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特表2024-520038温かいミルク含有飲料成分又は飲料の部分を分配するためのシステム及び方法、並びに厚膜ヒータの使用
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  • 特表-温かいミルク含有飲料成分又は飲料の部分を分配するためのシステム及び方法、並びに厚膜ヒータの使用 図1
  • 特表-温かいミルク含有飲料成分又は飲料の部分を分配するためのシステム及び方法、並びに厚膜ヒータの使用 図2
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  • 特表-温かいミルク含有飲料成分又は飲料の部分を分配するためのシステム及び方法、並びに厚膜ヒータの使用 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-21
(54)【発明の名称】温かいミルク含有飲料成分又は飲料の部分を分配するためのシステム及び方法、並びに厚膜ヒータの使用
(51)【国際特許分類】
   A47J 31/54 20060101AFI20240514BHJP
   A47J 31/52 20060101ALI20240514BHJP
【FI】
A47J31/54 115
A47J31/52
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023572953
(86)(22)【出願日】2022-05-25
(85)【翻訳文提出日】2023-11-24
(86)【国際出願番号】 NL2022050291
(87)【国際公開番号】W WO2022250538
(87)【国際公開日】2022-12-01
(31)【優先権主張番号】21175956.8
(32)【優先日】2021-05-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】505310426
【氏名又は名称】フリースランドカンピーナ ネーデルランド ベスローテン フェンノートシャップ
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】フージ、ニクラウス
(72)【発明者】
【氏名】ファン ドルーテン、ヴィーベ ニコラース
(72)【発明者】
【氏名】カレロ ピント、ダイアナ マルセラ
(72)【発明者】
【氏名】ファン デ ヘイユニンク、ヴィリブロルダ アントニア マリア
(72)【発明者】
【氏名】ジョバニ、レジナ
【テーマコード(参考)】
4B104
【Fターム(参考)】
4B104AA27
4B104BA18
4B104BA23
4B104CA02
4B104DA09
4B104DA12
4B104DA13
4B104DA22
4B104DA40
4B104EA09
4B104EA19
(57)【要約】
温かいミルク含有飲料成分又は飲料の部分を間欠的に分配するための例示的なシステム(1)であって、入水口(31)から分配出口(32)に延びる流路(30)を含み、流路(30)には、分配出口(32)の上流側にミルク濃縮物入口(33)が設けられ、ミルク濃縮物入口(33)の上流側に厚膜ヒータ(18)が設けられ、システムは、厚膜ヒータ(18)の入水口(35)又はその上流側における水温を決定する、例えば推定及び/又は測定するように構成された水温決定手段(34)と、水温決定手段(34)によって決定された水温に応じて厚膜ヒータ(18)を制御するように構成されたコントローラ(36)とを含む、システム(1)。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
温かいミルク含有飲料成分又は飲料の部分を間欠的に分配するためのシステム(1)であって、
入水口(31)から分配出口(32)に延びる流路(30)を含み、
前記流路(30)には、前記分配出口(32)の上流側にミルク濃縮物入口(33)が設けられ、前記ミルク濃縮物入口(33)の上流側に厚膜ヒータ(18)が設けられ、
前記ミルク濃縮物入口(33)は、特に、前記流路(30)を流れる加熱された水にミルク濃縮物を供給するように構成され、
前記システム(1)は、
前記厚膜ヒータ(18)の入水口(35)又はその上流側における水温を決定する、例えば推定及び/又は測定するように構成された水温決定手段(34)と、
前記水温決定手段(34)によって決定された水温に応じて前記厚膜ヒータ(18)を制御するように構成されたコントローラ(36)と
を含み、
前記水温決定手段(34)は、好ましくは、前記厚膜ヒータ(18)の出水口(37)又はその下流側における水温を測定するように構成され、前記水温決定手段(34)は、好ましくは、前記出水口(37)又はその下流側における少なくとも前記測定された温度に基づいて前記厚膜ヒータ(18)の前記入水口(35)又はその上流側における水温を推定するように構成される、
システム(1)。
【請求項2】
第1の加熱モードでは、前記コントローラ(36)による前記制御は、前記決定された温度に実質的に依存せず、後続の第2の加熱モードでは、前記コントローラ(36)による前記制御は、前記決定された温度に依存する、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記システム(1)、例えば前記コントローラ(36)は、前記システム(1)が前記流路(30)への水の供給を停止する前の所定のヒータ停止時間に前記厚膜ヒータ(18)の電源を切るように構成される、請求項1又は2に記載のシステム。
【請求項4】
前記コントローラ(36)は、前記部分のうちの1つ又は複数の前回部分の分配中に、前記水温決定手段(34)によって第2の水温が測定された前記出水口(37)又はその下流側における少なくとも第2の水温に基づいて、前記水温決定手段(34)によって推定された第1の水温に応じて、前記複数の部分のうちの1つの分配中に前記厚膜ヒータ(18)を制御するように構成される、請求項1~3のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項5】
前記システム(1)は、前記ミルク濃縮物入口(33)にミルク濃縮物を供給するための、特にバッグインボックス型の、ミルク濃縮物容器(4)を受け入れるように構成され、前記温かいミルク含有飲料成分又は飲料は、好ましくは、コーヒーを含み、前記システム(1)は、前記部分についてコーヒーを分配するためのコーヒー分配手段(3)を更に含む、請求項1~4のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項6】
