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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-21
(54)【発明の名称】電子機器
(51)【国際特許分類】
   H05K 7/20 20060101AFI20240514BHJP
   H05K 1/02 20060101ALI20240514BHJP
   H01L 23/427 20060101ALI20240514BHJP
【FI】
H05K7/20 F
H05K1/02 C
H05K7/20 R
H01L23/46 B
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023573398
(86)(22)【出願日】2022-05-27
(85)【翻訳文提出日】2023-11-28
(86)【国際出願番号】 KR2022007554
(87)【国際公開番号】W WO2022255736
(87)【国際公開日】2022-12-08
(31)【優先権主張番号】10-2021-0070796
(32)【優先日】2021-06-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2022-0065241
(32)【優先日】2022-05-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】508112782
【氏名又は名称】ケーエムダブリュ・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001586
【氏名又は名称】弁理士法人アイミー国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ベ モーク ジョン
(72)【発明者】
【氏名】キョ スン ジ
(72)【発明者】
【氏名】ソン ミン アン
(72)【発明者】
【氏名】チ バク リュ
(72)【発明者】
【氏名】ジェ ウン キム
(72)【発明者】
【氏名】ソン ミン リ
(72)【発明者】
【氏名】キ ヒュン パク
(72)【発明者】
【氏名】ウォン ジュン パク
(72)【発明者】
【氏名】ジュン ウー ヤン
【テーマコード(参考)】
5E322
5E338
5F136
【Fターム(参考)】
5E322AA01
5E322AB06
5E322DB08
5E322EA11
5E322FA04
5E338AA03
5E338BB03
5E338BB13
5E338BB75
5E338EE02
5F136BC03
5F136BC06
5F136CC26
5F136EA23
5F136EA41
5F136EA61
(57)【要約】
【課題】印刷回路基板の厚さを増加させることなく放熱性能を向上させるという利点を提供する。
【解決手段】電子機器は、発熱素子が一面に配置された印刷回路基板と、前記印刷回路基板の他面のうち前記発熱素子の反対側に一面が接触するように設けられて、前記発熱素子から生成された熱を放熱する熱伝達コインとを含む。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
発熱素子が一面に配置された印刷回路基板と、
前記印刷回路基板の他面のうち前記発熱素子の反対側に一面が接触するように設けられて、前記発熱素子から生成された熱を放熱する熱伝達コインと、を含む、電子機器。
【請求項2】
前記印刷回路基板には、発熱素子が貫通する素子実装ホールが形成され、
前記熱伝達コインは、前記素子実装ホールをカバーし、一面に前記発熱素子の発熱面が接触する、請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記熱伝達コインは、銅または黄銅材質で形成される、請求項1に記載の電子機器。
【請求項4】
前記熱伝達コインの他面に一端部が接触配置され、他端部は前記印刷回路基板の他面と平行な方向の外側に突出配置される直線状のヒートパイプ、をさらに含む、請求項1に記載の電子機器。
【請求項5】
前記熱伝達コインには、前記発熱素子の前記発熱面を含む端部の一部が収容される発熱面収容溝が形成されている、請求項2に記載の電子機器。
【請求項6】
前記熱伝達コインは、
前記印刷回路基板の他面に熱伝導接着剤(Conductive adhesive)によって面接着される、請求項1に記載の電子機器。
【請求項7】
前記熱伝達コインは、
前記印刷回路基板を貫通する組立ねじによって前記印刷回路基板の他面に密着結合される、請求項1または請求項6に記載の電子機器。
【請求項8】
前記印刷回路基板の一面を覆って、前記発熱素子で生成される信号が漏れることを防止するシールドカバー、をさらに含み、
