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特表2024-520165ロイコノストック細菌由来小胞を含む炎症疾患あるいはがんの予防または治療用組成物
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  • 特表-ロイコノストック細菌由来小胞を含む炎症疾患あるいはがんの予防または治療用組成物 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-21
(54)【発明の名称】ロイコノストック細菌由来小胞を含む炎症疾患あるいはがんの予防または治療用組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 35/74 20150101AFI20240514BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20240514BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20240514BHJP
   A61P 11/06 20060101ALI20240514BHJP
   A61P 17/06 20060101ALI20240514BHJP
   A61P 17/10 20060101ALI20240514BHJP
   A61P 17/00 20060101ALI20240514BHJP
   A61P 17/14 20060101ALI20240514BHJP
   A61P 1/04 20060101ALI20240514BHJP
   A61P 1/00 20060101ALI20240514BHJP
   A61P 1/16 20060101ALI20240514BHJP
   A61P 1/18 20060101ALI20240514BHJP
   A61P 15/00 20060101ALI20240514BHJP
   A61P 19/02 20060101ALI20240514BHJP
   A61P 27/16 20060101ALI20240514BHJP
   A23L 33/135 20160101ALI20240514BHJP
   C12N 1/20 20060101ALN20240514BHJP
【FI】
A61K35/74
A61P35/00
A61P29/00
A61P11/06
A61P17/06
A61P17/10
A61P17/00
A61P17/14
A61P1/04
A61P1/00
A61P1/16
A61P1/18
A61P15/00
A61P19/02
A61P29/00 101
A61P27/16
A23L33/135
C12N1/20 E
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023575362
(86)(22)【出願日】2022-06-02
(85)【翻訳文提出日】2023-12-19
(86)【国際出願番号】 KR2022007866
(87)【国際公開番号】W WO2022260352
(87)【国際公開日】2022-12-15
(31)【優先権主張番号】10-2021-0073174
(32)【優先日】2021-06-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2022-0067757
(32)【優先日】2022-06-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516348577
【氏名又は名称】エムディー ヘルスケア インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】MD HEALTHCARE INC.
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】弁理士法人ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】キム、ユン-クン
【テーマコード(参考)】
4B018
4B065
4C087
【Fターム(参考)】
4B018LB10
4B018MD85
4B018ME08
4B018MF01
4B018MF13
4B065AA01X
4B065AC20
4B065BD08
4B065BD15
4B065BD18
4C087AA01
4C087AA02
4C087BC75
4C087NA14
4C087ZA34
4C087ZA59
4C087ZA66
4C087ZA68
4C087ZA75
4C087ZA81
4C087ZA89
4C087ZA96
4C087ZB11
4C087ZB15
4C087ZB26
(57)【要約】
本発明は、ロイコノストック細菌由来小胞およびその用途に関し、より詳しくは、炎症疾患およびがんの発生および進行を効果的に予防または治療できるロイコノストック細菌由来小胞を有効成分として含む炎症疾患あるいはがんの改善、予防、治療用組成物等に関する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロイコノストック(Leuconostoc)細菌由来小胞を有効成分として含む、炎症疾患あるいはがんの予防または治療用薬学的組成物。
【請求項2】
前記炎症疾患は、喘息、慢性閉塞性肺疾患、肺炎、間質性肺炎、特発性肺線維症、および鼻炎から成る群から選ばれた1つ以上の呼吸器系の炎症疾患;
アトピー皮膚炎、乾癬、にきび、接触皮膚炎、および脱毛から成る群から選ばれた1つ以上の皮膚炎症疾患;
胃炎、消化性潰瘍、急性腸炎、慢性腸炎、クローン病、炎症性腸疾患、腸ベーチェット病、潰瘍性大腸炎、細菌性大腸炎、アルコール性脂肪肝炎、非アルコール性脂肪肝炎、慢性肝炎、膵炎、および胆管炎から成る群から選ばれた1つ以上の消化器炎症疾患;
膣炎;および
骨関節炎、退行性関節炎、および関節リウマチから成る群から選ばれた1つ以上の骨関節炎症疾患から成る群から選ばれる1つ以上であることを特徴とする請求項1に記載の薬学的組成物。
【請求項3】
前記がんは、大腸がん、胃がん、肺がん、肝がん、胆道がん、膵がん、乳がん、卵巣がん、腎がん、膀胱がん、前立腺がん、血液がん、頭頸部がん、結腸・直腸がん、骨髄がん、子宮がん、メラノーマ、脳がん、甲状腺がん、およびリンパ腫から成る群から選ばれる1つ以上であることを特徴とする請求項1に記載の薬学的組成物。
【請求項4】
前記ロイコノストック細菌は、ロイコノストック・カーノサム(Leuconostoc carnosum)、ロイコノストック・シトレウム(Leuconostoc citreum)、ロイコノストック・ファラクス(Leuconostoc fallax)、ロイコノストック・ファルケンベルゲン(Leuconostoc falkenbergene)、ロイコノストック・フィキュルネウム(Leuconostoc ficulneum)、ロイコノストック・フロクトソム(Leuconostoc fructossum)、ロイコノストック・ガルリカム(Leuconostoc garlicum)、ロイコノストック・ガシコミタタム(Leuconostoc gasicomitatum)、ロイコノストック・ゲリダム(Leuconostoc gelidum)、ロイコノストック・インヘ(Leuconostoc inhae)、ロイコノストック・キムチイ(Leuconostoc kimchii)、ロイコノストック・ラクティス(Leuconostoc lactis)、ロイコノストック・メセンテロイデス(Leuconostoc mesenteroides)、ロイコノストック・ワカメキムチイ(Leuconostoc miyukkimchii)、ロイコノストック・パルメ(Leuconostoc palmae)、ロイコノストック・シュードリクルネウム(Leuconostoc psuedoliclneum)、ロイコノストック・シュードメセンテロイデス(Leuconostoc pseudomesenteroides)、ロイコノストック・ラップ(Leuconostoc rap)、およびロイコノストック・スロニカム(Leuconostoc suronicum)から成る群から選ばれた1つ以上であることを特徴とする請求項1に記載の薬学的組成物。
