(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-22
(54)【発明の名称】マトリクス層を伴うサンプルホルダ
(51)【国際特許分類】
C12Q 1/6844 20180101AFI20240515BHJP
C12M 1/00 20060101ALI20240515BHJP
【FI】
C12Q1/6844 Z
C12M1/00 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2023569672
(86)(22)【出願日】2022-05-10
(85)【翻訳文提出日】2023-12-14
(86)【国際出願番号】 EP2022062537
(87)【国際公開番号】W WO2022238355
(87)【国際公開日】2022-11-17
(32)【優先日】2021-05-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517071081
【氏名又は名称】シングル テクノロジーズ アクティエボラーグ
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【氏名又は名称】森本 有一
(74)【代理人】
【識別番号】100211177
【氏名又は名称】赤木 啓二
(72)【発明者】
【氏名】ベングト サールグレーン
(72)【発明者】
【氏名】ヨーアン ストレームクビスト
【テーマコード(参考)】
4B029
4B063
【Fターム(参考)】
4B029AA07
4B029BB20
4B029FA15
4B063QA01
4B063QQ42
4B063QQ52
4B063QR08
4B063QR32
4B063QR35
4B063QR62
4B063QS24
4B063QX02
(57)【要約】
複数のサンプル部位(130)においてアッセイを行なうように構成された器具(300)のためのサンプルホルダ(100)において、各サンプル部位がコンカテマを含んでいるサンプルホルダ(100)が開示される。サンプルホルダは、回転可能な本体(110)と、マトリクス層(120)と、マトリクス層の上に配設された液体層とを含む。複数のサンプル部位は、マトリクス層内でマトリクス層の横方向および厚み方向の両方に分布しており、回転可能な本体は器具内に配設されて、複数のサンプル部位においてアッセイが行なわれている間、軸(A)を中心にして回転可能となるように構成されている。対応する方法(200)および器具(300)も同様に開示されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のサンプル部位(130)においてアッセイを行なうように構成された器具(300)のためのサンプルホルダ(100)において、
回転可能な本体(110)と;
前記回転可能な本体の外側表面を少なくとも部分的に被覆し厚みが100μm未満であるマトリクス層(120)と;
前記マトリクス層の外周を被覆する液体層と;
を含むサンプルホルダであって、
前記複数のサンプル部位が、前記マトリクス層内で、前記マトリクス層の横方向および厚み方向の両方に分布しており;ここで前記複数のサンプル部位の各々のサンプル部位がコンカテマを含み;かつ
前記回転可能な本体が前記器具内に配設されかつ、前記複数のサンプル部位において前記アッセイが行なわれている間、軸(A)を中心にして回転可能となるように構成されている、
サンプルホルダ。
【請求項2】
前記回転可能な本体が円筒形本体であり、前記外側表面が前記円筒形本体の側方表面である、請求項1に記載のサンプルホルダ。
【請求項3】
前記マトリクス層がゲル、例えばヒドロゲルを含む、請求項1または2に記載のサンプルホルダ。
【請求項4】
前記マトリクス層が、1.30~1.35の範囲内の屈折率を含む、請求項1ないし3のいずれか1項に記載のサンプルホルダ。
【請求項5】
前記コンカテマ間の平均ピッチが5μm未満である、請求項1ないし4のいずれか1項に記載のサンプルホルダ。
【請求項6】
前記マトリクス層が細孔(140)を含み、前記細孔が1μm未満の平均幅を有する、請求項1ないし5のいずれか1項に記載のサンプルホルダ。
【請求項7】
前記液体層が500μm未満の平均厚みを有する、請求項1ないし6のいずれか1項に記載のサンプルホルダ。
【請求項8】
前記器具により読み取られるように構成された識別子をさらに含み、前記器具が複数のサンプルホルダを収容するように構成されている、請求項1ないし7のいずれか1項に記載のサンプルホルダ。
【請求項9】
複数のコンカテマのアッセイを行なうための方法(200)において:
回転可能な本体の外側表面を少なくとも部分的に被覆し厚みが100μm未満であるマトリクス層内に前記複数のコンカテマを提供するステップ(210)であって、前記複数のコンカテマが横方向および厚み方向の両方で前記マトリクス層内に分布している、提供するステップと;
軸を中心として前記回転可能な本体を回転させるステップ(220)と;
前記マトリクス層の外周を被覆する液体層を提供するステップと;
前記サンプルホルダを回転させながら前記複数のコンカテマの前記アッセイの少なくとも一部を行なうステップ(230)と;
を含む方法。
【請求項10】
前記回転可能な本体が、前記回転可能な本体のアイデンティティと結び付けられた情報を担持する識別子を含み、
前記識別子を読み取り、前記回転可能な本体の前記アイデンティティを検索するステップと;
前記アイデンティティと結び付けられた少なくとも1つのアッセイパラメータを検索するステップと;
検索された前記少なくとも1つのアッセイパラメータにしたがって、前記アッセイを調整するステップと;
をさらに含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記アッセイの前記少なくとも一部を行なうステップが、前記軸に沿って前記回転可能な本体を走査するステップを含み、前記走査の範囲が、前記少なくとも1つのアッセイパラメータによって決定される、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記アッセイの前記少なくとも一部を行うステップが、温度を制御するステップを含み、前記温度の設定点が前記少なくとも1つのアッセイパラメータによって決定される、請求項10または11に記載の方法。
【請求項13】
前記アッセイを行なうステップが、前記液体層に対し試薬を添加するステップ(260)を含む、請求項9に記載の方法。
【請求項14】
前記試薬が、前記少なくとも1つのアッセイパラメータに基づいて選択される、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記試薬がフルオロフォアを含む、請求項13または14に記載の方法。
【請求項16】
前記複数のコンカテマを提供するステップが、前記マトリクス層内で複数の環状化DNAフラグメントを分布させるステップおよび前記環状化DNAフラグメントを増幅して前記コンカテマを形成するステップを含む、請求項9ないし15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
前記環状化DNAフラグメントを増幅するステップが、ローリングサークル増幅RCAを用いて行なわれる、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
各コンカテマが少なくとも1つのDNA鎖を含み、前記方法がデオキシリボース、dNTPを含むヌクレオシドトリホスフェートを前記DNA鎖に付着させるステップをさらに含み、前記dNTPが蛍光標識を含む、請求項9ないし17のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
