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特表2024-520202IL-23に対する抗体及びTNFアルファに対する抗体の組み合わせ療法を用いた炎症性腸疾患を治療する方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-22
(54)【発明の名称】IL-23に対する抗体及びTNFアルファに対する抗体の組み合わせ療法を用いた炎症性腸疾患を治療する方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 39/395 20060101AFI20240515BHJP
   A61P 1/04 20060101ALI20240515BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20240515BHJP
   C07K 16/24 20060101ALI20240515BHJP
   C07K 16/18 20060101ALI20240515BHJP
【FI】
A61K39/395 U ZNA
A61P1/04
A61P43/00 121
C07K16/24
C07K16/18
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023571449
(86)(22)【出願日】2022-05-19
(85)【翻訳文提出日】2023-12-18
(86)【国際出願番号】 IB2022054701
(87)【国際公開番号】W WO2022243937
(87)【国際公開日】2022-11-24
(31)【優先権主張番号】63/191,076
(32)【優先日】2021-05-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TWEEN
(71)【出願人】
【識別番号】509087759
【氏名又は名称】ヤンセン バイオテツク,インコーポレーテツド
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100093676
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 純子
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100149010
【弁理士】
【氏名又は名称】星川 亮
(72)【発明者】
【氏名】ゲルミナロ,マシュー
(72)【発明者】
【氏名】オーブリエン,クリストファー
(72)【発明者】
【氏名】ペリゴー,ジャクリーン
(72)【発明者】
【氏名】ヴェター,マリオン
【テーマコード(参考)】
4C085
4H045
【Fターム(参考)】
4C085AA13
4C085AA14
4C085BB11
4C085DD62
4C085EE01
4C085GG02
4C085GG04
4H045AA10
4H045AA11
4H045AA30
4H045BA10
4H045CA40
4H045DA75
4H045DA76
4H045EA20
4H045FA74
(57)【要約】
潰瘍性大腸炎などの炎症性腸障害を治療する方法は、抗IL-23p19抗体などのIL-23阻害剤(例えば、グセルクマブ)及び抗TNFα抗体などのTNFα阻害剤(例えば、ゴリムマブ)を投与することを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者における炎症性腸疾患(IBD)を治療する方法であって、以下:(a)第1の共治療有効量及び臨床的安全量のIL-23阻害剤を投与することと、(b)第2の共治療有効量及び臨床的安全量のTNFα阻害剤を投与することと、を含み、前記方法が、前記IBDを治療するのに有効であり、前記患者が、Mayoスコア、部分的Mayoスコア、潰瘍性大腸炎の内視鏡的重症度指数(UCEIS)、マーカーCRP及び/又は便中カルプロテクチン、並びに患者報告アウトカム及び症状尺度からなる群から選択される臨床評価項目に基づく臨床応答を示し、前記臨床評価項目が、初期治療の約38週間後に測定される、方法。
【請求項2】
前記IL-23阻害剤が、抗IL-23p19抗体又はその抗原結合断片を含み、前記TNFα阻害剤が、抗TNFα抗体又はその抗原結合断片を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記IBDが、クローン病(CD)である、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記IBDが、潰瘍性大腸炎(UC)又は分類不能大腸炎である、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項5】
前記IBDが、中等度から重度に活性なUCである、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記患者が、以前にTNFα阻害剤単独で治療されており、前記UCが、前記以前の治療後に寛解しなかった、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記患者が、以前にIL-23阻害剤単独で治療されており、前記UCが、前記以前の治療後に寛解しなかった、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
前記抗IL-23p19抗体又はその抗原結合断片が、(a)配列番号1~3の重鎖相補性決定領域(CDR)アミノ酸配列及び配列番号4~6の軽鎖CDRアミノ酸配列;(b)配列番号7の重鎖可変領域アミノ酸配列及び配列番号8の軽鎖可変領域アミノ酸配列;又は(c)配列番号9の重鎖アミノ酸配列及び配列番号10の軽鎖アミノ酸配列を含む、請求項2~7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
前記抗TNFα抗体又はその抗原結合断片が、(a)配列番号11~13の重鎖CDRアミノ酸配列及び配列番号14~16の軽鎖CDRアミノ酸配列;(b)配列番号17の重鎖可変領域アミノ酸配列及び配列番号18の軽鎖可変領域アミノ酸配列;又は、(c)配列番号19の重鎖アミノ酸配列及び配列番号20の軽鎖アミノ酸配列を含む、請求項2~8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
前記抗IL-23p19抗体又はその抗原結合断片が、(a)配列番号1~3の重鎖CDRアミノ酸配列及び配列番号4~6の軽鎖CDRアミノ酸配列;(b)配列番号7の重鎖可変領域アミノ酸配列及び配列番号8の軽鎖可変領域アミノ酸配列;又は(c)配列番号9の重鎖アミノ酸配列及び配列番号10の軽鎖アミノ酸配列を含み、前記抗TNFα抗体又はその抗原結合断片が、(a)配列番号11~13の重鎖CDRアミノ酸配列及び配列番号14~16の軽鎖CDRアミノ酸配列、(b)配列番号17の重鎖可変領域アミノ酸配列及び配列番号18の軽鎖可変領域アミノ酸配列;又は、(c)配列番号19の重鎖アミノ酸配列及び配列番号20の軽鎖アミノ酸配列を含む、請求項2~7のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
前記IL-23阻害剤が、グセルクマブ、リサナキズマブ(risanakizumab)、チルドラキズマブ、及びミラキズマブからなる群から選択される抗IL-23抗体を含み、前記TNFα阻害剤が、ゴリムマブ、アダリムマブ、インフリキシマブ、セルトリズマブペゴル、及びエタナーセプトからなる群から選択される、請求項1~7のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
患者におけるUCを治療する方法であって、以下:(a)(i)配列番号1~3の重鎖CDRアミノ酸配列及び配列番号4~6の軽鎖CDRアミノ酸配列、(ii)配列番号7の重鎖可変領域アミノ酸配列及び配列番号8の軽鎖可変領域アミノ酸配列、又は(iii)配列番号9の重鎖アミノ酸配列及び配列番号10の軽鎖アミノ酸配列を含む、第1の共治療有効量の抗IL-23p19抗体を投与することと、(b)(i)配列番号11~13の重鎖CDRアミノ酸配列及び配列番号14~16の軽鎖CDRアミノ酸配列、(ii)配列番号17の重鎖可変領域アミノ酸配列及び配列番号18の軽鎖可変領域アミノ酸配列、又は(iii)配列番号19の重鎖アミノ酸配列及び配列番号20の軽鎖アミノ酸配列を含む、第2の共治療有効量の抗TNFα抗体を投与することと、を含み、前記方法が、UCの治療に有効及び臨床的に安全であり、前記患者が、Mayoスコア、部分的Mayoスコア、UCEIS、マーカーCRP及び/又は便中カルプロテクチン、並びに患者報告アウトカム及び症状尺度からなる群から選択された臨床評価項目に基づく臨床応答を示し、前記臨床評価項目が、初期治療の約38週間後に測定される、方法。
【請求項13】
前記抗TNFα抗体及び前記抗IL-23p19抗体が、1:2~2:1(w/w)の比で投与される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記抗TNFα抗体及び前記抗IL-23p19抗体が、15:1~400:1(w/w)の比で投与される、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記抗IL-23p19抗体及び前記抗TNFα抗体が、同時投与される、請求項12~14のいずれかに記載の方法。
【請求項16】
前記抗IL-23p19抗体及び前記抗TNFα抗体が、順次投与される、請求項12~14のいずれかに記載の方法。
【請求項17】
前記抗IL-23p19抗体及び前記抗TNFα抗体が、互いに1日以内に投与される、請求項12~14及び16のいずれかに記載の方法。
【請求項18】
前記抗IL-23p19抗体が、200mgの初回静脈内投与量、4週目及び8週目に200mgの静脈内投与量、並びに8週間毎に100mgの後続皮下投与量で投与され、前記抗TNFα抗体が、200mgの初回皮下投与量、並びに2、6、及び10週目に100mgの後続皮下投与量で投与される、請求項12~14のいずれかに記載の方法。
【請求項19】
前記臨床評価項目が、Mayoスコアに基づく、請求項12~18のいずれかに記載の方法。
【請求項20】
IBDを有する患者の結腸の炎症を軽減する方法であって、(a)第1の共治療有効量の抗IL-23p19抗体又はその抗原結合断片を投与することと、(b)第2の共治療有効量の抗TNFα抗体又はその抗原結合断片を投与することと、を含み、前記方法が、初期治療の約38週間後に測定された、正常対象の結腸に匹敵するレベルまで前記患者の前記結腸の炎症を軽減するのに有効及び臨床的に安全である、方法。
【請求項21】
前記抗IL-23p19抗体又はその抗原結合断片及び前記抗TNFα抗体又はその抗原結合断片の投与後に、前記炎症が、前記患者の前記結腸からの組織試料において最低限又は正常である、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記抗IL-23p19抗体又はその抗原結合断片及び前記抗TNFα抗体又はその抗原結合断片の投与後に、腺欠損が、前記患者の前記結腸からの組織試料において最低限又は正常である、請求項20又は21に記載の方法。
【請求項23】
前記抗IL-23p19抗体又はその抗原結合断片及び前記抗TNFα抗体又はその抗原結合断片の投与後に、びらんが、前記患者の前記結腸からの組織試料において最低限又は正常である、請求項20~22のいずれかに記載の方法。
【請求項24】
前記抗IL-23p19抗体又はその抗原結合断片及び前記抗TNFα抗体又はその抗原結合断片の投与後に、粘膜厚及び過形成が、独立して、前記患者の前記結腸からの組織試料において最低限又は正常である、請求項20~23のいずれかに記載の方法。
【請求項25】
前記抗IL-23p19抗体又はその抗原結合断片及び前記抗TNFα抗体又はその抗原結合断片の投与後に、前記結腸の組織病理が、正常組織の組織病理と同一である、請求項20~24のいずれかに記載の方法。
【請求項26】
前記抗IL-23p19抗体又はその抗原結合断片が、(a)配列番号1~3の重鎖CDRアミノ酸配列及び配列番号4~6の軽鎖CDRアミノ酸配列;(b)配列番号7の重鎖可変領域アミノ酸配列及び配列番号8の軽鎖可変領域アミノ酸配列;又は(c)配列番号9の重鎖アミノ酸配列及び配列番号10の軽鎖アミノ酸配列を含み、前記抗TNFα抗体又はその抗原結合断片が、(d)配列番号11~13の重鎖CDRアミノ酸配列及び配列番号14~16の軽鎖CDRアミノ酸配列;(e)配列番号17の重鎖可変領域アミノ酸配列及び配列番号18の軽鎖可変領域アミノ酸配列;又は、(f)配列番号19の重鎖アミノ酸配列及び配列番号20の軽鎖アミノ酸配列を含む、請求項20~25のいずれかに記載の方法。
【請求項27】
前記抗TNFα抗体又はその抗原結合断片及び前記抗IL-23p19抗体又はその抗原結合断片が、1:2~2:1(w/w)の比で投与される、請求項20~26のいずれかに記載の方法。
【請求項28】
前記抗TNFα抗体又はその抗原結合断片及び前記抗IL-23p19抗体又はその抗原結合断片が、15:1~400:1(w/w)の比で投与される、請求項20~26のいずれかに記載の方法。
【請求項29】
前記(a)抗IL-23p19抗体又はその抗原結合断片及び前記(b)抗TNFα抗体又はその抗原結合断片が、同時投与される、請求項20~28のいずれかに記載の方法。
【請求項30】
前記(a)抗IL-23p19抗体又はその抗原結合断片及び前記(b)抗TNFα抗体又はその抗原結合断片が、順次投与される、請求項20~28のいずれかに記載の方法。
【請求項31】
前記(a)抗IL-23p19抗体又はその抗原結合断片及び前記(b)抗TNFα抗体又はその抗原結合断片が、互いに1日以内に投与される、請求項20~28及び30のいずれかに記載の方法。
【請求項32】
患者のIBDを治療し、かつ前記患者の体重減少(weight loss)を減少させる方法であって、以下:(a)第1の共治療及び体重減少(weight reducing)有効量及び臨床的安全量の抗IL-23p19抗体又はその抗原結合断片を投与することと、(b)第2の共治療及び体重減少(weight reducing)有効量及び臨床的安全量の抗TNFα抗体又はその抗原結合断片を投与することと、を含む、方法。
【請求項33】
前記抗TNFα抗体又はその抗原結合断片及び前記抗IL-23p19抗体又はその抗原結合断片が、1:2~2:1(w/w)の比で投与される、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記抗TNFα抗体又はその抗原結合断片及び前記抗IL-23p19抗体又はその抗原結合断片が、15:1~400:1(w/w)の比で投与される、請求項32に記載の方法。
【請求項35】
前記(a)抗IL-23p19抗体又はその抗原結合断片及び前記(b)抗TNFα抗体又はその抗原結合断片が、同時投与される、請求項32~34のいずれかに記載の方法。
【請求項36】
前記(a)抗IL-23p19抗体又はその抗原結合断片及び前記(b)抗TNFα抗体又はその抗原結合断片が、順次投与される、請求項32~34のいずれかに記載の方法。
【請求項37】
前記(a)抗IL-23p19抗体又はその抗原結合断片及び前記(b)抗TNFα抗体又はその抗原結合断片が、互いに1日以内に投与される、請求項32~34及び36のいずれかに記載の方法。
【請求項38】
前記抗IL-23p19抗体又はその抗原結合断片が、(a)配列番号1~3の重鎖CDRアミノ酸配列及び配列番号4~6の軽鎖CDRアミノ酸配列;(b)配列番号7の重鎖可変領域アミノ酸配列及び配列番号8の軽鎖可変領域アミノ酸配列;又は(c)配列番号9の重鎖アミノ酸配列及び配列番号10の軽鎖アミノ酸配列を含み、前記抗TNFα抗体又はその抗原結合断片が、(a)配列番号11~13の重鎖CDRアミノ酸配列及び配列番号14~16の軽鎖CDRアミノ酸配列、(b)配列番号17の重鎖可変領域アミノ酸配列及び配列番号18の軽鎖可変領域アミノ酸配列;又は、(c)配列番号19の重鎖アミノ酸配列及び配列番号20の軽鎖アミノ酸配列を含む、請求項32~37のいずれかに記載の方法。
【請求項39】
ヒト患者の中等度~重度に活性なUCを治療する方法であって、以下:(a)(i)配列番号1~3の重鎖CDRアミノ酸配列及び配列番号4~6の軽鎖CDRアミノ酸配列の配列を含む、0.0005~0.002mg/kgの抗IL-23p19抗体又はその抗原結合断片を投与することと、(ii)配列番号7の重鎖可変領域アミノ酸配列及び配列番号8の軽鎖可変領域アミノ酸配列;又は(iii)配列番号9の重鎖アミノ酸配列及び配列番号10の軽鎖アミノ酸配列の配列を含み、かつ(b)(i)配列番号11~13の重鎖CDRアミノ酸配列及び配列番号14~16の軽鎖CDRアミノ酸配列;(ii)配列番号17の重鎖可変領域アミノ酸配列及び配列番号18の軽鎖可変領域アミノ酸配列;又は、(iii)配列番号19の重鎖アミノ酸配列及び配列番号20の軽鎖アミノ酸配列の配列を含む、0.020~0.125mg/kgの抗TNFα抗体又はその抗原結合断片を投与することと、を含み、前記方法が、前記UCの治療において有効及び臨床的に安全であり、前記患者が、Mayoスコア、部分的Mayoスコア、潰瘍性大腸炎の内視鏡的重症度指数(UCEIS)、マーカーCRP及び/又は便中カルプロテクチン、並びに患者報告アウトカム及び症状尺度からなる群から選択された臨床評価項目に基づいて臨床応答を示し、前記臨床評価項目が、初期治療から約38週間後に測定される、方法。
【請求項40】
前記抗IL-23p19抗体又はその抗原結合断片が、医薬組成物中において、7.9%(w/v)のショ糖;4.0mMのヒスチジン;6.9mMのL-ヒスチジン塩酸塩・一水和物;0.053%(w/v)のポリソルベート80の前記組成物の水溶液中に100mg/mLで存在し、かつ前記抗TNFα抗体又はその抗原結合断片が、医薬組成物中において、4.1%(w/v)のソルビトール;5.6mMのL-ヒスチジン及びL-ヒスチジン塩酸塩・一水和物;0.015%(w/v)のポリソルベート80の前記組成物の水溶液中に100mg/mLで存在する、請求項39のいずれかに記載の方法。
【請求項41】
炎症性障害を治療するための組み合わせ療法での使用のための(a)抗IL-23阻害剤及び(b)抗TNFα阻害剤の組成物を含む、医薬製品であって、第1の共治療有効量及び臨床的安全量の前記IL-23阻害剤並びに第2の共治療有効量及び臨床的安全量の前記TNFα阻害剤が、IBDを有する患者に投与され、前記患者が、Mayoスコア、部分的Mayoスコア、潰瘍性大腸炎の内視鏡的重症度指数(UCEIS)、マーカーCRP及び/又は便中カルプロテクチン、並びに患者報告アウトカム及び症状尺度からなる群から選択される臨床評価項目に基づく臨床応答を示し、前記臨床評価項目が、初期治療の約38週間後に測定される、医薬製品。
【請求項42】
前記抗IL-23阻害剤が、抗IL-23p19抗体又はその抗原結合断片であり、前記抗TNFα阻害剤が、抗TNFα抗体又はその抗原結合断片である、請求項41に記載の製品。
【請求項43】
前記IBDがUCであり、前記抗IL-23p19抗体がグセルクマブであり、前記抗TNFα抗体がゴリムマブである、請求項41又は42に記載の製品。
【請求項44】
患者のUCを治療する方法であって、組み合わせ療法段階とそれに続く単独療法段階を含み、(i)前記組み合わせ療法段階が、(a)第1の共治療有効量及び臨床的安全量の抗IL-23p19抗体又はその抗原結合断片を投与することと、(b)第2の共治療有効量及び臨床的安全量の抗TNFα抗体又はその抗原結合断片を投与することと、を含み、かつ(ii)前記単独療法段階が、治療有効量及び臨床的安全量の抗IL-23p19抗体又はその抗原結合断片を投与することを含み、前記患者が、初期治療の約38週間後に測定された療法に対する応答者である、方法。
【請求項45】
前記抗IL-23p19抗体又はその抗原結合断片が、(a)配列番号1~3の重鎖CDRアミノ酸配列及び配列番号4~6の軽鎖CDRアミノ酸配列;(b)配列番号7の重鎖可変領域アミノ酸配列及び配列番号8の軽鎖可変領域アミノ酸配列;又は、(c)配列番号9の重鎖アミノ酸配列及び配列番号10の軽鎖アミノ酸配列を含む、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
前記抗TNFα抗体又はその抗原結合断片が、(a)配列番号11~13の重鎖CDRアミノ酸配列及び配列番号14~16の軽鎖CDRアミノ酸配列;(b)配列番号17の重鎖可変領域アミノ酸配列及び配列番号18の軽鎖可変領域アミノ酸配列;又は、(c)配列番号19の重鎖アミノ酸配列及び配列番号20の軽鎖アミノ酸配列を含む、請求項44又は45に記載の方法。
【請求項47】
前記抗IL-23p19抗体又はその抗原結合断片が、(a)配列番号1~3の重鎖CDRアミノ酸配列及び配列番号4~6の軽鎖CDRアミノ酸配列;(b)配列番号7の重鎖可変領域アミノ酸配列及び配列番号8の軽鎖可変領域アミノ酸配列;又は(c)配列番号9の重鎖アミノ酸配列及び配列番号10の軽鎖アミノ酸配列を含み、前記抗TNFα抗体又はその抗原結合断片が、(a)配列番号11~13の重鎖CDRアミノ酸配列及び配列番号14~16の軽鎖CDRアミノ酸配列、(b)配列番号17の重鎖可変領域アミノ酸配列及び配列番号18の軽鎖可変領域アミノ酸配列;又は、(c)配列番号19の重鎖アミノ酸配列及び配列番号20の軽鎖アミノ酸配列を含む、請求項44に記載の方法。
【請求項48】
前記抗IL-23p19抗体又はその抗原結合断片が、グセルクマブであり、前記抗TNFα抗体又はその抗原結合断片が、ゴリムマブである、請求項44に記載の方法。
【請求項49】
前記組み合わせ療法段階の間、前記抗TNFα抗体又はその抗原結合断片及び前記抗IL-23p19抗体又はその抗原結合断片が、1:2~2:1(w/w)の比で投与される、請求項44~48のいずれかに記載の方法。
【請求項50】
前記組み合わせ療法段階の間、前記抗TNFα抗体又はその抗原結合断片及び前記抗IL-23p19抗体又はその抗原結合断片が、15:1~400:1(w/w)の比で投与される、請求項44~48のいずれかに記載の方法。
【請求項51】
前記組み合わせ療法段階の間、前記抗IL-23p19抗体又はその抗原結合断片及び前記抗TNFα抗体又はその抗原結合断片が、同時投与される、請求項44~50のいずれかに記載の方法。
【請求項52】
前記組み合わせ療法段階の間、前記抗IL-23p19抗体又はその抗原結合断片及び前記抗TNFα抗体又はその抗原結合断片が、順次投与される、請求項44~50のいずれかに記載の方法。
【請求項53】
前記組み合わせ療法段階の間、前記抗IL-23p19抗体又はその抗原結合断片及び前記抗TNFα抗体又はその抗原結合断片が、互いに1日以内に投与される、請求項44~50及び52のいずれかに記載の方法。
【請求項54】
前記組み合わせ療法段階の前記期間が、12週間である、請求項44~53のいずれかに記載の方法。
【請求項55】
前記組み合わせ療法段階の間、抗IL-23p19抗体又はその抗原結合断片が、200mgの初回静脈内投与量及び4週目及び8週目に200mgの静脈内投与量で投与され、前記抗TNFα抗体又はその抗原結合断片が、2、6、及び10週目に200mgの初回皮下投与量及び100mgの後続皮下投与量で投与され、前記単独療法段階の間、抗IL-23p19抗体又はその抗原結合断片が、8週間毎に100mgを皮下投与される、請求項44~54のいずれかに記載の方法。
【請求項56】
前記患者が、Mayoスコア、部分的Mayoスコア、UCEIS、マーカーCRP及び/又は便中カルプロテクチン、並びに患者報告アウトカム及び症状尺度からなる群から選択される臨床評価項目に基づく臨床応答を示し、前記臨床応答が、初期治療の約38週間後に測定される、請求項44~55のいずれかに記載の方法。
【請求項57】
患者の潰瘍性大腸炎を治療する方法であって、治療有効量及び臨床的安全量の抗IL-23p19抗体又はその抗原結合断片を投与することを含み、前記患者が、Mayoスコア、部分的Mayoスコア、UCEIS、マーカーCRP及び/又は便中カルプロテクチン、並びに患者報告アウトカム及び症状尺度からなる群から選択された臨床評価項目に基づく臨床応答を示す、方法。
【請求項58】
前記抗IL-23p19抗体又はその抗原結合断片が、(a)配列番号1~3の重鎖CDRアミノ酸配列及び配列番号4~6の軽鎖CDRアミノ酸配列;(b)配列番号7の重鎖可変領域アミノ酸配列及び配列番号8の軽鎖可変領域アミノ酸配列;又は、(c)配列番号9の重鎖アミノ酸配列及び配列番号10の軽鎖アミノ酸配列を含む、請求項57に記載の方法。
【請求項59】
前記抗IL-23p19抗体又はその抗原結合断片が、グセルクマブである、請求項57又は58に記載の方法。
【請求項60】
前記抗IL-23p19抗体又はその抗原結合断片が、200mg、600mg、又は1200mgの初回投与量で、並びに前記初回投与量の2週間後、前記初回投与量の6週間後、前記初回投与量の10週間後、及び10週目の前記投与量後には4週間毎又は8週間毎に、100mgの投与量で、投与される、請求項57~59のいずれかに記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(電子的に提出された配列表の参照)
本出願は、2022年4月27日付で作成された「JBI6562WOPCT1_SEQLIST.txt」というファイル名のASCII形式の配列表としてEFSWebを介して電子的に提出され、18kbのサイズを有する配列表を含む。EFSWebを介して提出された配列表は、本明細書の一部であり、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
(発明の背景)
クローン病(Crohn’s disease、CD)及び潰瘍性大腸炎(ulcerative colitis、UC)を含む炎症性腸疾患(Inflammatory bowel diseases、IBD)は、特発性腸炎、上皮性関門の破壊、及び微生物腸内毒素症を特徴とする。抗TNFα抗体治療などの生物学的薬剤の使用は、IBDの臨床管理を大きく変化させたが、多くの患者は導入療法に対する臨床応答を達成しておらず、単独療法として使用される生物学的療法の短期寛解率は20%未満である。
