(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-21
(54)【発明の名称】スーパーオキシドディスムターゼ1変異体及びそれを用いたグルタチオン又はその誘導体の生産方法
(51)【国際特許分類】
C12N 15/53 20060101AFI20240514BHJP
C12N 1/19 20060101ALI20240514BHJP
C12N 9/02 20060101ALI20240514BHJP
C12P 21/02 20060101ALI20240514BHJP
【FI】
C12N15/53
C12N1/19 ZNA
C12N9/02
C12P21/02 G
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023575360
(86)(22)【出願日】2022-06-07
(85)【翻訳文提出日】2023-12-06
(86)【国際出願番号】 KR2022008016
(87)【国際公開番号】W WO2022260403
(87)【国際公開日】2022-12-15
(31)【優先権主張番号】10-2021-0075689
(32)【優先日】2021-06-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】513178894
【氏名又は名称】シージェイ チェイルジェダン コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】弁理士法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】イム ヨン ウン
(72)【発明者】
【氏名】ハ チョル ウン
(72)【発明者】
【氏名】ヤン ウン ビン
(72)【発明者】
【氏名】キム ヨンス
【テーマコード(参考)】
4B064
4B065
【Fターム(参考)】
4B064AG01
4B064CA06
4B064CA19
4B064CC24
4B065AA80X
4B065CA28
4B065CA60
(57)【要約】
本出願は、新規なスーパーオキシドディスムターゼ1変異体及びそれを用いたグルタチオン又はその誘導体の生産方法に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
配列番号1のアミノ酸配列のN末端から37番目の位置に相当するアミノ酸が他のアミノ酸に置換されたスーパーオキシドディスムターゼ1(SOD1)変異体。
【請求項2】
前記他のアミノ酸は、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、メチオニン、フェニルアラニン、トリプトファン、プロリン、セリン、トレオニン、システイン、チロシン、アスパラギン、グルタミン、アスパラギン酸、グルタミン酸、リシン、アルギニン及びヒスチジンから選択されるアミノ酸である、請求項1に記載の変異体。
【請求項3】
前記変異体は、配列番号12~30のいずれかのアミノ酸配列を含むものである、請求項1に記載の変異体。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか一項に記載のスーパーオキシドディスムターゼ1変異体をコードするポリヌクレオチド。
【請求項5】
請求項1~3のいずれか一項に記載のスーパーオキシドディスムターゼ1変異体、及び前記変異体をコードするポリヌクレオチドの少なくとも1つを含む微生物。
【請求項6】
前記微生物は、グルタチオン又はその誘導体を生産するものである、請求項5に記載の微生物。
【請求項7】
前記微生物はサッカロマイセス属(Saccharomyces sp.)である、請求項5に記載の微生物。
【請求項8】
前記微生物はサッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)である、請求項7に記載の微生物。
【請求項9】
請求項1~3のいずれか一項に記載のスーパーオキシドディスムターゼ1変異体、及び前記変異体をコードするポリヌクレオチドの少なくとも1つを含む微生物を培地で培養するステップを含む、グルタチオン又はその誘導体の生産方法。
【請求項10】
前記方法は、前記培養した微生物、前記微生物の乾燥物、前記微生物の抽出物、前記微生物の培養物、及び前記微生物の破砕物から選択される少なくとも1つの物質からグルタチオン又はその誘導体を回収するステップをさらに含む、請求項9に記載のグルタチオン又はその誘導体の生産方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、スーパーオキシドディスムターゼ1変異体及びそれを用いたグルタチオン又はその誘導体の生産方法に関する。
【背景技術】
【0002】
グルタチオン(Glutathione, GSH)は、細胞内で最も一般的に存在する有機硫黄化合物であり、グリシン(glycine)、グルタミン酸(glutamate)、システイン(cysteine)の3つのアミノ酸が結合したトリペプチド(tripeptide)の形態である。
【0003】
グルタチオンは、体内において、還元型グルタチオン(GSH)と酸化型グルタチオン(GSSG)の2つの形態で存在する。一般的な状況において比較的高い割合で存在する還元型グルタチオン(GSH)は、人体の肝臓と皮膚細胞に主に分布しており、活性酸素を分解・除去する抗酸化機能、毒性物質をはじめとする外因性化合物の除去などの解毒作用、メラニン色素の生成を抑制する美白作用などの重要な役割を果たす。
【0004】
このように様々な機能を有するグルタチオンは、製薬、機能性食品、化粧品などの様々な分野の素材として脚光を浴びており、呈味素材、食品及び飼料添加剤の製造に用いられることもある。グルタチオンは、原物の呈味向上と呈味持続性の維持効果が大きく、単独で用いるか、他の物質と配合することにより、コク味(kokumi)香味増強剤として用いられることが知られている。通常、コク味素材は、従来の核酸、MSGなどの旨味(umami)素材より濃厚であり、タンパク質が分解熟成されることにより生成されることが知られている。また、グルタチオンは、他のγ-グルタミルペプチドに変換されることもある(非特許文献1)。γ-グルタミルペプチドは、分子のN末端にグルタミン酸のγ-カルボキシ基を有する低分子化合物であり、コク味香味増強剤としても広く用いられることが知られている。
【0005】
しかし、このように様々な分野で用いることのできるグルタチオン及びその誘導体の需要が増加しているにもかかわらず、生産単価が高いので、酵素合成工程はいまだ商用化されておらず、グルタチオン及びその誘導体の産業的生産には多大なコストがかかるので、市場が十分に活性化されていない現状である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】韓国登録特許第10-2222210号公報
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Sofyanovich OA et al,(2019) Multiple pathways for the formation of the γ-glutamyl peptides γ-glutamyl-valine and γ-glutamyl-valylglycine in Saccharomyces cerevisiae. PLoS ONE 14 (5): e0216622
【非特許文献2】Pearson et al (1988) [Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85]: 2444
【非特許文献3】Rice et al., 2000, Trends Genet. 16: 276-277
【非特許文献4】Needleman and Wunsch, 1970, J. Mol. Biol. 48: 443-453
【非特許文献5】Devereux, J., et al, Nucleic Acids Research 12: 387 (1984)
【非特許文献6】Atschul, [S.] [F.,] [ET AL, J MOLEC BIOL 215]: 403 (1990)
【非特許文献7】Guide to Huge Computers, Martin J. Bishop, [ED.,] Academic Press, San Diego,1994
【非特許文献8】[CARILLO et al.](1988) SIAM J Applied Math 48: 1073
【非特許文献9】Smith and Waterman, Adv. Appl. Math (1981) 2:482
【非特許文献10】Schwartz and Dayhoff, eds., Atlas Of Protein Sequence And Structure, National Biomedical Research Foundation, pp. 353-358 (1979)
【非特許文献11】Gribskov et al(1986) Nucl. Acids Res. 14: 6745
【非特許文献12】J. Sambrook et al., Molecular Cloning, A Laboratory Manual, 2nd Edition, Cold Spring Harbor Laboratory press, Cold Spring Harbor, New York, 1989
【非特許文献13】F.M. Ausubel et al., Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley & Sons, Inc., New York
【非特許文献14】Sambrook et al., 1989, supra, 9.50-9.51, 11.7-11.8
【非特許文献15】Sitnicka et al. Functional Analysis of Genes. Advances in Cell Biology. 2010, Vol. 2. 1-16
【非特許文献16】Sambrook et al. Molecular Cloning 2012
【非特許文献17】Nakashima N et al., Bacterial cellular engineering by genome editing and gene silencing. Int J Mol Sci. 2014;15(2):2773-2793
