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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-24
(54)【発明の名称】ネジ山形成及びネジ山ロック締結具
(51)【国際特許分類】
   F16B 33/02 20060101AFI20240517BHJP
【FI】
F16B33/02 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023565215
(86)(22)【出願日】2022-06-10
(85)【翻訳文提出日】2023-10-23
(86)【国際出願番号】 US2022032961
(87)【国際公開番号】W WO2022261408
(87)【国際公開日】2022-12-15
(31)【優先権主張番号】17/344,428
(32)【優先日】2021-06-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500556605
【氏名又は名称】リサーチ エンジニアリング アンド マニュファクチュアリング インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100087642
【弁理士】
【氏名又は名称】古谷 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100082946
【弁理士】
【氏名又は名称】大西 昭広
(74)【代理人】
【識別番号】100195693
【弁理士】
【氏名又は名称】細井 玲
(72)【発明者】
【氏名】ヘバート,エドムンド,エイ
(72)【発明者】
【氏名】ゴメス,ケネス,ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】ボイヤー,デニス,オー
(72)【発明者】
【氏名】レイノルズ,ジョン,アール
(72)【発明者】
【氏名】フォスメン,ドナルド,エイ
(72)【発明者】
【氏名】フォスメン,ベンジャミン,エム
(57)【要約】
ネジ山形成とネジ山ロックを組み合わせた締結具が開示される。締結具は3つの区域を含む。第1のネジ山区域は、増加する外径を有する第1のネジ山形成ネジ山形状を利用する。第2のネジ山区域は、第1のネジ山形成ネジ山形状を利用する第1の区域の端部から延びており、一定の直径が続いている。第3のネジ山区域は、締結具のシャフトの実質的に残りの部分に沿って続いているネジ山ロックのネジ山形状を利用する。
【選択図】図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
締結具であって、
横断面形状を有するとともに、第1の端部に入口点を有し、第2の端部に頭部を有するシャフトを含み、前記横断面形状が3つ以上のローブを有しており、
前記シャフトは、第1の区域及び第2の区域に第1のネジ山形状が刻み込まれており、前記第1のネジ山形状が、ナット部材に所定のサイズの内ネジを生成するように形作られたネジ山形成ネジ山形状であり、
前記第1の区域は、前記入口点から始まり、前記シャフトに沿って、ほぼ第1の所定数のネジ山ピッチにわたって延びており、前記第1の区域の直径が、前記入口点から前記第2の区域まで増加しており、
前記第2の区域は、一定の外径を有し、ほぼ第2の所定数のネジ山ピッチにわたって延びており、
第3の区域が、前記第2の区域からの変り目から、前記シャフトの残りの部分の実質的な部分に沿って前記頭部の底部に向かって延びる、前記第1のネジ山形状とは異なる第2のネジ山形状を有しており、
前記第2のネジ山形状が、ネジ山ロックネジ山形状であり、前記第2のネジ山形状が、前記内ネジの前記所定のサイズの情報に基づいて、前記ナット部材の前記第2のネジ山形状の1つ以上のネジ山の1つ以上の側面と前記第1のネジ山形状により形成された前記内ネジとの間に所望の大きさの機械的干渉を生じさせるように、所定のサイズを有している、締結具。
【請求項2】
所望の大きさの機械的干渉が、所定の大きさのプリベリングトルクを有する締結具とナット部材の結合を生成し、
前記ネジ山ロックネジ山形状のネジ山の高さを増加させ、前記ネジ山ロックネジ山形状のネジ山の幅を狭めることで、前記プリベリングトルクの大きさが増加する、請求項1に記載の締結具。
【請求項3】
所望の大きさの機械的干渉が、所定の大きさのプリベリングトルクを有する締結具とナット部材の結合を生成し、
前記ネジ山ロックネジ山形状のネジ山の高さを増加させ、前記ネジ山ロックネジ山形状のネジ山の幅を狭めることで、前記プリベリングトルクの大きさが減少する、請求項1に記載の締結具。
【請求項4】
所望の大きさの機械的干渉が、所定の大きさのプリベリングトルクを有する締結具とナット部材の結合を生成し、
前記ネジ山ロックネジ山形状のネジ山の高さを減少させ、前記ネジ山ロックネジ山形状のネジ山の幅を拡大することで、前記プリベリングトルクの大きさが増加する、請求項1に記載の締結具。
【請求項5】
所望の大きさの機械的干渉が、所定の大きさのプリベリングトルクを有する締結具とナット部材の結合を生成し、
前記ネジ山ロックネジ山形状のネジ山の高さを減少させ、ネジ山の幅を拡大することで、前記ネジ山ロックネジ山形状の前記プリベリングトルクの大きさが増加する、請求項1に記載の締結具。
【請求項6】
締結具であって、
横断面形状を有するとともに、第1の端部に入口点を有し、第2の端部に頭部を有するシャフトを含み、前記シャフトの前記横断面形状が、実質的に円形の断面から実質的に非円形の断面に移行し、
