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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-21
(54)【発明の名称】糖転移酵素及びその使用
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/54 20060101AFI20240514BHJP
   C12N 15/63 20060101ALI20240514BHJP
   C12N 9/10 20060101ALI20240514BHJP
   C12N 1/15 20060101ALI20240514BHJP
   C12N 1/19 20060101ALI20240514BHJP
   C12N 1/21 20060101ALI20240514BHJP
   C12N 5/10 20060101ALI20240514BHJP
   C12P 21/02 20060101ALI20240514BHJP
【FI】
C12N15/54 ZNA
C12N15/63 Z
C12N9/10
C12N1/15
C12N1/19
C12N1/21
C12N5/10
C12P21/02 C
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023573659
(86)(22)【出願日】2022-06-01
(85)【翻訳文提出日】2023-11-29
(86)【国際出願番号】 CN2022096683
(87)【国際公開番号】W WO2022253282
(87)【国際公開日】2022-12-08
(31)【優先権主張番号】202110610098.2
(32)【優先日】2021-06-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202111602506.6
(32)【優先日】2021-12-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520385157
【氏名又は名称】エーバイオケム バイオテクノロジー(グループ)カンパニー,リミティド
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ウー、ヤン
(72)【発明者】
【氏名】ティエン、チェンホア
(72)【発明者】
【氏名】ワン、シュウ
(72)【発明者】
【氏名】チョン、シアオフー
【テーマコード(参考)】
4B064
4B065
【Fターム(参考)】
4B064AG01
4B064CC24
4B064DA20
4B065AA26X
4B065BA02
4B065CA60
(57)【要約】
糖転移酵素及びその使用であり、前記糖転移酵素のアミノ酸配列番号は配列番号112に示されるか、又は配列番号112と少なくとも99%の配列同一性を有するアミノ酸配列に示される。本発明の糖転移酵素は酵素活性が高く、安定性も良好であり;ステビオール配糖体の製造に使用した場合、親糖転移酵素と比較して触媒活性が大幅に向上し、転換率が大幅に向上し、グリコシル供与体UDPG(及び/又はADPG)のコストが高い問題が解決され、それによって反応コストを削減され、産業生産に有利である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アミノ酸配列が配列番号112に示されるか、或いは配列番号112と少なくとも99%の配列同一性を有するアミノ酸配列に示される糖転移酵素。
【請求項2】
前記配列番号112と少なくとも99%の配列同一性を有するアミノ酸配列は、配列番号112と比較して、
V14I;
E99L;
T254G;
L257A;
Q451E;
Q265E;
P271A;
R333K;
R12Q;
A118S;
E418D;
S455Rから選択される1つ又は複数の残基位置でのアミノ酸残基の違いを含み、
好ましくは、前記糖転移酵素のアミノ酸配列は配列番号112と比較して、K347P残基位置から選択されるアミノ酸残基の違いを更に含むことを特徴とする、請求項1に記載の糖転移酵素。
【請求項3】
前記糖転移酵素のアミノ酸配列は、配列番号112と比較して、V14I、E99L、T254G、L257A、Q451E、Q265E、P271A、R333K、R12Q、A118S、E418D又はS455Rから選択される一つの残基位置でのアミノ酸残基の違いを更に含み;
或いは、前記糖転移酵素のアミノ酸配列は、配列番号112と比較して、Q265E及びP271Aから選択される残基位置でのアミノ酸残基の違いを更に含み;
或いは、前記糖転移酵素のアミノ酸配列は、配列番号112と比較して、R333K及びK347Pから選択される残基位置での酸残基の違いを更に含むことを特徴とする、請求項2に記載の糖転移酵素。
【請求項4】
前記糖転移酵素をコードするヌクレオチド配列は、配列:配列番号41、配列番号92、配列番号93、配列番号94、配列番号95、配列番号97、配列番号98、配列番号99、配列番号100、配列番号101、配列番号102、配列番号103、配列番号104、配列番号107及び配列番号108から選択されることを特徴とする、請求項1~3のいずれか1項に記載の糖転移酵素。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1項に記載の糖転移酵素をコードし、
好ましくは、ヌクレオチド配列が配列番号41、配列番号92、配列番号93、配列番号94、配列番号95、配列番号97、配列番号98、配列番号99、配列番号100、配列番号101、配列番号102、配列番号103、配列番号104、配列番号107、配列番号108から選択されることを特徴とする、単離された核酸。
【請求項6】
請求項5に記載の核酸を含む、組換え発現ベクター。
【請求項7】
請求項5に記載の核酸又は請求項6に記載の組換え発現ベクターを含む宿主細胞であり;好ましくは、前記宿主細胞はエシェリキア属菌大腸菌(Escherichia coli)である、形質転換体。
【請求項8】
請求項1~4のいずれか1項に記載の糖転移酵素の製造方法であって、
前記方法は前記糖転移酵素の発現に適した条件下で請求項7に記載の形質転換体を培養するステップを含む、方法。
【請求項9】
請求項1~4のいずれか1項に記載の糖転移酵素を含む、組成物。
【請求項10】
基質のグリコシル化方法であって、
前記方法は請求項1~4のいずれか一項に記載の糖転移酵素の少なくとも1つの基質を提供するステップと、前記基質がグリコシル化されて少なくとも1つのグリコシル化産物を生成させる条件下で、前記基質と前記糖転移酵素とを接触させるステップを含む、方法。
【請求項11】
レバウジオシドAの製造方法であって、
前記方法は請求項1~4のいずれか1項に記載の糖転移酵素の存在下で、ステビオシドとグリコシル供与体とを反応させてレバウジオシドAを得るステップを含み;
好ましくは:
前記糖転移酵素は、糖転移酵素細菌スラリーの形態で存在し;
及び/或いは、前記ステビオシドの濃度は1~150g/Lであり、好ましくは100g/Lであり;
及び/或いは、前記グリコシル供与体とステビオシドのモル比は、1:1~5:1であり;
