(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-21
(54)【発明の名称】安全トロカールアセンブリ
(51)【国際特許分類】
A61B 17/34 20060101AFI20240514BHJP
【FI】
A61B17/34
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023573108
(86)(22)【出願日】2022-05-24
(85)【翻訳文提出日】2024-01-24
(86)【国際出願番号】 US2022030711
(87)【国際公開番号】W WO2022251203
(87)【国際公開日】2022-12-01
(32)【優先日】2021-05-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523445357
【氏名又は名称】サミュエル グレゴリー サケット
【氏名又は名称原語表記】Samuel Gregory Sackett
【住所又は居所原語表記】6279 Belvedere Green Blvd., Dublin, OH 43016, United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】サミュエル グレゴリー サケット
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160AA12
4C160MM22
(57)【要約】
トロカールアセンブリは、展開アセンブリを含み、該展開アセンブリが、開放端を有するカニューレと、カニューレ内に配置され、かつ尖端を有するトロカールと、トロカールに作用する付勢体であって、尖端が完全にカニューレ内にある安全位置から、尖端が開放端の外側に延びている延伸位置へとトロカールを押し進めるように構成されている付勢体とを含み、キーが、トロカールに解放可能に結合され、カニューレを通って延び、これによりキーは、安全位置においてトロカールに結合されている場合にトロカールを安全位置に保持し、トロカールをキーから分離することは、付勢体が安全位置から延伸位置へとトロカールを押し進めることを可能にし、シースアセンブリが、展開アセンブリに着脱可能に結合されており、シースアセンブリが、カニューレの開放端を覆うシースを含んでいる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トロカールアセンブリであって、
該トロカールアセンブリが、展開アセンブリを備え、
前記展開アセンブリが、
トロカール延伸アセンブリを備え、該トロカール延伸アセンブリが、
開放端を備えたカニューレと、
前記カニューレ内に配置され、かつ尖端を備えるトロカールと、
トロカールに作用する付勢体であって、前記尖端が完全に前記カニューレ内にある安全位置から、前記尖端が前記カニューレの前記開放端の外側に延びている延伸位置へと前記トロカールを押し進めるように構成されている付勢体とを備え、
前記トロカールアセンブリが、ロッキングアセンブリをさらに備え、該ロッキングアセンブリが、前記トロカールに解放可能に結合されかつ前記カニューレを通って延びるキーを備え、これにより前記キーは、前記安全位置において前記トロカールに結合されている場合に、前記安全位置において前記トロカールを保持し、かつ前記トロカールからキーを分離することは、付勢体が前記安全位置から前記延伸位置へと前記トロカールを押し進めることを可能にし、
前記トロカールアセンブリが、シースアセンブリをさらに備え、該シースアセンブリが、前記展開アセンブリに着脱可能に結合されており、前記シースアセンブリが、前記カニューレの前記開放端を覆うシースを備えている、トロカールアセンブリ。
【請求項2】
前記カニューレが、カニューレ軌道を備え、該カニューレ軌道内に前記キーの一部が配置されており、前記キーが前記トロカールに結合されている場合に、前記キーは、前記カニューレ内で前記トロカールを移動させるために、前記カニューレ軌道内において移動方向に移動可能である、請求項1記載のトロカールアセンブリ。
【請求項3】
前記カニューレ軌道内において前記移動方向に前記キーが移動することによって前記トロカールが前記カニューレの前記開放端から離れるように移動することにより、付勢体に付勢力が与えられる、請求項2記載のトロカールアセンブリ。
【請求項4】
前記キーは、該キーが前記トロカールに結合されている場合に、前記延伸位置から前記安全位置へと前記トロカールを移動させるために前記カニューレ軌道内において移動可能である、請求項2記載のトロカールアセンブリ。
【請求項5】
前記ロッキングアセンブリが、挿入体歯部を備えた挿入体と、前記挿入体歯部に噛み合う歯車歯部および歯車開口を備えた歯車とを備え、歯車係合区分を備えた前記キーは、該キーの回転が前記歯車の対応する回転と、前記カニューレ軌道内における前記キーの移動とを引き起こすように、前記歯車開口内に嵌合する、請求項2記載のトロカールアセンブリ。
【請求項6】
前記移動方向とは反対の方向に前記キーが移動することを阻止するように構成されているロッキングシステムをさらに備える、請求項2記載のトロカールアセンブリ。
【請求項7】
移動スリーブをさらに備え、該移動スリーブが、前記カニューレの外面に沿って移動可能であり、かつスリーブ開口を備えており、該スリーブ開口内に、前記キーの一部が配置されている、請求項2記載のトロカールアセンブリ。
【請求項8】
ハウジングをさらに備え、該ハウジング内に前記トロカール延伸アセンブリが配置されており、前記ハウジングが、前記キーを収容する軌道を備えている、請求項1記載のトロカールアセンブリ。
【請求項9】
ホースバーブをさらに備え、該ホースバーブが、前記ハウジング内に収容されていて、かつホース流出管に結合するように構成されており、前記ホースバーブが、バーブ付き端部と、該バーブ付き端部とは反対側の端部と、前記バーブ付き端部および前記バーブ付き端部とは反対側の端部を通って延びる貫通開口とを備え、前記トロカールが、前記尖端とは反対側のアンカと、該アンカに結合された軸部とを備え、前記軸部の一部と前記アンカとは、前記トロカールが前記安全位置にある場合に、前記バーブ付き端部の外側に延びている、請求項8記載のトロカールアセンブリ。
【請求項10】
前記トロカールが、抜去開口を備え、前記シースが、抜去ポストを備え、該抜去ポストは、前記トロカールを捕捉するために、前記トロカールの前記抜去開口内に嵌合するように成形され、かつサイズ設定されている、請求項1記載のトロカールアセンブリ。
【請求項11】
前記シースアセンブリが、スライド可能なドアを備え、該スライド可能なドアが、前記シースにスライド可能に結合されており、前記ドアは、前記シースに形成された開口を露出する開放位置と、前記開口を覆う閉鎖位置との間でスライド可能である、請求項10記載のトロカールアセンブリ。
【請求項12】
前記抜去ポストは、前記ドアが前記開放位置にある場合に露出しており、前記ドアが前記閉鎖位置にある場合に覆われている、請求項11記載のトロカールアセンブリ。
【請求項13】
前記シースは、前記シースアセンブリが前記展開アセンブリに結合されている場合に、前記延伸位置において前記トロカールの前記尖端を覆っている、請求項1記載のトロカールアセンブリ。
【請求項14】
