(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-24
(54)【発明の名称】抗DDR2抗体およびその使用
(51)【国際特許分類】
C07K 16/28 20060101AFI20240517BHJP
C12N 15/13 20060101ALI20240517BHJP
C12N 1/15 20060101ALI20240517BHJP
C12N 1/19 20060101ALI20240517BHJP
C12N 1/21 20060101ALI20240517BHJP
C12N 5/10 20060101ALI20240517BHJP
C12P 21/08 20060101ALI20240517BHJP
A61K 39/395 20060101ALI20240517BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20240517BHJP
A61P 27/02 20060101ALI20240517BHJP
A61P 11/00 20060101ALI20240517BHJP
A61P 9/00 20060101ALI20240517BHJP
A61P 1/16 20060101ALI20240517BHJP
A61P 13/12 20060101ALI20240517BHJP
A61P 27/06 20060101ALI20240517BHJP
A61P 11/06 20060101ALI20240517BHJP
A61P 19/00 20060101ALI20240517BHJP
A61P 17/02 20060101ALI20240517BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20240517BHJP
A61P 9/10 20060101ALI20240517BHJP
A61P 21/04 20060101ALI20240517BHJP
A61K 48/00 20060101ALI20240517BHJP
【FI】
C07K16/28 ZNA
C12N15/13
C12N1/15
C12N1/19
C12N1/21
C12N5/10
C12P21/08
A61K39/395 P
A61P43/00 105
A61P27/02
A61P11/00
A61P9/00
A61P1/16
A61P13/12
A61P27/06
A61P11/06
A61P19/00
A61P17/02
A61P29/00 101
A61P29/00
A61P9/10
A61P21/04
A61K48/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023564172
(86)(22)【出願日】2022-06-02
(85)【翻訳文提出日】2023-10-19
(86)【国際出願番号】 JP2022022441
(87)【国際公開番号】W WO2022255440
(87)【国際公開日】2022-12-08
(31)【優先権主張番号】P 2021094689
(32)【優先日】2021-06-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】000003311
【氏名又は名称】中外製薬株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100102978
【氏名又は名称】清水 初志
(74)【代理人】
【識別番号】100205707
【氏名又は名称】小寺 秀紀
(74)【代理人】
【識別番号】100160923
【氏名又は名称】山口 裕孝
(74)【代理人】
【識別番号】100119507
【氏名又は名称】刑部 俊
(74)【代理人】
【識別番号】100142929
【氏名又は名称】井上 隆一
(74)【代理人】
【識別番号】100148699
【氏名又は名称】佐藤 利光
(74)【代理人】
【識別番号】100188433
【氏名又は名称】梅村 幸輔
(74)【代理人】
【識別番号】100128048
【氏名又は名称】新見 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100129506
【氏名又は名称】小林 智彦
(74)【代理人】
【識別番号】100114340
【氏名又は名称】大関 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100214396
【氏名又は名称】塩田 真紀
(74)【代理人】
【識別番号】100121072
【氏名又は名称】川本 和弥
(72)【発明者】
【氏名】高橋 徳行
(72)【発明者】
【氏名】金森 正和
(72)【発明者】
【氏名】ヤン ボー
【テーマコード(参考)】
4B064
4B065
4C084
4C085
4H045
【Fターム(参考)】
4B064AG27
4B064CA10
4B064CA19
4B064CC15
4B064CC24
4B064CE08
4B064DA01
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4B065AA90Y
4B065AA93X
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4B065CA44
4C084AA13
4C084NA14
4C084ZA021
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4C084ZA331
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4C084ZA591
4C084ZA592
4C084ZA751
4C084ZA752
4C084ZA811
4C084ZA812
4C084ZA941
4C084ZA942
4C084ZA961
4C084ZA962
4C084ZB111
4C084ZB112
4C084ZB151
4C084ZB152
4C084ZB211
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4C085AA14
4C085BB11
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4C085EE01
4H045AA11
4H045AA30
4H045BA41
4H045CA40
4H045DA76
4H045FA74
(57)【要約】
本発明は、DDR2に結合する抗DDR2抗体、およびその使用方法を提供する。本発明はさらに、抗DDR2抗体をコードする単離された核酸、それを含む宿主細胞、および抗DDR2抗体を製造する方法を提供する。本発明はさらに、医薬の製造における抗DDR2抗体の使用を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディスコイジンドメイン受容体2(DDR2)に結合する、単離された抗体。
【請求項2】
DDR2の細胞外領域に結合する、特に、DDR2のディスコイジンドメイン(DSドメイン)、ディスコイジン様ドメイン(DSLドメイン)、または細胞外膜近傍ドメイン(EJXMドメイン)に結合する、請求項1に記載の単離された抗体。
【請求項3】
DDR1に結合しない、請求項1または2のいずれか一項に記載の抗体。
【請求項4】
配列番号:77または78のアミノ酸31~179によって定義される配列の全部または一部を含むエピトープでDDR2に結合する、請求項1~3のいずれか一項に記載の抗体。
【請求項5】
配列番号:77のアミノ酸R31、P33、S37、D64、S65、E66、Q103、H106、A107、G108、H110、S145、N146、Y148、D149、V150、F151、L152、D154、およびR179、または配列番号:78のアミノ酸R31、P33、S37、D64、S65、E66、Q103、H106、A107、G108、H110、S145、N146、Y148、D149、I150、F151、L152、D154、およびR179を含む不連続エピトープに結合する、特に、配列番号:77のアミノ酸P33、S37、D64、S65、E66、Q103、H106、G108、H110、S145、N146、Y148、D149、V150、F151、およびL152、または配列番号:78のアミノ酸P33、S37、D64、S65、E66、Q103、H106、G108、H110、S145、N146、Y148、D149、I150、F151、およびL152を含む不連続エピトープに結合する、請求項4に記載の抗体。
【請求項6】
配列番号:2のアミノ酸配列を含むHVR-H1、配列番号:3のアミノ酸配列を含むHVR-H2、配列番号:4のアミノ酸配列を含むHVR-H3、配列番号:6のアミノ酸配列を含むHVR-L1、配列番号:7のアミノ酸配列を含むHVR-L2、および配列番号:8のアミノ酸配列を含むHVR-L3を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の抗体。
【請求項7】
配列番号:1のアミノ酸配列を有するVH配列および配列番号:5のアミノ酸配列を有するVL配列を含む、請求項6に記載の抗体。
【請求項8】
請求項6もしくは7のいずれか一項に記載の抗体と同じエピトープに結合するか、またはDDR2に対する結合において請求項6もしくは7のいずれか一項に記載の抗体と競合する、抗体。
【請求項9】
ヒト抗体、ヒト化抗体、またはキメラ抗体である、請求項1~8のいずれか一項に記載の抗体。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか一項に記載の抗体をコードする、単離された核酸。
【請求項11】
請求項10に記載の核酸を含む、宿主細胞。
【請求項12】
抗体を製造する方法であって、抗体が製造されるように請求項11に記載の宿主細胞を培養することを含む、方法。
【請求項13】
医薬としての使用のための、請求項1~9のいずれか一項に記載の抗体。
【請求項14】
被験体中のコラーゲン1型α1(Col1a1)mRNAレベルおよび/またはフィブロネクチン1(Fn1)mRNAレベルの低減における使用のための、請求項1~9のいずれか一項に記載の抗体。
【請求項15】
線維性疾患の治療における使用のための、請求項1~9のいずれか一項に記載の抗体。
【請求項16】
前記線維性疾患が、特発性肺線維症(IPF)、腎線維症、肝線維症、皮膚線維症、肝硬変、肺臓線維症(lung fibrosis)/肺線維症(pulmonary fibrosis)、心筋線維症、眼線維症、骨髄線維症、加齢黄斑変性(AMD)、糖尿病性網膜症、増殖性硝子体網膜症(PVR)、緑内障、糖尿病性黄斑浮腫(DME)、ドライアイ疾患、強皮症肺疾患、中等度から重度の喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)、関節リウマチ関連間質性肺疾患(RA-ILD)、MI後の心臓瘢痕、心筋症、うっ血性心不全、アルコール性肝硬変、B型肝炎(HBV)、C型肝炎(HCV)、住血吸虫症、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、原発性胆汁性胆管炎(PBC)、原発性硬化性胆管炎(PSC)、移植腎症、糖尿病性腎症、ループス腎炎、巣状分節性糸球体硬化症、アルポート症候群、間質性線維症、肥厚性瘢痕、ケロイド、強皮症、腎性全身性線維症、慢性移植片対宿主病、アテローム性動脈硬化症、嚢胞性線維症、手術誘導性線維症、熱傷誘導性瘢痕および収縮、放射線誘導性線維症、筋ジストロフィー、炎症性腸疾患(IBD)、縦隔線維症、または後腹膜線維症であり、特に、該線維性疾患が、肺線維性疾患、より詳細には特発性肺線維症(IPF)である、請求項15に記載の使用のための抗体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、抗DDR2抗体およびその使用方法に関する。
【0002】
背景技術
ディスコイジンドメイン受容体(DDR)は、哺乳動物細胞において広く発現している受容体チロシンキナーゼ(RTK)である。DDRは、他のRTKとは異なり、組織中の主要なECM成分の1つであるコラーゲンによって活性化されるが、拡散性のサイトカインによっても成長因子によっても活性化されない(非特許文献1)。加えて、DDRはまた、緩徐かつ持続的な活性化/不活性化動態を示す通り、RTKの独特のグループでもある(非特許文献1、非特許文献2)。
【0003】
DDRファミリーは、DDR1およびDDR2の2つのメンバーを含有する(非特許文献1)。DDR2の細胞外領域は、N末端のディスコイジン(DS)ドメイン、それに続くDS様(DSL)ドメイン、および細胞外膜近傍(EJXM)ドメインから構成されている(非特許文献3、非特許文献4)。DDR2のDSドメインは、コラーゲン結合を担うことが報告されている(非特許文献5)。しかし、残りの細胞外ドメインの生物学的機能は、未だ不明である。
【0004】
DDR2は、がん、変形性関節症、および種々の線維性疾患に関係している(非特許文献6、非特許文献7)。線維症は、多くの慢性疾患の合併症であり、進行性線維症は、臓器不全または死亡につながる可能性がある。線維症は主に、活性化された線維芽細胞の蓄積、および細胞外マトリックス成分、特にコラーゲンの不均衡な沈着/分解を特徴とする(非特許文献8)。DDR2は、コラーゲン受容体として、他のタイプと比較して、線維芽細胞などの間葉起源細胞において高発現している(非特許文献9)。さらに、DDR2はまた、線維症発症中に線維芽細胞の増殖、遊走、および活性化において重要な役割を果たす(非特許文献10、非特許文献11)。がん治療に用いられるDDR2に対する抗体が得られている(特許文献1)。しかし、DDR2が種々の線維性疾患に対する有効な治療標的であるか否かは、評価されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】W. Vogel, G. D. Gish, F. Alves, T. Pawson, The discoidin domain receptor tyrosine kinases are activated by collagen. Molecular cell 1, 13-23 (1997).
【非特許文献2】A. Shrivastava et al., An orphan receptor tyrosine kinase family whose members serve as nonintegrin collagen receptors. Molecular cell 1, 25-34 (1997).
【非特許文献3】S. Baumgartner, K. Hofmann, R. Chiquet-Ehrismann, P. Bucher, The discoidin domain family revisited: new members from prokaryotes and a homology-based fold prediction. Protein science : a publication of the Protein Society 7, 1626-1631 (1998).
【非特許文献4】M. A. Lemmon, J. Schlessinger, Cell signaling by receptor tyrosine kinases. Cell 141, 1117-1134 (2010).
【非特許文献5】B. Leitinger, Molecular analysis of collagen binding by the human discoidin domain receptors, DDR1 and DDR2. Identification of collagen binding sites in DDR2. The Journal of biological chemistry 278, 16761-16769 (2003).
【非特許文献6】C. M. Borza, A. Pozzi, Discoidin domain receptors in disease. Matrix biology : journal of the International Society for Matrix Biology 34, 185-192 (2014).
【非特許文献7】B. Leitinger, Discoidin domain receptor functions in physiological and pathological conditions. Int Rev Cell Mol Biol 310, 39-87 (2014).
【非特許文献8】T. A. Wynn, T. R. Ramalingam, Mechanisms of fibrosis: therapeutic translation for fibrotic disease. Nat Med 18, 1028-1040 (2012).
【非特許文献9】F. Alves et al., Distinct structural characteristics of discoidin I subfamily receptor tyrosine kinases and complementary expression in human cancer. Oncogene 10, 609-618 (1995).
【非特許文献10】E. Olaso et al., Discoidin Domain Receptor 2 Regulates Fibroblast Proliferation and Migration through the Extracellular Matrix in Association with Transcriptional Activation of Matrix Metalloproteinase-2 *. Journal of Biological Chemistry 277, 3606-3613 (2002).
【非特許文献11】H. Zhao et al., Targeting of Discoidin Domain Receptor 2 (DDR2) Prevents Myofibroblast Activation and Neovessel Formation During Pulmonary Fibrosis. Mol Ther 24, 1734-1744 (2016).
【非特許文献12】K. Roach et al., Evaluation of Pirfenidone and Nintedanib in a Human Lung Model of Fibrogenesis. Front. Pharmacol. 12, 679388 (2021).
【非特許文献13】E. Conte et al., Molecular mechanisms of pirfenidone activity in human lung fibroblasts. European Respiratory Journal 44, P825 (2014).
【非特許文献14】L. Wollin et al., Mode of action of nintedanib in the treatment of idiopathic pulmonary fibrosis. European Respiratory Journal 45, 1434-1445 (2015).
【非特許文献15】L. Chen et al., Recent Advances in the Role of Discoidin Domain Receptor Tyrosine Kinase 1 and Discoidin Domain Receptor Tyrosine Kinase 2 in Breast and Ovarian Cancer. Front. Cell Dev. Biol 9, 747314 (2021).
【非特許文献16】S. Jia et al., Discoidin Domain Receptor 2 Signaling Regulates Fibroblast Apoptosis through PDK1/Akt. American Journal of Respiratory Cell and Molecular Biology 59(3), 295-305 (2018).
【非特許文献17】WA Denny et al., Inhibitors of Discoidin Domain Receptor (DDR) Kinases for Cancer and Inflammation. Biomolecules 11(11), 1671 (2021).
【非特許文献18】J Tashiro et al., Exploring Animal Models that Resemble Idiopathic Pulmonary Fibrosis. Front Med 4, 118 (2017).
【非特許文献19】T Liu et al., The Bleomycin Model of Pulmonary Fibrosis. Methods Mol Biol 1627, 27-42 (2017).
【非特許文献20】D Toren et al., Systems biology analysis of lung fibrosis-related genes in the bleomycin mouse model. Sci Rep 11, 19269 (2021).
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、抗DDR2抗体およびその使用方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示は、以下を提供する。
[A1]ディスコイジンドメイン受容体2(DDR2)に結合する、単離された抗体。
[A2]DDR2の細胞外領域に結合する、単離された抗体。
[A3]DDR2のディスコイジンドメイン(DSドメイン)、ディスコイジン様ドメイン(DSLドメイン)、または細胞外膜近傍ドメイン(EJXMドメイン)に結合する、単離された抗体。
[A4]ヒトDDR2および/またはマウスDDR2に結合する、[A1]~[A3]のいずれか1つの抗体。
[A5]配列番号:78に示されるアミノ酸配列を含むヒトDDR2、および/または配列番号:77に示されるアミノ酸配列を含むマウスDDR2に結合する、[A1]~[A3]のいずれか1つの抗体。
[A6]DDR1に結合しない、[A1]~[A5]のいずれか1つの抗体。
[A7]ヒトDDR1a、ヒトDDR1b、ヒトDDR1c、ヒトDDR1d、ヒトDDR1e、および/またはマウスDDR1に結合しない、[A1]~[A5]のいずれか1つの抗体。
[A8]配列番号:81に示されるアミノ酸配列を含むヒトDDR1a、配列番号:80に示されるアミノ酸配列を含むヒトDDR1b、配列番号:82に示されるアミノ酸配列を含むヒトDDR1c、配列番号:83に示されるアミノ酸配列を含むヒトDDR1d、配列番号:84に示されるアミノ酸配列を含むヒトDDR1e、および/または配列番号:79に示されるアミノ酸配列を含むマウスDDR1に結合しない、[A6]または[A7]のいずれか1つの抗体。
[A9]配列番号:78のアミノ酸22~399の領域に結合する、[A1]~[A8]のいずれか1つの抗体。
[A10]配列番号:78のアミノ酸22~191の領域、またはアミノ酸32~184の領域、またはアミノ酸30~185の領域、またはアミノ酸28~187の領域に結合する、[A1]~[A9]のいずれか1つの抗体。
[A11]配列番号:78のアミノ酸200~367の領域、またはアミノ酸188~367の領域に結合する、[A1]~[A9]のいずれか1つの抗体。
[A12]配列番号:78のアミノ酸368~399の領域に結合する、[A1]~[A9]のいずれか1つの抗体。
[A13]配列番号:77のアミノ酸24~399の領域、またはアミノ酸22~399の領域に結合する、[A1]~[A12]のいずれか1つの抗体。
[A14]配列番号:77のアミノ酸24~191の領域、またはアミノ酸32~184の領域、またはアミノ酸30~185の領域、またはアミノ酸28~187の領域に結合する、[A1]~[A13]のいずれか1つの抗体。
[A15]配列番号:77のアミノ酸200~367の領域、またはアミノ酸188~367の領域に結合する、[A1]~[A13]のいずれか1つの抗体。
[A16]配列番号:77のアミノ酸368~399の領域に結合する、[A1]~[A13]のいずれか1つの抗体。
[A17]配列番号:77のアミノ酸201~393の領域に結合する、[A1]~[A13]のいずれか1つの抗体。
[A18]配列番号:77のアミノ酸24~200の領域に結合する、[A1]~[A13]のいずれか1つの抗体。
[A19]配列番号:79のアミノ酸22~415の領域に結合しない、[A1]~[A18]のいずれか1つの抗体。
[A20]配列番号:81のアミノ酸21~417の領域に結合しない、[A1]~[A19]のいずれか1つの抗体。
[A21]配列番号:80のアミノ酸21~417の領域に結合しない、[A1]~[A20]のいずれか1つの抗体。
[A22]配列番号:82のアミノ酸21~417の領域に結合しない、[A1]~[A21]のいずれか1つの抗体。
[A23]配列番号:83のアミノ酸21~417の領域に結合しない、[A1]~[A22]のいずれか1つの抗体。
[A24]配列番号:84のアミノ酸21~417の領域に結合しない、[A1]~[A23]のいずれか1つの抗体。
[A25]以下の(a1)~(a9)のいずれか1つを含む、[A1]~[A24]のいずれか1つの抗体:
(a1)配列番号:2のアミノ酸配列を含むHVR-H1、配列番号:3のアミノ酸配列を含むHVR-H2、および配列番号:4のアミノ酸配列を含むHVR-H3;
(a2)配列番号:10のアミノ酸配列を含むHVR-H1、配列番号:11のアミノ酸配列を含むHVR-H2、および配列番号:12のアミノ酸配列を含むHVR-H3;
(a3)配列番号:18のアミノ酸配列を含むHVR-H1、配列番号:19のアミノ酸配列を含むHVR-H2、および配列番号:20のアミノ酸配列を含むHVR-H3;
(a4)配列番号:26のアミノ酸配列を含むHVR-H1、配列番号:27のアミノ酸配列を含むHVR-H2、および配列番号:28のアミノ酸配列を含むHVR-H3;
(a5)配列番号:34のアミノ酸配列を含むHVR-H1、配列番号:35のアミノ酸配列を含むHVR-H2、および配列番号:36のアミノ酸配列を含むHVR-H3;
(a6)配列番号:42のアミノ酸配列を含むHVR-H1、配列番号:43のアミノ酸配列を含むHVR-H2、および配列番号:44のアミノ酸配列を含むHVR-H3;
(a7)配列番号:50のアミノ酸配列を含むHVR-H1、配列番号:51のアミノ酸配列を含むHVR-H2、および配列番号:52のアミノ酸配列を含むHVR-H3;
(a8)配列番号:58のアミノ酸配列を含むHVR-H1、配列番号:59のアミノ酸配列を含むHVR-H2、および配列番号:60のアミノ酸配列を含むHVR-H3;
(a9)配列番号:66のアミノ酸配列を含むHVR-H1、配列番号:67のアミノ酸配列を含むHVR-H2、および配列番号:68のアミノ酸配列を含むHVR-H3。
[A26]以下の(b1)~(b9)のいずれか1つをさらに含む、[A25]の抗体:
(b1)配列番号:6のアミノ酸配列を含むHVR-L1、配列番号:7のアミノ酸配列を含むHVR-L2、および配列番号:8のアミノ酸配列を含むHVR-L3;
(b2)配列番号:14のアミノ酸配列を含むHVR-L1、配列番号:15のアミノ酸配列を含むHVR-L2、および配列番号:16のアミノ酸配列を含むHVR-L3;
(b3)配列番号:22のアミノ酸配列を含むHVR-L1、配列番号:23のアミノ酸配列を含むHVR-L2、および配列番号:24のアミノ酸配列を含むHVR-L3;
(b4)配列番号:30のアミノ酸配列を含むHVR-L1、配列番号:31のアミノ酸配列を含むHVR-L2、および配列番号:32のアミノ酸配列を含むHVR-L3;
(b5)配列番号:38のアミノ酸配列を含むHVR-L1、配列番号:39のアミノ酸配列を含むHVR-L2、および配列番号:40のアミノ酸配列を含むHVR-L3;
(b6)配列番号:46のアミノ酸配列を含むHVR-L1、配列番号:47のアミノ酸配列を含むHVR-L2、および配列番号:48のアミノ酸配列を含むHVR-L3;
(b7)配列番号:54のアミノ酸配列を含むHVR-L1、配列番号:55のアミノ酸配列を含むHVR-L2、および配列番号:56のアミノ酸配列を含むHVR-L3;
(b8)配列番号:62のアミノ酸配列を含むHVR-L1、配列番号:63のアミノ酸配列を含むHVR-L2、および配列番号:64のアミノ酸配列を含むHVR-L3;
(b9)配列番号:70のアミノ酸配列を含むHVR-L1、配列番号:71のアミノ酸配列を含むHVR-L2、および配列番号:72のアミノ酸配列を含むHVR-L3。
[A27]以下の(c1)~(c11)のいずれか1つである、[A1]~[A26]のいずれか1つの抗体:
(c1)配列番号:2のアミノ酸配列を含むHVR-H1、配列番号:3のアミノ酸配列を含むHVR-H2、配列番号:4のアミノ酸配列を含むHVR-H3、配列番号:6のアミノ酸配列を含むHVR-L1、配列番号:7のアミノ酸配列を含むHVR-L2、および配列番号:8のアミノ酸配列を含むHVR-L3を含む、抗体;
(c2)配列番号:10のアミノ酸配列を含むHVR-H1、配列番号:11のアミノ酸配列を含むHVR-H2、配列番号:12のアミノ酸配列を含むHVR-H3、配列番号:14のアミノ酸配列を含むHVR-L1、配列番号:15のアミノ酸配列を含むHVR-L2、および配列番号:16のアミノ酸配列を含むHVR-L3を含む、抗体;
(c3)配列番号:18のアミノ酸配列を含むHVR-H1、配列番号:19のアミノ酸配列を含むHVR-H2、配列番号:20のアミノ酸配列を含むHVR-H3、配列番号:22のアミノ酸配列を含むHVR-L1、配列番号:23のアミノ酸配列を含むHVR-L2、および配列番号:24のアミノ酸配列を含むHVR-L3を含む、抗体;
(c4)配列番号:26のアミノ酸配列を含むHVR-H1、配列番号:27のアミノ酸配列を含むHVR-H2、配列番号:28のアミノ酸配列を含むHVR-H3、配列番号:30のアミノ酸配列を含むHVR-L1、配列番号:31のアミノ酸配列を含むHVR-L2、および配列番号:32のアミノ酸配列を含むHVR-L3を含む、抗体;
(c5)配列番号:34のアミノ酸配列を含むHVR-H1、配列番号:35のアミノ酸配列を含むHVR-H2、配列番号:36のアミノ酸配列を含むHVR-H3、配列番号:38のアミノ酸配列を含むHVR-L1、配列番号:39のアミノ酸配列を含むHVR-L2、および配列番号:40のアミノ酸配列を含むHVR-L3を含む、抗体;
(c6)配列番号:42のアミノ酸配列を含むHVR-H1、配列番号:43のアミノ酸配列を含むHVR-H2、配列番号:44のアミノ酸配列を含むHVR-H3、配列番号:46のアミノ酸配列を含むHVR-L1、配列番号:47のアミノ酸配列を含むHVR-L2、および配列番号:48のアミノ酸配列を含むHVR-L3を含む、抗体;
(c7)配列番号:50のアミノ酸配列を含むHVR-H1、配列番号:51のアミノ酸配列を含むHVR-H2、配列番号:52のアミノ酸配列を含むHVR-H3、配列番号:54のアミノ酸配列を含むHVR-L1、配列番号:55のアミノ酸配列を含むHVR-L2、および配列番号:56のアミノ酸配列を含むHVR-L3を含む、抗体;
(c8)配列番号:58のアミノ酸配列を含むHVR-H1、配列番号:59のアミノ酸配列を含むHVR-H2、配列番号:60のアミノ酸配列を含むHVR-H3、配列番号:62のアミノ酸配列を含むHVR-L1、配列番号:63のアミノ酸配列を含むHVR-L2、および配列番号:64のアミノ酸配列を含むHVR-L3を含む、抗体;
(c9)配列番号:66のアミノ酸配列を含むHVR-H1、配列番号:67のアミノ酸配列を含むHVR-H2、配列番号:68のアミノ酸配列を含むHVR-H3、配列番号:70のアミノ酸配列を含むHVR-L1、配列番号:71のアミノ酸配列を含むHVR-L2、および配列番号:72のアミノ酸配列を含むHVR-L3を含む、抗体;
(c10)(c1)~(c9)のいずれか1つと同じエピトープに結合する抗体;
(c11)DDR2に対する結合において(c1)~(c9)のいずれか1つと競合する抗体。
[A28]以下の(d1)~(d10)のいずれか1つである、[A1]~[A27]のいずれか1つの抗体:
(d1)配列番号:1のアミノ酸配列を有するVH配列および配列番号:5のアミノ酸配列を有するVL配列を含む、抗体;
(d2)配列番号:9のアミノ酸配列を有するVH配列および配列番号:13のアミノ酸配列を有するVL配列を含む、抗体;
(d3)配列番号:17のアミノ酸配列を有するVH配列および配列番号:21のアミノ酸配列を有するVL配列を含む、抗体;
(d4)配列番号:25のアミノ酸配列を有するVH配列および配列番号:29のアミノ酸配列を有するVL配列を含む、抗体;
(d5)配列番号:33のアミノ酸配列を有するVH配列および配列番号:37のアミノ酸配列を有するVL配列を含む、抗体;
(d6)配列番号:41のアミノ酸配列を有するVH配列および配列番号:45のアミノ酸配列を有するVL配列を含む、抗体;
(d7)配列番号:49のアミノ酸配列を有するVH配列および配列番号:53のアミノ酸配列を有するVL配列を含む、抗体;
(d8)配列番号:57のアミノ酸配列を有するVH配列および配列番号:61のアミノ酸配列を有するVL配列を含む、抗体;
(d9)配列番号:65のアミノ酸配列を有するVH配列および配列番号:69のアミノ酸配列を有するVL配列を含む、抗体;
(d10)(i)配列番号:1、9、17、25、33、41、49、57、および65のアミノ酸配列のいずれか1つに対して少なくとも95%の配列同一性を有するVH配列;(ii)配列番号:5、13、21、29、37、45、53、61、および69のアミノ酸配列のいずれか1つに対して少なくとも95%の配列同一性を有するVL配列;または(iii)(i)におけるVH配列および(ii)におけるVL配列を含む、抗体。
[A29]以下の(e1)~(e10)のいずれか1つである、[A1]~[A28]のいずれかの抗体:
(e1)配列番号:85のアミノ酸配列を有する重鎖および配列番号:86のアミノ酸配列を有する軽鎖を含む、抗体;
(e2)配列番号:87のアミノ酸配列を有する重鎖および配列番号:88のアミノ酸配列を有する軽鎖を含む、抗体;
(e3)配列番号:89のアミノ酸配列を有する重鎖および配列番号:90のアミノ酸配列を有する軽鎖を含む、抗体;
(e4)配列番号:91のアミノ酸配列を有する重鎖および配列番号:92のアミノ酸配列を有する軽鎖を含む、抗体;
(e5)配列番号:93のアミノ酸配列を有する重鎖および配列番号:94のアミノ酸配列を有する軽鎖を含む、抗体;
(e6)配列番号:95のアミノ酸配列を有する重鎖および配列番号:96のアミノ酸配列を有する軽鎖を含む、抗体;
(e7)配列番号:97のアミノ酸配列を有する重鎖および配列番号:98のアミノ酸配列を有する軽鎖を含む、抗体;
(e8)配列番号:99のアミノ酸配列を有する重鎖および配列番号:100のアミノ酸配列を有する軽鎖を含む、抗体;
(e9)配列番号:101のアミノ酸配列を有する重鎖および配列番号:102のアミノ酸配列を有する軽鎖を含む、抗体;
(e10)(i)配列番号:85、87、89、91、93、95、97、99、および101のアミノ酸配列のいずれか1つに対して少なくとも95%の配列同一性を有する重鎖;(ii)配列番号:86、88、90、92、94、96、98、100、および102のアミノ酸配列のいずれか1つに対して少なくとも95%の配列同一性を有する軽鎖;または(iii)(i)における重鎖配列および(ii)における軽鎖配列を含む、抗体。
[A30]モノクローナル抗体である、[A1]~[A29]のいずれか1つの抗体。
[A31]ヒト抗体、ヒト化抗体、またはキメラ抗体である、[A1]~[A30]のいずれか1つの抗体。
[A32]DDR2に結合する抗体断片である、[A1]~[A31]のいずれか1つの抗体。
[A33]ディスコイジンドメイン受容体2(DDR2)に結合し、かつ以下のいずれか1つを含む抗体と同じエピトープに結合する、単離された抗体:
(c1)配列番号:2のアミノ酸配列を含むHVR-H1、配列番号:3のアミノ酸配列を含むHVR-H2、および配列番号:4のアミノ酸配列を含むHVR-H3、ならびに配列番号:6のアミノ酸配列を含むHVR-L1、配列番号:7のアミノ酸配列を含むHVR-L2、および配列番号:8のアミノ酸配列を含むHVR-L3;
(c2)配列番号:10のアミノ酸配列を含むHVR-H1、配列番号:11のアミノ酸配列を含むHVR-H2、および配列番号:12のアミノ酸配列を含むHVR-H3;ならびに配列番号:14のアミノ酸配列を含むHVR-L1、配列番号:15のアミノ酸配列を含むHVR-L2、および配列番号:16のアミノ酸配列を含むHVR-L3;
(c3)配列番号:18のアミノ酸配列を含むHVR-H1、配列番号:19のアミノ酸配列を含むHVR-H2、および配列番号:20のアミノ酸配列を含むHVR-H3;ならびに配列番号:22のアミノ酸配列を含むHVR-L1、配列番号:23のアミノ酸配列を含むHVR-L2、および配列番号:24のアミノ酸配列を含むHVR-L3;
(c4)配列番号:26のアミノ酸配列を含むHVR-H1、配列番号:27のアミノ酸配列を含むHVR-H2、および配列番号:28のアミノ酸配列を含むHVR-H3;ならびに配列番号:30のアミノ酸配列を含むHVR-L1、配列番号:31のアミノ酸配列を含むHVR-L2、および配列番号:32のアミノ酸配列を含むHVR-L3;
(c5)配列番号:34のアミノ酸配列を含むHVR-H1、配列番号:35のアミノ酸配列を含むHVR-H2、および配列番号:36のアミノ酸配列を含むHVR-H3;ならびに配列番号:38のアミノ酸配列を含むHVR-L1、配列番号:39のアミノ酸配列を含むHVR-L2、および配列番号:40のアミノ酸配列を含むHVR-L3;
(c6)配列番号:42のアミノ酸配列を含むHVR-H1、配列番号:43のアミノ酸配列を含むHVR-H2、および配列番号:44のアミノ酸配列を含むHVR-H3;ならびに配列番号:46のアミノ酸配列を含むHVR-L1、配列番号:47のアミノ酸配列を含むHVR-L2、および配列番号:48のアミノ酸配列を含むHVR-L3;
(c7)配列番号:50のアミノ酸配列を含むHVR-H1、配列番号:51のアミノ酸配列を含むHVR-H2、および配列番号:52のアミノ酸配列を含むHVR-H3;ならびに配列番号:54のアミノ酸配列を含むHVR-L1、配列番号:55のアミノ酸配列を含むHVR-L2、および配列番号:56のアミノ酸配列を含むHVR-L3;
(c8)配列番号:58のアミノ酸配列を含むHVR-H1、配列番号:59のアミノ酸配列を含むHVR-H2、および配列番号:60のアミノ酸配列を含むHVR-H3;ならびに配列番号:62のアミノ酸配列を含むHVR-L1、配列番号:63のアミノ酸配列を含むHVR-L2、および配列番号:64のアミノ酸配列を含むHVR-L3;
(c9)配列番号:66のアミノ酸配列を含むHVR-H1、配列番号:67のアミノ酸配列を含むHVR-H2、および配列番号:68のアミノ酸配列を含むHVR-H3;ならびに配列番号:70のアミノ酸配列を含むHVR-L1、配列番号:71のアミノ酸配列を含むHVR-L2、および配列番号:72のアミノ酸配列を含むHVR-L3。
[A34]ディスコイジンドメイン受容体2(DDR2)に結合し、かつDDR2に対する結合において(c1)~(c9)のいずれか1つと競合する、単離された抗体:
(c1)配列番号:2のアミノ酸配列を含むHVR-H1、配列番号:3のアミノ酸配列を含むHVR-H2、および配列番号:4のアミノ酸配列を含むHVR-H3、ならびに配列番号:6のアミノ酸配列を含むHVR-L1、配列番号:7のアミノ酸配列を含むHVR-L2、および配列番号:8のアミノ酸配列を含むHVR-L3;
(c2)配列番号:10のアミノ酸配列を含むHVR-H1、配列番号:11のアミノ酸配列を含むHVR-H2、および配列番号:12のアミノ酸配列を含むHVR-H3;ならびに配列番号:14のアミノ酸配列を含むHVR-L1、配列番号:15のアミノ酸配列を含むHVR-L2、および配列番号:16のアミノ酸配列を含むHVR-L3;
(c3)配列番号:18のアミノ酸配列を含むHVR-H1、配列番号:19のアミノ酸配列を含むHVR-H2、および配列番号:20のアミノ酸配列を含むHVR-H3;ならびに配列番号:22のアミノ酸配列を含むHVR-L1、配列番号:23のアミノ酸配列を含むHVR-L2、および配列番号:24のアミノ酸配列を含むHVR-L3;
(c4)配列番号:26のアミノ酸配列を含むHVR-H1、配列番号:27のアミノ酸配列を含むHVR-H2、および配列番号:28のアミノ酸配列を含むHVR-H3;ならびに配列番号:30のアミノ酸配列を含むHVR-L1、配列番号:31のアミノ酸配列を含むHVR-L2、および配列番号:32のアミノ酸配列を含むHVR-L3;
