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特表2024-520087改善された染色特性を有する混紡テキスタイル組成物
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  • 特表-改善された染色特性を有する混紡テキスタイル組成物 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-21
(54)【発明の名称】改善された染色特性を有する混紡テキスタイル組成物
(51)【国際特許分類】
   D01F 6/84 20060101AFI20240514BHJP
   D01F 6/86 20060101ALI20240514BHJP
【FI】
D01F6/84 303A
D01F6/86 301E
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023573264
(86)(22)【出願日】2022-05-05
(85)【翻訳文提出日】2024-01-29
(86)【国際出願番号】 US2022027806
(87)【国際公開番号】W WO2022250920
(87)【国際公開日】2022-12-01
(31)【優先権主張番号】63/194,234
(32)【優先日】2021-05-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516274346
【氏名又は名称】パークデール・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100122644
【弁理士】
【氏名又は名称】寺地 拓己
(72)【発明者】
【氏名】アッシャー・ジュニア,ロバート・エイ
(72)【発明者】
【氏名】ローガン,ジュリア・アール
【テーマコード(参考)】
4L035
【Fターム(参考)】
4L035AA05
4L035DD19
4L035EE20
4L035FF08
4L035HH01
(57)【要約】
テキスタイル繊維、ヤーン、混紡ヤーン、ファブリックおよび衣類のための利点を有するコポリマー組成物、ならびにその作製および使用方法を開示する。コポリマー組成物は、84~86%のテレフタル酸、13~16%のエチレングリコール、0.5~1.5%のカプロラクトンモノマー、0.1~2%のペンタエリトリトールおよび/または0.5~2%のポリエチレングリコールを含むことができる。
【選択図】 図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリエステルコポリマーフィラメントの紡糸方法であって、
テレフタル酸、エチレングリコール、カプロラクトンモノマー、ペンタエリトリトール、およびポリエチレングリコールを重合してポリエステルコポリマー溶融物を形成し;そして
ポリエステルコポリマー溶融物をポリエステルコポリマーフィラメントに紡糸する;
ことを含む、前記方法。
【請求項2】
テレフタル酸、エチレングリコール、カプロラクトンモノマー、ペンタエリトリトール、およびポリエチレングリコールを重合してポリエステルコポリマー溶融物を形成することが、連続重合ラインで実施される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
テレフタル酸、エチレングリコール、カプロラクトンモノマー、ペンタエリトリトール、およびポリエチレングリコールを重合してポリエステルコポリマー溶融物を形成することが、バッチ反応器で実施される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
テレフタル酸、エチレングリコール、カプロラクトンモノマー、ペンタエリトリトール、およびポリエチレングリコールを重合することが、ポリエステルコポリマー溶融物の重量で84%~86%のテレフタル酸を重合することを含む、請求項1~3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
テレフタル酸、エチレングリコール、カプロラクトンモノマー、ペンタエリトリトール、およびポリエチレングリコールを重合することが、ポリエステルコポリマー溶融物の13~16重量%のエチレングリコールを重合することを含む、請求項1~4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
テレフタル酸、エチレングリコール、カプロラクトンモノマー、ペンタエリトリトール、およびポリエチレングリコールを重合することが、ポリエステルコポリマー溶融物の0.5~1.5重量%のカプロラクトンモノマーを重合することを含む、請求項1~5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
テレフタル酸、エチレングリコール、カプロラクトンモノマー、ペンタエリトリトール、およびポリエチレングリコールを重合することが、ポリエステルコポリマー溶融物の全量に基づき0.1~2%のペンタエリトリトールを重合することを含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
テレフタル酸、エチレングリコール、カプロラクトンモノマー、ペンタエリトリトール、およびポリエチレングリコールを重合することが、ポリエステルコポリマー溶融物の0.5~2重量%のポリエチレングリコールを重合することを含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
ポリエステルコポリマー溶融物が3%未満のジエチレングリコールを含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
テレフタル酸、エチレングリコール、カプロラクトンモノマー、ペンタエリトリトール、およびポリエチレングリコールを重合することが、テレフタル酸、エチレングリコール、カプロラクトンモノマー、ペンタエリトリトール、およびポリエチレングリコールを、約0.58~0.82の固有粘度および約275℃~295℃の温度で重合することを含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
温度が285℃~295℃である、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
テクスチャードポリエステルコポリマーフィラメントの形成方法であって、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法によって生産されたポリエステルコポリマーフィラメントをテクスチャー加工して、テクスチャードポリエステルコポリマーフィラメントを形成することを含む、前記方法。