【非特許文献18】Weintraub, H. et al., Antisense-RNA as a molecular tool for genetic analysis, Reviews - Trends in Genetics, Vol. 1(1) 1986
【非特許文献19】Lee TH, et al.(J. Microbiol. Biotechnol. (2006), 16(6), 979-982)
【非特許文献20】Geitz, Nucleic Acid Research, 20(6), 1425
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本出願が解決しようとする課題は、スーパーオキシドディスムターゼ1変異体及びそれを用いたグルタチオン又はその誘導体の生産方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本出願は、配列番号1のアミノ酸配列のN末端から37番目の位置に相当するアミノ酸が他のアミノ酸に置換されたスーパーオキシドディスムターゼ1変異体を提供する。
【0010】
本出願は、前記変異体をコードするポリヌクレオチド及びそれを含むベクターを提供する。
【0011】
本出願は、前記変異体及び前記変異体をコードするポリヌクレオチドの少なくとも1つを含む微生物を提供する。
【0012】
本出願は、前記微生物を培養するステップを含む、グルタチオン又はその誘導体の生産方法を提供する。
【発明の効果】
【0013】
本出願の新規なスーパーオキシドディスムターゼ1変異体は、グルタチオン又はその誘導体の高生産に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】サッカロマイセス・セレビシエ菌株にスーパーオキシドディスムターゼ1変異体を導入してグルタチオン生産レベルを確認した結果である。
【
図2】サッカロマイセス・セレビシエ菌株にスーパーオキシドディスムターゼ1変異体を導入してグルタチオン生産レベルを確認した結果である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本出願で開示される各説明及び実施形態はそれぞれ他の説明及び実施形態にも適用される。すなわち、本出願で開示される様々な要素のあらゆる組み合わせが本出願に含まれる。また、以下の具体的な記述に本出願が限定されるものではない。
【0016】
また、当該技術分野における通常の知識を有する者であれば、通常の実験のみを用いて本出願に記載された本出願の特定の態様の多くの等価物を認識し、確認することができるであろう。さらに、その等価物も本出願に含まれることが意図されている。
【0017】
さらに、本明細書全体にわたって多くの論文及び特許文献が参照されており、その引用が示されている。引用された論文及び特許文献の開示内容はその全体が本明細書に参照として組み込まれており、それにより本発明の属する技術分野の水準及び本発明の内容がより明確に説明される。
【0018】
本出願の一態様は、スーパーオキシドディスムターゼ1(SOD1)活性を有するタンパク質において、アミノ酸の置換を含み、前記置換は、配列番号1のN末端から37番目の位置に相当するアミノ酸の他のアミノ酸への置換を含むスーパーオキシドディスムターゼ1変異体を提供する。
【0019】
前記変異体は、配列番号1のアミノ酸配列において、N末端から37番目の位置に相当するアミノ酸が他のアミノ酸に置換されたタンパク質変異体であってもよい。
【0020】
本出願における「スーパーオキシドディスムターゼ1(superoxide dismutase 1)」は、「SOD1」又は「Superoxide dismutase [Cu-Zn]」ともいう酵素である。スーパーオキシドディスムターゼは、次の反応を触媒することが知られている。
【0021】
2O2
-+2H+→H2O2+O2
【0022】
本出願において、スーパーオキシドディスムターゼ1のアミノ酸配列は、sod1遺伝子によりコードされるアミノ酸配列であり、「SOD1タンパク質」ともいう。本出願のスーパーオキシドディスムターゼ1を構成するアミノ酸配列は、公知のデータベースであるNCBIのGenBankからその配列が得られる。前記スーパーオキシドディスムターゼ1は、配列番号1のアミノ酸配列を含むタンパク質であるが、これに限定されるものではない。一例として、前記スーパーオキシドディスムターゼ1は、サッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)由来のものであり、他の例として、配列番号1のアミノ酸配列において37番目の位置に相当するアミノ酸がグリシンであるものである。しかし、これらに限定されるものではなく、前記アミノ酸配列と同じスーパーオキシドディスムターゼ1活性を有する配列であればいかなるものでもよい。
【0023】
具体例として、本出願のスーパーオキシドディスムターゼ1は、配列番号1のアミノ酸配列、又はそれと80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%以上の相同性もしくは同一性を有するアミノ酸配列を含むタンパク質であってもよい。また、そのような相同性又は同一性を有して前記タンパク質に相当する効能を示すアミノ酸配列であれば、一部の配列が欠失、改変、置換又は付加されたアミノ酸配列を有するタンパク質も本出願の変異対象となるタンパク質に含まれることは言うまでもない。
【0024】
また、本出願において、スーパーオキシドディスムターゼ1の一例として、配列番号1のアミノ酸配列を含むタンパク質であると定義したとしても、配列番号1のアミノ酸配列の前後の無意味な配列付加や、自然発生する突然変異や、その非表現突然変異(silent mutation)を除外するものではなく、配列番号1のアミノ酸配列からなるタンパク質と同一又は相当する活性を有するものであれば、本出願のスーパーオキシドディスムターゼ1に含まれることは言うまでもない。
【0025】
すなわち、本出願に「特定配列番号で表されるアミノ酸配列を有するタンパク質又はポリペプチド」、「特定配列番号で表されるアミノ酸配列を含むタンパク質又はポリペプチド」と記載されていても、当該配列番号のアミノ酸配列からなるポリペプチドと同一又は相当する活性を有するものであれば、一部の配列が欠失、改変、置換又は付加されたアミノ酸配列を有するタンパク質であっても本出願に用いられることは言うまでもない。
【0026】
本出願における「変異体(variant)」又は「変異型ポリペプチド(modified polypeptide)」とは、少なくとも1つのアミノ酸の保存的置換(conservative substitution)及び/又は改変(modification)により上記列挙した配列(the recited sequence)とは異なるが、前記タンパク質の機能(functions)又は特性(properties)が維持されるタンパク質を意味する。
【0027】
前記変異体は、数個のアミノ酸の置換、欠失又は付加により識別される配列(identified sequence)とは異なる。このような変異体は、一般に前記タンパク質のアミノ酸配列の少なくとも1つのアミノ酸を改変し、その改変したタンパク質の特性を評価することにより識別することができる。すなわち、変異体の能力は、本来のタンパク質(native protein)より向上するか、変わらないか又は低下する。また、一部の変異体には、N末端リーダー配列や膜貫通ドメイン(transmembrane domain)などの少なくとも1つの部分が除去された変異型ポリペプチドも含まれる。他の変異体には、成熟タンパク質(mature protein)のN及び/又はC末端から一部分が除去された変異体も含まれる。前記「変異体」又は「変異型ポリペプチド」は、変異型、改変、変異したタンパク質、変異などの用語(英語表現では、modification、modified protein、mutant、mutein、divergent、variantなど)と混用されるが、変異を意味する用語であればいかなるものでもよい。
【0028】
本出願における「保存的置換(conservative substitution)」とは、あるアミノ酸が類似した構造的及び/又は化学的性質を有する他のアミノ酸に置換されることを意味する。前記変異体は、少なくとも1つの生物学的活性を依然として有する状態で、例えば少なくとも1つの保存的置換を有する。このようなアミノ酸置換は、一般に残基の極性、電荷、溶解性、疎水性、親水性及び/又は両親媒性(amphipathic nature)における類似性に基づいて発生し得る。
【0029】
例えば、電荷を帯びた側鎖(electrically charged amino acid)を有するアミノ酸のうち正に荷電した(塩基性)アミノ酸には、アルギニン、リシン及びヒスチジンが含まれ、負に荷電した(酸性)アミノ酸には、グルタミン酸及びアスパラギン酸が含まれ、電荷を帯びていない側鎖(uncharged side chain)を有するアミノ酸には、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、メチオニン、フェニルアラニン、トリプトファン、プロリン、セリン、トレオニン、システイン、チロシン、アスパラギン、グルタミンが含まれるように分類される。
【0030】
また、変異体は、ポリペプチドの特性と二次構造に最小限の影響を及ぼすアミノ酸の欠失又は付加を含んでもよい。例えば、ポリペプチドは、翻訳と同時に(co-translationally)又は翻訳後に(post-translationally)タンパク質の移動(transfer)に関与するタンパク質のN末端のシグナル(又はリーダー)配列に結合されてもよい。また、前記ポリペプチドは、ポリペプチドを確認、精製又は合成できるように、他の配列又はリンカーに結合されてもよい。
【0031】