及び/或いは、前記グリコシル供与体はUDP-グルコースであり、好ましくは、スクロースシンターゼの存在下でスクロースとUDPとで製造し、前記スクロースの濃度は、好ましくは100~300g/Lであり、例えば200g/Lであるり、前記UDPの濃度は好ましくは0.05~0.2g/Lであり、例えば0.1g/Lであり;
及び/或いは、前記反応の反応溶媒のpHは5~8であり、好ましくは6であり;
及び/或いは、前記反応時の回転速度は500~1000rpmであり、好ましくは600rpmであり;
及び/或いは、前記反応の反応系の温度は20~90℃であり、好ましくは60℃であることを特徴とする、製造方法。
【請求項12】
レバウジオシドD又はレバウジオシドMの製造方法であって、
請求項11に記載の製造方法によりレバウジオシドAを製造するステップを含むことを特徴とする、製造方法。
【請求項13】
糖転移酵素の存在下でレバウジオシドAとグリコシル供与体とを反応させるステップを含むレバウジオシドIの製造方法であって、
前記糖転移酵素は請求項1~4のいずれか1項に記載の通りであり、前記製造方法は、
前記糖転移酵素は、糖転移酵素菌、粗酵素液、純粋酵素、純粋酵素液、又は固定化酵素の形態で存在し;
前記グリコシル供与体は、UDP-グルコース及び/又はADP-グルコースであり;
前記レバウジオシドAの濃度は、1~150g/Lであり、好ましくは、100g/Lであり;
前記糖転移酵素菌とレバウジオシドAとの質量比は、1:(3~10)であり、好ましくは、3:20であり;
前記反応の反応溶媒のpHは、5~8であり、好ましくは5.5~6であり;
前記反応の反応系の温度は、20~90℃であり、好ましくは、60℃であり;
前記反応の反応時間は、5~30時間であり、好ましくは、24時間である;
条件の一つ又は複数を満たすことを特徴とする、製造方法。
【請求項14】
前記グリコシル供与体は、スクロース及びスクロースシンターゼの存在下で、UDP及び/又はADPにより製造され;
及び/或いは、前記スクロースの濃度は、100~300g/Lであり、好ましくは、200g/Lであり、前記UDP又は前記ADPノ濃度は0.05~0.2g/Lであり、好ましくは、0.1g/Lであり;
及び/或いは、前記pHは緩衝液で制御し、前記緩衝液は、好ましくは、リン酸緩衝液であり;
及び/或いは、前記反応の回転速度は、500~1000rpmであり、好ましくは、600rpmであることを特徴とする、請求項13に記載の製造方法。
【請求項15】
ステビオール配糖体の製造における、請求項1~4のいずれか一項に記載の糖転移酵素の使用であって、前記ステビオール配糖体は、好ましくは、レバウジオシドA、レバウジオシドD、レバウジオシドM又はレバウジオシドIである使用。
【請求項16】
請求項1~4のいずれか一項に記載の糖転移酵素と、配列が配列番号32に示されるスクロースシンターゼとを含む触媒酵素組成物。
【請求項17】
前記糖転移酵素とスクロース合成酵素の質量比が(2~10):1であり、好ましくは5:1であることを特徴とする、請求項16に記載の触媒酵素組成物。
【請求項18】
レバウジオシドA、レバウジオシドD、レバウジオシドM又はレバウジオシドIの製造における、請求項16又は17に記載の触媒酵素組成物の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、出願日が2021年6月1日である中国特許出願2021106100982、出願日が2021年12月24日である中国特許出願2021116025066の優先権を主張する。本出願は上記中国特許出願の全文を引用する。
【0002】
本発明は、糖転移酵素、及びステビオール配糖体のグリコシル化反応におけるその使用に関する。
【背景技術】
【0003】
ステビオール配糖体(Steviol glycosides、ステビオールグリコサイドとも呼ばれる)は、キク科の草本植物であるステビアの葉から抽出された天然甘味料であり、複数の配糖体の混合物であり、異なるステビオール配糖体は、味と品質に大きな違いが存在する。ステビオール配糖体は純粋な天然物(純粋な天然植物ステビア由来)、高甘味度(スクロースの250~450倍)、低カロリー(白砂糖のわずか1/300)、低使用コスト(コストはスクロースのわずか1/3)、優れた安定性(耐熱性、耐酸性、耐アルカリ性、分解しにくい)、高い安全性(毒性の副作用がない)等のメリット、並びに抗高血糖、抗高血圧、抗炎症、抗腫瘍、下痢止めなどの潜在的な治療効果を有している。
【0004】
ステビオール配糖体(ステビオール配糖体系化合物)の構造式は下記の通りである。
【0005】
【化1】
【0006】
上記のステビオール配糖体系化合物は、共通のアグリコンであるステビオール(Steviol)を有し、違いは、C-13とC-19の位置に接続されている糖基の数と種類にあり、主にステビオシド(Stevioside)、レバウジオシドA(Rebaudioside A、Reb A)、レバウジオシドB、レバウジオシドC、レバウジオシドD、レバウジオシドE、レバウジオシドI、ダルコシド、ステビオールビオシドなどの様々な配糖体を含む。ステビアの葉は、最大10~20%(乾燥重量に基づく)のステビオール配糖体を蓄積することができる。ステビアの葉で発見された主な配糖体は、レバウジオシドA(2~10%)、ステビオシド(2~10%)、及びレバウジオシドC(1~2%)である。レバウジオシドB、D、E、F及びI、ステビオールビオシド、ルブソシドなどの他の配糖体は、はるかに低いレベル(約0~0.2%)で検出されている。その中でもレバウジオシドAは最も甘味度が高く、その甘味度はスクロースに似ており、高甘味度、低カロリー、溶け易さ、耐熱性、安定性を兼ね備えた新規な天然甘味料であり、その含有量や純度もステビアの品質の主な指標である。また、レバウジオシドAは、レバウジオシドD(Rebaudioside D、RebD、RD)、レバウジオシドE(Rebaudioside E、RebE、RE)、レバウジオシドM(Rebaudioside M、RebM、RM)、レバウジオシドI(Rebaudioside I、RebI、RI)等のステビア糖系化合物を合成する重要な中間体でもある。
【0007】
ステビオール配糖体は高強度甘味料ではあるが、苦味と渋みがあるという欠点があり、食品や飲料などの味覚が要求される分野での使用が著しく制限されている。ステビオール配糖体の苦味と渋みの本質的な原因はその内部分子構造にあり、ステビオール配糖体のR基とR基に連結されている糖基が多いほど味が良くなる。一般に、ステビオシドはスクロースの110~270倍甘く、レバウジオシドAの150~320倍甘いことが知られているが、高度に精製された状態でも、ステビオール配糖体は苦味、甘い後味、甘草の味などの望ましくない味の特性を依然として持っている。
【0008】
レバウジオシドDは、最も有望なステビオール配糖体であり、他のステビオール配糖体と比較して、甘味が高く、スクロースの約300~350倍であり、甘味は純粋で、味もスクロースに近く、苦味や甘草の味がなく、安定性も良好であり、理想的な天然高甘味度製品である。ステビア葉に含まれているレバウジオシドDの含有量は非常に少なく(5%未満である)、抽出によるレバウジオシドDの製造には、多量のステビア原料が必要となることに加え、レバウジオシドDを濃縮する工程が煩雑であり、抽出後、複数のカラムパス及び脱塩、脱色、再結晶化が必要であり、製造過程で大量の廃水が発生するため、製造コストが高く、産業的な大量生産には適していない。
