(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-21
(54)【発明の名称】外気の侵入を低減させるスルーエア装置
(51)【国際特許分類】
F26B 13/00 20060101AFI20240514BHJP
【FI】
F26B13/00 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023574282
(86)(22)【出願日】2022-03-22
(85)【翻訳文提出日】2024-01-29
(86)【国際出願番号】 IB2022000145
(87)【国際公開番号】W WO2022254252
(87)【国際公開日】2022-12-08
(32)【優先日】2021-06-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517064728
【氏名又は名称】ヴァルメト アクチボラグ
(74)【代理人】
【識別番号】100087941
【氏名又は名称】杉本 修司
(74)【代理人】
【識別番号】100112829
【氏名又は名称】堤 健郎
(74)【代理人】
【識別番号】100142608
【氏名又は名称】小林 由佳
(74)【代理人】
【識別番号】100155963
【氏名又は名称】金子 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】100150566
【氏名又は名称】谷口 洋樹
(74)【代理人】
【識別番号】100213470
【氏名又は名称】中尾 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100220489
【氏名又は名称】笹沼 崇
(74)【代理人】
【識別番号】100225026
【氏名又は名称】古後 亜紀
(74)【代理人】
【識別番号】100230248
【氏名又は名称】杉本 圭二
(72)【発明者】
【氏名】シェクター・ミハイル・ワイ
(72)【発明者】
【氏名】ミラー・ロバート・エイチ・サード
【テーマコード(参考)】
3L113
【Fターム(参考)】
3L113AA06
3L113AB03
3L113AC05
3L113AC31
3L113AC67
3L113AC77
3L113BA31
3L113CB21
3L113CB24
3L113CB34
3L113DA30
(57)【要約】
【課題】抄紙ウェブ、薄葉紙ウェブまたは不織布ウェブの乾燥または接着を行うスルーエア装置および該スルーエア装置を動作させる方法を提供する。
【解決手段】本発明のスルーエア装置は、動くように構成されたウェブ搬送構造体と、前記ウェブ搬送構造体に隣接した少なくとも1つの密封要素を具備する第1の構成要素と、を備え、前記密封要素が、当該スルーエア装置への外気の侵入を減らすように構成されている。同スルーエア装置は、さらに、当該スルーエア装置への外気の侵入を減らすよう前記密封要素に空気を導くように構成された少なくとも1つの流路を備える。同スルーエア装置を動作させる方法は、当該スルーエア装置への外気の侵入を減らすように密封要素に空気を導くステップを備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
抄紙ウェブ、薄葉紙ウェブまたは不織布ウェブの乾燥または接着を行うスルーエア装置であって、
動くように構成されたウェブ搬送構造体と、
前記ウェブ搬送構造体に隣接した少なくとも1つの密封要素を具備する第1の構成要素であって、前記少なくとも1つの密封要素が、当該スルーエア装置への外気の侵入を減らすように構成されている、第1の構成要素と、
当該スルーエア装置への外気の侵入を減らすよう前記少なくとも1つの密封要素に空気を導くように構成された少なくとも1つの流路と、
を備える、装置。
【請求項2】
請求項1に記載の装置において、前記第1の構成要素が、固定される構成要素となるように構成されており、前記ウェブ搬送構造体が、固定される前記第1の構成要素に対して可動である、装置。
【請求項3】
請求項1に記載の装置において、前記ウェブ搬送構造体が、第1の軸心を中心として回転運動するように構成されたスルーエアロールである、装置。
【請求項4】
請求項3に記載の装置において、前記第1の構成要素および前記少なくとも1つの密封要素が、前記スルーエアロール内に位置している、装置。
【請求項5】
請求項1に記載の装置において、前記第1の構成要素が1つ以上の排気ダクトを含み、前記少なくとも1つの密封要素が少なくとも1つの排気ダクト密封要素を含み、前記少なくとも1つの流路が、当該スルーエア装置への外気の侵入を減らすよう前記少なくとも1つの排気ダクト密封要素に空気を導くように構成されている、装置。
【請求項6】
請求項3に記載の装置において、当該スルーエア装置が、アクティブゾーンおよび非アクティブゾーンを有しており、前記第1の構成要素が、内部バッフルおよび当該スルーエア装置の前記非アクティブゾーンに設けられた非アクティブゾーン遮断プレートを含み、前記少なくとも1つの密封要素が、少なくとも1つの遮断プレート密封要素を含み、前記少なくとも1つの流路が、当該スルーエア装置への、前記非アクティブゾーンからの外気の侵入を減らすよう前記少なくとも1つの遮断プレート密封要素に空気を導くように構成されている、装置。
【請求項7】
請求項6に記載の装置において、さらに、
前記スルーエアロールに隣接した少なくとも1つの密封要素を具備する第2の構成要素であって、前記第2の構成要素の前記少なくとも1つの密封要素が、当該スルーエア装置への外気の侵入を減らすように構成されている、第2の構成要素と、
当該スルーエア装置への外気の侵入を減らすよう前記第2の構成要素の前記少なくとも1つの密封要素に空気を導くように構成された少なくとも1つの流路と、
を備え、
前記第2の構成要素が1つ以上の排気ダクトを含み、前記第2の構成要素の前記少なくとも1つの密封要素が少なくとも1つの排気ダクト密封要素を含み、前記少なくとも1つの流路が、当該スルーエア装置への外気の侵入を減らすよう前記少なくとも1つの排気ダクト密封要素に空気を導くように構成されている、装置。
【請求項8】
請求項1に記載の装置において、前記少なくとも1つの流路が、前記少なくとも1つの密封要素に対し、当該スルーエア装置における別の部分からのシステム空気を再循環させるように構成されている、装置。
【請求項9】
請求項1に記載の装置において、前記少なくとも1つの流路が、ヤンキーホットエアーシステムの排気流、真空ポンプの排気流、タービンの排気流、およびその他の任意の加熱空気流のうちの少なくとも1つからの加熱空気を、前記少なくとも1つの密封要素へと流すように構成されている、装置。
【請求項10】
請求項3に記載の装置において、当該スルーエア装置が、アクティブゾーンおよび非アクティブゾーンを有しており、前記第1の構成要素が、当該スルーエア装置の前記アクティブゾーンまたは前記非アクティブゾーンを覆うように構成されたプレナムを含み、前記少なくとも1つの流路が、当該スルーエア装置への外気の侵入を減らすよう前記プレナムを介して前記少なくとも1つの密封要素に空気を導くように構成されている、装置。
【請求項11】
請求項1に記載の装置において、前記第1の構成要素が、前記少なくとも1つの密封要素に空気を配分する多孔板、ノズル、流路およびスロットのうちの少なくとも1つを含む、装置。
【請求項12】
請求項3に記載の装置において、前記少なくとも1つの流路が、前記スルーエアロールの内部に設けられた流路部を有する、装置。
【請求項13】
請求項1に記載の装置において、前記流路を流れる空気流は、前記少なくとも1つの密封要素に前記空気を一様に配分することができるようにファンの速度の調節、ダンパの位置の調節、該流路内の可変流量規制部もしくは前記密封要素自体の調節、またはその他の手段の調節によって制御される、装置。
【請求項14】
請求項3に記載の装置において、前記流路の少なくとも一部が、前記第1の軸心に沿って延びている、装置。
【請求項15】
請求項3に記載の装置において、前記流路の少なくとも一部が、前記第1の軸心から前記スルーエアロールの外周に向かって径方向外方に延びている、装置。
【請求項16】
請求項1に記載の装置において、さらに、前記少なくとも1つの密封要素に空気を圧送するように構成されたファンを備える、装置。
【請求項17】
請求項1に記載の装置において、前記ウェブ搬送構造体が、水平面または傾斜面に沿って並進運動するように構成されたフラットベッドベルトである、装置。
