(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-22
(54)【発明の名称】フランジ付き軸受、アセンブリ、並びにその製造方法及び使用方法
(51)【国際特許分類】
F16C 33/20 20060101AFI20240515BHJP
F16C 17/02 20060101ALI20240515BHJP
【FI】
F16C33/20 Z
F16C17/02 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023573326
(86)(22)【出願日】2022-07-01
(85)【翻訳文提出日】2023-11-28
(86)【国際出願番号】 EP2022068302
(87)【国際公開番号】W WO2023275368
(87)【国際公開日】2023-01-05
(32)【優先日】2021-07-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】508298237
【氏名又は名称】サン-ゴバン パフォーマンス プラスチックス パンプス ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】フリューゲー,ヤン
(72)【発明者】
【氏名】ジャーガー,ハンス-ユーゲン
(72)【発明者】
【氏名】ローリシュカット,ローマン
【テーマコード(参考)】
3J011
【Fターム(参考)】
3J011AA20
3J011BA06
3J011DA01
3J011KA02
3J011MA02
3J011MA08
3J011MA12
3J011SB01
3J011SC03
3J011SC04
3J011SC05
3J011SC12
3J011SC13
3J011SC15
3J011SC16
3J011SC20
(57)【要約】
【解決手段】 軸受(100)であって、側壁(102)であって、基材(119)と、上記側壁の半径方向内側表面又は半径方向外側表面の少なくとも1つに沿って延在する低摩擦材料(104)とを備える側壁を含み、上記側壁は、中心軸(500)を中心として穴(155)を画定する体(114)と、上記体(114)の軸端と隣接し、そこから延在するフランジ(116)とを更に含み、上記フランジ(116)は、折り曲げられた最外周縁(120)も含み、上記基材(119)は、最外周縁(120)において厚さが減少しており、上記フランジ(116)は、上記基材が最外周縁(120)に沿って露出しないように構成されている、軸受。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸受であって、
側壁であって、基材と、前記側壁の半径方向内側表面又は半径方向外側表面の少なくとも1つに沿って延在する低摩擦材料とを備える側壁を含み、前記側壁は、
中心軸を中心として穴を画定する体と、
前記体の軸端と隣接し、そこから延在するフランジとを更に含み、前記フランジは、折り曲げられた最外周縁も含み、前記基材は、最外周縁において厚さが減少しており、前記フランジは、前記基材が前記最外周縁に沿って露出しないように構成されている、軸受。
【請求項2】
アセンブリであって、
内側構成要素と、
外側構成要素と、
前記内側構成要素と前記外側構成要素との間で半径方向に配置された軸受とを含み、前記軸受は、
側壁であって、基材と、前記側壁の半径方向内側表面又は半径方向外側表面の少なくとも1つに沿って延在する低摩擦材料とを備える側壁を含み、前記側壁は、
中心軸を中心として穴を画定する体と、
前記体の軸端と隣接し、そこから延在するフランジとを更に含み、前記フランジは、折り曲げられた最外周縁も含み、前記基材は、最外周縁において厚さが減少しており、前記フランジは、前記基材が前記最外周縁に沿って露出しないように構成されている、アセンブリ。
【請求項3】
方法であって、
基材及び低摩擦材料を含むブランクを提供する、ことと、
中心軸を中心として穴を画定する体を含む側壁に前記ブランクを形成することであって、前記低摩擦材料が、前記側壁の半径方向内側表面又は半径方向外側表面の少なくとも1つに沿って延在する、ことと、
前記側壁の軸方向縁において前記基材を面取りする、ことと、
前記側壁の前記面取りされた軸方向縁を折り曲げる、ことと、
前記側壁の前記軸方向縁をスタンピングして、側壁と隣接し、そこから延在するフランジを形成する、こととを含み、前記フランジは、折り曲げられた最外周縁を含み、前記基材は、前記最外周縁において厚さが減少しており、前記フランジは、前記基材が最外周縁に沿って露出しないように構成されている、方法。
【請求項4】
前記フランジは、第1周縁及び第2周縁を画定する軸方向分割部を更に備える、請求項1~請求項3のいずれか一項に記載の軸受、アセンブリ、又は方法。
【請求項5】
前記基材が前記第1周縁又は前記第2周縁の少なくとも一方に沿って露出しないよう、前記基材における、前記第1周縁又は前記第2周縁の少なくとも一方の厚さが減少する、請求項1~請求項4のいずれか一項に記載の軸受、アセンブリ、又は方法。
【請求項6】
基材厚さは、前記フランジの半径方向幅W
Fの少なくとも一部に沿って、テーパが付けられている、請求項1~請求項5のいずれか一項に記載の軸受、アセンブリ、又は方法。
【請求項7】
前記基材厚さは、前記中心軸に垂直な平面に対して角度αでテーパが付けられており、αは、5°≦α≦90°の範囲内である、請求項1~請求項6のいずれか一項に記載の軸受、アセンブリ、又は方法。
【請求項8】
前記低摩擦材料は、周縁において前記基材を覆い、少なくとも部分的に封入する、請求項1~請求項7のいずれか一項に記載の軸受、アセンブリ、又は方法。
【請求項9】
前記周縁の前記フランジの全厚さが低摩擦材料を含む、請求項1~請求項8のいずれか一項に記載の軸受、アセンブリ、又は方法。
【請求項10】
前記周縁は、軸方向に弓形断面を有する、請求項1~請求項9のいずれか一項に記載の軸受、アセンブリ、又は方法。
【請求項11】
基材厚さテーパが弓形である、請求項6~請求項10のいずれか一項に記載の軸受、アセンブリ、又は方法。
【請求項12】
前記基材厚さテーパが直線形である、請求項6~請求項10のいずれか一項に記載の軸受、アセンブリ、又は方法。
【請求項13】
低摩擦材料厚さは、前記フランジの半径方向幅の少なくとも一部に沿って、テーパが付けられている、請求項1~請求項12のいずれか一項に記載の軸受、アセンブリ、又は方法。
【請求項14】
前記基材が金属を含む、請求項1~請求項13のいずれか一項に記載の軸受、アセンブリ、又は方法。
【請求項15】
前記低摩擦材料が、ポリマーを含む、請求項1~請求項14のいずれか一項に記載の軸受、アセンブリ、又は方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、全般に、軸受、具体的には、フランジ又は多層軸受側壁の少なくとも1つを有する滑り軸受、並びにその製造方法及び組立方法に関する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0002】
軸受は、総じて、不所望な移動を抑制し、嵌め合い構成要素(例えば、内側構成要素と外側構成要素)同士の摩擦を低減する。軸受は、アセンブリ内で互いに対して移動可能である2つ以上の構成要素同士を接合する低摩擦材料を含むことができる。更に、軸受によっては、1つ又は2つのフランジを含む、フランジ付き軸受を含むものもある。軸受は、自動車産業における用途、例えば、ドア、フード、並びに、エンジン室ヒンジ、座席、ステアリングコラム、フライホイール、バランサシャフト軸受等のアセンブリに使用されたり、あるいは、自動車以外の用途に使用され得る。一部のヒンジアセンブリは、限定されないが、e-ペインティング又は他の方法で実施可能なペイントコーティングを含む、コーティングを含むことができる。いくつかの分野では、ヒンジアセンブリ内の軸受及び他の構成要素は、ヒンジアセンブリ内に亀裂、腐食、並びに破片/汚染を招くオーバーコーティングをもたらす恐れのある間隙を含む場合がある。したがって、当技術分野の進歩に反して、寿命の延長、有効性の改善、防食の向上、並びにアセンブリ内で全体的に改善された性能を実現可能とする、改善された軸受が、依然として必要とされている。
【図面の簡単な説明】
【0003】
本開示は、添付の図面を参照することによって、より良く理解され、その多数の特徴及び利点が当業者に明らかにされ得る。
【
図1】
図1は、複数の実施形態に係る、軸受の図である。
【
図2】
図2は、段階的な形成プロセスを含む図である。
【
図3A】
図3Aは、複数の実施形態に係る、軸受材料の図である。
【
図3B】
図3Bは、複数の実施形態に係る、軸受材料の図である。
【
図3C】
図3Cは、複数の実施形態に係る、軸受材料の図である。
【
図3D】
図3Dは、複数の実施形態に係る、軸受材料の図である。
【
図3E】
図3Eは、複数の実施形態に係る、軸受材料の図である。
【
図4A】
図4Aは、複数の実施形態に係る、ブランクを軸受に形成するための製造プロセスの図である。
【
図4B1】
図4B1は、複数の実施形態に係る、ブランクを軸受に形成するための製造プロセスの図である。
【
図4B2】
図4B2は、複数の実施形態に係る、ブランクを軸受に形成するための製造プロセスの図である。
【
図4C1】
