(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-21
(54)【発明の名称】チオウレタン基を有する重合性組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 6/893 20200101AFI20240514BHJP
A61K 6/54 20200101ALI20240514BHJP
A61K 6/836 20200101ALI20240514BHJP
A61K 6/853 20200101ALI20240514BHJP
A61K 6/871 20200101ALI20240514BHJP
A61K 6/878 20200101ALI20240514BHJP
A61K 6/831 20200101ALI20240514BHJP
A61L 27/16 20060101ALI20240514BHJP
A61L 27/04 20060101ALI20240514BHJP
A61L 27/10 20060101ALI20240514BHJP
A61L 27/02 20060101ALI20240514BHJP
A61K 6/58 20200101ALI20240514BHJP
A61K 6/30 20200101ALI20240514BHJP
A61K 6/64 20200101ALI20240514BHJP
A61K 6/62 20200101ALI20240514BHJP
A61K 6/77 20200101ALI20240514BHJP
A61K 6/818 20200101ALI20240514BHJP
A61K 6/802 20200101ALI20240514BHJP
A61K 6/76 20200101ALI20240514BHJP
【FI】
A61K6/893
A61K6/54
A61K6/836
A61K6/853
A61K6/871
A61K6/878
A61K6/831
A61L27/16
A61L27/04
A61L27/10
A61L27/02
A61K6/58
A61K6/30
A61K6/64
A61K6/62
A61K6/77
A61K6/818
A61K6/802
A61K6/76
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023573029
(86)(22)【出願日】2022-05-25
(85)【翻訳文提出日】2024-01-23
(86)【国際出願番号】 EP2022064194
(87)【国際公開番号】W WO2022248546
(87)【国際公開日】2022-12-01
(31)【優先権主張番号】102021113777.2
(32)【優先日】2021-05-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517275117
【氏名又は名称】クルツァー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Kulzer GmbH
【住所又は居所原語表記】Leipziger Strasse 2, D-63450 Hanau, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】クリストフ マイアー
(72)【発明者】
【氏名】アンドレアス ウテロト
(72)【発明者】
【氏名】クアト ライシュル
(72)【発明者】
【氏名】ユタ シュナイダー
(72)【発明者】
【氏名】ミヒャエル エック
(72)【発明者】
【氏名】ライフ ココグル
(72)【発明者】
【氏名】ネリ シェーンホーフ
【テーマコード(参考)】
4C081
4C089
【Fターム(参考)】
4C081AB03
4C081AB05
4C081BB08
4C081CA211
4C081CF122
4C081CF132
4C081CF152
4C081CF22
4C089AA06
4C089AA09
4C089AA10
4C089BA01
4C089BA05
4C089BA07
4C089BA13
4C089BA14
4C089BC10
4C089BD05
(57)【要約】
本発明の主題は、重合性組成物であって、該重合性組成物は、以下:少なくとも1つの無機フィラー成分0.01~90重量%、以下のものを含む、5~99.97重量%:少なくとも2つのウレタンアクリレート、ここで、1つのウレタンアクリレートは、式Iに対応し、第2のウレタンアクリレートは、少なくとも1つの二官能性チオウレタン基および少なくとも1つのオレフィン基を有するものとする、ならびにこれらを含むウレタンアクリレートの混合物、少なくとも1つのエーテル基、チオエーテル基を有する少なくとも1つの二、三、四もしくは多官能性モノマー、少なくとも三官能性のトリエステルおよび/または二官能性のジエステル、ここで、前記ジエステルは、トリシクロデカンジメタノールジメタクリレートおよびトリシクロデカンジメタノールジアクリレートから選択されるものとする、または前記二、三、四もしくは多官能性モノマーの混合物0.01~25重量%、少なくとも1つの開始剤、開始剤系、および任意に少なくとも1つの安定剤、および任意に少なくとも1つの顔料0.01~10重量%を含み、ここで、該重合性組成物の組成物全体は、100重量%である、重合性組成物である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
重合性組成物であって、前記重合性組成物は、以下:
(i)少なくとも1つの無機フィラー成分0.01~90重量%、
(ii)以下のものを含む、5~99.97重量%:少なくとも2つのウレタンアクリレート、ここで、1つのウレタンアクリレートは、二価の炭化水素基を有する式Iの少なくとも1つのウレタンアクリレートであり、
【化1】
ここで、B=NHの場合、A=Oであり、またはB=Oの場合、A=NHであり、
R
1=HまたはCH
3、R
2=HまたはCH
3であり、
R
5およびR
6は、それぞれ独立して、直鎖状C
2~C
6アルキレン基または直鎖状C
2~C
6オキシアルキレン基から選択され、ここで、R
5およびR
6は、任意にそれぞれ独立して、C
1~C
3アルキル基または(メタ)アクリルオキシメチレン基を有し、
R
8は、6~12個のC原子を有する二価の炭化水素基であり、
第2のウレタンアクリレートは、少なくとも1つの二官能性チオウレタン基および少なくとも1つのオレフィン基を有するものとする、ならびに/またはこれらを含むウレタンアクリレートの混合物、
(iii)以下のものを含む、0.01~25重量%:少なくとも1つのエーテル基、チオエーテル基を有する少なくとも1つの二、三、四もしくは多官能性モノマー、少なくとも三官能性のトリエステルおよび/または二官能性のジエステル、ここで、前記ジエステルは、トリシクロデカンジメタノールジメタクリレートおよびトリシクロデカンジメタノールジアクリレートから選択されるものとする、または前記二、三、四もしくは多官能性モノマーのうちの少なくとも2つを含む混合物、
(iv)少なくとも1つの開始剤、開始剤系、任意に少なくとも1つの安定剤、および任意に少なくとも1つの顔料、および任意にさらなる添加剤0.01~10重量%
を含み、ここで、前記重合性組成物の組成物全体は、100重量%である、重合性組成物。
【請求項2】
少なくとも1つの二官能性チオウレタン基および少なくとも1つのオレフィン基を有する前記第2のウレタンアクリレートが、一般式Vの構造を有し、
R
14(-S-(C=O)-NH-R
13)
w、ここで、w=1~10 V
ここで、R
14は、少なくとも単官能性ないし十官能性のエステル、エーテルまたはチオエーテルを含む基であり、R
13は、それぞれ独立して、少なくとも1つのオレフィン基を有する基から選択される基である、請求項1記載の重合性組成物。
【請求項3】
前記式Vが、R
14として、以下の式VIa~VIgの構造のうちの1つを有し、
【化2-1】
【化2-2】
ここで、式VIa~VIgにおけるR
7が、それぞれ独立して、以下のものから選択され、
【化3】
ここで、R
8は、それぞれ独立して、6~12個のC原子を有する二価の炭化水素基であり、R
10は、それぞれ独立して、直鎖状C
2~C
6アルキレン基または直鎖状C
2~C
6オキシアルキレン基から選択され、R
10は、任意にそれぞれ独立して、C
1~C
3アルキル基または(メタ)アクリルオキシメチレン基を有し、R
15は、それぞれ独立して、HまたはC
1~C
4アルキルである、請求項2記載の重合性組成物。
【請求項4】
前記一般式Iおよび/または前記式Vのウレタンアクリレートが、それぞれ独立して、R
8を有し、かつ/または6~12個のC原子を有する二価の芳香族炭化水素、6~12個のC原子を有する二価の脂環式炭化水素、または6~12個のC原子を有する二価の直鎖状もしくは分岐状アルキレン、または芳香族基もしくは脂環式基を有する二価の直鎖状もしくは分岐状アルキレンを含む、請求項1から3までのいずれか1項記載の重合性組成物。
【請求項5】
前記重合性組成物が、一般式Iの少なくとも1つのウレタンアクリレートを含み、
【化4】
ここで、B=NHの場合、A=Oであり、またはB=Oの場合、A=NHであり、
R
1=HまたはCH
3であり、R
2=HまたはCH
3であり、
R
5およびR
6は、それぞれ独立して、直鎖状C
2~C
6アルキレン基または直鎖状C
2~C
6オキシアルキレン基から選択され、ここで、R
5およびR
6は、任意にそれぞれ独立して、C
1~C
3アルキル基または(メタ)アクリルオキシメチレン基を有し、
R
8は、以下の二価の基のうちの1つを含む、
【化5】
請求項1から4までのいずれか1項記載の重合性組成物。
【請求項6】
前記重合性組成物が、以下:
(iii)式IIIの少なくとも1つのエーテル基、式IVの少なくとも1つのチオエーテル基を有する少なくとも1つの二、三、四もしくは多官能性モノマーおよび/もしくは式IIの少なくとも三もしくは四官能性のトリエステル、もしくは前記モノマーのうちの少なくとも2つの混合物であって、特に、式IIa、IIb、IIc、III、IVa、IVb、IVc、IVdの少なくとも1つのモノマーを含むもの、または前記モノマーのうちの少なくとも2つを含む混合物、
【化6】
CH
2=C(CH
3)COO(CH
2CH
2O)
vCOC(CH
3)=CH
2 III
ここで、v=3~20、v=3~15、v=3~8、
【化7】
ここで、それぞれ独立して、R
4=
【化8】
であり、ここで、それぞれ独立して、R
9=HまたはCH
3であり、
R
3=
【化9】
を含む、請求項1から5までのいずれか1項記載の重合性組成物。
【請求項7】
前記重合性組成物が、以下:
(i)以下のものを含む、無機フィラー成分5~90重量%:少なくとも1つのガラス、シリケート、金属酸化物、混合酸化物、二酸化ケイ素、二酸化ジルコニウム、酸化亜鉛および/または前記成分のうちの少なくとも2つの混合物、ここで、前記成分は、0.2μm~10μmの平均粒子径を有するものとする、および任意に、10nm~115nmの平均一次粒子径を有する少なくとも1つの非晶質金属酸化物、ならびに
(ii)少なくとも2つのウレタンアクリレート10~85重量%であって、ここで、前記ウレタンアクリレートは、式Iの少なくとも1つのウレタンアクリレートと、少なくとも1つの二官能性チオウレタン基および少なくとも1つのオレフィン基を有する少なくとも1つの第2のウレタンアクリレートとを含む、
(iii)少なくとも1つのエーテル基、チオエーテル基を有する少なくとも1つの二、三、四もしくは多官能性モノマーおよび/もしくは少なくとも三官能性のトリエステルおよび/もしくは二官能性のジエステル、ここで、前記ジエステルは、トリシクロデカンジメタノールジメタクリレートおよびトリシクロデカンジメタノールジアクリレートから選択されるものとする、または前記二、三、四もしくは多官能性モノマーのうちの少なくとも2つの混合物0.01~25重量%、
(iv)少なくとも1つの開始剤、開始剤系、および任意に少なくとも1つの安定剤、および任意に少なくとも1つの顔料0.01~10重量%
を含み、ここで、前記重合性組成物の組成物全体は、100重量%である、請求項1から6までのいずれか1項記載の重合性組成物。
【請求項8】
前記重合性組成物が、以下:
(i)以下のものを含む、無機フィラー成分40~90重量%:0.4μm~10μmの平均粒子径を有する少なくとも1つのガラス、シリケート、石英、長石、金属酸化物、混合酸化物、二酸化ケイ素、二酸化ジルコニウムおよび/または酸化亜鉛、ならびに任意に10nm~115nmの平均一次粒子径を有する少なくとも1つの非晶質金属酸化物、ならびに
(ii)少なくとも2つのウレタンアクリレートであって、該ウレタンアクリレートは、式Iの少なくとも1つのウレタンアクリレートと、少なくとも1つの二官能性チオウレタン基および少なくとも1つのオレフィン基を有する少なくとも1つの第2のウレタンアクリレートとを含むものとする、ウレタンアクリレート10~59.98重量%、