前記アッセイがさらに、共焦点顕微鏡画像化を含む、請求項9ないし18のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
複数のコンカテマのアッセイを行なうように構成された器具(300)において:
複数のサンプル部位(130)を含むサンプルホルダ(100)と;
前記サンプルホルダに対し試薬を含む液体を提供するように配設された液体ディスペンサ(160)と;
前記複数のサンプル部位を照射し、前記複数のサンプル部位から発出または散乱した光子を検出するように構成された顕微鏡(310)を含む器具であって、
前記サンプルホルダが:
回転可能な本体(110)と;
前記回転可能な本体の外側表面を少なくとも部分的に被覆し厚みが100μm未満であるマトリクス層(120)と;
を含み、
前記マトリクス層が、前記マトリクス層の横方向と厚み方向の両方において前記マトリクス層内で分布させられるような形で前記複数のサンプル部位を含み;
前記複数のサンプル部位の各サンプル部位がコンカテマを含み;
前記液体ディスペンサが、前記マトリクス層の外周を被覆するために前記液体層を提供するように構成されており;
前記サンプルホルダは、前記器具内に配設され、前記顕微鏡が前記複数のサンプル部位から発出または散乱した前記光子を検出している間前記器具により回転させられるように構成されている、
器具。
【請求項21】
前記サンプルホルダが、前記サンプルホルダのアイデンティティと結び付けられた情報を担持する識別子を含み、前記器具が、前記識別子を読み取って前記サンプルホルダの前記アイデンティティを検索するように構成された読取り機をさらに含む、請求項20に記載の器具。
【請求項22】
前記サンプルホルダと前記顕微鏡を互いとの関係において並進運動させるように配設されたスキャナをさらに含み、前記並進運動の範囲が、検索されたアイデンティティに基づくものである、請求項20または21に記載の器具。
【請求項23】
さらに、前記検索されたアイデンティティに基づいて前記試薬を選択するように構成されている、請求項20ないし22のいずれか1項に記載の器具。
【請求項24】
前記アッセイ中に温度を制御するように配設された温度調節器をさらに含み、前記温度の設定点が前記検索されたアイデンティティによって決定される、請求項20ないし23のいずれか1項に記載の器具。
【請求項25】
さらに、前記検索されたアイデンティティに基づいて、
既定のスキャナ範囲;
既定の試薬;および
既定の温度設定点;
のうちの少なくとも1つをデータベースから検索するように構成されている、請求項20ないし24のいずれか1項に記載の器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は概して、サンプルに対してアッセイを行なうための技術、詳細にはDNAの配列決定に関する。
【背景技術】
【0002】
生化学的アッセイは、分析物またはサンプルの存在、量または機能的活性を定性的に査定するかまたは定量的に測定するための調査手順として知られている。このような手順の一例は、特許文献(国際公開第2016/030464号)の中で開示されており、共焦点スキャナおよび回転サンプルホルダが関与している。サンプルホルダは、円筒形本体を含み、サンプルは、円筒の外側表面上のウェルまたは溝内に配設される。スキャナは、ホルダがその長手方向軸を中心にして回転するにつれてサンプルを照射し画像化するように構成された共焦点顕微鏡を含んでいてよい。この技術は、例えばDNAの配列を決定するために利用されてよく、ここで、DNAの固定化された一本鎖のサンプルは、フルオロフォアの備わったヌクレオチド溶液(または試薬)でフラッシングされ、その後に、蛍光を測定しどのヌクレオチド(存在する場合)が鎖上に取込まれたかを決定するための画像化ステップが続く。回転するサンプルホルダの走査は、時間単位あたりの走査済みサンプル数の観点から見て比較的高いスループットを可能にし、これにより、統計学的方法およびビッグデータ解析の利用が可能になる。しかしながら、スループットは、各アッセイにおいて処理できるサンプルの最大数および最大走査速度などの実践上の考慮事項により制限されることが分かっている。
【0003】
概して1回のランにおいて処理可能なサンプルの数は、これらのサンプルをいかに密に充填することができるかによって制限され、これは、光回折限界およびサンプルホルダ上の利用可能な表面積によってそれ自体究極的に制限される。したがって、1回のランあたりのサンプル数を増加させるには、サンプルホルダをより大きくすることが必要になると思われる。このアプローチは、サンプルホルダの取扱いおよび走査に関して非実用的な解決法を導く場合がある。
【0004】
さらに一層大量の生物学的関連データの追求が、ハイスループットのアッセイ技術の開発を後押ししている。研究に広く採用され、これらの技術が臨床の場で実践される路を開くためには、アッセイ中で分析可能なサンプルの数を増大させ一回のアッセイあたりのコストを引き下げることが、極めて望ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、サンプルのアッセイを行なうための改良型技術を提供し、先行技術に付随する欠陥の少なくともいくつかを克服または軽減することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
発明力ある構想の第1の態様では、複数のサンプル部位においてアッセイを行なうように構成された器具のためのサンプルホルダにおいて、各サンプル部位が、それぞれのサンプルを収容するように構成されているサンプルホルダが提供されている。サンプルホルダは、回転可能な本体と、回転可能な本体の外側表面を少なくとも部分的に被覆するマトリクス層を含む。複数のサンプル部位は、マトリクス層内でマトリクス層の横方向および厚み方向の両方に分布していてよい。さらに回転可能な本体は器具内に配設されて、複数のサンプル部位においてアッセイが行なわれている間、軸を中心にして回転可能となるように構成されている。
【0008】
第2の態様では、複数のサンプルのアッセイを行なうための方法が提供されている。該方法によると、複数のサンプルは、回転可能な本体の外側表面を少なくとも部分的に被覆するマトリクス層内に提供されている。複数のサンプルは、横方向および厚み方向の両方でマトリクス層内に分布していてよい。さらにアッセイの少なくとも一部は、回転可能な本体が軸を中心として回転させられている間に行われる。
【0009】
第3の態様においては、以上で標示されているように、複数のサンプルのアッセイを行なうように構成された器具が提供される。この器具は、第1の態様にしたがったサンプルホルダと、複数のサンプル部位を照射し、複数のサンプル部位から発出または散乱した光子を検出するように構成された顕微鏡を含む。サンプルホルダは、回転可能な本体と、回転可能な本体の外側表面を少なくとも部分的に被覆するマトリクス層と、を含み、ここで、複数のサンプル部位は、マトリクス層内でマトリクス層の横方向と厚み方向の両方に分布していてよい。サンプルホルダは、器具内に配設され、顕微鏡が複数のサンプル部位から発出または散乱した光子を検出している間器具により回転させられるように構成されている。
【0010】
当該発明力ある構想は、層の横方向のみならず層の厚み方向にも分布した複数のサンプル部位を有するマトリクス層を提供することによってホルダがより多数のサンプルを収容できるという洞察に基づくものである。換言すると、マトリクス層は、サンプルを2次元表面上のみではなくむしろ3次元体積内に分布させることを可能にする。これにより、アッセイの間に大量のデータを獲得することが可能になる。したがって、当該発明力ある構想により、サンプルホルダのサイズを相応した程度に増大させる必要なく、より多数のサンプルが一回のランにおいて分析できるようになる。個別のサンプル部位間の平均ピッチは、いくつかの実施例において、5μm未満、例えば2μm未満、例えば1μm未満であってよい。
