(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-21
(54)【発明の名称】減糖穀物抽出物
(51)【国際特許分類】
A23G 1/56 20060101AFI20240514BHJP
A23L 33/20 20160101ALI20240514BHJP
A23L 2/38 20210101ALI20240514BHJP
A23L 2/00 20060101ALI20240514BHJP
【FI】
A23G1/56
A23L33/20
A23L2/38 C
A23L2/38 J
A23L2/00 G
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023573625
(86)(22)【出願日】2022-03-18
(85)【翻訳文提出日】2024-01-09
(86)【国際出願番号】 EP2022057208
(87)【国際公開番号】W WO2022253474
(87)【国際公開日】2022-12-08
(32)【優先日】2021-06-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】590002013
【氏名又は名称】ソシエテ・デ・プロデュイ・ネスレ・エス・アー
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100140453
【氏名又は名称】戸津 洋介
(72)【発明者】
【氏名】ジェイン, ヴィシスト クマール
(72)【発明者】
【氏名】テオ, フイ キム
(72)【発明者】
【氏名】ハース, ステファン ウォルター
(72)【発明者】
【氏名】ヨン, ケルヴィン
【テーマコード(参考)】
4B014
4B018
4B117
【Fターム(参考)】
4B014GB05
4B014GG01
4B014GG04
4B014GG05
4B014GG06
4B014GG11
4B014GG14
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4B018LB08
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4B117LK24
4B117LP01
4B117LP02
4B117LP06
4B117LP20
(57)【要約】
a)穀物を水性液体中に懸濁してマッシュを製造するステップと、b)補助原材料を水性液体中に懸濁してスラリーを製造するステップと、c)スラリーを加水分解酵素で加水分解し、アルファアミラーゼで加水分解するステップと、d)トランスグルコシダーゼをマッシュに添加し、反応させるステップと、e)マッシュの温度を90℃超かつ98℃未満に上昇させることによって加水分解酵素を失活させるステップと、f)マッシュをフィルタープレスに通して、使用済み穀物粒を分離し、麦汁を得るステップと、g)麦汁を補助原材料スラリーと組み合わせるステップと、h)麦汁を蒸発させて高総固形分にし、シロップ液を作製するステップと、i)高総固形分シロップを無脂肪乳固形分、ココア固形分、スクロース、植物油及び/又は乳脂肪と組み合わせて、ココア及び/又は麦芽飲料粉末を得るステップとを含む、ココア及び/又は麦芽飲料製品を製造するための方法。
【選択図】 なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ココア及び/又は麦芽飲料製品を製造するための方法であって、
a)穀物を水性液体中に懸濁して、マッシュを製造するステップと、
b)補助原材料を水性液体中に懸濁して、スラリーを製造するステップと、
c)ステップa)の前記スラリーを加水分解酵素で加水分解し、ステップb)の前記スラリーをアルファアミラーゼで加水分解するステップと、
d)任意選択的に、トランスグルコシダーゼを前記マッシュに添加して、トランスグルコシダーゼを反応させるステップと、
e)前記マッシュの温度を90℃超かつ98℃未満、好ましくは92℃超かつ97℃未満、より好ましくは95℃に上昇させることによって、前記加水分解酵素、例えばアルファアミラーゼ及び前記任意選択のトランスグルコシダーゼを失活させるステップと、
f)ステップe)からの前記マッシュをフィルタープレスに通して、使用済み穀物粒を分離し、麦汁を得るステップと、
g)ステップf)からの前記麦汁を、ステップb)からの加水分解された補助原材料スラリーと組み合わせるステップと、
h)前記混合された麦汁を蒸発させて高総固形分にし、シロップ液を作製するステップと、
i)ステップh)で得られた前記高総固形分シロップを、無脂乳固形分、ココア固形分、スクロース、植物油及び/又は乳脂肪と組み合わせて、ココア及び/又は麦芽飲料粉末を得るステップと、を含む、方法。
【請求項2】
ステップa)における前記酵素が、アルファアミラーゼ、セルラーゼ、キシラナーゼ、ベータグルカナーゼ、プルラナーゼ、プロテイナーゼ及び/若しくはリパーゼ、又はこれらの組み合わせからなる群から選択される加水分解酵素である、請求項1に記載の飲料製品の製造方法。
