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特表2024-520014ソフトAP MLDの条件付きリンクにおけるレガシー(非EHT)局の動作可能化
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-21
(54)【発明の名称】ソフトAP MLDの条件付きリンクにおけるレガシー(非EHT)局の動作可能化
(51)【国際特許分類】
   H04W 76/15 20180101AFI20240514BHJP
   H04W 72/0457 20230101ALI20240514BHJP
   H04W 84/12 20090101ALI20240514BHJP
【FI】
H04W76/15
H04W72/0457 110
H04W84/12
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023572832
(86)(22)【出願日】2022-05-27
(85)【翻訳文提出日】2023-11-24
(86)【国際出願番号】 IB2022055018
(87)【国際公開番号】W WO2022259080
(87)【国際公開日】2022-12-15
(31)【優先権主張番号】63/208,551
(32)【優先日】2021-06-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】17/737,255
(32)【優先日】2022-05-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】000002185
【氏名又は名称】ソニーグループ株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】504257564
【氏名又は名称】ソニー コーポレイション オブ アメリカ
(74)【代理人】
【識別番号】100092093
【弁理士】
【氏名又は名称】辻居 幸一
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100141553
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 信彦
(72)【発明者】
【氏名】シャ チン
(72)【発明者】
【氏名】アブエルサウード モハメド
(72)【発明者】
【氏名】スン リ-シャン
(72)【発明者】
【氏名】シン リャンシャオ
【テーマコード(参考)】
5K067
【Fターム(参考)】
5K067AA03
5K067AA13
5K067DD11
5K067EE02
5K067EE10
5K067EE63
(57)【要約】
レガシー(非EHT)局(STA)がソフトAP MLDの条件付きリンク上で動作できるようにする無線通信プロトコル。レガシー装置は、条件付きリンクに接続してリンク接続を設定することができ、スケジューラは、ソフトAP MLDにおいてIDC干渉問題が存在しない場合にレガシーSTAによる条件付きリンクの使用を可能にするように構成される。この強化されたプロトコルは、基本リンク及び条件付きリンクを介した同時送受信のために作成される協調的HCCAスケジュール、又は基本リンクのリンク状況に応答して条件付きリンクのために実行される適応的ポーリングベースのスケジューリングのいずれかを利用する。
【選択図】 図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークにおける無線通信のための装置であって、
(a)IEEE802プロトコルに従って無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)上でマルチリンク動作(MLO)を実行する際に基本リンク及び条件付きリンクを介して他の無線局(STA)と無線で通信するように構成されるとともに、レガシー(非EHT)装置が条件付きリンク上でリンク接続を設定することを可能にするように構成された、ソフトアクセスポイント(AP)マルチリンク装置(MLD)の無線通信回路と、
(b)前記無線通信回路に結合されて前記WLAN上でSTAとして動作するプロセッサと、
(c)前記プロセッサによって実行可能な、他のSTAと通信するための命令を記憶する非一時的メモリと、
を備え、(d)前記命令は、前記プロセッサによって実行された時に、
(i)前記ソフトAP MLDが、基本リンクを介して通信するAP STAと、条件付きリンクを介して通信するAP STAとを有することと、
(ii)前記ソフトAP MLDが、基本リンク上のAP STA及び前記条件付きリンク上のAP STAが前記基本リンク及び前記条件付きリンクを介して拡張分散チャネルアクセス(EDCA)送信機会(TXOP)及びハイブリッド協調機能(HCF)制御チャネルアクセス(HCCA)TXOPを同時に処理するように互いに協働する局管理エンティティ(SME)を有することと、
(iii)基本リンク及び条件付きリンクの両リンク上でアドミッション制御を実行し、EDCA TXOPにおいてトラフィックストリーム(TS)の設定及びネゴシエーションを進行する一方で、HCCA TXOPのスケジューリングが、TS設定中に取得された、基本リンク及び条件付きリンクの両リンク上でHCCA承認済みのアクセスポリシーが利用される承認済みサービス期間(SP)情報に基づくことと、
(iv)同じソフトAP MLDに所属するAPが、HCCA TXOP期間に、基本リンク及び条件付きリンクの両リンクを介して、同期したアップリンク(UL)又はダウンリンク(DL)TXOPをスケジュールして割り当てることと、
を含む1又は2以上のステップを実行する、
ことを特徴とする装置。
【請求項2】
前記HCCA TXOP期間に、基本リンク及び条件付きリンクの両リンクを介して、同期したUL又はDL TXOPをスケジュールして割り当てることは、
(a)前記ソフトAP MLDの所属するAPが、TS設定から取得された前記承認済みSP情報に基づいて、同期したHCCA TXOPをスケジュールすることと、
(b)全てのMACサービスデータユニット(MSDU)の受け取られたQoSデータフレームのTIDサブフィールド及びサービス品質(QoS)制御サブフィールドから、特定のトラフィック識別子(TID)に対応するAP STAのための待ち行列内トラフィック、又は特定のTIDに属するトラフィックのための次のTXOP期間要求に関する情報を取得することと、
(c)前記要求が所与のTSに属する場合、前記ソフトAP MLDの前記APがTXOPを再割り当てするように構成されることと、
を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
TS設定からの前記承認済みSP情報は、平均データレート、公称MSDUサイズ、最小PHYレート、余剰帯域幅許可量、並びに最大サービス間隔及び遅延境界の少なくとも一方、から成る一群の通信情報から選択される、
請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記HCCA TXOPは、ストリームが追加又は削除された場合に前記STAのスケジューラによって再割り当てされる、
請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記APは、TXOPを適宜にスケジュールするように構成されるので、異なる承認済みトラフィックストリーム(TS)のサービス間隔(SI)は同一である必要がない、
請求項1に記載の装置。
【請求項6】
HCCA TXOP内で、該TXOPの期間に制限され、基本リンク上及び条件付きリンク上の各PPDUが一致する開始時刻及び終了時刻を有するとの条件下で、複数のフレーム交換シーケンスを実行することができる、
請求項1に記載の装置。
【請求項7】
送信されるそれぞれのPPDUの終了時刻を一致させるためにパディングが利用される、
請求項1に記載の装置。
【請求項8】
基本リンク上及び条件付きリンク上で、レガシーSTA、或いは同じ又は異なる非AP MLDの所属するSTA、或いは非AP MLD及びレガシーSTAの所属するSTAによって、同時スケジュールされたUL/DL HCCA TXOPが利用される、
請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記ソフトAP MLDに所属する前記APは、送信PCFフレーム間空間(PIFS)、すなわちTxPIFSスロット境界において基本リンク及び条件付きリンクの両リンクがアイドルである場合、前記両リンクを同時に取得する、
請求項1に記載の装置。
【請求項10】
全てのSTAがHCFのNAVルールに従い、HCF下で送信される各フレームがNAV期間値を含む、
請求項1に記載の装置。
【請求項11】
アップリンク(UL)HCCA TXOPのスケジュール中に、
(a)前記ソフトAP MLDの所属するAPが、基本リンク上及び条件付きリンク上で動作する非AP局を同時にポーリングして同一のポーリング型TXOP期間を割り当て、
(b)受け取ったQoS CF-Pollフレームのアドレス1フィールドに自局のアドレスが一致する非AP QoS STAであるポーリングされた非AP局は、ポーリング型TXOP期間を超えることが許可されず、
(i)ポーリングされた非AP局が割り当てられたTXOPの一部のみを使用する場合、受信側APは、他方のリンク上のポーリング型TXOPが完了してソフトAP MLDの所属するAPが同時にポーリングを実行するまでポーリングを実行せず、及び/又は、
(ii)ポーリングされた非AP局は、TXOP期間によって制限されることを条件に、所与のポーリング型TXOP内で複数のフレーム交換シーケンスを送信する、
請求項1に記載の装置。
【請求項12】
DL HCCA TXOPのためのスケジューリングが実行され、
(a)前記ソフトAP MLDの所属するAPは、各リンク上で動作する非AP局に同じHCCA TXOP期間を割り当てることによって前記非AP局に同時にDL PPDUを送信し、
(b)前記ソフトAP MLDの所属するAPは、TXOP期間の制限に従って所与のポーリング型TXOP内で複数のフレーム交換シーケンスを送信し、
(c)前記ソフトAP MLDの所属するAPは、送信されたPPDUの終了時刻を一致させるためにパディングを使用する、
請求項1に記載の装置。
【請求項13】
隠れ端末による衝突を避けるために、前記ソフトAP MLDに所属する両APは、TxPIFSスロット境界において両リンクがアイドルである場合、データペイロードを含まないDL PPDUフレームを基本リンク上及び条件付きリンク上で同時に送信し、DL PPDUは、TXOP期間を保護するためにNAV設定を有する、
請求項1に記載の装置。
【請求項14】
データペイロードを含まない前記DL PPDUフレームは、送信要求(RTS)フレーム、ヌルフレーム、制御フレーム、又は管理フレームから成る一群のフレームから選択される、
請求項1に記載の装置。
【請求項15】
前記省電力(PS)局は、受け取ったビーコンフレームからQoS及びアドミッション情報を取得する、
請求項1に記載の装置。
【請求項16】
ネットワークにおける無線通信のための装置であって、
(a)IEEE802プロトコルに従って無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)上でマルチリンク動作(MLO)を実行する際に基本リンク及び条件付きリンクを介して他の無線局(STA)と無線で通信するように構成されるとともに、レガシー(非EHT)装置が条件付きリンク上でリンク接続を設定することを可能にするように構成された、ソフトアクセスポイント(AP)マルチリンク装置(MLD)の無線通信回路と、
(b)前記無線通信回路に結合されて前記WLAN上でSTAとして動作するプロセッサと、
(c)前記プロセッサによって実行可能な、他のSTAと通信するための命令を記憶する非一時的メモリと、
を備え、(d)前記命令は、前記プロセッサによって実行された時に、
(i)拡張分散チャネルアクセス(EDCA)ポリシーに基づいて基本リンクにアクセスすることと、
(ii)極高スループット(EHT)で動作するように構成されておらず、従って非EHT STAであるレガシー局のためのハイブリッド協調機能(HCF)制御チャネルアクセス(HCCA)ポリシーに基づいて、条件付きリンクにアクセスすることと、
(iii)EDCA又はHCCA-EDCA混合モード(HEMM)のいずれかを通じて前記条件付きリンクにアクセスすることと、
(iv)同じソフトAP MLDの条件付きリンクにアクセスするAPと基本リンクAPにアクセスするAPとが局管理エンティティ(SME)を共有するため、前記条件付きリンクにアクセスするアクセスポイント(AP)が、基本リンク上でアップリンク/ダウンリンク(UL/DL)送信が実行されていると認識することと、
(v)基本リンク上の同時UL/DL送信に従って、条件付きリンクのAPによる条件付きリンク上でのUL/DL送信として送信機会(TXOP)をスケジュールすることと、
(vi)条件付きリンク上のスケジュールされたTXOP中に、フレーム交換シーケンスにおいて物理層プロトコルデータユニット(PPDU)の1又は複数のフレームを通信し、条件付きリンク上のフレーム交換シーケンス中の各PPDUの開始時刻及び終了時刻が、基本リンク上で通信されるPPDUと一致することと、
を含む1又は2以上のステップを実行する、
ことを特徴とする装置。
【請求項17】
送信されるPPDUの終了時刻を一致させるためにパディングを利用することができる、
請求項16に記載の装置。
【請求項18】
STAは、IEEE802.11下のハイブリッド協調機能(HCF)のネットワーク割り当てベクトル(NAV)ルールに従う、
請求項16に記載の装置。
【請求項19】
前記ソフトAP MLDの前記条件付きリンクのAPは、アドミッション制御中に非APレガシーSTAとネゴシエートして最大SI値に合意する、
請求項16に記載の装置。
【請求項20】
スケジュールされたUL TXOPを実行するために条件付きリンクを利用できる場合、前記条件付きリンクのAPは、サービス品質(QoS)競合なし(CF)ポールが、APが開始したアップリンク(UL)TXOPのトリガーフレーム、又は同じソフトAP MLDに所属する基本リンクのAPによって送信される、非APが開始したUL TXOPの送信許可(CTS)フレームに一致できる場合に、前記条件付きリンク上の非EHT STAにポールフレームを送信する、
請求項16に記載の装置。
【請求項21】
スケジュールされたDL TXOPのために条件付きリンクを利用できる場合、同じソフトAP MLDの条件付きリンクAPのAPは、同時ダウンリンク(DL)PPDUを基本リンク上で実行されるものとして送信する、
請求項16に記載の装置。
【請求項22】
前記条件付きリンクのAPは、送信すべきDL PPDUを有していない場合、NAVが同時DL TXOPとして設定された単一のDL NULL PPDUを基本リンク上で送信する、
請求項21に記載の装置。
【請求項23】
前記条件付きリンクのAPは、DL NULL PPDUを送信した後に送信すべきDL PPDUを有している場合、基本リンク上のDL PPDUと終了が一致するDL PPDUを条件付きリンク上で送信する、
請求項22に記載の装置。
【請求項24】
スケジュールされたUL/DL TXOPのために条件付きリンクを利用できない場合、前記条件付きリンクのAPは、前記条件付きリンク上でDL PPDUを送信しない、
請求項23に記載の装置。
【請求項25】
ネットワークにおける無線通信方法であって、
(a)レガシー(非EHT)装置が条件付きリンク上でリンク接続を設定することを可能にするように構成されたIEEE802プロトコルに従って無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)上でマルチリンク動作(MLO)を実行する際に、基本リンク及び条件付きリンクを介してソフトアクセスポイント(AP)マルチリンク装置(MLD)と他の無線局(STA)との間で無線で通信を行うことと、
(b)前記ソフトAP MLDが、基本リンクを介して通信するAP STAと、条件付きリンクを介して通信するAP STAとを有することと、
(c)前記ソフトAP MLDが、基本リンク上のAP STA及び前記条件付きリンク上のAP STAが前記基本リンク及び前記条件付きリンクを介して拡張分散チャネルアクセス(EDCA)送信機会(TXOP)及びHCF制御チャネルアクセス(HCCA)TXOPを同時に処理するように互いに協働する局管理エンティティ(SME)を有することと、
(d)基本リンク及び条件付きリンクの両リンク上でアドミッション制御を実行し、EDCA TXOPにおいてトラフィックストリーム(TS)の設定及びネゴシエーションを進行する一方で、HCCA TXOPのスケジューリングが、TS設定中に取得された、基本リンク及び条件付きリンクの両リンク上でHCCA承認済みのアクセスポリシーが利用される承認済みサービス期間(SP)情報に基づくことと、
(e)同じソフトAP MLDに所属するAPが、HCCA TXOP期間に、基本リンク及び条件付きリンクの両リンクを介して、同期したアップリンク(UL)又はダウンリンク(DL)TXOPをスケジュールして割り当てることと、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項26】
ネットワークにおける無線通信方法であって、
(a)レガシー(非EHT)装置が条件付きリンク上でリンク接続を設定することを可能にするように構成されたIEEE802プロトコルに従って無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)上でマルチリンク動作(MLO)を実行する際に、基本リンク及び条件付きリンクを介してソフトアクセスポイント(AP)マルチリンク装置(MLD)と他の無線局(STA)との間で無線で通信を行うことと、
(b)拡張分散チャネルアクセス(EDCA)ポリシーに基づいて基本リンクにアクセスすることと、
(c)極高スループット(EHT)で動作するように構成されておらず、従って非EHT STAであるレガシー局のためのHCF制御チャネルアクセス(HCCA)ポリシーに基づいて、条件付きリンクにアクセスすることと、
