(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-24
(54)【発明の名称】フィルタープレス型の電気分解装置用電解槽ユニット
(51)【国際特許分類】
C25B 9/60 20210101AFI20240517BHJP
C25B 9/73 20210101ALI20240517BHJP
【FI】
C25B9/60
C25B9/73
【審査請求】有
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2023567117
(86)(22)【出願日】2022-04-25
(85)【翻訳文提出日】2023-12-26
(86)【国際出願番号】 EP2022060919
(87)【国際公開番号】W WO2022229112
(87)【国際公開日】2022-11-03
(31)【優先権主張番号】202110479725.3
(32)【優先日】2021-04-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202120941513.8
(32)【優先日】2021-04-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523411721
【氏名又は名称】ジョン コッカリル ハイドロジェン ベルギー
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【氏名又は名称】森本 有一
(72)【発明者】
【氏名】リュック バン エー
(72)【発明者】
【氏名】セバスチャン ボルゲ
(72)【発明者】
【氏名】ピエール バナスザク
【テーマコード(参考)】
4K021
【Fターム(参考)】
4K021CA01
4K021CA15
4K021DB04
4K021DB47
4K021DC03
(57)【要約】
第1の中間端部プレート(20)と第2の中間端部プレート(30)との間に積層軸(Oy)に沿って互いに保持された複数の電解セル(10)を備え、第1の中間端部プレート(20)は第1の滑らかな孔(23.1~23.12)を含み、第2の中間端部プレート(30)は第2の滑らかな孔(33.1~33.12)を含む、電解槽ユニット(1)。タイロッド(40.1-40.12)。電解槽ユニットを含む電気分解装置。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の中間端部プレート(20、120、220)と第2の中間端部プレート(30、130、230)との間の積層軸(Oy)に沿って、互いに保持された複数の電解セル(10、110、210)を備える電解槽ユニット(1、101、201)であって、
前記第1の中間端部プレート(20、120、220)は、前記積層軸(Oy)に実質的に直交する軸に沿って開口する第1の端部(24.1~24.12)を有する第1の滑らかな孔(23.1~23.12)を含み、
前記第2の中間端部プレート(30、130、230)は、前記積層軸(Oy)に実質的に直交する軸に沿って開口する第2の端部(34.1~34.12)を有する第2の滑らかな孔(33.1~33.12を含む、電解槽ユニット(1、101、201)。
【請求項2】
前記第1の中間端部プレート(20、120、220)は、第1の電気接続ポート(28)を有する前記複数の電解セル(10、110、210)のアノード(12)の第1の電気接続部(27)を含み、
前記第2の中間端部プレート(30、130、230)は、第2の電気接続ポート(38)を有する前記複数の電解セル(10、110、210)のカソード(13)の第2の電気接続部(37)を含む、
請求項1に記載の電解槽ユニット(10、110、210)。
【請求項3】
中間タイロッド(40.1)であって、
第1の端部(42.1)に、第1の滑らかなシャフト(48.1)が第1の軸(O48.1)に沿って突出する第1のヘッド(43.1)が設けられた本体(41.1)を備え、該本体(41.1)は、第2の端部(44.1)に、第2の滑らかなシャフト(57.1)が第2の軸(O57.1)に沿って突出する第2のヘッド(45.1)を備え、前記中間タイロッド(40.1)は、該中間タイロッド(40.1)に張力をかけるための第1の張力手段(50.1)を備える、
