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特表2024-520235可塑剤として植物油を用いた印刷版用のレリーフ前駆体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-23
(54)【発明の名称】可塑剤として植物油を用いた印刷版用のレリーフ前駆体
(51)【国際特許分類】
   G03F 7/004 20060101AFI20240516BHJP
   G03F 7/00 20060101ALI20240516BHJP
   G03F 7/30 20060101ALI20240516BHJP
   G03F 7/36 20060101ALI20240516BHJP
   G03F 7/11 20060101ALI20240516BHJP
   G03F 7/095 20060101ALI20240516BHJP
   B41C 1/00 20060101ALN20240516BHJP
【FI】
G03F7/004 501
G03F7/00 502
G03F7/30
G03F7/36
G03F7/11 503
G03F7/095
B41C1/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2023569932
(86)(22)【出願日】2022-05-09
(85)【翻訳文提出日】2024-01-09
(86)【国際出願番号】 EP2022062430
(87)【国際公開番号】W WO2022238296
(87)【国際公開日】2022-11-17
(31)【優先権主張番号】2028207
(32)【優先日】2021-05-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NL
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】508373925
【氏名又は名称】エクシス ジャーマニー ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】XSYS Germany GmbH
【住所又は居所原語表記】Industriestrasse 1, 77731 Willstaett, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【弁理士】
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】ダネッカー, パトリック‐クルト
(72)【発明者】
【氏名】シュレーゲル, イザベル
【テーマコード(参考)】
2H084
2H196
2H225
【Fターム(参考)】
2H084AA14
2H084AA32
2H084BB04
2H084CC01
2H196AA02
2H196BA01
2H196BA05
2H196EA01
2H196EA02
2H196EA04
2H196GA03
2H196GA36
2H196GA43
2H196GA45
2H225AC21
2H225AC32
2H225AD05
2H225AM12P
2H225AM13P
2H225AM14P
2H225AM45P
2H225AM49P
2H225AN02P
2H225AN10P
2H225BA04P
2H225BA17P
2H225CA02
2H225CB02
2H225CC01
2H225CC13
2H225CC29
2H225CD05
2H225CD14
2H225CD16
2H225DA02
(57)【要約】
本発明は、a)寸法安定性の支持体と、b)少なくとも1種の結合剤、少なくとも1種の光開始剤又は光開始系、少なくとも1つの不飽和基を有する少なくとも1種の成分、及び少なくとも1種の可塑剤を含む少なくとも1つの感光性ポリマー層とを含むレリーフ前駆体であって、少なくとも1種の可塑剤が、バイオベースの可塑剤であり、該可塑剤は、n-ヘキサン中の5質量%可塑剤溶液の365nmにおけるUV透過率が、15%超である、レリーフ前駆体を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)寸法安定性の支持体と、
b)少なくとも1種の結合剤、少なくとも1種の光開始剤又は光開始系、少なくとも1つの不飽和基を有する少なくとも1種の成分、及び少なくとも1種の可塑剤を含む、少なくとも1つの感光性ポリマー層と、
を含む、レリーフ前駆体であって、
前記少なくとも1種の可塑剤が、バイオベースの可塑剤であり、前記可塑剤は、n-ヘキサン中の5質量%可塑剤溶液の365nmにおけるUV透過率が、15%超である、レリーフ前駆体。
【請求項2】
a)寸法安定性の支持体と
b)少なくとも1種の結合剤、少なくとも1種の光開始剤又は光開始系、少なくとも1つの不飽和基を有する少なくとも1種の成分、及び少なくとも1種の可塑剤を含む、少なくとも1つの感光性ポリマー層と、
を含む、レリーフ前駆体であって、
前記少なくとも1種の可塑剤が、バイオベースの可塑剤であり、前記感光性ポリマー層中の前記可塑剤の濃度が、10~65質量%の範囲内にある、レリーフ前駆体。
【請求項3】
前記バイオベースの可塑剤が、植物油、脂肪酸、及び/又は単官能性又は多官能性アルコールの脂肪酸エステルである、請求項1又は2に記載の前駆体。
【請求項4】
更なる層を含み、前記更なる層が、好ましくは、前記支持体の下の接着層、前記支持体と感光性ポリマー層との間の接着層、バリア層、レーザーアブレーティング可能層及び/若しくは保護層、又はこれらの組合せである、請求項1~3のいずれか一項に記載の前駆体。
【請求項5】
前記可塑剤は、n-ヘキサン中の5質量%可塑剤溶液の365nmにおけるUV透過率が、30%超、好ましくは50%超、より好ましくは60%超である、請求項1~4のいずれか一項に記載の前駆体。
【請求項6】
前記可塑剤は、中鎖トリグリセリド(MCT)油(=100%透過率)に対する光透過率が、78%超である、請求項1~5のいずれか一項に記載の前駆体。
【請求項7】
前記可塑剤は、ISO4630:2015に準拠するガードナーカラーが、7未満である、請求項1~6のいずれか一項に記載の前駆体。
【請求項8】
前記可塑剤は、ASTM D1957-86に準拠する水酸基価が、430未満、好ましくは250未満、更により好ましくは168未満である、請求項1~7のいずれか一項に記載の前駆体。
【請求項9】
前記可塑剤において、ISO3961:2018に準拠するヨウ素価が、200未満、より好ましくは150未満である、請求項1~8のいずれか一項に記載の前駆体。
【請求項10】
前記可塑剤は、ハンセン溶解度パラメーターδtが、16.0~20.5の範囲内、好ましくは16.0~17.5の範囲内にある、請求項1~9のいずれか一項に記載の前駆体。
【請求項11】
前記感光性ポリマー層中の前記可塑剤の濃度が、感光性ポリマー層の総質量に基づいて、20~60質量%の範囲内にある、請求項1~10のいずれか一項に記載の前駆体。
【請求項12】
現像ステップが、熱処理、及び、液化した部分の除去によって実施される、請求項1~11のいずれか一項に記載の前駆体。
【請求項13】
現像ステップが、液体での処理、及び、非曝露部分の除去によって実施される、請求項1~12のいずれか一項に記載の前駆体。
【請求項14】
レリーフ構造体を製造する方法であって、
a)寸法安定性の支持体と、少なくとも1種の結合剤、少なくとも1種の光開始剤若しくは光開始系、少なくとも1つの不飽和基を有する少なくとも1種の成分、及び少なくとも1種の可塑剤を含む感光性ポリマー層とを含むレリーフ前駆体を提供するステップであり、前記少なくとも1種の可塑剤が、バイオベースの可塑剤であり、前記可塑剤は、n-ヘキサン中の5質量%可塑剤溶液の365nmにおけるUV透過率が、15%超である、ステップと、
b)マスク層のアブレーションによって、マスクを通した曝露によって、又は直接画像化によって、前記レリーフ前駆体を画像化するステップと、
c)前記画像化されたレリーフ前駆体を、電磁放射線に曝露して、画像化された領域を硬化させるステップと、
d)非硬化領域を除去するステップと、
e)任意選択で、後処理、後曝露及び/又は粘着除去のうちの1つ又は複数のステップを実施するステップと、
を含む、方法。
【請求項15】
前記バイオベースの可塑剤が、植物油、脂肪酸、及び/又は単官能性若しくは多官能性アルコールの脂肪酸エステルである、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記可塑剤は、n-ヘキサン中の5質量%可塑剤溶液の365nmにおけるUV透過率が、30%超、好ましくは50%超、より好ましく60%超である、請求項14又は15に記載の方法。
【請求項17】
前記可塑剤は、ISO4630:2015に準拠するガードナーカラーが、7未満である、請求項14~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記可塑剤は、ASTM D1957-86に準拠する水酸基価が、430未満、好ましくは250未満、更により好ましくは168未満である、請求項14~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記可塑剤は、ISO3961:2018に準拠するヨウ素価が、200未満、より好ましくは150未満である、請求項14~18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記可塑剤は、ハンセン溶解度パラメーターδtが、16~20.5の範囲内、好ましくは16.0~17.5の範囲内にある、請求項14~19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記感光性ポリマー層中の前記可塑剤の濃度が、感光性ポリマー層の総質量に基づいて、3~70質量%の範囲内、好ましくは5~65%の範囲内、より好ましくは10~65質量%の範囲内、最も好ましくは20~60質量%の範囲内にある、請求項14~20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記前駆体の前記非硬化領域の除去が、熱での処理によって実施され、且つ現像材料が、非硬化材料を吸着するように構成される、請求項14~21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