【請求項5】
前記小胞は、平均直径が10~300nmであることを特徴とする請求項1に記載の薬学的組成物。
【請求項6】
前記小胞は、ロイコノストック細菌から自然的に分泌または人工的に生産されることを特徴とする請求項1に記載の薬学的組成物。
【請求項7】
前記小胞は、ロイコノストック細菌の培養液またはロイコノストック細菌を添加して培養した食品から分離したことを特徴とする請求項1に記載の薬学的組成物。
【請求項8】
ロイコノストック(Leuconostoc)細菌由来小胞を有効成分として含む、炎症疾患あるいはがんの予防または改善用食品組成物。
【請求項9】
前記炎症疾患は、喘息、慢性閉塞性肺疾患、肺炎、間質性肺炎、特発性肺線維症、および鼻炎から成る群から選ばれた1つ以上の呼吸器系の炎症疾患;
アトピー皮膚炎、乾癬、にきび、接触皮膚炎、および脱毛から成る群から選ばれた1つ以上の皮膚炎症疾患;
胃炎、消化性潰瘍、急性腸炎、慢性腸炎、クローン病、炎症性腸疾患、腸ベーチェット病、潰瘍性大腸炎、細菌性大腸炎、アルコール性脂肪肝炎、非アルコール性脂肪肝炎、慢性肝炎、膵炎、および胆管炎から成る群から選ばれた1つ以上の消化器炎症疾患;
膣炎;および
骨関節炎、退行性関節炎、および関節リウマチから成る群から選ばれた1つ以上の骨関節炎症疾患から成る群から選ばれる1つ以上であることを特徴とする請求項8に記載の食品組成物。
【請求項10】
前記がんは、大腸がん、胃がん、肺がん、肝がん、胆道がん、膵がん、乳がん、卵巣がん、腎がん、膀胱がん、前立腺がん、血液がん、頭頸部がん、結腸・直腸がん、骨髄がん、子宮がん、メラノーマ、脳がん、甲状腺がん、およびリンパ腫から成る群から選ばれる1つ以上であることを特徴とする請求項8に記載の食品組成物。
【請求項11】
前記ロイコノストック細菌は、ロイコノストック・カーノサム(Leuconostoc carnosum)、ロイコノストック・シトレウム(Leuconostoc citreum)、ロイコノストック・ファラクス(Leuconostoc fallax)、ロイコノストック・ファルケンベルゲン(Leuconostoc falkenbergene)、ロイコノストック・フィキュルネウム(Leuconostoc ficulneum)、ロイコノストック・フロクトソム(Leuconostoc fructossum)、ロイコノストック・ガルリカム(Leuconostoc garlicum)、ロイコノストック・ガシコミタタム(Leuconostoc gasicomitatum)、ロイコノストック・ゲリダム(Leuconostoc gelidum)、ロイコノストック・インヘ(Leuconostoc inhae)、ロイコノストック・キムチイ(Leuconostoc kimchii)、ロイコノストック・ラクティス(Leuconostoc lactis)、ロイコノストック・メセンテロイデス(Leuconostoc mesenteroides)、ロイコノストック・ワカメキムチイ(Leuconostoc miyukkimchii)、ロイコノストック・パルメ(Leuconostoc palmae)、ロイコノストック・シュードリクルネウム(Leuconostoc psuedoliclneum)、ロイコノストック・シュードメセンテロイデス(Leuconostoc pseudomesenteroides)、ロイコノストック・ラップ(Leuconostoc rap)、およびロイコノストック・スロニカム(Leuconostoc suronicum)から成る群から選ばれた1つ以上であることを特徴とする請求項8に記載の食品組成物。
【請求項12】
前記小胞は、ロイコノストック細菌から自然的に分泌または人工的に生産されることを特徴とする請求項8に記載の食品組成物。
【請求項13】
ロイコノストック(Leuconostoc)細菌由来小胞を有効成分として含む組成物をこれを必要とする個体に投与する段階を含む炎症疾患あるいはがんの予防または治療方法。
【請求項14】
ロイコノストック(Leuconostoc)細菌由来小胞を有効成分として含む組成物の炎症疾患あるいはがんの予防または治療用途。
【請求項15】
ロイコノストック(Leuconostoc)細菌由来小胞の炎症疾患あるいはがん治療用薬剤を製造するための用途。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロイコノストック細菌由来小胞およびその用途に関し、より詳しくは、ロイコノストック細菌由来小胞を有効成分として含む炎症疾患あるいはがんの予防または治療用組成物等に関する。
【0002】
本発明は、2021年6月7日に出願された韓国特許出願第10-2021-0073174号および2022年6月2日に出願された韓国特許出願第10-2022-0067757号に基づく優先権を主張し、前記出願の明細書および図面に開示されたすべての内容は本出願に援用される。
【背景技術】
【0003】
21世紀に入って過去伝染病と認識された急性感染性疾患の重要性が減少したが、ヒトとマイクロバイオームとの不調和によって発生する免疫機能の異常を伴った慢性疾患が生活の質とヒトの寿命を決定する主要疾患に疾患パターンが変わった。前記慢性疾患は、免疫機能の異常を伴った慢性炎症を特徴とし、これによって発病する様々な慢性炎症疾患、がんなどの疾患が国民保健に大きな問題となっている。
【0004】
なお、人体に共生する微生物は、100兆個に至り、ヒト細胞より10倍多く、微生物の遺伝子数は、ヒトの遺伝子数の100倍を超えることが知られている。微生物叢(microbiotaあるいはmicrobiome)は、与えられた生息地に存在する真正細菌(eubacteria)、古細菌(archaea)、真核生物(eukarya)を含む微生物群集(microbial community)を言う。
【0005】
人体に共生する細菌および周辺環境に存在する細菌は、他の細胞への遺伝子、低分子化合物、タンパク質などの情報を交換するために、ナノメートルサイズの小胞(vesicle)を分泌する。粘膜は、200ナノメートル(nm)サイズ以上の粒子が通過できない物理的な防御膜を形成するので、粘膜に共生する細菌である場合には、粘膜を通過しないが、細菌由来小胞は、サイズが200ナノメートルサイズ以下であるので、比較的自由に粘膜を介して上皮細胞を通過し、人体に吸収される。このように、細菌由来小胞は、細菌から分泌されたものであるが、細菌と構成成分、体内吸収率、副作用危険性などが互いに異なっており、そのため、細菌由来小胞を使用することは、生きている細菌を使用することとは全く異なるか、顕著な効果を示す。
【0006】
局所的に分泌された細菌由来小胞は、粘膜の上皮細胞を介して吸収され、局所炎症反応を誘導すると共に、上皮細胞を通過した小胞は、リンパ管を介して全身に吸収され、各臓器に分布し、分布した臓器で代謝機能と免疫機能を調節する。例えば、大腸菌(Eshcherichia coli)のような病原性グラム陰性細菌に由来する小胞は、病原性ナノ粒子であり、局所的に大腸炎や食中毒などを起こし、血管に吸収された場合には、血管内皮細胞に吸収され、炎症反応を誘導し、全身的な炎症反応および血液凝固を促進させ、また、インスリンが作用する筋肉細胞などに吸収され、インスリン抵抗性と糖尿病などのような代謝疾患を誘発する。一方、有益な細菌に由来する小胞は、病原性小胞による免疫機能および代謝機能の異常を調節し、疾患を調節することができる。
【0007】
