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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-21
(54)【発明の名称】流体制御システム
(51)【国際特許分類】
   F15B 11/00 20060101AFI20240514BHJP
   F16K 27/00 20060101ALI20240514BHJP
【FI】
F15B11/00 D
F16K27/00 B
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023572961
(86)(22)【出願日】2022-05-13
(85)【翻訳文提出日】2024-01-23
(86)【国際出願番号】 EP2022063035
(87)【国際公開番号】W WO2022248249
(87)【国際公開日】2022-12-01
(31)【優先権主張番号】17/328,379
(32)【優先日】2021-05-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】508294228
【氏名又は名称】フェスト エスエー ウント コー カーゲー
【氏名又は名称原語表記】Festo SE & Co. KG
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ニーファー ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】カシミール ユーテ
(72)【発明者】
【氏名】バウアーズ チャールズ
【テーマコード(参考)】
3H051
3H089
【Fターム(参考)】
3H051BB02
3H051BB03
3H051CC01
3H051CC14
3H051CC16
3H051FF09
3H089BB27
3H089CC00
3H089DB02
3H089DB45
3H089DB48
3H089DC03
3H089EE03
3H089EE17
3H089EE36
3H089FF07
3H089HH04
3H089HH23
(57)【要約】
流体消費機器に流体を供給するための流体制御システムであって、流体切換弁、流体圧力調節器、及び真空切換弁が取り付けられた通路本体を含むバルブモジュールを備え、通路本体は、流体流入ポートから流体圧力調節器の流入ポートに延在している第1流体通路と、流体圧力調節器の流出ポートから流体切換弁の流入ポートに延在している第2流体通路と、流体切換弁の流出ポートから流体消費機器ポートに延在している第3流体通路と、真空流入ポートから真空切換弁の流入ポートに延在している第1真空通路と、真空切換弁の流出ポートから流体消費機器ポートに延在している第2真空通路と、を有している。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体消費機器に流体を供給するための流体制御システムであって、
流体切換弁、流体圧力調節器、及び真空切換弁が取り付けられた通路本体を含むバルブモジュールを備え、
前記通路本体は、
流体流入ポートから前記流体圧力調節器の流入ポートに延在している第1流体通路と、
前記流体圧力調節器の流出ポートから前記流体切換弁の流入ポートに延在している第2流体通路と、
前記流体切換弁の流出ポートから流体消費機器ポートに延在している第3流体通路と、
真空流入ポートから前記真空切換弁の流入ポートに延在している第1真空通路と、
前記真空切換弁の流出ポートから前記流体消費機器ポートに延在している第2真空通路と、
を有している、流体制御システム。
【請求項2】
請求項1に記載の流体制御システムであって、
前記流体切換弁、前記流体圧力調節器、及び前記真空切換弁は、前記通路本体の上面上に設けられ、前記流体消費機器ポートは、前記上面を横断するように配向された前記通路本体、の端面上に設けられている、
流体制御システム。
【請求項3】
請求項1に記載の流体制御システムであって、
前記流体切換弁及び前記流体圧力調節器は、前記通路本体の第1通路本体部に取り付けられ、
前記第1通路本体部は、第1通路本体インターフェースを有するとともに、前記第1通路本体部を通って延在して前記第1通路本体インターフェースの第1開口で終端している前記第3流体通路の第1部分を備え、
