(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-21
(54)【発明の名称】台座、ボイスコイルモータ及びそれらの製造方法
(51)【国際特許分類】
G03B 5/00 20210101AFI20240514BHJP
G02B 7/04 20210101ALI20240514BHJP
G03B 17/02 20210101ALI20240514BHJP
H04N 23/57 20230101ALI20240514BHJP
H02K 33/18 20060101ALI20240514BHJP
【FI】
G03B5/00 Z
G02B7/04 E
G03B5/00 J
G03B17/02
H04N23/57
H02K33/18 B
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023573483
(86)(22)【出願日】2021-06-25
(85)【翻訳文提出日】2023-11-28
(86)【国際出願番号】 CN2021102320
(87)【国際公開番号】W WO2022166082
(87)【国際公開日】2022-08-11
(31)【優先権主張番号】202110166191.9
(32)【優先日】2021-02-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523322265
【氏名又は名称】蘇州▲いん▼冢電子科技股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】SUZHOU GYZ ELECTRONIC TECHNOLOGY CO., LTD
【住所又は居所原語表記】No. 269, Songjiagang Road, Zhoushi Town, Kunshan City, Suzhou, Jiangsu 215300 CHINA
(74)【代理人】
【識別番号】110001841
【氏名又は名称】弁理士法人ATEN
(72)【発明者】
【氏名】呉 俊輝
(72)【発明者】
【氏名】杜 鋒
(72)【発明者】
【氏名】▲しん▼ 龍模
(72)【発明者】
【氏名】劉 松華
【テーマコード(参考)】
2H044
2K005
5C122
5H633
【Fターム(参考)】
2H044BE02
2H044BE17
2K005CA22
2K005CA23
2K005CA34
2K005CA53
5C122EA41
5C122GE11
5C122GE22
5H633BB02
5H633GG03
5H633GG09
5H633HH02
5H633JB03
5H633JB09
(57)【要約】
本発明は、鉛直平面に位置し且つ連続した軌跡に沿って間隔をあけて配列された少なくとも2つのプラスチック障壁と、少なくとも2つの前記プラスチック障壁の内に埋設されており、前記プラスチック障壁の外に露出し且つ平行に間隔をあけて配列されたピンと、前記プラスチック障壁の側面に露出しているフィレットと、前記ピンと前記フィレットとを接続する接続部とからなる複数の分岐を含む金属回路と、前記金属回路に電気的に接続されたコイルとを備え、前記プラスチック障壁は一次射出成形によって成形され、前記接続部の一部は2つの隣り合う前記プラスチック障壁の間に露出しており、前記接続部は、前記プラスチック障壁が異なる平面に位置するように折り曲げられて折り曲げ部を形成し、前記折り曲げ部の外に、2つの隣り合う前記プラスチック障壁の間を接続する少なくとも一つの接続柱部が二次射出成形された台座である。本発明によれば、コイルや電子製品の垂直実装ができないという技術的問題が解決され、ボイスコイルモータの設計の自由度を向上させるのに役立つ。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉛直平面に位置し且つ連続した軌跡に沿って間隔をあけて配列された少なくとも2つのプラスチック障壁(3)と、少なくとも2つの前記プラスチック障壁(3)の内に埋設されており、前記プラスチック障壁(3)の外に露出し且つ平行に間隔をあけて配列されたピン(1a)と、前記プラスチック障壁(3)の側面に露出しているフィレット(1b)と、前記ピン(1a)と前記フィレット(1b)とを接続する接続部(1c)とからなる複数の分岐(10)を含む金属回路(1)と、前記金属回路(1)に電気的に接続されたコイル(2)とを備える台座(100)であって、前記少なくとも2つのプラスチック障壁(3)は一次射出成形によって成形され、前記コイル(2)は前記フィレット(1b)に溶接され、前記接続部(1c)の一部は2つの隣り合う前記プラスチック障壁(3)の間に露出しており、前記接続部(1c)は、前記少なくとも2つのプラスチック障壁(3)が異なる平面に位置するように折り曲げられて折り曲げ部(1d)を形成し、前記折り曲げ部(1d)の外に、2つの隣り合う前記プラスチック障壁(3)の間を接続する少なくとも一つの接続柱部が二次射出成形されたことを特徴とする台座(100)。
【請求項2】
少なくとも2つの前記プラスチック障壁(3)を位置決めして接続するベース(5)をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の台座(100)。
【請求項3】
前記ベース(5)は、前記接続柱部と一体に設けられているか、別体に設けられていることを特徴とする請求項2に記載の台座(100)。
【請求項4】
前記ベース(5)は、前記プラスチック障壁(3)および前記接続柱部と共に、調整空間(51)を囲んでいることを特徴とする請求項3に記載の台座(100)。
【請求項5】
前記調整空間(51)は、垂直方向に密閉されていない柱状の空間であることを特徴とする請求項4に記載の台座(100)。
【請求項6】
前記台座(100)は4つの側辺を有し、前記プラスチック障壁(3)は3つであり、それぞれ3つの前記側辺に配置されてU字状になっていて、前記4つの側辺の残りの側辺が開放されていることを特徴とする請求項5に記載の台座(100)。
【請求項7】
前記ベース(5)は、前記3つのプラスチック障壁(3)が設けられない前記残りの側辺に取り付け空間(52)が形成されていることを特徴とする請求項6に記載の台座(100)。
【請求項8】
各2つの隣り合う前記プラスチック障壁(3)は、前記接続柱部を介して一体的に接続されており、平面移行成形されていることを特徴とする請求項7に記載の台座(100)。
