(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-21
(54)【発明の名称】相関受動受信機を使用したリアルタイムの無線マッピング
(51)【国際特許分類】
G01S 5/04 20060101AFI20240514BHJP
【FI】
G01S5/04
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023572857
(86)(22)【出願日】2022-05-26
(85)【翻訳文提出日】2023-11-24
(86)【国際出願番号】 US2022031118
(87)【国際公開番号】W WO2022251487
(87)【国際公開日】2022-12-01
(32)【優先日】2021-05-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-05-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】503455363
【氏名又は名称】レイセオン カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】アタイエ,バヒド
【テーマコード(参考)】
5J062
【Fターム(参考)】
5J062BB01
5J062BB05
5J062CC12
5J062CC14
(57)【要約】
無線エミッタについての場所及び特性をマッピングするためのシステム及び方法が記載されており、任意選択で、地理位置情報または速度測定情報をリアルタイムで追跡できるようにするなどの交通参加者を含む。システム及び方法は、有利なことに、無線エミッタからの放射に含まれる情報を復号化もデコードもすることなく無線エミッタからの放射を観察するために相関受信機を使用して、場所ならびにエミッタクラス及びタイプをリアルタイムで追跡できるようにする。地理的領域内の多くの受信機に対するリアルタイムの地理位置情報及びエミッタクラス情報は、決定してマップに重ね合わせること、または自律車両ナビゲーションアプリケーションにおいて使用することができ、また直接的なセンサ測定を使用して多くの複数のエミッタの場所を追跡することに関連付けられる計算負荷を軽減することに有用である可能性がある。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
地理的領域内の複数の無線エミッタをマッピングする方法であって、前記方法は、
3つ以上のアンテナにおいて受信した複数の無線エミッタからの無線放射に対応する信号入力のセットを取得することと、
前記信号入力のセットを処理して、前記信号入力のセットの複数の信号入力ペアに対する複数の周期自己相関関数またはスペクトル相関関数を、相関受信機を使用して決定することと、
前記周期自己相関関数または前記スペクトル相関関数を使用して、前記複数の無線エミッタの地理位置情報のセットを決定することと、
を含む、前記方法。
【請求項2】
前記地理位置情報のセットを、地理的マップ、ネットワークマップ、もしくはシンボリックマップ、または地理的マップデータ、ネットワークマップデータ、もしくはシンボリックマップデータに重ね合わせることをさらに含む請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記地理位置情報のセットまたは前記地理位置情報のサブセットをリモートサーバーに送信することをさらに含む請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記信号入力のセットを処理することは、
前記3つ以上のアンテナの異なるペアからの複数の信号入力ペアを、前記相関受信機を使用して処理して、前記3つ以上のアンテナにおいて前記無線放射を受信することに関連付けられる時間遅延のセットを決定することと、
前記3つ以上のアンテナにおける前記無線放射の到達角度のセットを、前記時間遅延のセットを使用して決定することと、
前記複数の無線エミッタの前記地理位置情報のセットを、前記到達角度のセットを使用して決定することと、
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記アンテナのうちの1つ以上は前記相関受信機に直接結合されているか、または前記アンテナのうちの1つ以上は前記相関受信機から遠隔に位置する、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記周期自己相関関数またはスペクトル相関関数の1つ以上を分析して、前記複数の無線エミッタのクラスまたはタイプのセットを特定することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記地理位置情報のセットと前記複数の無線エミッタの前記クラスまたはタイプのセットとを、地理的マップ、ネットワークマップ、もしくはシンボリックマップ、または地理的マップデータ、ネットワークマップデータ、もしくはシンボリックマップデータに重ね合わせることをさらに含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記複数の無線エミッタの前記地理位置情報のセットを決定することを、リアルタイムでまたは実質的にリアルタイムで行う、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記3つ以上のアンテナにおいて受信した前記複数の無線エミッタからの無線放射に対応する新しい信号入力のセットを取得することと、
前記新しい信号入力のセットを処理して、前記新しい信号入力のセットの複数の信号入力ペアに対する複数の新しい周期自己相関関数またはスペクトル相関関数を、前記相関受信機を使用して決定することと、
前記新しい周期自己相関関数または前記新しいスペクトル相関関数を使用して、前記複数の無線エミッタの新しい地理位置情報のセットを決定することと、
を1回以上繰り返すことと、
前記複数の無線エミッタの前記地理位置情報のセット及び1つ以上の新しい地理位置情報のセットを経時的に追跡することと、
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記複数の無線エミッタの前記地理位置情報のセットを決定することは、前記複数の無線エミッタの速度のセットを決定することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
地理的領域内の複数の無線エミッタをマッピングするためのシステムであって、前記システムは、
相関受信機と、
前記相関受信機とデータ通信するように配置された3つ以上のアンテナであって、
前記相関受信機は、
前記3つ以上のアンテナにおいて受信した複数の無線エミッタからの無線放射に対応する信号入力のセットを処理して、前記信号入力のセットの複数の信号入力ペアに対する複数の周期自己相関関数またはスペクトル相関関数を決定するように構成されている、前記3つ以上のアンテナと、
前記周期自己相関関数または前記スペクトル相関関数を使用して、前記複数の無線エミッタの地理位置情報のセットを決定するように構成された1つ以上のプロセッサと、
を含む、前記システム。
【請求項12】
前記1つ以上のプロセッサはさらに、前記地理位置情報のセットを、地理的マップ、ネットワークマップ、もしくはシンボリックマップ、または地理的マップデータ、ネットワークマップデータ、もしくはシンボリックマップデータに重ね合わせるように構成されている、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記1つ以上のプロセッサはさらに、前記地理位置情報のセットまたは前記地理位置情報のサブセットをリモートサーバーに送信するように構成されている、請求項11に記載のシステム。
【請求項14】
前記信号入力のセットを処理することは、
前記3つ以上のアンテナの異なるペアからの複数の信号入力ペアを、前記相関受信機を使用して処理して、前記3つ以上のアンテナにおいて前記無線放射を受信することに関連付けられる時間遅延のセットを決定することと、
前記3つ以上のアンテナにおける前記無線放射の到達角度のセットを、前記時間遅延のセットを使用して決定することと、
前記複数の無線エミッタの前記地理位置情報のセットを、前記到達角度のセットを使用して決定することと、
を含む、請求項11に記載のシステム。
【請求項15】
前記アンテナのうちの1つ以上は前記相関受信機に直接結合されているか、または前記アンテナのうちの1つ以上は前記相関受信機から遠隔に位置する、請求項11に記載のシステム。
【請求項16】
前記1つ以上のプロセッサはさらに、前記周期自己相関関数またはスペクトル相関関数の1つ以上を分析して、前記複数の無線エミッタのクラスまたはタイプのセットを特定するように構成されている、請求項11に記載のシステム。
【請求項17】
前記1つ以上のプロセッサはさらに、前記地理位置情報のセットと前記複数の無線エミッタの前記クラスまたはタイプのセットとを、地理的マップ、ネットワークマップ、もしくはシンボリックマップ、または地理的マップデータ、ネットワークマップデータ、もしくはシンボリックマップデータに重ね合わせるように構成されている、請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
前記複数の無線エミッタの前記地理位置情報のセットを決定することを、リアルタイムでまたは実質的にリアルタイムで行う、請求項11に記載のシステム。
【請求項19】
前記相関受信機はさらに、
前記3つ以上のアンテナにおいて受信した前記複数の無線エミッタからの無線放射に対応する新しい信号入力のセットを取得することと、
前記新しい信号入力のセットを処理して、前記新しい信号入力のセットの複数の信号入力ペアに対する複数の新しい周期自己相関関数またはスペクトル相関関数を、前記相関受信機を使用して決定することと、
を1回以上繰り返すように構成され、
前記1つ以上のプロセッサはさらに、
前記新しい周期自己相関関数または前記新しいスペクトル相関関数を使用して、前記複数の無線エミッタの新しい地理位置情報のセットを決定することと、
前記複数の無線エミッタの前記地理位置情報のセット及び1つ以上の新しい地理位置情報のセットを経時的に追跡することと、
を1回以上繰り返すように構成されている、請求項11に記載のシステム。
【請求項20】
前記複数の無線エミッタの前記地理位置情報のセットを決定することは、前記複数の無線エミッタの速度のセットを決定することを含む、請求項11に記載のシステム。
【請求項21】
自律車両によって交通参加者の場所及び速度測定情報を決定する方法であって、前記方法は、
3つ以上のアンテナにおいて受信した複数の交通参加者に関連付けられる無線放射に対応する信号入力のセットを取得することと、
前記信号入力のセットを処理して、前記信号入力のセットの複数の信号入力ペアに対する複数の周期自己相関関数またはスペクトル相関関数を、相関受信機を使用して決定することと、
前記周期自己相関関数または前記スペクトル相関関数を使用して、前記複数の交通参加者に対する地理位置情報のセット及び/または速度測定情報を決定することと、
自律車両内のデータプロセッサによって、前記地理位置情報のセット及び/または速度測定情報を使用して、前記自律車両に対するナビゲーション指示を決定することと、
を含む、前記方法。
【請求項22】
前記取得すること及び前記処理することを1回以上繰り返すことと、前記複数の交通参加者に対するさらなるまたはより正確な地理位置情報及び速度測定情報を決定することと、をさらに含む請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記信号入力のセットを処理することは、
前記3つ以上のアンテナの異なるペアからの複数の信号入力ペアを、前記相関受信機を使用して処理して、前記3つ以上のアンテナにおいて前記無線放射を受信することに関連付けられる時間遅延のセットを決定することと、
前記3つ以上のアンテナにおける前記無線放射の到達角度のセットを、前記時間遅延のセットを使用して決定することと、
前記複数の交通参加者の前記地理位置情報のセットを、前記到達角度のセットを使用して決定することと、
を含む、請求項21に記載の方法。
【請求項24】
交通参加者に関連付けられる無線放射は、前記交通参加者における無線エミッタによって生成される無線放射を含む、請求項21に記載の方法。
【請求項25】
前記複数の交通参加者のうちのある交通参加者は車両または歩行者を含む、請求項21に記載の方法。
【請求項26】
交通参加者に関連付けられる無線放射は、前記交通参加者によって反射される無線放射を含む、請求項21に記載の方法。
【請求項27】
新しい無線放射を生成することと、前記新しい無線放射を前記複数の交通参加者に向けて送ることとをさらに含み、
前記無線放射は、少なくとも1人の交通参加者からの前記新しい無線放射の反射を含む、請求項21に記載の方法。
【請求項28】
前記周期自己相関関数またはスペクトル相関関数の1つ以上を分析して、前記複数の交通参加者に関連付けられるエミッタのクラスまたはタイプのセットを特定することをさらに含む、請求項21に記載の方法。
【請求項29】
前記複数の交通参加者のうちのある交通参加者に対応する他の自律車両に、前記地理位置情報のセット及び前記速度測定情報を提供することをさらに含む、請求項21に記載の方法。
【請求項30】
前記相関受信機は前記自律車両のコンポーネントであり、前記自律車両は前記複数の交通参加者のうちのある交通参加者に対応する、請求項21に記載の方法。
【請求項31】
前記相関受信機は前記複数の交通参加者から遠隔にあり、前記方法はさらに、
前記自律車両に対する前記ナビゲーション指示を決定または適用する際に使用するために、前記地理位置情報のセット及び速度測定情報を前記自律車両に無線で送信することを含む、請求項21に記載の方法。
【請求項32】
交通参加者の場所及び速度測定情報を決定するためのシステムであって、前記システムは、
3つ以上のアンテナと、
前記3つ以上のアンテナとデータ通信するように配置された相関受信機であって、
前記相関受信機は、
前記3つ以上のアンテナにおいて受信した複数の交通参加者に関連付けられる無線放射に対応する信号入力のセットを処理して、前記信号入力のセットの複数の信号入力ペアに対する複数の周期自己相関関数またはスペクトル相関関数を決定するように構成されている、前記相関受信機と、
1つ以上のプロセッサであって、
前記複数の交通参加者に対する地理位置情報のセット及び/または速度測定情報を、前記周期自己相関関数または前記スペクトル相関関数を使用して決定することと、
