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特表2024-520046挿入モジュール及びモジュールアセンブリ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-21
(54)【発明の名称】挿入モジュール及びモジュールアセンブリ
(51)【国際特許分類】
   H05K 7/20 20060101AFI20240514BHJP
   H01L 23/40 20060101ALI20240514BHJP
【FI】
H05K7/20 E
H05K7/20 F
H01L23/40 A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023572994
(86)(22)【出願日】2022-03-29
(85)【翻訳文提出日】2023-11-24
(86)【国際出願番号】 EP2022058256
(87)【国際公開番号】W WO2022248104
(87)【国際公開日】2022-12-01
(31)【優先権主張番号】102021205301.7
(32)【優先日】2021-05-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】390023711
【氏名又は名称】ローベルト ボツシユ ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
【住所又は居所原語表記】Stuttgart, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ローラント ヘルヴィーク
(72)【発明者】
【氏名】マティアス エンゲル
(72)【発明者】
【氏名】マヌエル マウル
(72)【発明者】
【氏名】フローリアン ブアガー
(72)【発明者】
【氏名】ベネディクト ボンパン
【テーマコード(参考)】
5E322
5F136
【Fターム(参考)】
5E322AA11
5E322AB01
5E322AB03
5E322AB04
5E322AB05
5E322EA10
5E322FA04
5F136BA30
5F136BC03
5F136EA41
5F136FA02
5F136FA03
5F136GA14
(57)【要約】
本発明は、挿入モジュール(10)及びそのような挿入モジュール(10)を有する車両用のモジュールアセンブリ(1)、並びに、そのような挿入モジュール(10)の外部熱インタフェース(17)を形成するための方法に関し、当該モジュール(10)は、モジュールハウジング(11)と、少なくとも1つの放熱装置(12)と、プリント回路基板(14)上に配置された少なくとも1つの電気部品(15)とを含み、モジュールハウジング(11)は、プリント回路基板(14)を少なくとも部分的に取り囲み、少なくとも1つの放熱装置(12)は、少なくとも1つの電気部品(15)に対向する表面に、少なくとも1つの電気部品(15)を少なくとも1つの放熱装置(12)と熱的に結合させるように構成された少なくとも1つの内部熱インタフェース(16)を有し、少なくとも1つの放熱装置(12)は、少なくとも1つの電気部品(15)とは反対側の表面に、少なくとも1つの放熱装置(12)を外部ヒートシンク(8)と熱的に結合させるように構成された少なくとも1つの外部熱インタフェース(17)を有し、少なくとも1つの外部熱インタフェース(17)は、少なくとも1つの放熱装置(12)に接続され、かつ、対応する外部熱インタフェース(17)の形成の際に圧縮されるように構成された少なくとも1つの熱伝導性で弾性の補償要素(18)と、熱伝導性で弾性の補償要素(18)に被着され、かつ、外部ヒートシンク(8)に対する外部熱インタフェース(17)の熱接触接続面を形成し、かつ、少なくとも1つの熱伝導性で弾性の補償要素(18)を圧縮するように構成された少なくとも1つの熱伝導性で摺動可能な接触接続要素(19)と、を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
モジュールハウジング(11)と、少なくとも1つの放熱装置(12)と、プリント回路基板(14)上に配置された少なくとも1つの電気部品(15)とを備えた挿入モジュール(10)、特に車両におけるモジュールアセンブリ(1)用の挿入モジュール(10)であって、
前記モジュールハウジング(11)は、前記プリント回路基板(14)を少なくとも部分的に取り囲み、
前記少なくとも1つの放熱装置(12)は、前記少なくとも1つの電気部品(15)に対向する表面に、前記少なくとも1つの電気部品(15)を前記少なくとも1つの放熱装置(12)と熱的に結合させるように構成された少なくとも1つの内部熱インタフェース(16)を有し、
前記少なくとも1つの放熱装置(12)は、前記少なくとも1つの電気部品(15)とは反対側の表面に、前記少なくとも1つの放熱装置(12)を外部ヒートシンク(8)と熱的に結合させるように構成された少なくとも1つの外部熱インタフェース(17)を有し、