(iii)少なくとも1つのエーテル基、チオエーテル基を有する少なくとも1つの二、三、四もしくは多官能性モノマーおよび/または少なくとも三官能性のトリエステルおよび/または二官能性のジエステル、ここで、前記ジエステルは、トリシクロデカンジメタノールジメタクリレートおよびトリシクロデカンジメタノールジアクリレートから選択されるものとする、または前記二、三、四もしくは多官能性モノマーの混合物0.01~15重量%、
(iv)少なくとも1つの開始剤、開始剤系、および任意に少なくとも1つの安定剤、および任意に少なくとも1つの顔料0.01~10重量%
を含み、ここで、前記重合性組成物の組成物全体は、100重量%である、請求項1から7までのいずれか1項記載の重合性組成物。
【請求項9】
前記重合性組成物が、式Iのウレタンアクリレートとして、式Ic~Ioの少なくとも1つの化合物および/またはこれらの混合物、ならびに任意にこれらの異性体の混合物を含む、
【化10-1】
【化10-2】
【化10-3】
請求項1から8までのいずれか1項記載の重合性組成物。
【請求項10】
前記重合性組成物が、(i)無機フィラー成分として、組成物の組成物全体100重量%に対して、
(i.1)少なくとも1つのガラス、シリケート、石英、長石、金属酸化物、混合酸化物、二酸化ケイ素、二酸化ジルコニウム、または前記フィラー成分のうちの少なくとも2つを含む混合物0.005~85重量%、および任意に
(i.2)非晶質金属酸化物、特にヒュームドシリカおよび/または沈降シリカ0.005~5重量%
を含む、請求項1から9までのいずれか1項記載の重合性組成物。
【請求項11】
前記重合性組成物が、式Iの少なくとも1つのウレタンアクリレートと、少なくとも1つの二官能性チオウレタン基および少なくとも1つのオレフィン基を有する少なくとも1つの第2のウレタンアクリレートとを1:1~100:1の重量比で含む少なくとも2つのウレタンアクリレートを含む、請求項1から10までのいずれか1項記載の重合性組成物。
【請求項12】
重合組成物であって、前記重合組成物は、以下:
- 少なくとも1つの無機フィラー成分0.01~90重量%、
- 以下のものを含む、少なくともモノマーおよび/またはプレポリマーならびにこれらの混合物の重合をベースとする少なくとも1つのポリマー5~99.98重量%:
- 少なくとも2つのウレタンアクリレート、ここで、少なくとも1つのウレタンアクリレートは、二価の炭化水素基を有する式Iのウレタンアクリレートであり、
【化11】
ここで、B=NHの場合、A=Oであり、またはB=Oの場合、A=NHであり、
R
1=HまたはCH
3、R
2=HまたはCH
3であり、
R
5およびR
6は、それぞれ独立して、直鎖状C
2~C
6アルキレン基または直鎖状C
2~C
6オキシアルキレン基から選択され、ここで、R
5およびR
6は、任意にそれぞれ独立して、C
1~C
3アルキル基または(メタ)アクリルオキシメチレン基を有し、好ましくはCH
3であり、
R
8は、6~12個のC原子を有する二価の炭化水素基であり、
第2のウレタンアクリレートは、少なくとも1つの二官能性チオウレタン基および少なくとも1つのオレフィン基を有するものとする、ならびに/またはこれらを含むウレタンアクリレートの混合物、
- 少なくとも1つのエーテル基、チオエーテル基を有する少なくとも1つの二、三、四もしくは多官能性モノマー、少なくとも三官能性のトリエステルおよび/または二官能性のジエステル、ここで、前記ジエステルは、トリシクロデカンジメタノールジメタクリレートおよびトリシクロデカンジメタノールジアクリレートから選択されるものとする、または前記二、三、四もしくは多官能性モノマーのうちの少なくとも2つの混合物、および
- 少なくとも1つの顔料0~10重量%
を含み、ここで、前記重合組成物の組成物全体は、100重量%である、重合組成物。
【請求項13】
前記重合組成物が、材料ブロックの形態で存在し、特に前記材料ブロックが、三次元幾何学的成形体として存在し、特に自動材料除去加工装置に固定するためのアダプターなしのミルドブランクまたはアダプター付きのミルドブランクとして存在する、請求項12記載の重合組成物。
【請求項14】
歯科用材料として、特にフィッシャーシーラントとして、歯科用コンポジットとして、直接接着性歯科用修復物として、蹄修復材料として、骨セメントとして、または人工関節補綴物をセメントで固めるための骨セメントとして使用するための、請求項1から11までのいずれか1項記載の組成物。
【請求項15】
付加製造プロセスにおける、放射線ベースのジェネレーティブ製造プロセスにおける、ステレオリソグラフィープロセスにおける、SLAプロセス(レーザーベースのステレオリソグラフィープロセス)における、DLPプロセス(デジタルライトプロセッシング)またはSLAおよびDLPプロセスにおける、LEDビーマーベースのジェネレーティブ製造プロセスにおける、放射線および熱ベースのジェネレーティブ製造プロセスにおける、サーマルジェネレーティブ製造プロセスにおける、3D印刷プロセスにおける、マルチジェットプロセス(MJM)またはポリジェットプロセスにおける、放射線ベースの重合プロセスにおける、特にUVおよび/またはVIS重合プロセスにおける、ラジカル誘導重合プロセスにおける、熱ベースの重合プロセスおよび/またはレドックスベースの重合プロセスにおける、請求項1から11までのいずれか1項記載の重合性組成物の使用。
【請求項16】
クラウン、インレー、オンレー、上部構造物、人工歯、デンタルブリッジ、デンタルバー、スペーサー、アバットメント、ベニアを含む歯科用補綴修復物の製造のための、またはバイトスプリント、ミリングブランク、歯科用補綴物、外科用補綴物の一部、ドリルガイド、インプラント、マウスガード、関節補綴物、テレスコープ、インプラント部品、歯列矯正器具、インスツルメントもしくは蹄部分の製造のための、請求項15記載の使用、または請求項12もしくは13記載の重合組成物の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の主題は、重合性組成物であって、該重合性組成物は、以下:少なくとも1つの無機フィラー成分0.01~90重量%、以下のものを含む、5~99.97重量%:少なくとも2つのウレタンアクリレート、ここで、少なくとも1つのウレタンアクリレートは、式Iに対応し、第2のウレタンアクリレートは、少なくとも1つの二官能性チオウレタン基および少なくとも1つのオレフィン基を有するものとする、ならびにこれらを含むウレタンアクリレートの混合物、少なくとも1つのエーテル基、チオエーテル基を有する少なくとも1つの二、三、四もしくは多官能性モノマー、少なくとも三官能性のトリエステル、特にチオエーテル基を有するもの、および/または二官能性のジエステル、ここで、ジエステルは、トリシクロデカンジメタノールジメタクリレートおよびトリシクロデカンジメタノールジアクリレートから選択されるものとする、またはこれらの二、三、四もしくは多官能性モノマーの混合物0.01~25重量%、少なくとも1つの重合開始剤、重合開始剤系、および任意に少なくとも1つの安定剤、および任意に少なくとも1つの顔料0.01~10重量%を含み、ここで、該重合性組成物の組成物全体は、100重量%である、重合性組成物である。また、本発明の主題は、三次元の少なくとも1つにおいて5mmを超える三次元物品または物体の製造において、高い曲げ強さ、高い透明度および高い二重結合転化率、および任意に低い収縮率を有する重合組成物である。また、重合組成物は、低脆性を示す。
【0002】
歯科用コンポジットのモノマーとしてのビスフェノール-A-グリシジルメタクリレート(BisGMA)とトリエチレングリコールジメタクリレート(TEGDMA)との組み合わせは、近年、歯科用コンポジットの標準物質の1つとして確立されている。これらのモノマーの毒性が部分的に検出されていることから、これらを同等の物理的特性を示す非毒性のモノマーに置き換える必要があり、この置き換えは、本明細書で使用されるモノマーの組み合わせによって可能となる。
【0003】
欧州特許第3135271号明細書から、二価の芳香族基を有するウレタンアクリレートが知られている。これらのウレタンをベースとする重合組成物は、良好な曲げ強さおよび低い収縮率を示す。芳香族基を有するウレタンは、他のウレタンと比較して結晶化が増大する傾向がある。
【0004】
国際公開第2019/107323号には、少なくとも1つの(メタ)アクリレート基を有するチオカルバメートなどの、(メタ)アクリレート基を有するチオールの製造が開示されている。これらのチオカルバメートをベースとする組成物は、改善された破壊強さを示す。欧州特許出願公開第3795597号明細書では、良好な破壊強さおよび靭性を示す(メタ)アクリレート官能性チオエーテルが開示されている。このチオエーテルは、国際公開第2019/107323号のチオカルバルバメートよりも粘度が低い。
【0005】
米国特許出願公開第2017/0007505号明細書には、官能性ジフェニルスフィドモノマーが開示されており、米国特許第10857073号明細書には、高屈折率を有する二官能性フェニルスフィドモノマーが開示されている。
【0006】
欧州特許出願公開第3733150号明細書には、ポリチオールおよびポリイソシアネートから構成される歯科用途のポリウレタン樹脂が開示されている。米国特許出願公開第2007/0185230号明細書には、トリチオ/トリビニルの光誘起転化によるオリゴマー性チオ-エン系が、二重結合転化率が55~75%であって収縮率が高すぎるジメチルアクリレート系よりも、歯科用組成物において二重結合転化率の増加を示すことが開示されている。
【0007】
現在までのところ、歯科用コンポジットにおけるこれらのいわゆるチオール-エンモノマーに関する刊行物はわずかにしか存在しない。したがって、チオール-エンモノマーは、チオールとアクリレート、メタクリレートまたはビニルモノマーとのモノマーブレンドである。欠点は、これらのチオール含有コンポジットの臭気である。また、チオールモノマーとアクリレート、メタクリレートまたはビニルモノマーとを含むこれらのモノマーブレンドにおいてベースとなる、チオールと(メタ)アクリレートとのラジカル連鎖移動に基づく重合機構は、本発明による組成物において存在するラジカル重合機構とは大きく異なる。このように、これらの技術は、根本的に異なる技術を表している。
【0008】
本発明の課題は、その点でウレタンアクリレートの良好な機械的特性をさらに改善することであった。一方では、結晶化傾向を示すウレタンの貯蔵安定性を改善し、代替的または付加的に重合組成物の透明度を改善することによって、これを行うことが望まれていた。さらに、有利には組成物の収縮率に悪影響を与えることなく、重合性組成物の二重結合転化率を高めることが課題であった。さらに、重合組成物の機械的特性を有利に改善することが望まれていた。さらに、弾性率の改善が、特に硬化深さの改善と組み合わせて可能となることが望まれていた。
【0009】
本発明による組成物は、独立請求項1および12ならびに使用の請求項14および15に記載されている。本発明のより詳細な開示内容は、従属請求項および本明細書に記載されている。
【0010】
本発明の主題は、重合性組成物、特に歯科用組成物、好ましくは歯科用コンポジットであって、架橋剤として使用される、重合性ウレタン(アルキル)アクリレート、特に式Iのウレタン(メタ)アクリレートおよびそれらの異性体と、チオール(メタ)アクリレートを含むウレタン(メタ)アクリレート(以下、チオール基およびオレフィン基を有するウレタンアクリレートという)とを含む重合性組成物である。さらに、重合性組成物は、希釈剤と呼ばれるモノマーを含む。これらのモノマーは、エーテル基、チオエーテル基を有する二ないし多官能性モノマー、トリシクロデカンモノマーのトリエステルまたはさらにはジエステルを含むことができる。希釈剤として使用されるこれらのモノマーは、(メタ)アクリレート官能性モノマーである。
【0011】
驚くべきことに、ウレタンアクリレートとして、式Iのモノマー1と、
【化1】
モノマー2と表される少なくとも1つのさらなるウレタンアクリレート、特にチオウレタン基2aを有する式VおよびVIのウレタンアクリレートとを含む組成物が、非常に良好な硬化深さ、曲げ強さ、弾性率、ならびに透明度の改善および二重結合転化率の増加を示すことが見出された。
【化2】
【0012】
R14を有する式Vは、R7を有する式VIdに等しく、ここで、R8は、-CH2-フェニル-CH2-であり、R10は、-CH(CH3)CH2-であり、R15は、Hである。モノマー2は、R7を有する式VIdを有し、ここで、R8は、-CH2-フェニル-CH2-であり、R10は、-CH(CH3)CH2-であり、R15は、Hである。
【0013】
また、コンポジットにおいても、式Iのウレタン(メタ)アクリレート、特に好ましくはモノマー1は、曲げ強さ、弾性率および透明度の点で非常に優れた特性を示す。
【0014】
式Iのモノマーは、対応するジイソシアネートおよび対応するヒドロキシ官能性(メタ)アシレートから、またはさらにはジオールおよび対応するイソシアネートから製造することができる、モノマー1の製造は、欧州特許出願公開第3135271号明細書に開示されている。