ステップd)において、前記前駆体が、70~200℃の範囲内の温度に加熱される、請求項13~21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
ステップd)において、前記前駆体が、現像液で処理されて、非硬化材料を溶解する、請求項13~22のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【発明の分野】
【0001】
本発明は、フレキソ印刷の印刷要素のための新規なレリーフ前駆体に関し、及びこのような前駆体を作製する方法に関する。レリーフ前駆体は、画像化の方法において電磁放射線に曝露され、これにより、感光性層の曝露部分が、それらの可溶性又は溶融性の挙動を変える。このようなフレキソ印刷の印刷要素は、印刷面中で広く使用されている。
【発明の背景】
【0002】
フレキソ印刷の印刷要素は、当技術分野で周知であり、可撓性プラスチック容器、カートン、プラスチック袋、箱及び封筒等の多様な製品における商業印刷に特に有用である。本明細書の目的では、(硬化された)フレキソ印刷の印刷要素を調製するのに使用されることになる非硬化プレートは、レリーフ前駆体と称される。レリーフ前駆体は、典型的には、印刷に使用されることになる側の上に、光硬化性ポリマー組成物から調製された層を含み、これは、光硬化性層画像ワイズを、光、例えば、UV光に曝露することによって、選択的に硬化され得る。次いで、層の非曝露(非硬化)部分は、現像浴中、典型的には有機溶媒又は水溶液で除去され得る。乾燥及び任意選択の後曝露の後、フレキソ印刷の印刷要素は、すぐ使用できる。フレキソ印刷の印刷要素の非硬化部分の除去(現像)は、精密な方法においてなされなければならないことが認められることになる。フレキソ印刷版上に残っている任意の意図しない非硬化残留物は、フレキソ印刷版上の明瞭ではない画像へと至らせるおそれがあり、そのため、不明瞭なプリントとなり得る。
【0003】
レリーフ前駆体から印刷要素を作製する別の方法は、画像化する方法において、レリーフ前駆体を電磁放射線に曝露することであり、それにより感光性層の曝露部分が、それらの可溶性又は溶融性の挙動を変える。溶融性又は可溶性における差は、非曝露材料の選択的除去を可能にしてレリーフ印刷版を形成し、次いでこれは、インクを、印刷版から印刷基材へと移行させるのに使用される。非曝露材料の除去は、前駆体を、非曝露材料を溶解する現像液で処理することによって、又は非曝露材料を液化する熱処理によって、達成することができる。
【0004】
欧州特許出願公開第0332070号において、非曝露材料が、いわゆる現像ユニット中、ブラシによる機械的相互作用との組合せにおいて、水、水溶液又は溶媒、及び溶媒混合物に溶解される方法が記載されている。
【0005】
別の選択肢は、それを吸収性材料と連続的に接触させることによって、液化された材料を除去することである。吸収性現像材料は、その上へ、軟化された材料が接着されてその後に除去される、ポリアミド、ポリエステル、セルロース又は無機繊維の不織布であってもよい。このような方法は、例えば、米国特許第3264103号、米国特許第5175072号又は国際公開第9614603号に記載されている。
【0006】
技術がかなりの間市場に出ているのではあるが、解決されるべきいくつかの課題、又は改善されるべき性質が依然として存在する。上記のフレキソ印刷の印刷要素の欠点は、陰画のライン及びドットのインクでの充填が起こるように、印刷結果が常に一貫しているわけではないことである。別の欠点は、現像時間が時々長く、フレキソ印刷の印刷要素の製造の効率が、依然として改善され得ることである。
【0007】
したがって、より一貫した印刷結果を与える、フレキソ印刷の印刷要素についての要求が存在する。更に、より短い現像時間への要求が存在する。
【発明の概要】
【0008】
本発明の目的は、熱現像方法又は溶媒現像方法の両方のために、レリーフ深度を増大させるレリーフ前駆体を提供することである。より深いレリーフは、印刷結果を強化し、陰画のライン及びドットのインクでの充填を防ぐ又は減らす。本発明の更なる目的は、現像時間を短縮するレリーフ前駆体を提供すること、及びレリーフ版の製造プロセスの効率を改善することである。本発明の別の目的は、プレートが任意の配向性において使用され得るように、レリーフ版の弾性係数の異方性因子を減少させることである。本発明のなおも別の目的は、容易に規模拡大され得る、レリーフ構造体を製造する実際的な方法を開発することである。
【0009】
したがって、本発明は、請求項1で特許請求されているレリーフ前駆体に関する。詳細には、寸法安定性の支持体と、少なくとも1種の結合剤、少なくとも1種の光開始剤又は光開始系、少なくとも1つの不飽和基を有する少なくとも1種の成分、及び少なくとも1種の可塑剤を含む、少なくとも1つの感光性ポリマー層とを含むレリーフ前駆体であって、少なくとも1種の可塑剤が、バイオベースの可塑剤であり、該可塑剤は、n-ヘキサン中の5質量%可塑剤溶液の365nmにおけるUV透過率が、15%超である、レリーフ前駆体が提供される。
【0010】
バイオベースの可塑剤を使用することによって、フレキソ印刷の印刷要素は、より低い異方性を伴って製造され得る。更に、(熱現像可能な)レリーフ版上の深いレリーフが産生され、より一貫した印刷結果をもたらす。非重合材料をより等しく除去することが更に容易であり、これは、印刷結果の最後に改善する。別の利点は、レリーフを、より少ない現像サイクルが必要とされる熱現像可能レリーフ版上に産生することである。更なる利点は、得られたプリントがより良好であること、より深い陰画要素によって、入るインク充填がより少ないこと、不織又は廃棄物材料が少ないことである。更に、現像時間はより短く、低下した温度及び/又は短縮した現像時間に起因してエネルギー節約が達成される。また、バイオベースの可塑剤を使用することによって、フレキソ印刷の印刷要素は、支持体層への、より少ない応力/損傷を伴って製造することができる。
【0011】
本発明はまた、レリーフ構造体を製造する方法であって、
a)寸法安定性の支持体と、少なくとも1種の結合剤、少なくとも1種の光開始剤若しくは光開始系、少なくとも1つの不飽和基を有する少なくとも1種の成分、及び少なくとも1種の可塑剤を含む感光性ポリマー層とを含むレリーフ前駆体を提供するステップであり、少なくとも1種の可塑剤が、バイオベースの可塑剤であり、該可塑剤は、n-ヘキサン中の5質量%可塑剤溶液の365nmにおけるUV透過率が、15%超である、ステップと、
b)マスク層のアブレーションによって、マスクを通した曝露によって、又は直接画像化によって、レリーフ前駆体を画像化するステップと、
c)画像化されたレリーフ前駆体を電磁放射線に曝露して、画像化された領域を硬化させるステップと、
d)非硬化領域を除去するステップと、
e)任意選択で、後処理、後曝露及び/又は粘着除去のうちの1つ又は複数のステップを実施するステップと、
を含む、方法にも関する。
【発明の詳細な説明】
【0012】
別段の定義がなされていない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、本発明が属する当業者により通常理解されるのと同じ意味を有する。本発明の記載で使用される用語は、本明細書では、特定の実施形態のみを説明する目的のためであり、本発明を限定することは意図されていない。
【0013】
そのため、本発明において、寸法安定性の支持体と、少なくとも1種の結合剤、少なくとも1種の光開始剤又は光開始系、少なくとも1つの不飽和基を有する少なくとも1種の成分、及び少なくとも1種の可塑剤を含む少なくとも1つの感光性ポリマー層とを含むレリーフ前駆体であって、少なくとも1種の可塑剤が、バイオベースの可塑剤であり、該可塑剤は、n-ヘキサン中の5質量%可塑剤溶液の365nmにおけるUV透過率が、15%超である、レリーフ前駆体が提供される。この利点のうちの1つは、(熱現像可能な)レリーフ版上に深いレリーフが産生され、より一貫した印刷結果をもたらすことである。
【0014】
特許請求されている方法を伴って使用されることになるレリーフ前駆体は、以下において説明される:レリーフ前駆体は、一般に、寸法安定性の支持体、又は第1の材料から作製された支持層、及び前記第1の材料とは異なる第2の材料で作製された追加の層を含む。寸法安定性の支持体は、可撓性金属、天然の若しくは人工のポリマー、紙、又はこれらの組合せであってよい。好ましくは、寸法安定性の支持体は、可撓性金属、又はポリマーフィルム若しくはシートである。可撓性金属の場合、支持層は、薄フィルム、篩様構造体、メッシュ様構造体、織布又は不織布構造体、又はこれらの組合せを含み得る。鋼、銅、ニッケル又はアルミニウムの各シートが好ましく、且つ約50~1000μmの厚さであってよい。ポリマーフィルムの場合、該フィルムは、寸法安定性であるが、曲げることができ、且つ、例えば、ポリアルキレン、ポリエステル、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリアミド及びポリカーボネート、織布若しくは不織布又は層化された繊維(例えば、ガラス繊維、炭素繊維、ポリマー繊維)で強化されたポリマー、又はこれらの組合せから作製され得る。好ましくは、ポリエチレン箔及びポリエステル箔が使用され、それらの厚さは、約100~300μmの範囲内、好ましくは100~200μmの範囲内にあってよい。
【0015】
レリーフ前駆体は、好ましくは少なくとも1つの更なる層を保有する。例えば、更なる層は、以下のうちの任意の1つであってよい:(例えば、レーザーによる)直接浮き出し印刷可能層、溶媒又は水現像可能層、熱現像可能層、感光性層、感光性層とマスク層との組合せ。より好ましくは、更なる層は、支持体の下の接着層、支持体と感光性ポリマー層との間の、又は任意の他の層の間の接着層、バリア層、レーザーアブレーティング可能層及び/又は保護層である。任意選択で、更なる層の頂部上にある1つ又は複数の更なる追加の層が提供され得る。このような1つ又は複数の更なる追加の層は、全ての他の層の頂部に被覆層を含んでいてもよく、これは、画像化可能層が画像化される前に除去される。1つ又は複数の更なる追加の層は、レリーフ層、及び支持層とレリーフ層との間の、又はレリーフ層の反対にある支持層の側におけるハレーション防止層を含んでいてもよい。1つ又は複数の更なる追加の層は、レリーフ層、画像化可能層、及び酸素の拡散を防ぐ、レリーフ層と画像化可能層との間の1つ又は複数のバリア層を含んでいてもよい。上記の異なる層の間に、異なる層の適切な接着を確実にする1つ又は複数の接着層が位置されてもよい。