前記少なくとも1つの外部熱インタフェース(17)は、前記少なくとも1つの放熱装置(12)に接続され、かつ、前記対応する外部熱インタフェース(17)の形成の際に圧縮されるように構成された少なくとも1つの熱伝導性で弾性の補償要素(18)と、前記熱伝導性で弾性の補償要素(18)に被着され、かつ、前記外部ヒートシンク(8)に対する前記外部熱インタフェース(17)の熱接触接続面を形成し、かつ、前記少なくとも1つの熱伝導性で弾性の補償要素(18)を圧縮するように構成された少なくとも1つの熱伝導性で摺動可能な接触接続要素(19)と、を含む、
挿入モジュール(10)。
【請求項2】
前記少なくとも1つの外部熱インタフェース(17)は、前記少なくとも1つの放熱装置(12)の収容空間(13)内に配置され、前記少なくとも1つの熱伝導性で摺動可能な接触接続要素(19)は、完全に突出し、前記少なくとも1つの熱伝導性で弾性の補償要素(18)は、前記収容空間(13)から少なくとも部分的に突出する、請求項1に記載の挿入モジュール(10)。
【請求項3】
前記少なくとも1つの熱伝導性で弾性の補償要素(18)は、前記少なくとも1つの放熱装置(12)と分離不能に接続されている、請求項1又は2に記載の挿入モジュール(10)。
【請求項4】
前記少なくとも1つの熱伝導性で弾性の補償要素(18)は、ギャップ充填材(18A)として構成されている、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の挿入モジュール(10)。
【請求項5】
前記少なくとも1つの熱伝導性で摺動可能な接触接続要素(19)は、条片又はプレートとして構成されている、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の挿入モジュール(10)。
【請求項6】
前記少なくとも1つの熱伝導性で摺動可能な接触接続要素(19)に少なくとも1つの孔部が設けられている、請求項5に記載の挿入モジュール(10)。
【請求項7】
前記少なくとも1つの熱伝導性で摺動可能な接触接続要素(19)は、挿入方向で前方側にある第1の端部領域(19.1)において、前記少なくとも1つの放熱装置(12)と接続されている、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の挿入モジュール(10)。
【請求項8】
前記少なくとも1つの熱伝導性で摺動可能な接触接続要素(19)は、2つの端部領域(19.1,19.2)において前記少なくとも1つの放熱装置(12)と接続されている、請求項7に記載の挿入モジュール(10)。
【請求項9】
後壁プリント回路基板(5)、少なくとも1つの外部ヒートシンク(8)及び少なくとも1つの差込み箇所(6)が配置されたハウジング(3)と、
請求項1乃至8のいずれか一項に記載の少なくとも1つの挿入モジュール(10)と、
を備えたモジュールアセンブリ(1)、特に車両用のモジュールアセンブリ(1)であって、
前記少なくとも1つの挿入モジュール(10)は、対応する差込み箇所(6)において、前記挿入モジュール(10)が収容開口部(9)の第1の接触接続面(9.1)と第2の接触接続面(9.2)との間で形状結合的にかつ摩擦結合的に保持されるように、前記ハウジング(3)の対応する前記収容開口部(9)に挿入されており、
挿入動作によって圧縮された少なくとも1つの熱伝導性で弾性の補償要素(18)が、少なくとも1つの熱伝導性で摺動可能な接触接続要素(19)とともに、前記少なくとも1つの外部ヒートシンク(8)に対する少なくとも1つの外部熱インタフェース(17)を形成し、それによって、前記挿入モジュール(10)の少なくとも1つの電気部品(15)によって発生した熱が、少なくとも1つの内部熱インタフェース(16)、少なくとも1つの放熱装置(12)及び前記少なくとも1つの外部熱インタフェース(17)を介して、前記少なくとも1つの外部ヒートシンク(8)に直接放熱可能である、
モジュールアセンブリ(1)。
【請求項10】
前記少なくとも1つの外部ヒートシンク(8)は、冷却装置(8A)として構成されている、請求項9に記載のモジュールアセンブリ(1)。
【請求項11】
少なくとも1つの収容開口部(9)は、前記冷却装置(8A)内で形成されている、請求項10に記載のモジュールアセンブリ(1)。
【請求項12】
前記少なくとも1つの冷却装置(8A)は、複数の冷却要素(8.1)を有し、前記少なくとも1つの冷却要素(8.1)は、相互に隣接して配置された2つの収容開口部(9)の間に配置されている、請求項10又は11に記載のモジュールアセンブリ(1)。
【請求項13】
前記少なくとも1つの冷却要素(8.1)は、少なくとも1つの冷却チャネル(8.2)が導入された金属プレートとして構成されている、請求項12に記載のモジュールアセンブリ(1)。
【請求項14】
前記挿入モジュール(10)は、少なくとも1つのプラグ(14.1)を有し、前記プラグ(14.1)は、挿入された状態で、前記後壁プリント回路基板(5)の対応するプラグ収容部(5.1)に差込まれている、請求項9乃至13のいずれか一項に記載のモジュールアセンブリ(1)。
【請求項15】
請求項1乃至8のいずれか一項に記載の挿入モジュール(10)の外部熱インタフェース(17)を形成するための方法(100)であって、
前記挿入モジュール(10)を準備するステップと、
少なくとも1つの熱伝導性で弾性の補償要素(18)を、少なくとも1つの放熱装置(12)の少なくとも1つの電気部品(15)とは反対側の表面に被着するステップと、
