IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ジェイオ カンパニー リミテッドの特許一覧

<>
  • 特表-炭素ナノチューブ分散液の製造方法 図1
  • 特表-炭素ナノチューブ分散液の製造方法 図2
  • 特表-炭素ナノチューブ分散液の製造方法 図3
  • 特表-炭素ナノチューブ分散液の製造方法 図4
  • 特表-炭素ナノチューブ分散液の製造方法 図5
  • 特表-炭素ナノチューブ分散液の製造方法 図6
  • 特表-炭素ナノチューブ分散液の製造方法 図7
  • 特表-炭素ナノチューブ分散液の製造方法 図8
  • 特表-炭素ナノチューブ分散液の製造方法 図9
  • 特表-炭素ナノチューブ分散液の製造方法 図10
  • 特表-炭素ナノチューブ分散液の製造方法 図11
  • 特表-炭素ナノチューブ分散液の製造方法 図12
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-21
(54)【発明の名称】炭素ナノチューブ分散液の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C01B 32/174 20170101AFI20240514BHJP
   C01B 32/16 20170101ALI20240514BHJP
   B01J 21/06 20060101ALI20240514BHJP
   B01J 21/10 20060101ALI20240514BHJP
   B01J 21/02 20060101ALI20240514BHJP
   B01J 23/28 20060101ALI20240514BHJP
   B01J 23/745 20060101ALI20240514BHJP
   B01J 23/75 20060101ALI20240514BHJP
   B01J 23/755 20060101ALI20240514BHJP
【FI】
C01B32/174
C01B32/16
B01J21/06 M
B01J21/10
B01J21/02 M
B01J23/28 M
B01J23/745 M
B01J23/75 M
B01J23/755 M
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023575372
(86)(22)【出願日】2022-05-24
(85)【翻訳文提出日】2023-12-05
(86)【国際出願番号】 KR2022007339
(87)【国際公開番号】W WO2023277350
(87)【国際公開日】2023-01-05
(31)【優先権主張番号】10-2021-0085600
(32)【優先日】2021-06-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】323007308
【氏名又は名称】ジェイオ カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】JEIO CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】501ho, 129, Gaetbeol-ro, Yeonsu-gu Incheon (Republic of Korea)
(74)【代理人】
【識別番号】100130111
【弁理士】
【氏名又は名称】新保 斉
(72)【発明者】
【氏名】カン、ヨ ソプ
(72)【発明者】
【氏名】コン、テ ウン
【テーマコード(参考)】
4G146
4G169
【Fターム(参考)】
4G146AA11
4G146AC01A
4G146AC01B
4G146AC02A
4G146AC02B
4G146AC03A
4G146AC07A
4G146AC30A
4G146AD31
4G146AD37
4G146BA04
4G146CB09
4G146CB10
4G146CB35
4G146DA07
4G169AA02
4G169AA03
4G169BC10A
4G169BC16A
4G169BC59A
4G169BC66A
4G169BC67A
4G169BC68A
4G169BD05A
4G169CB81
(57)【要約】
炭素ナノチューブバンドルを準備する段階と、前記炭素ナノチューブバンドルを後加工して前記炭素ナノチューブバンドルの平均長さを50μm以下に縮小させる段階と、前記後加工された炭素ナノチューブバンドルを溶液上に分散させる段階とを含む、炭素ナノチューブ分散液の製造方法に関する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
炭素ナノチューブバンドルを準備する段階と、
前記炭素ナノチューブバンドルを後加工して前記炭素ナノチューブバンドルの平均長さを50μm以下に縮小させる段階と、
前記後加工された炭素ナノチューブバンドルを溶液上に分散させる段階と、
を含む
ことを特徴とする炭素ナノチューブ分散液の製造方法。
【請求項2】
前記後加工された炭素ナノチューブバンドルの体積-平均(累積)直径Dv(90)が50μmである
請求項1に記載の炭素ナノチューブ分散液の製造方法。
【請求項3】
前記溶液は、溶媒及び分散剤を含む
請求項1に記載の炭素ナノチューブ分散液の製造方法。
【請求項4】
前記溶媒は、脱イオン水(deionized water)、メチルピロリドン(N-Methyl-2-pyrrolidone)、ジメチルホルムアミド(N,N-Dimethylformamide)、ジメチルアセトアミド(N,N-Dimethylacetamide)、ジメチルスルホキシド(Dimethyl sulfoxide)、エタノール(ethanol)、メタノール(methanol)、ペンチルアルコール(pentyl alcohol)、アセトン(acetone)、メチルエチルケトン(Methyl ethyl ketone)、シクロペンタノン(Cyclopentanone)、酢酸エチル(ethylacetate)、エチレングリコール(ethylene glycol)、ジエチレングリコール(Diethylene glycol)、プロパノール(1-Propanol)、イソプロパノール(isopropanol)、ブタノール(1-Butanol)、イソブタノール(isobutanol)、オクタノール(octanol)、エチレングリコールモノエチルエーテル(Ethylene glycol monoethyl ether)、ジエチレングリコールモノエチルエーテル(Diethylene glycol monoethyl ether)、トリエチレングリコールモノエチルエーテル(Triethylene glycol monoethyl ether)、テトラエチレングリコールモノエチルエーテル(Tetraethylene glycol monoethyl ether)及びこれらの組み合わせからなる群より選択されるものを含む