【0016】
レリーフ前駆体は、少なくとも感光性ポリマー層を含み、マスク層を更に含んでもよい。マスク層は、処理の間に、アブレーティングされてもよく、又は透明性において変更されてもよく、透明な領域と非透明な領域とを有するマスクを形成する。マスクの透明な領域の下で、感光性層は、放射時に、可溶性及び/又は流動性の変更を受ける。変更は、1つ又は複数のそれに続くステップにおいて、感光性層の部分を除去することによって、レリーフを産生するのに用いられる。可溶性及び/又は流動性における変更は、光誘起の重合及び/又は架橋によって達成され得、放射された領域を、より低い可溶性及びより低い溶融性にする。他の場合では、電磁放射線は、結合の破壊又は保護基の開裂を引き起こすことがあり、放射された領域を、より可溶性及び/又は溶融性にする。好ましくは、光誘起架橋及び/又は重合を用いる方法が使用される。
【0017】
レリーフ前駆体は、少なくとも1種の光開始剤又は光開始系を含む感光性ポリマー層を含む。光開始剤は、電磁放射線での放射時に、反応性の種を形成し得、これが、重合反応、架橋反応、鎖又は結合の開裂反応を開始することができ、これが、組成物の可溶性及び/又は溶融性の変更へと至らせる、化合物である。光開始剤は既知であり、これは、開裂し且つ基、酸又は塩基を産生する。このような開始剤は当業者に既知であり、且つ例えば、Bruce M.Monroeら、Chemical Review,93,435(1993),R.S.Davidson,Journal of Photochemistry and Biology A:Chemistry,73,81(1993)M.Tsunookaら、25 Prog.Polym.Sci.,21,1(1996),F.D.Saeva,Topics in Current Chemistry,1 56,59(1990),G.G.Maslak,Topics in Current Chemistry,168,1(1993),H.B.Shusterら、JAGS,112,6329(1990)、及びI.D.F.Eatonら、JAGS,102,3298(1980),P.Fouassier及びJ.F.Rabek,Radiation Curing in Polymer Science and Technology,77~117頁(1993)、又はK.K.Dietliker,Photoinitiators for free Radical and Cationic Polymerisation,Chemistry & Technology of UV & EB Formulation for Coatings,Inks and Paints,Volume3,Sita Technology LTD,London 1991;又はR.S.Davidson,Exploring the Science,technology and Applications of U.V.and E.B.Curing,Sita Technology LTD,London,1999に記載されている。更なる開始剤は、JP45-37377、JP44-86516、米国特許第3567453号、米国特許第4343891号、欧州特許第109772号、欧州特許第109773号、JP63138345、JP63142345、JP63142346、JP63143537、JP4642363、JP59152396、JP61151197、JP6341484、JP2249及びJP24705、JP626223、JPB6314340、JP1559174831、JP1304453及びJP1152109に記載されている。
【0018】
レリーフ前駆体の感光性ポリマー層は、少なくとも1種の結合剤を含む。本発明による結合剤は、直鎖状、分枝状又は樹状ポリマーであり、これらは、ホモポリマー又はコポリマーであってよい。コポリマーは、ランダムコポリマー、交互コポリマー又はブロックコポリマーとすることができる。結合剤として、水溶液、有機溶媒、又は両方の組合せのいずれかに、可溶性、分散性であるか、又は乳化性であるかのいずれかであるこれらのポリマーが使用される。好適なポリマー結合剤は、活版(letterpress)印刷版の製造ために従来使用されているものであり、例えば、完全に又は部分的に加水分解されたポリビニルエステル、例えば、部分的に加水分解されたポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール誘導体、例えば、部分的に加水分解された酢酸ビニル/アルキレンオキシドグラフトコポリマー、又はポリマー類似反応による、その後にアクリル化されたポリビニルアルコールで、例えば、欧州特許出願公開第0079514号、欧州特許出願公開第0224164号又は欧州特許出願公開第0059988号に記載されているもの、及びこれらの混合物である。ポリマー結合剤としてまた好適なのは、ポリウレタン又はポリアミドであり、これらは、水、又は水/アルコール混合物に可溶性であり、例えば、欧州特許出願公開第00856472号又は独国特許出願公開第1522444号に記載されている。フレキソ印刷前駆体のために、エラストマー結合剤が使用される。熱可塑性-エラストマーブロックコポリマーは、少なくとも1つのブロックを含み、これは、アルケニルアロマティクス、及び1,3-ジエンから本質的になる少なくとも1つのブロックから本質的になる。アルケニルアロマティクスは、例えば、スチレン、α-メチルスチレン又はビニルトルエンであってよい。スチレンが好ましい。1,3-ジエンは、好ましくはブタジエン及び/又はイソプレンである。これらのブロックコポリマーは、直鎖状、分枝状又はラジカルブロックコポリマーであってよい。一般的に言えば、それらは、A-B-A型のトリブロックコポリマーであるが、それはまたA-B型のジブロックポリマーであってもよく、又は複数の交互エラストマー及び熱可塑性ブロックを有するポリマー、例えば、A-B-A-B-Aであってもよい。2種以上の異なるブロックコポリマーの混合物もまた使用することができる。市販のトリブロックコポリマーは、ジブロックコポリマーの一定の画分を含むことが多い。ジエン単位は、1,2-又は1,4-結合であってよい。また、使用できるのは、更に、スチレン及びブロック及びランダムスチレン-ブタジエン中間ブロックとの熱可塑性エラストマーブロックコポリマーである。また、使用できるのは、当然ながら、2種以上の熱可塑性エラストマー結合剤の混合物であり、但しレリーフ形成層の性質が結果として悪影響を及ぼされないことを条件とする。述べられた熱可塑性-エラストマーブロックコポリマー同様、光重合性層はまた、ブロックコポリマー以外に更なるエラストマー結合剤を含んでもよい。第2の結合剤とも呼ばれるこの種類の追加の結合剤では、光重合性層の性質は改質され得る。第2の結合剤の例は、ビニルトルエン-a-メチルスチレンコポリマーである。これらのポリマー結合剤は、一般に、層の総量の20~98質量%、好ましくは50~90質量%を占める。
【0019】
感光性ポリマー層は、更に、少なくとも1つの不飽和基を有する少なくとも1種の成分を含む。好ましくは、これらの成分は、混合物の調製に好適である反応性の化合物又はモノマーであり、重合性であり結合剤と適合性であるものである。このタイプの有用なモノマーは、一般に、100℃超の沸点を有する。それらは、通常、3000g/mol未満、好ましくは2000g/mol未満の分子量を有する。より好ましくは、エチレン性不飽和モノマーは、結合剤と適合性であるべきであるように使用され、且つそれらは少なくとも1つの重合性エチレン性不飽和基を有する。モノマーとして、特に、アクリル酸又はメタクリル酸の、単官能性又は多官能性アルコール、アミン、アミノアルコールとのエステル又はアミド、又はヒドロキシエーテル及びヒドロキシエステル、フマル酸又はマレイン酸とアリルの各化合物とのエステルを使用することが可能である。アクリル酸又はメタクリル酸のエステルが、更により好ましい。好ましいのは、1,4-ブタンジオールジアクリレート、1,6-ヘキサンジオールジアクリレート、1,6-ヘキサンジオールジメタクリレート、1,9-ノナンジオールジアクリレート、又はトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートである。異なるモノマーの混合物が、当然ながら使用され得る。レリーフ形成層中で一緒に使用される全てのモノマーの総量は、一般に、それぞれの場合にレリーフ形成層の全ての構成成分の和に基づいて、1~20質量%、好ましくは5~20質量%である。2つのエチレン性不飽和基を有するモノマーの量は、レリーフ形成層の全ての構成成分の和に基づいて、好ましくは5~20質量%、より好ましくは8~18質量%である。
【0020】
感光性ポリマー層は、更なる成分を含んでよい。更なる成分は、更なるポリマー、充填剤、可塑剤、ブロッキング防止剤、モノマー、添加剤(例えば、安定化剤、染料)、架橋剤、結合剤、色形成化合物、染料、顔料、抗酸化剤、及びこれらの組合せからなる群から選択される。
【0021】
レリーフ前駆体は、上記の感光性ポリマー層を含み、更にマスク層を含んでいてもよく、マスク層は、電磁放射線を吸収することができる少なくとも1種の化合物、及びアブレーションによって除去され得る成分(デジタルプレート前駆体としても知られる)を含む。好ましくは、マスク層は、レリーフ前駆体の統合層であり、感光性層、又は感光性層とマスク層との間に配置された機能層と直接接触している。この機能層は、好ましくはバリア層であり、酸素をブロックする。マスク層は、アブレーションにより画像化可能であり得、溶媒によって又は熱現像によって除去可能であり得る。マスク層は加熱され、高エネルギー電磁放射線での放射によって除去され、それにより、画像ワイズに構造化されたマスクが形成され、これは、構造体をレリーフ前駆体上に移行するのに使用される。そのようにするために、マスク層はUV領域中で不透明であってよく、電磁スペクトルのVIS-IR領域中で放射線を吸収する。次いで、VIS-IR放射線は、層を加熱しアブレーティングするのに使用され得る。330~420nmの間のUV領域におけるマスク層の光密度は、1~5の範囲内、好ましくは1.5~4の範囲内、より好ましくは2~4の範囲内にある。