少なくとも1つの熱伝導性で摺動可能な接触接続要素(19)の挿入方向で前方側にある第1の端部領域(19.1)を、前記少なくとも1つの放熱装置(12)と接続させるステップと、
前記少なくとも1つの熱伝導性で摺動可能な接触接続要素(19)を、前記少なくとも1つの熱伝導性で弾性の補償要素(18)に被着するステップと、
を含む方法(100)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、挿入モジュール、特に車両におけるモジュールアセンブリ用の挿入モジュールに関する。また、本発明は、少なくとも1つのそのような挿入モジュールを有する、特に車両用のモジュールアセンブリ、及び、そのような挿入モジュールの外部熱インタフェースを形成するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば制御装置、電力出力段などの電気アセンブリ若しくはモジュール、又は、例えばパワー半導体、プロセッサ、マイクロコントローラなどの個々の電気部品を、予め定められた温度範囲内で動作させるために、従来技術からは、様々な放熱技術が公知である。ここでは、熱源としてのコンポーネントと、例えば冷却装置などのヒートシンクとの熱的結合は、高い影響力を有する。
【0003】
例えば、本出願後に公開された、本出願人の独国特許出願公開第102021202654号明細書からは、少なくとも一方の側に開口した収容空間と、収容空間内に配置され熱伝導性でかつ弾性の補償要素と熱伝導性で低粘着性の接触接続領域とを含む少なくとも1つのモザイクセグメントと、を備えた特に車両内の制御装置アセンブリ用の放熱装置が公知である。少なくとも1つのモザイクセグメントは、少なくとも1つのモザイクセグメントの熱伝導性でかつ弾性の補償要素が収容空間の底部の内表面に当接し、少なくとも1つのモザイクセグメントの少なくとも熱伝導性で低粘着性の接触接続領域は、底部とは反対側にある収容空間の開口側において、部分的に収容空間から突出するように収容空間内に配置されている。ここでは、収容空間の底部の外表面は、熱源用又はヒートシンク用の剛性の第1の接触接続面を形成し、少なくとも1つのモザイクセグメントの熱伝導性で低粘着性の接触接続領域は、ヒートシンク用又は熱源用の柔軟な第2の接触接続面を形成する。
【0004】
また、本出願後に公開された独国特許出願公開第102021203625号明細書からは、少なくとも1つの電子部品を有する少なくとも1つの電子ユニットと、電子部品を有する電子ユニットを取り囲んだ少なくとも1つのハウジングとを含む自動車の電子アセンブリが公知である。電子部品は、ハウジングと熱伝導結合を形成する。ここでは、電子部品の熱放出のために、少なくとも1つの放熱器又は熱伝導性の高い部品がハウジングの外側に配置されている。また、独国特許出願公開第102021203625号明細書には、交換可能な電子アセンブリを少なくとも部分的に取り囲んでいる熱伝導性材料からなる少なくとも1つのハウジングを備えた、交換可能な電子アセンブリを収容するための装置が開示されている。また、ハウジングに解離可能に接続された前面が設けられており、この前面を介して、ハウジングの内部に配置された交換可能な電子アセンブリへのアクセスが可能である。交換可能な電子アセンブリの冷却のために、ハウジングの少なくとも1つの外面には少なくとも1つの冷却器が配置されている。後側のハウジングカバーは、少なくとも1つのプラグ用の少なくとも1つの貫通孔部及び/又は少なくとも1つのシールド及び/又はハウジングカバーと平行に配向され交換可能な電子アセンブリの接触接続のために用いられる後壁プリント回路基板用の少なくとも1つの収容部を含む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】独国特許出願公開第102021202654号明細書
【特許文献2】独国特許出願公開第102021203625号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
発明の開示
独立請求項1の特徴を有する挿入モジュール及び独立請求項9の特徴を有するモジュールアセンブリは、それぞれ、少なくとも1つの外部熱インタフェースにより、外部ヒートシンクへのより大きい結合面が可能になるという利点を有している。これにより、より高い放熱性能を実現することができる。代替的に、同等の放熱性能であれば、放熱に必要な接触接続面積を低減することができる。また、放熱装置と外部ヒートシンクとの間の不均一性は、少なくとも1つの外部熱インタフェースの少なくとも1つの熱伝導性で弾性の補償要素によって補償することができる。改善された熱伝達により、熱源としての電気部品の寿命を延ばすことができる。少なくとも1つの外部熱インタフェースの少なくとも1つの熱伝導性で摺動可能な接触接続要素により、少なくとも1つの熱伝導性で弾性の補償要素の一部がヒートシンクの接触接続面に残ることなく、ヒートシンクの対応する接触接続面から再びこれを容易に引き離すことができる。また少なくとも1つの熱伝導性で弾性の補償要素により、放熱装置及び外部ヒートシンクの接触接続面におけるより大きい許容誤差を許容することができる。これにより、製造コストをさらに低減することができる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の実施形態は、モジュールハウジングと、少なくとも1つの放熱装置と、プリント回路基板上に配置された少なくとも1つの電気部品とを備えた挿入モジュール、特に車両におけるモジュールアセンブリ用の挿入モジュールを提供する。