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特表2024-520088骨固定システムおよび圧縮ねじ山を有する釘
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  • 特表-骨固定システムおよび圧縮ねじ山を有する釘 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-21
(54)【発明の名称】骨固定システムおよび圧縮ねじ山を有する釘
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/86 20060101AFI20240514BHJP
   A61B 17/90 20060101ALI20240514BHJP
【FI】
A61B17/86
A61B17/90
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023573275
(86)(22)【出願日】2022-05-26
(85)【翻訳文提出日】2023-11-27
(86)【国際出願番号】 US2022031140
(87)【国際公開番号】W WO2022251501
(87)【国際公開日】2022-12-01
(31)【優先権主張番号】63/194,456
(32)【優先日】2021-05-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】505026479
【氏名又は名称】アキュームド・エルエルシー
【住所又は居所原語表記】5885 NE Cornelius Pass Road,Hillsboro,Oregon 97124 United States
(74)【復代理人】
【識別番号】100143823
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 英彦
(74)【代理人】
【識別番号】100232275
【弁理士】
【氏名又は名称】和田 宣喜
(72)【発明者】
【氏名】ソマーズ,マーク ビー.
(72)【発明者】
【氏名】ホースト,スティーブン ピー.
(72)【発明者】
【氏名】フォークナー ジュニア.,ジェイムス ジー.
(72)【発明者】
【氏名】マストロイアニ,スコット エフ.
(72)【発明者】
【氏名】ビル,マクナブ
(72)【発明者】
【氏名】ハットン,グレゴリー ディー.
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160LL12
4C160LL44
(57)【要約】
骨折部または骨切り部を処置するために2つの骨部分を圧縮するための釘が提案される。釘は、細長い平滑部分と、細長いねじ部分とを有し、細長いねじ部分は、2つの骨部分の間に細長いねじ部分の長さに沿った軸方向の圧縮を生成するように構成される。さらに、釘は、釘を貫いて1つ以上の交差ねじを設置するための1つ以上の開口を有することができる。本提案の釘を設置するようにとくに構成された設置器具が提供される。本提案の釘設置器具の第1および第2の部分は、ロック機構の係合が解除されているとき、お互いに対して回転することができるが、ロック機構が係合すると、お互いに対して所定の位置にロックされ、これにより、本提案の釘の取り付けを可能にする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
骨折部によって分離された第1の骨部分と第2の骨部分とを圧縮するためのシステムであって、
細長い平滑部分と細長いねじ部分とを有する釘であって、前記細長い平滑部分は、前記釘の先端を含み、前記細長いねじ部分は、前記釘の後端を含み、前記細長いねじ部分は、前記後端の反対側の第1の端部と、前記第1の端部から前記後端まで延びるねじ山とを含み、前記ねじ山は、前記第1の端部から前記後端へと減少するピッチを有し、前記細長いねじ部分は、前記釘の中心軸を通過して延びる少なくとも1つの開口さらに含んでいる釘と、
前記少なくとも1つの開口を通って配置されるように寸法付けられた少なくとも1つのねじと
を備えるシステム。
【請求項2】
前記少なくとも1つの開口は、前記釘の中心軸を通過してそれぞれ延びる第1の開口および第2の開口を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記第1の開口の中心軸は、前記第2の開口の中心軸に対して斜めである、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記少なくとも1つの開口は、前記釘の中心軸を通過してそれぞれ延びる第3の開口および第4の開口をさらに含む、請求項2に記載のシステム。
【請求項5】
前記第3の開口の中心軸は、前記第4の開口の中心軸に対して斜めである、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記第1、第2、第3、および第4の開口は、前記釘の前記細長いねじ部分が前記第1の骨部分と前記第2の骨部分とを分離する前記骨折部を横切って設置されたときに、前記第1および第2の開口が前記第1の骨部分内にあり、前記第3および第4の開口が前記第2の骨部分内にあるように、前記細長いねじ部分に位置する、請求項4に記載のシステム。
【請求項7】
前記釘の前記後端に結合するように構成された第1の部分を有している釘設置器具をさらに備え、前記釘設置器具の前記第1の部分は、前記釘設置器具の第2の部分とは独立して前記結合した釘と一緒に回転するように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記釘設置器具の前記第2の部分は、照準ブロックと前記釘設置器具の前記第1の部分とに結合した照準コネクタを含み、前記照準ブロックは、カニューレを受け入れるようにそれぞれが構成された複数のガイド孔を含んでいる、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記照準コネクタは、前記釘設置器具の前記第2の部分に対する前記釘設置器具の前記第1の部分の回転を不可能または可能にするために、キーを並進させて前記釘設置器具の前記第1の部分のスロットに出入りさせるように構成されている、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記第1の骨部分は、第1の肘頭断片であり、前記第2の骨部分は、遠位尺骨を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
骨折部によって分離された第1の骨部分と第2の骨部分とを圧縮するための方法であって、
前記骨折部を横切って、前記第1の骨部分および前記第2の骨部分に孔を形成するステップと、