前記シースアセンブリは、前記シースの2つの側壁間に延びる湾曲したカニューレ曲げ器を備え、該カニューレ曲げ器は、前記シースアセンブリが前記展開アセンブリから部分的に分離されている場合に、前記カニューレを曲げるように構成されている、請求項1記載のトロカールアセンブリ。
【請求項15】
前記付勢体が、前記トロカール上に支承されているばねを備えている、請求項1記載のトロカールアセンブリ。
【請求項16】
前記カニューレが、互いにヒンジ結合されている複数のカニューレ区分を備え、該カニューレ区分が、一緒に前記カニューレを画定する、請求項1記載のトロカールアセンブリ。
【請求項17】
ホースロッキング区分をさらに備え、該ホースロッキング区分が、前記カニューレに結合され、かつ第1のロック区分および第2のロック区分を備えており、該第1のロック区分および前記第2のロック区分のそれぞれが、それぞれのロック開口溝を備え、前記第1のロック区分は、前記それぞれのロック開口溝が一緒に、前記トロカールに整列するロック開口を形成する閉鎖位置から、前記それぞれのロック開口溝が分離されている開放位置へと、前記第2のロック区分に対して相対的に旋回可能である、請求項1記載のトロカールアセンブリ。
【請求項18】
前記シースが、前記カニューレに整列する第1のシース開口を備えた第1のシース区分と、前記第1のシース開口に対して所定の角度で延びる第2のシース開口を備えた第2のシース区分とを備える、請求項1記載のトロカールアセンブリ。
【請求項19】
前記トロカールに係合したトロカールピストンをさらに備え、前記付勢体は、前記トロカールを前記安全位置から前記延伸位置へと押し進めるために前記トロカールピストンに作用する、請求項1記載のトロカールアセンブリ。
【請求項20】
カニューレ内に配置されているトロカールを挿入し、かつ除去する方法であって、該方法が、
前記トロカールに作用する付勢体に付勢力を与えるステップであって、前記付勢体は、前記トロカールの尖端が完全に前記カニューレ内にある安全位置から、前記尖端が前記カニューレの開放端の外側に延びている延伸位置へと前記トロカールを押し進めるように構成されており、結合されたシースが、前記カニューレの前記開放端を覆っている、ステップと、
前記トロカールに結合され、かつ前記カニューレを通って延びているキーにより前記トロカールを前記安全位置に保持するステップと、
前記シースを分離するステップであって、これにより前記カニューレの前記開放端が露出しているステップと、
前記カニューレの前記開放端を患者の皮膚上に、または皮膚に隣接して置くステップと、
前記トロカールを解放するために前記キーを運動させるステップであって、これにより、前記尖端が前記患者の皮膚を貫通するように、前記付勢体が前記トロカールを前記安全位置から前記延伸位置へと押し進めるステップと、
前記トロカールに形成された抜去開口内に前記シースの抜去ポストが嵌合することにより、前記シースを用いて前記トロカールの前記尖端を捕捉するステップと
を有する、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の背景
1.発明の分野
本発明は、外科手術用デバイス、より詳細には、トロカールアセンブリに関する。
【0002】
2.関連技術の説明
トロカールは、患者の軟部組織および皮膚に開口を形成するための医療処置において使用されることが多い。開口を形成するために、トロカールは鋭くされた尖端を有していなければならず、この尖端は、開口を形成するために患者の軟部組織および皮膚を貫通する。患者の皮膚を貫通する前のトロカールの取扱いは、医療従事者を鋭く刺してしまう危険を成し得る。医療従事者は、トロカールを開梱し、このトロカールを外科医に手渡すときに、トロカールの尖端でうっかり自分の皮膚を貫いてしまうことがある。トロカールが使用前に汚染された場合、そのトロカールは廃棄しなければならず、かつ処置のためには別のトロカールが必要とされる。
【0003】
トロカールが、例えば創部用ドレーンを手術部位に挿入するための開口を形成するために使用される場合、これは外科医にとって危険であり得る。患者の皮膚をトロカールで貫通することは、トロカールが体から出るまで、トロカールをかなりの速度および力で、体腔の内側から軟部組織および皮膚を通して運動させることを必要とする。外科医の手袋はしばしば滑液で覆われており、この滑液は軟部組織および皮膚を通してトロカールを押し進めようとする場合に手袋およびトロカールを滑り易くしてしまう。トロカールが一旦軟部組織を通過すると、しっかりと掴み、除去し、廃棄することは困難でありかつ危険となり得る。さらに、開口の形成後に皮膚の外側に延びているのは、通常はトロカールの尖端であり、このことは、医療従事者にとって顕著な突刺しの危険および血液媒介性病原菌のリスクを成す。
【0004】
当該技術分野において必要とされていることは、不注意による突刺しのリスク、患者に対する汚染リスクおよびトロカールの尖端による医療スタッフに対する血液媒介性病原菌のリスクを低減する、医療処置中に、トロカールを開梱し、手渡し、挿入し、除去し、かつ廃棄する方法である。
【0005】
発明の概要
本発明は、キーを備えたトロカールアセンブリであって、キーがトロカールを安全位置に保持し、これによりトロカールの尖端は、トロカールがカニューレの開放端の外側に延びている延伸位置へとトロカールを付勢体が押し進めることを可能にするためにキーがトロカールから分離されるまで、カニューレ内に保持されている。着脱可能なシースは、カニューレの開放端を覆っており、延伸位置においてトロカールを完全にまたは部分的に覆っていてよい。
【0006】
本発明は、1つの形態においてトロカールアセンブリを対象とし、トロカールアセンブリが、展開アセンブリを含み、展開アセンブリが、トロカール延伸アセンブリを含み、トロカール延伸アセンブリが、開放端を有するカニューレと、カニューレ内に配置され、かつ尖端を有するトロカールと、トロカールに作用する付勢体であって、尖端が完全にカニューレ内にある安全位置から、尖端がカニューレの開放端の外側に延びている延伸位置へとトロカールを押し進めるように構成されている付勢体とを含み、トロカールアセンブリが、さらにロッキングアセンブリを含み、ロッキングアセンブリが、トロカールに解放可能に結合されかつカニューレを通って延びるキーを含み、これによりキーは、安全位置においてトロカールに結合されている場合に、安全位置においてトロカールを保持し、トロカールからキーを分離することは、付勢体が安全位置から延伸位置へとトロカールを押し進めることを可能にし、トロカールアセンブリが、さらにシースアセンブリを含み、シースアセンブリが、展開アセンブリに着脱可能に結合されており、シースアセンブリが、カニューレの開放端を覆うシースを含んでいる。
【0007】
本発明は、別の形態において、カニューレ内に配置されているトロカールを挿入し、かつ除去する方法を対象とする。方法は、トロカールに作用する付勢体に付勢力を与えるステップであって、付勢体は、トロカールの尖端が完全にカニューレ内にある安全位置から、尖端がカニューレの開放端の外側に延びている延伸位置へとトロカールを押し進めるように構成されており、結合されたシースが、カニューレの開放端を覆っている、ステップと、トロカールに結合され、かつカニューレを通って延びているキーによりトロカールを安全位置に保持するステップと、シースを分離するステップであって、これによりカニューレの開放端が露出しているステップと、カニューレの開放端を患者の皮膚上に、または患者の皮膚に隣接して置くステップと、トロカールを解放するためにキーを運動させるステップであって、これにより、尖端が患者の皮膚を貫通するように付勢体がトロカールを安全位置から延伸位置へと押し進めるステップと、トロカールに形成された抜去開口にシースの抜去ポストが嵌合することにより、シースを用いてトロカールの尖端を捕捉するステップとを含む。