中間タイロッド(40.1)。
【請求項4】
前記第1の張力手段(50.1)は、前記第1のヘッド(43.1)の第1のねじ部(46.1)及び前記本体(41.1)の第2のねじ部(52.1)と係合するねじ付きブッシュ(50.1)を含む、請求項3に記載の中間タイロッド(40.1)。
【請求項5】
前記本体(41.1)は第1のホイストリング(67.1)を含む、請求項3又は4に記載の中間タイロッド(40.1)。
【請求項6】
前記本体(41.1)がホイストケーブルを受容するように配置された切り欠き(63.1、66.1)を含む、請求項3~5の何れか一項に記載の中間タイロッド(40.1)。
【請求項7】
前記第1のヘッド(43.1)が、前記第1の軸(O48.1)に実質的に平行な軸に沿って延びる第1の穿孔(54.1、55.1)を含む、請求項3~6の何れか一項に記載の中間タイロッド(40.1)。
【請求項8】
請求項1又は2に記載の電解槽ユニットであって、少なくとも第1の電解槽ユニット(10)及び第2の電解槽ユニット(110、210)を備える電解槽ユニットを含む、電気分解装置(1000)であって、
前記電解槽ユニットは、第1の端部プレート(80)と第2の端部プレート(81)との間で積層軸(Oy)に沿って互いに保持され、前記第1の端部プレート(80)及び前記第2の端部プレート(81)は少なくとも1つのメインタイロッド(82.1~82.4)によって互いに接続される、電気分解装置(1000)。
【請求項9】
前記第1の電解槽ユニット(10)と前記第2の電解槽ユニット(110、210)とは、電気的に直列に接続される、請求項8に記載の電気分解装置(1000)。
【請求項10】
前記第1の電解槽ユニット(10)と前記第2の電解槽ユニット(110、210)は電気的に並列に接続される、請求項8に記載の電気分解装置(1000)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気分解装置の分野に関し、より詳細には、複数の電解セルを積層することによって構成される「フィルタープレス」型の電気分解装置の分野に関する。一例として、このような電気分解装置は水素を製造するためのものである。
【背景技術】
【0002】
従来、電気分解装置は、複数のメインタイロッドによって互いに接続された2つの端部プレート間で互いに積層軸に沿って延在する複数の電解セルを備える。封止ガスケットは複数の電解セルの各々の間に配置され、メインタイロッドに張力をかけることは複数の電解セル間の電解質及びガスの流体流を封止するようにガスケットを圧縮する働きをする。大容量電気分解装置は数100個の電解セルを含むことができ、電気分解装置が使用されるべき場所にそれらを1つずつ組み立てることは実用的ではない。したがって、電気分解装置を、工場で作られ、それぞれが複数の電解セルを備える複数の電解槽ユニットに細分化することが知られている。次いで、これらの電解槽ユニットは、2つの端部プレート間で互いに対して現場で組み立てられ、メインタイロッドを使用して押し付けられる。
【0003】
複数の電解セルが中間タイロッドを用いて押し付けられる第1の中間端部プレートと第2の中間端部プレートとを含む電解槽ユニットが知られている。各中間タイロッドは、第1の中間端部プレートの第1の外面に形成された第1の切り欠きと協働する第1のラグと、第1の中間端部プレートの第2の外面に形成された第2の切り欠きと協働する第2のラグとを有する。このようなタイロッドを所定の位置に取り付けるには、第1の切り欠きと第2の切り欠きを積層軸と同一直線上に配置する必要があるため、その配置を厳密にチェックする必要があり、また、ラグを切り欠きに正確に配置する必要がある。そうしないと、中間タイロッドに張力がかかったときに干渉応力が現れ、中間端部プレートを損傷させる可能性があるためである。中間タイロッドが解放されている間、1つの電解槽ユニットのタイロッドのラグが隣接する電解槽ユニットのラグによって詰まることが頻繁に起こるので、メインタイロッドが引っ張られた後に中間タイロッドを取り外すことも困難である。最後に、電解槽ユニットは一般に、それらの端板のうちの1つが水平面上に置かれた状態で(すなわち、積層軸が垂直に延在した状態で)輸送されるが、その後、積層軸が実質的に水平であるように組み立てられるので、非常に慎重に取り扱われる必要がある。