釘に釘設置器具を結合させ、前記釘は前記釘の中心軸を通過して延びる開口を有しているステップと、
前記釘の一部を前記形成された孔に挿入するステップと、
前記釘設置器具の第1の部分を前記釘設置器具の第2の部分とは独立して回転させることにより、前記釘を前記形成された孔内に設置するステップと、
前記釘設置器具の前記第2の部分を前記釘設置器具の前記第1の部分とは独立して回転させることにより、前記釘設置器具の前記第2の部分を前記設置された釘の前記開口に対して整列させるステップと、
前記第1の骨部分または前記第2の骨部分へと、前記設置された釘の前記開口を通ってねじを設置するステップと
を含む方法。
【請求項12】
前記釘設置器具を、前記釘の一部を前記形成された孔に挿入する前に、前記釘に結合させる、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記釘設置器具の前記第2の部分が前記設置された釘の前記開口に対して整列したときに、前記釘設置器具の前記第2の部分を前記釘設置器具の前記第1の部分に対してロックするステップ
をさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記釘設置器具の前記第2の部分は、複数のガイド孔を有する照準ブロックを含み、前記方法は、カニューレを前記設置された釘の前記開口に整列するように前記照準ブロックのガイド孔を通って挿入するステップをさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
前記孔は、第1の孔であり、前記方法は、前記カニューレを通ってドリルを挿入し、前記ドリルによって、前記第1の骨部分または前記第2の骨部分に、前記設置された釘の前記開口を通って第2の孔を形成するステップをさらに含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記釘は、細長い平滑部分と細長いねじ部分とを有し、前記細長い平滑部分は、前記釘の先端を含み、前記細長いねじ部分は、前記釘の後端を含み、前記細長いねじ部分は、前記後端の反対側の第1の端部と、前記第1の端部から前記後端まで延びるねじ山とを含み、前記ねじ山は、前記第1の端部から前記後端へと減少するピッチを有する、請求項11に記載の方法。
【請求項17】
前記釘は、前記細長いねじ部分が前記第1の骨部分および前記第2の骨部分の両方に前記骨折部を横切って位置するように、前記形成された孔に設置される、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記釘を前記形成された孔に設置することにより、前記第1の骨部分および前記第2の骨部分を前記骨折部において互いに対して圧縮する、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記形成された孔に挿入される前記釘の前記一部は、前記釘の前記細長い平滑部分であり、前記釘の前記細長い平滑部分は、前記釘設置器具の前記第1の部分を前記釘設置器具の前記第2の部分とは独立して回転させる前に、前記形成された孔に挿入される、請求項16に記載の方法。
【請求項20】
前記第1の骨部分は、第1の肘頭断片であり、前記第2の骨部分は、遠位尺骨を含む、請求項11に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権の主張
本出願は、2021年5月28日に出願された米国仮特許出願第63/194,456号の優先権を主張し、この米国仮特許出願の内容全体が、参照によって本明細書に組み込まれ、依拠される。
【背景技術】
【0002】
肘頭の骨折部または骨切り部などの特定の骨折部または骨切り部の処置は、典型的には、プレート、ピン、ワイヤ、および/または他の固定インプラントを含むハードウェア集約型となり得る。例えば、三頭筋の筋緊張が、近位尺骨に常に力を加えているため、肘頭の骨折部または骨切り部を処置するとき、三頭筋からの力に対抗するために強力な固定が必要になる。肘頭の固定の課題の1つは、断片がかなり小さく、ねじ固定のための骨があまり存在せず、強力な固定を達成できないことである。いくつかの場合には、骨折部または骨切り部の処置に使用される固定インプラントが、骨からの望ましくない突出を有することで、患者に望ましくない痛みまたは刺激を引き起こす可能性がある。他の場合には、そのような固定インプラントが、所望の固定強度を持つことができず、整復の喪失につながる可能性がある。
【0003】
肘頭の骨折部または骨切り部を処置するための1つの典型的な技術は、ピンおよび締結ワイヤを使用することによる。この技術において、外科医は、典型的には、肘頭の断片を通って骨へと、アイレットを有する2つ以上のピンまたは折り曲げピンを挿入する。次いで、外科医は、挿入したピンを通り、尺骨骨幹部を貫いて形成された孔を通って、締結ワイヤをループさせ、ループさせた締結ワイヤを、ねじりによる結び目を作ることによって引き張る。ピンおよび締結ワイヤは、典型的には、肘頭の治癒後もその場に残される。ピンおよび締結ワイヤによる技術の主な利点は、低コストな選択肢であることである。しかしながら、ピンおよび締結ワイヤによる技術の保持力は、締結ワイヤ構成物が時間につれて伸びるがゆえに限定的であり、整復の喪失を引き起こす可能性がある。さらに、ピンおよび締結ワイヤ(とくには、締結ワイヤのねじりによる結び目)が骨から突出しており、軟組織の刺激を引き起こす可能性がある。例えば、患者の肘の付近は軟組織であまり覆われておらず、したがって、患者は、患者の皮膚の下方のピンおよび締結ワイヤを感じることができ、これが痛みおよび刺激となる可能性がある。
【0004】
肘頭の骨折部または骨切り部を処置するための別の典型的な技術は、典型的な髄内釘および交差ねじによる。しかしながら、上述のように、肘頭の断片はかなり小さく、ねじ固定のための骨があまり存在せず、強力な固定を達成することができない。このように、典型的な髄内釘および交差ねじは、場合によっては、肘頭の骨折部または骨切り部の適切な治癒を可能にするための充分な保持力を提供することができない。
【0005】
肘頭の骨折部または骨切り部を処置するためのさらなる典型的な技術は、プレート技術である。プレート技術において、外科医は、近位の肘頭の断片を掴んで尺骨骨幹部の主要部分に向かって引っ張る事前に外形付けられたプレートを、尺骨骨幹部に固定する。プレート技術の利点は、高い固定強度を有する安定した構造体であることである。しかしながら、事前に外形付けられたプレート構造体は、ピンおよび締結ワイヤによる技術と比べ、はるかに高価である。加えて、プレートおよびねじを取り付けるために大きな切開が必要であり、これが患者にとって望ましくない可能性がある。さらに、プレートおよびねじは、ピンおよび締結ワイヤよりももっと骨から突出し、したがって患者にとって著しい痛みまたは刺激を引き起こす可能性がある。また、プレートおよびねじを、肘頭の治癒後に取り外さなければならず、したがって第2の手術が必要となる。
