(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-22
(54)【発明の名称】UNC13Aの発現を調節するための化合物
(51)【国際特許分類】
C12N 15/113 20100101AFI20240515BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20240515BHJP
A61P 25/00 20060101ALI20240515BHJP
A61P 21/02 20060101ALI20240515BHJP
A61P 25/28 20060101ALI20240515BHJP
A61P 21/00 20060101ALI20240515BHJP
A61P 3/00 20060101ALI20240515BHJP
A61P 1/00 20060101ALI20240515BHJP
A61P 11/00 20060101ALI20240515BHJP
A61K 31/7088 20060101ALI20240515BHJP
A61K 9/08 20060101ALI20240515BHJP
A61K 47/02 20060101ALI20240515BHJP
A61K 31/713 20060101ALI20240515BHJP
A61K 31/7105 20060101ALI20240515BHJP
A61K 47/51 20170101ALI20240515BHJP
【FI】
C12N15/113 Z ZNA
A61P43/00 111
A61P25/00
A61P21/02
A61P25/28
A61P21/00
A61P3/00
A61P1/00
A61P11/00
A61K31/7088
A61K9/08
A61K47/02
A61K31/713
A61K31/7105
A61K47/51
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023571857
(86)(22)【出願日】2022-05-20
(85)【翻訳文提出日】2023-12-20
(86)【国際出願番号】 US2022030335
(87)【国際公開番号】W WO2022246251
(87)【国際公開日】2022-11-24
(32)【優先日】2021-05-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】595104323
【氏名又は名称】アイオーニス ファーマシューティカルズ, インコーポレーテッド
【氏名又は名称原語表記】Ionis Pharmaceuticals,Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100163784
【氏名又は名称】武田 健志
(72)【発明者】
【氏名】バラス,ルーベン・イー
(72)【発明者】
【氏名】リン,カー・ユン・カレン
【テーマコード(参考)】
4C076
4C086
【Fターム(参考)】
4C076AA11
4C076AA12
4C076DD26Z
4C076EE59
4C076FF61
4C086AA01
4C086AA02
4C086EA16
4C086MA01
4C086MA04
4C086MA16
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4C086NA14
4C086ZA01
4C086ZA15
4C086ZA22
4C086ZA60
4C086ZA66
4C086ZA94
4C086ZC02
4C086ZC21
(57)【要約】
細胞もしくは動物におけるUNC13A RNAの量もしくは活性を増加させ、及び/または細胞もしくは動物における隠れエキソンを含むUNC13A RNAの量を減少させ、特定の場合では、細胞または動物におけるUNC13Aタンパク質の量を増加させるためのオリゴマー化合物及び医薬組成物が提供される。そのようなオリゴマー化合物及び医薬組成物は、神経変性疾患(筋萎縮性側索硬化症及び前頭側頭型認知症など)の治療に有用である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
8~80個の連結ヌクレオシドからなる修飾オリゴヌクレオチドを含むオリゴマー化合物であって、前記修飾オリゴヌクレオチドの核酸塩基配列が、UNC13A核酸のうちの等しい長さの部分と少なくとも80%相補的であり、前記修飾オリゴヌクレオチドが、修飾糖部分及び修飾インターヌクレオシド結合から選択される少なくとも1つの修飾を有する、前記オリゴマー化合物。
【請求項2】
前記UNC13A核酸が、配列番号1または配列番号2の核酸塩基配列を有する、請求項1に記載のオリゴマー化合物。
【請求項3】
前記修飾オリゴヌクレオチドの前記核酸塩基配列が、配列番号1の核酸塩基48,128~48,151、48,432~48,465、または48,466~48,561のうちの等しい長さの部分と少なくとも80%相補的である、請求項1または請求項2に記載のオリゴマー化合物。
【請求項4】
前記修飾オリゴヌクレオチドの前記核酸塩基配列が、前記UNC13A核酸のうちの等しい長さの部分と少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または100%相補的である、請求項1~3のいずれかに記載のオリゴマー化合物。
【請求項5】
8~80個の連結ヌクレオシドからなる修飾オリゴヌクレオチドを含むオリゴマー化合物であって、前記修飾オリゴヌクレオチドの核酸塩基配列が、配列番号21~332の核酸塩基配列のいずれかの少なくとも8つ、少なくとも9つ、少なくとも10個、少なくとも11個、少なくとも12個、少なくとも13個、少なくとも14個、少なくとも15個、少なくとも16個、少なくとも17個、または18個の連続した核酸塩基を含み、前記修飾オリゴヌクレオチドが、修飾糖部分及び修飾インターヌクレオシド結合から選択される少なくとも1つの修飾を含む、前記オリゴマー化合物。
【請求項6】
前記修飾オリゴヌクレオチドの前記核酸塩基配列が、配列番号21~332のいずれかの核酸塩基配列を含む、請求項5に記載のオリゴマー化合物。
【請求項7】
前記修飾オリゴヌクレオチドが、配列番号21~332のいずれかの核酸塩基配列からなる核酸塩基配列を有する、請求項5に記載のオリゴマー化合物。
【請求項8】
配列番号290、291、293、もしくは294、
配列番号85~101、または
配列番号21~30、32~41、43~52、54~60、62~66、もしくは326~332
の核酸塩基配列のいずれかの少なくとも8つ、少なくとも9つ、少なくとも10個、少なくとも11個、少なくとも12個、少なくとも13個、少なくとも14個、少なくとも15個、少なくとも16個、少なくとも17個、または18個の連続した核酸塩基を含む核酸塩基配列を前記修飾オリゴヌクレオチドが有する、請求項5~7のいずれか1項に記載のオリゴマー化合物。
【請求項9】
前記修飾オリゴヌクレオチドの前記核酸塩基配列が、UNC13A核酸のうちの等しい長さの部分と少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または100%相補的であり、前記UNC13A核酸が、配列番号1または配列番号2の核酸塩基配列を有する、請求項5~8のいずれかに記載のオリゴマー化合物。
【請求項10】
12~50個の連結ヌクレオシドからなる修飾オリゴヌクレオチドを含むオリゴマー化合物であって、
配列番号1の48,128~48,151、
配列番号1の48,432~48,465、または
配列番号1の48,466~48,561
と相補的な少なくとも8つ、少なくとも9つ、少なくとも10個、少なくとも11個、少なくとも12個、少なくとも13個、少なくとも14個、少なくとも15個、少なくとも16個、少なくとも17個、または18個の連続した核酸塩基を、前記修飾オリゴヌクレオチドの核酸塩基配列が含む、前記オリゴマー化合物。
【請求項11】
前記修飾オリゴヌクレオチドが、10~25個、10~30個、10~50個、12~20個、12~25個、12~30個、12~50個、13~20個、13~25個、13~30個、13~50個、14~20個、14~25個、14~30個、14~50個、15~20個、15~25個、15~30個、15~50個、16~18個、16~20個、16~25個、16~30個、16~50個、17~20個、17~25個、17~30個、17~50個、18~20個、18~22個、18~25個、18~30個、18~50個、19~20個、19~25個、19~30個、19~50個、20~25個、20~30個、20~50個、21~25個、21~30個、21~50個、22~25個、22~30個、22~50個、23~25個、23~30個、または23~50個の連結ヌクレオシドからなる、請求項1~10のいずれかに記載のオリゴマー化合物。
【請求項12】
前記修飾オリゴヌクレオチドが、18個の連結ヌクレオシドからなる、請求項1~11のいずれかに記載のオリゴマー化合物。
【請求項13】
前記修飾オリゴヌクレオチドの少なくとも1つのヌクレオシドが修飾糖部分を含む、請求項1~12のいずれかに記載のオリゴマー化合物。
【請求項14】
前記修飾糖部分が、二環式糖部分を含む、請求項13に記載のオリゴマー化合物。
【請求項15】
前記二環式糖部分が、-O-CH
2-及び-O-CH(CH
3)-から選択される2’-4’架橋を含む、請求項14に記載のオリゴマー化合物。
【請求項16】
前記修飾糖部分が、非二環式の修飾糖部分を含む、請求項13に記載のオリゴマー化合物。
【請求項17】
前記非二環式の修飾糖部分が、2’-MOE糖部分、2’-OMe糖部分、2’-NMA糖部分、または2’-F糖部分である、請求項16に記載のオリゴマー化合物。
【請求項18】
前記修飾オリゴヌクレオチド化合物の少なくとも1つのヌクレオシドが糖代替部分を含む、請求項1~17のいずれかに記載のオリゴマー化合物。
【請求項19】
前記修飾オリゴヌクレオチドの各ヌクレオシドが修飾糖部分を含む、請求項13~18のいずれかに記載のオリゴマー化合物。
【請求項20】
各修飾糖部分が、2’-MOE糖部分である、請求項19に記載のオリゴマー化合物。
【請求項21】
各修飾糖部分が、2’-NMA糖部分である、請求項19に記載のオリゴマー化合物。
【請求項22】
前記修飾オリゴヌクレオチドが、少なくとも1つの修飾インターヌクレオシド結合を含む、請求項1~21のいずれかに記載のオリゴマー化合物。
【請求項23】
少なくとも1つの修飾インターヌクレオシド結合が、ホスホロチオエートインターヌクレオシド結合である、請求項22に記載のオリゴマー化合物。
【請求項24】
各インターヌクレオシド結合が、修飾インターヌクレオシド結合である、請求項22または請求項23に記載のオリゴマー化合物。
【請求項25】
各インターヌクレオシド結合が、ホスホロチオエートインターヌクレオシド結合である、請求項24に記載のオリゴマー化合物。
【請求項26】
前記修飾オリゴヌクレオチドの少なくとも1つのインターヌクレオシド結合が、ホスホジエステルインターヌクレオシド結合である、請求項22~23のいずれかに記載のオリゴマー化合物。
【請求項27】
前記修飾オリゴヌクレオチドの各インターヌクレオシド結合が、ホスホジエステルインターヌクレオシド結合またはホスホロチオエートインターヌクレオシド結合から独立して選択される、請求項1~24または26のいずれかに記載のオリゴマー化合物。
【請求項28】
前記修飾オリゴヌクレオチドの少なくとも10個、少なくとも11個、少なくとも12個、少なくとも13個、少なくとも14個、少なくとも15個、少なくとも16個、または17個のインターヌクレオシド結合が、ホスホロチオエートインターヌクレオシド結合である、請求項1~23または26~27のいずれかに記載のオリゴマー化合物。
【請求項29】
前記修飾オリゴヌクレオチドが、少なくとも1つの修飾核酸塩基を含む、請求項1~28のいずれかに記載のオリゴマー化合物。
【請求項30】
前記修飾核酸塩基が、5-メチルシトシンである、請求項29に記載のオリゴマー化合物。
【請求項31】
各シトシンが、5-メチルシトシンである、請求項30に記載のオリゴマー化合物。
【請求項32】
前記修飾オリゴヌクレオチドからなる、請求項1~31のいずれかに記載のオリゴマー化合物。
【請求項33】
前記修飾オリゴヌクレオチドが、その薬学的に許容される塩である、請求項1~32のいずれか1項に記載のオリゴマー化合物。
【請求項34】
ナトリウム、カリウム、カルシウム、及びマグネシウムから選択される1つ以上のカチオンを含む薬学的に許容される塩である、請求項33に記載のオリゴマー化合物。
【請求項35】
前記オリゴマー化合物が、コンジュゲート基を含む、請求項1~31のいずれかに記載のオリゴマー化合物。
【請求項36】
前記コンジュゲート基が、コンジュゲートリンカー及びコンジュゲート部分を含む、請求項35に記載のオリゴマー化合物。
【請求項37】
前記コンジュゲートリンカーが、単結合からなる、請求項36に記載のオリゴマー化合物。
【請求項38】
前記コンジュゲートリンカーが、切断可能である、請求項36または請求項37に記載のオリゴマー化合物。
【請求項39】
前記コンジュゲートリンカーが、1~3つのリンカーヌクレオシドを含む、請求項36~38のいずれかに記載のオリゴマー化合物。
【請求項40】
前記コンジュゲートリンカーが、いずれのリンカーヌクレオシドも含まない、請求項36~38のいずれかに記載のオリゴマー化合物。
【請求項41】
前記コンジュゲート基が、前記修飾オリゴヌクレオチドの5’末端で、前記修飾オリゴヌクレオチドに結合している、請求項35~40のいずれかに記載のオリゴマー化合物。
【請求項42】
前記コンジュゲート基が、前記修飾オリゴヌクレオチドの3’末端で、前記修飾オリゴヌクレオチドに結合している、請求項35~40のいずれかに記載のオリゴマー化合物。
【請求項43】
前記オリゴマー化合物が、末端基を含む、請求項1~42のいずれかに記載のオリゴマー化合物。
【請求項44】
前記末端基が、脱塩基糖部分である、請求項43に記載のオリゴマー化合物。
【請求項45】
前記オリゴマー化合物が、一本鎖オリゴマー化合物である、請求項1~44のいずれか1項に記載のオリゴマー化合物。
【請求項46】
請求項1~45のいずれかに記載のオリゴマー化合物のキラル的に富化された集団であって、前記集団において、特定の立体化学的配置である特定のホスホロチオエートインターヌクレオシド結合を少なくとも1つ含む修飾オリゴヌクレオチドが富化されている前記集団。
【請求項47】
(Sp)配置または(Rp)配置である特定のホスホロチオエートインターヌクレオシド結合を少なくとも1つ含む修飾オリゴヌクレオチドが富化されている、請求項46に記載のキラル的に富化された集団。
【請求項48】
前記ホスホロチオエートインターヌクレオシド結合のそれぞれが、独立して選択した特定の立体化学的配置である修飾オリゴヌクレオチドが前記集団中で富化されている、請求項46に記載のキラル的に富化された集団。
【請求項49】
1つの特定のホスホロチオエートインターヌクレオシド結合が(Rp)配置を有し、残りのホスホロチオエートインターヌクレオシド結合のそれぞれが(Sp)配置を有する修飾オリゴヌクレオチドが前記集団中で富化されている、請求項46に記載のキラル的に富化された集団。
【請求項50】
5’→3’方向でSp配置、Sp配置、及びRp配置をとる少なくとも3つの連続したホスホロチオエートインターヌクレオシド結合を有する修飾オリゴヌクレオチドが前記集団中で富化されている、請求項46に記載のキラル的に富化された集団。
【請求項51】
前記修飾オリゴヌクレオチドのホスホロチオエートインターヌクレオシド結合のすべてが、ステレオランダムである、請求項1~45のいずれかに記載のオリゴマー化合物の集団。
【請求項52】
第1のオリゴマー化合物と、第2の修飾オリゴヌクレオチドを含む第2のオリゴマー化合物と、を含む二本鎖オリゴマーであって、前記第1のオリゴマー化合物が、請求項1~45のいずれかに記載のオリゴマー化合物である、前記二本鎖オリゴマー。
【請求項53】
前記第2の修飾オリゴヌクレオチドが、8~80個の連結ヌクレオシドからなり、前記第2の修飾オリゴヌクレオチドが、第1の修飾オリゴヌクレオチドのうちの等しい長さの部分と少なくとも90%相補的な少なくとも8つの核酸塩基の相補的領域を含む、請求項52に記載の二本鎖オリゴマー。
【請求項54】
アンチセンス化合物を含むアンチセンス剤であって、前記アンチセンス化合物が、請求項1~45のいずれかに記載のオリゴマー化合物、または請求項52もしくは請求項53に記載の二本鎖オリゴマーである、前記アンチセンス剤。
【請求項55】
前記アンチセンス剤が、UNC13A核酸のスプライシングを調節することが可能なスプライス調節剤である、請求項54に記載のアンチセンス剤。
【請求項56】
前記アンチセンス剤が、コンジュゲート基を含み、前記コンジュゲート基が、細胞標的化部分を含む、請求項54または請求項55に記載のアンチセンス剤。
【請求項57】
請求項1~45のいずれかに記載のオリゴマー化合物、請求項46~51のいずれかに記載の集団、請求項52もしくは請求項53に記載の二本鎖オリゴマー、または請求項54~56のいずれかに記載のアンチセンス剤と、薬学的に許容される希釈剤または担体と、を含む、医薬組成物。
【請求項58】
前記薬学的に許容される希釈剤が、リン酸緩衝生理食塩水または人工脳脊髄液である、請求項57に記載の医薬組成物。
【請求項59】
前記医薬組成物が、前記オリゴマー化合物、前記集団、前記二本鎖オリゴマー、または前記アンチセンス剤と、リン酸緩衝生理食塩水または人工脳脊髄液と、から本質的になる、請求項58に記載の医薬組成物。
【請求項60】
請求項1~45のいずれかに記載のオリゴマー化合物、請求項46~51のいずれかに記載の集団、請求項52もしくは請求項53に記載の二本鎖オリゴマー、請求項54~56のいずれかに記載のアンチセンス剤、または請求項57~59のいずれかに記載の医薬組成物を対象に投与することを含む方法。
【請求項61】
UNC13Aと関連する疾患の治療方法であって、前記方法が、UNC13Aと関連する疾患またはその発症リスクを有する対象に対して、請求項1~45のいずれかに記載のオリゴマー化合物、請求項46~51のいずれかに記載の集団、請求項52もしくは請求項53に記載の二本鎖オリゴマー、請求項54~56のいずれかに記載のアンチセンス剤、または請求項57~59のいずれかに記載の医薬組成物を治療的に有効な量で投与し、それによって前記UNC13Aと関連する疾患を治療することを含む、前記方法。
【請求項62】
前記UNC13Aと関連する疾患が、神経変性疾患である、請求項61に記載の方法。
【請求項63】
前記神経変性疾患が、筋萎縮性側索硬化症(ALS)または前頭側頭型認知症(FTD)である、請求項62に記載の方法。
【請求項64】
前記神経変性疾患の少なくとも1つの症状が改善される、請求項63に記載の方法。
【請求項65】
前記少なくとも1つの症状が、運動機能障害、筋力低下、筋肉消耗、シナプス機能障害、疲労、発話困難、嚥下困難、息切れ、認識機能障害、寿命の短期化、またはそれらの組み合わせである、請求項64に記載の方法。
【請求項66】
請求項1~45のいずれかに記載のオリゴマー化合物、請求項46~51のいずれかに記載の集団、請求項52もしくは請求項53に記載の二本鎖オリゴマー、請求項54~56のいずれかに記載のアンチセンス剤、または請求項57~59のいずれかに記載の医薬組成物を投与することで、運動機能の改善、筋力の改善、筋量の増加、発話の改善、嚥下の改善、呼吸の改善、シナプス機能の改善、認知の改善、または寿命の長期化が生じる、請求項65に記載の方法。
【請求項67】
前記対象が、ヒトである、請求項60~66のいずれか1項に記載の方法。
【請求項68】
細胞におけるUNC13Aの発現の増加方法であって、前記方法が、前記細胞と、請求項1~45のいずれかに記載のオリゴマー化合物、請求項46~51のいずれかに記載の集団、請求項52もしくは請求項53に記載の二本鎖オリゴマー、請求項54~56のいずれかに記載のアンチセンス剤、または請求項57~59のいずれかに記載の医薬組成物と、を接触させることを含む、前記方法。
【請求項69】
細胞における隠れエキソン含有UNC13A RNAの量の低減方法であって、前記方法が、前記細胞と、請求項1~45のいずれかに記載のオリゴマー化合物、請求項46~51のいずれかに記載の集団、請求項52もしくは請求項53に記載の二本鎖オリゴマー、請求項54~56のいずれかに記載のアンチセンス剤、または請求項57~59のいずれかに記載の医薬組成物と、を接触させることを含む、前記方法。
【請求項70】
前記隠れエキソンが、UNC13Aのエキソン20とエキソン21との間に存在する、請求項69に記載の方法。
【請求項71】
前記隠れエキソンが、CE-1、CE-2、及びCE-3から選択される、請求項70に記載の方法。
【請求項72】
前記細胞が、ニューロンまたはグリア細胞であり、任意選択で、前記細胞が、アストロサイトまたはミクログリア細胞である、請求項68~71のいずれかに記載の方法。
【請求項73】
前記細胞が、ヒト細胞である、請求項68~72のいずれかに記載の方法。
【請求項74】
UNC13Aと関連する疾患を治療するための、請求項1~45のいずれかに記載のオリゴマー化合物、請求項46~51のいずれかに記載の集団、請求項52もしくは請求項53に記載の二本鎖オリゴマー、請求項54~56のいずれかに記載のアンチセンス剤、または請求項57~59のいずれかに記載の医薬組成物の使用。
【請求項75】
UNC13Aと関連する疾患を治療するための医薬の製造における、請求項1~45のいずれかに記載のオリゴマー化合物、請求項46~51のいずれかに記載の集団、請求項52もしくは請求項53に記載の二本鎖オリゴマー、請求項54~56のいずれかに記載のアンチセンス剤、または請求項57~59のいずれかに記載の医薬組成物の使用。
【請求項76】
前記UNC13Aと関連する疾患が、神経変性疾患である、請求項74または請求項75に記載の使用。
【請求項77】
前記神経変性疾患が、筋萎縮性側索硬化症(ALS)または前頭側頭型認知症(FTD)である、請求項76に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
配列表
本願は、電子形式の配列表とともに出願されている。その配列表は、2022年5月20日に作成されたBIOL0426WOSEQ_ST25.txtという名称のファイルとして提供されており、そのサイズは196KBである。電子形式の配列表内の情報は、参照により、その全体が本明細書に援用される。
【0002】
細胞もしくは動物におけるUNC13A RNAの量もしくは活性を増加させ、及び/または細胞もしくは動物における隠れエキソンを含むUNC13A RNAの量を減少させ、特定の場合では、細胞または動物におけるUNC13Aタンパク質の量を増加させるためのオリゴマー剤、オリゴマー化合物、アンチセンス剤、及び医薬組成物が提供される。そのようなオリゴマー剤、オリゴマー化合物、アンチセンス剤、及び医薬組成物は、神経変性疾患(筋萎縮性側索硬化症(ALS)及び前頭側頭型認知症(FTD)など)の治療に有用である。
【背景技術】
【0003】
UNC13A遺伝子はUNC13A(UNC13タンパク質ファミリーのメンバー)(カルシウム誘発性のシナプス小胞放出に関与する)をコードする(Dittman,J.S.,2019,Curr.Opin.Neurobiol.57,17-25)。UNC13A中の変異は、神経変性疾患(筋萎縮性側索硬化症(ALS)及び前頭側頭型認知症(FTD)など)と関連している(Diekstra,F.P.,et al.,2014,Ann.Neurol.76:120-133)。
【0004】
ALS(ルー・ゲーリック病としても知られる)は、上位運動ニューロン及び下位運動ニューロンが選択的に変性することによって特徴付けられる障害である(Rowland,N.Engl.J.Med.2001,344,1688-1700)。ALSは、常に30,000人もの米国人が罹患している進行性の破壊的神経変性疾患である。ALSでは運動ニューロンの変性が進行することで、最終的に患者は死に至る。運動ニューロンが死滅すると、筋運動を開始及び制御する脳の能力が失われる。随意的な筋動作が進行性に影響を受けることで、当該疾患の後期の患者は全身麻痺になり得る。
【0005】
FTDは、脳の前頭葉または側頭葉において神経細胞が進行性に失われることによって引き起こされる一群の障害を指す。FTDによって引き起こされる神経細胞損傷は前頭葉または側頭葉の機能喪失を引き起こし、この機能喪失によって、行動及び性格の悪化、言語障害、または筋機能もしくは運動機能の変化が可変的に生じる。
【0006】
ALS及びFTDは共に、TDP-43プロテイノパチーと関連する神経変性疾患である。TDP-43は、RNAのナンセンス変異依存分解を引き起こす隠れエキソンが含まれることを抑制するものであり、TDP-43が失われると、隠れエキソン含有RNAの量が増加して、転写産物のナンセンス変異依存分解が引き起こされる。ALSにおいてもFTDにおいても、脳中及び脊髄中のニューロンの核からRNA結合タンパク質TDP-43が枯渇することで、隠れエキソンを含む遺伝子の発現が減少し、細胞死が引き起こされる(Ling,P.et al.,2015,Science 349,650-655、Humphrey,et al.,2017,BMC Medical Genomics 10,38)。
【0007】
UNC13A遺伝子は、ナンセンス変異依存分解を促進する隠れエキソンを含む。TDP-43レベルが枯渇した場合、転写産物中に隠れエキソンが含まれるようになる結果、UNC13Aタンパク質の発現が不十分になる。ALS及びFTDと関連するUNC13A中の一塩基多型(SNP)は、UNC13A転写産物中に隠れエキソンが含まれるリスクの増加と関連している(Brown,A-L.,et al.,2021,bioRxiv,doi.org/10.1101/2021.04.02.438170、Ma.,X.R.,et al.,2021,bioRxiv,doi.org/10.1101/2021.04.02.438213(Ma.,X.R.,et al.,2022,Nature 603,124-130においても公開されている))。
【0008】
現時点では、ALS、FTD、及び他の神経変性疾患を治療するための許容可能な選択肢はない。したがって、本明細書の目的は、このような疾患を治療するためのオリゴマー剤、オリゴマー化合物、アンチセンス剤、及び医薬組成物を提供することである。
【発明の概要】
【0009】
本明細書に記載の特定の実施形態のオリゴマー剤、オリゴマー化合物、アンチセンス剤、及び医薬組成物は、細胞または動物におけるUNC13Aの発現増加に有用である。特定の実施形態では、オリゴマー剤、オリゴマー化合物、アンチセンス剤、及び医薬組成物は、細胞または動物におけるUNC13AのRNAレベルまたはタンパク質レベルを上昇させる。特定の実施形態では、オリゴマー剤、オリゴマー化合物、アンチセンス剤、及び医薬組成物は、細胞または動物における隠れエキソンを含むUNC13A RNAの量を減少させる。特定の実施形態では、動物は、神経変性疾患を有する対象であり、特定の実施形態では、対象は、ALSまたはFTDを有する。いくつかの実施形態では、対象は、ALSを有する。いくつかの実施形態では、対象は、FTDを有する。
【0010】
神経変性疾患の少なくとも1つの症状の改善に有用な方法も提供される。特定の実施形態では、神経変性疾患は、筋萎縮性側索硬化症(ALS)または前頭側頭型認知症(FTD)である。特定の実施形態では、症状は、運動機能障害、筋力低下、筋肉消耗、シナプス機能障害、疲労、発話困難、嚥下困難、息切れ、認識機能障害、または寿命の短期化を含む。特定の実施形態では、こうした症状が改善する結果、運動機能の改善、筋力の改善、筋量の増加、発話の改善、嚥下の改善、呼吸の改善、シナプス機能の改善、認知の改善、または寿命の長期化が生じる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
上記の一般的な説明及び下記の詳細な説明はいずれも、例示及び説明するためのものに過ぎず、限定するものではないことを理解されたい。本明細書では、別段の具体的な記載のない限り、単数形が使われている際には、複数形が含まれる。本明細書で使用する場合、別段の記載のない限り、「または」が使われている際には、「及び/または」を意味する。さらに、「含むこと(including)」という用語、ならびに「含む(includes)」及び「含まれる(included)」のような他の形態が使われている際には、限定ではない。また、別段の具体的な記載のない限り、「要素」または「成分」のような用語には、1つの単位を含む要素及び成分と、2つ以上のサブユニットを含む要素及び成分が含まれる。
