(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-24
(54)【発明の名称】複数の半導体チップへのブリッジのボンディング
(51)【国際特許分類】
H01L 25/07 20060101AFI20240517BHJP
H01L 21/60 20060101ALI20240517BHJP
【FI】
H01L25/08 B
H01L21/60 311T
H01L21/60 311S
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023570344
(86)(22)【出願日】2022-05-25
(85)【翻訳文提出日】2023-11-14
(86)【国際出願番号】 IB2022054874
(87)【国際公開番号】W WO2022249077
(87)【国際公開日】2022-12-01
(32)【優先日】2021-05-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】390009531
【氏名又は名称】インターナショナル・ビジネス・マシーンズ・コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】INTERNATIONAL BUSINESS MACHINES CORPORATION
【住所又は居所原語表記】New Orchard Road, Armonk, New York 10504, United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100112690
【氏名又は名称】太佐 種一
(74)【代理人】
【識別番号】100120710
【氏名又は名称】片岡 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】堀部 晃啓
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 敬仁
(72)【発明者】
【氏名】青木 豊広
(72)【発明者】
【氏名】久田 隆史
(72)【発明者】
【氏名】森 裕幸
【テーマコード(参考)】
5F044
【Fターム(参考)】
5F044KK05
5F044LL01
5F044LL04
5F044PP15
5F044QQ01
5F044RR02
(57)【要約】
ブリッジ部材によって第1のチップと第2のチップとを相互接続することは、第1のチップおよび第2のチップをハンドリングするためのチップ・ハンドラを含む。第1のチップおよび第2のチップのそれぞれは、第1の組の端子を含む第1の表面および第1の表面の反対側の第2の表面を有する。チップ・ハンドラは、開口部と、第1のチップおよび第2のチップがチップ・ハンドラに実装されたときに第1のチップおよび第2のチップの第1の表面を支持するための少なくとも1つの支持面とを有する。チップ支持部材は、第2の表面から第1のチップおよび第2のチップを支持し、ブリッジ部材をチップ・ハンドラの開口部を通して挿入し、ブリッジ部材を第1のチップおよび第2のチップの第1の組の端子上に配置するためのブリッジ・ハンドラが提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のチップと第2のチップとを相互接続するための装置であって、
前記第1のチップと前記第2のチップとを相互接続するためのブリッジ部材であり、前記第1のチップおよび前記第2のチップのそれぞれが、第1の組の端子を含む第1の表面および前記第1の表面の反対側の第2の表面を有する、前記ブリッジ部材と、
前記第1のチップおよび前記第2のチップをハンドリングするためのチップ・ハンドラであり、開口部、ならびに前記第1のチップおよび前記第2のチップが前記チップ・ハンドラに実装されたときに前記第1のチップおよび前記第2のチップの前記第1の表面を支持するための少なくとも1つの支持面を有する、前記チップ・ハンドラと、
前記第1のチップおよび前記第2のチップを前記第2の表面から支持するチップ支持部材と、
前記チップ・ハンドラの前記開口部を通して前記ブリッジ部材を挿入し、前記第1のチップおよび前記第2のチップの前記第1の組の端子上に前記ブリッジ部材を配置するためのブリッジ・ハンドラと
を備える、装置。
【請求項2】
前記チップ・ハンドラ、前記チップ支持部材、および前記ブリッジ・ハンドラが、前記チップ・ハンドラ、前記チップ支持部材、および前記ブリッジ・ハンドラが組み立てられたときに、チャンバ空間内に前記第1のチップおよび前記第2のチップの前記第1の組の端子ならびに前記ブリッジ部材の端子を収容するように、前記チャンバ空間を提供する、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記チャンバ空間内に還元ガスを供給して、前記第1のチップおよび前記第2のチップの前記第1の組の端子ならびに前記ブリッジ部材の前記端子のうちの少なくとも1つを洗浄するためのガス供給器
をさらに備える、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記ブリッジ・ハンドラが、
前記ブリッジ部材を取り付けるためのハンドラ本体と、
前記ブリッジ部材が前記ハンドラ本体によって前記開口部を通して挿入されたとき、前記チャンバ空間を密封するためのガス漏れストッパと
を備える、請求項2ないし3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
前記チップ・ハンドラと前記チップ支持部材との間に設けられ、前記チップ・ハンドラが前記チップ支持部材に組み付けられたときに前記チャンバ空間を密封する密封部材
をさらに備える、請求項2ないし4のいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
前記第1のチップおよび前記第2のチップのそれぞれの前記第1の表面が、第2の組の端子を含み、前記チップ・ハンドラが、
前記開口部と連通するキャビティであって、前記第1のチップおよび前記第2のチップが前記チップ・ハンドラに実装されたときに、前記第1のチップならびに前記第2のチップの前記第1の組の端子および前記第2の組の端子を前記キャビティ内に収容するように、前記第1の組の端子および前記第2の組の端子の高さよりも高い高さを有する、前記キャビティ
をさらに備える、請求項1ないし5のいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
前記チップ・ハンドラが、
ガスが通過するための第1の組の流路であって、ボンディング・ステージ側から前記少なくとも1つの支持面に形成された第1の組の孔までルーティングされている、前記第1の組の流路と、
前記ガスが通過するための第2の組の流路であって、ボンディング・ヘッド側から前記少なくとも1つの支持面に形成された第2の組の孔までルーティングされている、前記第2の組の流路と
をさらに備える、請求項1ないし6のいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
前記チップ・ハンドラが、
前記チップ・ハンドラの前記少なくとも1つの支持面において、前記第1のチップおよび前記第2のチップの前記第1の表面を吸引するための吸引システム
をさらに備える、請求項1ないし7のいずれか一項に記載の装置。
【請求項9】
前記第1のチップおよび前記第2のチップの前記第1の表面が、固定部材によって前記少なくとも1つの支持面に固定され、前記固定部材が、接着材、金属スタッド・バンプとパッドとの対、およびはんだバンプとパッドとの対からなる群から選択される、請求項1ないし8のいずれか一項に記載の装置。
【請求項10】