【0006】
したがって、所望の固定強度を有し、典型的な技術と比較して骨からの突出が少ない器具を含む肘頭の骨折部または骨切り部を処置するための技術が、必要とされている。
【発明の概要】
【0007】
本開示は、骨折部によって分離された骨部分を固定および圧縮するための新規かつ革新的なシステムおよび釘を提案する。特定の態様において、本提案のシステムおよび釘は、肘頭の骨折部の安定化にとくに適し得る。骨折部によって分離された第1の骨部分と第2の骨部分とを圧縮するための例示的なシステムが、細長い平滑部分と細長いねじ部分とを有する釘であって、細長い平滑部分は、釘の先端を含み、細長いねじ部分は、釘の後端を含み、細長いねじ部分は、後端の反対側の第1の端部と、第1の端部から後端まで延びるねじ山とを含み、ねじ山は、第1の端部から後端へと減少するピッチを有し、細長いねじ部分は、釘の中心軸を通過して延びる少なくとも1つの開口を含んでいる釘と、少なくとも1つの開口を通って配置されるように寸法付けられた少なくとも1つのねじと、を備える。
【0008】
とくに明記されない限りは本明細書に列挙される任意の他の態様と組み合わせることができる本開示の一態様において、少なくとも1つの開口は、釘の中心軸を通過してそれぞれ延びる第1の開口および第2の開口を含む。
【0009】
とくに明記されない限りは本明細書に列挙される任意の他の態様と組み合わせることができる本開示の一態様において、第1の開口の中心軸は、第2の開口の中心軸に対して斜めである。
【0010】
とくに明記されない限りは本明細書に列挙される任意の他の態様と組み合わせることができる本開示の一態様において、少なくとも1つの開口は、釘の中心軸を通過してそれぞれ延びる第3の開口および第4の開口をさらに含む。
【0011】
とくに明記されない限りは本明細書に列挙される任意の他の態様と組み合わせることができる本開示の一態様において、第3の開口の中心軸は、第4の開口の中心軸に対して斜めである。
【0012】
とくに明記されない限りは本明細書に列挙される任意の他の態様と組み合わせることができる本開示の一態様において、第1、第2、第3、および第4の開口は、釘の細長いねじ部分が第1の骨部分と第2の骨部分とを分離する骨折部を横切って設置されたときに、第1および第2の開口が第1の骨部分内にあり、第3および第4の開口が第2の骨部分内にあるように、細長いねじ部分に位置する。
【0013】
とくに明記されない限りは本明細書に列挙される任意の他の態様と組み合わせることができる本開示の一態様において、システムは、釘の後端に結合するように構成された第1の部分を有している釘設置器具をさらに備え、釘設置器具の第1の部分は、釘設置器具の第2の部分とは独立して、結合した釘と一緒に回転するように構成される。
【0014】
とくに明記されない限りは本明細書に列挙される任意の他の態様と組み合わせることができる本開示の一態様において、釘設置器具の第2の部分は、照準ブロックと釘設置器具の第1の部分とに結合した照準コネクタを含み、照準ブロックは、カニューレを受け入れるようにそれぞれが構成された複数のガイド孔を含む。
【0015】
とくに明記されない限りは本明細書に列挙される任意の他の態様と組み合わせることができる本開示の一態様において、照準コネクタは、釘設置器具の第2の部分に対する釘設置器具の第1の部分の回転を不可能または可能にするために、キーを並進させて釘設置器具の第1の部分のスロットに出入りさせるように構成される。
【0016】
とくに明記されない限りは本明細書に列挙される任意の他の態様と組み合わせることができる本開示の一態様において、第1の骨部分は、第1の肘頭断片であり、第2の骨部分は、遠位尺骨を含む。
【0017】
いくつかの例においては、骨折部によって分離された第1の骨部分と第2の骨部分とを圧縮するための方法が提案される。本方法は、骨折部を横切って、第1の骨部分および第2の骨部分に孔を形成するステップと、釘に釘設置器具を結合させ、釘は釘の中心軸を通過して延びる開口を有しているステップと、釘の一部を形成された孔に挿入するステップと、釘設置器具の第1の部分を釘設置器具の第2の部分とは独立に回転させることにより、釘を形成された孔内に設置するステップと、釘設置器具の第2の部分を釘設置器具の第1の部分とは独立して回転させることにより、釘設置器具の第2の部分を設置された釘の開口に対して整列させるステップと、第1の骨部分または第2の骨部分へと、設置された釘の開口を通ってねじを設置するステップとを含む。
【0018】
とくに明記されない限りは本明細書に列挙される任意の他の態様と組み合わせることができる本開示の一態様において、釘設置器具は、釘の一部を形成された孔に挿入する前に、釘に結合させられる。
【0019】
とくに明記されない限りは本明細書に列挙される任意の他の態様と組み合わせることができる本開示の一態様において、本方法は、釘設置器具の第2の部分が設置された釘の開口に対して整列したときに、釘設置器具の第2の部分を釘設置器具の第1の部分に対してロックするステップをさらに含む。
【0020】
とくに明記されない限りは本明細書に列挙される任意の他の態様と組み合わせることができる本開示の一態様において、釘設置器具の第2の部分は、複数のガイド孔を有する照準ブロックを含み、本方法は、カニューレを設置された釘の開口に整列するように照準ブロックのガイド孔を通って挿入するステップをさらに含む。
【0021】
とくに明記されない限りは本明細書に列挙される任意の他の態様と組み合わせることができる本開示の一態様において、孔は、第1の孔であり、本方法は、カニューレを通ってドリルを挿入し、ドリルによって、第1の骨部分または第2の骨部分に、設置された釘の開口を通って第2の孔を形成するステップをさらに含む。
【0022】
とくに明記されない限りは本明細書に列挙される任意の他の態様と組み合わせることができる本開示の一態様において、釘は、細長い平滑部分と細長いねじ部分とを有し、細長い平滑部分は、釘の先端を含み、細長いねじ部分は、釘の後端を含み、細長いねじ部分は、後端の反対側の第1の端部と、第1の端部から後端まで延びるねじ山とを含み、ねじ山は、第1の端部から後端へと減少するピッチを有する。
【0023】
とくに明記されない限りは本明細書に列挙される任意の他の態様と組み合わせることができる本開示の一態様において、釘は、細長いねじ部分が第1の骨部分および第2の骨部分の両方に骨折部を横切って位置するように、形成された孔内に設置される。
【0024】
とくに明記されない限りは本明細書に列挙される任意の他の態様と組み合わせることができる本開示の一態様において、釘を形成された孔に設置することにより、第1の骨部分および第2の骨部分が骨折部において互いに対して圧縮される。
【0025】