【請求項13】
テクスチャードポリエステルコポリマーステープル繊維の形成方法であって、請求項12に記載のテクスチャードポリエステルコポリマーフィラメントを切断して、テクスチャードポリエステルコポリマーステープル繊維を形成することを含む、前記方法。
【請求項14】
混紡ヤーンの形成方法であって、請求項13に記載のテクスチャードポリエステルコポリマーステープル繊維を複数の綿繊維と一緒に紡糸して、混紡ヤーンを形成することを含む、前記方法。
【請求項15】
染色混紡ヤーンの形成方法であって、請求項14に記載の混紡ヤーンを染色して染色混紡ヤーンを形成することを含む、前記方法。
【請求項16】
混紡ヤーンの染色が、大気圧において混紡ヤーンのセルロース成分を反応染料で染色することを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
請求項14に記載の混紡ヤーンからファブリックを形成する方法。
【請求項18】
請求項17に記載のファブリックを染色することを含む、染色ファブリックの形成方法。
【請求項19】
ファブリックの染色が、大気圧においてファブリックを反応染料で染色することを含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
請求項15または16に記載の染色混紡ヤーンから染色ファブリックを形成する方法。
【請求項21】
請求項17に記載のファブリックから衣類を形成する方法。
【請求項22】
請求項18~20のいずれか一項に記載の染色ファブリックから衣類を形成する方法。
【請求項23】
染色ヤーンの形成方法であって、
綿およびテクスチャードポリエステルコポリマーステープル繊維から混紡されたヤーンを染色することを含み、
該ヤーンが、約10~約90%の綿を含み;そして
該テクスチャードポリエステルコポリマーステープル繊維が、テレフタル酸、エチレングリコール、カプロラクトンモノマー、ペンタエリトリトール、およびポリエチレングリコールを含む;
前記方法。
【請求項24】
テクスチャードポリエステルコポリマーステープル繊維が、ポリエステルコポリマー溶融物の84~86重量%のテレフタル酸を含む、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
テクスチャードポリエステルコポリマーステープル繊維が、ポリエステルコポリマー溶融物の0.5~1.5重量%のカプロラクトンモノマーを含む、請求項23または24に記載の方法。
【請求項26】
テクスチャードポリエステルコポリマーステープル繊維が、ポリエステルコポリマー溶融物の13~16重量%のエチレングリコールを含む、請求項23~25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
テクスチャードポリエステルコポリマーステープル繊維が、ポリエステルコポリマー溶融物の全量に基づき0.1~2%のペンタエリトリトールを含む、請求項23~25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
テクスチャードポリエステルコポリマーステープル繊維が、ポリエステルコポリマー溶融物の0.5~2重量%のポリエチレングリコールを含む、請求項23~25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
テクスチャードポリエステルコポリマーステープル繊維が、2.5%未満のジエチレングリコールを含む、請求項23~28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
綿およびテクスチャードポリエステルコポリマーステープル繊維から混紡されたヤーンの染色が、大気圧および100℃未満の温度で実施される、請求項23~29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
ヤーンの綿成分の染色が、ヤーンを反応染料で染色することを含む、請求項23~30のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
ヤーンのポリエステル成分の染色が、ヤーンを分散染料で染色することを含む、請求項23~31のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
ニットファブリックの形成方法であって、請求項23~32のいずれか一項に記載の染色ヤーンを製編してニットファブリックを形成することを含む、前記方法。
【請求項34】
請求項33に記載のニットファブリックからニット衣類を形成する方法。
【請求項35】
織物ファブリックの形成方法であって、請求項23~32のいずれか一項に記載の染色ヤーンを製織して織物ファブリックを形成することを含む、前記方法。
【請求項36】
請求項35に記載の織物ファブリックから織物衣類を形成する方法。
【請求項37】
以下を含むテキスタイル組成物:
テレフタル酸;
エチレングリコール;
カプロラクトンモノマー;
ペンタエリトリトール;および
ポリエチレングリコール。
【請求項38】
テキスタイル組成物が84~86%のテレフタル酸を含む、請求項35に記載のテキスタイル組成物。
【請求項39】
テキスタイル組成物が、ポリエステルコポリマー溶融物の13~16重量%のエチレングリコールを含む、請求項37または38のいずれか一項に記載の方法。
【請求項40】
テキスタイル組成物が0.5~1.5%のカプロラクトンモノマーを含む、請求項38~39のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項41】
テキスタイル組成物が0.1~2%のペンタエリトリトールを含む、請求項39~40のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項42】
テキスタイル組成物が0.5~2%のポリエチレングリコールを含む、請求項37~41のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項43】
請求項37~42のいずれか一項に記載のテキスタイル組成物から作製されたポリエステルコポリマーフィラメント。
【請求項44】
請求項43に記載のポリエステルコポリマーフィラメントから作製されたテクスチャードポリエステルコポリマーフィラメント。
【請求項45】