図4C1は、複数の実施形態に係る、ブランクを軸受に形成するための製造プロセスの図である。
【
図4C2】
図4C2は、複数の実施形態に係る、ブランクを軸受に形成するための製造プロセスの図である。
【
図4C3】
図4C3は、複数の実施形態に係る、ブランクを軸受に形成するための製造プロセスの図である。
【
図4C4】
図4C4は、複数の実施形態に係る、ブランクを軸受に形成するための製造プロセスの図である。
【
図4C5】
図4C5は、複数の実施形態に係る、ブランクを軸受に形成するための製造プロセスの図である。
【
図4D1】
図4D1は、複数の実施形態に係る、ブランクを軸受に形成するための製造プロセスの図である。
【
図4D2】
図4D2は、複数の実施形態に係る、ブランクを軸受に形成するための製造プロセスの図である。
【
図4E】
図4Eは、複数の実施形態に係る、軸受材料の図である。
【
図5A】
図5Aは、複数の実施形態に係る、アセンブリ内の軸受の図である。
【
図5B】
図5Bは、複数の実施形態に係る、アセンブリ内の軸受の図である。
【
図6】
図6は、複数の実施形態に係る、アセンブリ内の軸受の図である。
【
図7】
図7は、複数の実施形態に係る、アセンブリ内の軸受の図である。
【
図8】
図8は、複数の実施形態に係る、アセンブリ内の軸受の図である。
【0004】
当業者は、図中の要素が簡略化及び明瞭化を目的として例解されており、必ずしも縮尺どおりに描画されていないことを理解されたい。例えば、図中の一部の要素の寸法は、本発明の実施形態の理解を向上させるのに役立つように、他の要素に対して誇張されている場合がある。異なる図面における同じ参照符号の使用は、同様の又は同一の部材を示す。
【発明を実施するための形態】
【0005】
図面と組み合わせた以下の説明は、本明細書に開示される教示の理解を補助するために提供される。以下の考察は、教示の特定の実施態様及び実施形態に焦点を当てている。この焦点は、教示を説明するのを助けるために提供されており、教示の範囲又は適用性に関する限定として解釈されるべきではない。しかしながら、本出願に開示される教示に基づいて他の実施形態を使用することができる。
【0006】
「備える、含む(comprises)」、「備える、含む(comprising)」、「含む(includes)」、「含む(including)」、「有する(has)」、「有する(having)」という用語、又はそれらの任意の他の変形は、非排他的包含を網羅することを意図している。例えば、特徴のリストを含む方法、物品、又は装置は、必ずしもそれらの特徴のみに限定されるものではないが、明示的に列挙されていない他の特徴、又はそのような方法、物品、若しくは装置に固有の他の特徴を含み得る。更に、矛盾する記載がない限り、「又は(or)」は、包含的なorを指し、排他的なorを指すのではない。例えば、条件A又はBは、以下のいずれか1つによって満たされる:Aが真であり(又は存在し)、Bが偽である(又は存在しない)、Aが偽であり(又は存在せず)、Bが真である(又は存在する)、及び、AとBとの両方が真である(又は存在する)。
【0007】
また、「a」又は「an」の使用は、本明細書に記載の要素及び構成要素を説明するために用いられる。これは、単に便宜上、及び本発明の範囲の一般的な意味を与えるために行われる。この説明は、そうでないことを意味することが明らかでない限り、1つ、少なくとも1つ、又は単数形が複数形も含むものとして、又はその逆として理解されるべきである。例えば、単一の実施形態が本明細書に記載されている場合、単一の実施形態の代わりに2つ以上の実施形態を使用することができる。同様に、2つ以上の実施形態が本明細書に記載されている場合、単一の実施形態を2つ以上の実施形態に置き換えることができる。
【0008】
他に定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。材料、方法、及び実施例は、例解的であるに過ぎず、限定的であることを意図しない。本明細書に記載されていない範囲で、特定の材料及び処理行為に関する多くの詳細は従来通りであり、軸受及び軸受アセンブリの技術分野における教科書及び他の情報源に見出すことができる。
【0009】
本明細書に記載の実施形態は、全般に軸受を対象としており、この軸受は、側壁であって、基材と、上記側壁の半径方向内側表面又は半径方向外側表面の少なくとも1つに沿って延在する低摩擦材料とを備える側壁を含み、上記側壁は、中心軸を中心として穴を画定する体と、この体の軸端と隣接し、そこから延在するフランジとを更に含み、上記フランジは、折り曲げられた最外周縁を含み、基材は、最外周縁において厚さが減少しており、フランジは、基材が最外周縁に沿って露出しないように構成されている。
【0010】
更に、本明細書に記載の実施形態は、全般にアセンブリも対象としており、このアセンブリは、内側構成要素と、外側構成要素と、内側構成要素と外側構成要素との間で半径方向に配置された軸受とを含み、この軸受は、側壁であって、基材と、上記側壁の半径方向内側表面又は半径方向外側表面の少なくとも1つに沿って延在する低摩擦材料とを備える側壁を含み、上記側壁は、中心軸を中心として穴を画定する体と、この体の軸端と隣接し、そこから延在するフランジとを更に含み、上記フランジは、折り曲げられた最外周縁を含み、基材は、最外周縁において厚さが減少しており、フランジは、基材が最外周縁に沿って露出しないように構成されている。
【0011】
更に、本明細書に記載の実施形態は、全般に方法も対象としており、この方法は、基材及び低摩擦材料を含むブランクを提供する、ことと、中心軸を中心として穴を画定する体を含む側壁に上記ブランクを形成することであって、上記低摩擦材料が、上記側壁の半径方向内側表面又は半径方向外側表面の少なくとも1つに沿って延在する、ことと、上記側壁の軸方向縁において上記基材を面取りする、ことと、上記側壁の上記面取りされた軸方向縁を折り曲げる、ことと、上記側壁の上記軸方向縁をスタンピングして、側壁と隣接し、そこから延在するフランジを形成する、こととを含み、上記フランジは、折り曲げられた最外周縁を含み、基材は、最外周縁において厚さが減少しており、フランジは、基材が最外周縁に沿って露出しないように構成されている。
【0012】
更に、本明細書に記載の実施形態は、全般に軸受も対象としており、この軸受は、側壁であって、基材と、上記側壁の半径方向内側表面又は半径方向外側表面の少なくとも1つに沿って延在する低摩擦材料とを備える側壁を含み、上記側壁は、中心軸を中心とする穴を画定する体と、この体の軸端と隣接し、そこから延在するフランジとを更に含み、上記フランジは、第1周縁と第2周縁とを画定する軸方向分割部を含み、上記第1周縁又は上記第2周縁の少なくとも1つに沿って上記基材が露出しないよう、上記基材は上記第1周縁又は上記第2周縁において厚さが減少している。
【0013】
図1は、複数の実施形態に係る、軸受の図である。
図3は、本明細書で開示されるブランク(材料又は複合材料1000、1001、1002、1003、1004で形成)から形成することができる。
図1で見られるように、軸受100は滑り軸受であり得る。軸受100は、中心軸500に対して軸方向に延在することができる。中心軸500は、軸受100の長さに沿って長手方向であってもよい。軸受100は、第1軸端又は縁150、及び第2軸端又は縁152を有する環状形状を形成する側壁102を含むことができる。側壁102は、半径方向内側表面130に沿った半径方向内端又は縁126と、半径方向外表面132に沿った半径方向外端又は縁128とを備えることができる。半径方向外端又は縁128は、軸受100の最外周縁120を形成することができる。上述したように、側壁102は、基材119と、側壁102の半径方向内側表面130又は半径方向外側表面132の少なくとも1つに沿って延在する低摩擦材料を含む低摩擦層104とを含むことができる。複数の実施形態では、軸受100は非平面形状を有してもよい。
図1に好例を示すように、軸受100は、実質的にL字形である環状形状を有することができる。つまり、軸受100は、半径方向及び軸方向に延在するL形軸受断面を有することができる。このようにして、側壁102は、体114とフランジ116を含むことができる。フランジ116は、体114の軸端と隣接し、そこから延在してもよく、フランジ116は、折り曲げられた最外周縁120を含む。複数の実施形態において、基材119は、最外周縁120において厚さが減少してもよい。複数の実施形態において、基材119が最外周縁120に沿って露出しないよう、フランジ116を構成可能である。軸受の他の環状形状も想定される。
【0014】
複数の実施形態において、上述したように、
図1で見られる軸受100は、最初は平らな材料又はブランクとして存在する軸受複合材の適切な寸法の片を圧延することによって、製造することができる。圧延された材料片又はブランクの反対側の端は、軸受側壁102の体114を軸方向に通る軸方向間隙160で拘束することができる。軸受100の対称軸500に対して任意の非直線状及び/又は斜方向に通る軸方向間隙160も想定される。複数の特定実施形態において、軸方向間隙160は、溶接又は他の手段で結合して軸受100を形成することができる。いくつかの実施形態では、軸受100の組み立てを容易にするために、軸方向間隙160を結合しないままにしておいてもよい。
