(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-22
(54)【発明の名称】気相重合装置
(51)【国際特許分類】
C08F 2/01 20060101AFI20240515BHJP
C08F 2/34 20060101ALI20240515BHJP
【FI】
C08F2/01
C08F2/34
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023573324
(86)(22)【出願日】2022-06-07
(85)【翻訳文提出日】2023-11-28
(86)【国際出願番号】 EP2022065427
(87)【国際公開番号】W WO2022258632
(87)【国際公開日】2022-12-15
(32)【優先日】2021-06-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500289758
【氏名又は名称】バーゼル・ポリオレフィン・ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100100354
【氏名又は名称】江藤 聡明
(74)【代理人】
【識別番号】100167106
【氏名又は名称】倉脇 明子
(74)【代理人】
【識別番号】100194135
【氏名又は名称】山口 修
(74)【代理人】
【識別番号】100206069
【氏名又は名称】稲垣 謙司
(74)【代理人】
【識別番号】100185915
【氏名又は名称】長山 弘典
(72)【発明者】
【氏名】ディ フェデリコ,ピエール ルイージ
(72)【発明者】
【氏名】リナルディ,リカルド
(72)【発明者】
【氏名】ボナッコルシ,ジャン ルカ
(72)【発明者】
【氏名】ペンゾ,ジュゼッペ
(72)【発明者】
【氏名】ドリーニ,マウリツィオ
【テーマコード(参考)】
4J011
【Fターム(参考)】
4J011AA01
4J011DB13
4J011DB15
4J011DB18
4J011DB27
4J011EA09
4J011EB10
4J011MA11
4J011MA15
4J011MA16
4J011MB01
4J011MB04
4J011MB05
(57)【要約】
【解決手段】 少なくとも1つの重合ゾーンを含む反応器と、反応器から反応ガスを抜き出して反応器に戻すための再循環ラインと、反応ガスを再循環ラインに沿って輸送するための圧縮機と、反応ガスを冷却するための熱交換器とを含み、反応ガスと接触する再循環ラインの内面の少なくとも一部が5m未満の表面粗さRaを有するオレフィン気相重合装置を提供する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
オレフィン気相重合装置であって、
-少なくとも1つの重合ゾーンを含む反応器(1、2)と、
-反応ガスを前記反応器(1、2)から抜き出し、また、前記反応ガスを前記反応器(1、2)に戻すための再循環ラインライン(3)と、
-前記反応ガスを前記再循環ライン(3)に沿って輸送する圧縮機(4)と、
-前記反応ガスを冷却するための熱交換器(6)と、を含み、
前記反応ガスと接触する前記再循環ライン(3)の内面の少なくとも一部が、ASME B46.1に基づいて決定される表面粗さR
aが5m未満、好ましくは3m未満である、オレフィン気相重合装置。
【請求項2】
前記再循環ライン(3)の前記内面の少なくとも一部は、ASME B46.1に基づいて決定される表面粗さRaが、2.5m未満、好ましくは2m未満のステンレス鋼で製造される、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記再循環ライン(3)の前記内面の少なくとも一部は、ASME B46.1に基づいて決定される表面粗さRaが3m未満の低温炭素鋼(LTCS)で製造される、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記反応ガスと接触する表面に高さ1.5mmを超える突起がない、請求項1~3のいずれか1項に記載の装置。
【請求項5】
前記再循環ライン(3)のいずれかの曲がりが、曲がりの半径rが前記再循環ライン(3)の直径の5倍よりも大きいという条件を満たす、請求項1~4のいずれか1項に記載の装置。
【請求項6】
前記圧縮機(4)は、ASME B46.1に基づいて決定される表面粗さRaが3m未満のインペラを含む開放型遠心圧縮機である、請求項1~5のいずれか1項に記載の装置。
【請求項7】
前記圧縮機(4)の上流に配置された可変ガイドベーン(5)を含み、前記可変ガイドベーン(5)の前記反応ガスと接触する表面は、ASME B46.1に基づいて決定される表面粗さRaが3m未満である、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記熱交換器(6)の下流に配置されたバタフライバルブ(7)をさらに含み、前記バタフライバルブ(7)の前記反応ガスと接触する表面は、ASME B46.1に基づいて決定される表面粗さRaが3m未満である、請求項1~7のいずれか1項に記載の装置。
【請求項9】
前記バタフライバルブ(7)は、前記バタフライバルブ(7)の位置における前記再循環ラインライン(3)の断面よりも小さい面積を有する回転ディスクを含む、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記熱交換器(6)は、入口チャンバと、シェル構造内に封入された管束と、出口チャンバとを含む多管式熱交換器であり、各管は、入口と、長手方向中間部と、出口とを含み、各管の入口の直径d1は、管の対応する長手方向中間部の直径d2よりも大きい、請求項1~9のいずれか1項に記載の装置。
【請求項11】
前記反応器(1)は、ポリオレフィン粒子の流動層(11)と、前記反応器(1)の底部に配置された流動化グリッド(12)とを含む流動層反応器である、請求項1~10のいずれか1項に記載の装置。
【請求項12】
前記反応器は、マルチゾーン循環反応器(2)であり、前記マルチゾーン循環反応器(2)は、前記第1重合ゾーン(21)では、成長したポリオレフィン粒子が急速流動化または輸送条件下で上向きに流れ、前記第2重合ゾーン(22)では、前記成長したポリオレフィン粒子が緻密な形で下向きに流れ、前記第1重合ゾーン(21)と前記第2重合ゾーン(22)とが互いに連結され、前記第1重合ゾーン(21)から離れたポリオレフィン粒子が前記第2重合ゾーン(22)に入り、前記第2重合ゾーン(22)から離れたポリオレフィン粒子が前記第1重合ゾーン(22)に入り、前記第1および第2の重合ゾーン(21、22)を通るポリオレフィン粒子の循環が確立される、請求項1~10のいずれか1項に記載の装置。
【請求項13】
前記再循環ラインライン(3)には、ガス/固体分離用サイクロンが装備されていない、請求項1~12のいずれか1項に記載の装置。
【請求項14】
重合触媒の存在下、20~200℃の温度および0.5~10MPaの圧力下で、オレフィンを単独重合させるか、またはオレフィンと1種以上の他のオレフィンとを共重合させることを含む、オレフィンポリマーの製造プロセスであって、請求項1~13のいずれか1項に記載の装置で実施するオレフィンポリマーの製造プロセス。
【請求項15】