前記地理位置情報のセット及び/または速度測定情報を使用して、自律車両に対するナビゲーション指示を決定することと、
を行うように構成された1つ以上のプロセッサと、
を含む、前記システム。
【請求項33】
前記相関受信機はさらに、
前記3つ以上のアンテナにおいて受信した前記複数の交通参加者に関連付けられる無線放射に対応する新しい信号入力のセットを取得することと、
前記新しい信号入力のセットを処理して、前記新しい信号入力のセットの複数の信号入力ペアに対する複数の新しい周期自己相関関数またはスペクトル相関関数を、前記相関受信機を使用して決定することと、
を1回以上繰り返すように構成され、
前記1つ以上のプロセッサはさらに、
前記複数の交通参加者に対するさらなるまたはより正確な地理位置情報及び速度測定情報を決定するように構成されている、請求項32に記載のシステム。
【請求項34】
前記信号入力のセットを処理することは、
前記3つ以上のアンテナの異なるペアからの複数の信号入力ペアを、前記相関受信機を使用して処理して、前記3つ以上のアンテナにおいて前記無線放射を受信することに関連付けられる時間遅延のセットを決定することと、
前記3つ以上のアンテナにおける前記無線放射の到達角度のセットを、前記時間遅延のセットを使用して決定することと、
前記複数の交通参加者の前記地理位置情報のセットを、前記到達角度のセットを使用して決定することと、
を含む、請求項32に記載のシステム。
【請求項35】
交通参加者に関連付けられる無線放射は、前記交通参加者における無線エミッタによって生成される無線放射を含む、請求項32に記載のシステム。
【請求項36】
前記複数の交通参加者のうちのある交通参加者は車両または歩行者を含む、請求項32に記載のシステム。
【請求項37】
交通参加者に関連付けられる無線放射は、前記交通参加者によって反射される無線放射を含む、請求項32に記載のシステム。
【請求項38】
前記1つ以上のプロセッサはさらに、
前記周期自己相関関数またはスペクトル相関関数の1つ以上を分析して、前記複数の交通参加者に関連付けられるエミッタのクラスまたはタイプのセットを特定するように構成されている、請求項32に記載のシステム。
【請求項39】
前記1つ以上のプロセッサはさらに、
前記複数の交通参加者のうちのある交通参加者に対応する1つ以上の他の自律車両に、前記地理位置情報のセット及び前記速度測定情報を提供するように構成されている、請求項32に記載のシステム。
【請求項40】
前記相関受信機及び前記1つ以上のプロセッサは、前記自律車両のコンポーネントである、請求項32に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、米国仮出願第63/193,519号(2021年5月26日に出願)及び米国仮出願第63/193,520号(2021年5月26日に出願)に対する利益及び優先権を主張する。なお、この文献の内容はすべての目的に対してその全体において参照により本明細書に組み込まれている。
【背景技術】
【0002】
広帯域スペクトル相関関数及び/または周期自己相関関数の推定に対する技術が開発されている。スペクトル相関関数及び周期自己相関関数は、情報が豊富である可能性があり、受信信号に対する統計的洞察が得られる。当該技術分野において、スペクトル相関及び周期自己相関情報を使用することに関連付けられる改善された方法及びシステムが求められている。
【発明の概要】
【0003】
本明細書に記載の態様は、無線エミッタからの放射に含まれる情報を復号化もデコードもすることなく無線エミッタからの放射を観察することによって、無線エミッタに関連付けられる場所及び特性をマッピングするためのシステム及び方法の特定の適用を伴う、無線エミッタのマッピング及び分類の分野に関する。
【0004】
態様によれば、地理的領域内の無線エミッタのマッピングの方法が提供される。一例では、この態様の方法は、第1のアンテナペアにおいて複数の無線エミッタからの無線放射を受信することによって信号入力ペアを生成することと、相関受信機を使用して信号入力ペアを処理して、複数の無線エミッタの地理位置情報のセットを決定することと、を含む。任意選択で、本方法はさらに、さらなるアンテナペアにおいて複数の無線エミッタからの無線放射を受信することによってさらなる信号入力ペアを生成することと、相関受信機を使用して信号入力ペアを処理して複数の無線エミッタのさらなる地理位置情報のセットを決定することと、を1回以上繰り返すことを、含んでいてもよい。たとえば、アンテナペアの一方または両方のアンテナは、さらなるアンテナペアの一方または両方のアンテナと同じかまたは異なっている。任意選択で、さらなる地理位置情報のセットは、複数の無線エミッタに対するより正確な地理位置情報に対応する。
【0005】
いくつかの例では、相関受信機を使用して信号入力ペアを処理することは、アンテナペアの各アンテナにおいて受信した無線放射に対する到達時間差(TDOA)を決定することを含むことができる。一例としては、相関受信機を使用して信号入力ペアを処理することは、アンテナペアの各アンテナにおいて受信した無線放射に対する到達角度(AoA)を決定することを含むことができる。いくつかの例では、地理的領域内の無線エミッタをマッピングする方法はさらに、複数の無線エミッタに対する地理位置情報のセットを、地理的マップデータまたはネットワークマップデータに重ね合わせることを含む。任意選択で、アンテナペア(たとえば、アンテナペアの一方または両方のアンテナが、さらなるアンテナペアの一方または両方のアンテナと同じかまたは異なる)において複数の無線エミッタからの無線放射を受信することによって信号入力ペアを生成することと、相関受信機を使用して信号入力ペアを処理し、複数の無線エミッタの地理位置情報のセットを決定することとのプロセスを、時間にわたり1回以上繰り返して、複数の無線エミッタの地理位置情報を経時的に追跡できるようにすることができる。
【0006】
いくつかの例では、相関受信機は、異なるアンテナを使用して種々の無線放射を受け取こともでき、同じアンテナを使用することもできる。3つ以上のアンテナのグループを、たとえば、異なるペアごとの組み合わせで使用して、種々の無線放射を受信するための異なるアンテナペアを提供することができる。場合によっては、無線放射を3つ以上のアンテナにおいて受信することができ、これらのアンテナを異なる組み合わせでペアにして、異なる信号ペアを提供して、たとえば、より正確な地理位置情報を提供するために相関受信機によって処理することができる。
【0007】
相関受信機は、高周波放射の自然な供給源などのノイズからの干渉を緩和または除去するために信号入力を処理することに有用である可能性がある。いくつかの例では、相関受信機を使用して信号入力ペアを処理することは、信号入力ペアの周期自己相関関数またはスペクトル相関関数を決定することを含む。任意選択で、相関受信機を使用して信号入力ペアを処理することは、周期自己相関関数またはスペクトル相関関数を使用してノイズを除去することを含む。
【0008】
相関受信機は、信号入力ペアを分析することによって複数の無線エミッタのクラスまたはタイプを決定することに有用である可能性がある。たとえば、放射シグネチャを決定して、異なるクラスまたはタイプの無線エミッタに対する既知の放射シグネチャと比較することができ、この情報は、任意選択で、複数の無線エミッタに対する地理位置情報とペアにすることができる。
【0009】
別の例では、地理的領域内の複数の無線エミッタをマッピングする方法は、3つ以上のアンテナにおいて受信した複数の無線エミッタからの無線放射に対応する信号入力のセットを取得することと、信号入力のセットを処理して、信号入力のセットの複数の信号入力ペアに対する複数の周期自己相関関数またはスペクトル相関関数を、相関受信機を使用して決定することと、周期自己相関関数またはスペクトル相関関数を使用して、複数の無線エミッタの地理位置情報のセットを決定することと、を含む。任意選択で、アンテナのうちの1つ以上が、相関受信機に直接結合される。任意選択で、アンテナのうちの1つ以上は、相関受信機から遠隔に位置する。任意選択で、複数の無線エミッタの地理位置情報のセットを決定することは、複数の無線エミッタの速度のセットを決定することを含む。
【0010】
有利なことに、本明細書に記載の方法によって、複数の無線エミッタの地理位置情報のセットを、無線放射の短時間(たとえば、10秒以下、5秒以下、または1秒以下)の受信など、リアルタイムでまたは実質的にリアルタイムで、決定することができる。さらに、この態様の方法は、特定の地理的領域内のすべての検出可能なエミッタの地理位置情報を同時に決定するために使用することができる。
【0011】
任意選択で、方法はさらに、地理位置情報のセットを、地理的マップ、ネットワークマップ、もしくはシンボリックマップ、または地理的マップデータ、ネットワークマップデータ、もしくはシンボリックマップデータに重ね合わせることを含んでいてもよい。任意選択で、この態様の方法はさらに、地理位置情報のセットまたはそのサブセットをリモートサーバーに送信することを含んでいてもよい。このようにして、エミッタの地理位置情報を決定することができ、任意選択で、時間の関数として追跡することができる。
【0012】
複数の無線エミッタの地理位置情報のセットを決定するために、相関受信機は、信号入力を対ごとの方法で処理することができる。たとえば、アンテナのうちの2つにおいて受信した信号に対応する第1の信号入力ペアを処理することができ、アンテナのうちの2つにおいて受信した信号に対応する第2の信号入力ペアを処理することができ、アンテナのうちの2つにおいて受信した信号に対応する第3の信号入力ペアを処理することができる。3つのアンテナA1、A2、及びA3を使用して、3つの対を使用することができる。A1及びA2、A2及びA3、A1及びA3。いくつかの例では、信号入力のセットを処理することは、3つ以上のアンテナの異なるペアからの複数の信号入力ペアを、相関受信機を使用して処理して、3つ以上のアンテナにおいて無線放射を受信することに関連付けられる時間遅延のセットを決定することと、3つ以上のアンテナにおける無線放射の到達角度のセットを、時間遅延のセットを使用して決定することと、複数の無線エミッタの地理位置情報のセットを、到達角度のセットを使用して決定することと、を含む。到達角度の少なくとも3つのセットを決定することによって、各無線エミッタの場所を特定することができる。
【0013】
いくつかの例では、各無線エミッタについての付加情報を、周期自己相関関数またはスペクトル相関関数から得ることができ、これは、任意選択で、無線エミッタを経時的にフィンガープリンティング及び/または追跡するのに有用である可能性がある。いくつかの例では、方法はさらに、周期自己相関関数またはスペクトル相関関数の1つ以上を分析して、複数の無線エミッタのクラスまたはタイプのセットを特定することを含んでいてもよい。任意選択で、複数の無線エミッタの地理位置情報のセット及びクラスまたはタイプのセットを、地理的マップ、ネットワークマップ、もしくはシンボリックマップ、または地理的マップデータ、ネットワークマップデータ、もしくはシンボリックマップデータに重ね合わせてもよい。
【0014】
いくつかの例では、方法の様々な部分を1回以上繰り返してもよい。たとえば、方法は、3つ以上のアンテナにおいて受信した複数の無線エミッタからの無線放射に対応する新しい信号入力のセットを取得することと、新しい信号入力のセットを処理して、新しい信号入力のセットの複数の信号入力ペアに対する複数の新しい周期自己相関関数またはスペクトル相関関数を、相関受信機を使用して決定することと、新しい周期自己相関関数または新しいスペクトル相関関数を使用して、複数の無線エミッタの新しい地理位置情報のセットを決定することと、を1回以上繰り返すことを含んでいてもよい。このようにして、本明細書に記載の方法は、複数の無線エミッタの地理位置情報のセット及び1つ以上の新しい地理位置情報のセットを経時的に追跡し得る。
【0015】
別の態様では、地理的領域内の複数の無線エミッタをマッピングするためのシステムが記載される。この態様のシステム例は、相関受信機と、相関受信機とデータ通信するように配置された3つ以上のアンテナと、やはり相関受信機とデータ通信するなどの1つ以上のプロセッサと、を含む。マッピングを達成するために、相関受信機は、3つ以上のアンテナにおいて受信した複数の無線エミッタからの無線放射に対応する信号入力のセットを処理して、信号入力のセットの複数の信号入力ペアに対する複数の周期自己相関関数またはスペクトル相関関数を決定するように構成してもよい。さらに、1つ以上のプロセッサを、複数の無線エミッタの地理位置情報のセットを、周期自己相関関数またはスペクトル相関関数を使用して決定するように構成してもよい。任意選択で、複数の無線エミッタの地理位置情報のセットを決定することは、複数の無線エミッタの速度のセットを決定することを含む。
【0016】
任意選択で、アンテナのうちの1つ以上は、相関受信機に直接結合される。任意選択で、アンテナのうちの1つ以上は、相関受信機から遠隔に位置する。任意選択で、複数の無線エミッタの地理位置情報のセットを決定することを、リアルタイムでまたは実質的にリアルタイムで行う。
【0017】
いくつかの例では、動作を行うように構成された相関受信機は、相関受信機の要素の配列により種々の信号が生成及び/または処理されるように、要素を特定の構成で配置することを含んでいてもよい。いくつかの例では、動作を行うように構成された相関受信機及び/または1つ以上のプロセッサは、任意選択で、プロセッサによって実行されるとプロセッサに動作を行わせる1つ以上の非一時的プロセッサ可読記憶媒体上に記憶され得るプロセッサ実行可能命令などの命令をこれらのコンポーネントにプログラミングすることを含んでいてもよい。
【0018】
いくつかの例では、1つ以上のプロセッサはさらに、地理位置情報のセットを、地理的マップ、ネットワークマップ、もしくはシンボリックマップ、または地理的マップデータ、ネットワークマップデータ、もしくはシンボリックマップデータに重ね合わせるように構成されている。任意選択で、1つ以上のプロセッサはさらに、地理位置情報のセットまたはそのサブセットをリモートサーバーに送信するように構成されている。
【0019】