(d)EDCA又はHCCA-EDCA混合モード(HEMM)のいずれかを通じて前記条件付きリンクにアクセスすることと、
(e)同じソフトAP MLDの条件付きリンクにアクセスするAPと基本リンクにアクセスするAPとが局管理エンティティ(SME)を共有するため、前記条件付きリンクにアクセスするアクセスポイント(AP)が、基本リンク上でアップリンク/ダウンリンク(UL/DL)送信が実行されていると認識することと、
(f)基本リンク上の同時UL/DL送信に従って、条件付きリンクのAPによる条件付きリンク上でのUL/DL送信として送信機会(TXOP)をスケジュールすることと、
(g)条件付きリンク上のスケジュールされたTXOP中に、フレーム交換シーケンスにおいて物理層プロトコルデータユニット(PPDU)の1又は複数のフレームを通信し、条件付きリンク上のフレーム交換シーケンス中の各PPDUの開始時刻及び終了時刻が、基本リンク上で通信されるPPDUと一致することと、
を含むことを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
〔関連出願との相互参照〕
本出願は、2022年5月5日に出願された米国特許出願シリアル番号第17/737,255号に対する優先権及びその利益を主張するものであり、この文献は全体が引用により本明細書に組み入れられる。本出願は、2021年6月9日に出願された米国仮特許出願シリアル番号第63/208,551号に対する優先権及びその利益を主張するものであり、この文献は全体が引用により本明細書に組み入れられる。
【0002】
〔連邦政府が支援する研究又は開発に関する記述〕
該当なし
【0003】
〔著作権保護を受ける資料の通知〕
本特許文献中の資料の一部は、アメリカ合衆国及びその他の国の著作権法の下で著作権保護を受けることができる。著作権の権利所有者は、合衆国特許商標庁の一般公開ファイル又は記録内に表される通りに第三者が特許文献又は特許開示を複製することには異議を唱えないが、それ以外は全ての著作権を留保する。著作権所有者は、限定ではないが米国特許法施行規則§1.14に従う権利を含め、本特許文献を秘密裏に保持しておく権利のいずれも本明細書によって放棄するものではない。
【0004】
本開示の技術は、一般にマルチリンク装置(MLD)局上の動作のための無線ネットワークプロトコルに関し、具体的には、レガシー(非EHT)MLD局によるソフトアクセスポイントMLDの条件付きリンクの使用を可能にすることに関する。
【背景技術】
【0005】
IEEE802.11eでは、リアルタイムアプリケーションにサービス品質(Quality-of-Service:QoS)を提供するためにハイブリッド協調機能(Hybrid Coordination Function:HCF)が提案された。このプロトコルは、競合ベースの転送に拡張分散チャネルアクセス(Enhanced Distributed Channel Access:EDCA)機構を使用し、競合なし転送にHCF制御チャネルアクセス(HCF Controlled Channel Access:HCCA)機構と呼ばれる制御チャネルアクセスを使用する。EDCAは、MACレベルでのQoS及び優先順位付けをサポートする上で、AC固有のコンテンションウィンドウ(CW)サイズ、仲裁的フレーム送信間隔(Arbitration Interframe Space:AIFS)、送信機会(TXOP)制限を含む複数のアクセスカテゴリー(AC)を定めている。これらの標準は、2.4GHz、5GHz及び6GHzの周波数帯を介したWi-Fiを提供するように設計された極高スループット(Extremely High Throughput:EHT)を有する局を対象とする。
【0006】
このプロトコル下では、ソフトAP MLDが、デバイス内共存(IDC)干渉を防ぐために通常は基本リンク上でのみレガシー(非EHT)STAと通信するように設計されており、従って達成可能なサービス品質及び性能を制限してしまっている。
【0007】
この結果、これらの高度ネットワーク上で動作するレガシー(非EHT)装置の能力は著しく制限されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従って、レガシー(非EHT)局を有効にする際のソフトAP問題に対処する高度な手段に対するニーズが存在する。本開示は、これらのニーズに対応するとともにさらなる利点を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示は、例えば高スループット(HT)、極高スループット(VHT)又は高効率(HE)プロトコルのために構成できる非EHTレガシーSTAがソフトAP MLDの条件付きリンク上で動作することを可能にするプロトコルである。レガシー装置は、アクティブ又はパッシブスキャンを通じて条件付きリンク上で接続してリンク接続を設定することができる。スケジューラは、ソフトAP MLDにおいてIDC干渉問題が生じない場合にレガシーSTAによる条件付きリンクの使用を可能にするように構成される。
【0010】
以前のプロトコルでは、ソフトAP側におけるIDC干渉問題を防ぐために、ソフトAP MLDプロトコルがレガシー(非EHT)STAと基本リンク上でしか通信することができず、この結果、レガシーSTAのチャネルリソースが制限されることによってレガシーSTAのサービス品質及び性能が低下してしまう。
【0011】
この高度なプロトコルでは、2つの主な方法を使用してこれらの問題を克服することができる。第1の方法では、基本リンク及び条件付きリンクを介した同時送受信のための協調的HCCAスケジュールを作成する。第2の方法では、基本リンクの状態に従って、条件付きリンクのために適応的ポーリングベースのスケジューリングを実行する。
【0012】
本明細書の以下の部分では、本明細書で説明する技術のさらなる態様が明らかになり、この詳細な説明は、本技術の好ましい実施形態を限定することなく完全に開示するためのものである。
【0013】
本明細書で説明する技術は、例示のみを目的とする以下の図面を参照することによって十分に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】制御アクセスフェーズ(Controlled Access Phase:CAP)内のHCF制御チャネルアクセス(HCCA)送信機会(TXOP)、並びに分散協調機能(DCF)を使用するレガシーSTAによる拡張分散チャネルアクセス(EDCA)TXOP及びアクセスを示すCAPの通信図である。
図2】一般的なポーリング型TXOP(polled TXOP)の通信図である。
図3】QoS(+)CF-Pollフレームフォーマットのデータフィールド図である。
図4】パラメータ化されたサービス品質(QoS)のアドミッション制御において使用されるトラフィック仕様(TSPEC)要素のデータフィールド図である。
図5図4に示すTS情報フィールド内のサブフィールドを示すデータフィールド図である。
図6】本開示の少なくとも1つの実施形態による無線局(STA)ハードウェアのハードウェアブロック図である。
図7】本開示の少なくとも1つの実施形態による、マルチリンク装置(MLD)ハードウェアなどに含まれる局構成のハードウェアブロック図である。
図8】本開示の少なくとも1つの実施形態による、一般的なマルチリンク接続のネットワークトポロジーである。
図9】本開示の少なくとも1つの実施形態による、ソフトAP MLDx及び非AP MLDyの一般的な複数リンク接続を含むネットワークトポロジーである。
図10A】本開示の少なくとも1つの実施形態による、基本リンク及び条件付きリンクを介したNSTRの協調的HCCAスケジューリングの通信図である。
図10B】本開示の少なくとも1つの実施形態による、基本リンク及び条件付きリンクを介したNSTRの協調的HCCAスケジューリングの通信図である。
図11】本開示の少なくとも1つの実施形態による、非トリガーベースのTXOPに基づくADDTSのフレーム交換によるアドミッション制御の通信図である。
図12A】本開示の少なくとも1つの実施形態による、トリガーベースのTXOPカスケーディングを通じたTS設定の通信図である。
図12B】本開示の少なくとも1つの実施形態による、トリガーベースのTXOPカスケーディングを通じたTS設定の通信図である。
図13】本開示の少なくとも1つの実施形態による、ソフトAP MLDと非AP MLDとの間のEDCA TXOPにおけるTx及びRxを示す第2の解決策の通信図である。
図14】本開示の少なくとも1つの実施形態による、基本リンク上及び条件付きリンク上で動作するレガシー局LSx及びLSmの通信図である。
図15】本開示の少なくとも1つの実施形態による、基本リンク上及び条件付きリンク上で動作するレガシー局LSx及びLSmの別の例の通信図である。
図16】本開示の少なくとも1つの実施形態による、基本リンク上及び条件付きリンク上での動作の別の例を示す通信図である。
図17A】本開示の少なくとも1つの実施形態による、EDCA TXOP中のLSとのソフトAP MLD通信のフロー図である。
図17B】本開示の少なくとも1つの実施形態による、EDCA TXOP中のLSとのソフトAP MLD通信のフロー図である。
図17C】本開示の少なくとも1つの実施形態による、EDCA TXOP中のLSとのソフトAP MLD通信のフロー図である。
図17D】本開示の少なくとも1つの実施形態による、EDCA TXOP中のLSとのソフトAP MLD通信のフロー図である。
図17E】本開示の少なくとも1つの実施形態による、EDCA TXOP中のLSとのソフトAP MLD通信のフロー図である。
図18】本開示の少なくとも1つの実施形態による、スケジュールされた同時UL/DL TXOPの通信図である。
図19】本開示の少なくとも1つの実施形態による、HCCA TXOP期間での基本リンク上及び条件付きリンク上の協調的スケジューリングのフロー図である。
図20】本開示の少なくとも1つの実施形態による、隠れ端末状況における予想受信不在からの回復問題についての例1-3-1のトポロジー図である。
図21】本開示の少なくとも1つの実施形態による、隠れAPによって生じる衝突問題の解決策の実施形態を示す例1-3-1の通信図である。
図22】本開示の少なくとも1つの実施形態による、CFP状況での隠れ端末における予想受信不在からの回復問題に関する例1-3-2のトポロジー図である。
図23】本開示の少なくとも1つの実施形態による、HCCA TXOPの開始時にCFPでの隠れ端末によって生じる衝突問題に対する回復スキームの実施形態を示す例1-3-2の通信図である。
図24】本開示の少なくとも1つの実施形態による、基本リンク状況に基づく条件付きリンク上の適応的ポーリングベースのスケジューリングの通信図である。
図25】本開示の少なくとも1つの実施形態による、UL TXOPアライメントを利用する例2-1の通信図である。
図26】本開示の少なくとも1つの実施形態による、DL TXOPアライメントを利用する例2-2の通信図である。
図27A】本開示の少なくとも1つの実施形態による、基本リンク状況に従って条件付きリンク上でスケジュールされるTXOPのフロー図である。
図27B】本開示の少なくとも1つの実施形態による、基本リンク状況に従って条件付きリンク上でスケジュールされるTXOPのフロー図である。
図27C】本開示の少なくとも1つの実施形態による、基本リンク状況に従って条件付きリンク上でスケジュールされるTXOPのフロー図である。
図27D】本開示の少なくとも1つの実施形態による、基本リンク状況に従って条件付きリンク上でスケジュールされるTXOPのフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
1.序文
1.1.ハイブリッド協調機能(HCF)
IEEE802.11eでは、リアルタイムアプリケーションにQoSを提供することが提案されている。この提案は、競合ベースの転送のための拡張分散チャネルアクセス(EDCA)機構、及び競合なし転送のためのHCF制御チャネルアクセス(HCCA)機構と呼ばれる制御チャネルアクセスから成る。
【0016】
1.2.HCF制御チャネルアクセス(HCCA)
HCCAは、サービス品質(QoS)を意識したハイブリッドコーディネータ(HC)と呼ばれる集中コーディネータを使用してフレーム交換シーケンスを開始し、QoSデータの競合なし(CF)送信のための送信機会(TXOP)を自局及び他局(STA)に割り当てる。HCは、非アクセスポイント(非AP)STAよりも高い媒体アクセス(MAC)優先度を有する。HCは、QoS(+)CF-Pollフレーム内に期間が指定されたポーリング型TXOPをSTAに許可する。STAは、ポーリング型TXOP中にTXOP期間の制限に従って複数のフレーム交換シーケンスを開始することができる。
【0017】
HCは、送信(Tx)PCFフレーム間隔(PCF Interframe Space:PIFS)スロット境界において無線媒体(WM)がアイドルであると判定された場合、制御アクセスフェーズ(CAP)を開始するために無線媒体(WM)にアクセスすることができる。HCは、QoS(+)CF-Poll又はいずれかの許可されたフレーム交換シーケンスの最初のフレームを、ポーリング型TXOP又はHCCA TXOPをそれぞれカバーするように設定された継続時間値と共に送信するものとする。
【0018】
CAPは、時間単位(TU)で測定される時間間隔を有するターゲットビーコン送信時間(Target Beacon Transmission Time:TBTT)を越えて延長してはならない。TBTTの発生はCAPの終了を意味し、その後は通常のチャネルアクセス手順(EDCA又はHCCA)が再開される。HCCA TXOP後にTxPIFsスロット境界においてWMがアイドルであると判定された場合、HCはチャネルを検知してチャネルを再要求することができる。HCCA TXOPの終了後にHCがTxPIFSスロット境界においてチャネルを再要求しない場合、CAPは終了する。
【0019】
図1に、制御アクセスフェーズ(CAP)内のHCCA TXOP、並びに分散協調機能(DCF)を使用するレガシーSTAによるEDCA TXOP及びアクセスを示すCAPを示す。この図には、ビーコンフレームがDTIMを含む頻度を決定する番号である周期値を有する配信トラフィック指示メッセージ(Delivery Traffic Indication Messages:DTIM)を示しており、この番号は各ビーコンフレームに含まれる。各DTIMの開始時にはビーコンが見える。図のCAP又はHCCA TXOP期間中、或いはEDCA TXOP期間中に示すように、HCはEDCA TXOP中にQoS STAをポーリングすることができる。CAPは、HCCA TXOPのみならずEDCA TXOPの一部からも成る。
【0020】
1.3.TXOPのタイプ
拡張分散チャネルアクセス(EDCA)TXOPは、1つのアクセスカテゴリ(AC)を他のアクセスカテゴリ(AC)よりも優先する方法である仲裁的フレーム送信間隔(AIFS)を使用して取得されるTXOPである。EDCA機能(EDCAF)TXOPの長さはビーコンフレーム内に指定される。
【0021】
HCCA TXOPは、PIFSを使用して取得されるTXOPである。
【0022】
ポーリング型TXOPは、HCからのQoS(+)CF-PollによってHCCA TXOPが取得された結果である。ポーリング型TXOPの長さはQoS(+)CF-Pollフレームに指定される。
【0023】
図2に、ポーリング型TXOPの例を示す。HCは、チャネルアクセス権を獲得した後に、QoS(+)CF-Pollを使用してQoS STAを順にポーリングする。QoS(+)CF-Pollを受け取った非AP STAは、NAV設定にかかわらずSIFS内に応答するものとする。
【0024】
ポーリングされたQoS STAが送信すべきトラフィックを待ち行列内に有していない場合、又は送信すべきMPDUが指定されたTXOP制限内で長すぎる場合、QoS STAは、HCがTXOPを再割り当てするための対応するキューサイズを示すQoS(+)Nullフレームを送信するものとする。ポーリング型TXOP内では、STAはTXOPの未使用部分を使用してはならず、HCがこれを再割り当てすることができる。ポーリング型TXOPは、図示のようなQoS(+)CF-Pollフレームの期間(Duration)フィールドによって設定されたNAVによって保護される。ポーリング型TXOP内の応答フレームを含む全ての送信は、TXOPの一部とみなされる。任意のTXOP中にどのMACサービスデータユニット(MSDU)、A-MSDU、及び/又はMAC管理プロトコルデータユニット(MMPDU)が送信されるかに関する全ての決定は、TXOPを保持するSTAによってポーリング型TXOPの制限に従って行われる。
【0025】
1.4.HCにおけるアドミッション制御
HCにおけるアドミッション制御は、STAがチャネルにアクセスできる時間を保証するために利用される。ハイブリッドコーディネータ(HC)は、ネットワーク内のアドミッション制御を管理するために使用される。
【0026】
APがEDCAパラメータセット要素内で広告されるACM(アドミッション制御強制(Admission Control Mandatory))サブフィールドを使用して各ACにアドミッション制御が必要であるかどうかを示す競合ベースのアドミッション制御が利用される。ACMサブフィールドは、ベーシックサービスセット(BSS)の有効期間にわたって静的であるものとする。STAは、アドミッション制御を必要とするACを採用するいずれかの方向のトラフィックの承認を要求するために、HCにADDトラフィックストリーム(ADDTS)要求フレームを送信するものとする。
【0027】
ADDTS要求フレームは、トラフィックに関連するユーザ優先度(UP)を含み、アクセスポリシーとしてEDCAを示すものとする。
【0028】
非AP STAでは、各EDCA機能(EDCAF)が、APによる許容媒体時間であるadmitted_time、及びused_timeと呼ばれる使用時間量という2つのMAC変数を保持するものとする。STAは、ADDTS要求及び応答フレーム交換によってAPとネゴシエートした後に、指定されたEDCAFのadmitted_timeを計算するものとする。STAは、各フレーム交換の成功又は失敗後などの一定の時点でused_timeの値を更新する。