前記熱伝達コインは、前記シールドカバーおよび前記印刷回路基板を貫通する組立ねじによって前記印刷回路基板の他面に密着結合される、請求項1に記載の電子機器。
【請求項9】
前記印刷回路基板は、マルチレイヤ層に積層形成され、1.6mm以下の厚さを有する、請求項1に記載の電子機器。
【請求項10】
前記印刷回路基板は、前記印刷回路基板の一面に印刷された回路を形成するメッキ部によって前記印刷回路基板の一面と平行な方向に区分された複数のセクションを含み、
前記素子実装ホールは、前記複数のセクションに1つずつ形成されて、複数の素子実装ホールで形成され、
前記発熱素子は、前記複数の素子実装ホールをそれぞれ貫通する複数の発熱素子で形成され、
前記熱伝達コインは、前記複数の発熱素子それぞれの前記発熱面が一面にそれぞれ接触する複数の熱伝達コインで形成される、請求項2に記載の電子機器。
【請求項11】
内部に設置空間を有する金属ハウジングと、
前記金属ハウジングの内側面に積層され、発熱素子が一面に配置された印刷回路基板と、
前記印刷回路基板の他面のうち前記発熱素子の反対側に一面が接触するように設けられて、前記発熱素子から生成された熱を放熱する熱伝達コインと、を含む、電子機器。
【請求項12】
前記金属ハウジングの内側面には、前記熱伝達コインが完全挿入される載置溝が形成されている、請求項11に記載の電子機器。
【請求項13】
前記熱伝達コインは、
前記印刷回路基板を貫通して前記金属ハウジングの内側面に備えられた基板ねじ締結ホールに締結される基板組立ねじによって前記印刷回路基板の他面に密着結合される、請求項11に記載の電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器(ELECTRONIC DEVICE)に関し、より詳しくは、印刷回路基板のパターン回路設計の制約を防止しながらも、発熱素子が実装された印刷回路基板の反対面への放熱性能を向上させることができる放熱ユニットを含む電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
図1は、従来技術による印刷回路基板の多様な放熱の様子を示す断面図である。
【0003】
一般的に、電子機器は、印刷回路基板(Printed Circuit Board、PCB)1000を含み、印刷回路基板1000は、図1に示されるように、複数の原材料がマルチレイヤ(Multi-layer)層に積層形成され、各層ごとに所定のパターン回路Pが印刷され、各層を電気的に連結するためのレイヤブリッジ(Layer bridge)Bがホール状に備えられる。
【0004】
ここで、印刷回路基板1000の一面には、供給される電源によって駆動されながら所定の熱を放出する少なくとも1つの発熱素子Trが備えられる。発熱素子Trから放出された熱は外部へ迅速に放熱されない場合、電子機器固有の性能を低下させる問題点があり、特に、図1に示されるように、発熱素子Trが実装された印刷回路基板1000の反対方向(例えば、後方)に放熱することが必要な場合、銅材質の熱伝達コイン2100を介して後方側に備えられた金属ハウジング3000を通して後方放熱させることができる。
【0005】
この場合、図1に示されるように、熱伝達コイン2100は、印刷回路基板1000の後面側にエンベデッド(embedded)形態で挿入されて、前端面が発熱素子Trと表面熱接触するとともに、後端面が金属ハウジング3000に表面熱接触するように備えられて、熱伝導方式で放熱される。
【0006】
ところが、熱伝達コイン2100が完全にエンベデッド形態で挿設されるためには、図1の(a)に示されるように、印刷回路基板1000の厚さが少なくとも2.5mmと厚く製造されなければならず、図1の(b)に示されるように、印刷回路基板1000の厚さが1.6mmと薄く製造された場合には、熱伝達コイン2100の一部が後方に突出するため、金属ハウジング3000との表面熱接触のために金属ハウジング3000の内部面を溝加工しなければならない問題点がある。
【0007】
また、印刷回路基板1000の厚さが2.5mm以上にならなければならないという点で、印刷回路基板1000を通して伝達される熱を後方側に放熱するための放熱設計が難しい問題点もある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の技術的課題は、熱伝達コインを印刷回路基板に挿入する工程を省いて印刷回路基板の厚さ制限を除去し、放熱性能を向上させることができる電子機器を提供することである。
【0009】
本発明の技術的課題は以上に言及した課題に制限されず、言及されていない他の課題は以下の記載から当業者に明確に理解されるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を達成するために、本発明による電子機器は、発熱素子が一面に配置された印刷回路基板と、前記印刷回路基板の他面のうち前記発熱素子の反対側に一面が接触するように設けられて、前記発熱素子から生成された熱を放熱する熱伝達コインとを含む。