一実施例において、本出願の変異体は、前述したスーパーオキシドディスムターゼ1のうち、配列番号1のN末端から37番目の位置に相当するアミノ酸が他のアミノ酸に置換されたスーパーオキシドディスムターゼ1変異体、又はスーパーオキシドディスムターゼ1活性を有する変異型ポリペプチドであってもよい。本出願の変異体は、「スーパーオキシドディスムターゼ1変異体」、「スーパーオキシドディスムターゼ1活性を有する(変異型)ポリペプチド」、「SOD1変異体」ともいい、変異前のタンパク質、天然の野生型ポリペプチド、又は非改変ポリペプチドに比べてグルタチオン生産量を増加させることができるものであるが、これらに限定されるものではない。
【0032】
前述した実施例のいずれかにおいて、前記変異体は、配列番号1のアミノ酸配列のN末端から37番目の位置に相当するアミノ酸が他のアミノ酸に置換されたスーパーオキシドディスムターゼ1変異体であってもよい。
【0033】
本出願における「他のアミノ酸への置換」は、置換前のアミノ酸とは異なるアミノ酸であればいかなるものでもよい。なお、本出願における「特定アミノ酸が置換された」とは、他のアミノ酸に置換されたと表記していなくても、置換前のアミノ酸とは異なるアミノ酸に置換されたことを意味することは言うまでもない。
【0034】
前述した実施例のいずれかにおいて、前記「他のアミノ酸」は、グリシンを除くアミノ酸であってもよい。具体的には、前記他のアミノ酸は、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、メチオニン、フェニルアラニン、トリプトファン、プロリン、セリン、トレオニン、システイン、チロシン、アスパラギン、グルタミン、アスパラギン酸、グルタミン酸、リシン、アルギニン及びヒスチジンから選択されるアミノ酸であるが、これらに限定されるものではない。
【0035】
本出願における「相当する位置(corresponding position)」とは、タンパク質もしくはポリペプチドにおいて列挙される位置のアミノ酸残基であるか、又はタンパク質もしくはポリペプチドにおいて列挙される残基に類似、同一もしくは相当するアミノ酸残基を意味する。本出願における「相当領域」とは、一般に関連タンパク質又は比較タンパク質における類似又は対応する位置を意味する。
【0036】
本出願において、本出願に用いられるタンパク質中のアミノ酸残基位置に特定ナンバリングが用いられる。例えば、比較する対象のタンパク質と本出願のタンパク質のポリペプチド配列をアラインメントすることにより、本出願のタンパク質のアミノ酸残基位置に相当する位置を再ナンバリングすることができる。
【0037】
本出願の配列番号1のアミノ酸配列のN末端から37番目の位置に相当するアミノ酸が他のアミノ酸に置換されたスーパーオキシドディスムターゼ1変異体は、配列番号1のアミノ酸配列、又はそれと80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%以上の相同性もしくは同一性を有するアミノ酸配列において、配列番号1の37番目の位置に相当するアミノ酸が他のアミノ酸に置換されたタンパク質であってもよい。
【0038】
このような変異体は、配列番号1と80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%以上の相同性又は同一性を有し、配列番号1と100%未満の相同性又は同一性を有する変異体であるが、これらに限定されるものではない。
【0039】
本出願の配列番号1のアミノ酸配列のN末端から37番目の位置に相当するアミノ酸が他のアミノ酸に置換されたスーパーオキシドディスムターゼ1変異体は、配列番号12~30のいずれかのアミノ酸配列を含むものであってもよい。具体的には、配列番号12~30のいずれかのアミノ酸配列から実質的に構成される(consisting essentially of)ものであり、より具体的には、配列番号12~30のいずれかのアミノ酸配列からなるものであるが、これらに限定されるものではない。
【0040】
また、前記変異体は、配列番号12~30のいずれかのアミノ酸配列を含むものであるか、又は前記アミノ酸配列において、37番目のアミノ酸は固定され(すなわち、変異体のアミノ酸配列において、配列番号12~30のアミノ酸配列の37番目の位置に相当するアミノ酸は、配列番号12~30のアミノ酸配列の37番目の位置のアミノ酸と同一であり)、それと80%以上の相同性もしくは同一性を有するアミノ酸配列を含むものであるが、これらに限定されるものではない。
【0041】
具体的には、本出願の前記変異体は、配列番号12~30のいずれかのアミノ酸配列、及び配列番号12~30のいずれかのアミノ酸配列のアミノ酸配列と少なくとも80%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%の相同性又は同一性を有し、配列番号12~30のいずれかのアミノ酸配列において37番目の位置に相当するアミノ酸がグリシン以外のアミノ酸であるポリペプチドを含むものであってもよい。また、このような相同性又は同一性を有して前記変異体に相当する効能を示すアミノ酸配列であれば、37番目の位置以外に、一部の配列が欠失、改変、置換又は付加されたアミノ酸配列を有するタンパク質であっても本出願に含まれることは言うまでもない。
【0042】
本出願における「相同性(homology)」又は「同一性(identity)」とは、2つの与えられたアミノ酸配列又は塩基配列に関連する程度を意味し、百分率で表される。相同性及び同一性は、しばしば互換的に用いられる。
【0043】
保存されている(conserved)ポリヌクレオチド又はポリペプチドの配列相同性又は同一性は標準配列アルゴリズムにより決定され、用いられるプログラムにより確立されたデフォルトギャップペナルティが共に用いられてもよい。実質的には、相同性を有するか(homologous)又は同じ(identical)配列は、中程度又は高いストリンジェントな条件(stringent conditions)下において、一般に配列全体又は全長の少なくとも約50%、60%、70%、80%又は90%以上とハイブリダイズする。ハイブリダイゼーションには、ポリヌクレオチドにおいて一般のコドン又はコドン縮退を考慮したコドンを有するポリヌクレオチドとのハイブリダイゼーションも含まれることは言うまでもない。
【0044】
任意の2つのポリヌクレオチド又はポリペプチド配列が相同性、類似性又は同一性を有するか否かは、例えば非特許文献2のようなデフォルトパラメーターと「FASTA」プログラムなどの公知のコンピュータアルゴリズムを用いて決定することができる。あるいは、EMBOSSパッケージのニードルマンプログラム(EMBOSS: The European Molecular Biology Open Software Suite, 非特許文献3)(バージョン5.0.0又はそれ以降のバージョン)で行われるように、ニードルマン=ウンシュ(Needleman-Wunsch)アルゴリズム(非特許文献4)を用いて決定することができる(GCGプログラムパッケージ(非特許文献5)、BLASTP、BLASTN、FASTA(非特許文献6、7及び8)を含む)。例えば、国立生物工学情報センターのBLAST又はClustal Wを用いて相同性、類似性又は同一性を決定することができる。
【0045】
ポリヌクレオチド又はポリペプチドの相同性、類似性又は同一性は、例えば非特許文献9に開示されているように、非特許文献4などのGAPコンピュータプログラムを用いて、配列情報を比較することにより決定することができる。要約すると、GAPプログラムは、2つの配列のうち短いものにおける記号の総数で、類似する配列記号(すなわち、ヌクレオチド又はアミノ酸)の数を割った値と定義している。GAPプログラムのためのデフォルトパラメーターは、(1)二進法比較マトリックス(同一性は1、非同一性は0の値をとる)及び非特許文献10に開示されているように、非特許文献11の加重比較マトリックス(又はEDNAFULL(NCBI NUC4.4のEMBOSSバージョン)置換マトリックス)と、(2)各ギャップに3.0のペナルティ、及び各ギャップの各記号に追加の0.10ペナルティ(又はギャップオープンペナルティ10、ギャップ延長ペナルティ0.5)と、(3)末端ギャップに無ペナルティとを含む。
【0046】
また、任意の2つのポリヌクレオチド又はポリペプチド配列が相同性、類似性又は同一性を有するか否かは、定義されたストリンジェントな条件下にてサザンハイブリダイゼーション実験で配列を比較することにより確認することができ、定義される適切なハイブリダイゼーション条件は当該技術の範囲内であり、当業者に周知の方法(例えば、非特許文献12、13)で決定される。
【0047】
本出願の他の態様は、前記変異体をコードするポリヌクレオチドを提供する。
【0048】
本出願における「ポリヌクレオチド」とは、ヌクレオチド単量体(monomer)が共有結合により長く鎖状につながったヌクレオチドの重合体(polymer)であって、所定の長さより長いDNA又はRNA鎖を意味する。
【0049】
本出願のスーパーオキシドディスムターゼ1をコードする遺伝子は、sod1遺伝子であってもよい。
【0050】
前記遺伝子は、酵母由来のものであってもよい。具体的には、サッカロマイセス(Saccharomyces)属であってもよく、より具体的には、サッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)由来のものであってもよい。さらに具体的には、サッカロマイセス・セレビシエ由来のものであって、スーパーオキシドディスムターゼ1活性を有するポリペプチドをコードするものであればいかなるものでもよく、一実施例においては、配列番号1のアミノ酸配列をコードする遺伝子であり、一実施例においては、配列番号2又は配列番号3の塩基配列を含むものであるが、これらに限定されるものではない。
【0051】
本出願のスーパーオキシドディスムターゼ1変異体をコードするポリヌクレオチドは、本出願のスーパーオキシドディスムターゼ1変異体、及びそれに相当する活性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドであればいかなるものでもよい。
【0052】
本出願のスーパーオキシドディスムターゼ1及びその変異体をコードするポリヌクレオチドは、コドンの縮退(degeneracy)により、又は前記ポリペプチドを発現させる生物において好まれるコドンを考慮して、ポリペプチドのアミノ酸配列が変化しない範囲でコード領域に様々な改変が行われてもよい。
【0053】