とくに明記されない限りは本明細書に列挙される任意の他の態様と組み合わせることができる本開示の一態様において、形成された孔に挿入される釘の一部は、釘の細長い平滑部分であり、釘の細長い平滑部分は、釘設置器具の第1の部分を釘設置器具の第2の部分とは独立して回転させる前に、形成された孔に挿入される。
【0026】
とくに明記されない限りは本明細書に列挙される任意の他の態様と組み合わせることができる本開示の一態様において、第1の骨部分は、第1の肘頭断片であり、第2の骨部分は、遠位尺骨を含む。
【0027】
開示された方法および装置の追加の特徴および利点が、以下の詳細な説明および図に記載され、以下の詳細な説明および図から明らかになるであろう。本明細書に記載の特徴および利点は、すべてを含むものではなく、とくには、多数の追加の特徴および利点が、図および説明に照らして当業者にとって明らかであろう。さらに、本明細書において使用される文言が、主に読みやすさおよび説明の目的のために選択されており、本発明の主題の範囲を限定するものではないことに留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本開示の一態様による釘の斜視図を示している。
【0029】
図2】本開示の一態様による尺骨内に設置された図1の釘を示している。
【0030】
図3】本開示の一態様による肘頭の骨折部を横切って設置された図1の釘を示す図2の拡大図を示している。
【0031】
図4A】本開示の一態様による釘設置器具の分解図を示している。
【0032】
図4B】本開示の一態様による図4Aの釘設置器具のベアリングおよびキーの斜視図を示している。
【0033】
図5】本開示の一態様による尺骨内に設置された釘に結合した図4の釘設置器具を示している。
【0034】
図6】本開示の一態様による別の釘設置器具の一部分の斜視図を示している。
【0035】
図7】本開示の一態様による別の釘設置器具の一部分の斜視図を示している。
【発明を実施するための形態】
【0036】
本出願は、骨折部または骨切り部を処置すべく2つの骨部分を圧縮するための新規かつ革新的なシステムおよび方法を提案する。細長い平滑部分と細長いねじ部分とを有する釘が提案され、細長いねじ部分は、このねじ部分が2つの骨部分の間の骨折部分を横切るように設置されるとき、2つの骨部分の間に細長いねじ部分の長さに沿った軸方向の圧縮を生じるように構成される。例えば、細長いねじ部分のねじ山は、釘の後端に向かって移動するにつれて減少するピッチを有することができる。さらに、釘は、釘を貫いて1つ以上の交差ねじを設置するための1つ以上の開口を有することができる。1つ以上の交差ねじは、保持力を高め、軸方向および回転方向の両方にさらなる安定性を提供するのを助けることができる。いくつかの例において、本提案の釘は、異なる方向に向かう交差ねじを設置することができるように、お互いに対して斜めである2つの開口を有することができる。いくつかの例において、本提案の釘は、異なる方向に向かう交差ねじを骨折部の両側に設置することができるように、お互いに対して斜めである2つの開口を、骨折部の各側に1組ずつ、2組有することができる。
【0037】
本開示の釘の細長いねじ部分によってもたらされる圧縮と、釘を通過する1つ以上の交差ねじによってもたらされる保持力および安定性との組み合わせが、典型的なピンおよび締結ワイヤによる技術および典型的な髄内釘の技術の両方と比較して、優れた骨折部の安定化を提供する。さらに、本提案の釘および1つ以上の交差ねじは、設置されたときに骨からの突出が最小限または皆無であるため、典型的なピンおよび締結ワイヤによる技術およびプレートによる技術の両方と比較して、患者の痛みおよび刺激が低減される。本提案の釘は、肘頭の骨折部または骨切り部の処置にとくに有益であり得るが、本提案の釘は、他の適切な骨の骨折部または骨切り部を処置するための圧縮を達成するためにも使用され得る。
【0038】
本提案の釘を設置するようにとくに構成された釘設置器具がさらに提案され、これは、釘のねじ部分ゆえに釘を回転させることを含む。典型的な釘設置器具は、器具の照準ガイドを使用して1つ以上の交差ねじを釘を通って設置することができるよう、照準ガイドと釘との間の整列を維持するために、釘とガイドとの間に相対移動がないように設置時に典型的な髄内釘に堅固に結合する。しかしながら、典型的な髄内釘は、長さに沿って平滑であり、したがって設置の際に回転させられることがない。反対に、本提案の釘は設置の際に回転させられるがゆえに、堅固に結合するように構成された典型的な釘設置器具を使用して本提案の釘を設置することはできない。
【0039】
典型的な釘設置器具とは対照的に、本提案の釘設置器具は、本提案の釘設置器具の2つの異なる部分の間の選択的な自由な回転を可能にする。換言すると、本提案の釘設置器具の第1および第2の部分は、ロック機構の係合が解除されているとき、お互いに対して回転することができるが、ロック機構が係合すると、お互いに対して所定の位置にロックされる。釘設置器具の第1の部分は、本提案の釘の後端に結合することができる。ロック機構の係合が解除されると、釘設置器具の第1の部分は、釘設置器具の第2の部分から独立して、結合した釘と一緒に回転することができ、したがって本提案の釘を設置することが可能になる。
【0040】
釘設置器具の第2の部分は、照準ブロックと、照準ブロックを釘設置器具の第1の部分に結合させる照準コネクタとを含むことができる。照準コネクタは、ロック機構を含むように構成されてよい。本提案の釘は設置中に回転させられるため、照準ブロックの位置を、交差ねじの設置を可能にするために釘の1つ以上の開口に対して整列するように調整しなければならない。これを行うために、ロック機構の係合が解除された状態で、釘設置器具の第2の部分を、ロック機構が係合するまで釘設置器具の第1の部分とは独立して回転させることができる。本提案の釘および釘設置器具は、ロック機構が係合したときに釘の1つ以上の開口が照準ブロックに整列するように構成される。釘設置器具の第1および第2の部分が互いにロックされた状態で、1つ以上の交差ねじを典型的なやり方で取り付けることができる。
【0041】
図1が、例示的な釘100の斜視図を示している。例示的な釘100は、細長い平滑部分102と、隣接する細長いねじ部分104とを有する本体を含む。細長い平滑部分102は、釘100の先端106を含む。細長いねじ部分104は、ねじ山110を含み、釘100の後端108と、細長いねじ部分104が細長い平滑部分102と出会う中間端120との間に延在する。ねじ山110を、細長いねじ部分104が2つの骨部分の間の骨折部を横切って設置されたときに、細長いねじ部分104の長さに沿って2つの骨部分の間に軸方向の圧縮を生じるように構成することができる。例えば、ねじ山110は、ねじ山110のピッチが中間端120から後端108まで連続的に減少するように可変ピッチを有することができる。いくつかの態様において、釘100の後端108は、ノッチ300(図3)を含むことができる。