いくつかの例では、信号入力のセットを処理することは、3つ以上のアンテナの異なるペアからの複数の信号入力ペアを、相関受信機を使用して処理して、3つ以上のアンテナにおいて無線放射を受信することに関連付けられる時間遅延のセットを決定することと、3つ以上のアンテナにおける無線放射の到達角度のセットを、時間遅延のセットを使用して決定することと、複数の無線エミッタの地理位置情報のセットを到達角度のセットを使用して決定することと、を含む。いくつかの例では、1つ以上のプロセッサはさらに、周期自己相関関数またはスペクトル相関関数の1つ以上を分析して、複数の無線エミッタのクラスまたはタイプのセットを特定するように構成されている。任意選択で、1つ以上のプロセッサはさらに、複数の無線エミッタの地理位置情報のセット及びクラスまたはタイプのセットを、地理的マップ、ネットワークマップ、もしくはシンボリックマップ、または地理的マップデータ、ネットワークマップデータ、もしくはシンボリックマップデータに重ね合わせるように構成されている。
【0020】
いくつかの例では、相関受信機はさらに、3つ以上のアンテナにおいて受信した複数の無線エミッタからの無線放射に対応する新しい信号入力のセットを取得することと、新しい信号入力のセットを処理して、新しい信号入力のセットの複数の信号入力ペアに対する複数の新しい周期自己相関関数またはスペクトル相関関数を、相関受信機を使用して決定することと、を1回以上繰り返すように構成されている。いくつかの例では、1つ以上のプロセッサはさらに、新しい周期自己相関関数または新しいスペクトル相関関数を使用して、複数の無線エミッタの新しい地理位置情報のセットを決定することと、複数の無線エミッタの地理位置情報のセット及び1つ以上の新しい地理位置情報のセットを経時的に追跡することと、を1回以上繰り返すように構成されている。
【0021】
本発明によって、従来技術に対する多くの利点が達成される。たとえば、記載した態様によって、高周波(RF)入力信号をリアルタイム処理するための方法及びシステムが提供され、これにより、RF入力信号の内容をデコードする能力を必要とすることなく、送信機の場所及びタイプをリアルタイムで受動的に追跡することが可能になる。本発明のこれら及び他の実施形態は、その利点及び特徴の多くとともに、以下の本文及び添付図と併せてより詳細に記載される。
【0022】
本明細書に記載の態様はまた、交通参加者からのアクティブな放射または放射反射を観察することによって、自律車両による使用に対する交通参加者についての場所及び特性をマッピングするための開示したシステム及び方法の特定の適用を伴う、無線エミッタ及び無線エミッタからの放射の反射のマッピング及び分類の分野に関する。
【0023】
態様によれば、交通参加者の地理位置情報を決定する方法が提供される。本方法は、アンテナペアにおいて複数の交通参加者に関連付けられる無線放射を受信することによって信号入力ペアを生成することと、相関受信機を使用して信号入力ペアを処理して、複数の交通参加者に対する地理位置情報のセット及び速度測定情報を決定することと、を含む。任意選択で、方法は、アンテナペアにおいて複数の交通参加者に関連付けられるさらなる無線放射を受信することによってさらなる信号入力ペアを生成することと、相関受信機を使用してさらなる信号入力ペアを処理して、複数の交通参加者に対するさらなる地理位置情報のセットまたは速度測定情報を決定することと、を含んでいてもよい。任意選択で、本方法は、複数の交通参加者に対する複数の地理位置情報のセット及びそれらの間の時間差に基づいて、複数の交通参加者に対する速度測定情報(たとえば、速度ベクトル)を決定することを含んでいてもよい。いくつかの例では、さらなる信号ペアを使用して、複数の交通参加者に対するより正確な地理位置情報及び速度測定情報を、少なくとも1つの異なるアンテナまたは、先行する信号入力ペアを受信するために使用されるアンテナから変位させた少なくとも1つのアンテナを使用してさらなる信号入力ペアを受信することなどによって、決定することができる。
【0024】
地理位置情報及び速度情報は、他の交通参加者ならびにその速度及び予測経路を認識及び検出するために交通環境についての情報を提供するなどのために、自律車両に提供してもよく、自律車両によって使用してもよい。交通参加者例としては、車両(たとえば、内燃機関車両、電気駆動車両、自転車)、歩行者などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0025】
いくつかの例では、交通参加者に関連付けられる無線放射は、交通参加者における無線エミッタによって生成される無線放射を含む。たとえば、このような無線エミッタは、たとえば、衝突トランスデューサ、パーキングエミッタ、無線送信機などの車両のコンポーネントであってもよい。いくつかの例では、このような無線エミッタは、車両の運転者または乗客によって運ばれる無線デバイスであってもよい。いくつかの例では、このような無線エミッタは、歩行者によって運ばれる無線デバイスであってもよい。
【0026】
しかし、いくつかの例では、交通参加者は、無線放射を生成する無線デバイスを運ぶことも収容することもしていない場合がある。そのような場合、交通参加者に関連付けられる無線放射は、交通参加者によって反射される無線放射を含んでいてもよい。たとえば、このような無線放射は、車両ボディによって反射されてもよい。任意選択で、本方法はさらに、新しい無線放射を生成することと、新しい無線放射を1つ以上の交通参加者に向けて送り、反射放射を生成することを含んでいてもよく、反射放射はその後、アンテナペアにおいて受信することができ、自身の無線デバイスが無い交通参加者に対する地理位置情報及び/または速度情報を決定することができる。
【0027】
任意選択で、相関受信機及び/またはアンテナペアは、交通参加者である自律車両などの自律車両内に配置される。場合によっては、本方法は、複数の交通参加者の地理位置情報のセット及び複数の交通参加者の速度を、交通参加者である他の自律車両に、無線通信などによって提供することを含んでいてもよい。
【0028】
いくつかの例では、相関受信機及び/またはアンテナペアは、任意の交通参加者のコンポーネントではなく、その代わりに交通環境の外側の場所に配置してもよい。たとえば、本方法はさらに、複数の交通参加者の地理位置情報のセット及び複数の交通参加者の速度を、交通参加者である自律車両に、無線通信などによって提供することを含んでいてもよい。
【0029】
相関受信機を使用して信号入力ペアを処理することは、アンテナペアの各アンテナにおいて受信した無線放射に対する到達時間差(TDOA)を決定することを含むことができることが理解されよう。一例としては、相関受信機を使用して信号入力ペアを処理することは、アンテナペアの各アンテナにおいて受信した無線放射に対する到達角度(AoA)を決定することを含むことができる。任意選択で、アンテナペアにおいて無線放射を受信することによって信号入力ペアを生成することと、相関受信機を使用して信号入力ペアを処理して、交通参加者の地理位置情報のセットを決定することとのプロセスによって、すべての交通参加者の地理位置情報を同時に決定することができる。任意選択で、アンテナペアにおいて無線放射を受信することによって信号入力ペアを生成することと、相関受信機を使用して信号入力ペアを処理して、複数の交通参加者の地理位置情報のセットを決定することとのプロセスを、1回以上繰り返して、地理位置情報及び複数の交通参加者の速度を経時的に追跡できようにすることができる。
【0030】
]いくつかの例では、相関受信機は、複数の交通参加者からの無線放射を受信するために異なるアンテナを使用することもでき、または同じアンテナを使用することもできる。いくつかの例では、相関受信機は、複数の交通参加者からの無線放射を経時的に受信するために異なるアンテナを使用することもでき、または同じアンテナを使用することもできる。3つ以上のアンテナのグループを、たとえば、異なるペアごとの組み合わせで使用して、種々の無線放射を受信するための異なるアンテナペアを提供することができる。場合によっては、単一の無線放射を3つ以上のアンテナにおいて受信することができる。これらのアンテナは、異なる組み合わせでペアにして、異なる信号ペアを提供することができる。これらの信号ペアは、たとえば、より正確な地理位置情報を得るために、相関受信機によって処理することができる。
【0031】
相関受信機は、高周波放射の自然な供給源などのノイズからの干渉を緩和または除去するために信号入力を処理することに有用である可能性がある。いくつかの例では、相関受信機を使用して信号入力ペアを処理することは、信号入力ペアの周期自己相関関数またはスペクトル相関関数を決定することを含む。任意選択で、相関受信機を使用して信号入力ペアを処理することは、周期自己相関関数またはスペクトル相関関数を使用してノイズを除去することを含む。
【0032】
相関受信機は、信号入力ペアを分析することによって無線エミッタのクラスまたはタイプを決定することに有用である可能性がある。たとえば、放射シグネチャを決定して、異なるクラスまたはタイプの無線エミッタに対する既知の放射シグネチャと比較することができ、この情報は、任意選択で、複数の交通参加者に対する地理位置情報とペアにすることができる。
【0033】
一態様では、本開示によって、自律車両に対するナビゲーション指示を決定する際に使用するなど、自律車両によって交通参加者の場所及び速度測定情報を決定する方法が提供される。いくつかの例では、この態様の方法は、3つ以上のアンテナにおいて受信した複数の交通参加者に関連付けられる無線放射に対応する信号入力のセットを取得することと、信号入力のセットを処理して、信号入力のセットの複数の信号入力ペアに対する複数の周期自己相関関数またはスペクトル相関関数を、相関受信機を使用して決定することと、周期自己相関関数またはスペクトル相関関数を使用して、複数の交通参加者に対する地理位置情報のセット及び/または速度測定情報を決定することと、自律車両内のデータプロセッサによって、地理位置情報のセット及び/または速度測定情報を使用して、自律車両に対するナビゲーション指示を決定することと、を含む。いくつかの例では、相関受信機は自律車両のコンポーネントであってもよく、自律車両は複数の交通参加者のうちのある交通参加者に対応するが、他の例では、自律車両から離れて相関受信機を使用してもよい。例では、交通参加者に関連付けられる無線放射は、交通参加者における無線エミッタ(たとえば、車両内の無線エミッタまたは歩行者によって運ばれる無線エミッタ)によって生成された無線放射を含んでいてもよい。任意選択で、交通参加者に関連付けられる無線放射は、交通参加者によって反射された無線放射を含む。
【0034】
本明細書でより詳細に説明するように、相関受信機を使用して信号入力を処理して、放射についての情報を取得することができる。例では、信号入力のセットを処理することは、3つ以上のアンテナの異なるペアからの複数の信号入力ペアを、相関受信機を使用して処理して、3つ以上のアンテナにおいて無線放射を受信することに関連付けられる時間遅延のセットを決定することと、3つ以上のアンテナにおける無線放射の到達角度のセットを、時間遅延のセットを使用して決定することと、複数の無線エミッタの地理位置情報のセットを到達角度のセットを使用して決定することと、を含む。いくつかの例では、この態様の方法はさらに、周期自己相関関数またはスペクトル相関関数の1つ以上を分析して、複数の無線エミッタのクラスまたはタイプのセットを特定することを含んでいてもよい。
【0035】
場合によっては、より正確な地理位置情報は、自律車両による使用にとって有用であるかまたは望ましい。そのような場合、さらなる信号入力を取得することができる。たとえば、方法はさらに、取得すること及び処理することを1回以上繰り返すことと、複数の交通参加者に対するさらなるまたはより正確な地理位置情報及び速度測定情報を決定することと、を含んでいてもよい。
【0036】
場合によっては、交通参加者は無線エミッタを含んでいない場合があるが、しかし本明細書で記載した手法を使用してこのような交通参加者を追跡することが、やはり望ましくまた可能であり得る。たとえば、無線放射は交通参加者から反射される場合があり(たとえば、車両ボディまたは他のコンポーネントから離れて)、これらの反射放射を使用して信号入力が生成される場合がある。いくつかの例では、方法はさらに、新しい無線放射を生成して、新しい無線放射を複数の交通参加者に向けて送ることを含んでいてもよく、無線放射は、少なくとも1人の交通参加者からの新しい無線放射の反射を含む。
【0037】
相関受信機が自律車両から遠隔にある場合、本方法はさらに、自律車両に対するナビゲーション指示を決定または適用する際に使用するために、地理位置情報のセット及び速度測定情報を無線で自律車両に無線で送信することを含んでいてもよい。いくつかの方法を、地理位置情報及び速度測定情報を他の自律車両と共有するために使用することができる。なぜならば、すべての車両が相関受信機を含んでいるわけではないことがあるが、それでもなお情報から利益を得る場合があるからである。いくつかの例では、方法は、複数の交通参加者のうちのある交通参加者に対応する他の自律車両に、地理位置情報のセット及び速度測定情報を提供することを含んでよく、またはさらに含んでもよい。
【0038】
別の態様では、本明細書において、交通参加者の場所及び速度測定情報を決定するシステムなどのシステムを記載している。この態様のシステム例は、3つ以上のアンテナと、3つ以上のアンテナとデータ通信するように配置された相関受信機であって、たとえば、相関受信機は、3つ以上のアンテナにおいて受信した複数の交通参加者に関連付けられる無線放射に対応する信号入力のセットを処理して、信号入力のセットの複数の信号入力ペアに対する複数の周期自己相関関数またはスペクトル相関関数を決定するように構成されている、相関受信器と、1つ以上のプロセッサと、を含んでいてもよい。1つ以上のプロセッサは、複数の交通参加者に対する地理位置情報のセット及び/または速度測定情報を、周期自己相関関数またはスペクトル相関関数を使用して決定することと、地理位置情報のセット及び/または速度測定情報を使用して、自律車両に対するナビゲーション指示を決定することと、を行うように構成してもよい。任意選択で、相関受信機及び1つ以上のプロセッサは、自律車両のコンポーネントである。任意選択で、相関受信機及び1つ以上のプロセッサは自律車両から遠隔にあり、1つ以上のプロセッサはさらに、地理位置情報のセット及び/または速度測定情報を自律車両に送信するように構成してもよい。
【0039】
いくつかの例では、種々の信号が要素の配列により生成及び/または処理されるように、相関受信機の要素を特定の構成で配置することを含んでいてもよい。いくつかの例では、動作を行うように構成された相関受信機及び/または1つ以上のプロセッサは、これらのコンポーネントに、任意選択でプロセッサによって実行されるとプロセッサに動作を行わせる1つ以上の非一時的プロセッサ可読記憶媒体に記憶され得るプロセッサ実行可能命令などの命令をプラグラミングすることを含んでいてもよい。