【請求項3】
ステップd)が、ステップc)の開始から10~60分後に開始される、請求項1又は2に記載の飲料製品の製造方法。
【請求項4】
ステップc)の開始後、ステップd)の開始前に、前記マッシュの温度を5~30℃上昇させる、請求項1~3のいずれか一項に記載の飲料製品の製造方法。
【請求項5】
前記得られた麦汁が、ステップg)で得られた前記最終的なココア及び/又は麦芽飲料粉末の乾燥固形分の20~65重量%を構成する、請求項1~4のいずれか一項に記載の飲料製品の製造方法。
【請求項6】
前記穀物が、緑色オオムギ、オートムギ、オオムギ、コーン、コメ、コムギ、トウモロコシ、ライムギ、モロコシ、ライコムギ、ゴマ、キノア、ソバ、スペルト、アマランス、トウジンビエ、又はこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1~5のいずれか一項に記載の飲料製品の製造方法。
【請求項7】
前記穀物が緑色オオムギである、請求項6に記載の飲料製品の製造方法。
【請求項8】
前記補助原材料が、タピオカ、オートムギ、オオムギ、コーン、コメ、コムギ、トウモロコシ、ライムギ、モロコシ、ライコムギ、ゴマ、キノア、ソバ、スペルト、アマランス、及びトウジンビエ又はこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1~7のいずれか一項に記載の飲料製品の製造方法。
【請求項9】
前記補助原材料が、好ましくはタピオカである、請求項8に記載の飲料製品の製造方法。
【請求項10】
ステップh)において、前記混合された麦汁を70%~90%の総固形分まで蒸発させる、請求項1~9のいずれか一項に記載の飲料製品の製造方法。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか一項に記載の方法で得られたココア及び/又は麦芽飲料粉末であって、
10~35重量%の無脂乳固形分と、
0~15重量%のココア固形分と、
6~20重量%の植物油及び/又は乳脂肪と、
0~25重量%のスクロースと、
10~65重量%の加水分解オオムギ固形分と、を含む、ココア及び/又は麦芽飲料粉末。
【請求項12】
グルコース、スクロース、フルクトース、マルトース、及びイソマルトースの合計量が、10重量%~40重量%、好ましくは20重量%~40重量%である、請求項11に記載の粉末状のココア及び/又は麦芽飲料粉末。
【請求項13】
請求項1~10のいずれか一項に記載の方法で得られた液状のココア及び/又は麦芽飲料製品であって、
3~10重量%の無脂乳固形分と、
0~5重量%のココア固形分と、
0.3~5重量%の植物油及び/又は乳脂肪と、
0~5重量%のスクロースと、
1~6重量%の加水分解オオムギ固形分と、を含む、液状のココア及び/又は麦芽飲料製品。
【請求項14】
グルコース、スクロース、フルクトース、マルトース、及びイソマルトースの合計量が、1重量%~3.5重量%である、請求項11に記載の液状のココア及び/又は麦芽飲料製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、穀物飲料製品、特にココア及び/又は麦芽飲料製品の製造方法に関する。本発明はまた、この方法で得られた飲料粉末及び液体飲料製品に関する。
【0002】
[背景技術]
多くの食品製品は、従来多量の糖を含み、この多量の糖は、消費者が製品に期待する甘味及び食感を達成するためには重要である。健康上の理由のため、ココア麦芽又は麦芽飲料の主原材料の1つである麦芽抽出物中の糖の量を低減することが望まれている。更に、麦芽抽出物を製品に適用する際には、味に大きな影響を与えることなく高糖麦芽抽出物を低糖麦芽抽出物で置き換えることも望まれている。
【0003】
現在、例えば酵素の失活によって麦芽抽出物製造における糖生成を制御する既存の解決策はない。特定の温度及び時間で不活性である新たなアルファアミラーゼを見出すなどの長期開発の可能性がある。
【0004】
酵素を失活させるために強麦汁(strong wort)を加熱するための熱交換器の設置、又は強麦汁と補助原材料(adjunct)加水分解物との間の接触点での直接蒸気注入(DSI)など、製造の装置面からの解決策が存在し得る。しかしながら、そのような解決策は現在利用可能ではない。
【0005】
したがって、減糖された穀物ベースの飲料製品を製造する方法が必要とされている。また、減糖飲料粉末及び減糖液体飲料製品も必要とされている。
【0006】
[発明の概要]
更なる態様では、本発明は、本発明のココア及び/又は麦芽飲料製品を製造する方法であって、
a)穀物を水性液体中に懸濁して、マッシュを製造するステップと、
b)補助原材料を水性液体中に懸濁して、スラリーを製造するステップと、
c)ステップa)のスラリーを加水分解酵素で加水分解し、ステップb)のスラリーをアルファアミラーゼで加水分解するステップと、