【0029】
used_timeの値がadmitted_timeに到達し又はそれを超えた場合、対応するEDCAFは、もはやQoSパラメータセット要素に指定されたそのACのEDCAパラメータを使用してQoSデータフレーム又はQoS Nullフレームを送信してはならない。
【0030】
しかしながら、これらのACにアドミッション制御が不要である場合、STAは、そのEDCAFのEDCAパラメータをより優先度の低いACに対して指定されたEDCAパラメータに一時的に置き換えることを選択することができる。
【0031】
1.5.制御アクセスアドミッション制御
ハイブリッドコーディネータ(HC)は、承認済みTSへのポーリングサービスを関連するTSPECに基づいて許可又は拒否することに関与する。承認済みTSに基づくポーリングサービスは、そのQoS要件を満たすために、スケジューラから「保証されたチャネルアクセス」を提供する。HCによってTSが承認された場合、スケジューラは、一定の時間間隔で開始するサービス期間(SP)中にSTAにサービスを提供するものとする。APは、HCCA TXOP内に送信をスケジュールし、STAにサービススケジュールを伝えるものとする。APは、サービススケジュールがTSPEC要件を満たしている限り、その後にサービススケジュールを更新することもできる。HCは、スケジュールフレーム内でスケジュール要素を送信することによっていつでもサービススケジュールを更新することができる。更新されたスケジュールは、HCがスケジュールフレームに対するAckフレームを受け取った時点で有効になる。
【0032】
1.6.QoS(+)CF-Pollフレーム
図3に、以下のフィールドを有するQoS(+)CF-Pollフレームのフォーマットを示す。フレーム制御(Frame control)フィールドは、プロトコルのバージョン、タイプ、サブタイプ、及び対応するフレーム制御情報を指定する。QoS(+)CF-Pollフレームは、QoS CF-Pollフレーム、サブタイプ1110、QoS CF-Ack+CF-Pollフレーム、サブタイプ1111、QoSデータ+CF-Pollフレーム、サブタイプ1010、及びQoSデータ+CF-Ack+CF-Pollフレーム、サブタイプ1011という、CF-Pollを伴う4つのQoSデータサブタイプ全てを意味する。
【0033】
QoS CF-Pollを含むデータフレーム内では、期間/ID(Duration/ID)フィールド値が、(a)TXOP制限が0でない場合には、1つのSIFSにTXOP制限を加えた時間、又は(b)TXOP制限が0の場合には、公称MSDUサイズの1つのMPDU及び関連するAckフレームの送信に必要な時間に2つのSIFSを加えた時間、のいずれかに設定される。
【0034】
アドレス1(Address 1)フィールドはフレームの対象受信者を識別し、アドレス2(Address 2)フィールドはフレームの送信者を識別する。
【0035】
シーケンス制御(Sequence Control)フィールドは、制御フレーム内に存在するシーケンス番号及びフラグメント番号を指定する。QoS制御(QoS Control)フィールドは、フレームが属するTC又はTS、並びにフレームタイプ、サブタイプ及び送信側STAのタイプによって異なる、フレームに関する他の様々なQoS関連情報、A-MSDU関連情報及びメッシュ関連情報を識別する。
【0036】
HT制御(HT Control)フィールドは、HT変種及びVHT変種のためのHT制御情報を示す。フレームボディ(Frame Body)フィールドは、個々のフレームタイプ及びサブタイプに固有の情報を含む。FCSフィールドは、32ビットの巡回冗長検査(CRC)を含む。FCSフィールド値は、MACヘッダ及びフレームボディフィールドの全てのフィールドにわたって計算される。
【0037】
1.7.TSPEC要素
図4に、パラメータ化されたQoSのアドミッション制御において使用されるトラフィック仕様(TSPEC)要素を示す。この要素は、管理フレーム(例えば、ADDTS要求/応答、ADDTS予約要求、DMS要求/応答など)の情報要素を提供する。この要素は、トラフィックストリームの特性及びQoS予想(QoS expectation)も定める。
【0038】
TSPECの主なパラメータは以下を含む。遅延限界(Delay Bound)フィールドは、このTSPECのTSに属するMSDU又はA-MSDUを送信するために許容される最大時間をマイクロ秒単位で指定する。サービス開始時刻(μs):STAが最初にフレーム送信準備が整うと予想し、省電力(PS)モードにあるSTAがこれらのフレームを受け取るために起動している必要がある時刻を示す。
【0039】
最小サービス間隔は、2つの連続するSPの開始の合間の最小間隔を(μs単位で)指定する。
【0040】
最大サービス間隔は以下のように機能する。TSPEC要素がHCCAストリームを認めるためのものである場合には、連続する2つのSPの開始の合間の最大間隔をマイクロ秒単位で指定する。TSPEC要素がEDCAアドミッション制御を目的とする場合、最大サービス間隔フィールドは、使用されるアグリゲーション(A-MSDU又はA-MPDU)の量を過剰な待ち時間が発生しないように制限する待ち時間制限を示す。
【0041】
非作動間隔(Inactivity Interval)フィールドは、HCのMACエンティティによってTSが削除される前にそのTSに属するMPDUが到着せずに又は転送されずに経過できる最小時間をマイクロ秒単位で指定する。
【0042】
停止間隔(Suspension Interval)フィールドは、連続するQoS(+)CF-Pollの生成がTSのために停止される前にそのTSに属するMSDUが到着せずに又は転送されずに経過できる最小時間をマイクロ秒単位で指定する。4 294 967 295(=232-1)などの特定の値は停止間隔を無効にし、非作動に基づいてTSのためのポーリングが中断されないことを示す。
【0043】
サービス開始時刻(Service Start Time)フィールドは、最初にスケジュールされたSPが開始する時刻をマイクロ秒単位で指定する。サービス開始時刻は、STAが最初にフレーム送信及び節電の準備が整うと予想される時刻をAPに示す(例えば、M101-Wi-Fi SiPモジュール)。STAは、フレームを受け取るために起動している必要がある。APSD及びスケジュールサブフィールドが0の場合には、このフィールドも0(不特定)に設定される。
【0044】
遅延限界(Delay Bound)フィールドは、MSDU、又はA-MSDUを構成するMSDUの最初のMSDUがローカルMAC SAPからローカルMAC副層に到着したことを示す時点と、MSDU又はA-MSDUの宛先への正常な送信又は再送が完了した時点との間で測定される、このTSPECのTSに属するMSDU又はA-MSDUを伝送するために許容される最大時間をマイクロ秒単位で示す。
【0045】
関連する確認応答フレームが存在する場合、MSDU又はA-MSDU送信の完了は確認応答フレームの送信時点を含む。
【0046】
媒体時間(Medium Time)フィールドは、媒体へのアクセスに認められる32μs/s単位での時間を含む。このフィールドは、ADDTS要求フレームにおいて予約され、HCによってADDTS応答フレームに設定される。このフィールドは、制御チャネルアクセスには使用されない。
【0047】
図5には、図4に示すTS情報フィールド内のサブフィールドを示す。
【0048】
2.動機及び問題
本開示の主な動機の1つは、ソフトAP側におけるIDC干渉問題を防ぐことである。通常、ソフトAP MLDは、このような干渉を防ぐように基本リンク上でしかレガシーSTAと通信しないように設計される。
【0049】
このルールは、レガシーSTAのチャネルリソースを大幅に制限/縮小することによってレガシーSTAのサービス品質を悪化させる。この悪化は、遅延の増加及びスループットの低下をもたらし、レガシーSTA、特にRTAの性能に深刻な影響を与える恐れがある。
【0050】
基本リンクが2.4GHz及び5GHzリンクであり、条件付きリンクが6GHzリンクである場合、以下の問題が生じる。2.4GHz、5GHz及び6GHzリンクをサポートするレガシーSTA(例えば、HE STA)は、基本リンクよりもはるかに帯域幅が広くクライアント密度が低い6GHzチャネルを使用する利点を無駄にしてしまう。
【0051】
基本リンクが2.4GHz及び6GHzリンクであり、条件付きリンクが5GHzリンクである場合には、以下の問題が生じる。5GHzチャネルしかサポートしていないレガシーSTA(例えば、VHT STA)は全く動作することができない。2.4GHz及び5GHzチャネルをサポートするレガシーSTA(例えば、HT STA)は2.4GHzでしか動作することができず、従って5GHzチャネルのチャネルリソースを全て無駄にしてしまう。
【0052】
要約すると、レガシー装置が基本リンクのみを使用することしか許可されていない場合には、レガシー装置のオプションが大幅に制限される。従って、本開示では、全てのレガシーSTA(HT、VHT及びHE)が条件付きリンク上でも動作できるようにするシステム及び方法について説明する。レガシー装置は、アクティブ又はパッシブスキャンを通じて条件付きリンク上で接続することができる。レガシーSTAは、条件付きリンク上でリンク接続を設定することができる。ソフトAP MLDにおいてIDC干渉問題が発生しない場合、スケジューラはレガシーSTAが条件付きリンクを使用することを妨げてはならない。
【0053】
3.ハードウェアの実施形態
レガシー(非EHT)局がソフトAP MLDの条件付きリンク上で動作することを可能にする能力は、以下に限定ではなく一例として示す様々な802.11ハードウェア構成で実装することができる。
【0054】
3.1.局ハードウェア構成
図6に、本開示のプロトコルを実行するように構成されたSTAハードウェアの実施形態例10を示す。外部I/O接続14が回路12の内部バス16に結合し、内部バス16上には、通信プロトコルを実装する(単複の)プログラムを実行するためにCPU18及びメモリ(例えば、RAM)20が接続されることが好ましい。ホストマシンは、1又は複数のアンテナ29、26a、26b、26c~26nにそれぞれが接続された少なくとも1つのRFモジュール24、28に結合された、通信をサポートする少なくとも1つのモデム22を収容する。複数のアンテナ(例えば、アンテナアレイ)を有するRFモジュールは、送信及び受信中にビームフォーミングを実行することを可能にする。このように、STAは、複数組のビームパターンを使用して信号を送信することができる。
【0055】
バス14は、センサ及びアクチュエータなどの様々な装置をCPUに接続することができる。プロセッサ18上では、STAがアクセスポイント(AP)局又は通常の局(非AP STA)の機能を実行することを可能にするように実行される通信プロトコルを実装するプログラムを実行するための、メモリ20からの命令が実行される。また、このプログラミングは、現在の通信状況でどのような役割を果たしているかに応じて異なるモード(TXOP所有者、TXOP共有参加者、ソース、中間、宛先、第1のAP、他のAP、第1のAPに関連する局、他のAPに関連する局、調整機(coordinator)、被調整機(coordinatee)、OBSS内のAP、及びOBSS内のSTAなど)で動作するように構成されると理解されたい。
【0056】
従って、図示のSTA HWは、少なくとも1つのモデムと、少なくとも1つの帯域上での通信を提供するための関連するRF回路とで構成される。本開示は、主にサブ6GHz帯を対象とする。
【0057】
なお、本開示は、それぞれが任意の数のRF回路に結合された複数のモデム22を使用して構成することができると理解されたい。一般に、使用するRF回路の数が多ければ多いほど、アンテナビーム方向のカバレッジは広くなる。なお、利用するRF回路の数及びアンテナの数は、特定の装置のハードウェア制約によって決まると理解されたい。RF回路及びアンテナの一部は、STAが近隣STAと通信する必要がないと判定した時に無効にすることができる。少なくとも1つの実施形態では、RF回路が周波数変換器及びアレイアンテナコントローラなどを含み、送受信のためにビームフォーミングを実行するように制御される複数のアンテナに接続される。このように、STAは、各ビームパターン方向がアンテナセクタとみなされる複数のビームパターンの組を使用して信号を送信することができる。
【0058】
また、図示のような局ハードウェアの複数のインスタンスはマルチリンク装置(MLD)に組み合わせることができ、通常、このMLDは活動を協調させるためにプロセッサ及びメモリを有するが、必ずしもMLD内の各STAに別々のCPU及びメモリが必要なわけではない。
【0059】
図7に、マルチリンク装置(MLD)ハードウェア構成の実施形態例40を示す。ソフトAP MLDは、APとして動作する1又は2以上の所属するSTAから成るMLDである。ソフトAP MLDは、2.4GHz、5GHz及び6GHz上で複数の無線動作をサポートすべきである。複数の無線のうちの基本リンクセットは、例えば基本リンクセット(2.4GHz及び5GHz)、基本リンクセット(2.4GHz及び6GHz)などの同時送受信(STR)モードを満たすリンクペアである。
【0060】
条件付きリンクは、何らかの基本リンクと非同時送受信(NSTR)リンクペアを形成するリンクである。例えば、これらのリンクペアは、5GHzが基本リンクである場合には、5GHzリンクに対応する条件付きリンクとして6GHzリンクを含むことができ、6GHzが基本リンクである場合には、6GHzリンクに対応する条件付きリンクとして5GHzリンクを含むことができる。ソフトAPは、Wi-Fiホットスポット及びテザリングを含む異なるシナリオで使用される。
【0061】
MLDには複数のSTAが所属し、各STAは異なる周波数のリンク上で動作する。MLDは、アプリケーションへの外部I/Oアクセスを有し、このアクセスは、CPU62及びメモリ(例えば、RAM)64を有するMLD管理エンティティ48に接続して、MLDレベルで通信プロトコルを実装する(単複の)プログラムの実行を可能にする。MLDは、ここではSTA1 42、STA2 44~STA N46として例示する接続先の各所属する局にタスクを配分してこれらから情報を収集し、所属するSTA間で情報を共有することができる。
【0062】
少なくとも1つの実施形態では、MLDの各STAが独自のCPU50及びメモリ(RAM)52を有し、これらは、1又は2以上のアンテナを有する少なくとも1つのRF回路56に接続された少なくとも1つのモデム54にバス58を通じて結合される。本例では、RF回路が、アンテナアレイなどの形の複数のアンテナ60a、60b、60c~60nを有する。RF回路及び関連する(単複の)アンテナと組み合わせたモデムは、近隣のSTAとの間でデータフレームを送信/受信する。少なくとも1つの実装では、RFモジュールが、周波数変換器、アレイアンテナコントローラ、及びそのアンテナと連動するためのその他の回路を含む。
【0063】
MLDの各STAは、特定のMLD実装に応じて互いに及び/又はMLD管理エンティティとリソースを共有することができるので、必ずしも独自のプロセッサ及びメモリを必要としないと理解されたい。なお、上記のMLD図は限定ではなく一例として示すものであり、本開示は幅広いMLD実装と共に動作することができると理解されたい。
【0064】
4.ネットワークトポロジー
図8に、一般的な複数リンク接続のネットワークトポロジー例70の実施形態を示す。この図では、ソフトAP MLDx72が複数の無線リンクを介してレガシー局74及び非AP STA MLDy76に接続している。
【0065】
ソフトAP MLD(EHT装置)は「x」として示す識別(ID)を有し、いずれかの非AP MLD(EHT装置)は「y」として示すMLD IDを有し、いずれかのレガシーSTA(非EHT装置)はレガシーシステム(LS)「x、y、z」としてのIDを有するように例示する。この例では、ソフトAP MLDxが、APx_1、APx_2及びAPx_3として示す3つの所属するAP局を有する。非AP MLDyは、STAy_1、STAy_2及びSTAy_3として示す3つの所属する非AP局を有する。APx_1、STAy_1及びLSxはリンク1(L1)を介して動作している。APx_2、STAy_2及びLSyはリンク2(L2)を介して動作しており、APx_3、STAy_3及びLSzはリンク3(L3)を介して動作している。
【0066】
図9に、使用するネットワークトポロジーを限定ではなく説明目的で例示する実施形態90を示す。ソフトAP MLDx92及び非AP MLDx94は、5GHz104及び6GHz106の両リンク上で動作する。LSx100及びLSy102は5GHzリンク上でのみ動作する。LSm96及びLSn98は6GHzリンク106上でのみ動作する。2.4GHzリンクは、5GHzリンク又は6GHzリンクのいずれからもIDC干渉を受けないような分離した基本リンクであるため、以下の説明は2.4GHzリンクの考察を含まない。
【0067】
5.ソフトAP MLDの条件付きリンク上でのレガシーSTAの有効化
5.1.解決策1:基本リンク及び条件付きリンクを介したNSTRのための協調的HCCAスケジュール
図10A及び図10Bに、基本リンク111a及び条件付きリンク111bを介したNSTRのための協調的HCCAスケジュールの実施形態例110を示す。
【0068】
条件付きリンク上及び基本リンク上のAPは同じSMEを有し、本開示では、(1)基本リンク及び条件付きリンクを介した同時EDCA TXOP及びHCCA TXOPを処理するように互いに協調し、(2)両リンクを介した同期したUL又はDL HCCA TXOPのスケジューリング及び割り当てを行うように構成される。
【0069】
両リンクにはアドミッション制御が適用されるものとする。初期TS設定及びネゴシエーションは、(例1-1に示すように)主にEDCA TXOP内で行われるものとし、承認済みアクセスポリシー(admitted access policy)は、基本リンク及び条件付きリンクの両方においてHCCAとする。基本リンク及び条件付きリンクの両方においてリスンするMLDは、両リンク上でのEDCA TXOP中にEDCAアクセスを実行することができる。