【0040】
相関受信機は、任意選択で、3つ以上のアンテナにおいて受信した複数の交通参加者に関連付けられる無線放射に対応する新しい信号入力のセットを取得することと、新しい信号入力のセットを処理して、新しい信号入力のセットの複数の信号入力ペアに対する複数の新しい周期自己相関関数またはスペクトル相関関数を、相関受信機を使用して決定することと、を1回以上繰り返すようにさらに構成してもよい。1つ以上のプロセッサは、任意選択で、複数の交通参加者に対するさらなるまたはより正確な地理位置情報及び速度測定情報を決定するようにさらに構成してもよい。
【0041】
いくつかの例では、信号入力のセットを処理することは、3つ以上のアンテナの異なるペアからの複数の信号入力ペアを、相関受信機を使用して処理して、3つ以上のアンテナにおいて無線放射を受信することに関連付けられる時間遅延のセットを決定することと、3つ以上のアンテナにおける無線放射の到達角度のセットを、時間遅延のセットを使用して決定することと、複数の無線エミッタの地理位置情報のセットを到達角度のセットを使用して決定することと、を含む。いくつかの例では、1つ以上のプロセッサはさらに、周期自己相関関数またはスペクトル相関関数の1つ以上を分析して、複数の無線エミッタのクラスまたはタイプのセットを特定するように構成されている。
【0042】
任意選択で、交通参加者に関連付けられる無線放射は、交通参加者における無線エミッタによって生成される無線放射を含む。任意選択で、複数の交通参加者のうちのある交通参加者は、車両または歩行者を含む。任意選択で、交通参加者に関連付けられる無線放射は、交通参加者によって反射された無線放射を含む。
【0043】
任意選択で、1つ以上のプロセッサはさらに、複数の交通参加者のうちのある交通参加者に対応する1つ以上の他の自律車両に、地理位置情報のセット及び速度測定情報を提供するように構成されている。
【0044】
本明細書に記載の本実施形態及び例によって、従来技術に対する多くの利点が達成される。たとえば、記載した態様によって、高周波(RF)入力信号をリアルタイム処理するための方法及びシステムが提供され、これにより、RF入力信号の内容をデコードする能力を必要とすることなく、自律運転アプリケーションで使用するための送信機の場所及びタイプをリアルタイムで受動的に追跡することが可能になる。これら及び他の実施形態ならびに例は、それらの利点及び特徴の多くとともに、以下の本文及び添付図と併せてより詳細に記載される。
【0045】
本開示の態様を次に、添付図面を参照して以下でより十分に説明する。添付図面は、この概要、詳細な説明の両方、ならびに具体的に説明されるかまたは他の方法で開示される任意の典型的で好ましい及び/または特定の実施形態、と関連して読まれることが意図されている。しかし、種々の態様を、多くの異なる形態で具体化してもよく、本明細書で述べる実施形態に限定されると解釈してはならない。むしろ、これらの実施形態は、単に例として提供されており、そのため、本開示は十分で完全であり、当業者に全範囲を完全に伝える。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【
図1】2つの異なるアンテナにおける無線放射の受信及び無線放射の到達角度を示す概略図である。
【
図2】本開示のいくつかの例による相関受信機システム例の概略図である。
【
図3】周期自己相関関数例を例示する3次元プロットを示す図である。
【
図4】周期自己相関関数例を例示する2次元プロットを示す図である。
【
図5】時間遅延した信号に対する別の周期自己相関関数例を例示する2次元プロットを示す図である。
【
図6】本開示のいくつかの例による相関受信機システム例の概略図である。
【
図7】地理的領域にわたる複数のアンテナシステム及び/または相関受信機システムの分布の概略図である。
【
図8】検出された無線エミッタの地理位置情報を示すプロット例を示す図である。
【
図9】エミッタ特性と重ね合わされた検出された無線エミッタの地理位置情報を示すプロット例を示す図である。
【
図10】本開示のいくつかの例により、地理的領域内の複数の無線エミッタをマッピングする方法を詳細に述べる簡略化されたフローチャートを示す図である。
【
図11】複数の交通参加者と、交通参加者の地理位置情報の決定に使用される相関受信機システムの使用との概略図である。
【
図12】本開示のいくつかの例により、交通参加者の場所及び/または速度測定を決定する方法を詳細に述べる簡略化されたフローチャートを示す図である。
【
図13】本開示のいくつかの例により、交通参加者の場所及び/または速度測定を決定する方法を詳細に述べる簡略化されたフローチャートを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0047】
無線エミッタ(たとえば、携帯電話または他の高周波デバイス)によって形成される電磁(たとえば、高周波)放射は、一般的に、無線エミッタによって一斉送信され、適切な基地局(たとえば、携帯電話の基地局)によって受信される。セルラーサービスプロバイダのような無線サービスプロバイダは、それらのネットワーク上で動作する無線エミッタによって形成される伝送を受信し、復号化し、及びデコードする能力を有する。これによって、無線プロバイダは、無線エミッタによって一斉送信される信号についての大量の情報を取得することができ、これには伝送内のデータ内容へのアクセスが含まれる。場合によっては、無線エミッタは、全地球測位衛星(GPS)からの伝送を受信することなどによって自己の位置を特定することができ、この情報は、伝送におけるデータ内容として無線サービスプロバイダに提供することができる。無線サービスプロバイダはまた、GPS場所情報を使用することに加えて、複数の基地局を使用してエミッタに対する三角測量された場所情報を取得することもできる。
【0048】
伝送の信号内容またはサービスプロバイダのネットワークにアクセスしない場合、濃密な地理的領域内の多数のエミッタに対する場所情報を決定することは難しいかまたは非現実的である可能性がある。一般的に、エミッタの地理位置情報は、ネットワークオペレータまたはエミッタによる協力が必要であり、これらがない場合(複数のネットワーク及びエミッタへの協同的なアクセスが実行可能でない場合)、対象とするすべてのエミッタをマップすることはできない。
【0049】
しかし、無線エミッタはその伝送を物理的な電磁放射として一斉送信するため、それらは一般的に、受信機がエミッタ信号からノイズ及び干渉を識別する能力を有するならば、適切な検出範囲内に配置された好適なアンテナを備えた任意のシステムによって検出することができる。これは、情報内容を復号化もデコードもすることなく達成することができ、無線エミッタについての場所情報を、放射の受信電力、放射の周波数などに基づいて決定することができる。これはまた、情報内容を復号化もデコードもすることなく達成することができ、無線エミッタについての場所情報を、受信電力及び放射の周波数などに基づいて決定することができる。このようなシステムでは、既知の距離によって隔てられた複数のアンテナを使用して放射を検出できる場合、より正確な場所情報などのさらなる詳細を取得することができる、(たとえば、三角測量または類似の技術を使用して)。
【0050】
現代の無線送信は一般的に、デジタル変調信号を含む。これは、位相偏移変調(PSK)、周波数偏移変調(FSK)、振幅偏移変調(ASK)、または直交振幅変調(QAM)、または他の変調技術のようなキーイング技術を使用するなど、1つ以上の変調技術を使用してデジタルデータをエンコードする。これらの変調信号には、事実上繰り返される特性が含まれる場合があり、そこに含まれる基礎となるデータは、種々の技術を使用してエンコードまたは暗号化され得る。
【0051】
また、異なるタイプの無線エミッタは、周波数、帯域幅、変調タイプまたはレート、ビットレートなど、異なる物理特性を伴って放射する場合があり、これはまた、使用している無線サービスに基づいて、または無線サービスプロバイダの構成に基づいても変化し得る。たとえば、既知の無線エミッタ能力を使用して、個別の無線エミッタについての特定情報を、物理的な電磁放射を検出することによって決定することができ、この場合も内容をデコードすることも復号化することもしない。
【0052】
複数または数百万の無線エミッタが都市または他の地理的領域の全体にわたって分配されている場合、アンテナのネットワークを設けて無線エミッタの場所を追跡できるようにすることができるが、このようなネットワークは、既存の基地局ネットワーク(たとえば、セルラーネットワーク)に匹敵し、アンテナを設置するためのインフラストラクチャ、機器、及び物理的場所へのアクセスが必要となる。これは、種々の規制、フランチャイズ要件、所有権、またはリース要件などが課され、このようなネットワークの複雑さが増して、実行可能性が限定される。
【0053】
本明細書で説明する実施形態によれば、そのような問題点を打開することができる受信機のクラスが提供され、アンテナの小さいセットを、地理的領域または交通環境における多くの無線エミッタを追跡するために使用することができる。たとえば、相関受信機を使用することができる。単一のアンテナのみを含む従来の受信機とは対照的に、相関受信機は、少なくとも2つのアンテナを収容するための2つの入力を有する。これによって、相関受信機は、2つのアンテナ入力において受信した放射信号に対する時間差、及び2つのアンテナ入力において受信した放射信号に対する到達の周波数差を決定することができ、その結果、無線エミッタの正確な場所決定が可能になる。到達時間差を使用することができ、2つのアンテナ入力に入射する放射信号の迎え角を互いから得ることができるため、これらの態様を、場合によっては交換可能に使用してもよいことが理解されよう。さらに、2つのアンテナ入力から受信した放射信号を相関させて、ノイズ(たとえば、自然ノイズ)を除去し、背景放射からの発生信号(たとえば、無線エミッタによって生成されるなどの人為的または人工的な信号)を特定及び抽出し、受信信号の放射特性を提供し、または受信信号の変調シグネチャを提供して、たとえば、エミッタ分類を支援することができる。
【0054】
相関受信機を使用して、無線通信に必要な典型的な動作範囲の十分に外側の距離において無線エミッタの場所及び分類を決定することができる。これは、電磁放射におけるデータを相関受信機によって回復する必要がなく、必要な信号対雑音比を効果的に低減し、典型的な基地局に必要とされるものよりはるかに遠くに相関受信機を配置することができるため、成り立つ可能性がある。典型的な基地局は、一般的に無線エミッタとの双方向リンクを確立し、その結果、無線エミッタの妥当な近接に配置されることが多い。このようにして、相関受信機の単一のセットまたは小さいセットを、地理的領域内にまたは地理的領域の縁部に配置することができ、地理的領域にわたってエミッタの場所及び特性を追跡することに依然として有用である可能性がある。
【0055】
有利なことに、場所情報を自律車両によって使用することができ、本来はセンサデータを使用する場所処理から生じ得る計算負荷(たとえば、超音波レンジング等によって)を低減することができる。
【0056】
一態様では、無線通信装置の地理位置情報用などに対するリアルタイム相関受信機が記載される。いくつかの例では、リアルタイム相関受信機は、10MHzを超えるスペクトル範囲における高周波信号を受信することができる2つの空間的に分離されたアンテナから得られる信号入力と、時間領域または周波数領域のいずれかにおいて2つの信号入力において動作するリアルタイム相関器と、2つの信号入力間の到達時間差、2つのアンテナ入力に入射する電磁放射の迎え角、及び/または2つの信号入力間の到達の周波数差のうちの1つ以上を測定または決定するプロセッサと、を含む。
【0057】
別の態様では、交通参加者の地理位置情報などに対するリアルタイム相関受信機が記載され、これは、たとえば自律運転アプリケーションにおいて有用である可能性がある。いくつかの例では、リアルタイム相関受信機は、10MHzを超えるスペクトル範囲における高周波信号を受信することができる2つの空間的に分離されたアンテナから得られる信号入力と、時間領域または周波数領域のいずれかにおいて2つの信号入力において動作するリアルタイム相関器と、2つの信号入力間の到達時間差、2つのアンテナ入力に入射する電磁放射の迎え角、及び/または2つの信号入力間の到達の周波数差のうちの1つ以上を測定または決定するプロセッサと、を含む。
【0058】
有利なことに、本明細書に記載のリアルタイム相関受信機は、自然発生の放射ノイズまたは干渉を除去することによって、人工的な放射を除去または分離することができる。任意選択で、リアルタイム相関受信機は、ユーザクラスまたはエミッタクラスを特定する目的などで、移動放射及び固定放射を分離してもよい。
【0059】
いくつかの例では、相関は、入力信号をデジタル化し、スペクトル相関を計算するためにそのフーリエ変換を計算することによって、開始または実行される。いくつかの例では、相関は、2つの信号入力間の遅延を変え、2つを乗じ、積の時間積分を行うことによって実現または実行される。任意選択で、遅延関数が、可変長の物理的導波路を使用して実現または実行される。任意選択で、遅延関数が、調整可能な発振器と分散導波路との組み合わせを使用して実現または実行される。任意選択で、乗算関数が、光または高周波ミキサ素子によって実現または実行される。任意選択で、乗算関数が、コヒーレント光検出器によって実現または実行される。
【0060】
リアルタイム相関受信機の種々の出力を使用することができる。いくつかの例では、出力はスペクトル相関関数(SCF)または周期自己相関関数(CAF)である。任意選択で、リアルタイム相関受信機が、エミッタの地理位置情報及びその速度測定を決定する目的で、SCF及びCAF出力を生成することができる。任意選択で、リアルタイム相関受信機が、エミッタが使用しているサービスのタイプを特定する目的で、SCF及びCAF出力を生成することができる。任意選択で、リアルタイム相関受信機が、エミッタの物理的パラメータを特定する目的で、SCF及びCAF出力を生成することができる。限定することなく、物理的パラメータ例としては、次のうちの1つ以上を挙げてもよい。すなわち、放射の周波数及び動作帯域、変調サイクル、放射を変調するために使用されるコーディングタイプ、放射を生成する送信機のスペクトル及び時間応答、特定のエミッタを含むハードウェアタイプ、または放射の指向性、である。
【0061】
