(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-21
(54)【発明の名称】遅延された神経抑制を有する急性の遮断
(51)【国際特許分類】
A61N 1/36 20060101AFI20240514BHJP
【FI】
A61N1/36
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023573249
(86)(22)【出願日】2022-05-26
(85)【翻訳文提出日】2024-01-25
(86)【国際出願番号】 US2022031163
(87)【国際公開番号】W WO2022251520
(87)【国際公開日】2022-12-01
(32)【優先日】2021-05-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】520299832
【氏名又は名称】プレシディオ・メディカル・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ジェームズ・ハリス
(72)【発明者】
【氏名】マイケル・エー・フォルティーズ
(72)【発明者】
【氏名】トーマス・フローレス
(72)【発明者】
【氏名】ダグラス・マイケル・アッカーマン
(72)【発明者】
【氏名】ケネス・エス・ウー
【テーマコード(参考)】
4C053
【Fターム(参考)】
4C053JJ04
4C053JJ06
4C053JJ18
4C053JJ27
(57)【要約】
組織を電気的に変調させるためのシステムおよび方法が本明細書において開示されている。システムは、電流発生器と、少なくとも1つの植え込み可能な作用電極であって、電流発生器と電気的に通信するように構成されている、少なくとも1つの植え込み可能な作用電極と、少なくとも1つの不関電極と、コントローラであって、作用電極に送達されるべき1セットの初期極性を有する1セットの電流を発生させるために、電流発生器に信号を送るように構成されているコントローラとを含むことが可能であり、少なくとも1つの不関電極は、バイアス電流を吸収し、バイアス電流は、1セットの電流の総和に大きさが等しく、極性が反対である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
組織を電気的に変調させるためのシステムであって、
電流発生器と、
前記電流発生器と電気的に通信するように構成されている少なくとも1つの植え込み可能な作用電極と、
少なくとも1つの不関電極と、
コントローラとを備え、前記コントローラは、前記電流発生器に信号を送り、
所定の時間期間にわたって前記作用電極に送達されるべき1セットの初期極性を有する1セットの電流を発生させ、
ここで、前記電流の大きさは、神経組織における急性の遮断を実現するために必要とされる電流振幅に対応する閾値電流振幅よりも小さく、さらに、
前記時間期間の後に前記神経組織の中に神経抑制を引き起こす
ように構成されている、システム。
【請求項2】
前記時間期間は、所定の時間期間である、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記コントローラは、閉ループ動作モード、開ループ動作モード、または他の動作モードにおいて前記1セットの電流を発生させるように、前記電流発生器に信号を送るように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記コントローラは、前記時間期間の後に、および、感覚欠損を引き起こすことなく、前記神経組織の中に神経抑制を引き起こすように、前記電流発生器に信号を送るように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記1セットの電流は、電気的に興奮性の組織を変調させるのに十分である、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記少なくとも1つの植え込み可能な作用電極は、高電荷容量材料を含む、請求項1または5に記載のシステム。
【請求項7】
前記コントローラは、バイアス電流を発生させるように、前記電流発生器に信号を送るようにさらに構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記バイアス電流は、アノード極性で動作する、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記バイアス電流は、カソード極性で動作する、請求項7に記載のシステム。
【請求項10】
前記電流発生器は前記作用電極電圧をカソード的にバイアスする前記バイアス電流を発生させるように構成されている、請求項7に記載のシステム。
【請求項11】
前記電流発生器は、前記不関電極電圧をアノード的にバイアスする前記バイアス電流を発生させるように構成されている、請求項7に記載のシステム。
【請求項12】
少なくとも2つの作用電極を含む、請求項1から11のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項13】
少なくとも1つの作用電極の前記初期極性は、カソードである、請求項1に記載のシステム。
【請求項14】
少なくとも1つの作用電極の前記初期極性は、アノードである、請求項1に記載のシステム。
【請求項15】
前記不関電極は、皮膚表面電極である、請求項1から14のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項16】
前記不関電極は、経皮的な電極または植え込まれた電極である、請求項1から15のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項17】
前記不関電極は、チタンを含む、請求項1から16のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項18】
前記不関電極は、少なくとも約10cm
2の作用表面積を有している、請求項1から17のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項19】
前記不関電極は、少なくとも約50cm
2の作用表面積を有している、請求項1から18のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項20】
前記興奮性の組織のブロックを発生させるように構成されている、請求項1から19のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項21】
前記少なくとも1つの植え込み可能な作用電極は、窒化チタン、タンタル、MP35N、プラチナイリジウム、ステンレス鋼、および/または、これらの組み合わせを含む、請求項1から20のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項22】
前記少なくとも1つの植え込み可能な作用電極は、窒化チタンによってコーティングされたプラチナ-イリジウムを含む、請求項1から21のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項23】
ブロッキングキャパシタを含まない、請求項1から22のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項24】
前記バイアス電流は、固定されている、請求項1から23のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項25】
前記バイアス電流は、可変である、請求項1から24のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項26】
前記バイアス電流は、サイクル周期にわたって可変であり、または、第1のサイクルから第2のサイクルへ可変である、請求項25に記載のシステム。
【請求項27】
前記コントローラは、静電容量、最大電流、および電圧のうちの1つまたは任意の組み合わせに関係するデータを受信することに基づいて、前記バイアス電流を変調させるために、前記1セットの作用電極電流を調節するように構成されている、請求項25に記載のシステム。
【請求項28】
前記バイアス電流は、約-10μAから約-1mAの間にある、請求項1から27のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項29】
前記バイアス電流は、約-10μAから約-100μAの間にある、請求項1から28のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項30】
前記バイアス電流は、複数の前記植え込み可能な作用電極の間で均一にまたは不均一に分割される、請求項1から29のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項31】
患者における水電気分解を抑制するようにさらに構成されている、請求項1から30のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項32】
前記作用電極の腐食、望ましくない化学反応、水素脆化、活性酸素種の生成、または、過酸化水素の生成のうちの1つまたは複数を抑制するようにさらに構成されている、請求項1から31のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項33】
前記電流発生器は、DC電流を発生させるように構成されている、請求項1から32のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項34】
前記電流発生器は、高周波AC電流を発生させるように構成されている、請求項1から33のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項35】
前記作用電極は、前記興奮性の組織を損傷させることなく、少なくとも約2,000μCの電荷を前記興奮性の組織の中へ送達するように構成されている、請求項1から34のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項36】
機械的に可動なパーツがない、請求項1から35のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項37】
前記時間期間は、少なくとも5分、少なくとも10分、少なくとも20分、少なくとも30分、少なくとも45分、少なくとも1時間、少なくとも2時間、少なくとも3時間、少なくとも4時間、および少なくとも5時間からなる群から選択される、請求項1から36のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項38】
前記閾値電流振幅は、700μAから1000μAの間にある、請求項1から37のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項39】
神経抑制は、疼痛抑制を含む、請求項1から38のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項40】
前記感覚欠損は、しびれ、感覚麻痺、および知覚異常からなる群から選択される、請求項1から39のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項41】
組織を電気的に変調させるための方法であって、
電流発生器を提供するステップと、
所定の時間期間にわたって前記作用電極に送達されるべき1セットの初期極性を有する1セットの電流を発生させるために、前記電流発生器に信号を送るステップであって、前記電流の大きさは、神経組織における急性の遮断を実現するために必要とされる電流振幅に対応する閾値電流振幅よりも小さい、ステップと、
前記時間期間の後に前記神経組織の中に神経抑制を引き起こすステップと
を含む、方法。
【請求項42】
組織を電気的に変調させるためのシステムであって、
電流発生器と、
前記電流発生器と電気的に通信するように構成されている少なくとも1つの植え込み可能な作用電極と、
少なくとも1つの不関電極と、
コントローラとを備え、前記コントローラは、前記電流発生器に信号を送り、
所定の時間期間にわたって前記作用電極に送達されるべき1セットの初期極性を有する1セットの電流を発生させ、
過敏なニューロン感受性の低減を引き起こし、および、
急性の疼痛応答を維持する
ように構成されている、システム。
【請求項43】
前記時間期間は、所定の時間期間である、請求項42に記載のシステム。
【請求項44】
前記コントローラは、閉ループ動作モード、開ループ動作モード、または他の動作モードにおいて前記1セットの電流を発生させるように、前記電流発生器に信号を送るように構成されている、請求項42に記載のシステム。
【請求項45】
前記1セットの電流は、電気的に興奮性の組織を変調させるのに十分である、請求項42に記載のシステム。
【請求項46】
前記少なくとも1つの植え込み可能な作用電極は、高電荷容量材料を含む、請求項42または45に記載のシステム。
【請求項47】
前記バイアス電流は、アノード極性で動作する、請求項42または45に記載のシステム。
【請求項48】
前記バイアス電流は、カソード極性で動作する、請求項42または45に記載のシステム。
【請求項49】
前記1セットの電流は、前記作用電極電圧をカソード的にバイアスする前記バイアス電流を発生させるように構成されている、請求項42に記載のシステム。
【請求項50】
前記1セットの電流は、前記作用電極電圧をアノード的にバイアスする前記バイアス電流を発生させるように構成されている、請求項42に記載のシステム。
【請求項51】
前記1セットの電流は、前記不関電極電圧をカソード的にバイアスする前記バイアス電流を発生させるように構成されている、請求項42に記載のシステム。
【請求項52】
前記1セットの電流は、前記不関電極電圧をアノード的にバイアスする前記バイアス電流を発生させるように構成されている、請求項42に記載のシステム。
【請求項53】
少なくとも2つの作用電極を含む、請求項42から52のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項54】
少なくとも1つの作用電極の前記初期極性は、カソードである、請求項42に記載のシステム。
【請求項55】
少なくとも1つの作用電極の前記初期極性は、アノードである、請求項42に記載のシステム。
【請求項56】
前記不関電極は、皮膚表面電極である、請求項42から55のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項57】
前記不関電極は、経皮的な電極または植え込まれた電極である、請求項42から56のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項58】
前記不関電極は、チタンを含む、請求項42から57のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項59】
前記不関電極は、少なくとも約10cm
2の作用表面積を有している、請求項42から58のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項60】
前記不関電極は、少なくとも約100cm
2の作用表面積を有している、請求項42から59のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項61】
前記興奮性の組織のブロックを発生させるように構成されている、請求項42から60のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項62】
前記高電荷容量材料は、窒化チタン、タンタル、MP35N、および/または、これらの組み合わせを含む、請求項42から61のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項63】
前記高電荷容量材料は、窒化チタンによってコーティングされたタンタルを含む、請求項42から62のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項64】
ブロッキングキャパシタを含まない、請求項42から63のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項65】
前記バイアス電流は、固定されている、請求項42から64のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項66】
前記バイアス電流は、可変である、請求項42から65のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項67】
前記コントローラは、静電容量、最大電流、および電圧のうちの1つまたは任意の組み合わせに関係するデータを受信することに基づいて、前記バイアス電流を変調させるために、前記1セットの作用電極電流を調節するように構成されている、請求項65に記載のシステム。
【請求項68】
前記バイアス電流は、約-10μAから約-1mAの間にある、請求項42から67のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項69】
前記バイアス電流は、約-10μAから約-100μAの間にある、請求項42から68のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項70】
前記バイアス電流は、約-42μAである、請求項42から69のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項71】
前記バイアス電流は、複数の前記植え込み可能な作用電極の間で均一にまたは不均一に分割される、請求項42から70のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項72】
患者における水電気分解を抑制するように構成されている、請求項42から71のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項73】
前記作用電極の腐食を抑制するように構成されている、請求項42から72のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項74】
前記電流発生器は、DC電流を発生させるように構成されている、請求項42から73のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項75】
前記電流発生器は、高周波AC電流を発生させるように構成されている、請求項42から74のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項76】
前記作用電極は、前記興奮性の組織を損傷させることなく、少なくとも約2,000μCの電荷を前記興奮性の組織の中へ送達するように構成されている、請求項42から75のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項77】
機械的に可動なパーツがない、請求項42から76のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項78】
前記所定の時間期間は、少なくとも5分、少なくとも10分、少なくとも20分、少なくとも30分、少なくとも45分、少なくとも1時間、少なくとも2時間、少なくとも3時間、少なくとも4時間、および少なくとも5時間からなる群から選択される、請求項42から77のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項79】
組織を電気的に変調させるための方法であって、
電流発生器を提供するステップと、
所定の時間期間にわたって前記作用電極に送達されるべき1セットの初期極性を有する1セットの電流を発生させるために、前記電流発生器に信号を送るステップと、
過敏なニューロン感受性の低減を引き起こすステップと、
急性の疼痛応答を維持するステップと
を含む、方法。
【請求項80】
組織を電気的に変調させるためのシステムであって、
電流発生器と、
前記電流発生器と電気的に通信するように構成されている少なくとも1つの植え込み可能な作用電極と、
少なくとも1つの不関電極と、
コントローラとを備え、前記コントローラは、前記電流発生器に信号を送り、
前記作用電極に送達されるべき神経組織の部分的な神経伝導ブロックに関連付けられる1セットの初期極性および電流振幅レベルを有する1セットの電流を発生させ、および、
前記1セットの電流に応答して前記神経組織の中に部分的な神経伝導ブロックを引き起こす
ように構成されている、システム。
【請求項81】
前記1セットの電流は、電気的に興奮性の組織を変調させるのに十分である、請求項80に記載のシステム。
【請求項82】
前記少なくとも1つの植え込み可能な作用電極は、高電荷容量材料を含む、請求項80または81に記載のシステム。
【請求項83】
前記バイアス電流は、アノード極性で動作する、請求項80または81に記載のシステム。
【請求項84】
前記バイアス電流は、カソード極性で動作する、請求項80または81に記載のシステム。
【請求項85】
前記1セットの電流は、前記作用電極電圧をカソード的にバイアスする前記バイアス電流を発生させるように構成されている、請求項80に記載のシステム。
【請求項86】
前記1セットの電流は、前記作用電極電圧をアノード的にバイアスする前記バイアス電流を発生させるように構成されている、請求項80に記載のシステム。
【請求項87】
前記1セットの電流は、前記不関電極電圧をカソード的にバイアスする前記バイアス電流を発生させるように構成されている、請求項80に記載のシステム。
【請求項88】
前記1セットの電流は、前記不関電極電圧をアノード的にバイアスする前記バイアス電流を発生させるように構成されている、請求項80に記載のシステム。
【請求項89】
少なくとも2つの作用電極を含む、請求項80から88のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項90】
少なくとも1つの作用電極の前記初期極性は、カソードである、請求項80に記載のシステム。
【請求項91】
少なくとも1つの作用電極の前記初期極性は、アノードである、請求項80に記載のシステム。
【請求項92】
前記不関電極は、皮膚表面電極である、請求項80から91のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項93】
前記不関電極は、経皮的な電極または植え込まれた電極である、請求項80から92のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項94】
前記不関電極は、チタンを含む、請求項80から93のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項95】
前記不関電極は、少なくとも約10cm
2の作用表面積を有している、請求項80から94のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項96】
前記不関電極は、少なくとも約100cm
2の作用表面積を有している、請求項80から95のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項97】
前記興奮性の組織のブロックを発生させるように構成されている、請求項80から96のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項98】
前記高電荷容量材料は、窒化チタン、タンタル、MP35N、および/または、これらの組み合わせを含む、請求項80から97のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項99】
前記高電荷容量材料は、窒化チタンによってコーティングされたタンタルを含む、請求項80から98のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項100】
ブロッキングキャパシタを含まない、請求項80から99のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項101】
前記バイアス電流は、固定されている、請求項80から100のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項102】
前記バイアス電流は、可変である、請求項80から101のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項103】
前記コントローラは、静電容量、最大電流、および電圧のうちの1つまたは任意の組み合わせに関係するデータを受信することに基づいて、前記バイアス電流を変調させるために、前記1セットの作用電極電流を調節するように構成されている、請求項101に記載のシステム。
【請求項104】
前記バイアス電流は、約-10μAから約-1mAの間にある、請求項80から103のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項105】
前記バイアス電流は、約-10μAから約-100μAの間にある、請求項80から104のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項106】
前記バイアス電流は、約-42μAである、請求項80から105のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項107】