ロイコノストック(Leuconostoc)細菌は、グラム陽性細菌であり、キムチのような発酵食品から分離される。ロイコノストック細菌には、ロイコノストック・カーノサム(Leuconostoc carnosum)、ロイコノストック・シトレウム(Leuconostoc citreum)、ロイコノストック・ファラクス(Leuconostoc fallax)、ロイコノストック・ファルケンベルゲン(Leuconostoc falkenbergene)、ロイコノストック・フィキュルネウム(Leuconostoc ficulneum)、ロイコノストック・フロクトソム(Leuconostoc fructossum)、ロイコノストック・ガルリカム(Leuconostoc garlicum)、ロイコノストック・ガシコミタタム(Leuconostoc gasicomitatum)、ロイコノストック・ゲリダム(Leuconostoc gelidum)、ロイコノストック・インヘ(Leuconostoc inhae)、ロイコノストック・キムチイ(Leuconostoc kimchii)、ロイコノストック・ラクティス(Leuconostoc lactis)、ロイコノストック・メセンテロイデス(Leuconostoc mesenteroides)、ロイコノストック・ワカメキムチイ(Leuconostoc miyukkimchii)、ロイコノストック・パルメ(Leuconostoc palmae)、ロイコノストック・シュードリクルネウム(Leuconostoc psuedoliclneum)、ロイコノストック・シュードメセンテロイデス(Leuconostoc pseudomesenteroides)、ロイコノストック・ラップ(Leuconostoc rap)、ロイコノストック・スロニカム(Leuconostoc suronicum)などが含まれる。
【0008】
しかしながら、ロイコノストック細菌が細胞外に小胞を分泌するという事実は報告されておらず、特に、ロイコノストック細菌由来小胞を炎症疾患あるいはがんの予防および治療に応用した事例は報告されたことがない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、前述のような従来技術の問題点を解決するためになされたものであって、ロイコノストック細菌由来小胞を有効成分として含む炎症疾患あるいはがんの改善、予防または治療用組成物等を提供することをその目的とする。
【0010】
しかしながら、本発明が解決しようとする技術的課題は、以上で言及した課題に制限されず、言及されていない他の課題は、下記の記載から本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者が明確に理解することができる。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記本発明の目的を達成するために、本発明は、ロイコノストック細菌由来小胞を有効成分として含む、炎症疾患あるいはがんの予防または治療用薬学的組成物を提供する。
【0012】
また、本発明は、ロイコノストック細菌由来小胞を有効成分として含む、炎症疾患あるいはがんの予防または改善用食品組成物を提供する。
【0013】
本発明の一具体例において、前記炎症疾患は、下記の疾患を含んでもよいが、これらに限定されるものではない:
喘息、慢性閉塞性肺疾患、肺炎、間質性肺炎、特発性肺線維症、および鼻炎から成る群から選ばれた1つ以上の呼吸器系の炎症疾患;
アトピー皮膚炎、乾癬、にきび、接触皮膚炎、および脱毛から成る群から選ばれた1つ以上の皮膚炎症疾患;
胃炎、消化性潰瘍、急性腸炎、慢性腸炎、クローン病、炎症性腸疾患、腸ベーチェット病、潰瘍性大腸炎、細菌性大腸炎、アルコール性脂肪肝炎、非アルコール性脂肪肝炎、慢性肝炎、膵炎、および胆管炎から成る群から選ばれた1つ以上の消化器炎症疾患;
膣炎;および
骨関節炎、退行性関節炎、および関節リウマチから成る群から選ばれた1つ以上の骨関節炎症疾患。
【0014】
本発明の他の具体例において、前記炎症疾患は、IL-6によって媒介される疾患であってもよいが、これらに限定されるものではなく、炎症反応によって発生する疾患であれば、全部含まれ得る。
【0015】
本発明のさらに他の具体例において、前記がんは、大腸がん、胃がん、肺がん、肝がん、胆道がん、膵がん、乳がん、卵巣がん、腎がん、膀胱がん、前立腺がん、血液がん、頭頸部がん、結腸・直腸がん、骨髄がん、子宮がん、メラノーマ、脳がん、甲状腺がん、およびリンパ腫から成る群から選ばれる1つ以上であってもよいが、これらに限定されるものではない。
【0016】
本発明のさらに他の具体例において、前記ロイコノストック細菌は、ロイコノストック・カーノサム(Leuconostoc carnosum)、ロイコノストック・シトレウム(Leuconostoc citreum)、ロイコノストック・ファラクス(Leuconostoc fallax)、ロイコノストック・ファルケンベルゲン(Leuconostoc falkenbergene)、ロイコノストック・フィキュルネウム(Leuconostoc ficulneum)、ロイコノストック・フロクトソム(Leuconostoc fructossum)、ロイコノストック・ガルリカム(Leuconostoc garlicum)、ロイコノストック・ガシコミタタム(Leuconostoc gasicomitatum)、ロイコノストック・ゲリダム(Leuconostoc gelidum)、ロイコノストック・インヘ(Leuconostoc inhae)、ロイコノストック・キムチイ(Leuconostoc kimchii)、ロイコノストック・ラクティス(Leuconostoc lactis)、ロイコノストック・メセンテロイデス(Leuconostoc mesenteroides)、ロイコノストック・ワカメキムチイ(Leuconostoc miyukkimchii)、ロイコノストック・パルメ(Leuconostoc palmae)、ロイコノストック・シュードリクルネウム(Leuconostoc psuedoliclneum)、ロイコノストック・シュードメセンテロイデス(Leuconostoc pseudomesenteroides)、ロイコノストック・ラップ(Leuconostoc rap)、およびロイコノストック・スロニカム(Leuconostoc suronicum)から成る群から選ばれた1つ以上であってもよいが、これらに限定されるものではない。
【0017】
本発明のさらに他の具体例において、前記小胞は、平均直径が10~300nmであってもよいが、これらに限定されるものではない。
【0018】
本発明のさらに他の具体例において、前記小胞は、ロイコノストック細菌から自然的に分泌または人工的に生産されたものであってもよいが、これらに限定されるものではなく、ロイコノストック細菌から分離した小胞であれば、限定されずに全部含まれ得る。
【0019】
本発明のさらに他の具体例において、前記小胞は、ロイコノストック細菌の培養液またはロイコノストック細菌を添加して培養した食品から分離したものであってもよいが、これらに限定されるものではない。
【0020】
また、本発明は、ロイコノストック細菌由来小胞を有効成分として含む組成物をこれを必要とする個体に投与する段階を含む炎症疾患あるいはがんの予防または治療方法を提供する。
【0021】
また、本発明は、ロイコノストック細菌由来小胞を有効成分として含む組成物の炎症疾患あるいはがんの予防または治療用途を提供する。
【0022】
また、本発明は、ロイコノストック細菌由来小胞の炎症疾患あるいはがんの治療用薬剤を製造するための用途を提供する。
【発明の効果】
【0023】
本発明によるロイコノストック細菌由来小胞を炎症細胞に投与したとき、炎症性媒介体の分泌が抑制され、また、前記小胞をがん動物モデルに経口投与したとき、がんの発生が有意に抑制されることを確認したところ、ロイコノストック細菌由来小胞は、炎症疾患あるいはがんの改善、予防、または治療剤として幅広く用いられ得ることが期待される。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1図1は、本発明の一実施形態によるロイコノストック細菌由来小胞の抗炎症効果を確認した結果を示す図である。