(c5)配列番号:34のアミノ酸配列を含むHVR-H1、配列番号:35のアミノ酸配列を含むHVR-H2、および配列番号:36のアミノ酸配列を含むHVR-H3;ならびに配列番号:38のアミノ酸配列を含むHVR-L1、配列番号:39のアミノ酸配列を含むHVR-L2、および配列番号:40のアミノ酸配列を含むHVR-L3;
(c6)配列番号:42のアミノ酸配列を含むHVR-H1、配列番号:43のアミノ酸配列を含むHVR-H2、および配列番号:44のアミノ酸配列を含むHVR-H3;ならびに配列番号:46のアミノ酸配列を含むHVR-L1、配列番号:47のアミノ酸配列を含むHVR-L2、および配列番号:48のアミノ酸配列を含むHVR-L3;
(c7)配列番号:50のアミノ酸配列を含むHVR-H1、配列番号:51のアミノ酸配列を含むHVR-H2、および配列番号:52のアミノ酸配列を含むHVR-H3;ならびに配列番号:54のアミノ酸配列を含むHVR-L1、配列番号:55のアミノ酸配列を含むHVR-L2、および配列番号:56のアミノ酸配列を含むHVR-L3;
(c8)配列番号:58のアミノ酸配列を含むHVR-H1、配列番号:59のアミノ酸配列を含むHVR-H2、および配列番号:60のアミノ酸配列を含むHVR-H3;ならびに配列番号:62のアミノ酸配列を含むHVR-L1、配列番号:63のアミノ酸配列を含むHVR-L2、および配列番号:64のアミノ酸配列を含むHVR-L3;
(c9)配列番号:66のアミノ酸配列を含むHVR-H1、配列番号:67のアミノ酸配列を含むHVR-H2、および配列番号:68のアミノ酸配列を含むHVR-H3;ならびに配列番号:70のアミノ酸配列を含むHVR-L1、配列番号:71のアミノ酸配列を含むHVR-L2、および配列番号:72のアミノ酸配列を含むHVR-L3。
[A35]ディスコイジンドメイン受容体2(DDR2)に結合し、かつ以下の抗体と同じエピトープに結合する、単離された抗体:
(d1)配列番号:1のアミノ酸配列を有するVH配列および配列番号:5のアミノ酸配列を有するVL配列を含む、抗体;
(d2)配列番号:9のアミノ酸配列を有するVH配列および配列番号:13のアミノ酸配列を有するVL配列を含む、抗体;
(d3)配列番号:17のアミノ酸配列を有するVH配列および配列番号:21のアミノ酸配列を有するVL配列を含む、抗体;
(d4)配列番号:25のアミノ酸配列を有するVH配列および配列番号:29のアミノ酸配列を有するVL配列を含む、抗体;
(d5)配列番号:33のアミノ酸配列を有するVH配列および配列番号:37のアミノ酸配列を有するVL配列を含む、抗体;
(d6)配列番号:41のアミノ酸配列を有するVH配列および配列番号:45のアミノ酸配列を有するVL配列を含む、抗体;
(d7)配列番号:49のアミノ酸配列を有するVH配列および配列番号:53のアミノ酸配列を有するVL配列を含む、抗体;
(d8)配列番号:57のアミノ酸配列を有するVH配列および配列番号:61のアミノ酸配列を有するVL配列を含む、抗体;
(d9)配列番号:65のアミノ酸配列を有するVH配列および配列番号:69のアミノ酸配列を有するVL配列を含む、抗体。
[A36]ディスコイジンドメイン受容体2(DDR2)に結合し、かつDDR2に対する結合において(d1)~(d9)のいずれか1つと競合する、単離された抗体:
(d1)配列番号:1のアミノ酸配列を有するVH配列および配列番号:5のアミノ酸配列を有するVL配列を含む、抗体;
(d2)配列番号:9のアミノ酸配列を有するVH配列および配列番号:13のアミノ酸配列を有するVL配列を含む、抗体;
(d3)配列番号:17のアミノ酸配列を有するVH配列および配列番号:21のアミノ酸配列を有するVL配列を含む、抗体;
(d4)配列番号:25のアミノ酸配列を有するVH配列および配列番号:29のアミノ酸配列を有するVL配列を含む、抗体;
(d5)配列番号:33のアミノ酸配列を有するVH配列および配列番号:37のアミノ酸配列を有するVL配列を含む、抗体;
(d6)配列番号:41のアミノ酸配列を有するVH配列および配列番号:45のアミノ酸配列を有するVL配列を含む、抗体;
(d7)配列番号:49のアミノ酸配列を有するVH配列および配列番号:53のアミノ酸配列を有するVL配列を含む、抗体;
(d8)配列番号:57のアミノ酸配列を有するVH配列および配列番号:61のアミノ酸配列を有するVL配列を含む、抗体;
(d9)配列番号:65のアミノ酸配列を有するVH配列および配列番号:69のアミノ酸配列を有するVL配列を含む、抗体。
[A37]ディスコイジンドメイン受容体2(DDR2)に結合し、かつ以下の抗体と同じエピトープに結合する、単離された抗体:
(e1)配列番号:85のアミノ酸配列を有する重鎖および配列番号:86のアミノ酸配列を有する軽鎖を含む、抗体;
(e2)配列番号:87のアミノ酸配列を有する重鎖および配列番号:88のアミノ酸配列を有する軽鎖を含む、抗体;
(e3)配列番号:89のアミノ酸配列を有する重鎖および配列番号:90のアミノ酸配列を有する軽鎖を含む、抗体;
(e4)配列番号:91のアミノ酸配列を有する重鎖および配列番号:92のアミノ酸配列を有する軽鎖を含む、抗体;
(e5)配列番号:93のアミノ酸配列を有する重鎖および配列番号:94のアミノ酸配列を有する軽鎖を含む、抗体;
(e6)配列番号:95のアミノ酸配列を有する重鎖および配列番号:96のアミノ酸配列を有する軽鎖を含む、抗体;
(e7)配列番号:97のアミノ酸配列を有する重鎖および配列番号:98のアミノ酸配列を有する軽鎖を含む、抗体;
(e8)配列番号:99のアミノ酸配列を有する重鎖および配列番号:100のアミノ酸配列を有する軽鎖を含む、抗体;
(e9)配列番号:101のアミノ酸配列を有する重鎖および配列番号:102のアミノ酸配列を有する軽鎖を含む、抗体。
[A38]ディスコイジンドメイン受容体2(DDR2)に結合し、かつDDR2に対する結合において(e1)~(e9)のいずれか1つと競合する、単離された抗体:
(e1)配列番号:85のアミノ酸配列を有する重鎖および配列番号:86のアミノ酸配列を有する軽鎖を含む、抗体;
(e2)配列番号:87のアミノ酸配列を有する重鎖および配列番号:88のアミノ酸配列を有する軽鎖を含む、抗体;
(e3)配列番号:89のアミノ酸配列を有する重鎖および配列番号:90のアミノ酸配列を有する軽鎖を含む、抗体;
(e4)配列番号:91のアミノ酸配列を有する重鎖および配列番号:92のアミノ酸配列を有する軽鎖を含む、抗体;
(e5)配列番号:93のアミノ酸配列を有する重鎖および配列番号:94のアミノ酸配列を有する軽鎖を含む、抗体;
(e6)配列番号:95のアミノ酸配列を有する重鎖および配列番号:96のアミノ酸配列を有する軽鎖を含む、抗体;
(e7)配列番号:97のアミノ酸配列を有する重鎖および配列番号:98のアミノ酸配列を有する軽鎖を含む、抗体;
(e8)配列番号:99のアミノ酸配列を有する重鎖および配列番号:100のアミノ酸配列を有する軽鎖を含む、抗体;
(e9)配列番号:101のアミノ酸配列を有する重鎖および配列番号:102のアミノ酸配列を有する軽鎖を含む、抗体。
[A39]エピトープが、X線回折解析によって決定される、[A33]または[A35]または[A37]の抗体。
[A40]配列番号:77または78のアミノ酸31~179によって定義される配列の全部または一部を含むエピトープでDDR2に結合する、[A1]~[A39]のいずれかの抗体。
[A41]配列番号:77のアミノ酸R31、P33、S37、D64、S65、E66、Q103、H106、A107、G108、H110、S145、N146、Y148、D149、V150、F151、L152、D154、およびR179の少なくとも1つもしくは複数、またはすべてに結合する、[A40]の抗体。
[A42]配列番号:77のアミノ酸P33、S37、D64、S65、E66、Q103、H106、G108、H110、S145、N146、Y148、D149、V150、F151、およびL152の少なくとも1つもしくは複数、またはすべてに結合する、[A41]の抗体。
[A43]配列番号:78のアミノ酸R31、P33、S37、D64、S65、E66、Q103、H106、A107、G108、H110、S145、N146、Y148、D149、I150、F151、L152、D154、およびR179の少なくとも1つもしくは複数、またはすべてに結合する、[A40]の抗体。
[A44]配列番号:78のアミノ酸P33、S37、D64、S65、E66、Q103、H106、G108、H110、S145、N146、Y148、D149、I150、F151、およびL152の少なくとも1つもしくは複数、またはすべてに結合する、[A43]の抗体。
【0009】
本開示はまた、以下も提供する。
[B1][A1]~[A44]のいずれか1つの抗体をコードする、単離された核酸。
[B2][B1]の核酸を含む、宿主細胞。
[B3]抗体を製造する方法であって、抗体が製造されるように[B2]の宿主細胞を培養することを含む、方法。
[B4]前記宿主細胞から前記抗体を回収することをさらに含む、[B3]の方法。
[B5][A1]~[A44]のいずれか1つの抗体および細胞傷害剤を含む、イムノコンジュゲート。
【0010】
本開示は、以下をさらに提供する。
[C1][A1]~[A44]のいずれか1つの抗体および薬学的に許容される担体を含む、薬学的製剤。
[C2]医薬としての使用のための、[A1]~[A44]のいずれか1つの抗体。
[C3]被験体中のコラーゲン1型α1(Col1a1)mRNAレベルおよび/またはフィブロネクチン1(Fn1)mRNAレベルの低減における使用のための、[A1]~[A44]のいずれか1つの抗体。
[C4]線維性疾患の治療における使用のための、[A1]~[A44]のいずれか1つの抗体。
[C5]前記線維性疾患が、特発性肺線維症(IPF)、腎線維症、肝線維症、皮膚線維症、肝硬変、肺臓線維症(lung fibrosis)/肺線維症(pulmonary fibrosis)、心筋線維症、眼線維症、骨髄線維症、加齢黄斑変性(AMD)、糖尿病性網膜症、増殖性硝子体網膜症(PVR)、緑内障、糖尿病性黄斑浮腫(DME)、ドライアイ疾患、強皮症肺疾患、中等度から重度の喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)、関節リウマチ関連間質性肺疾患(RA-ILD)、MI後の心臓瘢痕、心筋症、うっ血性心不全、アルコール性肝硬変、B型肝炎(HBV)、C型肝炎(HCV)、住血吸虫症、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、原発性胆汁性胆管炎(PBC)、原発性硬化性胆管炎(PSC)、移植腎症、糖尿病性腎症、ループス腎炎、巣状分節性糸球体硬化症、アルポート症候群、間質性線維症、肥厚性瘢痕、ケロイド、強皮症、腎性全身性線維症、慢性移植片対宿主病、アテローム性動脈硬化症、嚢胞性線維症、手術誘導性線維症、熱傷誘導性瘢痕および収縮、放射線誘導性線維症、筋ジストロフィー、炎症性腸疾患(IBD)、縦隔線維症、または後腹膜線維症である、[A1]~[A44]のいずれか1つの、使用のための抗体。
[C6]前記線維性疾患が、特発性肺線維症(IPF)、肺臓線維症/肺線維症、強皮症肺疾患、中等度から重度の喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)、関節リウマチ関連間質性肺疾患(RA-ILD)、または嚢胞性線維症である、[A1]~[A44]のいずれか1つの、使用のための抗体。
[C7]前記線維性疾患が、腎線維症、腎症、糖尿病性腎症、ループス腎炎、巣状分節性糸球体硬化症、アルポート症候群、間質性線維症、肥厚性瘢痕、ケロイド、強皮症、腎性全身性線維症、嚢胞性線維症、炎症性腸疾患(IBD)、または後腹膜線維症である、[A1]~[A44]のいずれか1つの、使用のための抗体。
[C8]医薬の製造における、[A1]~[A44]のいずれか1つの抗体の使用。
[C9]被験体中のコラーゲン1型α1(Col1a1)mRNAレベルおよび/またはフィブロネクチン1(Fn1)mRNAレベルの低減のための医薬の製造における、[A1]~[A44]のいずれか1つの抗体の使用。
[C10]線維性疾患の治療のための医薬の製造における、[A1]~[A44]のいずれか1つの抗体の使用。
[C11]前記線維性疾患が、特発性肺線維症(IPF)、腎線維症、肝線維症、皮膚線維症、肝硬変、肺臓線維症/肺線維症、心筋線維症、眼線維症、骨髄線維症、加齢黄斑変性(AMD)、糖尿病性網膜症、増殖性硝子体網膜症(PVR)、緑内障、糖尿病性黄斑浮腫(DME)、ドライアイ疾患、強皮症肺疾患、中等度から重度の喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)、関節リウマチ関連間質性肺疾患(RA-ILD)、MI後の心臓瘢痕、心筋症、うっ血性心不全、アルコール性肝硬変、B型肝炎(HBV)、C型肝炎(HCV)、住血吸虫症、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、原発性胆汁性胆管炎(PBC)、原発性硬化性胆管炎(PSC)、移植腎症、糖尿病性腎症、ループス腎炎、巣状分節性糸球体硬化症、アルポート症候群、間質性線維症、肥厚性瘢痕、ケロイド、強皮症、腎性全身性線維症、慢性移植片対宿主病、アテローム性動脈硬化症、嚢胞性線維症、手術誘導性線維症、熱傷誘導性瘢痕および収縮、放射線誘導性線維症、筋ジストロフィー、炎症性腸疾患(IBD)、縦隔線維症、または後腹膜線維症である、[A1]~[A44]のいずれか1つの使用。
[C12]前記線維性疾患が、特発性肺線維症(IPF)、肺臓線維症/肺線維症、強皮症肺疾患、中等度から重度の喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)、関節リウマチ関連間質性肺疾患(RA-ILD)、または嚢胞性線維症である、[A1]~[A44]のいずれか1つの使用。
[C13]前記線維性疾患が、腎線維症、腎症、糖尿病性腎症、ループス腎炎、巣状分節性糸球体硬化症、アルポート症候群、間質性線維症、肥厚性瘢痕、ケロイド、強皮症、腎性全身性線維症、嚢胞性線維症、炎症性腸疾患(IBD)、または後腹膜線維症である、[A1]~[A44]のいずれか1つの使用。
[C14]個体中のコラーゲン1型α1(Col1a1)mRNAレベルおよび/またはフィブロネクチン1(Fn1)mRNAレベルを低減させるための方法であって、当該個体に[A1]~[A44]のいずれか1つの抗体の有効量を投与する工程を含む、方法。
[C15]線維性疾患を有する個体を治療する方法であって、当該個体に[A1]~[A44]のいずれか1つの抗体の有効量を投与する工程を含む、方法。
[C16]前記線維性疾患が、特発性肺線維症(IPF)、腎線維症、肝線維症、皮膚線維症、肝硬変、肺臓線維症/肺線維症、心筋線維症、眼線維症、骨髄線維症、加齢黄斑変性(AMD)、糖尿病性網膜症、増殖性硝子体網膜症(PVR)、緑内障、糖尿病性黄斑浮腫(DME)、ドライアイ疾患、強皮症肺疾患、中等度から重度の喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)、関節リウマチ関連間質性肺疾患(RA-ILD)、MI後の心臓瘢痕、心筋症、うっ血性心不全、アルコール性肝硬変、B型肝炎(HBV)、C型肝炎(HCV)、住血吸虫症、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、原発性胆汁性胆管炎(PBC)、原発性硬化性胆管炎(PSC)、移植腎症、糖尿病性腎症、ループス腎炎、巣状分節性糸球体硬化症、アルポート症候群、間質性線維症、肥厚性瘢痕、ケロイド、強皮症、腎性全身性線維症、慢性移植片対宿主病、アテローム性動脈硬化症、嚢胞性線維症、手術誘導性線維症、熱傷誘導性瘢痕および収縮、放射線誘導性線維症、筋ジストロフィー、炎症性腸疾患(IBD)、縦隔線維症、または後腹膜線維症である、[C15]の方法。
[C17]前記線維性疾患が、特発性肺線維症(IPF)、肺臓線維症/肺線維症、強皮症肺疾患、中等度から重度の喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)、関節リウマチ関連間質性肺疾患(RA-ILD)、または嚢胞性線維症である、[C15]の方法。
[C18]前記線維性疾患が、腎線維症、腎症、糖尿病性腎症、ループス腎炎、巣状分節性糸球体硬化症、アルポート症候群、間質性線維症、肥厚性瘢痕、ケロイド、強皮症、腎性全身性線維症、嚢胞性線維症、炎症性腸疾患(IBD)、または後腹膜線維症である、[C15]の方法。
本開示は、以下もまた提供する。
[D1]ディスコイジンドメイン受容体2(DDR2)に結合する、単離された抗体。
[D2]DDR2の細胞外領域に結合する、特に、DDR2のディスコイジンドメイン(DSドメイン)、ディスコイジン様ドメイン(DSLドメイン)、または細胞外膜近傍ドメイン(EJXMドメイン)に結合する、[D1]に記載の単離された抗体。
[D3]DDR1に結合しない、[D1]または[D2]のいずれか1つの抗体。
[D4]配列番号:77または78のアミノ酸31~179によって定義される配列の全部または一部を含むエピトープでDDR2に結合する、[D1]~[D3]のいずれか1つの抗体。
[D5]配列番号:77のアミノ酸R31、P33、S37、D64、S65、E66、Q103、H106、A107、G108、H110、S145、N146、Y148、D149、V150、F151、L152、D154、およびR179、または配列番号:78のアミノ酸R31、P33、S37、D64、S65、E66、Q103、H106、A107、G108、H110、S145、N146、Y148、D149、I150、F151、L152、D154、およびR179を含む不連続エピトープに結合する、特に、配列番号:77のアミノ酸P33、S37、D64、S65、E66、Q103、H106、G108、H110、S145、N146、Y148、D149、V150、F151、およびL152、または配列番号:78のアミノ酸P33、S37、D64、S65、E66、Q103、H106、G108、H110、S145、N146、Y148、D149、I150、F151、およびL152を含む不連続エピトープに結合する、[D4]に記載の抗体。
[D6]配列番号:2のアミノ酸配列を含むHVR-H1、配列番号:3のアミノ酸配列を含むHVR-H2、配列番号:4のアミノ酸配列を含むHVR-H3、配列番号:6のアミノ酸配列を含むHVR-L1、配列番号:7のアミノ酸配列を含むHVR-L2、および配列番号:8のアミノ酸配列を含むHVR-L3を含む、[D1]~[D5]のいずれか1つの抗体。
[D7]配列番号:1のアミノ酸配列を有するVH配列および配列番号:5のアミノ酸配列を有するVL配列を含む、[D6]に記載の抗体。
[D8][D6]もしくは[D7]のいずれか1つの抗体と同じエピトープに結合するか、またはDDR2に対する結合において[D6]もしくは[D7]のいずれか1つの抗体と競合する、抗体。
[D9]ヒト抗体、ヒト化抗体、またはキメラ抗体である、[D1]~[D8]のいずれか1つの抗体。
[D10][D1]~[D9]のいずれか1つの抗体をコードする、単離された核酸。
[D11][D10]に記載の核酸を含む、宿主細胞。
[D12]抗体を製造する方法であって、抗体が製造されるように[D11]に記載の宿主細胞を培養することを含む、方法。
[D13]医薬としての使用のための、[D1]~[D9]のいずれか1つの抗体。
[D14]被験体中のコラーゲン1型α1(Col1a1)mRNAレベルおよび/またはフィブロネクチン1(Fn1)mRNAレベルの低減における使用のための、[D1]~[D9]のいずれか1つの抗体。
[D15]線維性疾患の治療における使用のための、[D1]~[D9]のいずれか1つの抗体。
[D16]前記線維性疾患が、特発性肺線維症(IPF)、腎線維症、肝線維症、皮膚線維症、肝硬変、肺臓線維症/肺線維症、心筋線維症、眼線維症、骨髄線維症、加齢黄斑変性(AMD)、糖尿病性網膜症、増殖性硝子体網膜症(PVR)、緑内障、糖尿病性黄斑浮腫(DME)、ドライアイ疾患、強皮症肺疾患、中等度から重度の喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)、関節リウマチ関連間質性肺疾患(RA-ILD)、MI後の心臓瘢痕、心筋症、うっ血性心不全、アルコール性肝硬変、B型肝炎(HBV)、C型肝炎(HCV)、住血吸虫症、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、原発性胆汁性胆管炎(PBC)、原発性硬化性胆管炎(PSC)、移植腎症、糖尿病性腎症、ループス腎炎、巣状分節性糸球体硬化症、アルポート症候群、間質性線維症、肥厚性瘢痕、ケロイド、強皮症、腎性全身性線維症、慢性移植片対宿主病、アテローム性動脈硬化症、嚢胞性線維症、手術誘導性線維症、熱傷誘導性瘢痕および収縮、放射線誘導性線維症、筋ジストロフィー、炎症性腸疾患(IBD)、縦隔線維症、または後腹膜線維症であり、特に、該線維性疾患が、肺線維性疾患、より詳細には特発性肺線維症(IPF)である、[D15]に記載の、使用のための抗体。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】マウスDDR2に対する抗体の結合解析の結果を示す。各抗体の平均蛍光強度(MFI)を、全長マウスDDR2を安定に発現するBa/F3細胞株を用いてフローサイトメトリーによって測定した。横軸の下の名称は、試験した抗体の名称である。IC17dKは、陰性対照として用いた抗KLH抗体である。
【
図2】マウスDDR2ΔDSL-EJXMに対する抗体の結合解析の結果を示す。各抗体の平均蛍光強度(MFI)を、全長マウスDDR2からディスコイジン様(DSL)ドメインおよび細胞外膜近傍(EJXM)領域が欠失したマウスDDR2断片(マウスDDR2ΔDSL-EJXM)を安定に発現するBa/F3細胞株を用いてフローサイトメトリーによって測定した。横軸の下の名称は、試験した抗体の名称である。IC17dKは、陰性対照として用いた抗KLH抗体である。
【
図3】腎臓中のコラーゲン1型α1(Col1a1)mRNAレベルを評価した結果を示す。モノクローナル抗体の効力を、片側尿管閉塞(UUO)誘導性マウス腎線維症モデル(UUOマウスモデル)において評価した。偽手術群は、対照としての非疾患誘導マウスを表す。UUOマウスモデルにおけるCol1a1 mRNAは、抗DDR2抗体での処置によって抑制された。IC17dKは、陰性対照として用いた抗KLH抗体である。GC1008は、抗成熟TGF-β抗体である。抗DDR2抗体の名称は、DABから始まる。
【
図4】肺中のコラーゲン1型α1(Col1a1)mRNAレベルおよびフィブロネクチン1(Fn1)mRNAレベルを評価した結果を示す。モノクローナル抗体の効力を、ブレオマイシン(BLM)誘導性マウス肺線維症モデル(BLMマウスモデル)において評価した。生理食塩水群は、対照としての非疾患誘導マウスを表す。BLMマウスモデルにおけるCol1a1 mRNAおよびFn1 mRNAは、抗DDR2抗体での処置によって抑制された。IC17は、陰性対照として用いた抗KLH抗体である。GC1008は、抗汎成熟TGF-β抗体である。抗DDR2抗体の名称は、DABから始まる。(A)DAB0065の効果をIC17dkおよびGC1008と比較した実験。(B)種々のDDR2抗体の効果を比較した実験。
【
図5】moDDR2 DSドメインに結合したDAB0065 Fabの結晶構造を示す。(A)非対称ユニットが示される。MoDDR2 DSドメインは、表面表現で示され、DAB0065 Fabは、リボンとして示される(濃い灰色:重鎖、薄い灰色:軽鎖)。(B)重ね合わされた分子-1および分子-2が示される(濃い灰色:分子-1、薄い灰色:分子-2)。
【
図6】moDDR2 DSドメイン上のDAB0065 Fab接触領域のエピトープを示す。(A)moDDR2アミノ酸配列におけるエピトープマッピング(黒色:4.2Åよりも近い、斜めのストライプ:5.0Åよりも近い)。(B)結晶構造におけるエピトープマッピング(濃い灰色のバー:4.2Åよりも近い、薄い灰色の細いバー:5.0Åよりも近い(表面表現で示されるDAB0065 Fabから))。
【発明を実施するための形態】
【0012】
I.定義
アクセプターヒトフレームワーク
本明細書の趣旨での「アクセプターヒトフレームワーク」は、下で定義するヒト免疫グロブリンフレームワークまたはヒトコンセンサスフレームワークに由来する、軽鎖可変ドメイン (VL) フレームワークまたは重鎖可変ドメイン (VH) フレームワークのアミノ酸配列を含む、フレームワークである。ヒト免疫グロブリンフレームワークまたはヒトコンセンサスフレームワークに「由来する」アクセプターヒトフレームワークは、それらの同じアミノ酸配列を含んでもよいし、またはアミノ酸配列の変更を含んでいてもよい。いくつかの態様において、アミノ酸の変更の数は、10以下、9以下、8以下、7以下、6以下、5以下、4以下、3以下、または2以下である。いくつかの態様において、VLアクセプターヒトフレームワークは、VLヒト免疫グロブリンフレームワーク配列またはヒトコンセンサスフレームワーク配列と、配列が同一である。
【0013】
抗体依存性細胞介在性細胞傷害
「抗体依存性細胞介在性細胞傷害」または「ADCC」は、分泌されたIgが特定の細胞傷害性細胞(例えば、NK細胞、好中球およびマクロファージ)上に存在するFc受容体 (FcR) に結合しそれによってこれらの細胞傷害性エフェクター細胞が抗原を有する標的細胞に特異的に結合することができそしてその後にその標的細胞を細胞毒によって殺傷することができるようになる、細胞傷害の一形態のことをいう。ADCCを媒介するプライマリ細胞であるNK細胞はFcγRIIIのみを発現し、単球はFcγRI、FcγRII、およびFcγRIIIを発現する。造血細胞上のFcRの発現は、Ravetch and Kinet, Annu. Rev. Immunol 9:457-92 (1991) の第464頁の表3にまとめられている。目的の分子のADCC活性を評価するために、インビトロADCC測定法、例えば米国特許第5,500,362号もしくは第5,821,337号または米国特許第6,737,056号 (Presta) に記載のものが実施され得る。そのような測定法に有用なエフェクター細胞は、PBMCおよびNK細胞を含む。あるいはまたは加えて、目的の分子のADCC活性は、例えばClynes et al. PNAS (USA) 95:652-656 (1998)に開示される動物モデルのような動物モデルにおいて、インビボで評価されてもよい。
【0014】
アフィニティ
「アフィニティ」は、分子(例えば、抗体)の結合部位1個と、分子の結合パートナー(例えば、抗原)との間の、非共有結合的な相互作用の合計の強度のことをいう。別段示さない限り、本明細書で用いられる「結合アフィニティ」は、ある結合対のメンバー(例えば、抗体と抗原)の間の1:1相互作用を反映する、固有の結合アフィニティのことをいう。分子XのそのパートナーYに対するアフィニティは、一般的に、解離定数 (Kd) により表すことができる。アフィニティは、本明細書に記載のものを含む、当該技術分野において知られた通常の方法によって測定され得る。結合アフィニティを測定するための具体的な実例となるおよび例示的な態様については、下で述べる。
【0015】
アフィニティ成熟
「アフィニティ成熟」抗体は、改変を備えていない親抗体と比較して、1つまたは複数の超可変領域 (hypervariable region: HVR) 中に抗体の抗原に対するアフィニティの改善をもたらす1つまたは複数の改変を伴う、抗体のことをいう。
【0016】
用語「抗DDR2抗体」または「DDR2に結合する抗体」は、充分なアフィニティでDDR2と結合することのできる抗体であって、その結果その抗体がDDR2を標的化したときに診断剤および/または治療剤として有用であるような、抗体のことをいう。一態様において、無関係な非DDR2タンパク質への抗DDR2抗体の結合の程度は、(例えば、放射免疫測定法 (radioimmunoassay: RIA) により)測定したとき、抗体のDDR2への結合の約10%未満である。特定の態様において、DDR2に結合する抗体は、≦1μM、≦100nM、≦10nM、≦1nM、≦0.1nM、≦0.01nM、または≦0.001nM(例えば、10-8M以下、例えば10-8M~10-13M、例えば、10-9M~10-13M)の解離定数 (Kd) を有する。特定の態様において、抗DDR2抗体は、異なる種からのDDR2間で保存されているDDR2のエピトープに結合する。
【0017】
抗体
本明細書で用語「抗体」は、最も広い意味で使用され、所望の抗原結合活性を示す限りは、これらに限定されるものではないが、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、多重特異性抗体(例えば、二重特異性抗体)および抗体断片を含む、種々の抗体構造を包含する。
【0018】
抗体断片
「抗体断片」は、完全抗体が結合する抗原に結合する当該完全抗体の一部分を含む、当該完全抗体以外の分子のことをいう。抗体断片の例は、これらに限定されるものではないが、Fv、Fab、Fab'、Fab’-SH、F(ab')2;ダイアボディ;線状抗体;単鎖抗体分子(例えば、scFv);および、抗体断片から形成された多重特異性抗体を含む。
【0019】
同じエピトープに結合する抗体
参照抗体と「同じエピトープに結合する抗体」は、競合アッセイにおいてその参照抗体が自身の抗原へする結合を50%以上阻止する抗体のことをいい、また逆にいえば、参照抗体は、競合アッセイにおいて前述の抗体が自身の抗原へする結合を50%以上阻止する。例示的な競合アッセイが提供される。
【0020】
抗原結合ドメイン
「抗原結合ドメイン」は、目的の抗原に結合する限り、任意の構造のものであってもよい。抗原結合ドメインには、例えば、抗体重鎖および軽鎖の可変領域、「単鎖Fv(scFv)」、「単鎖抗体」、「Fv」、「単鎖Fv2(scFv2)」、「Fab」、「F(ab')2」、ならびにIgGが含まれる。
【0021】
キメラ抗体
用語「キメラ」抗体は、重鎖および/または軽鎖の一部分が特定の供給源または種に由来する一方で、重鎖および/または軽鎖の残りの部分が異なった供給源または種に由来する抗体のことをいう。
【0022】
抗体クラス
抗体の「クラス」は、抗体の重鎖に備わる定常ドメインまたは定常領域のタイプのことをいう。抗体には5つの主要なクラスがある:IgA、IgD、IgE、IgG、およびIgMである。そして、このうちいくつかはさらにサブクラス(アイソタイプ)に分けられてもよい。例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1、およびIgA2である。異なるクラスの免疫グロブリンに対応する重鎖定常ドメインを、それぞれ、α、δ、ε、γ、およびμと呼ぶ。
【0023】
補体依存性細胞傷害
「補体依存性細胞傷害」または「CDC」は、補体の存在下での標的細胞の溶解のことをいう。古典的補体経路の活性化は、(適切なサブクラスの)抗体(対応する抗原に結合している)への補体系の第1要素(C1q)の結合によって開始される。補体活性化を評価するため、例えばGazzano-Santoro et al., J. Immunol. Methods 202:163 (1996) に記載のCDC測定法が実施され得る。改変されたFc領域アミノ酸配列を伴うポリペプチド変異体(変異Fc領域を伴うポリペプチド)および増加または減少したC1q結合能は、例えば、米国特許第6,194,551号B1およびWO1999/51642に記載されている。例えば、Idusogie et al. J. Immunol. 164: 4178-4184 (2000) も参照のこと。
【0024】
細胞傷害剤
本明細書でいう用語「細胞傷害剤」は、細胞の機能を阻害するまたは妨げる、および/または細胞の死または破壊の原因となる物質のことをいう。細胞傷害剤は、これらに限定されるものではないが、放射性同位体(例えば、211At、131I、125I、90Y、186Re、188Re、153Sm、212Bi、32P、212PbおよびLuの放射性同位体);化学療法剤または化学療法薬(例えば、メトトレキサート、アドリアマイシン、ビンカアルカロイド類(ビンクリスチン、ビンブラスチン、エトポシド)、ドキソルビシン、メルファラン、マイトマイシンC、クロラムブシル、ダウノルビシン、または他のインターカレート剤);増殖阻害剤;核酸分解酵素などの酵素およびその断片;抗生物質;例えば、低分子毒素または細菌、真菌、植物、または動物起源の酵素的に活性な毒素(その断片および/または変異体を含む)などの、毒素;および、以下に開示される、種々の抗腫瘍剤または抗がん剤を含む。
【0025】
DDR1
本明細書でいう用語「DDR1」は、別段示さない限り、霊長類(例えば、ヒト)およびげっ歯類(例えば、マウスおよびラット)などの哺乳動物を含む、任意の脊椎動物供給源からの任意の天然型DDR1のことをいう。この用語は、「全長」のプロセシングを受けていないDDR1も、細胞中でのプロセシングの結果生じるいかなる形態のDDR1も包含する。この用語はまた、自然に生じるDDR1の変異体、例えば、スプライス変異体や対立遺伝子変異体も包含する。
【0026】
例示的なヒトDDR1aのアミノ酸配列(RefSeq No. NP_001945.3)を、配列番号:81に示す。例示的なヒトDDR1bのアミノ酸配列(RefSeq No. NP_054699.2)を、配列番号:80に示す。例示的なヒトDDR1cのアミノ酸配列(RefSeq No. NP_054700.2)を、配列番号:82に示す。例示的なヒトDDR1dのアミノ酸配列(RefSeq No. NP_001189450.1)を、配列番号:83に示す。例示的なヒトDDR1eのアミノ酸配列(RefSeq No. NP_001189451.1)を、配列番号:84に示す。例示的なマウスDDR1のアミノ酸配列(RefSeq No. NP_031610.1)を、配列番号:79に示す。
【0027】
ヒトDDR1a、ヒトDDR1b、ヒトDDR1c、ヒトDDR1d、およびヒトDDR1eの細胞外領域は、それぞれ、配列番号:81、80、82、83、および84のアミノ酸21~417の領域である。ヒトDDR1bのディスコイジン(DS)ドメインは、配列番号:80のアミノ酸22~191の領域、またはアミノ酸31~185の領域、またはアミノ酸29~187の領域である。ヒトDDR1bのDS様(DSL)ドメインは、配列番号:80のアミノ酸192~367の領域、またはアミノ酸188~367の領域である。ヒトDDR1bの細胞外膜近傍(EJXM)ドメインは、配列番号:80のアミノ酸368~417の領域である。
【0028】
マウスDDR1の細胞外領域は、配列番号:79のアミノ酸22~415の領域である。マウスDDR1のディスコイジン(DS)ドメインは、配列番号:79のアミノ酸22~186の領域、またはアミノ酸31~186の領域、またはアミノ酸32~186の領域である。マウスDDR1のDS様(DSL)ドメインは、配列番号:79のアミノ酸193~369の領域、またはアミノ酸188~367の領域である。マウスDDR1の細胞外膜近傍(EJXM)ドメインは、配列番号:79のアミノ酸370~415の領域、または368~417の領域である。
【0029】
DDR2
本明細書でいう用語「DDR2」は、別段示さない限り、霊長類(例えば、ヒト)およびげっ歯類(例えば、マウスおよびラット)などの哺乳動物を含む、任意の脊椎動物供給源からの任意の天然型DDR2のことをいう。この用語は、「全長」のプロセシングを受けていないDDR2も、細胞中でのプロセシングの結果生じるいかなる形態のDDR2も包含する。この用語はまた、自然に生じるDDR2の変異体、例えば、スプライス変異体や対立遺伝子変異体も包含する。
【0030】
例示的なヒトDDR2のアミノ酸配列(RefSeq No. NP_001014796.1)を、配列番号:78に示す。例示的なマウスDDR2のアミノ酸配列(RefSeq No. NP_072075.2)を、配列番号:77に示す。
【0031】
ヒトDDR2の細胞外領域は、配列番号:78のアミノ酸22~399の領域である。ヒトDDR2のディスコイジン(DS)ドメインは、配列番号:78のアミノ酸22~191の領域、またはアミノ酸32~184の領域、またはアミノ酸30~185の領域、またはアミノ酸28~187の領域である。ヒトDDR2のDS様(DSL)ドメインは、配列番号:78のアミノ酸200~367の領域、またはアミノ酸188~367の領域である。ヒトDDR2の細胞外膜近傍(EJXM)ドメインは、配列番号:78のアミノ酸368~399の領域である。
【0032】
マウスDDR2の細胞外領域は、配列番号:77のアミノ酸24~399の領域、またはアミノ酸22~399の領域である。マウスDDR2のディスコイジン(DS)ドメインは、配列番号:77のアミノ酸24~191の領域、またはアミノ酸32~184の領域、またはアミノ酸30~185の領域、またはアミノ酸28~187の領域である。マウスDDR2のDS様(DSL)ドメインは、配列番号:77のアミノ酸200~367の領域、またはアミノ酸188~367の領域である。マウスDDR2の細胞外膜近傍(EJXM)ドメインは、配列番号:77のアミノ酸368~399の領域である。
【0033】
エフェクター機能
「エフェクター機能」は、抗体のFc領域に起因する、抗体のアイソタイプによって異なる生物学的活性のことをいう。抗体のエフェクター機能の例には次のものが含まれる:C1q結合および補体依存性細胞傷害(complement dependent cytotoxicity:CDC);Fc受容体結合;抗体依存性細胞介在性細胞傷害(antibody-dependent cell-mediated cytotoxicity: ADCC);貪食作用;細胞表面受容体(例えば、B細胞受容体)の下方制御;および、B細胞活性化。
【0034】
有効量
ある剤(例えば、薬学的製剤)の「有効量」は、所望の治療的または予防的結果を達成するために有効である、必要な用量におけるおよび必要な期間にわたっての、量のことをいう。
【0035】
エピトープ
「エピトープ」は、抗体とその抗原との間の相互作用の1つまたは複数の部位を定義するものとして言及され得る。それに応じて、Nilvebrant J, Rockberg J. An Introduction to Epitope Mapping. Methods Mol Biol. 2018;1785:1-10において、「抗体エピトープは、概念的に線状エピトープおよび非線状エピトープに分けることができる。線状エピトープは、連続(continuous)エピトープまたは連続的(sequential)エピトープとしても知られ、短いペプチド配列によって模倣され得る。配列の離れた部分におけるアミノ酸がタンパク質フォールディングによって集まっているエピトープは、非線状エピトープ、立体構造エピトープ、または不連続エピトープと呼ばれる。例えば、不連続エピトープは、多くの場合、抗体が独立して結合し得る近接した残基の短いセグメントを含有する」。本明細書で用いられる用語「立体構造エピトープ」または「非線状エピトープ」または「不連続エピトープ」は、相互に交換可能に用いられ、単一のタンパク質鎖または単一のポリペプチド鎖中の連続したアミノ酸ではない少なくとも2個のアミノ酸から構成される、エピトープのことをいう。
【0036】
Fc領域
本明細書で用語「Fc領域」は、少なくとも定常領域の一部分を含む免疫グロブリン重鎖のC末端領域を定義するために用いられる。この用語は、天然型配列のFc領域および変異体Fc領域を含む。一態様において、ヒトIgG重鎖Fc領域はCys226から、またはPro230から、重鎖のカルボキシル末端まで延びる。ただし、Fc領域のC末端のリジン (Lys447) またはグリシン‐リジン(Gly446-Lys447)は、存在していてもしていなくてもよい。本明細書では別段特定しない限り、Fc領域または定常領域中のアミノ酸残基の番号付けは、Kabat et al., Sequences of Proteins of Immunological Interest, 5th Ed. Public Health Service, National Institutes of Health, Bethesda, MD 1991 に記載の、EUナンバリングシステム(EUインデックスとも呼ばれる)にしたがう。
【0037】
Fc受容体
「Fc受容体」または「FcR」は、抗体のFc領域に結合する受容体のことをいう。いくつかの態様において、FcRは、天然型ヒトFcRである。いくつかの態様において、FcRは、IgG抗体に結合するもの(ガンマ受容体)であり、FcγRI、FcγRII、およびFcγRIIIサブクラスの受容体を、これらの受容体の対立遺伝子変異体および選択的スプライシングによる形態を含めて、含む。FcγRII受容体は、FcγRIIA(「活性化受容体」)およびFcγRIIB(「阻害受容体」)を含み、これらは主としてその細胞質ドメインにおいて相違する類似のアミノ酸配列を有する。活性化受容体FcγRIIAは、その細胞質ドメインに免疫受容体チロシン活性化モチーフ (immunoreceptor tyrosine-based activation motif: ITAM) を含む。阻害受容体FcγRIIBは、その細胞質ドメインに免疫受容体チロシン阻害モチーフ(immunoreceptor tyrosine-based inhibition motif: ITIM)を含む。(例えば、Daeron, Annu. Rev. Immunol. 15:203-234 (1997) を参照のこと。)FcRは、例えば、Ravetch and Kinet, Annu. Rev. Immunol 9:457-92 (1991);Capel et al., Immunomethods 4:25-34 (1994);およびde Haas et al., J. Lab. Clin. Med 126:330-41 (1995)において総説されている。将来同定されるものを含む他のFcRも、本明細書の用語「FcR」に包含される。