請求項3に記載の炭素ナノチューブ分散液の製造方法。
【請求項5】
前記分散剤は、ポリビニルピロリドン、水素化ニトリルゴム、ポリビニルアルコール、ポリビニルメチルエーテル、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリアクリルアミド、ポリエチレンオキシド、ポリエチレンオキシド/プロピレンオキシドブロック共重合体、ポリアクリル酸塩、セルロース誘導体及びデンプン誘導体及びこれらの組み合わせからなる群より選択されるものを含む
請求項3に記載の炭素ナノチューブ分散液の製造方法。
【請求項6】
前記炭素ナノチューブは、触媒の存在下で化学気相蒸着法によって製造される
請求項1に記載の炭素ナノチューブ分散液の製造方法。
【請求項7】
前記炭素ナノチューブは、アセチレン、エチレン、メタン及びこれらの組み合わせからなる群より選択される反応ソースを使用して製造される
請求項1に記載の炭素ナノチューブ分散液の製造方法。
【請求項8】
前記触媒は、Fe、Co、Ni、Al、Mg、Mo、Si及びこれらの組み合わせからなる群より選択される触媒を含む
請求項6に記載の炭素ナノチューブ分散液の製造方法。
【請求項9】
前記触媒は、燃焼法、担持法、探針法、ゾルゲル法及びこれらの組み合わせからなる群より選択される方法によって製造される
請求項6に記載の炭素ナノチューブ分散液の製造方法。
【請求項10】
前記分散させる段階は、超音波工程、物理的衝撃力による粉砕工程、物理的せん断力による粉砕工程、高圧工程、超臨界/未臨界工程及びこれらの組み合わせからなる群より選択される工程によって行われる
請求項1に記載の炭素ナノチューブ分散液の製造方法。
【請求項11】
前記後加工は、乾式後加工及び/または湿式後加工を含む
請求項1に記載の炭素ナノチューブ分散液の製造方法。
【請求項12】
前記乾式後加工は、エアドライミル(air dry mill)、ビーズミル(bead mill)、アトリッションミル(attrition mill)、ジェットミル(jet mill)、スチームジェットミル(steam jet mill)及びこれらの組み合わせからなる群より選択されるものを含む
請求項11に記載の炭素ナノチューブ分散液の製造方法。
【請求項13】
前記湿式後加工は、ビーズミル(bead mill)、アトリッションミル(attrition mill)、超音波粉砕(sonication)、せん断ミル(shear mill)、高圧ホモジナイザー(high pressure homogenizer)、機械的ホモジナイザー(mechanical homogenizer)及びこれらの組み合わせからなる群より選択されるものを含む
請求項11に記載の炭素ナノチューブ分散液の製造方法。
【請求項14】
前記後加工された炭素ナノチューブは、50cm/g以上の比表面積及び1nm以上の直径を有する
請求項1に記載の炭素ナノチューブ分散液の製造方法。
【請求項15】
請求項1ないし14のいずれかに記載の方法によって製造された炭素ナノチューブ分散液において、
前記炭素ナノチューブ分散液の粘度(μ)の分散エネルギーによる飽和点(saturation point)は、後加工された炭素ナノチューブの平均長さ値に比例する
ことを特徴とする炭素ナノチューブ分散液。
【請求項16】
請求項15に記載の炭素ナノチューブ分散液を含む
ことを特徴とするエネルギー貯蔵装置。
【請求項17】
請求項15に記載の炭素ナノチューブ分散液を含む
ことを特徴とする複合素材。
【請求項18】
請求項15に記載の炭素ナノチューブ分散液を含む
ことを特徴とする顔料。
【請求項19】
請求項15に記載の炭素ナノチューブ分散液を含む
ことを特徴とする塗料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、炭素ナノチューブ分散液の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
炭素ナノチューブは、力学的な堅固性及び化学的な安定性に優れ、半導体と導体の性質をいずれも持っており、直径が小さく長さが長く、かつ中空であるという特性のため、平板表示素子、トランジスタ、エネルギー貯蔵媒体などの素材として適合し、ナノサイズの各種の電子素子としての応用可能性が高い。
【0003】
炭素ナノチューブを導電膜の形成やその他の各種の電子素子の製造に使用するためには、溶媒またはバインダーなどのようなマトリックスに効果的に分散させる必要がある。しかし、炭素ナノチューブは、強いファンデルワールス力(Van der Waals force)によりマトリックス内で束(bundle)で凝集する傾向が強いため、水またはその他の溶媒に対する溶解性が非常に低く、加工が難しいという短所を有する。
【0004】
炭素ナノチューブがマトリックス内で凝集すると、炭素ナノチューブの固有な特性が発揮できなくなるか、薄膜で製造時に薄膜特性の均一性が低下するという問題が発生するおそれがある。特に、半導体材料としてトランジスタ、または導体材料として電極で使用される場合のように、透明性の確保が必要なディスプレイ応用分野では、炭素ナノチューブの分散がさらに重要であるが、分散性に劣ると、炭素ナノチューブのストランドが完全に分離できずバンドル(bundle)でかたまって存在するため、同一の性能を実現しても所望の透過度が確保できないためである。
【0005】
しかし、従来の炭素ナノチューブ分散液の製造方法で使用される炭素ナノチューブは、分散エネルギーの増加により分散液の粘度が急激に上昇してから減少する傾向を示し、このような不規則な粘度の変化は、炭素ナノチューブ分散液の製造過程における変数を増加させるため、効率的に分散液を製造するには問題がある。
従って、炭素ナノチューブ分散液の製造過程時に粘度の傾向性が予測可能であれば、工程効率を増加させることができる。
