(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-22
(54)【発明の名称】マルチバイアルアダプター
(51)【国際特許分類】
A61J 1/20 20060101AFI20240515BHJP
【FI】
A61J1/20 314Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023569833
(86)(22)【出願日】2022-11-08
(85)【翻訳文提出日】2023-11-10
(86)【国際出願番号】 KR2022017456
(87)【国際公開番号】W WO2023096219
(87)【国際公開日】2023-06-01
(31)【優先権主張番号】10-2021-0166750
(32)【優先日】2021-11-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523424949
【氏名又は名称】エスティーエス バイオ カンパニー,リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】パク,ジョン ゴン
(72)【発明者】
【氏名】バン,マン ジン
(72)【発明者】
【氏名】ホ,ジェ フン
【テーマコード(参考)】
4C047
【Fターム(参考)】
4C047AA08
4C047AA27
4C047CC04
4C047DD03
4C047DD04
4C047DD05
4C047DD22
4C047HH01
4C047HH03
4C047HH04
4C047HH07
(57)【要約】
本発明は、マルチバイアルアダプターに関し、相互間に一定の角度をもって連結される少なくとも2つ以上のボディ部と、前記ボディ部相互間の連結部分で上側に突設されるヘッド部と、前記連結部分から一定の間隔離隔した位置において、ボディ部からそれぞれ下側に延在して形成される少なくとも2つ以上のスパイク部とからなるアダプター本体と、前記スパイク部のそれぞれに貫通され、ボディ部のそれぞれに物理的に締結固定される少なくとも2つ以上のアダプターキャップとを含み、前記アダプター本体は、射出成形により、前記ボディ部とヘッド部及びスパイク部が一体に形成されると共に、内部には、それぞれのスパイク部からそれぞれのボディ部を経て、ヘッド部まで薬液の移動を案内する薬液流路部が形成される。
相互間に一定角度を成して連結される少なくとも2つ以上のボディ部と、前記ボディ部相互間の連結部分で上側で突出されるように形成されるヘッド部と、前記連結部分から日程間隔二格された位置でボディ部からそれぞれ下側で延在されるように形成される少なくとも2つ以上のスパイク部で構成されたアダプター本体と、前記スパイク部それぞれに貫通されてボディ部それぞれに物理的に締結固定される少なくとも2つ以上のアダプターキャップを含んで、前記アダプター本体は、射出成形を通じて前記ヘッド部とボディ部及びスパイク部が一体で形成されるとともに、内部には、それぞれのスパイク部からそれぞれのボディ部を経由してヘッド部まで薬液の移動を案内する薬液流路部が形成されることができる。
このような本発明によると、複数のバイアルから薬液を同時に迅速に抽出することができ、製造が容易な構造からなり、生産性が大いに向上するというメリットがある。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
相互間に一定の角度をもって連結される少なくとも2つ以上のボディ部と、前記ボディ部相互間の連結部分で上側に突設されるヘッド部と、前記連結部分から一定の間隔離隔した位置において、ボディ部からそれぞれ下側に延在して形成される少なくとも2つ以上のスパイク部とからなるアダプター本体と、
前記スパイク部のそれぞれに貫通され、ボディ部のそれぞれに物理的に締結固定される少なくとも2つ以上のアダプターキャップとを含み、
前記アダプター本体は、射出成形により、前記ボディ部とヘッド部及びスパイク部が一体に形成されると共に、内部には、それぞれのスパイク部からそれぞれのボディ部を経て、ヘッド部まで薬液の移動を案内する薬液流路部が形成される、マルチバイアルアダプター。
【請求項2】
前記薬液流路部は、
前記ボディ部のそれぞれの内部に沿って延在し、一端は、相互間に連結されると共に、他端は、開放した経由チャンネルと、
前記スパイク部のそれぞれの内部に沿って延在し、下端は、開放され、上端は、前記経由チャンネルにそれぞれ連通される流入チャンネルと、
前記ヘッド部内に形成され、上端は、開放され、下端は、前記経由チャンネルに連通される流出チャンネルと、
前記経由チャンネルの他端に結合固定されて、経由チャンネルの開放した他端を閉鎖することで、流入チャンネルの開放した下端から流出チャンネルの開放した上端までつながる閉経路を形成させるチャンネル止め具とを含む、請求項1に記載のマルチバイアルアダプター。