これらの困難の全ては、現場に電気分解装置を設置する作業を遅らせ、電気分解装置を供給する全体的なコストにペナルティを課し、それによって、そのような装置の普及を遅らせる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の特定の目的は、現場における電気分解装置の供給コストを改善することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この目的のために、本発明によれば、第1の中間端部プレートと第2の中間端部プレートとの間の積層軸に沿って互いに保持された複数の電解セルを備える電解槽ユニットが提供される。第1の中間端部プレートは積層軸に実質的に直交する軸に沿って外に出る第1の端部開口を有する第1の滑らかな孔を含み、第2の中間端部プレートは、積層軸に実質的に直交する軸に沿って外に出る端部開口を有する第2の滑らかな孔を含む。
【0006】
このようなユニットは、干渉応力が現れるリスクや、隣接するユニットとの干渉のリスクなしに、容易に押し付けられる。
【0007】
第1の中間端部プレートが、第1の電気接続ポートを有する複数の電解セルのアノードの第1の電気接続部を含み、第2の中間端部プレートが、第2の電気接続ポートを有する複数の電解セルのカソードの第2の電気接続部を含む場合、現場での配線作業が大幅に削減される。
【0008】
本発明はまた、第1の端部に第1の滑らかなシャフトが第1の軸に沿って突出する第1のヘッドを備える本体を備える中間タイロッドを提供する。その第2の端部において、本体はまた、第2の滑らかなシャフトが第2の軸に沿って突出する第2のヘッドを含み、中間タイロッドはまた、それに張力をかけるための第1の張力付与手段を含む。このようなタイロッドはタイロッドが張力をかけられている間、干渉力の出現を制限する働きをし、電解槽ユニットの現場での組み立てを容易にする。
【0009】
このようなタイロッドは、張力付与手段が第1のヘッドの第1のねじ部及び本体の第2のねじ部と係合するねじ付きブッシュを備える場合に、特に安価である。
【0010】
本体が第1のホイストリングを含むとき、及び/又は本体がホイストケーブルを受容するように構成された切り欠きを含むとき、組み立て時間はさらに短縮され得る。
【0011】
中間タイロッドは、第1のヘッドが第1の軸に実質的に平行な軸に沿って延在する第1の穿孔を含むとき、容易に固定される。
【0012】
また、本発明は、第1の端部プレートと第2の端部プレートとの間で積層軸に沿って互いに保持され、第1の端部プレートと第2の端部プレートとが少なくとも1つのメインタイロッドによって互いに接続されている、上述のような少なくとも第1の電解槽ユニットと第2の電解槽ユニットとを含む電気分解装置を提供する。
【0013】
有利には、第1の電解槽ユニット及び第2の電解槽ユニットが電気的に直列に接続される。
【0014】
あるいは、第1の電解槽ユニットと第2の電解槽ユニットとは電気的に並列に接続される。
【0015】
本発明の他の特徴及び利点は、本発明の特定の非限定的な実施の以下の説明を読むことで明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
添付の図面を参照する。
【
図1】
図1は本発明の電解槽ユニットの軸方向断面の概略斜視図である。
【
図2】
図2は
図1の電解槽ユニットの第1の中間プレートの概略斜視図である。
【
図3】
図3は
図1の電解槽ユニットの第2の中間プレートの概略斜視図である。
【
図4】
図4は
図1の電解槽ユニットの中間タイロッドの概略斜視図である。
【
図6】
図6は本発明の複数の電解槽ユニットの概略図である。
【
図7】
図7は巻上状況における電解槽ユニットの概略図である。
【
図11】
図11は本発明の電気分解装置のための電気配線の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1~
図5を参照すると、全体的に参照符号1が与えられている本発明の電解槽ユニットは、積層軸Oyに沿って延在する複数の円板形状の電解セル10を備える。各電解セル10は、この例ではポリテトラフルオロエチレンからなるガスケット11によって次の電解セルから分離されている。電解セル10は第1の中間端部プレート20と第2の中間端部プレート30との間で互いに対して保持され、これらの端部プレートは同一であり、