【0006】
特許文献1は、炭素ナノチューブ分散液及びこの製造方法に関するものである。上記特許文献1では、分散性及び分散安定性と接着力に優れた炭素ナノチューブ分散液を製造する方法について開示しているものの、平均長さが調節された炭素ナノチューブを使用して予測可能な粘度傾向性を有するようにすることについては開示していない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】韓国登録特許第10-1807798号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本願は、前述した従来技術の問題点を解決するためのもので、炭素ナノチューブの平均長さを調節して分散工程時に予測可能な粘度傾向性を有する炭素ナノチューブ分散液の製造方法を提供することを目的とする。
また、上記製造方法によって製造された炭素ナノチューブ分散液を提供することを目的とする。
また、上記炭素ナノチューブ分散液を含むエネルギー貯蔵装置を提供することを目的とする。
また、上記炭素ナノチューブ分散液を含む複合素材を提供することを目的とする。
また、上記炭素ナノチューブ分散液を含む顔料を提供することを目的とする。
また、上記炭素ナノチューブ分散液を含む塗料を提供することを目的とする。
但し、本願の実施例が達成しようとする技術的課題は、上記のような技術的課題に限定されず、また他の技術的課題が存在し得る。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の技術的課題を達成するための技術的手段として、本願の第1側面は、炭素ナノチューブバンドルを準備する段階と、前記炭素ナノチューブバンドルを後加工して前記炭素ナノチューブバンドルの平均長さを50μm以下に縮小させる段階と、前記後加工された炭素ナノチューブバンドルを溶液上に分散させる段階とを含む、炭素ナノチューブ分散液の製造方法を提供する。
【0010】
本願の一具現例によると、前記後加工された炭素ナノチューブバンドルの体積-平均(累積)直径Dv(90)が50μmであることができるが、これに制限されるものではない。
本願の一具現例によると、前記溶液は、溶媒及び分散剤を含むことができるが、これに制限されるものではない。
【0011】
本願の一具現例によると、前記溶媒は、脱イオン水(deionized water)、メチルピロリドン(N-Methyl-2-pyrrolidone)、ジメチルホルムアミド(N,N-Dimethylformamide)、ジメチルアセトアミド(N,N-Dimethylacetamide)、ジメチルスルホキシド(Dimethyl sulfoxide)、エタノール(ethanol)、メタノール(methanol)、ペンチルアルコール(pentyl alcohol)、アセトン(acetone)、メチルエチルケトン(Methyl ethyl ketone)、シクロペンタノン(Cyclopentanone)、酢酸エチル(ethylacetate)、エチレングリコール(ethylene glycol)、ジエチレングリコール(Diethylene glycol)、プロパノール(1-Propanol)、イソプロパノール(isopropanol)、ブタノール(1-Butanol)、イソブタノール(isobutanol)、オクタノール(octanol)、エチレングリコールモノエチルエーテル(Ethylene glycol monoethyl ether)、ジエチレングリコールモノエチルエーテル(Diethylene glycol monoethyl ether)、トリエチレングリコールモノエチルエーテル(Triethylene glycol monoethyl ether)、テトラエチレングリコールモノエチルエーテル(Tetraethylene glycol monoethyl ether)及びこれらの組み合わせからなる群より選択されるものを含むことができるが、これに制限されるものではない。
【0012】
本願の一具現例によると、前記分散剤は、ポリビニルピロリドン、水素化ニトリルゴム、ポリビニルアルコール、ポリビニルメチルエーテル、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリアクリルアミド、ポリエチレンオキシド、ポリエチレンオキシド/プロピレンオキシドブロック共重合体、ポリアクリル酸塩、セルロース誘導体及びデンプン誘導体及びこれらの組み合わせからなる群より選択されるものを含むことができるが、これに制限されるものではない。
【0013】
本願の一具現例によると、前記炭素ナノチューブは、触媒の存在下で化学気相蒸着法によって製造されることができるが、これに制限されるものではない。
【0014】
本願の一具現例によると、前記炭素ナノチューブは、アセチレン、エチレン、メタン及びこれらの組み合わせからなる群より選択される反応ソースを使用して製造されることができるが、これに制限されるものではない。
【0015】
本願の一具現例によると、前記触媒は、Fe、Co、Ni、Al、Mg、Mo、Si及びこれらの組み合わせからなる群より選択される触媒を含むことができるが、これに制限されるものではない。
【0016】
本願の一具現例によると、前記触媒は、燃焼法、担持法、探針法、ゾルゲル法及びこれらの組み合わせからなる群より選択される方法によって製造されることができるが、これに制限されるものではない。
【0017】
本願の一具現例によると、前記分散させる段階は、超音波工程、物理的衝撃力による粉砕工程、物理的せん断力による粉砕工程、高圧工程、超臨界/未臨界工程及びこれらの組み合わせからなる群より選択される工程によって行われることができるが、これに制限されるものではない。
【0018】
本願の一具現例によると、前記後加工は、乾式後加工及び/または湿式後加工を含むことができるが、これに制限されるものではない。
【0019】
本願の一具現例によると、前記乾式後加工は、エアドライミル(air dry mill)、ビーズミル(bead mill)、アトリッションミル(attrition mill)、ジェットミル(jet mill)、スチームジェットミル(steam jet mill)及びこれらの組み合わせからなる群より選択されるものを含むことができるが、これに制限されるものではない。
【0020】