【請求項3】
前記ボディ部のそれぞれには、更に、経由チャンネルの他端から内径が拡張されて、一定の長さ延在し、端部は、開放したエンド管体が形成され、
前記スパイクのそれぞれの内部には、更に、流入チャンネルと並んで延在し、下端は、開放され、上端は、前記エンド管体に連通される通気チャンネルが形成され、
前記エンド管体には、フィルタ部材が結合固定される、請求項2に記載のマルチバイアルアダプター。
【請求項4】
前記経由チャンネルの他端には、経由チャンネルよりも相対的に大きい内径を有する安着端が形成され、
前記チャンネル止め具は、前記安着端に挿入されて安着可能な気密胴体と、前記気密胴体の前面に形成され、前記経由チャンネル内に一定の深さ進入可能な挿入ヘッドを含む、請求項2に記載のマルチバイアルアダプター。
【請求項5】
前記ボディ部の底面には、スパイク部を中心として、その周囲に環状にドッキング本体が形成され、前記アダプターキャップの上端には、前記ドッキング本体が挿入される接続管体が形成され、
前記ドッキング本体は、スパイク部を中心として、放射状に90度間隔で分割された4つのドッキングセグメントで構成され、4つのドッキングセグメントのうち、相互対向する一対のドッキングセグメントには、係止突部と内向傾斜部が形成され、前記接続管体の内周面には、中心方向に傾斜して突出した突出傾斜部が形成されると共に、突出傾斜部の下側には、前記係止突部が係止される一対の係止開口が相互対向する位置に形成される、請求項1に記載のマルチバイアルアダプター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のバイアルから、安全且つ迅速に薬液を抽出することができ、製造が容易なマルチバイアルアダプターに関する。
【背景技術】
【0002】
バイアル(vial)は、薬液が滅菌状態で保存されているボトル又は薬液保管容器であって、通常、薬液が内部に保存された状態で無菌処理された後、上端の入口部がゴム栓で密閉される構造を有し、安全に保管及び運搬が可能な形態に形成される。
【0003】
このようなバイアルに保存された薬液の分注は、通常、注射器のような薬液抽出器具を用いて抽出することでなされる。
【0004】
ところで、バイアルから薬液を抽出して分注する場合、従来は、注射針をバイアルに挿入する作業が容易でないと共に、その過程で少し不注意しても注射針に突かれて傷害を負うか、薬液に感染する危険性があり、また、1つのバイアルからのみ薬液を抽出することができるため、薬液抽出作業が煩わしくて、時間が多くかかるという不都合があった。
【0005】
これに本出願人は、複数のバイアルから安全且つ迅速に薬液を抽出することができるマルチバイアル接続コネクタを提案しているが、このような技術は、複数のバイアルから薬液を安全且つ迅速に抽出することができる画期的なメリットを有するものの、構造上、製造が容易でなく、バイアルキャップを本体に螺合し、固定力のためにボンディング工程を経なければならないなど、作業工程が複雑であるという不都合が見出された。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであって、その目的は、複数のバイアルから薬液を同時に安全且つ迅速に抽出することができ、製造も容易な構造からなり、生産性が大いに向上したマルチバイアルアダプターを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するための本発明の課題解決手段として、相互間に一定の角度をもって連結される少なくとも2つ以上のボディ部と、前記ボディ部相互間の連結部分で上側に突設されるヘッド部と、前記連結部分から一定の間隔離隔した位置において、ボディ部からそれぞれ下側に延在して形成される少なくとも2つ以上のスパイク部とからなるアダプター本体と、前記スパイク部のそれぞれに貫通され、ボディ部のそれぞれに物理的に締結固定される少なくとも2つ以上のアダプターキャップとを含み、前記アダプター本体は、射出成形により、前記ヘッド部とボディ部及びスパイク部が一体に形成されると共に、内部には、それぞれのスパイク部からそれぞれのボディ部を経て、ヘッド部まで薬液の移動を案内する薬液流路部が形成されるマルチバイアルアダプターが開示される。
【発明の効果】
【0008】
本発明によるマルチバイアルアダプターによると、複数のバイアルから薬液を同時に迅速に抽出することができ、製造が容易な構造からなり、生産性が大いに向上する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態に係るマルチバイアルアダプターを示す図である。
【
図2】
図2は、本発明の一実施形態に係るマルチバイアルアダプターを底面側で示す図である。
【
図3】