【0008】
本発明の1つの利点は、トロカールを開梱し、手渡し、手術部位内に位置決めする間に、キーが取り外されるまで、トロカールの尖端をカニューレの内部に保持することができ、これにより、尖端が不注意で医療スタッフを傷つけるリスクを減じることである。
【0009】
別の利点は、尖端が不注意で展開された場合でさえも、着脱可能なシースがユーザを保護するために延伸位置において尖端を覆っていることである。
【0010】
さらに別の利点は、展開後にトロカールを除去しかつ廃棄する間に尖端を捕捉し隠蔽するためにシースを使用することができ、医療従事者がトロカールの尖端で自身を刺してしまうリスクをさらに減じることである。
【0011】
添付の図面と併せて本発明の実施形態の以下の説明を参照することにより、本発明の上述の特徴および利点ならびに別の特徴および利点と、これらの特徴および利点を達成する方法とがより明確となり、本発明がよりよく理解される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】展開アセンブリと、展開アセンブリに着脱可能に結合されたシースアセンブリとを含む、本発明により提供されたトロカールアセンブリの1つの例示的な実施形態を示す平面図である。
【
図2】
図1のトロカールアセンブリを示す斜視図である。
【
図3】
図1~
図2に示したトロカールアセンブリのハウジングの一部を示す斜視図である。
【
図4】
図1~
図2に示したトロカールアセンブリのホースクランプおよびホースバーブを示す斜視図である。
【
図5】
図1~
図2に示したトロカールアセンブリの挿入体を示す斜視図である。
【
図6】
図5に示した挿入体の挿入体歯部に係合した歯車を示す下面図である。
【
図7】
図1~
図2に示したトロカールアセンブリにおいて使用され得るキーを示す側面図である。
【
図8】
図7に示したキーおよび
図6に示した歯車を示す分解図である。
【
図9】
図1~
図2に示したトロカールアセンブリに含まれ得るホースクランプを示す斜視図である。
【
図10】延伸位置におけるトロカールを備えた、
図1~
図2に示したトロカールアセンブリのトロカール延伸アセンブリを示す断面図である。
【
図11A】
図10に示したトロカール延伸アセンブリのカニューレを示す平面図である。
【
図11B】
図10に示したトロカール延伸アセンブリのトロカールを示す平面図である。
【
図11C】
図10に示したトロカール延伸アセンブリのホースバーブを示す断面図である。
【
図11D】
図10に示したトロカール延伸アセンブリのばねを示す側面図である。
【
図12】展開アセンブリから分離された、
図1に示したトロカールアセンブリのシースアセンブリを示す下面図である。
【
図13】
図12に示したシースアセンブリを示す背面図である。
【
図14】トロカールが安全位置にあり、キーによって安全位置に保持されている場合の、
図1~
図2に示したトロカールアセンブリを示す断面図である。
【
図15】
図12~
図13に示したシースアセンブリを使用して患者から除去されたトロカールを示す図である。
【
図16A】延伸位置におけるトロカールを備えた、本発明により提供されたトロカールアセンブリの別の例示的な実施形態を示す斜視図である。
【
図16B】安全位置におけるトロカールを備えた、
図16Aに示したトロカールアセンブリを示す斜視図である。
【
図18】ホースロッキング区分が開放させられた場合の、
図16A~
図16Bに示したトロカールアセンブリを示す斜視図である。
【
図19】カニューレが開放されている場合の、
図16A~
図16Bに示したトロカールアセンブリを示す斜視図である。
【
図20】ばねスリーブおよびトロカールピストンを含む、トロカール延伸アセンブリの例示的な或る実施形態を示す斜視図である。
【
図21】ばねが取り外された状態で、
図20に示したトロカール延伸アセンブリの一部を示す別の斜視図である。
【
図22】トロカールピストンのトロカール係合区分が見えるようにばねが取り外された状態で、
図20~
図21に示したトロカール延伸アセンブリの一部を示す別の斜視図である。
【0013】
対応する参照符号は、複数の図面を通じて対応する部分を示している。本明細書に示された例は、発明の実施形態を例示しており、このような例は、いかなる形式においても本発明の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
【0014】
発明の詳細な説明
ここで、図面、より詳細には
図1~
図2を参照すると、概して展開アセンブリ100と、この展開アセンブリ100に着脱可能に結合されたシースアセンブリ200とを含むトロカールアセンブリ10の1つの例示的な実施形態が示されている。これに関して、本明細書でさらに説明するように、シースアセンブリ200は展開アセンブリ100から分離することができる。トロカールアセンブリ10は、手術部位から流体を排出するためのドレーン装置に関連して使用されるように構成されている。これにより、トロカールアセンブリ10は、流体を排出するために種々異なるドレーン装置に接続されるように調整することができる。
【0015】
図3~
図11Dにおいてシースアセンブリ200とは分離して図示した展開アセンブリ100は、概して、(
図10~
図11Dに分離して図示された)トロカール延伸アセンブリ110が配置されるハウジング101と、カニューレ1110をホース流出管に結合するように構成されたホースバーブ1130とを含んでいる。ハウジング101は、さらに本明細書において説明するように、トロカール延伸アセンブリ110を作動させるように構成されている(
図6~
図8に分離して図示された)ロッキングアセンブリ600も収容している。幾つかの実施形態では、展開アセンブリ100は、ホース流出管をクランプし、さらにホース流出管をカニューレ1110に対して固定するように構成された(
図9に分離して図示された)ホースクランプ900も含んでいる。
【0016】
ハウジング101は、このハウジング101に形成された軌道103を有しており、軌道103は、トロカール延伸アセンブリ110を作動させるために使用されるキー700(
図7~
図8に図示)を収容するように成形され、かつサイズ設定されている。軌道103は、第1の幅を規定する第1の区分104と、第1の幅よりも大きな第2の幅を規定する第2の区分105とを有する細長いスロットであってよい。図示したように、第2の区分105は、トロカール延伸アセンブリ110の後端部のより近傍に、つまりホースクランプ900およびホースバーブ1130のより近傍に配置されていてよい。ハウジング101は、このハウジング101に形成された1つまたは複数のグリップ区分106を有していてよい。グリップ区分106は、円弧状の切欠として図示されており、トロカールアセンブリ10の使用中にユーザが把持するために成形され、かつサイズ設定されている。グリップ区分106は、図示したように、トロカールアセンブリ10の把持をさらに改良するためにテクスチャ加工されていてよい。幾つかの実施形態では、グリップ区分106は、トロカールアセンブリ10の人間工学をさらに改善する、医療用グレードのシリコーンのような軟らかいグリップ材料を含んでいる。展開アセンブリ100およびトロカール延伸アセンブリ110をシースアセンブリ200に着脱可能に結合するために、4つの組立てポストとして図示されている、1つまたは複数の組立てポスト107が、ハウジング101の前側に配置されていてよく、シースアセンブリ200のシース210に形成されたそれぞれの組立て開口211内に配置されるように形成され、かつアセンブリ100,200を互いに結合するようにプレス嵌めを形成する。ハウジング101は、カニューレ支持体108を有していてもよく、このカニューレ支持体108内で、カニューレ1110が、使用中にカニューレ1110を所定の位置に維持するように配置されている。ハウジング101は、収容される構成要素の構成に応じて、幅広い様々な形状およびサイズで成形されていてよく、したがって、図示および説明されたハウジング101は単に例示的であると理解されるべきである。