前記シャフトは、第1の区域及び第2の区域に第1のネジ山形状が刻み込まれており、前記第1のネジ山形状が、ナット部材に所定のサイズの内ネジを生成するように形作られたネジ山形成ネジ山形状であり、
前記第1の区域は、前記入口点から始まり、前記シャフトに沿って、ほぼ第1の所定数のネジ山ピッチにわたって延びており、前記第1の区域の直径が、前記入口点から前記第2の区域まで増加しており、
前記第2の区域は、一定の外径を有し、ほぼ第2の所定数のネジ山ピッチにわたって延びており、
第3の区域が、前記第2の区域からの変り目から、前記シャフトの残りの部分の実質的な部分に沿って前記頭部の底部に向かって延びる、前記第1のネジ山形状とは異なる第2のネジ山形状を有しており、
前記第2のネジ山形状が、ネジ山ロックネジ山形状であり、前記第2のネジ山形状が、前記内ネジの前記所定のサイズの情報に基づいて、前記ナット部材の前記第2のネジ山形状の1つ以上のネジ山の1つ以上の側面と前記第1のネジ山形状により形成された前記内ネジとの間に所望の大きさの機械的干渉を生じさせるように、所定のサイズを有している、締結具。
【請求項7】
所望の大きさの機械的干渉が、所定の大きさのプリベリングトルクを有する締結具とナット部材の結合を生成し、
前記ネジ山ロックネジ山形状のネジ山の高さを増加させ、前記ネジ山ロックネジ山形状のネジ山の幅を狭めることで、前記プリベリングトルクの大きさが増加する、請求項6に記載の締結具。
【請求項8】
所望の大きさの機械的干渉が、所定の大きさのプリベリングトルクを有する締結具とナット部材の結合を生成し、
前記ネジ山ロックネジ山形状のネジ山の高さを増加させ、前記ネジ山ロックネジ山形状のネジ山の幅を狭めることで、前記プリベリングトルクの大きさが減少する、請求項6に記載の締結具。
【請求項9】
所望の大きさの機械的干渉が、所定の大きさのプリベリングトルクを有する締結具とナット部材の結合を生成し、
前記ネジ山ロックネジ山形状のネジ山の高さを減少させ、前記ネジ山ロックネジ山形状のネジ山の幅を拡大することで、前記プリベリングトルクの大きさが増加する、請求項6に記載の締結具。
【請求項10】
所望の大きさの機械的干渉が、所定の大きさのプリベリングトルクを有する締結具とナット部材の結合を生成し、
前記ネジ山ロックネジ山形状のネジ山の高さを減少させ、ネジ山の幅を拡大することで、前記ネジ山ロックネジ山形状の前記プリベリングトルクの大きさが増加する、請求項6に記載の締結具。
【請求項11】
締結具であって、
横断面形状を有するとともに、第1の端部に入口点を有し、第2の端部に頭部を有するシャフトを含み、前記シャフトの前記横断面形状が、実質的に非円形の断面から実質的に円形の断面に移行し、
前記シャフトは、第1の区域及び第2の区域に第1のネジ山形状が刻み込まれており、前記第1のネジ山形状が、ナット部材に所定のサイズの内ネジを生成するように形作られたネジ山形成ネジ山形状であり、
前記第1の区域は、前記入口点から始まり、前記シャフトに沿って、ほぼ第1の所定数のネジ山ピッチにわたって延びており、前記第1の区域の直径が、前記入口点から前記第2の区域まで増加しており、
前記第2の区域は、一定の外径を有し、ほぼ第2の所定数のネジ山ピッチにわたって延びており、
第3の区域が、前記第2の区域からの変り目から、前記シャフトの残りの部分の実質的な部分に沿って前記頭部の底部に向かって延びる、前記第1のネジ山形状とは異なる第2のネジ山形状を有しており、
前記第2のネジ山形状が、ネジ山ロックネジ山形状であり、前記第2のネジ山形状が、前記内ネジの前記所定のサイズの情報に基づいて、前記ナット部材の前記第2のネジ山形状の1つ以上のネジ山の1つ以上の側面と前記第1のネジ山形状により形成された前記内ネジとの間に所望の大きさの機械的干渉を生じさせるように、所定のサイズを有している、締結具。
【請求項12】
所望の大きさの機械的干渉が、所定の大きさのプリベリングトルクを有する締結具とナット部材の結合を生成し、
前記ネジ山ロックネジ山形状のネジ山の高さを増加させ、前記ネジ山ロックネジ山形状のネジ山の幅を狭めることで、前記プリベリングトルクの大きさが増加する、請求項11に記載の締結具。
【請求項13】
所望の大きさの機械的干渉が、所定の大きさのプリベリングトルクを有する締結具とナット部材の結合を生成し、
前記ネジ山ロックネジ山形状のネジ山の高さを増加させ、前記ネジ山ロックネジ山形状のネジ山の幅を狭めることで、前記プリベリングトルクの大きさが減少する、請求項11に記載の締結具。
【請求項14】
所望の大きさの機械的干渉が、所定の大きさのプリベリングトルクを有する締結具とナット部材の結合を生成し、
前記ネジ山ロックネジ山形状のネジ山の高さを減少させ、前記ネジ山ロックネジ山形状のネジ山の幅を拡大することで、前記プリベリングトルクの大きさが増加する、請求項11に記載の締結具。
【請求項15】
所望の大きさの機械的干渉が、所定の大きさのプリベリングトルクを有する締結具とナット部材の結合を生成し、
前記ネジ山ロックネジ山形状のネジ山の高さを減少させ、ネジ山の幅を拡大することで、前記ネジ山ロックネジ山形状の前記プリベリングトルクの大きさが増加する、請求項11に記載の締結具。
【請求項16】
締結具であって、
横断面形状を有するとともに、第1の端部に入口点を有し、第2の端部に頭部を有するシャフトを含み、前記横断面形状が3つ以上のローブを有しており、
前記シャフトは、第1の区域に第1のネジ山形状が刻み込まれており、前記第1の区域は、前記入口点から始まり、前記シャフトに沿って、ほぼ第1の所定数のネジ山ピッチにわたって延びており、
前記第2の区域は、前記第1の区域からの変り目から、前記シャフトの残りの部分の実質的な部分に沿って前記頭部の底部に向かって延びる第2のネジ山形状を有しており、
前記第1のネジ山形状は、ナット部材に内ネジを生成するように形作られたネジ山形成ネジ山形状であり、