【請求項9】
各2つの隣り合う前記プラスチック障壁(3)の間は一定の角度をなして配置されていることを特徴とする請求項8に記載の台座(100)。
【請求項10】
前記プラスチック障壁(3)には、前記フィレット(1b)に溶接された電気素子(4)が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の台座(100)。
【請求項11】
前記電気素子(4)は、ホール素子又はホールセンサを含む駆動集積回路素子であることを特徴とする請求項10に記載の台座(100)。
【請求項12】
各前記分岐(10)の前記ピン(1a)は、前記鉛直平面に垂直な水平平面に位置し、前記フィレット(1b)は、前記鉛直平面に位置していることを特徴とする請求項1に記載の台座(100)。
【請求項13】
前記ピン(1a)は、前記プラスチック障壁(3)のいずれか1つの外に位置していることを特徴とする請求項1に記載の台座(100)。
【請求項14】
請求項1~13のいずれか1項に記載の台座(100)を備えることを特徴とするボイスコイルモータ(1000)。
【請求項15】
前記ボイスコイルモータ(1000)は、潜望鏡型ボイスコイルモータであり、前記調整空間(51)に設けられている反射素子を備え、前記反射素子は、ミラー又はプリズムであることを特徴とする請求項14に記載のボイスコイルモータ(1000)。
【請求項16】
手ブレ防止機能を備えるボイスコイルモータであって、外部ケーシング(1001)と、載置ケーシング(1002)と、前記載置ケーシング(1002)に装着された手ブレ防止磁気素子(1003)と、オートフォーカス磁気素子(1003’)と、レンズ(1004)と前記レンズ(1004)を載置するホルダ(1005)とからなる可動モジュールと、請求項1~13のいずれか1項に記載の台座(100)とを備えることを特徴とするボイスコイルモータ(1000)。
【請求項17】
一つの素材ベルト上に、平行に間隔をあけて配列されたピン(1a)と、前記ピン(1a)と対向して設けられたフィレット(1b)と、前記ピン(1a)と前記フィレット(1b)とを接続する接続部(1c)とからなる複数の分岐(10)を含む複数の独立した金属回路(1)を形成する第1の工程と、
前記金属回路(1)に、鉛直平面に位置し且つ連続した軌跡に沿って間隔をあけて配列された少なくとも2つのプラスチック障壁(3)を射出成形し、前記接続部(1c)の一部を2つの隣り合う前記プラスチック障壁(3)の間に露出させる第2の工程と、
前記プラスチック障壁(3)にコイル(2)を溶接する第3の工程と、
前記接続部(1c)を、少なくとも2つの前記プラスチック障壁(3)が異なる鉛直平面に位置するように折り曲げて折り曲げ部(1d)を形成する第4の工程と、
前記折り曲げ部(1d)に、2つの隣り合う前記プラスチック障壁(3)を接続する接続柱部を二次射出成形して、第1の半製品を形成する第5の工程と、
前記第1の半製品に対応して素材ベルトをカットして、複数の独立した完全な台座(100)を形成する第6の工程と、
を含むことを特徴とする請求項1~13のいずれか一項に記載の台座(100)を製造する製造方法。
【請求項18】
第1の工程と第2の工程との間に、前記ピン(1a)を、前記ピンと前記フィレット(1b)とが異なる平面に位置するように折り曲げる第7の工程をさらに含み、前記第2の工程におけるプラスチック障壁(3)は3つであり、前記第5の工程は、前記3つのプラスチック障壁(3)を接続するベース(5)を二次射出成形することをさらに含むことを特徴とする請求項17に記載の台座を製造する製造方法。
【請求項19】
請求項17に記載の台座を製造する製造方法を含むことを特徴とするボイスコイルモータの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、出願日が2021年02月05日であり、出願番号が202110166191.9である中国特許出願の優先権を請求しており、そのすべての内容は援用により本出願に組み込まれる。
【0002】
本発明は、コイルが集積された台座、ボイスコイルモータ及びそれらの製造方法の技術分野に関し、特に電子機器分野用の台座、ボイスコイルモータ及びそれらの製造方法に関する。
【背景技術】
【0003】
従来のコイル付き台座及びボイスコイルモータは、通常、台座、台座内に射出成形された金属回線、金属回線に溶接された電気素子、巻き回わしによって形成されたコイル又は実装によって組み付けられたコイル、及びコイルと相互に作動する磁気構造等の駆動アセンブリを備える。一般的に、ボイスコイルモータの組立メーカーは、上記の基本的な部品を電気的に組み付ける必要があるが、通常、種々の部品のレイアウトや取り付けのニーズに合わせるように各部品をレイアウトすることは困難であり、また、一定の中継接続部品用の組付空間を予備する必要があり、例えば、ICやコイルを集積する必要とする可撓性回路基板(FPC:Flexible Printed circuit)の場合、垂直空間の少なくとも一部を予備する必要があるとともに、FPCにICやコイルを集積するための組合せ空間を設計する必要がある。
【0004】
具体的には、例えば、通常、可撓性回路基板(FPC:Flexible Printed circuit)の表面組立プロセスを用いて、コイルを可撓性回路基板に配置し、台座内の金属回路に溶接させて回線連通作用を達成するボイスコイルモータがある。例えば、公告番号CN209134273Uの実用新案特許は、射出成形品と可撓性回路基板(FPC)とを含むボイスコイルモータに適用される接続構造を開示している。前記射出成形品は、中空キャビティを形成するように周方向に順次接続された複数の側壁を有し、そのうち一つの前記側壁に前記中空キャビティに貫通する位置決めキャビティが開設され、前記可撓性回路基板FPCは前記位置決めキャビティを有する前記側壁に貼り付けられ、前記FPCにIC及びコイルが実装又は巻き回わしによって集積されて回路導通の作用を達成する。
【0005】