【0017】
特に
図4に示したように、ホースクランプ900およびホースバーブ1130は、ホース流出管に結合するためにハウジング101の後側に配置されていてよい。これに関して、ハウジング101の後側は、ホース流出管がカニューレ1110に結合可能である、ハウジング101の結合端部を成していてよい。幾つかの実施形態では、ホースバーブ1130および/またはホースクランプ900は、ホース流出管に結合された場合に、部分的にまたは完全にハウジング101の外側に配置されていてよい。ホースクランプ900は、例えば、ホースクランプ900をクランプポスト109に組み付けるためにハウジング101から延びているクランプポスト109上に組み付けられた組付け開口901を含んでいてよい。
【0018】
ここで
図5を参照すると、ハウジング101の内側に配置されていてよい挿入体500が図示されている。挿入体500は、4つの組立てポスト501を含んでいてよく、挿入体キーホール軌道502を有している。この挿入体キーホール軌道502は、キー700を収容しかつ内部でのキー700の運動を許容するようにサイズ設定され、かつ成形されている。挿入体500は、カニューレ1110を収容するようにサイズ設定された湾曲エッジ503を有していてよい。挿入体は、
図6に図示されているような歯車600の対応する歯車歯部601と噛み合う複数の挿入体歯部504を含んでもよい。
【0019】
ここで
図6を参照すると、歯車600は、ラックを形成する挿入体500の挿入体歯部504に噛み合う歯車歯部601を備えて図示されている。歯車600は歯車開口602を含んでおり、この歯車開口602は、キー700の対応する区分701を収容するようにサイズ設定され、かつ成形されており、これによりキー700は、以下でさらに説明するように、使用中に部分的に歯車開口602内にある。歯車600は、ロッキングシステムによって所定の位置にロックされていてよい。ロッキングシステムは例えば、ディスク603(
図6に破線で示されている)を含んでいてよく、このディスク603は、歯車600により支持されており、ディスク603が第2の区分105と整列する場合に、例えば第2の区分105内に落下することによって、またはばねもしくは別の要素により第2の区分105内に押し込まれることによって、軌道103の細長いスロットの第2の区分105内に移動する。ディスク603が軌道103の細長いスロットの第2の区分105内に落下すると、歯車600が、さらに移動することを阻止することができる。代替的または付加的に、ロッキングシステムが爪または一連の爪を含んでいてよく、これにより、歯車600の回転が1つの方向で制限されているように回転ロックとして機能し、爪の係合後に、ラックに沿った単一の線形の移動方向Dへの歯車600の移動を制限する。
図8の分解図に図示されているように、キー700が歯車600に挿入されると、キー700は、ラックに沿って歯車600を移動方向Dに移動させるように回転させられてよく、ロッキングシステムは、歯車600が移動方向Dとは反対の方向に移動することを阻止する。
【0020】
図7に単独で図示されているキー700は、図示した実施形態では、同じく正方形である、歯車600の歯車開口602内に嵌合するために正方形の形状を有する歯車係合区分701を含んでいる。キー700の歯車係合区分701と、歯車600における対応する歯車開口602との正方形の形状は、回転安定性を促進するが、歯車係合区分701の形状と、歯車開口602の形状とが異なって構成され得ることも理解すべきである。歯車係合区分701は、ハウジング101の軌道103の第1の幅よりも大きいが、軌道103の第2の幅よりも小さな幅を規定してもよく、これにより、キー700は、このキー700が第2の幅を有する軌道103の区間105に配置されている場合にのみ、軌道103から引き出すことができる。歯車係合区分701に加えて、キー700は、歯車係合区分701の片側にトロカール係合区分702を有し、歯車係合区分701の反対側にプルリング703を有している。
【0021】
ここで
図10~
図11Dを参照すると、本発明により提供されるトロカール延伸アセンブリ110の例示的な実施形態が図示されており、トロカール延伸アセンブリ110は、
図10では組み立てられた状態で図示されており、トロカール延伸アセンブリ110の構成要素1110,1120,1130,1140が
図11A、
図11B、
図11Cおよび
図11Dに図示されている。トロカール延伸アセンブリ110は、
図11Aにおいて単独で図示されたカニューレ1110と、一般に「突き錐」とも呼ばれ得る、
図11Bにおいて単独で図示されたトロカール1120と、
図11Cにおいて単独で図示されたホースバーブ1130と、
図11Dにおいて単独で図示されたばねの形式の付勢体1140とを含んでいる。カニューレ1110は、円筒形の管であってよく、この円筒形の管は、カニューレ軌道1111を含むステンレス鋼または別の適切な材料を有していてよい。カニューレ軌道1111内にはキー700のトロカール係合区分702が配置されている。キー700のトロカール係合区分702は、歯車600およびトロカール1120の移動を可能にするためにカニューレ軌道1111内で移動されてよい。
【0022】
図11Bに示したように、トロカール1120は、トロカール本体1121と、トロカール本体1121に結合された尖端1122と、トロカール1120の、尖端1122とは反対側の端部に設けられたアンカ1123とを含んでいる。トロカール1120は、医療用グレードの超高分子量ポリエチレンなどのポリマーを含んでいてよいが、トロカール1120が、あらゆる適切な材料から形成されてもよいと理解されるべきである。トロカールの尖端1122は、付勢体1140によりトロカール1120がカニューレ1110から押し出されるときに、患者の皮膚を貫通するために、先が尖っていて鋭利である。したがって、トロカール1120の尖端1122は、トロカール1120のための貫通要素を提供するために種々異なる形式で成形および構成されてよいことを理解すべきである。トロカール1120のトロカール本体1121は、少なくとも2つの開口を有していてよく、すなわち、キー700をトロカール1120に結合するためにキー700のトロカール係合区分702を収容するように成形され、かつサイズ設定されているトロカールキー開口1124と、患者からトロカール1120を引き出すために係合することができる抜去開口1125とを有していてよい。トロカールキー開口1124は、トロカール本体1121にアンカ1123を結合する、トロカール1120の軸部1126に隣接するトロカール本体1121の第1の端部に隣接して形成されていてよく、抜去開口1125は、トロカール1120の尖端1122に隣接して形成されていてよい。幾つかの実施形態では、軸部1126およびアンカ1123は、互いに一体に形成されているが、トロカール本体1121に着脱可能に結合されているので、軸部1126およびアンカ1123はトロカール本体1121から取り外すことができる。軸部1126は、例えば、ねじ山を含んでいてよく、トロカール本体1121に形成されたねじ山付き開口内にねじ込まれていてよい。トロカール1120は、カニューレ1110のカニューレ長さCLよりも大きくてよいトロカール長さTLを規定し、これによりトロカール1120の一部は常にカニューレ1110の外側に延びている。トロカール1120が挿管されていないものとして図示されているが、幾つかの実施形態では、トロカール1120が挿管されているものと理解されたい。
