(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-21
(54)【発明の名称】予冷した溶媒をリサイクルする工程を含む、可変直径のゾーンを有する反応器におけるオリゴマー化方法
(51)【国際特許分類】
C07C 2/32 20060101AFI20240514BHJP
C07C 11/107 20060101ALI20240514BHJP
C07B 61/00 20060101ALN20240514BHJP
【FI】
C07C2/32
C07C11/107
C07B61/00 300
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023573052
(86)(22)【出願日】2022-05-24
(85)【翻訳文提出日】2024-01-26
(86)【国際出願番号】 EP2022064008
(87)【国際公開番号】W WO2022248449
(87)【国際公開日】2022-12-01
(32)【優先日】2021-05-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591007826
【氏名又は名称】イエフペ エネルジ ヌヴェル
【氏名又は名称原語表記】IFP ENERGIES NOUVELLES
(74)【代理人】
【識別番号】100106091
【氏名又は名称】松村 直都
(74)【代理人】
【識別番号】100199369
【氏名又は名称】玉井 尚之
(74)【代理人】
【識別番号】100228175
【氏名又は名称】近藤 充紀
(72)【発明者】
【氏名】ブルイユ ピエール-アラン
(72)【発明者】
【氏名】コット オリヴィエ
【テーマコード(参考)】
4H006
4H039
【Fターム(参考)】
4H006AA02
4H006AC21
4H006BA14
4H006BA43
4H006BB11
4H006BC51
4H006BD35
4H006BD52
4H006BE90
4H039CA29
4H039CF10
4H039CL10
(57)【要約】
本発明は、予冷された溶媒をリサイクルする工程を含む、可変直径ゾーンを含む反応器内でのオリゴマー化方法に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
オレフィン供給原料のオリゴマー化のための方法であって、以下の工程を含む、方法:
a) オレフィン供給原料のオリゴマー化の工程;温度30℃~200℃、圧力0.1~10MPaで、オリゴマー化均一系接触系および溶媒の存在中、反応セクションにおいて行う;反応セクションは、以下を含んでいる:
可変直径のゾーンを有しかつ液相を含んでいるオリゴマー化反応器、および
液相フラクションの少なくとも一部の温度T
loopへの冷却を可能にする少なくとも1つの再循環ループ;
b) 分離セクションにおいて、オリゴマー化工程a)から生じた反応流出物を分離する工程;溶媒フラクションを得る、
c) 工程b)から生じた溶媒フラクションを、液相フラクションが1つまたは複数の再循環ループにおいて冷却される温度T
loopを下回る温度に冷却する工程、
d) オリゴマー化工程a)の反応セクションに、工程c)から生じた冷却済み溶媒フラクションを導入する工程。
【請求項2】
可変直径のゾーンを有する反応器は、n個の連続するゾーンを含み、nは、2~10の正の整数であり、
- n個のゾーンのそれぞれについて、直径Dnを有し、直径Dnは、前記反応器の底部ゾーンから頂部ゾーンに向かう方向に低減し、
- 上方ゾーンの直径(Dnと表示される)の隣接下方ゾーンの直径(Dn-1と表示される)に対する比(Dn/Dn-1)は、0.9以下であり、
- 所与のゾーンについて、前記ゾーンの容積(Vnと表示される)の反応チャンバの全容積(Vtotと表示される)に対する比は、0.2~0.8である
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
可変直径のゾーンを有する反応器のn個の連続するゾーンを、反応器の垂直軸に沿って直列に配置し、反応エンクロージャ内に、底部から頂部に低減していく直径を有するゾーンを画定する、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
工程b)から生じた溶媒フラクションを、工程c)において、0℃~150℃の温度に冷却する、請求項1~3のいずれか1つに記載の方法。
【請求項5】
工程b)から生じた溶媒フラクションを、工程c)において、1つまたは複数の再循環ループにおいて冷却された液相フラクションの温度T
loopに相対して最低40℃低い温度に冷却する、請求項1~4のいずれか1つに記載の方法。
【請求項6】
工程c)における溶媒フラクションの冷却を、1基または複数基の熱的交換器、好ましくは、プロセス流体/プロセス流体タイプ、空気冷却器タイプ、冷却水交換器タイプの1基または複数基の熱交換器から選ばれる1基または複数基の熱的交換器によって行う、請求項1~5のいずれか1つに記載の方法。
【請求項7】
分離セクションは、少なくとも2基の蒸留塔、好ましくは少なくとも3基の蒸留塔、好ましくは少なくとも4基の蒸留塔を含む、請求項1~6のいずれか1つに記載の方法。
【請求項8】
冷却済み溶媒フラクションを導入する工程d)を、反応器および/または1つまたは複数の再循環ループにおいて行う、請求項1~7のいずれか1つに記載の方法。
【請求項9】
冷却済み溶媒フラクションの少なくとも一部を導入する工程d)を、1つまたは複数の再循環ループの熱的交換器の再循環ループの上流または下流で、好ましくは前記熱的交換器の下流で行う、請求項5~7のいずれか1つに記載の方法。
【請求項10】
冷却済み溶媒フラクションの流量は、1つまたは複数の再循環ループ中に流通する液相フラクションの流量に相対する重量百分率として、0.05%~15.0%、好ましくは0.1%~10.0%である、請求項1~9のいずれか1つに記載の方法。
【請求項11】
オレフィン供給原料は、2~6個の炭素原子、好ましくは2~4個の炭素原子を有するオレフィンを含む、請求項1~10のいずれか1つに記載の方法。
【請求項12】
オリゴマー化工程a)は、以下のサブ工程の少なくとも1つを含む、請求項1~11のいずれか1つに記載の方法:
- 触媒系を導入するサブ工程a1)、
- オレフィン供給原料と接触させるサブ工程a2)、
- オリゴマー化反応器から液相フラクションを抜き出すサブ工程a3)、
- 工程a3)において抜き出された液相フラクションの少なくとも一部を、少なくとも1つの再循環ループにおいて、温度T
loopに冷却するサブ工程a4)、
- 冷却済み液体フラクションを反応器に導入するサブ工程a5)。
【請求項13】
サブ工程a3)において抜き出された液相フラクションの少なくとも一部を、1つまたは複数の再循環ループ内に位置する1基または複数基の熱的交換器に通して流通させることによって冷却サブ工程a4)を行う、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
サブ工程a4)において用いられる1基または複数基の熱的交換器は、サブ工程a3)において抜き出された液相フラクションの温度を、1.0~30.0℃、好ましくは2.0~25.0℃だけ低下させる、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
反応流出物を、サブ工程a3)において抜き出された液体フラクションを、2つの流れに分割することによって得る、請求項12~14のいずれか1つに記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可変直径のゾーンを有する反応器において行われる、オレフィン供給原料のオリゴマー化のための方法に関し、この方法において、下流の分離工程から生じた溶媒フラクションが冷却されてリサイクルされる。特に、本発明は、ガス状オレフィン供給原料、好ましくはガス状エチレンのオリゴマー化のための方法に関し、直鎖α-オレフィン、例えば、ブタ-1-エン、ヘキサ-1-エンまたはオクタ-1-エン、あるいは、直鎖α-オレフィンの混合物を与える。
【背景技術】
【0002】
本発明は、ポリエチレンを生じさせるための方法においてコモノマーとして用いられるα-オレフィンを生じさせることの方に向けられたオリゴマー化の分野に関する。オリゴマー化反応は、二相の気体/液体反応器における液相中の均一系触媒の作用による方法において通常実行され、一般に気泡塔における実施を有する。
【0003】
オリゴマー化反応は、発熱性が高い;外部冷却の使用により反応温度をレギュレートすることが通常である。反応器は、1つまたは複数の再循環ループに結合され得、液体フラクションを抜き出し、1基または複数基の交換器を介してそれを冷却し、反応器にそれを再導入する。前記再循環ループにより、濃度の良好な均一性を得ることおよび反応容積全体の温度をコントロールすることが可能となる。特許文献1には、ヘキサ-1-エンを与えるエチレンのトリマー化のための方法が提案されており、再循環ループに関連付けられたエネルギー消費を制限することによりプラントのコスト低減を可能とする。このために、分離セクションから生じた溶媒から主に構成される底部フラクションは、再循環ループの熱交換器において、およびまた分離セクションの塔の底部のリボイリングのために用いられる。
【0004】
