(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-21
(54)【発明の名称】電池、電池のセパレータ、及びセパレータの製造方法
(51)【国際特許分類】
H01M 50/449 20210101AFI20240514BHJP
H01M 50/44 20210101ALI20240514BHJP
H01M 50/429 20210101ALI20240514BHJP
H01M 50/423 20210101ALI20240514BHJP
H01M 50/414 20210101ALI20240514BHJP
H01M 50/403 20210101ALI20240514BHJP
H01M 50/406 20210101ALI20240514BHJP
H01M 50/42 20210101ALI20240514BHJP
H01M 50/411 20210101ALI20240514BHJP
H01M 50/489 20210101ALI20240514BHJP
【FI】
H01M50/449
H01M50/44
H01M50/429
H01M50/423
H01M50/414
H01M50/403 D
H01M50/406
H01M50/403 C
H01M50/42
H01M50/411
H01M50/489
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023573579
(86)(22)【出願日】2022-02-21
(85)【翻訳文提出日】2023-11-28
(86)【国際出願番号】 CN2022077087
(87)【国際公開番号】W WO2023155190
(87)【国際公開日】2023-08-24
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518279484
【氏名又は名称】シェンチェン シニア テクノロジー マテリアル カンパニー リミテッド
(71)【出願人】
【識別番号】523449056
【氏名又は名称】シニア マテリアル (ヨーロッパ) アクチエボラグ
【氏名又は名称原語表記】SENIOR MATERIAL (EUROPE) AB
【住所又は居所原語表記】Svista Lagervag 8, Eskilstuna, Sweden
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ワン イェンチエ
(72)【発明者】
【氏名】チェン ツォーリン
(72)【発明者】
【氏名】リン ルーチン
(72)【発明者】
【氏名】シェン チエンチアン
(72)【発明者】
【氏名】チェン シウフォン
【テーマコード(参考)】
5H021
【Fターム(参考)】
5H021BB01
5H021BB04
5H021BB11
5H021BB12
5H021BB13
5H021CC01
5H021EE01
5H021EE02
5H021EE06
5H021EE07
5H021EE11
5H021EE17
5H021EE32
5H021HH03
5H021HH10
(57)【要約】
本発明は、電池、電池のセパレータ、及びセパレータの製造方法を提供し、電池のセパレータは、ベースフィルムと、前記ベースフィルムに設けられた塗布層構造と、を備え、前記塗布層構造には複数層の材料層が含まれ、各層の材料層にはいずれも一次元ナノ材料が含まれ、かつ前記ベースフィルムから離れた方向に沿って、各層の材料層における一次元ナノ材料の平均長さが層ごとに短縮する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池のセパレータであって、ベースフィルムと、前記ベースフィルムに設けられた塗布層構造と、を備え、前記塗布層構造には複数層の材料層が含まれ、各層の材料層にはいずれも一次元ナノ材料が含まれ、かつ前記ベースフィルムから離れた方向に沿って、各層の材料層における一次元ナノ材料の平均長さが層ごとに短縮する、ことを特徴とする電池のセパレータ。
【請求項2】
前記塗布層構造における一次元ナノ材料については、5≧L50/L10≧1.3、且つ4≧L90/L50≧1.3が満たされ、
前記L10は、10%を第1の目標割合とする場合の前記塗布層構造における一次元ナノ材料の長さ記述値を示し、
前記L50は、50%を第1の目標割合とする場合の前記塗布層構造における一次元ナノ材料の長さ記述値を示し、
前記L90は、90%を第1の目標割合とする場合の前記塗布層構造における一次元ナノ材料の長さ記述値を示し、
前記塗布層構造における一次元ナノ材料の長さ記述値は、前記塗布層構造における一次元ナノ材料の数を長さの短い順に逐次積算するとき、積算して得られた数と前記塗布層構造における一次元ナノ材料の合計数との比値が前記第1の目標割合に達した場合に対応する一次元ナノ材料の長さを示す、ことを特徴とする請求項1に記載のセパレータ。
【請求項3】
前記塗布層構造における一次元ナノ材料のL10の長さ値は、100nm~300nmであり、
前記塗布層構造における一次元ナノ材料のL50の長さ値は、250nm~400nmであり、
前記塗布層構造における一次元ナノ材料のL90の長さ値は、350nm~900nmである、ことを特徴とする請求項2に記載のセパレータ。
【請求項4】
異なる材料層の一次元ナノ材料は、同一の第2の目標割合に対して、異なる長さ記述値を形成し、
前記材料層における一次元ナノ材料の長さ記述値は、
対応する材料層における一次元ナノ材料の数を長さの短い順に逐次積算するとき、積算して得られた数と対応する材料層における一次元ナノ材料の合計数との比値が前記第2の目標割合に達した場合に対応する一次元ナノ材料の長さを示し、前記第2の目標割合が50%ではなく、
各層の材料層の一次元ナノ材料の長さ記述値は、同一の第2の目標割合に対して、前記ベースフィルムから離れた方向に沿って順次減少し、
さらに、前記第2の目標割合は、5%~40%の区間範囲にあるか、又は、60%~99%の区間範囲にあるようにする、ことを特徴とする請求項1に記載のセパレータ。
【請求項5】
前記一次元ナノ材料は、ナノセルロース、アラミドナノ繊維、ポリイミドナノ繊維の少なくとも1つを含む、ことを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載のセパレータ。
【請求項6】
隣接する第1の材料層と第2の材料層の中では、前記第1の材料層の一次元ナノ材料の隙間が前記第2の材料層の一次元ナノ材料によって部分的又は完全に充填されており、前記第1の材料層は、前記第2の材料層のベースフィルムに向く側に位置する、ことを特徴とする請求項1に記載のセパレータ。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか1項に記載のセパレータを備える、ことを特徴とする電池。
【請求項8】
請求項1~6のいずれか1項に記載のセパレータを製造するためのセパレータの製造方法であって、前記製造方法は、
異なる長さの一次元ナノ材料を同一又は異なる分散剤に分散させ、少なくとも1種の分散液を得ることと、
前記少なくとも1種の分散液に基づいて、対応する少なくとも1種のスラリーを形成することと、
前記少なくとも1種のスラリーを前記ベースフィルムに塗布して、前記ベースフィルムと前記スラリーとをあぶって乾かし、前記セパレータを得ることと、を含む、ことを特徴とするセパレータの製造方法。
【請求項9】
前記異なる長さの一次元ナノ材料を同一又は異なる分散剤に分散させ、少なくとも1種の分散液を得る前に、
一次元ナノ材料の原料又は切断された一次元ナノ材料を切断し、1回又は複数回の切断によって、少なくとも部分的に異なる長さの一次元ナノ材料を形成することをさらに含む、ことを特徴とする請求項8に記載の製造方法。
【請求項10】
異なる長さの一次元ナノ材料を同一又は異なる分散剤に分散させ、少なくとも1種の分散液を得る前に、
一次元ナノ材料の原料を他方の原料の一端に接合する接合プロセス、
接合された一次元ナノ材料を前記原料の一端に接合する接合プロセス、又は