前記バイアス電流は、複数の前記植え込み可能な作用電極の間で均一にまたは不均一に分割される、請求項80から106のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項108】
患者における水電気分解を抑制するように構成されている、請求項80から107のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項109】
前記作用電極の腐食を抑制するように構成されている、請求項80から108のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項110】
前記電流発生器は、DC電流を発生させるように構成されている、請求項80から109のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項111】
前記電流発生器は、高周波AC電流を発生させるように構成されている、請求項80から110のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項112】
前記作用電極は、前記興奮性の組織を損傷させることなく、少なくとも約2,000μCの電荷を前記興奮性の組織の中へ送達するように構成されている、請求項80から111のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項113】
機械的に可動なパーツがない、請求項80から112のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項114】
前記1セットの電流は、プラスのプラトーフェーズおよびマイナスのプラトーフェーズを含み、前記電流振幅レベルは、前記プラスのプラトーフェーズの間にのみ神経ブロックを引き起こすように選択される、請求項80から113のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項115】
前記1セットの電流は、プラスのプラトーフェーズおよびマイナスのプラトーフェーズを含み、前記電流振幅レベルは、前記マイナスのプラトーフェーズの間にのみ神経ブロックを引き起こすように選択される、請求項80から114のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項116】
前記1セットの電流は、プラスのプラトーフェーズおよびマイナスのプラトーフェーズを含み、前記電流振幅レベルは、前記プラスのプラトーフェーズと前記マイナスのプラトーフェーズの両方の間に神経ブロックを引き起こすように選択される、請求項80から115のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項117】
前記1セットの電流は、フェーズ間の前記移行期間の間に神経伝導を可能にしながら、前記プラスのプラトーフェーズと前記マイナスのプラトーフェーズの両方の間に神経ブロックを引き起こすように選ばれる、請求項80から116のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項118】
前記電流振幅レベルは、部分的なブロックのパーセンテージに線形に関係する、請求項80から117のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項119】
前記電流振幅レベルは、部分的なブロックのパーセンテージに指数関数的に関係する、請求項80から118のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項120】
前記コントローラは、神経ブロッキングのレベルのインジケーションを決定し、前記インジケーションに応答して前記1セットの電流の振幅を調節するようにさらに構成されている、請求項80から119のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項121】
前記コントローラは、前記部分的な神経伝導ブロックが前記1セットの電流の発生の停止の10、20、30、40、50、60、70、80、または90ms以内に排除されることを引き起こすようにさらに構成されている、請求項80から120のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項122】
前記コントローラは、前記部分的な神経伝導ブロックが印加される時間期間の50%、60%、70%、80%、90%、100%、110%、120%、130%、140%、150%、または200%である時間期間の中で前記部分的な神経伝導ブロックが排除されることを引き起こすようにさらに構成されている、請求項80から121のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項123】
組織を電気的に変調させるための方法であって、
電流発生器を提供するステップと、
前記作用電極に送達されるべき神経組織の部分的な神経伝導ブロックに関連付けられる1セットの初期極性および電流振幅レベルを有する1セットの電流を発生させるために、前記電流発生器に信号を送るステップと、
前記1セットの電流に応答して前記神経組織の中に部分的な神経伝導ブロックを引き起こすステップと
を含む、方法。
【請求項124】
組織を電気的に変調させるためのシステムであって、本開示において説明されている実施形態のうちのいずれか1つまたは複数を含む、システム。
【請求項125】
組織を電気的に変調させるための方法であって、本開示において説明されている実施形態のうちのいずれか1つまたは複数を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、いくつかの実施形態において、神経系組織、心臓組織、または、他の電圧感受性組織における生物学的な組織の処理を含む、神経組織を通る生物学的な信号のブロック、変調、または減衰を促進させることに関する。
【背景技術】
【0002】
疼痛のゲートコントロール理論は、1960年代に発展し、脊髄の中の非侵害受容性線維(非痛覚伝達線維)を選択的に刺激して、脳への疼痛刺激の伝達を抑制することによって、疼痛入力が脳に到達することを低減させる刺激ベースの疼痛管理療法の出現につながった(Mendell, Constructing and Deconstructing the Gate Theory of Pain, Pain, 2014 Feb 155(2): 210-216頁を参照)。脊髄刺激(SCS)のための電流刺激システム(それは、このゲートコントロール理論に基づいて作用し、疼痛を間接的に低減させる)は、典型的に、<100Hz周波数範囲における(そして、最近では、kHz周波数範囲における)刺激信号に依存している。同じメカニズムを通して分節性疼痛を低減させるために、同様の周波数範囲における後根神経節(DRG: dorsal root ganglia)の刺激も用いられてきた。
【0003】
しかし、この前提に基づく技術は、疼痛伝達抑制が完全ではなく、知覚異常などのような副作用が患者にとって不快である可能性があるというような欠点を有している。したがって、非侵害受容性線維のゲート理論活性化を通して疼痛信号を間接的に低減させるのではなく、疼痛線維を通る疼痛信号伝達をより効果的にブロックもしくは軽減するか、または、疼痛信号を処理するニューロンの興奮性を減少させ、また、望ましくない副作用を回避する、疼痛を治療する(または、その他の方法で神経活動をブロックする)システムおよび方法を有することが望ましい。そのうえ、神経組織または神経活動のブロックまたは減衰は、疼痛に影響を与えることに関係しているだけでなく、運動障害、精神障害、心臓血管の健康の管理、さらには、糖尿病などのような病状の管理にも関係している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第10,071,241号
【特許文献2】米国特許第9,008,800号
【特許文献3】米国特許出願公開第2018/0280691号
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】Mendell, Constructing and Deconstructing the Gate Theory of Pain, Pain, 2014 Feb 155(2): 210-216頁
【非特許文献2】Nahin, Estimates of Pain Prevalence and Severity in Adults: United States, 2012, The Journal of Pain, 2015 August 16(8): 769-780頁
【非特許文献3】Borsook, A Future Without Chronic Pain: Neuroscience and Clinical Research, Cerebrum, 2012年6月
【非特許文献4】Tjepkema-Cloostermansら, Effect of Burst Evaluated in Patients Familiar With Spinal Cord Stimulation, Neuromodulation, 2016 July 19(5):492-497頁
【非特許文献5】Bhadra and Kilgore, Direct Current Electrical Conduction Block of Peripheral Nerve, IEEE Transactions on Neural Systems and Rehabilitation Engineering, 2004 September 12(3): 313-324頁
【非特許文献6】Fridman and Santina, Safe Direct Current Stimulation to Expand Capabilities of Neural Prostheses, IEEE Transaction of Neural Systems and Rehabilitation Engineering, 2013 March 21(2):319-328頁
【非特許文献7】Fridman and Santina, Safe Direct Current Stimulator 2: Concept and Design, Conf Proc IEEE Eng Med Bio Soc, 2013: 3126-3129頁
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
1つの実施形態では、遅延された神経抑制を有する急性の遮断のための方法またはシステムが提供される。1つの実施形態では、組織を電気的に変調させるためのシステムであって、電流発生器と、電流発生器と電気的に通信するように構成されている少なくとも1つの植え込み可能な作用電極と、少なくとも1つの不関電極と、コントローラとを含み、コントローラは、電流発生器に信号を送り、所定の時間期間にわたって作用電極に送達されるべき1セットの初期極性を有する1セットの電流を発生させ、ここで、電流の大きさは、神経組織における急性の遮断を実現するために必要とされる電流振幅に対応する閾値電流振幅よりも小さく、さらに、時間期間の後に神経組織の中に神経抑制を引き起こすように構成されている。1つの実施形態では、組織を電気的に変調させるための方法は、電流発生器を提供するステップと、所定の時間期間にわたって作用電極に送達されるべき1セットの初期極性を有する1セットの電流を発生させるために、(たとえば、コントローラまたはその他によって)電流発生器に信号を送るステップであって、電流の大きさは、神経組織における急性の遮断を実現するために必要とされる電流振幅に対応する閾値電流振幅よりも小さい、ステップと、時間期間の後に神経組織の中に神経抑制を引き起こすステップとを含む。
【0007】
時間期間は、所定の時間期間であり得る。コントローラは、閉ループ動作モード、開ループ動作モード、または他の動作モードにおいて1セットの電流を発生させるように、電流発生器に信号を送るように構成され得る。コントローラは、時間期間の後に、および、感覚欠損を引き起こすことなく、神経組織の中に神経抑制を引き起こすように、電流発生器に信号を送るように構成され得る。1セットの電流は、電気的に興奮性の組織を変調させるのに十分であり得る。
【0008】
少なくとも1つの植え込み可能な作用電極は、高電荷容量材料を含み得る。コントローラは、バイアス電流を発生させるように、電流発生器に信号を送るようにさらに構成され得る。バイアス電流は、アノード極性でまたはカソード極性で動作することが可能である。電流発生器は作用電極電圧をカソード的にバイアスするバイアス電流を発生させるように構成され得る。電流発生器は、不関電極電圧をアノード的にバイアスするバイアス電流を発生させるように構成され得る。システムは、少なくとも2つの作用電極を含み得る。少なくとも1つの作用電極の初期極性は、カソードまたはアノードであり得る。
【0009】
不関電極は、皮膚表面電極であり得る。不関電極は、経皮的な電極または植え込まれた電極であり得る。不関電極は、チタンを含むことが可能である。不関電極は、少なくとも約10cm2,または少なくとも約50cm2の作用表面積を有し得る。システムは、興奮性の組織のブロックを発生させるように構成され得る。少なくとも1つの植え込み可能な作用電極は、窒化チタン、タンタル、MP35N、プラチナイリジウム、ステンレス鋼、および/または、これらの組み合わせを含むことが可能である。電極は、窒化チタンによってコーティングされたプラチナ-イリジウムを含むことが可能である。
【0010】
システムは、ブロッキングキャパシタを含まなくてよい。バイアス電流は、固定され得、または可変であり得る。バイアス電流は、サイクル周期にわたって可変であり、または、第1のサイクルから第2のサイクルへ可変であり得る。コントローラは、静電容量、最大電流、および電圧のうちの1つまたは任意の組み合わせに関係するデータを受信することに基づいて、バイアス電流を変調させるために、1セットの作用電極電流を調節するように構成され得る。バイアス電流は、約-10μAから約-1mAの間に、または、-10μAから約-100μAの間にあり得る。
【0011】
バイアス電流は、複数の植え込み可能な作用電極の間で均一にまたは不均一に分割され得る。システムは、患者における水電気分解を抑制するようにさらに構成され得る。システムは、作用電極の腐食、望ましくない化学反応、水素脆化、活性酸素種の生成、または、過酸化水素の生成のうちの1つまたは複数を抑制するようにさらに構成され得る。
【0012】
電流発生器は、DC電流および/または高周波AC電流を発生させるように構成され得る。作用電極は、興奮性の組織を損傷させることなく、少なくとも約2,000μCの電荷を興奮性の組織の中へ送達するように構成され得る。システムは、機械的に可動なパーツを欠き得る。時間期間は、少なくとも5分、少なくとも10分、少なくとも20分、少なくとも30分、少なくとも45分、少なくとも1時間、少なくとも2時間、少なくとも3時間、少なくとも4時間、および少なくとも5時間からなる群から選択され得る。閾値電流振幅は、700μAから1000μAの間にある。神経抑制は、疼痛抑制を含むことが可能である。感覚欠損は、しびれ、麻酔、および知覚異常からなる群から選択され得る。
【0013】
別の実施形態では、急性の疼痛応答を維持しながらワインドアップ応答を低減させることによる低減された疼痛応答のための方法またはシステムが提供される。組織を電気的に変調させるためのシステムは、電流発生器と、電流発生器と電気的に通信するように構成されている少なくとも1つの植え込み可能な作用電極と、少なくとも1つの不関電極と、コントローラとを含み、コントローラは、電流発生器に信号を送り、所定の時間期間にわたって作用電極に送達されるべき1セットの初期極性を有する1セットの電流を発生させ、過敏なニューロン感受性の低減を引き起こし、および、急性の疼痛応答を維持するように構成されていることが可能である。組織を電気的に変調させるための方法は、電流発生器を提供するステップと、所定の時間期間にわたって作用電極に送達されるべき1セットの初期極性を有する1セットの電流を発生させるために、(たとえば、コントローラまたはその他によって)電流発生器に信号を送るステップと、過敏なニューロン感受性の低減を引き起こすステップと、急性の疼痛応答を維持するステップとを含むことが可能である。
【0014】
時間期間は、所定の時間期間であり得る。コントローラは、閉ループ動作モード、開ループ動作モード、または他の動作モードにおいて1セットの電流を発生させるように、電流発生器に信号を送るように構成され得る。1セットの電流は、電気的に興奮性の組織を変調させるのに十分であり得る。少なくとも1つの植え込み可能な作用電極は、高電荷容量材料を含むことが可能である。バイアス電流は、アノード極性またはカソード極性で動作することが可能である。1セットの電流は、作用電極電圧をカソード的にまたはアノード的にバイアスするバイアス電流を発生させるように構成され得る。1セットの電流は、不関電極電圧をカソード的にまたはアノード的にバイアスするバイアス電流を発生させるように構成され得る。
【0015】
システムは、少なくとも2つの作用電極を含むことが可能である。少なくとも1つの作用電極の初期極性は、カソードまたはアノードであり得る。不関電極は、皮膚表面電極であり得る。不関電極は、経皮的な電極または植え込まれた電極であり得る。不関電極は、チタンを含むことが可能である。不関電極は、少なくとも約10cm2または少なくとも約100cm2の作用表面積を有することが可能である。
【0016】
システムは、興奮性の組織のブロックを発生させるように構成され得る。少なくとも1つの植え込み可能な作用電極は、窒化チタン、タンタル、MP35N、および/または、これらの組み合わせを含むことが可能である。少なくとも1つの植え込み可能な作用電極は、窒化チタンによってコーティングされたタンタルを含むことが可能である。システムは、ブロッキングキャパシタを含まなくてもよい。バイアス電流は、固定され得るかまたは可変であり得る。コントローラは、静電容量、最大電流、および電圧のうちの1つまたは任意の組み合わせに関係するデータを受信することに基づいて、バイアス電流を変調させるために、1セットの作用電極電流を調節するように構成され得る。バイアス電流は、約-10μAから約-1mAの間に、または、約-10μAから約-100μAの間にあり得る。バイアス電流は、複数の植え込み可能な作用電極の間で均一にまたは不均一に分割され得る。
【0017】
システムは、患者における水電気分解を抑制するように構成され得る。システムは、作用電極の腐食を抑制するように構成され得る。電流発生器は、DC電流を発生させるように構成され得る。電流発生器は、高周波AC電流を発生させるように構成され得る。作用電極は、興奮性の組織を損傷させることなく、少なくとも約2,000μCの電荷を興奮性の組織の中へ送達するように構成され得る。システムは、機械的に可動なパーツがないことが可能である。時間期間は、少なくとも5分、少なくとも10分、少なくとも20分、少なくとも30分、少なくとも45分、少なくとも1時間、少なくとも2時間、少なくとも3時間、少なくとも4時間、および少なくとも5時間からなる群から選択され得る。
【0018】
別の実施形態では、部分的なブロックを実現するために電流振幅を制御するための方法またはシステムが提供される。組織を電気的に変調させるためのシステムは、電流発生器と、電流発生器と電気的に通信するように構成されている少なくとも1つの植え込み可能な作用電極と、少なくとも1つの不関電極と、コントローラとを含み、コントローラは、電流発生器に信号を送り、作用電極に送達されるべき神経組織の部分的な神経伝導ブロックに関連付けられる1セットの初期極性および電流振幅レベルを有する1セットの電流を発生させ、および、前記1セットの電流に応答して神経組織の中に部分的な神経伝導ブロックを引き起こすように構成されていることが可能である。組織を電気的に変調させるための方法は、電流発生器を提供するステップと、作用電極に送達されるべき神経組織の部分的な神経伝導ブロックに関連付けられる1セットの初期極性および電流振幅レベルを有する1セットの電流を発生させるために、(たとえば、コントローラまたはその他によって)電流発生器に信号を送るステップと、前記1セットの電流に応答して神経組織の中に部分的な神経伝導ブロックを引き起こすステップとを含むことが可能である。
【0019】
1セットの電流は、電気的に興奮性の組織を変調させるのに十分であり得る。少なくとも1つの植え込み可能な作用電極は、高電荷容量材料を含むことが可能である。バイアス電流は、アノード極性またはカソード極性で動作することが可能である。1セットの電流は、作用電極電圧をカソード的にまたはアノード的にバイアスするバイアス電流を発生させるように構成され得る。1セットの電流は、不関電極電圧をカソード的にまたはアノード的にバイアスするバイアス電流を発生させるように構成され得る。
【0020】
システムは、少なくとも2つの作用電極を含むことが可能である。少なくとも1つの作用電極の初期極性は、カソードまたはアノードであり得る。不関電極は、皮膚表面電極、経皮的な電極、または植え込まれた電極であり得る。不関電極は、チタンを含むことが可能である。不関電極は、少なくとも約10cm2または少なくとも約100cm2の作用表面積を有することが可能である。
【0021】
システムは、興奮性の組織のブロックを発生させるように構成され得る。少なくとも1つの植え込み可能な作用電極は、窒化チタン、タンタル、MP35N、および/または、これらの組み合わせを含むことが可能である。少なくとも1つの植え込み可能な作用電極は、窒化チタンによってコーティングされたタンタルを含むことが可能である。システムは、ブロッキングキャパシタを含まなくてもよい。
【0022】
バイアス電流は、固定され得るかまたは可変であり得る。コントローラは、静電容量、最大電流、および電圧のうちの1つまたは任意の組み合わせに関係するデータを受信することに基づいて、バイアス電流を変調させるために、1セットの作用電極電流を調節するように構成され得る。バイアス電流は、約-10μAから約-1mAの間に、または、約-10μAから約-100μAの間にあり得る。バイアス電流は、複数の植え込み可能な作用電極の間で均一にまたは不均一に分割され得る。
【0023】
システムは、患者における水電気分解を抑制するように構成され得る。システムは、作用電極の腐食を抑制するように構成され得る。電流発生器は、DC電流または高周波AC電流を発生させるように構成され得る。作用電極は、興奮性の組織を損傷させることなく、少なくとも約2,000μCの電荷を興奮性の組織の中へ送達するように構成され得る。システムは、機械的に可動なパーツがないことが可能である。
【0024】
1セットの電流は、プラスのプラトーフェーズおよびマイナスのプラトーフェーズを含むことが可能であり、電流振幅レベルは、プラスのプラトーフェーズの間にのみ神経ブロックを引き起こすように選択される。1セットの電流は、プラスのプラトーフェーズおよびマイナスのプラトーフェーズを含むことが可能であり、電流振幅レベルは、マイナスのプラトーフェーズの間にのみ神経ブロックを引き起こすように選択される。1セットの電流は、プラスのプラトーフェーズおよびマイナスのプラトーフェーズを含むことが可能であり、電流振幅レベルは、プラスのプラトーフェーズとマイナスのプラトーフェーズの両方の間に神経ブロックを引き起こすように選択される。1セットの電流は、フェーズ間の移行期間の間に神経伝導を可能にしながら、プラスのプラトーフェーズとマイナスのプラトーフェーズの両方の間に神経ブロックを引き起こすように選ばれ得る。
【0025】
電流振幅レベルは、部分的なブロックのパーセンテージに線形に関係し得る。電流振幅レベルは、部分的なブロックのパーセンテージに指数関数的に関係し得る。コントローラは、神経ブロッキングのレベルのインジケーションを決定し、インジケーションに応答して1セットの電流の振幅を調節するようにさらに構成され得る。コントローラは、部分的な神経伝導ブロックが1セットの電流の発生の停止の10、20、30、40、50、60、70、80、または90ms以内に排除されることを引き起こすようにさらに構成され得る。コントローラは、部分的なブロックが印加された時間期間に比例する時間期間の中で部分的な神経伝導ブロックが排除されることを引き起こすように構成され得る。たとえば、コントローラは、部分的な神経伝導ブロックが印加される時間期間の50%、60%、70%、80%、90%、100%、110%、120%、130%、140%、150%、または200%である時間期間の中で部分的な神経伝導ブロックが排除されることを引き起こすようにさらに構成され得る。
【0026】
組織を電気的に変調させるためのシステムは、本開示において説明されている実施形態のうちのいずれか1つまたは複数を含むことが可能である。組織を電気的に変調させるための方法は、本開示において説明されている実施形態のうちのいずれか1つまたは複数を含むことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】一定のバイアス電流を有する作用電極間の波形の実施形態を概略的に図示する図である。
【
図2】ニューロモデュレーションシステムの1つの非限定的な例を概略的に図示する図である。
【
図3】
図2のニューロモデュレーションシステムの経皮リードの実施形態を概略的に図示する図である。
【
図4】
図2のニューロモデュレーションシステムのリードアダプタの実施形態を概略的に図示する図である。
【
図5】
図2のニューロモデュレーションシステムの外部パルス発生器(EPG)の実施形態を概略的に図示する図である。
【
図6】
図2のニューロモデュレーションシステムによって提供され得るEPG出力波形の例を概略的に図示する図である。
【
図7】表面電極キャリッジデバイスを概略的に図示する図である。
【
図8】無菌のリード植え込みキットの1つの実施形態を概略的に図示する図である。