図1を更に参照すると、体114は、中心軸500を中心として穴155を画定することができる。穴155は、軸受100の軸方向長さを通り、アセンブリの別の構成要素に結合するように適合させることができる。複数の実施形態において、穴155は、半径方向内端又は縁126が軸受100内の穴155の縁を画定する半径方向で体114を分割することができる。穴155は、中心軸500に対して平行又は平面であってもよい。穴155の形成には、穿孔又はスタンピングによってシートに成形穴を形成することが、含まれ得る。複数の実施形態において、成形された軸受100のスタンピングを含む深絞り加工により、L型軸受100を実現できる。
【0015】
複数の実施形態において、側壁102は、フランジ116を更に含むことができる。フランジ116は、半径方向に延在する半径方向フランジであってもよい。フランジ116は、体114の軸端150、152と隣接し、そこから延在していてもよい。複数の実施形態において、半径方向外端128は、中心軸500から半径方向に測定した場合、軸受100の外半径ORを形成し得る。複数の実施形態において、半径方向内端126は、中心軸500から半径方向に測定した場合、軸受100の内半径IRを形成し得る。つまり、半径方向フランジ116の半径方向幅WRFは、外半径ORと内半径IRとの距離の差からの距離であってもよい。複数の実施形態において、半径方向フランジ116は、軸方向分割部170を含むことができる。軸方向分割部170は、半径方向フランジ116内に間隙を設けることができる。ある特定の実施形態において、軸方向分割部170は、側壁102内の軸方向間隙160と隣接し得る。軸方向分割部170は、第1周縁172及び第2周縁174を含むことができる。複数の実施形態において、第1周縁172又は第2周縁174の少なくとも1つに沿って基材119が露出しないよう、基材119は第1周縁172又は第2周縁174において厚さが減少している。嵌め合い構成要素とのより良好な界面を提供するよう、軸受100には、テーパが付けられている場合がある。複数の実施形態において、半径方向フランジ116は、ハウジング(外側構成部品)及び/又はシャフト(内側構成部品)との界面を形成することができる。複数の実施形態において、軸受は、それぞれがハウジング(外側構成部品)及び/又はシャフトピン(内側構成部品)との界面を形成可能とする、複数の半径方向フランジを含むことができる。
【0016】
複数の実施形態において、
図1で見られるように、軸受100は、第1軸端150から第2軸端152までの全長Lを有することができ、Lは、≧0.5mm、≧0.75mm、≧1mm、≧2mm、≧5mm、又は≧10mmであり得る。長さLは、≦10mm、例えば、≦7.5mm、≦5mm、≦2.5mm、又は≦1mmであり得る。複数の実施形態において、軸受100は、全長Lが約5~50mmでよい。軸受100は、全長Lが上述の最小値と最大値との間の範囲内であり得ることが、理解されよう。軸受100は、全長Lが上述の最小値と最大値との間の任意の値であり得ることも、更に理解されよう。
【0017】
複数の実施形態において、
図1で見られるように、軸受100は、中心軸500から半径方向内端126までの全内半径IRを有することができ、IRは、≧1mm、例えば、≧5mm、≧7.5mm、≧10mm、≧15mm、又は≧20mmであり得る。内半径IRは、≦20mm、例えば、≦15mm、≦10mm、≦7.5mm、≦5mm、又は≦1mmであり得る。内半径IRは、軸受100の外周に沿って変動し得る。複数の実施形態において、軸受100は、全内半径IRが約1~6mmでよい。軸受100は、全内半径IRが上述の最小値と最大値との間の範囲内であり得ることが、理解されよう。軸受100は、全内半径IRが上述の最小値と最大値との間の任意の値であり得ることも、更に理解されよう。
【0018】
複数の実施形態において、
図1で見られるように、軸受100は、中心軸500から半径方向外端128までの全外半径ORを有することができ、ORは、≧0.5mm、例えば、≧1mm、≧5mm、≧10mm、≧15mm、又は≧20mmであり得る。外半径ORは、≦35mm、例えば、≦30mm、≦20mm、≦15mm、≦10mm、又は≦5mmであり得る。全外半径ORは、軸受100の外周に沿って変動し得る。複数の実施形態において、軸受100は、全外半径ORが約3~15mmでよい。軸受100は、全外半径ORが上述の最小値と最大値との間の範囲内であり得ることが、理解されよう。軸受100は、全外半径ORが上述の最小値と最大値との間の任意の値であり得ることも、更に理解されよう。つまり、上述のように、半径方向フランジ116の半径方向幅W
RF,は、外半径ORと内半径IRとの距離の差からの距離であってもよい。複数の実施形態において、半径方向フランジ116の半径方向幅W
RFは、1~10mmでよい。
【0019】
これから軸受の形成方法に目を向けると、この説明では、
図2は、軸受を形成するための形成プロセス10を示す図を含む。形成プロセス10は、基材を含む材料又は複合材料を提供する第1ステップ12を含み得る。形成プロセス10は、軸受を形成するために材料又は複合材料の端を処理する第2ステップ14も更に含み得る。
【0020】
図3Aは、形成プロセス10の第1ステップ12の軸受に形成され得る材料1000の図を含む。軸受は、基材119を含み得る。一実施形態では、基材119は、少なくとも部分的に金属を含み得る。ある特定の実施形態によれば、金属は、鉄、銅、チタン、スズ、アルミニウム、それらの合金を含んでもよく、又は別の種類の金属であってもよい。より具体的には、基材119は、ステンレス鋼、炭素鋼、又はバネ鋼等の鋼を少なくとも部分的に含み得る。例えば、基材119は、ステンレス鋼を少なくとも部分的に含み得る。ステンレス鋼は、焼きなまし、1/4硬、1/2硬、3/4硬、又は完全硬であってもよい。更に、鋼は、クロム、ニッケル、又はそれらの組み合わせを含むステンレス鋼を含み得る。一実施形態では、基材119は、織布メッシュ又はエキスパンドメタルグリッドを含んでもよい。織布メッシュ又はエキスパンドメタルグリッドは、アルミニウム、鋼、ステンレス鋼、青銅などの金属又は金属合金を含み得る。あるいは、織布メッシュは、織布ポリマーメッシュであり得る。別の実施形態では、基材119はメッシュ又はグリッドを含まなくてもよい。更に、基材119は、ビッカースピラミッドナンバー硬度VPNが、≧350、例えば≧375、≧400、≧425、又は≧450であり得る。VPNはまた、≦500、≦475、又は≦450であり得る。VPNはまた、本明細書に記載されるVPN値のいずれかを含む、それらの値間の範囲内であり得る。別の態様では、基材119は、耐食性を高めるために処理されてもよい。具体的には、基材119を不動態化処理できる。例えば、ASTM規格A967に従って、基材119を不動態化処理できる。面取り、旋削、リーマ加工、鍛造、押出、成形、焼結、圧延、又は鋳造のうちの少なくとも1つによって、基材119を形成可能である。
【0021】
基材119は、厚さTsが約10ミクロン~約1500ミクロン、例えば、約50ミクロン~約1000ミクロン、例えば、約100ミクロン~約750ミクロン、例えば、約350ミクロン~約650ミクロンでよい。複数の実施形態において、基材119は、厚さTsが約700~800ミクロンでよい。複数の実施形態において、基材119は、厚さTsが約950~1050ミクロンでよい。基材119の厚さTsは、上記の最小値及び最大値のうちのいずれかの間の任意の値であってもよいことが更に理解されよう。基材119の厚さは均一であってもよく、すなわち、基材119の第1位置における厚さは、それに沿った第2位置における厚さに等しくなり得る。基材119の厚さは不均一であってもよく、すなわち、基材119の第1位置における厚さは、それに沿った第2位置における厚さと異なり得る。
【0022】
図3Bは、形成プロセス10の第1ステップ12の軸受に形成され得る、材料1000の代替となる複合材料1001の図を含む。この説明では、
図3Bは、軸受の複合材料1001の層ごとの構成を示す。複数の実施形態において、複合材料1001は、(上述の)基材119と、基材119に結合された、又はこの基材を覆う低摩擦層104と、を含んでもよい。より特定の実施形態において、複合材料1001は、基材119と、基材119を覆う複数の1つの低摩擦層104とを含んでもよい。
図3Bで見られるように、低摩擦層104は、基材119の少なくとも一部分に結合され得る。特定の実施形態では、低摩擦層104は、別の構成要素の別の表面との界面を形成するように、基材119の表面に結合され得る。低摩擦層104を基材119の半径方向内側表面に結合できる。あるいは、低摩擦層104を基材119の半径方向外側表面に結合できる。
【0023】