【0003】
腸炎症促進性におけるIL-23の役割は、中和性抗IL-23p19抗体で処置したマウス、又はIL-23のp19サブユニットの遺伝子欠失を有するマウスにおいて、弱毒化大腸炎が示されたことにより、いくつかのマウスモデルにおいて実証されている。全ゲノム関連解析(Genome-wide association studies;GWAS)により、IBDのリスク及び保護の両方に関連するIL-23受容体遺伝子(IL23R)における多型を同定した。中等度から重度のクローン病を有する患者では、2つの抗IL-23剤であるリサンキズマブ(BI655066)及びブラジクマブ(MEDI2070、AMG-139)の、有効性を実証する第2段階の結果が最近報告された。IBDの治療における抗IL-23療法の役割は存在し得るが、抗TNFα療法で観察されるように、ある患者集団はIL-23単独に対して完全に応答しない可能性があることが予想される。
【0004】
IBDの治療、特に抗TNFα抗体単独又は抗IL-23抗体単独のいずれかに基づく治療に反応しない患者のIBDの治療を改善する必要性が存在する。
【0005】
(発明の概要)
本明細書では、患者における炎症性疾患を治療する方法であって、(a)第1の共治療有効量及び臨床的安全量のIL-23阻害剤を投与することと、(b)第2の共治療有効両及び臨床的安全量のTNFα阻害剤を投与することと、を含む方法が提供され、ここで、本方法は、炎症性疾患を治療するのに有効であり、患者は臨床応答を示す。
【0006】
本方法の一実施形態では、炎症性疾患は、炎症性腸疾患(IBD)であり、患者は、Mayoスコア、部分的Mayoスコア、潰瘍性大腸炎の内視鏡的重症度指数(UCEIS)、マーカーCRP及び/又は便中カルプロテクチン、並びに患者報告アウトカム及び症状尺度からなる群から選択される臨床評価項目に基づく臨床応答を示す。
【0007】
本方法の一実施形態では、IL-23阻害剤は、抗IL-23p19抗体又はその抗原結合断片を含み、TNFα阻害剤は、抗TNFα抗体又はその抗原結合断片を含む。
【0008】
本方法の一実施形態では、IBDは、クローン病(CD)である。
【0009】
本方法の一実施形態では、IBDは、潰瘍性大腸炎(UC)又は分類不能大腸炎である。
【0010】
本方法の一実施形態では、IBDは、中等度から重度に活性なUCである。
【0011】
本方法の一実施形態では、患者は、以前にTNFα阻害剤単独で治療されており、ここで、UCは、以前の治療後に寛解しなかった。
【0012】
本方法の一実施形態では、患者は、以前にIL-23阻害剤単独で治療されており、ここで、UCは、以前の治療後に寛解しなかった。
【0013】
本方法の一実施形態では、抗IL-23p19抗体又はその抗原結合断片は、(a)配列番号1~3の重鎖相補性決定領域(CDR)アミノ酸配列及び配列番号4~6の軽鎖CDRアミノ酸配列;(b)配列番号7の重鎖可変領域アミノ酸配列及び配列番号8の軽鎖可変領域アミノ酸配列;又は(c)配列番号9の重鎖アミノ酸配列及び配列番号10の軽鎖アミノ酸配列を含む。
【0014】
本方法の一実施形態では、抗TNFα抗体又はその抗原結合断片は、(a)配列番号11~13の重鎖CDRアミノ酸配列及び配列番号14~16の軽鎖CDRアミノ酸配列;(b)配列番号17の重鎖可変領域アミノ酸配列及び配列番号18の軽鎖可変領域アミノ酸配列;又は、(c)配列番号19の重鎖アミノ酸配列及び配列番号20の軽鎖アミノ酸配列を含む。
【0015】
本方法の一実施形態では、抗IL-23p19抗体又はその抗原結合断片は、(a)配列番号1~3の重鎖CDRアミノ酸配列及び配列番号4~6の軽鎖CDRアミノ酸配列;(b)配列番号7の重鎖可変領域アミノ酸配列及び配列番号8の軽鎖可変領域アミノ酸配列;又は(c)配列番号9の重鎖アミノ酸配列及び配列番号10の軽鎖アミノ酸配列を含み、抗TNFα抗体又はその抗原結合断片は、(a)配列番号11~13の重鎖CDRアミノ酸配列及び配列番号14~16の軽鎖CDRアミノ酸配列、(b)配列番号17の重鎖可変領域アミノ酸配列及び配列番号18の軽鎖可変領域アミノ酸配列;又は、(c)配列番号19の重鎖アミノ酸配列及び配列番号20の軽鎖アミノ酸配列を含む。
【0016】
本方法の一実施形態では、IL-23阻害剤は、グセルクマブ、リサナキズマブ(risanakizumab)、チルドラキズマブ、及びミラキズマブからなる群から選択される抗IL-23抗体を含み、TNFα阻害剤は、ゴリムマブ、アダリムマブ、インフリキシマブ、セルトリズマブペゴル、及びエタナーセプトからなる群から選択される。
【0017】
本明細書では、患者におけるUCを治療する方法であって、以下:(a)(i)配列番号1~3の重鎖CDRアミノ酸配列及び配列番号4~6の軽鎖CDRアミノ酸配列、(ii)配列番号7の重鎖可変領域アミノ酸配列及び配列番号8の軽鎖可変領域アミノ酸配列、又は(iii)配列番号9の重鎖アミノ酸配列及び配列番号10の軽鎖アミノ酸配列を含む、第1の共治療有効量の抗IL-23p19抗体を投与することと、(b)(i)配列番号11~13の重鎖CDRアミノ酸配列及び配列番号14~16の軽鎖CDRアミノ酸配列、(ii)配列番号17の重鎖可変領域アミノ酸配列及び配列番号18の軽鎖可変領域アミノ酸配列、又は(iii)配列番号19の重鎖アミノ酸配列及び配列番号20の軽鎖アミノ酸配列を含む、第2の共治療有効量の抗TNFα抗体を投与することと、を含み、本方法が、UCの治療に有効及び臨床的に安全であり、本患者が、Mayoスコア、部分的Mayoスコア、UCEIS、マーカーCRP及び/又は便中カルプロテクチン、並びに患者報告アウトカム及び症状尺度からなる群から選択された臨床評価項目に基づく臨床応答を示す、方法が更に提供される。
【0018】
本方法の一実施形態では、抗TNFα抗体及び抗IL-23p19抗体は、1:2~2:1(w/w)の比で投与される。
【0019】
本方法の一実施形態では、抗TNFα抗体及び抗IL-23p19抗体は、15:1~400:1(w/w)の比で投与される。
【0020】
本方法の一実施形態では、抗IL-23p19抗体及び抗TNFα抗体は、同時投与される。
【0021】
本方法の一実施形態では、抗IL-23p19抗体及び抗TNFα抗体は、順次投与される。
【0022】
本方法の一実施形態では、抗IL-23p19抗体及び抗TNFα抗体は、互いに1日以内に投与される。
【0023】
本方法の一実施形態では、抗IL-23p19抗体は、200mgの初回静脈内投与量、4週目及び8週目に200mgの静脈内投与量、並びに8週間毎に100mgの後続皮下投与量で投与され、抗TNFα抗体は、200mgの初回皮下投与量、並びに2、6、及び10週目に100mgの後続皮下投与量で投与される。
【0024】
本方法の一実施形態では、患者は、Mayoスコア、部分的Mayoスコア、UCEIS、マーカーCRP及び/又は便中カルプロテクチン、並びに患者報告アウトカム及び症状尺度からなる群から選択される臨床評価項目に基づく臨床的寛解を示す。
【0025】
本方法の一実施形態では、臨床評価項目は、初期治療の約12週間後又は約38週間後に測定される。
【0026】
本方法の一実施形態では、臨床評価項目は、Mayoスコアに基づく。
【0027】
本明細書では、IBDを有する患者の結腸の炎症を軽減する方法であって、(a)第1の共治療有効量の抗IL-23p19抗体又はその抗原結合断片を投与することと、(b)第2の共治療有効量の抗TNFα抗体又はその抗原結合断片を投与することと、を含み、本方法が、正常対象の結腸に匹敵するレベルまで患者の結腸の炎症を軽減するのに有効及び臨床的に安全である、方法がまた更に提供される。
【0028】
本方法の一実施形態では、抗IL-23p19抗体又はその抗原結合断片及び抗TNFα抗体又はその抗原結合断片の投与後に、炎症は、患者の結腸からの組織試料において最低限又は正常である。
【0029】
本方法の一実施形態では、抗IL-23p19抗体又はその抗原結合断片及び抗TNFα抗体又はその抗原結合断片の投与後に、腺欠損は、患者の結腸からの組織試料において最低限又は正常である。
【0030】
本方法の一実施形態では、抗IL-23p19抗体又はその抗原結合断片及び抗TNFα抗体又はその抗原結合断片の投与後に、びらんは、患者の結腸からの組織試料において最低限又は正常である。
【0031】
本方法の一実施形態では、抗IL-23p19抗体又はその抗原結合断片及び抗TNFα抗体又はその抗原結合断片の投与後に、粘膜厚及び過形成は、独立して、患者の結腸からの組織試料において最低限又は正常である。
【0032】
本方法の一実施形態では、抗IL-23p19抗体又はその抗原結合断片及び抗TNFα抗体又はその抗原結合断片の投与後に、結腸の組織病理は、正常組織の組織病理と同一である。
【0033】
本方法の一実施形態では、抗IL-23p19抗体又はその抗原結合断片は、(a)配列番号1~3の重鎖CDRアミノ酸配列及び配列番号4~6の軽鎖CDRアミノ酸配列;(b)配列番号7の重鎖可変領域アミノ酸配列及び配列番号8の軽鎖可変領域アミノ酸配列;又は(c)配列番号9の重鎖アミノ酸配列及び配列番号10の軽鎖アミノ酸配列を含み、抗TNFα抗体又はその抗原結合断片は、(d)配列番号11~13の重鎖CDRアミノ酸配列及び配列番号14~16の軽鎖CDRアミノ酸配列;(e)配列番号17の重鎖可変領域アミノ酸配列及び配列番号18の軽鎖可変領域アミノ酸配列;又は、(f)配列番号19の重鎖アミノ酸配列及び配列番号20の軽鎖アミノ酸配列を含む。
【0034】
本方法の一実施形態では、抗TNFα抗体又はその抗原結合断片及び抗IL-23p19抗体又はその抗原結合断片は、1:2~2:1(w/w)の比で投与される。
【0035】
本方法の一実施形態では、抗TNFα抗体又はその抗原結合断片及び抗IL-23p19抗体又はその抗原結合断片は、15:1~400:1(w/w)の比で投与される。
【0036】
本方法の一実施形態では、(a)抗IL-23p19抗体又はその抗原結合断片及び(b)抗TNFα抗体又はその抗原結合断片は、同時投与される。
【0037】
本方法の一実施形態では、(a)抗IL-23p19抗体又はその抗原結合断片及び(b)抗TNFα抗体又はその抗原結合断片は、順次投与される。
【0038】
本方法の一実施形態では、(a)抗IL-23p19抗体又はその抗原結合断片及び(b)抗TNFα抗体又はその抗原結合断片は、互いに1日以内に投与される。
【0039】
本明細書では、患者のIBDを治療し、かつ患者の体重減少(weight loss)を減少させる方法であって、以下:(a)第1の共治療及び体重減少(weight reducing)有効量及び臨床的安全量の抗IL-23p19抗体又はその抗原結合断片を投与することと、(b)第2の共治療及び体重減少(weight reducing)有効量及び臨床的安全量の抗TNFα抗体又はその抗原結合断片を投与することと、を含む、方法が更に提供される。
【0040】
本方法の一実施形態では、抗TNFα抗体又はその抗原結合断片及び抗IL-23p19抗体又はその抗原結合断片は、1:2~2:1(w/w)の比で投与される。
【0041】
本方法の一実施形態では、抗TNFα抗体又はその抗原結合断片及び抗IL-23p19抗体又はその抗原結合断片は、15:1~400:1(w/w)の比で投与される。
【0042】
本方法の一実施形態では、(a)抗IL-23p19抗体又はその抗原結合断片及び(b)抗TNFα抗体又はその抗原結合断片は、同時投与される。
【0043】
本方法の一実施形態では、(a)抗IL-23p19抗体又はその抗原結合断片及び(b)抗TNFα抗体又はその抗原結合断片は、順次投与される。
【0044】
本方法の一実施形態では、(a)抗IL-23p19抗体又はその抗原結合断片及び(b)抗TNFα抗体又はその抗原結合断片は、互いに1日以内に投与される。
【0045】
本方法の一実施形態では、抗IL-23p19抗体又はその抗原結合断片は、(a)配列番号1~3の重鎖CDRアミノ酸配列及び配列番号4~6の軽鎖CDRアミノ酸配列;(b)配列番号7の重鎖可変領域アミノ酸配列及び配列番号8の軽鎖可変領域アミノ酸配列;又は(c)配列番号9の重鎖アミノ酸配列及び配列番号10の軽鎖アミノ酸配列を含み、抗TNFα抗体又はその抗原結合断片は、(a)配列番号11~13の重鎖CDRアミノ酸配列及び配列番号14~16の軽鎖CDRアミノ酸配列、(b)配列番号17の重鎖可変領域アミノ酸配列及び配列番号18の軽鎖可変領域アミノ酸配列;又は、(c)配列番号19の重鎖アミノ酸配列及び配列番号20の軽鎖アミノ酸配列を含む。
【0046】
本明細書では、ヒト患者の中等度~重度に活性なUCを治療する方法であって、以下:(a)(i)配列番号1~3の重鎖CDRアミノ酸配列及び配列番号4~6の軽鎖CDRアミノ酸配列の配列を含む、0.0005~0.002mg/kgの抗IL-23p19抗体又はその抗原結合断片を投与することと、(ii)配列番号7の重鎖可変領域アミノ酸配列及び配列番号8の軽鎖可変領域アミノ酸配列;又は(iii)配列番号9の重鎖アミノ酸配列及び配列番号10の軽鎖アミノ酸配列の配列を含み、かつ(b)(i)配列番号11~13の重鎖CDRアミノ酸配列及び配列番号14~16の軽鎖CDRアミノ酸配列;(ii)配列番号17の重鎖可変領域アミノ酸配列及び配列番号18の軽鎖可変領域アミノ酸配列;又は、(iii)配列番号19の重鎖アミノ酸配列及び配列番号20の軽鎖アミノ酸配列の配列を含む、0.020~0.125mg/kgの抗TNFα抗体又はその抗原結合断片を投与することと、を含む方法が、また更に提供される。
【0047】
本方法の一実施形態では、本方法は、UCの治療において有効及び臨床的に安全である。
【0048】
本方法の一実施形態では、患者は、Mayoスコア、部分的Mayoスコア、UCEIS、マーカーCRP及び/又は便中カルプロテクチン、並びに患者報告アウトカム及び症状尺度からなる群から選択される臨床評価項目に基づく臨床的寛解を示す。
【0049】
本方法の一実施形態では、抗IL-23p19抗体又はその抗原結合断片は、医薬組成物中において、7.9%(w/v)のショ糖;4.0mMのヒスチジン;6.9mMのL-ヒスチジン塩酸塩・一水和物;0.053%(w/v)のポリソルベート80の組成物の水溶液中に100mg/mLで存在し、かつ抗TNFα抗体又はその抗原結合断片が、医薬組成物中において、4.1%(w/v)のソルビトール;5.6mMのL-ヒスチジン及びL-ヒスチジン塩酸塩・一水和物;0.015%(w/v)のポリソルベート80の当該組成物の水溶液中に100mg/mLで存在する。
【0050】
本明細書では、炎症性障害を治療するための組み合わせ療法において使用するための、(a)抗IL-23阻害剤及び(b)抗TNFα阻害剤の組成物を含む、医薬製品であって、ここで、第1の共治療有効量及び臨床的安全量のIL-23阻害剤並びに第2の共治療有効量及び臨床的安全量のTNFα阻害剤が、患者に投与され、患者が、臨床応答を示す、医薬製品が更に提供される。
【0051】
医薬製品の一実施形態では、抗IL-23阻害剤は、抗IL-23p19抗体又はその抗原結合断片であり、抗TNFα阻害剤は、抗TNFα抗体又はその抗原結合断片であり、炎症性障害は、IBDである。
【0052】
医薬製品の一実施形態では、IBDはUCであり、抗IL-23p19抗体はグセルクマブであり、抗TNFα抗体はゴリムマブである。
【0053】
本明細書では、患者のUCを治療する方法であって、組み合わせ療法段階とそれに続く単独療法段階を含み、(i)組み合わせ療法段階が、(a)第1の共治療有効量及び臨床的安全量の抗IL-23p19抗体又はその抗原結合断片を投与することと、(b)第2の共治療有効量及び臨床的安全量の抗TNFα抗体又はその抗原結合断片を投与することと、を含み、かつ(ii)単独療法段階が、治療有効量及び臨床的安全量の抗IL-23p19抗体又はその抗原結合断片を投与することを含む方法が、また更に提供される。
【0054】
本方法の一実施形態では、抗IL-23p19抗体又はその抗原結合断片は、(a)配列番号1~3の重鎖CDRアミノ酸配列及び配列番号4~6の軽鎖CDRアミノ酸配列;(b)配列番号7の重鎖可変領域アミノ酸配列及び配列番号8の軽鎖可変領域アミノ酸配列;又は、(c)配列番号9の重鎖アミノ酸配列及び配列番号10の軽鎖アミノ酸配列を含む。
【0055】
本方法の一実施形態では、抗TNFα抗体又はその抗原結合断片は、(a)配列番号11~13の重鎖CDRアミノ酸配列及び配列番号14~16の軽鎖CDRアミノ酸配列;(b)配列番号17の重鎖可変領域アミノ酸配列及び配列番号18の軽鎖可変領域アミノ酸配列;又は、(c)配列番号19の重鎖アミノ酸配列及び配列番号20の軽鎖アミノ酸配列を含む。
【0056】
本方法の一実施形態では、抗IL-23p19抗体又はその抗原結合断片は、(a)配列番号1~3の重鎖CDRアミノ酸配列及び配列番号4~6の軽鎖CDRアミノ酸配列;(b)配列番号7の重鎖可変領域アミノ酸配列及び配列番号8の軽鎖可変領域アミノ酸配列;又は(c)配列番号9の重鎖アミノ酸配列及び配列番号10の軽鎖アミノ酸配列を含み、抗TNFα抗体又はその抗原結合断片は、(a)配列番号11~13の重鎖CDRアミノ酸配列及び配列番号14~16の軽鎖CDRアミノ酸配列、(b)配列番号17の重鎖可変領域アミノ酸配列及び配列番号18の軽鎖可変領域アミノ酸配列;又は、(c)配列番号19の重鎖アミノ酸配列及び配列番号20の軽鎖アミノ酸配列を含む。
【0057】
本方法の一実施形態では、抗IL-23p19抗体又はその抗原結合断片は、グセルクマブであり、抗TNFα抗体又はその抗原結合断片は、ゴリムマブである。
【0058】
本方法の一実施形態では、組み合わせ療法段階の間、抗TNFα抗体又はその抗原結合断片及び抗IL-23p19抗体又はその抗原結合断片は、1:2~2:1(w/w)の比で投与される。
【0059】
本方法の一実施形態では、組み合わせ療法段階の間、抗TNFα抗体又はその抗原結合断片及び抗IL-23p19抗体又はその抗原結合断片は、15:1~400:1(w/w)の比で投与される。
【0060】
本方法の一実施形態では、組み合わせ療法段階の間、抗IL-23p19抗体又はその抗原結合断片及び抗TNFα抗体又はその抗原結合断片は、同時投与される。
【0061】
本方法の一実施形態では、組み合わせ療法段階の間、抗IL-23p19抗体又はその抗原結合断片及び抗TNFα抗体又はその抗原結合断片は、順次投与される。
【0062】
本方法の一実施形態では、組み合わせ療法段階の間、抗IL-23p19抗体又はその抗原結合断片及び抗TNFα抗体又はその抗原結合断片は、互いに1日以内に投与される。
【0063】
本方法の一実施形態では、組み合わせ療法段階の期間は、12週間である。
【0064】
本方法の一実施形態では、組み合わせ療法段階の間、抗IL-23p19抗体又はその抗原結合断片は、200mgの初回静脈内投与量及び4週目及び8週目に200mgの静脈内投与量で投与され、抗TNFα抗体又はその抗原結合断片は、2、6、及び10週目に200mgの初回皮下投与量及び100mgの後続皮下投与量で投与され、単独療法段階の間、抗IL-23p19抗体又はその抗原結合断片は、8週間毎に100mgを皮下投与される。
【0065】
本方法の一実施形態では、患者は、Mayoスコア、部分的Mayoスコア、UCEIS、マーカーCRP及び/又は便中カルプロテクチン、並びに患者報告アウトカム及び症状尺度からなる群から選択される臨床評価項目に基づく臨床応答を示し、ここで、臨床応答は、初期治療から約12週間後及び/又は初期治療から約38週間後に測定される。
【0066】
本明細書では、患者における潰瘍性大腸炎を治療する方法であって、治療有効量及び臨床的安全量の抗IL-23p19抗体又はその抗原結合断片を投与することを含む、方法がまた更に提供される。
【0067】
本方法の一実施形態では、抗IL-23p19抗体又はその抗原結合断片は、(a)配列番号1~3の重鎖CDRアミノ酸配列及び配列番号4~6の軽鎖CDRアミノ酸配列;(b)配列番号7の重鎖可変領域アミノ酸配列及び配列番号8の軽鎖可変領域アミノ酸配列;又は、(c)配列番号9の重鎖アミノ酸配列及び配列番号10の軽鎖アミノ酸配列を含む。
【0068】
本方法の一実施形態では、抗IL-23p19抗体又はその抗原結合断片は、グセルクマブである。
【0069】
本方法の一実施形態では、抗IL-23p19抗体又はその抗原結合断片は、200mg、600mg、又は1200mgの初回投与量、並びに初回投与量の2週間後、初回投与量の6週間後、初回投与量の10週間後、及び10週目の投与量後に4週間毎又は8週間毎に100mgの投与量で投与される。
【0070】
本方法の一実施形態では、患者は、Mayoスコア、部分的Mayoスコア、UCEIS、マーカーCRP及び/又は便中カルプロテクチン、並びに患者報告アウトカム及び症状尺度からなる群から選択される臨床評価項目に基づく臨床応答を示す。
【図面の簡単な説明】
【0071】
図1A】低用量(図1A、50μg)及び高用量(図1B、500μg)の抗TNFα及び抗IL-23p19抗体による単独又は組み合わせの治療の後にマウスに行った体重減少分析の結果を示す。各線は、標準誤差のためのエラーバー(n=9抗体治療、n=5 PBS対照、n=3未感作対照)、-1日目(点線)からの変化率として示されている。いくつかのエラーバーは記号のサイズ内にあり、図示されていない。疾患は、抗CD40抗体(BioXCell、カタログ番号BE0016-2、アゴニストCD40AbクローンFGK4.55、ロット番号5345/0515)の投与によって誘導された。
図1B】低用量(図1A、50μg)及び高用量(図1B、500μg)の抗TNFα及び抗IL-23p19抗体による単独又は組み合わせの治療の後にマウスに行った体重減少分析の結果を示す。各線は、標準誤差のためのエラーバー(n=9抗体治療、n=5 PBS対照、n=3未感作対照)、-1日目(点線)からの変化率として示されている。いくつかのエラーバーは記号のサイズ内にあり、図示されていない。疾患は、抗CD40抗体(BioXCell、カタログ番号BE0016-2、アゴニストCD40AbクローンFGK4.55、ロット番号5345/0515)の投与によって誘導された。
図2A】低用量(図2B、50μg/マウス)の抗TNFα及び/又は抗IL-23p19抗体、及び高用量(図2B、500μg/マウス)の抗TNFα及び/又は抗IL-23p19抗体でそれぞれ治療したマウスの結腸に行った組織病理学的研究の結果を示す。疾患は、抗CD40抗体の投与によって誘導された。
図2B】低用量(図2B、50μg/マウス)の抗TNFα及び/又は抗IL-23p19抗体、及び高用量(図2B、500μg/マウス)の抗TNFα及び/又は抗IL-23p19抗体でそれぞれ治療したマウスの結腸に行った組織病理学的研究の結果を示す。疾患は、抗CD40抗体の投与によって誘導された。
図3A】導入のためのウステキヌマブ抗インターロイキン12/23に対するクローンの応答評価(Crohn’s Evaluation of Response to Ustekinumab Anti-Interleukin-12/23 for Induction、CERTIFI)ヒトIBD遺伝子発現ネットワーク上に投影された、マウス大腸炎の抗CD40モデルからの抗TNFα又は抗IL-23p19単独療法のヒト化治療シグネチャを示す。図3Aは、ベン図によって示された、抗TNFαサブネットワーク及び抗IL-23p19サブネットワークに存在する遺伝子間の重複を示す。
図3B】共有抗TNFα及び抗IL-23p19サブネットワークの最大連結成分を示す。
図4A】50、15、5、1.5.0.5、0.15μg/マウスでアイソタイプ対照抗体(図4A)若しくは抗IL-23p19抗体(図4B)、又は150及び15μg/マウスで抗TNFα抗体(図4C)を腹腔内投与した、雌RAG2-/-マウスに行った体重減少分析の結果を示す。疾患は、抗CD40抗体の投与によって誘導された。図4Dに示されるように、統計データを生成して各群をアイソタイプ対照と比較した。
図4B】50、15、5、1.5.0.5、0.15μg/マウスでアイソタイプ対照抗体(図4A)若しくは抗IL-23p19抗体(図4B)、又は150及び15μg/マウスで抗TNFα抗体(図4C)を腹腔内投与した、雌RAG2-/-マウスに行った体重減少分析の結果を示す。疾患は、抗CD40抗体の投与によって誘導された。図4Dに示されるように、統計データを生成して各群をアイソタイプ対照と比較した。
図4C】50、15、5、1.5.0.5、0.15μg/マウスでアイソタイプ対照抗体(図4A)若しくは抗IL-23p19抗体(図4B)、又は150及び15μg/マウスで抗TNFα抗体(図4C)を腹腔内投与した、雌RAG2-/-マウスに行った体重減少分析の結果を示す。疾患は、抗CD40抗体の投与によって誘導された。図4Dに示されるように、統計データを生成して各群をアイソタイプ対照と比較した。
図4D】50、15、5、1.5.0.5、0.15μg/マウスでアイソタイプ対照抗体(図4A)若しくは抗IL-23p19抗体(図4B)、又は150及び15μg/マウスで抗TNFα抗体(図4C)を腹腔内投与した、雌RAG2-/-マウスに行った体重減少分析の結果を示す。疾患は、抗CD40抗体の投与によって誘導された。図4Dに示されるように、統計データを生成して各群をアイソタイプ対照と比較した。
図5A】50、15、5、1.5.0.5、0.15μg/マウスでアイソタイプ対照抗体(図5A)、抗IL-23p19抗体(図5B)、又は150及び15μg/マウスで抗TNFα抗体(図5C)を腹腔内投与した、雌RAG2-/-マウスの結腸に行った組織病理学的研究の結果を示す。疾患は、抗CD40抗体の投与によって誘導された。
図5B】50、15、5、1.5.0.5、0.15μg/マウスでアイソタイプ対照抗体(図5A)、抗IL-23p19抗体(図5B)、又は150及び15μg/マウスで抗TNFα抗体(図5C)を腹腔内投与した、雌RAG2-/-マウスの結腸に行った組織病理学的研究の結果を示す。疾患は、抗CD40抗体の投与によって誘導された。
