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特表2024-520222画像診断アレイを使用した血液脳関門開放及びキャビテーションイメージングのためのシステム及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-23
(54)【発明の名称】画像診断アレイを使用した血液脳関門開放及びキャビテーションイメージングのためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 8/06 20060101AFI20240516BHJP
【FI】
A61B8/06
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2023509636
(86)(22)【出願日】2021-08-13
(85)【翻訳文提出日】2023-04-07
(86)【国際出願番号】 US2021045939
(87)【国際公開番号】W WO2022036217
(87)【国際公開日】2022-02-17
(31)【優先権主張番号】63/065,319
(32)【優先日】2020-08-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.MATLAB
(71)【出願人】
【識別番号】508344512
【氏名又は名称】ザ トラスティーズ オブ コロンビア ユニバーシティ イン ザ シティ オブ ニューヨーク
【氏名又は名称原語表記】THE TRUSTEES OF COLUMBIA UNIVERSITY IN THE CITY OF NEW YORK
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】コノファゴウ,エリサ,イー.
(72)【発明者】
【氏名】バージェス,マーク
(72)【発明者】
【氏名】ジ,ロビン
(72)【発明者】
【氏名】アレック,ジェイ. バッツ
【テーマコード(参考)】
4C601
【Fターム(参考)】
4C601DD03
4C601DD11
4C601DE05
4C601DE06
4C601EE01
4C601EE11
4C601HH04
4C601HH06
4C601HH08
4C601HH13
4C601HH15
4C601HH21
4C601JB28
(57)【要約】
本明細書における特定事項は、血液脳関門開放及びキャビテーションイメージングを同時に行う技術に関する。開示されたシステムは、トランスデューサ及びプロセッサを含み得る。トランスデューサは、複数の集束伝送を行い、同時に複数のパワーキャビテーション画像を得るように構成することができる。プロセッサは、集束伝送のパラメータを制御し、各集束伝送間にパワーキャビテーション画像を取得し、さらに、パワーキャビテーション画像に基づきキャビテーションマップを生成するように構成することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
血液脳関門開放及びキャビテーションイメージングを同時に行うためのシステムであって、
複数の集束伝送を行い、
同時に、複数のパワーキャビテーション画像を得る、
ように構成されたトランスデューサと、
前記集束伝送のパラメータを制御し、
各集束伝送間に前記パワーキャビテーション画像を取得し、
前記パワーキャビテーション画像に基づきキャビテーションマップを生成する、
ように構成されたプロセッサと、
を含むシステム。
【請求項2】
複数のマイクロバブルをさらに含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記マイクロバブルのサイズが約1ミクロンから約10ミクロンに及ぶ、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記複数の集束伝送は、約1mmから約100mmの焦点深度を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記複数の集束伝送は、約0°から約360°のステアリング角度を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記複数の集束伝送は、約1サイクルから約2500サイクルのパルス長を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記複数の集束伝送は、約1.5MHzから3.5MHzまでの中心周波数を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記複数の集束伝送は、約100Hzから約1000Hzまでのパルス繰り返し周波数を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記プロセッサは、複数の領域を標的にするために各集束伝送の前記パラメータを調整するように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記パラメータは、ステアリング角度、焦点深度、パルス長、中心周波数、パルス繰り返し周波数、及びそれらの組み合わせを含む群から選択されている、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記プロセッサは、マイクロバブルのパワードプラ法を行うように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
前記トランスデューサは、前記集束伝送の各集束伝送間に平面イメージング波を使用してマイクロバブルのパワードプラ画像を取得するように構成されている、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記プロセッサは、
取得した前記画像に対してビームフォーミングを行い、
ビームフォーミングを行った画像を蓄積し、
特異値分解フィルタを使用して、前記ビームフォーミングを行った画像に対して時空的にフィルタをかける、
ように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項14】
血液脳関門開放及びキャビテーションイメージングを同時に行う方法であって、
治療用トランスデューサを使用して複数の集束伝送を行うステップと、
同時に、前記治療用トランスデューサを使用して複数のパワーキャビテーション画像を得るステップであり、前記パワーキャビテーション画像は各集束伝送間に得られる、ステップと、
前記パワーキャビテーション画像に基づきキャビテーションマップを生成するステップと、
を含む方法。
【請求項15】
各集束伝送のパラメータを調整するステップをさらに含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記パラメータは、ステアリング角度、焦点深度、パルス長、中心周波数、パルス繰り返し周波数、及びそれらの組み合わせを含む群から選択される、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
マイクロバブルを導入するステップと、
前記集束伝送の各集束伝送間に平面イメージング波を用いてマイクロバブルのパワードプラ画像を取得することによって、マイクロバブルのパワードプラ法を行うステップと、
をさらに含む、請求項14に記載の方法。
【請求項18】
取得した前記画像に対してビームフォーミングを行うステップと、
ビームフォーミングを行った画像を蓄積するステップと、
特異値分解フィルタを使用して、前記ビームフォーミングを行った画像に対して時空的にフィルタをかけるステップと、