請求項44に記載のテクスチャードポリエステルコポリマーフィラメントから作製されたテクスチャードポリエステルコポリマーステープル繊維。
【請求項46】
以下を含む混紡ヤーン:
請求項45に記載のテクスチャードポリエステルコポリマーステープル繊維;および
複数の綿繊維。
【請求項47】
請求項46に記載の混紡ヤーンを含む染色ニットファブリック。
【請求項48】
請求項46に記載の混紡ヤーンを含む染色織物ファブリック。
【請求項49】
以下を含むテキスタイルファブリック:
スパンデックス;および、
請求項43に記載のポリエステルコポリマーフィラメント。
【請求項50】
以下を含むポリエステルコポリマーフィラメント:
テレフタル酸;
エチレングリコール;
カプロラクトンモノマー;
ペンタエリトリトール;および
ポリエチレングリコール。
【請求項51】
ポリエステルコポリマーフィラメントが84~86%のテレフタル酸を含む、請求項50に記載のポリエステルコポリマーフィラメント。
【請求項52】
ポリエステルコポリマーフィラメントが13~16%のエチレングリコールを含む、請求項4または51に記載のポリエステルコポリマーフィラメント。
【請求項53】
ポリエステルコポリマーフィラメントが0.5~1.5%のカプロラクトンモノマーを含む、請求項50~52のいずれか一項に記載のポリエステルコポリマーフィラメント。
【請求項54】
テキスタイル組成物が0.1~2%のペンタエリトリトールを含む、請求項50~53のいずれか一項に記載のポリエステルコポリマーフィラメント。
【請求項55】
ポリエステルコポリマーフィラメントが0.5~2%のポリエチレングリコールを含む、請求項50~54のいずれか一項に記載のポリエステルコポリマーフィラメント。
【請求項56】
請求項49~55のいずれか一項に記載のポリエステルコポリマーフィラメントから作製されたテクスチャードフィラメント。
【請求項57】
請求項56に記載のテクスチャードフィラメントから作製されたテクスチャードポリエステルコポリマーステープル繊維。
【請求項58】
以下を含む混紡ヤーン:
請求項57に記載のテクスチャードポリエステルコポリマーステープル繊維;および
複数の綿繊維。
【請求項59】
ヤーンが織物ファブリックまたはニットファブリックである、請求項60に記載の混紡ヤーンから形成されたファブリック。
【請求項60】
請求項56に記載のテクスチャードフィラメントから切断された複数のステープル繊維。
【請求項61】
以下を含む混紡ヤーン:
複数の綿またはレーヨン繊維;および
請求項60に記載の複数のステープル繊維。
【請求項62】
混紡ヤーンが約10~約90%の綿またはレーヨンを含む、請求項61に記載の混紡ヤーン。
【請求項63】
以下を含む色堅牢性ヤーン:
請求項61または62に記載の混紡ヤーン;および
反応染料。
【請求項64】
請求項61または62に記載の混紡ヤーンから形成されたファブリック。
【請求項65】
ファブリックが織物ファブリックまたはニットファブリックである、請求項64に記載のファブリック。
【請求項66】
請求項63に記載の色堅牢性ヤーンから形成されたファブリック。
【請求項67】
ファブリックが織物ファブリックまたはニットファブリックである、請求項66に記載のファブリック。
【請求項68】
以下を含む染色ファブリック:
反応染料;
約10%~約90%の綿またはレーヨンを含む混紡ヤーン;ならびに
以下を含む複数のテクスチャードポリエステルコポリマーステープル繊維:
テレフタル酸;
エチレングリコール;
カプロラクトンモノマー;
ペンタエリトリトール;および
ポリエチレングリコール。
【請求項69】
染色ファブリックが84~86%のテレフタル酸を含む、請求項68に記載の染色ファブリック。
【請求項70】
染色ファブリックがポリエステルコポリマー溶融物の13~16重量%のエチレングリコールを含む、請求項68または69に記載の染色ファブリック。
【請求項71】
染色ファブリックが0.5~1.5%のカプロラクトンモノマーを含む、請求項68~70のいずれか一項に記載の染色ファブリック。
【請求項72】
染色ファブリックが0.5~2%のペンタエリトリトールを含む、請求項68~71のいずれか一項に記載の染色ファブリック。
【請求項73】
染色ファブリックが0.5~2%のポリエチレングリコールを含む、請求項68~72のいずれか一項に記載の染色ファブリック。
【請求項74】
染色ファブリックが織物ファブリックまたはニットファブリックである、請求項68~73のいずれか一項に記載の染色ファブリック。
【請求項75】
請求項68~74のいずれか一項に記載の染色ファブリックから形成された衣類。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
[0001]本出願は、2021年5月28日に出願されたPOLYESTER COMPSITION FOR FILAMENT, YARNS, AND FABRICSと題された米国仮特許出願第63/194234号の優先権を主張するPCT出願である。
【0002】
[0002]テキスタイル繊維、ヤーン、混紡ヤーン、ファブリックおよび衣類のための利点を有するコポリマー組成物、ならびにその作製および使用方法を開示する。
【背景技術】
【0003】
[0003]合成組成物を用いて、フィラメントおよび繊維を生産することができる。このようなフィラメントおよび繊維は、ファブリックを含む物品に使用される。そのような物品の1つである衣類を起点に逆向きに取り組むことにより、最終製品の生産におけるフィラメント、繊維およびヤーンの役割に関する情報が得られる。衣類は、典型的にはヤーンから製織または製編されたファブリックから形成される。次に、ヤーンは、例えば紡糸プロセスによって一緒に接合された個々の繊維から形成される。
【0004】
[0004]合成繊維の製造プロセスには、おもに2つのタイプ、すなわち、バッチプロセスおよび連続プロセスがある。連続生産プロセスは、一般に、バッチプロセスよりも経済的に好ましく、連続重合ラインで実施することができる。
【0005】
[0005]天然繊維(とりわけ、綿および羊毛など)は、使用する天然繊維の種類に基づき、ヤーン、ファブリックおよび衣類に特定の性質をもたらす固有の特性を有し得る。例えば、羊毛は優れた熱特性を有し、湿潤時に断熱性を維持する。しかしながら、適切に処理しない限り、羊毛は摩耗性(abrasive)であり、したがって、長時間皮膚と接触すると不快であり得る。同様に、さまざまな合成繊維は、天然繊維よりも好ましいいくつかの特性を有し得る。最終的に繊維、ヤーンおよびファブリックとして使用するための合成組成物の生産、設計および開発における目標の1つは、ファブリックの意図する目的に望ましい特性を有する製品を生産することである。これは、特定の天然繊維にしばしば見出される特性を、特定の合成繊維に見出される相補的な特性と組み合わせることを必要とすることが多い。合成繊維と天然繊維を、特定の目的のためにもっとも望ましい特性を有する完成衣類をもたらす割合で混紡することが一般的である。