【0038】
用語「Fc受容体」または「FcR」はまた、母体のIgGの胎児への移動(Guyer et al., J. Immunol. 117:587 (1976)およびKim et al., J. Immunol. 24:249 (1994))ならびに免疫グロブリンのホメオスタシスの調節を担う、新生児型受容体FcRnを含む。FcRnへの結合を測定する方法は公知である(例えば、Ghetie and Ward., Immunol. Today 18(12):592-598 (1997); Ghetie et al., Nature Biotechnology, 15(7):637-640 (1997); Hinton et al., J. Biol. Chem. 279(8):6213-6216 (2004); WO2004/92219 (Hinton et al.)を参照のこと)。
【0039】
インビボでのヒトFcRnへの結合およびヒトFcRn高アフィニティ結合ポリペプチドの血漿半減期は、例えばヒトFcRnを発現するトランスジェニックマウスもしくはトランスフェクトされたヒト細胞株においてまたは変異Fc領域を伴うポリペプチドが投与される霊長類において測定され得る。WO2000/42072 (Presta) は、FcRに対する結合が増加したまたは減少した抗体変異体を記載している。例えば、Shields et al. J. Biol. Chem. 9(2):6591-6604 (2001) も参照のこと。
【0040】
フレームワーク
「フレームワーク」または「FR」は、超可変領域 (HVR) 残基以外の、可変ドメイン残基のことをいう。可変ドメインのFRは、通常4つのFRドメイン:FR1、FR2、FR3、およびFR4からなる。それに応じて、HVRおよびFRの配列は、通常次の順序でVH(またはVL)に現れる:FR1-H1(L1)-FR2-H2(L2)-FR3-H3(L3)-FR4。
【0041】
全長抗体
用語「全長抗体」、「完全抗体」、および「全部抗体」は、本明細書では相互に交換可能に用いられ、天然型抗体構造に実質的に類似した構造を有する、または本明細書で定義するFc領域を含む重鎖を有する抗体のことをいう。
【0042】
宿主細胞
用語「宿主細胞」、「宿主細胞株」、および「宿主細胞培養物」は、相互に交換可能に用いられ、外来核酸を導入された細胞(そのような細胞の子孫を含む)のことをいう。宿主細胞は「形質転換体」および「形質転換細胞」を含み、これには初代の形質転換細胞および継代数によらずその細胞に由来する子孫を含む。子孫は、親細胞と核酸の内容において完全に同一でなくてもよく、変異を含んでいてもよい。オリジナルの形質転換細胞がスクリーニングされたまたは選択された際に用いられたものと同じ機能または生物学的活性を有する変異体子孫も、本明細書では含まれる。
【0043】
ヒト抗体
「ヒト抗体」は、ヒトもしくはヒト細胞によって産生された抗体またはヒト抗体レパートリーもしくは他のヒト抗体コード配列を用いる非ヒト供給源に由来する抗体のアミノ酸配列に対応するアミノ酸配列を備える抗体である。このヒト抗体の定義は、非ヒトの抗原結合残基を含むヒト化抗体を、明確に除外するものである。
【0044】
ヒトコンセンサスフレームワーク
「ヒトコンセンサスフレームワーク」は、ヒト免疫グロブリンVLまたはVHフレームワーク配列の選択群において最も共通して生じるアミノ酸残基を示すフレームワークである。通常、ヒト免疫グロブリンVLまたはVH配列の選択は、可変ドメイン配列のサブグループからである。通常、配列のサブグループは、Kabat et al., Sequences of Proteins of Immunological Interest, Fifth Edition, NIH Publication 91-3242, Bethesda MD (1991), vols. 1-3におけるサブグループである。一態様において、VLについて、サブグループは上記のKabatらによるサブグループκIである。一態様において、VHについて、サブグループは上記のKabatらによるサブグループIIIである。
【0045】
ヒト化抗体
「ヒト化」抗体は、非ヒトHVRからのアミノ酸残基およびヒトFRからのアミノ酸残基を含む、キメラ抗体のことをいう。ある態様では、ヒト化抗体は、少なくとも1つ、典型的には2つの可変ドメインの実質的にすべてを含み、当該可変領域においては、すべてのもしくは実質的にすべてのHVR(例えばCDR)は非ヒト抗体のものに対応し、かつ、すべてのもしくは実質的にすべてのFRはヒト抗体のものに対応する。ヒト化抗体は、任意で、ヒト抗体に由来する抗体定常領域の少なくとも一部分を含んでもよい。抗体(例えば、非ヒト抗体)の「ヒト化された形態」は、ヒト化を経た抗体のことをいう。
【0046】
HVR
本明細書で用いられる用語「超可変領域」または「HVR」は、配列において超可変であり(「相補性決定領域」または「CDR」(complementarity determining region))、および/または構造的に定まったループ(「超可変ループ」)を形成し、および/または抗原接触残基(「抗原接触」)を含む、抗体の可変ドメインの各領域のことをいう。通常、抗体は6つのHVRを含む:VHに3つ(H1、H2、H3)、およびVLに3つ(L1、L2、L3)である。本明細書での例示的なHVRは、以下のものを含む:
(a) アミノ酸残基26-32 (L1)、50-52 (L2)、91-96 (L3)、26-32 (H1)、53-55 (H2)、および96-101 (H3)のところで生じる超可変ループ (Chothia and Lesk, J. Mol. Biol. 196:901-917 (1987));
(b) アミノ酸残基24-34 (L1)、50-56 (L2)、89-97 (L3)、31-35b (H1)、50-65 (H2)、 および95-102 (H3)のところで生じるCDR (Kabat et al., Sequences of Proteins of Immunological Interest, 5th Ed. Public Health Service, National Institutes of Health, Bethesda, MD (1991));
(c) アミノ酸残基27c-36 (L1)、46-55 (L2)、89-96 (L3)、30-35b (H1)、47-58 (H2)、および93-101 (H3) のところで生じる抗原接触 (MacCallum et al. J. Mol. Biol. 262: 732-745 (1996));ならびに、
(d) HVRアミノ酸残基46-56 (L2)、47-56 (L2)、48-56 (L2)、49-56 (L2)、26-35 (H1)、26-35b (H1)、49-65 (H2)、93-102 (H3)、および94-102 (H3)を含む、(a)、(b)、および/または(c)の組合せ。
別段示さない限り、HVR残基および可変ドメイン中の他の残基(例えば、FR残基)は、本明細書では上記のKabatらにしたがって番号付けされる。
【0047】
イムノコンジュゲート
「イムノコンジュゲート」は、1つまたは複数の異種の分子にコンジュゲートされた抗体である(異種の分子は、これに限定されるものではないが、細胞傷害剤を含む)。
【0048】
個体/被験体
「個体」または「被験体」は哺乳動物である。哺乳動物は、これらに限定されるものではないが、飼育動物(例えば、ウシ、ヒツジ、ネコ、イヌ、ウマ)、霊長類(例えば、ヒト、およびサルなどの非ヒト霊長類)、ウサギ、ならびに、げっ歯類(例えば、マウスおよびラット)を含む。特定の態様では、個体または被験体は、ヒトである。
【0049】
単離された抗体
「単離された」抗体は、そのもともとの環境の成分から分離されたものである。いくつかの態様において、抗体は、例えば、電気泳動(例えば、SDS-PAGE、等電点分離法 (isoelectric focusing: IEF)、キャピラリー電気泳動)またはクロマトグラフ(例えば、イオン交換または逆相HPLC)で測定して、95%または99%を超える純度まで精製される。抗体の純度の評価のための方法の総説として、例えば、Flatman et al., J. Chromatogr. B 848:79-87 (2007) を参照のこと。
【0050】
単離された核酸
「単離された」核酸は、そのもともとの環境の成分から分離された核酸分子のことをいう。単離された核酸は、その核酸分子を通常含む細胞の中に含まれた核酸分子を含むが、その核酸分子は染色体外に存在しているかまたは本来の染色体上の位置とは異なる染色体上の位置に存在している。
【0051】
「抗DDR2抗体をコードする単離された核酸」は、抗体の重鎖および軽鎖(またはその断片)をコードする1つまたは複数の核酸分子のことをいい、1つのベクターまたは別々のベクターに乗っている核酸分子、および、宿主細胞中の1つまたは複数の位置に存在している核酸分子を含む。
【0052】
モノクローナル抗体
本明細書でいう用語「モノクローナル抗体」は、実質的に均一な抗体の集団から得られる抗体のことをいう。すなわち、その集団を構成する個々の抗体は、生じ得る変異抗体(例えば、自然に生じる変異を含む変異抗体、またはモノクローナル抗体調製物の製造中に発生する変異抗体。そのような変異体は通常若干量存在している。)を除いて、同一でありおよび/または同じエピトープに結合する。異なる決定基(エピトープ)に対する異なる抗体を典型的に含むポリクローナル抗体調製物とは対照的に、モノクローナル抗体調製物の各モノクローナル抗体は、抗原上の単一の決定基に対するものである。したがって、修飾語「モノクローナル」は、実質的に均一な抗体の集団から得られるものである、という抗体の特徴を示し、何らかの特定の方法による抗体の製造を求めるものと解釈されるべきではない。例えば、本発明にしたがって用いられるモノクローナル抗体は、これらに限定されるものではないが、ハイブリドーマ法、組換えDNA法、ファージディスプレイ法、ヒト免疫グロブリン遺伝子座の全部または一部を含んだトランスジェニック動物を利用する方法を含む、様々な手法によって作成されてよく、モノクローナル抗体を作製するためのそのような方法および他の例示的な方法は、本明細書に記載されている。
【0053】
裸抗体
「裸抗体」は、異種の部分(例えば、細胞傷害部分)または放射性標識にコンジュゲートされていない抗体のことをいう。裸抗体は、薬学的製剤中に存在していてもよい。
【0054】
天然型抗体
「天然型抗体」は、天然に生じる様々な構造を伴う免疫グロブリン分子のことをいう。例えば、天然型IgG抗体は、ジスルフィド結合している2つの同一の軽鎖と2つの同一の重鎖から構成される約150,000ダルトンのヘテロ四量体糖タンパク質である。N末端からC末端に向かって、各重鎖は、可変重鎖ドメインまたは重鎖可変ドメインとも呼ばれる可変領域 (VH) を有し、それに3つの定常ドメイン(CH1、CH2、およびCH3)が続く。同様に、N末端からC末端に向かって、各軽鎖は、可変軽鎖ドメインまたは軽鎖可変ドメインとも呼ばれる可変領域 (VL) を有し、それに定常軽鎖 (CL) ドメインが続く。抗体の軽鎖は、その定常ドメインのアミノ酸配列に基づいて、カッパ(κ)およびラムダ(λ)と呼ばれる、2つのタイプの1つに帰属させられてよい。
【0055】
天然型配列Fc領域
「天然型配列Fc領域」は、自然界で見出されるFc領域のアミノ酸配列と同一のアミノ酸配列を含む。天然型配列ヒトFc領域は、天然型配列ヒトIgG1 Fc領域(非AおよびAアロタイプ);天然型配列ヒトIgG2 Fc領域;天然型配列ヒトIgG3 Fc領域;および天然型配列ヒトIgG4 Fc領域、ならびに天然に存在するそれらの変異体を含む。
【0056】
添付文書
用語「添付文書」は、治療用品の商用パッケージに通常含まれ、そのような治療用品の使用に関する、適応症、用法、用量、投与方法、併用療法、禁忌、および/または警告についての情報を含む使用説明書のことをいうために用いられる。
【0057】
パーセント (%) アミノ酸配列同一性
参照ポリペプチド配列に対する「パーセント (%) アミノ酸配列同一性」は、最大のパーセント配列同一性を得るように配列を整列させてかつ必要ならギャップを導入した後の、かつ、いかなる保存的置換も配列同一性の一部と考えないとしたときの、参照ポリペプチド配列中のアミノ酸残基と同一である候補配列中のアミノ酸残基の、百分率比として定義される。パーセントアミノ酸配列同一性を決める目的のアラインメントは、当該技術分野における技術の範囲内にある種々の方法、例えば、BLAST、BLAST-2、ALIGN、Megalign (DNASTAR) ソフトウェア、またはGENETYX(登録商標)(株式会社ゼネティックス)などの、公に入手可能なコンピュータソフトウェアを使用することにより達成することができる。当業者は、比較される配列の全長にわたって最大のアラインメントを達成するために必要な任意のアルゴリズムを含む、配列のアラインメントをとるための適切なパラメーターを決定することができる。
【0058】
ALIGN-2配列比較コンピュータプログラムは、ジェネンテック社の著作であり、そのソースコードは米国著作権庁 (U.S. Copyright Office, Wasington D.C., 20559) に使用者用書類とともに提出され、米国著作権登録番号TXU510087として登録されている。ALIGN-2プログラムは、ジェネンテック社 (Genentech, Inc., South San Francisco, California) から公に入手可能であるし、ソースコードからコンパイルしてもよい。ALIGN-2プログラムは、Digital UNIX V4.0Dを含むUNIXオペレーティングシステム上での使用のためにコンパイルされる。すべての配列比較パラメーターは、ALIGN-2プログラムによって設定され、変動しない。アミノ酸配列比較にALIGN-2が用いられる状況では、所与のアミノ酸配列Aの、所与のアミノ酸配列Bへの、またはそれとの、またはそれに対する%アミノ酸配列同一性(あるいは、所与のアミノ酸配列Bへの、またはそれとの、またはそれに対する、ある%アミノ酸配列同一性を有するまたは含む所与のアミノ酸配列A、ということもできる)は、次のように計算される:分率X/Yの100倍。ここで、Xは配列アラインメントプログラムALIGN-2によって、当該プログラムのAおよびBのアラインメントにおいて同一である一致としてスコアされたアミノ酸残基の数であり、YはB中のアミノ酸残基の全数である。アミノ酸配列Aの長さがアミノ酸配列Bの長さと等しくない場合、AのBへの%アミノ酸配列同一性は、BのAへの%アミノ酸配列同一性と等しくないことが、理解されるであろう。別段特に明示しない限り、本明細書で用いられるすべての%アミノ酸配列同一性値は、直前の段落で述べたとおりALIGN-2コンピュータプログラムを用いて得られるものである。
【0059】
薬学的製剤
用語「薬学的製剤」は、その中に含まれた有効成分の生物学的活性が効果を発揮し得るような形態にある調製物であって、かつ製剤が投与される被験体に許容できない程度に毒性のある追加の要素を含んでいない、調製物のことをいう。
【0060】
薬学的に許容される担体
「薬学的に許容される担体」は、被験体に対して無毒な、薬学的製剤中の有効成分以外の成分のことをいう。薬学的に許容される担体は、これらに限定されるものではないが、緩衝液、賦形剤、安定化剤、または保存剤を含む。
【0061】
実質的に類似の
本明細書で用いられる用語「実質的に類似の」または「実質的に同じ」は、2つの数値の間(例えば、本発明の抗体に関するものと、参照/比較用抗体に関するものの間)の類似性が、当業者がそれら2つの数値の間の差が該数値(例えば、Kd値)によって測定される生物学的特徴の観点でほとんどまたはまったく生物学的および/または統計学的に有意性がないとみなす程度に、充分高いことをいう。本明細書で用いられる用語「実質的に類似の」または「実質的に同じ」はまた、2つの被験体を比較した場合のパラメーター(例えば、別の抗体と比較した本発明の抗体の抗原結合特性)における類似性が、当業者がそれら2つの間の差が同じ方法によって評価した場合に生物学的特徴の観点でほとんどまたはまったく生物学的に有意性がないとみなす程度に、充分高いことをいう。
【0062】
治療
本明細書で用いられる「治療」(および、その文法上の派生語、例えば「治療する」、「治療すること」など)は、治療される個体の自然経過を改変することを企図した臨床的介入を意味し、予防のためにも、臨床的病態の経過の間にも実施され得る。治療の望ましい効果は、これらに限定されるものではないが、疾患の発生または再発の防止、症状の軽減、疾患による任意の直接的または間接的な病理的影響の減弱、転移の防止、疾患の進行速度の低減、疾患状態の回復または緩和、および寛解または改善された予後を含む。いくつかの態様において、本発明の抗体は、疾患の発症を遅らせる、または疾患の進行を遅くするために用いられる。
【0063】
可変領域
用語「可変領域」または「可変ドメイン」は、抗体を抗原へと結合させることに関与する、抗体の重鎖または軽鎖のドメインのことをいう。天然型抗体の重鎖および軽鎖の可変ドメイン(それぞれVHおよびVL)は、通常、各ドメインが4つの保存されたフレームワーク領域 (FR) および3つの超可変領域 (HVR) を含む、類似の構造を有する。(例えば、Kindt et al. Kuby Immunology, 6th ed., W.H. Freeman and Co., page 91 (2007) 参照。)1つのVHまたはVLドメインで、抗原結合特異性を与えるに充分であろう。さらに、ある特定の抗原に結合する抗体は、当該抗原に結合する抗体からのVHまたはVLドメインを使ってそれぞれVLまたはVHドメインの相補的ライブラリをスクリーニングして、単離されてもよい。例えばPortolano et al., J. Immunol. 150:880-887 (1993); Clarkson et al., Nature 352:624-628 (1991) 参照。
【0064】
ベクター
本明細書で用いられる用語「ベクター」は、それが連結されたもう1つの核酸を増やすことができる、核酸分子のことをいう。この用語は、自己複製核酸構造としてのベクター、および、それが導入された宿主細胞のゲノム中に組み入れられるベクターを含む。あるベクターは、自身が動作的に連結された核酸の、発現をもたらすことができる。そのようなベクターは、本明細書では「発現ベクター」とも称される。
【0065】
II.組成物および方法
一局面において、本発明は、抗DDR2抗体およびその使用に一部基づくものである。特定の態様において、DDR2に結合する抗体が提供される。本発明の抗体は、例えば、線維性疾患の診断または治療のために、有用である。
【0066】
A. 例示的な抗DDR2抗体
一局面において、本発明は、DDR2に結合する単離された抗体を提供する。
特定の態様において、抗DDR2抗体は、DDR2の細胞外領域に結合する。特定の態様において、抗DDR2抗体は、DDR2のディスコイジンドメイン(DSドメイン)に結合する。特定の態様において、抗DDR2抗体は、DDR2のディスコイジン様ドメイン(DSLドメイン)に結合する。特定の態様において、抗DDR2抗体は、DDR2の細胞外膜近傍ドメイン(EJXMドメイン)に結合する。
【0067】
特定の態様において、抗DDR2抗体は、ヒトDDR2に結合する。特定の態様において、抗DDR2抗体は、マウスDDR2に結合する。特定の態様において、抗DDR2抗体は、ヒトDDR2およびマウスDDR2の両方に結合する。特定の態様において、抗DDR2抗体は、配列番号:78に示されるヒトDDR2に結合する。特定の態様において、抗DDR2抗体は、配列番号:77に示されるマウスDDR2に結合する。特定の態様において、抗DDR2抗体は、配列番号:78に示されるヒトDDR2および配列番号:77に示されるマウスDDR2の両方に結合する。
【0068】
特定の態様において、抗DDR2抗体は、ヒトDDR2の細胞外領域に結合する。特定の態様において、抗DDR2抗体は、マウスDDR2の細胞外領域に結合する。特定の態様において、抗DDR2抗体は、ヒトDDR2の細胞外領域およびマウスDDR2の細胞外領域の両方に結合する。
【0069】
特定の態様において、抗DDR2抗体は、ヒトDDR2のディスコイジンドメイン(DSドメイン)に結合する。特定の態様において、抗DDR2抗体は、マウスDDR2のディスコイジンドメイン(DSドメイン)に結合する。特定の態様において、抗DDR2抗体は、ヒトDDR2のディスコイジンドメイン(DSドメイン)およびマウスDDR2のディスコイジンドメイン(DSドメイン)の両方に結合する。
【0070】
特定の態様において、抗DDR2抗体は、ヒトDDR2のディスコイジン様ドメイン(DSLドメイン)に結合する。特定の態様において、抗DDR2抗体は、マウスDDR2のディスコイジン様ドメイン(DSLドメイン)に結合する。特定の態様において、抗DDR2抗体は、ヒトDDR2のディスコイジン様ドメイン(DSLドメイン)およびマウスDDR2のディスコイジン様ドメイン(DSLドメイン)の両方に結合する。
【0071】
特定の態様において、抗DDR2抗体は、ヒトDDR2の細胞外膜近傍ドメイン(EJXMドメイン)に結合する。特定の態様において、抗DDR2抗体は、マウスDDR2の細胞外膜近傍ドメイン(EJXMドメイン)に結合する。特定の態様において、抗DDR2抗体は、ヒトDDR2の細胞外膜近傍ドメイン(EJXMドメイン)およびマウスDDR2の細胞外膜近傍ドメイン(EJXMドメイン)の両方に結合する。
【0072】
特定の態様において、抗DDR2抗体は、DDR1に結合しない。特定の態様において、抗DDR2抗体は、ヒトDDR1に結合しない。特定の態様において、抗DDR2抗体は、ヒトDDR1aに結合しない。特定の態様において、抗DDR2抗体は、ヒトDDR1bに結合しない。特定の態様において、抗DDR2抗体は、ヒトDDR1cに結合しない。特定の態様において、抗DDR2抗体は、ヒトDDR1dに結合しない。特定の態様において、抗DDR2抗体は、ヒトDDR1eに結合しない。特定の態様において、抗DDR2抗体は、マウスDDR1に結合しない。特定の態様において、抗DDR2抗体は、ヒトDDR1a、ヒトDDR1b、ヒトDDR1c、ヒトDDR1d、ヒトDDR1e、およびマウスDDR1のいずれの1つにも結合しない。特定の態様において、抗DDR2抗体は、配列番号:81に示されるヒトDDR1aに結合しない。特定の態様において、抗DDR2抗体は、配列番号:80に示されるヒトDDR1bに結合しない。特定の態様において、抗DDR2抗体は、配列番号:82に示されるヒトDDR1cに結合しない。特定の態様において、抗DDR2抗体は、配列番号:83に示されるヒトDDR1dに結合しない。特定の態様において、抗DDR2抗体は、配列番号:84に示されるヒトDDR1eに結合しない。特定の態様において、抗DDR2抗体は、配列番号:79に示されるマウスDDR1に結合しない。特定の態様において、抗DDR2抗体は、配列番号:81に示されるヒトDDR1a、配列番号:80に示されるヒトDDR1b、配列番号:82に示されるヒトDDR1c、配列番号:83に示されるヒトDDR1d、配列番号:84に示されるヒトDDR1e、および配列番号:79に示されるマウスDDR1のいずれの1つにも結合しない。
【0073】
特定の態様において、抗DDR2抗体は、配列番号:78のアミノ酸22~399の領域に結合する。
特定の態様において、抗DDR2抗体は、配列番号:78のアミノ酸22~191の領域に結合する。特定の態様において、抗DDR2抗体は、配列番号:78のアミノ酸32~184の領域に結合する。特定の態様において、抗DDR2抗体は、配列番号:78のアミノ酸30~185の領域に結合する。特定の態様において、抗DDR2抗体は、配列番号:78のアミノ酸28~187の領域に結合する。
特定の態様において、抗DDR2抗体は、配列番号:78のアミノ酸200~367の領域に結合する。特定の態様において、抗DDR2抗体は、配列番号:78のアミノ酸188~367の領域に結合する。
特定の態様において、抗DDR2抗体は、配列番号:78のアミノ酸368~399の領域に結合する。
【0074】
特定の態様において、抗DDR2抗体は、配列番号:77のアミノ酸24~399の領域に結合する。特定の態様において、抗DDR2抗体は、配列番号:77のアミノ酸22~399の領域に結合する。
特定の態様において、抗DDR2抗体は、配列番号:77のアミノ酸24~191の領域に結合する。特定の態様において、抗DDR2抗体は、配列番号:77のアミノ酸32~184の領域に結合する。特定の態様において、抗DDR2抗体は、配列番号:77のアミノ酸30~185の領域に結合する。特定の態様において、抗DDR2抗体は、配列番号:77のアミノ酸28~187の領域に結合する。
特定の態様において、抗DDR2抗体は、配列番号:77のアミノ酸200~367の領域に結合する。特定の態様において、抗DDR2抗体は、配列番号:77のアミノ酸188~367の領域に結合する。
特定の態様において、抗DDR2抗体は、配列番号:77のアミノ酸368~399の領域に結合する。
特定の態様において、抗DDR2抗体は、配列番号:77のアミノ酸201~393の領域に結合する。特定の態様において、抗DDR2抗体は、配列番号:77のアミノ酸24~200の領域に結合する。
【0075】
特定の態様において、抗DDR2抗体は、配列番号:79のアミノ酸22~415の領域に結合しない。特定の態様において、抗DDR2抗体は、配列番号:81のアミノ酸21~417の領域に結合しない。特定の態様において、抗DDR2抗体は、配列番号:80のアミノ酸21~417の領域に結合しない。特定の態様において、抗DDR2抗体は、配列番号:82のアミノ酸21~417の領域に結合しない。特定の態様において、抗DDR2抗体は、配列番号:83のアミノ酸21~417の領域に結合しない。特定の態様において、抗DDR2抗体は、配列番号:84のアミノ酸21~417の領域に結合しない。
【0076】
特定の態様において、抗DDR2抗体は、配列番号:78のアミノ酸22~399を含むDDR2の断片に結合する。
特定の態様において、抗DDR2抗体は、配列番号:78のアミノ酸22~191を含むDDR2の断片に結合する。特定の態様において、抗DDR2抗体は、配列番号:78のアミノ酸32~184を含むDDR2の断片に結合する。特定の態様において、抗DDR2抗体は、配列番号:78のアミノ酸30~185を含むDDR2の断片に結合する。特定の態様において、抗DDR2抗体は、配列番号:78のアミノ酸28~187を含むDDR2の断片に結合する。
特定の態様において、抗DDR2抗体は、配列番号:78のアミノ酸200~367を含むDDR2の断片に結合する。特定の態様において、抗DDR2抗体は、配列番号:78のアミノ酸188~367を含むDDR2の断片に結合する。
特定の態様において、抗DDR2抗体は、配列番号:78のアミノ酸368~399を含むDDR2の断片に結合する。
【0077】
特定の態様において、抗DDR2抗体は、配列番号:77のアミノ酸24~399を含むDDR2の断片に結合する。特定の態様において、抗DDR2抗体は、配列番号:77のアミノ酸22~399を含むDDR2の断片に結合する。
特定の態様において、抗DDR2抗体は、配列番号:77のアミノ酸24~191を含むDDR2の断片に結合する。特定の態様において、抗DDR2抗体は、配列番号:77のアミノ酸32~184を含むDDR2の断片に結合する。特定の態様において、抗DDR2抗体は、配列番号:77のアミノ酸30~185を含むDDR2の断片に結合する。特定の態様において、抗DDR2抗体は、配列番号:77のアミノ酸28~187を含むDDR2の断片に結合する。
特定の態様において、抗DDR2抗体は、配列番号:77のアミノ酸200~367を含むDDR2の断片に結合する。特定の態様において、抗DDR2抗体は、配列番号:77のアミノ酸188~367を含むDDR2の断片に結合する。
特定の態様において、抗DDR2抗体は、配列番号:77のアミノ酸368~399を含むDDR2の断片に結合する。
特定の態様において、抗DDR2抗体は、配列番号:77のアミノ酸201~393を含むDDR2の断片に結合する。特定の態様において、抗DDR2抗体は、配列番号:77のアミノ酸24~200を含むDDR2の断片に結合する。
【0078】
特定の態様において、抗DDR2抗体は、配列番号:79のアミノ酸22~415を含むDDR1の断片に結合しない。特定の態様において、抗DDR2抗体は、配列番号:81のアミノ酸21~417を含むDDR1の断片に結合しない。特定の態様において、抗DDR2抗体は、配列番号:80のアミノ酸21~417を含むDDR1の断片に結合しない。特定の態様において、抗DDR2抗体は、配列番号:82のアミノ酸21~417を含むDDR1の断片に結合しない。特定の態様において、抗DDR2抗体は、配列番号:83のアミノ酸21~417を含むDDR1の断片に結合しない。特定の態様において、抗DDR2抗体は、配列番号:84のアミノ酸21~417を含むDDR1の断片に結合しない。
【0079】
特定の態様において、抗DDR2抗体は、配列番号:77または78のアミノ酸31~179によって定義される配列の全部または一部を含むエピトープでDDR2に結合する。特定の態様において、抗DDR2抗体は、配列番号:77のアミノ酸R31、P33、S37、D64、S65、E66、Q103、H106、A107、G108、H110、S145、N146、Y148、D149、V150、F151、L152、D154、およびR179の少なくとも1つもしくは複数、またはすべてに結合する。特定の態様において、抗DDR2抗体は、配列番号:77のアミノ酸P33、S37、D64、S65、E66、Q103、H106、G108、H110、S145、N146、Y148、D149、V150、F151、およびL152の少なくとも1つもしくは複数、またはすべてに結合する。特定の態様において、抗DDR2抗体は、配列番号:78のアミノ酸R31、P33、S37、D64、S65、E66、Q103、H106、A107、G108、H110、S145、N146、Y148、D149、I150、F151、L152、D154、およびR179の少なくとも1つもしくは複数、またはすべてに結合する。特定の態様において、抗DDR2抗体は、配列番号:78のアミノ酸P33、S37、D64、S65、E66、Q103、H106、G108、H110、S145、N146、Y148、D149、I150、F151、およびL152の少なくとも1つもしくは複数、またはすべてに結合する。
【0080】
特定の態様において、抗DDR2抗体は、被験体中のコラーゲン1型α1(Col1a1)mRNAレベルおよび/またはフィブロネクチン1(Fn1)mRNAレベルを低減させる。特定の態様において、抗DDR2抗体は、線維症を有する被験体中のコラーゲン1型α1(Col1a1)mRNAレベルおよび/またはフィブロネクチン1(Fn1)mRNAレベルを低減させる。
【0081】
一局面において、本発明は、(a)配列番号:2のアミノ酸配列を含むHVR-H1;(b)配列番号:3のアミノ酸配列を含むHVR-H2;(c)配列番号:4のアミノ酸配列を含むHVR-H3;(d)配列番号:6のアミノ酸配列を含むHVR-L1;(e)配列番号:7のアミノ酸配列を含むHVR-L2;および、(f)配列番号:8のアミノ酸配列を含むHVR-L3より選択される、少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、または6つのHVRを含む、抗DDR2抗体を提供する。
一局面において、本発明は、(a)配列番号:10のアミノ酸配列を含むHVR-H1;(b)配列番号:11のアミノ酸配列を含むHVR-H2;(c)配列番号:12のアミノ酸配列を含むHVR-H3;(d)配列番号:14のアミノ酸配列を含むHVR-L1;(e)配列番号:15のアミノ酸配列を含むHVR-L2;および、(f)配列番号:16のアミノ酸配列を含むHVR-L3より選択される、少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、または6つのHVRを含む、抗DDR2抗体を提供する。
一局面において、本発明は、(a)配列番号:18のアミノ酸配列を含むHVR-H1;(b)配列番号:19のアミノ酸配列を含むHVR-H2;(c)配列番号:20のアミノ酸配列を含むHVR-H3;(d)配列番号:22のアミノ酸配列を含むHVR-L1;(e)配列番号:23のアミノ酸配列を含むHVR-L2;および、(f)配列番号:24のアミノ酸配列を含むHVR-L3より選択される、少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、または6つのHVRを含む、抗DDR2抗体を提供する。
一局面において、本発明は、(a)配列番号:26のアミノ酸配列を含むHVR-H1;(b)配列番号:27のアミノ酸配列を含むHVR-H2;(c)配列番号:28のアミノ酸配列を含むHVR-H3;(d)配列番号:30のアミノ酸配列を含むHVR-L1;(e)配列番号:31のアミノ酸配列を含むHVR-L2;および、(f)配列番号:32のアミノ酸配列を含むHVR-L3より選択される、少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、または6つのHVRを含む、抗DDR2抗体を提供する。
一局面において、本発明は、(a)配列番号:34のアミノ酸配列を含むHVR-H1;(b)配列番号:35のアミノ酸配列を含むHVR-H2;(c)配列番号:36のアミノ酸配列を含むHVR-H3;(d)配列番号:38のアミノ酸配列を含むHVR-L1;(e)配列番号:39のアミノ酸配列を含むHVR-L2;および、(f)配列番号:40のアミノ酸配列を含むHVR-L3より選択される、少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、または6つのHVRを含む、抗DDR2抗体を提供する。
一局面において、本発明は、(a)配列番号:42のアミノ酸配列を含むHVR-H1;(b)配列番号:43のアミノ酸配列を含むHVR-H2;(c)配列番号:44のアミノ酸配列を含むHVR-H3;(d)配列番号:46のアミノ酸配列を含むHVR-L1;(e)配列番号:47のアミノ酸配列を含むHVR-L2;および、(f)配列番号:48のアミノ酸配列を含むHVR-L3より選択される、少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、または6つのHVRを含む、抗DDR2抗体を提供する。
一局面において、本発明は、(a)配列番号:50のアミノ酸配列を含むHVR-H1;(b)配列番号:51のアミノ酸配列を含むHVR-H2;(c)配列番号:52のアミノ酸配列を含むHVR-H3;(d)配列番号:54のアミノ酸配列を含むHVR-L1;(e)配列番号:55のアミノ酸配列を含むHVR-L2;および、(f)配列番号:56のアミノ酸配列を含むHVR-L3より選択される、少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、または6つのHVRを含む、抗DDR2抗体を提供する。
一局面において、本発明は、(a)配列番号:58のアミノ酸配列を含むHVR-H1;(b)配列番号:59のアミノ酸配列を含むHVR-H2;(c)配列番号:60のアミノ酸配列を含むHVR-H3;(d)配列番号:62のアミノ酸配列を含むHVR-L1;(e)配列番号:63のアミノ酸配列を含むHVR-L2;および、(f)配列番号:64のアミノ酸配列を含むHVR-L3より選択される、少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、または6つのHVRを含む、抗DDR2抗体を提供する。
一局面において、本発明は、(a)配列番号:66のアミノ酸配列を含むHVR-H1;(b)配列番号:67のアミノ酸配列を含むHVR-H2;(c)配列番号:68のアミノ酸配列を含むHVR-H3;(d)配列番号:70のアミノ酸配列を含むHVR-L1;(e)配列番号:71のアミノ酸配列を含むHVR-L2;および、(f)配列番号:72のアミノ酸配列を含むHVR-L3より選択される、少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、または6つのHVRを含む、抗DDR2抗体を提供する。
【0082】
一局面において、本発明は、(a)配列番号:2のアミノ酸配列を含むHVR-H1;(b)配列番号:3のアミノ酸配列を含むHVR-H2;および、(c)配列番号:4のアミノ酸配列を含むHVR-H3より選択される、少なくとも1つ、少なくとも2つ、または3つすべてのVH HVR配列を含む、抗体を提供する。一態様において、抗体は、配列番号:4のアミノ酸配列を含むHVR-H3を含む。別の態様において、抗体は、配列番号:4のアミノ酸配列を含むHVR-H3と、配列番号:8のアミノ酸配列を含むHVR-L3とを含む。さらなる態様において、抗体は、配列番号:4のアミノ酸配列を含むHVR-H3と、配列番号:8のアミノ酸配列を含むHVR-L3と、配列番号:3のアミノ酸配列を含むHVR-H2とを含む。さらなる態様において、抗体は、(a)配列番号:2のアミノ酸配列を含むHVR-H1と;(b)配列番号:3のアミノ酸配列を含むHVR-H2と;(c)配列番号:4のアミノ酸配列を含むHVR-H3とを含む。
一局面において、本発明は、(a)配列番号:10のアミノ酸配列を含むHVR-H1;(b)配列番号:11のアミノ酸配列を含むHVR-H2;および、(c)配列番号:12のアミノ酸配列を含むHVR-H3より選択される、少なくとも1つ、少なくとも2つ、または3つすべてのVH HVR配列を含む、抗体を提供する。一態様において、抗体は、配列番号:12のアミノ酸配列を含むHVR-H3を含む。別の態様において、抗体は、配列番号:12のアミノ酸配列を含むHVR-H3と、配列番号:16のアミノ酸配列を含むHVR-L3とを含む。さらなる態様において、抗体は、配列番号:12のアミノ酸配列を含むHVR-H3と、配列番号:16のアミノ酸配列を含むHVR-L3と、配列番号:11のアミノ酸配列を含むHVR-H2とを含む。さらなる態様において、抗体は、(a)配列番号:10のアミノ酸配列を含むHVR-H1と;(b)配列番号:11のアミノ酸配列を含むHVR-H2と;(c)配列番号:12のアミノ酸配列を含むHVR-H3とを含む。
一局面において、本発明は、(a)配列番号:18のアミノ酸配列を含むHVR-H1;(b)配列番号:19のアミノ酸配列を含むHVR-H2;および、(c)配列番号:20のアミノ酸配列を含むHVR-H3より選択される、少なくとも1つ、少なくとも2つ、または3つすべてのVH HVR配列を含む、抗体を提供する。一態様において、抗体は、配列番号:20のアミノ酸配列を含むHVR-H3を含む。別の態様において、抗体は、配列番号:20のアミノ酸配列を含むHVR-H3と、配列番号:24のアミノ酸配列を含むHVR-L3とを含む。さらなる態様において、抗体は、配列番号:20のアミノ酸配列を含むHVR-H3と、配列番号:24のアミノ酸配列を含むHVR-L3と、配列番号:19のアミノ酸配列を含むHVR-H2とを含む。さらなる態様において、抗体は、(a)配列番号:18のアミノ酸配列を含むHVR-H1と;(b)配列番号:19のアミノ酸配列を含むHVR-H2と;(c)配列番号:20のアミノ酸配列を含むHVR-H3とを含む。
一局面において、本発明は、(a)配列番号:26のアミノ酸配列を含むHVR-H1;(b)配列番号:27のアミノ酸配列を含むHVR-H2;および、(c)配列番号:28のアミノ酸配列を含むHVR-H3より選択される、少なくとも1つ、少なくとも2つ、または3つすべてのVH HVR配列を含む、抗体を提供する。一態様において、抗体は、配列番号:28のアミノ酸配列を含むHVR-H3を含む。別の態様において、抗体は、配列番号:28のアミノ酸配列を含むHVR-H3と、配列番号:32のアミノ酸配列を含むHVR-L3とを含む。さらなる態様において、抗体は、配列番号:28のアミノ酸配列を含むHVR-H3と、配列番号:32のアミノ酸配列を含むHVR-L3と、配列番号:27のアミノ酸配列を含むHVR-H2とを含む。さらなる態様において、抗体は、(a)配列番号:26のアミノ酸配列を含むHVR-H1と;(b)配列番号:27のアミノ酸配列を含むHVR-H2と;(c)配列番号:28のアミノ酸配列を含むHVR-H3とを含む。