図5C】50、15、5、1.5.0.5、0.15μg/マウスでアイソタイプ対照抗体(図5A)、抗IL-23p19抗体(図5B)、又は150及び15μg/マウスで抗TNFα抗体(図5C)を腹腔内投与した、雌RAG2-/-マウスの結腸に行った組織病理学的研究の結果を示す。疾患は、抗CD40抗体の投与によって誘導された。
図6A】対照抗体(図6A)、500μg/マウスの抗TNFα抗体単独(図6B)、1.5、5、若しくは25μg/マウスの抗IL-23p19抗体単独(図6C)、又は500μg/マウスの抗TNFα抗体と1.5、5、若しくは25μg/マウスの抗IL-23p19抗体との組み合わせ(図6D)を投与したマウスに行った、体重減少分析の結果を示す。疾患は、抗CD40抗体の投与によって誘導された。図6Eは、異なる群のデータの比較を示す。
図6B】対照抗体(図6A)、500μg/マウスの抗TNFα抗体単独(図6B)、1.5、5、若しくは25μg/マウスの抗IL-23p19抗体単独(図6C)、又は500μg/マウスの抗TNFα抗体と1.5、5、若しくは25μg/マウスの抗IL-23p19抗体との組み合わせ(図6D)を投与したマウスに行った、体重減少分析の結果を示す。疾患は、抗CD40抗体の投与によって誘導された。図6Eは、異なる群のデータの比較を示す。
図6C】対照抗体(図6A)、500μg/マウスの抗TNFα抗体単独(図6B)、1.5、5、若しくは25μg/マウスの抗IL-23p19抗体単独(図6C)、又は500μg/マウスの抗TNFα抗体と1.5、5、若しくは25μg/マウスの抗IL-23p19抗体との組み合わせ(図6D)を投与したマウスに行った、体重減少分析の結果を示す。疾患は、抗CD40抗体の投与によって誘導された。図6Eは、異なる群のデータの比較を示す。
図6D】対照抗体(図6A)、500μg/マウスの抗TNFα抗体単独(図6B)、1.5、5、若しくは25μg/マウスの抗IL-23p19抗体単独(図6C)、又は500μg/マウスの抗TNFα抗体と1.5、5、若しくは25μg/マウスの抗IL-23p19抗体との組み合わせ(図6D)を投与したマウスに行った、体重減少分析の結果を示す。疾患は、抗CD40抗体の投与によって誘導された。
図6E】異なる群のデータの比較を示す。
図7A】1.5μg(図7A)、5μg(図7B)、又は25μg(図7C)の抗IL23p19抗体の濃度で500μg/マウスの抗TNFα抗体単独、マウス抗IL-23p19抗体単独、又は500μg/マウスの抗TNFα抗体とマウス抗IL-23p19抗体との組み合わせを投与したマウスの結腸に行った組織病理学的研究の結果を示す。疾患は、抗CD40抗体の投与によって誘導された。
図7B】1.5μg(図7A)、5μg(図7B)、又は25μg(図7C)の抗IL23p19抗体の濃度で500μg/マウスの抗TNFα抗体単独、マウス抗IL-23p19抗体単独、又は500μg/マウスの抗TNFα抗体とマウス抗IL-23p19抗体との組み合わせを投与したマウスの結腸に行った組織病理学的研究の結果を示す。疾患は、抗CD40抗体の投与によって誘導された。
図7C】1.5μg(図7A)、5μg(図7B)、又は25μg(図7C)の抗IL23p19抗体の濃度で500μg/マウスの抗TNFα抗体単独、マウス抗IL-23p19抗体単独、又は500μg/マウスの抗TNFα抗体とマウス抗IL-23p19抗体との組み合わせを投与したマウスの結腸に行った組織病理学的研究の結果を示す。疾患は、抗CD40抗体の投与によって誘導された。
図8】組み合わせ療法(500μgの抗TNFαと1.5μgの抗IL-23p19)からの遺伝子発現シグネチャと交差させた抗TNFα(500μg)又は高用量抗IL-23p19(25μg)単独療法のヒト化結腸遺伝子発現シグネチャに基づくネットワーク分析の結果を示す。この分析は、抗TNFαと低用量抗IL-23p19抗体との組み合わせ治療に対する分子応答が、いずれかの療法単独と比較して相加的であったか又は固有的であったかを決定するために行われた。約200個の遺伝子の固有のサブネットワークが同定され、サブネットワークは、線維芽細胞及び細胞外マトリックス組織、創傷修復及び粘膜治癒に関与する細胞型及び経路において富化された。
【0072】
(発明の詳細な記述)
定義:
別段の規定がない限り、本明細書及び特許請求の範囲で使用される技術用語及び科学用語は、本発明が属する技術分野における当業者によって一般的に理解されている意味と同一の意味を有する。
【0073】
添付の特許請求の範囲を含む本明細書において使用される場合、「a」、「an」、及び「the」などの単語の単数形は、別途文脈が明確に示さない限り、それらの対応する複数の指示対象を含む。
【0074】
「約」は、当業者によって決定される特定の値について許容される誤差範囲内であることを意味し、これは、その値がどのように測定又は決定されるのか、すなわち、測定システムの制限に部分的に依存する。特定のアッセイ、結果、又は実施形態の文脈において、実施例又は本明細書の他の箇所に別途明示的に記載されない限り、「約」は、当該技術分野の慣行による1標準偏差、又は5%までの範囲のうちのいずれか大きい方の範囲内であることを意味する。
【0075】
動物、ヒト、実験対象、細胞、組織、器官、又は生物学的流体に適用されるとき、「投与」及び「治療」は、動物、ヒト、対象、細胞、組織、器官、又は生物学的流体に対する外因性の医薬品、治療剤、診断剤、又は組成物の接触を指す。「投与」及び「治療」は、例えば、治療方法、薬物動態方法、診断方法、研究方法、及び実験方法を指すことができる。細胞の処置は、細胞に対する試薬の接触、並びに細胞と接触している流体に対する試薬の接触を包含する。「投与」及び「治療」はまた、試薬、診断、結合組成物による、又は別の細胞による、例えば、細胞のインビトロ処理及びエクスビボ処理を意味する。
【0076】
「治療」は、ヒト対象、獣医学的対象、又は研究対象に適用される場合、治療処置、予防又は防止手段、研究及び診断適用を意味する。「治療」は、ヒト対象、獣医学的対象、又は研究対象、あるいは細胞、組織、又は器官に適用されるとき、動物対象、細胞、組織、生理学的区画、又は生理学的流体と薬剤との接触を包含する。「細胞の処置」はまた、薬剤が、例えば、流体相又はコロイド相中で、IL-23受容体などの標的に接触する状況を包含するが、アゴニスト又はアンタゴニストが細胞又は受容体に接触しない状況もまた包含する。
【0077】
「治療」又は「治療する」はまた、治療薬を必要とする患者に本明細書に記載される組成物などの治療薬を内服投与又は外用投与することを指すことができる。典型的には、薬剤は、1つ又は2つ以上の病的症状、又は異なる治療剤による治療の1つ又は2つ以上の副作用を、いずれかの臨床的に測定可能な度合いだけそのような症状又は副作用の発症を防止するか、退縮を誘導するか、又は進行を阻害するかに関わらず、予防又は緩和するのに有効な量で投与される。任意の特定の病的症状又は副作用を緩和するのに有効である治療剤の量(「治療有効量」とも呼ばれる)は、患者の病態、年齢、体重、患者の所望の応答を引き出す治療薬の能力、患者の全体的な健康、投与の方法、経路及び用量、及び副作用の重症度などの因子によって異なり得る。
【0078】
「阻害剤」は、本明細書において使用される場合、標的分子の活性を低下させる任意の薬剤である。具体的には、IL-23又はTNFαのアンタゴニストは、例えば、IL-23又はTNFαがその受容体に結合するのを遮断することによって、又は別の方法でその活性を低下させることによって(例えば、バイオアッセイにおいて測定したとき)、IL-23又はTNFαの生物活性を低下させる薬剤である。
【0079】
本明細書において使用される場合、「抗IL-23特異的抗体」、「抗IL-23抗体」、「抗体部分」、又は「抗体断片」及び/若しくは「抗体変異体」等は、本発明の抗体に組み込むことができる、重鎖若しくは軽鎖の少なくとも1つの相補性決定領域(complementarity determining region、CDR)若しくはそのリガンド結合部分、重鎖若しくは軽鎖可変領域、重鎖若しくは軽鎖定常領域、フレームワーク領域、又はこれらの任意の部分、あるいはIL-23受容体又は結合タンパク質の少なくとも一部分などであるが、これらに限定されない、免疫グロブリン分子の少なくとも一部を含む、任意のタンパク質又はペプチド含有分子を含む。このような抗体は、任意選択的に、更に特異的なリガンドに影響を及ぼし、限定するものではないが、例えばこのような抗体は、インビトロ、インサイチュ及び/又はインビボで、少なくとも1つのIL-23活性若しくは結合、又はIL-23受容体活性若しくは結合を、調節、低減、増大、拮抗、刺激、軽減、緩和、遮断、阻害、抑止する及び/又は妨げる。非限定的な例として、本発明の好適な抗IL-23抗体、特定の部分、又は変異体は、少なくとも1つのIL-23分子又はその特定の部分、変異体若しくはドメインに結合することができる。好適な抗IL-23抗体、特定された部分、又は変異体はまた、任意選択的に、少なくとも1つのIL-23活性又は機能にも影響を及ぼすことができ、そのような活性又は機能としては、RNA、DNA、若しくはタンパク質合成、IL-23の放出、IL-23受容体のシグナル伝達、膜IL-23の切断、IL-23活性、IL-23の産生、及び/又は合成などが挙げられるが、それらに限定されない。
【0080】
「抗体(antibody)」という用語は、抗体模倣薬を含む、あるいは単鎖抗体及びその断片などといった抗体の構造及び/若しくは機能を模倣する抗体の部分又はその特定された断片若しくは一部分を含む、抗体、その消化断片、特定された部分、及び変異体を包含することを更に意図する。機能断片として、哺乳動物のIL-23に結合する抗原結合断片が挙げられる。例えば、IL-23又はその一部に結合することができる抗体断片としては、Fab(例えば、パパイン消化による)、Fab’(例えば、ペプシン消化及び部分的還元による)及びF(ab’)2(例えば、ペプシン消化による)、facb(例えば、プラスミン消化による)、pFc’(例えば、ペプシン又はプラスミン消化による)、Fd(例えば、ペプシン消化、部分的還元及び再集合による)、Fv又はscFv(例えば、分子生物学的技術による)断片が挙げられるが、これらに限定されない。
【0081】
このような断片は、当該技術分野において周知であるような、及び/又は本明細書に記載のような、酵素による切断、合成又は組換え技術により生成することができる。抗体はまた、1つ又は2つ以上の終止コドンが天然の終止部位の上流に導入されている抗体遺伝子を使用して、種々の切断型で生成することもできる。例えば、F(ab’)2の重鎖部分をコードする組み合わせ遺伝子は、重鎖のCH1ドメイン及び/又はヒンジ領域をコードするDNA配列を含むように設計され得る。抗体の種々の部分を従来技術により化学的に結合することができ、又は遺伝子工学技術を使用して切れ目なく連続するタンパク質として調製することができる。
【0082】
「ヒト化抗体」とは、抗原結合部位が非ヒト種に由来し、可変領域フレームワークがヒト免疫グロブリン配列に由来する、抗体を指す。ヒト化抗体は、フレームワーク内に置換を含む可能性があることから、フレームワークは、発現したヒト免疫グロブリン又はヒト免疫グロブリン生殖系列遺伝子の配列の正確なコピーでなくてもよい。
【0083】
「ヒト抗体」とは、フレームワーク及び抗原結合部位の両方がヒト起源の配列に由来する重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を有する抗体を指す。抗体が定常領域又は定常領域の一部を含む場合、定常領域もまた、ヒト起源の配列に由来する。
【0084】
「対象」又は「患者」は、互換的に使用される場合、任意のヒト又は非ヒト動物を含み、「非ヒト動物」には、例えば、非ヒト霊長類、ヒツジ、イヌ、ネコ、ウマ、ウシ、ニワトリ、両生類、爬虫類などの哺乳動物及び非哺乳動物などの全ての脊椎動物が含まれる。
【0085】
「腫瘍壊死因子」、「TNF」、又は「TNFα」は、周知のヒト腫瘍壊死因子-α(TNFα)である多機能性炎症誘導性サイトカインを指す。TNFαは、軟骨及び骨の分解、接着分子の誘導、血管内皮細胞上での凝血促進活性の誘導、好中球及びリンパ球の接着の上昇、並びにマクロファージ、好中球及び血管内皮細胞からの血小板活性化因子の放出の刺激などの組織損傷をもたらす炎症誘導性経路を誘導する。
【0086】
TNFαは、可溶性タンパク質、並びに細胞の表面上のII型ポリペプチドとして発現される膜貫通TNFαと呼ばれる前駆体形態として見出される。膜貫通TNFαは、TNFα-変換酵素(TACE)などのメタロプロテイナーゼによって、残基Ala76とVa177との間で切断され、その結果、157アミノ酸残基の可溶性形態のTNFαが放出される。可溶性TNFαは、17kDaの切断された単量体のホモ三量体である。膜貫通TNFαもまた、26kDの切断されていない単量体のホモ三量体として存在する。
【0087】
第1の態様では、対象における炎症性腸疾患(IBD)を治療する方法が提供される。この方法は、第1の共治療有効量(co-therapeutically effective amount)のIL-23阻害剤を投与することと、第2の共治療有効量のTNFα阻害剤を投与することと、を含む。この方法は、炎症性腸疾患を治療するのに有効であり、第1及び第2の共治療有効量は、同じであるか又は異なっている。
【0088】
IL-23阻害剤(例えば、抗IL-23抗体又はその抗原結合断片)と、TNFα阻害剤(例えば、抗TNFα抗体又はその抗原結合断片)との組み合わせは、全身的影響、並びに腸又は結腸に対する局所的影響をもたらし得る。この組み合わせは、IL-23阻害剤(例えば、抗IL-23抗体又はその抗原結合断片)又はTNFα阻害剤(例えば、抗TNFα抗体又はその抗原結合断片)単独のいずれかによる治療よりも大きな全身的影響を与え得る。この組み合わせは、ヒトにおけるIBDの治療において優れた抗炎症活性を提供することができる。抗IL-23抗体(例えば、IL-23のp19サブユニットに結合する抗IL-23p19抗体)は、IBD(例えば、大腸炎及びクローン病)の発症を遮断するのに非常に効果的であり得るが、抗CD40誘導体重減少を阻止することはできない一方、抗TNFα抗体は、IBDからのある程度保護した状態で、抗CD40誘導体重減少からの実質的な保護を提供することができる。各抗体及びこれらの組み合わせは、局所的炎症対全身性炎症に対する差動効果をもたらすことができる。
【0089】
一実施形態では、本明細書中で使用されるIL-23阻害剤は、抗IL-23抗体又はその抗原結合断片から選択され、それらには、グセルクマブ、リサナキズマブ、チルドラキズマブ、及びミラキズマブが挙げられるが、これらに限定されない。一実施形態では、IL-23阻害剤は、その開示全体が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第7,491,391号及び米国特許出願公開第2018/0094052号に記載されている、抗IL-23p19抗体及びその抗原結合断片のいずれかから選択される。
【0090】
一実施形態では、抗IL-23p19抗体又はその抗原結合断片は、(i)配列番号1(HCDR1)、配列番号2(HCDR2)、及び配列番号3(HCDR3)の重鎖CDRアミノ酸配列、並びに(ii)配列番号4(LCDR1)、配列番号5(LCDR2)、及び配列番号6(LCDR3)の軽鎖CDRアミノ酸配列の、相補性決定領域(CDR)配列を含む。一実施形態では、抗IL-23p19抗体又はその抗原結合断片は、配列番号7の重鎖可変領域アミノ酸配列及び配列番号8の軽鎖可変領域アミノ酸配列を含む。一実施形態では、抗IL-23p19抗体又はその抗原結合断片は、配列番号9の重鎖アミノ酸配列及び配列番号10の軽鎖アミノ酸配列を含む。
【0091】
【表1】
【0092】
一実施形態では、本明細書で使用されるIL-23阻害剤は、グセルクマブ(Janssen Biotech,Inc.によって商品名TREMFYA(登録商標)として市販されている抗IL-23p19抗体)である。
【0093】
一実施形態では、本明細書中で使用されるTNFα阻害剤は、ゴリムマブ、アダリムマブ、インフリキシマブ、セルトリズマブペゴル、及びエタナーセプトから選択される。一実施形態では、TNFα阻害剤は、米国特許第7,250,165号及び米国特許出願公開第2017/0218092号に記載されている抗TNFα抗体及びその抗原結合断片から選択され、これらの全開示は参照により本明細書に組み込まれる。
【0094】
一実施形態では、本明細書で使用されるTNFα阻害剤は、(i)配列番号11(HCDR1)、配列番号12(HCDR2)、及び配列番号13(HCDR3)の重鎖CDRアミノ酸配列、並びに(ii)配列番号14(LCDR1)、配列番号15(LCDRL)、及び配列番号16(LCDR3)の軽鎖CDRアミノ酸配列のCDR配列を含む、抗TNFα抗体又はその抗原結合断片である。一実施形態では、本明細書で使用されるTNF-α阻害剤は、配列番号17の重鎖可変領域アミノ酸配列及び配列番号18の軽鎖可変領域アミノ酸配列を含む、抗TNF-α抗体又はその抗原結合断片である。一実施形態では、本明細書で使用されるTNF-α阻害剤は、配列番号19の重鎖アミノ酸配列及び配列番号20の軽鎖アミノ酸配列を含む、抗TNF-α抗体又はその抗原結合断片である。
【0095】
【表2】
【0096】
一実施形態では、本明細書中で使用されるTNF-α阻害剤は、ゴリムマブ(Janssen Biotech,Inc.によってSIMPONI(登録商標)の商品名で市販されている抗TNF-α抗体)である。
【0097】
様々な宿主動物を使用して、抗TNFα抗体を生成してもよい。例えば、Balb/cマウスを使用して、マウス抗ヒトTNFα抗体を作製してもよい。Balb/cマウス及び他の非ヒト動物において作製された抗体を、よりヒトに近い配列を生成するための様々な技術を使用してヒト化することもできる。
【0098】
抗IL-23抗体は、任意選択的に、IL-23への高親和性結合、及び、任意選択的に、低毒性を有することを特徴とし得る。抗TNFα抗体は、任意選択的に、TNFαへの高親和性結合、及び、任意選択的に、低毒性を有することを特徴とし得る。具体的には、可変領域、定常領域、及びフレームワークなどの個々の構成要素が、個々に及び/又は集合的に、任意選択的にかつ好ましくは、低い免疫原性を有する、抗体、抗体の特定された断片又は変異体を使用することができる。低い若しくは許容できる免疫原性、及び/又は高い親和性、並びに他の好適な特性が、得られる治療結果に寄与することができる。「低い免疫原性」は、本明細書では、治療された患者の約75%未満、若しくは好ましくは約50%未満で有意にHAHA、HACA若しくはHAMA応答が増加する、かつ/又は、治療された患者において低い力価(二重抗原酵素免疫アッセイで測定して約300未満、好ましくは約100未満)が増加することとして定義される(Elliott et al.,Lancet 344:1125-1127(1994)、参照により全体が本明細書に組み込まれる)。抗IL-23抗体に関し、「低い免疫原性」はまた、治療期間中に推奨される治療過程に関し、抗IL-23抗体で治療した患者において抗IL-23抗体に対する抗体が滴定可能なレベルになる頻度が、推奨用量で治療された患者の25%未満、好ましくは治療を施される患者の10%未満であるとして定義することもできる。抗TNFα抗体に関し、「低い免疫原性」はまた、治療期間中に推奨される治療過程に関し、抗TNFα抗体で治療された患者において抗TNFα抗体に対する抗体が滴定可能なレベルになる頻度が、推奨用量で治療された患者の25%未満、好ましくは治療を施された患者の10%未満であるとして定義することもできる。
【0099】
本明細書に記載の方法において使用される少なくとも1つの抗IL-23抗体及び抗TNFα抗体は、当該技術分野において周知の細胞株、混合細胞株、不死化細胞、又は不死化細胞のクローン集団によって生成することができる。例えば、Ausubel,et al.,ed.,Current Protocols in Molecular Biology,John Wiley & Sons,Inc.,NY,(1987-2001)、Sambrook,et al.,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,2nd Edition,Cold Spring Harbor,N.Y.(1989);Harlow and Lane,Antibodies,a Laboratory Manual,Cold Spring Harbor,N.Y.(1989);Colligan,et al.,eds.,Current Protocols in Immunology,John Wiley & Sons,Inc.,NY(1994-2001)、Colligan et al.,Current Protocols in Protein Science,John Wiley & Sons,NY(1997-2001)を参照されたく、各々は、参照により全体が本明細書に組み込まれる。
【0100】
抗IL-23抗体及び/又は抗TNFα抗体はまた、本明細書に記載されかつ/又は当該技術分野において既知であるように、ヒト抗体のレパートリーを産生することができるトランスジェニック動物(例えば、マウス、ラット、ハムスター、非ヒト霊長類など)の免疫化により生じる場合もある。ヒト抗IL-23抗体を産生する細胞は、本明細書に記載の方法のような好適な方法を使用して、かかる動物から単離し、不死化してもよい。
【0101】
本明細書に記載の方法で使用される抗IL-23抗体はまた、かかる抗体を乳中に産生するヤギ、ウシ、ウマ、ヒツジ、ウサギなどのトランスジェニック動物又は哺乳動物を準備するために、核酸をコードする少なくとも1つの抗IL-23抗体を使用して調製することもできる。本明細書に記載の方法で使用される抗TNFα抗体はまた、かかる抗体を乳中に産生するヤギ、ウシ、ウマ、ヒツジ、ウサギなどのトランスジェニック動物又は哺乳動物を準備するために、核酸をコードする少なくとも1つの抗TNFα抗体を使用して調製することもできる。このような動物は、周知の方法を使用して準備することができる。例えば、限定するものではないが、米国特許第5,827,690号、同第5,849,992号;同第4,873,316号;同第5,849,992号;同第5,994,616号;同第5,565,362号;同第5,304,489号などを参照されたい(それらの各々は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)。
【0102】
抗IL-23抗体は、広範囲の親和性(KD)でヒトIL-23に結合することができる。好ましい実施形態では、ヒトmAbは、任意選択で、高い親和性でヒトIL-23に結合することができる。例えば、ヒトmAbは、約10-7M以下、例えば、0.1~9.9(又はその中の任意の範囲若しくは値)×10-7、10-8、10-9、10-10、10-11、10-12、10-13、又はその中の任意の範囲若しくは値など(ただし、これらに限定されない)のKDでヒトIL-23に結合することができる。
【0103】
抗TNFα抗体は、広範囲の親和性(KD)でヒトTNFαに結合することができる。好ましい実施形態では、ヒトmAbは、任意選択で、高い親和性でヒトTNFαに結合することができる。例えば、ヒトmAbは、約10-7M以下、例えば、0.1~9.9(又はその中の任意の範囲若しくは値)×10-7、10-8、10-9、10-10、10-11、10-12、10-13、又はその中の任意の範囲若しくは値など(ただし、これらに限定されない)のKDでヒトTNFαに結合することができる。
【0104】
抗IL-23抗体は、IgG1、IgG2、IgG3又はIgG4アイソタイプであり得る。抗TNFα抗体は、IgG1、IgG2、IgG3又はIgG4アイソタイプであり得る。
【0105】
理論に束縛されることを望むものではないが、抗IL-23抗体と抗TNFα抗体とを組み合わせることの利益は、各抗体によって誘導される異なる遺伝子発現の変化から生じ得る。実施例1及び少なくとも図2A及び図2Bに記載されているように、各抗体が結腸炎症に対して類似の保護を提供した用量で(図2、50μgの抗IL-23p19及び500μgの抗TNFα)、IL-23p19の遮断とTNFαの遮断を比較したとき、マウスにおいて異なる腸遺伝子発現の変化が観察された。これらの遺伝子発現の変化は、ヒト疾患にも当てはまり得る。「ヒト化」マウス抗TNFα及び抗IL-23p19遺伝子シグネチャをヒト腸生検遺伝子ネットワークと統合させることにより、ヒト腸組織において発現及び変化した遺伝子のみに着目することができる。各抗体の分子がヒトIBDに対して潜在的に影響を与える更なる状況は、各シグネチャ内の遺伝子からネットワーク内で1ステップ除去された(すなわち、強く相関した)遺伝子を含んだ治療サブネットワークを生成することによって得ることができる。個々の抗TNFα及び抗IL-23サブネットワークは、固有で単一の抗体遺伝子シグネチャを示すので、両方の機序によって標的化された生物学についての洞察を可能にする。
【0106】
本明細書に記載される方法による治療の有効性は、例えば、体重減少の程度、栄養吸収、及び組織試料の組織病理学的研究を評価することによって決定することができる。組織病理学的研究は、粘膜下浮腫、炎症、腺欠損、びらん、粘膜厚、及び過形成のうちの1つ又は2つ以上の測定を含むことができる。
【0107】
粘膜下浮腫は、(例えば、この変化の重症度を最良に表すと考えられる非接線領域内の)粘膜筋層から表層筋層の内側境界までの厚さを測定することによって定量化することができる。炎症スコアリングは、結腸内へのマクロファージ浸潤、リンパ球浸潤、及び好中球浸潤の程度を反映し得る。腺窩上皮及び残りの腺上皮の腺欠損は、罹患した粘膜の割合を評価することによって定量化することができる。びらんは、表面上皮の欠損を反映し、(例えば、粘膜出血を)発症した粘膜の割合を評価することによってスコアリングすることができる。粘膜厚は、粘膜全体の厚さを最もよく表す部分の非接線領域を測定することによって評価することができる。厚さの増加は、腺の伸長及び粘膜過形成を反映する。