【0009】
現在のレバウジオシドDの生酵素合成法は、高価なUDP-グルコースを加える必要があり、UDP-グルコシルトランスフェラーゼ(UDP-glucosyltransferase、UGTと略称する)の作用により、基質としてステビオシド又はレバウジオシドAを使用して、レバウジオシドDの生成を触媒する。しかし、UDP-グルコースの販売価格が非常に高いため、レバウジオシドDの産業的製造の実現可能性はほぼ完全に制限されており、経済性が低く、市場競争力が欠如している。
【0010】
レバウジオシドM(Rebaudioside M、RebM)はより優れた味覚特性を持っているが、葉の乾燥重量中のその含有量は0.1%未満であるため、分離コストが高く、価格も高い。高濃度のレバウジオシドMを得る生体触媒法は学者の注目を集めている。現在、ステビア由来の組換え酵素がレバウジオシドDからレバウジオシドMへの変換を触媒できることが報告されているが、収率は低い。レバウジオシドDを基質として用い、微生物の酵素触媒作用によりレバウジオシドMを得ることができるため、従来の抽出法と比較して、製造プロセスが改善されるだけではなく、環境汚染が軽減され、標的製品レバウジオシドMの収率を向上する。しかし、現在の生物学的酵素触媒法には主に次のような幾つかの問題がある。(1)生体酵素でレバウジオシドDを触媒してレバウジオシドMを製造するコストは高く、酵素触媒収率をさらに最適化する必要がある;(2)触媒に使用される糖転移酵素は製品から分離してリサイクルすることが難しく、失活し易い;(3)天然植物中のレバウジオシドAの含有量は非常に多いのに対し、レバウジオシドDの含有量は非常に少なく、レバウジオシドAを低コストでレバウジオシドDに直接に変換することも緊急の課題である。
【0011】
グルコシルトランスフェラーゼは、酵素反応においてグルコシルのみを転移させる酵素であり、当該酵素の作用機序は、グリコシル供与体のグルコース残基の糖受容体分子への転移を触媒し、それによって受容体分子の活性を調節することである。
【0012】
「ヌクレオチド(nucleoside)」とは、核酸塩基(即ち、窒素含有塩基)及び五炭糖(例えば、リボース又はデオキシリボース)を含むグリコシルアミン(glycosylamines)を指す。ヌクレオチドの非限定的な実施例は、シチジン(cytidine)、ウリジン(uridine)、アデノシン(adenosine)、グアノシン(guanosine)、チミジン(thymidine)、及びイノシン(inosine)を含む。
【0013】
「ヌクレオチド二リン酸(nucleoside diphosphate)」は、核酸塩基(即ち、窒素含有塩基)、五炭糖(例えば、リボース又はデオキシリボース)、及び二リン酸(即ち、ピロリン酸)部分を含むグリコシルアミンを指す。「ヌクレオチド二リン酸」を「NDP」と略してもよい。ヌクレオチド二リン酸の非限定的な実施例は、シチジン二リン酸(CDP)、ウリジン二リン酸(UDP)、アデノシン二リン酸(ADP)、グアノシン二リン酸(GDP)、チミジン二リン酸(TDP)、及びイノシン二リン酸(IDP)を含む。
【0014】
UDP-グルコシルトランスフェラーゼは、UDP-グルコースをグリコシル供与体とするグルコシルトランスフェラーゼの一種で、ほぼすべての生物に存在する。UDP-グルコースはウリジン二リン酸グルコース(uridine diphosphate glucose)の略称であり、UDP-グルコース又はUDPGとも呼ばれ、ウリジン二リン酸とブドウ糖から構成されるビタミンであり、「活性ブドウ糖」とみなすことができ、植物、動物、及び微生物の細胞内に広く分布し、スクロース、デンプン、グリコーゲン、及びその他のオリゴ糖や多糖の合成における最も一般的なグリコシル供与体である。UDP-グルコースに加えて、ADP-グルコース、TDP-グルコース、dTDP-グルコース(deoxythymidine diphosphate glucose)、CDP-グルコース、IDP-グルコース又はGDP-グルコース等もグリコシル供与体化合物として一般的に使用される。これらのグリコシル供与体は高価であり、産業生産には適していない。
【0015】
クロースシンターゼ(sucrose synthase、SUS、SuSy/SS等でも略称、EC2.4.1.13)は、NDP-グルコース+D-フルクトースからNDPとスクロースへの化学反応を可逆的に触媒し、糖転移酵素-4サブファミリーに属し、小麦(Triticum aestivum)胚芽で最初に同定された。各タンパク質は四量体として存在する。各サブユニットの分子量は約90kDaである。遺伝子のサイズは一般に5.9kbであり、cDNAのサイズは約2.7kbである。コードされたアミノ酸配列の全長は約800個のアミノ酸残基(Ross及びDavies 1992)である。スクロースシンターゼはNDPに対して異なる親和性を持っており、親和性の大きさは順次にUDP>ADP>dTDP>CDP>GDPである。
【0016】
Ohtaら(J. Appl. Glycosci., 57,199~209 (2010))は、ステビアの葉からレバウジオシドI(Rebaudioside I、Reb I、RI)の単離を最初に報告した。Indra Prakashら(Molecules 2014, 19, 17345-17355)は、RAを原材料とし、グルコースシルトランスフェラーゼUGT76G1の突然変異体UGT76G1-R11-F12を用いてRIを製造する生合成法を最初に報道し、この方法は、グリコシル供与体としてUDP-グルコースを使用し、30℃の振とうフラスコ内で、pH7.5、MgClの条件下で反応させ、RI収率は22.5%であった。Indra Prakashが発明者である特許出願CN106795523Aは、グルコシルトランスフェラーゼUGT76G1のGenBankアクセッション番号AAR06912.1を開示し、DNA配列を開示した。CN110914445AはRAを原材料としたRIの製造を触媒するグルコースシルトランスフェラーゼUGT76G1の突然変異体をスクリーニングし、スクリーニング条件はpH7.0、10.3mMのMgCl、35℃の温度であった。CN106795523Aは、RIの甘味度及びRIを含む組成物を報告した。上記先行技術には、RAからRIへの合成を触媒する活性を有するグルコシルトランスフェラーゼ又はその突然変異体が開示されているのみであり、これらの酵素は活性が低く、産業生産には適していない。
【0017】
現在、天然甘味料ステビアの広範な使用、及び生体触媒技術の発展に伴い、UDP-グルコシルトランスフェラーゼはステビオール配糖体の生体触媒製造の分野でますます使用されている。UDP-グルコシルトランスフェラーゼには多くの種類があり、現在ステビオール配糖体の生酵素的製造分野で使用されている酵素のほとんどは植物細胞由来の野生型酵素であり、この種の野生酵素は、酵素活性が低い、安定性が低いなどの欠点があることが多く、ステビオール配糖体の産業生産のコストは高くなっている。従って、産業化生産により良いサービスを提供するために、UDP-グルコシルトランスフェラーゼを改変して、より高い酵素活性とより良好な安定性を備えた改変酵素を製造する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