図2図2は、本発明の一実施形態によるロイコノストック細菌由来小胞のがん発生予防効能を評価するための実験プロトコルを示す図である。
図3図3は、本発明の一実施形態によるロイコノストック細菌由来小胞のがん発生予防効能を確認するためにがん細胞を移植して作成したがんモデルにロイコノストック細菌由来小胞を経口投与した後、時間によるがんのサイズを測定した結果を示す図である。
図4a図4aは、本発明の一実施形態によるロイコノストック細菌由来小胞のがん治療効能を評価するための実験プロトコルを示す図である。
図4b図4bは、本発明の一実施形態によるロイコノストック細菌由来小胞のがん治療効能を評価するためにがん細胞を移植して作成したがんモデルにロイコノストック細菌由来小胞を腹腔投与した後、時間によるがんのサイズを測定した結果を示す図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
本発明では、ロイコノストック細菌由来小胞が炎症疾患を起こす代表的な媒介体であるIL-6の分泌を効果的に抑制し、炎症疾患で顕著な治療効果を示すことを確認した。
【0026】
また、本発明では、ラクトバチルス・プランタルム由来小胞、ラクトバチルス・ラムノサス由来小胞、ラクトコッカス・ラクティス由来小胞、およびロイコノストック細菌由来小胞を経口投与し、がんの発生抑制効果を評価した結果、ロイコノストック細菌由来小胞のみが、がんの発生を効果的に抑制し、ロイコノストック細菌由来小胞が、顕著ながん予防効果を示すことを確認した。また、がんの発生後に、ロイコノストック細菌由来小胞を腹腔投与し、がん治療効能を評価した結果、ロイコノストック細菌由来小胞が顕著ながん治療効果を示すことを確認した。
【0027】
したがって、本発明は、ロイコノストック細菌由来小胞を有効成分として含む炎症疾患あるいはがんの改善、予防、または治療用組成物に関する。
【0028】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0029】
本発明は、ロイコノストック細菌由来小胞を有効成分として含む、炎症疾患あるいはがんの予防または治療用薬学的組成物を提供する。
【0030】
本発明において、「細胞外小胞(Extracellular vesicle)」または「小胞(Vesicle)」とは、様々な細菌から分泌されるナノサイズの膜からなる構造物を意味し、例えば、内毒素(lipopolysaccharide)、毒性タンパク質および細菌DNAとRNAも有している大腸菌のようなグラム陰性菌(gram-negative bacteria)由来小胞または外膜小胞体(outer membrane vesicles,OMVs)およびタンパク質と核酸の他にも、細菌の細胞壁構成成分であるペプチドグリカン(peptidoglycan)とリポタイコ酸(lipoteichoic acid)も有しているマイクロコッカス細菌のようなグラム陽性菌(gram-positive bacteria)由来小胞などがある。
【0031】
本発明において、前記小胞は、ロイコノストック細菌から自然的に分泌されたり、人工的に生産された膜からなるすべての構造物を総称する。前記小胞は、ロイコノストック菌体を含む培養液を遠心分離、超高速遠心分離、高圧処理、押出、超音波分解、細胞溶解、均質化、冷凍-解凍、電気穿孔、機械的分解、化学物質処理、フィルターによるろ過、ゲルろ過クロマトグラフィー、フリーフロー電気泳動、およびキャピラリー電気泳動から成る群から選ばれた1つ以上の方法を用いて分離することができる。また、不純物の除去のための洗浄、収得した小胞の濃縮などの過程をさらに含んでもよい。
【0032】
本発明の前記ロイコノストック細菌の培養液または発酵食品から小胞を分離する方法は、小胞を含むと、特に限定されない。例えば、遠心分離、超高速遠心分離、フィルターによるろ過、ゲルろ過クロマトグラフィー、フリーフロー電気泳動、またはキャピラリー電気泳動などの方法、およびこれらの組み合わせを用いて小胞を分離することができ、また、不純物の除去のための洗浄、収得した小胞の濃縮などの過程をさらに含んでもよい。
【0033】
本発明の前記小胞は、ロイコノストック細菌の培養液またはロイコノストック細菌を添加して培養した食品から分離することができ、ロイコノストック細菌から自然的に分泌または人工的に生産されたものであってもよいが、これらに限定されるものではない。
【0034】
本発明において前記方法によって分離した小胞は、平均直径が10~1000nm、10~900nm、10~800nm、10~700nm、10~600nm、10~500nm、10~400nm、10~300nm、10~220nm、10~200nm、10~100nm、10~90nm、10~80nm、10~70nm、10~60nm、10~50nm、10~40nm,または20~40nmであってもよいが、これらに限定されるものではない。
【0035】
本発明において使用される「有効成分として含む」という用語は、前記ロイコノストック細菌由来小胞の効能または活性を達成するのに十分な量を含むことを意味する。
【0036】
本明細書において、「炎症疾患(inflammation disease)」とは、体内の炎症反応によって誘発される疾患を意味し、本発明において前記炎症疾患は、喘息、慢性閉塞性肺疾患、肺炎、間質性肺炎、特発性肺線維症、および鼻炎から成る群から選ばれた1つ以上の呼吸器系の炎症疾患;
アトピー皮膚炎、乾癬、にきび、接触皮膚炎、および脱毛から成る群から選ばれた1つ以上の皮膚炎症疾患;
胃炎、消化性潰瘍、急性腸炎、慢性腸炎、クローン病、炎症性腸疾患、腸ベーチェット病、潰瘍性大腸炎、細菌性大腸炎、アルコール性脂肪肝炎、非アルコール性脂肪肝炎、慢性肝炎、膵炎、および胆管炎から成る群から選ばれた1つ以上の消化器炎症疾患;
膣炎;および
骨関節炎、退行性関節炎、および関節リウマチから成る群から選ばれた1つ以上の骨関節炎症疾患から成る群から選ばれる1つ以上であってもよいが、これらに限定されるものではなく、IL-6によって媒介される疾患であれば、全部含まれ得る。
【0037】
本明細書において、「がん(cancer)」とは、反復的なストレスによって正常細胞が異常増殖することを特徴とするがん細胞に変わって発生する疾患を含むものであり、本発明において前記がんは、大腸がん、胃がん、肺がん、肝がん、胆道がん、膵がん、乳がん、卵巣がん、腎がん、膀胱がん、前立腺がん、血液がん、頭頸部がん、結腸がん、骨髄がん、子宮がん、メラノーマ、脳がん、甲状腺がん、およびリンパ腫から成る群から選ばれる1つ以上であってもよいが、これらに限定されず、悪性疾患(malignant disorder)であれば、全部含まれ得る。
【0038】
本発明の組成物内の前記小胞の含有量は、疾患の症状、症状の進行程度、患者の状態などに応じて適宜調節可能であり、例えば、全体組成物の重量を基準として0.0001~99.9重量%、または0.001~50重量%であってもよいが、これらに限定されるものではない。前記含有量の割合は、溶媒を除去した乾燥量を基準とする値である。
【0039】
本発明において「薬学的組成物」は、疾患の予防または治療を目的で製造されるものを意味し、それぞれ、通常の方法によって様々な形態で剤形化して使用することができる。例えば、散剤、顆粒剤、錠剤、カプセル剤、懸濁液、エマルジョン、シロップなどの経口型剤形で剤形化することができ、外用剤、坐剤および滅菌注射溶液の形態で剤形化して使用することができる。
【0040】
本発明による薬学的組成物は、薬学的組成物の製造に通常使用する適切な担体、賦形剤および希釈剤をさらに含んでもよい。前記賦形剤は、例えば、希釈剤、結合剤、崩解剤、滑沢剤、吸着剤、保湿剤、フィルムコーティング物質、および制御放出添加剤から成る群から選ばれた1つ以上でありうる。
【0041】
