IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ネクスト マリン ソリューションズ、インコーポレイテッドの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-21
(54)【発明の名称】流体力学発電機及びシステム
(51)【国際特許分類】
   F03B 13/26 20060101AFI20240514BHJP
【FI】
F03B13/26
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023573059
(86)(22)【出願日】2022-05-25
(85)【翻訳文提出日】2024-01-23
(86)【国際出願番号】 US2022030869
(87)【国際公開番号】W WO2022251320
(87)【国際公開日】2022-12-01
(31)【優先権主張番号】63/192,880
(32)【優先日】2021-05-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523444028
【氏名又は名称】ネクスト マリン ソリューションズ、インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ピーターソン、ウィリアム
(72)【発明者】
【氏名】シミリエン、アマンダ
(72)【発明者】
【氏名】リビングストン、トーマス ローガン
【テーマコード(参考)】
3H074
【Fターム(参考)】
3H074AA06
3H074AA08
3H074AA12
3H074BB11
3H074BB16
3H074CC16
(57)【要約】
本開示は、それらの構造設計、配備方法、アンカシステム、駆動システム、及び制御システムを含む流体力学発電機に関する。システムは、ハンドキャリーできるものから、3ノットの流れで最大20kW以上を生成できる大きい据え付けデバイスまでスケールできる。据え付けシステムにおいて、デバイスは、4つの調節可能な脚によって支持されるアンカデバイスによって水床にアンカリングできる。これらの脚は、大規模な係留ラインの必要性を無くすことができ、海洋動物又は植物に危険でない小さいフットプリントをデバイスに提供する。ロータ、発電機、及び他の機械的コンポーネントなどの個別のコンポーネントは、システム全体を中断することを必要とせず取り外し及び点検を容易にするためにモジュール式で設置できる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体力学システムのためのハウジングであって、
中央流路を画定する内面及び外面を有するダクト、前記ダクトは、断面が実質的に円形であり、ここで、前記中央流路は、第1直径を有し、前記ダクトは更に、第2直径を有する第1開口、及び、第3直径を有する第2開口を含み、前記第2直径及び前記第3直径は両方とも、前記第1直径より大きい;
前記ダクトの前記内面及び前記外面の間の区画、前記区画は、発電機に連結された少なくとも1つの機械的コンポーネントを収容する;及び
前記区画に位置する少なくとも1つのバラストタンク
を備えるハウジング。
【請求項2】
前記中央流路の前記第1直径は、前記第1開口及び前記第2開口の間の中間点のものであり、前記第1直径は前記中央流路内の最小直径である、請求項1に記載のハウジング。
【請求項3】
前記ダクトの前記内面の直径は、前記第1直径及び前記第2直径の間で、及び、前記第1直径及び前記第3直径の間で、放物線状に増加する、請求項2に記載のハウジング。
【請求項4】
前記第2直径は、前記第3直径と実質的に同一である、請求項2に記載のハウジング。
【請求項5】
前記第2直径及び前記第3直径は、約25フィート(7.6メートル)~約35フィート(10.6メートル)の間であり、前記第1直径は、約15フィート(4.5メートル)~約25フィート(7.6メートル)の間である、請求項4に記載のハウジング。
【請求項6】
前記ダクトの前記外面は、前記第1開口及び前記第2開口の間のその長さに沿って、実質的に平らな壁を有する、請求項1に記載のハウジング。
【請求項7】
前記区画は、前記ダクトの周囲の周りに延在する環状区画である、請求項1に記載のハウジング。
【請求項8】
前記区画に位置する複数のバラストタンクを更に備え、ここで、前記複数のバラストタンクは独立に動作可能である、請求項1に記載のハウジング。
【請求項9】
前記第1開口の上に配置された第1格子、及び、前記第2開口の上に配置された第2格子を更に備える、請求項1に記載のハウジング。
【請求項10】
前記第1格子及び前記第2格子の各々は、繰り返しの正方形グリッドパターンを含む、請求項9に記載のハウジング。
【請求項11】
前記第1格子及び前記第2格子の各々は、繰り返しのひし形パターンを含む、請求項9に記載のハウジング。
【請求項12】
前記第1格子及び前記第2格子の各々は、繰り返しの三角形パターンを含む、請求項9に記載のハウジング。
【請求項13】
前記第1格子及び前記第2格子の各々はステンレス鋼を含む、請求項9に記載のハウジング。
【請求項14】
前記第1格子及び前記第2格子の各々は、凸状の輪郭を有する、請求項9に記載のハウジング。
【請求項15】
前記区画は完全に密閉され、水密性である、請求項1に記載のハウジング。
【請求項16】
前記中央流路内の前記ダクトの前記内面に連結された1又は複数のストラットを更に備え、ここで、前記1又は複数のストラットは1又は複数のロータアセンブリを支持する、請求項1に記載のハウジング。
【請求項17】
2つのストラットが、前記ダクトの前記内面及び共通シャフトの間に連結され、ここで、2つのロータアセンブリが前記共通シャフトの反対の端に連結される、請求項16に記載のハウジング。
【請求項18】
前記2つのロータアセンブリは反対方向に回転するように構成されている、請求項17に記載のハウジング。
【請求項19】
前記ダクトの前記外面に連結され、前記ダクトの長さに沿って延在するプラットフォームを更に備える、請求項1に記載のハウジング。
【請求項20】
前記ダクトの前記外面上で横方向に滑動可能なキャリッジを更に備え、前記横方向に滑動可能なキャリッジは、アンカケーブルを介してアンカに連結するように構成されている、請求項1に記載のハウジング。
【請求項21】
前記発電機からの電気を使用して、塩から塩素ガスを生成するように構成されている電気化学セパレータを更に備え、ここで、前記塩素ガスは、前記ダクトの前記内面に誘導される、請求項1に記載のハウジング。
【請求項22】
前記ダクトの長さは、約45フィート(13.7メートル)~約55フィート(16.7メートル)の間である、請求項1に記載のハウジング。
【請求項23】
前記ダクト及び前記区画は、複合材料、軟鋼、又はステンレス鋼のいずれか1つを含む、請求項1に記載のハウジング。
【請求項24】
前記発電機は前記区画内に配置される、請求項1に記載のハウジング。
【請求項25】
前記ダクトの前記外面に連結され、前記ダクトの長さに沿って延在するプラットフォームを更に備える、請求項1に記載のハウジング。
【請求項26】
前記第1開口又は前記第2開口の外側の上のリムカバーを更に備える、請求項1から25のいずれか一項に記載のハウジング。
【請求項27】
前記リムカバーは取り外し可能であり、環状凹部を保護する、請求項26に記載のハウジング。
【請求項28】
前記環状凹部は、1又は複数のケーブルを保持するように構成されている、請求項27に記載のハウジング。
【請求項29】
ダクト;
前記ダクトに保持される第1ロータ及び第2ロータ、前記第1ロータ及び前記第2ロータの各々は、複数のブレード、及び、各ロータの前記ブレードを共通シャフトの反対の端に接続するハブを含む;
第1ベルト又は駆動シャフトを収容するためのチャネルを画定する第1ストラット、前記第1ベルト又は駆動シャフトは、前記第1ロータの第1ロータシャフトと機械連通する;
第2ベルト又は駆動シャフトを収容するためのチャネルを画定する第2ストラット、前記第2ベルト又は前記駆動シャフトは、前記第2ロータの第2ロータシャフトと機械連通する;
前記第1ロータ及び前記第2ロータと機械連通するディファレンシャル、前記ディファレンシャルは、異なる回転速度入力を前記第1ロータ及び前記第2ロータから受け、単一回転速度で出力シャフトを駆動するよう構築及び配置される;及び
前記出力シャフトに連結され、前記出力シャフトの回転に基づいて電力を生成するように構成されている発電機
を備える流体力学システム。
【請求項30】
前記第1ロータ及び前記第2ロータは、反対方向に回転するように構成されている、請求項29に記載の流体力学システム。
【請求項31】
前記第1ロータ及び前記第2ロータは各々、3つのブレードを含む、請求項29に記載の流体力学システム。
【請求項32】
第1ロータ又は第2ロータに連結されたガバナを更に備え、前記ガバナは、前記第1ロータ又は前記第2ロータの前記ブレードのうちの1又は複数の角度を調節するように構成されている、請求項29に記載の流体力学システム。
【請求項33】
前記第1ストラット及び前記第2ストラットは各々、前記ダクトを通る流体力学な流れを増加させる形状である、請求項29に記載の流体力学システム。
【請求項34】
前記ダクトは、水塊内の床に機械的に固定される、請求項29に記載の流体力学システム。
【請求項35】
前記複数のブレードは複合材料を含む、請求項29に記載の流体力学システム。
【請求項36】
前記第1ロータ又は前記第2ロータに連結されたガバナを更に備え、前記ガバナは、前記第1ロータ又は前記第2ロータの前記ブレードのうちの1又は複数の角度を調節するように構成されている、請求項29に記載の流体力学システム。
【請求項37】
前記ガバナは更に、前記共通シャフトの回毎分(RPM)角速度を判定し、前記共通シャフトの前記RPM角速度に基づいて、前記第1ロータ又は第2ロータの前記ブレードのうちの1又は複数の前記角度を調節するように構成されている、請求項36に記載の流体力学システム。
【請求項38】
前記第1ストラット又は前記第2ストラットは、前記第1ベルト又は前記第2ベルト又は第1駆動シャフト又は第2駆動シャフトによって生成された熱を相殺するように構成されている冷却システムを収容する、請求項29に記載の流体力学システム。
【請求項39】
前記出力シャフトに連結され、前記異なる回転速度入力が所与の閾値回転速度より下になることに応じて、前記出力シャフトを前記ディファレンシャルから係合解除するように構成されている遠心クラッチを更に備える、請求項29に記載の流体力学システム。
【請求項40】
前記遠心クラッチの動作をモニタリングするように構成されている1又は複数のセンサを更に備える、請求項39に記載の流体力学システム。
【請求項41】
前記ダクトは、前記ダクトの内面及び外面によって画定された環状区画を含み、前記発電機は前記環状区画内に配置される、請求項29に記載の流体力学システム。
【請求項42】
前記発電機は、パレット内に密閉され、前記パレットは前記環状区画から取り外し可能である、請求項41に記載の流体力学システム。
【請求項43】
前記ディファレンシャルは前記環状区画内に配置される、請求項41に記載の流体力学システム。
【請求項44】
前記環状区画に配置され、前記ディファレンシャルの動作をモニタリングするように構成されている1又は複数のセンサを更に備える、請求項41に記載の流体力学システム。
【請求項45】
前記ダクトの外面に固定された密封キャビティを更に備え、ここで、前記ディファレンシャル、前記出力シャフト、及び前記発電機はすべて、前記密封キャビティ内に配置される、請求項29に記載の流体力学システム。
【請求項46】
前記ディファレンシャルは1又は複数の平歯車を含む、請求項29に記載の流体力学システム。
【請求項47】
前記ダクトに連結され、前記ダクトを通る水の流速及び方向をモニタリングするように構成されているセンサを更に備える、請求項29に記載の流体力学システム。
【請求項48】
前記第1ロータ又は前記第2ロータの前記ハブに配置され、前記第1ロータ又は前記第2ロータの前記ブレードの各々の角度をモニタリングするように構成されているセンサを更に備える、請求項29に記載の流体力学システム。
【請求項49】
前記第1ストラット又は前記第2ストラットに配置され、前記第1ロータシャフト又は前記第2ロータシャフト及び前記第1ベルト又は前記第2ベルト又は第1駆動シャフト又は第2駆動シャフトの間の連結の完全性をモニタリングするように構成されているセンサを更に備える、請求項29に記載の流体力学システム。
【請求項50】
前記発電機に連結され、前記発電機の性能をモニタリングするように構成されているセンサを更に備える、請求項29に記載の流体力学システム。
【請求項51】
1又は複数の圧力又は温度センサを更に備える、請求項29に記載の流体力学システム。
【請求項52】
第1ハブ又は第2ハブは、対応する前記第1ロータ又は前記第2ロータの直径の10%未満の直径を有する、請求項29に記載の流体力学システム。
【請求項53】