【0006】
[0006]衣料産業において、所望の色を有する衣類を生産する能力は、根本的な目標である。これは、染色のプロセスによって達成することができる。状況に応じて、繊維は、繊維、フィラメント、ヤーン、ファブリックとして、またはまさに衣類として、染色することができる。根本的に、衣類の色は、基礎を成す繊維の化学組成、ならびに適切な染料組成物の化学組成およびプロセスに基づく。
【0007】
[0007]しかしながら、2つの異なる繊維の性質は、混紡ファブリックを染色するときに現実的な問題を示す。そのような問題の1つは、染料の色が染料分子中の官能基に基づくということである。別の言い方をすれば、テキスタイルにおける異なる色は、異なる組成を有する染料分子の働きである。しかしながら、すべての染料の色(すなわち、基礎を成す分子)が、天然および合成繊維、ヤーンおよび衣類で同じように機能するわけではない。これより、所望の色特性を保証するために、混紡繊維およびヤーンから作製されるファブリックの染色プロセスに追加の工程がもたらされる。
【0008】
[0008]したがって、従来の染料よりも低い温度および/または圧力で染色した場合に望ましい色堅牢度特性を有する合成繊維を生産することができる組成物が、必要とされている。さらに、連続重合プロセスにおいてそのような繊維を生産することができると、経済的に理想的である。
【発明の概要】
【0009】
[0009]本発明の1以上の態様は、上記問題点の1以上に対処することができる。
[0010]本発明の一観点において、ポリエステルコポリマーフィラメントの紡糸方法であって、テレフタル酸、エチレングリコール、カプロラクトンモノマー、ペンタエリトリトール、およびポリエチレングリコールを重合してポリエステルコポリマー溶融物を形成し;そして、ポリエステルコポリマー溶融物をポリエステルコポリマーフィラメントに紡糸する;ことを含む方法を提供する。
【0010】
[0011]本発明の他の観点において、染色ヤーンの形成方法は、綿およびテクスチャードポリエステルコポリマーステープル繊維から混紡されたヤーンを染色することを含み、該ヤーンは、約10~約90%の綿を含み、該テクスチャードポリエステルコポリマーステープル繊維は、テレフタル酸、エチレングリコール、カプロラクトンモノマー、ペンタエリトリトール、およびポリエチレングリコールを含む。
【0011】
[0012]他の観点において、染色ファブリックを提供する。該染色ファブリックは、反応性染料、約10%~約90%の綿またはレーヨンを含む混紡ヤーン、ならびにテレフタル酸、エチレングリコール、カプロラクトンモノマー、ペンタエリトリトールおよびポリエチレングリコールを含む複数のテクスチャードポリエステルコポリマーステープル繊維を含む。
【0012】
[0013]さらに他の態様において、ポリエステルコポリマーフィラメントを提供する。該ポリエステルコポリマーフィラメントは、テレフタル酸、エチレングリコール、カプロラクトンモノマー、ペンタエリトリトール、およびポリエチレングリコールを含む。
【0013】
[0014]本発明の最後の観点において、テキスタイル組成物であって、テレフタル酸、エチレングリコール、カプロラクトンモノマー、ペンタエリトリトール、およびポリエチレングリコールを含む、前記テキスタイル組成物を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
[0015]このように本発明を一般的事項について説明してきたが、ここで、添付図面を参照する。これらの図面は、必ずしも一定の縮尺で描かれているわけではない:
図1】[0016]図1は、開示する本発明の一態様によって生産された繊維中に存在するカプロラクトンモノマーの濃度、ならびにオーバーヘッドおよび真空中のカプロラクトンモノマーの濃度を例示する。
図2】[0017]図2は、1000gの試料中のエステル化前の成分およびそれぞれの質量を示す表を示す。
図3】[0018]図3は、約210°F(99℃)~約220°F(103℃)で染色した場合の、標準ポリエステルおよび提案された発明の両方から作製されたファブリックの色特性を例示する。
【発明を実施するための形態】
【0015】
[0019]本明細書に記載するように、本発明の目的は、合成繊維に基づく繊維であって、天然繊維と一緒に染色することができる繊維を生産することである。具体的には、100℃以下で綿またはレーヨンと一緒に染色することができるポリエステル(ポリエチレンテレフタレート)繊維である。
【0016】
[0020]本明細書で使用する場合、「染料」は、「基材への施用中のある時点で分子的に分散し、ある程度の耐久性も示す着色剤」と定義される。Tortora,FAIRCHILD’S DICTIONARY OF TEXTILES,第7版,2009 Fairchild Publications参照。
【0017】
[0021]本明細書で使用する場合、「可染性」は、「繊維が染料を受容する能力」を意味する。上記Tortora参照。可染性は、繊維自体の特性である。
[0022]本明細書で使用される場合、合成繊維およびそれらの製造の文脈において、「溶融粘度」という用語は、任意の所与の条件下における変形または流動に対する溶融ポリマーの比抵抗をさす。「固有粘度」という用語は、ポリマーの平均分子量に正比例する特性を説明するために使用される。固有粘度は、ゼロ濃度に外挿された(溶媒中の)ポリマー溶液の粘度に基づいて計算される。したがって、固有粘度は溶融粘度に影響を与える特性であるが、溶融粘度は、特に溶融物の温度など他の要因にも関連する。
【0018】
[0023]テキスタイル技術において、「テクスチャー加工」および「クリンプ加工」などの用語は、広くかつ具体的に使用される。もっとも広い意味において、テクスチャー加工およびクリンプ加工は、合成フィラメント、ステープル繊維、またはヤーンを機械的に処理するか、熱処理するか、またはその両方を行って、未処理のフィラメント、ステープル、またはヤーンよりも大きい体積を有するようにする工程をさすための同義語として使用される。より狭い意味において、クリンプ加工という用語は、フィラメント、繊維またはヤーンに二次元の鋸歯状配向を生じさせることを記載するために使用され、テクスチャー加工という用語は、ループおよびカールを生じさせる処理をさすために使用される。この意味は、文脈上、ほとんどの場合は明白である。本明細書で使用される場合、「テキスチャー」という語は、フィラメント、ステープル繊維、またはヤーンに所望の効果をもたらす可能性をすべて包含するように広義に使用される。