【0070】
ソフトAP MLDの所属するAPは、平均データレート、公称MSDUサイズ、最小PHYレート、余剰帯域幅許可量、並びに最大サービス間隔及び遅延限界の少なくとも一方、及びその他の所望のフィールドなどを含む、TS設定から取得された承認済みSP情報(admitted SP information)に基づいて、両リンク上で同期したHCCA TXOP113、126をスケジュールするものとする。
【0071】
ソフトAP MLDの所属するAPは、全てのMSDUの受け取られたQoSデータフレームのTIDサブフィールド及びQoS制御サブフィールドから、TID、特定のTIDに対応するSTAの待ち行列内トラフィック、又は特定のTIDに属するトラフィックの次のTXOP期間要求などの情報を取得する。要求がTSに属する場合、APはTXOPを再割り当てすることができる。
【0072】
ストリームが追加又は削除された場合、APはHCCA TXOPを再割り当てするものとする。異なる承認済みTSのサービス間隔(SI)は必ずしも同じではない。APは、適宜にTXOPをスケジュールするものとする。HCCA TXOP内には、TXOP期間の制限に従う複数のフレーム交換シーケンスが存在することができる。基本リンク上及び条件付きリンク上のPPDUとしてのデータ交換は、開始時刻及び終了時刻の両方が一致すべきである。この図には、ビーコン112a、112b、その後のULポーリング型TXOP114a、114b、DL HCCA TXOP116a、116bからHCCA TXOPを通じてHCCA TXOP期間の最後のULポーリング型TXOP118a、118bまでを示す。PPDUは、プロトコル内の物理層プロトコルデータユニットであり、プリアンブル及びデータフィールドを含む。なお、これらのTXOPの各々は、基本リンクと条件付きリンクとの間で開始時刻及び終了時刻の両方が一致している。これらの各TXOPは、図10Bの別のビーコンセット124a、124b後の、DL HCCA TXOP128a、128bからULポーリング型TXOP130a、130bまでとして例示するHCCA TXOP126にも続く。
【0073】
ソフトAP MLD、非AP MLD及びレガシーSTAは、送信されたPPDUの終了時刻を一致させるためにいずれかのタイプのパディングを使用することができる。2つのリンク間のスケジューリングアルゴリズムは、本提案の範囲外である。PS STAは、ビーコンを受け取るためにDTIMで起動して、QoS情報及びアドミッション情報などの何らかの情報を獲得(取得)するものとする。
【0074】
この図には、EDCA TXOP期間119及び131の存在も例示する。図10Aには、CAP122aを含むEDCA TXOP120a、及び最後付近に例示する任意のCAP122を有するEDCA TXOP120bを示す。図10Bには、CAP134a、134bを含むEDCA TXOP132a、132bを示しており、その後に別のビーコンセット136a、136bが送出される。
【0075】
この解決策では、基本リンク及び条件付きリンクにアクセス制限が適用されるものとする。従って、ビーコンフレームは、両リンク上で全てのACについてACM(アドミッション制御強制)=1を指定するものとする。TS設定プロセスは、例1-1に示すように実行されるものとする。アドミッション制御中、基本リンク上及び条件付きリンク上のソフトAPは、TSのために使用すべきアクセス方法をHCCAとして指定するようにTSPEC要素内のアクセスポリシーサブフィールドを設定することにより、ADDTS応答フレームでアクセスポリシーをHCCAとして指定するものとする。アドミッションルールを受け入れる非AP STAは、チャネルアクセスポリシーをHCCAとして実行するものとする。
【0076】
図11及び図12A図12Bに、アドミッション制御の実施形態例150、190を示す。ADDTS要求及びADDTS応答のフレーム交換によるアドミッション制御は、図11に示すような全てのレガシー装置の非トリガーベースのTXOP(IDC干渉によるエラーを生じない又は受けない正常な送信のみ)に基づいて、或いは図12A図12Bに示すようなHE装置のトリガーベースのMUカスケーディングTXOPを通じて実行することができる。
【0077】
図11には、非トリガーベースのTXOPを通じたTS設定150の例を示す。基本リンク上のソフトAPx_2 152とLSx100との間、及び条件付きリンク上のソフトAPx_3 154とLSm96との間の相互作用を示す。基本リンク上ではバックオフ(BO)156が実行されてLSxが基本リンクを取得し、ADDTS要求158を送信してADDTS応答162を受け取ることによってソフトAPx_2との間でADDTSフレームの交換を実行し、これが図15に示す例1-2のB-3~B-6の事例に従って処理される。基本リンク上でLSxがソフトAPx_2に送信を行っている最中に、任意に基本リンク上のIDC干渉を引き起こさない他のリンク(例えば、条件付きリンク)上で、UL PPDUとして示すデータ160をLSmからソフトAPx_3に送信することができる。条件付きリンク上には、BO164の後に、基本リンクがアイドル168であることができる間に別のADDTS要求166及び応答170を示す。
【0078】
ADDTS要求フレームとADDTS応答フレームとを交換する初期TS設定シーケンスはEDCAアクセスに基づいており、図示のように(例えば、図15及び図16のB-3、B-5及びB-7)フレーム交換は成功しないことがある。
【0079】
初期TS設定後、更新TS設定/ネゴシエーション(update TS setup/negotiatio)などのADDTS要求フレーム及び応答フレームの交換は、図15及び図16に示す例1-2の事例B-3~B-6に基づくプロセスに従わないHCCA TXOPを使用することができる。
【0080】
図12A及び図12Bには、トリガーベースのTXOPカスケーディングを通じたTS設定190を示す。この図には、基本リンクL1 194に関連するAPx_1と、基本リンクL2 196に関連するAPx_2と、条件付きリンクL3 198に関連するAPx_3とを有するソフトAP MLDx192を例示する。この図では、基本リンクL1は使用されていない。
【0081】
図12Aでは、図12Bの条件付きリンクL3がアイドル200状態である間に、基本リンクL2上のAPx_2がバックオフ(BO)202を開始する。BO202がゼロまでカウントダウンされると、APx_2及びAPx_3は、それぞれL2及びL3上でトリガーフレーム(TF)206及び208を同時に送信して、マルチユーザ(MU)210カスケーディングシーケンスに役立つ同時UL/DLカスケードTXOP204をL2及びL3上で開始する。
【0082】
図12Aでは、APx_2が、いくつかのユニキャストRUからTFフレーム206の応答としてUL MUデータ212を受け取るとともに、UL PPDUを受け取るためにTF206において(単複の)ランダムアクセスRU(RA-RU)を割り当てることもできる。ただし、この例には、RA-RU212を使用するSTAは示していない。
【0083】
図12Bでは、APx_3が、1つのユニキャストRUからTF208の応答としてULデータを受け取り、他の2つのユニキャストRU214から2つのADDTS要求フレームを受け取る。L3上のいずれのSTAによっても使用されない別のRA-RU214も予約されている。
【0084】
APx_2及びAPx_3は、ULデータ又はADDTS要求フレームを受け取ると、対応する(単複の)ユニキャストRU内でそれぞれ確認応答で応答し、BA又はACKと共に図12Aの216、224、232、並びに図12Bの218、226及び234に示すようなDLカスケーディングシーケンスでDLデータ及び/又はトリガー(TR)フレームを送信することができる。APx_2及びAPx_3は、RA-RU周波数スロットを使用して、図12Aの216及び224、並びに図12Bの218及び226に示すようなDLカスケーディングシーケンスでいくつかのDLデータ及び/又はTRフレームを送信することができる。
【0085】
受信側STAは、(単複の)割り当てられたユニキャストRU上でTRを受け取ると、データをバッファしてTS設定を終了している場合には、図12Aの220、228及び図12Bの222、230に示すようなULカスケーディングシーケンスでのULデータで応答することができる。そうでなければ、受信側は、図12Bの222に示すようなULカスケーディングシーケンスで応答しない(NONEとして示す)ことができる。図12Aの220、228及び図12Bの222、230に示すようなULカスケーディングシーケンスでは、(OFDMA)ベースのランダムアクセス(UORA)のためにRA-RUが予約される。
【0086】
図12Bでは、APx_3が、(単複の)ユニキャストRU上のADDTS要求フレーム214に対してACK218で応答した後に、この(単複の)RUを使用してADDTS応答フレーム226で応答するとともに、図12Bの226に示すようなDLカスケーディングシーケンスでDLデータ及び/又はトリガー(TR)フレームを送信することもできる。
【0087】
この図からは、TBカスケード送信中にTS設定が実行されることが分かる。非AP局は、APによって割り当てられた特定のRUを使用してADDTS要求フレームを送信し、ADDTS応答フレームを受け取る。ADDTS応答フレームは、現在のTXOPで送信できない場合には次のTXOPで送信することができる。TS設定は、TB ULのみの送信中にも実行することができる。この場合、ADDTS応答フレームは、他の(単複の)RU上で送信されるACK/BAフレームと一致すべきである。
【0088】
5.1.1.解決策1-2:EDCA TXOPにおけるソフトAPと非AP MLDとの間のTx及びRx
図13に、EDCA TXOPにおけるソフトAP MLDと非AP MLDとの間のTx及びRxを示す第2の解決策の実施形態例250を示す。ソフトAPx_2 252a及びソフトAPx_3 252bは、同じソフトAP MLDの所属するAPであり、非AP STAx_2 254a及び非AP STAx_3 254bは、同じ非AP MLDの所属する非AP STAである。
【0089】
セクションA-1 258aは、APx_2が最初に基本リンク上でチャネルアクセス権を取得(獲得)(256a)した後に開始する。APx_2は、基本リンク上でDL PPDU260を送信するのに対し、APx_3は、条件付きリンク上でアクセスが可能である場合にはAPx_2と同期してDL PPDUを送信し、そうでなければ送信しない。その後、非AP局は、DLデータを受け取った応答として基本リンク上及び条件付きリンク上で同時にBA262を送信する。
【0090】
セクションA-2 258bにおいて、APx_3が条件付きリンクを取得する(256b)。基本リンクが利用可能である場合、APx_2及びAPx_3は同時にDL PPDUを送信した後にBAを送信し、そうでなければ送信を行わず、条件付きリンク上のEDCAをリセットする。
【0091】
セクションA-3 258cにおいて、非AP STAx_2が基本リンク256cを取得した後に基本リンク上でUL PPDUを送信するのに対し、条件付きリンク上では、アクセスが利用可能である場合に非AP STAx_3がUL PPDUを同期的に送信し、各リンク上のUL PPDUを受け取った応答としてのBA262が見られる。条件付きリンク上でアクセスが可能でない場合、条件付きリンク上では送信が行われない。
【0092】
セクションA-4 258dにおいて、非AP STAx_3が、条件付きリンクがアイドルであることを検知し、リンクを求めて競合する際にBOカウントを終了する。基本リンクが利用可能である場合、非AP STAx_2及び非AP STAx_3は同時にUL PPDUを送信して同時にBAを受け取る。そうでなければ、これらは送信を行わず、条件付きリンク上のEDCAをリセットする。
【0093】
なお、条件付きリンク上のアクセスの利用可能性はPIFS検知によって決定することができ、基本リンク上でアクセスが利用可能であるかどうかはEDCAルールによって決定することができる。
【0094】
図14に、LSx294a及びLSm294bが、APx_2 292a及びAPx_3 292bそれぞれ関連する基本リンク上及び条件付きリンク上でそれぞれ動作するレガシー局である別の実施形態例290を示す。APx_2 292a及びAPx_3 292bは同じソフトAP MLDの所属するAPである。
【0095】
ソフトAP MLDに所属するAPは、PPDUのプリアンブルに基づいて、受け取ったPPDUがEHT装置からのものであるか、それとも非EHT装置(レガシー装置)からのものであるかを検出できるものとする。ソフトAP MLDは、非EHT PPDUを受け取ると、図示のような異なる応答を行うことができる。
【0096】
セクションB-1 298aにおいて、APx_2は、基本リンク上でチャネルアクセス権を取得して(296a)DL PPDU300を送信するのに対し、条件付きリンクが利用可能である場合、APx_3は、基本リンク上で送信されるDL PPDU300と終了時点が一致する別のDL PPDU302を同期的に送信する。一方で、条件付きリンクが利用可能でない場合、APx_3はDL PPDUを送信しない。LSx及びLSmは、基本リンク上及び条件付きリンク上で一致するDL PPDUを受け取ると、対応するリンク上の一致するBA304で同時に応答する。
【0097】
セクションB-2 298bにおいて、APx_3が条件付きリンクアクセスを取得する(296b)。基本リンクが利用可能である場合、APx_2及びAPx_3は、DL PPDU300を同時に(一致させて)送信した後に、それぞれの一致するBA304を送信することができる。一方で、基本リンクが利用可能でない場合、APx_3は送信を行うべきではなく、条件付きリンク上のEDCAはリセットされる。
【0098】
図15に、APx_2 292a及びAPx_3 292bにそれぞれ関連する基本リンク上及び条件付きリンク上でそれぞれ動作するレガシー局LSx294a及びLSm294bの別の例を示す実施形態330を示す。APx_2 292a及びAPx_3 292bは、同じソフトAP MLDの所属するAPである。
【0099】
セクションB-3 333aにおいて、LSxが、最初に非TB UL送信のために基本リンクを取得(獲得)(332a)した後に基本リンク上でUL PPDU334を送信し、その後にAPx_2との間でRTS-CTSフレーム交換を行うことができる。
【0100】
条件付きリンク上では、アクセスが利用可能であってAPx_3が条件付きリンクのフレーム交換シーケンスを基本リンクのフレーム交換シーケンスと一致させることができる場合、APx_3はAPx_2と同時にUL TB PPDUを開始すべきである。そうでなければ、APx_3は、UL PPDUをトリガーするフレームの送信も、受け取ったUL PPDUに対する応答も行うべきではない。
【0101】
基本リンク上のいずれかのUL PPDUと同期していない条件付きリンク上のいずれかのUL PPDUは、BA336などの基本リンク上の同時DL TXに起因してAPx_3においてIDC干渉338を受ける恐れがある。
【0102】
セクションB-4 333bにおいて、APx_2は、最初にTB UL送信のために基本リンクを取得して(332b)TB UL TXOPを開始する。基本リンク上及び条件付きリンク上では、トリガーフレーム(TF)342の後に、利用可能な場合にはUL PPDUが送信されることが分かる。APx_3は、APx_2と同時に条件付きリンクを使用できない場合にはUL PPDUを送信すべきではない。いずれかのUL PPDUに応答してBAが送信される。
【0103】
セクションB-5 333cにおいて、現在基本リンクはアイドルであるため、LSmはUL TXのために条件付きリンクを取得し(332c)、条件付きリンク上でUL PPDU340の送信を開始する。しかしながら、APx_2が基本リンクを取得してDL PPDUの送信を開始した場合、この条件付きリンク上のUL PPDUはAPx_3によって感知されない。従って、条件付きリンク上のUL PPDUは進行中であり、基本リンク上でDL PPDUが送信されるとIDC干渉を受けるようになる。基本リンク上のDL PPDUは、以前に受け取ったフレームの即時応答、又はすぐに送信する必要がある緊急DL PPDUであることができる。
【0104】
セクションB-6 333dにおいて、APx_3はトリガーUL TXのために条件付きリンクを取得し(332c)、基本リンクが利用可能である場合、APx_2及びAPx_3は、UL PPDUを同時にトリガーするためのトリガーを開始するものとする。そうでなければ、APx_3は何も送信すべきではなく、条件付きリンク上のEDCAをリセットすべきである。
【0105】
図16に、基本リンク上及び条件付きリンク上の動作の別の例を示す実施形態例390を示す。レガシー局LSx394a及びLSm394bが、APx_2 392a及びAPx_3 392bにそれぞれ関連する基本リンク上及び条件付きリンク上で動作していることが分かる。APx_2 392a及びAPx_3 392bは、同じソフトAP MLDの所属するAPである。
【0106】
セクションB-7 400において、条件付きリンクがCCAビジー398である場合、ソフトAP MLDxのAPx_2は最初に基本リンクを取得する(396)。APx_2は、基本リンク上でDL PPDU402を送信した後にBA406を受け取る。条件付きリンク上では、CCAビジー398であるため、APx_3はDL PPDUを送信することができず、基本リンクからのDL TXの干渉によってCCAビジーの終了を検出することができない。IDC干渉により、条件付きリンク上のLSmからのUL PPDU404を感知することはできない。
【0107】
なお、ソフトAP MLDが、同じ非AP MLDからのものではない異なるリンクを介して異なる非AP STAと通信する場合、非AP STAは互いのTX/RXステータスを認識せず、従ってチャネルアクセス状況は先の図のB1~B7によってカバーされる。
【0108】
図17A図17Eに、EDCA TXOP中のレガシー局(LS)とのソフトAP MLD通信の実施形態例430を示す。
【0109】