をさらに含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記マイクロバブルのサイズが約1ミクロンから約10ミクロンに及ぶ、請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2020年8月13日に出願された米国仮特許出願第63/065,319号の優先権を主張しており、その全内容を参照により本明細書において援用する。
【0002】
認可情報(GRANT INFORMATION)
本発明は、the National Institutes of Health(NIH)によって与えられた認可番号R01EB009041、R01EB029338、及びR01AG038961の下で、政府の支援を受けてなされた。政府は、本発明において一定の権利を有している。
【背景技術】
【0003】
集束超音波(FUS)介在性の血液脳関門(BBB)開放は、中枢神経系(CNS)まで薬物を非侵襲的に送達するために使用することができる。BBBを開くための特定のFUSシステムは、固定焦点又は非常に複雑で大規模な多素子アレイシステムを有する特注の幾何学的集束トランスデューサを必要とする。そのようなトランスデューサは、集束能力が限られている、高価である、及び/又は、使用するのが面倒であり得る。例えば、特定の臨床試験では、適切な標的及び監視のために磁気共鳴画像法(MRI)のガイダンスが必要とされてきた。
【0004】
さらに、特定のFUSトランスデューサは、一度に1つの箇所を標的にすることができ、他の領域を標的にするためには、物理的に移動させなければならない。治療時間、超音波トランスデューサの動き、及びマイクロバブルのクリアランスのため、複数の標的が必要な場合は再注射が必要になることがある。また、これらのトランスデューサは、治療中にマイクロバブルキャビテーションの不十分な空間情報を提供する恐れがある。
【0005】
従って、血液脳関門(BBB)開放及びキャビテーションイメージングを同時に行うための診断用超音波システムを利用することができる、改善された超音波技術が必要とされている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
開示される特定事項は、血液脳関門開放及びキャビテーションイメージングを同時に行うための技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
例証的なシステムは、トランスデューサ及びプロセッサを含み得る。トランスデューサは、複数の集束伝送(focused transmits)を行い、同時に複数のパワーキャビテーション画像を得るように構成することができる。プロセッサは、集束伝送のパラメータを制御し、各集束伝送間にパワーキャビテーション画像を取得し、さらに、パワーキャビテーション画像に基づきキャビテーションマップを生成するように構成することができる。
【0008】
特定の実施形態において、当該システムは、複数のマイクロバブルを含み得る。非限定的な実施形態では、マイクロバブルのサイズは、約1ミクロンから約10ミクロンに及んでもよい。
【0009】
特定の実施形態において、複数の集束伝送は、約1mmから約100mmの焦点深度を含み得る。非限定的な実施形態では、複数の集束伝送は、約0°から約360°のステアリング角度を含んでもよい。非限定的な実施形態では、複数の集束伝送は、約1サイクルから約2500サイクルのパルス長を含んでもよい。非限定的な実施形態では、複数の集束伝送は、約1.5MHzから3.5MHzまでの中心周波数を含んでもよい。非限定的な実施形態では、複数の集束伝送は、約100Hzから約1000Hzまでのパルス繰り返し周波数を含んでもよい。
【0010】
特定の実施形態において、プロセッサは、複数の領域を標的にするために各集束伝送のパラメータを調整するように構成することができる。非限定的な実施形態では、パラメータは、ステアリング角度、焦点深度、パルス長、中心周波数、パルス繰り返し周波数、及びそれらの組み合わせを含んでもよい。
【0011】
特定の実施形態において、プロセッサは、マイクロバブルのパワードプラ法を行うように構成することができる。非限定的な実施形態では、トランスデューサは、各集束伝送間に平面イメージング波を使用してマイクロバブルのパワードプラ画像を取得するように構成されてもよい。非限定的な実施形態では、マイクロバブルのサイズは、約1ミクロンから約10ミクロンに及んでもよい。
【0012】
特定の実施形態において、プロセッサは、取得した画像に対してビームフォーミングを行い、ビームフォーミングを行った画像を蓄積し、さらに、特異値分解フィルタを使用して、ビームフォーミングを行った画像に対して時空的にフィルタをかけるように構成することができる。
【0013】
開示される特定事項は、血液脳関門開放及びキャビテーションイメージングを同時に行う方法も提供する。例となる方法は、治療用トランスデューサを使用して複数の集束伝送を行うステップ、同時に治療用トランスデューサを使用して複数のパワーキャビテーション画像を得るステップ、及び、パワーキャビテーション画像に基づきキャビテーションマップを生成するステップを含み得る。パワーキャビテーション画像は、各集束伝送間に得ることができる。
【0014】
特定の実施形態において、当該方法は、各集束伝送のパラメータを調整するステップをさらに含み得る。非限定的な実施形態では、パラメータは、ステアリング角度、焦点深度、パルス長、中心周波数、パルス繰り返し周波数、又はそれらの組み合わせを含んでもよい。
【0015】
特定の実施形態において、当該方法は、マイクロバブルを導入するステップ、及び、各集束伝送間に平面イメージング波を用いてマイクロバブルのパワードプラ画像を取得することによって、マイクロバブルのパワードプラ法を行うステップを含み得る。
【0016】
特定の実施形態において、当該方法は、取得した画像に対してビームフォーミングを行うステップ、ビームフォーミングを行った画像を蓄積するステップ、及び、特異値分解フィルタを使用して、ビームフォーミングを行った画像に対して時空的にフィルタをかけるステップをさらに含み得る。
【0017】
開示される特定事項は、以下においてさらに記載される。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1Aは、開示される特定事項による例となる波形の特性を提供する図であり、図1Bは、開示される特定事項による標的焦点での例となる集束伝送を示したグラフを提供する図である。
図2図2Aは、開示される特定事項による水槽における累積的なパワーキャビテーションを示したグラフを提供する図であり、図2Bは、ハイドロフォンから得られた測定値と比較した、パワーキャビテーション画像の軸方向の断面プロットを示したグラフを提供する図であり、図2Cは、ハイドロフォンから得られた測定値と比較した、パワーキャビテーション画像の横方向の断面プロットを示したグラフを提供する図である。
図3図3Aは、開示される特定事項による、マイクロバブルを用いた/用いていないマウスモデルにおける例となるパワーキャビテーション画像及びコントラスト増強MRI画像を提供する図であり、図3Bは、開示される特定事項による、マイクロバブルを用いた/用いていない非ヒト霊長類(NHP)モデルにおける例となるパワーキャビテーション画像及びコントラスト増強MRI画像を提供する図である。
図4図4Aは、開示される特定事項による、超音波処理の30分後に得られた例となるコントラスト増強T1強調MRI画像を提供する図であり、図4Bは、開示される特定事項による、BBB超音波処理の24時間後に得られた例となるコントラスト増強T1強調MIR画像を提供する図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
上述の一般的な説明及び以下の詳細な説明はいずれも例証的なものであり、開示される特定事項のさらなる説明を提供するよう意図していることが理解されることになる。
【0020】