【
図9】
図9Aは脊髄刺激(SCS)波形を図示する図であり、
図9BはSCS波形を図示する図である。
【
図9C】さまざまなSCS波形に関係する値の表である。
【
図11】化学的な副生成物を制限するための、および、望ましくない反応から電極を保護するための範囲の中で動作される電極の例示的な波形を図示する図である。
【
図12】バイアス(または、オフセット)電流による例示的なバイポーラ動作を図示する図である。
【
図13】神経障害状態における異所性発火を伴うフィラメントからの記録を図示する図である。
【
図14】
図12を参照して言及されるフィラメントにおける伝導のブロックおよび回復を示すラスタープロットを図示する図である。
【
図15】完全な伝導ブロックが実現された、サンプル線維に対するテストにおけるブロック時間および回復時間を示す分布プロットを図示する図である。
【
図16】電気的な刺激(フットショック誘発(foot shock-evoked))によって活性化させられる2つのA線維を含有するフィラメントからの記録を図示する図である。
【
図17】脊髄およびリードの断面を図示する図である。
【
図18】電気的な刺激(フットショック誘発)によって活性化させられる4A線維を含有するフィラメントにおいてゆっくりと発達するブロックを有するULF電流およびニューログラム結果を図示する図である。
【
図19】最大で2000μAのまたはその他の電流において伝導がブロックされ得る異なる線維タイプのパーセンテージを示すヒストグラムを図示する図である。
【
図20】異なる線維タイプにおける電流印加からのブロックおよび回復のための閾値を図示する図である。
【
図21】脊髄表面に印加されるDCによる脊髄後角ニューロンにおけるフットショック誘発応答のブロックの記録を図示する図である。
【
図22】図示されているイオンチャネルおよび経路を伴うランヴィエ絞輪の概略図である。
【
図23】
図22に図示されているコンピュータシミュレーションのためのラスタースイープを図示する図である。
【
図24】コンピュータシミュレーションにおけるULFによるAP伝導における漸進的な減少を示す、経時的な膜電圧(mV)を秒で図示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本出願は、いくつかの態様において、神経過剰抑制を含む神経ブロックもしくは減衰を促進させるために、または、直流電流印加が除去されるかもしくは停止された後に、急速な可逆性もしくは回復を伴わない神経ブロックを促進させるために、直流電流(DC)の印加を介した慢性のおよび急性の疼痛状態の管理のための方法およびシステムを説明している。いくつかの実施形態において開示されているのは、サイクルされたカソード電流およびアノード電流を送達することによって、ブロッキングまたは減衰する直流電流(DC)を神経組織に送達するためのシステムおよび電極である。いくつかの実施形態において、これらのシステムは、高電荷容量材料を含む。望ましくない反応に関して反応電位よりも下方で電極を動作させることによって、および、不可逆的な反応(たとえば、水の電気分解、または、水(H2O)の酸化および還元など)(それは、有害な反応性種(たとえば、OH-、H+、または酸素フリーラジカルなど)を生成させる)の量を制限することによって、および、いくつかのケースでは、本明細書でさらに議論されているように、バイアス電流を維持することによって、組織の安全性が維持され得る。より一般的には、本明細書で説明されているようなニューロモデュレーションは、神経組織(ニューロンおよび/またはグリア細胞を含むがそれに限定されない)、心臓組織または他の神経性のもしくは非神経性の興奮性の組織、または、電場もしくは電流によって影響を受け得る組織の活動、興奮性、または細胞状態の変調を指す。いくつかの実施形態において、患者に送達される波形のアノードフェーズもしくはカソードフェーズのいずれか、または、アノードフェーズおよびカソードフェーズの両方は、電気的に興奮性の組織(たとえば、神経組織など)に対して治療効果を有することが可能である。
【0029】
理論によって制限されるべきではないが、電気的に興奮性の組織(たとえば、神経組織)の中の活動電位の伝播は、ナトリウムチャネルに関してミリ秒のオーダーの不応期をもたらし、典型的に、約1msから約20msの間の、または、絶対的な不応期および相対的な不応期の組み合わせに関して、約2msから約5msの間の不応期をもたらし、したがって、この不応期よりも有意に大きい(たとえば、約1ms、1.5ms、2ms、2.5ms、3ms、10ms、30ms、50ms、100ms、300ms、500ms、1000ms、2000ms、5000ms、6000msまたはそれ以上よりも大きい)半周期を有する、ならびに、活動電位を誘導しないように十分に低い微分レート(たとえば、立ち上がり時間および立ち下がり時間)を有する、低い周波数の(たとえば、超低周波数)AC電流波形が、組織ブロックまたは減衰を生成させるために使用されることも可能であり、電気的に興奮性の組織によって直流電流刺激として知覚されることとなる。そうであるので、本明細書で定義されているような直流電流(DC)はその活動電位または神経処理が変調されている組織の観点から、直流電流として知覚される超低周波数AC電流波形を含み、機能的にその直流電流である。超低周波数は、電流の流れの方向がターゲット組織の少なくとも不応期全体にわたって一定である限りにおいて、たとえば、約10Hz、9Hz、8Hz、7Hz、6Hz、5Hz、4Hz、3Hz、2Hz、1Hz、0.5Hz、0.1Hz、0.05Hz、0.01Hz、0.005Hz、0.0001Hzよりも小さくなっていることが可能であり、または、先述の値のうちの任意の2つを含む範囲とすることが可能であり、または、不応を引き起こす膜チャネル時定数(たとえば、高速ナトリウムチャネル不活性化ゲート時定数)の少なくとも2倍の長さ、少なくとも5倍の長さ、もしくは、少なくとも10倍の長さになっていることが可能である。
【0030】
慢性の疼痛は、個人および社会全体に大きな負担をかけている。米国だけでも、5,000万人近くの成人が重大な慢性の疼痛または重度の疼痛を抱えていると推定されている(Nahin, Estimates of Pain Prevalence and Severity in Adults: United States, 2012, The Journal of Pain, 2015 August 16(8): 769-780頁を参照)。世界的に見ても、慢性の疼痛は、15億人を超える人々に影響を及ぼしていると推定されている(Borsook, A Future Without Chronic Pain: Neuroscience and Clinical Research, Cerebrum, 2012年6月)。ときには外科的な技法が疼痛の原因(神経のインピンジメントに起因することが多い)を除去するために適用されることもあるが、多くのケースでは、疼痛の正確な原因は明確ではなく、外科的手技を介して信頼性高く対処され得ない。代替的に、疼痛管理は、疼痛入力の登録を妨げる刺激信号によって中枢神経系を圧倒することによって対処され得る(疼痛のゲートコントロール理論)。典型的に、脊髄刺激(SCS)のケースなどにおけるこの刺激は、金属電極および交流電流(AC)刺激を使用して実施され、これらの追加的な刺激信号を作り出し、疼痛感覚を妨げる。しかし、1つの主要な欠点は、刺激された神経から下流にある神経支配領域の中のチクチクする感覚である知覚異常が存在することである。患者が不快感を感じ得る知覚異常を排除するための方法は、高周波数刺激(~10kHz)およびバースト刺激(たとえば、500Hzにおける5つのパルスが1秒間に40回送達される)を含む従来のトニックSCS(~30~120Hz)刺激からの刺激とは異なる手段に至った(Tjepkema-Cloostermansら, Effect of Burst Evaluated in Patients Familiar With Spinal Cord Stimulation, Neuromodulation, 2016 July 19(5):492-497頁)。
【0031】
中枢神経系への疼痛信号送信を管理するための代替的な手段は、従来のSCSおよびゲート理論のように、代替的な神経入力を発生させて、疼痛信号伝達を押しのけて抑制することによって、疼痛信号をマスキングするのとは対照的に、疼痛信号を直接的にブロックまたは減衰させることによって、末梢信号供給源からの疼痛信号の伝導を妨げることである。これを行うための1つの手段は、直流電流(DC)を神経に印加して活動電位(AP)の発生および伝達を妨げることによるものである。これは、従来の刺激のように神経を刺激しないので、知覚異常が回避され得る。APブロックにつながるメカニズムは、電極部位の下の活動電位事象に必要とされるナトリウムチャネルを不活性化させる脱分極ブロックまたは過分極ブロックに起因している(Bhadra and Kilgore, Direct Current Electrical Conduction Block of Peripheral Nerve, IEEE Transactions on Neural Systems and Rehabilitation Engineering, 2004 September 12(3): 313-324頁を参照)。ワイドダイナミックレンジ(WDR)ニューロンは、疼痛信号を統合し、また、患者における疼痛の原因となる供給源として関与しており、直流電流(DC)の印加は、この活動を低減させるように上手く位置決めされ、WDR活動を駆動する関連の抑制性および興奮性ニューロンに影響を及ぼす可能性がある。
【0032】
直流電流の緩和されない使用は、電極-神経インターフェースにおける有毒種の生成に起因して、神経組織にとって危険であるとこが長い間知られてきた。そうであるので、直流電流療法の安全な送達を促進させるシステムおよび方法が、非常に望ましいこととなる。いくつかの実施形態において、システムおよび方法は、侵害受容性疼痛を治療するように構成され得る。いくつかの実施形態において、疼痛および他の医学を治療するシステムおよび方法は、脊髄の中の前側柱組織の選択的なブロックを含むことが可能である。そのうえ、いくつかの実施形態は、上述のシステムおよび方法によって、具体的には、後根組織および/または後根神経節の選択的なブロックを通して、疼痛を治療するシステムおよび方法に関するものである。そのうえ、いくつかの実施形態において、具体的には、1つまたは複数の末梢神経のブロックまたは減衰を通して、疼痛を治療するシステムおよび方法が、本明細書で開示されている。
【0033】
いくつかの実施形態において、システムおよび方法は、最大で2週間またはそれ以上にわたって、硬膜上腔の中に非常に低い周波数(たとえば、超低周波数)の刺激を送達することによって、脊柱の中の疼痛信号(それは、疼痛処理の変調を含む)を安全にブロックまたは軽減することが可能であり、脊髄刺激(SCS)の候補である慢性の腰痛の患者における臨床的に測定可能な疼痛の低減を実現することが可能である。
【0034】
ターゲットとされる神経ブロックによって、特定の真皮節からの疼痛、および、局部的な身体部位の中の疼痛が管理され得る。疼痛信号伝導を緩和することに関わる多くの限局的なターゲットが対処され得る。他の疼痛の考慮事項の中でも、腰痛、座骨神経痛、および複合性局所疼痛症候群(CPRS)を管理するために、たとえば、より中央に位置付けされている両方の神経組織(たとえば、脊髄視床路および後根神経節など)がターゲットとされ得る。
【0035】
いくつかの実施形態において、電極(たとえば、作用電極、不関電極、または、本明細書で説明されている任意の他の電極)は、高電荷容量材料および/または本明細書で説明されている任意の他の材料を含む接点を含むことが可能である。電極接点は、いくつかのケースでは、約1mm2から約10mm2の間の幾何学的表面積、または、約1mm2、2mm2、3mm2、4mm2、5mm2、6mm2、7mm2、8mm2、9mm2、10mm2、20mm2、50mm2、100mm2、もしくは、先述の値のうちの任意の2つを含む範囲の幾何学的表面積を有することが可能である。電極接点自身は、たとえば、Bhadraらによる米国特許第10,071,241号に説明されているものなどのような、高電荷容量材料から製作され得、その文献は、その全体が参照により本明細書に組み込まれている。代替的に、電極接点は、少なくとも部分的にまたは完全に高電荷容量材料によってコーティングされたベースを含むことが可能である。いくつかの実施形態において、高電荷容量材料は、少なくとも約25、50、100、200、300、400、500、1,000、2,500、5,000、10,000、50,000、100,000、500,000、もしくはそれ以上のμCのQ値、または、先述の値のうちの任意の2つを含む範囲のQ値を有することが可能である。電極接点のQ値は、身体の公称の輸送メカニズムを通してクリアされ得ないレートで、電極接点が不可逆的な化学反応を発生させ始める前に、電極接点を通して送達され得る電荷の合計量を指すことが可能である。これらの化学反応は、酸素もしくは水素の放出、または、電極材料の溶解を含むが、それに限定されない。高電荷容量材料の非限定的な例は、チタンのグレード2、白金黒、酸化イリジウム、窒化チタン、タンタル、塩化銀、ポリ(エチレンジオキシチオフェン)、および、それらの適切な組み合わせである。いくつかの実施形態において、1つまたは複数の電極は、フッ素フリーの炭化タンタルMXene(2次元遷移金属炭化物)ハイブリッド構造体を含む。電極は、いくつかの実施形態において、フラクタルコーティングまたは高表面積フォーマットを含むことが可能である。高電荷容量材料は、モノリシックであるように構成され得、または、ベース基板の上のコーティングとして構成され得る。コーティングのための基板の非限定的な例は、ステンレス鋼(たとえば、304および316LVMなど)、ニッケル-コバルト-クロム合金(たとえば、MP35N(登録商標)など)、プラチナおよびプラチナ-イリジウム、プラチナ-イリジウム(90/10)、プラチナ-イリジウム(80/20)、チタン、ニッケル-チタン合金(たとえば、ニチノールなど)を含む。いくつかの実施形態において、電極は、窒化チタンによってコーティングされたタンタルを含むことが可能である。1つの非限定的な例として、タンタルは、その優れたX線不透過性のために、とりわけ有利な材料とすることが可能であり、したがって、植え込み可能なニューロモデュレーションデバイスの改善された植え込み、検証、および/または除去を可能にする。電気化学反応が起こるためのより多くの表面積を発生させるために、従来の電極は、電気めっきされた表面、(たとえば、白金黒/電着された酸化イリジウム)、粗面化された表面、織られた表面、パターン化された表面、網目状発泡体構造体、多孔質焼結ビーズ構造体、ナノパターン化されたもしくはマイクロパターン化された構造体などのような、表面積対体積の比率の高い構造体から作製され、追加的な材料表面積を露出させることが可能である。いくつかの実施形態において、電極は、SINE(分離インターフェース神経電極: separated-interface nerve electrode)電極またはEICCC(電子-イオン電流変換セル:electron to ion current conversion cell)電極とすることが可能であり、そこでは、たとえば、Ackermannらによる米国特許第9,008,800号、および、Ackermannらによる米国特許出願公開第2018/0280691号において説明されているように、電極は、心臓組織または心臓組織の近位のエリアに電気的に接触しているイオン伝導性材料とともにイオン伝導性材料-電解質溶液インターフェースと接触している電解質溶液の中に浸漬されており、その文献は、その全体が参照により本明細書に組み込まれている。
【0036】
いくつかの実施形態において、DCから高周波数までのさまざまな波形を有利に利用することができる、安全におよび効果的に神経組織を刺激するためのシステムおよび方法が、本明細書で開示されている。DCによる刺激は、潜在的に非常に有用であるが、神経変調のために商業的に利用されてこなかった。その理由は、長期間にわたってDCを安全に送達することができる神経刺激システムが利用可能ではなかったからである。市販のシステムは、電荷バランシングメカニズムに依存して、不可逆的な電気化学反応を制限するために、DC送達を防止している。これらのシステムは、キャパシタ、ブロッキングキャパシタ(カップリングキャパシタ)、または、刺激サイクルの終わりに電荷蓄積を除去するメカニズムによって、DC成分をブロックすることを含むことが可能である。信頼性は高いが、典型的なキャパシタは、フェーズ当たりに約1ミリクーロン(mC)まで電荷を制限し、この電荷容量の超える大きい電荷の大きさにおいて、超低周波数信号を使用することを許可しない。他の広く利用されている技法は、アクティブにバランスされた電流供給源に依存しているが、これらは、フォールトトレラントとなるように冗長性を必要とし、典型的に、いくつかの電極技術にとって重要な電極電圧を意図的に制御せず、長期の高電荷送達にとって有利であることが示されていない。コーティングと組み合わせたアクティブシステムが、網膜インプラントなどのようなデバイスにおいて利用されており、電荷密度を約~2mC/cm2まで増加させるが、これらの密度は、DC、超低周波数、または十分な電流振幅を有する非常に低い周波数の波形によって必要とされる、位相波形当たりの非常に高い電荷の使用を可能にするには依然として不十分である。
【0037】
いくつかの実施形態は、長期の動作耐久性のために特定の電極材料にとって最適な範囲に電極電圧を維持するために、バイアス電流(たとえば、DCバイアスなど)と組み合わせた高い表面積の電極コーティングを含む。このアプローチは、たとえば、電極または電気的に興奮性の組織のいずれかに損傷を引き起こすことなく、従来のシステムにおいて使用される約50μC/cm2から、約5,000μC/cm2、25,000μC/cm2、50,000μC/cm2まで、または、少なくとも約5,000μC/cm2、25,000μC/cm2、50,000μC/cm2まで、および、いくつかのケースでは、それを超えて、フェーズ当たりの電荷を高めることが可能である。たとえば制御システムなどを介した意図的な正味のバイアス電流(たとえば、DCバイアス)を可能にするように構成されているシステムおよび方法は、いくつかのケースでは、(電極への腐食(たとえば、酸化)または他の損傷を防止または抑制することによって)高電荷容量電極の健康を有利に維持することが可能であり、また、組織損傷につながる可能性のある種(たとえば、OH-、H+、または、酸素フリーラジカルなど)の望ましくない反応および発生を最小化または防止することが可能である。過酸化物の形成は、本明細書で開示されているようなシステムおよび方法によって防止または抑制され得る望ましくない反応、および、材料(たとえば、金属材料または合金)およびその場所に応じた他の望ましくない反応の別の非限定的な例である。
【0038】
いくつかの実施形態において、アノードおよび/またはカソードフェーズ当たりの電荷は、たとえば、約1,000μC、1,500μC、2,000μC、2,500μC、3,000μC、3,500μC、4,000μC、4,500μC、5,000μC、5,500μC、6,000μC、または、それ以上もしくはそれ以下(たとえば、フェーズ当たりに約4,000μCから約5,000μCなど)、および、先述の値のうちの任意の2つを含む範囲である。
【0039】
いくつかの実施形態において、植え込まれた電極を介した電流の送達のためのシステムおよび方法は、ブロッキングキャパシタ(カップリングキャパシタ)などのようなキャパシタを含まない。いくつかの実施形態において、植え込まれた電極を介した電流の送達のためのシステムおよび方法は、抵抗器を含まない。
【0040】
いくつかの実施形態において、バイアス電流は、ターゲットの興奮性のまたは電圧感受性の組織に近接している電極接点または作用電極に同時に送達されている電流の総和から結果として生じる電流である。いくつかの実施形態において、バイアス電流は、電極接点または作用電極に同時に送達されている電流の総和に大きさが等しく、極性が反対である。いくつかの実施形態において、電極接点または作用電極に同時に送達されている電流は、バイアス電流を変調させるように調節され得る。
【0041】
いくつかの実施形態において、バイアス電流は、(たとえば、TiN(窒化チタン)電極またはタンタル電極に関して)カソードバイアス電流とすることが可能である。いくつかの実施形態において、バイアス電流は、アノードバイアス電流とすることが可能であり、(たとえば、IrOx電極に関して)(+)プラスの値は、本明細書で開示されている任意の(-)値と置換される。いくつかの実施形態において、合計バイアス電流は、たとえば、約-10μAから約-1mAの間、約-10μAから約-100μAの間、約-0.01μAから約-1000μAの間、約-0.01μAから約-0.1μAの間、約-0.1μAから約-1μAの間、約-1μAから約-1000μAの間、約-20μAから約-100μAの間、または、約-0.01μA、-0.05μA、-0.10μA、-0.50μA、-1μA、-5μA、-10μA、-15μA、-20μA、-25μA、-30μA、-35μA-40μA、-45μA-50μA、-55μA、-60μA、-65μA-70μA、-75μA-80μA、-85μA-90μA、95μA-100μA、または、それ以上もしくはそれ以下、または先述の値のうちの任意の2つを含む範囲とすることが可能である。バイアス電流は、たとえば、本明細書で開示されているような値とすることが可能であり、いくつかの実施形態において、約-40μAから約-50μAの間、たとえば、約-40μA、-41μA、-42μA、-43μA、-44μA、-45μA、-46μA、-47μA、-48μA、-49μA、-50μAなど、および、先述の値のうちの任意の2つを含む範囲とすることが可能である。述べられているように、バイアス電流は、本明細書におけるいくつかの値および範囲において述べられているようにマイナスであるか、または、代替的に、本明細書で開示されている値または値の範囲のいずれかのプラス(たとえば、絶対値)とすることが可能である(この段落におけるものを含むが、それに限定されない)。いくつかの実施形態において、合計バイアス電流は、たとえば、作用電極の数Nの間で均一に分割され得る。たとえば、2つの作用電極を備えたバイポーラシステムにおいて、それぞれの作用電極のバイアス電流は、合計バイアス電流/2(たとえば、いくつかの実施形態において、-50μA/2=-25μAまたは+50μA/2=+25μAなど)とすることが可能であり、ここで、合計バイアス電流は、不関電極の観点からオフセットされており、バイアス電流/Nは、作用電極の観点からオフセットされており、ここで、Nは、作用電極の数である。バイアス電流は、振幅がさらに大きくまたは小さくなっており、たとえば、より大きいまたはより小さい電極表面積を有する実施形態における使用に対処することが可能である。
【0042】
いくつかの実施形態において、バイアス電流は固定され得る。いくつかの実施形態において、バイアス電流は可変であり得、(たとえば、電圧波形が、たとえば線形性または非線形性を示すときに)電圧および/または他の測定値に応じて変更され得る。
【0043】
図1は、一定のバイアス電流を有する作用電極間の波形の実施形態を概略的に図示する図である。図示されているように、例示的な波形は、バイポーラであり、1単位の電流だけそれぞれバイアスダウンされており、それは、2単位の合計バイアス電流をもたらし、すべての電流の総計はゼロになる。他のバイアスの大きさは、たとえば、本明細書の他のどこかで説明されている通りとすることが可能である。
【0044】
いくつかの実施形態において、作用電極電流から結果として生じるバイアス電流は、1つの、2つの、またはそれ以上の不関電極(たとえば、いくつかの実施形態において、単一の不関電極のみ)に送達され得る。不関電極は、受動電流シンクもしくは供給源となるように構成され得、または、代替的に、活性電流シンクもしくは供給源とすることが可能である。いくつかの実施形態において、不関電極は、比較的に高い作用表面積を有し、電極表面の上の電流密度を最小化し、患者に送達される電流の不快感または他の感覚を最小化または防止することが可能である。不関電極は、植え込まれてもよく、経皮的な電極であってもよく、または、体表面電極であってもよい。いくつかの実施形態において、不関電極は、約1cm2、5cm2、10cm2、25cm2、50cm2、75cm2、100cm2、125cm2、150cm2、175cm2、200cm2、500cm2、1000cm2、または、少なくとも約1cm2、5cm2、10cm2、25cm2、50cm2、75cm2、100cm2、125cm2、150cm2、175cm2、200cm2、500cm2、1000cm2、または、先述の値のうちの任意の2つを含む範囲の作用表面積を有することが可能である。
【0045】
経皮的な不関電極は、たとえば、接着剤を利用して皮膚接着性とすることが可能であり、電圧を実質的に増加させることなく、着用持続期間にわたってオフセット/バイアス電流継続を通すように構成され得る。経皮的な不関電極は、接着剤と組み合わせて導電性の材料(たとえば、ヒドロゲルなど)を含み、皮膚接着を推進することが可能である。着用持続期間は、たとえば、少なくとも3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14日、または、それ以上、または、先述の値のうちの任意の2つを含む範囲(たとえば、いくつかのケースでは、約7~10日の間など)とすることが可能である。
【0046】