接合された一次元ナノ材料を他方の接合された一次元ナノ材料の一端に接合する接合プロセスのうちの少なくとも1つを実施して、1回又は複数回の接合によって、少なくとも部分的に異なる長さの一次元ナノ材料を形成すること、をさらに含む、ことを特徴とする請求項8に記載の製造方法。
【請求項11】
前記した接合は、
接合待ちの一次元ナノ材料と、ヒドロキシル官能基を豊富に含有する材料とを、溶液に混合することと、
前記溶液に触媒として分子篩の粒子を加えることと、
前記溶液を加熱し、この後冷却して、前記分子篩を濾過除去し、接合された一次元ナノ材料を得ることと、を含む、ことを特徴とする請求項10に記載の製造方法。
【請求項12】
前記少なくとも1種の分散液に基づいて、対応する少なくとも1種のスラリーを形成することは、
前記分散液に接着剤と助剤とを順次加えることを含む、ことを特徴とする請求項8~11のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項13】
前記接着剤は、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸リチウム、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロースの少なくとも1つを含み、
前記助剤は、グリセロール、フルオロアルキルエトキシアルコールエーテル、ブチルベンゼンナフタレンスルホン酸ナトリウム、ヒドロキシエチル硫酸ナトリウム、及びラウリル硫酸ナトリウムの少なくとも1つを含む、ことを特徴とする請求項11に記載の製造方法。
【請求項14】
前記分散液又は前記スラリーにポリN-イソプロピルアクリルアミドを加えることをさらに含む、ことを特徴とする請求項8~11のいずれか1項に記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池の分野に関し、特に、電池、電池のセパレータ、及びセパレータの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
リチウムイオン電池のセパレータは、リチウムイオン電池のコアとなる部材の1つのであり、その性能の良否はリチウムイオン電池全体の性能に対して非常に重要な影響を与えており、リチウムイオン電池の発展を制限する重要な技術の1つとなっている。リチウムイオン電池の適用分野が拡大しつつリチウム電気製品の人々の生活における影響が深まる一方につれ、リチウムイオン電池の性能に対する要求もますます高くなっている。リチウムイオン電池の発展要求を満たすために、セパレータは、リチウムイオン電池の重要部材として良好な化学的安定性及び低い製造コストに備えただけで済ませず、リチウムイオン電池の安全性能の向上は現在リチウム電気の発展においても重要な傾向となっている。
【0003】
従来の関連技術において、リチウムイオン電池のセパレータは、ベースフィルムと、ベースフィルムの少なくとも一方の表面を被覆する塗布層と、を備えてよい。塗布層には一次元ナノ材料が含まれ得るが、一次元ナノ材料は、積層方式が不規則で無秩序であり、それによって、隙間が多すぎたり、接触点が少なかったりするといった問題は発生しやすく、その結果、セパレータの熱安定性能に影響を及ぼしてしまう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、隙間が多すぎたり、接触点が少なかったりするといった問題を解決するために、電池、電池のセパレータ、及びセパレータの製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1の態様によれば、本発明は、電池のセパレータを提供し、前記セパレータは、ベースフィルムと、前記ベースフィルムに設けられた塗布層構造と、を備え、前記塗布層構造には複数層の材料層が含まれ、各層の材料層にはいずれも一次元ナノ材料が含まれ、かつ、前記ベースフィルムから離れた方向に沿って、各層の材料層における一次元ナノ材料の平均長さが層ごとに短縮する。
【0006】
選択的に、前記塗布層構造における一次元ナノ材料について、5≧L50/L10≧1.3、且つ4≧L90/L50≧1.3が満たされ、
前記L10は、10%を第1の目標割合とする場合の前記塗布層構造における一次元ナノ材料の長さ記述値を示し、
前記L50は、50%を第1の目標割合とする場合の前記塗布層構造における一次元ナノ材料の長さ記述値を示し、
前記L90は、90%を第1の目標割合とする場合の前記塗布層構造における一次元ナノ材料の長さ記述値を示し、
前記塗布層構造における一次元ナノ材料の長さ記述値は、前記塗布層構造における一次元ナノ材料の数を長さの短い順に逐次積算するとき、積算して得られた数と前記塗布層構造における一次元ナノ材料の合計数との比値が前記第1の目標割合に達した場合に対応する一次元ナノ材料の長さを示す。
【0007】
選択的に、
前記塗布層構造における一次元ナノ材料のL10の長さ値は、100nm~300nmにあり、
前記塗布層構造における一次元ナノ材料のL50の長さ値は、250nm~400nmにあり、
前記塗布層構造における一次元ナノ材料のL90の長さ値は、350nm~900nmにあり、
選択的に、異なる材料層の一次元ナノ材料は、同一の第2の目標割合に対して、異なる長さ記述値を形成し、
前記材料層における一次元ナノ材料の長さ記述値は、
対応する材料層における一次元ナノ材料の数を長さの短い順に逐次積算するとき、積算して得られた数と対応する材料層における一次元ナノ材料の合計数との比値が前記第2の目標割合に達した場合に対応する一次元ナノ材料の長さを示し、前記第2の目標割合が50%ではないようにし、
各層の材料層の一次元ナノ材料の長さ記述値は、同一の第2の目標割合に対して、前記ベースフィルムから離れた方向に沿って順次減少する。
【0008】
選択的に、前記第2の目標割合は、5%~40%の区間範囲にあるか、又は、60%~99%の区間範囲にあるようにする。
【0009】
選択的に、前記一次元ナノ材料は、ナノセルロース、アラミドナノ繊維、ポリイミドナノ繊維の少なくとも1つを含む。
【0010】
選択的に、隣接する第1の材料層と第2の材料層の中では、前記第1の材料層の一次元ナノ材料の隙間が前記第2の材料層の一次元ナノ材料によって部分的又は完全に充填されており、ただし、前記第1の材料層は、前記第2の材料層のベースフィルムに向く側に位置する。
【0011】
第2の態様によれば、本発明は、第1の態様及びその選択的解決手段に係るセパレータを備える電池を提供する。
【0012】
第3の態様によれば、本発明は、第1の態様及びその選択的解決手段に係るセパレータを製造するために用いられる、セパレータの製造方法を提供し、前記製造方法は、
異なる長さの一次元ナノ材料を同一又は異なる分散剤に分散させ、少なくとも1種の分散液を得ることと、
前記少なくとも1種の分散液に基づいて、対応する少なくとも1種のスラリーを形成することと、
前記少なくとも1種のスラリーを前記ベースフィルムに塗布して、前記ベースフィルムと前記スラリーとをあぶって乾かし、前記セパレータを得ることと、を含む。
【0013】
選択的に、前記異なる長さの一次元ナノ材料を同一又は異なる分散剤に分散させ、少なくとも1種の分散液を得る前に、前記製造方法は、
一次元ナノ材料の原料又は切断された一次元ナノ材料を切断し、1回又は複数回の切断によって、少なくとも部分的に異なる長さの一次元ナノ材料を形成することをさらに含む。
【0014】
選択的に、異なる長さの一次元ナノ材料を同一又は異なる分散剤に分散させ、少なくとも1種の分散液を得る前に、前記製造方法は、
一次元ナノ材料の原料を他方の原料の一端に接合する接合プロセス、
接合された一次元ナノ材料を前記原料の一端に接合する接合プロセス、又は
接合された一次元ナノ材料を他方の接合された一次元ナノ材料の一端に接合する接合プロセスのうちの少なくとも1つを実施して、1回又は複数回の接合によって、少なくとも部分的に異なる長さの一次元ナノ材料を形成すること、をさらに含む。
【0015】
選択的に、前記した接合は、
接合待ちの一次元ナノ材料と、ヒドロキシル官能基を豊富に含有する材料と、を溶液に混合することと、
前記溶液に触媒として分子篩の粒子を加えることと、