本願の一具現例によると、前記湿式後加工は、ビーズミル(bead mill)、アトリッションミル(attrition mill)、超音波粉砕(sonication)、せん断ミル(shear mill)、高圧ホモジナイザー(high pressure homogenizer)、機械的ホモジナイザー(mechanical homogenizer)及びこれらの組み合わせからなる群より選択されるものを含むことができるが、これに制限されるものではない。
【0021】
本願の一具現例によると、前記後加工された炭素ナノチューブは、50cm/g以上の比表面積及び1nm以上の直径を有することができるが、これに制限されるものではない。
【0022】
また、本願の第2側面は、本願の第1側面による方法によって製造された炭素ナノチューブ分散液において、前記炭素ナノチューブ分散液の粘度(μ)の分散エネルギーによる飽和点(saturation point)は、後加工された炭素ナノチューブの平均長さ値に比例する、炭素ナノチューブ分散液を提供する。
また、本願の第3側面は、本願の第2側面による炭素ナノチューブ分散液を含むエネルギー貯蔵装置を提供する。
また、本願の第4側面は、本願の第2側面による炭素ナノチューブ分散液を含む複合素材を提供する。
また、本願の第5側面は、本願の第2側面による炭素ナノチューブ分散液を含む顔料を提供する。
また、本願の第6側面は、本願の第2側面による炭素ナノチューブ分散液を含む塗料を提供する。
【0023】
上述した課題解決手段は単に例示的なもので、本願を制限しようとする意図で解釈されてはならない。上述した例示的な実施例の他にも、図面及び発明の詳細な説明に追加的な実施例が存在することができる。
【発明の効果】
【0024】
従来の炭素ナノチューブ分散液の製造方法では、分散エネルギーを加えることにより前記分散液の粘度が不規則に変化する傾向を有した。かかる不規則な粘度変化は、分散液の製造時に工程効率を低下させるという問題点がある。
【0025】
しかし、本願による炭素ナノチューブ分散液の製造方法では、炭素ナノチューブの長さによる素材特性及び炭素ナノチューブの長さによる投入分散エネルギー及び粘度特性を利用して炭素ナノチューブの分散工程効率を予測及び改善することができる。
【0026】
具体的に、炭素ナノチューブバンドルの長さを50μm以下に調節して分散液を製造することで、従来提示された炭素ナノチューブ分散液の粘度傾向性とは異なる様相を呈し、かかる粘度の傾向性を利用して分散工程時に工程効率を予測し改善させることができる。
【0027】
具体的に、本願による炭素ナノチューブ分散液の粘度(μ)の分散エネルギーによる飽和点(saturation point)は、前記炭素ナノチューブの平均長さ値に比例する結果を表す。
但し、本願で得られる効果は、上記のような効果に限定されず、また他の効果が存在することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本願の一具現例による炭素ナノチューブ分散液の製造方法のフローチャートである。
図2】本願の一具現例による炭素ナノチューブ長さによる分散エネルギー-粘度曲線である。
図3】本願の一具現例による炭素ナノチューブの長さによる分散液の粘性指数を示したグラフである。
図4】本願の一実施例による炭素ナノチューブ分散液のSEMイメージである。
図5】本願の一実施例による炭素ナノチューブ分散液のSEMイメージである。
図6】本願の一実施例による炭素ナノチューブ分散液のSEMイメージである。
図7】本願の一実施例による炭素ナノチューブ分散液のSEMイメージである。
図8】本願の一実施例による炭素ナノチューブ分散液のSEMイメージである。
図9】本願の一実施例による炭素ナノチューブ分散液のSEMイメージである。
図10】本願の一比較例による炭素ナノチューブ分散液のSEMイメージである。
図11】本願の一実験例による炭素ナノチューブ長さによる分散エネルギー-粘度曲線である。
図12】本願の一実験例による体積-平均粒度分布及び体積-平均累積粒度分布グラフである。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下では、添付の図面を参照して本願が属する技術分野で通常の知識を有する者が容易に実施することができるように、本願の実施例を詳しく説明する。
しかし、本願は、様々な異なる形態で具現されることができ、ここで説明する実施例に限定されない。そして、図面で本願を明確に説明するために、説明と関係ない部分は省略し、明細書全体を通じて類似した部分については類似した図面符号をつけた。
本願明細書全体において、ある部分が他の部分と「連結」されているとすると、これは「直接的に連結」されている場合だけでなく、その中間に他の素子を挟んで「電気的に連結」されている場合も含む。
本願明細書全体において、ある部材が他の部材「上に」、「上部に」、「上端に」、「下に」、「下部に」、「下端に」位置しているとすると、これは、ある部材が他の部材に接している場合だけでなく、二つの部材間にまた他の部材が存在する場合も含む。
本願明細書全体において、ある部分がある構成要素を「含む」とすると、これは、特に反対の記載がない限り、他の構成要素を除外するのではなく、他の構成要素をさらに含むことができることを意味する。
本明細書で使用される程度の用語「約」、「実質的に」などは、言及された意味に固有な製造及び物質許容誤差が提示される時、その数値でまたはその数値に近接した意味で使用され、本願の理解を助けるために正確または絶対的な数値が言及された開示内容を非良心的な侵害者が不当に利用することを防止するために使用される。また、本願明細書全体において、「~する段階」または「~の段階」は、「~のための段階」を意味しない。
本願明細書全体において、マルクーシュ形式の表現に含まれた「これらの組み合わせ」という用語は、マルクーシュ形式の表現に記載された構成要素からなる群より選択される一つ以上の混合または組み合わせを意味するもので、上記構成要素からなる群より選択される一つ以上を含むことを意味する。
本願明細書全体において、「A及び/またはB」という記載は、「AまたはB、または、A及びB」を意味する。
【0030】
以下では、本願による炭素ナノチューブ分散液の製造方法について、具現例及び実施例と図面を参照して具体的に説明する。しかし、本願がかかる具現例及び実施例と図面に制限されるものではない。