前記真空切換弁は、前記通路本体の第2通路本体部に取り付けられ、
前記第2通路本体部は、第2通路本体インターフェースを有するとともに、前記第2通路本体部を通って延在して前記第2通路本体インターフェースの第2開口で終端している前記第3流体通路の第2部分を備え、
前記第1通路本体インターフェース及び前記第2通路本体インターフェースは、互いに密封するように相互接続されている、
流体制御システム。
【請求項4】
請求項1に記載の流体制御システムであって、
圧力センサが、前記通路本体上に設けられ、センサインターフェースに電気的に接続されている、
流体制御システム。
【請求項5】
請求項4に記載の流体制御システムであって、
前記圧力センサは、前記第1通路本体部の前記上部において、前記流体切換弁と前記流体圧力調節器との間に配置され、
検知通路が、前記第1通路本体部において、前記圧力センサと前記第3流体通路との間に形成されている、
流体制御システム。
【請求項6】
請求項1に記載の流体制御システムであって、
前記流体切換弁は、3/2方向電磁弁として形成されている、
流体制御システム。
【請求項7】
請求項1に記載の流体制御システムであって、
前記真空切換弁は、3/2方向電磁弁として形成されている、
流体制御システム。
【請求項8】
請求項1に記載の流体制御システムであって、
前記流体圧力調節器は、ピエゾバルブと、圧力センサと、前記圧力センサからのセンサ信号に基づいて出力圧を調整するための電子コントローラと、を有する比例圧力調節弁として構成されている、
流体制御システム。
【請求項9】
請求項1に記載の流体制御システムであって、
複数のバルブモジュールが、ハウジングに設けられているとともに、前記ハウジングの内面に設けられた圧力供給バーと真空供給バーとに取り付けられ、
前記圧力供給バーは、圧力ポートと複数の流体排出口とを有し、
前記真空供給バーは、真空ポートと複数の真空出口とを有している、
流体制御システム。
【請求項10】
請求項9に記載の流体制御システムであって、
前記圧力供給バーの前記複数の圧力排出口は、第1直線に沿って第1の一定ピッチで配置され、
前記真空供給バーの前記複数の真空出口は、第2直線に沿って第2の一定ピッチで配置され、
前記第1直線及び前記第2直線は、互いに平行に並べられ、前記第1ピッチ及び前記第2ピッチは、同一である、
流体制御システム。
【請求項11】
請求項9に記載の流体制御システムであって、
前記通路本体における前記流体流入ポートは、前記圧力供給バーにおける前記圧力排出口に接続され、
前記通路本体における前記真空流入ポートは、前記真空供給バーにおける前記真空出口に接続されている、
流体制御システム。
【請求項12】
請求項9に記載の流体制御システムであって、
制御回路が、前記ハウジングの後方側に配置され、
前記複数のバルブモジュールの各々には、接触板が設けられ、
前記接触板は、前記流体切換弁と、前記流体圧力調節器と、前記真空切換弁とに電気的に接続され、
前記制御回路には、各々が接触板の電気的接触のために設計された複数のコネクタが配され、
前記制御回路は、前記流体切換弁、前記流体圧力調節器、及び前記真空切換弁の電気的制御のために設計されている、
流体制御システム。
【請求項13】
請求項12に記載の流体制御システムであって、
複数のバルブモジュールが、前記圧力供給バー上、及び前記真空供給バー上に、前記第1のピッチで互いに平行に載置されている、
流体制御システム。
【請求項14】
請求項13に記載の流体制御システムであって、
前記制御回路は、バス通信システムに接続するためのバスインターフェースを含む、
流体制御システム。
【請求項15】
請求項1に記載の流体制御システムであって、
前記流体圧力調節器は、前記通路本体上において、前記流体切換弁と前記真空切換弁との間に設けられている、
流体制御システム。
【請求項16】
請求項2に記載の流体制御システムであって、
真空ポートが、前記通路本体の前記上部において前記真空切換弁に隣り合って設けられ、前記真空切換弁に個別に真空を提供するように構成されている、
流体制御システム。
【請求項17】
請求項1に記載の流体制御システムであって、
流体フィルタが、前記流体消費機器ポートに付属している、