前記第1ロータ又は前記第2ロータの1又は複数のブレードは、前記1又は複数のブレードにわたる流体の流れの方向の変化に応じて、自動フェザリングするように構成されている、請求項29から52のいずれか一項に記載の流体力学システム。
【請求項54】
流体力学発電機のためのアンカ構造であって、
上面及び下面を有するプラットフォーム;
前記プラットフォームの前記上面に連結され、円筒ダクト内に配置された1又は複数のロータを有する前記円筒ダクトを支持するように構成されている半円クレードル;及び
前記プラットフォームの縁部に連結する複数の伸縮脚、ここで、前記伸縮脚のうちの少なくとも1つは、前記少なくとも1つの伸縮脚を通過して水塊の床に固定されたアンカに接続するように構成されているケーブルを含む、
を備えるアンカ構造。
【請求項55】
前記複数の伸縮脚は、前記プラットフォームの4つの角に対応して連結される4つの伸縮脚を含む、請求項54に記載のアンカ構造。
【請求項56】
前記複数の伸縮脚は各々、前記プラットフォームから外向きに角度が付けられ、台形スタンスを生じさせる、請求項55に記載のアンカ構造。
【請求項57】
前記複数の伸縮脚の各々は、前記プラットフォームの前記上面の上に延在する第1端部、及び、前記水塊における前記床に固定された対応するアンカに適合するように構成されている第2端部を含む、請求項54に記載のアンカ構造。
【請求項58】
前記複数の伸縮脚の1つの前記第1端部、及び、前記複数の伸縮脚の別の1つの前記第1端部の間に連結されるセカンダリプラットフォームを更に備える、請求項57に記載のアンカ構造。
【請求項59】
前記セカンダリプラットフォームは、発電機を支持するように構成されている領域を含む、請求項58に記載のアンカ構造。
【請求項60】
前記複数の伸縮脚の各々の前記第2端部はフットパッドを含む、請求項57に記載のアンカ構造。
【請求項61】
前記プラットフォームの前記上面に連結され、前記半円クレードルの上に前記円筒ダクトを誘導及び支持するように構成されている複数のガイドポストを更に備える、請求項54に記載のアンカ構造。
【請求項62】
前記プラットフォームは、前記上面及び前記下面の間に1又は複数の開口を含み、流体が前記1又は複数の開口を流れることを可能にする、請求項54に記載のアンカ構造。
【請求項63】
前記プラットフォームの前記下面に連結され、前記床に向かって下に延在する中空杭を更に備える、請求項54に記載のアンカ構造。
【請求項64】
前記中空杭は前記床に固定される、請求項63に記載のアンカ構造。
【請求項65】
1又は複数の電源ケーブルが前記中空杭を通る、請求項63に記載のアンカ構造。
【請求項66】
前記複数の伸縮脚の任意の2つの間、及び/又は、前記複数の伸縮脚及び前記中空杭のいずれかの間に連結される1又は複数の圧縮ロッドを更に備える、請求項63に記載のアンカ構造。
【請求項67】
前記アンカ構造が複数のアンカの上に沈められるとき、前記複数の伸縮脚の各々と整列するように、予め定められた配列で前記水塊における前記床に固定される前記複数のアンカを更に備える、請求項54から66のいずれか一項に記載のアンカ構造。
【請求項68】
前記複数のアンカは、1又は複数の射出エンベッドメントアンカを含む、請求項67に記載のアンカ構造。
【請求項69】
前記複数のアンカは、1又は複数のプレートアンカを含む、請求項67に記載のアンカ構造。
【請求項70】
水塊に配備されるように構成されているダクトに保持された1又は複数のロータ、各ロータは、複数のブレード、及び、前記ロータの前記ブレードをロータシャフトに接続するハブを含む;
前記1又は複数のロータの各々の前記ロータシャフトの回転に基づいて電力を出力するように構成されている発電機;
前記発電機に連結され、前記出力された電力を前記ダクトから陸上制御ステーションへ運ぶように構成されているトランスファーケーブル;及び
前記出力された電力に基づいて1又は複数のバッテリを充電するように構成されているバッテリチャージャ
を備える流体力学電気システム。
【請求項71】
前記発電機から出力された交流(AC)を、前記バッテリチャージャによって受けられる直流(DC)に変換するように構成されているアナログ/デジタルコンバータ(ADC)を更に備える、請求項70に記載の流体力学電気システム。
【請求項72】
前記1又は複数のバッテリに貯蔵されたDCチャージからAC出力電流を生成するように構成されているインバータを更に備える、請求項70に記載の流体力学電気システム。
【請求項73】
前記トランスファーケーブルは、前記ダクトの下に位置する中空杭を通り、前記水塊内の床に沿って延びる、請求項70に記載の流体力学電気システム。
【請求項74】
前記発電機は、第1発電機であり、前記流体力学電気システムは更に、前記1又は複数のロータの各々の前記ロータシャフトの回転に基づいて電力を出力するように構成されている第2発電機を備える、請求項70に記載の流体力学電気システム。
【請求項75】
前記発電機からの前記出力された電力について定電圧を維持するように構成されている電圧レギュレータを更に備える、請求項70に記載の流体力学電気システム。
【請求項76】
前記バッテリチャージャは陸上制御ステーション内に位置する、請求項70から75のいずれか一項に記載の流体力学電気システム。
【請求項77】
前記陸上制御ステーション内にディスプレイを含むユーザインタフェースを更に備える、請求項76に記載の流体力学電気システム。
【請求項78】
前記ユーザインタフェースは、前記流体力学電気システムの1又は複数のコンポーネントの動作についての情報を提供する、請求項77に記載の流体力学電気システム。
【請求項79】
流体力学デバイスを配備する方法であって、
1又は複数のケーブルを水塊の床に固定する段階;
複数の伸縮脚を有するアンカ構造に前記流体力学デバイスを固定する段階;
前記アンカ構造上の前記伸縮脚のうちの少なくとも1つに前記1又は複数のケーブルのうちの少なくとも1つを通す段階;
前記流体力学デバイスの浮力を低減し、従って、前記流体力学デバイス及び前記アンカ構造の両方を前記水塊に沈める段階;
前記伸縮脚のうちの前記少なくとも1つを通る前記1又は複数のケーブルを介して前記アンカ構造を前記床に誘導する段階;及び
前記アンカ構造を前記床に固定する段階
を備える方法。
【請求項80】
前記流体力学デバイスは、ダクト及び前記ダクトに保持される複数のロータを備え、各ロータは複数のブレードを含み、ここで、前記方法は更に、前記ロータのうちの1又は複数を回転させて、前記アンカ構造の前記誘導中に前記流体力学デバイス及び前記アンカ構造の移動に影響を与える段階を備える、請求項79に記載の方法。
【請求項81】
前記浮力を低減することは、前記流体力学デバイス上の1又は複数のバラストに水を充填することを含む、請求項79に記載の方法。
【請求項82】
前記誘導は、前記1又は複数のバラストの特定のバラストだけを充填することによって前記アンカ構造の角度を調節することを含む、請求項81に記載の方法。
【請求項83】
前記複数の伸縮脚のうちの1又は複数の長さを調節することによって前記アンカ構造のピッチを調節する段階を更に備える、請求項79に記載の方法。
【請求項84】
前記1又は複数のケーブルを前記床に固定することは、射出エンベッドメントアンカを使用して前記1又は複数のケーブルをアンカリングすることを含む、請求項79に記載の方法。
【請求項85】
前記1又は複数のケーブルを前記床に固定することは、プレートアンカを使用して前記1又は複数のケーブルをアンカリングすることを含む、請求項79に記載の方法。
【請求項86】
前記アンカ構造を前記床に固定することは、前記伸縮脚のうちの少なくとも1つの中の1又は複数の滑車及び/又はカムを使用して、前記1又は複数のケーブルをピンと張ることを含む、請求項79に記載の方法。
【請求項87】
1又は複数のアンカを前記水塊の前記床に固定する段階を更に備え、前記1又は複数のアンカは、前記アンカ構造上の前記複数の伸縮脚と整列するために予め定められた配列である、請求項79から86のいずれか一項に記載の方法。
【請求項88】
水流の方向に対して流体力学発電機の方向を変更する方法であって、
前記流体力学発電機上のアンカライン及びアンカポイントを介して、前記流体力学発電機を据え付けボディに繋ぐ段階、前記アンカポイントは、横方向平面の中心の上流にある;
前記アンカポイントを移動させる段階、その結果、前記アンカポイントは、横方向平面の中心の下流になる;及び
前記アンカポイントが再び横方向平面の中心の上流になるように、前記流体力学発電機が回転することを可能にする段階
を備える方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は一般に、流体力学的力からの電力を生成するための、特に、潮汐及び河川の流れから電気を生成するためのシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
海洋及び河川における自然の流れからエネルギーを抽出するために設計されたシステムは、長年にわたって利用されているが、効率、コスト、配備、信頼性、及び、環境への影響などの問題により、信頼できる発電源になることが妨げられている。これらの問題に対処する必要性が長い間認識されており、世界のエネルギーポートフォリオの一部としてのこれらのエネルギー源の使用を増加させるために、当該分野における改善が必要である。
【発明の概要】
【0003】
異なる水力発電機の設計、及び、それらの配備及び使用の方法が本明細書において記載される。
【0004】
実施形態によれば、流体力学システムのハウジングは、中央流路を画定する内面及び外面を有するダクト、内面及び外面によって画定される環状区画であって、発電機に連結された少なくとも1つの機械的コンポーネントを収容する環状区画、及び、環状区画に位置する少なくとも1つのバラストタンクを含む。ダクトは断面において実質的に円形であり、中央流路は第1直径を有し、ダクトは更に第2直径の第1開口及び第3直径の第2開口を含み、第2直径及び第3直径は両方とも第1直径より大きい。
【0005】
別の実施形態によれば、流体力学システムは、ダクト、ダクト内に保持された複数のロータ、複数のロータの1つをダクトに固定するストラット、複数のロータの少なくともいくつかと機械連通するディファレンシャル、及び発電機を含む。各ロータは、複数のブレード、及び、ロータのブレードをロータシャフトに接続するハブを含む。ストラットは、ベルト又は駆動シャフトを収容するためのチャネルを画定し、ベルト又は駆動シャフトはロータシャフトと機械連通する。ディファレンシャルは、複数のロータの少なくとも一部からの異なる回転速度入力を受けるように、及び、単一回転速度で出力シャフトを駆動するように構築及び配列されている。発電機は出力シャフトに連結され、出力シャフトの回転に基づいて電力を生成するように構成されている。
【0006】
別の実施形態によれば、流体力学発電機のためのアンカ構造は、上面及び下面を有するプラットフォーム、プラットフォームの上面に連結された半円クレードル、及び、プラットフォームの縁部に連結された複数の伸縮脚を含む。半円クレードルは、ダクト内に配置された1又は複数のロータを有する円筒ダクトを支持するように構成されている。伸縮脚のうちの少なくとも1つは、対応する伸縮脚を通過して水塊の床に固定されたアンカに接続するように構成されているケーブルを含む。
【0007】
別の実施形態によれば、流体力学電気システムは、水塊内に配備されるように構成されているダクトに保持される1又は複数のロータ、発電機、発電機に連結されたトランスファーケーブル、及びバッテリチャージャを含む。各ロータは、複数のブレード、及び、ロータのブレードをロータシャフトに接続するハブを含む。発電機は、1又は複数のロータの各々のロータシャフトの回転に基づいて、電力を出力するように構成されている。トランスファーケーブルは、出力された電力を、ダクトから陸上制御ステーションへ運び出すように構成されている。バッテリチャージャは、出力された電力に基づいて、1又は複数のバッテリを充電するように構成されている。
【0008】
別の実施形態によれば、流体力学デバイスを配備するための方法は、1又は複数のケーブルを水塊の床に固定する段階;複数の伸縮脚を有するアンカ構造に流体力学デバイスを固定する段階;アンカ構造上の伸縮脚のうちの少なくとも1つに1又は複数のケーブルのうちの少なくとも1つを通す段階;流体力学デバイスの浮力を低減し、従って、流体力学デバイス及びアンカ構造の両方を水塊に沈ませる段階;伸縮脚のうちの少なくとも1つを通る1又は複数のケーブルを介してアンカ構造を床に誘導する段階;及びアンカ構造を床に固定する段階を備える。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本開示のいくつかの実施形態による、アンカ構造上に載っているダクトを有する流体力学システムの例を示す。
【0010】
図2A】本開示のいくつかの実施形態による、図1の流体力学システムのダクトの図を示す。
図2B】本開示のいくつかの実施形態による、図1の流体力学システムのダクトの図を示す。
図2C】本開示のいくつかの実施形態による、図1の流体力学システムのダクトの図を示す。