図2及び3により詳細に示されている。第1の中間端部プレート20は円板状であり、第1の中間端部プレート20の周辺22(「第1の」周辺と呼ばれる)に溶接された12個の第1の矩形ブロック21.1~21.12を含む。第1のブロック21.1は、積層軸Oyに実質的に直交する第1の半径方向軸R21.1に沿って開口する第1の端部24.1を有する第1の滑らかな孔23.1を有する。第1のブロック21.1はまた、第1の滑らかな孔23.1の両側に配置された2つのねじ孔25.1及び26.1を有する。
【0018】
同様に、他の第1のブロック21.2~21.12のそれぞれは、積層軸Oyに実質的に直交するそれぞれの第1の半径方向軸R21.2~R21.12に沿って開口するそれぞれの第1の端部24.2~24.12を有するそれぞれの第1の滑らかな孔23.2~23.12を有し、2つのねじ孔25.2~25.12及び26.2~26.12を有する。
【0019】
同様に、第2の中間端部プレート30は円板形状であり、第2の中間端部プレート30の周辺32(「第2の」周辺と呼ばれる)に溶接された12個の第2の矩形ブロック31.1~31.12を含む。第2のブロック31.1は、積層軸Oyに実質的に直交する第2の半径方向軸R31.1に沿って開口する第2の端部34.1を有する第2の滑らかな孔33.1を有する。同様に、他の第2のブロック31。2~31.12のそれぞれは、積層軸Oyに実質的に直交するそれぞれの第2の半径方向軸R31.2~R31.12に沿って開口するそれぞれの第2の端部34.2~34.12を有するそれぞれの第2の滑らかな孔33.2~33.12を有する。
【0020】
電解槽ユニット1は、アノードを構成する第1の電気接続ポート28と、カソードを構成する第2の電気接続ポート38とを有する。従来の方法では、電解槽ユニット1が電解質を分配し、電解中に生成される様々なガスを収集するためのダクトを含む。
【0021】
電解槽ユニット1を取り扱い、輸送し、組み立てるために、第1の中間端部プレート20及び第2の中間端部プレート30は、12本の中間タイロッド40.1~40.12によって互いに接続される。中間タイロッド40.1~40.12は同一であるため、第1タイロッド40.1についてのみ説明する。
【0022】
図4及び
図5を参照すると、第1の中間タイロッド40.1は長手方向軸O41.1に沿って延在し、その第1の端部42.1に第1のヘッド43.1を備え、その第2の端部44.1に第2のヘッド45.1を備える、特に扁平状巻かれた鋼棒の形態の本体41.1を備える。
【0023】
第1のヘッド43.1は、第3の矩形ブロック47.1が溶接された第1のねじ部46.1を有する。第1の滑らかなシャフト48.1は、具体的には直円柱の形成で、長手方向軸O41.1に垂直な第3の軸O48.1に沿って第3のブロック47.1から突出する。第1のねじ部46.1は、ねじ付きブッシング50.1の第1の端部49.1と協働する。ねじ付きブッシュ50.1の第2の端部51.1は、本体41.1の第1の端部42.1の第2のねじ部52.1と協働する。ねじ付きブッシュ50.1は、締め付けピン(図示せず)を受け入れるのに適した2つの半径方向の穿孔53.1を有する。第1のねじ部46.1及び第2のねじ部52.1のねじは、反対方向に回されている。
【0024】
図5に見られるように、第3のブロック47.1は、第3の軸O48.1に平行な軸に沿って延在する第1及び第2の穿孔54.1及び55.1を有する。
【0025】
第2のヘッド45.1は第3のブロック47.1と同一であり、本体41.1に溶接された第4の矩形ブロック56.1を備える。第2の滑らかなシャフト57.1は具体的には直円筒の形成で、第4のブロック56.1から、長手方向軸O41.1に垂直な第3の軸O57.1に沿って第1の方向S57.1に沿って突出する。第4のブロック56.1は、第3の軸O57.1に平行な軸に沿って延在する第3及び第4の穿孔58.1及び59.1を有する。
【0026】