【0011】
いくつかの実施形態によると、回転可能な本体は、好ましくは直円柱に適合する円筒形本体であってよい。円筒形本体は、アッセイ中、円筒の長手方向軸を中心として回転させられるように構成されていてよい。変形実施形態において、回転可能な本体は、ディスクに適合する形状を有するか、または、上にマトリクス層を配設できるディスク状の領域を少なくとも含んでいてよい。ディスク状の本体(または領域)は、マトリクス層が上に配設されている表面に対し垂直な軸を中心として回転するように構成されていてよい。
【0012】
回転可能な本体を使用することの利点は、本体を比較的恒常な形で回転させることができ、こうして、加速無く定常状態運動を維持することが可能であるという点にある。運動手段としての回転は、精度の観点から見て有利であり、アッセイ中のサンプルの比較的予測可能で正しく制御された軌道を可能にする。好ましくは、軸は、サンプルホルダの回転対称軸であってよい。サンプルホルダがアッセイの一部の間回転させられ、アッセイの別の部分の間は固定位置に保たれる実施形態が、発明力ある構想の範囲内に包含されている。
【0013】
一実施形態によると、回転可能な本体は、複数のサンプル部位の各々がアッセイ中、またはサンプルの画像化を含めたアッセイの少なくとも一部の間に観察体積を通って移動させられるような形で回転するように構成されてよい。観察体積とは、その中では光源からの光および器具の検出器の視野が重なり合い、そこから観察体積内に配設されたサンプルの画像化中に光子が発出または散乱させられるマトリクス層内の体積として定義されてよい。
【0014】
サンプルホルダは、回転運動を生成するための手段と係合させられるように構成された結合用配設を含んでいてよい。結合用配設は、例えば、サンプルホルダと回転運動生成手段の間の機械的接触の無いトルク伝達を可能にする磁力を用いて動作してよい。結合用配設は例えば、サンプルを保持するために使用されるサンプルホルダの部品と干渉しないようにサンプルホルダの端部表面上に具備されてよい。さらに、結合用配設は、いくつかの実施例において、回転中にサンプルホルダを支持する回転軸受と係合するのに好適な表面部分を含む。回転軸受は例えば、空気軸受を構成していてよい。
【0015】
結合用配設は、器具への、器具からのそして器具内部の輸送などのサンプルホルダの取扱いを容易にすることができる。これは、例えば、結合用配設によりサンプルホルダを把持しサンプルホルダを目標の場所まで輸送するロボットアームなどの把持用配設を用いて達成されてよい。結合用配設はさらに、器具または器具の内部および/または外部の異なる場所へまたはそこからのサンプルホルダの挿入および取出しを容易にするように構成されていてよく、好ましくは、目標の場所において対応する収容構造と協働するように構成されていてよい。サンプルホルダの輸送は、例えば、アッセイが異なる物理的場所またはステーション全体に分散していて、サンプルの画像化を1つの場所で、そして反応を別の場所で行なう可能性のある場合などに必要とされ得る。
【0016】
さらに、1つのアッセイ中または一連のアッセイ中に複数のサンプルホルダが使用されてよく、第1のサンプルホルダの画像化が終了した時点で第1のサンプルホルダを第2のサンプルホルダで置換することができる。画像化の後、第2のサンプルホルダが画像化されている間に第1のサンプルホルダを別のステーションへ輸送して反応を実施し、反応を行なうために、次に第2のサンプルホルダの画像化が終了した時点で第1のサンプルホルダを画像化ステーションに戻すことができる。いくつかの実施例において、複数のサンプルホルダを予め、すなわち「オフラインで」準備し、アッセイの開始を待つ間中間保管場所に保管してもよい。これにより、器具の使用可能時間を延長し、アッセイのリードタイムを短縮することができる。
【0017】
この目的のため、サンプルホルダは、器具によって読取られ、器具が個別のサンプルホルダを識別しその経過を追うことができるようにする識別子を含んでいてよい。器具はさらに、アイデンティティと結び付けられた少なくとも1つのアッセイパラメータを検索し、パラメータにしたがってアッセイを調整または構成するように構成されてよい。パラメータは、例えば、アッセイ中にサンプルホルダが回転する中心となる軸に沿って、走査範囲を決定することができる。パラメータは、さらなる実施例において、アッセイを実施し得る温度の設定点を決定することができる。この設定点を用いて、器具は温度を相応して制御することができる。さらなる実施例では、アッセイのために使用される試薬は、アッセイパラメータに基づいて決定されてよい。
【0018】
アッセイパラメータは、識別子が通信可能に接続されてよいデータベース中に記憶されてよい。データベースは、サンプルホルダのアイデンティティと結び付けられたアッセイパラメータならびに、例えばスキャナ範囲およびスキャナ設定値などの他のパラメータのリストを含んでいてよい。
【0019】
マトリクス層とは、アッセイ中にサンプルホルダにサンプルを保持するかまたは定着させる能力を有する材料または構成要素として理解されてよい。より具体的には、マトリクス層は、サンプルを内部に少なくとも部分的に包埋し、ホルダの回転中機械的に固定することのできる複数のサンプル部位を提供するように構成されてよい。したがって、マトリクス層は、内部にサンプルをそれぞれのサンプル部位に分布させ配設することのできる連続相に類似していてよい。したがって、サンプル部位なる用語は、マトリクス層内の実際のサンプルの空間的場所として言及されてよい。
【0020】
いくつかの実施形態によると、マトリクス層は、ゲル、例えばヒドロゲルを含んでいてよい。ヒドロゲルの例としては、ポリアクリルアミド(PA)ゲル、ポリヒドロキシエチルメタクリレート(pHEMA)ゲル、およびアガロースゲルが含まれる。ゲルは、ほとんどまたは全く流動性を示さない可能性のある架橋系として理解されてよい。有利には、ゲルは、液体状態で回転可能な本体に提供され、その後重合プロセスを用いて(実質的に)非流動性状態にされてよい。重合プロセスは例えば、ゲル化剤の添加、加熱または紫外線への曝露によって開始されてよい。回転可能な本体は、外側表面に対する充分な接着を促すためにゲルを提供する前に結合剤で処理されてよい。しかしながら、本発明の範囲内には、回転可能な本体に対しゲルを適用する他の方法も包含されており、例えば、接着剤を用いて回転可能な本体の外側表面に重合ゲルシートを貼付してもよい。サンプルは、重合の前または後でゲルに添加されてよい。DNAフラグメントを含むサンプルの場合、フラグメントを重合後にゲルに添加し、ゲル内で増幅させてよい。
【0021】
マトリクス層は、マトリクス層とサンプルホルダに存在し得るいずれかの水性液体との間の光の透過を容易かつ単純にするため、液体水の屈折率に類似する屈折率を有していてよい。このことは、以下で論述するように、マトリクス層が液体層により被覆されている場合に極めて有利である。屈折率は、例えば、1.30~1.35の範囲内にあり、例えば1.33であってよい。
【0022】
マトリクス層は、2つ以上の層で適用されてよく、したがって、複数の副層で形成されていてよい。一実施例において、サンプルは、第1の副層を含むホルダにサンプルを提供し、その後、第1の副層の上または外部に配設された第2の副層に包埋されるかまたは被覆されてよい。副層は互いに類似の組成を有していてもよく、または異なるものであってもよい。
【0023】