開示される特定事項は、血液脳関門(BBB)開放及びキャビテーションイメージングを同時に行うための技術を提供する。開示される特定事項は、単一の診断用トランスデューサを使用したBBB開放及びキャビテーションイメージングのためのシステム及び方法を提供する。
【0021】
本明細書において使用される場合、「包含する」、「含む」、「有している」、「有する」、「できる」、「含有する」という用語及びその異形は、さらなる行為又は構造を排除しないオープンエンドの移行句、用語、又は単語であることを意図している。単数形で記載したものであっても、前後関係から明らかでない限り、複数の場合も含む。本開示は、明示的に記載されているかどうかにかかわらず、本明細書において提示される実施形態又は要素を「含む」、本明細書において提示される実施形態又は要素「から成る」、及び「本質的に」本明細書において提示される実施形態又は要素「から成る」他の実施形態も考慮する。
【0022】
本明細書において使用される場合、「約」又は「ほぼ」という用語は、当業者によって決定された特定の値が許容できる誤差範囲内であることを意味し、これは、部分的に、値の測定方法又は決定方法、すなわち測定システムの制限次第である。例えば、「約」は、当技術分野における実施あたり、3以内又は4以上の標準偏差を意味し得る。或いは、「約」は、所与の値の最大20%、最大10%、最大5%、及び最大1%の範囲を意味し得る。或いは、例えば、生物学的システム又はプロセスに関しては、この用語は、ある値の1桁以内、5倍以内、及び2倍以内を意味し得る。
【0023】
本明細書において使用される場合、「結合され」という用語は、当技術分野において知られている方法による装置部品の別の装置部品への接続を指す。
【0024】
本明細書において使用される場合、「対象」という用語は、任意のヒト又は非ヒト動物を含む。「非ヒト動物」という用語は、全ての脊椎動物、例えば、非ヒト霊長類、イヌ、ネコ、ヒツジ、ウマ、ウシ、ニワトリ、両生類、爬虫類等の哺乳類及び非哺乳類等を含むが、これらに限定されない。
【0025】
特定の実施形態において、開示される特定事項は、対象のBBB開放及びキャビテーションイメージングを同時に行うためのシステムを提供する。例となるシステムは、トランスデューサ及びプロセッサを含み得る。特定の実施形態において、プロセッサを、トランスデューサに動作可能に結合することができる。例えば、プロセッサ及びトランスデューサを、直接的に(例えば、ワイヤ接続若しくはトランスデューサへの取り付け等で)又は間接的に(例えば、ワイヤレス接続等で)結合することができる。
【0026】
特定の実施形態において、トランスデューサは、複数の集束伝送を行い、同時に複数のパワーキャビテーション画像を得るように構成することができる単一のトランスデューサであり得る。非限定的な実施形態では、伝送は、トランスデューサ内の圧電素子を電子的に励起するものであってもよい。伝送は、トランスデューサ内の単一素子、素子のサブグループ、又は素子全ての励起を含み得る。伝送は、素子の全て又はサブグループを同時に励起するか、又は既定の間隔で個々の素子を連続して励起することによって誘導することができる。非限定的な実施形態では、伝送は、集束超音波(FUS)の伝送であってもよい。トランスデューサは、マイクロバブルのキャビテーションを誘導することによって、対象の標的組織を開くために使用することができる。例えば、開示されるトランスデューサは、開示される伝送を適用することによって、対象のBBBにおいてマイクロバブルのキャビテーションを発生させてBBBを開くことができる。一部の実施形態では、FUSにより誘導されたマイクロバブルのキャビテーションは、標的組織を永続的に損傷/加熱することなく、標的組織を開くことができる。非限定的な実施形態では、標的組織の損傷/加熱は、伝送パラメータ(例えば、ピーク負圧、パルス長、超音波処理の持続時間等)の調整を介して達成することができる。
【0027】
特定の実施形態において、開示されるシステムは、マイクロバブルを含み得る。マイクロバブルは、所定のFUSのパルスに反応し、標的組織を開くためのキャビテーションを誘導するように構成することができる。マイクロバブルのサイズは、約1ミクロンから約10ミクロン、約1ミクロンから約9ミクロン、約1ミクロンから約8ミクロン、約1ミクロンから約7ミクロン、約1ミクロンから約6ミクロン、約1ミクロンから約6ミクロン、約1ミクロンから約5ミクロン、約2ミクロンから約5ミクロン、約3ミクロンから約5ミクロン、又は約4ミクロンから約5ミクロンに及び得る。非限定的な実施形態では、マイクロバブルのサイズは、約4ミクロン又は約5ミクロンであってもよい。一部の実施形態において、マイクロバブルの用量を、対象に応じて調整することができる。例えば、超音波イメージング用途に対する臨床用量(例えば、約10μl/kg)のマイクロバブルを、ヒトの対象に投与することができる。
【0028】
特定の実施形態において、マイクロバブルは、活性剤を保有するか又は活性剤で被覆されるように構成される。マイクロバブルは、活性剤(例えば、小分子等)を保有し、音響的に活性化されるように構成することができる。例えば、分子を保有するマイクロバブルは、医薬分子、造影剤、バイオマーカー、及び/又はリポソームを保有するか、又はそれらで被覆することができる。医薬分子及び/又は造影剤は、標的領域の近くに別々に置くこともできる。
【0029】
特定の実施形態において、開示されるトランスデューサは、伝送を誘導して標的組織を開きながら、同時にキャビテーションイメージングを行うように構成することができる。非限定的な実施形態では、開示されるトランスデューサは、パワーキャビテーションイメージングを行ってもよい。例えば、開示されるトランスデューサは、各集束伝送間にパワーキャビテーション画像を得ることができる。パワーキャビテーションイメージング(PCI)は、標的組織を開くために使用される集束伝送に応答した、同じトランスデューサによるマイクロバブルキャビテーションの検出/イメージングであり得る。検出されたマイクロバブルのキャビテーションは、超音波ビームフォーミングを介して処理して、パワーキャビテーション画像を生成することができる。非限定的な実施形態では、プロセッサに送信する前に生のフレーム/画像は蓄積されてもよい。非限定的な実施形態では、パワーキャビテーション画像は、イメージング面における焦点のサイズを推定するために使用されてもよい。
【0030】
特定の実施形態において、開示されるトランスデューサは、マイクロバブルのパワードプラ法を行うように構成することができる。マイクロバブルのパワードプラ画像は、各集束伝送間にハイフレームレートの平面波を使用して取得することができる。例えば、パワードプラ画像は、所定の量の複合フレームに対するハイフレームレートの平面波複合を使用して取得することができる。複合は、様々な平面波伝送角度で連続的に取得された複数の超音波フレームの1つの画像への蓄積又は平均化であり得る。ハイフレームレートの平面波複合は、約1、約2、約3、約4、約5、約6、約7、約8、約9、又は約10の角度を有し得る。ハイフレームレートの平面波複合は、約100Hz、200Hz、300Hz、400Hz、500Hz、600Hz、700Hz、800Hz、900Hz、1000Hz、1500Hz、2000Hz、2500Hz、3000Hz、3500Hz、4000Hz、4500Hz、又は5000Hzの間の周波数を有し得る。非限定的な実施形態では、複合フレームの所定の量は、少なくとも約50、少なくとも約100、少なくとも約150、少なくとも約200、少なくとも約250、又は少なくとも約300であり得る。
【0031】