【0012】
本明細書で用いられている、節の見出しは、系統立ててまとめるためのものに過ぎず、記載されている主題を限定するものとして解釈すべきではない。本願で引用されている文書または文書の一部(その文書としては、特許、特許出願、論文、書籍及び専門書が挙げられるが、これらに限らない)はいずれも、参照により、本明細書で論じられているその文書の一部、及びその全体が明示的に援用される。
【0013】
定義
具体的な定義が示されていない限り、分析化学、合成有機化学、医薬品化学及び薬化学と関連して用いられている命名法、ならびに分析化学、合成有機化学、医薬品化学及び薬化学の手順及び技法のうち、本明細書に記載されている命名法、手順及び技法は、当該技術分野において周知かつ広く用いられているものである。認められる場合、本開示の全体において言及されている特許、出願、公開出願及びその他の刊行物、ならびにその他のデータはいずれも、参照により、その全体が本明細書に援用される。
【0014】
別段に示されていない限り、下記の用語は、以下の意味である。
【0015】
本明細書で使用する場合、「2’-デオキシヌクレオシド」は、2’-H(H)デオキシフラノシル糖部分を含むヌクレオシドを意味する。特定の実施形態では、2’-デオキシヌクレオシドは2’-β-D-デオキシヌクレオシドであり、2’-β-D-デオキシリボシル糖部分を含み、この2’-β-D-デオキシリボシル糖部分は、天然起源のデオキシリボ核酸(DNA)に見られるβ-Dリボシル配置を有する。特定の実施形態では、2’-デオキシヌクレオシドは、修飾核酸塩基を含んでよく、あるいは、RNA核酸塩基(ウラシル)を含んでもよい。
【0016】
本明細書で使用する場合、「2’-MOE」は、フラノシル糖部分の2’-OH基の代わりの2’-OCH2CH2OCH3基を意味する。「2’-MOE糖部分」は、フラノシル糖部分の2’-OH基の代わりに2’-OCH2CH2OCH3基を有する糖部分を意味する。別段の指定がない限り、2’-MOE糖部分は、β-D-リボシル配置をとる。「MOE」は、O-メトキシエチルを意味する。
【0017】
本明細書で使用する場合、「2’-MOEヌクレオシド」は、2’-MOE糖部分を含むヌクレオシドを意味する。
【0018】
本明細書で使用する場合、「2’-NMA」は、リボシル糖部分の2’-OH基の代わりの-O-CH2-C(=O)-NH-CH3基を意味する。「2’-NMA糖部分」は、リボシル糖部分の2’-OH基の代わりに2’-O-CH2-C(=O)-NH-CH3基を有する糖部分である。別段の指定がない限り、2’-NMA糖部分は、β-D配置をとる。「NMA」は、O-N-メチルアセトアミドを意味する。
【0019】
本明細書で使用する場合、「2’-NMAヌクレオシド」は、2’-NMA糖部分を含むヌクレオシドを意味する。
【0020】
本明細書で使用する場合、「2’-OMe」は、フラノシル糖部分の2’-OH基の代わりの2’-OCH3基を意味する。「2’-O-メチル糖部分」または「2’-OMe糖部分」は、フラノシル糖部分の2’-OH基の代わりに2’-OCH3基を有する糖部分を意味する。別段の指定がない限り、2’-OMe糖部分は、β-D-リボシル配置をとる。
【0021】
本明細書で使用する場合、「2’-OMeヌクレオシド」は、2’-OMe糖部分を含むヌクレオシドを意味する。
【0022】
本明細書で使用する場合、「2’-F」は、リボシル糖部分の2’-OH基の代わりの2’-フルオロ基を意味する。「2’-F糖部分」または「2’-フルオロリボシル糖部分」は、リボシル糖部分の2’-OH基の代わりに2’-F基を有する糖部分を意味する。別段の指定がない限り、2’-Fは、β-Dリボシル立体化学的配置を有する。
【0023】
本明細書で使用する場合、「2’-Fヌクレオシド」は、2’-F糖部分を含むヌクレオシドを意味する。
【0024】
本明細書で使用する場合、「2’-置換ヌクレオシド」は、2’-置換糖部分を含むヌクレオシドを意味する。本明細書で使用する場合、糖部分に関する「2’-置換」は、HまたはOH以外の2’-置換基を少なくとも1つ含む糖部分を意味する。
【0025】
本明細書で使用する場合、「3’標的部位」は、アンチセンスオリゴヌクレオチドが標的核酸とハイブリダイズするときにアンチセンスオリゴヌクレオチドと相補的な標的核酸の3’最末端ヌクレオチドを指す。
【0026】
本明細書で使用する場合、「5’標的部位」は、アンチセンスオリゴヌクレオチドが標的核酸とハイブリダイズするときにアンチセンスオリゴヌクレオチドと相補的な標的核酸の5’最末端ヌクレオチドを指す。
【0027】
本明細書で使用する場合、「5-メチルシトシン」は、5位に結合したメチル基で修飾されたシトシンを意味する。5-メチルシトシンは、修飾核酸塩基である。
【0028】
本明細書で使用する場合、「脱塩基糖部分」は、核酸塩基に結合していないヌクレオシドの糖部分を意味する。そのような脱塩基糖部分は、当該技術分野では「脱塩基ヌクレオシド」と称されることがある。
【0029】
本明細書で使用する場合、「投与」または「投与すること」は、医薬剤または組成物を動物に与えることを意味する。
【0030】
本明細書で使用する場合、治療に関連する「改善」とは、少なくとも1つの症状または特質が、その治療を行わない場合の同じ症状または特質と比べて改善することを意味する。特定の実施形態では、改善は、症状または特質の重症度または頻度の低下、あるいは症状または特質の発症遅延または重症度もしくは頻度の進行減速である。指標の進行または重症度は、主観的または客観的な尺度によって決定することができ、こうした尺度は当業者に知られている。
【0031】
本明細書で使用する場合、「動物」は、ヒトまたはヒト以外の動物を意味する。
【0032】
本明細書で使用する場合、「二環式糖」または「二環式糖部分」は、2つの環を含む修飾糖部分であって、その第2の環が、第1の環の原子のうちの2つを連結する架橋によって形成されることによって、二環式構造を形成する修飾糖部分を意味する。特定の実施形態では、その二環式糖部分の第1の環は、フラノシル部分である。特定の実施形態では、フラノシル糖部分は、リボシル糖部分である。特定の実施形態では、その二環式糖部分は、フラノシル部分を含まない。
【0033】
本明細書で使用する場合、「二環式ヌクレオシド」または「BNA」は、二環式糖部分を含むヌクレオシドを意味する。
【0034】
本明細書で使用する場合、「キラル的に富化された集団」とは、同じ分子式の複数の分子であって、特定のキラル中心がステレオランダムであった場合の集団内の分子のうち、その特定のキラル中心が特定の立体化学的配置であると予測される分子の数またはパーセンテージよりも、同じ特定のキラル中心が同じ特定の立体化学的配置である分子の、集団内における数またはパーセンテージが大きい複数の分子を意味する。キラル的に富化された分子集団であって、各分子内にキラル中心を複数有する分子集団は、ステレオランダムなキラル中心を1つ以上含み得る。特定の実施形態では、それらの分子は、修飾オリゴヌクレオチドである。特定の実施形態では、それらの分子は、修飾オリゴヌクレオチドを含むオリゴマー化合物である。
【0035】
本明細書で使用する場合、「脳脊髄液」または「CSF」は、脳及び脊髄の周囲空間を満たす液体を意味する。「人工脳脊髄液」または「aCSF」は、脳脊髄液と同様の特定の特性(例えば、モル浸透圧濃度、pH、及び/または電解質)を有する調製液体または製造液体を意味し、CSFと生体適合性である。
【0036】
本明細書で使用する場合、「切断可能な部分」は、生理的条件下、例えば、細胞、動物またはヒトの内部で切断される結合手または原子団を意味する。
【0037】
本明細書で使用する場合、オリゴヌクレオチドに関する「相補的」は、オリゴヌクレオチドの核酸塩基の少なくとも70%と、別の核酸またはその1つ以上の領域の核酸塩基とが、オリゴヌクレオチドの核酸塩基配列ともう一方の核酸の核酸塩基配列とが相対する方向に並んだ場合に互いに水素結合することが可能であることを意味する。オリゴヌクレオチドの領域に関する「相補的領域」は、その領域の核酸塩基の少なくとも70%と、別の核酸またはその1つ以上の領域の核酸塩基とが、オリゴヌクレオチドの核酸塩基配列ともう一方の核酸の核酸塩基配列とが相対する方向に並んだ場合に互いに水素結合することが可能であることを意味する。「相補的核酸塩基」は、互いに水素結合を形成することが可能な核酸塩基を意味する。相補的核酸塩基対には、アデニン(A)とチミン(T)、アデニン(A)とウラシル(U)、シトシン(C)とグアニン(G)、5-メチルシトシン(mC)とグアニン(G)が含まれる。当該技術分野では天然の核酸塩基または他の修飾核酸塩基と対形成する特定の修飾核酸塩基が知られているが、そうした特定の修飾核酸塩基は、別段の指定がない限り、本明細書で定義される相補的核酸塩基とは見なされない。例えば、イノシンは、アデノシン、シトシン、またはウラシルとの対形成が可能であるが、それと相補的とは見なされない。相補的オリゴヌクレオチド及び/または相補的核酸では、各ヌクレオシドの核酸塩基が相補的である必要はない。むしろ、多少のミスマッチが許容される。本明細書で使用する場合、オリゴヌクレオチドに関する「完全に相補的な」または「100%相補的な」とは、オリゴヌクレオチドが、別のオリゴヌクレオチド、すなわち、そのオリゴヌクレオチドの各ヌクレオシドの核酸と相補的であることを意味する。
【0038】
本明細書で使用する場合、「隠れエキソン」または「ナンセンス変異依存分解(NMD)エキソン」は、mRNA転写産物に含まれた場合にナンセンス変異依存分解(NMD)経路を活性化し得るエキソンまたは偽エキソンである。
【0039】
本明細書で使用する場合、「コンジュゲート基」は、オリゴヌクレオチドに直接結合している原子団を意味する。コンジュゲート基は、コンジュゲート部分と、そのコンジュゲート部分をオリゴヌクレオチドに結合させるコンジュゲートリンカーを含む。
【0040】
本明細書で使用する場合、「コンジュゲートリンカー」は、コンジュゲート部分をオリゴヌクレオチドに連結する結合を少なくとも1つ含む単結合または原子団を意味する。
【0041】
本明細書で使用する場合、「コンジュゲート部分」は、コンジュゲート部分を有さない同一分子と比較して分子の1つ以上の特性を改変する原子団を意味し、こうした特性には、限定されないが、薬力学、薬物動態、安定性、結合性、吸収性、組織分布、細胞分布、細胞取り込み、荷電、及びクリアランスが含まれる。
【0042】
本明細書で使用する場合、「拘束エチル」または「cEt」または「cEt修飾糖部分」または「cEt糖部分」はβ-Dリボシル二環式糖部分を意味し、この二環式糖の第2の環は、β-Dリボシル糖部分の4’-炭素と2’-炭素とを連結する架橋を介して形成されており、架橋は、4’-CH(CH3)-O-2’という式を有し、架橋のメチル基はS配置をとる。
【0043】
本明細書で使用する場合、「cEtヌクレオシド」は、cEt修飾糖部分を含むヌクレオシドを意味する。
【0044】
本明細書で使用する場合、オリゴヌクレオチドに関連する「連続した」とは、ヌクレオシド、核酸塩基、糖部分またはインターヌクレオシド結合が、互いと直接隣接することを指す。例えば、「連続した核酸塩基」は、配列内で、互いと直接隣接する核酸塩基を意味する。
【0045】
本明細書で使用する場合、「希釈剤」は、薬理学的活性は有さないが、薬学的に必要または望ましい組成物中成分を意味する。例えば、注射組成物中の希釈剤は、液体(例えば、aCSF、PBS、または生理食塩水)であり得る。
【0046】
本明細書で使用する場合、領域またはオリゴヌクレオチドに関する「二本鎖」は、核酸(限定されないが、オリゴヌクレオチドを含む)の相補鎖が互いにハイブリダイズすることによって形成される二本鎖を意味する。特定の実施形態では、二本鎖領域の2つの鎖は、別々の分子である。特定の実施形態では、2つの鎖は、同じ分子がフォールディングして自体に重なっている領域(例えば、ヘアピン構造)である。
【0047】
本明細書で使用する場合、「ホットスポット領域」は、オリゴマー剤介在性またはオリゴマー化合物介在性に標的核酸の量または活性が低減されやすい、標的核酸上の核酸塩基範囲である。
【0048】
本明細書で使用する場合、「インターヌクレオシド結合」は、オリゴヌクレオチド中の隣接するインターヌクレオシド間の共有結合である。本明細書で使用する場合、「修飾インターヌクレオシド結合」は、ホスホジエステルインターヌクレオシド結合以外のいずれかのインターヌクレオシド結合を意味する。「ホスホロチオエートインターヌクレオシド結合」または「PSインターヌクレオシド結合」は、ホスホジエステルインターヌクレオシド結合の非架橋酸素原子のうちの1つが、硫黄原子に置き換わっている修飾インターヌクレオシド結合である。
【0049】
本明細書で使用する場合、「逆位ヌクレオシド」は、本明細書で示される3’-3’及び/または5’-5’インターヌクレオシド結合を有するヌクレオチドを意味する。
【0050】
本明細書で使用する場合、「逆位糖部分」は、3’-3’及び/または5’-5’インターヌクレオシド結合を有する逆位ヌクレオシドの糖部分または脱塩基糖部分を意味する。
【0051】
本明細書で使用する場合、「連結ヌクレオシド」は、連続配列において連結されているヌクレオシドである(すなわち、連結されているヌクレオシドの間に追加のヌクレオシドは存在しない)。
【0052】
本明細書で使用する場合、「リンカーヌクレオシド」は、オリゴヌクレオチドをコンジュゲート部分に直接または間接的に連結するヌクレオシドを意味する。リンカーヌクレオシドは、オリゴマー化合物のコンジュゲートリンカー内に位置する。リンカーヌクレオシドは、オリゴマー化合物のオリゴヌクレオチドと連続していても、そのオリゴヌクレオチド部分の一部とはみなされない。
【0053】
本明細書で使用する場合、「ミスマッチ」または「非相補的」とは、第1の核酸配列と第2の核酸配列(すなわち標的核酸)を相対する方向にアラインメントしたときに、第1の核酸配列の核酸塩基が、第2の核酸配列の対応する核酸塩基と相補的ではないことを意味する。
【0054】
本明細書で使用する場合、「モチーフ」は、オリゴヌクレオチドにおける非修飾及び/または修飾型の糖部分、核酸塩基及び/またはインターヌクレオシド結合のパターンを意味する。
【0055】
本明細書で使用する場合、「修飾ヌクレオシド」は、修飾核酸塩基及び/または修飾糖部分を含むヌクレオシドを意味する。修飾ヌクレオシドには、核酸塩基が欠損している脱塩基ヌクレオシドが含まれる。
【0056】
本明細書で使用する場合、「非二環式の修飾糖部分」は、その糖の2つの原子の間に架橋を形成して第2の環を形成するものではない修飾(置換など)を含む修飾糖部分を意味する。
【0057】
本明細書で使用する場合、「核酸塩基」は、非修飾核酸塩基または修飾核酸塩基を意味する。核酸塩基は、複素環式部分である。本明細書で使用する場合、「非修飾核酸塩基」は、アデニン(A)、チミン(T)、シトシン(C)、ウラシル(U)またはグアニン(G)である。本明細書で使用する場合、「修飾核酸塩基」は、修飾されていないA、T、C、UまたはG以外の原子団であって、少なくとも1つの他の核酸塩基と対合できる原子団である。「5-メチルシトシン」は、修飾核酸塩基である。ユニバーサル塩基は、上記の5つの非修飾核酸塩基のうちのいずれか1つと対合できる修飾核酸塩基である。
【0058】
本明細書で使用する場合、「核酸塩基配列」は、核酸またはオリゴヌクレオチドにおける連続した核酸塩基の順序であって、糖またはインターヌクレオシド結合のいずれの修飾からも独立した順序を意味する。
【0059】
本明細書で使用する場合、「ヌクレオシド」は、核酸塩基と糖部分を含む化合物または化合物の断片を意味する。その核酸塩基と糖部分はそれぞれ独立して、修飾されていないか、または修飾されている。
【0060】
本明細書で使用する場合、「オリゴマー剤」は、オリゴマー化合物及び任意選択の1つ以上の追加の特徴(第2のオリゴマー化合物など)を意味する。オリゴマー剤は、一本鎖オリゴマー化合物であり得るか、または2つの相補的オリゴマー化合物によって形成される二本鎖オリゴマーであり得る。
【0061】
本明細書で使用する場合、「オリゴマー化合物」は、オリゴヌクレオチドと、任意に、1つ以上の追加の構造部(コンジュゲート基または末端基など)を意味する。オリゴマー化合物は、その第1のオリゴマー化合物と相補的である第2のオリゴマー化合物と対合していても、対合していなくてもよい。「一本鎖オリゴマー化合物」は、不対合のオリゴマー化合物である。
【0062】
「二本鎖オリゴマー」という用語は、相補的な核酸塩基配列を有する2つのオリゴマー化合物によって形成された二本鎖を意味する。
【0063】
本明細書で使用する場合、「オリゴヌクレオチド」は、インターヌクレオシド結合を介して連結された連結ヌクレオシド鎖を意味し、その各ヌクレオシドとインターヌクレオシド結合部は、修飾されていても、修飾されていなくてもよい。別段に示されていない限り、オリゴヌクレオチドは、8~50個の連結ヌクレオシドからなる。本明細書で使用する場合、「修飾オリゴヌクレオチド」は、少なくとも1つのヌクレオシドまたはインターヌクレオシド結合部が修飾されているオリゴヌクレオチドを意味する。本明細書で使用する場合、「非修飾オリゴヌクレオチド」は、いずれのヌクレオシド修飾部またはインターヌクレオシド修飾部を含まないオリゴヌクレオチドを意味する。
【0064】
本明細書で使用する場合、「薬学的に許容される担体または希釈剤」は、動物に投与する際に使用するのに適するいずれかの物質を意味する。特定のこのような担体は、医薬組成物を、例えば、対象が経口摂取するための錠剤、丸剤、糖衣錠、カプセル剤、液剤、ゲル剤、シロップ剤、スラリー、懸濁剤及びロゼンジ剤として調合可能にする。特定の実施形態では、薬学的に許容される担体または希釈剤は、滅菌水、滅菌生理食塩水、滅菌緩衝液または滅菌人工脳脊髄液である。
【0065】
本明細書で使用する場合、「薬学的に許容される塩」は、化合物の生理学的及び薬学的に許容される塩を意味する。薬学的に許容される塩は、親化合物の所望の生物学的活性を維持させるとともに、望ましくない毒性作用をその化合物に付与しない。
【0066】
本明細書で使用する場合、「医薬組成物」は、対象に投与するのに適する物質の混合物を意味する。例えば、医薬組成物は、オリゴマー化合物と、滅菌水溶液を含んでよい。特定の実施形態では、医薬組成物は、特定の細胞株におけるfree uptakeアッセイで活性を示す。
【0067】
本明細書で使用する場合、「プロドラッグ」は、体外にある時の第1の形態が、動物またはその細胞の中で、第2の形態に変換される治療剤を意味する。典型的には、動物の体内でのプロドラッグの変換は、細胞もしくは組織内の酵素(例えば、内因性酵素もしくはウイルス酵素)または化学物質の作用によって、及び/または生理的条件によって促される。特定の実施形態では、プロドラッグの第1の形態は、第2の形態よりも活性が低い。
【0068】
本明細書で使用する場合、「一本鎖」は、対を形成しておらず、二本鎖の一部ではない核酸(限定されないが、オリゴヌクレオチドを含む)を意味する。一本鎖化合物は、相補的核酸とハイブリダイズして二本鎖を形成することが可能であり、二本鎖形成時点では、もはや一本鎖ではなくなる。
【0069】
本明細書で使用する場合、「安定化リン酸基」は、非修飾ヌクレオシドの非修飾5’-リン酸の安定性と比較して生物学的条件の下でオリゴヌクレオチドの5’-末端ヌクレオシドの5’-リン酸部分が安定化する5’-化学部分を指す。5’-リン酸基のそのような安定化には、限定されないが、ホスファターゼによる除去に対する抵抗性が含まれる。安定化リン酸基には、限定されないが、5’-ビニルホスホネート及び5’-シクロプロピルホスホネートが含まれる。
【0070】
本明細書で使用する場合、「標準的な細胞アッセイ」は、実施例2または実施例3に記載されているアッセイと、その合理的な変形形態を意味する。
【0071】
本明細書で使用する場合、分子式が同一の分子の集団に関する「ステレオランダムなキラル中心」は、立体化学的配置がランダムであるキラル中心を意味する。例えば、ステレオランダムなキラル中心を含む分子の集団では、(S)配置のステレオランダムなキラル中心を有する分子の数は、(R)配置のステレオランダムなキラル中心を有する分子の数と同じであり得るが、必ずしも同じとは限らない。立体化学的配置を制御するようには設計されていない合成方法に起因するときには、キラル中心の立体化学的配置は、ランダムとみなす。特定の実施形態では、ステレオランダムなキラル中心は、ステレオランダムなホスホロチオエートインターヌクレオシド結合である。
【0072】
本明細書で使用する場合、「対象」は、ヒトまたは非ヒト動物を意味する。特定の実施形態では、対象は、ヒトである。
【0073】
本明細書で使用する場合、「糖部分」は、非修飾糖部分または修飾糖部分を意味する。本明細書で使用する場合、「非修飾糖部分」は、RNAに見られるような2’-OH(H)リボシル部分(「非修飾RNA糖部分」)、またはDNAに見られるような2’-H(H)デオキシリボシル糖部分(「非修飾DNA糖部分」)を意味する。非修飾糖部分は、1’位、3’位及び4’位のそれぞれに1個の水素、3’位に1個の酸素、5’位に2個の水素を有する。本明細書で使用する場合、「修飾糖部分」または「修飾糖」は、修飾フラノシル糖部分または糖代替部分を意味する。
【0074】
本明細書で使用する場合、「糖代替部分」は、オリゴヌクレオチドにおいて核酸塩基を別の基(インターヌクレオシド結合部、コンジュゲート基または末端基など)に連結できる、フラノシル部分以外を有する修飾糖部分を意味する。糖代替部分を含む修飾ヌクレオシドは、オリゴヌクレオチド内の1つ以上の位置に導入でき、そのようなオリゴヌクレオチドは、相補的なオリゴマー化合物または標的核酸とハイブリダイズできる。
【0075】
本明細書で使用する場合、「症状または特質」は、疾患または障害の存在または程度を示す任意の身体的特徴または検査結果を意味する。特定の実施形態では、症状は、対象にとって明らかであるか、または当該対象を試験もしくは検査する医療専門家にとって明らかなものである。特定の実施形態では、特質は、侵襲的な診断検査(限定されないが、死後検査を含む)の際に明らかになるものである。
【0076】
本明細書で使用する場合、「標的核酸」及び「標的RNA」は、オリゴマー化合物が作用を及ぼすように設計されている核酸を意味する。標的RNAはRNA転写産物を意味し、別段の指定がない限り、pre-mRNA及び成熟mRNAを含む。
【0077】
本明細書で使用する場合、「標的領域」は、標的核酸の部分のうち、オリゴマー化合物がハイブリダイズするように設計されている部分を意味する。
【0078】
本明細書で使用する場合、「末端基」は、オリゴヌクレオチドの末端に共有結合している化学基または原子団を意味する。
【0079】
本明細書で使用する場合、「治療すること」は、本明細書に記載のオリゴマー剤、オリゴマー化合物、二本鎖オリゴマー、またはアンチセンス剤を投与することによって対象の疾患または状態を改善させることを意味する。特定の実施形態では、対象を治療することで、治療が行われなかった場合の同じ症状と比較して症状が改善する。特定の実施形態では、治療は、症状の重症度もしくは頻度の低下、症状の発症の遅延、症状の進行の遅延、または症状の重症度もしくは頻度の遅延を生じさせる。
【0080】
本明細書で使用する場合、「RNA」はRNA転写産物を意味し、別段の指定がない限り、pre-mRNA及び成熟mRNAを含む。
【0081】
本明細書で使用する場合、「アンチセンス活性」は、アンチセンス化合物がその標的核酸とハイブリダイズしたことに起因するいずれかの検出可能及び/または測定可能な変化を意味する。特定の実施形態では、アンチセンス活性は、標的核酸、またはそのような標的核酸によってコードされるタンパク質の量または発現が、そのアンチセンス化合物の非存在下における標的核酸レベルまたは標的タンパク質レベルと比べて低下することである。特定の実施形態では、アンチセンス活性は、標的pre-mRNAのスプライシングの調節である。
【0082】
本明細書で使用する場合、「アンチセンス剤」は、アンチセンス化合物及び任意選択の1つ以上の追加の特徴(センス化合物など)を意味する。
【0083】
本明細書で使用する場合、「アンチセンス化合物」は、アンチセンスオリゴヌクレオチド及び任意選択の1つ以上の追加の特徴(コンジュゲート基など)を意味する。
【0084】
本明細書で使用する場合、「センス化合物」は、センスオリゴヌクレオチド及び任意選択の1つ以上の追加の特徴(コンジュゲート基など)を意味する。
【0085】
本明細書で使用する場合、「アンチセンスオリゴヌクレオチド」は、標的核酸にハイブリダイズすることが可能であり、少なくとも1つのアンチセンス活性を示すことが可能なオリゴヌクレオチド(アンチセンス化合物のオリゴヌクレオチド部分を含む)を意味する。アンチセンスオリゴヌクレオチドには、限定されないが、スプライス調節オリゴヌクレオチド、アンチセンスRNAiオリゴヌクレオチド、及びアンチセンスRNase Hオリゴヌクレオチドが含まれる。
【0086】
本明細書で使用する場合、「センスオリゴヌクレオチド」は、アンチセンスオリゴヌクレオチドにハイブリダイズすることが可能なオリゴヌクレオチド(センス化合物のオリゴヌクレオチド部分を含む)を意味する。
【0087】
本明細書で使用する場合、「細胞標的化部分」は、特定の細胞型(複数可)に結合することが可能なコンジュゲート基またはコンジュゲート基の一部を意味する。
【0088】
本明細書で使用する場合、「ハイブリダイゼーション」は、オリゴヌクレオチド及び/または核酸のアニーリングを意味する。特定の機序に限定されないが、最も一般的なハイブリダイゼーション機序は、水素結合を伴うものであり、その水素結合は、相補的な核酸塩基間のワトソン-クリック型、フーグスティーン型または逆フーグスティーン型の水素結合であってよい。特定の実施形態では、相補的核酸分子には、限定されないが、アンチセンス化合物及び核酸標的が含まれる。特定の実施形態では、相補的核酸分子には、限定されないが、オリゴヌクレオチド及び核酸標的が含まれる。
【0089】
本明細書で使用する場合、「RNAi剤」は、RISCまたはAgo2を少なくとも部分的には介して働くことで、標的核酸及び/または標的核酸によってコードされるタンパク質を調節するアンチセンス剤を意味する。RNAi剤には、限定されないが、二本鎖siRNA、一本鎖RNAi(ssRNAi)、及びマイクロRNA(マイクロRNA模倣物を含む)が含まれる。RNAi剤は、コンジュゲート基及び/または末端基を含み得る。特定の実施形態では、RNAi剤は、標的核酸の量及び/または活性を調節する。RNAi剤という用語は、RNase Hを介して働くアンチセンス剤を除外する。
【0090】
本明細書で使用する場合、「RNase H剤」は、RNase H介して働くことで、標的核酸及び/または標的核酸によってコードされるタンパク質を調節するアンチセンス剤を意味する。特定の実施形態では、RNase H剤は一本鎖である。特定の実施形態では、RNase H剤は二本鎖である。RNase H化合物は、コンジュゲート基及び/または末端基を含み得る。特定の実施形態では、RNase H剤は、標的核酸の量及び/または活性を調節する。RNase H剤という用語は、RISC/Ago2介して主に働くアンチセンス剤を除外する。
【0091】
特定の実施形態
実施形態1.
8~80個の連結ヌクレオシドからなる修飾オリゴヌクレオチドを含むオリゴマー化合物であって、前記修飾オリゴヌクレオチドの核酸塩基配列が、UNC13A核酸のうちの等しい長さの部分と少なくとも80%相補的であり、前記修飾オリゴヌクレオチドが、修飾糖部分及び修飾インターヌクレオシド結合から選択される少なくとも1つの修飾を有する、前記オリゴマー化合物。
【0092】
実施形態2.
前記UNC13A核酸が、配列番号1または配列番号2の核酸塩基配列を有する、実施形態1に記載のオリゴマー化合物。
【0093】
実施形態3.
前記修飾オリゴヌクレオチドの前記核酸塩基配列が、配列番号1の核酸塩基48,128~48,151、核酸塩基48,432~48,465、または核酸塩基48,466~48,561のうちの等しい長さの部分と少なくとも80%相補的である、実施形態1または実施形態2に記載のオリゴマー化合物。
【0094】
実施形態4.
前記修飾オリゴヌクレオチドの前記核酸塩基配列が、前記UNC13A核酸のうちの等しい長さの部分の核酸塩基配列と少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または100%相補的である、実施形態1~3のいずれかに記載のオリゴマー化合物。
【0095】
実施形態5.