いくつかの実施形態において、経皮的な不関電極は、たとえば、約1,000、900、800、700、600、500、400、300、200、100、90、80、70、60、50、40、30、20、10オームよりも小さい、または、それ以上もしくはそれ以下、および、先述の値のうちの任意の2つを含む範囲などの、比較的に低いDC抵抗(皮膚抵抗なし)を有することが可能である。
【0047】
いくつかの実施形態において、初期の駆動電圧からのシステムの駆動電圧の増加は、着用持続期間にわたって、100mV、200mV、300mV、400mV、500mV、600mV、700mV、800mV、900mV、1,000mV、1,100mV、1,200mV、1,300mV、1,400mV、1,500mVよりも小さい、またはそれ以上であることとなる。
【0048】
いくつかの実施形態において、植え込み可能な不関電極は、ハウジングとすることが可能であり、たとえば、ニューロモデュレーションシステムの植え込み可能なパルス発生器のものとすることが可能であり、非限定的な例として、チタン(たとえば、グレード1、グレード2、もしくはグレード4のチタン)、または、プラチナもしくはプラチナメッキされたチタンを含むことが可能である。
【0049】
電圧の関数としてのそれらの指数関数的な性質に起因して、不可逆的な電気化学反応は、完全に回避されることはできない。これらの反応は、拡散および流体の流れを含む周囲の組織の輸送特性によって副生成物が除去され得るように制限される必要がある。
【0050】
可逆的な電気化学反応は、逆にされることを必要とし、副生成物は、それらの副生成物が蓄積することなく周囲の組織によって除去され得るような程度まで可能な限り回収され、組織毒性レベルを下回ったままになることを必要とする。除去のレートは、身体の中の場所、ならびに、電極の機械的なおよび電気機械的な特質に依存する。
【0051】
電荷は、回収可能なものおよび回収不可能なものとして分類され得る。いくつかのケースでは、1つの重要な目標は、回収不可能な電荷に起因する反応から結果として生じる発生させられた副生成物を身体が安全に輸送することができるレベルまで、回収不可能な電荷を最小化し、組織損傷を最小化することである。
【0052】
電気化学反応は、電圧電位とともに指数関数的に増加し、したがって、電極表面の上の電圧を制御することは、望ましくない電気化学反応を最小化するための効果的な方式となることが可能である。これらの電圧電位は、DCまたは同様の電流によって電極をバイアスすることによって制御され得る。
【0053】
均一な電流密度(または、比較的に均一な電流密度)を作り出すように設計された電極は、平均電圧の使用が電気化学反応を代表することを可能にする。
【0054】
それぞれのタイプの電極材料は、特定の動作範囲(ほとんどは可逆的な反応および限定的な不可逆的な反応に関して、適当な電荷容量および電圧範囲)を有しており、それは、いくつかの実施形態において、それらの範囲の中で動作するために非常に有利である可能性がある。たとえば、窒化チタン電極および/またはタンタル電極をカソード的にバイアスすることは、アノード電圧によって発生する酸化物の形成を緩和する。別の例では、チタンをアノード的にバイアスすることは、チタン表面の上に保護酸化物を発達させ、それは、材料腐食を低減させることが可能である。電極をカソード的にバイアスすることは、同様の様式で腐食に対して保護することが可能である。周囲の流体または電解質に露出される任意の伝導性材料(たとえば、金属、伝導性コーティング)は、腐食を受ける可能性があり、これらの材料をバイアスすることは、有害な腐食に対する保護を提供し、システムのアクティブ伝導性エレメントの耐用年数を強化することが可能である。これらのアクティブ伝導性エレメントは、植え込み可能なパルス発生器(IPG)の上の任意の露出された金属を含むことが可能であり、たとえば、それは、電流を通し、または、望ましくない反応を駆動する電圧電位を受ける。
【0055】
従来の刺激システムでは、AC電流が、電荷がバランスしていることを保証するために、DC漏出のない一連のキャパシタを通して送達される。しかし、電気化学反応は、指数関数的であり、時間に依存し、完全には対称的でなく、したがって、より低い電圧にあっても、キャパシタは、不可逆的な反応の排除を保証しない。キャパシタは、不完全な(実現可能な)電流供給源およびシンクがDCを導入することを防止する経済的な方法であり、電流供給源およびシンクによって引き起こされる故障を隔離する信頼性の高い方式である。これらの問題を克服することができるいくつかの実施形態において、システムおよび方法は、任意のそのようなキャパシタ(ブロッキングキャパシタとしても知られる)を含まない。
【0056】
いくつかの実施形態において、慢性の電極材料は、生体適合性であり、容易に溶解しない。
【0057】
いくつかの実施形態において、フルスペクトル刺激を伴う刺激のシステムおよび方法が、本明細書で開示されている。
【0058】
ハイブリッド波形:従来の刺激波形は、意図的にACであり、非意図的なDC成分を有している。非意図的なDC成分は、従来、直接的に制御されない電圧平衡点を離れる電荷をバランスさせるために、可能な限り低く維持される。非AC電流(本明細書でバイアス電流と称される)を意図的に注入または吸収することによって、電圧平衡点(準定常状態)および範囲の故意の制御が実現され得る。そのような故意の制御は、たとえば、以下の非限定的な例のうちの1つまたは複数を介して実現され得る:(a)モノポーラバイアス電流のケースでは、たとえば、DCバイアスまたは同様の電流注入または吸収は、電流のすべてを吸収することとなる電流制御なしに、1つまたは複数のWE(作用電極)および1つまたは複数のCE/IE(不関電極として動作するカウンター電極)の上にアンバランスを生成させることによって起こることが可能である、(b)バイポーラバイアス電流のケースでは、たとえば、DCバイアスまたは同様の電流注入または吸収は、1つまたは複数のWE(作用電極)および1つまたは複数のCE(カウンター電極)の上にアンバランスを生成させることによって起こることが可能であり、ここで、過剰な電流が不関電極の上に吸収されることとなる、ならびに、(c)マルチポーラのケースでは、(a)および(b)の何らかのハイブリッド。これは、それぞれのWEおよびCE/IEの上にアンバランスを生成させる可能性がある。バイアス電流または同様の電流注入または吸収は、N個のCEとM個のWEの間にアンバランスを生成させることによって、および、少なくとも1つの不関電極(それは、CEと同じであってもよく、または、同じでなくてもよい)によって差を吸収することによって起こることが可能である(たとえば、供給源およびシンクは、複数の電流出力の上でアンバランスになっている)、2つの接触の間のバイポーラ動作の間に、WEおよびCEは、システム極性に応じて2つの接触の間で変化し、不関電極または電極(IE)は、極性にかかわらずWEとCEとの間のアンバランスを吸収する第3の電極タイプを表している。いくつかの実施形態において、システムまたは方法は、単一のWEのみおよび複数のCEを含み、電極の上の応力および駆動電圧を有利に低減させることが可能である。いくつかの実施形態において、2つのWEは、所与の集合的な電流出力のために一緒に動作され、単一のWEの上に同じ電流出力を有することと比較して、2つのWEの駆動電圧を低減させることが可能である。
【0059】
DCまたは同様の電荷注入:電圧平衡の故意の制御は、電極電位(準定常状態電圧)を調節する目的のために利用され得、たとえば、一般化された比例積分微分(PID: proportional integral derivative)制御アルゴリズムを使用して実現され得、ここで、プロセス変数(PV)は、何らかの環境測定値とすることが可能であり、それは、最大ピーク電圧、最小ピーク電圧、特定の電圧レールおよびピーク-ツー-ピーク電圧の組み合わせ、平均電圧レベル、二乗平均平方根、走行平均、絶対電圧変化、電圧変化率、アクセス抵抗、電極の電気特性(たとえば、静電容量)、電荷(たとえば、時間の経過に伴う電流の蓄積)、および/または化学的な測定値(たとえば、pHなど)を含むがそれに限定されない。
【0060】
バイアス電流(たとえば、DC)または同様の電荷注入波形は、電極材料、波形の周波数構成、pH、局所灌流、組織タイプ、組織のタイプ、刺激のターゲット、および/または、ターゲット組織からの距離の関数として導出することが可能である。波形は、たとえば、以下のうちのいずれか1つまたは複数とすることが可能である:一定の値、時間的に変化する値、以下のパラメータのうちの1つまたは複数に基づくことが可能であるアルゴリズムに基づいて電圧動作点を実現するように動的に調節される:アノード電流振幅に対するカソード電流振幅、デューティサイクルまたはアノードフェーズ時間に対するカソードフェーズ時間の比、相間の間隔または期間間の間隔、カソードフェーズまたはアノードフェーズにおける全体的な電荷、および/または、カソードフェーズまたはアノードフェーズにおける波形のタイプ。これらの項目は、電流刺激供給源を想定しているが、電圧刺激装置にも適用可能であり得、電圧刺激装置では、上記のパラメータを決定するために、電圧が電流の代わりに使用される。
【0061】
いくつかの実施形態において、多次元フィールドシェーピングが実装され得る。いくつかの実施形態において、複数の電極が、ターゲットとされた局所(後根進入部、脊柱、脊髄視床路、および/または、刺激電極の中のおよびその周りの任意の特定の空間領域を含む)においてエネルギーを集中させるために空間的に用いられ得る。いくつかの実施形態において、システムおよび方法は、焦点が時間とともに移動するように、ならびに/または、ニューロン、軸索、もしくはイオンチャネルの異なるクラスおよび直径を漸増させる(recruit)ように、フィールドを変化させるために周波数および位相シフトを使用することを時間的に含むことが可能である。
【0062】
いくつかの実施形態において、システムおよび方法は、電圧および/またはパルスクランピングのために構成され得る。パルスクランピングは、不可逆的な化学反応を回避するために、電極表面の上に電圧を強制的にかける方法を提供することが可能である。パルスクランピングは、電圧の制御を含むことが可能であり、たとえば、パルス間の間隔の間に、電極の電気化学を制御し、電極を「リセット」するようになっており、または、電気化学を制御し、次の刺激サイクルにおいてより多くの電荷が注入されることを可能にする。
【0063】
また、クランピングは、電荷注入能力を増大させるために利用され得る。クランピングおよび/または電流限界を利用することは、電極表面の上の神経組織の漸増および電圧スルーレートを制限することが可能である。電極を通過する電流は、電極の電流状態をアセスするために使用され得、刺激波形の適応的な制御を可能にし、本明細書で別途述べられているものを含むパラメータに影響を与えることが可能である。
【0064】
いくつかの実施形態において、システムおよび方法は、波形形状(たとえば、B-スプライン、無限微分可能な関数、および/または、他の数学的関数(たとえば、正弦波)によって定義されるようなものなど)を発生させ、電圧および電流変化のレートを制御/制限し、神経漸増の開始またはその反対を制限/制御し、および/または、電気化学反応またはその反対を制限もしくは制御することが可能である。非対称の波形は、カソードフェーズの持続期間および振幅がアノードフェーズの持続期間および振幅とは異なる場合に発生させられ得る。波形の形状は、時間の経過に伴う振幅の変化を含むことが可能である(線形および非線形の、単調または非単調の、振幅の増加および減少、ならびに、一定の振幅またはゼロ振幅の期間を含む)。1つの実施形態において、波形は、増加する振幅を有する電流、実質的に一定の電流振幅、減少する振幅を有する電流によるシーケンスを含むことが可能であり、反対極性の同じシーケンスがそれに続く。増加する電流振幅の傾斜の大きさは、減少する電流の傾斜の大きさよりも大きいか、それに等しいか、または、それよりも小さくなっていることが可能である。望ましくない神経活動を緩和するために、増加する電流振幅の傾斜の大きさは、減少する電流の傾斜の大きさよりも小さくなるように構成され得る。そのうえ、増加する電流振幅、実質的に一定の電流振幅、および、減少する電流振幅の間の移行領域は、滑らかにされて丸みを帯びさせられ、電圧および電流変化のレートを制御/制限し、神経漸増の開始を制限/制御することが可能である。いくつかの実施形態において、時間に関する波形電流の1次導関数は、不連続性のない時間の経過に伴う連続関数を含む。さらなる実施形態において、時間に関する波形電流の2次導関数は、時間の経過に伴う連続関数を含む。
【0065】
いくつかの実施形態において、振幅波形は、所望の臨床結果に応じて、さまざまな立ち上がり時間/持続期間、プラトー時間/持続期間、および/または、立ち下がり時間/持続期間を有することが可能である。
【0066】
いくつかの実施形態において、波形は、約0.25秒、0.5秒、1.0秒、1.5秒、2.0秒、2.5秒、3.0秒、3.5秒、4.0秒、4.5秒、5.0秒、6秒、7秒、8秒、9秒、10秒、15秒、20秒、または、少なくとも約0.5秒、1.0秒、1.5秒、2.0秒、2.5秒、3.0秒、3.5秒、4.0秒、4.5秒、5.0秒、6秒、7秒、8秒、9秒、10秒、15秒、20秒、または、約0.5秒、1.0秒、1.5秒、2.0秒、2.5秒、3.0秒、3.5秒、4.0秒、4.5秒、5.0秒、6秒、7秒、8秒、9秒、10秒、15秒、20秒以下、または、それ以上もしくはそれ以下、または、先述の値のうちの任意の2つを含む範囲の立ち上がり時間を含むことが可能である。立ち上がり時間は、いくつかの実施形態において、単一の連続的な立ち上がり、または、1つもしくは複数のプラトーおよび/もしくは立ち下がりに組み入れられた複数の立ち上がりとすることが可能である。
【0067】
いくつかの実施形態において、波形は、約0秒、0.5秒、1.0秒、1.5秒、2.0秒、2.5秒、3.0秒、3.5秒、4.0秒、4.5秒、5.0秒、6秒、7秒、8秒、9秒、10秒、15秒、20秒、または、少なくとも約0.5秒、1.0秒、1.5秒、2.0秒、2.5秒、3.0秒、3.5秒、4.0秒、4.5秒、5.0秒、6秒、7秒、8秒、9秒、10秒、15秒、20秒、または、約0.5秒、1.0秒、1.5秒、2.0秒、2.5秒、3.0秒、3.5秒、4.0秒、4.5秒、5.0秒、6秒、7秒、8秒、9秒、10秒、15秒、20秒以下、または、それ以上もしくはそれ以下、または先述の値のうちの任意の2つを含む範囲のプラトー時間を含むことが可能である。プラトー時間は、いくつかの実施形態において、単一の連続的なプラトー、または、1つもしくは複数の立ち上がりおよび/もしくは立ち下がりに組み入れられた複数のプラトーとすることが可能である。
【0068】
いくつかの実施形態において、波形は、約0.25秒、0.5秒、1.0秒、1.5秒、2.0秒、2.5秒、3.0秒、3.5秒、4.0秒、4.5秒、5.0秒、6秒、7秒、8秒、9秒、10秒、15秒、20秒、または、少なくとも約0.5秒、1.0秒、1.5秒、2.0秒、2.5秒、3.0秒、3.5秒、4.0秒、4.5秒、5.0秒、6秒、7秒、8秒、9秒、10秒、15秒、20秒、または、約0.5秒、1.0秒、1.5秒、2.0秒、2.5秒、3.0秒、3.5秒、4.0秒、4.5秒、5.0秒、6秒、7秒、8秒、9秒、10秒、15秒、20秒以下、または、それ以上もしくはそれ以下、または先述の値のうちの任意の2つを含む範囲の立ち下がり時間を含むことが可能である。立ち下がり時間は、いくつかの実施形態において、単一の連続的な立ち下がり、または、1つもしくは複数のプラトーおよび/もしくは立ち上がりに組み入れられた複数の立ち下がりとすることが可能である。
【0069】
いくつかの実施形態において、波形は、最初にカソードで開始し、立ち下がり、プラトー、次いで立ち上がり、次いで、波形は、アノードになり、立ち上がり、プラトー、次いで、設定された時間期間にわたって立ち下がる。いくつかの実施形態において、波形は、最初にアノードで開始する。設定された時間期間は、たとえば、約1秒、2秒、3秒、4秒、5秒、6秒、7秒、8秒、9秒、10秒、11秒、12秒、13秒、14秒、15秒、16秒、17秒、18秒、19秒、20秒、25秒、30秒、35秒、40秒、45秒、50秒、55秒、60秒、または、少なくとも約1秒、2秒、3秒、4秒、5秒、6秒、7秒、8秒、9秒、10秒、11秒、12秒、13秒、14秒、15秒、16秒、17秒、18秒、19秒、20秒、25秒、30秒、35秒、40秒、45秒、50秒、55秒、60秒、または、約1秒、2秒、3秒、4秒、5秒、6秒、7秒、8秒、9秒、10秒、11秒、12秒、13秒、14秒、15秒、16秒、17秒、18秒、19秒、20秒、25秒、30秒、35秒、40秒、45秒、50秒、55秒、60秒以下、または、それ以上もしくはそれ以下、または、先述の値のうちの任意の2つを含む範囲とすることが可能である。いくつかの実施形態において、カソードフェーズおよびアノードフェーズは、第3のプラトータイプによって分離されている。
【0070】
いくつかの実施形態において、フェーズ当たりの波形電荷(たとえば、振幅、波形形状、および/またはパルス幅)は、異なる直径、伝導速度、およびタイプ(たとえば、有髄および無髄)のニューロンを選択的に変調および漸増させるように制御され得る。
【0071】
いくつかの実施形態において、システムおよび方法は、さまざまな波形周波数を組み込むことが可能であり、それは、高周波数(たとえば、約1.2kHz~50kHzまたはそれ以上)、従来の周波数(たとえば、約20Hz~1.2kHzの間)、低周波数(たとえば、約1Hz~20Hzの間)、および超低周波数(たとえば、約1Hzを下回る)を含む。本明細書の他のどこかで述べられているように、本明細書で定義されているような直流電流は、低周波および超低周波数AC電流波形を含み、低周波および超低周波AC電流波形は、その活動電位が変調されている組織の観点から、直流電流として知覚され、機能的に直流電流である。
【0072】
刺激の持続期間にわたって非ゼロ電流を平均化する信号は、たとえば、電荷アンバランスを含むことが可能であり、それは、イントラフェーズバイアス、フェーズ-ツー-フェーズバイアス、サイクル-ツー-サイクルバイアス、間欠的なバイアスもしくはオフセット、または、それらの任意の組み合わせを含むがそれに限定されない。また、バイアスは、刺激波形から独立して、時間的に変化するように構成され得る。
【0073】
いくつかの実施形態において、システムおよび方法は、準定常状態刺激の前または後の事前コンディショニングまたは事後コンディショニングを含むことが可能である。これは、たとえば、望ましくない電極化学反応を誘発しないように電圧変化率を制限またはランプすること、オン状態とオフ状態との間で電圧または電流をゆっくりと移行させ、患者の不快感またはターゲット外の効果を結果として生じさせ得る神経漸増変化を制限すること、および/または、特にバイポーラ/マルチポーラのケースにおいて(そこでは、各電極の上の波形がカソードサイクルの上で開始および停止することが望ましい可能性がある)、効果的にタイムシフトすることによって、電極表面の上の電荷(または、電極表面を横切る電圧)を管理することにとって重要である可能性がある。事前/事後コンディショニングは、効果的なタイムシフトおよびランプを可能にすることができる。
【0074】
いくつかの実施形態において、システムおよび方法は、サイクリックボルタンメトリーまたは電気めっき技法を使用した電極の生体外のまたは生体内の事前コンディショニングを含むことが可能である。これらは、たとえば、高電流密度によって欠陥エリアに過度のストレスを与えないように、および、欠陥の除去ではなく膨張を引き起こすように、制御された方式で電極材料欠陥を除去するために使用され得る。たとえば、電極の表面の上の鋭いポイントまたは縁部は、一般的に、電極表面の残りの部分と比較して、より高い電流密度を有することが可能である。これは、金属溶解および望ましくない化学種の形成につながる可能性があり、それは、その特定のエリアにおいて、電極劣化を加速させる可能性がある。制御された方式で(たとえば、生体外で)鋭い縁部をエッチングすることによって、プロセスは、直接的に制御され得る。また、事前コンディショニングは、材料堆積または制御された電気化学的な変換(たとえば、保護酸化物層の形成)のために利用され得る。また、酸化物成長は、材料(たとえば、1つの例として、活性化酸化イリジウム(AIROF))の電荷容量を増加させるために使用され得る。
【0075】
いくつかの実施形態は、ACおよび/またはDCニューロモデュレーション(たとえば、刺激またはブロック)信号を利用することが可能である。AC信号は、たとえば、活動電位を含むために、知覚異常を含むために、および/または、神経信号をブロックするためにニューロンを無効にするために使用され得る。
【0076】
いくつかの実施形態において、DC(超低周波数刺激を含む)は、活動電位をブロックすることに加えて、以下のニューロン特性のうちの1つまたは複数の変調を可能にし得る膜貫通電位を誘導する目的のために、ニューロンを横切る電場の重畳を可能にするために利用され得る:スパイク特性、興奮性(感受性を増加または抑制する)、伝導速度、エレクトロポレーションの制御、神経集団の同期化、近隣の細胞に影響を与える細胞における2次効果の誘導(血管変化および血液脳関門透過性を含む)、シフト強度持続期間曲線、DNAまたはRNA転写または翻訳改変、および/または、タンパク質もしくは薬物輸送(電気泳動)。
【0077】
いくつかの実施形態において、電極(作用電極、不関電極、または他の電極)は、電荷容量、耐久性、および生体適合性を最適化するように構成された材料を含むことが可能であり、それは、たとえば、酸化イリジウム、タンタル、MP35N、窒化チタン、ダイヤモンド、ホウ素がドープされたダイヤモンド、ナノチューブ(たとえば、TiN、MnO2/TiN)、金属酸化物(たとえば、RuO2、IrO2、MnO2、CoO2、NiO2、FeO2、SnO2、およびCuO2)、混合金属酸化物(たとえば、RuO2/SnO、RuO2/NiO、RuO2/Ta2O5、RuO2/Pt、RuO2/TiO2、RuO2/MoO3、RuO2/CaO、およびRuO2/V2O4、またはIrRu)、炭素/グラフェン、金属炭化物、炭窒化物、および窒化物、別名MXenes(もしくは、遷移金属炭化物、炭窒化物、および窒化物)、および/または、先述のもののいずれかの組み合わせ(2つ以上の金属酸化物、2つ以上の混合金属酸化物、第1の材料を含むコーティングを備えた第1の材料、および/または第2の材料などを含む)のいずれかを含む。
【0078】
いくつかの実施形態において、利用可能な電気化学的表面積(ESA)を増加させるために、電極の基板は、利用可能な表面積を増加させる微細構造的特徴を含むことが可能である。いくつかの実施形態において、基板は、開放気孔性焼結コンポーネントを含むことが可能である。いくつかの実施形態において、基板は、網目状発泡体構造体などのような開放気孔性発泡体コンポーネントを含むことが可能である。いくつかの実施形態において、基板は、マイクロマシニングからの表面テクスチャリングを含み、特徴(たとえば、溝部または粗さなど)を発生させ、全体的なESAを増加させることが可能である。これらのマイクロマシニングツールは、レーザーアブレーションを含み、チャネルまたは溝部または一般的な表面粗さを発生させることが可能である。これらの目標を達成することができる追加的なマイクロマシニング技法は、放電加工(EDM)、材料エッチング技法、パターンマスキングおよびエッチング技法、ビーズまたはグリットブラスト法、および表面サンディングである。また、ESAは、たとえば、電気泳動堆積(EPD)、電解堆積(ELD)、および/または電気めっきによって増加させられ得る。基板材料は、たとえば、スパッタリングされた酸化イリジウム(SIROF)、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)-ポリ(スチレンスルホネート)(PEDOT)、窒化チタン(TiN)、フラクタル窒化チタン、多孔性の窒化チタン、または、それらのいくつかの組み合わせなどのような、高電荷容量材料によってコーティングされ得る。適合する基板の上にそのようなコーティングを堆積させるための方法は、化学蒸着(CVD)および物理蒸着(PVD)を含むことが可能である。基板は、導電性の材料を含むことが可能であり、コーティングへの電荷移送を容易にすることを可能にする。
【0079】
いくつかの実施形態において、システムおよび方法は、電極の物理的なセットおよび刺激が送達され得る経路を含むことが可能である。電気化学的セルの専門用語から借りて、いくつかの実施形態において、システムは、個々のリード電極接点に結び付けられたN個の作用電極(WE)と、1つまたは複数の不関電極(IE)と、随意的に、ハーフセル電位を測定することが望まれる場合には、1つまたは複数の参照電極(REF)とを含むことが可能である。カウンター電極(CE)は、刺激モダリティに応じて、WEまたはIEのいずれかに割り当てられ得る。
【0080】
いくつかの実施形態において、電極電位の測定は、既知の電流によって刺激されるときに電極(たとえば、WE、CE、IE、およびREF)のうちの任意の2つを横切る電圧を含むことが可能である。これらの測定は、刺激の間に静的にまたは動的に電極の特質(電極のインピーダンスおよび静電容量を含む)を測定および追跡し、各電極およびシステム全般の条件をアセスするために使用され得る。
【0081】
いくつかの実施形態において、任意の刺激されていない電極(たとえば、リードの上の電極)は、REFとして動作するように割り当てられ、および、物理的な場所に基づいて電圧/インピーダンスを測定し、生理学的な組織をイメージングして特徴付けることが可能である。任意の数の電極、または、電極のすべては、状態間で切り替えられ得、たとえば、参照電極は、作用電極へと変換され得、作用電極は、参照電極へと変換され得る。そのような変換は、刺激パルスの位相、電流が電極を通して伝達されているかどうか、または、何らかの他の要因に基づく可能性がある。いくつかの実施形態において、WEまたはREFは、必要な電流送達に応じて相互交換可能であり得る(たとえば、1つのセグメント(たとえば、リードの半分)を備えた電気的な伝導ブロック、および、別のセグメント(たとえば、異なる領域をターゲットとするためのリードの半分)を備えたその後に生成されたブロック、ならびに、他の例)。WE-不関電極対を使用するときに、定常状態においてDC電流がIEを通る状態で、WEの変化がモニタリングされ得る。この構成は、システムをモニタリングするために、および/または、適応的な制御のために使用されることが可能である。