オリゴマー化、例えばエチレンのオリゴマー化のための方法における気体/液体二相反応器の使用中に遭遇する1つの欠点は、ガスヘッドスペースの管理にあり、ガス状の状態にある、反応器の上部部分に相当する。前記ガスヘッドスペースは、液相中に低可溶性のガス状化合物、液体中に部分的に可溶であるが不活性の化合物、およびまた、前記液体中に溶解しないガス状エチレンを含む。反応チャンバの液体下方部分からガスヘッドスペースへのガス状エチレンの通過は、ブレイクスルーと称される現象である。実際のところ、ガスヘッドスペースは、前記ガス状化合物を除去するように抜き取られる。ガスヘッドスペース中に存在するガス状エチレンの量が多い場合、ガスヘッドスペースの抜き取りは、少なからぬ量のエチレンの喪失に至り、このことは、オリゴマー化方法の生産性およびコストに対する弊害となる。さらに、有意なブレイクスルー現象は、大量のガス状エチレンが、液相中に溶解せず、それ故に反応することができないことを意味し、このことは、オリゴマー化方法の生産性および選択性に対する弊害となる。
【0005】
生産性およびコストの観点でオリゴマー化方法の効率を向上させるために、エチレンのブレイクスルー現象を制限することがこのように必要不可欠であり、前記方法におけるその転化率を向上させると同時に、所望の直鎖α-オレフィンについての良好な選択性を維持する。
【0006】
本発明の分野において、当業者は、常に、オリゴマー化のための方法を改善することを、とりわけ、本方法の性能およびコストに影響を与える設備の寸法比率をコントロールすることによって模索している。当業者は、オリゴマー化を行うために用いられるプラントのコストを低減させることも模索している。
【0007】
本出願人は、可変直径のゾーンを有する反応器において行われるオレフィン供給原料のオリゴマー化のための方法であって、下流の分離工程から生じた溶媒フラクションが、冷却されてリサイクルされて、反応器におけるオリゴマー化反応によって生じる発熱性を部分的にコントロールする方法を発見した。本発明の目的は、気体/液体反応器における、オレフィン供給原料、特にエチレンのオリゴマー化のための方法を改善することにある。本発明は、とりわけ、本方法の生産性/実行可能性を向上させることを模索しており、とりわけ、ブレイクスルーの現象を回避し、並びに/あるいは、本方法の投資コストおよび/またはランニングコストを低く抑えるよuうにする。本発明による方法における、分離セクションからの冷却された溶媒フラクションのリサイクルの実施により、少なくとも1つの再循環ループにおいて用いられる1基または複数基の熱交換器のサイズを制限することが可能となる。本発明による可変直径のゾーンを有する反応器の実施により、ガス状オレフィン供給原料の溶解性を向上させること、したがって、ブレイクスルー現象を制限することが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
(発明の簡単な説明)
本発明は、オレフィン供給原料のオリゴマー化のための方法であって、以下の工程を含む、方法に関する:
a) オレフィン供給原料のオリゴマー化の工程;温度30℃~200℃、圧力0.1~10MPaで、オリゴマー化均一系触媒系および溶媒の存在中、反応セクションにおいて行う;反応セクションは、以下を含んでいる:
可変直径のゾーンを有しかつ液相を含んでいるオリゴマー化反応器、および
液相フラクションの少なくとも一部の温度Tloopへの冷却を可能にする少なくとも1つの再循環ループ;
b) 分離セクションにおいて、オリゴマー化工程a)から生じた反応流出物を分離する工程;溶媒フラクションを得る、
c) 工程b)から生じた溶媒フラクションを、液相フラクションが1つまたは複数の再循環ループにおいて冷却される温度Tloopを下回る温度に冷却する工程、
d) 工程c)から生じた冷却済み溶媒フラクションを、オリゴマー化工程a)の反応セクションに導入する工程。
【0010】
好ましくは、可変直径のゾーンを有する前記反応器は、n個の連続するゾーンを含み、nは、2~10の正の整数であり、
- n個のゾーンのそれぞれについて、直径Dnを有し、直径Dnは、前記反応器の底部ゾーンから頂部ゾーンに向かう方向に低減し、
- 上方ゾーンの直径(Dnと表示される)の隣接下方ゾーンの直径(Dn-1と表示される)に対する比(Dn/Dn-1)は、0.9以下であり、
- 所与のゾーンについて、前記ゾーンの容積(Vnと表示される)の反応チャンバの全容積(Vtotと表示される)に対する比は、0.2~0.8である。
【0011】
好ましくは、可変直径のゾーンを有する反応器のn個の連続するゾーンは、反応器の垂直軸に沿って直列に配置されて、反応エンクロージャ内に、底部から頂部に低減する直径を有するゾーンを画定する。
【0012】
好ましくは、工程b)から生じた溶媒フラクションは、工程c)において、0℃~150℃の温度に冷却される。
【0013】
好ましくは、工程b)から生じた溶媒フラクションは、工程c)において、1つまたは複数の再循環ループにおいて冷却された液体フラクションの温度Tloopに相対して最低40℃低い温度に冷却される。
【0014】
好ましくは、工程c)における溶媒フラクションの冷却は、1基または複数基の熱的交換器、好ましくは、プロセス流体/プロセス流体タイプ、空気冷却器タイプ、および冷却水交換器タイプの、1基または複数基の熱交換器から選ばれる1基または複数基の熱的交換器によって行われる。
【0015】
好ましくは、分離セクションは、少なくとも2基の蒸留塔、好ましくは少なくとも3基の蒸留塔、好ましくは少なくとも4基の蒸留塔を含む。
【0016】
好ましくは、冷却済み溶媒フラクションを導入する工程d)は、反応器および/または1つまたは複数の再循環ループにおいて行われる。
【0017】
好ましくは、冷却済み溶媒フラクションの少なくとも一部を導入する工程d)は、1つまたは複数の再循環ループの熱的交換器の再循環ループの上流または下流で、好ましくは前記熱的交換器の下流で行われる。
【0018】
好ましくは、冷却済み溶媒フラクションの流量は、1つまたは複数の再循環ループ中に流通する液相フラクションの流量に相対する重量百分率として、0.05%~15.0%、好ましくは0.1%~10.0%である。
【0019】
好ましくは、オレフィン供給原料は、2~6個の炭素原子、好ましくは2~4個の炭素原子を有するオレフィンを含む。
【0020】
好ましくは、オリゴマー化工程a)は、以下のサブ工程の少なくとも1つを含む:
- 触媒系を導入するサブ工程a1)、
- オレフィン供給原料と接触させるサブ工程a2)、
- オリゴマー化反応器から液相フラクションを抜き出すサブ工程a3)、
- 工程a3)において抜き出された液相フラクションの少なくとも一部を、少なくとも1つの再循環ループにおいて、温度Tloopに冷却するサブ工程a4)、
- 冷却済み液体フラクションを、反応器に導入するサブ工程a5)。
【0021】
好ましくは、冷却サブ工程a4)は、サブ工程a3)において抜き出された液相フラクションの少なくとも一部を、1つまたは複数の再循環ループ内に位置する1基または複数基の熱的交換器に通して流通させることによって行われる。
【0022】
好ましくは、サブ工程a4)において用いられる1基または複数基の熱的交換器は、サブ工程a3)において抜き出された液相フラクションの温度を、1.0℃~30.0℃、好ましくは2.0℃~25.0℃だけ低下させる。
【0023】
好ましくは、反応流出物は、サブ工程a3)において抜き出された液体フラクションを、2つの流れに分割することによって得られる。
【発明を実施するための形態】
【0024】
(定義)
本発明のコンテクストにおいて、用語「分離セクション」は、分離、とりわけ蒸留による分離のための1基または複数基のデバイスを示し、この装置は、反応セクションの下流に配置され、単一のデバイスまたは直列および/または並列に配置され複数のデバイスを有し、複数のデバイスは、それらのサイズ設定またはそれらの設計/操作は、同一であっても異なってもよい。
【0025】
本発明のコンテクストにおいて、用語「上流」および「下流」は、生成ユニット内の反応流体の流れの全体的な方向に応じて理解される。
【0026】
本発明のコンテクストにおいて、熱交換器(heat exchanger)および熱的交換器(thermal exchanger)という表現は、同等に用いられている。
【0027】
均一系の触媒または触媒系は、この触媒または触媒系が、オリゴマー化反応の反応物および生成物と同じ相中にあるという事実を意味すると理解される。
【0028】
ブレイクスルーは、ガス状オレフィン供給原料、好ましくはガス状エチレンの気体/液体反応器中の液相から気相への通過を意味すると理解される。
【0029】
溶媒の含有率は、注入される溶媒の全流量対注入されるガス状オレフィン供給原料、好ましくはガス状エチレンの全流量と反応器に導入される溶媒の流量との合計の重量比を意味すると理解される。
【0030】
用語「二相気体/液体反応器」は、液相および気相を含んでいる反応器を意味し、液相は、オレフィン供給原料、好ましくはガス状の形態にあるオレフィン供給原料、特にガス状エチレンと、反応生成物、例えば、所望の直鎖α-オレフィン(すなわち、ブタ-1-エン、ヘキサ-1-エン、オクタ-1-エンまたは、直鎖α-オレフィンの混合物)、好ましくは液体の形態にある反応生成物と、触媒系、好ましくは液体の形態の触媒系と、溶媒とを含み、ガス状の相は、反応器の頂部に位置する部分に位置する。
【0031】
本発明のコンテクストにおいて、用語「反応セクション」は、可変直径のゾーンを有するオリゴマー化反応器と、1つまたは複数の再循環ループとを含んでいる、好ましくは、それらからなるデバイスである。
【0032】
反応チャンバまたは反応器の底部または下部は、反応チャンバまたは反応器の下方4分の1を意味すると理解される。
【0033】
反応チャンバまたは反応器の頂部は、反応チャンバまたは反応器の上方4分の1を意味すると理解される。
【0034】
底部ゾーンは、反応チャンバまたは反応器の下部中の、前記チャンバまたは反応器の底部のレベルのところに位置する本発明による第1ゾーンを意味すると理解される。
