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特表2024-520273再充填弁と、放出弁と、作用物質収容のためのバッグとを有する再充填可能なディスペンス缶
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-24
(54)【発明の名称】再充填弁と、放出弁と、作用物質収容のためのバッグとを有する再充填可能なディスペンス缶
(51)【国際特許分類】
   B65D 83/42 20060101AFI20240517BHJP
   B65D 83/62 20060101ALI20240517BHJP
   B05B 9/04 20060101ALI20240517BHJP
【FI】
B65D83/42
B65D83/62
B05B9/04
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023565559
(86)(22)【出願日】2022-05-04
(85)【翻訳文提出日】2023-12-11
(86)【国際出願番号】 EP2022061899
(87)【国際公開番号】W WO2022253508
(87)【国際公開日】2022-12-08
(31)【優先権主張番号】102021114340.3
(32)【優先日】2021-06-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523401803
【氏名又は名称】ウルト インターナショナル エージー
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シューバー、マイケル
(72)【発明者】
【氏名】ロイター、ハーバート
【テーマコード(参考)】
3E014
4F033
【Fターム(参考)】
3E014PA01
3E014PB01
3E014PB02
3E014PB04
3E014PB09
3E014PC02
3E014PC03
3E014PC07
3E014PC12
3E014PD03
3E014PD22
3E014PE09
3E014PF03
3E014PF05
4F033RA02
4F033RA04
4F033RA07
4F033RB06
4F033RC01
4F033RC03
4F033RC15
(57)【要約】
作用物質を放出するための再充填可能なディスペンス缶(104)において、ディスペンス缶(104)は、作用物質を収容するための変形可能なバッグ(160)と、作用物質でバッグ(160)を再充填するための再充填ステーション(100)と接続するためにバッグ(160)と結合された再充填弁(162)と、バッグ(160)から作用物質を利用者が定義したとおりに放出するためにバッグ(160)と結合された放出弁(164)とを有する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
作用物質を放出するための再充填可能なディスペンス缶において、前記ディスペンス缶は、
作用物質を収容するための変形可能なバッグと、
作用物質で前記バッグを再充填するための再充填ステーションと接続するために前記バッグと結合された再充填弁と、
前記バッグから作用物質を利用者が定義したとおりに放出するために前記バッグと結合された放出弁とを有する、再充填可能なディスペンス缶。
【請求項2】
前記再充填弁は前記ディスペンス缶の下面に配置される、請求項1に記載のディスペンス缶。
【請求項3】
前記放出弁は前記ディスペンス缶の上面に配置される、請求項1または2に記載のディスペンス缶。
【請求項4】
前記再充填弁および/または前記放出弁は前記バッグに流体密に取り付けられ、特に溶接または接着される、請求項1又は2に記載のディスペンス缶。
【請求項5】
前記バッグを取り囲む硬質の缶ハウジングを有し、当該缶ハウジングに対して前記再充填弁と前記放出弁が露出する、請求項1又は2に記載のディスペンス缶。
【請求項6】
前記バッグと前記缶ハウジングの間の容積部に圧力媒体、特に圧縮ガスを有する、請求項5に記載のディスペンス缶。
【請求項7】
前記再充填弁および/または前記放出弁を通って漏出することが前記圧力媒体に不可能になっている、請求項6に記載のディスペンス缶。
【請求項8】
前記放出弁は前記バッグと前記缶ハウジングの間に圧力媒体を充填するために構成される、請求項5に記載のディスペンス缶。
【請求項9】
前記バッグの中の作用物質と、前記バッグと前記缶ハウジングの間の圧力媒体とは、作用物質と圧力媒体が互いに直接的に接触することなく、前記バッグによって互いに圧力結合される、請求項6に記載のディスペンス缶。
【請求項10】
前記バッグと前記缶ハウジングの間の容積部が気密に閉鎖される、請求項5に記載のディスペンス缶。
【請求項11】
前記缶ハウジングはその下面で湾曲しており、特に凹面状に湾曲している、請求項5に記載のディスペンス缶。
【請求項12】
前記バッグは弾性的に変形可能および/または展開可能である、請求項1又は2に記載のディスペンス缶。
【請求項13】
前記放出弁の上に放出デバイス、特に噴射ヘッドを有する、請求項1又は2に記載のディスペンス缶。
【請求項14】
前記バッグの中に少なくとも区域的に分配管を有し、当該分配管は、少なくとも区域的に前記再充填弁と前記放出弁の間に配置され、前記分配管の内部と前記バッグの収容容積部との間で作用物質のための少なくとも1つの貫通部を形成するための少なくとも1つの側壁開口部を、特に複数の側壁開口部を、有する、請求項1又は2に記載のディスペンス缶。
【請求項15】
前記分配管は軸方向および/または径方向で互いにオフセットされて配置された前記複数の側壁開口部を有する、請求項14に記載のディスペンス缶。
【請求項16】
前記分配管は前記分配管の長さ補正を可能にするためのテレスコピックメカニズムを有する、請求項14に記載のディスペンス缶。
【請求項17】
前記分配管は前記再充填弁の上で緩やかに外嵌され、または固定的に結合される、請求項14に記載のディスペンス缶。
【請求項18】
前記分配管は前記放出弁の上で固定的に結合され、または緩やかに外嵌される、請求項14に記載のディスペンス缶。
【請求項19】
再充填機構において、
作用物質で再充填されるべきディスペンス缶を受容するための受容装置と、作用物質での前記ディスペンス缶の再充填を制御するための制御デバイスとを有する再充填ステーションと、
前記受容装置に取付可能な、または取り付けられた、請求項1又は2に記載のディスペンス缶とを備える、再充填機構。
【請求項20】
作用物質を含み、前記ディスペンス缶を再充填するための作用物質を提供するために前記受容装置とリンクされた、またはリンク可能である、作用物質容器(114)を有する、請求項19に記載の再充填機構。
【請求項21】
前記再充填ステーションを作動させる方法において、前記方法は、
作用物質で再充填されるべき請求項1又は2に記載のディスペンス缶の前記再充填弁が前記再充填ステーションの受容装置に受容されることと、
前記再充填ステーションの制御デバイスによって、作用物質での前記ディスペンス缶の再充填が制御されること、
とを有する、方法。
【請求項22】
作用物質の再充填によって、前記バッグと、前記ディスペンス缶の硬質の缶ハウジングとの間の閉鎖された容積部の中の圧力媒体が、特に圧縮ガスが、圧力負荷される、請求項21に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディスペンス缶、再充填機構、および再充填ステーションを作動させる方法に関する。
【0002】
再充填ステーションによって自動的に補充可能であるディスペンス缶が知られている。このような周知の再充填ステーションのひとつは、出願人WurthのREFILLO(登録商標)mat-Stationである。安全で経済的なこのシステムは、空になったディスペンス缶に作用物質と圧縮空気を自動的に補充することに依拠する。このことは、大型容器(たとえばキャニスターやドラム)からの作用物質でディスペンス缶を充填することを可能にする。そのために個々の作用物質のためのディスペンス缶が、相応の再充填ステーションに押圧される。そして、作用物質と圧縮空気でのディスペンス缶の充填が所定の比率で行われる。ディスペンス缶と、これに対応する作用物質との取り違えを排除するために、缶受容部は機械式にコーディングされており、それにより、正しいディスペンス缶だけを正しい缶受容部へ機械的に取り付けることができる。それにより機械的に適合するディスペンス缶だけを、対応する再充填ステーションで使用することができる。このようにして、状況によっては危険のある、作用物質とディスペンス缶の取り違えが機械式に抑止される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の課題は、簡易に取扱可能であり、資源保全的であり、動作安全性の高い、作用物質のためのディスペンス缶を提供することにある。
【0004】
この課題は、独立請求項に記載の構成要件を有する対象物によって解決される。その他の実施例は従属請求項に示されている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の1つの実施例では、作用物質を放出するための再充填可能なディスペンス缶が提供され、ディスペンス缶は、作用物質を収容するための変形可能なバッグと、作用物質でバッグを再充填するための再充填ステーションと接続するためにバッグと結合された再充填弁と、バッグから作用物質を利用者が定義したとおりに放出(特に噴射)するためにバッグと結合された放出弁とを有する。
【0006】
本発明の別の実施例では、作用物質で再充填されるべきディスペンス缶を受容するための受容装置と、作用物質でのディスペンス缶の再充填を制御するための制御デバイスとを有する再充填ステーションと、受容装置に取付可能な、または取り付けられた、上で説明した構成要件を有するディスペンス缶とを備える再充填機構が提供される。
【0007】
本発明のさらに別の実施例では、再充填ステーションを作動させる方法が提供され、この方法は、上で説明した構成要件を有する、作用物質で再充填されるべきディスペンス缶の再充填弁が再充填ステーションの受容装置に受容されることと、作用物質でのディスペンス缶の再充填が再充填ステーションの制御デバイスによって制御されることとを有する。