【0082】
たとえば、電極の上の電圧は、どのような電気化学反応が起こり得るかということを示すことが可能である。たとえば、電圧が電極のためのウォーターウィンドウの外側にある場合には(ウィンドウは電極の材料に基づいて変化する)、水は、H
2およびO
2に分解され得、それは、神経組織または電極を損傷させている可能性がある。そのうえ、電圧が腐食に関連付けられる反応を引き起こす場合には、電極腐食および劣化が起こる可能性がある。電圧が、これらのまたは他のファラデー電気化学反応が起こるいずれかのこれらの範囲の中にある場合には、たとえば、外部パルス発生器106の動作を停止させることなどによって、永久的にまたは一時的に療法を停止することが望ましい可能性がある。ウォーターウィンドウおよび耐腐食性範囲は、
図11に関してさらに下記に議論されている。
【0083】
作用電極の上の電圧は、システムが所望の電圧範囲の中で動作しているかどうかを決定するためにモニタリングされる。相対的なもしくは絶対的な電圧、または、いずれかに対する変化、または組み合わせが、モニタリングされ得る。相対的な電圧は、波形および/またはそのサブコンポーネントのピーク-ツー-ピーク電圧に対応している。相対的な電圧が範囲外にある場合には、リード電極は減衰する可能性があり、それは、静電容量を増加させることとなり、それは、ピーク-ツー-ピーク電圧の大きさがさらに増加することを引き起こすこととなる。ピーク-ツー-ピーク電圧は、たとえば、出力波形(たとえば、
図6の波形500)のアノードフェーズおよびカソードフェーズの間の、最大電圧と最小電圧との間の差、ピーク-ツー-ピーク電圧の平均、または、ピーク-ツー-ピーク電圧の比として決定され得る。相対的な電圧は、作用電極と参照電極との間で、または、作用電極と不関電極との間で測定され得る。そのようなピーク-ツー-ピーク電圧は、好ましくは、システムが定常状態(たとえば、不関電極の上の定常状態電圧)に到達すると採取される。
【0084】
相対的な電圧に加えて、または、相対的な電圧の代わりに、絶対的な電圧がモニタリングされ得る。たとえば、絶対的な電圧が閾値レベルの下方に降下する場合には、水は、(たとえば、ウォーターウィンドウの外側で)分解し、組織を破壊する可能性があり、および/または、他の有害な反応が起こる可能性がある。電圧が閾値レベルを超える場合には、水が分解して組織を破壊する可能性があり、および/または、電極金属の腐食もしくは溶解が同様に起こる可能性がある。
【0085】
いくつかの実施形態において、刺激モダリティは、以下を含む:電流が、電流のプラスのパルスおよびマイナスのパルスによってリード電極接点(WE)を通して駆動され、1つまたは複数の不関電極によってシンクされる、モノポーラ、波形をプラスまたはマイナスにシフトさせることによって影響を受けるDCまたは同様の電流注入(バイアス)、電流が、WEおよびCEの役割で交互に動作する1対のリード電極接点の上に反対の極性によって駆動され、任意のアンバランスが、1つまたは複数のIEによって吸収されることとなる、バイポーラ、それぞれの波形をプラスにまたはマイナスにシフトさせることによって影響を受けるDC電流注入(バイアス)、そして、その差はIEによって吸収されることとなる、電流が、WEおよびCEの役割で交互に動作する1セットのリード電極接点の上に反対の極性によって駆動される、マルチポーラ。任意のアンバランスは、IEによって吸収されることとなり、および/または、それぞれの波形をプラスにまたはマイナスにシフトさせることによって影響を受けるDCもしくは同様の電流注入(バイアス)、そして、その差はIEによって吸収され得る。刺激電流出力は、いくつかの実施形態において、以下のメカニズムによって実現され得る:電流供給源がプラスの供給部によって駆動され、電流シンクがマイナスの供給部によって駆動され、制約のない同時のプラスおよびマイナスの電流を提供し、IEがグラウンド(0V)に結び付けられている、バイポーラ電源、および/または、電流供給源およびシンクが、直列に置かれ、仮想グラウンドが2つの供給部の間に展開している、モノポーラ電源。
【0086】
いくつかの実施形態において、同時の刺激の間に電極表面電圧を直接的に制御することは、追加的な技法を必要とする可能性がある。その理由は、すべてのエレメントの間の相互作用が関係しているからである。これは、たとえば、以下の方式で対処され得る:同時の刺激のケースでは、1つの電極対を除くすべての電極への電流を定期的にオフにし、そのときに測定を行う、電極対の間で位相をシフトさせ、他の対がゼロ電流を横切るときに測定を行う、測定されることとなる駆動される電極に近接して位置付けされている参照電極を利用する、各電極のすべての性能を導出しないことを犠牲にして、電子的な電流供給源からの最悪ケースの電圧を使用して制限する、電流供給源ではなく電圧を使用して制御する(電圧クランピング)、および/または、電圧ではなく注入された電流を使用することによって制御する(バイアス電流)。
【0087】
いくつかの実施形態において、システムおよび方法は、電極修復技法を含むことが可能であり、それは、定期的な修復(たとえば、電極電圧を下げるように駆動するためにカソード電荷を定期的に送達することによって、電気化学的な表面をリセットするために電圧/電流を駆動する)、および/または、適応的な修復(たとえば、電極電圧を制御するために電極を通して駆動される電荷を動的に調節することによって、電気化学的な表面を保存するために電圧/電流をサイクルごとに駆動する)を含むがそれに限定されない。
【0088】
いくつかの実施形態において、コンプライアンス電圧限界は、(たとえば、電流供給源および安全な化学反応を駆動するのに十分な電圧が存在するように、しかし、望ましくない反応を駆動するのに十分な電極電圧を提供するのに十分でない電圧が存在するように、コンプライアンス電圧を設定することによって)化学反応を制限するための自動的な方式として利用され得る。いくつかの実施形態において、コンプライアンス電圧トラッキングは、電力消散を低減させるために利用され得る。電流供給源およびシンクは、電流を制御するために使用され得、可変電源を切り替えることは、電流供給源およびシンクをコンプライアンスに維持するために(たとえば、要求された電流を供給するために)十分なだけの電圧を発生させることが可能である。代替的なトポロジーは、特定の電流を駆動するための可変の電圧供給源とすることが可能である。コンプライアンストラッキングの1つの利点は、MOSFETゲート比を使用する電流供給源(たとえば、Wilson電流供給源)が本質的に安定であることである。
【0089】
いくつかの実施形態において、駆動電圧レベルは、化学反応を制限するための手段として、または、劣化しつつあり、また、ターゲット刺激電流を送達するためにより高い駆動電圧を必要とする電極を停止させるための手段として、電極の対の間で制限され得る。
【0090】
いくつかの実施形態において、高周波数刺激(たとえば、高周波交流電流またはHFAC刺激)は、開始効果を低減させるために、低周波数信号によってバイアスされ得る。たとえば、低周波数信号(本明細書では、DC信号、低周波数DC信号、または超低周波数(ULF)信号と称されこともある)は、HFAC信号の前に、HFAC信号と同時に、HFACとともに一定に、または、HFACとともに開始および/もしくはオフセットの間のみに提供され得る。
【0091】
いくつかの実施形態において、電極は、水溶液の中でその表面の上にヒドリド錯体を形成するプラチナなどのような、可逆的な電気化学反応が起こり得る材料を含むことが可能である。可逆的な電気化学反応が起こるようにより多くの表面積を発生させるために、従来の電極および電極材料は、電気めっきされた表面、(たとえば、白金黒/電着された酸化イリジウム)、粗面化された表面、織られた表面、パターン化された表面、網目状発泡体構造体、多孔質焼結ビーズ構造体、ナノパターン化されたもしくはマイクロパターン化された構造体などのような、表面積対体積の比率の高い構造体から作製され、追加的な材料表面積を露出させることが可能である。高電荷化学電極は、生体適合性であるか、または、そうでない場合には、身体の組織から適切に隔離され得る。いくつかの実施形態において、電極駆動電流は、約0mAから約1mAの間、約1mAから約2mAの間、約2mAから約4mAの間、約4mAから約8mAの間、約8mAよりも高い、約0.5mA、1mA、2mA、3mA、4mA、5mA、6mA、7mA、8mA、9mA、10mA、または、先述の値のうちの任意の2つを組み込んだ範囲にあることが可能である。いくつかの実施形態において、この駆動電流は、次いで、特定の可逆的な電気化学反応に応じて、同様の大きさの対応するイオン電流を発生させるために使用される。
【0092】
いくつかの実施形態は、タンタルまたは窒化チタンなどのような材料を含み、電気化学反応が起こるインターフェースの代わりに、従来の容量性電極インターフェースを発生させることが可能である。また、フッ素がドープされた酸化スズ(FTO)、ニッケル二酸化チタン(Ni/TiO2)、および、他の二酸化チタン(TiO2)構築物などのような、透明伝導性酸化物(TCO)が、高い電荷運搬容量を有する候補材料であり、同様に、本明細書で開示されている他のものも候補材料である。いくつかの実施形態において、電極は、窒化チタンによってコーティングされたタンタルを含むことが可能である。いくつかの実施形態において、電極は、窒化チタンによってコーティングされたMP35Nを含むことが可能である。いくつかの構成において、従来の電極表面における電荷発生は、従来の電極インターフェースにおける電荷が不働態化されるまで、イオン伝導性材料からイオン種を引き付けることとなる。一方の極性の電流によって容量性材料を充電することは、イオンの形態で電流の流れを発生させることが可能である。容量性材料への電流の流れの極性を逆にすることは、後続の充電のためのシステムを効果的にリセットし、さらなるイオン電流の流れを発生させることが可能である。イオン電流の流れ容量の増大が起こるためのより多い表面積を発生させるために、従来の電極は、粗面化された表面、網目状発泡体構造体、多孔質焼結ビーズ構造体、ナノパターン化されたもしくはマイクロパターン化された構造体などのような、表面積対体積の比率の高い構造体から作製され、追加的な材料表面積を露出させることが可能である。1つの実施形態では、この容量性構造体は、ターゲット神経組織と接触している電解質飽和ヒドロゲルに接触する電解質溶液と流体接触しており、組織へのイオン電流の流れを可能にする。いくつかの実施形態において、溶液は、電極から電気的に興奮性の組織に電流を送達する体液(たとえば、間質液など)である。
【0093】
電流を神経に送達してブロックを促進させるために、電極は、伝導性リードを介して1つまたは複数の電流供給源に接続され得る。単一の神経-電極インターフェースは、一方の極性において電流が印加されるときに、神経ブロックを提供することが可能である(ブロッキングフェーズ)。電流極性が逆にされて電極をそのオリジナルの状態(それは、非ブロッキングフェーズであってもよく、または、ブロッキングフェーズであってもよい)に戻すときに、神経は、疼痛刺激が神経に沿って伝わることをブロックし続けてもよく、または、ブロックし続けなくてもよい。神経が過剰抑制の状態に置かれた場合には、神経は、電極の位相状態にかかわらず、活動電位伝播を妨げ、疼痛信号をブロックし続けることとなる。しかし、神経が過剰抑制の状態に置かれていない場合には、神経は、ブロッキングフェーズ信号が存在していないときに、望ましくない信号を通す可能性がある。FridmanおよびSantinaは、直流電流の流れ方向を方向付けるための一連の弁を使用して、それぞれの駆動電極が交流電流(AC)を経験しながら、神経組織が一定の電流を見るように、電流極性が逆にされるときに連続的なブロックを可能にするための手段を説明している(Fridman and Santina, Safe Direct Current Stimulation to Expand Capabilities of Neural Prostheses, IEEE Transaction of Neural Systems and Rehabilitation Engineering, 2013 March 21(2):319-328頁、 Fridman and Santina, Safe Direct Current Stimulator 2: Concept and Design, Conf Proc IEEE Eng Med Bio Soc, 2013: 3126-3129頁)。しかし、いくつかのケースでは、追加的な故障点を提供し、植え込み可能なシステムを大きくするような弁の使用を必要としない、より簡単なシステムを有することが望ましい。より簡単でよりロバストなシステムは、神経組織自身の一定の刺激を提供するために複数の電極を使用することによって、弁およびそのような可動パーツなしに構成され得る。1つの実施形態では、連続的なブロックを提供するために、2つの神経-電極インターフェースが存在しており、1つまたは複数の電流供給源に接続されている。第1の神経-電極インターフェース電極は、ブロックを駆動するために一方の極性における電流によって稼働され、一方では、第2の神経-電極インターフェースは、反対の極性によって稼働される。所定の時間期間の後に、第1および第2の電極の電流極性は逆にされ、第2の神経-電極インターフェースは、ブロックを提供し、一方では、第1の神経-電極状態は、その前の状態へと逆にされる。電極電流を循環させることによって、連続的なブロックが、ターゲット神経において維持され得る。認識され得るように、2つよりも多い(たとえば、3、4、5、6、7、8、9、10、またはそれ以上などの)電極が、同じ連続的なブロックを促進させるために使用されることも可能である。また、電極は、モノポーラ構成またはバイポーラ構成のいずれかで稼働され得る。いくつかの実施形態において、電極システムは、任意の作動される機械的に可動なパーツ(たとえば、弁またはヒンジなど)を有しないように構成されている。
【0094】
代替的に、神経活動が抑制され得るが、それは、ブロッキング電流の除去または中断の後にも、神経活動がブロックまたは低減されたままであることを意味している。神経は、過剰抑制の状態にさらに置かれ得、過剰抑制の状態では、DC送達の停止後に急速な可逆性なしに、神経がブロックされたままであるかまたは活動を低減されたままである。ランプレート、電流振幅、合計電荷送達、および波形形状を含む、神経組織に送達される初期の電流の変調は、神経を抑制の状態に置くために使用され得る。抑制の状態の間に、電極は、初期のブロックおよび抑制状態を発生させるために使用される電流極性を逆にすることによって、その初期の状態に戻され得る。逆方向の電流の流れの期間の間に、神経は、過剰抑制の状態のままであり得る。別の構成では、システムは、電流送達のない期間、または、電流投入間の反転電流の期間に、抑制持続期間を延長する後続のブロッキング電流入力または活動を低減させる電流入力を送達することが可能である。神経組織は、非ブロッキング電流入力または活動を低減させない電流入力の期間の間に、過剰抑制の状態のままとすることが可能である。別の構成では、システムは、スケジュールに基づいて後続の電流入力を送達するように構成され得る。いくつかの実施形態において、DCブロッキング波形または活動を低減させる波形は、0~250マイクロアンペア、250~500マイクロアンペア、500~1000マイクロアンペア、1000~1500マイクロアンペア、または、2000マイクロアンペア、またはそれ以上、または、約50、100、150、200、300、400、500、600、700、800、900、1,000、1,100、1,200、1,300、1,400、1,500、1,600、1,700、1800、1,900、2,000、2,500、3,000、3,500、4,000、5,000マイクロアンペア、または、少なくとも約50、100、150、200、300、400、500、600、700、800、900、1,000、1,100、1,200、1,300、1,400、1,500、1,600、1,700、1800、1,900、2,000、2,500、3,000、3,500、4,000、5,000マイクロアンペア、約50、100、150、200、300、400、500、600、700、800、900、1,000、1,100、1,200、1,300、1,400、1,500、1,600、1,700、1800、1,900、2,000、2,500、3,000、3,500、4,000、5,000マイクロアンペア以下、またはそれ以上、または、上述の値のうちの任意の2つを組み込む他の範囲の振幅を有することが可能である。神経を過剰抑制の状態に置くことは、いくつかの実施形態において、神経サイズおよび所望の過剰抑制持続期間に応じて、1~2ミリクーロン、2~5ミリクーロン、5~10ミリクーロン、10~50ミリクーロン、50~100ミリクーロン、100~500ミリクーロン、500~1000ミリクーロン、または、1000ミリクーロン、またはそれ以上、または、約1、2、5、10、25、50、100、200、300、400、500、600、700、800、900、1,000、または、少なくとも約1、2、5、10、25、50、100、200、300、400、500、600、700、800、900、1,000、または、約1、2、5、10、25、50、100、200、300、400、500、600、700、800、900、1,000以下、または、それ以上のミリクーロン、または、上述の値のうちの任意の2つを組み込む他の範囲の電荷を送達することによって促進され得る。活動を低減させる振幅および電流持続期間は、たとえば、初期のブロッキングまたは活動を低減させる波形送達の持続期間の0~0.5倍の範囲、初期の波形送達の持続期間の0.5~1倍の範囲、初期の波形送達の持続期間の1~1.5倍の範囲、初期の波形送達の持続期間の1.5~2倍の範囲、および、初期の波形送達の持続期間の2倍よりも大きい、または、初期の波形送達の持続期間に対して、約0.1倍、0.2倍、0.3倍、0.4倍、0.5倍、0.6倍、0.7倍、0.8倍、0.9倍、1倍、1.1倍、1.2倍、1.3倍、1.4倍、1.5倍、1.6倍、1.7倍、1.8倍、1.9倍、2倍、2.5倍、3倍、4倍、5倍、または、少なくとも約0.1倍、0.2倍、0.3倍、0.4倍、0.5倍、0.6倍、0.7倍、0.8倍、0.9倍、1倍、1.1倍、1.2倍、1.3倍、1.4倍、1.5倍、1.6倍、1.7倍、1.8倍、1.9倍、2倍、2.5倍、3倍、4倍、5倍、または、約0.1倍、0.2倍、0.3倍、0.4倍、0.5倍、0.6倍、0.7倍、0.8倍、0.9倍、1倍、1.1倍、1.2倍、1.3倍、1.4倍、1.5倍、1.6倍、1.7倍、1.8倍、1.9倍、2倍、2.5倍、3倍、4倍、5倍以下、または、それ以上、または、上述の値のうちの任意の2つを含む範囲の過剰抑制を可能にするようにチューニングされ得る。
【0095】
また、神経組織の局所状態および神経組織の近位の局所状態をセンシングすることは、神経抑制を延長するために電流入力を提供すること、および、活動電位を伝達することができないように神経電位を変調させることによって、初期の神経ブロックを発生させるための初期の電流送達に対するフィードバックループを提供することをいつ行うかを決定するために、有用な測定を提供することが可能である。1つの実施形態では、活動電位を伝導するための神経の能力は、直流電流が神経組織に送達されるときに、直流電流送達が、たとえば、神経ブロックが維持されることを保証するために維持され得るようにモニタリングされる。神経伝導能力は、任意の適切な手段(たとえば、刺激パルスを送達することおよび複合活動電位信号を測定することなど)によってモニタリングされ得る。
【0096】
いくつかの実施形態において、センシングは、参照電極の形態で、活性電流を通している2つの電極に関して電位差を測定することである。いくつかの実施形態において、活性電流は、参照電極に関する1つまたは複数の測定された電極電位に応答して変調される。いくつかの実施形態において、望ましくない電気化学反応が1つまたは複数の活性電極において起こり得ることを、測定された電極電位が示すときに、活性電流は変調される。たとえば、水電気分解が起こっているかまたはその可能性があることを示す活性電極電位の測定の後に、活性電流は低減され得るかまたは停止され得る。システムは、直流電流入力によって、または、作用電極と補助電極または不関電極との間に電位差を印加することによって動作され得る。いくつかの実施形態において、参照電極は、システムの中に、または、神経組織の近位にあるシステムの遠位端部に位置付けされ得る。
【0097】
脊髄視床路の中の活動を変調させるために脊柱に沿ってブロッキング電極または活動を低減させる電極を設置するこれらの方法を使用して、ならびに、神経ブロックまたは活動低減および/または抑制を発生させるために電場をチューニングする能力を使用して、疼痛減衰のための特定のターゲットが促進され得る。たとえば、胸椎レベルによって調整される体幹痛は、胸椎骨に沿ってリードを設置することによって変調され得、一方では、頸痛は、頸椎においてブロックまたは活動低減および/または抑制を提供することによって調整され得る。上肢痛は、頸部および胸部のレベルのブロックまたは活動低減および/または抑制の組み合わせを提供することによって調整され得、一方では、下肢痛は、脊椎において腰部および仙骨のレベルのブロックまたは活動低減および/または抑制の組み合わせによって調整され得る。
【0098】
疼痛ブロックまたは減衰の発生は、運動制御および非疼痛感覚が望まれている周術期疼痛ブロックを促進させるために使用され得る。たとえば、子供の出産において、とりわけ硬膜外麻酔による疼痛管理の課題のうちの1つは、下半身における感覚能力の低減である。硬膜上腔の中に送達される麻酔の非特異的な性質に起因して、感覚、疼痛、および運動ニューロンが影響を及ぼされる。硬膜外麻酔は、出産過程の間に押す力を発生させることを困難にする可能性があり、また、出産後数時間にわたるしびれにつながり、歩行能力などのような運動能力を損なう可能性がある。いくつかの場合において、硬膜外麻酔は、授乳困難を含む、胎児および新生児の健康にさらに関与している。脊髄視床路および/または後根神経節をターゲットとするために、上記に説明されているブロッキング電極を使用して、望ましくない疼痛が、電流硬膜外麻酔技法に関連付けられる副作用を発生させることなく(または、副作用を低減させる)ターゲットとされ得る。その理由は、疼痛路のみがターゲットとされ、任意の他の運動または感覚路はターゲットとされないからである。そのうえ、イオン電流が可逆的なブロッキング方式で神経組織に送達される場合では、ブロックの停止は、望まれる場合には、患者が正常な疼痛感覚に即座に回復されることを可能にすることができ、任意のターゲット外のブロックは逆にされ、即座の身体機能の回復を可能にすることができる。
【0099】
中枢神経系の介入を超えて、安全な直流電流ブロックまたは活動低減は、また、末梢神経系の中で促進され得、末梢神経系の中には、電極が、末梢神経に接触してまたは末梢神経に近接して設置されており、ブロックまたは活動低減を促進させる。特定の疼痛ターゲットは、たとえば、病巣の疼痛、幻肢痛、神経腫痛、および神経痛を含む。また、疼痛ターゲットは、術後疼痛を含むことが可能である。ブロックまたは活動低減のために疼痛の部位から近位にある(すなわち、脊髄のより近くにある)末梢神経をターゲットとすることは、遠位部位からの疼痛を抑制することが可能である。神経痛に特異的には、帯状疱疹後神経痛(帯状疱疹後)は、特定の真皮節を追跡することとなる発生の徴候に基づいてターゲットとされ得る。三叉神経痛に関して、三叉神経(および/または、脳幹の中の三叉神経節および/または三叉神経核)が、ブロックのためのターゲットとされ、顔面痛として一般に発現する疼痛を低減させることが可能である。別のターゲットは、舌咽頭神経であり、舌咽頭神経は、首および喉に疼痛を生じさせる。糖尿病関連の神経障害に起因して頻繁に引き起こされるような四肢(たとえば、手、腕、足、および脚など)の神経痛も、潜在的なターゲットである。
【0100】
いくつかの実施形態において、超低周波数波形を介した高電荷密度の送達、および、バイアス電流を吸収するための少なくとも1つの不関電極の使用を含む、組織の電気的なニューロモデュレーションは、予想外に、有利に、および安全に、電流送達の停止の後に(ウォッシュアウト期間)神経活動の継続的な抑制を可能にすることができ、それは、複数の利益を提供することが可能である。たとえば、電力が節減され得、または、別の言い方をすれば、電力消費が遅くされ得る。別の例では、デバイス故障(たとえば、接続、バッテリーなど)のケースにおいて、神経活動の突然の復帰が防止され得、それは、安全性を改善し、および/または、長期の抑制期間の間に患者/医師介入を可能にすることができる。同様に、デバイス故障の場合の疼痛の急速な戻り、および/または、急性の交感神経事象(たとえば、急性の代償不全または心不整脈など)につながる可能性のある交感神経信号送信の急速な復帰が防止され得る。さらに別の例では、電子的な医薬投与システム/方法として実装されるときに、長期的な治療上の利益が、急性の適用から生成され得る。そのうえ、そのようなシステムおよび方法は、非常に安全であり、電極-神経インターフェースにおける有毒種の生成を抑制/最小化することが可能である。
【0101】