本発明が解決しようとする技術的課題は、既存のUDP-グルコシルトランスフェラーゼが、ステビオール配糖体の生体触媒の製造に使用される場合に酵素活性が低く、安定性が低いため、ステビオール配糖体の触媒として使用すると転換率が低い欠点であるり、従って、本発明は、糖転移酵素(即ち、UDP-グルコシルトランスフェラーゼ)、及びステビオール配糖体の製造におけるその使用を提供する。本発明の糖転移酵素(GT)は、酵素活性が高く、安定性も良好であり;ここで、スクロースとUDP(及び/又はADP)はSUSの触媒作用によりUDPG(及び/又はADPG)を生成し、それによりUDPG(及び/又はADPG)の再生を実現して、グリコシル供与体UDPG(及び/又はADPG)のコストが高い問題を解決し;ステビオール配糖体(例えば、レバウジオシドA、レバウジオシドD、レバウジオシドM、又はレバウジオシドI)の製造に使用すると、親糖転移酵素と比較して触媒活性が大幅に向上し、転換率が有意に向上するため、反応コストが削減され、大規模な産業生産を実現するためにプロセス条件を最適化したより多くのオプションを提供し、産業生産に有利である。
【課題を解決するための手段】
【0019】
上記の技術的問題を解決するために、本発明は、配列番号112に示されるか、又は配列番号112と少なくとも99%の配列同一性を有するアミノ酸配列に示される糖転移酵素を提供する。
【0020】
好ましくは、前記「配列番号112と少なくとも99%の配列同一性を有するアミノ酸配列」は、配列番号112と比較して、下記から選択される1つ又は複数の残基位置でのアミノ酸残基が違うことである。
V14I;
E99L;
T254G;
L257A;
Q451E;
Q265E;
P271A;
R333K;
R12Q;
A118S;
E418D;
S455R。
【0021】
より好ましくは、上記に基加え、配列番号112と比較して、前記糖転移酵素のアミノ酸配列は、下記から選択される残基位置でのアミノ酸残基の違いをさらに含み得る:K347P。
【0022】
ある好ましい実施形態においては、配列番号112と比較して、前記糖転移酵素のアミノ酸配列は、下記から選択される残基位置でのアミノ酸残基の違いを含む:V14I、E99L、T254G、L257A、Q451E、Q265E、P271A、R333K、R12Q、A118S、E418D又はS455R。
【0023】
ある好ましい実施形態において、配列番号112と比較して、前記糖転移酵素のアミノ酸配列は、下記の二つから選択される残基位置でのアミノ酸残基の違いをさらに含む:Q265E及びP271A。
【0024】
ある好ましい実施形態において、配列番号112と比較して、前記糖転移酵素のアミノ酸配列は、下記の二つから選択される残基位置でのアミノ酸残基の違いをさらに含む:R333K及びK347P。
【0025】
好ましい実施形態において、前記糖転移酵素をコードするヌクレオチド配列は、下記の配列から選択され得る:配列番号41、配列番号92、配列番号93、配列番号94、配列番号95、配列番号97、配列番号98、配列番号99、配列番号100、配列番号101、配列番号102、配列番号103、配列番号104、配列番号107及び配列番号108。
【0026】
幾つかの実施形態において、糖転移酵素のアミノ酸配列は、上記の特定の位置以外の位置でさらに1-2、1-3、1-4、1-5、1-6、1-7、1-8、1-9、1-10、1-11、1-12、1-13、1-14、1-15、1-16、1-17、1-18、1-19、1-20個のアミノ酸残基の違いを含み得;これらの残基の違いには保存的アミノ酸残基による置換が含まれる。一般に、これらの置換は糖転移酵素の酵素活性に影響を与えない。
【0027】
上記の技術的課題を解決するために、本発明は、上記の糖転移酵素をコードする単離された核酸を提供する。
【0028】
好ましくは、前記核酸のヌクレオチド配列は下記の配列から選択され得る:配列番号41、配列番号92、配列番号93、配列番号94、配列番号95、配列番号97、配列番号98、配列番号99、配列番号100、配列番号101、配列番号102、配列番号103、配列番号104、配列番号107及び配列番号108。
【0029】
上記の技術的課題を解決するために、本発明は、上記核酸を含む組換え発現ベクターを提供する。
【0030】
上記の技術的課題を解決するために、本発明は、上記核酸又は上記組換え発現ベクターを含む宿主細胞である形質転換体を提供する。
【0031】
前記宿主細胞は当技術分野の通常なものであってもよく、好ましくは大腸菌(Escherichia coli)である。
【0032】
上記技術的課題を解決するために、本発明は、前記糖転移酵素の発現に適した条件下で前記形質転換体を培養することを含む、上記糖転移酵素の製造方法を提供する。
【0033】
前記形質転換体が糖転移酵素を発現した後、例えば、粗酵素液を製造し、粗酵素液を製造した後通常の濃縮、置換を実行してもよく、また、粗酵素液を、さらにイオン交換クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー、疎水性クロマトグラフィー、及びモレキュラーシーブクロマトグラフィー等の精製工程の一つ又は複数を経て前記糖転移酵素を精製する等、当技術分野で一般的に使用される技術的手段で抽出することができる。ある一つの好ましい実施形態において、下記のステップを使用することができる:(1)前記糖転移酵素を含む形質転換体を抗生物質を含む培地例えばLB培地に植菌し、振とう培養して種液を得る;(2)(1)の種液を抗生物質を含む培地例えばTB培地に移し、振とう培養する;(3)(2)の培地にIPTGを加えて一晩誘導させ、遠心分離した後菌体を収集する;(4)(3)で収集した菌体を洗浄、再懸濁させ、破砕した後、遠心分離して前記糖転移酵素を含む粗酵素液を得る。
【0034】
上記の技術的課題を解決するために、本発明は、上記の糖転移酵素を含む組成物を提供する。前記組成物は、例えば、酵素製剤の形態で存在してもよい。
【0035】
上記の技術的問題を解決するために、本発明は、基質のグリコシル化に用いられる方法を提供し、この方法は、前記糖転移酵素等の少なくとも1つの基質を提供し、前記基質がグリコシル化されて少なくとも1つのグリコシル化産物を生成させるような条件下で、前記基質と前記糖転移酵素とを接触させることを含み;前記基質は、好ましくは、ステビオシド、レバウジオシドA又はレバウジオシドDなどの少なくとも1つのステビオール配糖体を含む。
【0036】
上記の技術的問題を解決するために、本発明は、下記の工程を含む、レバウジオシドAの製造方法を提供する:前記糖転移酵素の存在下で、ステビオシド(Stevioside)とグリコシル供与体とを反応させて(例えば、ステビオシドがグリコシル化されてレバウジオシドAを生成させる条件下である)、レバウジオシドAを得る。
【0037】
好ましくは、前記糖転移酵素は、糖転移酵素細菌スラリーの形態で存在する。
【0038】
好ましくは、前記ステビオシドの濃度は1~150g/Lであり、好ましくは100g/Lである。
【0039】
好ましくは、前記グリコシル供与体とステビオシドのモル比は、1:1~5:1であり、例えば2.5:1である。
【0040】