8~80個の連結ヌクレオシドからなる修飾オリゴヌクレオチドを含むオリゴマー化合物であって、前記修飾オリゴヌクレオチドの核酸塩基配列が、配列番号21~332の核酸塩基配列のいずれかの少なくとも8つ、少なくとも9つ、少なくとも10個、少なくとも11個、少なくとも12個、少なくとも13個、少なくとも14個、少なくとも15個、少なくとも16個、少なくとも17個、または18個の連続した核酸塩基を含み、前記修飾オリゴヌクレオチドが、修飾糖部分及び修飾インターヌクレオシド結合から選択される少なくとも1つの修飾を含む、前記オリゴマー化合物。
【0096】
実施形態6.
前記修飾オリゴヌクレオチドの前記核酸塩基配列が、配列番号21~332のいずれかの核酸塩基配列を含む、実施形態5に記載のオリゴマー化合物。
【0097】
実施形態7.
前記修飾オリゴヌクレオチドが、配列番号21~332のいずれかの核酸塩基配列からなる核酸塩基配列を有する、実施形態5に記載のオリゴマー化合物。
【0098】
実施形態8.
配列番号290、291、293、もしくは294、
配列番号85~101、または
配列番号21~30、32~41、43~52、54~60、62~66、もしくは326~332
の核酸塩基配列のいずれかの少なくとも8つ、少なくとも9つ、少なくとも10個、少なくとも11個、少なくとも12個、少なくとも13個、少なくとも14個、少なくとも15個、少なくとも16個、少なくとも17個、または18個の連続した核酸塩基を含む核酸塩基配列を前記修飾オリゴヌクレオチドが有する、実施形態5~7のいずれか1項に記載のオリゴマー化合物。
【0099】
実施形態9.
前記修飾オリゴヌクレオチドの前記核酸塩基配列が、UNC13A核酸のうちの等しい長さの部分の核酸塩基配列と少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または100%相補的であり、前記UNC13A核酸が、配列番号1または配列番号2の核酸塩基配列を有する、実施形態5~8のいずれかに記載のオリゴマー化合物。
【0100】
実施形態10.
12~50個の連結ヌクレオシドからなる修飾オリゴヌクレオチドを含むオリゴマー化合物であって、
配列番号1の48,128~48,151、
配列番号1の48,432~48,465、または
配列番号1の48,466~48,561
と相補的な少なくとも8つ、少なくとも9つ、少なくとも10個、少なくとも11個、少なくとも12個、少なくとも13個、少なくとも14個、少なくとも15個、少なくとも16個、少なくとも17個、または18個の連続した核酸塩基を、前記修飾オリゴヌクレオチドの核酸塩基配列が含む、前記オリゴマー化合物。
【0101】
実施形態11.
前記修飾オリゴヌクレオチドが、10~25個、10~30個、10~50個、12~20個、12~25個、12~30個、12~50個、13~20個、13~25個、13~30個、13~50個、14~20個、14~25個、14~30個、14~50個、15~20個、15~25個、15~30個、15~50個、16~18個、16~20個、16~25個、16~30個、16~50個、17~20個、17~25個、17~30個、17~50個、18~20個、18~22個、18~25個、18~30個、18~50個、19~20個、19~25個、19~30個、19~50個、20~25個、20~30個、20~50個、21~25個、21~30個、21~50個、22~25個、22~30個、22~50個、23~25個、23~30個、または23~50個の連結ヌクレオシドからなる、実施形態1~10のいずれかに記載のオリゴマー化合物。
【0102】
実施形態12.
前記修飾オリゴヌクレオチドが、18個の連結ヌクレオシドからなる、実施形態1~11のいずれかに記載のオリゴマー化合物。
【0103】
実施形態13.
前記修飾オリゴヌクレオチドの少なくとも1つのヌクレオシドが修飾糖部分を含む、実施形態1~12のいずれかに記載のオリゴマー化合物。
【0104】
実施形態14.
前記修飾糖部分が、二環式糖部分を含む、実施形態13に記載のオリゴマー化合物。
【0105】
実施形態15.
前記二環式糖部分が、-O-CH2-及び-O-CH(CH3)-から選択される2’-4’架橋を含む、実施形態14に記載のオリゴマー化合物。
【0106】
実施形態16.
前記修飾糖部分が、非二環式の修飾糖部分を含む、実施形態13に記載のオリゴマー化合物。
【0107】
実施形態17.
前記非二環式の修飾糖部分が、2’-MOE糖部分、2’-OMe糖部分、2’-NMA糖部分、または2’-F糖部分である、実施形態16に記載のオリゴマー化合物。
【0108】
実施形態18.
前記修飾オリゴヌクレオチド化合物の少なくとも1つのヌクレオシドが糖代替部分を含む、実施形態1~17のいずれかに記載のオリゴマー化合物。
【0109】
実施形態19.
前記修飾オリゴヌクレオチドの各ヌクレオシドが修飾糖部分を含む、実施形態13~18のいずれかに記載のオリゴマー化合物。
【0110】
実施形態20.
各修飾糖部分が、2’-MOE糖部分である、実施形態19に記載のオリゴマー化合物。
【0111】
実施形態21.
各修飾糖部分が、2’-NMA糖部分である、実施形態19に記載のオリゴマー化合物。
【0112】
実施形態22.
前記修飾オリゴヌクレオチドが、少なくとも1つの修飾インターヌクレオシド結合を含む、実施形態1~21のいずれかに記載のオリゴマー化合物。
【0113】
実施形態23.
少なくとも1つの修飾インターヌクレオシド結合が、ホスホロチオエートインターヌクレオシド結合である、実施形態22に記載のオリゴマー化合物。
【0114】
実施形態24.
各インターヌクレオシド結合が、修飾インターヌクレオシド結合である、実施形態22または実施形態23に記載のオリゴマー化合物。
【0115】
実施形態25.
各インターヌクレオシド結合が、ホスホロチオエートインターヌクレオシド結合である、実施形態24に記載のオリゴマー化合物。
【0116】
実施形態26.
前記修飾オリゴヌクレオチドの少なくとも1つのインターヌクレオシド結合が、ホスホジエステルインターヌクレオシド結合である、実施形態22~23のいずれかに記載のオリゴマー化合物。
【0117】
実施形態27.
前記修飾オリゴヌクレオチドの各インターヌクレオシド結合が、ホスホジエステルインターヌクレオシド結合またはホスホロチオエートインターヌクレオシド結合から独立して選択される、実施形態1~24または26のいずれかに記載のオリゴマー化合物。
【0118】
実施形態28.
前記修飾オリゴヌクレオチドの少なくとも10個、少なくとも11個、少なくとも12個、少なくとも13個、少なくとも14個、少なくとも15個、少なくとも16個、または17個のインターヌクレオシド結合が、ホスホロチオエートインターヌクレオシド結合である、実施形態1~23または26~27のいずれかに記載のオリゴマー化合物。
【0119】
実施形態29.
前記修飾オリゴヌクレオチドが、少なくとも1つの修飾核酸塩基を含む、実施形態1~28のいずれかに記載のオリゴマー化合物。
【0120】
実施形態30.
前記修飾核酸塩基が、5-メチルシトシンである、実施形態29に記載のオリゴマー化合物。
【0121】
実施形態31.
各シトシンが、5-メチルシトシンである、実施形態30に記載のオリゴマー化合物。
【0122】
実施形態32.
前記修飾オリゴヌクレオチドからなる、実施形態1~31のいずれかに記載のオリゴマー化合物。
【0123】
実施形態33.
前記修飾オリゴヌクレオチドが、その薬学的に許容される塩である、実施形態1~32のいずれか1項に記載のオリゴマー化合物。
【0124】
実施形態34.
ナトリウム、カリウム、カルシウム、及びマグネシウムから選択される1つ以上のカチオンを含む薬学的に許容される塩である、実施形態33に記載のオリゴマー化合物。
【0125】
実施形態35.
前記オリゴマー化合物が、コンジュゲート基を含む、実施形態1~31のいずれかに記載のオリゴマー化合物。
【0126】
実施形態36.
前記コンジュゲート基が、コンジュゲートリンカー及びコンジュゲート部分を含む、実施形態35に記載のオリゴマー化合物。
【0127】
実施形態37.
前記コンジュゲートリンカーが、単結合からなる、実施形態36に記載のオリゴマー化合物。
【0128】
実施形態38.
前記コンジュゲートリンカーが、切断可能である、実施形態36または実施形態37に記載のオリゴマー化合物。
【0129】
実施形態39.
前記コンジュゲートリンカーが、1~3つのリンカーヌクレオシドを含む、実施形態36~38のいずれかに記載のオリゴマー化合物。
【0130】
実施形態40.
前記コンジュゲートリンカーが、いずれのリンカーヌクレオシドも含まない、実施形態36~38のいずれかに記載のオリゴマー化合物。
【0131】
実施形態41.
前記コンジュゲート基が、前記修飾オリゴヌクレオチドの5’末端で、前記修飾オリゴヌクレオチドに結合している、実施形態35~40のいずれかに記載のオリゴマー化合物。
【0132】
実施形態42.
前記コンジュゲート基が、前記修飾オリゴヌクレオチドの3’末端で、前記修飾オリゴヌクレオチドに結合している、実施形態35~40のいずれかに記載のオリゴマー化合物。
【0133】
実施形態43.
前記オリゴマー化合物が、末端基を含む、実施形態1~42のいずれかに記載のオリゴマー化合物。
【0134】
実施形態44.
前記末端基が、脱塩基糖部分である、実施形態43に記載のオリゴマー化合物。
【0135】
実施形態45.
前記オリゴマー化合物が、一本鎖オリゴマー化合物である、実施形態1~44のいずれか1項に記載のオリゴマー化合物。
【0136】
実施形態46.
実施形態1~45のいずれかに記載のオリゴマー化合物のキラル的に富化された集団であって、前記集団において、特定の立体化学的配置である特定のホスホロチオエートインターヌクレオシド結合を少なくとも1つ含む修飾オリゴヌクレオチドが富化されている前記集団。
【0137】
実施形態47.
(Sp)配置または(Rp)配置である特定のホスホロチオエートインターヌクレオシド結合を少なくとも1つ含む修飾オリゴヌクレオチドが富化されている、実施形態46に記載のキラル的に富化された集団。
【0138】
実施形態48.
前記ホスホロチオエートインターヌクレオシド結合のそれぞれが、独立して選択した特定の立体化学的配置である修飾オリゴヌクレオチドが富化されている、実施形態46に記載のキラル的に富化された集団。
【0139】
実施形態49.
1つの特定のホスホロチオエートインターヌクレオシド結合が(Rp)配置を有し、残りのホスホロチオエートインターヌクレオシド結合のそれぞれが(Sp)配置を有する修飾オリゴヌクレオチドが前記集団中で富化されている、実施形態46に記載のキラル的に富化された集団。
【0140】
実施形態50.
5’→3’方向でSp配置、Sp配置、及びRp配置をとる少なくとも3つの連続したホスホロチオエートインターヌクレオシド結合を有する修飾オリゴヌクレオチドが前記集団中で富化されている、実施形態46に記載のキラル的に富化された集団。
【0141】
実施形態51.
前記修飾オリゴヌクレオチドのホスホロチオエートインターヌクレオシド結合のすべてが、ステレオランダムである、実施形態1~45のいずれかに記載のオリゴマー化合物の集団。
【0142】
実施形態52.
第1のオリゴマー化合物と、第2の修飾オリゴヌクレオチドを含む第2のオリゴマー化合物と、を含む二本鎖オリゴマーであって、前記第1のオリゴマー化合物が、実施形態1~45のいずれかに記載のオリゴマー化合物である、前記二本鎖オリゴマー。
【0143】
実施形態53.
前記第2の修飾オリゴヌクレオチドが、8~80個の連結ヌクレオシドからなり、前記第2の修飾オリゴヌクレオチドが、第1の修飾オリゴヌクレオチドのうちの等しい長さの部分と少なくとも90%相補的な少なくとも8つの核酸塩基の相補的領域を含む、実施形態52に記載の二本鎖オリゴマー。
【0144】
実施形態54.
アンチセンス化合物を含むアンチセンス剤であって、前記アンチセンス化合物が、実施形態1~45のいずれかに記載のオリゴマー化合物、または実施形態52もしくは実施形態53に記載の二本鎖オリゴマーである、前記アンチセンス剤。
【0145】
実施形態55.
前記アンチセンス剤が、UNC13A核酸のスプライシングを調節することが可能なスプライス調節剤である、実施形態54に記載のアンチセンス剤。
【0146】
実施形態56.
前記アンチセンス剤が、コンジュゲート基を含み、前記コンジュゲート基が、細胞標的化部分を含む、実施形態54または実施形態55に記載のアンチセンス剤。
【0147】
実施形態57.
実施形態1~45のいずれかに記載のオリゴマー化合物、実施形態46~51のいずれかに記載の集団、実施形態52もしくは実施形態53に記載の二本鎖オリゴマー、または実施形態54~56のいずれかに記載のアンチセンス剤と、薬学的に許容される希釈剤または担体と、を含む医薬組成物。
【0148】
実施形態58.
前記薬学的に許容される希釈剤が、リン酸緩衝生理食塩水または人工脳脊髄液である、実施形態57に記載の医薬組成物。
【0149】
実施形態59.
前記医薬組成物が、前記オリゴマー化合物、前記集団、前記二本鎖オリゴマー、または前記アンチセンス剤と、リン酸緩衝生理食塩水または人工脳脊髄液と、から本質的になる、実施形態58に記載の医薬組成物。
【0150】
実施形態60.
実施形態1~45のいずれかに記載のオリゴマー化合物、実施形態46~51のいずれかに記載の集団、実施形態52もしくは実施形態53に記載の二本鎖オリゴマー、実施形態54~56のいずれかに記載のアンチセンス剤、または実施形態57~59のいずれかに記載の医薬組成物を対象に投与することを含む方法。
【0151】
実施形態61.
UNC13Aと関連する疾患の治療方法であって、前記方法が、UNC13Aと関連する疾患またはその発症リスクを有する対象に対して、実施形態1~45のいずれかに記載のオリゴマー化合物、実施形態46~51のいずれかに記載の集団、実施形態52もしくは実施形態53に記載の二本鎖オリゴマー、実施形態54~56のいずれかに記載のアンチセンス剤、または実施形態57~59のいずれかに記載の医薬組成物を治療的に有効な量で投与し、それによって前記UNC13Aと関連する疾患を治療することを含む、前記方法。
【0152】
実施形態62.
前記UNC13Aと関連する疾患が、神経変性疾患である、実施形態61に記載の方法。
【0153】
実施形態63.
前記神経変性疾患が、筋萎縮性側索硬化症(ALS)または前頭側頭型認知症(FTD)である、実施形態62に記載の方法。
【0154】
実施形態64.
前記神経変性疾患の少なくとも1つの症状が改善される、実施形態63に記載の方法。
【0155】
実施形態65.
前記少なくとも1つの症状が、運動機能障害、筋力低下、筋肉消耗、シナプス機能障害、疲労、発話困難、嚥下困難、息切れ、認識機能障害、寿命の短期化、またはそれらの組み合わせである、実施形態64に記載の方法。
【0156】
実施形態66.
実施形態1~45のいずれかに記載のオリゴマー化合物、実施形態46~51のいずれかに記載の集団、実施形態52もしくは実施形態53に記載の二本鎖オリゴマー、実施形態54~56のいずれかに記載のアンチセンス剤、または実施形態57~59のいずれかに記載の医薬組成物を投与することで、運動機能の改善、筋力の改善、筋量の増加、発話の改善、嚥下の改善、呼吸の改善、シナプス機能の改善、認知の改善、または寿命の長期化が生じる、実施形態65に記載の方法。
【0157】
実施形態67.
前記対象が、ヒトである、実施形態60~66のいずれか1項に記載の方法。
【0158】
実施形態68.
細胞におけるUNC13Aの発現の増加方法であって、前記方法が、前記細胞と、実施形態1~45のいずれかに記載のオリゴマー化合物、実施形態46~51のいずれかに記載の集団、実施形態52もしくは実施形態53に記載の二本鎖オリゴマー、実施形態54~56のいずれかに記載のアンチセンス剤、または実施形態57~59のいずれかに記載の医薬組成物と、を接触させることを含む、前記方法。
【0159】
実施形態69.
細胞における隠れエキソン含有UNC13A RNAの量の低減方法であって、前記方法が、前記細胞と、実施形態1~45のいずれかに記載のオリゴマー化合物、実施形態46~51のいずれかに記載の集団、実施形態52もしくは実施形態53に記載の二本鎖オリゴマー、実施形態54~56のいずれかに記載のアンチセンス剤、または実施形態57~59のいずれかに記載の医薬組成物と、を接触させることを含む、前記方法。
【0160】
実施形態70.
前記隠れエキソンが、UNC13Aのエキソン20とエキソン21との間に存在する、実施形態69に記載の方法。
【0161】
実施形態71.
前記隠れエキソンが、CE-1、CE-2、及びCE-3から選択される、実施形態70に記載の方法。
【0162】
実施形態72.
前記細胞が、ニューロンまたはグリア細胞であり、任意選択で、前記細胞が、アストロサイトまたはミクログリア細胞である、実施形態68~71のいずれかに記載の方法。
【0163】
実施形態73.
前記細胞が、ヒト細胞である、実施形態68~72のいずれかに記載の方法。
【0164】
実施形態74.
UNC13Aと関連する疾患を治療するための、実施形態1~45のいずれかに記載のオリゴマー化合物、実施形態46~51のいずれかに記載の集団、実施形態52もしくは実施形態53に記載の二本鎖オリゴマー、実施形態54~56のいずれかに記載のアンチセンス剤、または実施形態57~59のいずれかに記載の医薬組成物の使用。
【0165】
実施形態75.
UNC13Aと関連する疾患を治療するための医薬の製造における、実施形態1~45のいずれかに記載のオリゴマー化合物、実施形態46~51のいずれかに記載の集団、実施形態52もしくは実施形態53に記載の二本鎖オリゴマー、実施形態54~56のいずれかに記載のアンチセンス剤、または実施形態57~59のいずれかに記載の医薬組成物の使用。
【0166】
実施形態76.
前記UNC13Aと関連する疾患が、神経変性疾患である、実施形態74または実施形態75に記載の使用。
【0167】
実施形態77.
前記神経変性疾患が、筋萎縮性側索硬化症(ALS)または前頭側頭型認知症(FTD)である、実施形態76に記載の使用。
【0168】
特定のオリゴマー剤及びオリゴマー化合物
特定の実施形態は、UNC13A核酸を標的とするオリゴマー剤を提供する。特定の実施形態では、UNC13A核酸は、配列番号1(GENBANKアクセッション番号NC_000019.10のヌクレオシド17598001から17691000までの切断鎖の相補鎖)または配列番号2(GENBANKアクセッション番号NM_001080421.2)に示される配列を有し、これらはそれぞれ、その全体が参照によって組み込まれる。特定の実施形態では、オリゴマー剤は、一本鎖オリゴマー化合物である。特定の実施形態では、オリゴマー剤は、二本鎖オリゴマーである。
【0169】
特定の実施形態は、8~80個の連結ヌクレオシドからなる修飾オリゴヌクレオチドを含むオリゴマー化合物を提供し、修飾オリゴヌクレオチドの核酸塩基配列は、UNC13A核酸のうちの等しい長さの部分と少なくとも80%相補的であり、修飾オリゴヌクレオチドは、修飾糖部分及び修飾インターヌクレオシド結合から選択される少なくとも1つの修飾を有する。特定の実施形態では、UNC13A核酸は、配列番号1または2の核酸塩基配列を有する。特定の実施形態では、修飾オリゴヌクレオチドの核酸塩基配列は、UNC13A核酸のうちの等しい長さの部分と少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または100%相補的である。
【0170】
特定の実施形態では、修飾オリゴヌクレオチドの核酸塩基配列は、配列番号1の核酸塩基48104~48121、48106~48123、48108~48125、48110~48127、48112~48129、48114~48131、48116~48133、48118~48135、48120~48137、48122~48139、48124~48141、48126~48143、48128~48145、48130~48147、48132~48149、48134~48151、48136~48153、48138~48155、48140~48157、48142~48159、48144~48161、48146~48163、48148~48165、48150~48167、48152~48169、48154~48171、48156~48173、48158~48175、48160~48177、48162~48179、48164~48181、48166~48183、48168~48185、48170~48187、48172~48189、48174~48191、48176~48193、48178~48195、48180~48197、48182~48199、48184~48201、48186~48203、48188~48205、48190~48207、48192~48209、48194~48211、48196~48213、48198~48215、48200~48217、48202~48219、48204~48221、48206~48223、48208~48225、48210~48227、48212~48229、48214~48231、48216~48233、48218~48235、48220~48237、48222~48239、48224~48241、48226~48243、48228~48245、48230~48247、48232~48249、48234~48251、48236~48253、48238~48255、48240~48257、48242~48259、48244~48261、48246~48263、48248~48265、48250~48267、48252~48269、48254~48271、48256~48273、48258~48275、48260~48277、48262~48279、48264~48281、48266~48283、48268~48285、48270~48287、48272~48289、48274~48291、48276~48293、48278~48295、48280~48297、48282~48299、48284~48301、48286~48303、48288~48305、48290~48307、48292~48309、48294~48311、48296~48313、48298~48315、48300~48317、48302~48319、48304~48321、48306~48323、48308~48325、48310~48327、48312~48329、48314~48331、48316~48333、48318~48335、48320~48337、48322~48339、48324~48341、48326~48343、48328~48345、48330~48347、48332~48349、48334~48351、48336~48353、48338~48355、48340~48357、48342~48359、48344~48361、48346~48363、48348~48365、48350~48367、48352~48369、48354~48371、48356~48373、48358~48375、48360~48377、48362~48379、48364~48381、48366~48383、48368~48385、48370~48387、48372~48389、48374~48391、48376~48393、48378~48395、48380~48397、48382~48399、48384~48401、48385~48402、48386~48403、48387~48404、48388~48405、48389~48406、48390~48407、48391~48408、48392~48409、48393~48410、48394~48411、48395~48412、48396~48413、48397~48414、48398~48415、48399~48416、48400~48417、48401~48418、48402~48419、48403~48420、48404~48421、48405~48422、48406~48423、48407~48424、48408~48425、48409~48426、48410~48427、48411~48428、48412~48429、48413~48430、48414~48431、48415~48432、48416~48433、48417~48434、48418~48435、48419~48436、48420~48437、48421~48438、48422~48439、48423~48440、48424~48441、48425~48442、48426~48443、48427~48444、48428~48445、48429~48446、48430~48447、48431~48448、48432~48449、48433~48450、48434~48451、48435~48452、48436~48453、48437~48454、48438~48455、48439~48456、48440~48457、48441~48458、48442~48459、48443~48460、48444~48461、48445~48462、48446~48463、48447~48464、48448~48465、48449~48466、48450~48467、48451~48468、48452~48469、48453~48470、48454~48471、48455~48472、48456~48473、48457~48474、48458~48475、48459~48476、48460~48477、48461~48478、48462~48479、48463~48480、48464~48481、48465~48482、48466~48483、48467~48484、48468~48485、48469~48486、48470~48487、48471~48488、48472~48489、48473~48490、48474~48491、48475~48492、48476~48493、48477~48494、48478~48495、48479~48496、48480~48497、48481~48498、48482~48499、48483~48500、48484~48501、48486~48503、48488~48505、48490~48507、48492~48509、48494~48511、48496~48513、48498~48515、48500~48517、48502~48519、48504~48521、48506~48523、48508~48525、48510~48527、48512~48529、48514~48531、48516~48533、48518~48535、48520~48537、48522~48539、48524~48541、48526~48543、48528~48545、48530~48547、48532~48549、48534~48551、48536~48553、48538~48555、48540~48557、48542~48559、48544~48561、48546~48563、48548~48565、48550~48567、48552~48569、48554~48571、48556~48573、48558~48575、48560~48577、48562~48579、48564~48581、48566~48583、48568~48585、48570~48587、48572~48589、48574~48591、48576~48593、48578~48595、48580~48597、48582~48599、48584~48601、48586~48603、48588~48605、48590~48607、48592~48609、48594~48611、48596~48613、48598~48615、48600~48617、48602~48619、48604~48621、48606~48623、48608~48625、48610~48627、48612~48629、48614~48631、48616~48633、48618~48635、48620~48637、48622~48639、48624~48641、48626~48643のうちの等しい長さの部分と少なくとも80%相補的である。特定の実施形態では、修飾オリゴヌクレオチドの核酸塩基配列は、UNC13A核酸のうちの等しい長さの部分の核酸塩基配列と少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または100%相補的である。
【0171】
特定の実施形態は、8~80個の連結ヌクレオシドからなる修飾オリゴヌクレオチドを含むオリゴマー化合物を提供し、修飾オリゴヌクレオチドの核酸塩基配列は、配列番号21~332の核酸塩基配列のいずれかの少なくとも8つ、少なくとも9つ、少なくとも10個、少なくとも11個、少なくとも12個、少なくとも13個、少なくとも14個、少なくとも15個、少なくとも16個、少なくとも17個、または18個の連続した核酸塩基を含む。
【0172】
特定の実施形態は、18~80個の連結ヌクレオシドからなる修飾オリゴヌクレオチドを含むオリゴマー化合物を提供し、修飾オリゴヌクレオチドの核酸塩基配列は、配列番号21~332の核酸塩基配列のいずれかの核酸塩基配列を含む。
【0173】
特定の実施形態は、18~80個の連結ヌクレオシドからなる修飾オリゴヌクレオチドを含むオリゴマー化合物を提供し、修飾オリゴヌクレオチドは、配列番号21~332の核酸塩基配列のいずれかの核酸塩基配列からなる核酸塩基配列を有する。
【0174】
本明細書で提供されるオリゴマー化合物のいずれかでは、修飾オリゴヌクレオチドの核酸塩基配列は、UNC13A核酸のうちの等しい長さの部分と少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または100%相補的であり得、UNC13A核酸は、配列番号1または2の核酸塩基配列を有する。
【0175】
本明細書で提供されるオリゴマー化合物のいずれかでは、修飾オリゴヌクレオチドは、10~25個、10~30個、10~50個、12~20個、12~25個、12~30個、12~50個、13~20個、13~25個、13~30個、13~50個、14~20個、14~25個、14~30個、14~50個、15~20個、15~25個、15~30個、15~50個、16~18個、16~20個、16~25個、16~30個、16~50個、17~20個、17~25個、17~30個、17~50個、18~20個、18~25個、18~30個、18~50個、19~20個、19~25個、19~30個、19~50個、20~25個、20~30個、20~50個、21~25個、21~30個、21~50個、22~25個、22~30個、22~50個、23~25個、23~30個、または23~50個の連結ヌクレオシドからなり得る。
