(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-24
(54)【発明の名称】一方向弁
(51)【国際特許分類】
F16K 15/06 20060101AFI20240517BHJP
【FI】
F16K15/06
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023562830
(86)(22)【出願日】2022-05-19
(85)【翻訳文提出日】2023-12-11
(86)【国際出願番号】 CN2022093882
(87)【国際公開番号】W WO2022247728
(87)【国際公開日】2022-12-01
(31)【優先権主張番号】202121151286.5
(32)【優先日】2021-05-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515266108
【氏名又は名称】浙江盾安人工環境股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】Zhejiang DunAn Artificial Environment Co., Ltd
【住所又は居所原語表記】Diankou Industry Zone, Zhuji, Zhejiang, China
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100108213
【氏名又は名称】阿部 豊隆
(72)【発明者】
【氏名】馮 忠波
(72)【発明者】
【氏名】宋 治国
(72)【発明者】
【氏名】王 傅鋼
【テーマコード(参考)】
3H058
【Fターム(参考)】
3H058AA02
3H058BB14
3H058CA33
3H058CD05
3H058CD16
3H058CD25
3H058EE03
3H058EE05
3H058EE16
3H058EE17
(57)【要約】
弁体(10)及びピストンユニット(20)を含み、弁体(10)内には弁チャンバ(11)及び弁口(12)を含み、弁体(10)には入口(13)及び出口(14)が穿設されており、弁口(12)は入口(13)と弁チャンバ(11)との間に位置し、出口(14)は弁チャンバ(11)と連通され、ピストンユニット(20)は、弁チャンバ(11)内で弁体(10)の軸方向に移動可能であって、弁口(12)を開閉し、弁チャンバ(11)は拡径部(15)を含み、拡径部(15)における流通面積は弁口(12)における流通面積より大きい、一方向弁(100)。このような一方向弁は、絞りのリスク及び流通の阻害を回避し、更には流通能力を向上させることができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
弁体及びピストンユニットを含み、前記弁体は弁チャンバ及び弁口を含み、前記弁体には入口及び出口が穿設されており、前記弁口は前記入口と前記弁チャンバとの間に位置し、前記出口は前記弁チャンバと連通され、前記ピストンユニットは、前記弁チャンバ内で前記弁体の軸方向に沿って移動可能であって、前記弁口を開閉し、
前記弁チャンバは拡径部を含み、前記拡径部における流通面積は前記弁口における流通面積より大きい、一方向弁。
【請求項2】
前記拡径部の内壁はテーパ面であり、且つ前記テーパ面は、出口の方向に向かうフレアであり、前記拡径部の小径端と前記弁口とは互いに連通される、請求項1に記載の一方向弁。
【請求項3】
ガイドロッドを更に含み、前記ガイドロッドは前記弁チャンバ内に固定され、前記ピストンユニットはピストンロッド及びシール部材を含み、前記ピストンロッドの一端は前記ガイドロッドに係合され、他端は前記弁口に向かって設けられ、前記シール部材は前記ピストンロッドの前記弁口に向かう一端に取り付けられ、前記ピストンロッドは、前記ガイドロッドのガイド作用で前記弁体の軸線に沿って運動可能であって、前記シール部材を連動させて前記弁口を開閉する、請求項1に記載の一方向弁。
【請求項4】
前記弁口の前記出口に近い一端の前記弁チャンバ内の流通面積は、前記弁口における流通面積より大きい、請求項1に記載の一方向弁。
【請求項5】
前記ガイドロッドの直径がDであり、前記ガイドロッドの、前記ピストンロッドの運動をガイドするための実効長さがHであり、且つ関係式:0.8D≦H≦3Dを満たす、請求項3に記載の一方向弁。