図4に見られるように、第1及び第2のプレート60.1及び61.1は第3の軸O57.1に平行であるが、第1の方向S57.1とは反対の第2の方向S62.1に沿って本体41.1から突出するように、本体41.1上に溶接される。第1のプレート60.1の第1の遠位端63.1及び第2のプレート61.1の第2の遠位端64.1はそれぞれ第1及び第2の切り欠き65。1及び66.1を含み、これらの切り欠きは、この例では火炎切断によって作製される。第1のプレート60.1はまた、火炎切断によって作製された第1のホイストリング67.1を含む。
【0027】
以下、電解槽ユニット1と中間タイロッド40.1~40.12との組み立てについて説明する。
【0028】
図1を参照すると、100個の電解セル10及び101個のガスケット11が、第2の中間端部プレート30上に交互に配置されている。電解質を分配し、ガスを収集するためのダクトはこのように構成されたアセンブリが第1の中間端部プレート20によって覆われる前に、所定の位置に置かれる。
【0029】
第1の中間タイロッド40.1の長さは、第1の滑らかなシャフト48.1及び第2の滑らかなシャフト57.1が第1の中間端部プレート20の第1の滑らかな孔23.1と第2の中間端部プレート30の第2の滑らかな孔33.1との間の距離に実質的に等しい距離だけ離間するように、ブッシュ50.1の手段によって調整される。その後、第1のタイロッド40.1は、第1の滑らかなシャフト48.1及び第2の滑らかなシャフト57.1が第1の中間端部プレート20の第1の滑らかな孔23.1及び第2の中間端部プレート30の第2の滑らかな孔33。1にそれぞれ係合するように提示され、その結果、滑らかなシャフト48.1及び57.1のそれぞれの少なくとも一部が滑らかな孔23.1及び33.1にそれぞれ当接するようになる。ねじは、第1の穿孔54.1、第2の穿孔55.1、第3の穿孔58.1、及び第4の穿孔59.1で摺動される。
【0030】
中間タイロッド40.2~40.12についても同様である。
【0031】
ねじ付きブッシング50.1の穿孔53.1の1つに通されたピンを使用して、第1の中間タイロッド40.1に部分的に張力がかけられる。従来の表面張力均等化方式を使用して、他の中間タイロッド40.2~40.12は、同じ方法で部分的に表面張力をかけられる。
【0032】
電解質分配ダクトを介して電解セルに蒸気が注入され、タイロッド40.1~40.12にさらに張力が加えられる。これにより、ガスケット11がクリープする。この動作は、ガスケット11の十分なクリープが得られるまで、数回繰り返される。
【0033】
これにより、第1の中間端部プレート20と第2の中間端部プレート30との間で押し付けられ、中間タイロッド40.1~40.12によって圧力下に保持された100個の電解セル10を備える第1の電解槽ユニット1が生成される。
【0034】
以下では明確にするために、上記のものと同一又は類似の要素には上記で使用されたものに100又は200を加えたものと同一の参照番号が与えられる。
【0035】
第2の電解槽ユニット101は、第3の中間端部プレート120と第4の中間端部プレート130との間で押し付けられ、中間タイロッド140.1~140.12によって圧力下に保持される100個の電解セル110を使用することによって、第1の電解槽ユニット1を作製するのと同様に作製される。
【0036】
第3の電解槽ユニット201は、第5の中間端部プレート220と第6の中間端部プレート230との間で押し付けられ、中間タイロッド240.1~240.12によって圧力下に保持される100個の電解セル210を使用することによって、第1の電解槽ユニット1を作製することと同様に作製される。
【0037】
第1の電解槽ユニット1は6つの脚部を有するスプレッダを有する上昇ブリッジの手段によって取り扱われ、その各々はホイストフックが取り付けられた自由端を有するスリングを備える。6つのホイストリング67.1、67.3、67.5、67.7、67.9、67.11にそれぞれ固定され、セミトレーラなどの搬送手段に載置されるように第1の電解槽ユニット1を持ち上げることができる。第2の電解槽ユニット101及び第3の電解槽ユニット201は、同様に取り扱われる。
【0038】
現場に設置される間、第1の電解槽ユニット1は、積層軸Oyが実質的に水平になるように、いわゆる「水平」位置に傾けられる(
図7)。これは、当業者に公知の様々な方法で行うことができる。水平位置にあるとき、電解槽ユニット1は、第1の切り欠き65.3~65.111(