好ましくは、前記グリコシル供与体はUDP-グルコースである。ある一つの好ましい実施形態において、使用されるグリコシル供与体は、スクロースシンターゼの存在下でスクロースとUDPとで製造されることが好ましく、前記スクロースの濃度は、好ましくは100~300g/Lであり、例えば200g/Lであるり、前記UDPの濃度は好ましくは0.05~0.2g/Lであり、例えば0.1g/Lである。シンターゼ(例えば、スクロースシンターゼ又はトレハロースシンターゼ)は一般に反対方向に作用して、ヌクレオチド二リン酸とグルコース供与体(例えば、スクロース、トレハロース、又はデンプンなど)でヌクレオチド二リン酸グルコース化合物を形成させる。本発明において、前記スクロースシンターゼ(スクロースシンターゼとも呼ばれ、Sucrose synthase、SuSy又はSUSと略される)は可逆的なグルコースシル転移反応を触媒し、スクロースシンターゼがスクロースとUDPを触媒することによりUDP-グルコースを生成させ、UDP-グリコシルトランスフェラーゼにUDP-グリコシル供与体を効果的に提供する。スクロース合成酵素とUDP-糖転移酵素によって構築される反応系において、UDPサイクルが生成され、UDP-グルコースの再生を実現し、高価なUDPグルコースの直接使用を避けることで、生産コストを削減する。
【0041】
好ましくは、前記反応のための反応溶媒のpHは5~8であり、好ましくは6である。
【0042】
好ましくは、前記反応時の回転速度は500~1000rpmであり、好ましくは600rpmである。
【0043】
好ましくは、前記反応の反応系の温度は20~90℃であり、好ましくは60℃である。
【0044】
上記の技術的問題を解決するために、本発明は、上記の製造方法によりレバウジオシドAを製造するステップを含む、レバウジオシドD又はレバウジオシドMの製造方法を提供する。
【0045】
ある一つの好ましい実施形態において、前記方法は、ステビオシド基質、グリコシル供与体、及び前記糖転移酵素を提供し、ステビオシド基質、グリコシル供与体及び糖転移酵素を、レバウジオシドD又はレバウジオシドMを生成させる条件下で反応させることを含む。
【0046】
上記技術的問題を解決するために、本発明は、前述の通りである糖転移酵素の存在下でレバウジオシドAとグリコシル供与体とを反応させるレバウジオシドIの製造方法を提供する。
【0047】
前記製造方法において、前記糖転移酵素は、糖転移酵素菌、粗酵素液、純粋酵素、純粋酵素液、又は固定化酵素の形態で存在する。
【0048】
前記製造方法において、前記グリコシル供与体は、UDP-グルコース及び/又はADP-グルコースである。
【0049】
前記製造方法において、前記レバウジオシドAの濃度は、好ましくは1~150g/Lであり、例えば100g/L、50g/L、80g/L、120g/Lである。
【0050】
前記製造方法において、前記糖転移酵素菌とレバウジオシドAとの質量比は、好ましくは、1:(3~10)であり、例えば3:20、1:5、1:8である。
【0051】
前記製造方法において、前記反応に用いされる反応溶媒のpHは、好ましくは5~8であり、より好ましくは5.5~6である。
【0052】
前記製造方法において、前記反応の反応系の温度は、好ましくは20~90℃であり、例えば60℃、30℃、50℃、70℃である。
【0053】
前記製造方法において、前記反応の反応系の反応時間は、好ましくは5~30時間であり、例えば、24時間、10時間、15時間、20時間、28時間である。
【0054】
前記製造方法において、前記グリコシル供与体は、スクロース及びスクロースシンターゼの存在下で、UDP及び/又はADPにより製造されることが好ましい。
【0055】
前記スクロースの濃度は、好ましくは100~300g/Lであり、例えば200g/L、150g/L、250g/Lである。
【0056】
前記UDP又は前記ADPの濃度は、好ましくは0.05~0.2g/Lであり、例えば0.1g/Lである。
【0057】
前記製造方法において、前記pHは好ましくは緩衝液で制御し、前記緩衝液は、例えば、リン酸緩衝液である。
【0058】
前記製造方法において、前記反応の回転速度は、好ましくは500~1000rpmであり、例えば600rpm、800rpmである。
【0059】
上記技術的問題を解決するために、本発明は、ステビオール配糖体の製造における前記糖転移酵素の使用を提供し;前記ステビオール配糖体は、好ましくは、レバウジオシドA、レバウジオシドD、レバウジオシドM、又はレバウジオシドIである。
【0060】
上記技術的課題を解決するために、本発明は、前述の通りである糖転移酵素及び配列が配列番号32に示された通りであるスクロースシンターゼを含む触媒酵素組成物を提供する。
【0061】
前記触媒酵素組成物において、前記糖転移酵素とスクロースシンターゼの質量比は、好ましくは(2~10):1であり、例えば5:1、3:1、8:1である。
【0062】
上記技術的問題を解決するために、本発明は、レバウジオシドA、レバウジオシドD、レバウジオシドM又はレバウジオシドIの製造における前記触媒酵素組成物の使用を提供する。
【0063】
本発明において、前記ステビオール配糖体(Steviol glycosides)はステビオールグリコサイドとも呼ばれ、その構造式と含まれる化合物の種類の詳細については、本発明の背景技術部分を参照されたい。
【発明の効果】
【0064】
本発明の積極的な進歩効果は次の通りである。
本発明の糖転移酵素(GT)は、酵素活性が高く、安定性も良好であり;ステビオール配糖体(例えば、レバウジオシドA、レバウジオシドD、レバウジオシドM、又はレバウジオシドIなど)の製造に使用すると、親糖転移酵素と比較して触媒活性が大幅に向上し、転換率が大幅に向上し、グリコシル供与体UDPG(及び/又はADPG)の価格が高い問題を解決して、反応コストが削減され、大規模な産業生産を実現するためにプロセス条件を最適化したより多くのオプションを提供し、産業生産に有利である。
【図面の簡単な説明】
【0065】
図1】本発明の実施例1~7におけるステビオシドからレバウジオシドA、レバウジオシドD、レバウジオシドMを製造する経路の模式図である。
図2】本発明の実施例1~7の酵素触媒の反応系によりレバウジオシドAを合成し、生体触媒反応におけるUDPGのリサイクルを実現する図である。
図3】実施例1~7の第2ラウンドのスクリーニングで使用した基質ステビオシドのスペクトルであり、ステビオシドの保持時間は12.76分である。
図4】実施例1~7における生成物レバウジオシドA対照品のスペクトルであり、保持時間は12.38分である。
図5】表10における、RA合成のEnz.11の触媒活性の再スクリーニングのHPLCチャートである。
図6】表10における、RA合成のEnz.24の触媒活性の再スクリーニングのHPLCチャートである。
図7】ステビオシドからレバウジオシドA及びレバウジオシドIを製造する合成経路である。
図8】実施例8~11のHPLC検出法を使用した、レバウジオシドA対照品のスペクトルである。
図9】実施例8~11のHPLC検出法を使用した、レバウジオシドI対照品のスペクトルである。
図10】実施例11の8時間反応したHPLCパターンである。
図11】実施例11の24時間反応したHPLCパターンである。
【発明を実施するための形態】
【0066】