【0011】
ここで、前記印刷回路基板には、発熱素子が貫通する素子実装ホールが形成され、前記熱伝達コインは、前記素子実装ホールをカバーすることができ、一面に前記発熱素子の発熱面が接触することができる。
【0012】
また、前記熱伝達コインは、銅または黄銅材質で形成されてもよい。
【0013】
また、本発明による電子機器は、前記熱伝達コインの他面に一端部が接触配置され、他端部は前記印刷回路基板の他面と平行な方向の外側に突出配置される直線状のヒートパイプをさらに含むことができる。
【0014】
また、前記熱伝達コインには、前記発熱素子の前記発熱面を含む端部の一部が収容される発熱面収容溝が形成される。
【0015】
また、前記熱伝達コインは、前記印刷回路基板の他面に熱伝導接着剤(Conductive adhesive)によって面接着可能である。
【0016】
また、前記熱伝達コインは、前記印刷回路基板を貫通する組立ねじによって前記印刷回路基板の他面に密着結合可能である。
【0017】
また、本発明による電子機器は、前記印刷回路基板の一面を覆って、前記発熱素子で生成される信号が漏れることを防止するシールドカバーをさらに含むことができ、前記熱伝達コインは、前記シールドカバーおよび前記印刷回路基板を貫通する組立ねじによって前記印刷回路基板の他面に密着結合可能である。
【0018】
また、前記印刷回路基板は、マルチレイヤ層に積層形成され、1.6mm以下の厚さを有することができる。
【0019】
前記印刷回路基板は、前記印刷回路基板の一面に印刷された回路を形成するメッキ部によって前記印刷回路基板の一面と平行な方向に区分された複数のセクションを含むことができる。前記素子実装ホールは、前記複数のセクションに1つずつ形成されて、複数の素子実装ホールで形成される。前記発熱素子は、前記複数の素子実装ホールをそれぞれ貫通する複数の発熱素子で形成される。前記熱伝達コインは、前記複数の発熱素子それぞれの前記発熱面が一面にそれぞれ接触する複数の熱伝達コインで形成される。
【0020】
本発明による電子機器は、内部に設置空間を有する金属ハウジングと、前記金属ハウジングの内側面に積層され、発熱素子が一面に配置された印刷回路基板と、前記印刷回路基板の他面のうち前記発熱素子の反対側に一面が接触するように設けられて、前記発熱素子から生成された熱を放熱する熱伝達コインとを含む。
【0021】
ここで、前記金属ハウジングの内側面には、前記熱伝達コインが完全挿入される載置溝が形成される。
【0022】
また、前記熱伝達コインは、前記印刷回路基板を貫通して前記金属ハウジングの内側面に備えられた基板ねじ締結ホールに締結される基板組立ねじによって前記印刷回路基板の他面に密着結合可能である。
【0023】
その他の実施例の具体的な事項は詳細な説明および図面に含まれている。
【発明の効果】
【0024】
本発明による電子機器によれば、次のような多様な効果を達成することができる。
【0025】
第一、熱伝達コインを含む放熱ユニットの印刷回路基板に対する設置のために印刷回路基板に溝加工などの追加工程を必要としない効果を有する。
【0026】
第二、印刷回路基板を所定以上の厚さを有する仕様で採用する必要がなく、薄い厚さの印刷回路基板の採用が可能なため、印刷回路基板の両面放熱が可能という点で、放熱性能を向上させる効果を有する。
【0027】
本発明の効果は以上に言及した効果に制限されず、言及されていない他の効果は特許請求の範囲の記載から当業者に明確に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】従来技術による印刷回路基板の多様な放熱の様子を示す断面図である。
図2A】本発明の一実施例による電子機器を示す斜視図である。
図2B】本発明の一実施例による電子機器を示す斜視図である。
図3A図2Aの分解斜視図である。
図3B図2Bの分解斜視図である。
図4図2Aおよび図2Bの放熱ユニットの設置の様子を示す分解斜視図である。
図5図2Aおよび図2Bの平面図である。
図6図5のA-A線に沿った断面図である。
図7A図5のA-A線に沿った切開斜視図である。
図7B図5のA-A線に沿った切開斜視図である。
図8A】本発明の他の実施例による電子機器を示す斜視図である。
図8B】本発明の他の実施例による電子機器を示す斜視図である。
図9A図8Aの分解斜視図である。
図9B図8Bの分解斜視図である。
図10図8Aおよび図8Bの平面図である。
図11図10のB-B線に沿った断面図である。
図12図10のB-B線に沿った切開斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明による放熱装置の実施例を、添付した図面を参照して詳細に説明する。
【0030】