図8)に係合した第1のスリング70によって取り扱われ、スリングの両端は、天井走行クレーン73に連結されたスプレッダ72の第1のフック71に連結される。
【0039】
第2のスリング74は第2の切り欠き66.3~66.11(
図9)に係合され、スリングの2つの端部はスプレッダ72の第2のフック75に接続される。
【0040】
図10を参照すると、第1の電解槽ユニット1、第2の電解槽ユニット101、及び第3の電解槽ユニット201は、第1の端部プレート80と第2の端部プレート81との間に並んで設置される。エラストマーガスケット68は、メインプレートと中間プレートとの間、及び電解槽ユニット1、101、及び201の複数の中間プレートの間のインタフェースに配置される。ガスケット68は、電解槽ユニット1、101、及び201の間に電気絶縁を提供する。この目的のために、第1の端部プレート80と第2の端部プレート81に設けられた孔には、4つのメインタイロッド82.1及び82.4が配置され、タイロッドに張力がかけられる。
【0041】
その後、中間タイロッド40.1~40.12、140.1~140.12、240.1~240.12を取り外す。例として、中間タイロッド40.1は、ねじ付きブッシュ50.1に作用して中間タイロッド40.1の表面張力を解放することによって取り外される。中間タイロッド40.1は、積層軸Oyに直交する軸に沿って並進移動することによって取り外される。
【0042】
その後、電解槽ユニット1、101、201を電気的に接続する。
図11は、電解槽ユニット1、101、及び201を相互接続する特に有利な方法を示す。
【0043】
第1、第3、及び第5の中間端部プレート20、120、及び220は、それぞれ、第1のスイッチ83、第2のスイッチ183、及び第3のスイッチ283の手段によって、第1の点90.1、第2の点90.2、及び電源回路90の第3の点90.3に接続される。第2、第4、及び第6の中間端部プレート30、130、及び230は、それぞれ、電源回路90の第4の点90.4、第5の点90.5、及び第6の点90.6に電気的に接続される。第4のスイッチ84は、第1の点90.1と第4の点90.4とを互いに接続する。第5のスイッチ184は、第2の点90.2と第5の点90.5とを互いに接続する。第6のスイッチ284は、第3の点90.3と第6の点90.6とを接続する。このような構成により、1つ又は複数の電解槽ユニットを休止させることができ、原材料の面でも設置時間の面でも大きなコストとなる大量のケーブル配線に頼ることなく、直列又は並列に接続することができる。
【0044】
第1の電解槽ユニット1、第2の電解槽ユニット101、及び第3の電解槽ユニット201が一緒に配線されると、それらは電気分解装置1000を構成する。
【0045】
電解セル10、110、210のいずれかが故障した場合、電気分解装置1000は空にされ、中間タイロッド40.1~40.12、140.1~140.12、240.1~240.12が所定の位置に置かれ、張力がかけられる。その後、メインタイロッド82.1~82.4を緩め、故障した電解セルを有する電解槽ユニットのみを取り出す。新たな電解槽ユニットを迅速に設置し、他の電解槽ユニットに接続することで、電気分解装置1000を迅速に再起動することができる。
【0046】
当然のことながら、本発明は、記載された実施形態に限定されず、特許請求の範囲によって定義される本発明の技術分野内に入る任意の変形形態を包含する。
【0047】
特に、上述のように、電解槽ユニットは12本のタイロッドを有しているが、本発明は例えば、2本、3本、4本~11本、12本を超える他の数のタイロッドを有する電解槽ユニットに等しく適用される。
【0048】
上述のように、中間タイロッドがねじ付きブッシュを有するが、本考案はタイロッドに張力をかけるための他の手段、例えば、てこ、ラチェットホイール、又は空気圧式もしくは液圧式アクチュエータに等しく適用される。
【0049】
上述のように、ホイストリング及び切り欠きは中間タイロッドの本体の平坦面に取り付けられるプレート内に作製されるが、本発明はタイロッドの本体内に直接作製されるホイストリング及び/又は切り欠きにも同様に適用される。
【0050】