【0011】
図3】本開示のいくつかの実施形態による、図1からの流体力学システムを支持するために使用されるアンカ構造を示す。
【0012】
図4A】本開示のいくつかの実施形態による、流体力学システムの断面図を示す。
【0013】
図4B】本開示のいくつかの実施形態による、流体力学システムについての別のロータ設計の断面図を示す。
【0014】
図5】本開示のいくつかの実施形態による、水床に配備された流体力学システム、及び、陸上の制御ステーションの間の接続を示す。
【0015】
図6】本開示のいくつかの実施形態による、流体力学システムについてのロータブレード設計の例を示す。
【0016】
図7A】本開示のいくつかの実施形態による、ポータブル流体力学システムの様々な図を示す。
図7B】本開示のいくつかの実施形態による、ポータブル流体力学システムの様々な図を示す。
図7C】本開示のいくつかの実施形態による、ポータブル流体力学システムの様々な図を示す。
図7D】本開示のいくつかの実施形態による、ポータブル流体力学システムの様々な図を示す。
図7E】本開示のいくつかの実施形態による、ポータブル流体力学システムの様々な図を示す。
図7F】本開示のいくつかの実施形態による、ポータブル流体力学システムの様々な図を示す。
図7G】本開示のいくつかの実施形態による、ポータブル流体力学システムの様々な図を示す。
図7H】本開示のいくつかの実施形態による、ポータブル流体力学システムの様々な図を示す。
図7I】本開示のいくつかの実施形態による、ポータブル流体力学システムの様々な図を示す。
図7J】本開示のいくつかの実施形態による、ポータブル流体力学システムの様々な図を示す。
図7K】本開示のいくつかの実施形態による、ポータブル流体力学システムの様々な図を示す。
図7L】本開示のいくつかの実施形態による、ポータブル流体力学システムの様々な図を示す。
図7M】本開示のいくつかの実施形態による、ポータブル流体力学システムの様々な図を示す。
【0017】
図8】本開示のいくつかの実施形態による、水面下の流体力学システム及びアンカ構造を配備する方法のフロー図である。
【0018】
図9】本開示のいくつかの実施形態による、水面下に流体力学システム及びアンカ構造を配備する別の方法のフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
[概要]
本開示は、それらの構造設計、配備方法、アンカシステム、駆動システム、及び制御システムを含む流体力学発電機に関する。システムは、ハンドキャリーできるものから、3ノットの流れで最大20kW以上を生成できる大きい据え付けデバイスまでスケールできる。据え付けシステムにおいて、デバイスは、4つの調節可能な脚によって支持されるクレードルによって海底又は川底にアンカリングできる。これらの脚は、大規模な係留ラインの必要性を無くすことができ、セミクジラなどの絶滅危惧種に対して危険でない小さいフットプリントをデバイスに提供する。ロータ、発電機、及びトランスミッションなどの個別のコンポーネントは、除去及び点検を容易にするためにモジュール式で設置でき、システム全体を中断する必要がない。ポータブルシステムにおいて、デバイスは、人の背中で運搬できるほど、又は、2人の間で吊り上げられて、河川又は水流のある他の場所に配置できるほど十分に小さくすることができる。ポータブルシステムは、より大きい据え付けシステムと同一であるがスケールダウンされた、全体的なロータ及び発電機設計を有し得る。
【0020】
システムは、比較的低速で最大のエネルギーを抽出し、ロータの1つが故障した場合又は点検を受ける必要がある場合に冗長性を提供する複数のロータを採用できる。ロータは、ロータをハウジングに接続するストラットに位置するシャフト又はベルトを介して機械的エネルギーを伝達する小さい中央ハブの周りを回転することによって、高流量に晒される。フローストリームにモータ又は発電機ハウジングが無いので、より多くの流れを利用できる。システムは、双方向性にすることによって、位置を変更することなく潮の切り替わりを利用できる。ロータブレードは、流れの方向に応じて、自動フェザリングできる。複数のロータは、単一又は複数のトランスミッションを介して機械的に連結され得る。代替的に、ロータは、独立の発電機を駆動でき、各々の電気出力を組み合わせることができる。
【0021】
ハウジングは、中央部で狭く各開口に向かって広がる円錐形状の内部表面を有する。断面積のこの減少は、ロータを越える流れを加速することを助ける。出口における領域の広がりも、流れの加速に貢献する。外面は、内面の輪郭に一致し得るか、又は、異なり、例えば、円筒又は卵形であり得る。内壁及び外壁の間の空間に区画が形成される。これらの区画は、電気及び機械的コンポーネント、及び、デバイスの総浮力及び姿勢を変更するために充填及び排出されることができる浮力チャンバを収容できる。バラストシステムは、デバイスが水面上で引っ張られることを可能にし、デバイスをその意図される深度に沈めるための容易な手段をオペレータに提供する。さらに、バラストシステムは、水面の下の固定された深度、又は、海底又は川底の上の固定された深度を維持するために、ポータブルデバイスと共に使用できる。デバイスの外表面は、晒されている流れにおいてデバイスを安定化するための、伸縮可能であり得るフィンを含むことができる。浮力チャンバ及び/又はフィンはまた、デバイスのヨーを調節して、デバイスを通る水の流れを最大化することを助けるために使用できる。
【0022】
デバイスのハウジングは、例えば、損傷保護、腐食保護、電気絶縁、防音、及び、生物増殖に対する抵抗性を提供するコーティング又は外側スキンを含み得る。外側スキンは、一貫した又は変動する色及びパターンにすることができ、カモフラージュの目的で、又は、海洋動物を追い払うために選択できる。代替的に、又は、追加的に、デバイスは、ダクト開口の外側縁部に沿った複数の排出口から塩素ガスを放出できる。塩素ガスは、ダクトの内面に沿って移動し、表面の任意の生物付着を掃除することを助け、水と再結合する。塩素ガスは、本明細書においてより詳細に記載される電気分解プロセスを介して塩水から抽出され得る。
【0023】
配備及び抽出の方法は、システムのサイズ及び最終用途に応じて変動できる。上に記載した通り、1又は2人が単純にデバイスを水流に配置して、1、2、又はより多くのアンカポイントを固定することによって、より小さいバージョンのデバイスを河川に配備できる。ケーブルを使用してデバイスを流れの中に懸架することによって、川底に直接取り付けることなく、中サイズのバージョンが河川に配備され得る。より大きいバージョンが海底又は川底に配備され得る。据え付けアンカデバイスを伴うシステムでは、例えば、T字アンカ又はスクリューアンカを使用して、1、2、3、4、又はより多くのケーブルを海底床にアンカリングできる。固定されたケーブルは、サポートシステムの脚に通され、デバイスは、脚を通じてケーブルを滑動することによって、海底に運ばれる。この方式では、各脚は、アンカポイントの直接上に、又は、その近くに位置付けることができる。ケーブルは、除去されるか、又は、サポートシステムにおいて保持されて、海洋生物に干渉する任意の可能性を回避できる。いくつか場合において、1又は複数のロータを駆動して、それらを低速プロペラとして使用して推力を提供することによって、デバイスを位置へ操縦できる。
【0024】
制御システムは、モニタリング、診断、及び操作のためのシステムを含む。デバイスは本質的に自律的であり得、又は、遠隔のオペレータから命令を受けることができ、有線又は無線であり得る。例えば、バラストタンクは、最大のフロースルーのためのデバイスの最適角度を提供するために、自動的に又は遠隔で制御できる。ロータ、トランスミッション、及び発電機は、出力、効率、及び健康状態に関するリアルタイムデータを提供できる。遠隔カメラ、マイク、レベル、圧力センサ、フローメータ、及び、温度計は、付近の動物、振動ノイズ、機械的動作、及び、濾過スクリーン上のデブリの蓄積レベルに関する追加の情報を提供できる。
【0025】
本明細書に記載のシステムは、一時的使用(例えば、日の一部)、又は、長期間の使用(例えば、長年)のために配備できる。保守は、収容されたコンポーネント、生物抵抗性コーティング、及びモジュール式設計の結果、最低限に抑えられる。システムが配備されると、その使用寿命、例えば20年の終了まで、回収される必要がないべきである。濾過スクリーンの使用により、大きい動物、植物、及びデブリがシステムに入ることを防止し、遅く移動するロータは、より小さい海洋動物の安全な通過を可能にする。デバイスは、目立つことなく、船舶の深度の下で動作でき、利用可能な流れを提供する任意の場所における配備を可能にする。例えば、デバイスは、水面の20ft(6.1m)、30ft(9.1m)、40ft(12.2m)、又は50ft(15.2m)下に係留できる。
【0026】
本明細書に記載のシステムは、様々な用途のために、オンデマンドのローカル発電を提供可能である。デバイス自体の環状区画内、又は、ケーブルを介して接続される別の付近の場所のいずれかにローカルに設置されるバッテリが、現在使用されていない電気的エネルギーを貯蔵するために使用できる。電力はその後、任意の時間にバッテリから、又は、デバイス内の発電機から直接に引き込むことができる。電力がバッテリ、発電機、又はその両方から引き込まれるかどうかを判定するために、制御システムが使用され得る。本明細書に記載されるシステムについての例示的な用途は、ドックにおける海洋充電ステーション、又は、移動する水が存在する任意の他の場所を含む。
[ダクト及びアンカ構造設計]
【0027】
図1は、いくつかの実施形態による、水中環境におけるアンカ構造104上に載っている大きいダクト102を含む流体力学システム100の例を示す。流体力学システム100は、ダクト102内の1又は複数のロータを回転させる水中の水流から電気的エネルギーを生成するために、水の中に長期間(例えば、数年)配備され得る。流体力学システム100の使用期間、及び、アンカ構造104の存在に起因して、ダクト102は、ロータを越える大きい体積の流体の流れに基づいて大きい量の電気的エネルギーを生成するために、非常に大きく(例えば、約50フィート(15.2m)の長さ、最も広いフレア端で約30フィート(9.1m)の直径)作ることができる。
【0028】
いくつかの実施形態によれば、ダクト102は、大きいデブリがダクト102に入ることを防止するために、開口の各々の上に格子106を含む。格子106は、デブリが格子106と接触した後にダクト102の開口から滑動して離れることを受動的に生じさせるために、示されるような凸形状を有することができる。いくつかの実施形態において、格子106は、繰り返しの正方形パターン、繰り返しのひし形パターン、又は繰り返しの三角形パターンなど、1平方インチ(6.5平方センチメートル)以上の繰り返しパターンを含む。格子106は、ステンレス鋼から作ることができるが、優れた抗生物付着性特性を有する任意の他の十分な剛性の材料も使用され得る。
【0029】
ダクト102内のロータは水流の速度に基づいて回転されるが、格子106は、吸い殻、海洋哺乳類、大きい魚、デブリ、及びダイバーなどの大きい物体がダクト102を通じて移動することを防止するために使用され得る。これにより、ダクト102の内側に対する潜在的ダメージを防止するだけでなく、ロータの潜在的ダメージを防止することを助ける。いくつかの実施形態において、格子106は、洗浄される必要がある場合又は洗浄される必要があるとき、取り外し可能である。いくつかの例において、ダクト102を通る水の双方向の流れは、定期的な保守サイクルで格子106を維持することを助ける。他の場合、デバイスは、長手方向に180度反転でき、その結果、水の流れは、反対方向にデバイスを通過する。
【0030】
いくつかの実施形態によれば、アンカ構造104は、アンカ構造104を安定化するために、水中環境の底又は床に接触する複数の脚108を含む。脚108の各々は、不均一な水中表面を補償するために、調節可能な長さを有する伸縮脚であり得る。アンカ構造104はまた、本明細書においてより詳細に説明されるように、1又は複数の連結を介してダクト102内の機械的ロータに連結される、AC発電機などの発電機110を保持するための領域を含み得る。発電機110から生成される電力は、例えば水底に沿って発電機110から陸上制御ステーションへ延びる1又は複数のケーブルを介して陸上制御ステーションに運ばれ得る。
【0031】
いくつかの実施形態によれば、アンカ構造104は、水に沈められて、予め定められた場所において水底にアンカリングされる。その後、ダクト102が水に沈められ、アンカ構造104の上部に落ち着くまで、アンカ構造104の上に誘導される。いくつかの実施形態において、ダクト102だけの重量は、アンカ構造104の上部に落ち着いた状態を維持するのに十分である。いくつかの他の実施形態において、ダクト102は、アンカ構造104の上方及び上に整列された後に、アンカ構造104に機械的に固定される。流体力学システム100のコンポーネントの各々の設計及び動作に関する更なる詳細が本明細書で説明される。