【請求項18】
抄紙ウェブ、薄葉紙ウェブまたは不織布ウェブの乾燥または接着を行うスルーエア装置を動作させる方法であって、
ウェブをウェブ搬送構造体の一部に載置するステップと、
前記ウェブが前記ウェブ搬送構造体と共に動くように前記ウェブ搬送構造体を動かすステップと、
前記ウェブ搬送構造体に隣接した少なくとも1つの密封要素を具備する第1の構成要素であって、前記第1の構成要素の前記少なくとも1つの密封要素が、前記スルーエア装置への外気の侵入を減らすように構成されている、第1の構成要素を準備するステップと、
前記スルーエア装置への外気の侵入を減らすように前記少なくとも1つの密封要素に空気を導くステップと、
を備える、方法。
【請求項19】
請求項18に記載の方法において、空気を導く前記ステップが、前記スルーエア装置への外気の侵入を減らすように前記少なくとも1つの密封要素に加熱空気を導くステップを含む、方法。
【請求項20】
請求項18に記載の方法において、前記第1の構成要素が、固定される構成要素となるように構成されており、前記ウェブ搬送構造体が、固定される前記第1の構成要素に対して可動である、方法。
【請求項21】
請求項18に記載の方法において、前記第1の構成要素が1つ以上の排気ダクトを含み、前記少なくとも1つの密封要素が少なくとも1つの排気ダクト密封要素を含み、空気を導く前記ステップが、前記スルーエア装置への外気の侵入を減らすように前記少なくとも1つの排気ダクト密封要素に空気を導くステップを含む、方法。
【請求項22】
請求項18に記載の方法において、前記ウェブ搬送構造体がスルーエアロールであり、当該方法は、さらに、
前記ウェブを前記スルーエアロールの角度方向部分に巻き付けて、前記スルーエア装置のアクティブ空気流ゾーンおよび非アクティブ空気流ゾーンを形成するステップと、
前記ウェブが前記スルーエアロールと共に回転するように第1の軸心を中心として前記スルーエアロールを回転させるステップと、
を備える、方法。
【請求項23】
請求項22に記載の方法において、前記第1の構成要素が、内部バッフルおよび前記スルーエア装置の前記非アクティブゾーンに設けられた非アクティブゾーン遮断プレートを含み、前記少なくとも1つの密封要素が、少なくとも1つの遮断プレート密封要素を含み、空気を導く前記ステップが、前記スルーエア装置への、前記非アクティブゾーンからの外気の侵入を減らすように前記少なくとも1つの遮断プレート密封要素に空気を導くステップを含む、方法。
【請求項24】
請求項23に記載の方法において、さらに、
前記スルーエアロールに隣接した少なくとも1つの密封要素を具備する第2の構成要素であって、前記第2の構成要素の前記少なくとも1つの密封要素が、前記スルーエア装置への外気の侵入を減らすように構成されている、第2の構成要素を準備するステップと、
前記スルーエア装置への外気の侵入を減らすように前記第2の構成要素の前記少なくとも1つの密封要素に空気を導くステップと、
を備え、
前記第2の構成要素が1つ以上の排気ダクトを含み、前記第2の構成要素の前記少なくとも1つの密封要素が少なくとも1つの排気ダクト密封要素を含み、空気を導く前記ステップが、前記スルーエア装置への外気の侵入を減らすように前記少なくとも1つの排気ダクト密封要素に空気を導くステップを含む、方法。
【請求項25】
請求項18に記載の方法において、前記少なくとも1つの密封要素に空気を導く前記ステップが、前記少なくとも1つの密封要素に対し、前記スルーエア装置における別の部分からのシステム空気を再循環させるステップを含む、方法。
【請求項26】
請求項19に記載の方法において、前記少なくとも1つの密封要素に加熱空気を導くステップが、ヤンキーホットエアーシステムの排気流、真空ポンプの排気流、タービンの排気流、およびその他の任意の加熱空気流のうちの少なくとも1つからの加熱空気を、前記少なくとも1つの密封要素へと流すステップを含む、方法。
【請求項27】
請求項22に記載の方法において、前記第1の構成要素が、前記スルーエア装置の前記アクティブゾーンまたは前記非アクティブゾーンを覆うように構成されたプレナムを含み、空気を導く前記ステップが、前記スルーエア装置への、前記非アクティブゾーンからの外気の侵入を減らすように前記プレナムを介して前記少なくとも1つの密封要素に空気を導くステップを含む、方法。
【請求項28】
請求項22に記載の方法において、前記少なくとも1つの密封要素に空気を導くステップが、前記スルーエアロールの内部の流路に空気を流すステップを含む、方法。
【請求項29】
請求項28に記載の方法において、前記流路の少なくとも一部が、前記第1の軸心に沿って延びている、方法。
【請求項30】
請求項28に記載の方法において、前記流路の少なくとも一部が、前記第1の軸心から前記スルーエアロールの外周に向かって径方向外方に延びている、方法。
【請求項31】
請求項18に記載の方法において、前記少なくとも1つの密封要素が、多孔板、流路、ノズルおよびスロットのうちの少なくとも1つを含み、前記少なくとも1つの密封要素に空気を導くことで、前記スルーエア装置への外気の侵入を減らすようにエアカーテンを生成する、方法。
【請求項32】
請求項18に記載の方法において、前記ウェブ搬送構造体が、水平面または傾斜面に沿って並進運動するように構成されたフラットベッドベルトである、方法。
【請求項33】
抄紙ウェブ、薄葉紙ウェブまたは不織布ウェブの乾燥または接着を行うスルーエア装置であって、
a)回転式ウェブ搬送構造体であって、空気が通過できるように複数の開口部を具備した搬送面、ならびに当該ウェブ搬送構造体の角度方向のアクティブゾーンおよび非アクティブゾーンを規定して当該スルーエア装置のアクティブ空気流ゾーンおよび非アクティブ空気流ゾーンを形成するウェブ巻付け角度を有する、回転式ウェブ搬送構造体と、
b)前記回転式ウェブ搬送構造体の相対回転対象となる固定構造体であって、少なくとも1つの密封要素を具備しており、当該少なくとも1つの密封要素が、当該少なくとも1つの密封要素を具備しない同等の構造体に比べて当該スルーエア装置の前記アクティブゾーンへの外気のインリークを低減させるように構成されている、固定構造体と、
c)再循環空気またはその他の加熱空気流を1つ以上の前記密封要素に送達させることによって当該スルーエア装置の前記アクティブゾーンへの外気のインリークをさらに減らす、少なくとも1つの流路と、
を備える、スルーエア装置。
【請求項34】
請求項33に記載のスルーエア装置において、前記固定構造体が、さらに、非アクティブゾーン遮断プレートおよび少なくとも1つの非アクティブゾーン密封要素を具備し、再循環空気またはその他の加熱空気流を送達させる前記少なくとも1つの流路が、前記少なくとも1つの非アクティブゾーン密封要素に空気を送達させる、スルーエア装置。
【請求項35】
請求項33に記載のスルーエア装置において、前記固定構造体が、さらに、少なくとも1つの排気ダクトまたはプレナム、および少なくとも1つの排気ダクト密封要素またはプレナム密封要素を具備し、再循環空気またはその他の加熱空気流を送達させる前記少なくとも1つの流路が、前記少なくとも1つの排気ダクト密封要素またはプレナム密封要素に空気を送達させる、スルーエア装置。
【請求項36】
請求項33に記載のスルーエア装置において、前記加熱空気流が、予熱外気、タービンの排気、ヤンキーホットエアーシステムの排気、真空ポンプの排気、抄紙機もしくは製紙工場環境におけるその他の加熱空気流、またはその他の任意の加熱空気源を含む、スルーエア装置。
【請求項37】
請求項33に記載のスルーエア装置において、前記少なくとも1つの密封要素へと流れる加熱空気の量が、ファンの速度の調節、ダンパの位置の調節、前記送達流路内の可変流量規制部もしくは前記密封要素自体の調節、またはその他の手段の調節によって制御される、スルーエア装置。
【請求項38】
請求項33に記載のスルーエア装置において、前記少なくとも1つの密封要素が、再循環空気またはその他の加熱空気流を送達させる前記少なくとも1つの流路と気体連通した流路セグメントを含み、前記流路セグメントが、前記回転式ウェブ搬送構造体のうちの、それと隣接した前記搬送面と略平行な多孔面を有していることで、再循環空気またはその他の加熱空気流が前記多孔部を通って送り出されることにより、前記スルーエア装置の前記アクティブゾーンへの外気のインリークがさらに減る、スルーエア装置。
【請求項39】