【0022】
アブレーティング可能マスク層の厚さは、0.1~5μm、好ましくは0.3~4μm、より好ましくは1~3μmの範囲内にあってよい。マスク層のレーザー感度(1cmをアブレーティングするのに必要とされるエネルギーとして測定される)は、0.1~10J/cmの範囲内、好ましくは0.3~5J/cmの範囲内、最も好ましくは0.5~5J/cmの範囲内にあってよい。
【0023】
感光性ポリマー層は、少なくとも1種の可塑剤を含み、少なくとも1種の可塑剤はバイオベースの可塑剤である。バイオベースの可塑剤は、再生可能な生物源、例えば、植物(例えば、農業の穀物若しくは木)、微生物(例えば、藻類若しくは酵母)又は動物に、少なくとも部分的に由来する。バイオベースの可塑剤は、環境に優しいことが多いが、必ずしも生分解性ではない。バイオベースの材料は、化学的に変更されてもよく、又は合成化合物で改質されて、例えば物理的及び/又は化学的な性質を変えてもよい。次いで、それらは、依然としてバイオベースの材料で残る。これらの可塑剤は、一般に、様々な温度範囲にて軟質性及び可撓性を維持するように使用される。これらの可塑剤は、合成可塑剤のような他の可塑剤を少なくとも部分的に置き換えることができる。非バイオベースの可塑剤のうちの多く、特にいわゆるフタレートは、ヒトの健康に有害であり、ホルモンバランスに影響するおそれがある。その他は、鉱油又はポリブタジエンベースであり、容易に生分解性ではない。そのため、それらをバイオベースの可塑剤に少なくとも部分的に置き換えることは有利である。我々は、更に、バイオベースの可塑剤が熱現像のために使用されているとき、より大きいレリーフ深度が、調査した全ての濃度について達成され得ることを見出した。その上、我々は、鉱油の代わりの例えば、菜種油の使用が、より速いウォッシュアウト速度を可能にし、より短い加工時間をもたらすことを見出した。好ましくは、バイオベースの可塑剤は、植物油、脂肪酸、及び/又は単官能性又は多官能性アルコールの脂肪酸エステルである。より好ましくは、バイオベースの可塑剤は、菜種油、ヒマワリ油、ダイズ油、パーム油、パーム核油、ココナツ油、中鎖トリグリセリド(MCT)油及び/又は亜麻仁油のうちの1種又は複数である。更なる例は、アサイ油、ラノリン(adeps lanae)、アヒフラワーオイル、藻類油、アロエヴェラ、アマランスオイル、アンズ核油、アルガン油、アボカド油、ババスオイル、バオバブ油、ビーズワックス、ブラッククミン油、ブラッククミン種子油、クロフサスグリ油、ルリヂサオイル、ブラジルナッツオイル、ブロッコリ種子油、カレンデュラオイル、カメリナ油、キャンデリラワックス、カルナウバワックス、ヒマシ油、チアオイル、chileanヘーゼルナッツ油、ココア脂、トウモロコシ油、綿実油、テオブロマグランジフロルム種子油、月見草油、魚油、グリセロール、ブドウ種子油、落花生油、ヘーゼルナッツ油、アサ油、高オレインキャノーラ油、高オレインダイズ油、高オレインヒマワリ油、イリッペ脂、ナンヨウアブラギリ油、ホホバ油、ククイナッツオイル、ラノリン、ローレル油、マカダミアナッツ油、マンゴ脂、マンケッティオイル、マルラオイル、メドウフォーム種子油、ミルクシスル油、モリンガ油、ムルムル脂、マスタード種子油、オリーブ油、オルスオイル、オメガ-3-6-9-油、パームオレイン、パームステアリン、パラダイスナッツオイル、パッションフルーツ種子油、モモ核油、ピーナツ油、ピーカンナッツ油、ペリラオイル、ピスタチオナッツ油、プラム核油、ザクロオイル、ケシ種子油、カボチャ種子油、加水分解菜種油、原毛グリース、コメ糠油、ローズヒップ核油、サチャインチ油、サフラワー油、サル脂肪、シーバックソーンオイル、ゴマ油、シア脂、加水分解ダイズ油、部分加水分解ダイズ油、スクアラン、加水分解ヒマワリ油、ヒマワリワックス、木ろう、獣脂、タマヌオイル、くるみオイル、コムギ核油、ウール脂肪、ウールアルコールである。
【0024】
植物油及び脂肪の組成及び性質は、多くの要素に高く依存している。脂肪酸組成物及び油中の不純物は、UV透過率、光透過率、ガードナーカラー及びヨウ素価等の化学的及び物理的性質に影響を及ぼす。主な影響要因は、以下である:穀物のタイプ、生育領域、育種、精製及び加工(例えば、ろ過、漂白、中和、防臭加工)。その上、油の組成及び性質は、ブレンディング、蒸留、分画化、水素化、化学触媒でのエステル交換、特定のリパーゼでのエステル交換、酵素強化、生物的溶液、野生穀物の栽培化、従来の種子の育種、(種内)遺伝子工学、微生物からの脂質又は他の従来のものではない源によって修飾され得る。これらの要素に応じて、異なる穀物タイプからの植物油の化学的組成及び性質は、1つのタイプの穀物よりも、互いにより類似し得る。
【0025】
油の同じバッチ内で、性質は、貯蔵に依存し得る。長い貯蔵時間、高い貯蔵温度及び/又は空気及び/又は酸素との接触は、油のエージングへと至らせ得る。可能性のある作用は、例えば、UV透過率、光透過率及びヨウ素価における低下、又はガードナーカラー及び水酸基価における増大であり得る。高いUV透過率及び/又は高い光透過率及び/又は低いガードナーカラー及び/又は低い水酸基価を有する未使用の且つ良好に加工された油は、低いUV透過率及び/又は低い光透過率及び/又は高いガードナーカラー及び/又は高い水酸基価を有するエージングされた油又は粗植物油と比較して、好ましい。ゆっくりとしたエージング及び経時的な貯蔵は、空気の影響下で油を加熱することによって促進され得る。
【0026】
感光性ポリマー層は、少なくとも1種の可塑剤を含み、少なくとも1種の可塑剤はバイオベースの可塑剤である。他の可塑剤がまた存在し得るが、それは、そのように、2種以上のバイオベースの可塑剤の混合物、又は少なくともバイオベースの可塑剤と従来の可塑剤(複数可)との混合物とすることができる。そのため、少なくとも1種の可塑剤がバイオベースの可塑剤である限り、異なる可塑剤の混合物もまた使用することができる。他の好適な可塑剤の例は、修飾された及び非修飾の天然油及び天然樹脂、例えば、高沸点パラフィンの、ナフタレンの又は芳香族の鉱油、合成オリゴマー又は樹脂、例えば、オリゴスチレン、高沸点エステル、オリゴマーのスチレン-ブタジエンコポリマー、オリゴマーのアルファ-メチルスチレン/p-メチルスチレンコポリマー、液体オリゴブタジエン、特に500~5000g/molの分子量を有するもの、又は液体オリゴマーのアクリロニトリル-ブタジエンコポリマー又はオリゴマーのエチレン-プロピル-エン-ジエンコポリマーを包含する。好ましいのは、ポリブタジエン油(液体オリゴブタジエン)、特に500~5000g/molの分子量を有するもの、高い沸点の脂肪族エステル、例えば、特に、モノカルボン酸とジカルボン酸とのアルキルエステルであり、例は、ステアレート又はアジペート及び鉱油である。特に好ましいのは、高い沸点の、実質的にパラフィンの及び/又はナフタレンの鉱油である。例えば、いわゆるパラフィンベースの溶媒及び特性油を使用することが可能である。鉱油に関して、当業者であれば、きわめて少ない芳香族含有量も有し得る技術的白色油と、実質的に芳香族を含まない医療用白色油とを区別する。それらは市販されており、等しく良好に好適である。可塑剤として特に広範であるのは、白色油又はオリゴマーの可塑剤、例えば、特に、ポリブタジエン油、カルボン酸エステル、フタレートである。この点に関して、参照が、EP992849及びEP2279454の実施例を介してなされ得る。任意選択で存在する可塑剤の量は、層の所望の性質に従って、当業者によって決定される。
【0027】
可塑剤は、n-ヘキサン中の5質量%可塑剤溶液の365nmにおけるUV透過率が、好ましくは30%超、より好ましく50%超、より好ましくは60%超である。
【0028】
有利には、可塑剤は、中鎖トリグリセリド(MCT)油(=100%透過率)に対する光透過率が、78%超である。二重結合の欠如に起因して酸化に向けてより抵抗性である透明なMCT油の測定値を、100%光透過率を有する標準として設定した。
【0029】
可塑剤は、そのガードナーカラーによって特徴付けられ得る。ガードナーカラースケールは、黄色の色合いの影を測定するのに使用される一次元スケールである。ガードナースケール及びAPHA/Pt-Co/ハーゼンカラースケールは、黄色の色合いのより高い濃度を測定するガードナースケール、及び黄色の色合いのきわめて低いレベルを測定するAPHAスケールと重複している。透明な液体の色合いは、19世紀初期以来、目視で研究されてきた。色の変化は、原材料における汚染物又は不純物、加工のバリエーション、又は製品の経時的劣化を示唆し得る。有利には、可塑剤は、ISO4630:2015に準拠するガードナーカラーが、7未満である。
【0030】
可塑剤はまた、その水酸基価によっても特徴付けられ得る。水酸基価は、遊離水酸基を含有する化学物質1グラムのアセチル化において取り上げられた酢酸を中和するのに必要とされる水酸化カリウムのミリグラムの数であると定義されている。水酸基価は、化学物質中の遊離水酸基の含有量の測定値であり、通常、化学物質1グラムのヒドロキシル含有量と等量の、ミリグラムにおける水酸化カリウム(KOH)の質量の単位で表される。水酸基価を決定するのに使用される分析方法は、従来、ピリジン溶媒中の酢酸無水物を有する物質の遊離水酸基のアセチル化に関与している。反応の完了後、水が添加され、残っている未反応の酢酸無水物が酢酸に転換され、水酸化カリウムでの滴定によって測定される。次いで、水酸基価が計算され得る。有利には、可塑剤は、ASTM D1957-86に準拠する水酸基価が、430未満、好ましくは250未満、更により好ましくは168未満である。
【0031】
可塑剤は、同様に、そのヨウ素価によって特徴付けられ得る。化学におけるヨウ素価(又はヨウ素吸着値又はヨウ素数又はヨウ素指数、通常IVと略される)は、化学物質100グラムによって消費される、グラムにおけるヨウ素の質量である。ヨウ素数は、脂肪、油及びワックス中の不飽和度を決定するのに用いられることが多い。脂肪酸において、不飽和は、主に、この場合はヨウ素であるハロゲンに向かってきわめて反応性である二重結合として起こる。そのため、ヨウ素価が高いほど、より多くの不飽和結合が脂肪を含有する。本発明のレリーフ前駆体中で使用されることになる可塑剤は、好ましくは、ISO3961:2018に準拠するヨウ素価が、200未満、より好ましくは150未満である。