特定の実施形態において、開示されるシステムは、トランスデューサに結合されたプロセッサを含み得る。プロセッサは、ハードドライブ、リムーバブル記憶媒体、又は任意の他の記憶媒体に格納されたソフトウェアによって指定される命令を行うように構成することができる。ソフトウェアには、例えば、MATLAB及び/又はMicrosoft Visual C++等、種々の言語で記述することができるコンピュータコードが含まれ得る。追加的又は代替的に、プロセッサには、特定用途向け集積回路(ASIC)において実装されるロジック等のハードウェアロジックが含まれ得る。プロセッサは、上記のシステムコンポーネントの1つ以上を制御するように構成することができる。例えば、本明細書において具体化されているように、プロセッサは、トランスデューサの動作を制御するように構成することができる。
【0032】
特定の実施形態において、プロセッサは、開示されるトランスデューサによって誘導される伝送のパラメータを制御するように構成することができる。パラメータには、ステアリング角度、焦点深度、パルス長、伝送周波数、パルス繰り返し周波数、バースト繰り返し周波数、又はそれらの組み合わせが含まれ得る。
【0033】
非限定的な実施形態では、伝送の中心周波数は、約1メガヘルツ(MHz)から約10MHz、約1MHzから約5MHz、約1メガヘルツ(MHz)から約3.5MHz、約1.5メガヘルツ(MHz)から約3.5MHz、約2.5メガヘルツ(MHz)から約3.5MHz、又は約0.25メガヘルツ(MHz)から約1.5MHzに及んでもよい。
【0034】
非限定的な実施形態では、伝送のパルス繰り返し周波数(PRF)は、約10Hzから約5000Hz、約10Hzから約1500Hz、約10Hzから約1000Hz、約50Hzから約1000Hz、又は約100Hzから約1000Hzに及んでもよい。
【0035】
非限定的な実施形態では、伝送の焦点深度は、約1mmから約1000mm、約1mmから約500mm、約1mmから約250mm、約1mmから約100mm、約1mmから約90mm、約1mmから約80mm、約1mmから約70mm、約1mmから約60mm、約1mmから約50mm、約1mmから約40mm、約1mmから約30mm、約1mmから約20mm、又は約1mmから約10mmに及んでもよい。
【0036】
非限定的な実施形態では、伝送のパルス長は、少なくとも約2サイクル、少なくとも約20サイクル、少なくとも約30サイクル、少なくとも約40サイクル、又は少なくとも約50サイクルであってもよい。パルス長はまた、約1サイクルから約5000サイクル、約1サイクルから約4000サイクル、約1サイクルから約3000サイクル、約1サイクルから約2500サイクル、約500サイクルから約2500サイクル、約1000サイクルから約2500サイクル、約1500サイクルから約2500サイクル、又は約2000サイクルから約2500サイクルに及んでもよい。パルス長は、約1ミリ秒(ms)から約100ms、約1msから約90ms、1msから約80ms、1msから約70ms、1msから約60ms、1msから約50ms、1msから約40ms、1msから約30ms、1msから約20ms、1msから約10ms、2msから約10ms、3msから約10ms、4msから約10ms、又は5msから約10msに及んでもよい。
【0037】
非限定的な実施形態では、伝送のステアリング角度は、約0°から約90°に及んでもよい。
【0038】
特定の実施形態において、パワーキャビテーション画像及び/又はマイクロバブルのパワードプラ画像を得るために、トランスデューサのパラメータを制御するようにプロセッサを構成することができる。プロセッサは、組織内の指定された標的領域に集束伝送を送信し、集束伝送を通じてキャビテーション応答を取得することができる(例えば、伝送周波数:1.5MHz、パルス長:3~5サイクル、パルス繰り返し周波数:1000Hz、バーストあたりのパルス数:100、バースト繰り返し周波数:0.5Hz等)。取得されたキャビテーション信号に対してビームフォーミングを行って、パワーキャビテーション画像を生成し、治療期間にわたって蓄積することができる。ビームフォーミングを行ったパワーキャビテーション画像に、時空間クラッタフィルタを使用してさらにフィルタをかけて、マイクロバブルのキャビテーションを分離することができる。非限定的な実施形態では、マイクロバブルのパワードプラ画像は、追加的に、それ自体で取得することができるか、又はパワーキャビテーションイメージング後に順次取得することができる。プロセッサは、ハイフレームレートの平面波複合を伝送して、プロセッサの視野内のマイクロバブル全てに高周波の音波を当てることができる(例えば、伝送周波数:1.5MHz、パルス長:3サイクル、パルス繰り返し周波数:2500Hz、角度の数:5、角度範囲:-6度から+6度、複合フレームの数:500等)。取得されたパワードプラ画像に対して、ビームフォーミングを行い、マイクロバブルのキャビテーションを分離するために時空間クラッタフィルタを使用してフィルタをかけることができる。
【0039】
特定の実施形態において、プロセッサは、各集束伝送間にパワーキャビテーション画像/マイクロバブルのパワードプラ画像を取得するように構成することができる。例えば、各集束伝送間の生のフレーム/画像を、開示されるトランスデューサによって得ることができ、さらに、プロセッサに送信する前に蓄積することができる。プロセッサは、蓄積された画像を受信することができる。非限定的な実施形態では、プロセッサは、受信した画像に対して遅延和ビームフォーミングを行うことによって、ビームフォーミングを行った画像を生成するように構成されてもよい。例えば、カスタム遅延和ビームフォーミングを、チャネルデータに適用して、ビームフォーミングを行った高周波(RF)データ/画像を構築することができる。プロセッサはさらに、ビームフォーミングを行った画像を蓄積し、特異値分解フィルタを使用して、ビームフォーミングを行った画像に対して時空的にフィルタをかけることができる。非限定的な実施形態では、プロセッサは、得られた画像に基づきキャビテーションマップを生成するように構成されてもよい。キャビテーションマップは、標的組織内のマイクロバブルのキャビテーションの位置、及び、生体効果が標的組織内で発生し得る位置を示すことができる。非限定的な実施形態では、キャビテーションマップは、取得ステップ中に取得された時空的にフィルタをかけたビームフォーミングを行った画像の蓄積を介して生成されてもよい。
【0040】
特定の実施形態において、標的組織は、任意の組織であり得る。例えば、標的組織は、脳、筋肉、腱、靱帯、皮膚、血管、動脈、動脈組織、腎臓組織、又はそれらの組み合わせであり得る。
【0041】
特定の実施形態において、開示される特定事項は、血液脳関門開放及びキャビテーションイメージングを同時に行う方法を提供する。例となる方法は、治療用トランスデューサを使用して複数の集束伝送を行うステップ、同時に治療用トランスデューサを使用して複数のパワーキャビテーション画像を得るステップ、及び、パワーキャビテーション画像に基づきキャビテーションマップを生成するステップを含み得る。非限定的な実施形態では、パワーキャビテーション画像は、各集束伝送間に得られてもよい。
【0042】
特定の実施形態において、開示される方法は、各集束伝送のパラメータを調整するステップをさらに含み得る。パラメータは、ステアリング角度、焦点深度、パルス長、中心周波数、パルス繰り返し周波数、又はそれらの組み合わせを含み得る。例えば、FUS介在性BBB開放及びキャビテーションモニタリングの両方のための超音波パラメータを用いた単一の診断用リニアアレイである(例えば、帯域幅:1.5MHz~3.5MHz、素子の数:96等)。電子遅延を使用することによって、超音波を、異なる深さに焦点を合わせ(軸方向のステアリング)、異なる角度で操縦すること(横方向のステアリング)ができる。非限定的な実施形態では、開示されるトランスデューサ介在性BBB開放は、100パルスに対して1,000Hzのパルス繰り返し周波数(PRF)で伝送される集束パルスを使用して行うことができる。例えば、BBB開放及びパワーキャビテーションイメージングのために、100の集束パルスのバーストを送受信することができる。この100の集束パルスのバーストは、バースト繰り返し周波数(例えば、0.5Hz等)に対して、所定の周波数で(例えば、2秒ごと等)伝送することができる。開示されるプロセッサを介して、集束パルスごとのカスタムパラメータをプログラムすることができる。
