(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-21
(54)【発明の名称】伝送遅延測定方法、測位方法、端末、基地局、及び記憶媒体
(51)【国際特許分類】
H04W 64/00 20090101AFI20240514BHJP
H04W 72/21 20230101ALI20240514BHJP
H04W 72/231 20230101ALI20240514BHJP
H04W 16/28 20090101ALI20240514BHJP
G01S 5/14 20060101ALI20240514BHJP
【FI】
H04W64/00 140
H04W72/21
H04W72/231
H04W16/28
G01S5/14
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023574509
(86)(22)【出願日】2022-05-17
(85)【翻訳文提出日】2023-12-01
(86)【国際出願番号】 CN2022093299
(87)【国際公開番号】W WO2022252979
(87)【国際公開日】2022-12-08
(31)【優先権主張番号】202110607662.5
(32)【優先日】2021-06-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】511151662
【氏名又は名称】中興通訊股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】ZTE CORPORATION
【住所又は居所原語表記】ZTE Plaza,Keji Road South,Hi-Tech Industrial Park,Nanshan Shenzhen,Guangdong 518057 China
(74)【代理人】
【識別番号】100112656
【氏名又は名称】宮田 英毅
(74)【代理人】
【識別番号】100089118
【氏名又は名称】酒井 宏明
(72)【発明者】
【氏名】郭暁江
(72)【発明者】
【氏名】李杰
【テーマコード(参考)】
5J062
5K067
【Fターム(参考)】
5J062AA08
5J062BB05
5J062CC11
5K067AA21
5K067DD11
5K067EE02
5K067EE10
5K067JJ51
5K067KK02
5K067KK03
(57)【要約】
伝送遅延測定方法、測位方法、端末、基地局、及び記憶媒体を提供する。伝送遅延測定方法は、基地局によって送信されたダウンリンク基準信号を取得し、ダウンリンク基準信号の伝送パスからLOSパス及び基準パスを決定するステップ(S110)と、LOSパスと基準パスとのダウンリンク伝送遅延の差である基準遅延差を取得するステップ(S120)と、基地局が基準パスのアップリンク伝送遅延を取得するように、アップリンク基準信号を基地局に送信するステップ(S130)と、基地局が基準パスのアップリンク伝送遅延及び基準遅延差に基づいてLOSパスのアップリンク伝送遅延を得るように、基準遅延差を基地局に通知するステップ(S140)と、を含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
端末に適用される伝送遅延測定方法であって、
基地局によって送信されたダウンリンク基準信号を取得し、前記ダウンリンク基準信号の伝送パスから視線LOSパス及び基準パスを決定するステップと、
前記LOSパスのダウンリンク伝送遅延と前記基準パスのダウンリンク伝送遅延との差である基準遅延差を取得するステップと、
前記基地局がアップリンク基準信号に基づいて前記基準パスのアップリンク伝送遅延を取得するように、前記アップリンク基準信号を前記基地局に送信するステップと、
前記基地局が前記基準パスのアップリンク伝送遅延及び前記基準遅延差に基づいて前記LOSパスのアップリンク伝送遅延を得るように、前記基準遅延差を前記基地局に報告するステップと、
を含む、方法。
【請求項2】
前記ダウンリンク基準信号の伝送パスからLOSパス及び基準パスを決定する前記ステップは、
前記ダウンリンク基準信号の伝送が最も早く完了した伝送パスを前記LOSパスとして決定するステップと、
前記ダウンリンク基準信号の伝送パスの信号受信電力を決定し、前記信号受信電力に応じて、信号受信電力が前記LOSパスの信号受信電力以上の前記基準パスを決定するステップと、
を含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記アップリンク基準信号はチャネルサウンディング信号SRSであり、
前記基地局が前記アップリンク基準信号の伝送パスから前記基準パスを決定するように、前記アップリンク基準信号を前記基地局に送信する前記ステップは、
基準SRSを生成するステップと、
前記基地局が前記基準SRSの伝送パスから前記基準パスを決定するように、前記基準SRSを前記基地局に送信するステップと、
を含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記基地局が前記基準パスのアップリンク伝送遅延及び前記基準遅延差に基づいて前記LOSパスのアップリンク伝送遅延を得るように、前記基準遅延差を前記基地局に報告する前記ステップは、
新しい基準SRSを生成し、前記基準遅延差に応じて前記新しい基準SRSを変調して変調SRSを得るステップと、
前記基地局が前記変調SRS及び前記基準SRSに基づいて前記基準遅延差を得、前記基準パスのアップリンク伝送遅延及び前記基準遅延差に基づいて前記LOSパスのアップリンク伝送遅延を得るように、前記変調SRSを前記基地局に送信するステップと、
を含む、
請求項3に記載の方法。
【請求項5】
測定パラメータ差を前記基地局に報告する前に、
前記ダウンリンク基準信号の受信ビームを決定するステップと、
前記受信ビームを、前記アップリンク基準信号を送信するための送信ビームとして決定するステップと、
をさらに含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記基準遅延差を前記基地局に報告する前記ステップは、
前記基準遅延差を有する通信シグナリングを生成するステップと、
前記通信シグナリングを前記基地局に送信するステップと、
を含む、
請求項1又は3に記載の方法。
【請求項7】
基地局に適用される伝送遅延測定方法であって、
端末がダウンリンク基準信号の伝送パスからLOSパス及び基準パスを決定するように、前記ダウンリンク基準信号を前記端末に送信するステップと、
前記端末によって送信されたアップリンク基準信号を取得し、前記アップリンク基準信号に基づいて前記基準パスのアップリンク伝送遅延を取得するステップと、
前記LOSパスのダウンリンク伝送遅延と前記基準パスのダウンリンク伝送遅延との差である、前記端末によって報告された基準遅延差を取得し、前記基準パスのアップリンク伝送遅延及び前記基準遅延差に基づいて前記LOSパスのアップリンク伝送遅延を得るステップと、
を含む、方法。
【請求項8】
前記アップリンク基準信号はSRSであり、前記端末によって送信されたアップリンク基準信号を取得し、前記アップリンク基準信号の伝送パスから前記基準パスを決定する前記ステップは、
前記端末によって送信された基準SRSを取得するステップと、
前記基準SRSの伝送パスから前記基準パスを決定するステップと、