【請求項6】
前記ピストンロッドは、前記入口に近い一端に第1止め部及び第2止め部が設けられており、前記第1止め部と前記第2止め部との間には凹溝が形成され、前記凹溝は前記シール部材を配置するために用いられる、請求項3に記載の一方向弁。
【請求項7】
前記第1止め部の最大外径をD
1と定義し、前記第2止め部の最大外径をD
2と定義し、前記シール部材の最大外径をD
3と定義すると、D
1、D
2及びD
3は、関係式:D
3>D
2>D
1を満たす、請求項6に記載の一方向弁。
【請求項8】
前記第1止め部は第1周壁部を含み、前記拡径部は第2周壁部を含み、前記第1周壁部の延長線と前記弁体の軸線との夾角をαと定義し、前記第2周壁部の延長線と前記弁体の軸線との夾角をβと定義すると、α及びβは、関係式:α>β、0°<α<90°、0°<β<90°を満たす、請求項6に記載の一方向弁。
【請求項9】
前記ピストンロッドの前記ガイドロッドに近い一端には第1ガイド孔が穿設されており、前記ガイドロッドの前記ピストンロッドに近い一端には第2ガイド孔が穿設されており、前記第1ガイド孔と前記第2ガイド孔とは互いに連通され、前記一方向弁は弾性部材を更に含み、前記弾性部材の両端にはそれぞれ前記ピストンロッド及び前記ガイドロッドが接続され、且つ前記弾性部材は同時に前記第1ガイド孔及び前記第2ガイド孔中に位置し、
前記第1ガイド孔の直径をXと定義し、前記第2ガイド孔の直径をYと定義し、弾性部材の直径をZと定義すると、関係式:X>Y>Zを満たす、請求項3に記載の一方向弁。
【請求項10】
前記ガイドロッドの前記ピストンロッドから離れた一端には均衡化孔が穿設されており、前記均衡化孔の一端と前記第2ガイド孔とは互いに連通され、前記均衡化孔の他端と前記出口とは互いに連通される、請求項9に記載の一方向弁。
【請求項11】
前記ピストンロッドには第3ガイド孔が更に穿設されており、前記第3ガイド孔と前記第1ガイド孔とは互いに連通され、且つ前記第3ガイド孔は前記第1ガイド孔の前記ガイドロッドから離れた一端に位置し、
前記第3ガイド孔の孔径をWと定義すると、関係式:Z<W<Xを満たす、請求項9に記載の一方向弁。
【請求項12】
前記弁チャンバ内には位置決め部材が更に固定して設けられており、前記位置決め部材は前記ガイドロッドの前記ピストンロッドから離れた一端に設けられ、前記位置決め部材には貫通孔が穿設されており、前記ガイドロッドは前記貫通孔に挿通されて前記位置決め部材に固定して接続され、前記位置決め部材における流通面積は前記弁口の流通面積以上である、請求項3に記載の一方向弁。
【請求項13】
前記位置決め部材はバッフル及びサークリップを含み、前記バッフルは前記ガイドロッドと前記サークリップとの間に固定される、請求項12に記載の一方向弁。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2021年5月26日に出願された、出願番号が202121151286.5であり、発明の名称が「一方向弁」である中国特許出願の優先権を主張し、その全ての内容は参照によって本出願に組み込まれる。
【0002】
本出願はバルブの技術分野に関し、特に、一方向弁に関する。
【背景技術】
【0003】
一方向弁は、液体が一方向のみに流れるようにし、逆方向への流れを抑制する弁であって、このような一方向弁は、液体の逆流を防止するために、油圧回路又は冷却循環システムの配管等の位置に設けられる。
【0004】
関連技術における一方向弁は、弁チャンバ及び弁チャンバ内のピストンを含み、ピストンが弁チャンバ内で弁口に接近する/弁口から離間する運動をするとき、常にシール部材の膨張によって絞りが生じるリスクがあり、冷媒の流通を阻害し、一方向弁の正常動作に影響を与える。
【発明の概要】
【0005】
本出願の各実施例によれば、弁体及びピストンユニットを含み、弁体は弁チャンバ及び弁口を含み、弁体には入口及び出口が穿設されており、弁口は入口と弁チャンバとの間に位置し、出口は弁チャンバと連通され、ピストンユニットは、弁チャンバ内で弁体の軸方向に沿って移動可能であって、弁口を開閉し、弁チャンバは拡径部を含み、拡径部における流通面積は弁口における流通面積より大きい、一方向弁を提供する。
【0006】