【0032】
図2Aは、いくつかの実施形態による、ダクト102の3次元表現を示す。ダクト102は、第2フレア端206に第1フレア端204を接続する中央流路202を含む。第1フレア端204及び第2フレア端206の各々は、中央流路202の直径より大きい直径を有する開口で終端する。いくつかの実施形態において、第1フレア端204は、第2フレア端206と同一である。したがって、第1フレア端204及び第2フレア端206の各々の末端における開口は、同一の直径を有し得る。中央流路202は、第1フレア端204及び第2フレア端206の各々の間に、実質的に平らな壁を含み得る。いくつかの他の実施形態において、中央流路202は、第1フレア端204及び第2フレア端206の各々の間に連続した湾曲した外面が形成されるように、湾曲した又は傾斜した壁を含む。湾曲は、内向き又は外向きにすることができる。
【0033】
図2Bは、いくつかの実施形態による、ダクト102の前面図を示す。ダクト102は、継ぎ目が例えば注入可能エポキシで充填された、共に連結された複数のパネル208a~208cを介して形成され得る。パネル208a~208cの各々は、互いに実質的に同一であり得る。3つのパネルが示されるが、ダクト102を形成するために任意の数のパネルが使用され得る。ダクト102は、約12インチ(30.48センチメートル)~約24インチ(60.96センチメートル)の間、約20インチ(50.80センチメートル)~約40インチ(101.60センチメートル)の間、約30インチ(76.20センチメートル)~約50インチ(127.00センチメートル)の間、約20インチ(50.80センチメートル)~約80インチ(203.20センチメートル)の間、又は、約80インチ(203.20センチメートル)~約90インチ(228.60センチメートル)の間、例えば約84インチ(213.36センチメートル)などの外径d、及び、約55インチ(139.7センチメートル)~約65インチ(165.1センチメートル)の間、例えば、約59インチ(149.86センチメートル)などの(例えば、中央流路202の中間点における)内径dを有し得る。外径dは、その長さに沿って一貫し得る、又は変動し得る。例えば、外径は、その長さに沿って同一であり得、中央部分においてより大きいことがあり得、又は、いずれか又は両方の端部においてより大きいことがあり得る。
【0034】
図2Cは、ダクト102の反対の端における開口の間の、放物線状に湾曲した内面、及び、平らな外面を有するダクト102の断面図を示す。したがって、ダクト102の直径は、ダクトの中間点(直径dを有する)から外向きに、ダクトの各端(直径dを有する)に連続的に増加する。いくつかの例において、ダクト102は、約30インチ(76.2センチメートル)~約60インチ(152.4センチメートル)の間、約40インチ(101.6センチメートル)~約80インチ(203.2センチメートル)の間、又は、約105インチ(266.7センチメートル)~約135インチ(342.9センチメートル)の間、例えば約120インチ(304.8センチメートル)などの合計長さLを有する。
【0035】
ダクト102は、機械的に共に連結する任意の数の湾曲したセグメントなど、かみ合うパネルを使用して形成され得るか、又は、1つの一体的に加工された部品であり得る。ダクト102及びその関連する表面のすべては、複合材料、切削鋼又はステンレス鋼から形成され得る。中央流路202の内径はダクト102の内面によって画定され、一方、ダクト102の外面は、その全体的な形状を提供する。いくつかの実施形態において、中央流路202の外面は、平らなままであり、第1フレア端204及び第2フレア端206の間に延在し、一方、中央流路202の内面は、第1フレア端204及び第2フレア端206の間で内向きに湾曲し、それにより、中央流路202の内径は、第1フレア端204及び第2フレア端206の間の中間点において最小距離を有する。
【0036】
いくつかの実施形態によれば、ダクト102の内面及び外面の間に環状区画が存在する。いくつかの実施形態において、環状区画が、少なくとも中央流路202の周りに延在する。いくつかの実施形態において、環状区画は、機械的エネルギーを発電機に伝達するために使用される機械的コンポーネントの一部を含む。いくつかの実施形態において、環状区画は、ダクト102の総浮力に影響を与えるために空気又は水で充填できる1又は複数のバラストタンクを含む。ダクト102内の機械的連結及びその環状区画に関する更なる詳細が図4A及び図4Bを参照して提供される。
【0037】
ダクト102のフレア端は、中央流路202を通る水流を強化するために使用され得る。中央流路202内に配置された水平軸タービンは一般に、鉛直アクセスタービンより好ましい。なぜなら、自動作動が容易であり、より高い効率及びより大きい速度動作を有するからである。加えて、水平軸タービンは、より小さいトルク変動を有する。いくつかの実施形態によれば、収束フレア(例えば、入口として作用するフレア端)の1つの役割は、中央流路202を通る水のマスフロー又は速度を増加させることによって、抽出される電力ポテンシャルを増加させることである。このフローは、ロータ速度に直接影響する。いくつかの実施形態によれば、発散フレア(例えば、出口として作用するフレア端)の1つの役割は、水が中央流路202を出るときに水を拡散させることであり、これにより、さらに、平らな縁部のシリンダより高い速度で中央流路202から水を引き込む吸引効果を生じさせ得る。
【0038】
図3は、実施形態による、ダクト102が除去されたアンカ構造104の等角3次元表現を示す。アンカ構造104は、ダクト102を支持及び固定するために配列された様々なコンポーネントを含む。いくつかの実施形態によれば、アンカ構造104のコアは、上面及び下面を有するプラットフォーム302、及び、プラットフォーム302の上面に連結されたクレードル304を含む。クレードル304は、ダクト102の中央流路202の周りにぴったり適合するサイズの半円形状を有し得る。1つだけのクレードル304が示されるが、ダクト102を支持するために列状に配列された複数のクレードル構造があり得る。いくつかの実施形態において、クレードル304は、その上に載る任意のダクトの外側形状の輪郭に適合する異なる形状を有する。クレードル304及び/又はプラットフォーム302は、任意のガラス繊維強化プラスチック(FRP)及び/又はステンレス鋼から構築され得る。
【0039】
いくつかの実施形態において、プラットフォーム302は、プラットフォーム302の上面及び下面の間に延在する1又は複数の開口306を含む。開口306は、特定の形状又は設計に切断され得る。いくつかの実施形態によれば、開口306の存在により、アンカ構造104の総重量が軽くなり、水中環境の底に配備されるときに構造がより容易に水に沈むことが可能となる。
【0040】
複数のガイドポスト308がまた、プラットフォーム302の上部表面に接続され得る。ガイドポスト308は、追加的に、プラットフォーム302の上の所与の位置においてダクト102を支持するために使用され得る。いくつかの実施形態において、ガイドポスト308は、ダクト102の高さの上に延在し、ダクト102が間に適合できる楔形状を提供するために外向きに角度が付けられる。
【0041】
いくつかの実施形態によれば、アンカ構造104は、プラットフォーム302に連結された複数の脚310を含む。脚310の各々は、プラットフォーム302の角に、又は、プラットフォーム302の異なる側に沿って連結され得る。4つの脚310が図3に示されているが、しかしながら、任意の数の脚310を使用できる。いくつかの実施形態によれば、脚310は、平坦でない水床の上に載せるために調節可能な高さの伸縮脚である。脚310は、アンカ構造104のために台形スタンスを生じさせるためにわずかに外向きに広げられ得る。この形状は、アンカ構造104が、任意の方向から来る横向きの力に効果的に抵抗することを可能にし、従って、潮汐の変化、デブリの衝突、高波などにかかわらず、支持されるダクト102が、その厳密な位置を維持することを可能にする。
【0042】
脚310の各々は、プラットフォーム302の上に延在する第1端部、及び、プラットフォーム302の下に延在する第2端部を有する。いくつかの実施形態によれば、隣接する脚310の間を接続するために圧縮ロッド(示されない)が使用され、追加の構造的サポートを提供し得る。いくつかの実施形態によれば、各脚310の第2端部の遠位部分にはフットパッド312がある。フットパッド312は、水床に対してより良いトラクションを提供するために、柔軟であり得る。
【0043】
いくつかの実施形態によれば、フットパッド312は、水床に固定されるアンカ314上に適合するように設計される。対応する各脚310について、別個のアンカ314が水床内に固定され得る。いくつかの実施形態によれば、ケーブルが所与のアンカに留められ、脚310の対応する1つの中の中空部を通じて送られる。それぞれのアンカに各々連結されたケーブルが脚310の各々を通じて送られるとき、アンカ構造104全体は、水に沈められ、脚310の各々を通るケーブルによって、各対応するアンカ314の上に整列するまで誘導されることができる。
【0044】
最適な発電のための厳密な場所及び向きにアンカ構造104を位置付けるために、設置場所の水路調査がまず実施され得る。アンカ構造104の配備前に、各アンカ場所が判定され、設置され得る。一例において、脚310の各々についての長さを事前に調節することを可能にするために、調査は現場の水路のソナー画像(x、y、zサウンディング)を提供する。調査はまた、各脚310に必要なアンカ314の種類について計画することを可能にするために、底のテクスチャ及び組成の十分な詳細を提供できる。調査の完了後、各脚の特定のアンカ314は水床に固定でき、ケーブルは次に、表面に延びる。予め穿孔され、埋め込まれ、又は、留められたアンカのケーブルの各々は次に、アンカ構造104のそれらのそれぞれの脚310を通り得る。アンカ構造104が水に沈められるとき、これらのケーブルは、各脚310を、対応するアンカ314の上のそれ自体の厳密な予め定められた場所へ誘導する。いくつかの実施形態によれば、それぞれのフットパッド312を有する各脚310は、アンカ構造104が底に沈められるとき、その対応するアンカ314をカバーする。いくつかの実施形態において、一連の滑車及びカムが、各脚310の中に配置され、ケーブルが張ることを可能にし、アンカ構造104を水床に固くアンカリングする。アンカ構造104及びダクト102の配備に関する更なる詳細が本明細書において提供される。
【0045】
いくつかの実施形態によれば、アンカ314は射出エンベッドメントアンカである。射出エンベッドメントアンカは、砂、泥、沈泥又は小石の底における効果的なアンカの種類である。アンカは、典型的には、海面上の高い位置の容器からの消防用ホースを使用して、事前に位置付けられた円筒形状の構造を通じて水床に射出される。この消防用ホースは、シリンダの内側に十分な圧力を提供し、ノズル箇所において海底圧縮を一時的に緩め、アンカ機構を水床に深く押し込む。シリンダが除去されるとき、変位した沈殿物は、それが残したキャビティを充填し、埋め込まれたアンカを固く固定する。射出埋め込みアンカの保持能力は、アンカ円錐直径(面積)、据え付け深度、過負荷を受ける沈殿物の圧縮、又は、セメントスラリーの使用のいずれかを増加させることによって増幅され得る。
【0046】
いくつかの実施形態によれば、アンカ314はプレートアンカである。一例において、円形プレートアンカは、鉛直向きに水床に埋め込まれ、次に水平向きに移動するときに保持能力を提供する大きい円形プレートを含む。この水平位置において、プレートアンカは、水床からの上向きの取り外しに抵抗する。
【0047】
いくつかの実施形態によれば、アンカ構造104は、脚310のうち隣接するものの第1端部の間に連結される(プラットフォーム302の上に延在する)セカンダリプラットフォーム316を含む。セカンダリプラットフォーム316はプラットフォーム302と平行に配列され得る。追加のセカンダリプラットフォームが、アンカ構造104の反対側に提供され得る。セカンダリプラットフォーム316は、発電機を含むポッドを支持するように構成されている領域318を含み得る。このようにして、発電機上で可能な保守を実行するために、又は、別の発電機と交換するために、ポッドは、領域318内に配置でき、領域318から容易に取り外すことができる。
【0048】
いくつかの実施形態によれば、中空杭320がプラットフォーム302の下面に連結される。中空杭320は、水床に向かって延在し、電源ケーブル及び/又は任意の他の電気ケーブルを通すためのコンジットを提供できる。ケーブルのいずれかは、発電機から生成された電流を運搬し、又は、ダクト102の周りに又は発電機上に配置された任意のセンサに電力を提供し得る。いくつかの実施形態によれば、ケーブルは、中空杭320を通じて、水床に沿って(又は、水床の下に)送られ、地上の制御ステーションへ運ばれることができる。いくつかの実施形態において、中空杭320は、水床に打ち込まれ、予想され、又は、留められ、アンカ構造104のための中心的なガイド及び/又は主なアンカとして機能できる。いくつかの実施形態において、1又は複数の圧縮ロッド(示されない)は、中空杭320及び脚310のいずれかの間を接続して追加の構造的サポートを提供するために使用され得る。