前記受け入れられたミルク濃縮物容器(4)の弁部材(39)を作動させるための弁アクチュエータ(38)を含み、前記弁部材(39)は、使用中に、前記ミルク濃縮物入口(33)へのミルク濃縮物の流れを調整し、前記コントローラ(36)は、ミルク濃縮物の前記流れを調整するための前記弁アクチュエータ(38)を制御するように構成される、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記水温決定手段(34)は、前記厚膜ヒータ(18)の出水口(37)に配置された温度センサ(34a)、特に負温度係数(NTC)型サーミスタを含む、請求項1~6のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項8】
温かいミルク含有飲料成分又は飲料の部分を分配する方法であって、
流路(30)を通して水を供給すること(82)と、
厚膜ヒータ(18)によって前記流路(30)内の前記水を加熱すること(81)と、
前記流路(30)内の前記加熱された水にミルク濃縮物を供給することと
を含み、
前記方法は、前記厚膜ヒータ(18)の入水口(35)又はその上流側における水温を決定すること(83)、例えば推定及び/又は検知することと、前記決定された水温に応じて前記ヒータ(18)による前記加熱を制御すること(84)とを含み、
前記厚膜ヒータ(18)の前記入水口(35)又はその上流側における前記水温を前記決定すること(83)は、好ましくは、
例えば前記温かいミルク含有飲料成分又は飲料の前回部分の分配中に、前記厚膜ヒータ(18)の出水口(37)又はその下流側における水温を検知することと、
続いて、好ましくは、前記出水口(37)又はその下流側における少なくとも前記検知された水温に基づいて、前記入水口(35)又はその上流側における前記水温を推定することと
を含む、方法。
【請求項9】
第1の加熱モードでは、前記制御(84)は、前記決定された温度に実質的に依存せず、後続の第2の加熱モードでは、前記制御(84)は、前記決定された温度に依存する、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記方法は、
水が前記ヒータ(18)を流れている間、前記ヒータ(18)の電源を切っておくこと(85)を含む、請求項8又は9に記載の方法。
【請求項11】
流路(30)を間欠的に流れる水を加熱するための厚膜ヒータ(18)の使用であって、前記水は、前記ヒータ(18)の下流側でミルク濃縮物と混合され、それによって、温かいミルク含有飲料成分又は飲料の部分を分配するために温かいミルクが形成される、使用。
【請求項12】
温かいミルク含有飲料成分又は飲料の部分を間欠的に分配するためのシステム(1)であって、入水口(31)から分配出口(32)に延びる流路(30)を含み、前記流路(30)には、前記分配出口(32)の上流側にミルク濃縮物入口(33)が設けられ、前記ミルク濃縮物入口(33)の上流側に厚膜ヒータ(18)が設けられ、
前記システム(1)は、前記流路(30)内の水の特性、特に温度を決定する、例えば推定及び/又は測定するように構成された水温決定手段(34)を含み、前記システム(1)は、前記厚膜ヒータ(18)を制御するように構成されたコントローラ(36)を含み、第1の加熱モードでは、前記コントローラ(36)による前記制御は、前記決定された特性に実質的に依存せず、後続の第2の加熱モードでは、前記コントローラ(36)による前記制御は、前記決定された特性に依存する、
システム(1)。
【請求項13】
温かいミルク含有飲料成分又は飲料の部分を間欠的に分配するためのシステム(1)であって、入水口(31)から分配出口(32)に延びる流路(30)を含み、前記流路(30)には、前記分配出口(32)の上流側にミルク濃縮物(33)入口が設けられ、前記ミルク濃縮物入口(33)の上流側に厚膜ヒータ(18)が設けられ、
前記システム(1)は、前記システム(1)が前記流路(30)への水の供給を停止する前の所定のヒータ停止時間に前記厚膜ヒータ(18)の電源を切るように構成される、
システム(1)。
【請求項14】
温かいミルク含有飲料成分又は飲料の部分を分配する方法であって、
流路(30)を通して水を供給すること(82)と、
厚膜ヒータ(18)によって前記流路内の前記水を加熱すること(81)と、
前記流路(30)内の前記加熱された水にミルク濃縮物を供給することと
を含み、
前記方法は、前記水の特性、特に温度を決定すること、例えば推定及び/又は検知すること(83)と、前記加熱を制御することとを含み、第1の加熱モードでは、前記制御は、前記決定された特性に実質的に依存せず、後続の第2の加熱モードでは、前記制御(84)は、前記決定された特性に依存する、
方法。
【請求項15】
温かいミルク含有飲料成分又は飲料の部分を分配する方法であって、
流路(30)を通して水を供給すること(82)と、
厚膜ヒータ(18)によって前記流路(30)内の前記水を加熱すること(81)と、
前記流路(30)内の前記加熱された水にミルク濃縮物を供給することと
を含み、
前記方法は、水が前記ヒータ(30)を流れている間、前記ヒータ(18)の電源を切っておくこと(85)を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、温かいミルク含有飲料成分又は飲料の部分を分配するためのシステム及び方法に関し、飲料は、例えば温かいコーヒーである。
【背景技術】
【0002】
このようなシステム及び方法は、それ自体一般的に知られている。既知のシステム及び方法では、液体ミルク濃縮物は、温水の流れと混合されて、温かいミルクを形成する。温水は、緩衝量の水を電気的に加熱する緩衝ユニット(例えば、ボイラー)から供給され、緩衝量は、例えば、一般的な給水栓から供給される。このような給湯の利点は、例えば電源コンセントの最大電力消費量を超えることなく所望の温度まで水を加熱できることである。しかしながら、ボイラーによる解決策は、嵩張り、多くのエネルギーを消費する可能性があり、数杯分の提供が実行された後に所望の温度の水を送ることができない場合がある。
【0003】