【0035】
頂部ゾーンは、反応チャンバまたは反応器の上部中の、前記チャンバまたは反応器の頂部のレベルのところに位置する本発明による最終ゾーンを意味すると理解される。
【0036】
飽和度は、液相中に溶解される可能性のあるガス状オレフィン供給原料、好ましくはエチレンの最大量に対する、前記液相中に溶解したオレフィン供給原料、好ましくはエチレンの割合(%)を意味すると理解され、これは、ガス状オレフィン供給原料、好ましくはガス状エチレンの分圧と、前記液相との間の熱力学的平衡によって規定される。飽和度は、ガスクロマトグラフィーによって測定され得る。
【0037】
反応器の上部は、液相を含有している前記反応器の上方4分の1を意味すると理解される。
【0038】
反応液体の容積は、反応器および/または1つまたは複数の再循環ループ中に含有され、かつ、オリゴマー化反応が起こる、液相の容積による量を意味すると理解される。
【0039】
1つまたは複数の再循環ループの容積は、前記1つまたは複数のループのサイズを示し、これは、前記1つまたは複数のループによって含有される場合がある反応液体の容積に相当する。
【0040】
(詳細な説明)
本発明の目的のために、提示される種々の実施形態は、単独でまたは互いとの組み合わせで用いられてよく、その組合せに何ら制限はない。
【0041】
本発明の目的のために、所与の工程についてのパラメータの種々の範囲、例えば、圧力範囲および温度範囲は、単独であるいは組み合わせで用いられてよい。例えば、本発明の目的のために、圧力値の好適な範囲は、温度値のより好適な範囲と組み合わされ得る。
【0042】
(方法)
本発明は、可変直径のゾーンを有する反応器において行われる、オレフィン供給原料のオリゴマー化のための方法に関し、この方法において、下流の分離工程から生じた溶媒フラクションが冷却されて反応セクションにリサイクルされ、オリゴマー化反応の発熱性を部分的にコントロールする。
【0043】
特に、本発明は、オレフィン供給原料のオリゴマー化のための方法であって、以下の工程を含む、方法に関する:
a) オレフィン供給原料のオリゴマー化の工程;温度30℃~200℃および圧力0.1~10MPaで、オリゴマー化均一系触媒系および溶媒の存在中、反応セクションにおいて行われ、反応セクションは、以下を含む:
可変直径のゾーンを有しかつ液相を含むオリゴマー化反応器、および
液相フラクションの少なくとも一部の、温度Tloopへの冷却を可能にする少なくとも1つの再循環ループ、
b) オリゴマー化工程a)から生じた反応流出物を、分離セクションにおいて分離する工程;溶媒フラクションを得る、
c) 工程b)から生じた溶媒フラクションを、液相フラクションが1つまたは複数の再循環ループにおいて冷却される温度Tloopを下回る温度に冷却する工程、
d) 工程c)から生じた冷却済み溶媒フラクションを、オリゴマー化工程a)の反応セクションに導入する工程。
【0044】
本発明により、1つまたは複数の再循環ループによって、可変直径のゾーンを有する反応器に導入される溶媒の温度を最低限に抑えるとともに、反応器内の反応液体の容積を最大化しながら、1つまたは複数の再循環ループのレベルで、抜き出される液相フラクションと、熱交換のために用いられる流体との間の温度差を低減させることが可能となり、これにより、前記液体の、ガス状オレフィン供給原料に対する飽和度を向上させることが可能となる。下流の分離から生じた冷却済み溶媒フラクションの反応セクションへの導入による温度のコントロールにより、再循環ループにおいて交換されるべき熱の量を低減させることが可能となり、したがって、交換器のサイズを低減させることが可能となる。1つまたは複数の再循環ループの熱的交換器の交換の表面積についての節約率は、有利には、交換表面積にわたって1%~50%、好ましくは2%~40%、優先的には3%~30%の程度であってよい。
【0045】
さらに、オリゴマー化反応は、反応器内および1つまたは複数の再循環ループ内の両方に含有される反応液体中で起こる。熱交換器のサイズの低減は、少なくとも1つの再循環ループの容積が低減することを意味する。本発明による方法において、反応器中の反応液体の容積は、全反応液体(反応器+再循環ループ)の同一容積では、本発明を実施しない方法と比較して増大し、これにより、液体反応媒体のオレフィン供給原料に対する飽和度を向上させ、それ故に、処理方法の性能を向上させることが可能となる。
【0046】
本発明による方法において、再循環ループ内の反応液体の、反応液体の全容積に相対する容積の割合は、反応器内の反応液体の同一量では、本発明を実施しない方法と比較して低くなる。この低減により、特に、可変直径のゾーンを有する反応器の使用と組み合わされて、液体の、オレフィン供給原料に対する飽和度を向上させながら、滞留時間を短くすること、したがって、活性および選択性の観点で触媒系の性能を向上させることが可能となる。
【0047】
このように、本発明により、用いられる触媒系の性能に応じたオリゴマー化方法の生産性と利益性とを容易に調節することが可能となる。
【0048】
(オリゴマー化均一系触媒系)
当業者に知られ、かつダイマー化、トリマー化またはテトラマー化の方法、より一般的には本発明によるオリゴマー化方法において使用されることが可能な全ての触媒系が、本発明の分野の範疇に入る。前記触媒系、およびまたそれらの実施が、とりわけ、出願FR2984311、FR2552079、FR3019064、FR3023183、FR3042989、あるいは他に、出願FR3045414に記載されている。
【0049】
好ましくは、触媒系は、以下のものを含み、好ましくは以下のものからなる:
- 金属前駆体、好ましくは、ニッケル、チタンまたはクロムをベースとする金属前駆体、
- 場合による活性化剤、
- 場合による添加剤、および
- 場合による溶媒。
【0050】
(金属前駆体)
触媒系において用いられる金属前駆体は、ニッケル、チタンまたはクロムをベースとする化合物から選ばれる。
【0051】
1つの実施形態において、金属前駆体は、ニッケルをベースとし、優先的には(+II)の酸化状態のニッケルを含む。好ましくは、ニッケル前駆体は、カルボン酸ニッケル(II)、例えば、2-エチルヘキサン酸ニッケル、ニッケル(II)フェナート、ナフテン酸ニッケル(II)、酢酸ニッケル(II)、トリフルオロ酢酸ニッケル(II)、ニッケル(II)トリフラート、ニッケル(II)アセチルアセトナート、ニッケル(II)ヘキサフルオロアセチルアセトナート、π-アリルニッケル(II)クロリド、π-アリルニッケル(II)ブロミド、メタリルニッケル(II)クロリドダイマー、ヘキサフルオロリン酸η3-アリルニッケル(II)、ヘキサフルオロリン酸η3-メタリルニッケル(II)およびニッケル(II)1,5-シクロオクタジエニルから、それらの水和物または無水物の形態で選ばれ、単独でまたは混合物として利用される。
【0052】
第2の実施形態において、金属前駆体は、チタンをベースとし、優先的には、チタンのアリールオキシまたはアルコキシの化合物を含む。
【0053】
チタンアルコキシ化合物は、有利には、一般式[Ti(OR)4]に相当し、式中、Rは、直鎖または分枝のアルキル基である。好適なアルコキシ基のうち、言及されてよい非限定な例は、テトラエトキシ、テトライソプロポキシ、テトラ(n-ブトキシ)およびテトラ(2-エチルヘキシルオキシ)を含む。
【0054】
チタンアリールオキシ化合物は、有利には、一般式[Ti(OR’)4]に相当し、式中、R’は、置換されないまたはアルキル基またはアリール基で置換されたアリール基である。基R’は、ヘテロ原子をベースとする置換基を含んでよい。好適なアリールオキシ基は、フェノキシ、2-メチルフェノキシ、2,6-ジメチルフェノキシ、2,4,6-トリメチルフェノキシ、4-メチルフェノキシ、2-フェニルフェノキシ、2,6-ジフェニルフェノキシ、2,4,6-トリフェニルフェノキシ、4-フェニルフェノキシ、2-(tert-ブチル)-6-フェニルフェノキシ、2,4-ジ(tert-ブチル)-6-フェニルフェノキシ、2,6-ジイソプロピルフェノキシ、2,6-ジ(tert-ブチル)フェノキシ、4-メチル-2,6-ジ(tert-ブチル)フェノキシ、2,6-ジクロロ-4-(tert-ブチル)フェノキシおよび2,6-ジブロモ-4-(tert-ブチル)フェノキシ、ビフェノキシ基、ビナフトキシおよび1,8-ナフタレンジオキシから選ばれる。
【0055】
第3の実施形態によると、金属前駆体は、クロムをベースとし、優先的には、クロム(II)塩、クロム(III)塩または1種または複数種の同一または異なるアニオン、例えば、ハリド、カルボキシラート、アセチルアセトナートまたはアルコキシ若しくはアリールオキシのアニオン含んでよい異なる酸化状態の塩を含む。好ましくは、クロムベースの前駆体は、CrCl3、CrCl3(テトラヒドロフラン)3、Cr(アセチルアセトナート)3、Cr(ナフテナート)3、Cr(2-エチルヘキサノアート)3およびCr(アセタート)3から選ばれる。
【0056】
ニッケル、チタンまたはクロムの濃度は、反応重量に相対する、原子金属の重量で0.001~300.0重量ppm、液体反応重量、すなわち、反応器および/または1つまたは複数の再循環ループ中に含有される液相の重量に相対する、原子金属の重量で、好ましくは0.002~100.0重量ppm、優先的には0.003~50.0重量ppm、より優先的には0.05~20.0重量ppm、さらにより優先的には0.1~10.0重量ppmである。
【0057】
(活性化剤)