リアルタイム相関受信機は、種々の高周波で動作することができる。いくつかの例では、動作範囲は10kHz~4GHzである。いくつかの例では、動作範囲は10kHz~30GHzである。いくつかの例では、動作範囲は10kHz~110GHzである。任意選択で、リアルタイム相関受信機は、LTEスペクトル範囲において動作する。任意選択で、リアルタイム相関受信機は、5Gスペクトル範囲において動作する。任意選択で、リアルタイム相関受信機は、2フィート以上の地理位置情報精度を有するかまたは提供することができ、これはたとえば、10フィート~100フィート離れた範囲の放射に対するものである。任意選択で、リアルタイム相関受信機は、2フィート以上の地理位置情報精度を有するかまたは提供することができ、これはたとえば、100フィート~1000フィート離れた範囲の放射に対するものである。
【0062】
いくつかの例では、リアルタイム相関受信機は、その出力を、遠隔車両または交通参加者などにおいて、異なる、空間的に別個のリアルタイム相関受信機と共有することができる。任意選択で、2つの信号入力は、空間的に分離されたアンテナの異なるペアにアクセスすることによって実現される。場合によっては、リアルタイム相関受信機は、2つを超えるアンテナを含むかまたはこれを備えている。任意選択で、リアルタイム相関受信機は、2つの入力を使用して、ペアワイズな方法で複数のアンテナを含むかまたはこれにアクセスしてもよい。
【0063】
リアルタイム相関受信機によって取得された地理位置情報データを、種々の用途において使用することができる。例では、リアルタイム相関受信機によって生成された放射地理位置情報データを、地理的マップ上で転置することができる。例では、リアルタイム相関受信機によって生成された放射地理位置情報データを、ネットワークマップ上で転置することができる。例では、リアルタイム相関受信機によって生成された放射地理位置情報データを、サービスの交換を容易にするために使用されるかまたは通信セキュリティを促進するために使用されるシンボリックマップなどの、シンボリックマップ上で転置することができる。任意選択で、リアルタイム相関受信機によって生成された放射地理位置情報データを使用して、場所固有のサービス及び情報を提供することができる。
【0064】
リアルタイム相関受信機によって取得された地理位置情報データを、種々の用途において使用することができる。たとえば、地理位置情報は、少なくとも1つの無線エミッタ(たとえば、無線通信装置)を運ぶ車両に関連付けられる放射の地理位置情報に対応することができる。いくつかの例では、放射及び/または地理位置情報を、内燃機関車両または電気機関車両に関連付けることができる。任意選択で、放射及び/または地理位置情報を、歩行者または自転車などのエンジン推進の無い交通参加者に関連付けることができる。任意選択で、放射は、車両または歩行者などの交通参加者などから反射された反射放射とすることができる。任意選択で、放射は、車両の測距または衝突防止送信機から発生することができ、及び/または車両の測距または衝突防止送信機からのこのような放射は、他の交通参加者によって反射されることができる。
【0065】
任意選択で、リアルタイム相関受信機は、地理位置情報を時間の関数としてモニタリングまたは追跡するなどによって、エミッタに対する速度測定情報を計算することができる。速度測定情報は、任意選択で、特定または検出された複数またはすべての放射に対して決定することができる。
【0066】
相関受信機を使用して、無線エミッタに対する場所情報を決定できるようにすることができ、エミッタ特性を決定できるようにすることができる。これはすべて、無線放射の存在を単に検出することに基づいており、無線放射におけるデータをデコードすることも復号化することもしない。無線放射の存在は、データをデコードまたは復号化するために必要なものよりもはるかに大きい範囲において検出できるため、信号対雑音比は、無線通信に必要なものよりもはるかに小さくすることができ、相関受信機にとって有用な範囲は、無線通信の場合よりもかなり大きくすることができる。また相関受信機によって、背景または自然高周波ノイズなどのノイズの除去を改善することもできる。なぜならば、相関受信機は、複数のアンテナ入力からの信号のペアワイズ結合を使用して動作できるからである。
【0067】
周期定常受信機などの種々の異なる相関受信機を使用することができる。しかし、このような受信機は、高周波放射のリアルタイム検出に使用されるときには、従来(全電子的な実施態様)が使用される場合、GHzスケールの周波数範囲以下に限定されることがある。アナログ処理とデジタル処理とを組み合わせたハイブリッド相関受信機は、有効周波数範囲を数十GHzにスケール変更するのに有用である一方で、依然としてリアルタイムで動作し、より短い公称上の伝搬範囲を有する周波数への拡張が得られる。スペクトル相関及び分析についてのさらなる詳細は、米国特許出願第16/236,038号(2018年12月28日に出願)、公開第US2019/0339548号(2019年11月7日に公開)、現在は米国特許第11,137,627号(参照により本明細書に組み込まれている)に見出し得る。
【0068】
相関受信機システム
時間変調信号x(t)は、信号内のデータ内容を評価することなく信号自体についての特性を決定するなどのために、スペクトル相関を使用して分析することができる。スペクトル相関は、信号検出において、たとえば遠距離通信システムにおいて使用されてきた。周期定常過程のスペクトル相関関数は、時系列の周波数シフトされたバージョンのすべてのペアの相互スペクトル密度(またはコヒーレンス)を記述する。スペクトル相関を計算することによって、周期的特徴を有する決定論的部分が出現する間、周期定常過程の確率的部分(すなわち、ノイズ)が消失する。
【0069】
周期定常性及び高次(キュムラント)分析は、事実信号及びノイズの相関(すなわち、モーメント)特性が異なるという事実に基づいている。変調を伴う信号x(t)、たとえば無線放射は、式(1)に示すように、信号及びその遅延コピーのフーリエ変換として規定される固有の周期自己相関
【数1】
を有する。
【数2】
当業者であれば、式(1)を、スペクトル密度が時間においてどのように変化するかを近似するウィグナー関数として認識するであろう。スペクトル相関関数
【数3】
は、式(2)に示すように周期自己相関
【数4】
のフーリエ対応部分である。
【数5】
【0070】
変調信号の周期自己相関関数
【数6】
及び/またはスペクトル相関関数
【数7】
を決定するための技術が、米国特許出願第16/236,038号(2018年12月28日に出願)、公開第US2019/0339548号(2019年11月7日に公開)、現在は米国特許第11,137,627号(参照により本明細書に組み込まれている)に記載されている。周期自己相関関数
【数8】
またはスペクトル相関関数
【数9】
の一方が利用可能であるかまたは決定されている場合、それらは前述したようにフーリエ変換によって互いに関連しているため、他方は直接得ることができることが理解されよう。
【0071】
無線放射の周期自己相関関数及び/またはスペクトル相関関数を取得することによって、搬送周波数、帯域幅、ビットレート、変調タイプなど、放射についての特性情報を決定できるようにすることができる。エミッタについての地理位置情報を決定する際に使用するために、複数の空間的に分離されたアンテナを、本明細書では周期相互相関と言う周期自己相関の変化において使用することができる。2つのアンテナが距離によって互いから分離されている場合、これらは両方とも同じ無線放射を受信できるが、受信信号の間に時間遅延t
Dが存在する。これは、アンテナ間の距離の関数である。受信信号x(t)のそれ自体との相関(自己相関)を決定する代わりに、2つの異なるアンテナにおいて受信した信号(x
1(t)及びx
2(t))を、互いに相関させることができる。
【数10】
周期相互相関に対するτの値は、異なるアンテナにおいて信号を受信する間で、時間遅延t
Dだけシフトされる。最大値検索アルゴリズムによって、t
Dとアンテナ間の線に関する信号に対する到達角度(AoA)とを迅速に推定することができる。
図1に、エミッタに関する2つのアンテナの幾何学的形状の概要を示し、それらの間の距離δと到達角度θとを示す。ここで、コサイン関数によって、θ、δ、及びt
Dの間の関係が規定される。
【数11】
【0072】
図2は、周期自己相関、周期相互相関、及び/またはスペクトル相関関数を決定するのに有用な相関システム200のブロック図である。相関システム200は、解を得るために通常必要である繰り返し計算を行うことなく、ウィグナー方程式(すなわち、式(1))及びその変形を光学ドメインにおいて解く手段を提供し得る。
図2を参照して、相関システム200は、マスタレーザ205、第1の光学調器215、分散素子225、第2の光学調器230、及び光コムフィルタ240を含んでいてもよい。マスタレーザ205は、たとえば、限定することなく、低線幅の半導体レーザまたは他のレーザであってもよい。マスタレーザ205は、異なる光波長(すなわち、色彩、またはトーン)において信号の自己参照光周波数コム信号210を生成してもよい。光周波数コム信号210のトーンは、第1の光学調器215において、第1のアンテナ220において受信した高周波(RF)信号に対応する第1の入力信号によって変調してもよい。x
1(t)第1の光学調器215は、第1の入力信号x
1(t)のN個のスペクトルコピーを、光周波数コム信号210のトーンで生成してもよい。
【0073】
第1の入力信号x1(t)のN個のスペクトルコピーを、分散素子225に送ってもよい。分散素子225は、光ファイバ分散素子、たとえば、限定することなく、シングルモードファイバまたは他の分散素子であってもよい。分散素子225は、第1の入力信号x1(t)の隣接するスペクトルコピー間で、波長依存の時間遅延τkを生成してもよい。時間遅延は、周波数領域における位相シフトに対応する。第1の入力信号x1(t)の遅延スペクトルコピー(すなわち、x1(t-τ1)...x1(t-τN))を、第2の光学調器230に送ってもよい。
【0074】
第2の光学調器230は、第1の入力信号x1(t)の遅延スペクトルコピーを、第2のアンテナ235において受信した高周波(RF)信号に対応する第2の入力信号x
1(t)の共役x
2*(t)によって変調してもよく、これには、第1の入力信号x
1(t)の時間遅延バージョンが含まれていてもよい。第2の光学調器230は、遅延スペクトルコピーの共役変調スペクトルコピー(すなわち、x
2*(t)x
1(t-τ
1)...x
2*(t)x
1(t-τ
N))を生成してもよい。入力信号x
1(t)の遅延スペクトルコピーの共役変調の結果、周期自己相関または相互相関係数を得るために積分される項
【数12】
が、式(3)から実際に生成される。
【0075】
共役変調スペクトルコピーを、光コムフィルタ240に送ってもよい。光コムフィルタ240は、たとえば、限定することなく、高分解能エタロンまたは他の光コムフィルタであってもよい。光コムフィルタ240は、共役変調スペクトルコピーの積分を行って、すべての時間遅延τ
kに対する周期自己相関係数に対応する積分された共役変調スペクトルコピーを生成してもよい。たとえば、N番目の積分された共役変調スペクトルコピーは、各繰り返し周波数α
i(i=1,2,...N)においてτ
N遅延に対応する周期自己相関係数
【数13】
の完全セットを有していてもよい。結果として、N個の積分されたスペクトルコピーの完全な補完によって、完全な周期自己相関テーブルが形成され、フォトニックドメインまたは電子ドメインのいずれかにおいてフルレートFFT計算を必要としない。
【0076】
図2に例示した相関システム200は、周期自己相関係数を読み出すためのコンポーネントをさらに含んでいる。たとえば、相関システム200は、高周波(RF)発振器245、第3の光学調器250、たとえば、単側波帯(SSB)変調器または他の変調器、光波長分波器260、90°ハイブリッド光モジュール265、及び複数の検出器D
1~D
N270を含んでいてもよい。複数の検出器D
1~D
N270は、コヒーレント受信機であってもよい。RF発振器245は掃引周波数を生成してもよい。マスタレーザ205によって生成された信号と、RF発振器245によって生成された掃引周波数とを、第3の光学調器250に入力してもよい。
【0077】
第3の光学調器250は、マスタレーザ205によって生成された信号を周波数において、たとえば、数ギガヘルツまたは他の量だけシフトさせてもよく、この周波数シフトされた信号を使用して、第2の光周波数コム255を生成してもよい。第2の光周波数コム255の周波数ピッチは、入力信号x1(t)をスペクトルクローニングするために使用される元の周波数コム210と同じであってもよい。しかし、第2の光周波数コム255のコム歯は、掃引RF発振245に続いて数ギガヘルツだけ掃引してもよい。生成された周波数コムは、本明細書では掃引光サンプリング信号と言う場合がある。掃引光サンプリング信号は、マスタレーザ信号の周波数よりも低いレート、たとえば、約25kHzの周波数または他の周波数で掃引してもよい。
【0078】
掃引光サンプリング信号及び積分された共役変調スペクトルコピーを、90°ハイブリッド光モジュール265によって結合してもよい。90°ハイブリッド光モジュール265は、コヒーレント受信機として機能してもよく、4つの信号、変調信号プラス局部発振器信号、変調信号マイナス局部発振器信号、変調信号プラス局部発振器信号の共役、及び変調信号マイナス局部発振器信号の共役を出力してもよい。ハイブリッド光モジュール265の出力信号を、光波長分波器260に入力してもよい。
【0079】
光波長分波器260は、複数の分波器モジュールを含んでいてもよい。いくつかの実施態様では、4つの分波器モジュールを使用してもよい。各分波器モジュールは、ハイブリッド光モジュール265の1つの出力を逆多重化するように構成してもよい。逆多重化された信号は、複数の検出器270によって検出してもよい。複数の検出器D1~DN270は、コヒーレント検出器であってもよい。いくつかの実施形態では、各コヒーレント検出器は2つの平衡検出器を含み、各平衡検出器は2つのPINダイオードを有していてもよい(すなわち、各コヒーレント検出器に対して全部で4つのPINダイオード)。複数の検出器D1~DN270のそれぞれは、複数の分波器モジュールのそれぞれから信号を受信する。たとえば、4つの分波器モジュールを使用する実施態様の場合、各検出器D1~DNは、各分波器モジュールから信号を受信し、すなわち、各検出器D1~DNは4つの信号を受信する。
【0080】
検出器D
1~D
Nのそれぞれは、積分された共役変調スペクトルコピーからの関連付けられるトーンのすべての時間遅延τ
kに対して、周期自己相関(相互相関)係数をコヒーレントに検出してもよい。検出器D