また、公開番号CN108989511Aの発明特許出願のように、電気素子を有するベース及びボイスコイルモータにおいて、前記電気素子がプラスチックの垂直面に集積され、続く実装されるコイルもプラスチックの垂直面に実装され、その後に表面実装技術(SMT:Surface Mount Technology)による実装を経る必要があり、また、SMTによる実装は、実装される面の側が開放的であることを要求するため、コイルの巻き回わしや実装は比較的困難であり、コイルの位置設計に対する要求は非常に高い。このため、垂直面に電気素子(IC:Integrated Circuit)やコイルを集積することは、自動化が難しく、煩雑な手動操作を必要とし、効率が低下し、品質安定性に劣る。一方、ICやコイルが水平面に位置する台座の上に集積されても、一つ一つの組み立てしかできず、組み立ての自動化効率が非常に低い。なお、現在市販されているSMT実装機器のすべては台座に対して、バッチ処理ではなく、枚ごとに処理を行うものである。
【0006】
以上の問題は従来のボイスコイルモータメーカーがボイスコイルモータを生産する場合に集中して発生し、この場合、部品を外注してから可撓性回路基板/ドームなどの素子に対して位置決め・組み付けを行う必要があるが、位置決め、加工及び組付工程が複雑であり、操作空間も限られ、部品の不良を引き起こしやすく、さらに全体のコストが過大になってしまう。それとともに、これらの外注部品を生産する際には、組み合わせる場合を考慮せず、組み合わせ空間設計の問題が無視されたため、ボイスコイルモータを設計する際に若干の取付部位を予備する必要があり、空間の無駄が生じ、製品の構造をコンパクト化及び小型化することができない。また、既存のコイルは一般的に独立したFPCに集積されることにより台座内の金属回路との集積を行う必要があるが、FPCは自体の厚さが薄くて脆く、コストがかなり高いので、FPCへコイルを巻き回わしたり、コイルを実装したりすることは困難で、不良を起こしやすく、なお、巻き回わし可能な巻数とコイルの厚さはFPCの厚さに影響され、さらにコイルの通電電流の大きさに影響を与え、回路の損失を増加させる。加えて、独立したFPCへコイルを巻きたり実装したりすると、FPCが柔軟であるため、電子機器が落下した際に、FPCに固定されたコイルを有するボイスコイルモータは、自体の集積強度が弱いため全体として故障しやすい。
【0007】
したがって、上記の欠点を克服するために、新たなコイル付き台座及びボイスコイルモータ並びにそれらの製造方法を提供する必要が確かにある。
【発明の概要】
【0008】
本発明の目的は、コイルが集積された台座、ボイスコイルモータ及びそれらの製造方法を提供することにある。
【0009】
本発明の目的は、以下の技術方案1、すなわち鉛直平面に位置し且つ連続した軌跡に沿って間隔をあけて配列された少なくとも2つのプラスチック障壁と、少なくとも2つの前記プラスチック障壁の内に埋設されており、前記プラスチック障壁の外に露出し且つ平行に間隔をあけて配列されたピンと、前記プラスチック障壁の側面に露出しているフィレットと、前記ピンと前記フィレットとを接続する接続部とからなる複数の分岐を含む金属回路と、前記金属回路に電気的に接続されたコイルとを備え、前記少なくとも2つのプラスチック障壁は一次射出成形によって成形され、前記コイルは前記フィレットに溶接され、前記接続部の一部は2つの隣り合う前記プラスチック障壁の間に露出しており、前記接続部は、前記少なくとも2つのプラスチック障壁が異なる平面に位置するように折り曲げられて折り曲げ部を形成し、前記折り曲げ部の外に、2つの隣り合う前記プラスチック障壁の間を接続する少なくとも一つの接続柱部が二次射出成形されたことを特徴とする台座によって達成される。
【0010】
さらに、少なくとも2つの前記プラスチック障壁を位置決めして接続するベースをさらに含む。
【0011】
さらに、前記ベースは、前記接続柱部と一体に設けられているか、別体に設けられている。
【0012】
さらに、前記ベースは、前記プラスチック障壁および前記接続柱部と共に、調整空間を囲んでいる。
【0013】
さらに、前記調整空間は、垂直方向に密閉されていない柱状の空間である。
【0014】
さらに、前記台座は4つの側辺を有し、前記プラスチック障壁は3つであり、それぞれ3つの前記側辺に配置されてU字状になっていて、前記4つの側辺の残りの側辺が開放されている。
【0015】
さらに、前記ベースは、前記3つのプラスチック障壁が設けられない前記残りの側辺に取り付け空間が形成されている。
【0016】
さらに、各2つの隣り合う前記プラスチック障壁は、前記接続柱部を介して一体的に接続されており、平面移行成形されている。
【0017】
さらに、各2つの隣り合う前記プラスチック障壁の間は一定の角度をなして配置されている。
【0018】
さらに、前記プラスチック障壁には、前記フィレットに溶接された電気素子が設けられている。
【0019】
さらに、前記電気素子は、ホール素子又はホールセンサを含む駆動集積回路素子である。
【0020】
さらに、各前記分岐の前記ピンは、前記鉛直平面に垂直な水平平面に位置し、前記フィレットは、前記鉛直平面に位置している。
【0021】
さらに、前記ピンは、前記プラスチック障壁のいずれか1つの外に位置している。
【0022】
本発明の目的は、以下の技術方案2、すなわち上記の台座を備えるボイスコイルモータによって達成される。
【0023】
さらに、前記ボイスコイルモータは、潜望鏡型ボイスコイルモータであり、前記調整空間に設けられている反射素子を備え、前記反射素子は、ミラー又はプリズムである。
【0024】
本発明の目的は、以下の技術方案3、すなわち手ブレ防止機能を備えるボイスコイルモータであって、外部ケーシングと、載置ケーシングと、前記載置ケーシングに装着された手ブレ防止磁気素子と、オートフォーカス磁気素子と、レンズと前記レンズを載置するホルダとからなる可動モジュールと、上記の台座とを備えるボイスコイルモータよって達成される。
【0025】
本発明の目的は、以下の技術方案4、すなわち、
一つの素材ベルト上に、平行に間隔をあけて配列されたピン1aと、前記ピン1aと対向して設けられたフィレット1bと、前記ピン1aと前記フィレット1bとを接続する接続部1cとからなる複数の分岐を含む複数の独立した金属回路を形成する第1の工程と、
前記金属回路に、鉛直平面に位置し且つ連続した軌跡に沿って間隔をあけて配列された少なくとも2つのプラスチック障壁を射出成形し、前記接続部の一部を2つの隣り合う前記プラスチック障壁の間に露出させる第2の工程と、
前記プラスチック障壁にコイルを溶接する第3の工程と、
前記接続部を、少なくとも2つの前記プラスチック障壁が異なる鉛直平面に位置するように折り曲げて折り曲げ部を形成する第4の工程と、