【0042】
種々の態様において、細長いねじ部分104は、釘100の中心の長手軸を通って延びる1つ以上の開口を含む。図示の例において、細長いねじ部分104は、開口112、開口114、開口116、および開口118を含む。他の例において、細長いねじ部分104は、1つ、2つ、3つ、または他の適切な数の開口112~118を含むことができる。以下でさらに説明されるように、1つ以上の開口112~118は、釘100の設置の一部として交差ねじを受け入れるようなサイズおよび形状である。いくつかの態様において、開口112~118の中心軸は、釘100の中心軸に対して垂直であってよい。他の態様において、開口112~118の中心軸は、釘100の中心軸に対して非垂直であってよい。
【0043】
釘100が2つ以上の開口112~118を有する態様において、いくつかの例では、或る開口(例えば、開口112)の中心軸が、別の開口(例えば、開口114)の中心軸に対して斜め(例えば、非平行)であってよく、これにより、発散する交差ねじの設置が可能になる。例えば、2つの開口の中心軸の間の角度が、10°~40°の範囲内であってよい。異なる方向を向いた交差ねじは、平行な交差ねじよりも大きな引き抜き強度、したがって大きな保持力を提供することができる。それにもかかわらず、他の例では、或る開口の中心軸が、別の開口の中心軸と平行であってもよい。例えば、開口112の中心軸が、開口114の中心軸と平行であってよく、あるいは開口112の中心軸が、開口116または118の中心軸と平行であってよい。
【0044】
釘100は、適切な生体適合性材料で作られてよい。例えば、ステンレス鋼、コバルト-クロム合金、チタン、チタン合金、マグネシウム、またはポリエーテルエーテルケトン(PEEK)が、適切な生体適合性材料である。
【0045】
図2および図3が、折れた肘頭を有する尺骨200内に設置された釘100の一例を示しており、図3は、折れた肘頭を含む尺骨200の近位端の拡大図である。図示のように、尺骨200は、尺骨200を第1の骨部分220と第2の骨部分222とに分離する肘頭の骨折部202を含む。第1の骨部分220は、肘頭の一断片である。第2の骨部分220は、尺骨200の残りの部分(例えば、肘頭の断片および遠位尺骨)を含む。
【0046】
図示の例において、釘100は、4つの交差ねじ204~210で取り付けられて示されている。交差ねじ204は、開口112を通って配置され、交差ねじ206は、開口114を通って配置され、交差ねじ208は、開口116を通って配置され、交差ねじ210は、開口118を通って配置されている。交差ねじ204および交差ねじ206は、互いに斜めで第1の骨部分222に設置された異なる方向に向かう交差ねじである。同様に、交差ねじ208および交差ねじ210は、互いに斜めで第2の骨部分220に設置された異なる方向に向かう交差ねじである。したがって、この例においては、骨折部202の両側に1組の異なる方向に向かう交差ねじが設置されている。他の例においては、異なる方向に向かう交差ねじ204および206のみ、または異なる方向に向かう交差ねじ208および210のみが、設置されてもよい。さらに他の例においては、交差ねじ204~210のうちの1つ、2つ、または3つのみが設置されてもよく、あるいは交差ねじ204~210に加えて交差ねじが設置されてもよい。
【0047】
図4Aが、釘(例えば、釘100)を設置するために使用され得る例示的な釘設置器具400の分解図を示している。例示的な釘設置器具400は、互いに対して回転することができる第1の部分および第2の部分を含むことができる。釘設置器具400の第1の部分は、釘100に結合するように構成されてよく、釘100の設置時に釘100を骨へと押し込むために使用されてよい。種々の態様において、釘設置器具400の第1の部分は、例示的なコネクタ404を含んでよい。コネクタ404は、把持部414を有するナットを含むことができる。把持部414は、釘100の設置時に外科医による手動でのコネクタ404の回転を助けることができる。いくつかの態様において、コネクタ404のナットの後端は、ドライバ(例えば、手動または電動)への結合のためのインターフェースを有することができる。いくつかの態様において、コネクタ404のナットの先端は、例示的なベアリング406との結合のための内側ねじ山を有することができる。コネクタ404は、ボルト410を含むことができる。ボルト410の先端は、ねじ山412を有することができる。外科医は、ねじ山412を釘100の後端108の雌のねじ山に係合させることによって、釘100をコネクタ404に結合させることができる。
【0048】
種々の態様において、釘設置器具400の第1の部分は、図4Bにも示される例示的なベアリング406を含むことができ、したがって、ベアリング406を説明する際には図4Aおよび図4Bの両方が参照される。ベアリング406は、中空な本体456を含むことができる。中空な本体456を貫いてボルト410を配置することができるように、チャネルが中空な本体456を貫いて延びている。本体456の後端は、コネクタ404のナットの内側ねじ山への結合のためのねじ山408を含むことができる。本体456の先端は、釘100の後端108と係合するように構成されてよい。例えば、本体456の先端は、釘100の後端108のノッチ300と係合するように構成された延長部444を含むことができる。ベアリング406と釘100との係合は、ベアリング406に対する釘100の特定的かつ一貫した位置合わせを保証する役に立つ。以下でさらに説明されるように、ベアリング406に対する釘100の特定的な位置合わせは、釘設置器具400の第2の部分を釘100の開口112~118に整列するように向けることを可能にする。さらに、ベアリング406と釘100との係合は、釘100の設置時に挿入トルクを増加させる役に立つことができる。
【0049】
種々の態様において、中空な本体456は、ノッチ446の形態のロックインターフェースを含むことができる。そのような態様において、ノッチ446は、以下でさらに説明するが、釘設置器具400の第1の部分と第2の部分との間の回転を可能または不可能にするためのロック機構の一部である。ノッチ446、または他の適切なロックインターフェースは、以下でさらに説明されるように、釘100が延長部444と係合したときに釘100の開口112~118がノッチ446に対して特定の向きになるように、延長部444に対して中空な本体456上に配置される。
【0050】