本発明による薬学的組成物は、それぞれ、通常の方法によって散剤、顆粒剤、徐放性顆粒剤、腸溶性顆粒剤、液剤、点眼剤、エリキシル剤、乳剤、懸濁液剤、酒精剤、トローチ剤、芳香水剤、リモナーデ剤、錠剤、徐放性錠剤、腸溶性錠剤、舌下錠、硬質カプセル剤、軟質カプセル剤、徐放性カプセル剤、腸溶性カプセル剤、丸剤、チンキ剤、軟エキス剤、乾燥エキス剤、流動エキス剤、注射剤、カプセル剤、灌流液、硬膏剤、ローション剤、パスタ剤、噴霧剤、吸入剤、パッチ剤、滅菌注射溶液、またはエアロゾルなどの外用剤などの形態で剤形化すして使用することができ、前記外用剤は、クリーム、ジェル、パッチ、噴霧剤、軟膏剤、硬膏剤、ローション剤、リニメント剤、パスタ剤またはカタプラズマ剤などの剤形を有していてもよい。
【0042】
本発明による薬学的組成物に含まれ得る担体、賦形剤および希釈剤としては、ラクトース、デキストロース、スクロース、オリゴ糖、ソルビトール、マンニトール、キシリトール、エリスリトール、マルチトール、デンプン、アカシアガム、アルギネート、ゼラチン、カルシウムホスフェート、カルシウムシリケート、セルロース、メチルセルロース、微晶質セルロース、ポリビニルピロリドン、水、メチルヒドロキシベンゾアート、プロピルヒドロキシベンゾアート、タルク、マグネシウムステアレートおよび鉱物油が挙げられる。
【0043】
製剤化する場合には、通常使用する充填剤、増量剤、結合剤、湿潤剤、崩解剤、界面活性剤などの希釈剤または賦形剤を使用して調製される。
【0044】
本発明による錠剤、散剤、顆粒剤、カプセル剤、丸剤、トローチ剤の添加剤としてコーンスターチ、ジャガイモデンプン、小麦デンプン、乳糖、白糖、ブドウ糖、果糖、D-マンニトール、沈降炭酸カルシウム、合成ケイ酸アルミニウム、リン酸一水素カルシウム、硫酸カルシウム、塩化ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、精製ラノリン、微結晶セルロース、デキストリン、アルギン酸ナトリウム、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カオリン、ヨウ素、コロイド状シリカゲル、ヒドロキシプロピルスターチ、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)1928、HPMC2208、HPMC2906、HPMC2910、プロピレングリコール、カゼイン、乳酸カルシウム、プリモジェルなど賦形剤;ゼラチン、アラビアガム、エタノール、寒天粉、酢酸フタル酸セルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム、ブドウ糖、精製水、カゼインナトリウム、グリセリン、ステアリン酸、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、微結晶セルロース、デキストリン、ヒドロキシセルロース、ヒドロキシプロピルスターチ、ヒドロキシメチルセルロース、精製セラック、デンプン糊、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドンなどの結合剤が使用でき、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、コーンスターチ、寒天粉、メチルセルロース、ベントナイト、ヒドロキシプロピルスターチ、カルボキシメチルセルロースナトリウム、アルギン酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロースカルシウム、クエン酸カルシウム、ラウリル硫酸ナトリウム、無水ケイ酸、 L-ヒドロキシプロピルセルロース、デキストラン、イオン交換樹脂、酢酸ポリビニル、ホルムアルデヒド処理カゼインおよびゼラチン、アルギン酸、アミロース、グアーガム(Guar gum)、重曹、ポリビニルピロリドン、リン酸カルシウム、ゲル化デンプン、アラビアガム、アミロベクチン、ペクチン、ポリリン酸ナトリウム、エチルセルロース、白糖、ケイ酸マグネシウムアルミニウム、D-ソルビトール液、軽質無水ケイ酸など崩解剤;ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、水素化植物油(Hydrogenated vegetable oil)、タルク、石松子、カオリン、ワセリン、ステアリン酸ナトリウム、カカオ脂、サリチル酸ナトリウム、サリチル酸マグネシウム、ポリエチレングリコール(PEG)4000、PEG6000、流動パラフィン、水素添加大豆油(Lubri wax)、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸亜鉛、ラウリル硫酸ナトリウム、酸化マグネシウム、マクロゴール(Macrogol)、合成ケイ酸アルミニウム、無水ケイ酸、高級脂肪酸、高級アルコール、シリコーン油、パラフィン油、ポリエチレングリコール脂肪酸エーテル、デンプン、塩化ナトリウム、酢酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、DL-ロイシン、軽質無水ケイ酸などの滑沢剤;が使用できる。
【0045】
本発明による液剤の添加剤としては、水、希塩酸、希硫酸、クエン酸ナトリウム、モノステアリン酸スクロース類、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル類(ツインエステル)、ポリオキシエチレンモノアルキルエテール類、ラノリンエーテル類、ラノリンエステル類、酢酸、塩酸、アンモニア水、炭酸アンモニウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、プロラミン、ポリビニルピロリドン、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウムなどが使用できる。
【0046】
本発明によるシロップ剤には、白糖の溶液、他の糖類あるいは甘味剤などが使用でき、必要に応じて芳香剤、着色剤、保存剤、安定剤、懸濁化剤、乳化剤、粘稠剤などが使用できる。
【0047】
本発明による乳剤には、精製水が使用でき、必要に応じて乳化剤、保存剤、安定剤、芳香剤などが使用できる。
【0048】
本発明による懸濁剤には、アカシア、トラガカンタ、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、微結晶セルロース、アルギン酸ナトリウム、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、HPMC1828、HPMC2906、HPMC2910などの懸濁化剤が使用でき、必要に応じて界面活性剤、保存剤、安定剤、着色剤、芳香剤が使用できる。
【0049】
本発明による注射剤には、注射用蒸留水、0.9%塩化ナトリウム注射液、リンゲル注射液、デキストロース注射液、デキストロース+塩化ナトリウム注射液、ピイジー(PEG)、乳酸リンゲル注射液、エタノール、プロピレングリコール、非揮発性油-ゴマ油、綿実油、落花生油、大豆油、コーン油、オレイン酸エチル、ミリスチン酸イソプロピル、安息香酸ベンゼンのような溶剤;安息香酸ナトリウム、サリチル酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、ヨウ素、ウレタン、モノエチルアセトアミド、ブタゾリジン、プロピレングリコール、ツイン類、ニコチン酸アミド、ヘキサミン、ジメチルアセトアミドのような溶解補助剤;弱酸およびその塩(酢酸と酢酸ナトリウム)、弱塩基およびその塩(アンモニアおよび酢酸アンモニウム)、有機化合物、タンパク質、アルブミン、ペプトン、ガム類のような緩衝剤;塩化ナトリウムのような等張剤;亜硫酸水素ナトリウム(NaHSO)二酸化炭素ガス、メタ重亜硫酸ナトリウム(Na)、亜硫酸ナトリウム(NaSO)、窒素ガス(N)、エチレンジアミンテトラ酢酸のような安定剤;ソジウムビサルファイト0.1%、ソジウムホルムアルデヒドスルホキシレート、チオウレア、エチレンジアミンテトラ酢酸ジナトリウム、アセトンソジウムビサルファイトのような硫酸化剤;ベンジルアルコール、クロロブタノール、塩酸プロカイン、ブドウ糖、グルコン酸カルシウムのような無痛化剤;CMCナトリウム、アルギン酸ナトリウム、ツイン80、モノステアリン酸アルミニウムのような懸濁化剤を含んでもよい。