【0019】
[0024]「間」が数の範囲を示すために使用される場合、その範囲は、使用される数を包含する。例えば、「約10%と約13%の間」は、10%と13%の両方、ならびに10%と13%の間のすべての数を包含する。
【0020】
[0025]本明細書で使用される場合、「パーセント」または「%」は、特記しない限り、重量パーセントを意味する。さらに、濃度および割合は、特記しない限り、完成したコポリマーにおける濃度または割合をさす。
【0021】
[0026]本明細書で使用される場合、「ピリング」という用語は、ファブリックの表面が摩耗(通常の摩滅を含む)したときに生じ得る、繊維の望ましくない小さな絡み合い(「ピル」)を記載するために使用される。
【0022】
[0027]従来の合成繊維よりも低温ひいては低圧で染色した場合に望ましい色堅牢度特性を有するポリエステル(ポリエチレンテレフタレート)繊維について記載する。
[0028]典型的には、綿、レーヨン、および他のさまざまな天然繊維は、約66℃の温度および大気圧において反応染料または直接染料で染色される。さらに、綿の染色は染料溶液または組成物のpH(典型的には塩基性環境)によって促進される傾向がある一方、ポリエステルの染色は温度によって促進される傾向があり、従来、「キャリヤー」または「均染剤」と一般に呼ばれる補助化学物質の添加および性能を必要とする。
【0023】
[0029]対照的に、ポリエステルは、典型的にははるかに高い温度(ほとんどの場合、130℃)を必要とする分散染料で染色され、したがって、染料分散液をポリエステルに浸透させるために、加圧設備(大気圧条件を超える)も必要とし得る。経済性の観点から、分散染料の使用は、特に高エネルギー分散染料を使用する場合、反応染料を使用するよりも高価である。高エネルギー染料は、分子レベルでより大きい染料である。それらは、ファブリックに、より明るい色、例えば、安全目的のために衣服に使用される色をも与えるために使用される。これらのより大きな分子を従来の合成ファブリックのポリマー鎖に浸透させるためには、より高い温度および圧力が必要とされる。
【0024】
[0030]本明細書に開示される繊維に関し、高エネルギー染料を含む分散染料は、従来の合成繊維よりも低い温度および圧力で使用することができ、その結果、染色費用を50%以上減少させることができる。これは、少なくとも部分的には水使用量およびエネルギー使用の減少に起因し、これらは、それぞれ染料サイクル当たり20%および25%の減少を示す。
【0025】
[0031]染色組成物および染色条件におけるこれらの違いに起因して、綿およびポリエステルは別個に染色することが従来の慣行である。例えば、混紡された綿-ポリエステルファブリックは、2つの別個の工程で染色することができる。第1の工程では、ポリエステルが染料を受容するようにするために、ファブリックを約132℃以上の温度でわずかに酸性の浴中で染色する(例えば、分散染料を使用して)。次いで、部分的に染色されたファブリックを擦り洗いするかすすぎ、その後、塩基性pHおよび約66℃の温度において、綿に適した染料(例えば、直接染料または反応染料)中で染色する。多くの綿染色料(dyestuff)はポリエステル染色温度で分解するため、2つの工程を組み合わせることはできない。
【0026】
[0032]ポリエステルのフィラメント、繊維およびヤーンを作製する一般的な組成物および方法、ならびにそのような組成物および方法から生じる制限は、繊維を天然繊維と一緒に染色するのを容易にする際の問題点の多くに寄与する。その一例は、ポリマー溶融物の特性を制御または調整するために添加剤がしばしば使用されることであり、そのような添加剤の特徴は、染色特性または紡糸特性のいずれか、またはその両方を変化させる可能性が高い。
【0027】
[0033]他のそのような例は、合成繊維-そして確実にポリエステル-が、典型的には出発材料を重合した後、ポリマー溶融物を紡糸口金とよばれる装置内の小さな開口部に通して押し出すことによって製造されることであり、このプロセスは「紡糸」とよばれる。合成繊維および天然繊維に熟練している者なら、「紡糸」という用語が2つの完全に異なるプロセスをさすために使用されることを直ちに認識するであろう。1つの意味において(そして太古以来)、紡糸は、個々の繊維を一緒に撚り合わせ、それらをヤーンに引っ張る工程をさす。合成繊維の製造において、溶融物からフィラメントを押し出して凝固ポリマーフィラメントにすることも、「紡糸」とよばれる。その違いは、通常、文脈上明らかである。典型的には、押し出されたフィラメントの凝固は急冷工程を用いて促進または推進され、この工程では、慎重に制御された気流が、押し出されたフィラメントに対して向けられる。
【0028】
[0034]しかしながら、このように溶融および紡糸することができる組成物に必要とされる特性は、良好な染色特性をもたらす特性とは無関係であるか、またはそれと組み合わせると不利になる可能性がある。例えば、適切に「紡糸」するために、溶融ポリマーは、その意図する目的のために紡糸プロセスを制御するには低すぎる粘度(「水っぽい」)を回避しつつ、押し出しにより紡糸口金で凝集性液体フィラメント(すなわち、分離しないもの)を生産することを可能にする一定の流動性(粘度)を有さなければならない。ポリマー溶融物の粘度は、温度、重合度、および他のポリマー特性に比例するので、紡糸温度も適切でなければならない。言い換えると、溶融ポリマーは、示された温度で機能することができなければならない。さらに、合成繊維はフィラメントとして生じ、完成したヤーン、ファブリック、または衣類に望ましい他の特性を得るために、切断およびテクスチャー加工されなければならない(必ずしもこの順序ではない)。ほとんどの場合、テクスチャー加工工程は、合成フィラメントまたは繊維が、機械的または熱的に、直線状の押し出しフィラメント以外の形状に成形されることを必要とする。したがって、ポリエステルをテクスチャー化する必要性により、考慮されなければならず、重合、紡糸または染色を増強する特性と競合し得る、他の一連の特性が加えられる。
【0029】
[0035]混合繊維ファブリックを染色するための当該技術分野において公知の限定された解決策は特殊な装置を必要とし、ファブリックは、最終的に生産するのに高価である。さらに、それらは、高熱および低湿度など特定の条件で処理することが難しい。
【0030】