以下、実施例によって本出願を具体的に説明するが、本発明に不利な制限を意味するものではない。下記の実施例において具体的な条件を示していない実験方法は、一般的方法及び条件、又は商品の説明書に従って選択されるべきである。
【0067】
本発明における実験方法は、特に説明されていない限り、いずれも一般的な方法であり、具体的な遺伝子クローニング操作については、J.Sambrookら編「分子クローニング実験ガイド」を参照されたい。
【0068】
本発明におけるアミノ酸の略号は、特に説明されていない限りいずれも本技術分野における一般的なものであり、具体的に略号に対応するアミノ酸は表1に示された通りである。
【0069】
【表1】
【0070】
前記アミノ酸の対応するコドンも本技術分野における一般的なものであり、具体的に、アミノ酸とコドンとの対応関係は表2に示された通りである。
【0071】
【表2】
【0072】
KOD Mix酵素はTOYOBO CO.,LTD.,から購入し、DpnI酵素はInvitrogen(上海)から購入し;E.coli Trans10コンピテントセルはGenviewから購入し、E.coli BL21(DE3)コンピテントセルはGenviewから購入た。スクロースはSangon Biotech(上海)から購入した。実施例1~7の第一ラウンドのスクリーニングで使用した反応基質及び実施例8~11のRA60(ステビオシド、その中でRAの含有量は60%であり、ステビオシドの含有量は約30%である)は、製品仕様TSG90/RA60であり、Chenguang Biotechから購入した。第二ラウンドのスクリーニングで使用した反応基質であるステビオシドは、Bide Pharmatechから購入した(純度:95%)。RebA及びRebI対照品はMcLeanから購入した。
【0073】
実施例1~7における転換率のHPLC検出法:クロマトグラフィーカラム:Agilent 5 TC-C18(2)(250×4.6mm)。移動相:0.1%のFA水溶液を移動相Aとし、0.1%のFAアセトニトリル溶液を移動相Bとし、下記の表3に従って勾配溶出を実行した。検出波長:210nm、流速:1ml/min、注入量:20μl、カラム温度:40℃。ステビオシドのピーク時間:12.76分、RebAのピーク時間:12.38分。
【0074】
【表3】
【0075】
実施例8~11における転換率のHPLC検出法:ZORBAXEclipse plus C18 (4.6mm*150mm,3.5um)。移動相:0.1%のTFA水溶液を移動相Aとし、0.1%のTFAアセトニトリル溶液を移動相Bとし、下記の表4に従って勾配溶出を実行した。検出波長:210nm、流速:1ml/min、注入量:20μl、カラム温度:35℃。図8に示されるように、RebAのピーク時間:14.504分であり、図9に示されるように、RebIのピーク時間:14.216分であった。
【0076】
【表4】
【0077】
実施例1~7では、主にUDP-グルコシルトランスフェラーゼの親Enz.1を鋳型として使用したが、第一ラウンドのスクリーニングでは、308位がNに突然変異した糖転移酵素突然変異体Enz.11をスクリーニングし、第二ラウンドのスクリーニングはEnz.11を鋳型としてスクリーニングし、2箇所又は3箇所の突然変異を有するUDP-グルコシルトランスフェラーゼをスクリーニングした。
【0078】
実施例1 第一ラウンドのGT010-308突然変異体ライブラリーの構築
配列番号1に示される番号がEnz.1であるβ-1,3-糖転移酵素(β-1,3-GTase)酵素遺伝子を完全に合成し、当該遺伝子をpET28aプラスミドベクターに連結させて、組換えプラスミドpET28a-GT010を得、遺伝子合成会社はSangon Biotech(上海)(No. 698, Xiangmin Road, Songjiang District, Shanghai, China)であった。Enz.1のアミノ酸配列は配列番号2に示された通りである。
【0079】
pET28a-GT010プラスミドを鋳型として使用し、表5に示されるプライマー配列を使用し、GT010-L308X-F/ET-R及びET-F/GT010-L308X-Rをそれぞれプライマー(ここで、Xは:A、D、E、G、H、I、K、M、N、P、S、V、Wである)として使用し、KOD酵素を使用してPCRを実行し、標的DNAフラグメントとベクターフラグメントを増幅させた。
【0080】
【表5】
【0081】
PCR増幅反応系:
【表6】
【0082】
増幅手順は下記の通りである:
【表7】
【0083】
PCR産物をDpnIで消化させ、ゲル電気泳動とゲル回収を実行して標的DNAフラグメントを得た。ヴァザイムの2つのフラグメント相同リコンビナーゼ(Exnase II)を介てライゲーションを実行した。ライゲーション後、E.coli Trans10コンピテントセルに形質転換させ、50μg/mLのカナマイシンを含むLB培地に散布し、37℃で一晩培養し;コロニーを選択して培養し、配列決定を実行して突然変異遺伝子を含む組換えプラスミドを得た。
【0084】
実施例2 UDP-グルコシルトランスフェラーゼ突然変異体の製造
1.突然変異ベクターのタンパク質への発現を実行
正しい配列を有する上記の組換えプラスミドを宿主E.coli BL21(DE3)コンピテントセルに形質転換させて、点突然変異を含む遺伝子操作株を得た。シングルコロニーを採取し、50μg/mlのカナマイシンを含む5mlのLB液体培地に植菌し、37℃で4時間振とう培養した。2v/v%の接種量を同じく50μg/mlのカナマイシンを含む50mlの新鮮なTB液体培地に移し、OD600が0.6~0.8に達するまで37℃で振とう培養し、最終濃度が0.1mMになるようにIPTG(イソプロピル-β-D-チオガラクトシド、Isopropyl β-D-thiogalactoside)を加え、25℃で20時間誘導培養した。培養終了後、培地を10000rpmで10分間遠心分離し、上清を捨て、菌体(即ち、菌体スラリー)を回収した。後で使用するために-20℃で保管した。
【0085】
2.粗酵素液の製造:
50mMのpH6.0リン酸緩衝液(PBS)を調製し、上記で得られた菌体スラリーを(M/V)1:5で懸濁し、ホモジナイズして粗酵素液を得、粗酵素液を遠心分離し、上清を採取してUDP-グルコシルトランスフェラーゼ突然変異体の粗酵素液を得た。
【0086】
実施例3 スクロースシンターゼSUSの製造
配列番号31に示される番号がEnz.2であるスクロースシンターゼ(SUS)遺伝子を完全に合成し、当該遺伝子をpET28aプラスミドベクターに連結させて、組換えプラスミドpET28a-SUSを得た。遺伝子合成会社はSangon Biotech(上海)(No. 698, Xiangmin Road, Songjiang District, Shanghai, China)であった。スクロースシンターゼのアミノ酸配列は配列番号32に示された通りである。
【0087】