モジュールハウジングは、プリント回路基板を少なくとも部分的に取り囲む。少なくとも1つの放熱装置は、少なくとも1つの電気部品に対向する表面に、少なくとも1つの内部熱インタフェースを有し、当該少なくとも1つの内部熱インタフェースは、少なくとも1つの電気部品を少なくとも1つの放熱装置と熱的に結合させるように構成されている。また、少なくとも1つの放熱装置は、少なくとも1つの電気部品とは反対側の表面に、少なくとも1つの放熱装置を外部ヒートシンクと熱的に結合させるように構成された少なくとも1つの外部熱インタフェースを有する。ここでは、少なくとも1つの外部熱インタフェースは、少なくとも1つの放熱装置に接続され、かつ、対応する外部熱インタフェースの形成の際に圧縮されるように構成された少なくとも1つの熱伝導性で弾性の補償要素と、少なくとも1つの熱伝導性で弾性の補償要素に被着され、かつ、外部ヒートシンクとの外部熱インタフェースの熱接触接続面を形成し、かつ、少なくとも1つの熱伝導性で弾性の補償要素を圧縮するように構成された少なくとも1つの熱伝導性で摺動可能な接触接続要素とを含む。
【0008】
また、後壁プリント回路基板、少なくとも1つの外部ヒートシンク及び少なくとも1つの差込み箇所が配置されたハウジングと、少なくとも1つのそのような挿入モジュールとを備えたモジュールアセンブリ、特に車両用のモジュールアセンブリが提案される。ここでは、少なくとも1つの挿入モジュールは、対応する差込み箇所において、挿入モジュールが収容開口部の第1の接触接続面と第2の接触接続面との間で形状結合的にかつ摩擦結合的に保持されるように、ハウジングの対応する収容開口部に挿入されており、ここで、挿入動作によって圧縮された少なくとも1つの熱伝導性で弾性の補償要素が、少なくとも1つの熱伝導性で摺動可能な接触接続要素とともに、少なくとも1つの外部ヒートシンクに対する少なくとも1つの外部熱インタフェースを形成し、それによって、挿入モジュールの少なくとも1つの電気部品によって発生した熱が、少なくとも1つの内部熱インタフェース、少なくとも1つの放熱装置及び少なくとも1つの外部熱インタフェースを介して、少なくとも1つの外部ヒートシンクに直接放熱可能になる。
【0009】
さらに、そのような挿入モジュールの外部熱インタフェースを形成するための方法が提案されており、当該方法は、以下のステップ、すなわち、
挿入モジュールを準備するステップと、
少なくとも1つの熱伝導性で弾性の補償要素を、少なくとも1つの放熱装置の少なくとも1つの電気部品とは反対側の表面に被着するステップと、
少なくとも1つの熱伝導性で摺動可能な接触接続要素の挿入方向で前方側にある第1の端部領域を、少なくとも1つの放熱装置と接続させるステップと、
少なくとも1つの熱伝導性で摺動可能な接触接続要素を、少なくとも1つの熱伝導性で弾性の補償要素に被着するステップと、
を含む。
【0010】
外部熱インタフェースの実施形態は、放熱装置と外部ヒートシンクとの間に永続的なエアギャップを生じることなく、外部ヒートシンクに対する不均一性の許容誤差を補償し、表面の不均一性や表面間の粒子のもとでも良好な熱伝達の受け入れを可能にする。
【0011】
挿入モジュールとは、以下においては特に、自動車分野で集約的な計算機能を実行し、例えば、半自立的又は自律的走行機能、通信機能、ゲートウェイ機能、インフォテインメント機能、安全機能などに使用できる電子アセンブリを意味するものと理解することができる。付属する電気部品には、高性能プロセッサ、マルチコアプロセッサ若しくは高集積回路(SoC、システムオンチップ)、又は、高い電力損失によって特徴付けられるパワー半導体が含まれる。挿入モジュールとしての構成は、対応するモジュールアセンブリ内での容易な交換性を可能にし、また、電子アセンブリを相応に交換又は挿入することによって現在のハードウェアの後付けも可能にする。
【0012】
放熱装置とは、以下においては、例えばダイカスト部品、特にアルミニウムダイカスト部品として、又は、押出部品若しくは板金部品として形成され得る、特に良好な熱伝導性を有する部品を意味するものと理解される。
【0013】
従属請求項に挙げられた手段及び発展形態により、独立特許請求項1に示された挿入モジュール及び独立特許請求項9に示されたモジュールアセンブリ、特に車両用のモジュールアセンブリの好適な改良形態が可能である。
【0014】
特に好適には、少なくとも1つの外部熱インタフェースは、少なくとも1つの放熱装置の収容空間内に配置することができ、ここで、少なくとも1つの熱伝導性で摺動可能な接触接続要素は、収容空間から完全に突出することができ、少なくとも1つの熱伝導性で弾性の補償要素は、収容空間から少なくとも部分的に突出することができる。これにより、収容空間の深さは、少なくとも1つの熱伝導性で弾性の補償要素をそれ以上圧縮することができない最大範囲を表すことができる。
【0015】
挿入モジュールの好適な実施形態においては、少なくとも1つの熱伝導性で弾性の補償要素は、少なくとも1つの放熱装置と分離不能に接続されるものとしてよい。好適には、少なくとも1つの熱伝導性で弾性の補償要素は、接着剤によって放熱装置と接続されるものとしてよい。代替的に、他の適当な接続技術を使用することもできる。