図17Aでは、ソフトAP MLDのAPが基本リンクチャネルアクセス権を取得(獲得)したかどうかを判定するチェック432を行う。ソフトAP MLDのAPは、基本リンクを取得した場合、チェック434においてレガシーシステム(LS)に(単複の)DL PPDUを送信する必要があるかどうかを判定する。ソフトAP MLDのAPは、基本リンク上でLSに(単複の)DL PPDUを送信する必要がある場合、ブロック436において条件付きリンクがアイドルであるかどうかを判定する。条件付きリンクがアイドルである場合、ブロック438において同じソフトAP MLDの基本リンクAP及び条件付きリンクAPが同時にDL PPDUを送信してアライメントを保持(維持)し、プロセスは図17Eで終了する。
【0110】
一方で、ブロック432においてソフトAP MLDのAPが基本リンクを取得していない場合、実行は図17Cのブロック448に進んでソフトAP MLDのAPが条件付きリンクを取得(獲得)したかどうかをチェックする。条件付きリンクが取得されていない場合、実行は図17Dのブロック462に進んでレガシーシステム(LS)が基本リンクを取得したかどうかをチェックする。取得していない場合、実行は図17Eのブロック470に進んでLSが条件付きリンクを取得したかどうかをチェックする。取得していない場合、リンクが取得されていないのでプロセスは終了する。
【0111】
図17Cのブロック448に戻り、条件が満たされてソフトAP MLDのAPが条件付きリンクを取得(獲得)した場合、実行はブロック450に進んで条件付きリンクAPがレガシーシステム(LS)にDL PPDUを送信する必要があるかどうかをチェックする。この条件が満たされない場合、実行はブロック456に進んで条件付きリンクAPがUL PPDUをトリガーする必要があるかどうかを判定する。この条件が満たされない場合、プロセスは図17Eで終了する。そうでなければ、APは(単複の)UL PPDUをトリガーする必要があり、実行はチェック458に進んで基本リンクがこの時点でアイドルであるかどうかを判定する。基本リンクがアイドルでない場合、実行はこの図の(後述する)ブロック454に進む。基本リンクがアイドルである場合、ブロック460において同じソフトAP MLDの基本リンクAP及び条件付きリンクAPが同時にUL PPDUをトリガーしてプロセスは終了する。
【0112】
次にブロック450の説明に戻り、条件付きリンクAPがLSにDL PPDUを送信する必要がある場合、実行はブロック452に到達して基本リンクがアイドルであるかどうかを判定する。基本リンクがアイドルである場合、実行は図17Aのブロック438に進み、同じソフトAP MLDの基本リンクAP及び条件付きリンクAPが同時にDL PPDUを送信してプロセスは終了する。一方で、ブロック452において基本リンクがアイドルでないと判定された場合、ブロック454において、条件付きリンクAPはDL/UL PPDUの送信を許可されていないと判定されてプロセスは終了する。
【0113】
次に図17Aのブロック434の説明に戻り、基本リンクAPがLSにDL PPDUを送信する必要があるとの条件が満たされない場合、実行は図17Bのブロック440に進んで基本リンクAPがUL PPDUをトリガーする必要があるかどうかを判定するチェックが行われる。この条件が満たされない場合、実行は図17Eで終了する。そうでなければ、ブロック442に到達して条件付きリンクがアイドルであるかどうかを判定する。条件付きリンクがアイドルでない場合、ブロック446において基本リンクAPのみが送信を実行すべきであると決定(判定)されて実行は終了する。一方で、ブロック442において条件付きリンクがアイドルである場合、ブロック444において基本リンクAP及び条件付きリンクAPの両方がUL PPDUを同時に送信した後でこの処理は終了する。
【0114】
図17Aのブロック436に戻り、条件付きリンクがアイドルでない場合、実行は図17Bのブロック446に到達して基本リンクAPのみが送信を実行すべきであると判定され、この処理は終了する。
【0115】
次に図17Dのブロック462に戻り、LSが基本リンクを取得した場合、実行はブロック464に進んで条件付きリンクAPが基本リンクとの同時UL TXOPをスケジュールできるかどうかをチェックする。条件が満たされた場合、ブロック466において条件付きリンクAP及び基本リンクAPが同時UL TXOPをスケジュールして、このプロセスは終了する。一方で条件が満たされない場合、ブロック468において基本リンクAPはLSとのUL TXOPを実行するが、条件付きリンクAPはPPDUを送信せずに、プロセスは終了する。
【0116】
次に図17Eのブロック470に戻り、LSが条件付きリンクを取得した場合、実行はブロック472に到達して基本リンクが利用可能であるかどうかを判定する。基本リンクが利用可能である場合、ブロック474において基本リンクAP及び条件付きリンクAPは同時UL TXOPの送信をスケジュールし、その後にプロセスは終了する。一方で基本リンクが利用可能でない場合、ブロック476において条件付きリンクAPはPPDUの送信を許可されず、プロセスは終了する。
【0117】
5.2.同時UL/DL HCCA TXOP
スケジュールされた同時UL/DL TXOPは、(a)レガシーSTA、(b)(同じ又は異なる)非AP MLDの所属する局、及び(c)基本リンク上又は条件付きリンク上の非AP MLD及びレガシーSTAの所属する局、に適用することができる。
【0118】
図18に、スケジュールされた同時UL/DL TXOPの実施形態例510を示す。同じソフトAP MLDに所属する両APは、TxPIFSスロット境界において基本リンク512及び条件付きリンク514がアイドルである場合、これらの両リンクを同時に取得する。全ての局はHCFのNAVルールに従い、HCF下で送信される各フレームはNAV期間値を含む。
【0119】
APは、ポーリングすべきSTA、及び送信すべきデータフレーム、管理フレーム、ブロックAck要求フレーム又はブロックAckフレームをそれ以上有していない場合、RAが自局のMACアドレスに一致して期間/ID フィールドが0に設定されたQoS CF-Pollフレームを送信することにより、BSS内の全てのQoS STAのNAVをリセットすることができる。
【0120】
STAは、自局宛のフレームを受け取って確認応答を要求する際に、NAVにかかわらずAck又はQoS+CF-ACKフレームで応答するものとする。非AP STAは、NAVにかかわらずフレーム交換シーケンスを開始することによってポーリング型TXOPを受け入れるものとする。
【0121】
図18のUL TXOPでは、ソフトAP MLDの所属するAPが、基本リンク上及び条件付きリンク上で動作する非AP局に同じポーリング型TXOP期間を割り当てることによってこれらの非AP局を同時にポーリングする。基本リンク上及び条件付きリンク上のポーリング型TXOP期間516a、516b、518a、518b、520a、520b、522a、522bは、ポーリングされた局のトラフィック状況に従ってスケジュールされる。
【0122】
(受け取ったQoS CF-Pollフレームのアドレス1フィールドに自局のアドレスが一致する非AP QoS STAである)ポーリングされた非AP局はポーリング型TXOP期間を超えてはならず、基本リンク上及び条件付きリンク上のPPDU終了時刻アライメントを維持するためにいずれかのタイプのパディング又はフレームアグリゲーションを使用することができる。
【0123】
ポーリングされた非AP局が割り当てられたTXOPの一部しか使用しない場合、受信側APは、他リンクのポーリング型TXOPが完了するまでポーリングを行ってはならない。ソフトAP MLDの所属するAPは同時にポーリングを行うものとする。ポーリングされた非AP局は、TXOP期間の制限に従って所与のポーリング型TXOP内で複数のフレーム交換シーケンスを送信することができる。
【0124】
図18のDL TXOPでは、ソフトAP MLDの所属するAPが、各リンク上で動作している非AP局に同じHCCA TXOP期間を割り当てることによってこれらにDL PPDUを同時に送信するものとする。ソフトAP MLDの所属するAPは、TXOP期間の制限に従って所与のポーリング型TXOP内で複数のフレーム交換シーケンスを送信することができる。ソフトAP MLDの所属するAPは、送信されるPPDUの終了時刻を一致させるためにいずれかのパディングを使用することができる。
【0125】
5.2.1.基本リンク上及び条件付きリンク上の期間HCCA TXOPの協調的スケジュール
図19に、協調的スケジューリングの実施形態例550を示す。
【0126】
ブロック552において、同じソフトAP MLDのAPが基本リンク及び条件付きリンクを取得(獲得)したかどうかを判定するチェックを行う。条件が満たされない場合、待機を行った(554)後に(制限内で)チェックを繰り返す。条件が満たされた場合、ブロック556において、ソフトAP MLDがDL PPDUを送信する必要があるかどうかを判定するチェックを行う。条件が満たされた場合、ブロック558において、基本リンクAP及び条件付きリンクAPが基本リンク上及び条件付きリンク上で同時にDL HCCA PPDUを開始してプロセスは終了する。一方で、ブロック556における条件が満たされない場合、ブロック560において、ソフトAP MLDがUL PPDUをポーリングする必要があるかどうかをチェックする。ポーリングが必要でない場合、プロセスは終了する。そうでなければ、ブロック562において、基本リンクAP及び条件付きリンクAPは、基本リンク上及び条件付きリンク上で同時にULポーリング型TXOPを開始してプロセスは終了する。
【0127】
5.3.例1-3-1:予想受信の不在からの回復
図20に、隠れ端末状況における予想受信の不在からの回復の問題に関する例1-3-1のトポロジー590を示す。なお、図中の5GHzと6GHzとの分離は空間的分離ではなく周波数帯の分離のみを表す。この図には、ソフトAPy_2及びソフトAPy_3などの所属するAPをそれぞれ有する、5GHz608及び6GHz612の両方で動作するソフトAP MLDy592と、ソフトAPx_2及びソフトAPx_3などの所属するAPをそれぞれ有する、5GHz606及び6GHz610の両方で動作するソフトAP MLDx594とを示しており、ソフトAPy_2、ソフトAPy_3、ソフトAPx_2及びソフトAPx_3は示していない。非AP MLDx600は、非AP STAx_2及び非AP STAx_3などの非AP STAをそれぞれ使用して5GHz606及び6GHz610の両リンクにおいて動作する。非AP STAx_2及び非AP STAx_3は図示していない。
【0128】
レガシー局LSx602及びレガシー局LSy598は、5GHzで動作しているソフトAP MLDx594の所属するAPのうちの1つに関連する。レガシー局LSm604及びレガシー局LSn596は、6GHzで動作しているソフトAP MLDx594の所属するAPのうちの1つに関連する。LSy及びLSnは、それぞれ5GHz上及び6GHz上のソフトAP MLDyの所属するAPのカバー範囲内に位置する。
【0129】
この図には、隠れ端末シナリオにおいてQoS CF-Pollフレームと他の管理フレームとの衝突が発生した例を示す。ソフトAP MLDxのソフトAPx_3及びソフトAP MLDyのソフトAPy_3は6GHzチャネルで動作しており、互いに感知できないものと仮定する。ソフトAPx_3及びソフトAPy_3が同時にフレームを送信してLSn596に到着すると衝突が発生する。なお、干渉フレームはLSnに送信されないこともあり、矢印は、特定の局にアドレス指定されたフレームではなく特定の局が感知できるフレームを示す。
【0130】
図21に、図20の隠れAP問題によって生じる衝突問題に対する解決策の実施形態を示す例1-3-1 630を示す。この図には、ソフトAPx_2 632とLSy598との間、ソフトAPx_3 634とLSn596との間、及びソフトAPy_3 636とLSn596との間の相互作用を示す。なお、図ではLSnが2つのライン上で通信相互作用しているように示しているが、この理由はLSnが隠れ端末間の通信に関与しており、隠れ端末の一方がLSnと通信して他方がLSnと干渉しているからであると理解されたい。
【0131】
隠れAPが1つのリンク(例えば、6GHzリンク)上で管理フレームを送信することによって生じる衝突問題を解決するために、本開示の少なくとも1つの実施形態では、一方のリンク上の回復/再送時間が他方のリンク上のポーリングされたUL PPDUサイズによって影響を受ける恐れがあるという理由で、TXOPの開始時にQoS CF-Pollを直ちに送信する代わりに、データペイロードを搬送しない非常に小さな(コンパクトな)DL PPDUを送信する。
【0132】
図では、ソフトAPy_3がバックオフ638を実行し、ソフトAPx_2及びソフトAPx_3が同様にチャネルアクセス権を求めて競合している。ソフトAPy_3がバックオフカウントダウンを終了し、ソフトAPx_2及びソフトAPx_3がTxPIFs境界640でチャネルアイドルを検知すると、これらの各々はそれぞれのリンクを同時に獲得する。
【0133】
この1-3-1問題の解決策では、TxPIFSスロット境界において基本リンク及び条件付きリンクがアイドルである場合に、ソフトAP MLDxに所属する両APが両リンク上で非常に小さな(コンパクトな)DL PPDUフレーム644及び645(例えば、RTS、ヌル、制御又は管理フレーム)を同時に送信し、DL PPDU送信の開始に応答してTXOPの期間を保護するNAV642が見られる要素(a)が実行される。しかしながら、この同じ時点でソフトAPy_3は完全なDL PPDU648を送信する。
【0134】
要素(a)の条件は、いずれかのAP局がSIFS646後にDL PPDUの応答650としてCTS/ACK/BAを受信できない場合に衝突の可能性があることを示す(a)(i)を含む。再送プロセスは、(a)この短いDL PPDU送信を繰り返すべきである。従って、ソフトAPx_2及びソフトAPx_3が再びチャネルを取得して短いDL PPDU652及び656を送信し、NAV654及び660が開始され、ソフトAPy_3がビジー658であることが分かる。
【0135】
(a)(ii)両AP局は、SIFS後にDL PPDUの応答662及び664としてCTS/ACK/BAを受け取った場合、UL TXOPをポーリングし(666及び668)、又は更新されたNAV期間654を使用して基本リンク上及び条件付きリンク上で同時にDL TXOPを送信するものとする。
【0136】
(a)(iii)ソフトAP MLDxに所属する両APは、(ソフトAPy_3が非常に長いDL PPDUを送信する場合に)両リンクを介した小さなDL PPDUフレームの再送回数を制限することができる。再送が再送制限を満たす場合、APは、SIFS後にDL PPDUの応答としてCTS/ACK/BAを受け取ってUL TXOPをポーリングし、又は単独でDL TXOPを送信すべきである。DL PPDUの応答としてCTS/ACK/BAを受け取らないAPは、UL TXOPのポーリングもDL TXOPの送信も行うべきではない。
【0137】
CFポーリング後には、LSy及びLSnがソフトAP MLDにUL PPDU670及び672を送信してソフトAP MLDからBA674及び676を受け取ることが分かる。
【0138】
図22に、HCCAを使用するQoS CF-pollフレーム間で衝突が発生するCFP状況での隠れ端末における予想受信の不在からの回復問題に関する例1-3-2のトポロジー例690を示す。この図は図20の変形であり、やはりソフトAPy_2及びソフトAPy_3などの所属するAPをそれぞれ有する、5GHz608及び6GHz612の両方で動作するソフトAP MLDy592と、ソフトAPx_2及びソフトAPx_3などの所属するAPをそれぞれ有する、5GHz606及び6GHz610の両方で動作するソフトAP MLDx594とを示しており、ソフトAPy_2、ソフトAPy_3、ソフトAPx_2及びソフトAPx_3は示していない。非AP MLDx600は、非AP STAx_2及び非AP STAx_3などの非AP STAをそれぞれ使用して5GHz606及び6GHz610の両リンクにおいて動作する。非AP STAx_2及び非AP STAx_3は図示していない。
【0139】
レガシー局LSx602及びレガシー局LSy598は、5GHzで動作しているソフトAP MLDx594の所属するAPのうちの1つに関連する。レガシー局LSm604及びレガシー局LSn596は、6GHzで動作しているソフトAP MLDx594の所属するAPのうちの1つに関連する。LSy及びLSnは、それぞれ5GHzリンク上及び6GHzリンク上のソフトAP MLDyの所属するAPのカバー範囲内に位置する。
【0140】
この図には、隠れ端末問題に起因するQoS CF-Pollフレームの衝突の例を示す。ソフトAP MLDx及びソフトAP MLDyは5GHz及び6GHzリンクで動作しており、互いを感知することができない。ソフトAPxの所属するAP及びソフトAPyの所属するAPが6GHzリンク上のLSn及び5GHzリンク上のLSyに同時にQoS CF-Pollフレームを送信すると衝突が発生する。
【0141】
図23に、HCCA TXOPの開始時にCFP内の隠れ端末によって生じる衝突問題の回復スキームの実施形態を示す例1-3-2 710を示す。この図には、ソフトAPx_2 712とLSy598との間、ソフトAPy_2 714とLSy598との間、ソフトAPx_3 716とLSn596との間、及びソフトAPy_3 718とLSn596との間の相互作用を示す。
【0142】
隠れ端末によって生じる衝突問題を解決するために、HCCAポリシーに従ってQoS CF-Pollフレームを送信する。このプロセスは、図21の例1-3-1に示す要素(a)で説明したものと同じである。
【0143】
(a)(i)いずれかのAPは、SIFS後にDL PPDUの応答としてCTS/ACK/BAを受信できない場合に衝突の可能性があることを示す。ただし、ステップ(a)を直接処理する場合、後続の衝突が発生する恐れがある。後続の衝突を避けるために、ランダム変数をnとするaSIFSTime+n*aSlotTime後に、各ソフトAP MLDの同時回復及び/又は再送を開始することができる。