場合によっては、金属前駆体にかかわらず、触媒系は、アルミニウムベースの化合物、例えば、メチルアルミニウムジクロリド(MeAlCl2)、ジクロロエチルアルミニウム(EtAlCl2)、エチルアルミニウムセスキクロリド(Et3Al2Cl3)、クロロジエチルアルミニウム(Et2AlCl)、クロロジイソブチルアルミニウム(i-Bu2AlCl)、トリエチルアルミニウム(AlEt3)、トリプロピルアルミニウム(Al(n-Pr)3)、トリイソブチルアルミニウム(Al(i-Bu)3)、ジエチルエトキシアルミニウム(Et2AlOEt)、メチルアルミノキサン(MAO)、エチルアルミノキサンおよび変性メチルアルミノキサン(MMAO)から選ばれる1種または複数種の活性化剤を含む。
【0058】
(添加剤)
場合によっては、触媒系は、1種または複数種の添加剤を含む。
【0059】
添加剤は、単座リンベースの化合物、二座リンベースの化合物、三座リンベースの化合物、オレフィン化合物、芳香族化合物、窒素化合物、ビピリジン、ジイミン、単座エーテル、二座エーテル、単座チオエーテル、二座チオエーテル、単座または二座のカルベン、混合型配位子、例えば、ホスフィノピリジン、イミノピリジン、ビス(イミノ)ピリジンから選ばれる。
【0060】
触媒系の金属前駆体がニッケルをベースとする場合、添加剤は、以下から選ばれる:
- 窒素系タイプの化合物、例えばトリメチルアミン、トリエチルアミン、ピロール、2,5-ジメチルピロール、ピリジン、2-メチルピリジン、3-メチルピリジン、4-メチルピリジン、2-メトキシピリジン、3-メトキシピリジン、4-メトキシピリジン、2-フルオロピリジン、3-フルオロピリジン、3-トリフルオロメチルピリジン、2-フェニルピリジン、3-フェニルピリジン、2-ベンジルピリジン、3,5-ジメチルピリジン、2,6-ジ(tert-ブチル)ピリジンおよび2,6-ジフェニルピリジン、キノリン、1,10-フェナントロリン、N-メチルピロール、N-ブチルピロール、N-メチルイミダゾール、N-ブチルイミダゾール、2,2’-ビピリジン、N,N’-ジメチルエタン-1,2-ジイミン、N,N’-ジ(t-ブチル)エタン-1,2-ジイミン、N,N’-ジ(t-ブチル)ブタン-2,3-ジイミン、N,N’-ジフェニルエタン-1,2-ジイミン、N,N’-ビス(2,6-ジメチルフェニル)エタン-1,2-ジイミン、N,N’-ビス(2,6-ジイソプロピルフェニル)エタン-1,2-ジイミン、N,N’-ジフェニルブタン-2,3-ジイミン、N,N’-ビス(2,6-ジメチルフェニル)ブタン-2,3-ジイミンまたはN,N’-ビス(2,6-ジイソプロピルフェニル)ブタン-2,3-ジイミン、または
- ホスフィンタイプの化合物;トリブチルホスフィン、トリイソプロピルホスフィン、トリシクロペンチルホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリス(o-トリル)ホスフィン、ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン、トリオクチルホスフィンオキシド、トリフェニルホスフィンオキシドまたはトリフェニルホスファイトから独立して選ばれる、または
- 一般式(I)に対応する化合物または前記化合物の互変異性体の1つ
【0061】
【0062】
式中:
- AおよびA’は、同一であっても異なってもよく、独立して、酸素またはリン原子と炭素原子との間の単結合であり、
- R1aおよびR1bの基は、独立して、メチル、トリフルオロメチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、t-ブチル、ペンチル、シクロヘキシルおよびアダマンチルの基から選ばれ、これらは、置換型もしくは無置換型であり、かつヘテロ元素を含有してもしなくてもよい;フェニル、o-トリル、m-トリル、p-トリル、メシチル、3,5-ジメチルフェニル、4-(n-ブチル)フェニル、2-メチルフェニル、4-メトキシフェニル、2-メトキシフェニル、3-メトキシフェニル、4-メトキシフェニル、2-イソプロポキシフェニル、4-メトキシ-3,5-ジメチルフェニル、3,5-ビス(tert-ブチル)-4-メトキシフェニル、4-クロロフェニル、3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル、ベンジル、ナフチル、ビスナフチル、ピリジル、ビスフェニル、フリルまたはチオフェニルの基から選ばれ、
- R2の基は、独立して、メチル、トリフルオロメチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、t-ブチル、ペンチル、シクロヘキシルおよびアダマンチルの基;これらは、置換されていても置換されていなくてもよく、ヘテロ元素を含有しても含有しなくてもよい;フェニル、o-トリル、m-トリル、p-トリル、メシチル、3,5-ジメチルフェニル、4-(n-ブチル)フェニル、4-メトキシフェニル、2-メトキシフェニル、3-メトキシフェニル、4-メトキシフェニル、2-イソプロポキシフェニル、4-メトキシ-3,5-ジメチルフェニル、3,5-ジ(tert-ブチル)-4-メトキシフェニル、4-クロロフェニル、3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル、ベンジル、ナフチル、ビスナフチル、ピリジル、ビスフェニル、フリルおよびチオフェニルの基から選ばれる。
【0063】
触媒系の金属前駆体がチタンをベースとする場合、添加剤は、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、ジフェニルエーテル、2-メトキシ-2-メチルプロパン、2-メトキシ-2-メチルブタン、2,2-ジメトキシプロパン、2,2-ビス(2-エチルヘキシルオキシ)プロパン、2,5-ジヒドロフラン、テトラヒドロフラン、2-メトキシテトラヒドロフラン、2-メチルテトラヒドロフラン、3-メチルテトラヒドロフラン、2,3-ジヒドロピラン、テトラヒドロピラン、1,3-ジオキソラン、1,3-ジオキサン、1,4-ジオキサン、ジメトキシエタン、ビス(2-メトキシエチル)エーテル、ベンゾフラン、グライムおよびジグライムから選ばれ、単独でまたは混合物として利用される。
【0064】
触媒系の金属前駆体がクロムをベースとする場合、添加剤は、以下から選ばれる:
- 窒素タイプの化合物、例えばトリメチルアミン、トリエチルアミン、ピロール、2,5-ジメチルピロール、ピリジン、2-メチルピリジン、3-メチルピリジン、4-メチルピリジン、2-メトキシピリジン、3-メトキシピリジン、4-メトキシピリジン、2-フルオロピリジン、3-フルオロピリジン、3-トリフルオロメチルピリジン、2-フェニルピリジン、3-フェニルピリジン、2-ベンジルピリジン、3,5-ジメチルピリジン、2,6-ジ(tert-ブチル)ピリジンおよび2,6-ジフェニルピリジン、キノリン、1,10-フェナントロリン、N-メチルピロール、N-ブチルピロール、N-メチルイミダゾール、N-ブチルイミダゾール、2,2’-ビピリジン、N,N’-ジメチルエタン-1,2-ジイミン、N,N’-ジ(t-ブチル)エタン-1,2-ジイミン、N,N’-ジ(t-ブチル)ブタン-2,3-ジイミン、N,N’-ジフェニルエタン-1,2-ジイミン、N,N’-ビス(2,6-ジメチルフェニル)エタン-1,2-ジイミン、N,N’-ビス(2,6-ジイソプロピルフェニル)エタン-1,2-ジイミン、N,N’-ジフェニルブタン-2,3-ジイミン、N,N’-ビス(2,6-ジメチルフェニル)ブタン-2,3-ジイミンもしくはN,N’-ビス(2,6-ジイソプロピルフェニル)ブタン-2,3-ジイミン、または
- 一般式[M(R3O)2-nXn]yのアリールオキシ化合物
式中:
* Mは、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウムおよびバリウム、好ましくはマグネシウムから選ばれ、
* R3は、6~30個の炭素原子を含有しているアリール基であり、Xは、ハロゲンまたは1~20個の炭素原子を含有しているアルキル基であり、
* nは、0または1の値を取り得る整数であり、および
* yは、1~10の整数であり;好ましくは、yは、1、2、3または4に等しい。
【0065】
好ましくは、アリールオキシ基R3Oは、4-フェニルフェノキシ、2-フェニルフェノキシ、2,6-ジフェニルフェノキシ、2,4,6-トリフェニルフェノキシ、2,3,5,6-テトラフェニルフェノキシ、2-(tert-ブチル)-6-フェニルフェノキシ、2,4-ジ(tert-ブチル)-6-フェニルフェノキシ、2,6-ジイソプロピルフェノキシ、2,6-ジメチルフェノキシ、2,6-ジ(tert-ブチル)フェノキシ、4-メチル-2,6-ジ(tert-ブチル)フェノキシ、2,6-ジクロロ-4-(tert-ブチル)フェノキシおよび2,6-ジブロモ-4-(tert-ブチル)フェノキシから選ばれる。2個のアリールオキシ基が、1つの同じ分子によって保有され得、例えば、ビフェノキシ基、ビナフトキシまたは1,8-ナフタレンジオキシがある。好ましくは、アリールオキシ基R3Oは、2,6-ジフェニルフェノキシ、2-(tert-ブチル)-6-フェニルフェノキシまたは2,4-ジ(tert-ブチル)-6-フェニルフェノキシである。
【0066】
(オリゴマー化工程a))
本発明による方法は、したがって、オレフィン供給原料のオリゴマー化の工程a)を含み、工程a)は、温度30℃~200℃、圧力0.1~10MPaで、オリゴマー化均一系触媒系および溶媒の存在中で行われる。前記オリゴマー化工程a)は、反応セクションにおいて行われ、反応セクションは、可変直径のゾーンを有するオリゴマー化反応器と、液相フラクションの冷却を介して、前記反応器内の温度のコントロールを可能とする少なくとも1つの再循環ループとを含む。液体フラクションの冷却は、前記フラクションを、オリゴマー化温度(すなわち、反応器内の液相の温度)を下回る温度に冷却することからなり、反応の発熱性をコントロールする。