前記溶液を加熱し、この後冷却して前記分子篩を濾過除去し、接合された一次元ナノ材料を得ることと、を含む。
【0016】
選択的に、前記少なくとも1種の分散液に基づいて、対応する少なくとも1種のスラリーを形成することは、
前記分散液に接着剤と助剤とを順次加えること、を含む。
【0017】
選択的に、前記接着剤は、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸リチウム、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロースの少なくとも1つを含み、
前記助剤は、グリセロール、フルオロアルキルエトキシアルコールエーテル、ブチルベンゼンナフタレンスルホン酸ナトリウム、ヒドロキシエチル硫酸ナトリウム、及びラウリル硫酸ナトリウムの少なくとも1つを含む。
【0018】
選択的に、前記の製造方法は、
前記分散液又は前記スラリーにポリN-イソプロピルアクリルアミドを加えること、をさらに含む。
【発明の効果】
【0019】
本発明により提供される電池、電池のセパレータ、及びセパレータの製造方法では、一次元ナノ材料の長さは表面エネルギーと関連付けられており、これによってベースフィルムの粘着能力と関連付けられているようになっているため、したがって、不規則に分布された一次元ナノ材料と比較して、本発明は、粘着能力に基づいて層ごとに分布するようにしており、秩序ある分布を実現することができ、秩序ある分布にしているため、不規則で無秩序な分布による可能な大きい隙間の形成を避け、十分に多い接触点を確保することができる。さらに、第1の材料層の一次元ナノ材料の隙間が第2の材料層の一次元ナノ材料によって部分的又は完全に充填されており、かつ、第1の材料層は、前記第2の材料層のベースフィルムに向く側に位置するため、一次元ナノ材料は、秩序性が確保された状況下で、隙間をさらに減少し、接触点が増加する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
本発明の実施例又は従来の技術の解決手段をより明確に説明するため、以下、実施例又は従来の技術の記述において使用する必要がある図面を簡単に説明する。当然ながら、以下、記載する図面は本発明のいくつかの実施例であり、当業者であれば、創造的な労力を要することなく、これらの図面に基づいて他の図面を想到しうる。
【0021】
【
図1】本発明の1つの実施例における電池のセパレータの一部の構造概略図である。
【
図2】本発明の1つの実施例におけるセパレータの製造方法のフローチャートである。
【
図3】本発明の具体的な例における塗布層位置に応じた材料層のl50の長さ値の変化の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施例に係る図面を参照しながら、その技術的解決手段について明瞭、且つ完全に説明し、当然のことながら、記載される実施例は本発明の実施例の一部にすぎず、そのすべての実施例ではない。当業者は、本発明における実施例に基づいて創造的な労働をすることなく、取得されたその他のすべての実施例は、いずれも本発明の保護範囲に属する。
【0023】
本発明の明細書の記述では、「上部」、「下部」、「上端」、「下端」、「下面」、「上面」のような用語によって指示される方位又は位置関係は、図面に示される方位又は位置関係であり、本発明の説明の便宜及び説明の簡略化のためにのみ使用される用語であり、示される装置又は構成要素は必ず特定の方位があり、特定の方位でもって構築及び操作されることを指示又は暗示する用語ではないため、本発明を制限するものとして理解することができない。
【0024】
本発明の明細書の記述では、用語「第1」、「第2」は、説明目的のためにのみ使用される用語であり、相対的な重要性を指示又は教示したり示される技術的特徴の数を暗黙的に指示したりする用語として理解することができない。したがって、「第1」、「第2」によって限定されている特徴は、1つ又は複数の当該特徴を明示的又は暗黙的に含むことができる。
【0025】
本発明の記述では、「複数」は、特に明確に限定されていない限り、多くあることを意味し、例えば、2つ、3つ、4つなどが挙げられる。
【0026】
本発明の明細書の記述では、特に明確に規定及び限定されていない限り、「接続」などの用語は、広義に解釈されるべきであり、例えば、固定的に接続されたり、着脱可能に接続されたり、または一体となるように接続されたりしてもよいし、機械的に接続されたり、電気的に接続されたり、または互いに通信可能に接続されたりしてもよいし、直接に接続されたり、中間媒体を介して間接的に接続されたり、2つの構成要素内部の連通又は2つの構成要素間の相互作用関係となるように接続されたりしてもよい。当業者としては、上記の用語の本発明における具体的な意味について実際の状況に応じて理解することができる。
【0027】
以下、本発明の技術的解決手段について具体的な実施例を用いて詳細に説明する。以下のいくつかの具体的な実施例は、互いに組み合わされることができ、同様な又は類似する概念又はプロセスについて実施例の一部で繰り返して説明しない場合がある。
【0028】
図1を参照されたい。本発明の実施例は、電池のセパレータ1を提供し、当該電池のセパレータ1は、ベースフィルム11と、前記ベースフィルム11に設けられた塗布層構造12と、を備え、前記塗布層構造12には複数層の材料層が含まれ、各層の材料層にはいずれも一次元ナノ材料が含まれ、かつ、前記ベースフィルムから離れた方向に沿って、各層の材料層における一次元ナノ材料の平均長さが層ごとに短縮することに応じて、各層の材料層における一次元ナノ材料の隙間の平均サイズも順次減少する。
【0029】
上記の塗布層は、
図1に示されるような材料層を3層有しており、最下層の一次元ナノ材料は、中間層の一次元ナノ材料よりも平均長さが長く、中間層の一次元ナノ材料は、最上層の一次元ナノ材料よりも平均長さが長く、各層の一次元ナノ材料間の平均長さの差を任意設定することができ、同一層の一次元ナノ材料は、長さが同じであってもよいし、異なってもよい。1つの実施形態では、前記一次元ナノ材料は、ナノセルロース、アラミドナノ繊維、ポリイミドナノ繊維の少なくとも1つを含む。本発明の実施例における一次元ナノ材料は、材料が上記の例示から選択されるものに限定されない。
【0030】
1つの実施形態では、異なる材料層の一次元ナノ材料は、同一の第2の目標割合に対して、異なる長さ記述値を形成しており、
前記材料層における一次元ナノ材料の長さ記述値は、
前記材料層構造における一次元ナノ材料の数を長さの短い順に逐次積算するとき、積算して得られた数と前記材料層における一次元ナノ材料の合計数との比値が前記第2の目標割合に達した場合に対応する一次元ナノ材料の長さを示す。これに応じて、対応する材料層の一次元ナノ材料の中に、対応する長さ記述値よりも小さい一次元ナノ材料は目標割合に達し得る割合となる。上記の説明は、一次元ナノ材料の長さ記述値についてその統計学的意義を示しているが、当該長さ記述値を実際に決定する際、実際の計算方式は、本分野の常識に従って処理することができる。
【0031】
一例では、前記第2の目標割合は、5%~40%の区間範囲にあるか、又は、60%~99%の区間範囲にあるようにする。例えば、5%、10%、20%、40%、60%、70%、80%、90%、99%などが挙げられる。
【0032】
1つの実施形態では、各層の材料層の一次元ナノ材料の長さ記述値は、同一の第2の目標割合に対して、前記ベースフィルムから離れた方向に沿って順次減少する。その結果、一次元ナノ材料は、層ごとに減小する傾向が形成され得る。
【0033】
また、対応する材料層の長さ記述値について、以上は、積算を行い積算の結果に基づいて長さ記述値を決定する方式を用いて長さ記述値の意味を定義しているが、実際に製造・検収するプロセスでは必ずしも当該統計のプロセスが含まれることを示しているわけではなく、実際の解決手段において、任意の製品について、統計学的意味が同じである数値でもって材料層における一次元ナノ材料を統計すれば、得られる長さ記述値は、ルールが上記の説明を満たすものとなり、すなわち、当該実施形態の保護範囲から逸脱しないものとなる。解決手段の一部において、予め一次元ナノ材料の長さを選択したり一次元ナノ材料の長さに絞って製造したりすることによって、上記した長さのルールが満たされることは確保される。