いくつかの実施形態において、システムは、特定の障害の原因となる脳の特定の領域の中の神経活動を低減させることによって対処され得る障害および疾病に対する神経ブロックまたは活動低減の発生のために構成されている。神経活動の低減は、特定のニューロンの活動を直接的にブロックおよび/または低減させることによって、さらには、過度の神経信号送信が起こっている経路をブロックすることによって促進され得る。いくつかの実施形態において、深部脳ブロック(DBB)のためのこのシステムは、ブロックのための解剖学的なターゲット部位を識別するステップ、脳組織の外部へのアクセス部位を生成させるステップ、脳組織を通ってターゲット部位へ至る経路を生成させるステップ、ブロックのためのターゲット部位の適合性を評価するステップ、ターゲット部位の場所を調節するかまたは精密化するステップ、ターゲット部位において神経ブロックを提供するステップ、および、神経組織ブロックの強度または場所を調節するステップのすべてまたはいくつかを含む。実際には、このプロセスは、脳深部刺激(DBS)の分野において知られている技法を使用して実装され得、脳深部刺激(DBS)では、イメージング技法(たとえば、それに限定されないが、機能MRI(fMRI)を含む磁気共鳴イメージング(MRI)、コンピュータ断層撮影(CT)、PETスキャニング、および/またはX線など)の組み合わせを使用してターゲット解剖学的部位が識別される。次いで、この部位は、定位技法を使用してアクセスされ、イメージングからの識別された領域を患者の上の物理的な解剖学的構造に位置合わせすることが可能である。フレームが、患者の頭部および頭蓋骨に固定され、手技の間の空間的な位置合わせを可能にすることができる。穿頭孔または開頭術の形態での脳組織へのアクセス部位は、頭蓋骨に固定される追加的なアクセスツール(たとえば、ターゲット部位にアクセスするための挿入カニューレおよび前進/後退機器など)の有無にかかわらず形成され得る。脳組織を通ってターゲット部位へ至る神経組織活動測定プローブの前進は、脳領域の適合性の評価を可能にするために使用され得る。このプローブは、神経活動を記録し、測定された信号がブロックまたは活動低減を必要とする組織のものと一致していることを決定することが可能である。場所がブロックまたは活動低減に関して最適でないかまたは適当でないことを、信号特質が示している場合には、プローブは、正しい場所が識別されるまで調節され得る。測定プローブは、治療電極と交換され得、治療電極は、次いで、電極の活性部分がターゲット部位の中に位置決めされている状態で挿入され得る。次いで、ブロッキング信号または活動を低減させる信号の活性化は、ブロックの有効性をアセスするために、および、信号の強度をチューニングするために使用され得る。次いで、治療電極は、頭蓋骨に固定され、活性部分(たとえば、イオン電流を送達する領域)の位置をターゲット部位に維持することが可能である。延長リードは、貼り付けられた治療電極に接続され、植え込み可能なパルス発生器(IPG)と同様に、植え込み可能な電流供給源に接続され得、その出力信号は、最適な症状低減を促進させるように調節され得る。ブロッキング電極または活動を低減させる電極は、身体の対側部位が特定の解剖学的ターゲット部位によって影響を与えられるように、片側または両側に植え込まれ得る。
【0102】
いくつかの実施形態において、望ましくない電気化学反応が起こるために好適な条件を示す信号をモニタリングすることによって、および、反応発生条件の修正によって、そのような反応を制限するためのシステムおよび方法が、本明細書で開示されている。理論によって制限されるべきではないが、神経組織の従来の交流電流刺激は、典型的に、従来の電極(たとえば、プラチナ電極)を通して、比較的に低い量の電荷を送達する。しかし、いくつかの実施形態において、本明細書の他のどこかで説明されているものを含む高電荷密度電極は、Shannon限界のより近くにおよびそれを超えて、ならびに、いくつかのケースでは、それをはるかに超えて、比較的に大きい量の電荷を送達する。本明細書で開示されているものなどのような制御システムおよび方法は、驚くほどに、有利には、組織へのそのような電流の安全な送達を可能にすることができる。
【0103】
いくつかの実施形態において、システムは、たとえば、刺激電流を駆動するために電流を発生させるために必要な電圧を測定するように構成されているハードウェアおよび/またはソフトウェアコントローラを含む、モニタリングシステムを含むことが可能である。電圧が閾値(たとえば、所定の閾値)を横切った場合には、コントローラは、閾値電圧レベルに関して許容可能な範囲に電圧レベルをもたらすように、電流出力を調節する(たとえば、増加または減少させる)ことが可能である。たとえば、特定の電流レベルを維持するために必要とされる電圧が高くなり過ぎた場合には、電流レベルは、電圧が定義された閾値を下回って降下するポイントまで低減され得る。いくつかの実施形態において、特定の電流レベルを維持するために必要とされる電圧が高くなり過ぎた場合には、電流レベルは、ゼロに設定され得る。さらに別の代替的なシステムにおいて、特定の電流レベルを維持するために必要とされる電圧が高くなり過ぎた場合には、電流レベルは逆にされ得る。
【0104】
いくつかの実施形態において、電流は、波形の形態(たとえば、反対の極性を有する2つの電極の間を電流が通される矩形波または他の任意の形状など)をとることが可能である。電極間で電流を駆動するために必要とされる電圧波形は、電圧閾値上限および電圧閾値下限の中に入ることが可能である。時間の経過とともに、基礎となる電極電荷容量が、さまざまな条件に起因して変化することが判明した場合には、ターゲット電流波形を維持するために必要とされる駆動電圧波形も変化し得る。ターゲット閾値からの偏位/偏差が十分に有意である場合には、これは、望ましくない電気化学反応が起こっていることを示すことが可能である。電圧閾値限界および関連の電圧は、代替的にまたは追加的に、作用電極と参照電極の間で測定され、作用電極-電解質インターフェースを横切る電圧降下を直接的にアセスし、そのインターフェースを横切る望ましくない電気化学反応および電圧電位の傾向をアセスすることが可能である。いくつかの実施形態において、2つ以上の作用電極の間の電圧は、電極ステータスをアセスするために使用され得る。いくつかの実施形態において、作用電極と不関電極との間の電圧は、電極ステータスをアセスするために使用され得る。望ましくないゾーンへのこれらの偏位を防止するために、送達される電流は、上記に説明されているように、駆動電圧を低減させるように調節され得る。代替的に、電圧偏位は、電気化学の変化に起因するものとすることが可能である。たとえば、同じターゲット量の電荷が一方の電極から第2の電極へ移送されて第1の電極へ戻される場合に反応が起こるシステムでは、時間の経過とともに、正味電荷は、不完全な電荷計量に起因してゼロからドリフトする可能性がある(たとえば、不平衡になる)。そして、これは、所望の電流を発生させるために必要とされる電圧の変化につながる可能性があり、望ましくない電気化学反応が起こっていることを示している可能性がある。ターゲットレベルからの正味電荷移送のドリフトは、いくつかの実施形態において、駆動電圧をモニタリングすることによって、および、その駆動電圧特質を介して反応物質が不足していると検出された電極の上に追加的な電荷を発生させる制御ループを発生させることによって相殺され得る。他の実施形態では、バイアス電流は、電荷移送を明示的にアンバランスにするために、および、電極動作電圧をよりカソード状態またはよりアノード状態へと駆動するために使用され得る。
【0105】
いくつかの実施形態において、電極は、たとえば、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、90、100mm2、または、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、90、100mm2よりも小さい、または、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、90、100mm2以下の、または、それ以上もしくはそれ以下の、または、先述の値のうちの任意の2つを含む範囲の作用表面積を有することが可能である。
【0106】
いくつかの実施形態において、最大電極電圧限界は、たとえば、約-0.3、-0.2、-0.1、0、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5V、または、約-0.3、-0.2、-0.1、0、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5Vよりも小さい、または、約-0.3、-0.2、-0.1、0、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5V以下、または、それ以上もしくはそれ以下、または、先述の値のうちの任意の2つを含む範囲とすることが可能である。
【0107】
いくつかの実施形態において、ピーク-ツー-ピーク電圧限界は、たとえば、約500、600、700、800、900、1000、1100、1200、1300、1400、1500、2000、2500、3000、4000、5000、10000mV、または、約500、600、700、800、900、1000、1100、1200、1300、1400、1500、2000、2500、3000、4000、5000、10000mVよりも小さい、または、約500、600、700、800、900、1000、1100、1200、1300、1400、1500、2000、2500、3000、4000、5000、10000mV以下、または、それ以上もしくはそれ以下、または、先述の値のうちの任意の2つを含む範囲とすることが可能である。
【0108】
いくつかの実施形態において、電圧変動限界は、たとえば、約0.1、0.5、1、5、10、15、20、25、50、75、100、125、150、175、200、225、250mV、または、約0.1、0.5、1、5、10、15、20、25、50、75、100、125、150、175、200、225、250mVよりも小さい、または、約0.1、0.5、1、5、10、15、20、25、50、75、100、125、150、175、200、225、250mV以下、または、それ以上もしくはそれ以下、または、先述の値のうちの任意の2つを含む範囲とすることが可能である。電圧変動は、持続期間(たとえば、数分、数時間、または数日など)にわたって測定され得る。
【0109】
いくつかの実施形態において、時間期間限界は、たとえば、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、30、35、40、45、50、55、60、120、200、500、1000、5000、10000秒、または、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、30、35、40、45、50、55、60、120、200、500、1000、5000、10000秒よりも小さい、または、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、30、35、40、45、50、55、60、120、200、500、1000、5000、10000秒以下、または、それ以上もしくはそれ以下、または、先述の値のうちの任意の2つを含む範囲とすることが可能である。
【0110】
いくつかの実施形態において、たとえば、開示されているアルゴリズムなどにおいて、電極は、たとえば電気分解電位などのような設定された閾値を下回る駆動電圧によって、所望の持続期間にわたってターゲット電流振幅の送達を可能にする様式で調整され得る。また、アルゴリズムは、電極が駆動電圧上側閾値(それは、組織を損傷する可能性のある有害な副生成物の発生につながる可能性がある)を上回る電圧に露出される時間の量を制限する。
【0111】
いくつかの実施形態において、本明細書で開示されている任意の療法に関する直流電流(DC)送達振幅は、たとえば、約0から約0.5mA、約0.5から約1.5mA、および約1.5から約2.5mAの範囲にあるか、または、先述の値のうちの任意の2つを組み込んだ範囲にあることが可能である。いくつかの実施形態において、約2.5mAから約5mA、および、約5mA、約5mAおよび約15mA、ならびに、それ以上が、ブロックのためのアノード電流レベルおよびカソード電流レベルの両方のために利用され得る。応答は、たとえば、動物実験における約0~1.5mAの範囲において見られるだけでなく、約2.5mAにおける完全なブロックおよび約5.5mAまでの電流送達による、約1.5mA(カソードおよびアノード)でのヒト末梢神経における知覚異常の発症が見られる。疼痛緩和のための治療値は、脊髄において、たとえば、0.5~1.5mA範囲において、または、約0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2.0、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5mA、または、少なくとも約0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2.0、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5mA、または、約0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2.0、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5mA以下、または、それ以上もしくはそれ以下、または、先述の値のうちの任意の2つを含む範囲において見られる。
【0112】
いくつかの実施形態において、患者への直流電流送達は、任意の数の解剖学的場所をターゲットとされ得、それは、後根神経節、後根、背柱、後角、リサウアー路、および/または前側疼痛路を含むが、それに限定されない。脊椎において、刺激送達は、任意の数の脊椎レベル(仙骨領域、腰椎、胸椎骨、頸椎を含むが、それに限定されない)をターゲットとされ得、また、特定の椎間板場所(たとえば、C2、C3、C4、C5、C6、C7、T1、T2、T3、T4、T5、T6、T7、T8、T9、T10、T11、T12、L1、L2、L3、L4、L5、S1、S2、S3、またはS4のうちの任意の2つの間の任意の数のディスク(T9およびT10脊椎にブリッジをかける椎間板を含むが、それに限定されない)など)の上をターゲットとされ得る。いくつかの実施形態において、直流電流送達は、末梢神経に方向付けされ得、または、本明細書の他のどこかで説明されているような他のターゲット場所に方向付けされ得る。理論によって制限されるべきではないが、いくつかの実施形態において、DC送達は、脊髄の中の小径線維を強く変調させ、脊髄ニューロンを脱分極させることが可能である。DC送達は、必ずしも、線維サイズに敏感であるとは限らない可能性があり、幅の広い治療ウィンドウを有することが可能である。DC送達は、多種多様な症状(不整脈、てんかん、および運動障害のための心臓マッピング、ならびに、本明細書の他のどこかで開示されているさまざまな他の条件を含むが、それに限定されない)のために利用され得る。
【0113】
本明細書で説明されているシステムおよび方法は、DC神経ブロック、変調、または減衰を発生させるために使用され得る。神経ブロックの特定の直流電流印加に応じて、神経抑制、または、電流の除去もしくは停止の後の継続的なブロックが起こる可能性があり、過剰抑制は、DC供給源の除去の後に1分を超える継続的な神経ブロックを結果として生じさせ、神経伝導回復を遅延させることが可能である。神経ブロックおよび抑制は、所望の用途に応じて、間欠的な様式または連続的な様式で発生させられ得る。複雑な機械的システムを必要とすることなく、神経伝導を安全に変調させるための手段を可能にする複数の電極またはシーケンス化された電極接点活性化を利用する、イオン電流を介した神経ブロックの安全な送達を提供する、連続的な神経ブロックのための手段が説明されてきた。システムは、すべての組織接触材料が組織接触および植え込み適合性のために生体適合性である状態で、完全にもしくは部分的に植え込み可能であり得、または、完全に植え込み不可能であり得る(たとえば、経皮的である)。
【0114】
図2は、ニューロモデュレーションシステム100の1つの非限定的な例を概略的に図示している。システムは、任意の数の以下のものを含むことが可能である:1)リード(1つが示されている)102、2)リードアダプタ104、3)外部パルス発生器106、4)臨床医プログラミングアプリケーション(CPA)/臨床医プログラミングデバイス(CPD)(図示せず)、および5)表面電極(随意的な参照電極108および不関電極109)108、109。
【0115】
図3は、リード102の実施形態を概略的に図示しており、リード102は、たとえば、硬膜外リードとすることが可能である。いくつかの実施形態において、リード102は、たとえば、約1mmから約2mmの間の直径を有することが可能であり、適当な幾何学形状とすることが可能であり、たとえば、リードの遠位作用端部を占める最大で8個(または、それ以上)の個々の接点110を備えた円筒形状とすることが可能である。リード102は、たとえば、長さ5cm以上またはそれ以下の増分で、40~100cmの長さとすることが可能である。個々の接点110は、高容量電荷コーティングによってコーティングされた基板から作製され得、それは、それに限定されないが、窒化チタンによってコーティングされたチタン、窒化チタンによってコーティングされたタンタル、窒化チタンによってコーティングされたプラチナ-イリジウム、または、高容量電流送達のために本明細書で開示されているような他の材料を含む。それぞれの接点110は、伝導体に溶接される場合があり、伝導体は、コネクタの中で終端する、たとえば、プラチナ-イリジウム、MP35N、35N LT、ステンレス鋼:304SS、316LVM、またはチタンワイヤを含むことが可能である。また、伝導体は、リング-スタイルコネクタ接点(たとえば、Bal Sealスタイルのコネクタなど)において終端することが可能である。リード本体部112自身は、医療グレードのポリウレタンから作製され得る。リード102は、複数のルーメンを含むことが可能であり、それぞれのワイヤのために少なくとも1つ、および、スタイレットのために少なくとも1つの中央ルーメンを含むことが可能であり、スタイレットは、挿入の間のリード102を操縦するために、および、そのカラム強度を高めるために使用され得る。1つまたは複数のスペーサー114(それは、ポリウレタンスペーサ(または、他の電気絶縁材料)を含むことが可能である)が、隣接する接点110の間に位置決めされ得る。リード102は、先端部116において終端することが可能であり、先端部116は、溶融された端部とすることが可能である。
【0116】
図4は、いくつかの実施形態によるリードアダプタ104を概略的に図示している。リードアダプタ104は、リード102(図示せず)を外部パルス発生器106(EPG)(図示せず)に嵌合させる。それぞれのリードアダプタ104の内側は、一連のレセプタクルを含むことが可能であり、レセプタクルは、リード102の上のリードコネクタを受け入れ、EPG106との電気的接続性を確立する。リード102は、リテンションシステムを使用して、適切な場所に保持され、それは、リード102をリードアダプタ104に固定するためのクランピングシステムおよび摩擦チャネルを含み得る。リードアダプタケースは、通信ケーブル(たとえば、イーサネットまたは他のタイプのケーブル)を含むことが可能であり、通信ケーブルはリードアダプタ104をEPG106に接続する。
【0117】
図5は、いくつかの実施形態による外部パルス発生器106(EPG)を概略的に図示している。EPG106は、本明細書で説明されている波形のいずれかを含む、電気的な治療用パルスを発生させるように構成されている。それは、一般的に、1つの非限定的な例として、ナイロンまたは他の適当な材料から作製されたエンクロージャ(たとえば、ボックスなど)を含む。経皮リードアダプタ104(図示せず)は、コネクタまたはポート(たとえば、2つのイーサネット-スタイルの(たとえば、RJ-45など)または他のコネクタなどなど)を通してEPG106とインターフェース接続する。EPG106の電源は、たとえば、4つの標準的な1次電池リチウムAAバッテリーによって提供され得る。ユーザは、たとえば、随意的なディスプレイ(たとえば、LCDまたは他のスクリーン)の隣に位置決めされている2つのボタンを介して、EPG106とインターフェース接続することが可能である。随意的なLCDは、デバイスのステータスおよびバッテリーステータスをユーザに表示する。ユーザは、ユーザの注意を必要とする状態に関するアクション(たとえば、バッテリー交換など)を推進するために、可聴のおよび/または視覚的な警告を与えられる。他の視覚的なインジケーター(たとえば、EPGケースまたはケースの中の開口部を通して見ることができるLEDなど)が、追加的なインジケーションをユーザに提供する。また、EPG106は、皮膚表面不関電極に接続されている。不関電極は、EPG106の上のコネクタ(たとえば、ラッチングコネクタなど)を通して接続されている。いくつかの実施形態において、自動化された外部除細動器電極が、十分に確立された安全性および低い電気インピーダンスのための不関電極として使用される。追加的に、随意的な外部参照電極が、同じハーネスの上で利用可能であり得る。参照電極自身は、たとえば、市販の心電図電極とすることが可能である。EPG106は、臨床医プログラマデバイス(CPD)(図示せず)へのワイヤレス接続を通してプログラム可能であり得、臨床医プログラマデバイス(CPD)は、臨床医プログラミングアプリケーション(CPA)を走らせるPCにUSB接続されている(または、ワイヤレスに接続されているなど)。代替的に、EPG106は、直接的なUSBまたは他のケーブル(またはワイヤレス)接続を介してPCに直接的に接続され得る。EPG106は、通常は、たとえば、使用の間に患者が着用することができるベルト装着式のホルスタータイプのポーチの中に存在することが可能である。いくつかの実施形態において、システム(それに限定されないが、外部パルス発生器106を含む)は、完全にまたは部分的に植え込み可能であり得、任意の経皮的なコンポーネントを含むことが可能であり(または、含まない)、および/または、外部デバイスによって制御されるかまたは照会されるように構成され得る。
【0118】
図6は、EPG出力波形の例を概略的に図示している。EPG出力波形は、本開示の全体を通して使用されているように、および、たとえば、
図8B、
図11、
図12、
図13、
図15A、
図15B、
図16、
図19、
図21A、
図22A~E、
図24、および
図25を参照して議論されているように、治療用パルス、EPG出力パルス、治療用波形、DC波形、低周波数波形、または、超低周波数(ULF)波形と称され得る。EPGは、上下にランプされるパルスを出力する。パルス幅、周波数、および振幅は、臨床医プログラミングデバイスを使用してプログラムされ得る。いくつかの実施形態において、EPG106または他のパルス発生器は、約0~10mAの間の電流、または、本明細書で開示されているような他の値/範囲の電流を出力することが可能である(そして、電極電荷注入容量を超えないように構成可能である)。いくつかの実施形態において、EPG106または他のパルス発生器は、約0.05Hzから約2Hzの間の出力周波数、または、本明細書で開示されているような他の値/範囲の出力周波数を有している。いくつかの実施形態において、EPG106の波形500は、約250msから約30秒の間のパルス幅、または、本明細書で開示されているような他の値/範囲のパルス幅を有している。本明細書で説明されているEPG波形500は、EPG106、または、1つもしくは複数の他のパルス発生器システム(たとえば、トライアルパルス発生器もしくは植え込み可能なパルス発生器など)によって、発生および出力され得る。
【0119】
また、システムおよび方法は、臨床医プログラミングアプリケーション(CPA)/臨床医プログラミングデバイス(CPD)を含むことが可能である。いくつかの実施形態において、臨床医プログラミングアプリケーション(CPA)を備えたコンピューティングデバイスは、臨床医プログラミングデバイス(CPD)を介して外部パルス発生器または他のパルス発生器(たとえば、トライアルのまたは植え込み可能なパルス発生器など)とワイヤレスに通信し、臨床医プログラミングデバイス(CPD)は、たとえば、USBを介して、コンピューティングデバイスに取り付けられており、または、代替的に、ワイヤレス通信プロトコル(たとえば、Bluetoothなど)を通して取り付けられている。システムは、プログラマ/臨床医によって設定されたパラメータに基づいて、EPGまたは他のパルス発生器に波形をアップロードする。また、それは、以前の刺激セッションからログおよび性能データをダウンロードする能力を有することが可能である。
【0120】
そのような治療用波形の1つの実施形態が、
図6に図示されている。波形500は、アノード(たとえば、プラスの)フェーズ502およびカソード(たとえば、マイナスの)フェーズ504を含む。また、波形500は、アノードプラトーフェーズ506およびカソードプラトーフェーズ508を含む。移行領域(ブレークスルー伝導が起こる領域と称されることもある)510、512は、波形のカソードプラトーフェーズ504およびアノードプラトーフェーズ502を分離する。
【0121】