d)任意選択的に、トランスグルコシダーゼを添加して、トランスグルコシダーゼを反応させるステップと、
e)マッシュの温度を90℃超かつ98℃未満、好ましくは92℃超かつ97℃未満、より好ましくは95℃に上昇させることによって、加水分解酵素、例えばアルファアミラーゼ及び任意選択のトランスグルコシダーゼを失活させるステップと、
f)ステップe)からのマッシュをフィルタープレスに通して、使用済み穀物粒を分離し、麦汁を得るステップと、
g)ステップf)からの麦汁を、ステップb)からの加水分解された補助原材料スラリーと組み合わせるステップと、
h)混合された麦汁を蒸発させて高総固形分にし、シロップ液を作製するステップと、
i)ステップh)で得られた高総固形分シロップを、無脂乳固形分、ココア固形分、スクロース、植物油及び/又は乳脂肪と組み合わせて、ココア及び/又は麦芽飲料粉末を得るステップと、を含む、方法に関する。
【0007】
別の態様では、本発明は、本発明による方法で得られたココア及び/又は麦芽飲料粉末であって、10~35重量%の無脂乳固形分と、0~15重量%のココア固形分と、6~20重量%の植物油及び/又は乳脂肪と、0~25重量%のスクロースと、10~65重量%の加水分解オオムギ固形分と、を含む、ココア及び/又は麦芽飲料粉末に関する。
【0008】
別の態様では、本発明は、本発明による方法で得られたココア及び/又は麦芽飲料粉末であって、3~10重量%の無脂乳固形分と、0~5重量%のココア固形分と、0.3~5重量%の植物油及び/又は乳脂肪と、0~5重量%のスクロースと、1~6重量%の加水分解オオムギ固形分と、を含む、ココア及び/又は麦芽飲料粉末に関する。
【0009】
理論に束縛されるものではないが、本発明によれば、アルファアミラーゼ及びデンプンの存在下での糖生成は、この酵素に適した基質が存在する場合にのみ可能であることが見出された。このアルファアミラーゼが糖を生成するのにあたり、オオムギストリーム中に存在する基質(より長いオリゴ糖)は、タピオカストリーム中に存在する基質(おそらくより小さいオリゴ糖)と比較して好ましくない。オオムギストリーム(アルファアミラーゼの失活なし)をタピオカストリームと組み合わせて、長時間の加水分解中に接触させたままにすると、タピオカストリーム中に存在する基質はアルファアミラーゼによる糖生成に適していることから糖の急速な増加をもたらすことが観察された。これに反して従来技術は、実に(indeed)アルファアミラーゼの存在下でのデンプンの長時間の加水分解が糖を生成し得ることを教示しているが、本発明は、オオムギ/麦芽産生(barley/malt production)において糖生成を低減させることが可能であることを示した。
【0010】
正しい時間にプロセスを停止する本発明によれば、糖生成を制御することができる。組み合わせたオオムギとタピオカとの加水分解物を、ホールドアップなしで直ちに蒸発へと進めることができる場合、非常に高い減糖がもたらされ得ることが見出された。
【0011】
[発明を実施するための形態]
本発明は、ココア及び/又は麦芽飲料製品を製造する方法であって、
a)穀物を水性液体中に懸濁して、マッシュを製造するステップと、
b)補助原材料を水性液体中に懸濁して、スラリーを製造するステップと、
c)ステップa)のスラリーを加水分解酵素で加水分解し、ステップb)のスラリーをアルファアミラーゼで加水分解するステップと、
d)任意選択的に、トランスグルコシダーゼを添加して、トランスグルコシダーゼを反応させるステップと、
e)マッシュの温度を90℃超かつ98℃未満、好ましくは92℃超かつ97℃未満、より好ましくは95℃に上昇させることによって、加水分解酵素、例えばアルファアミラーゼ及び任意選択のトランスグルコシダーゼを失活させるステップと、
f)ステップe)からのマッシュをフィルタープレスに通して、使用済み穀物粒を分離し、麦汁を得るステップと、
g)ステップf)からの麦汁を、ステップb)からの加水分解された補助原材料スラリーと組み合わせるステップと、
h)混合された麦汁を蒸発させて高総固形分にし、シロップ液を作製するステップと、
i)ステップh)で得られた高総固形分シロップを、無脂乳固形分、ココア固形分、スクロース、植物油及び/又は乳脂肪と組み合わせて、ココア及び/又は麦芽飲料粉末を得るステップと、を含む、方法に関する。
【0012】
本発明で使用される酵素は、好ましくは、Ondea Pro M及びトランスグルコシダーゼである。Novozymes製のOndea Pro Mは、アルファアミラーゼ及び他の補助酵素からなる。トランスグルコシダーゼはマルトースをより長鎖の炭水化物に変換することで減糖を助ける。
【0013】
ステップc)における酵素は、アルファアミラーゼ、セルラーゼ、キシラナーゼ、ベータグルカナーゼ、プルラナーゼ、プロテイナーゼ及び/若しくはリパーゼ、又はこれらの組み合わせからなる群から選択される加水分解酵素であることが好ましい。
【0014】