複数の実施形態において、低摩擦層104は、低摩擦材料を含み得る。低摩擦材料は、例えば、ポリケトン、ポリアラミド、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンスルホン、ポリアミドイミド、超高分子量ポリエチレン、フルオロポリマー、ポリベンズイミダゾール、ポリアセタール、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリイミド(PI)、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエチレン(PE)、ポリスルホン、ポリアミド(PA)、ポリフェニレンオキシド、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリウレタン、ポリエステル、液晶ポリマー(LCP)、又はそれらの任意の組み合わせなどのポリマーを含んでもよい。一実施例では、低摩擦層104は、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルケトン、ポリエーテルケトンケトン、ポリエーテルケトンエーテルケトン、それらの誘導体、又はそれらの組み合わせなどのポリケトンを含む。更なる実施例では、低摩擦層104は、超高分子量ポリエチレンを含んでもよい。別の実施例では、低摩擦層104は、フッ素化エチレンプロピレン(FEP)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ペルフルオロアルコキシ(PFA)、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、及びフッ化ビニリデンのターポリマー(THV)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、エチレンテトラフルオロエチレンコポリマー(ETFE)、又はエチレンクロロトリフルオロエチレンコポリマー(ECTFE)を含むフルオロポリマーを含んでもよい。低摩擦層104は、リチウム石鹸、黒鉛、窒化ホウ素、二硫化モリブデン、二硫化タングステン、ポリテトラフルオロエチレン、窒化炭素、炭化タングステン、若しくはダイヤモンド状炭素、金属(アルミニウム、亜鉛、銅、マグネシウム、スズ、チタン、タングステン、鉄、青銅、鋼、ばね鋼、ステンレス鋼など)、金属合金(列挙された金属を含む)、陽極酸化金属(列挙された金属を含む)、又はそれらの任意の組み合わせを含む固体ベースの材料を含んでもよい。特定の実施形態によれば、フルオロポリマーが使用されてもよい。一実施形態では、低摩擦層104は、織布メッシュ又はエキスパンドメタルグリッドを含んでもよい。織布メッシュ又はエキスパンドメタルグリッドは、アルミニウム、鋼、ステンレス鋼、青銅等の金属又は金属合金を含み得る。あるいは、織布メッシュは、織布ポリマーメッシュであり得る。別の実施形態では、低摩擦層104はメッシュ又はグリッドを含まなくてもよい。低摩擦層104は、例えば、非導電性又は低導電性である材料を含む、非導電性又は低導電性の摺動材料であってもよい。
【0024】
複数の実施形態では、低摩擦層104は、ガラス、炭素繊維、シリコン、PEEK、芳香族ポリエステル、炭素粒子、青銅、フルオロポリマー、熱可塑性充填剤、酸化アルミニウム、ポリアミドイミド(PAI)、PPS、ポリフェニレンスルホン(PPSO2)、LCP、芳香族ポリエステル、二硫化モリブデン、二硫化タングステン、黒鉛、グラフェン、膨張黒鉛、窒化ホウ素、タルク、フッ化カルシウム、又はそれらの任意の組み合わせを含む充填剤を更に含んでもよい。更に、充填剤は、アルミナ、シリカ、二酸化チタン、フッ化カルシウム、窒化ホウ素、マイカ、ウォラストナイト、炭化ケイ素、窒化ケイ素、ジルコニア、カーボンブラック、顔料、又はそれらの任意の組み合わせを含み得る。充填剤は、ビーズ、繊維、粉末、メッシュ、又はそれらの任意の組み合わせの形態であり得る。充填剤は、低摩擦層の総重量に基づいて少なくとも10重量%、例えば少なくとも15重量%、20重量%、25重量%、又は更には30重量%であってもよい。
【0025】
一実施形態では、低摩擦層104は、厚さTSLが約1ミクロン~約500ミクロン、例えば約10ミクロン~約350ミクロン、例えば約30ミクロン~約300ミクロン、例えば約40ミクロン~約250ミクロンでよい。複数の実施形態において、低摩擦層104は、厚さTSLが約50~300ミクロンでよい。低摩擦層104の厚さTSLは、上記の最小値及び最大値のうちのいずれかの間の任意の値であってもよいことが更に理解されよう。低摩擦層104の厚さは均一であってもよく、すなわち、低摩擦層104の第1位置における厚さは、それに沿った第2位置における厚さに等しくなり得る。低摩擦層104の厚さは不均一であってもよく、すなわち、低摩擦層104の第1位置における厚さは、それに沿った第2位置における厚さと異なり得る。異なる低摩擦層104は異なる厚さを有してもよいことを理解されたい。低摩擦層104は、図示される基材119の一方の主表面の上にあってもよく、又は両方の主表面の上にあってもよい。基材119は、低摩擦層104によって少なくとも部分的に封入されてもよい。すなわち、低摩擦層104は、基材119の少なくとも一部分を覆ってもよい。
【0026】
図3Cは、形成プロセス10の第1ステップ12の軸受に形成され得る、材料1000、1001の代替とされる軸受材料1002の代替実施形態の図を含む。この説明では、
図3Cは、軸受の複合材料1002の層ごとの構成を示す。この特定の実施形態によれば、複合材料1002は、この複合材料1002が、低摩擦層104を基材119及び低摩擦層104に結合し得る少なくとも1つの接着層121も含められることを除いて、
図3Bの複合材料1001と同様であってもよい。別の代替実施形態では、基材119は、固体構成要素、織布メッシュ又はエキスパンドメタルグリッドとして、低摩擦層104と基材119との間に含まれる少なくとも1つの接着層121の間に埋め込まれてもよい。
【0027】
接着層121は、限定するものではないが、フルオロポリマー、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエーテル/ポリアミドコポリマー、エチレン酢酸ビニル、エチレンテトラフルオロエチレン(ETFE)、ETFEコポリマー、ペルフルオロアルコキシ(PFA)、又はそれらの任意の組み合わせを含む、環技術でよく使用される任意の既知の接着材料を含んでもよい。加えて、接着剤は、-C=O、-C-O-R、-COH、-COOH、-COOR、-CF2=CF-OR、又はそれらの任意の組み合わせから選択される少なくとも1つの官能基を含み得、式中、Rは、1~20個の炭素原子を含有する環状又は直鎖状有機基である。加えて、接着剤はコポリマーを含み得る。
【0028】
炭素充填剤、炭素繊維、炭素粒子、黒鉛、青銅、アルミニウム、並びに他の金属及びそれらの合金などの金属充填剤、金属酸化物充填剤、金属コーティング炭素充填剤、金属コーティングポリマー充填剤、又はそれらの任意の組み合わせなどの充填剤粒子(官能性及び/又は非官能性)が接着層121に添加されてもよい。
【0029】
一実施形態では、ホットメルト接着剤は、250℃以下、例えば220℃以下の溶融温度を有し得る。別の実施形態では、接着剤は、200℃超、例えば220℃超で分解し得る。更なる実施形態では、ホットメルト接着剤の溶融温度は、250℃超、又は更には300℃超であり得る。接着層121は、約1ミクロン~約80ミクロン、例えば約10ミクロン~約50ミクロン、例えば約20ミクロン~約40ミクロンの厚さTALを有し得る。複数の実施形態では、接着層121は、約3~20ミクロンの厚さTALを有してもよい。複数の実施形態において、接着層121は、約10~60ミクロンの厚さTALを有してもよい。接着層121の厚さTALは、上記の最小値及び最大値のうちのいずれかの間の任意の値であってもよいことが更に理解されよう。接着層121の厚さは均一であってもよく、すなわち、接着層121の第1位置における厚さは、それに沿った第2位置における厚さに等しくなり得る。接着層121の厚さは不均一であってもよく、すなわち、接着層121の第1位置における厚さは、それに沿った第2位置における厚さと異なり得る。
【0030】
図3Dは、形成プロセス10の第1ステップ12の軸受に形成され得る、材料1000、1001、1002の代替とされる軸受材料1003の代替実施形態の図を含む。この説明では、
図3Dは、軸受の複合材料1003の層ごとの構成を示す。この特定の実施形態によれば、複合材料1003は、この複合材料1003が、少なくとも1つの防食層103及び105と、基材119及び低摩擦層104に結合し得る接着促進剤層127及びエポキシ層129も含められる耐食コーティング層125と、を含み得ることを除いて、
図3Cの複合材料1002と同様であってもよい。
【0031】
基材119は、処理前に複合材料1003の腐食を防止するための防食材料を含む防食層103及び105でコーティングされてもよい。加えて、層103の上に機能層107が適用され得る。層103、105、及び107のそれぞれは、約1~50ミクロン、例えば約7~15ミクロンの厚さを有し得る。層103及び105は、亜鉛、鉄、マンガン、若しくはそれらの任意の組み合わせのリン酸塩を含む防食材料、又はナノセラミック層を含み得る。更に、層103及び105は、不動態化表面、市販の亜鉛(機械的/ガルバニック)若しくは亜鉛ニッケルコーティング、又はそれらの任意の組み合わせを含む防食材料を含み得る。層107は、官能性シラン、ナノスケールシラン系プライマー、加水分解シラン、オルガノシラン接着促進剤、溶媒/水系シランプライマーを含み得る。防食層103及び105は、処理中に除去又は保持され得る。
【0032】