別の既知の加熱解決策としては、サーモブロックが挙げられる。欠点は、加熱が比較的遅く、その結果、ユーザが、温かい飲料を分配できるまでに望ましくない時間待たなければならない可能性があることである。別の欠点は、既知のヒータによる解決策の継続的な電力消費によって飲料分配に関連する他の電動構成要素の電力消費が効果的に抑制されることである。他の電動構成要素は、例えば、同じ飲料分配システムでのコーヒー分配に関連付けられる。そのようなシステムの電力管理構成に応じて、ミルク用の水を加熱するための電力が、コーヒー関連の構成要素によって消費されない範囲でしか利用できない可能性がある。これらの理由から、組み合わせたシステムにおいてミルク分配とコーヒー分配とを統合することは困難であることが分かっている。また、それぞれのコーヒー抽出構成要素の発熱による、大きく変化する内部温度又は高い内部温度(例えば、40℃超)を有するコーヒーマシンにおいて統合する場合にも問題が生じる。
【0004】
米国特許出願公開第2021/0145205A1号明細書は、冷却効果が改善された、比較的複雑な粉末乳調乳機を開示している。この機械は、混合ビンと、粉末乳ボックスと、貯水タンクと、恒温ビンとを有する。恒温ビンは、それぞれのNTC温度センサに加えて、そのビン内の水を加熱するためのPTCヒータを恒温ビンの底部に有する。恒温ビン内の検出温度が低くなりすぎた時点で、PTCヒータを即座に起動して水を加熱し、それによって、恒温ビン内の水温を常に一定に保つ。加えて、この機械は、厚膜ヒータと、下流側の螺旋状冷却管とを含む。これらの螺旋状管のうちの第1の管には、温度検出器が設けられる。厚膜ヒータは、厚膜ヒータに送られた水を90℃~100℃の温度に迅速に加熱するために利用される。加熱された水は冷却されてビンに移される。
【0005】
欧州特許第1380243号明細書は、上流側の冷水タンクから提供される水の流れにエネルギーを伝達するための少なくとも1組の少なくとも2つの抵抗体を含む、飲料調製機械内の液体を加熱するための機械を提供する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、特に待ち時間が短縮され、及び/又は部分についての温かいミルクの分配に関連する電力消費が、例えばコーヒー分配の電力消費要求とより容易に組み合わされ、及び/又は水の過熱がより容易に防止される、温かいミルク含有飲料成分又は飲料の部分を間欠的に分配するための改良されたシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
その目的のために、本発明の第1の態様は、温かいミルク含有飲料成分又は飲料の部分を間欠的に分配するためのシステムを提供する。第1の態様によれば、システムは、入水口から分配出口に延びる流路を含み、流路には、分配出口の上流側にミルク濃縮物入口が設けられ、ミルク濃縮物入口の上流側に厚膜ヒータが設けられる。第1の態様によれば、システムは、厚膜ヒータの入水口又はその上流側における水温を決定する、例えば推定及び/又は測定するように構成された水温決定手段を含む。第1の態様によれば、システムは、水温決定手段によって決定された水温に応じて厚膜ヒータを制御するように構成されたコントローラを含む。
【0008】
厚膜ヒータとコントローラとのこのような組み合わせは、特に変化するヒータ電力利用率及び/又は変化する入水口温度などの特に変化する条件下で、精密で急速且つ効率的な水加熱を可能にする。このような加熱のための電力消費は、分配前後の明確に定められた期間に実質的に限定されるので、コーヒーマシンのものなどの他の電力消費部及び/又は電力管理部とのより容易な統合が可能となる。例えば、決定された水温に応じてヒータによる加熱を抑制することによって、過熱を効果的に防止することができる。また、このように、過熱なしの信頼性の高い分配結果は、システムの内部温度変化が比較的大きい場合、例えば、コーヒーマシンが20℃の周囲室温での少なくとも40℃又は更には少なくとも50℃の比較的高い内部動作温度を有し得る場合に達成することができる。
【0009】
例えば、システムは、単一の(ただ1つの)ヒータを含み、ヒータは厚膜ヒータであり、結果として、コンパクトでエネルギー効率が高く且つ信頼性が高いシステムを実現することができる。
【0010】
厚膜ヒータは、それ自体、様々な形態で知られており(例えば、https://en.wikipedia.org/wiki/Heating_elementを参照)、有利には、温かいミルク含有飲料成分又は飲料の部分を間欠的に分配するためのシステムにおいて、かかるコントローラと組み合わせることができる。厚膜ヒータは、好ましくは、前記流路のセクションを提供し、流路は、ヒータの入水口とヒータの出水口との間に延びる。
【0011】
実施形態によれば、第1の加熱モードでは、コントローラによるヒータの制御は、決定された温度に実質的に依存しないことがあり、後続の第2の加熱モードでは、コントローラによる制御は、決定された温度に依存する。
【0012】
第1の加熱モードは、ほとんど又は全く水がヒータを流れない予熱期間を含み得る。第1のモードでは、コントローラは、一定及び/又は可変の、例えば時間的に変化する、加熱レベル及び/又は電力レベルでヒータを制御するように構成され得る。
【0013】
このように特に急速且つ精密な水加熱を提供できることが分かった。例えば、第2のモードは、第1のモードでの所定の加熱時間後にのみ起動され、第1のモードは、より急速な初期加熱を可能にし、第2のモードは、より精密な制御を可能にする。
【0014】
実施形態によれば、システム、例えばコントローラは、システムが流路への水の供給を停止する前の所定のヒータ停止時間に厚膜ヒータの電源を切るように構成され得る。
【0015】
したがって、より効率的な電力消費を促進することができ、例えばヒータ内の余分な温水の蓄積を低減することができる。
【0016】
実施形態によれば、水温決定手段は、厚膜ヒータの出水口又はその下流側における水温を測定し、出水口又はその下流側における少なくとも測定された温度に基づいて厚膜ヒータの入水口又はその上流側における水温を推定するように構成され得る。
【0017】
したがって、良好な温度制御は、比較的少数の温度検知構成要素を用いて得ることができる。
【0018】
実施形態によれば、コントローラは、部分のうちの1つ又は複数の前回部分の分配中に、水温決定手段によって第2の水温が測定された出水口又はその下流側における少なくとも第2の水温に基づいて、水温決定手段によって推定された第1の水温に応じて、部分のうちの1つの分配中に厚膜ヒータを制御するように構成され得る。