上述のように、滑らかなシャフトが直円柱の形状であるが、本発明は他の形状の滑らかなシャフト、例えば、正方形又は楕円形の断面の滑らかなシャフトに等しく適用され、シャフトは好ましくは円筒形状である
【0051】
とりわけ、すべての電解槽ユニットが100個の電解セルを有するが、本発明はいくつかの他の数のセル、例えば、50個又は100個を超えるセルを有する電解槽ユニットに等しく適用され、電解槽ユニットの各々はそれぞれ異なる数の電解セルを有することができる。
【0052】
スリングケーブルが通過する切り欠きの数は、スリングのタイプ、及びフックと取り扱う電解槽ユニットとの間の距離に依存する。
【0053】
上述のように、電気分解装置は4つのメインタイロッドを有するが、本発明は例えば、1つ、2つ、3つ、又は4つを超える他の数のメインタイロッドを有する電気分解装置にも等しく適用される。
【手続補正書】
【提出日】2023-02-28
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の中間タイロッド(40.1)によって一緒に連結される第1の中間端部プレート(20、120、220)と第2の中間端部プレート(30、130、230)との間の積層軸(Oy)に沿って、互いに保持された複数の電解セル(10、110、210)を備える電解槽ユニット(1、101、201)であって、
前記第1の中間端部プレート(20、120、220)は、前記積層軸(Oy)に実質的に直交する軸に沿って開口する第1の端部(24.1~24.12)を有する第1の滑らかな孔(23.1~23.12)を含み、
前記第2の中間端部プレート(30、130、230)は、前記積層軸(Oy)に実質的に直交する軸に沿って開口する第2の端部(34.1~34.12)を有する第2の滑らかな孔(33.1~33.12を含
み、
個々の中間タイロッド(40.1)は、第1の端部(42.1)に、第1の滑らかなシャフト(48.1)が第1の軸(O48.1)に沿って突出する第1のヘッド(43.1)が設けられた本体(41.1)を備え、該本体(41.1)は、第2の端部(44.1)に、第2の滑らかなシャフト(57.1)が第2の軸(O57.1)に沿って突出する第2のヘッド(45.1)を備え、前記中間タイロッド(40.1)は、該中間タイロッド(40.1)に張力をかけるための第1の張力手段(50.1)を備える、
電解槽ユニット(1、101、201)。
【請求項2】
前記第1の中間端部プレート(20、120、220)は、第1の電気接続ポート(28)を有する前記複数の電解セル(10、110、210)のアノード(12)の第1の電気接続部(27)を含み、
前記第2の中間端部プレート(30、130、230)は、第2の電気接続ポート(38)を有する前記複数の電解セル(10、110、210)のカソード(13)の第2の電気接続部(37)を含む、
請求項1に記載の電解槽ユニット(10、110、210)。
【請求項3】
前記第1の張力手段(50.1)は、前記第1のヘッド(43.1)の第1のねじ部(46.1)及び前記本体(41.1)の第2のねじ部(52.1)と係合するねじ付きブッシュ(50.1)を含む、請求項
1又は2に記載の
電解槽ユニット(1、101、201)。
【請求項4】
前記本体(41.1)は第1のホイストリング(67.1)を含む、請求項
1~3の何れか一項に記載の
電解槽ユニット(1、101、201)。
【請求項5】
前記本体(41.1)がホイストケーブルを受容するように配置された切り欠き(63.1、66.1)を含む、請求項
1~4の何れか一項に記載の
電解槽ユニット(1、101、201)。
【請求項6】
前記第1のヘッド(43.1)が、前記第1の軸(O48.1)に実質的に平行な軸に沿って延びる第1の穿孔(54.1、55.1)を含む、請求項
1~5の何れか一項に記載の
電解槽ユニット(1、101、201)。
【請求項7】
請求項
1~6の何れか一項に記載の電解槽ユニットであって、少なくとも第1の電解槽ユニット(10)及び第2の電解槽ユニット(110、210)を備える電解槽ユニットを含む、電気分解装置(1000)であって、
前記電解槽ユニットは、第1の端部プレート(80)と第2の端部プレート(81)との間で積層軸(Oy)に沿って互いに保持され、前記第1の端部プレート(80)及び前記第2の端部プレート(81)は少なくとも1つの主タイロッド(82.1~82.4)によって互いに接続される、電気分解装置(1000)。