プラスミドpET28a-SUSを宿主E.coli BL21(DE3)コンピテントセルに形質転換させて、Enz.2遺伝子組換え細胞株を得た。シングルコロニーを採取し、50μg/mlのカナマイシンを含む5mlのLB液体培地に植菌し、37℃で4時間振とう培養した。2v/v%の接種量を同じく50μg/mlのカナマイシンを含む50mlの新鮮なTB液体培地に移し、OD600が0.6~0.8に達するまで37℃で振とう培養し、最終濃度が0.1mMになるようにIPTGを加え、25℃で20時間誘導培養した。培養終了後、培養液を10000rpmで10分間(実施例4~7の場合)、或いは4000rpmで20分間(実施例8~11の場合)遠心分離し、上清を捨て、菌体を収集した。後で使用するために-20℃で保管した。
【0088】
実施例4~7の場合、50mMのpH6.0リン酸緩衝液(PBS)を調製し、上記で得られたEnz.2菌体スラリーを(M/V)1:5で懸濁させ、ホモジナイズして粗酵素液を得、粗酵素液を遠心分離し、上清を取ってスクロースシンターゼSUS(酵素番号はEnz.2であり、アミノ酸配列は配列番号32に示される)の粗酵素液を得た。
【0089】
実施例8~11の場合、50mMのpH6.0リン酸緩衝液(PBS)を調製し、上記で得られた細菌スラリーを1:10(M/V、g/mL)で懸濁させ、その後、高圧ホモジナイズ(550Mbar、1.5分間)し、次に、12000rpmで2分間遠心分離してスクロースシンターゼ反応酵素液を得た。
【0090】
実施例4 第一ラウンドの突然変異体のスクリーニング
実施例2及び実施例3で得られた粗酵素液をそれぞれ80℃の恒温で20分間培養し、上清を遠心分離して、それぞれUDP-グルコシルトランスフェラーゼ突然変異体反応酵素液及びスクロースシンターゼ反応酵素液を得た。
【0091】
RA60を基質として使用し、UDP-グルコシルトランスフェラーゼ突然変異体の反応酵素液150μLを1mL反応系に加え、RA60の最終濃度は100g/Lであり、UDPの最終濃度は0.1g/Lであり、スクロースの最終濃度は200g/Lであり、スクロースシンターゼ反応酵素溶液は30μLであり、最後に最終の緩衝液の体積が1mLになるまで50mMのpH6.0リン酸緩衝液を加えた。調製した反応系を金属バスに入れ、60℃、600rpmで60分間反応させ、反応液を50倍に希釈し、HPLCによりRebAの濃度を分析した(詳細は表6のRebA%を参照する)。(スクロースシンターゼは、スクロースのグルコシルをUDPに転移してUDPGを合成するために使用される。)。予備スクリーニングの結果は表6に示された通りである。
【0092】

【表8】
【0093】
表6の予備スクリーニング結果から、Enz.1よりEnz.11が良い触媒効果を有し、RebAの収率がより高いことが分かった。
【0094】
2.再スクリーニング
BoilとUnBoilの2つの反応条件を使用して再スクリーニングし、Boil再スクリーニングの反応条件は予備スクリーニングの反応条件と同じで、UnBoilとは加熱なしで反応することを指し、その他の反応条件はBoil反応条件と同じである。再スクリーニング結果は表7に示された通りである(表の%値は反応液中のRebA含有量に相当する)。
【0095】
【表9】
【0096】
表7の再スクリーニング結果から、Enz.1よりEnz.11が効果が高く、その反応効果はEnz.1に相当することが分かる。
【0097】
実施例5 第二ラウンドの突然変異体ライブラリーの構築
第一ラウンドで得られた糖転移酵素(β-1,3-GTase)Enz.11をコードする遺伝子をベクターpET28aに結合させて、pET28a-Enz.11組換えプラスミドを得、pET28a-Enz.11を鋳型として、表8に示されるプライマー配列を使用し、KOD酵素でPCR増幅を実行して、標的突然変異体Enz.16~Enz.34の遺伝子フラグメント及びベクターフラグメントを得た。
【0098】
pET28a~Enz.34プラスミドを鋳型とし、GT029-L378G-F/Km-R及びKm-F/GT029-L378G-Rをプライマー配列として使用して、PCRにより標的突然変異体Enz.35の遺伝子フラグメント及びベクターフラグメントを増幅させた。
【0099】
【表10】

【0100】
【表11】
【0101】
PCR増幅反応系は表9-1に示される通りである。
【表12】
【0102】
増幅手順は下記の表9-2に示される通りである。
【表13】
【0103】
PCR産物をDpnIで消化させ、ゲル電気泳動とゲル回収を実行した。ヴァザイムの2つのフラグメント相同リコンビナーゼを使用してライゲーションを実行した。ライゲーションが完了した後、E.coli Trans10コンピテントセルに形質転換させ、50μg/mLのカナマイシンを含むLB培地に広げ、37℃で一晩培養し;コロニーを選択して培養し、配列決定を実行して突然変異遺伝子を含む組換えプラスミドを得た。
【0104】
実施例6 UDP-グルコシルトランスフェラーゼ突然変異体の製造
1.突然変異ベクターのタンパク質への発現を実行
実施例5で正確に配列決定された組換えプラスミドを宿主E.coli BL21(DE3)コンピテントセルに形質転換させて、点突然変異を含む遺伝子操作株を得た。シングルコロニーを採取し、50μg/mlのカナマイシンを含む5mlのLB液体培地に植菌し、37℃で4時間振とう培養した。2v/v%の接種量を同じく50μg/mlのカナマイシンを含む50mlの新鮮なTB液体培地に移し、OD600が0.6~0.8に達するまで37℃で振とう培養し、最終濃度が0.1mMになるようにIPTGを加え、25℃で20時間誘導培養した。培養終了後、培地を4000rpmで20分間遠心分離し、上清を捨て、菌体(即ち、菌体スラリー)を収集した。後で使用するために-20℃で保管した。
【0105】
2.粗酵素液の製造:
50mMのpH6.0リン酸緩衝液(PBS)を調製し、上記で得られた菌体スラリーを(M/V)1:10で懸濁させ、ホモジナイズして粗酵素液を得、粗酵素液を遠心分離し、上清を取っててUDP-グルコシルトランスフェラーゼ突然変異体の粗酵素液を得た。後で使用するために-4℃で保管した。
【0106】
実施例7 第二ラウンドの突然変異体のスクリーニング
1.予備スクリーニング
実施例6及び実施例2で得られた粗酵素液をそれぞれ80℃の恒温で15分間培養し、上清を遠心分離して、それぞれUDP-グルコシルトランスフェラーゼ反応酵素液及びスクロースシンターゼ反応酵素液を得た。
【0107】
ステビオシド(ステビオシド含有率:95%、バイド製薬社)を基質とし、UDP-グルコシルトランスフェラーゼ突然変異体の反応酵素液150μLを1mLの反応系に加え、ステビオシドの最終濃度は100g/Lであり、UDPの最終濃度は0.1g/Lであり、スクロースの最終濃度は200g/Lであり、スクロースシンターゼ合成酵素は30μLであり、最後に最終の緩衝液の体積が1mLになるまで50mMのpH6.0リン酸緩衝液を加えた。製造した反応系を金属バスに入れ、60℃、600rpmで60分間反応させた後、50倍に希釈し、Reb A濃度をHPLC分析した。Enz.1及びEnz.11を二重対照として使用して、20個の突然変異体をスクリーニングした。予備スクリーニングの結果は表10に示された通りである。
【0108】
【表14】
【0109】
表10の予備スクリーニング結果から、Enz.17、Enz.18、Enz.21、Enz.22、Enz.24、Enz.26、Enz.27、Enz.28、Enz.31、Enz.32はいずれも対照より10%以上優れていることが分かり、これらの突然変異体を選択して再スクリーニングした。なお、上記の反応は、粗酵素液を80℃の恒温で15分間培養し、上清を遠心分離して反応酵素液を得てから反応を実行することであり、酵素液の安定性が良好であることがわかる。