前記第1のチップおよび前記第2のチップを前記チップ・ハンドラに対して水平方向にアライメントするための位置決めモジュールであって、前記チップ・ハンドラの前記少なくとも1つの支持面が、前記第1のチップおよび前記第2のチップがアライメントされて前記チップ・ハンドラに実装されると、前記第1のチップと前記第2のチップの前記第1の表面を垂直方向にアライメントするように、前記第1のチップおよび前記第2のチップの前記第1の組の端子の外側の点で前記第1のチップおよび前記第2のチップの前記第1の表面に部分的に接触する、前記位置決めモジュール
をさらに備える、請求項1ないし9のいずれか一項に記載の装置。
【請求項11】
前記チップ・ハンドラおよび前記チップ支持部材が、
複数の固定具と、
前記複数の固定具のうちの少なくとも1つを吸引力によってボンディング・ヘッドおよびステージのうちの少なくとも1つに対して固定および解放するための一組の吸引ラインと
を備える、請求項1ないし10のいずれか一項に記載の装置。
【請求項12】
前記チップ支持部材が、
前記第1のチップの前記第2の表面から前記第1のチップを保持するための第1の水平面を有する第1のベース部と、
前記第2のチップの前記第2の表面から前記第2のチップを保持するための第2の水平面を有する第2のベース部と
を備える、請求項1ないし11のいずれか一項に記載の装置。
【請求項13】
前記チップ支持部材の前記第1のベース部の前記第1の水平面および前記第2のベース部の前記第2の水平面が互いに独立して調整可能である、請求項12に記載の装置。
【請求項14】
前記チップ支持部材が、
前記第1のベース部上に形成された第1の厚さ調整層と、
前記第2のベース部上に形成された第2の厚さ調整層と
をさらに備える、請求項12ないし13のいずれか一項に記載の装置。
【請求項15】
前記ブリッジ部材が第3の組の端子を有し、前記装置が、
前記第2の表面の側から、前記第1のチップおよび前記第2のチップの前記第1の組の端子と前記ブリッジ部材の前記第3の組の端子との連結部の周囲の場所にアンダーフィル材料を吐出するための吐出器
をさらに備える、請求項1ないし14のいずれか一項に記載の装置。
【請求項16】
前記チップ支持部材が、
前記アンダーフィル材料が吐出される第2の開口部
をさらに備える、請求項15に記載の装置。
【請求項17】
前記第1のチップ、前記第2のチップ、ならびに前記第1のチップおよび前記第2のチップに接合された前記ブリッジ部材を含むブリッジされたモジュールを前記チップ・ハンドラから解放することと、前記ブリッジされたモジュールを基板に実装することとを制御する制御モジュール
をさらに備える、請求項1ないし16のいずれか一項に記載の装置。
【請求項18】
第1のチップと第2のチップとを相互接続するための方法であって、
前記第1のチップおよび前記第2のチップを、開口部および少なくとも1つの支持面を有するチップ・ハンドラに実装することであり、前記第1のチップおよび前記第2のチップのそれぞれが、第1の組の端子を含む第1の表面および前記第1の表面の反対側の第2の表面を有し、前記チップ・ハンドラに実装された前記第1のチップの前記第1の表面および前記第2のチップの前記第1の表面が前記チップ・ハンドラの前記少なくとも1つの支持面によって支持される、前記実装することと、
前記第1のチップおよび前記第2のチップを、前記第2の表面から前記チップ・ハンドラを用いてチップ支持部材上に配置することと、
ブリッジ・ハンドラによって前記チップ・ハンドラの前記開口部を通してブリッジ部材を挿入し、前記開口部から露出した前記第1のチップの前記第1の組の端子および前記第2のチップの前記第1の組の端子上に前記ブリッジ部材を配置することと
を含む、方法。
【請求項19】
前記チップ・ハンドラ、前記チップ支持部材、および前記ブリッジ・ハンドラを組み立てて、チャンバ空間内に前記第1のチップおよび前記第2のチップの前記第1の組の端子および前記ブリッジ部材の端子を収容する前記チャンバ空間を提供すること
をさらに含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
還元ガスを前記チャンバ空間内に供給して、前記第1のチップおよび前記第2のチップの前記第1の組の端子ならびに前記ブリッジ部材の前記端子を洗浄すること
をさらに含む、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記第1のチップおよび前記第2のチップを前記チップ・ハンドラに実装することが、
前記少なくとも1つの支持面に形成された複数の第1の孔によって、前記第1のチップの前記第1の表面を吸引することと、
前記少なくとも1つの支持面に形成された複数の第2の孔によって、前記第2のチップの前記第1の表面を吸引することと
を含む、請求項18ないし20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記第1のチップおよび前記第2のチップを前記チップ・ハンドラに実装することが、
前記少なくとも1つの支持面に形成された、ボンディング・ステージ側およびボンディング・ヘッド側の一方からルーティングされた第1の組の孔によって、前記第1のチップおよび前記第2のチップの前記第1の表面を吸引すること
を含み、
前記チップ支持部材上に前記第1のチップおよび前記第2のチップを配置することが、
前記少なくとも1つの支持面に形成された、前記ボンディング・ステージ側および前記ボンディング・ヘッド側の他方からルーティングされた第2の組の孔によって、前記第1のチップおよび前記第2のチップの前記第1の表面を吸引することと、
前記ボンディング・ステージ側および前記ボンディング・ヘッド側の前記一方から前記チップ・ハンドラを解放することと
を含む、請求項18ないし21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
前記第1のチップ、前記第2のチップ、ならびに前記第1のチップおよび前記第2のチップに接合された前記ブリッジ部材を含むブリッジされたモジュールを前記チップ・ハンドラから解放することと、
前記ブリッジされたモジュールを基板に実装することと
をさらに含む、請求項18ないし22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
前記ブリッジ部材が第3の組の端子を有し、前記方法が、
前記第2の表面の側から、前記第1のチップおよび前記第2のチップの前記第1の組の端子と前記ブリッジ部材の前記第3の組の端子との連結部の周囲の場所にアンダーフィル材料を吐出することと、
前記アンダーフィル材料を硬化させることと
をさらに含む、請求項18ないし23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
第1のチップおよび第2のチップをハンドリングするためのチップ・ハンドラであって、
第1のチップおよび第2のチップが前記チップ・ハンドラに実装されたときに前記第1のチップの第1の表面および前記第2のチップの第1の表面を支持するための少なくとも1つの支持面であり、前記第1のチップおよび前記第2のチップのそれぞれが、前記第1の表面および前記第1の表面の反対側の第2の表面に形成された第1の組の端子を有する、前記少なくとも1つの支持面と、
ブリッジ部材を挿入し、続いて、前記ブリッジ部材を前記第1のチップおよび前記第2のチップの前記第1の組の端子上に配置するために使用される開口部と
を備え、
前記第1のチップの前記第2の表面および前記第2のチップの前記第2の表面が前記チップ・ハンドラから露出する、
チップ・ハンドラ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、マルチチップ相互接続技術の分野に関し、より詳細には、複数の半導体チップを相互接続するためのチップ・ハンドラに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、CPU(中央演算処理装置)とメモリとの間、AI(人工知能)アクセラレータとメモリとの間など、複数のチップ間の高密度相互接続への関心が高まっている。複数のチップを相互接続するための有望な構造は、高密度相互接続を実施するブリッジ部材によって複数のチップを接続するブリッジ構造である。
