(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-21
(54)【発明の名称】機能強化幹細胞および調節性T細胞を含むアトピー性皮膚炎の予防または治療用併用投与組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 35/545 20150101AFI20240514BHJP
A61P 37/08 20060101ALI20240514BHJP
A61P 17/00 20060101ALI20240514BHJP
A61K 35/17 20150101ALI20240514BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20240514BHJP
A61K 35/15 20150101ALI20240514BHJP
A61K 35/35 20150101ALI20240514BHJP
A61K 35/50 20150101ALI20240514BHJP
A61K 35/51 20150101ALI20240514BHJP
C12N 5/0783 20100101ALI20240514BHJP
C12N 5/077 20100101ALI20240514BHJP
C12N 5/02 20060101ALI20240514BHJP
【FI】
A61K35/545
A61P37/08
A61P17/00
A61K35/17
A61P43/00 121
A61K35/15
A61K35/35
A61K35/50
A61K35/51
C12N5/0783
C12N5/077
C12N5/02
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023574719
(86)(22)【出願日】2022-05-30
(85)【翻訳文提出日】2023-11-30
(86)【国際出願番号】 KR2022007696
(87)【国際公開番号】W WO2022255759
(87)【国際公開日】2022-12-08
(31)【優先権主張番号】10-2021-0070810
(32)【優先日】2021-06-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521385817
【氏名又は名称】エスシーエム ライフサイエンス カンパニー リミテッド
(71)【出願人】
【識別番号】523453879
【氏名又は名称】テライミューン、リミテッド、ライアビリティー、カンパニー
【氏名又は名称原語表記】TERAIMMUNE, LLC
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100120617
【氏名又は名称】浅野 真理
(74)【代理人】
【識別番号】100126099
【氏名又は名称】反町 洋
(72)【発明者】
【氏名】ソン、スンウク
(72)【発明者】
【氏名】キム、シナ
(72)【発明者】
【氏名】ムン、チョンヒョン
(72)【発明者】
【氏名】ユン、ジョンホン
(72)【発明者】
【氏名】ビョン、ナリ
【テーマコード(参考)】
4B065
4C087
【Fターム(参考)】
4B065BB19
4B065BB20
4B065CA44
4C087AA01
4C087AA02
4C087BB37
4C087BB44
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4C087BB59
4C087BB63
4C087MA17
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4C087MA66
4C087NA14
4C087ZA89
4C087ZB13
4C087ZC75
(57)【要約】
本発明は、プライミングされた機能強化幹細胞および調節性T細胞を含むアトピー性皮膚炎の予防、改善または治療用組成物、キットおよびそれを利用したアトピー性皮膚炎の予防、改善または治療方法に関する。本発明のTNF-α、IFN-γおよびIFN-αまたはTNF-α、IFN-γ、IFN-αおよびビタミンで処理された機能強化幹細胞を調節性T細胞と併用して処理すると、アトピー性皮膚炎患者のTh1/Th2細胞の不均衡を改善することができ、アトピー性皮膚炎患者の状態をTh1にシフティングできるので、多様なアトピー性皮膚炎の予防、改善または治療分野において広く活用されてもよい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
TNF-α、IFN-γおよびIFN-αで処理された幹細胞および調節性T細胞を含む、アトピー性皮膚炎の予防または治療用薬学的組成物。
【請求項2】
前記TNF-α、IFN-γおよびIFN-αは、0.1乃至3:0.1乃至3:0.1乃至3(w/v)の割合で処理されるものである、請求項1に記載のアトピー性皮膚炎の予防または治療用薬学的組成物。
【請求項3】
前記幹細胞は、ビタミンB2、ビタミンB3、ビタミンB5およびビタミンB6からなる群から選択された1種以上のビタミンでさらに処理された幹細胞である、請求項1に記載のアトピー性皮膚炎の予防または治療用薬学的組成物。
【請求項4】
TNF-α、IFN-γ、IFN-αおよびビタミンは、0.1乃至3:0.1乃至3:0.1乃至3:100乃至10,000(w/v)の割合で処理されるものである、請求項3に記載のアトピー性皮膚炎の予防または治療用薬学的組成物。
【請求項5】
前記幹細胞および調節性T細胞は併用投与されるものである、請求項1乃至4のいずれか一項に記載のアトピー性皮膚炎の予防または治療用薬学的組成物。
【請求項6】
前記幹細胞は、脂肪、骨髄、胎盤または臍帯血由来の中間葉幹細胞である、請求項1乃至4のいずれか一項に記載のアトピー性皮膚炎の予防または治療用薬学的組成物。
【請求項7】
前記調節性T細胞は、血液、脂肪、骨髄、胎盤または臍帯血由来の調節性T細胞である、請求項1乃至4のいずれか一項に記載のアトピー性皮膚炎の予防または治療用薬学的組成物。
【請求項8】
前記幹細胞は、TSG6(TNFα-stimulated gene-6)の発現、IDO(Indoleamine 2,3-dioxygenase)の発現、ICAM1(Intercellular adhesion molecule 1)の発現およびVCAM(Vascular cell adhesion molecule)の発現からなる群から選択された1種以上が増進されたものである、請求項1乃至4のいずれか一項に記載のアトピー性皮膚炎の予防または治療用薬学的組成物。
【請求項9】
請求項1乃至4のいずれか一項に記載の組成物を含む、アトピー性皮膚炎の予防または治療用キット。
【請求項10】
前記キットは、(a)TNF-α、IFN-γおよびIFN-α;またはTNF-α、IFN-γ、IFN-αおよびビタミン;で処理された幹細胞を含む第1の組成物と、調節性T細胞を含む第2の組成物と、を含み、前記第1の組成物および第2の組成物は、それぞれ個別容器に入れられた形態、または一つ以上の区画に分けられた一つの容器内に入れられた形態で包装された形態のものであり、前記ビタミンは、ビタミンB2、ビタミンB3、ビタミンB5およびビタミンB6からなる群から選択された1種以上のビタミンである、請求項9に記載のアトピー性皮膚炎の予防または治療用キット。
【請求項11】
幹細胞プライミング用TNF-α、IFN-γおよびIFN-αを含む1区画と、
幹細胞を含む2区画と、
調節性T細胞を含む3区画と、を含むアトピー性皮膚炎の予防または治療用併用投与キット。
【請求項12】
前記1区画は、ビタミンB2、ビタミンB3、ビタミンB5およびビタミンB6からなる群から選択された1種以上のビタミンをさらに含むものである、請求項11に記載のアトピー性皮膚炎の予防または治療用併用投与キット。
【請求項13】
TNF-α、IFN-γおよびIFN-αで処理された幹細胞を含む1区画と、調節性T細胞を含む2区画と、を含む、アトピー性皮膚炎の予防または治療用併用投与キット。
【請求項14】
前記1区画は、ビタミンB2、ビタミンB3、ビタミンB5およびビタミンB6からなる群から選択された1種以上のビタミンをさらに含むものである、請求項13に記載のアトピー性皮膚炎の予防または治療用併用投与キット。
【請求項15】
TNF-α、IFN-γおよびIFN-αで処理された幹細胞を含む第1の組成物と、調節性T細胞を含む第2の組成物を含む、アトピー性皮膚炎の予防または治療用細胞治療剤。
【請求項16】
前記幹細胞は、ビタミンB2、ビタミンB3、ビタミンB5およびビタミンB6からなる群から選択された1種以上のビタミンでさらに処理されたものである、請求項15に記載のアトピー性皮膚炎の予防または治療用細胞治療剤。
【請求項17】
前記第1の組成物は静脈投与用であり、第2の組成物は皮内投与用である、請求項15に記載のアトピー性皮膚炎の予防または治療用細胞治療剤。
【請求項18】
1)TNF-α、IFN-γおよびIFN-αで処理された幹細胞をこれを必要とする個体に投与するステップと、
2)調節性T細胞を前記個体に投与するステップと、を含むアトピー性皮膚炎の予防または治療方法。
【請求項19】
前記1)ステップの幹細胞は、ビタミンB2、ビタミンB3、ビタミンB5およびビタミンB6からなる群から選択された1種以上のビタミンがともに処理されたものである、請求項18に記載のアトピー性皮膚炎の予防または治療方法。
【請求項20】
TNF-α、IFN-γおよびIFN-αで処理された幹細胞と、調節性T細胞を含む、アトピー性皮膚炎の予防または改善用化粧料組成物。
【請求項21】