【0050】
本発明による坐剤には、カカオ脂、ラノリン、ウィテプソル、ポリエチレングリコール、グリセロゼラチン、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ステアリン酸とオレイン酸の混合物、スバナル(Subanal)、綿実油、落花生油、ヤシ油、カカオバター+コレステロール、レシチン、ラネットワックス、モノステアリン酸グリセロール、ツインまたはスパン、イムハウゼン(Imhausen)、モノレン(モノステアリン酸プロピレングリコール)、グリセリン、アデプスソリダス(Adeps solidus)、ブチラムテゴ-G(Buytyrum Tego-G)、セベスファーマ16(Cebes Pharma 16)、ヘキサライドベース95、コトマー(Cotomar)、ヒドロコテSP、S-70-XXA、S-70-XX75(S-70-XX95)、ヒドロコテ(Hydrokote)25、ヒドロコテ711、イドロポスタル(Idropostal)、マッサエストラリウム(Massa estrarium、A、AS、B、C、D、E、I、T)、マッサ-MF、マスポール、マスポール-15、ネオスポスタル-N、パラマウント-B、スポシロ(OSI、OSIX、A、B、C、D、H、L)、坐剤基剤IVタイプ(AB、B、A、BC、BBG、E、BGF、C、D、299)、スポスタル(N、Es)、ウェコビー(W、R、S、M、Fs)、テゲスタートリグリセライド基剤(TG-95、MA、57)のような基剤が使用できる。
【0051】
経口投与のための固形製剤には、錠剤、丸剤、散剤、顆粒剤、カプセル剤などが含まれ、このような固形製剤は、前記抽出物に少なくとも1つ以上の賦形剤、例えば、デンプン、カルシウムカーボネート(calcium carbonate)、スクロース(sucrose)またはラクトース(lactose)、ゼラチンなどを混ぜて調製される。また、単純な賦形剤以外に、マグネシウムステアレート、タルクのような潤滑剤も使用される。
【0052】
経口投与のための液状製剤としては、懸濁剤、内用液剤、乳剤、シロップ剤などが該当するが、頻用される単純希釈剤である水、リキッドパラフィン以外に様々な賦形剤、例えば湿潤剤、甘味剤、芳香剤、保存剤などが含まれ得る。非経口投与のための製剤には、滅菌水溶液、非水性溶剤、懸濁剤、乳剤、凍結乾燥製剤、坐剤が含まれる。非水性溶剤、懸濁剤としては、プロピレングリコール(propylene glycol)、ポリエチレングリコール、オリーブオイルのような植物油、エチルオレートのような注射可能なエステルなどが使用できる。
【0053】
本発明による薬学的組成物は、薬学的に有効な量で投与する。本発明において、「薬学的に有効な量」は、医学的治療に適用可能な合理的なベネフィット/リスクの割合で疾患を治療するのに十分な量を意味し、有効用量レベルは、患者疾患の種類、重症度、薬物の活性、薬物感受性、投与時間、投与経路および排出比率、治療期間、同時使用される薬物を含む要素およびその他医学分野によく知られた要素によって決定できる。また、本発明による薬学的組成物は、1日に0.0001~50mg/kgまたは0.001~50mg/kgで投与することができる。投与は、1日に1回投与してもよく、数回に分けて投与してもよい。前記投与量は、いかなる面においても本発明の範囲を限定するものではない。
【0054】
本発明による薬学的組成物は、個別治療剤として投与したり他の治療剤と併用して投与でき、従来の治療剤とは順次にまたは同時に投与でき、単一または多重投与できる。上記した要素を全部考慮して副作用なしで最小限の量で最大効果を得ることができる量を投与することが重要であり、これは、本発明の属する技術分野における通常の技術者によって容易に決定できる。
【0055】
本発明の薬学的組成物は、個体に多様な経路で投与できる。投与のすべての方式は、予想され得るが、例えば、経口服用、皮下注射、腹腔投与、静脈注射、筋肉注射、脊髄の周囲空間(硬膜内)注射、舌下投与、頬粘膜投与、直腸内挿入、膣内挿入、眼球投与、耳投与、鼻腔投与、吸入、口または鼻を通した噴霧、皮膚投与、経皮投与などにより投与できる。
【0056】
本発明の薬学的組成物は、治療する疾患、投与経路、患者の年齢、性別、体重および疾患の重症度などの様々な関連因子とともに、活性成分である薬物の種類によって決定される。
【0057】
また、本発明は、ロイコノストック細菌由来小胞を有効成分として含む組成物をこれを必要とする個体に投与する段階を含む炎症疾患あるいはがんの予防または治療方法を提供する。
【0058】
また、本発明は、ロイコノストック細菌由来小胞を有効成分として含む組成物の炎症疾患あるいはがんの予防または治療用途を提供する。
【0059】
また、本発明は、ロイコノストック細菌由来小胞の炎症疾患あるいはがんの治療用薬剤を製造するための用途を提供する。
【0060】
本発明において「個体」とは、疾患の治療を必要とする対象を意味し、より具体的には、ヒトまたは非ヒトである霊長類、マウス(mouse)、ラット(rat)、イヌ、ネコ、ウマ、およびウシなどの哺乳類を意味する。
【0061】
本発明において「投与」とは、任意の適切な方法で個体に所定の本発明の組成物を提供することを意味する。
【0062】
本発明において「予防」とは、目的とする疾患の発病を抑制したり遅延させるすべての行為を意味し、「治療」とは、本発明による薬学的組成物の投与により目的とする疾患とそれによる代謝異常症状が好転したり有益に変更されるすべての行為を意味し、「改善」とは、本発明による組成物の投与により目的とする疾患に関連したパラメーター、例えば症状の程度を減少させるすべての行為を意味する。
【0063】
また、本発明は、ロイコノストック細菌由来小胞を有効成分として含む、炎症疾患あるいはがんの予防または改善用食品組成物を提供する。
【0064】
前記食品組成物は、健康機能性食品組成物であってもよいが、これらに限定されるものではない。
【0065】
本発明の前記小胞を食品添加物として使用する場合、そのまま添加したり他の食品または食品成分と共に使用でき、通常の方法によって適宜使用できる。有効成分の混合量は、使用目的(予防、健康または治療的処置)によって適宜決定できる。一般的に、食品または飲料の製造時に、本発明の小胞は、原料に対して15重量%以下、または10重量%以下の量で添加できる。しかし、健康および衛生を目的としたりまたは健康調節を目的とする長期間の摂取の場合、前記量は、前記範囲以下であってもよく、安全性の観点から何の問題もないので、有効成分は、前記範囲以上の量でも使用できる。
【0066】
前記食品の種類には、特に限定されない。前記物質を添加できる食品の例としては、肉類、ソーセージ、パン、チョコレート、キャンディ類、スナック類、菓子類、ピザ、ラメン、その他麺類、ガム類、アイスクリーム類を含む酪農製品、各種スープ、飲料、茶、ドリンク剤、アルコール飲料およびビタミン複合剤などがあり、通常の意味における健康機能食品を全部含む。
【0067】
本発明による健康飲料組成物は、通常の飲料のように様々な香味剤または天然炭水化物などを追加成分として含有できる。上で述べた天然炭水化物は、ブドウ糖および果糖のようなモノサッカライド、マルトースおよびスクロースのようなジサッカライド、デキストリンおよびシクロデキストリンのようなポリサッカライド、およびキシリトール、ソルビトールおよびエリトリトールなどの糖アルコールである。甘味剤としては、ソーマチン、ステビア抽出物のような天然甘味剤や、サッカリン、アスパルテームのような合成甘味剤などを使用できる。前記天然炭水化物の割合は、本発明の組成物100mL当たり一般的に約0.01~0.20g、または約0.04~0.10gである。
【0068】