前記折り曲げ部に、2つの隣り合う前記プラスチック障壁を接続する接続柱部を二次射出成形して、第1の半製品を形成する第5の工程と、
前記第1の半製品に対応して素材ベルトをカットして、複数の独立した完全な台座を形成する第6の工程とを含む上記の台座を製造する製造方法によって達成される。
【0026】
さらに、第1の工程と第2の工程との間にある第7の工程において、前記ピンを、前記ピンと前記フィレットとが異なる平面に位置するように折り曲げ、前記第2の工程におけるプラスチック障壁は3つであり、前記第5の工程は、前記3つのプラスチック障壁を接続するベースを二次射出成形することをさらに含む。
【0027】
本発明の目的は、以下の技術方案5、すなわち上記の台座を製造する製造方法を含むボイスコイルモータの製造方法によって達成される。
【0028】
本発明に係るコイルが集積された台座によれば、台座に金属回路が設けられ、且つ磁気素子と相互作用するコイルが集積されており、水平面に設けられている金属回路は複数の分岐を有し、前記金属回路に少なくとも2つのプラスチック障壁が間隔をあけて射出成形され、少なくとも2つのプラスチック障壁の間における分岐の接続部が、少なくとも2つのプラスチック障壁が異なる鉛直平面に位置するように折り曲げられ、さらに前記接続部に、前記少なくとも2つのプラスチック障壁を接続するベースが二次射出成形され、また、通常ベースは水平面に位置し、少なくとも2つのプラスチック障壁はベースに垂直な2つの鉛直平面に位置していることによって、立体構造の台座が実現される。可撓性回路基板を別に実装する必要がなくなり、組立コストの低減、歩留まりの向上を実現する。同時に、コイルや電子製品の垂直実装ができないという技術的問題が解決され、ボイスコイルモータの設計の自由度を向上させるのに役立つ。また、コイル及び電気素子がいずれもプラスチック障壁上に集積されているので、製品の構造がよりコンパクト化・小型化になる。電子機器の落下時に、コイルが付いたボビンが柔らかすぎて故障することもない。また、台座は、同一平面上に2つのプラスチック障壁を射出成形することで、一つの素材ベルト上に複数の台座を製造することができ、量産化、自動化が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】本発明の手ブレ防止機能を備えるボール型ボイスコイルモータの分解斜視図である。
【
図5】本発明の一次射出成形・折り曲げ後、二次射出成形前の台座の斜視模式図である。
【
図7】一次射出成形後、折り曲げ前の台座の斜視模式図である。
【
図9】
図7におけるコイルの異なる組付方式の別の実施態様である。
【
図10】折り曲げ後の金属回路のピンの斜視模式図である。
【
図11】折り曲げ前の金属回路のピンの斜視模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本発明の説明において、「上」、「下」、「内」、「外」などの用語が指示する方位又は位置関係は、図面に示す方位又は位置関係に基づくものであり、本発明の説明の明確化及び簡略化のためだけのものであり、示される装置又は部材が特定の方位を持ち、特定の方位で構成され操作されなければならないことを指示又は暗示するものではなく、したがって、本発明の制限として解釈されるべきではない。
【0031】
なお、本発明の説明において、特に明確な規定及び限定がない限り、「接続」という用語は、広義な意味で理解すべき、当業者が、状況に応じて上記の用語の本発明における具体的な意味を理解することができる。
【0032】
従来技術において、通常ボイスコイルモータにおけるコイルおよび電気素子はいずれも可撓性回路基板(FPC)上にまたは垂直平面の内に集積され、鉛直平面内にコイル又は電気素子を巻き回わすか、又は実装する必要があり、操作空間が限られ、位置決め・集積が非常に困難であり、且つ単一の台座と単一のコイル又は電気素子だけに対して加工や集積を行うので、集積効率が低く、自動化量産のコストの低減及び効率の向上に不利であり、これに対して、本発明では、まず、金属回路1と同一の平面に位置している水平面に、3つのプラスチック障壁3を間隔をあけて射出成形し、次に電気素子4及びコイル2を前記プラスチック障壁3に電気的に組み付け又は実装し、次に3つのプラスチック障壁3の間に位置している金属回路1の一部を、3つのプラスチック障壁3が異なる鉛直平面に位置するように折り曲げ、さらに二次射出成形を行って3つのプラスチック障壁3の水平面を接続するベース5を形成することにより、ボイスコイルモータにおけるコイル2と電気素子4を水平面に垂直な鉛直平面にあるプラスチック障壁3に集積させ、このように、射出成形が完了した後に可撓性回路基板(FPC)及びコイルの再組付けや実装を行う必要とせず、組立コストの低減、歩留まりの向上が実現され、なお、電気実装は、実装表面に対して垂直な空間が垂直的に開放されている場合に適用されるさえ、実装に有利であるが、垂直方向に間隔をあけて平行している2つの実装面が存在すると、実装による電気的組み立てに有利ではなく、手動作業のみを採用せざるを得ない点から、巻かれた空芯コイル2及び電気素子4の垂直実装は困難であるという技術的問題も解決され、ボイスコイルモータ1000の内部空間設計の自由度を向上させるのに役立ち、ボイスコイルモータ製品の内部構造もよりコンパクトで且つ小型化される。以下、
図1~
図11を参照しながら、本発明の台座100及び前記台座100を備えるボイスコイルモータ1000並びにそれらの製造方法について説明する。
【0033】
ボイスコイルモータはカメラのフォーカシングや手ブレ防止に使われる重要な構成部分である。ボイスコイルモータの主な原理は、永久磁場内でモータ内のコイルの直流電流の大きさを変化させることにより、ばね片の引張位置を制御し、レンズを上下に動かすことである。携帯電話のカメラには、ボイスコイルモータによるオートフォーカス機能が広く使われていて、ボイスコイルモータでレンズの位置を調節して鮮明な画像を呈することができる。
【0034】