【0034】
材料層の一次元ナノ材料の長さ記述値について、例えば、
前記材料層における一次元ナノ材料のl10とは、対応する材料層における各長さの一次元ナノ材料の数を、長さの短い順に逐次積算するとき、積算して得られた数と対応する材料層における一次元ナノ材料の合計数との比値が10%に達した場合に対応する一次元ナノ材料の長さを指し、
前記材料層における一次元ナノ材料のl50とは、対応する材料層における各長さの一次元ナノ材料の数を、長さの短い順に逐次積算するとき、積算して得られた数と対応する材料層における一次元ナノ材料の合計数との比値が50%に達した場合に対応する一次元ナノ材料の長さを指し、当該l50は、対応する材料層の平均長さをある程度で示すものとして理解され得る。
【0035】
前記材料層における一次元ナノ材料のl90とは、対応する材料層における各長さの一次元ナノ材料の数を、長さの短い順に逐次積算するとき、積算して得られた数と対応する材料層における一次元ナノ材料の合計数との比値が90%に達した場合に対応する一次元ナノ材料の長さを指す。
【0036】
l50(すなわち、平均長さ)が次第に減少していくことを実現した場合に、他の1つ又は複数の長さ記述値(例えばl90及び/又はl10)が次第に減少していくことを実現することもできる。
【0037】
それによって、上記の解決手段において、定義された長さ記述値の変化傾向から、l50、及び各第2の目標割合の場合では、一次元ナノ材料はいずれも層ごとに減小する傾向にあることは十分に具現化されており、一次元ナノ材料が秩序的に分布されることは確保され、この結果、一次元ナノ材料は、長さの勾配分布がより集中的で統一的なものとなり、隙間の数及びサイズをより減少させ、接触点の数を増加させることに寄与し、耐熱性をさらに向上させる。
【0038】
1つの実施形態では、
前記塗布層構造における一次元ナノ材料のL10の長さ値は、100nm~300nmであり、
前記塗布層構造における一次元ナノ材料のL50の長さ値は、250nm~400nmであり、
前記塗布層構造における一次元ナノ材料のL90の長さ値は、350nm~900nmであり、
前記塗布層構造における一次元ナノ材料のL10は、10%を第1の目標割合とする場合の塗布層構造における一次元ナノ材料の長さ記述値を示し、
前記塗布層構造における一次元ナノ材料のL50は、50%を第1の目標割合とする場合の塗布層構造における一次元ナノ材料の長さ記述値を示し、塗布層構造における一次元ナノ材料の平均長さとして理解してもよく、
前記塗布層構造における一次元ナノ材料のL90は、90%を第1の目標割合とする場合の塗布層構造における一次元ナノ材料の長さ記述値を示し、
前記塗布層構造における一次元ナノ材料の長さ記述値は、
前記塗布層構造における一次元ナノ材料の数を長さの短い順に逐次積算するとき、積算して得られた数と前記塗布層構造における一次元ナノ材料の合計数との比値が前記第1の目標割合に達した場合に対応する一次元ナノ材料の長さを示し、
かつ、前記塗布層構造における一次元ナノ材料について、L50/L10>1.3、且つL90/L50>1.3が満たされ、
前記塗布層構造における一次元ナノ材料のL10とは、10%を第1の目標割合とする場合の塗布層構造における一次元ナノ材料の長さ記述値を指し、
前記塗布層構造における一次元ナノ材料のL50とは、50%を第1の目標割合とする場合の塗布層構造における一次元ナノ材料の長さ記述値を指し、
前記塗布層構造における一次元ナノ材料のL90とは、90%を第1の目標割合とする場合の塗布層構造における一次元ナノ材料の長さ記述値を指し、
上記の説明は、塗布層構造の長さ記述値の統計学的意義を示しているが、当該長さ記述値を実際に決定する際、実際の計算方式は、本分野の常識に従って処理することができる。
【0039】
また、塗布層構造の長さ記述値について、以上は、積算を行い積算の結果に基づいて長さ記述値を決定する方式を用いて長さ記述値の意味を定義しているが、実際に製造・検収するプロセスでは必ずしも当該統計のプロセスが含まれることを示しているわけではなく、実際の解決手段において、任意の製品について、統計学的意味が同じである数値でもって材料層における一次元ナノ材料を統計すれば、得られる長さ記述値は、ルールが上記の説明を満たすものとなり、すなわち、当該実施形態の保護範囲から逸脱しないものとなる。解決手段の一部において、予め一次元ナノ材料の長さを選択したり一次元ナノ材料の長さに絞って製造したりすることによって、上記した長さのルールが満たされることは確保される。
【0040】
一例では、前記塗布層構造における一次元ナノ材料については、L10=110nm、L50=310nm、L90=850nmとする。
【0041】
ベースフィルムから離れた方向において、各層の材料層における一次元ナノ材料のl50の長さ値と材料層が位置する塗布層位置(塗布層の厚さ方向の位置)との関係をフィッティングした結果は、
図3の曲線1、曲線2a、曲線2bを参照して理解されることができ、これによって、曲線では、そのl50の長さ値は、厚さが増加するにつれて(すなわち、材料層が位置する塗布層位置とベースフィルムとの間の距離が増加するにつれて)順次減少するように体現することができる。
【0042】
図3では、横座標の塗布層位置は、材料層が位置する塗布層位置は、厚さの方向に沿って塗布層構造の中に位置する位置を示すためものであり、パーセントで示す場合、材料層が位置する塗布層位置とベースフィルムとの間の距離が塗布層構造全体の厚さに占めるパーセントを示すことができ、例えば、10%は、当該塗布層位置とベースフィルムとの間の距離が塗布層構造全体の厚さの10%を占めることを示す。
【0043】
曲線1の場合について、材料層における一次元ナノ材料のl50の長さ値は、材料層が位置する塗布層位置とベースフィルムとの間の距離が増加するにつれて、線形変化するとフィッティングして理解することができる。この場合には、l50の長さ値xと塗布層位置Yとの関係は、例えば、Y=kx+b(k<0、b>0)とすることができる。
曲線2aの場合について、材料層における一次元ナノ材料のl50の長さ値は、材料層が位置する塗布層位置とベースフィルムとの間の距離が増加するにつれて、変化傾向が速いものから遅いものへ変化することができる。
曲線2bの場合について、材料層における一次元ナノ材料のl50の長さ値は、材料層が位置する塗布層位置とベースフィルムとの間の距離が増加するにつれて、変化傾向が遅いものから速いものへ変化することができる。
【0044】
上記の線形変化、及び速いものから遅いものへ変化する変化傾向、遅いものから速いものへ変化する変化傾向を実現するために、塗布層構造における一次元ナノ材料の長さを設定することによって実現することができる。これによって、必要な変化傾向に応じて、塗布層構造における一次元ナノ材料の長さの設定を選択することができる。
例えば、
線形変化を実現する必要がある場合(例えば曲線1に示すように)、塗布層構造における一次元ナノ材料の長さは、2≧L90/L50>1.5が満たされるように設定されるべきであり、
遅いものから速いものへ変化することを実現する必要がある場合(例えば曲線2bに示すように)、塗布層構造における一次元ナノ材料の長さは、L50/L10>2、1.5≧L90/L50≧1.3が満たされるように設定されるべきであり、
速いものから遅いものへ変化することを実現する必要がある場合(例えば曲線2aに示すように)、塗布層における一次元ナノ材料の長さは、L90/L50>2が満たされるように設定されるべきである。
【0045】
従来の技術において、層状構造を形成することを意図していなかったので、上記の解決手段における異なる変化傾向に対して実行する長さ設定は、従来の技術により開示又は教示されることが不可能である。
【0046】
下記の表では、一次元ナノ材料の一部(長さが下記の表で繊維の長さとして示される)、及びその使用効果について説明する。
【0047】
【0048】