【0176】
特定の実施形態では、修飾オリゴヌクレオチドは、少なくとも10個、少なくとも11個、少なくとも12個、少なくとも13個、少なくとも14個、少なくとも15個、少なくとも16個、少なくとも17個、少なくとも18個、または少なくとも19個であり、かつ50個以下の連結ヌクレオチドを含む。特定の実施形態では、修飾オリゴヌクレオチドは、16個、17個、18個、19個、または20個の連結ヌクレオシドからなる。
【0177】
本明細書で提供されるオリゴマー化合物のいずれかでは、修飾オリゴヌクレオチドの少なくとも1つのヌクレオシドは、修飾糖部分を含み得る。特定の実施形態では、修飾糖部分は、二環式糖部分(-O-CH2-及び-O-CH(CH3)-から選択される2’-4’架橋など)を含む。特定の実施形態では、修飾糖部分は、非二環式の修飾糖部分(2’-MOE糖部分または2’-OMe糖部分など)を含む。特定の実施形態では、修飾糖部分は、2’-O-N-アルキルアセトアミド糖部分(2’-O-N-メチルアセトアミド糖部分など)を含む。
【0178】
本明細書で提供されるオリゴマー化合物のいずれかでは、修飾オリゴヌクレオチド化合物の少なくとも1つのヌクレオシドは、糖代替部分を含み得る。
【0179】
本明細書で提供されるオリゴマー化合物のいずれかでは、修飾オリゴヌクレオチドの少なくとも1つのインターヌクレオシド結合は、修飾インターヌクレオシド結合(ホスホロチオエートインターヌクレオシド結合など)を含み得る。特定の実施形態では、修飾オリゴヌクレオチドの各インターヌクレオシド結合は修飾インターヌクレオシド結合であり得るか、または修飾オリゴヌクレオチドの各インターヌクレオシド結合はホスホロチオエートインターヌクレオシド結合であり得る。特定の実施形態では、修飾オリゴヌクレオチドの少なくとも1つのインターヌクレオシド結合は、ホスホジエステルインターヌクレオシド結合であり得る。特定の実施形態では、修飾オリゴヌクレオチドの各インターヌクレオシド結合は、ホスホジエステルインターヌクレオシド結合またはホスホロチオエートインターヌクレオシド結合から独立して選択され得る。特定の実施形態では、修飾オリゴヌクレオチドの少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、または少なくとも6つのインターヌクレオシド結合は、ホスホジエステルインターヌクレオシド結合であり得る。特定の実施形態では、修飾オリゴヌクレオチドの少なくとも10個、少なくとも11個、少なくとも12個、少なくとも13個、少なくとも14個、少なくとも15個、少なくとも16個、少なくとも17個、または少なくとも18個のインターヌクレオシド結合は、ホスホロチオエートインターヌクレオシド結合であり得る。
【0180】
本明細書で提供されるオリゴマー化合物のいずれかでは、修飾オリゴヌクレオチドの少なくとも1つの核酸塩基は修飾核酸塩基(5-メチルシトシンなど)であり得る。特定の実施形態では、各シトシンは、5-メチルシトシンである。
【0181】
特定の二本鎖オリゴマー
特定の実施形態は、第1のオリゴマー化合物及び第2のオリゴマー化合物を含む二本鎖オリゴマーを対象とする。
【0182】
特定の実施形態では、二本鎖オリゴマーは、
8~80個の連結ヌクレオシドからなる第1の修飾オリゴヌクレオチドを含む第1のオリゴマー化合物であって、第1の修飾オリゴヌクレオチドの核酸塩基配列が、配列番号1の核酸塩基48104~48121、48106~48123、48108~48125、48110~48127、48112~48129、48114~48131、48116~48133、48118~48135、48120~48137、48122~48139、48124~48141、48126~48143、48128~48145、48130~48147、48132~48149、48134~48151、48136~48153、48138~48155、48140~48157、48142~48159、48144~48161、48146~48163、48148~48165、48150~48167、48152~48169、48154~48171、48156~48173、48158~48175、48160~48177、48162~48179、48164~48181、48166~48183、48168~48185、48170~48187、48172~48189、48174~48191、48176~48193、48178~48195、48180~48197、48182~48199、48184~48201、48186~48203、48188~48205、48190~48207、48192~48209、48194~48211、48196~48213、48198~48215、48200~48217、48202~48219、48204~48221、48206~48223、48208~48225、48210~48227、48212~48229、48214~48231、48216~48233、48218~48235、48220~48237、48222~48239、48224~48241、48226~48243、48228~48245、48230~48247、48232~48249、48234~48251、48236~48253、48238~48255、48240~48257、48242~48259、48244~48261、48246~48263、48248~48265、48250~48267、48252~48269、48254~48271、48256~48273、48258~48275、48260~48277、48262~48279、48264~48281、48266~48283、48268~48285、48270~48287、48272~48289、48274~48291、48276~48293、48278~48295、48280~48297、48282~48299、48284~48301、48286~48303、48288~48305、48290~48307、48292~48309、48294~48311、48296~48313、48298~48315、48300~48317、48302~48319、48304~48321、48306~48323、48308~48325、48310~48327、48312~48329、48314~48331、48316~48333、48318~48335、48320~48337、48322~48339、48324~48341、48326~48343、48328~48345、48330~48347、48332~48349、48334~48351、48336~48353、48338~48355、48340~48357、48342~48359、48344~48361、48346~48363、48348~48365、48350~48367、48352~48369、48354~48371、48356~48373、48358~48375、48360~48377、48362~48379、48364~48381、48366~48383、48368~48385、48370~48387、48372~48389、48374~48391、48376~48393、48378~48395、48380~48397、48382~48399、48384~48401、48385~48402、48386~48403、48387~48404、48388~48405、48389~48406、48390~48407、48391~48408、48392~48409、48393~48410、48394~48411、48395~48412、48396~48413、48397~48414、48398~48415、48399~48416、48400~48417、48401~48418、48402~48419、48403~48420、48404~48421、48405~48422、48406~48423、48407~48424、48408~48425、48409~48426、48410~48427、48411~48428、48412~48429、48413~48430、48414~48431、48415~48432、48416~48433、48417~48434、48418~48435、48419~48436、48420~48437、48421~48438、48422~48439、48423~48440、48424~48441、48425~48442、48426~48443、48427~48444、48428~48445、48429~48446、48430~48447、48431~48448、48432~48449、48433~48450、48434~48451、48435~48452、48436~48453、48437~48454、48438~48455、48439~48456、48440~48457、48441~48458、48442~48459、48443~48460、48444~48461、48445~48462、48446~48463、48447~48464、48448~48465、48449~48466、48450~48467、48451~48468、48452~48469、48453~48470、48454~48471、48455~48472、48456~48473、48457~48474、48458~48475、48459~48476、48460~48477、48461~48478、48462~48479、48463~48480、48464~48481、48465~48482、48466~48483、48467~48484、48468~48485、48469~48486、48470~48487、48471~48488、48472~48489、48473~48490、48474~48491、48475~48492、48476~48493、48477~48494、48478~48495、48479~48496、48480~48497、48481~48498、48482~48499、48483~48500、48484~48501、48486~48503、48488~48505、48490~48507、48492~48509、48494~48511、48496~48513、48498~48515、48500~48517、48502~48519、48504~48521、48506~48523、48508~48525、48510~48527、48512~48529、48514~48531、48516~48533、48518~48535、48520~48537、48522~48539、48524~48541、48526~48543、48528~48545、48530~48547、48532~48549、48534~48551、48536~48553、48538~48555、48540~48557、48542~48559、48544~48561、48546~48563、48548~48565、48550~48567、48552~48569、48554~48571、48556~48573、48558~48575、48560~48577、48562~48579、48564~48581、48566~48583、48568~48585、48570~48587、48572~48589、48574~48591、48576~48593、48578~48595、48580~48597、48582~48599、48584~48601、48586~48603、48588~48605、48590~48607、48592~48609、48594~48611、48596~48613、48598~48615、48600~48617、48602~48619、48604~48621、48606~48623、48608~48625、48610~48627、48612~48629、48614~48631、48616~48633、48618~48635、48620~48637、48622~48639、48624~48641、48626~48643のうちの等しい長さの部分と少なくとも80%相補的である、第1のオリゴマー化合物と、
8~80個の連結ヌクレオシドからなる第2の修飾オリゴヌクレオチドを含む第2のオリゴマー化合物であって、第2の修飾オリゴヌクレオチドの核酸塩基配列が、第1の修飾オリゴヌクレオチドのうちの等しい長さの部分と少なくとも90%相補的である少なくとも8つの核酸塩基の相補的領域を含む、第2のオリゴマー化合物と、
を含む。特定の実施形態では、第1の修飾オリゴヌクレオチドの核酸塩基配列は、UNC13A核酸のうちの等しい長さの部分と少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または100%相補的である。
【0183】
特定の実施形態では、二本鎖オリゴマーは、
8~80個の連結ヌクレオシドからなる第1の修飾オリゴヌクレオチドを含む第1のオリゴマー化合物であって、第1の修飾オリゴヌクレオチドの核酸塩基配列が、配列番号21~332のいずれかの核酸塩基配列の少なくとも8つ、少なくとも9つ、少なくとも10個、少なくとも11個、少なくとも12個、少なくとも13個、少なくとも14個、少なくとも15個、少なくとも16個、少なくとも17個、または18個の連続した核酸塩基を含み、各チミンが、ウラシルによって置き換えられている、第1のオリゴマー化合物と、
8~80個の連結ヌクレオシドからなる第2の修飾オリゴヌクレオチドを含む第2のオリゴマー化合物であって、第2の修飾オリゴヌクレオチドの核酸塩基配列が、第1の修飾オリゴヌクレオチドのうちの等しい長さの部分と少なくとも90%相補的である少なくとも8つの核酸塩基の相補的領域を含む、第2のオリゴマー化合物と、
を含む。特定の実施形態では、第1の修飾オリゴヌクレオチドの核酸塩基配列は、UNC13A核酸のうちの等しい長さの部分と少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または100%相補的である。
【0184】
特定の実施形態では、第1のオリゴマー化合物は、アンチセンス化合物である。特定の実施形態では、第1の修飾オリゴヌクレオチドは、アンチセンスオリゴヌクレオチドである。特定の実施形態では、第2のオリゴマー化合物は、センス化合物である。特定の実施形態では、第2の修飾オリゴヌクレオチドは、センスオリゴヌクレオチドである。
【0185】
特定の実施形態では、二本鎖オリゴマーは、
18~80個の連結ヌクレオシドからなる第1の修飾オリゴヌクレオチドを含む第1のオリゴマー化合物であって、第1の修飾オリゴヌクレオチドの核酸塩基配列が、配列番号21~332のいずれかの核酸塩基配列を含み、各チミンが、ウラシルによって置き換えられている、第1のオリゴマー化合物と、
18~80個の連結ヌクレオシドからなる第2の修飾オリゴヌクレオチドを含む第2のオリゴマー化合物であって、第2の修飾オリゴヌクレオチドの核酸塩基配列が、第1の修飾オリゴヌクレオチドのうちの等しい長さの部分と少なくとも90%相補的である少なくとも16個の核酸塩基の相補的領域を含む、第2のオリゴマー化合物と、
を含む。
【0186】
特定の実施形態では、第1のオリゴマー化合物は、アンチセンス化合物である。特定の実施形態では、第1の修飾オリゴヌクレオチドは、アンチセンスオリゴヌクレオチドである。特定の実施形態では、第2のオリゴマー化合物は、センス化合物である。特定の実施形態では、第2の修飾オリゴヌクレオチドは、センスオリゴヌクレオチドである。
【0187】
本明細書に記載の二本鎖オリゴマーのいずれかでは、第1の修飾オリゴヌクレオチド及び/または第2の修飾オリゴヌクレオチドの少なくとも1つのヌクレオシドは、修飾糖部分を含み得る。適切な修飾糖部分の例としては、限定されないが、二環式糖部分(-O-CH2-及び-O-CH(CH3)-から選択される2’-4’架橋など)ならびに非二環式糖部分(2’-MOE糖部分、2’-F糖部分、2’-OMe糖部分、または2’-NMA糖部分など)が挙げられる。特定の実施形態では、第1の修飾オリゴヌクレオチド及び/または第2の修飾オリゴヌクレオチドのヌクレオシドの少なくとも80%、少なくとも90%、または100%は、2’-F及び2’-OMeから選択される修飾糖部分を含む。
【0188】
本明細書に記載の二本鎖オリゴマーのいずれかでは、第1の修飾オリゴヌクレオチド及び/または第2の修飾オリゴヌクレオチドの少なくとも1つのヌクレオシドは、糖代替部分を含み得る。適切な糖代替部分の例としては、限定されないが、モルホリノ、ペプチド核酸(PNA)、グリコール核酸(GNA)、及び非架橋型核酸(UNA)が挙げられる。特定の実施形態では、第1の修飾オリゴヌクレオチドの少なくとも1つのヌクレオシドは、糖代替部分を含み、この糖代替部分は、GNAであり得る。
【0189】
本明細書に記載の二本鎖オリゴマーのいずれかでは、第1の修飾オリゴヌクレオチド及び/または第2の修飾オリゴヌクレオチドの少なくとも1つのインターヌクレオシド結合は、修飾インターヌクレオシド結合を含み得る。特定の実施形態では、修飾インターヌクレオシド結合は、ホスホロチオエートインターヌクレオシド結合である。特定の実施形態では、第1の修飾オリゴヌクレオチドの5’末端及び/または3’末端から1つ目、2つ目、または3つ目のインターヌクレオシド結合のうちの少なくとも1つは、ホスホロチオエート結合を含む。特定の実施形態では、第2の修飾オリゴヌクレオチドの5’末端及び/または3’末端から1つ目、2つ目、または3つ目のインターヌクレオシド結合のうちの少なくとも1つは、ホスホロチオエート結合を含む。
【0190】
本明細書に記載の二本鎖オリゴマーのいずれかでは、第1の修飾オリゴヌクレオチド及び/または第2の修飾オリゴヌクレオチドの少なくとも1つのインターヌクレオシド結合は、ホスホジエステルインターヌクレオシド結合を含み得る。
【0191】
本明細書に記載の二本鎖オリゴマーのいずれかでは、第1の修飾オリゴヌクレオチド及び/または第2の修飾オリゴヌクレオチドの各インターヌクレオシド結合は、ホスホジエステルインターヌクレオシド結合またはホスホロチオエートインターヌクレオシド結合から独立して選択され得る。
【0192】
本明細書に記載の二本鎖オリゴマーのいずれかでは、第1の修飾オリゴヌクレオチド及び/または第2の修飾オリゴヌクレオチドの少なくとも1つの核酸塩基は、修飾核酸塩基であり得る。特定の実施形態では、修飾核酸塩基は、5-メチルシトシンである。
【0193】
本明細書に記載の二本鎖オリゴマーのいずれかでは、第1の修飾オリゴヌクレオチドは、5’最末端ヌクレオシドの5’位に結合した安定化リン酸基を含み得る。特定の実施形態では、安定化リン酸基は、シクロプロピルホスホネートまたは(E)-ビニルホスホネートを含む。
【0194】
本明細書に記載の二本鎖オリゴマーのいずれかでは、第1の修飾オリゴヌクレオチドは、コンジュゲート基を含み得る。特定の実施形態では、コンジュゲート基は、コンジュゲートリンカー及びコンジュゲート部分を含む。特定の実施形態では、コンジュゲート基は、第1の修飾オリゴヌクレオチドの5’末端において第1の修飾オリゴヌクレオチドに結合している。特定の実施形態では、コンジュゲート基は、第1の修飾オリゴヌクレオチドの3’末端において当該修飾オリゴヌクレオチドに結合している。特定の実施形態では、コンジュゲート基は、N-アセチルガラクトサミンを含む。特定の実施形態では、コンジュゲート基は、トランスフェリン受容体(TfR)(TfR1及びCD71としても知られる)に親和性を有する細胞標的化部分を含む。特定の実施形態では、コンジュゲート基は、抗TfR1抗体またはその断片を含む。特定の実施形態では、コンジュゲート基は、TfR1に結合することが可能なタンパク質またはペプチドを含む。特定の実施形態では、コンジュゲート基は、TfR1に結合することが可能なアプタマーを含む。特定の実施形態では、コンジュゲート基は、C22アルキル、C20アルキル、C16アルキル、C10アルキル、C21アルキル、C19アルキル、C18アルキル、C15アルキル、C14アルキル、C13アルキル、C12アルキル、C11アルキル、C9アルキル、C8アルキル、C7アルキル、C6アルキル、C5アルキル、C22アルケニル、C20アルケニル、C16アルケニル、C10アルケニル、C21アルケニル、C19アルケニル、C18アルケニル、C15アルケニル、C14アルケニル、C13アルケニル、C12アルケニル、C11アルケニル、C9アルケニル、C8アルケニル、C7アルケニル、C6アルケニル、またはC5アルケニルのいずれかから選択されるコンジュゲート部分を含み得る。特定の実施形態では、コンジュゲート基は、C22アルキル、C20アルキル、C16アルキル、C10アルキル、C21アルキル、C19アルキル、C18アルキル、C15アルキル、C14アルキル、C13アルキル、C12アルキル、C11アルキル、C9アルキル、C8アルキル、C7アルキル、C6アルキル、またはC5アルキルのいずれかから選択されるコンジュゲート部分を含み得、アルキル鎖は、1つ以上の不飽和結合を有する。
【0195】
本明細書に記載の二本鎖オリゴマーのいずれかでは、第2の修飾オリゴヌクレオチドは、コンジュゲート基を含み得る。特定の実施形態では、コンジュゲート基は、コンジュゲートリンカー及びコンジュゲート部分を含む。特定の実施形態では、コンジュゲート基は、第2の修飾オリゴヌクレオチドの5’末端において第2の修飾オリゴヌクレオチドに結合している。特定の実施形態では、コンジュゲート基は、第2の修飾オリゴヌクレオチドの3’末端において当該修飾オリゴヌクレオチドに結合している。特定の実施形態では、コンジュゲート基は、N-アセチルガラクトサミンを含む。特定の実施形態では、コンジュゲート基は、トランスフェリン受容体(TfR)(TfR1及びCD71としても知られる)に親和性を有する細胞標的化部分を含む。特定の実施形態では、コンジュゲート基は、抗TfR1抗体またはその断片を含む。特定の実施形態では、コンジュゲート基は、TfR1に結合することが可能なタンパク質またはペプチドを含む。特定の実施形態では、コンジュゲート基は、TfR1に結合することが可能なアプタマーを含む。特定の実施形態では、コンジュゲート基は、C22アルキル、C20アルキル、C16アルキル、C10アルキル、C21アルキル、C19アルキル、C18アルキル、C15アルキル、C14アルキル、C13アルキル、C12アルキル、C11アルキル、C9アルキル、C8アルキル、C7アルキル、C6アルキル、C5アルキル、C22アルケニル、C20アルケニル、C16アルケニル、C10アルケニル、C21アルケニル、C19アルケニル、C18アルケニル、C15アルケニル、C14アルケニル、C13アルケニル、C12アルケニル、C11アルケニル、C9アルケニル、C8アルケニル、C7アルケニル、C6アルケニル、またはC5アルケニルのいずれかから選択されるコンジュゲート部分を含み得る。特定の実施形態では、コンジュゲート基は、C22アルキル、C20アルキル、C16アルキル、C10アルキル、C21アルキル、C19アルキル、C18アルキル、C15アルキル、C14アルキル、C13アルキル、C12アルキル、C11アルキル、C9アルキル、C8アルキル、C7アルキル、C6アルキル、またはC5アルキルのいずれかから選択されるコンジュゲート部分を含み得、アルキル鎖は、1つ以上の不飽和結合を有する。
【0196】
特定の実施形態では、アンチセンス剤は、アンチセンス化合物を含み、アンチセンス化合物は、本明細書に記載のオリゴマー化合物または二本鎖オリゴマーを含む。特定の実施形態では、アンチセンス剤(本明細書に記載のオリゴマー化合物または二本鎖オリゴマーを含み得る)は、RISC/Ago2の活性化を介してUNC13A核酸の量を調節することが可能なRNAi剤である。
【0197】
特定の実施形態は、2つ以上の二本鎖オリゴマーを含むオリゴマー剤を提供する。特定の実施形態では、オリゴマー剤は、本明細書に記載の二本鎖オリゴマーのいずれかを2つ以上含み得る。特定の実施形態では、オリゴマー剤は、同じ二本鎖オリゴマーを2つ以上含み、この二本鎖オリゴマーは、本明細書に記載の二本鎖オリゴマーのいずれかであり得る。特定の実施形態では、2つ以上の二本鎖オリゴマーは、一緒に連結される。特定の実施形態では、2つ以上の二本鎖オリゴマーは、共有結合で一緒に連結される。特定の実施形態では、2つ以上の二本鎖オリゴマーの第2の修飾オリゴヌクレオチは、共有結合で一緒に連結される。特定の実施形態では、2つ以上の二本鎖オリゴマーの第2の修飾オリゴヌクレオチドは、それらの3’末端において共有結合で一緒に連結される。特定の実施形態では、2つ以上の二本鎖オリゴマーは、グリコールリンカー(テトラエチレングリコールリンカーなど)によって共有結合で一緒に連結される。特定のそのような化合物については、例えば、Alterman,et al.,Nature Biotech.,37:844-894,2019に記載されている。
【0198】
I.特定のオリゴヌクレオチド
特定の実施形態では、本発明で提供するのは、連結ヌクレオシドからなるオリゴヌクレオチドを含むオリゴマー化合物である。オリゴヌクレオチドは、非修飾オリゴヌクレオチド(RNAまたはDNA)であっても、修飾オリゴヌクレオチドであってもよい。修飾オリゴヌクレオチドは、非修飾RNAまたは非修飾DNAに対する修飾を少なくとも1つ含む。すなわち、修飾オリゴヌクレオチドは、修飾ヌクレオシド(修飾糖部分及び/または修飾核酸塩基を含むヌクレオシド)を少なくとも1つ、及び/または修飾インターヌクレオシド結合を少なくとも1つ含む。以下では、修飾オリゴヌクレオチドにおける使用に適した特定の修飾ヌクレオシド及び修飾インターヌクレオシド結合について記載される。
【0199】
A.特定の修飾ヌクレオシド
修飾ヌクレオシドは、修飾糖部分、修飾核酸塩基、または修飾糖部分及び修飾核酸塩基の両方を含む。特定の実施形態では、下記の修飾糖部分及び/または下記の修飾核酸塩基を含む修飾ヌクレオシドが、修飾オリゴヌクレオチドに導入され得る。
【0200】
1.特定の糖部分
特定の実施形態では、修飾糖部分は、非二環式の修飾糖部分である。特定の実施形態では、修飾糖部分は、二環式または三環式の糖部分である。特定の実施形態では、修飾糖部分は、糖代替部分である。このような糖代替部分は、他の種類の修飾糖部分の置換に対応する置換を1つ以上含んでよい。
【0201】
特定の実施形態では、修飾糖部分は、置換基を1つ以上有するフラノシル環を含む非二環式の修飾糖部分であり、その置換基には、そのフラノシル環のうちの2つの原子を架橋して、二環式構造を形成させるものは存在しない。このような非架橋置換基は、そのフラノシルのいずれの位置にあってもよく、2’位、3’位、4’位及び/または5’位にある置換基が挙げられるが、これらに限らない。特定の実施形態では、非二環式の修飾糖部分の、1つ以上の非架橋置換基は、分岐状のものである。非二環式の修飾糖部分に適する2’-置換基の例としては、2’-F、2’-OCH3(「OMe」または「O-メチル」)、2’-O(CH2)2OCH3(「MOE」または「O-メトキシエチル」)、及び2’-O-N-アルキルアセトアミド(例えば、2’-O-N-メチルアセトアミド(「NMA」)、2’-O-N-ジメチルアセトアミド、2’-O-N-エチルアセトアミド、または2’-O-N-プロピルアセトアミド)が挙げられるが、これらに限らない。例えば、U.S.6,147,200,Prakash et al.,2003,Org.Lett.,5,403-6を参照のこと。以下には、「2’-O-N-メチルアセトアミドヌクレオシド」、すなわち「2’-NMAヌクレオシド」が示される:
【0202】
【0203】
特定の実施形態では、2’-置換基は、ハロ、アリル、アミノ、アジド、SH、CN、OCN、CF3、OCF3、O-C1-C10アルコキシ、O-C1-C10置換アルコキシ、O-C1-C10アルキル、O-C1-C10置換アルキル、S-アルキル、N(Rm)-アルキル、O-アルケニル、S-アルケニル、N(Rm)-アルケニル、O-アルキニル、S-アルキニル、N(Rm)-アルキニル、O-アルキレニル-O-アルキル、アルキニル、アルカリル、アラルキル、O-アルカリル、O-アラルキル、O(CH2)2SCH3、O(CH2)2ON(Rm)(Rn)またはOCH2C(=O)-N(Rm)(Rn)(式中、各Rm及びRnは独立して、H、アミノ保護基、または置換もしくは非置換のC1-C10アルキルである)、-O(CH2)2ON(CH3)2(「DMAOE」)、2’-O(CH2)2O(CH2)2N(CH3)2(「DMAEOE」)、ならびにCookらのU.S.6,531,584、CookらのU.S.5,859,221及びCookらのU.S.6,005,087に記載されているような2’-置換基の中から選択されている。これらの2’-置換基の特定の実施形態は、ヒドロキシル、アミノ、アルコキシ、カルボキシ、ベンジル、フェニル、ニトロ(NO2)、チオール、チオアルコキシ、チオアルキル、ハロゲン、アルキル、アリール、アルケニル及びアルキニルの中から独立して選択した1つ以上の置換基でさらに置換されていることができる。特定の実施形態では、非二環式の修飾糖部分は、3’位に置換基を含む。修飾糖部分の3’位に適した置換基の例としては、限定されないが、アルコキシ(例えば、メトキシ)、アルキル(例えば、メチル、エチル)が挙げられる。特定の実施形態では、非二環式の修飾糖部分は、4’位に置換基を含む。非二環式の修飾糖部分に適する4’-置換基の例としては、アルコキシ(例えばメトキシ)、アルキル、及びManoharanらのWO2015/106128に記載されているような基が挙げられるが、これらに限らない。非二環式の修飾糖部分に適する5’-置換基の例としては、5’-メチル(RまたはS)、5’-ビニル、エチル、及び5’-メトキシが挙げられるが、これらに限らない。特定の実施形態では、非二環式の修飾糖部分は、2つ以上の非架橋糖置換基、例えば2’-F-5’-メチル糖部分、ならびに、MigawaらのWO2008/101157及びRajeevらのUS2013/0203836に記載されている修飾糖部分及び修飾ヌクレオシドを含む。
【0204】
特定の実施形態では、2’-置換非二環式修飾ヌクレオシドは、F、NH2、N3、OCF3、OCH3、O(CH2)3NH2、CH2CH=CH2、OCH2CH=CH2、OCH2CH2OCH3、O(CH2)2SCH3、O(CH2)2ON(Rm)(Rn)、O(CH2)2O(CH2)2N(CH3)2及びN-置換アセトアミド(OCH2C(=O)-N(Rm)(Rn))(式中、各Rm及びRnは独立して、H、アミノ保護基、または置換もしくは非置換のC1-C10アルキルであり、例えば、OCH2C(=O)-N(H)CH3(「NMA」)である)から選択した非架橋2’-置換基を含む糖部分を含む。