【0032】
可塑剤は、そのハンセン可溶度パラメーターδtによって更により特徴付けられ得る。ハンセン可溶度は、1つの分子が、それが類似の方法においてそれ自体に結合する場合に、別のものに「似ている」と定義されるところのように似て溶解するという考えに基づく。ハンセン可溶度パラメーターの決定の説明は、J.Brandrup,E.H.Immergut,E.A.Grulke,Polymer Handbook4thed.,Wiley,New York,1999,pp.VII/675-VII/714に見出すことができる。有利には、可塑剤は、ハンセン可溶度パラメーターδtが、16.0~20.5の範囲内、より好ましくは16.0~17.5の範囲内にある。
【0033】
任意選択で存在する可塑剤の量は、層の所望の性質に従って当業者によって決定される。感光性ポリマー層中の可塑剤の濃度は、感光性ポリマー層の総質量に基づいて、好ましくは3~70質量%の範囲内、より好ましくは5~65質量%の範囲内、更により好ましくは10~65質量%の範囲内、最も好ましくは20~60質量%の範囲内にある。
【0034】
例えば、反応を開始して及び/又は完了してレリーフ構造体の機械的及び/又は熱的な安定性を増大させるために、熱処理が利用されて揮発性構成成分を除去してもよい。熱処理のために、例えば、加熱した気体又は液体、IR放射線、及びこれらの任意の所望の組合せを用いる加熱等の既知の技術を用いることが可能である。これらの脈絡において、オーブン、ブロワー、ランプ、及びこれらの任意の所望の組合せを利用することが可能である。脱バンド形成に加えて、表面修飾はまた、特に、利用される反応性物質もまた存在する場合に加えて、気体、プラズマ及び/又は液体での処理によっても成し遂げることができる。本発明では、現像ステップが、熱処理、及び液化された部分の除去によって実施されることが好ましい。
【0035】
本発明はまた、レリーフ構造体を製造する方法であって、
a)寸法安定性の支持体と、少なくとも1種の結合剤、少なくとも1種の光開始剤又は光開始系、少なくとも1つの不飽和基を有する少なくとも1種の成分、及び少なくとも1種の可塑剤を含む感光性ポリマー層とを含むレリーフ前駆体を提供するステップであり、少なくとも1種の可塑剤が、バイオベースの可塑剤であり、該可塑剤は、n-ヘキサン中の5質量%可塑剤溶液の365nmにおけるUV透過率が、15%超である、ステップと、
b)マスク層のアブレーションによって、マスクを通した曝露によって、又は直接画像化によって、レリーフ前駆体を画像化するステップと、
c)画像化されたレリーフ前駆体を電磁放射線に曝露して、画像化された領域を硬化させるステップと、
d)非硬化領域を除去するステップと、
e)任意選択で、後処理、後曝露及び/又は粘着除去のうちの1つ又は複数のステップを実施するステップと、
を含む、方法にも向けられる。
【0036】
レリーフ構造体を製造する方法のステップb)において、レリーフ前駆体は、マスク層のアブレーションによって、マスクを通した曝露によって、又は直接画像化によって、画像化される。マスク層は別々の層とすることができ、これはおそらくは存在し得る保護層の除去に続いてレリーフ前駆体に適用され、又は前駆体の統合層とすることができ、これは、レリーフ層、若しくはレリーフ層の上の任意選択の層のうちの1つと接触しており、且つおそらくは存在し得る保護層によって被覆されている。
【0037】
マスク層はまた、市販の陰画とすることもでき、これは、例えば、ハロゲン化銀の化学に基づく写真の方法の手段によって製造され得る。マスク層は、画像ベースの曝露の手段によって、そうでなければ不透明層中に透明層が製造される複合層材料とすることもでき、これは、例えば、欧州特許出願公開第3139210号、欧州特許第1735664号、欧州特許出願公開第2987030号、欧州特許第2313270号に記載されている。これは、透明な担体層上での不透明層のアブレーションによって実施することができ、これは、例えば、米国特許第6916596号、欧州特許第816920号に記載されており、又は不透明層の、透明な担体層への選択的適用によって実施することができ、これは欧州特許第992846号に記載されており、又は例えば、インクジェットの手段による不透明なインクでの印刷によってレリーフ形成層上に直接書いてもよく、これは、例えば、欧州特許出願公開第1195645号に記載されている。
【0038】
マスク層の画像ワイズな除去は、好ましくはアブレーション技術を用いて実施される。規則として、マスクをアブレーティングするための電磁放射線は、一般に、300nm~20000nmの範囲内、好ましくは500nm~20000nmの範囲内、特に好ましくは800nm~15000nmの範囲内、きわめて特に好ましくは800nm~11000nmの範囲内の波長を有する放射線とすることになる。固体レーザーに加えて、気体レーザー又はファイバーレーザーもまた使用され得る。好ましくは、レーザーアブレーションにおいて、使用されるのは、Nd:YAGレーザー(1064nm)又はCO2レーザー(9400nm及び10600nm)である。マスク層の選択的除去のために、1つ又は複数のレーザービームが、所望の印刷画像が生成されるように制御される。
【0039】
直接画像曝露は、架橋されることになる領域が選択的に曝露されることにおいて達成され得る。これは、例えば、特定の画像点がどの発光放射線が活性化されているかを指すモニターの使用によって、移動可能なLEDストリップを用いることによって、個々のLEDが特定してスイッチオン及びスイッチオフされるLEDアレイの手段によって、そこで画像点が、どれが、放射線が放射線源から通ることを可能にして透明へとスイッチされるかを指す、電子制御可能なマスクの使用の手段によって、鏡の適切な配向性の手段により、画像点が放射線源からの放射線に曝露されるプロジェクションシステムの使用の手段によって、又はこれらの組合せによって、適切に制御される1つ又は複数のレーザービームで達成することができる。好ましくは、直接曝露は、制御されるレーザービーム又は鏡を有するプロジェクションシステムの手段によって実施される。開始剤又は開始剤系の吸収スペクトルと、放射線源の発光スペクトルとは、少なくとも部分的に重なっていなければならない。
【0040】
電磁放射線の波長は、200nm~20000nmの範囲内、好ましくは250nm~1100nmの範囲内、特に好ましくはUV範囲内、きわめて特に好ましくは300nm~450nmの範囲内にある。電磁放射線のブロードバンド放射のほかに、ナローバンド又は単色の波長範囲を使用することが有利であり得、例えば、適当なフィルター、レーザー又は発光ダイオード(LED)を使用することによって生成することができる。これらの場合、それら自体で又は組合せにおいて、350nm、365nm、385nm、395nm、400nm、405nm、532nm、830nm、1064nm(並びにこれよりも約5nm~10nm短い及び/又は長い)の波長が好ましい。
【0041】
レリーフ構造体を製造する方法のステップc)において、画像化されたレリーフ前駆体は、電磁放射線に曝露されて、画像化領域を硬化させる。レリーフは、マスクフィルムを通じた電磁放射線での曝露によって産生される。曝露時に、曝露領域は架橋を受け、その一方で、前駆体の非曝露領域は、可溶性又は液化可能のまま残り、適当な方法によって除去される。画像化マスクが存在するところでは、放射は広範囲に行われ得、又はマスク層なしで操作する場合、放射は、電磁放射線のガイドされたレーザービーム又は位置分解プロジェクションの手段によって、小領域にわたり画像化方法において(事実上、ドットワイズで)行われ得る。この場合における放射された電磁波の波長は、200~2000nmの範囲内、好ましくは200~450nmの範囲内、より好ましくは250nm~405nmの範囲内にある。放射は、連続的に、又はパルス形態で、又は連続放射線を用いる複数回の短期間において行われ得る。電磁波のブロードバンド放射に加えて、ナローバンドを用いること、又は適当なフィルター、レーザー又は発光ダイオード(LED)を用いて産生され得るように、単色の波長範囲を用いることが有利であり得る。これらの場合、個々に(且つ約5~10nmを超える及び/又は下回る)又は組合せとして、350、365、385、395、400、405、532、830、1064nmの範囲内の波長が好ましい。放射線の強度は、本明細書では、広範囲にわたって多様であり得、後の現像手順のために十分に放射線硬化性層を硬化させるのに十分である線量が使用されることを確実にする。おそらくは更なる熱処理後の放射誘起反応は、放射感応性層の曝露領域が少なくとも部分的に不溶性となり、したがって現像ステップにおいて除去され得ないよう、十分に進んでいなければならない。放射線の強度及び線量は、配合物の反応性に依存し、且つ現像の期間及び効率に依存する。放射線の強度は、1~15000mW/cmの範囲内、好ましくは5~5000mW/cmの範囲内、より好ましくは10~1000mW/cmの範囲内にある。放射線の線量は、0.3~6000J/cmの範囲内、好ましくは3~100J/cmの範囲内、より好ましくは6~20J/cmの範囲内にある。エネルギー源への曝露はまた、不活性雰囲気、例えば、希ガス、CO及び/又は窒素においても行われてよく、又は液体下で行われてもよく、これはレリーフ前駆体に損傷を与えない。マスクを通した曝露は、例えば、ビーム拡大のために、光学装置を用いて行われ得、複数の点状の又は直線の源(例えば、光ガイド、発光器)、例えば、互いに並んで配置された蛍光ストリップランプの二次元配置によって、レリーフ前駆体に対してLED(アレイ)の直線の源又は延長された配置を動かすことによって、例えば、LEDの均一な動きによって、又はこれらの組合せによって行うことができる。好ましくは、互いに並んで配置された蛍光ストリップランプ、又は1つ又は複数のLEDストリップとレリーフ前駆体との間の相対的な動きが用いられる。
【0042】
放射は、パルスされた方法において、又は連続放射線を用いる複数回の短期間において、連続して実施することができる。
【0043】