【0043】
非限定的な実施形態では、全ての集束パルスが、同じ中心周波数、焦点深度、及びステアリング角度を使用して伝送されてもよく、BBB開放の単一の位置が結果として得られる。非限定的な実施形態では、集束パルスに対するパラメータは、異なるパラメータの事例を交互に繰り返すことによって複数の領域を標的にするために個々に調整することができる。例えば、対象の左半球及び右半球を、他の伝送シーケンスごとにステアリング角度を調整することによって標的にすることができるため、交互の様式で、集束パルスの半分を左半球に伝送することができ、さらに、集束パルスの半分を右半球に伝送することができる。これを、異なるパルス長又は焦点深度も含むようにさらに広げることができる。これによって、マイクロバブルの再注入又は超音波トランスデューサの物理的移動を必要とすることなく、1回のショットでのBBB開放の複数の標的が可能になる。開示される特定事項は、マイクロバブルの1回の注入での複数の標的における一貫したBBB開放を可能にし得る。
【0044】
特定の実施形態において、開示される方法は、マイクロバブルを導入するステップ、及び、各集束伝送間に平面イメージング波を用いてマイクロバブルのパワードプラ画像を取得することによってマイクロバブルのパワードプラ法を行うステップをさらに含み得る。例えば、パワーキャビテーションイメージング(PCI)及びマイクロバブルのパワードプラ法(PDI)は、開示されるトランスデューサを使用して行うことができる。各集束伝送から取得されたキャビテーション信号に加えて、マイクロバブルのパワードプラ画像は、各集束伝送バースト間にハイフレームレートの平面波イメージングを使用して取得することができる。例えば、パワードプラ画像は、合計100の複合フレーム及び約500Hzの効果的なレートに対して、ハイフレームレートの平面波複合(例えば、5つの角度、2,500Hz)を使用して取得することができる。
【0045】
特定の実施形態において、開示される方法は、取得した画像に対してビームフォーミングを行うステップ、ビームフォーミングを行った画像を蓄積するステップ、及び、特異値分解フィルタを使用して、ビームフォーミングを行った画像に対して時空的にフィルタをかけるステップをさらに含み得る。例えば、チャネルデータ/画像は、PCI及びPDIの両方で取得することができ、さらに、遅延和(DAS)ビームフォーミングアルゴリズムを使用してビームフォーミングを行うことができる。ビームフォーミングを行ったフレームのアンサンブルは、経時的に蓄積することができ、次に、特異値分解(SVD)フィルタを使用して時空的にフィルタをかけることができる。SVDフィルタは、定常性の反射(例えば、頭蓋骨反射等)及びゆっくりと動く流れ(例えば、組織の動き)を除去することができる。その後、それぞれのSVDフィルタをかけた画像のパワーを取得して、単一のPCIフレーム及びPDIフレームを生成することができ、BBB開放の間にマイクロバブルのキャビテーションが発生した位置(PCI)、並びに、現在脳内に存在するマイクロバブル全ての位置(PDI)に関する空間情報が提供される。
【実施例1】
【0046】
実施例1:診断用イメージングアレイを使用した血液脳関門開放及びパワーキャビテーションイメージング
特定の集束超音波(FUS)介在性血液脳関門(BBB)開放の技術には、治療用トランスデューサ自体及び別のモニタリング装置を含む複数の構成要素が必要とされる。治療用トランスデューサとモニタリング技術とを1つのトランスデューサに組み合わせることは困難であり得る。開示される特定事項は、FUS介在性BBB開放及びキャビテーションモニタリングの両方に対する単一の診断用アレイを利用することができるシステム及び技術を提供する。特定の実施形態において、開示されるシステムは、診断用トランスデューサを使用して、集束伝送の間にパワーキャビテーション画像を得ることができる。これらのパワーキャビテーション画像を使用して、イメージング平面内の焦点のサイズを推定することができ、これは、ハイドロフォンを用いて得られた測定値とよく一致し得る。さらに、開示される特定事項は、マウス及び非ヒト霊長類の動物モデルにおいて、経頭蓋のBBB開放及びキャビテーションモニタリングを成功させることができる。BBB開放は、コントラスト増強磁気共鳴画像法を使用してさらに確認することができ、これは、高いキャビテーション活動を示す対応するパワーキャビテーションマップとよく相関し得る。
【0047】
セラノスティックなトランスデューサ:PhilipsのP4-1フェーズドアレイ(例えば、帯域幅:1.5MHz~3.5MHz、素子の数:96等)を、Verasonics Vantage Ultrasound Systemに接続した。P4-1は、1.5MHzで~3サイクルのパルスを伝送するようにプログラムした(図1A)。時間遅延を、素子ごとに計算して、所望の焦点で集束伝送を行った(図1B)。これらの集束パルスを、1,000Hzのパルス繰り返し周波数(PRF)で伝送した。各集束伝送間に、パワーキャビテーション画像を取得した。
【0048】
パワーキャビテーションイメージング(PCI):チャネルデータを、各集束伝送間に取得し、遅延和(DAS)ビームフォーミングアルゴリズムを使用してビームフォーミングを行った。或いは、DASアルゴリズムにおいて使用される遅延は、集束伝送に基づく適切な時間遅延も考慮していた。nのPCI画像のアンサンブルを経時的に蓄積し、次に、特異値分解(SVD)フィルタを使用して時空的にフィルタをかけた。SVDフィルタは、静止反射(例えば、頭蓋骨からの反射)及びゆっくり動く流れ(例えば、呼吸からの組織の動き)を除去するために極めて重要であった。その後、SVDフィルタをかけた画像のパワーを得て、パワーキャビテーション画像を生成した。
【0049】
ファントム実験:ファントム実験を、自家製の多分散マイクロバブル(MB)で満たした水槽において実行した。P4-1をMB槽に沈め、1000Hzで集束パルスを伝送した。1,000のPCI画像のアンサンブルを取得した後(~1秒)、SVDフィルタリングをアンサンブルに適用した。最終的な累積PCI画像を時空間フィルタリングの後に生成し、MBキャビテーションを表した。
【0050】
in vivoでの動物実験:in vivoでの動物実験を、野生型C57BL/6マウス(N=4)及びアカゲザル(N=1)の両方で実行した。いずれの動物でも、1,000HzのPRFで100の伝送のバーストを集束伝送に使用し、これはバーストごとに取得された100のPCI画像に等しかった。バースト間の脳におけるバブル再灌流を可能にするために、バースト繰り返し周波数を0.5Hzに設定した。マウスでは、推定される自由場伝送負ピーク圧力(PNP)(estimated free field transmit negative peak pressure)は約1.5MPaであったが、NHPでは、推定される自由場伝送PNPは約3.5MPaであった。
【0051】
バブル槽におけるパワーキャビテーションマップは、ハイドロフォンの測定値とよく一致し:1,000のフレームの累積パワーキャビテーション画像を、MBの水槽において取得した(図2A)。P4-1は、35mmに電子的に焦点を合わせ、これは、パワーキャビテーション画像において見られる焦点位置とよく一致した。ハイドロフォンの測定値と比較すると、焦点の軸方向及び横方向の断面はよく重なっている。ハイドロフォンの測定値では、焦点は軸方向で12.4mm、横方向で1.2mmであると推定された。パワーキャビテーション画像では、焦点は軸方向で7.9mm、1.7mmと推定されている。