5m/s~25m/s、好ましくは15m/s~20m/sの反応ガス流速度で行われる、請求項14に記載のプロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、オレフィン気相重合装置を提供する。本開示は、特に、5m未満の表面粗さRaを有する反応ガスと接触する内面を有する再循環ラインを含む、オレフィン気相重合装置を提供する。本開示はまた、該装置で行われるオレフィンポリマーの製造プロセスを提供する。
【背景技術】
【0002】
ポリオレフィンは、主にエチレンやプロピレンなどの単純なオレフィンに由来するポリマーの一種である。80年以上の発展にもかかわらず、ポリオレフィンを製造するための効率的で資源を節約するプロセスに対するニーズは高い。
【0003】
気相重合プロセスは、ポリオレフィンを製造するための経済的なプロセスである。このような気相重合を行うのに好適な反応器は、例えば、流動層反応器、撹拌気相反応器、または互いに接続された2つの異なる気相重合ゾーンを有するマルチゾーン循環反応器である。これらのプロセスは、通常、モノマーおよびコモノマーを含む気相で行われ、多くの場合さらに、重合希釈剤、例えば窒素またはアルカン、または分子量調整剤または低分子量反応生成物としての水素などの他の気体成分も含まれる。得られる生成物は、通常、粒状触媒固体を含む重合触媒系によって形成される固体ポリオレフィン粒子である。
【0004】
オレフィン気相重合プロセスは、大量のガスが反応ゾーンから取り出され、重合熱を除去するために熱交換器を通過し、その後重合ゾーンに戻されることを特徴とする。流動層反応器では、戻された反応ガスはさらに、ポリオレフィン粒子を流動状態に維持する働きをする。マルチゾーン循環反応器において、反応器ゾーン間の循環は、戻された反応ガスの影響を受ける。これらすべてのプロセスを推進するために、反応ガスの再循環ラインには通常、遠心圧縮機が装備されている。
【0005】
生産プロセスの効率を高める1つの方法は、生産に使用される設備を改善することである。
【0006】
WO 2018/210780 A1は、オレフィンの気相重合のための流動層反応器であって、流動層反応器の下部に設置されたガス分配グリッドと、圧縮機および熱交換器を含み、上端が流動層反応器の上部に接続されたガス再循環ラインとを含み、ガス再循環ラインは、下端が少なくとも2つの実質的に水平な分岐に分割され、2つの分岐は、ガス分配グリッドの下部で流動層反応器に接線方向に接続されている、流動層反応器を開示する。WO 2018/210780 A1の教示によれば、格子は、再循環ガスによって運ばれる可能性のあるポリマー微粒子を、ポリマー微粒子の流動層に容易に戻すことを可能にする。
【0007】
WO 2008/074632 A1は、流動条件下でポリマーを含む容器に上向きのガス流を分配するように適合されたガス分配格子に関する。開示されたガス分配は、逆円錐の側壁を形成するように配置された複数のトレイを備え、前記複数のトレイは互いに取り付けられて、隣接するトレイの重なり合う領域にスロットを形成する。
【0008】
WO 2007/071527 A1は、重合触媒の存在下、流動層反応器中で1つまたは複数の(-オレフィンを重合する気相プロセスを記載する。流動層反応器は、その底部に配置された流動化グリッドと、反応器の上部から流動化グリッドに未反応ガスを再循環および冷却するための外部装置とを含んでおり、プロセスは、3えSW(i)流動化グリッドを流動層反応器の上部領域の循環ループに接続することにより、ポリマーの連続的な空気圧再循環を行うこと、(ii)ポリマー濃度が流動層内のポリマー濃度よりも高い循環ループの領域からポリマーを連続的に排出することを特徴とする。
【0009】
WO 2019/154756 A1は、反応器から反応ガスを抜き出し、冷却用熱交換器を通して反応ガスを導き、反応器に戻すための再循環ラインを含む少なくとも1つの重合ゾーンを含むオレフィンの気相重合のための気相重合反応器であって、前記再循環ラインは、熱交換器と、可変ガイドベーンと、バタフライバルブとを含む遠心圧縮機と、を含み、前記可変ガイドベーンは、前記遠心圧縮機の上流に配置され、前記バタフライバルブは、前記遠心圧縮機の下流に配置されている、気相重合反応器に関する。
【0010】
米国特許出願第10,781,273 B2号は、マルチモーダルポリオレフィン、特にポリエチレン樹脂を製造するための装置およびプロセスを開示している。製造は、直列に接続された2つの反応器を使用して達成され、1つの反応器は、ポリオレフィン粒子を2つの重合ゾーンを通して循環させることができるマルチゾーン循環反応器であり、1つの反応器は、第1ポリオレフィンを製造するように構成され、第2反応器は、第2ポリオレフィンを製造するように構成され、第2反応器は、第1反応器から第1ポリオレフィンを受け取るように構成され、または、第1反応器は、第2反応器から第2ポリオレフィンを受け取るように構成され、第2反応器は、二乗平均平方根が約150マイクロインチ未満になるまで研磨された内面を有する。
【0011】
米国第2015/0367319 A1号は、触媒および希釈剤の存在下、ループ反応器内でオレフィンモノマーを重合させ、固体粒状オレフィンポリマーおよび希釈剤を含むスラリーを生成するプロセスに関する。重合プロセス、ループ反応器内のビオ数は約3.0以下に維持される。ループ反応器内のスラリーは、反応器壁の内面に沿って膜係数を有するスラリー膜を形成する。
【0012】
欧州特許第2,602,269 A1号は、オレフィン重合のための多段階プロセスを開示する。ポリオレフィン粒子を第1気相重合反応器から第2気相重合反応器に移送する。第1気相反応器は、流動層反応器であって、ガス分配グリッドと、分配グリッド内に上部開口部と一体化された沈降管とを含み、沈降管の頂部から底部へ移動するポリオレフィン粒子床を含む。
【0013】
WO 2012/031986 A1には、高速流動化条件または輸送条件下でポリマー粒子が上方に流れるライザーを含む、相互接続された重合ゾーンを有する気相重合反応器が記載されている。さらに、反応器は、ポリマー粒子が重力の作用下で高密度の形態で下方に流れるダウンカマーを含み、ダウンカマーの底部が輸送セクションによってライザーの下部領域に接続されている。輸送セクションは、ダウンカマーからライザーに向かって下降するように湾曲するように設計されている。
【0014】
ポリマー流移送プロセスは、欧州特許第2,110,173 A1号に開示されている。本開示のプロセスは、重合反応器から分離ゾーンまたは装置への重合を含む流れを加熱することを含む。流れは、流れのための少なくとも1つの移送ラインおよび移送ラインを加熱するための手段を含む加熱器を通過し、固体ポリマーの平均粒径は3mm未満である。
【0015】
WO 2006/050919 A1は、オレフィン気相重合装置に関する。装置は、気相流動層反応器と、循環ガスを排出し再循環するために反応器に接続された循環ガス流とを含む。また、本装置は、反応器からの再循環ガス中に同伴される固体粒子を還元および沈殿させるために、再循環ガスラインに配置されたサイクロンを備える。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