【0031】
上記の技術的課題を達成するための技術的手段として、本願の第1側面は、炭素ナノチューブバンドルを準備する段階と、前記炭素ナノチューブバンドルを後加工して前記炭素ナノチューブバンドルの平均長さを50μm以下に縮小させる段階と、前記後加工された炭素ナノチューブバンドルを溶液上に分散させる段階とを含む、炭素ナノチューブ分散液の製造方法を提供する。
【0032】
従来の炭素ナノチューブ分散液の製造方法では、分散エネルギーを加えることにより前記分散液の粘度が不規則に変化する傾向を有した。このような不規則な粘度変化は、分散液の製造時に工程効率を低下させるという問題点がある。
【0033】
しかし、本願による炭素ナノチューブ分散液の製造方法では、炭素ナノチューブ長さによる素材特性及び炭素ナノチューブ長さによる投入分散エネルギー及び粘度特性を利用して炭素ナノチューブの分散工程効率を予測及び改善することができる。
【0034】
具体的に、本願では、炭素ナノチューブバンドルの長さを50μm以下に調節して分散液を製造することで、従来提示された炭素ナノチューブ分散液の粘度傾向性とは異なり、分散エネルギーを加えることにより粘度が増加して飽和する地点が存在し、炭素ナノチューブ分散液の粘度(μ)の分散エネルギーによる飽和点(saturation point)は、前記炭素ナノチューブの平均長さ値に比例する傾向を表す。かかる粘度の傾向性を利用して分散工程時に工程効率を予測し改善させることができる。
【0035】
以下、図1を参照して、本願の炭素ナノチューブ分散液の製造方法について説明する。
図1は、本願の一具現例による炭素ナノチューブ分散液の製造方法のフローチャートである。
先ず、炭素ナノチューブバンドルを準備する(S100)。
本願の一具現例によると、前記炭素ナノチューブは、触媒の存在下で化学気相蒸着法によって製造されることができるが、これに制限されるものではない。
【0036】
本願の一具現例によると、前記炭素ナノチューブは、アセチレン、エチレン、メタン及びこれらの組み合わせからなる群より選択される反応ソースを使用して製造されることができるが、これに制限されるものではない。
【0037】
本願の一具現例によると、前記触媒は、Fe、Co、Ni、Al、Mg、Mo、Si及びこれらの組み合わせからなる群より選択される触媒を含むことができるが、これに制限されるものではない。
【0038】
本願の一具現例によると、前記触媒は、燃焼法、担持法、探針法、ゾルゲル法及びこれらの組み合わせからなる群より選択される方法によって製造されることができるが、これに制限されるものではない。
後述するが、前記炭素ナノチューブバンドルは、乾式後加工及び/または湿式後加工を行い平均長さが調節されることができる。
【0039】
前記乾式後加工を行う際には、製造された炭素ナノチューブバンドルを直ちに利用して炭素ナノチューブの長さを調節した後、炭素ナノチューブ分散液を製造することができる。
【0040】
前記湿式後加工を行う際には、溶媒(水、エタノールなど)に炭素ナノチューブバンドルが添加された溶液を使用して炭素ナノチューブの長さを調節した後、これを乾燥させて粉末状態で製造した後、炭素ナノチューブ分散液を製造することができる。
【0041】
従って、炭素ナノチューブバンドルを準備する段階は、如何なる方式で後加工を進行するかによって固体相(炭素ナノチューブバンドル)または液体相(炭素ナノチューブバンドルを含む溶液)で用意することができる。
次いで、炭素ナノチューブバンドルを後加工して前記炭素ナノチューブバンドルの平均長さを50μm以下に縮小させる(S200)。
【0042】
本願の一具現例によると、前記後加工された炭素ナノチューブバンドルの体積-平均(累積)直径Dv(90)が50μmであることができるが、これに制限されるものではない。
【0043】
体積-平均(累積)直径とは、球状ではない粒度の大きさを一つの数値で表現することができないため、これを同一体積を有する球であると考えたものであり、Dv(10)は、全体粒度分布で10%である時の大きさ、Dv(50)は、全体粒度分布で50%である時の大きさ(中間値)、Dv(90)は、全体粒度分布で90%である時の大きさを意味する。
【0044】
従って、体積-平均(累積)直径Dv(90)が50μmという意味は、90%の粒度のサイズが50μm以下であるという意味であり、これは、多くの粒度サイズが50μm以下であると解釈可能である。
【0045】
本願の一具現例によると、前記後加工された炭素ナノチューブは、50cm/g以上の比表面積及び1nm以上の直径を有することができるが、これに制限されるものではない。
本願の一具現例によると、前記後加工は、乾式後加工及び/または湿式後加工を含むことができるが、これに制限されるものではない。
【0046】
上述したように、前記乾式後加工を行う際には、製造された炭素ナノチューブバンドルを直ちに利用して後加工を行い、前記後加工された炭素ナノチューブを利用して炭素ナノチューブ分散液の製造に利用することができる。
【0047】
一方、前記湿式後加工を行う際には、溶媒(水、エタノールなど)に炭素ナノチューブバンドルが添加された溶液を使用して後加工を行うことができ、前記湿式後加工を通じて長さが調節された炭素ナノチューブを乾燥させて粉末状態に製造した後、炭素ナノチューブ分散液の製造に利用することができる。
【0048】
本願の一具現例によると、前記乾式後加工は、エアドライミル(air dry mill)、ビーズミル(bead mill)、アトリッションミル(attrition mill)、ジェットミル(jet mill)、スチームジェットミル(steam jet mill)及びこれらの組み合わせからなる群より選択されるものを含むことができるが、これに制限されるものではない。
【0049】
本願の一具現例によると、前記湿式後加工は、ビーズミル(bead mill)、アトリッションミル(attrition mill)、超音波粉砕(sonication)、せん断ミル(shear mill)、高圧ホモジナイザー(high pressure homogenizer)、機械的ホモジナイザー(mechanical homogenizer)及びこれらの組み合わせからなる群より選択されるものを含むことができるが、これに制限されるものではない。
最後に、後加工された炭素ナノチューブバンドルを溶液上に分散させる(S300)。
【0050】