【0023】
トロカール1120の軸部1126は、ホースバーブ1130に形成された貫通開口1131内に配置されていてよい。ホースバーブ1130は、ホース流出管に結合されるように構成されている。ホースバーブ1130は、バーブ付き端部1132と、バーブ付き端部1132とは反対側の円筒形の端部のような端部1133とを有していてよく、貫通開口1131は、バーブ付き端部1132および反対側の端部1133を通って延びている。トロカール1120が
図10に図示した延伸位置にある場合に、トロカール1120のアンカ1123は、バーブ付き端部1132に当接していてよく、これにより、バーブ付き端部1132は、カニューレ1110内でのトロカール1120の移動を制限することができる。ホースバーブ1130は、ホースバーブ1130の残りの部分よりも大きな直径を規定する1つまたは複数の支承区分1134を含んでいてよい。支承区分1134は、カニューレ1110内でホースバーブ1130を安定させるために、(
図14に最も良く図示されているように)カニューレ1110に対して支承されていてよく、これにより、カニューレ1110内でのホースバーブ1130の運動が制限されている。支承区分1134は、カニューレ1110内でのホースバーブ1130の可能な運動をさらに制限するために、カニューレ1110に形成された1つまたは複数の対応する溝(または別の特徴部)内に嵌合することができる。
【0024】
図11Dにコイルばねとして単独で図示されている付勢体1140は、トロカール1120に作用する。図示したように、付勢体1140は、トロカール1120の軸部1126上に配置されており、ホースバーブの支承区分1134のうちの1つと、トロカール本体1121の第1の端部とに対して支承されていてよい。付勢体1140は、本明細書では、ばねとして図示され説明されているが、本発明によれば、付勢体1140がガス容器のような別の形態をとってもよいことを理解すべきである。ばね1140は、
図14に図示されているように、キー700の回転中のトロカール1120の移動により、支承区分1134と第1の端部との間で圧縮されてよく、このことは、ばね1140に付勢力を与え、トロカール1120を、尖端1122が完全にカニューレ1110内に配置されている安全位置へと運動させる。トロカール1120が安全位置へと運動すると、ホースバーブ1130は、ハウジング101の外側に延びるように同一の方向に移動して、カニューレ1110内でのホースバーブ1130のさらなる移動を停止させるために、バーブおよび/または支承区分1134が内側ホース、溝または別の特徴に係合するまで、ホース流出管に係合する。ホースバーブ1130がカニューレ1110内でもはや移動することができない場合、歯車600およびトロカール1120のさらなる移動がばね1140を圧縮させる。キー700が回転して歯車600を移動させ、トロカール1120をも移動させると、軸部1126およびアンカ1123は、ホースバーブ1130の貫通開口1131を通って移動し、これにより、アンカ1123は、ホースバーブ1130のバーブおよび/または支承区分1134が、ホースバーブ1130のさらなる移動を停止させるために内側ホースまたは特徴に係合した場合に、ホースバーブ1130のバーブ付き端部1132に対してもはや当接しない。したがって、テーパ加工されていてよいアンカ1123と、ホースバーブ1130のバーブ付き端部1132とは、キー700が回転させられると、ホース流出管内に移動することができる。キー700は、歯車600の歯部601とラックの歯部504との間の摩擦により、かつ/または別個のロッキング機構によって、ばね1140を復元する方向への回転および移動をロックされているので、キー700のトロカール係合区分702がトロカールキー開口1124内に配置されている限り、ばね1140は圧縮されたままであり、かつ付勢力を与えられたままである。したがって、キー700は、このキー700を回転させることにより、かつ所望の場合にはトロカール1120からキー700を分離するために引っ張った場合に、ばね1140に付勢力を与えるために使用することができ、これにより、付勢体(ばね)1140は、圧縮されて、安全位置から延伸位置(
図10に示す)へとトロカール1120を押し進めることができ、この延伸位置では、尖端1122が、組織および皮膚を貫通するためにカニューレ1110の開放端1112の外側に延びている。
【0025】
ここで
図12~
図13を参照すると、シースアセンブリ200が、展開アセンブリ100から分離されて図示されている。シースアセンブリ200は、展開アセンブリ100のハウジング101に着脱可能に結合されたシース210を含んでいる。シース210は、4つの組立て開口211を含んでいてよく、これらの組立て開口211内には、ハウジング101の組立てポスト107が挿入されており、シース210をハウジング101に結合することができる。シースアセンブリ200を展開アセンブリ100から取り外すために、シース210は組立てポスト107から引き離すことができる。シース210は、シースアセンブリ200が展開アセンブリ100に結合されている場合に、カニューレ1110の開放端1112がシース210により覆われているように成形され、かつサイズ設定されている。幾つかの実施形態では、シース210はまた、トロカール1120が延伸位置にあり、かつシースアセンブリ200が展開アセンブリ100に結合されている場合に、トロカール1120の尖端1122を覆っている。これに関して、シースアセンブリ200は、トロカール1120が意図された患者以外のユーザまたは人員を意図せずに突き刺すことを阻止する。
【0026】
シースアセンブリ200は、シース210の2つの側壁212A,212Bの間に延びる円弧状のカニューレ曲げ器1220を含んでもよい。カニューレ曲げ器1220は、カニューレ1110を支持していてよく、所望の場合には、シースアセンブリ200を展開アセンブリ100から僅かに分離する、すなわち部分的に分離することにより、かつシースアセンブリ200を旋回させることにより、カニューレ1110を曲げるために使用することができ、これによりカニューレ1110の所望の曲げを形成することができる。カニューレ曲げ器1220は、任意の材料から形成されていてよく、上述したようにカニューレ1110を曲げるために適した任意の形状を有していてよい。
【0027】