【0019】
例えば、1つの部分の分配中にヒータの出水口において測定された水温は、後続の部分を分配するためにヒータの入水口における水温を推定するために使用され得る。このような推定は、好ましくは、前記部分の分配の間にどれだけの時間が経過したかを考慮し、例えば、あまり時間が経過していない場合、推定値は測定値により近い。
【0020】
実施形態によれば、システムは、ミルク濃縮物をミルク濃縮物入口に供給するための、特にバッグインボックス型の、ミルク濃縮物容器を受け入れるように構成され得る。
【0021】
したがって、特に衛生的且つ使いやすい方法でミルク濃縮物を供給することができる。
【0022】
実施形態によれば、システムは、受け入れられたミルク濃縮物容器の弁部材を作動させるための弁アクチュエータを含み得、この弁部材は、使用中に、流路のミルク濃縮物入口へのミルク濃縮物の流れを調整し、コントローラは、ミルク濃縮物の流れを調整するための弁アクチュエータを制御するように構成される。
【0023】
したがって、ミルク濃縮物の供給の自動的且つ衛生的な制御を実現することができ、例えば、弁アクチュエータの制御をヒータの制御と協調させ及び/又はその逆も同様であり、弁アクチュエータ及びヒータは、例えば、同じコントローラによるコントローラである。温かいミルク含有飲料を分配するためのシステムにおけるかかる弁は、それ自体知られており(例えば、国際公開第2014/069993A1号パンフレットを参照)、有利には、本発明のシステムと組み合わせることができる。
【0024】
水温決定手段は、厚膜ヒータの出水口に配置された温度センサ、特に負温度係数(NTC)型サーミスタを含み得る。
【0025】
したがって、ヒータの出水口での信頼性の高い温度測定を行うことができる。
【0026】
好ましい実施形態では、温かいミルク含有飲料成分又は飲料は、コーヒーを含み得、システムは、部分についてコーヒーを分配するためのコーヒー分配手段を更に含む。
【0027】
したがって、コーヒーとミルクの両方を含有する飲料を分配するための改善された一体型システムを提供することができ、特に電力管理が改善される。そのような飲料の例としては、カフェオレ、カプチーノ、コルタード、フラットホワイト、ラテ、ラテマキアート、及びマキアートが挙げられる。
【0028】
第2の態様は、温かいミルク含有飲料成分又は飲料の部分を分配する方法、例えば本発明によるシステムを利用する方法を提供する。第2の態様によれば、方法は、流路を通して水を供給することと、厚膜ヒータによって流路内の水を加熱することと、流路内の加熱された水にミルク濃縮物を供給することとを含む。第2の態様によれば、方法は、厚膜ヒータの入水口又はその上流側における水温を決定すること、例えば推定及び/又は検知することと、決定された水温に応じてヒータによる加熱を制御することとを含む。
【0029】
そのような方法は、上述の利点を提供することができる。
【0030】
第1の加熱モードでは、制御は、決定された温度に実質的に依存しないことがあり、後続の第2の加熱モードでは、制御は、決定された温度に依存する。
【0031】
方法は、水がヒータを流れている間、ヒータの電源を切っておくことを含み得る。
【0032】
厚膜ヒータの入水口又はその上流側における水温を決定することは、例えば温かいミルク含有飲料成分又は飲料の前回部分の分配中に、厚膜ヒータの出水口又は下流側における水温を検知することと、続いて、出水口又はその下流側における少なくとも検知された水温に基づいて、入水口又はその上流側における水温を推定することとを含み得る。
【0033】
方法は、ミルク濃縮物の供給を調整するためにミルク濃縮物容器の弁部材を作動させることを含み得る。
【0034】
第3の態様は、流路を間欠的に流れる水を加熱するための厚膜ヒータの使用であって、水は、ヒータの下流側でミルク濃縮物と混合され、それによって、温かいミルク含有飲料成分又は飲料の部分を分配するために温かいミルクが形成される、使用を提供する。
【0035】
厚膜ヒータの使用によって、上述の利点がもたらされる。
【0036】
上述の他の態様の1つ又は複数と組み合わされ得る、第4の態様は、温かいミルク含有飲料成分又は飲料の部分を間欠的に分配するためのシステムを提供する。第4の態様によれば、システムは、入水口から分配出口に延びる流路を含み、流路には、分配出口の上流側にミルク濃縮物入口が設けられ、ミルク濃縮物入口の上流側に厚膜ヒータが設けられる。第4の態様によれば、システムは、流路内の水の特性、特に温度を決定する、例えば推定及び/又は測定するように構成された水温決定手段を含む。第4の態様によれば、システムは、厚膜ヒータを制御するように構成されたコントローラを含み、第1の加熱モードでは、コントローラによる制御は、決定された特性に実質的に依存せず、後続の第2の加熱モードでは、コントローラによる制御は、決定された特性に依存する。
【0037】
厚膜ヒータとコントローラとのこのような組み合わせは、特に変化するヒータ電力利用率及び/又は変化する入水口温度などの特に変化する条件下で、精密で急速且つ効率的な水加熱を可能にする。このような加熱のための電力消費を分配前後の明確に定められた期間に実質的に限定できるので、コーヒーマシン内のものなどの他の電力消費部及び/又は電力管理部とのより容易な統合が可能となる。例えば、決定された水温に応じてヒータによる加熱を抑制することによって、過熱を効果的に防止することができる。
【0038】
第1の加熱モードは、ほとんど又は全く水がヒータを流れない予熱期間を含み得る。第1のモードでは、コントローラは、一定及び/又は可変の、例えば時間的に変化する、加熱レベル及び/又は電力レベルでヒータを制御するように構成され得る。
【0039】
このように特に急速且つ精密な水加熱を提供できることが分かった。例えば、第2のモードは、第1のモードでの所定の加熱時間後にのみ起動され、第1のモードは、より急速な初期加熱を可能にし、第2のモードは、より精密な制御を可能にする。
【0040】
上述の他の態様の1つ又は複数と組み合わされ得る、第5の態様は、温かいミルク含有飲料成分又は飲料の部分を間欠的に分配するためのシステムを提供する。第5の態様によれば、システムは、入水口から分配出口に延びる流路を含み、流路には、分配出口の上流側にミルク濃縮物入口が設けられ、ミルク濃縮物入口の上流側に厚膜ヒータが設けられる。第5の態様によれば、システムは、システムが流路への水の供給を停止する前の所定のヒータ停止時間に厚膜ヒータの電源を切るように構成される。