【0016】
挿入モジュールのさらなる好適な実施形態においては、少なくとも1つの熱伝導性で弾性の補償要素をギャップ充填材として構成するものとしてよい。そのため、例えば、市販のシリコーンベースの自己粘着性で良好な熱伝導性を有する厚さ1.52mmのマットを、熱伝導性で弾性の補償要素として使用することができる。これにより、例えば、約±0.2mmの範囲の不均一性を補償することが可能になる。少なくとも1つの熱伝導性で弾性の補償要素は、例えば、平坦なマット又は条片として構成されるものとしてよい。
【0017】
挿入モジュールのさらに好適な実施形態においては、少なくとも1つの熱伝導性で摺動可能な接触接続要素は、条片又はプレートとして構成されるものとしてよい。少なくとも1つの熱伝導性で摺動可能な接触接続要素は、非常に薄くて破れにくい耐性のある材料からなるが、この目的のために特別に処理する必要はない。この材料として、例えば、真鍮、銅、アルミニウム、カーボン(炭素繊維)、グラファイト、又は、バネ鋼を使用することができる。少なくとも1つの熱伝導性で摺動可能な接触接続要素は、例えば、非常に薄い圧延シートとして、又は、約0.02mm乃至0.1mmの厚さの炭素繊維マットとして存在することができる。不均一性や粒子の補償を強化するために、大面積の熱伝導性で摺動可能な接触接続要素に対して代替的に、熱伝導性で摺動可能な接触接続要素の複数の条片を被着することも可能である。これらの条片は、例えば圧延又はレーザカット部品として製造することができ、例えば5mmから20mmまでの間の幅を有し得る。それゆえ、幾何形状の自由度が高く、そのためこれらの条片を、幾何形状又は材料の選択、総冷却面における面積割合などにおける要件に容易に適合化させることができる。少なくとも1つの熱伝導性で弾性の補償要素は、個々の条片又はプレートによって十分にカバーされているため、少なくとも1つの熱伝導性で摺動可能な接触接続要素は、ヒートシンクの接触接続面から容易に遠ざけることができる。ここでは、外部熱インタフェースは、圧縮可能な少なくとも1つの熱伝導性で弾性の補償要素に基づいて、表面の不均一性に適合化することができる。これにより、不均一性のある接続表面であっても、大面積で接触接続を得ることができ、したがって、良好な熱伝達を有し得る。さらに、熱伝導性で摺動可能な接触接続要素の個々の条片間の空隙にある個々の汚れ粒子は、個々の条片の当接を阻止することしかできないため、汚染に対する高レベルな堅牢性を得ることができる。これにより、他のすべての条片のさらに良好な熱伝達が保証される。条片間の介在空間は、「体積緩衝材」として用いることができる。粒子や局所的な不均一性がある場合、これらの空間は、例えば、少なくとも1つの熱伝導性で弾性の補償要素において条片を保持する接着媒体用の体積補償として用いることができる。
【0018】
また、例えば、少なくとも1つの熱伝導性で弾性の補償要素にヒートシンクとの直接的な接触接続を得られるようにさせる孔部を、少なくとも1つの熱伝導性で摺動可能な接触接続要素に設けるなどのさらなる解決手段も考えられる。理想的には、材料は、それが邪魔にならないようにするために、取り付け過程の終了後に初めて開口部を通って押し込まれ、又は、フィルムを剥離することによって初めて有効になる。この原理によれば、一部のさらなる遷移抵抗が節約される。ただし、この方法は、少なくとも1つの熱伝導性で弾性の補償要素の材料の熱抵抗が、少なくとも1つの熱伝導性で摺動可能な接触接続要素の熱抵抗と遷移抵抗との和よりも小さい場合にのみ有効である。
【0019】
挿入モジュールのさらなる好適な実施形態においては、少なくとも1つの熱伝導性で摺動可能な接触接続要素は、挿入方向で前方側にある第1の端部領域を少なくとも1つの放熱装置と接続させるものとしてよい。これにより、少なくとも1つの熱伝導性で摺動可能な接触接続要素が挿入モジュールの挿入の際に、少なくとも1つの熱伝導性で弾性の補償要素から脱落することを好適な手法で阻止することができる。これは、第1の端部領域における第1の接続により、挿入モジュールを差込む際の摩擦力を受け止めることができることを意味する。代替的に、少なくとも1つの熱伝導性で摺動可能な接触接続要素は、2つの端部領域において少なくとも1つの放熱装置と接続させるものとしてもよい。第2の端部領域における付加的な第2の接続により、挿入モジュールを引き出す際の摩擦力を受け止めることができる。接合技術として好適には、レーザ溶接を使用することができる。もちろん、溶接、トクシング、リベット止め、ねじ止め、クランプ、又は、ろう付けなど、他の適当な接合法も考えられるが、これも材料の組合せに依存する。
【0020】
モジュールアセンブリの好適な実施形態においては、少なくとも1つのヒートシンクは、冷却装置として構成されるものとしてよい。ここでは、少なくとも1つの収容開口部は、冷却装置内で形成されるものとしてよい。
【0021】
モジュールアセンブリのさらなる好適な実施形態においては、少なくとも1つの冷却装置は、複数の冷却要素を有し得るものであり、ここで、少なくとも1つの冷却要素は、相互に隣接して配置された2つの収容開口部の間に配置されるものとしてよい。また少なくとも1つの冷却要素は、例えば、少なくとも1つの冷却チャネルが導入された金属プレートとして構成されるものとしてよい。この少なくとも1つの冷却チャネルによれば、例えば、少なくとも1つの電気部品によって発生した熱を放散できるようにするために、水又は他の適当な冷却剤を導入することができる。代替的に、冷却要素は、例えば、いわゆる蒸発チャンバー、ヒートパイプ、脈動ヒートパイプとして構成されるものとしてもよい。