【0008】
本件出願の枠内において「再充填ステーション」とは、特に、少なくとも部分的に空になった、再充填ステーションと機械的および流体的にリンク可能なディスペンス缶を、接続されるべき作用物質容器からの作用物質で再充填するために構成された機器であると理解することができる。したがって再充填ステーションは、再充填されるべき作用物質を提供するための容器と、再充填されるべきディスペンス缶との間の流体接続を提供することができ、ならびに任意選択として、再充填されるべき圧縮ガスをディスペンス缶に提供するために構成されていてよい。
【0009】
本件出願の枠内において「受容装置」とは、特に機械的および流体的なアダプタであって、再充填されるべきディスペンス缶を特に形状接合式に受容するために構成され、受容された状態のときに作用物質および/または圧縮ガスをディスペンス缶へ提供することができるものであると理解することができる。機械的なアダプタ機能をさらに超えて、受容装置は、作用物質を含む容器と、作用物質で再充填されるべきディスペンス缶との間の流体接続を提供するための流体的なアダプタとしても機能することができる。
【0010】
本件出願の枠内において「ディスペンス缶」(たとえばスプレー缶として構成される)とは、特に利用者により取扱可能な缶であって、好ましくは液体の作用物質を吐出するため(特にスプレー霧を噴射するため、または作用物質ジェット、泡、もしくはジェルの形態の作用物質を吐出するため)に構成されたものであると理解することができる。このような作用物質はディスペンス缶の内部で圧力のもとにあり、ディスペンス缶の中の加圧ガスまたはプロペラントガス(たとえばプロパン、ブタン、圧縮空気、二酸化炭素、ヘリウム、または窒素)を、ディスペンス缶からの作用物質の吐出のために利用することができる。ノズルによって、1つまたは複数の内容物質(特に作用物質または作用物質・プロペラントガス・混合物)を噴射缶から噴出し、噴霧化し、および/またはその他の形態で吐出することができる。噴射缶の中にある媒体は、特にエアロゾルとして、スプレー缶から噴出することができる。
【0011】
本件出願の枠内において「作用物質」とは、特に、ディスペンス缶から噴出された状態でディスペンス缶の本来の機能を提供する媒体であると理解することができる。そのような作用物質は、液体、ジェル、粘性媒体、および/またはガスを有していてよく、任意選択として固体粒子を有する。たとえばこのような作用物質は、洗浄剤(たとえばブレーキ洗浄剤)、錆取り剤、メンテナンスオイル、シリコーンスプレー、窓ガラス洗浄剤、リークテスタ媒体、溶接スプレーなどであり得る。再充填ステーションで、このような作用物質を容器(たとえばキャニスター)から、再充填されるべきディスペンス缶へと再充填することができる。
【0012】
本件出願の枠内において「制御デバイス」とは、特に、ディスペンス缶への作用物質の再充填のプロセスを制御し、特に定義された方式で許容し、またはエラー発生時に阻止するデバイスであると理解することができる。特にこのような制御デバイスは、意図および/または実行される再充填プロセスに関して提供される情報を評価して、再充填プロセスを場合により実行し、適合化し、制限し、拡張し、または実行不可能にする、少なくとも1つのプロセッサおよび/またはプロセッサの一部を有することができる。特に制御デバイスは、この目的のために再充填ステーションの個々のコンポーネントを制御またはコントロールする。
【0013】
本発明の枠内において「変形可能なバッグ」とは、特に、圧力上昇のもとで展開および/または伸長し、圧力低下のもとで折り畳まれ、および/または縮小する材料からなる閉じたバッグ型ケースであると理解される。たとえば作用物質が変形可能なバッグに充填または再充填されると、バッグは作用物質を収容し、作用物質から提供される圧力によって膨張または展開する。逆に作用物質がバッグから吐出されると、バッグは縮むことができ、または折り畳むことができ、それは、たとえばバッグの外部ではあるがディスペンス缶の内部にある圧縮ガスが外部からバッグに対して作用し、したがってバッグが収縮し、潰れ、または折り畳まれるときである。たとえばバッグは、たとえば金属フォイルおよび/またはプラスチックフォイルなどの少なくとも1つのフォイルを有するフォイルバッグであってよい。
【0014】
本発明の枠内において「再充填弁」とは、特に、これを通して特に流体の作用物質がディスペンス缶の外部からバッグの内部へ送出されるように構成された流体弁であると理解することができる。特にディスペンス缶はその再充填弁によって好ましくは形状接合式に、かつ流体接続を形成しながら、再充填ステーションの受容装置に装着することができ、それは、その後に作用物質容器から再充填ステーションによって再充填弁を通してディスペンス缶に作用物質を充填または再充填するためである。再充填弁は、事前決定された閾値を上回る過圧の作用のもとで初めて開く、常時閉の流体弁であるのが好ましい。
【0015】
本発明の枠内において「放出弁」とは、特に、これから特に液体の作用物質がバッグの内部からディスペンス缶の外部へ送出されるように構成された流体弁であると理解することができる。特に、ディスペンス缶はその放出弁によって、流体接続を形成しながら放出デバイス(たとえば噴射ノズル)とリンクすることができ、それは、その後にディスペンス缶のバッグから作用物質をディスペンス缶の周囲に吐出するためである。放出弁は、利用者により放出デバイスを用いて及ぼすことが可能な、事前決定された閾値を上回る操作圧力(またはこれに類するもの)の作用のもとで初めて開く、常時閉の流体弁であるのが好ましい。
【0016】
本発明の例示としての実施例では、圧力媒体(たとえば圧縮ガス)で1回だけ充填すればよく、それ以降は圧縮媒体の再充填なしに、何度でも再充填可能な作用物質をディスペンス缶から放出するために圧縮媒体の圧力で負荷することができる、再充填可能なディスペンス缶が提供される。この目的のために再充填弁を通して、再充填弁と流体的にリンクされたディスペンス缶の変形可能なバッグの中へ作用物質を何度でも充填することができる。作用物質で再充填されると、バッグは伸長することができる。バッグの周囲にあるディスペンス缶の中の圧縮ガスは、バッグの中の作用物質を恒常的な過圧で負荷することができる。利用者がディスペンス缶の放出弁を操作することで、作用物質をバッグからディスペンス缶の周囲へ吐出するとき、周囲圧力に比べて過圧となっている圧縮媒体が、作用物質をバッグから放出弁を通して送出する。再充填弁によって作用物質が再充填されることで、それまでに少なくとも部分的に空になっていたバッグが再び膨張し、それにより、ディスペンス缶に以前に充填されたのと同じ圧縮媒体が、再充填された作用物質を放出のために圧力で負荷することができる。すなわち圧縮媒体はディスペンス缶の中に恒常的にとどまり、再充填する必要がない。変形可能なバッグは、圧力媒体と吐出されるべき作用物質との間の圧力媒介としての役目を果たす。再充填側と吐出側とでそれぞれ流体弁(再充填弁又は放出弁)が、互いに空間的に分離された再充填と作用物質の放出とを惹起することができるのが好ましい。このようにして、作用物質でのディスペンス缶の反復可能な再充填が可能となり、作用物質の再充填のときに圧力媒体も再充填する必要はない。このことは、従来の取り組みに比べてディスペンス缶の再充填を著しく簡易化する。本発明の例示としての実施例に基づくディスペンス缶では、一方におけるプロペラント剤としての圧縮ガスと、他方における作用物質とは、ディスペンス缶の中で互いに空間的に分離されている。作用物質は、放出弁とも再充填弁とも結合された、または結合可能である、別個の柔軟なバッグの中にあり、それに対して圧縮された圧縮ガスは、バッグと改良された缶壁との間の残りの空間内にあってよい。圧力媒体と作用物質との間の分離は、ディスペンス缶の動作安全性も高める。したがって、ディスペンス缶の吐出ヘッド(たとえば噴射ヘッド)が操作されると、作用物質が放出弁を通して吐出されるが、圧力生成をする作業媒体として恒常的にディスペンス缶の中にとどまることができる圧縮ガスと共に吐出されるのではない。放出弁に追加して再充填弁が提供されることで、それまでに空になった作用物質の再充填によってディスペンス缶を何度も使うことができ、それにより、再充填プロセスのたびごとに同一の圧縮ガスを再利用することができる。このように、本発明の例示としての実施例に基づくディスペンス缶は特別に持続可能であり、資源保全的であり、それと同時に簡易に取扱可能である。
【0017】
以下において、ディスペンス缶、再充填機構、および本方法の追加の例示としての実施例について説明する。
【0018】
例示としての実施例では、再充填弁はディスペンス缶の下面に配置されていてよい。このようにして、再充填弁を簡易な方式で再充填ステーションの受容装置に底面側で装着することができ、それにより、再充填ステーションの流体の再充填配管をディスペンス缶の再充填弁と流体的にリンクさせることができる。受容装置へ作用物質が供給されることで、再充填弁を介してディスペンス缶のバッグを作用物質で再充填することができる。
【0019】
例示としての実施例では、放出弁はディスペンス缶の上面に配置されていてよい。ディスペンス缶の互いに向き合う面に再充填弁と放出弁が配置されることで、作用物質の再充填が下面で行われ、作用物質の放出がディスペンス缶の上面で行われることを、利用者に直感的に示すことができる。ただしディスペンス缶の取り扱いは、圧縮ガスの再充填が不要であることによって、従来の再充填可能なディスペンス缶とは相違する。
【0020】
例示としての実施例では、再充填弁および/または放出弁はバッグに流体密に取り付けられていてよい(特に溶接または接着されていてよい)。このようにして、バッグの内部から圧縮ガス容積部への望ましくない作用物質の漏出を、又はバッグの中への圧縮ガスの望ましくない漏出を、回避することができる。このことを可能にする特別に簡易なコンフィグレーションの1つは、再充填弁と放出弁にバッグが溶接されることにある。その代替として、それぞれの弁をバッグと気密に接着することも可能である。
【0021】