ここで、Lは、一次元ナノ材料の長さを表す。
【0049】
実施例1~実施例6から分かるように、Lは適切な範囲内にある場合には、塗布セパレータは最適な耐熱性を備えるが、Lは小さすぎる場合(実施例10、11、12)あるいはLは大きすぎる(実施例15、16)場合には、塗布セパレータは、耐熱性が低下する。
【0050】
検討して分析した結果、上記の結果となった主な原因は、一次元ナノ材料は、長さが小さすぎる場合に、一次元ナノ材料同士間の積層程度が不足し、互いに交錯するネットワーク化構造を形成するには不十分であるので、耐熱性が不足するが、厚さを増加した後、塗布層の耐熱性が効果的に向上すること、及び、一次元ナノ材料は、長さが長すぎる場合に、一次元ナノ材料(すなわち、ナノワイヤ)はねじれた構造に形成され、ねじれた構造はセパレータの表面に沈着すると、自己折り畳みし、その他のナノワイヤとの接触が不十分となり、相互作用が弱くなる(実施例10、11、12に示すように)ことにある。
【0051】
また、一次元ナノ材料は、長すぎる場合に、沈着した塗布層は隙間が大きく、接触点の間の距離が遠すぎ、外力を受けるとき(加熱によるベースフィルムの収縮など)、これらの接触点は、力の相互伝達が直ちにできないため塗布層構造全体の崩壊や破壊につながり、それによって、塗布セパレータの熱収縮を抑制することができなくなる(実施例15、16に示すように)。
【0052】
故に、Lは100nm~900nmである場合に、塗布層は、比較的薄い塗布層構造(塗布層構造の厚さが1ミクロン未満である)と優れた耐熱性(180℃)を併せ持つことになり、すなわち、層状構造の特性により、塗布層は、比較的薄い厚さで(1ミクロン未満)優れた耐熱性を実現することができる。ナノワイヤ(すなわち、一次元ナノ材料)は、長さが100nm~900nmである場合に、ナノワイヤ(すなわち、一次元ナノ材料)は、ベースフィルムの表面に沈着し、層状構造(すなわち、層化の異なる長さの一次元ナノ材料)が形成され、ベースフィルムに沈着するプロセスでは、表面エネルギーが機能するため、最も長い一次元ナノ材料(その表面エネルギーが最も大きく、最も不安定であり、小さい表面エネルギーの界面に接触すると、最も粘着しやすい)は最初に沈着し、次に長いナノワイヤは続いて沈着し、最も短いナノワイヤは最後に沈着するように、長い順に順次積層される層状構造は形成される。
【0053】
さらに、隣接する材料層の中には、下層の一次元ナノ材料の隙間がその上層の一次元ナノ材料によって部分的又は完全に充填される。
【0054】
上記から明らかなように、長いナノ材料は、積層される隙間が大きいため、下層になるほど、隙間が大きくなり、1つ上の層の比較的短いナノ材料はある程度でこれらの隙間を充填することができ、層ごとに沈着した後、塗布層の内部には隙間が多すぎることなく、かつ、比較的多い接触点を有するようになったため、受熱時、塗布層は緊密な構造でもってセパレータの熱変形を抑制することができる。
【0055】
実施例4と比較例3及び比較例4とを、実施例15と比較例1とを、実施例16と比較例2とを比較することにより、
一次元ナノ材料は、長さが塗布層の層ごとに次第に減少していく(各層の材料層の一次元ナノ材料の長さ記述値が次第に減少していくことと具現化される)場合に、塗布セパレータは最適な耐熱性を備えるものとなるが、一次元ナノ材料は、長さが塗布層の層ごとに次第に増加していく場合あるいは無秩序で配列し分布する場合においても、塗布セパレータの耐熱性は悪いことが分かる。この現象を引き起こす主な原因は、一次元ナノ繊維が層ごとに次第に減少していくという積層方式によってのみ、塗布層は、積層密着性が最も大きく、ナノ繊維同士間の接触も最も多いものとなる。層ごとに次第に増加していくようにしても、無秩序で配列し分布するようにしても、塗布層は、積層密着性が小さいものであるため、耐熱性の向上は非常に限られている。
【0056】
更なる解決手段においては、一部の解決手段をさらに導入して、一次元ナノ材料の層化を確保することもでき、例えば、一次元ナノ材料の層化は、主に、塗布乾燥のプロセスで完成し、加熱中に層化の目的を達成するために、分子内に一定の比率の疎水性のイソプロピル基と親水性のアミド基を有するポリN-イソプロピルアクリルアミド(PNIPAM)などの温度感受性重合体を加えてもよい。40度よりも低い温度の場合では、親水性のアミド基と一次元ナノ材料の水酸基との間に強い水素結合力が存在するため、高分子鎖と一次元ナノ材料及び溶媒との親和性がよくなり、この際、PNIPAMは、高分子鎖が伸張状態を示し、吸水して膨潤となり、溶液の流動性が悪くなるように具現化されている。温度が上昇して40度を超えた場合、水分子とアミド基との間の親水作用力は弱まり、PNIPAM分子鎖におけるイソプロピル基間の疎水作用力は強まり、PNIPAM高分子鎖の疎水作用は徐々に強化されひいては支配的な役割を果たすようになり、高分子鎖が疎水作用によって互いに集まり疎水層を形成し、やがて水分子が排出され相転移が発生する結果となり、この際、高分子鎖が疎なランダムコイル構造から緻密なコロイド粒子状へ変化し、溶液の流動性が向上し、一次元ナノ材料は、長さが長いほど、担持されるPNIPAM量が多くなり、疎水性も強くなるため、最初に沈殿しやすくなることから、PNIPAMを導入することで、層化の実現を確保することに寄与できることが分かる。
【0057】
上記から分かるように、上記の解決手段において、一次元ナノ材料は、長さが表面エネルギーと関連付けられており、これによってベースフィルムの粘着能力と関連付けられているようになっているため、したがって、不規則に分布された一次元ナノ材料と比較して、本発明は、粘着能力に基づいて層ごとに分布するようにしており、秩序ある分布を実現することができ、秩序ある分布にしているため、不規則で無秩序な分布による可能な大きい隙間の形成を避けて、十分に多い接触点を確保することができる。さらに、部分層の一次元ナノ材料は、隙間がその上の層の一次元ナノ材料によって部分的又は完全に充填されることにより、一次元ナノ材料は、秩序性が確保された状況下で、隙間をさらに減少し、接触点が増加する。
【0058】
上記のセパレータ及びベースフィルムのほか、具体的な例では、他の材料層が導入されてもよい。
【0059】
本発明の実施例は、上記の選択的な解決手段に係るセパレータを備える電池をさらに提供する。
【0060】
当該電池は、例えばリチウムイオン電池とすることができ、また、セパレータは電池の表面に設けられてもよい。さらに、セパレータはともかく、セパレータの内外にも既存の又は改善された他の構造層を設けてもよい。
【0061】
図2を参照されたい。本発明の実施例は、第1の態様及びその選択的解決手段に係るセパレータを製造するためのセパレータの製造方法をさらに提供し、前記製造方法は、S21、S22、及びS23を含む。
S21では、前記異なる長さの一次元ナノ材料を同一又は異なる分散剤に分散させ、少なくとも1種の分散液を得る。
S22では、前記少なくとも1種の分散液に基づいて、対応する少なくとも1種のスラリーを形成する。
S23では、前記少なくとも1種のスラリーを前記ベースフィルムに塗布して、前記ベースフィルムと前記スラリーとをあぶって乾かし、前記セパレータを得る。
【0062】
ステップS23の一例では、1回のみ塗布し、1回のみあぶって乾かすようにしてもよく、この場合には、塗布されるスラリーには、複数種の異なる長さの一次元ナノ材料が含まれてもよい。
ステップS23の別例では、複数回塗布して、塗布完了するたびに1回あぶって乾かすようにしてもよく、この場合には、毎回塗布されるスラリーは、異なる種類のものであってもよく、かつ、異なるスラリーは、一次元ナノ材料の長さの短い順に順次塗布されてもよく、3回塗布して3層塗布することを例にする場合には、まず、最も長い一次元ナノ材料を含有するスラリーをベースフィルムに塗布して、あぶって乾かした後、次に長い一次元ナノ材料を含有するスラリーをまたその表面に塗布して、あぶって乾かした後、最も短い一次元ナノ材料を含有するスラリーをさらにその表面に塗布する。
【0063】
また、塗布するたびに、1種類のスラリーを使用してもよいし、2つ以上種類のスラリーを混合してから塗布してもよい。