【0205】
特定の実施形態では、2’-置換ヌクレオシドである非二環式修飾ヌクレオシドは、F、OCF3、OCH3、OCH2CH2OCH3、O(CH2)2SCH3、O(CH2)2ON(CH3)2、O(CH2)2O(CH2)2N(CH3)2、O(CH2)2ON(CH3)2(「DMAOE」)、O(CH2)2O(CH2)2N(CH3)2(「DMAEOE」)、及びOCH2C(=O)-N(H)CH3(「NMA」)から選択した非架橋2’-置換基を含む糖部分を含む。
【0206】
特定の実施形態では、2’-置換非二環式修飾ヌクレオシドは、F、OCH3及びOCH2CH2OCH3、ならびにOCH2C(=O)-N(H)CH3から選択した非架橋2’-置換基を含む糖部分を含む。
【0207】
特定の実施形態では、修飾フラノシル糖部分、及びそのような修飾フラノシル糖部分が導入されたヌクレオシドは、異性配置によってさらに定義される。例えば、2’-デオキシフラノシル糖部分は、天然起源のβ-D-デオキシリボシル配置以外にも7つの異性配置をとり得る。そのような修飾糖部分については、例えば、WO2019/157531に記載されており、当該文献は、参照によって本明細書に組み込まれる。2’修飾糖部分は、2’-デオキシフラノシル糖部分と比較して2’位に追加の立体中心を有する。したがって、そのような糖部分がとり得る異性配置は全部で16種類存在する。本明細書に記載の2’修飾糖部分は、別段の指定がない限り、β-D-リボシル異性配置をとる。
【0208】
特定の実施形態では、非二環式の修飾糖部分は、4’位に置換基を含む。修飾糖部分の4’位に適した置換基の例としては、限定されないが、アルコキシ(例えば、メトキシ)、アルキル、及びManoharan et al.,WO2015/106128に記載のものが挙げられる。
【0209】
特定の実施形態では、非二環式の修飾糖部分は、3’位に置換基を含む。修飾糖部分の3’位に適した置換基の例としては、限定されないが、アルコキシ(例えば、メトキシ)及びアルキル(例えば、メチル、エチル)が挙げられる。
【0210】
特定の実施形態では、非二環式の修飾糖部分は、5’位に置換基を含む。修飾糖部分の5’位に適した置換基の例としては、限定されないが、ビニル、アルコキシ(例えば、メトキシ)、及びアルキル(例えば、メチル(RまたはS)、エチル)が挙げられる。
【0211】
天然起源の核酸では、糖は、互いに3’→5’で連結されている。特定の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、代替位置(例えば、2’位、逆位5’→3’)で連結された1つ以上のヌクレオシドまたは糖部分を含む。例えば、結合が2’位に対するものである場合、2’-置換基は、代わりに3’位に存在し得る。
【0212】
特定の修飾糖部分は、フラノシル環の2つの原子を架橋して、第2の環を形成することにより、二環式糖部分をもたらす置換を含む。そのような二環式糖部分を含むヌクレオシドは、二環式ヌクレオシド(BNA)、架橋型ヌクレオチド、または立体配座的に拘束されたヌクレオチド(CRN)と称されている。特定のそのような化合物については、米国特許公開公報第2013/0190383号及びPCT公開公報WO2013/036868に記載されている。特定のこのような実施形態では、その二環式糖部分は、4’フラノース環原子と2’フラノース環原子の間に架橋を含む。特定のそのような実施形態では、フラノース環は、リボース環である。4’から2’までを架橋するこのような糖置換基の例としては、4’-CH2-2’、4’-(CH2)2-2’、4’-(CH2)3-2’、4’-CH2-O-2’(「LNA」)、4’-CH2-S-2’、4’-(CH2)2-O-2’(「ENA」)、4’-CH(CH3)-O-2’(S配置をとる場合、「拘束エチル」または「cEt」という)、4’-CH2-O-CH2-2’、4’-CH2-N(R)-2’、4’-CH(CH2OCH3)-O-2’(「拘束MOE」または「cMOE」)及びその類似体(例えば、SethらのU.S.7,399,845、BhatらのU.S.7,569,686、SwayzeらのU.S.7,741,457及びSwayzeらのU.S.8,022,193を参照されたい)、4’-C(CH3)(CH3)-O-2’及びその類似体(例えば、SethらのU.S.8,278,283を参照されたい)、4’-CH2-N(OCH3)-2’及びその類似体(例えば、PrakashらのU.S.8,278,425を参照されたい)、4’-CH2-O-N(CH3)-2’(例えば、AllersonらのU.S.7,696,345及びAllersonらのU.S.8,124,745を参照されたい)、4’-CH2-C(H)(CH3)-2’(例えば、Zhou,et al.,J.Org.Chem.,2009,74,118-134を参照されたい)、4’-CH2-C(=CH2)-2’及びその類似体(例えば、SethらのU.S.8,278,426を参照されたい)、4’-C(RaRb)-N(R)-O-2’、4’-C(RaRb)-O-N(R)-2’、4’-CH2-O-N(R)-2’、ならびに4’-CH2-N(R)-O-2’(式中、各R、Ra及びRbは独立して、H、保護基またはC1-C12アルキルである)(例えば、ImanishiらのU.S.7,427,672を参照されたい)が挙げられるが、これらに限らない。
【0213】
特定の実施形態では、このような4’から2’までの架橋部は独立して、-[C(Ra)(Rb)]n-、-[C(Ra)(Rb)]n-O-、-C(Ra)=C(Rb)-、-C(Ra)=N-、-C(=NRa)-、-C(=O)-、-C(=S)-、-O-、-Si(Ra)2-、-S(=O)x-及び-N(Ra)-から独立して選択した1~4個の連結基を含み、
式中、
xは、0、1または2であり、
nは、1、2、3または4であり、
各Ra及びRbは独立して、H、保護基、ヒドロキシル、C1-C12アルキル、置換C1-C12アルキル、C2-C12アルケニル、置換C2-C12アルケニル、C2-C12アルキニル、置換C2-C12アルキニル、C5-C20アリール、置換C5-C20アリール、複素環式ラジカル、置換複素環式ラジカル、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、C5-C7脂環式ラジカル、置換C5-C7脂環式ラジカル、ハロゲン、OJ1、NJ1J2、SJ1、N3、COOJ1、アシル(C(=O)-H)、置換アシル、CN、スルホニル(S(=O)2-J1)またはスルホキシル(S(=O)-J1)であり、
各J1及びJ2は独立して、H、C1-C12アルキル、置換C1-C12アルキル、C2-C12アルケニル、置換C2-C12アルケニル、C2-C12アルキニル、置換C2-C12アルキニル、C5-C20アリール、置換C5-C20アリール、アシル(C(=O)-H)、置換アシル、複素環式ラジカル、置換複素環式ラジカル、C1-C12アミノアルキル、置換C1-C12アミノアルキルまたは保護基である。
【0214】
さらなる二環式糖部分は、当該技術分野において知られており、例えば、Freier et al.,Nucleic Acids Research,1997,25(22),4429-4443、Albaek et al.,J.Org.Chem.,2006,71,7731-7740、Singh et al.,Chem.Commun.,1998,4,455-456、Koshkin et al.,Tetrahedron,1998,54,3607-3630、Wahlestedt et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.,2000,97,5633-5638、Kumar et al.,Bioorg.Med.Chem.Lett.,1998,8,2219-2222、Singh et al.,J.Org.Chem.,1998,63,10035-10039、Srivastava et al.,J.Am.Chem.Soc.,2007,129,8362-8379、Elayadi et al.,Curr.Opinion Invens.Drugs,2001,2,558-561、Braasch et al.,Chem.Biol.,2001,8,1-7、Orum et al.,Curr.Opinion Mol.Ther.,2001,3,239-243、WengelらのU.S.7,053,207、ImanishiらのU.S.6,268,490、ImanishiらのU.S.6,770,748、ImanishiらのU.S.RE44,779、WengelらのU.S.6,794,499、WengelらのU.S.6,670,461、WengelらのU.S.7,034,133、WengelらのU.S.8,080,644、WengelらのU.S.8,034,909、WengelらのU.S.8,153,365、WengelらのU.S.7,572,582、RamasamyらのU.S.6,525,191、TorstenらのWO2004/106356、WengelらのWO1999/014226、SethらのWO2007/134181、SethらのU.S.7,547,684、SethらのU.S.7,666,854、SethらのU.S.8,088,746、SethらのU.S.7,750,131、SethらのU.S.8,030,467、SethらのU.S.8,268,980、SethらのU.S.8,546,556、SethらのU.S.8,530,640、MigawaらのU.S.9,012,421、SethらのU.S.8,501,805、AllersonらのUS2008/0039618、及びMigawaらのUS2015/0191727を参照されたい。特定の実施形態では、二環式糖部分、及びそのような二環式糖部分が導入されたヌクレオシドは、異性体の配置によってさらに定義されている。例えば、LNAヌクレオシド(本明細書に説明されている)は、α-L配置であっても、β-D配置であってもよい。
【0215】
【0216】
α-L-メチレンオキシ(4’-CH2-O-2’)またはα-L-LNAの二環式ヌクレオシドは、アンチセンス活性を示すオリゴヌクレオチドに導入されてきている(Frieden et al.,Nucleic Acids Research,2003,21,6365-6372)。架橋型核酸をsiRNAに付加すると、血清中でのsiRNA安定性が向上すると共に、オフターゲット効果が減少することが示されている(Elmen,J.et al.,(2005)Nucleic Acids Research 33(1):439-447、Mook,OR.et al.,(2007)Mal Cane Ther 6(3):833-843、Grunweller,A.et al.,(2003)Nucleic Acids Research 31(12):3185-3193)。本明細書では、二環式ヌクレオシドという一般的な記載には、両方の異性体配置が含まれる。所定の二環式ヌクレオシド(例えばLNAまたはcEt)の位置が、本発明の例示の実施形態で特定されている場合、別段の定めのない限り、それらはβ-D配置である。
【0217】
特定の実施形態では、修飾糖部分は、1つ以上の非架橋糖置換基と、1つ以上の架橋糖置換基(例えば、5’-置換糖と4’-2’架橋糖)を含む。
【0218】
特定の実施形態では、修飾糖部分は、糖代替部分である。特定のこのような実施形態では、その糖部分の酸素原子は、例えば、硫黄原子、炭素原子または窒素原子で置き換えられている。特定のこのような実施形態では、このような修飾糖部分は、本明細書に記載されているような架橋置換基及び/または非架橋置換基も含む。例えば、特定の糖代替部分は、4’-硫黄原子と、2’位の置換基(例えば、BhatらのU.S.7,875,733及びBhatらのU.S.7,939,677を参照されたい)及び/または5’位の置換基を含む。
【0219】
特定の実施形態では、糖代替部分は、5個以外の原子を有する環を含む。例えば、特定の実施形態では、糖代替部分は、6員のテトラヒドロピラン(「THP」)を含む。このようなテトラヒドロピランは、さらに修飾または置換されていてもよい。このような修飾テトラヒドロピランを含むヌクレオシドとしては、ヘキシトール核酸(「HNA」)、アニトール核酸(「ANA」)、マンニトール核酸(「MNA」)(例えば、Leumann,CJ.Bioorg.& Med.Chem.2002,10,841-854を参照されたい)、フルオロHNA
【0220】
【0221】
(「F-HNA」、例えば、SwayzeらのU.S.8,088,904、SwayzeらのU.S.8,440,803、SwayzeらのU.S.8,796,437及びSwayzeらのU.S.9,005,906を参照されたい。F-HNAは、F-THPまたは3’-フルオロテトラヒドロピランと称することもできる)、及び以下の式を有する追加の修飾THP化合物を含むヌクレオシドが挙げられるが、これらに限らない。
【0222】
【0223】
式中、独立して、当該修飾THPヌクレオシドのそれぞれにおいて、
Bxは、核酸塩基部分であり、
T3及びT4はそれぞれ独立して、その修飾THPヌクレオシドをオリゴヌクレオチドの残部に連結するインターヌクレオシド連結基であるか、またはT3及びT4のうちの1つは、その修飾THPヌクレオシドをオリゴヌクレオチドの残部に連結するインターヌクレオシド連結基であり、T3及びT4のうちのもう一方は、H、ヒドロキシル保護基、コンジュゲート基、または5’もしくは3’末端基であり、
q1、q2、q3、q4、q5、q6及びq7はそれぞれ独立して、H、C1-C6アルキル、置換C1-C6アルキル、C2-C6アルケニル、置換C2-C6アルケニル、C2-C6アルキニルまたは置換C2-C6アルキニルであり、
R1及びR2のそれぞれは独立して、水素、ハロゲン、置換または非置換のアルコキシ、NJ1J2、SJ1、N3、OC(=X)J1、OC(=X)NJ1J2、NJ3C(=X)NJ1J2及びCNの中から選択されており、そのXは、O、SまたはNJ1であり、J1、J2及びJ3はそれぞれ、独立して、HまたはC1-C6アルキルである。
【0224】
特定の実施形態では、上記の式中、q1、q2、q3、q4、q5、q6及びq7がそれぞれHである修飾THPヌクレオシドを提供する。特定の実施形態では、q1、q2、q3、q4、q5、q6及びq7のうちの少なくとも1つは、H以外である。特定の実施形態では、q1、q2、q3、q4、q5、q6及びq7のうちの少なくとも1つは、メチルである。特定の実施形態では、上記の式中、R1及びR2のうちの1つがFである修飾THPヌクレオシドを提供する。特定の実施形態では、R1はFであり、R2はHであり、特定の実施形態では、R1はメトキシであり、R2はHであり、特定の実施形態では、R1はメトキシエトキシであり、R2はHである。
【0225】
特定の実施形態では、糖代替部分は、6個以上の原子と2つ以上のヘテロ原子を有する環を含む。例えば、モルホリノ糖部分を含むヌクレオシドと、そのヌクレオシドをオリゴヌクレオチドにおいて用いることが報告されている(例えば、Braasch et al.,Biochemistry,2002,41,4503-4510、ならびにSummertonらのU.S.5,698,685、SummertonらのU.S.5,166,315、SummertonらのU.S.5,185,444及びSummertonらのU.S.5,034,506を参照されたい)。本明細書で使用する場合、「モルホリノ」という用語は、下記の構造を有する糖代替部分を意味する。
【0226】
【0227】
特定の実施形態では、モルホリノは、例えば、上記のモルホリノ構造から、様々な置換基を付加または改変することによって修飾されていてよい。このような糖代替部分は、本明細書では、「修飾モルホリノ」という。
【0228】
特定の実施形態では、糖代替部分は、非環式部分を含む。このような非環式糖代替部分を含むヌクレオシド及びオリゴヌクレオチドの例としては、ペプチド核酸(「PNA」)、非環式ブチル核酸(例えば、Kumar et al.,Org.Biomol.Chem.,2013,11,5853-5865を参照されたい)、ならびにManoharanらのWO2011/133876に記載されているヌクレオシド及びオリゴヌクレオチドが挙げられるが、これらに限らない。特定の実施形態では、糖代替部分は、非環式部分を含む。そのような非環式糖代替部分を含むヌクレオシド及びオリゴヌクレオチドの例としては、限定されないが、ペプチド核酸(「PNA」)、非環式ブチル核酸(例えば、Kumar et al.,Org.Biomol.Chem.,2013,11,5853-5865を参照のこと)、ならびにManoharan et al.,US2013/130378に記載のヌクレオシド及びオリゴヌクレオチドが挙げられる。PNA化合物の調製について教示する代表的な米国特許には、限定されないが、米国特許第5,539,082号、同第5,714,331号、及び同第5,719,262号が含まれる。本発明のオリゴヌクレオチドにおける使用に適した追加のPNA化合物については、例えば、Nielsen et al.,Science,1991,254,1497-1500に記載されている。
【0229】
特定の実施形態では、糖代替部分は、UNA(非架橋型核酸)ヌクレオシドの「非架橋型」糖構造である。UNAは非架橋型非環式核酸であり、糖の結合がいずれも除去されて、非架橋型糖代替部分が形成されている。UNAの調製を教示する代表的な米国公開公報には、限定されないが、米国特許第8,314,227号、ならびに米国特許公開公報第2013/0096289号、同第2013/0011922号、及び同第2011/0313020号が含まれ、これらの文献はそれぞれ、その内容全体が参照によって本明細書に組み込まれる。
【0230】
特定の実施形態では、糖代替部分は、以下に示されるGNA(グリコール核酸)ヌクレオシドに見られるグリセロールである。
(S)-GNA
【0231】
【0232】
式中、Bxは、任意の核酸塩基を表す。
【0233】
修飾ヌクレオシドで使用できる多くの他の二環式糖、三環式糖及び糖代替部分は、当該技術分野において知られている。
【0234】
2.特定の修飾核酸塩基
特定の実施形態では、修飾オリゴヌクレオチドは、非修飾核酸塩基を含むヌクレオシドを1つ以上含む。特定の実施形態では、修飾オリゴヌクレオチドは、修飾核酸塩基を含むヌクレオシドを1つ以上含む。特定の実施形態では、修飾オリゴヌクレオチドは、核酸塩基を含まないヌクレオシド(脱塩基ヌクレオシドという)を1つ以上含む。特定の実施形態では、修飾オリゴヌクレオチドは、1つ以上のイノシンヌクレオシド(すなわち、ヒポキサンチン核酸塩基を含むヌクレオシド)を含む。
【0235】
特定の実施形態では、修飾核酸塩基は、5-置換ピリミジン、6-アザピリミジン、アルキル置換ピリミジン、アルキニル置換ピリミジン、アルキル置換プリン、N-2置換プリン、N-6置換プリン及びO-6置換プリンから選択されている。特定の実施形態では、修飾核酸塩基は、5-メチルシトシン、2-アミノプロピルアデニン、5-ヒドロキシメチルシトシン、キサンチン、ヒポキサンチン、2-アミノアデニン、6-N-メチルグアニン、6-N-メチルアデニン、2-プロピルアデニン、2-チオウラシル、2-チオチミン、2-チオシトシン、5-プロピニル(-C≡C-CH3)ウラシル、5-プロピニルシトシン、6-アゾウラシル、6-アゾシトシン、6-アゾチミン、5-リボシルウラシル(プソイドウラシル)、4-チオウラシル、8-ハロ、8-アミノ、8-チオール、8-チオアルキル、8-ヒドロキシル、8-アザプリン及びその他の8-置換プリン、5-ハロ、特に、5-ブロモ、5-トリフルオロメチル、5-ハロウラシル及び5-ハロシトシン、7-メチルグアニン、7-メチルアデニン、2-F-アデニン、2-アミノアデニン、7-デアザグアニン、7-デアザアデニン、3-デアザグアニン、3-デアザアデニン、6-N-ベンゾイルアデニン、2-N-イソブチリルグアニン、4-N-ベンゾイルシトシン、4-N-ベンゾイルウラシル、5-メチル4-N-ベンゾイルシトシン、5-メチル4-N-ベンゾイルウラシル、ユニバーサル塩基、疎水性塩基、プロミスキャス塩基、サイズ拡張型塩基、ならびにフルオロ化塩基から選択されている。さらなる修飾核酸塩基としては、1,3-ジアザフェノキサジン-2-オン、1,3-ジアザフェノチアジン-2-オン及び9-(2-アミノエトキシ)-1,3-ジアザフェノキサジン-2-オン(Gクランプ)のような三環式ピリミジンが挙げられる。修飾核酸塩基としては、そのプリン塩基またはピリミジン塩基が、他の複素環、例えば、7-デアザ-アデニン、7-デアザグアノシン、2-アミノピリジン及び2-ピリドンに置き換わっているものも挙げてよい。さらなる核酸塩基としては、MeriganらのU.S.3,687,808に開示されているもの、The Concise Encyclopedia Of Polymer Science And Engineering,Kroschwitz,J.I.,Ed.,John Wiley & Sons,1990,858-859、Englisch et al.,Angewandte Chemie,International Edition,1991,30,613、Sanghvi,Y.S.,Chapter15,Antisense Research and Applications,Crooke,S.T.and Lebleu,B.,Eds.,CRC Press,1993,273-288に開示されているもの、及びChapters 6 and 15,Antisense Drug Technology,Crooke S.T.,Ed.,CRC Press,2008,163-166 and 442-443に開示されているものが挙げられる。
【0236】
上記の修飾核酸塩基のうちの特定の塩基の調製、及びその他の修飾核酸塩基を教示している刊行物としては、ManoharanらのUS2003/0158403、ManoharanらのUS2003/0175906、DinhらのU.S.4,845,205、SpielvogelらのU.S.5,130,302、RogersらのU.S.5,134,066、BischofbergerらのU.S.5,175,273、UrdeaらのU.S.5,367,066、BennerらのU.S.5,432,272、MatteucciらのU.S.5,434,257、GmeinerらのU.S.5,457,187、CookらのU.S.5,459,255、FroehlerらのU.S.5,484,908、MatteucciらのU.S.5,502,177、HawkinsらのU.S.5,525,711、HaralambidisらのU.S.5,552,540、CookらのU.S.5,587,469、FroehlerらのU.S.5,594,121、SwitzerらのU.S.5,596,091、CookらのU.S.5,614,617、FroehlerらのU.S.5,645,985、CookらのU.S.5,681,941、CookらのU.S.5,811,534、CookらのU.S.5,750,692、CookらのU.S.5,948,903、CookらのU.S.5,587,470、CookらのU.S.5,457,191、MatteucciらのU.S.5,763,588、FroehlerらのU.S.5,830,653、CookらのU.S.5,808,027、CookらのU.S.6,166,199及びMatteucciらのU.S.6,005,096が挙げられるが、これらに限らない。
【0237】
3.特定の修飾インターヌクレオシド結合
RNA及びDNAの天然起源のインターヌクレオシド結合は、3’→5’ホスホジエステル結合である。特定の実施形態では、修飾オリゴヌクレオチドのヌクレオシドは、1つ以上の修飾インターヌクレオシド結合を用いて、連結し合っていてよい。インターヌクレオシド連結基の2つの主な種類は、リン原子の有無によって定義される。リンを含む代表的なインターヌクレオシド結合としては、ホスホジエステル結合(「P=O」)(非修飾結合または天然の結合ともいう)、ホスホトリエステル、メチルホスホネート、ホスホロアミデート及びホスホロチオエート(「P=S」)、ならびにホスホロジチオエート(「HS-P=S」)を含むリン酸エステルが挙げられるが、これらに限らない。リンを含まない代表的なインターヌクレオシド連結基としては、メチレンメチルイミノ(-CH2-N(CH3)-O-CH2-)、チオジエステル、チオノカルバメート(-O-C(=O)(NH)-S-)、シロキサン(-O-SiH2-O-)及びN,N’-ジメチルヒドラジン(-CH2-N(CH3)-N(CH3)-)が挙げられるが、これらに限らない。修飾インターヌクレオシド結合は、天然のリン酸結合と比べて、そのオリゴヌクレオチドのヌクレアーゼ耐性を変化させる目的で、典型的には増大させる目的で用いることができる。特定の実施形態では、キラル原子を有するインターヌクレオシド結合は、ラセミ混合物として、または別々のエナンチオマーとして調製できる。リンを含むかまたはリンを含まないインターヌクレオシド結合の調製方法は、当業者には周知である。
【0238】
特定の実施形態では、修飾インターヌクレオシド結合は、WO/2021/030778に記載のもののいずれかであり、当該文献は参照によって本明細書に組み込まれる。特定の実施形態では、修飾インターヌクレオシド結合は、式:
【0239】
【0240】
を含み、
式中、修飾オリゴヌクレオチドのインターヌクレオシド連結基ごとに独立して、
Xは、OまたはSから選択され、
R1は、H、C1-C6アルキル、及び置換C1-C6アルキルから選択され、
Tは、SO2R2、C(=O)R3、及びP(=O)R4R5から選択され、
R2は、アリール、置換アリール、複素環、置換複素環、芳香族複素環、置換芳香族複素環、ジアゾール、置換ジアゾール、C1-C6アルコキシ、C1-C6アルキル、C1-C6アルケニル、C1-C6アルキニル、置換C1-C6アルキル、置換C1-C6アルケニル、置換C1-C6アルキニル、及びコンジュゲート基から選択され、
R3は、アリール、置換アリール、CH3、N(CH3)2、OCH3、及びコンジュゲート基から選択され、
R4は、OCH3、OH、C1-C6アルキル、置換C1-C6アルキル、及びコンジュゲート基から選択され、
R5は、OCH3、OH、C1-C6アルキル、及び置換C1-C6アルキルから選択される。
【0241】
特定の実施形態では、修飾インターヌクレオシド結合は、式:
【0242】
【0243】
を有するメシルホスホロアミデート連結基を含む。
【0244】
特定の実施形態では、メシルホスホロアミデートインターヌクレオシド結合は、キラル中心を含み得る。特定の実施形態では、(Rp)及び/または(Sp)メシルホスホロアミデートを含む修飾オリゴヌクレオチドは、それぞれ下記の式の1つ以上を含み、式中「B」は核酸塩基を示す。
【0245】
【0246】
キラル中心を有する代表的なインターヌクレオシド結合としては、アルキルホスホネート、メシルホスホロアミデート、及びホスホロチオエートが挙げられるが、これらに限らない。キラル中心を有するインターヌクレオシド結合を含む修飾オリゴヌクレオチドは、ステレオランダムなインターヌクレオシド結合を含む修飾オリゴヌクレオチドの集団として、または特定の立体化学的配置のホスホロチオエートもしくは他のキラル中心含有結合を含む修飾オリゴヌクレオチドの集団として調製できる。特定の実施形態では、修飾オリゴヌクレオチドの集団は、そのホスホロチオエートインターヌクレオシド結合のすべてがステレオランダムであるホスホロチオエートインターヌクレオシド結合を含む。特定の実施形態では、修飾オリゴヌクレオチドの集団は、メシルホスホロアミデートインターヌクレオシド結合を含み、メシルホスホロアミデートインターヌクレオシド結合はすべて、ステレオランダムである。このような修飾オリゴヌクレオチドは、各ホスホロチオエート結合またはメシルホスホロアミデート結合の立体化学的配置がランダムに選択される合成方法を用いて作製できる。しかしその一方では、個々のオリゴヌクレオチド分子のそれぞれの個々のホスホロチオエートまたはメシルホスホロアミデートはそれぞれ、立体配置が定められている。特定の実施形態では、修飾オリゴヌクレオチド集団においては、独立して選択した特定の立体化学的配置である特定のホスホロチオエートインターヌクレオシド結合またはメシルホスホロアミデートインターヌクレオシド結合を1つ以上含む修飾オリゴヌクレオチドが富化されている。特定の実施形態では、その特定の配置の特定のホスホロチオエート結合またはメシルホスホロアミデート結合は、その集団内の分子の少なくとも65%に存在する。特定の実施形態では、その特定の配置の特定のホスホロチオエート結合またはメシルホスホロアミデート結合は、その集団内の分子の少なくとも70%に存在する。特定の実施形態では、その特定の配置の特定のホスホロチオエート結合またはメシルホスホロアミデート結合は、その集団内の分子の少なくとも80%に存在する。特定の実施形態では、その特定の配置の特定のホスホロチオエート結合またはメシルホスホロアミデート結合は、その集団内の分子の少なくとも90%に存在する。特定の実施形態では、その特定の配置の特定のホスホロチオエート結合またはメシルホスホロアミデート結合は、その集団内の分子の少なくとも99%に存在する。このようなキラル的に富化された修飾オリゴヌクレオチド集団は、当該技術分野において知られている合成方法、例えば、Oka et al.,JACS 125,8307(2003)、Wan et al.Nuc.Acid.Res.42,13456(2014)及びWO2017/015555に記載されている方法を用いて作製できる。特定の実施形態では、修飾オリゴヌクレオチド集団においては、(Sp)配置である示されているホスホロチオエートまたはメシルホスホロアミデートを少なくとも1つ有する修飾オリゴヌクレオチドが富化されている。特定の実施形態では、修飾オリゴヌクレオチド集団においては、(Rp)配置であるホスホロチオエートまたはメシルホスホロアミデートを少なくとも1つ有する修飾オリゴヌクレオチドが富化さている。特定の実施形態では、(Rp)ホスホロチオエート及び/または(Sp)ホスホロチオエートを含む修飾オリゴヌクレオチドはそれぞれ、以下の式のうちの1つ以上を含み、式中、「B」は、核酸塩基を示している。