【請求項8】
前記第1の電解槽ユニット(10)と前記第2の電解槽ユニット(110、210)とは、電気的に直列に接続される、請求項
7に記載の電気分解装置(1000)。
【請求項9】
前記第1の電解槽ユニット(10)と前記第2の電解槽ユニット(110、210)は電気的に並列に接続される、請求項
7に記載の電気分解装置(1000)。
【手続補正書】
【提出日】2024-03-14
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の中間タイロッド(40.1)によって一緒に連結される第1の中間端部プレート(20、120、220)と第2の中間端部プレート(30、130、230)との間の積層軸(Oy)に沿って、互いに保持された複数の電解セル(10、110、210)を備える電解槽ユニット(1、101、201)であって、
前記第1の中間端部プレート(20、120、220)は、前記積層軸(Oy)に実質的に直交する軸に沿って開口する第1の端部(24.1~24.12)を有する第1の滑らかな孔(23.1~23.12)を含み、
前記第2の中間端部プレート(30、130、230)は、前記積層軸(Oy)に実質的に直交する軸に沿って開口する第2の端部(34.1~34.12)を有する第2の滑らかな孔(33.1~33.12を含み、
個々の中間タイロッド(40.1)は、第1の端部(42.1)に、第1の滑らかなシャフト(48.1)が第1の軸(O48.1)に沿って突出する第1のヘッド(43.1)が設けられた本体(41.1)を備え、該本体(41.1)は、第2の端部(44.1)に、第2の滑らかなシャフト(57.1)が第2の軸(O57.1)に沿って突出する第2のヘッド(45.1)を備え、前記中間タイロッド(40.1)は、該中間タイロッド(40.1)に張力をかけるための第1の張力手段(50.1)を備える、
電解槽ユニット(1、101、201)。
【請求項2】
前記第1の中間端部プレート(20、120、220)は、第1の電気接続ポート(28)を有する前記複数の電解セル(10、110、210)のアノード(12)の第1の電気接続部(27)を含み、
前記第2の中間端部プレート(30、130、230)は、第2の電気接続ポート(38)を有する前記複数の電解セル(10、110、210)のカソード(13)の第2の電気接続部(37)を含む、
請求項1に記載の電解槽ユニット(
1、
101、
201)。
【請求項3】
前記第1の張力手段(50.1)は、前記第1のヘッド(43.1)の第1のねじ部(46.1)及び前記本体(41.1)の第2のねじ部(52.1)と係合するねじ付きブッシュ(50.1)を含む、請求項
1に記載の電解槽ユニット(1、101、201)。
【請求項4】
前記本体(41.1)は第1のホイストリング(67.1)を含む、請求項
1に記載の電解槽ユニット(1、101、201)。
【請求項5】
前記本体(41.1)がホイストケーブルを受容するように配置された切り欠き(63.1、66.1)を含む、請求項
1に記載の電解槽ユニット(1、101、201)。
【請求項6】
前記第1のヘッド(43.1)が、前記第1の軸(O48.1)に実質的に平行な軸に沿って延びる第1の穿孔(54.1、55.1)を含む、請求項
1に記載の電解槽ユニット(1、101、201)。
【請求項7】
請求項1~6の何れか一項に記載の電解槽ユニットであって、少なくとも第1の電解槽ユニット(
1)及び第2の電解槽ユニット(
101、
201)を備える電解槽ユニットを含む、電気分解装置(1000)であって、
前記電解槽ユニットは、第1の端部プレート(80)と第2の端部プレート(81)との間で積層軸(Oy)に沿って互いに保持され、前記第1の端部プレート(80)及び前記第2の端部プレート(81)は少なくとも1つの主タイロッド(82.1~82.4)によって互いに接続される、電気分解装置(1000)。
【請求項8】
前記第1の電解槽ユニット(
1)と前記第2の電解槽ユニット(
101、
201)とは、電気的に直列に接続される、請求項7に記載の電気分解装置(1000)。
【請求項9】
前記第1の電解槽ユニット(
1)と前記第2の電解槽ユニット(
101、
201)は電気的に並列に接続される、請求項7に記載の電気分解装置(1000)。
【国際調査報告】