【0015】
しかし、モノマー1は、結晶化傾向の増大を示す。驚くべきことに、これを、式VまたはVIのチオールの添加、特に化学量論量よりも少ない量での添加によって回避することができた。チオールの製造は、国際公開第2019/107323号に開示されている。対応するイソシアネートへのチオールの添加後、以下の一般構造式Vを有するチオールウレタン(メタ)アクリレート、すなわちチオールエステルが形成され、これは、組成物中の成分(ii)中のモノマー2aまたは2として使用することができる。使用されるチオールに応じて、国際公開第2019/107323号によるR14は、各種構造を形成することができる。
【0016】
本発明の主題は、重合性組成物であって、該重合性組成物は、以下:
(i)少なくとも1つの無機フィラー成分0.01~90重量%、
(ii)以下のものを含む、5~99.97重量%:少なくとも2つのウレタンアクリレート、特にウレタンメタクリレートおよび/またはウレタンアクリレート、ここで、1つのウレタンアクリレートは、二価の炭化水素基を有する式Iの少なくとも1つのウレタンアクリレートであり、
【化3】
ここで、B=NHの場合、A=Oであり、またはB=Oの場合、A=NHであり、特に前記化合物では、R
1およびR
2は、それぞれ独立して、Hおよび1~8個のC原子を有するアルキルから選択され、好ましくは、R
1=HまたはCH
3、R
2=HまたはCH
3であり、R
5およびR
6は、それぞれ独立して、直鎖状C
2~C
6アルキレン基または直鎖状C
2~C
6オキシアルキレン基から選択され、ここで、R
5およびR
6は、任意にそれぞれ独立して、C
1~C
3アルキル基または(メタ)アクリルオキシメチレン基、好ましくはCH
3を有し、R
8は、6~12個のC原子を有する二価の炭化水素基であり、第2のウレタンアクリレートは、少なくとも1つの二官能性チオウレタン基および少なくとも1つのオレフィン基を有するものとする、ならびに任意にこれらを含むウレタンアクリレートの混合物、特に式Iのウレタンアクリレートならびに式Vおよび/またはVIのチオウレタン、ならびに任意にこれらの異性体、
(iii)少なくとも1つのエーテル基、チオエーテル基を有する少なくとも1つの二、三、四もしくは多官能性モノマー、少なくとも三官能性のトリエステルおよび/または二官能性のジエステル、ここで、前記ジエステルは、トリシクロデカンジメタノールジメタクリレートおよびトリシクロデカンジメタノールジアクリレートから選択されるものとする、または前記二、三、四もしくは多官能性モノマーのうちの少なくとも2つを含む混合物0.01~25重量%、
(iv)少なくとも1つの重合開始剤、重合開始剤系、および任意に少なくとも1つの安定剤、および任意に少なくとも1つの顔料、および任意にさらなる添加剤0.01~10重量%
を含み、ここで、前記重合性組成物の組成物全体は、100重量%である、重合性組成物である。
【0017】
式Iの好ましいウレタンアクリレートは、式Iaのウレタンアクリレートを含み、
【化4】
ここで、B=NHの場合、A=Oであり、またはB=Oの場合、A=NHであり、R
1=HまたはCH
3であり、R
2=HまたはCH
3であり、R
8は、6~12個のC原子を有する二価の炭化水素基であり、R
11=それぞれ独立して、H、C
1~C
3アルキル基または(メタ)アクリルオキシメチレン基であり、好ましくはCH
3である。好ましくは、R
8は、以下の二価の基のうちの1つを含む。
【化5】
【0018】
一般式Vの、特にウレタンメタクリレートおよびウレタンアクリレートを含む以下の特定のウレタンアクリレートは、式VIbに対応するR
14を有するウレタンを表す。
【化6】
【0019】
式Vのウレタンは、例えば、例示的な構造2b、2cおよび2dのチオールエーテルまたはチオールエステルのような例えば二ないし多官能性チオールと、対応するイソシアネート基を有するオレフィン性化合物との反応から製造することができる。
【化7】
【0020】
重合性組成物は、ウレタンアクリレートを含み、ここで、ウレタンアクリレートという用語は、常に、ウレタンメタクリレートなどのウレタンアルキルアクリレート、またはアルキル基を有しないウレタンアクリレートとも理解される。よって、本発明において、アクリレートとは、メタクリレートに加えてメタクリレートとも理解され、本明細書中である化学化合物をアクリレートと表す場合、それは常に、これまで一般的である(メタ)アクリレートという用語を意味し、これはメタクリレートとアクリレートとの双方を含む。ウレタンアクリレート(ウレタン(メタ)アクリレートに相当)についても同様であり、ウレタンアクリレートには、常にウレタンメタクリレートおよびウレタンアクリレートが含まれる。したがって、代替的に、本発明の範囲において、ウレタンアクリレートをウレタン(メタ)アクリレート、アクリレートを(メタ)アクリレートと記載することもできる。チオウレタン基を有するウレタン(メタ)アクリレート(ii)についても同様である。
【0021】
さらに、本発明の主題は、組成物、特に歯科用組成物、好ましくは歯科用コンポジットであって、一般式Iおよび/または式Vのウレタンアクリレートにおいて、それぞれ独立して、R8が、6~12個のC原子を有する二価の芳香族炭化水素、6~12個のC原子を有する二価の脂環式炭化水素、または6~12個のC原子を有する二価の直鎖状もしくは分岐状アルキレン、または芳香族基もしくは脂環式基、特に2環式基もしくは3環式基を有する二価の直鎖状もしくは分岐状アルキレンを含む、組成物である。
【0022】
本発明による式IおよびVのウレタンの混合物において、純粋なモノマー1の結晶化は、このようにしてモノマー2の存在によって抑制される。このようにして、実施例により示すことができるように、純粋な1と類似した機械的特性を示す、1および2から構成されるモノマーブレンド/モノマー混合物の取り扱いが容易になる。式Iのウレタンと式V、特に式VIのウレタンとの好ましい重量比は、有利には1:1~20:1であり、好ましくは、重量比は約9:1であり、ここで、この数9は、±1で変動し得る。式Iと式Vとの重量比は、原則として任意に調整することができる。
【0023】
特に好ましい一実施形態によれば、本発明による組成物は、少なくとも2つのウレタンアクリレート、特に少なくともこれらのウレタンアクリレートの混合物を含み、これは、式Iの少なくとも1つのウレタンアクリレートと、少なくとも1つの二官能性チオウレタン基および少なくとも1つのオレフィン基を有する少なくとも1つの第2のウレタンアクリレートとを含み、これらのウレタンアクリレートは、1:1~100:1、特に2:1~50:1、好ましくは5:1~20:1、さらに好ましくは7:1~10:1( ):1±1の重量比で存在する。さらに、式Iの少なくとも1つのウレタンアクリレートと、少なくとも1つの二官能性チオウレタン基および少なくとも1つのオレフィン基を有する少なくとも1つの第2のウレタンアクリレートとを1~2.5:0.0125~0.25、特に0.5~1.25:0.0125~0.25のモル比で含む少なくとも2つのウレタンアクリレートが存在すると好ましい。
【0024】
2つのウレタンアクリレートモノマー1および2は、有利には、芳香族で剛直な中心部を分子構造の周辺部の柔軟な脂肪族構造と組み合わせて有し、その結果、特に重合性組成物の成分(ii)として、1および2から構成されるモノマーブレンドのラジカル重合後の熱硬化性ポリマーの機械的強度が高くなる。1および2、特にプレポリマー2の空間的な大きさならびに分子構造の周辺部の柔軟な脂肪族側鎖ゆえに、1および2から構成されるモノマーブレンドの重合収縮が比較的少なくなる。また、1および2から構成されるモノマーブレンドの分子構造における硫黄原子の割合が高く、かつ芳香族の割合が高いことにより、コンポジットの透明度が高くなり、それにより今度は大きな硬化深さが達成される。臨床の実地においては、高い透明度はさらに、審美性の高い歯科修復物の製造にも望ましい。さらに、1および2から構成されるモノマーブレンドを使用することで、比較的高い二重結合転化率が得られることが見出された。
【0025】
少なくとも1つの二官能性チオウレタン基および少なくとも1つのオレフィン基を有する特に好ましい第2のウレタンアクリレートは、一般式Vの構造を有し、
R
14(-S-(C=O)-NH-R
13)
w、ここで、w=1~10 (V)
ここで、R
14は、少なくとも単官能性ないし十官能性のエステル、エーテルまたはチオエーテルを含む基であり、R
13は、それぞれ独立して、少なくとも1つのオレフィン基を有する基から選択される基である。特に、R
13は、-R
8NH(C=O)OR
10O(C=O)CH=CH
2、-R
8NH(C=O)OR
10O(C=O)C(CH
3)=CH
2である。好ましくは、R
13は、式VIIIである。
【化8】
【0026】
式Vはまた、R
14(-R
7)
wと表すこともでき、ここで、w=1~10、好ましくはw=2~4であり、ここで、R
7=-R
8NH-R
13である。R
7は、式VIIであり、
【化9】
ここで、R
15は、HまたはC
1~C
4アルキル、好ましくは-CH
3であり、R
8およびR
10は、上記および下記で定義されるとおりである。
【0027】
ここで、式Vにおいて、基R
14が、以下の構造VIa~VIdのうちの1つを有する場合、さらに好ましい。
【化10】
【化11】
ここで、式VIa~VIgにおけるR
7は、それぞれ独立して、以下のものから選択され、
【化12】
ここで、R
8は、それぞれ独立して、6~12個のC原子を有する二価の炭化水素基であり、R
10は、それぞれ独立して、直鎖状C
2~C
6アルキレン基または直鎖状C
2~C
6オキシアルキレン基から選択され、R
10は、任意にそれぞれ独立して、C
1~C
3アルキル基または(メタ)アクリルオキシメチレン基を有し、R
15は、それぞれ独立して、HまたはC
1~C
4アルキル、特にCH
3またはHである。
【0028】
R
8は、それぞれ独立して、R
7または式I、Ia、VIIおよびVIIIにおいて、
【化13】
である。
【0029】
それぞれ独立して、R
10は、R
7または式VIIおよびVIIIにおいて、
【化14】
であり、ここで、前記アルキレンおよびオキシアルキレンはまた、R
7におけるR
10として反転した状態で存在していてもよい。
【0030】
一般式Iの特に好ましいウレタンアクリレートは、以下を含む:
【化15】
ここで、B=NHの場合、A=Oであり、またはB=Oの場合、A=NHであり、R
1=HまたはCH
3であり、R
2=HまたはCH
3であり、R
5およびR
6は、それぞれ独立して、直鎖状C
2~C
6アルキレン基または直鎖状C
2~C
6オキシアルキレン基から選択され、ここで、R
5およびR
6は、任意にそれぞれ独立して、C
1~C
3アルキル基または(メタ)アクリルオキシメチレン基を有し、好ましくはCH
3であり、R
8は、以下の特定の二価の基のうちの1つを含む。
【化16】
【0031】
特に好ましくは、R5およびR6は、それぞれ独立して、直鎖状C2~C6アルキレン基または直鎖状C2~C6オキシアルキレン基から選択され、ここで、R5およびR6は、任意にそれぞれ独立して、C1~C3アルキル基または(メタ)アクリルオキシメチレン基を有する。したがって、R5、R6、またはR10も、それぞれ独立して、以下を含むことができる:水素原子がC1~3アルキル基または(メタ)アクリロイルオキシメチレン基で置換されていてもよいC2~6アルキレン基、または水素原子がC1~3アルキル基または(メタ)アクリロイルオキシメチレン基で置換されていてもよい直鎖状オキシアルキレン基。好ましくは、上記アルキル基は、直鎖状である。直鎖状アルキレン基の例には、-CH2CH2-、-CH2CH2CH2-、-CH2CH2CH2CH2-、-CH2CH2CH2CH2CH2-、-CH2CH2CH2CH2CH2CH2-が含まれ、好ましいのは、-CH2CH2-、-CH2CH2CH2-、-CH2CH2CH2CH2-である。好ましい直鎖状オキシアルキレン基には、-CH2CH2OCH2CH2-および-CH2CH2OCH2CH2OCH2CH2-、好ましくは-CH2CH2OCH2CH2-が含まれる。同様に、前述の基は、それぞれ、メチル基または(メタ)アクリルオキシ基で置換された水素原子を有していてもよい。
【0032】
一般式Iの好ましいウレタンは、以下の式Iaのウレタンを含み、
【化17】
各R
11は、それぞれ独立して、H、C
1~C
3アルキル基または(メタ)アクリルオキシメチレン基であり、好ましくはHまたはCH
3である。ここで、2つのR
11は、同一であっても異なっていてもよい。R
8は、特定の基として上記で定義したとおりである。
【0033】
モノマー1および2の粘度が比較的高いため、2つのウレタンアクリレートモノマーおよび任意に他のウレタンアクリレートは、モノマーブレンドとして、組成物の加工性、特に歯科用コンポジットとしての加工性を調整するために反応性希釈剤の添加を必要とする。
