側の上端および下端の両方が、作動コンポーネントを懸架するためのフック構造101を形成する代替組立体構造を示す。
【0064】
図11は、ナセルがタワーに取り付けられる前またはナセルがタワーに取り付けられた後に組み立てられる、主ユニットと補助ユニットが別々のユニットであることを模式的に示している。参照番号は、図3の風力タービンも参照している。
【0065】
図12から15は、主ユニットと補助ユニットとの間のインターフェースを形成するユニット固定構造の4つの異なる実施形態を示す。これらの4つの図のそれぞれにおいて、主ユニット121と補助ユニット122は、ユニット固定構造を形成する協力構造によって接続され、以下でさらに詳細に説明される。
【0066】
図12では、主ユニットと補助ユニットがボルトで接合されたブラケット123によって協働構造が構成されている。
【0067】
図13において、協働構造は、図12において使用されるものと同様の下部ブラケット123によって構成される。上端において、主ユニットと補助ユニットは、ヒンジ点132においてユニットに枢着されるフック131によって組み立てられる。フックは矢印133で示されるように回転することができ、図示の位置にあるときに補助ユニットのエッジブラケット134と係合する。下部ブラケット123が取り外され、フック131が主ユニットに回転すると、補助ユニットを地面に降ろすことができる。
【0068】
図14の実施形態は、図13の実施形態と同等であるが、下部ブラケットが上部ブラケット141に置き換えられ、フックが下部エッジに配置されている。
【0069】
図15では、補助ユニットを主ユニットにボルト止めするために下部ブラケットと上部ブラケットが使用され、ボルトが取り付けられた状態で補助ユニットの下面を摺動可能な支持体151が支持する。たとえば、作動コンポーネントの交換または保守のために補助ユニットを地面に下ろすことが望まれる場合、摺動可能な支持体を左にスライドさせ、補助ユニットを、たとえば本体に組み込まれたクレーンを使用して、下ろすことができる。
【0070】
図12から図15に示される実施形態のいずれにおいても、ブラケットまたはフックは、補助ユニットからの荷重を主ユニットの剛性部分、たとえば、主ユニットのコーナーカラムなどの荷重搬送カラムに導く。様々な構造的特徴は、補助ユニットを搬送するブラケットまたはフックを主ユニット内の主フレームに直接接続して、タワーへの荷重経路を確立することができる。したがって、補助ユニットは主ユニットを介して間接的にタワーに接続される。
【0071】
図12から図15に示すフックおよびブラケットユニット固定構造に加えて、組立体構造(たとえば、図4図8図9および図10に示す)は、たとえば変圧器のような作動コンポーネントを主ユニット内の主フレームに直接接続する。
【0072】
主ユニットと補助ユニットは、作動コンポーネントが補助ユニットに配置された後、たとえば変圧器が補助ユニットに配置された後に接合されてもよい。作動コンポーネントは、たとえば補助ユニットの床に配置されてもよく、補助ユニットが主ユニットに固定されている場合、作動コンポーネントの重量が主ユニット内の主フレームによって主にまたは完全に運ばれることが望ましい。
【0073】
組立手順において、作動コンポーネントからの荷重は、補助ユニットから、たとえば、補助ユニットの床から主フレームに伝達される。この荷重伝達は、補助ユニットが主ユニットに取り付けられている間または後に発生することがある。
【0074】
ある手順では、補助ユニットが主ユニットに固定される位置に下降している間、作動コンポーネントが組立体構造によって把持される。補助ユニットの組立体位置に到達すると、荷重は補助ユニットから主ユニット、特に主ユニット内の主フレームに伝達される。
【0075】
代替手順では、補助ユニットを主ユニットに固定する位置まで下げる。その後、すなわち、補助ユニットの組み立て位置に達すると、荷重が補助ユニットから主ユニットに移動する。これには、たとえば、作動コンポーネントが組立体構造に固定され、選択的に、作動コンポーネントと補助ユニットの床との間の支持が除去されるか、または下げられて、それによって全体の荷重が主フレームに伝達されることを可能にすることが含まれる。
【0076】
別の代替手順では、補助ユニットは所定の位置に下降させながら水平に対して傾斜角度で保持される。補助ユニットの最初の端が正しいレベルに達すると、それは主ユニットに固定される。作動コンポーネントは、補助ユニットの反対側、第2端部に配置され、第1端部が主ユニットに接合されている時点で、作動コンポーネントは、補助ユニットによって、たとえば、補助ユニットの床の上に、まだ運ばれる。第1端部が固定されると、第2端部が下降し、作動コンポーネントが組立体構造によって把持される。第2端部の継続的な下降中に、作動コンポーネントの重量が補助ユニットから主フレームに移動し、最後に補助ユニットの第2端部が主ユニットに取り付けられる。
【0077】
別の代替手順では、補助ユニットを主ユニットに固定する位置まで下げる。補助ユニットを下げる間、作動コンポーネントは組立構造によって把持され、クレーンからの持ち上げ力は作動コンポーネントが把持されたときに変化したバランスに適応するように同時に調整される。補助ユニットの組立位置に到達すると、補助ユニットから本体へ荷重が伝達され、昇降力の動的調整、すなわち補助ユニットを下げながらの調整により、バランスが保たれる。
図1a
図1b
図1c
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9a
図9b
図10
図11
図12
図13
図14
図15
【国際調査報告】