を含む、
請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記端末によって報告された基準遅延差を取得する前記ステップは、
前記端末によって送信された変調SRS及び基準SRSを取得するステップであって、前記変調SRSは、前記端末によって前記基準遅延差に基づいて変調されて生成された新しい基準SRSによって得られる、ステップと、
前記変調SRS及び前記基準SRSに基づいて前記基準遅延差を得るステップと、
を含む、
請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記端末によって送信されたアップリンク基準信号を取得する前記ステップの前に、
前記ダウンリンク基準信号を送信するための送信ビームを決定するステップと、
前記送信ビームを、前記アップリンク基準信号を受信するための受信ビームとして決定するステップと、
をさらに含む、
請求項7に記載の方法。
【請求項11】
前記端末によって通知された基準遅延差を取得する前記ステップは、
前記端末によって送信され前記基準遅延差を有する通信シグナリングを取得するステップを含む、
請求項7又は8に記載の方法。
【請求項12】
基地局及び端末にそれぞれ通信可能に接続された測位サーバに適用される測位方法であって、
前記端末によって送信されたLOSパスのダウンリンク伝送遅延及び前記基地局によって送信されたLOSパスのアップリンク伝送遅延を取得するステップであって、前記LOSパスのアップリンク伝送遅延は、請求項1~6のいずれか1項に記載の伝送遅延測定方法、又は請求項7~11のいずれか1項に記載の伝送遅延測定方法によって得られる、ステップと、
前記LOSパスのダウンリンク伝送遅延及びアップリンク伝送遅延に基づいて前記端末の位置情報を決定するステップと、
を含む、測位方法。
【請求項13】
メモリと、
プロセッサと、
メモリに記憶され、プロセッサで実行可能なコンピュータプログラムと、
を含み、
前記プロセッサは、
前記コンピュータプログラムを実行すると、請求項1~6のいずれか1項に記載の伝送遅延測定方法を実現する、
端末。
【請求項14】
メモリと、
プロセッサと、
メモリに記憶され、プロセッサで実行可能なコンピュータプログラムと、
を含み、
前記プロセッサは、
前記コンピュータプログラムを実行すると、請求項7~11のいずれか1項に記載の伝送遅延測定方法を実現する、
基地局。
【請求項15】
請求項1~6のいずれか1項に記載の伝送遅延測定方法を実行するためのコンピュータ実行可能命令、又は請求項7~11のいずれか1項に記載の伝送遅延測定方法を実行するためのコンピュータ実行可能命令を記憶したコンピュータ読み取り可能な記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、出願番号が202110607662.5、出願日が2021年06月01日の中国特許出願に基づいて提出され、当該中国特許出願の優先権を主張しており、該中国特許出願の全ての内容はここで参考として本願に組み込まれている。
【0002】
本願は、無線通信の分野に関するが、これに限定されるものではなく、特に、伝送遅延測定方法、測位方法、端末、基地局、及び記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0003】
通信技術の発展に伴い、測位機能は通信機器にとって不可欠な機能になっている。距離測定は測位機能の肝心な部分であり、一般的に送受信側間の伝送遅延を測定することによって実現される。現在の商業基地局と端末は時間基準での整合性を高く保つことが難しいため、国際標準化機構は関連規格においてラウンドトリップタイム(RTT:Round Trip Time)測定を提案している。
【0004】
視線(LOS:Line of Sight)パスは、伝送信号が反射されていない場合の伝送パスであるため、LOSパスの伝送遅延はRTT測定の重要な情報となる。しかし、端末の送信電力が高くない場合、LOSパスを介して伝送される基準信号は、非視線(NLOS:No Line of Sight)パスのサイドローブ、ノイズや干渉によって埋もれやすい。
【0005】
この問題を解決するために、端末によって複数のアップリンク基準信号を連続して送信することが一般的である。それによって、基地局が受信する信号の信号対雑音比(SNR:SIGNAL NOISE RATIO)を改善して、LOSパスを検出し、LOSパスのアップリンク伝送遅延を測定する。しかしながら、端末が送信するアップリンク基準信号のSNRが低い場合、送信する必要があるアップリンク基準信号の数が多くなり、より大きなリソースオーバーヘッドが生じる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
以下は、本明細書において詳細に説明されている主題の概要を示す。本概要は、特許請求の範囲の保護範囲を限定するものではない。
【0007】
本願の実施例は、端末送信電力が小さい場合、少ないリソースオーバーヘッドでLOSパスのアップリンク伝送遅延の測定を行うことができる伝送遅延測定方法、測位方法、端末、基地局、及び記憶媒体を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1態様では、本願の実施例は、端末に適用される伝送遅延測定方法を提供する。前記伝送遅延測定方法は、
基地局によって送信されたダウンリンク基準信号を取得し、前記ダウンリンク基準信号の伝送パスからLOSパス及び基準パスを決定するステップと、
前記LOSパスのダウンリンク伝送遅延と前記基準パスのダウンリンク伝送遅延との差である基準遅延差を取得するステップと、
前記基地局が前記アップリンク基準信号に基づいて前記基準パスのアップリンク伝送遅延を取得するように、アップリンク基準信号を前記基地局に送信するステップと、
前記基地局が前記基準パスのアップリンク伝送遅延及び前記基準遅延差に基づいて前記LOSパスのアップリンク伝送遅延を得るように、前記基準遅延差を前記基地局に報告するステップと、を含む。
【0009】
第2態様では、本願の実施例は、また、基地局に適用される伝送遅延測定方法を提供する。前記伝送遅延測定方法は、
端末が前記ダウンリンク基準信号の伝送パスからLOSパス及び基準パスを決定するように、ダウンリンク基準信号を前記端末に送信するステップと、
前記端末によって送信されたアップリンク基準信号を取得し、前記アップリンク基準信号に基づいて前記基準パスのアップリンク伝送遅延を取得するステップと、
前記LOSパスのダウンリンク伝送遅延と前記基準パスのダウンリンク伝送遅延との差である、前記端末によって報告された基準遅延差を取得し、前記基準パスのアップリンク伝送遅延及び前記基準遅延差に基づいて前記LOSパスのアップリンク伝送遅延を得るステップと、を含む。
【0010】
第3態様では、本願の実施例は、また、基地局及び端末にそれぞれ通信可能に接続された測位サーバに適用される測位方法を提供する。前記測位方法は、
前記端末によって送信されたLOSパスのダウンリンク伝送遅延及び前記基地局によって送信されたLOSパスのアップリンク伝送遅延を取得するステップであって、前記LOSパスのアップリンク伝送遅延は、第1態様に記載の伝送遅延測定方法、又は第2態様に記載の伝送遅延測定方法によって得られる、ステップと、