前記第2のネジ山形状は、前記ナット部材の前記内ネジとの間に所望の大きさの機械的干渉を生じさせるように形作られたネジ山ロックネジ山形状である、締結具。
【請求項17】
前記機械的干渉は、前記第2の区域の1つ以上のネジ山の1つ以上の側面に生じる、請求項16に記載の締結具。
【請求項18】
前記機械的干渉は、前記第2の区域の1つ以上のネジ山の1つ以上の先端に生じる、請求項16に記載の締結具。
【請求項19】
締結具であって、
横断面形状を有するとともに、第1の端部に入口点を有し、第2の端部に頭部を有するシャフトを含み、前記シャフトの前記横断面形状が、実質的に円形の断面から実質的に非円形の断面に移行し、
前記シャフトは、第1の区域に第1のネジ山形状が刻み込まれており、前記第1の区域は、前記入口点から始まり、前記シャフトに沿って、ほぼ第1の所定数のネジ山ピッチにわたって延びており、
前記第2の区域は、前記第1の区域からの変り目から、前記シャフトの残りの部分の実質的な部分に沿って前記頭部の底部に向かって延びる第2のネジ山形状を有しており、
前記第1のネジ山形状は、ナット部材に内ネジを生成するように形作られたネジ山形成ネジ山形状であり、
前記第2のネジ山形状は、前記ナット部材の前記内ネジとの間に所望の大きさの機械的干渉を生じさせるように形作られたネジ山ロックネジ山形状である、締結具。
【請求項20】
前記機械的干渉は、前記第2の区域の1つ以上のネジ山の1つ以上の側面に生じる、請求項19に記載の締結具。
【請求項21】
前記機械的干渉は、前記第2の区域の1つ以上のネジ山の1つ以上の先端に生じる、請求項19に記載の締結具。
【請求項22】
締結具であって、
横断面形状を有するとともに、第1の端部に入口点を有し、第2の端部に頭部を有するシャフトを含み、前記シャフトの前記横断面形状が、実質的に非円形の断面から実質的に円形の断面に移行し、
前記シャフトは、第1の区域に第1のネジ山形状が刻み込まれており、前記第1の区域は、前記入口点から始まり、前記シャフトに沿って、ほぼ第1の所定数のネジ山ピッチにわたって延びており、
前記第2の区域は、前記第1の区域からの変り目から、前記シャフトの残りの部分の実質的な部分に沿って前記頭部の底部に向かって延びる第2のネジ山形状を有しており、
前記第1のネジ山形状は、ナット部材に内ネジを生成するように形作られたネジ山形成ネジ山形状であり、
前記第2のネジ山形状は、前記ナット部材の前記内ネジとの間に所望の大きさの機械的干渉を生じさせるように形作られたネジ山ロックネジ山形状である、締結具。
【請求項23】
前記機械的干渉は、前記第2の区域の1つ以上のネジ山の1つ以上の側面に生じる、請求項22に記載の締結具。
【請求項24】
前記機械的干渉は、前記第2の区域の1つ以上のネジ山の1つ以上の先端に生じる、請求項22に記載の締結具。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ネジ切りした締結具に関する。
【背景技術】
【0002】
背景情報
従来のネジ切りした締結具(例えば、ネジ又はボルト)は、セルフタップ型のネジ山形成作用を有するように設計され得る。係るセルフタップ型締結具の一例は、Alan Pritchardによる、「High Performance Thread RollingScrew/Bolt For Use in An Unthreaded Nut Anchor」と題する米国特許第9404524号に説明されており、その内容は参照により、本明細書に組み込まれる。
【0003】
他の従来の締結具は、例えば締結具とナット部材との間の機械的干渉により達成され得る、ネジ山ロック(locking:固定、緩み止め、ロッキング)メカニズムを含むことができる。例示的なネジ山ロック締結具は、Alan Pritchardによる、「Fastener and Fastener Assembly」と題する米国特許第7722304号に説明されており、その内容は参照により、本明細書に組み込まれる。
【0004】
従来技術の締結具の顕著な欠点は、それらがネジ山形成又はネジ山ロックの何れかに最適化されるが、双方に最適化されない点である。これにより、ユーザは、どの特徴が特定の用途に対してより重要であるかという決定を下し、それは、係る締結具の下位の最適な用途という結果になる場合がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
概要
従来技術の欠点は、ネジ山形成及びネジ山ロックの双方に最適化された例示的な締結具を提供することにより克服される。締結具は、締結具のシャフトに沿って例えば3つの区域へ区分された2つの別個のネジ山形状を含む。ネジ山形成ネジ山形状を利用する第1の区域は、締結具の入口点のすぐ近隣にある。第1の区域に沿って、ネジ山形状の外径は、第1の(例えば、1~5)ピッチに沿って増加する。第2の区域は、第1の区域から移行し、第1の区域と同じネジ山形成ネジ山形状を利用するが、一定のネジ山の外径を維持する。第2の区域は、第1の区域を越えて、例えば1~3ピッチにわたって延びている。ネジ山ロックのネジ山形状を利用する第3の区域も、一定の外径を維持する。留意されるべきは、本発明の代替の実施形態において、締結具は、例えば第2の区域と第3の区域のような、2つの区域のみを有する場合もあることである。そのため、留意されるべきは、3つの区域に関する記述は、単なる例示として解釈されるべきであることである。
【0006】