【0064】
1つの実施形態では、異なる長さの一次元ナノ材料は、その少なくとも一部が一次元ナノ材料の原料を選択することに基づいて実現されてもよく、例えば、異なる材料の一次元ナノ材料を選択して使用する場合には、異なる長さの一次元ナノ材料を形成することができる可能性がある。
【0065】
別例では、対応する技術的手段を用いて異なる長さの一次元ナノ材料を形成してもよい。
【0066】
一例では、ステップS21の前に、前記製造方法は、S24をさらに含み、
S24では、一次元ナノ材料の原料又は切断された一次元ナノ材料を切断し、1回又は複数回の切断によって、少なくとも部分的に異なる長さの一次元ナノ材料を形成する。
【0067】
一次元ナノ材料の切断により、1つの長さの一次元ナノ材料の原料に基づいて、比較的短い一次元ナノ材料を形成することができ、例えば、一次元ナノ材料を、原料の半分となるように切断することができ、別例では、半分切断する方式を使用して実現しなくてもよい。
【0068】
一次元ナノ材料の切断を実現できる任意の既存の手段又は改善された手段は、いずれも本発明の実施例の1つの具体的な例とすることができる。具体的な例では、一次元ナノ材料をエッチングすることによって実現されてもよく、例えば、一次元ナノ材料を原料の半分の長さにエッチングするようにエッチングしてもよい。
【0069】
必要な層化に応じて、原料の1回切断又は複数回切断を実現することができ、例えば、まず、一次元ナノ材料を原料の半分の長さにエッチングして、そして、半分の長さの一次元ナノ材料を保留し、次に、半分の長さの他方の一次元ナノ材料を切断して、4分の1の長さの一次元ナノ材料を得るようにすることができ、この場合には、3層構造を形成することができ、別例では、4分の1の長さの一次元ナノ材料をさらに切断することもでき、切断回数は、必要に応じて任意に設定され得る。
【0070】
一例では、ステップS21の前に、前記製造方法は、S25をさらに含み、
S25では、一次元ナノ材料の原料を他方の原料の一端に接合する接合プロセス、
接合された一次元ナノ材料を前記原料の一端に接合する接合プロセス、又は
接合された一次元ナノ材料を他方の接合された一次元ナノ材料の一端に接合する接合プロセスのうちの少なくとも1つを実施して、1回又は複数回の接合によって、少なくとも部分的に異なる長さの一次元ナノ材料を形成する。
【0071】
上記から分かるように、接合される対象は、原料の一端及び他方の原料の一端としてもよいし、原料の一端及び接合された一次元ナノ材料の一端としてもよいし、接合された一次元ナノ材料の一端及び別の接合された一次元ナノ材料の一端としてもよい。
【0072】
一次元ナノ材料の接合により、1つの長さの一次元ナノ材料の原料に基づいて、比較的長い一次元ナノ材料を形成することができ、例えば、2つの原料を接合することにより、2倍の長さの一次元ナノ材料を形成することができ、別例では、異なる長さの原料(もしくは接合された一次元ナノ材料)を使用して実現してもよい。
【0073】
一次元ナノ材料の接合を実現できる任意の既存の手段又は改善された手段は、いずれも本発明の実施例の1つの具体的な例とすることができる。
【0074】
例えば、ヒドロキシル官能基を豊富に含有する材料(例えばポリエチレングリコールPEG)に基づいて、一次元ナノ材料の接合を実現することができ、この場合には、上記した接合は、
接合待ちの一次元ナノ材料と、ヒドロキシル官能基を豊富に含有する材料(例えばPEG)とを、溶液に混合することと、
前記溶液に触媒として分子篩の粒子を加えることと、
前記溶液を加熱し、この後冷却して、分子篩を濾過除去し、接合された一次元ナノ材料を得ることができることと、を含み得る。
【0075】
具体的な例では、ナノセルロースを例にする。ナノセルロースは、ポートが中間領域より水酸基含有量が明らかに高い。ナノセルロースの長さを増加させるために、水酸基の活性を十分に利用することができ、やり方は(1)~(4)の通りである。
(1)ナノセルロースとポリエチレングリコール(PEG)とを混合し、PEGは、分子量が50000~1000000g/molであり、PEGはナノセルロースの1%を占め、ナノセルロースとポリエチレングリコールとを均一にするように十分に攪拌して、対応する溶液を形成する。
(2)寸法が1mm~10mmである13A分子篩の粒子を触媒として上記の溶液に加える。
(3)水を1~2時間かけて80度まで加熱する。
(4)常温まで放冷して、13A分子篩の粒子を濾過除去すれば、接合されたナノセルロースを得ることができる。
【0076】
上記の解決手段において、ヒドロキシル官能基を豊富に含有する材料(例えばPEG)を加えることにより、ナノセルロース間を連結して架橋することができ、また、分子篩(例えば13A分子篩)を触媒とすることによって、PEGとナノセルロースとの間の重合反応を加速することができ、最後にナノセルロース-PEG-ナノセルロースの構造を形成する。必要な層化に応じて、原料の1回接合又は複数回接合を実現することができ、例えば、まず、一次元ナノ材料の原料を原料の2倍に接合し、そして、2倍の長さの一次元ナノ材料の一部を保留し、次に、2倍の長さの他方の一次元ナノ材料を原料又は2倍の長さの一次元ナノ材料と接合して、3倍の長さ又は4倍の長さの一次元ナノ材料を得ることができ、この場合には、三層構造を形成することができ、別例では、さらに接合することもでき、接合回数は、必要に応じて任意に設定され得る。
【0077】
ステップS21の1つの解決手段において、各長さの一次元ナノ材料を同一の分散剤に分散させ、同一の分散剤に対応するスラリーに基づいて、塗布して層化を実現し、ステップS21の別の解決手段において、異なる長さの一次元ナノ材料に基づいて、異なる分散剤(異なる分散剤の中に一次元ナノ材料の長さは異なる)を形成し、ひいては、異なる分散液とスラリーとを形成することができ、塗布時、一次元ナノ材料の長さに基づいて様々なスラリーを層化して塗布することもできる。
【0078】
一例では、ステップS21では、各長さの一次元ナノ材料を分散剤に十分に分散させることができ、分散剤は、例えば、水、エタノール、メタノールなどを使用する。分散方式として、例えば、超音波処理、高速攪拌、高圧均質化、サンドミル分散などの方式を用いて分散剤に均一に分散することができる。一次元ナノ材料の分散液における濃度の値の範囲は0.01~50wt%とすることができる。
【0079】
1つの実施形態では、ステップS22は、具体的に、前記分散液に接着剤と助剤とを順次加えることを含み得る。
【0080】
上記の接着剤として、接着効果を果たす任意の材料を選択することができ、例えば、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸リチウム、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロースの少なくとも1つを含むことができるが、ここで例示したものに限定されるわけではなく、本発明の実施例の範囲から逸脱することなく、一次元ナノ材料のサイズ、材料に応じて、適切な接着剤を適宜選択することができる。
【0081】
上記の助剤は、例えば、グリセロール、フルオロアルキルエトキシアルコールエーテル、ブチルベンゼンナフタレンスルホン酸ナトリウム、ヒドロキシエチル硫酸ナトリウム、及びラウリル硫酸ナトリウムの少なくとも1つを含むことができる。
【0082】
ステップS23では、マイクログルーブローラーコーティング、スプレーコーティング、ディップコーティング、エクストルージョンコーティングなどの方式によって、スラリーをベースフィルムに塗布し、あぶって乾かせば一次元ナノ材料が複合されたセパレータは得られる。また、スラリーは、片面(すなわち、ベースフィルムの片側の表面に塗布する)又は両面(すなわち、ベースフィルムの両側の表面に塗布する)に塗布されてもよい。
【0083】
1つの実施形態では、前述したように、ポリN-イソプロピルアクリルアミド(PNIPAM)を加えてもよく、すなわち、前記製造方法は、前記分散液又は前記スラリーにポリN-イソプロピルアクリルアミドを加えることをさらに含み、また、一次元ナノ材料は、長さが長いほど、担持されるPNIPAM量が多くなり、疎水性も強くなるため、最初に沈殿しやすくなることから、PNIPAMを導入することで、層化の実現を確保することに寄与できることが分かる。