例示としての実施例では、ディスペンス缶は、バッグを取り囲む、または収容する、硬質の缶ハウジングを有することができ、これに対して再充填弁と放出弁とが露出する。バッグとは異なり、缶ハウジングは剛性が高く圧縮不能であってよい。そして缶ハウジングは、ディスペンス缶のロバストな外側ハウジングを形成することができる。さらに缶ハウジングは、ディスペンス缶の内部にある圧力媒体のための硬質の圧力制限ケースを形成することができる。圧力媒体は変形可能なバッグを缶ハウジングの内部で圧力により負荷し、それによって変形させることができ、それに対して圧力媒体は外側では硬質な缶ハウジングによって高い剛性で区切られることが明らかである。
【0022】
例示としての実施例では、ディスペンス缶は圧力媒体を、特に圧縮ガスを、バッグと缶ハウジングとの間の容積部に収容することができる。この圧力媒体は、特に大気圧を上回る圧力にすることができる、特に2バールを上回る圧力にすることができる、ガスであってよい。圧縮ガスは、たとえば過圧にされた空気または窒素またはプロパンおよび/またはブタンであってよい。圧力媒体は、缶ハウジングとバッグとの間の容積部へ1回だけ工場側で過圧のもとで充填され、それ以降は、バッグへの作用物質の再充填プロセスが繰り返されるときでも、再充填される必要なしに、バッグの中の作用物質に対して予圧を及ぼす役目を何度でも果たすのが好ましい。
【0023】
例示としての実施例では、再充填弁および/または放出弁を通って漏出することが圧力媒体にとって不可能にされる。すなわち、缶ハウジングとバッグとの間の圧縮ガス容積部はバッグの内部から、およびディスペンス缶の外部から、気密に分断されていてよい。このようにして圧力媒体を、これを再充填する必要なしに、再充填された作用物質の放出のために何度でも利用することが可能である。
【0024】
例示としての実施例では、放出弁は、バッグと缶ハウジングとの間に圧力媒体を充填するために構成されていてよい。一方における柔軟な、弾性的な、または折畳み可能な、変形可能なバッグと、他方における硬質の、または変形可能でない缶ハウジングとの間の圧縮ガス容積部へ、圧力媒体又は圧縮ガスを工場側で充填するために、たとえば放出弁を(たとえば圧縮ガスを充填するために一時的に持ち上げられ、それによって下側で開放される分配管との組み合わせで)利用することができる。放出弁を通して(および、たとえば分配管の下側の開口部を通して)圧縮ガス容積部へ圧縮ガスが充填された後、ディスペンス缶の内部の圧縮ガス容積部を、ディスペンス缶の残りの部分から流体的に分断することができる(たとえば分配管を降下させ、それによって下側で圧力ガス容積部から流体的に結合解除することができ、そして分配管の下側区域を、たとえば作用物質の充填のために再充填弁と流体的にリンクさせることができる)。
【0025】
その代替として圧縮ガス容積部への圧縮ガスの充填は、缶ハウジングにある別個の弁を通して行うこともでき、圧縮ガス容積部に圧縮ガスが充填された後、たとえばこの弁を恒久的に閉じることができる。
【0026】
例示としての実施例では、バッグの中の作用物質と、バッグと缶ハウジングの間の圧力媒体とは、作用物質と圧力媒体の間の直接的な接触が形成されることなく、バッグによって互いに圧力結合されていてよい。過圧のもとにある圧力媒体は、変形可能なバッグの壁部を通して予圧を作用物質に及ぼすことができる。そして作用物質の放出のために放出弁が(たとえば利用者による吐出ヘッドの操作によって)操作されると放出弁が開き、それにより、圧力媒体によって予圧のもとにある作用物質が、放出弁と吐出ヘッドとを通ってディスペンス缶の周囲へと出ていく。このようにして変形可能なバッグにより、バッグを包囲する圧力媒体と、バッグの中の作用物質との間に圧力結合が創出され、圧力媒体と作用物質の間の直接的な物理的接触が許容されることはない。それにより圧力媒体は、作用物質とは異なりディスペンス缶から漏出しないように防護され、再充填弁を通して新しい作用物質でディスペンス缶が補充された後、その後のディスペンス缶からの放出のために、新しい作用物質に対してあらためて予圧を生成することができる。ディスペンス缶の内部での圧力媒体と作用物質の間の媒体分離によって、これら両方の媒体の間での望ましくない化学的な相互作用を回避することができる。
【0027】
1つの実施例では、バッグと缶ハウジングの間の容積部は気密に閉鎖されていてよい。このようにして、圧縮された圧力媒体がディスペンス缶の内部から漏出するのを回避することができる。
【0028】
1つの実施例では、缶ハウジングはその下面で湾曲していてよく、特に凹面状に湾曲していてよい。再充填弁は機械的な影響に対して防護されていてよく、それにもかかわらず、再充填ステーションの受容装置への簡易なリンクのために、缶ハウジングの湾曲した下面の湾入部でアクセス可能であってよい。さらには下面の湾曲により、床面上でのディスペンス缶の安定性と、その機械的な強度とを改善することができる。
【0029】
1つの実施例では、バッグは弾性的に変形可能および/または展開可能であってよい。弾性的に変形可能なバッグは、外部での圧力負荷又は内部での圧力低下のもとで可逆的に圧縮されることができ、および、外部での圧力低下又は内部での圧力負荷のもとで可逆的に膨張することができる。したがって弾性的に変形可能なバッグは、バッグ内部とバッグ外部の間の圧力媒介を確実に惹起することができる。その代替または補足として、(たとえば金属フォイルを使用して)バッグを可逆的に展開可能又は折畳み可能に構成することが可能である。バッグの展開は、バッグの中への作用物質の充填に対する反応として行うことができる。バッグから作用物質が空になった後、バッグの周囲での圧力媒体による圧力負荷により惹起されて、バッグフォイルが自動的に折り畳まれ、又は収縮する。
【0030】
例示としての実施例では、ディスペンス缶は放出デバイスを、特に吐出ヘッドを、放出弁の上に有することができる。放出デバイスの実施形態に応じて、吐出ヘッドから出る作用物質をさまざまなコンフィグレーションで吐出することができる。たとえば作用物質は液体ジェットとして、帯状ジェルとして、噴射霧として、または泡として、吐出することができる。すなわち、放出デバイスを用途関連でコンフィグレーションすることができ、たとえば噴射ヘッドとして構成することができる。
【0031】
例示としての実施例では、ディスペンス缶は(立ち上がり管とも呼ぶことができる)分配管を少なくとも区域的にバッグの中に有することができ、この分配管は、少なくとも区域的に再充填弁と放出弁の間に配置され、少なくとも1つの側壁開口部(好ましくは複数の側壁開口部)を、分配管の内部とバッグの収容容積部との間の、作用物質のための少なくとも1つの貫通部(好ましくは複数の貫通部)の形成のために有する。特に、分配管は放出弁と再充填弁の間の垂直領域の全体にわたって延びることができる。分配管は、垂直方向延在の少なくとも一部に沿って(特に垂直方向延在の全体にわたって)バッグで包囲されていてよい、したがってバッグの内部と分配管の内部との間で作用物質の双方向の移送を可能にすることができる、放出弁とも再充填弁とも流体接続を有する圧力安定的なパーフォレーションのある管であってよい。硬質の分配管は、作用物質が充填または放出されるときに変形可能なバッグが膨張または収縮したときでさえ、ディスペンス缶に安定性を付与することができるという利点がある。分配管は作用物質のための貫通部に基づき、バッグと分配管の間での作用物質の、垂直方向でのいっそう均等な分配のために作用するという利点がある。
【0032】
例示としての実施例では、分配管は、軸方向および/または径方向で互いにオフセットされて配置された複数の側壁開口部を有することができる。円周方向に配分されて配置される分配管の貫通部は、水平平面での作用物質移送のいっそう均等な分配を可能にする。軸方向に間隔をおく分配管の貫通部は、垂直方向での作用物質移送を均等化する。
【0033】
例示としての実施例では、分配管は、分配管の長さ補正を可能にするためのテレスコピックメカニズムを有することができる。テレスコピック管またはテレスコピックホースは、(たとえば直径が減少していく)個別部材の相互差込を可能にすることができる中空円筒状の物体として構成することができる。それにより分配管の有効長さを、ディスペンス缶の現在の動作モードの必要性に合わせて、特に作用物質でのバッグの充填度に合わせて、フレキシブルに適合化することができる。このようなテレスコピックメカニズムは、バッグが収縮したときにはバッグ収縮に追随することができ、バッグが膨張したときにはバッグ膨張に追随することができる。このことは、分配管の硬質性に関わりなく、そのテレスコピックコンフィグレーションに基づき、バッグの充填度に依存してその長手方向延在を適合化することができ、したがって、ディスペンス缶の内部の機械的な応力を回避することができる。特にディスペンス缶の再充填弁を、(たとえばスライド可能なスリーブとして構成される)テレスコピック管またはテレスコピックホースと結合できることによって、再充填された作用物質が容器内で上方に向かって十分に遠くまで到達することができ、折り畳まれた状態のときでさえバッグが小さい力で均等に膨張できることを保証することができる。
【0034】
例示としての実施例では、分配管は再充填弁の上で好ましくは緩やかに外嵌されていてよい(またはその代替として固定的にこれと結合されていてよい)。分配管は再充填弁の上で緩やかに外嵌されるのが好ましい。このことは、工場側での圧力媒体の充填を簡易化することができ、放出弁を通して、一時的に露出させた分配管の下側の開口部との協同作用でこれを惹起することができる。さらに、再充填弁の上に分配管の下面が単に外嵌されることは、ディスペンス缶の組立を簡易化する。
【0035】
例示としての実施例では、分配管は放出弁の上で好ましくは固定的に結合されていてよい(またはその代替として、その上で緩やかに外嵌されていてよい)。分配管がその上面で放出弁と固定的に結合されることは、ディスペンス缶の組立のときにチャレンジをもたらすことなく、分配管と放出弁の間の流体密の結合を促進する。分配管は(好ましくはバッグも含めて)、ディスペンス缶の製造又は組立のときに放出弁に固定的に結合された状態で、缶ハウジングの収容空間に挿入することができる。
【0036】
例示としての実施例では、再充填機構は、作用物質を含み、ディスペンス缶を再充填するための作用物質を提供するために受容装置とリンクされた、またはリンク可能である、作用物質容器を有することができる。このような作用物質容器は、たとえば5 lから100 lの範囲内の、特に5 lから80 lの範囲内の作用物質の、収容容積を有する、たとえばキャニスターまたはドラムであってよい。