一実施例において、一方向弁は、ガイドロッドを更に含み、ガイドロッドは弁チャンバ内に固定され、ピストンユニットはピストンロッド及びシール部材を含み、ピストンロッドの一端はガイドロッドに係合され、他端は弁口に向かって設けられ、シール部材はピストンロッドの弁口に向かう一端に取り付けられ、ピストンロッドは、ガイドロッドのガイド作用で弁体の軸線に沿って運動可能であって、シール部材を連動させて弁口を開閉する。
【0007】
一実施例において、弁口の出口に近い一端の弁チャンバ内の流通面積は、弁口における流通面積より大きい。
【0008】
一実施例において、ガイドロッドの直径がDであり、ガイドロッドの、ピストンロッドの運動をガイドするための実効長さがHであり、且つ関係式:0.8D≦H≦3Dを満たす。
【0009】
一実施例において、ピストンロッドは、入口に近い一端に第1止め部及び第2止め部が設けられており、第1止め部と第2止め部との間には凹溝が形成され、凹溝はシール部材を配置するために用いられる。
【0010】
一実施例において、第1止め部は第1周壁部を含み、拡径部は第2周壁部を含み、第1周壁部の延長線と弁体の軸線との夾角をαと定義し、第2周壁部の延長線と弁体の軸線との夾角をβと定義すると、α及びβは、関係式:α>β、0°<α<90°、0°<β<90°を満たす。
【0011】
一実施例において、ピストンロッドのガイドロッドに近い一端には第1ガイド孔が穿設されており、ガイドロッドのピストンロッドに近い一端には第2ガイド孔が穿設されており、第1ガイド孔と第2ガイド孔とは互いに連通され、一方向弁は弾性部材を更に含み、弾性部材の両端にはそれぞれピストンロッド及びガイドロッドが接続され、且つ弾性部材は、同時に第1ガイド孔及び第2ガイド孔中に位置し、第1ガイド孔の直径をXと定義し、第2ガイド孔の直径をYと定義し、弾性部材の直径をZと定義すると、関係式:X>Y>Zを満たす。
【0012】
一実施例において、ガイドロッドのピストンロッドから離れた一端には、均衡化孔が穿設されており、均衡化孔の一端と第2ガイド孔とは互いに連通され、均衡化孔の他端と出口とは互いに連通される。
【0013】
一実施例において、ピストンロッドには、第3ガイド孔が更に穿設されており、第3ガイド孔と第1ガイド孔とは互いに連通され、且つ第3ガイド孔は、第1ガイド孔のガイドロッドから離れた一端に位置し、第3ガイド孔の孔径をWと定義すると、関係式:Z<W<Xを満たす。
【0014】
第3ガイド孔の設置により、弾性部材に対してガイド作用を果たし、弾性部材が伸縮及び延伸運動するときに傾斜しにくくし、ピストンロッドがガイドロッドに対してよりスムーズに運動するようにすることが理解できる。
【0015】
一実施例において、弁チャンバ内には位置決め部材が更に固定して設けられており、位置決め部材はガイドロッドのピストンロッドから離れた一端に設けられ、位置決め部材には貫通孔が穿設されており、ガイドロッドは貫通孔に挿通されて位置決め部材に固定して接続され、位置決め部材における流通面積は弁口の流通面積以上である。
【0016】
本出願の1つ以上の実施例の詳細は、以下の図面及び記述中で説明される。本出願の他の特徴、目的及び利点は、明細書、図面及び特許請求の範囲から明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0017】
ここで開示されたそれらの出願の実施例及び/又は例示をより良好に記述及び説明するために、1つ以上の図面を参照することができる。図面を記述するための追加の詳細又は例示は、開示された出願、ここに記述されている実施例及び/又は例示、並びにここで理解されるこれらの出願の最適のモデルのうちのいずれかの範囲を制限するものとしてみなされるべきではない。
【0018】
【
図1】1つ以上の実施例による一方向弁の開弁状態の構造模式図である。
【
図2】1つ以上の実施例による一方向弁の閉弁状態の構造模式図である。
【
図3】1つ以上の実施例による弁体の構造模式図である。
【
図4】1つ以上の実施例によるピストンロッドの構造模式図である。
【
図5】1つ以上の実施例によるガイドロッドの構造模式図である。
【0019】
図中の各符号の意味は次の通りである。