一局面において、本発明は、(a)配列番号:34のアミノ酸配列を含むHVR-H1;(b)配列番号:35のアミノ酸配列を含むHVR-H2;および、(c)配列番号:36のアミノ酸配列を含むHVR-H3より選択される、少なくとも1つ、少なくとも2つ、または3つすべてのVH HVR配列を含む、抗体を提供する。一態様において、抗体は、配列番号:36のアミノ酸配列を含むHVR-H3を含む。別の態様において、抗体は、配列番号:36のアミノ酸配列を含むHVR-H3と、配列番号:40のアミノ酸配列を含むHVR-L3とを含む。さらなる態様において、抗体は、配列番号:36のアミノ酸配列を含むHVR-H3と、配列番号:40のアミノ酸配列を含むHVR-L3と、配列番号:35のアミノ酸配列を含むHVR-H2とを含む。さらなる態様において、抗体は、(a)配列番号:34のアミノ酸配列を含むHVR-H1と;(b)配列番号:35のアミノ酸配列を含むHVR-H2と;(c)配列番号:36のアミノ酸配列を含むHVR-H3とを含む。
一局面において、本発明は、(a)配列番号:42のアミノ酸配列を含むHVR-H1;(b)配列番号:43のアミノ酸配列を含むHVR-H2;および、(c)配列番号:44のアミノ酸配列を含むHVR-H3より選択される、少なくとも1つ、少なくとも2つ、または3つすべてのVH HVR配列を含む、抗体を提供する。一態様において、抗体は、配列番号:44のアミノ酸配列を含むHVR-H3を含む。別の態様において、抗体は、配列番号:44のアミノ酸配列を含むHVR-H3と、配列番号:48のアミノ酸配列を含むHVR-L3とを含む。さらなる態様において、抗体は、配列番号:44のアミノ酸配列を含むHVR-H3と、配列番号:48のアミノ酸配列を含むHVR-L3と、配列番号:43のアミノ酸配列を含むHVR-H2とを含む。さらなる態様において、抗体は、(a)配列番号:42のアミノ酸配列を含むHVR-H1と;(b)配列番号:43のアミノ酸配列を含むHVR-H2と;(c)配列番号:44のアミノ酸配列を含むHVR-H3とを含む。
一局面において、本発明は、(a)配列番号:50のアミノ酸配列を含むHVR-H1;(b)配列番号:51のアミノ酸配列を含むHVR-H2;および、(c)配列番号:52のアミノ酸配列を含むHVR-H3より選択される、少なくとも1つ、少なくとも2つ、または3つすべてのVH HVR配列を含む、抗体を提供する。一態様において、抗体は、配列番号:52のアミノ酸配列を含むHVR-H3を含む。別の態様において、抗体は、配列番号:52のアミノ酸配列を含むHVR-H3と、配列番号:56のアミノ酸配列を含むHVR-L3とを含む。さらなる態様において、抗体は、配列番号:52のアミノ酸配列を含むHVR-H3と、配列番号:56のアミノ酸配列を含むHVR-L3と、配列番号:51のアミノ酸配列を含むHVR-H2とを含む。さらなる態様において、抗体は、(a)配列番号:50のアミノ酸配列を含むHVR-H1と;(b)配列番号:51のアミノ酸配列を含むHVR-H2と;(c)配列番号:52のアミノ酸配列を含むHVR-H3とを含む。
一局面において、本発明は、(a)配列番号:58のアミノ酸配列を含むHVR-H1;(b)配列番号:59のアミノ酸配列を含むHVR-H2;および、(c)配列番号:60のアミノ酸配列を含むHVR-H3より選択される、少なくとも1つ、少なくとも2つ、または3つすべてのVH HVR配列を含む、抗体を提供する。一態様において、抗体は、配列番号:60のアミノ酸配列を含むHVR-H3を含む。別の態様において、抗体は、配列番号:60のアミノ酸配列を含むHVR-H3と、配列番号:64のアミノ酸配列を含むHVR-L3とを含む。さらなる態様において、抗体は、配列番号:60のアミノ酸配列を含むHVR-H3と、配列番号:64のアミノ酸配列を含むHVR-L3と、配列番号:59のアミノ酸配列を含むHVR-H2とを含む。さらなる態様において、抗体は、(a)配列番号:58のアミノ酸配列を含むHVR-H1と;(b)配列番号:59のアミノ酸配列を含むHVR-H2と;(c)配列番号:60のアミノ酸配列を含むHVR-H3とを含む。
一局面において、本発明は、(a)配列番号:66のアミノ酸配列を含むHVR-H1;(b)配列番号:67のアミノ酸配列を含むHVR-H2;および、(c)配列番号:68のアミノ酸配列を含むHVR-H3より選択される、少なくとも1つ、少なくとも2つ、または3つすべてのVH HVR配列を含む、抗体を提供する。一態様において、抗体は、配列番号:68のアミノ酸配列を含むHVR-H3を含む。別の態様において、抗体は、配列番号:68のアミノ酸配列を含むHVR-H3と、配列番号:72のアミノ酸配列を含むHVR-L3とを含む。さらなる態様において、抗体は、配列番号:68のアミノ酸配列を含むHVR-H3と、配列番号:72のアミノ酸配列を含むHVR-L3と、配列番号:67のアミノ酸配列を含むHVR-H2とを含む。さらなる態様において、抗体は、(a)配列番号:66のアミノ酸配列を含むHVR-H1と;(b)配列番号:67のアミノ酸配列を含むHVR-H2と;(c)配列番号:68のアミノ酸配列を含むHVR-H3とを含む。
【0083】
別の局面において、本発明は、(a)配列番号:6のアミノ酸配列を含むHVR-L1;(b)配列番号:7のアミノ酸配列を含むHVR-L2;および(c)配列番号:8のアミノ酸配列を含むHVR-L3より選択される、少なくとも1つ、少なくとも2つ、または3つすべてのVL HVR配列を含む、抗体を提供する。一態様において、抗体は、(a)配列番号:6のアミノ酸配列を含むHVR-L1と;(b)配列番号:7のアミノ酸配列を含むHVR-L2と;(c)配列番号:8のアミノ酸配列を含むHVR-L3とを含む。
別の局面において、本発明は、(a)配列番号:14のアミノ酸配列を含むHVR-L1;(b)配列番号:15のアミノ酸配列を含むHVR-L2;および(c)配列番号:16のアミノ酸配列を含むHVR-L3より選択される、少なくとも1つ、少なくとも2つ、または3つすべてのVL HVR配列を含む、抗体を提供する。一態様において、抗体は、(a)配列番号:14のアミノ酸配列を含むHVR-L1と;(b)配列番号:15のアミノ酸配列を含むHVR-L2と;(c)配列番号:16のアミノ酸配列を含むHVR-L3とを含む。
別の局面において、本発明は、(a)配列番号:22のアミノ酸配列を含むHVR-L1;(b)配列番号:23のアミノ酸配列を含むHVR-L2;および(c)配列番号:24のアミノ酸配列を含むHVR-L3より選択される、少なくとも1つ、少なくとも2つ、または3つすべてのVL HVR配列を含む、抗体を提供する。一態様において、抗体は、(a)配列番号:22のアミノ酸配列を含むHVR-L1と;(b)配列番号:23のアミノ酸配列を含むHVR-L2と;(c)配列番号:24のアミノ酸配列を含むHVR-L3とを含む。
別の局面において、本発明は、(a)配列番号:30のアミノ酸配列を含むHVR-L1;(b)配列番号:31のアミノ酸配列を含むHVR-L2;および(c)配列番号:32のアミノ酸配列を含むHVR-L3より選択される、少なくとも1つ、少なくとも2つ、または3つすべてのVL HVR配列を含む、抗体を提供する。一態様において、抗体は、(a)配列番号:30のアミノ酸配列を含むHVR-L1と;(b)配列番号:31のアミノ酸配列を含むHVR-L2と;(c)配列番号:32のアミノ酸配列を含むHVR-L3とを含む。
別の局面において、本発明は、(a)配列番号:38のアミノ酸配列を含むHVR-L1;(b)配列番号:39のアミノ酸配列を含むHVR-L2;および(c)配列番号:40のアミノ酸配列を含むHVR-L3より選択される、少なくとも1つ、少なくとも2つ、または3つすべてのVL HVR配列を含む、抗体を提供する。一態様において、抗体は、(a)配列番号:38のアミノ酸配列を含むHVR-L1と;(b)配列番号:39のアミノ酸配列を含むHVR-L2と;(c)配列番号:40のアミノ酸配列を含むHVR-L3とを含む。
別の局面において、本発明は、(a)配列番号:46のアミノ酸配列を含むHVR-L1;(b)配列番号:47のアミノ酸配列を含むHVR-L2;および(c)配列番号:48のアミノ酸配列を含むHVR-L3より選択される、少なくとも1つ、少なくとも2つ、または3つすべてのVL HVR配列を含む、抗体を提供する。一態様において、抗体は、(a)配列番号:46のアミノ酸配列を含むHVR-L1と;(b)配列番号:47のアミノ酸配列を含むHVR-L2と;(c)配列番号:48のアミノ酸配列を含むHVR-L3とを含む。
別の局面において、本発明は、(a)配列番号:54のアミノ酸配列を含むHVR-L1;(b)配列番号:55のアミノ酸配列を含むHVR-L2;および(c)配列番号:56のアミノ酸配列を含むHVR-L3より選択される、少なくとも1つ、少なくとも2つ、または3つすべてのVL HVR配列を含む、抗体を提供する。一態様において、抗体は、(a)配列番号:54のアミノ酸配列を含むHVR-L1と;(b)配列番号:55のアミノ酸配列を含むHVR-L2と;(c)配列番号:56のアミノ酸配列を含むHVR-L3とを含む。
別の局面において、本発明は、(a)配列番号:62のアミノ酸配列を含むHVR-L1;(b)配列番号:63のアミノ酸配列を含むHVR-L2;および(c)配列番号:64のアミノ酸配列を含むHVR-L3より選択される、少なくとも1つ、少なくとも2つ、または3つすべてのVL HVR配列を含む、抗体を提供する。一態様において、抗体は、(a)配列番号:62のアミノ酸配列を含むHVR-L1と;(b)配列番号:63のアミノ酸配列を含むHVR-L2と;(c)配列番号:64のアミノ酸配列を含むHVR-L3とを含む。
別の局面において、本発明は、(a)配列番号:70のアミノ酸配列を含むHVR-L1;(b)配列番号:71のアミノ酸配列を含むHVR-L2;および(c)配列番号:72のアミノ酸配列を含むHVR-L3より選択される、少なくとも1つ、少なくとも2つ、または3つすべてのVL HVR配列を含む、抗体を提供する。一態様において、抗体は、(a)配列番号:70のアミノ酸配列を含むHVR-L1と;(b)配列番号:71のアミノ酸配列を含むHVR-L2と;(c)配列番号:72のアミノ酸配列を含むHVR-L3とを含む。
【0084】
別の局面において、本発明の抗体は、(a)VHドメインであって、(i)配列番号:2のアミノ酸配列を含むHVR-H1、(ii) 配列番号:3のアミノ酸配列を含むHVR-H2、および(iii)配列番号:4のアミノ酸配列を含むHVR-H3より選択される、少なくとも1つ、少なくとも2つ、または3つすべてのVH HVR配列を含む、VHドメインと;(b)VLドメインであって、(i)配列番号:6のアミノ酸配列を含むHVR-L1、(ii)配列番号:7のアミノ酸配列を含むHVR-L2、および(c)配列番号:8のアミノ酸配列を含むHVR-L3より選択される、少なくとも1つ、少なくとも2つ、または3つすべてのVL HVR配列を含む、VLドメインとを含む。
別の局面において、本発明の抗体は、(a)VHドメインであって、(i)配列番号:10のアミノ酸配列を含むHVR-H1、(ii) 配列番号:11のアミノ酸配列を含むHVR-H2、および(iii)配列番号:12のアミノ酸配列を含むHVR-H3より選択される、少なくとも1つ、少なくとも2つ、または3つすべてのVH HVR配列を含む、VHドメインと;(b)VLドメインであって、(i)配列番号:14のアミノ酸配列を含むHVR-L1、(ii)配列番号:15のアミノ酸配列を含むHVR-L2、および(c)配列番号:16のアミノ酸配列を含むHVR-L3より選択される、少なくとも1つ、少なくとも2つ、または3つすべてのVL HVR配列を含む、VLドメインとを含む。
別の局面において、本発明の抗体は、(a)VHドメインであって、(i)配列番号:18のアミノ酸配列を含むHVR-H1、(ii) 配列番号:19のアミノ酸配列を含むHVR-H2、および(iii)配列番号:20のアミノ酸配列を含むHVR-H3より選択される、少なくとも1つ、少なくとも2つ、または3つすべてのVH HVR配列を含む、VHドメインと;(b)VLドメインであって、(i)配列番号:22のアミノ酸配列を含むHVR-L1、(ii)配列番号:23のアミノ酸配列を含むHVR-L2、および(c)配列番号:24のアミノ酸配列を含むHVR-L3より選択される、少なくとも1つ、少なくとも2つ、または3つすべてのVL HVR配列を含む、VLドメインとを含む。
別の局面において、本発明の抗体は、(a)VHドメインであって、(i)配列番号:26のアミノ酸配列を含むHVR-H1、(ii) 配列番号:27のアミノ酸配列を含むHVR-H2、および(iii)配列番号:28のアミノ酸配列を含むHVR-H3より選択される、少なくとも1つ、少なくとも2つ、または3つすべてのVH HVR配列を含む、VHドメインと;(b)VLドメインであって、(i)配列番号:30のアミノ酸配列を含むHVR-L1、(ii)配列番号:31のアミノ酸配列を含むHVR-L2、および(c)配列番号:32のアミノ酸配列を含むHVR-L3より選択される、少なくとも1つ、少なくとも2つ、または3つすべてのVL HVR配列を含む、VLドメインとを含む。
別の局面において、本発明の抗体は、(a)VHドメインであって、(i)配列番号:34のアミノ酸配列を含むHVR-H1、(ii) 配列番号:35のアミノ酸配列を含むHVR-H2、および(iii)配列番号:36のアミノ酸配列を含むHVR-H3より選択される、少なくとも1つ、少なくとも2つ、または3つすべてのVH HVR配列を含む、VHドメインと;(b)VLドメインであって、(i)配列番号:38のアミノ酸配列を含むHVR-L1、(ii)配列番号:39のアミノ酸配列を含むHVR-L2、および(c)配列番号:40のアミノ酸配列を含むHVR-L3より選択される、少なくとも1つ、少なくとも2つ、または3つすべてのVL HVR配列を含む、VLドメインとを含む。
別の局面において、本発明の抗体は、(a)VHドメインであって、(i)配列番号:42のアミノ酸配列を含むHVR-H1、(ii) 配列番号:43のアミノ酸配列を含むHVR-H2、および(iii)配列番号:44のアミノ酸配列を含むHVR-H3より選択される、少なくとも1つ、少なくとも2つ、または3つすべてのVH HVR配列を含む、VHドメインと;(b)VLドメインであって、(i)配列番号:46のアミノ酸配列を含むHVR-L1、(ii)配列番号:47のアミノ酸配列を含むHVR-L2、および(c)配列番号:48のアミノ酸配列を含むHVR-L3より選択される、少なくとも1つ、少なくとも2つ、または3つすべてのVL HVR配列を含む、VLドメインとを含む。
別の局面において、本発明の抗体は、(a)VHドメインであって、(i)配列番号:50のアミノ酸配列を含むHVR-H1、(ii) 配列番号:51のアミノ酸配列を含むHVR-H2、および(iii)配列番号:52のアミノ酸配列を含むHVR-H3より選択される、少なくとも1つ、少なくとも2つ、または3つすべてのVH HVR配列を含む、VHドメインと;(b)VLドメインであって、(i)配列番号:54のアミノ酸配列を含むHVR-L1、(ii)配列番号:55のアミノ酸配列を含むHVR-L2、および(c)配列番号:56のアミノ酸配列を含むHVR-L3より選択される、少なくとも1つ、少なくとも2つ、または3つすべてのVL HVR配列を含む、VLドメインとを含む。
別の局面において、本発明の抗体は、(a)VHドメインであって、(i)配列番号:58のアミノ酸配列を含むHVR-H1、(ii) 配列番号:59のアミノ酸配列を含むHVR-H2、および(iii)配列番号:60のアミノ酸配列を含むHVR-H3より選択される、少なくとも1つ、少なくとも2つ、または3つすべてのVH HVR配列を含む、VHドメインと;(b)VLドメインであって、(i)配列番号:62のアミノ酸配列を含むHVR-L1、(ii)配列番号:63のアミノ酸配列を含むHVR-L2、および(c)配列番号:64のアミノ酸配列を含むHVR-L3より選択される、少なくとも1つ、少なくとも2つ、または3つすべてのVL HVR配列を含む、VLドメインとを含む。
別の局面において、本発明の抗体は、(a)VHドメインであって、(i)配列番号:66のアミノ酸配列を含むHVR-H1、(ii) 配列番号:67のアミノ酸配列を含むHVR-H2、および(iii)配列番号:68のアミノ酸配列を含むHVR-H3より選択される、少なくとも1つ、少なくとも2つ、または3つすべてのVH HVR配列を含む、VHドメインと;(b)VLドメインであって、(i)配列番号:70のアミノ酸配列を含むHVR-L1、(ii)配列番号:71のアミノ酸配列を含むHVR-L2、および(c)配列番号:72のアミノ酸配列を含むHVR-L3より選択される、少なくとも1つ、少なくとも2つ、または3つすべてのVL HVR配列を含む、VLドメインとを含む。
【0085】
別の局面において、本発明は(a)配列番号:2のアミノ酸配列を含むHVR-H1と; (b) 配列番号:3のアミノ酸配列を含むHVR-H2と; (c)配列番号:4のアミノ酸配列を含むHVR-H3と; (d)配列番号:6のアミノ酸配列を含むHVR-L1と; (e)配列番号:7のアミノ酸配列を含むHVR-L2と;(f)配列番号:8より選択されるアミノ酸配列を含むHVR-L3とを含む、抗体を提供する。
実施例において例示される抗体DAB0065は、これらの超可変領域を含む。DAB0065は、線維性疾患のマウスモデルにおいて特に有効であることが示されている(実施例部分を参照のこと)。したがって、特定の態様において、本発明は、この超可変領域を含む抗体、同じエピトープに結合する抗体、および特に線維性疾患の治療における、これらの抗体の医学的使用に向けられている。
【0086】
別の局面において、本発明は(a)配列番号:10のアミノ酸配列を含むHVR-H1と; (b) 配列番号:11のアミノ酸配列を含むHVR-H2と; (c)配列番号:12のアミノ酸配列を含むHVR-H3と; (d)配列番号:14のアミノ酸配列を含むHVR-L1と; (e)配列番号:15のアミノ酸配列を含むHVR-L2と;(f)配列番号:16より選択されるアミノ酸配列を含むHVR-L3とを含む、抗体を提供する。
別の局面において、本発明は(a)配列番号:18のアミノ酸配列を含むHVR-H1と; (b) 配列番号:19のアミノ酸配列を含むHVR-H2と; (c)配列番号:20のアミノ酸配列を含むHVR-H3と; (d)配列番号:22のアミノ酸配列を含むHVR-L1と; (e)配列番号:23のアミノ酸配列を含むHVR-L2と;(f)配列番号:24より選択されるアミノ酸配列を含むHVR-L3とを含む、抗体を提供する。
別の局面において、本発明は(a)配列番号:26のアミノ酸配列を含むHVR-H1と; (b) 配列番号:27のアミノ酸配列を含むHVR-H2と; (c)配列番号:28のアミノ酸配列を含むHVR-H3と; (d)配列番号:30のアミノ酸配列を含むHVR-L1と; (e)配列番号:31のアミノ酸配列を含むHVR-L2と;(f)配列番号:32より選択されるアミノ酸配列を含むHVR-L3とを含む、抗体を提供する。
別の局面において、本発明は(a)配列番号:34のアミノ酸配列を含むHVR-H1と; (b) 配列番号:35のアミノ酸配列を含むHVR-H2と; (c)配列番号:36のアミノ酸配列を含むHVR-H3と; (d)配列番号:38のアミノ酸配列を含むHVR-L1と; (e)配列番号:39のアミノ酸配列を含むHVR-L2と;(f)配列番号:40より選択されるアミノ酸配列を含むHVR-L3とを含む、抗体を提供する。
別の局面において、本発明は(a)配列番号:42のアミノ酸配列を含むHVR-H1と; (b) 配列番号:43のアミノ酸配列を含むHVR-H2と; (c)配列番号:44のアミノ酸配列を含むHVR-H3と; (d)配列番号:46のアミノ酸配列を含むHVR-L1と; (e)配列番号:47のアミノ酸配列を含むHVR-L2と;(f)配列番号:48より選択されるアミノ酸配列を含むHVR-L3とを含む、抗体を提供する。
別の局面において、本発明は(a)配列番号:50のアミノ酸配列を含むHVR-H1と; (b) 配列番号:51のアミノ酸配列を含むHVR-H2と; (c)配列番号:52のアミノ酸配列を含むHVR-H3と; (d)配列番号:54のアミノ酸配列を含むHVR-L1と; (e)配列番号:55のアミノ酸配列を含むHVR-L2と;(f)配列番号:56より選択されるアミノ酸配列を含むHVR-L3とを含む、抗体を提供する。
別の局面において、本発明は(a)配列番号:58のアミノ酸配列を含むHVR-H1と; (b) 配列番号:59のアミノ酸配列を含むHVR-H2と; (c)配列番号:60のアミノ酸配列を含むHVR-H3と; (d)配列番号:62のアミノ酸配列を含むHVR-L1と; (e)配列番号:63のアミノ酸配列を含むHVR-L2と;(f)配列番号:64より選択されるアミノ酸配列を含むHVR-L3とを含む、抗体を提供する。
別の局面において、本発明は(a)配列番号:66のアミノ酸配列を含むHVR-H1と; (b) 配列番号:67のアミノ酸配列を含むHVR-H2と; (c)配列番号:68のアミノ酸配列を含むHVR-H3と; (d)配列番号:70のアミノ酸配列を含むHVR-L1と; (e)配列番号:71のアミノ酸配列を含むHVR-L2と;(f)配列番号:72より選択されるアミノ酸配列を含むHVR-L3とを含む、抗体を提供する。
【0087】
上述の態様の任意のものにおいて、抗DDR2抗体は、ヒト化されている。一態様において、抗DDR2抗体は、上述の態様の任意のものにおけるHVRを含み、かつさらに、アクセプターヒトフレームワーク(例えば、ヒト免疫グロブリンフレームワークまたはヒトコンセンサスフレームワーク)を含む。
【0088】
別の局面において、抗DDR2抗体は、配列番号:1のアミノ酸配列に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有する重鎖可変ドメイン (VH) 配列を含む。特定の態様において、少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性を有するVH配列は、参照配列に対して、置換(例えば、保存的置換)、挿入、または欠失を含むが、当該配列を含む抗DDR2抗体は、DDR2に結合する能力を保持する。特定の態様において、合計1個から10個のアミノ酸が、配列番号:1において、置換、挿入、および/または欠失される。特定の態様において、置換、挿入、または欠失は、HVRの外側の領域(すなわち、FRの中)で生じる。任意で、抗DDR2抗体は、配列番号:1におけるVH配列を、当該配列の翻訳後修飾を含んだものも含めて、含む。ある特定の態様では、VHは、(a)配列番号:2のアミノ酸配列を含むHVR-H1、 (b)配列番号:3のアミノ酸配列を含むHVR-H2、および(c)配列番号:4のアミノ酸配列を含むHVR-H3より選択される、1つ、2つ、または3つのHVRを含む。
別の局面において、抗DDR2抗体は、配列番号:9のアミノ酸配列に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有する重鎖可変ドメイン (VH) 配列を含む。特定の態様において、少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性を有するVH配列は、参照配列に対して、置換(例えば、保存的置換)、挿入、または欠失を含むが、当該配列を含む抗DDR2抗体は、DDR2に結合する能力を保持する。特定の態様において、合計1個から10個のアミノ酸が、配列番号:9において、置換、挿入、および/または欠失される。特定の態様において、置換、挿入、または欠失は、HVRの外側の領域(すなわち、FRの中)で生じる。任意で、抗DDR2抗体は、配列番号:9におけるVH配列を、当該配列の翻訳後修飾を含んだものも含めて、含む。ある特定の態様では、VHは、(a)配列番号:10のアミノ酸配列を含むHVR-H1、 (b)配列番号:11のアミノ酸配列を含むHVR-H2、および(c)配列番号:12のアミノ酸配列を含むHVR-H3より選択される、1つ、2つ、または3つのHVRを含む。
別の局面において、抗DDR2抗体は、配列番号:17のアミノ酸配列に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有する重鎖可変ドメイン (VH) 配列を含む。特定の態様において、少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性を有するVH配列は、参照配列に対して、置換(例えば、保存的置換)、挿入、または欠失を含むが、当該配列を含む抗DDR2抗体は、DDR2に結合する能力を保持する。特定の態様において、合計1個から10個のアミノ酸が、配列番号:17において、置換、挿入、および/または欠失される。特定の態様において、置換、挿入、または欠失は、HVRの外側の領域(すなわち、FRの中)で生じる。任意で、抗DDR2抗体は、配列番号:17におけるVH配列を、当該配列の翻訳後修飾を含んだものも含めて、含む。ある特定の態様では、VHは、(a)配列番号:18のアミノ酸配列を含むHVR-H1、 (b)配列番号:19のアミノ酸配列を含むHVR-H2、および(c)配列番号:20のアミノ酸配列を含むHVR-H3より選択される、1つ、2つ、または3つのHVRを含む。
別の局面において、抗DDR2抗体は、配列番号:25のアミノ酸配列に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有する重鎖可変ドメイン (VH) 配列を含む。特定の態様において、少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性を有するVH配列は、参照配列に対して、置換(例えば、保存的置換)、挿入、または欠失を含むが、当該配列を含む抗DDR2抗体は、DDR2に結合する能力を保持する。特定の態様において、合計1個から10個のアミノ酸が、配列番号:25において、置換、挿入、および/または欠失される。特定の態様において、置換、挿入、または欠失は、HVRの外側の領域(すなわち、FRの中)で生じる。任意で、抗DDR2抗体は、配列番号:25におけるVH配列を、当該配列の翻訳後修飾を含んだものも含めて、含む。ある特定の態様では、VHは、(a)配列番号:26のアミノ酸配列を含むHVR-H1、 (b)配列番号:27のアミノ酸配列を含むHVR-H2、および(c)配列番号:28のアミノ酸配列を含むHVR-H3より選択される、1つ、2つ、または3つのHVRを含む。
別の局面において、抗DDR2抗体は、配列番号:33のアミノ酸配列に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有する重鎖可変ドメイン (VH) 配列を含む。特定の態様において、少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性を有するVH配列は、参照配列に対して、置換(例えば、保存的置換)、挿入、または欠失を含むが、当該配列を含む抗DDR2抗体は、DDR2に結合する能力を保持する。特定の態様において、合計1個から10個のアミノ酸が、配列番号:33において、置換、挿入、および/または欠失される。特定の態様において、置換、挿入、または欠失は、HVRの外側の領域(すなわち、FRの中)で生じる。任意で、抗DDR2抗体は、配列番号:33におけるVH配列を、当該配列の翻訳後修飾を含んだものも含めて、含む。ある特定の態様では、VHは、(a)配列番号:34のアミノ酸配列を含むHVR-H1、 (b)配列番号:35のアミノ酸配列を含むHVR-H2、および(c)配列番号:36のアミノ酸配列を含むHVR-H3より選択される、1つ、2つ、または3つのHVRを含む。
別の局面において、抗DDR2抗体は、配列番号:41のアミノ酸配列に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有する重鎖可変ドメイン (VH) 配列を含む。特定の態様において、少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性を有するVH配列は、参照配列に対して、置換(例えば、保存的置換)、挿入、または欠失を含むが、当該配列を含む抗DDR2抗体は、DDR2に結合する能力を保持する。特定の態様において、合計1個から10個のアミノ酸が、配列番号:41において、置換、挿入、および/または欠失される。特定の態様において、置換、挿入、または欠失は、HVRの外側の領域(すなわち、FRの中)で生じる。任意で、抗DDR2抗体は、配列番号:41におけるVH配列を、当該配列の翻訳後修飾を含んだものも含めて、含む。ある特定の態様では、VHは、(a)配列番号:42のアミノ酸配列を含むHVR-H1、 (b)配列番号:43のアミノ酸配列を含むHVR-H2、および(c)配列番号:44のアミノ酸配列を含むHVR-H3より選択される、1つ、2つ、または3つのHVRを含む。
別の局面において、抗DDR2抗体は、配列番号:49のアミノ酸配列に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有する重鎖可変ドメイン (VH) 配列を含む。特定の態様において、少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性を有するVH配列は、参照配列に対して、置換(例えば、保存的置換)、挿入、または欠失を含むが、当該配列を含む抗DDR2抗体は、DDR2に結合する能力を保持する。特定の態様において、合計1個から10個のアミノ酸が、配列番号:49において、置換、挿入、および/または欠失される。特定の態様において、置換、挿入、または欠失は、HVRの外側の領域(すなわち、FRの中)で生じる。任意で、抗DDR2抗体は、配列番号:49におけるVH配列を、当該配列の翻訳後修飾を含んだものも含めて、含む。ある特定の態様では、VHは、(a)配列番号:50のアミノ酸配列を含むHVR-H1、 (b)配列番号:51のアミノ酸配列を含むHVR-H2、および(c)配列番号:52のアミノ酸配列を含むHVR-H3より選択される、1つ、2つ、または3つのHVRを含む。
別の局面において、抗DDR2抗体は、配列番号:57のアミノ酸配列に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有する重鎖可変ドメイン (VH) 配列を含む。特定の態様において、少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性を有するVH配列は、参照配列に対して、置換(例えば、保存的置換)、挿入、または欠失を含むが、当該配列を含む抗DDR2抗体は、DDR2に結合する能力を保持する。特定の態様において、合計1個から10個のアミノ酸が、配列番号:57において、置換、挿入、および/または欠失される。特定の態様において、置換、挿入、または欠失は、HVRの外側の領域(すなわち、FRの中)で生じる。任意で、抗DDR2抗体は、配列番号:57におけるVH配列を、当該配列の翻訳後修飾を含んだものも含めて、含む。ある特定の態様では、VHは、(a)配列番号:58のアミノ酸配列を含むHVR-H1、 (b)配列番号:59のアミノ酸配列を含むHVR-H2、および(c)配列番号:60のアミノ酸配列を含むHVR-H3より選択される、1つ、2つ、または3つのHVRを含む。
別の局面において、抗DDR2抗体は、配列番号:65のアミノ酸配列に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有する重鎖可変ドメイン (VH) 配列を含む。特定の態様において、少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性を有するVH配列は、参照配列に対して、置換(例えば、保存的置換)、挿入、または欠失を含むが、当該配列を含む抗DDR2抗体は、DDR2に結合する能力を保持する。特定の態様において、合計1個から10個のアミノ酸が、配列番号:65において、置換、挿入、および/または欠失される。特定の態様において、置換、挿入、または欠失は、HVRの外側の領域(すなわち、FRの中)で生じる。任意で、抗DDR2抗体は、配列番号:65におけるVH配列を、当該配列の翻訳後修飾を含んだものも含めて、含む。ある特定の態様では、VHは、(a)配列番号:66のアミノ酸配列を含むHVR-H1、 (b)配列番号:67のアミノ酸配列を含むHVR-H2、および(c)配列番号:68のアミノ酸配列を含むHVR-H3より選択される、1つ、2つ、または3つのHVRを含む。
翻訳後修飾は、重鎖又は軽鎖N末端のグルタミン又はグルタミン酸のピログルタミル化によるピログルタミン酸への修飾を含むが、これに限定されない。
【0089】
別の局面において、配列番号:5のアミノ酸配列に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有する軽鎖可変ドメイン (VL) を含む、抗DDR2抗体が提供される。特定の態様において、少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性を有するVL配列は、参照配列に対して、置換(例えば、保存的置換)、挿入、または欠失を含むが、当該配列を含む抗DDR2抗体は、DDR2に結合する能力を保持する。特定の態様において、合計1個から10個のアミノ酸が、配列番号:5において、置換、挿入、および/または欠失される。特定の態様において、置換、挿入、または欠失は、HVRの外側の領域(すなわち、FRの中)で生じる。任意で、抗DDR2抗体は、配列番号:5におけるVL配列を、当該配列の翻訳後修飾を含んだものも含めて、含む。ある特定の態様では、VLは、(a)配列番号:6のアミノ酸配列を含むHVR-L1、 (b)配列番号:7のアミノ酸配列を含むHVR-L2、および(c)配列番号:8のアミノ酸配列を含むHVR-L3より選択される、1つ、2つ、または3つのHVRを含む。
別の局面において、配列番号:13のアミノ酸配列に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有する軽鎖可変ドメイン (VL) を含む、抗DDR2抗体が提供される。特定の態様において、少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性を有するVL配列は、参照配列に対して、置換(例えば、保存的置換)、挿入、または欠失を含むが、当該配列を含む抗DDR2抗体は、DDR2に結合する能力を保持する。特定の態様において、合計1個から10個のアミノ酸が、配列番号:13において、置換、挿入、および/または欠失される。特定の態様において、置換、挿入、または欠失は、HVRの外側の領域(すなわち、FRの中)で生じる。任意で、抗DDR2抗体は、配列番号:13におけるVL配列を、当該配列の翻訳後修飾を含んだものも含めて、含む。ある特定の態様では、VLは、(a)配列番号:14のアミノ酸配列を含むHVR-L1、 (b)配列番号:15のアミノ酸配列を含むHVR-L2、および(c)配列番号:16のアミノ酸配列を含むHVR-L3より選択される、1つ、2つ、または3つのHVRを含む。
別の局面において、配列番号:21のアミノ酸配列に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有する軽鎖可変ドメイン (VL) を含む、抗DDR2抗体が提供される。特定の態様において、少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性を有するVL配列は、参照配列に対して、置換(例えば、保存的置換)、挿入、または欠失を含むが、当該配列を含む抗DDR2抗体は、DDR2に結合する能力を保持する。特定の態様において、合計1個から10個のアミノ酸が、配列番号:21において、置換、挿入、および/または欠失される。特定の態様において、置換、挿入、または欠失は、HVRの外側の領域(すなわち、FRの中)で生じる。任意で、抗DDR2抗体は、配列番号:21におけるVL配列を、当該配列の翻訳後修飾を含んだものも含めて、含む。ある特定の態様では、VLは、(a)配列番号:22のアミノ酸配列を含むHVR-L1、 (b)配列番号:23のアミノ酸配列を含むHVR-L2、および(c)配列番号:24のアミノ酸配列を含むHVR-L3より選択される、1つ、2つ、または3つのHVRを含む。
別の局面において、配列番号:29のアミノ酸配列に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有する軽鎖可変ドメイン (VL) を含む、抗DDR2抗体が提供される。特定の態様において、少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性を有するVL配列は、参照配列に対して、置換(例えば、保存的置換)、挿入、または欠失を含むが、当該配列を含む抗DDR2抗体は、DDR2に結合する能力を保持する。特定の態様において、合計1個から10個のアミノ酸が、配列番号:29において、置換、挿入、および/または欠失される。特定の態様において、置換、挿入、または欠失は、HVRの外側の領域(すなわち、FRの中)で生じる。任意で、抗DDR2抗体は、配列番号:29におけるVL配列を、当該配列の翻訳後修飾を含んだものも含めて、含む。ある特定の態様では、VLは、(a)配列番号:30のアミノ酸配列を含むHVR-L1、 (b)配列番号:31のアミノ酸配列を含むHVR-L2、および(c)配列番号:32のアミノ酸配列を含むHVR-L3より選択される、1つ、2つ、または3つのHVRを含む。
別の局面において、配列番号:37のアミノ酸配列に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有する軽鎖可変ドメイン (VL) を含む、抗DDR2抗体が提供される。特定の態様において、少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性を有するVL配列は、参照配列に対して、置換(例えば、保存的置換)、挿入、または欠失を含むが、当該配列を含む抗DDR2抗体は、DDR2に結合する能力を保持する。特定の態様において、合計1個から10個のアミノ酸が、配列番号:37において、置換、挿入、および/または欠失される。特定の態様において、置換、挿入、または欠失は、HVRの外側の領域(すなわち、FRの中)で生じる。任意で、抗DDR2抗体は、配列番号:37におけるVL配列を、当該配列の翻訳後修飾を含んだものも含めて、含む。ある特定の態様では、VLは、(a)配列番号:38のアミノ酸配列を含むHVR-L1、 (b)配列番号:39のアミノ酸配列を含むHVR-L2、および(c)配列番号:40のアミノ酸配列を含むHVR-L3より選択される、1つ、2つ、または3つのHVRを含む。
別の局面において、配列番号:45のアミノ酸配列に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有する軽鎖可変ドメイン (VL) を含む、抗DDR2抗体が提供される。特定の態様において、少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性を有するVL配列は、参照配列に対して、置換(例えば、保存的置換)、挿入、または欠失を含むが、当該配列を含む抗DDR2抗体は、DDR2に結合する能力を保持する。特定の態様において、合計1個から10個のアミノ酸が、配列番号:45において、置換、挿入、および/または欠失される。特定の態様において、置換、挿入、または欠失は、HVRの外側の領域(すなわち、FRの中)で生じる。任意で、抗DDR2抗体は、配列番号:45におけるVL配列を、当該配列の翻訳後修飾を含んだものも含めて、含む。ある特定の態様では、VLは、(a)配列番号:46のアミノ酸配列を含むHVR-L1、 (b)配列番号:47のアミノ酸配列を含むHVR-L2、および(c)配列番号:48のアミノ酸配列を含むHVR-L3より選択される、1つ、2つ、または3つのHVRを含む。
別の局面において、配列番号:53のアミノ酸配列に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有する軽鎖可変ドメイン (VL) を含む、抗DDR2抗体が提供される。特定の態様において、少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性を有するVL配列は、参照配列に対して、置換(例えば、保存的置換)、挿入、または欠失を含むが、当該配列を含む抗DDR2抗体は、DDR2に結合する能力を保持する。特定の態様において、合計1個から10個のアミノ酸が、配列番号:53において、置換、挿入、および/または欠失される。特定の態様において、置換、挿入、または欠失は、HVRの外側の領域(すなわち、FRの中)で生じる。任意で、抗DDR2抗体は、配列番号:53におけるVL配列を、当該配列の翻訳後修飾を含んだものも含めて、含む。ある特定の態様では、VLは、(a)配列番号:54のアミノ酸配列を含むHVR-L1、 (b)配列番号:55のアミノ酸配列を含むHVR-L2、および(c)配列番号:56のアミノ酸配列を含むHVR-L3より選択される、1つ、2つ、または3つのHVRを含む。