ポリオレフィンの気相重合における課題の1つは、循環する反応ガス中にポリマー粒子が存在することであり、ポリマー粒子の蓄積により装置を汚染する危険性があり、極端な場合には装置、特に再循環ラインの目詰まりを引き起こす可能性がある。従って、循環する反応ガス中にポリマー粒子が存在していても、汚れを発生させることなく反応ガスを再循環ライン内で循環させることができ、かつ、循環ガス中に同伴される粉体の影響を最小限に抑え、粉体が装置内面に付着する危険性を低減することができるポリオレフィン製造装置を提供することが必要である。
【0017】
本開示は、オレフィン気相重合装置であって、
-少なくとも1つの重合ゾーンを含む反応器と、
-反応器から反応ガスを抜き出し、また、反応ガスを反応器に戻すための再循環ラインラインと、
-反応ガスを再循環ラインに沿って輸送するための圧縮機と、
-反応ガスを冷却するための熱交換器と、を含み、
反応ガスと接触する再循環ラインの内面の少なくとも一部が、ASME B46.1に基づいて決定される表面粗さRaが5m未満、好ましくは3m未満である。
【0018】
いくつかの実施形態では、前記再循環ラインの前記内面の少なくとも一部は、ASME B46.1に基づいて決定される表面粗さRaが、2.5m未満、好ましくは2m未満のステンレス鋼で製造される。
【0019】
いくつかの実施形態では、前記再循環ラインの前記内面の少なくとも一部は、ASME B46.1に基づいて決定される表面粗さRaが3m未満の低温炭素鋼(LTCS)で製造される。
【0020】
いくつかの実施形態では、この装置は、前記反応ガスと接触する表面に高さ1.5mmを超える突起がない。
【0021】
いくつかの実施形態では、前記再循環ラインのいずれかの曲がりが、曲がりの半径rが前記再循環ラインの直径の5倍よりも大きいという条件を満たす。
【0022】
いくつかの実施形態では、圧縮機は熱交換器の上流に配置される。
【0023】
いくつかの実施形態では、圧縮機は、ASME B46.1に基づいて決定される表面粗さRaが3m未満の反応ガスの圧力を増加させるインペラを含む開放型遠心圧縮機である。
【0024】
いくつかの実施形態では、この装置は、圧縮機の上流に配置された可変ガイドベーンを含み、可変ガイドベーンの反応ガスと接触する表面は、ASME B46.1に基づいて決定される表面粗さRaが3m未満である。
【0025】
いくつかの実施形態では、この装置は、熱交換器の下流に配置されたバタフライバルブをさらに含み、バタフライバルブの反応ガスと接触する表面は、ASME B46.1に基づいて決定される表面粗さRa>が3m未満である。
【0026】
いくつかの実施形態では、バタフライバルブは、バタフライバルブの位置における再循環ラインの断面よりも小さい面積を有する回転ディスクを含む。
【0027】
いくつかの実施形態では、熱交換器は、入口チャンバと、シェル構造内に封入された管束と、出口チャンバとを含む多管式熱交換器であり、各管は、入口と、長手方向中間部と、出口とを含み、各管の入口の直径d1が、管の対応する長手方向中間部の直径d2よりも大きい。
【0028】
いくつかの実施形態では、反応器は、ポリオレフィン粒子の流動層と、反応器の底部に配置された流動化グリッドとを含む流動層反応器である。
【0029】
いくつかの実施形態では、流動化グリッドは、逆円錐の側壁を形成するように配置された複数のトレイを含み、複数のトレイは、隣接するトレイの重なり合う領域に溝を形成するように配置され、トレイは、ASME B46.1に従って決定される表面粗さRaが3m未満である。
【0030】
いくつかの実施形態では、第1トレイの重なり合う領域がスロットの上部を形成し、連続トレイがスロットの底部を形成する。
【0031】
いくつかの実施形態では、この装置は、第1重合ゾーンで、成長したポリオレフィン粒子が急速流動化または輸送条件下で上向きに流れ、第2重合ゾーンで、成長したポリオレフィン粒子が緻密な形で下向きに流れ、第1重合ゾーンと第2重合ゾーンとが互いに連結され、第1重合ゾーンから離れたポリオレフィン粒子が第2重合ゾーンに入り、第2重合ゾーンから離れたポリオレフィン粒子が第1重合ゾーンに入り、第1重合ゾーンおよび第2重合ゾーンを通るポリオレフィン粒子の循環が確立される、マルチゾーン循環反応器である。
【0032】
いくつかの実施形態では、この装置は、一連の装置の一部である。
【0033】
別の態様において、本開示は、重合触媒の存在下、20~200℃の温度および0.5~10MPaの圧力下で、オレフィンを単独重合させるか、またはオレフィンと1種以上の他のオレフィンとを共重合させることを含むオレフィンポリマーの製造プロセスであって、本開示に係る装置で実施する、オレフィンポリマーの製造プロセスを提供する。
【0034】
いくつかの実施形態において、重合は、エチレンの単独重合またはエチレンと1-ブテン、1-ヘキセンおよび1-オクテンからなる群から選択される1種以上の他のオレフィンとの共重合であり、あるいは、重合は、プロピレンの単独重合またはプロピレンとエチレン、1-ブテンおよび1-ヘキセンからなる群から選択される1種以上の他のオレフィンとの共重合である。
【0035】
いくつかの実施形態では、このプロセスは、5m/s~25m/s、好ましくは15m/s~20m/sの反応ガス流速度で行われる。
【0036】
いくつかの実施形態では、反応器内の流動速度は0.3~1.5m/s、好ましくは0.5~1.2m/sである。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【
図1】
図1は、本開示のプロセスを実施するための流動層反応器を含む本開示に係る装置を概略的に示す。
【
図2】
図2は、本開示のプロセスを実施するためのマルチゾーン循環反応器を含む本開示に係る装置を概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0038】
本開示は、少なくとも1つの重合ゾーンを含む反応器と、反応器から反応ガスを抜き出し、また、反応ガスを反応器に戻すための再循環ラインと、反応ガスを再循環ラインに沿って輸送するための圧縮機と、反応ガスを冷却するための熱交換器とを含む、オレフィン気相重合装置を提供する。このような反応器は、流動層反応器、撹拌気相反応器、または互いに接続された2つの異なる気相重合ゾーンを有するマルチゾーン循環反応器であってもよい。これらのタイプの反応器は当業者に公知である撹拌気相反応器は、例えば、水平または垂直に撹拌することができる。本開示に係る好ましい気相重合反応器は、流動層反応器およびマルチゾーン循環反応器である。
【0039】
本開示に係る装置で重合可能なオレフィンは、特に1-オレフィン、すなわち末端二重結合を有する炭化水素であるが、これに限定されるものではない。非極性オレフィン化合物が好ましい。特に好ましい1-オレフィンは、直鎖状又は分岐状のC2~C12-1-アルケン、特にエチレン、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-ヘプテン、1-オクテン、1-デセンなどの直鎖状又は分岐状のC2~C10-1-アルケン又は4-メチルーペンテンなどの直鎖状又は分岐状のC2-C10-1-アルケン;1,3-ブタジエン、1,4-ヘキセン、1,7-オクテンなどの共役及び非共役ジエンである。種々の1-オレフィンの混合物を重合することもできる。好適なオレフィンはまた、二重結合が1種以上の環系を有してもよい環構造の一部であるオレフィンを含む。例えば、シクロペンテン、ノルボルネン、テトラシクロドデセンもしくはメチルノルボルネン、または5-エチリデン-2-ノルボルネン、ノルボルナジエンもしくはエチルノルボルナジエンなどのジエンである。2種以上のオレフィンの混合物を重合することも可能である。