【0034】
好ましくは、少なくとも1つのエーテル基、チオエーテル基を有する少なくとも1つの二、三、四もしくは多官能性モノマー、少なくとも三官能性のトリエステルおよび/または二官能性のジエステル、ここで、ジエステルは、トリシクロデカンジメタノールジメタクリレートおよびトリシクロデカンジメタノールジアクリレートから選択されるものとする、または二、三、四もしくは多官能性モノマーのうちの少なくとも2つを含む混合物の成分(iii)は、2000mPas以下、好ましくは1000mPas以下、特に好ましくは500mPas以下の粘度を有する。成分(iii)の前記モノマーは、好ましくは、2000mPas以下、好ましくは1000mPas以下、特に好ましくは500mPas以下の粘度を有する脂肪族および/または脂環式ビス(メタ)アクリレートである。成分(ii)のウレタンと組み合わせて使用できる成分(iii)のモノマーの例には、好ましくは、トリエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、トリシクロデカンジメタノールジメタクリレート、トリシクロデカンジメタノールジアクリレートが含まれる。同様に、アクリレート官能性チオエーテルまたは三もしくは四官能性エステルを成分(iii)として使用することができる。
【0035】
成分(iii)としてチオエーテルを用いた組み合わせは、低い収縮率および高い二重結合転化率と相まって、特に高い透明度を示す。これらの特性は、歯科用途において歯科用コンポジットの製造に特に有利である。有利には、成分(iii)の各モノマーは、2000mPas以下、好ましくは1000mPas以下、特に好ましくは500mPas以下の粘度を有する。
【0036】
有利には反応性希釈剤としての、少なくとも1つのチオエーテル基を有する好ましい二、三、四または多官能性モノマーは、二ないし多官能性のチオ(メタ)アクリレート化合物である。これらは、分子構造中にフェニル、フェニレンまたはビスフェノールAのような芳香族基が存在しないことを特徴とするチオアクリレートおよびチオ(メタ)アクリレートである。チオエーテル基を有するアクリレートの製造は、欧州特許出願公開第3795597号明細書に開示されており、該文献が完全に援用される。
【0037】
チオエーテル基を有する成分(iii)のモノマーは、特に、以下のモノマーのうちの少なくとも1つ、または成分(ii)のモノマーのうちの少なくとも2つの混合物をも含むことができる。特に好ましくは、成分(iii)において、以下のモノマー4~9のうちの1つ以上が使用される。
【化18-1】
【化18-2】
【0038】
チオエーテル基を有するモノマー、特にチオ(メタ)アクリレートの分子構造中の硫黄の割合の増加により、歯科用コンポジットの低粘度だけでなく、少なくとも2つのウレタン、すなわちモノマー1および2、ならびに成分(iii)のモノマー、特に各反応性希釈剤4~9を含む、得られるコンポジットの透明度の向上も達成される。成分(iii)としての反応性希釈剤4~9は、市販の反応性希釈剤と比較して高い分子量を有し、これにより、重合収縮が比較的少なくなる。
【0039】
さらに、反応性希釈剤4~9の分子量が比較的高いことにより、重合コンポジットの脆性がより低くなり、このことは、例えば実施形態例において見られるように、弾性率と曲げ強さとの比により確認することができる。
【0040】
成分(ii)のモノマー、特にチオエーテル基またはトリ-もしくはテトラ-エステル基を有する反応性希釈剤は、式IおよびVの1および2から構成されるモノマーブレンドと組み合わせて、単独で、または互いに混合して使用することができる。
【0041】
特に好ましくは、重合性組成物は、成分(iii)として、式IIIの少なくとも1つのエーテル基、式IVの少なくとも1つのチオエーテル基を有する少なくとも1つの二、三、四もしくは多官能性モノマーおよび/もしくは式IIの少なくとも三もしくは四官能性のトリエステル、もしくは前記モノマーのうちの少なくとも2つの混合物であって、特に、式IIa、IIb、IIc、III、IVa、IVb、IVcおよび/もしくはIVdの少なくとも1つのモノマーを含むものを含み、
【化19】
CH
2=C(CH
3)COO(CH
2CH
2O)
vCOC(CH
3)=CH
2 (III)、v=3~20、特にv=3~15、好ましくはv=3~8、
【化20】
ここで、それぞれ独立して、式IIa、IIb、IIc、IVa、IVb、IVcおよび/またはIVdにおいて、R
4=
【化21】
ここで、それぞれ独立して、R
9=HまたはCH
3であり、ここで、R
3は、以下に示されるとおりであってもよいし、反転した状態で存在していてもよく、
R
3=
【化22】
から選択される。
【0042】
特に好ましい組成物は、以下:
(i)特に以下のものを含む、無機フィラー成分5~40重量%、特に5~30重量%:少なくとも1つのガラス、特に歯科用ガラス、シリケート、金属酸化物、混合酸化物、二酸化ケイ素、二酸化ジルコニウム、酸化亜鉛および/または前記成分のうちの少なくとも2つの混合物、ここで、前記成分は、0.2μm~10μmの平均粒子径を有するものとする、および任意に、10nm~115nmの平均一次粒子径を有する少なくとも1つの非晶質金属酸化物、ならびに
(ii)少なくとも2つのウレタンアクリレート60~85重量%であって、ここで、ウレタンアクリレートは、式Iの少なくとも1つのウレタンアクリレートと、少なくとも1つの二官能性チオウレタン基および少なくとも1つのオレフィン基を有する少なくとも1つの第2のウレタンアクリレートとを含む、
(iii)少なくとも1つのエーテル基、チオエーテル基を有する少なくとも1つの二、三、四もしくは多官能性モノマーおよび/もしくは少なくとも三官能性のトリエステルおよび/もしくは二官能性のジエステル、ここで、前記ジエステルは、トリシクロデカンジメタノールジメタクリレートおよびトリシクロデカンジメタノールジアクリレートから選択されるものとする、または前記二、三、四もしくは多官能性モノマーのうちの少なくとも2つの混合物0.5~25重量%、
(iv)少なくとも1つの重合開始剤、重合開始剤系、および任意に少なくとも1つの安定剤、および任意に少なくとも1つの顔料0.01~10重量%
を含み、ここで、前記重合性組成物の組成物全体は、100重量%である。
【0043】
同様に特に好ましい組成物は、以下:
(i)特に以下のものを含む、無機フィラー成分5~90重量%、特に14.98~90重量%:少なくとも1つのガラス、特に歯科用ガラス、シリケート、金属酸化物、混合酸化物、二酸化ケイ素、二酸化ジルコニウム、酸化亜鉛および/または前記成分のうちの少なくとも2つの混合物、ここで、前記成分は、0.2μm~10μmの平均粒子径を有するものとする、および任意に、10nm~115nmの平均一次粒子径を有する少なくとも1つの非晶質金属酸化物、ならびに
(ii)少なくとも2つのウレタンアクリレート10~85重量%であって、ここで、前記ウレタンアクリレートは、式Iの少なくとも1つのウレタンアクリレートと、少なくとも1つの二官能性チオウレタン基および少なくとも1つのオレフィン基を有する少なくとも1つの第2のウレタンアクリレートとを含む、
(iii)少なくとも1つのエーテル基、チオエーテル基を有する少なくとも1つの二、三、四もしくは多官能性モノマーおよび/もしくは少なくとも三官能性のトリエステルおよび/もしくは二官能性のジエステル、ここで、前記ジエステルは、トリシクロデカンジメタノールジメタクリレートおよびトリシクロデカンジメタノールジアクリレートから選択されるものとする、または前記二、三、四もしくは多官能性モノマーのうちの少なくとも2つの混合物0.01~25重量%、
(iv)少なくとも1つの重合開始剤、重合開始剤系、および任意に少なくとも1つの安定剤、および任意に少なくとも1つの顔料0.01~10重量%
を含み、ここで、前記重合性組成物の組成物全体は、100重量%である。
【0044】
同様に特に好ましい組成物は、以下:
(i)特に以下のものを含む、無機フィラー成分40~90重量%:0.4μm~10μmの平均粒子径を有する少なくとも1つのガラス、特に歯科用ガラス、シリケート、石英、長石、金属酸化物、混合酸化物、二酸化ケイ素、二酸化ジルコニウムおよび/または酸化亜鉛、ならびに任意に10nm~115nmの平均一次粒子径を有する少なくとも1つの非晶質金属酸化物、ならびに
(ii)少なくとも2つのウレタンアクリレートであって、該ウレタンアクリレートは、式Iの少なくとも1つのウレタンアクリレートと、少なくとも1つの二官能性チオウレタン基および少なくとも1つのオレフィン基を有する少なくとも1つの第2のウレタンアクリレートとを含むものとする、ウレタンアクリレート、または式IおよびVのウレタンアクリレートの混合物、ならびに式Iの異性体の混合物10~59.98重量%、
(iii)少なくとも1つのエーテル基、チオエーテル基を有する少なくとも1つの二、三、四もしくは多官能性モノマーおよび/または少なくとも三官能性のトリエステルおよび/または二官能性のジエステル、ここで、前記ジエステルは、トリシクロデカンジメタノールジメタクリレートおよびトリシクロデカンジメタノールジアクリレートから選択されるものとする、または前記二、三、四もしくは多官能性モノマーのうちの少なくとも2つの混合物0.01~15重量%、
(iv)少なくとも1つの重合開始剤、重合開始剤系、および任意に少なくとも1つの安定剤、および任意に少なくとも1つの顔料0.01~10重量%
を含み、ここで、前記重合性組成物の組成物全体は、100重量%である。
【0045】
さらなる好ましい組成物は、以下:
(i)特に以下のものを含む、無機フィラー成分50~90重量%:0.4μm~10μmの平均粒子径を有する少なくとも1つのガラス、特に歯科用ガラス、シリケート、石英、長石、金属酸化物、混合酸化物、二酸化ケイ素、二酸化ジルコニウムおよび/または酸化亜鉛、ならびに任意に10nm~115nmの平均一次粒子径を有する少なくとも1つの非晶質金属酸化物、ならびに
(ii)以下のものを含む、20~49.98重量%:少なくとも2つのウレタンアクリレートであって、該ウレタンアクリレートは、式Iの少なくとも1つのウレタンアクリレートと、少なくとも1つの二官能性チオウレタン基および少なくとも1つのオレフィン基を有する少なくとも1つの第2のウレタンアクリレートとを含む、
(iii)少なくとも1つのエーテル基、チオエーテル基を有する少なくとも1つの二、三、四もしくは多官能性モノマーおよび/または少なくとも三官能性のトリエステルおよび/または二官能性のジエステル、ここで、前記ジエステルは、トリシクロデカンジメタノールジメタクリレートおよびトリシクロデカンジメタノールジアクリレートから選択されるものとする、または前記二、三、四もしくは多官能性モノマーのうちの少なくとも2つの混合物0.01~15重量%、
(iv)少なくとも1つの重合開始剤、重合開始剤系、および任意に少なくとも1つの安定剤、および任意に少なくとも1つの顔料0.01~10重量%
を含み、ここで、前記重合性組成物の組成物全体は、100重量%である。
【0046】
特に好ましい組成物は、以下:
(i)特に以下のものを含む、無機フィラー成分60~85重量%:0.4μm~10μmの平均粒子径を有する少なくとも1つのガラス、シリケート、石英、長石、金属酸化物、混合酸化物、二酸化ケイ素、二酸化ジルコニウムおよび/または酸化亜鉛、ならびに任意に10nm~115nmの平均一次粒子径を有する少なくとも1つの非晶質金属酸化物、ならびに
(ii)少なくとも2つのウレタンアクリレートであって、該ウレタンアクリレートは、式Iの少なくとも1つのウレタンアクリレートと、少なくとも1つの二官能性チオウレタン基および少なくとも1つのオレフィン基を有する少なくとも1つの第2のウレタンアクリレートとを含むものとする、ウレタンアクリレート、または式IおよびVのウレタンアクリレートの混合物、ならびに任意に式Iの異性体の混合物10~39.98重量%、
(iii)少なくとも1つのエーテル基、チオエーテル基を有する少なくとも1つの二、三、四もしくは多官能性モノマーおよび/または少なくとも三官能性のトリエステルおよび/または二官能性のジエステル、ここで、前記ジエステルは、トリシクロデカンジメタノールジメタクリレートおよびトリシクロデカンジメタノールジアクリレートから選択されるものとする、または前記二、三、四もしくは多官能性モノマーのうちの少なくとも2つの混合物0.01~15重量%、
(iv)少なくとも1つの重合開始剤、重合開始剤系、および任意に少なくとも1つの安定剤、および任意に少なくとも1つの顔料0.01~10重量%
を含み、ここで、前記重合性組成物の組成物全体は、100重量%である。
【0047】
基本的に好ましい(ii)ウレタンは、式Iおよび任意に式VおよびVIIのウレタン、および/またはこれらの式Iのウレタンの混合物、ならびに任意に前述の化合物の異性体の混合物を含み、ここで、R1、R2およびR15は、それぞれ独立して、Hおよび1~8個のC原子を有するアルキルから選択され、特に好ましくは、R1、R2およびR15は、HまたはCH3である。