前記LOSパスのダウンリンク伝送遅延及び前記アップリンク伝送遅延に基づいて前記端末の位置情報を決定するステップと、を含む。
【0011】
第4態様では、本願の実施例は、また、端末を提供する。前記端末は、メモリと、プロセッサと、メモリに記憶され、プロセッサで実行可能なコンピュータプログラムと、を含み、前記プロセッサは、前記コンピュータプログラムを実行すると、第1態様に記載の伝送遅延測定方法を実現する。
【0012】
第5態様では、本願の実施例は、また、基地局を提供する。前記基地局は、メモリと、プロセッサと、メモリに記憶され、プロセッサで実行可能なコンピュータプログラムと、を含み、前記プロセッサは、前記コンピュータプログラムを実行すると、第2態様に記載の伝送遅延測定方法を実現する。
【0013】
本願の他の特徴及び利点は、後の明細書で説明され、本明細書から部分的に明らかになるか、又は本願を実施することによって理解される。本願の目的及び他の利点は、明細書、特許請求の範囲、及び図面において特に指摘された構造によって達成され得る。
【0014】
図面は、本願の技術案の更なる理解を提供するために使用され、明細書の一部を構成し、本願の実施例と共に本願の技術案を説明するために使用され、本願の技術案を限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本願の一実施例による、端末に適用される伝送遅延測定方法のフローチャートである。
【
図2】本願の他の実施例によるLOSパス及び基準パスを決定するためのフローチャートである。
【
図3】本願の他の実施例による基準チャネルサウンディング信号(SRS:Sounding Reference Symbol)を生成するためのフローチャートである。
【
図4】本願の他の実施例による変調SRSによる基準遅延差の報告のフローチャートである。
【
図5】本願の他の実施例による送信ビームを決定するためのフローチャートである。
【
図6】本願の他の実施例による通信シグナリングによる基準遅延差の報告のフローチャートである。
【
図7】本願の他の実施例による基地局に適用される伝送遅延測定方法のフローチャートである。
【
図8】本願の他の実施例による基準SRSを生成するためのフローチャートである。
【
図9】本願の他の実施例による基準遅延差を取得するためのフローチャートである。
【
図10】本願の他の実施例による受信ビームを決定するためのフローチャートである。
【
図11】本願の他の実施例による、通信シグナリングによって基準遅延差を取得するためのフローチャートである。
【
図12】本願の他の実施例による一例のフローチャートである。
【
図14】本願の他の実施例による例2のフローチャートである。
【
図16】本願の他の実施例による測位方法のフローチャートである。
【
図17】本願の他の実施例による端末の装置の概略図である。
【
図18】本願の他の実施例による基地局の装置の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本願の目的、技術案及び利点をより明確に理解するために、以下、図面及び実施例を参照して、本願をさらに詳細に説明する。なお、本明細書に記載された具体的な実施例は、本願を説明するためにのみ使用され、本願を限定するために使用されない。
【0017】
なお、機能モジュール分割は装置の概略図に示され、論理的順序はフローチャートに示されているが、場合によっては、装置のモジュール分割は異なってもよく、又は示された又は説明されたステップは、フローチャートに示された順序とは異なる順序で実行されてもよい。明細書、特許請求の範囲、又は上記の図面における用語「第1」、「第2」などは、特定の順序又は優先順位を説明するために使用されるのではなく、類似の対象を区別するために使用される。
【0018】
本願は、伝送遅延測定方法、測位方法、端末、基地局、及び記憶媒体を提供する。該伝送遅延測定方法は、基地局によって送信されたダウンリンク基準信号を取得し、ダウンリンク基準信号の伝送パスからLOSパス及び基準パスを決定するステップと、LOSパスのダウンリンク伝送遅延と基準パスのダウンリンク伝送遅延との差である基準遅延差を取得するステップと、基地局がアップリンク基準信号に基づいて基準パスのアップリンク伝送遅延を取得するように、アップリンク基準信号を基地局に送信するステップと、基地局が基準パスのアップリンク伝送遅延及び基準遅延差に基づいてLOSパスのアップリンク伝送遅延を得るように、基準遅延差を基地局に報告するステップと、を含む。本願の実施例による形態によれば、1つのアップリンク基準信号によって、基地局が基準パスのアップリンク伝送遅延を取得することを可能にし、基準パスのアップリンク伝送遅延と基準遅延差とを組み合わせてLOSパスのアップリンク伝送遅延を計算することができる。それにより、LOSパスのアップリンク伝送遅延を測定するためのリソースオーバーヘッドを効果的に低減する。
【0019】
なお、本願の技術案が対象とする技術的背景の1つは、端末の送信電力が小さいことによる技術的欠陥である。しかし、端末の送信電力が十分であり、基地局が伝送信号からLOSパスに対応する信号を直接抽出することができても、本願の実施例における方法を採用して、基準遅延差と基準パスのパラメータとを組み合わせてLOSパスのパラメータを算出してもよい。これは、本願の技術案を限定するものではない。
【0020】
以下、図面を参照して、本願の実施例についてさらに説明する。
【0021】
図1に示すように、
図1は、本願の一実施例による端末に適用される伝送遅延測定方法であり、前記伝送遅延測定方法は、ステップS110、ステップS120、ステップS130、及びステップS140を含むが、これらに限定されない。
【0022】
ステップS110:基地局によって送信されたダウンリンク基準信号を取得し、ダウンリンク基準信号の伝送パスからLOSパス及び基準パスを決定する。
【0023】
なお、ダウンリンク基準信号は、測位のためのダウンリンク測位基準信号であってもよく、端末がそのダウンリンク基準信号に基づいて各伝送パスを決定することができる他のタイプの信号を採用してもよい。当業者には、実際の状況に応じて具体的な信号タイプを選択する動機があり、本実施例では、これを特に限定しない。
【0024】
ただし、基地局の信号送信電力は通常十分であると考えられるため、端末が受信するダウンリンク基準信号はノイズや干渉に埋もれないと考えられる。これに基づいて、端末は、ダウンリンク基準信号の伝送パスからLOSパスを任意の方法で直接決定することが可能である。本実施例では、端末がLOSパスを決定する方法はあまり限定されない。
【0025】
なお、基準パスは、LOSパス以外の任意のパスであってもよい。基準パスを選択する目的は、アップリンクパス及びダウンリンクパスが同じであることに基づいて、基準パスのパラメータと基準遅延差とを組み合わせてLOSパスのパラメータを計算することである。もちろん、アップリンクパス及びダウンリンクパスが同じであることは、同じ送受信ビームを使用することによって達成されてもよく、ここではあまり限定されない。
【0026】