具体的には、本出願のスーパーオキシドディスムターゼ1変異体をコードするポリヌクレオチドは、配列番号1のアミノ酸配列において37番目の位置に相当するアミノ酸が他のアミノ酸に置換されたタンパク質変異体をコードするポリヌクレオチド配列であればいかなるものでもよい。
【0054】
例えば、本出願のタンパク質変異体をコードするポリヌクレオチドは、本出願のタンパク質変異体、具体的には配列番号12~30のいずれかのアミノ酸配列、又はそれと相同性もしくは同一性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチド配列であって、配列番号12~30のいずれかのアミノ酸配列において37番目の位置に相当するアミノ酸をコードする配列がグリシン以外のアミノ酸をコードするポリヌクレオチド配列であるが、これらに限定されるものではない。前記相同性もしくは同一性については前述した通りである。
【0055】
また、本出願のタンパク質変異体をコードするポリヌクレオチドは、公知の遺伝子配列から調製されるプローブ、例えば前記塩基配列の全部又は一部に対する相補配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズすることにより、配列番号1のアミノ酸配列において37番目の位置に相当するアミノ酸が他のアミノ酸に置換されたタンパク質変異体をコードする配列であればいかなるものでもよい。
【0056】
前記「ストリンジェントな条件(stringent condition)」とは、ポリヌクレオチド間の特異的ハイブリダイゼーションを可能にする条件を意味する。このような条件は、文献(例えば、非特許文献12)に具体的に記載されている。例えば、相同性又は同一性の高いポリヌクレオチド同士、40%以上、具体的には90%以上、より具体的には95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、さらに具体的には99%以上の相同性又は同一性を有するポリヌクレオチド同士をハイブリダイズし、それより相同性又は同一性の低いポリヌクレオチド同士をハイブリダイズしない条件、又は通常のサザンハイブリダイゼーション(southern hybridization)の洗浄条件である60℃、1×SSC、0.1%SDS、具体的には60℃、0.1×SSC、0.1%SDS、より具体的には68℃、0.1×SSC、0.1%SDSに相当する塩濃度及び温度において、1回、具体的には2回~3回洗浄する条件が挙げられる。
【0057】
ハイブリダイゼーションは、たとえハイブリダイゼーションのストリンジェンシーに応じて塩基間のミスマッチ(mismatch)が可能であっても、2つの核酸が相補的配列を有することが求められる。「相補的」とは、互いにハイブリダイゼーションが可能なヌクレオチド塩基間の関係を表すために用いられるものである。例えば、DNAにおいて、アデニンはチミンに相補的であり、シトシンはグアニンに相補的である。よって、本出願のポリヌクレオチドには、実質的に類似する核酸配列だけでなく、全配列に相補的な単離された核酸フラグメントが含まれてもよい。
【0058】
具体的には、相同性又は同一性を有するポリヌクレオチドは、55℃のTm値でハイブリダイゼーションステップが行われるハイブリダイゼーション条件と前述した条件を用いて検出することができる。また、前記Tm値は、60℃、63℃又は65℃であってもよいが、これらに限定されるものではなく、その目的に応じて当業者により適宜調節される。
【0059】
ポリヌクレオチドをハイブリダイズする適切なストリンジェンシーはポリヌクレオチドの長さ及び相補性の程度に依存し、変数は当該技術分野で公知である(非特許文献14参照)。
【0060】
本出願のさらに他の態様は、前記タンパク質変異体をコードするポリヌクレオチドを含むベクターを提供する。
【0061】
本出願における「ベクター」とは、好適な宿主内で標的ポリペプチドを発現させることができるように、好適な発現調節領域(又は発現調節配列)に作動可能に連結された前記標的ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの塩基配列を含むDNA産物を意味する。前記発現調節領域には、転写を開始するプロモーター、その転写を調節するための任意のオペレーター配列、好適なmRNAリボソーム結合部位をコードする配列、並びに転写及び翻訳の終結を調節する配列が含まれる。ベクターは、好適な宿主細胞に形質転換されると、宿主ゲノムに関係なく複製及び機能することができ、ゲノム自体に組み込まれる。
【0062】
例えば、細胞内染色体導入用ベクターにより、染色体内で標的タンパク質をコードするポリヌクレオチドを変異したポリヌクレオチドに置換することができる。前記ポリヌクレオチドの染色体への挿入は、当該技術分野で公知の任意の方法、例えば相同組換えにより行うことができるが、これに限定されるものではない。前記染色体に挿入されたか否かを確認するための選択マーカー(selection marker)をさらに含んでもよい。選択マーカーは、ベクターで形質転換された細胞を選択するためのもの、すなわち標的核酸分子が挿入されたか否かを確認するためのものであり、薬物耐性、栄養要求性、細胞毒性剤に対する耐性、表面タンパク質の発現などの選択可能表現型を付与するマーカーが用いられる。選択剤(selective agent)で処理した環境においては、選択マーカーを発現する細胞のみ生存するか、異なる表現形質を示すので、形質転換された細胞を選択することができる。
【0063】
本出願に用いられるベクターは、特に限定されるものではなく、当該技術分野で公知の任意のベクターが用いられる。酵母発現ベクターは、酵母組み込みプラスミド(YIp: integrative yeast plasmid)と染色体外プラスミドベクター(extrachromosomal plasmid vector)のどちらであってもよい。前記染色体外プラスミドベクターには、酵母エピソームプラスミド(YEp: episomal yeast plasmid)、酵母複製プラスミド(YRp: replicative yeast plasmid)及び酵母動原体プラスミド(YCp: yeast centromer plasmid)が含まれる。また、酵母人工染色体(YACs: artificial yeast chromosomes)も、本出願のベクターとして用いることができる。具体例として、用いることのできるベクターとしては、pESCHIS、pESC-LEU、pESC-TRP、pESC-URA、Gateway pYES-DEST52、pAO815、pGAPZ A、pGAPZ B、pGAPZ C、pGAPα A、pGAPα B、pGAPα C、pPIC3.5K、pPIC6 A、pPIC6 B、pPIC6 C、pPIC6α A、pPIC6α B、pPIC6α C、pPIC9K、pYC2/CT、pYD1 Yeast Display Vector、pYES2、pYES2/CT、pYES2/NT A、pYES2/NT B、pYES2/NT C、pYES2/CT、pYES2.1、pYES-DEST52、pTEF1/Zeo、pFLD1、PichiaPinkTM、p427-TEF、p417-CYC、pGAL-MF、p427-TEF、p417-CYC、PTEF-MF、pBY011、pSGP47、pSGP46、pSGP36、pSGP40、ZM552、pAG303GAL-ccdB、pAG414GAL-ccdB、pAS404、pBridge、pGAD-GH、pGAD T7、pGBK T7、pHIS-2、pOBD2、pRS408、pRS410、pRS418、pRS420、pRS428、yeast micron A form、pRS403、pRS404、pRS405、pRS406、pYJ403、pYJ404、pYJ405及びpYJ406が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0064】
本出願における「形質転換」とは、標的タンパク質をコードするポリヌクレオチドを含むベクターを宿主細胞又は微生物内に導入することにより、宿主細胞内で前記ポリヌクレオチドがコードするタンパク質を発現させることを意味する。形質転換されたポリヌクレオチドは、宿主細胞内で発現するものであれば、宿主細胞の染色体内に挿入されて位置するか、染色体外に位置するかに関係なく、いかなるものでもよい。また、前記ポリヌクレオチドは、標的タンパク質をコードするDNAやRNAを含むものである。前記ポリヌクレオチドは、宿主細胞内に導入されて発現するものであれば、いかなる形態で導入されるものでもよい。例えば、前記ポリヌクレオチドは、自ら発現する上で必要な全ての要素を含む遺伝子構造体である発現カセット(expression cassette)の形態で宿主細胞に導入される。通常、前記発現カセットは、前記ポリヌクレオチドに作動可能に連結されたプロモーター(promoter)、転写終結シグナル、リボソーム結合部位及び翻訳終結シグナルを含む。前記発現カセットは、自己複製可能な発現ベクターの形態であってもよい。また、前記ポリヌクレオチドは、それ自体の形態で宿主細胞に導入され、宿主細胞において発現に必要な配列と作動可能に連結されたものであってもよいが、これに限定されるものではない。
【0065】
また、前記「作動可能に連結」されたものとは、本出願の標的ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの転写を開始及び媒介するプロモーター配列と前記遺伝子配列が機能的に連結されたものを意味する。
【0066】
本出願のベクターを形質転換する方法は、核酸を細胞に導入するいかなる方法であってもよく、当該分野において公知であるように、宿主細胞に適した標準技術を選択して行うことができる。例えば、エレクトロポレーション(electroporation)、リン酸カルシウム(CaPO4)沈殿、塩化カルシウム(CaCl2)沈殿、微量注入法(microinjection)、ポリエチレングリコール(PEG)法、DEAE-デキストラン法、カチオン性リポソーム法、酢酸リチウム-DMSO法などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0067】
本出願は、スーパーオキシドディスムターゼ1、及び前記変異体をコードするポリヌクレオチドの少なくとも1つを含む微生物を提供する。
【0068】