【0022】
モジュールアセンブリの好適な実施形態においては、挿入モジュールは、少なくとも1つのプラグを有し、当該プラグは、挿入された状態で後壁プリント回路基板の対応するプラグ収容部に差込まれるものとしてよい。
【0023】
本発明に係るモジュールアセンブリの取り付け原理は、引き出しのような挿入モジュールを、対応する差込み箇所において付属の収容開口部に挿入できることにある。ここでは、挿入モジュールは、挿入モジュールの少なくとも1つのプラグが後壁プリント回路基板の対応するプラグ収容部に差込まれるまで、収容開口部に挿入される。挿入モジュールの挿入過程の間に使用されるスライド力は、スライド方向に対して垂直方向に作用する圧縮力を生じさせ、この圧縮力は、少なくとも1つの外部熱インタフェースの少なくとも1つの熱伝導性で弾性の補償要素を圧縮する。もちろん、挿入モジュールを収容開口部に挿入するために要する力は、可能な限り小さくすべきであり、したがって、摩擦相手部材は、それに応じて構成することができる。
【0024】
本発明の実施例は、図面に示されており、以下の説明においてより詳細に説明される。これらの図面において、同一の参照符号は、同一又は類似の機能を実施するコンポーネント又は要素を表す。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明に係るモジュールアセンブリ、特に車両用のモジュールアセンブリの断面を本発明に係る挿入モジュールの実施例とともに概略的に示した断面図である。
図2図1の本発明に係る挿入モジュールの断面を下方から示した概略図である。
図3図1及び図2の挿入モジュールの外部熱インタフェースを形成するための本発明に係る方法の一実施例を概略的に示したフローチャートである。
図4図3の本発明に係る方法実行中の図1及び図2の本発明に係る挿入モジュールの断面を概略的に示した断面図である。
図5図3の本発明に係る方法実行中の図1及び図2の本発明に係る挿入モジュールの断面を概略的に示した断面図である。
図6図3の本発明に係る方法実行中の図1及び図2の本発明に係る挿入モジュールの断面を概略的に示した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
発明の実施形態
図1から明らかなように、本発明に係るモジュールアセンブリ1、特に車両用のモジュールアセンブリ1の図示の実施例は、後壁プリント回路基板5、少なくとも1つのヒートシンク8及び少なくとも1つの差込み箇所6が配置されたハウジング3と、対応する差込み箇所6において挿入モジュール10が収容開口部9の第1の接触接続面9.1と第2の接触接続面9.2との間で形状結合的にかつ摩擦結合的に保持されるように、ハウジング3の対応する収容開口部9に挿入される少なくとも1つの挿入モジュール10と、を含む。ここでは、挿入動作によって圧縮される少なくとも1つの熱伝導性で弾性の補償要素18が、少なくとも1つの熱伝導性で摺動可能な接触接続要素19とともに、少なくとも1つの外部ヒートシンク8に対する少なくとも1つの外部熱インタフェース17を形成し、それによって、少なくとも1つの挿入モジュール10の少なくとも1つの電気部品15によって発生した熱が、少なくとも1つの内部熱インタフェース16、少なくとも1つの放熱装置12及び少なくとも1つの外部熱インタフェース17を介して、少なくとも1つの外部ヒートシンク8に直接放熱可能である。
【0027】
図1に示されているモジュールアセンブリ1の断面には、それぞれ1つの挿入モジュール10を挿入することができる2つの差込み箇所6a,6bが示されている。また、図1には、2つの挿入モジュール10が示されており、この場合、第1の挿入モジュール10Aは、その想定される差込み箇所6Aに既に差込まれており、第2の挿入モジュール10Bは、その想定される差込み箇所6Bに挿入される。
【0028】
図1からさらに明らかなように、図示の挿入モジュール10,10A,10Bはそれぞれ、モジュールハウジング11、少なくとも1つの放熱装置12、及び、プリント回路基板14上に配置された少なくとも1つの電気部品15を含み、ここで、モジュールハウジング11は、プリント回路基板14を少なくとも部分的に取り囲んでいる。少なくとも1つの放熱装置12は、少なくとも1つの電気部品15に対向する表面に、少なくとも1つの電気部品15を少なくとも1つの放熱装置12と熱的に結合させる少なくとも1つの内部熱インタフェース16を有する。また、少なくとも1つの放熱装置12は、少なくとも1つの電気部品15とは反対側の表面に、少なくとも1つの放熱装置12を外部ヒートシンク8と熱的に結合させる少なくとも1つの外部熱インタフェース17を有する。ここでは、少なくとも1つの外部熱インタフェース17は、少なくとも1つの放熱装置12に接続され、かつ、対応する外部熱インタフェース17の形成の際に圧縮可能である少なくとも1つの熱伝導性で弾性の補償要素18と、少なくとも1つの熱伝導性で弾性の補償要素18に被着され、かつ、外部ヒートシンク8に対する外部熱インタフェース17の熱接触接続面を形成し、かつ、少なくとも1つの熱伝導性で弾性の補償要素18を圧縮する少なくとも1つの熱伝導性で摺動可能な接触接続要素19とを含む。