100 一方向弁、10 弁体、11 弁チャンバ、12 弁口、13 入口、14 出口、15 拡径部、151 第2周壁部、152 フレア、153 小径端、20 ピストンユニット、21 ピストンロッド、211 第1止め部、2111 第1周壁部、212 第2止め部、213 凹溝、214 第1ガイド孔、215 第3ガイド孔、216 制限段差、22 シール部材、30 ガイドロッド、31 第2ガイド孔、32 均衡化孔、40 弾性部材、50 位置決め部材、51 貫通孔、52 バッフル、53 サークリップ。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本出願の実施例における図面を参照して、本出願の実施例における技術態様を明瞭に且つ完全に記述するが、記述される実施例は、単に本出願の一部の実施例にすぎず、全ての実施例ではないことは明らかである。本出願における実施例に基づき、当業者が創造的な労力なしに得られた全ての他の実施例は、いずれも本出願の保護範囲に属するものとする。
【0021】
留意すべきこととして、アセンブリが別のアセンブリに「装着される」とされる場合、別のアセンブリに直接装着されてもよく、又は、介在するアセンブリが存在してもよい。1つのアセンブリが別のアセンブリに「設けられる」とみなされる場合、別のアセンブリに直接設けられてもよく、又は、介在するアセンブリが共存する可能性がある。1つのアセンブリが別のアセンブリに「固定される」とみなされる場合、別のアセンブリに直接固定されてもよく、又は、介在するアセンブリが共存する可能性がある。
【0022】
本出願で使用される全ての技術的及び科学的用語は、別途の定義がない限り、本出願の技術分野に属する当業者によって通常理解されているものと同じ意味である。本出願の明細書で使用される用語は、単に具体的な実施例を記述するためのものであり、本出願を制限することを意図していない。本出願で使用される用語「又は/及び」は、羅列された1つ以上の関連する項目の任意及び全ての組み合わせを含む。
【0023】
図1から
図5を参照すると、本出願で提供される一方向弁100は、空調機に適用されて冷媒の逆流を防止し、油圧システムに用いられて油の流れが逆方向になることを防止するか、又は空圧システムに用いられて圧縮空気の逆流を防止することもできる。
【0024】
具体的に、本出願で提供される一方向弁100は、弁体10及びピストンユニット20を含み、弁体10内には弁チャンバ11及び弁口12を含み、弁体10には入口13及び出口14が穿設されており、弁口12は入口13と弁チャンバ11との間に位置し、出口14は弁チャンバ11と連通され、ピストンユニット20は、弁チャンバ11内で弁体10の軸方向に沿って移動可能であって、弁口12を開閉し、弁チャンバ11は拡径部15を含み、拡径部15における流通面積は弁口12における流通面積より大きい。
【0025】
留意すべきこととして、関連技術における一方向弁は、ピストンが弁チャンバ内で弁口に接近する/弁口から離間する運動をするとき、常にシール部材の膨張によって絞りが生じるリスクがあり、冷媒の流通を阻害し、一方向弁の正常動作に影響を与える。本実施形態において、弁チャンバ11を流れる冷媒によってシール部材22が膨張するようになり、ピストンユニット20が動作ストローク内で絞りが生じてしまう。従って、本出願で提供される一方向弁100は、弁体10内に拡径部15を設けることにより、弁チャンバ11内の流通面積が弁口12の流通面積より大きくなるようにし、絞りのリスクを回避し、更には流通能力を向上させる。
【0026】
選択的に、弁体10は全体として長い筒状を呈し、且つ中空構造として形成され、本実施例において弁体10は銅鋳物の材質を選択しているが、当然ながら他の実施例において弁体10は鋳鉄等の他の材質を採用してもよく、ここでは限定しない。
【0027】
図1から
図3に示されるように、弁口12の出口14に近い一端の弁チャンバ11内の流通面積は弁口12における流通面積より大きいため、冷媒が弁口12から出口14へ流れる過程で絞りのリスクが生じず、流通の阻害を回避し、流通能力を向上させる。
【0028】
具体的に、拡径部15の内壁はテーパ面であり、且つこのテーパ面は、出口14の方向に向かうフレアであり、拡径部15の小径端と弁口12とは互いに連通されて、冷媒が入口13から弁口12を流れ、更に拡径部15から出口14へ流れる過程において、流通面積が徐々に増大する。拡径部15をテーパ面として設けることの利点は、流通面積の激増によって冷媒の弁チャンバ11内における衝撃力が大きくなりすぎて弁体構造が損傷し、ひいては一方向弁100の正常運転に影響を与えることがないように、冷媒の流通面積が徐々に増大する過程を持つようにすることである。