前記幹細胞は、ビタミンB2、ビタミンB3、ビタミンB5およびビタミンB6からなる群から選択された1種以上のビタミンでさらに処理された幹細胞である、請求項20に記載のアトピー性皮膚炎の予防または改善用化粧料組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プライミングされた機能強化幹細胞および調節性T細胞を含むアトピー性皮膚炎の予防、改善または治療用組成物、キットおよびそれを利用したアトピー性皮膚炎の予防、改善または治療方法に関する。
【背景技術】
【0002】
幹細胞は未分化細胞であって、自己再生を通じて長期間分裂することができ、特定の環境下においては、多様な種類の細胞に分化できる細胞のことを言う。幹細胞は、起源になる組織に応じて胚性幹細胞(Embryonic stem cell)と成体幹細胞(Adult stem cell)とに分けられ、胚性幹細胞を利用した治療実験が倫理的な面と腫瘍形成の可能性から難しい点があるのに対し、成体幹細胞は、多様な組織から容易に得られるという長所があることから、多様な疾患の治療に適用しようとする研究が活発に進められている。
【0003】
現在まで多くの化合物免疫抑制剤または抗炎症剤が開発されており、臨床的に最もよく用いられる免疫抑制剤としては、シクロスポリン(cyclosporine、Neoral、Cipol A)、アザチオプリン(imuran)、プレドニゾロン(一種のステロイド)がある。前記免疫抑制剤は、抗原刺激から抗体生成に至る過程でマクロファージによる抗原の貪食、リンパ球などによる抗原認識、細胞分裂、T細胞とB細胞の分裂、抗体の生成などの幾つかの過程を阻害することによって、免疫抑制を惹起する。このような薬物は、大部分の抗腫瘍活性を同時に有しており、その理由は、DNA障害、DNA合成阻止などを媒介にして細胞分裂を阻止するためである。しかし、これに伴う代表的な副作用として、高血圧と腎毒性(腎機能が低下される)があり、その副作用の発生率が高いため、使用時に十分に経過を観察しなければならないなどの問題点がある。その他の副作用として、稀に震え、発作、肝炎、胆汁うっ滞、血中尿酸の増加、筋力の低下、多毛症(hypertrichosis)、歯肉肥大(gingival hypertrophy)などがある。よく用いられる抑制剤のうち、アザチオプリンは、白血球数値の減少、貧血、血小板の減少などの骨髄機能を抑制したりし、膵炎、肝炎、胆汁うっ滞とともに稀に脱毛、発熱などが見られる合併症があり得る。ステロイド製剤の一つのプレドニゾロンは免疫抑制剤の中で一番先に用いられ始めたが、動脈硬化症を促進させるだけでなく、高血圧、胃潰瘍、糖尿、成長阻害、骨粗鬆症、白内障、緑内障などを引き起こすため、注意しなければならない薬物である。従って、安全な免疫抑制剤または抗炎症剤の必要性が台頭している。
【0004】
このような問題点を解決するために、最近、幹細胞を利用した治療法が炎症および免疫疾患の治療のために試みされている。特に、中間葉幹細胞(mesenchymal stem cell;MSC)は、炎症を抑制させるかまたは調節性T細胞(regulatory T cells;Tregs)の生成を誘導するかまたは細胞死滅に関与する免疫細胞の死滅を誘導することが知られており、それを利用した多様な治療剤の開発が活発に行われている。
【0005】
しかしながら、幹細胞を利用した多様な臨床試験において、効果の持続性や、長期追跡の結果、生体内の生存割合が極めて低いという問題点が報告されており、幹細胞治療剤を改善するための多様な試みがなされている。例えば、治療効果を高めるために幹細胞に特定遺伝子を挿入するか、幹細胞の機能をブースティングすることができる多様な化学物、ペプチドなどを前処理する方法、培養時の低酸素、温度、光のような刺激条件を追加する方法が試みられるか、幹細胞の生存率を高めるために支持体とともに投与する方法が研究されている。幹細胞の機能強化のための多様な研究のうち遺伝子操作を利用した機能改善方法は効果的であるかもしれないが、導入される遺伝子の安全性などの問題点が指摘される。
【0006】
従って、幹細胞自体に遺伝子を導入して機能を強化するよりは、培養中に多様なプライミング要素の処理によって幹細胞の内在的な機能を強化するための多様な研究が試みられている。
【0007】
一方、我らの体のT細胞のうち一つである調節性T細胞(regulatory T cells;Tregs)は、過多な炎症と免疫反応の発生を自然的に防止する重要な役割を果たし、自己免疫疾患と慢性炎症性疾患が生じると、むしろ調節性T細胞の機能と数字が顕著に減ることが知られている。アトピー性皮膚炎の発生機序に対しては明確に究明されていないが、個人の遺伝的な要因によって環境のアレルギー抗原に対する不適切なTh2開始反応が原因になることが知られている。Th2タイプ細胞は、血清内の免疫グロブリンE(IgE)の濃度を増加させ、増加されたIgEによって肥満細胞が活性化されることでアトピー性皮膚炎を発生させる。また、Th1タイプ細胞の反応欠陥もまたアトピー性皮膚炎の悪化と関わっていると考えられる。従って、アトピー性皮膚炎の治療のための戦略として、Th1とTh2細胞との間の機能的な拮抗作用によってTh1/Th2細胞の不均衡を調節することで、アトピー性皮膚炎を治療しようとする研究が進められている。最近では、バクテリアCpGモチーフ(motif)またはトール様受容体9リガンドのような病原体関連分子を利用したT補助細胞(T helper cell)の分化調節を通じて、Th1の反応を促進させTh2の反応を抑制し、Th1/Th2細胞の不均衡を調節する研究を通じてアトピー性皮膚炎を治療しようとする試みがある。
【0008】
しかしながら、まだこのような不均衡を調節してアトピー性皮膚炎を治療する方法に対しては多くの研究が行われておらず、特に、幹細胞を利用したアトピー性皮膚炎の治療において、Th2疾患であるアトピー性皮膚炎患者の状態をTh1にシフティングすることができる治療法については多く報告されていない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明者は、幹細胞の機能をより強化するために研究していたところ、TNF-α、IFN-γおよびIFN-α;またはTNF-α、IFN-γ、IFN-αおよびビタミン;を処理すれば、幹細胞のアトピー性皮膚炎の予防または治療効果が顕著に増進できることを確認し、調節性T細胞を併用して処理する場合、さらに優れたアトピー性皮膚炎の治療効果が示されることを確認し、本発明を完成した。
【0010】
従って、本発明の目的は、TNF-α、IFN-γおよびIFN-α;またはTNF-α、IFN-γ、IFN-αおよびビタミン;でプライミングされた幹細胞および調節性T細胞を含むアトピー性皮膚炎の予防、改善または治療用組成物、キットおよびそれを利用したアトピー性皮膚炎の治療方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記のような目的を達成するために、本発明は、TNF-α、IFN-γおよびIFN-αで処理された幹細胞および調節性T細胞を含む、アトピー性皮膚炎の予防または治療用薬学的組成物を提供する。
【0012】
また、本発明は、TNF-α、IFN-γ、IFN-αおよびビタミンB2、ビタミンB3、ビタミンB5およびビタミンB6からなる群から選択された1種以上のビタミンで処理された幹細胞および調節性T細胞を含む、アトピー性皮膚炎の予防または治療用薬学的組成物を提供する。
【0013】
また、本発明は、前記組成物を含むアトピー性皮膚炎の予防または治療用キットを提供する。
【0014】
また、本発明は、幹細胞プライミング用TNF-α、IFN-γおよびIFN-αを含む1区画と、幹細胞を含む2区画と、調節性T細胞を含む3区画と、を含むアトピー性皮膚炎の予防または治療用併用投与キットを提供する。
【0015】
また、本発明は、TNF-α、IFN-γ、IFN-αおよびビタミンB2、ビタミンB3、ビタミンB5およびビタミンB6からなる群から選択された1種以上のビタミンを含む1区画と、幹細胞を含む2区画と、調節性T細胞を含む3区画と、を含むアトピー性皮膚炎の予防または治療用併用投与キットを提供する。
【0016】
また、本発明は、TNF-α、IFN-γおよびIFN-αで処理された幹細胞を含む1区画と、調節性T細胞を含む2区画と、を含むアトピー性皮膚炎の予防または治療用併用投与キットを提供する。
【0017】
また、本発明は、TNF-α、IFN-γ、IFN-αおよびビタミンB2、ビタミンB3、ビタミンB5およびビタミンB6からなる群から選択された1種以上のビタミンで処理された幹細胞を含む1区画と、調節性T細胞を含む2区画と、を含むアトピー性皮膚炎の予防または治療用併用投与キットを提供する。
【0018】
また、本発明は、TNF-α、IFN-γおよびIFN-αで処理された幹細胞を含む第1の組成物と、調節性T細胞を含む第2の組成物とを含む、アトピー性皮膚炎の予防または治療用細胞治療剤を提供する。
【0019】
また、本発明は、TNF-α、IFN-γ、IFN-αおよびビタミンB2、ビタミンB3、ビタミンB5およびビタミンB6からなる群から選択された1種以上のビタミンで処理された幹細胞を含む第1の組成物と、調節性T細胞を含む第2の組成物とを含む、アトピー性皮膚炎の予防または治療用細胞治療剤を提供する。
【0020】
また、本発明は、1)TNF-α、IFN-γおよびIFN-αで処理された幹細胞を個体に投与するステップと、2)調節性T細胞を前記個体に投与するステップと、を含むアトピー性皮膚炎の予防または治療方法を提供する。
【0021】
また、本発明は、1)TNF-α、IFN-γ、IFN-αおよびビタミンB2、ビタミンB3、ビタミンB5およびビタミンB6からなる群から選択された1種以上のビタミンで処理された幹細胞を個体に投与するステップと、2)調節性T細胞を前記個体に投与するステップと、を含むアトピー性皮膚炎の予防または治療方法を提供する。