ただし、LOSパスの信号伝送は、伝送環境や干渉などの要因に影響される。端末の送信電力を増強しても、LOSパスと干渉信号の信号電力は等比例して増加し、アップリンク基準信号の数を増やすとリソースオーバーヘッドが増大する。また、LOSパスの伝送信号のSNRが極端に低い場合、アップリンク基準信号の数を増やしても、基地局がLOSパスの伝送信号を検出しにくくなる可能性がある。これによって、本実施例では、基準パスを導入し、基準パスとLOSパスとの間の基準遅延差からLOSパスのアップリンク伝送遅延を算出することで、リソースオーバーヘッドを節約することができるとともに、直接測定に代えて計算することで、SNRが極端に低くてもLOSパスのダウンリンク伝送遅延とアップリンク伝送遅延を正確に取得することができる。
【0027】
ただし、LOSパスの伝送信号が埋もれされていない場合、基地局はアップリンク伝送遅延の測定を直接行ってもよいし、本実施例の技術案を採用して、LOSパスと基準パスとの基準遅延差からLOSパスのアップリンク伝送遅延を算出してもよいので、測定に代えて計算することにより、LOSパスのアップリンク伝送遅延を確実に得ることができる。当業者には、基地局においてLOSパスのアップリンク伝送遅延の取得方式を予め設定しておく動機があり、端末は基地局において設定された取得方式に従って対応するアップリンク基準信号を送信すればよく、本実施例では、これを特に限定しない。
【0028】
ステップS120:LOSパスのダウンリンク伝送遅延と基準パスのダウンリンク伝送遅延との差である基準遅延差を取得する。
【0029】
なお、基準遅延差は、LOSパスのダウンリンク伝送遅延から基準パスのダウンリンク伝送遅延を引いた差であってもよい。アップリンク方向の伝送パスとダウンリンク方向の伝送パスとが同一であってもよいので、端末側の基準遅延差と基地局側の基準遅延差とが同一である。これによって、端末が受信するダウンリンク基準信号の信号電力が大きいという特性を利用して、端末側で基準遅延差を算出し、基地局が受信する信号電力が小さい場合、基準パスのアップリンク基準遅延を測定するだけで、基準遅延差と合わせてLOSパスのアップリンク伝送遅延を算出することができる。したがって、本実施例によれば、最低1つの基準遅延差と、基地局が基準パスを認識することを可能とする1つのアップリンク基準信号だけで、LOSパスのアップリンク伝送遅延を実現することができ、RTTを測定するのに必要なアップリンク基準信号の数を効果的に減少させ、リソースオーバーヘッドを節約する。
【0030】
ステップS130:基地局がアップリンク基準信号に基づいて基準パスのアップリンク伝送遅延を取得するように、アップリンク基準信号を基地局に送信する。
【0031】
なお、アップリンク基準信号は、測位のためのアップリンク測位基準信号、例えば、一般的なSRSであってもよく、本実施例では、これを特に限定しない。
【0032】
なお、基地局が基準パスのアップリンク伝送遅延を測定できるようにするためには、信号電力が最も大きい伝送パスを基準パスとし、アップリンク伝送遅延を任意の方式で測定してもよいが、本実施例では、これを特に限定しない。
【0033】
基準パスは端末が伝送パスから選択するものであり、基地局にとっては未知であるため、端末と基地局とは、構成情報によって同じビームで信号の送受信を行うように予め設定しておき、信号電力が最も大きいパスを基準パスとするなど、基準パスの識別方法を予め合意しておくことが可能であり、本実施例では、これを特に限定しない
【0034】
ステップS140:基地局が基準パスのアップリンク伝送遅延及び基準遅延差に基づいてLOSパスのアップリンク伝送遅延を得るように、基準遅延差を基地局に報告する。
【0035】
なお、ステップS120の説明によれば、LOSパスのアップリンク伝送遅延は、伝送パスの基準遅延差が送受信両端で同じであるという原理を利用して測定することができる。基地局が基準パスのアップリンク伝送遅延と基準遅延差を取得した後、2つのデータを加算したデータがLOSパスのアップリンク伝送遅延となる。
【0036】
なお、基準遅延差の報告は、実際の需要に応じて適切な方法で行われてもよい。当業者は、機器の構成情報を変更することによって、具体的な報告方法を決定することができる。例えば、シグナリングリソースが十分である場合、端末が追加のシグナリングを介して報告を交互に行うように構成情報によって設定し、基地局に基準遅延差を直接通知してもよい。この技術案によれば、基地局が基準パスのアップリンク伝送遅延を決定するように、1つのアップリンク基準信号を基地局に送信するだけで、LOSパスのアップリンク伝送遅延を得ることができ、それによって、アップリンク基準信号の送信に伴うリソースオーバーヘッドを節約するのに有利である。また、アップリンク基準信号に基準遅延差を含めることによって報告し、基準遅延差に基づいて1つのアップリンク基準信号を変調するように基地局側で予め設定してもよい。基地局は、基準遅延差に基づいて変調されたこのアップリンク基準信号を受信すると、2つのアップリンク基準信号における基準パスの差を測定することによって基準遅延差を得る。この技術案によれば、2つのアップリンク基準信号を送信するだけで、LOSパスのアップリンク伝送遅延を測定することができ、それによって、リソースのオーバーヘッドを効果的に低減する。
【0037】
また、
図2に示すように、一実施例では、
図1に示す実施例におけるステップS110は、ステップS210とステップS220を含むが、これらに限定されない。
【0038】
ステップS210:ダウンリンク基準信号の伝送が最も早く完了した伝送パスをLOSパスとして決定する。
【0039】
ステップS220:ダウンリンク基準信号の伝送パスの信号受信電力を決定し、信号受信電力に応じて、信号受信電力がLOSパスの信号受信電力以上の基準パスを決定する。
【0040】
なお、LOSパスは送信信号が反射されていない伝送パスであるため、LOSパスを介して伝送されたダウンリンク基準信号が最も早く端末に到達すると判断できる。また、基地局の送信電力は通常十分であり、LOSパスの送信信号がノイズに埋もれることはないため、最も早く受信されたダウンリンク送信信号の伝送パスをLOSパスとして決定することができる。
【0041】
基準パスは、LOSパス以外の任意のパスであってもよく、例えば、識別を容易にするために、信号電力が最も大きいパスとされるか、全ての伝送パスの重心とされる。例えば、上記の伝送パスの重心は、各伝送パスの遅延に信号電力を乗算した値を加算したものを全ての伝送パスの信号電力の和で除した仮想パスであってもよい。具体的な基準パスの選択方法は、伝送信号の状況に応じて決定されてもよい。リソースのオーバーヘッドを低減するために、基準パスとして1つの伝送パスのみを選択してもよいが、リソースが十分である場合、基準パスの数を適切に増やしてデータ測定の精度を向上させることも可能であり、本実施例では、これを特に限定しない。
【0042】
また、一実施例では、アップリンク基準信号はSRSである。
図3に示すように、
図1に示す実施例におけるステップS130は、ステップS310とステップS320をさらに含むが、これらに限定されない。
【0043】
ステップS310:基準SRSを生成する。
【0044】
ステップS320:基地局が基準SRSの伝送パスから基準パスを決定するように、基準SRSを基地局に送信する。
【0045】
なお、直交周波数分割多重(OFDM:Orthogonal Frequency Division Multiplexing)システムの場合、アップリンク基準信号はSRSであり、既存のプロトコル又は標準規格に規定されたSRS配置方式を採用して生成し、送信すればよい。それによって、基地局が基準SRSによって取得した遅延は真の遅延であり、後続のLOSパスのアップリンク伝送遅延計算のために参照基礎を提供する。