【0003】
ブリッジ構造を構築するためには、複数のチップを相互接続するための適切なツールおよびプロセスが必要である。ブリッジ組立プロセスは、チップのアライメントが困難であること、および中間構造の脆弱な特性のために依然として困難である。一般に、チップとそれらを接続するブリッジ部材との間には、水平方向だけでなく垂直方向にも正確なアライメントが必要とされる。ブリッジ部材を介してチップ間の密な相互接続を達成するために、マイクロ・バンプなどの比較的小さなバンプが採用されている。
【0004】
バンプのはんだ体積が減少するにつれて、特に垂直方向のアライメントの困難さが増大する。さらに、その後に他の基板に接合されるチップ間のアライメント不良を防止するために、チップとブリッジ部材との間の各アライメントは、より正確である必要があり、これは、複数のチップをブリッジする際にさらなる困難をもたらす。一例として、30マイクロメートル・ピッチのバンプを有する20mmのダイ・サイズの場合、水平寸法で5マイクロメートル未満のアライメント精度、および垂直寸法で2マイクロメートル未満のアライメント精度が必要である。また、脆弱なブリッジされたモジュールに対して、チップのアライメントからブリッジ・チップの接合を経てアンダーフィルまでの過程全体にわたって、エンドツーエンドの支持が必要である。
【0005】
したがって、複数のチップとブリッジ部材とを適切にアライメントし、ブリッジング・プロセス中にチップおよびブリッジ部材を支持するための代替のマルチチップ相互接続技術が必要である。
【発明の概要】
【0006】
本発明の一実施形態によると、ブリッジ部材によって第1のチップと第2のチップとを相互接続するための装置が提供される。第1のチップおよび第2のチップのそれぞれは、上に形成された第1の組の端子を含む第1の表面および第1の表面の反対側の第2の表面を有する。本装置は、第1のチップおよび第2のチップをハンドリングするためのチップ・ハンドラを含み、チップ・ハンドラは、開口部、ならびに第1のチップおよび第2のチップがチップ・ハンドラに実装されたときに、第1のチップおよび第2のチップの第1の表面を支持するための少なくとも1つの支持面を有する。本装置は、第1のチップおよび第2のチップを第2の表面から支持するためのチップ支持部材をさらに含む。本装置は、チップ・ハンドラの開口部を通してブリッジ部材を挿入し、第1のチップおよび第2のチップの第1の組の端子上にブリッジ部材を配置するためのブリッジ・ハンドラをさらに含む。
【0007】
上記の実施形態による装置は、チップ・ハンドラが第1のチップと第2のチップとの間のプリアライメントの機能を提供するため、第1のチップと第2のチップとの間、ならびに第1および第2のチップのそれぞれとブリッジ部材との間の正確なアライメントを可能にする。ブリッジ部材は、チップ・ハンドラに対して予めアライメントされた第1および第2のチップ上に配置され、その後、ブリッジされた複数のチップが基板に同時に接合される。また、第1および第2のチップならびに中間ブリッジ構造は、ブリッジング・プロセス中にチップ・ハンドラの支持面によって支持される。
【0008】
好ましい実施形態では、チップ・ハンドラ、チップ支持部材、およびブリッジ・ハンドラは、チップ・ハンドラ、チップ支持部材、およびブリッジ・ハンドラが組み立てられたときに、チャンバ空間内に第1のチップおよび第2のチップの第1の組の端子ならびにブリッジ部材の端子を収容するように、チャンバ空間を提供する。これにより、第1のチップおよび第2のチップの第1の組の端子ならびにブリッジ部材の端子は、ブリッジング・プロセス中に制御された環境に置かれる。
【0009】
さらに好ましい実施形態では、本装置は、第1のチップおよび第2のチップの第1の組の端子またはブリッジ部材の端子あるいはその両方を洗浄するために、チャンバ空間内に還元ガスを供給するためのガス供給器をさらに含む。これにより、還元雰囲気中で、洗浄レス接合を達成することができる。また、還元ガスをチャンバ空間内に保持することができるため、還元ガスの腐食性によるチャンバ空間外の装置の部品の腐食も防止することができる。
【0010】
さらに好ましい実施形態では、ブリッジ・ハンドラは、ブリッジ部材を取り付けるためのハンドラ本体と、ブリッジ部材がハンドラ本体によって開口部を通して挿入されたときにチャンバ空間を密封するためのガス漏れストッパとを含む。これにより、チップ・ハンドラとブリッジ・ハンドラとの間隙からのガス漏れを防止することができる。
【0011】
さらに好ましい実施形態では、本装置は、チップ・ハンドラがチップ支持部材に組み付けられたときにチャンバ空間を密封するために、チップ・ハンドラとチップ支持部材との間に設けられた密封部材をさらに含む。これにより、チップ・ハンドラとチップ支持部材との間隙からのガス漏れを防止することができる。
【0012】
さらなる好ましい実施形態では、第1のチップおよび第2のチップのそれぞれの第1の表面は、第2の組の端子を含む。チップ・ハンドラは、開口部と連通するキャビティをさらに含み、キャビティは、第1のチップおよび第2のチップがチップ・ハンドラに実装されたときに、第1のチップならびに第2のチップの第1の組の端子および第2の組の端子をキャビティ内に収容するように、第1の組の端子および第2の組の端子の高さよりも高い高さを有する。これにより、第1の組の端子または第2の組の端子あるいはその両方の変形を防止することができる。
【0013】
特定の好ましい実施形態では、チップ・ハンドラは、ボンディング・ステージ側から少なくとも1つの支持面に形成された第1の組の孔までルーティングされた、ガスが通過するための第1の組の流路と、ボンディング・ヘッド側から少なくとも1つの支持面に形成された第2の組の孔までルーティングされた、ガスが通過するための第2の組の流路とをさらに含む。これにより、ボンディング・ヘッド側およびボンディング・ステージ側の両方から孔におけるガスの吸引または排気を利用することによって、チップ・ハンドラの少なくとも1つの支持面と第1のチップおよび第2のチップの第1の表面との固定を制御することができる。
【0014】
別の実施形態では、チップ・ハンドラは、チップ・ハンドラの少なくとも1つの支持面において第1のチップおよび第2のチップの第1の表面を吸引するための吸引システムをさらに含む。
【0015】
さらに別の実施形態では、第1のチップおよび第2のチップの第1の表面は、固定部材によって少なくとも1つの支持面に固定される。固定部材は、接着材、金属スタッド・バンプとパッドとの対、およびはんだバンプとパッドとの対からなる群から選択される。
【0016】
さらに別の実施形態では、本装置は、第1のチップおよび第2のチップをチップ・ハンドラに対して水平方向にアライメントするための位置決めモジュールをさらに含む。チップ・ハンドラの少なくとも1つの支持面は、第1のチップおよび第2のチップがアライメントされてチップ・ハンドラに実装されると、第1のチップおよび第2のチップの第1の表面を垂直方向にアライメントするように、第1のチップおよび第2のチップの第1の組の端子の外側の点で第1のチップおよび第2のチップの第1の表面に部分的に接触する。
【0017】
別の実施形態では、チップ・ハンドラおよびチップ支持部材は、複数の固定具と、複数の固定具のうちの少なくとも1つを吸引力によってボンディング・ヘッドまたはステージに対して固定および解放するための一組の吸引ラインとを含む。
【0018】
さらに別の好ましい実施形態では、チップ支持部材は、第1のチップを第1のチップの第2の表面から保持するための第1の水平面を有する第1のベース部を含む。チップ支持部材は、第2のチップを第2のチップの第2の表面から保持するための第2の水平面を有する第2のベース部を含む。これにより、第1のチップと第2のチップの厚さを異ならせることができる。