本願の一具現例によると、前記後加工された炭素ナノチューブバンドルを溶液上に分散させる段階をさらに含むことができるが、これに制限されるものではない。
本願の一具現例によると、前記溶液は、溶媒及び分散剤を含むことができるが、これに制限されるものではない。
【0051】
本願の一具現例によると、前記溶媒は、脱イオン水(deionized water)、メチルピロリドン(N-Methyl-2-pyrrolidone)、ジメチルホルムアミド(N,N-Dimethylformamide)、ジメチルアセトアミド(N,N-Dimethylacetamide)、ジメチルスルホキシド(Dimethyl sulfoxide)、エタノール(ethanol)、メタノール(methanol)、ペンチルアルコール(pentyl alcohol)、アセトン(acetone)、メチルエチルケトン(Methyl ethyl ketone)、シクロペンタノン(Cyclopentanone)、酢酸エチル(ethylacetate)、エチレングリコール(ethylene glycol)、ジエチレングリコール(Diethylene glycol)、プロパノール(1-Propanol)、イソプロパノール(isopropanol)、ブタノール(1-Butanol)、イソブタノール(isobutanol)、オクタノール(octanol)、エチレングリコールモノエチルエーテル(Ethylene glycol monoethyl ether)、ジエチレングリコールモノエチルエーテル(Diethylene glycol monoethyl ether)、トリエチレングリコールモノエチルエーテル(Triethylene glycol monoethyl ether)、テトラエチレングリコールモノエチルエーテル (Tetraethylene glycol monoethyl ether)及びこれらの組み合わせからなる群より選択されるものを含むことができるが、これに制限されるものではない。
【0052】
本願の一具現例によると、前記分散剤は、ポリビニルピロリドン、水素化ニトリルゴム、ポリビニルアルコール、ポリビニルメチルエーテル、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリアクリルアミド、ポリエチレンオキシド、ポリエチレンオキシド/プロピレンオキシドブロック共重合体、ポリアクリル酸塩、セルロース誘導体及びデンプン誘導体及びこれらの組み合わせからなる群より選択されるものを含むことができるが、これに制限されるものではない。
【0053】
本願の一具現例によると、前記分散させる段階は、超音波工程、物理的衝撃力による粉砕工程、物理的せん断力による粉砕工程、高圧工程、超臨界/未臨界工程及びこれらの組み合わせからなる群より選択される工程によって行われることができるが、これに制限されるものではない。
【0054】
また、本願の第2側面は、本願の第1側面による方法によって製造された炭素ナノチューブ分散液において、前記炭素ナノチューブ分散液の粘度(μ)の分散エネルギーによる飽和点(saturation point)は、後加工された炭素ナノチューブの平均長さ値に比例するものである、炭素ナノチューブ分散液を提供する。
【0055】
本願の第2側面による炭素ナノチューブ分散液について、本願の第1側面と重複する部分については詳しい説明を省略したが、その説明が省略されても、本願の第1側面に記載された内容は、本願の第2側面に同一に適用されることができる。
【0056】
本願による炭素ナノチューブは、50μm以下の平均長さを有し、これにより従来の炭素ナノチューブの粘度変化の傾向性とは異なる様相を呈する。従来の炭素ナノチューブ分散液は、分散エネルギーを増加させることにより粘度が不規則に変化したが、本願による炭素ナノチューブ分散液は、分散エネルギーを増加させることにより粘度が増加してから一定になる飽和点が存在し、前記飽和点は、炭素ナノチューブの平均長さが小さくなるほど小さくなる。
【0057】
図2は、本願の一具現例による炭素ナノチューブ長さによる分散エネルギー-粘度曲線である。
【0058】
図2を参照すると、炭素ナノチューブの平均長さが50μm以上の場合は、分散エネルギーを増加させることにより粘度が急激に増加した後に減少する傾向を示すことを確認することができる。かかる不規則な粘度の変化は、分散液の製造過程で工程の変数を増加させて効率的な工程を運営するのに限界が存在する。
【0059】
一方、炭素ナノチューブの平均長さが50μm以下の場合は、分散エネルギーを増加させることにより粘度が増加してから一定になる飽和点(saturation point)が存在することを確認することができる。前記飽和点は、炭素ナノチューブの平均長さが小さくなるほど小さくなる。従って、炭素ナノチューブの平均長さと分散液の粘度の関係を炭素ナノチューブ長さによる分散液粘性指数で表して、分散液の製造時に工程の効率を予測し改善させることができる。
【0060】
図3は、本願の一具現例による炭素ナノチューブの長さによる分散液の粘性指数を示したグラフである。
以下、図3を参照して炭素ナノチューブの長さによる分散液粘性指数を定義する。
【0061】
粘度は、せん断応力をせん断率で分けた値で表すことができる。せん断応力とは、各流体層を立体とした時、各流体層が接触する部分、即ち、断面積(A、cm)を表現したものである。具体的に、流体層の上層部に一定の力(F、dynes)を与えると、各流体層の接触面、すなわち、断面積(A、cm)に一定の力(F、dynes)が発生する。この時、流体層の断面積当り受ける力がせん断応力である。すなわち、摩擦力(F、dynes)を単位面積(A、cm)で分けた値がせん断応力(F/A、dynes/cm)である。
【0062】
固定相と移動相は、一定距離(X、cm)を置いて存在し、その間に流体も存在する。外部から上層部の板、すなわち、移動相を一定の力で動かすと流体も一定の速度(V、cm/sec)で動く。移動相から遠い流体であるほど速度が遅く、流体流れの速度分布は線形である。二つの板間の流体の速度(V、cm/sec)を二つの板の距離(X、cm)で分けた値がせん断率(V/X、sec-1)である。
粘度は、せん断応力(dynes/cm)をせん断率(sec-1)で分けた値であり、最終的に、粘度は下記の[式1]で表すことができる。
【0063】
[式1]