【0022】
また、本発明は、TNF-α、IFN-γおよびIFN-αで処理された幹細胞と、調節性T細胞を含む、アトピー性皮膚炎の予防または改善用化粧料組成物を提供する。
【0023】
また、本発明は、TNF-α、IFN-γ、IFN-αおよびビタミンB2、ビタミンB3、ビタミンB5およびビタミンB6からなる群から選択された1種以上のビタミンで処理された幹細胞と、調節性T細胞を含む、アトピー性皮膚炎の予防または改善用化粧料組成物を提供する。
【発明の効果】
【0024】
本発明のTNF-α、IFN-γおよびIFN-αまたはTNF-α、IFN-γ、IFN-αおよびビタミンで処理された機能強化幹細胞を調節性T細胞と併用して処理すると、アトピー性皮膚炎患者のTh1/Th2細胞の不均衡を改善することができ、アトピー性皮膚炎患者の状態をTh1にシフティングすることができるので、多様なアトピー性皮膚炎の予防、改善または治療分野において広く活用されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】TNF-αの処理濃度によるIDOとTSG6の発現増加を確認した結果を示した図である(***P<0.001、****P<0.0001、compared to the control(0ng/mL))。
【
図2】IFN-γの処理濃度によるIDOとTSG6の発現増加を確認した結果を示した図である(*P<0.05、****P<0.0001、compared to the control(0ng/mL))。
【
図3】IFN-αの処理濃度によるIDOとTSG6の発現増加を確認した結果を示した図である(*P<0.05、**P<0.01、***P<0.001、****P<0.0001、compared to the control(0ng/mL))。
【
図4】表1に示した組成物によるIDOとTSG6の発現増加を確認した結果を示した図である(****P<0.0001)(0:未処理対照群、1:TNF-α(10ng/mL)、2:IFN-γ(10ng/mL)、3:IFN-α(20ng/mL)、4:TNF-α(10ng/mL)+IFN-γ(10ng/mL)、5:TNF-α(10ng/mL)+IFN-α(20ng/mL)、6:IFN-γ(10ng/mL)+IFN-α(20ng/mL)、7:TNF-α(10ng/mL)+IFN-γ(10ng/mL)+IFN-α(20ng/mL))。
【
図5】表2に示したビタミン単独処理によるIDOとTSG6の発現増加を確認した結果を示した図である(0:未処理対照群、1:ビタミンA(10μg/mL)、2:ビタミンB1(50μg/mL)、3:ビタミンB2(5μg/mL)、4:ビタミンB3(50μg/mL)、5:ビタミンB5(50μg/mL)、6:ビタミンB6(50μg/mL)、7:ビタミンB12(50μg/mL)、8:ビタミンD2(10μg/mL)、9:ビタミンD3(10μg/mL))。
【
図6】TNF-α、IFN-γ、IFN-αにビタミンをそれぞれ追加した表3に示した組成物処理によるIDOとTSG6の発現増加を確認した結果を示した図である(*P<0.05、**P<0.01、***P<0.001、****P<0.0001、compared to group 1)(0:未処理対照群、1:TNF-α+IFN-γ+IFN-α、2:実験群1にビタミンAを添加、3:実験群1にビタミンB1を添加、4:実験群1にビタミンB2を添加、5:実験群1にビタミンB3を添加、6:実験群1にビタミンB5を添加、7:実験群1にビタミンB6を添加、8:実験群1にビタミンB12を添加、9:実験群1にビタミンD2を添加、10:実験群1にビタミンD3を添加)。
【
図7】TNF-α、IFN-γ、IFN-αにビタミンをそれぞれ追加した表3に示した組成物処理によるICAM1とVCAMの発現増加を確認した結果を示した図である(*P<0.05、**P<0.01、***P<0.001、****P<0.0001、compared to group 1)(0:未処理対照群、1:TNF-α+IFN-γ+IFN-α、2:実験群1にビタミンAを添加、3:実験群1にビタミンB1を添加、4:実験群1にビタミンB2を添加、5:実験群1にビタミンB3を添加、6:実験群1にビタミンB5を添加、7:実験群1にビタミンB6を添加、8:実験群1にビタミンB12を添加、9:実験群1にビタミンD2を添加、10:実験群1にビタミンD3を添加)。
【
図8】TNF-α、IFN-γ、IFN-αおよびビタミンB6処理された幹細胞(pcMSC2)の免疫調節能力を確認するために、PHA刺激PBMCとpcMSC2または未処理cMSCを共培養し、炎症性サイトカインIFN-γおよび抗炎症性サイトカインIL-10を確認した結果を示した図である(***P<0.001、****P<0.0001、compared to cMSC、P1:PHAで刺激していない、陰性対照群)。
【
図9】流動細胞分類器を利用した調節性T細胞(Tregs)と非-調節性T細胞の分類戦略および分類純度(Purity)を示した図である。
【
図10】培養12日目の調節性T細胞(Tregs)で調節性T細胞の特性を見せる転写因子Foxp3およびHeliosの発現を示した図である。
【
図11】培養12日目の調節性T細胞(Tregs)から分泌されるIL-2、IL-4、IFN-γおよびIL-17Aを示した図である。
【
図12】アトピー性皮膚炎の動物モデルにおいて、pcMSC2と調節性T細胞(Tregs)の投与周期および時点に関する模式図を示した図である。
【
図13】G1:Naive、G2:Veh.(for pcMSC2)、G3:Veh.(for Tregs)、G4:pcMSC2、G5:Tregs、G6:pcMSC2+Tregs(D44)の各群に該当する実験物質の投与後、皮膚病弁の変化を確認した結果を示した図である。
【
図14】アトピー性皮膚炎の動物モデルにおいて、PBS(control for pcMSC2)、細胞安定化剤(control for Tregs)、pcMSC2、Tregs、pcMSC2+Tregs(D44)の投与による血清内の総IgG1の生産量の変化をELISA分析によって確認した結果を示した図である(***P<0.001、****P<0.0001 compared to Veh.)。
【
図15】アトピー性皮膚炎の動物モデルにおいて、PBS(control for pcMSC2)、細胞安定化剤(control for Tregs)、pcMSC2、Tregs、pcMSC2+Tregs(D44)の投与による総IgG1の生産量の変化を統計分析(T-test)した結果を示した図である。
【
図16】アトピー性皮膚炎の動物モデルにおいて、PBS(control for pcMSC2)、細胞安定化剤(control for Tregs)、pcMSC2、Tregs、pcMSC2+Tregs(D44)の投与による血清内の総IgG2aの生産量の変化をELISA分析によって確認した結果を示した図である(*P<0.05、**P<0.01、****P<0.0001 compared to Veh.)。
【
図17】アトピー性皮膚炎の動物モデルにおいて、PBS(control for pcMSC2)、細胞安定化剤(control for Tregs)、pcMSC2、Tregs、pcMSC2+Tregs(D44)の投与による血清内の総IgG2aの生産量の変化を統計分析(T-test)した結果を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明を詳しく説明する。
本発明は、TNF-α、IFN-γおよびIFN-α;またはTNF-α、IFN-γ、IFN-αおよびビタミンB2、ビタミンB3、ビタミンB5およびビタミンB6からなる群から選択された1種以上のビタミン;で処理された幹細胞および調節性T細胞を含む、アトピー性皮膚炎の予防または治療用薬学的組成物に関する。
【0027】
本発明の幹細胞は、TNF-α、IFN-γおよびIFN-α;またはTNF-α、IFN-γ、IFN-αおよびビタミンB2、ビタミンB3、ビタミンB5およびビタミンB6からなる群から選択された1種以上のビタミン;で処理されていない幹細胞と比較して、抗炎症作用および免疫調節能が優れているので、アトピー性皮膚炎の予防または治療に有用に活用されてもよく、特に、それを調節性T細胞と併用して処理すると、アトピー性皮膚炎の治療効果がさらに顕著に改善され得る。
【0028】
本発明におけるTNF-α、IFN-γおよびIFN-α;またはTNF-α、IFN-γ、IFN-αおよびビタミンB2、ビタミンB3、ビタミンB5およびビタミンB6からなる群から選択された1種以上のビタミン;で処理された幹細胞は「プライミングされた幹細胞」または「機能強化された幹細胞」と表示してもよく、「プライミングされた幹細胞」と「機能強化された幹細胞」は互換的に用いられてもよい。プライミングされた幹細胞は、本発明のプライミング因子処理によって幹細胞の免疫調節および炎症調節能が顕著に増加され、優れたアトピー性皮膚炎の治療効果を示す幹細胞を意味する。
【0029】
本発明における「プライミング因子」は、TNF-α、IFN-γおよびIFN-αの組み合わせまたは前記組み合わせにビタミンB2、ビタミンB3、ビタミンB5およびビタミンB6からなる群から選択された1種以上のビタミンをさらに含む組み合わせを意味してもよい。
【0030】
前記プライミング因子の組み合わせは、それらの単一成分を幹細胞に処理することと比較してシナジー効果を示すことができ、低い処理濃度でも目的とする幹細胞の機能強化を効果的に誘導してもよい。
【0031】
本発明における「機能強化」は、プライミング因子処理によって幹細胞が有している固有の性質および効果が増進されたことを意味し、特に、好ましくは、アトピー性皮膚炎の予防、改善または治療効果が改善されたことを意味してもよい。