従来のオートフォーカス(AF:Auto Focusing)開ループボイスコイルモータによる駆動では、合焦時に移動する必要があるストロークを知ることができず、全ストロークをとる必要があり、コントラストなどのようなパラメータとして要件を満足し、電流に記録し、ボイスコイルモータのコイルへ電流を再供給して焦点合わせを行う。閉ループボイスコイルモータは内部の駆動ICに、ホールセンサが載置されていて、該センサは位置センサの一種であり、磁界中の磁束量(ガウス値)を測定して、さらに物体の位置を判断することができ、閉ループボイスコイルモータはこのセンサを利用して電流を検出する機能を導入し、すなわち負帰還の閉ループ制御を追加することにより、レンズの移動毎により正確にすることができ、換言すれば、レンズが往復移動する回数を減少することができ、焦点合わせ速度を向上させる。開ループボイスコイルモータの線形性は、コイル及びオートフォーカス磁気素子の異なるストロークにおける磁気推力の大きさの変化及び弾性片の非線形性による変化によって決まり、これに対して、閉ループボイスコイルモータは、完全にホールセンサ及びホール磁気素子の配置と駆動ICの線形性補償によって決まる。閉ループボイスコイルモータは発振を制御するために、制振性接着剤を塗布することにより可動モジュールが位置に到達した場合に安定への収束時間を減少させ、また、閉ループボイスコイルモータの位置は電流に依存せず、ホールセンサとホール磁気素子の位置に依存しているため、姿勢差が大幅に減少され、また、駆動ICはモータを書き込む時、ホール値とコードを利用して線形性補償計算を行い、線形性を大幅に最適化することができる。開ループボイスコイルモータの利点はオートフォーカスが実現され、且つ中国の技術が成熟して安定し、人件費や材料コストが低いことであり、その欠点は焦点合わせに時間がかかり、位置決め点が正確でなく、且つビデオのブリージング効果を有することである。前記閉ループボイスコイルモータの利点は焦点合わせ速度が速く且つ焦点合わせ精度が高く、その欠点は中国の技術があまり成熟せず、生産の難しさが高くコストが高く、且つ高周波で異音が発生しやすいことである。前記光学手ブレ防止ボイスコイルモータの利点は手ブレ防止機能を備え、画像が鮮明で、ノイズが低減され、暗い環境での撮影品質が向上することであり、その欠点は中国の技術があまり成熟せず、製造プロセスがかなり複雑で、且つコストが比較的高いことである。
【0035】
本発明は、ボイスコイルモータ(VCM:Voice Coil Motor)1000に関するものであり、このボイスコイルモータの形態は、スイッチボイスコイルモータ、閉ループボイスコイルモータ、ボール型ボイスコイルモータ又は潜望鏡型ボイスコイルモータ等のタイプから選択することができる。本発明では、主に水平面における少なくとも2つの方向に駆動するボイスコイルモータが適用される。本発明を実施するための形態では、3つの障壁が設けられているので、具体的に、水平面におけるX軸方向、Y軸方向及び鉛直平面におけるZ軸方向に移動するボイスコイルモータ1000が駆動するシーンに適用される。本発明は、潜望鏡型ボイスコイルモータ1000、または手ブレ防止機能を備えるボール型ボイスコイルモータ1000に関する。本発明では、手ブレ防止機能を備えるボイスコイルモータ1000を例にとる。
【0036】
図1に示すように、前記ボイスコイルモータ1000は、外部ケーシング1001と、載置ケーシング1002と、前記載置ケーシング1002に装着された一対の手ブレ防止磁気素子1003およびオートフォーカス磁気素子1003’と、可動モジュール(レンズ1004、前記レンズ1004を載置するホルダ1005)と、前記手ブレ防止磁気素子1003および前記オートフォーカス磁気素子1003’と相互作用するコイル2が集積された台座100とを備える。前記手ブレ防止磁気素子1003、前記オートフォーカス磁気素子1003’、前記レンズ1004、および前記レンズ1004を載置するホルダ1005は、可動モジュールと呼ばれる。本発明では、台座100にコイル2を集積して、可動モジュールとともに各方向(X軸、Y軸およびZ軸)の動きを実現することにより、ボイスコイルモータ1000の各種機能が実現される。具体的には、本発明に係るボイスコイルモータのタイプは具体的に潜望鏡型ボイスコイルモータであってもよく、潜望鏡型ボイスコイルモータでは、前記可動モジュールが具体的に直線運動駆動対象または手ブレ防止処理対象であるプリズムまたはミラーを含んでもよい。
【0037】
図1~
図11を参照すると、前記手ブレ防止機能を備えるボイスコイルモータ1000は、一対の手ブレ防止磁気素子1003を備え、この手ブレ防止磁気素子1003に合わせて、台座100に集積された駆動コイル2をさらに設け、台座100に集積された駆動コイル2により手ブレ防止磁気素子1003とオートフォーカス磁気素子1003’を駆動してボイスコイルモータの手ブレ防止機能と周方向(X軸、Y軸、Z軸)の動きを実現する。本発明は以下に
図1~
図9を参照しながら具体的に説明する。
【0038】
前記外部ケーシング1001はボイスコイルモータ1000の外部物理構造を固定したり、取り付けたり、保護したりするためのものであり、通常は金属材で製作される。レンズ1004は、後述する調整空間51に取り付けられて、レンズの水平方向(X軸およびY軸)または垂直方向(Z軸)の移動を実現し、合焦および手ブレ防止制御を実現するためのものである。手ブレ防止磁気素子1003及びオートフォーカス磁気素子1003’は、磁界を発生するものであり、通常、コイル2と相互作用してレンズを移動駆動するような駆動及び手ブレ防止調節効果を奏する。コイル2は通電されると駆動トルクを発生し、手ブレ防止磁気素子1003およびオートフォーカス磁気素子1003’が発生する磁界と協働して前記レンズ1004を移動調節する。ホルダ1005は、レンズ1004を装着して載置するためのものである。台座100は、これらの各部材を固定するとともに、コイル2やホルダ1005に取り付けられたフォーカスコイルに電力を供給する回路を提供するためのものである。従来技術では、レンズ1004を載置する前記ホルダ1005には、ホルダ1005の外周に巻かれた空芯コイルを有し、さらに手ブレ防止磁気素子1003およびオートフォーカス磁気素子1003’と相互作用してレンズを調節する。本発明では、レンズ1004を載置するホルダ1005にコイル2を設けることなく、コイル2を台座100に集積する。同時に、本発明における手ブレ防止磁気素子1003及びオートフォーカス磁気素子1003’は、コイル2と相互作用して水平方向(X軸及びY軸)及び鉛直方向(Z軸)の移動を実現することができる。
【0039】
図1~