【0067】
好ましくは、本発明による方法において用いられる可変直径のゾーンを有する反応器は、n個の連続するゾーンを含み、nは、2~10の正の整数であり、ここで:
* n個のゾーンのそれぞれについて、直径Dnは、前記反応器の底部ゾーンから頂部ゾーンに向かう方向に低減し、
* 上方のゾーンの直径(Dnと表示される)の隣接下方のゾーンの直径(Dn-1と表示される)に対する比(Dn/Dn-1)は、0.9以下であり、
* 所与のゾーンについて、前記ゾーンの容積(Vnと表示される)の、反応チャンバの全容積(Vtotと表示される)に対する比は、0.2~0.8である。
【0068】
本発明による可変直径のゾーンを有する反応器の使用により、オリゴマー化反応において用いられる反応器または液相の容積を改変することなく、反応器の全高、したがって、液相の高さを高くすることが可能となり、これは、ガス状オレフィン供給原料、特にガス状エチレンの溶解性を向上させるという効果、したがって、所与の容積の液相についてのブレイクスルーの現象を制限するという効果、したがって、本処理方法の生産性を向上させるという効果を有する。このように、可変直径のゾーンを有する反応器により、所与の容積の液相について、一定直径の反応器と比較して、液相の高さを高くすることが可能となる。
【0069】
有利には、オリゴマー化方法における本発明による可変直径のゾーンを有する反応器の使用により、好ましくは均一系触媒を用いて、液相中に溶解した、オレフィン供給原料、特にエチレンの飽和度を、70.0%以上、好ましくは70.0%~100%、好ましくは80.0%~100%、好ましくは80.0%~99.0%、好ましくは85.0%~99.0%、さらにより好ましくは90.0%~98.0%とすることが可能となる。
【0070】
溶解したオレフィン供給原料、特に溶解したエチレンの飽和度は、当業者に知られた任意の方法によって、例えば、反応器から抜き出された液相フラクションのガスクロマトグラフィー(一般にGCと称される)分析によって、測定され得る。
【0071】
本発明による可変直径のゾーンを有する反応器を用いる方法により、1種または複数種のオレフィンと触媒系とを、場合によっては添加剤および/または溶媒の存在中で接触させること、並びに、可変直径のゾーンを有する前記気体/液体反応器の使用によって、直鎖オレフィン、特に直鎖α-オレフィンを得ることが可能となる。
【0072】
本発明による方法において用いられる反応器のn個の連続するゾーンは、反応器の垂直軸に沿って直列に配置されて、反応器の底部から頂部にかけて低減する直径を有する反応ゾーンを画定し、それ故に、本発明による反応器中に含有されてよい液相の高さを、一定の直径を有する反応器の高さと比較して高くし、それ故に、オレフィン供給原料が液相中に存在する時間を増大させ、その溶解を促進するようにする。
【0073】
有利には、所与の反応器容積、それ故に所与の液体容積について、n個の連続するゾーンが前記反応器内に低減していく直径を有することにより、前記反応器中に含有される場合がある液体の高さを高くし、それ故に、前記液相に導入されるガス状オレフィン供給原料の滞留時間を増大させることが可能となる。そのため、本発明により、液相中に溶解した、オレフィン供給原料、好ましくはエチレンの量を増大させること、それ故に、ブレイクスルー現象を制限することが可能となる。
【0074】
好ましくは、反応器のゾーンの数nは、2~10、好ましくは2~8、好ましくは2~6、好ましくは2~5であり、大いに好ましくは、nは、好ましくは2、3、4または5に等しい。
【0075】
上方のゾーンnの直径(Dnと表示される)の隣接する下方のゾーンn-1の直径(Dn-1と表示される)に対する比(Dn/Dn-1)は、0.9以下である。好ましくは、比Dn/Dn-1は、0.1~0.9、好ましくは0.15~0.85、好ましくは0.2~0.8、好ましくは0.25~0.75、大いに好ましくは0.3~0.7である。
【0076】
反応器を作り上げるn個のゾーンの全高は、Htotと表示され、その合計は、反応器の全高に等しい。
【0077】
有利には、上方のゾーンnの高さ(Hnと表示される)の隣接する下方のゾーンn-1の高さ(Hn-1と表示される)に対する比(Hn/Hn-1)は、0.2~3.0、好ましくは0.3~2.5、好ましくは0.4~2.0、好ましくは0.5~1.5、好ましくは0.6~1.0である。
【0078】
好ましくは、所与のゾーンについて、容積(Vnと表示される)の、n個のゾーンの合計に相当する反応器の全容積(Vtotと表示される)に対する比(前記比は、Vn/Vtotと表示される)は、0.2~0.8である。好ましくは、前記比(Vn/Vtot)は、0.25~0.75、好ましくは0.3~0.7、好ましくは0.35~0.65である。
【0079】
好ましくは、反応器は、円筒形状であり、反応器の全高対前記反応器の底部ゾーンの直径の比(Htot/D1と表示される)が、1~17、好ましくは1~8、好ましくは2~7である。
【0080】
図2または
図3に表される第1の特定の実施形態において、本発明による反応器を作り上げるn個のゾーンは、直径が低減していく円筒体によって形成される。前記円筒体は、
図2に表されるように、垂直軸に対し直角をなすかあるいは垂直軸に対し角度α(90~160°)をなす壁によって、互いにつなげられており、液相中のガス状エチレンの気泡の上昇を促進し、特にこの上昇を阻害しないようにしている。好ましくは、前記角度は、95~145°、好ましくは100~130°である。
【0081】
図4に表される第2の特定の実施形態において、本発明による反応器を作り上げるn個のゾーンは、反応器内に位置する内部構造体によって形成され、所与のゾーンにわたりその直径を低減させる。前記内部構造体は、例えば固体金属壁であってよい。
【0082】
有利には、実施形態にかかわらず、反応器を構成する要素の固定は、円筒体および/または内部構造体を取り付けることによって、例えば、溶接、接着剤接合、ねじ留めまたはボルト締めによって、単独でまたは組み合わせて、あるいは、任意の他の類似手段により行われる。好ましくは、取付けは、溶接によって行われる。
【0083】
好ましくは、オリゴマー化反応器は、二相気体/液体反応器から、好ましくは気泡塔タイプの反応器から選ばれる。
【0084】
オレフィン供給原料が好ましく含むオレフィンは、2~6個の炭素原子、好ましくは2~4個の炭素原子を有している。好ましくは、オレフィン供給原料は、ブテン、より具体的には、イソブテンまたはブタ-1-エン、プロピレンおよびエチレンから単独でまたは混合物として選ばれる。
【0085】
本明細書の以降において、特段断りのない限り、エチレンが具体的に言及される場合、これは、2~6個の炭素原子を有するオレフィン、例えば、イソブテンまたはブタ-1-エン、プロピレン、並びに、エチレン等も示す。
【0086】
好ましくは、オリゴマー化方法は、オレフィン供給原料、好ましくはエチレンのダイマー化、トリマー化またはテトラマー化のための方法である。
【0087】
有利には、オリゴマー化方法が実行される際の圧力は、0.1~10.0MPa、好ましくは0.2~9.0MPa、優先的には0.3~8.0MPaであり、その際の温度は、30℃~200℃、好ましくは35℃~180℃、好ましくは45℃~170℃、優先的には60℃~160℃、好ましくは70℃~150℃、好ましくは80℃~145℃、好ましくは100℃~140℃である。
【0088】
工程a)から生じた反応流出物は、反応セクションの下流の分離セクションに送られるが、これは、液体フラクションを反応器から抜き出すことにより得られる。特に、反応セクションの下流の分離セクションに送られる、工程a)から生じた反応流出物は、可変直径のゾーンを有するオリゴマー化反応器から抜き出された、液相フラクションの少なくとも一部に相当する。有利には、反応流出物の流量は、レギュレートされ、反応器において一定の液体レベルを維持する。
【0089】
オリゴマー化反応は、反応器および1つまたは複数の再循環ループの両方において起こるため、反応セクションにおける滞留時間は、したがって、反応セクションを形成する、反応器の容積と1つまたは複数の再循環ループの容積の全体にわたると理解される。
【0090】
有利には、オリゴマー化方法は、0~90重量%、好ましくは10~85重量%、好ましくは20~80重量%、好ましくは30~75重量%の含有率の溶媒により実行される。本発明の1つの好適な実施形態によると、オリゴマー化方法は、気泡塔タイプの二相気体/液体反応器において、ガス状オレフィン供給原料、例えばガス状エチレン供給原料により実行される。反応媒体中のオレフィン供給原料、特にエチレンの気泡の溶解は、気泡塔において起こる。この塔において利用可能な液体の高さが高いほど、エチレンの溶解度が、完全飽和に近づいていく。主な反応生成物の方への反応の選択性は、液体中のオレフィン供給原料、好ましくはエチレンの転化率に反比例するため、溶解したオレフィン供給原料の量を最大化することにより、反応器入口のところの一定のオレフィン供給原料流量で、転化率を低下させること、したがって、選択性を増大させることが可能となる。
【0091】
再循環ループは、反応セクションの反応液体の容積の相当な割合を占めているので、この容積を可能な限り低減させることは、以下のいずれかのために有利である:
- 可変直径のゾーンを有する反応器により相乗的に、反応器内(例えば気泡塔内)の反応液体の容積を増大させ、その結果、反応器内の液相の高さを高くし、液体中のエチレンの飽和度を最大にする、あるいは、
- 反応器の容積を一定に維持しながら1つまたは複数の再循環ループの容積を低減させ、それ故に、滞留時間を低減させ、これにより、活性および選択性に関し触媒系の性能を向上させることが可能となる。
【0092】