【0041】
厚膜ヒータを備えたシステムのこのような構成は、特に変化するヒータ電力利用率及び/又は変化する入水口温度などの特に変化する条件下で、精密で急速且つ効率的な水加熱を可能にする。このような加熱のための電力消費を分配前後の明確に定められた期間に実質的に限定できるので、コーヒーマシン内のものなどの他の電力消費部及び/又は電力管理部とのより容易な統合が可能となる。水の供給を停止する前にヒータの動作を停止することによって、過熱を効果的に防止することができる。このように、精密な温度制御に実質的に影響を及ぼさずに、ヒータ内及び/又は周囲の余分な温水の蓄積を効果的に防止することができる。
【0042】
上述の他の態様の1つ又は複数と組み合わされ得る、第6の態様は、温かいミルク含有飲料成分又は飲料の部分を分配する方法を提供する。第6の態様によれば、方法は、流路を通して水を供給することと、厚膜ヒータによって流路内の水を加熱することと、流路内の加熱された水にミルク濃縮物を供給することとを含む。第6の態様によれば、方法は、水の特性、特に温度を決定すること、例えば推定及び/又は検知することと、加熱を制御することとを含み、第1の加熱モードでは、制御は、決定された特性に実質的に依存せず、後続の第2の加熱モードでは、制御は、決定された特性に依存する。
【0043】
そのような方法は、上述の利点を提供する。
【0044】
上述の他の態様の1つ又は複数と組み合わされ得る、第7の態様は、温かいミルク含有飲料成分又は飲料の部分を分配する方法を提供する。第7の態様によれば、方法は、流路を通して水を供給することと、厚膜ヒータによって流路内の水を加熱することと、流路内の加熱された水にミルク濃縮物を供給することとを含む。第6の態様によれば、方法は、水がヒータを流れている間、ヒータの電源を切っておくことを含む。
【0045】
そのような方法は、上述の利点を提供する。
【0046】
例えば、実施形態によれば、方法は、以下の動作モード、すなわち、
1)水がヒータを流れることなく、所定の高い加熱レベル(好ましくは、ヒータの全加熱能力を提供する最大加熱レベル)までヒータに電力が供給され、任意選択的に、第1のモードの持続時間が、(例えば前回の分配に基づく)加熱の推定された加熱電力に基づいて算出される、予熱モード;
2)水がヒータを流れ、前記所定の高い加熱レベルよりも低い第2の加熱レベル(第2の加熱レベルは特に、第2の加熱レベルがヒータの加熱能力の一部のみを提供し、第2の加熱レベルがゼロよりも高くなるように、前記最大加熱レベルよりも低い)までヒータに電力が供給され、第2の加熱レベルが、好ましくは、推定された入水口温度及び推定された加熱電力に基づいて算出される、流れ開始モード;
3)コントローラが、水温決定手段によって決定された水温に応じて厚膜ヒータを制御し、好ましくは、ヒータ電力レベルが、例えば測定された出口温度に基づいて、所望又は所定の出水口温度を達成するように制御される、制御段階モード;
4)所定のヒータ停止時間に厚膜ヒータの電源が切られ、このヒータ停止時間後に、ある特定の最終的水流持続時間にわたって水がヒータを流れたままの状態になる(水流は最終的水流持続時間の終了時に停止される)、事前停止モードを含むことができる。
【0047】
1つ又は複数の態様の実施形態では、システムは、特に分配中に、少なくとも100ml/分、好ましくは少なくとも150ml/分、より好ましくは少なくとも200ml/分、特に250ml分以上、例えば、250~450ml/分の範囲の、厚膜ヒータを通る水の流量を生じさせるように構成され、及び/又は方法は、特に分配中に、少なくとも100ml/分、好ましくは少なくとも150ml/分、より好ましくは少なくとも200ml/分、特に250ml/分以上、例えば、250~450ml/分の範囲の、厚膜ヒータを通る水の流量を生じさせることを含む。したがって、有利には、望ましく温かい飲料の比較的迅速な分配を実現することができる。
【0048】
以下では、本発明を、例示的な実施形態及び図面を使用して説明する。図面は、概略的なものであり、例を示すに過ぎない。図面では、対応する要素は、対応する参照符号を用いて示されている。
【図面の簡単な説明】
【0049】
図1】例示的な飲料分配システム1と、例示的な方法の特徴とを極めて概略的に示す。
図2図1のシステムのミルクセクションの正面斜視図を示す。
図3図2のミルクセクションの部分的に開いた正面斜視図を示す。
図4図3のミルクセクションの更に部分的に開いた斜視図を示す。
図5図3のミルクセクションの部分的に開いた斜視背面図を示す。
図6】温かいミルク含有飲料成分又は飲料の部分を分配する例示的な方法のフローチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0050】
図1図5は、温かいミルク含有飲料成分又は飲料の部分を間欠的に分配するためのシステム1の例を示す。前記各部分は、例えば、総体積が約10ml~500ml、例えば総体積が90~350mlの範囲、又は別の範囲であり得る。
【0051】
本システム1は、入水口31から分配出口32に延びる流路30を含み、流路30には、分配出口32の上流側にミルク濃縮物入口33が設けられ、ミルク濃縮物入口33の上流側に(例えば単一の)厚膜ヒータ18が設けられる。システム1は、厚膜ヒータ18の入水口35又はその上流側における水温を決定する、例えば推定及び/又は測定するように構成された水温決定手段34を含む。このシステムはまた、水温決定手段34によって決定された水温に応じて厚膜ヒータ18を制御するように構成されたコントローラ36を含む。
【0052】
ここでは、水温決定手段34は、例えば少なくとも一部がコントローラ36に含まれる。水温決定手段34は、本明細書の他の箇所でより詳細に説明するように、1つ又は複数のセンサを含むことができる。
【0053】
図1は、ミルクセクション2と抽出セクション3とを含むものとして例示的なシステム1を示す。
【0054】
前記システム1の例示的な使用では、水流8は、システム1内に流入する。水流8は、例えば、比較的冷たい(例えば、非加熱又は低温)水の流れとすることができる。例えば、水流8は、水源(図示せず)、例えば、給水栓及び/又はそれぞれの導水管によって提供することができる。
【0055】