本出願における「微生物」とは、野生型微生物や自然に又は人為的に遺伝的改変が行われた微生物が全て含まれるものであり、外部遺伝子が挿入されるか、内在性遺伝子の活性が強化又は弱化されるなどの原因により、特定機序が弱化又は強化された微生物が全て含まれる概念である。
【0069】
一実施例において、前記微生物は、グルタチオンを生産する微生物であってもよい。本出願における「グルタチオンを生産する微生物」は、「グルタチオン生産微生物」、「グルタチオン生産能を有する微生物」、「グルタチオン生産菌株」、「グルタチオン生産能を有する菌株」などと混用される。
【0070】
前述した実施例のいずれかにおいて、前記微生物は、グルタチオン誘導体を生産する微生物であってもよい。
【0071】
前述した実施例のいずれかにおいて、本出願の微生物は、スーパーオキシドディスムターゼ1をコードするポリヌクレオチドを含むベクターを含むものであってもよい。
【0072】
本出願における「グルタチオン(glutathione)」とは、「グルタシオン」、「GSH」と互換的に用いられるものであって、グルタミン酸(glutamate)、システイン(Cysteine)、グリシン(glycine)の3つアミノ酸からなるトリペプチドを意味する。グルタチオンは、製薬、機能性食品、呈味素材、食品、飼料添加剤、化粧品などの原料として用いられるが、これらに限定されるものではない。
【0073】
本出願における「グルタチオン誘導体」は、グルタチオンを出発物質として変換される物質であればいかなるものでもよい。
【0074】
本出願において、グルタチオン又はその誘導体は、「γ-グルタミルペプチド」ともいう。γ-グルタミルペプチドとは、分子のN末端にグルタミン酸のγ-カルボキシ基を有する低分子化合物を意味する。
【0075】
具体的には、γ-グルタミルペプチドは、一般式1で表される化合物である。
【0076】
[一般式1]
γ-Glu-X-Y
【0077】
一般式1において、Xはシステイン、グルタミン酸、チロシン、メチオニン、バリン、トリプトファン、アスパラギン酸、イソロイシン、ロイシン、アスパラギン、グルタミン、ヒスチジン、リシン、オルニチン、アルギニン、S-メチルシステイン(S-methylcysteine)又はS-エチルシステイン(S-ethylcysteine)であり、Yはグリシン、アラニン、ロイシン、イソロイシン、セリン、トレオニン、メチオニン、システイン、アスパラギン酸、アスパラギン、グルタミン、リシン、オルニチン、アルギニン、フェニルアラニン、チロシン、プロリン、ヒドロキシプロリン、α-アミノ酪酸であるか、又は存在しない。
【0078】
一実施例において、γ-グルタミルペプチドは、γ-Glu-Cys-Gly(グルタチオン)、γ-Glu-Glu(γ-EF)、γ-Glu-Tyr(γ-EY)、γ-Glu-Met(γ-EM)、γ-Glu-Val(γ-EV)、γ-Glu-Trp(γ-EW)、γ-Glu-Asp(γ-ED)、γ-Glu-Ile(γ-EI)、γ-Glu-Leu(γ-EL)、γ-Glu-Cys-Gly(γ-ECG)、γ-Glu-Val-Gly(γ-EVG)、γ-glutamyl-S-methyl-cysteine(γ-E-S-methyl-C)、γ-glutamyl-S-ethenyl-cysteine(γ-E-S-ethenyl-C)及びγ-glutamyl-cysteinyl-β-alanine(γ-E-C-β-A)から選択されるものであってもよい。
【0079】
前述した実施例のいずれかにおいて、前記γ-グルタミルペプチドはグルタチオンである。しかし、これに限定されるものではない。
【0080】
本出願の微生物とは、スーパーオキシドディスムターゼ1を含み、野生型又は非改変微生物と比較して目的とするグルタチオンを過剰量で生産する微生物を意味する。前記微生物は、グルタチオンを生産するものであれば、その種類が特に限定されるものではなく、サッカロマイセス属(the genus Saccharomyces)微生物であり、具体的にはサッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)であるが、これらに限定されるものではない。
【0081】
前記変異体を含むグルタチオン生産微生物の親株は、グルタチオンを生産するものであればいかなるものでもよい。前記微生物は、グルタチオン生産能の向上のための生合成経路の強化、フィードバック阻害の解除、分解経路又は生合成経路を弱化する遺伝子不活性化などの変異をさらに含むものであってもよく、これらの変異は、天然のものを排除するものではない。
【0082】
本出願におけるポリペプチド活性の「強化」とは、ポリペプチドの活性を内在性活性に比べて向上させることを意味する。前記強化は、活性化(activation)、上方調節(up-regulation)、過剰発現(overexpression)、向上(increase)などと混用される。ここで、活性化、強化、上方調節、過剰発現、向上には、本来なかった活性を示すようになることや、内在性活性又は改変前の活性に比べて活性が向上することが全て含まれる。前記「内在性活性」とは、自然要因又は人為的要因により遺伝的に変異して形質が変化する場合に、形質変化の前の親株又は非改変微生物が本来有していた特定ポリペプチドの活性を意味する。これは、「改変前の活性」と混用される。ポリペプチドの活性が内在性活性に比べて「強化」、「上方調節」、「過剰発現」又は「向上」するとは、形質変化の前の親株又は非改変微生物が本来有していた特定ポリペプチドの活性及び/又は濃度(発現量)に比べて向上することを意味する。
【0083】
前記強化は、外来ポリペプチドの導入により達成してもよく、内在性ポリペプチドの活性強化及び/又は濃度(発現量)増加により達成してもよい。前記ポリペプチドの活性が強化されたか否かは、当該ポリペプチドの活性の程度、発現量、又は当該ポリペプチドから生産される産物の量の増加により確認することができる。
【0084】
前記ポリペプチドの活性の強化には、当該分野で周知の様々な方法を適用することができ、標的ポリペプチドの活性を改変前の微生物より強化できるものであればいかなるものでもよい。具体的には、分子生物学における通常の方法であって、当該技術分野における通常の知識を有する者に周知の遺伝子工学及び/又はタンパク質工学を用いたものであるが、これらに限定されるものではない(例えば、非特許文献15、16など)。
【0085】
具体的には、本出願のポリペプチド活性の強化は、1)ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの細胞内コピー数を増加させること、2)ポリペプチドをコードする染色体上の遺伝子発現調節領域を活性が強力な配列に置換すること、3)ポリペプチドをコードする遺伝子転写産物の開始コドンもしくは5’UTR領域をコードする塩基配列を改変すること、4)ポリペプチド活性が強化されるように前記ポリペプチドのアミノ酸配列を改変すること、5)ポリペプチド活性が強化されるように前記ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド配列を改変すること(例えば、ポリペプチド活性が強化されるように改変されたポリペプチドをコードするように前記ポリペプチド遺伝子のポリヌクレオチド配列を改変すること)、6)ポリペプチドの活性を示す外来ポリペプチドもしくはそれをコードする外来ポリヌクレオチドを導入すること、7)ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドのコドンを最適化すること、8)ポリペプチドの三次構造を分析し、露出部分を選択して改変すること、もしくは化学的に修飾すること、又は9)前記1)~8)から選択される2つ以上の組み合わせにより行われるが、特にこれらに限定されるものではない。
【0086】
より具体的には、前記1)ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの細胞内コピー数を増加させることは、当該ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドが作動可能に連結された、宿主に関係なく複製されて機能するベクターを宿主細胞内に導入することにより行われる。あるいは、当該ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを宿主細胞内の染色体に1コピー又は2コピー以上導入することにより行われてもよい。前記染色体への導入は、宿主細胞内の染色体に前記ポリヌクレオチドを挿入することのできるベクターを宿主細胞内に導入することにより行われるが、これに限定されるものではない。前記ベクターについては前述した通りである。
【0087】
前記2)ポリペプチドをコードする染色体上の遺伝子の発現調節領域(又は発現調節配列)を活性が強力な配列に置換することは、例えば前記発現調節領域の活性がさらに強化されるように、欠失、挿入、非保存的もしくは保存的置換、又はそれらの組み合わせにより配列上の変異を発生させるか、より高い活性を有する配列に置換することにより行われる。前記発現調節領域には、特にこれらに限定されるものではないが、プロモーター、オペレーター配列、リボソーム結合部位をコードする配列、転写及び翻訳の終結を調節する配列などが含まれる。例えば、本来のプロモーターを強力なプロモーターに置換することにより行われるが、これに限定されるものではない。
【0088】
真核生物に対する公知のプロモーターの例としては、翻訳伸長因子1(TEF1)、グリセロール-3-リン酸デヒドロゲナーゼ1(GPD1)、3-ホスホグリセリン酸キナーゼ、又は他のグリコール分解酵素、例えばエノラーゼ、グリセルアルデヒド-3-リン酸デヒドロゲナーゼ、ヘキソキナーゼ、ピルビン酸デカルボキシラーゼ、ホスホフルクトキナーゼ、グルコース-6-リン酸イソメラーゼ、3-ホスホグリセリン酸ムターゼ、ピルビン酸キナーゼ、トリオースリン酸イソメラーゼ、ホスホグルコースイソメラーゼ及びグルコキナーゼに対するプロモーターが挙げられ、成長条件に応じて制御される転写のさらなる利点を有する誘導性プロモーターである他の酵母プロモーターの例としては、アルコールデヒドロゲナーゼ2、イソチトクロームC、酸性ホスファターゼ、窒素代謝に関連する分解酵素、メタロチオネイン、グリセルアルデヒド-3-リン酸デヒドロゲナーゼ、並びにマルトース及びガラクトース利用を担う酵素に対するプロモーターが挙げられ、宿主細胞が酵母であれば、用いることのできるプロモーターとしては、TEF1プロモーター、TEF2プロモーター、GAL10プロモーター、GAL1プロモーター、ADH1プロモーター、ADH2プロモーター、PHO5プロモーター、GAL1-10プロモーター、TDH3プロモーター(GPDプロモーター)、TDH2プロモーター、TDH1プロモーター、PGK1プロモーター、PYK2プロモーター、ENO1プロモーター、ENO2プロモーター及びTPI1プロモーターが挙げられ、酵母発現に用いるのに適したベクター及びプロモーターは、EP 073657にさらに記載されているが、これらに限定されるものではない。また、酵母エンハンサーも、酵母プロモーターと共に有用であるが、これに限定されるものではない。