1~D
Nは係数を同時にストリーミングして、
【数14】
係数が同時に検出され、
【数15】
が
【数16】
係数などの後に同時にストリーミングされるようにしてもよい。検出器D
1~D
Nは、検出された周期自己相関係数を時間の関数として出力してもよい。したがって、相関システム200によって、周期自己相関または相互相関係数を効率的に決定することが得られ得る。検出された係数を、たとえばアナログ/デジタル(A/D)変換器を使用してデジタル化してもよく、スペクトル相関関数を計算してもよい。
【0081】
相関システム200は、
図2に例示したもの以外に、プロセッサ、入力または出力デバイス、制御デバイス、メモリデバイス、記憶デバイスなどの他のコンポーネントを含むことができる。相関システム200は相関受信機の一例を提供しているだけであり、代わりに他の実施態様を使用してもよいことが理解されよう。たとえば、相関システム200の特定の態様を、デジタルシステムコンポーネントを使用して実施してもよい。たとえば、相関受信機の全電子的な実施態様を使用することができ、ならびにアナログ信号処理コアとデジタル信号処理コアとを組み合わせたハイブリッド相関受信機も使用できる。いくつかの例では、アンテナからのアナログ信号を時間の関数として測定する場合、これらのアナログ信号を、1つ以上のアナログ/デジタル変換器を使用して量子化することができる。アンテナにおいて受信した信号の周波数スペクトルを得るために、高速フーリエ変換(FFT)をデジタルデータに対して行うことができる。
【0082】
図3、
図4、及び
図5に、1m離れて配置されたアンテナに対して、1GHzのシンボルレートBPSK信号に対する周期自己相関関数を、ルートレイズドコサインフィルタとともに示し、シンボルベースの特徴と搬送周波数ベースの特徴との両方を示す。
図3では、プロットはデータを3次元プロットとして示し、
図4は、同じデータを2次元プロットとして示す。
図5では、シンボルベースの特徴はτ=0nsを中心としており、2つのアンテナにおいて受信した信号間の遅延時間t
Dが約0nsであることを示している。
図5では、シンボルベースの特徴は右にシフトされて、τ=0.5nsを中心としており、2つのアンテナにおいて受信した信号間の遅延時間t
Dが約0.5nsであることを示している。この情報に基づき、また前述の式4を使用して、
図4に示す信号に対する到達角度は90°、
図5に示す信号に対する到達角度は81°である。
【0083】
いくつかの例では、
図2に示す相関システム200における構成とは対照的に、周期自己相関またはスペクトル相関関数を決定することは、相関システムから遠隔にあるアンテナを使用して達成することができる。たとえば、
図6に示す相関システム600は、相関システム200と同様に、リモートアンテナを使用できるようにする他のコンポーネントを収容する。たとえば、アンテナが第1の光学調器及び第2の光学調器に直接結合される代わりに、相関システム600は、第1の光学調器615に結合された第1の入力サブシステム620と、第2の光学調器630に結合された第2の入力サブシステム635とを含む。
図6では別個のサブシステムとして例示しているが、入力サブシステム620及び635は同じコンポーネントとすることができる。相関システム600は、例示したもの以外に、プロセッサ、入力または出力デバイス、制御デバイス、メモリデバイス、記憶デバイスなどの他のコンポーネントを含むことができる。
【0084】
入力サブシステム620及び635は、相関システム200におけるアンテナ220及び230によって提供される変調信号の代わりに、リモート変調信号x
γ(t)を提供することができる。ここで、リモート変調信号x
γ(t)は、リモートアンテナシステムから相関システム600において受信したアンテナ信号に対応することができる。たとえば、
図6には、3つのリモートアンテナシステム650、651、及び652を示し、それぞれ、独自のアンテナ655、656、及び657をそれぞれ含んでいる。リモートアンテナシステム650、651、及び652は、対応するアンテナにおいて受信した信号を取得し、デジタル化し、及びデジタルデータとして相関システム600に送信するためのコンポーネントを含むことができる。ここで、第1及び第2の入力サブシステム620及び635はそれぞれ、デジタルデータを使用して変調信号x
γ(t)を生成し、第1及び第2の光学調器615及び630に提供することができる。たとえば、リモートアンテナシステム650、651、及び652は、増幅器、アナログ/デジタル変換器、及び他のコンポーネントであって、対応するアンテナにおいて受信した放射信号を受信し、デジタル化し、及び/または処理し、受信した信号をデジタルデータとして相関システム600に(たとえば、無線または有線デジタル通信を介して)伝達するコンポーネントを含むことができる。いくつかの例では、リモートアンテナシステムは、受信及びデジタル化された放射信号を変換するために、たとえば、放射信号のフーリエ変換を決定し、及び/または放射信号またはフーリエ変換の共役を決定し、及び/またはデジタルデータを圧縮またはエンコードするために、プロセッサまたは他のコンポーネントを含むことができる。
図6では3つのリモートアンテナシステム650、651、及び652を示しているが、任意の所望の数のさらなるアンテナシステムを使用することができる。さらに、1つ以上のアンテナを相関システム600に直接組み込んでもよいが、複数のリモートアンテナを使用することによって種々の利点が得られ得る。
【0085】
たとえば、リモートアンテナシステムを使用することによって、相関システム600は、必要に応じて、いずれかまたはすべてのアンテナペア間でペアワイズな方法で周期自己相関またはスペクトル相関関数を得ることができる。
図6に例示した構成では、たとえば、入力サブシステム620は、リモートアンテナシステム650からのアンテナ信号を使用することができ、入力サブシステム635は、リモートアンテナシステム651からのアンテナ信号を使用することができる。それに加えてまたはその代わりに、入力サブシステム620は、リモートアンテナシステム651からのアンテナ信号を使用することができ、入力サブシステム635は、リモートアンテナシステム652からのアンテナ信号を使用することができる。それに加えてまたはその代わりに、入力サブシステム620は、リモートアンテナシステム652からのアンテナ信号を使用することができ、入力サブシステム635は、リモートアンテナシステム650からのアンテナ信号を使用することができる。逆のアンテナペアの割当てを使用してもよい。このようにして、3つのアンテナペアを、それぞれ、受信した放射の到達角度を決定するために使用してもよく、到達角度を使用して、エミッタの正確な位置を決定することができる。
【0086】
エミッタ場所の追跡
図7に、高周波放射790を生成するエミッタ785を含む地理的領域の周りに配置された複数のアンテナシステム700の概略図を示す。地理的領域は、都市、町、またはその任意の所望のサブセットとすることができる。いくつかの例では、地理的領域は、マクロセル領域、マイクロセル領域などのセルラーネットワーク内のセルまたはその一部とすることができる。
【0087】
この例では、アンテナシステム700は、リモートアンテナシステムまたは相関システムを含んでいてもよく、これにより、アンテナ751、752、753、及び754が、放射790に対する周期自己相関関数及び/またはスペクトル相関関数及び遅延時間tDを決定することによってエミッタ785への到達角度を決定するために、任意のペアワイズ組み合わせで使用されてもよい。到達角度を使用して、地理位置情報(たとえば、アンテナからの相対的な地理座標)を、エミッタ785に対して決定することができる。アンテナのうちの1つ以上の絶対的な地理座標が既知である場合、地理位置情報は、エミッタに対する絶対的な地理座標(たとえば、x及びy、または緯度及び経度など)とすることができる。
【0088】
複数のエミッタ785が地理的領域内に存在する場合、アンテナが放射を受信することができるならば、各エミッタに対する地理位置情報を、同じ方法で、また同じアンテナペアを使用して、同様に取得することができる。場合によっては、狭帯域アンテナを使用して、高周波スペクトルのサブセットを高感度にモニタリングすることができるが、混合信号受信機であれば、非常に大きな帯域の高周波スペクトルもカバーすることができ、多くの数及び種類のエミッタに対する地理位置情報を決定することができる。有利なことに、本明細書に記載するようなペアワイズのアンテナを使用して周期自己相関関数及び/またはスペクトル相関関数を取得することを用いて、すべてのエミッタ785に対する地理位置情報を同時に取得することができる。
【0089】
アンテナシステム700は、エミッタ785から極めて長距離に配置することができ、それでも地理位置情報及び他の情報を決定するのに有用であることが理解されよう。たとえば、本明細書で説明した手法によりエミッタ785の地理位置情報を決定するために必要な信号対雑音比は、エミッタ785によってなされたデータ送信を受信及びデコードするために必要な信号対雑音比よりも著しく小さくすることができる。相関受信機を使用して、無線通信に必要な典型的な動作範囲の十分に外側の距離において無線エミッタの場所及び分類を決定することができる。これは、電磁放射におけるデータを相関受信機によって回復する必要がなく、必要な信号対雑音比を効果的に低減し、典型的な基地局に必要とされるものよりはるかに遠くに相関受信機を配置することができるため、成り立つ可能性がある。典型的な基地局は、一般的に無線エミッタとの双方向リンクを確立し、その結果、無線エミッタの妥当な近接に配置されることが多い。このようにして、相関受信機の単一のセットまたは小さいセットを、地理的領域内にまたは地理的領域の縁部に配置することができ、地理的領域にわたってエミッタの場所及び特性を追跡することに依然として有用である可能性がある。さらに、本明細書に記載のシステム及び方法において有用な相関受信機は、ノイズに対する高い区別をもたらすことができる。たとえば、周期自己相関関数及び/またはスペクトル相関関数は、信号がそれ自体に相関されるため、ノイズを特定の位置に制限することができる。スペクトル相関関数では、ノイズは特定の相関周波数または繰り返し周波数(α=0)に制限され、一方で、変調信号は、他の場所では検出フロアより上に上昇して、変調シグネチャを提供することができる。周期自己相関関数では、ノイズは、特定の相関周波数または繰り返し周波数(α)及び時間遅延(τ)のマップの原点に制限される。
【0090】
複数のエミッタに対して利用可能な地理位置情報により、このような情報をマップまたは他の座標系に重ね合わせて、エミッタ場所の分布を示すことができる。
図8に、前述したように、少なくとも3つのアンテナをペアワイズな方法で使用する本明細書に記載の相関システムによって決定されるように、8km×10kmの地理的領域における種々の異なるエミッタ885のx座標及びy座標を示す座標系例を示す。
【0091】
各エミッタについての付加情報は、エミッタ885の地理位置情報を決定するために取得された周期自己相関関数及び/またはスペクトル相関関数をさらに検査することによって、決定することができる。たとえば、周期自己相関関数及び/またはスペクトル相関関数における特徴の位置及び数は、エミッタに関する詳細を示す物理的シグネチャを提供することができる。なぜならば、異なるタイプの無線エミッタは、異なる物理特性、たとえば、放射の周波数及び動作帯域、変調サイクル、放射を変調するために使用されるコーディングタイプ、放射を生成する送信機のスペクトル及び時間応答などを伴って放射するからであり、これはまた、使用している無線サービスに基づいて、特定のエミッタを含むハードウェアタイプに基づいて、または無線サービスプロバイダの構成に基づいても変化し得る。たとえば、既知の無線エミッタ能力を使用して、個別の無線エミッタについての特定情報を、物理的な電磁放射を検出することによって決定することができ、この場合も内容をデコードすることも復号化することもしない。これは、周期自己相関関数及び/またはスペクトル相関関数における特徴の振幅または位相を分析することにより、及び/または既知のシグネチャに対してパターンマッチング関数を使用することにより、達成することができる。相関受信機を使用して信号を分析するための技術に関するさらなる詳細は、米国特許出願第17/681,629号に記載されている。なおこの文献はその全体において参照により本明細書に組み込まれている。場合によっては、既知のエミッタタイプのデータベースを使用して、物理的シグネチャ情報を、エミッタのタイプ、クラス、製造者、及びまたはモデルと照合することができる。
【0092】
いくつかの例では、エミッタのタイプまたはクラスを、マップまたは他の座標系とペアにするかまたはそれらに重ね合わせて、エミッタ場所及びそのタイプまたはクラスの分布を示すことができる。
図9に、8km×10kmの地理的領域における種々の異なるエミッタ985のx座標及びy座標を示す座標系例であって、タイプまたはクラスの識別子を含むものを示す。この情報は、たとえば、マップまたは座標系がグラフィカルユーザインターフェース上に表示される場合に、エミッタに対するアイコン情報として、または特定のエミッタについての拡大された詳細を拡大することができる構成において、示すことができる。
【0093】
図10は、本発明の実施形態により地理的領域内の複数の無線エミッタをマッピングする方法1000を例示する簡略化されたフローチャートである。ブロック1005において、信号入力ペアを、アンテナペアにおいて複数の無線エミッタから無線放射を受信することによって生成する。ペアにおけるアンテナ間の距離は知ることができ、無線信号を、可能性として異なる時間に、各アンテナにおいて受信することができる。たとえば、各アンテナは、時間に依存して変調された電圧信号を生成することができ、この電圧信号は、入力信号として相関受信機に提供することができる。
【0094】
ブロック1010において、信号入力ペアを相関受信機によって処理して、複数の無線エミッタに対する地理位置情報のセットを決定する。プロセスの第1のステップとして、時間に依存する電圧信号を、アナログ/デジタル変換器などを使用して量子化することができる。任意選択で、時間に依存する信号のフーリエ変換を行って、信号を周波数空間に変換することができる。そして信号を、自己相関関数を用いてスペクトル的に相関させることができ、この結果、決定すべき到達時間差(TDOA)または到達角度(AoA)などの特徴を抽出することができ、そして特徴を、無線エミッタの地理位置情報を決定するために使用することができる。