【0032】
具体的に、本発明のプライミングされた幹細胞は、TNF-α、IFN-γおよびIFN-αで処理された幹細胞であってもよい。より具体的に、前記TNF-α、IFN-γおよびIFN-αは、0.1~3:0.1~3:0.1~3(w/v)の割合で処理されるものであってもよく、好ましくは、1:1:0.1乃至3(w/v)の割合で処理されるものであってもよく、さらに好ましくは、1:1:1乃至3(w/v)、よりさらに好ましくは1:1:1乃至2.5(w/v)の割合で処理されてもよい。本発明の一具現例においては、TNF-α、IFN-γおよびIFN-αを10ng/mL、10ng/mLおよび20ng/mLの濃度の組み合わせで幹細胞に処理して培養し、幹細胞のアトピー性皮膚炎の治療効果を確認した。
【0033】
また、本発明の幹細胞は、TNF-α、IFN-γおよびIFN-αの組み合わせに加えてビタミンでさらに処理された幹細胞であってもよく、具体的に、ビタミンB2、ビタミンB3、ビタミンB5およびビタミンB6からなる群から選択された1種以上のビタミンがさらに処理された幹細胞であってもよい。ビタミンをさらに含むプライミング因子の組み合わせを幹細胞に処理してプライミングすれば、TNF-α、IFN-γおよびIFN-αの処理によって誘導される幹細胞の機能強化がさらに顕著に増進されることができ、アトピー性皮膚炎の予防または治療効果も顕著に増進されることができる。前記TNF-α、IFN-γ、IFN-αおよびビタミンは、0.1乃至3:0.1乃至3:0.1乃至3:100乃至10,000(w/v)、好ましくは1:1:0.1乃至3:300乃至6,000(w/v)の割合で幹細胞に処理されてもよい。より具体的に、TNF-α、IFN-γ、IFN-αにビタミンB2が追加される場合、0.1乃至3:0.1乃至3:0.1乃至3:300乃至1,000(w/v)、さらに好ましくは、1:1:0.1乃至3:300乃至600(w/v)、よりさらに好ましくは、1:1:0.1乃至3:400乃至550(w/v)、よりさらに好ましくは、1:1:2:500(w/v)の割合で処理されてもよく、TNF-α、IFN-γ、IFN-αにビタミンB3、ビタミンB5またはビタミンB6が追加される場合、0.1乃至3:0.1乃至3:0.1乃至3:1,000乃至10,000(w/v)、好ましくは0.1乃至3:0.1乃至3:0.1乃至3:1,000乃至6,000(w/v)、よりさらに好ましくは1:1:0.1乃至3:4,000乃至6,000(w/v)、さらに具体的な例として、1:1:0.1乃至3:4,000乃至5,500(w/v)の割合、さらに好ましくは、1:1:2:5,000(w/v)の割合で処理されてもよい。
【0034】
本発明の一具現例においては、複合処理のための濃度としてTNF-α 10ng/mL、IFN-γ 10ng/mL、IFN-α 20ng/mLを選定し、ビタミンB2 5μg/mL、ビタミンB3 50μg/mL、ビタミンB5 50μg/mLおよびビタミンB6 50μg/mLを選定して幹細胞に処理し、免疫調節および炎症調節機能の強化を確認した。その結果、ビタミンを添加した実験群においては、TNF-α、IFN-γおよびIFN-α処理と比較してIDOおよびTSG6の発現増加だけでなく、幹細胞の表面に発現する付着因子であるICAM1(Intercellular adhesion molecule 1)とVCAM(Vascular cell adhesion molecule)の発現が有意に増加されることを確認した。
【0035】
特に、本発明の一具現例においては、TNF-α、IFN-γ、IFN-αおよびビタミンB6の組み合わせのプライミング因子処理によってアトピー性皮膚炎の治療効果が増大された幹細胞が製造されてもよいことを確認し、それを「pcMSC2(Primed clonal Mesenchymal Stem Cell 2)」と名付けた。
【0036】
本発明における「プライミング処理」または「プライミング因子処理」は、TNF-α、IFN-γおよびIFN-αの組み合わせまたは前記組み合わせにビタミンB2、ビタミンB3、ビタミンB5およびビタミンB6からなる群から選択された1種以上のビタミンをさらに含む組み合わせを幹細胞に12時間乃至36時間、好ましくは20時間乃至25時間にかけて処理し、幹細胞を培養することを意味してもよい。前記培養は、当分野に広く知られた幹細胞の培養培地を制限なく利用してもよい。
【0037】
本発明の薬学的組成物に含まれたTNF-α、IFN-γおよびIFN-α;またはTNF-α、IFN-γ、IFN-αおよびビタミン処理によって機能が強化されるプライミングされた幹細胞および調節性T細胞は、それぞれ順次または同時に併用投与されるものであってもよい。
【0038】
本発明におけるTNF-α、IFN-γおよびIFN-α;またはTNF-α、IFN-γ、IFN-αおよびビタミン処理によって機能が強化されるプライミングされた幹細胞は、自己複製能力を有しつつ、二つ以上の細胞に分化する能力を有する細胞のことを言い、全能性幹細胞(totipotent stem cell)、多能性幹細胞(pluripotent stem cell)、複能性幹細胞(multipotent stem cell)に分類してもよい。前記幹細胞は、目的に応じて適切に制限なく選択されてもよく、ヒトを含む哺乳動物、好ましくはヒトから由来した公知になっているすべての組織、細胞などの成体細胞から由来してもよく、例えば、脂肪、骨髄、胎盤(または胎盤組織細胞)、または臍帯血由来の中間葉幹細胞であってもよい。また、前記幹細胞はクローナル幹細胞を意味してもよい。
【0039】
本発明のプライミングされた幹細胞は、前記プライミング因子の組み合わせが処理されていない幹細胞と比較して、TSG6(TNFα-stimulated gene-6)の発現、IDO(Indoleamine 2,3-dioxygenase)の発現、ICAM1(Intercellular adhesion molecule 1)の発現およびVCAM(Vascular cell adhesion molecule)の発現からなる群から選択された1種以上が増進された幹細胞であってもよく、肥満細胞の減少、総IgEの減少、IgG2aの生産増加およびヒスタミンの減少からなる群から選択された1種以上のアトピー性皮膚炎の治療効果を示すことができる。
【0040】
本発明において、調節性T細胞は、血液、脂肪、骨髄、胎盤または臍帯血由来の調節性T細胞であってもよく、好ましくは、臍帯血由来であってもよく、臍帯血単核細胞からCD4+細胞のみを選別分離した後、CD4+細胞から分離されたものであってもよい。本発明の調節性T細胞は、CD4+CD25+/highCD127low細胞であってもよい。本発明の調節性T細胞は分離後にCD3およびCD28を通じて活性化されてもよく、培養5乃至10日目にマイトマイシンC(mitomycin C)が処理された同一の供与者由来のCD4-細胞で刺激された調節性T細胞であってもよい。本発明の調節性T細胞はこれに制限されるものではなく、分離後5乃至25日、10乃至20日培養された細胞であってもよい。このように培養された調節性T細胞は体外培養により発生し得る免疫機能の低下なく調節性T細胞の特性を維持することができる。
【0041】
本発明の薬学的組成物は、薬学的組成物の製造に通常用いる適切な担体、賦形剤および希釈制をさらに含んでもよい。また、薬学組成物の製造には固体または液体の製剤用添加物を用いてもよい。製剤用添加物は有機または無機のいずれであってもよい。
【0042】
賦形剤としては、例えば、乳糖、ショ糖、白糖、ブドウ糖、トウモロコシデンプン(corn starch)、デンプン、タルク、ソルビトール、結晶セルロース、デキストリン、カオリン、炭酸カルシウム、二酸化ケイ素などが挙げられる。結合剤としては、例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルエーテル、エチルセルロース、メチルセルロース、アラビアゴム、トラガカント(tragacanth)、ゼラチン、シェラック(shellac)、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、クエン酸カルシウム、デキストリン、ペクチン(pectin)などが挙げられる。滑沢剤としては、例えば、ステアリン酸マグネシウム、タルク、ポリエチレングリコール、シリカ、硬化植物油などが挙げられる。着色剤としては、通常医薬品に添加することが許可されているものであれば、いずれも使用してもよい。それらの錠剤、顆粒剤には、糖衣、ゼラチンコーティング、その他、必要に応じて適宜コーティングすることができる。また、必要に応じて、防腐剤、抗酸化剤などを添加してもよい。
【0043】
本発明の薬学的組成物は、当業界において通常製造されるいかなる剤形で製造されてもよく(例:文献[Remington’s Pharmaceutical Science、最新版;Mack Publishing Company、Easton PA])、製剤の形態は特に限定されるものではないが、好ましくは外用剤であってもよい。本発明の外用剤には、シート剤、液状塗布剤、噴霧剤、ローション剤、クリーム剤、パップ剤、粉剤、浸透パッド剤、噴霧剤、ゲル剤、パスタ剤、リニメント剤、軟膏剤、エアゾール、粉末剤、懸濁液剤、経皮吸収剤などの通常の外用剤の形態が含まれてもよい。それらの剤形は、全ての製薬化学に一般的に公知になっている処方書である文献[Remington’s Pharmaceutical Science]に記述されている。
【0044】