本発明の例示的な実施形態に従って、第1及び第2のネジ山形状は、機械的干渉の所望のレベル(即ち、ネジ山ロック)を達成するために互いに補い合うように選択され得る。さらに、本発明を利用することにより、第2のネジ山形状(ネジ山ロック)は、第1のネジ山形状(ネジ山形成)により作成されたネジ山と協力するように最適化され得る。これは、最適化されたネジ山ロックメカニズムという結果になることができる。締結具がナット部材に独自のネジ山を形成又は再形成するため、ネジ山ロックのネジ山形状とナット部材のネジ山形状との間の公差のばらつきが減少する。これにより、予め形成されたナット部材に従来のネジ山ロックのネジ山形状を使用するよりも、より優れた適合性とより正確なロック動作が可能になる。
【0007】
本発明の例示的な実施形態に従って、ネジ山ロックのネジ山形状は、ネジ山形状の先端に機械的干渉を生じさせることによってロック作用を達成するように設計され得る。本発明の代替的な実施形態では、ネジ山ロックのネジ山形状は、ネジ山形状の側面に沿って機械的干渉を生じさせること(すなわち、側面ロック)によって、ロック作用を達成するように設計されてもよい。締結具がナット部材のネジ山を形成又は再形成するため、ネジ山ロックのネジ山形状とナット部材のネジ山との間の非常にぴったりとした一致が可能である。ネジ山形状の高さと幅を変えることで、特定の用途に応じて、ロック作用の大きい締結具やロック作用の小さい締結具を形成することが可能になる。
【0008】
本発明の実施形態の上記の利点及び更なる利点は、添付図面に関連して理解されることができ、添付図面において、同様の参照符号は、同じ又は機能的に同じ要素を示している。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1A】本発明の例示的な実施形態による、例示的な締結具の側面図である。
図1B】本発明の例示的な実施形態による、長軸に沿って見られた例示的な締結具の頭部の図である。
図1C】本発明の例示的な実施形態による、長軸に沿って見られた例示的な締結具の例示的な入口点の図である。
図2】本発明の例示的な実施形態による、例示的な締結具の入口点端部の拡大図である。
図3】本発明の例示的な実施形態による、締結具の形成に使用するための例示的なブランク(素材片)の例図である。
図4A】本発明の例示的な実施形態による、例示的なネジ山形状の断面図である。
図4B】本発明の例示的な実施形態による、例示的なネジ山形状の断面図である。
図4C】本発明の例示的な実施形態による、例示的なネジ山形状の断面図である。
図5A】本発明の例示的な実施形態による、ナット部材のネジ山と締結具のネジ山との間の干渉を示す断面図である。
図5B】本発明の例示的な実施形態による、ナット部材のネジ山と締結具のネジ山との間の干渉を示す断面図である。
図5C】本発明の例示的な実施形態による、ナット部材のネジ山と締結具のネジ山との間の干渉を示す断面図である。
図6】本発明の例示的な実施形態による、例示的な締結具のネジ切りしたナット部材への挿入を示す断面図である。
図7】本発明の例示的な実施形態による、締結具のネジ切りしたナット部材への挿入を示す断面図である。
図8】本発明の例示的な実施形態による、締結具のネジ切りしたナット部材への挿入を示す断面図である。
図9】本発明の例示的な実施形態による、締結具のネジ切りしたナット部材への挿入を示す断面図である。
図10】本発明の例示的な実施形態による、締結具のネジ切りされていないナット部材への挿入を示す断面図である。
図11】本発明の例示的な実施形態による、締結具のネジ切りされていないナット部材への挿入を示す断面図である。
図12】本発明の例示的な実施形態による、締結具のネジ切りされていないナット部材への挿入を示す断面図である。
図13】本発明の例示的な実施形態による、締結具のネジ切りされていないナット部材への挿入を示す断面図である。
図14】本発明の例示的な実施形態による、例示的な締結具の入口点端部の拡大図である。
図15】本発明の例示的な実施形態による、例示的な締結具のネジ切りしたナット部材への挿入を示す断面図である。
図16】本発明の例示的な実施形態による、締結具のネジ切りしたナット部材への挿入を示す断面図である。
図17】本発明の例示的な実施形態による、締結具のネジ切りしたナット部材への挿入を示す断面図である。
図18】本発明の例示的な実施形態による、締結具のネジ切りしたナット部材への挿入を示す断面図である。
図19】本発明の例示的な実施形態による、締結具のネジ切りされていないナット部材への挿入を示す断面図である。
図20】本発明の例示的な実施形態による、締結具のネジ切りされていないナット部材への挿入を示す断面図である。
図21】本発明の例示的な実施形態による、締結具のネジ切りされていないナット部材への挿入を示す断面図である。
図22】本発明の例示的な実施形態による、締結具のネジ切りされていないナット部材への挿入を示す断面図である。
図23A】本発明の例示的な実施形態による、ナット部材の最大状態を示す断面図である。
図23B】本発明の例示的な実施形態による、ナット部材の最小状態を示す断面図である。
図24A】本発明の例示的な実施形態による、ナット部材の最大状態を示す断面図である。
図24B】本発明の例示的な実施形態による、ナット部材の最小状態を示す断面図である。
図25】本発明の例示的な実施形態による、ロック量の可変性を示す例示的なネジ山ロック締結具の断面図である。
図26】本発明の例示的な実施形態による、ロック量の可変性を示す例示的な側面ロック締結具の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
例示的な実施形態の詳細な説明