【0019】
さらに別の実施形態では、チップ支持部材の第1のベース部の第1の水平面および第2のベース部の第2の水平面は、互いに独立して調整可能である。これにより、本装置は、第1のチップと第2のチップの厚さが同じであっても異なっていても、これらのチップをハンドリングすることができる。
【0020】
さらに別の実施形態では、チップ支持部材は、第1のベース部上に形成された第1の厚さ調整層または第2のベース部上に形成された第2の厚さ調整層あるいはその両方をさらに含む。これにより、第1の厚さ調整層および第2の厚さ調整層は、対応するチップの厚さのばらつきを吸収することができる。
【0021】
さらに別の実施形態では、ブリッジ部材は、第3の組の端子を有し、本装置は、第2の表面の側から、第1のチップおよび第2のチップの第1の組の端子とブリッジ部材の第3の組の端子との連結部の周囲の場所にアンダーフィル材料を吐出するための吐出器をさらに含む。特定の実施形態では、チップ支持部材は、アンダーフィル材料が吐出される第2の開口部を含む。
【0022】
特定の実施形態では、本装置は、第1のチップ、第2のチップ、ならびに第1のチップおよび第2のチップに接合されたブリッジ部材を含むブリッジされたモジュールをチップ・ハンドラから解放することと、ブリッジされたモジュールを基板に実装することとを制御するための制御モジュールをさらに含む。
【0023】
本発明の別の実施形態によると、ブリッジ部材によって第1のチップと第2のチップとを相互接続するための方法が提供される。第1のチップおよび第2のチップのそれぞれは、上に形成された第1の組の端子を含む第1の表面および第1の表面の反対側の第2の表面を有する。本方法は、第1のチップおよび第2のチップを、開口部および少なくとも1つの支持面を有するチップ・ハンドラに実装することを含み、チップ・ハンドラに実装された第1のチップおよび第2のチップの第1の表面は、チップ・ハンドラの少なくとも1つの支持面によって支持される。本方法は、第1のチップおよび第2のチップを、第2の表面からチップ・ハンドラを用いてチップ支持部材上に配置することも含む。本方法は、ブリッジ・ハンドラによってチップ・ハンドラの開口部を通してブリッジ部材を挿入し、第1のチップおよび第2のチップの第1の組の端子上にブリッジ部材を配置することをさらに含む。
【0024】
本発明の実施形態による方法は、第1のチップおよび第2のチップをチップ・ハンドラに実装する際に、第1のチップおよび第2のチップがチップ・ハンドラに対して予めアライメントされているため、第1のチップと第2のチップとの間、ならびに第1のチップおよび第2のチップとブリッジ部材との間の正確なアライメントを可能にする。次に、ブリッジ部材がチップ・ハンドラに対して予めアライメントされた第1および第2のチップ上に配置され、次いで、ブリッジされた複数のチップを基板に同時に接合することができる。また、第1および第2のチップならびに中間ブリッジ構造は、プロセス中にチップ・ハンドラの少なくとも1つの支持面によって支持される。
【0025】
好ましい実施形態では、本方法は、チップ・ハンドラ、チップ支持部材、およびブリッジ・ハンドラを組み立てて、チャンバ空間内に第1のチップおよび第2のチップの第1の組の端子ならびにブリッジ部材の端子を収容するチャンバ空間を提供することをさらに含む。これにより、第1のチップおよび第2のチップの第1の組の端子ならびにブリッジ部材の端子は、ブリッジング・プロセス中に制御された環境に置かれる。
【0026】
さらなる好ましい実施形態では、本方法は、第1のチップおよび第2のチップの第1の組の端子またはブリッジ部材の端子あるいはその両方を洗浄するために、チャンバ空間内に還元ガスを供給することをさらに含む。これにより、還元雰囲気中で、洗浄レス接合を達成することができる。また、チャンバ空間内に還元ガスを保持することができるため、還元ガスの腐食性によるチャンバ空間外の装置の部品の腐食も防止することができる。
【0027】
特定の実施形態では、第1のチップおよび第2のチップをチップ・ハンドラに実装することは、少なくとも1つの支持面に形成された複数の第1の孔によって、第1のチップの第1の表面を吸引することと、少なくとも1つの支持面に形成された複数の第2の孔によって、第2のチップの第1の表面を吸引することと、を含む。
【0028】
特定の実施形態では、第1のチップおよび第2のチップをチップ・ハンドラに実装することは、少なくとも1つの支持面に形成され、ボンディング・ステージ側およびボンディング・ヘッド側の一方からルーティングされた第1の組の孔によって、第1のチップおよび第2のチップの第1の表面を吸引することを含む。第1のチップおよび第2のチップをチップ支持部材上に配置することは、少なくとも1つの支持面に形成され、ボンディング・ステージ側およびボンディング・ヘッド側の他方からルーティングされた第2の組の孔によって、第1のチップおよび第2のチップの第1の表面を吸引することを含む。第1のチップおよび第2のチップをチップ支持部材上に配置することは、ボンディング・ステージ側およびボンディング・ヘッド側の一方からチップ・ハンドラを解放することをさらに含む。これにより、チップ・ハンドラの少なくとも1つの支持面と第1のチップおよび第2のチップの第1の表面との間の固定は、ボンディング・ヘッド側とボンディング・ステージ側の両方から孔における吸引を利用することによって制御することができる。
【0029】
特定の実施形態では、本方法は、第1のチップ、第2のチップ、ならびに第1のチップおよび第2のチップに接合されたブリッジ部材を含むブリッジされたモジュールを、チップ・ハンドラから解放することをさらに含む。本方法は、ブリッジされたモジュールを基板に実装することをさらに含む。
【0030】
特定の実施形態では、ブリッジ部材は第3の組の端子を有する。本方法は、第2の表面の側から、第1のチップおよび第2のチップの第1の組の端子とブリッジ部材の第3の組の端子との連結部の周囲の場所にアンダーフィル材料を吐出することと、アンダーフィル材料を硬化させることとをさらに含む。
【0031】
本発明の別の実施形態によると、第1のチップおよび第2のチップをハンドリングするためのチップ・ハンドラが提供される。第1のチップおよび第2のチップのそれぞれは、上に形成された第1の組の端子を含む第1の表面および第1の表面の反対側の第2の表面を有する。チップ・ハンドラは、第1のチップおよび第2のチップがチップ・ハンドラに実装されたときに、第1のチップおよび第2のチップの第1の表面を支持するための少なくとも1つの支持面を含む。チップ・ハンドラは、ブリッジ部材を挿入し、続いて、第1のチップおよび第2のチップの第1の組の端子上にブリッジ部材を配置するために使用される開口部も含む。第1のチップおよび第2のチップの第2の表面は、チップ・ハンドラから露出する。
【0032】
本発明の実施形態によるチップ・ハンドラは、第1のチップと第2のチップとの間のプリアライメント機能を提供するため、第1のチップと第2のチップとの間、ならびに第1のチップおよび第2のチップのそれぞれとブリッジ部材との間の正確なアライメントを可能にする。ブリッジ部材は、チップ・ハンドラに対して予めアライメントされた第1および第2のチップ上に配置することができ、次いで、ブリッジされた複数のチップが基板に同時に接合される。また、第1および第2のチップならびに中間ブリッジ構造は、ブリッジング・プロセス中にチップ・ハンドラの少なくとも1つの支持面によって支持される。
【0033】
さらなる特徴および利点は、本発明の技術によって実現される。本発明の他の実施形態および態様は、本明細書に詳細に記載されており、特許請求される発明の一部とみなされる。
【0034】
以下の詳細な説明は、例として与えられ、本発明をそれのみに限定することは意図されておらず、添付の図面と併せて最も良く理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【