別の局面において、配列番号:61のアミノ酸配列に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有する軽鎖可変ドメイン (VL) を含む、抗DDR2抗体が提供される。特定の態様において、少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性を有するVL配列は、参照配列に対して、置換(例えば、保存的置換)、挿入、または欠失を含むが、当該配列を含む抗DDR2抗体は、DDR2に結合する能力を保持する。特定の態様において、合計1個から10個のアミノ酸が、配列番号:61において、置換、挿入、および/または欠失される。特定の態様において、置換、挿入、または欠失は、HVRの外側の領域(すなわち、FRの中)で生じる。任意で、抗DDR2抗体は、配列番号:61におけるVL配列を、当該配列の翻訳後修飾を含んだものも含めて、含む。ある特定の態様では、VLは、(a)配列番号:62のアミノ酸配列を含むHVR-L1、 (b)配列番号:63のアミノ酸配列を含むHVR-L2、および(c)配列番号:64のアミノ酸配列を含むHVR-L3より選択される、1つ、2つ、または3つのHVRを含む。
別の局面において、配列番号:69のアミノ酸配列に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有する軽鎖可変ドメイン (VL) を含む、抗DDR2抗体が提供される。特定の態様において、少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性を有するVL配列は、参照配列に対して、置換(例えば、保存的置換)、挿入、または欠失を含むが、当該配列を含む抗DDR2抗体は、DDR2に結合する能力を保持する。特定の態様において、合計1個から10個のアミノ酸が、配列番号:69において、置換、挿入、および/または欠失される。特定の態様において、置換、挿入、または欠失は、HVRの外側の領域(すなわち、FRの中)で生じる。任意で、抗DDR2抗体は、配列番号:69におけるVL配列を、当該配列の翻訳後修飾を含んだものも含めて、含む。ある特定の態様では、VLは、(a)配列番号:70のアミノ酸配列を含むHVR-L1、 (b)配列番号:71のアミノ酸配列を含むHVR-L2、および(c)配列番号:72のアミノ酸配列を含むHVR-L3より選択される、1つ、2つ、または3つのHVRを含む。
翻訳後修飾は、重鎖又は軽鎖N末端のグルタミン又はグルタミン酸のピログルタミル化によるピログルタミン酸への修飾を含むが、これに限定されない。
【0090】
別の局面において、上述の態様の任意のものにおけるVH、および上述の態様の任意のものにおけるVLを含む、抗DDR2抗体が提供される。一態様において、抗体はそれぞれ配列番号:1および 配列番号:5中のVHおよびVL配列を、任意で当該配列の翻訳後修飾を含んだものも含めて、含む。一態様において、抗体はそれぞれ配列番号:9および 配列番号:13中のVHおよびVL配列を、任意で当該配列の翻訳後修飾を含んだものも含めて、含む。一態様において、抗体はそれぞれ配列番号:17および 配列番号:21中のVHおよびVL配列を、任意で当該配列の翻訳後修飾を含んだものも含めて、含む。一態様において、抗体はそれぞれ配列番号:25および 配列番号:29中のVHおよびVL配列を、任意で当該配列の翻訳後修飾を含んだものも含めて、含む。一態様において、抗体はそれぞれ配列番号:33および 配列番号:37中のVHおよびVL配列を、任意で当該配列の翻訳後修飾を含んだものも含めて、含む。一態様において、抗体はそれぞれ配列番号:41および 配列番号:45中のVHおよびVL配列を、任意で当該配列の翻訳後修飾を含んだものも含めて、含む。一態様において、抗体はそれぞれ配列番号:49および 配列番号:53中のVHおよびVL配列を、任意で当該配列の翻訳後修飾を含んだものも含めて、含む。一態様において、抗体はそれぞれ配列番号:57および 配列番号:61中のVHおよびVL配列を、任意で当該配列の翻訳後修飾を含んだものも含めて、含む。一態様において、抗体はそれぞれ配列番号:65および 配列番号:69中のVHおよびVL配列を、任意で当該配列の翻訳後修飾を含んだものも含めて、含む。翻訳後修飾は、重鎖又は軽鎖N末端のグルタミン又はグルタミン酸のピログルタミル化によるピログルタミン酸への修飾を含むが、これに限定されない。
【0091】
さらなる局面において、本発明は、本明細書で提供される抗DDR2抗体と同じエピトープに結合する抗体を提供する。
例えば、特定の態様において、(1)それぞれ配列番号:1および 配列番号:5中のVHおよびVL配列を含む、抗体;(2)それぞれ配列番号:9および 配列番号:13中のVHおよびVL配列を含む、抗体;(3)それぞれ配列番号:17および 配列番号:21中のVHおよびVL配列を含む、抗体;(4)それぞれ配列番号:25および 配列番号:29中のVHおよびVL配列を含む、抗体;(5)それぞれ配列番号:33および 配列番号:37中のVHおよびVL配列を含む、抗体;(6)それぞれ配列番号:41および 配列番号:45中のVHおよびVL配列を含む、抗体;(7)それぞれ配列番号:49および 配列番号:53中のVHおよびVL配列を含む、抗体;(8)それぞれ配列番号:57および 配列番号:61中のVHおよびVL配列を含む、抗体;または(9)それぞれ配列番号:65および 配列番号:69中のVHおよびVL配列を含む、抗体、と同じエピトープに結合する抗体が提供される。
【0092】
例えば、特定の態様において、以下の抗体と同じエピトープに結合する抗体が提供される:
(1)配列番号:2のアミノ酸配列を含むHVR-H1、配列番号:3のアミノ酸配列を含むHVR-H2、配列番号:4のアミノ酸配列を含むHVR-H3、配列番号:6のアミノ酸配列を含むHVR-L1、配列番号:7のアミノ酸配列を含むHVR-L2、および配列番号:8のアミノ酸配列を含むHVR-L3を含む、抗体;
(2)配列番号:10のアミノ酸配列を含むHVR-H1、配列番号:11のアミノ酸配列を含むHVR-H2、配列番号:12のアミノ酸配列を含むHVR-H3、配列番号:14のアミノ酸配列を含むHVR-L1、配列番号:15のアミノ酸配列を含むHVR-L2、および配列番号:16のアミノ酸配列を含むHVR-L3を含む、抗体;
(3)配列番号:18のアミノ酸配列を含むHVR-H1、配列番号:19のアミノ酸配列を含むHVR-H2、配列番号:20のアミノ酸配列を含むHVR-H3、配列番号:22のアミノ酸配列を含むHVR-L1、配列番号:23のアミノ酸配列を含むHVR-L2、および配列番号:24のアミノ酸配列を含むHVR-L3を含む、抗体;
(4)配列番号:26のアミノ酸配列を含むHVR-H1、配列番号:27のアミノ酸配列を含むHVR-H2、配列番号:28のアミノ酸配列を含むHVR-H3、配列番号:30のアミノ酸配列を含むHVR-L1、配列番号:31のアミノ酸配列を含むHVR-L2、および配列番号:32のアミノ酸配列を含むHVR-L3を含む、抗体;
(5)配列番号:34のアミノ酸配列を含むHVR-H1、配列番号:35のアミノ酸配列を含むHVR-H2、配列番号:36のアミノ酸配列を含むHVR-H3、配列番号:38のアミノ酸配列を含むHVR-L1、配列番号:39のアミノ酸配列を含むHVR-L2、および配列番号:40のアミノ酸配列を含むHVR-L3を含む、抗体;
(6)配列番号:42のアミノ酸配列を含むHVR-H1、配列番号:43のアミノ酸配列を含むHVR-H2、配列番号:44のアミノ酸配列を含むHVR-H3、配列番号:46のアミノ酸配列を含むHVR-L1、配列番号:47のアミノ酸配列を含むHVR-L2、および配列番号:48のアミノ酸配列を含むHVR-L3を含む、抗体;
(7)配列番号:50のアミノ酸配列を含むHVR-H1、配列番号:51のアミノ酸配列を含むHVR-H2、配列番号:52のアミノ酸配列を含むHVR-H3、配列番号:54のアミノ酸配列を含むHVR-L1、配列番号:55のアミノ酸配列を含むHVR-L2、および配列番号:56のアミノ酸配列を含むHVR-L3を含む、抗体;
(8)配列番号:58のアミノ酸配列を含むHVR-H1、配列番号:59のアミノ酸配列を含むHVR-H2、配列番号:60のアミノ酸配列を含むHVR-H3、配列番号:62のアミノ酸配列を含むHVR-L1、配列番号:63のアミノ酸配列を含むHVR-L2、および配列番号:64のアミノ酸配列を含むHVR-L3を含む、抗体;または
(9)配列番号:66のアミノ酸配列を含むHVR-H1、配列番号:67のアミノ酸配列を含むHVR-H2、配列番号:68のアミノ酸配列を含むHVR-H3、配列番号:70のアミノ酸配列を含むHVR-L1、配列番号:71のアミノ酸配列を含むHVR-L2、および配列番号:72のアミノ酸配列を含むHVR-L3を含む、抗体。
【0093】
さらなる局面において、本発明は、DDR2に対する結合において本明細書で提供される抗DDR2抗体と競合する抗体を提供する。
例えば、特定の態様において、DDR2に対する結合において以下の抗体と競合する抗体が提供される:(1)それぞれ、配列番号:1および配列番号:5中のVHおよびVL配列を含む、抗体;(2)それぞれ、配列番号:9および配列番号:13中のVHおよびVL配列を含む、抗体;(3)それぞれ、配列番号:17および配列番号:21中のVHおよびVL配列を含む、抗体;(4)それぞれ、配列番号:25および配列番号:29中のVHおよびVL配列を含む、抗体;(5)それぞれ、配列番号:33および配列番号:37中のVHおよびVL配列を含む、抗体;(6)それぞれ、配列番号:41および配列番号:45中のVHおよびVL配列を含む、抗体;(7)それぞれ、配列番号:49および配列番号:53中のVHおよびVL配列を含む、抗体;(8)それぞれ、配列番号:57および配列番号:61中のVHおよびVL配列を含む、抗体;または(9)それぞれ、配列番号:65および配列番号69中のVHおよびVL配列を含む、抗体。
【0094】
例えば、特定の態様において、DDR2に対する結合において以下の抗体と競合する抗体が提供される:
(1)配列番号:2のアミノ酸配列を含むHVR-H1、配列番号:3のアミノ酸配列を含むHVR-H2、配列番号:4のアミノ酸配列を含むHVR-H3、配列番号:6のアミノ酸配列を含むHVR-L1、配列番号:7のアミノ酸配列を含むHVR-L2、および配列番号:8のアミノ酸配列を含むHVR-L3を含む、抗体;
(2)配列番号:10のアミノ酸配列を含むHVR-H1、配列番号:11のアミノ酸配列を含むHVR-H2、配列番号:12のアミノ酸配列を含むHVR-H3、配列番号:14のアミノ酸配列を含むHVR-L1、配列番号:15のアミノ酸配列を含むHVR-L2、および配列番号:16のアミノ酸配列を含むHVR-L3を含む、抗体;
(3)配列番号:18のアミノ酸配列を含むHVR-H1、配列番号:19のアミノ酸配列を含むHVR-H2、配列番号:20のアミノ酸配列を含むHVR-H3、配列番号:22のアミノ酸配列を含むHVR-L1、配列番号:23のアミノ酸配列を含むHVR-L2、および配列番号:24のアミノ酸配列を含むHVR-L3を含む、抗体;
(4)配列番号:26のアミノ酸配列を含むHVR-H1、配列番号:27のアミノ酸配列を含むHVR-H2、配列番号:28のアミノ酸配列を含むHVR-H3、配列番号:30のアミノ酸配列を含むHVR-L1、配列番号:31のアミノ酸配列を含むHVR-L2、および配列番号:32のアミノ酸配列を含むHVR-L3を含む、抗体;
(5)配列番号:34のアミノ酸配列を含むHVR-H1、配列番号:35のアミノ酸配列を含むHVR-H2、配列番号:36のアミノ酸配列を含むHVR-H3、配列番号:38のアミノ酸配列を含むHVR-L1、配列番号:39のアミノ酸配列を含むHVR-L2、および配列番号:40のアミノ酸配列を含むHVR-L3を含む、抗体;
(6)配列番号:42のアミノ酸配列を含むHVR-H1、配列番号:43のアミノ酸配列を含むHVR-H2、配列番号:44のアミノ酸配列を含むHVR-H3、配列番号:46のアミノ酸配列を含むHVR-L1、配列番号:47のアミノ酸配列を含むHVR-L2、および配列番号:48のアミノ酸配列を含むHVR-L3を含む、抗体;
(7)配列番号:50のアミノ酸配列を含むHVR-H1、配列番号:51のアミノ酸配列を含むHVR-H2、配列番号:52のアミノ酸配列を含むHVR-H3、配列番号:54のアミノ酸配列を含むHVR-L1、配列番号:55のアミノ酸配列を含むHVR-L2、および配列番号:56のアミノ酸配列を含むHVR-L3を含む、抗体;
(8)配列番号:58のアミノ酸配列を含むHVR-H1、配列番号:59のアミノ酸配列を含むHVR-H2、配列番号:60のアミノ酸配列を含むHVR-H3、配列番号:62のアミノ酸配列を含むHVR-L1、配列番号:63のアミノ酸配列を含むHVR-L2、および配列番号:64のアミノ酸配列を含むHVR-L3を含む、抗体;または
(9)配列番号:66のアミノ酸配列を含むHVR-H1、配列番号:67のアミノ酸配列を含むHVR-H2、配列番号:68のアミノ酸配列を含むHVR-H3、配列番号:70のアミノ酸配列を含むHVR-L1、配列番号:71のアミノ酸配列を含むHVR-L2、および配列番号:72のアミノ酸配列を含むHVR-L3を含む、抗体。
【0095】
本発明のさらなる局面において、上述の態様の任意のものによる抗DDR2抗体は、キメラ、ヒト化、またはヒト抗体を含む、モノクローナル抗体である。一態様において、抗DDR2抗体は、例えば、Fv、Fab、Fab’、scFv、ダイアボディ、またはF(ab’)2断片などの、抗体断片である。別の態様において、抗体は、例えば、完全IgG1、IgG2、IgG3、またはIgG4抗体や、本明細書で定義された他の抗体クラスまたはアイソタイプの、全長抗体である。
【0096】
本発明のさらなる局面において、上述の態様の任意のものによる抗DDR2抗体は、ヒト抗体定常領域、例えば、ヒト重鎖定常領域SG181(配列番号:73)およびヒト軽鎖定常領域k0MC(配列番号:74)を含む。別の態様において、上述の態様の任意のものによる抗DDR2抗体は、マウス抗体定常領域、例えば、マウス重鎖定常領域mF18(配列番号:75)およびマウス軽鎖定常領域mk1(配列番号:76)を含む。
【0097】
さらなる局面において、抗体の重鎖が、配列番号:85のアミノ酸配列に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有し、かつ抗体の軽鎖が、配列番号:86のアミノ酸配列に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有する、抗DDR2抗体が提供される。好ましい態様において、抗体は、それぞれ、配列番号:85および配列番号:86中の重鎖および軽鎖配列を、任意でそれらの配列の翻訳後修飾を含めて、含む。好ましい態様において、本発明は、それぞれ、配列番号:85および配列番号:86中の重鎖および軽鎖配列を含む抗DDR2抗体と同じエピトープに結合する抗体を提供する。好ましい態様において、本発明は、それぞれ、配列番号:85および配列番号:86中の重鎖および軽鎖配列を含む抗DDR2抗体と競合する抗体を提供する。
【0098】
さらなる局面において、上述の態様の任意のものによる抗DDR2抗体は、単独または組み合わせで、以下の項目1~7に記載の任意の特徴を取り込んでもよい。
【0099】
1.抗体のアフィニティ
特定の態様において、本明細書で提供される抗体は、≦1μM、≦100nM、≦10nM、≦1nM、≦0.1nM、≦0.01nMまたは≦0.001nM(例えば、10-8M以下、例えば10-8M~10-13M、例えば10-9M~10-13M)の解離定数 (Kd) を有する。
【0100】
一態様において、Kdは、放射性標識抗原結合測定法 (radiolabeled antigen binding assay: RIA) によって測定される。一態様において、RIAは、目的の抗体のFabバージョンおよびその抗原を用いて実施される。例えば、抗原に対するFabの溶液中結合アフィニティは、非標識抗原の漸増量系列の存在下で最小濃度の (125I) 標識抗原によりFabを平衡化させ、次いで結合した抗原を抗Fab抗体でコーティングされたプレートにより捕捉することによって測定される。(例えば、Chen et al., J. Mol. Biol. 293:865-881(1999) を参照のこと)。測定条件を構築するために、MICROTITER(登録商標)マルチウェルプレート (Thermo Scientific) を50mM炭酸ナトリウム (pH9.6) 中5μg/mlの捕捉用抗Fab抗体 (Cappel Labs) で一晩コーティングし、その後に室温(およそ23℃)で2~5時間、PBS中2% (w/v) ウシ血清アルブミンでブロックする。非吸着プレート (Nunc #269620) において、100 pMまたは26 pMの [125I]-抗原を、(例えば、Presta et al., Cancer Res. 57:4593-4599 (1997) における抗VEGF抗体、Fab-12の評価と同じように)目的のFabの段階希釈物と混合する。次いで、目的のFabを一晩インキュベートするが、このインキュベーションは、平衡が確実に達成されるよう、より長時間(例えば、約65時間)継続され得る。その後、混合物を、室温でのインキュベーション(例えば、1時間)のために捕捉プレートに移す。次いで溶液を除去し、プレートをPBS中0.1%のポリソルベート20(TWEEN-20(登録商標))で8回洗浄する。プレートが乾燥したら、150μl/ウェルのシンチラント(MICROSCINT-20(商標)、Packard)を添加し、TOPCOUNT(商標)ガンマカウンター (Packard) においてプレートを10分間カウントする。最大結合の20%以下を与える各Fabの濃度を、競合結合アッセイにおいて使用するために選択する。
【0101】
別の態様によれば、Kdは、BIACORE(登録商標)表面プラズモン共鳴アッセイを用いて測定される。例えば、BIACORE(登録商標)-2000またはBIACORE(登録商標)-3000 (BIAcore, Inc., Piscataway, NJ) を用いる測定法が、およそ10反応単位 (response unit: RU) の抗原が固定されたCM5チップを用いて25℃で実施される。一態様において、カルボキシメチル化デキストランバイオセンサーチップ (CM5、BIACORE, Inc.) は、供給元の指示にしたがいN-エチル-N’- (3-ジメチルアミノプロピル)-カルボジイミドヒドロクロリド (EDC) およびN-ヒドロキシスクシンイミド (NHS) を用いて活性化される。抗原は、およそ10反応単位 (RU) のタンパク質の結合を達成するよう、5μl/分の流速で注入される前に、10mM酢酸ナトリウム、pH4.8を用いて5μg/ml(およそ0.2μM)に希釈される。抗原の注入後、未反応基をブロックするために1Mエタノールアミンが注入される。キネティクスの測定のために、25℃、およそ25μl/分の流速で、0.05%ポリソルベート20(TWEEN-20(商標))界面活性剤含有PBS (PBST) 中のFabの2倍段階希釈物 (0.78nM~500nM) が注入される。結合速度 (kon) および解離速度 (koff) は、単純な1対1ラングミュア結合モデル(BIACORE(登録商標)評価ソフトウェアバージョン3.2)を用いて、結合および解離のセンサーグラムを同時にフィッティングすることによって計算される。平衡解離定数 (Kd) は、koff/kon比として計算される。例えば、Chen et al., J. Mol. Biol. 293:865-881 (1999) を参照のこと。上記の表面プラズモン共鳴アッセイによってオン速度が106M-1s-1を超える場合、オン速度は、分光計(例えばストップフロー式分光光度計 (Aviv Instruments) または撹拌キュベットを用いる8000シリーズのSLM-AMINCO(商標)分光光度計 (ThermoSpectronic))において測定される、漸増濃度の抗原の存在下でのPBS、pH7.2中20nMの抗抗原抗体(Fab形態)の25℃での蛍光発光強度(励起=295nm;発光=340nm、バンドパス16nm)の増加または減少を測定する蛍光消光技術を用いることによって決定され得る。
【0102】
2.抗体断片
特定の態様において、本明細書で提供される抗体は、抗体断片である。抗体断片は、これらに限定されるものではないが、Fab、Fab’、Fab’-SH、F(ab’)2、Fv、および scFv断片、ならびに、後述する他の断片を含む。特定の抗体断片についての総説として、Hudson et al. Nat. Med. 9:129-134 (2003) を参照のこと。scFv断片の総説として、例えば、Pluckthun, in The Pharmacology of Monoclonal Antibodies, vol. 113, Rosenburg and Moore eds., (Springer-Verlag, New York), pp.269-315 (1994);加えて、WO93/16185;ならびに米国特許第5,571,894号および第5,587,458号を参照のこと。サルベージ受容体結合エピトープ残基を含みインビボ (in vivo) における半減期の長くなったFabおよびF(ab')2断片についての論説として、米国特許第5,869,046号を参照のこと。
【0103】
ダイアボディは、二価または二重特異的であってよい、抗原結合部位を2つ伴う抗体断片である。例えば、EP404,097号; WO1993/01161; Hudson et al., Nat. Med. 9:129-134 (2003); Hollinger et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90: 6444-6448 (1993) 参照。トリアボディ (triabody) やテトラボディ (tetrabody) も、Hudson et al., Nat. Med. 9:129-134 (2003) に記載されている。
【0104】
シングルドメイン抗体は、抗体の重鎖可変ドメインのすべてもしくは一部分、または軽鎖可変ドメインのすべてもしくは一部分を含む、抗体断片である。特定の態様において、シングルドメイン抗体は、ヒトシングルドメイン抗体である(Domantis, Inc., Waltham, MA;例えば、米国特許第6,248,516号B1参照)。
【0105】
抗体断片は、これらに限定されるものではないが、本明細書に記載の、完全抗体のタンパク質分解的消化、組み換え宿主細胞(例えば、大腸菌 (E. coli) またはファージ)による産生を含む、種々の手法により作ることができる。
【0106】
3.キメラおよびヒト化抗体
特定の態様において、本明細書で提供される抗体は、キメラ抗体である。特定のキメラ抗体が、例えば、米国特許第4,816,567号;および、Morrison et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 81:6851-6855 (1984) に記載されている。一例では、キメラ抗体は、非ヒト可変領域(例えば、マウス、ラット、ハムスター、ウサギ、またはサルなどの非ヒト霊長類に由来する可変領域)およびヒト定常領域を含む。さらなる例において、キメラ抗体は、親抗体のものからクラスまたはサブクラスが変更された「クラススイッチ」抗体である。キメラ抗体は、その抗原結合断片も含む。
【0107】
特定の態様において、キメラ抗体は、ヒト化抗体である。典型的には、非ヒト抗体は、親非ヒト抗体の特異性およびアフィニティを維持したままでヒトへの免疫原性を減少させるために、ヒト化される。通常、ヒト化抗体は1つまたは複数の可変ドメインを含み、当該可変ドメイン中、HVR(例えばCDR(またはその部分))は非ヒト抗体に由来し、FR(またはその部分)はヒト抗体配列に由来する。ヒト化抗体は、任意で、ヒト定常領域の少なくとも一部分を含む。いくつかの態様において、ヒト化抗体中のいくつかのFR残基は、例えば、抗体の特異性またはアフィニティを回復または改善するために、非ヒト抗体(例えば、HVR残基の由来となった抗体)からの対応する残基で置換されている。
【0108】
ヒト化抗体およびその作製方法は、Almagro and Fransson, Front. Biosci. 13:1619-1633 (2008)において総説されており、また、例えば、Riechmann et al., Nature 332:323-329 (1988); Queen et al., Proc. Nat’l Acad. Sci. USA 86:10029-10033 (1989); 米国特許第5,821,337号、第7,527,791号、第6,982,321号、および第7,087,409号;Kashmiri et al., Methods 36:25-34 (2005)(特異性決定領域 (specificity determining region: SDR) グラフティングを記載);Padlan, Mol. Immunol. 28:489-498 (1991) (リサーフェイシングを記載); Dall’Acqua et al., Methods 36:43-60 (2005) (FRシャッフリングを記載);ならびに、Osbourn et al., Methods 36:61-68 (2005) およびKlimka et al., Br. J. Cancer, 83:252-260 (2000) (FRシャッフリングのための「ガイドセレクション」アプローチを記載) において、さらに記載されている。
【0109】
ヒト化に使われ得るヒトフレームワーク領域は、これらに限定されるものではないが:「ベストフィット」法(Sims et al. J. Immunol. 151:2296 (1993) 参照)を用いて選択されたフレームワーク領域;軽鎖または重鎖可変領域の特定のサブグループのヒト抗体のコンセンサス配列に由来するフレームワーク領域(Carter et al. Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 89:4285 (1992) および Presta et al. J. Immunol., 151:2623 (1993) 参照);ヒト成熟(体細胞変異)フレームワーク領域またはヒト生殖細胞系フレームワーク領域(例えば、Almagro and Fransson, Front. Biosci. 13:1619-1633 (2008) 参照);および、FRライブラリのスクリーニングに由来するフレームワーク領域(Baca et al., J. Biol. Chem. 272:10678-10684 (1997) および Rosok et al., J. Biol. Chem. 271:22611-22618 (1996) 参照)を含む。
【0110】
4.ヒト抗体
特定の態様において、本明細書で提供される抗体は、ヒト抗体である。ヒト抗体は、当該技術分野において知られる種々の手法によって製造され得る。ヒト抗体は、van Dijk and van de Winkel, Curr. Opin. Pharmacol. 5: 368-74 (2001) および Lonberg, Curr. Opin. Immunol. 20:450-459 (2008) に、概説されている。
【0111】
ヒト抗体は、抗原チャレンジ(負荷)に応答して完全ヒト抗体またはヒト可変領域を伴う完全抗体を産生するように改変されたトランスジェニック動物へ免疫原を投与することにより、調製されてもよい。そのような動物は、典型的にはヒト免疫グロブリン遺伝子座の全部もしくは一部分を含み、ヒト免疫グロブリン遺伝子座の全部もしくは一部分は、内因性の免疫グロブリン遺伝子座を置き換えるか、または、染色体外にもしくは当該動物の染色体内にランダムに取り込まれた状態で存在する。そのようなトランスジェニックマウスにおいて、内因性の免疫グロブリン遺伝子座は、通常不活性化されている。トランスジェニック動物からヒト抗体を得る方法の総説として、Lonberg, Nat. Biotech. 23:1117-1125 (2005) を参照のこと。また、例えば、XENOMOUSE(商標)技術を記載した米国特許第6,075,181号および第6,150,584号;HUMAB(登録商標)技術を記載した米国特許第5,770,429号;K-M MOUSE(登録商標)技術を記載した米国特許第7,041,870号;ならびに、VELOCIMOUSE(登録商標)技術を記載した米国特許出願公開第2007/0061900号を、併せて参照のこと。このような動物によって生成された完全抗体からのヒト可変領域は、例えば、異なるヒト定常領域と組み合わせるなどして、さらに修飾されてもよい。
【0112】
ヒト抗体は、ハイブリドーマに基づいた方法でも作ることができる。ヒトモノクローナル抗体の製造のための、ヒトミエローマおよびマウス‐ヒトヘテロミエローマ細胞株は、既に記述されている。(例えば、Kozbor J. Immunol., 133: 3001 (1984);Brodeur et al., Monoclonal Antibody Production Techniques and Applications, pp.51-63 (Marcel Dekker, Inc., New York, 1987);およびBoerner et al., J. Immunol., 147: 86 (1991) 参照。)ヒトB細胞ハイブリドーマ技術を介して生成されたヒト抗体も、Li et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 103:3557-3562 (2006) に述べられている。追加的な方法としては、例えば、米国特許第7,189,826号(ハイブリドーマ細胞株からのモノクローナルヒトIgM抗体の製造を記載)、および、Ni, Xiandai Mianyixue, 26(4):265-268 (2006)(ヒト-ヒトハイブリドーマを記載)に記載されたものを含む。ヒトハイブリドーマ技術(トリオーマ技術)も、Vollmers and Brandlein, Histology and Histopathology, 20(3):927-937 (2005) およびVollmers and Brandlein, Methods and Findings in Experimental and Clinical Pharmacology, 27(3):185-91 (2005)に記載されている。
【0113】
ヒト抗体は、ヒト由来ファージディスプレイライブラリから選択されたFvクローン可変ドメイン配列を単離することでも生成できる。このような可変ドメイン配列は、次に所望のヒト定常ドメインと組み合わせることができる。抗体ライブラリからヒト抗体を選択する手法を、以下に述べる。
【0114】
5.ライブラリ由来抗体
本発明の抗体は、所望の1つまたは複数の活性を伴う抗体についてコンビナトリアルライブラリをスクリーニングすることによって単離してもよい。例えば、ファージディスプレイライブラリの生成や、所望の結合特性を備える抗体についてそのようなライブラリをスクリーニングするための、様々な方法が当該技術分野において知られている。そのような方法は、Hoogenboom et al. in Methods in Molecular Biology 178:1-37 (O'Brien et al., ed., Human Press, Totowa, NJ, 2001) において総説されており、さらに例えば、McCafferty et al., Nature 348:552-554;Clackson et al., Nature 352: 624-628 (1991); Marks et al., J. Mol. Biol. 222: 581-597 (1992); Marks and Bradbury, in Methods in Molecular Biology 248:161-175 (Lo, ed., Human Press, Totowa, NJ, 2003); Sidhu et al., J. Mol. Biol. 338(2): 299-310 (2004); Lee et al., J. Mol. Biol. 340(5): 1073-1093 (2004); Fellouse, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 101(34):12467-12472 (2004);およびLee et al., J. Immunol. Methods 284(1-2): 119-132(2004) に記載されている。
【0115】
特定のファージディスプレイ法において、VHおよびVL遺伝子のレパートリーは、ポリメラーゼ連鎖反応 (polymerase chain reaction: PCR) により別々にクローニングされ、無作為にファージライブラリ中で再結合され、当該ファージライブラリは、Winter et al., Ann. Rev. Immunol., 12: 433-455 (1994) に述べられているようにして、抗原結合ファージについてスクリーニングされ得る。ファージは、典型的には、単鎖Fv (scFv) 断片としてまたはFab断片としてのいずれかで、抗体断片を提示する。免疫化された供給源からのライブラリは、ハイブリドーマを構築することを要さずに、免疫源に対する高アフィニティ抗体を提供する。あるいは、Griffiths et al., EMBO J, 12: 725-734 (1993) に記載されるように、ナイーブレパートリーを(例えば、ヒトから)クローニングして、免疫化することなしに、広範な非自己および自己抗原への抗体の単一の供給源を提供することもできる。最後に、ナイーブライブラリは、Hoogenboom and Winter, J. Mol. Biol., 227: 381-388 (1992) に記載されるように、幹細胞から再編成前のV-遺伝子セグメントをクローニングし、超可変CDR3領域をコードしかつインビトロ (in vitro) で再構成を達成するための無作為配列を含んだPCRプライマーを用いることにより、合成的に作ることもできる。ヒト抗体ファージライブラリを記載した特許文献は、例えば:米国特許第5,750,373号、ならびに、米国特許出願公開第2005/0079574号、2005/0119455号、第2005/0266000号、第2007/0117126号、第2007/0160598号、第2007/0237764号、第2007/0292936号、および第2009/0002360号を含む。
【0116】
ヒト抗体ライブラリから単離された抗体または抗体断片は、本明細書ではヒト抗体またはヒト抗体断片と見なす。
【0117】
6.多重特異性抗体
特定の態様において、本明細書で提供される抗体は、多重特異性抗体(例えば、二重特異性抗体)である。多重特異性抗体は、少なくとも2つの異なる部位に結合特異性を有する、モノクローナル抗体である。特定の態様において、結合特異性の1つは、DDR2に対するものであり、もう1つは他の任意の抗原へのものである。特定の態様において、二重特異性抗体は、DDR2の異なった2つのエピトープに結合してもよい。二重特異性抗体は、DDR2を発現する細胞に細胞傷害剤を局在化するために使用されてもよい。二重特異性抗体は、全長抗体としてまたは抗体断片として調製され得る。
【0118】
多重特異性抗体を作製するための手法は、これらに限定されるものではないが、異なる特異性を有する2つの免疫グロブリン重鎖-軽鎖ペアの組み換え共発現(Milstein and Cuello, Nature 305: 537 (1983)、WO93/08829、およびTraunecker et al., EMBO J. 10: 3655 (1991) 参照)、およびknob-in-hole技術(例えば、米国特許第5,731,168号参照)を含む。多重特異性抗体は、Fcヘテロ二量体分子を作製するために静電ステアリング効果 (electrostatic steering effects) を操作すること (WO2009/089004A1);2つ以上の抗体または断片を架橋すること(米国特許第4,676,980号およびBrennan et al., Science, 229: 81 (1985)参照);ロイシンジッパーを用いて2つの特異性を有する抗体を作成すること(Kostelny et al., J. Immunol., 148(5):1547-1553 (1992) 参照);「ダイアボディ」技術を用いて二重特異性抗体断片を作製すること(Hollinger et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 90:6444-6448 (1993) 参照);および、単鎖Fv (scFv) 二量体を用いること(Gruber et al., J. Immunol., 152:5368 (1994) 参照);および、例えばTutt et al. J. Immunol. 147: 60 (1991) に記載されるように三重特異性抗体を調製すること、によって作製してもよい。
【0119】
「オクトパス抗体」を含む、3つ以上の機能的抗原結合部位を伴う改変抗体も、本明細書では含まれる(例えば、米国特許出願公開第2006/0025576号A1参照)。
【0120】
本明細書で抗体または断片は、DDR2と別の異なる抗原とに結合する1つの抗原結合部位を含む、「デュアルアクティングFab」または「DAF」も含む(例えば、米国特許出願公開第2008/0069820号参照)。
【0121】
7.抗体変異体
特定の態様において、本明細書で提供される抗体のアミノ酸配列変異体も、考慮の内である。例えば、抗体の結合アフィニティおよび/または他の生物学的特性を改善することが、望ましいこともある。抗体のアミノ酸配列変異体は、抗体をコードするヌクレオチド配列に適切な修飾を導入すること、または、ペプチド合成によって、調製されてもよい。そのような修飾は、例えば、抗体のアミノ酸配列からの欠失、および/または抗体のアミノ酸配列中への挿入、および/または抗体のアミノ酸配列中の残基の置換を含む。最終構築物が所望の特徴(例えば、抗原結合性)を備えることを前提に、欠失、挿入、および置換の任意の組合せが、最終構築物に至るために行われ得る。
【0122】
a)置換、挿入、および欠失変異体
特定の態様において、1つまたは複数のアミノ酸置換を有する抗体変異体が提供される。置換的変異導入の目的部位は、HVRおよびFRを含む。保存的置換を、表1の「好ましい置換」の見出しの下に示す。より実質的な変更を、表1の「例示的な置換」の見出しの下に提供するとともに、アミノ酸側鎖のクラスに言及しつつ下で詳述する。アミノ酸置換は目的の抗体に導入されてもよく、産物は、例えば、保持/改善された抗原結合性、減少した免疫原性、または改善したADCCまたはCDCなどの、所望の活性についてスクリーニングされてもよい。
【0123】
【0124】
アミノ酸は、共通の側鎖特性によって群に分けることができる:
(1) 疎水性:ノルロイシン、メチオニン (Met)、アラニン (Ala)、バリン (Val)、ロイシン (Leu)、イソロイシン (Ile);
(2) 中性の親水性:システイン (Cys)、セリン (Ser)、トレオニン (Thr)、アスパラギン (Asn)、グルタミン (Gln);
(3) 酸性:アスパラギン酸 (Asp)、グルタミン酸 (Glu);
(4) 塩基性:ヒスチジン (His)、リジン (Lys)、アルギニン (Arg);
(5) 鎖配向に影響する残基:グリシン (Gly)、プロリン (Pro);
(6) 芳香族性:トリプトファン (Trp)、チロシン (Tyr)、フェニルアラニン (Phe)。
非保存的置換は、これらのクラスの1つのメンバーを、別のクラスのものに交換することをいう。
【0125】
置換変異体の1つのタイプは、親抗体(例えば、ヒト化またはヒト抗体)の1つまたは複数の超可変領域残基の置換を含む。通常、その結果として生じ、さらなる研究のために選ばれた変異体は、親抗体と比較して特定の生物学的特性における修飾(例えば、改善)(例えば、増加したアフィニティ、減少した免疫原性)を有する、および/または親抗体の特定の生物学的特性を実質的に保持しているであろう。例示的な置換変異体は、アフィニティ成熟抗体であり、これは、例えばファージディスプレイベースのアフィニティ成熟技術(例えば本明細書に記載されるもの)を用いて適宜作製され得る。簡潔に説明すると、1つまたは複数のHVR残基を変異させ、そして変異抗体をファージ上に提示させ、特定の生物学的活性(例えば、結合アフィニティ)に関してスクリーニングを行う。
【0126】