マトリクス層は、マトリクス層を通した試薬などの物質の拡散または輸送を可能にするように構成されていてよい。これは、例えば、マトリクス層が多孔質材料で形成されかつ/またはマトリクス層を通って延在する細孔構造を含んでいることによって達成または促進され得る。細孔は、50μm未満、例えば10μm未満、例えば1μm未満の平均幅を有していてよい。ヒドロゲルがこのような多孔質材料の例である。ポリアクリルアミドゲルを含む実施形態において、多孔質は、未重合ゲル中のアクリルアミドの適切な濃度およびアクリルアミドとビス-アクリルアミドの間の適切な比率を選択することによって、ゲルの調製中に制御されてよい。
【0024】
さらに、マトリクス層は、試薬などの添加される物質が、拡散によりサンプルにアクセスできるようにするため、比較的薄いものであってよい。層の使用可能な厚みはさらに、走査深度および共焦点分解能(共焦点顕微鏡の場合)などの、画像化システムの利用可能な性能によって決定されてよい。共焦点画像化を使用することにより、マトリクス層内に異なる深度で分布させられたサンプルを、異なる共焦点平面を使用して画像化することができ、したがって、マトリクス層の深さ方向のサンプルの充填密度は、画像化システムの利用可能な共焦点分解能によって制限され得る。一実施例において、走査深度は例えば約100μmで、共焦点分解能は約0.7μmであってよい。したがって、いくつかの実施形態によると、マトリクス層は、0.1~1000μm、例えば1~100μmかつ、例えば10~30μmの範囲内の厚みを有していてよい。具体的実施例において、マトリクス層は、100μm以下、例えば40μm未満の厚みを有していてよい。さらに、サンプル部位は、0.7μm以上の平均距離で厚み方向に分布していてよい。
【0025】
さらに、マトリクス層の厚みは、マトリクス層自体の機械的特性、例えば回転中充分な機械的安定性を維持することのできる最大厚みに基づいて決定されてよい。
【0026】
マトリクス層の拡散特性は、サンプルに試薬を添加するステップを含むアッセイを可能にし得る。試薬は、例えば液体中に含まれていてよく、これをマトリクス層上に液体層の形で提供することができる。液体層は例えば、サンプルホルダが回転してマトリクス層全体にわたる液体の均等な分布を促す間にマトリクス層上に提供されてよく、こうして、液体層はマトリクス層の外周を被覆することになる。スピニングディスクとして整形されている回転可能な本体については、液体層は、スピンコーティングを用いて形成されてよい。液体層はさらに、円筒形のサンプルホルダにとって極めて有利であり得るスキージー、ドクターブレード、またはスライドガラスなどの整形ツールを用いて形成されてよい。マトリクス層と整形ツールとの間の毛細管力が、整形ツールの幅全体にわたりサンプルホルダに加えられる液体の分布を補助し得る。液体層は、回転により誘発された粘性せん断力によって、マトリクス層の表面上に保定されてよい。液体層の外側表面は、空気に曝露されてよい。比較的薄い液体層内に試薬を添加することには、試薬をマトリクス層内部で比較的急速にかつ効率良く分散させることができるという利点がある。さらに、試薬は、マトリクス層の深さ方向にも分散したサンプルに達することができるため、マイクロ流体フローセルなどの先行技術に比べてより効率良く使用され得る。したがって、試薬単位体積あたりのサンプル数は、先行技術と比べて増大し得る。
【0027】
一実施形態によると、液体および/または試薬をサンプルホルダに供給するために液体ディスペンサを具備してよい。液体ディスペンサは、サンプルホルダ上の所与の位置および/または時間に液体層内に存在するように特定のまたは追加の反応物質を提供するように構成されていてよく、これにより液体層の化学的組成および特性を迅速に調節することが可能となる。
【0028】
上述の態様および実施形態は、DNAフラグメントなどのDNAを含むサンプルのアッセイを行なうために利用されてよい。好ましくは、アッセイ由来の結果は、DNA配列を決定するために処理されてよい。DNAフラグメントは、精確さを向上させかつ画像化積分時間を短縮するために増幅されてよい。増幅されたDNAフラグメントは、アンプリコンと呼ばれる。DNAフラグメントは、ローリングサークル増幅(RCA)を用いて増幅されてよい。RCAには等温であるというメリットがあり、それによりコピーは原初のDNAフラグメントから作られることから増幅プロセスが単純化され誤差は削減され得る。代替的には、ポロニー増幅を応用してもよい。これは、ポリアクリルアミド基質上でDNAをインサイチュで増幅するための方法である。DNAの運動はポリアクリルアミドゲル中では制限されていることから、増幅されたDNAはゲル内で局在化され、いわゆる「ポロニー」すなわちポリメラーゼコロニーを形成する。本発明の範囲から逸脱することなく、マトリクス内でアンプリコンを創出するために他の増幅方法を使用してもよい。
【0029】
RCAによって創出されたアンプリコン、すなわち増幅されたフラグメントの長い反復的一本鎖は、コンカテマまたはRCA産物と呼ばれてよく、その自己崩壊特性の結果として、綛様形成を呈し得る。RCA産物は、横方向およびマトリクス層の厚み方向に沿っての両方に分布することができ、こうして、サンプルが表面上でのみ分布している従来のサンプルホルダに比べてサンプル数を10~1000倍増加させることから、極めて有用である。さらに、PCA産物には、マトリクス層の細孔内に捕捉され得る幾何形状を有する傾向があり、これにより、サンプルを化学的に結合または定着させる必要性が削減されるということが考察されている。
【0030】
合成による配列決定(SBS)は、いくつかの実施形態にしたがって利用可能な配列決定技術の一例である。しかしながら、ハイブリダイゼーションおよびライゲーション方法などの他の方法も同様に構想可能である。SBS中、増幅されたDNAフラグメントは、典型的には或る種のブロッキング分子を伴う、蛍光標識ヌクレオチド、およびポリメラーゼ、すなわちプロセスの触媒として作用するための酵素を用いて、塩基毎に並行して合成されてよい(全て、集合的に配列決定化学と呼ばれる)。さまざまな精確さおよびリード長(すなわち、合成すべき可能な塩基数)に関連して、さまざまな配列決定化学が知られている。
【0031】
例えば次世代のDNA配列決定において、並列化されたアッセイを行なう場合、化学反応および画像化ステップは典型的に何回も反復される。単一のサイクルには例えば、ブロッカおよび蛍光標識を備えたヌクレオチド溶液(または反応媒質)での、一本鎖DNAを含む固定化されたサンプルのフラッシングステップ、余剰のヌクレオチドを除去するための第2のフラッシング作業、そして蛍光を測定しどのヌクレオチドがそれぞれの鎖上に取込まれたかを決定するための画像化ステップが関与してよい。情報が抽出された時点で、ブロッカおよび蛍光標識を付着したヌクレオチドから除去することができ、かつそれぞれの鎖上への取込みおよびDNA鎖の次の文字の読取りのために、別の試薬セットを添加することができる。これらの作業およびステップは、DNA配列が確立されるまで、何度も反復してよい。
【0032】
上述の液体ディスペンサは、マトリクス層に対して液体および/または試薬を添加するために使用され得、このマトリクス層はそれ自体、アッセイ中のサンプル部位に対する液体および/または試薬の効率の良い拡散を可能にするように構成されていてよい。
【0033】