【0049】
図4Aは、いくつかの実施形態による、流体力学システムの様々な機械的コンポーネント及び連結を示すための、ダクト102を通る断面図の例を示す。様々な機械的コンポーネントは、縮尺通りに描かれないことがあり得、互いに対して異なる相対位置に位置し得る。上に説明されたように、流体力学システムは、ダクト102の中央流路内に配置された一連のロータ401を含む。一般的な概要として、潮汐及び水流によって生じる水圧は、ダクト102を通じて送り込まれ、各ロータシャフト404上のロータブレード402を回転させる。これらの回転速度は比較的低いことがあり得るが、しかしながら水流の強い力に起因して、トルクは高いままである。平歯車406aは、各ロータシャフト404の末端に接続され得、ロータシャフト404に垂直の方向に向けられ得る、張られたタイミングベルト408の歯とかみ合う。いくつかの実施形態において、タイミングベルト408は、駆動シャフトで置き換えられる。各タイミングベルト408は、対応する水密ストラットディフューザ410の内側を通じて延び、ロータシャフトの回転トルクを1又は複数のプライマリシャフト412に伝える。これらのプライマリシャフト412は、ダクト102の外側に取り付けられた、ダクト102の側面に沿って長さ方向に延びる別個の密封キャビティ414内に位置し得る。いくつかの他の実施形態において、ダクト102の内面及び外面の間の環状区画は、プライマリシャフト412、及び、プライマリシャフト412に連結された他の機械的コンポーネントを収容する。いくつかの実施形態において、機械的連結及び他の機械的コンポーネントの大部分は、密封キャビティ414(又は環状区画)の中に提供され、水がダクト102を通じて流れるための大きい空間を空ける。いくつかの実施形態によれば、ストラットディフューザ410は、ロータ401に対して構造的支持を提供するが、しかしながら、水がそれらの周りを流れるときに正の効率を促進するために設計され得る。各プライマリシャフト412が異なる速度で回転することを可能にするために、ディファレンシャルギアボックス416(本明細書においてディファレンシャルと称される)が提供され得る。ダクト102の内側のロータ401の異なる場所に起因して、ロータ401は異なる速度で回転し得ることが可能である。トルクは、1又は複数の出力シャフト420を介し、プライマリシャフト412から、2つの発電機418のうちの1つに伝達され得る。いくつかの実施形態によれば、発電機418は、プライマリシャフト412に対して斜めであり、出力シャフト420は、ミスアライメント及び振動減衰を可能にするために設計される。いくつかの実施形態において、発電機418は、密封キャビティ414内に、又は、ダクト102の周りの環状区画内に位置する。いくつかの他の実施形態において、発電機418は、ダクト102及び密封キャビティ414の両方とは別に位置し、保守又は交換のためにシステムの残りとは別に水面に持ってくることができる。2つの発電機418が示されるが、単一の流体力学システム上に、単一の発電機418だけを含む任意の数の発電機を提供できる。
【0050】
いくつかの実施形態によれば、潮汐の流れが(例えば、速度及び/又は方向において)変化するとき、ロータブレード402のブレード角度は変化する必要があり、また、最適な効率を可能にする必要がある。ロータハウジング424の内側に位置されたガバナ422は、ブレード角度を感知するように構成され、陸上のステーションから制御され得る。例えば、ロータ401の1つに保守が必要である場合、対応するガバナ422は、ロータブレード402のブレードピッチを変更でき、対応するタイミングベルト408に連結された遠心クラッチ426は、ロータ401の低いrpmを感知し、対応するタイミングベルト408及び出力シャフト420及び/又はプライマリシャフト412のいずれかの間でブレーキを係合するように構成され得る。プライマリシャフト412のいずれかは、この方法を使用して停止させることができるが、他のプライマリシャフト412は、他のロータの回転に基づいて回転を続ける。保守のために発電機418が取り外される必要がある場合、発電機の係合解除を可能にするために、1又は複数の遠心クラッチ426を介してすべてのプライマリシャフト412を停止できる。
【0051】
いくつかの実施形態によれば、所与のロータ401のロータブレード402は、ロータハウジング424内の対応するロータシャフト404にロータブレード402をさらに接続する中央ハブ428に接続される。ロータベアリング430がハブ428の周りに配置され、ロータブレード402が自由に回転することを可能にする。いくつかの実施形態によれば、各ロータ401は3つのブレード402を含む。ブレードは、本明細書でより詳細に説明されるように、カプランブレードの一般的な形状を有し得る。各ロータブレード402は、それらの強度及び保守の手間がかからない性質に起因して、複合材料から形成され得る。いくつかの実施形態によれば、図4Aに示されるように、3つのロータ401がダクト102内に配置されるが、しかしながら、他の構成において、図4Bを参照して説明されるような2つだけのロータブレードなど、任意の数のロータ401を使用できる。いくつかの実施形態によれば、所与のロータ401のロータブレード402は、他のロータのロータブレードに対して回転位置において斜めであり、流れの効率及び発電を最大にすることを可能にするように戦略的に位置される。性能を最大化する、又は、ブレード402の回転を停止するために、ロータブレード402の所与のセットのブレード角度は、対応するガバナ422を使用して、任意の時間に変更され得る。いくつかの実施形態によれば、所与のロータブレード402のブレード角度は、水の流れの方向に基づいて、2つの位置の間で受動的に変更され得る。ロータブレードのいずれかの側にある2つの別個のピン又は突起が、ロータブレードがそれ以上回転することを防止するための停止点として作用できる。例えば、ロータブレードは、水が1方向に流れるとき、ピンの1つに対して押し付けられ得、水が方向を変更するとき、他のピンの上に載るまでブレードを回転できる。これにより、水の流れが方向を変更するとき、ロータが受動的に効率的な仰角に回転することを可能にする。例えば、第1の側におけるブレードの仰角は10度にでき、水の流れが方向を変更するとき、ブレードはハブ上で回転でき、反対側において、10度の仰角を提供する。
【0052】
いくつかの実施形態によれば、ストラットディフューザ410はまた、任意の他の機械的連結及び/又はベアリングを収容し得る。ストラットディフューザ410は、ダクト102の内側表面に融着され得る。いくつかの実施形態によれば、ストラットディフューザ410は、鋼及び/又は複合材料から作られ、周囲の流体の空気力学的な流れを増加させる形状を有する。いくつかの実施形態において、冷却システムが所与のストラットディフューザ410内に含まれ、タイミングベルト408及び/又は平歯車406aからの摩擦によって生じる熱を低減する。
【0053】
いくつかの実施形態によれば、ロータシャフト404は、ロータブレード402のピッチ及び角度を変更するように構成されている電気ブレードピッチアクチュエータのための電力コネクタの通過を可能にする中空駆動シャフトである。いくつかの実施形態において、ロータシャフト404のサイズは、最低限に抑えられ、一方、少なくとも1.5の安全係数で性能仕様を維持して、総重量を低減し、シール、ベアリング、カップリングなどの支持コンポーネントの選択を改善する。
【0054】
いくつかの実施形態によれば、遠心クラッチ426は、対応するロータ401の回転速度が閾値の下に低下することに応じて、遠心力を使用して、出力シャフト420又はプライマリシャフト412を遠心クラッチ426から係合解除するように構成されている。いくつかの実施形態において、遠心クラッチ426は、タイミングベルト408と係合するためのそれ自体の平歯車406bを含む。
【0055】
いくつかの実施形態によれば、異なる速度で回転する2又はより多くの駆動シャフトからの機械的動力を組み合わせるためにディファレンシャル416が使用される。ディファレンシャル416は、1つのシャフトの回転速度が他の速度の平均である、又は、その平均の固定倍数である、3つのシャフトを有するギアトレインを含む。一例において、平歯車ディファレンシャルは、それらの間に空間を有する2つの等しいサイズの平歯車を有し、各ハーフシャフトに1つある。ディファレンシャル416の中心において、2つのシャフトと同一の軸上に回転キャリアがある。プライマリシャフト412のいずれかからなど、原動機又はトランスミッションからのトルクは、このキャリアを回転させる。このキャリア上には、一般にそれらの直径より長く、典型的には、個別のハーフシャフト上の平歯車より小さい、1又は複数の対のピニオンが搭載されている。各ピニオン対は、キャリアによって支持されるピン上で自由に回転する。さらに、ピニオン対は、2つの平歯車の間でそれらの長さの一部についてだけかみ合い、反対方向に回転するように、軸方向に移動される。所与のピニオンの残りの長さは、その軸上の最も近い平歯車とかみ合う。したがって、各ピニオンは、その平歯車を他のピニオンに、さらに、他の平歯車に連結し、その結果、対応するプライマリシャフト412がキャリアを回転させるとき、個別の輪軸についての歯車に対する関係は、ベベルギアディファレンシャルにおいて見られるものと同一である。任意の数のディファレンシャル416が提供され、密封キャビティ414内に(又は、ダクト102の周りの環状区画内に)保護され得る。
【0056】
いくつかの実施形態によれば、発電機418の各々は、システムの残りから除去できる、それ自体のパレット(例えば、密閉された箱)内に配置される。パレットは、吊り上げ点を提供するために、ハンドル又は吊り上げ歯車を含み得る。パレットがシステム上の正確な場所に沈められることを確実にし、各発電機418のカップリングが対応する出力シャフト420と整列することを確実にするために、誘導及び/又はロック機構を使用できる。いくつかの実施形態によれば、発電機418及び密封キャビティ414内の間を連結するときに、出力シャフト420の周りに水密領域を生じさせるために、リップシール434と共に、カップリング機構432が提供される。
【0057】
いくつかの実施形態によれば、発電機418からの電力を供給するために、及び、電力を流体力学システム上に存在する様々なセンサ及び/又はコントローラに提供するために、1又は複数の電源ケーブル436及び制御/センサケーブル438が提供される。電源ケーブル436及び制御/センサケーブル438の各々は、流体力学システム及び陸上制御ステーションの間で互いに平行に延びることができる。いくつかの実施形態によれば、制御/センサケーブル438は、例えば、ハブ428に配置された、ロータブレード402についてのブレード角度をモニタリングするように構成されているセンサ、ダクト102の内面に配置された、ダクト102を通る水の流速及び方向をモニタリングするように構成されているセンサ、及び、ストラット410に配置された、ロータシャフト404及びタイミングベルト408の間の連結の完全性をモニタリングするように構成されているセンサ、発電機418に連結された、発電機418の性能をモニタリングするように構成されているセンサ、密封キャビティ414内に配置された、プライマリシャフト412、ディファレンシャル416、及び遠心クラッチ426などの、密封キャビティ414内の機械的コンポーネントのいずれかの性能をモニタリングするように構成されているセンサなどの1又は複数のセンサ、又は、流体力学システムの様々な部分にわたって配置された1又は複数の圧力及び/又は温度センサに電力を提供する。追加的に、ガバナ422及び/又は発電機418の動作を制御するために1又は複数のコントローラが提供され得、これらのコントローラは、制御/センサケーブル438を介して電力を受ける。
【0058】
いくつかの実施形態によれば、第2密封キャビティ440が、ダクト102の外側面上の別の領域に固定され得る。第2密封キャビティ440は、流体力学システム全体の浮力を変更するために水又は空気で個々に充填できる1又は複数のバラストタンク442を含み得る。いくつかの例において、密封キャビティ414及び第2密封キャビティ440の両方は、ダクト102の外側の周りに延びる同一の環状区画の一部である。
【0059】