図11を参照すると、本発明は、上述したボイスコイルモータ1000に適用可能な台座100に関し、この台座100は、ボイスコイルモータ1000の合焦機能及び手ブレ防止機能に合わせて、少なくとも2つの鉛直平面にあるプラスチック障壁3を対応して備え、前記プラスチック障壁3には、合焦機能及び手ブレ防止機能を実現するコイル2が設けられている。本発明は、同一平面に一次射出成形によって少なくとも2つのプラスチック障壁3を一括して成形することを容易にするために、離間したプラスチック障壁3を個別に成形よるようにし、次に、少なくとも2つのプラスチック障壁3の間に露出している金属回路1に対して、3つのプラスチック障壁3が少なくとも2つの鉛直平面内に位置決められるように折り曲げを行い、さらに、少なくとも2つの前記プラスチック障壁3の間に、前記少なくとも2つのプラスチック障壁3を位置決めて接続するベース5を二次射出成形し、前記プラスチック障壁3には、ボイスコイルモータの手ブレ防止磁気素子1003およびオートフォーカス磁気素子1003’の位置および磁気駆動要求に応じて、少なくとも誘導機能を備える電気素子4およびコイル2を設け、前記電気素子4およびコイル2と金属回路1との溶接は、一次射出成形の後に同一平面内で一括して行うことができ、さらに言えば、同一平面内で3つのプラスチック障壁を自動的に一括して成形し、次に該同一平面内に電気素子4およびコイル2との自動化溶接を実現することができ、このようにして、射出成形の位置決めクランプに有利であるだけでなく、電気素子4とコイル2の溶接歩留まりにも有利であり、ボイスコイルモータ1000の台座100の成形・組立効率及び歩留まりを高め、自動化製造の生産効率を向上させるのに有利である。集積された電気素子4は、焦点合わせに対する閉ループ制御機能を実現することができ、集積された対応するコイル2は、対応する手ブレ防止磁気素子1003及びオートフォーカス磁気素子1003’と協働して、合焦駆動及び手ブレ防止駆動を実現することができる。前記電気素子4の数は限られず、電気素子4の数は、ボイスコイルモータにおける集積する誘導の具体的な数に応じて決まることができる。前記コイル2の数は、手ブレ防止磁気素子1003及びオートフォーカス磁気素子1003’に合わせて作用するために少なくとも3つが必要である。前記コイルの形態は、巻線型の中空コイルやチップ型のフレキシブル回路コイル(FP Coil)等を採用してもよく、本発明では、具体的なコイルの形態を限定しないが、本発明の最も好ましい形態ではチップ型のフレキシブル回路コイル2または巻線型コイル2’を採用する。本発明では、3つのプラスチック障壁3が設けられる。
【0040】
前記台座100は、鉛直的に間隔をあけて配置された3つのプラスチック障壁3と、前記プラスチック障壁3に埋設された金属回路1と、前記金属回路1に電気的に接続されたコイル2と、前記金属回路1に溶接された電気素子4と、前記プラスチック障壁3を位置決めて接続するベース5とを含む。前記金属回路1は、前記プラスチック障壁3の外に露出し且つ平行に間隔をあけて配列されたピン1aと、前記プラスチック障壁3の側面に露出しているフィレット1bと、前記ピン1aと前記フィレット1bとを接続する接続部1cとからなる複数の分岐10を含み、前記プラスチック障壁3は、一次射出成形によって前記金属回路1にオーバーモールドされたものであり、前記コイル2は、前記プラスチック障壁3に設けられ、各前記プラスチック障壁3の間には、前記接続部1cの一部が露出され、前記露出された接続部1cの一部は、前記3つのプラスチック障壁3が水平面に垂直な異なる鉛直平面に位置するように折り曲げられて折り曲げ部1dを形成し、前記折り曲げ部1dは、前記プラスチック障壁3の外に位置し、二次射出成形によって、前記3つのプラスチック障壁3を接続する前記ベース5の内に形成された。この過程で、2つの隣り合う前記プラスチック障壁3の間を接続する第1の接続柱部531及び第2の接続柱部532からなる接続柱部が成形された。前記ベース5は、前記接続柱部531/532と一体に設けられているか、別体に設けられている。少なくとも2つのプラスチック障壁3を成形する度に、少なくとも1つの接続柱部を成形すればよい。
【0041】
図2~
図11を参照すると、前記台座100には、対向して設けられた第1の側辺101と第2の側辺102、および前記第1の側辺101と第2の側辺102を接続する第3の側辺103と第4の側辺104とが設けられている。
【0042】
前記3つのプラスチック障壁3は、前記第3の側辺103に鉛直的に配置された第1のプラスチック障壁31と、第1の側辺101に位置している第2のプラスチック障壁32と、前記第4の側辺104に位置している第3のプラスチック障壁33とを含む。前記第1のプラスチック障壁31、第2のプラスチック障壁32及び第3のプラスチック障壁33は、離間して設けられ、前記金属回路1の一部を介して一体に接続されている。各2つの隣り合う前記プラスチック障壁3の間は一定の角度をなして配置されている。本発明では、2つの隣り合う前記プラスチック障壁3同士は垂直に配置されて、前記手ブレ防止磁気素子1003およびオートフォーカス磁気素子1003’によって駆動される前記レンズ1004(もちろん、潜望鏡型ボイスコイルモータでは、前記レンズ1004はプリズムであってもよい)を取り付けるための中空の調整空間51を囲んで形成し、3つのプラスチック障壁3におけるコイル2が手ブレ防止磁気素子1003およびオートフォーカス磁気素子1003’とそれぞれ相互作用して、前記レンズ1004の位置を調節することにより、ボイスコイルモータ1000の駆動要求が満たされる。前記調整空間51は、断面矩形であり、前記第1の側辺101、第2の側辺102、第3の側辺103及び第4の側辺104に対応して囲まれている。前記調整空間51は、垂直方向に密閉されていない柱状の空間である。ここでの調整空間51は、中空に設けられており、すなわち前記ベース5が前記3つのプラスチック障壁3の直下に配置されていなく、これは前記レンズ1004の調整空間51を十分に大きくして、調整空間51内の部品の垂直方向の移動が底部のベース5によって制限されないようにするからである。前記ベース5は、前記3つのプラスチック障壁3が設けられない側辺が開放的であり、取り付け空間52が形成されており、水平面に他の部品を配置するための空間を確保しやすく、他の部品の水平方向の移動が側面のベース5によって制限されないようにする。具体的には、前記ベース5は、前記第2の側辺102に第3の部分56を設けることにより、ボイスコイルモータ1000における他の部材、例えば、感光素子、レンズ付きカメラなどを取り付けるための前記取り付け空間52を形成する。ここでの取り付け空間52は、載置する他の部材の構造に適合するために非中空状態を選択してもよく、また、方向調整の必要もない。