【0108】
全体的な組織病理学的スコアは、粘膜下浮腫、炎症、腺欠損、びらん、粘膜厚、及び過形成のうちの1つ又は2つ以上の測定値から導出され得る。マウスの例示的なスコアリングシステムが実施例1に記載されている。同様のシステムをヒト及び他の哺乳動物対象に使用することができる。
【0109】
いくつかの実施形態では、炎症性腸疾患は、大腸炎、例えば、潰瘍性大腸炎である。大腸炎は、結腸の過敏、腫脹、及び他の炎症の徴候を伴い得る。潰瘍性大腸炎では触痛及び潰瘍が存在する。
【0110】
いくつかの実施形態では、炎症性腸疾患は、クローン病である。クローン病は結腸に限局され得るが、小腸などの他の組織に存在する場合もある。クローン病は、結腸及び小腸の炎症を伴い得る。口、肛門、皮膚、目、関節、及び/又は肝臓の炎症が存在する場合さえあり得る。
【0111】
いくつかの実施形態では、対象は、以前にTNFα阻害剤単独で治療されており、炎症性腸疾患は、以前の治療後に寛解しなかった。いくつかの実施形態では、対象は、以前にIL-23阻害剤単独で治療されており、炎症性腸疾患は、以前の治療後に寛解しなかった。本明細書に記載の方法は、TNFα阻害剤(例えば、抗TNFα抗体)又はIL-23阻害剤(例えば、抗IL-23抗体)のいずれかによる単独療法による治療に反応しなかった対象にとって有益であり得る。抗TNFα抗体及び抗IL-23抗体の両方を投与したときに(どちらか一方の抗体単独と比較して)結腸の組織病理において実質的な改善を示す、本明細書に記載される結果に基づき、対象は、TNFα阻害剤(例えば、抗TNFα抗体)とIL-23阻害剤(例えば、抗IL-23抗体)との組み合わせに対してはるかに良好に反応し得る。
【0112】
様々な実施形態では、IL-23阻害剤は、抗IL-23抗体又はその抗原結合断片を含む。いくつかの実施形態では、抗IL-23抗体又は抗原結合断片は、IL-23のp19サブユニットに結合することができる、抗IL-23p19抗体又はその抗原結合断片を含む。いくつかの実施形態では、抗IL-23抗体は、ヒト抗体又はヒト化抗体を含む。いくつかの実施形態では、抗IL-23抗体は、ヒト抗体又はヒト化抗体を含む。
【0113】
様々な実施形態では、TNFα阻害剤は、抗TNFα抗体又はその抗原結合断片を含む。いくつかの実施形態では、抗TNFα抗体は、ヒト抗体又はヒト化抗体を含む。
【0114】
抗IL-23抗体及び/又は抗TNFα抗体はまた、ヒト化され得るか、又は抗原に対する高い親和性及び他の好ましい生物学的特性を維持しながら遺伝子操作を受けたヒト抗体として調製され得る。ヒト化(又はヒト)抗体は、任意選択的に、親配列及びヒト化配列の三次元モデルを使用して親配列及び様々な理論上のヒト化産物を解析するプロセスによって調製され得る。三次元の免疫グロブリンモデルが一般的に利用可能であり、当業者に周知である。選択された免疫グロブリン配列候補について確率の高い三次元立体構造を図示及び表示するコンピュータプログラムが利用可能である。これらの表示を調べることにより、免疫グロブリン配列候補の機能において残基が示す可能性の高い働きの解析、すなわち免疫グロブリン候補の抗原結合能に影響する残基の解析が可能となる。このようにして、標的抗原に対する親和性の増強などといった望ましい抗体特性が達成されるように、コンセンサス配列及びインポート配列からフレームワーク(FR)残基を選択し組み合わせることができる。
【0115】
本発明の抗体のヒト化又は操作は、Winter(Jones et al.,Nature 321:522(1986)、Riechmann et al.,Nature 332:323(1988)、Verhoeyen et al.,Science 239:1534(1988));Sims et al.,J.Immunol.151:2296(1993)、Chothia and Lesk,J.Mol.Biol.196:901(1987);Carter,et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.89:4285(1992);Presta et al.,J.Immunol.151:2623(1993);並びに、米国特許第5,723,323号;同第5,976,862号;同第5,824,514号;同第5,817,483号;同第5,814,476号;同第5,763,192号;同第5,723,323号;同第5,766,886号;同第5,714,352号;同第6,204,023号;同第6,180,370号;同第5,693,762号;同第5,530,101号;同第5,585,089号;同第5,225,539号;及び同第4,816,567号に記載されているものなどであるが、これらに限定されない、任意の既知の方法を用いて実施されることができ、これら文献の各々は、参照により全体が本明細書に組み込まれる。
【0116】
別の態様では、炎症性腸疾患を有する対象における結腸の炎症を軽減する方法が提供される。この方法は、第1の同時炎症を軽減するのに有効な量のIL-23阻害剤を投与することと、第2の同時炎症を軽減するのに有効な量のTNFα阻害剤を投与することと、を含む。この方法は、対象の結腸の炎症を、正常な患者の結腸に匹敵するレベルまで軽減するのに有効である。
【0117】
第1の同時炎症を軽減するのに有効な量と第2の同時炎症を軽減するのに有効な量とは、同じであるか又は異なっている。
【0118】
炎症の予防又は軽減は、組織病理学的分析、体重減少の程度、及び炎症の程度によって測定することができる。
【0119】
いくつかの実施形態では、IL-23阻害剤及びTNFα阻害剤の投与後の対象の結腸からの組織試料の組織病理学的研究において、炎症スコアは最低限又は正常である。最低限の炎症は、小さな病巣が1つか2つだけ存在していることを反映している場合があり、単核炎症細胞(mononuclear inflammatory cell、MNIC)はバックグラウンドの粘膜のリンパ様集合体である可能性が高い。
【0120】
いくつかの実施形態では、IL-23阻害剤及びTNFα阻害剤の投与後の対象の結腸からの組織試料の組織病理学的研究において、腺欠損スコアは最低限又は正常である。最低限の腺欠損は、1つ又は2つの腺欠損の局所的領域のみを含んでもよい。
【0121】
いくつかの実施形態では、IL-23阻害剤及びTNFα阻害剤の投与後の対象の結腸からの組織試料の組織病理学的研究において、びらんスコアは最低限又は正常である。最低限のびらんは、1つ又は2つの小さい粘膜びらんの局所的領域のみを含んでもよい。
【0122】
いくつかの実施形態では、IL-23阻害剤及びTNFα阻害剤の投与後の対象の結腸からの組織試料の組織病理学的研究において、粘膜厚及び過形成スコアは独立して、最低限又は正常である。最低限の粘膜厚は、正常な粘膜組織の厚さと比較して、粘膜厚における25%未満の増加を含み得る。
【0123】
いくつかの実施形態では、IL-23阻害剤及びTNFα阻害剤の投与後、結腸の組織病理は、正常組織とほぼ同一(又は同一)である。
【0124】
組織病理は、粘膜下浮腫、炎症、腺欠損、びらん、粘膜厚、及び過形成のうちの1つ又は2つ以上を測定することによって評価することができる。これらのパラメータのいずれか又は全てを測定し、スコアリングすることができる。例示的なスコアリングシステムを実施例1に記載する。
【0125】
様々な実施形態において、IL-23阻害剤は、抗IL-23p19抗体又はその抗原結合断片である。例示的な抗IL-23p19抗体及びその抗原結合断片は、米国特許第7,491,391号及び米国特許出願公開第2018/0094052号に記載されており、これらは両方ともその全体が参照により本明細書に組み込まれる。様々な実施形態では、TNFα阻害剤は、抗TNFα抗体又はその抗原結合断片である。例示的な抗TNFα抗体及びその抗原結合断片は、米国特許第7,250,165号及び米国特許出願公開第2017/0218092号に記載されており、これらは両方ともその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0126】
いくつかの実施形態では、抗TNFα抗体及び抗IL-23抗体(例えば、抗IL-23p19抗体)は、1:2~2:1(w/w)の比で投与される。この比は、mg/kg単位での患者における1つの抗体の投与量、及びmg/kg単位での同じ患者における他の抗体の投与量から計算することができる。いくつかの実施形態では、抗TNFα抗体及び抗IL-23p19抗体は、15:1~400:1(w/w)の比で投与される。この比は、mg/kg単位での患者における1つの抗体の投与量、及びmg/kg単位での同じ患者における他の抗体の投与量から計算することができる。
【0127】
抗TNFα抗体及び抗IL-23抗体(例えば、抗IL-23p19抗体)を1:2~2:1(w/w)の比で対象(例えば、ヒト患者)に投与することにより、対象におけるIBD(例えば、大腸炎及びクローン病)の治療を強化することができる。いくつかの実施形態では、抗TNFα抗体と抗IL-23抗体との比は、1:2~1:1.8(w/w)である。いくつかの実施形態では、抗TNFα抗体と抗IL-23抗体との比は、1:1.9~1:1.7(w/w)である。いくつかの実施形態では、抗TNFα抗体と抗IL-23抗体との比は、1:1.8~1:1.6(w/w)である。いくつかの実施形態では、抗TNFα抗体と抗IL-23抗体との比は、1:1.7~1:1.5(w/w)である。いくつかの実施形態では、抗TNFα抗体と抗IL-23抗体との比は、1:1.6~1:1.4(w/w)である。いくつかの実施形態では、抗TNFα抗体と抗IL-23抗体との比は、1:1.5~1:1.3(w/w)である。いくつかの実施形態では、抗TNFα抗体と抗IL-23抗体との比は、1:1.4~1:1.2(w/w)である。いくつかの実施形態では、抗TNFα抗体と抗IL-23抗体との比は、1:1.3~1:1.1(w/w)である。いくつかの実施形態では、抗TNFα抗体と抗IL-23抗体との比は、1:1.2~1:1(w/w)である。いくつかの実施形態では、抗TNFα抗体と抗IL-23抗体との比は、1:1.1~1.1:1(w/w)である。いくつかの実施形態では、抗TNFα抗体と抗IL-23抗体との比は、1:1~1.2:1(w/w)である。いくつかの実施形態では、抗TNFα抗体と抗IL-23抗体との比は、1.1:1~1.3:1(w/w)である。いくつかの実施形態では、抗TNFα抗体と抗IL-23抗体との比は、1.2:1~1.4:1(w/w)である。いくつかの実施形態では、抗TNFα抗体と抗IL-23抗体との比は、1.3:1~1.5:1(w/w)である。いくつかの実施形態では、抗TNFα抗体と抗IL-23抗体との比は、1.4:1~1.6:1(w/w)である。いくつかの実施形態では、抗TNFα抗体と抗IL-23抗体との比は、1.5:1~1.7:1(w/w)である。いくつかの実施形態では、抗TNFα抗体と抗IL-23抗体との比は、1.6:1~1.8:1(w/w)である。いくつかの実施形態では、抗TNFα抗体と抗IL-23抗体との比は、1.7:1~1.9:1(w/w)である。いくつかの実施形態では、抗TNFα抗体と抗IL-23抗体との比は、1.8:1~2:1(w/w)である。いくつかの実施形態では、抗IL-23抗体と抗TNFα抗体との比は、約1:2、1:1.8、1:1.5、1:1.2、1:1、1.2:1、1.5:1、1.8:1、又は2:1(w/w)である。
【0128】
抗IL-23抗体抗体(例えば、抗IL-23p19抗体)の最小活性投与量を、より高い投与量の抗TNFα抗体とともに対象(例えば、ヒト患者)に投与して、炎症性腸疾患(例えば、大腸炎及びクローン病)の発症を予防することができる。最小活性投与量の抗IL-23の比とより高い投与量の抗TNFα抗体との比は、1:400~1:15(w/w)の範囲であり得る。いくつかの実施形態では、抗IL-23抗体と抗TNFα抗体との比は、1:400~1:350(w/w)である。いくつかの実施形態では、抗IL-23抗体と抗TNFα抗体との比は、1:370~1:320(w/w)である。いくつかの実施形態では、抗IL-23抗体と抗TNFα抗体との比は、1:350~1:300(w/w)である。いくつかの実施形態では、抗IL-23抗体と抗TNFα抗体との比は、1:300~1:250(w/w)である。いくつかの実施形態では、抗IL-23抗体と抗TNFα抗体との比は、1:280~1:230(w/w)である。いくつかの実施形態では、抗IL-23抗体と抗TNFα抗体との比は、1:250~1:200(w/w)である。いくつかの実施形態では、抗IL-23抗体と抗TNFα抗体との比は、1:220~1:170(w/w)である。いくつかの実施形態では、抗IL-23抗体と抗TNFα抗体との比は、1:170~1:120(w/w)である。いくつかの実施形態では、抗IL-23抗体と抗TNFα抗体との比は、1:150~1:100(w/w)である。いくつかの実施形態では、抗IL-23抗体と抗TNFα抗体との比は、1:120~1:80(w/w)である。いくつかの実施形態では、抗IL-23抗体と抗TNFα抗体との比は、1:100~1:60(w/w)である。いくつかの実施形態では、抗IL-23抗体と抗TNFα抗体との比は、1:80~1:40(w/w)である。いくつかの実施形態では、抗IL-23抗体と抗TNFα抗体との比は、1:60~1:30(w/w)である。いくつかの実施形態では、抗IL-23抗体と抗TNFα抗体との比は、1:50~1:25(w/w)である。いくつかの実施形態では、抗IL-23抗体と抗TNFα抗体との比は、1:40~1:20(w/w)である。いくつかの実施形態では、抗IL-23抗体と抗TNFα抗体との比は、1:35~1:15(w/w)である。いくつかの実施形態では、抗IL-23抗体と抗TNFα抗体との比は、約1:400、1:300、1:200、1:150、1:100、1:75、1:50、1:25、又は1:15(w/w)である。
【0129】
いくつかの実施形態では、抗TNFα抗体及び抗IL-23抗体(例えば、抗IL-23p19抗体)は、15:1~400:1(w/w)の比で投与される。いくつかの実施形態では、(a)抗IL-23抗体又はその抗原結合断片、及び(b)抗TNFα抗体又はその抗原結合断片は、同時投与される。いくつかの実施形態では、(a)抗IL-23抗体又はその抗原結合断片、及び(b)抗TNFα抗体又はその抗原結合断片は、順次投与される。(a)抗IL-23抗体又はその抗原結合断片、及び(b)抗TNFα抗体又はその抗原結合断片は、互いに1時間、2時間、3時間、6時間、12時間、1日、2日、3日、又は4日以内に投与されてもよい。
【0130】
いくつかの実施形態では、(a)抗IL-23抗体(例えば、抗IL-23p19抗体)又はその抗原結合断片と、(b)抗TNFα抗体又は抗原結合断片との組み合わせは、以前に抗TNFα抗体単独で治療されており、炎症性腸疾患の有意な寛解が得られなかった対象を治療するのに有効である。いくつかの実施形態では、(a)抗IL-23抗体又はその抗原結合断片と、(b)抗TNFα抗体又は抗原結合断片との組み合わせは、以前に抗IL-23抗体単独で治療されており、炎症性腸疾患の有意な寛解が得られなかった対象を治療するのに有効である。
【0131】
別の態様では、ヒト対象における炎症性腸疾患を治療する方法が提供される。本方法は、(a)0.0005~0.002mg/kg(ヒト対象の体質量に基づく)の抗IL-23抗体(例えば、抗IL-23p19抗体)又はその抗原結合断片を投与ことと、(b)0.020~0.125mg/kg(ヒト対象の体質量に基づく)の抗TNFα抗体又はその抗原結合断片を投与することと、を含む。様々な実施形態において、この方法は、炎症性腸疾患を治療するのに有効である。いくつかの実施形態では、炎症性腸疾患は、大腸炎である。いくつかの実施形態では、炎症性腸疾患は、クローン病である。いくつかの実施形態では、この方法は、体重減少(例えば、炎症性腸疾患に関連する体重減少)を阻止するのに有効である。(a)抗IL-23抗体又はその抗原結合断片、及び(b)抗TNFα抗体又はその抗原結合断片は、同時に、順次、又は互いに1日以内に投与されてもよい。
【0132】
様々な実施形態では、0.020~0.125mg/kgの抗TNFα抗体及び0.020~0.125mg/kgの抗IL-23抗体(例えば、抗IL-23p19抗体)を対象(例えば、ヒト患者)に投与することにより、対象におけるIBD(例えば、大腸炎及びクローン病)の治療を強化することができる。マウスにおける各50μgの抗TNFαと抗IL-23との組み合わせを評価することによる初期の結果は、この組み合わせが、同じ用量での単剤治療と対比して、大腸炎からの保護を強化することを示唆している。実施例1を参照されたい。いくつかの実施形態では、0.020~0.040mg/kgの抗TNFα抗体及び0.020~0.040mg/kgの抗IL-23抗体を、ヒト対象に投与する。いくつかの実施形態では、0.030~0.050mg/kgの抗TNFα抗体及び0.030~0.050mg/kgの抗IL-23抗体を、ヒト対象に投与する。いくつかの実施形態では、0.040~0.060mg/kgの抗TNFα抗体及び0.040~0.060mg/kgの抗IL-23抗体を、ヒト対象に投与する。いくつかの実施形態では、0.050~0.070mg/kgの抗TNFα抗体及び0.050~0.070mg/kgの抗IL-23抗体を、ヒト対象に投与する。いくつかの実施形態では、0.060~0.080mg/kgの抗TNFα抗体及び0.060~0.080mg/kgの抗IL-23抗体を、ヒト対象に投与する。いくつかの実施形態では、0.070~0.090mg/kgの抗TNFα抗体及び0.070~0.090mg/kgの抗IL-23抗体を、ヒト対象に投与する。いくつかの実施形態では、0.080~0.100mg/kgの抗TNFα抗体及び0.080~0.100mg/kgの抗IL-23抗体を、ヒト対象に投与する。いくつかの実施形態では、0.090~0.110mg/kgの抗TNFα抗体及び0.090~0.110mg/kgの抗IL-23抗体を、ヒト対象に投与する。いくつかの実施形態では、0.100~0.125mg/kgの抗TNFα抗体及び0.100~0.125mg/kgの抗IL-23抗体を、ヒト対象に投与する。
【0133】
様々な実施形態では、抗IL-23抗体(例えば、抗IL-23p19抗体)は、対象(例えば、ヒト患者)に毎日、2日に1回、3日に1回、4日に1回、5日に1回、6日に1回、又は週に1回投与される。様々な実施形態では、抗TNFα抗体は、対象(例えば、ヒト患者)に毎日、2日に1回、3日に1回、4日に1回、5日に1回、6日に1回、又は週に1回投与される。いくつかの実施形態では、抗IL-23抗体及び抗TNFα抗体は両方とも、毎日、2日に1回、3日に1回、4日に1回、5日に1回、6日に1回、又は週に1回投与される。
【0134】
抗IL-23抗体(例えば、抗IL-23p19抗体)及び抗TNFα抗体は、対象(例えば、ヒト患者)に共同投与され得る。あるいは、抗IL-23抗体及び抗TNFα抗体は、対象に個別投与され得る。個別投与の場合、各抗体は、互いに3時間、6時間、12時間、1日、2日、3日、又は4日以内に投与されてもよい。
【0135】
いくつかの実施形態では、(a)抗IL-23抗体(例えば、抗IL-23p19抗体)又はその抗原結合断片と、(b)抗TNFα抗体又は抗原結合断片との組み合わせは、以前に抗TNFα抗体単独で治療されており、炎症性腸疾患の有意な寛解が得られなかった対象を治療するのに有効である。いくつかの実施形態では、(a)抗IL-23抗体又はその抗原結合断片と、(b)抗TNFα抗体又は抗原結合断片との組み合わせは、以前に抗IL-23抗体単独で治療されており、炎症性腸疾患の有意な寛解が得られなかった対象を治療するのに有効である。
【0136】
別の態様では、抗IL-23抗体(例えば、抗IL-23p19抗体)の最小活性投与量を、より高い投与量の抗TNFα抗体とともに投与して、対象が炎症性腸疾患から寛解中であるときに炎症性腸疾患(例えば、潰瘍性大腸炎、分類不能大腸炎及び/又はクローン病)の再発を防止することができる。最小活性投与量の抗IL-23抗体の比とより高い投与量の抗TNFα抗体との比は、1:400~1:15(w/w)の範囲であり得る。いくつかの実施形態では、抗IL-23抗体と抗TNFα抗体との比は、1:400~1:350(w/w)である。いくつかの実施形態では、抗IL-23抗体と抗TNFα抗体との比は、1:370~1:320(w/w)である。いくつかの実施形態では、抗IL-23抗体と抗TNFα抗体との比は、1:350~1:300(w/w)である。いくつかの実施形態では、抗IL-23抗体と抗TNFα抗体との比は、1:300~1:250(w/w)である。いくつかの実施形態では、抗IL-23抗体と抗TNFα抗体との比は、1:280~1:230(w/w)である。いくつかの実施形態では、抗IL-23抗体と抗TNFα抗体との比は、1:250~1:200(w/w)である。いくつかの実施形態では、抗IL-23抗体と抗TNFα抗体との比は、1:220~1:170(w/w)である。いくつかの実施形態では、抗IL-23抗体と抗TNFα抗体との比は、1:170~1:120(w/w)である。いくつかの実施形態では、抗IL-23抗体と抗TNFα抗体との比は、1:150~1:100(w/w)である。いくつかの実施形態では、抗IL-23抗体と抗TNFα抗体との比は、1:120~1:80(w/w)である。いくつかの実施形態では、抗IL-23抗体と抗TNFα抗体との比は、1:100~1:60(w/w)である。いくつかの実施形態では、抗IL-23抗体と抗TNFα抗体との比は、1:80~1:40(w/w)である。いくつかの実施形態では、抗IL-23抗体と抗TNFα抗体との比は、1:60~1:30(w/w)である。いくつかの実施形態では、抗IL-23抗体と抗TNFα抗体との比は、1:50~1:25(w/w)である。いくつかの実施形態では、抗IL-23抗体と抗TNFα抗体との比は、1:40~1:20(w/w)である。いくつかの実施形態では、抗IL-23抗体と抗TNFα抗体との比は、1:35~1:15(w/w)である。いくつかの実施形態では、抗IL-23抗体と抗TNFα抗体との比は、約1:400、1:300、1:200、1:150、1:100、1:75、1:50、1:25、又は1:15(w/w)である。
【0137】
様々な実施形態では、抗IL-23抗体(例えば、抗IL-23p19抗体)は、毎日、2日に1回、3日に1回、4日に1回、5日に1回、6日に1回、又は週に1回投与される。様々な実施形態では、抗TNFα抗体は、毎日、2日に1回、3日に1回、4日に1回、5日に1回、6日に1回、又は週に1回投与される。いくつかの実施形態では、抗IL-23抗体及び抗TNFα抗体は両方とも、毎日、2日に1回、3日に1回、4日に1回、5日に1回、6日に1回、又は週に1回投与される。
【0138】
抗IL-23抗体(例えば、抗IL-23p19抗体)及び抗TNFα抗体は、共同投与され得る。あるいは、抗IL-23抗体及び抗TNFα抗体は、個別投与され得る。
【0139】
抗TNFα抗体(500μg/マウス)治療を、抗IL-23抗体(例えば、抗IL-23p19抗体)の最小活性投与量と組み合わせることにより、これら投与量でのいずれか一方の単一抗体治療と比較して、大腸炎の発症を予防する上で優れた有効性を提供することができる。例えば、実施例5を参照されたい。抗TNFα又は抗IL-23単独療法に対するこの組み合わせ療法の結腸遺伝子シグネチャの分析は、線維芽細胞及び細胞外マトリックス組織において富化される組み合わせ療法によって調節される遺伝子の固有のセット、創傷修復に関与する細胞型及び経路を同定した。この新規の発見は、TNFα及びIL-23に対する抗体の組み合わせ治療が、大腸炎及び炎症性腸症候群の治療において優れた有効性を提供し得ることを示す。更に、TNFα及びIL-23に対する抗体の組み合わせ治療は、粘膜治癒に関与する特定の遺伝子ネットワークの調節に起因して相乗効果を有し得る。
【0140】
実施例5のデータは、TNFα及びIL-23(例えば、IL-23のサブユニットp19)に対する抗体を用いた組み合わせ治療が、単独療法としていずれかの抗体を用いた治療と比較して、大腸炎に対して優れた保護を提供し得ることを実証する。大腸炎は急性大腸炎であり得る。理論に束縛されることを望むものではないが、トランスクリプトミクス及び遺伝子ネットワーク分析は、各単独療法について重複する分子効果及び異なる分子効果の両方を同定し、創傷修復プロセスに関与する組み合わせ治療によって影響を受ける遺伝子の固有のセットを明らかにした。総合すれば、これらの知見は、抗TNFα及び抗IL-23抗体による組み合わせ療法が、腸の炎症を緩和する相乗的な影響を提供することができることを示唆している。相乗的影響は、共通の炎症経路の標的化によって生じ得る。相乗的影響は、組織修復に関与する遺伝子に影響を及ぼすIBDの病因に関与する個別の細胞型の治療から生じ得る。
【0141】
いくつかの実施形態では、(a)抗IL-23抗体(例えば、抗IL-23抗体)又はその抗原結合断片と、(b)抗TNFα抗体又は抗原結合断片との組み合わせは、以前に抗TNFα抗体単独で治療されており、炎症性腸疾患の有意な寛解が得られなかった対象を治療するのに有効である。いくつかの実施形態では、(a)抗IL-23抗体又はその抗原結合断片と、(b)抗TNFα抗体又は抗原結合断片との組み合わせは、以前に抗IL-23抗体単独で治療されており、炎症性腸疾患の有意な寛解が得られなかった対象を治療するのに有効である。
【0142】
製剤:
抗TNFα抗体及び抗IL-23(例えば、抗IL-23p19)抗体のそれぞれは、安定な製剤中に存在し得る。安定した製剤は、医薬的に許容される製剤中に抗IL-23(例えば、抗IL-23p19)抗体及び/又は抗TNFα抗体を含む、生理食塩水又は選択された塩を含むリン酸緩衝液、並びに薬剤学的又は獣医学的用途に好適な保存剤並びに多用途保存製剤を含有する保存溶液及び製剤を含み得る。
【0143】