流体制御システム。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、流体消費機器に流体を供給するための流体制御システムに関する。
本発明によれば、流体制御システムは、流体切換弁、流体圧力調節器、及び真空切換弁が取り付けられた通路本体を含むバルブモジュールを備え、通路本体は、流体流入口から流体圧力調節器の流入口まで延在する第1流体通路と、流体圧力調節器の流出口から流体切換弁の流入口まで延在する第2流体通路と、流体切換弁の流出口から流体消費機器ポートまで延在する第3流体通路と、真空流入口から真空切換弁の流入口まで延在する第1真空通路と、真空切換弁の流出口から流体消費機器ポートまで延在する第2真空通路と、を有する。
【0002】
バルブモジュールの目的は、加圧された空気及び真空を流体消費機器に提供することであり、この流体消費機器は、加工物に対して加工力を加えるために用いられるアクチュエータであってもよい。したがって、バルブモジュールは、一方では、加圧された空気を扱うための複数のコンポーネント、より具体的には、流体切換弁と流体圧力調節器とを備え、他方では、真空を扱うためのコンポーネント、より具体的には、真空切換弁を備える。加圧された空気を扱うためのコンポーネント及び真空を扱うためのコンポーネントの双方は、流体消費機器との接続のための、より具体的には、パイプ又は管を流体消費機器に接続するための接続インターフェースとして機能する流体消費機器ポートに間接的又は直接的に接続される。バルブモジュールのコンパクトな設計を確保するために、加圧された空気用通路及び真空用通路を含む、バルブモジュールのそれぞれのコンポーネントを接続するのに必要な全ての流体通路は、通路本体における孔として実現されているので、流体切換弁、流体圧力調節器、及び真空切換弁等のコンポーネントを接続するのに外付けの管又はパイプを必要としない。さらに、流体切換弁、流体圧力調節器、及び真空切換弁は、別々の機能ユニットとして設けられ、それらの各々が、通路本体に接続される流体インターフェースと、さらに、それぞれの機能ユニットを電気的に動作させる電気的インターフェースと、を備えるハウジングを有する。
【0003】
本発明の実施形態によれば、流体切換弁、流体圧力調節器、及び真空切換弁は、通路本体の上面上に設けられ、流体消費機器ポートは、上面を横断するように配向された通路本体、の端面上に設けられる。通路本体の上面は、流体通路及び真空通路のそれぞれのための開口を有する平坦面として実現されてもよい。或いは、上面は、少なくとも部分的に切り取られて、流体切換弁及び/又は流体圧力調節器及び/又は真空切換弁のそれぞれのインターフェース形状に適合される。流体消費機器ポートは、通路本体の端面上又は正面上に配置されて、流体消費機器のバルブモジュールへの接続及びバルブモジュールからの取外しのそれぞれを確実に容易にする。
【0004】
本発明のさらなる実施形態によれば、流体切換弁及び流体圧力調節器は、通路本体の第1通路本体部に取り付けられ、第1通路本体部は、第1通路本体インターフェースを有するとともに、第1通路本体部を通って延在して第1通路本体インターフェースの第1開口で終端している第3流体通路の第1部分を備え、真空切換弁は、通路本体の第2通路本体部に取り付けられ、第2通路本体部は、第2通路本体インターフェースを有するとともに、第2通路本体部を通って延在して第2通路本体インターフェースの第2開口で終端している第3流体通路の第2部分を備え、第1通路本体インターフェース及び第2通路本体インターフェースは、互いに密封するように相互接続される。
【0005】
加圧された空気を扱うためのコンポーネントは、真空を扱うためのコンポーネントとは別に交換可能であるため、通路本体を第1通路本体部と第2通路本体部とに分離することで、バルブモジュールを有利に保守できる。第1通路本体部は、第1通路本体インターフェースを備え、第1通路本体インターフェース上には、第3流体通路の第1部分の開口が配置される。第2通路本体部は、第2通路本体インターフェースを備え、第2通路本体インターフェース上には、第3流体通路の第2部分の開口が配置される。好ましくは、第1通路本体インターフェース及び第2通路本体インターフェースは、第3流体通路の2つの部分の間に気密接続を確保するように互いに押圧された平坦面として実現されている。好ましくは、これら開口のうちの少なくとも1つは、シーリング、より具体的には、Oリングシールにより囲繞される。