【0040】
この装置は、エチレンまたはプロピレンの単独重合または共重合に特に有用であり、特にエチレンの単独重合または共重合に特に好適である。プロピレン重合における好ましいコモノマーは、40重量%までのエチレン、1-ブテンおよび/または1-ヘキセン、好ましくは0.5重量%~35重量%のエチレン、1-ブテンおよび/または1-ヘキセンである。エチレン重合におけるコモノマーとしては、C3~C8-1-アルケン、特に1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセンおよび/または1-オクテン20重量%以下、より好ましくは0.01重量%~15重量%、特に0.05重量%~12重量%が使用される。エチレンと1-ヘキセンおよび/または1-ブテンとを0.1重量%~12重量%共重合する重合が特に好ましい。
【0041】
本開示に係る装置は、反応ガスと接触する再循環ラインラインの少なくとも一部、好ましくは全内面が、ASME B46.1に基づいて決定される表面粗さRaが5m未満、好ましくは3m未満である。本開示に係る装置では、圧縮機が反応ガスを再循環ラインに沿って輸送することにより、反応ガスが反応器から抜き出され、熱交換器を通過し、反応器に戻され、反応ガスの循環が確保される。このような構成では、循環する反応ガス中のポリマー粒子の巻き込みを完全に回避することはできない。表面粗さRaが5m未満の内面を有する再循環ラインを設計することにより、再循環ライン内に存在するポリマー粒子の蓄積を最小限に抑え、再循環ラインの詰まりおよび製造プロセスの中断の危険性を低減することができる。
【0042】
表面粗さが5mm未満であれば、微粒子を連続的に循環させながら運転することができる。このため、サイクロン等の気固分離装置を設置しなくても、信頼性の高いオレフィンの気相重合を運転することができる。ガス/固体分離装置は、触媒などの固体粒子が装置から取り除かれるため、材料の損失を引き起こす可能性がある。さらに、ガス/固体分離装置を含むこのような装置は、小さいサイズのポリマー粒子が反応器から運ばれ、気体/固体分離装置によって装置から除去される可能性があるため、重合には適していない。このように、再循環ラインに、表面粗さRaが5m未満の内面を設けることにより、装置の操作の自由度を広げることができる。反応器の頭部は、一般的に、底部よりも広い内径を有し、気流速度を低下させ、再循環ラインに小さな粒子を持ち込まないようにしている。このような反応器は依然として本開示に係る装置に適用することができるが、拡幅された頭部を有する反応器はもはや必要としない。上記装置の再循環ラインは表面粗さが低いので、小さな粒子が再循環ラインの内面に付着することなく再循環ラインを流れて反応器内に戻る。したがって、再循環ラインを通る小粒子の循環が可能となり、再循環ラインへの小粒子の混入を軽減するという要件が軽減される。いくつかの実施形態では、再循環ラインはサイクロンを含んでいない。特に、再循環ラインは、圧縮機および/または熱交換器の上流にサイクロンを含んでいなくてもよい。
【0043】
本開示で定義される表面粗さRAは、例えば、例えば、機械研磨または電解研磨などの研磨によって達成され得る。
【0044】
好ましくは、オレフィン気相重合装置の異なる構成要素、特に再循環ラインは、重合反応を妨げず、高温および高圧の反応条件に耐え得る耐久性材料で製造される。好ましい実施形態では、再循環ラインの少なくとも一部および再循環ライン内に設置された機器、好ましくは再循環ライン全体および再循環ライン内に設置された機器は、鋼、好ましくはステンレス鋼または低温炭素鋼で製造される。ステンレス鋼の場合、ASME B46.1に基づいて決定される、反応ガスと接触する内面の表面粗さRaは、2.5m未満、好ましくは2m未満であることが好ましい。別の好ましい実施形態では、再循環ラインおよび再循環ラインに設置された機器の少なくとも一部が低温炭素鋼(LTCS)で製造され、反応ガスと接触する低温炭素鋼の内面は、ASME B46.1に基づいて決定される表面粗さRaが3m未満である。
【0045】
特に低い表面粗さを有する再循環ラインの内面を採用することに加えて、本開示の場合、反応ガスと接触するいずれかの表面上の突起、例えば重合装置由来の要素が溶接された突起を可能な限り小さく維持する流れの更なる改善が観察される。したがって、好ましい実施形態では、本開示に係る装置は、反応ガスと接触する表面に1.5mmを超える高さの突起がないことを特徴とする。
【0046】
特に、本開示に係る装置の再循環ラインは、ポリマー微粒子が内面に付着して望ましくない重合を開始し、時間の経過とともに流動化プロセスをブロックする可能性があるシートまたはプラグを生成することを防止することを目的として設計される。この点に関して、再循環ラインでの急な曲がりや角度を避けることが有利であることも判明した。したがって、再循環ライン内の曲がりは、再循環ポリマー粉末の摩耗を低減し、壁の遠心力を制限するために、長径にする必要がある。驚くべきことに、再循環ラインの曲がりの半径rがその直径よりも大きければ、この目的が達成できることが判明した。好ましい実施形態では、再循環ラインのいずれかの曲がりは、曲がりの半径rが再循環ラインの直径dの5倍よりも大きいという条件を満たす。したがって、この比率は、r>5dと表現することができる。
【0047】
本開示に係る装置はまた、反応ガスを再循環ラインに沿って輸送する圧縮機、好ましくは遠心圧縮機を含む。反応ガス流の最大効率を達成するために、圧縮機は、熱交換器の上流に配置されることが好ましい。本開示の好ましい実施形態では、圧縮機は、反応ガスと接触する圧縮機内の表面のいずれかの部分が、ASME B46.1に基づいて決定される表面粗さRaが3m未満であるように設計されている。本開示に係る装置で使用される圧縮機は、インペラを含むことが好ましい。本開示に係る装置のさらに好ましい実施形態では、圧縮機はインペラを含む開放型遠心圧縮機である。好ましくは、ASME B46.1に基づいて決定される表面粗さRAが3m未満であるインペラである。インペラの表面粗さが特許請求の範囲内にあることを保証することにより、反応ガスの循環速度が最適化され、ポリマー微粒子の流れへの干渉が軽減され得る。
【0048】
好ましい実施形態では、この装置は、圧縮機の上流に配置された可変ガイドベーンをさらに含む。反応ガスと接触する可変ガイドベーンの表面は、ASME B46.1に基づいて決定される表面粗さRAが3m未満であることが好ましい。
【0049】
本開示に係る装置は、反応ガスを冷却するための熱交換器をさらに含む。本開示の好ましい実施形態において、熱交換器は、反応ガスと接触する熱交換器内の表面のいずれかの部分が、ASME B46.1に従って決定される表面粗さRaが7m未満、より好ましくは3m未満、特に2m未満であるように設計される。特に好ましい実施形態では、熱交換器はシェル・アンド・チューブ型熱交換器である。これらの実施形態において、シェル・アンド・チューブ型熱交換器の入口チャンバ、管および出口チャンバの内面は、ASME B46.1に基づいて決定される表面粗さRAが7m未満、より好ましくは3m未満、特に2m未満である。