上述したように、複合材料1003は、耐食コーティング125を更に含んでもよい。耐食コーティング125は、約1~50ミクロン、例えば約5~20ミクロン、及び例えば約7~15ミクロンの厚さを有し得る。耐食コーティング125は、接着促進剤層127及びエポキシ層129を含み得る。接着促進剤層127は、亜鉛、鉄、マンガン、スズ、若しくはそれらの任意の組み合わせのリン酸塩を含む防食材料、又はナノセラミック層を含み得る。接着促進剤層127は、機能性シラン、ナノスケールシラン系層、加水分解シラン、オルガノシラン接着促進剤、溶媒/水系シランプライマー、塩素化ポリオレフィン、不動態化表面、市販の亜鉛(機械的/ガルバニック)若しくは亜鉛ニッケルコーティング、又はそれらの任意の組み合わせを含む防食材料を含み得る。接着促進剤層127は、スプレーコーティング、e-コーティング、ディップスピンコーティング、静電コーティング、フローコーティング、ロールコーティング、ナイフコーティング、コイルコーティング等で塗布可能である。
【0033】
エポキシ層129は、熱硬化エポキシ、UV硬化エポキシ、IR硬化エポキシ、電子ビーム硬化エポキシ、放射線硬化エポキシ、又は空気硬化エポキシを含む防食材料であり得る。更に、エポキシ層129は、ポリグリシジルエーテル、ジグリシジルエーテル、ビスフェノールA、ビスフェノールF、オキシラン、オキサシクロプロパン、エチレンオキシド、1,2-エポキシプロパン、2-メチルオキシラン、9,10-エポキシ-9,10-ジヒドロアントラセン、又はそれらの任意の組み合わせを含む防食材料を含み得る。エポキシ層129は硬化剤を更に含み得る。硬化剤としては、アミン、酸無水物、フェノールノボラック硬化剤、例えばフェノールノボラックポリ[N-(4-ヒドロキシフェニル)マレイミド](PHPMI)、レゾールフェノールホルムアルデヒド、脂肪族アミン化合物、ポリカルボン酸無水物、ポリアクリレート、イソシアネート、カプセル化ポリイソシアネート、三フッ化ホウ素アミン錯体、クロムなどのクロム系硬化剤、ポリアミド、又はそれらの任意の組み合わせが挙げられ得る。一般に、酸無水物は、式R-C=O-O-C=O-R’(式中、Rは、上記のようなCXHYXZAUであり得る)に従うことができる。アミンとしては、モノエチルアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミンなどの脂肪族アミン、脂環式アミン、環状脂肪族アミン、シクロ脂肪族アミンなどの芳香族アミン、アミドアミン、ポリアミド、ジシアンジアミド、イミダゾール誘導体など、又はそれらの任意の組み合わせが挙げられ得る。一般に、アミンは、式R1R2R3N(式中、Rは上記のようなCXHYXZAUであり得る)に従う第一級アミン、第二級アミン、又は第三級アミンであり得る。一実施形態では、エポキシ層129は、炭素充填剤、炭素繊維、炭素粒子、黒鉛、青銅、アルミニウム、並びに他の金属及びそれらの合金などの金属充填剤、金属酸化物充填剤、金属コーティング炭素充填剤、金属コーティングポリマー充填剤、又はそれらの任意の組み合わせなどの、導電性を改善するための充填剤を含み得る。導電性充填剤は、電流がエポキシコーティングを通過することを可能にすることができ、導電性充填剤を含まない複合材料と比較して、複合材料の導電率を増加させることができる。一実施形態では、エポキシ層129は、スプレーコーティング、e-コーティング、ディップスピンコーティング、静電コーティング、フローコーティング、ロールコーティング、ナイフコーティング、コイルコーティング等で塗布可能である。更に、エポキシ層129は、熱硬化、UV硬化、IR硬化、電子ビーム硬化、照射硬化、又はそれらの任意の組み合わせなどによって硬化され得る。低摩擦層104、接着層121、基材119、又は接着促進剤層127のいずれかの破壊温度を超えて構成要素の温度を上昇させることなく、硬化を達成できることが、好ましい。したがって、エポキシは、約250℃未満、更には約200℃未満で硬化され得る。
【0034】
図3Eは、形成プロセス10の第1ステップ12の軸受に形成され得る、材料1000、1001、1002、及び1003の代替とされる軸受材料1004の代替実施形態の図を含む。この特定の実施形態によれば、複合材料1004は、この複合材料1002が、基材119と、複数の接着層121、121’によって基材119に結合された複数の低摩擦層104、104’とを含み得ることを除いて、
図3Cの複合材料1000と同様であってもよい。
図3Dに示される複合材料1001の介在層(すなわち、接着促進剤層127及び/又はエポキシ層129を含み得る防食層103、105、又は耐食層125)のいずれかが、
図3Eに示される層のいずれかの間に、任意の配向又は積層で含まれてもよいことが理解されよう。
【0035】
複数の実施形態において、材料又は複合材料1000、1001、1002、1003、1004は、特定の厚さTBを有してもよい。ある特定の実施形態によれば、材料又は複合材料1000、1001、1002、1003、1004の厚さTBは、少なくとも約0.1mm、又は少なくとも約0.2mm、又は少なくとも約0.5mm、又は少なくとも約0.8mm、又は更には少なくとも約1.5mmであってもよい。更に他の実施形態によれば、材料又は複合材料1000、1001、1002、1003、1004のTBは、約100mm以下、例えば、約50mm以下、又は更には約25mm以下であってもよい。材料又は複合材料1000、1001、1002、1003、1004の厚さTBは、上記の最小値及び最大値のいずれかの間の範囲内であってもよいことが理解されよう。材料又は複合材料1000、1001、1002、1003、1004の厚さTBが、上記の最小値及び最大値のうちのいずれかの間の任意の値であってもよいことも更に理解されよう。材料又は複合材料1000、1001、1002、1003、1004の厚さTBは、その外周に沿って変化し得ることも理解されたい。材料又は複合材料1000、1001、1002、1003、1004の厚さTBが、その外周に沿って変化してもよく、更に、複数の材料又は複合材料にわたって変化してもよいことも理解されたい。
【0036】
一実施形態では、
図2のステップ12の下で、上述のような材料又は複合材料1000、1001、1002、1003、1004上の層のいずれも、それぞれロール内に配置され、そこから剥離して、圧力下で、高温で(熱間又は冷間プレス又は圧延)、接着剤によって、又はそれらの任意の組み合わせによって一緒に接合可能である。上述のような材料又は複合材料1000、1001、1002、1003、1004の層のいずれかは、少なくとも部分的に互いに重なり合うように一緒に積層されてもよい。上述のように、材料又は複合材料1000、1001、1002、1003、1004上の層のいずれも、例えば、物理的若しくは蒸着、噴霧、めっき、粉末コーティングなどのコーティング技術を使用して、又は他の化学的若しくは電気化学的技術を通して、一緒に塗布されてもよい。特定の実施形態では、低摩擦層104は、例えば押出コーティングを含むロールツーロールコーティングプロセスによって塗布されてもよい。低摩擦層104は、溶融状態又は半溶融状態に加熱され、スロットダイを通して基材119の主表面上に押し出されてもよい。一実施形態では、材料又は複合材料1000、1001、1002、1003、1004は、単一の材料の一体型ストリップであってもよい。
【0037】
他の実施形態では、
図2のステップ12の下で、上述のように、材料又は複合材料1000、1001、1002、1003、1004上の層のいずれも、例えば、物理的若しくは蒸着、噴霧、めっき、粉末コーティングなどのコーティング技術を使用して、又は他の化学的若しくは電気化学的技術を通して、塗布されてもよい。特定の実施形態では、低摩擦層104は、例えば押出コーティングを含むロールツーロールコーティングプロセスによって塗布されてもよい。低摩擦層104は、溶融状態又は半溶融状態に加熱され、スロットダイを通して基材119の主表面上に押し出されてもよい。別の実施形態では、低摩擦層104は、鋳造又は成形されてもよい。
【0038】
一実施形態では、低摩擦層104又は任意の層が、溶融接着層121を使用して基材119に接着されて、積層体を形成可能である。一実施形態では、材料又は複合材料1000、1001、1002、1003、1004上の介在層又は突出層のいずれかが、中間材料、例えば積層体を形成してもよい。中間材料は、軸受に形成され得るストリップ又はブランクに切断され得る。中間材料の切断は、スタンプ、プレス、パンチ、鋸の使用を含んでもよく、又は異なる方法で機械加工されてもよい。中間材料を切断すると、基材119の露出部分を含む切断縁を作製できる。
【0039】
一実施形態では、
図1の第2ステップ14の下で、ブランク(材料又は複合材料1000、1001、1002、1003、1004から形成される)は、積層ストリップ又はブランクの端を処理することによって軸受に形成され得る。軸受は、スタンプ、プレス、パンチ、鋸、圧延、フランジ加工、深絞りによって形成されてもよく、又は異なる方法で機械加工されてもよい。半完成軸受を成形した後、半完成軸受は、形成及び成形プロセスで使用された任意の潤滑剤及び油を除去するために洗浄されてもよい。加えて、洗浄することで、耐荷重基材の露出面にコーティングの塗布の準備をし得る。洗浄は、溶媒を用いた化学的洗浄及び/又は超音波洗浄などの機械的洗浄を含んでもよい。
【0040】