請求項33に記載のスルーエア装置において、前記固定構造体が、さらに、前記ウェブ搬送構造体のうちの、当該スルーエア装置の前記非アクティブゾーンを占める外側部に間隔を空けて対向する多孔板表面を有する密封プレナムを具備し、前記密封プレナムが、再循環空気またはその他の加熱空気流を送達させる前記少なくとも1つの流路と気体連通していることで、前記加熱空気が前記多孔板を通って前記非アクティブゾーンに送達させられることにより、前記スルーエア装置の前記アクティブゾーンへの外気のインリークがさらに減る、スルーエア装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、その一部において、ウェブ製品を製造するスルーエア装置、および該スルーエア装置への外気の侵入を低減させる使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
「スルーエア技術」とは、抄紙ウェブ、薄葉紙(tissue)ウェブまたは不織布ウェブに空気を通して繊維やフィラメントの乾燥または接着を行うことが可能なシステムや方法を表すのに用いられる用語である。例えば、不織布製品(例えば、ティーバッグ、特殊紙等)の乾燥、ガラス繊維マットや濾紙や樹脂加工不織布の乾燥および硬化、スパンボンド不織布の熱接着および乾燥、水流交絡ウェブの乾燥、二成分繊維系の又は非二成分繊維系のジオテキスタイルの熱接着、各芯地グレードの乾燥および硬化、融着性バインダー繊維を用いた吸収性コアの熱接着等が挙げられる。そのほかに、薄葉紙の乾燥も、スルーエア技術の応用である。
【0003】
スルーエア乾燥に関係したシステムや方法は、一般的に「TAD」の頭字語を使って呼称される。スルーエア接着に関係したシステムや方法は、一般的に「TAB」の頭文字を使って呼称される。
【0004】
基本的に、スルーエア装置は、剛体かつ空気透過性のウェブ搬送構造体を備える。ウェブ搬送構造体にウェブが載置されて、該ウェブ搬送構造体が動きつつ、ファンが該ウェブ搬送構造体の壁を介して送風することで、ウェブの処理が行われ得る。一般的に、ウェブ搬送構造体は、該構造体を空気が通過できるように複数の開口部を有する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
第1の態様では、抄紙ウェブ、薄葉紙ウェブまたは不織布ウェブの乾燥または接着を行うスルーエア装置が提供される。
【課題を解決するための手段】
【0006】
同装置は、動くように構成されたウェブ搬送構造体と、前記ウェブ搬送構造体に隣接した少なくとも1つの密封要素を具備する第1の構成要素であって、前記少なくとも1つの密封要素が、当該スルーエア装置への外気の侵入を減らすように構成されている、第1の構成要素と、を備える。同装置は、さらに、当該スルーエア装置への外気の侵入を減らすよう前記少なくとも1つの密封要素に空気を導くように構成された少なくとも1つの流路を備える。
【0007】
他の態様では、抄紙ウェブ、薄葉紙ウェブまたは不織布ウェブの乾燥または接着を行うスルーエア装置を動作させる方法が提供される。同方法は、ウェブ搬送構造体の一部にウェブを載置するステップと、前記ウェブが前記ウェブ搬送構造体と共に移動するように前記ウェブ搬送構造体を動かすステップと、を含む。同方法は、さらに、前記ウェブ搬送構造体に隣接した少なくとも1つの密封要素を具備する第1の構成要素であって、当該第1の構成要素上の前記少なくとも1つの密封要素が、前記スルーエア装置への外気の侵入を減らすように構成されている、第1の構成要素を準備するステップを含む。同方法は、さらに、前記スルーエア装置への外気の侵入を減らすように前記少なくとも1つの密封要素に空気を導くステップを含む。
【0008】
さらなる他の態様では、抄紙ウェブ、薄葉紙ウェブまたは不織布ウェブの乾燥または接着を行うスルーエア装置が提供される。同装置は、回転式ウェブ搬送構造体であって、空気が通過できるように複数の開口部を具備した搬送面、ならびに当該ウェブ搬送構造体の角度方向のアクティブゾーンおよび非アクティブゾーンを規定して当該スルーエア装置のアクティブ空気流ゾーンおよび非アクティブ空気流ゾーンを形成するウェブ巻付け角度を有する、回転式ウェブ搬送構造体を備える。同装置は、さらに、前記回転式ウェブ搬送構造体の相対回転対象となる固定構造体であって、少なくとも1つの密封要素を具備しており、当該少なくとも1つの密封要素が、当該少なくとも1つの密封要素を具備しない同等の構造体に比べて当該スルーエア装置の前記アクティブゾーンへの外気のインリークを低減させるように構成されている、固定構造体を備える。同装置は、さらに、再循環空気またはその他の加熱空気流を1つ以上の前記密封要素に送達させることによって当該スルーエア装置の前記アクティブゾーンへの外気のインリークをさらに減らす少なくとも1つの流路を備える。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】従来のスルーエア装置システムの概略図である。
【
図2】装置システム内からの空気を再循環させる、一実施形態に係るスルーエア装置システムの概略図である。
【
図3】装置システム内からの空気を再循環させる、他の実施形態に係るスルーエア装置システムの概略図である。
【
図4】装置システム内からの空気を再循環させる、他の実施形態に係るスルーエア装置システムの概略図である。
【
図5】外部の空気源からの空気を再循環させる、さらなる他の実施形態に係るスルーエア装置システムの概略図である。
【
図6】一実施形態に係るスルーエア装置の断面図である。
【
図7】
図6の丸印で囲まれた部分の詳細断面図である。
【
図8】他の実施形態に係るスルーエア装置の断面図である。
【
図9】
図8の丸印で囲まれた部分の詳細断面図である。
【
図10】プレナムを備えた他の実施形態に係るスルーエア装置の断面図である。
【
図11】排気ダクト密封要素を備えた他の実施形態に係るスルーエア装置の側方視断面図である。
【
図13】径方向排気ダクト密封要素を備えた他の実施形態に係るスルーエア装置の側方視断面図である。
【
図14】外向きフロースルー配置構成を有する他の実施形態に係るスルーエア装置の断面図である。
【
図15】内向きフロースルー配置構成を有する他の実施形態に係るスルーエア装置の断面図である。
【
図16】フラットベッド構成を有する他の実施形態に係るスルーエア装置の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示は、抄紙ウェブおよび/または薄葉紙ウェブおよび/または不織布ウェブなどの様々な製品を製造するように構成されたスルーエア装置に向けられたものである。当業者であれば、同スルーエア装置は、該装置が使用される場面に応じてスルーエア乾燥装置(TAD)および/またはスルーエア接着装置(TAB)として構成され得るという点が明らかであろう。また、当業者であれば、同スルーエア装置を用いて、仕上がりの最終製品の形態がロール状となる様々なウェブ製品を製造し得るという点が明らかであろう。さらに、同製品は、ロール状でなくてもよく、かつ/あるいは、切断されて仕上がりの最終製品にされてもよいという点も明らかであろう。また、当業者であれば、同スルーエア装置が、各種フィルム、各種布帛またはその他のウェブタイプの各種材料などの(但し、これらに限定されない)、様々な製品を製造するように構成され得るという点や、乾燥、熱接着、シート搬送、水抽出、ウェブ張力付与、有孔度測定などを伴う(但し、これらに限定されない)、物質移動や、熱移動や、物質変形(material displacement)や、ウェブハンドリングや、品質監視といった、様々なプロセスに利用され得るという点も明らかであろう。
【0011】
後で詳しく述べるように、前記スルーエア装置は、剛体かつ空気透過性のウェブ搬送構造体を備える。同ウェブ搬送構造体は、前記装置における別の部分に対して相対的に動くように構成されている。同ウェブ搬送構造体にウェブが載置されて、該ウェブが動きつつ、ファンが同ウェブ搬送構造体の壁を介して送風することで、該ウェブの処理が行われ得る。通常、同ウェブ搬送構造体は、前記空気が該構造体を通過できるように複数の開口部を有する。後で詳しく述べるように、また、
図6~
図15に示すように、一部の実施形態において、前記ウェブ搬送構造体は、第1の軸心を中心として回転運動するように構成されたスルーエアロールである。後述するように、また、
図16に示すように、他の実施形態において、前記ウェブ搬送構造体は、水平面または傾斜面に沿って並進運動するように構成されたフラットベッドベルトである。本開示はこれに限定されるものではなく、以下で述べる各構成は、回転運動および/または並進運動するように構成されたウェブ搬送構造体を用いる多種多様なスルーエア装置構成に組み込まれてよいということを理解されたい。