【0046】
また、
図4に示すように、一実施例では、
図1に示す実施例におけるステップS140は、ステップS410とステップS420を含むが、これらに限定されない。
【0047】
ステップS410:新しい基準SRSを生成し、基準遅延差に応じて新しい基準SRSを変調して変調SRSを得る。
【0048】
ステップS420:基地局が変調SRS及び基準SRSに基づいて基準遅延差を得、基準パスのアップリンク伝送遅延及び基準遅延差に基づいてLOSパスのアップリンク伝送遅延を得るように、変調SRSを基地局に送信する。
【0049】
なお、基準SRS及び変調SRSの識別方法は、基地局において予め設定されてもよい。例えば、2つの連続するOFDMシンボルが端末によって1つのスロットで基地局に送信され、最初に受信されたOFDMシンボルにおけるSRSは基準SRSであり、2番目に受信されたOFDMシンボルにおけるSRSは変調SRSである。当業者は、基地局において設定がどのように行われるかを知っているため、本願では、詳しく説明しない。
【0050】
【0051】
基準SRS及び変調SRSに基づいて基準遅延差を得ることは、チャネル特性推定によって行われてもよく、以下では、送受信側の両方が同じ送信ビーム及び受信ビームを使用する場合を例示して説明する。
【0052】
【0053】
【0054】
【0055】
また、
図5に示すように、一実施例では、
図1に示す実施例のステップS130を実行する前に、以下のステップS510とステップS520をさらに含むが、これらに限定されない。
【0056】
ステップS510:ダウンリンク基準信号の受信ビームを決定する。
【0057】
ステップS520:受信ビームを、アップリンク基準信号を送信するための送信ビームとして決定する。
【0058】
なお、アップリンク方向とダウンリンク方向の両方に同じビームを用いることにより、異なるパス間の遅延差が同じであることや信号の送信電力が近いことなど、伝送パス間の相対的な関係をできるだけ一定に保つことができ、ビームによる測定誤差を低減することができる。
【0059】
また、
図6に示すように、一実施例では、
図1に示す実施例におけるステップS140は、以下のステップS610とステップS620を含むが、これらに限定されない。
【0060】
ステップS610:基準遅延差を有する通信シグナリングを生成する。
【0061】
ステップS620:通信シグナリングを基地局に送信する。
【0062】
なお、端末側で受信するダウンリンク基準信号の電力は比較的大きいため、基準遅延差を容易に測定することができる。上記の実施例によれば、端末側と基地局側の基準遅延差は伝送パスの特性が同じであれば同じと考えられるので、シグナリングリソースが十分である場合、シグナリングインタラクションを通じて基準遅延差を基地局に直接通知してもよい。基地局は、基準SRSを取得すると、基準SRSに基づいて基準パスのアップリンク伝送遅延を取得し、アップリンク伝送遅延と基準遅延差との加算からLOSパスのアップリンク伝送遅延を得てもよい。
【0063】
また、
図7に示すように、本願の一実施例では、基地局に適用される伝送遅延測定方法も提供され、この伝送遅延測定方法は、ステップS710、ステップS720、及びステップS730を含むが、これらに限定されない。
【0064】
ステップS710:端末がダウンリンク基準信号の伝送パスからLOSパス及び基準パスを決定するように、ダウンリンク基準信号を端末に送信する。
【0065】
ステップS720:端末によって送信されたアップリンク基準信号を取得し、アップリンク基準信号に基づいて基準パスのアップリンク伝送遅延を取得する。
【0066】
ステップS730:LOSパスのダウンリンク伝送遅延と基準パスのダウンリンク伝送遅延との差である、端末によって報告された基準遅延差を取得し、基準パスのアップリンク伝送遅延及び基準遅延差に基づいてLOSパスのアップリンク伝送遅延を得る。
【0067】
なお、基地局から端末へのダウンリンク基準信号の送信は、測位要求によってトリガされてもよく、測位要求の開始元は、基地局、端末、又は測位サーバであってもよく、本実施例では、これを特に限定しない。
【0068】
なお、基地局と端末とのインタラクションを通じてLOSパスのアップリンク伝送遅延測定を実現する方法は、
図1に示す実施例の説明を参照してもよいが、説明を簡単にするために、ここでは詳しく説明しない。
【0069】
基地局及び端末は、構成情報によって基準遅延差の報告方式を合意することにより、基準パスのアップリンク伝送遅延と合わせてLOSパスのアップリンク伝送遅延を得ることができる。しかし、当業者には、基地局において関連構成を行い、アップリンク基準信号を受信した後にまず信号強度を判断し、例えば一定の電力閾値を設定したり、LOSパスのアップリンク伝送遅延を取得しようとしたりする動機もある。アップリンク基準信号の信号強度がLOSパスのアップリンク伝送遅延を直接取得するのに十分である場合、実際の需要に応じてLOSパスのアップリンク伝送遅延を直接取得してもよく、本実施例の技術案を採用して、基準パスのアップリンク伝送遅延と基準遅延差とを組み合わせてLOSパスのアップリンク伝送遅延を算出してもよく、本実施例では、これを特に限定しない。
【0070】
また、
図8に示すように、一実施例では、アップリンク基準信号はSRSであり、
図7に示す実施例におけるステップS720は、以下のステップS810とステップS820をさらに含むが、これらに限定されない。
【0071】
ステップS810:端末によって送信された基準SRSを取得する。
【0072】
ステップS820:基準SRSの伝送パスから基準パスを決定する。
【0073】
なお、基地局がSRSを受信した後に基準パスを決定する方法は、
図3に示す実施例の説明を参照してもよいが、説明を簡単にするために、ここでは詳しく説明しない。
【0074】
また、
図9に示すように、一実施例では、
図7に示す実施例におけるステップS730は、以下のステップS910とステップS920をさらに含むが、これらに限定されない。
【0075】
ステップS910:端末によって送信された変調SRS及び基準SRSを取得し、変調SRSは記端末によって基準遅延差に基づいて変調されて生成された新しい基準SRSによって得られる。
【0076】
ステップS920:変調SRS及び基準SRSに基づいて基準遅延差を得る。
【0077】
なお、変調SRS及び基準SRSに基づいて基準遅延差を得る方法は、
図4に示す実施例の説明を参照してもよいが、説明を簡単にするために、ここでは詳しく説明しない。
【0078】
また、
図10に示すように、一実施例では、
図7に示す実施例のステップS720を実行する前に、以下のステップS1010とステップS1020をさらに含むが、これらに限定されない。
【0079】
ステップS1010:ダウンリンク基準信号を送信するための送信ビームを決定する。
【0080】
ステップS1020:送信ビームを、アップリンク基準信号を受信するための受信ビームとして決定する。
【0081】
なお、アップリンク基準信号及びダウンリンク基準信号が同じビームを使用する原理は、
図5に示す実施例の説明を参照してもよいが、説明を簡単にするために、ここでは詳しく説明しない。
【0082】
また、
図11に示すように、一実施例では、