改変(例えば、置換)は、例えば抗体のアフィニティを改善するために、HVRにおいて行われ得る。そのような改変は、HVRの「ホットスポット」、すなわち、体細胞成熟プロセスの間に高頻度で変異が起こるコドンによってコードされる残基(例えば、Chowdhury, Methods Mol. Biol. 207:179-196 (2008) を参照のこと)および/または抗原に接触する残基において行われ得、得られた変異VHまたはVLが結合アフィニティに関して試験され得る。二次ライブラリからの構築および再選択によるアフィニティ成熟が、例えば、Hoogenboom et al. in Methods in Molecular Biology 178:1-37 (O’Brien et al., ed., Human Press, Totowa, NJ, (2001)) に記載されている。アフィニティ成熟のいくつかの態様において、多様性は、任意の様々な方法(例えば、エラープローンPCR、チェーンシャッフリングまたはオリゴヌクレオチド指向変異導入)によって成熟のために選択された可変遺伝子に導入される。次いで、二次ライブラリが作製される。次いで、このライブラリは、所望のアフィニティを有する任意の抗体変異体を同定するためにスクリーニングされる。多様性を導入する別の方法は、いくつかのHVR残基(例えば、一度に4~6残基)を無作為化するHVR指向アプローチを含む。抗原結合に関与するHVR残基は、例えばアラニンスキャニング変異導入またはモデリングを用いて、具体的に特定され得る。特に、CDR-H3およびCDR-L3がしばしば標的化される。
【0127】
特定の態様において、置換、挿入、または欠失は、そのような改変が抗原に結合する抗体の能力を実質的に減少させない限り、1つまたは複数のHVR内で行われ得る。例えば、結合アフィニティを実質的に減少させない保存的改変(例えば、本明細書で提供されるような保存的置換)が、HVRにおいて行われ得る。そのような改変は、例えば、HVRの抗原接触残基の外側であり得る。上記の変異VHおよびVL配列の特定の態様において、各HVRは改変されていないか、わずか1つ、2つ、もしくは3つのアミノ酸置換を含む。
【0128】
変異導入のために標的化され得る抗体の残基または領域を同定するのに有用な方法は、Cunningham and Wells (1989) Science, 244:1081-1085によって記載される、「アラニンスキャニング変異導入」と呼ばれるものである。この方法において、一残基または一群の標的残基(例えば、荷電残基、例えばアルギニン、アスパラギン酸、ヒスチジン、リジン、およびグルタミン酸)が同定され、中性または負に荷電したアミノ酸(例えば、アラニンもしくはポリアラニン)で置き換えられ、抗体と抗原の相互作用が影響を受けるかどうかが決定される。この初期置換に対して機能的感受性を示したアミノ酸位置に、さらなる置換が導入され得る。あるいはまたは加えて、抗体と抗原の間の接触点を同定するために、抗原抗体複合体の結晶構造を解析してもよい。そのような接触残基および近隣の残基を、置換候補として標的化してもよく、または置換候補から除外してもよい。変異体は、それらが所望の特性を含むかどうかを決定するためにスクリーニングされ得る。
【0129】
アミノ酸配列の挿入は、配列内部への単一または複数のアミノ酸残基の挿入と同様、アミノ末端および/またはカルボキシル末端における1残基から100残基以上を含むポリペプチドの長さの範囲での融合も含む。末端の挿入の例は、N末端にメチオニル残基を伴う抗体を含む。抗体分子の他の挿入変異体は、抗体のN-またはC-末端に、酵素(例えば、ADEPTのための)または抗体の血漿半減期を増加させるポリペプチドを融合させたものを含む。
【0130】
b)グリコシル化変異体
特定の態様において、本明細書で提供される抗体は、抗体がグリコシル化される程度を増加させるまたは減少させるように改変されている。抗体へのグリコシル化部位の追加または削除は、1つまたは複数のグリコシル化部位を作り出すまたは取り除くようにアミノ酸配列を改変することにより、簡便に達成可能である。
【0131】
抗体がFc領域を含む場合、そこに付加される炭水化物が改変されてもよい。哺乳動物細胞によって産生される天然型抗体は、典型的には、枝分かれした二分岐のオリゴ糖を含み、当該オリゴ糖は通常Fc領域のCH2ドメインのAsn297にN-リンケージによって付加されている。例えば、Wright et al. TIBTECH 15:26-32 (1997) 参照。オリゴ糖は、例えば、マンノース、N‐アセチルグルコサミン (GlcNAc)、ガラクトース、およびシアル酸などの種々の炭水化物、また、二分岐のオリゴ糖構造の「幹」中のGlcNAcに付加されたフコースを含む。いくつかの態様において、本発明の抗体中のオリゴ糖の修飾は、特定の改善された特性を伴う抗体変異体を作り出すために行われてもよい。
【0132】
一態様において、Fc領域に(直接的または間接的に)付加されたフコースを欠く炭水化物構造体を有する抗体変異体が提供される。例えば、そのような抗体におけるフコースの量は、1%~80%、1%~65%、5%~65%または20%~40%であり得る。フコースの量は、例えばWO2008/077546に記載されるようにMALDI-TOF質量分析によって測定される、Asn297に付加されたすべての糖構造体(例えば、複合、ハイブリッド、および高マンノース構造体)の和に対する、Asn297における糖鎖内のフコースの平均量を計算することによって決定される。Asn297は、Fc領域の297位のあたりに位置するアスパラギン残基を表す(Fc領域残基のEUナンバリング)。しかし、複数の抗体間のわずかな配列の多様性に起因して、Asn297は、297位の±3アミノ酸上流または下流、すなわち294位~300位の間に位置することもあり得る。そのようなフコシル化変異体は、改善されたADCC機能を有し得る。例えば、米国特許出願公開第2003/0157108号 (Presta, L.) ;第2004/0093621号 (Kyowa Hakko Kogyo Co., Ltd) を参照のこと。「脱フコシル化」または「フコース欠損」抗体変異体に関する刊行物の例は、US2003/0157108; WO2000/61739; WO2001/29246; US2003/0115614; US2002/0164328; US2004/0093621; US2004/0132140; US2004/0110704; US2004/0110282; US2004/0109865; WO2003/085119; WO2003/084570; WO2005/035586; WO2005/035778; WO2005/053742; WO2002/031140; Okazaki et al. J. Mol. Biol. 336:1239-1249 (2004); Yamane-Ohnuki et al. Biotech. Bioeng. 87: 614 (2004) を含む。脱フコシル化抗体を産生することができる細胞株の例は、タンパク質のフコシル化を欠くLec13 CHO細胞(Ripka et al. Arch. Biochem. Biophys. 249:533-545 (1986);米国特許出願公開第US2003/0157108号A1、Presta, L;およびWO2004/056312A1、Adams et al.、特に実施例11)およびノックアウト細胞株、例えばアルファ-1,6-フコシルトランスフェラーゼ遺伝子FUT8ノックアウトCHO細胞(例えば、Yamane-Ohnuki et al. Biotech. Bioeng. 87: 614 (2004);Kanda, Y. et al., Biotechnol. Bioeng., 94(4):680-688 (2006);およびWO2003/085107を参照のこと)を含む。
【0133】
例えば抗体のFc領域に付加された二分枝型オリゴ糖がGlcNAcによって二分されている、二分されたオリゴ糖を有する抗体変異体がさらに提供される。そのような抗体変異体は、減少したフコシル化および/または改善されたADCC機能を有し得る。そのような抗体変異体の例は、例えば、WO2003/011878 (Jean-Mairet et al.) ;米国特許第6,602,684号 (Umana et al.);およびUS2005/0123546 (Umana et al.) に記載されている。Fc領域に付加されたオリゴ糖中に少なくとも1つのガラクトース残基を有する抗体変異体も提供される。そのような抗体変異体は、改善されたCDC機能を有し得る。そのような抗体変異体は、例えば、WO1997/30087 (Patel et al.);WO1998/58964 (Raju, S.); およびWO1999/22764 (Raju, S.) に記載されている。
【0134】
c)Fc領域変異体
特定の態様において、本明細書で提供される抗体のFc領域に1つまたは複数のアミノ酸修飾を導入して、それによりFc領域変異体を生成してもよい。Fc領域変異体は、1つまたは複数のアミノ酸ポジションのところでアミノ酸修飾(例えば、置換)を含む、ヒトFc領域配列(例えば、ヒトIgG1、IgG2、IgG3、またはIgG4のFc領域)を含んでもよい。
【0135】
特定の態様において、すべてではないがいくつかのエフェクター機能を備える抗体変異体も、本発明の考慮の内であり、当該エフェクター機能は、抗体を、そのインビボでの半減期が重要であるが、特定のエフェクター機能(補体およびADCCなど)は不要または有害である場合の適用に望ましい候補とするものである。CDCおよび/またはADCC活性の減少/欠乏を確認するために、インビトロ および/またはインビボ の細胞傷害測定を行うことができる。例えば、Fc受容体(FcR)結合測定は、抗体がFcγR結合性を欠く(よってADCC活性を欠く蓋然性が高い)一方でFcRn結合能を維持することを確かめるために行われ得る。ADCCを媒介するプライマリ細胞であるNK細胞はFcγRIIIのみを発現するが、一方単球はFcγRI、FcγRII、FcγRIIIを発現する。造血細胞上のFcRの発現は、Ravetch and Kinet, Annu. Rev. Immunol. 9:457-492 (1991) の第464頁のTable 3にまとめられている。目的の分子のADCC活性を評価するためのインビトロ測定法(アッセイ)の非限定的な例は、米国特許第5,500,362号(例えば、 Hellstrom, I. et al. Proc. Nat'l Acad. Sci. USA 83:7059-7063 (1986) 参照)および Hellstrom, I et al., Proc. Nat'l Acad. Sci. USA 82:1499-1502 (1985);米国特許第5,821,337号(Bruggemann, M. et al., J. Exp. Med. 166:1351-1361 (1987) 参照)に記載されている。あるいは、非放射性の測定法を用いてもよい(例えば、ACT1(商標)non-radioactive cytotoxicity assay for flow cytometry (CellTechnology, Inc. Mountain View, CA);および、CytoTox 96(登録商標)non-radioactive cytotoxicity assays 法 (Promega, Madison, WI) 参照)。このような測定法に有用なエフェクター細胞は、末梢血単核細胞 (peripheral blood mononuclear cell: PBMC) およびナチュラルキラー (natural killer: NK) 細胞を含む。あるいはまたは加えて、目的の分子のADCC活性は、例えば、Clynes et al. Proc. Nat'l Acad. Sci. USA 95:652-656 (1998) に記載されるような動物モデルにおいて、インビボで評価されてもよい。また、抗体がC1qに結合できないこと、よってCDC活性を欠くことを確認するために、C1q結合測定を行ってもよい。例えば、WO2006/029879 および WO2005/100402のC1qおよびC3c結合ELISAを参照のこと。また、補体活性化を評価するために、CDC測定を行ってもよい(例えば、Gazzano-Santoro et al., J. Immunol. Methods 202:163 (1996);Cragg, M.S. et al., Blood 101:1045-1052 (2003);およびCragg, M.S. and M.J. Glennie, Blood 103:2738-2743 (2004) 参照)。さらに、FcRn結合性およびインビボでのクリアランス/半減期の決定も、当該技術分野において知られた方法を用いて行い得る(例えばPetkova, S.B. et al., Int'l. Immunol. 18(12):1759-1769 (2006) 参照)。
【0136】
減少したエフェクター機能を伴う抗体は、Fc領域残基238、265、269、270、297、327、および329の1つまたは複数の置換を伴うものを含む(米国特許第6,737,056号)。このようなFc変異体は、残基265および297のアラニンへの置換を伴ういわゆる「DANA」Fc変異体(米国特許第7,332,581号)を含む、アミノ酸ポジション265、269、270、297、および327の2つ以上の置換を伴うFc変異体を含む。
【0137】
FcRsへの増加または減少した結合性を伴う特定の抗体変異体が、記述されている。(米国特許第6,737,056号;WO2004/056312、およびShields et al., J. Biol. Chem. 9(2): 6591-6604 (2001) を参照のこと。)
【0138】
特定の態様において、抗体変異体は、ADCCを改善する1つまたは複数のアミノ酸置換(例えば、Fc領域のポジション298、333、および/または334(EUナンバリングでの残基)のところでの置換)を伴うFc領域を含む。
【0139】
いくつかの態様において、例えば米国特許第6,194,551号、WO99/51642、およびIdusogie et al. J. Immunol. 164: 4178-4184 (2000) に記載されるように、改変された(つまり、増加したか減少したかのいずれかである)C1q結合性および/または補体依存性細胞傷害 (CDC) をもたらす改変が、Fc領域においてなされる。
【0140】
増加した半減期、および新生児型Fc受容体(FcRn:母体のIgG類を胎児に移行させる役割を負う(Guyer et al., J. Immunol. 117:587 (1976) and Kim et al., J. Immunol. 24:249 (1994)))に対する増加した結合性を伴う抗体が、米国特許出願公開第2005/0014934号A1(Hinton et al.) に記載されている。これらの抗体は、Fc領域のFcRnへの結合性を増加する1つまたは複数の置換をその中に伴うFc領域を含む。このようなFc変異体は、Fc領域残基:238、256、265、272、286、303、305、307、311、312、317、340、356、360、362、376、378、380、382、413、424、または434の1つまたは複数のところでの置換(例えば、Fc領域残基434の置換(米国特許第7,371,826号))を伴うものを含む。
【0141】
Fc領域変異体の他の例については、Duncan & Winter, Nature 322:738-40 (1988);米国特許第5,648,260号;米国特許第5,624,821号;およびWO94/29351も参照のこと。
【0142】
d)システイン改変抗体変異体
特定の態様において、抗体の1つまたは複数の残基がシステイン残基で置換された、システイン改変抗体(例えば、「thioMAbs」)を作り出すことが望ましいだろう。特定の態様において、置換を受ける残基は、抗体の、アクセス可能な部位に生じる。それらの残基をシステインで置換することによって、反応性のチオール基が抗体のアクセス可能な部位に配置され、当該反応性のチオール基は、当該抗体を他の部分(薬剤部分またはリンカー‐薬剤部分など)にコンジュゲートして本明細書でさらに詳述するようにイムノコンジュゲートを作り出すのに使用されてもよい。特定の態様において、以下の残基の任意の1つまたは複数が、システインに置換されてよい:軽鎖のV205(Kabatナンバリング);重鎖のA118(EUナンバリング);および重鎖Fc領域のS400(EUナンバリング)。システイン改変抗体は、例えば、米国特許第7,521,541号に記載されるようにして生成されてもよい。
【0143】
e)抗体誘導体
特定の態様において、本明細書で提供される抗体は、当該技術分野において知られておりかつ容易に入手可能な追加の非タンパク質部分を含むように、さらに修飾されてもよい。抗体の誘導体化に好適な部分は、これに限定されるものではないが、水溶性ポリマーを含む。水溶性ポリマーの非限定的な例は、これらに限定されるものではないが、ポリエチレングリコール (PEG)、エチレングリコール/プロピレングリコールのコポリマー、カルボキシメチルセルロース、デキストラン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリ1,3ジオキソラン、ポリ1,3,6,トリオキサン、エチレン/無水マレイン酸コポリマー、ポリアミノ酸(ホモポリマーまたはランダムコポリマーのいずれでも)、および、デキストランまたはポリ(n-ビニルピロリドン)ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールホモポリマー、ポリプロピレンオキシド/エチレンオキシドコポリマー、ポリオキシエチル化ポリオール類(例えばグリセロール)、ポリビニルアルコール、および、これらの混合物を含む。ポリエチレングリコールプロピオンアルデヒドは、その水に対する安定性のために、製造において有利であるだろう。ポリマーは、いかなる分子量でもよく、枝分かれしていてもしていなくてもよい。抗体に付加されるポリマーの数には幅があってよく、1つ以上のポリマーが付加されるならそれらは同じ分子であってもよいし、異なる分子であってもよい。一般的に、誘導体化に使用されるポリマーの数および/またはタイプは、これらに限定されるものではないが、改善されるべき抗体の特定の特性または機能、抗体誘導体が規定の条件下での療法に使用されるか否か、などへの考慮に基づいて、決定することができる。
【0144】
別の態様において、抗体と、放射線に曝露することにより選択的に熱せられ得る非タンパク質部分との、コンジュゲートが提供される。一態様において、非タンパク質部分は、カーボンナノチューブである(Kam et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 102: 11600-11605 (2005))。放射線はいかなる波長でもよく、またこれらに限定されるものではないが、通常の細胞には害を与えないが抗体‐非タンパク質部分に近接した細胞を死滅させる温度まで非タンパク質部分を熱するような波長を含む。
【0145】
B.組み換えの方法および構成
例えば、米国特許第4,816,567号に記載されるとおり、抗体は組み換えの方法や構成を用いて製造することができる。一態様において、本明細書に記載の抗DDR2抗体をコードする、単離された核酸が提供される。そのような核酸は、抗体のVLを含むアミノ酸配列および/またはVHを含むアミノ酸配列(例えば、抗体の軽鎖および/または重鎖)をコードしてもよい。さらなる態様において、このような核酸を含む1つまたは複数のベクター(例えば、発現ベクター)が提供される。さらなる態様において、このような核酸を含む宿主細胞が提供される。このような態様の1つでは、宿主細胞は、(1)抗体のVLを含むアミノ酸配列および抗体のVHを含むアミノ酸配列をコードする核酸を含むベクター、または、(2)抗体のVLを含むアミノ酸配列をコードする核酸を含む第一のベクターと抗体のVHを含むアミノ酸配列をコードする核酸を含む第二のベクターを含む(例えば、形質転換されている)。一態様において、宿主細胞は、真核性である(例えば、チャイニーズハムスター卵巣 (CHO) 細胞)またはリンパ系の細胞(例えば、Y0、NS0、Sp2/0細胞))。一態様において、抗DDR2抗体の発現に好適な条件下で、上述のとおり当該抗体をコードする核酸を含む宿主細胞を培養すること、および任意で、当該抗体を宿主細胞(または宿主細胞培養培地)から回収することを含む、抗DDR2抗体を作製する方法が提供される。
【0146】
抗DDR2抗体の組み換え製造のために、(例えば、上述したものなどの)抗体をコードする核酸を単離し、さらなるクローニングおよび/または宿主細胞中での発現のために、1つまたは複数のベクターに挿入する。そのような核酸は、従来の手順を用いて容易に単離および配列決定されるだろう(例えば、抗体の重鎖および軽鎖をコードする遺伝子に特異的に結合することができるオリゴヌクレオチドプローブを用いることで)。
【0147】
抗体をコードするベクターのクローニングまたは発現に好適な宿主細胞は、本明細書に記載の原核細胞または真核細胞を含む。例えば、抗体は、特にグリコシル化およびFcエフェクター機能が必要とされない場合は、細菌で製造してもよい。細菌での抗体断片およびポリペプチドの発現に関して、例えば、米国特許第5,648,237号、第5,789,199号、および第5,840,523号を参照のこと。(加えて、大腸菌における抗体断片の発現について記載したCharlton, Methods in Molecular Biology, Vol. 248 (B.K.C. Lo, ed., Humana Press, Totowa, NJ, 2003), pp.245-254も参照のこと。)発現後、抗体は細菌細胞ペーストから可溶性フラクション中に単離されてもよく、またさらに精製することができる。
【0148】
原核生物に加え、部分的なまたは完全なヒトのグリコシル化パターンを伴う抗体の産生をもたらす、グリコシル化経路が「ヒト化」されている菌類および酵母の株を含む、糸状菌または酵母などの真核性の微生物は、抗体コードベクターの好適なクローニングまたは発現宿主である。Gerngross, Nat. Biotech. 22:1409-1414 (2004)および Li et al., Nat. Biotech. 24:210-215 (2006) を参照のこと。
【0149】
多細胞生物(無脊椎生物および脊椎生物)に由来するものもまた、グリコシル化された抗体の発現のために好適な宿主細胞である。無脊椎生物細胞の例は、植物および昆虫細胞を含む。昆虫細胞との接合、特にSpodoptera frugiperda細胞の形質転換に用いられる、数多くのバキュロウイルス株が同定されている。
【0150】
植物細胞培養物も、宿主として利用することができる。例えば、米国特許第5,959,177号、第6,040,498号、第6,420,548号、第7,125,978号、および第6,417,429号(トランスジェニック植物で抗体を産生するための、PLANTIBODIES(商標)技術を記載)を参照のこと。
【0151】
脊椎動物細胞もまた宿主として使用できる。例えば、浮遊状態で増殖するように適応された哺乳動物細胞株は、有用であろう。有用な哺乳動物宿主細胞株の他の例は、SV40で形質転換されたサル腎CV1株 (COS-7);ヒト胎児性腎株(Graham et al., J. Gen Virol. 36:59 (1977) などに記載の293または293細胞);仔ハムスター腎細胞 (BHK);マウスセルトリ細胞(Mather, Biol. Reprod. 23:243-251 (1980) などに記載のTM4細胞);サル腎細胞 (CV1);アフリカミドリザル腎細胞 (VERO-76);ヒト子宮頸部癌細胞 (HELA);イヌ腎細胞 (MDCK);Buffalo系ラット肝細胞 (BRL 3A);ヒト肺細胞 (W138);ヒト肝細胞 (Hep G2);マウス乳癌 (MMT 060562);TRI細胞(例えば、Mather et al., Annals N.Y. Acad. Sci. 383:44-68 (1982) に記載);MRC5細胞;および、FS4細胞などである。他の有用な哺乳動物宿主細胞株は、DHFR- CHO細胞 (Urlaub et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 77:4216 (1980)) を含むチャイニーズハムスター卵巣 (CHO) 細胞;およびY0、NS0、およびSp2/0などの骨髄腫細胞株を含む。抗体産生に好適な特定の哺乳動物宿主細胞株の総説として、例えば、Yazaki and Wu, Methods in Molecular Biology, Vol. 248 (B.K.C. Lo, ed., Humana Press, Totowa, NJ), pp. 255-268 (2003) を参照のこと。
【0152】
C.測定法(アッセイ)
本明細書で提供される抗DDR2抗体は、当該技術分野において知られている種々の測定法によって、同定され、スクリーニングされ、または物理的/化学的特性および/または生物学的活性について明らかにされてもよい。
【0153】
1.結合測定法およびその他の測定法
一局面において、本発明の抗体は、例えばELISA、ウエスタンブロット等の公知の方法によって、その抗原結合活性に関して試験される。
【0154】
別の局面において、DDR2への結合に関して以下の抗体と競合する抗体を同定するために、競合アッセイが使用され得る:(1)それぞれ、配列番号:1および配列番号:5中のVHおよびVL配列を含む、抗体;(2)それぞれ、配列番号:9および配列番号:13中のVHおよびVL配列を含む、抗体;(3)それぞれ、配列番号:17および配列番号:21中のVHおよびVL配列を含む、抗体;(4)それぞれ、配列番号:25および配列番号:29中のVHおよびVL配列を含む、抗体;(5)それぞれ、配列番号:33および配列番号:37中のVHおよびVL配列を含む、抗体;(6)それぞれ、配列番号:41および配列番号:45中のVHおよびVL配列を含む、抗体;(7)それぞれ、配列番号:49および配列番号:53中のVHおよびVL配列を含む、抗体;(8)それぞれ、配列番号:57および配列番号:61中のVHおよびVL配列を含む、抗体;または(9)それぞれ、配列番号:65および配列番号:69中のVHおよびVL配列を含む、抗体。特定の態様において、そのような競合抗体は、以下の抗体が結合するのと同じエピトープ(例えば、線状または立体構造エピトープ)に結合する:(1)それぞれ、配列番号:1および配列番号:5中のVHおよびVL配列を含む、抗体;(2)それぞれ、配列番号:9および配列番号:13中のVHおよびVL配列を含む、抗体;(3)それぞれ、配列番号:17および配列番号:21中のVHおよびVL配列を含む、抗体;(4)それぞれ、配列番号:25および配列番号:29中のVHおよびVL配列を含む、抗体;(5)それぞれ、配列番号:33および配列番号:37中のVHおよびVL配列を含む、抗体;(6)それぞれ、配列番号:41および配列番号:45中のVHおよびVL配列を含む、抗体;(7)それぞれ、配列番号:49および配列番号:53中のVHおよびVL配列を含む、抗体;(8)それぞれ、配列番号:57および配列番号:61中のVHおよびVL配列を含む、抗体;または(9)それぞれ、配列番号:65および配列番号:69中のVHおよびVL配列を含む、抗体。
【0155】
別の局面において、DDR2への結合に関して以下の抗体と競合する抗体を同定するために、競合アッセイが使用され得る:(1)配列番号:2のアミノ酸配列を含むHVR-H1、配列番号:3のアミノ酸配列を含むHVR-H2、配列番号:4のアミノ酸配列を含むHVR-H3、配列番号:6のアミノ酸配列を含むHVR-L1、配列番号:7のアミノ酸配列を含むHVR-L2、および配列番号:8のアミノ酸配列を含むHVR-L3を含む、抗体;(2)配列番号:10のアミノ酸配列を含むHVR-H1、配列番号:11のアミノ酸配列を含むHVR-H2、配列番号:12のアミノ酸配列を含むHVR-H3、配列番号:14のアミノ酸配列を含むHVR-L1、配列番号:15のアミノ酸配列を含むHVR-L2、および配列番号:16のアミノ酸配列を含むHVR-L3を含む、抗体;(3)配列番号:18のアミノ酸配列を含むHVR-H1、配列番号:19のアミノ酸配列を含むHVR-H2、配列番号:20のアミノ酸配列を含むHVR-H3、配列番号:22のアミノ酸配列を含むHVR-L1、配列番号:23のアミノ酸配列を含むHVR-L2、および配列番号:24のアミノ酸配列を含むHVR-L3を含む、抗体;(4)配列番号:26のアミノ酸配列を含むHVR-H1、配列番号:27のアミノ酸配列を含むHVR-H2、配列番号:28のアミノ酸配列を含むHVR-H3、配列番号:30のアミノ酸配列を含むHVR-L1、配列番号:31のアミノ酸配列を含むHVR-L2、および配列番号:32のアミノ酸配列を含むHVR-L3を含む、抗体;(5)配列番号:34のアミノ酸配列を含むHVR-H1、配列番号:35のアミノ酸配列を含むHVR-H2、配列番号:36のアミノ酸配列を含むHVR-H3、配列番号:38のアミノ酸配列を含むHVR-L1、配列番号:39のアミノ酸配列を含むHVR-L2、および配列番号:40のアミノ酸配列を含むHVR-L3を含む、抗体;(6)配列番号:42のアミノ酸配列を含むHVR-H1、配列番号:43のアミノ酸配列を含むHVR-H2、配列番号:44のアミノ酸配列を含むHVR-H3、配列番号:46のアミノ酸配列を含むHVR-L1、配列番号:47のアミノ酸配列を含むHVR-L2、および配列番号:48のアミノ酸配列を含むHVR-L3を含む、抗体;(7)配列番号:50のアミノ酸配列を含むHVR-H1、配列番号:51のアミノ酸配列を含むHVR-H2、配列番号:52のアミノ酸配列を含むHVR-H3、配列番号:54のアミノ酸配列を含むHVR-L1、配列番号:55のアミノ酸配列を含むHVR-L2、および配列番号:56のアミノ酸配列を含むHVR-L3を含む、抗体;(8)配列番号:58のアミノ酸配列を含むHVR-H1、配列番号:59のアミノ酸配列を含むHVR-H2、配列番号:60のアミノ酸配列を含むHVR-H3、配列番号:62のアミノ酸配列を含むHVR-L1、配列番号:63のアミノ酸配列を含むHVR-L2、および配列番号:64のアミノ酸配列を含むHVR-L3を含む、抗体;または(9)配列番号:66のアミノ酸配列を含むHVR-H1、配列番号:67のアミノ酸配列を含むHVR-H2、配列番号:68のアミノ酸配列を含むHVR-H3、配列番号:70のアミノ酸配列を含むHVR-L1、配列番号:71のアミノ酸配列を含むHVR-L2、および配列番号:72のアミノ酸配列を含むHVR-L3を含む、抗体。特定の態様において、そのような競合抗体は、以下の抗体が結合するのと同じエピトープ(例えば、線状または立体構造エピトープ)に結合する:(1)配列番号:2のアミノ酸配列を含むHVR-H1、配列番号:3のアミノ酸配列を含むHVR-H2、配列番号:4のアミノ酸配列を含むHVR-H3、配列番号:6のアミノ酸配列を含むHVR-L1、配列番号:7のアミノ酸配列を含むHVR-L2、および配列番号:8のアミノ酸配列を含むHVR-L3を含む、抗体;(2)配列番号:10のアミノ酸配列を含むHVR-H1、配列番号:11のアミノ酸配列を含むHVR-H2、配列番号:12のアミノ酸配列を含むHVR-H3、配列番号:14のアミノ酸配列を含むHVR-L1、配列番号:15のアミノ酸配列を含むHVR-L2、および配列番号:16のアミノ酸配列を含むHVR-L3を含む、抗体;(3)配列番号:18のアミノ酸配列を含むHVR-H1、配列番号:19のアミノ酸配列を含むHVR-H2、配列番号:20のアミノ酸配列を含むHVR-H3、配列番号:22のアミノ酸配列を含むHVR-L1、配列番号:23のアミノ酸配列を含むHVR-L2、および配列番号:24のアミノ酸配列を含むHVR-L3を含む、抗体;(4)配列番号:26のアミノ酸配列を含むHVR-H1、配列番号:27のアミノ酸配列を含むHVR-H2、配列番号:28のアミノ酸配列を含むHVR-H3、配列番号:30のアミノ酸配列を含むHVR-L1、配列番号:31のアミノ酸配列を含むHVR-L2、および配列番号:32のアミノ酸配列を含むHVR-L3を含む、抗体;(5)配列番号:34のアミノ酸配列を含むHVR-H1、配列番号:35のアミノ酸配列を含むHVR-H2、配列番号:36のアミノ酸配列を含むHVR-H3、配列番号:38のアミノ酸配列を含むHVR-L1、配列番号:39のアミノ酸配列を含むHVR-L2、および配列番号:40のアミノ酸配列を含むHVR-L3を含む、抗体;(6)配列番号:42のアミノ酸配列を含むHVR-H1、配列番号:43のアミノ酸配列を含むHVR-H2、配列番号:44のアミノ酸配列を含むHVR-H3、配列番号:46のアミノ酸配列を含むHVR-L1、配列番号:47のアミノ酸配列を含むHVR-L2、および配列番号:48のアミノ酸配列を含むHVR-L3を含む、抗体;(7)配列番号:50のアミノ酸配列を含むHVR-H1、配列番号:51のアミノ酸配列を含むHVR-H2、配列番号:52のアミノ酸配列を含むHVR-H3、配列番号:54のアミノ酸配列を含むHVR-L1、配列番号:55のアミノ酸配列を含むHVR-L2、および配列番号:56のアミノ酸配列を含むHVR-L3を含む、抗体;(8)配列番号:58のアミノ酸配列を含むHVR-H1、配列番号:59のアミノ酸配列を含むHVR-H2、配列番号:60のアミノ酸配列を含むHVR-H3、配列番号:62のアミノ酸配列を含むHVR-L1、配列番号:63のアミノ酸配列を含むHVR-L2、および配列番号:64のアミノ酸配列を含むHVR-L3を含む、抗体;または(9)配列番号:66のアミノ酸配列を含むHVR-H1、配列番号:67のアミノ酸配列を含むHVR-H2、配列番号:68のアミノ酸配列を含むHVR-H3、配列番号:70のアミノ酸配列を含むHVR-L1、配列番号:71のアミノ酸配列を含むHVR-L2、および配列番号:72のアミノ酸配列を含むHVR-L3を含む、抗体。
抗体が結合するエピトープをマッピングする、詳細な例示的方法は、Morris (1996) “Epitope Mapping Protocols,” in Methods in Molecular Biology vol. 66 (Humana Press, Totowa, NJ)に提供されている。
【0156】
例示的な競合アッセイにおいて、固定化されたDDR2は、DDR2に結合する第1の標識された抗体(例えば、前記段落で挙げられたいずれかの抗体)およびDDR2への結合に関して第1の抗体と競合する能力に関して試験される第2の未標識の抗体を含む溶液中でインキュベートされる。第2の抗体は、ハイブリドーマ上清に存在し得る。対照として、固定化されたDDR2が、第1の標識された抗体を含むが第2の未標識の抗体を含まない溶液中でインキュベートされる。第1の抗体のDDR2に対する結合を許容する条件下でのインキュベーションの後、余分な未結合の抗体が除去され、固定化されたDDR2に結合した標識の量が測定される。固定化されたDDR2に結合した標識の量が対照サンプルと比較して試験サンプルにおいて実質的に減少している場合、それは第2の抗体がDDR2への結合に関して第1の抗体と競合していることを示す。Harlow and Lane (1988) Antibodies: A Laboratory Manual ch.14 (Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor, NY) を参照のこと。
【0157】
2.活性測定法
一局面において、生物学的活性を有する抗DDR2抗体を同定するための測定法が提供される。生物学的活性は、例えば、対象において、コラーゲン1型α1(Col1a1)mRNAレベルおよび/またはフィブロネクチン1(Fn1)mRNAレベルを減少させることを含んでよい。また、このような生物学的活性をインビボおよび/またはインビトロで有する抗体が、提供される。
【0158】
特定の態様において、本発明の抗体は、このような生物学的活性について試験される。
【0159】
例えば、一態様において、コラーゲン1型α1(Col1a1)mRNAレベルを低減させる抗体の生物学的活性は、進行性腎線維症を発症するUUO(片側尿管閉塞)マウスモデルにおいて評価される。マウス(例えば、6~7週齢の特定病原体除去C57BL/6NTac雄マウス)を、治療の開始前に約1週間、馴化させる。動物を、20~26℃で12:12時間の明/暗サイクルで維持し、市販の標準飼料(例えば、5P75;PMI Nutrition INT'L (LabDiet), Missouri, United States)および水道水を自由に摂取させる。
【0160】
UUO手術は、(例えば、イソフルランを用いる)麻酔状態下で行う。腹部の左側を剃毛し、皮膚を貫通して縦に切開する。腹膜を貫通して2回目の切開を行い、腎臓を露出させるように皮膚も引く。鉗子を用いて腎臓を表面に出し、左尿管を腎臓の下で2回、外科用絹糸で縛る。結紮された腎臓を、その正しい解剖学的位置に静かに戻して置き、次いで、腹膜および皮膚を縫合する。鎮痛剤を追加して、動物の苦痛を低減させる。偽手術群においては、腹膜および皮膚を、切開し縫合するだけである。
【0161】
試験抗体または陰性対照抗体(抗KLH抗体であるIC17など)を、腹腔内注射によって2回、例えば、手術の1日後および採取の1日前に投与する。偽手術群には、ビヒクルを投与する。動物を秤量し、次いで、麻酔下での全採血によって屠殺する。血液サンプルは、例えば、心臓腔または下大静脈から収集し、アッセイするまで-80℃で維持する。腎臓を、速やかに取り出す。腎臓組織の一部を、分子解析のために液体窒素中またはドライアイス上で急速凍結する。
【0162】
全RNAを、例えば、RNeasy Mini Kit(Qiagen)を用いて、腎臓組織から抽出する。マウスミトコンドリアリボソームタンパク質L19(Mrpl19)または他の好適な遺伝子を、各サンプルについての内因性参照として用いる。コラーゲン1型α1(Col1a1)mRNAレベルを低減させる抗体の生物学的活性を、腎臓中のコラーゲン1型α1(Col1a1)mRNAレベルを測定すること、試験抗体投与動物におけるレベルを陰性対照抗体投与動物のレベルと比較することによって評価する。相対的mRNA発現値を、ΔΔCt解析を用いて計算する。
【0163】
別の態様において、コラーゲン1型α1(Col1a1)mRNAレベルを低減させる抗体の生物学的活性およびフィブロネクチン1(Fn1)mRNAレベルを低減させる抗体の生物学的活性は、白血球の浸潤、線維芽細胞増殖、および肺組織内のコラーゲンの増加を特徴とする、ブレオマイシン(BLM)誘導性マウス肺線維症モデル(BLMマウスモデル)において評価される。
【0164】
マウス(例えば、6~7週齢の特定病原体除去C57BL/6NTac雄マウス)を、治療の開始前に約1週間、馴化させる。動物を、20~26℃で12:12時間の明/暗サイクルで維持し、市販の標準飼料(例えば、5P75;PMI Nutrition INT'L (LabDiet), Missouri, United States)および水道水を自由に摂取させる。
【0165】
硫酸ブレオマイシン(Gold Bio, St Louis, USから購入できる(カタログ番号B-910-50))または生理食塩水を、例えば、浸透圧ミニポンプ(Alzet, Cupertino, CA, USA, MODEL 1007D)を通して投与する。0日目に、好適な体積の生理食塩水(例えば、90μL)に溶解したBLM(50 mg/kg)を、ミニポンプに充填する。非疾患対照群には、生理食塩水を投与する。ミニポンプを、埋め込み前に約3~4時間、37℃でインキュベートする。ポンプを、麻酔(例えば、イソフルラン)下での切開を通して、背中の皮下に(s.c.)埋め込む。好適な期間が経過した後(例えば、10日目に)、ミニポンプを麻酔下でマウスから取り出す。試験抗体または陰性対照抗体(抗KLH抗体IC17dKなど)を、例えば、25 mg/kgで静脈内注射によって、14日目から4~3日毎に1回投与する。動物を秤量し、次いで、イソフルラン麻酔下での全採血によって屠殺する。血液サンプルは、例えば、心臓腔または下大静脈から収集し、アッセイするまで-80℃で収容する。肺を、速やかに取り出して秤量する。肺組織の一部を、分子解析のために液体窒素中またはドライアイス上で急速凍結する。
【0166】
全RNAを、例えば、RNeasy Mini Kit(Qiagen)を用いて、肺組織から抽出する。マウスミトコンドリアリボソームタンパク質L19(Mrpl19)または他の好適な遺伝子を、各サンプルについての内因性参照として用いる。コラーゲン1型α1(Col1a1)mRNAレベルを低減させる抗体の生物学的活性を、肺中のコラーゲン1型α1(Col1a1)mRNAレベルを測定することによって、試験抗体投与動物におけるレベルを陰性対照抗体投与動物におけるレベルと比較することによって評価する。フィブロネクチン1(Fn1)mRNAレベルを低減させる抗体の生物学的活性を、肺中のフィブロネクチン1(Fn1)mRNAレベルを測定することによって、試験抗体投与動物におけるレベルを陰性対照抗体投与動物におけるレベルと比較することによって評価する。相対的mRNA発現値を、ΔΔCt解析を用いて計算した。
【0167】
3.エピトープマッピング