図2に戻ると、第2ステップ14の下で、ブランク(材料又は複合材料1000、1001、1002、1003、1004から形成される)は、積層ストリップ又はブランクの端を処理することにより、本明細書で開示の実施形態に従って軸受に形成され得る。
図4A~
図4D2は、
図2で開示されるように、本明細書に開示される実施形態に係る、ブランクを軸受に形成するための製造プロセスを示す。以下でこの方法について説明され、全般に、この方法は、基材と低摩擦材料とを含むブランクを提供する、ことと、中心軸を中心として穴を画定する体を含む側壁に上記ブランクを形成することであって、上記低摩擦材料が、上記側壁の半径方向内側表面又は半径方向外側表面の少なくとも1つに沿って延在する、ことと上記側壁の軸方向縁において上記基材を面取りする、ことと、上記側壁の上記面取りされた軸方向縁を折り曲げる、ことと、上記側壁の上記軸方向縁をスタンピングして、側壁と隣接し、そこから延在するフランジを形成する、こととを含み得、上記フランジは、折り曲げられた最外周縁を含み、基材は、最外周縁において厚さが減少しており、フランジは、基材が最外周縁に沿って露出しないように構成されている。
【0041】
第1に、ブランクは、中心軸を中心として穴を画定する側壁に形成されてもよい。
図4Aは、材料又は複合材料1000、1001、1002、1003、1004から形成されたブランク(つまり、最終的に得られる軸受)2000を示す。上述したように、ブランク2000は、基材2119と、低摩擦材料を含む低摩擦層2104とを含み得る、側壁2002に形成可能である。低摩擦層2104は、側壁2002の内側又は外側に存在してよい。
【0042】
次に、ブランクの基材を面取りすることができる。
図4B1は、ブランク2000の軸端2050、2052の一方に設けられ、軸端2050、2052の一方に沿って面取り部又はテーパが付けられている、チャンバの一実施形態を示している。
図4B2は、ブランク2000の軸端2050、2052の一方に設けられ、軸端2050、2052の両方に沿って面取り部又はテーパが付けられている、チャンバの一実施形態を示している。複数の実施形態において、軸端2050、2052の少なくとも一方に向かうにつれ、基材2119の厚さが減少することで、ブランク2000が、第1面取り縁及び/又は第2面取り縁を得るよう、ブランク2000を面取り可能である。
図4B1で好例を示すように、基材2119の厚さは、中心軸に垂直な平面に対して角度αでテーパが付けられてもよく、αは、5°≦α≦90°の範囲内である。面取り部の異なる実施形態(直線状の面取り部、円形の面取り部、一部が円形の面取り部、湾曲した面取り部、あるいは、段差のある面取り部等)が、本明細書で企図される。したがって、最終的に得られる基材2119の厚さテーパは、弓形又は直線であってもよい。
【0043】
次に、ブランクの軸方向縁を折り曲げられることができる。
図4C1は、折り曲げられた中間フランジの一実施形態を示す。
図4C2は、折り曲げられたフランジの一実施形態を示す。
図4C1~
図4C2で見られるように、軸端2050における面取り縁がそれ自身の上に折り曲げられるように、ブランク2000を面取りして、折り曲げることができる。つまり、
図4B2に示されるように、面取り縁は、それ自身の上に折り重なり、面取り側壁2002に接触してもよい。
図4C3~
図4C5は、折り曲げられた中間フランジの別の実施形態を示す。
図4C3は90°の折り目を示し、
図4C4は45°の折り目を示し、
図4C5は180°の折り目を示す。図示のように、基材2119が露出しないよう、低摩擦層2104を、基材2119に折り曲げてもよい。つまり、折り曲げるステップは、面取りされた軸端又は縁2050、2052を少なくとも30°かつ180°以下で曲げることを、含められる。
【0044】
次に、ブランクを圧延、スタンピングして、軸受フランジを形成できる。
図4D1は、フランジ付き軸受中間体の一実施形態を示す。
図4D2は、フランジ付き軸受の一実施形態を示す。図示のように、フランジ2116を形成するよう、ブランク2000をスタンピング可能である。複数の実施形態において、フランジ2116は、中心軸500に対して概ね垂直であってもよい。フランジをスタンピングする際、基材2119が最外周縁2120に沿って露出しないよう、低摩擦層2104は最外周縁2120に沿って延在する低摩擦材料を含む。つまり、このスタンピングステップには、基材が最外周縁2120に沿って露出しないよう、周縁2120で基材2119に重なる低摩擦材料2104を提供するために、折り曲げられた面取り縁の少なくとも1つを変形することが、含められ得る。スタンピングは、軸受技術において企図される、任意の手段又は方法で実施可能である。
図4D1~
図D2で見られるように、低摩擦層2104は、最外周縁2120で基材2119を折り曲げるか、他の方法で屈曲させるように、面取り縁の厚みが減少し、基材2119が圧縮されるよう、フランジ2116は成形される。その結果、図示のように、最外周縁2120は、軸方向に弓形断面を有することができる。一実施形態では、低摩擦材料2104は、周縁2120において基材2119を覆い、少なくとも部分的に封入することができる。一実施形態では、周縁2120のフランジの全厚さが低摩擦材料2104を含む。
【0045】
最外周縁2120の様々な実施形態が本明細書で企図される。
図4C3~
図4C5は、上記のような最外周縁2120の実施形態を図示しており、この実施形態では、基材2119が露出しないよう、低摩擦層2104は、最外周縁2120の少なくとも一部上で折り曲げられる。複数の実施形態において、上記のような最外周縁2120では、基材2119が露出しないよう、低摩擦層2104は、最外周縁2120の全体上で折り曲げられる。つまり、第1面取り縁又は第2面取り縁の少なくとも一方の変形は、第1面取り縁又は第2面取り縁を少なくとも30°以上、かつ200°以下で屈曲又は折り曲げることを含む。
【0046】
複数の実施形態において、
図4D2に戻ると、軸受2000の半径方向フランジ2116は、厚さT
RFが、約1ミクロン~約3500ミクロン、例えば約100ミクロン~約2000ミクロン、例えば約250ミクロン~約1000ミクロン、例えば約450ミクロン~約800ミクロンでよい。半径方向フランジ322は、厚さT
RF,が上述の最小値と最大値との間の任意の値であり得ることを、理解されよう。半径方向フランジ2116は、厚さT
RF,が上述の最小値と最大値との間の任意の値であり得ることも、更に理解されよう。半径方向フランジ2116の厚さT
RFは、材料又は複合材料1000、1001、1002、1003、1004の厚さT
Bと実質的に同様、あるいは同じであってもよい。上述した軸受を形成するプロセスの結果として、半径方向フランジ2116は、厚さT
Bが、T
Bの+/-90%という実質的に一定であり得る。
【0047】
複数の実施形態において、フランジ2116は平均フランジ厚さTRFを有してもよく、側壁2102は平均側壁厚さTBを有し、ここで、TRFは、2TB未満、例えば1.9TB未満、例えば1.8TB未満、例えば1.6TB未満、例えば1.5TB未満、例えば1.4TB未満、例えば1.3TB未満、例えば1.2TB未満、例えば1.1TB未満、あるいは例えばTB未満である。複数の実施形態において、フランジは平均フランジ厚さTRFを有し、側壁は平均側壁厚さTBを有し、ここで、TRFは、0.5TB超、例えば0.6TB超、例えば0.7TB超、例えば0.8TB超、例えば0.9TB超、例えばTB,超、例えば1.1TB超、例えば1.2TB超、例えば1.3TB超、あるいは例えば1.5TB超である。
【0048】
複数の実施形態において、基材厚さT
Sは、上述の方法から得られる軸受内のフランジの半径方向幅W
Fの少なくとも一部に沿って、テーパが付けられていてもよい。上述のように、
図4B1で好例を示すように、基材2119の厚さは、中心軸に垂直な平面に対して角度αでテーパが付けられてもよく、αは、5°≦α≦90°の範囲内である。いくつかの実施形態において、低摩擦材料2104の厚さT
SLは、フランジ2116の半径方向幅の少なくとも一部に沿ってテーパが付けられている。
【0049】
複数の実施形態において、フランジ2116の外側周縁は、厚さTPEが、0.3TRF超、例えば0.4TRF超、例えば0.5TRF超、例えば0.6TRF超、又は例えば0.8TRF超でよい。複数の実施形態において、フランジの外側周縁は、厚さTPEが、TRF未満、例えば1.05TRF未満、例えば1.1TRF未満、例えば1.15TRF未満、又は例えば1.2TRF未満でよい。
【0050】
複数の実施形態において、フランジ2116の基材2119は、平均フランジ厚さTSUを有し、側壁2102の基材2119は、平均側壁厚さTSUSを有してもよく、ここで、TSUSは、2TSU未満、例えば1.9TS未満、例えば1.8TS未満、例えば1.7TS未満、例えば1.6TS未満、例えば1.5TS未満、例えば1.4TS未満、又は1.3TS未満である。複数の実施形態において、フランジ2116の基材2119は、平均フランジ厚さTSUを有し、側壁2102の基材2119は、平均側壁厚さTSUSを有してもよく、ここで、TSUSは、0.3TSU超、例えば0.5TSU超、例えば0.5TSU超、例えば0.6TSU超、例えば0.7TSU超、例えば0.8TSU超、例えば0.9TSU超、又はTSU超である。
【0051】