【0012】
特定の一実施形態において、ウェブ(すなわち、製品)は、シート状のものが通例であり、前記スルーエア装置の筒状シェル(すなわち、スルーエアロール)に部分的に巻き付けられる。同ウェブは、該ロールのうちの一部に巻き付けられ、例えば90°~360°、典型的には180°~300°の範囲の部分に巻き付けられる。通常、前記スルーエアロールの筒状の壁は、空気が通過するように構成された複数の開口部を有する。ファン/ブロワにより、前記製品全体に対して空気が流し通される。通常、前記スルーエアロールは、空気流の特性を最適化させるフード内に配置されている。回転する前記シェルと共に前記製品が動き、これが前記装置のアクティブゾーンを通過する際に、前記ファン/ブロワが前記筒状シェルの壁を介して空気を流入させることで、前記製品の処理が行われる。ヒータを設けることで、加熱空気が前記スルーエアロールを通り流れるようにしてもよい。
【0013】
図1は、従来のスルーエア装置システムを示す図である。図示のように、スルーエア装置100は、フード130内で回転するように構成されたスルーエアロール120を備える。前記システムは、導管170を介してシステム空気(プロセス空気とも知られる)をフード130内に導くとともに該空気をスルーエアロール120へと引き込むメインファン140を含む。図示のように、導管170には空気ヒータ150も接続されていてよく、これにより、加熱空気がスルーエアロール120に導かれるようになる。前記システムは、さらに、導管170を介して装置100から空気を引き出して外気に放出する排気ファン160を含み得る。
図1に示すように、システム空気は閉ループとなっており、メインファン140から導管170を通ってフード130内に流れ込んだシステム空気は、スルーエアロール120を通過し、排気ダクトから流出したり導管170へと流れたりする。
【0014】
通常、スルーエア装置100は、極めて大型の機械である。例えば、スルーエアロール120は、長さが1フィート(約0.30m)~30フィート(約9.14m)、直径が1フィート(約0.30m)~22フィート(約6.71m)であり得る。ロール120の筒状の壁は、空気が流通できるように開口した剛体の構造体で構成され得る。一実施形態において、スルーエアロール120は、Valmet社製のHONEYCOMBROLL(登録商標)であり得る。
【0015】
前述のように、スルーエア装置100は、前記システム空気を受けて前記ウェブの処理を行うように構成されたアクティブ空気流ゾーンを有する。
図1に示すように、該アクティブ空気流ゾーンは、スルーエアロール120のうちの前記ウェブ製品を受けるように構成された部分によって部分的に形成される。また、同じく
図1に示すように、前記スルーエア装置は、さらに、スルーエアロール120のうちの前記ウェブ製品を受けるように構成されていない部分によって部分的に形成される非アクティブ空気流ゾーンを有する。後で詳しく述べるように、これらアクティブゾーンおよび非アクティブゾーンは、前記ウェブがスルーエアロール120にどのように巻き付けられるのかに応じて異なり得る。
【0016】
本発明の発明者達は、
図1に示す従来のスルーエア装置100に問題があることを見出した。具体的に述べると、発明者達は、スルーエア装置100に外気の望ましくないインリークが生じることを見出した。後で詳しく述べるように、通常、前記ウェブ搬送構造体とスルーエア装置100のうちのこれに隣接する構成要素との間には空間、すなわち、隙間が存在し、前記ウェブ搬送構造体が動くことができるようになっている。通常、この隙間は、約0.06~0.375インチ(約0.15~0.95cm)である。
図1に示すこの特定の実施形態では、前記ウェブ搬送構造体が、回転式スルーエアロール120である。外気のインリークを減らすために、これらの隣接する構成要素には、(後述の)少なくとも1つの密封要素が設けられ得る。しかし、それでもなお、これらの箇所では前記スルーエア装置への外気の侵入が発生する。発明者達は、前記スルーエアロールのサイズ、幅、動作真空度、回転速度、負荷などの様々な要因から、シールクリアランスをどこまで小さく設定できるかに関して、現時点では限界があることを見出した。後で詳しく述べるように、本開示の各態様は、前記スルーエア装置への外気のこのようなインリークを低減および制御することに向けられている。
【0017】
後で詳しく述べるように、本開示の各態様には、前記スルーエア装置への外気の侵入を減らすように前記スルーエア装置の1つ以上の構成要素の少なくとも1つの密封要素に空気を導くことが含まれる。後述するように、前記密封要素に導かれる前記空気は、様々な場所がその供給源であってもよく、例えば、前記スルーエア装置システムにおける別の部分からのシステム空気を再循環させる場合を含むが、これに限定されない。一実施形態において、前記空気は、前記スルーエア装置の排気ラインを供給源とする。これ以外の空気源も考えられ、それらについては後で述べる。例えば、前記スルーエア装置システム内に特に存在しているわけではない加熱空気源、非加熱空気源のいずれが使用されてもよい。後述のように、前記スルーエア装置には、この空気を前記密封要素に導く少なくとも1つの流路が設けられる。
【0018】
発明者達は、本開示が様々な利点を奏し得ると考えている。第一に、本開示の概念を利用すれば、排気の再利用および/または内部の熱損失の最小化および/またはスルーエア装置への外気の侵入の減少によって該スルーエア装置のエネルギー効率が高まり得る。第二に、本明細書で説明する概念を利用すれば、スルーエア装置内のシステム空気の湿度レベルの調節および/または制御が行い易くなり得る。第三に、本開示の概念により、従来のスルーエア装置と比べて密封要素とウェブ搬送構造体との間の隙間/空間を広げることが可能になり得る。
【0019】
以下では、各種実施形態について詳述するが、その前に、発明者達が考えた
図2~
図5に示す各種スルーエア装置の概略図の全容について説明する。
【0020】
発明者達は、スルーエア装置への外気の侵入を減らす新規のスルーエア装置構成の開発に至った。後で詳しく述べるように、同装置は、空気を少なくとも1つの密封要素に送達させる少なくとも1つの流路を備える。
図2~
図5は、スルーエア装置システムの各種概略図であり、本開示で想定される空気の様々な供給源が記載されている。(後述の)
図6~
図16は、該空気を密封要素に導くスルーエア装置内部の流路についての様々な構成を示したものである。
【0021】
図2は、加熱空気がブースターファン204で少なくとも1つの密封要素に送り届けられるスルーエア装置システムの一実施形態の概略図である。
図1と同様に、スルーエア装置200は、フード130内で回転するように構成されたスルーエアロール120を備える。図示のように、一実施形態において、ウェブ搬送構造体は、スルーエアロール120である。後で詳しく述べるように、また、
図16に示すように、他の実施形態では、回転しない構成も考えられ、前記ウェブ搬送構造体は、並進運動するように構成されたフラットベッドベルトからなるものであってもよい。図示のように、メインファン140は、導管170を介してスルーエア装置200内にシステム空気を導く。空気ヒータ150を用いることで、加熱空気がスルーエア装置200内に導かれ得る。さらに、排気ファン160を用いることで、装置200外に空気が引き出され得る。
【0022】
特筆すべき点として、
図1に示す従来の装置とは異なり、
図2に示すスルーエア装置200には、ブースターファン204を具備した導管202が追加されている。後で詳しく述べるように、導管202およびブースターファン204は、スルーエア装置200内の少なくとも1つの密封要素に空気を導くように構成されている。空気が密封要素に導かれる方法についての詳細は、
図6~
図16に示すとおりであり、後で詳しく説明する。
図2に示すように、導管202およびブースターファン204を用いると、導管170からの排気がスルーエア装置200内の前記少なくとも1つの密封要素へと特に導き戻され、これにより、スルーエア装置200への外気の侵入が減る。
【0023】
図3は、スルーエア装置300の他の実施形態の概略システム図である。
図3が
図2と異なる点として、
図3の実施形態では、
図2に示す導管202およびブースターファン204に代えて導管302が使用されており、これによって加熱排気がスルーエア装置300内の密封要素に再循環させられるという点が挙げられる。前述のように、空気が密封要素へと特に導かれ得る方法についての詳細は、