【0043】
前記ベース5は、前記第1のプラスチック障壁31と前記第2のプラスチック障壁32との間に接合された第1の部分54、前記第2のプラスチック障壁32と第3のプラスチック障壁33との間に接合された第2の部分55、および第1のプラスチック障壁31と前記第3のプラスチック障壁33との間に接合された前記第3の部分56を含む。前記第1の部分54、第2の部分55並びに前記第3の部分56は、これら3つのプラスチック障壁3と共に、前記取り付け空間52を囲んで形成する。本実施態様において、台座100は、3つのコイル2を載置するための3つのプラスチック障壁3を有し、他の実施態様では、より多くのコイル2を載置するために台座100の4つの側辺のすべてにプラスチック障壁3を設けるか、またはより多くの方向のレンズ駆動を実行するために、より多くの側辺を台座100に設けてより多くのプラスチック障壁3を対応して形成しても良い。対応する前記ベース5は、隣り合うプラスチック障壁3の間における金属回路の部分の固定および密封を達成するために、少なくとも隣り合うプラスチック障壁3の間を接続する部分が設けられる。
【0044】
本発明において、前記金属回路1は、12個の分岐10を含み、それぞれ平行に間隔をあけて配列された第1の分岐11、第2の分岐12、第3の分岐13、第4の分岐14、第5の分岐15、第6の分岐16、第7の分岐17、第8の分岐18、第9の分岐19、第10の分岐110、第11の分岐111及び第12の分岐112である。各前記分岐10は、前記第3の側辺103に平行に間隔をあけて配列された前記ピン1aと、前記ピン1aとは異なる平面にある前記フィレット1bと、前記ピン1aと前記フィレット1bとの間を接続する接続部1cとを含む。前記ピン1aは第1の平面P1に位置し、前記フィレット1bは第2の平面P2に位置している。各前記分岐10の前記ピン1aは、前記鉛直平面に垂直な水平平面に位置し、前記フィレット1bは、前記鉛直平面に位置している。本発明において、前記接続部1cの部分は、隣り合う前記プラスチック障壁3の間に露出し、前記接続部1cの露出された部分には、3つの前記プラスチック障壁3が異なる鉛直平面に分布するように折り曲げ部1dが設けられている。そこで、本発明では、前記3つのプラスチック障壁3のうち隣り合う2つの間に前記折り曲げ部1dが2箇所形成され、具体的には、前記第1のプラスチック障壁31と前記第2のプラスチック障壁32との間に第1の折り曲げ部1d1が形成され、前記第2のプラスチック障壁32と前記第3のプラスチック障壁33との間に第2の折り曲げ部1d2が形成されている。前記金属回路1には、前記第1の折り曲げ部1d1を形成するところに8つの前記分岐10が接続されており、すなわち、ここに、8つの分岐10の前記接続部1cが折り曲げられて前記第1の折り曲げ部1d1が形成されている。前記金属回路1には、前記第2の折り曲げ部1d2を形成するところに2つの前記分岐10が接続されており、すなわち、ここに、2つの分岐10の前記接続部1cが折り曲げられて前記第2の折り曲げ部1d2が形成されている。他の実施態様では、前記分岐10の数は、配置する電気素子4及びコイル2の数に応じて調整して設定してもよいが、折り曲げ部1に関する折り曲げられる分岐10の数は、前記ピン1aに対する位置によって変化し、具体的には、前記ピン1aの位置から遠い折り曲げ部1ほど分岐10の数が少なくなる。前記第1の折り曲げ部1d1及び前記第2の折り曲げ部1d2は、前記プラスチック障壁3の外、かつ前記ベース5の内に位置している。前記第1の折り曲げ部1d1及び前記第2の折り曲げ部1d2は、前記第1の接続柱部531及び前記第2の接続柱部532にそれぞれ埋設されている。各2つの隣り合うプラスチック障壁3は、前記第1の接続柱部531および前記第2の接続柱部532を介して一体的に接続され、平面移行成形される。
【0045】
本発明において、各前記分岐10の前記ピン1aと前記フィレット1bとは異なる平面に位置している。前記第1のプラスチック障壁31は、鉛直的に配置された鉛直部311と、前記鉛直部311に垂直的に配置された、つまり水平に配置された折り曲げ延出部312とを含む。前記ピン1aは、前記折り曲げ延出部312から突出して、前記折り曲げ延出部312の位置に湾曲部1eを形成し、前記ピン1aは、第1の平面P1に位置し、前記フィレット1bは、前記第1のプラスチック障壁31の鉛直部311、第2のプラスチック障壁32、および第3のプラスチック障壁33に位置している。前記鉛直部311、第2のプラスチック障壁32、および第3のプラスチック障壁33は、いずれも前記折り曲げ延出部312と面一にならないので、各前記分岐10の前記ピン1aは、前記フィレット1bとは異なる平面に位置している。本発明において、前記ピン1aは、3つの前記プラスチック障壁3のいずれかの外に位置し、具体的に、前記ピン1aは、前記第1のプラスチック障壁31の外または第3のプラスチック障壁33の外に位置している。
【0046】
前記プラスチック障壁3には、前記フィレット1bに溶接された前記電気素子4が溶接保持されている。前記プラスチック障壁3には、前記電気素子4が金属回路1に溶接されるように前記電気素子4を収容するための溶接凹溝(符号を付さず)が前記分岐1bに対応して設けられている。前記電気素子4はホール素子である。
【0047】
本発明において、前記コイル2と電気素子4は共に鉛直平面にある第1のプラスチック障壁31、第2のプラスチック障壁32及び第3のプラスチック障壁33に位置し、第1のプラスチック障壁31、第2のプラスチック障壁32及び第3のプラスチック障壁33は前記ベース5に近い内側面及び前記ベース5から遠い外側面を有する。前記コイル2および電気素子4は、少なくとも前記内側面および外側面のいずれか一方に位置し、すなわち、前記コイル2は、前記内側面または外側面に位置していてもよく、あるいは、前記コイル2は、前記内側面および外側面の両方に位置している複数個が設けられていてもよい。前記電気素子4の配置も同様である。