[0036]本出願は、染色プロセスおよびレシピであって、装置に顕著な改変を加えたテキスタイル装置で用いることができ、生産中により低い温度および圧力を可能にし、低減した量の成分を必要とする、前記染色プロセスおよびレシピを開示する。本明細書に含有される開示はさらに、増強されたピリング性能をもたらし、低減されたコストで染色された混合繊維ファブリックを生じさせる。
【0031】
[0037]本発明の一観点において、ポリエステルコポリマーフィラメントの紡糸方法であって、テレフタル酸、エチレングリコール、カプロラクトンモノマー、ペンタエリトリトール、およびポリエチレングリコールを重合してポリエステルコポリマー溶融物を形成し;そして、ポリエステルコポリマー溶融物をポリエステルコポリマーフィラメントに紡糸する;ことを含む方法を提供する。いくつかの態様において、テレフタル酸、エチレングリコール、カプロラクトンモノマー、ペンタエリトリトール、およびポリエチレングリコールを重合してポリエステルコポリマー溶融物を形成することは、連続重合ラインで実施される。当業者なら、連続重合プロセスが、使用される機械のサイズ、数、および仕様に関してさまざまな構成を有し得ることを認識するであろう。
【0032】
[0038]図1を参照すると、得られた繊維中のカプロラクトンモノマー濃度、ならびに本発明の特定の例示的態様を生産するために使用される1つの連続重合プロセス構成のオーバーヘッドおよび真空中のカプロラクトンモノマー濃度を示す表を提供している。このような生産において、各添加剤の量は、本明細書中に開示するパラメーター内で変動させた。示すように、繊維、オーバーヘッドおよび真空中には微量のカプロラクトンモノマーしか存在しておらず、したがって、連続プロセスラインにおける高い生成物収率が裏付けられた。
【0033】
[0039]図2を参照すると、各試験で1000gの試料が生成された5つの成功した試験におけるカプロラクトンモノマー、ポリエチレングリコール400、およびペンタエリトリトールの質量を示す表を示している。成分の濃度は、いくつかの要因、例えば、限定されるものではないが、施用される染料の色に従って変動させることができる。
【0034】
[0040]テレフタル酸、エチレングリコール、カプロラクトンモノマー、ペンタエリトリトール、およびポリエチレングリコールの重合工程は、ポリエステルコポリマー溶融物の重量で84%~86%のテレフタル酸を重合することを含むことができる。追加的または代替的に、テレフタル酸、エチレングリコール、カプロラクトンモノマー、ペンタエリトリトール、およびポリエチレングリコールを重合することは、ポリエステルコポリマー溶融物の13~16重量%のエチレングリコールを重合することを含むことができる。追加的または代替的に、テレフタル酸、エチレングリコール、カプロラクトンモノマー、ペンタエリトリトール、およびポリエチレングリコールを重合することは、ポリエステルコポリマー溶融物の0.5~1.5重量%のカプロラクトンモノマーを重合することを含むことができる。代替的または追加的に、テレフタル酸、エチレングリコール、カプロラクトンモノマー、ペンタエリトリトール、およびポリエチレングリコールを重合することは、ポリエステルコポリマー溶融物の全量に基づき0.1~2%のペンタエリトリトールを重合することを含むことができる。追加的または代替的に、テレフタル酸、エチレングリコール、カプロラクトンモノマー、ペンタエリトリトール、およびポリエチレングリコールを重合することは、ポリエステルコポリマー溶融物の0.5~2重量%のポリエチレングリコールを重合することを含むことができる。
【0035】
[0041]いくつかの態様において、ポリエステルコポリマー溶融物は2.5%未満のジエチレングリコールを含む。いくつかの態様において、テレフタル酸、エチレングリコール、カプロラクトンモノマー、ペンタエリトリトール、およびポリエチレングリコールを重合することは、テレフタル酸、エチレングリコール、カプロラクトンモノマー、ペンタエリトリトール、およびポリエチレングリコールを、約0.58~0.82の固有粘度で重合することを含む。従来のコポリマーがより低い固有粘度で流れる傾向があることを考慮すると、本発明のより高い固有粘度は直観に反しており、新規である。さらに、従来のポリマーにおけるより低い固有粘度は、適切に紡糸および急冷するために、紡糸温度の低下を必要とする。しかしながら、本発明の固有粘度の範囲により、約275℃~295℃での重合が可能になる。より具体的には、温度は285℃~295℃であることができる。
【0036】
[0042]いくつかの態様では、本方法によって生産されたフィラメントを、テクスチャー加工し、ステープル繊維に切断する。テクスチャー加工は当技術分野でよく理解されており、今のところ、本発明の組成物が、従来の工程を使用してテクスチャー加工する(例えば、撚りの位置にある間に熱硬化する)ことができるフィラメントを生じることを指摘する以外に、特段に詳細には説明しない。
【0037】
[0043]いくつかの態様では、ステープル繊維を、綿またはレーヨンと一緒に紡糸して混紡ヤーンにする。所望により、混紡ヤーンを染色して染色ヤーンを形成してもよい。その後、染色ヤーンを用いて、衣類などのようなテキスタイルを作るために用いることができるファブリックを形成することができる。あるいは、混紡ヤーンを製織または製編してファブリックにし、続いて染色した後、衣類に形成することができる。いくつかの状況では、染色工程を衣類で実施する。反応染料または分散染料を使用することができる。さらに、染色プロセスは、所望により、大気圧で実施することができる。
【0038】
[0044]本発明の他の観点において、染色ヤーンの形成方法は、綿およびテクスチャードポリエステルコポリマーステープル繊維から混紡されたヤーンを染色することを含み、該ヤーンは、約20~約80%の綿を含み;テクスチャードポリエステルコポリマーステープル繊維は、テレフタル酸、エチレングリコール、カプロラクトンモノマー、ペンタエリトリトール、およびポリエチレングリコールを含む。いくつかの態様において、テクスチャードポリエステルコポリマーステープル繊維は、ポリエステルコポリマー溶融物の84~86重量%のテレフタル酸を含む。追加的または代替的に、テクスチャードポリエステルコポリマーステープル繊維は、ポリエステルコポリマー溶融物の0.5~1.5重量%のカプロラクトンモノマーを含むことができる。追加的または代替的に、テクスチャードポリエステルコポリマーステープル繊維は、ポリエステルコポリマー溶融物の13~16重量%のエチレングリコールを含むことができる。追加的または代替的に、テクスチャードポリエステルコポリマーステープル繊維は、ポリエステルコポリマー溶融物の全量に基づき0.5~2%のペンタエリトリトールを含む。追加的または代替的に、テクスチャードポリエステルコポリマーステープル繊維は、ポリエステルコポリマー溶融物の0.5~2重量%のポリエチレングリコールを含むことができる。追加的または代替的に、テクスチャードポリエステルコポリマーステープル繊維は、2.5%未満のジエチレングリコールを含むことができる。