本発明によれば、加水分解酵素、例えばアルファアミラーゼ及びトランスグルコシダーゼの失活は、マッシュの温度を90℃超かつ98℃未満、好ましくは92℃超かつ97℃未満、より好ましくは95℃まで上昇させることによって行われる。本発明の最も好ましい実施形態では、マッシュの温度は95℃まで上昇し、これは、マッシュの温度が95℃であること、又は95℃を通過してより高い温度になることを意味する。温度は、例えば、有利には95℃~97℃であり得る。
【0015】
80.5%TSで本発明による減糖の存在下又は非存在下での、緑色オオムギ(green barley)加水分解物、補助原材料加水分解物及び麦芽抽出物の糖組成を表1に示す。
【0016】
【0017】
表1は、80.5%TSでの様々なストリームの糖の範囲(%)を示す。減糖(%)の計算の際、工場におけるプロ麦芽抽出物の糖参照値は26g/100gとした。麦芽抽出物中の糖の値は、ホールドアップ時間及び弱い麦汁(weak wort)の寄与を含まない。
【0018】
【0019】
表2は、トランスグルコシダーゼ添加及び非添加での麦芽抽出物の糖プロファイルを示す。穀物ストリームは、醸造の完了後直ちに失活させ、次いで補助原材料ストリームと組み合わせた。組み合わせたストリームを直ちに蒸発に進め、麦芽抽出物を製造した。減糖(%)の計算の際、工場における麦芽抽出物の糖参照値は26g/100gとした。
【0020】
表1の減糖データは、本発明が従来の麦芽抽出物の糖参照値(26g/100g)から約50%~60%の減糖をもたらし得ることを示す。しかしながら、工場現場では、減糖%は決してこの範囲に達しなかった。工場現場において、オオムギストリームと補助原材料ストリームとの組み合わせは、蒸発の開始前に数時間(最大8時間)ホールドアップ状態のままであってもよい。この遅滞(delay)は、オオムギストリーム中の耐熱性アルファアミラーゼが、ホールドアップ中に補助原材料加水分解物中のオリゴ糖を加水分解し続け、麦芽抽出物中で糖を約1g~2g/時増加させることにより、減糖麦芽抽出物の最終糖プロファイルに明らかに影響する。
【0021】
この問題に取り組むために、マッシュの温度を95℃まで上昇させ、この温度で10分間静置することによって、アルファアミラーゼを失活させた。
図1は、通常の醸造プロファイルと、その後の10分間で95℃までの昇温とを説明する。マッシングの3つの異なる段階で、すなわち、i)マッシングイン直後、ii)80℃/10分ステップ後、及びiii)95℃/10分後に、酵素活性のためマッシュ試料を採取した。最初の試料のアルファアミラーゼ活性を100%活性とし、その次の2つの試料の活性を最初の試料と比較した。
図2は、マッシングの様々な段階で採取したマッシュ試料のアルファアミラーゼ酵素活性についての結果を示す。
【0022】
酵素活性データが示唆するように、80℃で10分間の熱処理がアルファアミラーゼ活性の減少を全くもたらさない一方で、95℃で10分間の熱処理後には活性はほとんど観察されなくなる。続いて、酵素活性の完全な喪失が糖プロファイルに与える影響を調査するために、醸造の完了後にマッシュ(減糖レシピ及び参照レシピ)を高温(95℃/10分)で加熱し次いで補助原材料加水分解物と組み合わせる試験を行った。次いで、組み合わせたストリームを0時間~8時間ホールドアップ状態にし、試料を糖分析のために1時間ごとに回収し、次いで80.5%TSに外挿した。強麦汁及び補助原材料加水分解物試料もまた、糖の分析のために回収した。失活あり及び失活なしでの減糖レシピの糖データを
図3に示し、失活あり及び失活なしでの穀物参照レシピの糖データを
図4に示す。
【0023】
このデータは、酵素が失活させた場合と比較して、酵素が失活させていない場合の方が糖の増加速度が高いことを示唆している。酵素失活を行わない減糖レシピでは、最初の5時間でそれ自体約10gの糖増加があり、その後の糖増加は最小である。同様に、参照穀物レシピに関しても、4時間以内に約10gの糖の増加がある(糖データは4時間までのホールドアップについてのみ)。酵素を95℃で10分間失活させた場合、糖増加速度は急激に減少し、8時間で示された糖増加は、減糖レシピ及び参照穀物レシピのいずれにおいてもわずか約3gであった。減糖レシピ及び参照レシピの減糖は、参照(Ref)麦芽抽出物と比較して、それぞれ約43%及び36%であった。
【0024】
熱失活下で更なる試験を実施し、オオムギと補助原材料とを組み合わせたストリームを、浸出プロセスの完了後直ちに蒸発に進めた。表2は、補助原材料とオオムギストリームとの組み合わせの酵素失活及び即時蒸発を行う減糖レシピ及び緑色オオムギ参照レシピでの、糖プロファイル及び減糖%を示す。データは、酵素失活下で、及び酵素失活下で、組み合わせたストリームをホールドアップさせずに、更に高い減糖が達成され得ることを示している。
【0025】