釘設置器具400の第2の部分は、部分的には、釘100が骨内にあるときに釘100の1つ以上の開口112~118を通って1つ以上の交差ねじ204~210を設置するためのガイドとして構成される。種々の態様において、釘設置器具400の第2の部分は、照準ブロック432を含む。照準ブロック432を、照準コネクタ402を介して釘設置器具400の第1の部分に結合させることができる。例えば、照準コネクタ402は、照準ブロック432の開口部に挿入されることによって照準ブロック432を照準コネクタ402に結合させるためのピン434および436を含むことができる。いくつかの例において、ピン434および436は、照準コネクタ402の本体の開口部に挿入されてよい。他の例において、ピン434および436は、照準コネクタ402の本体と一体であってよい。いくつかの態様において、ピン434および436は、代案として、照準ブロック432と一体であってもよい。照準ブロック432を、他の適切な機構を介して照準コネクタ402に結合させてもよく、あるいは、他の例においては、照準ブロック432が照準コネクタ402と一体(例えば、取り外しできない)であってもよい。
【0051】
種々の態様において、照準ブロック432は、複数のガイド孔を含むことができる。例示の目的で、照準ブロック432のガイド孔を通って配置されたカニューレ438が示されている。ガイド孔は、当技術分野で知られているように、ガイド孔のうちの1つを通って配置されるカニューレ438の助けによって、交差ねじ(例えば、交差ねじ204~210)を狙いをつけて釘100の開口(例えば、開口112~118)に通すことができるように、照準ブロック432上に配向される。さらに小さいカニューレ440およびドリル442も示されている。さまざまな事例において、ドリル442を案内するために、カニューレ438内により小さいカニューレ440を配置することができる。そのような場合、より小さいカニューレ440を取り外すことができ、カニューレ438を使用して、交差ねじを設置のために案内することができる。
【0052】
照準コネクタ402の本体は、釘設置器具400の第1の部分への結合を可能にする開口部454を含むことができる。例えば、ベアリング406の本体456を、開口部454を通って配置することができる。ベアリング406は、照準コネクタ402のロック機構が係合していない限りにおいて、開口部454内で自由に回転することができる。換言すると、照準コネクタ402のロック機構が係合していないとき、釘設置器具400の第1の部分(例えば、ベアリング406)および照準コネクタ402は、互いに対して自由に回転することができるが、照準コネクタ402のロック機構が係合すると、釘設置器具400の第1の部分(例えば、ベアリング406)および照準コネクタ402は、互いに対して固定される。
【0053】
照準コネクタ402のロック機構は、種々の適切な構造を有することができ、そのいくつかの例(ただし、これらに限られない)が、本明細書に記載されている。図4Aに示した例において、ロック機構はキー418を含み、キー418は図4Bにも示されており、したがって、キー418を説明するとき、図4Aおよび図4Bの両方が参照される。種々の態様において、キー418は、ベアリング406のノッチ446にはまり込むように寸法付けられた端部452を有する本体を含むことができる。キー418の本体は、突起448(例えば、片側のみが示されているが、本体の両側の突起448)および/または開口部450をさらに含むことができる。ピン428を開口部450を通って配置して、キー418を照準コネクタ402に結合させることができる。
【0054】
ロック機構は、この例において、レバー420をさらに含む。レバー420は、2つの長穴開口部422を含むことができ、キー418の本体の第1の側の突起448を一方の開口部422内に配置し、キー418の本体の第2の側の突起448を他方の開口部422内に配置することによって、レバー420をキー418に結合させることができる。ピン430をレバー420の開口部424を通って配置して、レバー420を照準コネクタ402に結合させることができる。レバー420は、開口部426をさらに含むことができる。この例において、ロック機構は、ボタン416をさらに含む。ボタン416を、レバー420の開口部426を通るピンなどによって、レバー420に結合させることができる。
【0055】
図4Aのロック機構は、釘設置器具400の第1の部分と第2の部分との間の相対回転を可能または不可能にするために、以下のように動作する。ボタン416が解放された(例えば、押し込まれていない)状態のとき、キー418の端部452は、ベアリング406のノッチ446内に位置する。したがって、ボタン416が解放された状態であるとき、ロック機構は係合し、釘設置器具400の第1の部分と第2の部分との間の相対回転は防止される。換言すると、ボタン416が解放された状態であり、ロック機構が係合しているとき、ベアリング406および照準コネクタ402は、お互いに対して回転することができない。
【0056】
ボタン416が押し込まれると、レバー420がピン430を中心にして回転し、レバー420の開口部422が、照準コネクタ402のうちのボタン416を含む側へと並進する。開口部422の並進により、キー418がピン428を中心にして回転し、これにより、キー418の端部452がベアリング406のノッチ446の外へと移動する。このように、ボタン416が押し込まれてロック機構の係合が外れ、釘設置器具400の第1の部分および第2の部分が、互いに対して回転することができる。換言すると、ボタン416が押し込まれ、ロック機構の係合が解除されると、ベアリング406および照準コネクタ402は、お互いに対して回転することができる。
【0057】
釘100および釘設置器具400は、ロック機構が係合しているとき、照準ブロック432のガイド孔(したがって、カニューレ438、440(挿入されている場合))が釘100の開口112~118に整列するように構成される。ベアリング406の延長部444が釘100のノッチ300に係合したときに開口112~118がノッチ446に対して特定の向きになるように、ノッチ300を、開口112~118に対して特定的に釘100の後端108上に配置することができ、延長部444を、ノッチ446に対して特定的にベアリング406上に配置することができる。開口112~118の特定の向きは、キー418がノッチ446に係合したときに開口112~118が照準ブロック432のガイド孔と整列するような向きである。このようにして、ロック機構の係合を解除して、釘100の挿入のために釘設置器具400の第1の部分の回転を可能にすることができ、釘100の挿入時の第1の部分(したがって、釘100)の向きに関係なく、釘設置器具400の第2の部分を、照準ブロック432のガイド孔を釘100の開口112~118に整列させるために係止機構が係合するまで回転させることができる。
【0058】