【0048】
図7及び
図8を参照すると、本発明の第1の実施態様において、前記コイル2を前記プラスチック障壁3に保持する方式は、プラスチック障壁3上にコイル2の巻き回わしがなされること、SMT(Surface Mount Technology)方式でチップ型のコイルを実装することから選択できる。本実施形態において、前記コイル2は、SMT(Surface Mount Technology)方式で前記プラスチック障壁3に実装され、前記金属回路1に電気的に接続されている。前記台座100は、前記コイル2を落下させないように保持するために、前記コイル2の外に位置している接着シート6をさらに含む。
図9を参照すると、前記コイル2は、巻線型コイル2’及びチップ型コイル2であり、具体的に、前記第1のプラスチック障壁31及び第3のプラスチック障壁33に巻線型コイル2’が設けられ、第2のプラスチック障壁32にチップ型コイル2が設けられている。前記第1のプラスチック障壁31及び第3のプラスチック障壁33には、いずれも一対のボビン34が設けられており、前記巻線型コイル2’は、前記一対のボビン34に巻かれていることにより保持されている。前記巻線型コイル2は、さらに、前記プラスチック障壁3に露出している金属回路1の一部と溶接されたリード端子(図示せず)を有する。他の実施態様において、巻線型コイル2’とチップ型コイル2は、必要に応じて選択することができ、ここで制限しない。
【0049】
また、本発明は、コイル付き台座100を製造する製造方法に関し、具体的に、以下の工程を含む。
【0050】
一つの素材ベルト上に、間隔をあけて配置された複数の独立した金属回路1を成形し、前記金属回路1は、平行に間隔をあけて配列されたピン1aと、前記ピン1aと対向して設けられたフィレット1bと、前記ピン1aと前記フィレット1bとを接続する接続部1cとからなる複数の分岐10を含む。
【0051】
前記金属回路1に、第1のプラスチック障壁31、第2のプラスチック障壁32及び第3のプラスチック障壁33である3つのプラスチック障壁3を間隔をあけて射出成形し、前記接続部1cの一部を2つの隣り合う前記プラスチック障壁3の間に露出させ、すなわち前記接続部1cの一部を第1のプラスチック障壁31と第2のプラスチック障壁32の間及び前記第2のプラスチック障壁32と第3のプラスチック障壁33の間に露出させる。
【0052】
各前記プラスチック障壁3に、金属回路1に電気的に接続された電気素子4及びコイル2を設け、前記コイル2は巻き回しの後の溶接又はSMTによる実装により金属回路のフィレット1bに電気的に接続され、前記電気素子4は前記金属回路1のフィレット1bにリフロー溶接により溶接された。
【0053】
前記接続部1cを、これら3つのプラスチック障壁3が異なる鉛直平面に位置するように、前記金属回路1の分岐10の延在方向に垂直的に折り曲げて折り曲げ部1dを形成し、前記3つの異なる鉛直平面はすべて同一平面に垂直し、このとき前記第1のプラスチック障壁31と前記第2のプラスチック障壁32との間に8つの分岐10を折り曲げて第1の折り曲げ部1d1を形成し、前記第2のプラスチック障壁32と前記第3のプラスチック障壁33との間に2つの分岐10を折り曲げて第2の折り曲げ部1d2を形成する。
【0054】
前記第1のプラスチック障壁31の外に位置するピン1aを折り曲げて、前記ピン1aと前記フィレット1bを異なる平面に位置させ、この工程は、前記プラスチック障壁3が射出成形されていないときに完成されてもよく、すなわち、金属回路1を形成するときに、ピン1aの折り曲げを折り曲げてもよく、ここで制限しない。
【0055】
前記第1の折り曲げ部1d1及び第2の折り曲げ部1d2に、3つの前記プラスチック障壁3を接続するベース5を二次射出成形して、2つの互いに隣り合うプラスチック障壁3を一体に接続して平面移行成形を経由して台座100の第1の半製品を形成する。
【0056】
前記第1の半製品に対応して素材ベルトをカットして、複数の独立した完全な台座100を形成する。
【0057】
本発明では、2回の射出成形によって、コイル2及び電気素子4を同一平面にある3つのプラスチック障壁3に設置し、次に前記3つのプラスチック障壁3を接続する金属回路1を折り曲げて、3つのプラスチック障壁3を異なる平面に位置し鉛直的に配置された状態にし、さらに二次射出成形によって前記3つのプラスチック障壁3を接続するベース5を形成して立体構造の台座100を形成することにより、可撓性回路基板(FPC)及びフレキシブルコイルの垂直平面内又は密閉実装空間内の実装を行う必要がなく、組立コストの低減、歩留まりの向上を実現する。同時に、コイルや電子製品の垂直実装ができないという技術的問題が解決され、ボイスコイルモータの設計の自由度を向上させるのに役立つ。また、コイル2及び電気素子4がいずれもプラスチック障壁3上に集積されているので、製品の構造がよりコンパクト化・小型化になる。また、台座100は、同一平面上に3つのプラスチック障壁を射出成形することから、一つの素材ベルト上に複数の台座100を製造することができ、量産化、自動化が可能となる。前記ボイスコイルモータ1000の製造方法は、前記台座100の製造方法を含み、同様の効果を持たせる。
【0058】
他の実施態様において、磁気素子1003および磁気素子1003’は、いずれも手ブレ防止磁気素子であってもよく、これにより台座100に集積された駆動コイル2によって異なる向きの駆動の手ブレ防止が達成され、または、いずれもオートフォーカス磁気素子であってもよく、これにより台座100に集積された駆動コイル2によってより強い動力での駆動が実現される。
【0059】
最後に、以上の実施形態は、本発明の技術方案を説明するためのものに過ぎず、それを制限するものではなく、上記の実施形態を参照して本発明を詳細に説明しているが、当業者であれば、上記の実施形態に記載された技術方案を修正することや、それらの技術的特徴の一部または全部を同等に置き換えることも依然として可能であり、これらの修正または置換は、対応する技術方案の本質を本発明の実施形態の技術方案の範囲から逸脱させるものではないことを理解すべきである。
【0060】
以上に述べたのは、本発明の一部の実施態様に過ぎず、すべての実施態様ではなく、当業者が本発明の明細書を読むことによって本発明の技術方案に対して行ういかなる同等の変更は、いずれも本発明の特許請求の範囲に含まれる。
【国際調査報告】