トランスグルコシダーゼは、アルファグルコシダーゼとも呼ばれる、酵素分類EC3.2.1.20の酵素活性を有する1種類以上の酵素であり、非還元末端側の(1→4)結合アルファ-D-グルコース残基の加水分解と、それに伴うアルファ-D-グルコースの放出を触媒するものと理解される。本発明によるトランスグルコシダーゼは、トランスグルコシダーゼ活性のみを有してもよく、又は1つ以上の副次活性を更に有してもよい。特に、本発明のトランスグルコシダーゼは、酵素分類EC2.4.1.24の活性を有しており、(1→4)-アルファ-D-グルカン中のアルファ-D-グルコシル残基の、遊離している又は(1→4)-アルファ-D-グルカンに組みこまれているグルコースの一級ヒドロキシ基への転移を触媒するものであり、例えば、D-グルコースからはイソマルトースを、マルトースからはパノースを生成する。本発明の好ましい実施形態では、トランスグルコシダーゼは、酵素分類EC3.2.1.20及び酵素分類EC2.4.1.24の両方の活性を有する。
【0026】
アルファアミラーゼは、酵素クラスEC3.2.1.1の酵素活性を有する1種類以上の酵素であり、(1→4)-アルファ結合したD-グルコース単位を3つ以上含む多糖類における(1→4)-アルファ-D-グルコシド結合のエンド型加水分解を触媒するものと理解される。本発明によるアルファアミラーゼは、アルファアミラーゼ活性のみを有してもよく、又は1つ以上の副活性を更に有してもよい。
【0027】
EC(酵素委員会)番号は、2019年8月26日施行の国際生化学分子生物学連合の命名法委員会によって定められた酵素活性及び命名法の定義を指す。
【0028】
ココア及び/又は麦芽飲料製品
一実施形態では、本発明は、ココア及び/又は麦芽飲料製品に関する。ココア及び/又は麦芽飲料製品とは、液状の形態のココア及び/若しくは麦芽飲料を意味し、当該飲料はそのまま摂取され得るものであり、又は、ココア及び/若しくは麦芽飲料粉末を意味し、当該飲料粉末は、例えば水若しくは乳などの水性液体に懸濁することによってココア及び/又は麦芽飲料を調製するために使用され得るものである。本発明のココア及び/又は麦芽飲料製品は、無脂乳固形分、ココア固形分、植物油及び/又は乳脂肪、並びに加水分解オオムギ固形分を含む。
【0029】
無脂乳固形分は、例えば液状乳、例えば、脱脂乳及び/又は全乳、及び/又は粉ミルク、例えば脱脂粉乳及び/又は全粉乳などの任意の好適な乳原料に由来してもよい。液状乳が使用される場合、例えば、蒸発又は濾過によって濃縮されてもよい。
【0030】
加水分解オオムギとは、炭水化物分解酵素により、例えばアルファアミラーゼにより酵素加水分解されたオオムギを意味する。加水分解は、精製酵素及び/若しくは酵素調製物の使用によって行われてもよく、又は例えば従来のマッシングプロセスにおけるように、オオムギ麦芽の内生酵素を使用して行われてもよく、又は内生酵素及び添加酵素の使用の組み合わせであってもよい。使用される酵素調製物は、例えば、アルファアミラーゼ、セルラーゼ、キシラナーゼ、ベータグルカナーゼ、プルラナーゼ、プロテイナーゼ及び/又はリパーゼを含んでもよい。好適な市販の酵素調製物の例は、Novozymes A/S, Denmark製のOndea Pro Mである。
【0031】
ココア固形分は、任意の好適なココア原料に由来してよく、例えば、ココア粉末、カカオマス及び/又はココアバターの形態であってよい。植物油は、任意の好適な植物油、好ましくはパーム油であってもよい。乳脂肪は、例えば、液状乳若しくはクリーム、例えば、脱脂乳、クリーム、及び/若しくは全乳、及び/若しくは粉ミルク、例えば、脱脂粉乳、クリーム粉末、及び/若しくは全粉乳などの任意の好適な乳原料に由来してよく、並びに/又はバター、バター油及び/若しくは無水乳脂肪の形態であってもよい。液状乳又はクリームが使用される場合、例えば、蒸発又は濾過によって濃縮されてもよい。
【0032】
本発明のココア及び/又は麦芽飲料粉末は、スクロースを含んでもよい。好ましい実施形態では、本発明のココア及び/又は麦芽飲料製品は、スクロースを含まない。別の好ましい実施形態では、本発明のココア及び/又は麦芽飲料粉末は、1~25重量%のスクロース、より好ましくは5~20重量%のスクロースを含む。
【0033】
本発明のココア及び/又は麦芽飲料粉末は、例えば、ビタミン、ミネラル、緩衝塩、乳化剤、及び安定剤などの当該技術分野において公知の任意の他の好適な原材料を含んでもよい。
【0034】
本発明のココア及び/又は麦芽飲料粉末は、当該技術分野において公知の任意の好適な方法によって製造されてもよい。原材料は、例えば粉末形態であってもよく、乾燥状態で混合されてもよく、一部又は全ての原材料を水溶液/懸濁液に混合し、続いて乾燥させて粉末にしてもよく、又は、一部又は全ての粉末化原材料を、例えば共凝集させて、可溶性が改善された粉末を製造してもよい。
【0035】
ココア及び/又は麦芽飲料粉末
一実施形態では、本発明のココア及び/又は麦芽飲料製品は、ココア及び/又は麦芽飲料粉末であって、10~35重量%の無脂乳固形分と、0~15重量%のココア固形分と、6~20重量%の植物油及び/又は乳脂肪と、0~25重量%のスクロースと、10~65重量%の加水分解オオムギ固形分と、を含み、マルトースの総量が1重量%~8重量%であり、イソマルトース、イソマルトトリオース及びパノースの総量が2重量%~10重量%である、ココア及び/又は麦芽飲料粉末である。