【0089】
前記3)ポリペプチドをコードする遺伝子転写産物の開始コドンもしくは5’UTR領域をコードする塩基配列を改変することは、例えば、内在性開始コドンに比べてポリペプチドの発現率が高い他の開始コドンをコードする塩基配列に置換することにより行われるが、これに限定されるものではない。
【0090】
前記4)及び5)のアミノ酸配列又はポリヌクレオチド配列を改変することは、ポリペプチドの活性が強化されるように、前記ポリペプチドのアミノ酸配列又は前記ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド配列を欠失、挿入、非保存的もしくは保存的置換、又はそれらの組み合わせにより配列上の変異を発生させるか、より高い活性を有するように改良されたアミノ酸配列もしくはポリヌクレオチド配列、又は活性が向上するように改良されたアミノ酸配列もしくはポリヌクレオチド配列に置換することにより行われるが、これらに限定されるものではない。具体的には、前記置換は、相同組換えによりポリヌクレオチドを染色体に挿入することにより行われるが、これに限定されるものではない。ここで、用いられるベクターは、染色体に挿入されたか否かを確認するための選択マーカー(selection marker)をさらに含んでもよい。前記選択マーカーについては前述した通りである。
【0091】
前記6)ポリペプチドの活性を示す外来ポリヌクレオチドを導入することは、前記ポリペプチドと同一/類似の活性を示すポリペプチドをコードする外来ポリヌクレオチドを宿主細胞に導入することにより行われる。前記外来ポリヌクレオチドは、前記ポリペプチドと同一/類似の活性を示すものであれば、その由来や配列はいかなるものでもよい。前記導入は、公知の形質転換方法を当業者が適宜選択して行うことができ、宿主細胞内で前述したように導入したポリヌクレオチドが発現することにより、ポリペプチドが生成されてその活性が向上する。
【0092】
前記7)ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドのコドンを最適化することは、宿主細胞内で転写又は翻訳が増加するように、内在ポリヌクレオチドのコドンを最適化するか、宿主細胞内で最適化された転写、翻訳が行われるように、外来ポリヌクレオチドのコドンを最適化することにより行われる。
【0093】
前記8)ポリペプチドの三次構造を分析し、露出部分を選択して改変すること、もしくは化学的に修飾することは、例えば分析しようとするポリペプチドの配列情報を既知のタンパク質の配列情報が保存されているデータベースと比較し、配列の類似性の程度に応じて鋳型タンパク質の候補を決定し、それを基に構造を確認し、改変又は化学的に修飾する露出部分を選択して改変又は修飾することにより行われる。
【0094】
このようなポリペプチド活性の強化は、対応するポリペプチドの活性又は濃度、発現量を野生型や改変前の微生物菌株で発現するポリペプチドの活性又は濃度に比べて向上させるか、当該ポリペプチドから生産される産物の量を増加させることにより行われるが、これらに限定されるものではない。
【0095】
本出願の微生物において、ポリヌクレオチドの一部又は全部の改変は、(a)微生物中の染色体導入用ベクターを用いた相同組換え、もしくは遺伝子はさみ(engineered nuclease, e.g., CRISPR-Cas9)を用いたゲノム編集、並びに/又は(b)紫外線や放射線などの光及び/もしくは化学物質処理により誘導することができるが、これらに限定されるものではない。前記遺伝子の一部又は全部の改変方法には、DNA組換え技術による方法が含まれる。例えば、標的遺伝子と相同性のあるヌクレオチド配列が含まれるヌクレオチド配列又はベクターを前記微生物に導入して相同組換え(homologous recombination)を起こすことにより遺伝子の一部又は全部の欠失が行われる。この導入されるヌクレオチド配列又はベクターには、優性選択マーカーが含まれてもよいが、これに限定されるものではない。
【0096】
本出願におけるポリペプチドの「弱化」は、内在性活性に比べて活性が低下することや、活性がなくなることが全て含まれる概念である。前記弱化は、不活性化(inactivation)、欠乏(deficiency)、下方調節(down-regulation)、減少(decrease)、低下(reduce)、減衰(attenuation)などと混用される。
【0097】
前記弱化には、前記ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの変異などによりポリペプチド自体の活性が本来微生物が有するポリペプチドの活性に比べて減少又は除去されること、それをコードするポリヌクレオチドの遺伝子の発現阻害やポリペプチドへの翻訳(translation)阻害などにより細胞内での全体的なポリペプチド活性の程度及び/又は濃度(発現量)が天然菌株に比べて低下すること、前記ポリヌクレオチドの発現が全くないこと、及びポリヌクレオチドが発現したとしてもポリペプチドの活性がないことも含まれる。前記「内在性活性」とは、自然要因又は人為的要因により遺伝的に変異して形質が変化する場合に、形質変化の前の親株、野生型又は非改変微生物が本来有していた特定ポリペプチドの活性を意味する。これは、「改変前の活性」と混用される。ポリペプチドの活性が内在性活性に比べて「不活性化」、「欠乏」、「減少」、「下方調節」、「低下」、「減衰」するとは、形質変化の前の親株又は非改変微生物が本来有していた特定ポリペプチドの活性に比べて低下することを意味する。
【0098】
このようなポリペプチドの活性の低下は、これらに限定されるものではなく、当該分野で周知の様々な方法を適用することにより達成することができる(例えば、非特許文献16、17など)。
【0099】
具体的には、本出願のポリペプチド活性の弱化は、1)ポリペプチドをコードする遺伝子の全部又は一部を欠失させること、2)ポリペプチドをコードする遺伝子の発現が減少するように発現調節領域(又は発現調節配列)を改変すること、3)ポリペプチドの活性が欠失又は弱化されるように前記ポリペプチドを構成するアミノ酸配列を改変すること(例えば、アミノ酸配列の1つ以上のアミノ酸を欠失/置換/付加すること)、4)ポリペプチドの活性が欠失又は弱化されるように前記ポリペプチドをコードする遺伝子配列を改変すること(例えば、ポリペプチドの活性が欠失又は弱化されるように改変されたポリペプチドをコードするように前記ポリペプチド遺伝子の核酸塩基配列の1つ以上の核酸塩基を欠失/置換/付加すること)、5)ポリペプチドをコードする遺伝子転写産物の開始コドンもしくは5’UTR領域をコードする塩基配列を改変すること、6)ポリペプチドをコードする前記遺伝子転写産物に相補的に結合するアンチセンスオリゴヌクレオチド(例えば、アンチセンスRNA)を導入すること、7)リボソーム(ribosome)の付着を不可能にする2次構造物が形成されるようにポリペプチドをコードする遺伝子のシャイン・ダルガノ(Shine-Dalgarno)配列の前にシャイン・ダルガノ配列と相補的な配列を付加すること、8)ポリペプチドをコードする遺伝子配列のORF(open reading frame)の3’末端に逆転写するようにプロモーターを付加すること(Reverse transcription engineering, RTE)、又は9)前記1)~8)から選択される2つ以上の組み合わせにより行われるが、特にこれらに限定されるものではない。
【0100】
例えば、前記1)ポリペプチドをコードする前記遺伝子の一部又は全部を欠失させることは、染色体内の内在性標的ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド全体を欠失させること、一部のヌクレオチドが欠失したポリヌクレオチド又はマーカー遺伝子に置換することにより行われてもよい。
【0101】
また、前記2)発現調節領域(又は発現調節配列)を改変することは、欠失、挿入、非保存的もしくは保存的置換、又はそれらの組み合わせにより発現調節領域(又は発現調節配列)上の変異を発生させるか、より低い活性を有する配列に置換することにより行われてもよい。前記発現調節領域には、プロモーター、オペレーター配列、リボソーム結合部位をコードする配列、並びに転写及び翻訳の終結を調節する配列が含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0102】
さらに、前記5)ポリペプチドをコードする遺伝子転写産物の開始コドンもしくは5’UTR領域をコードする塩基配列を改変することは、例えば、内在性開始コドンに比べてポリペプチド発現率が低い他の開始コドンをコードする塩基配列に置換することにより行われるが、これに限定されるものではない。
【0103】
さらに、前記3)及び4)のアミノ酸配列又はポリヌクレオチド配列を改変することは、ポリペプチドの活性が弱化されるように、前記ポリペプチドのアミノ酸配列又は前記ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド配列を欠失、挿入、非保存的もしくは保存的置換、又はそれらの組み合わせにより配列上の変異を発生させるか、より低い活性を有するように改良されたアミノ酸配列もしくはポリヌクレオチド配列、又は活性がなくなるように改良されたアミノ酸配列もしくはポリヌクレオチド配列に置換することにより行われるが、これらに限定されるものではない。例えば、ポリヌクレオチド配列に変異を導入して終止コドンを形成することにより、遺伝子の発現を阻害又は弱化させることができるが、これらに限定されるものではない。