図7に示す実施例におけるステップS730は、ステップS1110をさらに含むが、これに限定されない。
【0083】
ステップS1110:端末によって送信され基準遅延差を有する通信シグナリングを取得する。
【0084】
なお、通信シグナリングによって基準遅延差を取得する原理は、
図6に示す実施例の説明を参照してもよいが、説明を簡単にするために、ここでは詳しく説明しない。
【0085】
また、本願による伝送遅延測定方法をより詳細に説明するために、本願の技術案を2つの具体例で以下に説明する。
【0086】
なお、以下の2つの例では、アップリンク基準信号はすべてSRSを使用し、基準パスはすべて信号電力が最も大きい伝送パスを例とする。一方、伝送パス間の相対的な関係が同じであることを確保するために、アップリンク基準信号とダウンリンク基準信号の送信ビームと受信ビームは同じであると考えられる。
【0087】
例1
変調SRSによって基準遅延差を報告する。
図12に示すように、この伝送遅延測定方法は、以下のステップS1210~ステップS1280を含むが、これらに限定されない。
ステップS1210:基地局は、ダウンリンク測位基準信号を端末に送信する。
ステップS1220:端末は、ダウンリンク測位基準信号の伝送パスからLOSパス及び基準パスを決定する。
ステップS1230:端末は、LOSパスのダウンリンク伝送遅延と基準パスのダウンリンク伝送遅延との差を基準遅延差として決定する。
ステップS1240:端末は、2つの基準SRSを生成し、基準遅延差に基づいて基準SRSのうちの1つを変調して、変調SRSを得る。
ステップS1250:端末は、ダウンリンク測位基準信号を受信するビームにより、基準SRS及び変調SRSを基地局に送信する。
ステップS1260:基地局は、ダウンリンク測位基準信号を送信するビームにより、基準SRS及び変調SRSを受信する。
ステップS1270:基地局は、基準SRSに基づいて基準パスを決定する。
ステップS1280:基地局は、変調SRSと基準SRSとの間の基準パスの伝送遅延差を取得し、基準SRSにおける基準パスのアップリンク伝送遅延と合わせてシンボル差を算出し、LOSパスのアップリンク伝送遅延を得る。
【0088】
なお、
図13に示すように、
図13は、
図12に示す例によるスペクトル図である。
図13では、ノイズフロア基準線1330の下側の信号がノイズフロア、すなわち伝送パスにおけるノイズや干渉による波形である。基地局の送信電力は十分であるため、端末が受信したスペクトルのうち、最初に検出された信号がLOSパスによって伝送されるダウンリンク測位基準信号、すなわち、
図13の第1ピーク点1311であると判定することができる。この第1ピーク点1311に対応する信号伝送パスはLOSパスと考えられる。また、信号電力が最大となる点が第2ピーク点1312であるため、第2ピーク点1312に対応する信号伝送パスは基準パスとなる。
【0089】
ただし、端末が基地局に送信する2つのシンボルのうち、図に示すシンボル1は基準SRS、シンボル2は変調SRSであり、第2ピーク点1312よりも前に第1ピーク点1311が発生している。送受信側に同じビームが使用されるため、基地局側で受信するLOSパスによって送信される伝送信号も基準パスよりも前であると考えられる。一方、
図13から分かるように、基準SRSについては、信号電力が最も大きい点が第4ピーク点1322であり、その前の第3ピーク点1321がノイズフロア基準線1330の下側に位置する。つまり、LOSパスの伝送信号がノイズで埋もれてしまった。そのため、変調SRSによる第5ピーク点1323と基準SRSに対応する第4ピーク点1322は基準パスに対応しており、スペクトル内で容易に検出できるため、基準パスのアップリンク伝送遅延を取得して、上記の方法によってLOSパスのアップリンク伝送遅延を算出することができる。それによって、端末電力が小さい場合、2シンボル分のSRSのみによってLOSパスのアップリンク伝送遅延を測定することが可能となり、RTT測定によるリソースオーバーヘッドを低減する。
【0090】
例2
シグナリングインタラクションを通じて基準遅延差を報告する。
図14に示すように、この伝送遅延測定方法は、以下のステップS1410~ステップS1470を含むが、これらに限定されない。
ステップS1410:基地局は、ダウンリンク測位基準信号を端末に送信する。
ステップS1420:端末は、ダウンリンク測位基準信号の伝送パスからLOSパス及び基準パスを決定する。
ステップS1430:端末は、LOSパスのダウンリンク伝送遅延と基準パスのダウンリンク伝送遅延との差を基準遅延差として決定し、シグナリングインタラクションを通じて基準遅延差を基地局に送信する。
ステップS1440:端末は、基準SRSを生成し、ダウンリンク測位基準信号を受信するビームによって基準SRSを基地局に送信する。
ステップS1450:ダウンリンク測位基準信号を送信するビームによって基準SRSを受信する。
ステップS1460:基準SRSに基づいて基準パスを決定する。
ステップS1470:基準遅延差及び基準パスのアップリンク伝送遅延から、LOSパスのアップリンク伝送遅延を算出する。
【0091】
なお、
図15に示すように、
図15は、
図14に示す例によるスペクトル図である。
図15では、ノイズフロア基準線1530の下側の信号がノイズフロア、すなわち伝送パスにおけるノイズや干渉による波形となっている。基地局の送信電力が十分であるため、端末が受信したスペクトルのうち、最初に検出された信号がLOSパスによって伝送されるダウンリンク測位基準信号、すなわち
図15に示す第1ピーク点1511であると判定することができる。この第1ピーク点151に対応する信号伝送パスはLOSパスと考えられる。また、信号電力が最大となる点が第2ピーク点1512であるため、第2ピーク点1512に対応する信号伝送パスは基準パスとなる。
【0092】
ただし、端末が基地局に送信する基準SRSでは、第2ピーク点1512よりも前に第1ピーク点1511が発生している。送受信側に同じビームが使用されるため、基地局側で受信するLOSパスによって送信される伝送信号も基準パスよりも前であると考えられる。一方、
図15から分かるように、基準SRSについては、信号電力が最も大きい点が第4ピーク点1522であり、その前の第3ピーク点1521がノイズフロア基準線1530の下側に位置する。つまり、LOSパスの伝送信号がノイズで埋もれてしまった。そのため、第4ピーク点1522はスペクトル内で容易に検出できるため、基準パスのアップリンク伝送遅延を取得して、シグナリングインタラクションを通じて基準遅延差を取得し、LOSパスのアップリンク伝送遅延を算出するができる。それによって、RTT測定によるリソースオーバーヘッドを低減する。
【0093】
また、本願の実施例を参照して、基地局及び端末にそれぞれ通信可能に接続された測位サーバに適用される測位方法も提供され、この測位方法は、ステップS1610及びステップ1620を含むが、これらに限定されない。
【0094】
ステップS1610:端末によって送信されたLOSパスのダウンリンク伝送遅延及び基地局によって送信されたLOSパスのアップリンク伝送遅延を取得する。LOSパスのアップリンク伝送遅延は、図に示す実施例の伝送遅延測定方法、又は
図7に示す実施例による伝送遅延測定方法によって得られる。
【0095】