エピトープマッピングは、一般に、抗体が特異的に認識して結合する抗原上のエピトープを同定するかまたは特徴づけるプロセスと説明される。エピトープは、一般に、線状(連続としても知られる)エピトープまたは非線状(不連続としても知られる)エピトープの、2つのクラスに分類することができる。抗体が結合するエピトープをマッピングするための詳細な例示的方法は、Part of the Methods in Molecular Biology vol.1785 (Humana Press, Totowa, NJ)中のRockberg and Nilvebrant (2018) "Epitope Mapping Protocols, Third Edition"に提供されている。線状エピトープに関与するアミノ酸残基を特定する技術、すなわち線状エピトープマッピングは、公知であり、例えば、アレイベースのオリゴペプチドスキャニングを行うことによる。
【0168】
一態様において、抗体と目的の抗原との結合に関与するアミノ酸残基は、アレイベースのオリゴペプチドスキャニングを実施することによって、決定することができる。エピトープマッピングのためのオーバーラップペプチドスキャニングを行う技術は、公知である(Yone K et al. 1995、Geyson, H et al. 1984、Gey H et al. 1987)。一例として、これに限定されるものではないが、オリゴペプチドスキャニングを実施するために、目的の抗原のオーバーラップセグメントおよび非オーバーラップセグメント由来のオリゴペプチド配列を含むライブラリが調製されてもよい。一態様において、目的の抗原の細胞外ドメインの一連の欠失断片を含むライブラリが調製されてもよい。一態様において、オーバーラップしないが、目的の抗原の細胞外ドメイン全体をカバーする一連の線状ペプチドが調製されてもよく、かつ/または、1つもしくは複数のアミノ酸によってオーバーラップし、目的の抗原の細胞外ドメイン全体をカバーする一連の線状ペプチドが調製されてもよい。一態様において、一連のペプチドは、例えば、GST融合体、免疫グロブリン-Fc融合体などの、タンパク質融合ペプチドとして調製することができる。ライブラリ内の各ペプチドに対する抗体の結合は、フローサイトメトリー、ELISA、Biacoreなどを用いる公知の方法によって測定することができ、目的の抗原と抗体との結合に関与するアミノ酸残基を、それに応じて決定することができる。
【0169】
非線状エピトープに関与するアミノ酸残基を特定する技術、すなわち非線状エピトープマッピングは、公知であり、例えば、これらに限定されるものではないが、抗体と目的の抗原とによって形成される複合体の結晶構造解析または低温電子顕微鏡法を実施することによるか、変異を導入し、ハイスループットショットガン変異導入エピトープマッピングを行うことによるか、または水素-重水素交換質量分析を行うことによる。
【0170】
一態様において、抗体と目的の抗原との結合に関与するアミノ酸残基は、抗体と目的の抗原とによって形成される複合体の結晶構造解析を実施することによって、決定することができる。結晶構造解析を行う技術は、公知である(Padlan et al. 1989)。一例として、これに限定されるものではないが、結晶構造解析を行うために、結晶化用の抗体を調製し、適切な緩衝液において精製する。結晶化は、例えば、シッティングドロップ蒸気拡散法などの種々の方法を用いて実施され、抗体と目的の抗原との複合体が得られる。次いで、複合体の単結晶を、液体窒素中で凍結させるか、または凍結保存する。次いで、X線回折解析を行って、抗体と目的の抗原との複合体の構造を解明する。冷温電子顕微鏡法、ナノ秒顕微鏡法、または同じかもしくは実質的に同じ分解能が可能な他の方法などの代替の方法が、好適に用いられ得る。目的の抗原に対する抗体の結合に関与するアミノ酸は、得られた抗体-抗原複合体の解析を通して決定される。
【0171】
本明細書で用いられる表現「目的の抗原に対する抗体の結合に関与する」は、抗体のH鎖またはL鎖を形成するアミノ酸の主鎖または側鎖の原子と抗原の原子との間で、結合活性に対して影響を有し得る距離で、分子間相互作用が起こっている状態;または、特定のアミノ酸残基が、抗原に結合した時の立体構造に対してCDRループの三次元構造を安定化するなどの間接的な効果を含めて、抗原の結合に関与する状態;およびそれらの状態の両方を満足させる状態のことをいう。
【0172】
本明細書における「分子間相互作用が起こっている状態」は、例えば、抗原と抗体とによって形成される複合体の結晶構造解析から得られる、抗体のH鎖またはL鎖を形成するアミノ酸の主鎖または側鎖を構成する非水素原子と抗原を構成する非水素原子と間の、原子間距離に基づいて決定することができる。例えば、上述の原子間距離は、好ましくは、3.0Å、3.2Å、3.4Å、3.6Å、3.8Å、4.0Å、4.2Å、4.4Å、4.6Å、4.8Å、または5.0Åまたはそれ未満であるが、これらに限定されない。より好ましくは、原子間距離の例は、3.6Å、3.8Å、4.0Å、または4.2Åまたはそれ未満である。
【0173】
一態様において、抗体と目的の抗原との結合に関与するアミノ酸残基は、ハイスループットショットガン変異導入を実施することによって、決定することができる。ハイスループットショットガン変異導入を行う技術は、公知である(Davidson E. et al., 2014)。一例として、これに限定されるものではないが、ハイスループットショットガン変異導入を実施するために、目的の抗原、および目的の抗原の複数の変異体を含むライブラリが調製されてもよい。目的の抗原の複数の変異体は、目的の抗原のあらゆるアミノ酸残基位置に単一のアミノ酸置換を導入することによって、得ることができる。目的の抗原の各変異体の、抗体に対する結合は、Biacore、フローサイトメトリーなどを用いる公知の方法によって測定することができ、目的の抗原の変異体の、抗体に対する結合活性(アフィニティ)は、KD値として計算される。このKD値を、目的の抗原、すなわち修飾されていない抗原(鋳型)のKD値と比較し、単一のアミノ酸置換が結合を特定の基準よりも大きく変化させた変異体が、抗体と目的の抗原との結合に関与する部位として決定される。あるいは、KD値を比較するのではなく、単一のアミノ酸置換が結合を、抗体と抗原との間の結合の喪失、例えば、結合の完全な喪失などを結果としてもたらす程度まで変化させた変異体が、抗体と目的の抗原との結合に関与する部位として決定される。
【0174】
本発明において、抗体と目的の抗原との結合に関与するアミノ酸残基を決定する際に、「結合を特定の基準よりも大きく変化させるアミノ酸置換」は、以下の意味を有する。例えば、Biacoreまたはフローサイトメトリーなどの公知の方法を用いて測定を行った結果として、各変異体の、抗体に対する結合活性(アフィニティ)が、KD値として計算され、改変が、変異体の抗体に対する結合能を、目的の抗原、すなわち修飾されていない抗原(鋳型)の同じ抗体に対する結合能と比較して1/100、1/50、1/25、1/20、1/10、1/9、1/8、1/7、1/6、1/5、1/4、1/3、または1/2に変更する場合、改変された部位は、抗体に対する結合に関与する部位として決定されるが、上述の基準は非限定的である。あるいは、変異体のKD値を目的の抗原、すなわち修飾されていない抗原(鋳型)のKD値と比較するのではなく、各変異体の、抗体に対する結合活性(アフィニティ)をKD値として計算し、結合能が、10 mM、1 mM、100μM、10μM、1μM、100 nM、10 nM、1 nM、100 pM、10 pM、または1 pMよりも低い場合、改変された部位は、抗体に対する結合に関与する部位として決定されるが、上述の基準は非限定的である。
【0175】
目的の抗原、または目的の抗原の複数の変異体の、抗体に対する結合活性は、当業者に公知の方法(Biacore、フローサイトメトリー、ELISA、ECLなど)を適切に選択することによって、測定することができる。
【0176】
別の態様において、抗体と目的の抗原との結合に関与するアミノ酸部位は、抗体と目的の抗原との結合に関与しないアミノ酸部位の中から選択される任意の1つまたは複数のアミノ酸部位以外のアミノ酸部位とみなされ得る。しかし、いくつかの例において、特定の基準よりも低いと決定されたKD値、または観察された結合の喪失は、調べられたアミノ酸、すなわち置換されたアミノ酸が、抗体と目的の抗原との結合に関与することを示さない可能性があり、むしろ結合能の低減または結合の喪失は、構造維持の喪失などによるものである。したがって、当業者は、例えば、抗体-抗原複合体の結晶構造解析で解析を補完するなどの方法によって、アミノ酸残基が抗体と目的の抗原との結合に関与するかどうかを、容易にかつ合理的に判定できると考えられる。
【0177】
一態様において、抗体と目的の抗原との結合に関与するアミノ酸残基は、水素-重水素交換質量分析を実施することによって、決定することができる。水素-重水素交換質量分析を行う技術は、公知である(Houde D. et al. 2011、Karpusas M. et al. 1997)。一例として、これに限定されるものではないが、水素-重水素交換質量分析を実施するために、目的の抗原と抗原二量体-Fc抗体複合体とを、両方の化合物を水素-重水素交換に供する溶液中でインキュベートする。次いで、重水素標識プロセスをクエンチし、結果として生じた重水素標識された化合物を、ペプシン/トリプシン消化に供し、その後質量分析を行う。修飾されていない、すなわち重水素標識されていない(鋳型)抗原および抗原複合体、ならびに重水素標識された抗原および抗原複合体の、ペプチドマスフィンガープリントが得られる。目的の抗原に対する抗体の結合に関与するアミノ酸は、重水素標識されていない(鋳型)抗原および抗原複合体、ならびに重水素標識された抗原および抗原複合体の間でペプチドマスフィンガープリントを比較することを通して、決定される。
【0178】
一態様において、抗DDR2抗体とマウスDDR2との結合に関与するアミノ酸残基は、実施例6に記載される。抗DDR2抗体とマウスDDR2との結合に関与するアミノ酸残基を決定するために用いられる方法の具体的な詳細は、記載された実施例において見出すことができるが、上述の実施例は非限定的である。
【0179】
4.その抗原結合特性が目的の抗体と同じかまたは実質的に類似している抗体または抗原結合ドメインを得るかまたはスクリーニングするための方法
本開示は、例えば、エピトープ同一性、パラトープ同一性、抗原結合能などのようなその抗原結合特性が、目的の抗体、またはこれに限定されることなく、実施例6に記載されるような抗体のものと同じかまたは実質的に類似している抗体または抗原結合ドメインを得るかまたはスクリーニングするための方法を含む。競合イムノアッセイを介したエピトープビニングなどの種々の方法が、段落0153に記載されるように、その抗原結合特性が同じかまたは実質的に類似している抗体または抗原結合ドメインを同じビンに選別するために用いられてもよい。本明細書で用いられる場合、その抗原結合特性が目的の抗体のものと同じかまたは実質的に類似している抗体を得るかまたはスクリーニングするために記載される方法は、その抗原結合特性が別の抗原結合ドメインと同じかまたは実質的に同じである抗原結合ドメインを得るかまたはスクリーニングする方法に同等に適用可能であることが、当業者によって理解され、用語は交換可能に用いられる。
【0180】
一態様において、これに限定されることなく、本開示は、目的の抗体と同じエピトープに結合する抗体を得るかまたはスクリーニングするための方法であって、以下にさらに例示されるように、最初に、抗原と目的の抗体との間の結合に関与するアミノ酸残基を特定すること、次いで、抗原および抗原の複数の変異体を含むライブラリを生成すること、および最後に、抗体および抗原結合ドメインを含むライブラリを、抗原およびその変異体のライブラリに対してスクリーニングすること、を含む方法を提供する。
【0181】
この方法においては、目的の抗原の複数の変異体を含むライブラリが、最初に調製される。これらに限定されることなく、1つまたは複数のアミノ酸変異(挿入、欠失、および/または置換)が、抗体に対する抗原の結合に関与する部位として特定された1つまたは複数のアミノ酸残基に導入される。一態様において、単一のアミノ酸置換が、抗体に対する抗原の結合に関与する部位として特定された1つの残基に導入される。
【0182】
一態様において、抗原であるDDR2の複数の変異体を含むライブラリが、抗DDR2抗体に対するDDR2の結合に関与すると特定された1つまたは複数のアミノ酸残基での1つまたは複数のアミノ酸置換の導入を含んで、調製される。それに応じて、実施例6に記載されるように、抗DDR2抗体に対するマウスDDR2の結合に関与すると特定されたアミノ酸残基は、配列番号:77のN末端から31~179である。抗体に対するマウスDDR2の結合に関与すると特定されたアミノ酸残基は、配列番号:77のN末端からR31、P33、S37、D64、S65、E66、Q103、H106、A107、G108、H110、S145、N146、Y148、D149、V150、F151、L152、D154、およびR179である。配列番号:77は、マウスDDR2[Ref Seq No. NP_072075.2]に対応する。DDR2の複数の変異体を含むライブラリは、配列番号:77のアミノ酸31~179位の1つもしくは複数に、ならびに/または配列番号:77のアミノ酸R31、P33、S37、D64、S65、E66、Q103、H106、A107、G108、H110、S145、N146、Y148、D149、V150、F151、L152、D154、およびR179の1つもしくは複数に、1つまたは複数のアミノ酸置換を導入することによって調製される。
【0183】
一態様において、本開示は、公知の方法を用いて、その抗原結合特性が目的の抗体、または実施例6に記載されるような抗体のものと同じかまたは実質的に類似している抗体を得るかまたはスクリーニングするための方法を提供する。一態様において、現存の抗体もしくは抗原結合ドメインまたは既存のライブラリ(ファージライブラリなど)、または、動物を免疫化することによって得られたハイブリドーマからもしくは免疫化された動物のB細胞から調製されたライブラリ、例えば、マウスまたはヒトDDR2の細胞外ドメイン(ECD)などの目的の抗原が、高い免疫原性のT細胞エピトープペプチドなどのアジュバント剤に好適に連結されていてもよいコンジュゲートで免疫化された動物のB細胞などの免疫細胞から調製された抗体またはライブラリ。
【0184】
その抗原結合特性が本開示の目的の抗体のものと同じかまたは実質的に類似している抗体をスクリーニングするための方法の一態様において、ライブラリとして、例えば、ファージディスプレイライブラリ、リボソームディスプレイライブラリ、mRNAディスプレイライブラリ、cDNAディスプレイライブラリ、CISディスプレイライブラリ、大腸菌ディスプレイライブラリ、グラム陽性菌ディスプレイライブラリ、酵母ディスプレイライブラリ、哺乳動物細胞ディスプレイライブラリ、ウイルスディスプレイライブラリ、およびインビトロウイルスディスプレイライブラリを用いることが可能である。上述のライブラリを生成し、所望の結合特性を有する抗体についてそのようなライブラリをスクリーニングする方法は、周知であり、段落0114~段落0116にも記載されている。
【0185】
一態様において、パンニングの方法では、目的の抗原は、ビーズなどの担体上に固定される。目的の抗原は、例えば、リンカーを介してビオチンに化学的に連結されるように合成された目的の抗原を、ストレプトアビジンもしくはNeutrAvidinがその上に固定されたビーズもしくはプレートと接触させる方法、またはウシ血清アルブミン(BSA)などのアジュバントに共有結合で連結された目的の抗原を、疎水性相互作用によりビーズもしくはプレートに付着させる方法によって、製造することができる。これらの方法は、既に公知である(J. Immunol. Methods. 2003 Sep, 280 (1-2): 139-55;BMC Biotechnol. 2009 Jan 29; 9: 6. doi: 10.1186/1472-6750-9-6)。目的の抗原に対して結合活性を有する抗体は、固定された目的の抗原に対して結合活性を有する抗体を収集することによって、調製することができる。
【0186】
その抗原結合特性が本開示の目的の抗体のものと同じかまたは実質的に類似している抗体をスクリーニングするための方法の代替の態様において、パンニングによって、蛍光標識された目的の抗原、またはビオチン標識された目的の抗原および蛍光標識されたストレプトアビジン(またはNeutrAvidinもしくはアビジン)が用いられてもよい。目的の抗原に対して結合活性を有する抗体は、蛍光標識された目的の抗原、またはビオチン標識された目的の抗原および蛍光標識されたストレプトアビジン(またはNeutrAvidinもしくはアビジン)を、細胞表面上などに提示されたライブラリと接触させること、および次いで、蛍光活性化セルソーティング(FACS)法を用いることによって、調製することができる。これらの方法は、既に公知である(Proc Natl Acad Sci U S A. 2000 Sep 26; 97 (20): 10701-5)。
【0187】
上述の抗原変異体のライブラリが、上述の抗体のライブラリに対するパンニングに用いられる。抗原および/または抗原変異体に対する抗体の結合は、これらに限定されることなく、Biacore、フローサイトメトリーなどを用いた公知の方法によって測定することができ、目的の抗原の変異体の、抗体に対する結合活性(アフィニティ)は、KD値として計算される。疑いの回避のために、他の好適な測定方法もまた用いられてもよく、KD値は、本明細書において単に一例として論じられる。
【0188】
各抗原および/または抗原変異体に対する各抗体の結合能(アフィニティ)、例えばそのKD値が、決定される。例えば、KD値または他の好適なもしくは等価の結合能(アフィニティ)の測定値は、Biacoreまたはフローサイトメトリーなどの公知の方法を用いて測定することができ、KD値が、例えば、1μM、100 nM、10 nM、1 nM、100 pM、10 pM、または1 pM、または10-13 Mよりも下かまたは小さい値などの特定の基準よりも低いと判定される場合は、抗原および/または抗原変異体に対する抗体の結合が確認され、「〇(丸)」によって表すことができ、そうでなければ、「×(ばつ印)」として示すことができる。抗原変異体が「○(丸)」によって表される場合は、その抗原変異体において置換されていたアミノ酸残基は、抗体と目的の抗原との結合に関与するアミノ酸とみなされ、そうでなければ、抗原変異体は「×(ばつ印)」によって表される。
【0189】
したがって、以下の表Bに示されるように、同じ抗原および/または抗原変異体に対して同じかまたは実質的に同じ結合能(アフィニティ)を共有する抗体を特定することができる。一例において、Ab#1およびAb#10は、同じアミノ酸修飾を含む抗原に結合し、同じ抗原結合特性を共有する抗体とみなされる。別の例において、Ab#1およびAb#7は、実質的に同じアミノ酸修飾を含む抗原に各々結合し、実質的に同じ抗原結合特性を共有する抗体とみなされる。抗体Ab#1、Ab#7、およびAb#10は、同じかもしくは実質的に同じ抗原結合特性を共有する抗体、または同じエピトープに結合する抗体、または同じエピトープを認識する抗体、または同じエピトープへの結合に関して競合する抗体、とみなされる。本明細書で用いられる「同じかまたは実質的に同じ抗原結合特性を共有する抗体」、「同じエピトープに結合する抗体」、または「同じエピトープへの結合に関して競合する抗体」は、交換可能に用いられる。
【0190】
【0191】
一態様において、上記の方法は、目的の第1の抗体に対して実質的に類似の抗原結合特性を共有する、すなわち抗原上の同じエピトープを認識して結合する、本明細書において「第2の抗体」とも称される代替の抗体を特定するために適用することができる。例えば、第1の抗体および第2の抗体は、1つまたは複数の抗原または抗原変異体に結合し、当該抗原または抗原変異体のアミノ酸配列は、互いに98.0%、98.1%、98.2%、98.3%、98.4%、98.5%、98.6%、98.7%、98.8%、98.9%、99.0%、99.1%、99.2%、99.3%、99.4%、99.5%、99.6%、99.7%、99.8%、99.9%の配列同一性を有する。例えば、表BにおけるAb#1およびAb#7。
【0192】
本開示は、目的の抗体と同じエピトープに結合するか、または目的の抗体と同じエピトープへの結合に関して競合する抗体を提供し、そのような抗体は、目的の抗原への結合に関して、その抗原結合特性が本明細書に記載される目的の抗体のものと同じかまたは実質的に類似している抗体をスクリーニングするための方法を介して得られた、目的の抗体のものと同じかまたは実質的に類似の抗原結合特性を共有する抗体である。一態様において、本開示は、マウスDDR2への結合に関して、実施例6において特定された抗DDR2抗体と同じエピトープに結合するか、またはそれと同じエピトープへの結合に関して競合する、抗DDR2抗体を含む。限定されることなく、本明細書に記載されるその抗原結合特性が同じかまたは実質的に類似している抗体をスクリーニングするための方法を行うことによって、当業者は、目的の抗体と同じエピトープに結合するか、またはそれと同じエピトープへの結合に関して競合する抗体を特定することができる。好ましい態様において、当業者は、マウスDDR2への結合に関して、実施例6において特定された抗DDR2抗体と同じエピトープに結合するか、またはそれと同じエピトープへの結合に関して競合する抗DDR2抗体を生成し、スクリーニングすることができる。
【0193】
一態様において、本開示はまた、ヒトDDR2に結合する抗DDR2抗体も含む。前述の方法にしたがう当業者は、ヒトDDR2に結合する抗DDR2抗体と同じかまたは実質的に類似の抗原結合特性を共有する代替の抗DDR2抗体を容易に得るであろう。それに応じて、マウスDDR2およびヒトDDR2の細胞外領域の配列類似性を考慮すると、実施例6において例示されるようなマウスDDR2に対する抗DDR2抗体の結合に関与すると特定されたアミノ酸残基は、同じエピトープを介してヒトDDR2に結合する代替の抗DDR2抗体に対応すると考えられ、そのさらなる特定に関連している。
【0194】
D.イムノコンジュゲート
本発明はまた、1つまたは複数の細胞傷害剤(例えば化学療法剤または化学療法薬、増殖阻害剤、毒素(例えば細菌、真菌、植物もしくは動物起源のタンパク質毒素、酵素的に活性な毒素、もしくはそれらの断片)または放射性同位体)にコンジュゲートされた本明細書の抗DDR2抗体を含むイムノコンジュゲートを提供する。
【0195】
一態様において、イムノコンジュゲートは、抗体が、これらに限定されるものではないが以下を含む1つまたは複数の薬剤にコンジュゲートされた、抗体-薬剤コンジュゲート (antibody-drug conjugate: ADC) である:メイタンシノイド(米国特許第5,208,020号、第5,416,064号、および欧州特許第0,425,235号B1参照);例えばモノメチルオーリスタチン薬剤部分DEおよびDF(MMAEおよびMMAF)(米国特許第5,635,483号および第5,780,588号および第7,498,298号参照)などのオーリスタチン;ドラスタチン;カリケアマイシンまたはその誘導体(米国特許第5,712,374号、第5,714,586号、第5,739,116号、第5,767,285号、第5,770,701号、第5,770,710号、第5,773,001号、および第5,877,296号;Hinman et al., Cancer Res. 53:3336-3342 (1993);ならびにLode et al., Cancer Res. 58:2925-2928 (1998) 参照);ダウノマイシンまたはドキソルビシンなどのアントラサイクリン(Kratz et al., Current Med. Chem. 13:477-523 (2006);Jeffrey et al., Bioorganic & Med. Chem. Letters 16:358-362 (2006);Torgov et al., Bioconj. Chem. 16:717-721 (2005);Nagy et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 97:829-834 (2000);Dubowchik et al., Bioorg. & Med. Chem. Letters 12:1529-1532 (2002);King et al., J. Med. Chem. 45:4336-4343 (2002);および米国特許第6,630,579号参照);メトトレキサート;ビンデシン;ドセタキセル、パクリタキセル、ラロタキセル、テセタキセル、およびオルタタキセルなどのタキサン;トリコテセン;ならびにCC1065。
【0196】
別の態様において、イムノコンジュゲートは、これらに限定されるものではないが以下を含む酵素的に活性な毒素またはその断片にコンジュゲートされた、本明細書に記載の抗体を含む:ジフテリアA鎖、ジフテリア毒素の非結合活性断片、外毒素A鎖(緑膿菌 (Pseudomonas aeruginosa) 由来)、リシンA鎖、アブリンA鎖、モデシンA鎖、アルファ-サルシン、シナアブラギリ (Aleurites fordii) タンパク質、ジアンチンタンパク質、ヨウシュヤマゴボウ (Phytolacca americana) タンパク質(PAPI、PAPIIおよびPAP-S)、ツルレイシ (momordica charantia) 阻害剤、クルシン (curcin)、クロチン、サボンソウ (saponaria officinalis) 阻害剤、ゲロニン、ミトゲリン (mitogellin)、レストリクトシン、フェノマイシン、エノマイシン、ならびにトリコテセン。
【0197】
別の態様において、イムノコンジュゲートは、放射性コンジュゲートを形成するために放射性原子にコンジュゲートされた本明細書に記載の抗体を含む。様々な放射性同位体が放射性コンジュゲートの製造に利用可能である。例は、211At、131I、125I、90Y、186Re、188Re、153Sm、212Bi、32P、212PbおよびLuの放射性同位体を含む。放射性コンジュゲートを検出のために使用する場合、放射性コンジュゲートは、シンチグラフィー検査用の放射性原子(例えばTc-99mもしくは123I)、または、核磁気共鳴 (NMR) イメージング(磁気共鳴イメージング、MRIとしても知られる)用のスピン標識(例えばここでもヨウ素-123、ヨウ素-131、インジウム-111、フッ素-19、炭素-13、窒素-15、酸素-17、ガドリニウム、マンガン、または鉄)を含み得る。
【0198】
抗体および細胞傷害剤のコンジュゲートは、様々な二官能性タンパク質連結剤を用いて作製され得る。例えばN-スクシンイミジル-3-(2-ピリジルジチオ)プロピオネート (SPDP)、スクシンイミジル-4-(N-マレイミドメチル)シクロヘキサン-1-カルボキシレート (SMCC)、イミノチオラン (IT)、イミドエステルの二官能性誘導体(例えば、アジプイミド酸ジメチルHCl)、活性エステル(例えば、スベリン酸ジスクシンイミジル)、アルデヒド(例えば、グルタルアルデヒド)、ビス-アジド化合物(例えば、ビス(p-アジドベンゾイル)ヘキサンジアミン)、ビス-ジアゾニウム誘導体(例えば、ビス-(p-ジアゾニウムベンゾイル)-エチレンジアミン)、ジイソシアネート(例えば、トルエン2,6-ジイソシアネート)、およびビス活性フッ素化合物(例えば、1,5-ジフルオロ-2,4-ジニトロベンゼン)である。例えば、リシン免疫毒素は、Vitetta et al., Science 238:1098 (1987) に記載されるようにして調製され得る。炭素-14標識された1-イソチオシアナトベンジル-3-メチルジエチレントリアミン五酢酸 (MX-DTPA) は、抗体への放射性核種のコンジュゲーションのための例示的なキレート剤である。WO94/11026を参照のこと。リンカーは、細胞内での細胞傷害薬の放出を促進する「切断可能なリンカー」であり得る。例えば、酸不安定性リンカー、ペプチダーゼ感受性リンカー、光不安定性リンカー、ジメチルリンカー、またはジスルフィド含有リンカー(Chari et al., Cancer Res. 52:127-131 (1992);米国特許第5,208,020号)が使用され得る。
【0199】
本明細書のイムノコンジュゲートまたはADCは、(例えば、Pierce Biotechnology, Inc., Rockford, IL., U.S.Aから)市販されているBMPS、EMCS、GMBS、HBVS、LC-SMCC、MBS、MPBH、SBAP、SIA、SIAB、SMCC、SMPB、SMPH、スルホ-EMCS、スルホ-GMBS、スルホ-KMUS、スルホ-MBS、スルホ-SIAB、スルホ-SMCC、およびスルホ-SMPB、ならびにSVSB(スクシンイミジル-(4-ビニルスルホン)ベンゾエート)を含むがこれらに限定されない架橋試薬を用いて調製されるコンジュゲートを明示的に考慮するが、これらに限定されない。
【0200】
E.診断および検出のための方法および組成物
特定の態様において、本明細書で提供される抗DDR2抗体のいずれも、生物学的サンプルにおけるDDR2の存在を検出するのに有用である。本明細書で用いられる用語「検出」は、定量的または定性的な検出を包含する。特定の態様において、生物学的サンプルは、特発性肺線維症(IPF)、腎線維症、肝線維症、皮膚線維症、肝硬変、肺臓線維症/肺線維症、心筋線維症、眼線維症、骨髄線維症、加齢黄斑変性(AMD)、糖尿病性網膜症、増殖性硝子体網膜症(PVR)、緑内障、糖尿病性黄斑浮腫(DME)、ドライアイ疾患、強皮症肺疾患、中等度から重度の喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)、関節リウマチ関連間質性肺疾患(RA-ILD)、MI後の心臓瘢痕、心筋症、うっ血性心不全、アルコール性肝硬変、B型肝炎(HBV)、C型肝炎(HCV)、住血吸虫症、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、原発性胆汁性胆管炎(PBC)、原発性硬化性胆管炎(PSC)、移植腎症、糖尿病性腎症、ループス腎炎、巣状分節性糸球体硬化症、アルポート症候群、間質性線維症、肥厚性瘢痕、ケロイド、強皮症、腎性全身性線維症、慢性移植片対宿主病、アテローム性動脈硬化症、嚢胞性線維症、手術誘導性線維症、熱傷誘導性瘢痕および収縮、放射線誘導性線維症、筋ジストロフィー、炎症性腸疾患(IBD)、縦隔線維症、ならびに後腹膜線維症を含む、線維性疾患などの細胞または組織を含む。
【0201】
一態様において、診断方法または検出方法において使用するための抗DDR2抗体が提供される。さらなる局面において、生物学的サンプル中のDDR2の存在を検出する方法が提供される。特定の態様において、この方法は、DDR2への抗DDR2抗体の結合が許容される条件下で本明細書に記載の抗DDR2抗体と生物学的サンプルを接触させること、および抗DDR2抗体とDDR2の間で複合体が形成されたかどうかを検出することを含む。そのような方法は、インビトロの方法またはインビボの方法であり得る。一態様において、抗DDR2抗体は、例えばDDR2が患者を選択するためのバイオマーカーである場合、抗DDR2抗体を用いる治療に適合する被験体を選択するために使用される。
【0202】
本発明の抗体を用いて診断され得る例示的な障害には、特発性肺線維症(IPF)、腎線維症、肝線維症、皮膚線維症、肝硬変、肺臓線維症/肺線維症、心筋線維症、眼線維症、骨髄線維症、加齢黄斑変性(AMD)、糖尿病性網膜症、増殖性硝子体網膜症(PVR)、緑内障、糖尿病性黄斑浮腫(DME)、ドライアイ疾患、強皮症肺疾患、中等度から重度の喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)、関節リウマチ関連間質性肺疾患(RA-ILD)、MI後の心臓瘢痕、心筋症、うっ血性心不全、アルコール性肝硬変、B型肝炎(HBV)、C型肝炎(HCV)、住血吸虫症、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、原発性胆汁性胆管炎(PBC)、原発性硬化性胆管炎(PSC)、移植腎症、糖尿病性腎症、ループス腎炎、巣状分節性糸球体硬化症、アルポート症候群、間質性線維症、肥厚性瘢痕、ケロイド、強皮症、腎性全身性線維症、慢性移植片対宿主病、アテローム性動脈硬化症、嚢胞性線維症、手術誘導性線維症、熱傷誘導性瘢痕および収縮、放射線誘導性線維症、筋ジストロフィー、炎症性腸疾患(IBD)、縦隔線維症、ならびに後腹膜線維症が含まれる。
【0203】
好ましい態様において、本発明の抗体を用いて診断され得る例示的な障害には、特発性肺線維症(IPF)、腎線維症、肺臓線維症/肺線維症、強皮症肺疾患、中等度から重度の喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)、関節リウマチ関連間質性肺疾患(RA-ILD)、腎症、糖尿病性腎症、ループス腎炎、巣状分節性糸球体硬化症、アルポート症候群、間質性線維症、肥厚性瘢痕、ケロイド、強皮症、腎性全身性線維症、嚢胞性線維症、炎症性腸疾患(IBD)、または後腹膜線維症が含まれる。
【0204】
特定の態様において、標識された抗DDR2抗体が提供される。標識は、直接的に検出される標識または部分(例えば、蛍光標識、発色標識、高電子密度標識、化学発光標識、および放射性標識)ならびに、例えば酵素反応または分子間相互作用を通じて間接的に検出される部分(例えば酵素またはリガンド)を含むが、これらに限定されない。例示的な標識は、これらに限定されるものではないが、以下を含む:放射性同位体32P、14C、125I、3Hおよび131I、希土類キレートなどの発蛍光団またはフルオレセインおよびその誘導体、ローダミンおよびその誘導体、ダンシル、ウンベリフェロン、ホタルルシフェラーゼおよび細菌ルシフェラーゼ(米国特許第4,737,456号)などのルシフェラーゼ、ルシフェリン、2,3-ジヒドロフタラジンジオン、西洋ワサビペルオキシダーゼ (horseradish peroxidase: HRP)、アルカリホスファターゼ、β-ガラクトシダーゼ、グルコアミラーゼ、リゾチーム、単糖オキシダーゼ(例えばグルコースオキシダーゼ、ガラクトースオキシダーゼおよびグルコース-6-リン酸デヒドロゲナーゼ)、ウリカーゼおよびキサンチンオキシダーゼなどの複素環オキシダーゼ、過酸化水素を用いて色素前駆体を酸化する酵素(例えばHRP、ラクトペルオキシダーゼ、またはミクロペルオキシダーゼ)と連結されたもの、ビオチン/アビジン、スピン標識、バクテリオファージ標識、安定なフリーラジカル類、ならびにこれらに類するもの。
【0205】
F.薬学的製剤
本明細書に記載の抗DDR2抗体の薬学的製剤は、所望の純度を有する抗体を、1つまたは複数の任意の薬学的に許容される担体 (Remington's Pharmaceutical Sciences 16th edition, Osol, A. Ed. (1980)) と混合することによって、凍結乾燥製剤または水溶液の形態で、調製される。薬学的に許容される担体は、概して、用いられる際の用量および濃度ではレシピエントに対して非毒性であり、これらに限定されるものではないが、以下のものを含む:リン酸塩、クエン酸塩、および他の有機酸などの緩衝液;アスコルビン酸およびメチオニンを含む、抗酸化剤;保存料(オクタデシルジメチルベンジル塩化アンモニウム;塩化ヘキサメトニウム;塩化ベンザルコニウム;塩化ベンゼトニウム;フェノール、ブチル、またはベンジルアルコール;メチルまたはプロピルパラベンなどのアルキルパラベン;カテコール;レソルシノール;シクロヘキサノール;3-ペンタノール;およびm-クレゾールなど);低分子(約10残基未満)ポリペプチド;血清アルブミン、ゼラチン、または免疫グロブリンなどのタンパク質;ポリビニルピロリドンなどの親水性ポリマー;グリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アルギニン、またはリジンなどのアミノ酸;グルコース、マンノース、またはデキストリンを含む、単糖、二糖、および他の炭水化物;EDTAなどのキレート剤;スクロース、マンニトール、トレハロース、ソルビトールなどの、砂糖類;ナトリウムなどの塩形成対イオン類;金属錯体(例えば、Zn-タンパク質錯体);および/またはポリエチレングリコール (PEG) などの非イオン系表面活性剤。本明細書の例示的な薬学的に許容される担体は、さらに、可溶性中性活性型ヒアルロニダーゼ糖タンパク質 (sHASEGP)(例えば、rHuPH20 (HYLENEX(登録商標)、Baxter International, Inc.) などのヒト可溶性PH-20ヒアルロニダーゼ糖タンパク質)などの間質性薬剤分散剤を含む。特定の例示的sHASEGPおよびその使用方法は(rHuPH20を含む)、米国特許出願公開第2005/0260186号および第2006/0104968号に記載されている。一局面において、sHASEGPは、コンドロイチナーゼなどの1つまたは複数の追加的なグリコサミノグリカナーゼと組み合わせられる。
【0206】
例示的な凍結乾燥抗体製剤は、米国特許第6,267,958号に記載されている。水溶液抗体製剤は、米国特許第6,171,586号およびWO2006/044908に記載のものを含み、後者の製剤はヒスチジン-アセテート緩衝液を含んでいる。
【0207】
本明細書の製剤は、治療される特定の適応症のために必要であれば1つより多くの有効成分を含んでもよい。互いに悪影響を与えあわない相補的な活性を伴うものが好ましい。このような有効成分は、意図された目的のために有効である量で、好適に組み合わせられて存在する。
【0208】
有効成分は、例えば液滴形成(コアセルベーション)手法によってまたは界面重合によって調製されたマイクロカプセル(それぞれ、例えば、ヒドロキシメチルセルロースまたはゼラチンマイクロカプセル、およびポリ(メタクリル酸メチル)マイクロカプセル)に取り込まれてもよいし、コロイド状薬剤送達システム(例えば、リポソーム、アルブミン小球体、マイクロエマルション、ナノ粒子、およびナノカプセル)に取り込まれてもよいし、マクロエマルションに取り込まれてもよい。このような手法は、Remington's Pharmaceutical Sciences 16th edition, Osol, A. Ed. (1980) に開示されている。
【0209】
徐放性製剤を調製してもよい。徐放性製剤の好適な例は、抗体を含んだ固体疎水性ポリマーの半透過性マトリクスを含み、当該マトリクスは例えばフィルムまたはマイクロカプセルなどの造形品の形態である。
【0210】
生体内 (in vivo) 投与のために使用される製剤は、通常無菌である。無菌状態は、例えば滅菌ろ過膜を通して濾過することなどにより、容易に達成される。
【0211】
G.治療的使用、治療的方法および治療用組成物
本明細書で提供される抗DDR2抗体のいずれも、治療的な方法において使用されてよい。
【0212】
一局面において、医薬としての使用のための、抗DDR2抗体が提供される。さらなる局面において、線維性疾患の治療における使用のための、抗DDR2抗体が提供される。
【0213】
本発明によると、用語「線維性疾患」は、罹患した臓器におけるその機能障害および最終的な不全を引き起こす、線維性組織の制御されていないかつ進行性の蓄積という共通の特徴を有する疾患に関する。
【0214】
さらなる局面において、特発性肺線維症(IPF)、腎線維症、肝線維症、皮膚線維症、肝硬変、肺臓線維症/肺線維症、心筋線維症、眼線維症、骨髄線維症、加齢黄斑変性(AMD)、糖尿病性網膜症、増殖性硝子体網膜症(PVR)、緑内障、糖尿病性黄斑浮腫(DME)、ドライアイ疾患、強皮症肺疾患、中等度から重度の喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)、関節リウマチ関連間質性肺疾患(RA-ILD)、MI後の心臓瘢痕、心筋症、うっ血性心不全、アルコール性肝硬変、B型肝炎(HBV)、C型肝炎(HCV)、住血吸虫症、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、原発性胆汁性胆管炎(PBC)、原発性硬化性胆管炎(PSC)、移植腎症、糖尿病性腎症、ループス腎炎、巣状分節性糸球体硬化症、アルポート症候群、間質性線維症、肥厚性瘢痕、ケロイド、強皮症、腎性全身性線維症、慢性移植片対宿主病、アテローム性動脈硬化症、嚢胞性線維症、手術誘導性線維症、熱傷誘導性瘢痕および収縮、放射線誘導性線維症、筋ジストロフィー、炎症性腸疾患(IBD)、縦隔線維症、または後腹膜線維症の治療における使用のための、抗DDR2抗体が提供される。
好ましい態様において、特発性肺線維症(IPF)、腎線維症、肺臓線維症/肺線維症、強皮症肺疾患、中等度から重度の喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)、関節リウマチ関連間質性肺疾患(RA-ILD)、腎症、糖尿病性腎症、ループス腎炎、巣状分節性糸球体硬化症、アルポート症候群、間質性線維症、肥厚性瘢痕、ケロイド、強皮症、腎性全身性線維症、嚢胞性線維症、炎症性腸疾患(IBD)、または後腹膜線維症の治療における使用のための、抗DDR2抗体が提供される。
【0215】