図1Aは、本発明の例示的な実施形態による、例示的なネジ山形成及びネジ山ロック締結具100の断面図である。締結具100は、入口点105及び頭部110を含み、シャフト115がそれらの間に延びている。実例として、入口点105は、実質的に平坦な端部を有するように示される。しかしながら、留意されるべきは、本発明の代替の実施形態において、締結具100は、丸みを帯び、又は先端が尖っている等のような入口点105を有する場合がある。そのため、実質的に平坦である入口点105の記述は、単なる例示として解釈されるべきである。頭部110は、挿入用の駆動装置と共に使用するための六角形の形状を有するように例示的に示されている。頭部110は、ナット部材(図示せず)への締結具の挿入のために締結具にトルクを作用させるように、ドライバ(例えば、レンチ(スパナ)など)が頭部110に係合することを可能にするためにシャフト115の同じ軸において或る量の長さ120にわたって延びている。頭部110は、締結具が完全に挿入された際に、ナット部材(図示せず)と同一平面で当接するように設計された実質的に平坦な底部125を含む。当業者により理解されるように、頭部110は、所望の駆動装置に基づいた複数の異なる形状を有することができる。従って、六角形の形状を有する頭部110の記述は、単なる例示として解釈されるべきである。
【0011】
締結具100の主体又はシャフト115は、例えば、第1の区域130、第2の区域135及び第3の区域140を含む、複数のネジ山区域を含む。実例として、3つの区域は、ひとたび締結具がナット部材へ挿入されたならば、ネジ山形成機能、並びにネジ山ロック機能の双方を行うように利用される。第1の区域130は、当該区域が締結具の入口点105から離れるように移動するにつれて直径が増加しながら、コア(心)から外側に角度をなす例示的な第1のネジ山形状の実例として約1~5ピッチの長さである。即ち、第1の区域130の外径は、入口点105において最も小さく、ネジ山がシャフト115に沿って頭部110の方へ移動するにつれて大きくなる。第2の区域135は実例として、第1の(ネジ山形成)ネジ山形状であるが、実質的に一定の外径を有する追加の1~3ピッチを含む。図1Aに示されているように、第1のネジ山形状は実例として、実質的に60°の角度をなして形成されたネジ山形状の断面を含む。例示的な実施形態において、第1のネジ山形状は、上記で組み込まれた米国特許第9404524号で説明されたものを含むことができる。留意されるべきは、特定のネジ山形成ネジ山形状が図示されて説明されるが、本発明の原理は、本発明の代替の実施形態において、任意のネジ山形成ネジ山形状を利用することができる。従って、本明細書で図示及び説明される特定のネジ山形成ネジ山形状は、単なる例示として解釈されるべきである。
【0012】
第3の区域140は、実例としてネジ山ロックネジ形状である第2のネジ山形状を利用する。図1Aに示されるように、例示的な第2のネジ山形状は、ネジ山の根本(基部、底部)における60°の角度をなして形成されたネジ山から先端部における30°の角度をなして形成されたネジ山まで移行するネジ山を含む。例示的なネジ山ロックネジ山形状は、上記で組み込まれた米国特許第7722304号に記述されている。留意されるべきは、特定のネジ山ロックネジ山形状が図示及び説明されるが、本発明の原理は、本発明の代替の実施形態において任意のネジ山ロックネジ山形状を利用することができる。従って、本明細書で図示及び説明される特定のネジ山ロックネジ山形状は、単なる例示として解釈されるべきである。
【0013】
かくして、動作中、本発明の例示的な実施形態による締結具100がナット部材へ挿入される場合、当該締結具が最初に挿入される際に、第1の区域のネジ山がナット部材に係合する。第1及び第2の区域のネジ山は、ネジ山を作成するようにナット部材を変形させる。ナット部材へ締結具を挿入することを続けると、第3の区域のネジ山が、新たに作成されたネジ山に係合して機械的干渉を引き起こし、それによりロックメカニズムが生じる。実例として、第2のネジ山形状は、第1のネジ山形状を補完するように選択される。本発明の代替の実施形態に従って、2つのネジ山形状は、ネジ山ロック形状(第2のネジ山形状)がネジ山形成形状(第1のネジ山形状)によってナット部材に作成されたネジ山の寸法の演繹的知識でもって設計されるように選択され得る。締結具が、ネジ切りされていないナット部材に雌ネジ(内ネジ)を作成するため、ネジ山ロック形状のネジ山は、当該雌ネジとの最適化された性能のために構成され得る。変形物の例が、図4A図4B図4C図5A図5B及び図5Cに関連して後述される。
【0014】
さらに、本発明の例示的な実施形態に従って、ネジ形成及びネジ山ロックのネジ山形状は、指定された量のネジ山ロックを形成するように設計することができる。これは、多くの理由で望まれる場合がある。例えば、締結具の特定の使用者は、締結具が、少なくとも最小のプリベリングトルクを維持しながら、指定された回数、例えば少なくとも10回、ナット部材に取り外し及び再挿入され得ることを望むことがある。このような状況では、ロック作用が小さい締結具が望まれる場合がある。逆に、高いプリベリングトルクを必要とする装置で使用するための締結具は、大きいロック作用を有するように設計することができる。ネジ山ロック量を変化させるための例示的な技術を図25図26に関連して以下に示し、説明する。
【0015】