水流は、任意選択の弁10を通過でき、第1の水流12と第2の水流11とに分割することができる。第1の水流12は、抽出セクション3内に流入し、続いて、送水ポンプ19と水流量計20と第1の温水器21を通り、第1の温水流12aを生じさせる。抽出セクション3の一部を形成する豆ホッパー23は、コーヒー豆供給9によって供給される。豆ホッパー23からのコーヒー豆は、挽き機24内で挽かれ、挽いたコーヒー9aは抽出ユニット22内に通される。第1の温水流12aもまた、コーヒー28が調製される、抽出ユニット22内に通される。
【0056】
その一方で、第2の水流11は、ミルクセクション2内に流入し、続いて、送水ポンプ16と水流量計17と第2の温水器18を通り、ミルク濃縮物容器4の混合デバイス6内に流入する第2の温水流11aを生じさせる。ここでは、第2の温水器18は、厚膜ヒータ18である。
【0057】
図1に示すように、システム1の使用時には、任意選択の空気流7がミルクセクション2においてシステム1内に流入することができ、粒子フィルタ13を通過した後に、空気ポンプ14で加圧され、その後、加圧された空気7aは、混合デバイス6との着脱可能な気密接続を確立する気密コネクタ15を通ってミルク濃縮物容器4の混合デバイス6内に流入する。液体ミルク濃縮物供給部5からの液体ミルク濃縮物は、混合デバイス6内に流入する。混合デバイス6内では、液体ミルク濃縮物がまず、第2の温水流11aと混合されて、温かいミルク流を生じさせ、その後、この温かいミルク流に加圧空気7aが導入されて、ミルク泡27を生じさせる。
【0058】
コーヒー28及びミルク泡27は、最終的に入れ物29に分配される。
【0059】
抽出ユニット22内でのコーヒーの抽出から生じるコーヒー固形物は、固形物トレイ25内に収集され、その一方で、固形物に含まれる水はドリップトレイ26内に収集される。
【0060】
図2図5は、例示的なシステム1のミルクセクション2の一部の更なる実施形態を示す。ここでは、ミルクセクション2の一部は、システム1全体に組み込むことができるモジュールを形成する。図1の例では、ミルクセクション2がコーヒー用の抽出セクション3と一体化されているが、これは必ずしも必須ではないことが理解されるであろう。したがって、本発明によるシステム1は、そのような抽出セクション3を必ずしも含む必要はない。
【0061】
その例において、第1の加熱モードでは、コントローラ36による制御は、決定された温度に実質的に依存することができず、後続の第2の加熱モードでは、コントローラ36による制御84は、決定された温度に依存する。ここで、本明細書の他の箇所でより詳細に説明する例示的な方法のステップを示す図6を参照する。ステップは、決定された温度に応じたヒータのそのような制御84を含む。
【0062】
その例では、システム1、例えばコントローラ36は、システム1が流路30への水の供給を停止する86前の所定のヒータ停止時間に厚膜ヒータ18の電源を切る85ように構成することができる。
【0063】
その例では、水温決定手段34は、好ましくは、厚膜ヒータ18の出水口37又はその下流側における水温を測定し、出水口37又はその下流側における少なくとも測定された温度に基づいて厚膜ヒータ18の入水口35又はその上流側における水温を推定するように構成される。
【0064】
好ましい実施形態では、コントローラ36は、部分のうちの1つ又は複数の前回部分の分配中に、水温決定手段34によって第2の水温が測定された出水口37又はその下流側における少なくとも第2の水温に基づいて、水温決定手段34によって推定された第1の水温に応じて、部分のうちの1つの分配中に厚膜ヒータ18を制御するように構成される。
【0065】
好ましい実施形態では、システム1は、ミルク濃縮物入口33にミルク濃縮物を供給するための、特にバッグインボックス型の、ミルク濃縮物容器4を受け入れるように構成される。この目的のために、図2は、ミルク濃縮物容器4を受け入れるためのハウジング部40を含むものとしてシステム1を示す。ミルク濃縮物容器4には、好ましくは、図1に示すようにシステム1の他の一部が接続できる混合デバイス6が設けられる。ここでは、混合デバイス6は、流路30のセクションを含み、このセクションは、ミルク濃縮物入口33を含む。
【0066】
好ましい実施形態では、システムは、受け入れられたミルク濃縮物容器4の弁部材39(図1を参照)を作動させるための弁アクチュエータ38を含み、この弁部材39は、使用中に、ミルク濃縮物入口33へのミルク濃縮物の流れを調整し、コントローラ36は、ミルク濃縮物の流れを調整するための弁アクチュエータ38を制御するように構成される。
【0067】
好ましい実施形態では、水温決定手段34は、厚膜ヒータ18の出水口37に配置された温度センサ34a、特に負温度係数(NTC)型サーミスタを含む。例えば、温度センサ34aは、当業者によって理解されるように、例えば好適な(有線又は無線)通信回線を介して、センサ検出結果(特に水温)をコントローラ36に提供するために、様々な方法でコントローラ36に接続することができる。例えば、センサ34aは、ヒータ構造若しくはヒータアセンブリに組み込むことができ、又はヒータとは別体とする(例えば、ヒータの出水口37若しくはその近傍に位置する)ことができる。
【0068】
その例では、図1を参照して本明細書の他の箇所で説明したように、温かいミルク含有飲料成分又は飲料は、コーヒーを含むことができ、システム1は、部分についてコーヒーを分配するためのコーヒー分配手段3を更に含む。
【0069】
図6は、温かいミルク含有飲料成分又は飲料の部分を分配する例示的な方法のステップを示す。方法は、流路30を通して水を供給すること82と、厚膜ヒータ18によって流路30内の水を加熱すること81と、流路30内の加熱された水にミルク濃縮物を供給することとを含む。方法は、例えば、厚膜ヒータ18の入水口35又はその上流側における水温を決定すること83、例えば推定及び/又は検知することと、決定された水温に応じてヒータ18による加熱を制御すること84とを含む。
【0070】
例示的な方法において、第1の加熱モードでは、制御84は、決定された温度に実質的に依存することができず、後続の第2の加熱モードでは、制御84は、決定された温度に依存する。
【0071】
その例では、方法は、好ましくは、水がヒータ18を流れている間、ヒータ18の電源を切っておくこと85を含む。
【0072】
その例では、厚膜ヒータ18の入水口35又はその上流側における水温を決定すること83は、好ましくは、例えば温かいミルク含有飲料成分又は飲料の前回部分の分配中に、厚膜ヒータ18の出水口37又はその下流側における水温を検知することと、続いて、出水口37又はその下流側における少なくとも検知された水温に基づいて、入水口35又はその上流側における水温を推定することとを含む。