【0037】
例示としての実施例では、作用物質の再充填によって圧力媒体を、特に圧縮ガスを、バッグと、ディスペンス缶の硬質の管ハウジングとの間の容積部で圧力負荷することができる。バッグと缶ハウジングの間の容積部の中に圧力媒体が気密に封入されていれば、バッグの中の再充填された作用物質に対して何度でも吐出圧力を及ぼすことができ、バッグへ作用物質が再充填されるとき、それ自体はディスペンス缶に再充填される必要がない。
【0038】
次に、本発明の例示としての実施例について、以下の図面を参照しながらさらに詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0039】
図1図1は、本発明の例示的な実施例に基づく、再充填ステーションと、作用物質容器と、ディスペンス缶とを有する再充填機構を示す。
図2図2は、本発明の例示的な実施例に基づく、再充填ステーションを作動させる方法を表すフローチャートを示す。
図3図3は、追加注文装置と通信可能にリンクされた、本発明の例示的な実施例に基づく複数の再充填機構を有するシステムを示す。
図4図4は、本発明の例示的な実施例に基づく、再充填ステーションと、作用物質容器と、ディスペンス缶とを有する再充填機構でのマテリアルフローを示す。
図5図5は、本発明の例示的な実施例に基づく、再充填ステーションの受容装置を示す。
図6図6は、本発明の例示的な実施例に基づく、再充填機構のディスペンス缶の底面を示す。
図7図7は、本発明の例示的な実施例に基づく、再充填ステーションの裏面を示す。
図8図8は、本発明の例示的な実施例に基づく、再充填機構でディスペンス缶を再充填するためのメカニズムを示す。
図9図9は、本発明の例示としての実施例に基づく、作用物質と圧力媒体の分離された収容容積部を有する再充填可能なディスペンス缶の横断面図を示す。
図10図10は、本発明の例示としての実施例に基づく、再充填ステーションと、作用物質容器と、作用物質と圧力媒体の分離された収容容積部を有する再充填可能なディスペンス缶とを有する再充填機構を示す。
図11図11は、本発明の例示としての実施例に基づく、作用物質と圧力媒体の分離された収容容積部を有する再充填可能なディスペンス缶を製造する方法中のさまざまに異なる図面を示す。
図12図12は、本発明の例示としての実施例に基づく、作用物質と圧力媒体の分離された収容容積部を有する再充填可能なディスペンス缶を製造する方法中のさまざまに異なる図面を示す。
図13図13は、本発明の例示としての実施例に基づく、作用物質と圧力媒体の分離された収容容積部を有する再充填可能なディスペンス缶を製造する方法中のさまざまに異なる図面を示す。
【0040】
異なる図面の同一または類似のコンポーネントには、同じ符号が付されている。
【発明を実施するための形態】
【0041】
図面を参照して本発明の例示的な実施例を記述する前に、本発明の実施例のいくつかの一般的な側面についてさらに説明しておく。
【0042】
本発明の各実施例では、容器(たとえば20 lキャニスターや60 lドラム)からの作用物質を利用してディスペンス缶を充填又は再充填する、再充填ステーションが提供される。このディスペンス缶は、たとえば下面に充填弁を有するエアロゾル缶であってよい。さらにディスペンス缶の下面に、再充填ステーションの受容装置の相応の形状に対応する機械的なコーディングが構成されていてよい。それに加えてディスペンス缶はその上面に、作用物質又は媒体をディスペンス缶から吐出するための噴射弁を有することができる。
【0043】
充填ステーションは容器との流体接続部を有することができ、そこから作用物質が、再充填されるべきディスペンス缶へと充填される。たとえばこのような流体接続部は、再充填ステーションの容器から作用物質又は媒体をディスペンス缶へ供給するために、ホースによって構成されていてよい。このようなホースはESD減衰型(ESD=electrostatic discharge、静電放電)であるのが好ましい。特に再充填ステーションは、機械的に適合するようにコーディングされたディスペンス缶だけを相応の再充填ステーションにセットできるようにするために、機械的なコーディングを有するディスペンス缶のための受容装置または装着デバイスを有することができる。さらに受容装置には、ディスペンス缶をその充填中に受容装置で保持するために、係止部が設けられていてよい。ディスペンス缶は、ディスペンス缶と受容装置との間の適正な結合が損なわれることなしに、受容装置に対する角度位置に関わりなく、すなわち明らかにコーディングプレートの上で360°自由に、位置決め可能なように、長軸を中心として回転可能に構成されていてよいのが好ましい。任意選択として再充填ステーションは、作用物質と一緒に圧縮空気をディスペンス缶へ充填するために圧縮空気接続部を装備していてよい(圧縮空気は、たとえばどの自動車工場でも利用可能である)。充填プロセスの制御は制御デバイスによって行うことができる。たとえばディスペンス缶の充填にあたって、まず最初に作用物質、その後に圧縮媒体(たとえば圧縮空気)を送出することができる。この両者は、たとえば3方向弁によって空気圧式に制御することができる。この目的のために再充填ステーションは、作用物質を収容して定義された量の作用物質をディスペンス缶へ充填するために、シリンダ(たとえば特殊鋼シリンダまたはプラスチックシリンダ)を有するピストンを装備していてよい。
【0044】
再充填ステーションは、電気的な電位補償部に接続することができるのが好ましい。再充填のときの作用物質の摩擦が、静電気の帯電につながる可能性があるからである。たとえば棚への再充填ステーションの組付けを行うことができ、少なくとも1つの容器(たとえば、たとえば20 lの収容容積を有するキャニスター)が棚に配置されていてよい。(たとえば60 lの収容容積を有する)作用物質ドラムの上への載置部を有するように再充填ステーションを構成し、または、危険物キャビネットの中で支持荷重アダプタとして構成することも可能である。適切な電位補償をアースによって実現することができる。
【0045】
本発明の例示としての実施例では、作用物質を再充填するための変形可能なバッグと、剛性の高い缶ハウジングとバッグとの間で圧力媒体が恒久的に収容される気密に閉鎖された容積部とを有する、再充填可能なディスペンス缶を提供することができる。バッグは、一方では、吐出作業剤としての圧力媒体を利用してバッグから作用物質を放出するための放出弁を、および他方では、バッグに作用物質を再充填するための再充填弁を、装備することができるのが好ましい。このようなディスペンス缶は、圧力缶の中に恒常的にある圧力媒体を再充填する必要なしに、長い耐用期間を通じて何度でも再充填弁を通して新しい作用物質で充填できるのが好ましい。ディスペンス缶からの作用物質の放出は、利用者にとって、放出弁を単に操作することによって快適に可能となる。それにより、持続的かつ資源保全的に製造して作動させることができ、それと同時に高い利用者快適性と高い動作安全性を保証するディスペンス缶を提供することができる安全性の観点のもとで、圧縮ガスと作用物質の恒常的な分離が特別に好ましい。
【0046】
たとえば、本発明の例示としての実施例に基づくディスペンス缶は、圧縮空気と、作用物質を含むバッグとを有するエアロゾル缶として構成されていてよい。バッグは、その上面に作用物質のための放出弁を、およびその下面に作用物質の充填または再充填のための充填弁または再充填弁を、有することができる。特に下面の再充填弁に管を、好ましくはスライド可能なスリーブ等を、取り付けることができ、または取付可能であってよく、それにより、再充填弁を通して導入される媒体を、放出弁の近傍まで送ることができる。このとき、(たとえばロジスティクス営業所、サービスステーション、工場などでの)BoV型式のディスペンス缶の複数回充填が好ましい。バッグの放出又は充填のための、分離された2つの弁を有するBoVディスペンス缶が提供されるのが特別に好ましい。バッグの内部のテレスコピックホースまたはテレスコピック管が提供されるのも同じく好ましい。このことは、充填又は放出のときの作用物質の空間的に均等な配分、および、これに伴うディスペンス缶の摩擦の少ない動作を促進するからである。
【0047】
図1は、本発明の例示としての実施例に基づく、再充填ステーション100と、作用物質容器114と、ディスペンス缶104とを有する再充填機構116を示している。再充填機構116は、全面的または部分的に空の、または空になった、ディスペンス缶104に作用物質(たとえばブレーキ洗浄剤)を充填または再充填し、割り当てられた作用物質でディスペンス缶104を簡易な方式で利用者により充填できるようにするための役目を果たす。そして作用物質を使用場所で噴出することができ、または、さらに一般的にはディスペンス缶104から吐出することができる。そしてディスペンス缶104が空になった後に、または再度空になった後に、再充填機構116でディスペンス缶104を再び新しい作用物質で充填することができ、その後も同様である。
【0048】
この目的のために再充填ステーション100は、作用物質で再充填されるべきディスペンス缶104を形状接合式および流体リンク式に受容するために、ディスペンス缶アダプタとして機能する受容装置102を有している。受容装置102は、再充填されるべきディスペンス缶104の対応する機械的なインターフェースに合わせて形状が適合化された、機械的なインターフェースを有するコーディングプレートとして構成されていてよい。このようにして、機械的に適合するディスペンス缶104だけを受容装置102に取り付けることができ、このことは誤操作がほぼ起こらないようにする。図1には図示していないが、受容装置102に係止デバイスが取り付けられていてよく、この係止デバイスにより、受容装置102に取り付けられたディスペンス缶104を充填中に受容装置102で係止しておくことができる。このようにして、再充填のときディスペンス缶104に及ぼされる圧力または作用する力が、受容装置102からディスペンス缶104が意図せず外れることにつながるのを排除することができる。再充填の終了後、係止デバイスをディスペンス缶104から自動的に解放することができ、または利用者の操作によって、ディスペンス缶104を解放した状態へと移行させることができる。そして利用者は、再充填されたディスペンス缶104を受容装置102から取り外して、使用場所に持っていくことができる。