【0144】
(a)(ii)このプロセスは、例1-3-1の(a)(ii)について説明したものと同じである。
【0145】
この図には、ソフトAPがTxPIFsスロット境界722でリンクを取得し(720)、それぞれがDL PPDU724を送信することを示す。これらのソフトAPは、DL PPDUの応答を受け取らないので、チャネルアクセス権を求めて再競合する。ソフトAPx_2及びソフトAPx_3はSIFS時間後にチャネルを求めて再競合し、ソフトAPy_2及びソフトAPy_3はSIFS+2*SlotTime後にチャネルを求めて再競合する。そして、SIFS後には、ソフトAPx_2とソフトAPx_3が再びチャネルを取得して短いDL PPDU730及び736を送信し、NAV734及び740が開始され、ソフトAPy_2及び3APy_3がビジー732及び738であることが分かる。APx_2及びAPx_3の両局は、SIFS後にDL PPDUの応答742及び746としてCTS/ACK/BAを受け取った場合、UL TXOPをポーリングする(748及び750)。UL PPDU752及び754が受け取られ、その後にAPは関連するBA756及び758で応答する。
【0146】
5.3.1.解決策2:基本リンク状況に従う条件付きリンク上での適応的ポーリングベースのスケジューリング
図24に、基本リンク状況に基づく条件付きリンク上での適応的ポーリングベースのスケジューリングの実施形態例790を示す。
【0147】
基本リンク上で動作する局は、EDCAポリシーを利用してチャネルにアクセスする。レガシー(非EHT)装置は、HCCAポリシーに基づいて条件付きリンクにアクセスする。EHT装置は、EDCAを通じて、或いはHCCA、EDCA混合モードであるHEMMを通じて条件付きリンクにアクセスすることができる。全ての局はHCFのNAVルールに従う。
【0148】
ソフトAP MLDの所属するAPは、同じ局管理エンティティ(SME)を有しているため、基本リンク上のUL/DL送信を認識する。条件付きリンクのソフトAP MLDのAPは、基本リンク上の同時UL/DL送信に従って条件付きリンク上のUL/DL送信をスケジュールするものとする。
【0149】
条件付きリンク上のソフトAP MLDのAPは、アドミッション制御中に非APレガシーSTAとネゴシエートして大きな最大サービス間隔(SI)値に合意することができる。ソフトAP MLDのAPは、基本リンク及び条件付きリンクを介した同時送受信、又は条件付きリンク上の干渉に起因して、スケジュールされたタイミングでTSを提供できない場合、認められたトラフィックストリーム(TS)の最大SIをスケジューリングに使用することができる。次のサービス開始時刻は条件付きリンク上の認められた最大SI値を満たしているが、同時基本リンク送信との非同期的UL/DL送信をもたらす1又は2以上のHCCA TXOPスケジュールが条件付きリンク上に存在する場合、条件付きリンク上のソフトAP MLDのAPはTSを提供すべきではない。
【0150】
ソフトAP MLDのAPは、QoS(+)CF-Pollフレームに指定された期間を有するポーリング型TXOPをSTAに与える。ポーリング型TXOPでは1回又は複数回のフレーム交換が発生することができ、基本リンク上及び条件付きリンク上のフレーム交換シーケンスの開始時刻及び終了時刻は一致するものとする。
【0151】
図24には、基本リンク792上で動作するSTAがEDCAポリシーに基づいてチャネルにアクセスし、レガシー(非EHT)装置がHCCAポリシーを利用して条件付きリンク794にアクセスする実施形態例790を示す。基本リンク上にはBO796が見られ、BOがゼロまでカウントダウンすると、TxPIF境界798で条件付きリンクがアイドルとして検知される。従って、基本リンク上でEDCA UL TXOP800が開始すると同時に、条件付きリンク上でULポーリング型TXOP802が実行される。基本リンク上のEDCA DL TXOP804及び条件付きリンク上の同時DL HCCA TXOP806にも同様の例が見られる。また、BO後には、基本リンク上でEDCA DL TXOP808が開始し、条件付きリンク上で同時DL HCCA TXOP810が開始する。そして、BO後に、基本リンク上でEDCA UL TXOP812が開始し、条件付きリンク上で同時UL Polled TXOP814が開始する。
【0152】
5.4.アドミッション制御:ポーリングベースのアクセスのみのための条件付きリンク
この解決策では、条件付きリンク上で動作する装置のみにアクセス制限が適用されるものとする。従って、条件付きリンクには以下のことが当てはまる。ビーコンフレームは、ACM(アドミッション制御強制)=全てのACについて真を意味する第1の状態(例えば、「1」)を設定(指定)するものとする。TS設定プロセスは、例1-1で説明したように実行されるものとする。APは、アドミッション制御中にADDTS要求を受け取った場合、ヘッダ情報などからEHT PPDUと非EHT PPDUとを区別することができる。
【0153】
アドミッション制御中には以下が当てはまる。非EHT装置(レガシー装置)からADDTS要求が受け取られた場合、条件付きリンク上のソフトAPは、レガシー装置にADDTS応答フレームを送信し、承認済みTSがHCCAであることを示すTSPEC要素内のアクセスポリシーサブフィールドを設定することにより、チャネルアクセスポリシーをHCCAとして指定するものとする。EHT装置からADDTS要求が受け取られた場合、条件付きリンク上のソフトAPは、チャネルアクセスポリシーをEDCA又はHEMMとして指定するものとする。
【0154】
条件付きリンク上で動作する、アドミッションルールを受け入れる非APレガシーSTA及び非AP EHT装置は、アドミッション制御中に合意されたアクセスポリシーに従うものとする。
【0155】
5.4.1.例2-1:UL TXOPアライメント
図25に、例2-1のUL TXOPアライメントを示す実施形態例830を示す。この図には、APx_2 832とLSx602との間、APx_3 834とLSm604との間、APx_2 836と非AP STAx_2 837との間、及びAPx_3 838と非AP STAx_3 839との間の相互作用を示す。
【0156】
図のセクション(A)では、ソフトAP MLDの基本リンクAPがバックオフ840を実行してTF842を送信することにより、非EHT装置のためのトリガーベースのUL TXOPを開始する。TF中、同じAP MLDのAPx_3は、TxPIFs境界で条件付きリンクがアイドルであることを検知し、同時に条件付きリンク上のいずれかの非EHT装置844をポーリングすることができる。APはUL PPDU850及び852を受け取り、これらに対してBA858で応答する。
【0157】
図のセクション(B)では、非EHT装置が、BO840後にRTSフレーム860と共に基本リンク上でUL TXOPを開始する。APはCTS864で応答し、この時間中、同じAP MLDの条件付きリンクAPは、TxPIFs境界でチャネルがアイドルであることを検出した場合、同時に条件付きリンク上のいずれかの非EHT装置をポーリング866する。APはUL PPDU872及び874を受け取り、これらに対してBA858で応答する。
【0158】
図のセクション(C)では、ソフトAP MLDの基本リンクAPが、TF846を使用してEHT装置のためのUL TXOPを開始する。TF846と同時に、ソフトAP MLDのAPは、TxPIFs境界でチャネルがアイドルであることを検出した場合、条件付きリンク上でTF/QoS CF-Polls848を送信する。APはUL PPDU854及び856を受け取り、これらに対してBAで応答する。
【0159】
図のセクション(D)では、基本リンク上のEHT装置が、BO840の後にRTSフレーム862でソフトAP MLDにUL TXOPを開始し、これに対してAPがCTS868で応答する。CTS868と同時に、ソフトAP MLDのAPは条件付きリンク上でTF/QoS CF-Poll870を送信する。APはUL PPDU876及び任意に878を受け取り、これらに対してBAで応答する。
【0160】
ソフトAP SMEは、各同時UL及びDL送信のアラインメントを保証するものとする。(例えば、重複ベーシックサービスセット(OBSS)干渉によって)条件付きリンクがビジーである場合、条件付きリンクAPは条件付きリンク上でTF/Poll/CTSフレームを送信してはならない。
【0161】
5.4.2.例2-2:DL TXOPアライメント
図26に、例2-2のDL TXOPアライメントの実施形態例930を示す。図9のトポロジー例に示したように、APx_2 832とLSx100との間、APx_3 834とLSm96との間、APx_2 836と非AP STAx_2 94aとの間、及びAPx_3 838と非AP STAx_3 94bとの間の相互作用を伴う局を示す。
【0162】
図のセクション(A)では、ソフトAP MLDの基本リンクAPがBO932の後に非EHT装置のためのDL TXOPを開始することが分かる。DL TXOPは、DL PPDU934及びBA応答946で示す。図示のように条件付きリンクが利用可能である場合、同じソフトAP MLDの条件付きリンクAPは、TxPIFs境界で条件付きリンクのアイドルを検出した後に、各DL PPDU936の終了時刻がフラグメンテーション又はパディング944を通じて一致する、条件付きリンク上で動作する非EHT装置のためのDL TXOPを開始するものとする。
【0163】
図のセクション(B)では、ソフトAP MLDの基本リンクAPが、BO932の後にEHT装置のためのDL TXOPを開始する。DL TXOPは、DL PPDU938及びBA応答946で示す。ここに例示するように条件付きリンクが利用可能である場合、同じソフトAP MLDの条件付きリンクAPは、TxPIFs境界で条件付きリンクがアイドルであることを検知した後に、同時にDL PPDU940を送信することができる。条件付きリンクAPが送信すべきDL PPDUを有していない場合、このDL PPDUは、基本リンク上でNAVが同時DL TXOPとして設定された単一のDL NULL PPDUであることができる。条件付きリンクAPは、DL NULL PPDUの送信後に送信すべきDL PPDUを有している場合、条件付きリンク上のTxPIFs境界で条件付きリンクのアイドルを検知した後に、終了が基本リンクのDL PPDUに一致するDL PPDU 942を送信することができる。ここでは、DL PPDU間にギャップが生じており、非AP STAx_3がPIFS期間にわたってCCAセンシングを実行してチャネルを取得し、基本リンクのDL PPDUと一致するように別のDL PPDU942を送信することが分かる。
【0164】
(A)及び(B)の両方では、条件付きリンクが利用可能でない場合、条件付きリンクのAPは条件付きリンク上でDL PPDUを送信してはならない。
【0165】
図27A図27Dに、基本リンク状況に従って条件付きリンク上でスケジュールされるTXOPの実施形態例970を示す。このスケジュールされるTXOPプロセスでは、チェック972において条件付きリンクがアイドルであるかどうかを判定する。条件付きリンクがアイドルでない場合、プロセスは図27Dで終了する。そうでなければ、ブロック974において、ソフトAP MLDのAPが基本リンクを取得してTB UL TXOPを開始しているかどうかをチェックする。この条件が満たされた場合、ブロック976において、同じソフトAP MLDのAPは、基本リンク上のトリガーフレームと同時に条件付きリンク上でトリガーフレーム又はポールフレームを送信する。実行はブロック978に到達して、ポーリング型UP TXOPが基本リンク上の同時UL TXOPと同じTXOP期間を設定する。
【0166】
実行は図27Cのブロック994に進み、条件付きリンク上のポーリングSTAが送信すべきUL PPDUを有しているかどうかをチェックする。UL PPDUが存在する場合、ブロック996において、条件付きリンク上の各UL PPDUが基本リンク上のUL PPDUと一致するように送信され、ブロック998において、ソフトAP MLDのAPがUL PPDUを受け取った後に基本リンク上及び条件付きリンク上で同時にACK/BAで応答し、その後に処理は終了する。
【0167】
次にブロック994に戻り、ポーリングされたSTAが送信すべきUL PPDUを有していない場合、ブロック1000において基本リンク上でのみUL PPDUが送信され、条件付きリンク上のSTAはNAV満了後まで条件付きリンクへのアクセスを許可されない。その後、ブロック1002において、ソフトAP MLDのAPが基本リンク上でUL PPDUを受け取った後にACK/BAで応答し、その後にプロセスは終了する。
【0168】
図27Aのブロック974に戻り、ソフトAP MLDがTB UL TXOPを開始するための基本リンクを獲得していない場合、ブロック980に到達する。ブロック980において、ソフトAP MLDのAPが非AP STAから送信要求(Ready-To-Send:RTS)を受け取ったかどうかをチェックする。この条件が満たされた場合、ブロック982において、APが送信許可(Clear-To-Send:CTS)を送信して応答する。その後、ブロック984において、同じソフトAP MLDのAPが基本リンク上のCTSフレームと同時に条件付きリンク上でポーリングフレームを送信し、実行は上述したブロック978に到達する。
【0169】
次にブロック980に戻り、ソフトAP MLDのAPが非AP STAからRTSを受け取っていない場合、実行は図27Bのブロック986に進む。ブロック986において、ソフトAP MLDのAPが基本リンクを取得してDL TXOPを開始しているかどうかを判定するチェックを行う。条件が満たされない場合、プロセスは図27Dで終了する。そうでなければ、ソフトAP MLDのAPは基本リンクを取得してDL TXOPを開始しているので、ブロック988において、同じソフトAP MLDのAPが条件付きリンク上のいずれかの非AP STAに送信すべきDL PPDUを有しているかどうかを判定するチェックを行う。
【0170】
条件が満たされた場合、ブロック990において、条件付きリンクAPが基本リンク上の同時DL TXOPと同じTXOP期間を有するDL TXOPを開始して、実行は図27Dのブロック1004に進む。ブロック1004において、条件付きリンク上の各DL PPDUの終了時刻を基本リンク上のDL PPDUと一致させるためにパディングを適用する。その後、ブロック1006において、ソフトAP MLDのAPが非AP STAからDL PPDUの応答としてACK/BAを同時に受け取り、その後にこの処理は終了する。
【0171】
次に図27Bのブロック988に戻り、同じソフトAP MLDのAPが条件付きリンク上でいずれかの非AP STAに送信すべきDL PPDUを有していない場合、実行はブロック992に到達して、条件付きリンクのAPが、基本リンク上の同時DL TXOP期間と同じNAV期間を有するDL NULL PPDUを送信することができ、その後に実行は図27Dのブロック1008に進む。
【0172】
判定ブロック1008において、DL NULL PPDUの後であって基本リンク上で同時DL PPDUが終了する前に条件付きリンクAPが送信すべきDL PPDUを有しているかどうかをチェックする。条件が満たされない場合、ブロック1012において、ソフトAP MLDのAPが基本リンクのDL PPDUに対する応答としてACK/BAを受け取ってプロセスは終了する。
【0173】
一方で、ブロック1008の条件が満たされた場合、ブロック1010において、条件付きリンクAPが、基本リンク上の同時DL PPDUと終了時刻が一致するDL PPDUを送信してプロセスは終了する。
【0174】
6.要旨
レガシー(非EHT)装置が、条件付きリンク上でリンク接続を確立することができる。スケジューラは、ソフトAP MLDにIDC干渉問題が発生しない場合、レガシーSTAが条件付きリンクを使用するのを妨げてはならない。
【0175】
6.1.方法論1:基本リンク及び条件付きリンクを介した同時送受信のための協調的HCCAスケジュール
(1)同じソフトAP MLDに所属する条件付きリンク上及び基本リンク上のAPが同じSMEを有し、基本リンク及び条件付きリンクを介した同時EDCA TXOP及びHCCA TXOPを処理するように互いに協働するものとする。
【0176】
(2)両リンクにアドミッション制御が適用される。TS設定/ネゴシエーションは、主にEDCA TXOPで進行するものとし、HCCA TXOPのスケジュールは、TS設定から獲得された承認済みSP情報に基づくものとする。承認済みアクセスポリシーは、基本リンク上及び条件付きリンク上のHCCAとする。
【0177】
(3)同じソフトAP MLDに所属するAPは、HCCA TXOP期間に基本リンク及び条件付きリンクの両方を介して、同期したUL又はDL TXOPをスケジュールして割り当てるものとする。(a)同じソフトAP MLDの所属するAPは、TS設定から獲得された、例えば平均データレート、公称MSDUサイズ、最小PHYレート、余剰帯域幅許可量、並びに最大サービス間隔及び遅延限界の少なくとも一方などの承認済みSP情報に基づいて、同期したHCCA TXOPをスケジュールすることができる。ソフトAP MLDの所属するAPは、全てのMSDUの受け取られたQoSデータフレームのTIDサブフィールド及びQoS制御サブフィールドから、例えばTID、特定のTIDに対応するSTAの待ち行列内トラフィック、又は特定のTIDに属するトラフィックの次のTXOP期間要求などの情報を獲得する。要求がTSに属する場合、APはTXOPを再割り当てすることができる。
【0178】
(4)ストリームが追加又は削除された場合、スケジューラはHCCA TXOPを再割り当てするものとする。
【0179】
(5)異なる承認済みTSのサービス間隔(SI)は必ずしも同じではない。APは、適宜にTXOPをスケジュールするものとする。
【0180】
(6)HCCA TXOP内には、TXOP期間の制限に従う複数のフレーム交換シーケンスが存在することができる。基本リンク上及び条件付きリンク上のPPDUは、開始時刻及び終了時刻が一致すべきである。