図1A】本発明の一実施形態による、ブリッジされたマルチチップ・モジュールの製造装置で使用されるチップ・ハンドラおよびチップ・ハンドラによって担持されたブリッジされたモジュールの断面図である。
【
図1B】本発明の一実施形態による、線B-B’にわたるチップ・ハンドラの断面図である。
【
図1C】本発明の一実施形態による、チップ・ハンドラの上面図である。
【
図1D】本発明の一実施形態による、チップ・ハンドラの底面図である。
【
図2A】本発明の一実施形態による、チップ・ハンドラの断面図である。
【
図2B】本発明の一実施形態による、線B-B’にわたるチップ・ハンドラの断面図である。
【
図2C】本発明の一実施形態による、チップ・ハンドラの上面図である。
【
図2D】本発明の一実施形態による、チップ・ハンドラの底面図である。
【
図3A】本発明の一実施形態による、チップ・ハンドラを使用して、ブリッジされたマルチチップ・モジュールを製造するプロセスの第1のステップである。
【
図3B】本発明の一実施形態による、実装するステップを示すチップ・ハンドラの断面図である。
【
図3C】本発明の一実施形態による、第1のチップおよび第2のチップをボンディング・ステージ上に配置するステップを示すチップ・ハンドラの断面図である。
【
図3D】本発明の一実施形態による、ブリッジ・ハンドラに取り付けられたブリッジ部材を準備するステップを示すチップ・ハンドラの断面図である。
【
図3E】本発明の一実施形態による、ブリッジ・ハンドラによってチップ・ハンドラの開口部を通してブリッジ部材を挿入するステップを示すチップ・ハンドラの断面図である。
【
図4A】本発明の一実施形態による、温度を上昇させるステップ、はんだ接合を実行するステップ、不活性ガスによってガスを置換するステップ、および冷却するステップを示すチップ・ハンドラの断面図である。
【
図4B】本発明の一実施形態による、接合されたブリッジ部材を解放するステップ、およびブリッジ・ハンドラのハンドラ本体をチップ・ハンドラから取り外すステップを示すチップ・ハンドラの断面図である。
【
図4C】本発明の一実施形態による、アンダーフィル材料を吐出するステップを示すチップ・ハンドラの断面図である。
【
図4D】本発明の一実施形態による、チップ・ハンドラからブリッジされたモジュールを解放するステップを示すチップ・ハンドラの断面図である。
【
図4E】本発明の一実施形態による、ブリッジされたモジュールを基板に実装するステップを示すチップ・ハンドラの断面図である。
【
図5】本発明の一実施形態による、ブリッジされたマルチチップ・モジュールの製造装置の概略図である。
【
図6A】本発明の一実施形態による、ブリッジされたマルチチップ・モジュールの製造装置で使用されるチップ・ハンドラ、チップ支持部材、ならびにチップ・ハンドラおよびチップ支持部材に実装されたブリッジされたモジュールの断面図である。
【
図6B】本発明の一実施形態による、線B-B’にわたるチップ・ハンドラとチップ支持部材との組立体の断面図である。
【
図6C】本発明の一実施形態による、チップ・ハンドラの組立体の上面図である。
【
図7A】本発明の一実施形態による、チップ・ハンドラおよびチップ支持部材を使用することによって、ブリッジされたマルチチップ・モジュールを製造するためのプロセスの第1のステップである。
【
図7B】本発明の一実施形態による、チップ支持部材をチップ・ハンドラに取り付けるステップを示すチップ・ハンドラの断面図である。
【
図7C】本発明の一実施形態による、ブリッジ・ハンドラに取り付けられたブリッジ部材を準備するステップを示すチップ・ハンドラの断面図である。
【
図7D】本発明の一実施形態による、チップ・ハンドラの開口部を通してブリッジ部材を挿入するステップを示すチップ・ハンドラの断面図である。
【
図8A】本発明の一実施形態による、ブリッジ・ハンドラのハンドラ本体からブリッジ部材を解放するステップ、チップ・ハンドラからブリッジ・ハンドラのハンドラ本体を取り外すステップ、チップ・ハンドラとチップ支持部材との組立体を反転させるステップ、およびアンダーフィル材料を吐出するステップを示すチップ・ハンドラの断面図である。
【
図8B】本発明の一実施形態による、チップ・ハンドラからブリッジされたモジュールを解放するステップを示すチップ・ハンドラの断面図である。
【
図8C】本発明の一実施形態による、コンタクト・パッドを有する基板を準備するステップを示すチップ・ハンドラの断面図である。
【
図8D】本発明の一実施形態による、ブリッジされたモジュールを基板に実装するステップ、およびリフローを実行するステップを示すチップ・ハンドラの断面図である。
【
図9A】本発明の一実施形態による、チップ・ハンドラを使用せずに2つのチップとブリッジ部材とを順に接合する際にアライメント不良が発生する第1の接合段階を示す図である。
【
図9B】本発明の一実施形態による、チップ・ハンドラを使用せずに2つのチップとブリッジ部材とを順に接合する際にアライメント不良が発生する第2の接合段階を示す図である。
【
図9C】本発明の一実施形態による、チップ・ハンドラを使用せずに2つのチップとブリッジ部材とを順に接合する際にアライメント不良が発生する第3の接合段階を示す図である。
【
図10A】本発明の一実施形態による、一組のチップ・ハンドリング固定具、および一組のチップ・ハンドリング固定具によって担持されたブリッジされたモジュールの断面図である。
【
図10B】本発明の一実施形態による、一組のチップ・ハンドリング固定具、ボンディング・ステージ、および一組のチップ・ハンドリング固定具によって担持されたブリッジされたモジュールを有するボンディング・ヘッドの断面図である。
【
図11A】本発明の一実施形態による、一組のチップ・ハンドリング固定具に形成された一組の吸引ラインの断面図である。
【
図11B】本発明の一実施形態による、一組の吸引ラインの断面図である。
【
図11C】本発明の一実施形態による、第2のベースライン固定具の表面の平面図である。
【
図12A】本発明の一実施形態による、一組のチップ・ハンドリング固定具における一組の吸引ラインの動作を示す図である。
【
図12B】本発明の一実施形態による、ボンディング・ステージからの吸引ラインの排気がオンにされた一組のチップ・ハンドリング固定具における一組の吸引ラインの動作を示す。
【
図13A】本発明の一実施形態による、一組のチップ・ハンドリング固定具を使用して、ブリッジされたマルチチップ・モジュールを製造するプロセスの第1のステップを示すチップ・ハンドル構造の断面図である。
【
図13B】本発明の一実施形態による、アライメント・マークを有する第2のチップを実装するステップを示すチップ・ハンドル構造の断面図である。
【
図13C】本発明の一実施形態による、残りの吸引ラインをオンにすることによって、ステージ固定具をベースライン固定具に取り付けるステップを示すチップ・ハンドル構造の断面図である。
【
図14A】本発明の一実施形態による、接合ヘッドのすべての吸引機能をオフにするステップ、および接合ヘッドを固定具から解放するステップを示すチップ・ハンドル構造の断面図である。
【
図14B】本発明の一実施形態による、ブリッジ・ハンドラによって第2のベースライン固定具の開口部を通してブリッジ部材を挿入するステップを示すチップ・ハンドル構造の断面図である。
【
図14C】本発明の一実施形態による、ブリッジ・ハンドラのハンドラ本体から接合されたブリッジ部材を解放するステップ、および開口部を通して固定具からブリッジ・ハンドラのハンドラ本体を取り外すステップを示すチップ・ハンドル構造の断面図である。
【
図15A】本発明の一実施形態による、ブリッジされたモジュールを有するチップ・ハンドリング固定具をキャリア上に配置するステップを示すチップ・ハンドル構造の断面図である。
【