【0049】
さらに再充填機構116は、たとえばキャニスターやドラムとして再充填されるべき作用物質(たとえばブレーキ洗浄剤)で充填されていてよい作用物質容器114を有することができる。このように、作用物質容器114はディスペンス缶104へ充填されるべき作用物質を含んでおり、ディスペンス缶104を再充填するための作用物質を提供するために受容装置102と流体的にリンクされていてよく、またはリンク可能であってよい。
【0050】
ディスペンス缶104が-下記の説明を参照すべき図1のものとは異なり-圧縮媒体に恒常的に含まれているBoV(Bag-on-Valve)ディスペンス缶ではない場合、再充填機構116は、圧縮ガスを提供するために構成された、受容装置102と流体的にリンクされている、またはリンク可能である、ガスリザーバ124をさらに有することができる。このようにしてガスリザーバ124により、ディスペンス缶104へ充填するための圧縮ガス(たとえば圧縮空気)を提供することができる。たとえばガスリザーバ124は圧縮ガス配管への接続部であってよく、または、負圧のもとにあるガスが中に含まれる圧縮ガスボンベであってよい。
【0051】
図1に明示しているように、図示した実施例では3方向弁として構成された少なくとも1つの弁111が、作用物質容器114と、任意選択の圧縮ガスリザーバ124と、受容装置102との間の流体接続部を形成することができる。図示するように、受容装置102は、作用物質容器114から、受容装置102で受容されているディスペンス缶104へと作用物質を供給するための作用物質供給デバイス120と流体的にリンクされていてよい。さらに受容装置102は、ガスリザーバ124から、受容装置102で受容されているディスペンス缶104へと圧縮ガスを供給するための任意選択の圧縮ガス供給デバイス122と流体的にリンクされていてよい。たとえば少なくとも1つの弁111を制御デバイス110により制御して、まず最初に作用物質だけが少なくとも部分的に空になったディスペンス缶104に充填されてから、少なくとも1つの弁111が切り換えられて、続いて圧縮ガスだけがガスリザーバ124からディスペンス缶104に充填されるようにすることができる。それにより、事前定義された量の作用物質がディスペンス缶104に充填されることを保証することができる。作用物質容器114と受容装置102の間には、作用物質を作用物質容器114から受容装置102へ、およびそこからディスペンス缶104の中へと送出するために、たとえばポンプなどの送出デバイス113が配置されていてよい。任意選択として、ガスリザーバ124と受容装置102の間にも、たとえばコンプレッサやポンプなどの送出デバイス115が配置されていてよい。
【0052】
図1は、受容装置102にディスペンス缶104が装着される様子を矢印で示している。ディスペンス缶104の底面領域でその再充填弁162の領域に、ディスペンス缶104はたとえばRFIDタグなどのディスペンス缶トランスポンダ108を装備している。上記の底面領域で、ディスペンス缶104が受容装置102に受容される。このような無接触式に通信可能なディスペンス缶トランスポンダ108は、たとえばディスペンス缶104にラベルとして貼り付けることができ、または、缶ハウジング166の表面および/または内部に取り付け、もしくは埋め込むことができる。ディスペンス缶トランスポンダ108のソリッドステートドライブにはディスペンス缶関連データが保存されていて、これは、たとえばディスペンス缶104ならびにその中に充填されるべき作用物質を識別または特徴付けすることができ、および/またはディスペンス缶104の収容容積に関する情報、ディスペンス缶104での所望の圧縮ガス特性に関する情報、ディスペンス缶104の利用者に関する情報などを含むことができる。
【0053】
受容装置102には、ディスペンス缶104に取り付けられたディスペンス缶トランスポンダ108のディスペンス缶関連データを無接触式に読み取るためのトランスポンダ読取器具106が配置されている。トランスポンダ読取器具106は、ディスペンス缶104が受容装置102に取り付けられているときにのみ、ディスペンス缶104がトランスポンダ読取器具106の読取領域内に入るような、受容装置102の領域に配置されている。それにより、トランスポンダ読取器具106のさらに遠くの周辺領域にあるディスペンス缶104の、トランスポンダ読取器具106による誤った読取プロセスが確実に阻止されることが保証されるという利点がある。この目的のために、トランスポンダ読取器具106とディスペンス缶トランスポンダ108が通信をするベースとなるトランスポンダテクノロジーは、たとえば10cm以下、特に5cm以下の到達範囲を有する短到達範囲トランスポンダテクノロジーとして構成されていてよい(たとえば短到達範囲RFIDテクノロジーとして)。それに伴い、ディスペンス缶トランスポンダ108のディスペンス缶関連データをトランスポンダ読取器具106により、ディスペンス缶104が受容装置102に取り付けられているときにのみ選択的に読み出すことができる。読み出されたデータは、トランスポンダ読取器具106から制御デバイス110に供給することができ、または、再充填ステーション100の図示しない電子式の大容量メモリに保存することができる。
【0054】
作用物質容器114も、作用物質容器トランスポンダ112が付与されていてよく(図示せず)、またはこれと関係付けられるのが好ましい。作用物質容器トランスポンダ112のソリッドステートメモリには、作用物質容器トランスポンダ112が-図示するように-再充填ステーション100のハウジング130に取り付けられているときにトランスポンダ読取器具106により選択的に読出可能である作用物質容器関連データが保存される。トランスポンダ読取器具106による作用物質容器トランスポンダ112の読出可能性を可能にするために、または簡易にするために、作用物質容器トランスポンダ112は、作用物質容器114から定義されたとおりに分離可能なラベル132として構成されていてよい。たとえばラベル132は、作用物質容器トランスポンダ112を装備する接着ラベルとして構成されていてよく、これを利用者はたとえばキャニスターとして構成される作用物質容器114から分離し、そのために意図されるハウジング130の(たとえば相応に識別表示がなされた)位置に貼り付けることができる。このような取り付けまたは貼り付けによって、またはその代替として提示によって、作用物質容器トランスポンダ112をトランスポンダ読取器具106の可読距離内に入れることができ、それにより、作用物質容器関連データをトランスポンダ読取器具106によって読み出すことができる。作用物質容器トランスポンダ112も、定義された利用者行為によって初めてトランスポンダ読取器具106の可読距離内へ移行されてから、作用物質容器関連データがトランスポンダ読取器具106によって検出できることによって、誤った作用物質容器関連データの読み出しに対する確実な防護が提供される。たとえば作用物質容器関連データは、作用物質容器114の中の作用物質に関する情報、作用物質容器114の中の充填量または残存充填量に関する情報、当該作用物質に適したディスペンス缶104または再充填ステーション100に関する情報などを含むことができる。
【0055】
制御デバイス110は、トランスポンダ読取器具106からこれに提供されるディスペンス缶関連データと作用物質容器関連データとを評価して、たとえばそれらの適合性をチェックすることができる。特に制御デバイス110は、トランスポンダ読取器具106によって読み出されたデータから、作用物質容器114により提供される作用物質が、受容装置102で受容されているディスペンス缶104に適合するか否かを判定することができる。このようにして動作安全性を高めることができる。たとえば危険な(たとえばベンジンを有し、したがって発火の危険がある)作用物質に適さないディスペンス缶104が使用されるのを排除することができるからである。これに準ずる方式で、許容されない出所を起源とする作用物質が、ディスペンス缶104の再充填のために許容されることも排除することができる。利用者がディスペンス缶104の形状を不正操作して、受容装置102と流体的にリンクされている作用物質容器114の不適合性に関わりなく受容装置102に組み付けようとした場合でさえ、ディスペンス缶トランスポンダ108の読み出しによって、そのことを制御デバイス110により認識することができる。したがって、特定の作用物質に適さないディスペンス缶104の充填を、上述したトランスポンダ・コンフィグレーションによって確実に回避することができる。それにより、再充填機構116を使用するときの高い動作安全性を実現することができる。ディスペンス缶関連データと作用物質容器関連データが一致を示している場合、再充填プロセスが制御デバイス110によってリリースまたは許容され、それ以外の場合には再充填プロセスが阻止されて許容されない。
【0056】
図1は、制御デバイス110を用いて再充填機構116をユーザー側で制御するためのソフトウェアアプリを有するユーザー端末機134が、通信可能にリンクされていることをさらに示している。ユーザー端末機134は、たとえば通信ネットワーク117(たとえば移動無線ネットワークや公共のインターネット)を介して再充填ステーション100の通信インターフェース119とワイヤレス式に通信可能にリンクされていてよい移動無線機であってよい。このようにして利用者は、離れた位置からでも制御コマンドを再充填機構116に伝送することができ、または、再充填機構116の動作時に監視を行うことができる。
【0057】
さらに図1に示すように再充填ステーション100は、たとえばディスペンス缶関連データ、作用物質容器関連データ、および/または利用者についての情報などの情報を表示するための表示デバイス118を有している。たとえば表示デバイス118は、LCD表示器またはタッチスクリーンとして構成されていてよい。再充填プロセスの前、途中、および/または後に、表示デバイス118によって付属の情報を表示デバイス118で利用者に表示することができる。
【0058】