保存製剤は、水性希釈剤中、少なくとも1つの既知であるか、又は任意選択で、少なくとも1つのフェノール、m-クレゾール、p-クレゾール、o-クレゾール、クロロクレゾール、ベンジルアルコール、亜硝酸フェニル水銀、フェノキシエタノール、ホルムアルデヒド、クロロブタノール、塩化マグネシウム(例えば6水和物)、アルキルパラベン(メチル、エチル、プロピル、ブチルなど)、塩化ベンズアルコニウム、塩化ベンズエトニウム、デヒドロ酢酸ナトリウム及びチメロサール、ポリマー、又はそれらの混合物からなる群から選択される保存剤を含有してもよい。任意の好適な濃度又は混合物、例えば約0.0015%、又は任意の範囲、値、若しくはこのうちの一部を使用することができる。非限定的な例として、保存剤無添加の、約0.1~2%m-クレゾール(例えば、0.2、0.3.0.4、0.5、0.9、1.0%)、約0.1~3%のベンジルアルコール(例えば、0.5、0.9、1.1、1.5、1.9、2.0、2.5%)、約0.001~0.5%のチメロサール(例えば、0.005、0.01)、約0.001~2.0%のフェノール(例えば、0.05、0.25、0.28、0.5、0.9、1.0%)、0.0005~1.0%のアルキルパラベン(例えば、0.00075、0.0009、0.001、0.002、0.005、0.0075、0.009、0.01、0.02、0.05、0.075、0.09、0.1、0.2、0.3、0.5、0.75、0.9、1.0%)などが挙げられる。
【0144】
水性希釈剤は、医薬的に許容される保存剤を更に含んでもよい。好ましい保存剤には、フェノール、m-クレゾール、p-クレゾール、o-クレゾール、クロロクレゾール、ベンジルアルコール、アルキルパラベン(メチル、エチル、プロピル、ブチルなど)、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、デヒドロ酢酸ナトリウム及びチメロサール、又はそれらの混合物からなる群から選択されるものが含まれる。製剤中で使用される保存剤の濃度は、抗菌効果を生み出すのに充分な濃度である。このような濃度は選択された保存剤によって異なり、当業者により容易に決定される。
【0145】
他の賦形剤、例えば、等張剤、緩衝剤、抗酸化剤、及び保存剤エンハンサを希釈剤に添加することができる。グリセリンなどの等張剤が、既知の濃度で概して使用される。好ましくは、生理学的に耐性の緩衝剤を添加して、改善されたpH制御を提供する。製剤は、約pH4~約pH10、及び好ましくは約pH5~約pH9の範囲、及び最も好ましくは約6.0~約8.0の範囲などの、広範囲のpH範囲を網羅とすることができる。好ましくは、本発明の製剤は、約6.8~約7.8のpHを有する。好適な緩衝剤には、リン酸緩衝剤、最も好ましくは、リン酸ナトリウム、特にリン酸緩衝生理食塩水(phosphate buffered saline、PBS)が含まれる。
【0146】
他の添加剤、例えばTween20(ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレート)、Tween40(ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノパルミテート)、Tween80(ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレエート)、Pluronic F68(ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックコポリマー)、及びPEG(ポリエチレングリコール)などの、医薬的に許容される可溶化剤、又はポリソルベート20若しくは80又はポロキサマー184若しくは188、Pluronic(登録商標)ポリル(polyl)などの非イオン性界面活性剤、その他のブロックコポリマー、並びにEDTA及びEGTAなどのキレート剤を、製剤又は組成物に添加して、凝集を低減させることができる。これら添加剤は、製剤を投与するためにポンプ又はプラスチック容器を使用する場合に有用であり得る。医薬的に許容される界面活性剤の存在によって、抗体が凝集する一切の傾向が軽減され得る。
【0147】
本発明の製剤は、少なくとも1つの抗IL-23抗体又は抗TNFα抗体を選択された緩衝液と混合することを含むプロセスによって調製され得る。緩衝液は、生理食塩水又は選択された塩を含むリン酸緩衝液であってもよい。水性希釈剤中での少なくとも1つの抗IL-23抗体及び緩衝液の混合は、従来の溶解及び混合手順を使用して実施される。好適な製剤を調製するために、例えば、水又は緩衝剤中の一定量の少なくとも1つの抗体を、所望の濃度のタンパク質及び緩衝剤を提供するのに充分な量の水中で所望の緩衝剤と組み合わせる。本プロセスの変化形態は、当業者によって認識される。例えば、構成成分の添加順序、追加の添加剤の使用の有無、製剤調製時の温度及びpHは全て、使用する投与濃度及び投与手段に関して最適化することのできる因子である。
【0148】
抗IL-23抗体(例えば、抗IL-23p19抗体)及び抗TNFα抗体の一方又は両方を含む安定な製剤又は保存製剤は、透明溶液として、又は水性希釈剤中に保存剤若しくは緩衝剤及び賦形剤を含有する第2のバイアルで再構成される、凍結乾燥された少なくとも1つの抗体のバイアルを含むデュアルバイアルとして、患者に提供することができる。単一溶液バイアル又は再構成を必要とするデュアルバイアルはいずれも複数回再利用することができ、単一又は複数の患者治療サイクルを満たすことができ、したがって、現在使用できるよりも便利な治療レジメンを提供する。
【0149】
非経口投与では、抗IL-23抗体(例えば、抗IL-23p19抗体)又は抗TNFα抗体は、医薬的に許容される非経口ビヒクルと合わせて、又は別個に提供される、溶液、懸濁液、エマルション、粒子、粉末、若しくは凍結乾燥粉末として、製剤化され得る。このようなビヒクルの例は、水、生理食塩水、リンゲル液、デキストロース溶液、及び約1~10%ヒト血清アルブミンである。リポソーム及び不揮発性油などの非水性溶剤を使用することもできる。溶剤又は凍結乾燥粉末は、等張性及び化学安定性を維持する添加剤(例えば、等張性に関しては塩化ナトリウム、マンニトール、化学安定性に関しては緩衝剤及び保存剤)を含有することができる。製剤は、周知の又は好適な技術によって滅菌される。
【0150】
好適な医薬担体は、本分野での標準的参考書であるRemington’s Pharmaceutical Sciences,A.Osolの最新版に記載されている。
【0151】
少なくとも1つの抗IL-23抗体(例えば、抗IL-23p19抗体)又は抗TNFα抗体の薬学的有効量を投与するために、本発明に従い、多くの既知の及び開発された方法を使用することができる。以下の記述では経肺投与が使用されているが、本発明に従って他の投与方式を使用して、好適な結果を得てもよい。本発明の抗IL-23抗体及び抗TNFα抗体は、担体中で、溶液、エマルション、コロイド若しくは懸濁液として、又は乾燥粉末として、吸入によるか、又は本明細書に記載される若しくは当該技術分野において周知であるその他の方法による投与に好適な種々のデバイス及び方法のいずれかを使用して、送達することができる。
【0152】
製非経口投与用の製剤は、一般的な賦形剤を含んでもよい。一般的な賦形剤としては、限定するものではないが、滅菌水又は生理食塩水、ポリエチレングリコールなどのポリアルキレングリコール、植物性油、水素化ナフタレンなどが挙げられる。注射用の水性又は油性懸濁液は、周知の方法に従って、適切な乳化剤又は加湿剤及び懸濁剤を使用することによって調製可能である。注射剤は、例えば水溶液、無菌注射液又は溶媒中懸濁液などの非毒性の非経口投与可能な希釈剤であることができる。使用可能な溶剤又は溶媒としては、水、リンゲル液、等張生理食塩水などが許容され、通常の溶媒又は懸濁溶媒としては、無菌の不揮発性油を使用することができる。これらの目的では、天然又は合成若しくは半合成の、脂肪油又は脂肪酸、天然又は合成若しくは半合成の、モノグリセリド又はジグリセリド又はトリグリセリドを含む、あらゆる種類の不揮発性油及び脂肪酸を使用することができる。
【0153】
経口投与のための製剤は、腸壁の浸透性を人工的に増加させるためのアジュバント(例えば、レゾルシノール、並びにポリオキシエチレンオレイルエーテル及びn-ヘキサデシルポリエチレンエーテルなどの非イオン性界面活性剤)の同時投与、並びに酵素的分解を阻害するための酵素阻害剤(例えば、膵トリプシン阻害剤、ジイソプロピルフルオロリン酸(diisopropylfluorophosphate、DFF)、及びトラシロール)の同時投与を含み得る。経口投与、口腔投与、粘膜投与、経鼻投与、経肺投与、膣膜貫通投与、又は直腸投与を意図した、タンパク質及び抗体並びに少なくとも2つの界面活性剤の組み合わせを含む親水性剤の送達用製剤が、米国特許第6,309,663号に教示されている。経口投与のための固体型剤形の活性成分化合物は、ショ糖、乳糖、セルロース、マンニトール、トレハロース、ラフィノース、マルチトール、デキストラン、デンプン、寒天、アルギン酸塩、キチン、キトサン、ペクチン、トラガカントガム、アラビアゴム、ゼラチン、コラーゲン、カゼイン、アルブミン、合成又は半合成ポリマー、及びグリセリドなどの、少なくとも1つの添加剤と混合することができる。これらの剤形はまた、他の種類の添加剤、例えば、不活性希釈剤、滑沢剤(ステアリン酸マグネシウムなど)、パラベン、保存剤(ソルビン酸、アスコルビン酸、α-トコフェロールなど)、抗酸化剤(システインなど)、崩壊剤、結合剤、増粘剤、緩衝剤、甘味剤、着香剤、香料などを含有し得る。
【0154】
本発明の化合物を、単回投与により、長期間にわたり、例えば、1週~1年間、対象に送達することが望ましい場合がある。様々な徐放、デポー又は埋め込み剤形を利用することができる。例えば、剤形は、体液において溶解度が低い化合物の製薬的に許容できる非毒性塩、例えば、(a)リン酸、硫酸、クエン酸、酒石酸、タンニン酸、パモ酸、アルギン酸、ポリグルタミン酸、ナフタレンモノ-又はジスルホン酸、ポリガラクツロン酸などの多塩基酸との酸付加塩、(b)亜鉛、カルシウム、ビスマス、バリウム、マグネシウム、アルミニウム、銅、コバルト、ニッケル、カドミウムなどの多価金属カチオン、又は、例えば、N,N’-ジベンジル-エチレンジアミン若しくはエチレンジアミンから形成された有機カチオンを有する塩、あるいは(c)(a)と(b)との組み合わせ、例えば、タンニン酸亜鉛塩を含有し得る。加えて、本発明の化合物、又は好ましくは前述したものなどの比較的不溶性の塩を、注射に好適な例えば、ゴマ油とともに、例えば、モノステアリン酸アルミニウムゲルなどのゲル中で処方することができる。とりわけ好ましい塩は、亜鉛塩、亜鉛タンニン酸塩、パモ酸塩などである。
【実施例
【0155】
本発明はまた、以下の実施例によって説明及び実証される。しかしながら、本明細書中のいずれの箇所でのこれら及びその他の実施例の使用は、単に例示にすぎず、本発明の範囲及び意味を限定するものではなく、又は任意の例示的な用語の範囲及び意味を限定するものではない。同様に、本発明は、本明細書に記載される任意の特定の好ましい実施形態に限定されない。実際に、本発明の多くの修正及び変形は、本明細書を読むことにより、当業者には明らかであり得、そのような変形は、趣旨又は範囲において本発明から逸脱することなくなされ得る。したがって、本発明は、添付の特許請求の範囲、及びこれら請求項の権利が与えられる均等物の全範囲によってのみ限定されるものである。
【0156】
実施例1:TNFα又はIL-23p19に対する抗体による単剤治療の用量範囲決定、及びCD40抗体誘導性大腸炎モデルにおける組み合わせの研究
3つの別個の研究を実施した。3つの研究全てにおいて、動物を体重別にランダム化し、治療群に割り当て、各群に1~10の特定の数字で標識した。単回腹腔内(ip)注射としてビヒクル(PBS)及びmAb治療を投与した(-1日目)翌日に、1匹の動物当たり0.2mLのPBS中0.2mgのCD40アゴニスト抗体を腹腔内注射することによって疾患を誘導した(0日目)。
【0157】
未感作対照マウスは治療せず、7日目に終了するまで別個のケージ内に保持した。疾患の臨床徴候の観察を毎日行った。体重を測定し、-1日目から7日目に終了するまで毎日記録した。研究終了(7日目)において、動物をCO過剰投与によって安楽死させ、組織学的分析のために結腸組織を適切に除去し、処理した。
【0158】
安楽死後、盲腸と直腸との間の腸部分として定義される結腸を切除し、氷冷PBSで洗い流して糞便内容物を除去した。1センチメートルの近位結腸を組織学カセットに入れ、固定液(10%中性緩衝ホルマリン、NBF)に浸漬した。24時間後、カセットを固定液から取り出し、70%エタノールに移し、処理まで冷蔵保存した。残りの結腸組織を3つの同等の部分に分割し、第1の3分の1を、PK分析のために液体窒素中でスナップ凍結し、第2の3分の1を、サイトカイン分析のために液体窒素中でスナップ凍結し、最後の3分の1(遠位、直腸に近い)を、全ての動物を安楽死させ、組織を適切に除去し、次いでRNA抽出及び遺伝子発現分析のために凍結するまで、1mLのRNAレーター(RNAlater)(Ambion(商標))内で氷上で保管した。全凍結試料を更なる処理まで-80℃で保管した。
【0159】
3つの研究全てにおいて、動物を体重別にランダム化し、治療群に割り当て、各群に1~10の特定の数字で標識した。単回腹腔内(ip)注射としてビヒクル(PBS)及びmAb治療を投与した(-1日目)翌日に、1匹の動物当たり0.2mLのPBS中0.2mgのCD40アゴニスト抗体を腹腔内注射することによって疾患を誘導した(0日目)。未感作対照マウスは治療せず、7日目に終了するまで別個のケージ内に保持した。
【0160】
疾患の臨床徴候の観察を毎日行った。体重を測定し、-1日目から7日目に終了するまで毎日記録した。動物を、CO過剰投与によって7日目に安楽死させ、組織学的分析のために結腸組織を適切に除去し、処理した。
【0161】
第1の研究では、抗TNFα mAb又は抗IL-23p19 mAbを、CD40大腸炎モデルにおいて評価した。これらの抗体を、マウス当たり500μg又は50μgの用量で個々に、又は組み合わせて(すなわち、500μg+500μg/マウスの各々、又は50+50μg/マウスの各々)評価した。プロトコルを下表3に要約する。
【0162】
【表3】
【0163】
CNTO3723は、マウス抗IL-23p19モノクローナル抗体である(IL-23p19 mAbを中和する)。CNTO5048は、マウス抗TNFαモノクローナル抗体である(TNFα mAbを中和する)。CNTO6601は、実験全体にわたって使用されるアイソタイプ対照を指す。CNTO6601は、TNFα又はIL-23p19のいずれにも特異的に結合しない。
【0164】
抗TNFα及び抗IL-23p19抗体治療(単独又は組み合わせ)の抗炎症活性を、抗CD40抗体誘導性大腸炎モデルにおいて評価した。アゴニスト抗体を介した共刺激受容体CD40のライゲーションは、リンパ球減少性(T及びB細胞欠損)RAG2-/-マウスにおいて急性の先天性全身性及び結腸炎症応答を引き起こし、結腸の炎症応答はおよそ7日目にピークになった後、回復する。IL-23は、このモデルにおいて局所的な結腸炎症を生じさせる。
【0165】
TNFαの発現は全身性疾患(例えば、体重減少)の発現を制御するが、TNFαは大腸炎の発症にわずかな影響しか有しない。(1)本発明者らは、腸の遺伝子発現に対する抗TNFα抗体治療対抗IL-23p19抗体治療の異なる分子的影響を調査し、抗TNFα及び抗IL-23p19の組み合わせ治療が、いずれの単独療法よりも高い有効性を示したかどうかを判定することを試みた。-1日目に、RAG2-/-マウスに、0.5mg若しくは0.05mgの抗TNFα抗体(CNTO5048)、0.5mg若しくは0.05mgの抗IL-23p19抗体(CNTO3732)、両方の抗体の組み合わせ(各々0.5mg又は0.05mg)、1.0mgのアイソタイプ対照抗体(CNTO6601)、又は10mL/kgのPBSを1回、腹腔内投与した。(本明細書の全ての実施例で使用されるRAG2-/-マウスは、Taconic Farmsから供給された8~10週齢の雌マウスである。)1日後、10日目0に、全ての動物に抗CD40抗体(0.2mg)で腹腔内チャレンジを行い、炎症を誘導した。
【0166】
低用量(50μg)及び高用量(500μg)の抗体による治療後に体重減少分析を行った。マウスに抗体又はPBSを注射した-1日目から、7日目に終了するまで、体重をモニターした。
【0167】
例示的データを図1A及び図1Bに示す。各線は、標準誤差のためのエラーバー(n=9抗体治療、n=5 PBS対照、n=3未感作対照)、-1日目(点線)からの変化率として示されている。いくつかのエラーバーは記号のサイズ内にあり、図示されていない。図1Aは、低用量抗体治療(50μg/マウス)を示し、図1Bは、高用量抗体治療(500μg/マウス)を示す。抗体治療群と、比較としてのアイソタイプ対照群との間の体重減少の差の統計的有意性を、ダネットの多重比較検定を用いて二元配置ANOVAで分析し、各時点のP値を表に示す。有意性を示すP値は、太字/イタリックで強調されている。
【0168】
CD40 mAb誘導性大腸炎モデルは、CD40-アゴニスト抗体投与後24~48時間以内の初期の急速な体重減少、その後の回復、及び5~7日目の第2の体重減少期を伴う、二相性の体重減少を特徴とする。抗IL-23p19抗体(0.5mg及び0.05mg)による単剤治療は、初期の急速な体重減少からマウスを保護しなかったが、2日目以降により速い回復を促進し、図1A及び図1Bに示されるように、疾患の第2段階の間は全体として、体重減少に対する保護は用量依存的かつ部分的であった。
【0169】
対照的に、抗TNFα抗体(0.5mg及び0.05mg)による単剤治療は、両方の用量について、研究の全期間にわたってマウスを体重減少から完全に保護した。TNFαに対する単一抗体治療と同様に、組み合わせ治療は、両方の用量において体重減少からの完全な保護をもたらした(図1A及び図1B)。抗TNFα/IL-23p19の低用量又は高用量の組み合わせ治療で副作用は認められなかった。
【0170】
終了時(7日目)に、低用量及び高用量の抗体治療群について結腸の組織病理学的スコアを決定した。近位結腸部分をH&Eで染色し、以下のプロトコルに従って0~20の重症度スコアを用いて盲検下で病理学者によって組織病理学的変化について検査した。
【0171】
近位結腸について、2つの小片を切断し、パラフィンに埋め込んだ。切片(5μm)を切断し、ヘマトキシリン&エオシン(H&E)で染色した。各動物からの2つの結腸セグメントを組織病理について個別に評価し、動物毎の平均値を群分析に使用した。H&E染色部分毎に、粘膜下浮腫を、この変化の重症度を最良に表すと考えられる非接線領域内の粘膜筋層から表層筋層の内側境界までの厚さを測定することによって定量化した。
【0172】
炎症スコアは、マクロファージ浸潤、リンパ球浸潤、及び好中球(neutrophil、PMN)浸潤の程度を反映した。重症度スコアは、以下の基準に従って割り当てられた。
0=正常;
0.5=最低限;1つ又は2つの小さな病巣、単核炎症細胞(MNIC)はバックグラウンドの粘膜のリンパ様集合体である可能性が高い。しかしながら、集合体がパイエル板である場合、集合体は、異常としてスコアリングされない
1=最小、MNIC及び好中球又は最小拡散を有するより大きな局所的領域、腺の分離なし、ほとんど粘膜下浮腫又は腸間膜の領域内であり得る
2=軽度、軽度の拡散、又は多発的であり、粘膜の11~25%が軽微な局所的若しくは多発的腺分離の影響を受けている、大部分の領域において分離なし
3=中等度、粘膜の26~50%が炎症細胞浸潤による最小から軽度の局所的又は多発的腺分離の影響を受けている、粘膜の残りの領域はより軽度であり、一部の領域は炎症による腺分離を有しない
4=顕著、粘膜の51~75%が炎症細胞浸潤による軽度から中等度の腺分離の影響を受けている、粘膜の残りの領域は最小から軽度であるが、全ての腺が浸潤物によるいくらかの分離を有する
5=重度、粘膜の76~100%が炎症細胞浸潤による腺分離の中等度から顕著な領域の影響を受けている、粘膜の残りの領域は軽度から中等度である
【0173】
腺欠損スコアを決定した。陰窩上皮及び残りの腺上皮欠損は、影響を受けた粘膜のおよその割合に基づいて以下のようにスコアリングされる。
0=なし
0.5=最低限、1つ又は2つの小さい局所的な腺欠損又は粘膜びらん領域
1=最小、粘膜の1~10%が影響を受けている
2=軽度、粘膜の11~25%が影響を受けている
3=中等度、粘膜の26~50%が影響を受けている
4=顕著、粘膜の51~75%が影響を受けている
5=重度、粘膜の76~100%が影響を受けている
【0174】
びらんスコアを決定した。表面上皮の欠損は、影響を受けた粘膜のおよその割合に基づいて以下のようにスコアリングされた。これは一般的に、粘膜出血(臨床的に及び剖検時に見られる出血を反映している)に関連付けられる。
0=なし
0.5=最低限、1つ又は2つの小さい局所的な腺欠損又は粘膜びらん領域
1=最小、粘膜の1~10%が影響を受けている
2=軽度、粘膜の11~25%が影響を受けている
3=中等度、粘膜の26~50%が影響を受けている
4=顕著、粘膜の51~75%が影響を受けている
5=重度、粘膜の76~100%が影響を受けている
【0175】
粘膜厚及び過形成スコアを決定した。粘膜厚は、粘膜全体の厚さを最もよく表す部分の非接線領域で測定した。このパラメータは、腺の伸長及び粘膜過形成を示す。過形成スコアは、以下のように測定値から導出される。
0=200μm以下=正常
0.5=201~250μm=最低限
1=251~350μm=最小
2=351~450μm=軽度
3=451~550μm=中等度
4=551~650μm=顕著
5=650μm超=重度
【0176】
組織病理学的スコアは、炎症、腺欠損、びらん、及び過形成スコアの合計である。範囲は0~20である。組織病理学的スコアを図2A及び図2Bに示す。これらの図では、各バーは標準誤差を有する群平均を表す。未感作動物においては、組織病理学的所見は観察されなかった。図2Aは、低用量抗体(50μg/マウス)の結果を示す。図2Bは、高用量治療群(500μg/マウス)の結果を示す。治療群と、それぞれのビヒクル対照及びアイソタイプ対照との差を、一元配置ANOVA及びシダックの多重比較検定によって有意性について分析した。
【0177】
近位結腸では、アイソタイプ抗体(1000μg/マウス)を用いた治療は、疾患対照(PBS)と比較したときに、軽減された組織病理に向かう傾向を示したが、これは、統計的有意性に到達しなかった。抗TNFα抗体を用いた単独治療は、アイソタイプ対照と比較したときに、高用量(500μg、図2B)で結腸炎症を有意に軽減させたが、低用量(50μg、図2A)では有意に軽減させなかった。
【0178】
抗IL-23p19抗体の単回用量は、高用量(500μg、図2B)において非常に有効性があり、大腸炎の発症を完全に防止した。低用量(50μg、図2A)では、単独治療は、アイソタイプ群と比較して、組織病理を有意に軽減したが、大腸炎を完全に防止しなかった。両方の抗体の高用量の組み合わせ(500μgの抗TNFα+500μgの抗IL-23p19/マウス、図2B)は、高用量の単一の抗IL-23p19治療と同様に、疾患モデルにおける大腸炎を完全に防止した。
【0179】
低用量の組み合わせ治療(50μgの抗TNFα+50μgの抗IL-23p19/マウス、図2A)は、単一の抗TNFα治療よりも有意に有効性があり、IL-23p19に対する単独治療と比較して改善された保護の傾向を示し、組み合わせにおける優れた有効性の可能性が示された。
【0180】
実施例2:抗TNFα及び抗IL-23p19治療は、腸における固有の遺伝子に影響を与える
抗TNFα治療及び抗IL-23p19治療は、全身性及び局所的炎症の読み出し情報に対する差動効果を示す。この実施例では、上記実施例1の治療が、腸の遺伝子発現に対する異なる分子効果を有するかどうかを評価した。腸遺伝子シグネチャを生成するために、mRNAを遠位結腸から単離し、マイクロアレイ解析用に提出した。
【0181】
RNA抽出のために、組織試料を氷上で解凍し、900μLのQiazol(Qiagen)及び1つの金属ビーズを含む新しいチューブに移し、続いて、組織の破壊及び均質化のためにTissueLyserIIを使用し、これを30S-1の振動数において1分間動作させることによって溶解した。180μLのクロロホルムを各試料に添加し、30秒間ボルテックスし、室温で2分間インキュベートし、14,000rpmで15分間4℃で遠心分離して、混合物を有機相及び水相に分離した。オンカラムDNase消化ステップを含むRNeasy 96ウェルプレートキット(Qiagen)を用いて、全て製造元のプロトコル従い、150μLの水相を使用して、RNA抽出を行った。単離したRNAの品質及び量は、製造元のプロトコルに従って、Nanodrop 8000計器(ThermoScientific)においてNanodropによって、及びCaliper機器(Life Science)でLabChip GX(GXTouch/GXII Touch HTとともに使用するためのDNA 5K/RNA/CZE Chip)によって決定した。キャリパー分析のために、結腸RNAアリコートを分子グレードの水で1:4に希釈した。
【0182】
以下の除外基準を使用して、マイクロアレイによる遺伝子発現解析のためにどの試料が許容されるかを決定した。Nanodrop吸光度の比260/280(核酸に対するタンパク質の量)は、1.8超であるべきである。Nanodrop吸光度の比260/230(核酸に対する塩の量)は、2に近いべきである。Nanodrop吸光度の比260/230が1.5未満である場合には、再精製を行った。キャリパーRIN(RNA integrity number:RNA完全性値)は、5~10であるべきである。5未満の場合、マイクロアレイ解析の精度の影響を受けている可能性がある。マイクロアレイ解析のために、RNAをBioStorage Technologies(Indianapolis,IN)に輸送した。
【0183】