【0073】
その目的のために、1つの部分の分配中に決定された、例えば検知された水温は、その後、後続の部分、例えば直後の部分に対するヒータ制御84のために水温を決定する83、例えば推定するために記憶され87得る。
【0074】
例示的な方法は、ミルク濃縮物の供給を調整するためにミルク濃縮物容器4の弁部材39を作動させることを含むことができる。
【0075】
図6は、本例による飲料成分又は飲料のための例示的な分配サイクルのステップを示す。サイクルは、例えばユーザインターフェースを介して、飲料成分又は飲料の次の部分を分配する命令を受け取るステップ80と、ヒータ18を起動するステップ81と、流路30を通しての水の供給を開始するステップ82と、分配に関連する水温、例えば、ヒータ18の入口35及び/又は出口37における推定及び/又は検知された水温を決定するステップ83と、決定された水温に応じてヒータ18を制御するステップ84と、流路30を通しての水の供給を停止する前にヒータの動作を停止するステップ85と、流路30を通しての水の供給を停止するステップと、例えば現在の分配サイクルに関連する決定された水温を後続の分配サイクルで使用するために記憶するステップ88とを含むことができる。
【0076】
図6に示すように、後続の様々な段階は、例示的な方法の分配サイクルにおいて区別することができ、段階は、予熱段階P1と、フィードフォワード制御段階P2と、フィードバック制御段階P3と、停止ヒータ段階P4とを含む。以下、段階P1~P4についてより詳細に説明し、説明した例示的な方法に対する多くの変形が可能であることが理解されるであろう。段階の持続時間は、更に説明するように、コントローラ36によって制御され、各段階では、ヒータ18は、当業者によって本明細書を考慮して理解されるように、1つ又は複数の規則及び/又は関係に従ってコントローラ36によって制御される。
【0077】
予熱段階P1は、ヒータ18を起動すること81で開始し、流路30内への水の初期供給82で終了する。予熱段階P1は、水が初期にヒータを通して供給された82ときに、その部分の最初の一部が十分に加熱されるように、ヒータ18が比較的高温であることを促進することができる。予熱段階P1において、ヒータ18は、例えば、最大利用可能電力レベルで及び/又はその所定の割合で起動される。
【0078】
予熱段階P1は、所定の持続時間t_P1を有し、この所定の持続時間t_P1は、例えば、水温、水流量、加熱電力レベル及び/又は熱容量の1つ又は複数の所定値及び/又は推定値及び/又は測定値に依存する。好ましくは、持続時間t_P1は更に、最小持続時間、例えば1秒及び/又は最大持続時間、例えば4秒を課すことによって予め定められる。
【0079】
任意選択的に、予熱段階P1を省略することができる。すなわち、例えば、予熱が必要ないと判断されたときに、例えばユーザが直前の部分の分配を中断したときに、予熱段階P1の持続時間t_P1をゼロに設定することができる。
【0080】
予熱段階P1で、送水ポンプ16又は空気ポンプ(図示せず)は、任意選択的に、水流を開始せずに、それぞれ初期水圧又は空気圧を高めるために起動することができる。このように、分配サイクルが開始されたことを知らせるために、ユーザに音響フィードバックも提供することができる。
【0081】
フィードフォワード制御段階P2は、好ましくは、部分の分配を開始するために流路30内への水の初期供給82で開始し、続いて、決定された温度に応じてフィードバック制御段階P3においてヒータ18が制御された84ときに終了する。フィードフォワード制御段階P2で、水は流路を通して供給され、それによって、水は、ヒータ18の出口37における水温センサ34aに達し、水温センサ34aに影響を及ぼすことができる。これによって、段階P3での後続のフィードバック制御が可能となる。
【0082】
フィードフォワード制御段階P2で、ヒータ18には、好ましくは、所定のフィードフォワードデューティサイクル係数FFDCに従って間欠的に電力が供給され、このフィードフォワードデューティサイクル係数FFDCは、例えば、水温、水流量、加熱電力レベル及び/又は熱容量の1つ又は複数の所定の値及び/又は推定値及び/又は測定値に依存する。必要に応じて、係数FFDCは更に、最小値、例えばゼロ、及び/又は最大値、例えば1を課すことによって予め定められることが理解されるであろう。
【0083】
フィードフォワード制御段階P2は、所定の持続時間t_P2を有し、例えば、水温、水流量、加熱電力レベル及び/又は熱容量の1つ又は複数の所定値及び/又は推定値及び/又は測定値に依存する。最小持続時間、例えばゼロ及び/又は最大持続時間、例えば3秒を課すことができる。
【0084】
フィードバック制御段階P3は、決定された温度に応じてヒータ18が制御された84ときに開始し、ヒータ18の動作が停止された85ときに終了する。
【0085】
フィードバック制御段階P3で、ヒータ18は、好ましくは、動的フィードバックデューティサイクルFBDCに従って制御され、この動的フィードバックデューティサイクルFBDCは、ヒータ18の出水口37における水温T_outとの差に依存する。温度T_outは、好ましくは、出水口37における温度センサ34aによって検知された温度に基づき、任意選択的に、ヒータ18の入口35における推定された水温T_in_estに対して補正される。フィードバック制御は、比例積分(PI)及び/又は比例積分微分(PID)制御ループ機構に従って構成することができる。このようなフィードバック制御構成は、特に、動的フィードバックに基づく補正をフィードフォワード制御方式に対して課すことができ、さもなければ、フィードフォワード制御方式をフィードフォワード制御段階P2から継続することができる。したがって、フィードフォワード成分は、段階P2とP3の両方においてヒータ制御に存在することができ、その一方で、フィードバック成分は、段階P3にのみ存在する。したがって、段階P3でのフィードバックデューティサイクルFBDCは、段階P2のフィードフォワードデューティサイクルFFDCに依存することができる。
【0086】
フィードバック制御段階P3の持続時間t_P3は、主に、部分の所定の分配時間に依存し、この分配時間は、流量及び所望の部分体積に依存し得る。持続時間t_p3は、所定の合計(残りの)分配持続時間から、停止ヒータ段階P4の所定の持続時間t_P4を減算することによって決定され得る。