【0039】
[0045]いくつかの態様において、綿およびテクスチャードポリエステルコポリマーステープル繊維から混紡されたヤーンの染色は、大気圧および212°F(100℃)未満の温度で実施される。特定の態様において、ヤーンの綿成分の染色は、ヤーンを反応染料で染色することを含む。他の態様において、ヤーンのポリエステル成分の染色は、ヤーンを分散染料で染色することを含む。本方法によって生産されるヤーンを製編または製織して、ニットファブリックまたは織物ファブリックを形成することができる。ニットファブリックまたは織物ファブリックは、衣類などのようなテキスタイルを作るために使用することができる。
【0040】
[0046]本発明の他の観点において、テレフタル酸、エチレングリコール、カプロラクトンモノマー、ペンタエリトリトール、およびポリエチレングリコールを含むテキスタイル組成物を提供する。テキスタイルは、84~86%のテレフタル酸を含むことができる。追加的または代替的に、テキスタイル組成物は、ポリエステルコポリマー溶融物の13~16重量%のエチレングリコールを含む。追加的または代替的に、テキスタイル組成物は、0.5~1.5%のカプロラクトンモノマーを含むことができる。追加的または代替的に、テキスタイル組成物は、0.1~2%のペンタエリトリトールを含むことができる。追加的または代替的に、テキスタイル組成物は、0.5~2%のポリエチレングリコールを含むことができる。
【0041】
[0047]いくつかの態様では、テキスタイル組成物を用いてポリエステルコポリマーフィラメントを作製する。ポリエステルコポリマーフィラメントをテクスチャー加工して、テクスチャードポリエステルコポリマーフィラメントを作ることができ、所望により、これからテクスチャードポリエステルコポリマーステープル繊維を製造してもよい。次いで、テクスチャードポリエステルコポリマー繊維を使用して、テクスチャードポリエステルコポリマーステープルおよび複数の綿繊維を含む混紡ヤーンを形成することができる。いくつかの態様において、混紡ヤーンから形成された染色ニットファブリックを提供する。他の態様において、混紡ヤーンから形成された染色織物を提供する。さらに他の態様において、スパンデックスおよびポリエステルコポリマーフィラメントを含むテキスタイルファブリックを提供する。
【0042】
[0048]本発明のさらに他の観点において、ポリエステルコポリマーフィラメントを提供する。該ポリエステルコポリマーフィラメントは、テレフタル酸;エチレングリコール;カプロラクトンモノマー;ペンタエリトリトール;およびポリエチレングリコールを含む。ポリエステルコポリマーフィラメントは、84~86%のテレフタル酸を含むことができる。追加的または代替的に、ポリエステルコポリマーフィラメントは、13~16%のエチレングリコールを含むことができる。追加的または代替的に、ポリエステルコポリマーフィラメントは、0.5~1.5%のカプロラクトンモノマーを含むことができる。追加的または代替的に、ポリエステルコポリマーフィラメントは、0.1~2%のペンタエリトリトールを含むことができる。追加的または代替的に、ポリエステルコポリマーフィラメントは、0.5~2%のポリエチレングリコールを含むことができる。
【0043】
[0049]いくつかの態様において、ポリエステルコポリマーフィラメントから作製されたテクスチャードポリエステルコポリマーフィラメントを提供する。該テクスチャードポリエステルコポリマーフィラメントは、テクスチャードポリエステルコポリマーステープル繊維(1以上)および複数の綿またはレーヨン繊維を含む混紡ヤーンに用いることができる、テクスチャードポリエステルコポリマーステープル繊維、または複数のそれを形成するために用いることができる。いくつかの態様において、混紡ヤーンは約10~約90パーセントの綿またはレーヨンを含む。いくつかの態様において、混紡ヤーンおよび反応染料を含む色堅牢性ヤーンを提供する。所望により、ファブリックは、混紡ヤーンおよび/または色堅牢性ヤーンから形成してもよい。ファブリックはいくつかのテキスタイル加工法を用いて作ることができ、その結果、混紡ヤーンまたは色堅牢性ヤーンを含む織物ファブリック、混紡ヤーンまたは色堅牢性ヤーンを含むニットファブリックなどが得られる。
【0044】
[0050]さらに他の観点において、染色ファブリックであって、反応染料と、約10%~約90%の綿またはレーヨンおよび複数のテクスチャードポリエステルコポリマーステープル繊維を含む混紡ヤーンとを含み、該複数のテクスチャードポリエステルコポリマーステープル繊維が、テレフタル酸、エチレングリコール、カプロラクトンモノマー、ペンタエリトリトール、およびポリエチレングリコールを含む、前記染色ファブリックを提供する。追加的または代替的に、複数のテクスチャードポリエステルコポリマーステープル繊維は、13~16%のエチレングリコールを含むことができる。追加的または代替的に、複数のテクスチャードポリエステルコポリマーステープル繊維は、0.5~1.5%のカプロラクトンモノマーを含むことができる。追加的にまたは代替的に、複数のテクスチャードポリエステルコポリマーステープル繊維は、0.1~2%のペンタエリトリトールを含むことができる。追加的または代替的に、複数のテクスチャードポリエステルコポリマーステープル繊維は、0.5~2%のポリエチレングリコールを含むことができる。
【0045】
[0051]いくつかの態様において、染色ファブリックは織物ファブリックである。他の態様において、染色ファブリックはニットファブリックである。いくつかの態様において、染色ファブリックを含む衣類を提供する。
【0046】
[0052]本発明の他の観点において、テレフタル酸、エチレングリコール、カプロラクトンモノマー、ペンタエリトリトール、およびポリエチレングリコールを含むテキスタイル組成物を提供する。テキスタイルは、84~86%のテレフタル酸を含むことができる。追加的または代替的に、テキスタイル組成物は、ポリエステルコポリマー溶融物の13~16重量%のエチレングリコールを含む。追加的または代替的に、テキスタイル組成物は、0.5~1.5%のカプロラクトンモノマーを含むことができる。追加的または代替的に、テキスタイル組成物は、0.1~2%のペンタエリトリトールを含むことができる。追加的または代替的に、テキスタイル組成物は、0.5~2%のポリエチレングリコールを含むことができる。