【0006】
本発明のさらなる実施形態によれば、圧力センサが通路本体上に設けられて、センサインターフェースに電気的に接続される。好ましくは、圧力センサは、流体消費機器ポートにおける圧力を監視するために用いられ、圧力に応じた電気信号をセンサインターフェースに供給する。センサインターフェースは、バルブモジュールの一部であってもよく、圧力信号を処理する処理手段に圧力センサを接続する接続手段として機能する。
【0007】
本発明のさらなる実施形態によれば、圧力センサは、第1通路本体部の上部において、流体切換弁と流体圧力調節器との間に配置され、検知通路が、圧力センサと第3流体通路との間の第1通路本体部に形成される。この圧力センサの配置により、第1通路本体部をコンパクトに設計できる。さらに、流体切換弁からの廃熱に起因してバルブモジュールの動作中に生じ得る熱影響を回避するのに有用な、流体切換弁と流体圧力調節器との間の最大距離が実現される。
【0008】
本発明のさらなる実施形態によれば、流体切換弁は、3/2方向電磁弁として形成される。
本発明のさらなる実施形態によれば、真空切換弁は、3/2方向電磁弁として形成される。
本発明のさらなる実施形態によれば、流体圧力調節器は、ピエゾバルブと、圧力センサと、圧力センサからのセンサ信号に基づき出力圧を制御するための電子コントローラと、を有する比例圧力調節弁として構成される。圧力調節器の役割は、流体消費機器の動作を制御する機械制御信号に基づいて、予め定められた量の加圧された空気を正確に送出することである。ピエゾバルブ、圧力センサ、及び電子コントローラは、要求された量の加圧された空気を流体消費機器に供給する閉ループ制御回路を形成する。ピエゾバルブを用いることに起因して、加圧された空気の流れは、流体圧力調節器によって、迅速、且つ、少ない遅延で順応することができる。流体圧力調節器と流体消費機器ポートとの間に配置された流体切換弁は、流体消費機器を迅速に通気させる必要がある場合に、カットオフ弁として機能し、通気は、真空回路とそれに関連した真空弁とによって行われる。
【0009】
本発明のさらなる実施形態によれば、複数のバルブモジュールが、ハウジングに設けられるとともに、ハウジングの内面上に設けられた圧力供給バー及び真空供給バーに取り付けられ、圧力供給バーは、圧力ポートと複数の流体流出口とを有し、真空供給バーは、真空ポートと複数の真空出口とを有する。複数のバルブモジュールの各々は、その流体流入ポートによって、圧力供給バーの複数の流体排出口のうちの1つに接続される。さらに、複数のバルブモジュールの各々は、その真空流入ポートによって、真空供給バーの複数の真空出口のうちの1つに接続されてもよい。これにより、別途の流体管やホースを接続したり、取り外したりする必要がなく、複数のバルブモジュールをハウジングに快適に組み付けたり、ハウジングから快適に外したりすることが可能になる。圧力供給バーの圧力ポートは、コンプレッサ又は中央加圧空気供給源であってもよい圧力源に接続されることになる。同様に、真空供給バーの真空ポートは、局所真空供給源、又は中央真空供給源に接続されることになる。好ましくは、圧力供給バー及び真空供給バーは、ハウジングの内面上に設けられ、複数のバルブモジュールをハウジングに組み付けし易くしたり、ハウジングから外し易くしたりできるように配向される。流体排出口及び真空出口は、圧力供給バー及び真空供給バーのそれぞれの平坦面における円筒形の孔として実現されてもよい。
【0010】
本発明のさらなる実施形態によれば、圧力供給バーの複数の圧力排出口は、第1の一定ピッチで第1の直線に沿って配置され、真空供給バーの複数の真空出口は、第2の一定ピッチで第2の直線に沿って配置され、第1の直線及び第2の直線は、互いに平行に並べられ、第1のピッチ及び第2のピッチは、同一である。これにより、小さな幾何学的設置面積で、複数のバルブモジュールを平行に配置することができる。具体的には、第1の一定ピッチ及び第2の一定ピッチは、バルブモジュールの各々の範囲よりも僅かに大きいので、隣接して配置されたバルブモジュール間に狭い隙間が生じる。例えば、第1の一定ピッチは11mmであり、バルブモジュールの範囲は10mmであるため、隣接して配置されたバルブモジュール間の隙間は1mmとなる。