【0029】
更に、一方向弁100はガイドロッド30を更に含み、ガイドロッド30は弁チャンバ11内に固定され、ピストンユニット20はピストンロッド21及びシール部材22を含み、ピストンロッド21の一端はガイドロッド30に係合され、他端は弁口12に向かって設けられ、シール部材22はピストンロッド21の弁口12に向かう一端に取り付けられ、ピストンロッド21は、ガイドロッド30のガイド作用で弁体10の軸線に沿って運動可能であって、シール部材22を連動させて弁口12を開閉する。
【0030】
図4に示されるように、ピストンロッド21の入口13に近い一端には第1止め部211及び第2止め部212が設けられており、第1止め部211と第2止め部212との間には凹溝213が形成され、凹溝213はシール部材22を配置するために用いられ、第1止め部211及び第2止め部212は、シール部材22に対して前後止めして、シール部材22が一方向弁100の異なる動作状態で脱落しにくくなるようにし、一方向弁100の使用寿命の向上及び安定したシール性能の確保に役立つ。
【0031】
選択的に、本実施例において、シール部材22はゴム又はプラスチック材質を採用しているが、当然ながら他の実施例においてシール部材22は他の材質を採用してもよく、ここでは限定しない。
【0032】
更に、第1止め部211には第1周壁部2111を含み、拡径部15には第2周壁部151を含み、第1周壁部2111の延長線と弁体10の軸線との夾角をαと定義し、第2周壁部151の延長線と弁体10の軸線との夾角をβと定義すると、α及びβは、関係式:α>β、0°<α<90°、0°<β<90°を満たし、このようにして、ピストンロッド21が弁体10の軸線に沿って運動して弁口12に当接されるとき、第1止め部211と拡径部15とが当接されてラインシールが形成され、シール性能を増強させ、漏れ率を低減させる。
【0033】
留意すべきこととして、第1周壁部2111はテーパ面であり、第1止め部211の最大外径をD
1と定義し、第2止め部212の最大外径をD
2と定義し、シール部材22の最大外径をD
3と定義すると、D
1、D
2及びD
3は、関係式:D
3>D
2>D
1を満たし、このようにして、ピストンロッド21が弁体10の軸線に沿って運動して弁口12に当接されるとき、まず、シール部材22と第2周壁部151とが互いに当接されて1番目のソフトシールを形成し、弁チャンバ11内の差圧が増大し続けると、ピストンロッド21が更に弁口12の方向に向かって押し動かされ、このとき、第1止め部211が第2周壁部151に当接され、又、α>βであるため、第1止め部211と第2周壁部151とが2番目のラインシールを形成し、このように設けて弁チャンバ11内がどのような圧力値である場合であっても確実なシールを実現することができ、シール性能を向上させる。
図1、
図2、及び
図5に示されるものを参照すると、ピストンロッド21のガイドロッド30に近い一端には第1ガイド孔214が穿設されており、ガイドロッド30のピストンロッド21に近い一端には第2ガイド孔31が穿設されており、第1ガイド孔214と第2ガイド孔31とは互いに連通され、一方向弁100は弾性部材40を更に含み、弾性部材40の両端にはそれぞれピストンロッド21及びガイドロッド30が接続され、且つ弾性部材40は同時に第1ガイド孔214及び第2ガイド孔31中に位置し、第1ガイド孔214の直径をXと定義し、第2ガイド孔31の直径をYと定義し、弾性部材40の直径をZと定義すると、関係式:X>Y>Zを満たし、このようにして、ピストンロッド21、ガイドロッド30、及び弾性部材40を組み立てるときにより便利で高速になるようにする。
【0034】
更に、
図4に示されるように、ピストンロッド21には第3ガイド孔215が更に穿設されており、第3ガイド孔215と第1ガイド孔214とは互いに連通され、且つ第3ガイド孔215は第1ガイド孔214のガイドロッド30から離れた一端に位置し、第3ガイド孔215の孔径をWと定義すると、関係式:Z<W<Xを満たし、第3ガイド孔215の設置により、弾性部材40に対してガイド作用を果たし、弾性部材40が伸縮及び延伸運動するときに傾斜しにくくし、ピストンロッド21がガイドロッド30に対してよりスムーズに運動するようにする。