図1に示す再充填ステーション100は、再充填プロセスの前および/または再充填プロセスの途中に受容装置102でのディスペンス缶104の重量またはこれについて指標となる重量情報を検出するために、たとえば天秤として構成される秤126を有することができるのが好ましい。再充填プロセスの前のディスペンス缶104の重量検出は、場合により存在する作用物質および/または圧縮ガスによるディスペンス缶104の残存充填量を定性的または定量的に判定し、続いて実行されるべき再充填プロセスを相応に適合化または実行することを可能にする場合により存在するディスペンス缶104の残存充填量が再充填前に考慮されることで、ディスペンス缶104の過剰充填を回避することができる。再充填プロセスの途中に、再充填されるべきディスペンス缶104の重量増加を監視して、場合により生じる過剰充填や過小充填を回避することも可能である。したがって、秤126による重量検出の結果の提供を受けることができる制御デバイス110は、検出された重量をベースとして、作用物質でのディスペンス缶104の再充填を制御するように構成されていてよい。
【0059】
秤126は、ディスペンス缶104と、ディスペンス缶104の中の作用物質の残存充填量と、再充填ステーション100の一部(特に受容装置102の少なくとも1つの部分)との合計重量について指標となる合計重量情報を、再充填プロセスの前および/または再充填プロセスの途中に検出するために構成されていてよいのが好ましい。そして制御デバイス110により、検出された合計重量情報をベースとして、作用物質でのディスペンス缶104の再充填を制御することができる。すなわち、ディスペンス缶104の重量だけを的確に検出することが不要になり得るという利点がある。前述した合計重量を単に検出することも可能であり、測定技術的には大幅に簡易である。その場合、重量決定プロセス中にディスペンス缶104と受容装置102とを分離することが不要になるからである。ディスペンス缶104が受容装置102に取り付けられる前に、ディスペンス缶104なしでの受容装置102の空重量が検出されることによって、受容装置102へのディスペンス缶104の取付後に秤126によって合計重量が決定されたときに、ディスペンス缶重量から区別される合計重量の残存重量を計算で差し引くことができる。
【0060】
すでに説明したとおり、再充填されるべきディスペンス缶104が受容装置102へ取り付けられた後に、制御デバイス110により、作用物質でのディスペンス缶104の再充填を許容することができるのは、トランスポンダ108,112によって判定されたデータが、再充填のために受容装置102に取り付けられたディスペンス缶104と、接続された作用物質容器114から提供される作用物質との適合性を示している場合に限られる。
【0061】
その代替または補足として、作用物質でのディスペンス缶104の再充填の許容は、検出デバイス138で検出された作用物質が、事前決定された許容性基準を充足するかどうかに依存して決めることができる。許容性基準として、供給デバイス120で送出されている作用物質が、ディスペンス缶104について許容される作用物質であるか否か、および/または供給デバイス120で検出された作用物質が、ディスペンス缶104について許容されると見なされる作用物質由来を充足するか否かを適用することができる。
【0062】
図1に示すように、作用物質容器114から作用物質を供給するための作用物質供給デバイス120の検出デバイス138によって、ディスペンス缶104の再充填時に、たとえばホースとして構成される供給デバイス120を通る作用物質を特徴付けるため、および/または識別するための役目を果たす測定を実行することができる。このようにして、1つまたは複数の事前決定された許容性基準に反してディスペンス缶104の再充填に使われようとしている作用物質を認識することができる。
【0063】
たとえばディスペンス缶104の再充填のために使用許可されている作用物質に工場側で、たとえば蛍光マーカーやDNAマーカーなどの光学的に認識可能なマーカーを付与することができる。このようにして、たとえば特定のディスペンス缶104への再充填のために使用許可されている、および/または必要な品質基準を充足している、作用物質を識別表示することができる。そのような作用物質が供給デバイス120を通して送出されているとき、送出中に検出デバイス138によって、当該作用物質が事前決定された許容性基準を充足するか否かを、好ましくは光学式に検出することができる。たとえば作用物質でのディスペンス缶104の充填の許容性は、予期される蛍光信号を検出デバイス138によって光学的に検出できることに依存して決めることができる。
【0064】
検出デバイス138によって検出される、事前決定された許容性基準について指標となるデータを、制御デバイス110に供給することができる。そして制御デバイス110は、検出デバイス138で検出された作用物質が事前決定された許容性基準を充足するか否かに依存して、作用物質でのディスペンス缶104の再充填を許容または拒否することができる。たとえばある作用物質をディスペンス缶104の充填のために許容することができるのは、たとえば特定の作用物質を示す、および/または許容される出所(たとえば特定の製造者)への作用物質の帰属性を示す、相応の予期される蛍光マーカーが作用物質に含まれている場合に限られる。このように、事前決定された許容性基準をチェックすることは、作用物質の高い品質と、ディスペンス缶104との組み合わせにおける作用物質の動作安全性とを保証する。
【0065】
図示した実施例では、検出デバイス138は、再充填されるべき作用物質の事前決定された光学的な信号特性を検出するための光学式の検出デバイスとして構成されている。前述した信号特性の存在は、その作用物質が事前決定された許容性基準を充足することを示している。このとき検出デバイス138は、ホース又は供給デバイス120の中の作用物質を、好ましくは供給デバイス120を通る流動中に検出できるという利点がある。ディスペンス缶104を再充填するための作用物質候補の信号特性を検出デバイス138が判定すると、この信号特性を評価のために制御デバイス110へ伝送することができる。そして制御デバイス110は、たとえば判定された実際信号特性と予期される目標信号特性との間の比較をベースとして、信号特性が事前決定された許容性基準の充足を示しているか否かを決定することができる。そしてこのような検査の結果に依存して、制御デバイス110は、作用物質でのディスペンス缶104の再充填を許容するか否かの措置を講じることができる。
【0066】
作用物質が許容性基準を充足しないことを、検出された信号特性が示している場合、制御デバイス110は、作用物質でのディスペンス缶104の再充填を阻止するための阻止デバイス140を作動させることができる。たとえば阻止デバイス140は、柔軟なホースとして構成される供給デバイス120を押し潰して、作用物質が供給配管120を通過できなくなるようにすることができる。その代替として阻止デバイス140は、流体配管として構成される供給デバイス120の中に硬化可能な接着剤を入れることができ、この接着剤が供給配管120を化学的に閉止して、供給配管120を通る作用物質の導通を不可能にする。
【0067】
ディスペンス缶104はその内部に作用物質と圧縮ガスとの混合物を有することができ、操作ノズル121が操作されると、作用物質・圧縮ガス・混合物がたとえばエアロゾルとして、ディスペンス缶104から吐出又は噴出される。このケースではディスペンス缶104の再充填のために、新しい作用物質だけでなく新しい圧縮ガスも必要である。
【0068】
その代替としてディスペンス缶104は、図1に示すように、特別にコンフィグレーションされたバッグオンバルブ・ディスペンス缶として構成されていてよい。図1に示す再充填可能なディスペンス缶104は作用物質を放出するための役目を果たすものであり、その内部に、作用物質を収容するための変形可能なバッグ160を有している。バッグ160は、たとえばプラスチックや金属フォイルで製造することができる。バッグ160はその下面で、再充填弁162と流体密に結合されている。再充填弁162は受容装置102へ液密に装着することができ、それによって再充填ステーション100と流体的にリンクして、作用物質容器114からの作用物質でバッグ160を充填または再充填することができる。これに加えてバッグ160はその上面で、バッグ160から作用物質を利用者が定義したとおりに噴射するための放出弁164と結合されている。操作ノズル121は放出弁164に装着することができ、操作ノズル121の操作によって放出弁164を開き、それによって作用物質をバッグ160からスプレーの形態で吐出する。
【0069】
さらに図1のディスペンス缶104は、バッグ160を収容する硬質な缶ハウジング166を有していて、これに対して再充填弁162と放出弁164とが下面又は上面に露出している。換言すると、放出弁164は頭部側で、および再充填弁162は底面側で、硬質な缶ハウジング166から突出する。缶ハウジング166は、たとえば硬質な金属ハウジングであってよい。圧縮ガスは、バッグ160と缶ハウジング166との間の中間容積部168で流体密に包囲されていてよく、ディスペンス缶104から漏れ出ないように防護されていてよい。このように圧縮ガスにとって、再充填弁162および/または放出弁164を通って漏れ出ることは不可能である。すなわち作用物質が放出弁164を通って噴射されるとき、作用物質は圧縮ガスとは混合されない。圧縮ガスは中間容積部168の中に、すなわちディスペンス缶104の中に、とどまるからである。それにより図1に示すディスペンス缶104では、圧縮ガスの再充填も不要である。中間容積部168への圧縮ガスの充填は、たとえば弁162,164のうちの一方を通して、および/または缶ハウジング166のその他の弁を通して(図示せず)、工場側で行うことができる。
【0070】
図2は、本発明の例示としての実施例に基づく再充填ステーション100を作動させる方法を表すフローチャート200を示している。
【0071】
再充填ステーション100を作動させる方法は、再充填ステーション100が本方法の実施の準備を完了していることを示すブロック202で開始される。このことは、表示デバイス118で表示することができる。
【0072】
ブロック204で、再充填されるべきディスペンス缶104の、秤126によって検出された重量が、事前決定された範囲内で安定しているかどうかがチェックされる。