図3は、アダプター本体とアダプターキャップを分離した状態を示す図である。
【
図4】
図4は、チャンネル止め具とフィルタ部材を分解して、アダプター本体を示す図である。
【
図5】
図5は、チャンネル止め具とフィルタ部材が設置される状態のアダプター本体を断面で示す図である。
【
図6】
図6は、チャンネル止め具とフィルタ部材が設置された状態のアダプター本体を断面で示す図である。
【
図7】
図7は、アダプター本体とアダプターキャップの物理的な結合固定のための構成部分を示す図である。
【
図8】
図8は、アダプター本体とアダプターキャップの物理的な結合固定状態を断面で示す図である。
【
図9】
図9は、本発明の一実施形態に係るマルチバイアルアダプターの使用例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付の図面を参照して、本発明によるマルチバイアルアダプターに関する好適な実施形態を詳細に説明する。
【0011】
添付の図面における要素の形状、サイズ、数、要素間の間隔などは、より明確な説明を強調するために縮小又は誇張して示すことができ、特に制限しない限り、図面に示されている事項に限定されるものではない。
【0012】
また、前、後、左、右、上、下などのような方向を現わす用語は、図面に図示され、観測される方向を説明するために使用されているだけであり、図示・観測される方向が変わると、このような用語も変われることを理解すべきである。
【0013】
図1乃至
図8には、本発明の一実施形態に係るマルチバイアルアダプター10が示されている。
【0014】
前記図面に示されているように、本発明の一実施形態に係るマルチバイアルアダプター10は、大きく、アダプター本体100と、アダプターキャップ300とを含む。
【0015】
まず、前記アダプター本体100は、基本的に、ボディ部110と、ヘッド部120と、スパイク部130とを含む。
【0016】
前記ボディ部110は、少なくとも2つ以上の複数からなり、複数のボディ部110は、相互間に一定の角度をもって連結される。
【0017】
例えば、ボディ部110は、2つからなり、ここで、2つのボディ部110は、相互間に180度をもって連結される。すなわち、相互間に一直線状に連結される。
【0018】
また、ボディ部110は、3つからなり、ここで、3つのボディ部110は、相互間に120度をもって連結され、4つからなる場合、4つのボディ部10は、相互間に90度をもって連結される。
【0019】
前記図面には、ボディ部110が2つからなり、相互間に180度の間隔で、すなわち直線状に連結された構成が示されている。
【0020】
前記ヘッド部120は、複数のボディ部110の相互間の連結部分において、上側に突設される。
【0021】
すなわち、図面に示しているように、2つのボディ部110が直線に連結された場合、ヘッド部120は、2つのボディ部110の連結部分、すなわち、直線状に連結されたボディ部110の左右中間位置において、上側に向けて垂直に一定の長さ突出する。
【0022】
前記スパイク部130は、ボディ部110の数に対応して同数、すなわち、複数からなる。例えば、スパイク部130は、ボディ部110が2つであると2つ、3つであると3つ、4つであると4つからなる。
【0023】
このようなスパイク部130は、複数のボディ部110の相互間の連結部分から一定の間隔離隔した位置においてそれぞれ、ボディ部110から下側に延設される。
【0024】
スパイク部130は、下側の一部からは下方に行くほど、外径が逐次減少して、端部は、尖る形状を有する。
【0025】
前記構成のアダプター本体100は、射出成形により、ボディ部110とヘッド部120及びスパイク部130が一体に形成されるように製造される。
【0026】
このようにボディ部110とヘッド部120及びスパイク部130が一体からなるアダプター本体100は、薬液の移動を案内するための薬液流路部が内部に形成される。
【0027】
前記薬液流路部は、アダプター本体100の内部に沿って形成され、薬液の移動を案内する流路(Flow path)の機能を果たし、
図4乃至
図6に示しているように、経由チャンネル140と、流入チャンネル150と、流出チャンネル160と、チャンネル止め具170とを含む。
【0028】
前記経由チャンネル140は、ボディ部110のそれぞれの内部に形成され、少なくとも2つ以上の複数からなる。
【0029】
このような経由チャンネル140は、ボディ部110のそれぞれの長さ方向に沿って延設され、一端は、相互間に連結され、他端は開放される。
【0030】
例えば、2つのボディ部110で構成された場合、経由チャンネル140は、2つのボディ部110のそれぞれの内部に沿って延在し、相互間に連結されて直線状をなし、両端部は、開放構造を有する。
【0031】