【0110】
2.再スクリーニング
再スクリーニングの反応条件は予備スクリーニングの反応条件と同じである。再スクリーニングの結果は表11に示された通りである。
【0111】
【表15】
【0112】
表11の再スクリーニング結果から、Enz.17、Enz.18、Enz.21、Enz.22、Enz.24、Enz.26、Enz.27、Enz.28、Enz.31、Enz.32はいずれも親対照より10%以上優れていることが分かる。UDP-グルコシルトランスフェラーゼの親Enz.1と比較して、上記で得られたUDP-グルコシルトランスフェラーゼ突然変異体は触媒活性が大幅に向上した。
【0113】
図1は、本発明の実施例において、ステビオシドからレバウジオシドA、レバウジオシドD、及びレバウジオシドMを製造する経路の模式図を示す。図2は、本発明の実施例における酵素触媒反応系によりレバウジオシドAを合成し、生体触媒反応においてUDPGのリサイクルを実現することを示す。図3は第二ラウンドのスクリーニングで使用した基質ステビオシドのスペクトルであり、保持時間は12.76分であった。図4は生成物レバウジオシドA対照品のスペクトルであり、保持時間は12.38分であった。図5は、表11における、RAの合成を触媒するEnz.11の再スクリーニングのHPLCチャートである。図5は、表11における、RAの合成を触媒するEnz.24の再スクリーニングのHPLCチャートである。
【0114】
実施例8~12の経路の模式図は図7に示された通りである。
【0115】
実施例8 第一ラウンドのβ-1.3-酵素突然変異体ライブラリーの構築
実施例1のように、配列番号1に示される番号がEnz.1であるβ-1,3-グリコシルトランスフェラーゼ(β-1,3-GTase)酵素遺伝子を完全に合成し、pET28aプラスミドベクターに連結させて、組換えプラスミドpET28a-Enz.1を得、遺伝子合成会社はSangon Biotech(上海)(No. 698, Xiangmin Road, Songjiang District, Shanghai, China)であった。Enz.1のアミノ酸配列は配列番号2に示された通りである。組換えプラスミドを宿主大腸菌BL21(DE3)コンピテントセルに形質転換させて、トランスアミナーゼEnz.1遺伝子を含む遺伝子操作された株を得た。
【0116】
同じように、表12におけるEnz.1遺伝子の部位特異的突然変異誘発により得られたトランスアミナーゼEnz.2.2~Enz.2.6の遺伝子、及びEnz.16、Enz.19、Enz.23、Enz.25、Enz.27、Enz.31、Enz.32及びEnz.35の遺伝子を、部位NdeI、HindIIIを酵素で切断し、ベクターpET28aに接続して、トランスアミナーゼEnz.2.2~Enz.2.6の遺伝子、及びEnz.16、Enz.19、Enz.23、Enz.25、Enz.27、Enz.31、Enz.32及びEnz.35の遺伝子をそれぞれ含む組換えプラスミドを得た。各組換えプラスミドをそれぞれ宿主大腸菌BL21(DE3)コンピテントセルに形質転換させて、表12のトランスアミナーゼ遺伝子を含む遺伝子操作された株を得た。
【0117】
【表16】
【0118】
実施例9 β-1.3-グルコシルトランスフェラーゼ突然変異体の製造
突然変異ベクターのタンパク質への発現を実行
実施例8の菌株のシングルコロニーそれぞれを選択して、50μg/mLのカナマイシンを含む5mlのLB液体培地に植菌し、37℃で4時間振とう培養した。2v/v%の接種量を同じく50μg/mLのカナマイシンを含む50mlの新鮮なTB液体培地に移し、OD600が約0.8に達するまで37℃で振とう培養し、最終濃度が0.1mMになるようにIPTG(イソプロピル-β-D-チオガラクトシド、Isopropyl β-D-thiogalactoside)を加え、25℃で20時間培養した。培養終了後、培地を4000rpmで20分間遠心分離し、上清を捨て、菌体を回収した。後で使用するために-20℃で保管した。
【0119】
実施例10 β-1.3-グルコシルトランスフェラーゼ突然変異体のスクリーニング
反応酵素液の製造:
pH6.0の50mMリン酸緩衝液(PBS)を製造し、上記実施例6及び9で得られた菌体それぞれを1:10(M/V、g/mL)で懸濁させ、高圧ホモジナイザーを用いてホモジナイズ(550Mbar、1.5分間)し、ホモジナイズした酵素液を12000rpmで2分間遠心分離して、各β-1,3-糖転移酵素反応酵素液を得た。
【0120】
β-1.3-糖転移酵素反応酵素液150μLを1mLの反応系に加え、RA60の最終濃度は50g/Lであり、ADPの最終濃度は0.1g/Lであり、スクロースの最終濃度は200g/Lであり、実施例3で製造したスクロースシンターゼ反応酵素液は30μLであり、最終的に50mMのpH6.0リン酸緩衝液を加えて1mLとした。製造した反応系を金属バスに入れ、60℃、600rpmで30分間反応させ、反応液10μLをpH2~3の塩酸990μLに加え、ボルテックスし、13000rpmで10分間遠心分離し、上清をHPLC分析を実施してRebI濃度を分析した。HPLC検出方法を使用して得られた実験結果は表13に示された通りである。
【0121】
【表17】
【0122】
表13の予備スクリーニング結果から、Enz.31が最も高い酵素活性を持っていることがわかり、その後の実験はEnz.31を選択して実行した。
【0123】
実施例11 酵素Enz.31によるRI合成の触媒
1mLの反応系に、Enz.31反応酵素溶液150μL、スクロースシンターゼ反応酵素溶液30μLを加え、RA60の最終濃度は100g/Lであり、スクロースの最終濃度は200g/Lであり、ADPの最終濃度は0.1g./Lであり、最後にPBS(50mM、pH5.5)を最終体積が1mLになるように加えた。製造した反応系を金属バスに入れ、それぞれ60℃、600rpmで反応させ、それぞれ1h、2h、3h、4h、5h、6h、7h、8h、24hで反応液10μLを取ってpH2~3の塩酸990μLに加え、ボルテックスし、13000rpmで10分間遠心分離し、上清をHPLCで分析した。HPLC検出方法を使用して得られた実験結果は表14に示された通りである。
【0124】
【表18】
【0125】
表14の反応結果より、8時間反応した後、RIのピーク面積比が71%に達し、24時間反応した後、RIのピーク面積比が97%に達し、ほぼ完全に反応したことが分かる。
【0126】
図10は表14における、8時間反応させた実験結果のHPLCパターンである。図11は表14における、24時間反応させた実験結果のHPLCパターンである。
【0127】
以上、本発明の特定の実施形態について説明したが、当業者であれば、これらは単なる例であり、本発明の原理及び本質から逸脱することなく、これらの実施形態に対して様々な変更や修正を加えることができることを理解されたい。したがって、本発明の範囲は添付の特許請求の範囲によって限定される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
【配列表】
2024520118000001.app
【国際調査報告】