【0052】
in vivoでの動物実験:P4-1リニアアレイを使用した経頭蓋のBBB開放がマウス及びNHPの両方で確認された。マウス(図3A)では、パワーキャビテーション画像は、右半球と比較して左半球においてより多くのキャビテーション信号を明らかにした。さらに、コントラスト増強MRI画像は、脳の類似の領域におけるコントラスト増強を明らかにしている。NHP(図3B)では、パワーキャビテーション画像は、ビーム経路全体で検出可能なキャビテーション信号を明らかにし、これは、MRIで観察されたコントラスト増強とよく相関した。ビーム焦点内では、マイクロバブルが注入された後、サルの頭蓋骨を通過する信号強度が25.3dB増加している。
【0053】
Verasonics ultrasound systemに接続されたP4-1リニアアレイ(f0=2.5MHz)を、野生型マウス及び非ヒト霊長類(NHP)の両方に使用した。短い広帯域の1.5MHzパルスを経頭蓋で電子的に焦点を合わせた後、同じリニアアレイを使用してマイクロバブルキャビテーションをアクティブに監視した。100の送受信パルスのアンサンブルを2秒ごとに1000Hzで伝送した。キャビテーション信号を分離し、2Dパワーキャビテーション画像を生成するために、時空間クラッタフィルタリングを各アンサンブルに適用した。コントラスト増強T1強調MRIイメージングを使用して、BBB開放を確認した。
【0054】
P4-1リニアアレイを使用した経頭蓋のBBB開放を、マウス及びNHPの両方で確認した。マウス(図3A)では、パワーキャビテーション画像は、右半球と比較して左半球においてより多くのキャビテーション信号を明らかにした。さらに、コントラスト増強MRI画像は、脳の類似の領域におけるコントラスト増強を明らかにしている。NHP(図3B)では、パワーキャビテーション画像は、ビーム経路全体で検出可能なキャビテーション信号を明らかにし、これは、MRIで観察されたコントラスト増強とよく相関した。ビーム焦点内では、マイクロバブルが注入された後、サルの頭蓋骨を通過する信号強度が25.3dB増加している。安全且つ効果的なBBB開放及びモニタリングのための最適パラメータを含むさらなる定量化が行われている。
【0055】
開示される特定事項は、単一のトランスデューサを使用したFUS介在性BBB開放及びキャビテーションモニタリングの両方の技術を提供する。MBの水槽において集束伝送を使用して生成されたパワーキャビテーション画像は、ハイドロフォンの測定値とよく一致し、単一のセラノスティックなトランスデューサを使用してマイクロバブルを励起し、パワーキャビテーションイメージングを使用してそのキャビテーションを局在化することの実現可能性を実証している。開示される特定事項は、ヒト及び/又は動物の対象に使用することができる。マウス及びNHPの両方で、経頭蓋のパワーキャビテーションマップを、FUS介在性BBB開放の間に取得することができた。いずれの動物モデルでも、コントラスト増強T1強調MR画像は、セラノスティックなトランスデューサを使用したBBB開放の成功を確認した。さらに、経頭蓋のパワーキャビテーションマップとMR画像におけるコントラスト増強との比較はよく一致し、in vivoでのBBB開放を局在化するためにキャビテーションマップを使用することを好んでいる。
【実施例2】
【0056】
実施例2:キャビテーションイメージング及びFUSにより誘導されるBBB開放が可能な単一のトランスデューサの方法
開示される特定事項は、単一の低周波アレイを使用したBBB開放及びキャビテーションイメージングのための技術を提供する。BBB開放の効率及びキャビテーションイメージングは、腹部及び心臓のイメージングに使用することができる既製の臨床トランスデューサを使用して特徴付けられる。1つのトランスデューサへのBBB開放及びキャビテーションイメージングのこの組み合わせは、本明細書において、セラノスティックなトランスデューサと呼ばれる。

セラノスティックなトランスデューサ:P4-1フェーズドアレイ(Fc:2.5MHz、帯域幅:1.5MHz~3.5MHz、素子の数:96、Philips Healthcare,Bothwell,WA)を使用した。P4-1トランスデューサを、Vantage 256 research ultrasound system(Verasonics Inc.,Kirkland,WA)に接続した。Vantageシステムを、トランスデューサの制御及びデータ取得のために使用された。P4-1を、1.5MHzで~3サイクルのパルスを伝送するようにプログラムした。伝送は、Vantageシステムを使用して各素子を電子的に遅延させることによって既定の位置に焦点を合わせた。
【0057】
ハイドロフォンを使用したP4-1の圧力場マッピング:P4-1の圧力場マッピングを、カプセルハイドロフォン(HGL-0200,200-μm aperture,Onda Corporation,Sunnyvale,CA)を使用して行った。ハイドロフォンの位置を固定し、さらに、3Dポジショニングシステムを使用してP4-1トランスデューサを動かすことによって、P4-1の圧力場を取得することができる。0.1mmのステップサイズを使用して、P4-1の軸方向-横方向の圧力プロファイルを取得した。ハイドロフォンの測定値を、メーカーによって提供された較正係数を使用して測定される圧力場に変換した。P4-1の圧力場マップを、この目的全体で使用される3サイクルの集束伝送に対して取得した。
【0058】
パワーキャビテーションイメージング(PCI)のためのファントム実験:ファントム実験をマイクロバブル槽において実行し、ここでは、マイクロバブルの混合物(約50,000マイクロバブル/mLの濃度)を有する脱イオン水の小さなタンクを、磁気撹拌棒を用いて継続的に混ぜ合わせた。P4-1は、1,000Hzのパルス繰り返し周波数(PRF)で3サイクルの集束パルスを伝送した。1,000のフレームのアンサンブルを、ビームフォーミング及び処理のためにホストコンピュータに転送される前に蓄積した。
【0059】
パワーキャビテーション画像を、以下のデータ処理パイプラインを使用して生成し:ハイフレームレートで取得された生データのアンサンブルは、ホストコンピュータに転送される前にVantageシステムに蓄積される。取得される生フレームの数は、各実験の開始に先立ち設定される。その後、データをコンピュータに転送し、さらに、標準的なGPUベースの遅延和アルゴリズムを使用して、各生フレームに対して個々にビームフォーミングを行った。最終的なパワーキャビテーション画像内の各ピクセルのパワードプラ値(I)を、
【0060】
【数1】
として計算し、ここで、Nは、取得されたフレームの数であり、ixyは、ビームフォーミングを行ったフレーム内の特定のx-y座標にある全ての取得フレームにわたるアレイのピクセル強度である。
【0061】
マウスにおける血液脳関門開放:BBB開放に使用されるトランスデューサ。P4-1を、BBBを開くために使用した。100の3サイクルの集束パルスのバーストを、1,000HzのPRFで送信した。これらの100パルスのバーストを、0.5Hzのバースト繰り返し周波数(BRF)で送信した。合計60バーストを、2分の超音波処理期間に送信した。測定される自由場ピーク負圧は1.5MPaであると推定した。8E8マイクロバブル/mLのマイクロバブル用量の自家製多分散バブルを、超音波処理の開始に先立ち注入した。その後、標準的なコントラスト増強MRIイメージングプロトコルを使用してBBB開放を確認した。
【0062】
ファントム実験は、低周波アレイを使用したキャビテーションイメージングの実現可能性を示しており:マイクロバブル槽において生成されたキャビテーションマップは、図2Aにおいて見ることができる。トランスデューサは、トランスデューサの面に対して35mmの軸方向の深さで電子的に焦点を合わせた。キャビテーションマップは、フレーム内の最大強度に対してログ圧縮される。これらのマップから、Vantageシステムによって設定された所望の焦点位置のおおよその位置に対応する、軸方向の深さ35mm、横方向の位置0mm付近において、最も強いキャビテーション活動が発生している。