【0050】
特に好ましい実施形態では、熱交換器は、入口チャンバと、シェル構造内に封入された管束と、出口チャンバとを含む多管式熱交換器であり、各管は、入口と、長手方向中間部と、出口とを含み、各管の入口の直径d1が、管の対応する長手方向中間部の直径d2よりも大きい。管の特別な設計により、空気流中に存在するポリマー粒子が熱交換器の管を通してスムーズに案内され、蓄積や汚れの発生の危険性が大幅に低減される。これらの実施形態において、直径d1と直径d2との比は、1.75:1~1.5:1であることが好ましく、1.4:1~1.3:1であることがより好ましい。各管の入口は円錐形状であることが好ましく、円錐形状領域と管の中心軸との間の角度は20°~60°の範囲内であることが好ましく、30°~50°の範囲内であることがより好ましく、特に45°であることが好ましい。各管の入口の直径d1は、好ましくは25mm~45mm、より好ましくは30mm~40mmである。本開示の範囲における直径は内径であり、管の入口については、管の入口の周囲によって定義される円の中心を通り、その終端がその円内に位置する任意の直線セグメントとして定義される。各管の長手方向中間部の直径d2、すなわち各管の長手方向中間部の内径が10mm~30mmであることが好ましく、より好ましくは15mm~25mmである。管の長手方向中間部は一定の直径を有することが好ましい。
【0051】
さらに好ましい実施形態では、本開示に係る装置は、熱交換器の下流に配置されたバタフライバルブをさらに含む。再循環ライン内の反応ガスの流速を制御する器具としてバタフライバルブを用いることにより、汚れの発生の危険性が低く、再循環ライン内で可変の圧力降下を実現することができる。好ましくは、バタフライバルブは、反応ガスに混入した小さな粒子がバタフライバルブの部品に付着する危険性を最小限に抑えるために、バタフライバルブ内に鋭利なエッジや角を避けるように構築される。この危険性をさらに最小化するために、反応ガスと接触するバタフライバルブ表面は、ASME B46.1に基づいて決定される表面粗さRaが3m未満であることが好ましい。好ましくは、バタフライバルブは、バタフライバルブの位置における再循環ラインの断面よりも小さい面積を有する回転ディスクを含む。これは、バタフライバルブが全閉位置にあるとき、すなわちロータリー弁フラップが空気流に対して垂直に配置されているときに、空気流が完全に遮断されることがないことを意味する。回転ディスクの面積は、バタフライバルブの位置における再循環ラインの断面積の90~99%であることが好ましく、回転ディスクの面積は、バタフライバルブの位置における再循環ラインの断面積の94~98%であることがより好ましい。好ましい実施形態では、回転ディスクは円形であり、バタフライバルブが閉位置にある位置における再循環ラインの非閉塞領域は、回転ディスクの周囲に環状の隙間を形成する。好ましい実施形態では、回転ディスク中心は固定され、回転ディスク中心を通る軸の周りに回転する。ASME B46.1に基づいて決定される表面粗さRAが3m未満であることが好ましい。
【0052】
好ましい実施形態では、本開示に係る装置は反応器を含み、この反応器は、ポリオレフィン粒子の流動層、反応器の底部の流動化グリッド、および反応器の頂部の任意の減速ゾーンを含む流動層反応器である。このような反応器の設計は、反応ガスの一定の流れとポリオレフィン粒子の安定した流動層を可能にする。
【0053】
流動層反応器は、ポリオレフィン粒子層内で重合が発生する反応器であり、反応ガス混合物を、通常は分配ガス流機能を有するガス分配グリッドの下で反応器の下端の反応器内に供給し、流動層反応器の頂部で再びガスを抜き出すことにより、ポリオレフィン粒子層は流動層状態を維持する。次いで、反応ガス混合物は、圧縮機および熱交換器を含む再循環ラインを介して反応器の下端に戻され、重合熱を除去する。反応ガス混合物の流速は、第1に、重合ゾーン内に存在する微細なポリマー粒子層を流動化させるために、第2に、重合熱を効果的に除去するために、十分に高くなければならない。
【0054】
好ましくは、逆円錐の側壁を形成するように配置された複数のトレイを含み、隣接するトレイの重なり合う領域にスロットを形成するように配置され、前記トレイは、ASME B46.1に基づいて決定され表面粗さRaが3m未満である。好ましい実施形態では、第1トレイの重なり合う領域がスロットの上部を形成し、連続トレイがスロットの底部を形成する。このようなグリッドは、流動状態のポリマーを含む容器内に上向きのガス流を均一に分配するのに特に適している。トレイの適切な配置は、例えば、WO 2008/074632 A1に記載されている。
【0055】
さらに好ましい実施形態では、流動層反応器は沈降管を含む。沈降管は、その上部開口部とガス分配格子とを一体化することが好ましい。好ましくは、ガス分配グリッドと沈降管とは、ガス分配グリッドが沈降管に向かって下向きに傾斜するテーパ状に形成され、重力によるポリオレフィン粒子の沈降管への進入を促進するように配置されている。
【0056】
好ましい実施形態では、流動層反応器内の流動速度は0.3~1.5m/s、より好ましくは0.5~1.2m/sであり、均一で安定した流動ポリマー粒子層を提供する。
【0057】
図1は、流動床反応器を含む本開示の装置を概略的に示す。
【0058】
流動層反応器(1)は、ポリオレフィン粒子の流動層(11)と、ガス分配グリッド(12)と、反応器の流動層部分の直径よりも大きい直径を有する減速ゾーン(13)とを含む。ポリオレフィン層は、反応器(1)の底部に配置されたガス分配グリッド(12)を介して上方に流れるガスによって流動状態に維持される。再循環ライン(3)を介して減速ゾーン(13)の頂部から出た反応ガスのガス流は、可変ガイドベーン(5)を含む圧縮機(4)によって圧縮され、熱交換器(6)に移送され、熱交換器内で冷却された後、ガス分配グリッド(12)の下方の点で流動層反応器(1)の底部に再循環される。再循環ラインライン(3)は、熱交換器(6)の下流に位置するバタフライバルブ(7)をさらに含む。補充モノマー、分子量調整剤、および任意に不活性ガスおよび/またはプロセス添加剤を、圧縮機(4)の上流のライン(8)を介して、異なる位置で反応器(1)に供給されてもよい。
【0059】
流動層反応器(1)には、ガス分配グリッド(12)を流動層反応器(1)の上部領域に接続する循環ループ(14)によって、ポリオレフィン粒子の連続空気循環が提供される。循環ループ(14)は、沈降管(15)と空気輸送管(16)とを含む。沈降管(15)は、その上部開口部とガス分配グリッド(12)に組み込まれており、好ましくは実質的に垂直に配置されている。ガス分配グリッド(12)は、沈降管(15)に向かって下向きに傾斜することにより、重力によるポリオレフィン粒子の沈降管(15)への進入を促進するようにテーパ形状が付与されている。沈降管(15)の上部開口は、好ましくは、ガス分配グリッド(12)に対して中心位置にある。空気圧輸送艦(16)を通してポリオレフィン粒子を輸送するためのライン(17)を介して供給されるキャリアガスは、圧縮機(4)の下流かつ熱交換器(6)の上流の点でガス再循環ラインから取り出される。ポリオレフィン粒子は流動層反応器(1)から排出導管(9)を通って沈降管(15)から排出される。