【0084】
本明細書の記述では、「1つの実施形態」、「1つの実施例」、「具体的な実施プロセス」、「一例」などの用語を用いた記述は、当該実施例又は例示を参照して説明する具体的な特徴、構造、材料、または特点が、本発明の少なくとも1つの実施例又は例示に含まれることを意味する。本明細書では、上記の用語の概略的な表現は、必ずしも同じ実施例又は例示を指すものではない。さらに、説明された具体的な特徴、構造、材料、または特点は、任意の1つ又は複数の実施例又は例示において適切な方式で組み合わされ得る。
【0085】
最後に説明すべきものとして、以上の各実施例は、本発明の技術的解決手段を説明するためのものであって、これを制限するものではなく、前述の各実施例を参照しながら本発明を詳細に説明するが、当業者であれば、依然として前述の各実施例に記載の技術的解決手段を修正するか、又はそのうちの一部又はすべての技術的特徴に対して等価置換を行うことができ、これらの修正又は置換は、対応する技術的解決手段の本質を本発明の各実施例の技術的解決手段の範囲から逸脱しないと理解すべきである。
【符号の説明】
【0086】
1 セパレータ
11 ベースフィルム
12 塗布層構造
【手続補正書】
【提出日】2023-11-28
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0014
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0014】
選択的に、異なる長さの一次元ナノ材料を同一又は異なる分散剤に分散させ、少なくとも1種の分散液を得る前に、前記製造方法は、
一次元ナノ材料の原料を他方の原料の一端に接合する接合プロセス(a)、
接合された一次元ナノ材料を前記原料の一端に接合する接合プロセス(b)、又は
接合された一次元ナノ材料を他方の接合された一次元ナノ材料の一端に接合する接合プロセス(c)のうちの少なくとも1つを実施して、1回又は複数回の接合によって、少なくとも部分的に異なる長さの一次元ナノ材料を形成すること、をさらに含む。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0015
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0015】
選択的に、前記した接合は、
接合待ちの一次元ナノ材料と、ヒドロキシル官能基を豊富に含有する材料と、を溶液に混合することと、
前記溶液に触媒として分子篩の粒子を加えることと、
前記溶液を加熱し、この後冷却して前記分子篩の粒子を濾過除去し、接合された一次元ナノ材料を得ることと、を含む。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0030
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0030】
1つの実施形態では、異なる材料層の一次元ナノ材料は、同一の第2の目標割合に対して、異なる長さ記述値を形成しており、
前記材料層における一次元ナノ材料の長さ記述値は、
前記材料層における一次元ナノ材料の数を長さの短い順に逐次積算するとき、積算して得られた数と前記材料層における一次元ナノ材料の合計数との比値が前記第2の目標割合に達した場合に対応する一次元ナノ材料の長さを示す。これに応じて、対応する材料層の一次元ナノ材料の中に、対応する長さ記述値よりも小さい一次元ナノ材料は目標割合に達し得る割合となる。上記の説明は、一次元ナノ材料の長さ記述値についてその統計学的意義を示しているが、当該長さ記述値を実際に決定する際、実際の計算方式は、本分野の常識に従って処理することができる。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0032
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0032】
1つの実施形態では、各層の材料層の一次元ナノ材料の長さ記述値は、同一の第2の目標割合に対して、前記ベースフィルムから離れた方向に沿って順次減少する。その結果、一次元ナノ材料の長さは、層ごとに減小する傾向が形成され得る。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0044
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0044】
上記の線形変化、及び速いものから遅いものへ変化する変化傾向、遅いものから速いものへ変化する変化傾向を実現するために、塗布層構造における一次元ナノ材料の長さを設定することによって実現することができる。これによって、必要な変化傾向に応じて、塗布層構造における一次元ナノ材料の長さの設定を選択することができる。
例えば、
線形変化を実現する必要がある場合(例えば曲線1に示すように)、塗布層構造における一次元ナノ材料の長さは、2≧L90/L50>1.5が満たされるように設定されるべきであり、
遅いものから速いものへ変化することを実現する必要がある場合(例えば曲線2bに示すように)、塗布層構造における一次元ナノ材料の長さは、L50/L10>2、1.5≧L90/L50≧1.3が満たされるように設定されるべきであり、
速いものから遅いものへ変化することを実現する必要がある場合(例えば曲線2aに示すように)、塗布層構造における一次元ナノ材料の長さは、L90/L50>2が満たされるように設定されるべきである。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0047
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0047】
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0050
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0050】
検討して分析した結果、上記の結果となった主な原因は、
一次元ナノ材料は、長さが小さすぎる場合に、一次元ナノ材料同士間の積層程度が不足し、互いに交錯するネットワーク化構造を形成するには不十分であるので、耐熱性が不足するが、厚さを増加した後、塗布層の耐熱性が効果的に向上すること、及び、一次元ナノ材料は、長さが長すぎる場合に、一次元ナノ材料(すなわち、ナノワイヤ)はねじれた構造に形成され、ねじれた構造を有する一次元ナノ材料がセパレータの表面に沈着すると、ねじれた構造を有する一次元ナノ材料が自己折り畳みし、その他のナノワイヤとの接触が不十分となり、相互作用が弱くなる(実施例10、11、12に示すように)ことにある。
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0060
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0060】
当該電池は、例えばリチウムイオン電池とすることができ、また、セパレータは電池の電極の表面に設けられてもよい。さらに、セパレータはともかく、セパレータの内外にも既存の又は改善された他の構造層を設けてもよい。
【手続補正9】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0070
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0070】
一例では、ステップS21の前に、前記製造方法は、S25をさらに含み、
S25では、一次元ナノ材料の原料を他方の原料の一端に接合する接合プロセス(a)、
接合された一次元ナノ材料を前記原料の一端に接合する接合プロセス(b)、又は
接合された一次元ナノ材料を他方の接合された一次元ナノ材料の一端に接合する接合プロセス(c)のうちの少なくとも1つを実施して、1回又は複数回の接合によって、少なくとも部分的に異なる長さの一次元ナノ材料を形成する。