【0104】
前記6)ポリペプチドをコードする前記遺伝子転写産物に相補的に結合するアンチセンスオリゴヌクレオチド(例えば、アンチセンスRNA)を導入することは、例えば、非特許文献18を参照することができる。
【0105】
前記7)リボソーム(ribosome)の付着を不可能にする2次構造物が形成されるようにポリペプチドをコードする遺伝子のシャイン・ダルガノ(Shine-Dalgarno)配列の前にシャイン・ダルガノ配列と相補的な配列を付加することは、mRNA翻訳を不可能にするか、速度を低下させることにより行われてもよい。
【0106】
前記8)ポリペプチドをコードする遺伝子配列のORF(open reading frame)の3’末端に逆転写するようにプロモーターを付加すること(Reverse transcription engineering, RTE)は、前記ポリペプチドをコードする遺伝子転写産物に相補的なアンチセンスヌクレオチドを作成して活性を低下させることにより行われてもよい。
【0107】
前述した実施例のいずれかにおいて、本出願の微生物は、グルタミン酸-システインリガーゼ(GSH1)の発現調節領域にグルタチオン生産能を向上させる変異を含むものであってもよい。前記変異は、GSH1 ORFの上流の-250(C→T)、-252(G→A)、-398(A→T)、-399(A→C)、-407(T→C)及び-409(T→C)から選択される少なくとも1つの変異であってもよい。
【0108】
前述した実施例のいずれかにおいて、前記微生物は、グルタミン酸-システインリガーゼ(GSH1)の86番目のアミノ酸及び/又は653番目のアミノ酸が他のアミノ酸に置換される変異を含むものである。具体的には、86番目のアミノ酸がアルギニンに置換され、653番目のアミノ酸がメチオニンに置換される変異を含むものである。しかし、これらに限定されるものではない。
【0109】
前述した実施例のいずれかにおいて、前記微生物は、グルタミン酸-システインリガーゼ(GSH1)の活性が強化される変異を含むものである。しかし、これに限定されるものではない。
【0110】
本出願のスーパーオキシドディスムターゼ1変異体及び前記変異体をコードするポリヌクレオチドの少なくとも1つを含む微生物は、「配列番号1のアミノ酸配列において37番目の位置に相当するアミノ酸が他のアミノ酸に置換されたスーパーオキシドディスムターゼ1を発現する微生物」であるが、これに限定されるものではない。
【0111】
前記スーパーオキシドディスムターゼ1及びその変異体については前述した通りである。
【0112】
本出願における、タンパク質が「発現するように/する」とは、標的タンパク質が微生物内に導入されるか、微生物内で発現するように改変された状態を意味する。
【0113】
本出願のタンパク質変異体を発現する微生物は、本出願のタンパク質変異体を発現するように改変された微生物であってもよい。よって、本出願のさらに他の態様は、本出願のタンパク質変異体を発現する微生物の製造方法を提供する。
【0114】
本出願における「改変前の菌株」又は「改変前の微生物」とは、微生物に自然に発生し得る突然変異を含む菌株を除外するものではなく、野生型菌株もしくは天然菌株自体、又は自然要因もしくは人為的要因により遺伝的に変異して形質が変化する前の菌株を意味する。前記「改変前の菌株」又は「改変前の微生物」は、「非変異菌株」、「非改変菌株」、「非変異微生物」、「非改変微生物」又は「基準微生物」と混用される。
【0115】
本出願において、前記スーパーオキシドディスムターゼ1変異体を含むか、それをコードするポリヌクレオチド、又は前記ポリヌクレオチドを含むベクターを含む微生物は、組換え微生物であってもよく、前記組換えは、形質転換などの遺伝的改変(genetically modification)により行われてもよい。
【0116】
例えば、前記ポリヌクレオチドを含むベクターで形質転換により作製される組換え微生物であるが、これに限定されるものではない。前記組換え微生物は、酵母であり、例えばサッカロマイセス属微生物であり、具体的にはサッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)であるが、これらに限定されるものではない。
【0117】
本出願のさらに他の態様は、前記微生物を培養するステップを含む、グルタチオン又はその誘導体の製造方法を提供する。前記微生物、グルタチオン又はその誘導体については前述した通りである。
【0118】
本出願の菌株の培養に用いられる培地及び他の培養条件は、通常のサッカロマイセス属微生物の培養に用いられるものであればいかなるものでもよく、具体的には、好適な炭素源、窒素源、リン源、無機化合物、アミノ酸及び/又はビタミンなどを含有する通常の培地中で好気性又は嫌気性条件下にて温度、pHなどを調節して本出願の菌株を培養することができる。
【0119】
本出願における前記炭素源としては、グルコース、フルクトース、スクロース、マルトースなどの炭水化物、マンニトール、ソルビトールなどの糖アルコール、ピルビン酸、乳酸、クエン酸などの有機酸、グルタミン酸、メチオニン、リシンなどのアミノ酸などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、デンプン加水分解物、糖蜜、ブラックストラップ糖蜜、米糠、キャッサバ、バガス、トウモロコシ浸漬液などの天然の有機栄養源を用いることができ、グルコースや殺菌した前処理糖蜜(すなわち、還元糖に変換した糖蜜)などの炭水化物を用いることができ、その他適量の炭素源であればいかなるものでも用いることができる。これらの炭素源は、単独で用いることもでき、2種以上を組み合わせて用いることもできる。
【0120】
前記窒素源としては、アンモニア、硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、酢酸アンモニウム、リン酸アンモニウム、炭酸アンモニウム、硝酸アンモニウムなどの無機窒素源と、アミノ酸、ペプトン、NZ-アミン、肉類抽出物、酵母抽出物、麦芽抽出物、トウモロコシ浸漬液、カゼイン加水分解物、魚類又はその分解生成物、脱脂大豆ケーキ又はその分解生成物などの有機窒素源とを用いることができる。これらの窒素源は、単独で用いることもでき、2種以上を組み合わせて用いることもできるが、これらに限定されるものではない。
【0121】
前記リン源としては、リン酸二水素カリウム、リン酸水素二カリウム又はそれらに相当するナトリウム含有塩などが挙げられる。無機化合物としては、塩化ナトリウム、塩化カルシウム、塩化鉄、硫酸マグネシウム、硫酸鉄、硫酸マンガン、炭酸カルシウムなどを用いることができる。
【0122】
それ以外に、前記培地は、アミノ酸、ビタミン及び/又は好適な前駆体などを用いることができる。具体的には、前記菌株の培養培地には、L-アミノ酸などを添加することができる。より具体的には、グリシン(glycine)、グルタミン酸(glutamate)及び/又はシステイン(cysteine)などを添加することができ、必要に応じてリシン(lysine)などのL-アミノ酸をさらに添加することができるが、必ずしもこれらに限定されるものではない。
【0123】
前記培地又は前駆体は、培養物に回分式又は連続式で添加することができるが、これらに限定されるものではない。
【0124】
本出願における菌株の培養中に水酸化アンモニウム、水酸化カリウム、アンモニア、リン酸、硫酸などの化合物を培養物に好適な方式で添加することにより、培養物のpHを調整することができる。また、培養中には、脂肪酸ポリグリコールエステルなどの消泡剤を用いて気泡生成を抑制することができる。さらに、培養物の好気状態を維持するために、培養物中に酸素又は酸素含有気体を注入してもよく、嫌気及び微好気状態を維持するために、気体を注入しなくてもよく、窒素、水素又は二酸化炭素ガスを注入してもよい。
【0125】
培養物の温度は、25℃~40℃であり、より具体的には28℃~37℃であるが、これらに限定されるものではない。培養期間は、有用物質の所望の生成量が得られるまで続けられ、具体的には1時間~100時間であるが、これらに限定されるものではない。
【0126】
前記製造方法は、前記培養ステップの後に、追加工程をさらに含んでもよい。前記追加工程は、グルタチオン又はその誘導体の用途に応じて適宜選択される。
【0127】
具体的には、前記グルタチオン又はその誘導体の製造方法は、前記培養ステップにより菌体内に蓄積されたグルタチオン又はその誘導体を回収するステップを含んでもよく、例えば、前記培養ステップの後に、前記菌株、その乾燥物、抽出物、培養物、破砕物から選択される少なくとも1つの物質からグルタチオン又はその誘導体を回収するステップを含んでもよい。他の例として、前記グルタチオン誘導体の製造方法は、前記グルタチオンを誘導体に変換するステップを含んでもよい。
【0128】
前記方法は、前記回収ステップの前又は同時に、菌株を溶菌するステップをさらに含んでもよい。菌株の溶菌は、本出願の属する技術分野で通常用いられる方法、例えば溶菌用緩衝液、ソニケーター、熱処理、フレンチプレスなどを用いて行うことができる。また、前記溶菌ステップには、細胞壁分解酵素、核酸分解酵素、核酸転移酵素、タンパク質分解酵素などの酵素反応が含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0129】
本出願の製造方法によりグルタチオン又はその誘導体を高含有量で含む乾燥酵母(Dry yeast)、酵母抽出物(yeast extract)、酵母抽出物混合粉末(yeast extract mix powder)、純粋精製したグルタチオン(pure glutathione)又はその誘導体が製造されるが、これらに限定されるものではなく、目的とする製品に応じて適宜製造される。
【0130】
本出願における乾燥酵母(dry yeast)は、「菌株乾燥物」などと互換的に用いられる。前記乾燥酵母は、グルタチオンを蓄積した酵母菌体を乾燥させて製造することができ、具体的には、飼料用組成物、食品用組成物などに含まれるものであるが、これらに限定されるものではない。
【0131】
本出願における酵母抽出物(yeast extract)は、「菌株抽出物」などと互換的に用いられる。前記菌株抽出物とは、前記菌株の菌体から細胞壁を分離して残った物質を意味する。具体的には、菌体を溶菌して得た成分から細胞壁を除いた残りの成分を意味する。前記菌株抽出物は、グルタチオン又はその誘導体を含み、それ以外の成分としては、タンパク質、炭水化物、核酸、繊維質の少なくとも1つの成分を含むが、これらに限定されるものではない。