ステップS1620:LOSパスのダウンリンク伝送遅延及びアップリンク伝送遅延に基づいて端末の位置情報を決定する。
【0096】
なお、LOSパスのアップリンク伝送遅延は、
図1又は
図8に示す実施例の方法を参照してもよいが、説明を簡単にするために、ここでは詳しく説明しない。
【0097】
なお、測位要求は、測位サーバによって開始されてもよいし、端末又は基地局によって開始されてもよいが、本実施例では、これを特に限定しない。測位要求が生成された後、端末及び基地局はそれぞれLOSパスの伝送遅延を測位サーバに報告する必要がある。
図1又は
図8に示す実施例の方法を用いて伝送遅延を測定するので、リソースのオーバーヘッドを低減できるだけでなく、LOSパスのアップリンク伝送遅延の測定を完了するのに最大2シンボルのSRSのみを必要とするので、測定の効率が効果的に向上し、複数のSRSの送受信を待つ必要がなくなり、効率的な測位が可能となる。
【0098】
LOSパスのダウンリンク伝送遅延及びアップリンク伝送遅延を測位サーバが受信した後に、端末の位置情報を決定する際には、関連規格に規定されているRTT測定方法等、任意の方法を採用することができるが、本実施例では、これを特に限定しない。
【0099】
また、
図17に示すように、本願の一実施例は、端末1700も提供する。該端末1700は、メモリ1710と、プロセッサ1720と、メモリ1710に記憶され、プロセッサ1720で実行可能なコンピュータプログラムと、を含む。
【0100】
プロセッサ1720及びメモリ1710は、バス又は他の手段を介して接続されてもよい。
【0101】
上記実施例の伝送遅延測定方法を実現するために必要な非一時的なソフトウェアプログラム及び命令は、メモリ1710に記憶されており、プロセッサ1720によって実行されると、上記実施例における端末1700に適用される伝送遅延測定方法、例えば、上記の
図1の方法ステップS110~S140、
図2の方法ステップS210~S220、
図3の方法ステップS310~S320、
図4の方法ステップS410~S420、
図5の方法ステップS510~S520、
図6の方法ステップS610~S620を実行する。
【0102】
また、
図18に示すように、本願の一実施例は、基地局1800も提供する。該基地局1800は、メモリ1810と、プロセッサ1820と、メモリ1810に記憶され、プロセッサ1820で実行可能なコンピュータプログラムと、を含む。
【0103】
プロセッサ1820及びメモリ1810は、バス又は他の手段を介して接続されてもよい。
【0104】
上記実施例の伝送遅延測定方法を実現するために必要な非一時的なソフトウェアプログラム及び命令は、メモリ1810に記憶されており、プロセッサ1820によって実行されると、上記実施例における基地局1800に適用される伝送遅延測定方法、例えば、上記の
図7の方法ステップS710~S730、
図8の方法ステップS810~S820、
図9の方法ステップS910~S920、
図10の方法ステップS1010~S1020、
図11の方法ステップS1110を実行する。
【0105】
上記で説明された装置の実施例は単なる概略にすぎず、分離された構成要素として説明されたユニットは、物理的に分離されていてもよいし、そうでなくてもよい、すなわち、1つの場所に配置されていてもよいし、複数のネットワークノードに分散されていてもよい。これらのモジュールの一部または全部は、実際の必要に応じて、本実施形態の目的を達成するために選択されてもよい。
【0106】
さらに、本願の一実施例は、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体も提供する。コンピュータ読み取り可能な記憶媒体は、1つのプロセッサ又はコントローラによって実行されるコンピュータ実行可能命令を記憶した。例えば、上記端末の実施例における1つのプロセッサによって実行されると、上記実施例における端末に適用される伝送遅延測定方法、例えば、上記の
図1の方法ステップS110~S140、
図2の方法ステップS210~S220、
図3の方法ステップS310~S320、
図4の方法ステップS410~S420、
図5の方法ステップS510~S520、
図6の方法ステップS610~S620を上記プロセッサに実行させる。また、上記基地局の実施例における1つのプロセッサによって実行されると、上記の実施例における基地局に適用される伝送遅延測定方法、例えば、上記の
図7の方法ステップS710~ステップS730、
図8の方法ステップS810~ステップS820、
図9の方法ステップS910~ステップS920、
図10の方法ステップS1010~ステップS1020、
図11の方法ステップS1110を上記のプロセッサに実行させる。
上記で開示された方法におけるステップの全部または一部、システムは、ソフトウェア、ファームウェア、ハードウェア、およびそれらの適切な組み合わせとして実装されてもよい。物理的構成要素の一部またはすべては、中央処理装置、デジタル信号処理装置、マイクロプロセッサなどのプロセッサによって実行されるソフトウェアとして、またはハードウェアとして、または特定用途向け集積回路などの集積回路として実装されてもよい。このようなソフトウェアは、コンピュータ記憶媒体(または非一時的な媒体)および通信媒体(または一時的な媒体)を含んでもよいコンピュータ読み取り可能な媒体上に配布してもよい。当業者に周知のように、コンピュータ記憶媒体という用語は、情報(例えば、コンピュータ読み取り可能な命令、データ構造、プログラムモジュール、または他のデータ)を記憶するための任意の方法または技術において実施される、揮発性および不揮発性の、取り外し可能な、および取り外し不可能な媒体を含む。コンピュータ記憶媒体は、RAM、ROM、EEPROM、フラッシュメモリもしくは他のメモリ技術、CD-ROM、デジタル多用途ディスク(DVD)もしくは他の光ディスク記憶装置、磁気カートリッジ、磁気テープ、磁気ディスク記憶装置もしくは他の磁気記憶装置、または所望の情報を記憶するために使用することができ、コンピュータによってアクセスすることができる他の任意の媒体を含むが、これらに限定されない。さらに、通信媒体は、通常、コンピュータ読み取り可能な命令、データ構造、プログラムモジュール、または搬送波や他の送信機構のような変調データ信号中の他のデータを含み、任意の情報配信媒体を含んでもよい。
【0107】
本願の実施例は、基地局によって送信されたダウンリンク基準信号を取得し、前記ダウンリンク基準信号の伝送パスから視線LOSパス及び基準パスを決定するステップと、前記LOSパスのダウンリンク伝送遅延と前記基準パスのダウンリンク伝送遅延との差である基準遅延差を取得するステップと、前記基地局が前記アップリンク基準信号に基づいて前記基準パスのアップリンク伝送遅延を取得するように、アップリンク基準信号を前記基地局に送信するステップと、前記基地局が前記基準パスのアップリンク伝送遅延及び前記基準遅延差に基づいて前記LOSパスのアップリンク伝送遅延を得るように、前記基準遅延差を前記基地局に報告するステップと、を含む。本願の実施例による形態によれば、端末のアップリンク電力が限られている場合、1つのアップリンク基準信号によって、基地局が基準パスのアップリンク伝送遅延を取得することを可能にし、基準パスのアップリンク伝送遅延と基準遅延差とを組み合わせてLOSパスのアップリンク伝送遅延を計算することができる。それによって、LOSパスのアップリンク伝送遅延を測定するためのリソースオーバーヘッドを効果的に低減することができる。