本発明の薬学的有効量は、患者の傷の種類、適用部位、処理回数、処理時間、剤形、患者の状態、補助剤の種類などによって変わり得る。使用量は、特に限定されないが、通常、本発明の薬学組成物の1日有効量を患者に適用するとき、0.00001乃至10000μgであってもよい。前記1日量は、1日に1回、または適当な間隔をおいて1日に2~3回に分けて投与してもよく、数日間隔で間欠投与してもよい。本発明の幹細胞治療剤の投与量は、好ましくは1日あたり1×102~1×1012細胞/kgであってもよい。
【0045】
しかし、本発明の薬学的組成物の前記使用量は、投与経路、患者の年齢、性別、体重、患者の重症度、傷の種類、適用部位、処理回数、処理時間、剤形、患者の状態、補助剤の種類などの様々な関連因子に照らして決定されるものであるので、前記有効量は、いかなる側面においても本発明の範囲を制限するものと理解されてはならない。
【0046】
また、本発明は、前記薬学的組成物を含むアトピー性皮膚炎の予防または治療用キットに関する。
【0047】
本発明のキットは、(a)TNF-α、IFN-γおよびIFN-α;またはTNF-α、IFN-γ、IFN-αおよびビタミン;で処理された幹細胞を含む第1の組成物と、調節性T細胞を含む第2の組成物と、を含み、前記第1の組成物および第2の組成物は、それぞれ個別容器に入れられた形態、または一つ以上の区画に分けられた一つの容器内に入れられた形態で包装された形態のものであり、前記ビタミンは、ビタミンB2、ビタミンB3、ビタミンB5およびビタミンB6からなる群から選択された1種以上のビタミンであることを特徴としてもよい。
【0048】
また、本発明は、幹細胞プライミング用TNF-α、IFN-γおよびIFN-α;またはTNF-α、IFN-γ、IFN-αおよびビタミン;を含む1区画と、幹細胞を含む2区画と、調節性T細胞を含む3区画と、を含むアトピー性皮膚炎の予防または治療用併用投与キットに関する。
【0049】
アトピー性皮膚炎の治療のために、先ず、1区画の幹細胞プライミング用TNF-α、IFN-γおよびIFN-α;またはTNF-α、IFN-γ、IFN-αおよびビタミン;を2区画の幹細胞に処理して機能強化された幹細胞を製造してもよく、これをまた3区画の調節性T細胞とともに同時にまたは順次に併用投与してアトピー性皮膚炎を予防または治療してもよい。
【0050】
また、本発明は、TNF-α、IFN-γおよびIFN-α;またはTNF-α、IFN-γ、IFN-αおよびビタミン;で処理された幹細胞を含む1区画と、調節性T細胞を含む2区画と、を含むアトピー性皮膚炎の予防または治療用併用投与キットに関する。
【0051】
前記第1の区画に含まれている幹細胞は、TNF-α、IFN-γおよびIFN-α;またはTNF-α、IFN-γ、IFN-αおよびビタミン;のような本発明のプライミング因子処理によって機能が強化された状態の幹細胞であってもよい。アトピー性皮膚炎の治療のために1区画または2区画の成分をアトピー性皮膚炎の治療が必要な個体に同時にまたは順次に投与してもよい。
【0052】
前記キットにおいて、ビタミンは、ビタミンB2、ビタミンB3、ビタミンB5およびビタミンB6からなる群から選択された1種以上のビタミンであってもよい。
【0053】
また、本発明は、TNF-α、IFN-γおよびIFN-α;またはTNF-α、IFN-γ、IFN-αおよびビタミン;で処理された幹細胞を含む第1の組成物と、調節性T細胞を含む第2の組成物とを含む、アトピー性皮膚炎の予防または治療用細胞治療剤に関する。
【0054】
本発明の治療剤は、経口、経皮、皮下、静脈または筋肉を含む様々な経路を介して投与されてもよく、活性成分の投与量は、投与経路、患者の年齢、性別、体重および患者の重症度などの様々な因子によって適宜選択されてもよい。好ましくは非経口で投与してもよく、静脈内注入、皮下注入、皮内注入、筋肉注入および腹腔注入などで投与してもよい。
【0055】
前記第1の組成物は、好ましくは静脈投与用であってもよく、第2の組成物は皮内投与用であってもよい。静脈投与用組成物とは、液状の薬物が静脈に直接注入されて作用するようにする無菌組成物を意味する。静脈投与用組成物は、通常の注射剤の製造に用いられてもよいすべての組成物を含み、調剤法によって、水性注射剤、非水性注射剤、懸濁注射剤、凍結乾燥注射剤などを含むが、これに限定されるものではない。第2の組成物は皮内投与用であってもよく、皮内投与用組成物は、液状の薬物を注射液の形態で表皮真下層である真皮に注射する用途の組成物を意味する。
【0056】
第1の組成物と第2の組成物の注射順序はそれに制限されるものではなく、第1の組成物を注射し、第2の組成物を注射してもよく、第2の組成物を注射し、第1の組成物を注射するか、同時に注射してもよい。第1の組成物および第2の組成物は個体に必要なだけ繰り返し投与されてもよく、患者の状態や治療条件などによって繰り返し投与間隔を調節してもよい。
【0057】
本発明のキットは、それぞれの成分を含む個別容器を含む形態、または一つ以上の区画に分けられた容器の区画内にそれぞれの成分を含む形態で包装された形態であってもよい。それらの個別容器または区画内に含まれている成分は、それを必要とする患者に同時に、個別的にまたは順次に投与されてもよい。
【0058】
また、本発明は、1)TNF-α、IFN-γおよびIFN-α;またはTNF-α、IFN-γ、IFN-αおよびビタミン;で処理された幹細胞を、それを必要とする個体に投与するステップと、2)調節性T細胞を前記個体に投与するステップと、を含むアトピー性皮膚炎の予防または治療方法に関する。
【0059】
前記1)および2)の投与は、順次にまたは同時に投与されてもよい。
【0060】
前記「順次に」は、1)ステップの後に2)ステップを行ってもよく、2)ステップの後に1)ステップを行ってもよい。
【0061】
本発明の個体はヒトを含むすべての動物を意味してもよい。前記動物は、ヒトだけでなく前記アトピー性皮膚炎と類似した症状の治療を必要とする牛、馬、羊、豚、ヤギ、ラクダ、レイヨウ、犬、猫などの哺乳動物であってもよく、ヒトを除いた動物であってもよいが、これに制限されるものではない。前記個体は、アトピー性皮膚炎の治療を必要とする患者であって、アトピー性皮膚炎を治療中の患者、治療を受けたことがある患者、アトピー性皮膚炎の治療を受ける必要がある患者をすべて含んでもよい。
【0062】
また、本発明のTNF-α、IFN-γおよびIFN-α;またはTNF-α、IFN-γ、IFN-αおよびビタミンで処理された幹細胞は、既存のアトピー性皮膚炎の治療のための薬物または治療方法と併用して処理されてもよく、特に、本発明のように調節性T細胞とともに併用して処理される場合、さらに顕著なアトピー性皮膚炎の治療効果を達成してもよい。
【0063】
前記治療方法において、ビタミンは、ビタミンB2、ビタミンB3、ビタミンB5およびビタミンB6からなる群から選択された1種以上のビタミンがともに処理されたものであってもよく、前記TNF-α、IFN-γおよびIFN-αは、0.1~3:0.1~3:0.1~3(w/v)の割合で処理されるものであってもよく、好ましくは、1:1:0.1乃至3(w/v)の割合で処理されるものであってもよく、さらに好ましくは、1:1:1乃至3(w/v)、よりさらに好ましくは、1:1:1乃至2.5(w/v)の割合で処理されてもよい。
【0064】
また、前記TNF-α、IFN-γ、IFN-αおよびビタミンは、0.1乃至3:0.1乃至3:0.1乃至3:100乃至10,000(w/v)、好ましくは1:1:0.1乃至3:300乃至6,000(w/v)の割合で幹細胞に処理されてもよい。より具体的に、TNF-α、IFN-γ、IFN-αにビタミンB2が追加される場合、0.1乃至3:0.1乃至3:0.1乃至3:300乃至1,000(w/v)、さらに好ましくは、1:1:0.1乃至3:300乃至600(w/v)、よりさらに好ましくは、1:1:0.1乃至3:400乃至550(w/v)、よりさらに好ましくは、1:1:2:500(w/v)の割合で処理されてもよく、TNF-α、IFN-γ、IFN-αにビタミンB3、ビタミンB5またはビタミンB6が追加される場合、0.1乃至3:0.1乃至3:0.1乃至3:1,000乃至10,000(w/v)、好ましくは0.1乃至3:0.1乃至3:0.1乃至3:1,000乃至6,000(w/v)、よりさらに好ましくは、1:1:0.1乃至3:4,000乃至6,000(w/v)、さらに具体的な例として、1:1:0.1乃至3:4,000乃至5,500(w/v)の割合、さらに好ましくは、1:1:2:5,000(w/v)の割合で処理されてもよい。
【0065】
また、本発明は、TNF-α、IFN-γおよびIFN-αで処理された幹細胞および調節性T細胞を含む、アトピー性皮膚炎の予防または改善用化粧料組成物を提供する。
【0066】
より具体的に、前記TNF-α、IFN-γおよびIFN-αは、TNF-α、IFN-γおよびIFN-αは、0.1~3:0.1~3:0.1~3(w/v)の割合で処理されるものであってもよく、好ましくは、1:1:0.1乃至3(w/v)の割合で処理されるものであってもよく、さらに好ましくは、1:1:1乃至3(w/v)、よりさらに好ましくは、1:1:1乃至2.5(w/v)の割合で処理されてもよい。本発明の一具現例においては、TNF-α、IFN-γおよびIFN-αを10ng/mL、10ng/mLおよび20ng/mLの濃度の組み合わせで幹細胞に処理して培養し、幹細胞を得てそのアトピー性皮膚炎の予防または改善効果を確認した。
【0067】
また、本発明の幹細胞は、TNF-α、IFN-γおよびIFN-αの組み合わせに加えてビタミンでさらに処理された幹細胞であってもよく、具体的に、ビタミンB2、ビタミンB3、ビタミンB5およびビタミンB6からなる群から選択された1種以上のビタミンがさらに処理された幹細胞であってもよい。
【0068】