【0036】
好ましい実施形態では、本発明のココア及び/又は麦芽飲料粉末は、10~50重量%の加水分解オオムギ固形分、より好ましくは10~40重量%の加水分解オオムギ固形分、更により好ましくは15~30重量%の加水分解オオムギ固形分を含む。
【0037】
本発明のココア及び/又は麦芽飲料粉末は、スクロースを含んでも良い。製品中に存在するグルコース量及びイソマルトオリゴ糖量により、許容可能な味、甘味、及び食感を保持したままで、従来のココア及び/又は麦芽飲料粉末と比較してスクロース量が低減され得る。好ましい実施形態では、本発明のココア及び/又は麦芽飲料製品は、スクロースを含まない。別の好ましい実施形態では、本発明のココア及び/又は麦芽飲料粉末は、1~25重量%のスクロース、より好ましくは5~20重量%のスクロースを含む。
【0038】
好ましい実施形態では、本発明のココア及び/又は麦芽飲料粉末は、3重量%~7重量%のマルトースを含む。別の好ましい実施形態では、本発明のココア及び/又は麦芽飲料粉末は、2重量%~8重量%の、イソマルトース、イソマルトトリオース、及びパノースを含む。
【0039】
本発明によるココア及び/又は麦芽飲料粉末の好ましい実施形態では、グルコース、スクロース、フルクトース、マルトース及びイソマルトースの合計量は、10~40重量%、好ましくは20~40重量%である。
【0040】
更に好ましい実施形態では、本発明は、ココア及び/又は麦芽飲料粉末であって、10~35重量%の無脂乳固形分と、0~15重量%のココア固形分と、6~20重量%の植物油及び/又は乳脂肪と、5~20重量%のスクロースと、10~40重量%の加水分解オオムギ固形分と、を含み、マルトースの総量が3重量%~7重量%であり、イソマルトース、イソマルトトリオース及びパノースの総量が2重量%~8重量%である、ココア及び/又は麦芽飲料粉末に関する。
【0041】
液状のココア及び/又は麦芽飲料製品
一実施形態では、本発明のココア及び/又は麦芽飲料製品は、液状のココア及び/又は麦芽飲料製品であって、3~10重量%の無脂乳固形分と、0~5重量%のココア固形分と、0.3~5重量%の植物油及び/又は乳脂肪と、0~5重量%のスクロースと、1~6重量%の加水分解オオムギ固形分と、を含み、マルトースの総量が0.05重量%~0.7重量%であり、イソマルトース、イソマルトトリオース及びパノースの総量が0.1重量%~1重量%である、液状のココア及び/又は麦芽飲料製品である。
【0042】
好ましい実施形態では、本発明の液状のココア及び/又は麦芽飲料製品は、1~5重量%の加水分解オオムギ固形分、より好ましくは1~4重量%の加水分解オオムギ固形分、更により好ましくは1.5~3重量%の加水分解オオムギ固形分を含む。
【0043】
本発明の液状のココア及び/又は麦芽飲料製品は、スクロースを含んでもよい。製品中に存在するグルコース量及びイソマルトオリゴ糖量により、許容可能な味、甘味、及び食感を保持したままで、従来の液状のココア及び/又は麦芽飲料製品と比較してスクロース量が低減され得る。好ましい実施形態では、本発明の液状のココア及び/又は麦芽飲料製品は、スクロースを含まない。別の好ましい実施形態では、本発明の液状のココア及び/又は麦芽飲料製品は、1~5重量%のスクロース、より好ましくは2~4重量%のスクロースを含む。
【0044】
好ましい実施形態では、本発明の液状のココア及び/又は麦芽飲料製品は、0.1重量%~0.5重量%のマルトースを含む。別の好ましい実施形態では、本発明の液状のココア及び/又は麦芽飲料製品は、0.1重量%~0.8重量%の、イソマルトース、イソマルトトリオース及びパノースを含む。
【0045】
本発明による液状のココア及び/又は麦芽飲料製品の好ましい実施形態では、グルコース、スクロース、フルクトース、マルトース、及びイソマルトースの合計量は、1重量%~3.5重量%である。
【0046】
更に好ましい実施形態では、本発明は、液状のココア及び/又は麦芽飲料製品であって、3~10重量%の無脂乳固形分と、0~5重量%のココア固形分と、0.3~5重量%の植物油及び/又は乳脂肪と、0~5重量%のスクロースと、1~4重量%の加水分解オオムギ固形分と、を含み、マルトースの総量が0.1重量%~0.5重量%であり、イソマルトース、イソマルトトリオース及びパノースの総量が0.1重量%~0.8重量%である、液状のココア及び/又は麦芽飲料製品に関する。
【0047】
方法
一実施形態では、本発明は、本発明のココア及び/又は麦芽飲料製品を製造する方法に関する。本方法は、以下のステップを含む:
【0048】