このように経由チャンネル140が相互間に連結され、それぞれの端部が開放構造を有することで、射出成形により一体にアダプター本体100を製造する場合、ボディ部110内に経由チャンネル140を容易に形成することができる。
【0032】
前記流入チャンネル150は、スパイク部130のそれぞれの内部に形成され、複数のスパイク部130のそれぞれの内部に沿って延在し、下端は開放され、上端は、前記経由チャンネル140に連通して形成される。
【0033】
すなわち、流入チャンネル150は、複数のスパイク部130のそれぞれの内部において、上下方向に沿って延在して形成され、下端は、バイアルから薬液が流入するように開放構造を有し、上端は、流入した薬液が経由チャンネル140に進入するように、経由チャンネル140にそれぞれ連通がなされる。
【0034】
前記流出チャンネル160は、ヘッド部120内に形成され、ヘッド部120の内部に沿って延在し、上端は開放され、下端は、前記経由チャンネル140に連通して形成される。
【0035】
すなわち、流出チャンネル160は、ヘッド部120の内部において、上下方向に沿って延設され、経由チャンネル140に沿って案内された薬液が進入するように、下端は、経由チャンネル140の相互間の連結部分に連通し、上端は、薬液が薬液抽出器具で流出するように、開放構造を有する。
【0036】
ここで、前記のように、複数のボディ部110のそれぞれの内部に形成される経由チャンネル140の端部が開放構造を有すると共に、スパイク部130に形成される流入チャンネル150の下端、及びヘッド部120に形成される流出チャンネル160の上端がそれぞれ開放構造を有し、且つ、互いに連通して構成されることで、アダプター本体100を一体に製造する場合、ボディ部110内の経由チャンネル140、スパイク部130内の流入チャンネル150、及びヘッド部120内の流出チャンネル160を、射出成形により容易に形成することができる。
【0037】
すなわち、アダプター本体100の射出成形のための射出金型内に、それぞれのチャンネル140、150、160の形成のためのインサート部材を設置し、射出成形後に、アダプター本体100からインサート部材を引出して除去することで、それぞれのチャンネル140、150、160が内部に形成されたアダプター本体100を容易に製造することができる。
【0038】
前記チャンネル止め具170は、経由チャンネル140の開放した他端に結合固定されて、経由チャンネル140の開放端部を閉鎖することで、流入チャンネル150の開放した下端から流出チャンネル180の開放した上端までつながる閉経路を形成させる。
【0039】
前述したように、射出成形によるアダプター本体100の容易な製造のために、経由チャンネル140の端部が開放構造を有するところ、チャンネル止め具170は、このような経由チャンネル140の開放端部を閉鎖することで、薬液が流入チャンネル150から経由チャンネル140を経て、流出チャンネル160まで漏れなく移動できる移動経路を形成する。
【0040】
このようなチャンネル止め具170は、アダプター本体100とは独立して、射出成形により製造が行われ、経由チャンネル140の開放端部に超音波融着で結合固定される。
【0041】
ここで、前記チャンネル止め具170の安定且つ気密な固定設置のために、経由チャンネル140は、開放端部に、経由チャンネル140よりも相対的に大きい内径を有する安着端141を有し、チャンネル止め具170は、気密胴体171と、挿入ヘッド172と、支持片173とを含む構成からなる。
【0042】
前記気密胴体171は、前記安着端141に挿入安着が可能であるように、安着端141の内径に対応する径に形成され、前記挿入ヘッド172は、気密胴体171の前面に形成され、経由チャンネル140の内部に一定の深さ進入できるように、経由チャンネル140の内径に対応する径に形成される。
【0043】
前記支持片173は、チャンネル止め具170の設置において、気密胴体171が容易に把持できるように、気密胴体171の後面において、一定の長さ突設される。
【0044】
このような構成のチャンネル止め具170は、支持手段により支持片173が把持された状態で、挿入ヘッド172は、経由チャンネル140の内部に一定の深さ進入すると共に、気密胴体171は、安着端141に安着されて、経由チャンネル140の端部に気密に密着して設置され、ついで、超音波融着により堅固に固定がなされることになる。
【0045】
一方、前記した構成のアダプター本体100には、更に、空気流通のためのエンド管体180と、通気チャンネル190とが形成される。
【0046】
前記エンド管体180は、ボディ部110のそれぞれの端部に一体に形成され、ボディ部110に形成された経由チャンネル140の開放端部から拡径して、一定の長さ延在し、端部は、開放した管状に形成される。
【0047】