したがって、該方法は、マトリクス層に対して蛍光標識されたヌクレオチドとポリメラーゼを含む試薬を添加するステップを含むことができる。試薬は、例えば、サンプルのDNA鎖中の第1塩基に結合し得る、デオキシリボースを含有するヌクレオシドトリホスフェートdNTPを含んでいてよい。試薬はさらに、さらなるdNTPが鎖に付着するのを防止する第1のタイプのブロッカを含んでいてよい。蛍光標識されたヌクレオチドは、その後、例えば共焦点式に画像化されてよい。いくつかの実施例において、該方法は、DNAの構築ブロックを表わすために使用される4文字、A、C、GおよびTに対応する、4つのタイプのブロッカを伴う蛍光標識ヌクレオチドを添加するステップを含んでいてよい。典型的には、各々の文字を標識するために、1つのタイプのフルオロフォアが使用される。したがって、共焦点画像化は、各文字に1つずつの4つの画像化ステップを含んでいてよい。情報が抽出された時点で、付着されたヌクレオチドからブロッカおよび蛍光標識を除去してよく、DNA鎖の次の文字を読取るために、別の試薬セットを添加することができる。当業者にとっては明白であるように、この主題についてのいくつかの変形形態が構想可能である。例えば、それぞれの文字各々に対応するヌクレオチドを、中間画像化ステップと共に1つずつ追加することができる。このようにして、2つ以上のタイプのヌクレオチドを標識するために、同じタイプのフルオロフォアを使用することができる。さらに、いくつかの化学反応において、ブロッカを削除することができる。
【0034】
上述のサンプルホルダおよび器具は、タンパク質またはRNAサンプルなどの、DNAサンプル以外のサンプルのアッセイを行なうためにも等しく適正に使用することができる。いくつかの実施形態において、サンプルは、マトリクス層内に分布した組織および/または細胞を含む場合がある。サンプルは、ゲノムの特定の部分またはRNA鎖に付着したカスタマイズされた遺伝子タグを含むことができる。タグを増幅してアンプリコン、例えばコンカテマを形成し、上述の方法で読取ることができる。これにより、サンプル中のどこで特定の遺伝子が発現されているかの空間的情報を提供することができる。
【0035】
本発明のさらなる目的、特徴および利点は、以下の詳細な開示、図面および添付クレームを検討することで明白になるものである。当業者であれば、本発明の異なる特徴が、たとえ異なるクレーム中に記載されていても、以下で説明するもの以外の実施形態中で組合せ可能であることを認識する。
【0036】
本発明のこの態様および他の態様についてここで、本発明の実施形態を示す添付図面を参照しながらさらに詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【
図1a】
図1aは、本発明の例示的実施形態に係るサンプルホルダを概略的に示す。
【
図1b】
図1bは、本発明の例示的実施形態に係るサンプルホルダを概略的に示す。
【
図2a】
図2aは、本発明の例示的実施形態に係るディスク状のサンプルホルダの上面図および断面側面図を概略的に示す。
【
図2b】
図2bは、本発明の例示的実施形態に係るディスク状のサンプルホルダの上面図および断面側面図を概略的に示す。
【
図3a】
図3aは、本発明の例示的実施形態に係る細孔を含むサンプルホルダを概略的に示す。
【
図3b】
図3bは、本発明の例示的実施形態に係る細孔を含むサンプルホルダを概略的に示す。
【
図4a】
図4aは、本発明の例示的実施形態に係る方法を概略的に示す。
【
図4b】
図4bは、本発明の例示的実施形態に係る方法を概略的に示す。
【
図5】
図5は、本発明の例示的実施形態に係る複数のサンプルのアッセイを行なうように構成された器具を概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0038】
図1a~bは、回転可能な本体110を含むサンプルホルダ100を概略的に示す。サンプルホルダ100はさらに、マトリクス層120を含み、ここでマトリクス層120は回転可能な本体110の外側表面を少なくとも部分的に被覆する。マトリクス層120は、ポリアクリルアミド(PA)ゲルなどのヒドロゲルであってよく、これは回転可能な本体110の外側表面上に配設されてよい。サンプルは、サンプルホルダ100上に配設される前にマトリクス層120内に分布し/包埋されていてよい。これにより、マトリクス層120内の統合および固着を促進することができる。サンプルは、配設後にマトリクス層120内に分布し/包埋され、ヒドロゲルの場合には、回転可能な本体の外側表面上で重合させられてよい。マトリクス層120の厚みT1は、好ましくは100μm未満、より好ましくは40μm未満であってよい。マトリクス層120は、複数のサンプル部位130でサンプルを収容するように構成されており、複数のサンプル部位130は、マトリクス層120内でマトリクス層120の横方向および厚み方向の両方に分布している。ここで、厚み方向は、回転可能な本体110の長手方向軸からの半径方向として定義されてよい。
【0039】
図1a~bにおいて、回転可能な本体110は、円筒形であるものとして例示されている。回転可能な本体110は、複数のサンプル部位でアッセイが行なわれている間、その軸を中心として回転するように構成されている。換言すると、回転可能な本体110は、サンプルに対してアッセイを行なうことができるような形でマトリクス層120内に存在するサンプルを移動させるために軸を中心にして回転させられるように構成されている。サンプル部位130は、マトリクス層120の3次元体積内のどこに配設されてもよく、例えば、この3次元体積は、複数のサンプル部位130により収容された複数のサンプルが半径方向で互いの上に配設されることを可能にする。
【0040】
図1aに標示されているように、回転可能な本体110は、回転運動を生成するための手段および/またはサンプルホルダ100を輸送するための手段(図示せず)と係合されるように構成された結合用配設112を含んでいてよい。結合用配設112は、マトリクス層120と干渉しないように回転可能な本体110の端部表面上に具備されてよい。結合は、回転運動の非接触式伝達を提供する磁気結合であってよく、さらに、器具内へのサンプルの挿入または器具からのサンプルの取出しを容易にするように構成されていてよい。代替的にまたは付加的に、結合用配設は、回転運動を生成するための手段内の対応する構造と嵌合可能な軸受座114を形成する表面部分を含んでいてよい。例示的軸受は、回転中の無摩擦懸架を提供する空気軸受である。
【0041】
図2a~bは、ディスク状のサンプルホルダ100の上面図および断面側面図を概略的に示す。
図2a~bは、
図1a~b内のサンプルホルダ100と類似したものであってよいサンプルホルダ100を例示している。しかしながら、
図2a~b中のサンプルホルダ100は、形状が円筒ではなくディスクの形状であるという点で、
図1a~b中のサンプルホルダ100と異なっている。サンプルホルダ100の構成および動作の多くの特徴が
図1a~b中に描かれているものと実質的に類似していてよいことから、
図1a~b中に例示されている実施形態に共通の特徴についての詳細な説明は、簡潔さのために省略されている。
【0042】
図2a~b中では、回転可能な本体110は、実質的に平担なディスクであってよい。サンプルホルダ100は、その中心軸Aを中心に回転可能となるように構成されている。マトリクス層120は、回転可能な本体110の外側表面の1つを少なくとも部分的に被覆するように配設されており、外側表面は、軸Aに実質的に直交する平面内にある。
図2a~bにおいて、厚み方向は軸Aと平行である。
【0043】
図3a~bは、器具300用のサンプルホルダ100の断面図を概略的に示す。サンプルホルダ100は、