【0132】
前記回収ステップは、当該技術分野で公知の好適な方法により、目的物質であるグルタチオン又はその誘導体を回収することができる。
【0133】
前記回収ステップは、精製工程を含んでもよい。前記精製工程は、菌株からグルタチオン又はその誘導体のみ分離して純粋精製する工程であってもよい。前記精製工程により、純粋精製したグルタチオン(pure glutathione)を製造することができる。
【0134】
必要に応じて、前記グルタチオンの製造方法は、前記培養ステップの後に、得られた菌株、その乾燥物、抽出物、培養物、破砕物及びそれらから回収したグルタチオンから選択される物質と賦形剤を混合するステップをさらに含んでもよい。この混合ステップにより、酵母抽出物混合粉末(yeast extract mix powder)を製造することができる。これは、グルタチオンの誘導体においても同様に適用される。
【0135】
前記賦形剤は、目的とする用途や形態に応じて適宜選択して用いることができ、例えばデンプン、グルコース、セルロース、ラクトース、グリコーゲン、D-マンニトール、ソルビトール、ラクチトール、マルトデキストリン、炭酸カルシウム、合成ケイ酸アルミニウム、リン酸一水素カルシウム、硫酸カルシウム、塩化ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、精製ラノリン、デキストリン、アルギン酸ナトリウム、メチルセルロース、コロイド性二酸化ケイ素、ヒドロキシプロピルスターチ、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、プロピレングリコール、カゼイン、乳酸カルシウム、プリモゲル、アラビアガムから選択されるものであり、具体的にはデンプン、グルコース、セルロース、ラクトース、デキストリン、グリコーゲン、D-マンニトール、マルトデキストリンから選択される少なくとも1つの成分であるが、これらに限定されるものではない。
【0136】
前記賦形剤には、例えば保存剤、湿潤剤、分散剤、懸濁化剤、緩衝剤、安定化剤、等張化剤などが含まれるが、これらに限定されるものではない。
【実施例】
【0137】
以下、実施例及び実験例を挙げて本出願をより詳細に説明する。しかし、これらの実施例及び実験例は本出願を例示するものにすぎず、本出願がこれらの実施例及び実験例に限定されるものではない。
【実施例1】
【0138】
グルタチオン生産菌株の改良
寄託番号KCCM12568Pとして寄託したグルタチオン生産菌株であるCJ-5菌株(特許文献1)のグルタチオン生産能をさらに改善するために、次の方法で突然変異を誘導した。
【0139】
CJ-5菌株を固体培地で培養し、その後brothに接種して培養液を得て、UVランプを用いて菌体にUVを照射した。その後、UV照射した培養液を平板培地に塗抹し、コロニーを形成した変異菌株のみ分離して回収し、グルタチオン生産能が最も大きく向上した菌株を分離した。
【0140】
分離した菌株のゲノムを確認した結果、GSH1 ORFの上流の-250(C→T)、-252(G→A)、-398(A→T)、-399(A→C)、-407(T→C)、-409(T→C)の変異が起こり、gsh1遺伝子がコードするGSH1タンパク質の86番目のアミノ酸であるシステインがアルギニンに置換されており、653番目のアミノ酸(グリシン)がメチオニンに置換されていることが確認された。
【0141】
前記菌株をCC02-2816と命名し、ブダペスト条約上の受託機関である韓国微生物保存センターに2020年12月8日付けで受託番号KCCM12891Pとして寄託した。
【実施例2】
【0142】
菌株のさらなる改良実験
実施例1のCC02-2816菌株のグルタチオン生産能をさらに改善するために、次の方法で突然変異を誘導した。
【0143】
CC02-2816菌株を固体培地で培養し、その後brothに接種して培養液を得て、UVランプを用いて菌体にUVを照射した。その後、UV照射した培養液を平板培地に塗抹し、コロニーを形成した変異菌株のみ分離して回収し、塩基配列を分析した。
【0144】
実験の結果、グルタチオン含有量が26%向上した菌株のスーパーオキシドディスムターゼ1をコードするsod1がコードするタンパク質であるSOD1(配列番号1)の37番目のアミノ酸(グリシン)がアルギニンに置換されていることが確認された。
【実施例3】
【0145】
SOD1タンパク質の37番目の残基の変異実験
実施例2の結果から、SOD1タンパク質の37番目の位置がグルタチオン生産に重要であると判断し、SOD1タンパク質の37番目のアミノ酸が他のアミノ酸に置換された変異タンパク質を発現するように、野生型S.cerevisiae CEN.PK2-1D及び実施例1のCC02-2816菌株を作製し、グルタチオン生産量が増加するか否かを確認した。
【0146】
サッカロマイセス・セレビシエ酵母のSOD1タンパク質の37番目のアミノ酸をアルギニンに置換した菌株を作製するために、非特許文献19に開示された内容を参考とし、pWAL100及びpWBR100プラスミドを用いた。
【0147】
具体的には、CJ-5菌株のgenomic DNAを鋳型(template)とし、次のようにPCRを行った。配列番号4と配列番号6のプライマーを用いたPCRを行い、N-terminal BamHI flanking配列、SOD1 ORFの開始コドン、及びG37R変異コード配列を含むSOD1 N-terminalの一部の配列を得て、配列番号5と配列番号7のプライマーを用いて、C-terminal XhoI flanking配列、SOD1 ORFの終止コドン、及びG37R変異コード配列を含むSOD1 C-terminalの一部の配列を得た。その後、その2つの配列を鋳型(template)とし、配列番号4と配列番号7を用いてoverlap PCRを行った結果、37番目のアミノ酸がアルギニンに置換されたSOD1変異タンパク質コード配列、N-terminal BamHI、C-terminal XhoI制限酵素配列を含むSOD1 ORF断片が得られた。前記ORF断片は、BamHI及びXhoI処理後に、同じ酵素で処理したpWAL100ベクターにクローニングし、pWAL100-SOD1(G37R)ベクターを作製した。
【0148】
また、CJ-5菌株のgenomic DNAをtemplateとし、配列番号8と配列番号9を用いたPCRを行い、N-terminal SpeI、C-terminal NcoI制限酵素配列を含むSOD1 ORFの終止コドン後の500bp断片を得て、SpeI、NcoI制限酵素で処理した。その後、同じ制限酵素で処理したpWBR100にクローニングし、pWBR100-SOD1ベクターを作製した。
【0149】
最終的に酵母に導入するDNA断片を作製するために、前述したように作製したpWAL100-SOD1(G37R)ベクターを鋳型(template)とし、配列番号4と配列番号10のプライマーを用いて、アルギニン変異コード配列とKlURA3の一部を含むPCR産物を得て、pWBR100-SOD1ベクターを鋳型(template)とし、配列番号11と配列番号9のプライマーを用いて、KlURA3の一部とSOD1の終止コドン後の500bpを含むPCR産物を得て、その後各PCR産物を同じモル比でS.cerevisiae CEN.PK2-1D及びS.cerevisiae CC02-2816に形質転換した。PCRは、95℃で熱変性過程5分間、53℃で結合過程1分間、72℃で重合過程1kb当たり1分間の条件で行い、酵母の形質転換には、非特許文献20を変形した酢酸リチウム法(Lithium acetate method)を用いた。具体的には、O.D.0.7~1.2の間の酵母細胞を酢酸リチウム/TE bufferで2回洗浄し、その後上記PCR産物とsingle stranded DNA(Sigma D-7656)を混合し、酢酸リチウム/TE/40%PEG buffer、30℃で30分間、42℃で15分間静置培養し、次いでウラシル(Uracil)を含まないSC(2%glucose)agar plateでコロニーが形成されるまでcellを培養し、SOD1 G37R変異コード配列とKlURA3遺伝子を導入した菌株を得た。その後、KlURA3を除去するために、各菌株を2mlのYPDにovernight培養し、次いで1/100に希釈し、0.1%の5-FOAを含むSC(2%glucose)agar plateに塗抹し、ウラシル(Uracil)マーカーを除去したS.cerevisiae CEN.PK2-1D SOD1 G37R変異菌株及びS.cerevisiae CC02-2816 SOD G37R変異菌株を作製した。アルギニン以外の他の種類のアミノ酸に置換されたSOD1変異タンパク質を発現する菌株も、配列番号5及び配列番号6のプライマー配列上の37番目のアルギニンコード配列が他のアミノ酸をコードする配列に置換されたプライマー対を用いた点を除いて、同様に作製した。
【0150】
【0151】
前述したように作製した各菌株を26時間培養して生産したグルタチオン(GSH)の濃度及び含有量を測定した結果を表2、表3、
図1及び
図2に示す。
【0152】
【0153】
【0154】
これらの結果から、SOD1タンパク質の37番目のアミノ酸を他のアミノ酸に置換することによりグルタチオン生産能が向上することが確認されるので、本出願において提供するSOD1タンパク質変異体がγ-グルタミルペプチドの生産に有用であることが分かる。
【0155】
以上の説明から、本出願の属する技術分野の当業者であれば、本出願がその技術的思想や必須の特徴を変更することなく、他の具体的な形態で実施できることを理解するであろう。なお、上記実施例はあくまで例示的なものであり、限定的なものでないことを理解すべきである。本出願には、明細書ではなく請求の範囲の意味及び範囲とその等価概念から導かれるあらゆる変更や変形された形態が含まれるものと解釈すべきである。
【0156】
【配列表】
【手続補正書】
【提出日】2023-12-06
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】配列表
【補正方法】変更
【補正の内容】
【配列表】
【国際調査報告】