ビタミンをさらに含むプライミング因子の組み合わせを幹細胞に処理してプライミングすると、TNF-α、IFN-γおよびIFN-αの処理によって誘導される幹細胞の機能強化がさらに顕著に増進されることができ、アトピー性皮膚炎の予防または改善効果も顕著に増進されることができる。前記TNF-α、IFN-γ、IFN-αおよびビタミンは、0.1乃至3:0.1乃至3:0.1乃至3:100乃至10,000(w/v)、好ましくは、1:1:0.1乃至3:300乃至6,000(w/v)の割合で幹細胞に処理されてもよい。より具体的に、TNF-α、IFN-γ、IFN-αにビタミンB2が追加される場合、0.1乃至3:0.1乃至3:0.1乃至3:300乃至1,000(w/v)、さらに好ましくは、1:1:0.1乃至3:300乃至600(w/v)、よりさらに好ましくは、1:1:0.1乃至3:400乃至550(w/v)、よりさらに好ましくは、1:1:2:500(w/v)の割合で処理されてもよく、TNF-α、IFN-γ、IFN-αにビタミンB3、ビタミンB5またはビタミンB6が追加される場合、0.1乃至3:0.1乃至3:0.1乃至3:1,000乃至10,000(w/v)、好ましくは、0.1乃至3:0.1乃至3:0.1乃至3:1,000乃至6,000(w/v)、よりさらに好ましくは、1:1:0.1乃至3:4,000乃至6,000(w/v)、さらに具体的な例として、1:1:0.1乃至3:4,000乃至5,500(w/v)の割合、さらに好ましくは、1:1:2:5,000(w/v)の割合で処理されてもよい。
【0069】
本発明のプライミングされた幹細胞は、肥満細胞の減少、総IgEの減少、IgG2aの生産増加およびヒスタミンの減少からなる群から選択された1種以上のアトピー性皮膚炎の改善効果を示すものであってもよい。また、本発明のプライミングされた幹細胞および調節性T細胞を併用して処理すると、総IgG1の減少効果およびIgG2aの増加効果を達成することができ、それを通じてTh1にシフティングが行われ、免疫不均衡を解消してアトピー性皮膚炎の治療効果を達成することができる。
【実施例】
【0070】
以下、実施例を通じて本発明をさらに詳しく説明しようとする。これらの実施例はひたすら本発明を例示するためのものであって、本発明の範囲がこれらの実施例によって制限されるものと解析されないことは、当業界における通常の知識を有した者にとって自明のことである。
【0071】
実施例1.幹細胞の培養および候補物質の選定
37℃および5%のCO2インキュベーターで、保存状態(LN2 tank保管)の中間葉幹細胞を解凍して培養し、このとき、10%のFBSまたは4%のhPLを含む培地(DMEM、alpha-MEM)で細胞コンフルエンスが80%程度に増殖されるまで培養した。培養した中間葉幹細胞を100mm dishにseedingした後、中間葉幹細胞の機能強化のための候補物質を24時間にかけて処理した後、機能強化のための1次候補物質の濃度を設定した。
【0072】
1次候補物質としては、TNF-α、IFN-γIFN-αを選定し、機能強化を確認するためにTSG6(TNFα-stimulated gene-6)とIDO(Indoleamine 2,3-dioxygenase)の発現を増加させることができる最低有効濃度を確認するために、TNF-α 5、10、20ng/mL、IFN-γ 5、10、20ng/mL、IFN-α 10、20、40ng/mLをそれぞれ幹細胞に処理し、TSG6およびIDOの発現変化を確認した。
【0073】
IDOはT細胞の増殖に必須のトリプトファンをキヌレン酸(kynurenine)に替えることで、T細胞のような免疫細胞の増殖を抑制する免疫調節因子と知られており、TSG6は、中間葉幹細胞が分泌する抗炎症調節因子と知られている。幹細胞を培養した後、TRIzol(Invitrogen)を利用して総RNAを分離した後、PrimeScript
TMRT reagent Kit with gDNA Eraser(TaKaRa)を利用して総RNAでcDNAを合成し、qRT-PCRを行った。各候補物質の濃度別の処理によるTSG6およびIDOの結果を
図1、
図2および
図3に示した。
【0074】
図1乃至
図3に示したように、TSG6およびIDOの発現をすべて顕著に増加誘導することができる最低有効濃度でTNF-α 10ng/mL、IFN-γ 10ng/mLおよびIFN-α 20ng/mLを確認し、以後、実験して該当濃度を基準として処理した。
【0075】
実施例2.幹細胞の機能強化のための組み合わせの選定
前記実施例1を通じて、幹細胞の機能強化を誘導することが確認された候補物質および最低有効濃度を基礎として、さらに強化された機能強化組成物を探索するために、選定された候補物質およびそれらの濃度の組み合わせを表1のように設定した。下記表1に記載されている候補の組み合わせを24時間にかけて中間葉幹細胞に処理し、実施例1のように幹細胞を培養した後、TRIzol(Invitrogen)を利用して総RNAを分離した。以後、PrimeScriptTMRT reagent Kit with gDNA Eraser(TaKaRa)を利用して総RNAでcDNAを合成し、qRT-PCRを行った。
【0076】
【0077】
これによって、免疫および抗炎症調節の代表的な因子であるIDO、TSG6の発現変化を確認し、その結果を
図4に示した。
【0078】
図4に示したように、未処理対照群グループ0と比較して、すべての単一候補物質TNF-α、IFN-γおよびIFN-α処理群(実験群1乃至3)において、IDO、TSG6の発現増加が確認されたが、それらをそれぞれ組み合わせた実験群4乃至6において、単一候補物質処理群に対比してさらに顕著な発現の増加が確認された。特に、TNF-αにIFN-γまたはIFN-αを処理した実験群4、5は、IFN-γおよびIFN-αのみを組み合わせた実験群6と比較して優れた効果を示し、3種類の候補物質をすべて組み合わせた処理群においては、驚くべきことに2つの組み合わせに対比して2倍以上増加された機能強化効果が確認された。
【0079】
従って、前記結果によってTNF-α(10ng/mL)+IFN-γ(10ng/mL)+IFN-α(20ng/mL)の組み合わせを幹細胞に処理すると、非常に顕著な幹細胞の免疫および抗炎症機能強化が達成できることを確認した。
【0080】
実施例3.ビタミンの追加による幹細胞の機能強化効果の確認
3.1 ビタミン単独添加による幹細胞の機能強化効果の確認
ビタミンは幹細胞の培養過程中に添加するとき、幹細胞の増殖能力を改善させ、幹細胞のstemnessを維持させることが知られている。従って、多様なビタミンを幹細胞の培養過程に処理し、ビタミンが幹細胞の抗炎症および免疫機能強化効果を達成できるか否かを確認するための実験を行った。具体的に、下記表2に示した多様なビタミンの種類を実施例1に記載されている方法に応じて幹細胞に処理し、各候補物質の処理によるIDOおよびTSG6の発現変化を確認した結果を
図5に示した。
【0081】
【0082】
図5に示したように、ビタミン処理群は、幹細胞の抗炎症および免疫調節機能に関与するIDOおよびTSG6の発現変化には有意な効果を示さなかった。
【0083】
3.2 ビタミンとTNF-α+IFN-γ+IFN-αの組み合わせによる幹細胞の機能強化効果の確認
上記のように単一物質としては、幹細胞の抗炎症および免疫調節機能強化の効果が示されていないビタミンを、実施例2において確認した機能強化物質の組み合わせに添加する場合、シナジー効果を示すことができるか否かを確認するために、下記表3のように、TNF-α(10ng/mL)+IFN-γ(10ng/mL)+IFN-α(20ng/mL)にそれぞれのビタミンを添加し、各組み合わせの処理によるIDOおよびTSG6の発現変化を確認し、その結果を
図6に示した。
【0084】
【0085】
図6に示したように、ビタミン未処理実験群1と比較して、実験群2、3、8、9においては、IDOおよびTSG6の発現が有意に増加しておらず、実験群10は、TSG6の発現は増加したが、IDOにおいては、対照群に対比して発現増加が確認されていない。一方、ビタミンB2(実験群4)、ビタミンB3(実験群5)、ビタミンB5(実験群6)、ビタミンB6(実験群7)の場合は、有意にIDOとTSG6の発現がすべて増加されることを確認した。TSG6の場合、TNF-α+IFN-γ+IFN-αを処理した実験群1と比較したとき、実験群4、5 6、7において、それぞれ49%、30%、35%、45%増加し、IDOの場合、実験群1と比較したとき、実験群4、5、6、7において、それぞれ25%、37%、31%、18%増加されることを確認した。
【0086】
上記のような結果は、ビタミンを単独で幹細胞に処理する場合、幹細胞の抗炎症および免疫調節能を向上させることはできないが、TNF-α+IFN-γ+IFN-αとビタミンB2、ビタミンB3、ビタミンB5またはビタミンB6を組み合わせて処理する場合、TNF-α+IFN-γ+IFN-αの効果がさらに高められることを示す結果である。
【0087】
実施例4.ICAM1およびVCAMの発現変化の確認
ICAM1とVCAMはT細胞と結合を通じて、T細胞の増殖を抑制して死滅を誘導することで過度な免疫と炎症反応を減少させ、多様な免疫および炎症関連疾患に効果を示すことができる。従って、前記実施例3の表3に記載されている同一の実験群で、24時間にかけて中間葉幹細胞に処理し、実施例1のように幹細胞を培養した後、TRIzol(Invitrogen)を利用して総RNAを分離した。以後、PrimeScriptTMRT reagent Kit with gDNA Eraser(TaKaRa)を利用して総RNAでcDNAを合成し、qRT-PCRを行った。
【0088】