図1Bは、本発明の例示的な実施形態に従って、締結具の長軸に沿って見られた締結具100の頭部110の例示的な図である。上記のように、六角形の形状を有する例示的な頭部の図示と記述は、単なる例示として解釈されるべきである。図1Cは、本発明の例示的な実施形態に従って、締結具の長軸に沿った入口点105からの締結具100の図である。図1Cから理解され得るように、締結具のシャフト115は実例として、横断面において、複数(例えば、3つ)のローブ(丸みを帯びた突起部)を有するように形作られる。留意されるべきは、マルチローブ付きシャフトの使用は、単なる例示であり、本発明の原理は、実質的に円形であるシャフトを有する締結具と共に利用され得る。当業者により理解されるように、様々なタイプの締結具シャフトの横断面が、締結具の所望の特性を達成するために利用され得る。より具体的には、本発明の代替の実施形態に従って、3つより多いローブを有するシャフトが利用され得ることが特に企図される。さらに、代替の実施形態において、シャフトは、変化する横断面を有することができる。例えば、シャフトは、入口点の近くで実質的に円形の横断面の領域を有するが、シャフトの長さに沿って非円形の横断面の領域に移行する場合がある。例示的な非円形の横断面の領域は、例えば3つのローブを有する横断面の領域である。しかしながら、本発明の代替の実施形態に従って、実質的に非円形の横断面の領域での他の形状が利用され得ることが、特に企図される。本発明の原理は、所望の機能性を達成するために広範囲の締結具シャフト115の横断面形状と共に利用され得る。
【0016】
図2は、本発明の例示的な実施形態による、締結具100の入口点端部の拡大図である。図2から看取され得るように、第1の区域130は、入口点105から移動するにつれて外径が増大している。第1の区域は、実例としてネジ山形成ネジ山形状である第1のネジ山形状を利用する。第2の区域135は、ネジ山形成ネジ山形状の使用を続行するが、増大するネジ山全径を有する第1の区域130と異なり、実質的に一定の全径を有している。次いで、第3の区域140は、締結具100の残りの部分に関して、第2のネジ山形状(例えば、ネジ山ロックネジ山形状)を利用する。
【0017】
図3は、本発明の例示的な実施形態による、締結具100の形成に使用するための頭部付きブランク300の例図である。実例として、ブランク300は、製造の難しさを軽減する単一の直径のブランクからなる。しかしながら、本発明の原理は、より精巧なブランクと共に利用され得ることが特に企図される。
【0018】
図4A図4B図4Cは、本発明の代替の実施形態において利用され得る、例示的なネジ山形状を示している。留意されるべきは、各ネジ山形状が、同じ断面積を有することである。図4Aは、図1に示したような、例示的な60°ネジ山形状の代表例である。図4Bは、例示的なアールの付いたネジ山形状の代表例である。図4Cは、60°/30°ネジ山形状を有する例示的な三角ネジ山形態の代表例である。留意されるべきは、本発明の代替の実施形態において、異なるネジ山形状が利用され得る。従って、図4A図4B図4Cに示したネジ山形状は単なる例示であることが特に企図される。
【0019】
図5A図5B図5Cは、本発明の例示的な実施形態による例示的な設計上の選択に従って、ナット部材と締結具の異なるネジ山形状を利用することにより得られることができる潜在的な機械的干渉の例示的な範囲を示している。様々な図は、図4A図4B図4Cに関連して上で説明されたネジ山形状の組み合わせを示している。図5A図5B及び図5Cから見てとれるように、雌ネジ(内ネジ)と雄ネジ(外ネジ)の形状を変更することにより、機械的干渉の様々な程度が達成され得る。代替の実施形態において、ネジ山形状の様々な組み合わせを選択することにより、所望の量の機械的干渉が達成され得る。
【0020】
図6は、本発明の例示的な実施形態による、締結具100のネジ切りしたナット部材605への挿入を示す断面図600である。ネジ切りしたナット部材605は実例として、一組の予め形成されたネジ山610を含む。図600は、締結具100の端部105の、ネジ切りしたナット部材605への挿入の直前での締結具100及びナット605である。A-A断面に沿った図は、締結具100とネジ切りしたナット部材の例示的な横断面615を示している。
【0021】
図7は、本発明の例示的な実施形態による、締結具100のネジ切りしたナット部材605への挿入を示す断面図700である。図700において、締結具100の第1の区域130及び第2の区域135は、ネジ切りしたナット部材605へ挿入されている。拡大図で看取され得るように、第1の区域130及び第2の区域135のネジ山とネジ切りしたナット部材605の雌ネジ610との間には、空間が残されている。
【0022】
図8は、本発明の例示的な実施形態による、締結具100のネジ切りしたナット部材への挿入を示す断面図800である。図800において、第1の区域130のネジ山は、ネジ切りしたナット部材605をほぼ通り抜けているが、第2の区域135のネジ山は完全に、ナット部材605内に入っている。看取され得るように、第3の区域140のネジ山は、ナット部材内の箇所805において、先端食い込みを生じている。
【0023】
図9は、本発明の例示的な実施形態による、締結具100のネジ切りしたナット部材605への挿入を示す断面図900である。図900において、第1の区域130のネジ山及び第2の区域135のネジ山は、ナット部材605を完全に通り抜けており、各雌ネジ605に関して、第3の区域140のネジ山の先端食い込み箇所905が存在する。図9に示したように締結具100が挿入された状態で、先端食い込み箇所905は、機械的ロックメカニズムを発生させ、それにより、ネジ切りしたナット部材において締結具を固定するように作用する。
【0024】
本発明の例示的な実施形態において、第1及び第2の区域のネジ山に関するネジ山形成ネジ山形状は、ネジ切りしたナット部材のネジ山の直径を僅かに拡大するよう設計される。このサイズ変更より、締結具は、サイズ変更されたネジ山と第3の区域のネジ山のネジ山ロックネジ山との間で最適化された干渉が存在するように構成されることが可能になる。第1及び第2の区域のネジ山に関してネジ山形状及びサイズを選択することにより、第3の区域のネジ山との所望量の機械的干渉が達成され得る。しかしながら、留意されるべきは、本発明の代替の実施形態において、予め形成された雌ネジは、第1及び第2の区域のネジ山により、係合されない。従って、雌ネジが拡大されるという説明は、単なる例示として解釈されるべきである。さらに、ネジ山形成ネジ山形状の作用により、ネジ山の形成から異物が減少又は除去される。これは無駄を減らし、ある種の作業環境では非常に重要である。