それぞれの移行領域510、512は、1つまたは複数の移行波形部分を含むことが可能である。図示されている実施形態において、波形500は、第1の移行領域510においてそのカソードプラトーフェーズ508からそのアノードプラトーフェーズ506へ移行する。第1の移行領域510は、4つの移行波形部分を含む:徐々に増加する湾曲した傾斜の部分518、実質的に線形の傾斜の第1の部分520、実質的に線形の傾斜の第2の部分522、および、徐々に減少する傾斜の湾曲した部分524。徐々に増加する湾曲した部分518の間に、電流振幅は、ゆっくりと増加するレートでカソードプラトーフェーズ508から第1の実質的に線形の部分520へ徐々に減少される。第1の実質的に線形の部分520の間に、電流振幅は、移行点514が到達されるまで、第1の実質的に一定のレートで減少される。移行点514において、電流振幅は、徐々に減少する湾曲した部分524が到達されるまで、第2の実質的に一定のレートで増加される。徐々に減少する湾曲した部分524の間に、電流送達振幅は、増加し続けるが、アノードプラトーフェーズ506が到達されるまで、徐々に減少するレートで増加する。
【0122】
アノードプラトーフェーズ506の終わりに、波形500は、第2の移行領域512においてそのカソードプラトーフェーズ508に移行する。第2の移行領域512は、4つの移行波形部分を含む:徐々に減少する傾斜の湾曲した部分526、実質的に線形の第1の部分528、実質的に線形の第2の部分530、および、徐々に増加する傾斜の湾曲した部分532。徐々に減少する湾曲した部分526の間に、電流振幅は、ゆっくりと増加するレートでアノードプラトーフェーズ506から第1の実質的に線形の部分528へ徐々に減少される。第1の実質的に線形の部分528の間に、電流振幅は、移行点516が到達されるまで、第1の実質的に一定のレートで減少される。移行点516において、電流振幅は、徐々に増加する傾斜の湾曲した部分532が到達されるまで、第2の実質的に一定のレートで増加される。徐々に増加する傾斜の湾曲した部分532の間に、電流送達振幅は、増加し続けるが、カソードプラトーフェーズ508が到達されるまで、徐々に減少するレートで増加する。このサイクルは、後続の波形500に関して繰り返される。
【0123】
1つの実施形態では、プラスの電流が、アノードフェーズの間に送達され、マイナスの電流が、カソードフェーズの間に送達され、電流は、移行点514、516においてゼロに到達し、マイナスからプラスへ、または、プラスからマイナスへ移行する。いくつかの実施形態において、波形500のアノードプラトーフェーズ506の振幅は、波形500のカソードプラトーフェーズ508と同じ大きさであるが符号が反対である。いくつかの実施形態において、波形500のアノードプラトーフェーズ506の振幅は、波形500のカソードプラトーフェーズ508と大きさが等しくなく、符号が反対である。いくつかの実施形態において、プラトー期間506および508は、重畳されたAC信号(たとえば、従来のSCS波形、HFAC波形、または、他の交流電流信号)とともに実質的に平坦であることが可能である。いくつかの実施形態において、波形500は、プラスの方向またはマイナスの方向のいずれかにおけるバイアス電流量によって、オフセットまたはバイアスされている。いくつかの実施形態において、電流は、バイアス電流量に到達し、移行点514、516において、マイナスからプラスへ、または、プラスからマイナスへ移行する。例示的なバイアス電流量は、本開示の全体を通して議論されており、
図5の波形500と関連して使用されることが可能である。いくつかの実施形態において、小さな波形(たとえば、矩形波)が、少なくとも1つのまたは複数の点(たとえば、移行点514および516)において挿入され得、電極特性または組織特性(たとえば、シリアルソリューションインピーダンス、電極インピーダンスなど)のアセスメントを可能にする。
【0124】
図6の波形500は、神経活性化(たとえば、疼痛感覚、知覚異常など)が起こらないように神経ブロックを誘導するために、治療用波形を神経組織に提供するときに、重大な臨床的な利点を提供する。そのような利点は、本明細書でより詳細に議論されている。
【0125】
たとえば、波形のアノードプラトーフェーズ506およびカソードプラトーフェーズ508の長さまたは持続期間は、ニューロンに対してDCまたは直流電流として現れる。長くてDCのように見えるプラトーは、ニューロンの典型的なミリ秒時定数よりもはるかに長い持続期間を有している。波形プラトー領域506、508は、神経活動をブロックする即時的なまたはほとんど即時的な臨床的な効果を引き起こすことが可能である。
【0126】
しかし、アノードプラトーからカソードプラトーへの、または、カソードプラトーからアノードプラトーへの移行の間に、ターゲット神経組織を活性化させる機会が存在している。そのような活性化を回避するために、増加するまたは減少する電流の相対的に線形の移行部分520、522、528、530が提供されており、ターゲット神経組織によって経験される電流振幅変化のレートを制御し、一定のまたは実質的に一定の量に電流振幅変化レートを保持する。線形のランプ(増加するかまたは減少するかのいずれか)で電流を提供することによって、神経活性化は、アノードフェーズ506とカソードフェーズ508との間の、および、カソードフェーズ508とアノードフェーズ506との間の波形500の移行の間に回避され得る。
【0127】
いくつかの実施形態において、第1の線形の移行部分520の傾斜(第1の実質的に一定のレート)は、第2の線形の移行部分522の傾斜(第2の実質的に一定のレート)の約4倍、3倍、2倍、1倍、0.75倍、0.5倍、0.25倍、0.125倍、0.062倍である。いくつかの実施形態において、第1の線形の移行部分528の傾斜(第1の実質的に一定のレート)は、第2の線形の移行部分530の傾斜(第2の実質的に一定のレート)の約4倍、3倍、2倍、1倍、0.75倍、0.5倍、0.25倍、0.125倍、0.062倍である。
【0128】
加えて、上昇するおよび降下する波形の傾斜(たとえば、増加する移行フェーズ510の間、および、減少する移行フェーズ512の間)、ならびに、最大振幅(アノードとカソードの両方)は、個別にまたは一緒に、神経活性化が回避され得るかどうかに影響を与える可能性がある。したがって、いくつかの実施形態において、波形部分520、522、528、530の傾斜、プラトーフェーズ506、508の電流レベル、またはその両方は、神経ブロックを引き起こすために、または、不用意な神経活性化が起こることを回避するために(たとえば、プロセッサ、マイクロコントローラ、EPG、プログラマなどによって)選択される。
【0129】
最後に、波形500の丸みを帯びた角部518、524、526、532は、波形500が(領域524、532において)そのプラトーフェーズ506、508へと移行するにつれて、電流振幅の徐々に減少するレートが増加することを提供し、また、波形500が(領域518、526において)そのプラトーフェーズ506、508から移行するにつれて、電流振幅の徐々に増加するレートが減少することを提供する。そのような丸みを帯びた角部518、524、526、532は、波形500がアノードおよびカソードの周期的なフェーズ502、504の間で移行するときの不用意な神経活性化をさらに防止する。
【0130】
図7は、表面電極ハーネス105を概略的に図示しており、表面電極ハーネス105は、不関電極109および参照電極108、ならびに、外部パルス発生器とインターフェース接続するコネクタを含むことが可能である。電極108、109は、出力波形500の送達(具体的には、極性にかかわらずバイアス電流を吸収すること、および、性能データを記録すること)を可能にする役割を果たすことが可能である。電極は、皮膚に付着することが可能であり、必要に応じて接着剤フィルム(たとえば、Tegadermなど)によってさらに固定され得る。
【0131】
図8は、無菌のリード植え込みキット120の1つの実施形態を概略的に図示しており、それは、リードおよびリードアダプタ、ならびに、任意の数の以下のものを含む:リード102(1つが示されている)、経皮アダプタ104(1つが示されている)、(3)丸いテフロンホルダーの中にパッケージングされたスタイレット122(増加した剛性の1つの真っ直ぐなおよび2つの湾曲したチップスタイレット122)、(2)Coude針124、(1)硬膜外アクセスガイドワイヤ126、および(2)リードリテンションアンカ128。完全なリード植え込みのためのトンネリングツールは示されていない。
【0132】
図9Aは、例示的な脊髄刺激(SCS)波形を図示しており、それは、従来のもの、バーストのもの、および高周波数(たとえば、約1kHzよりも大きい、または、それ以上)のものを含む。図示されているように、先述の波形のそれぞれは、鋭い角度または角部を含む。それとは対照的に、
図9Bに図示されているSCS波形は(
図6の波形500と同様)、鋭い角度、角部、または縁部の代わりに曲線を含み、それは、本明細書で説明されている任意の数の利益を提供することが可能である。
図9Bに図示されているSCS波形は(
図6の波形500と同様)、
図9Aに図示されている矩形波または鋭い角部形状の代わりに、スプライン波形形状および/または滑らかな波形形状と称され得る。
図9Cは、従来のSCS波形、バーストのSCS波形、高周波数のSCS波形、および、湾曲したSCS波形のそれぞれに関して、例示的な非限定的なパルス幅、パルス周波数、振幅、および、パルス当たりの電荷の値を有する表を図示している。表に提供されているように、
図9Bに図示されている湾曲したSCS波形のパルス当たりの電荷の値は、他のSCS波形のものよりもはるかに大きく、それよりも桁外れに大きくなることが可能である。
【0133】
図10は、鋭い角部または角度を有するSCS波形を図示している。いくつかの実施形態において、刺激波形の上の鋭い縁部は、望ましくない応答を引き起こす可能性がある。たとえば、丸で囲んだ領域130は、望ましくない運動活動(動物モデルにおける後肢の収縮)が観察された場所を示している。鋭い角度、角部、または縁部を丸くすることは、有利には、運動活動を発生させる前に駆動され得る振幅を増加させることが可能である。
【0134】
図11は、さまざまな電極動作範囲を表す例示的なグラフ1000を図示する。1つの実施形態では、電極は、潜在的に不可逆的な副生成物形成(たとえば、化学的な副生成物)を制限するために、および、電極の長寿命を推進するために、好ましい動作電圧範囲1010において動作する。電極の長寿命を推進することは、望ましくない反応(たとえば、腐食など)から電極を保護することを含むことが可能である。グラフは、経時的な電圧を示しており、電極材料のためのウォーターウィンドウ(water window)、電極材料のための耐腐食性範囲、ならびに、ウォーターウィンドウおよび耐腐食性範囲の組み合わせのための例示的な動作範囲を伴う。
【0135】
ウォーターウィンドウ範囲は、電極のための動作範囲を定義しており、その中では、望ましくない電極反応(たとえば、水電気分解などに起因する)が、最小限の程度に起こることとなる。ウォーターウィンドウ範囲は、上側電圧限界1002および下側電圧限界1006を有している。たとえば、1つの実施形態では、ウォーターウィンドウ範囲は、0.8Vおよび-0.6V、1.4Vおよび-1.4V、0Vおよび-0.6V、0Vおよび-1.4V、0.2Vおよび-0.6V、0.2Vおよび-1.4Vの上側電圧限界1002および下側電圧限界1006を有している。電極が上側電圧限界1002と下側電圧限界1006との間でウォーターウィンドウの中で動作されている限り、水電気分解を介した水の重大な分解が回避され得る。加えて、耐腐食性範囲は、望ましくない電極腐食が起こることとはならない電極のための動作範囲を定義している。耐腐食性範囲は、上側電圧限界1004および下側電圧限界1008を有している。電極が上側電圧限界1004と下側電圧限界1008との間で耐腐食性範囲の中で動作されている限り、電極腐食が回避され得る。1つの実施形態では、上側電圧限界1004は、0V、0.1V、0.2Vであり、または、0Vから0.2Vの間にある。したがって、電極のための動作範囲1010は、電極が特定の電極に関するウォーターウィンドウ範囲と耐腐食性範囲の両方の中で(たとえば、オーバーラップの中で)常に動作されることを保証するために選択される。これは、電極への影響(たとえば、水素脆化などを介する)または生物学への影響(たとえば、過酸化水素または他の活性酸素種の発生を介する)を回避するために、望ましくない電気化学反応を制限するための電圧範囲において、電極が稼働されるべきであると一般化され得る。図示されている実施形態において、動作範囲1010は、耐腐食性範囲の上側限界1004、および、ウォーターウィンドウの下側限界1006によって定義されている。そのうえ、耐腐食性範囲の上側限界1004は、0Vにあるか、0Vよりも大きくするか、または、0Vよりも小さくすることが可能である。バイアス電流(上記におよび下記に議論されているようなものなど)は、電極の動作範囲1010を制御するために選択され得、また、電極のウォーターウィンドウおよび耐腐食性範囲の中で、ならびに、任意の他の望ましくない反応で、電極動作が所望の範囲の中で起こることを保証するように選択され得る。
【0136】
図12は、バイアス(オフセット)電流による例示的なバイポーラ動作を図示している。バイポーラ構成では、バランスのとられた低周波数刺激電流が、2つの作用電極(WE1、WE2)の間で伝導される。オフセット電流が、それぞれのWE電極に印加され、不関電極によって吸収され、不関電極は、作用電極の反対の電圧を収容することができる表面電極または植え込まれた経皮的な電極のいずれかとすることが可能である。
図12は、各電極のための均一なバイアス(オフセット)電流および一定のDCバイアス(オフセット)電流を伴うバイポーラ配置の非限定的な例を示している。モノポーラ配置では、刺激電流は、作用電極(WE)とカウンター電極または不関電極(IE)との間で伝導される。カウンター電極または不関電極は、作用電極の反対の電圧を収容することができる表面電極または植え込まれた電極または経皮的な電極とすることが可能である。刺激電流は、超低周波数ACコンポーネントを含むことが可能であり、オフセット電流は、WEが正しい電圧範囲の中でバイアスされるように印加され得る。別の実施形態では、低周波数刺激電流は、波形(たとえば、
図6に図示されている波形など)にしたがって提供される。
【0137】
図13~
図15は、(たとえば、
図6の波形500を使用する)超低周波電流(ULF)からの長期的な神経ブロックに関し、それは、(たとえば、神経障害状態での異所性発火などからの)神経活動の伝導のゆっくりと発達するブロックおよび回復を含むことが可能である。二相性のULF波形の長期の使用は、有利には、電流送達(ウォッシュアウト期間)の停止の後に神経活動の継続的な抑制を可能にすることができ、それは、複数の利益を提供することが可能である。
【0138】
図13は、L5脊髄神経のセクションごとに軸索切断の8日後に記録された、神経障害状態における異所性発火を伴うL5根のフィラメントからの記録を図示している。活性線維に関する総合吐出レート(たとえば、スパイクレート)は、ベースラインにおいておおよそ5スパイク/秒である。記録部位の遠位において、ULF電流(たとえば、30μA、または、本明細書で議論されている任意の他の電流値)が時点1200において後根に印加されるときに(たとえば、
図6の波形500を印加する)、カソードプラトーフェーズとアノードプラトーフェーズの両方において伝導のブロックが存在しており、フェーズクロスオーバーにおいてブレークスルー伝導を伴う。6分後に時点1202において、アクティブユニットのうちの1つのみが、ブレークスルー伝導を維持し、20分後に時点1204において、完全な伝導ブロックが、両方の線維において実現される。次いで、電流が、時点1206においてオフに切り替えられるが、完全な伝導ブロックは、時点1206と時点1208との間の回復フェーズの間に継続する。線維のうちの1つの中の伝導の回復は、12分後に時点1208において始まる。両方の線維の中の伝導の完全な回復は、電流が中止された17分後に時点1210において見られる。スケールバーは、1分である。メインニューログラムの下方に、A~Cは、連続的な記録からの抜粋であり(それぞれは20秒の持続期間のものである)、示されている点におけるスパイク活動の詳細を示している。
【0139】
興味深いことに、完全な伝導ブロックは、ULF電流波形が組織から除去された(たとえば、ターンオフされた)後に、完全な12分間にわたって、神経組織の中に維持される。加えて、完全な神経活動は、神経組織が回復し始めたわずか5分後に再開する(時点1208から時点1210まで)。したがって、ULF波形は、それが(たとえば、時点1200において)神経組織に印加されるとすぐに、(アノードプラトーフェーズおよびカソードプラトーフェーズの間に)部分的な神経ブロックをほとんど即時的に引き起こすことができ、ULF波形が印加されたわずか数分後に(たとえば、時点1204において)、完全な神経ブロックが続く。より低いULF波形振幅において、部分的なブロックがULF波形の印加時からの遅延を伴って実現され得るということが実証されている(たとえば、非即時的な部分的な神経ブロック)。そのうえ、ULF波形が除去されると(たとえば、時点1206において)2次的なブロッキング効果が起こり、かなりの期間にわたって(たとえば、時点1208まで)継続する。完全な神経活動は、短時間後に(たとえば、時点1210において)再開する。
【0140】
有利には、そのような治療用波形は、患者によって感知される望ましくない麻酔、知覚異常、またはしびれを同時に生成させない疼痛治療を提供することが可能である。そのうえ、電力効率は、(たとえば、
図6のULFまたは治療用波形500などを介して)電流送達を制御または循環させることを利用することによって改善され得、それは、神経回復期間の間に(たとえば、時点1206から時点1208まで)非活性化させられ得る。そのうえ、より少ない電流が、この2次的なブロッキング効果(たとえば、波形除去後の継続的な神経活動ブロッキング)を利用することによって、神経ブロックを実現するために提供され得、それは、ターゲット組織を取り囲む組織が、治療用波形、および、波形によって発生させられる任意の潜在的な副生成物によってあまり影響を受けないか、または、完全に影響を受けないこととなるということを意味している。
【0141】
別の研究では、ULF波形の印加は、低減された「ワインドアップ」応答を結果として生じさせるということが判明した。ワインドアップ応答は、慢性の長期の疼痛刺激を経験したニューロンの感受性(または、過敏性)の増加を指す。ULF波形は、脳に伝わる疼痛または他の神経応答を選択的に低減させることが可能である。たとえば、多くの状況において、神経経路を完全にブロックすることは望まれない。その代わりに、ワインドアップ応答を単に低減させることが有利であり、急性の疼痛応答を維持することを結果として生じさせるが、ワインドアップおよび慢性の疼痛に関連付けられる神経過敏性を低減または排除する。そのうえ、神経過敏性低減(または、除去)は、ULF波形の除去または停止が起こった後にも継続することが可能である。
【0142】
図14は、
図13における自発的に活性な線維における伝導のブロックおよび回復を示すラスタープロットを図示している。
図14は、
図13のニューログラムデータを可視化する別の方法を図示している。プロットの上部において、ドットは、ユニットのベースライン発火を示している。波形電流が維持されるとき、完全なブロックが実現されるまで、ウィンドウ(その間に伝導が可能である)が狭くなる。たとえば、それぞれのドット列の水平方向のドット状部分の幅は、上側水平方向破線から下側水平方向破線へ狭くなる。水平方向破線1302、1304は、ULF電流オン(上側水平方向の破線1302)(
図13の時点1200に対応する)およびオフ(下側水平方向の破線1304)(
図13の時点1206に対応する)を示している。上側水平方向の破線1302と下側水平方向線1304との間の時間期間(
図13の時点1200と時点1206との間の時間期間に対応する)は、ULF印加期間と称され得る。ドットのそれぞれの水平方向の列(それぞれの列は、1つのドット厚さである)は、治療用波形(たとえば、
図6または
図13の波形500)の1つの周期を表している。それぞれのドットは、ニューロンの活動電位、スパイク、または活性化を表している。いくつかの実施形態において、波形特性(たとえば、電流レベル)を利用することが望ましい可能性があり、ブレークスルー伝導が、療法の持続期間の全体を通して保存されるようになっている(たとえば、上側水平方向破線1302と下側水平方向破線1304との間のどこかに示されている活動など)。このように、神経信号の伝達は、高い値から低い値へ変調されるかまたは完全に排除され得る。
【0143】
図15は、11個の線維のサンプルに対する20回のテストにおけるブロック時間および回復時間を示す分布プロットを図示しており、そこでは、完全な伝導ブロックがULF電流の間に実現された。分布プロットは、線維がブロックされるかまたは回復されるのにかかる時間の変動を図示している。そのような変動は、電極とそれぞれの神経線維との間の距離に起因し得る。
【0144】
図16は、部分的なブロック(たとえば、完全なブロックよりも小さい)を送達する能力に関し、それは、無傷の線維における伝導の急性のブロックを含むことが可能である。神経活動の部分的なブロックは、ULF波形を使用して作り出され得る。1つの例において、プラトーの時間の相対的なフェーズ-対-ブレークスルーフェーズは、波形期間にわたる部分的なブロックを発生させるために使用されることが可能である。伝導は、ある時間t1にわたってプラトーの間にブロックされ、一方では、伝導は、ある時間t2にわたって移行の間に許容される。次いで、t1:t2の比は、波形期間の間に発生させられるブロックの量を制御することが可能である。たとえば、部分的なブロックは、特定の(または、すべての)プラトーフェーズ(そこでは、波形が水平方向になっている)間にブロックを提供することによって、および、プラトーフェーズ間の移行期間の間の神経信号伝達を可能にすることによって実現され得る。1つの実施形態では、1つの周期における波形のプラトー時間がt1であり、その移行時間がt2である場合には、部分的なブロックは、t1およびt2の関数(たとえば、t2に対するt1の比、または、t1に対するt2の比の関数など)として定義され得る。t1>t2の場合には、>50%の部分的なブロックが実現され得る。t2>t1の場合には、<50%の部分的なブロックが実現され得る。別の例では、カソード/アノード閾値(ブロッキングおよび通過)は、アノード対カソードに対して異なる閾値を有することが可能であり、それは、関連のフェーズの間に許可およびブロックするために利用され得る。部分的なブロックは、完全なブロックが望ましくないシステムのための神経活動のチューニング可能なブロックを可能にし得る。たとえば、療法適用の間の可動性を可能にするために、可動性障害に関して信号を送る完全なブロックを有することは望ましくない可能性がある。追加的に、副作用(たとえば、交感神経ブロックからの胃部不快感)を回避するために信号を送る完全なブロックは、交感神経変調では望ましくない可能性がある。さらに、ブロックの停止が神経の即時的な回復を結果として生じさせるように(たとえば、ブレークスルー伝導の完全なブロックの前に発達されたものなど)、神経活動をブロックすることが望ましくない可能性がある。
【0145】
図16は、5Hzにおける同側後足の電気的な刺激によって活性化される2つのA線維(伝導速度おおよそ19メートル/秒および14メートル/秒)を含有するフィラメントからの記録を図示している。100μAの電流において、伝導のブロックは存在していない。200μAにおいて、伝導ブロックは、電流サイクルのアノードプラトーフェーズにおいて起こり、この電流は、伝導ブロックに関する閾値(T)として定義される。300μAまで電流を増加させることは、アノードフェーズとカソードフェーズの両方において伝導ブロックを作り出す。したがって、部分的な神経ブロックは、治療用波形(たとえば、
図5または
図12の波形500)の振幅を制御することによって、および、波形振幅を所望のレベルに設定することによって実現され得る。そのうえ、複数の波形のタイミングまたは重畳に基づいて、たとえば、それらの伝導速度または線維時間に基づいてブロックされる神経線維のタイプをチューニングすることが可能である。刺激レベルは、選択的な神経ブロック制御を実装するために調整され得る。そのうえ、波形振幅は、同様に、特定の患者に起こっている可能性のあるウォッシュイン(たとえば、神経過敏性)のレベルを補償するために制御され得る。いくつかの実施形態において、電極は、神経活性化を感知するために使用され、また、振幅レベル制御のために使用されるフィードバックを提供するために使用される。たとえば、神経活動が減少されるとき、それに応答して波形振幅が減少され得る(または、ターンオフされ得る)。同様に、神経活動が回復し始めるとき、波形振幅は、神経応答を制御する(または、ブロックする)ために増加され得る(または、ターンオンされ得る)。1つの実施形態では、波形電流振幅と神経ブロックのパーセンテージとの間に、線形的関係、指数関数的関係、または対数関数的関係が存在している。
【0146】
そのうえ、波形電流振幅を制御することによって神経ブロックを制御するときに、ウォッシュアウト効果は全く起こらないか、または、限られたウォッシュアウト効果が起こる。たとえば、
図16における点Jにおいて、神経は、ULF波形が除去されるとすぐに(または、その直後に)、その元の状態に迅速に戻る。回復期間は、
図13に図示されているようなULF療法の間に起こるウォッシュアウト効果と比較して、ゼロであるかまたは非常に小さいかのいずれかである。また、ウォッシュアウト効果を制限または防止することは、波形期間および/またはそれぞれのフェーズにおいて送達される合計電荷を制御することによっても可能である可能性がある。
【0147】