幹細胞の免疫疾患および炎症疾患治療効果が増進しているか否かを確認するために、幹細胞の表面に発現する付着因子であるICAM1((Intercellular Adhesion Molecule 1)とVCAM(vascular cell adhension molecule)の発現を確認し、その結果を
図7に示した。
【0089】
図7に示したように、ICAM1の場合、TNF-α+IFN-γ+IFN-αを処理した実験群1と比較したとき、実験群4、5、6、7において、それぞれ45%、100%、35%、45%増加し、VACMの場合、実験群1と比較したとき、実験群4、5、6、7において、それぞれ52%、69%、52%、69%増加されることを確認した。
【0090】
従って、TNF-α+IFN-γIFN-αとビタミンB2、ビタミンB3、ビタミンB5またはビタミンB6の組み合わせを幹細胞に処理する場合、ICAM1およびVCAMの発現が顕著に増加し、これによって、幹細胞の免疫調節能および抗炎症効能が促進されてもよい。
【0091】
実施例5.炎症および免疫調節能力の確認
IDO、TSG6、ICAM-1、VCAMのような免疫および炎症調節因子を強化させた、前記実施例4において確認したプライミング処理条件の組み合わせが実際に過度な免疫反応を誘発した条件で炎症および免疫反応を抑制し、機能強化されていないcMSCに対比してさらに優れた効果を示すかを確認した。以下においては、表3のうち実験群7であるTNF-α+IFN-γIFN-αとビタミンB6の組み合わせをcMSCに処理し、前記組み合わせでプライミング処理されたMSCを「pcMSC2(Primed clonal Mesenchymal Stem Cell 2)」と名付けた。
【0092】
PHA(Phytochemagglutinin)刺激リンパ球培養実験は、リンパ球の細胞分裂の促進を誘導するPHAという試薬を利用する方法であって、過度な免疫活性を誘導する方法である。PBMC(peripheral blood mononuclear cell;PBMC;末梢血液細胞)を96well plateにwellあたり2×10
5cellsに分注し、PHA 1μg/mLで刺激して5×10
4cellのcMSCまたはpcMSC2と4日間共培養した。培養が完了した後、上澄液を集めて炎症性サイトカインであるIFN-gammaと抗炎症性サイトカインであるIL-10をELISAによって確認し、その結果を
図8に示した。陰性対照群としては、PHAで刺激されていないグループを利用し、P1で示した。
【0093】
図8に示したように、IFN-gammaはPHAで刺激した場合、16013pg/mLのように顕著に増加したか、cMSCと共培養した場合、5048pg/mL減少し、pcMSC2と共培養した場合、1700pg/mLまで有意に減少することを確認した。また、cMSCとpcMSC2を比較した場合は、機能強化されたpcMSC2でcMSCより約66%程度IFN-gammaがさらに有意に減少することを確認した。抗炎症性サイトカインであるIL-10の場合、cMSCとpcMSC2のいずれもにおいてIL-10の増加を確認することができ、特に、cMSCより機能強化されたpcMSC2と共培養した条件で、約22%多いIL-10が分泌されることを確認した。
【0094】
実施例6.調節性T細胞(Tregs)の分離および培養
StemExpress(CA、USA)から購入した臍帯血単核細胞を解凍した後、ヒトのCD4を認知するmicrobeads(Miltenyi)を利用してCD4+細胞のみを選別分離した。CD4+細胞分離過程は、製造会社のプロトコルに応じて実施した。簡略に、全体臍帯血単核細胞をCD4 microbeadと混ぜた後、磁場コラムを利用してCD4+細胞のみを純粋分離した。分離されたCD4+細胞で調節性T細胞を分類するために、anti-CD4 FITC(Tonbo)、anti-CD25 BV785(Biolegend)、anti-CD127 APC(Biolegend)抗体および流動細胞分類器(BD FACS Melody)を利用して4℃で採光を遮断した条件で20分間染色を行った。流動細胞分析器を利用した調節性T細胞(CD4+CD25
+/highCD127
low、4~6%)分離の分類戦略および分類純度を
図9に示した。
【0095】
流動細胞分類器によって得られた臍帯血由来の調節性T細胞(3×105)を200μl培地に浮遊して96 well flat bottom plateで培養を始めた。調節性T細胞のCD3およびCD28を通じた活性化のために、GMP MACS T cell TransAct(Miltenyi)が添加されており、培養培地は、AIM-V media(Gibco)、5%のHuman Serum AB(GEMCELL)、500units/mLのpenicillin(Gibco)、500mg/mLのstreptomycin(Gibco)、1.46mg/mLのGlutamine(Gibco)、300units/mLのrecombinant human IL-2(R&D system)、2μMのBHKps25(Phosphorothioate-backboned oligonucleotide、TriLink)、および2ng/mLのhuman TGF-1β(Cell Genix Inc.)を含む培地を用いた。培養開始後の3日から5日間(72時間)は100nMのrapamycin(Sigma-Aldrich)を追加した。
【0096】
培養6日あるいは7日目に調節性T細胞を再刺激するために、mitomycin C(Sigma-Aldrich)が処理された同一の供与者由来のCD4-細胞を調節性T細胞の10倍の量で追加し、同時に50ng/mLのanti-CD3 antibody(Clone OKT3、Miltenyi)を処理した。17~19日間培養された臍帯血由来の調節性T細胞の数は最初に対比して供与者によって270~400倍に増加した。
【0097】
実施例7.臍帯血由来の調節性T細胞の性質の確認
分離された臍帯血由来の調節性T細胞の特徴が約2週間の培養の間に変形されたかを確認し、他の細胞へ分化しているか否かを確認するために、培養12日目に流動細胞分析による調節性T細胞と分化T細胞のマーカー確認実験を行った。
【0098】
免疫慣用機能がまともに維持される調節性T細胞の場合、特異的な転写因子であるFoxp3およびHeliosの発現を維持すると知られているので、培養中の細胞の一部を得て、該当抗体を利用して染めた後、発現変化を確認し、その結果を
図10に示した。
【0099】
図10に示したように、12日間培養された臍帯血由来の調節性T細胞は90%の細胞が該当転写因子をすべて発現していることが確認できた。一方、対照群として用いられた非-調節性T細胞の場合、ほぼFoxp3およびHeliosを発現していなかった。
【0100】
追加的に分類して培養された調節性T細胞が培養基間の間に別の細胞に分化されていないことを確認するために、サイトカイン分泌量の測定を行った。PMA/Ionomycin(Biolegend)を4時間にかけて調節性T細胞に処理して細胞がサイトカインを分泌するように刺激し、タンパク質移動阻害剤(Brefeldin A)をともに処理することで、細胞内の分泌されたサイトカイン量を培養液への流出なしに測定した。調節性T細胞はどのようなサイトカインも分泌しないことが知られているので、T helper 1 cell(Th1)およびNatural killer cell(NK cell)へ分化しているか否かを確認するために、IL-2とIFN-γT helper 2 cell(Th2)へ分化しているか否かを確認するために、IL-4、最後に、T helper 17 cell(Th17)へ分化しているか否かを確認するためにIL-17Aの分泌を確認し、その結果を
図11に示した。
【0101】
図11に示したように、分離された後、12日間培養された臍帯血由来の調節性T細胞は、IL-2、IL-4、IL-17A、およびIFN-γの発現がいずれも1%未満であると確認され、これは、Th1、Th2、NK cell、Th17への分化可能性がないことを示す。従って、流動細胞分類器によって分類された後、12日間培養された臍帯血由来の調節性T細胞は、別の細胞への分化誘導なしに調節性T細胞の固有の機能を維持したことを確認し、以後、分離された調節性T細胞を実験に用いた。
【0102】
実施例8.アトピー性皮膚炎の動物モデルを利用した併用投与の効果
実施例5において機能強化効果が確認されたpcMSC2と実施例6において分離された調節性T細胞を併用投与し、アトピー性皮膚炎の治療効果を確認した。
【0103】
8.1 アトピー性皮膚炎モデルの製造および投与プロトコル
アトピー性皮膚炎試験は、雌6週齢のSPF(specific pathogen-free)BALB/c mice(15~20g)をSLC,Inc(Shizuoka、Japan)から供給を受けて用い、1週間の間馴化期間を経た後、実験を進行した。仁荷大学医科大学の生命科学研究所で温度22~25℃、湿度40~60%、昼夜12時間交代に150~300Luxの照明で滅菌蒸溜水と固形飼料を自由に摂取できるように飼育環境を維持して実験を行った。7週齢の雌BALB/cマウスにovalbumin(OVA)50μg/50μl(PBS)とAlum Adjuvant 4mg/100μlを混合して週に1回3週間、計3回にわたって腹腔と皮下投与して免疫化を進行した。3回すべて同じ部位に投与するとき、該当疾患と関係のない炎症を誘発することがあるため、それぞれ他の部位に投与した。OVA+alum投与の3週間後、1.2×1.2cmサイズの滅菌ガーゼにOVA 60μg/60μl(PBS)を濡らした後、除毛した皮膚に週に2~3回、2週間にかけて付着してアトピー性皮膚炎を誘導した。誘導後の13~14日目に実験動物を補正した後、26 1/2 gauge needleが装着されたBD社の1mL syringeを利用してPBS、細胞安定化剤、pcMSC2、調節性T細胞、pcMSC2+調節性T細胞をそれぞれ注入した。