図15B】本発明の一実施形態による、チップ・ハンドリング固定具をピック・アップしてボンディング・ステージ上に配置するステップを示すチップ・ハンドル構造の断面図である。
【
図15C】本発明の一実施形態による、ブリッジされたモジュール上に基板を接合するステップを示すチップ・ハンドル構造の断面図である。
【
図16A】本発明の一実施形態による、キャリア上で
図15B~
図15Cのステップを行うことを示すチップ・ハンドル構造の断面図である。
【
図16B】本発明の一実施形態による、半導体チップ、ブリッジ部材、および基板を含むブリッジされたマルチチップ・モジュールを得ることを示すチップ・ハンドル構造の断面図である。
【
図17A】本発明の一実施形態による、一組のチップ・ハンドリング固定具を使用して、ブリッジされたマルチチップ・モジュールを製造するためのプロセスの第1のステップ中の一組のチップ・ハンドリング固定具の断面図である。
【
図17B】本発明の一実施形態による、ブリッジ・ハンドラによって第2のベースライン固定具の開口部を通してブリッジ部材を挿入するステップを示すチップ・ハンドル構造の断面図である。
【
図17C】本発明の一実施形態による、ブリッジ・ハンドラのハンドラ本体から接合されたブリッジ部材を解放するステップ、および開口部を通して固定具からブリッジ・ハンドラのハンドラ本体を取り外すステップを示すチップ・ハンドル構造の断面図である。
【
図17D】本発明の一実施形態による、
図15Cに示す接合ステップの前のステップを示すチップ・ハンドル構造の断面図である。
【
図18A】本発明の一実施形態による、一組のチップ・ハンドリング固定具を使用して、ブリッジされたマルチチップ・モジュールを製造するための装置およびプロセスの概略図である。
【
図18B】本発明の一実施形態による、ブリッジ・ハンドラによって第2のベースライン固定具の開口部を通してブリッジ部材を挿入するステップを示すチップ・ハンドル構造の断面図である。
【
図18C】本発明の一実施形態による、ブリッジされたモジュール上に基板を接合するステップを示すチップ・ハンドル構造の断面図である。
【
図19A】本発明の一実施形態による、複数の固定部材を示すチップ・ハンドル構造の断面図である。
【
図19B】本発明の一実施形態による、固定部材として、接着材を用いることを示す
図19Aのチップ・ハンドル構造の詳細図である。
【
図19C】本発明の一実施形態による、固定部材として、金属スタッド・バンプとパッドとの対を用いることを示す
図19Aのチップ・ハンドル構造の詳細図である。
【
図19D】本発明の一実施形態による、固定部材として、はんだバンプとパッドとの対を用いることを示す
図19Aのチップ・ハンドル構造の詳細図である。
【
図20A】本発明の一実施形態による、固定部材として、はんだバンプとパッドとの対を用いる例示的なプロセス・フローの第1のステップを説明する図である。
【
図20B】本発明の一実施形態による、ブリッジング接合を行うステップを説明する図である。
【
図20C】本発明の一実施形態による、アンダーフィルを硬化させるステップを説明する図である。
【
図20D】本発明の一実施形態による、温度を上昇させることによって剥離を行うステップを説明する図である。
【
図21A】本発明の一実施形態による、
図10に示すベースライン固定具に対応するチップ・ハンドリング固定具の変形例を示すチップ・ハンドリング固定具の上面図である。
【
図21B】本発明の一実施形態による、半導体チップが実装されたチップ・ハンドリング固定具の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
図面は、必ずしも縮尺通りではなく、図面は、単に概略的な表現であり、本発明の特定のパラメータを描写することは意図されていない。図面は、本発明の典型的な実施形態のみを示すことが意図されている。図面において、同様の番号は同様の要素を表す。
【0037】
特許請求される構造および方法の詳細な実施形態が、本明細書に開示される。しかしながら、開示される実施形態は、様々な形態で具現化され得る、特許請求される構造および方法の例示に過ぎないことを理解されたい。本発明は、しかしながら、多くの異なる様々な形態で具現化されてもよく、本明細書に記載される例示的な実施形態に限定されると解釈されるべきではない。説明において、よく知られている特徴および技術の詳細は、提示された実施形態を不必要に曖昧にすることを避けるために省略されることがある。
【0038】
以下では、本発明は、特定の実施形態に関して説明されるが、当業者であれば、以下に説明する実施形態は例示としてのみ言及されており、本発明の範囲を限定することは意図されていないことを理解するであろう。
【0039】
本発明による1つまたは複数の実施形態は、チップ・ハンドラ、チップ支持部材、およびブリッジ・ハンドラのうちの少なくとも1つを使用することによって、ブリッジ部材によって複数のチップを相互接続するための装置および方法を対象とする。本発明による1つまたは複数の実施形態は、チップ・ハンドラ、チップ支持部材、およびブリッジ・ハンドラのうちの少なくとも1つを対象とする場合もある。
【0040】
ブリッジされる各チップは、第1の表面上に形成された第1の組の端子を含む当該第1の表面および第1の表面の反対側の第2の表面を有する。各チップの第1の組の端子は、ブリッジングに使用される。以下では、しばしば、第1の組の端子が形成された第1の表面が「前面」と呼ばれ、前面の反対側の第2の表面が「裏面」と呼ばれる。一実施形態では、各チップの前面は、基板に接合するために使用される第2の組の端子も含み、結果として得られるブリッジされたモジュールは、後続のプロセス中に基板に実装される。端子は、任意の適切な形態を有することができる。一実施形態では、第1の組の端子は、プレはんだ(pre-solder)の有無にかかわらず一組のコンタクト・パッドであり、第2の組の端子は、一組のバンプである。
【0041】
チップ・ハンドラは、複数のチップをハンドリングするために使用され、所定の位置に配置された開口部と、少なくとも1つの支持面とを有する。チップ・ハンドラの支持面は、複数のチップがチップ・ハンドラに実装されたときに、複数のチップの前面を支持するために使用される。特定の実施形態では、チップ・ハンドラは、開口部と連通し、複数のチップがチップ・ハンドラに実装されたときに、複数のチップの第1の組の端子および第2の組の端子をキャビティ内に収容するように、複数のチップの第1の組の端子および第2の組の端子の高さよりも高い高さを有するキャビティをさらに有する。キャビティは、チップ・ハンドラの本体の窪んだまたは凹状の部分として与えられてもよい。
【0042】
チップ支持部材は、チップ・ハンドラを用いて複数のチップをチップ支持部材に実装する際に、複数のチップを裏面から支持するために用いられる。チップ支持部材は、チップ・ボンダのボンディング・ステージもしくはボンディング・ヘッド、またはボンディング・ステージおよびヘッドに取り付け可能な他の固定具であってもよい。ブリッジ・ハンドラは、チップ・ハンドラの開口部を通してブリッジ部材を挿入し、開口部から露出している複数のチップの第1の組の端子上にブリッジ部材を配置するために使用される。
【0043】
図1A~
図1Dおよび
図2A~
図2Dを参照して、本発明の一実施形態によるブリッジされたマルチチップ・モジュールの製造装置で使用されるチップ・ハンドラの概略図を説明する。ブリッジされたマルチチップ・モジュールの製造装置は、ブリッジ部材によって複数のチップを相互接続するための装置を含む。
【0044】
具体的には、
図1A~
図1Dは、チップ・ハンドラ200によって担持されたブリッジされたモジュール150を有するチップ・ハンドラ200を示し、
図2A~
図2Dは、
図1A~
図1Dに示すブリッジされたモジュール150を有さないチップ・ハンドラ200を示す。
図1A~
図1Dおよび
図2A~