シースアセンブリ200は、シース210にスライド可能に結合されているスライド可能なドア1230を含んでいる。スライド可能なドア1230は、シース210にスライド可能に結合されており、これにより、スライド可能なドア1230は、シース210に形成された開口213の一部を覆うかまたは露出させるために互いに異なる位置(
図14に実線で図示したような開放位置と、破線で図示したような閉鎖位置)間でスライドすることができる。
図12~
図13および
図14~
図15に示したように、シースアセンブリ200は、シース210の内面から延びている抜去ポスト240も含んでいる。抜去ポスト240は、トロカール1120を捕捉し、トロカール1120の展開後にトロカール1120を抜去するために、トロカール1120の抜去開口1125内に適合するように成形され、かつサイズ決めされている。
図15に図示されているように、トロカール1120が刺創部から延びている場合、抜去ポスト240はトロカール1120の抜去開口1125内に位置していてよく、これによりトロカール1120は、シース210の前端部を貫通して形成された貫通開口1225を通って延びていて、トロカール1120の尖端1122はシース210内に配置されている。尖端1122が、シース210内に配置されていて、シースアセンブリ200の抜去ポスト240がトロカール1120の抜去開口1125内に配置されている場合、スライド可能なドア1230がシース210の前端部に向かって閉鎖位置へとスライドさせられてよく、これによりトロカール1120の鋭利な部分である、トロカール1120の尖端1122を取り囲み、刺創部からトロカール1120を安全に抜去することができる。スライド可能なドア1230は、閉鎖位置へと運動させられると、抜去ポスト240が抜去開口1125から出ることを阻止することもでき、トロカール1120の尖端1122をシース210内に固定する。したがって、シースアセンブリ200を、展開前にトロカール1120の尖端1122による意図しない突刺しを防止するために使用することができ、かつ展開に続いてトロカール1120を安全に抜去するために使用することもできる。
【0028】
トロカールアセンブリ10を使用するために、展開アセンブリ100およびシースアセンブリ200は、最初に互いに結合されていてよい。ドレーン流出管は、展開アセンブリ100のホースクランプ900を介してトロカール1120に接続されていてよい。キー700は、トロカール係合区分702がトロカールキー開口1124内に配置されていて、歯車係合区分701が歯車開口602に配置されているように配置されている。キー700が回転させられて、ラックに沿った歯車600の移動が引き起こされる。この移動は、トロカール1120の対応する移動および付勢体1140(ばね)の圧縮を引き起こす。キー700およびトロカール1120が移動すると、ばね1140に付勢力が与えられ、トロカール1120のアンカ1123は同時にドレーン流出管内へと駆動される。キー700は、刺創部を形成するために十分な力で尖端1122を駆動させるためにばね1140に十分に付勢力が与えられるまで、回転され、移動させられる。幾つかの実施形態では、
図14に図示したように、ばね1140に十分に付勢力が与えられている場合に、トロカール1120の尖端1122は完全にカニューレ1110内に残っている。ばね1140に十分に付勢力が与えられていると、展開アセンブリ100は、展開のために準備されている。
【0029】
展開アセンブリ100が展開のための準備された後に、シースアセンブリ200は、展開アセンブリ100から分離されてよい。カニューレ1110の曲げが所望される場合、シースアセンブリ200は、カニューレ曲げ器1220がカニューレ1110に接触したままであるように、展開アセンブリ100から部分的に分離されてよい。次いでユーザは、シースアセンブリ200を押し下げるかまたは上げて、カニューレ1110を所望の形式に曲げることができる。曲げ後、または曲げが所望されていない場合、シースアセンブリ200は、展開アセンブリ100から完全に取り外されてよい。
【0030】
展開アセンブリ100が展開のために準備されている場合、展開アセンブリ100は、カニューレ1110の開放端1112が皮膚上にあるか、または皮膚に隣接しているように配置されていてよく、これにより、カニューレ1110の開放端1112は、刺創部が形成されるべき皮膚の下側に向かってしっかりと押圧されてよい。次いで、キー700が運動させられ、例えば、引っ張られ、これにより、キー700のトロカール係合区分702はもはやトロカール1120のトロカールキー開口1124内に配置されていない。キー700が引っ張られると、ばね1140が自発的に復元されて、
図15に図示したように、トロカール1120の尖端1122をカニューレ1110の外に押し進め、患者の皮膚を貫通する。次いで、シースアセンブリ200は、トロカール1120を捕捉するためにシースアセンブリ200の抜去ポスト240がトロカール1120の抜去開口1125に結合されるように位置決めされ得る。次いで、スライド可能なドア1230が閉鎖位置へとスライドさせられ、これにより、シースアセンブリ200がトロカール1120に対して固定され、かつトロカール1120の尖端1122をシース210内に囲み、これにより尖端1122による不注意の突刺しのリスクを減じることができる。次いで、トロカール1120を引っ張るためにシースアセンブリ200を引っ張ることができ、これにより接続されたホース流出管が皮膚の刺創部を通して引っ張られる。次いで、トロカール1120(および結合されたシースアセンブリ200)がホース流出管から切断されてよい。次いでシースアセンブリ200およびトロカール1120は、鋭利物容器内に破棄されるか、または別の形式で廃棄されてよい。
【0031】
前述したことに基づいて、本発明が、トロカール1120を挿入し、かつ除去する方法を提供することが理解されるべきである。トロカール1120は、カニューレ1110内に配置されている。この方法は、上述したように、トロカール1120に作用する付勢体1140に付勢力を与えるステップを含み、これにより、付勢体1140は、トロカール1120の尖端1122が完全にカニューレ1110内にある安全位置から、尖端1122がカニューレ1110の開放端1112の外側に延びている延伸位置へとトロカール1120を押し進めることができる。結合されたシース210は、延伸位置においてトロカール1120を覆っている。トロカール1120は、キー700によって安全位置に保持されている。キー700はトロカール1120に結合され、カニューレ1110を通って延びている。シース210は、カニューレ1110の開放端1112が露出されているように分離される。カニューレ1110の開放端1112は、患者の皮膚上に、または患者の皮膚に隣接して配置されており、キー700は、トロカール1120を解放するために運動させられて、これにより、付勢体1140は、尖端1122が患者の皮膚を貫通するように、トロカール1120を安全位置から延伸位置へと押し進める。トロカール1120の尖端1122は、シース210の抜去ポスト240がトロカール1120の抜去開口1125内に嵌合することによって、シース210を用いて捕捉される。幾つかの実施形態では、スライド可能なドア1230は、シース210の開口213を閉鎖し、尖端1122を取り囲む/隠蔽するために、閉鎖位置へと運動させられる。
【0032】