図6が、別の例示的なロック機構を有する例示的な釘設置器具600の一部分を示している。例示的な釘設置器具600が、釘100に結合した状態で図示されている。種々の態様において、例示的な釘設置器具600は、例示的なコネクタ604および例示的なベアリング606を含む第1の部分を含むことができる。この例において、ベアリング606は、把持部614を含む。種々の態様において、例示的な釘設置器具600は、照準コネクタ602を含む第2の部分を含むことができる。例示的な釘設置器具600の第2の部分は、図示はされていないが、照準ブロック(例えば、照準ブロック432)をさらに含むことができる。この例において、照準コネクタ602は、照準ブロックへの結合のための一体型ピン608および610を含む。
【0059】
釘設置器具600の照準コネクタ602は、例示的なスライドばね式ロック機構を含む。例示的なスライドばね式ロック機構は、レバー612を含むことができる。レバー612は、キー616を含むことができる。キー616は、ベアリング606のノッチにはまり込むような形状およびサイズである。種々の態様において、レバー612は、ハンドル614を含むことができる。レバー612を、照準コネクタ602内に配置されてよいばね(図示せず)の一端に結合させることができる。ばねの他端を、照準コネクタ602に結合させることができる。ガイドピン618および620が、図示のようにレバー612の開口部内に配置されることによって、レバー612の直線変位を保証する。ガイドピン618は、レバー612を照準コネクタ602に固定するボタンヘッドを含むことができる。
【0060】
図6のスライドばね式ロック機構は、釘設置器具600の第1の部分と第2の部分との間の相対回転を可能または不可能にするために、以下のように動作する。レバー612が解放された状態で、ばねは、レバー612のキー616をベアリング606のノッチ内に維持する。したがって、レバー612が解放された状態であるとき、ロック機構は係合し、釘設置器具600の第1の部分と第2の部分との間の相対回転は防止される。換言すると、レバー612が解放された状態であり、ロック機構が係合しているとき、ベアリング606および照準コネクタ602は、お互いに対して回転することができない。
【0061】
レバー612を、ロック機構の係合を解除するために、ベアリング606から遠ざかるように並進させることができる。例えば、外科医は、ばね力に打ち勝つようにハンドル614を引っ張って、レバー612をベアリング606から遠ざかるように並進させることで、キー616をベアリング606のノッチから取り出すことができる。このようにして、レバー612をベアリング606から遠ざかるように並進させることで、ロック機構の係合が解除され、釘設置器具600の第1の部分および第2の部分を、互いに対して回転させることができる。換言すると、レバー612をベアリング606から遠ざかるように並進させて、ロック機構の係合を解除した状態で、ベアリング606および照準コネクタ602は、互いに対して回転することができる。
【0062】
図7が、さらに別の例示的なロック機構を有する例示的な釘設置器具700の一部分を示している。例示的な釘設置器具700が、釘100に結合した状態で図示されている。種々の態様において、例示的な釘設置器具700は、例示的なコネクタ704および例示的なベアリング706を含む第1の部分を含むことができる。種々の態様において、例示的な釘設置器具700は、照準コネクタ702を含む第2の部分を含むことができる。例示的な釘設置器具700の第2の部分は、図示はされていないが、照準ブロック(例えば、照準ブロック432)をさらに含むことができる。この例において、照準コネクタ702は、照準ブロックへの結合のための一体型ピン708および710を含む。
【0063】
釘設置器具700の照準コネクタ702は、例示的な板ばね式ロック機構を含む。例示的な板ばね式ロック機構は、レバー712を含むことができる。レバー712を、枢支軸を中心にして照準コネクタ702に結合させることができる。種々の態様において、レバー712を、図示のように照準コネクタ702を貫いて配置することができる。レバー712は、キー714を含むことができる。キー714は、ベアリング706のノッチにはまり込むような形状およびサイズである。レバー712は、板ばね716の一端に当接している。板ばね716の反対側の端部を、ねじ718などによって照準コネクタ702に固定に取り付けることができる。
【0064】
図7の板ばね式ロック機構は、釘設置器具700の第1の部分と第2の部分との間の相対回転を可能または不可能にするために、以下のように動作する。レバー712が解放された状態で、板ばね716は、レバー712のキー714をベアリング706のノッチ内に維持する。したがって、レバー712が解放された状態であるとき、ロック機構は係合し、釘設置器具700の第1の部分と第2の部分との間の相対回転は防止される。換言すると、レバー712が解放された状態であり、ロック機構が係合しているとき、ベアリング706および照準コネクタ702は、お互いに対して回転することができない。
【0065】
レバー712を枢支軸を中心にして回転させて、ロック機構の係合を解除することができる。例えば、外科医は、板ばね716のばね力に打ち勝ってレバー712の端部720を押して、キー714がベアリング706のノッチから取り去られるようにレバー712を回転させることができる。このように、レバー712の端部720を押し込むことで、ロック機構の係合が解除され、釘設置器具700の第1の部分および第2の部分が、互いに対して回転することができる。換言すると、レバー712の端部720が押し込まれ、ロック機構の係合が解除されると、ベアリング706および照準コネクタ702は、互いに対して回転することができる。
【0066】
図5が、尺骨200内に設置された釘100の一例に結合した例示的な釘設置器具400を示している。カニューレ438、440およびドリル442は、あくまでも例示を目的として示されているにすぎない。次に、外科医が例示的な釘設置器具400を使用して図5に示されるように釘(例えば、釘100)を設置するための例示的な方法を説明する。この例示的な方法に関連する動作を実行する多数の他の方法を使用してもよいことを、理解できるであろう。例えば、いくつかの動作の順序は変更されてもよく、特定の動作は他の動作と組み合わせられてもよく、説明される動作のいくつかは随意であり、動作は異なる骨に関して実行されてもよい。
【0067】