【0063】
マイクロバブルキャビテーションの強さは現在の位置の圧力に直接関係しているため、マイクロバブル槽のキャビテーションを画像化することによって、P4-1の圧力場のマップが生成される。その結果、P4-1のキャビテーションマップを使用して、圧力場のマップを推定し、ハイドロフォンによって得られた測定値と比較することができる。図2Bは、ハイドロフォン201によって取得された軸方向及び横方向のプロファイルを、生成されたキャビテーションマップ202と比較している。ハイドロフォンによるP4-1の半値全幅(FWHM)の測定値は、軸方向で約12.4mm、横方向で約1.2mmであった。パワーキャビテーションマップによって推定されるFWHMは、軸方向で7.9mm、横方向で1.7mmであった。キャビテーションマップは、推定された圧力場とよく一致し、低周波アレイを使用した正確なキャビテーションイメージングの実現可能性を強調している。
【0064】
P4-1を使用した血液脳関門開放の実現可能性:上記のバースト伝送スキームを使用して、BBB開放はマウスにおいて成功している(図4A)。マウスの左半球及び右半球の両方を連続的に超音波処理し、コントラスト増強T1強調MRIによって、両半球における開放が確認される。加えて、T1強調MRIではコントラスト増強が欠如しており、P4-1が一過性のBBB開放をもたらす能力はなくなっていることが確認された(図4B)。
【0065】
P4-1を用いたBBB開放は成功し、上記の超音波処理レジメンを使用して一過性であることが示された。冠状面(図4B、下段)において見られる開放のサイズは、以前の目的で記載された従来のFUSトランスデューサを使用して見られる開放のサイズと一致しているが、軸位面(図4B、上段)における開放のサイズははるかに大きい。軸位MRIは、1つの位置のみが各半球において超音波処理されたにもかかわらず、マウスの脳全体にわたるコントラスト増強を明らかにしている。この開放のサイズにおける違いは、リニアアレイによる焦点合わせの基本的な能力によるものである。トランスデューサは、個々の素子が作動するときを電子的に遅延させ、ビームの軸方向及び横方向の焦点位置を変更することによって、ビームを焦点合わせ/操縦することができる。しかし、リニアアレイは素子の1Dアレイであるため、個々の素子と一緒の方向である仰角方向に焦点を合わせることはできない。仰角方向に焦点を合わせることは、トランスデューサの製造中に素子の前に置かれた物理レンズを使用して可能であり、変更することができない固定焦点をもたらす。P4-1では、物理レンズを使用して仰角方向に焦点を合わせ、約80mmに焦点を合わせた。
【実施例3】
【0066】
実施例3:単一のセラノスティックなトランスデューサを使用した、血液脳関門開放とパワーキャビテーションイメージングとの組み合わせ
実施例1及び2において示されているように、典型的には心臓イメージングに使用されるP4-1リニアアレイは、イメージングキャビテーションだけでなく、BBBを開くことができるということが示された。開示される特定事項は、単一のセラノスティックなトランスデューサを使用してBBB開放の間にキャビテーションを画像化するアルゴリズムをさらに提供する。開示されるシステム及び方法は、マウス及び非ヒト霊長類(NHP)において最適なイメージング及び開放を提供することができる。開示される特定事項は、キャビテーションマップを使用してBBB開放を予測するために使用することができる。
【0067】
開示される方法は、キャビテーションイメージングとBBB開放とを1つのシーケンスに組み合わせることができる。バースト取得スキームは、最初に、マウス及びNHPの両方に対してin vivoで実施することができる。例えば、100の3サイクルの集束パルスのバーストを、1,000HzのPRFで送信することができる。しかし、各伝送された各パルス間にパッシブキャビテーション信号を記録することができ、バーストごとに100フレームのキャビテーション画像をキャプチャすることができる。開示される処理パイプラインを使用して、キャビテーション画像を分析し、パワーキャビテーション画像を生成することができる。これらの100フレームのバーストは、0.5Hzのバースト繰り返し周波数(BRF)で伝送することができる。正確なパラメータ(例えば、パルスの数、PRF、BRF等)を、この目的のためにin vivoで最適化することができ、いかなる損傷もない信頼できる一過性の開放をもたらすことを目的としている。例えば、開いたBBBを介した生物製剤の送達を改善するためにパルス長を(例えば、3サイクルから最大20サイクルまで)増やすことができるが、軸方向の分解能が低下するためにパワーキャビテーションイメージングの分解能は低下することになる。マウスの脳における損傷を評価するためにヘマトキシリン・エオジン染色を使用することができる。NHP実験の性質上、浮腫及び出血を検出するためにMRIシーケンスを使用してのみ損傷を評価することができる。生成されたパワーキャビテーション画像をコントラスト増強MRI画像と比較して、キャビテーションマップを使用してBBB開放を予測することの実現可能性を調査することができる。
【実施例4】
【0068】
実施例4:ヒトへの臨床解釈のための低周波のセラノスティックなリニアアレイ
開示される特定事項は、ヒトへの応用のための新しい低周波のセラノスティックなリニアアレイを提供することができる。特定のトランスデューサは、マウスにおいてBBBを開くことにおいて効果的であることが証明されている周波数範囲である1.5MHzの中心周波数で動作させることができる。開示される特定事項は、ヒトに対する臨床使用のための周波数で動作させることができる。脳において超音波が直面する最大の課題は、周波数が増加するに従い超音波場を大幅に減衰し、収差をもたらすヒト頭蓋骨であり得る。開示される特定事項は、500kHz以下で低周波のセラノスティックなアレイトランスデューサを利用して、ヒトの頭蓋骨片を通る臨床的に関連する圧力に到達することができる。また、開示される特定事項は、約200~250kHzで球状に焦点を合わせた単一素子のトランスデューサを使用した、AD患者を治療するための磁気ボアの外側におけるニューロナビゲーションにより誘導されるFUS介在性BBB開放のための臨床システムを提供することができる。
【0069】
低周波のセラノスティックなアレイは、臨床的に関連するセラノスティックなトランスデューサのための最適な仕様(例えば、周波数、素子の数、アパーチャ、F値等)を有し得る。オープンソースの音響モデリングツールボックスであるk-Waveとして知られるMatlabツールボックスを使用して、異なるトランスデューサの構成をシミュレートすることができる。評価されることになる測定基準には、トランスデューサの焦点サイズ、点拡がり関数、及びヒト頭蓋骨を介した減衰が含まれ得る。ヒト頭蓋骨のコンピュータ断層撮影(CT)スキャンをシミュレーションに使用して、セラノスティックなトランスデューサの焦点の収差及び減衰を評価することができる。
【0070】
作製されると、セラノスティックなトランスデューサは、ex vivo及びin vivoの両方の実験によって特徴付け及び評価を行うことができる。圧力場マップ及び集束効率は、ハイドロフォンの測定値を使用して評価することができる。マイクロバブルのフローチャンバーを使用したファントム実験は、キャビテーションイメージング能力を特徴付けるために使用することができる。具体的には、異なるサイズのフローチューブの直径及びチューブの構成を使用して、丁重にキャビテーションイメージングの分解能及び感度を評価することができる。加えて、切除されたNHP及びヒト頭蓋骨片を用いたファントム実験を使用して、トランスデューサの経頭蓋性能を評価することができる。