抗TNFα又は抗IL-23p19の効果をアイソタイプ対照治療の効果と比較することによって、差動遺伝子発現解析を実施した。50μgの抗IL-23p19又は500μgの抗TNFα用量のいずれかを用いた治療は、組織学的炎症において同様のレベルの軽減をもたらしたため(図2)、本発明者らは、差次的な細胞浸潤物遺伝子発現の潜在的な交絡効果を軽減するための更なる評価のために、これらの結腸遺伝子発現シグネチャを選択した。
【0184】
各治療のためのマウス遺伝子シグネチャを、生物学的経路における重複及び富化について評価した(Enrichr:http://amp.pharm.mssm.edu/Enrichr/)。抗TNFα又は抗IL-23p19治療から生成された個々の遺伝子シグネチャの重複は比較的小さく、11%の遺伝子のみがシグネチャ間で共有され、いかなる特定の経路富化も示さなかった。抗TNFα治療のための遺伝子シグネチャ(267遺伝子、FDR0.05未満、FC1.2超)は、代謝経路及びサイトカイン-サイトカイン受容体相互作用において富化された一方、抗IL-23p19遺伝子シグネチャ(765遺伝子、FDR0.05未満、FC1.2超)は、概日リズム及びp53シグナル伝達において富化された。
【0185】
実施例3:抗TNFα及び抗IL-23p19による単一抗体治療は、ヒトIBDネットワークの重複部分及び別個の部分に影響を与える
Mount Sinai School of Medicine(New York,NY)と共同して、クローン病CERTIFI臨床試験(847 IBD生検、28 非IBD対照生検;7,796遺伝子ノード)からの腸管生検試料から導出した転写データ及び遺伝データを統合するために、ベイジアンネットワーク予測モデルを生成した。この種類の分子の統合的ネットワークは、疾患との関連において遺伝子-遺伝子相互作用を研究するためのデータ駆動フレームワークを提供する。マウス大腸炎モデルにおいて生成した抗TNFα及び抗IL-23p19単独療法遺伝子シグネチャを臨床疾患に翻訳するために、マウス遺伝子シグネチャをヒトIBD患者遺伝子ネットワークと統合した。上記のように、50μgの抗IL-23p19及び500μgの抗TNFα用量が組織学的炎症に与える影響が同様であることに基づき、それらを評価のために選択した。
【0186】
マウスモデルデータをヒトIBDネットワークにブリッジするために、最初に、マウス遺伝子をそれらのヒトオルソログ(抗IL-23p19では767遺伝子及び抗TNFαでは274遺伝子)にマッピングすることによって、各治療における遺伝子シグネチャの「ヒト化」バージョンを生成した。マウス遺伝子を、NCBI HomoloGene(https://www.ncbi.nlm.nih.gov/homologene)データベース(Build68、04/14/2014)を使用してヒトオルソログにマッピングした。プロファイルされた各マウス遺伝子についての各NCBI遺伝子Idを、推定オルソログの同じクラスターの全ての対応するヒトメンバーに一致させた。
【0187】
フィッシャーの直接確率検定の片側検定のE値(ボンフェローニ補正されたP値)が0.05未満である場合、データベース用語は有意であると考えられた。
【0188】
遺伝子サブネットワーク内のIBDのGWAS遺伝子座の遺伝子の富化を決定するために、超幾何分布検定をExcel(HYPGEOM.DIST機能)において行った。IBDのGWAS遺伝子座の富化に使用される遺伝子リストは、Jostins et al,Nature2012(8)and Liu et al,Nature Genetics2015(9)から導出した。
【0189】
これらのヒト化遺伝子シグネチャを使用して、個々の治療シグネチャの富化解析をヒト経路に拡張した。抗TNFα治療のための遺伝子シグネチャは、ストレス及び脂質に対する細胞応答、活性酸素種代謝、炎症反応遺伝子、及び患者生検において下方制御された遺伝子において富化された。抗IL-23p19治療シグネチャは、細胞代謝、増殖の調節、及びIBD患者生検において下方制御された遺伝子において富化された。
【0190】
次に、これらのヒト化遺伝子シグネチャは、CERTIFIベイジアンネットワーク上にマッピングされ、ウェブベースのネットワーク可視化ツールを使用して治療サブネットワークを生成した。遺伝子リストは、タブ区切りテキストファイルとして生成され、インポートされた。遺伝子リストをT26 Pan-Intestine Bayesian Network(CERTIFIネットワーク(7))に適用し、それらの第1の隣接遺伝子(選択された遺伝子の1ステップ内の遺伝子、内側又は外側(incoming or outgoing)のいずれか)を使用して、サブネットワークを作成した。
【0191】
これらの治療サブネットワークは、マウスモデルにおける抗TNFα又は抗IL-23p19治療によって改変され、ヒトIBD組織に反映された遺伝子、及びネットワーク内でそれらに直接隣接する遺伝子を含む。したがって、これらのサブネットワークの富化解析は、ヒト疾患組織との関連において、各治療によって標的化された生物学的経路についての洞察を提供することができる。
【0192】
図3A及び図3Bは、CERTIFIヒトIBD遺伝子発現ネットワーク上に投影された、マウス大腸炎の抗CD40モデルからの抗TNFα又は抗IL-23p19単独療法のヒト化治療シグネチャを示す。ヒトIBDネットワーク内の遺伝子の第1の隣接遺伝子を抽出して、治療サブネットワークを生成した。抗TNFαサブネットワーク及び抗IL-23p19サブネットワーク内に存在する遺伝子間の重複は、中心のベン図によって示されている。抗TNFα及び抗IL-23p19の共有サブネットワークの最大連結成分を図3Bに示す。
【0193】
元の遺伝子シグネチャの交差の分析では、特定の生物学的物質(biology)は富化されていなかったが、抗TNFα及び抗IL-23p19の両方によって共有されるネットワークネイバーフッド(network neighborhood)の最大連結成分の集中解析により、IBD患者組織並びにIBDのGWAS遺伝子座の遺伝子において調節不全である遺伝子の富化が明らかとなり、これらの異なるメカニズムの有効性が、共有コア炎症経路の標的化を通じて部分的に媒介され得ることが示唆された。これらの2つの治療サブネットワークの交差は、IBDのGWAS遺伝子座の遺伝子(p=0.001)及びIBD患者組織内で上方調節された遺伝子において有意に富化された(複数のシグネチャ;上位シグネチャのE値7.25e-27)(図3)。抗TNFサブネットワークの固有部分を、好中球及びCD11bマクロファージ遺伝子シグネチャにおいて高度に富化し(E値はそれぞれ、8.28e-10及び30 2.41e-06)、一方、抗IL-23p19サブネットワークの固有部分を、結腸上皮細胞において高度に富化し(E値1.27e-32)、これは、上皮細胞の生物学的物質に影響を与えるIL-17A及びIL-22などのサイトカインの発現を促進するIL-23の役割と一致した。ネットワークの抗TNFα及び抗IL-23p19固有領域内の骨髄性細胞及び上皮細胞における相対的富化は、それぞれ、両方の抗体による組み合わせ療法が、IBDの病因に関連する個別の細胞型を標的化することによって利益を提供することができるという更なる仮説をもたらした。腸炎症の直交性マウスモデルである大腸炎のT細胞移入モデルにおいて抗TNFα又は抗IL-23p19治療処置に由来する遺伝子シグネチャを用いて同じタイプのネットワーク解析を実施した際に、非常に類似した結果が観察された。総合すると、これらのネットワーク解析は、抗TNFα及び抗IL-23p19の作用機序は異なるが、腸炎症の分子ドライバに収束することを示唆している。
【0194】
実施例4:抗CD40抗体誘導性大腸炎における抗TNFα及び抗IL-23p19抗体治療のための用量範囲に関する補足的分析
組み合わせ療法の効果の更なる評価を可能にするために、CD40抗体誘導性大腸炎モデルにおける用量反応に関する拡大研究を実施して、各抗体の最小有効用量を決定した。抗CD40アゴニスト抗体を用いた疾患誘導の1日前に、雌RAG2-/-マウスに、抗IL-23p19抗体(50、15、5、1.5。0.5、0.15μg/マウスでCNTO3723)、抗TNFα抗体(150及び15μg/マウスでCNTO5048)、又はアイソタイプ対照(50μg/マウス)を腹腔内投与した。プロトコルを下表4に要約する。
【0195】
【表4】
【0196】
マウスに抗体又はPBSを注射した-1日目から、7日目に終了するまで、体重をモニターした。データを図4A図4B図4C、及び図4Dに示す。各線は、標準誤差(n=10抗体治療、n=5 PBS対照、n=3未感作対照)、-1日目(点線)からの変化率として示されている。アイソタイプ対照群に対する差異の有意性を、ダネットの多重比較検定を用いて二元配置ANOVAによって各治療群について分析し、各研究日の結果として得られたp値を表に示す。有意差を示すP値は、太字/イタリックで強調されている。
【0197】
ビヒクル対照と比較して、アイソタイプ対照群において、体重減少の部分的に有意な増加が観察された。抗IL-23p19抗体を用いた治療は、2つの最高用量(15、50μg/マウス)において、体重減少に対する部分的用量依存的保護を2日目から示した。図4Bに示されるように、抗IL-23p19抗体の最低用量(0.15μg/マウス)においてのみ、体重減少からの保護は観察されなかった。抗TNFα抗体を用いた治療は、より高い用量(150μg/マウス)において体重減少に対して完全に保護したが、より低い用量(15μg/マウス)では部分的な保護のみが認められた。図4Cを参照されたい。
【0198】
用量範囲決定のための単一抗体治療の後に、近位結腸の組織病理学的分析を以下のように行った。終了時(7日目)に、近位結腸部分を除去し、洗い流し、固定し、次いで、H&Eで染色した。染色した試料の組織病理学的変化について、上記実施例1のプロトコルを使用し、0~20の重症度スコアを用いて、盲検下で病理学者によって検査した。データを図5A図5B、及び図5Cに示す。未感作動物においては、組織病理学的所見は観察されなかった。抗体治療群とそれぞれのアイソタイプ対照との差を、一元配置ANOVA及びシダックの多重比較検定によって有意性について分析した。線は群中央値を示す。
【0199】
結腸組織病理診断は、図5Bに示されるように、抗IL-23p19抗体治療による大腸炎からの用量依存的保護を実証した。50μg/マウス用量では、抗IL-23p19抗体治療は、完全に近い保護を提供した。15μg及び5μgの抗体用量では部分的保護が検出され、1.5μg以下の用量では保護は観察されなかった。対照的に、抗TNFα抗体の2つの用量レベル(150、15μg)では、結腸組織病理診断において有意な治療効果は検出されなかった。図5Cを参照されたい。これらの結果は、IL-23シグナル伝達の遮断が、このモデルにおける大腸炎に対して非常に有効であることを裏付けている。TNFαの阻害は、全身性炎症に対して有効性があるが(体重減少の改善によって測定したとき)、このモデルにおける大腸炎に対しては中等度の保護のみを供する。
【0200】
実施例5:CD40大腸炎モデルにおける固定用量の抗TNFα抗体と様々な用量の抗IL-23p19抗体との組み合わせの抗炎症活性の決定
固定用量の抗TNFα抗体(500μg/マウス)を、様々な用量の抗IL-23p19抗体(1.5、5、25μg/マウス)と組み合わせて使用して、組み合わせに関する研究をCD40大腸炎モデルで行った。抗IL-23p19抗体の対応する単回用量も含まれた。プロトコルを下表5に要約する。
【0201】
【表5】
【0202】
高用量抗TNFα及び低用量抗IL-23p19抗体を用いた単剤治療及びこれらの組み合わせ治療後の体重減少のアッセイを以下のように行った。
【0203】
マウスに抗体(アイソタイプ対照:525μg;抗TNFα:500μg;抗IL-23p19:25、5、1.5μg)又はPBS(10mL/kg)を注射した-1日目から、7日目に終了するまで、体重をモニターした。データを図6に示す。各線は、群平均を表し(n=10抗体治療及びビヒクル、n=5未感作対照)、-1日目(点線)からの変化率として示されている。アイソタイプ対照群に対する差異の有意性を、ダネットの多重比較検定を用いて二元配置ANOVAによって各治療群について分析した。各研究日のp値を表に示し、有意性を示す場合、太字/イタリックで強調されている。
【0204】
先の研究と一致して、図6Bに示されるように、高用量抗TNFα抗体は、体重減少に対して完全に保護した。対照的に、抗IL-23p19抗体による単独治療は、全ての用量で、特に抗CD40抗体誘導性疾患の後期の間に体重減少からの部分的な保護を提供した。図6Cを参照されたい。抗TNFα抗体と抗IL-23p19抗体との組み合わせは、単独療法と比較して、体重減少の阻害に関して追加の検出可能な利益を提供しなかった(図6D)。理論に束縛されることを望むものではないが、この効果は、このパラメータに対する抗TNFα抗体の単独療法の強い有効性に起因し得る。
【0205】
高用量抗TNFα及び低用量抗IL-23p19抗体を用いた単剤及び組み合わせ抗体治療の後に、近位結腸の組織病理学的分析を行った。終了時(7日目)に、近位結腸組織試料を除去し、洗い流し、固定し、次いでH&Eで染色して、上記実施例1に記載されるように0~20の重症度スコアを用いて盲検下で病理学者によって組織病理学的変化について検査した。データを図7A図7B、及び図7Cに示す。未感作動物においては、組織病理学的所見は観察されなかった。抗体治療群とそれぞれのアイソタイプ対照との差を、一元配置ANOVA及びシダックの多重比較検定によって有意性について分析した。線は群中央値を示す。
【0206】
図7A図7B、及び図7Cに示されるように、抗TNFα抗体(500μg/マウス)は、アイソタイプ対照と比較して、結腸組織病理診断に対して有意な保護を供しなかった。抗IL-23p19抗体(1.5、5、及び25μg/マウス)治療は、大腸炎からの用量依存的保護を実証し、最低用量(1.5μg/マウス)では保護は見られなかった。2つのより高い用量(5及び25μg/マウス)では、大腸炎からの部分的保護が観察された。
【0207】
抗IL-23p19に使用された抗体の量が少ないことに起因して、単一の抗IL23p19治療の統計的有意性は、ビヒクル対照に対して計算されたが、高用量(525μg/マウス)アイソタイプ対照に対しては計算されなかった。全ての組み合わせ治療は、単剤による抗TNFα治療と比較して、結腸炎症からの有意な保護を示した。図7A図7B、及び図7Cを参照のこと。注目すべきは、評価された最も低い組み合わせ用量(500μg/マウスのTNFα+1.5μg/マウスの抗IL-23p19)の場合、結腸組織病理診断から、両方の単独療法による治療は、一切の保護を提供できなかったが、組み合わせて与えられたときに組織病理において有意な改善を示したことである。図7Aを参照されたい。比較的少量の抗IL-23p19抗体を抗TNFα抗体と組み合わせることによって(例えば、1:333(w/w)の比として)、結腸組織病理診断においてかかる大幅な改善が提供されたことは予想外であった。500μg/マウスのTNFα+1.5μg/マウスの抗IL-23p19を受けた群において観察された結腸組織病理学的スコアが、アイソタイプ対照群において観察されたものと統計的に異ならないこともまた、予想外であった。これらの結果は、固定された高用量TNFα mAbと、準最適低用量のIL-23p19との組み合わせ治療が、2つのサイトカインに対する単独療法と比較して、優れた保護を提供することを示す。
【0208】
実施例6:抗TNFαと抗IL-23p19とを組み合わせた治療は創傷治癒経路において富化された固有のサブネットワークに対して影響を与える
抗TNFα及び抗IL-23p19抗体の組み合わせ療法対単独療法の分子的影響を決定した。抗TNFα(500μg)又は高用量抗IL-23p19(25μg)の単独療法のヒト化結腸遺伝子発現シグネチャを、組み合わせ療法(500μgの抗TNFα/1.5μgの抗IL-23p19)からの遺伝子発現シグネチャと交差させて、抗TNFα及び低用量抗IL-23p19抗体の組み合わせ治療に対する分子応答が、いずれかの療法単独と比較して相加的又は固有的であったかを決定した。
【0209】
抗IL-23p19治療の25μg用量を比較のために選択して、抗TNFαと準最適用量の抗IL-23p19との組み合わせ治療の効果を、モデルにおいて有効性を有した抗IL-23p19の単独療法用量の効果と比較した。
【0210】
研究1と同様に、シグネチャの重複を評価し、治療サブネットワークを生成し、富化解析を実施するために、単剤療法治療群及び組み合わせ療法治療群毎にヒト化結腸遺伝子シグネチャを生成した。データを図8の左側パネルに示す。220個の遺伝子が、組み合わせ療法(500μgの抗TNFα/1.5μgの抗IL-23p19)後に、いずれかの単独療法(500μgの抗TNFα又は25μgの抗IL-23p19)に対して、固有に差次的に調節されることが見出された。これらの遺伝子を、CERTIFI腸ベイジアンネットワーク上に投影した。得られた誘導された1ステップサブネットワークの最大連結成分を富化解析に供した。結果を図8の右側パネルに示す。これらの220個の遺伝子のネットワーク解析は、線維芽細胞及び細胞外マトリックス組織において富化された組み合わせ治療、創傷修復及び粘膜治癒に関与する細胞型及び経路について特異的なサブネットワーク(図8に示される)を同定した。したがって、抗TNFα療法及び抗IL-23p19療法は、組み合わせて使用されるときに、共有の疾患関連経路及び固有の疾患関連経路の両方を標的とすることによって追加の利益を提供することができる。
【0211】
実施例7:UCにおける抗TNFα治療及び抗IL-23p19治療の臨床研究
中等度から重度に活性な潰瘍性大腸炎を有する参加者におけるグセルクマブ及びゴリムマブを用いた組み合わせ療法の有効性及び安全性を評価するための第2a段階のランダム化、二重盲検、実対照、並行群、多施設、概念実証臨床研究
グセルクマブ(TREMFYA(登録商標))は、高い特異性及び親和性を有するヒトインターロイキン(IL)-23のp19サブユニットに結合する完全ヒト免疫グロブリンG1ラムダモノクローナル抗体(mAb)である。グセルクマブがIL-23に結合することにより、細胞表面IL-23受容体と細胞外IL-23との結合が遮断され、IL-23特異的細胞内シグナル伝達及びその後のサイトカイン産生が阻害される。グセルクマブは、現在、米国、欧州連合、カナダ、及びいくつかの他の国において中等度から重度の尋常性乾癬の治療に承認されている。加えて、グセルクマブは、乾癬性関節炎(psoriatic arthritis、PsA)及びクローン病でも世界的に評価されている。
【0212】
ゴリムマブ(SIMPONI(登録商標))は、高い親和性を有するTNFαに結合する完全ヒト抗腫瘍壊死因子アルファ(TNFα)mAbである。この相互作用は、TNFαとその受容体との結合を妨げ、それによってTNFαの生物活性を阻害する。ゴリムマブは、世界中の90を超える国々で、中等度から重度に活性な潰瘍性大腸炎(UC)の治療に承認されている。加えて、ゴリムマブは、関節リウマチ(rheumatoid arthritis、RA)、PsA、強直性脊椎炎(ankylosing spondylitis、AS)、非放射線性軸性脊椎関節炎(nonradiographic axial spondyloarthritis、nr-Axial SpA)、及び関節性若年性特発性関節炎(polyarticular juvenile idiopathic arthritis、pJIA)のうちの1つ又は2つ以上のために世界各国で承認されている。
【0213】
目的及び評価項目
この研究は、2つの異なる段階、すなわち、12週間の組み合わせ比較段階、続いて26週間の単独療法段階からなる。
【0214】
目的
主目的
組み合わせ比較段階
●中等度から重度に活性なUCを有する参加者において、グセルクマブ及びゴリムマブを用いた組み合わせ療法の臨床的有効性を評価すること。
●中等度から重度に活性なUCを有する参加者において、グセルクマブ及びゴリムマブを用いた組み合わせ療法の安全性を評価すること。
【0215】
二次目的
組み合わせ比較段階
●内視鏡的改善に対するグセルクマブ及びゴリムマブを用いた組み合わせ療法の効果を評価すること。
●疲労を含む、疾患に特異的な健康に関連する生活の質(health-related quality of life、HRQOL)に対するグセルクマブ及びゴリムマブを用いた組み合わせ療法の影響を評価すること。
●ベースラインでの陰性応答シグネチャ状態によってグセルクマブ及びゴリムマブを用いた組み合わせ療法の有効性を評価すること。
●C反応性タンパク質(C-reactive protein、CRP)、便中カルプロテクチン、及び他のPDバイオマーカーの変化を含む、グセルクマブ及びゴリムマブを用いた組み合わせ療法の薬物動態(pharmacokinetics、PK)、免疫原性、及び薬力学(pharmacodynamics、PD)を評価すること。
【0216】
単独療法段階
●組み合わせ療法とそれに続くグセルクマブ単独療法の臨床的有効性を評価すること。
●組み合わせ療法とそれに続くグセルクマブ単独療法の安全性を評価すること。
●内視鏡的改善に対する、組み合わせ療法とそれに続くグセルクマブ単独療法の効果を評価すること。
●疲労を含む疾患特異的HRQOLに対する、組み合わせ療法とそれに続くグセルクマブ単独療法の影響を評価すること。
●ベースラインでの陰性応答シグネチャ状態によって組み合わせ療法とそれに続くグセルクマブ単独療法の有効性を評価すること。
●CRP、便中カルプロテクチン、及び他のPDバイオマーカーの変化を含む、組み合わせ療法とそれに続くグセルクマブ単独療法のPK、免疫原性、及びPDを評価すること。
【0217】
試験的目的
●患者報告アウトカム(patient-reported outcome、PRO)指標(例えば、ブリストル大便形状スケール(Bristol Stool Form Scale、BSFS)及び患者のUCの重症度の全体的な印象の変化(Patient’s Global Impression of Change、PGIC))に対する組み合わせ療法の効果を調査すること。
【0218】
評価項目
主要エンドポイント
●Mayoスコアにおけるベースラインからの減少が30%以上及び3ポイント以上、直腸出血サブスコア(RBS)における減少が1以上か、又はRBSが0若しくは1のいずれかであるとして定義される12週目の臨床応答。
【0219】
主要な二次評価項目
●Mayoスコアが2以下であり、個々のサブスコアが1超ではないとして定義される12週目の臨床的寛解。
【0220】
注記:他の寛解定義が考慮されてもよく、統計解析計画書(Statistical Analysis Plan、SAP)に完全に記載される。
【0221】
仮説
グセルクマブ及びゴリムマブによる組み合わせ療法は、両方の単独療法治療群より優れた12週目の臨床応答率をもたらす。
【0222】
全体的な計画
これは、中等度から重度に活性なUCを有する成人におけるグセルクマブ及びゴリムマブを用いた組み合わせ療法の有効性及び安全性を評価するために設計された、第2a段階のランダム化、二重盲検、実対照、並行群、多施設、介入概念実証(proof-of-concept、POC)臨床研究である。標的集団は、ベースラインにおいて中等度から重度に活性なUCを有する18~65歳の男性又は女性であり、中等度から重度は、6~12のMayoスコアによって定義され、ビデオ内視鏡検査の中央判定中に得られる内視鏡サブスコア2以上を含む。参加者は、TNFアンタゴニストに対して未感作である必要があり、経口又は静脈内(intravenous、IV)コルチコステロイド又は免疫調節薬(6-メルカプトプリン(6-MP)又はアザチオプリン(AZA))による従来の治療に失敗したか、又は耐性がない。
【0223】
免疫調節薬(6-MP、AZA、及びメトトレキサート(MTX))は、第1の用量の研究介入の前に少なくとも2週間中断されなければならない。ベースラインにおいて経口コルチコステロイドを受けている参加者については、治験責任医師は、6週目にコルチコステロイドの1日用量を漸減し始めなければならない。全ての参加者は、研究を通してUCの臨床的悪化について評価される。一般に、UCの組み合わせ療法の投与量は、38週にわたって安定した状態を保つべきであり(6週目に経口コルチコステロイド漸減を開始することを除いて)、UCの組み合わせ療法は、治験責任医師によって医学的に必要とみなされない限り、開始されるべきではない。禁止療法の開始は、研究介入の中断をもたらすことになる。
【0224】
中央読影を伴う内視鏡検査は、スクリーニング/ベースライン、12週目、及び38週目に計画されている。同意参加者は、4週目に更なる内視鏡検査を有し、これも中央読影者によって評価されることになる。有効性、PK及びPDパラメータ、バイオマーカー、並びに安全性は、活動スケジュール(Schedule of Activitie、SoA)に従って評価される。薬理遺伝学のための血液試料は、プロトコルのこのコンポーネントに同意する参加者から採取される(現地条例が許可する場合)。薬理遺伝学的リサーチへの参加は任意である。
【0225】
将来の臨床展開を知らせるために中間解析が予定されている。12週目及び38週目にデータベースロック(database lock、DBL)が予定されており、全ての参加者が安全性経過観察の来診を完了した後に最終DBLが予定されている。この研究のために独立データモニタリング委員会(Data Monitoring Committee、DMC)が任命される。
【0226】
参加者数
標的となる210人の参加者がこの研究に登録し、介入群毎に70人の参加者が予定されている。
【0227】
介入群及び継続期間