図1a~bおよび2a~bの実施形態と類似の形で構成されてよく、したがって、回転可能な本体110、マトリクス層120およびサンプル部位130を含んでいてよい。器具300は、複数のサンプル部位130においてアッセイを行なうように構成され、各サンプル部位130は1つのサンプルを収容するように構成されている。マトリクス層120は、複数のサンプル部位130への試薬の拡散を可能にする細孔140を含むヒドロゲルなどの多孔質材料で形成されていてよい。細孔140は、試薬を担持する液体がマトリクス層120内に拡散できるようにし、こうしてサンプル部位130におけるサンプルへの試薬の輸送を可能にするチャネルまたは通路として定義されてよい。試薬は、サンプルに付着させられるように構成されてよい。さらに、試薬は、照射時に光を発出するように構成されたフルオロフォアを含んでいてよい。細孔140はいくつかの実施例において、1μm未満の平均幅を有していてよい。細孔は、複数のサンプル部位130への試薬の拡散を少なくとも部分的に可能にするかぎりにおいて、さまざまな形状およびサイズを有していてよいということを理解すべきである。
【0044】
ヒドロゲルなどのマトリクス層120は、
図3b中で標示されているように、光がサンプルに到達できるようにし、かつサンプルによって発出された光がヒドロゲルから退出できるようにするべく構成されてよい。概して、ヒドロゲルは、ヒドロゲル層120とアッセイ中に存在し得るいずれかの追加の水性液体との間の光の透過を促すことのできる、水の屈折率に類似する屈折率、すなわち例えば1.30~1.35の範囲内の屈折率を含んでいてよい。
【0045】
したがってサンプルホルダ100は、マトリクス層120内のサンプルを照射するために少なくとも1つの光源311によって発出された光を受光するように構成されていてよい。少なくとも1つの光源311は好ましくはレーザダイオードであってよい。サンプルは、少なくとも1つの光源311によって発出される入射光の結果として蛍光を発出できる。器具300は、サンプルが発出したまたは散乱させた光を検出するように構成された検出器322を含んでいてよい。検出器322は、例えば、蛍光を検出できてよい。少なくとも1つの光源311および検出器322は、内部で少なくとも1つの光源311からの光と検出器322の視野が重なり、そこからアッセイ中に光子が発出されるかまたは散乱させられ得る観察体積(
図3b中に正方形で標示)を画定するように構成されている。器具はさらに、光源311から観察体積まで光を透過しかつ/または観察体積から検出器322まで光を透過するように配設された対物レンズ(図示せず)を含んでいてよい。
【0046】
図3a~bに標示されているように、観察体積と対物レンズの間に光学的接触を提供するために、サンプルホルダ100上に液体層150を提供してよい。マトリクス層120が多孔質であることを条件として、液体層内に含まれる液体は、多孔質構造に浸透し、マトリクス層内に配設されたサンプルを包み込むことができる。したがって、液体層に追加された試薬は、マトリクス層内に流れ込み、マトリクス層内に包埋されたサンプルと相互作用することができる。任意には、対物レンズと液体層の間にカバーガラスを具備してよい。カバーガラスと対物レンズの間には、光学経路を提供するために液浸油を具備してよい。それぞれ光源、観察体積および検出器の間の光学的接触を保証するために、マトリクス層120が透明であると有利である。液体層のものに近い屈折率をマトリクス層120に具備することによって、観察体積へのおよび/または観察体積からの光の望ましくない屈折が防止される。例えば、液体層は、約1.33の屈折率を有する水層を含んでいてよく、マトリクス層120は、1.3~1.35の範囲内の屈折率を有するヒドロゲルを含んでいてよい。
【0047】
液体層150は、液体ディスペンサ160そして任意には液体層整形ツール170、例えばスキージー、ドクターブレード、カバーガラスなどを用いて提供されてよい。液体ディスペンサ160は、マトリクス層に液体を追加するように構成されていてよく、液体層整形ツール170は、サンプルホルダ100が回転する間に液体を所望の厚みの実質的に均一な液体層に分布させるように構成されていてよい。液体層の厚みは、サンプルホルダ100と液体層整形ツール170の間の潤滑圧力および毛細管力の間のバランスによって決定されてよい。液体層の厚みは、500μm未満、例えば250μm未満、例えば100μm未満であってよい。
図2a~bにしたがったディスク状の回転可能な本体を含む実施形態において、類似の構成を提供してもよい。
【0048】
アッセイには、共焦点顕微鏡画像化または光シート蛍光顕微鏡画像化などの顕微鏡画像化が関与していてよい。顕微鏡のセットアップに応じて、アッセイには、例えばサンプルについての情報を得るためにサンプル部位全体にわたり顕微鏡の焦点を走査することによって、数百または数千もの観察体積を画像化するステップが関与していてよい。観察体積のサイズは、サンプルよりも小さくてよく、したがって、サンプルに関してより多くの情報を得るためには、多数の観察体積からのデータを考慮に入れる必要があるかもしれない。サンプルの画像化は、回転可能な本体110が回転し、こうして観察体積を通してサンプルを移動させるにつれて行なうことができる。
【0049】
図4aは、複数のサンプルのアッセイを行なうための方法を概略的に示している。該方法200は、回転可能な本体の外側表面を少なくとも部分的に被覆するマトリクス層内に複数のサンプルを提供するステップ210を含む。複数のサンプルは、マトリクス層内でマトリクス層の横方向および厚み方向の両方に分布させられる。マトリクス層は、ヒドロゲルなどのゲルを含んでいてよい。複数のサンプルは、回転可能な本体の外側表面上にマトリクス層が配設/適用される前にマトリクス層内に分布し/包埋されてよい。したがって、複数のサンプルは、ゲル構造上への統合および固着を促進するために、ゲルの重合前にゲル混合物に添加されてよい。さらに、複数のサンプルは、回転可能な本体の外側表面上に配設された後にマトリクス層に対し添加されてもよい。例えば、複数のサンプルがDNAフラグメントを含み、マトリクス層がヒドロゲルを含む場合、回転可能な本体の外側表面上でのゲルの重合後にマトリクス層に対し複数のサンプルを添加してよい。該方法200はさらに軸を中心として回転可能な本体を回転させるステップ220を含む。該方法200はさらに、回転可能な本体を回転させながら複数のサンプルのアッセイを行なうステップ230を含む。アッセイは、共焦点顕微鏡の画像化を含んでいてよい。共焦点顕微鏡画像化は、複数のサンプルを画像化し、DNA配列情報を検索するために応用されてよい。共焦点顕微鏡画像化システムの代替案は、2光子励起画像化システム、広視野画像化システム、多光子画像化システムおよび光シート画像化システムである。アッセイを行なうステップ230は、複数のサンプルに対して試薬を添加するステップを含んでいてよく、ここで試薬はフルオロフォアを含んでいてよい。例えば、蛍光標識されたヌクレオチド中に含まれ得るフルオロフォアが、複数のサンプルに結合し共焦点顕微鏡画像化を用いて画像化されるように構成される。該方法200は、DNAの構築ブロック、ヌクレオチドを表わすのに用いられる4つの文字A(アデニン)、C(シトシン)、G(グアニン)およびT(チミジン)のうちのそれぞれ1つを標識するために4つのタイプのフルオロフォアを有するステップを含んでいてよい。典型的には、異なる文字を標識するために、異なるタイプのフルオロフォアが使用される。したがって、共焦点画像化には、各文字について1つずつの4つの画像を撮るステップが含まれていてよい。1つの文字/核酸塩基についての情報が抽出された時点で、その塩基に関連するフルオロフォアを除去し、別の試薬セットを添加して、DNA鎖の次の塩基を合成し読取ることができる。
【0050】
図4bは、
図4aに描かれているステップ210、220および230を含む方法を示す。
図4b中、方法200はさらに、マトリクス層上に試薬を含む液体層を提供するステップ240を含んでいてよい。液体層を提供するステップ240は、液体ディスペンサによって行なわれてよい。液体層を提供するステップ240により、複数のサンプルに対する試薬の添加ステップを容易にすることができる。液体層を提供するステップ240は、試薬を複数のサンプルに対しより均一に分布させることを可能にすることができる。これは特に、液体層が提供された時点240で回転可能な本体が回転している場合に言えることであり得る。