【0060】
他の好ましい実施形態では、本開示に係る装置は、第1重合ゾーンで、成長したポリオレフィン粒子が急速流動化または輸送条件下で上向きに流れ、第2重合ゾーンで、成長したポリオレフィン粒子が密化条件下で下向きに流れ、第1重合ゾーンと第2重合ゾーンとが互いに連結され、第1重合ゾーンから離れたポリオレフィン粒子が第2重合ゾーンに入り、第2重合ゾーンから離れたポリオレフィン粒子が第1重合ゾーンに入り、第1重合ゾーンおよび第2重合ゾーンを通るポリオレフィン粒子の循環が確立される、マルチゾーン循環反応器である反応器を含む。この反応器内で重合を行うことにより、ポリマー特性、特に分子量分布を良好に制御することができることを見出した。
【0061】
マルチゾーン循環反応器は、例えば、WO 97/04015A1およびWO 00/02929A1に記載されており、2つの互いに連結された重合ゾーン、成長したポリオレフィン粒子が急速流動化または輸送条件下で上方に流れるライザー、および成長したポリオレフィン粒子が重力により緻密な形で下方に流れるダウンカマーを有する。ライザーから出たポリオレフィン粒子はダウンカマーに入り、ダウンカマーから出たポリオレフィン粒子はライザーに再導入され、こうして2つの重合ゾーン間でポリマーの循環が確立され、ポリマーはこれら2つのゾーンを交互に複数回通過する。本開示の重合反応器は、固気分離装置がダウンカマーの上方に配置され、ライザーからのポリオレフィンと反応ガス混合物とを分離する。成長したポリオレフィン粒子はダウンカマーに入り、ライザーで分離された反応ガス混合物は、ガス再循環ラインを介して重合反応器に再導入される1つまたは複数の点に連続的に循環される。好ましくは、循環ガスの主要部をライザーの底部に循環させる。再循環ラインは、遠心圧縮機と、重合熱を除去するための熱交換器とを含む。好ましくは、触媒を供給するライン、または上流側反応器からポリオレフィン粒子を供給するラインは、ライザーに配置され、ポリマー排出システムは、ダウンカマーの底部に配置される。補充モノマー、コモノマー、水素および/または不活性成分の導入は、ライザーおよびダウンカマーに沿って異なる点で行われてもよい。
【0062】
図2は、マルチゾーン循環反応器を含む、本開示に係る装置を概略的に示す。
【0063】
マルチゾーン循環反応器(2)は、第1反応ゾーンとしてのライザー(21)と、第2反応ゾーンとしてのダウンカマー(22)とを含む。ポリオレフィン粒子は、ライザー(21)とダウンカマー(22)を繰り返し通過する。ライザー(21)内では、ポリオレフィン粒子が急速流動化状態で上向きに流れ、ダウンカマー(22)内では、重力によりポリオレフィン粒子が下向きに流れる。ライザー(21)とダウンカマー(22)とは、相互接続ベンド(23)、(24)を介して適宜相互接続される。
【0064】
ポリオレフィン粒子および反応ガス混合物は、ライザー(21)を流れた後、ライザー(21)を出て、固気分離ゾーン(25)に送られる。このような固気分離は、サイクロンのような遠心分離機のような従来の分離装置を用いて実現することができる。ポリオレフィン粒子は、分離ゾーン(25)からダウンカマー(22)内に下降する。ライザー(21)の反応ガス混合物がダウンカマー(22)に入るのを防止するための遮断流体を、ライン(26)を介してダウンカマー(22)の頂部に供給することができる。
【0065】
分離ゾーン(25)を出た反応ガス混合物は、ライザー(21)の急速流動化状態を確立するために可変ガイドベーン(5)を含む圧縮機(4)を含む再循環ライン(3)を介してライザー(21)の底部に再循環される。再循環ラインライン(3)は、熱交換器6)と、熱交換器(6)の下流のバタフライバルブ(7)とをさらに含む。補充モノマー、補充コモノマー、および任意に不活性ガスおよび/またはプロセス添加剤を、ライン(8)を介して再循環ライン(3)に入るように、異なる位置で反応器(2)に供給することができる。圧縮機(4)と熱交換器(6)との間では、ライン(27)が分岐しており、循環ガスの一部を、ダウンカマー(22)からライザー(21)にポリオレフィン粒子を送るための相互接続ベンド(24)に送る。
【0066】
ダウンカマー(22)の底部にはバタフライバルブ(28)が取り付けられており、このバタフライバルブは、ダウンカマー(22)から相互接続ベンド(24)を介してライザー(21)へのポリオレフィン粒子の流れを調整するための調整可能な開口を有している。バタフライバルブ(28)の上方では、再循環ラインライン(3)からライン(26)、(29)を通って来た量の再循環ガス混合物が定量ガスとしてダウンカマー(22)に導入され、バタフライバルブ(28)を通るポリオレフィン粒子の流れを促進する。ポリオレフィン粒子は、マルチゾーン循環反応器(2)から排出導管(9)を介してダウンカマー(22)から排出される。
【0067】
本開示のさらに好ましい実施形態では、この装置は、一連の装置の一部である。好ましくは、このシリーズは、第1気相装置と、それに続く第2気相装置とを含む。
【0068】
本開示の別の目的は、重合触媒の存在下、20~200℃の温度、0.5~10MPaの圧力下で、オレフィンを単独重合させるか、またはオレフィンと1種以上の他のオレフィンとを共重合させることを含む、オレフィンポリマーの製造プロセスであって、本開示に係る装置内で実施される、オレフィンポリマーの製造プロセスである。
【0069】
好ましくは、重合は、エチレンの単独重合であるか、エチレンと1-ブテン、1-ヘキセン、1-オクテンから選ばれる1種以上の他のオレフィンとの共重合であるか、あるいは、プロピレンの単独重合であるか、プロピレンとエチレン、1-ブテン、1-ヘキセンから選ばれる1種以上の他のオレフィンとの共重合である。好ましくは、得られるポリオレフィンは、ISO 1183に準拠して23℃で測定した密度が0.945~965g/cm3である高密度ポリエチレンである。
【0070】
本開示のプロセスは、0.5MPa~10MPa、好ましくは1.0MPa~8MPa、特に1.5MPa~4MPaの圧力で実施することができ、ここでこれらの圧力は、本開示で与えられるすべての圧力として、絶対圧力、すなわち寸法MPa(abs)を有する圧力として理解されなければならない。重合は、好ましくは30℃~160℃、特に好ましくは65℃~125℃の温度で行われ、この範囲の上部の温度が比較的高密度および比較的高い温度のエチレンコポリマーを製造するのに好ましい。この範囲の下限は、より密度の低いエチレンコポリマーを製造するのに好ましい。
【0071】
このプロセスはまた、循環する反応ガス混合物の一部を露点以下に冷却し、反応器に液相および気相として別々に戻すか、または反応ガスを冷却するために蒸発エンタルピーを追加的に利用するために2相混合物として一緒に戻す凝縮モードまたは超凝縮モードで行うことができる。本開示のプロセスは、凝縮モードまたは超凝縮モードで運転される場合には、流動層反応器内で行われることが好ましい。
【0072】