1種または複数種の溶媒は、有利には、エーテル、アルコール、ハロゲン化溶媒および炭化水素から選ばれ、これらは、飽和または不飽和、環状または非環状、芳香族または非芳香族であってよく、1~20個の炭素原子、好ましくは4~15個の炭素原子、優先的には4~12個の炭素原子、さらにより優先的には4~8個の炭素原子を含む。
【0093】
好ましくは、溶媒は、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ヘプタン、ブタンまたはイソブタン、シクロオクタ-1,5-ジエン、ベンゼン、トルエン、オルト-キシレン、メシチレン、エチルベンゼン、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン、ジクロロメタン、ジクロロエタン、テトラクロロエタン、ヘキサクロロエタン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、ブテン、ヘキセンおよびオクテンから単独でまたは混合物として選ばれる。
【0094】
好ましくは、溶媒は、有利には、オリゴマー化反応の生成物から選ばれてよい。好ましくは、用いられる溶媒は、シクロヘキサンである。
【0095】
反応のエネルギーを放出するために、1つまたは複数の再循環ループが用いられる。再循環ループにより、反応器の底部から、反応の生成物を含んでいる液相フラクションと、溶媒と、触媒系とを交換器に通して流通させた後、反応器の頂部に送ることが可能となる。
【0096】
好ましくは、得られる直鎖α-オレフィンは、4~20個の炭素原子、好ましくは4~18個の炭素原子、好ましくは4~10個の炭素原子、好ましくは4~8個の炭素原子を含む。好ましくは、オレフィンは、ブタ-1-エン、ヘキサ-1-エンおよびオクター1ーエンから選ばれる直鎖α-オレフィンである。
【0097】
有利には、反応セクションは、気体/液体タイプまたは全液体タイプの1基または複数基の反応器を含み、その反応器のうちの少なくとも1基が、可変直径のゾーンを有し、直列および/または並列で配置され、および、それらの関連する設備も含み、そのような設備は、例えば、以下のものである:
- 1つまたは複数の再循環ループ;1基または複数基の熱的交換器を含み、1基または複数基の反応器(のそれぞれ)と関連して、反応の発熱性をコントロールする、
- オリゴマー化触媒系を、1つまたは複数の反応セクションに導入するための手段、
- 反応セクションに対して外部の、触媒系を分離/中和するための手段。
【0098】
有利には、オリゴマー化工程a)は、以下のサブ工程の少なくとも1つを含む:
- 触媒系を導入する工程a1)、
- オレフィン供給原料と接触させる工程a2)、
- 液相フラクションを抜き出す工程a3)、
- 液体フラクションの少なくとも一部を冷却する工程a4)、
- 冷却済み液体フラクションを反応器に導入する工程a5)。
【0099】
好ましくは、オリゴマー化工程a)は、サブ工程a1)、a2)、a3)、a4)およびa5)を含む。
【0100】
1つの特定の実施形態において、工程a)から生じた反応流出物であって、有利には、反応セクションの下流の分離セクションに送られる反応流出物は、工程a3)のところで抜き出された液体フラクションを2つの流れに分割することによって得られる。第1の流れは、冷却工程d)に送られ、第2の流れは、反応流出物に相当し、下流の分離セクションに送られる。有利には、反応流出物の流量は、レギュレートされて、反応器における液体レベルを一定に維持する。好ましくは、前記反応流出物の流量は、冷却工程a4)に送られる液体流量より5~200倍少ない(すなわち、工程a4)に送られる液相フラクションの一部の流量)。好ましくは、前記反応流出物の流量は、冷却工程a4)に送られる液体流量より5~150倍少なく、好ましくは10~120倍少なく、より好ましくは20~100倍少ない。
【0101】
(触媒系を導入する工程a1))
有利には、オリゴマー化工程a)は、触媒系を導入するサブ工程a1)を含む。触媒系は、金属前駆体と、有利には活性化剤と、場合による添加剤と、場合による溶媒または溶媒の混合物とを含む。
【0102】
好ましくは、触媒系は、工程a5)において反応器に導入された冷却済み液体フラクションとの混合物として導入される。
【0103】
好ましくは、反応器への導入のための圧力は、0.1~10.0MPa、好ましくは0.2~9.0MPa、優先的には0.3~8.0MPaである。
【0104】
(オレフィン供給原料と接触させる工程a2))
有利には、オリゴマー化工程a)は、有利にはガス状オレフィン供給原料、好ましくはガス状エチレンを導入するサブ工程a2)を含む。好ましくは、前記オレフィン供給原料は、反応器の下部における液相に導入される。オレフィン供給原料は、フレッシュな供給原料を、好ましくは、下流の分離工程からオリゴマー化工程a)にリサイクルされたオレフィン供給原料との混合物として、含んでよい。
【0105】
好ましくは、導入されるオレフィン供給原料がガス状である場合、前記供給原料は、反応器の下方の液相へのそれの導入の間に分散により分配され、これは、反応器のセクション全体にわたり均一に前記分散を行うことが可能な手段によって行われる。好ましくは、分散手段は、反応器のセクション全体にわたってオレフィン原料の注入点が均一に分布する分配システムから選ばれる。
【0106】
好ましくは、オレフィン供給原料が導入される際の流量は、1~250t/h、好ましくは2~200t/h、好ましくは5~100t/hである。
【0107】
好ましくは、工程a2)において導入されるオレフィン供給原料の流量は、反応器内の圧力によってコントロールされる。
【0108】
本発明の特定の実施によると、ガス状水素の流れも、反応器に導入され得、流量は、流入するオレフィン供給原料の流量の0.01重量%~1.0重量%を示す。好ましくは、ガス状水素の流れは、オレフィン供給原料の導入のために使用されるパイプによって導入される。
【0109】
(液相フラクションを抜き出す工程a3))
有利には、オリゴマー化工程a)は、オリゴマー化反応器から、好ましくは前記反応器の下部において、液相フラクションを抜き出すサブ工程a3)を含む。
【0110】
工程a3)において実施される抜出しは、好ましくは、オレフィン供給原料の注入のレベルの下方で、好ましくはチャンバの底部において行われる。抜出しは、抜出しを行うことが可能な任意の手段によって、好ましくはポンプと組み合わされたパイプによって行われる。
【0111】
好ましくは、抜出し流量は、10~10,000t/h、好ましくは100~7,000t/hである。
【0112】
(液体フラクションを冷却する工程a4))
有利には、オリゴマー化工程a)は、工程a3)において抜き出された液相フラクションの少なくとも一部を温度T(loop)に冷却するサブ工程a4)を含む。好ましくは、冷却工程は、工程a3)において抜き出された液相フラクションの少なくとも一部を、再循環ループ中に位置する1基または複数基の熱的交換器に通して流通させることにより行われる。
【0113】
有利には、サブ工程a4)において用いられる1基または複数基の熱交換器により、液相フラクションの温度を、1.0℃~30.0℃、好ましくは2.0℃~25℃、好ましくは3.0℃~20.0℃、好ましくは5.0℃~15.0℃だけ低下させることが可能となる。有利には、液体フラクションの冷却により、反応媒体の温度を、反応器内でオリゴマー化反応を行うための所望の温度範囲内に維持することが可能となる。
【0114】
有利には、再循環ループを介して液体を冷却する工程の実施により、反応媒体の撹拌を行うこと、それ故に反応器の液体容積を通して反応実体の濃度を均一化することも可能となる。
【0115】
(冷却済み液体フラクションを導入する工程a5))
有利には、オリゴマー化工程a)は、工程a4)から生じた冷却済み液体フラクションを導入するサブ工程a5)を含む。
【0116】
工程a4)から生じた冷却済み液体フラクションの導入は、反応器の液相中に、好ましくは前記反応器の上部において、当業者に知られている任意の手段、例えば、パイプによって、好ましく行われる。
【0117】
好ましくは、冷却済み液体フラクションの導入のための流量は、10~10,000t/h、好ましくは100~7,000t/hである。
【0118】
サブ工程a3)~a5)は、再循環ループを構成する。有利には、再循環ループにより、反応器内の温度のコントロールに加えて、反応媒体の撹拌を確実なものとすること、それ故に、反応器の液体容積を通して反応実体の濃度を均一化することも可能となる。
【0119】
(下流の分離工程b))
本発明による方法は、したがって、分離セクションにおける、オリゴマー化工程a)から生じた流出物の分離の工程b)を含み、なかんずく、溶媒フラクションを得る。
【0120】
前記溶媒フラクションは、主に、溶媒からなる。有利には、前記溶媒フラクションの溶媒含有率は、95重量%以上、好ましくは98重量%以上、好ましくは99重量%以上である。
【0121】
典型的には、反応セクションの下流に位置する分離工程は、分離手段、例えば、蒸留塔を用いてよく、直列で、かつ、分離されるべき化合物の沸点の相違に基づき操作する。分離されるべき化合物は、オリゴマー化反応の1種または複数種の生成物、例えば得られた直鎖α-オレフィンと、場合による未反応のオレフィン供給原料と、1種または複数種の溶媒とを含む。
【0122】
好ましくは、分離工程は、触媒を中和する予備工程も含む。このため、分離工程c)は、分離セクションの上流に位置する触媒中和セクションを実施することができ、前記中和セクションは、有利には、反応セクションの下流にある。触媒は、次いで、専用の様式で、あるいは、最も重質な化合物との混合物として、反応の生成物から除去されてよい。
【0123】