複数の実施形態において、フランジ2116の低摩擦層2104は、平均フランジ厚さTFLFを有し、側壁2102の低摩擦層2104は、平均側壁厚さTFLSを有してもよく、ここで、TFLFは、2TFLS未満、例えば1.9TFLS未満、例えば1.8TFLS未満、例えば1.7TFLS未満、例えば1.6TFLS未満、例えば1.5TFLS未満、例えば1.4TFLS未満、又は例えば1.3TFLS未満である。複数の実施形態において、フランジ2116の低摩擦層2104は、平均フランジ厚さTFLFを有し、側壁2102の低摩擦層2104は、平均側壁厚さTFLSを有してもよく、ここで、TFLFは、0.5TFLS超、例えば0.6TFLS超、例えば0.7TFLS超、例えば0.8TFLS超、例えば0.8TFLS超、例えば0.9TFLS超、又はTFLS超である。
【0052】
必要に応じて、
図4D1~
図4D2のスタンピング又は成形ステップ中に、基材における、第1周縁又は第2周縁の少なくとも一方の厚さが減少することで、基材が第1周縁又は第2周縁の少なくとも一方に沿って露出しないよう、フランジ内の軸方向分割部を更にスタンピング、あるいは成形することができる。
図4Eは、ブランクからの軸受を示す。
図4Eで見られるように、フランジ2116の第1周縁2172又は第2周縁2174の少なくとも1つは、スタンピングのプロセスにおいて露出しない基材2119を有することができる。あるいは、低摩擦層2104を含むテープは、
図4C1~
図4C5のスタンピング又は圧縮プロセス中に、フランジ6320の第1周縁2172又は第2周縁2174の少なくとも1つ上で配置されてもよい。更に代替的には、代替的なブランクを使用して、基材2119を含むフランジ2116の第1周縁2172又は第2周縁2174の少なくとも1つが露出していない状態で、軸方向分割部を形成することができる。
【0053】
複数の実施形態において、軸受はアセンブリに含まれてもよい。アセンブリは、内側構成要素及び外側構成要素も更に含むことができる。複数の実施形態において、軸受は、内側部材と外側部材との間に配置されてもよい。上記のように、軸受は、側壁であって、基材と、上記側壁の半径方向内側表面又は半径方向外側表面の少なくとも1つに沿って延在する低摩擦材料とを備える側壁を含み、上記側壁は、中心軸を中心として穴を画定する体と、この体の軸端と隣接し、そこから延在するフランジとを更に含み、上記フランジは、折り曲げられた最外周縁を含み、基材は、最外周縁において厚さが減少しており、フランジは、基材が最外周縁に沿って露出しないように構成されている。
【0054】
図5A及び
図5Bは、アセンブリ内の軸受を示す。図示のように、アセンブリ5000は、自動車のドアヒンジ、フードヒンジ、エンジンコンパートメントヒンジ等の例示的なヒンジ500の形態である。ヒンジ500は、内側部材28(内側ヒンジ部502等)、及び外側ヒンジ部504を含むことができる。ヒンジ部502及び504は、外側部材30(リベット506及び508等)、並びに軸受510及び412によって接合することができる。軸受510及び512は、本明細書で既に説明、ラベル付けしたように、本明細書の実施形態の軸受とすることができる。
図5Bは、ヒンジ500の断面を示し、リベット508と軸受512をより詳細に示している。
【0055】
図6は、アセンブリ内の軸受を示す。アセンブリ6000は、自動車のドアヒンジ、フードヒンジ、エンジンコンパートメントヒンジ等の、別の例示的なヒンジ600の形態である。ヒンジ600は、ピン606と軸受608によって接合された第1ヒンジ部602及び第2ヒンジ部604を含むことができる。軸受608は、前述のような軸受であってもよい。
【0056】
例示的な実施形態において、
図7は、アセンブリ内の軸受を示す。
図7で見られるように、非限定的な例として、アセンブリ7000は、軸受704を含む、分解された自動車ドアヒンジの部品を備える別のヒンジアセンブリ700の一実施形態の形態である。
図7は、プロファイルヒンジの一例である。軸受700は、ヒンジドア部706に挿入されてもよい。前述のように、軸受704は、本明細書の実施形態の軸受であり得る。リベット708は、ヒンジドア部706をヒンジ体部710と連結する。リベット708を、位置決めネジ712によりヒンジ体部710と共に締め付け、更に、ワッシャ702によりヒンジドア部706と共に定位置で固定可能である。
【0057】
図8は、アセンブリ内の軸受を示す。図示のように、アセンブリ8000は、自転車又はオートバイ等の二輪車用の例示的なヘッドセットアセンブリ800の形態である。ステアリングチューブ802は、ヘッドチューブ804を通して挿入することができる。ステアリングチューブ802とヘッドチューブ804との位置合わせを維持し、接触を防止するよう、軸受806及び808をステアリングチューブ802とヘッドチューブ804との間に配置してもよい。前述したように、軸受806及び808は、本明細書の実施形態の軸受とすることができる。更に、汚れ及び他の粒子状物質による軸受の摺動面の汚染をシール810及び812で防止することができる。
【0058】
かかる上述のアセンブリは全て例示的なものであり、想定される他のアセンブリにおける軸受の使用を限定するものではない。例えば、軸受は、パワートレインアセンブリ用途(ベルトテンショナ等)、あるいは空間に限りのある他のアセンブリ用途でのアセンブリにおいて使用されてもよい。
【0059】
かかる実施形態の用途としては、例えば、ヒンジ用アセンブリ、他の車両構成要素、及び他の産業種類の用途(例えば、バイク、太陽光発電等)が挙げられる。更に、軸受又はアセンブリの使用は、限定されないが、車両のテールゲート、ドアフレーム、シートアセンブリ、パワートレイン用途(ベルトテンショナ等)、又は他の種類の用途等のいくつかの用途において、より大きな効果を得ることができる。本明細書で開示される様々な実施形態により、従来の解決手段を凌ぐ大きな利点が得られる。本明細書の実施形態によると、軸受は、当技術分野において既知とされる既存の軸受と比較して、耐食性がより向上し得る。更に、本明細書の実施形態によれば、軸受は、当技術分野で知られている既存の軸受と比較して、フランジ加工が改善され、更に、剛性の高い動作、及び/又は肉厚減少の改善も認められ得る。更に、本明細書の実施形態によれば、軸受は、当技術分野で知られている軸受と比較して、サイジング時の肉厚減少を改善することができる。最後に、本明細書の実施形態によれば、軸受は、ひび割れ、腐食、ヒンジアセンブリの破片/汚染の原因となるオーバーコーティングを引き起こす恐れのある、露出した基材の間隙を減らすことができる。
【0060】
多くの異なる態様及び実施形態が可能である。これらの態様及び実施形態のいくつかを以下に記載する。本明細書を読んだ後、当業者は、それらの態様及び実施形態が例解的であるに過ぎず、本発明の範囲を限定するものではないことを理解するであろう。実施形態は、以下に列挙される実施形態のうちのいずれか1つ以上に従い得る。
【0061】
実施形態1:軸受であって、側壁であって、基材と、上記側壁の半径方向内側表面又は半径方向外側表面の少なくとも1つに沿って延在する低摩擦材料とを備える側壁を含み、上記側壁は、中心軸を中心として穴を画定する体と、上記体の軸端と隣接し、そこから延在するフランジとを更に含み、上記フランジは、折り曲げられた最外周縁を含み、上記基材は、最外周縁において厚さが減少しており、上記フランジは、上記基材が最外周縁に沿って露出しないように構成されている、軸受。
【0062】
実施形態2:アセンブリであって、内側構成要素と、外側構成要素と、上記内側構成要素と上記外側構成要素との間で半径方向に配置された軸受とを含み、上記軸受は、側壁であって、基材と、上記側壁の半径方向内側表面又は半径方向外側表面の少なくとも1つに沿って延在する低摩擦材料とを備える側壁を含み、上記側壁は、中心軸を中心として穴を画定する体と、上記体の軸端と隣接し、そこから延在するフランジとを更に含み、上記フランジは、折り曲げられた最外周縁を含み、上記基材は、最外周縁において厚さが減少しており、上記フランジは、上記基材が最外周縁に沿って露出しないように構成されている、アセンブリ。
【0063】
実施形態3:方法であって、基材及び低摩擦材料を含むブランクを提供する、ことと、中心軸を中心として穴を画定する体を含む側壁に上記ブランクを形成することであって、上記低摩擦材料が、上記側壁の半径方向内側表面又は半径方向外側表面の少なくとも1つに沿って延在する、ことと上記側壁の軸方向縁において上記基材を面取りする、ことと、上記側壁の上記面取りされた軸方向縁を折り曲げる、ことと、上記側壁の上記軸方向縁をスタンピングして、側壁と隣接し、そこから延在するフランジを形成する、こととを含み、上記フランジは、折り曲げられた最外周縁を含み、上記基材は、上記最外周縁において厚さが減少しており、上記フランジは、上記基材が最外周縁に沿って露出しないように構成されている、方法。
【0064】
実施形態4:上記フランジは、第1周縁及び第2周縁を画定する軸方向分割部も更に備える、実施形態1~実施形態3のいずれか1つに記載の軸受、アセンブリ、又は方法。
【0065】
実施形態5:上記基材が上記第1周縁又は上記第2周縁の少なくとも一方に沿って露出しないよう、上記基材における、上記第1周縁又は上記第2周縁の少なくとも一方の厚さが減少する、実施形態1~実施形態4のいずれか1つに記載の軸受、アセンブリ、又は方法。
【0066】