すなわち、エンド管体180は、経由チャンネル140より相対的に大きい径を有する管状を有し、内側端部の一部は、経由チャンネル140に連通され(チャンネル止め具170が経由チャンネル140に結合固定されると、連通が遮られる)、外側端部は、前部分が開放した構造を有する。
【0048】
前記通気チャンネル190は、スパイク部130のそれぞれの内部に形成され、下端は開放され、上端は、前記エンド管体180に連通する。
【0049】
すなわち、通気チャンネル190は、複数のスパイク部130のそれぞれの内部において、流入チャンネル150と並んで上下方向に延設され、下端は、空気の出入ができるように開放され、上端は、エンド管体180に連通して形成される。
【0050】
ここで、エンド管体180が経由チャンネル140に連通して延在する構造を有すると共に、通気チャンネル190は、流入チャンネル150のように、上端がエンド管体180に連通する構造を有するので、このようなエンド管体180及び通気チャンネル190も、アダプター本体100を一体に製造するとき、射出成形により容易に形成することができる。
【0051】
前記のようなエンド管体180と通気チャンネル190は、空気流通のためのものであり、そこで、エンド管体180内には、空気の汚染物質をろ過するフィルタ部材500が設けられる。
【0052】
前記フィルタ部材500は、エンド管体180内に挿入された後、超音波融着により、エンド管体180に堅固に固定される。
【0053】
ここで、経由チャンネル140に連結される管体180に、前記のようにフィルタ部材500が固定されることで、経由チャンネル140がチャンネル止め具170により、1次に閉鎖されると共に、更に、フィルタ部材500によっても閉鎖される作用を受けることになり、経由チャンネル140を通す薬液の漏水可能性を更に最小化することができる。
【0054】
ついで、前記アダプターキャップ300は、上述したアダプター本体100に結合固定され、スパイク部130がバイアルに挿入されるとき、アダプター本体100をバイアルに結合させる機能を果たす。
【0055】
前記アダプターキャップ300は、下部が開放した略円筒状からなり、側面には、一定の間隔で複数の切開スリット310が形成され、上端中央には、スパイク部130の貫通のための貫通孔320が形成される構成を有する。
【0056】
アダプターキャップ300は、スパイク部130の数に対応して、少なくとも2つ以上の複数からなる。
【0057】
また、アダプターキャップ300は、内部を貫通するアダプター本体100のスパイク部130が外部から見えるように、透明に設けられる。
【0058】
前記アダプターキャップ300は、アダプター本体100とは分離して、別に射出成形により製造が行われた後、アダプター本体100に物理的に締結結合されることで、固定が行われることになる。
【0059】
このようなアダプターキャップ300とアダプター本体100の物理的な結合のために、
図3に示しているように、アダプター本体100には、ボディ部110の底面にドッキング本体210が形成され、これに対応して、アダプターキャップ300の上端には、ドッキング本体210が内部に挿入されて固定が行われる接続管体330が形成される。
【0060】
前記ドッキング本体210は、スパイク部110を中心として、その周囲に環状に形成される。
【0061】
図7に示しているように、このようなドッキング本体210は、スパイク部110を中心として、放射状に90度間隔で分割された4つのドッキングセグメント210a、210bで構成され、ここで、相互対向する一対のドッキングセグメント210aには、係止突部220と内向傾斜部230が形成され、残りの相互対向する一対のドッキング本体210bには、合わせ溝240が形成される。
【0062】
前記接続管体330は、アダプターキャップ300の上端に形成され、前記貫通孔320を中心として、その周囲に環状に突設される。
【0063】
前記接続管体330の内周面には、中心方向に傾斜して突出した突出傾斜部331が形成され、前記突出傾斜部の下側には、一対のドッキングセグメント210aに形成された係止突部220に対応して、一対の係止開口332が相互対向する位置に形成される。
【0064】
また、接続管体330の内部には、一対のドッキングセグメント210bに形成された合わせ溝240に対応して、一対の合わせ突片333が相互対向する位置に形成される。
【0065】
前記のような構成により、
図8に示すように、アダプターキャップ300の貫通孔320にスパイク部130を通した後、接続管体330内にドッキング本体210が挿入されるようにすると、内向傾斜部230により、一対のドッキングセグメント210aが弾性収縮して、係止突部220が突出傾斜部331を下方に通すことになり、以後、弾性復元されて、係止突部220が係止開口332の上端に係止されることで、アダプターキャップ300がアダプター本体100に分離され難く、すなわち、非可逆的に締結固定が行われることになる。