μ=M/(L・T)(g/cm・s)
(式中、
Mは、力に起因した因子;
Lは、移動相と固定相流体の距離;
Tは、測定時間である)。
【0064】
図3を参照すると、上記[式1]で定義したように、粘度はそれぞれμ=M/(L・T)(g/cm・s)及びμ=M/(L・T)(g/cm・s)(μは、炭素ナノチューブの平均長さが50μmである分散液の粘度であり、μは、炭素ナノチューブの平均長さが30μmである分散液の粘度)で表すことができ、L及びTは、固定された定数値であるため、粘度変化量(△μ)を次のように表示することができる。
【0065】
△μ=μ-μ={M/(L・T)}-{M/(L・T)}=(M-M)/(L・T)
【0066】
実験的データを通じて、μはμより常に大きいことが分かる。
すなわち、μ>μであり、L及びTは定数であるため、M>Mであり、Mと炭素ナノチューブの平均長さは比例することが分かり、換言すると、M=αLCNTで表すことができる。
【0067】
従って、粘度変化量(△μ)は、△μ=α△LCNT/(L・T)=λ△LCNTで表すことができ、ここでλが炭素ナノチューブの長さによる分散液粘性指数である。これを利用して、炭素ナノチューブの長さによる粘度を予測することができ、工程の効率を向上させることができる。
【0068】
図3を参照すると、同一工程で分散進行時に同じ時間における粘度が予測可能なことを確認することができる。例えば、Tが5時間の時、LCNT1=50μm、μ=2000cpであり、LCNT2=10μm、μ=200cpのとき、粘度変化量△μ=[(2000-200)/(50-10)]LCNT=45LCNTであることが分かり、もし炭素ナノチューブの平均長さが20μmのときは、5時間後の粘度は900cpであることが予想可能である。
【0069】
また、本願の第3側面は、本願の第2側面による炭素ナノチューブ分散液を含むエネルギー貯蔵装置を提供する。
本願の第3側面によるエネルギー貯蔵装置について、本願の第2側面と重複する部分に対しては詳しい説明を省略したが、その説明が省略されても、本願の第2側面に記載された内容は、本願の第3側面に同一に適用されることができる。
【0070】
また、本願の第4側面は、本願の第2側面による炭素ナノチューブ分散液を含む複合素材を提供する。
【0071】
本願の第4側面による複合素材について、本願の第2側面と重複する部分に対しては詳しい説明を省略したが、その説明が省略されても、本願の第2側面に記載された内容は、本願の第4側面に同一に適用されることができる。
【0072】
また、本願の第5側面は、本願の第2側面による炭素ナノチューブ分散液を含む顔料を提供する。
本願の第5側面による顔料について、本願の第2側面と重複する部分に対しては詳しい説明を省略したが、その説明が省略されても、本願の第2側面に記載された内容は、本願の第5側面に同一に適用されることができる。
【0073】
また、本願の第6側面は、本願の第2側面による炭素ナノチューブ分散液を含む塗料を提供する。
本願の第6側面による塗料について、本願の第2側面と重複する部分に対しては詳しい説明を省略したが、その説明が省略されても、本願の第2側面に記載された内容は、本願の第6側面に同一に適用されることができる。
【0074】
以下、実施例を通じて本発明をさらに詳しく説明するが、下記の実施例は、単に説明の目的のためのもので、本願の範囲を限定しようとするものではない。
【0075】
[実施例1]炭素ナノチューブ分散液の製造(平均長さ50μm以下)
【0076】
先ず、炭素ナノチューブ長さ前処理をエアドライミル(KMtech、KADM-5)でジルコニアボール(直径3mm)と炭素ナノチューブ(JEIO、10B)を混合して700rpmで5分間進行した。
【0077】
次いで、NMP溶媒98.5wt%に炭素ナノチューブ1wt%(平均長さ50μm)及びポリビニルピロリドン(PVP)0.5wt%を混合し、ビーズミル(WAB、DYNO-MILL ECM-AP)でジルコニアボール(直径1mm)充填率30%、1000rpmの速度で炭素ナノチューブ分散液を製造した。
【0078】
図4は、本願の一実施例による炭素ナノチューブ分散液のSEMイメージである。
[実施例2]炭素ナノチューブ分散液の製造(平均長さ40μm以下)
【0079】
先ず、炭素ナノチューブ長さ前処理をエアドライミル(KMtech、KADM-5)でジルコニアボール(直径3mm)と炭素ナノチューブ(JEIO、10B)を混合して700rpmで10分間進行した。
【0080】
次いで、NMP溶媒98.5wt%に炭素ナノチューブ1wt%(平均長さ40μm)及びポリビニルピロリドン(PVP)0.5wt%を混合し、ビーズミル(WAB、DYNO-MILL ECM-AP)でジルコニアボール(直径1mm)充填率30%、1000rpmの速度で炭素ナノチューブ分散液を製造した。
【0081】
図5は、本願の一実施例による炭素ナノチューブ分散液のSEMイメージである。
[実施例3]炭素ナノチューブ分散液の製造(平均長さ30μm以下)
【0082】
先ず、炭素ナノチューブ長さ前処理をエアドライミル(KMtech、KADM-5)でジルコニアボール(直径3mm)と炭素ナノチューブ(JEIO、10B)を混合して700rpmで15分間進行した。
【0083】
次いで、NMP溶媒98.5wt%に炭素ナノチューブ1wt%(平均長さ30μm)及びポリビニルピロリドン(PVP)0.5wt%を混合し、ビーズミル(WAB、DYNO-MILL ECM-AP)でジルコニアボール(直径1mm)充填率30%、1000rpmの速度で炭素ナノチューブ分散液を製造した。
【0084】
図6は、本願の一実施例による炭素ナノチューブ分散液のSEMイメージである。
[実施例4]炭素ナノチューブ分散液の製造(平均長さ25μm以下)
【0085】
先ず、炭素ナノチューブ長さ前処理のためにエアドライミル(KMtech、KADM-5)でジルコニアボール(直径3mm)と炭素ナノチューブ(JEIO、10B)を混合して700rpmで20分間進行した。
【0086】
次いで、NMP溶媒98.5wt%に炭素ナノチューブ1wt%(平均長さ25μm)及びポリビニルピロリドン(PVP)0.5wt%を混合し、ビーズミル(WAB、DYNO-MILL ECM-AP)でジルコニアボール(直径1mm)充填率30%、1000rpmの速度で炭素ナノチューブ分散液を製造した。
【0087】