上述したことから、本発明により提供されるトロカールアセンブリ10が、使用中にトロカール1120を安全に展開し、廃棄することを可能にすると理解すべきである。展開アセンブリ100は、トロカール1120を移動させかつばね1140に付勢力を与えるために、キー700を用いて展開するために準備されていてよい。トロカール1120の移動により、ホースバーブ1130およびアンカ1123もホース流出管内に駆動され、展開アセンブリ100が、種々異なる直径を有するホース流出管に結合されることを可能にする。キー700は、トロカール1120を展開するために展開アセンブリ100から引き出される。このことは、例えば、単にトロカールを移動させるために常に自由である展開アセンブリを使用する場合よりも、偶発的に起こりにくい。シースアセンブリ200は、トロカール1120の尖端1122を取り囲んでいる一方で、尖端1122は、ばね1140に付勢力を与える前にカニューレ1110の外側に延びており、尖端1122による意図しない突刺しのリスクが減じられる。シースアセンブリ200は、使用者に対する小さなリスクでカニューレ1110を曲げるために使用することもできる。展開後にトロカール1120により刺創部が形成された後に、シースアセンブリ200は、尖端1122がシールドされた状態でトロカール1120を安全に抜去するために使用され得る。したがって、本発明により提供されるトロカールアセンブリ10は、トロカール1120を安全に展開し、抜去するために使用することができる。
【0033】
ここで
図16A~
図19を参照すると、本発明により提供されるトロカールアセンブリ1600の別の例示的な実施形態が図示されている。上述したトロカールアセンブリ10と同様に、トロカールアセンブリ1600は、展開アセンブリ1610と、この展開アセンブリ1610に着脱可能に結合されたシースアセンブリ1620とを含んでいる。展開アセンブリ1610は、カニューレ1611と、このカニューレ1611内に配置されたトロカール1612であって、トロカール1612の尖端が完全にカニューレ1611内にある安全位置とトロカール1612の尖端がカニューレ1611の外側に延びる延伸位置との間で運動可能であるトロカール1612と、トロカール1612に作用し、安全位置から延伸位置までトロカール1612を押し進めるために構成されている付勢体1613とを含んでいる。キー1614も設けられており、このキー1614は、トロカール1612に着脱可能に結合されており、かつキー1614が安全位置においてトロカール1612に結合されている場合に安全位置においてトロカール1612を保持するようにカニューレ1611を通って延びていて、トロカール1612からキー1614を分離することにより、付勢体1613がトロカール1612を安全位置から延伸位置へと押し進めることが可能である。シースアセンブリ1620は、カニューレ1611の開放端を覆うシース1621を含んでいる。
【0034】
前述の展開アセンブリ100とは異なり、
図16A~
図19に示した展開アセンブリ1610は、カニューレ1611の外面に沿って移動可能である移動スリーブ1630を含んでいる。移動スリーブ1630は、スリーブ開口1631を含んでおり、このスリーブ開口1631内に、キー1614の一部が配置されている。キー1614は、カニューレ1611に形成されたカニューレ軌道1615内で移動可能である部分と、トロカール1612に係合する部分とを有していてもよく、したがって、上述のキー700と同様に、キー1614の移動がトロカール1612の移動を引き起こす。移動スリーブ1630は、カニューレ1611の外面に沿って移動させられてよく、これによりキー1614も移動させられるので、トロカール1612は、安全位置へと移動すると同時に、付勢体1613に付勢力を与える。移動スリーブ1630は、ユーザによって容易に把持される一対の把持ハンドル1632を含んでいてよい。
【0035】
トロカール1612が安全位置にくると、キー1614は、付勢体1613に付勢力を与えながらトロカール1612を安全位置に保持するために、カニューレ1611に形成されたロッキング開口のような、展開アセンブリ1610の特徴部に係合してよい。キー1614が運動すると、キー1614は安全位置においてトロカール1612から分離し、次いで、付勢体1613がトロカール1612を安全位置から延伸位置へと押し進めることを可能にする。他方では、移動スリーブ1630は、付勢体1613がトロカール1612を延伸位置へ押し進めている場合に、所定の位置に留まってよい。移動スリーブ1630は、
図16Bに最も良く図示されているように、移動スリーブ1630と一緒に移動しない区分1635に形成された対応するロッキング開口1634内に嵌合するロッキングタブ1633を含んでいてよい。移動スリーブ1630が完全に移動させられ、これによりトロカール1612が安全位置にある場合に、ロッキングタブ1633は、ロッキング開口1634内へと付勢されてよく、これにより、移動スリーブ1630は所定の位置にロックされている。ロッキングタブ1633は、例えば、弾性材料から形成されていてよく、弾性材料には、ロッキング開口1634と整列させられた場合に、つまり移動スリーブ1630が完全に移動させられた場合に、ロッキングタブ1633が自発的にロッキング開口1634内へと運動するように荷重が加えられている。カニューレ1611は、互いにヒンジ結合されている2つのカニューレ区分1616A,1616Bのような複数のカニューレ区分を含んでいてよい。カニューレ区分1616A,1616Bは一緒に1つのカニューレ1611を画定している。移動スリーブ1630は、カニューレ区分1616Bのような、カニューレ区分のうちの1つに沿ってスライドしてもよい。
図19に図示したように、カニューレ区分1616A,1616Bは、(
図16A~
図18に図示された)ロッキング位置から(
図19に図示された)ロック解除位置へとデッドボルト1617を運動させることによって互いにロック解除されてもよく、これにより、デッドボルト1617は、カニューレ区分1616Bに結合されたデッドボルト開口1618内にもはや配置されておらず、カニューレ区分1616A,1616Bを分離することを可能にする。カニューレ区分1616A,1616Bが分離されている場合、カニューレ区分1616Bの抜去ポスト1619が露出されていてよく、次いで、この抜去ポスト1619は、トロカール1612を捕捉するために、トロカール1612の抜去開口1636に嵌合されていてよい。トロカール1612を捕捉するために抜去ポスト1619が抜去開口1636内に嵌合されると、カニューレ区分1616A,1616Bを戻るように旋回させて合わせ、トロカール1612の尖端を安全に包囲して、トロカール1612を除去することができるようにデッドボルト1617でロックすることができる。
【0036】
特に
図16Bおよび
図18を参照すると、トロカールアセンブリ1600が、ホースロッキング区分1640を含んでいることが図示されており、このホースロッキング区分1640は、カニューレ1611に結合され、第1のロック区分1641および第2のロック区分1642を含んでいる。ロック区分1641,1642はそれぞれ、それぞれのロック開口溝1643,1644を有している。第1のロック区分1641は、ロック開口溝1643,1644が一緒にロック開口1645を形成している、トロカール1612に整列した(
図16Bに図示された)閉鎖位置から、ロック開口溝1643,1644が分離される(