【0048】
式Iの特に好ましいウレタンアクリレートまたはウレタンアクリレートの混合物は、式Iのウレタンおよび任意に異性体の混合物を含み、ここで、R
1、R
2、R
8およびR
11は、前記で定義したとおりである。
【化23】
【0049】
非常に特に好ましくは、式Iのウレタンアクリレートは、式Ic~Ioの少なくとも1つの化合物および/またはこれらの混合物、ならびに任意にこれらの異性体の混合物、および/または式Iのこれらのウレタンの混合物、ならびに任意に前述の化合物の異性体の混合物を含み、ここで、R
1、R
2は、それぞれ独立して、Hおよび1~8個のC原子を有するアルキルから選択される。
【化24-1】
【化24-2】
【化24-3】
【0050】
また好ましいのは、(iii)少なくとも1つの二、三、四または多官能性モノマー0.01~15重量%を含む組成物であり、ここで、組成物の組成物全体は、100重量%である。
【0051】
一実施形態によれば、組成物は、0.5~10μmの平均粒子径d50を有する少なくとも1つのガラス、シリケート、長石、金属酸化物、混合酸化物、二酸化ケイ素、二酸化ジルコニウムを含む少なくとも1つの無機フィラー成分を含むことができる。また好ましいのは、以下のものを含む組成物である:a)以下のものを含む、少なくとも1つの無機フィラー成分:少なくとも1つのガラス、シリケート、石英、長石、金属酸化物、混合酸化物、二酸化ケイ素、二酸化ジルコニウム、もしくは前記成分のうちの少なくとも2つを含む混合物であって、1.8μmの平均粒子径d50を有する、好ましくは20μm以下のd99を有するもの、またはb)以下のものを、平均粒子径の各種画分の混合物として含む、少なくとも1つの無機フィラー成分:少なくとも1つのガラス、長石、金属酸化物、混合酸化物、二酸化ケイ素、二酸化ジルコニウム、もしくは前記成分のうちの少なくとも2つを含む混合物であって、i)d50が2~8μm、ii)d50が1.0~2.0μm、およびiii)d50が0.5μm~2μmであり、ここで、i):ii):iii)の画分は、1~4:1:4~8、特に2~3:1:6~7の比で存在するもの。
【0052】
さらに、組成物は、非晶質金属酸化物として、2~150nmの一次粒子径を有する少なくとも1つの非凝集非晶質金属酸化物を含むことができ、ここで、非晶質金属酸化物は、任意に、沈降シリカ、ヒュームドシリカ、酸化ジルコニウムまたは混合酸化物を含む。
【0053】
特に好ましくは、組成物は、(i)無機フィラー成分として、組成物の組成物全体100重量%に対して、(i.1)少なくとも1つのガラス、シリケート、石英、長石、金属酸化物、混合酸化物、二酸化ケイ素、二酸化ジルコニウム、または前記フィラー成分のうちの少なくとも2つを含む混合物0.005~85重量%、特に50~85重量%、および任意に(i.2)非晶質金属酸化物、特にヒュームドシリカおよび/または沈降シリカ0.005~5重量%、特に0.05~2重量%、フィラー成分特に0.1~90重量%、特に50.005~90重量%を含む。
【0054】
同様に好ましい組成物は、(iii)として、ポリエーテルのジメタクリルエステル、ポリエーテルの三、四または多官能性メタクリルエステル、および2,2-ビス-[4-(2-ヒドロキシ-3-メタクリロイルオキシプロポキシ)フェニル]プロパン、ビス-(2’-オキサ-3’-オキソペンチル-4’-エン)テトラヒドロジシクロペンタジエン、チオエーテルのジエステル、トリシクロデカンを含むトリエステル、およびそれらの異性体、ならびに任意にペンタエリスリトールテトラプロポキシアクリレートから選択されるモノマーを含むことができる。成分(iii)は、有利には、ジメタクリレートポリエチレングリコール、ジメタクリレートポリプロピレングリコールを含むことができる。ジメタクリレートトリエチレングリコール(TEGDMA)、ジエチレングリコールジメタクリレート(DEGMA)およびジメタクリレートテトラエチレングリコール(TEDMA)が特に好ましい。
【0055】
さらに、組成物は、(v)として、微粒状ポリマーフィラー0.01~15重量%を含むことができ、ここで、組成物の組成物全体は、100重量%である。
【0056】
好ましい安定剤には、水、少なくとも1つのベンゾフェノン誘導体および/または少なくとも1つのフェノール誘導体が含まれる。
【0057】
本発明の主題はまた、重合組成物、特に重合性組成物のいずれかの重合によって得られたまたは得ることができる重合組成物であって、重合組成物は、以下:
- 少なくとも1つの無機フィラー成分0.01~90重量%、
- 以下のものを含む、少なくともモノマーおよび/またはプレポリマーの重合をベースとする少なくとも1つのポリマー、特にコポリマー5~99.98重量%:少なくとも2つのウレタンアクリレート、ここで、少なくとも1つのウレタンアクリレートは、二価の炭化水素基を有する上記および下記で定義される式Iのウレタンアクリレートであり、第2のウレタンアクリレートは、少なくとも1つの二官能性チオウレタン基および少なくとも1つのオレフィン基を有するものとする、ならびに/またはこれらを含むウレタンアクリレートの混合物、
- 少なくとも1つのエーテル基、チオエーテル基を有する少なくとも1つの二、三、四もしくは多官能性モノマー、少なくとも三官能性のトリエステルおよび/または二官能性のジエステル、ここで、前記ジエステルは、トリシクロデカンジメタノールジメタクリレートおよびトリシクロデカンジメタノールジアクリレートから選択されるものとする、または前記二、三、四もしくは多官能性モノマーのうちの少なくとも2つの混合物、および
- 少なくとも1つの顔料0~10重量%、特に0.01~10重量%、好ましくは0.01~10重量%
を含み、ここで、前記重合組成物の組成物全体は、100重量%である。
【0058】
本発明の主題はまた、i)UVおよび/またはVis放射線源、好ましくは380nm~530nmのスペクトル範囲に発光極大を有するVis放射線源、好ましくは400~500nmのスペクトル範囲に少なくとも1つの最大値もしくは極大を有するVis放射線源を用いた組成物の重合および/または熱重合をii)50~300MPaの圧力および/または高温、有利には90~150℃で行うことによって得られたまたは得ることができる重合組成物である。
【0059】
ここで、重合組成物は、有利には材料ブロックの形態で存在し、特に材料ブロックは、三次元幾何学的成形体として存在し、特に自動材料除去加工装置に固定するためのアダプターなしのミルドブランクまたはアダプター付きのミルドブランクとして存在する。
【0060】
非常に特に好ましくは、組成物は、歯科用材料として、特にフィッシャーシーラントとして、歯科用コンポジットとして、直接接着性歯科用修復物として、蹄修復材料として、骨セメントとして、または人工関節補綴物をセメントで固めるための骨セメントとして使用するためのものである。
【0061】
さらに、本発明の主題は、特に歯科用コンポジット材としての、有利には付加製造プロセスにおける、放射線ベースのジェネレーティブ製造プロセスにおける、ステレオリソグラフィープロセスにおける、SLAプロセス(レーザーベースのステレオリソグラフィープロセス)における、DLPプロセス(デジタルライトプロセッシング)もしくはSLAおよびDLPプロセスにおける、LEDビーマーベースのジェネレーティブ製造プロセスにおける、放射線および熱ベースのジェネレーティブ製造プロセスにおける、サーマルジェネレーティブ製造プロセスにおける、3D印刷プロセスにおける、マルチジェットプロセス(MJM)もしくはポリジェットプロセスにおける、ならびに/またはb)歯科用補綴修復物、歯列矯正器具および/もしくはインスツルメントの製造のための、材料除去加工プロセスにおける、特に、重合組成物をフライス削り、切断、研磨、破断、剥離および/もしくは穿孔により除去するプロセスにおける、特に、重合組成物をレーザーエネルギーにより除去するプロセスにおける、重合性組成物の使用である。
【0062】
同様に、本発明の主題は、放射線ベースの重合プロセスにおける、特にUVおよび/またはVIS重合プロセスにおける、ラジカル誘導重合プロセスにおける、熱ベースの重合プロセスおよび/またはレドックスベースの重合プロセスにおける、重合性組成物の使用である。
【0063】
本発明の主題は、クラウン、インレー、オンレー、上部構造物、人工歯、デンタルブリッジ、デンタルバー、スペーサー、アバットメント、ベニアを含む歯科用補綴修復物の製造のための、またはバイトスプリント、ミリングブランク、歯科用補綴物、外科用補綴物の一部、ドリルガイド、インプラント、マウスガード、関節補綴物、テレスコープ、インプラント部品、歯列矯正器具、インスツルメントもしくは蹄部分の製造のための、重合性組成物または重合組成物の使用である。
【0064】
1および2から構成されるモノマーブレンドと組み合わせて、またモノマー4~9であるトリエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、トリシクロデカンジメタノールジメタクリレート、トリシクロデカンジメタノールジアクリレートのうちの少なくとも1つまたはこれらのモノマーのうちの少なくとも2つの混合物を含む成分(iii)の反応性希釈剤と組み合わせて、すべての市販の光重合開始剤を使用することができる。好ましくは、カンファーキノンと2-エチルヘキシル-4-ジメチルアミノベンゾエート(EHA)との組み合わせが組成物において使用される。同様に、例えばペルオキシドまたはヒドロペルオキシド、および自家重合または低温重合用のレドックス重合開始剤を熱重合に使用することができる。レドックス重合開始剤を使用する場合、組成物は、2成分を混合した後にのみ重合する2成分系組成物として配合される。
【0065】
本明細書において、熱重合性組成物とは、60~150℃、有利には70~150℃、特に好ましくは90~150℃で重合し得る組成物を意味すると理解される。ここで、本発明によれば、体積収縮率が小さいとさらに好ましい。
【0066】
本発明の主題はまた、i)UV/Vis放射線源、好ましくは380nm~530nmのスペクトル範囲に発光極大を有するVis放射線源、好ましくは400~500nmのスペクトル範囲に少なくとも1つの最大値もしくは極大を有するVis放射線源を用いて、任意にii)50~300MPaの圧力および/もしくは高温で、有利には90~150℃で重合を行うことにより、またはi)UVおよび/もしくはVis放射線源、好ましくは380nm~530nmのスペクトル範囲に発光極大を有するVis放射線源、好ましくは400~500nmのスペクトル範囲に少なくとも1つの最大値もしくは極大を有するVis放射線源を用い、かつ/もしくはii)50~300MPaの圧力および/もしくは高温、有利には90~150℃で重合を行うことにより得ることができる、歯科用コンポジット材である。
【0067】
さらに、重合性組成物は、さらなる添加剤、例えば安定剤、着色剤および顔料、殺微生物剤、フッ化物イオン供与性添加剤、蛍光増白剤、可塑剤および/または紫外線吸収剤、抑制剤および紫外線安定剤を含むことができる。
【0068】
ガラス、特に歯科用ガラスとして、有利には、アルミノケイ酸ガラスまたはフルオロアルミノケイ酸ガラス、ホウ素含有フルオロアルミノケイ酸ガラス、ケイ酸アルミニウムバリウム、ケイ酸ストロンチウム、ホウケイ酸ストロンチウム、ケイ酸カルシウム、ホウケイ酸カルシウム、ケイ酸ナトリウムガラス、ケイ酸カリウムガラス、ケイ酸リチウムおよび/またはアルミノケイ酸リチウム、ならびに前述のガラスのうちの少なくとも2つの混合物が挙げられる。非晶質金属酸化物または非晶質金属酸化物の混合物として、酸化物または混合酸化物をベースとする非晶質球状フィラー、例えば非晶質SiO2、ZrO2、またはSiO2とZrO2との混合酸化物を使用することができる。また、二酸化ジルコニウムと二酸化ケイ素、二酸化ジルコニウムまたは酸化亜鉛との混合酸化物、および結晶性シリケートを、フィラー成分として組成物において使用することもできる。ガラス、非晶質金属酸化物、またはさらにはX線不透過性および/または顔料のようないずれのフィラーも、有利には官能基によりシラン化されている。シランとして、特に、チオール-、ビニル-、アリル-、ノルボルン-2-エニル-、メタクリル-またはアルキン官能化シランが挙げられる。したがって、本発明の主題はまた、チオール-、ビニル-、アリル-、ノルボルン-2-エニル-、メタクリル-またはアルキン官能化シランで官能基によりシラン化されたフィラーを含む組成物である。
【0069】
さらにそれぞれ、組成物全体において4~7.5重量%の非晶質金属酸化物と組み合わせることが好ましい。非晶質金属酸化物は、有利には2~150nm、特に2~100nm、好ましくは2~45nmの一次粒子径の非凝集非晶質金属酸化物であり、ここで、非晶質金属酸化物は、二酸化ケイ素、沈降シリカ、ヒュームドシリカ、酸化ジルコニウム、混合酸化物またはこれらの混合物を含み、特に金属酸化物は、シラン化されている。シラン化剤としては、(メタ)アルキルオキシアルキル官能性シランまたは他のアルキルもしくはオレフィン官能性シランが挙げられる。