【0029】
図1からさらに明らかなように、モジュールアセンブリ1の図示の実施例における挿入モジュール10A,10Bは、それぞれ1つのみの放熱装置12を含み、この放熱装置12が同時にハウジング11のハウジング底部11Aを形成している。挿入モジュール10A,10Bの図示の断面においては、それぞれ2つの電気部品15が、プリント回路基板14上に配置されており、このプリント回路基板14は、少なくとも1つの固定要素14.2を介して放熱装置12と機械的に接続されている。ここでは、第1の電気部品15は、パワー半導体15Aとして構成されており、これは第1の内部熱インタフェース16Aを介して放熱装置12と接続されている。第2の電気部品15は、パワープロセッサ15Bとして構成されており、これは第2の内部熱インタフェース16Bを介して放熱装置12と接続されている。代替的に、プリント回路基板14が、「サンドイッチ」のようにハウジング11の2つの部分の間に配置されて保持されることも可能である。これらの内部熱インタフェース16,16A,16Bは、例えば、熱界面材料(TIM)とも称される熱伝導性材料からなることが可能である。熱伝導材料は、好適には、熱伝導性のエラストマーであり得る。また、図示の挿入モジュール10A,10Bの放熱装置12は、それぞれ、少なくとも1つの放熱装置12の収容空間13に配置される1つの外部熱インタフェース17のみを含む。ここでは、収容空間13は凹部として構成され、この場合、少なくとも1つの熱伝導性で摺動可能な接触接続要素19は収容空間13から完全に突出し、少なくとも1つの熱伝導性で弾性の補償要素18は収容空間13から少なくとも部分的に突出する。図示の実施例においては、少なくとも1つの熱伝導性で弾性の補償要素18は、ギャップ充填材18Aとして構成されており、接着接続を用いて放熱装置12に分離不能に接続されている。図示の実施例においては、ギャップ充填材18Aは、通常状態で約1.52mmの高さH1を有している。収容空間13は、載置縁部まで約0.9mmの高さHAを有している。この高さHAは、ギャップ充填材18Aをそれ以上圧縮することができない最大範囲を表している。これは、圧縮された状態のギャップ充填材18Aの高さH2は最小で0.9mmになり得ることを意味する。この結果からは、2つの表面においてそれらの接続のためにまだ許容され得る不均一性についての許容範囲が生じる。
【0030】
図2からさらに明らかなように、挿入モジュール10は、モジュールアセンブリ1の図示の実施例においては、それぞれ、条片19Aとして構成された6つの熱伝導性で摺動可能な接触接続要素19を有し、これらはそれぞれ、条片として構成された熱伝導性で弾性の補償要素18上に配置されるので、6つの熱伝導性で摺動可能な接触接続要素19が、6つの熱伝導性で弾性の補償要素18上に配置されている。
【0031】
図示されない代替的実施例においては、少なくとも1つの熱伝導性で弾性の補償要素18は、条片19Aとして構成された6つの熱伝導性で摺動可能な接触接続要素19が配置される平坦なマットとして構成されている。
【0032】
図示されないさらなる実施例においては、少なくとも1つの熱伝導性で摺動可能な接触接続要素19に少なくとも1つの孔部が設けられている。
【0033】
図1及び図2からさらに明らかなように、熱伝導性で摺動可能な接触接続要素19はそれぞれ、挿入方向で前方側にある第1の端部領域19.1において、第1の接続部20Aを介して放熱装置12と接続されている。図1からさらに明らかなように、熱伝導性で摺動可能な接触接続要素19は、任意選択的に第2の端部19.2においても、それぞれ第2の接続部を介して少なくとも1つの放熱装置12と接続され得る。これらの接続部20A,20Bは、例えばレーザ溶接接合部20として構成される。
【0034】
図1からさらに明らかなように、少なくとも1つのヒートシンク8は、複数の冷却要素8.1を有する冷却装置8Aとして構成されている。また、この冷却装置8A内には収容開口部9が形成されており、ここでは、相互に隣接して配置された2つの収容開口部9の間に少なくとも1つの冷却要素8.1が配置されている。図示の実施例においては、これらの冷却要素8.1は金属プレートとして構成されており、この場合、2つの隣接する収容開口部9の間に配置された冷却要素8.1は、図示の実施例においては、さらに金属プレートに導入された冷却チャネル8.2を有する。冷却装置8Aは、ハウジング3と固定的に接続されており、そのため収容開口部9は、差込み箇所6,6A,6Bに関して不動に配置されている。これは、収容開口部9が挿入モジュール10,10A,10Bの挿入の際にも動かないことを意味する。
【0035】
図1及び図2からさらに明らかなように、挿入モジュール10,10A,10Bは、それぞれ複数のプラグ14.1を有しており、これらの複数のプラグ14.1は、図1に示された第1の挿入モジュール10Aが示すように、挿入された状態においては後壁プリント回路基板5の対応する差込み収容部5.1に差込まれている。挿入された又は差込まれた挿入モジュール10、ここでは第1の挿入モジュール10Aは、この後壁プリント回路基板5の差込み収容部5.1を介して電気的に接触接続される。また、複数の差込まれた挿入モジュール10,10A,10Bは、後壁プリント回路基板5を介して相互に電気的に接続することができる。図1からさらに明らかなように、冷却装置8Aは、プラグ14.1が配置されている挿入された挿入モジュール10Aの端部領域が、収容開口部9内で摩擦結合的にかつ形状結合的に保持されるようにハウジング3内に配置されている。このハウジング3は、図示のカバー3.1及び図示の後壁3.2の他に、より詳細には図示されていない側壁及び図示されていない底部も含む。