特定の態様において、治療方法における使用のための、抗DDR2抗体が提供される。特定の態様において、本発明は、線維性疾患を有する個体を治療する方法であって、当該個体に抗DDR2抗体の有効量を投与する工程を含む方法における使用のための、抗DDR2抗体を提供する。特定の態様において、本発明は、特発性肺線維症(IPF)、腎線維症、肝線維症、皮膚線維症、肝硬変、肺臓線維症/肺線維症、心筋線維症、眼線維症、骨髄線維症、加齢黄斑変性(AMD)、糖尿病性網膜症、増殖性硝子体網膜症(PVR)、緑内障、糖尿病性黄斑浮腫(DME)、ドライアイ疾患、強皮症肺疾患、中等度から重度の喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)、関節リウマチ関連間質性肺疾患(RA-ILD)、MI後の心臓瘢痕、心筋症、うっ血性心不全、アルコール性肝硬変、B型肝炎(HBV)、C型肝炎(HCV)、住血吸虫症、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、原発性胆汁性胆管炎(PBC)、原発性硬化性胆管炎(PSC)、移植腎症、糖尿病性腎症、ループス腎炎、巣状分節性糸球体硬化症、アルポート症候群、間質性線維症、肥厚性瘢痕、ケロイド、強皮症、腎性全身性線維症、慢性移植片対宿主病、アテローム性動脈硬化症、嚢胞性線維症、手術誘導性線維症、熱傷誘導性瘢痕および収縮、放射線誘導性線維症、筋ジストロフィー、炎症性腸疾患(IBD)、縦隔線維症、または後腹膜線維症を有する個体を治療する方法であって、当該個体に抗DDR2抗体の有効量を投与する工程を含む方法における使用のための、抗DDR2抗体を提供する。1つのこのような態様において、方法は、当該個体に少なくとも1つの追加治療剤の有効量を投与する工程を、さらに含む。
【0216】
特定の態様において、本発明は、個体中のコラーゲン1型α1(Col1a1)mRNAレベルを低減させる方法であって、コラーゲン1型α1(Col1a1)mRNAレベルを低減させるために、当該個体に抗DDR2抗体の有効量を投与する工程を含む方法における使用のための、抗DDR2抗体を提供する。特定の態様において、本発明は、個体中のフィブロネクチン1(Fn1)mRNAレベルを低減させる方法であって、フィブロネクチン1(Fn1)mRNAレベルを低減させるために、当該個体に抗DDR2抗体の有効量を投与する工程を含む方法における使用のための、抗DDR2抗体を提供する。
【0217】
上記態様の任意のものによる「個体」は、好ましくはヒトであり、本発明は、特に、ヒト患者における、線維性疾患、特に上記で特定された線維性疾患の治療に向けられている。
【0218】
さらなる局面において、本発明は、医薬の製造または調製における抗DDR2抗体の使用を提供する。一態様において、医薬は、線維性疾患の治療のためのものである。さらなる態様において、医薬は、線維性疾患を治療する方法であって、線維性疾患を有する個体に医薬の有効量を投与する工程を含む方法における使用のためのものである。一態様において、医薬は、特発性肺線維症(IPF)、腎線維症、肝線維症、皮膚線維症、肝硬変、肺臓線維症/肺線維症、心筋線維症、眼線維症、骨髄線維症、加齢黄斑変性(AMD)、糖尿病性網膜症、増殖性硝子体網膜症(PVR)、緑内障、糖尿病性黄斑浮腫(DME)、ドライアイ疾患、強皮症肺疾患、中等度から重度の喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)、関節リウマチ関連間質性肺疾患(RA-ILD)、MI後の心臓瘢痕、心筋症、うっ血性心不全、アルコール性肝硬変、B型肝炎(HBV)、C型肝炎(HCV)、住血吸虫症、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、原発性胆汁性胆管炎(PBC)、原発性硬化性胆管炎(PSC)、移植腎症、糖尿病性腎症、ループス腎炎、巣状分節性糸球体硬化症、アルポート症候群、間質性線維症、肥厚性瘢痕、ケロイド、強皮症、腎性全身性線維症、慢性移植片対宿主病、アテローム性動脈硬化症、嚢胞性線維症、手術誘導性線維症、熱傷誘導性瘢痕および収縮、放射線誘導性線維症、筋ジストロフィー、炎症性腸疾患(IBD)、縦隔線維症、または後腹膜線維症の治療のためのものである。好ましい態様において、薬物は、特発性肺線維症(IPF)、腎線維症、肺臓線維症/肺線維症、強皮症肺疾患、中等度から重度の喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)、関節リウマチ関連間質性肺疾患(RA-ILD)、腎症、糖尿病性腎症、ループス腎炎、巣状分節性糸球体硬化症、アルポート症候群、間質性線維症、肥厚性瘢痕、ケロイド、強皮症、腎性全身性線維症、嚢胞性線維症、炎症性腸疾患(IBD)、または後腹膜線維症を治療する治療のためのものである。さらなる態様において、医薬は、特発性肺線維症(IPF)、腎線維症、肝線維症、皮膚線維症、肝硬変、肺臓線維症/肺線維症、心筋線維症、眼線維症、骨髄線維症、加齢黄斑変性(AMD)、糖尿病性網膜症、増殖性硝子体網膜症(PVR)、緑内障、糖尿病性黄斑浮腫(DME)、ドライアイ疾患、強皮症肺疾患、中等度から重度の喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)、関節リウマチ関連間質性肺疾患(RA-ILD)、MI後の心臓瘢痕、心筋症、うっ血性心不全、アルコール性肝硬変、B型肝炎(HBV)、C型肝炎(HCV)、住血吸虫症、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、原発性胆汁性胆管炎(PBC)、原発性硬化性胆管炎(PSC)、移植腎症、糖尿病性腎症、ループス腎炎、巣状分節性糸球体硬化症、アルポート症候群、間質性線維症、肥厚性瘢痕、ケロイド、強皮症、腎性全身性線維症、慢性移植片対宿主病、アテローム性動脈硬化症、嚢胞性線維症、手術誘導性線維症、熱傷誘導性瘢痕および収縮、放射線誘導性線維症、筋ジストロフィー、炎症性腸疾患(IBD)、縦隔線維症、または後腹膜線維症を治療する方法であって、対応する疾患を有する個体に医薬の有効量を投与する工程を含む方法における使用のためのものである。
【0219】
1つのこのような態様において、方法は、当該個体に少なくとも1つの追加治療剤の有効量を投与する工程を、さらに含む。さらなる態様において、医薬は、コラーゲン1型α1(Col1a1)mRNAレベルを低減させるためのものである。さらなる態様において、医薬は、個体中のコラーゲン1型α1(Col1a1)mRNAレベルを低減させる方法であって、コラーゲン1型α1(Col1a1)mRNAレベルを低減させるために、当該個体に医薬の有効量を投与する工程を含む方法における使用のためのものである。さらなる態様において、医薬は、フィブロネクチン1(Fn1)mRNAレベルを低減させるためのものである。さらなる態様において、医薬は、個体中のフィブロネクチン1(Fn1)mRNAレベルを低減させる方法であって、フィブロネクチン1(Fn1)mRNAレベルを低減させるために、当該個体に医薬の有効量を投与する工程を含む方法における使用のためのものである。上記態様の任意のものによる「個体」は、ヒトであってもよい。
【0220】
さらなる局面において、本発明は、線維性疾患を治療するための方法を提供する。一態様において、方法は、そのような線維性疾患を有する個体に抗DDR2抗体の有効量を投与する工程を含む。1つのこのような態様において、方法は、当該個体に少なくとも1つの追加治療剤の有効量を投与する工程を、さらに含む。さらなる局面において、本発明は、特発性肺線維症(IPF)、腎線維症、肝線維症、皮膚線維症、肝硬変、肺臓線維症/肺線維症、心筋線維症、眼線維症、骨髄線維症、加齢黄斑変性(AMD)、糖尿病性網膜症、増殖性硝子体網膜症(PVR)、緑内障、糖尿病性黄斑浮腫(DME)、ドライアイ疾患、強皮症肺疾患、中等度から重度の喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)、関節リウマチ関連間質性肺疾患(RA-ILD)、MI後の心臓瘢痕、心筋症、うっ血性心不全、アルコール性肝硬変、B型肝炎(HBV)、C型肝炎(HCV)、住血吸虫症、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、原発性胆汁性胆管炎(PBC)、原発性硬化性胆管炎(PSC)、移植腎症、糖尿病性腎症、ループス腎炎、巣状分節性糸球体硬化症、アルポート症候群、間質性線維症、肥厚性瘢痕、ケロイド、強皮症、腎性全身性線維症、慢性移植片対宿主病、アテローム性動脈硬化症、嚢胞性線維症、手術誘導性線維症、熱傷誘導性瘢痕および収縮、放射線誘導性線維症、筋ジストロフィー、炎症性腸疾患(IBD)、縦隔線維症、または後腹膜線維症を治療するための方法を提供する。一態様において、方法は、特発性肺線維症(IPF)、腎線維症、肝線維症、皮膚線維症、肝硬変、肺臓線維症/肺線維症、心筋線維症、眼線維症、骨髄線維症、加齢黄斑変性(AMD)、糖尿病性網膜症、増殖性硝子体網膜症(PVR)、緑内障、糖尿病性黄斑浮腫(DME)、ドライアイ疾患、強皮症肺疾患、中等度から重度の喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)、関節リウマチ関連間質性肺疾患(RA-ILD)、MI後の心臓瘢痕、心筋症、うっ血性心不全、アルコール性肝硬変、B型肝炎(HBV)、C型肝炎(HCV)、住血吸虫症、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、原発性胆汁性胆管炎(PBC)、原発性硬化性胆管炎(PSC)、移植腎症、糖尿病性腎症、ループス腎炎、巣状分節性糸球体硬化症、アルポート症候群、間質性線維症、肥厚性瘢痕、ケロイド、強皮症、腎性全身性線維症、慢性移植片対宿主病、アテローム性動脈硬化症、嚢胞性線維症、手術誘導性線維症、熱傷誘導性瘢痕および収縮、放射線誘導性線維症、筋ジストロフィー、炎症性腸疾患(IBD)、縦隔線維症、または後腹膜線維症を有する個体に抗DDR2抗体の有効量を投与する工程を含む。1つのこのような態様において、方法は、当該個体に少なくとも1つの追加治療剤の有効量を投与する工程を、さらに含む。上記態様の任意のものによる「個体」は、ヒトであってもよい。
【0221】
さらなる局面において、本発明は、個体中のコラーゲン1型α1(Col1a1)mRNAレベルを低減させるための方法を提供する。一態様において、方法は、コラーゲン1型α1(Col1a1)mRNAレベルを低減させるために、当該個体に抗DDR2抗体の有効量を投与する工程を含む。さらなる局面において、本発明は、個体中のフィブロネクチン1(Fn1)mRNAレベルを低減させるための方法を提供する。一態様において、方法は、フィブロネクチン1(Fn1)mRNAレベルを低減させるために、当該個体に抗DDR2抗体の有効量を投与する工程を含む。一態様において、「個体」はヒトである。
【0222】
さらなる局面において、本発明は、本明細書で提供される抗DDR2抗体の任意のものを含む、薬学的製剤を提供する(例えば上述の治療的方法の任意のものにおける使用のための)。一態様において、薬学的製剤は、本明細書で提供される抗DDR2抗体の任意のものと、薬学的に許容される担体とを含む。別の態様において、薬学的製剤は、本明細書で提供される抗DDR2抗体の任意のものと、少なくとも1つの(例えば後述するような)追加治療剤とを含む。
【0223】
本発明の抗体は、療法において、単独または他の剤との組み合わせのどちらでも使用され得る。例えば、本発明の抗体は、少なくとも1つの追加の治療剤と同時投与されてもよい。
【0224】
上述したような併用療法は、併用投与(2つ以上の治療剤が、同じまたは別々の製剤に含まれる)、および個別投与を包含し、個別投与の場合、本発明の抗体の投与が追加治療剤の投与に先立って、と同時に、および/または、続いて、行われ得る。一態様において、抗DDR2抗体の投与および追加治療剤の投与は、互いに、約1か月以内、または約1、2、または3週間以内、または約1、2、3、4、5、または6日以内に行われる。
【0225】
本発明の抗体(および、任意の追加治療剤)は、非経口投与、肺内投与、および経鼻投与、また局所的処置のために望まれる場合は病巣内投与を含む、任意の好適な手段によって投与され得る。非経口注入は、筋肉内、静脈内、動脈内、腹腔内、または皮下投与を含む。投薬は、投与が短期か長期かに一部応じて、例えば、静脈内注射または皮下注射などの注射によるなど、任意の好適な経路によってなされ得る。これらに限定されるものではないが、単回投与または種々の時点にわたる反復投与、ボーラス投与、および、パルス注入を含む、種々の投薬スケジュールが本明細書の考慮の内である。
【0226】
本発明の抗体は、優良医療規範 (good medical practice) に一致したやり方で、製剤化され、投薬され、また投与される。この観点から考慮されるべきファクターは、治療されているその特定の障害、治療されているその特定の哺乳動物、個々の患者の臨床症状、障害の原因、剤を送達する部位、投与方法、投与のスケジュール、および医療従事者に公知の他のファクターを含む。抗体は、必ずしもそうでなくてもよいが、任意で、問題の障害を予防するまたは治療するために現に使用されている1つまたは複数の剤とともに、製剤化される。そのような他の剤の有効量は、製剤中に存在する抗体の量、障害または治療のタイプ、および上で論じた他のファクターに依存する。これらは通常、本明細書で述べたのと同じ用量および投与経路で、または本明細書で述べた用量の約1から99%で、または経験的/臨床的に適切と判断される任意の用量および任意の経路で、使用される。
【0227】
疾患の予防または治療のために、本発明の抗体の適切な用量(単独で用いられるときまたは1つまたは複数の他の追加治療剤とともに用いられるとき)は、治療される疾患のタイプ、抗体のタイプ、疾患の重症度および経過、抗体が予防的目的で投与されるのか治療的目的で投与されるのか、薬歴、患者の臨床歴および抗体に対する応答、ならびに、主治医の裁量に依存するだろう。抗体は、患者に対して、1回で、または一連の処置にわたって、好適に投与される。疾患のタイプおよび重症度に応じて、例えば、1回または複数回の別々の投与によるにしても連続注入によるにしても、約1μg/kgから15 mg/kg(例えば、0.1mg/kg~10mg/kg)の抗体が、患者に対する投与のための最初の候補用量とされ得る。1つの典型的な1日用量は、上述したファクターに依存して、約1μg/kgから100mg/kg以上まで、幅があってもよい。数日またはより長くにわたる繰り返しの投与の場合、状況に応じて、治療は通常疾患症状の所望の抑制が起きるまで維持される。抗体の1つの例示的な用量は、約0.05mg/kg から約 10mg/kgの範囲内である。よって、約0.5mg/kg、2.0mg/kg、4.0mg/kg、もしくは 10mg/kgの1つまたは複数の用量(またはこれらの任意の組み合わせ)が、患者に投与されてもよい。このような用量は、断続的に、例えば1週間毎にまたは3週間毎に(例えば、患者が約2から約20、または例えば約6用量の抗体を受けるように)、投与されてもよい。高い初回負荷用量の後に、1回または複数回の低用量が投与されてもよい。この療法の経過は、従来の手法および測定法によって、容易にモニタリングされる。
【0228】
上述の製剤または治療的方法のいずれについても、抗DDR2抗体の代わりにまたはそれに追加して、本発明のイムノコンジュゲートを用いて実施してもよいことが、理解されよう。
【0229】
H.製品
本発明の別の局面において、上述の障害の治療、予防、および/または診断に有用な器材を含んだ製品が、提供される。製品は、容器、および当該容器上のラベルまたは当該容器に付属する添付文書を含む。好ましい容器としては、例えば、ボトル、バイアル、シリンジ、IV溶液バッグなどが含まれる。容器類は、ガラスやプラスチックなどの、様々な材料から形成されていてよい。容器は組成物を単体で保持してもよいし、症状の治療、予防、および/または診断のために有効な別の組成物と組み合わせて保持してもよく、また、無菌的なアクセスポートを有していてもよい(例えば、容器は、皮下注射針によって突き通すことのできるストッパーを有する静脈内投与用溶液バッグまたはバイアルであってよい)。組成物中の少なくとも1つの有効成分は、本発明の抗体である。ラベルまたは添付文書は、組成物が選ばれた症状を治療するために使用されるものであることを示す。さらに製品は、(a)第一の容器であって、その中に収められた本発明の抗体を含む組成物を伴う、第一の容器;および、(b)第二の容器であって、その中に収められたさらなる細胞傷害剤またはそれ以外で治療的な剤を含む組成物を伴う、第二の容器を含んでもよい。本発明のこの態様における製品は、さらに、組成物が特定の症状を治療するために使用され得ることを示す、添付文書を含んでもよい。あるいはまたは加えて、製品はさらに、注射用制菌水 (BWFI)、リン酸緩衝生理食塩水、リンガー溶液、およびデキストロース溶液などの、薬学的に許容される緩衝液を含む、第二の(または第三の)容器を含んでもよい。他の緩衝液、希釈剤、フィルター、針、およびシリンジなどの、他の商業的観点またはユーザの立場から望ましい器材をさらに含んでもよい。
【0230】
上述の製品のいずれについても、抗DDR2抗体の代わりにまたはそれに追加して、本発明のイムノコンジュゲートを含んでもよいことが、理解されよう。
【0231】
特発性肺線維症(IPF)は、異常な細胞外マトリックス(ECM)リモデリングおよび線維芽細胞増殖の結果であると仮定される、肺線維症による肺機能の喪失を特徴とする慢性疾患である。現在、IPFの治療法はなく、現在の標準治療は、典型的には、2つだけの承認された薬剤である、ピルフェニドン(Esbriet(登録商標))またはニンテダニブ(Ofev(登録商標))、のいずれかを用いて、IPFの進行を遅くすることを含む。これらの薬物は、肺における線維化または瘢痕化の速度を遅くする抗線維化剤であり、軽度、中等度、および重度のIPFを有する患者に対して承認されている(非特許文献12)。ピルフェニドンは、TGFβにより刺激されるコラーゲン産生を阻害し、線維芽細胞増殖を低減させる(非特許文献13)が、ニンテダニブは、PDGFR、FGFR、およびVEGFRに結合し、これらの受容体の自己リン酸化を阻止し、かつその下流のシグナル伝達カスケードを妨げて、線維芽細胞増殖の低減を結果としてもたらす(非特許文献14)。一方、ディスコイジンドメイン受容体(DDR)は、あまり知られていない受容体チロシンキナーゼ(RTK)のファミリーであり、TGFβ、PDGF、FGF、およびVEGFなどの拡散性サイトカインまたは成長因子に応答する他のRTKとは異なり、細胞の細胞外マトリックスの一部であるコラーゲンの結合に応答する。DDRは、生理学的プロセス(成長、生殖、細胞微小環境シグナル伝達)および病理学的プロセス(腫瘍、骨悪性腫瘍、アテローム性動脈硬化症、および線維症)の両方に関与することが知られている(非特許文献15)。肺線維症に対する治療効力を示した、DDR2に対するsiRNAを用いた研究(非特許文献11)、ならびに、DDR2ノックアウトがコラーゲン産生の低減および線維芽細胞の増殖の減少をもたらしたが、DDR2シグナル伝達の回復が表現型を逆転させた別の研究(非特許文献10)を含めて、DDR2が線維性疾患において役割を果たすという報告がある(非特許文献16)。
【0232】
現在までに承認されたいくつかの承認済DDR2標的薬があるが、これらは、キナーゼドメインに結合する低分子阻害剤であり、細胞外ドメインに結合するモノクローナル抗体ではない。さらに、DDR2およびDDR1キナーゼドメインと他のキナーゼとの間の高い配列および構造の相同性により、これらの低分子阻害剤は、DDR2に特異的ではなく、DDR1および他のキナーゼに対して有効な阻害剤でもある(非特許文献17)。加えて、がんの診断および治療において効力を示した、DDR2に特異的に結合するモノクローナル抗体の報告はある(特許文献1)が、当該抗体が線維症の治療にも有効であるという示唆はない。本発明者らは、DDR2の細胞外ドメインに結合し、DDR1には結合しないモノクローナル抗体を開発し、追加的に、これらの抗体が、以下に例示されるような片側尿管閉塞(UUO)モデルおよびブレオマイシン(BLM)誘導性マウス肺線維症モデルにおいて、線維症を低減させる効力を示すことを示した。
【実施例】
【0233】
以下は、本発明の方法および組成物の実施例である。上記で提供される一般的な記載に照らし、種々の他の態様が実施され得ることが、理解される。
【0234】
実施例1
抗DDR2抗体の生成
抗DDR2抗体を、以下のように調製し、選択して、アッセイした。
3匹のNZWウサギを、Helios Gene Gunシステム(Bio-Rad)により、製造業者の指示にしたがって、マウスDDR1(NCBI参照配列:NP_031610.1、配列番号:79)プラスミドおよびマウスDDR2(NCBI参照配列:NP_072075.2、配列番号:77)プラスミドでコーティングされた金粒子の混合物(1ショットあたり1マイクログラム(μg)DNA、合計40ショット)で免疫化した(Yuxin Chen et al. J. Virol. (2013) 87(18):10232)。加えて、マウスDDR1プラスミドとマウスDDR2プラスミドとの混合物での、皮内投与(1部位あたり200マイクログラムDNA、肩に合計2部位)および筋肉内投与(1部位あたり400マイクログラムDNA、2本の脚に合計2部位)の組み合わせを実施した。免疫化を毎週、8回にわたって繰り返し、その後、血液および脾臓を収集した。B細胞選択のために、IgG陽性かつマウスDDR2結合B細胞を収集した。B細胞を、セルソーターを用いて選別し、次いで、WO2016098356A1に記載されている手順にしたがってプレーティングし、培養した。培養後に、B細胞培養上清をさらなる解析のために収集し、B細胞ペレットを凍結保存した。
【0235】
マウスDDR2に対する特異的結合(マウスDDR2に結合するが、マウスDDR1には結合しない)は、選択されたB細胞上清を、マウスDDR1安定発現Ba/F3細胞株およびマウスDDR2安定発現Ba/F3細胞株とともに用いたフローサイトメトリーによって確認した。
【0236】
選択されたB細胞株のRNAを、ZR-96 Quick-RNAキット(ZYMO RESEARCH、カタログ番号R1053)を用いて、凍結保存された細胞ペレットから精製した。選択された株における抗体重鎖可変領域をコードするDNAを、逆転写PCRによって増幅し、抗体重鎖定常領域SG181(配列番号:73)をコードするDNAと組み換えた。抗体軽鎖可変領域をコードするDNAもまた、逆転写PCRによって増幅し、抗体軽鎖定常領域k0MC(配列番号:74)をコードするDNAと組み換えた。クローニングされた抗体を、Expi293(商標) Expression System(Thermo Fisher Scientific)で発現させ、培養上清から精製した。
【0237】
表1は、さらなる評価のために選択した、同定された抗体の可変領域(VH、VL、およびHVR/CDRを含む)の名称および配列番号を示す。
【0238】
【0239】
実施例2
抗DDR2モノクローナル抗体の結合解析
マウスDDR2に対する抗体結合を判定するために、マウスDDR2安定発現Ba/F3細胞株を用いることによって、フローサイトメトリー解析を実施した。各分子中に1つの抗体可変領域を含有するワンアーム形式抗体を調製して、アフィニティモードにより結合を評価した。抗DDR2抗体の平均蛍光強度(MFI)を測定し、結果を
図1に示す。
【0240】
抗DDR2抗体のより詳細な結合エピトープをマッピングするために、全長マウスDDR2からディスコイジン様(DSL)ドメインおよび細胞外膜近傍(EJXM)領域(Gln201~Val393)が欠失したマウスDDR2の断片(マウスDDR2ΔDSL-EJXM)を作製した。マウスDDR2ΔDSL-EJXM安定発現Ba/F3細胞株を調製した。この細胞株に対する抗体の結合を、フローサイトメトリーによって測定し、MFI値を取得した。結果を
図2に示す。全長マウスDDR2に結合できるが、マウスDDR2ΔDSL-EJXMに結合できない抗体のエピトープは、DSL-EJXM領域であると考えられる。全長マウスDDR2およびマウスDDR2ΔDSL-EJXMの両方に結合できる抗体のエピトープは、ディスコイジン(DS)ドメインであると考えられる。本研究からの結合の結果および推定されるエピトープ位置を、表2にまとめた。表2において、「結合する」は、試験された抗体が細胞株に結合できることを意味し、「結合しない」は、抗体が細胞株に結合できないことを意味する。
【0241】
表2に示される抗体の中で、DAB0009、DAB0045、DAB0065、DAB0069、およびDAB0071のヒトDDR2に対する結合も評価し、これらの抗体のすべては、ヒトDDR2に対する結合を示した。DAB0048、DAB0052、DAB0060、およびDAB0094のヒトDDR2に対する結合は、まだ評価されていないが、マウスDDR2およびヒトDDR2の細胞外領域の配列類似性によると、それらはヒトDDR2に結合する可能性が高い。さらに、マウスDDR2およびヒトDDR2の細胞外領域の配列類似性を考慮すると、表2に示される抗体の結合領域は、マウスDDR2およびヒトDDR2において対応していると考えられる。
【0242】
【0243】
実施例3
抗DDR2モノクローナル抗体の競合結合解析
競合エピトープビニング実験を、Octet(Pall ForteBio)を用いたリアルタイム結合アッセイによって行った。組換えマウスDDR2 ECD-Fc(R&D systems、カタログ番号7479-DR-050)をビオチン化し、抗原としてストレプトアビジンバイオセンサーチップ(Pall ForteBio)上に捕捉させた。抗原捕捉チップを、第1のセットの抗体15または40マイクログラム(μg)/mL中に、300秒間浸漬した。次いで、チップを、第2のセットの抗体15または40μg/mLと、300秒間インキュベートした。抗体解離の影響を排除するために、第2のセット中の抗体濃度は、第1のセットの抗体濃度と同じであった。結果を、DATA Analysis HTソフトウェア(Pall ForteBio, Version 10.0.1.7)によって解析した。第2のセットの抗体の陽性応答は、第2のセット中の抗体が、第1のセット中の抗体と競合しないこと、別の言い方をすると、第2のセット中の抗体が、第1のセット中の抗体のエピトープとは異なるエピトープに結合することを示し;かつ第2のセットの抗体の陰性応答は、第1のセットおよび第2のセット中の抗体が、互いに競合すること、別の言い方をすると、第1のセットおよび第2のセット中の抗体が、同じエピトープに結合することを示す。
【0244】
マウスDDR2のDSドメインに結合する抗体を試験し、結果を表3に示す。表3において、「Ab1」は、第1のセット中の抗体を示し、「Ab2」は、第2のセット中の抗体を示す。太文字は、対応するセルのAb1とAb2とが互いに競合し、抗原に「タンデムに」結合せず、したがって、それらが同じエピトープビンに位置することを意味する。表3に示されるように、試験された抗体は、3つの異なるエピトープビン:DAB0048およびDAB0093を含むビン1、DAB0060およびDAB0094を含むビン2、DAB0045、DAB0065、およびDAB0069を含むビン3に分類された。
【0245】
【表3】
表3は、抗DDR2抗体の競合結合解析の結果を示す。太文字は、セルに対応するAb1とAb2とが互いに競合することを示す。互いに競合する抗体は、同じエピトープビンに分類された。*を伴うデータは、第1のセットおよび第2のセットの抗体40マイクログラム(μg)/mLの場合に得られた。
【0246】
実施例4
抗DDR2抗体はUUOマウスモデルにおいて腎臓線維症を予防した
モノクローナル抗DDR2抗体のインビボ効力を、進行性腎線維症を発症するUUO(片側尿管閉塞)マウスモデルにおいて評価した。
【0247】
6~7週齢の特定病原体除去C57BL/6NTac雄マウスを、Invivos Pte Ltd(Singapore)から購入し、治療の開始前に1週間、馴化させた。動物を、20~26℃で12:12時間の明/暗サイクルで維持し、市販の標準飼料(5P75;PMI Nutrition INT'L (LabDiet), Missouri, United States)および水道水を自由に摂取させた。
【0248】
UUO手術は、イソフルラン麻酔状態下で行った。腹部の左側を剃毛し、皮膚を貫通して縦に切開した。腹膜を貫通して2回目の切開を行い、腎臓を露出させるように皮膚も引いた。鉗子を用いて腎臓を表面に出し、左尿管を腎臓の下で2回、外科用絹糸で縛った。結紮された腎臓を、その正しい解剖学的位置に静かに戻して置き、次いで、腹膜および皮膚を縫合した。鎮痛剤を追加して、動物の苦痛を低減させた。偽手術群においては、腹膜および皮膚を、切開し縫合しただけであった。
【0249】
すべてのモノクローナル抗体を、腹腔内注射によって2回、手術の1日後および採取の1日前に投与した。偽手術群には、ビヒクルを投与した。4日目に、動物を秤量し、次いで、イソフルラン麻酔下での全採血によって屠殺した。血液サンプルを、心臓腔または下大静脈から収集し、アッセイするまで-80℃で維持した。腎臓を、速やかに取り出した。腎臓組織の一部を、分子解析のために液体窒素中またはドライアイス上で急速凍結した。
【0250】
全RNAを、RNeasy Mini Kit(Qiagen)を用いて、腎臓組織から抽出した。マウスミトコンドリアリボソームタンパク質L19(Mrpl19)を、各サンプルについての内因性参照として用いた。抗体の効力を、腎臓中のコラーゲン1型α1(Col1a1)mRNAレベルを測定することによって評価した。相対的mRNA発現値を、ΔΔCt解析を用いて計算した。
【0251】
図3に示されるように、UUOマウスは、Col1a1 mRNAレベルの有意な増加を示した。DAB0048およびDAB0065は、UUOマウスにおけるCol1a1 mRNAの低減において有意な効力を示した。
【0252】
データは、平均値+/-平均値の標準誤差(SEM)として示す。統計解析は、スチューデントのt検定およびダネットの多重比較検定を用いて行った。P値が<0.05であった場合に、差を有意とみなした。
【0253】
実施例5
抗DDR2抗体はBLMマウスモデルにおいて肺線維症を予防した
抗DDR2モノクローナル抗体(DAB)および抗成熟TGF-β抗体(GC1008)のインビボ効力を、白血球の浸潤、線維芽細胞増殖、および肺組織内のコラーゲンの増加を特徴とする、ブレオマイシン(BLM)誘導性マウス肺線維症モデル(BLMマウスモデル)において評価した。このモデルは、特発性肺線維症の多くの局面を再現する、最も良く特徴づけられ、かつ最も広く用いられている前臨床モデルである(非特許文献18、非特許文献19、非特許文献20)。
【0254】
6~7週齢の特定病原体除去C57BL/6NTac雄マウスを、Invivos Pte Ltd(Singapore)から購入し、治療の開始前に1週間、馴化させた。動物を、20~26℃で12:12時間の明/暗サイクルで維持し、市販の標準飼料(5P75;PMI Nutrition INT'L (LabDiet), Missouri, United States)および水道水を自由に摂取させた。
【0255】
硫酸ブレオマイシン(Gold Bio, St Louis, US, カタログ番号B-910-50)または生理食塩水を、浸透圧ミニポンプ(Alzet, Cupertino, CA, USA, MODEL 1007D)を通して投与した。0日目に、90マイクロリットル(μL)の生理食塩水に溶解したBLM(50 mg/kg)を、ミニポンプに充填した。非疾患対照群には、生理食塩水を投与した。ミニポンプを、埋め込み前に3~4時間、37℃でインキュベートした。ポンプを、イソフルラン麻酔下での切開を通して、背中の皮下に(s.c.)埋め込んだ。10日目に、ミニポンプを、イソフルラン麻酔下でマウスから取り出した。すべてのモノクローナル抗体を、25 mg/kgで静脈内注射によって、14日目から4~3日毎に1回投与した。抗KLH抗体IC17dKを、この研究において陰性対照として用いた。28日目に、動物を秤量し、次いで、イソフルラン麻酔下での全採血によって屠殺した。血液サンプルを、心臓腔または下大静脈から収集し、アッセイするまで-80℃で収容した。肺を、速やかに取り出して秤量した。肺組織の一部を、分子解析のために液体窒素中またはドライアイス上で急速凍結した。
【0256】
全RNAを、RNeasy Mini Kit(Qiagen)を用いて、肺組織から抽出した。マウスミトコンドリアリボソームタンパク質L19(Mrpl19)またはグリセルアルデヒド-3-リン酸デヒドロゲナーゼ(Gapdh)を、各サンプルについての内因性参照として用いた。抗体の効力を、肺中のコラーゲン1型α1(Col1a1)およびフィブロネクチン1(Fn1)のmRNAレベルを測定することによって評価した。相対的mRNA発現値を、ΔΔCt解析を用いて計算した。
【0257】
図4Aに示されるように、BLMマウスは、Col1a1およびFn1のmRNAレベルの有意な増加を示した。DAB0065は、BLMマウスにおけるCol1a1およびFn1のmRNAの低減において有意な効力を示した。他方で、残りの抗体であるDAB0045、DAB0069、およびDAB0048は、
図4Bに示されるように、BLMマウスにおけるCol1a1およびFn1のmRNAの低減において有意な効力を示さなかった。
【0258】
データは、平均値+/-平均値の標準誤差(SEM)として示す。統計解析は、スチューデントのt検定を用いて行った。P値が<0.05であった場合に、差を有意とみなした。「ns」:有意ではない。
【0259】
実施例6
DAB0065抗体のエピトープ解析
6-1 DAB0065抗体との複合体中のマウスDDR2のX線結晶構造解析
マウスDDR2とモノクローナル抗体DAB0065との複合体の三次元構造を、X線結晶学解析によって明らかにした。
【0260】
6-2.マウスDDR2のディスコイジンドメイン(22~190)(moDDR2 DSドメイン)の発現および精製
N末端HisタグおよびFLAGタグを有するマウスDDR2の細胞外ドメイン(22~190)(His-FLAG-moDDR2)を、Expi293 expression system(Thermo Fisher Scientific)を用いて一過性に発現させた。培養培地由来のHis-FLAG-moDDR2を、アフィニティクロマトグラフィー(HisTrap(商標) excel, Cytiva)、それに続くサイズ排除クロマトグラフィー(HiLoad 16/600 Superdex 200 pg, Cytiva)によって精製した。N末端に融合したHisタグおよびFLAGタグを、エンテロキナーゼ(Roche)で切断し、結果として生じたmoDDR2 DSドメインを、切断されていないタンパク質を除去するためのAnti-FLAG M2 Affinity Gel(Sigma-Aldrich)およびゲルろ過カラム(Superdex(商標) 75 Increase 10/300 GL, Cytiva)でさらに精製した。moDDR2 DSドメインを含有する画分を、プールして-80℃で保存した。
【0261】
6-3.DAB0065のFab断片(DAB0065 Fab)の調製
結晶構造解析用のDAB0065を、Expi293 Expression system(Thermo Fisher Scientific)を用いて一過性にトランスフェクトし、発現させた。培養上清を採取し、DAB0065を、MabSelect SuReアフィニティクロマトグラフィー(Cytiva)、それに続く(HiLoad 26/600 Superdex 200 pg Cytiva)を用いるゲルろ過クロマトグラフィーを用いて、上清から精製した。DAB0065のFab断片は、FabULOUS(登録商標)(Genovis)での限定消化、それに続くFc断片を除去するためのプロテインAカラム(MabSlect SuRe, Cytiva)、陽イオン交換カラム(HiTrap SP HP, Cytiva)、およびゲルろ過カラム(Superdex(商標) 75 Increase 10/300 GL, Cytiva)上へのローディングを用いる、従来の方法によって調製した。DAB0065 Fabを含有する画分を、プールして-80℃で保存した。
【0262】
6-4.DAB0065 FabとmoDDR2 DSドメインとの複合体の結晶化、データ収集、および構造決定
精製されたmoDDR2 DSドメインを、DAB0065 Fabと混合した。複合体を、20 mM HEPES pH 7.1、100 mM NaClを含むゲルろ過カラム(Superdex(商標) 75 Increase 10/300 GL, Cytiva)によって精製した。精製された複合体を、約8.49 mg/mLに濃縮し、結晶化を、4℃でシッティングドロップ蒸気拡散法によって実施した。リザーバー溶液は、27.0% w/v EDO_P8K、90 mM Morpheus buffer 3(pH 8.5)、81 mM Morpheus Halogens(Molecular Dimensions)からなった。
【0263】
X線回折データを、SPring-8のBL45XUによって収集した。測定中、結晶は、常に100Kの窒素気流中に置いて凍結状態に維持し、合計3600枚のX線回折画像を、結晶を1回につき0.1度回転させながら、ビームラインに取り付けられたPILATUS3 6M(DECTRIS)を用いて収集した。セルパラメーターの決定、回折スポットの指数付け、および回折画像から得られた回折データの処理は、autoPROCプログラム(Acta. Cryst. 2011, D67: 293-302)、XDS Package(Acta. Cryst. 2010, D66: 125-132)、およびAIMLESS(Acta. Cryst. 2013, D69: 1204-1214)を用いて行い、最終的に、1.437Å分解能までの回折強度データが得られた。結晶学データの統計を、表4に示す。
【0264】
構造を、MOE(Chemical Computing Group)によって構築されたDAB0065の相同性モデルおよびUniProt由来のAlphaFoldによって構築されたmoDDR2 DSドメインの予測構造(AF-Q62371-F1)を検索モデルとして用いて、プログラムPhaser(J. Appl. Cryst. 2007, 40: 658-674)での分子置換によって決定した。モデルは、Cootプログラム(Acta Cryst. 2010, D66: 486-501)で構築し、プログラムPHENIX(Acta Cryst. 2010, D66: 213-221)で精密化した。構造精密化の統計を、表4に示す。
【0265】
【0266】
6-5.DAB0065 FabとmoDDR2 DSドメインとの相互作用部位の特定
DAB0065 FabとmoDDR2 DSドメインとの複合体の結晶構造を、1.44Åの分解能で決定した。DAB0065のFab断片は、1:1の比でDSドメインに結合し、結晶構造の非対称ユニットは、
図5Aに描かれるように、分子-1および分子-2の2つの複合体を含有していた。分子-1および分子-2は、
図5Bに示されるように、すべての残基においてCα原子位置と0.313Å RMSDで良好に整列させることができる。ここで説明される
図5および
図6は、分子-1を用いて調製した。
【0267】
図6Aおよび
図6Bでは、DAB0065 Fab接触領域のエピトープが、それぞれ、moDDR2 DSドメインアミノ酸配列においておよび結晶構造においてマッピングされている。エピトープは、結晶構造中のDAB0065 Fabの任意の部分から5.0Åの距離内に位置する1つまたは複数の非水素原子を含有する、moDDR2 DSドメインのアミノ酸残基を含む。
【0268】
図6Bに示されるように、結晶構造解析により、moDDR2 DSドメインの平面は、DAB0065のHCDR3、LCDR1、およびLCDR2によって形成される平面によって主に認識されることが明らかになった。加えて、DDR2のY148およびD149によって形成される小さな凸形と、HCDR1、2、および3によって形成される浅い凹形との間の相互作用もまた観察され、抗体および抗原の認識に必要とされると考えられる。
【0269】
それに応じて、マウスDDR2およびヒトDDR2の細胞外領域のDSドメインの非常に高い配列類似性を考慮すると(配列番号:77および78を参照のこと)、本実施例において例示されるようなマウスDDR2に対する抗DDR2抗体の結合に関与すると特定されたアミノ酸残基は、同じエピトープを介してヒトDDR2に対する抗DDR2抗体の結合に対応すると考えられる。
【0270】
前述の発明は、明確な理解を助ける目的のもと、実例および例示を用いて詳細に記載したが、本明細書における記載および例示は、本発明の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。本明細書で引用したすべての特許文献および科学文献の開示は、その全体にわたって、参照により明示的に本明細書に組み入れられる。
【配列表】
【国際調査報告】