上記以外に、本発明の組成物は、様々な栄養剤、ビタミン、電解質、風味剤、着色剤、ペクチン酸およびその塩、アルギン酸およびその塩、有機酸、保護性コロイド増粘剤、pH調節剤、安定化剤、防腐剤、グリセリン、アルコール、炭酸飲料に使用される炭酸化剤などを含有できる。その他に、本発明の組成物は、天然果物ジュース、果物ジュース飲料および野菜飲料の製造のための果肉を含有できる。このような成分は、独立してまたは組み合わせて使用できる。このような添加剤の割合は、大きく重要なことではないが、本発明の組成物100重量部当たり0.01~0.20重量部の範囲で選択することが一般的である。
【実施例
【0069】
以下、本発明の理解を助けるために好ましい実施例を提示する。しかしながら、下記の実施例は、ただ本発明をより容易に理解するために提供されるものであり、下記実施例によって本発明の内容が限定されるものではない。
【0070】
[実施例]
実施例1:ロイコノストック細菌および細菌由来小胞の抗炎症効果
ロイコノストック菌体および細菌由来小胞を分離するために、まず、代表的なロイコノストック細菌であるロイコノストック・メセンテロイデス(Leuconostoc mesenteroides)をMRS(de Man-Rogosa and Sharpe)培地に接種し、37℃で200rpmで吸光度(OD600nm)が1.0~1.5となるまで培養した後に、LB(Luria Bertani)培地に再接種して培養した。次に、菌体が含まれている培養液を回収し、10,000gで4℃で20分間遠心分離し、菌体と菌体が除去された上澄み液を獲得した。菌体は、70℃で10分間加熱し、lysate形態で実験を進めた。上澄み液から小胞を分離するために、獲得した上澄み液は、さらに、0.22μmのフィルターを用いてろ過し、ろ過した上澄み液は、100kDa Pellicon 2 Cassetteフィルターメンブレン(Merck Millipore)とMasterFlex pump system(Cole-Parmer)を用いて50mL以下の体積に濃縮した。濃縮した上澄み液は、さらに、0.22μmのフィルターを用いてろ過し、ロイコノストック細菌由来小胞を分離した。菌体および上澄み液に含まれているタンパク質の量は、Pierce BCA Protein Assay kit(Thermo Fisher Scientific)を用いて測定した。
【0071】
ロイコノストック菌体および細菌由来小胞の抗炎症効能を評価するために、マウスマクロファージ細胞株であるRaw264.7にロイコノストック・メセンテロイデス菌体および細菌由来小胞を0.1、1、10、50および100μg/mLの濃度で前処理し、培養させた後に、IL-6の分泌量を測定した。より詳しくは、48ウェルプレートに5×10個ずつRaw264.7細胞を分注した後に、DMEM無血清培地で希釈したロイコノストック・メセンテロイデス由来小胞またはロイコノストック・メセンテロイデス菌体を処理し、12時間培養した。次に、さらに、炎症を誘発する因子である大腸菌由来小胞1μg/mLの濃度で処理した後、12時間さらに培養した。次に、IL-6の分泌量を測定した。その結果、図1に示されたように、小胞の場合には、用量依存的にIL-6の分泌を抑制したが、菌体の場合には、かえってIL-6分泌が用量依存的に増加する傾向を示した。
【0072】
実施例2:ラクトバチルス・プランタルム、ラクトバチルス・ラムノサス、およびラクトコッカス・ラクティスなどの細菌培養液から小胞の分離
ラクトバチルス・プランタルム、ラクトバチルス・ラムノサス、およびラクトコッカス・ラクティスなどの乳酸菌由来小胞を分離するために、前記菌をMRS(de Man-Rogosa and Sharpe)培地に接種し、37℃で200rpmで吸光度(OD600nm)が1.0~1.5となるまで培養した後に、LB(Luria Bertani)培地に再接種し、培養した。次に、菌体が含まれている培養液を回収し、10,000gで4℃で20分間遠心分離し、菌体が除去された上澄み液を獲得した。獲得した上澄み液は、さらに、0.22μmのフィルターを用いてろ過し、ろ過した上澄み液は、100kDa Pellicon 2 Cassetteフィルターメンブレン(Merck Millipore)とMasterFlex pump system(Cole-Parmer)を用いて50mL以下の体積に濃縮した。濃縮した上澄み液は、さらに、0.22μmのフィルターを用いてろ過し、細菌由来小胞を分離した。上澄み液に含まれているタンパク質の量は、Pierce BCA Protein Assay kit(Thermo Fisher Scientific)を用いて測定した。
【0073】
実施例3:ラクトバチルス・プランタルム、ラクトバチルス・ラムノサス、ラクトコッカス・ラクティス、およびロイコノストック・メセンテロイデスなどの乳酸菌由来小胞の抗がん効能評価の実験プロトコル
ラクトバチルス・プランタルム、ラクトバチルス・ラムノサス、ラクトコッカス・ラクティス、およびロイコノストック・メセンテロイデスなどの乳酸菌由来小胞の抗がん効果を確認するために、図2のように、マウスにマウスがん細胞であるMC38細胞を皮下注射し、がんを生成させた。より詳しくは、6週齢の雄C57BL/6マウスを一般的な条件で3日間飼育させながら適応期間を経た後に、20μgのラクトバチルス・プランタルム、ラクトバチルス・ラムノサス、ラクトコッカス・ラクティス、およびロイコノストック・メセンテロイデスなどの細菌由来小胞をそれぞれ1週間経口投与した。対照群(PBS,Control)としては、PBSを1週間経口投与した。実験を始めた日から8日目となる日に、マウスにマウスがん細胞であるMC38細胞1×10個を皮下注射した。次に、PBSまたはラクトバチルス・プランタルム、ラクトバチルス・ラムノサス、ラクトコッカス・ラクティス、およびロイコノストック・メセンテロイデス由来小胞をそれぞれ20μgを1週間に5日間、1日に1回投与、3週間経口投与して、がんのサイズを測定した。
【0074】
実施例4:ラクトバチルス・プランタルム、ラクトバチルス・ラムノサス、ラクトコッカス・ラクティス、およびロイコノストック・メセンテロイデス由来小胞のがん予防効能
前記実施例3の方法でラクトバチルス・プランタルム、ラクトバチルス・ラムノサス、ラクトコッカス・ラクティス、およびロイコノストック・メセンテロイデスなどの乳酸菌由来小胞のがん予防効能を評価した。その結果、図3のA~Cに示されたように、PBSのみを投与した対照群では、がんのサイズが幾何級数的に増加し、ラクトバチルス・プランタルム由来小胞、ラクトバチルス・ラムノサス由来小胞、およびラクトコッカス・ラクティス由来小胞を経口投与した実験群では、対照群に比べて、がんのサイズが有意に減少しなかった。一方、図3のDに示されたように、ロイコノストック・メセンテロイデス由来小胞を経口投与したマウスでは、対照群に比べて、がんのサイズが有意に減少し、約50%程度小さいことを確認した。前記結果を通じて、ロイコノストック細菌由来小胞は、がんの成長を効果的に抑制できることを確認することができた。
【0075】
実施例5:ロイコノストック・メセンテロイデス由来小胞のがん治療効能
がんマウスモデルでロイコノストック・メセンテロイデス由来小胞のがん治療効能を評価した。図4aに示されたように、マウスにマウスがん細胞であるMC38細胞を皮下注射し、がんを生成させた。がん細胞の投与後3日、6日、9日、12日目に10μgのロイコノストック・メセンテロイデス由来小胞を腹腔投与し、対照群としてPBSを腹腔投与した。その結果、図4bに示されたように、PBSのみを投与した対照群では、がんのサイズが幾何級数的に増加し、ロイコノストック・メセンテロイデス由来小胞を腹腔投与したマウスでは、対照群に比べて、がんのサイズが有意に減少した。前記結果を通じて、ロイコノストック細菌由来小胞は、がんを効果的に治療できることを確認することができた。
【0076】
前記結果から、本発明のロイコノストック細菌由来小胞は、炎症性媒介体の分泌を抑制するだけでなく、がんの成長を効率的に抑制し、炎症疾患およびがんに対して予防および/または治療効果を示すことを確認したところ、本発明のロイコノストック細菌由来小胞は、炎症疾患あるいはがんの改善、予防、または治療用途に用いられ得ることが期待される。
【0077】