【0070】
一実施形態によれば、歯科用コンポジット製造用のフィラーを組成物に添加することができる。ここで、特に好適であるのは、SiO2、ZrO2およびTiO2、またはSiO2、ZrO2、ZnOおよび/もしくはTiO2の混合酸化物などの、0.4μm~20μmの粒子径を有する酸化物ベースのフィラーである。さらに、ヒュームドシリカまたは沈降シリカのような、0.01~500nmの粒子径を有するナノスケールまたはマイクロファインフィラーが使用される。同様に、フィラーとして、0.4μm~20μmおよび/もしくは0.01mm~15mmの粒子径を有する歯科用ガラスおよび/またはテクトシリケート、例えば石英粉末、ガラスセラミック粉末および/または長石粉末、または例えばバリウムアルミノシリケートガラスもしくはストロンチウムアルミノシリケートガラスのX線不透過性歯科用ガラス粉末、ならびに0.4μm~20μmおよび/もしくは0.01mm~15mmの粒子径を有するX線不透過性フィラーを使用することができる。これは同様に、三フッ化イッテルビウム、酸化タンタル(V)、硫酸バリウム、またはSiO2と酸化イッテルビウム(III)もしくは酸化タンタル(V)との混合酸化物であって、特に0.4μm~20μmおよび/または0.01mm~15mmの上記の粒子径のものを使用することができる。言及した粒子径はすべて重量平均粒子径であり、特にD50である。
【0071】
フィラー粒子と架橋ポリマーマトリックスとの結合を改善するために、SiO2ベースのフィラーを、チオール-、ビニル-、アリル-、ノルボルン-2-エニル-、メタクリル-またはアルキン官能化シランで表面修飾することができる。このようなシランの例は、3-チオプロピルトリメトキシシラン、3-アリルトリエトキシシラン、メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、またはN-[3-(トリエトキシシリル)-プロピル]カルバミン酸プロパルギルエステルである。例えば10-メタアクリロイルオキシデシルジハイドロジェンホスフェートのような官能化された酸ホスフェートも、例えばZrO2またはTiO2のような非シリケートフィラーの表面修飾に使用することができる。
【0072】
好ましい代替形態では、組成物は、無機フィラー成分に加えて、ある含有量の微粒状ポリマーフィラーを含むことができる。そのような微粒状ポリマーフィラーの総含有量は、組成物の100重量%の組成物全体において0.01~15重量%、好ましくは0.5~10重量%であり得る。ポリマーフィラーの粒子径は、有利には10~200μm、特に30~90μm、特に好ましくは20~50μmの範囲である。
【0073】
本発明において、アクリレートという用語は、(アルキル)アクリレートまたは(メタ)アクリレート、または括弧内に(アルキル)を有するウレタン(アルキル)アクリレートもしくは括弧内に(メタ)を有するウレタン(メタ)アクリレートを含み、これは、この用語が、アルキル基またはメチル基を有するおよび有しないアクリレートまたはウレタンアクリレートを含み得ることを意味する。アルキル基は、前記ウレタンアルキルアクリレートにおいて有利には1~10個、好ましくは1~2個のC原子を含む。アルキル基は、前記(アルキル)アクリレートにおいて有利には1~10個のC原子、好ましくは1~2個のC原子を含む。
【0074】
少なくとも2つのウレタンアクリレートを含む成分(ii)は、さらに、少なくとも1つの二官能性ウレタンアクリレート、ウレタン(アルキル)アクリレート、二価のアルキレン基を有するウレタン(アルキル)アクリレート、または二価のアルキレン基を有するウレタン(メタ)アクリレートを含むことができ、これらは、有利には、二価のアルキレン基で官能化された直鎖状または分岐状のウレタンジメタクリレート、アルキレン基を有するウレタンジメタクリレート官能化ポリエーテル、例えばビス(メタクリロキシ-2-エトキシカルボニルアミノ)アルキレン、ビス(メタクリロキシ-2-エトキシカルボニルアミノ)置換ポリアルキレンエーテル、有利には1,6-ビス(メタクリロキシ-2-エトキシカルボニルアミノ)-2,4,4-トリメチルヘキサン、代替的な名称がHEMA-TDMIであるUDMAから選択される。好ましいのは、ビス(メタクリロキシ-2-エトキシカルボニルアミノ)アルキレンであり、ここで、アルキレンは、直鎖状または分岐状のC3~C20、有利にはC3~C6を含み、特に好ましいのは、HEMA-TMDIのようなメチル基で置換されたアルキレンである。二価のアルキレンは、有利には、2,2,4-トリメチルヘキサメチレンおよび/または2,4,4-トリメチルヘキサメチレンを含む。さらに、成分(ii)は、ジ-HEMA-トリメチルヘキシルジカルバメート、ジウレタンジメタクリレート、メタクリレート付加物、ウレタンジメタクリレート、R’CH2[C(CH3)(R)CH2]2CH2R’を含むことができ、ここで、R=HまたはCH3、R’=NHCO2CH2CH2O2CC(CH3)=CH2である。
【0075】
プロセス工学的な加工性のためのコンシステンシーおよび流動挙動を改善するために、組成物に安定剤として水を添加することができる。有利には、安定剤は、早期重合を防止し、かつ材料にある程度の貯蔵性を付与するために組成物に添加される。好ましい安定剤として、組成物は、成分(iv)中に、水、少なくとも1つのベンゾフェノン誘導体、有利にはアルコキシ置換ベンゾフェノンおよび/もしくはフェノール誘導体、例えば2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、2,6-ビス(1,1-ジメチル)-4-メチルフェノール、または3つの安定剤の混合物から選択される少なくとも1つの安定剤を含む。好ましくは、安定剤は、組成物全体中に0.01~10重量%、特に好ましくは0.7~10重量%、特に0.5~2重量%存在する。さらに、組成物が安定剤として0.01~2重量%、好ましくは0.1~1.0重量%の水を含むと好ましい。
【0076】
重合組成物の色および美観を最適に調整するために、少なくとも1つの蛍光顔料ならびに任意に少なくとも1つの有機着色顔料および/または少なくとも1つの無機着色顔料、例えば二酸化チタン、特に非蛍光着色顔料を含む少なくとも1つの顔料を添加することができる。少なくとも1つの蛍光顔料は、有利には有機蛍光顔料、特に、非重合性有機蛍光顔料であり、これには任意に、アリールカルボン酸エステル、アリールカルボン酸、クマリン、ローダミン、ナフタンリンイミドまたはそれぞれの物質の誘導体が含まれる。無機蛍光顔料は、CaAl4O7:Mn2+、(Ba0.98Eu0.02)MgAl10O17、BaMgF4:Eu2+、Y(1.995)Ce(0.005)SiO5を含むことができる。
【0077】
顔料、特に着色顔料として、組成物は、無機顔料および有機顔料を含むことができ、これには特に、ジエチル-2,5-ジヒドロキシテレフタレート、N,N’-ビス(3,5-キシリル)ペリレン-3,4:9,10-ビス(ジカルボイミド)、銅フタロシアニン、チタネート顔料、特にクロムアンチモンチタネート(ルチル構造)、スピネルブラック、特に酸化鉄ブラック(Fe3O4)をベースとする顔料、ここで、鉄(Fe)は、クロムおよび銅またはニッケルおよびクロムまたはマンガンで部分的に置換されているものとする、亜鉛鉄クロムスピネル、ブラウンスピネル、((Zn,Fe)(Fe,Cr)2O4)コバルト亜鉛アルミネートブルースピネルおよび/または酸化チタンが含まれる。蛍光顔料および着色顔料を含む顔料は、組成物全体中に有利には0.01~10重量%、特に好ましくは0.01~5重量%、有利には0.01~1重量%存在する。
【0078】
さらなる好ましい一実施形態によれば、組成物は、以下のものを含むことができる:(iv)UVおよび/もしくはVis領域用の光重合開始剤、またはUVおよび/もしくはVis領域用の光重合開始剤系0.01~2重量%、ならびに安定剤0.01~2重量%の。
【0079】
さらに、重合組成物は、プラスチックテンプレート、釘、ねじ、および当業者に慣用されている他の構成要素などのような、特に高い機械的応力に曝される技術的構成要素の製造に使用することができる。
【0080】
成分(ii)の追加のウレタン(メタ)アクリレートとして、有利には以下のものも同様に挙げられる:少なくとも1つのウレタン(メタ)アクリレート、特にウレタンジメタクリレート、好ましくはビス(メタクリロキシ-2-エトキシカルボニルアミノ)アルキレン、ジウレタンアクリレートオリゴマー、アルキル官能性ウレタンジメタクリレートオリゴマー、芳香族官能性ウレタンジメタクリレートオリゴマー、脂肪族不飽和ウレタンアクリレート、ビス(メタクリロキシ-2-エトキシカルボニルアミノ)置換ポリエーテル、芳香族ウレタンジアクリレートオリゴマー、脂肪族ウレタンジアクリレートオリゴマー、脂肪族ウレタンジアクリレート、六官能性脂肪族ウレタン樹脂、脂肪族ウレタントリアクリレート、脂肪族ウレタンアクリレートオリゴマー、不飽和脂肪族ウレタンアクリレート。好ましいのは、二官能性および多官能性ウレタン(メタ)アクリレート、例えば特にウレタンジ(メタ)アクリレートであり、特に好ましいのは、直鎖状または分岐状アルキル官能化ウレタンジメタクリレート、ウレタンジメタクリレート官能化ポリエーテル、特にビス(メタクリロキシ-2-エトキシカルボニルアミノ)アルキレン、ビス(メタクリロキシ-2-エトキシカルボニルアミノ)置換ポリエーテル、有利には1,6-ビス(メタクリロキシ-2-エトキシカルボニルアミノ)-2,4,4-トリメチルヘキサンから選択される少なくとも1つの(iii)ウレタンジメタクリレートである。適切なウレタン(メタ)アクリレートは、以下の商品名で入手可能である:Ebecryl 230(脂肪族ウレタンジアクリレート)、Actilane 9290、Craynor 9200(ジウレタンアクリレートオリゴマー)、Ebecryl 210(芳香族ウレタンジアクリレートオリゴマー)、Ebecryl 270(脂肪族ウレタンジアクリレートオリゴマー)、Actilane 165、Actilane 250、Genomer 1122(単官能性ウレタンアクリレート)、Photomer 6210(Cas番号52404-33-8、脂肪族ウレタンジアクリレート)、Photomer 6623(六官能性脂肪族ウレタン樹脂)、Photomer 6891(脂肪族ウレタントリアクリレート)、UDMA、Roskydal LS 2258(脂肪族ウレタンアクリレートオリゴマー)、Roskydal XP 2513(不飽和脂肪族ウレタンアクリレート)。ウレタン(メタ)アクリレートは、好ましくは、前述のウレタン(メタ)アクリレート、または少なくとも2つの異なる、好ましくは少なくとも3つの異なる前述のウレタン(メタ)アクリレートの混合物から選択することができる。
【0081】
成分(iii)の少なくとも1つの二、三、四または多官能性モノマーは、以下のモノマー、特にビス-(2’-オキサ-3’-オキソペンチル-4’-エン)テトラヒドロジシクロペンタジエンおよびその異性体、1,4-ブタンジオールジメタクリレート(1,4-BDMA)もしくはペンタエリスリトールテトラアクリレート、デカンジオールジ(メタ)アクリレート、ドデカンジオールジ(メタ)アクリレート、ヘキシルデカンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、およびブタンジオールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレートを含むモノマーの混合物の少なくとも1つ、これらの(メタ)アクリレートのうちの少なくとも1つを含む混合物、および/または前述のモノマーのうちの1つもしくは少なくとも2つを含むコポリマーをさらに含むことができる。
【0082】
二、三または多官能性モノマーに加えて、以下のモノマーのうちの少なくとも1つが組成物に添加されていてよく、これには、少なくとも1つのモノマー、特にメチルメタクリレート、エチルメタクリレート、プロピルメタクリレート、ブチルメタクリレート、n-ヘキシルメタクリレート、2-フェノキシエチルメタクリレート、イソボルニルメタクリレート、イソデシルメタクリレート、ポリプロピレングリコールモノメタクリレート、テトラヒドロフリルメタクリレート、メチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、ブチルアクリレート、n-ヘキシルアクリレート、2-フェノキシエチルアクリレート、イソボルニルアクリレート、イソデシルアクリレート、テトラヒドロフリルアクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フルフリル(メタ)アクリレートもしくはフェニル(メタ)アクリレートのモノマーの混合物、これらの(メタ)アクリレートのうちの少なくとも1つを含む混合物、および/または前述のモノマーのうちの1つもしくは少なくとも2つを含むコポリマーが含まれる。
【0083】