【0011】
本発明のさらなる実施形態によれば、制御回路は、ハウジングの後側に配置され、複数のバルブモジュールの各々には接触板が設けられ、接触板は、流体切換弁と、流体圧力調節器と、真空切換弁と、に電気的に接続され、制御回路には、各々が接触板の電気的接触のために設計された複数のコネクタが配され、制御回路は、流体切換弁、流体圧力調節器、及び真空切換弁の電気的制御のために設計される。
【0012】
制御回路は、プリント回路基板と、少なくとも1つのプロセッサと、このプロセッサの動作のための電子ペリフェラルと、を備え、プロセッサは、複数のバルブモジュールのそれぞれの制御のためのソフトウェアを備える。具体的には、制御回路は、流体切換弁、流体圧力調節器、及び真空切換弁の動作に必要な全ての制御信号を提供するとともに、それぞれのコンポーネントの電力供給も提供する。信号及び電力供給は、バルブモジュールの一部であり、バルブモジュールの電気コンポーネントのための電気接続のための、具体的には、ケーブル接続のための端子として機能する接触板に提供される。好適な実施形態によれば、接触板は、バルブモジュールの電気コンポーネントと制御回路との間の唯一の電気機械的インターフェースであり、それぞれの接触プラグ以外のいかなる能動的又は受動的な電気コンポーネント又は電子コンポーネントを含まない。
【0013】
本発明のさらなる実施形態によれば、制御回路は、バス通信システムへの接続のためのバスインターフェースを含む。このバスインターフェースによって、流体制御システムと機械制御との間でデジタルバス通信が可能となり、機械制御は、流体消費機器及び流体制御システムが組み込まれた機械を動作させる。このような機械制御は、具体的にはEthercat、Devicenet、CAN、Profibusといった群から選ばれるバス通信システムによって流体制御システム等の装置と通信を行う、数値制御、又はプログラマブル・ロジック・コントローラ(PLC)として実現されてもよい。
【0014】
本発明のさらなる実施形態によれば、流体圧力調節器は、通路本体上において、流体切換弁と真空切換弁との間に設けられる。好ましくは、真空切換弁は、流体消費機器を確実に迅速に通気させるために、消費機器ポートに最も近接した位置に配置される。真空切換弁は、ノーマルクローズ(NC)弁であり、迅速に通気する必要がある場合のみ動作するので、ほとんどの時間で電気エネルギーを消費せず、真空切換弁が、消費機器ポートに提供される加圧された空気の温度に影響を与えないことも意味する。これに対し、流体切換弁は、定期的に動作するため、消費機器ポートに提供される加圧された空気の温度に影響を与え得る少なくともある程度の廃熱を生じる。しかしながら、消費機器ポートへの最大距離を有する流体切換弁の配置と、流体圧力調節器と流体切換弁と消費機器ポートとの間の流体接続の配置と、に起因して、加圧された空気は通路本体を通って流体切換弁と消費機器ポートとの間の長い距離を確実に移動することができ、ひいては、加圧された空気に対する廃熱の影響を低減できる。
【0015】
本発明のさらなる実施形態によれば、真空ポートは、真空切換弁に隣接する通路本体の上部上に設けられ、真空切換弁に個別に真空を供給するように構成される。この真空ポートによって、真空供給バーによる真空供給の代わりとして、それぞれの真空切換弁に個別に真空を供給することができる。これは、それぞれのバルブモジュールに接続された流体消費機器が、真空供給バーでは提供できない特定の真空レベル及び/又は高真空流を必要とするのに有意義となり得る。好ましくは、真空ポートは、真空供給の流体連通のために管又はホースを接続可能なそれぞれのコネクタを具備される。
【0016】
本発明のさらなる実施形態によれば、流体フィルタが流体消費機器ポートに付属される。流体フィルタは、バルブモジュールを通じて流れている加圧された空気で供給され得る粒子であって、流体消費機器に流入してはならない粒子を確実に保持するとともに、流体消費機器が発し得る粒子であって、真空系に流入してはならない粒子も確実に保持する。
【0017】
本発明の好適な実施形態を以下の図に示す。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】ハウジングと、圧力供給バー及び真空供給バーに取り付けられたいくつかのバルブモジュールと、を備えている流体制御システムの斜視図を示す。