上述した本発明の説明は、例示のためのものであって、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者は、本発明の技術的思想や必須的な特徴を変更することなく、他の具体的な形態に容易に変形が可能であることが理解することができる。したがって、以上で記述した実施例は、全ての面において例示的なものであり、限定的でないものと理解すべきである。
【産業上の利用可能性】
【0078】
本発明によるロイコノストック細菌由来小胞を炎症細胞に投与したとき、炎症性媒介体の分泌が抑制され、また、前記小胞をがん動物モデルに経口投与したとき、がんの発生が有意に抑制されることを確認したところ、ロイコノストック細菌由来小胞は、炎症疾患あるいはがんの改善、予防、または治療剤として幅広く用いられ得るので、産業上の利用可能性がある。
図1
図2
図3
図4a
図4b
【手続補正書】
【提出日】2023-12-19
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロイコノストック(Leuconostoc)細菌由来小胞を有効成分として含む、炎症疾患あるいはがんの予防または治療用薬学的組成物。
【請求項2】
前記炎症疾患は、喘息、慢性閉塞性肺疾患、肺炎、間質性肺炎、特発性肺線維症、および鼻炎から成る群から選ばれた1つ以上の呼吸器系の炎症疾患;
アトピー皮膚炎、乾癬、にきび、接触皮膚炎、および脱毛から成る群から選ばれた1つ以上の皮膚炎症疾患;
胃炎、消化性潰瘍、急性腸炎、慢性腸炎、クローン病、炎症性腸疾患、腸ベーチェット病、潰瘍性大腸炎、細菌性大腸炎、アルコール性脂肪肝炎、非アルコール性脂肪肝炎、慢性肝炎、膵炎、および胆管炎から成る群から選ばれた1つ以上の消化器炎症疾患;
膣炎;および
骨関節炎、退行性関節炎、および関節リウマチから成る群から選ばれた1つ以上の骨関節炎症疾患から成る群から選ばれる1つ以上であることを特徴とする請求項1に記載の薬学的組成物。
【請求項3】
前記がんは、大腸がん、胃がん、肺がん、肝がん、胆道がん、膵がん、乳がん、卵巣がん、腎がん、膀胱がん、前立腺がん、血液がん、頭頸部がん、結腸・直腸がん、骨髄がん、子宮がん、メラノーマ、脳がん、甲状腺がん、およびリンパ腫から成る群から選ばれる1つ以上であることを特徴とする請求項1に記載の薬学的組成物。
【請求項4】
前記ロイコノストック細菌は、ロイコノストック・カーノサム(Leuconostoc carnosum)、ロイコノストック・シトレウム(Leuconostoc citreum)、ロイコノストック・ファラクス(Leuconostoc fallax)、ロイコノストック・ファルケンベルゲン(Leuconostoc falkenbergene)、ロイコノストック・フィキュルネウム(Leuconostoc ficulneum)、ロイコノストック・フロクトソム(Leuconostoc fructossum)、ロイコノストック・ガルリカム(Leuconostoc garlicum)、ロイコノストック・ガシコミタタム(Leuconostoc gasicomitatum)、ロイコノストック・ゲリダム(Leuconostoc gelidum)、ロイコノストック・インヘ(Leuconostoc inhae)、ロイコノストック・キムチイ(Leuconostoc kimchii)、ロイコノストック・ラクティス(Leuconostoc lactis)、ロイコノストック・メセンテロイデス(Leuconostoc mesenteroides)、ロイコノストック・ワカメキムチイ(Leuconostoc miyukkimchii)、ロイコノストック・パルメ(Leuconostoc palmae)、ロイコノストック・シュードリクルネウム(Leuconostoc psuedoliclneum)、ロイコノストック・シュードメセンテロイデス(Leuconostoc pseudomesenteroides)、ロイコノストック・ラップ(Leuconostoc rap)、およびロイコノストック・スロニカム(Leuconostoc suronicum)から成る群から選ばれた1つ以上であることを特徴とする請求項1に記載の薬学的組成物。
【請求項5】
前記小胞は、平均直径が10~300nmであることを特徴とする請求項1に記載の薬学的組成物。
【請求項6】
前記小胞は、ロイコノストック細菌から自然的に分泌または人工的に生産されることを特徴とする請求項1に記載の薬学的組成物。
【請求項7】
前記小胞は、ロイコノストック細菌の培養液またはロイコノストック細菌を添加して培養した食品から分離したことを特徴とする請求項1に記載の薬学的組成物。
【請求項8】
ロイコノストック(Leuconostoc)細菌由来小胞を有効成分として含む、炎症疾患あるいはがんの予防または改善用食品組成物。
【請求項9】
前記炎症疾患は、喘息、慢性閉塞性肺疾患、肺炎、間質性肺炎、特発性肺線維症、および鼻炎から成る群から選ばれた1つ以上の呼吸器系の炎症疾患;
アトピー皮膚炎、乾癬、にきび、接触皮膚炎、および脱毛から成る群から選ばれた1つ以上の皮膚炎症疾患;
胃炎、消化性潰瘍、急性腸炎、慢性腸炎、クローン病、炎症性腸疾患、腸ベーチェット病、潰瘍性大腸炎、細菌性大腸炎、アルコール性脂肪肝炎、非アルコール性脂肪肝炎、慢性肝炎、膵炎、および胆管炎から成る群から選ばれた1つ以上の消化器炎症疾患;
膣炎;および
骨関節炎、退行性関節炎、および関節リウマチから成る群から選ばれた1つ以上の骨関節炎症疾患から成る群から選ばれる1つ以上であることを特徴とする請求項8に記載の食品組成物。
【請求項10】
前記がんは、大腸がん、胃がん、肺がん、肝がん、胆道がん、膵がん、乳がん、卵巣がん、腎がん、膀胱がん、前立腺がん、血液がん、頭頸部がん、結腸・直腸がん、骨髄がん、子宮がん、メラノーマ、脳がん、甲状腺がん、およびリンパ腫から成る群から選ばれる1つ以上であることを特徴とする請求項8に記載の食品組成物。
【請求項11】
前記ロイコノストック細菌は、ロイコノストック・カーノサム(Leuconostoc carnosum)、ロイコノストック・シトレウム(Leuconostoc citreum)、ロイコノストック・ファラクス(Leuconostoc fallax)、ロイコノストック・ファルケンベルゲン(Leuconostoc falkenbergene)、ロイコノストック・フィキュルネウム(Leuconostoc ficulneum)、ロイコノストック・フロクトソム(Leuconostoc fructossum)、ロイコノストック・ガルリカム(Leuconostoc garlicum)、ロイコノストック・ガシコミタタム(Leuconostoc gasicomitatum)、ロイコノストック・ゲリダム(Leuconostoc gelidum)、ロイコノストック・インヘ(Leuconostoc inhae)、ロイコノストック・キムチイ(Leuconostoc kimchii)、ロイコノストック・ラクティス(Leuconostoc lactis)、ロイコノストック・メセンテロイデス(Leuconostoc mesenteroides)、ロイコノストック・ワカメキムチイ(Leuconostoc miyukkimchii)、ロイコノストック・パルメ(Leuconostoc palmae)、ロイコノストック・シュードリクルネウム(Leuconostoc psuedoliclneum)、ロイコノストック・シュードメセンテロイデス(Leuconostoc pseudomesenteroides)、ロイコノストック・ラップ(Leuconostoc rap)、およびロイコノストック・スロニカム(Leuconostoc suronicum)から成る群から選ばれた1つ以上であることを特徴とする請求項8に記載の食品組成物。
【請求項12】
前記小胞は、ロイコノストック細菌から自然的に分泌または人工的に生産されることを特徴とする請求項8に記載の食品組成物。
【請求項13】
ロイコノストック(Leuconostoc)細菌由来小胞の炎症疾患あるいはがん治療用薬剤製造のための使用
【国際調査報告】