好ましくは、分離セクションは、少なくとも2基の蒸留塔、好ましくは少なくとも3基の蒸留塔、好ましくは少なくとも4基の蒸留塔を含む。前記塔は、並列および/または直列に、好ましくは直列に位置させられている。好適な変形によると、蒸留セクションは、3基の蒸留塔を含む。溶媒フラクションの分離は、前記溶媒フラクションが主に溶媒からなる限り、下流の分離セクションの蒸留塔のいずれか1つにおいて行われ得、前記溶媒フラクションをオリゴマー化反応器にリサイクルすることができる。
【0124】
有利には、分離工程b)は、第1の蒸留塔を用い、その際の圧力は、0.1~3.0MPa、好ましくは0.5~1MPaであり、塔頂温度は、0℃~100℃、好ましくは40℃~80℃であり、塔底温度は、100℃~300℃、好ましくは140℃~220℃である。前記第1の蒸留塔により、頂部フラクション中の未転化オレフィン供給原料、特に未転化エチレンを、底部フラクション中の残りの化合物から分離することが可能となる。
【0125】
有利には、分離工程b)は、第2の蒸留塔を用い、その際の圧力は、0~2.0MPa、好ましくは0.01~1.0MPaであり、塔頂温度は、20℃~150℃、好ましくは40℃~130℃であり、塔底温度は、50℃~300℃、好ましくは80℃~250℃である。好ましくは、前記第2の蒸留塔により、第1の蒸留塔から生じた前記底部フラクションを、得られた直鎖α-オレフィン、特にヘキサ-1-エンを含んでいる頂部フラクションと、溶媒と、最も重質な化合物を含んでいる底部フラクションとに分離することが可能となる。
【0126】
有利には、分離工程b)は、第3の蒸留塔を用い、その際の圧力は、0~1.0MPa、好ましくは0.01~0.5MPaであり、塔頂温度は、30℃~130℃、好ましくは50℃~90℃であり、塔底温度は、50℃~200℃、好ましくは90℃~180℃である。好ましくは、前記第3の蒸留塔により、頂部のヘキサ-1-エンを、底部の溶媒から分離することが可能となる。
【0127】
非限定的な例として、エチレンのヘキサ-1-エンへのトリマー化の場合、エチレンを含んでいる、エチレントリマー化工程a)から生じた反応流出物と、溶媒と、エチレンのトリマー化のための触媒系と、ヘキサ-1-エンを含んでいる、形成された生成物とは、以下のサブ工程を少なくとも含んでいる分離工程b)において分離され得る:
- b1) 第1の工程;第1の蒸留塔において、エチレントリマー化反応からの流出物を、未転化エチレンを含んでいる頂部フラクションと、底部フラクションとに分離する、
- b2) 第2の工程;少なくとも1基の他の蒸留塔において、工程b1)から生じた底部フラクションの少なくとも一部を、ヘキサ-1-エンを含んでいる頂部フラクションと、溶媒と、C8+炭化水素を含んでいる底部フラクションとに分離する、
- b3) 第3の工程;最後の蒸留塔において、ヘキサ-1-エンを含んでいるフラクションの少なくとも一部と、工程b2)から生じた溶媒とを、ヘキサ-1-エンを主に含んでいる頂部フラクションと、主に溶媒を含み、有利には溶媒フラクションを少なくとも部分的に構成する底部フラクションとに分離する。
【0128】
本発明によると、工程b3)から生じた底部フラクションに由来する少なくとも1種の溶媒フラクションは、工程c)において冷却されて、次いで、工程d)において反応セクションに送り戻される。
【0129】
(冷却工程c))
本発明による方法は、下流の分離工程b)から生じた溶媒フラクションを、液相フラクションが反応セクションの1つまたは複数の再循環ループにおいて冷却される温度Tloopを下回る温度に冷却する工程c)を含む。
【0130】
溶媒フラクションの再循環ループの温度Tloopを下回る温度への、好ましくは、工程a4)の終わりに得られた冷却済み液体フラクションの温度からの冷却により、1つまたは複数の再循環ループにおいて必要とされる、熱交換、すなわち交換される熱の量を低減させることが可能となり、前記ループから生じ、反応器に導入される、冷却済み液体フラクションの温度に到達し、したがって、1基または複数基の交換器のサイズを低減させる。
【0131】
工程c)における溶媒フラクションの冷却は、プロセス流体、空気、冷却水または、所望の温度に到達することを可能とする任意の他のタイプの低温流体のいずれかとの、1基または複数基の熱的交換器における交換によって、あるいは、これらの交換器の組合せを用いることによって行われてよい。有利には、交換器は、プロセス流体/プロセス流体タイプ(TEMAタイプ、若しくは当業者に知られている他のタイプ)、空気冷却器タイプ、冷却水交換器タイプまたは、所望の温度に到達することを可能とする任意の他のタイプの低温流体、1基または複数基の熱交換器から選ばれる。
【0132】
有利には、工程b)から生じた溶媒フラクションは、工程c)において、0℃~150℃、好ましくは5℃~100℃、好ましくは10℃~90℃、好ましくは20℃~80℃、好ましくは25℃~70℃、好ましくは30℃~60℃の温度に冷却される。
【0133】
有利には、工程b)から生じた溶媒フラクションは、工程c)において、反応セクションの1つまたは複数の再循環ループにおける冷却済み液体フラクションの温度Tloopに相対して最低40℃、好ましくは最低50℃、好ましくは最低60℃、好ましくは最低70℃低い温度に冷却される。
【0134】
(c)から生じたフラクションを導入する工程d))
本発明による方法は、したがって、オリゴマー化工程a)の反応セクションに、工程c)において再循環ループの温度T(loop)を下回る温度に冷却された溶媒フラクションを導入する工程d)を含む。
【0135】
本発明による冷却済み溶媒フラクションの導入により、オリゴマー化反応の発熱性を部分的にコントロールすること、それ故に、少なくとも1つの再循環ループにおいて用いられる1基または複数基の熱交換器のサイズを制限することが可能となる。
【0136】
有利には、冷却済み溶媒フラクションの導入は、反応セクションにおいて、好ましくは反応器および/または再循環ループの1つまたは複数において行われる。好ましくは、導入は、再循環ループにおいて、有利には、前記再循環ループの熱的交換器の上流または下流、すなわち、工程a4)の上流または下流で行われる。好ましくは、冷却済み溶媒フラクションの導入は、反応セクションの再循環ループにおいて前記再循環ループの熱的交換器の下流で行われる。
【0137】
有利には、再循環ループの熱的交換器の下流の冷却済み溶媒フラクションの導入により、再循環ループの冷却済み溶媒フラクションと液体フラクションとの間の温度差を最小限にとどめることが可能となる。このことにより、1つまたは複数の再循環ループの交換器の使用を最大化すること、したがって、そのサイズを最小限に留めることも可能となる。
【0138】
有利には、工程c)において冷却された溶媒フラクションと、流通する液体フラクションとの混合物により、好ましくは熱的交換器の下流で、反応セクションの再循環ループにおいて、再循環ループの液体フラクションの温度を、0.1℃~20.0℃、好ましくは0.2℃~15.0℃、好ましくは0.5℃~10.0℃だけ低下させることが可能となる。
【0139】
有利には、冷却済み溶媒フラクションの流量は、再循環ループ中を流通する液体の流量に相対する重量百分率として、0.05%~15.0%、好ましくは0.1%~10.0%、好ましくは0.5%~8.0%、好ましくは0.8%~6.0%、好ましくは1.0%~5.0%である。
【0140】
このように、本発明による工程c)およびd)の実施により、冷却済み溶媒フラクションによって、再循環ループにおいて交換されるエネルギーを低下させることが可能となり、したがって、交換器のサイズを低減させることが可能となる。期待される節約率は、有利には、交換表面積全体にわたって1%~50%、好ましくは2%~30%、優先的には3%~20%の程度のものであってよい。
【0141】
(図の説明)
図1は、本発明によるオリゴマー化方法の実施形態を行うプラントの模式図を表す。前記プラントは、二相気体/液体オリゴマー化反応器(A)と、可変直径のゾーン(図示されない)と、交換器(B)およびポンプ(C)を含む再循環ループと、分離セクション(D)と、溶媒フラクションを流通させるためのポンプ(E)と、溶媒フラクションを冷却するための交換器(F)とを含む。このプラントにおいて、流れ(2)は、フレッシュなエチレンの流れ(1)と、分離セクションから生じたエチレンとの混合物である。流れ(2)は、反応器(A)に導入される。流れ(3)は、反応器から抜き出された液相フラクションであり、交換器(B)およびポンプ(C)を含んでいる再循環ループに送られて、冷却済み液体フラクション(4)を得る。流れ(6)は、分離セクション(D)において分離された溶媒フラクションであり、これは、ポンプ(E)を通過し、交換器(F)において冷却され、冷却済み溶媒フラクション(7)を与える。フラクション(7)および(4)は、混合されて、流れ(8)を与えた後に反応器(A)に導入される。反応器(A)から抜き出された流出物の一部に相当する流れ(5)は、分離セクション(D)に送られる。分離セクションにより、流れ(6)、軽質反応生成物に相当する流れ(9)、重質反応生成物に相当する流れ(10)および使用済み触媒を含んでいる重質フラクションに相当する流れ(11)を得ることが可能となる。
【0142】