いくつかの実施形態によれば、別個の制御/センサケーブル438を使用して電力を流体力学システム上のセンサ及び/又はコントローラに供給する代わりに、システムは、発電機418から出力された電力から充電できる1又は複数のバッテリを含む。これらのバッテリからの充電は、流体力学システム上のセンサ及び/又はコントローラに電力を供給するために使用できる。いくつかの実施形態において、バッテリは、成形された、又はそうでない場合、ダクト102内に適合する形状である埋め込みバッテリである。バッテリは、密封キャビティ414、第2密封キャビティ440、又は、ダクト102を通る流路の外側の周りの環状領域のいずれかの中に含めることができる。流体力学システム上で使用されるバッテリは、いくつかの例を挙げると、アブソーベントグラスマット(AGM)バッテリ又はリチウムイオンバッテリであり得る。オンデマンド電力が、様々な用途のために、バッテリからローカルで引き込まれることができる。
【0060】
図4Bは、第1ロータ401a及び第2ロータ401bを含むダクト102内の別のロータ設計の例を示す。いくつか実施形態によれば、ロータ401a及び401bは、互いに反対方向に回転するよう設計される。例えば、ロータ401aは、ロータ401aが時計回りに回転するような形状のブレードを含み得る一方、ロータ401bは、ロータ401bが反時計周りに回転するような形状のブレードを含み、又は逆も同様である。2つの逆回転するロータを使用することにより、効率も改善しながら、デバイスの強化された安定性を提供する。2つのロータは、ダクト102の中間点のいずれかの側に対称的に位置付けられ得る。ダクト102は、この例において、その長さに沿ってダクト102の中間点から外向きに広がる、放物線状に湾曲した内面を有するものとして示される。
【0061】
いくつかの実施形態によれば、ロータ401a及び401bは、(それらの逆回転設計に起因して)反対方向を向き、共通シャフト404の反対の端に連結され得る。各ロータはまた、共通シャフト404に連結された、それ自体のストラットディフューザ410を含む。ロータ401a及び401bの各々についての機械的設計及び発電機カップリングは、図4Aを参照して上で説明したロータ401と実質的に同様であり得る。特定の用途の間で寸法は変動し得るが、しかしながら、いくつかの例において、ロータ401a及び401bの各々のハブの間の距離は、10インチ(25.4センチメートル)~30インチ(76.2センチメートル)の間、又は、25インチ(63.5センチメートル)~35インチ(88.9センチメートル)の間、例えば、約30.9インチ(78.4センチメートル)などである。いくつかの例において、ストラットディフューザ410の間の距離は、約6インチ(15.24センチメートル)~2ft(60.96センチメートル)の間、例えば、約1.5ft(45.72センチメートル)などである。ストラットディフューザ410の各々はまた、約1インチ(2.54センチメートル)~3インチ(7.62センチメートル)の直径、例えば、1インチ未満、2インチ(5.08センチメートル)未満、又は3インチ未満などを有し得る。いくつかの実施形態によれば、ロータ401a又は401bのいずれかのロータブレードの先端、及び、ダクト102の内面の間の距離dは、約0.5インチ(1.27センチメートル)~5インチ(12.7センチメートル)の間、例えば、約2インチ(5.08センチメートル)、2インチ(5.08センチメートル)未満、又は、1インチ(2.54センチメートル)未満などである。
【0062】
図5は、システムを通る水の移動に基づいて電気的エネルギーを生成する流体力学システム100、及び、流体力学システム100によって生成された電気的エネルギーを受ける陸上制御ステーション502を伴う流体力学電気システムの例を示す。いくつかの実施形態によれば、流体力学システム100が、水面504の下の水床503にアンカリングされる。1又は複数のケーブル506は、流体力学システム100から、中空杭320を通じて、水床503に沿って送られ、制御ステーション502において受けられる。上で説明したように、ケーブル506は、流体力学システム100上の1又は複数の発電機から生成された電力を提供するための電源ケーブル、及び/又は、流体力学システム100上の様々なセンサ及び/又はコントローラに電力及び制御信号を提供する制御/センサケーブルの両方を含み得る。
【0063】
流体力学システム100上に存在する1又は複数の発電機の各々は、1又は複数のケーブル506における電源ケーブルを介して制御ステーション502に提供される120ボルトの交流(AC)を生成するように構成され得る。流体力学システム100上の発電ユニットの一部として、定電圧出力を維持するために1又は複数の電圧レギュレータが提供され得る。
【0064】
いくつかの実施形態によれば、制御ステーション502は、流体力学システム100の動作のためのユーザインタフェースを提供する。いくつかの実施形態によれば、制御ステーション502はまた、1又は複数の水中ケーブル506を介して流体力学システム100から来る電力を受け、貯蔵し、分配するように機能する。制御ステーションはまた、1又は複数の水中ケーブル506を介して、海流、各ロータの回毎分、及び、電気出力などの、環境的、機械的、及び電気的データをモニタリングする様々なセンサから情報を収集し得る。いくつかの実施形態において、オペレータは、現場で直接的に(例えば、制御ステーション502)において)1又は複数の端末から、又は、コンピューティングデバイス、及び、セルラ、WiFi、4G、5G又はブルートゥース(登録商標)などの無線接続を通じて遠隔的に、流体力学システム100をモニタリング及び操作できる。
【0065】
いくつかの実施形態によれば、制御ステーション502は、AC及びDC電力の間で電気的エネルギーを変換するために、任意の数の電力変換器508を含む。例えば、流体力学システム100から受けたAC電力をDC電力に変換して1又は複数のストレージデバイス(例えば、バッテリ)に貯蔵するために、いくつかの電力変換器508が使用され得る。別の例において、いくつかの電力変換器508が、1又は複数のストレージデバイスに貯蔵されたDC電力を、電力系統に、又は、顧客に直接的に分配する前に、再びAC電力に変換するために使用され得る。DC電力からAC電力に変換する、そのような電力変換器508は、インバータと称されることがある。いくつかの実施形態によれば、1又は複数のバッテリチャージャ510は、電力変換器508からDC電力を受け、受けたDC電力を使用して1又は複数のストレージデバイスを充電するように設計され得る。充電プロトコルは、充電されているストレージデバイスの種類及びサイズに依存する。
【0066】
いくつかの実施形態によれば、制御ステーション502は、オペレータが流体力学システム100の1又は複数のコンポーネントの健康状態をモニタリングすることを可能にするタッチスクリーンディスプレイ又は他のタイプのユーザインタフェースを有する1又は複数のコンピューティングデバイスを含む。インタフェースは、流体力学システム100内のロータのいずれかの回転を遅くする又は停止するための緊急又は手動ブレーキ機能を含み得る。いくつかの実施形態において、オペレータは、発電機の過熱、ブレーキの故障、電気の故障、ロータの故障などの任意のアラームが作動した場合、アラートされ得る。様々なセンサ又はコントローラから収集された診断の詳細は、タッチスクリーンディスプレイ又は他のタイプのユーザインタフェースを介して提供され得る。そのようなセンサ/コントローラは、いくつかの例を挙げると、音響センサ、振動センサ、ロータブレーキの状態をモニタリングするためのブレーキ状態センサ、充電速度、充電電流、及びバッテリ電圧などのストレージデバイスについての診断情報を提供するためのバッテリモニタ、過充電からストレージデバイスを保護し充電速度を制御するためのバッテリコントローラ、及び、最大及び最小の潜在的な流速の値を予測するための音響ドップラー流速プロファイラセンサを含み得る。
【0067】
図6は、いくつかの実施形態による、ロータ401、より具体的には、ロータブレード402の形状についての幾何学的詳細の例を示す。各ロータ401は、ハブ428から放射状に延在する3つの同一のロータブレード402を有するように設計され得る。いくつかの例において、ロータブレード402は、根元において、約0.225~約0.275の間、および、先端において、約0.050~約0.100の間の弦対直径比(c/D)を有し得る。別の例において、ロータブレード402は、根元から先端まで、約0.2~約0.6の間のブレード長さ対直径比(b/D)を有する。別の例において、ハブ428の直径(dhub)及びロータ直径(D)の間の比は、0.075~0.100の間である。いくつかの実施形態において、ハブ428は、ロータ401の直径(D)の約7%など、ロータ401の直径(D)の10%より小さい直径(dhub)を有する。いくつかの例において、dhubは、約3インチ(7.62センチメートル)~約5インチ(12.7センチメートル)の間、例えば、約3.9インチ(9.9センチメートル)などである。
【0068】
前に説明したように、流体力学システムのダクトは、複数の可能なサイズを有することができる。(例えば、直径数十フィートのオーダの)より大きいダクトが、より永続的な流体力学システムに使用され得、数週間又は更には数年間の期間にわたって電力を提供するために、(例えば、アンカ構造104を使用して)場所にアンカリングされ得る。しかしながら、(例えば、約1~3フィート(30.48~91.44センチメートル)の間の直径を有するダクトを有する)より小さい流体力学システムは、オンデマンド電力用途及び/又は一時的発電のためのポータブル(例えば、1~2人による運搬が可能である)発電機を提供できる。そのようなより小さい流体力学システムは、より浅い水(河川、小川、又は湖など)の中により迅速に配備し、より迅速に除去することができるので、変換動作、又は、水源に近い、迅速で一時的な電力を必要とする任意の用途に有用である。
【0069】
図7A図7Mは、いくつかの実施形態による、より小さいダクト設計(例えば、直径2フィート未満)を使用する流体力学システム700の様々な図を示す。流体力学システム700内の電気運動機構(例えば、ロータ、機械的連結など)は、より大きい流体力学システム100について上で記載されたものと同様であり得るが、スケールダウンされた寸法を有する。しかしながら、流体力学システム700の設計の他の態様は、そのより小さいサイズ及びポータビリティを利用するために、異なり得る。これらの他の態様のいくつかは、流体力学システム700についての安定性、及び、望ましい場合に流体力学システム700が水中で180度反転することを可能にする適合性の両方を提供するアンカシステムを含む。
【0070】
図7Aは、いくつかの実施形態による流体力学システム700の側面図を示す。より大きいバージョンのように、流体力学システム700は、水がダクト702を通過して、ダクト702内に配置された1又は複数のロータを回転させることを可能にするダクト702を含む。ダクト702は、両端における2つの開口の間に接続された流路を含む。ダクト702の各開口の直径は、2つの開口を接続する流路の中間点の直径より大きい。いくつかの実施形態において、ダクト702は、図2A図2Cを参照して記載されたダクト102と同様の形状を有する。しかしながら、いくつかの他の実施形態において、ダクト702は、流路の両端における両方の開口の間の連続する湾曲した(例えば、放物線状に湾曲した)表面を有する、図7Aに示されたものと同様の形状を有する。なお他の実施形態において、ダクト702は、開口の間に流路を形成する湾曲した内面を有するが、開口の間に平らな外面を有する。ダクト702は、複合材料、軟鋼、又はステンレス鋼など、任意の軽量かつ十分な剛性の材料から形成され得る。
【0071】
いくつかの実施形態によれば、発電機を各々が保持する複数のパレット704が、ダクト702の特定の部分に沿って配置される。複数のパレット704は、列状に配列され得、任意の数のパレット(1つだけを含む)を提供できる。各パレットは、各パレット内の発電機に対する迅速かつ容易なアクセスを提供するために容易に挿入及び除去できる。発電機は、流体力学システム100について上に記載されたものと同一の方式で機能し得る。複数のパレット704のいずれかは、各パレット704の挿入及び除去を容易にするためのハンドル又はいくつかの他の吊り上げ点を含み得る。いくつかの実施形態において、パレット704のいずれかは、流体力学システム700によって生成される電気から充電できる1又は複数の再充電可能バッテリを保持する。
【0072】
いくつかの実施形態によれば、プラットフォーム706が各開口の間にダクト702の長さに沿って提供される。プラットフォーム706は、長さの一部に沿って延び、ダクト702から外向きに延在する。いくつかの実施形態において、ダクト702は、2つの同一のプラットフォーム706を、ダクト702の各側に1つずつ含む。プラットフォーム706は、水中に配置されるときにダクト702の安定化を提供する空気力学設計を含み得る。追加的に、プラットフォーム706は、ダクト702を運ぶことを助けるための把持点を提供し得る。いくつかの実施形態において、プラットフォーム706は、プラットフォーム706の一部に沿って延在するフィン707を含む。フィン707は、水中に配置されたときのダクト702の増加した安定化のために提供され得る。いくつかの実施形態において、フィン707は伸縮可能であり、保管及び輸送中にプラットフォーム706内に収縮でき、ダクト702が水中に配置された後に、安定化の強化を提供するために外向きに延在できる。