ブレークスルー伝導は、カソード電流フェーズとアノード電流フェーズとの間のクロスオーバーにおいて注目される。この電流が4分後にオフに切り替えられるときに、通常の伝導が即時的に再開する。スケールバーは、5秒である。A~Jは、スパイクの詳細を示す抜粋トレースである(4~8スイープの平均;Bを除く、単一のスイープ;スケールバー5ms)。
【0148】
図13に戻って参照すると、図示されているグラフは、ニューロン活動への復帰(それは、穏やかである可能性がある)を図示しており、それは、療法の停止の後の神経信号送信の回復が時間の経過とともに(たとえば、数分から数時間の経過)徐々になることを含むことが可能である。ニューロン活動への穏やかな復帰には、さまざまな利益が存在している。たとえば、ニューロン活動の突然の復帰が防止され得、それは、安全を改善することが可能である。療法の停止の後の疼痛(または、他の神経活動)の突然の発症が防止され得る。望ましくない急性の事象(たとえば、急性の代償不全または心不整脈など)につながる可能性のある療法の停止の後の交感神経信号送信の突然の発症が防止され得る。別の例では、知覚されない療法の欠如が存在しない状態でデューティサイクルすることが実現され得る。神経信号送信の漸進的な増加は、より多くの療法の送達をトリガーするために使用され得、生理学的マーカーまたは症状が新しい療法の開始前に戻らないことを保証する(たとえば、疼痛は、常にまたは実質的に常に、知覚される閾値の下方に維持され得る)。
【0149】
有利には、機能的選択性が実現され得る。電極の近くにある線維は、選択的に抑制され得、それは、遠位線維を影響されない状態のままにすることが可能である。電流を増加させることは、遠位線維のブロッキングを増加させることが可能である。機能的選択性は、電極への近接性および電流振幅に基づいて神経活動を変調させるための能力を促進させることが可能であり、それは、ターゲット外の効果を防止することが可能である。
図17は、リード102が背部に設置された状態の脊髄の断面を図示している。図示されているように、リード102は、リード102から放射するフィールド線134が最も外側のラミナ(lamina)に最初にぶつかる状態で、背部に設置されている。電流を増加させることは、所与の半径におけるフィールド強度を増加させることが可能である。送達された波形(たとえば、
図6または
図13の波形500)のフィールドは、軸索、細胞体、細胞体の樹状突起、または、軸索の末端(もしくは、端部部分)、および、グリア細胞(たとえば、星状膠細胞、周皮細胞、ミクログリア、および乏突起膠細胞など)に影響を与えることが可能である。さまざまな線維が、脊髄の異なるラミナに延在している。C線維(それは、疼痛を感知する)は、一般的に、植え込まれた電極の最も近くにおいて、背側ラミナの中に位置付けされている。
【0150】
図18は、完全なブロックに関する二相性のULF波形に関し、それは、通常のニューロンにおける誘発発火による伝導のゆっくりと発達するブロックおよび回復を含むことが可能である。上記にさらに詳細に議論されているように、ブレークスルー伝導、または、ULF波形(たとえば、
図6または
図13の波形500)の極性変化の間の伝導は、第1の期間の間に(点Aと点Bとの間で)起こるが、そのような期間の後に(点Bにおいて)起こることを停止する。完全なブロックは、二相性のULF波形によって実現され得、そこでは、アノード電流が続くカソード電流は、ブロック反転および回復された信号送信を結果として生じさせる。二相性のULF波形を介した完全なブロッキングに対して多数の利益が存在している可能性があり、それは、材料安全/実現可能性の利益(たとえば、医療用デバイス一体化に適切な材料を使用して完全なブロック療法を安全に確立するための能力など)を含むことが可能であり、二相性の波形は、不可逆的に損傷を受ける副生成物の蓄積を防止する。いくつかの実施形態において、(複数の電極を必要とするものとは対照的に)医療用デバイス一体化に適切な単一のモノポーラ電極は、本明細書で説明されている波形を提供することによって完全なブロックを実現するために使用され得る。たとえば、いくつかの実施形態において、完全なブロックは、本明細書で説明されている波形を提供することによって、および、神経が過剰抑制の状態で設置されることを引き起こすことによって実現され得る。別の実施形態では、完全なブロックは、本明細書で説明されている波形を提供し、アノードフェーズの間に神経活動をブロックすることによって実現され得る。これは、神経に対するカソード電流の流れを結果として生じさせる電極の近位および遠位に仮想カソードを生成させることから結果として生じる可能性がある。
【0151】
別の実施形態では、急速なブロック開始および低電力メンテナンス療法のための電流変調は、神経障害状態における異所性発火などのような、神経活動における伝導の発達するブロックおよび回復を含むことが可能である。完全なブロックは、電流振幅および印加の持続期間の関数とすることが可能である。完全なブロックは、最初に高電流振幅を利用することによって、および、次いで、定常状態ブロックメンテナンスのための下側レベルまで電流を低減させることによって、迅速に実現され得る。たとえば、高電流振幅モードの間に、800~3000μAまたは少なくとも800μAの第1の振幅を有する電流が印加され、下側レベルモードの間に、800μAよりも小さい第2の振幅を有する電流が印加される。第1および第2の振幅は、同様に、知覚閾値の観点から表現され得る。たとえば、第1の振幅は、知覚閾値の少なくとも50%とすることが可能であり、第2の振幅は、知覚閾値の25%~50%とするか、または、知覚閾値の50%よりも小さくすることが可能である。知覚閾値は、25、50、100、200、400、600、800、1000、1200、1400、1500、1600、1800、2000、2200、2400、2600、2800、または3000μAとすることが可能である。急速なブロック開始および低電力メンテナンス療法のための電流変調は、さまざまな利益を提供することが可能である。たとえば、長期にわたる電力消費の低減は、初期ブロック開始の間にのみ高電力を消費することによって実現され得る。メンテナンス電流は、低電流によって初期ブロックを発生させるために必要とされるものよりも小さい可能性がある。ブロック速度に関係する別の例では、伝導ブロックは、急性の事象を治療するために迅速にセットアップされ得る。電極安全に関係する例では、電極寿命時間は、メンテナンス電流を伴う電極を通る低減された電荷送達を介して延長され得る。
【0152】
図19は、最大で2000μAのまたはそれよりも多いもしくは少ない電流において伝導がブロックされ得る異なる線維タイプのパーセンテージを示すヒストグラムを図示している。
図20は、A-ベータ、A-デルタ、およびC線維を含む異なる線維タイプにおける電流印加からのブロックおよび回復のための閾値を図示している(組み合わせられたアノードおよびカソードの階段波形電流からのデータ;n値によってラベル付けされたバー;ブロックおよび回復に関する等しくないnは、観察されたウィンドウの中の少数のユニットにおける回復に対する失敗を反映する)。1元配置分散分析(One-way ANOVA)、Turkeyの事後の複数の比較テスト、†Aβ線維-対-C線維、P=.0043;*スピンドルユニット-対-すべての他のグループ、P=0.0083 - <0.0001。
【0153】
選択は、さまざまなパラメータに基づくことが可能であり、それらは、少なくとも伝導速度、線維、および/または疾患状態タイプを含むことが可能である。たとえば、特定の電流において印加されるULFは、「ブレークスルー」フェーズを通して伝導を提供することが可能であり、それは、さまざまな利益を提供することが可能である。たとえば、いくつかの電極が軸索または神経回路の長さに沿って間隔を置いて配置されている場合には、電極におけるULF刺激の間隔および相対的なタイミングは、選択性伝導速度(それは、線維タイプの関数である可能性がある)を提供することが可能である。線維タイプ選択性は、特定の線維タイプの選択的なブロック/通過を可能にすることができ、また、特定のタイプ活動をブロック/通過させるためにULF療法の調整を可能にすることができ、それは、望まれない副作用を制限することが可能である。別の例では、ULFは、ナイーブ(naive)とは異なって疾患状態における軸索/ニューロンに影響を与えることが可能であり、それは、さまざまな利益を提供することが可能である。たとえば、DC電流は、疾患/疼痛モデルにおいてのみ生じ得る特定のチャネル/ゲートに対して優先的な効果を有することが可能である。たとえば、シリコンモデリングは、細胞内/細胞外イオン濃度における変化に基づいて、ULFがニューロンに影響を与えるということを示しており、それは、ULFが特定の疾患状態のゲート、軸索、および/またはニューロンに対して効果を有することができるように、異なるゲートに異なって影響を与えることが可能である。
【0154】
ネットワークの選択的な重量の変調が実装され得る。ULFは、軸索、細胞体、終末前後のシナプス、および/または樹状突起に影響を与えることが可能であり、それは、さまざまな利益を提供することが可能である。たとえば、ULFは、ニューロンまたはシナプスに影響を与えることが可能であり、それは、ネットワークの選択的な重量を変化させる可能性があり、それは、「軸索ブロック」と同様ではなく、疾患状態を治療するためにネットワークを効果的に変更することが可能である。
【0155】
脊髄の中のワイドダイナミックレンジ(WDR)ニューロンは、
図21に図示されているように、ULF波形によって影響を与えられ得る。
図21は、脊髄表面に印加されるULF波形による脊髄後角ニューロンにおけるフットショック誘発応答のブロックの記録を示している。WDRニューロンは、脊髄表面(ラミナV)の400μm下方にある。ULF電極は、記録部位のおおよそ1ミリメートル吻側にある。C、D。マイナスとプラスの両方の2000μAスプライン(2x5分)における抑制は、急速な完全な回復がそれに続く。ULF波形が印加されるとすぐに、神経発火レートは、迅速に減少する。ULF波形が除去される(ターンオフされる)とすぐに、神経発火レートは、迅速に増加する。
図21は、この応答を図示する侵害受容性疼痛応答を図示している。
【0156】
神経伝導は、一般に慢性の疼痛に関連付けられる神経障害疾患条件を調査するための神経障害モデルにおいて評価された。神経の異所性発火を発生させるために、神経の結紮が使用された。実験的なモデルは、ULFおよび階段状のDC波形の印加、ならびに、神経線維伝導に対する影響の測定を可能にした。
【0157】
最大で2000μAのULF電流が、ストランドに印加され、そこでは、156個の単一ユニットがアセスされた。これらの線維は、伝導速度に基づいて、Aβ(26.0±0.8m/秒、平均±SEM;範囲10.4~70.4m/秒;n=109)、Aδ(4.9±0.4m/秒;範囲1.6~9.8m/秒;n=14)、またはC線維(0.9±0.1m/秒;範囲0.5~1.5m/秒;n=25)として分類された。追加的に、進行中の吐出(n=6)を伴う少数の筋紡錘または関節の固有受容単位、および、未分類の自発的に吐出する線維(n=2)が記録された。ULF電流は、下記に説明されているように、求心性線維のすべてのクラスにおいて軸索伝導ブロックを作り出したが、異なる程度に作り出した。
【0158】
電気的な刺激は、ULF電流波形の間に、0.5Hzから10Hzで末梢受容野に印加された。同じフィラメントの中の2つの求心性線維のスパイクが、3つの異なる強度において、ULF電流の短期間の前に、その間に、およびその後に記録された。最低電流(100μA)では、ULF波形のいずれかのフェーズの間に、伝導に対する影響は存在しなかった。電流が200μAまでに増加されたときに、両方の線維における伝導ブロックが、最初にアノード電流プラトーフェーズにおいて見られ、300μAまでの電流のさらなる増加によって、アノードフェーズとカソードフェーズの両方において見られた。電流がマイナスのフェーズとプラスのフェーズとの間で移行するとき、伝導は、両方の求心性において簡潔に回復される。短い持続期間の後にULF電流がオフに切り替えられたときに、伝導は、両方のこれらの求心性線維において即時的に回復された。伝導は、一方の極性から他方の極性に移行されたULF電流として一時的に回復されることが多かった。この現象(ブレークスルー伝導と称される)は、一般的に観察された。
【0159】
閾値振幅におけるULFは、プラトーフェーズの間に活動電位を即時的にブロックすることが可能である。下側振幅において、より遅いウォッシュインブロックが起こる可能性がある。ULFは、かなりの時間にわたって持続することができるウォッシュアウト効果を有することが可能である。
【0160】
ウォッシュイン/ウォッシュアウト効果は、イオン蓄積によって媒介され得る。ULFの送達は、貫通膜イオンフロー(たとえば、Na+およびK+)を結果として生じさせる。正味のイオンフローは、膜を横切ってイオン濃度勾配の下にある。十分な振幅において、ULFによって誘導されるイオンフローの程度は、貫通膜ナトリウム/カリウムポンプタンパク質によって誘導される逆イオンフローよりも大きい可能性がある。ULFの長期の送達によって、イオン濃度勾配の減少は、ネルンスト電位における脱分極シフトおよび対応する(軸索の中の)活動電位伝導の遮断、または、興奮性(細胞体および軸索)の抑制を結果として生じさせる。in Silicoモデルは、この現象の主要なコンポーネントを再生成させることが可能である。ウォッシュイン効果の速度(たとえば、数分程度、数十分程度、数時間、数日)は、ULFの振幅(たとえば、0.05mA~0.1mA、0.1mA~0.5mA、0.5mA~1.0mA、1.0mA~5mA、5mA~10mAの範囲にある)を増加させることによって増加され得る。より長い時間期間にわたって送達されるより低い振幅のULF信号は、(たとえば、ウォッシュインなしの有効性のために必要とされるULF振幅のおおよそ95%、90%、80%、70%、60%、50%、40%、30%、20%、10%、5%における)より低い振幅/電力を使用して、神経の抑制/抑制/遮断を実現することが可能である。
【0161】
図22は、図示されているイオンチャネルおよび経路を伴うランヴィエ絞輪の概略図である。
図23は、ラスタースイープを図示している。
図24は、経時的な膜電圧(mV)を秒で図示している。
【0162】
いくつかの実施形態において、本明細書で開示されているようなシステムおよび方法は、交流電流刺激システムの一部として使用されるか、または、使用するために修正され得、交流電流刺激システムは、それに限定されないが、慢性の疼痛の治療のための脊髄刺激(SCS)システム(たとえば、Nevro CorporationによるSENZA(登録商標)システム、Boston Scientific Corporationによる、PRECISION PLUS(登録商標)およびPRECISION SPECTRA(登録商標)を含むPRECISION(登録商標)システム、Medtronic PLCによるINTELLIS(登録商標)システムならびに、AbbottによるPROCLAIM(登録商標)システムなど)を含む。1つの例として、本明細書で開示されているようなシステムおよび方法は、DC-オフセット波形を利用して、交流電流を電極および電極リードを介して患者のターゲット組織へ送達することを含む交流電流送達システムの有効性を高めることが可能であり、DC-オフセット波形は、パルス発生器によって発生させられ、コントローラによって促進される。交流周波数は、約10kHz以上の、約1.5kHzから約100kHzの、約1.5kHzから約50kHzの、約3kHzから約20kHzの、約3kHzから約15kHzの、約5kHzから約15kHzの、もしくは、約3kHzから約10kHzの、または、上述の値のうちの任意の2つを組み込む他の範囲の高周波数システムを含む、任意の所望の周波数とすることが可能である。電極および/または電極リードは、高密度電荷材料、SINE電極、および/または、銀-塩化銀材料のうちの1つまたは複数を含むことが可能である。そのようなシステムおよび方法は、いくつかのケースでは、有利には、ターゲットニューロンの興奮性を高め、それによって、閾値を減少させ、ターゲット組織刺激の治療ウィンドウを広げることが可能である。
【0163】
先述の説明および例は、さまざまな実施形態にしたがって本開示を図示するために記載されており、過度に限定するものとして意図されていない。本明細書において提供されている見出しは、単に組織的な目的のためのものであり、実施形態を限定するために使用されるべきではない。本開示の開示されている態様および例のそれぞれは、個別に、または、本開示の他の態様、例、および変形例と組み合わせて考慮され得る。加えて、別段の特定がない限り、本開示の方法のステップのいずれも、任意の特定の実施の順序に拘束されるものではない。本明細書において引用されている参照文献は、その全体が参照により組み込まれている。
【0164】
本明細書で説明されている方法およびデバイスは、さまざまな修正例および代替的な形態の影響を受けやすい可能性があるが、その特定の例は、図面に示されており、本明細書において詳細に説明されている。しかし、開示されている実施形態は、本明細書で説明されているさまざまな実施形態および添付の特許請求の範囲の精神および範囲の中に入る修正例、均等物、および代替例をカバーすべきであることが理解されるべきである。
【0165】
実施形態に応じて、本明細書で説明されているアルゴリズム、方法、またはプロセスのいずれかの1つまたは複数の行為、事象、または機能は、異なるシーケンスで実施され得、追加されるか、融合されるか、または、完全に省略され得る(たとえば、説明されているすべての行為または事象が、アルゴリズムの実践に必要であるとは限らない)。いくつかの例において、行為または事象は、たとえば、マルチスレッド処理、割り込み処理、または、複数のプロセッサもしくはプロセッサコアを通して、または、他の並列アーキテクチャーの上で、シーケンシャルにではなく、同時に実施され得る。
【0166】
シーケンシャルなまたは時間的順序に関する言語の使用は(たとえば、「次いで」、「次の」、「の後」、および「その後に」など)、具体的にそうでないことを述べられていない限り、または、使用されているような文脈の中でその他の方法で理解されない限り、一般的に、文章の流れを円滑にすることを意図しており、実施される動作のシーケンスを限定することを意図していない。
【0167】
本明細書で開示されている実施形態に関連して説明されているさまざまな例示目的の論理ブロック、モジュール、プロセス、方法、およびアルゴリズムは、電子ハードウェア、コンピュータソフトウェア、または、その両方の組み合わせとして実装され得る。ハードウェアおよびソフトウェアのこの互換性を明確に図示するために、さまざまな例示目的のコンポーネント、ブロック、モジュール、動作、およびステップが、それらの機能性の観点から一般的に上記に説明されている。そのような機能性がハードウェアまたはソフトウェアのどちらとして実装されているかは、全体的なシステムに課される特定の用途および設計制約に依存する。説明されている機能性は、それぞれの特定の用途ごとにさまざまな方式で実装され得るが、そのような実装の決定は、本開示の範囲からの逸脱を引き起こすものとして解釈されるべきではない。
【0168】
本明細書で開示されている実施形態に関連して説明されているさまざまな例示目的の論理ブロックおよびモジュールは、汎用プロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、または、他のプログラマブル論理デバイス、ディスクリートゲートもしくはトランジスターロジック、ディスクリートハードウェアコンポーネント、または、本明細書で説明されている機能を果たすように設計されているそれらの任意の組み合わせなどのような、マシンによって実装または実施され得る。汎用プロセッサは、マイクロプロセッサとすることが可能であるが、代替例では、プロセッサは、コントローラ、マイクロコントローラ、またはステートマシン、または、これらの組み合わせなどとすることが可能である。また、プロセッサは、コンピューティングデバイスの組み合わせとして、たとえば、DSPおよびマイクロプロセッサの組み合わせ、複数のマイクロプロセッサ、DSPコアと協働する1つまたは複数のマイクロプロセッサ、または、任意の他のそのような構成として実装され得る。
【0169】
本明細書で開示されている実施形態に関連して説明されている方法、プロセス、またはアルゴリズムのブロック、動作、またはステップは、直接的にハードウェアで具現化され得るか、プロセッサによって実行されるソフトウェアモジュールで具現化され得るか、または、その2つの組み合わせで具現化され得る。ソフトウェアモジュールは、RAMメモリ、フラッシュメモリ、ROMメモリ、EPROMメモリ、EEPROMメモリ、レジスタ、ハードディスク、リムーバブルディスク、光学ディスク(たとえば、CD-ROMもしくはDVD)、または、当技術分野において知られている任意の他の形態の揮発性のもしくは不揮発性のコンピュータ可読ストレージ媒体の中に存在することが可能である。ストレージ媒体は、プロセッサに連結され得、プロセッサが、ストレージ媒体から情報を読み取ること、およびストレージ媒体に情報を書き込むことができるようになっている。代替例において、ストレージ媒体は、プロセッサと一体とすることが可能である。プロセッサおよびストレージ媒体は、ASICの中に存在することが可能である。ASICは、ユーザ端末の中に存在することが可能である。代替例において、プロセッサおよびストレージ媒体は、ユーザ端末の中のディスクリートコンポーネントとして存在することが可能である。
【0170】
本明細書で使用されている条件的な言語(たとえば、なかでも、「可能である(can)」、「可能性がある(might)」、「してもよい(may)」、および「たとえば」など)は、具体的にそうでないことが述べられていない限り、または、使用されているような文脈の中でその他の方法で理解されない限り、一般的に、いくつかの例が、特定の特徴、エレメント、および/または状態を含むが、他の例はそれを含まないことを伝達することを意図されている。したがって、そのような条件的な言語は、一般的に、特徴、エレメント、ブロック、および/または状態が、いかなる方式であっても、1つまたは複数の例に対して必要とされることを暗示することを意図されておらず、または、1つまたは複数の例が、著者の入力またはプロンプティングの有無にかかわらず、これらの特徴、エレメント、および/または状態が、任意の特定の実施形態の中に含まれるか、または、その中で実施されるべきであるかどうかを決定するための論理を必ず含むことを暗示することを意図されていない。
【0171】
本明細書で開示されている方法は、施術者によって行われる特定のアクションを含むことが可能である。しかし、方法は、明示的にまたは暗示的に、それらのアクションの任意の第三者インストラクションを含むことも可能である。たとえば、「電極を位置決めすること」などのようなアクションは、「電極の位置決めを指示すること」を含む。
【0172】
また、本明細書で開示されている範囲は、任意のおよびすべてのオーバーラップ、サブレンジ、および、その組み合わせを包含する。「最大で...まで」、「少なくとも」、「よりも大きい」、「よりも小さい」、および「の間」などのような言語は、記載されている数を含む。「約」または「おおよそ」などのような用語が前に付く数字は、記載された数を含み、状況に基づいて解釈されるべきである(たとえば、状況下において合理的に可能な限り正確に、たとえば、±5%、±10%、±15%など)。たとえば、「約1時間」は、「1時間」を含む。「実質的に」などの用語が前に付く語句は、記載されている語句を含み、状況に基づいて解釈されるべきである(たとえば、状況下において合理的に可能な限り多く)。たとえば、「実質的に垂直の」は、「垂直の」を含む。そうでないことが述べられていない限り、すべての測定値は、温度および圧力を含む標準的な条件におけるものである。「のうちの少なくとも1つ」という語句は、後続のリストから少なくとも1つのアイテムを要求することを意図しており、後続のリストの中のそれぞれのアイテムから1つのタイプのそれぞれのアイテムを要求することを意図していない。たとえば、「A、B、およびCのうちの少なくとも1つ」は、A、B、C、AおよびB、AおよびC、BおよびC、または、A、B、およびCを含むことが可能である。
【符号の説明】
【0173】
100 ニューロモデュレーションシステム
102 リード
104 リードアダプタ
105 表面電極ハーネス
106 外部パルス発生器(EPG)
108 参照電極
109 不関電極
110 接点
112 リード本体部
114 スペーサー
116 先端部
120 無菌のリード植え込みキット
122 スタイレット
124 Coude針
126 硬膜外アクセスガイドワイヤ
128 リードリテンションアンカ
130 丸で囲んだ領域
134 フィールド線
500 出力波形
502 アノードフェーズ
504 カソードフェーズ
506 アノードプラトーフェーズ
508 カソードプラトーフェーズ
510 第1の移行領域
512 第2の移行領域
514 移行点
516 移行点
518 徐々に増加する湾曲した傾斜の部分
520 実質的に線形の傾斜の第1の部分
522 実質的に線形の傾斜の第2の部分
524 徐々に減少する傾斜の湾曲した部分
526 徐々に減少する傾斜の湾曲した部分
528 実質的に線形の第1の部分
530 実質的に線形の第2の部分
532 徐々に増加する傾斜の湾曲した部分
1000 グラフ
1002 ウォーターウィンドウ範囲の上側電圧限界
1004 耐腐食性範囲の上側電圧限界
1006 ウォーターウィンドウ耐腐食性範囲の下側電圧限界
1004 ウォーターウィンドウ範囲の上側電圧限界
1008 耐腐食性範囲の下側電圧限界
1010 動作電圧範囲、動作範囲
1200 時点
1202 時点
1204 時点
1206 時点
1208 時点
1210 時点
1302 上側水平方向の破線
1304 下側水平方向の破線
【国際調査報告】