この研究は、2つの異なる段階、すなわち、12週間の組み合わせ比較段階、続いて26週間の単独療法段階からなる。0週目に、標的となる210人の参加者を、グセルクマブ及びゴリムマブを用いた組み合わせ療法、グセルクマブ単独療法、又はゴリムマブ単独療法のいずれかに対して1:1:1の比でランダム化し、ベースライン(Y/N)でコルチコステロイドの併用により層別化される。組み合わせ療法にランダム化された参加者は、12週目以降にグセルクマブ単独療法を受ける。単剤治療群にランダム化された参加者は、12週目以降も最初にランダム化された単独療法を継続する。組み合わせ療法治療群は、結果の科学的解釈を容易にするために、それぞれの単独療法介入群で使用されているグセルクマブ及びゴリムマブの同じ用量レジメンを採用する。以下は、3つの介入群についての説明である。
●組み合わせ療法:0週目にグセルクマブ200mg IV及びゴリムマブ200mg皮下(subcutaneous、SC);2、6、及び10週目にゴリムマブ100mg SC;4及び8週目にグセルクマブ200mg IV、続いて、8週間毎にグセルクマブ100mg SC;
●グセルクマブ単独療法:0、4、及び8週目にグセルクマブ200mg IV、続いて、8週間毎にグセルクマブ100mg SC
●ゴリムマブ単独療法:0週目にゴリムマブ200mg SC注射、続いて、2週目にゴリムマブ100mg、次いで、4週間毎(q4w)にゴリムマブ100mg
【0228】
加えて、研究の期間全体にわたり盲検性を維持するために、プラセボ投与(IV又はSC)が必要に応じて与えられる。
【0229】
全体的な参加者の継続期間は、合計で最大58週間である(スクリーニング:最大8週間、治療期間:38週間(組み合わせ比較段階が12週間、単独療法段階が26週間)、安全性経過観察:34週目の研究介入の最後の投与後約16週間)。研究の終了は、最後の参加者が安全性経過観察のための最後の来診を完了したときとして定義される。
【0230】
有効性評価(評価項目)
有効性評価は、以下を含む。
●Mayoスコア及び部分的Mayoスコア
●潰瘍性大腸炎の内視鏡的重症度指数(Ulcerative Colitis Endoscopic Index of Severity、UCEIS)
●CRP及び便中カルプロテクチンを含む炎症性PDマーカー
●HRQOLアウトカム及び疲労を評価するための患者報告アウトカム尺度(すなわち、炎症性腸疾患質問表(Inflammatory Bowel Disease Questionnaire、IBDQ)、患者報告アウトカム測定情報システム(Patient-Reported Outcomes Measurement Information System、PROMIS)-29、及びPROMIS疲労7項目ショートフォーム(7a))
●UCの重症度のBSFS及びPGICを含む探索的患者報告症状尺度
【0231】
他の有効性評価(評価項目)
●有効性評価は、以下を含む:
【0232】
組み合わせ比較段階(すなわち、12週目まで)
●12週目の内視鏡的治癒(0又は1のMayo内視鏡的サブスコア)。
●粘膜の内視鏡的外観の正常化(0のMayo内視鏡的サブスコア)。
●12週目の組織学的治癒。
●12週目の粘膜治癒(Mayoによる複合的な内視鏡的治癒及び組織学的治癒)。
●6週目及び12週目の炎症性腸疾患質問票(IBDQ)の総スコアにおけるベースラインからの変化。
●6週目及び12週目のIBDQスコアにおける20ポイント超の改善。
●6週目及び12週目の患者報告アウトカム測定情報システム(Patient-Reported Outcomes Measurement Information System、PROMIS)-29の7ドメイン及び腹部痛数値評価スケールにおけるベースラインからの変化。
●6週目及び12週目の疲労応答(PROMIS疲労ショートフォーム7aに基づく;SAPで定義される)。
●ベースラインでの陰性応答シグネチャ状態による12週目の臨床応答、臨床的寛解、及び内視鏡的治癒。
●12週目のMayoスコアにおけるベースラインからの変化。
●12週にわたる部分的Mayoスコアにおけるベースラインからの変化。
●12週にわたるCRPにおけるベースラインからの変化。
●12週にわたる便中カルプロテクチン濃度におけるベースラインからの変化。
●ベースラインで異常なCRP濃度を有する参加者における12週目のCRP濃度の正常化。
●ベースラインで異常な便中カルプロテクチン濃度を有する参加者における12週目の便中カルプロテクチン濃度の正常化。
●対応する来診時のMayo内視鏡スコアのレベルによる0週目及び12週目の潰瘍性大腸炎の内視鏡的重症度指数(UCEIS)スコア。
●12週目のUCEISスコアにおけるベースラインからの変化。
●12週目のUCEISスコア4以下。
●12週までのUC関連の救急治療部来診、入院、及び手術。
【0233】
単独療法段階(すなわち、12週目以降)
●38週目の臨床的寛解。
●38週目の臨床応答。
●12週目に臨床応答を達成した参加者における38週目の臨床応答の維持。
●38週目の内視鏡的治癒。
●38週目の粘膜の内視鏡的外観の正常化。
●38週目の組織学的治癒。
●38週目の粘膜治癒。
●38週目の臨床的寛解及び併用コルチコステロイドを受けていない。
●12週目に臨床的寛解を達成した参加者における38週目の臨床的寛解の維持。
●24週目及び38週目のIBDQの総スコアにおけるベースラインからの変化。
●24週目及び38週目のIBDQスコアにおける20ポイント超の改善。
●24週目及び38週目のPROMIS-29の7ドメイン及び腹部痛数値評価スケールにおけるベースラインからの変化。
●24週目及び38週目の疲労応答。
●ベースラインでの陰性応答シグネチャ状態による38週目の臨床応答、臨床的寛解、及び内視鏡的治癒。
●38週目のMayoスコアにおけるベースラインからの変化。
●38週にわたる部分的Mayoスコアにおけるベースラインからの変化。
●38週にわたるCRPにおけるベースラインからの変化。
●38週にわたる便中カルプロテクチン濃度におけるベースラインからの変化。
●ベースラインで異常なCRP濃度を有する参加者における38週目のCRP濃度の正常化。
●ベースラインで異常な便中カルプロテクチン濃度を有する参加者における38週目の便中カルプロテクチン濃度の正常化。
●38週目のMayo内視鏡スコアのレベルによる38週目のUCEISスコア。
●38週目のUCEISスコアにおけるベースラインからの変化。
●38週目のUCEISスコア4以下。
●38週までのUC関連の救急治療部来診、入院、及び手術。
【0234】
探索的評価項目
●経時的なBSFSスコア。
●経時的なUCの重症度のPGICの分布。
【0235】
薬物動態及び免疫原性評価
血清試料を、有効な、特異的な、かつ高感度な免疫測定法を用いて、治験依頼者の監督下で分析して、グセルクマブ及びゴリムマブの濃度、及び抗グセルクマブ及び抗ゴリムマブ抗体の検出をそれぞれ判定する。
【0236】
薬力学的及びバイオマーカー評価
バイオマーカー評価は、治療に対する生物学的応答を検討し、UCの治療におけるグセルクマブ及び/又はゴリムマブに関連するバイオマーカーを特定するために行われる。評価は、血清、便、全血、及び粘膜生検試料中の関連するバイオマーカーの評価を含む(RNA(ribonucleic acid:リボ核酸)、組織学、及び単細胞単離)。
【0237】
薬理遺伝学的(DNA)評価
SoAに指定されているとおりに遺伝子解析するために、約5mLの薬理ゲノミクス全血試料を採取する。遺伝的評価に参加する同意書に署名した参加者のみが、全血デオキシリボ核酸(deoxyribonucleic acid、DNA)試料を採取される。薬理ゲノミクス下位研究への参加は任意である。
【0238】
安全性の評価
研究のための来診のそれぞれにおいて行われる安全性評価は、有害事象(AE、来診時及び評価来診の間に生じるもの)の評価、結核(tuberculosis、TB)評価及び他の感染評価の評価、臨床試験室の血液試験(血液学及び化学)、バイタルサイン、自殺傾向の評価、併用薬の調査、注射部位反応の観察、注入に時間的に関連するAE、及び/又は過敏性反応を含む。
【0239】
統計的方法
試料サイズの決定
210人(介入群当たり70人)の参加者の試料サイズは、組み合わせ療法と両方の単剤療法との間での12週目の時点での臨床応答(一次評価項目)における参加者の割合の有意差を、各比較の有意水準0.1の片側カイ二乗検定を用いて検出するための検出力によって決定された。この研究は、一次評価項目のために単独療法に対する両方の比較を達成するシミュレーションに基づいて、組み合わせ療法が約80%の検出力を有するような規模である。12週目の時点での臨床応答における参加者の割合は、組み合わせ療法で75%であると想定され、これは、両方の単独療法の相加効果に基づく(35%の過去のプラセボ応答に対する各単独療法の20%の改善)。
【0240】
有効性解析
少なくとも1回の投与の研究介入を受ける全てのランダム化された参加者は、有効性分析に含められる。参加者は、実際に受ける治療に関係なく、ランダム化された治療群に従って分析される。
【0241】
一次評価項目の試験のために、各単独療法に対する組み合わせ療法の有効性を比較する。一次評価項目の両方の統計比較のために、ベースライン(Y/N)でコルチコステロイドの併用によって層別化されたコクラン-マンテル-ヘンツェル(Cochran-Mantel-Haenszel、CMH)のカイ二乗検定を使用する。試験は、各比較の有意水準0.1の片側で同時に行われる。この研究は、一次評価項目に関して組み合わせ療法群が両方の単独療法群と有意に異なる場合、陽性であると考えられる。
【0242】
一次評価項目の両方の試験が陽性である場合、ベースライン(Y/N)でコルチコステロイドの併用によって層別化されたCMHカイ二乗検定(片側)を使用して、主要な二次評価項目に関して組み合わせ療法の有効性を各単独療法と比較する。試験は、各比較の有意水準0.1の片側で同時に行われる。
【0243】
他の有効性評価項目の解析は、複数の比較に関して調整を行わない状態で実施され、公称p値が提供される。
【0244】
安全性分析
AE、深刻な有害事象(serious adverse events、SAE)、感染、重篤な感染、臨床検査評価の変化、及びバイタルサインの変化が挙げられるが、これらに限定されない、安全データについて要約する。治療によって生じるAEは、治療群、並びに国際医薬用語集(Medical Dictionary for Regulatory Activities、MedDRA)の器官別大分類及び基本語によって要約される。
【0245】
その他の分析
薬物動態の分析
経時的な血清中のグセルクマブ濃度及びゴリムマブ濃度は、記述統計学を使用して各治療群に関して経時的に要約される。
【0246】
適切な場合には、母集団PKモデリングが実施されてもよい。母集団PK解析が実施される場合、これらの解析の結果は別個の報告で提示される。
【0247】
免疫原性の分析
グセルクマブ及びゴリムマブに対する抗体の発生率を、グセルクマブ又はゴリムマブの少なくとも1回の投与を受け、かつ、グセルクマブ及びゴリムマブに対する抗体を検出するのに適切な試料を有する全ての参加者(すなわち、グセルクマブ又はゴリムマブそれぞれの1回目の投与後に得た少なくとも1つの試料を有する参加者)について要約する。
【0248】
薬物動態/薬力学的解析
グセルクマブ及びゴリムマブの血清濃度と有効性測定値及び/又は関連バイオマーカーとの間の関係は、適切な場合に図式的に調査され得る。必要とされる場合には、追加の分析を行うことができる。
【0249】
バイオマーカー分析
経時的に得られた血清タンパク質検体、便バイオマーカー、並びに生検及び全血RNAの変化は、治療群毎に要約される。選択されたマーカーにおけるベースライン値及びベースラインからの変化と、治療に対する応答と、の間の関連性が調査される。バイオマーカー分析は、別の技術報告書にまとめられる。
【0250】
薬理遺伝学的分析
遺伝(DNA)分析は、薬理ゲノミクスの下位研究に参加する同意書に署名した参加者のみで行われる。これらの分析は探索的であると考えられ、別の技術報告書にまとめられる。
【0251】
臨床結果
研究集団は、中等度~重度に活性なUC(1群当たり約70人)を有する214人のランダム化された参加者を含んでいた。研究集団は、TNF未感作であり、経口又は静脈内(IV)コルチコステロイド又は免疫調節剤(6-MP又はAZA)を用いた従来の療法に失敗したか、又は耐性がなかった参加者を含む。研究は、12週間の組み合わせ誘導とそれに続く26週間の単独療法維持を含む。0週目、4週目、及び8週目にグセルクマブ(GUS)200mgのIV、並びに0週目にゴリムマブ(GOL)200mgの皮下(SC)、それに続く2週目、6週目、及び10週目に100mgのSCの組み合わせ誘導用量。組み合わせ誘導後、GUS単独療法を100mgのSCでq8として投与する。上記と同じ用量レジメンを、それぞれGUS及びGOL単独療法治療群に使用する。
【0252】
一次評価項目及び主要二次評価項目
12週目の臨床応答の一次評価項目は、Mayoスコアにおけるベースラインからの減少が30%超及び3ポイント超であり、直腸出血サブスコア(RBS)における減少が1超か、又はRBSが0若しくは1のいずれかであるとして定義される。主要二次評価項目は、12週目の臨床的寛解であり、Mayoスコアが2未満であり、個々のサブスコアが1超ではないとして定義された。他の有効性評価項目は、(i)12週目の内視鏡的治癒(0又は1のMayo内視鏡的サブスコア)、(ii)粘膜の内視鏡的外観の正常化(0のMayo内視鏡的サブスコア)、(iii)12週目のMayoスコアのベースラインからの変化、(iv)12週にわたるベースライン部分的Mayoスコアからの変化、(v)12週にわたるCRPにおけるベースラインからの変化、(vi)12週にわたる便中カルプロテクチンにおけるベースラインからの変化、及びベースラインで異常なCRP濃度を有する参加者における12週目のCRPの正常化(便中カルプロテクチンについても同じ)を含んでいた(記載される利用可能なデータを有する選択評価項目)。
【0253】
Mayoスコアは、臨床応答及び寛解の様々な定義に組み込まれ、4つのサブスコア(排便頻度、直腸出血[RBS]、内視鏡検査、及び医師の包括的評価)の合計として計算される。臨床応答は、Mayoスコアにおけるベースラインからの減少が30%超及び3ポイント超であり、直腸出血サブスコア(RBS)におけるベースラインからの減少が1超であるか、又はRBSが0若しくは1であるとして定義される。臨床的寛解は、Mayoスコアが2未満であり、個々のサブスコアが1超ではないとして定義される。臨床的寛解(保健当局の定義)は、0又は1の排便頻度サブスコア、0のRBS、及び0又は1の内視鏡サブスコアとして定義され、内視鏡検査時に破砕性が存在せず、排便頻度サブスコアは、ベースラインから増加していない。症候性寛解は、0又は1の排便頻度サブスコア、0のRBSとして定義される。内視鏡的治癒(すなわち、粘膜の内視鏡的外観における改善)は、0又は1の内視鏡サブスコアとして定義される。内視鏡的治癒は、1の内視鏡サブスコアが観察される場合、破砕性の存在に基づいて評価される。
【0254】
結論
12週、24週、及び38週のデータが、下表6~25に示される。このデータは、組み合わせ療法がいずれかの単独療法よりも優れていることを示唆している。保健当局の定義(より厳しい)による臨床的寛解及び12週目の内視鏡的治癒の割合は、いずれかの単独療法で観察されたものよりも組み合わせ療法でほぼ2倍であった。複数のパラメータの迅速な改善が組み合わせ療法で見られた。加えて、組み合わせ療法アームについては、グセルクマブ単独を投与した場合の26週間の維持期間後でさえも、臨床的寛解率及び内視鏡的治癒率は、いずれの単独療法アームよりも高く維持された。同様の生物学的未感作集団における他の現在利用可能な高度療法との関連で、組み合わせ療法は、誘導後に数値的により高い割合の臨床的寛解をもたらす(研究間の比較についての多数の警告を伴う)。分析の時点で、組み合わせ療法は、許容可能な安全性プロファイルを有する。
【0255】
【表6】
【0256】
【表7】
【0257】
【表8】
臨床応答は、Mayoスコアにおけるベースラインからの減少が30%以上及び3ポイント以上であり、直腸出血サブスコア(RBS)におけるベースラインからの減少が1以上か、又はRBSが0若しくは1のいずれかであるとして定義される。
12週目の来診の前に介入性事象を有した(オストミー又は結腸切除(部分的若しくは全体的)を有した、療法効果の欠如に起因するか又はUCの悪化のAEに起因して研究介入を中止した、併用UC薬におけるプロトコル禁止変更を有した、有効性の欠如又はUCの悪化のAE以外の理由で研究介入を中止した、死亡した)参加者は、12週目に臨床応答を達成しなかったと考えられた。
介入性事象を説明した後、12週目にMayoサブスコアのいずれか又は全てを欠いている参加者は、12週目に臨床応答を達成していないと考えられる。
組み合わせ療法と各単独療法との間での臨床応答を達成する参加者の割合における治療差の信頼区間は、Wald統計に基づいた。
p値は、片側コクラン-マンテル-ヘンツェル(CMH)試験に基づき、ベースライン(はい/いいえ)でコルチコステロイドの併用によって層別化された。
【0258】
【表9】
臨床的寛解は、Mayoスコアが2以下であり、個々のサブスコアが1超ではないとして定義される。
12週目の来診の前に介入性事象を有した(オストミー又は結腸切除(部分的若しくは全体的)を有した、療法効果の欠如に起因するか又はUCの悪化のAEに起因して研究介入を中止した、併用UC薬におけるプロトコル禁止変更を有した、有効性の欠如又はUCの悪化のAE以外の理由で研究介入を中止した、死亡した)参加者は、12週目に臨床的寛解を達成しなかったと考えられた。
介入性事象を説明した後、Mayoサブスコアのいずれか又は全てを欠いている参加者は、12週目に臨床的寛解を達成していないと考えられる。
組み合わせ療法と各単独療法との間での臨床的寛解を達成する参加者の割合における治療差の信頼区間は、Wald統計に基づいた。
p値は、片側コクラン-マンテル-ヘンツェル(CMH)試験に基づき、ベースライン(はい/いいえ)でコルチコステロイドの併用によって層別化された。
【0259】
【表10】
内視鏡的治癒は、0又は1の内視鏡サブスコアとして定義される。
12週目の来診の前に介入性事象を有した(オストミー又は結腸切除(部分的若しくは全体的)を有した、療法効果の欠如に起因するか又はUCの悪化のAEに起因して研究介入を中止した、併用UC薬におけるプロトコル禁止変更を有した、有効性の欠如又はUCの悪化のAE以外の理由で研究介入を中止した、死亡した)参加者は、12週目に内視鏡的治癒を達成しなかったと考えられた。
介入性事象を説明した後、12週目に内視鏡サブスコアを欠いていた参加者は、12週目に内視鏡的治癒を達成しなかったと考えられた。
組み合わせ療法と各単独療法との間での内視鏡的治癒を達成する参加者の割合における治療差の信頼区間は、Wald統計に基づいた。
p値は、片側コクラン-マンテル-ヘンツェル(CMH)試験に基づき、ベースライン(はい/いいえ)でコルチコステロイドの併用によって層別化された。
【0260】
【表11】
参加者のサブセットからの中間データ。
修正Mayo応答は、修正Mayoスコアにおけるベースラインからの減少が2以上及び30%以上であり、かつ直腸出血サブスコアにおける減少が1以上であるか、又は絶対直腸出血サブスコアが1以下であるとして定義される。PGAサブスコアなしのMayoスコアである修正Mayoスコアは、排便頻度、直腸出血、及び内視鏡サブスコアの合計として計算され、0~9の範囲であり得る。
12週目の来診の前に介入性事象を有した(オストミー又は結腸切除(部分的若しくは全体的)を有した、療法効果の欠如に起因するか又はUCの悪化のAEに起因して研究介入を中止した、併用UC薬におけるプロトコル禁止変更を有した、有効性の欠如又はUCの悪化のAE以外の理由で研究介入を中止した、死亡した)参加者は、12週目に修正Mayo応答を達成しなかったと考えられた。
介入性事象を説明した後、修正Mayoスコア(すなわち、排便頻度、直腸出血、及び内視鏡サブスコア)を損なうMayoサブスコアのいずれか又は全てを欠いている参加者は、12週目に修正Mayo応答を達成していないと考えられる。
組み合わせ療法と各単独療法との間での修正Mayo応答を達成する参加者の割合における治療差の信頼区間は、Wald統計に基づいた。
p値は、片側コクラン-マンテル-ヘンツェル(CMH)試験に基づき、ベースライン(はい/いいえ)でコルチコステロイドの併用によって層別化された。
【0261】
【表12】
保健当局の定義による臨床的寛解は、0又は1の排便頻度サブスコア、0の直腸出血サブスコア、及び0又は1の内視鏡サブスコアとして定義され、内視鏡検査時に破砕性が存在せず、排便頻度サブスコアは、ベースラインから増加していない。
12週目の来診の前に介入性事象を有した(オストミー又は結腸切除(部分的若しくは全体的)を有した、療法効果の欠如に起因するか又はUCの悪化のAEに起因して研究介入を中止した、併用UC薬におけるプロトコル禁止変更を有した、有効性の欠如又はUCの悪化のAE以外の理由で研究介入を中止した、死亡した)参加者は、12週目に保健当局の定義による臨床的寛解を達成しなかったと考えられた。
介入性事象を説明した後、12週目に保健当局の定義による臨床的寛解の構成要素のいずれか又は全てを欠いている参加者は、12週目に保健当局の定義による臨床的寛解を達成していないと考えられる。
組み合わせ療法と各単独療法との間での保健当局の定義による臨床的寛解を達成する参加者の割合における治療差の信頼区間は、Wald統計に基づいた。
p値は、片側コクラン-マンテル-ヘンツェル(CMH)試験に基づき、ベースライン(はい/いいえ)でコルチコステロイドの併用によって層別化された。
【0262】
【表13】
凡例:AE=有害事象、Avg=平均
注記:参加者は、事象を実際に経験した回数とは無関係に、任意の所与の事象に対して1回のみカウントされる。有害事象は、MedDRAバージョン21.1を使用してコード化される。
受けた来診研究介入の平均回数。
治験責任医師によって評価された感染症。
【0263】
【表14-1】
【0264】
【表14-2】
凡例:AE=有害事象、Avg=平均
注記:参加者は、事象を実際に経験した回数とは無関係に、任意の所与の事象に対して1回のみカウントされる。
有害事象は、MedDRAバージョン21.1を使用してコード化される。
参加者のサブセットからの中間データ。
受けた来診研究介入の平均回数。
【0265】
【表15】
凡例:Avg=平均
注記:参加者は、事象を実際に経験した回数とは無関係に、任意の所与の事象に対して1回のみカウントされる。有害事象は、MedDRAバージョン21.1を使用してコード化される。
参加者のサブセットからの中間データ。
受けた来診研究介入の平均回数。
【0266】
【表16】
凡例:Avg=平均
注記:参加者は、事象を実際に経験した回数とは無関係に、任意の所与の事象に対して1回のみカウントされる。有害事象は、MedDRAバージョン21.1を使用してコード化される。
参加者のサブセットからの中間データ。
受けた来診研究介入の平均回数。
治験責任医師によって評価された重篤な感染症。
【0267】
【表17】
凡例:AE=有害事象、Avg=平均
注記:参加者は、事象を実際に経験した回数とは無関係に、任意の所与の事象に対して1回のみカウントされる。有害事象は、MedDRAバージョン21.1を使用してコード化される。
参加者のサブセットからの中間データ。
受けた来診研究介入の平均回数。
治験責任医師によって評価された感染症。
組み合わせ療法群の参加者は、12週目に開始するグセルクマブ単独療法に切り替えた。
【0268】
【表18】
凡例:Avg=平均
注記:参加者は、事象を実際に経験した回数とは無関係に、任意の所与の事象に対して1回のみカウントされる。有害事象は、MedDRAバージョン21.1を使用してコード化される。
参加者のサブセットからの中間データ。
受けた来診研究介入の平均回数。
組み合わせ療法群の参加者は、12週目に開始するグセルクマブ単独療法に切り替えた。
【0269】
【表19】
凡例:Avg=平均
注記:参加者は、事象を実際に経験した回数とは無関係に、任意の所与の事象に対して1回のみカウントされる。有害事象は、MedDRAバージョン21.1を使用してコード化される。
参加者のサブセットからの中間データ。
受けた来診研究介入の平均回数。
組み合わせ療法群の参加者は、12週目に開始するグセルクマブ単独療法に切り替えた。
【0270】
【表20】
凡例:Avg=平均
注記:参加者は、事象を実際に経験した回数とは無関係に、任意の所与の事象に対して1回のみカウントされる。有害事象は、MedDRAバージョン21.1を使用してコード化される。
参加者のサブセットからの中間データ。
受けた来診研究介入の平均回数。
治験責任医師によって評価された感染症。
組み合わせ療法群の参加者は、12週目に開始するグセルクマブ単独療法に切り替えた。
【0271】
【表21】
内視鏡的治癒は、0又は1の内視鏡サブスコアとして定義される。
12週目の来診の前に介入性事象を有した(オストミー又は結腸切除(部分的若しくは全体的)を有した、療法効果の欠如に起因するか又はUCの悪化のAEに起因して研究介入を中止した、併用UC薬におけるプロトコル禁止変更を有した、有効性の欠如又はUCの悪化のAE以外の理由で研究介入を中止した、死亡した)参加者は、12週目に内視鏡的治癒を達成しなかったと考えられた。
介入性事象を説明した後、12週目に内視鏡サブスコアを欠いていた参加者は、12週目に内視鏡的治癒を達成しなかったと考えられた。
信頼区間(CI)は、Wald統計に基づく。
組み合わせ療法群の参加者は、12週目に開始するグセルクマブ単独療法に切り替えた。
【0272】
【表22】
欠落データ非応答者補完:ICE規則を適用した後、臨床的寛解状態が欠落していた参加者は、臨床的寛解を達成していないとみなされた。
臨床的寛解は、Mayoスコアが2以下であり、個々のサブスコアが1超ではないとして定義される。
12週目の来診の前に介入性事象を有した(オストミー又は結腸切除(部分的若しくは全体的)を有した、療法効果の欠如に起因するか又はUCの悪化のAEに起因して研究介入を中止した、併用UC薬におけるプロトコル禁止変更を有した、有効性の欠如又はUCの悪化のAE以外の理由で研究介入を中止した、死亡した)参加者は、12週目に臨床的寛解を達成しなかったと考えられた。