【0073】
いくつかの実施形態によれば、ダクト702は、水底内に穿孔される、螺旋状アンカなどのアンカ708を使用して水面下に保持される。ケーブル710は、アンカ708に巻き付くか、又は、そうでない場合、アンカ708に取り付けられ、ダクト702上の2又はより多くの連結点712に延びる。連結点712が、ダクト702の長さに沿って同一の水平平面に沿って配置され得る。いくつかの実施形態において、各連結点712は、ダクト702の対応する端の近くに位置し、安定性を増加させるためにアンカ708からのより広い角度をケーブル710に与える。
【0074】
いくつかの実施形態によれば、ダクト702の2つの開口の各々は、ダクト702の内側のロータを保護するために、格子714でカバーされる。格子714は、デブリが格子714と接触した後にダクト702の開口から滑動して離れることを受動的に生じさせるために、示されるような凸形状を有することができる。いくつかの実施形態において、格子714は、繰り返しの正方形パターン、繰り返しのひし形パターン、又は繰り返しの三角形パターンなどの繰り返しパターンを含む。格子714は、ステンレス鋼から作ることができるが、優れた抗生物付着性特性を有する任意の他の十分な剛性の材料も使用され得る。いくつかの実施形態において、格子714は、ダクト702の中心に向かって内向きに曲がる凹形状に反転されるほど十分に柔軟である。
【0075】
図7Bは、いくつかの実施形態による、ダクト702の流路を通じて見るときの流体力学システム700の異なる図を示す。いくつかの実施形態によれば、水面下でダクト702を安定化することを助けるために、フィン707がダクト702の両側で延在する。水面下でダクト702の位置を維持するために、ダクト702の両側で2つのアンカ708が使用され得る。いくつかの実施形態によれば、ダクト702は、約2フィート(60.96センチメートル)及び約3フィート(91.44センチメートル)の間(例えば、2.35フィート(71.62センチメートル))の深度Dを有する水中環境に配置され得る。ダクト702は、約4フィート(121.92センチメートル)及び約5フィート(152.4センチメートル)の間(例えば、4.81フィート(146.6センチメートル))の距離Wだけ空間を空けられたアンカ708を使用して水底にアンカリングされ得る。図7Cは、ダクト702を水面の下の場所に繋ぐ両方のアンカ708を示す流体力学システム700の別の図を示す。
【0076】
図7Dは、いくつかの実施形態による、ダクト702の断面図を示す。上に記載されたダクト102と同様に、ダクト702は、流路の周りに巻き付いて、本明細書に説明される様々な機械的コンポーネント又は他の要素を保持する環状区画715を有し得る。例えば、環状区画715は、ダクト702の浮力に影響を与えるために空気又は水で個々に充填できる1又は複数のバラストタンク716を含み得る。いくつかの実施形態において、環状区画715はまた、空気で充填されたままのチャンバ718を含む。何のチャンバ又はバラストタンクが空気又は水で充填されるかに応じて、ダクト702が水面のすぐ下に浮かぶように、ダクト702の浮力は変更され得る。いくつかの実施形態において、ダクト702を前方又は後方へ傾かせ、従って、ダクト702全体を水中で180度反転させ、結果として、ダクト702の向きを水流の方向に沿って逆にするために、バラストタンク716のいずれかは、水で充填できる。いくつかの実施形態において、ダクト702の場所を、水面の下の水柱の中の任意の位置に調節するために、バラストタンク716のいずれかは水で充填できる。バラストタンク716はまた、ダクト702の角度を水の流れに対して制御するために使用され得る。例えば、バラストタンク716は、ダクト702の角度を水平の±10度に調節できる。バラストタンク716はまた、例えば、塩分又は温度の変化に起因する水密度の変化を補償するために調節できる。この方式で、アンカ又はテザー上の浮力を一定に維持できる。
【0077】
環状区画715はまた、いくつかの実施形態による、パレット704を対応する凹部720に配置するための1又は複数の中空凹部720を含む。上で説明されたように、パレット704は、流体力学システム700によって生成されたエネルギーを貯蔵するための発電機又はバッテリを収容し得る。ダクト702の流路において、1又は複数のロータ722が、ダクト702の内面に接続された1又は複数のストラット724を介して懸架される。ロータ722の動作及び設計は、流体力学システム100からのロータ401のものと同様であり得る。3つのロータが示されているが、流体力学システム700は、図4Bを参照して上で説明されたように、反対方向に回転するために搭載及び設計された2つだけのロータを含み得る。
【0078】
いくつかの実施形態によれば、流体力学システム700は、移動する水塊又は潮汐の水流を用いて、任意の目的地でローカル電力を生成可能である。このローカルに生成された電力は次に、水中のコネクタ又は他の電気コネクタを介して、任意の数の他の水中又は水上の船舶へ直接伝えることができる。さらに、電力は、1又は複数の電源ケーブルを介して任意の陸上の場所へ供給できる。
【0079】
図7Eは、いくつかの実施形態による流体力学システム700のサイズを示す。いくつかの例において、流体力学システム700は、約2フィート(60.96センチメートル)~約3フィート(91.44センチメートル)の間(例えば、2.55フィート(77.72センチメートル))の長さ(L)、及び、約1.5フィート(45.72センチメートル)~約2フィート(60.96センチメートル)の間(例えば、1.85フィート(56.38センチメートル))の全直径(D)を有する。いくつかの実施形態によれば、流体力学システム700は、到達が難しい場所における輸送を容易にするために、大人の背中に快適に適合するサイズ(例えば、約6フィート(182.88センチメートル)の高さを有する)である。
【0080】
図7Fは、いくつかの実施形態による、凹形状を作成するために反転された格子714を有する流体力学システム700の別の図を示す。格子714は、流体力学システム700の輸送をより容易にするために反転され得る。
【0081】
図7Gは、いくつかの実施形態による、リムカバー726がダクト702の一端から除去された流体力学システム700の別の図を示す。リムカバー726は、ダクト702の所与の端にネジ留めされ得、反対の端にも同一のリムカバーがある。ケーブル又は任意の他の品目を保持するために使用できる環状凹部728を露出するために、いずれか又は両方のリムカバーは取り外し可能であり得る。いくつかの実施形態において、リムカバー726は、ダクト702の端にリムカバーを保持する様々なネジを外すことによって除去される。いくつかの他の実施形態において、リムカバー726は、ダクト702の端の上の場所にはめ込まれ、十分な量の力が加わると飛び出すことができ、環状凹部728を露出する。
【0082】
図7Hは、実施形態による、1又は複数のケーブル730が詰め込まれた環状凹部728の内側の図を示す。いくつかの例において、1又は複数のケーブル730は、引き抜かれて水底に打ち込まれることができるアンカ732に接続されたケーブルを含む。図7Iは、アンカケーブル734が環状凹部728内からどのように繰り出されることができるかを示す。いくつかの実施形態によれば、アンカケーブル734は、一端に接続されたアンカ732を有し、それにより、環状凹部728から迅速に引き出し、アンカケーブル734になお取り付けられたままで、水底の中に配備されることができる。いくつかの実施形態によれば、アンカケーブル734の他端部は、ダクト702上の任意のアンカ点712に取り付けることができる。1又は複数のケーブル730はまた、環状凹部728から繰り出され、(流体力学システム700上の1又は複数の発電機のいずれかによって生成された)電力を任意の陸上デバイスに提供するために使用されることができる電源ケーブルを含み得る。
【0083】
図7Jは、実施形態による、流体力学システム700の開口の1つの縁部のより近い図を示す。ダクト702のいずれかの端又は両方の端において、ホース736は、開口の周囲の少なくとも一部の周りに延在できる。ホースは、機上で生成できる殺生物剤を分配するために使用できる。ホース736は、約3/8インチ(0.952センチメートル)の壁厚、及び、例えば、1/4インチ(0.635センチメートル)~2インチ(5.08センチメートル)の管直径を有し得る。ホース736は、開口738を含むことができ、又は、多孔性にすることができる。開口又は孔は、その周囲全体又は1又は複数の部分だけの周りに延在できる。ホース736は、金属又はポリマーから構成されることができ、SerpentScale EPDM顆粒などの材料を用いて塗装、陽極酸化、又はコーティングされ得る。ホースに好ましい材料は、例えば、PTFE、PFA、CPVC、及びE-CTFEを含むハロゲン化ポリマーなどの、塩素及び次亜塩素酸塩に抵抗性を有するものを含む。
【0084】
ホース736は、殺生物剤源から、ダクトの内面、ロータ、ストラット、又は、生物付着を受けやすいデバイスの任意の一部への流体連通を提供できる。殺生物剤源は、殺生物剤のリザーバであり得るか、又は、殺生物剤生成器であり得る。いくつかの実施形態において、殺生物剤は、海水から生成され、例えば、その各々が海水から電気分解されることができ、効果的な海洋殺生物剤である、塩素ガス、次亜塩素酸(hypochlorite)イオン、又は、次亜塩素酸(hypochlorous)イオンなどの塩素化合物であり得る。電気分解された海水は、機上の発電機からの電気を使用して生成でき、又は、バッテリ又はキャパシタなどからの貯蔵された電力を使用して生成できる。具体的な例において、チタン電極を使用して、次亜塩素酸ナトリウムが海水から直接生成される。同時に、水素ガスを電気分解でき、貯蔵又は排出できる。海水における塩素化合物の生産時に、化合物は、即時に分配できるか、又は、貯蔵して後の時間に解放することができる。
【0085】
本明細書で使用されるように、周囲の海水を用いた処理と比較して、藻類、ぬめり、及び、フジツボなどの生物増殖が防止又は阻止される場合、化合物は「殺生物効果」を提供する。塩素化合物は、ダクトを通過する水に流されるとき、デバイスの1又は複数の部分に対する殺生物効果を提供するほど十分に高い濃度で提供される。例えば、塩素化合物の生産時の濃度は、100mg/Lより大きく、1000mg/Lより大きく、又は、10000mg/Lより大きくすることができる。海水に分配され、ホース736の1フィート下流で測定された後の塩素化合物の濃度は、0.1mg/Lより大きく、0.5mg/Lより大きく、1mg/Lより大きく、又は2mg/Lより大きくすることができる。デバイスの様々な表面との接触時間を改善するために、ダクトを通る水流が最大でないときに、塩素化合物が分配されることができる。例えば、塩素化合物は、ダクトを通る流量が、1m/s未満、0.5m/s未満、又は、0.1m/s未満であるときに分配できる。潮汐の用途において、これらの遅い流量は、憩流の前後に見られ得る。潮及び水流は正確に予測できるので、低い流量の条件を利用するために、塩素化合物は、事前に計画されたスケジュールで生成及び分散できる。
【0086】
生物付着はまた、淡水において発生し得るが、塩水が利用可能でない淡水の用途において、塩素化合物生産のための原材料を提供するために塩又は塩水のリザーバを機上に含めることができる。塩水を塩化物源として使用することにより、塩素化合物は、海水において使用されるのと同様の方法を使用して電気分解できる。電力は、流体力学システムによって提供でき、分配は、海水の場合と同じように発生し得る。デバイスが断続的に反転されて方向を変更し、引っ掛かった材料を解放する実施形態において、塩素化合物の解放は、位置変更と調和させることができ、その結果、デバイスのほとんど又はすべてが、殺生物効果を提供する塩素化合物のレベルに晒される。
【0087】
いくつかの実施形態によれば、ケーブル710は、ダクト702の長さ、又は長さの一部に沿った軌道に沿って移動できる単一連結点(図7Aに示されるような2つの連結点ではなく)に接続し得る。単一の移動可能な連結点は、なお水底にアンカリングされたまま、ダクト702が水中で反転又は回転することを可能にする。ダクト702は、ダクト702の反対側にある少なくとも2つのそのような連結点を含み得る。図7Kは、実施形態による、ダクト702の側に配列される滑動可能な連結点を示す。キャリッジ740は、T形状ブラケット又は任意の他の好適な形状など、ブラケット742にわたって横方向に滑動するように設計される。いくつかの実施形態によれば、キャリッジ740は、ケーブル710を取り付けることができるループ744を含む。いくつかの実施形態において、キャリッジ740は、キャリッジ740を通過するケーブルを引く力に基づいて、ブラケット742にわたって自由に滑動できる。いくつかの実施形態において、キャリッジ740をブラケット742にわたって移動させるために、スクリュー機構746が提供される。スクリュー機構746は、流体力学システム700上の発電機のいずれかから引き込まれる電力を使用して作動され得る。