外科医は、最初に(例えば、肘に)切開を形成し、骨(例えば、肘頭を含む近位尺骨)における釘100のための進入部位を露出させることができる。次いで、外科医は、肘頭の2つの骨部分の間の骨折部または骨切り部を狭めることができる。釘100のための入口穴を、露出した肘頭に穿孔することができる。いくつかの態様において、外科医は、釘設置器具400を釘100に結合させる前に、予め穿孔された孔へと釘100を途中まで挿入することができる。他の態様においては、この例などのように、外科医が釘100を釘設置器具400に結合させ、次いで、細長いねじ部分104のねじ山110が肘頭に係合するまで、釘100を予め穿孔された孔に挿入する。この時点で、外科医は、釘設置器具400のロック機構の係合を解除することができる。例えば、外科医は、ボタン416を押し込むことができる。ボタン416を押し込み、ロック機構の係合を解除した状態で、外科医は、コネクタ404を直接またはドライバで回転させることによって、釘100を肘頭および遠位尺骨内に前進させることができる。釘100の後端108が肘頭の外皮と同一平面になるまで、釘100を肘頭および遠位尺骨内に前進させることができる。
【0068】
次いで、外科医はボタン416を解放することができるが、キー418の端部452がベアリング406のノッチ446に整列しておらず、したがってノッチ446内に位置していないため、ロック機構はまだ係合しない。したがって、外科医は、キー418の端部452がノッチ446内に位置するまで照準コネクタ402をベアリング406に対して回転させることにより、ロック機構を係合させることができる。ロック機構が係合するまでのこの同じ回転を、上述の例示的な釘設置器具600および700のロック機構においても達成できることを、理解できるであろう。次いで、照準ブロック432がまだ取り付けられていない場合、外科医は、照準ブロック432を照準コネクタ402に結合させることができる。カニューレ438および440を照準ブロック432のガイド孔を通って挿入でき、外科医は、カニューレ440を通ってドリル442を配置して、肘頭へと釘100の開口112、114、116、または118を通って孔を穿孔することができる。これを、釘100を貫いて設置されるべき多数の交差ねじ204~210について繰り返すことができる。次いで、カニューレ440を取り除くことができ、交差ねじ204~210をカニューレ438を通って案内し、釘100の開口112、114、116、または118を通ってドライバで設置することができる。これを、釘100を貫いて設置されるべき多数の交差ねじ204~210について繰り返すことができる。次いで、釘設置器具400を、設置された釘100から分離させることができ、入口部位の軟組織を閉じることができる。
【0069】
このようにして、外科医は、釘100を尺骨内に前進させるために、コネクタ404およびベアリング406を照準コネクタ402に対して回転させ、交差ねじの設置のために照準ブロック432を適切に整列させるべく照準コネクタ402をコネクタ404およびベアリング406に対して回転させ、次いで交差ねじを設置するためにこれらの構成要素を互いにロックすることができる。この設置方法は、このような相対回転が不可能な典型的な釘設置器具では不可能であると考えられる。
【0070】
本開示において、「・・・を含む(including)」および「・・・を備える(comprising)」という用語は、非限定的に使用され、したがって「・・・を含むが、・・・に限られない」を意味すると解釈されるべきである。本明細書において使用されるとき、「約(about)」、「おおよそ(approximately)」、および「実質的に(substantially)」は、或る数値範囲、例えば言及された数字の-10%~+10%、好ましくは言及された数字の-5%~+5%、より好ましくは言及された数字の-1%~+1%、最も好ましくは言及された数字の-0.1%~+0.1%の範囲内の数を指すと理解される。さらに、このような数値範囲は、その範囲内の任意の数または一部の数に関する裏付けを請求項に提供しているものと解釈されるべきである。例えば、1~10という開示は、1~8、3~7、1~9、3.6~4.6、3.5~9.9、などの範囲を裏付けるものと解釈されるべきである。
【0071】
本明細書の全体を通して、「種々の態様」、「いくつかの態様」、「いくつかの例」、「他の例」、または「一態様」への言及は、その態様に関連して説明される特定の特徴、構造、または特性が、少なくとも1つの例に含まれることを意味する。したがって、本明細書全体の各所において「種々の態様において」、「いくつかの態様において」、「特定の実施形態」、「いくつかの例」、「他の例」、「特定の他の実施形態」、または「一態様において」という語句が出現しても、必ずしもすべてが同じ態様を指しているわけではない。さらに、或る例に関連して図示または説明された特定の特徴、構造、または特性を、全体的または部分的に、1つ以上の他の態様の特徴、構造、または特性と制限なく組み合わせることができる。
【0072】
本明細書における図および説明の少なくとも一部が、本開示の明確な理解にとって重要な要素を示しつつ、分かりやすくするために他の要素を省くように、簡略化されていることを理解されたい。しかしながら、当業者であれば、これらの要素および他の要素が望ましい場合があることを、理解できるであろう。しかしながら、そのような要素は当技術分野で周知であり、本開示のより良い理解を促進するものではないため、そのような要素の説明は、本明細書において提供されないかもしれない。
【0073】
本明細書において使用される用語は、特定の実施形態の説明を意図しているにすぎず、本開示を限定することを意図していない。本明細書において使用されるとき、単数形「a」、「an」、および「the」は、とくに示されない限り、複数形も含むように意図される。さらに、「・・・を備える(comprises)」および/または「・・・を備えている(comprising)」という用語が、本明細書において使用されるとき、そこで述べられる特徴、整数、ステップ、動作、要素、および/または構成要素の存在を指定するが、1つ以上の他の特徴、整数、ステップ、動作、要素、構成要素、および/またはそれらのグループの存在または追加を排除するものではないことを、理解できるであろう。本明細書において使用されるとき、「XまたはYの少なくとも1つ」または「XおよびYの少なくとも1つ」という用語は、X、またはY、あるいはXおよびYと解釈されるべきである。
【0074】
さらなる苦労を必要とせずに、当業者であれば、以上の説明を使用して、請求項に記載の発明を最大限に利用することができると考えられる。本明細書に開示された例および態様は、あくまでも例示として解釈されるべきであり、決して本開示の範囲を限定するものではない。説明した基本原理から逸脱することなく、上述の例の詳細に変更を加えることができることは、当業者には明らかであろう。換言すると、上記の説明で具体的に開示された例のさまざまな修正および改善が、添付の特許請求の範囲の技術的範囲に含まれる。例えば、説明した種々の例の特徴の任意の適切な組み合わせが考えられる。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6
図7
【国際調査報告】