【0247】
【0248】
別段に示されていない限り、本明細書に記載されている修飾オリゴヌクレオチドのキラルなインターヌクレオシド結合は、ステレオランダムであることも、特定の立体化学的配置であることもできる。
【0249】
中性インターヌクレオシド結合としては、ホスホトリエステル、メチルホスホネート、MMI(3’-CH2-N(CH3)-O-5’)、アミド-3(3’-CH2-C(=O)-N(H)-5’)、アミド-4(3’-CH2-N(H)-C(=O)-5’)、ホルムアセタール(3’-O-CH2-O-5’)、メトキシプロピル(MOP)、及びチオホルムアセタール(3’-S-CH2-O-5’)が挙げられるが、これらに限らない。さらなる中性インターヌクレオシド結合としては、シロキサン(ジアルキルシロキサン)、カルボン酸エステル、カルボキサミド、スルフィド、スルホン酸エステル及びアミドを含む非イオン結合が挙げられる(例えば、Carbohydrate Modifications in Antisense Research,Y.S.Sanghvi and P.D.Cook,Eds.,ACS Symposium Series 580;Chapters 3 and 4,40-65を参照されたい)。さらなる中性インターヌクレオシド結合としては、N、O、S及びCH2を混合した成分部分を含む非イオン結合が挙げられる。
【0250】
特定の実施形態では、修飾オリゴヌクレオチドは、以下に示される逆位ヌクレオシド
【0251】
【0252】
を1つ以上含み、
式中、各Bxは、独立して、任意の核酸塩基を表す。
【0253】
特定の実施形態では、逆位ヌクレオシドは末端(すなわち、オリゴヌクレオチドの一方の末端上の最後のヌクレオシド)に位置し、したがって、上に示されるインターヌクレオシド結合が1つのみ存在することになる。特定のそのような実施形態では、追加の特徴(コンジュゲート基など)は、逆位ヌクレオシドに結合され得る。そのような末端逆位ヌクレオシドは、オリゴヌクレオチドの一方の末端または両方の末端に結合され得る。
【0254】
特定の実施形態では、そのような基は核酸塩基を含まず、本明細書では逆位糖部分と称される。特定の実施形態では、逆位糖部分は末端に位置し(すなわち、オリゴヌクレオチドの一方の末端上の最後のヌクレオシドに結合される)、したがって、上記のインターヌクレオシド結合が1つのみ存在することになる。特定のそのような実施形態では、追加の特徴(コンジュゲート基など)は逆位糖部分に結合され得る。そのような末端逆位糖部分は、オリゴヌクレオチドの一方の末端または両方の末端に結合され得る。
【0255】
特定の実施形態では、核酸は、標準的な3’→5’結合ではなく、2’→5’結合で連結され得る。そのような結合は以下に示されるものであり、
【0256】
【0257】
式中、各Bxは、任意の核酸塩基を表す。
【0258】
B.特定のモチーフ
特定の実施形態では、修飾オリゴヌクレオチドは、修飾糖部分を含む修飾ヌクレオシドを1つ以上含む。特定の実施形態では、修飾オリゴヌクレオチドは、修飾核酸塩基を含む修飾ヌクレオシドを1つ以上含む。特定の実施形態では、修飾オリゴヌクレオチドは、修飾インターヌクレオシド結合を1つ以上含む。このような実施形態では、修飾オリゴヌクレオチドの修飾型、非修飾型及び異なる修飾を有する糖部分、核酸塩基及び/またはインターヌクレオシド結合によって、パターンまたはモチーフが定められる。特定の実施形態では、糖部分、核酸塩基及びインターヌクレオシド結合のパターンはそれぞれ、互いから独立している。したがって、修飾オリゴヌクレオチドは、その糖モチーフ、核酸塩基モチーフ及び/またはインターヌクレオシド結合モチーフによって説明し得る(本明細書で使用する場合、核酸塩基モチーフは、核酸塩基の配列から独立した、核酸塩基への修飾を説明するものである)。
【0259】
1.特定の糖モチーフ
特定の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、そのオリゴヌクレオチドまたはその領域に沿って、定められたパターンまたは糖モチーフで配置された修飾糖部分及び/または非修飾糖部分を1種類以上含む。特定の場合では、このような糖モチーフとしては、本明細書で論じられている修飾糖部分のいずれもが挙げられるが、これらに限らない。
【0260】
特定の実施形態では、修飾オリゴヌクレオチドは、修飾糖部分を含む少なくとも12個、少なくとも13個、少なくとも14個、少なくとも15個、少なくとも16個、少なくとも17個、少なくとも18個、少なくとも19個、または少なくとも20個のヌクレオシドを含む。特定の実施形態では、修飾糖部分は、2’-置換糖部分、二環式糖部分、または糖代替部分から独立して選択される。特定の実施形態では、2’-置換糖部分は、2’-MOE糖部分、2’-NMA糖部分、2’-OMe糖部分、及び2’-F糖部分から選択される。特定の実施形態では、二環式糖部分は、cEt糖部分及びLNA糖部分から選択される。特定の実施形態では、糖代替部分は、モルホリノ、修飾モルホリノ、THP、及びF-HNAから選択される。
【0261】
特定の実施形態では、修飾オリゴヌクレオチドの各ヌクレオシドは修飾糖部分を含む(「完全に修飾されたオリゴヌクレオチド」)。特定の実施形態では、完全に修飾されたオリゴヌクレオチドの各ヌクレオシドは、2’-置換糖部分、二環式糖部分、または糖代替部分を含む。特定の実施形態では、2’-置換糖部分は、2’-MOE糖部分、2’-NMA糖部分、2’-OMe糖部分、及び2’-F糖部分から選択される。特定の実施形態では、二環式糖部分は、cEt糖部分及びLNA糖部分から選択される。特定の実施形態では、糖代替部分は、モルホリノ、修飾モルホリノ、THP、及びF-HNAから選択される。特定の実施形態では、完全に修飾されたオリゴヌクレオチドの各ヌクレオシドは、同じ修飾糖部分を含む(「均一に修飾された糖モチーフ」)。特定の実施形態では、均一に修飾された糖モチーフのヌクレオシド長は7~20である。特定の実施形態では、均一に修飾された糖モチーフの各ヌクレオシドは、2’-置換糖部分、二環式糖部分、または糖代替部分を含む。特定の実施形態では、2’-置換糖部分は、2’-MOE糖部分、2’-NMA糖部分、2’-OMe糖部分、及び2’-F糖部分から選択される。特定の実施形態では、二環式糖部分は、cEt糖部分及びLNA糖部分から選択される。特定の実施形態では、糖代替部分は、モルホリノ、修飾モルホリノ、THP、及びF-HNAから選択される。特定の実施形態では、完全に修飾された糖モチーフを少なくとも1つ有する修飾オリゴヌクレオチドは、少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つ、または少なくとも4つの2’-デオキシリボヌクレオシドも含み得る。
【0262】
特定の実施形態では、修飾オリゴヌクレオチドは、5’→3’:eeeeeeeeeeeeeeeeeeから選択される糖モチーフを有し、各「e」は、2’-MOE糖部分を表す。
【0263】
2.特定の核酸塩基モチーフ
特定の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、そのオリゴヌクレオチドまたはその領域に沿って、定められたパターンまたはモチーフで配置された修飾核酸塩基及び/または非修飾核酸塩基を含む。特定の実施形態では、各核酸塩基が修飾されている。特定の実施形態では、修飾されている核酸塩基はない。特定の実施形態では、各プリンまたは各ピリミジンが修飾されている。特定の実施形態では、各アデニンが修飾されている。特定の実施形態では、各グアニンが修飾されている。特定の実施形態では、各チミンが修飾されている。特定の実施形態では、各ウラシルが修飾されている。特定の実施形態では、各シトシンが修飾されている。特定の実施形態では、修飾オリゴヌクレオチドのシトシン核酸塩基のいくつかまたはすべては、5-メチルシトシンである。特定の実施形態では、そのシトシン核酸塩基はすべて、5-メチルシトシンであり、その修飾オリゴヌクレオチドの他の核酸塩基はすべて、非修飾核酸塩基である。
【0264】
特定の実施形態では、修飾オリゴヌクレオチドは、修飾核酸塩基のブロックを含む。特定のこのような実施形態では、そのブロックは、そのオリゴヌクレオチドの3’末端にある。特定の実施形態では、そのブロックは、そのオリゴヌクレオチドの3’末端から3ヌクレオシド内にある。特定の実施形態では、そのブロックは、そのオリゴヌクレオチドの5’末端にある。特定の実施形態では、そのブロックは、そのオリゴヌクレオチドの5’末端から3ヌクレオシド内にある。
【0265】
3.特定のインターヌクレオシド結合モチーフ
特定の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、そのオリゴヌクレオチドまたはその領域に沿って、定められたパターンまたはモチーフで配置された修飾インターヌクレオシド結合及び/または非修飾インターヌクレオシド結合を含む。特定の実施形態では、各インターヌクレオシド連結基は、ホスホジエステルインターヌクレオシド結合(P=O)である。特定の実施形態では、修飾オリゴヌクレオチドの各インターヌクレオシド連結基は、ホスホロチオエートインターヌクレオシド結合(P=S)である。特定の実施形態では、修飾オリゴヌクレオチドの各インターヌクレオシド結合は、ホスホロチオエートインターヌクレオシド結合及びホスホジエステルインターヌクレオシド結合から独立して選択されている。特定の実施形態では、各ホスホロチオエートインターヌクレオシド結合は、ステレオランダムなホスホロチオエート、(Sp)ホスホロチオエート及び(Rp)ホスホロチオエートから独立して選択されている。
【0266】
特定の実施形態では、修飾オリゴヌクレオチドは、少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも6つ、少なくとも7つ、少なくとも8つ、少なくとも9つ、少なくとも10個、少なくとも11個、少なくとも12個、少なくとも13個、少なくとも14個、少なくとも15個、少なくとも16個、少なくとも17個、少なくとも18個、または少なくとも19個のホスホジエステルインターヌクレオシド結合を含む。特定の実施形態では、修飾オリゴヌクレオチドは、少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも6つ、少なくとも7つ、少なくとも8つ、少なくとも9つ、少なくとも10個、少なくとも11個、少なくとも12個、少なくとも13個、少なくとも14個、少なくとも15個、少なくとも16個、少なくとも17個、少なくとも18個、または少なくとも19個のホスホロチオエートインターヌクレオシド結合を含む。特定の実施形態では、修飾オリゴヌクレオチドは、少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、または少なくとも5つのホスホジエステルインターヌクレオシド結合を含み、残りのインターヌクレオシド結合は、ホスホロチオエートインターヌクレオシド結合である。
【0267】
特定の実施形態では、修飾オリゴヌクレオチドは、(5’→3’):sssssssssssssssssというインターヌクレオシド結合モチーフを有し、各「s」は、ホスホロチオエートインターヌクレオシド結合を表す。
【0268】
特定の実施形態では、修飾オリゴヌクレオチドは、1つ以上のメシルホスホロアミデート連結基を含むインターヌクレオシド結合モチーフを有する。特定の実施形態では、本明細書に記載のインターヌクレオシド結合モチーフの1つ以上のホスホロチオエートインターヌクレオシド結合または1つ以上のホスホジエステルインターヌクレオシド結合は、メシルホスホロアミデート連結基で置き換えられている。
【0269】
C.特定の長さ
活性を消失させずに、オリゴヌクレオチドの長さを増減させることが可能である。例えば、Woolfらの文献(Proc.Natl.Acad.Sci.USA 89:7305-7309,1992)では、卵母細胞注入モデルで、13~25核酸塩基長の一連のオリゴヌクレオチドが、標的RNAの切断を誘導する能力について試験した。オリゴヌクレオチドの末端近くに8個または11個のミスマッチ塩基を有する25核酸塩基長のオリゴヌクレオチドは、ミスマッチを含まないオリゴヌクレオチドよりも低い程度であったものの、標的RNAの所定の切断を誘導できた。同様に、13個の核酸塩基のオリゴヌクレオチド(1個または3個のミスマッチを有するものを含む)を用いたところ、標的の所定の切断が行われた。
【0270】
特定の実施形態では、オリゴヌクレオチド(修飾オリゴヌクレオチドを含む)は、様々な範囲の長さのいずれであることもできる。特定の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、X~Y個の連結ヌクレオシドからなり、式中、Xは、その範囲の最小ヌクレオシド数を表し、Yは、その範囲の最大ヌクレオシド数を表す。特定のこのような実施形態では、X及びYはそれぞれ独立して、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49及び50から選択されており、ただし、X≦Yとする。例えば、特定の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、12~13個、12~14個、12~15個、12~16個、12~17個、12~18個、12~19個、12~20個、12~21個、12~22個、12~23個、12~24個、12~25個、12~26個、12~27個、12~28個、12~29個、12~30個、13~14個、13~15個、13~16個、13~17個、13~18個、13~19個、13~20個、13~21個、13~22個、13~23個、13~24個、13~25個、13~26個、13~27個、13~28個、13~29個、13~30個、14~15個、14~16個、14~17個、14~18個、14~19個、14~20個、14~21個、14~22個、14~23個、14~24個、14~25個、14~26個、14~27個、14~28個、14~29個、14~30個、15~16個、15~17個、15~18個、15~19個、15~20個、15~21個、15~22個、15~23個、15~24個、15~25個、15~26個、15~27個、15~28個、15~29個、15~30個、16~17個、16~18個、16~19個、16~20個、16~21個、16~22個、16~23個、16~24個、16~25個、16~26個、16~27個、16~28個、16~29個、16~30個、17~18個、17~19個、17~20個、17~21個、17~22個、17~23個、17~24個、17~25個、17~26個、17~27個、17~28個、17~29個、17~30個、18~19個、18~20個、18~21個、18~22個、18~23個、18~24個、18~25個、18~26個、18~27個、18~28個、18~29個、18~30個、19~20個、19~21個、19~22個、19~23個、19~24個、19~25個、19~26個、19~29個、19~28個、19~29個、19~30個、20~21個、20~22個、20~23個、20~24個、20~25個、20~26個、20~27個、20~28個、20~29個、20~30個、21~22個、21~23個、21~24個、21~25個、21~26個、21~27個、21~28個、21~29個、21~30個、22~23個、22~24個、22~25個、22~26個、22~27個、22~28個、22~29個、22~30個、23~24個、23~25個、23~26個、23~27個、23~28個、23~29個、23~30個、24~25個、24~26個、24~27個、24~28個、24~29個、24~30個、25~26個、25~27個、25~28個、25~29個、25~30個、26~27個、26~28個、26~29個、26~30個、27~28個、27~29個、27~30個、28~29個、28~30個または29~30個の連結ヌクレオシドからなる。
【0271】
特定の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、16個の連結ヌクレオシドからなる。特定の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、17個の連結ヌクレオシドからなる。特定の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、18個の連結ヌクレオシドからなる。特定の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、19個の連結ヌクレオシドからなる。特定の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、20個の連結ヌクレオシドからなる。
【0272】
D.特定の修飾オリゴヌクレオチド
特定の実施形態では、上記の修飾部(糖、核酸塩基、インターヌクレオシド結合)が修飾オリゴヌクレオチドに導入されている。特定の実施形態では、修飾オリゴヌクレオチドは、その修飾モチーフと全体の長さによって特徴付けられる。特定の実施形態では、このようなパラメーターはそれぞれ、互いから独立している。別段に示されていない限り、すべての修飾部分は、核酸塩基配列から独立している。
【0273】
E.特定の修飾オリゴヌクレオチド集団
その修飾オリゴヌクレオチド集団の修飾オリゴヌクレオチドがすべて、同じ分子式である修飾オリゴヌクレオチド集団は、ステレオランダムな集団であることも、キラル的に富化された集団であることもできる。ステレオランダムな集団においては、すべての修飾オリゴヌクレオチドのキラル中心はすべて、ステレオランダムである。キラル的に富化された集団では、少なくとも1つの特定のキラル中心は、その集団の修飾オリゴヌクレオチドにおいては、ステレオランダムではない。特定の実施形態では、キラル的に富化された集団の修飾オリゴヌクレオチドは、β-Dリボシル糖部分について富化されており、そのホスホロチオエートインターヌクレオシド結合はすべて、ステレオランダムである。特定の実施形態では、キラル的に富化された集団の修飾オリゴヌクレオチドは、β-Dリボシル糖部分と、特定の立体化学的配置である少なくとも1つの特定のホスホロチオエートインターヌクレオシド結合の両方について富化されている。
【0274】
F.核酸塩基配列
特定の実施形態では、オリゴヌクレオチド(非修飾オリゴヌクレオチドまたは修飾オリゴヌクレオチド)は、その核酸塩基配列によってさらに説明される。特定の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、第2のオリゴヌクレオチドまたは特定した対照核酸(標的核酸など)と相補的である核酸塩基配列を有する。特定のこのような実施形態では、オリゴヌクレオチドの一領域が、第2のオリゴヌクレオチドまたは特定した対照核酸(標的核酸など)と相補的である核酸塩基配列を有する。特定の実施形態では、オリゴヌクレオチドの一領域または全長の核酸塩基配列は、第2のオリゴヌクレオチドまたは核酸(標的核酸など)と少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%または100%相補的である。
【0275】
II.特定のオリゴマー化合物
特定の実施形態では、本発明で提供するのは、オリゴヌクレオチド(修飾オリゴヌクレオチドまたは非修飾オリゴヌクレオチド)と、任意に、1つ以上のコンジュゲート基及び/または末端基からなるオリゴマー化合物である。コンジュゲート基は、1つ以上のコンジュゲート部分と、そのコンジュゲート部分をそのオリゴヌクレオチドに連結するコンジュゲートリンカーからなる。コンジュゲート基は、オリゴヌクレオチドの末端のいずれかもしくは両方、及び/または内部のいずれかの位置に結合していてよい。特定の実施形態では、コンジュゲート基は、修飾オリゴヌクレオチドのヌクレオシドの2’位に結合している。特定の実施形態では、オリゴヌクレオチドの末端のいずれかまたは両方に結合しているコンジュゲート基は、末端基である。特定のこのような実施形態では、コンジュゲート基または末端基は、オリゴヌクレオチドの3’末端及び/または5’末端に結合している。特定のこのような実施形態では、コンジュゲート基(または末端基)は、オリゴヌクレオチドの3’末端に結合している。特定の実施形態では、コンジュゲート基は、オリゴヌクレオチドの3’末端の近くに結合している。特定の実施形態では、コンジュゲート基(または末端基)は、オリゴヌクレオチドの5’末端に結合している。特定の実施形態では、コンジュゲート基は、オリゴヌクレオチドの5’末端の近くに結合している。
【0276】
末端基の例としては、コンジュゲート基、キャッピング基、リン酸部分、保護基、修飾ヌクレオシドまたは非修飾ヌクレオシド、及び独立して修飾されているかまたは修飾されていない2つ以上のヌクレオシドが挙げられるが、これらに限らない。
【0277】
A.特定のコンジュゲート基
特定の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、1つ以上のコンジュゲート基に共有結合している。特定の実施形態では、コンジュゲート基は、結合しているオリゴヌクレオチドの特性の1つ以上(薬力、薬物動態、安定性、結合性、吸収性、組織分布、細胞分布、細胞取り込み、帯電及びクリアランスが挙げられるが、これらに限らない)を改変する。
【0278】
特定の実施形態では、1つ以上の糖質部分を修飾オリゴヌクレオチドに結合することで、修飾オリゴヌクレオチドの1つ以上の特性が最適化され得る。特定の実施形態では、糖質部分は、修飾オリゴヌクレオチドの修飾サブユニットに結合される。例えば、修飾オリゴヌクレオチドの1つ以上のリボヌクレオチドサブユニットのリボース糖は、別の部分(例えば、糖質リガンドが結合した非糖質(好ましくは、環式)担体)で置き換えられ得る。サブユニットのリボース糖がそのように置き換えられているリボヌクレオチドサブユニットは、本明細書では、リボース置換修飾サブユニット(RRMS)と称され、RRMSは、修飾糖部分である。環式担体は、炭素環式環系であり得、すなわち、1つ以上の環原子は、ヘテロ原子(例えば、窒素、酸素、硫黄)であり得る。環式担体は単環式環系であり得るか、または2つ以上の環(例えば、縮合環)を含み得る。環式担体は、完全飽和環系であり得るか、または1つ以上の二重結合を含み得る。
【0279】
特定の実施形態では、コンジュゲート基は、結合しているオリゴヌクレオチドに、新たな特性を付与する(例えば、そのオリゴヌクレオチドの検出を可能にするフルオロフォアまたはレポーター基)。特定のコンジュゲート基及びコンジュゲート部分は、以前に説明されており、例えば、コレステロール部分(Letsinger et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,1989,86,6553-6556)、コール酸(Manoharan et al.,Bioorg.Med.Chem.Lett.,1994,4,1053-1060)、チオエーテル、例えば、ヘキシル-S-トリチルチオール(Manoharan et al.,Ann.N.Y.Acad.Sci.,1992,660,306-309、Manoharan et al.,Bioorg.Med.Chem.Lett.,1993,3,2765-2770)、チオコレステロール(Oberhauser et al.,Nucl.Acids Res.,1992,20,533-538)、脂肪族鎖、例えば、ドデカンジオールもしくはウンデシル残基(Saison-Behmoaras et al.,EMBO J.,1991,10,1111-1118、Kabanov et al.,FEBS Lett.,1990,259,327-330、Svinarchuk et al.,Biochimie,1993,75,49-54)、リン脂質、例えば、ジ-ヘキサデシル-rac-グリセロールもしくはトリエチルアンモニウム1,2-ジ-O-ヘキサデシル-rac-グリセロ-3-H-ホスホネート(Manoharan et al.,Tetrahedron Lett.,1995,36,3651-3654、Shea et al.,Nucl.Acids Res.,1990,18,3777-3783)、ポリアミンもしくはポリエチレングリコール鎖(Manoharan et al.,Nucleosides & Nucleotides,1995,14,969-973)、アダマンタン酢酸、パルミチル部分(Mishra et al.,Biochim.Biophys.Acta,1995,1264,229-237)、オクタデシルアミンもしくはヘキシルアミノ-カルボニル-オキシコレステロール部分(Crooke et al.,J.Pharmacol.Exp.Ther.,1996,277,923-937)、トコフェロール基(Nishina et al.,Molecular Therapy Nucleic Acids,2015,4,e220及びNishina et al.,Molecular Therapy,2008,16,734-740)、またはGalNAcクラスター(例えばWO2014/179620)である。
【0280】
特定の実施形態では、コンジュゲート基は、C22アルキル、C20アルキル、C16アルキル、C10アルキル、C21アルキル、C19アルキル、C18アルキル、C15アルキル、C14アルキル、C13アルキル、C12アルキル、C11アルキル、C9アルキル、C8アルキル、C7アルキル、C6アルキル、C5アルキル、C22アルケニル、C20アルケニル、C16アルケニル、C10アルケニル、C21アルケニル、C19アルケニル、C18アルケニル、C15アルケニル、C14アルケニル、C13アルケニル、C12アルケニル、C11アルケニル、C9アルケニル、C8アルケニル、C7アルケニル、C6アルケニル、またはC5アルケニルのいずれかから選択されるコンジュゲート部分を含み得る。
【0281】
特定の実施形態では、コンジュゲート基は、C22アルキル、C20アルキル、C16アルキル、C10アルキル、C21アルキル、C19アルキル、C18アルキル、C15アルキル、C14アルキル、C13アルキル、C12アルキル、C11アルキル、C9アルキル、C8アルキル、C7アルキル、C6アルキル、またはC5アルキルのいずれかから選択されるコンジュゲート部分を含み得、アルキル鎖は、1つ以上の不飽和結合を有する。
【0282】
特定の実施形態では、コンジュゲート基は、下記の構造を有する脂質である。
【0283】
【0284】
1.コンジュゲート部分
コンジュゲート部分としては、インターカレーター、レポーター分子、ポリアミン、ポリアミド、ペプチド、糖質(例えば、GalNAc)、抗体、ビタミン部分、ポリエチレングリコール、チオエーテル、ポリエーテル、コレステロール、チオコレステロール、コール酸部分、葉酸塩、脂質、リン脂質、ビオチン、フェナジン、フェナントリジン、アントラキノン、アダマンタン、アクリジン、フルオレセイン、ローダミン、クマリン、フルオロフォア及び色素が挙げられるが、これらに限らない。
【0285】
特定の実施形態では、コンジュゲート部分は、活性薬剤物質、例えば、アスピリン、ワルファリン、フェニルブタゾン、イブプロフェン、スプロフェン、フェンブフェン、ケトプロフェン、(S)-(+)-プラノプロフェン、カルプロフェン、ダンシルサルコシン、2,3,5-トリヨード安息香酸、フィンゴリモド、フルフェナム酸、フォリン酸、ベンゾサイアジアザイド、クロロチアジド、ジアゼピン、インドメタシン、バルビツール酸塩、セファロスポリン、サルファ剤、抗糖尿病剤、抗菌剤または抗生剤を含む。
【0286】
2.コンジュゲートリンカー
コンジュゲート部分は、コンジュゲートリンカーを介して、オリゴヌクレオチドに結合している。特定のオリゴマー化合物では、そのコンジュゲートリンカーは、化学的な単結合である(すなわち、そのコンジュゲート部分は、単結合を介して、オリゴヌクレオチドに直接結合している)。特定の実施形態では、そのコンジュゲートリンカーは、ヒドロカルビル鎖のような鎖構造、またはエチレングリコール、ヌクレオシドもしくはアミノ酸単位のような繰り返し単位のオリゴマーを含む。
【0287】
特定の実施形態では、コンジュゲートリンカーは、ピロリジンを含む。
【0288】
特定の実施形態では、コンジュゲートリンカーは、アルキル、アミノ、オキソ、アミド、ジスルフィド、ポリエチレングリコール、エーテル、チオエーテル及びヒドロキシルアミノから選択した基を1つ以上含む。特定のこのような実施形態では、そのコンジュゲートリンカーは、アルキル基、アミノ基、オキソ基、アミド基及びエーテル基から選択した基を含む。特定の実施形態では、そのコンジュゲートリンカーは、アルキル基及びアミド基から選択した基を含む。特定の実施形態では、そのコンジュゲートリンカーは、アルキル基及びエーテル基から選択した基を含む。特定の実施形態では、そのコンジュゲートリンカーは、リン部分を少なくとも1つ含む。特定の実施形態では、そのコンジュゲートリンカーは、リン酸基を少なくとも1つ含む。特定の実施形態では、そのコンジュゲートリンカーは、中性連結基を少なくとも1つ含む。
【0289】
特定の実施形態では、コンジュゲートリンカーは、上記のコンジュゲートリンカーを含め、二官能性連結部分、例えば、コンジュゲート部分を化合物(本発明で提供するオリゴヌクレオチドなど)に結合するのに有用であることが当該技術分野において知られている二官能性連結部分である。概して、二官能性連結部分は、官能基を少なくとも2つ含む。その官能基のうちの一方は、化合物の特定の部位と反応するように選択されており、もう一方は、コンジュゲート部分と反応するように選択されている。二官能性連結部分で用いられる官能基の例としては、求核基と反応する求電子基、及び求電子基と反応する求核基が挙げられるが、これらに限らない。特定の実施形態では、二官能性連結部分は、アミノ、ヒドロキシル、カルボン酸、チオール、アルキル、アルケニル及びアルキニルから選択した基を1つ以上含む。
【0290】
コンジュゲートリンカーの例としては、ピロリジン、8-アミノ-3,6-ジオキサオクタン酸(ADO)、スクシンイミジル4-(N-マレイミドメチル)シクロヘキサン-1-カルボキシレート(SMCC)及び6-アミノヘキサン酸(AHEXまたはAHA)が挙げられるが、これらに限らない。他のコンジュゲートリンカーとしては、置換もしくは非置換のC1-C10アルキル、置換もしくは非置換のC2-C10アルケニル、または置換もしくは非置換のC2-C10アルキニルが挙げられるが、これらに限らず、その好ましい置換基の非限定的なリストには、ヒドロキシル、アミノ、アルコキシ、カルボキシ、ベンジル、フェニル、ニトロ、チオール、チオアルコキシ、ハロゲン、アルキル、アリール、アルケニル及びアルキニルが含まれる。