【0025】
図10は、本発明の例示的な実施形態による、締結具100のネジ切りされていないナット部材1005への挿入を示す断面図1000である。図1000において、締結具100は、ネジ切りされていない開口又は穴1010を有するナット部材1005へまさに挿入されようとしている。
【0026】
図11は、本発明の例示的な実施形態による、締結具100のネジ切りされていないナット部材1005への挿入を示す断面図1100である。図1100は、第1及び第2の区域のネジ山がネジ切りされていないナット部材に完全に挿入された時を示している。
【0027】
図12は、本発明の例示的な実施形態による、締結具100のネジ切りされていないナット部材1005への挿入を示す断面図1200である。第3の区域140のネジ山はこの時点で、先に形成されたネジ山に入り込んでおり、箇所1205において先端食い込みを生じている。
【0028】
図13は、本発明の例示的な実施形態による、締結具100のネジ切りされていないナット部材への挿入を示す断面図1300である。図1300において、第1及び第2の区域のネジ山は、ナット部材1005を通り抜けており、第3の区域の複数のネジ山が、複数の先端食い込み箇所1305においてナット部材1005に係合している。
【0029】
図6図9に関連して上で説明したように、本発明の例示的な実施形態において、第1及び第2の区域のネジ山は、第3の区域のネジ山との所望の機械的干渉を達成するように最適なサイズのネジ山を作成するような大きさにすることができる。
【0030】
上記のネジ山ロック作用は、第3の区域のネジ山形状の先端部における機械的干渉を利用してロック作用を生じさせる。これらの実施形態は、鋼や他の硬い金属から作られたナット部材ではうまく機能する。しかしながら、アルミニウムや軟質鋳造合金などの柔らかい材料では、所望の結果が得られない場合がある。本発明の別の実施形態では、新規な締結具は、ネジ山の側面に沿って機械的干渉を使用することによってロック作用を生じさせるように設計される。この側面ロック作用は、先に説明した先端ロック作用が働かない材料でもうまく働くことが分かっている。
【0031】
図14は、本発明の例示的な実施形態による例示的な締結具の入口点端部の拡大図である。図14は、上で説明した図2と同様に、第1の区域130、第2の区域135、及び第3の区域140を示している。第1の区域は、例えば、ナット部材(図示せず)に側面ロックネジ山を形成するように設計されたネジ山形成ネジ山形状を利用する。第2の区域及び第3の区域は、例えば、ネジ山形成ネジ山形状によって形成されたネジ山に側面ロック用機械的干渉を引き起こすように設計されたネジ山ロックネジ山形状を利用する。
【0032】
本発明の代替的な実施形態では、第1の区域130を利用しなくてもよい。そのような代替的な実施形態では、締結具は、第2の区域135(ネジ山形成ネジ山形状)及び第3の区域140(ネジ山ロックネジ山形状)を含む。
【0033】
図15図22は、図6図13に類似しているが、側面ロック機械的干渉を引き起こすネジ山形成ネジ山形状及びネジ山ロックネジ山形状を利用する締結具の挿入を示している。
【0034】
図15は、本発明の例示的な実施形態による、ネジ切りしたナット部材1505への締結具100の挿入を示す断面図1500である。ネジ切りしたナット部材1505は、例えば、予め形成された一組のネジ山1510を含む。図1500は、締結具100の端部105がネジ切りしたナット部材1505に挿入される直前の締結具100及びナット部材1505を示す図である。A-A断面に沿った図は、締結具100及びネジ切りしたナット部材の例示的な断面1515を示している。
【0035】
図16は、本発明の例示的な実施形態による、ネジ切りしたナット部材1505への締結具100の挿入を示す断面図1600である。図1600では、締結具100の第1の区域130及び第2の区域135が、ネジ切りしたナット部材1505に挿入されている。拡大図で分かるように、第1の区域130及び第2の区域135のネジ山と、ネジ切りしたナット部材1505の雌ネジ1510との間には、空間が残されている。
【0036】
図17は、本発明の例示的実施形態による、ネジ切りされていないナット部材への締結具100の挿入を示す断面図1700である。図800では、第1の区域130のネジ山はネジ切りしたナット部材1505をほぼ通過しており、第2の区域135のネジ山はナット部材1505内に完全に収容されている。見てとれるように、第3の区域140のネジ山は、ナット部材内の点1705でネジ山の側面に沿って機械的干渉を生じている。
【0037】
図18は、本発明の例示的な実施形態による、ネジ切りしたナット部材1505内への締結具100の挿入を示す断面図1800である。図1800において、第1の区域130のネジ山及び第2の区域135のネジ山は、ナット部材1505を完全に通過しており、各雌ネジ1510に関して、第3の区域140のネジ山のそれぞれとの間に側面機械的干渉点1705が存在する。図18に示すように締結具100が挿入された状態で、側面ロック機械的干渉点1705は機械的ロックメカニズムを生成し、それによって締結具をネジ切りしたナット部材内に固定するように働く。
【0038】