【0181】
(7)ソフトAP MLD、非AP MLD及びレガシーSTAは、送信されたPPDUの終了時刻を一致させるためにいずれかのタイプのパディングを使用することができる。
【0182】
(8)同時スケジュールされたUL/DL HCCA TXOPは、a)レガシーSTA、b)(同じ又は異なる)非AP MLDの所属する局、並びにc)基本リンク上及び条件付きリンク上の非AP MLD及びレガシーSTAの所属する局に適用することができる。
【0183】
(9)ソフトAP MLDに所属する両APは、TxPIFSスロット境界において基本リンク及び条件付きリンクがアイドルである場合、これらの両リンクを同時に取得する。
【0184】
(10)全ての局はHCFのNAVルールに従い、HCF下で送信される各フレームはNAV期間値を含む。(a)APは、ポーリングすべきSTA、及び送信すべきデータフレーム、管理フレーム、ブロックAck要求フレーム又はブロックAckフレームをそれ以上有していない場合、RAが自局のMACアドレスに一致して期間/ID フィールドが0に設定されたQoS CF-Pollフレームを送信することにより、BSS内の全てのQoS STAのNAVをリセットすることができる。(b)STAは、自局宛のフレームを受け取って確認応答を要求する際に、NAVにかかわらずAck又はQoS+CF-Ackフレームで応答するものとする。非AP STAは、NAVにかかわらずフレーム交換シーケンスを開始することによってポーリング型TXOPを受け入れるものとする。
【0185】
(11)スケジュールUL HCCA TXOPの場合
(a)ソフトAP MLDの所属するAPは、基本リンク上及び条件付きリンク上で動作する非AP局を同時にポーリングして同じポーリング型TXOP期間を割り当てる。
(b)(受け取ったQoS CF-Pollフレームのアドレス1フィールドに自局のアドレスが一致する非AP QoS STAである)ポーリングされた非AP局はポーリング型TXOP期間を超えてはならず、基本リンク上及び条件付きリンク上のPPDU終了時刻の一致を維持するためにいずれかのタイプのパディングを使用することができる。
(b)(i)ポーリングされた非AP局が割り当てられたTXOPの一部しか使用しない場合、受信側APは、他リンクのポーリング型TXOPが終了するまでポーリングを行ってはならない。ソフトAP MLDの所属するAPは同時にポーリングするものとする。
(b)(ii)ポーリングされた非AP局は、TXOP期間の制限に従って所与のポーリング型TXOP内で複数のフレーム交換シーケンスを送信することができる。
【0186】
(12)スケジュールされたDL HCCA TXOPの場合
(a)ソフトAP MLDの所属するAPは、各リンク上で動作する非AP局にDL PPDUを同時に送信して同じHCCA TXOP期間を割り当てるものとする。
(b)ソフトAP MLDの所属するAPは、TXOP期間の制限に従って所与のポーリング型TXOP内で複数のフレーム交換シーケンスを送信することができる。
(c)ソフトAP MLDの所属するAPは、送信されるPPDUの終了時刻を一致させるためにいずれかのパディングを使用することができる。
【0187】
(13)隠れ端末による衝突を避けるために、TxPIFSスロット境界において基本リンク及び条件付きリンクがアイドルである場合に、ソフトAP MLDxに所属する両APが両リンク上で非常に小さな(コンパクトな)DL PPDUフレーム(例えば、RTS、NULL、制御又は管理フレーム)を同時に送信し、DL PPDUは、TXOPの期間を保護するNAV設定を有する。
【0188】
(a)いずれかのAP局は、SIFS後にDL PPDUの応答としてCTS/ACK/BAを受信できない場合、衝突の可能性があることを示す。プロセスは、ランダム変数をnとするaSIFSTime+n*aSlotTime後にステップ(13)を繰り返すことができる。
【0189】
(b)両AP局は、SIFS後にDL PPDUの応答としてCTS/ACK/BAを受け取った場合、UL TXOPをポーリングし、又は更新されたNAV期間を設定して基本リンク上及び条件付きリンク上で同時にDL TXOPを送信するものとする。
【0190】
(c)小さなDL PPDUの再送を処理する同じソフトAP MLDの両AP局は、(隠れ端末である干渉APが干渉として非常に長いDL PPDUを送信する場合に)両リンクを介した再送時間を制限することができる。再送が再送制限を満たす場合、APは、SIFS後に短いDL PPDUの応答としてCTS/ACK/BAを受け取ってUL TXOPをポーリングし、又は単独でDL TXOPを送信すべきである。DL PPDUの応答としてCTS/ACK/BAを受け取らないAPは、UL TXOPのポーリングもDL TXOPの送信も行うべきではない。
【0191】
(14)PS STAは、ビーコンから何らかのQoS及びアドミッション情報を獲得するものとする。
【0192】
6.2.方法論2:基本リンク状況に従う条件付きリンク上での適応的ポーリングベースのスケジュール。
(1)基本リンク上で動作する局は、EDCAポリシーに基づいてチャネルにアクセスする。
【0193】
(2)レガシー(非EHT)装置は、HCCAポリシーに基づいて条件付きリンクにアクセスするものとする。EHT装置は、EDCAを通じて、或いはHCCA、EDCA混合モードであるHEMMを通じて条件付きリンクにアクセスすることができる。
【0194】
(3)同じソフトAP MLDの条件付きリンクAP及び基本リンクAPは同じSMEを有しているため、条件付きリンクAPは基本リンク上のUL/DL送信を認識する。
【0195】
(4)条件付きリンクAPは、基本リンク上の同時UL/DL送信に従って条件付きリンク上のUL/DL送信をスケジュールする。
【0196】
(5)条件付きリンク上のスケジュールされたTXOPでは、1回又は複数回のフレーム交換が発生することができる。条件付きリンク上のフレーム交換シーケンスの各PPDUの開始時刻及び終了時刻は、基本リンク上のPPDUに一致するものとする。
【0197】
(6)ソフトAP MLD、非AP MLD及びレガシーSTAは、送信されるPPDUの終了時刻を一致させるためにいずれかのタイプのパディングを使用することができる。
【0198】
(7)全ての局は、方法論1の(3と同じ)HCFのNAVルールに従う。
【0199】
(8)条件付きリンク上のソフトAP MLDのAPは、アドミッション制御中に非APレガシーSTAとネゴシエートして大きな最大SI値に合意することができる。
【0200】
(a)ソフトAP MLDのAPは、基本リンク及び条件付きリンクを介した同時送受信、又は条件付きリンク上の干渉に起因して、スケジュールされたタイミングでTSを提供できない場合、認められたTSの最大SIをスケジューリングに使用することができる。
【0201】
(b)次のサービス開始時刻は条件付きリンク上の認められた最大SI値を満たしているが、同時基本リンク送信との非同期的UL/DL送信をもたらすいずれかのHCCA TXOPスケジュールが条件付きリンク上に存在する場合、条件付きリンク上のソフトAP MLDのAPはTSを提供すべきではない。
【0202】
(9)スケジュールされたUL TXOPでは、条件付きリンクが利用可能である場合、条件付きリンクAPは、QoS CF-Pollが同じソフトAP MLDに所属する基本リンクAPによって送信されるトリガーフレーム(APが開始するUL TXOP)又はCTSフレーム(非APが開始するUL TXOP)と一致できる場合に条件付きリンク上の非EHT装置にポーリングフレームを送信すべきである。
【0203】
(10)スケジュールされたDL TXOPでは、条件付きリンクが利用可能である場合、同じソフトAP MLDの条件付きリンクAPは、基本リンクAPと同時のDL PPDUを送信するものとする。条件付きリンクAPは、送信すべきDL PPDUを有していない場合、同時DL TXOPとしてNAVが設定された単一のDL NULL PPDUを基本リンク上で送信することができる。条件付きリンクAPは、DL NULL PPDUの送信後に送信すべきDL PPDUを有している場合、終了が基本リンク上のDL PPDUに一致するDL PPDUを条件付きリンク上で送信することができる。
【0204】
(11)スケジュールされたUL/DL TXOPでは、条件付きリンクが利用できない場合、条件付きリンクのAPは条件付きリンク上でDL PPDUを送信してはならない。
【0205】
7.実施形態の一般的範囲
本明細書では、コンピュータプログラム製品としても実装できる、本技術の実施形態による方法及びシステム、及び/又は手順、アルゴリズム、ステップ、演算、数式又はその他の計算表現のフローチャートを参照して本技術の実施形態を説明することができる。この点、フローチャートの各ブロック又はステップ、及びフローチャートのブロック(及び/又はステップ)の組み合わせ、並びにいずれかの手順、アルゴリズム、ステップ、演算、数式、又は計算表現は、ハードウェア、ファームウェア、及び/又はコンピュータ可読プログラムコードの形で具体化された1又は2以上のコンピュータプログラム命令を含むソフトウェアなどの様々な手段によって実装することができる。理解されるように、このようないずれかのコンピュータプログラム命令は、以下に限定されるわけではないが、汎用コンピュータ又は専用コンピュータ、又は機械を生産するための他のいずれかのプログラマブル処理装置を含む1又は2以上のコンピュータプロセッサによって実行して、コンピュータプロセッサ又は他のプログラマブル処理装置上で実行されるコンピュータプログラム命令が、(単複の)特定される機能を実施するための手段を生み出すようにすることができる。
【0206】
従って、本明細書で説明したフローチャートのブロック、並びに手順、アルゴリズム、ステップ、演算、数式、又は計算表現は、(単複の)特定の機能を実行する手段の組み合わせ、(単複の)特定の機能を実行するステップの組み合わせ、及びコンピュータ可読プログラムコードロジック手段の形で具体化されるような、(単複の)特定の機能を実行するコンピュータプログラム命令をサポートする。また、本明細書で説明したフローチャートの各ブロック、並びにいずれかの手順、アルゴリズム、ステップ、演算、数式、又は計算表現、及びこれらの組み合わせは、(単複の)特定の機能又はステップを実行する専用ハードウェアベースのコンピュータシステム、又は専用ハードウェアとコンピュータ可読プログラムコードとの組み合わせによって実装することもできると理解されるであろう。
【0207】
さらに、コンピュータ可読プログラムコードなどの形で具体化されるこれらのコンピュータプログラム命令を、コンピュータプロセッサ又は他のプログラマブル処理装置に特定の態様で機能するように指示することができる1又は2以上のコンピュータ可読メモリ又はメモリ装置に記憶して、これらのコンピュータ可読メモリ又はメモリ装置に記憶された命令が、(単複の)フローチャートの(単複の)ブロック内に指定される機能を実施する命令手段を含む製造の物品を生産するようにすることもできる。コンピュータプログラム命令をコンピュータプロセッサ又は他のプログラマブル処理装置によって実行し、コンピュータプロセッサ又は他のプログラマブル処理装置上で一連の動作ステップが実行されるようにしてコンピュータで実施される処理を生成し、コンピュータプロセッサ又は他のプログラマブル処理装置上で実行される命令が、(単複の)フローチャートの(単複の)ブロック、(単複の)手順、(単複の)アルゴリズム、(単複の)ステップ、(単複の)演算、(単複の)数式、又は(単複の)計算表現に特定される機能を実施するためのステップを提供するようにすることもできる。
【0208】
さらに、本明細書で使用する「プログラム」又は「プログラム実行文」という用語は、本明細書で説明した1又は2以上の機能を実行するために1又は2以上のコンピュータプロセッサが実行できる1又は2以上の命令を意味すると理解されるであろう。命令は、ソフトウェア、ファームウェア、又はソフトウェアとファームウェアとの組み合わせで具体化することができる。命令は、装置の非一時的媒体に局所的に記憶することも、又はサーバなどに遠隔的に記憶することもでき、或いは命令の全部又は一部を局所的に又は遠隔的に記憶することもできる。遠隔的に記憶された命令は、ユーザが開始することによって、或いは1又は2以上の要因に基づいて自動的に装置にダウンロード(プッシュ)することができる。
【0209】
さらに、本明細書で使用するプロセッサ、ハードウェアプロセッサ、コンピュータプロセッサ、中央処理装置(CPU)及びコンピュータという用語は、命令、並びに入力/出力インターフェイス及び/又は周辺装置との通信を実行できる装置を示すために同義的に使用されるものであり、プロセッサ、ハードウェアプロセッサ、コンピュータプロセッサ、CPU及びコンピュータという用語は、単一の又は複数の装置、シングルコア装置及びマルチコア装置、及びこれらの変種を含むように意図するものであると理解されるであろう。
【0210】
本明細書の説明から、本開示は、限定ではないが以下の内容を含む複数の技術実装を含むと理解されるであろう。
【0211】
ネットワークにおける無線通信のための装置であって、(a)IEEE802プロトコルに従って無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)上でマルチリンク動作(MLO)を実行する際に基本リンク及び条件付きリンクを介して他の無線局(STA)と無線で通信するように構成されるとともに、レガシー(非EHT)装置が条件付きリンク上でリンク接続を設定することを可能にするように構成された、ソフトアクセスポイント(AP)マルチリンク装置(MLD)の無線通信回路と、(b)前記無線通信回路に結合されてWLAN上でSTAとして動作するプロセッサと、(c)プロセッサによって実行可能な、他のSTAと通信するための命令を記憶する非一時的メモリとを備え、(d)前記命令は、プロセッサによって実行された時に、(d)(i)前記ソフトAP MLDが、基本リンクを介して通信するAP STAと、条件付きリンクを介して通信するAP STAとを有することと、(d)(ii)前記ソフトAP MLDが、基本リンク上のAP STA及び条件付きリンク上のAP STAが基本リンク及び条件付きリンクを介して拡張分散チャネルアクセス(EDCA)送信機会(TXOP)及びHCF制御チャネルアクセス(HCCA)TXOPを同時に処理するように互いに協働する局管理エンティティ(SME)を有することと、(d)(iii)基本リンク及び条件付きリンクの両リンク上でアドミッション制御を実行し、EDCA TXOPにおいてトラフィックストリーム(TS)の設定及びネゴシエーションを進行する一方で、HCCA TXOPのスケジューリングが、TS設定中に取得された、基本リンク及び条件付きリンクの両リンク上でHCCA承認済みのアクセスポリシーが利用される承認済みサービス期間(SP)情報に基づくことと、(d)(iv)同じソフトAP MLDに所属するAPが、HCCA TXOP期間に、基本リンク及び条件付きリンクの両リンクを介して、同期したアップリンク(UL)又はダウンリンク(DL)TXOPをスケジュールして割り当てることと、を含む1又は2以上のステップを実行する、装置。
【0212】
ネットワークにおける無線通信のための装置であって、(a)IEEE802プロトコルに従って無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)上でマルチリンク動作(MLO)を実行する際に基本リンク及び条件付きリンクを介して他の無線局(STA)と無線で通信するように構成されるとともに、レガシー(非EHT)装置が条件付きリンク上でリンク接続を設定することを可能にするように構成された、ソフトアクセスポイント(AP)マルチリンク装置(MLD)の無線通信回路と、(b)前記無線通信回路に結合されてWLAN上でSTAとして動作するプロセッサと、(c)プロセッサによって実行可能な、他のSTAと通信するための命令を記憶する非一時的メモリとを備え、(d)前記命令は、プロセッサによって実行された時に、(d)(i)拡張分散チャネルアクセス(EDCA)ポリシーに基づいて基本リンクにアクセスすることと、(d)(ii)極高スループット(EHT)で動作するように構成されておらず、従って非EHT STAであるレガシー局のためのHCF制御チャネルアクセス(HCCA)ポリシーに基づいて、条件付きリンクにアクセスすることと、(d)(iii)EDCA又はHCCA-EDCA混合モード(HEMM)のいずれかを通じて条件付きリンクにアクセスすることと、(d)(iv)同じソフトAP MLDの条件付きリンクにアクセスするAPと基本リンクにアクセスするAPとが局管理エンティティ(SME)を共有するため、条件付きリンクにアクセスするアクセスポイント(AP)が、基本リンク上でアップリンク/ダウンリンク(UL/DL)送信が実行されていると認識できることと、(d)(v)基本リンク上の同時UL/DL送信に従って、条件付きリンクのAPによる条件付きリンク上でのUL/DL送信として送信機会(TXOP)をスケジュールすることと、(d)(vi)条件付きリンク上のスケジュールされたTXOP中に、フレーム交換シーケンスにおいて物理層プロトコルデータユニット(PPDU)の1又は複数のフレームを通信し、条件付きリンク上のフレーム交換シーケンス中の各PPDUの開始時刻及び終了時刻が、基本リンク上で通信されるPPDUと一致することと、を含む1又は2以上のステップを実行する、装置。
【0213】