【0036】
モジュールアセンブリ1の取り付け原理は、これらの挿入モジュール10A,10Bを、工具なしで引き出しのように長手方向yにおいてハウジング3内に挿入することができることにある。図1からさらに明らかなように、図示の第2の挿入モジュール10Bは、挿入の際に、例えば約0.6mmの意図的な遊びを有する収容開口部9における小さい挿入部斜面9.3を用いて、予めセンタリングされる。これは、第2の挿入モジュール10のハウジング11と熱伝導性で摺動可能な接触接続要素19とが、例えば約10mmの短い挿入動作の後に挿入部斜面9.3に接触し、それに伴って、例えば約0.3mmのオーバーサイズを伴う後続の熱伝導性で弾性の補償要素18が、第2の挿入モジュール10Bを第2の接触接続面9.2に対して押し込むことを開始することによって、第2の挿入モジュール10Bが高さ方向zでセンタリングされることを意味する。このセンタリング過程の完了後、熱伝導性で摺動可能な接触接続要素19の本来の摺動が開始される。ここでは、長手方向yに加えられる摺動力FSは、高さ方向zに作用する圧縮力FKを引き起こし、この圧縮力FKは、熱伝導性で摺動可能な接触接続要素19を介して熱伝導性で弾性の補償要素18を圧縮する。ここで、第2の挿入モジュール10は、ヒートシンク8の第1の接触接続面9.1及び第2の接触接続面9.2上を後壁プリント回路基板5のプラグ収容部5.1の方向に摺動する。このプラグ収容部5.1も、回路基板14又はプラグ14.1又はプラグ収容部5.1に変形が引き起こされるように構成され又は後壁プリント回路基板5に位置決めされ、第2の接触接続面9.2と位置合わせされる。終端位置に達すると、後壁プリント回路基板5と第2の挿入モジュール10Bとの間で電気的接続が形成される。熱伝導性で弾性の補償要素の0.3mmの圧縮によって維持されるこの圧縮力FKは、差込まれた第1の挿入モジュール10Aにおいて作用し、それによって、外部熱インタフェース17が、放熱装置12とヒートシンク8との間の良好な熱遷移を生じさせる。
【0037】
モジュールアセンブリ1の図示の実施例においては、挿入された第1の挿入モジュール10Aと、対応する冷却チャネルを有する冷却要素8.1との間の熱経路は、外部熱インタフェース17の形成によって影響され得る接着されたギャップ充填材18Aの遷移抵抗と、材料選択によって決定され得るギャップ充填材18Aにおける熱伝導と、外部熱インタフェース17の形成によって影響され得る熱伝導性で摺動可能な接触接続要素19に対する熱遷移と、原材料の選択によって影響され得るが、摩擦値にも影響を及ぼし得る熱伝導性で摺動可能な接触接続要素19における熱伝導と、許容誤差及び不均一性の補償によってプラスの影響を与えることができる熱伝導性で摺動可能な接触接続要素19から冷却要素8.1への熱遷移とを含む。
【0038】
弾性の補償要素18を、0.1乃至0.3の範囲の低い摺動摩擦係数を有する摺動可能な接触接続要素と組み合わせることにより、良好な許容誤差補償によって、熱伝達のためのより大きい接触接続面積を生成することが可能になる。
【0039】
図3からさらに明らかなように、本発明に係る挿入モジュール10の外部熱インタフェース17を形成するための方法100は、挿入モジュール10を準備するステップS100を含む。ステップS110においては、少なくとも1つの熱伝導性で弾性の補償要素18が、少なくとも1つの放熱装置12の少なくとも1つの電気部品15とは反対側の表面に被着される。図4からさらに明らかなように、少なくとも1つの熱伝導性で弾性の補償要素18は、図示の実施例においては、ずれ運動を介して放熱装置12に被着されて接着され、その際、気泡の侵入は回避される。ステップS120においては、少なくとも1つの熱伝導性で摺動可能な接触接続要素19の挿入方向で前方側にある第1の端部領域19.1が、少なくとも1つの放熱装置12と接続される。図5からさらに明らかなように、少なくとも1つの熱伝導性で摺動可能な接触素子19の前方側にある第1の端部領域19.1は、図示の実施例においては、レーザ溶接を用いて少なくとも1つの放熱装置12と接合される。それに続いて、ステップS130においては、少なくとも1つの熱伝導性で摺動可能な接触接続要素19が、少なくとも1つの熱伝導性で弾性の補償要素18に被着される。図6からさらに明らかなように、少なくとも1つの熱伝導性で摺動可能な接触接続要素19は、ずれ運動を介して少なくとも1つの熱伝導性で弾性の補償要素18に被着されて接着され、その際、気泡の侵入は回避される。
【0040】
任意選択的に、破線で示されたステップS140においては、少なくとも1つの熱伝導性で摺動可能な接触接続要素19の第2の端部領域19.2を放熱装置12と接続させることも可能である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【国際調査報告】