本開示の好ましい実施形態では、重合は、窒素のような不活性ガス、またはメタン、エタン、プロパン、n-ブタン、イソブタン、n-ペンタン、イソペンタン、n-ヘキサンのような炭素数1~10のアルカン、またはこれらの混合物の存在下で行われる。不活性ガスとしては、窒素ガスまたはプロパンを用いることが好ましく、適当であれば他のアルカンと組み合わせて用いることが好ましい。本開示の特に好ましい実施形態では、重合は、重合希釈剤としてのC3~C5アルカンの存在下で行われ、特にエチレンの単独重合または共重合の場合には、プロパンの存在下で行われることが最も好ましい。次いで、反応器内の反応ガス混合物は、重合されるオレフィン、すなわち主モノマーおよび1つまたは複数の任意のコモノマーをさらに含む。本開示の好ましい実施形態では、反応ガス混合物は、30~99体積%、より好ましくは40~95体積%、特に45~85体積%の不活性成分の含有量を有する。本開示の他の好ましい実施形態では、特に主モノマーがプロピレンである場合、不活性希釈剤は全く添加されないか、または少量のみ添加される。反応ガス混合物は、さらに、帯電防止剤または水素ガスのような分子量調整剤のような追加成分を含むことができる。反応ガス混合物の成分は、ガス形態または液体形態で気相重合反応器または再循環ラインラインに供給され、その後、反応器または再循環ラインライン内で蒸発することができる。
【0073】
一般的に使用されているあらゆるオレフィン重合触媒を用いてオレフィンの重合を行うことができる。つまり、酸化クロムをベースにしたフィリップス触媒、チーグラー触媒またはチーグラーナッタ触媒、またはシングルサイト触媒を使用して重合を実行できるということである。本開示の目的において、シングルサイト触媒は、化学的に均一な遷移金属配位化合物に基づく触媒である。さらに、これらの触媒の2種以上の混合物を用いてオレフィンを重合することもできる。このような混合触媒は一般にハイブリッド触媒と呼ばれる。オレフィン重合用のこれらの触媒の調製および使用は一般に知られている。
【0074】
好ましい触媒は、好ましくはチタンまたはバナジウムの化合物、マグネシウムの化合物、および場合により担体材料として電子供与体化合物および/または粒子状無機酸化物を含むチーグラー型のものである。
【0075】
チーグラー型触媒は通常、助触媒の存在下で重合される。好ましい助触媒は、元素周期律表の第1族、第2族、第12族、第13族または第14族の金属の有機金属化合物、特に第13族の金属の有機金属化合物、特に有機アルミニウム化合物である。好ましい助触媒は、例えば、有機金属アルキル、有機金属アルコキシド、有機金属ハロゲン化物である。
【0076】
好ましい有機金属化合物は、リチウムアルキル、マグネシウム又は亜鉛アルキル、マグネシウムアルキルハロゲン化物、アルミニウムアルキル、シリコンアルキル、シリコンアルコキシド及びシリコンアルキルハロゲン化物を含む。より好ましくは、有機金属化合物は、アルキルアルミニウム及びアルキルマグネシウムを含む。さらにより好ましくは、有機金属化合物はアルキルアルミニウム、最も好ましくはトリアルキルアルミニウム化合物、又はアルキル基がハロゲン原子、例えば塩素又は臭素で置換されたこのタイプの化合物を含む。このようなアルミニウムアルキルの例は、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリ-n-ヘキシルアルミニウムもしくはジエチルアルミニウムクロリド、またはそれらの混合物である。
【0077】
また、好ましくは、無機担体にクロム化合物を塗布した後、350~1000℃の範囲の温度で触媒前駆体を活性化することにより、6価未満のクロムを6価状態に変換することにより製造されるフィリップス型クロム触媒である。クロム以外に、マグネシウム、カルシウム、ホウ素、アルミニウム、リン、チタン、バナジウム、ジルコニウム、亜鉛などの他の元素を用いることができる。特に、チタン、ジルコニウム又は亜鉛を用いることが好ましい。上記の要素の組み合わせも可能である。触媒前駆体は、活性化前または活性化中にフッ化物をドープすることができる。当業者にも知られているフィリップス型触媒の担体としては、アルミナ、シリカ(シリカゲル)、チタニア、ジルコニアまたはこれらの混合酸化物若しくはゲル、リン酸アルミニウムが挙げられる。細孔表面積を例えばホウ素、アルミニウム、ケイ素またはリンの元素の化合物によって変化させることにより、より好適な支持材料を得ることができる。シリカゲルを使用することが好ましい。好ましくは球状又は粒状のシリカゲルであり、前者も噴霧乾燥可能である。活性化されたクロム触媒は、続いて予備重合または予備還元することができる。予備還元は、通常、活性剤中、250℃~500℃、好ましくは300℃~400℃で、コバルトを用いて、あるいは水素を用いて行われる。
【0078】
本開示の別の好ましい実施形態では、重合は、重合反応器カスケードの一部である気相反応器での重合であり、重合反応器カスケードの他の気相反応器での1つまたは複数の重合も、本開示に従った重合であり得る。重合反応器の適切な組み合わせは、流動層反応器の後にマルチゾーン循環反応器を接続すること、マルチゾーン循環反応器の後に流動層反応器を接続すること、2つまたは3つの流動層反応器のカスケード接続すること、および1つまたは2つのループ反応器の後に1つまたは2つの流動層反応器を接続することを含む。
【0079】
本開示に係る装置は、反応ガスが再循環ラインを介して迅速に循環するように設計されている。したがって、好ましい実施形態では、本開示のプロセスは、5m/s~25m/s、より好ましくは15m/s~20m/sの反応ガス流速度で再循環ラインで行われる。前記大きさの反応ガス流速度は、微細ポリマーの良好な交換および輸送を確実にし、ポリマー粒子の堆積または蓄積を避けるのにも役立つ。
【0080】
本開示に係る装置は、再循環ラインや再循環ライン内に設置された機器内に汚れを生成することなく、また、循環する反応ガス中にポリマー粒子が存在していても、装置内面にポリマー粉末を蓄積させることなく、オレフィンの気相重合を行うことができる。サイクロンのような気固分離装置を設置しなくても、オレフィンの気相重合を高い信頼性で運転することができる。したがって、本開示の好ましい実施形態では、再循環ラインには、例えば圧縮機および熱交換器の上流にサイクロンが装備されていない。この装置は、小さいサイズを有するポリマー粒子を用いてオレフィンの気相重合を実行することを可能にし、したがって装置の操作の柔軟性を広げる。このようにして、この装置は、空の反応器を用いて重合の開始を行うこともでき、すなわち、重合開始前にポリマー粒子を導入するためのシードベッドを必要としない。循環ポリマー粒子に対する装置の感度が低いため、重合システム全体の信頼性がさらに高まる。
【手続補正書】
【提出日】2023-11-28
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
オレフィン気相重合装置であって、
-少なくとも1つの重合ゾーンを含む反応器(1、2)と、
-反応ガスを前記反応器(1、2)から抜き出し、また、前記反応ガスを前記反応器(1、2)に戻すための再循環ラインライン(3)と、
-前記反応ガスを前記再循環ライン(3)に沿って輸送する圧縮機(4)と、
-前記反応ガスを冷却するための熱交換器(6)と、を含み、
前記反応ガスと接触する前記再循環ライン(3)の内面の少なくとも一部が、ASME B46.1に基づいて決定される表面粗さR
aが5m未満、好ましくは3m未満である、オレフィン気相重合装置。
【請求項2】