【0291】
特定の実施形態では、コンジュゲートリンカーは、リンカーヌクレオシドを1~10個含む。特定の実施形態では、コンジュゲートリンカーは、リンカーヌクレオシドを2~5個含む。特定の実施形態では、コンジュゲートリンカーは、リンカーヌクレオシドをきっかり3個含む。特定の実施形態では、コンジュゲートリンカーは、TCAモチーフを含む。特定の実施形態では、このようなリンカーヌクレオシドは、修飾ヌクレオシドである。特定の実施形態では、このようなリンカーヌクレオシドは、修飾糖部分を含む。特定の実施形態では、リンカーヌクレオシドは、修飾されていない。特定の実施形態では、リンカーヌクレオシドは、プリン、置換プリン、ピリミジンまたは置換ピリミジンから選択した、任意に保護された複素環型塩基を含む。特定の実施形態では、切断可能な部分は、ウラシル、チミン、シトシン、4-N-ベンゾイルシトシン、5-メチルシトシン、4-N-ベンゾイル-5-メチルシトシン、アデニン、6-N-ベンゾイルアデニン、グアニン及び2-N-イソブチリルグアニンから選択したヌクレオシドである。典型的には、リンカーヌクレオシドは、標的組織に到達後、オリゴマー化合物から切断されるのが望ましい。したがって、リンカーヌクレオシドは典型的には、互いに連結されているとともに、切断可能な結合を介して、そのオリゴマー化合物の残部に連結されている。特定の実施形態では、このような切断可能な結合は、ホスホジエステル結合である。
【0292】
本明細書では、リンカーヌクレオシドは、オリゴヌクレオチドの一部とはみなさない。したがって、所定の数または範囲の連結ヌクレオシドからなり、及び/または対照核酸との相補率が所定の値であるオリゴヌクレオチドをオリゴマー化合物が含み、そのオリゴマー化合物が、リンカーヌクレオシドを含むコンジュゲートリンカーを含むコンジュゲート基も含む実施形態では、それらのリンカーヌクレオシドは、そのオリゴヌクレオチドの長さには含まれず、対照核酸に対するオリゴヌクレオチドの相補率を求めるのには使用されない。例えば、オリゴマー化合物は、(1)8~30個のヌクレオシドからなる修飾オリゴヌクレオチドと、(2)その修飾オリゴヌクレオチドのヌクレオシドと連続している1~10個のリンカーヌクレオシドを含むコンジュゲート基を含んでよい。このようなオリゴマー化合物における、連続した連結ヌクレオシドの総数は、31個以上である。あるいは、オリゴマー化合物は、8~30個のヌクレオシドからなる修飾オリゴヌクレオチドを含み、かつコンジュゲート基を含まなくてもよい。このようなオリゴマー化合物における、連続した連結ヌクレオシドの総数は、30個以下である。別段に示されていない限り、コンジュゲートリンカーは、10個以下のリンカーヌクレオシドを含む。特定の実施形態では、コンジュゲートリンカーは、5個以下のリンカーヌクレオシドを含む。特定の実施形態では、コンジュゲートリンカーは、3個以下のリンカーヌクレオシドを含む。特定の実施形態では、コンジュゲートリンカーは、2個以下のリンカーヌクレオシドを含む。特定の実施形態では、コンジュゲートリンカーは、1個以下のリンカーヌクレオシドを含む。
【0293】
特定の実施形態では、コンジュゲート基は、オリゴヌクレオチドから切断されるのが望ましい。例えば、特定の状況では、特定のコンジュゲート部分を含むオリゴマー化合物は、特定の種類の細胞に、より多く取り込まれるが、そのオリゴマー化合物が取り込まれたら、コンジュゲート基が切断されて、コンジュゲートされていないオリゴヌクレオチド、すなわち親オリゴヌクレオチドが放出されるのが望ましい。したがって、特定のコンジュゲートリンカーは、切断可能な部分を1つ以上含んでよい。特定の実施形態では、切断可能な部分は、切断可能な結合である。特定の実施形態では、切断可能な部分は、切断可能な結合を少なくとも1つ含む原子団である。特定の実施形態では、切断可能な部分は、切断可能な結合を1つ、2つ、3つ、4つまたは5つ以上有する原子団を含む。特定の実施形態では、切断可能な部分は、細胞、またはリソソームのような細胞内コンパートメントの中で選択的に切断される。特定の実施形態では、切断可能な部分は、ヌクレアーゼのような内因性酵素によって選択的に切断される。
【0294】
特定の実施形態では、切断可能な結合部分は、アミド、エステル、エーテル、ホスホジエステルの一方もしくは両方のエステル、リン酸エステル、カルバミン酸塩、またはジスルフィドの中から選択されている。特定の実施形態では、切断可能な結合部分は、ホスホジエステルのエステルの一方または両方である。特定の実施形態では、切断可能な部分は、リン酸エステルまたはホスホジエステルを含む。特定の実施形態では、切断可能な部分は、オリゴヌクレオチドと、コンジュゲート部分またはコンジュゲート基との間のリン酸結合である。
【0295】
特定の実施形態では、切断可能な部分は、1つ以上のリンカーヌクレオシドを含むか、または1つ以上のリンカーヌクレオシドからなる。特定のこのような実施形態では、その1つ以上のリンカーヌクレオシドは、互いに連結されており、及び/または切断可能な結合を介して、そのオリゴマー化合物の残部に連結されている。特定の実施形態では、このような切断可能な結合は、修飾されていないホスホジエステル結合である。特定の実施形態では、切断可能な部分は、リン酸インターヌクレオシド結合によって、オリゴヌクレオチドの3’末端ヌクレオシドまたは5’末端ヌクレオシドのいずれかに結合しているとともに、リン酸結合またはホスホロチオエート結合によって、そのコンジュゲートリンカーまたはコンジュゲート部分の残部に共有結合している2’-デオキシヌクレオシドである。特定のこのような実施形態では、その切断可能な部分は、2’-デオキシアデノシンである。
【0296】
3.細胞標的化部分
特定の実施形態では、コンジュゲート基は、細胞標的化部分を含む。特定の実施形態では、コンジュゲート基は、一般式:
【0297】
【0298】
を有し、
式中、nは1~約3であり、nが1の場合、mは0であり、nが2以上の場合、mは1であり、jは1または0であり、kは1または0である。
【0299】
特定の実施形態では、nは1であり、jは1であり、kは0である。特定の実施形態では、nは1であり、jは0であり、kは1である。特定の実施形態では、nは1であり、jは1であり、kは1である。特定の実施形態では、nは2であり、jは1であり、kは0である。特定の実施形態では、nは2であり、jは0であり、kは1である。特定の実施形態では、nは2であり、jは1であり、kは1である。特定の実施形態では、nは3であり、jは1であり、kは0である。特定の実施形態では、nは3であり、jは0であり、kは1である。特定の実施形態では、nは3であり、jは1であり、kは1である。
【0300】
特定の実施形態では、コンジュゲート基は、少なくとも1つのテザーリガンドを有する細胞標的化部分を含む。特定の実施形態では、細胞標的化部分は、分岐基に共有結合で結合した2つのテザーリガンドを含む。特定の実施形態では、細胞標的化部分は、ニューロンを標的とする。特定の実施形態では、細胞標的化部分は、神経伝達物質受容体を標的とする。特定の実施形態では、細胞標的化部分は、神経伝達物質トランスポーターを標的とする。特定の実施形態では、細胞標的化部分は、GABAトランスポーターを標的とする。例えば、WO2011/131693、WO2014/064257を参照のこと。
【0301】
特定の実施形態では、コンジュゲート基は、トランスフェリン受容体(TfR)(本明細書では、TfR1及びCD71とも称される)に親和性を有する細胞標的化部分を含む。特定の実施形態では、本明細書に記載のコンジュゲート基は、抗TfR1抗体またはその断片を含む。特定の実施形態では、コンジュゲート基は、TfR1に結合することが可能なタンパク質またはペプチドを含む。特定の実施形態では、コンジュゲート基は、TfR1に結合することが可能なアプタマーを含む。特定の実施形態では、抗TfR1抗体またはその断片は、当該技術分野で知られる任意のものであり得、こうしたものには、限定されないが、WO1991/004753、WO2013/103800、WO2014/144060、WO2016/081643、WO2016/179257、WO2016/207240、WO2017/221883、WO2018/129384、WO2018/124121、WO2019/151539、WO2020/132584、WO2020/028864、US7,208,174、US9,034,329、及びUS10,550,188に記載のものが含まれる。特定の実施形態では、抗TfR1抗体の断片は、F(ab’)2、Fab、Fab’、Fv、またはscFvである。
【0302】
特定の実施形態では、コンジュゲート基は、TfR1に結合することが可能なタンパク質またはペプチドを含む。特定の実施形態では、TfR1に結合することが可能なタンパク質またはペプチドは、当該技術分野で知られる任意のものであり得、こうしたものには、限定されないが、WO2019/140050、WO2020/037150、WO2020/124032、及びUS10,138,483に記載のものが含まれる。
【0303】
特定の実施形態では、コンジュゲート基は、TfR1に結合することが可能なアプタマーを含む。特定の実施形態では、TfR1に結合することが可能なアプタマーは、当該技術分野で知られる任意のものであり得、こうしたものには、限定されないが、WO2013/163303、WO2019/033051、及びWO2020/245198に記載のものが含まれる。
【0304】
特定の実施形態では、細胞標的化部分の各リガンドは、標的細胞上の少なくとも1つの型の受容体に親和性を有する。特定の実施形態では、各リガンドは、哺乳動物の肝細胞の表面上の少なくとも1つの型の受容体に親和性を有する。特定の実施形態では、各リガンドは、肝臓のアシアロ糖タンパク質受容体(ASGP-R)に親和性を有する。特定の実施形態では、各リガンドは、糖質である。
【0305】
特定の実施形態では、コンジュゲート基は、細胞標的化コンジュゲート部分を含む。特定の実施形態では、コンジュゲート基は、一般式:
【0306】
【0307】
を有し、
式中、nは1~約3であり、nが1の場合、mは0であり、nが2以上の場合、mは1であり、jは1または0であり、kは1または0である。
【0308】
特定の実施形態では、nは1であり、jは1であり、kは0である。特定の実施形態では、nは1であり、jは0であり、kは1である。特定の実施形態では、nは1であり、jは1であり、kは1である。特定の実施形態では、nは2であり、jは1であり、kは0である。特定の実施形態では、nは2であり、jは0であり、kは1である。特定の実施形態では、nは2であり、jは1であり、kは1である。特定の実施形態では、nは3であり、jは1であり、kは0である。特定の実施形態では、nは3であり、jは0であり、kは1である。特定の実施形態では、nは3であり、jは1であり、kは1である。
【0309】
特定の実施形態では、コンジュゲート基は、少なくとも1つのテザーリガンドを有する細胞標的化部分を含む。特定の実施形態では、細胞標的化部分は、分岐基に共有結合で結合した2つのテザーリガンドを含む。特定の実施形態では、細胞標的化部分は、分岐基に共有結合で結合した3つのテザーリガンドを含む。
【0310】
B.特定の末端基
特定の実施形態では、オリゴマー化合物は、末端基を1つ以上含む。特定のこのような実施形態では、オリゴマー化合物は、安定化5’-リン酸を含む。安定化5’-リン酸としては、5’-ホスホネートが挙げられるが、これに限らず、その5’-ホスホネートとしては、5’-ビニルホスホネートが挙げられるが、これに限らない。特定の実施形態では、末端基は、脱塩基糖部分及び/または逆位ヌクレオシドを1つ以上含む。特定の実施形態では、末端基は、2’-連結ヌクレオシドまたは糖部分を1つ以上含む。特定のこのような実施形態では、その2’-連結基は、脱塩基糖部分である。
【0311】
III.アンチセンス活性
特定の実施形態では、オリゴマー化合物及び二本鎖オリゴマーは、標的核酸とハイブリダイズすることにより、少なくとも1つのアンチセンス活性をもたらすことができ、このようなオリゴマー化合物及び二本鎖オリゴマーは、アンチセンス化合物である。特定の実施形態では、アンチセンス化合物は、標準的な細胞アッセイにおいて、標的核酸の量または活性を10%、20%、25%、30%、40%、50%、またはそれを超える%調節または増大させる場合に、アンチセンス活性を有する。特定の実施形態では、アンチセンス化合物は、それによって隠れエキソン含有標的核酸の量が標準的な細胞アッセイにおいて10%、20%、25%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、またはそれを超える%調節または低減される場合に、アンチセンス活性を有する。特定の実施形態では、アンチセンス化合物は、1つ以上の標的核酸に選択的に作用を及ぼす。このようなアンチセンス化合物は、1つ以上の標的核酸とハイブリダイズすることにより、1つ以上の所望のアンチセンス活性をもたらすとともに、1つ以上の非標的核酸とハイブリダイズしないか、または顕著な望ましくないアンチセンス活性をもたらすような形では、1つ以上の非標的核酸とハイブリダイズしない核酸塩基配列を含む。
【0312】
特定のアンチセンス活性では、アンチセンス化合物が標的核酸とハイブリダイズすると、その標的核酸を切断するタンパク質がリクルートされる。例えば、特定のアンチセンス化合物は、RNase Hの媒介により、標的核酸を切断させる。RNase Hは、RNA:DNA二本鎖のRNA鎖を切断する細胞内エンドヌクレアーゼである。このようなRNA:DNA二本鎖のDNAは、非修飾DNAである必要はない。特定の実施形態では、RNase H活性を誘導するのに充分に「DNA様」であるアンチセンス化合物が本明細書に記載される。特定の実施形態では、1つ以上の非DNA様ヌクレオシドが許容される。
【0313】
特定のアンチセンス活性では、アンチセンス化合物またはアンチセンス化合物の一部は、RNA誘導サイレンシング複合体(RISC)に取り込まれることにより、最終的に、標的核酸を切断させる。例えば、特定のアンチセンス化合物は、アルゴノートによって標的核酸を切断させる。RISCに取り込まれるアンチセンス化合物は、RNAi化合物である。RNAi化合物は、二本鎖(siRNAもしくはdsRNAi)であっても、一本鎖(ssRNA)であってもよい。
【0314】
特定の実施形態では、アンチセンス化合物が標的核酸とハイブリダイズしても、標的核酸を切断するタンパク質はリクルートされない。特定の実施形態では、アンチセンス化合物が標的核酸とハイブリダイズすると、標的核酸のスプライシングが改変される。特定の実施形態では、アンチセンス化合物が標的核酸とハイブリダイズすると、標的核酸と、タンパク質またはその他の核酸との結合相互作用が阻害される。特定の実施形態では、アンチセンス化合物が標的核酸とハイブリダイズすると、標的核酸の翻訳が改変される。特定の実施形態では、アンチセンス化合物が標的核酸にハイブリダイズすると、隠れエキソンを含むRNAの量が減少する。特定のそのような実施形態では、アンチセンス化合物が標的核酸にハイブリダイズする結果、隠れエキソンが排除される。特定の実施形態では、アンチセンス化合物が標的核酸にハイブリダイズすると、隠れエキソンが排除されたRNAの量が増加する。特定の実施形態では、アンチセンス化合物が標的核酸にハイブリダイズすると、標的核酸の量または活性が増加する。特定の実施形態では、アンチセンス化合物が標的核酸にハイブリダイズすると、全標的RNAの量が増加する。特定の実施形態では、標的核酸と相補的なアンチセンス化合物のハイブリダイゼーションが生じる結果、スプライシングが変化してmRNA中のエキソンが排除される。
【0315】
アンチセンス活性は、直接または間接的に観察してよい。特定の実施形態では、アンチセンス活性の観察または検出には、標的核酸もしくはそのような標的核酸によってコードされるタンパク質の量の変化、核酸もしくはタンパク質のスプライスバリアントの比率の変化、及び/または細胞もしくは動物における表現型の変化の観察または検出が伴う。
【0316】
IV.特定の標的核酸
特定の実施形態では、オリゴマー剤、オリゴマー化合物、二本鎖オリゴマー、またはアンチセンス剤は、標的核酸と相補的である領域を含むオリゴヌクレオチドを含むか、またはそのオリゴヌクレオチドからなる。特定の実施形態では、その標的核酸は、内因性RNA分子である。特定の実施形態では、その標的核酸は、タンパク質をコードする。特定のこのような実施形態では、その標的核酸は、イントロン領域、エキソン領域及び非翻訳領域を含む成熟mRNA及びpre-mRNAから選択されている。特定の実施形態では、その標的RNAは、成熟mRNAである。特定の実施形態では、その標的核酸は、pre-mRNAである。特定の実施形態では、その標的領域は、全体がイントロン内にある。特定の実施形態では、その標的領域は、イントロン/エキソン接合部に及ぶ。特定の実施形態では、その標的領域は、少なくとも50%がイントロン内にある。特定の実施形態では、その標的核酸は、レトロ遺伝子のRNA転写産物である。特定の実施形態では、その標的核酸は、非コードRNAである。特定の実施形態では、標的である非コードRNAは、長い非コードRNA、短い非コードRNA、及びイントロンRNA分子から選択されている。
【0317】
A.標的核酸との相補性/ミスマッチ、及び二本鎖相補性
特定の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、そのオリゴヌクレオチドの全長にわたって、標的核酸と相補的である。特定の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、標的核酸と99%、95%、90%、85%または80%相補的である。特定の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、そのオリゴヌクレオチドの全長にわたって、標的核酸と少なくとも80%相補的であり、標的核酸と100%、すなわち完全に相補的な領域を含む。特定の実施形態では、完全に相補的な領域は、6~20核酸塩基長、10~18核酸塩基長または18~20核酸塩基長である。
【0318】
活性を消失させずに、ミスマッチ塩基を導入するのが可能である。例えば、Gautschiら(J.Natl.Cancer Inst.93:463-471,March 2001)は、bcl-2 mRNAとの相補性が100%であるとともに、bcl-xL mRNAとのミスマッチを3つ有するオリゴヌクレオチドが、in vitro及びin vivoにおいて、bcl-2及びbcl-xLの両方の発現を減少できることを示した。さらに、このオリゴヌクレオチドは、in vivoにおいて強力な抗腫瘍活性を示した。Maher及びDolnick(Nuc.Acid.Res.16:3341-3358,1988)は、ウサギ網赤血球アッセイにおいて、2つまたは3つのタンデムオリゴヌクレオチドの配列でそれぞれ構成された一連のタンデムな14核酸塩基のオリゴヌクレオチド、28核酸塩基のオリゴヌクレオチド及び42核酸塩基のオリゴヌクレオチドが、ヒトDHFRの翻訳を阻止する能力について試験した。その3つの14核酸塩基のオリゴヌクレオチドのそれぞれのみが、翻訳を阻害できた。ただし、28核酸塩基または42核酸塩基のオリゴヌクレオチドよりも控えめなレベルであった。
【0319】
特定の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、標的核酸に対してミスマッチである核酸塩基を1つ以上含む。特定の実施形態では、標的に対するアンチセンス活性は、このようなミスマッチによって低下するが、非標的に対する活性は、より多い量低下する。したがって、特定の実施形態では、オリゴヌクレオチドの選択性が向上されている。
【0320】
B.UNC13A
特定の実施形態では、オリゴマー剤、オリゴマー化合物、二本鎖オリゴマー、またはアンチセンス剤は、標的核酸と相補的な領域を含むオリゴヌクレオチドを含むか、または当該オリゴヌクレオチドからなり、標的核酸は、UNC13A核酸である。特定の実施形態では、UNC13A核酸は、配列番号1(GENBANKアクセッション番号NC_000019.10のヌクレオシド17598001から17691000までの切断鎖の相補鎖)または配列番号2(GENBANKアクセッション番号NM_001080421.2)に示される配列を有する。特定の実施形態では、配列番号1または配列番号2と相補的なオリゴマー剤、オリゴマー化合物、二本鎖オリゴマー、またはアンチセンス剤と細胞とを接触させると、UNC13A RNAの量が増加し、特定の実施形態では、UNC13Aタンパク質の量が増加する。特定の実施形態では、配列番号1または配列番号2と相補的なオリゴマー剤、オリゴマー化合物、二本鎖オリゴマー、またはアンチセンス剤と細胞とを接触させると、UNC13A RNAのスプライシングが調節される。特定の実施形態では、配列番号1または配列番号2と相補的なオリゴマー剤、オリゴマー化合物、二本鎖オリゴマー、またはアンチセンス剤と細胞とを接触させると、隠れエキソンを含むUNC13A RNAの量が減少する。特定の実施形態では、配列番号1または配列番号2と相補的なオリゴマー剤、オリゴマー化合物、二本鎖オリゴマー、またはアンチセンス剤と細胞とを接触させると、隠れエキソンが排除されたUNC13A RNAの量が増加する。特定の実施形態では、隠れエキソンは、UNC13Aイントロン20(すなわち、UNC13Aのエキソン20とエキソン21との間のイントロン)中に位置する。特定の実施形態では、隠れエキソンは、CE20x(「CE」または「CE-1」または「隠れエキソン1」と呼ばれる)である。特定の実施形態では、隠れエキソンは、配列番号1の48,460位に開始部位を有し、配列番号1の48,587位に終結部位を有する。特定の実施形態では、CE20xの核酸塩基長は128であり、CE20xは、染色体座標GRCh38:19:17642413:17642541:-1に対応する(Ma,X.R.,et al.,2021,bioRxiv,doi.org/10.1101/2021.04.02.438213)。特定の実施形態では、CE20xは、CTGCCTGGGTTTCCTGGAAAGAACTCTTATCCCCAGGAACTAGTTTGTTGAATAAATGCTGGTGAATGAATGAATGATTGAACAGATGAATGAGTGATGAGTAGATAAAAGGATGGATGGAGAGATGGという核酸塩基配列(配列番号3;Ma,X.R.,et al.,2021,bioRxiv,doi.org/10.1101/2021.04.02.438213、Brown,A-L.,et al.,2021,bioRxiv,doi.org/10.1101/2021.04.02.438170)を有する。特定の実施形態では、隠れエキソンは、配列番号1の48,410位に開始部位を有し、配列番号1の48,587位に終結部位を有する。特定の実施形態では、隠れエキソンは、UNC13Aイントロン20中に位置し、178核酸塩基長を有し、染色体座標GRCh38:19:17642413:17642591:-1に対応する(Ma,X.R.,et al.,2021,bioRxiv,doi.org/10.1101/2021.04.02.438213)(「CE-2」または「隠れエキソン2」と呼ばれる)。特定の実施形態では、CE-2は、CCCTAACCACTCAGGATTGGGCCGTTTGTGTCTGGGTATGTCTCTTCCAGCTGCCTGGGTTTCCTGGAAAGAACTCTTATCCCCAGGAACTAGTTTGTTGAATAAATGCTGGTGAATGAATGAATGATTGAACAGATGAATGAGTGATGAGTAGATAAAAGGATGGATGGAGAGATGGという核酸塩基配列(配列番号4)を有する。特定の実施形態では、隠れエキソンは、配列番号1の48,157位に開始部位を有し、配列番号1の48,587位に終結部位を有する。特定の実施形態では、隠れエキソンは、UNC13Aイントロン20中に位置し、431核酸塩基長を有し、染色体座標GRCh38:19:17642413:17642844:-1に対応する(Ma,X.R.,et al.,2021,bioRxiv,doi.org/10.1101/2021.04.02.438213)(「CE-3」または「隠れエキソン3」と呼ばれる)。特定の実施形態では、CE-3は、GTGAGGGTCATTGCTCGGCCCCTCCCATGCCACTTCCACTCACCATTCCTGCCTGCCCAGCTCTTCCTCTTTCTGGCCACACCATCCACACTCTCCTGGCCCTCTGAGACTGCCCGCCATGCCATTCCCTTTACCTGGAAAACTCCTCCCTATCCATCAAAGTCCAGATTCAGGGTCACCTCCTCTGGGAAGCCCACCTTGGCCTCCAGGTTGACTCTCACTACTCATCATCAGGTTCTTCCTTCTATTCCAGCCCTAACCACTCAGGATTGGGCCGTTTGTGTCTGGGTATGTCTCTTCCAGCTGCCTGGGTTTCCTGGAAAGAACTCTTATCCCCAGGAACTAGTTTGTTGAATAAATGCTGGTGAATGAATGAATGATTGAACAGATGAATGAGTGATGAGTAGATAAAAGGATGGATGGAGAGATGGという核酸塩基配列(配列番号5)を有する。
【0321】
特定の実施形態では、オリゴマー剤、オリゴマー化合物、またはアンチセンス剤は、修飾オリゴヌクレオチドからなる。特定の実施形態では、オリゴマー剤、オリゴマー化合物、またはアンチセンス剤は、修飾オリゴヌクレオチド及びコンジュゲート基からなる。
【0322】
C.特定の組織における特定の標的核酸
特定の実施形態では、オリゴマー剤、オリゴマー化合物、またはアンチセンス剤は、標的核酸と相補的である領域を含むオリゴヌクレオチドを含むか、またはそのオリゴヌクレオチドからなり、その標的核酸は、薬理学的に関連する組織で発現する。特定の実施形態では、その薬理学的に関連する組織は、中枢神経系(CNS)を構成する細胞及び組織であり、こうした組織には、限定されないが、脊髄、皮質(限定されないが、運動皮質、前頭皮質、及び側頭皮質)、海馬、髄質、ならびに脳橋が含まれる。
【0323】
V.特定のホットスポット領域
1.配列番号1の核酸塩基48,128~48,151
特定の実施形態では、配列番号1の核酸塩基48,128~48,151は、ホットスポット領域を含む。特定の実施形態では、オリゴマー化合物またはアンチセンス剤は、配列番号1の核酸塩基48,128~48,151の一部と相補的である。特定の実施形態では、オリゴマー化合物またはアンチセンス剤の核酸塩基長は18である。特定の実施形態では、オリゴマー化合物またはアンチセンス剤の各ヌクレオシドは、2’-MOE糖部分を含む。特定の実施形態では、オリゴマー化合物またはアンチセンス剤のインターヌクレオシド結合はすべて、ホスホロチオエートインターヌクレオシド結合である。
【0324】
配列番号290、291、293、及び294の核酸塩基配列は、配列番号1の核酸塩基48,128~48,151と相補的である。化合物番号1616310、1616311、1616313、及び1616314のオリゴマー化合物またはアンチセンス剤の核酸塩基配列は、配列番号1の核酸塩基48,128~48,151と相補的である。
【0325】
特定の実施形態では、配列番号1の核酸塩基48,128~48,151の一部と相補的なオリゴマー化合物またはアンチセンス剤は、ヒトプライマープローブセットRTS54362(隠れエキソン1を特異的に認識するように設計されていることから、隠れエキソン1を含むRNAが測定される)を用いて測定すると、CE-1を含むUNC13A RNAを標準的な細胞アッセイにおいて少なくとも69%低減する。特定の実施形態では、配列番号1の核酸塩基48,128~48,151の一部と相補的なオリゴマー化合物またはアンチセンス剤は、ヒトプライマープローブセットRTS54362を用いて測定すると、CE-1を含むUNC13A RNAを標準的な細胞アッセイにおいて平均で78.8%低減する。
【0326】
2.配列番号1の核酸塩基48,432~48,465
特定の実施形態では、配列番号1の核酸塩基48,432~48,465は、ホットスポット領域を含む。特定の実施形態では、オリゴマー化合物またはアンチセンス剤は、配列番号1の核酸塩基48,432~48,465の一部と相補的である。特定の実施形態では、オリゴマー化合物またはアンチセンス剤の核酸塩基長は18である。特定の実施形態では、オリゴマー化合物またはアンチセンス剤の各ヌクレオシドは、2’-MOE糖部分を含む。特定の実施形態では、オリゴマー化合物またはアンチセンス剤のインターヌクレオシド結合はすべて、ホスホロチオエートインターヌクレオシド結合である。
【0327】
配列番号85~101の核酸塩基配列は、配列番号1の核酸塩基48,432~48,465と相補的である。化合物番号1616105~1616121のオリゴマー化合物またはアンチセンス剤の核酸塩基配列は、配列番号1の核酸塩基48,432~48,465と相補的である。
【0328】
特定の実施形態では、配列番号1の核酸塩基48,432~48,465の一部と相補的なオリゴマー化合物またはアンチセンス剤は、ヒトプライマープローブセットRTS54363(3つすべての隠れエキソンを認識するように設計されていることから、UNC13Aのエキソン20とエキソン21との間の3つの隠れエキソンのいずれを含むRNAも測定される(隠れエキソンの完全網羅))を用いて測定すると、CE-1、CE-2、及び/またはCE-3を含むUNC13A RNAを標準的な細胞アッセイにおいて少なくとも52%低減する。特定の実施形態では、配列番号1の核酸塩基48,432~48,465の一部と相補的なオリゴマー化合物またはアンチセンス剤は、ヒトプライマープローブセットRTS54363を用いて測定すると、CE-1、CE-2、及び/またはCE-3を含むUNC13A RNAを標準的な細胞アッセイにおいて平均で65.4%低減する。
【0329】
3.配列番号1の核酸塩基48,466~48,561