【0047】
[0053]84~86%のテレフタル酸が開示されている態様において、テレフタル酸の濃度は、約84%~約84.1%、約84%~約84.2%、約84%~約84.3%、約84%~約84.4%、約84%~約84.5%、約84%~約84.6%、約84%~約84.7%、約84%~約84.8%、約84%~約84.9%、約84%~約85%、約84%~約85.1%、約84%~約85.2%、約84%~約85.3%、約84%~約85.4%、約84%~約85.6%、約84%~約85.7%、約84%~約85.8%、約84%~約85.9%、約84%~約86%、約85.9%~約86%、約85.8%~約86%、約85.7%~約86%、約85.6%~約86%、約85.5%~約86%、約85.4%~約86%、約85.3%~約86%、約85.2%~約86%、約85.1%~約86%、約85%~約86%、約84.9%~約86%、約84.8%~約86%、約84.7%~約86%、約84.6%~約86%、約84.3%~約86%、約84.2%~約86%、約84.1%~約86%、および/または約84%~約86%であることができる。
【0048】
[0054]13~16%のエチレングリコールが開示されている態様において、エチレングリコールの濃度は、約13%~約13.1%のエチレングリコール、約13%~約13.2%、約13%~約13.3%、約13%~約13.4%、約13%~約13.5%、約13%~約13.6%、約13%~約13.7%、約13%~約13.8%、約13%~約13.9%、約13%~約14%、約13%~約14.1%、約13%~約14.2%、約13%~約14.3%、約13%~約14.4%、約13%~約14.5%、約13%~約14.6%、約13%~約14.7%、約13%~約14.8%、約13%~約14.9%、約13%~約15%、約13%~約15.1%、約13%~約15.2%、約13%~約15.3%、約13%~約15.4%、約13%~約15.5%、約13%~約15.6%、約13%~約15.7%、約13%~約15.8%、約13%~約15.9%、約13%~約16%、約13.1%~約16%、約13.2%~約16%、約13.3%~約16%、約13.4%~約16%、約13.5%~約16%、約13.6%~約16%、約13.7%~約16%、約13.8%~約16%、約13.9%~約16%、約14%~約16%、約14.1%~約16%、約14.2%~約16%、約14.3%~約16%、約14.4%~約16%、約14.5%~約16%、約14.6%~約16%、約14.7%~約16%、約14.8%~約16%、約14.9%~約16%、約15%~約16%、約15.1%~約16%、約15.2%~約16%、約15.3%~約16%、約15.4%~約16%、約15.5%~約16%、約15.6%~約16%、約15.7%~約16%、約15.8%~約16%、および/または約15.9%~約16%であることができる。
【0049】
[0055]0.5~1.5%のカプロラクトンモノマーが開示されている態様において、カプロラクトンモノマーの濃度は、約0.5%~約0.6%、約0.5%~約0.7%、約0.5%~約0.8%、約0.5%~約0.9%、約0.5%~約1.0%、約0.5%~約1.1%、約0.5%~約1.2%、約0.5%~約1.3%、約0.5%~約1.4%、約0.5%~約1.5%、約0.6%~約1.5%、約0.7%~約1.5%、約0.8%~約1.5%、約0.9%~約1.5%、約1.0%~約1.5%、約1.1%~約1.5%、約1.2%~約1.5%、約1.3%~約1.5%、および/または約1.4%~約1.5%であることができる。
【0050】
[0056]0.1~2%のペンタエリトリトールが開示されている態様において、ペンタエリトリトールの濃度は、約0.1%~約0.3%、約0.1%~約0.4%、約0.1%~約0.5%、約0.1%~約0.6%、約0.1%~約0.7%、約0.1%~約0.8%、約0.9%~約1.0%、約0.1%~約1.1%、約0.1%~約1.2%、約0.1%~約1.3%、約0.1%~約1.4%、約0.1%~約1.5%、約0.1%~約1.6%、約0.1%~約1.7%、約0.1%~約1.8%、約0.1%~約1.9%、約0.1%~約2%、約0.2%~約2%、約0.3%~約2%、約0.4%~約2%、約0.5%~約2%、約0.6%~約2%、約0.7%~約2%、約0.8%~約2%、約0.9%~約2%、約1.0%~約2%、約1.1%~約2%、約1.2%~約2%、約1.3%~約2%、約1.4%~約2%、約1.5%~約2%、約1.6%~約2%、約1.7%~約2%、約1.8%~約2%、および/または約1.6%~約2%であることができる。
【0051】
[0057]0.5~2%のポリエチレングリコールが開示されている態様において、ポリエチレングリコールの濃度は、約0.5%~約0.6%、約0.5%~約0.7%、約0.5%~約0.8%、約0.5%~約0.9%、約0.5%~約1.0%、約0.5%~約1.1%、約0.5%~約1.2%、約0.5%~約1.3%、約0.5%~約1.4%、約0.5%~約1.5%、約0.5%~約1.6%、約0.5%~約1.7%、約0.5%~約1.8%、約0.5%~約0.6%、約0.5%~約2.0%、約0.6%~約2.0%、約0.7%~約2.0%、約0.8%~約2.0%、約0.9%~約2.0%、約1.0%~約2.0%、約1.1%~約2.0%、約1.2%~約2.0%、約1.3%~約2.0%、約1.4%~約1.5%、約1.6%~約2.0%、約1.7%~約2.0%、約1.8%~約2.0%、および/または約1.9%~約2.0%であることができる。
【実施例
【0052】
[0058]実施例1
[0059]標準ポリエステルと一致する様式で生産された10グラムのファブリックおよび10グラムの本発明のファブリックの両方について、約99℃~約103℃の温度で染色試験を実施した。各試験において、30mLの1%染料溶液、2mLの10% DLS Leveler溶液、2mLの10% Albatex-45溶液、および2mLの酢酸をファブリックに施用した。これらの試験の結果を図3に示す。使用した温度の変動は、染料の着色またはさまざまな他の要因を調整するためのものであることができる。本明細書には本発明の好ましい態様を記載しており、特定の用語を採用してきたが、それらは包括的かつ説明的な意味でのみ使用され、限定の目的では使用されず、本発明の範囲は特許請求の範囲で定義される。
図1
図2
図3
【国際調査報告】