さらに、本発明の主題は、有利にはフィラー、顔料、安定剤、調節剤、抗菌添加剤、紫外線吸収剤、チキソトロピー剤、触媒および架橋剤の群からの少なくとも1つ以上の物質をさらに含む組成物である。このような添加剤は、顔料、安定剤および調節剤と同様に少な目の量で使用され、例えば組成物の組成物全体に対して合計で0.01~3.0、特に0.01~1.0重量%使用される。適切な安定剤は、例えば、ヒドロキノンモノメチルエーテルまたは2,6-ジ-tert.-ブチル-4-メチルフェノール(BHT)である。
【0084】
成分(iv)として、組成物は、有利には0.01~10重量%、特に0.5~5重量%、有利には0.5~2重量%の少なくとも1つの重合開始剤または重合開始剤系、好ましくはi)UVおよび/もしくはVis領域用の少なくとも1つの光重合開始剤、またはUVおよび/もしくはVis領域用の光重合開始剤系、ならびに任意に少なくとも1つの安定剤、ならびに任意にさらなる慣用の添加剤、任意に顔料または染料を含む。
【0085】
特に好ましい光重合開始剤は、α-ヒドロキシフェニルケトン、ベンジルジメチルケタールまたは2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、フェニルビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド、2,4,6-トリメチルベンゾイルフェニルホスフィン酸エチルエステル、および少なくとも2つの光重合開始剤の混合物、ビスアシルホスフィンオキシド(BAPO)を含む。あるいはまた、カンファーキノン、ならびにN,N-ジメチル-p-トルイジン、N-N-ジヒドロキシエチル-p-トルイジンおよびp-ジメチルアミノ安息香酸ジエチルエステルから選択されるアミンである。典型的な安定剤は、2,6-ジ-tert.-ブチル-4-メチルフェノール(BHT)またはヒドロキノンモノメチルエーテル(MEHQ)、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、HALS(ヒンダードアミン系光安定剤)、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤(UVA)およびヒドロキシフェニルトリアジン(HPT)を含む。特に適切な安定剤は、例えばヒドロキノンモノメチルエーテルまたは2,6-ジ-tert.-ブチル-4-メチルフェノール(BHT)である。
【0086】
重合開始剤、特に熱重合開始剤または重合開始剤系として、ペルオキシド、ヒドロキシペルオキシド、任意にアゾ化合物、またはこれらを含む混合物が適している。適切な熱重合開始剤は、70~150℃、好ましくは90~150℃の温度範囲でラジカル重合開始剤として使用することができる。好ましい熱重合開始剤は、以下のものから選択される少なくとも1つの重合開始剤を含む:ジラウロイルペルオキシド、ジ-tert.ブチルペルオキシド、tert-ブチルペルオキシ-2-エチルヘキサノエート、ジベンゾイルペルオキシド、ジクミルペルオキシド、ジクミルヒドロペルオキシド、2,2’-アゾビスイソブチロニトリル、ベンジルバルビツール酸誘導体、特に好ましくはtert-ブチルペルオキシ-2-エチルヘキサノエート、ジベンゾイルペルオキシド、ジクミルペルオキシド、ジクミルヒドロペルオキシド、アゾビスイソブチロニトリル、ベンジルバルビツール酸誘導体、例えばフェニルベンジルバルビツール酸、シクロヘキシルベンジルバルビツール酸。
【0087】
自家重合または低温重合用の以下の重合開始剤および/または重合開始剤系は、a)少なくとも1つの重合開始剤、特に少なくとも1つのペルオキシドおよび/またはアゾ化合物、特にLPO:ジラウロイルペルオキシド、BPO:ジベンゾイルペルオキシド、t-BPEH:tert.-ブチルペル-2-エチルヘキサノエート、AIBN:2,2’-アゾビス-(イソブチロニトリル)、DTBP:ジ-tert.-ブチルペルオキシド、および任意にb)少なくとも1つの活性剤、特に少なくとも1つの芳香族アミン、例えばN,N-ジメチル-p-トルイジン、N,N-ジヒドロキシエチル-p-トルイジンおよび/またはp-ジベンジルアミノ安息香酸ジエチルエステル、またはc)レドックス系から選択される少なくとも1つの重合開始剤系、特に、ジベンゾイルペルオキシドとジラウロイルペルオキシドとカンファーキノンと、N,N-ジメチル-p-トルイジン、N-N-ジヒドロキシエチル-p-トルイジンおよびp-ジメチルアミノ安息香酸ジエチルエステルから選択されるアミンとから選択される組み合わせを含む。また重合開始剤系は、ペルオキシド、およびアスコルビン酸、アスコルビン酸誘導体、バルビツール酸またはバルビツール酸誘導体、スルフィン酸、スルフィン酸誘導体から選択される還元剤を含むレドックス系であってもよく、特に好ましいのは、(i)バルビツール酸もしくはチオバルビツール酸、またはバルビツール酸もしくはチオバルビツール酸誘導体、および(ii)少なくとも1つの銅塩または銅錯体、および(iii)イオン性ハロゲン原子を有する少なくとも1つの化合物を含むレドックス系であり、特に好ましいのは、1-ベンジル-5-フェニルバルビツール酸、銅アセチルアセトナートおよびベンジルジブチルアンモニウムクロリドを含むレドックス系である。特に好ましくは、2成分系補綴物基材における重合は、バルビツール酸誘導体により開始される。
【0088】
原則として、低温重合性または自家重合性の出発混合物の重合反応用の重合開始剤として、ラジカル重合反応を開始することができるものが挙げられる。好ましい重合開始剤は、ペルオキシドおよびアゾ化合物であり、例えば以下のものが挙げられる:LPO:ジラウロイルペルオキシド、BPO:ジベンゾイルペルオキシド、t-BPEH:tert.-ブチルペル-2-エチルヘキサノエート、AIBN:2,2’-アゾビス-(イソブチロニトリル)、DTBP:ジ-tert.-ブチルペルオキシド。
【0089】
ペルオキシドによるラジカル重合の開始を促進するために、適切な活性剤、例えば芳香族アミンを添加することができる。適切なアミンとして、例示的に、N,N-ジメチル-p-トルイジン、N,N-ジヒドロキシエチル-p-トルイジンおよびp-ジベンジルアミノ安息香酸ジエチルエステルが挙げられる。ここで、アミンは、通常は補助重合開始剤として作用し、通常は0.5重量%までの量で存在する。
【0090】
以下の実施形態例は、本発明をこれらの実施例に限定することなく説明することを意図するものである。
【0091】
実施形態例:
方法
コンポジットペーストの製造:モノマー、反応性希釈剤、重合開始剤、添加剤およびフィラーをはかり入れ、Speedmixer(Hauschild - DAC 600.1 FVZ)で1500min-1、常圧で5分間均質化する。フィラーをモノマー混合物に順次はかり入れ、この混合物を、再びSpeedmixerで1500min-1、常圧で5分間均質化する。その後、このコンポジットを、3本ロールミルで再び均質化する。このコンポジットを、再びSpeedmixerで真空中で700min-1で5分間脱気する。
【0092】
曲げ強さおよび弾性率の測定:曲げロッドの製造、ならびに曲げ強さおよび弾性率の測定を、DIN EN ISO 4049:2019, 7.11に準拠して、寸法25±2mm×2.0±0.1mm×2.0±0.1mmの試験片で実施し、試験片を、測定開始まで37℃の水中に貯蔵し(光源:Kulzer、Translux Wave、青色光(最大発光波長約440~460nm)、700mW/cm2、20秒)。照射の24時間後に、試験片にクロスヘッド速度0.75±0.25mm/minまたは荷重増加50±16N/minで降伏点まで、または破断するまで荷重をかける。
【0093】
硬化深さの測定:硬化/重合深さの測定を、DIN EN ISO 4049:2019, 7.10に準拠して測定し(光源:Translux 2Wave、1200mW/cm2、20秒)、試験片は、長さ6mm以上、直径4mmの円柱状である。重合深さが3mmを超える場合、試験片は、示された重合深さの2倍より少なくとも2mm長い。したがって、本明細書に示される重合深さの値は、重合深さの絶対値を2で割った値と等しい。
【0094】
透明度の測定:直径20mm、厚さ1mmの円形試験片を、光重合法(光源:Kulzer、Translux Wave、700mW/cm2)によりコンポジットペーストから製造する。試験片の比色測定を、Datacolor SF 800装置を用い、黒色を背景として試験片に透過させて行う。
【0095】
ワッツ法またはボンデッドディスク法による重合収縮率の測定:コンポジットを、高さ1mmのスペーサーリングで挟んだスライドガラスに塗布し、カバースリップで覆う。ここで、材料試料は、カバースリップの下面を濡らす。次に、この材料試料に下側から光源(Kulzer、Translux 2Wave、1200mW/cm2、20秒)を照射し、カバースリップのたわみをレーザーにより上側から測定する(刊行物:Determination of polymerization shrinkage kinetics in visible-light-cured materials:methods development; D.C. Watts et al, Dental Materials, Oct. 1991, 281 ff)。
【0096】
二重結合転化率Uの測定:二重結合転化率Uを、ATR-IRを用いて測定する。ここで、深さ2mmで、円筒状の金型に材料試料を塗布する。コンポジットを充填した円筒状の金型をATR結晶の上に置き、この結晶は、材料試料の下側に存在する。IRスペクトル(波長範囲:4000cm-1~700cm-1)を記録する。次に、コンポジットの上側を透明フィルムで覆い、光源(光源:Translux 2Wave、1200mW/cm2、20秒)を照射し、光重合終了10分後にさらなるIRスペクトルを記録する。光重合前後の-C=C-二重結合シグナル(約1645cm-1)の積分値の比から残留二重結合含有量が得られ、そこから二重結合転化率U(%)が求められる。
U=100-(非重合総面積/重合総面積×100)
【0097】
粒子径の測定方法:粒子径の測定を、確立された試験法、有利にはレーザー回折法(DLS)、SOP、MALVERN Mastersizer 2000を用いて行うことができる。当業者に慣用されている他の方法は、規格ISO 22412:2017 Particle Size Analysis - Dynamic Light Scattering (DLS)またはISO 13320:2020 Particle Size Analysis - Laser Diffraction Methodsに定義されている。さらに、粒子径測定を、Zeta Sizer Advanced Range装置(0.3nm~15マイクロメートル)によるDLSを使用してバッチ式に、またはMalvernpananalytical社製Zetasizer AT(0.3nm~10マイクロメートル)を使用して連続的な工程内管理として実施することができる。これらの方法では、D10、D50、D90も測定できる。
【0098】
粘度:粘度を、有利にはDIN 1342-2;2003-11のニュートン流体またはDIN 1342-3;2003-11の非ニュートン流体により、レオメーター(Anton Par, Physicist NCR 301、粘度範囲200~3000m・Pas、100/s 23℃)を用いて測定する。
【0099】
【0100】
本発明の開示のために、以下の歯科用コンポジットを調製し、光重合開始により硬化させた(光源:Translux Wave(Kulzer)、1000mW/cm
2、20秒):
【表2】
【0101】
【0102】
【0103】
【0104】
【0105】
【0106】
【0107】
【0108】
【0109】
【0110】
【0111】
【0112】
【手続補正書】
【提出日】2024-01-25
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
重合性組成物であって、前記重合性組成物は、以下:
(i)少なくとも1つの無機フィラー成分0.01~90重量%、
(ii)以下のものを含む、5~99.97重量%:少なくとも2つのウレタンアクリレート、ここで、1つのウレタンアクリレートは、二価の炭化水素基を有する式Iの少なくとも1つのウレタンアクリレートであり、
【化1】
ここで、B=NHの場合、A=Oであり、またはB=Oの場合、A=NHであり、
R
1=HまたはCH
3、R
2=HまたはCH
3であり、
R
5およびR
6は、それぞれ独立して、直鎖状C
2~C
6アルキレン基または直鎖状C
2~C
6オキシアルキレン基から選択され
、
R
8は、6~12個のC原子を有する二価の炭化水素基であり、
第2のウレタンアクリレートは、少なくとも1つの二官能性チオウレタン基および少なくとも1つのオレフィン基を有
し、ここで、
- 前記第2のウレタンアクリレートは、一般式Vの構造を有し、
R
14
(-S-(C=O)-NH-R
13
)
w
、ここで、w=1~10 V