【0051】
複数のサンプルは、環状化されたDNAフラグメントなどのDNAフラグメントを含んでいてよい。複数のサンプルは、コンカテマまたはポロニーなどのDNAアンプリコンを含んでいてよい。該方法200はさらに、複数のサンプル中に存在するDNAの増幅を行なうステップ250を含んでいてよい。DNA増幅の例としては、ローリングサークル増幅、RCA、ワイルドファイヤ増幅およびブリッジ増幅が含まれる。概して、増幅は、マトリクス層内に複数のサンプルを分布し/包埋する前、またはその後のいずれかで行なわれる。複数のサンプルは、少なくとも1つのDNA鎖を含んでいてよく、該方法200はさらに、DNA鎖にdNTPを付着させるステップ260を含んでいてよい。dNTPは、デオキシリボースを含有するヌクレオシドトリホスフェートである。dNTPは、さらなるdNTPがDNA鎖に付着するのを防止するブロッカを含んでいてよい。該方法200はさらに、複数のサンプルのDNA配列情報を提供するステップ270を含んでいてよい。
【0052】
該方法200は、ステップ240、250、260および270の任意の組合せを含んでいてよいということを理解すべきである。換言すると、該方法200は、例えば、液体層を提供するステップ240を含むもののステップ250、260および270は含まなくてもよい。
【0053】
図5は、複数のサンプルのアッセイを行なうように構成された器具300を概略的に示す。器具300は、
図1a~b、2a~bおよび3a~b中のサンプルホルダ100に類似する複数のサンプルを収容するように構成されたサンプルホルダ100を含む。サンプルホルダ100の構成および動作の多くの特徴が、
図1a~b、2a~bおよび3a~bで描かれたものに実質的に類似することから、
図1a~b、2a~bおよび3a~b中で例示された実施形態に共通の特徴の詳細な説明は、簡潔さのために省略されている。器具300はさらに、複数のサンプルを照射し複数のサンプルから発出または散乱させられた光子を検出するように構成された共焦点顕微鏡310を含む。回転可能な本体110は、器具300内に配設され、共焦点顕微鏡310が複数のサンプル由来の光/光子を検出する間、器具300によって回転させられるように構成されている。回転可能な本体110は、軸を中心にして回転してよく、こうして回転可能な本体110の外側表面から一定の距離のところでマトリクス層120内に配設されたサンプルに由来する光子が回転可能な本体110の一回転中に検出されてよい。
【0054】
図5において、共焦点顕微鏡310は、複数のサンプルを照射するように構成された少なくとも1つの光源311を含む。少なくとも1つの光源311は、コリメート光ビームを発出するように構成された複数のレーザダイオードであってよく、ここで複数の光源311に由来する多数の光ビームは、ダイクロイックビームスプリッタ312を介して同じ光学経路内へと合体されてよい。同様に、ビームを異なる角度で偏向させるためにミラーを用いて同じ光学経路内に異なる光ビームを導くことも構想可能である。光ビームは、その後マイクロレンズアレイ314上で、任意にはミラー313を介して入射ビームにされ、マイクロレンズアレイ314の他方の側の焦平面315内で焦点アレイを生成することができる。チューブレンズ316を、その焦平面がマイクロレンズアレイ314の焦平面と一致する状態で設置することができる。したがって、チューブレンズ316は、コリメートビームの対応するアレイを生成する。このコリメートビームアレイは、その後、45度の角度の付いたビームスプリッタ317に対して反射させられてよく、その後対物レンズ318上に入射してよい。他の実施形態において、コリメートビームは、半透明ミラーに対して反射させられてよい。対物レンズ318は好ましくは、前記対物レンズ318のアパーチャがチューブレンズ316の焦平面に設置されるような形で設置される。このようにして、最大限の光が対物レンズ318のアパーチャ内に入る。対物レンズ318内の光の通過によって、マトリクス層120上に定着させられた調査対象の回転するサンプルが通過する体積内において観察体積を画定する焦点アレイが生成される。
【0055】
サンプルホルダ110上に配設された照射されたサンプル内の観察体積からの散乱光および/または蛍光を、その後対物レンズ318によって収集し、視準させてビームスプリッタ317を通過させる。このとき、第2のチューブレンズ319が、ファイババンドル321を介して各観察体積からの光が検出器322上で入射光になる前に光を空間的に濾過するピンホール(または任意には光ファイバ)のアレイ320上に観察体積の画像を生成し得る。検出器322は好ましくは、ガイガーモードで作動するアバランシェフォトダイオードのアレイである。検出器322からの信号は、信号処理ユニット323内で処理される。照射光を生成するために使用されるレーザダイオードは、利用分野に応じて連続波モードかまたはパルスモードのいずれでも作動できる。フルオロフォアを励起するために照射光が使用される場合、パルス光が時として有利である。フルオロフォアによって発出された光のみが検出されることを保証するためには、ビームスプリッタ317とピンホール(または光ファイバ)アレイ320の間のビーム経路内のどこかに、好適なフィルタ(図示せず)を導入してよい。好ましくは、フィルタは、ビームスプリッタ317と第2のチューブレンズ319の間に設置される。
【0056】
複数のサンプルの共焦点画像化は典型的には、サンプルホルダが回転している間に行なわれる。さらに、器具300は、複数のサンプルに対する試薬の添加を容易にするために、液体ディスペンサ160および液体層整形ツール170を含んでいてよい。
【0057】
器具300は、いくつかの実施形態によると、サンプルホルダ100のアイデンティティに結び付けられた情報を検査するための識別手段を含んでいてよい。情報は例えば、サンプルホルダ100内に含まれた識別子内に含まれていてよく、サンプルホルダ100が器具300内に挿入されていくにつれて器具300の識別手段が情報を読取ることを可能にする。サンプルホルダ100に識別子を具備することにより、サンプルホルダのアイデンティティを、分析すべき特定のサンプルに関する情報と結び付けることが可能である。したがって、サンプルホルダのアイデンティティは、正しいまたは所望のアッセイを行なうのに必要とされる情報に対する鍵となり得る。アイデンティティは、例えばスキャナの設定値、タイプまたは試薬、またはアッセイを行なうべき温度に関するサンプル特異的(またはホルダ特異的)アッセイパラメータを、器具上または遠隔の場所のいずれかにあるデータベースからロードするために、器具によって使用されてよい。さらに、アイデンティティは、トレーサビリティ目的で使用されてもよい。
【0058】
識別子は例えば、必要な情報を保持するバーコードまたはRFIDの形で提供されてよい。しかしながら、当業者には明白であるように、他の形態の情報保持手段も同様に、発明力ある構想から逸脱することなく使用可能である。
【0059】
サンプルホルダは、いくつかの実施例において、器具により可読である第1の識別子、および人間のオペレータにより可読である第2の識別子を含んでいてよい。これによりオペレータは、器具が読取った情報を確認すると同時に、第1の識別子の読取りに失敗した場合に手作業で情報を入力することもできる。
【0060】