レリーフ構造体を製造する方法のステップd)において、非硬化領域は除去される。前駆体の非硬化領域の除去は、好ましくは熱での処理によって実施され、現像材料は非硬化材料を吸着するように構成される。より好ましくは、ステップd)において、前駆体は、70~200℃の範囲内、好ましくは80~180℃の範囲内、より好ましくは90~165℃の範囲内の温度に加熱される。曝露されたレリーフ前駆体の加熱は、当業者に既知の技術の全て、例えば、IR光での放射、熱い気体(例えば、空気)の作用、ホットローラーの使用、又はこれらの任意の所望の組合せによって行うことができる。(粘着性の)液体領域を除去するために、当業者になじみのある全ての技術及び方法、例えば、ブローウィング、吸引、ダッビング、(粒子及び/又は液滴での)ブラスティング、ストリッピング、ワイピング、現像用領域への移行、及びこれらの任意の所望の組合せを利用することが可能である。好ましくは、液体材料は、現像用媒質によって取り上げられ(吸収され及び/又は吸着され)、これは、レリーフ前駆体の加熱された表面と連続的に接触される。この手順は、所望のレリーフ高さが達せられるまで繰り返される。利用され得る現像用媒質は、紙、織布及び不織布の布帛、並びにフィルムであり、これらは、液化された材料を取り上げることができ、且つ天然繊維及び/又はポリマー繊維からなり得る。好ましいのは、ポリマーの不織布又は不織布の繊維ウェブ、例えば、セルロース、綿、ポリエステル、ポリアミド、ポリウレタン、及び現像するときに利用される温度にて安定であるこれらの任意の所望の組合せである。
【0044】
或いは、ステップd)において、前駆体は現像用液体で処理されて、非硬化材料を溶解する。この現像ステップに適用される技術は、当業者になじみのあるものの全てであり得る。溶媒又はその混合物、水溶液、及び水性-有機溶媒混合物は助剤を含んでもよく、これらは、配合物を安定化させ、及び/又は非架橋領域の成分の可溶性を増大させる。このような助剤の例は、乳化剤、界面活性剤、塩、酸、塩基、安定化剤、腐食防止剤、及びこれらの好適な組合せである。これらの溶液での現像のために、当業者に既知の技術のうちの全て、例えば、現像用媒質での浸漬、洗浄又は噴霧、現像用媒質の存在におけるブラッシング、及びこれらの好適な組合せを使用することが可能である。好ましいのは、中性水溶液又は水での現像、回転ブラシ又はプラッシュウェブの手段に補助される除去である。現像に影響を与える別の方法は、現像用媒質の温度を制御すること、及び例えば、温度を上げることによって現像を促進させることである。このステップにおいて、これらの層が現像の間に離され得、現像媒質中、十分に溶解される及び/又は分散される場合に、更なる層が、除去されることになる放射感受性層上に依然として存在することもまた可能である。
【0045】
レリーフ構造体を製造する方法のステップe)において、任意選択で、後処理、後曝露及び/又は粘着除去のうちの1つ又は複数のステップが実施される。これらには、例えば、熱処理、乾燥、電磁線での処理、プラズマでの処理、気体での又は液体での処理、特徴を特定するアタッチメント、フォーマットへの切断、コーティング、及びこれらの任意の所望の組合せが挙げられる。例えば、反応を開始するために及び/又は完了するために、熱処理が利用されて、レリーフ構造体の機械的及び/又は熱的安定性を向上させてもよく、且つ揮発性構成成分を除去してもよい。熱処理のために、既知の技術、例えば、加熱された気体又は液体を用いる加熱、IR放射線、及び例えば、これらの任意の所望の組合せを用いることが可能である。これらの脈絡において、オーブン、ブロワー、ランプ、及びこれらの任意の所望の組合せを利用することが可能である。脱バンド形成に加えて、表面修飾をまた、特に、利用した反応性物質も存在している場合に加えて、気体、プラズマ及び/又は液体での処理によって成し遂げることができる。例えば、レリーフ構造体の表面を粘着除去して、重合反応及び/又は架橋反応をトリガーする及び/又は完了させる目的のために、電磁放射線での処理が用いられてもよい。この場合の放射される電磁波の波長は、200~2000nmの範囲内にある。
【実施例
【0046】
本発明を説明するために、以下の非限定的な実施例を提供する。
【0047】
UV透過率の決定:
365nmにおけるUV透過率を、マクロキュベット110-QS、10mm中、5質量の可塑剤濃度を伴って、n-ヘキサン中で測定した。UV/Visスペクトルを、Varian Cary50、スキャンソフトウェアバージョン:02.00、ビームモード:デュアルビームにおいて記録した。ベースライン補正を、純粋なn-ヘキサンのブランクサンプルで実施し、装置の統合したソフトウェアを適用した。
【0048】
光透過率の決定:
純粋な油を、マクロキュベット110-QS、10mm中に充填し、光透過率を、密度計Gretag Macbeth D200II(測定する管:V(λ)、測定する開口部:直径3mm)中にキュベットを入れ、マクロキュベット上でプローブヘッドを押圧することによって測定した。二重結合の欠如に起因して酸化に向けて抵抗性である透明なMCT油の測定値を、100%透過率を有する標準として設定した。3回の測定の平均値を決定した。
【0049】
実施例1
本発明の実施例として、プレート形態にある材料を生成した:
SISトリブロックのブロックコポリマーで、表1に示すように、スチレン含有量14~15%、ジブロック画分およそ26%、及びビニル基含有量7~8%質量部を有するもの、
5質量部のジアクリル酸ヘキサンジオール、
2.5質量部のベンジルジメチルケタールで、光開始剤としてのものであり、表1に示す質量部にある可塑剤、
1.5質量部の更なる構成成分、例えば、阻害剤及び染料
を含有する感光性ポリマー混合物を、押出器中、昇温(120~180℃)にて溶融し、105μmの厚さを有するレーザーアブレーティング可能マスク層を有するカバーフィルムと、125μmの厚さを有する担体フィルムとの間に、スロットダイを介してカレンダリングし、このようにして4040μmの総厚さを有するレリーフ前駆体(感光性ポリマー+フィルム)を得た。
【0050】
熱現像:
レリーフ前駆体を、担体箔を通して裏側からUVA光に100秒間曝露した(機械のタイプ:Combi FIII、UV出力16mW/cm)。前側上のレーザーアブレーティング可能マスクを、Xeikon TfxX20レーザー(回転8.5U/秒、出力35W(100%))で画像化して、マスク層が依然として中央に存在し、その一方でフレーム部分中それが除去されるという方法において、4.5cmのフレームを有する正方形20cm×20cmを形成した。プレートを前側からUVA光で15分間放射した(機械のタイプ:Combi FIII、UV出力16mW/cm)。非重合材料及び残っている黒色マスク層を、Xpress熱現像機(Flint Group)を用いた熱現像によって除去した。速度0.7インチ/秒における10回の通過を用い、これにより、温度を162.8℃(325°F)に設定し、IR強度を40%に設定し、ブロワー強度を25%に設定し、現像機回転速度を100%に設定した。最初の4回の通過の間、圧力を60psiに設定し、80psiにおける5回の通過、及び40psiにおける最後の1回の通過へと続けた。現像後、黒色マスク層により被覆された領域は「フロア」を形成し、これは曝露領域よりも低く、これが「レリーフ」を形成する。フロア厚さを、中央において、異なる9箇所で測定し、平均値を決定した。クリシェ厚さを、フレーム上の異なる5箇所で測定して、平均値を決定した。レリーフ深度を、クリシェ厚さからフロア厚さを減算して計算し、表1に示す。
【0051】
溶媒現像:
溶媒現像について、溶媒としてnylosolv Aを有するフローラインFIIIシステム、並びに固体含有量4.8~5.1%、ブラシの高さ設定1.5mm、及び溶媒温度35℃を用いた。その後、プレートを60℃にて2時間乾燥させた。1700μmのウォッシュアウト深度を達成するためのウォッシュアウト速度を、nyloflex(登録商標)UserGuide、16頁、2007年10月バージョン中の「3.2 Determination of Plate processing times」の章に準拠して決定した。
【0052】
【表1】
【0053】
表1に提示した結果から、熱現像について、調査した全ての濃度について植物油(菜種油)を使用するときに、より大きいレリーフ深度が達成され得ると結論付けることができる。その上、鉱油の代わりに菜種油を使用すると、より速いウォッシュアウト速度が可能になり、より短い加工時間をもたらすことが明らかとなる。
【0054】
実施例2:
プレート形態にある材料を以下の組成で製造した:
64.4質量部のSBSトリブロックコポリマーで、スチレン含有量25%、及び結合剤としてジブロック画分およそ10%を有するもの、
10質量部のジアクリル酸ヘキサンジオール、
2.0質量部の、光開始剤としてのベンジルジメチルケタール、
21質量部の可塑剤、及び
2.6質量部の更なる構成成分、例えば、阻害剤及び染料
を含有する感光性ポリマー混合物。
【0055】
該混合物を、押出器中、昇温(120~180℃)にて溶融し、105μmの厚さを有するレーザーアブレーティング可能マスク層を有するカバーフィルムと、175μmの厚さを有する担体フィルムとの間に、スロットダイを介してカレンダリングし、このようにして1240μmの総厚さを有するレリーフ前駆体(感光性ポリマー+フィルム)を得た。
【0056】
熱現像:
プレート加工、及びレリーフ深度の評価を、実施例1のように実施した。裏側の曝露を10秒に短縮した。熱現像の条件を多様とした:0.7インチ/秒の速度にて1回の通過を用い、それにより温度を143.3℃(290°F)に設定し、IR強度を40%に設定し、ブロワー強度を25%に設定し、現像機回転速度を100%に設定し、圧力を60psiに設定した。材料の結果は表2にある。
【0057】
溶媒現像:
溶媒現像を、900μmの標的ウォッシュアウト深度、及びブラシ高さ設定0mmで、実施例1にあるように実施した。材料の結果は表2にある。
【0058】
異方性因子:
異方性因子を、zwickiLineユニバーサル試験機、及び200Nの公称力を有するロードセルを用いて応力-引張測定により決定した。試験片(サイズ5A、ISO527-2:1996に準拠する)を、取り外し可能なPET箔を有する曝露プレート(機械のタイプ:Combi FIII、UV出力16mW/cm)のスタンピングによって調製した。2回の測定を実施し、プレートの押出方向に対して1つの測定は縦方向、1つの測定は横方向とした。125%引張における応力を測定した。異方性因子を得るために、縦方向応力を横方向応力で割った。材料の結果は表2にある。