ここで、基R
13
は、それぞれ独立して、少なくとも1つのオレフィン基を有する基から選択される基であり、R
14
は、以下の式VIa~VIgの構造のうちの1つを有し、
【化2-1】
【化2-2】
ここで、式VIa~VIgにおけるR
7
は、それぞれ独立して、以下のものから選択され、
【化3】
ここで、R
8
は、それぞれ独立して、6~12個のC原子を有する二価の炭化水素基であり、R
10
は、それぞれ独立して、直鎖状C
2
~C
6
アルキレン基または直鎖状C
2
~C
6
オキシアルキレン基から選択され、R
15
は、それぞれ独立して、HまたはC
1
~C
4
アルキルであるものとする、ならびに/またはこれらを含むウレタンアクリレートの混合物、
(iii)以下のものを含む、0.01~25重量%:少なくとも1つのエーテル基、チオエーテル基を有する少なくとも1つの二、三、四もしくは多官能性モノマー、少なくとも三官能性のトリエステルおよび/または二官能性のジエステル、ここで、前記ジエステルは、トリシクロデカンジメタノールジメタクリレートおよびトリシクロデカンジメタノールジアクリレートから選択されるものとする、または前記二、三、四もしくは多官能性モノマーのうちの少なくとも2つを含む混合物、
(iv)少なくとも1つの開始剤、開始剤
系0.01~10重量%
を含み、ここで、前記重合性組成物の組成物全体は、100重量%である、重合性組成物。
【請求項2】
前記式Vが、R
10
として、それぞれ独立して、C
1
~C
3
アルキル基または(メタ)アクリルオキシメチレン基を有する、請求項1記載の重合性組成物。
【請求項3】
前記一般式Iおよび/または前記式Vのウレタンアクリレートが、それぞれ独立して、R
8を有し、かつ/または6~12個のC原子を有する二価の芳香族炭化水素、6~12個のC原子を有する二価の脂環式炭化水素、または6~12個のC原子を有する二価の直鎖状もしくは分岐状アルキレン、または芳香族基もしくは脂環式基を有する二価の直鎖状もしくは分岐状アルキレンを含む、請求項1
または2項記載の重合性組成物。
【請求項4】
前記重合性組成物が、一般式Iの少なくとも1つのウレタンアクリレートを含み、
【化4】
ここで、B=NHの場合、A=Oであり、またはB=Oの場合、A=NHであり、
R
1=HまたはCH
3であり、R
2=HまたはCH
3であり、
R
5およびR
6は、それぞれ独立して、直鎖状C
2~C
6アルキレン基または直鎖状C
2~C
6オキシアルキレン基から選択され、ここで、R
5およびR
6は、任意にそれぞれ独立して、C
1~C
3アルキル基または(メタ)アクリルオキシメチレン基を有し、
R
8は、以下の二価の基のうちの1つを含む、
【化5】
請求項1から
3までのいずれか1項記載の重合性組成物。
【請求項5】
前記重合性組成物が、以下:
(iii)式IIIの少なくとも1つのエーテル基、式IVの少なくとも1つのチオエーテル基を有する少なくとも1つの二、三、四もしくは多官能性モノマーおよび/もしくは式IIの少なくとも三もしくは四官能性のトリエステル、もしくは前記モノマーのうちの少なくとも2つの混合物であって、特に、式IIa、IIb、IIc、III、IVa、IVb、IVc、IVdの少なくとも1つのモノマーを含むもの、または前記モノマーのうちの少なくとも2つを含む混合物、
【化6】
CH
2=C(CH
3)COO(CH
2CH
2O)
vCOC(CH
3)=CH
2 III
ここで、v=3~20、v=3~15、v=3~8、
【化7】
ここで、それぞれ独立して、R
4=
【化8】
であり、ここで、それぞれ独立して、R
9=HまたはCH
3であり、
R
3=
【化9】
を含む、請求項1から
4までのいずれか1項記載の重合性組成物。
【請求項6】
前記重合性組成物が、以下:
(i)以下のものを含む、無機フィラー成分5~90重量%:少なくとも1つのガラス、シリケート、金属酸化物、混合酸化物、二酸化ケイ素、二酸化ジルコニウム、酸化亜鉛および/または前記成分のうちの少なくとも2つの混合物、ここで、前記成分は、0.2μm~10μmの平均粒子径を有するものとする、および任意に、10nm~115nmの平均一次粒子径を有する少なくとも1つの非晶質金属酸化物、ならびに
(ii)少なくとも2つのウレタンアクリレート10~85重量%であって、ここで、前記ウレタンアクリレートは、式Iの少なくとも1つのウレタンアクリレートと、少なくとも1つの二官能性チオウレタン基および少なくとも1つのオレフィン基を有する少なくとも1つの第2のウレタンアクリレートとを含む、
(iii)少なくとも1つのエーテル基、チオエーテル基を有する少なくとも1つの二、三、四もしくは多官能性モノマーおよび/もしくは少なくとも三官能性のトリエステルおよび/もしくは二官能性のジエステル、ここで、前記ジエステルは、トリシクロデカンジメタノールジメタクリレートおよびトリシクロデカンジメタノールジアクリレートから選択されるものとする、または前記二、三、四もしくは多官能性モノマーのうちの少なくとも2つの混合物0.01~25重量%、
(iv)少なくとも1つの開始剤、開始剤系、および任意に少なくとも1つの安定剤、および任意に少なくとも1つの顔料0.01~10重量%
を含み、ここで、前記重合性組成物の組成物全体は、100重量%である、請求項1から
5までのいずれか1項記載の重合性組成物。
【請求項7】
前記重合性組成物が、以下:
(i)以下のものを含む、無機フィラー成分40~90重量%:0.4μm~10μmの平均粒子径を有する少なくとも1つのガラス、シリケート、石英、長石、金属酸化物、混合酸化物、二酸化ケイ素、二酸化ジルコニウムおよび/または酸化亜鉛、ならびに任意に10nm~115nmの平均一次粒子径を有する少なくとも1つの非晶質金属酸化物、ならびに
(ii)少なくとも2つのウレタンアクリレートであって、該ウレタンアクリレートは、式Iの少なくとも1つのウレタンアクリレートと、少なくとも1つの二官能性チオウレタン基および少なくとも1つのオレフィン基を有する少なくとも1つの第2のウレタンアクリレートとを含むものとする、ウレタンアクリレート10~59.98重量%、
(iii)少なくとも1つのエーテル基、チオエーテル基を有する少なくとも1つの二、三、四もしくは多官能性モノマーおよび/または少なくとも三官能性のトリエステルおよび/または二官能性のジエステル、ここで、前記ジエステルは、トリシクロデカンジメタノールジメタクリレートおよびトリシクロデカンジメタノールジアクリレートから選択されるものとする、または前記二、三、四もしくは多官能性モノマーの混合物0.01~15重量%、
(iv)少なくとも1つの開始剤、開始剤系、および任意に少なくとも1つの安定剤、および任意に少なくとも1つの顔料0.01~10重量%
を含み、ここで、前記重合性組成物の組成物全体は、100重量%である、請求項1から
6までのいずれか1項記載の重合性組成物。
【請求項8】
前記重合性組成物が、式Iのウレタンアクリレートとして、式Ic~Ioの少なくとも1つの化合物および/またはこれらの混合物、ならびに任意にこれらの異性体の混合物を含む、
【化10-1】
【化10-2】
【化10-3】
請求項1から
7までのいずれか1項記載の重合性組成物。
【請求項9】
前記重合性組成物が、(i)無機フィラー成分として、組成物の組成物全体100重量%に対して、
(i.1)少なくとも1つのガラス、シリケート、石英、長石、金属酸化物、混合酸化物、二酸化ケイ素、二酸化ジルコニウム、または前記フィラー成分のうちの少なくとも2つを含む混合物0.005~85重量%、および任意に
(i.2)非晶質金属酸化物、特にヒュームドシリカおよび/または沈降シリカ0.005~5重量%
を含む、請求項1から
8までのいずれか1項記載の重合性組成物。
【請求項10】
前記重合性組成物が、式Iの少なくとも1つのウレタンアクリレートと、少なくとも1つの二官能性チオウレタン基および少なくとも1つのオレフィン基を有する少なくとも1つの第2のウレタンアクリレートとを1:1~100:1の重量比で含む少なくとも2つのウレタンアクリレートを含む、請求項1から
9までのいずれか1項記載の重合性組成物。
【請求項11】
重合組成物であって、前記重合組成物は、以下:
- 少なくとも1つの無機フィラー成分0.01~90重量%、
- 以下のものを含む、少なくともモノマーおよび/またはプレポリマーならびにこれらの混合物の重合をベースとする少なくとも1つのポリマー5~99.98重量%:
- 少なくとも2つのウレタンアクリレート、ここで、少なくとも1つのウレタンアクリレートは、二価の炭化水素基を有する式Iのウレタンアクリレートであり、
【化11】
ここで、B=NHの場合、A=Oであり、またはB=Oの場合、A=NHであり、
R
1=HまたはCH
3、R
2=HまたはCH
3であり、
R
5およびR
6は、それぞれ独立して、直鎖状C
2~C
6アルキレン基または直鎖状C
2~C
6オキシアルキレン基から選択され、ここで、R
5およびR
6は、任意にそれぞれ独立して、C
1~C
3アルキル基または(メタ)アクリルオキシメチレン基を有し、好ましくはCH
3であり、
R
8は、6~12個のC原子を有する二価の炭化水素基であり、
第2のウレタンアクリレートは、少なくとも1つの二官能性チオウレタン基および少なくとも1つのオレフィン基を有
し、ここで、
- 前記第2のウレタンアクリレートは、一般式Vの構造を有し、
R
14
(-S-(C=O)-NH-R
13
)
w
、ここで、w=1~10 V
ここで、R
13
は、それぞれ独立して、少なくとも1つのオレフィン基を有する基から選択される基であり、R
14
は、以下の式VIa~VIgの構造のうちの1つを有し、
【化12-1】
【化12-2】
ここで、式VIa~VIgにおけるR
7
は、それぞれ独立して、以下のものから選択され、
【化13】
ここで、R
8
は、それぞれ独立して、6~12個のC原子を有する二価の炭化水素基であり、R
10
は、それぞれ独立して、直鎖状C
2
~C
6
アルキレン基または直鎖状C
2
~C
6
オキシアルキレン基から選択され、R
15
は、それぞれ独立して、HまたはC
1
~C
4
アルキルであるものとする、ならびに/またはこれらを含むウレタンアクリレートの混合物、
- 少なくとも1つのエーテル基、チオエーテル基を有する少なくとも1つの二、三、四もしくは多官能性モノマー、少なくとも三官能性のトリエステルおよび/または二官能性のジエステル、ここで、前記ジエステルは、トリシクロデカンジメタノールジメタクリレートおよびトリシクロデカンジメタノールジアクリレートから選択されるものとする、または前記二、三、四もしくは多官能性モノマーのうちの少なくとも2つの混合物、および
- 少なくとも1つの顔料0~10重量%
を含み、ここで、前記重合組成物の組成物全体は、100重量%である、重合組成物。
【請求項12】
R
10
が、それぞれ独立して、C
1
~C
3
アルキル基または(メタ)アクリルオキシメチレン基を有する、請求項11記載の重合組成物。
【請求項13】
前記重合組成物が、材料ブロックの形態で存在し、特に前記材料ブロックが、三次元幾何学的成形体として存在し、特に自動材料除去加工装置に固定するためのアダプターなしのミルドブランクまたはアダプター付きのミルドブランクとして存在する、請求項
10記載の重合組成物。
【請求項14】
歯科用材料として、特にフィッシャーシーラントとして、歯科用コンポジットとして、直接接着性歯科用修復物として、蹄修復材料として、骨セメントとして、または人工関節補綴物をセメントで固めるための骨セメントとして使用するための、請求項1から
10までのいずれか1項記載の組成物。
【請求項15】
付加製造プロセスにおける、放射線ベースのジェネレーティブ製造プロセスにおける、ステレオリソグラフィープロセスにおける、SLAプロセス(レーザーベースのステレオリソグラフィープロセス)における、DLPプロセス(デジタルライトプロセッシング)またはSLAおよびDLPプロセスにおける、LEDビーマーベースのジェネレーティブ製造プロセスにおける、放射線および熱ベースのジェネレーティブ製造プロセスにおける、サーマルジェネレーティブ製造プロセスにおける、3D印刷プロセスにおける、マルチジェットプロセス(MJM)またはポリジェットプロセスにおける、放射線ベースの重合プロセスにおける、特にUVおよび/またはVIS重合プロセスにおける、ラジカル誘導重合プロセスにおける、熱ベースの重合プロセスおよび/またはレドックスベースの重合プロセスにおける、請求項1から
10までのいずれか1項記載の重合性組成物の使用。
【請求項16】
クラウン、インレー、オンレー、上部構造物、人工歯、デンタルブリッジ、デンタルバー、スペーサー、アバットメント、ベニアを含む歯科用補綴修復物の製造のための、またはバイトスプリント、ミリングブランク、歯科用補綴物、外科用補綴物の一部、ドリルガイド、インプラント、マウスガード、関節補綴物、テレスコープ、インプラント部品、歯列矯正器具、インスツルメントもしくは蹄部分の製造のための、請求項
14記載の使用、または請求項
11もしくは
12記載の重合組成物の使用。
【国際調査報告】