図6~
図16に示すとおりであり、後で詳しく説明する。本実施形態では、導管302が排気ファン160の下流側に位置しているため、排気ファン160によって空気を密封要素に導くことが可能となる。つまり、この特定の実施形態では、ブースターファン204が別途必要にならない。
【0024】
また、本開示では、密封要素に導かれる空気の供給源を排気ライン以外とする構成も考えられる。例えば、本開示では、
図4に示すシステム概略図で記載しているように、一実施形態として、メインファン140で空気を密封要素に導いて送達させる構成が考えられる。図示のように、メインファン140と空気ヒータ150との間の通常の導管170から分岐する導管402が設けられる。後で詳しく述べるように、導管402は、スルーエア装置400の少なくとも1つの密封要素に空気を導くように構成されている。また、後で詳しく述べるように、導管402は、密封要素へと流れる空気の量を制御するダンパ404などの1つ以上の流量制御構造を具備し得る。これにより、システム空気の湿度レベルを制御/調節することが可能となり得る。
【0025】
図5は、さらなる他の実施形態に係る別のスルーエア装置システムの概略図である。本実施形態では、空気が、スルーエア装置システムのシステム空気の外部にある加熱空気源510から密封要素に送り届けられる。本開示はこれに限定されず、非加熱熱源も考えられる。図示のように、導管502は、加熱空気源510からの加熱空気をスルーエア装置500の密封要素に導くように構成されている。例えば、一実施形態では、空気源510が、予熱外気、タービンの排気、ヤンキーホットエアーシステムの排気、真空ポンプの排気、抄紙機もしくは製紙工場環境におけるその他の加熱空気流、またはその他の任意の加熱空気源を含み得る。本開示はこれに限定されず、他の実施形態として、非加熱空気源を含むものであってもよい。
【0026】
図2~
図5に示すように、本開示では、様々な供給源(スルーエア装置システム内部や、スルーエア装置システムのシステム空気の外部にある外部供給源)から空気を取得して該空気をスルーエア装置内へと送り少なくとも1つの密封要素に導くという各種構成が考えられる。
【0027】
次に、
図6~
図16を参照して、空気がスルーエア装置の少なくとも1つの密封要素に特に導かれ得る方法についての詳細を詳しく説明する。
【0028】
図6に、第1の軸心602を中心として回転するように構成されたスルーエアロール610(すなわち、回転式ウェブ搬送構造体)を備えるスルーエア装置600を示す。図示のように、ロール610には、ウェブ620が巻き付けられる。スルーエアロール610は、空気が通過できるように複数の開口部を具備した搬送面612を有する。装置600は、さらに、ロール610上およびロール610外へのウェブ620の移送を補助し得るローラ614を備え得る。ウェブ巻付け角度θにより、前記ウェブ搬送構造体の角度方向のアクティブゾーンおよび非アクティブゾーンが規定される。
図6に示すように、ローラ614は、前記非アクティブゾーンのウェブ巻付け角度θが約110°になるように、つまり、前記アクティブゾーンのウェブ角度が約250°になるように配置されている。当業者であれば、本開示がこれに限定されず、それらの角度が別の角度であってもよいという点は明らかであろう。
【0029】
また、当業者であれば、前記ウェブ搬送構造体のこれら非アクティブゾーンおよびアクティブゾーンにより、スルーエア装置のうちの対応するアクティブ空気流ゾーンおよび非アクティブ空気流ゾーンが形成されるという点も明らかであろう。前述のように、前記スルーエア装置の前記アクティブ空気流ゾーンとは、前記システム空気を受けて前記ウェブの処理を行うように構成された部分のことである。前記スルーエア装置の前記アクティブ空気流ゾーンは、ロール610に前記ウェブが巻き付けられる領域、および導管170(
図1を参照)からシステム空気を受けるように構成された周辺の領域として定義され得る。対照的に、前記スルーエア装置の前記非アクティブ空気流ゾーンは、ロール610に前記ウェブが巻き付けられない領域として定義され得る。
【0030】
スルーエアロール610は、スルーエア装置のうち、固定構造体などの別の構成要素に対して相対回転し得る。後で詳しく述べるように、固定構造体としては、内部バッフルおよび/または非アクティブゾーン遮断プレートおよび/または排気ダクトおよび/またはプレナムおよび/またはフードの径方向もしくは機械横断方向の固定スカート部などの様々な構成要素が挙げられ得るが、これらに限定されない。当業者であれば、固定構造体および付随する密封要素が、テフロン(登録商標)、金属、プラスチックなどの(但し、これらに限定されない)様々な材料からなり得るという点は明らかであろう。後で詳しく述べるように、一実施形態において、前記密封要素は、固定構造体の末端位置および/または縁部となっている。
【0031】
図6および
図7で開示する特定の実施形態は、固定構造体が非アクティブゾーン遮断プレート630からなる構成を示したものである。図示のように、非アクティブゾーン遮断プレート630は、バッフル650と連結している。プレート630は、スルーエアロール610の前記非アクティブゾーンを覆って外気のインリークを阻止するように構成されている。図示のように、非アクティブゾーン遮断プレート630は、スルーエアロール610の輪郭と合致する湾曲部材であり得る。他の実施形態では、前記遮断プレートが、扁平な部材であり得る。
【0032】
図6および
図7に示す実施形態では、遮断プレート630が、少なくとも1つの密封要素を具備している。この特定の例示的な実施形態では、前記非アクティブゾーンの一端に位置した第1の密封要素632、および前記非アクティブゾーンの他端に位置した第2の密封要素634が存在している。当業者であれば、第1および第2の密封要素632,634が、当該密封要素を具備しない同等の構造体に比べて前記スルーエア装置の前記アクティブゾーンへの外気のインリークを低減させるように構成されているという点は明らかであろう。また、遮断プレート630の外周に、追加の密封要素(図示せず)が設けられていてもよい。
図6および
図7に示すように、一実施形態において、密封要素632,634は、遮断プレート630の末端位置および/または縁部となっている。他の実施形態において、前記密封要素は、固定構造体における別の部分を含んでいてもよく、また、前記密封要素が前記固定構造体と一体的に形成されていなくてよい場合も考えられる。
図6に示すように、また、
図7に示す詳細図でも記載しているように、再循環空気またはその他の空気流を少なくとも1つの密封要素632,634に送達させる少なくとも1つの流路640が設けられていることにより、スルーエア装置600の前記アクティブゾーンへの外気のインリークがさらに減る。図示のように、一実施形態では、流路640が、スルーエアロール610の内部にある。後で説明するように、他の実施形態では、少なくとも1つの密封要素に空気を導くように構成された流路640の少なくとも一部が、スルーエアロール610の外部に位置していてもよい。
【0033】
図6および
図7に示すように、少なくとも1つの流路640が、第1の軸心602からスルーエアロール610の外周に向かって径方向外方に延びている。図示のように、第1の流路640は、第1の密封要素632側へと外方に延びており、第2の流路640は第2の密封要素634側へと外方に延びている。他の実施形態では、連続する単一の流路640が設けられ得る。一実施形態では、流路640の少なくとも一部が、第1の軸心602(すなわち、スルーエアロール610の回転軸心)に沿って延びているものとされ得る。排気または前記スルーエア装置からの任意の別のシステム空気が、前記流路内を軸心602に沿って流れてから密封要素632,634へと径方向に流出し得るという構成が想定される。
図6および
図7に矢印で経路を示すように、空気は、回転式スルーエアロール610に向かって径方向外方に導かれ得る。また、図示のように、該空気の一部は、遮断プレート630の内表面と略平行に導かれ得て遮断プレート630の周囲に沿って一様な空気の分布を生じさせるように構成され得る。流路640は、再循環空気を遮断プレート密封要素632,634の縁部にまで一様に分布できるようにダンパまたは既知のその他の流量制御装置を具備して構成されていてもよい。
【0034】