図2Dに示すチップ・ハンドラ200は、2つのチップ100A、100Bを1つのブリッジ部材120によって相互接続するためのチップ・ハンドラである。しかしながら、これは一例に過ぎず、相互接続されるチップの数は限定されず、チップを相互接続するために使用されるブリッジ部材の数も限定されない。本発明の実施形態によるチップ・ハンドラは、一般に、1つまたは複数のブリッジ部材を使用することによって2つ以上のチップを相互接続するために使用することができる。
【0045】
【0046】
図1A~
図1Dに示すように、ブリッジされたモジュール150は、チップ・ハンドラ200によって担持されている。
図1A~
図1Dに示すブリッジされたモジュール150は、ブリッジング後の構造であり、チップ・ハンドラ200に実装(mount)された(2つの)チップ100A、100Bと、ブリッジ-チップ連結部130によってチップ100A、100Bに接合された1つのブリッジ部材120とを含む。ブリッジされたマルチチップ・モジュールの製造プロセス中に、チップ・ハンドラ200は、2つのチップ、すなわち第1のチップ100Aおよび第2のチップ100B、ならびにブリッジされたモジュール150の中間構造体または結果として得られる構造体あるいはその両方を、ハンドリングし、担持し、支持し、または保持し、あるいはその組合せを行うために使用される。
【0047】
各チップ100(部材は、一括して参照する場合は、「100」などのアルファベット文字を伴わない数字文字によって参照され、個々に参照する場合は、「100A」および「100B」などの数字文字と、対応するアルファベット文字との組合せによって参照される)は、前面102および裏面104を有する。第1および第2のチップ100A、100Bは、
図1A~
図1Dに示すように、チップ・ハンドラ200に上下逆さまに(upside down)実装されている。ブリッジ部材120は、チップ・ハンドラ200に対して下を向いたチップ100A、100Bの前面102A、102Bに接合される。
【0048】
各チップ100は、集積回路を含む半導体チップ(「ダイ」とも呼ばれる)を含むことができるが、これに限定されない。各チップ100の集積回路は、その内部に製造された電気素子、電気光学素子、または電磁素子、あるいはその組合せと、これらの素子をチップ100の前面102に形成された端子に接続するための配線とを含むことができる。各チップ100は、CPU(central processing unit)、DSP(Digital Signal Processor)、GPGPU(General-Purpose Computing on Graphics Processing Units)、メモリ、AIアクセラレータ、SoC(System-on-a-chip)などのプロセッサの機能を有することができる。各チップ100は、Si、SiGe、Ge、GaAs、GaP、InSbなどの半導体材料で作ることができる。このような半導体材料は、一般に、低いCTE(熱膨張係数)を有する。
【0049】
前面102は、ブリッジングのための第1の組の端子(図示せず)と、インタポーザなどの外部基板に接合するための第2の組の端子106とを含むチップ表面であり、結果として得られるブリッジングされたモジュール150は、後続のプロセス中にインタポーザに実装される。ここで、ブリッジ-チップ連結部130は、
図1A~
図1Dの第1の組の端子上に既に形成されていることに留意されたい。端子は、パッド(プレはんだの有無にかかわらず)、バンプなどを含む任意の適切な形態を有することができる。
図1A~
図1Dに記載される実施形態では、外部基板に接合するための第2の組の端子106は、一組のはんだバンプを含み、ブリッジングのための第1の組の端子は、一組のコンタクト・パッドであってもよい。しかしながら、これらの端子は限定されず、他の実施形態では、第2の組の端子106は、一組のコンタクト・パッドであってもよい。また、第1の組の端子は、一組のバンプであってもよい。
【0050】
図1Dのドット円によって示されるように、各チップ100の第2の組の端子106は、ノッチ領域を有する2次元アレイを形成し、ブリッジ-チップ連結部130も、第1および第2のチップ100A、100Bの第2の組の端子106A、106Bの2次元アレイのノッチ領域に位置する2次元アレイを形成する。ノッチ領域は、2つのチップ100A、100Bの中央に位置する。
【0051】
特定の例では、各チップ100は、300mmウエハを考慮すると、約10~30mm×10~30mmの面積および約750~800マイクロメートルの厚さを有し、裏面研削を考慮すると、50マイクロメートルの厚さを有することができることに留意されたい。各チップ100は、ピッチが約100~200マイクロメートルおよび直径が約50~100マイクロメートルのバンプを有することができる。
【0052】
ブリッジ部材120は、複数のチップ(すなわち、
図1A~
図1Dに示す例示的な実施形態における第1のチップ100Aと第2のチップ100B)を相互接続するための機能を有する。ブリッジ部材120は、一般にチップ100よりも小さい。ブリッジされたモジュール150では、ブリッジ部材120は、ブリッジ-チップ連結部130によって第1および第2のチップ100A、100Bの両方に接合される。ブリッジ-チップ連結部130は、典型的なC4バンプよりもはるかに小さい場合がある。ブリッジされたモジュール150では、アンダーフィル材料がブリッジ-チップ連結部130の周囲に施されることがあるが、
図1A~
図1Dは、アンダーフィル前のブリッジされたモジュール150の中間構造を示す。
【0053】
参考までに、特定の例では、ブリッジ部材120は、約1~5mm×2~10mmの面積および約75~250マイクロメートルの厚さを有することができる。ブリッジ部材120は、ピッチが約20~80マイクロメートルおよび直径が約10~40マイクロメートルのマイクロ・バンプを有することができる。ブリッジ部材120およびブリッジされたモジュール150については、以下でより詳細に説明する。
【0054】
チップ・ハンドラ200は、製造プロセス中に第1のチップ100Aおよび第2のチップ100Bをハンドリングし、担持し、支持し、または保持し、あるいはその組合せを行うために使用される。
図2A~
図2Dに示すように、チップ・ハンドラ200は、第1のキャビティ210と、第1のキャビティ210の底部に形成された第2のキャビティ208と、本体202を貫通して形成された開口部212とを有する本体202を含む。キャビティ208、210は、チップ・ハンドラ200の本体202の窪んだまたは凹状の部分として与えられてもよい。第1のキャビティ210は、第2のキャビティ208に接続し、第2のキャビティ208は、開口部212と連通している。第2のキャビティ208の底部は、底面206に対応し、第1のキャビティ210の底部は、表面204に対応する。
【0055】
図1A~
図1Dに示すように、表面204は、第1および第2のチップ100A、100Bがチップ・ハンドラ200に実装されたときに、各チップ100の周辺領域において第1および第2のチップ100A、100Bの前面102A、102Bを支持する。したがって、以下では、表面204は、しばしば「支持面」と呼ばれる。
図1A~
図1Dおよび
図2A~
図2Dに示す例示的な実施形態では、支持面204は、1つの平坦な連続面である。しかしながら、他の実施形態では、支持面204は、互いに分離された複数の表面領域を含むことができる。例えば、各チップ100の中央領域に位置する追加の支持面があってもよい。したがって、チップ・ハンドラ200は、第1および第2のチップ100A、100Bがチップ・ハンドラ200に実装されたときに、第1のチップ100Aおよび第2のチップ100Bの前面102A、102Bを支持するための少なくとも1つの支持面204を有する。
【0056】