各図面の構成要素に参照符号を付すにあたり、同一の構成要素については、たとえ他の図面上に表されてもできるだけ同一の符号を有するようにしていることに留意しなければならない。また、本発明の実施例を説明するにあたり、かかる公知の構成または機能に関する具体的な説明が本発明の実施例に対する理解を妨げると判断された場合、その詳細な説明は省略する。
【0031】
本発明の実施例の構成要素を説明するにあたり、第1、第2、A、B、(a)、(b)などの用語を使用することができる。このような用語はその構成要素を他の構成要素と区別するためのものに過ぎず、その用語によって当該構成要素の本質や順番または手順などが限定されない。また、他に断らない限り、技術的または科学的な用語を含む、ここで使用されるすべての用語は、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。一般的に使用される辞書に定義されているような用語は関連技術の文脈上有する意味と一致する意味を有すると解釈されなければならず、本出願において明らかに定義しない限り、理想的または過度に形式的な意味で解釈されない。
【0032】
図2Aおよび図2Bは、本発明の一実施例による電子機器を示す斜視図であり、図3Aおよび図3Bは、図2Aおよび図2Bの分解斜視図であり、図4は、図2Aおよび図2Bの放熱ユニットの設置の様子を示す分解斜視図であり、図5は、図2Aおよび図2Bの平面図であり、図6は、図5のA-A線に沿った断面図であり、図7Aおよび図7Bは、図5のA-A線に沿った切開斜視図である。
【0033】
以下の説明において、一面は図面上上面を意味することができ、他面は図面上下面を意味することができ、他側は図面上下側を意味することができる。
【0034】
本発明の一実施例による電子機器1は、図2A図7Bに示されるように、印刷回路基板10と、印刷回路基板10に実装された少なくとも1つの発熱素子20と、発熱素子20から生成された熱を外部に放熱させるように備えられた放熱ユニット200とを含む。
【0035】
印刷回路基板10は、図示しないが、複数の原材料ボードをマルチレイヤ層を形成するように積層配置し、各層ごとにパターン回路が印刷されており、各層のパターン回路を電気的に連結するためのビアホール(via hole)がメッキ形成される。
【0036】
ここで、印刷回路基板10には、図3Aおよび図3Bに示されるように、上述した少なくとも1つの発熱素子20の発熱面が貫通して他面側に突出するように実装される少なくとも1つの素子実装ホール15が形成される。
【0037】
少なくとも1つの発熱素子20は、印刷回路基板10の一面側から素子実装ホール15に挿入されて実装片(図面符号未表記)が印刷回路基板10の一面に実装されかつ、印刷回路基板10の他面側に発熱面が突出できる。すなわち、発熱素子20の発熱面は、少なくとも印刷回路基板10の他面よりも外側に突出できる。
【0038】
一方、少なくとも1つの発熱素子20は、電源が供給されると、駆動しながら所定の熱を生成する電装素子の一種であって、例えば、本発明の実施例において、電子機器1がアンテナ装置の場合、信号の出力および送信を担当するRxおよびTx素子のいずれか1つであってもよい。
【0039】
一方、放熱ユニット200は、図4に示されるように、発熱素子20から生成された駆動熱または印刷回路基板10の熱を印刷回路基板10の他面側に放熱する機能を行う構成として定義される。
【0040】
ここで、放熱ユニット200は、図2A図7Bに示されるように、銅または黄銅材質からなる熱伝達コイン210、220と、熱伝達コイン210から熱を受けて所定の位置まで熱伝導させるヒートパイプ230とを含むことができる。
【0041】
発熱素子20は、相対的に発熱量の多い第1発熱素子20と、相対的に発熱量の少ない第2発熱素子(ここでは図示せず、図9Aの図面符号21参照)とを含むことができる。第1発熱素子20は、印刷回路基板10の一面に突出配置されかつ、素子貫通ホール15を貫通することができる。前記第2発熱素子は、印刷回路基板10の一面に設けられて、印刷回路基板10の一面に突出配置される。
【0042】
熱伝達コイン210、220は、第1発熱素子20から熱を受ける第1熱伝達コイン210と、前記第2発熱素子(図示せず)から熱を受ける第2熱伝達コイン220とを含むことができる。
【0043】
発熱素子20は、印刷回路基板10の一面に突出配置され、熱伝達コイン210、220は、印刷回路基板10の他面のうち発熱素子20の反対側に一面が接触するように配置される。ここで、発熱素子20の反対側は、発熱素子20が配置された一面に対応する反対側部分を意味し、熱伝達コイン210、220の一面は、印刷回路基板10の他面のうち発熱素子20が配置された一面に対応する部分に接触することができる。
【0044】