【0059】
【表2】
【0060】
表2に提示した結果から、熱現像について、鉱油又はポリブタジエンと比較して、植物油(菜種油)を使用したときにより大きいレリーフ深度が達成され得ると結論付けることができる。その上、鉱油又はポリブタジエンの代わりに菜種油を使用すると、より速いウォッシュアウト速度が可能になり、より短い加工時間をもたらし、より大きいウォッシュアウト深度を与えることが明らかとなる。
【0061】
加えて、可塑剤として鉱油を有するプレートの異方性因子は、ポリブタジエン又は菜種油を有するプレートの異方性因子よりも高い。1.0の異方性因子が望ましく、これは、プレートの弾性挙動がその配向性から独立していることを意味する。
【0062】
実施例3:
プレート形態にある材料を以下の組成で製造した:
45.4質量部のSBSトリブロックコポリマーで、スチレン含有量31%、及び結合剤としてジブロック画分およそ14%を有するもの、
6.5質量部のジアクリル酸ヘキサンジオール、
1.4質量部の、光開始剤としてのベンジルジメチルケタール、
26.2質量部の、第1の可塑剤としての鉱油、
19.5質量部の第2の可塑剤、及び
1.0質量部の更なる構成成分、例えば、阻害剤及び染料
を含有する感光性ポリマー混合物。
【0063】
該混合物を、押出器中、昇温(120~180℃)にて溶融し、105μmの厚さを有するレーザーアブレーティング可能マスク層を有するカバーフィルムと、125μmの厚さを有する担体フィルムとの間に、スロットダイを介してカレンダリングし、このようにして3280μmの総厚さを有するレリーフ前駆体(感光性ポリマー+フィルム)を得た。
【0064】
熱現像:
プレート加工、並びにレリーフ深度及び熱現像の評価を、実施例1にあるように実施した。材料の結果は表3にある。
【0065】
溶媒現像:
溶媒現像を、1200μmの標的ウォッシュアウト深度で、実施例1にあるように実施した。材料の結果は表3にある。
【0066】
400μm陰画ドットの深度:
陰画要素の深度を評価するために、試験動力は、直径400μmを有するドットを含有している。良好なプリント結果を達成するために、典型的には、陰画要素のより大きい深度が望ましい。深度測定を、Dot Check WH360で実施した。
【0067】
【表3】
【0068】
表3に提示した結果から、熱現像について、ポリブタジエンと比較して、植物油(菜種油)を使用したときにより大きいレリーフ深度が達成され得ると結論付けることができる。
【0069】
その上、ポリブタジエンの代わりに菜種油を使用すると、より速いウォッシュアウト速度が可能になり、より短い加工時間をもたらすことが明らかとなる。加えて、菜種油を使用したとき、陰画ドットの深度は増大した。
【0070】
実施例4:
プレート形態にある材料を以下の組成で製造した:
58.0質量部のSBSトリブロックコポリマーで、30%のスチレン含有量を有し結合剤としてのジブロックを含まないもの、
7.5質量部のジアクリル酸ヘキサンジオール、
2.0質量部の、光開始剤としてのベンジルジメチルケタール、
31質量部の可塑剤(A:ポリブタジエンB:菜種油)、及び
1.5質量部の更なる構成成分、例えば、阻害剤及び染料
を含有する感光性ポリマー混合物。
【0071】
該混合物を、押出器中、昇温(120~180℃)にて溶融し、105μmの厚さを有するレーザーアブレーティング可能マスク層を有するカバーフィルムと、175μmの厚さを有する担体フィルムとの間に、スロットダイを介してカレンダリングし、このようにして1240μmの総厚さを有するレリーフ前駆体(感光性ポリマー+フィルム)を得た。
【0072】
熱現像:
プレート加工、並びにレリーフ深度及び熱現像の評価を、実施例2にあるように実施した。材料の結果は表4にある。
【0073】
溶媒現像:
溶媒現像を実施例2にあるように実施した。材料の結果は表4にある。
【0074】
【表4】
【0075】
表4に提示した結果から、熱現像について、ポリブタジエンと比較して、植物油(菜種油)を使用したときにより大きいレリーフ深度が達成され得ると結論付けることができる。その上、ポリブタジエンの代わりに菜種油を使用すると、より速いウォッシュアウト速度が可能になり、より短い加工時間をもたらすことが明らかとなる。加えて、植物油を使用したとき、ウォッシング深度、及び陰画ドットの深度は増大する。
【0076】
実施例5:
プレート形態にある材料を以下の組成物で製造した:
実施例2に記載しているのと同じ比及び成分を含有する感光性ポリマー混合物を、還流にて、溶液(溶媒:トルエン、溶媒含有量:55質量部)中、成分を混合することによって得た。可塑剤は、表5に記載しているように多様とした。混合物を、均質な溶液を得るまで撹拌した。室温にクールダウンした後、溶液を、175μmの厚さを有する担体フィルム上に投じた。層を、ドクターブレード法及び3160μmの空隙を用いて、溶液を等しく分散することによって形成した。層を、20℃にて15時間、その後65℃にて4時間乾燥させて、溶媒を蒸発させた。105μmの厚さを有するレーザーアブレーティング可能マスク層を有するカバーフィルムを、加熱したローラー(110℃)を用いて頂部に積層し、1200~1300μmの総厚さを有するレリーフ前駆体(感光性ポリマー+フィルム)を得た。
【0077】
ヒマシ油では、プレートは、配合物との不適合性に起因して生成することができず、その理由は、感光性ポリマー層を室温にクールダウンした後、油フィルムを観察したためである。
【0078】
熱現像:
プレート加工、並びにレリーフ深度及び熱現像の評価を、実施例2にあるように実施した。材料の結果は表5にある。
【0079】
溶媒現像:
溶媒現像を実施例2にあるように実施した。材料の結果は表5にある。
【0080】
裏側曝露:
溶媒現像について700μmのレリーフ深度を達成するための裏側曝露時間を、nyloflex(登録商標)UserGuide、17頁、2007年10月のバージョン中の「3.2 Determination of plate processing times」の章に準拠して、Combi FIII、UV出力16mW/cmにおいて決定した。
【0081】
【表5】
【0082】
表5に提示している結果から、熱現像について、ポリブタジエンと比較して、植物油(菜種油、エージングした菜種油、ヒマワリ油、ダイズ油、パーム油、パーム核油、ココナツ油、MCT油、亜麻仁油)を使用したときにより大きいレリーフ深度が達成され得ると結論付けることができる。その上、ポリブタジエンの代わりに植物油を使用すると、より速いウォッシュアウト速度が可能になり、より短い加工時間をもたらし、陰画ドットの深度が増大することが明らかとなる。植物油のうちのほとんどのUV透過率は裏側曝露時間と相関しており、高い透過率が好ましい。エージングしたパーム油及び菜種油は例外であるように見える。
【0083】
実施例6:
プレート形態にある材料の製造:
75.5質量部のSISトリブロックコポリマーで、19%のスチレン含有量、結合剤として30%ジブロックを有するもの、
5質量部のビニルトルエン-メチルスチレンコポリマー(CAS:9017-27-0)、
6.7質量部のジアクリル酸ヘキサンジオール、
3.3質量部のジメタクリル酸ヘキサンジオール、
2.5質量部のアクリル酸ラウリル、
2.5質量部の、光開始剤としてのベンジルジメチルケタール、
3質量部の可塑剤(A:鉱油、B:菜種油)、及び
1.5質量部の更なる構成成分、例えば、阻害剤及び染料
を含有する感光性ポリマー混合物を、押出器中、昇温(120~180℃)にて溶融し、105μmの厚さを有するレーザーアブレーティング可能マスク層を有するカバーフィルムと、175μmの厚さを有する担体フィルムとの間に、スロットダイを介してカレンダリングし、このようにして、総厚さ1を有するレリーフ前駆体(感光性ポリマー+フィルム)を得た。
【0084】
【表6】
【0085】
表6に提示した結果から、熱現像について、少量(3%)であってさえ植物油を使用したときに、わずかに大きいレリーフ深度が達成され得ると結論付けることができる。その上、より高いウォッシュアウト深度を達成することができ、プレートの異方性挙動は著しく減少する。
【0086】
実施例7:
プレート形態にある材料を実施例5にあるように製造した。
【0087】
熱現像:
プレート加工、並びにレリーフ深度及び熱現像の評価を、実施例2にあるように実施した。材料の結果は表7にある。
【0088】
溶媒現像:
溶媒現像を実施例2にあるように実施した。材料の結果は表7にある。
【0089】
裏側曝露:
溶媒現像について700μmのレリーフ深度を達成するための裏側曝露時間は、nyloflex(登録商標)UserGuide、17頁、2007年10月のバージョン中の「3.2 Determination of plate processing times」の章に準拠して、Combi FIII、UV出力16mW/cmにおいて決定した。
【0090】
【表7】
【0091】
表7での結果から、植物油の品質が、可塑剤としてのその使用にとって重要であると結論付けることができる。油の品質が十分でない場合、本発明の範囲内の良好な印刷版の製造は困難である。他の値よりも、UV透過率及び光透過率は、植物油の品質、及び本発明のためのその好適性を評価するのに使用され得る。高いUV透過率及び光透過率が好ましい。UV透過率及び光透過率は、穀物の一般的なタイプから離れて、多くの要素に依存する。
【0092】
可塑剤の性質:
使用した鉱油(CAS8042-47-5)は、40℃における運動学的粘度70mm/秒を有する。
【0093】
使用したポリブタジエンは、Mw<10000g/molの分子量、及び約34%の1,2-ビニル基(実施例2、実施例5)、Mw約5000g/molの分子量、及び1%の1,2-ビニル基(実施例3)、Mw<3000g/molの分子量、及び15~25%の1,2-ビニル基(実施例4)を有する。
【0094】
菜種油は、20℃における密度0.916~0.923g/cm、20℃における屈折率1.470~1.474、ヨウ素価(g ヨウ素/100g)105~126、酸価(mg KOH/g)0.5未満、及び鹸化価(mg KOH/g)180~195を有する。
【0095】