【0088】
図7Lは、実施形態による、ブラケット742に連結されたキャリッジ740の別の図を示す。キャリッジ740は、ブラケット742の周りにクランプする形状を有するボディ748を含み得、ボディ748がブラケット742にわたって横方向に滑動することを可能にする。ボディ748には、ループ744が回転可能に取り付けられ得る2又はより多くの係留750が連結され得る。いくつかの例において、ループ744は、係留750の各々の中心を通過する軸の周りを自由に回転する。
【0089】
図7Mは、実施形態による、単一アンカ708への、その下側にある単一連結点を使用する流体力学システム700の別の図を示す。実施形態によれば、ケーブルが、キャリッジ740の一部であるループ744の端に留められる。図7K及び図7Lを参照して上で説明したように、キャリッジ740は、ダクト702の底に沿って平行移動され得る。ケーブル連結点の位置を変更することによって、ダクト702は、不安定になり、水中で180度反転できる。例えば、キャリッジ740は、ダクト702の表面に沿って、横方向平面の中心がキャリッジ740の他の側にシフトする点に平行移動されることができ、ダクトをその元の位置から180度の方向において最も安定にする。これは、格子714に対して存在し得る任意の妨害物を取り払うことを助けるのに非常に有用であり得る。いくつかの実施形態によれば、アンカ708は、Eco-Mooring(Milford, NH)によって提供される螺旋アンカなどの螺旋アンカである。同様のプロセスが、2つのアンカライン及び2つのアンカ点を使用して実行でき、ここで、両方のアンカ点は、デバイスがその元の位置から180度反転するまで長手方向に移動される。いくつかの実施形態によれば、ダクト702の長さLは、約0.7m~約1.3mの間、例えば、約1mなどである。いくつかの実施形態によれば、ダクト702の全幅Wは、約0.4m~約0.7mの間、例えば、約0.57mなどである。
【0090】
いくつかの実施形態において、流体力学システム700は、水底の代わりに任意の表面にアンカリングされ得る。例えば、1又は複数のアンカは、極地領域において、浮遊する氷の下側に固定できる。これは、水がどれだけ深いことがあり得るかにかかわらず、流体力学システム700を水面から一定の深度に維持することを可能にし得る。流体力学システム700は、その深度、及び、氷に対するその相対的な場所を維持する。保持ラインが氷に下から穿孔され得るか、又は、ケーブルが完全に氷を通過して、例えば、氷の上表面にあるT又はマッシュルーム形アンカ機構を用いて維持され得る。
【0091】
いくつかの状況において、流体力学システム700は、空中から(ヘリコプター又は他の航空機などから)水塊に落とされ得る。したがって、ダクト702及びロータ機械は、ダクト702が空中から落とされた後、水面に衝突した衝撃に耐えるよう設計されている。いくつかの実施形態によれば、アンカケーブルは、ダクト702の外側面の周りに巻かれ得る。アンカケーブルは次に、水中に配置された後、自然にダクト702から展開され得る。いくつかの実施形態によれば、アンカの重量は、アンカが水床に埋め込まれるまで、展開(unspooling)の動きを継続する。典型的には、展開の実施形態は、単一アンカライン及び単一アンカを伴う。落とされる領域の深度が知られている場合、アンカラインの長さを厳密に選択できる。他の場合では、床にアンカを埋め込めるほど十分に長いアンカラインが提供され、水柱におけるデバイスの実際の位置は、フィン又はバラストタンクのうちの1又は複数を使用して調節できる。
【0092】
図8は、いくつかの実施形態による、水塊に流体力学システムを配備するための方法を記載するフローチャート800を示す。方法は、システムを水中環境の床にアンカリングすることを伴い、ここで、アンカ構造及び流体力学システムの両方は、まず共に取り付けられ、その後、その2つが共に水に沈められる。フローチャート800のそれぞれのブロックに記載される動作、機能、又は作用は、示されるものと異なる順序で実行され得、任意の2又はより多くのブロックが、いくつかの状況において、同時に実行され得る。
【0093】
いくつかの実施形態によれば、ブロック802において、アンカは水床に固定される。T字アンカ、スクリューアンカ、プレートアンカ、又は射出エンベッドメントアンカなど、任意の種類のアンカが使用され得る。アンカは、アンカの上に整列されるアンカ構造からの脚の位置を一致させるために、特定のパターンで配列され得る。
【0094】
いくつかの実施形態によれば、ブロック804において、ケーブルがアンカに固定される。アンカが水床に打ち込まれる前に、ケーブルは、各アンカに留められ、又は溶接され得る。ケーブルは、水床から水面上に延在するほど十分長いことがあり得、その結果、ケーブルの他端部は、アンカ構造104などのアンカ構造と共に使用できる。
【0095】
いくつかの実施形態によれば、ブロック806において、流体力学デバイスがアンカ構造に固定される。例えば、流体力学デバイス100などの流体力学デバイスは、水がダクトを通過して、ダクト内のロータを回転させることを可能にするために、大きいダクトを含み得る。ダクトの円筒形状は、アンカ構造104などのアンカ構造に連結されたクレードル上に載り得る。いくつかの実施形態によれば、流体力学デバイスがアンカ構造に固定された後に、その2つが水面の下に沈められる。
【0096】
いくつかの実施形態によれば、ブロック808において、アンカに取り付けられたケーブルは、アンカ構造の脚を通る。アンカ構造の脚は、所与のアンカのケーブルがアンカ構造の脚の1つを通ることを可能にするために中空部を含む。いくつかの例において、ケーブルは、所与の脚の遠位端を通り、脚の反対の端から現れる。
【0097】
いくつかの実施形態によれば、ブロック810において、流体力学デバイスの浮力が低減される。浮力は、ダクトの一部など、流体力学デバイス上の1又は複数のバラストタンクの使用を介して低減できる。特定のバラストタンクは、部分的に又は完全に水で充填され、流体力学デバイスの重量を変更し、流体力学デバイスが水中に沈む速度に影響を与えることができ、又は、流体力学デバイスを水面下の所与の位置に留まらせることができる。
【0098】
いくつかの実施形態によれば、ブロック812において、アンカ構造(流体力学デバイスが取り付けられている)は、水中でアンカの上に誘導される。アンカ構造は、アンカ構造の脚のうちの1又は複数を通じて延びるケーブルを介して誘導され得る。アンカ構造が水中にゆっくり沈む間、ケーブルは、ピンと張られ得る。いくつかの実施形態によれば、脚の各々が水床上の対応するアンカの上に運ばれるまで、アンカ構造の整列及び一般的な位置は、ケーブルによって誘導される。
【0099】
いくつかの実施形態によれば、ブロック814において、アンカ構造が水床に固定される。いくつかの実施形態によれば、アンカ構造が位置へ沈みながら様々なアンカの上に整列されるとき、それぞれのフットパッドを有するアンカ構造の各脚は、水床上の対応するアンカをカバーする。いくつかの実施形態において、アンカ構造の各脚内に配置された一連の滑車及びカムは、ケーブルをピンと張り、従って、アンカ構造を水床に固く取り付けるために使用される。
【0100】
図9は、いくつかの実施形態による、流体力学システムを水塊に配備するための別の方法を記載するフローチャート900を示す。方法は、システムを水中環境の床にアンカリングし、ここで、アンカ構造はまず、水床に取り付けられ、その後、流体力学システムが沈められアンカ構造に取り付けられることを伴う。フローチャート900のそれぞれのブロックに記載される動作、機能、又は作用は、示されるものと異なる順序で実行され得、任意の2又はより多くのブロックが、いくつかの状況において、同時に実行され得る。
【0101】
いくつかの実施形態によれば、ブロック902において、アンカは水床に固定される。T字アンカ、スクリューアンカ、プレートアンカ、又は射出エンベッドメントアンカなど、任意の種類のアンカが使用され得る。アンカは、アンカの上に整列されるアンカ構造からの脚の位置を一致させるために、特定のパターンで配列され得る。
【0102】
いくつかの実施形態によれば、ブロック904において、ケーブルがアンカに固定される。アンカが水床に打ち込まれる前に、ケーブルは、各アンカに留められ、又は溶接され得る。ケーブルは、水床から水面上に延在するほど十分長いことがあり得、その結果、ケーブルの他端部は、アンカ構造104などのアンカ構造と共に使用できる。
【0103】
いくつかの実施形態によれば、ブロック906において、アンカに取り付けられたケーブルは、アンカ構造の脚を通る。アンカ構造の脚は、所与のアンカのケーブルがアンカ構造の脚の1つを通ることを可能にするために中空部を含む。いくつかの例において、ケーブルは、所与の脚の遠位端を通り、脚の反対の端から現れる。
【0104】
いくつかの実施形態によれば、ブロック908において、アンカ構造だけが水中でアンカの上に誘導される。アンカ構造は、アンカ構造の脚のうちの1又は複数を通じて延びるケーブルを介して誘導され得る。アンカ構造が水中にゆっくり沈む間、ケーブルは、ピンと張られ得る。いくつかの実施形態によれば、脚の各々が水床上の対応するアンカの上に運ばれるまで、アンカ構造の整列及び一般的な位置は、ケーブルによって誘導される。
【0105】
いくつかの実施形態によれば、ブロック910において、アンカ構造が水床に固定される。いくつかの実施形態によれば、アンカ構造が位置へ沈みながら様々なアンカの上に整列されるとき、それぞれのフットパッドを有するアンカ構造の各脚は、水床上の対応するアンカをカバーする。いくつかの実施形態において、アンカ構造の各脚内に配置された一連の滑車及びカムは、ケーブルをピンと張り、従って、アンカ構造を水床に固く取り付けるために使用される。
【0106】
いくつかの実施形態によれば、ブロック912において、流体力学デバイスの浮力が低減される。浮力は、ダクトの一部など、流体力学デバイス上の1又は複数のバラストタンクの使用を介して低減できる。特定のバラストタンクは、部分的に又は完全に水で充填され、流体力学デバイスの重量を変更し、流体力学デバイスが水中に沈む速度に影響を与えることができ、又は、流体力学デバイスを水面下の所与の位置に留まらせることができる。
【0107】
いくつかの実施形態によれば、ブロック914において、流体力学デバイスは、水中で、水床におけるアンカ構造へ誘導される。流体力学デバイスは、水にゆっくり沈んでいるとき、流体力学デバイスの位置決めを助けるために1又は複数の海中のダイバーを介して手動で誘導され得る。いくつかの実施形態において、流体力学デバイス上のロータのうちの1又は複数が回転して、いくらかの推力をシステム全体に提供し、水中を移動させることができる。いくつかの実施形態において、流体力学デバイスの異なる部分に配列されたバラストタンクは、空気又は水で充填して、流体力学デバイスの重心及び浮力中心を変更し、従って、水中をどのように移動するかについて影響を与えることができる。これらの技法の各々は、水中でアンカ構造の上へ流体力学デバイスを誘導するために、任意の組み合わせで共に使用され得る。
【0108】
いくつかの実施形態によれば、ブロック916において、流体力学デバイスはアンカ構造に固定される。例えば、流体力学デバイス100又は流体力学デバイス800などの流体力学デバイスは、水がダクトを通過して、ダクト内のロータを回転させることを可能にするために、大きいダクトを含み得る。ダクトの円筒形状は、アンカ構造104などのアンカ構造に連結されたクレードル上に載り得る。いくつかの実施形態によれば、流体力学デバイスの重量は、水中のアンカ構造上に整列され、配置されたときに、アンカ構造のクレードル内に留まることを可能にする。いくつかの他の実施形態によれば、1又は複数の機械的ロック機構が、流体力学デバイスをアンカ構造に固定するために使用される。
【0109】
多数の具体的な詳細が本明細書において説明されたことにより、複数の実施形態について十分な理解が提供された。しかしながら、これらの具体的な詳細なしに実施形態が実施され得ることが理解される。他の事例では、周知の動作、コンポーネント、及び回路については、実施形態が曖昧にならないように詳細な記載を省いた。本明細書に開示される特定の構造的及び機能的な詳細は代表的な例であり、実施形態の範囲が必ずしもそれに限定されないことは更に理解されよう。加えて、構造的特徴及び/又は方法的作用に特定的な文言で発明主題を記載したが、添付の特許請求の範囲に規定される発明主題は、本明細書で記載した特定の特徴又は作用に必ずしも限定されないことを理解されたい。むしろ、本明細書に記載した特定の特徴及び作用は、特許請求の範囲を実施する例示的な形態として開示されたものである。
図1
図2A
図2B
図2C
図3
図4A
図4B
図5
図6
図7A
図7B
図7C
図7D
図7E
図7F
図7G
図7H
図7I
図7J
図7K
図7L
図7M
図8
図9
【国際調査報告】