熱伝達コイン210、220は、放熱性能に優れた金属材質で形成される。本実施例において、熱伝達コイン210、220は、印刷回路基板10の他面に一面が接触するように配置される。ここで、第1熱伝達コイン210は、印刷回路基板10の他面に一面が配置されて、素子実装ホール15を覆うことができる。
【0045】
熱伝達コイン210、220は、本実施例において四角板形状に形成されるが、必ずしも四角板形状に形成されるべきではなく、円形板および多角形板(三角板、五角板、六角板など)の少なくとも1つの板状に形成されてもよい。
【0046】
ヒートパイプ230は、熱伝達コイン210、220の発熱量を考慮して、直接熱伝達コイン210、220のいずれか1つ(210、第1熱伝達コイン)から熱を受けることができ、図示しないが、熱伝達コイン210、220の全部と連結されて熱を受けるように備えられることも可能である。以下、ヒートパイプ230は、第1熱伝達コイン210および第2熱伝達コイン220のうち第1熱伝達コイン210にのみ連結される実施例を中心に説明する。
【0047】
第1熱伝達コイン210の一面には第1発熱素子20の発熱面が接触配置され、第1熱伝達コイン210の他面にはヒートパイプ230の一端部が接触配置される。ヒートパイプ230の他端部は、印刷回路基板10の他面と平行な方向の外側(図2Bの図面上、左右方向の右側)に印刷回路基板10から突出配置される。ヒートパイプ230は、直線状に形成される。
【0048】
第1熱伝達コイン210の一面には、発熱素子20の発熱面が収容される発熱面収容溝215が形成される。発熱面収容溝215には、発熱素子20の発熱面を含む端部の一部が収容される。より詳しくは、印刷回路基板10の他面には、素子実装ホール15を貫通するように実装配置された発熱素子20の発熱面が所定の長さ他側に突出し、熱伝達コイン210の一面が印刷回路基板10の他面に面接触した状態で発熱素子20の突出した発熱面が発熱面収容溝215の内部に収容載置されて、表面熱接触することができる。
【0049】
ここで、熱伝達コイン210、220は、図示しないが、印刷回路基板10の他面に熱伝導接着剤(Conductive adhesive)によって面接着可能である。熱伝導接着剤(図示せず)は、熱伝導材質からなるものであって、印刷回路基板10の他面と熱伝達コイン210、220とを相互面接着させることにより、印刷回路基板10から伝達される熱の熱伝導性能を向上させることができる。
【0050】
特に、熱伝達コイン210は、印刷回路基板10の他面に対して水平方向にオーバーラップされないように結合されるという点で、熱伝達コイン210の印刷回路基板10の他面に対する設置のために別途に印刷回路基板10を溝加工する必要がないので、組立工数を節減する一方、印刷回路基板10の製造時間を短縮できるという利点がある。
【0051】
一方、発熱素子20の発熱面は、熱伝達コイン210の発熱面収容溝215に収容載置されることから、発熱素子20から生成された駆動熱は、直接熱伝達コイン210に伝達され、熱伝達コイン210に伝達された熱は、上述したヒートパイプ230を介したり、直接図示しない金属ハウジングに伝達して放熱させることができる。
【0052】
図3Aを参照すれば、印刷回路基板10は、印刷回路基板10の一面に印刷された回路を形成するメッキ部によって、印刷回路基板10の一面と平行な方向(図3Aの図面上、左右方向)に区分された複数のセクションS1、S2、S3、S4を含むことができる。本実施例において、複数のセクションS1、S2、S3、S4は、互いに等間隔に区分されるが、必ずしも等間隔に区分されるべきではなく、多様な間隔に区分されてもよい。
【0053】
本実施例において、複数のセクションS1、S2、S3、S4は4個で形成されるが、複数のセクションS1、S2、S3、S4の個数は4個に限定されず、少なくとも2以上の複数のセクションで形成されると良い。以下、複数のセクションS1、S2、S3、S4は4個で形成されることに限定して説明する。
【0054】
複数のセクションS1、S2、S3、S4は、第1セクションS1と、第2セクションS2と、第3セクションS3と、第4セクションS4とを含むことができる。
【0055】
第1セクションS1は、印刷回路基板10の最も左側に配置される。第1セクションS1は、印刷回路基板10において第2セクションS2の左側に配置される。
【0056】
第2セクションS2は、印刷回路基板10において第1セクションS1の右側に配置される。第2セクションS2は、印刷回路基板10において第3セクションS3の左側に配置される。第2セクションS2は、印刷回路基板10において第1セクションS1および第3セクションS3の間に配置される。
【0057】
第3セクションS3は、印刷回路基板10において第2セクションS2の右側に配置される。第3セクションS3は、印刷回路基板10において第4セクションS4の左側に配置される。第3セクションS3は、印刷回路基板10において第2セクションS2および第4セクションS4の間に配置される。