実施形態6:基材厚さは、上記フランジの半径方向幅WFの少なくとも一部に沿って、テーパが付けられている、実施形態1~実施形態5のいずれか1つに記載の軸受、アセンブリ、又は方法。
【0067】
実施形態7:上記基材厚さは、上記中心軸に垂直な平面に対して角度αでテーパが付けられており、αは、5°≦α≦90°の範囲内である、実施形態1~実施形態6のいずれか1つに記載の軸受、アセンブリ、又は方法。
【0068】
実施形態8:上記低摩擦材料は、周縁において上記基材を覆い、少なくとも部分的に封入する、実施形態1~実施形態7のいずれか1つに記載の軸受、アセンブリ、又は方法。
【0069】
実施形態9:周縁の上記フランジの全厚さが低摩擦材料を含む、実施形態1~実施形態8のいずれか1つに記載の軸受、アセンブリ、又は方法。
【0070】
実施形態10:周縁は、軸方向に弓形断面を有する、実施形態1~実施形態9のいずれか1つに記載の軸受、アセンブリ、又は方法。
【0071】
実施形態11:基材厚さテーパが弓形である、実施形態6~実施形態10のいずれか1つに記載の軸受、アセンブリ、又は方法。
【0072】
実施形態12:上記基材厚さテーパが直線形である、実施形態6~実施形態10のいずれか1つに記載の軸受、アセンブリ、又は方法。
【0073】
実施形態13:低摩擦材料厚さは、上記フランジの半径方向幅の少なくとも一部に沿って、テーパが付けられている、実施形態1~実施形態12のいずれか1つに記載の軸受、アセンブリ、又は方法。
【0074】
実施形態14:上記フランジは、上記中心軸から略垂直である、実施形態1~実施形態13のいずれか1つに記載の軸受、アセンブリ、又は方法。
【0075】
実施形態15:上記フランジは、実質的に一定の厚さを有する、実施形態1~実施形態14のいずれか1つに記載の軸受、アセンブリ、又は方法。
【0076】
実施形態16:上記フランジは平均フランジ厚さTRFを有し、側壁は平均側壁厚さTBを有し、ここで、TRFは、2TB未満、例えば1.9TB未満、例えば1.8TB未満、例えば1.6TB未満、例えば1.5TB未満、例えば1.4TB未満、例えば1.3TB未満、例えば1.2TB未満、例えば1.1TB未満、あるいは例えばTB未満である、実施形態1~実施形態15のいずれか1つに記載の軸受、アセンブリ、又は方法。
【0077】
実施形態17:上記フランジは平均フランジ厚さTRFを有し、側壁は平均側壁厚さTBを有し、ここで、TRFは、0.5TB超、例えば0.6TB超、例えば0.7TB超、例えば0.8TB超、例えば0.9TB超、例えばTB,超、例えば1.1TB超、例えば1.2TB超、例えば1.3TB超、あるいは例えば1.5TB超である、実施形態1~実施形態16のいずれか1つに記載の軸受、アセンブリ、又は方法。
【0078】
実施形態18:上記フランジの外側周縁は、厚さTPEが、0.3TB超、例えば0.4TB超、例えば0.5TB超、例えば0.6TB超、又は例えば0.8TB超である、実施形態16又は実施形態17のいずれか1つに記載の軸受、アセンブリ、又は方法。
【0079】
実施形態19:上記フランジの上記外側周縁は、厚さTPEが、TB未満、例えば1.05TB未満、例えば1.1TB未満、例えば1.15TB未満、又は例えば1.2TB未満である、実施形態16~実施形態18のいずれか1つに記載の軸受、アセンブリ、又は方法。
【0080】
実施形態20:上記フランジの上記基材は、平均フランジ厚さTSUを有し、上記側壁の上記基材は、平均側壁厚さTSUSを有し、ここで、TSUSは、2TSU未満、例えば1.9TS未満、例えば1.8TS未満、例えば1.7TS未満、例えば1.6TS未満、例えば1.5TS未満、例えば1.4TS未満、又は1.3TS未満である、実施形態1~実施形態19のいずれか1つに記載の軸受、アセンブリ、又は方法。
【0081】
実施形態21:上記フランジの上記基材は、平均フランジ厚さTSUを有し、上記側壁の上記基材は、平均側壁厚さTSUSを有し、ここで、TSUSは、0.3TSU超、例えば0.5TSU超、例えば0.5TSU超、例えば0.6TSU超、例えば0.7TSU超、例えば0.8TSU超、例えば0.9TSU超、又はTSU超である、実施形態1~実施形態20のいずれか1つに記載の軸受、アセンブリ、又は方法。
【0082】
実施形態22:上記フランジの上記低摩擦層は、平均フランジ厚さTFLFを有し、上記側壁の上記低摩擦層は、平均側壁厚さTFLSを有し、ここで、TFLFは、2TFLS未満、例えば1.9TFLS未満、例えば1.8TFLS未満、例えば1.7TFLS未満、例えば1.6TFLS未満、例えば1.5TFLS未満、例えば1.4TFLS未満、又は1.3TFLS未満である、実施形態1~実施形態21のいずれか1つに記載の軸受、アセンブリ、又は方法。
【0083】
実施形態23:上記フランジの上記低摩擦層は、平均フランジ厚さTFLFを有し、上記側壁の上記低摩擦層は、平均側壁厚さTFLSを有し、ここで、TFLFは、0.5TFLS超、例えば0.6TFLS超、例えば0.7TFLS超、例えば0.8TFLS超、例えば0.8TFLS超、例えば0.9TFLS超、又はTFLS超である、実施形態1~実施形態22のいずれか1つに記載の軸受、アセンブリ、又は方法。
【0084】
実施形態24:折り曲げるステップは、上記側壁の面取りされた軸方向縁を少なくとも30°かつ180°以下で曲げることを含む、実施形態3~実施形態23のいずれか1つに記載の方法。
【0085】
実施形態25:上記軸受は、内半径が1~20mmの範囲内である、実施形態1~実施形態24のいずれか1つに記載の軸受、アセンブリ、又は方法。
【0086】
実施形態26:上記軸受は、外半径が1mm~35mmの範囲内である、実施形態1~実施形態25のいずれか1つに記載の軸受、又はアセンブリ。
【0087】
実施形態27:上記軸受は、長さが1~50mmの範囲内である、実施形態1~実施形態26のいずれか1つに記載の軸受、又はアセンブリ。
【0088】
実施形態28:上記基材は金属を含む、実施形態1~実施形態27のいずれか1つに記載の軸受、アセンブリ、又は方法。
【0089】
実施形態29:上記基材の金属が、青銅、銅、アルミニウム、メッシング、又はステンレス鋼の群から選択される、実施形態28に記載の軸受、アセンブリ、又は方法。
【0090】
実施形態30:上記低摩擦材料がポリマーを含む、実施形態1~実施形態29のいずれか1つに記載の軸受、アセンブリ、又は方法。
【0091】
実施形態31:上記ポリマーが、ポリケトン、ポリアラミド、熱可塑性ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルスルホン、ポリスルホン、ポリフェニレンスルホン、ポリアミドイミド、超高分子量ポリエチレン、熱可塑性フルオロポリマー、ポリアミド、ポリベンズイミダゾール、又はそれらの任意の組み合わせを含む、実施形態30に記載の軸受、アセンブリ、又は方法。
【0092】
実施形態32:軸受であって、側壁であって、基材と、上記側壁の半径方向内側表面又は半径方向外側表面の少なくとも1つに沿って延在する低摩擦材料とを備える側壁を含み、上記側壁は、中心軸を画定する穴を画定する体と、上記体の軸端と隣接し、そこから延在するフランジとを更に含み、上記フランジは、第1周縁と第2周縁とを画定する軸方向分割部を含み、上記第1周縁又は上記第2周縁の少なくとも1つに沿って上記基材が露出しないよう、上記基材は上記第1周縁又は上記第2周縁において厚さが減少している、軸受。
【0093】
上述の特徴の全てが必要とされるわけではなく、特定の特徴の領域が必要とされなくてもよく、記載した特徴に加えて1つ以上の特徴が提供されてもよいことに留意されたい。なおも更に、特徴が列挙される順序は、必ずしも特徴が導入される順序ではない。
【0094】
特定の特徴が、明確にするために、別個の実施形態の文脈において本明細書に記載されており、単一の実施形態において組み合わせて提供され得る。逆に、簡潔にするために、単一の実施形態の文脈で記載されている様々な特徴は、別個に又は任意の部分的な組み合わせで提供され得る。
【0095】
利益、他の利点、及び問題の解決策は、特定の実施形態に関して上述されている。しかしながら、利益、利点、問題の解決策、及び任意の利益、利点、又は解決策をもたらすかより顕著にする可能性がある任意の特徴(複数可)は、請求項のいずれか又は全ての重要な、必要な、又は本質的な特徴として解釈されるべきではない。
【0096】
本明細書に記載の実施形態の明細書及び例解図は、様々な実施形態の構造の一般的な理解を提供することを意図している。明細書及び例解図は、本明細書に記載の構造又は方法を使用する装置及びシステムの全ての要素及び特徴の網羅的かつ包括的な説明として役立つことを意図するものではない。別個の実施形態が単一の実施形態中に組み合わせて提供され得、逆に、簡潔にするために単一の実施形態の文脈において説明されている様々な特徴が、別々に又は任意の部分的組み合わせで提供され得る。更に、範囲に記載された値への言及は、その範囲内の各々の値全てを含む。多くの他の実施形態が、本明細書を読んだ後にのみ当業者に明らかとなり得る。本開示の範囲から逸脱することなく、構造的置換、論理的置換、又は任意の変更を行うことができるように、他の実施形態を使用し、本開示から導出することができる。したがって、本開示は、限定的ではなく、例示的なものとみなされるべきである。
【国際調査報告】