図2】部分的に切り取られた通路板を有するバルブモジュールの側面図を示す。
図3】バルブモジュールの空気圧図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1によれば、流体制御システム1は、ハウジング30を備え、ハウジング30は、分解された状態で示されているため、図1では台板31のみが表示されている一方で、台板31のカバーは示されていない。
【0020】
流体制御システム1は、複数のバルブモジュール2を備え、バルブモジュール2の各々は、別々に取り扱われ、操作され、そして検査され得るとともに、流体制御システム1のエンドユーザにより、ハウジング30に組み付けられたり、ハウジング30から取り外され得るアセンブリ群である。
【0021】
流体制御システム1は、また、制御回路40を備え、この制御回路40は、それぞれの支持部45により台板31に取り付けられており、また、バルブモジュール2の機能を制御する電子回路を形成する、例えばマイクロコントローラ等のプロセッサ及び追加の電子コンポーネントや電気コンポーネント(図示せず)が具備されたプリント回路基板46を備えている。さらに、プリント回路基板46は、列を成して配置され、バルブモジュール2との電気的接続を担う複数のプラグコネクタ48が具備されている。制御回路40をバス通信システムへ接続するのに別のプラグコネクタ49が用いられてもよい。
【0022】
台板31の上面32は、圧力供給バー21を具備され、圧力供給バー21は、長方形の輪郭を有し、延伸軸28に沿って延在しており、延伸軸28は、台板31の幅に対して平行に配向されている。圧力供給バー21の左端領域55及び右端領域56の双方は、長方形のブロックとして成形されている。右端領域56に配置された圧力ポート22は、エルボ継手59を具備されており、このエルボ継手59は、管60と流体継手61とに接続されており、この流体継手61は、管又はホース(図示せず)により圧力供給バー21を圧力供給源(図示せず)に接続可能にする。圧力供給バー21は、平坦面62を有し、この平坦面62は、延伸軸28に沿って一定のピッチ29で配置された複数の流体排出口23を具備されている。複数の流体排出口23の各々は、平坦面62と直交するように配向され、Oリングシール63により囲繞された孔として実現されている。好ましくは、各流体排出口23は、それぞれの流体排出口23をその流体排出口23が使用されていない場合に個別に密閉するためのネジ(図示せず)を組み付けることを可能にするネジ孔として実現されている。
【0023】
さらに、台板31の上面32は、真空供給バー24を具備され、この真空供給バー24は、長方形の輪郭を有し、延伸軸28に沿って延在するとともに、圧力供給バー21に対して平行に配向されている。真空供給バー21の左端領域57及び右端領域58の双方は、長方形のブロックとして成形されている。右端領域58に配置された真空ポート25は、エルボ継手64を具備され、このエルボ継手64は、管又はホース(図示せず)により、真空供給バー24を真空供給源(図示せず)に接続可能にする。真空供給バー24は、複数の真空出口26を具備された平坦面65を有し、これらの真空出口26は、流体排出口23と同じ一定のピッチ29で延伸軸28に沿って配置されている。複数の真空出口26の各々は、平坦面65に直交するように配向され、Oリングシール66により囲繞された孔として実現されている。好ましくは、各真空出口26は、それぞれの真空出口26をこの真空出口26が使用されていない場合に個別に密閉するためのネジ(図示せず)を組み付けることを可能にするネジ孔として実現されている。
【0024】
バルブモジュール2に対して個別に真空を供給できるように、複数のバルブモジュールの各々は、通路本体3の上面38上に配置された供給ポート77を具備されている。図1によれば、複数の供給ポート77のうちの1つはエルボ継手67を具備されている一方で、残りの供給ポート77はそれぞれのネジ78により閉鎖されている。
【0025】
圧力供給バー21及び真空供給バー24は、以下により詳細に説明されるそれぞれのバルブモジュール2の流体結合のためのインターフェースとして機能する。