【0058】
第4セクションS4は、印刷回路基板10において第3セクションS3の右側に配置される。第4セクションS4は、印刷回路基板10において最も右側に配置される。
【0059】
素子実装ホール15は、複数の素子実装ホール15で形成される。複数の素子実装ホール15は、複数のセクションS1、S2、S3、S4に1つずつ形成される。すなわち、複数の素子実装ホール15は、第1セクションS1に形成された第1素子実装ホール15Aと、第2セクションS2に形成された第2素子実装ホール15Bと、第3セクションS3に形成された第3素子実装ホール15Cと、第4セクションS4に形成された第4素子実装ホール15Dとを含むことができる。
【0060】
第1発熱素子20は、複数の第1発熱素子20で形成される。複数の第1発熱素子20それぞれは、複数の素子実装ホール15をそれぞれ貫通することができる。すなわち、複数の第1発熱素子20は、第1素子実装ホール15Aを貫通する第1-1発熱素子20Aと、第2素子実装ホール15Bを貫通する第1-2発熱素子20Bと、第3素子実装ホール15Cを貫通する第1-3発熱素子20Cと、第4素子実装ホール15Dを貫通する第1-4発熱素子20Dとを含むことができる。
【0061】
第1熱伝達コイン210は、複数の第1熱伝達コイン210で形成される。複数の第1熱伝達コイン210それぞれの一面には、複数の第1発熱素子20それぞれの前記発熱面が接触することができる。すなわち、複数の第1熱伝達コイン210は、第1-1発熱素子20Aの発熱面が接触する第1-1熱伝達コイン210Aと、第1-2発熱素子20Bの発熱面が接触する第1-2熱伝達コイン210Bと、第1-3発熱素子20Cの発熱面が接触する第1-3熱伝達コイン210Cと、第1-4発熱素子20Dの発熱面が接触する第1-4熱伝達コイン210Dとを含むことができる。
【0062】
発熱面収容溝215は、複数の第1熱伝達コイン210の一面にそれぞれ形成される。すなわち、発熱面収容溝215は、第1-1熱伝達コイン210Aの一面に形成されて、第1-1発熱素子20Aの発熱面が収容される第1発熱面収容溝215Aと、第1-2熱伝達コイン210Bの一面に形成されて、第1-2発熱素子20Bの発熱面が収容される第2発熱面収容溝215Bと、第1-3熱伝達コイン210Cの一面に形成されて、第1-3発熱素子20Cの発熱面が収容される第3発熱面収容溝215Cと、第1-4熱伝達コイン210Dの一面に形成されて、第1-4発熱素子20Dの発熱面が収容される第4発熱面収容溝215Dとを含むことができる。
【0063】
前記第2発熱素子(図示せず)は、複数の第2発熱素子で形成される。前記複数の第2発熱素子は、複数のセクションS1、S2、S3、S4の一面に1つずつ設けられる。すなわち、複数の第2発熱素子は、第1セクションS1の一面に設けられる第2-1発熱素子と、第2セクションS2の一面に設けられる第2-2発熱素子と、第3セクションS3の一面に設けられる第2-3発熱素子と、第4セクションS4の一面に設けられる第2-4発熱素子とを含むことができる。
【0064】
第2熱伝達コイン220は、複数の第2熱伝達コイン220で形成される。すなわち、複数の第2熱伝達コイン220は、印刷回路基板10の他面のうち前記第2-1発熱素子の反対側に配置される第2-1熱伝達コイン220Aと、印刷回路基板10の他面のうち前記第2-2発熱素子の反対側に配置される第2-2熱伝達コイン220Bと、印刷回路基板10の他面のうち前記第2-3発熱素子の反対側に配置される第2-3熱伝達コイン220Cと、印刷回路基板10の他面のうち前記第2-4発熱素子の反対側に配置される第2-4熱伝達コイン220Dとを含むことができる。
【0065】
ヒートパイプ230は、複数の第1熱伝達コイン210それぞれの他面に一対ずつ接触配置される複数のヒートパイプ230で備えられる。すなわち、複数のヒートパイプ230は、第1-1熱伝達コイン210Aの他面に接触配置される一対の第1ヒートパイプ230Aと、第1-2熱伝達コイン210Bの他面に接触配置される一対の第2ヒートパイプ230Bと、第1-3熱伝達コイン210Cの他面に接触配置される一対の第3ヒートパイプ230Cと、第1-4熱伝達コイン210Dの他面に接触配置される一対の第4ヒートパイプ230Dとを含むことができる。
【0066】
本発明の一実施例による電子機器1は、アンテナ装置で実現される場合、図2A図3Bに示されるように、シールドカバー(Shield cover、100)をさらに含むことができる。シールドカバー100は、印刷回路基板10に実装された信号関連発熱素子20で生成される信号が漏れることを防止することができる。
【0067】