【0095】
ブロック1015において、放射シグネチャを、任意選択で信号入力ペアに対して決定して、複数の無線エミッタのクラスまたはタイプのセットを決定することができる。たとえば、放射シグネチャは、無線エミッタの物理的パラメータ(たとえば、周波数能力、ビットレート能力など)及び無線エミッタが使用しているサービスのクラス(複数可)(たとえば、サービスプロバイダ)を特定することができる。この情報を、地理位置情報と結合させてもよい。
【0096】
ブロック1020において、地理位置情報を評価して、複数の無線エミッタに対する地理位置情報が十分な精度で取得されたか否かを判定することができる。取得されていない場合には、プロセス1000は、判定点1025において分岐して、ブロック1030に進むことができる。ここでは、さらなる信号入力を、複数の無線エミッタからさらなる無線放射を受信することによって、たとえば、1つ以上の異なるアンテナ、またはブロック1005において使用したものから変位させた1つ以上のアンテナなどを使用して、生成することができる。プロセスはブロック1010に戻ることができ、ここでは、さらなる信号入力に対して処理を繰り返して、複数の無線エミッタに対する更新された地理位置情報を決定することができる。
【0097】
ブロック1020において、地理位置情報が十分な精度で取得されたと判定された場合、プロセス1000は判定点1025において分岐して、ブロック1035に進むことができる。ここでは、地理位置情報を地理的マップなどのマップに、任意選択でクラスまたはタイプ情報とともに、重ね合わせることができる。無線放射を受信することによって信号を生成することと地理位置情報を決定するための処理とのプロセスを、時間の関数として繰り返して、複数の無線エミッタの地理位置情報を経時的に追跡できるようにすることができる。有利なことに、対応するクラスまたはタイプの無線エミッタと結合された地理位置情報の継続的な追跡によって、個別の無線エミッタを正確に追跡することができる。地理位置情報、タイプまたはクラス情報、マッピング情報などを、データストリームとして1つ以上の受信側に提供することができる。
【0098】
図10に例示した特定のステップにより、本発明の実施形態による地理的領域内の無線エミッタをマッピングする特定の方法が提供されることを理解されたい。代替的な実施形態により、他のステップ順序を行ってもよい。たとえば、本発明の代替的な実施形態では、上記で概説したステップを異なる順番で行ってもよい。また、
図10に例示した個別のステップは、個別のステップに適した種々の順序で行ってもよい複数のサブステップを含んでいてもよい。また、さらなるステップを、特定の用途に応じて加えてもよいし、取り除いてもよい。当業者であれば、多くの変形、変更、及び代替案を認識するであろう。
【0099】
交通参加者の場所の追跡
図11に、複数の交通参加者の概略図を示す。例示した交通参加者には、車両1150及び1155ならびに歩行者が含まれ、歩行者は、高周波放射1190を生成する無線エミッタ1185(たとえば、セルラー電話)を携帯している。
【0100】
この例では、車両1150は、相関システムを含んでいてもよく、アンテナ1151及び1152を含んでいてもよく、車両1155は、リモートアンテナシステムを含んでいてもよく、アンテナ1156を含んでいてもよい。いくつかの例では、例示したものと比べて、さらなるまたはより少ないアンテナを車両1150または1155に設けてもよい。たとえば、車両1150は、種々のアンテナ1151、1152、及び1156のペアワイズ組み合わせを使用して、エミッタ1185への到達角度を、放射1190に対する周期自己相関関数及び/またはスペクトル相関関数及び時間遅延tDを決定することによって、決定してもよい。いくつかの例では、固定アンテナシステム1153のアンテナを、ペアワイズ組み合わせ及びエミッタ1185への到達角度の決定のために使用してもよい。到達角度を使用して、地理位置情報(たとえば、アンテナからの相対的な地理座標)を、エミッタ1185に対して決定することができる。
【0101】
図11では単一のエミッタを例示しているが、車両1150及び1155のそれぞれ、及び任意の他の交通参加者または他のエミッタも、領域内に存在することができ、各エミッタに対する地理位置情報を、同じ方法で、また同じアンテナペアまたは異なるアンテナペアを使用して、同様に取得することができる。場合によっては、狭帯域アンテナを使用して、高周波スペクトルのサブセットを高感度にモニタリングすることができるが、混合信号受信機であれば、非常に大きな帯域の高周波スペクトルもカバーすることができ、多くの数及び種類のエミッタに対する地理位置情報を決定することができる。有利なことに、本明細書に記載するようなペアワイズのアンテナを使用して周期自己相関関数及び/またはスペクトル相関関数を取得することを用いて、すべてのエミッタに対する地理位置情報を同時に取得することができる。
【0102】
地理位置情報を決定するために使用されるアンテナシステム及び相関システムは、エミッタ/交通参加者から極めて長距離に配置することができ、それでも地理位置情報及び他の情報を決定するのに有用であることが理解されよう。たとえば、本明細書で説明した手法によりエミッタ/交通参加者の地理位置情報を決定するために必要な信号対雑音比は、エミッタ/交通参加者によってなされたデータ送信を受信及びデコードするために必要な信号対雑音比よりも著しく小さくすることができる。相関受信機を使用して、無線通信に必要な典型的な動作範囲の十分に外側の距離において無線エミッタ/交通参加者の場所及び分類を決定することができるが、交通状況では、範囲は典型的には非常に近い。これは、電磁放射におけるデータを相関受信機によって回復する必要がなく、必要な信号対雑音比を効果的に低減し、典型的な基地局に必要とされるものよりはるかに遠くに相関受信機を配置することができるため、成り立つ可能性がある。典型的な基地局は、一般的に無線エミッタとの双方向リンクを確立し、その結果、無線エミッタの妥当な近接に配置されることが多い。このようにして、1つ以上の固定アンテナシステムを、対象とする車両の近接する交通領域から近位に配置することができるが、それでも、交通フローにおけるエミッタの地理位置情報追跡の決定を可能にする相関受信機システムへの有用な入力信号が得られる。さらに、本明細書に記載のシステム及び方法において有用な相関受信機は、ノイズに対する高い区別をもたらすことができる。たとえば、周期自己相関関数及び/またはスペクトル相関関数は、信号がそれ自体に相関されるため、ノイズを特定の位置に制限することができる。スペクトル相関関数では、ノイズは特定の相関周波数または繰り返し周波数(α=0)に制限され、一方で、変調信号は、他の場所では検出フロアより上に上昇して、変調シグネチャを提供することができる。周期自己相関関数では、ノイズは、特定の相関周波数または繰り返し周波数(α)及び時間遅延(τ)マップの原点に制限される。
【0103】
複数のエミッタ/交通参加者に対して利用可能な地理位置情報により、このような情報を、車両(たとえば、自動運転車両または自律車両)に利用可能な他の情報ともに使用することができる。その結果、短距離の生成及び/または処理、LiDAR信号のような計算集約的な信号の生成及び/または処理に由来する車両への計算負荷を緩和または低減することができ、またはそうでなければ、車両が種々の交通参加者の場所を決定するのを支援することができる。
【0104】
いくつかの例では、一部の交通参加者は無線エミッタを含まない場合があるが、本明細書で説明したシステム、方法、及び手法はそれでも、これらの交通参加者の少なくとも一部に対する地理位置情報を決定するのに有用である可能性がある。たとえば、相関受信機またはアンテナシステムは、交通参加者から少なくとも部分的に反射することが意図された無線放射を生成することができ、その後、本明細書においてアクティブな放射が分析されるのと同じ方法で反射放射がモニタリングされる受信モードに切り替わる。場合によっては、見込みのある無線放射は、他の無線放射またはノイズに対する容易な区別をもたらすために、周波数、帯域幅、変調タイプなどの特定の放射特性を意図的に含むことができるが、これは単なる任意選択である。なぜならば、本明細書に記載のシステム及び方法は、受信機の相互相関の態様に起因するノイズまたは他の放射を強力に区別できるからである。
【0105】
場合によっては、任意の交通参加者の地理位置情報を、マップ、座標系、または他のユーザインターフェースに重ね合わせて、エミッタ場所の分布を視覚化することなどを行うことができる。各エミッタについての付加情報は、エミッタの地理位置情報を決定するために取得された周期自己相関関数及び/またはスペクトル相関関数をさらに検査することによって、決定することができる。たとえば、周期自己相関関数及び/またはスペクトル相関関数における特徴の位置及び数は、エミッタに関する詳細を示す物理的シグネチャを提供することができる。なぜならば、異なるタイプの無線エミッタは、異なる物理特性、たとえば、放射の周波数及び動作帯域、変調サイクル、放射を変調するために使用されるコーディングタイプ、放射を生成する送信機のスペクトル及び時間応答などを伴って放射するからであり、これはまた、使用している無線サービスに基づいて、特定のエミッタを含むハードウェアタイプに基づいて、または無線サービスプロバイダの構成に基づいても変化し得る。たとえば、既知の無線エミッタ能力を使用して、個別の無線エミッタについての特定情報を、物理的な電磁放射を検出することによって決定することができ、この場合も内容をデコードすることも復号化することもしない。これは、周期自己相関関数及び/またはスペクトル相関関数における特徴の振幅または位相を分析することにより、及び/または既知のシグネチャに対してパターンマッチング関数を使用することにより、達成することができる。相関受信機を使用して信号を分析するための技術に関するさらなる詳細は、米国特許出願第17/681,629号に記載されている。なおこの文献はその全体において参照により本明細書に組み込まれている。場合によっては、既知のエミッタタイプのデータベースを使用して、物理的シグネチャ情報を、エミッタのタイプ、クラス、製造者、及びまたはモデルと照合することができる。いくつかの例では、エミッタのタイプまたはクラスを、マップまたは他の座標系とペアにするかまたはそれらに重ね合わせて、エミッタ場所及びそのタイプまたはクラスの分布を示すことができる。この情報は、たとえば、マップまたは座標系がグラフィカルユーザインターフェース上に表示される場合に、エミッタに対するアイコン情報として、または特定のエミッタについての拡大された詳細を拡大することができる構成において、示すことができる。
【0106】
図12は、ナビゲーション指示を決定する際に使用する自律車両などによって行われる、一例による交通参加者の場所及び/または速度測定を決定する方法1200を例示する簡略化されたフローチャートである。ブロック1205において、信号入力ペアを、アンテナペアにおいて複数の交通参加者に関連付けられる無線放射を受信することによって生成する。ペアにおけるアンテナ間の距離は知ることができ、無線放射を、場合によっては異なる時間に、各アンテナにおいて受信することができる。たとえば、各アンテナは、時間に依存して変調された電圧信号を生成することができ、この電圧信号は、入力信号として相関受信機に提供することができる。アンテナは自律車両内または自律車両上に配置することができるが、アンテナを自律車両の外側に配置して、信号入力を自律車両に無線で送信する実施形態が考えられる。
【0107】
ブロック1210において、信号入力ペアを自律車両内の相関受信機によって処理して、複数の交通参加者の地理位置情報のセット及び任意選択で速度測定を決定する。プロセスの第1のステップとして、時間に依存する電圧信号を、アナログ/デジタル変換器などを使用して量子化することができる。任意選択で、時間に依存する信号のフーリエ変換を行って、信号を周波数空間に変換することができる。そして信号を、自己相関関数を用いてスペクトル的に相関させることができ、その結果、決定すべき到達時間差(TDOA)または到達角度(AoA)などの特徴を抽出することができ、そして特徴を、複数の交通参加者または交通参加者に関連付けられる無線エミッタの地理位置情報を決定するために使用することができる。任意選択で、放射シグネチャを、第1の信号入力ペアに対して決定して、複数の交通参加者に関連付けられる無線エミッタのクラスまたはタイプを決定することができる。たとえば、放射シグネチャは、無線エミッタの物理的パラメータ(たとえば、周波数能力、ビットレート能力など)及び無線エミッタが使用しているサービスのクラス(たとえば、サービスプロバイダ)を特定することができる。この情報は、地理位置情報と結合させてもよい。
【0108】
ブロック1215において、地理位置情報及び速度測定情報を評価して、交通参加者に対する地理位置情報及び速度測定が十分な精度で取得されたか否かを判定することができる。取得されていない場合には、プロセス1200は、判定点1220において分岐してブロック1225に進むことができる。ここでは、さらなる信号入力を、複数の交通参加者に関連付けられるさらなる無線放射を受信することによって、たとえば、1つ以上の異なるアンテナ、またはブロック1205において使用したものから変位させた1つ以上のアンテナを使用することによって、生成することができる。これは、アンテナが自律車両内または自律車両上にあり、自律車両が走行している場合には、当然そうなり得る。プロセスはブロック1210に戻ることができ、ここでは、さらなる信号入力に対して処理を繰り返して、複数の交通参加者に対する更新された速度測定及び地理位置情報を決定することができる。任意選択で、さらなる信号及び処理を用いて、加速度、予測経路、予測位置、または予測速度を決定してもよい。
【0109】
ブロック1215において、地理位置情報及び速度測定情報が十分な精度で取得されたと判定されたら、プロセス1200は判定点1220において分岐して、ブロック1230に進むことができる。ここでは、地理位置情報及び速度測定情報を自律車両に提供することができる。プロセスを自律車両内で行って、情報を自律車両自体が使用してナビゲーション指示を決定できるようにすることができる。場合によっては、地理位置情報及び速度測定情報を、他の自律車両に無線で伝達することができる。場合によっては、さらなる地理位置情報及び速度測定情報も他の自律車両から受信し、自律車両によって決定された地理位置情報及び速度測定情報とともに使用して、ナビゲーション指示を決定することができる。
【0110】