【0087】
停止ヒータ段階P4は、好ましくは、ヒータ18の動作が停止されたときに開始し、流路内へ水の供給が停止された86ときに終了し、それによって部分の分配を終了する。
【0088】
停止ヒータ段階P4の持続時間t_P4は、例えば、水温、水流量、加熱電力レベル及び/又は熱容量の1つ又は複数の所定値及び/又は推定値及び/又は測定値に依存することができる。最小持続時間、例えば0.5秒、及び/又は最大持続時間、例えば2秒は、更に持続時間t_P4を予め定める際に課すことができる。
【0089】
有効最大加熱電力レベルP_estは、後続の、例えば直後の分配サイクルにおいて上で説明したようなデューティサイクル及び/又は段階持続時間を算出するために使用されるように、1回の、例えば各分配サイクル中に、すなわち分配される各部分に対して推定することができる。
【0090】
電力レベルP_estは、例えば温度及び/又は段階持続時間の1つ又は複数の推定値及び/又は測定値の記録に基づいて推定することができる。分配サイクルに対する電力レベルP_estは更に、新たに推定された電力レベル値に加えて、前回の分配サイクルに対する電力レベルP_estの前回の所定値を含む、時系列にローパスフィルタを適用することによって予め定めることができる。必要に応じて、P_estの初期値は、例えば2500Wに設定することができる。
【0091】
こうして決定された電力レベルP_estは、後続の分配サイクルで使用するために記憶することができる(図6のステップ87を参照)。
【0092】
上で示唆したように、ヒータ18の入口35における水温T_in_estは、例えば、後続の、例えば直後の分配サイクルにおいて上で説明したようなデューティサイクル及び/又は段階持続時間を算出するために使用されるように、1回の、例えば各分配サイクル中に、すなわち分配される各部分に対して推定することができる。
【0093】
水温T_in_estは、例えば、水温、水流量、加熱電力レベル及び/又は熱容量の1つ又は複数の所定値及び/又は推定値及び/又は測定値に基づいて推定することができる。
【0094】
入口水温T_in_estは更に、例えば10℃の最小値及び/又は例えば40℃の最大値を課すことによって決定することができる。
【0095】
フィードバック制御段階P3が所定の最小持続時間よりも短かった場合、入口水温T_in_estの推定値の更新を省略することができる、すなわち、推定値の前回値を維持することができる。必要に応じて、推定値T_in_estは、例えば約23℃で初期化することができる。
【0096】
こうして推定された入口水温T_in_estの値を記憶し(図6のステップ88を参照)、その後、上で説明したように後続の分配サイクルのために使用することができる。
【0097】
説明したようにヒータ18の入口35における水温を推定することに代えて又は加えて、それぞれの水温センサ(図示せず)は、前記入水口35における水温を決定するために、ヒータ18の入水口35に設けることができる。
【0098】
図面を参照すると、本明細書は、流路30を間欠的に流れる水を加熱するための厚膜ヒータ18の例示的な使用であって、水は、ヒータ18の下流側でミルク濃縮物と混合され、それによって、温かいミルク含有飲料成分又は飲料の部分を分配するために温かいミルクが形成される、使用を開示する。
【0099】
図面を参照すると、本明細書は、温かいミルク含有飲料成分又は飲料の部分を間欠的に分配するための例示的なシステム1であって、システムは、好ましくは、入水口31から分配出口32に延びる流路30を含み、流路30には、分配出口32の上流側にミルク濃縮物入口33が設けられ、ミルク濃縮物入口33の上流側に厚膜ヒータ18が設けられ、システム1は、流路30内の水の特性、特に温度を決定する、例えば推定及び/又は測定するように構成された水温決定手段34を含み、システム1は、厚膜ヒータ18を制御するように構成されたコントローラ36を含み、第1の加熱モードでは、コントローラ36による制御は、決定された特性に実質的に依存せず、後続の第2の加熱モードでは、コントローラ36による制御は、決定された特性に依存する、システム1を開示する。
【0100】
また、図面を参照すると、本明細書は、温かいミルク含有飲料成分又は飲料の部分を間欠的に分配するための例示的なシステム1であって、システムは、好ましくは、入水口31から分配出口32に延びる流路30を含み、流路30には、分配出口32の上流側にミルク濃縮物33入口が設けられ、ミルク濃縮物入口33の上流側に厚膜ヒータ18が設けられ、システム1は、システム1が流路30への水の供給を停止する前の所定のヒータ停止時間に厚膜ヒータ18の電源を切るように構成される、システム1を開示する。
【0101】
更に、図面を参照すると、本明細書は、温かいミルク含有飲料成分又は飲料の部分を分配する例示的な方法であって、好ましくは、流路30を通して水を供給すること82と、厚膜ヒータ18によって流路内の水を加熱すること81と、流路30内の加熱された水にミルク濃縮物を供給することとを含み、方法は、水の特性、特に温度を決定すること83、例えば推定及び/又は検知することと、加熱を制御することとを含み、第1の加熱モードでは、制御は、決定された特性に実質的に依存せず、後続の第2の加熱モードでは、制御84は、決定された特性に依存する、方法を開示する。
【0102】
更に、図面を参照すると、本明細書は、温かいミルク含有飲料成分又は飲料の部分を分配する例示的な方法であって、好ましくは、流路30を通して水を供給すること82と、厚膜ヒータ18によって流路30内の水を加熱すること81と、流路30内の加熱された水にミルク濃縮物を供給することとを含み、方法は、水がヒータ30を流れている間、ヒータ18の電源を切っておくこと85を含む、方法を開示する。
【0103】
上で説明した例示的な実施形態に本発明が限定されないことは自明である。添付の特許請求の範囲に記載した本発明の枠組みの中で、様々な修正が可能である。
【0104】
例えば、様々なシステム部品を互いに対して様々な方法で配置することができる。例として、水流量計は、当業者によって理解されるように、(流量計によって測定される水流を提供する)それぞれのポンプの上流側又は下流側に配置することができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【国際調査報告】