図18に図示された)開放位置へと、第2のロック区分1642に対して相対的に旋回可能である。ロック開口1645の直径は、トロカール1612および/またはカニューレ1611に結合されている流出管1650と同一であるか、または僅かに小さくてよい。ロック区分1641,1642が分離されている場合、流出管1650は、両方の要素への大きなアクセス性により、トロカール1612および/またはカニューレ1611に容易に整列させることができる。ロック区分1641,1642が、ロック開口1645を形成するために一緒に閉じられた場合、ロック溝1643,1644は、流出管1650を所定の位置に保持するために、流出管1650上に支持されていてよい。
【0037】
特に
図17を参照すると、シースアセンブリ1620が、カニューレ1611に整列された第1のシース開口1623を有する第1のシース区分1622と、第1のシース開口1623に対して所定の角度で延びる第2のシース開口1625を有する第2のシース区分1624とを備えた、シース1621を含むことが図示されている。トロカール1612は、展開中に変形、すなわち曲がることができる可撓性のトロカールであってよい。
図19から理解されるように、可撓性のトロカール1612の尖端は、トロカール1612の本体に対して所定の角度で延びていてよい。トロカール1612全体は、最初は真っ直ぐに提供されていてよい。シースアセンブリ1620は、最初はトロカール1612が完全に真っ直ぐであり、部分的に第1のシース開口1623に保持された状態で、展開アセンブリ1610に結合されていてよい。次いで、トロカール1612を展開することにより、トロカール1612を曲げることができる。トロカール1612が付勢体1613によって延伸位置へと押し進められる場合、トロカール1612は第2のシース開口1625内へ再び方向転換させられ、その方向転換の間に曲げられる。トロカール1612が真っ直ぐであり、第2のシース開口1625が第1のシース開口1623に対して所定の角度で延びている場合に、第1のシース開口1623はトロカール1612の本体に整列させられるので、可撓性のトロカール1612は、トロカール1612が第2のシース開口1625へと方向転換される場合に、第2のシース開口1625を第1のシース開口1623に対して相対的な所定の角度へと曲げられた状態にする。曲げられたトロカール1612は、さらに、トロカール1612の尖端が適切な曲げ角度で第2のシース開口1625の外側に延びる延伸位置へと押し進められる。これに関して、シース1621は、適切に角度付された軌道に沿ってトロカール1612を後退および展開させる前に、鋭利なトロカール1612を隠蔽するための便利、安全、かつ信頼できる方法を提供することができる。
【0038】
ここで
図20~
図22を参照すると、展開アセンブリ100のトロカール延伸アセンブリ110が、ばねスリーブ2010およびトロカールピストン2020と一緒に図示されている。ばねスリーブ2010は、カニューレ1110上に配置されており、ばね1140は、ばねスリーブ2010とカニューレ1110との間に配置されている。上述したように、ばねスリーブ2010は、キー700がカニューレ軌道1111内で移動することを可能にするために、カニューレ軌道1111に整列するスリーブ軌道2011を有している。トロカールピストン2020は、トロカール1120に係合している。付勢体1140は、トロカールピストン2020とトロカール1120との係合により、トロカール1120を安全位置から延伸位置へと押し進めるためにトロカールピストン2020に作用する。トロカールピストン2020は、円形の横断面を有するリングとして図示されているが、幾つかの実施形態において、トロカールピストン2020は、完全に360°延びていていない横断面、例えば、半円形の横断面を有する部分的なリングとして提供されていることを理解すべきである。
【0039】
ばねスリーブ2010は、開放端2012を有している。この開放端2012は、トロカール1120が、ばねスリーブ2010から外れた延伸位置へ運動することを可能にする。
図22に最も良く図示されているように、トロカールピストン2020は、トロカール1120が通って延びるピストン開口2021と、一対のピストン突出部2022として図示された少なくとも1つのピストン突出部とを有している。ピストン突出部2022は、ピストン開口2021内へ延びていて、かつトロカール1120に形成されたそれぞれのピストン溝2023に保持されている。ピストン溝2023は、トロカール軸部1126に隣接してトロカール本体1121に形成されていてよく、これにより、トロカール1120を、ピストン開口2021を通して、開放端2012から離れる方向に引っ張ることができる一方で、各ピストン溝2023の閉鎖端2024がそれぞれのピストン突出部2022に当接し、開放端2012に向かうトロカールピストン2020の移動は、トロカール1120を延伸位置へともたらす。トロカールピストン2020が、別の形式でトロカール1120に係合してよく、例えば、トロカールピストン2020は、付加的または代替的に、トロカール本体1121とトロカール軸部1126とが交差する接合部において、かつ/またはトロカール1120に形成された種々異なるスロットを介してトロカール1120に係合することができると理解されるべきであり、したがってトロカールピストン2020とトロカール1120との間の上述の係合は単に例示的である。
【0040】
トロカール1120およびトロカールピストン2020は、結合されていない場合、1つの方向に独立して移動可能であってよい。トロカールピストン2020は、ピストンキー開口2025を含んでいてよく、このピストンキー開口2025は、トロカールキー開口1124に整列し、これにより、キー700の部分がピストンキー開口2025およびトロカールキー開口1124内に保持され、これによりキー700の並進移動をトロカール1120およびトロカールピストン2020の対応する移動に変換することができる。これに関しては、ばね1140に付勢力を与えるトロカールピストン2020の移動であってもよい。ばねスリーブ2010の開放端2012は、内側リップ2013を有していてよく、内側リップ2013は、半径方向内方へと延びていて、かつトロカールピストン2020のためのストッパとして作用する。このような構成を有することにより、ばね1140がトロカール延伸アセンブリ110から突出するリスクは、ばねスリーブ2010内にばね1140を保持するトロカールピストン2020により減じられている一方で、ばね1140がトロカール1120を移動させることを可能にする。トロカールピストン2020が、ばねスリーブ2010内に配置されているものとして説明および図示されている一方で、幾つかの実施形態では、トロカールピストン2020が、対応するばねスリーブ2010なしに提供されており、逆に、ばねスリーブ2010に関しては、対応するトロカールピストン2020なしで提供されていることも理解すべきである。
【0041】
本発明を少なくとも1つの実施形態に関して説明してきたが、本発明は、本開示の趣旨および範囲内でさらに変更することができる。したがって、本出願は、その一般的な原理を使用した本発明のあらゆる変形、使用または適合を網羅することを意図している。さらに、本出願は、本発明が属する技術分野における公知のまたは慣用的な実施の範囲内に入るような、本開示からの逸脱を網羅することを意図している。
【国際調査報告】