特定の実施形態では、配列番号1の核酸塩基48,466~48,561は、ホットスポット領域を含む。特定の実施形態では、オリゴマー化合物またはアンチセンス剤は、配列番号1の核酸塩基48,466~48,561の一部と相補的である。特定の実施形態では、オリゴマー化合物またはアンチセンス剤の核酸塩基長は18である。特定の実施形態では、オリゴマー化合物またはアンチセンス剤の各ヌクレオシドは、2’-MOE糖部分を含む。特定の実施形態では、オリゴマー化合物またはアンチセンスオリゴヌクレオチドのインターヌクレオシド結合はすべて、ホスホロチオエートインターヌクレオシド結合である。
【0330】
配列番号21~30、32~41、43~52、54~60、62~66、及び326~332の核酸塩基配列は、配列番号1の核酸塩基48,466~48,561と相補的である。化合物番号1616041~1616050、1616052~1616061、1616063~1616072、1616074~1616080、1616082~1616086、及び1616346~1616352のオリゴマー化合物またはアンチセンス剤の核酸塩基配列は、配列番号1の核酸塩基48,466~48,561と相補的である。
【0331】
特定の実施形態では、配列番号1の核酸塩基48,466~48,561の一部と相補的なオリゴマー化合物またはアンチセンス剤は、ヒトプライマープローブセットRTS54363を用いて測定すると、CE-1、CE-2、及び/またはCE-3を含むUNC13A RNAを標準的な細胞アッセイにおいて少なくとも46%低減する。特定の実施形態では、配列番号1の核酸塩基48,466~48,561の一部と相補的なオリゴマー化合物またはアンチセンス剤は、ヒトプライマープローブセットRTS54363を用いて測定すると、CE-1、CE-2、及び/またはCE-3を含むUNC13A RNAを標準的な細胞アッセイにおいて平均で75.9%低減する。
【0332】
VI.特定の方法及び使用
本明細書で提供される特定の実施形態は、UNC13A RNAの量もしくは活性を増加させる方法、または隠れエキソンを含むUNC13A RNAの量を低減する方法に関し、この方法は、UNC13Aと関連する疾患の治療に有用であり得る。オリゴマー化合物、修飾オリゴヌクレオチド、二本鎖オリゴマー、及びアンチセンス剤を用いて治療可能な疾患の例としては、神経変性疾患が挙げられる。特定の実施形態では、神経変性疾患は、筋萎縮性側索硬化症(ALS)または前頭側頭型認知症(FTD)である。
【0333】
特定の実施形態では、方法は、オリゴマー化合物、修飾オリゴヌクレオチド、二本鎖オリゴマー、またはアンチセンス剤を対象に投与することを含み、これらはいずれも、UNC13A核酸と相補的な核酸塩基配列を有する。特定の実施形態では、対象は、神経変性疾患を有する。特定の実施形態では、対象は、筋萎縮性側索硬化症(ALS)または前頭側頭型認知症(FTD)を有する。
【0334】
特定の実施形態では、UNC13Aと関連する疾患の治療方法は、オリゴマー化合物、修飾オリゴヌクレオチド、二本鎖オリゴマー、またはアンチセンス剤を対象に投与することを含み、これらはいずれも、UNC13A核酸と相補的な核酸塩基配列を有する。特定の実施形態では、対象は、UNC13Aと関連する疾患またはその発症リスクを有する。特定の実施形態では、対象は、神経変性疾患を有する。特定の実施形態では、対象は、筋萎縮性側索硬化症(ALS)または前頭側頭型認知症(FTD)を有する。特定の実施形態では、神経変性疾患の少なくとも1つの症状が改善される。特定の実施形態では、症状は、運動機能障害、筋力低下、筋肉消耗、シナプス機能障害、疲労、発話困難、嚥下困難、息切れ、認識機能障害、寿命の短期化、またはそれらの組み合わせである。
【0335】
特定の実施形態では、細胞におけるUNC13A核酸(例えば、RNA)の発現の増加方法は、細胞をオリゴマー化合物、修飾オリゴヌクレオチド、二本鎖オリゴマー、またはアンチセンス剤と接触させることを含み、これらはいずれも、UNC13A核酸と相補的な核酸塩基配列を有する。特定の実施形態では、細胞は、ニューロンまたはグリア細胞である。特定の実施形態では、細胞は、アストロサイトまたはミクログリア細胞である。特定の実施形態では、細胞は、ヒト細胞である。
【0336】
特定の実施形態では、細胞における隠れエキソンを含むUNC13Aの量の低減方法は、細胞をオリゴマー化合物、修飾オリゴヌクレオチド、二本鎖オリゴマー、またはアンチセンス剤と接触させることを含み、これらはいずれも、UNC13A核酸と相補的な核酸塩基配列を有する。特定の実施形態では、細胞は、ニューロンまたはグリア細胞である。特定の実施形態では、細胞は、アストロサイトまたはミクログリア細胞である。特定の実施形態では、細胞は、ヒト細胞である。
【0337】
特定の実施形態は、UNC13Aと関連する疾患の治療における使用、またはUNC13Aと関連する疾患を治療するための医薬の製造における使用のためのオリゴマー化合物、修飾オリゴヌクレオチド、二本鎖オリゴマー、またはアンチセンス剤に関し、これらはいずれも、UNC13A核酸と相補的な核酸塩基配列を有する。特定の実施形態では、UNC13Aと関連する疾患は、神経変性疾患である。特定の実施形態では、神経変性疾患は、筋萎縮性側索硬化症(ALS)または前頭側頭型認知症(FTD)である。
【0338】
本明細書に記載の方法または使用のいずれかでは、オリゴマー剤、オリゴマー化合物、修飾オリゴヌクレオチド、二本鎖オリゴマー、またはアンチセンス剤は、本明細書に記載のいずれかであり得る。
【0339】
VII.特定の医薬組成物
特定の実施形態では、1つ以上のオリゴマー剤、オリゴマー化合物、二本鎖オリゴマー、またはアンチセンス剤を含む医薬組成物が本明細書に記載される。特定の実施形態では、1つ以上のオリゴマー剤、オリゴマー化合物、二本鎖オリゴマー、またはアンチセンス剤はそれぞれ、修飾オリゴヌクレオチドを含む。特定の実施形態では、1つ以上のオリゴマー剤、オリゴマー化合物、またはアンチセンス剤はそれぞれ、修飾オリゴヌクレオチドからなる。特定の実施形態では、医薬組成物は、薬学的に許容される希釈剤または担体を含む。特定の実施形態では、医薬組成物は、滅菌生理食塩水と、1つ以上のオリゴマー剤、オリゴマー化合物、二本鎖オリゴマー、またはアンチセンス剤と、を含む、から本質的になる、またはからなる。特定の実施形態では、滅菌生理食塩水は、医薬品グレードの生理食塩水である。特定の実施形態では、医薬組成物は、1つ以上のオリゴマー剤、オリゴマー化合物、二本鎖オリゴマー、またはアンチセンス剤と、滅菌水と、を含む、から本質的になる、またはからなる。特定の実施形態では、滅菌水は、医薬品グレードの水である。特定の実施形態では、医薬組成物は、1つ以上のオリゴマー剤、オリゴマー化合物、二本鎖オリゴマー、またはアンチセンス剤と、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)と、を含む、から本質的になる、またはからなる。特定の実施形態では、滅菌PBSは、医薬品グレードのPBSである。特定の実施形態では、医薬組成物は、1つ以上のオリゴマー剤、オリゴマー化合物、二本鎖オリゴマー、またはアンチセンス剤と、人工脳脊髄液(「人工CSF」または「aCSF」)と、を含む、から本質的になる、またはからなる。特定の実施形態では、人工脳脊髄液は、医薬品グレードの人工脳脊髄液である。
【0340】
特定の実施形態では、医薬組成物は、オリゴマー剤、オリゴマー化合物、二本鎖オリゴマー、アンチセンス剤、または修飾オリゴヌクレオチドと、PBSと、を含む。特定の実施形態では、医薬組成物は、オリゴマー剤、オリゴマー化合物、二本鎖オリゴマー、アンチセンス剤、または修飾オリゴヌクレオチドと、PBSと、からなる。特定の実施形態では、医薬組成物は、オリゴマー剤、オリゴマー化合物、二本鎖オリゴマー、アンチセンス剤、または修飾オリゴヌクレオチドと、PBSと、から本質的になる。特定の実施形態では、PBSは、医薬品グレードのものである。
【0341】
特定の実施形態では、医薬組成物は、オリゴマー剤、オリゴマー化合物、二本鎖オリゴマー、アンチセンス剤、または修飾オリゴヌクレオチドと、人工脳脊髄液(aCSF)と、を含む。特定の実施形態では、医薬組成物は、オリゴマー剤、オリゴマー化合物、二本鎖オリゴマー、アンチセンス剤、または修飾オリゴヌクレオチドと、人工脳脊髄液と、からなる。特定の実施形態では、医薬組成物は、オリゴマー剤、オリゴマー化合物、二本鎖オリゴマー、アンチセンス剤、または修飾オリゴヌクレオチドと、人工脳脊髄液と、から本質的になる。特定の実施形態では、人工脳脊髄液は、医薬品グレードのものである。
【0342】
特定の実施形態では、aCSFは、塩化ナトリウム、塩化カリウム、リン酸二水素ナトリウム二水和物、無水二塩基性リン酸ナトリウム、塩化カルシウム二水和物、及び塩化マグネシウム六水和物を含む。特定の実施形態では、aCSF溶液のpHは、適切なpH調整剤(例えば、酸(塩酸など)及びアルカリ(水酸化ナトリウムなど))で約7.1~7.3の範囲または約7.2に調節される。
【0343】
特定の実施形態では、医薬組成物は、1つ以上のオリゴマー剤、オリゴマー化合物、二本鎖オリゴマー、またはアンチセンス剤と、1つ以上の賦形剤と、を含む。特定の実施形態では、賦形剤は、水、塩溶液、アルコール、ポリエチレングリコール、ゼラチン、ラクトース、アミラーゼ、ステアリン酸マグネシウム、タルク、ケイ酸、粘性パラフィン、ヒドロキシメチルセルロース及びポリビニルピロリドンから選択されている。
【0344】
特定の実施形態では、オリゴマー剤、オリゴマー化合物、二本鎖オリゴマー、またはアンチセンス剤は、医薬組成物または医薬製剤を調製するために、薬学的に許容される活性及び/または不活性な物質に添加混合し得る。医薬組成物を調合するための組成物及び方法は、多くの基準(投与経路、疾患の程度または投与用量が挙げられるが、これらに限らない)によって決まる。
【0345】
特定の実施形態では、オリゴマー剤、オリゴマー化合物、二本鎖オリゴマー、またはアンチセンス剤を含む医薬組成物は、そうしたオリゴマー剤、オリゴマー化合物、二本鎖オリゴマー、もしくはアンチセンス剤の任意の薬学的に許容される塩、そうしたオリゴマー剤、オリゴマー化合物、二本鎖オリゴマー、もしくはアンチセンス剤のエステル、またはそのようなエステルの塩を含む。特定の実施形態では、1つ以上の修飾オリゴヌクレオチドを含むオリゴマー剤、オリゴマー化合物、二本鎖オリゴマー、またはアンチセンス剤を含む医薬組成物は、動物(ヒトを含む)に投与すると、生物学的に活性な代謝物またはその残留物を(直接的または間接的に)与えることが可能である。したがって、例えば、本開示は、オリゴマー剤、オリゴマー化合物、二本鎖オリゴマー、またはアンチセンス剤の薬学的に許容される塩、プロドラッグ、そのようなプロドラッグの薬学的に許容される塩、及び他の生物学的同等物にも関する。特定の実施形態では、薬学的に許容される塩は、無機塩(一価または二価の無機塩など)を含む。適切な薬学的に許容される塩には、限定されないが、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、及びマグネシウム塩が含まれる。特定の実施形態では、プロドラッグは、修飾オリゴヌクレオチドに結合した1つ以上のコンジュゲート基を含み、コンジュゲート基は、体内の内在性ヌクレアーゼによって切断される。
【0346】
特定の実施形態では、オリゴマー剤、オリゴマー化合物、二本鎖オリゴマー、またはアンチセンス剤は凍結乾燥され、ナトリウム塩として単離される。特定の実施形態では、オリゴマー剤、オリゴマー化合物、二本鎖オリゴマー、またはアンチセンス剤のナトリウム塩は、薬学的に許容される希釈剤と混合される。特定の実施形態では、薬学的に許容される希釈剤は、滅菌生理食塩水、滅菌水、PBS、またはaCSFを含む。特定の実施形態では、オリゴマー剤、オリゴマー化合物、二本鎖オリゴマー、またはアンチセンス剤のナトリウム塩は、PBSと混合される。特定の実施形態では、オリゴマー剤、オリゴマー化合物、二本鎖オリゴマー、またはアンチセンス剤のナトリウム塩は、aCSFと混合される。
【0347】
様々な方法における核酸療法で、脂質部分が用いられている。特定のこのような方法では、カチオン性脂質と中性脂質の混合物で作られた予め形成済みのリポソームまたはリポプレックスに核酸(オリゴマー剤、オリゴマー化合物、二本鎖オリゴマー、またはアンチセンス剤など)を導入する。特定の方法では、中性脂質の非存在下で、モノカチオン性脂質またはポリカチオン性脂質とのDNA複合体を形成する。特定の実施形態では、脂質部分は、医薬剤の特定の細胞または組織への分布を増大させるように選択する。特定の実施形態では、脂質部分は、医薬剤の脂肪組織への分布を増大させるように選択する。特定の実施形態では、脂質部分は、医薬剤の筋肉組織への分布を増大させるように選択する。特定の実施形態では、医薬組成物は、送達システムを含む。送達システムの例としては、リポソーム及びエマルジョンが挙げられるが、これらに限らない。特定の送達システムは、特定の医薬組成物(疎水性化合物を含む医薬組成物を含む)を調製するのに有用である。特定の実施形態では、ジメチルスルホキシドのような特定の有機溶媒が用いられている。
【0348】
特定の実施形態では、医薬組成物は、本発明の1つ以上の医薬剤を所定の種類の組織または細胞に送達するように設計された組織特異的な送達分子を1つ以上含む。例えば、特定の実施形態では、医薬組成物は、組織特異的な抗体で被覆されたリポソームを含む。
【0349】
特定の実施形態では、医薬組成物は、共溶媒システムを含む。特定のこのような共溶媒システムは、例えば、ベンジルアルコール、非極性界面活性剤、水混和性有機ポリマー及び水相を含む。特定の実施形態では、このような共溶媒システムは、疎水性化合物に用いられている。このような共溶媒システムの非限定的な例は、VPD共溶媒システムであり、このシステムは、ベンジルアルコールを3%(w/v)、非極性界面活性剤Polysorbate80(商標)を8%(w/v)、及びポリエチレングリコール300を65%(w/v)含む無水エタノールの溶液である。このような共溶媒システムの比率は、その溶解性及び毒性の特徴をあまり大きく変化させなければ、かなり変化させてよい。さらに、共溶媒成分の内訳が変更されていてもよく、例えば、Polysorbate80(商標)の代わりに、他の界面活性剤が用いられていてもよく、ポリエチレングリコールの割合の大きさが変更されていてもよく、ポリエチレングリコールが、その他の生体適合性ポリマー、例えばポリビニルピロリドンに置き換えられていてもよく、デキストロースが、その他の糖または多糖に置き換わっていてもよい。
【0350】
特定の実施形態では、医薬組成物は、経口投与用に調製されている。特定の実施形態では、医薬組成物は、口腔内投与用に調製されている。特定の実施形態では、医薬組成物は、注射(例えば、静脈内注射、皮下注射、筋肉内注射、髄腔内(IT)注射、脳室内(ICV)注射など)による投与用に調製されている。特定のこのような実施形態では、医薬組成物は、担体を含み、水のような水性溶液、またはハンクス液、リンゲル液もしくは生理食塩水のような生理学的に適合する緩衝剤中に調合されている。特定の実施形態では、その他の成分(例えば、溶解性を補助するか、または成分保存剤として機能する成分)が含まれている。特定の実施形態では、適切な液体担体、懸濁化剤などを用いて、懸濁注射剤が調製されている。注射用の特定の医薬組成物は、単位剤形で、例えば、アンプルまたは複数回用量用容器で供給する。注射用の特定の医薬組成物は、油性または水性のビヒクル中の懸濁剤、液剤または乳剤であり、懸濁化剤、安定剤及び/または分散剤のような製剤化剤を含んでよい。注射用の医薬組成物で用いるのに適する特定の溶媒としては、親油性溶媒、ならびに脂肪油(ゴマ油など)、合成脂肪酸エステル(オレイン酸エチルまたはトリグリセリドなど)及びリポソームが挙げられるが、これらに限らない。
【0351】
特定の条件下では、本明細書で開示する特定の化合物は、酸として機能する。このような化合物は、プロトン化(遊離酸)形態、またはイオン化され、カチオンを伴う(塩)形態で描画または記載されている場合があるが、このような化合物の水溶液は、上記のような形態の間で平衡状態にある。例えば、水溶液中のオリゴヌクレオチドのリン酸結合は、遊離酸形態、アニオン形態及び塩形態の間で平衡状態にある。別段に示されていない限り、本明細書に記載されている化合物には、上記のような形態がすべて含まれるように意図されている。さらに、特定のオリゴヌクレオチドは、このような結合をいくつか有し、その各結合は、平衡状態にある。したがって、溶液中のオリゴヌクレオチドは、複数の位置における形態がすべて平衡状態にある集合体で存在する。「オリゴヌクレオチド」という用語には、このような形態がすべて含まれるように意図されている。描かれている構造には、やむを得ず、1つの形態が示されている。しかしその一方で、別段に示されていない限り、このような図面には、上記と同様に、対応する形態が含まれるように意図されている。本明細書では、化合物の遊離酸を示す構造の後に「またはその塩」あるいは「またはその薬学的に許容される塩」という用語が続く場合、完全または部分的にプロトン化し得る/脱プロトン化し得る/カチオンと結び付き得るそのような形態のすべてが明確に含まれる。特定の実施形態では、1つ以上の所定のカチオンが特定されている。カチオンには、限定されないが、ナトリウム、カリウム、カルシウム、またはマグネシウムが含まれ得る。
【0352】
特定の実施形態では、修飾オリゴヌクレオチド、オリゴマー剤、オリゴマー化合物、二本鎖オリゴマー、またはアンチセンス剤は、ナトリウム水溶液中に存在する。特定の実施形態では、修飾オリゴヌクレオチド、オリゴマー剤、オリゴマー化合物、二本鎖オリゴマー、またはアンチセンス剤は、カリウム水溶液中に存在する。特定の実施形態では、修飾オリゴヌクレオチド、オリゴマー剤、オリゴマー化合物、二本鎖オリゴマー、またはアンチセンス剤は、カルシウム水溶液中に存在する。特定の実施形態では、修飾オリゴヌクレオチド、オリゴマー剤、オリゴマー化合物、二本鎖オリゴマー、またはアンチセンス剤は、マグネシウム水溶液中に存在する。特定の実施形態では、修飾オリゴヌクレオチド、オリゴマー剤、オリゴマー化合物、二本鎖オリゴマー、またはアンチセンス剤は、PBS中に存在する。特定の実施形態では、修飾オリゴヌクレオチド、オリゴマー剤、オリゴマー化合物、二本鎖オリゴマー、またはアンチセンス剤は、aCSF中に存在する。特定の実施形態では、修飾オリゴヌクレオチド、オリゴマー剤、オリゴマー化合物、二本鎖オリゴマー、またはアンチセンス剤は、水中に存在する。特定のこのような実施形態では、その溶液のpHは、所望のpHとなるように、NaOH及び/またはHClで調整されている。
【0353】
非限定的な開示及び参照による援用
本明細書に列挙されている文献及び特許出願はそれぞれ、参照により、その全体が援用される。
【0354】
本明細書に記載されている特定の化合物及び組成物について、特定の実施形態に従って具体的に説明されている一方で、下記の実施例は、本明細書に記載されている化合物を例示する役割を果たすに過ぎず、その化合物を限定するようには意図されていない。本願に示されている参考資料、GenBankアクセッション番号、ENSEMBL識別子などはそれぞれ、参照により、その全体が本明細書に援用される。
【0355】
本出願に添付されている配列表には、必要に応じて「RNA」または「DNA」のいずれかとして各配列が示されているが、実際には、これらの配列は、化学修飾をいずれかに組み合わせたものによって修飾してもよい。修飾オリゴヌクレオチドを説明するために、上記のように「RNA」または「DNA」と称しているのは、特定の場合では、任意であることを当業者は容易に認識するであろう。例えば、2’-OH糖部分とチミン塩基を含むヌクレオシドを含むオリゴヌクレオチドは、修飾糖を有するDNA(DNAの2’-Hの1つが2’-OHに置き換わっている)または修飾塩基を有するRNA(RNAのウラシルがチミン(メチル化ウラシル)に置き換わっている)として記載できる。したがって、本明細書で提供する核酸配列(配列表内の核酸配列が挙げられるが、これらに限らない)には、天然または修飾型のRNA及び/またはDNAをいずれかに組み合わせたものを含む核酸が含まれるように意図されており、その核酸としては、修飾核酸塩基を有する核酸が挙げられるが、これらに限らない。さらなる例として、かつ以下に限定されるものではないが、「ATCGATCG」という核酸塩基配列を有するオリゴマー化合物には、修飾されているか、修飾されていないかにかかわらず、このような核酸塩基配列を有するいずれのオリゴマー化合物も含まれ、その化合物としては、RNA塩基を含む化合物(「AUCGAUCG」という配列を有する化合物など)、「AUCGATCG」のように、いくつかのDNA塩基と、いくつかのRNA塩基を有する化合物、及び「ATmCGAUCG」(式中、mCは、5位にメチル基を含むシトシン塩基を示す)のように、他の修飾核酸塩基を有するオリゴマー化合物が挙げられるが、これらに限らない。
【0356】
本明細書に記載されている特定の化合物(例えば修飾オリゴヌクレオチド)は、不斉中心を1つ以上有するので、エナンチオマー、ジアステレオマー、及び絶対立体化学の観点で(R)もしくは(S)として、糖アノマーにおけるようにαもしくはβとして、またはアミノ酸におけるように(D)もしくは(L)などとして定義し得る他の立体異性配置が生じる。本明細書で提供する化合物のうち、特定の立体異性配置を有するものとして描写または記載されている化合物には、その示されている化合物のみが含まれる。本明細書で提供する化合物のうち、立体化学が定義されていないものとして描写または説明されている化合物には、他に断りがない限り、そのステレオランダムな形態及び光学的に純粋な形態を含め、考え得るあらゆる異性体が含まれる。同様に、別段に示されていない限り、その化合物の互変異性体も含まれる。別段に示されていない限り、本明細書に記載されている化合物には、対応する塩形態が含まれるように意図されている。
【0357】
本明細書に記載されている化合物には、1つ以上の原子が、その示されている元素の非放射性同位体または放射性同位体に置き換わっている変形形態が含まれる。例えば、水素原子を含む本明細書の化合物には、1H水素原子のそれぞれが重水素に置換されたあらゆる考え得るケースが含まれる。本明細書の化合物に含まれる同位体置換としては、1Hの2Hまたは3Hへの置換、12Cの13Cまたは14Cへの置換、14Nの15Nへの置換、16Oの17Oまたは18Oへの置換、及び32Sの33S、34S、35Sまたは36Sへの置換が挙げられるが、これらに限らない。特定の実施形態では、非放射性同位体置換により、治療ツールまたは研究ツールとして用いる際に有益である新たな特性をオリゴマー化合物に付与し得る。特定の実施形態では、放射性同位体置換により、その化合物が、研究目的または画像診断などの診断目的においてに適する化合物となり得る。
【実施例】
【0358】
下記の実施例は、本開示の特定の実施形態を例示するものであり、限定するものではない。さらに、具体的な実施形態が示されている場合、本発明者は、それらの具体的な実施形態の一般的適用を企図している。例えば、特定のモチーフを有するオリゴヌクレオチドの開示によって、同じモチーフまたは類似のモチーフを有する追加のオリゴヌクレオチドが合理的に網羅される。また、例えば、特定の高親和性の修飾が特定の位置に見られる場合、別段に示されていない限り、同じ位置にある他の高親和性の修飾は、好適なものとみなす。
【0359】
実施例1:ヒトUNC13A核酸と相補的な、ホスホロチオエートインターヌクレオシド結合を均一に有するMOE均一修飾オリゴヌクレオチドの設計
ヒトUNC13A核酸と相補的な修飾オリゴヌクレオチドを設計した。以下の表中の修飾オリゴヌクレオチドは、ホスホロチオエートインターヌクレオシド結合を均一に有するMOE均一修飾オリゴヌクレオチドである。これらの修飾オリゴヌクレオチドのヌクレオシド長は18である。これらの修飾オリゴヌクレオチドの糖モチーフは、(5’→3’):eeeeeeeeeeeeeeeeeeであり、各「e」は、2’-MOE糖部分を表す。これらの修飾オリゴヌクレオチドのインターヌクレオシド結合モチーフは、(5’→3’):sssssssssssssssssであり、各「s」は、ホスホロチオエートインターヌクレオシド結合を表す。各シトシン残基は、5-メチルシトシンである。以下の表中の「開始部位」は、標的核酸配列中で修飾オリゴヌクレオチドが相補的な5’最末端ヌクレオシドを示す。以下の表中の「終結部位」は、標的核酸配列中で修飾オリゴヌクレオチドが相補的な3’最末端ヌクレオシドを示す。以下の表中に記載の各修飾オリゴヌクレオチドは、配列番号1(GENBANKアクセッション番号NC_000019.10のヌクレオシド17598001から17691000までの切断鎖の相補鎖)、配列番号2(GENBANKアクセッション番号NM_001080421.2)、またはこれらの両方と100%相補的である。「N/A」は、その特定の標的核酸配列と修飾オリゴヌクレオチドが100%相補的ではないことを示す。
【0360】
【0361】
【0362】
【0363】
【0364】
【0365】
【0366】
【0367】
【0368】
【0369】
実施例2:ヒトUNC13A RNAに対する、ホスホロチオエートインターヌクレオシド結合を均一に有するMOE均一修飾オリゴヌクレオチドの単回用量でのインビトロ作用
ヒトUNC13A核酸と相補的な修飾オリゴヌクレオチド(上記のもの)を、UNC13Aを発現する培養細胞中のUNC13A RNAに対するインビトロでのその単回用量の作用について試験する。
【0370】
修飾オリゴヌクレオチドで培養細胞を処理し、RNAを抽出して、UNC13A RNAの定量的リアルタイムRTPCR解析用とする。プライマープローブセットAを使用して、CE20x隠れエキソンを含むUNC13A RNAの量を決定する。プライマープローブBを使用して、CE20x隠れエキソンが排除されているUNC13A RNAの量を決定する。プライマープローブセットCを使用して、全UNC13Aの量を決定する。
【0371】
修飾オリゴヌクレオチドは、CE20xを含むUNC13A RNAの量を低減することが明らかになっている。修飾オリゴヌクレオチドは、CE20xが排除されているUNC13A RNAの量を増加させることが明らかになっている。修飾オリゴヌクレオチドは、全UNC13A RNAの量を増加させることが明らかになっている。
【0372】
実施例3:ヒトUNC13A RNAと相補的な修飾オリゴヌクレオチドの活性
ヒトUNC13A RNAと相補的な修飾オリゴヌクレオチドを、UNC13A RNAに対するインビトロでのその単回用量の作用について試験した。下記の培養条件を有する一連の実験において修飾オリゴヌクレオチドを試験した。
【0373】
修飾オリゴヌクレオチドでの処理に先立って、100μMのシクロヘキシミドで培養SH-SY5Y細胞を24時間処理した。その後、電気穿孔によって、7,000nMの濃度の修飾オリゴヌクレオチドで100,000個細胞/ウェルの密度のSH-SY5Y細胞を処理し、シクロヘキシミド含有培地に播種し戻した。約24時間の処理時間後に、細胞から全RNAを単離し、定量的リアルタイムRTPCRによってUNC13A RNAレベルを測定した。
【0374】
ヒトプライマープローブセットRTS54362(隠れエキソン1を特異的に認識するように設計されていることから、隠れエキソン1を含むRNAが測定される)(フォワード配列GTACAACCTGGACAAGCGAACT(本明細書では配列番号6として示される)、リバース配列GGAAACCCAGGCAGCTCAT(本明細書では配列番号7として示される)、プローブ配列ATCAAAGGCGAGGAGAAGGTGGC(本明細書では配列番号8として示される))によってUNCA13A RNAレベルを測定した(以下の表に示される)。
【0375】
ヒトプライマープローブセットRTS54363(3つすべての隠れエキソンを認識するように設計されていることから、UNC13Aのエキソン20とエキソン21との間の3つの隠れエキソンのいずれを含むRNAも測定される(隠れエキソンの完全網羅))(フォワード配列TGGATGGAGAGATGGAACCT(本明細書では配列番号9として示される)、リバース配列GGGCTGTCTCATCGTAGTAAAC(本明細書では配列番号10として示される)、プローブ配列TTGGCATCTGGGATCTTCACGACC(本明細書では配列番号11として示される))によってもUNCA13A RNAレベルを測定した(以下の表に示される)。
【0376】
ヒトプライマープローブセットRTS54365(隠れエキソンの完全排除(「排除転写産物」)を特異的に検出するように設計されていることから、UNC13Aのエキソン20とエキソン21との間に隠れエキソン1、隠れエキソン2、及び隠れエキソン3を含まないRNAが測定される)(フォワード配列CACCTGTCTGCATGAGAACCT(本明細書では配列番号12として示される)、リバース配列CATGGCAAACTCGTCCACAATC(本明細書では配列番号13として示される)、プローブ配列TAAACCTTCCAGGCATCGTCACCC(本明細書では配列番号14として示される))によってもUNCA13A RNAレベルを測定した(以下の表に示される)。3つすべての隠れエキソンが排除されている転写産物(「排除転写産物」)の固有発現のRTS54365による認識量は、RTS54362またはRTS54363による転写産物(「含有転写産物」)の認識量よりも顕著に多いことから、含有転写産物のレベルの低下時でも、排除転写産物のレベルは不変のままであるか、またはわずかに増加するものと予想される。
【0377】
RIBOGREEN(登録商標)によって測定した全RNA含量でUNC13A RNAレベルを正規化した。以下の表には、非処理対照細胞中のUNC13A RNAの量に対するUNC13A RNAのパーセント(%UTC)としてUNC13A RNAの減少が示される。「†」で印付けされた値は、修飾オリゴヌクレオチドがプライマープローブセットのアンプリコン領域と相補的であることを示す。アンプリコン領域と相補的な修飾オリゴヌクレオチドの効力及び有効性の測定には、追加のアッセイを使用することができる。
【0378】
【0379】
【0380】
【0381】
【0382】
【0383】
【0384】
【0385】
【0386】
【0387】
【0388】
【0389】
【配列表】
【国際調査報告】