エージングした菜種油を、他の実験のために使用したのと同じ菜種油のバッチを19時間160℃に加熱することによって得た。
【0096】
エージングした亜麻仁油、エージングしたヒマワリ油及びエージングしたダイズ油を、他の実験のために使用したそれぞれの油と同じバッチを空気の影響下19時間160℃に加熱することによって得た。
【0097】
5時間エージングした亜麻仁油を、亜麻仁油を空気の影響下5時間160℃に加熱することによって得た。
【0098】
「Linseed oil Firnis」は、20℃における密度0.95g/cmを有し、MEYER-CHEMIE GmbH & Co.KGから、更なる仕様なしで得た。
【0099】
Linseed oil Equipurを、VETRIPHARM GmbHから、更なる仕様なしで得た。
【0100】
冷間圧縮した亜麻仁油を、Makana Produktion und Vertrieb GmbHから更なる仕様なしで得た。
【0101】
ヒマワリ油は、20℃における密度0.919~0.925g/cm、20℃における屈折率1.473~1.476、ヨウ素価(g ヨウ素/100g)120~140、酸価(mg KOH/g)0.5未満、及び鹸化価(mg KOH/g)184~194を有する。
【0102】
HO(高オレイン酸)ヒマワリ油は、20℃における密度0.912~0.920g/cm、20℃における屈折率1.464~1.474、ヨウ素価(g ヨウ素/100g)78~90、酸価(mg KOH/g)0.4未満、及び鹸化価(mg KOH/g)187~197を有する。
【0103】
ダイズ油は、20℃における密度0.916~0.922g/cm、20℃における屈折率1.465~1.475、ヨウ素価(g ヨウ素/100g)120~141、酸価(mg KOH/g)0.5未満、及び鹸化価(mg KOH/g)180~200を有する。
【0104】
パーム油は、融点33~42℃、40℃における屈折率1.450~1.460、ヨウ素価(g ヨウ素/100g)50~57、酸価(mg KOH/g)0.4未満、及び鹸化価(mg KOH/g)190~210を有する。
【0105】
パーム核油は、融点25~30℃、40℃における屈折率1.448~1.452、ヨウ素価(g ヨウ素/100g)13~23、酸価(mg KOH/g)0.4未満、及び鹸化価(mg KOH/g)230~254を有する。
【0106】
ココナツ油は、融点20~28℃、40℃における屈折率1.448~1.451、ヨウ素価(g ヨウ素/100g)7~12、及び酸価(mg KOH/g)0.4未満を有する。
【0107】
MCT油(中鎖トリグリセリド60/40)は、20℃における密度0.930~0.960g/cm、20℃における屈折率1.440~1.452、ヨウ素価(g ヨウ素/100g)0~1、及び酸価(mg KOH/g)0.2未満、及び鹸化価(mg KOH/g)325~345を有する。
【0108】
亜麻仁油は、20℃における密度0.924~0.931g/cm、20℃における屈折率1.478~1.483、ヨウ素価(g ヨウ素/100g)170~203、及び酸価(mg KOH/g)0.5未満、鹸化価(mg KOH/g)186~194、及びガードナーカラー6.0未満を有する。
【0109】
ヒマシ油は、20℃における密度0.955~0.968g/cm、20℃における屈折率1.478~1.480、酸価(mg KOH/g)2未満、及びガードナーカラー4.0未満を有する。
【0110】
上記において、本発明はその実施例を用いて開示されてきた。しかしながら、当業者であれば、本発明がこれらの実施例に限定されないこと、及び多くの、より多くの実施例が、添付の特許請求の範囲及びそれらの等価物によって規定されている本発明の範囲から逸脱することなく可能であることを理解することになる。
【手続補正書】
【提出日】2023-06-16
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)寸法安定性の支持体と、
b)少なくとも1種の結合剤、少なくとも1種の光開始剤又は光開始系、少なくとも1つの不飽和基を有する少なくとも1種の成分、及び少なくとも1種の可塑剤を含む、少なくとも1つの感光性ポリマー層と、
を含む、レリーフ前駆体であって、
前記少なくとも1種の可塑剤が、バイオベースの可塑剤であり、前記可塑剤は、n-ヘキサン中の5質量%可塑剤溶液の365nmにおけるUV透過率が、15%超である、レリーフ前駆体。
【請求項2】
a)寸法安定性の支持体と
b)少なくとも1種の結合剤、少なくとも1種の光開始剤又は光開始系、少なくとも1つの不飽和基を有する少なくとも1種の成分、及び少なくとも1種の可塑剤を含む、少なくとも1つの感光性ポリマー層と、
を含む、レリーフ前駆体であって、
前記少なくとも1種の可塑剤が、バイオベースの可塑剤であり、前記感光性ポリマー層中の前記可塑剤の濃度が、10~65質量%の範囲内にあ
前記可塑剤は、n-ヘキサン中の5質量%可塑剤溶液の365nmにおけるUV透過率が、30%超である、レリーフ前駆体。
【請求項3】
前記バイオベースの可塑剤が、植物油、脂肪酸、及び/又は単官能性又は多官能性アルコールの脂肪酸エステルである、請求項1又は2に記載の前駆体。
【請求項4】
更なる層を含み、前記更なる層が、好ましくは、前記支持体の下の接着層、前記支持体と感光性ポリマー層との間の接着層、バリア層、レーザーアブレーティング可能層及び/若しくは保護層、又はこれらの組合せである、請求項1~3のいずれか一項に記載の前駆体。
【請求項5】
前記可塑剤は、n-ヘキサン中の5質量%可塑剤溶液の365nmにおけるUV透過率が、50%超、好ましくは60%超である、請求項1~4のいずれか一項に記載の前駆体。
【請求項6】
前記可塑剤は、中鎖トリグリセリド(MCT)油(=100%透過率)に対する光透過率が、78%超である、請求項1~5のいずれか一項に記載の前駆体。
【請求項7】
前記可塑剤は、ISO4630:2015に準拠するガードナーカラーが、7未満である、請求項1~6のいずれか一項に記載の前駆体。
【請求項8】
前記可塑剤は、ASTM D1957-86に準拠する水酸基価が、430未満、好ましくは250未満、更により好ましくは168未満である、請求項1~7のいずれか一項に記載の前駆体。
【請求項9】
前記可塑剤において、ISO3961:2018に準拠するヨウ素価が、150未満である、請求項1~8のいずれか一項に記載の前駆体。
【請求項10】
前記可塑剤は、ハンセン溶解度パラメーターδtが、16.0~20.5の範囲内、好ましくは16.0~17.5の範囲内にある、請求項1~9のいずれか一項に記載の前駆体。
【請求項11】
前記感光性ポリマー層中の前記可塑剤の濃度が、感光性ポリマー層の総質量に基づいて、20~60質量%の範囲内にある、請求項1~10のいずれか一項に記載の前駆体。
【請求項12】
レリーフ構造体を製造する方法であって、
a)寸法安定性の支持体と、少なくとも1種の結合剤、少なくとも1種の光開始剤若しくは光開始系、少なくとも1つの不飽和基を有する少なくとも1種の成分、及び少なくとも1種の可塑剤を含む感光性ポリマー層とを含むレリーフ前駆体を提供するステップであり、前記少なくとも1種の可塑剤が、バイオベースの可塑剤であり、前記可塑剤は、n-ヘキサン中の5質量%可塑剤溶液の365nmにおけるUV透過率が、15%超である、ステップと、
b)マスク層のアブレーションによって、マスクを通した曝露によって、又は直接画像化によって、前記レリーフ前駆体を画像化するステップと、
c)前記画像化されたレリーフ前駆体を、電磁放射線に曝露して、画像化された領域を硬化させるステップと、
d)非硬化領域を除去するステップと、
e)任意選択で、後処理、後曝露及び/又は粘着除去のうちの1つ又は複数のステップを実施するステップと、
を含む、方法。
【請求項13】
前記バイオベースの可塑剤が、植物油、脂肪酸、及び/又は単官能性若しくは多官能性アルコールの脂肪酸エステルである、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記可塑剤は、n-ヘキサン中の5質量%可塑剤溶液の365nmにおけるUV透過率が、30%超、好ましくは50%超、より好ましく60%超である、請求項12又は13に記載の方法。
【請求項15】
前記可塑剤は、ISO4630:2015に準拠するガードナーカラーが、7未満である、請求項1214のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記可塑剤は、ASTM D1957-86に準拠する水酸基価が、430未満、好ましくは250未満、更により好ましくは168未満である、請求項1215のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記可塑剤は、ISO3961:2018に準拠するヨウ素価が、200未満、より好ましくは150未満である、請求項1216のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記可塑剤は、ハンセン溶解度パラメーターδtが、16~20.5の範囲内、好ましくは16.0~17.5の範囲内にある、請求項1217のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記感光性ポリマー層中の前記可塑剤の濃度が、感光性ポリマー層の総質量に基づいて、3~70質量%の範囲内、好ましくは5~65%の範囲内、より好ましくは10~65質量%の範囲内、最も好ましくは20~60質量%の範囲内にある、請求項1218のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記前駆体の前記非硬化領域の除去が、熱での処理によって実施され、且つ現像材料が、非硬化材料を吸着するように構成される、請求項1219のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
ステップd)において、前記前駆体が、70~200℃の範囲内の温度に加熱される、請求項1220のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
ステップd)において、前記前駆体が、現像液で処理されて、非硬化材料を溶解する、請求項1221のいずれか一項に記載の方法。
【国際調査報告】