【0071】
NHPにおけるin vivoでの評価を実行して、BBB開放及びイメージングキャビテーションに対するトランスデューサの能力を評価することができる。評価は、NHP(例えば、アカゲザル(Macaca mulatta)等)で行うことができる。各NHPは、セラノスティックなトランスデューサを使用して複数の治療セッションを受けることができ、ここでは、異なる構造を標的にすることができる。コントラスト増強T1強調MRIを使用して、開放の位置及びサイズを評価することができる。加えて、コントラスト増強T1強調MRI画像を、開放の間に取得したキャビテーションマップと比較して、それらの関係を評価することができる。T2強調及び磁化率強調MRIを取得して、セラノスティックなアレイを使用した開放の安全性を評価する(すなわち、浮腫又は出血の存在を評価する)ことができる。
【0072】
別段の定めがない限り、本明細書において使用されている全ての技術的及び科学的な用語は、当業者によって一般的に理解されているのと同じ意味を有する。矛盾が生じる場合は、定義を含む本明細書が優先されることになる。特定の方法及び材料が特許請求の範囲において記載されているけれども、本明細書において記載されているものと類似又は同等の方法及び材料を、本明細書において開示される特定事項の実践又は試験において使用することができる。本明細書において述べられている全ての出版物、特許出願、特許、及び他の参考文献は、その全体を参照により援用する。本明細書において開示されている材料、方法、及び実施例は単に例示的であり、限定的であると意図していない。
【0073】
本明細書において記載されている特定事項は、上記の利益及び利点を達成するために十分に計算されていることが明らかになるけれども、本明細書において開示されている特定事項は、本明細書において記載されている特定の実施形態によってその範囲が限定されるものではない。開示されている特定事項は、その真意から逸脱することなく、修正、変動、及び変更されやすいということが正しく理解されることになる。当業者は、本明細書において記載されている特定の実施形態に対する多くの同等物を、日常的な実験以上のものを使用せずに認識することになるか又は確認することができる。そのような同等物は、添付の特許請求の範囲によって包含されることを意図している。
図1
図2
図3
図4
【手続補正書】
【提出日】2022-06-13
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
血液脳関門開放及びキャビテーションイメージングを同時に行うためのシステムであって、
複数の集束伝送を行い、
同時に、複数のパワーキャビテーション画像を得る、
ように構成されたトランスデューサと、
前記集束伝送のパラメータを制御し、
前記複数の集束伝送の各集束伝送間に前記パワーキャビテーション画像を取得し、
前記パワーキャビテーション画像に基づきキャビテーションマップを生成する、
ように構成されたプロセッサと、
を含み、前記トランスデューサは、前記複数の集束伝送の各集束伝送間に少なくとも1つのパワーキャビテーション画像を得るように構成された単一の診断用トランスデューサである、システム。
【請求項2】
複数のマイクロバブルをさらに含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記マイクロバブルのサイズが約1ミクロンから約10ミクロンに及ぶ、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記複数の集束伝送は、約1mmから約100mmの焦点深度を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記複数の集束伝送は、約0°から約360°のステアリング角度を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記複数の集束伝送は、約1サイクルから約2500サイクルのパルス長を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記複数の集束伝送は、約1.5MHzから3.5MHzまでの中心周波数を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記複数の集束伝送は、約100Hzから約1000Hzまでのパルス繰り返し周波数を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記プロセッサは、複数の領域を標的にするために各集束伝送の前記パラメータを調整するように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記パラメータは、ステアリング角度、焦点深度、パルス長、中心周波数、パルス繰り返し周波数、及びそれらの組み合わせを含む群から選択されている、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記プロセッサは、マイクロバブルのパワードプラ法を行うように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
前記トランスデューサは、前記集束伝送の各集束伝送間に平面イメージング波を使用してマイクロバブルのパワードプラ画像を取得するように構成されている、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記プロセッサは、
取得した前記画像に対してビームフォーミングを行い、
ビームフォーミングを行った画像を蓄積し、
特異値分解フィルタを使用して、前記ビームフォーミングを行った画像に対して時空的にフィルタをかける、
ように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項14】
血液脳関門開放及びキャビテーションイメージングを同時に行う方法であって、
単一の治療用トランスデューサを使用して複数の集束伝送を行うステップであり、前記単一の治療用トランスデューサは、前記複数の集束伝送の各集束伝送間に少なくとも1つのパワーキャビテーション画像を得るように構成されている、ステップと、
同時に、前記治療用トランスデューサを使用して複数のパワーキャビテーション画像を得るステップであり、前記パワーキャビテーション画像は各集束伝送間に得られる、ステップと、
前記パワーキャビテーション画像に基づきキャビテーションマップを生成するステップと、
を含む方法。
【請求項15】
各集束伝送のパラメータを調整するステップをさらに含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記パラメータは、ステアリング角度、焦点深度、パルス長、中心周波数、パルス繰り返し周波数、及びそれらの組み合わせを含む群から選択される、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
マイクロバブルを導入するステップと、
前記集束伝送の各集束伝送間に平面イメージング波を用いてマイクロバブルのパワードプラ画像を取得することによって、マイクロバブルのパワードプラ法を行うステップと、
をさらに含む、請求項14に記載の方法。
【請求項18】
取得した前記画像に対してビームフォーミングを行うステップと、
ビームフォーミングを行った画像を蓄積するステップと、
特異値分解フィルタを使用して、前記ビームフォーミングを行った画像に対して時空的にフィルタをかけるステップと、
をさらに含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記マイクロバブルのサイズが約1ミクロンから約10ミクロンに及ぶ、請求項17に記載の方法。
【国際調査報告】