図1に示すように、複数のバルブモジュール2の各々は、同一の構成のコンポーネントを有しているので、バルブモジュール2の以下の説明は、図1に係る流体制御システム1の全てのバルブモジュール2に対して有効である。
【0026】
バルブモジュール2は、通路本体3と、流体切換弁4と、流体圧力調節器5と、真空切換弁6と、圧力センサ14と、を備える。流体切換弁4、流体圧力調節器5、真空切換弁6、及び圧力センサ14は、電気エネルギーにより作動され、流体消費機器ポート12への流体の流れと、流体消費機器ポート12からの流体の流れとをそれぞれ制御する役割を担う電気機械的な流体コンポーネントである。図1から分かるように、流体消費機器ポート12は、流体消費機器、具体的には、アクチュエータ(図示せず)と接続される可撓性ホース(図示せず)を接続可能にするホース継手36を具備されている。流体消費機器ポート12は、通路本体3の、正面とも称され得る端面16上に配置され、端面16は、台板31の正面33に隣接して配置されている。これにより、ハウジング30のカバーが台板31に接続されている場合であっても、ホース継手36に容易にアクセス可能になる。
【0027】
図1及び図2によれば、流体切換弁4は、コネクタ83により接触板41に接続されている。流体圧力調節器5は、接続ケーブル84により接触板41に接続されている。真空切換弁6は、接続ケーブル85により接触板41に接続され、圧力センサ14は、接続ケーブル86により接触板41に接続されている。
【0028】
図1及び図2から分かるように、通路本体3は、第1通路本体部17と第2通路本体部18とを備えている。第1通路本体部17は、主として、加圧された空気を扱う役割を担うので、流体切換弁4、流体圧力調節器5、及び圧力センサ14は、第1通路本体部17の上面15上に配置されている。第2通路本体部18は、主として、真空を扱う役割を担うので、真空切換弁6は、第2通路本体部18の上面38上に配置されている。しかしながら、第2通路本体部18は、流体消費機器ポート12に取り付けられたホース継手36も保持している。
【0029】
第1通路本体部17は、第1流体通路7を備え、この第1流体通路7は、圧力供給バー21の輪郭に適合された長方形の輪郭を有する第1凹部51に配置された流体流入ポート10から延在している。流体流入ポート10は、圧力供給バー21の複数の流体排出口23のうちの1つに差し込まれる短い管として実現されている。第1流体通路7は、流体圧力調節器5の流入ポート70に接続されているので、圧力供給バー21から流体圧力調節器5への加圧された空気の供給を可能にしている。第1通路本体部17は、第2流体通路8も備え、この第2流体通路8は、流体圧力調節器5の流出ポート71から流体切換弁4の流入ポート68まで延在している。さらに、第3流体通路9の第1部分19は、流体切換弁4の流出ポート69から第1通路本体部17の第1第2通路本体インターフェース42まで延在している。加えて、第4流体通路13は、第3流体通路9の第1部分19から圧力センサ14の流入ポート74まで延在している。
【0030】
第3流体通路9の第2部分20は、第2通路本体インターフェース43と端面16との間の第2通路本体部18を貫通している。第2通路本体インターフェース43は、第1通路本体部17の第1通路本体インターフェース42とは反対側に配置されている。具体的には、第1通路本体インターフェース42及び第2通路本体インターフェース43の双方は、流体切換弁4によって供給された加圧された空気を流体消費機器ポート12に送ることができるように、互いに気密状態で接続された平坦面を有している。加えて、真空供給バー24の輪郭に適合された長方形の輪郭を有する第2凹部52に配置された真空流入ポート11から、真空切換弁6の流入ポート72まで第1真空通路80が延在している。真空流入ポート11は、真空供給バー24の複数の真空ポート25のうちの1つに差し込まれる短い管として実現されている。さらに、真空切換弁6の流出ポート73から流体消費機器ポート12まで第2真空通路81が延在している。図2の概略図から分かるように、流体フィルタ27が第2真空通路81内に配置されている。
【0031】
流体切換弁4、流体圧力調節器5、真空切換弁6、及び流体消費機器ポート12におけるコンポーネント間の流体接続は、図3のそれぞれ記号によって表されている。
図1
図2
図3
【国際調査報告】