本発明の方法に使用されるオオムギは、例えば、緑色オオムギ及び/又はオオムギ麦芽の形態であってもよい。緑色オオムギ又はオオムギ麦芽は、加水分解を容易にするための任意の好適な方法で処理されてもよく、通常、緑色オオムギ又はオオムギ麦芽は粉砕又は磨砕されることで表面積が増し、アルファアミラーゼの基質への接近が容易になる。加水分解されるオオムギは、例えば、タピオカ、キャッサバ、トウモロコシ、又はコメのデンプンなどの1つ以上の補助原材料と組み合わされてもよく、アルファアミラーゼによって加水分解されるスラリーは、例えば、30~70重量%の補助原材料、例えば30~70重量%のタピオカデンプンを含んでもよい。
【0049】
好ましくは、本発明による方法において、穀物は、緑色オオムギ、オートムギ、オオムギ、コーン、コメ、コムギ、トウモロコシ、ライムギ、モロコシ、ライコムギ、ゴマ、キノア、ソバ、スペルト、アマランス、トウジンビエ、又はこれらの組み合わせからなる群から選択される。より好ましくは、穀物は緑色オオムギである。
【0050】
更に、好ましくは、本発明による方法において、補助原材料は、タピオカ、オートムギ、オオムギ、コーン、コメ、コムギ、トウモロコシ、ライムギ、モロコシ、ライコムギ、ゴマ、キノア、ソバ、スペルト、アマランス、及びトウジンビエ、又はこれらの組合せからなる群から選択され、補助原材料は、好ましくはタピオカである。
【0051】
オオムギのマッシュは、アルファアミラーゼで加水分解される。オオムギマッシュの加水分解は、例えば、純粋アルファアミラーゼの形態で、又はアルファアミラーゼを含む酵素調製物の形態で、アルファアミラーゼをマッシュに添加することによって行われ得る。オオムギのマッシュの加水分解はまた、マッシュのためのオオムギ麦芽を使用することによって行われ得る。オオムギ麦芽は、内生アルファアミラーゼに加えて他の炭水化物分解酵素を含有しており、これを、マッシュ中の大麦麦芽の炭水化物と反応させる。加水分解の目的は、オオムギに含まれるデンプンを、例えば、グルコース、フルクトース、マルトース及びマルトトリオースなどの低分子炭水化物及び糖に変換することである。
【0052】
アルファアミラーゼが酵素調製物として添加される場合、酵素調製物は、更なる酵素活性、例えば、セルラーゼ、キシラナーゼ、ベータグルカナーゼ、プルラナーゼ、プロテイナーゼ及び/又はリパーゼを含んでもよい。オオムギのpHは、アルファアミラーゼを含む酵素調製物と接触させる前に調整してもよく、pHは、例えば、pH4.8~5.1の範囲のpHに、例えば下げられ得る。pH調整は、任意の好適な方法で、例えば、塩基、例えば水酸化ナトリウム、及び/又は塩化カルシウムの添加によって行われてもよい。本発明の方法の好ましい実施形態では、カルシウムを添加してpHを低下させる。
【0053】
オオムギ麦芽は、発芽ステップを経たオオムギ粒であり、アルファアミラーゼをはじめとする内生酵素が形成されている。これらの酵素は、デンプン、タンパク質、及び脂肪などの高分子量物質を、主にグルコース、フルクトース、マルトース及びマルトトリオースを含む糖、アミノ酸、並びに脂肪酸などの低分子物質に分解することが可能である。オオムギ麦芽が使用される場合、加水分解を誘導するための任意の好適な方法で処理され得る。「マッシング」としても知られているオオムギ麦芽の加水分解は、例えば、麦芽抽出物の醸造及び製造に使用される公知のプロセスである。
【0054】
トランスグルコシダーゼを任意選択的に、水性液体中でオオムギマッシュに添加して、イソマルトオリゴ糖及びグルコースを生成する。例えばトランスグルコシダーゼL「アマノ」(天野エンザイム株式会社)などの、例えば、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)からのトランスグルコシダーゼなど、任意の好適なトランスグルコシダーゼを使用してよい。添加は、トランスグルコシダーゼの特徴を考慮して、任意の好適な温度で任意の好適な時間にわたって行われ得る。トランスグルコシダーゼのマッシュへの添加は、アルファアミラーゼでマッシュを加水分解する前、加水分解中、及び/又は加水分解後に行われ得る。好ましい実施形態では、トランスグルコシダーゼのマッシュへの添加は、アルファアミラーゼでの加水分解の開始後に行われる。好ましい実施形態では、トランスグルコシダーゼの添加は、アルファアミラーゼでの加水分解の開始から10~60分後に行われる。プロセスの後半にトランスグルコシダーゼを添加することにより、マルトースの蓄積を助け、それによってトランスフェラーゼ活性を促進し、イソマルトオリゴ糖を作製する。
【0055】
マッシュの温度は、アルファアミラーゼでの加水分解の開始とトランスグルコシダーゼの添加との間で変更され得る。好ましい実施形態では、マッシュの温度を、アルファアミラーゼでの加水分解の開始後、トランスグルコシダーゼの添加前に5~30℃上昇させる。
【0056】
アルファアミラーゼでの加水分解及び任意選択のトランスグルコシダーゼとの反応が所望の程度まで進んだ後、酵素反応を、例えば、酵素を失活させることによって停止させてもよい。好ましい実施形態では、トランスグルコシダーゼを添加した後、酵素を失活させるためにマッシュの温度を70℃~95℃まで上昇させる。
【0057】