図7は、本願の一実施例による炭素ナノチューブ分散液のSEMイメージである。
[実施例5]炭素ナノチューブ分散液の製造(平均長さ20μm以下)
【0088】
先ず、炭素ナノチューブ長さ前処理のためにエアドライミル(KMtech、KADM-5)でジルコニアボール(直径3mm)と炭素ナノチューブ(JEIO、10B)を混合して700rpmで25分間進行した。
【0089】
次いで、NMP溶媒98.5wt%に炭素ナノチューブ1wt%(平均長さ20μm)及びポリビニルピロリドン(PVP)0.5wt%を混合し、ビーズミル(WAB、DYNO-MILL ECM-AP)でジルコニアボール(直径1mm)充填率30%、1000rpmの速度で炭素ナノチューブ分散液を製造した。
【0090】
図8は、本願の一実施例による炭素ナノチューブ分散液のSEMイメージである。
[実施例6]炭素ナノチューブ分散液の製造(平均長さ10μm以下)
【0091】
先ず、炭素ナノチューブ長さ前処理のためにエアドライミル(KMtech、KADM-5)でジルコニアボール(直径3mm)と炭素ナノチューブ(JEIO、10B)を混合して700rpmで30分間進行した。
【0092】
次いで、NMP溶媒98.5wt%に炭素ナノチューブ1wt%(平均長さ10μm)及びポリビニルピロリドン(PVP)0.5wt%を混合し、ビーズミル(WAB、DYNO-MILL ECM-AP)でジルコニアボール(直径1mm)充填率30%、1000rpmの速度で炭素ナノチューブ分散液を製造した。
【0093】
図9は、本願の一実施例による炭素ナノチューブ分散液のSEMイメージである。
[比較例1]炭素ナノチューブ分散液の製造(平均長さ50μm以上)
炭素ナノチューブバンドルを後加工して長さを調節する過程を経ず、本願の一比較例による分散液の製造を実施した。
【0094】
NMP溶媒98.5wt%に炭素ナノチューブ1wt%(平均長さ50μm以上)及びポリビニルピロリドン(PVP)0.5wt%を混合し、ビーズミル(WAB、DYNO-MILL ECM-AP)でジルコニアボール(直径1mm)充填率30%、1000rpmの速度で炭素ナノチューブ分散液を製造した。
【0095】
図10は、本願の一比較例による炭素ナノチューブ分散液のSEMイメージである。
[実験例1]
【0096】
図11は、本願の一実験例による炭素ナノチューブ長さによる分散エネルギー-粘度曲線である。具体的に、比較例1、実施例1、実施例3及び実施例6で後加工された炭素ナノチューブをビーズミル工程を通じて分散液を製造する過程で粘度の変化を測定して示したグラフである。
【0097】
図11を参照すると、後加工を通じて長さが調節されていない比較例1の炭素ナノチューブ(原材料)は、分散エネルギーが加えられることにより粘度が増加してから減少する不規則な粘度変化を示していることを確認することができる。
【0098】
一方、後加工を通じて長さが調節された実施例1(50μm以下)、3(30μm以下)及び6(10μm以下)の炭素ナノチューブは、粘度が徐々に増加してから一定になる区間が発生することを確認することができる。
下記の[表1]は、実験例1の実際の測定粘度値を示した表である。
【0099】
【表1】
【0100】
これを通じて、炭素ナノチューブの長さを調節することにより分散工程を行う時に従来の粘度変化の様相とは異なる様相を呈することを確認することができ、粘度の分散エネルギーによる飽和点が炭素ナノチューブの平均長さに比例して増加することを確認することができた。また、かかる特性を利用して分散工程効率を予測し改善させることができると考えられる。
[実験例2]
【0101】
図12は、本願の一実験例による体積-平均粒度分布及び体積-平均累積粒度分布グラフである。具体的に、増加してから一定になるグラフは、体積-基準累積粒度分布グラフであり、増加してから減少するグラフは、体積-基準粒度分布グラフである。
【0102】
前記体積-基準累積粒度分布は、累積曲線を意味し、考慮される粒子より小さい粒子のパーセントで表したものである。例えば、左側y軸のQ3(x)[%]が10である場合、全体粒度分布で10%である時の大きさを表すものである。
【0103】
前記体積-基準粒度分布は、粒子の体積に対して考慮される粒子の体積の割合を意味する。従って、各粒度大きさ(size)に該当する右側y軸のdQ3(x)[%]の数字を全て加えると100となる。
【0104】
図12を参照すると、後加工時間が増加することにより粒度の大きさが小さくなることを可視的に確認することができる。具体的に、最も右側にある緑色グラフの場合、後加工を通じて長さを調節していない炭素ナノチューブバンドル(炭素ナノチューブ平均長さ50μm以上)の体積-平均粒度分布及び体積-平均累積粒度分布である。残りのグラフは、後加工を通じて長さが調節された炭素ナノチューブであり、右側から順に炭素ナノチューブ平均長さ50μm以下、40μm以下、30μm以下、25μm以下、20μm以下及び10μm以下の炭素ナノチューブである。
下記の[表2]は、図11のDv(10)、Dv(50)及びDv(90)の粒度大きさを数値化したものである。
【0105】
【表2】
【0106】
上記[表2]を参照すると、後加工時間が増加することにより炭素ナノチューブの長さがさらに小さく調節され、Dv90の値が小さくなることを確認することができ、全体粒度分布で90%である時の大きさであるDv(90)の粒度大きさを通じて、多くの粒度が50μm以上、50μm以下、40μm以下、30μm以下、25μm以下、20μm以下、10μm以下であることを確認することができた。
【0107】
前述した本願の説明は例示のためのものであり、本願が属する技術分野の通常の知識を有する者は、本願の技術的思想や必須的な特徴を変更せずに他の具体的な形態に容易に変形可能なことが理解できる。従って、以上で記述した実施例は、全ての面で例示的なものであり、限定的ではない。例えば、単一型で説明されている各構成要素は分散して実施されてもよく、同様に分散したもので説明されている構成要素も結合された形態で実施されてもよい。
本願の範囲は、上記詳細な説明よりは後述する特許請求の範囲によって表され、特許請求の範囲の意味及び範囲、そしてその均等概念から導出される全ての変更または変形された形態が本願の範囲に含まれる。

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
【国際調査報告】