本開示では、例えば、第3および第4の密封要素、ならびにこれら追加の密封要素に向かって外方に延びることで前記スルーエア装置の前記アクティブゾーンへの外気のインリークをさらに減らす少なくとも1つの追加の流路640が存在するような構成も考えられる。一実施形態では、遮断プレート630が矩形状とされ、その4つの側辺部のそれぞれに密封要素が対応している。少なくとも1つの流路640が、再循環空気またはその他の空気流をこれらの密封要素に送達させるように構成され得る。
【0035】
図8および
図9に、スルーエア装置の他の実施形態を示す。
図8および
図9の一部の構成要素は、
図6および
図7に示す実施形態との関連で前述した構成要素と同様のものであるため、同じ参照番号を付している。
【0036】
図8および
図9に、第1の軸心602を中心として回転するように構成されたスルーエアロール610(すなわち、回転式ウェブ搬送構造体)を備えるスルーエア装置700を示す。図示のように、ロール610には、ウェブ620が巻き付けられる。スルーエアロール610は、空気が通過できるように複数の開口部を具備した搬送面612を有する。装置700は、さらに、ロール610上およびロール610外へのウェブ620の移送を補助し得るローラ614を備え得る。スルーエアロール610は、スルーエア装置のうちの固定構造体に対して相対回転する。
図8および
図9で開示する特定の実施形態は、その固定構造体が内部バッフル750からなる構成を示したものである。なお、本実施形態では、前述のように、また、
図6および
図7に示すように、非アクティブゾーン遮断プレート630が存在していてもよいし存在していなくてもよい。
【0037】
図8および
図9に示す実施形態では、バッフル750が、少なくとも第1のバッフル密封要素732および第2のバッフル密封要素734を具備している。この例示的な実施形態では、第1の密封要素732が前記非アクティブゾーンの一端に位置しており、前記第2の密封要素が前記非アクティブゾーンの他端に位置している。当業者であれば、第1および第2の密封要素732,734が、当該密封要素を具備しない同等のバッフル構造体に比べて前記スルーエア装置の前記アクティブゾーンへの外気のインリークを低減させるように構成されているという点は明らかであろう。
図8に示すように、また、
図9に示す詳細図でも記載しているように、再循環空気またはその他の空気流を少なくとも1つの密封要素732,734に送達させる少なくとも1つの流路740が設けられていることにより、スルーエア装置700の前記アクティブゾーンへの外気のインリークがさらに減る。図示のように、一実施形態では、流路740が、スルーエアロール610の内部にある。
図8および
図9に示すように、少なくとも1つの流路740が、第1の軸心602からスルーエアロール610の外周に向かって径方向外方に延びている。図示のように、第1の流路740は、第1の密封要素732側へと外方に延びており、第2の流路740は第2の密封要素734側へと外方に延びている。一実施形態では、流路740の少なくとも一部が、第1の軸心602(すなわち、スルーエアロール610の回転軸心)に沿って延びているものとされ得る。排気または前記スルーエア装置からの任意の別のシステム空気が、前記流路内を軸心602に沿って流れてから密封要素732,734へと径方向に流出し得るという構成が想定される。
【0038】
図8および
図9に示すように、密封要素732,734は、スルーエア装置700への外気の侵入を減らすようエアカーテンを生成するように構成された、多孔板、流路、ノズルおよびスロットのうちの少なくとも1つを含み得る。本実施形態において、密封要素732,734は、回転式スルーエアロール610に向かって径方向外方に延びるエアカーテンを生成するように構成されている。
図8および
図9では、密封要素732、734のこのような機能を、回転式スルーエアロール610に向かって密封要素732,734から外方に延びる4本の平行な矢印で表している。すなわち、密封要素732,734は、再循環空気またはその他の空気流を送達させる少なくとも1つの流路740と気体連通した流路セグメント742(すなわち、流路部)を含み得る。
図8および
図9に示すように、流路セグメント742は、矩形状の断面であるとともに多孔面744を有していてもよく、多孔面744は、スルーエアロール610(すなわち、回転式ウェブ搬送構造体)のうち、それと隣接する搬送面612に対して略平行である。空気がこのような多孔部746を通って送り出されることにより、スルーエア装置700の前記アクティブゾーンへの外気のインリークがさらに減る。多孔部746は、密封要素732,734でエアカーテンを生成するであろうと当業者が理解するような、多孔板および/または流路および/またはノズルおよび/またはスロットおよび/またはその他の構成を広く包含するように意図されている。多孔部746は、その機械方向または機械横断方向の外形状しだいで、密封領域に沿った各箇所の圧力や空気流量についての様々な要望に応えられ得るという点を理解されたい。すなわち、所望の効果を達成するように、多孔部746は様々な向きに設定され得る。また、本開示では、少なくとも1つの密封要素732,734をバッフル750周囲の任意の側辺部に沿って配置するという構成も考えられる。
【0039】
次に、他の実施形態に係るスルーエア装置800の断面図である
図10を参照する。スルーエア装置800は、スルーエアロール610の外部にあるプレナム810を備える。前述のように、スルーエアロール610(すなわち、回転式ウェブ搬送構造体)は、中心軸心を中心として回転するように構成されている。図示のように、ロール610には、ウェブ620が巻き付けられる。装置800は、さらに、ロール610上およびロール610外へのウェブ620の移送を補助するローラ614を備える。
図10に示すこの特定の実施形態において、スルーエアロール610は、スルーエア装置800のうちの固定構造体に対して相対回転する。スルーエア装置800は、該装置800の非アクティブゾーンを覆うように配置されたプレナム810を備える。
図10では、簡略化のため、スルーエア装置800のうち、スルーエアロール610の内部にあるその他の構成要素を省略している。前記プレナムは、複数本の矢印で表すように、再循環空気またはその他の空気流を少なくとも1つのプレナム密封要素832に送達させる少なくとも1つの流路840を有する。一実施形態において、密封プレナム810の多孔板844は、前記ウェブ搬送構造体(すなわち、スルーエアロール610)のうちの、スルーエア装置800の前記非アクティブゾーンを占める外側部に間隔を空けて対向する表面を有する。密封プレナム810が、再循環空気またはその他の空気流を送達させる少なくとも1つの流路(例えば、
図6~
図8に示す流路640,740等)と気体連通していることで、空気が多孔板844を通って前記非アクティブゾーンに送達させられることにより、スルーエア装置800の前記アクティブゾーンへの外気のインリークがさらに減る。前述のように、多孔板746という用語は、密封要素832でエアカーテンを生成するであろうと当業者が理解するような、多孔板および/または流路および/またはノズルおよび/またはスロットおよび/またはその他の構成を広く包含するように意図されている。前記多孔部の、それと隣接する回転式スルーエアロール610に対する向きの構成を変えることにより、密封領域に沿って様々な空気流量条件が設定され得るという点を理解されたい。
【0040】
図11および
図12に、スルーエア装置900の一実施形態を示す。スルーエア装置900は、複数の排気ダクト密封要素932,934を備える。本実施形態では、スルーエアロール610が、少なくとも1つの排気ダクト910に対して相対回転する。通常、排気ダクト910は装置900の一端に位置しており、スルーエアロール610の内部のシステム空気が、装置900から引き出されて導管/ダクト170に引き込まれるように構成されている。
図11は、2つの排気ダクト密封要素932,934が一端に位置してなるスルーエア装置900の側方視断面図である。一実施形態において、排気ダクト密封要素932,934は、円形状(すなわち、ドーナツ形状)とされ得る。他の実施形態では、これら排気ダクト密封要素932,934が、別の幾何形状とされてもよく、例えば、曲線状および/または直線状の部分を含んでいてもよい。図示のように、装置900の他端には、排気ダクト密封要素932,934と同一のものが設けられ得る。前述のように、回転式スルーエアロール610と排気ダクト910との間には、空間/隙間が存在し得る。排気ダクト密封要素932,934は、スルーエア装置900への外気の侵入を減らすように構成されている。