本発明では、(a)、(b)、または(c)のいずれかの接合プロセスのみを行ってもよいし、(a)、(b)、及び(c)のうち少なくとも2つの接合プロセスを行ってもよいし、(a)、(b)、及び(c)の3つの接合プロセスを行ってもよい。もちろん、本発明は上記の任意の接合プロセスの接合回数を限定するものではない。
(a)、(b)、及び(c)のうち少なくとも2つの接合プロセスを行う場合、本発明は、接合プロセス(a)、(b)、及び(c)の接合回数及び接合順序を限定するものではなく、例えば、(a)、(b)の順に接合してもよいし、(a)、(a)、(c)の順に接合してもよいし、(a)、(b)、(c)の順に接合してもよいし、(a)、(a)、(a)、(b)、(c)の順に接合してもよいし、(a)、(a)、(b)、(b)、(c)の順に接合してもよいなどが挙げられる。
【手続補正10】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0074
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0074】
例えば、ヒドロキシル官能基を豊富に含有する材料(例えばポリエチレングリコールPEG)に基づいて、一次元ナノ材料の接合を実現することができ、この場合には、上記した接合は、
接合待ちの一次元ナノ材料と、ヒドロキシル官能基を豊富に含有する材料(例えばPEG)とを、溶液に混合することと、
前記溶液に触媒として分子篩の粒子を加えることと、
前記溶液を加熱し、この後冷却して、分子篩の粒子を濾過除去し、接合された一次元ナノ材料を得ることができることと、を含み得る。
【手続補正11】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池のセパレータであって、ベースフィルムと、前記ベースフィルムに設けられた塗布層構造と、を備え、前記塗布層構造には複数層の材料層が含まれ、各層の材料層にはいずれも一次元ナノ材料が含まれ、かつ前記ベースフィルムから離れた方向に沿って、各層の材料層における一次元ナノ材料の平均長さが層ごとに短縮する、ことを特徴とする電池のセパレータ。
【請求項2】
前記塗布層構造における一次元ナノ材料については、5≧L50/L10≧1.3、且つ4≧L90/L50≧1.3が満たされ、
前記L10は、10%を第1の目標割合とする場合の前記塗布層構造における一次元ナノ材料の長さ記述値を示し、
前記L50は、50%を第1の目標割合とする場合の前記塗布層構造における一次元ナノ材料の長さ記述値を示し、
前記L90は、90%を第1の目標割合とする場合の前記塗布層構造における一次元ナノ材料の長さ記述値を示し、
前記塗布層構造における一次元ナノ材料の長さ記述値は、前記塗布層構造における一次元ナノ材料の数を長さの短い順に逐次積算するとき、積算して得られた数と前記塗布層構造における一次元ナノ材料の合計数との比値が前記第1の目標割合に達した場合に対応する一次元ナノ材料の長さを示す、ことを特徴とする請求項1に記載のセパレータ。
【請求項3】
前記塗布層構造における一次元ナノ材料のL10の長さ値は、100nm~300nmであり、
前記塗布層構造における一次元ナノ材料のL50の長さ値は、250nm~400nmであり、
前記塗布層構造における一次元ナノ材料のL90の長さ値は、350nm~900nmである、ことを特徴とする請求項2に記載のセパレータ。
【請求項4】
異なる材料層の一次元ナノ材料は、同一の第2の目標割合に対して、異なる長さ記述値を形成し、
前記材料層における一次元ナノ材料の長さ記述値は、
対応する材料層における一次元ナノ材料の数を長さの短い順に逐次積算するとき、積算して得られた数と対応する材料層における一次元ナノ材料の合計数との比値が前記第2の目標割合に達した場合に対応する一次元ナノ材料の長さを示し、前記第2の目標割合が50%ではなく、
各層の材料層の一次元ナノ材料の長さ記述値は、同一の第2の目標割合に対して、前記ベースフィルムから離れた方向に沿って順次減少し、
さらに、前記第2の目標割合は、5%~40%の区間範囲にあるか、又は、60%~99%の区間範囲にあるようにする、ことを特徴とする請求項1に記載のセパレータ。
【請求項5】
前記一次元ナノ材料は、ナノセルロース、アラミドナノ繊維、ポリイミドナノ繊維の少なくとも1つを含む、ことを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載のセパレータ。
【請求項6】
隣接する第1の材料層と第2の材料層の中では、前記第1の材料層の一次元ナノ材料の隙間が前記第2の材料層の一次元ナノ材料によって部分的又は完全に充填されており、前記第1の材料層は、前記第2の材料層のベースフィルムに向く側に位置する、ことを特徴とする請求項1に記載のセパレータ。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか1項に記載のセパレータを備える、ことを特徴とする電池。
【請求項8】
請求項1~6のいずれか1項に記載のセパレータを製造するためのセパレータの製造方法であって、前記製造方法は、
異なる長さの一次元ナノ材料を同一又は異なる分散剤に分散させ、少なくとも1種の分散液を得ることと、
前記少なくとも1種の分散液に基づいて、対応する少なくとも1種のスラリーを形成することと、
前記少なくとも1種のスラリーを前記ベースフィルムに塗布して、前記ベースフィルムと前記スラリーとをあぶって乾かし、前記セパレータを得ることと、を含む、ことを特徴とするセパレータの製造方法。
【請求項9】
前記異なる長さの一次元ナノ材料を同一又は異なる分散剤に分散させ、少なくとも1種の分散液を得る前に、
一次元ナノ材料の原料又は切断された一次元ナノ材料を切断し、1回又は複数回の切断によって、少なくとも部分的に異なる長さの一次元ナノ材料を形成することをさらに含む、ことを特徴とする請求項8に記載の製造方法。
【請求項10】
異なる長さの一次元ナノ材料を同一又は異なる分散剤に分散させ、少なくとも1種の分散液を得る前に、
一次元ナノ材料の原料を他方の原料の一端に接合する接合プロセス
(a)、
接合された一次元ナノ材料を前記原料の一端に接合する接合プロセス
(b)、又は
接合された一次元ナノ材料を他方の接合された一次元ナノ材料の一端に接合する接合プロセス
(c)のうちの少なくとも1つを実施して、1回又は複数回の接合によって、少なくとも部分的に異なる長さの一次元ナノ材料を形成すること、をさらに含む、ことを特徴とする請求項8に記載の製造方法。
【請求項11】
前記した接合は、
接合待ちの一次元ナノ材料と、ヒドロキシル官能基を豊富に含有する材料とを、溶液に混合することと、
前記溶液に触媒として分子篩の粒子を加えることと、
前記溶液を加熱し、この後冷却して、前記分子篩
の粒子を濾過除去し、接合された一次元ナノ材料を得ることと、を含む、ことを特徴とする請求項10に記載の製造方法。
【請求項12】
前記少なくとも1種の分散液に基づいて、対応する少なくとも1種のスラリーを形成することは、
前記分散液に接着剤と助剤とを順次加えることを含む、ことを特徴とする請求項8~11のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項13】
前記接着剤は、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸リチウム、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロースの少なくとも1つを含み、
前記助剤は、グリセロール、フルオロアルキルエトキシアルコールエーテル、ブチルベンゼンナフタレンスルホン酸ナトリウム、ヒドロキシエチル硫酸ナトリウム、及びラウリル硫酸ナトリウムの少なくとも1つを含む、ことを特徴とする請求項
12に記載の製造方法。
【請求項14】
前記分散液又は前記スラリーにポリN-イソプロピルアクリルアミドを加えることをさらに含む、ことを特徴とする請求項8~11のいずれか1項に記載の製造方法。
【国際調査報告】