シールドカバー100には、印刷回路基板10を向く面に少なくとも1つの発熱素子20を内部に収容する所定の空間Cを形成する格子状のシールドカバーウォール(Shield cover wall、103)が備えられる。所定の空間Cは、シールドカバーウォール103および印刷回路基板10の一面によってカバーされる。このようなシールドカバー100は、所定の空間C内の発熱素子20と外部信号との間の干渉がなされないように、信号の漏れを防止する役割を果たすことができる。
【0068】
一方、シールドカバー100には、後述する組立ねじ(図示せず)が貫通するカバーねじ貫通ホール101が形成され、印刷回路基板10には、シールドカバー100のカバーねじ貫通ホール101を貫通した前記組立ねじが順次に貫通するように基板ねじ貫通ホール11が形成され、熱伝達コイン210、220のうち少なくとも第1熱伝達コイン210には、前記組立ねじが締結されるねじ締結ホール211が形成される。ここで、前記組立ねじは、後述する他の実施例による電子機器1aのように金属ハウジング(5、図8A参照)が備えられた場合、金属ハウジング5に最終的に締結される。
【0069】
ここで、発熱素子20の発熱面および熱伝達コイン210の相互接合面は、組立ねじの組立力によって綿密に密着することから、発熱素子20から熱伝達コイン210への熱接触抵抗が最小化できる。
【0070】
このように、本発明の一実施例による電子機器1は、放熱ユニット200のうち少なくとも熱伝達コイン210、220の設置のために所定以上の厚さ(例えば、2.5mm以上)を有するマルチレイヤ層の印刷回路基板10を採用する必要がなく、両面側への熱伝達が容易な所定以下(例えば、1.6mm以下)の薄い厚さを有する印刷回路基板10の採用が可能という点で、全体的な放熱性能の低下を防止できるという利点がある。
【0071】
さらに、放熱ユニット200のうち熱伝達コイン210、220の印刷回路基板10に対するエンベデッド形態の設置を必要としないことから、印刷回路基板10の他面を溝加工しなくても熱伝達コイン210、220を熱伝導接着剤を用いて簡便に付着させることができるという点で、製品全体の組立時間を短縮できるという利点がある。
【0072】
図8Aおよび図8Bは、本発明の他の実施例による電子機器を示す斜視図であり、図9Aおよび図9Bは、図8Aおよび図8Bの分解斜視図であり、図10は、図8Aおよび図8Bの平面図であり、図11は、図10のB-B線に沿った断面図であり、図12は、図10のB-B線に沿った切開斜視図である。
【0073】
本発明の他の実施例による電子機器1aは、図8A図12に示されるように、内部に設置空間5sを有する金属ハウジング5を含むことができる。
【0074】
金属ハウジング5は、熱伝導に優れた金属材質で形成されたものであって、背面側には多数のヒートシンクフィン(heat sink fin、5a)が一体に成形される。多数のヒートシンクフィン5aは、上下方向に長く形成されたフィンが多数個左右方向に離隔配置されるように形成される。
【0075】
一方、金属ハウジング5の設置空間(5s、図9A参照)の内側面には、後述する熱伝達コイン210、220が完全挿入される載置溝(6、図11参照)が形成される。
【0076】
また、本発明の他の実施例による電子機器1aは、金属ハウジング5の設置空間5sの内側面に積層され、素子実装ホール15が前後方向に貫通して形成された印刷回路基板10をさらに含むことができる。
【0077】
ここで、素子実装ホール15に対する後述する発熱素子20、21(特に、第1発熱素子20)の実装形態は、上述した本発明の一実施例による電子機器1の場合と同一であるので、その具体的な説明は省略する。ただし、後述する発熱素子20、21のうち第2発熱素子21は、相対的に発熱量の少ない電装部品であって(例えば、アンテナ装置の信号関連部品の場合、Rx素子(LNA)がこれに相当できる)、素子実装ホール15を備えることなく印刷回路基板10の前面に直接実装できる。
【0078】
本発明の他の実施例による電子機器1aは、図9Aに示されるように、印刷回路基板10の素子実装ホール15を貫通して印刷回路基板10の他面側に発熱面が露出するように印刷回路基板10の一面に実装された少なくとも1つの発熱素子(20、以下、「第1発熱素子20」と称する)を含むことができる。これとともに、本発明の他の実施例による電子機器1aは、第1発熱素子20とは異なり、印刷回路基板10の前面に素子実装ホール15を備えることなく直接実装される第2発熱素子21をさらに含むことができる。
【0079】
本発明の他の実施例による電子機器1aがアンテナ装置で実現される場合、第1発熱素子20は、信号関連部品のうち相対的に発熱量の多いTx素子(Tr、Da素子)であってもよく、第2発熱素子21は、信号関連部品のうち相対的に発熱量の少ないRx素子(LNA素子)であってもよい。
【0080】
ここで、第1発熱素子20は、その発熱面が素子実装ホール15を貫通して印刷回路基板10の他面側に露出しかつ、第1発熱素子20の発熱面と印刷回路基板10の他面とは同一面をなすように実装されることが好ましい。