【0104】
投与プロトコルを
図12に示し、pcMSC投与は青い矢印で、調節性T細胞投与は赤い矢印で示した。
図12に示したように、pcMSC2は42日目に最初投与して2日間隔で計3回静脈投与し、1回あたり1.66×10
5/200μlずつ3回、計5.0×10
5/600μl投与した。Tregsは、単独投与群は、44日目に計1.0×10
6/250μlを単回投与し、pcMSC2+Tregs併用投与群は、pcMSC2の投与プロトコルに加えて44日目に計1.0×10
6/250μlの調節性T細胞を追加皮内投与(D44)した。皮内投与は一部位あたり50μl以上投与する場合、skin traumaを誘導することがあるので、250μlに浮遊された細胞を50μlずつ5か所の部位にわたって注入した。Veh.群の実験動物は投与方法に応じてVeh.(pcMSC2 control)、Veh.(Tregs control)の二つに分けて、それぞれPBSを皮内投与、細胞安定化剤を静脈投与した。
【0105】
二日後に病弁部位を再び除毛した後、OVA 60μg/60μl(PBS)を濡らした1.2×1.2cmサイズの滅菌ガーゼを除毛した背中の皮膚に2週間にかけて週3~4回付着してアトピー性皮膚炎を再誘導した(ブースティングステップ)。
【0106】
アトピー性皮膚炎に対する効果を確認するための血液サンプルは、次のような方式で得た。すべての実験動物は、細胞安定化剤または試験物質の投与後の約10日目(実験59日目)にイソフルランを利用して呼吸麻酔した後に腹部を切開して後大静脈を露出させた後に採血した。採血した血液は、serum separate tubeに入れて3,000rpm/15分、4℃で遠心分離した後、1.5mL e-tubeに入れて-70℃ deep freezerに保管した。
【0107】
8.2 併用投与による皮膚病弁変化の確認
実施例8.1のアトピー性皮膚炎を誘発した実験動物にpcMSC2、調節性T細胞を上記のようなプロトコルで投与し、実験59日目に皮膚病弁の状態を確認し、その結果を
図13に示した。
【0108】
図13に示したように、アトピー性皮膚炎を誘発した実験動物に試験物質を注入した後、皮膚全般にわたって疾患誘発による傷、血痕、角質の有無などを観察した結果、単独投与群よりpcMSC2、調節性T細胞併用投与群(D44)で皮膚が効果的に改善されることを確認した。
【0109】
8.3 併用投与による総IgG1の抑制効果およびIgG2の生産効果の確認
実施例8.1のアトピー性皮膚炎誘発動物モデルにpcMSC2、調節性T細胞を上記のようなプロトコルで投与し、総IgG1とIgG2aを比較した。アトピー性皮膚炎の有効性評価のために、血清試料はELISA kitを利用して血清内のtotal IgG1、IgG2aの濃度を測定し、測定はキット内のプロトコルに準じて実施した。ELISA plateに免疫グロブリンを認知することができる捕捉抗体をコーティング緩衝液とともに4℃に一晩中保管し、翌日1時間にかけて遮断過程を経た後、血清を100倍以上希釈して50μlの量で2時間にかけて室温で反応させた。その後、免疫グロブリンを認知する2次抗体を入れた後、substrate bufferであるTMB solutionを入れて、約15分程度反応させた後、50μlのstop solutionを入れた。ELISA reader機を利用して450nmのフィルターで値を測定した。確認結果を
図14乃至
図17に示した。
【0110】
図14および
図15に示したように、Total IgG1はVeh.を除いたすべての実験物質投与群で有意に減少されることを確認し、特に、pcMSC2に調節性T細胞を併用注入したとき、最も大幅に減少した。
【0111】
図16および
図17に示したように、IgG2aの場合は、IgG1結果と反対されるパターンが確認され、Veh.に対比する調節性T細胞単独投与群を除いたすべての実験物質投与群で意味のある水準で数値が増加したことが確認された。また、pcMSC2、調節性T細胞単独注入群と比較したとき、pcMSC2に調節性T細胞を併用注入したとき、最も大幅に増加した。これは、Th2疾患であるアトピー性皮膚炎モデルにpcMSC2および調節性T細胞を注入することでTh1へのシフティングが行われ、これにより、免疫不均衡を調節してアトピー症状を緩和させ得ることを示す結果である。
【0112】
以上、本発明内容の特定の部分を詳しく記述したところ、当業界の通常の知識を有する者にとって、このような具体的な技術は、単に好ましい実施形態であるだけであり、これにより、本発明の範囲が制限されるものではない点は明らかなものである。従って、本発明の実質的な範囲は、添付の請求項とそれらの等価物によって定義されると言えるものである。
【手続補正書】
【提出日】2023-11-30
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
TNF-α、IFN-γおよびIFN-αで処理された幹細胞および調節性T細胞を含む、アトピー性皮膚炎の予防または治療用薬学的組成物。
【請求項2】
前記TNF-α、IFN-γおよびIFN-αは、0.1乃至3:0.1乃至3:0.1乃至3(w/v)の割合で処理されるものである、請求項1に記載のアトピー性皮膚炎の予防または治療用薬学的組成物。
【請求項3】
前記幹細胞は、ビタミンB2、ビタミンB3、ビタミンB5およびビタミンB6からなる群から選択された1種以上のビタミンでさらに処理された幹細胞である、請求項1に記載のアトピー性皮膚炎の予防または治療用薬学的組成物。
【請求項4】
TNF-α、IFN-γ、IFN-αおよびビタミンは、0.1乃至3:0.1乃至3:0.1乃至3:100乃至10,000(w/v)の割合で処理されるものである、請求項3に記載のアトピー性皮膚炎の予防または治療用薬学的組成物。
【請求項5】
前記幹細胞および調節性T細胞は併用投与されるものである、請求項1乃至4のいずれか一項に記載のアトピー性皮膚炎の予防または治療用薬学的組成物。
【請求項6】
前記幹細胞は、脂肪、骨髄、胎盤または臍帯血由来の中間葉幹細胞である、請求項1乃至4のいずれか一項に記載のアトピー性皮膚炎の予防または治療用薬学的組成物。
【請求項7】
前記調節性T細胞は、血液、脂肪、骨髄、胎盤または臍帯血由来の調節性T細胞である、請求項1乃至4のいずれか一項に記載のアトピー性皮膚炎の予防または治療用薬学的組成物。
【請求項8】
前記幹細胞は、TSG6(TNFα-stimulated gene-6)の発現、IDO(Indoleamine 2,3-dioxygenase)の発現、ICAM1(Intercellular adhesion molecule 1)の発現およびVCAM(Vascular cell adhesion molecule)の発現からなる群から選択された1種以上が増進されたものである、請求項1乃至4のいずれか一項に記載のアトピー性皮膚炎の予防または治療用薬学的組成物。
【請求項9】
請求項1乃至4のいずれか一項に記載の組成物を含む、アトピー性皮膚炎の予防または治療用キット。
【請求項10】
前記キットは、(a)TNF-α、IFN-γおよびIFN-α;またはTNF-α、IFN-γ、IFN-αおよびビタミン;で処理された幹細胞を含む第1の組成物と、調節性T細胞を含む第2の組成物と、を含み、前記第1の組成物および第2の組成物は、それぞれ個別容器に入れられた形態、または一つ以上の区画に分けられた一つの容器内に入れられた形態で包装された形態のものであり、前記ビタミンは、ビタミンB2、ビタミンB3、ビタミンB5およびビタミンB6からなる群から選択された1種以上のビタミンである、請求項9に記載のアトピー性皮膚炎の予防または治療用キット。
【請求項11】
幹細胞プライミング用TNF-α、IFN-γおよびIFN-αを含む1区画と、
幹細胞を含む2区画と、
調節性T細胞を含む3区画と、を含むアトピー性皮膚炎の予防または治療用併用投与キット。
【請求項12】
前記1区画は、ビタミンB2、ビタミンB3、ビタミンB5およびビタミンB6からなる群から選択された1種以上のビタミンをさらに含むものである、請求項11に記載のアトピー性皮膚炎の予防または治療用併用投与キット。
【請求項13】
TNF-α、IFN-γおよびIFN-αで処理された幹細胞を含む1区画と、調節性T細胞を含む2区画と、を含む、アトピー性皮膚炎の予防または治療用併用投与キット。
【請求項14】
前記1区画は、ビタミンB2、ビタミンB3、ビタミンB5およびビタミンB6からなる群から選択された1種以上のビタミンをさらに含むものである、請求項13に記載のアトピー性皮膚炎の予防または治療用併用投与キット。
【請求項15】
TNF-α、IFN-γおよびIFN-αで処理された幹細胞を含む第1の組成物と、調節性T細胞を含む第2の組成物を含む、アトピー性皮膚炎の予防または治療用細胞治療剤。
【請求項16】
前記幹細胞は、ビタミンB2、ビタミンB3、ビタミンB5およびビタミンB6からなる群から選択された1種以上のビタミンでさらに処理されたものである、請求項15に記載のアトピー性皮膚炎の予防または治療用細胞治療剤。
【請求項17】
前記第1の組成物は静脈投与用であり、第2の組成物は皮内投与用である、請求項15に記載のアトピー性皮膚炎の予防または治療用細胞治療剤。
【請求項18】
TNF-α、IFN-γおよびIFN-αで処理された幹細胞と、調節性T細胞を含む、アトピー性皮膚炎の予防または改善用化粧料組成物。
【請求項19】
前記幹細胞は、ビタミンB2、ビタミンB3、ビタミンB5およびビタミンB6からなる群から選択された1種以上のビタミンでさらに処理された幹細胞である、請求項
18に記載のアトピー性皮膚炎の予防または改善用化粧料組成物。
【国際調査報告】