【0073】
それが該当する場合、ブロック206で、トランスポンダ読取器具106によってディスペンス缶トランスポンダ108が読み出される。さらにトランスポンダ読取器具106により、作用物質容器トランスポンダ112を読み出すことができる。
【0074】
ブロック208で、ディスペンス缶104へ充填されるべき作用物質又は媒体が許容されるかどうか判定される。それが該当しない場合、本方法は、それが誤ったディスペンス缶104であると推定する。ブロック210を参照。このことは、表示デバイス118で表示することができる。
【0075】
それに対して上記が該当する場合、ブロック212で、再充填されるべきディスペンス缶104の中の作用物質の残存量が決定される。次いでポンプ113をオンに切り換えて、ディスペンス缶104の補充のために作用物質を送出することができる(ブロック214)。
【0076】
充填物質によるディスペンス缶104の補充の後、ディスペンス缶104に再充填された作用物質の量が適合しているかどうかを(たとえば秤126によって)判定することができる。ブロック216を参照。それが該当しない場合、本方法はブロック214およびブロック216の手順を繰り返す。
【0077】
それに対して上記が該当する場合、本方法はブロック218で作用物質による充填量を決定し、全体充填量を合算する。ブロック220で、このことを表示デバイス118で利用者に表示することができる。
【0078】
そして任意選択のブロック222で、ポンプ115又はコンプレッサをオンに切り換えて、圧縮ガスをディスペンス缶104に充填することができる。
【0079】
ブロック224で、再充填されたディスペンス缶104の中の圧力が適合しているかどうかチェックされる。それが該当しない場合、ブロック222およびブロック224の手順がチェックされる。
【0080】
逆に上記が該当する場合には作動方法が終了する。ブロック226を参照。表示デバイス118で相応の情報を表示することができる。音響信号(たとえばブザーによって生成される)が、作動方法の終了を表示することができる。
【0081】
上述した充填の進行手順に追加して、充填前に圧力パルスを用いて、ディスペンス缶104が受容装置102の上で正しく装着されているかどうかを検知することが可能である。さらに充填の後に、通信可能にリンクされたノードへのデータ伝送が可能である。作用物質容器114(たとえばドラムやキャニスター)が空であるかどうかを検知することも可能である。このことは、たとえばディスペンス缶104の充填時に、そのような作用物質容器114の重量推移を監視することによって可能である。
【0082】
図3は、追加注文デバイス123と通信可能にリンクされた、本発明の例示としての実施例に基づく複数の再充填機構116を有するシステムを示している。
【0083】
図3のシステムでは、上で説明した構成要件を有する複数の再充填機構116が、ノード121(たとえばゲートウェイ)と通信可能にリンクされている。ノード121は、通信ネットワーク117を介して追加注文デバイス123とリンクされている。(たとえば作用物質を含む作用物質容器114の残存充填量が事前決定された閾値を下回っていることからして)作用物質容器114がまもなく空になるであろうことを再充填機構116の制御デバイス110および/または秤126が認識すると、その情報をノード121および通信ネットワーク117を介して追加注文デバイス123に伝送することができ、それにより、作用物質を含む新しい作用物質容器114の追加注文がリリースされる。
【0084】
図3では、作用物質に関わる消費データをたとえばカンバンシステムに伝送することができる。伝送されるデータは、それぞれの再充填機構116の識別子、ディスペンス缶104の識別子、日付と時間、ならびに作用物質、および消費および/または追加注文された作用物質の量を含むことができる。図示するように、ノード121は複数の再充填機構116に共通するゲートウェイとして機能することができる。ソフトウェアおよび特にファームウェアを、再充填機構116、ノード121、および/または追加注文デバイス123にインストールすることができる。
【0085】
図4は、本発明の例示としての実施例に基づく、再充填ステーション100と、作用物質容器114と、ディスペンス缶104とを有する再充填機構116におけるマテリアルフローを示している。
【0086】
作用物質は、作用物質容器114から再充填ステーション100の供給デバイス120を経て、そこから、カバー135を上に開いた後に受容装置102に組み付けられるディスペンス缶104へと移送することができる。圧縮ガスは、圧縮ガスリザーバから再充填ステーション100の供給デバイス122を経て、そこから、受容装置102に組み付けられたディスペンス缶104へと移送することができる。ディスペンス缶104がBoVディスペンス缶である場合、圧縮ガスの再充填は不要である。
【0087】
図5は、本発明の例示としての実施例に基づく再充填ステーション100の受容装置102を示している。
【0088】
図6は、本発明の例示としての実施例に基づく再充填機構116の、図5の受容装置102に組み付けられるべきディスペンス缶104の底面を示している。
【0089】
受容装置102には、ディスペンス缶104の底面領域133を受容するためのコーディングプレート129が形成されている。コーディングプレート129は、ディスペンス缶104の底面領域133(図6参照)に対して機械的に相補的に構成されている。コーディングプレート129は、図4に示すフラップまたはカバー135を上方に向かって開くことによって露出させることができる。コーディングプレート129の中央領域に流体接続部137が示されていて、これをディスペンス缶104の再充填弁162と流体的にリンクさせることができ、それは、この流体接続部137によって作用物質および/または圧縮ガスを、再充填弁162を通してディスペンス缶104に再充填するためである。
【0090】
コーディングプレート129にディスペンス缶104が組み付けられた後、ディスペンス缶104をコーディングプレート129でロックするためのロックデバイスを操作して、再充填プロセス中に受容装置102からディスペンス缶104が意図せず外れるのを防止することができる。再充填プロセスの終了後、ディスペンス缶104を受容装置102からロック解除して取り出すことができる。
【0091】
図7は、本発明の例示としての実施例に基づく再充填ステーション100の裏面を示している。特に図7には、供給デバイス120,122の各区域が示されている。
【0092】
図8は、本発明の例示としての実施例に基づく再充填機構116でディスペンス缶104を再充填するためのメカニズムを示している。上記のメカニズムは事前決定されたサイズのピストンとシリンダを含んでおり、それにより適切な圧力によって、調量されるべき充填量を定義可能である。
【0093】
図9は、本発明の例示としての実施例に基づく、作用物質(たとえばブレーキ洗浄剤)と圧力媒体(たとえば周囲圧力に比べて過圧にされた空気)との分離された収容容積部を有する、再充填可能なディスペンス缶104(ここではスプレー缶として構成されている)の横断面図を示す。
【0094】
すなわち、図示している再充填可能なディスペンス缶104は、再充填可能な好ましくは液体の作用物質を放出するための役目を果たし、この目的のために、作用物質を収容するための変形可能なバッグ160を有している。バッグ160は、たとえば金属フォイルまたはプラスチックフォイルで製作されていてよく、作用物質で充填されたときに展開されて、その際に変形することができる。バッグ160から作用物質が空になった後、バッグはたとえば収縮することができ、または折り畳まれることができる。バッグ160が充填されること、又は空になることは、ディスペンス缶104の内部での圧力状況によって、および弁162,164の動作によって、あとで詳しく説明するとおり制御することができる。
【0095】
ディスペンス缶104はその下面に、作用物質でバッグ160を再充填するために再充填ステーション100と接続するために、バッグ160と結合された再充填弁162を有している。このような再充填ステーション100は、たとえば図1(ただしガスリザーバ124は必要なくなる)または図10との関連で説明したように構成されていてよい。厳密に言うと、作用物質でバッグ160を再充填するために、ディスペンス缶104の下面を再充填ステーション100の受容装置102に形状接合式に装着することができ、それにより、作用物質が作用物質容器114から受容装置102を通って、および再充填弁162を通って、バッグ160の中へと送出される。
【0096】
これに加えてディスペンス缶104はその上面に、バッグ160から作用物質を利用者が定義したとおりに放出するためにバッグ160と結合された放出弁164を有している。ディスペンス缶104がスプレー缶としてコンフィグレーションされる場合、噴出ヘッドとして構成される、放出弁164の上の放出デバイス170を利用者によって操作して、以下に説明する圧力状況に基づき、バッグ160から放出弁164および放出デバイス170を通してディスペンス缶104から噴出させることができる。これ以外の放出デバイス170も代替として可能である。
【0097】
再充填弁162はディスペンス缶104の下面に配置されるのが好ましく、それにより、ディスペンス缶104を直感的かつ安定的に再充填ステーション100の受容装置102の上に装着可能である。その逆に図9の放出弁164はディスペンス缶104の上面に配置されており、それにより、利用者はディスペンス缶104の上面にある放出デバイス170を簡易な方式で操作して、作用物質をディスペンス缶104から出すことができる。
【0098】
バッグ160と弁162,164の間の流体接続を保証するために、再充填弁162と放出弁164はいずれも、たとえば金属フィルムとして構成されるバッグ160に溶接され、またはその他の方式で流体密に取り付けることができる。
【0099】