【0041】
簡略化のため、スルーエア装置900のうち、スルーエアロール610の内部にあるその他の構成要素は図示を省略している。排気ダクト密封要素932,934は、スルーエア装置900への外気の侵入を減らすように(前述の任意の供給源からの)空気を該排気ダクト密封要素932,934に送達させる少なくとも1つの流路と気体連通したものであり得る。矢印で表すように、再循環空気またはその他の空気流を少なくとも1つの排気ダクト密封要素932,934に送達させる流路が少なくとも1つ存在している。密封要素932,934がロール610の外部にある
図11および
図12に示す本実施形態では、それらの流路もロール610の外部に存在し得るという点は明らかであろう。この点は、前記ロールの内部にある
図6~
図8に記載の流路640,740とは対照的である。
【0042】
また、排気ダクト密封要素932,934に前述の多孔部を設ければ、スルーエア装置900への外気のインリークがさらに減り得るという点も分かるであろう。前述のように、多孔部という用語は、密封要素932,934でエアカーテンを生成するであろうと当業者が理解するような、多孔板および/または流路および/またはノズルおよび/またはスロットおよび/またはその他の構成を広く包含するように意図されている。
【0043】
図13は、本開示のさらなる他の実施形態に係るスルーエア装置1000の側方視断面図である。スルーエア装置1000は、複数個の径方向排気ダクト密封要素932,934を備える。本実施形態において、スルーエアロール610は、少なくとも1つの排気ダクト910に対して相対回転する。
図11に示す実施形態とは異なり、本実施形態では、スルーエアロール610のエンドキャップが閉じている。図示のように、通常、排気ダクト910は装置1000の一端に位置しており、システム空気が、(スルーエアロール610の長さに沿った矢印で表すように)ウェブ搬送構造体を通過し、スルーエアロール610から(排気ダクト910側の矢印で表すように)排気ダクト910へと引き出されて、(
図1~
図5に示す)導管/ダクト170へと引き込まれるように構成されている。
図13では、2つの排気ダクト密封要素932,934が装置1000の一端に位置している状態を描いている。一実施形態において、径方向排気ダクト密封要素932,934は、円形状(すなわち、ドーナツ形状)とされ得るが、前述のように、それ以外の形状や幾何形状も考えられる。前述のように、回転式スルーエアロール610と排気ダクト910との間には、空間/隙間が存在し得る。径方向排気ダクト密封要素932,934は、スルーエア装置1000への外気の侵入を減らすように構成されている。
【0044】
簡略化のため、スルーエア装置1000のうち、スルーエアロール610の内部にあるその他の構成要素は図示を省略している。径方向排気ダクト密封要素932,934は、スルーエア装置1000への外気の侵入を減らすように(前述の任意の供給源からの)空気を該径方向排気ダクト密封要素932,934に送達させる少なくとも1つの流路と気体連通したものであり得る。密封要素932,934内部の矢印で表すように、再循環空気またはその他の空気流を少なくとも1つの径方向排気ダクト密封要素932,934に送達させる流路が少なくとも1つ存在している。密封要素932,934がロール610の外部にある
図13に示す本実施形態では、それらの流路もロール610の外部に存在し得るという点は明らかであろう。
【0045】
本開示では、フロースルーロールを備えたスルーエア装置の実施形態も考えられる。
図14は、外向きフロースルー配置構成からなる一実施形態に係るスルーエア装置1100の断面図であり、
図15は、内向きフロースルー配置構成からなる他の実施形態に係るスルーエア装置1200の断面図である。
【0046】
図14に示す外向きフロースルー配置構成は、スルーエア装置1100を含む。スルーエア装置1100は、スルーエアロール610と、排気プレナム1150と、ウェブ620の角度方向の巻付き部分やスルーエアロール610の周囲に延在するフード1130とを備える。前述のように、スルーエアロール610(すなわち、回転式ウェブ搬送構造体)は、中心軸心を中心として回転するように構成されている。
図10で開示する実施形態と同様に、ロール610には、ウェブ620が巻き付けられる。装置1100は、さらに、ロール610上およびロール610外へのウェブ620の移送を補助するローラ614を備える。
図14に示すこの特定の実施形態において、スルーエアロール610は、スルーエア装置1100のうち、(固定された排気プレナム1150、回転するローラ614、フード1130などの)別の構造体に対して相対回転する。
図14では、簡略化のため、スルーエア装置1100のうち、スルーエアロール610の内部にあるその他の構成要素を省略している。
【0047】
図14では、システム空気の経路を、開いた矢印(open arrow heads)で示している。図示のように、システム空気は、2つのローラ614間に配置されたプレナム1150を通って下方に進み、スルーエアロール610内に入る。スルーエアロール610内に入ったシステム空気は、該スルーエアロール610のウェブ搬送構造体を通過して外方に流れる。
【0048】
前述のように、本開示は、スルーエア装置への外気の侵入を減らすよう該スルーエア装置の少なくとも1つの密封要素に空気を導くように構成された少なくとも1つの流路を備えるという点に向けられている。この特定の実施形態において、スルーエア装置1100は、ローラ614に隣接してプレナム1150の上部に配置された排気プレナム密封要素1132を備える。
図14では、少なくとも1つの密封要素に空気を導くこれらの流路の経路を、鋭い矢印(closed arrow heads)で示している。図示のように、例えば、スルーエア装置1100への外気の侵入を減らすように、排気プレナム密封要素1132の内部に流路が存在し得る。このような流路は、矢印で示すように、ロール614に向かって傾斜したものであり得る。一実施形態では、このような流路が、機械横断方向に延びている。
図14に示すように、排気プレナム1150の内部にも、スルーエアロール610の外周に位置したフード1130の内部にも、流路が存在し得る。
【0049】
複数本の鋭い矢印で表すように、排気プレナム1150およびフード1130は、再循環空気またはその他の空気流を少なくとも1つのプレナム密封要素1132,1134に送達させる少なくとも1つの流路を有する。前述のように、排気プレナム1150およびフード1130は、再循環空気またはその他の空気流を送達させる少なくとも1つの流路と気体連通していることで、スルーエア装置1100への外気のインリークを減らすように空気が該流路を通って送り出される。密封要素1132,1134がロール610の外部にある
図14に示す本実施形態では、それらの流路もロール610の外部に存在し得るという点は明らかであろう。
【0050】
図15に示す内向きフロースルー配置構成は、スルーエア装置1200を含む。スルーエア装置1200は、
図14に示す実施形態との関連で前述したものとほぼ同じ(符号付き)構成要素を備える。異なるのは、システム空気の流れの方向が逆であるという点である。具体的に述べると、
図15では、システム空気の経路を、開いた矢印で示している。図示のように、システム空気は、スルーエアロール610を通ってローラ614間に配置された排気プレナム1150内へと上方に進む。
図15に示す実施形態は、
図10に示すプレナム構成と一部類似している。
【0051】
図15では、複数本の鋭い矢印で表すように、排気プレナム1150が、再循環空気またはその他の空気流を少なくとも1つの排気プレナム密封要素1132,1134に送達させる少なくとも1つの流路を有する。排気プレナム1150は、再循環空気またはその他の空気流を送達させる少なくとも1つの流路と気体連通していることで、スルーエア装置1200への外気のインリークを減らすように空気が該流路を通って送り出される。密封要素1132,1134がロール610の外部にある
図15に示す本実施形態では、それらの流路もロール610の外部に存在し得るという点は明らかであろう。この点は、前記ロールの内部にある
図6~
図8に記載の流路640,740とは対照的である。
【0052】
次に、
図16を参照する。同図には、並進運動するように構成されたウェブ搬送構造体を備えるスルーエア装置の一実施形態が描かれている。具体的に述べると、