前記再循環ライン(3)の前記内面の少なくとも一部は、ASME B46.1に基づいて決定される表面粗さRaが、2.5m未満、好ましくは2m未満のステンレス鋼で製造され、または、前記再循環ライン(3)の前記内面の少なくとも一部は、ASME B46.1に基づいて決定される表面粗さRaが3m未満の低温炭素鋼(LTCS)で製造される、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記反応ガスと接触する表面に高さ1.5mmを超える突起がない、請求項1~2のいずれか1項に記載の装置。
【請求項4】
前記再循環ライン(3)のいずれかの曲がりが、曲がりの半径rが前記再循環ライン(3)の直径の5倍よりも大きいという条件を満たす、請求項1~3のいずれか1項に記載の装置。
【請求項5】
前記圧縮機(4)は、ASME B46.1に基づいて決定される表面粗さRaが3m未満のインペラを含む開放型遠心圧縮機であり、前記装置は、任意に、前記圧縮機(4)の上流に配置された可変ガイドベーン(5)を含み、前記可変ガイドベーン(5)の前記反応ガスと接触する表面は、ASME B46.1に基づいて決定される表面粗さRaが3m未満である、請求項1~4のいずれか1項に記載の装置。
【請求項6】
前記熱交換器(6)の下流に配置されたバタフライバルブ(7)をさらに含み、前記バタフライバルブ(7)の前記反応ガスと接触する表面は、ASME B46.1に基づいて決定される表面粗さRaが3m未満である、請求項1~5のいずれか1項に記載の装置。
【請求項7】
前記熱交換器(6)は、入口チャンバと、シェル構造内に封入された管束と、出口チャンバとを含む多管式熱交換器であり、各管は、入口と、長手方向中間部と、出口とを含み、各管の入口の直径d1は、管の対応する長手方向中間部の直径d2よりも大きい、請求項1~6のいずれか1項に記載の装置。
【請求項8】
前記反応器(1)は、ポリオレフィン粒子の流動層(11)と、前記反応器(1)の底部に配置された流動化グリッド(12)とを含む流動層反応器であり、前記反応器は、マルチゾーン循環反応器(2)であり、前記マルチゾーン循環反応器(2)は、前記第1重合ゾーン(21)では、成長したポリオレフィン粒子が急速流動化または輸送条件下で上向きに流れ、前記第2重合ゾーン(22)では、前記成長したポリオレフィン粒子が緻密な形で下向きに流れ、前記第1重合ゾーン(21)と前記第2重合ゾーン(22)とが互いに連結され、前記第1重合ゾーン(21)から離れたポリオレフィン粒子が前記第2重合ゾーン(22)に入り、前記第2重合ゾーン(22)から離れたポリオレフィン粒子が前記第1重合ゾーン(22)に入り、前記第1および第2の重合ゾーン(21、22)を通るポリオレフィン粒子の循環が確立される、請求項1~7のいずれか1項に記載の装置。
【請求項9】
重合触媒の存在下、20~200℃の温度および0.5~10MPaの圧力下で、オレフィンを単独重合させるか、またはオレフィンと1種以上の他のオレフィンとを共重合させることを含む、オレフィンポリマーの製造プロセスであって、請求項1~8のいずれか1項に記載の装置で実施するオレフィンポリマーの製造プロセス。
【請求項10】
5m/s~25m/s、好ましくは15m/s~20m/sの反応ガス流速度で行われる、請求項14に記載のプロセス。
【手続補正書】
【提出日】2024-01-22
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
オレフィン気相重合装置であって、
-少なくとも1つの重合ゾーンを含む反応器(1、2)と、
-反応ガスを前記反応器(1、2)から抜き出し、また、前記反応ガスを前記反応器(1、2)に戻すための再循環ラインライン(3)と、
-前記反応ガスを前記再循環ライン(3)に沿って輸送する圧縮機(4)と、
-前記反応ガスを冷却するための熱交換器(6)と、を含み、
前記反応ガスと接触する前記再循環ライン(3)の内面の少なくとも一部が、ASME B46.1に基づいて決定される表面粗さR
aが5m未満、好ましくは3m未満である、オレフィン気相重合装置。
【請求項2】
前記再循環ライン(3)の前記内面の少なくとも一部は、ASME B46.1に基づいて決定される表面粗さR
aが、2.5m未満、好ましくは2m未満のステンレス鋼で製造され、または、前記再循環ライン(3)の前記内面の少なくとも一部は、ASME B46.1に基づいて決定される表面粗さR
aが3m未満の低温炭素鋼(LTCS)で製造される、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記反応ガスと接触する表面に高さ1.5mmを超える突起がない、請求項
1に記載の装置。
【請求項4】
前記再循環ライン(3)のいずれかの曲がりが、曲がりの半径rが前記再循環ライン(3)の直径の5倍よりも大きいという条件を満たす、請求項
1に記載の装置。
【請求項5】
前記圧縮機(4)は、ASME B46.1に基づいて決定される表面粗さR
aが3m未満のインペラを含む開放型遠心圧縮機であり、前記装置は、任意に、前記圧縮機(4)の上流に配置された可変ガイドベーン(5)を含み、前記可変ガイドベーン(5)の前記反応ガスと接触する表面は、ASME B46.1に基づいて決定される表面粗さR
aが3m未満である、請求項
1に記載の装置。
【請求項6】
前記熱交換器(6)の下流に配置されたバタフライバルブ(7)をさらに含み、前記バタフライバルブ(7)の前記反応ガスと接触する表面は、ASME B46.1に基づいて決定される表面粗さR
aが3m未満である、請求項
1に記載の装置。
【請求項7】
前記熱交換器(6)は、入口チャンバと、シェル構造内に封入された管束と、出口チャンバとを含む多管式熱交換器であり、各管は、入口と、長手方向中間部と、出口とを含み、各管の入口の直径d1は、管の対応する長手方向中間部の直径d2よりも大きい、請求項
1に記載の装置。
【請求項8】
前記反応器(1)は、ポリオレフィン粒子の流動層(11)と、前記反応器(1)の底部に配置された流動化グリッド(12)とを含む流動層反応器であり、前記反応器は、マルチゾーン循環反応器(2)であり、前記マルチゾーン循環反応器(2)は、前記第1重合ゾーン(21)では、成長したポリオレフィン粒子が急速流動化または輸送条件下で上向きに流れ、前記第2重合ゾーン(22)では、前記成長したポリオレフィン粒子が緻密な形で下向きに流れ、前記第1重合ゾーン(21)と前記第2重合ゾーン(22)とが互いに連結され、前記第1重合ゾーン(21)から離れたポリオレフィン粒子が前記第2重合ゾーン(22)に入り、前記第2重合ゾーン(22)から離れたポリオレフィン粒子が前記第1重合ゾーン(22)に入り、前記第1および第2の重合ゾーン(21、22)を通るポリオレフィン粒子の循環が確立される、請求項
1に記載の装置。
【請求項9】
重合触媒の存在下、20~200℃の温度および0.5~10MPaの圧力下で、オレフィンを単独重合させるか、またはオレフィンと1種以上の他のオレフィンとを共重合させることを含む、オレフィンポリマーの製造プロセスであって、請求項1~8のいずれか1項に記載の装置で実施するオレフィンポリマーの製造プロセス。
【請求項10】
5m/s~25m/s、好ましくは15m/s~20m/sの反応ガス流速度で行われる、請求項
9に記載のプロセス。
【国際調査報告】