【0081】
一方、本発明の他の実施例による電子機器1aは、印刷回路基板10の他面に結合されかつ、第1発熱素子20の露出した発熱面に表面熱接触するように結合された熱伝達コイン210、220をさらに含むことができる。
【0082】
ここで、熱伝達コイン210、220は、第1発熱素子20から熱を受けるように第1発熱素子20の位置に対応して備えられた第1熱伝達コイン210と、第2発熱素子21から熱を受けるように第2発熱素子21の位置に対応して備えられた第2熱伝達コイン220とを含むことができる。
【0083】
第1熱伝達コイン210は、第1発熱素子20の発熱面と直接表面熱接触するように配置されるのに対し、第2熱伝達コイン220は、第2発熱素子21とは直接表面熱接触しないが、第2熱伝達コイン220が実装された印刷回路基板10の対向面に相当する他面に上述した熱伝導接着剤を介して接着可能である。ここで、第1熱伝達コイン210および第2熱伝達コイン220も、上述した本発明の一実施例による電子機器1で説明したように、熱伝導に優れた金属材質のうち銅または黄銅材質からなってもよい。
【0084】
一方、本発明の他の実施例による電子機器1aは、図8A図12に示されるように、印刷回路基板10の一面を覆うように、金属ハウジング5の前段部に結合されるシールドカバー100をさらに含むことができる。
【0085】
シールドカバー100は、すでに上述した一実施例のように、背面部にシールドカバーウォール(図面符号未表記)が形成されて、印刷回路基板10の前面との間に第1発熱素子20および第2発熱素子21が内部に収容される所定の空間Cを用意し、所定の空間C上での内部信号が漏れないようにする役割を果たすことができる。
【0086】
金属ハウジング5は、印刷回路基板10の他面に対向する一面が開口し、印刷回路基板10は、金属ハウジング5の開口した一面を通して金属ハウジング5の設置空間5sに挿入され、シールドカバー100は、印刷回路基板10が金属ハウジング5の設置空間5sに挿入された後、金属ハウジング5の開口した一面を覆うことができる。
【0087】
一方、印刷回路基板10には、少なくとも1つ以上の基板組立ねじ10sが貫通する基板ねじ貫通ホール11が形成され、金属ハウジング5には、基板組立ねじ10sが印刷回路基板10を貫通して締結される基板ねじ締結ホール5hが形成される。
【0088】
また、シールドカバー100には、少なくとも1つ以上のカバー組立ねじ100sが貫通するカバーねじ貫通ホール100hが形成され、カバー組立ねじ100sは、シールドカバー100のカバーねじ貫通ホール100hおよび印刷回路基板10を貫通して金属ハウジング5に形成されたカバーねじ締結ホール5h’に締結される動作によりシールドカバー100を金属ハウジング5に設けることができる。
【0089】
ここで、熱伝達コイン210、220は、印刷回路基板10を貫通して金属ハウジング5の内側面に備えられた基板ねじ締結ホール5hに締結される基板組立ねじ10sによって印刷回路基板10の他面に密着結合可能である。
【0090】
このように、本発明の他の実施例による電子機器1aも、上述した一実施例と比較して、金属ハウジング5がさらに備えられたという差異があるが、放熱ユニット200で備えられた第1熱伝達コイン210および第2熱伝達コイン220の印刷回路基板10に対する設置のために印刷回路基板10を所定以上の厚さ(2.5mm)を有するもので採用する必要がないことはもちろん、別の溝加工を必要としないという点で、組立時間を短縮し、薄い厚さ(例えば、1.6mm)を採用可能なため、印刷回路基板10の両面に対する放熱性能を向上させることができるという利点を提供する。
【0091】
以上、本発明による電子機器の実施例を、添付した図面を参照して詳細に説明した。しかし、本発明の実施例が必ずしも上述した実施例により限定されるものではなく、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者による多様な変形および均等な範囲における実施が可能であることは言うまでもない。そのため、本発明の真の権利範囲は後述する特許請求の範囲によって定められる。
【産業上の利用可能性】
【0092】
本発明は、熱伝達コインを印刷回路基板に挿入する工程を省いて印刷回路基板の厚さ制限を除去し、放熱性能を向上させることができる電子機器を提供する。
【符号の説明】
【0093】
1、1a:電子機器 5:金属ハウジング
5s:設置空間 5h:基板ねじ貫通ホール
10:印刷回路基板 15:素子実装ホール
20、21:発熱素子 100:シールドカバー
210、220:熱伝達コイン 230:ヒートパイプ

図1(a)】
図1(b)】
図2a
図2b
図3a
図3b
図4
図5
図6
図7a
図7b
図8a
図8b
図9a
図9b
図10
図11
図12
【国際調査報告】