さらにディスペンス缶104は、たとえば適当に成形された金属板で製作されていてよい、バッグ160を収容して全面で取り囲む硬質の缶ハウジング166を有している。缶ハウジング166は実質的に中空円筒状に構成されており、底面側に凹面状の湾入部157を有している。それにより、床面の上でのディスペンス缶104の安定性を改善することができる。さらに湾入部157は、変形に対するディスペンス缶104の機械的な耐久性を改善する。これに加えて湾入部157は、缶ハウジング166から突き出す再充填弁162の端部区域が機械的な影響から防護されて湾入部157に配置され、それにもかかわらず、受容装置102との流体的なリンクのために露出するという利点がある。図9に示すように、再充填弁162が下面で、および放出弁164が上面で、缶ハウジング166に対して露出しており、したがって外部からアクセス可能である。
【0100】
圧力媒体は、たとえば大気圧を上回る過圧(たとえば1.5バールから4バールの範囲内)になっている圧縮空気であり、バッグ160と缶ハウジング166の間の気密に閉鎖された容積部168に充填されるのが好ましい。再充填弁162又は放出弁164を通って漏出することが、圧力媒体には不可能なっている。それにより圧力媒体は恒常的に容積部168の中にとどまり、そこでバッグ160の中の作用物質に予圧を及ぼすための作業媒体として機能することができる。
【0101】
たとえばバッグ160と缶ハウジング166の間に圧力媒体を工場側で充填するために、放出弁164を通して圧力媒体を充填することができる(そのために、特にあとで詳しく説明する分配管172を併用することができ、そのために分配管を下側で一時的に再充填弁162から分離することができ、図9とは異なり、必要に応じて下側でバッグ160から突出させることができる)。容積部168への圧力媒体の工場側での充填は、たとえば缶ハウジング166にある別個の別の弁を介して行うこともできる(図示せず)。
【0102】
作用物質および圧力媒体に対して不透過性であるバッグ160の材料により、バッグ160の中の作用物質と、バッグ160と缶ハウジング166の中の圧力媒体とが、柔軟なバッグ160によって互いに圧力結合又は力結合しているが、それに対して、作用物質と圧力媒体の間の直接的な物理的接触は排除される。すなわち圧力媒体は、作用物質と物理的には接触していないが、これと圧力結合される。作用物質と圧力媒体の空間的な分断に基づき、ディスペンス缶104の動作安全性が改善される。作用物質と圧力媒体の間のいかなる化学的な相互作用も阻止されるからである。それによってさらに、作用物質がディスペンス缶104から吐出されるときに、圧力媒体がディスペンス缶104から漏出しないように防護される。それにより、ディスペンス缶104への作用物質の補充のときに、ディスペンス缶104への圧力媒体の補充が不要となるのがきわめて好ましい。作用物質での補充後、再充填された作用物質を圧力負荷するために、同一の圧力媒体を以前と同じように利用できるからである。
【0103】
さらに図9は、下面で再充填弁162に外嵌された、バッグ160の中の分配管172を示している。分配管172は上面では、放出弁164と固定的に結合されている。このようなコンフィグレーションに基づき、たとえば作用物質容器114から来て再充填弁162を通ってディスペンス缶104の中に送出される作用物質が、まず分配管172の内径に送出され、次いで、パーフォレーションのある分配管172の多数の側壁開口部174を通ってバッグ160の内部に達する。これに準ずる方式で、放出弁164を通ってディスペンス缶104から吐出されるべき(たとえば噴射または噴霧されるべき)バッグ160からの作用物質は、バッグ160から側壁開口部174を通して分配管172の中へ、およびそこから放出弁164と放出デバイス170を通してディスペンス缶104の周囲へと送出される。このように側壁開口部174は、分配管172の内部とバッグ160の収容容積部との間に、作用物質のための貫通部176を形成する。このことは、作用物質の再充填のときにこれがそれぞれ異なる高さレベルで時間的に並行してバッグ160に充填されるという利点があり、このことは、特に収縮した、または折り畳まれたバッグ160のもとでの再充填を簡易化する。これに準ずる方式で作用物質の放出のとき、これを多数の貫通部176を通して同時にまず分配管172の中へ、およびそこから放出弁164を通して案内することができ、このことは、バッグ160がいっそう均等に空になっていくことにつながる。分配管172は、軸方向と径方向で互いにオフセットされた複数の側壁開口部174を有するのが好ましく、それにより、いっそう均等な作用物質移送が軸方向でも径方向でも惹起される。多数の側壁開口部174を有する、パーフォレーションのある分配管172がディスペンス缶104の内部に配置されることで、バッグ160を充填することだけでなく、空にすることもいっそう均等に行うことができる。特に、作用物質吐出によってバッグ160が急激に空になっていくとき、パーフォレーションのある分配管172により、バッグ160に皺が寄って補充を困難にすることが回避されることが明らかである。
【0104】
分配管172は、分配管172の長さ補正を可能にするためのテレスコピックメカニズムを有することができるのが好ましい。互いに結合され、それぞれ異なる有効長さへ移行可能な、互いに内外に配置される複数の管区域で分配管172が構成されていてよいことが明らかである。バッグ160が展開するとき/折り畳まれるとき、又は膨張するとき/収縮するとき、分配管172をその長さに関してバッグ160に合わせて自動的に適合化することができ、それにより、ディスペンス缶104を作動時に損傷から確実に防護することができる。
【0105】
再充填弁162の上に分配管172を単に外嵌することにより、ならびに、分配管172のテレスコピック式のコンフィグレーションにより、ディスペンス缶104の各コンポーネントが作動時に機械的に負荷軽減され、それは、これらのコンポーネントの間で限定的な補正が定義された方式で許容されるからである。
【0106】
放出弁164は、たとえばBoV(Bag on Valve)弁であってよく、これを通して圧力媒体(特に圧縮空気、またはプロパン又はブタン)での容積部168の1回だけの充填も行うことができる。再充填弁162としては、たとえばねじ込み可能な媒体弁を利用することができる。再充填弁162は、シール材161(たとえばOリング)によって缶ハウジング166の下面に取り付けられていてよい。
【0107】
図10は、本発明の例示としての実施例に基づく、再充填ステーション100と、作用物質容器114と、作用物質と圧力媒体との分離された収容容積部を有する再充填可能なディスペンス缶104とを備えた再充填機構116を示している。
【0108】
図10に示す再充填機構116はその再充填ステーション100に、たとえば図5に示すように構成されていてよい、作用物質で再充填されるべきディスペンス缶104を受容するために構成されていてよい受容装置102を有している。さらに再充填ステーション100は、作用物質でのディスペンス缶104の再充填を制御するための、たとえば図1に示すように構成されていてよい、たとえばプロセッサとして構成される制御デバイス110を含んでいてよい。ディスペンス缶104(たとえば図9に示すように構成される)は、受容装置102に取り付けることができる。これに加えて図10では、再充填されるべき作用物質を含む2つの異なる作用物質容器114が、ディスペンス缶104を再充填するための作用物質を提供するために、流体的に供給デバイス120を介して受容装置102とリンクされていてよい。たとえば流体弁159により、それぞれの作用物質容器114を選択することができる。
【0109】
選択された作用物質容器114から、再充填ステーション100およびその受容装置102を通してディスペンス缶104のバッグ160の内部に再充填が再充填されている間に、補充の結果として伸長しているバッグ160と、ディスペンス缶104の硬質の缶ハウジング166との間の容積部にある圧縮ガスが圧力負荷され、又はいっそう高い圧力になる。すなわち、ディスペンス缶104から作用物質が空になる前には過圧のもとにあった、作用物質の放出およびその結果として生じるバッグ160の収縮によって圧力低下のもとで部分的に弛緩している圧縮ガスを、再充填プロセスによって自動的に再び高い過圧にすることができ、再充填された作用物質を吐出するときにこれを送出圧力として利用可能である。したがって部分弛緩した圧縮ガスを再活性化するために、補充のリリースの範囲を超える利用者行為が不要になるという利点がある。
【0110】
図11から図13は、本発明の例示としての実施例に基づく、作用物質と圧力媒体の分離された収容容積部を有する再充填可能なディスペンス缶104を製造する方法中の、さまざまな図面を示している。
【0111】
図11を参照すると、分配管172およびこれに予備組付けされた放出弁164が、缶ハウジング166の収容容積部に挿入される。図11では、分配管172が下側で開いており、折り畳まれたバッグ160により円周に巻き付けられており、それにより、バッグ160が分配管172を含めて缶ハウジング166の中に挿入される。図12は、図11に示す組立手順の結果を示している。図13を参照すると、缶ハウジング166の下面に再充填弁162が取り付けられ、たとえばねじ止めされる。このとき再充填弁162を、分配管172の下面に外嵌することができる。
【0112】
図11から図13には図示しない容積部168の中に、特に放出弁164および分配管172によって、圧縮ガスが1回だけ充填される。分配管172が再充填弁162に取り付けられた状態にあるとき、再充填弁162を通して作用物質を充填することができ、これがバッグ160を図11の折り畳まれた状態から、折り目を開いた膨張状態へと移行させる(図9参照)。バッグ160の周囲で、圧縮された圧力媒体がバッグ160の中の作用物質に対して圧力を及ぼす。この圧力が、放出弁164から作用物質が放出されるときに利用される。
【0113】
補足として指摘しておくと、「有する」は他の部材や工程を排除するものではなく、不定冠詞の「eine」や「ein」は複数を排除するものではない。さらに指摘しておくと、上記の各実施例のうちの1つを援用して説明した構成要件または工程は、上記で説明した他の実施例の他の構成要件または工程との組み合わせでも適用することができる。特許請求の範囲における符号は、限定と見なされるべきものではない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
【国際調査報告】