図13は、一例による交通参加者の場所及び/または速度測定を決定する方法1300を例示する簡略化されたフローチャートである。ブロック1305において、信号入力ペアを、ナビゲーション指示を決定すべき特定の自律車両の外側に配置されたアンテナなど、アンテナペアにおいて複数の交通参加者に関連付けられる無線放射を受信することによって生成する。ペアにおけるアンテナ間の距離は知ることができ、無線放射を、可能性として異なる時間に、各アンテナにおいて受信することができる。たとえば、各アンテナは、時間に依存して変調された電圧信号を生成することができ、この電圧信号は、入力信号として相関受信機に提供することができる。
【0111】
ブロック1310において、信号入力ペアを相関受信機によって処理して、複数の交通参加者の地理位置情報のセット及び任意選択で速度測定を決定する。相関受信機は、ナビゲーション指示を決定すべき特定の自律車両、たとえば複数の交通参加者のうちのある交通参加者である特定の自律車両の外側に配置してもよい。プロセスの第1のステップとして、時間に依存する電圧信号を、アナログ/デジタル変換器などを使用して量子化することができる。任意選択で、時間に依存する信号のフーリエ変換を行って、信号を周波数空間に変換することができる。そして信号を、自己相関関数を用いてスペクトル的に相関させることができ、その結果、決定すべき到達時間差(TDOA)または到達角度(AoA)などの特徴を抽出することができる。そして特徴を、複数の交通参加者または交通参加者に関連付けられる無線エミッタの地理位置情報を決定するために使用することができる。任意選択で、放射シグネチャを、第1の信号入力ペアに対して決定して、複数の交通参加者に関連付けられる無線エミッタのクラスまたはタイプを決定することができる。たとえば、放射シグネチャは、無線エミッタの物理的パラメータ(たとえば、周波数能力、ビットレート能力など)及び無線エミッタが使用しているサービスのクラス(たとえば、サービスプロバイダ)を特定することができる。この情報は、地理位置情報と結合させてもよい。
【0112】
ブロック1315において、地理位置情報及び速度測定情報を評価して、交通参加者に対する地理位置情報及び速度測定が十分な精度で取得されたか否かを判定することができる。取得されていない場合には、プロセス1300は、判定点1320において分岐してブロック1325に進むことができる。ここでは、さらなる信号入力を、複数の交通参加者に関連付けられるさらなる無線放射を受信することによって、たとえば、1つ以上の異なるアンテナ、またはブロック1305において使用したものから変位させた1つ以上のアンテナなどを使用して、生成することができる。プロセスはブロック1310に戻ることができる。ここでは、さらなる信号入力に対して処理を繰り返して、複数の交通参加者に対する更新された速度測定及び地理位置情報を決定することができる。任意選択で、さらなる信号及び処理を用いて、加速度、予測経路、予測位置、または予測速度を決定してもよい。
【0113】
ブロック1315において、地理位置情報及び速度測定情報が十分な精度で取得されたと判定された場合、プロセス1300は判定点1320において分岐して、ブロック1330に進むことができる。ここでは、地理位置情報及び速度測定情報を、無線データ通信などを介して自律車両に提供することができる。任意選択で、アンテナペア及び/または相関受信機を、特定の自律車両の外側の固定位置に配置することができる。任意選択で、アンテナペア及び/または相関受信機を、複数の交通参加者のうちのある交通参加者である他の自律車両など、他の自律車両内に配置することができる。
【0114】
無線放射を受信することによって信号を生成することと処理することとのプロセスを使用して、アンテナの検出範囲内にあるのと同じ数の交通参加者に対する地理位置情報を同時に決定することができる。同様に、無線放射を受信することによって信号を生成することと地理位置情報を決定するための処理とのプロセスを、無線エミッタに対して時間の関数として繰り返して、無線エミッタの地理位置情報を経時的に追跡できるようにすることができる。有利なことに、対応するクラスまたはタイプの無線エミッタと結合された地理位置情報の継続的な追跡によって、個別の無線エミッタを正確に追跡して位置を予測することができる。地理位置情報、タイプまたはクラスの情報、速度測定情報などを、任意選択で、データストリームとして1つ以上の他の交通参加者に提供することができる。
【0115】
図12及び
図13に例示した特定のステップによって、いくつかの例による交通参加者の地理位置情報を決定する特定の方法が提供されることを理解されたい。他のステップ順序も、代替的な実施形態により行ってもよい。たとえば、代替的な実施形態では、上記で概説したステップを異なる順番で行ってもよい。また、
図12及び
図13に例示した個別のステップは、個別のステップに適した種々の順序で行ってもよい複数のサブステップを含んでいてもよい。また、さらなるステップを、特定の用途に応じて加えてもよいし、取り除いてもよい。当業者であれば、多くの変形、変更、及び代替案を認識するであろう。
【0116】
本明細書で使用する場合、「含む(comprising)」は、「含む(including)」、「含む(containing)」、または「特徴付けられる」と同義語であり、包含的またはオープンエンドであり、さらなる未記載の要素または方法ステップを除外するものではない。本明細書で使用する場合、「からなる(consisting of)」は、特許請求の範囲の要素において特定されていないあらゆる要素、ステップ、または成分を除外する。本明細書で使用する場合、「本質的にからなる(consisting essentially of)」は、特許請求の範囲の基本的で新規な特徴に実質的に影響しないステップまたは材料を除外しない。特に組成物の成分の説明またはデバイスの要素の説明における「含む(comprising)」という用語の本明細書における任意の列挙は、列挙された成分または要素から本質的になり及び列挙された成分または要素からなる組成物及び方法を包含すると理解される。本明細書に例示として記載される実施形態は、本明細書に具体的に開示されていない任意の要素(複数可)または限定(複数可)がなくても、適切に実施でき得る。
【0117】
さらに、本明細書で採用した用語及び表現は、限定ではなく説明のための用語として使用しており、そのような用語及び表現の使用には、図示し説明した特長またはその一部分のいかなる均等物も排除する意図は存在せず、特許請求した発明の範囲内で様々な修正が可能であると認識される。したがって、本発明は、好ましい実施形態及び任意選択の特徴によって具体的に開示されているが、本明細書に開示された概念の変更及び変形は、当業者によって行うことができ、かつこのような変更及び変形は、添付の特許請求の範囲によって規定された本発明の範囲内にあると考えられると理解すべきである。
【手続補正書】
【提出日】2023-11-24
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
地理的領域内の複数の無線エミッタをマッピングする方法であって、前記方法は、
3つ以上のアンテナにおいて受信した複数の無線エミッタからの無線放射に対応する信号入力のセットを取得することと、
前記信号入力のセットを処理して、前記信号入力のセットの複数の信号入力ペアに対する複数の周期自己相関関数またはスペクトル相関関数を、相関受信機を使用して決定することと、
前記周期自己相関関数または前記スペクトル相関関数を使用して、前記複数の無線エミッタの地理位置情報のセットを決定することと、
を含む、前記方法。
【請求項2】
前記地理位置情報のセットを、地理的マップ、ネットワークマップ、もしくはシンボリックマップ、または地理的マップデータ、ネットワークマップデータ、もしくはシンボリックマップデータに重ね合わせることをさらに含む請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記地理位置情報のセットまたは前記地理位置情報のサブセットをリモートサーバーに送信することをさらに含む請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記信号入力のセットを処理することは、
前記3つ以上のアンテナの異なるペアからの複数の信号入力ペアを、前記相関受信機を使用して処理して、前記3つ以上のアンテナにおいて前記無線放射を受信することに関連付けられる時間遅延のセットを決定することと、
前記3つ以上のアンテナにおける前記無線放射の到達角度のセットを、前記時間遅延のセットを使用して決定することと、
前記複数の無線エミッタの前記地理位置情報のセットを、前記到達角度のセットを使用して決定することと、
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記アンテナのうちの1つ以上は前記相関受信機に直接結合されているか、または前記アンテナのうちの1つ以上は前記相関受信機から遠隔に位置する、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記周期自己相関関数またはスペクトル相関関数の1つ以上を分析して、前記複数の無線エミッタのクラスまたはタイプのセットを特定することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記地理位置情報のセットと前記複数の無線エミッタの前記クラスまたはタイプのセットとを、地理的マップ、ネットワークマップ、もしくはシンボリックマップ、または地理的マップデータ、ネットワークマップデータ、もしくはシンボリックマップデータに重ね合わせることをさらに含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記複数の無線エミッタの前記地理位置情報のセットを決定することを、リアルタイムでまたは実質的にリアルタイムで行う、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記3つ以上のアンテナにおいて受信した前記複数の無線エミッタからの無線放射に対応する新しい信号入力のセットを取得することと、
前記新しい信号入力のセットを処理して、前記新しい信号入力のセットの複数の信号入力ペアに対する複数の新しい周期自己相関関数またはスペクトル相関関数を、前記相関受信機を使用して決定することと、
前記新しい周期自己相関関数または前記新しいスペクトル相関関数を使用して、前記複数の無線エミッタの新しい地理位置情報のセットを決定することと、
を1回以上繰り返すことと、
前記複数の無線エミッタの前記地理位置情報のセット及び1つ以上の新しい地理位置情報のセットを経時的に追跡することと、
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記複数の無線エミッタの前記地理位置情報のセットを決定することは、前記複数の無線エミッタの速度のセットを決定することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか一項に記載の方法を行うように構成された、地理的領域内の複数の無線エミッタをマッピングするためのシステム
。
【請求項12】
自律車両によって交通参加者の場所及び速度測定情報を決定する方法であって、前記方法は、
3つ以上のアンテナにおいて受信した複数の交通参加者に関連付けられる無線放射に対応する信号入力のセットを取得することと、
前記信号入力のセットを処理して、前記信号入力のセットの複数の信号入力ペアに対する複数の周期自己相関関数またはスペクトル相関関数を、相関受信機を使用して決定することと、
前記周期自己相関関数または前記スペクトル相関関数を使用して、前記複数の交通参加者に対する地理位置情報のセット及び/または速度測定情報を決定することと、
自律車両内のデータプロセッサによって、前記地理位置情報のセット及び/または速度測定情報を使用して、前記自律車両に対するナビゲーション指示を決定することと、
を含む、前記方法。
【請求項13】
前記取得すること及び前記処理することを1回以上繰り返すことと、前記複数の交通参加者に対するさらなるまたはより正確な地理位置情報及び速度測定情報を決定することと、をさらに含む請求項
12に記載の方法。
【請求項14】
前記信号入力のセットを処理することは、
前記3つ以上のアンテナの異なるペアからの複数の信号入力ペアを、前記相関受信機を使用して処理して、前記3つ以上のアンテナにおいて前記無線放射を受信することに関連付けられる時間遅延のセットを決定することと、
前記3つ以上のアンテナにおける前記無線放射の到達角度のセットを、前記時間遅延のセットを使用して決定することと、
前記複数の交通参加者の前記地理位置情報のセットを、前記到達角度のセットを使用して決定することと、
を含む、請求項
12に記載の方法。
【請求項15】
交通参加者に関連付けられる無線放射は、前記交通参加者における無線エミッタによって生成される無線放射を含む、請求項
12に記載の方法。
【請求項16】
前記複数の交通参加者のうちのある交通参加者は車両または歩行者を含む、請求項
12に記載の方法。
【請求項17】
交通参加者に関連付けられる無線放射は、前記交通参加者によって反射される無線放射を含む、請求項
12に記載の方法。
【請求項18】
新しい無線放射を生成することと、前記新しい無線放射を前記複数の交通参加者に向けて送ることとをさらに含み、
前記無線放射は、少なくとも1人の交通参加者からの前記新しい無線放射の反射を含む、請求項
12に記載の方法。
【請求項19】
前記周期自己相関関数またはスペクトル相関関数の1つ以上を分析して、前記複数の交通参加者に関連付けられるエミッタのクラスまたはタイプのセットを特定することをさらに含む、請求項
12に記載の方法。
【請求項20】
前記複数の交通参加者のうちのある交通参加者に対応する他の自律車両に、前記地理位置情報のセット及び前記速度測定情報を提供することをさらに含む、請求項
12に記載の方法。
【請求項21】
前記相関受信機は前記自律車両のコンポーネントであり、前記自律車両は前記複数の交通参加者のうちのある交通参加者に対応する、請求項
12に記載の方法。
【請求項22】
前記相関受信機は前記複数の交通参加者から遠隔にあり、前記方法はさらに、
前記自律車両に対する前記ナビゲーション指示を決定または適用する際に使用するために、前記地理位置情報のセット及び速度測定情報を前記自律車両に無線で送信することを含む、請求項
12に記載の方法。
【請求項23】
請求項12~22のいずれか一項に記載の方法を実行するように構成された、交通参加者の場所及び速度測定情報を決定するためのシステム
。
【国際調査報告】