ネットワークにおける無線通信方法であって、(a)レガシー(非EHT)装置が条件付きリンク上でリンク接続を設定することを可能にするように構成されたIEEE802プロトコルに従って無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)上でマルチリンク動作(MLO)を実行する際に、基本リンク及び条件付きリンクを介してソフトアクセスポイント(AP)マルチリンク装置(MLD)と他の無線局(STA)との間で無線で通信を行うことと、(b)前記ソフトAP MLDが、基本リンクを介して通信するAP STAと、条件付きリンクを介して通信するAP STAとを有することと、(c)前記ソフトAP MLDが、基本リンク上のAP STA及び条件付きリンク上のAP STAが基本リンク及び条件付きリンクを介して拡張分散チャネルアクセス(EDCA)送信機会(TXOP)及びHCF制御チャネルアクセス(HCCA)TXOPを同時に処理するように互いに協働する局管理エンティティ(SME)を有することと、(d)基本リンク及び条件付きリンクの両リンク上でアドミッション制御を実行し、EDCA TXOPにおいてトラフィックストリーム(TS)の設定及びネゴシエーションを進行する一方で、HCCA TXOPのスケジューリングが、TS設定中に取得された、基本リンク及び条件付きリンクの両リンク上でHCCA承認済みのアクセスポリシーが利用される承認済みサービス期間(SP)情報に基づくことと、(e)同じソフトAP MLDに所属するAPが、HCCA TXOP期間に、基本リンク及び条件付きリンクの両リンクを介して、同期したアップリンク(UL)又はダウンリンク(DL)TXOPをスケジュールして割り当てることと、を含む方法。
【0214】
ネットワークにおける無線通信方法であって、(a)レガシー(非EHT)装置が条件付きリンク上でリンク接続を設定することを可能にするように構成されたIEEE802プロトコルに従って無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)上でマルチリンク動作(MLO)を実行する際に、基本リンク及び条件付きリンクを介してソフトアクセスポイント(AP)マルチリンク装置(MLD)と他の無線局(STA)との間で無線で通信を行うことと、(a)拡張分散チャネルアクセス(EDCA)ポリシーに基づいて基本リンクにアクセスすることと、(b)極高スループット(EHT)で動作するように構成されておらず、従って非EHT STAであるレガシー局のためのHCF制御チャネルアクセス(HCCA)ポリシーに基づいて、条件付きリンクにアクセスすることと、(c)EDCA又はHCCA-EDCA混合モード(HEMM)のいずれかを通じて条件付きリンクにアクセスすることと、(d)同じソフトAP MLDの条件付きリンクにアクセスするAPと基本リンクにアクセスするAPとが局管理エンティティ(SME)を共有するため、条件付きリンクにアクセスするアクセスポイント(AP)が、基本リンク上でアップリンク/ダウンリンク(UL/DL)送信が実行されていると認識することと、(e)基本リンク上の同時UL/DL送信に従って、条件付きリンクのAPによる条件付きリンク上でのUL/DL送信として送信機会(TXOP)をスケジュールすることと、(f)条件付きリンク上のスケジュールされたTXOP中に、フレーム交換シーケンスにおいて物理層プロトコルデータユニット(PPDU)の1又は複数のフレームを通信し、条件付きリンク上のフレーム交換シーケンス中の各PPDUの開始時刻及び終了時刻が、基本リンク上で通信されるPPDUと一致することと、を含む方法。
【0215】
HCCA TXOP期間に、基本リンク及び条件付きリンクの両リンクを介して、同期したUL又はDL TXOPをスケジュールして割り当てることは、(a)ソフトAP MLDの所属するAPが、TS設定から取得された承認済みSP情報に基づいて、同期したHCCA TXOPをスケジュールすることと、(b)全てのMACサービスデータユニット(MSDU)の受け取られたQoSデータフレームのTIDサブフィールド及びサービス品質(QoS)制御サブフィールドから、特定のトラフィック識別子(TID)に対応するAP STAのための待ち行列内トラフィック、又は特定のTIDに属するトラフィックのための次のTXOP期間要求に関する情報を取得することと、(c)要求が所与のTSに属する場合、ソフトAP MLDのAPがTXOPを再割り当てするように構成されることと、を含む、いずれかの先行する実装の装置又は方法。
【0216】
TS設定からの承認済みSP情報は、平均データレート、公称MSDUサイズ、最小PHYレート、余剰帯域幅許可量、並びに最大サービス間隔及び遅延境界の少なくとも一方、から成る一群の通信情報から選択される、いずれかの先行する実装の装置又は方法。
【0217】
HCCA TXOPは、ストリームが追加又は削除された場合にSTAのスケジューラによって再割り当てされる、いずれかの先行する実装の装置又は方法。
【0218】
APは、TXOPを適宜にスケジュールするように構成されるので、異なる承認済みトラフィックストリーム(TS)のサービス間隔(SI)は同一である必要がない、いずれかの先行する実装の装置又は方法。
【0219】
HCCA TXOP内で、TXOPの期間に制限され、基本リンク上及び条件付きリンク上の各PPDUが一致する開始時刻及び終了時刻を有するとの条件下で、複数のフレーム交換シーケンスを実行することができる、いずれかの先行する実装の装置又は方法。
【0220】
送信されるそれぞれのPPDUの終了時刻を一致させるためにパディングを利用することができる、いずれかの先行する実装の装置又は方法。
【0221】
基本リンク上及び条件付きリンク上で、レガシーSTA、或いは同じ又は異なる非AP MLDの所属するSTA、或いは非AP MLD及びレガシーSTAの所属するSTAが、同時スケジュールされたUL/DL HCCA TXOPを利用することができる、いずれかの先行する実装の装置又は方法。
【0222】
ソフトAP MLDに所属するAPは、送信PCFフレーム間空間(PIFS)、すなわちTxPIFSスロット境界において基本リンク及び条件付きリンクの両リンクがアイドルである場合、両リンクを同時に取得する、いずれかの先行する実装の装置又は方法。
【0223】
全てのSTAがHCFのNAVルールに従い、HCF下で送信される各フレームがNAV期間値を含む、いずれかの先行する実装の装置又は方法。
【0224】
UL HCCA TXOPのスケジュール中に、(a)ソフトAP MLDの所属するAPが、基本リンク上及び条件付きリンク上で動作する非AP局を同時にポーリングして同一のポーリング型TXOP期間を割り当て、(b)受け取ったQoS CF-Pollフレームのアドレス1フィールドに自局のアドレスが一致する非AP QoS STAであるポーリングされた非AP局は、ポーリング型TXOP期間を超えることが許可されず、(b)(i)ポーリングされた非AP局が割り当てられたTXOPの一部のみを使用する場合、受信側APは、他方のリンク上のポーリング型TXOPが完了してソフトAP MLDの所属するAPが同時にポーリングを実行するまでポーリングを実行せず、及び/又は、(b)(ii)ポーリングされた非AP局は、TXOP期間によって制限されることを条件に、所与のポーリング型TXOP内で複数のフレーム交換シーケンスを送信する、いずれかの先行する実装の装置又は方法。
【0225】
DL HCCA TXOPのためのスケジューリングが実行され、(a)ソフトAP MLDの所属するAPは、各リンク上で動作する非AP局に同じHCCA TXOP期間を割り当てることによってこれらに同時にDL PPDUを送信し、(b)ソフトAP MLDの所属するAPは、TXOP期間の制限に従って所与のポーリング型TXOP内で複数のフレーム交換シーケンスを送信し、(c)前記ソフトAP MLDの所属するAPは、送信されたPPDUの終了時刻を一致させるためにパディングを使用することができる、いずれかの先行する実装の装置又は方法。
【0226】
隠れ端末による衝突を避けるために、ソフトAP MLDに所属する両APは、TxPIFSスロット境界において両リンクがアイドルである場合、データペイロードを含まないDL PPDUフレームを基本リンク上及び条件付きリンク上で同時に送信し、DL PPDUは、TXOP期間を保護するためにNAV設定を有する、いずれかの先行する実装の装置又は方法。
【0227】
前記DL PPDUフレームは、送信要求(RTS)フレーム、ヌルフレーム、制御フレーム、又は管理フレームから成る一群のフレームから選択される、いずれかの先行する実装の装置又は方法。
【0228】
前記省電力(PS)局は、受け取ったビーコンフレームからQoS及びアドミッション情報を取得する、いずれかの先行する実装の装置又は方法。
【0229】
ソフトAP MLDの条件付きリンクのAPは、アドミッション制御中に非APレガシーSTAとネゴシエートして大きな最大SI値に合意する、いずれかの先行する実装の装置又は方法。
【0230】
スケジュールされたUL TXOPを実行するために条件付きリンクを利用できる場合、条件付きリンクのAPは、サービス品質(QoS)競合なし(CF)ポールが、APが開始したアップリンク(UL)TXOPのトリガーフレーム、又は同じソフトAP MLDに所属する基本リンクのAPによって送信される、非APが開始したUL TXOPの送信許可(CTS)フレームに一致できる場合に、条件付きリンク上の非EHT STAにポールフレームを送信する、いずれかの先行する実装の装置又は方法。
【0231】
スケジュールされたDL TXOPのために条件付きリンクを利用できる場合、同じソフトAP MLDの条件付きリンクAPのAPは、同時ダウンリンク(DL)PPDUを基本リンク上で実行されるものとして送信する、いずれかの先行する実装の装置又は方法。
【0232】
条件付きリンクのAPは、送信すべきDL PPDUを有していない場合、NAVが同時DL TXOPとして設定された単一のDL NULL PPDUを基本リンク上で送信する、いずれかの先行する実装の装置又は方法。
【0233】
条件付きリンクのAPは、DL NULL PPDUを送信した後に送信すべきDL PPDUを有している場合、基本リンク上のDL PPDUと終了が一致するDL PPDUを条件付きリンク上で送信することができる、いずれかの先行する実装の装置又は方法。
【0234】
スケジュールされたUL/DL TXOPのために条件付きリンクを利用できない場合、条件付きリンクのAPは、条件付きリンク上でDL PPDUを送信しない、いずれかの先行する実装の装置又は方法。
【0235】
本明細書で使用する「実装」という用語は、本明細書で説明する技術を実践するための実施形態、実施例、又はその他の形態を制限なく含むように意図される。
【0236】
本明細書で使用する単数形の「a、an(英文不定冠詞)」及び「the(英文定冠詞)」は、文脈において別途明確に示されていない限り複数形の照応を含む。ある物体に対する単数形での言及は、明確にそう述べていない限り「唯一」を意味するものではなく、「1又は2以上」を意味する。
【0237】
本開示における「A、B及び/又はC」などの表現構造は、A、B又はCのいずれか、或いは項目A、B及びCのいずれかの組み合わせが存在し得ることを表す。「~のうちの少なくとも1つ(at least one of)」の後にリストされた一群の要素が続くものなどを示す表現構造は、該当する際にはこれらのリストされた要素のいずれかの考えられる組み合わせを含む、これらの一群の要素のうちの少なくとも1つが存在することを示す。
【0238】
本開示における「ある実施形態」、「少なくとも1つの実施形態」又は同様の実施形態という言い回しについて言及する参照は、説明する実施形態に関連して説明した特定の特徴、構造又は特性が本開示の少なくとも1つの実施形態に含まれることを示す。従って、これらの様々な実施形態の表現は、必ずしも全てが同じ実施形態、又は説明されている他の全ての実施形態とは異なる特定の実施形態を意味するわけではない。実施形態という表現は、所与の実施形態の特定の特徴、構造又は特性を、開示する装置、システム又は方法の1又は2以上の実施形態においていずれかの好適な形で組み合わせることができることを意味するものとして解釈すべきである。
【0239】
本明細書で使用する「組(set)」という用語は、1又は2以上の物体の集合を意味する。従って、例えば物体の組は、単一の物体又は複数の物体を含むことができる。
【0240】
本文書における第1及び第2、頂部及び底部などの関係語は、1つの実体又は行動を別の実体又は行動と区別するために使用しているにすぎず、必ずしもこのような実体又は行動同士のこのようないずれかの実際の関係又は順序を必要としたり、又は意味したりするものではない。
【0241】
「備える、有する、含む(comprises、comprising、has、having、includes、including、contains、containing)」という用語、又はこれらの用語の他のあらゆる変化形は、非排他的包含を含むことが意図されており、従って、ある要素リストを備える、有する又は含むプロセス、方法、物品又は装置は、これらの要素のみを含むのではなく、明示的に列挙していない、又はこのようなプロセス、方法、物品又は装置に特有の他の要素を含むこともできる。「~を備える、有する、又は含む(comprises … a、has … a、includes … a、contains … a)」に続く要素は、その要素を備える、有する又は含むプロセス、方法、物品又は装置にさらなる同一要素が存在することを、さらなる制約を受けることなく除外するものではない。
【0242】
本明細書で使用する「近似的に(approximately)」、「近似する(approximate)」、「実質的に(substantially)」、「基本的に(essentially)」及び「約(about)」という用語、又はこれらのいずれかの変形形態は、わずかな変動の記述及び説明のために使用するものである。これらの用語は、事象又は状況に関連して使用した時には、これらの事象又は状況が間違いなく発生する場合、及びこれらの事象又は状況が発生する可能性が非常に高い場合を意味することができる。これらの用語は、数値に関連して使用した時には、その数値の±5%以下、±4%以下、±3%以下、±2%以下、±1%以下、±0.5%以下、±0.1%以下、又は±0.05%以下などの、±10%以下の変動範囲を意味することができる。例えば、「実質的に」整列しているということは、±5°以下、±4°以下、±3°以下、±2°以下、±1°以下、±0.5°以下、±0.1°以下、又は±0.05°以下などの、±10°以下の角度変動範囲を意味することができる。
【0243】
また、本明細書では、量、比率及びその他の数値を範囲形式で示すこともある。このような範囲形式は、便宜的に単純化して使用するものであり、範囲の限界として明確に指定された数値を含むが、この範囲に含まれる全ての個々の数値又は部分的範囲も、これらの各数値及び部分的範囲が明確に示されているかのように含むものであると柔軟に理解されたい。例えば、約1~約200の範囲内の比率は、約1及び約200という明確に列挙した限界値を含むが、約2、約3、約4などの個々の比率、及び約10~約50、約20~約100などの部分的範囲も含むと理解されたい。
【0244】
本明細書で使用する「結合される(coupled)」という用語は、「接続される」と定義されるが、必ずしも直接的な機械的接続ではない。特定の形で「構成される(configured)」装置又は構造は、少なくともその形で構成されるが、列挙していない形で構成することもできる。
【0245】
利点、長所、問題解決手段、及びいずれかの利点、長所又は解決手段を生じさせる、又はより顕著にするいずれかの(単複の)要素は、本明細書で説明した技術、或いは一部又は全部の請求項の重要な、必要な又は不可欠な特徴又は要素として解釈すべきでない。
【0246】
また、上述した開示では、開示を合理化する目的で様々な実施形態において様々な特徴を共にグループ化することができる。本開示の方法は、請求項に記載する実施形態が、各請求項に明示的に記載する特徴よりも多くの特徴を必要とするという意図を反映したものであると解釈すべきではない。本発明の主題は、開示した単一の実施形態の全ての特徴よりも少ないものによって成立することができる。
【0247】
本開示の要約書は、読者が技術開示の本質を素早く確認できるように示すものである。要約書は、特許請求の範囲又はその意味を解釈又は限定するために使用されるものではないという理解の下で提示するものである。
【0248】
管轄によっては、出願後に本開示の1又は2以上の部分の削除を求める慣行もあると理解されたい。従って、読者は、本開示の元々の内容については出願日時点の出願を参照すべきである。開示内容のいずれかの削除は、当初出願時の出願のいずれかの主題の放棄、失権又は公衆への献呈として解釈すべきではない。
【0249】
以下の特許請求の範囲は、各請求項が単独の発明主題として自立した状態で本開示に組み込まれる。
【0250】
本明細書の説明は多くの詳細を含んでいるが、これらは本開示の範囲を限定するものではなく、現在のところ好ましい実施形態の一部を例示するものにすぎないと解釈すべきである。従って、本開示の範囲は、当業者に明らかになると考えられる他の実施形態も完全に含むと理解されるであろう。
【0251】
当業者に周知の本開示の実施形態の要素の構造的及び機能的同等物も、引用によって本明細書に明確に組み入れられ、本特許請求の範囲に含まれるように意図される。さらに、本開示の要素、構成要素又は方法ステップは、これらが特許請求の範囲に明示されているかどうかにかかわらず、一般に公開されるように意図するものではない。本明細書における請求項の要素については、その要素が「~のための手段」という表現を使用して明確に示されていない限り、「ミーンズプラスファンクション」の要素として解釈すべきではない。また、本明細書における請求項の要素については、その要素が「~のためのステップ」という表現を使用して明確に示されていない限り、「ステッププラスファンクション」の要素として解釈すべきではない。
【符号の説明】
【0252】
96 LSm
100 LSx
150 実施形態例
152 ソフトAPx_2
154 ソフトAPx_3
156 BO
158 ADDTS要求
160 UL PPDU
162 ADDTS応答
164 BO
166 ADDTS要求
168 アイドル
170 ADDTS応答
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10A
図10B
図11
図12A
図12B
図13
図14
図15
図16
図17A
図17B
図17C
図17D
図17E
図18
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図21
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図25
図26
図27A
図27B
図27C
図27D
【国際調査報告】