介入性事象を説明した後、Mayoサブスコアのいずれか又は全てを欠いている参加者は、12週目に臨床的寛解を達成していないと考えられる。
組み合わせ療法と各単独療法との間での臨床的寛解を達成する参加者の割合における治療差の信頼区間は、Wald統計に基づいた。
組み合わせ療法群の参加者は、12週目に開始するグセルクマブ単独療法に切り替えた。
【0273】
【表23】
欠落データ非応答者補完:ICE規則を適用した後、臨床的寛解状態が欠落していた参加者は、臨床的寛解を達成していないとみなされた。
保健当局の定義による臨床的寛解は、0又は1の排便頻度サブスコア、0の直腸出血サブスコア、及び0又は1の内視鏡サブスコアとして定義され、内視鏡検査時に破砕性が存在せず、排便頻度サブスコアは、ベースラインから増加していない。
12週目の来診の前に介入性事象を有した(オストミー又は結腸切除(部分的若しくは全体的)を有した、療法効果の欠如に起因するか又はUCの悪化のAEに起因して研究介入を中止した、併用UC薬におけるプロトコル禁止変更を有した、有効性の欠如又はUCの悪化のAE以外の理由で研究介入を中止した、死亡した)参加者は、12週目に保健当局の定義による臨床的寛解を達成しなかったと考えられた。
介入性事象を説明した後、12週目に保健当局の定義による臨床的寛解の構成要素のいずれか又は全てを欠いている参加者は、12週目に保健当局の定義による臨床的寛解を達成していないと考えられる。
組み合わせ療法と各単独療法との間での保健当局の定義による臨床的寛解を達成する参加者の割合における治療差の信頼区間は、Wald統計に基づいた。
組み合わせ療法群の参加者は、12週目に開始するグセルクマブ単独療法に切り替えた。
【0274】
【表24】
受けた来診研究介入の平均回数。
治験責任医師によって評価された感染症。
死に至るAEは、致死のAEアウトカムに基づく。
組み合わせ療法群の参加者は、12週目に開始するグセルクマブ単独療法に切り替えた。
【0275】
【表25】
凡例:AE=有害事象、Avg=平均
対象ID 100180;対象ID 100170;対象ID 100147;対象ID 100109。
組み合わせ療法群の参加者は、12週目に開始するグセルクマブ単独療法に切り替えた。
【0276】
本出願は、本発明のいくつかの実施例及び実施形態について説明する。それにもかかわらず、原則として本発明の範囲及び本質から逸脱することなく、記載された実施例及び実施形態の様々な修正を行うことができることに留意する必要がある。これを念頭に置いて、他の実施形態が、以下に列挙される項目の範囲内に含まれる。その際、本明細書に記載される全ての数値範囲は、その中に含まれる全ての下位範囲、並びにこれらの範囲の枠内の任意の個々の値を含む。本明細書で言及した全ての刊行物並びに特許及び特許出願は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0277】
本発明は、以下の番号付けされた実施形態を参照して説明することができる。
1.患者における炎症性疾患の治療において使用するためのIL-23阻害剤及びTNFα阻害剤であって、阻害剤が共治療有効量及び臨床的安全量であり、患者が臨床応答を示す、使用するためのIL-23阻害剤及びTNFα阻害剤。
2.当該炎症性疾患が、炎症性腸疾患(IBD)であり、当該患者が、Mayoスコア、部分的Mayoスコア、潰瘍性大腸炎の内視鏡的重症度指数(UCEIS)、マーカーCRP及び/又は便中カルプロテクチン、並びに患者報告アウトカム及び症状尺度からなる群から選択される臨床評価項目に基づく臨床応答を示す、実施形態1に記載の使用のためのIL-23阻害剤及びTNFα阻害剤。
3.当該IL-23阻害剤が、抗IL-23p19抗体又はその抗原結合断片を含み、当該TNFα阻害剤が、抗TNFα抗体又はその抗原結合断片を含む、実施形態1又は2のいずれかに記載の使用のためのIL-23阻害剤及びTNFα阻害剤。
4.当該IBDが、クローン病である、実施形態1~3のいずれかに記載の使用のためのIL-23阻害剤及びTNFα阻害剤。
5.当該IBDが、潰瘍性大腸炎(UC)又は分類不能大腸炎である、実施形態1~4のいずれかに記載の使用のためのIL-23阻害剤及びTNFα阻害剤。
6.当該炎症性腸疾患が、中等度から重度に活性なUCである、実施形態1~5のいずれかに記載の使用のためのIL-23阻害剤及びTNFα阻害剤。
7.当該患者が、以前にTNFα阻害剤単独で治療されており、当該UCが、以前の治療後に寛解しなかった、実施形態1~6のいずれかに記載の使用のためのIL-23阻害剤及びTNFα阻害剤。
8.当該患者が、以前にIL-23阻害剤単独で治療されており、当該UCが、以前の治療後に寛解しなかった、実施形態1~7のいずれかに記載の使用のためのIL-23阻害剤及びTNFα阻害剤。
9.当該抗IL-23p19抗体が、(a)配列番号1~3の重鎖相補性決定領域(CDR)アミノ酸配列及び配列番号4~6の軽鎖CDRアミノ酸配列、;(b)配列番号7の重鎖可変領域アミノ酸配列及び配列番号8の軽鎖可変領域アミノ酸配列;又は、(c)配列番号9の重鎖アミノ酸配列及び配列番号10の軽鎖アミノ酸配列を含む、実施形態1~8のいずれかに記載の使用のためのIL-23阻害剤及びTNFα阻害剤。
10.当該抗TNFα抗体が、(a)配列番号11~13の重鎖CDRアミノ酸配列及び配列番号14~16の軽鎖CDRアミノ酸配列;(b)配列番号17の重鎖可変領域アミノ酸配列及び配列番号18の軽鎖可変領域アミノ酸配列;又は、(c)配列番号19の重鎖アミノ酸配列及び配列番号20の軽鎖アミノ酸配列を含む、実施形態1~9のいずれかに記載の使用のためのIL-23阻害剤及びTNFα阻害剤。
11.当該抗IL-23p19抗体が、(a)配列番号1~3の重鎖CDRアミノ酸配列及び配列番号4~6の軽鎖CDRアミノ酸配列;(b)配列番号7の重鎖可変領域アミノ酸配列及び配列番号8の軽鎖可変領域アミノ酸配列;又は(c)配列番号9の重鎖アミノ酸配列及び配列番号10の軽鎖アミノ酸配列を含み、当該抗TNFα抗体が、(a)配列番号11~13の重鎖CDRアミノ酸配列及び配列番号14~16の軽鎖CDRアミノ酸配列、(b)配列番号17の重鎖可変領域アミノ酸配列及び配列番号18の軽鎖可変領域アミノ酸配列;又は、(c)配列番号19の重鎖アミノ酸配列及び配列番号20の軽鎖アミノ酸配列を含む、実施形態1~10のいずれかに記載の使用のためのIL-23阻害剤及びTNFα阻害剤。
12.患者におけるUCの当該治療で使用するための抗IL-23p19抗体及び抗TNFα抗体であって、当該抗IL-23p19抗体が、(i)配列番号1~3の重鎖CDRアミノ酸配列及び配列番号4~6の軽鎖CDRアミノ酸配列、(ii)配列番号7の重鎖可変領域アミノ酸配列及び配列番号8の軽鎖可変領域アミノ酸配列、又は(iii)配列番号9の重鎖アミノ酸配列及び配列番号10の軽鎖アミノ酸配列を含み、当該抗TNFα抗体が、(i)配列番号11~13の重鎖CDRアミノ酸配列及び配列番号14~16の軽鎖CDRアミノ酸配列、(ii)配列番号17の重鎖可変領域アミノ酸配列及び配列番号18の軽鎖可変領域アミノ酸配列、又は(iii)配列番号19の重鎖アミノ酸配列及び配列番号20の軽鎖アミノ酸配列を含み、当該抗体が、共治療有効量及び臨床的安全量であり、当該使用が、潰瘍性大腸炎を治療するのに有効であり、当該患者が、Mayoスコア、部分的Mayoスコア、UCEIS、マーカーCRP及び/又は便中カルプロテクチン、並びに患者報告アウトカム及び症状尺度からなる群から選択された臨床評価項目に基づく臨床応答を示す、抗IL-23p19抗体及び抗TNFα抗体。
13.当該抗TNFα抗体及び当該抗IL-23p19抗体が、1:2~2:1(w/w)の比で投与される、実施形態12に記載の使用のための抗IL-23p19抗体及び抗TNFα抗体。
14.当該抗TNFα抗体及び当該抗IL-23p19抗体が、15:1~400:1(w/w)の比で投与される、実施形態12又は13に記載の使用のための抗IL-23p19抗体及び抗TNFα抗体。
15.当該抗IL-23p19抗体及び当該抗TNFα抗体が、同時投与される、実施形態12~14のいずれかに記載の使用のための抗IL-23p19抗体及び抗TNFα抗体。
16.当該抗IL-23p19抗体及び当該抗TNFα抗体が、順次投与される、実施形態12~14のいずれかに記載の使用のための抗IL-23p19抗体及び抗TNFα抗体。
17.当該抗IL-23p19抗体及び抗TNFα抗体が、互いに1日以内に投与される、実施形態12~14及び16のいずれかに記載の使用のための抗IL-23p19抗体及び抗TNFα抗体。
18.当該抗IL-23p19抗体が、200mgの初回静脈内投与量、4週目及び8週目に200mgの静脈内投与量、並びに8週間毎に100mgの後続皮下投与量で投与され、当該抗TNFα抗体が、200mgの初回皮下投与量、並びに2、6及び10週目に100mgの後続皮下投与量で投与される、実施形態12~17のいずれかに記載の使用のための抗IL-23p19抗体及び抗TNFα抗体。
19.当該患者が、Mayoスコア、部分的Mayoスコア、UCEIS、マーカーCRP及び/又は便中カルプロテクチン、並びに患者報告アウトカム及び症状尺度からなる群から選択される臨床評価項目に基づく臨床的寛解を示す、実施形態12~18のいずれかに記載の使用のための抗IL-23p19抗体及び抗TNFα抗体。
20.当該臨床評価項目が、初期治療の約12週間後又は約38週間後に測定される、実施形態19に記載の使用のための抗IL-23p19抗体及び抗TNFα抗体。
21.当該臨床評価項目が、Mayoスコアに基づいている、実施形態19又は20に記載の使用のための抗IL-23p19抗体及び抗TNFα抗体。
22.IBDを有する患者において結腸の炎症を軽減する際に使用するための抗IL-23抗体又はその抗原結合断片及び抗TNFα抗体又はその抗原結合断片であって、当該抗体が、共治療有効量及び臨床的安全量であり、当該使用が、当該患者の結腸の炎症を正常対象の結腸と匹敵するレベルまで軽減するのに有効である、抗IL-23抗体又はその抗原結合断片及び抗TNFα抗体又はその抗原結合断片。
23.当該抗IL-23抗体又はその抗原結合断片及び抗TNFα抗体又はその抗原結合断片の投与後に、当該炎症が、当該患者の当該結腸からの組織試料において最低限又は正常である、実施形態22に記載の使用のための抗IL-23抗体又はその抗原結合断片及び抗TNFα抗体又はその抗原結合断片。
24.当該抗IL-23抗体又はその抗原結合断片及び抗TNFα抗体又はその抗原結合断片の投与後に、当該腺欠損が、当該対象の当該結腸からの組織試料において最低限又は正常である、実施形態22に記載の使用のための抗IL-23抗体又はその抗原結合断片及び抗TNFα抗体又はその抗原結合断片。
25.当該抗IL-23抗体又はその抗原結合断片及び抗TNFα抗体又はその抗原結合断片の投与後に、当該びらんが、当該対象の当該結腸からの組織試料において最低限又は正常である、実施形態22に記載の使用のための抗IL-23抗体又はその抗原結合断片及び抗TNFα抗体又はその抗原結合断片。
26.当該抗IL-23抗体又はその抗原結合断片及び抗TNFα抗体又はその抗原結合断片の投与後に、当該粘膜厚及び過形成が、独立して、当該対象の当該結腸からの組織試料において最低限又は正常である、実施形態22に記載の使用のための抗IL-23抗体又はその抗原結合断片及び抗TNFα抗体又はその抗原結合断片。
27.当該抗IL-23抗体又はその抗原結合断片及び抗TNFα抗体又はその抗原結合断片の投与後に、当該結腸の組織病理が、正常組織の組織病理と同一である、実施形態22に記載の使用のための抗IL-23抗体又はその抗原結合断片及び抗TNFα抗体又はその抗原結合断片。
28.当該抗IL-23抗体又はその抗原結合断片が、(a)配列番号1~3の重鎖CDRアミノ酸配列及び配列番号4~6の軽鎖CDRアミノ酸配列;(b)配列番号7の重鎖可変領域アミノ酸配列及び配列番号8の軽鎖可変領域アミノ酸配列;又は(c)配列番号9の重鎖アミノ酸配列及び配列番号10の軽鎖アミノ酸配列を含み、当該抗TNFα抗体又はその抗原結合断片が、(d)配列番号11~13の重鎖CDRアミノ酸配列及び配列番号14~16の軽鎖CDRアミノ酸配列;(e)配列番号17の重鎖可変領域アミノ酸配列及び配列番号18の軽鎖可変領域アミノ酸配列;又は(f)配列番号19の重鎖アミノ酸配列及び配列番号20の軽鎖アミノ酸配列を含む、実施形態22~27のいずれかに記載の使用のための抗IL-23抗体又はその抗原結合断片及び抗TNFα抗体又はその抗原結合断片。
29.当該抗TNFα抗体又はその抗原結合断片及び当該抗IL-23抗体又はその抗原結合断片が、1:2~2:1(w/w)の比で投与される、実施形態22~28のいずれかに記載の使用のための抗IL-23抗体又はその抗原結合断片及び抗TNFα抗体又はその抗原結合断片。
30.当該抗TNFα抗体又はその抗原結合断片及び当該抗IL-23抗体又はその抗原結合断片が、15:1~400:1(w/w)の比で投与される、実施形態22~28のいずれかに記載の使用のための抗IL-23抗体又はその抗原結合断片及び抗TNFα抗体又はその抗原結合断片。
31.当該(a)抗IL-23抗体又はその抗原結合断片及び当該(b)抗TNFα抗体又はその抗原結合断片が、同時投与される、実施形態22~30のいずれかに記載の使用のための抗IL-23抗体又はその抗原結合断片及び抗TNFα抗体又はその抗原結合断片。
32.当該(a)抗IL-23抗体又はその抗原結合断片及び当該(b)抗TNFα抗体又はその抗原結合断片が、順次投与される、実施形態22~30のいずれかに記載の使用のための抗IL-23抗体又はその抗原結合断片及び抗TNFα抗体又はその抗原結合断片。
33.当該(a)抗IL-23抗体又はその抗原結合断片及び当該(b)抗TNFα抗体又はその抗原結合断片が、互いに1日以内に投与される、実施形態22~30のいずれかに記載の使用のための抗IL-23抗体又はその抗原結合断片及び抗TNFα抗体又はその抗原結合断片。
34.患者におけるIBDを治療し、当該患者の体重減少を軽減する際に使用し、臨床的に安全である、抗IL-23抗体又はその抗原結合断片及び抗TNFα抗体又はその抗原結合断片。
35.当該抗TNFα抗体又はその抗原結合断片及び当該抗IL-23抗体又はその抗原結合断片が、1:2~2:1(w/w)の比で投与される、実施形態34に記載の使用のための抗IL-23抗体又はその抗原結合断片及び抗TNFα抗体又はその抗原結合断片。
36.当該抗TNFα抗体又はその抗原結合断片及び当該抗IL-23抗体又はその抗原結合断片が、15:1~400:1(w/w)の比で投与される、実施形態34に記載の使用のための抗IL-23抗体又はその抗原結合断片及び抗TNFα抗体又はその抗原結合断片。
37.当該(a)抗IL-23抗体又はその抗原結合断片及び当該(b)抗TNFα抗体又はその抗原結合断片が、同時投与される、実施形態34~37のいずれかに記載の使用のための抗IL-23抗体又はその抗原結合断片及び抗TNFα抗体又はその抗原結合断片。
38.当該(a)抗IL-23抗体又はその抗原結合断片及び当該(b)抗TNFα抗体又はその抗原結合断片が、順次投与される、実施形態34~37のいずれかに記載の使用のための抗IL-23抗体又はその抗原結合断片及び抗TNFα抗体又はその抗原結合断片。
39.当該(a)抗IL-23抗体又はその抗原結合断片及び当該(b)抗TNFα抗体又はその抗原結合断片が、互いに1日以内に投与される、実施形態34~36及び38のいずれかに記載の使用のための抗IL-23抗体又はその抗原結合断片及び抗TNFα抗体又はその抗原結合断片。
40.当該抗IL-23抗体又はその抗原結合断片が、(a)配列番号1~3の重鎖CDRアミノ酸配列及び配列番号4~6の軽鎖CDRアミノ酸配列;(b)配列番号7の重鎖可変領域アミノ酸配列及び配列番号8の軽鎖可変領域アミノ酸配列;又は(c)配列番号9の重鎖アミノ酸配列及び配列番号10の軽鎖アミノ酸配列を含み、当該抗TNFα抗体又はその抗原結合断片が、(d)配列番号11~13の重鎖CDRアミノ酸配列及び配列番号14~16の軽鎖CDRアミノ酸配列;(e)配列番号17の重鎖可変領域アミノ酸配列及び配列番号18の軽鎖可変領域アミノ酸配列;又は、(f)配列番号19の重鎖アミノ酸配列及び配列番号20の軽鎖アミノ酸配列を含む、実施形態34~39のいずれかに記載の使用のための抗IL-23抗体又はその抗原結合断片及び抗TNFα抗体又はその抗原結合断片。
41.ヒト患者における中等度から重度に活性なUSを治療する際に使用するための抗IL-23抗体又はその抗原結合断片及び抗TNFα抗体又はその抗原結合断片であって、当該抗IL-23抗体又はその抗原結合断片が、0.0005~0.002mg/kgで投与され、かつ、(i)配列番号1~3の重鎖CDRアミノ酸配列及び配列番号4~6の軽鎖CDRアミノ酸配列;(ii)配列番号7の重鎖可変領域アミノ酸配列及び配列番号8の軽鎖可変領域アミノ酸配列;又は、(iii)配列番号9の重鎖アミノ酸配列及び配列番号10の軽鎖アミノ酸配列の配列を含み、当該抗TNFα抗体又はその抗原結合断片が、0.020~0.125mg/kgで投与され、かつ、(iv)配列番号11~13の重鎖CDRアミノ酸配列及び配列番号14~16の軽鎖CDRアミノ酸配列、(v)配列番号17の重鎖可変領域アミノ酸配列及び配列番号18の軽鎖可変領域アミノ酸配列;又は、(vi)配列番号19の重鎖アミノ酸配列及び配列番号20の軽鎖アミノ酸配列の配列を含む、抗IL-23抗体又はその抗原結合断片及び抗TNFα抗体又はその抗原結合断片。
42.当該使用が、UCを治療するのに有効及び臨床的に安全である、実施形態41に記載の使用のための抗IL-23抗体又はその抗原結合断片及び抗TNFα抗体又はその抗原結合断片。
43.当該患者が、Mayoスコア、部分的Mayoスコア、UCEIS、マーカーCRP及び/又は便中カルプロテクチン、並びに患者報告アウトカム及び症状尺度からなる群から選択される臨床評価項目に基づく臨床的寛解を示す、実施形態41又は42に記載の使用するための抗IL-23抗体又はその抗原結合断片及び抗TNFα抗体又はその抗原結合断片。
44.当該抗IL-23抗体又はその抗原結合断片が、7.9%(w/v)のショ糖;4.0mMのヒスチジン;6.9mMのL-ヒスチジン塩酸塩・一水和物;0.053%(w/v)のポリソルベート80の組成物の水溶液中に100mg/mLで存在し、かつ抗TNFα抗体又はその抗原結合断片が、医薬組成物中において、4.1%(w/v)のソルビトール;5.6mMのL-ヒスチジン及びL-ヒスチジン塩酸塩・一水和物;0.015%(w/v)のポリソルベート80の当該組成物の水溶液中に100mg/mLで存在する、実施形態41~43のいずれかに記載の使用のための抗IL-23抗体又はその抗原結合断片及び抗TNFα抗体又はその抗原結合断片。
45.患者のUCを治療するのに使用するための抗IL-23抗体又はその抗原結合断片及び抗TNFα抗体又はその抗原結合断片であって、第1の共治療有効量及び臨床的安全量の当該抗IL-23抗体又はその抗原結合断片並びに第2の共治療有効量及び臨床的安全量の当該抗TNFα抗体又はその抗原結合断片が、組み合わせ療法段階の間に投与され、続いて、治療有効量及び臨床的安全量の当該抗IL-23抗体又はその抗原結合断片が、単独療法段階の間に投与され、当該患者が、初期治療の約38週間後に測定される治療に対する応答者である、抗IL-23抗体又はその抗原結合断片及び抗TNFα抗体又はその抗原結合断片。
46.当該抗IL-23抗体又はその抗原結合断片が、(a)配列番号1~3の重鎖CDRアミノ酸配列及び配列番号4~6の軽鎖CDRアミノ酸配列;(b)配列番号7の重鎖可変領域アミノ酸配列及び配列番号8の軽鎖可変領域アミノ酸配列;又は、(c)配列番号9の重鎖アミノ酸配列及び配列番号10の軽鎖アミノ酸配列を含む、実施形態45に記載の使用のための抗IL-23抗体又はその抗原結合断片及び抗TNFα抗体又はその抗原結合断片。
47.当該抗TNFα抗体又はその抗原結合断片が、(a)配列番号11~13の重鎖CDRアミノ酸配列及び配列番号14~16の軽鎖CDRアミノ酸配列;(b)配列番号17の重鎖可変領域アミノ酸配列及び配列番号18の軽鎖可変領域アミノ酸配列;又は、(c)配列番号19の重鎖アミノ酸配列及び配列番号20の軽鎖アミノ酸配列を含む、実施形態45又は46に記載の使用のための抗IL-23抗体又はその抗原結合断片及び抗TNFα抗体又はその抗原結合断片。
48.当該抗IL-23抗体又はその抗原結合断片が、(a)配列番号1~3の重鎖CDRアミノ酸配列及び配列番号4~6の軽鎖CDRアミノ酸配列;(b)配列番号7の重鎖可変領域アミノ酸配列及び配列番号8の軽鎖可変領域アミノ酸配列;又は(c)配列番号9の重鎖アミノ酸配列及び配列番号10の軽鎖アミノ酸配列を含み、当該抗TNFα抗体又はその抗原結合断片が、(a)配列番号11~13の重鎖CDRアミノ酸配列及び配列番号14~16の軽鎖CDRアミノ酸配列;(b)配列番号17の重鎖可変領域アミノ酸配列及び配列番号18の軽鎖可変領域アミノ酸配列;又は、(c)配列番号19の重鎖アミノ酸配列及び配列番号20の軽鎖アミノ酸配列を含む、実施形態45~47のいずれかに記載の使用のための抗IL-23抗体又はその抗原結合断片及び抗TNFα抗体又はその抗原結合断片。
49.当該抗IL-23抗体又はその抗原結合断片が、グセルクマブであり、当該抗TNFα抗体又はその抗原結合断片が、ゴリムマブである、実施形態45~48のいずれかに記載の使用のための抗IL-23抗体又はその抗原結合断片及び抗TNFα抗体又はその抗原結合断片。
50.当該組み合わせ療法段階の最中に、当該抗TNFα抗体又はその抗原結合断片及び当該抗IL-23抗体又はその抗原結合断片が、1:2~2:1(w/w)の比で投与される、実施形態45~49のいずれかに記載の使用のための抗IL-23抗体又はその抗原結合断片及び抗TNFα抗体又はその抗原結合断片。
51.当該組み合わせ療法段階の最中に、当該抗TNFα抗体又はその抗原結合断片及び当該抗IL-23抗体又はその抗原結合断片が、15:1~400:1(w/w)の比で投与される、実施形態45~49のいずれかに記載の使用のための抗IL-23抗体又はその抗原結合断片及び抗TNFα抗体又はその抗原結合断片。
52.当該組み合わせ療法段階の最中に、当該抗IL-23抗体又はその抗原結合断片及び当該抗TNFα抗体又はその抗原結合断片が、同時投与される、実施形態45~51のいずれかに記載の使用のための抗IL-23抗体又はその抗原結合断片及び抗TNFα抗体又はその抗原結合断片。
53.当該組み合わせ療法段階の最中に、当該抗IL-23抗体又はその抗原結合断片及び当該抗TNFα抗体又はその抗原結合断片が、順次投与される、実施形態45~51のいずれかに記載の使用のための抗IL-23抗体又はその抗原結合断片及び抗TNFα抗体又はその抗原結合断片。
54.当該組み合わせ療法段階の最中に、当該抗IL-23抗体又はその抗原結合断片及び当該抗TNFα抗体又はその抗原結合断片が、互いに1日以内に投与される、実施形態45~51及び53のいずれかに記載の使用のための抗IL-23抗体又はその抗原結合断片及び抗TNFα抗体又はその抗原結合断片。
55.当該組み合わせ療法段階の当該期間が、12週間である、実施形態45~54のいずれかに記載の使用のための抗IL-23抗体又はその抗原結合断片及び抗TNFα抗体又はその抗原結合断片。
56.当該組み合わせ療法段階の間、当該抗IL-23抗体又はその抗原結合断片が、200mgの初回静脈内投与量並びに4週目及び8週目に200mgの静脈内投与量で投与され、当該抗TNFα抗体又はその抗原結合断片が、2週目、6週目、及び10週目に200mgの初回皮下投与量及び100mgの後続皮下投与量で投与され、当該単独療法段階の間、当該抗IL-23抗体が、8週間毎に100mgを皮下投与される、実施形態45~55のいずれかに記載の使用のための抗IL-23抗体又はその抗原結合断片及び抗TNFα抗体又はその抗原結合断片。
57.当該患者が、Mayoスコア、部分的Mayoスコア、UCEIS、マーカーCRP及び/又は便中カルプロテクチン、並びに患者報告アウトカム及び症状尺度からなる群から選択される臨床評価項目に基づく臨床的寛解を示し、当該臨床応答が、初期治療から約38週間後に測定される、実施形態45~56のいずれかに記載の使用のための抗IL-23抗体又はその抗原結合断片及び抗TNFα抗体又はその抗原結合断片。
58.治療有効量及び臨床的安全量の当該抗IL-23抗体又はその抗原結合断片が、投与される、患者におけるUCを治療する際に使用するための抗IL-23抗体又はその抗原結合断片。
59.当該抗IL-23抗体又はその抗原結合断片が、(a)配列番号1~3の重鎖CDRアミノ酸配列及び配列番号4~6の軽鎖CDRアミノ酸配列;(b)配列番号7の重鎖可変領域アミノ酸配列及び配列番号8の軽鎖可変領域アミノ酸配列;又は、(c)配列番号9の重鎖アミノ酸配列及び配列番号10の軽鎖アミノ酸配列を含む、実施形態58に記載の使用のための抗IL-23抗体又はその抗原結合断片。
60.抗IL-23抗体又はその抗原結合断片が、グセルクマブである、実施形態59に記載の使用のための抗IL-23抗体又はその抗原結合断片。
61.当該抗IL-23抗体又はその抗原結合断片が、200mg、600mg、又は1200mgの初回投与量、並びに当該初回投与量の2週間後、当該初回投与量の6週間後、当該初回投与量の10週間後、及び10週目の当該投与量後に4週間毎又は8週間毎に100mgの投与量で投与される、実施形態58~60のいずれかに記載の使用するための抗IL-23抗体又はその抗原結合断片。
62.当該患者が、Mayoスコア、部分的Mayoスコア、UCEIS、マーカーCRP及び/又は便中カルプロテクチン、並びに患者報告アウトカム及び症状尺度からなる群から選択される臨床評価項目に基づく臨床応答を示す、実施形態58~61のいずれかに記載の使用するための抗IL-23抗体及びその抗原結合断片。
図1A
図1B
図2A
図2B
図3A
図3B
図4A
図4B
図4C
図4D
図5A
図5B
図5C
図6A
図6B
図6C
図6D
図6E
図7A
図7B
図7C
図8
【配列表】
2024520202000001.app
【国際調査報告】