本明細書中で開示されている器具300および共焦点顕微鏡310の特定の構成要素および正確なセットアップは、単に一例にすぎないということを理解すべきである。例えば、器具300は、1つの光源311のみを使用すること、または異なる波長などの異なる特性を有する光を発出する多数の光源311を使用することが充分可能である。さらに、ミラー、ビームスプリッタ、アパーチャおよびピンホールの数および使用は、マトリクス層120内のサンプルの共焦点画像化を行なうことができるかぎり変動してもよい。
【0061】
さらに、請求対象の発明を実践するにあたり、当業者は、図面、開示および添付のクレームを検討することによって、開示された実施例に対する変形形態を理解し、実施することができる。互いに異なる従属クレーム中に一定の対策が記載されているという事実だけで、これらの対策の組合せを有利に使用することは不可能であるということが標示されるわけではない。
【0062】
1つの態様に関連して説明された特徴は、他の態様にも取込むことができ、特徴の利点は、それが取込まれている全ての態様に適用可能である。当該発明力ある構想の他の目的、特徴および利点は、詳細な開示、添付クレームならびに図面から明白になるものである。
【0063】
概して、クレーム中で使用されている全ての用語は、本明細書中で明示的に別段の定義がなされているのでないかぎり、技術的分野におけるその通常の意味にしたがって解釈されるべきである。さらに、本明細書中の「第1の」、「第2の」、および「第3の」なる用語の使用は、いずれかの順序、数量または重要性を表しておらず、むしろ、1つの要素を別の要素と区別するために使用される。「a/an/the[要素、装置、構成要素、手段、ステップなど]」に対する全ての言及は、明示的に別段の記述が無いかぎり、前記要素、装置、構成要素、手段、ステップなどの少なくとも1つの事例を意味するものとしてオープンに解釈されるべきものである。本明細書中で開示されているいずれの方法のステップも、明示的記述の無いかぎり、開示された正確な順序で行なわれなければならないわけではない。
【手続補正書】
【提出日】2023-05-17
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のコンカテマのアッセイを行なうための方法(200)において:
回転可能な本体の外側表面を少なくとも部分的に被覆し厚みが100μm未満であるマトリクス層内に前記複数のコンカテマを提供するステップ(210)であって、前記複数のコンカテマが横方向および厚み方向の両方で前記マトリクス層内に分布している、提供するステップと;
軸を中心として前記回転可能な本体を回転させるステップ(220)と;
液体ディスペンサを用いて前記回転可能な本体上の前記マトリクス層に液体を提供するステップと;
前記回転可能な本体が回転する間に、液体層整形ツールを用いて液体を所望の厚みの実質的に均一な液体層に分布させるステップと;
前記
回転可能な本体を回転させながら前記複数のコンカテマの前記アッセイの少なくとも一部を行なうステップ(230)と;
を含む方法。
【請求項2】
前記アッセイを行なうステップが、前記液体層に対し試薬を添加するステップ(260)を含む、請求項
1に記載の方法。
【請求項3】
前記回転可能な本体が、前記回転可能な本体のアイデンティティと結び付けられた情報を担持する識別子を含み、
前記識別子を読み取り、前記回転可能な本体の前記アイデンティティを検索するステップと;
前記アイデンティティと結び付けられた少なくとも1つのアッセイパラメータを検索するステップと;
検索された前記少なくとも1つのアッセイパラメータにしたがって、前記アッセイを調整するステップと;
をさらに含む、請求項
1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記アッセイの前記少なくとも一部を行なうステップが、前記軸に沿って前記回転可能な本体を走査するステップを含み、前記走査の範囲が、前記少なくとも1つのアッセイパラメータによって決定される、請求項
3に記載の方法。
【請求項5】
前記アッセイの前記少なくとも一部を行うステップが、温度を制御するステップを含み、前記温度の設定点が前記少なくとも1つのアッセイパラメータによって決定される、請求項
3に記載の方法。
【請求項6】
前記試薬が、前記少なくとも1つのアッセイパラメータに基づいて選択される、請求項
3に記載の方法。
【請求項7】
前記試薬がフルオロフォアを含む、請求項
2に記載の方法。
【請求項8】
前記複数のコンカテマを提供するステップが、前記マトリクス層内で複数の環状化DNAフラグメントを分布させるステップおよび前記環状化DNAフラグメントを増幅して前記コンカテマを形成するステップを含む、請求
1または2に記載の方法。
【請求項9】
前記環状化DNAフラグメントを増幅するステップが、ローリングサークル増幅RCAを用いて行なわれる、請求項
8に記載の方法。
【請求項10】
各コンカテマが少なくとも1つのDNA鎖を含み、前記方法がデオキシリボース、dNTPを含むヌクレオシドトリホスフェートを前記DNA鎖に付着させるステップをさらに含み、前記dNTPが蛍光標識を含む、請求項
1または2に記載の方法。
【請求項11】
前記アッセイがさらに、共焦点顕微鏡画像化を含む、請求項
1または2に記載の方法。
【請求項12】
複数のコンカテマのアッセイを行なうように構成された器具(300)において:
複数のサンプル部位(130)を含むサンプルホルダ(100)と;
前記サンプルホルダに対し試薬を含む液体を提供するように配設された液体ディスペンサ(160)と;
前記サンプルホルダ(100)が回転する間に、前記液体を所望の厚みの実質的に均一な液体層に分布させるように構成された液体層整形ツール(170)と;
前記複数のサンプル部位を照射し、前記複数のサンプル部位から発出または散乱した光子を検出するように構成された顕微鏡(310)を含む器具であって、
前記サンプルホルダが:
回転可能な本体(110)と;
前記回転可能な本体の外側表面を少なくとも部分的に被覆し厚みが100μm未満であるマトリクス層(120)と;
を含み、
前記マトリクス層が、前記マトリクス層の横方向と厚み方向の両方において前記マトリクス層内で分布させられるような形で前記複数のサンプル部位を含み;
前記複数のサンプル部位の各サンプル部位がコンカテマを含
むよう構成されており;
前記液体ディスペンサ
(160)および前記液体層整形ツール(170)が、前記マトリクス層の外周を被覆するために前記液体層を提供するように構成されており;
前記サンプルホルダは、前記器具内に配設され、前記顕微鏡が前記複数のサンプル部位から発出または散乱した前記光子を検出している間前記器具により回転させられるように構成されている、
器具。
【請求項13】
前記サンプルホルダが、前記サンプルホルダのアイデンティティと結び付けられた情報を担持する識別子を含み、前記器具が、前記識別子を読み取って前記サンプルホルダの前記アイデンティティを検索するように構成された読取り機をさらに含む、請求項
12に記載の器具。
【請求項14】
前記サンプルホルダと前記顕微鏡を互いとの関係において並進運動させるように配設されたスキャナをさらに含み、前記並進運動の範囲が、検索されたアイデンティティに基づくものである、請求項
13に記載の器具。
【請求項15】
さらに、前記検索されたアイデンティティに基づいて前記試薬を選択するように構成されている、請求項
13に記載の器具。
【請求項16】
前記アッセイ中に温度を制御するように配設された温度調節器をさらに含み、前記温度の設定点が前記検索されたアイデンティティによって決定される、請求項
13に記載の器具。
【請求項17】
さらに、前記検索されたアイデンティティに基づいて、
既定のスキャナ範囲;
既定の試薬;および
既定の温度設定点;
のうちの少なくとも1つをデータベースから検索するように構成されている、請求項
13ないし
16のいずれか1項に記載の器具。
【国際調査報告】