本発明の例示的な実施形態では、第1の区域及び第2の区域のネジ山形成ネジ山形状は、ネジ切りしたナット部材のネジ山の直径をわずかに拡大するように設計されている。このサイズ変更により、サイズ変更されたネジ山と第3の区域のネジ山のネジ山ロックネジ山との間の干渉が最適化されるように締結具を構成することができる。第1の区域と第2の区域のネジ山のネジ山形状とサイズを選択することにより、第3の区域のネジ山との間の所望の量の機械的干渉を達成することができる。ただし、本発明の代替的な実施形態では、予め形成された雌ネジは、第1の区域及び第2の区域のネジ山によって拡大されないことに留意すべきである。従って、雌ネジが拡大されるという説明は、例示的なものとしてのみ捉えられるべきである。
【0039】
図19は、本発明の例示的な実施形態による、ネジ切りされていないナット部材1005への締結具100の挿入を示す断面図1900である。図1900では、締結具100は、ネジ切りされていない開口部又は穴1010を有するナット部材1005に挿入されようとしている。
【0040】
図20は、本発明の例示的実施形態による、ネジ切りされていないナット部材2005への締結具100の挿入を示す断面図1100である。図1100は、第1の区域130と第2の区域135のネジ山がネジ切りされていないナット部材に完全に挿入された状態を示している。第2の区域135のネジ山形成ネジ山形状が、ネジ切りされていないナット部材1005の開口部1010の内側に雌ネジ(内ネジ)を形成し始めている。
【0041】
図21は、本発明の例示的実施形態による、ネジ切りされていないナット部材2005への締結具100の挿入を示す断面図1200である。第3の区域140のネジ山が、この時点では、先に形成されたネジ山に入り込んでおり、点2105において側面ロック機械的干渉を生じている。
【0042】
図22は、本発明の例示的実施形態による、ネジ切りされていないナット部材2005への締結具100の挿入を示す断面図2200である。図2200では、第1の区域130及び第2の区域135のネジ山は、ナット部材1005を通過しており、第3の区域の複数のネジ山が、複数の側面ロック機械的干渉点2105でナット部材1005と係合している。
【0043】
図23Aは、本発明の例示的な実施形態による、ナット部材の最大状態を示す断面図2300Aである。
【0044】
図23Bは、本発明の例示的実施形態による、ナット部材の最小状態を示す断面図2300Bである。
【0045】
図24Aは、本発明の例示的実施形態による、ナット部材の最大状態を示す断面図2400Aである。
【0046】
図24Bは、本発明の例示的実施形態による、ナット部材の最小状態を示す断面図2400Bである。
【0047】
図25は、本発明の例示的な実施形態による、ロック量の可変性を示す例示的なネジロック締結具を示す断面図2500である。例示的な断面図2500は、図6図13に関連して上に示され説明されたような、先端部に機械的干渉を生じさせるように設計されたネジ山形成ネジ山形状を利用する締結具100のものである。図2500において、Xは、ネジ山ロックネジ山形状の個々のネジ山の長さを表し、Yは、ネジ山ロックネジ山形状のネジ山の高さを表している。より大きいロック作用を有する締結具を生成するためには、Xを増加させ、Yを減少させる。逆に、特定の締結具によって生成されるロック作用の大きさを減らすためには、Xを減少させ、Yを増加させる。
【0048】
図26は、本発明の例示的な実施形態による、ロック量の可変性を示す例示的な側面ロック締結具を示す断面図である。例示的な図2600は、図14図22に関連して上に示され、説明されたような、ネジ山の側面に機械的干渉を生じさせるように設計されたネジ山形成ネジ山形状を利用する締結具100を示す図である。図2600において、Xは、ネジ山ロックネジ山形状の個々のネジ山の長さを表し、Yは、ネジ山ロックネジ山形状のネジ山の高さを表している。より大きいロック作用を有する締結具を生成するためには、Xは減少させ、Yを増加させる。逆に、特定の締結具によって生成されるロック作用の大きさを減らすためには、Xを増加させ、Yを減少させる。
【0049】
このように、締結具は特定の用途に望まれるロック作用の量を発生するように設計することができる。また、複数回の挿入及び取外しを通じて、ロック作用の大きさ(プリベリングトルク)を維持することができる。本発明の締結具は、ネジ形成作用からほとんど又は全く異物を生じないため、ナット部材は、締結具の追加的な挿入に適した状態を維持できる。
【0050】
留意されるべきは、本発明は、特定のネジ山形状に関連して説明されたが、本発明の原理は、様々なネジ山形成及び/又はネジ山ロックのネジ山形状と共に利用され得る。そのため、本明細書に含まれる特定のネジ山形状に関する特定の記述は、単なる例示とみなされるべきである。さらに、様々な区域においてネジ山ピッチの数に関する様々な記述が与えられているが、当業者により理解されるように、様々な区域におけるピッチの数は、意図された用途に応じて変化する場合がある。そのため、様々な区域における特定の数のピッチに関する記述は、例示として解釈されるべきである。
【0051】
本説明は、本発明の様々な例示的な実施形態に関して書かれている。当業者により理解されるように、様々な変形が、本発明の思想又は範囲から逸脱せずに本明細書で説明される実施形態に対して行われ得る。そのため、説明された実施形態は、単なる例示として解釈されるべきである。

図1A
図1B
図1C
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図5A
図5B
図5C
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23A
図23B
図24A
図24B
図25
図26
【国際調査報告】