図16は、スルーエア乾燥装置(TAD)またはスルーエア接着装置(TAB)として構成され得るフラットベッド構成を有するスルーエア装置1300の一実施形態の断面図である。要約すると、その原理自体は、これまでに述べた実施形態と同じであるが、回転するように構成されたスルーエアロールとして構成されているウェブ搬送構造体に向けた
図6~
図15とは違って、
図16で開示する実施形態は、フラットベッドベルト1310であるウェブ搬送構造体に向けられているという点で異なる。一実施形態において、フラットベッドベルト1310は、金属ストランドまたは合成ストランドからなり得るメッシュ/スクリーン状の素材である。
図16に示す実施形態において、フラットベッドベルト1310は、水平面に沿って並進運動するように構成されている。他の実施形態において、フラットベッドベルト1310が、傾斜面に沿って並進運動するように構成されることも考えられる。ウェブがフラットベッドベルト1310に載置されて、該フラットベッドベルト1310がコンベアベルトのように動かされる。
図16に示すように、スルーエア装置1300のうち、それと隣接する上部プレナム1330などの構成要素は、スルーエア装置1300への外気の侵入を減らすように構成された少なくとも1つの密封要素1332を具備している。さらに、
図16において矢印で表すように、スルーエア装置1300への外気の侵入を減らすよう少なくとも1つの密封要素1332に空気を導くように構成された少なくとも1つの流路も設けられている。
【0053】
また、既述のスルーエア装置のうち、密封要素を具備していると述べた構成要素の多くは、動くウェブ搬送構造体に対して静止状態であるかの如く説明したかもしれないが、本開示はこれに限定されず、上述した概念は、スルーエア装置のうち、密封部品を具備して可動とされ得る(回転運動および/または並進運動するように構成された)構成要素にも適用できるという点は明らかであろう。2つの構成要素同士が可動であるスルーエア装置の場合にも外気のインリークは生じ得るので、本開示は、密封要素を具備した静止状態の構成要素、可動の構成要素のいずれにも向けられる。
【0054】
また、前述のように、前記スルーエア装置のうち、密封要素を具備した構成要素は、ウェブ搬送構造体の内部に配置され得て(例えば、スルーエアロール610内部にある
図6~
図9に示す遮断プレート密封要素632,634やバッフル密封要素732,734等)、かつ/あるいは、前記スルーエア装置のうち、密封要素を具備した構成要素は、ウェブ搬送構造体の外部に配置され得る(例えば、スルーエアロール610の外部にある
図10~
図12に示すプレナム密封要素832や排気ダクト密封要素932,934等)。
【0055】
また、当業者であれば、一実施形態として前述のスルーエア装置がスルーエア乾燥装置に適用されてもよいし、他の実施形態として前述のスルーエア装置がスルーエア接着装置に適用されてもよいという点は、本開示にそのような限定がないことからも明らかであろう。
【0056】
本開示の各態様は、スルーエア装置を動作させる方法に向けられている。同方法は、ウェブをウェブ搬送構造体の一部に載置するステップと、前記ウェブが前記ウェブ搬送構造体と共に動くように前記ウェブ搬送構造体を動かすステップと、を含む。同方法は、さらに、前記ウェブ搬送構造体に隣接した少なくとも1つの密封要素を具備する第1の構成要素であって、前記第1の構成要素の前記少なくとも1つの密封要素が、前記スルーエア装置への外気の侵入を減らすように構成されている、第1の構成要素を準備するステップと、前記スルーエア装置への外気の侵入を減らすように前記少なくとも1つの密封要素に空気を導くステップと、を含む。一実施形態において、空気を導く前記ステップは、前記スルーエア装置への外気の侵入を減らすように前記少なくとも1つの密封要素に加熱空気を導くステップを含む。他の実施形態では、非加熱空気流が前記少なくとも1つの密封要素に導かれ得る。
【0057】
一実施形態では、前記ウェブ搬送構造体がスルーエアロールであり、前記方法は、前記ウェブをスルーエアロールの角度方向部分に巻き付けて、前記スルーエア装置のアクティブ空気流ゾーンおよび非アクティブ空気流ゾーンを形成するステップと、前記ウェブが前記スルーエアロールと共に回転するように第1の軸心を中心として前記スルーエアロールを回転させるステップと、を含む。他の実施形態では、前記ウェブ搬送構造体が、水平面または傾斜面に沿って並進運動するように構成されたフラットベッドベルトである。
【0058】
一実施形態では、前記第1の構成要素が排気ダクトおよび排気ダクト密封要素を含み、前記スルーエア装置への外気の侵入を減らすように前記空気が前記排気ダクト密封要素に導かれる。
【0059】
他の実施形態では、前記第1の構成要素が内部バッフルおよび非アクティブゾーン遮断プレートを含み、前記スルーエア装置への外気の侵入を減らすように空気が前記遮断プレート密封要素に導かれる。
【0060】
さらなる他の実施形態では、前記第1の構成要素がプレナムを含み、前記スルーエア装置への外気の侵入を減らすように空気が前記プレナムを介して少なくとも1つの密封要素に導かれる。
【0061】
本開示では、前記スルーエア装置に、追加の密封要素を具備した第2および第3の構成要素が存在し得て、前記スルーエア装置への外気の侵入を減らすよう空気がこれら追加の密封要素に導かれる構成も考えられるという点を理解されたい。
【0062】
また、一実施形態において、前記少なくとも1つの密封要素に導かれる前記空気が、前記スルーエア装置における別の部分から再循環させられたシステム空気であってもよいという点は明らかであろう。他の実施形態において、前記少なくとも1つの密封要素に導かれる前記空気は、ヤンキーホットエアーシステムの排気流、真空ポンプの排気流、タービンの排気流、およびその他の任意の加熱空気流のうちの少なくとも1つが供給源であり得る。さらなる他の実施形態において、前記少なくとも1つの密封要素に導かれる前記空気は、非加熱空気源から供給されてもよい。
【0063】
また、上述の概念が、前記スルーエア装置内のシステム空気の湿度レベルの制御および調節に利用できるという点は明らかであろう。
【0064】
本明細書では本発明の実施形態を幾つか図示および説明したが、当業者であれば、本明細書で説明した機能および/または本明細書で説明した結果および/または1つ以上の利点が得られるその他の様々な手段および/または構造が直ちに想定されるであろう。このような変形および/または変更は、本発明の範疇であると見なす。当業者であれば、本明細書に記載した本発明の具体的な実施形態に対する多くの均等物が明らかであるかまたは日常的な実験の範囲内で求めることが可能であろう。したがって、前述の実施形態は、例示として提示したものに過ぎず、また、本発明は、添付の特許請求の範囲およびその均等物の範疇で、請求項に記載し且つ具体的に説明しているもの以外の様式で実施されることもあるという点を理解されたい。本発明は、本明細書に記載した個々の構成および/またはシステムおよび/または物品および/または材料および/または方法に向けられている。また、このような構成および/またはシステムおよび/または物品および/または材料および/または方法が互いに矛盾しない場合には、2つ以上のこのような構成および/またはシステムおよび/または物品および/または材料および/または方法の任意の組合せが、本発明の範囲内に含まれる。
【0065】
本明細書で定めて採用した全ての定義は、辞書の定義および/または参照をもって取り入れた各文献での定義および/または定義した各用語の通常の意味、よりも優先されるものと理解されたい。
【0066】
本明細書や特許請求の範囲で使用されている不定冠詞“a”や“an”は、特段の表示がない限り、「少なくとも1つの…」という意味であると理解されたい。
【0067】
本明細書や特許請求の範囲で使用されている「および/または」や「かつ/あるいは」という文言は、接続された各要素の「いずれか一方または両方」、すなわち、各要素が共に存在する場合と一方のみが存在する場合の両方を意味していると理解されたい。特段の表示がない限り、「および/または」や「かつ/あるいは」で具体的に特定されている各要素以外にも、該要素に関連するものであるか否かにかかわらず、別の要素が任意で存在していてもよい。
【0068】
本願で引用または言及されている全ての文献、特許、特許出願および刊行物は、その全体を、参照をもって本明細書に取り入れたものとする。
【国際調査報告】