一実施形態では、アルファアミラーゼでの加水分解は、トランスグルコシダーゼの添加前に開始され、トランスグルコシダーゼの添加前のアルファアミラーゼでの加水分解中、マッシュの温度は45~60℃である。
【0058】
使用済み穀粒をマッシュから除去して、麦汁を製造する。使用済み穀粒は、任意の好適な方法によって、例えば濾過又は遠心分離によって除去され得る。使用済み穀粒は、トランスグルコシダーゼの添加前又は添加後に除去されてよく、すなわち、反応に供した磨砕物が存在している間に、及び/又はそれが除去された後に、トランスグルコシダーゼ反応が行われ得る。麦汁は、例えば、蒸発及び/又は濾過によって濃縮されてもよく、更に、例えば噴霧乾燥又はローラー乾燥によって乾燥されてもよい。トランスグルコシダーゼは、濃縮の前又は後に添加されてもよい。乾燥後にトランスグルコシダーゼを添加されてもよく、この場合、乾燥させた麦汁は、トランスグルコシダーゼを活性なものとするのに好適な条件で水性液体中に懸濁される。このような添加は、トランスグルコシダーゼ反応を促進する代替の方法を提供する。
【0059】
麦汁は、更なる加工の前に他の原材料と組み合わされてもよく、例えば、麦汁は、加水分解デンプン、例えば加水分解タピオカデンプンと組み合わされてもよい。
【0060】
麦汁が、無脂乳固形分、ココア固形分、植物油及び/又は乳脂肪、並びに任意選択的にスクロース及び他の原材料と組み合わされて、ココア及び/又は麦芽飲料製品が得られる。このような工程は、当該技術分野において公知の任意の方法によって行われてもよい。原材料は、乾燥形態又は液状の形態で組み合わされてもよく、一部の原材料が乾燥形態であり、一部の原材料が液状形態であってもよい。一実施形態では、麦汁は、最終的なココア及び/又は麦芽飲料製品の乾燥固形分の20~65重量%を構成する。
【0061】
最終製品が液状のココア及び/又は麦芽飲料製品である場合、最終的な混合物の含水量は、任意の好適な方法で、例えば水の添加によって最終的に所望される固形分含有量が得られるように調整されてもよい。製品は、例えば、パスチャライズ、UHT処理、又は滅菌によって、常温保存性を改善するために熱処理され、好適な容器に詰められてもよい。
【0062】
最終製品がココア及び/又は麦芽飲料粉末である場合、原材料は、例えば粉末形態であってもよく、乾燥状態で混合されてもよく、一部又は全ての原材料を水溶液/懸濁液中に混合し、続いて乾燥させて粉末にしてもよく、あるいは一部又は全ての原材料粉末を、例えば共凝集させて、可溶性が改善された粉末を製造してもよい。
【0063】
本発明は、図面を参照して更に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【
図1】本発明による穀物醸造プロファイル(青線)及びステップにおける加熱(赤線)を示す。
【
図2】マッシングインステップ後、80℃/10分ステップ後、及び95℃/10分ステップ後に採取した穀物マッシュのアルファアミラーゼ活性を示す。人工基質を使用するMegazymeキットを用いてアルファアミラーゼ活性を分析した。
【
図3】本発明の方法の減糖効果を示す。この図は、穀物と補助原材料とを組み合わせたストリームの、酵素の失活あり又は失活なし、トランスグルコシダーゼ添加下でのホールドアップ中の、80.5%TSでの糖プロファイルを示す。「ホールドアップなし」という用語は、穀物ストリーム及び補助原材料ストリームからの寄与のある、80.5%TSでの糖プロファイルを意味する。「ホールドアップなし」については、混合前のステップf)からの穀物麦汁及びステップb)からの補助原材料加水分解物の実際の糖分析値を計算に採用した。全穀物ストリーム(充填、濾過及び浸出後)を補助原材料加水分解物と組み合わせた後に、ホールドアップ開始からの時間を計測する。麦芽抽出物糖プロファイルは、組み合わせたストリームを約80.5%TSまで蒸発させた後の糖プロファイルである。
【
図4】本発明による穀物と補助原材料とを組み合わせたストリームの、酵素の失活あり及び失活なし、トランスグルコシダーゼ非添加でのホールドアップ中の、80.5%TSでの糖プロファイルを示す。「ホールドアップなし」という用語は、穀物ストリーム及び補助原材料ストリームからの80.5%TSでの糖プロファイルを意味する。「ホールドアップなし」については、混合前のステップf)からの穀物麦汁及びステップb)からの補助原材料加水分解物の実際の糖分析値を計算に採用した。全穀物ストリーム(充填、濾過及び浸出後)を補助原材料加水分解物と組み合わせた後に、ホールドアップ開始からの時間を計測する。麦芽抽出物の糖プロファイルは、組み合わせたストリームを約80.5%TSまで蒸発させた後の糖プロファイルである。
【
図5】本発明による麦芽抽出物製造のためのプロセスフローを示す。このプロセスでは、穀物及び補助原材料は別々の容器で加水分解させ、加水分解後に、秤量タンク(WT)の段階で組み合わせた後、リカータンク(LT)に進め、最後に蒸発させて80.5%TSの麦芽抽出物を製造する。
【国際調査報告】