【0035】
留意すべきこととして、孔径が第1ガイド孔214の孔径より小さい第3ガイド孔215を設けないと、ピストンロッド21がガイドロッド30に対して運動し且つ弾性部材40がピストンロッド21の運動に伴って延伸又は収縮するときに、弾性部材40が左右に傾斜しやすく、弾性部材40が第1ガイド孔214の内部で止まってしまい、ピストンロッド21がガイドロッド30に対して運動し続けることができず、一方向弁100の正常運転に影響を与える。このような問題を解決するため、ピストンロッド21内に、孔径が弾性部材40の外径よりわずかに大きい第3ガイド孔215を穿設して、弾性部材40が延伸又は圧縮するときに左右に揺動できなくなるようにして、ピストンロッド21の運動の円滑性を向上させ、更に、第3ガイド孔215の設置により、第1ガイド孔214と第3ガイド孔215との間に制限段差216が形成されるようにして、ガイドロッド30が第1ガイド孔214内で運動するときに制限段差216に当接できるようにすることで、ガイドロッド30に対する制限作用を実現する。
【0036】
選択的に、本実施例において、弾性部材40はバネを選択しているが、当然ながら他の実施例において弾性部材40は他の部材を選択してもよく、ここでは限定しない。
【0037】
更に、
図5に示されるように、ガイドロッド30のピストンロッド21から離れた一端には均衡化孔32が穿設されており、均衡化孔32の一端と第2ガイド孔31とは互いに連通され、均衡化孔32の他端と出口14とは互いに連通され、このようにしてピストンロッド21に対する抵抗を減少させることができ、ピストンロッド21の入口13と出口14との間における移動が容易になり、流体の抵抗も低減させ、冷媒の弁チャンバ11内における流通能力を向上させる。
【0038】
具体的に、ガイドロッド30の直径がDであり、ガイドロッド30の、ピストンロッド21の運動をガイドするための実効長さをHと定義し、且つ関係式:0.8D≦H≦3Dを満たし、ガイド長さHが短すぎるとピストンロッド21がガイドロッド30上でガイド運動するときに止まりやすく、一方向弁100の正常動作に影響を与え、ガイド長さHが長すぎると材料コストを増加させるため、0.8D≦H≦3Dに限定して、材料コストを節約する前提で、弁チャンバ11内の冷媒の流通の阻害を回避し、冷媒の流通性能を向上させる。
【0039】
ピストンロッド21の第1ガイド孔214には、径方向に伸び且つ第1ガイド孔214とピストンロッド21の外側とを連通させる連通孔(図示せず)が設けられており、連通孔は第1ガイド孔214のガイドロッド30から離れた一方側に設けられ、連通孔は少なくとも1つ設けられてもよく、連通孔が複数設けられる場合、複数の連通孔は第1ガイド孔の周方向に間隔をおいて設けられる。
【0040】
更に、弁チャンバ11内には、位置決め部材50が更に固定して設けられており、位置決め部材50はガイドロッド30のピストンロッド21から離れた一端に設けられ、位置決め部材50には貫通孔51が穿設されており、ガイドロッド30は貫通孔51に挿通されて位置決め部材50に固定して接続される。
【0041】
具体的に、位置決め部材50はバッフル52及びサークリップ53を含み、バッフル52はガイドロッド30とサークリップ53との間に固定されて、バッフル52がサークリップ53によって制限された後、弁体10の軸方向で運動スペースがないようにすることができる。
【0042】
以上の実施例の各技術特徴は任意に組み合わせることができ、記述を簡潔にするために、上述の実施例における各技術特徴の全ての可能な組み合わせについて記述されていないが、これらの技術特徴の組み合わせに矛盾がない限り、いずれも本明細書に記載された範囲とみなされるべきである。
【0043】
以上の実施例は、単に本出願のいくつかの実施形態を示したものにすぎず、その記述が比較的に具体的且つ詳細ではあるが、そのために本出願の特許請求の範囲を制限するものとして理解されるべきではない。当業者にとって、本出願の趣旨を逸脱しないことを前提にいくつかの変形及び改善を行うこともでき、これらはいずれも本出願の保護範囲に含まれると指摘しておかなければならない。従って、本出願の特許の保護範囲は、添付の特許請求の範囲に準ずるものとすべきである。
【国際調査報告】