図2は、本発明による、直径が低減していく連続するゾーンを有する気体/液体反応器(A)を示す。気体/液体反応器(A)は、液相を含んでいる下部と、気相を含んでいる上部と、ガス状オレフィン供給原料(12)を、ガス分配器(13)により液相に導入するための手段とを含む。上部は、抜き取り手段(15)を含む。2つの流れに分割されたフラクションは、反応器(A)の底部から抜き出され、第1の主要流れ(3)は、熱交換器(B)およびポンプ(C)に送られ、冷却済みフラクション(4)を得る。第2の流れ(5)は、分離セクションに送られる流出物に相当する。フラクション(7)および(4)が流れ(8)中で混合された後に反応器(A)に導入される。触媒系(14)は、反応器の底部に導入される。反応器の底部に位置するゾーン(1)は、反応器の頂部に位置するゾーンよりも大きい直径を有する。第1の底部ゾーンは、D1と表示されるその直径とその高さH1とによって特徴付けられ、これら2つのパラメータが、V1と表示される、前記ゾーンの容積を規定する。同様に、頂部に位置する第2のゾーンは、H2と表示されるその高さとD2と表示されるその直径(D2はD1未満である)とによって特徴付けられ、これらが、第2のゾーンの容積(V2)を規定する。この実施形態において、反応器(A)を作り上げる2つのゾーンは、低減していく直径を有する円筒体によって形成される。
【0143】
図3は、別の実施形態を示し、これは、反応器(A)の頂部に位置する第2のゾーンが、反応器(A)の内側に配置された内部構造体(11)によって、その範囲を定められる点で、
図2のものと異なる。
【0144】
図4は、別の実施形態を示し、これは、直径が低減していく3つの連続するゾーンを、反応器Aが含む点で、
図2のものと異なる。
【0145】
図1、2、3および4により、本発明の主題の特定の実施形態の模式図が提供されるが、これらは、前記発明の範囲を制限するものではない。
【0146】
(実施例)
以下の実施例により、本発明が例証されるが、これにより、本発明の範囲を制限するものではない。
【0147】
以下の実施例に、エチレンのオリゴマー化のための方法を記載する。この方法を、気泡塔タイプの二相気体/液体反応器において、圧力6.1MPa、温度135℃で、連続的に行う。触媒系を、クロムの濃度1重量ppmで、反応器に導入する。触媒系は、クロム前駆体Cr(2-エチルヘキサノアート)3と、クロムに相対するモル比3にある2,5-ジメチルピロールと、クロムに相対するモル比500にある添加剤としてのo-キシレンの存在中で、クロムに相対して11モル当量のトリエチルアルミニウムおよび8モル当量のジエチルアルミニウムクロリドと、溶媒としてのシクロヘキサンとを含む。
【0148】
溶媒(6)として用いられ、反応器(A)に導入されるシクロヘキサンの量は、同じ反応器(A)に入るエチレン(流れ(2))の量に依存する;溶媒の量を調節して、反応器内の溶媒含有率が58%となるようにする。
【0149】
(実施例1(比較例))
実施例1は、従来技術によるオリゴマー化方法を例証する。この方法において、溶媒フラクション(7)を、下流の分離セクションにおいて分離し、熱交換器(F)によって冷却することなく反応セクションにリサイクルする。このオリゴマー化方法において、気泡塔タイプの気体-液体反応器を用いる。
【0150】
触媒系を、ガス状エチレンと接触させる。これを、前記ガス状エチレンを、前記反応器の下部に導入することにより行う。反応流出物を、続けて、反応器の底部のところで回収する。
【0151】
ヘキサ-1-エンの生成に必要とされるエチレンの転化率は、14,000kg/hである。採用された操作条件下での溶媒の流量は、19,500kg/hである。リサイクルされた溶媒フラクションの温度は、101℃である。
【0152】
反応セクション(反応器+1つまたは複数の再循環ループ)における滞留時間は、40分である。
【0153】
オリゴマー化反応は、発熱を伴うため、反応で生じた熱を、全表面積が1,650m2である、反応器の外側の再循環ループ上に置かれた熱交換器によって取り除く。41.4m3の全反応液体容積を、熱交換器およびそれらの再循環ループと、反応器とによって占められる容積の間に分配させる。全反応液体容積を、以下の方法で分配させる:30.4m3を熱交換ループとし、11.0m3を反応器とする。反応器内の液体の高さは、このとき、1.7mの直径に対し4.8メートル(mと表示される)である。溶媒フラクション(7)および再循環流体(4)の混合物(8)の温度は、そのとき、反応器入口において120℃である。反応セクションの再循環ループの交換器(B)の出口のところでの流れに相当する、流れ(4)の温度は、そのとき120.4℃である。
【0154】
ヘキサ-1-エンの生産量は、9.32トン/時、ヘキサ-1-エンの選択性は、93.2重量%である。
【0155】
(実施例2(本発明に合致))
本発明に合致するオリゴマー化方法を、
図1に示す。この方法を、実施例1と同じ条件下に実行する。実施例2は、分離セクションから生じた溶媒フラクションを、反応セクションへの導入の前に、
図1に示されるような交換器(F)と、可変直径のゾーンを有する反応器(A)とを用いて冷却する工程を含む。前記溶媒フラクションを、40℃の温度に冷却する。
【0156】
再循環ループの交換器の全表面積は、1,440m2である。そのため、本発明に合致する方法により、実施例1の交換表面積と比較して約13%(=100×(1,650-1,440)/1,650)だけ、熱交換器の交換表面積を低減させることが可能となる。これは、ユニットの操作コストにおける節約を表す。
【0157】
この実施例において、滞留時間を、実施例1の滞留時間と同一に、すなわち40分(min)に維持する。全反応液体容積は、実施例1のものと同一である。溶媒フラクションを冷却する工程により、したがって、再循環ループにおける交換の必要性を低減させることが可能となる。これにより、交換器の表面積が低減されるに至る。
【0158】
交換器に要求される表面積の低減のために、再循環ループの容積が、3%(容積29.5m3)だけ低減する。このとき、反応器の液体容積を8%(作業容積11.9m3)だけ増大させることが可能となる。これにより、液体の高さが8%増大されるに至る。
【0159】
さらに、可変直径のゾーンを有する反応器の使用により、液体の高さにおいて35%のさらなる増大(全液高7.1m)を得ることが可能となる。反応器の下方のゾーンにおける液体の高さは、1.7mの直径に対し2.1mである。液体反応器の上部の高さは、このとき、1.35mの直径に対し4.9mである。
【0160】
再循環ループ内を流通する、溶媒フラクション(7)と液体フラクション(4)との混合物(8)の温度目標を、実施例1と同一、すなわち120℃に維持した。交換器(B)の出口に相当する、冷却済み液体フラクション(4)の温度は、このとき121.9℃である。
【0161】
加えて、再循環ループの容積における3%の低減および可変直径のゾーンを有する気体/液体反応器の使用により、反応器内の液体の容積を9%だけ増大させ、液体高さを47%だけ増大させることも可能となり、これにより、反応器中に含有される液体中のエチレンの飽和を最大化することが可能となる。
【0162】
ヘキサ-1-エンの生産量は、9.32トン/時であり、ヘキサ-1-エンの選択性は、93.2重量%である。
【0163】
(実施例3(本発明に合致))
本発明に合致するオリゴマー化方法を、実施例2におけるのと同じ条件下に実行する。
【0164】
溶媒フラクションを冷却する工程により、再循環ループにおける交換の必要性を低減させることが可能となり、これにより、交換器の表面積の低減に至る。溶媒フラクションを、40℃の温度に冷却する。交換ループの交換器の全表面積を、1,440m2に制限する。このため、本発明に合致する方法により、熱交換器の交換表面積を、実施例1の交換表面積と比較して約13%(=100×(1,650-1,440)/1,650)だけ低減させることが可能となり、このことは、ユニットの操作コストの節約を表す。
【0165】
反応器における液高を、実施例1と同一となるように維持する。反応器は、このとき2つのゾーンを含んでおり、下方のゾーンは、直径1.7mに対して高さ1.6mであり、上方のゾーンは、直径1.35mに対して高さ3.1mである。交換器に要求される表面積の低減のために、再循環ループの容積が、3%(容積29.5m3)だけ低減する。可変直径のゾーンを有する反応器の液体容積は、8.4m3である。反応セクションの全反応液体容積は、したがって、37.8m3であり、すなわち、実施例1と比較した節約率は8%である。
【0166】
溶媒(7)と再循環流体(4)との混合物(8)の温度目標を、実施例1と同一に、すなわち120℃に維持した。交換器(B)の出口に相当する、流れ(4)の温度は、このとき121.9℃である。
【0167】
この実施例において、滞留時間は、36.6分である。本発明に合致する方法により、滞留時間の低減が可能となり、このことにより、選択性が0.1%増大するに至る。この増大により、一定量のヘキサ-1-エンの生成について、エチレンの消費量が0.1%低減すること、したがって、ユニットの操作コストを節約することが可能となる。滞留時間の低減により、この性能を達成するために必要とされるクロム濃度を8%(4ppmのクロムに相当)節約すること、すなわち、触媒消費の節約、したがって、ユニットの操作コストの節約も可能となる。
【0168】
ヘキサ-1-エンの生産量は、9.32トン/時であり、ヘキサ-1-エンの選択性は、93.3重量%である。
【0169】
以下の表は、実施例1~3で得られた結果をまとめたものである。
【0170】
【0171】
【図面の簡単な説明】
【0172】
【
図1】本発明によるオリゴマー化方法の実施形態を行うプラントの模式図を表す。
【
図2】本発明による、直径が低減していく連続するゾーンを有する気体/液体反応器(A)を示す。
【
図3】別の実施形態を示し、これは、反応器(A)の頂部に位置する第2のゾーンが、反応器(A)の内側に配置された内部構造体(11)によって、その範囲を定められる点で、
図2のものと異なる。
【
図4】別の実施形態を示し、これは、直径が低減していく3つの連続するゾーンを、反応器Aが含む点で、
図2のものと異なる。
【国際調査報告】