【0066】
ここで、接続管体330内の合わせ突片333の一対は、一対のドッキングセグメント210bに形成された合わせ溝240に挿入されることで、固定力を更に増加させる。
【0067】
前記のように、隣接続管体330とドッキング本体210の相互間の挿入及び係止という物理的な締結方式により、煩わしいボンディング作業なく、アダプターキャップ300がアダプター本体100により迅速且つ堅固に固定される。
【0068】
前述したように構成された本発明のマルチバイアルアダプターの製造方法は、以下の通りである。
【0069】
まず、アダプター本体100、チャンネル止め具170、アダプターキャップ300のそれぞれの成形のための射出金型を製作して、アダプター本体100、チャンネル止め具170、アダプターキャップ300をそれぞれ、射出成形工程により独立して成形する。
【0070】
ここで、特に、アダプター本体100の場合は、ボディ部110と、ヘッド部120と、スパイク部130と、ドッキング本体210とが一体に成形されるように、射出金型を設計製作し、その射出金型内に、経由チャンネル140、流入チャンネル150、流出チャンネル160、エンド管体180、通気チャンネル190の生成のためのインサート部材を配置して、射出成形工程が行われる。
【0071】
ここで、アダプター本体100、チャンネル止め具170、アダプターキャップ300はいずれも、合成樹脂を射出成形することで製造されるが、アダプター本体100とチャンネル止め具170は、ABS樹脂(acrylonitrile butadiene styrene copolymer)が用いられ、アダプターキャップ300は、PC樹脂(polycarbonate)が用いられる。
【0072】
前記のように射出成形により、アダプター本体100、チャンネル止め具170、アダプターキャップ300がそれぞれ成形されると、ついで、アダプター本体100内の経由チャンネル140の端部に、チャンネル止め具170を結合固定させる。
【0073】
すなわち、エンド管体180を通じて、チャンネル止め具170をボディ部110内に進入させて、挿入ヘッド172が経由チャンネル140内に一定の深さ挿入され、気密胴体171を安着端141に安着させた後、超音波融着工程により、チャンネル止め具170を経由チャンネル140の開放端部に固定する。
【0074】
このように、チャンネル止め具170が固定されると、経由チャンネル140の開放端部が閉鎖されることで、アダプター本体100に薬液の移動を案内するための薬液流路部が生成されることになる。
【0075】
前記のように薬液流路部が生成されると、ついで、フィルタ部材500をエンド管体180に挿入した後、超音波融着工程により、フィルタ部材500をエンド管体180に堅固に固定する。
【0076】
前記のような工程により、薬液移動と通気構造を有するアダプター本体100の製造が完了し、ついで、アダプターキャップ300をアダプター本体100に結合固定させる。
【0077】
すなわち、アダプターキャップ300の貫通孔320でアダプター本体100のスパイク部130が通過されるようにした後に、アダプター本体100のドッキング本体210がアダプターキャップ300の接続管体330内に挿入されるように、結合作業を進行する。
【0078】
すると、ドッキング本体210の係止突部220が接続管体330の係止開口332に弾性係止して、物理的な固定力を提供することで、アダプターキャップ300の結合固定作業が迅速且つ簡便に完了する。
【0079】
前記方法で製造された本発明のマルチバイアルアダプター10は、薬液をバイアルから抽出する場合、少なくとも2つ以上のバイアル20から薬液を同時に迅速に抽出するように用いられる。
【0080】
例えば、
図9に示すように、ボディ部110が2つで構成された場合、アダプター本体100のヘッド部120に薬液抽出器具30を連結し、2つのスパイク部130及び2つのアダプターキャップ300を用いて、アダプター本体100に2つのバイアル20を結合することができ、このように結合されると、アダプター本体100内に形成された薬液流路部により、2つのバイアル20から同時に薬液を抽出できるようになる。
【0081】
もちろん、ボディ部110が3つで構成された場合は、3つのバイアルを結合して、薬液を同時に抽出することができ、4つで構成された場合は、4つのバイアルを結合して、薬液を同時に抽出することができることになる。
【0082】
前述したように、本発明によるマルチバイアルアダプターは、製造が容易な構成により、生産性が大いに向上し、複数のバイアルから同時に薬液を抽出することができるので、薬液抽出作業が更に迅速且つ簡便に行われる。
【国際調査報告】