【0108】
以上は本願の好ましい実施例を具体的に説明したが、当業者は、本願の精神に反することなく、様々な均等な変形または置換を行ってもよく、これらの均等な変形または置換は、いずれも本願の特許請求の範囲によって定められる範囲内に含まれる。
【手続補正書】
【提出日】2023-12-01
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
端末に適用される伝送遅延測定方法であって、
基地局によって送信されたダウンリンク基準信号を取得し、前記ダウンリンク基準信号の伝送パスから視線LOSパス及び基準パスを決定するステップと、
前記LOSパスのダウンリンク伝送遅延と前記基準パスのダウンリンク伝送遅延との差である基準遅延差を取得するステップと、
前記基地局がアップリンク基準信号に基づいて前記基準パスのアップリンク伝送遅延を取得するように、前記アップリンク基準信号を前記基地局に送信するステップと、
前記基地局が前記基準パスのアップリンク伝送遅延及び前記基準遅延差に基づいて前記LOSパスのアップリンク伝送遅延を得るように、前記基準遅延差を前記基地局に報告するステップと、
を含む、方法。
【請求項2】
前記ダウンリンク基準信号の伝送パスからLOSパス及び基準パスを決定する前記ステップは、
前記ダウンリンク基準信号の伝送が最も早く完了した伝送パスを前記LOSパスとして決定するステップと、
前記ダウンリンク基準信号の伝送パスの信号受信電力を決定し、前記信号受信電力に応じて、信号受信電力が前記LOSパスの信号受信電力以上の前記基準パスを決定するステップと、
を含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記アップリンク基準信号はチャネルサウンディング信号SRSであり、
前記基地局が前記アップリンク基準信号の伝送パスから前記基準パスを決定するように、前記アップリンク基準信号を前記基地局に送信する前記ステップは、
基準SRSを生成するステップと、
前記基地局が前記基準SRSの伝送パスから前記基準パスを決定するように、前記基準SRSを前記基地局に送信するステップと、
を含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記基地局が前記基準パスのアップリンク伝送遅延及び前記基準遅延差に基づいて前記LOSパスのアップリンク伝送遅延を得るように、前記基準遅延差を前記基地局に報告する前記ステップは、
新しい基準SRSを生成し、前記基準遅延差に応じて前記新しい基準SRSを変調して変調SRSを得るステップと、
前記基地局が前記変調SRS及び前記基準SRSに基づいて前記基準遅延差を得、前記基準パスのアップリンク伝送遅延及び前記基準遅延差に基づいて前記LOSパスのアップリンク伝送遅延を得るように、前記変調SRSを前記基地局に送信するステップと、
を含む、
請求項3に記載の方法。
【請求項5】
測定パラメータ差を前記基地局に報告する前に、
前記ダウンリンク基準信号の受信ビームを決定するステップと、
前記受信ビームを、前記アップリンク基準信号を送信するための送信ビームとして決定するステップと、
をさらに含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記基準遅延差を前記基地局に報告する前記ステップは、
前記基準遅延差を有する通信シグナリングを生成するステップと、
前記通信シグナリングを前記基地局に送信するステップと、
を含む、
請求項1
に記載の方法。
【請求項7】
基地局に適用される伝送遅延測定方法であって、
端末がダウンリンク基準信号の伝送パスからLOSパス及び基準パスを決定するように、前記ダウンリンク基準信号を前記端末に送信するステップと、
前記端末によって送信されたアップリンク基準信号を取得し、前記アップリンク基準信号に基づいて前記基準パスのアップリンク伝送遅延を取得するステップと、
前記LOSパスのダウンリンク伝送遅延と前記基準パスのダウンリンク伝送遅延との差である、前記端末によって報告された基準遅延差を取得し、前記基準パスのアップリンク伝送遅延及び前記基準遅延差に基づいて前記LOSパスのアップリンク伝送遅延を得るステップと、
を含む、方法。
【請求項8】
前記アップリンク基準信号はSRSであり、前記端末によって送信されたアップリンク基準信号を取得し、前記アップリンク基準信号の伝送パスから前記基準パスを決定する前記ステップは、
前記端末によって送信された基準SRSを取得するステップと、
前記基準SRSの伝送パスから前記基準パスを決定するステップと、
を含む、
請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記端末によって報告された基準遅延差を取得する前記ステップは、
前記端末によって送信された変調SRS及び基準SRSを取得するステップであって、前記変調SRSは、前記端末によって前記基準遅延差に基づいて変調されて生成された新しい基準SRSによって得られる、ステップと、
前記変調SRS及び前記基準SRSに基づいて前記基準遅延差を得るステップと、
を含む、
請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記端末によって送信されたアップリンク基準信号を取得する前記ステップの前に、
前記ダウンリンク基準信号を送信するための送信ビームを決定するステップと、
前記送信ビームを、前記アップリンク基準信号を受信するための受信ビームとして決定するステップと、
をさらに含む、
請求項7に記載の方法。
【請求項11】
前記端末によって通知された基準遅延差を取得する前記ステップは、
前記端末によって送信され前記基準遅延差を有する通信シグナリングを取得するステップを含む、
請求項7
に記載の方法。
【請求項12】
基地局及び端末にそれぞれ通信可能に接続された測位サーバに適用される測位方法であって、
前記端末によって送信されたLOSパスのダウンリンク伝送遅延及び前記基地局によって送信されたLOSパスのアップリンク伝送遅延を取得するステップであって、前記LOSパスのアップリンク伝送遅延は、請求項1~6のいずれか1項に記載の伝送遅延測定方法、又は請求項7~11のいずれか1項に記載の伝送遅延測定方法によって得られる、ステップと、
前記LOSパスのダウンリンク伝送遅延及びアップリンク伝送遅延に基づいて前記端末の位置情報を決定するステップと、
を含む、測位方法。
【請求項13】
メモリと、
プロセッサと、
メモリに記憶され、プロセッサで実行可能なコンピュータプログラムと、
を含み、
前記プロセッサは、
前記コンピュータプログラムを実行すると、請求項1~6のいずれか1項に記載の伝送遅延測定方法を実現する、
端末。
【請求項14】
メモリと、
プロセッサと、
メモリに記憶され、プロセッサで実行可能なコンピュータプログラムと、
を含み、
前記プロセッサは、
前記コンピュータプログラムを実行すると、請求項7~11のいずれか1項に記載の伝送遅延測定方法を実現する、
基地局。
【請求項15】
請求項1~6のいずれか1項に記載の伝送遅延測定方法を実行するためのコンピュータ実行可能命令、又は請求項7~11のいずれか1項に記載の伝送遅延測定方法を実行するためのコンピュータ実行可能命令を記憶したコンピュータ読み取り可能な記憶媒体。
【国際調査報告】