第1のチップ100Aおよび第2のチップ100Bは、チップ・ハンドラ200に実装され、適切なアライメント・ツールを使用することによって、チップ・ハンドラ200に対して水平方向にアライメントされる。第1のチップ100Aおよび第2のチップ100Bが、チップ・ハンドラ200に対して水平方向にアライメントされ、チップ・ハンドラ200に実装されると、チップ・ハンドラ200の支持面204は、第1および第2のチップ100A、100Bの前面102A、102Bに、それらの周辺領域で接触する。これにより、第1のチップ100Aの前面102Aと第2のチップ100Bの前面102Bとの間の垂直方向のアライメントも確立される。
【0057】
図1A~
図1Dに示すように、
図2A~
図2Dに示す第2のキャビティ208は、第1および第2のチップ100A、100Bがチップ・ハンドラ200に実装されたときに第1および第2のチップ100A、100Bの第1の組の端子および第2の組の端子106A、106Bをキャビティ208内に収容するように、第1の組の端子および第2の組の端子の高さよりも高い高さを有する。第2のキャビティ208の縁部は、
図1Cおよび
図1Dの上面図および底面図において短い破線によって表されていることに留意されたい。第1のキャビティ210の縁部は、
図1Dの底面図において短い破線によって表されている。また、各チップ100の縁部は、
図1Dの底面図において破線によって表されている。第1のキャビティ210は、第1および第2のチップ100A、100Bがチップ・ハンドラ200に実装されたときに、第1および第2のチップ100A、100Bの本体を収容する。
【0058】
第1および第2のチップ100A、100Bが支持面204によってチップ・ハンドラ200に実装されると、チップ100A、100Bの裏面104A、104Bが、チップ・ハンドラ200の本体202から露出することにも留意されたい。また、記載される実施形態では、チップ100A、100Bは、チップ・ハンドラ200のキャビティ208、210に完全に収容されている。
【0059】
上述したように、チップ・ハンドラ200は、開口部212も有し、この開口部212を通してブリッジ部材120が挿入され、第1および第2のチップ100A、100B上に配置される。この目的のために、開口部212は、
図1Dに示すように、ブリッジ部材120が配置される所定の位置に位置決めされる。チップ100A、100Bの背後の開口部212の縁部の一部が、
図1Cの上面図において破線で表されていることに留意されたい。
【0060】
チップ・ハンドラ200は、チップ100A、100Bを有するチップ・ハンドラ200が後述するチップ支持部材に組み付けられる際に、本体202の内側の空間を密封するための、チップ・ハンドラ200の本体202の上部に設けられたガス密封部材218をさらに含むことができる。ガス密封部材218の例としては、ゴム、シリコーン、ガラス繊維、プラスチック・ポリマなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0061】
図1Cに示すように、上から見ると、第1のチップ100Aと第2のチップ100Bとの間の間隙を通してブリッジ部材120(その前面122)を見ることができる。また、
図1Dに示すように、底面から見ると、開口部212を通して、第1および第2のチップ100A、100Bに接合されたブリッジ部材120(その裏面124)、ならびに第1および第2のチップ100A、100Bの前面102A、102Bの一部を見ることができる。
【0062】
一実施形態によると、チップ・ハンドラ200は、第1および第2のチップ100A、100Bを支持面204に固定するための固定機構を含むことができる。固定機構の一部として、チップ・ハンドラ200は、
図2Cおよび
図2Dにより明確に示されるように、支持面204に形成された一組の孔214を有する。一組の孔214は、適切なやり方で吸引(または真空)ラインに接続され、チップ100A、100Bの前面102A、102Bを吸引するために使用される。孔214は、ブリッジ-チップ連結部130および第2の組の端子106A、106Bの外側領域である、チップ100A、100Bの周辺領域に対応する箇所に開けられている。参考までに、一実施形態では、各チップ100に対して数百マイクロメートル幅の周辺領域がある。孔214は、チップ100A、100Bのそのような縁部領域に作製されてもよい。
【0063】
一組の孔214は、2つのサブセット、すなわち、第1のチップ100A用の第1のサブセットの孔214A、および第2のチップ100B用の第2のサブセットの孔214Bに分割することができる。孔214は、
図2Cおよび
図2Dに示すように、互いに離れて分布していてもよい。特定の実施形態では、孔214は、均等に分布していてもよい。好ましい実施形態では、一組の孔214は、少なくとも2つのサブセット、すなわち、まばらに分布する周辺サブセットの孔214(214A-P、214B-Pとして表記される)と、周辺サブセットよりも密に分布する中心サブセットの孔214(214A-C、214B-Cとして表記される)とに分割することができる。チップ100とチップ・ハンドラ200との間のCTE不整合が十分に小さくない場合に、加熱中の第1および第2のチップ100A、100B上の端子の不適切な変位を排除するように、ハンドラ中心に位置する孔の数は、ハンドラ周辺に位置する孔の数よりも多いことが好ましい。
【0064】
一実施形態によると、チップ・ハンドラ200は、チップ100A、100Bを有するチップ・ハンドラ200がチップ支持部材に組み付けられる際に、本体202の内側の空間(少なくともキャビティ208を含む)にガスを供給するためのガス供給機構をさらに含むことができる。チップ・ハンドラ200の本体202は、ガス密封部材218がチップ支持部材の表面に接触すると、ガス流容器として機能する。ガス供給機構の一部として、チップ・ハンドラ200は、
図1B、
図1Dおよび
図2B~
図2Dに示すように、チップ・ハンドラ200の本体202に開口し、本体202の内側の空間と連通するガス入口216Iおよびガス出口216Oを有する。
【0065】
特定の実施形態では、ガス入口216Iから供給されるガスは、空間内に収容されたチップ100A、100Bの端子またはブリッジ部材120あるいはその両方を洗浄するための還元ガスを含むことができる。還元ガスとしては、例えば、気相ギ酸、水素ガス(水素と不活性ガス(例えば、窒素、アルゴン)との混合ガス)などが挙げられる。気相ギ酸は、好ましくは、端子上に形成された金属酸化物を除去することができる。また、ガス入口216Iから供給されるガスは、窒素ガス、アルゴンなどの希ガスなどの不活性ガスを含むこともできる。不活性ガスは、ブリッジング後に空間内のガスを置換するために使用されてもよい。
【0066】
チップ・ハンドラ200の本体202は、シリコン、金属(例えば、純金属および合金)、セラミックなどの任意の材料で作ることができる。その目的のために、本体202の材料は、ある程度の剛性を有することができる。好ましい実施形態では、チップ・ハンドラ200の本体202は、チップ100A、100Bの材料と同様または同等の特定のCTE(熱膨張係数)を有する任意の材料で作ることができる。好ましい実施形態では、チップ・ハンドラ200の本体202は、耐熱性、機械加工性、および気相ギ酸などの還元ガスに対する耐腐食性のうちの少なくとも1つ、より好ましくはすべてを有する任意の材料で作ることができる。チップ・ハンドラ200の本体202に適したそのような材料の例としては、Mo、Ti、Zr、ハステロイ(Hastelloy)(商標)(Ni、Mo、Cr)などを挙げることができる。特定の実施形態では、SUS(Fe、Cr、Ni)、Al合金以外の純金属および合金を、チップ・ハンドラ200の本体202に使用することができる。
【0067】
図3A~
図3Eおよび
図4A~
図4Eを参照すると、本発明の一実施形態による、チップ・ハンドラを使用して、ブリッジされたマルチチップ・モジュールを製造するためのプロセスの概略図が示されている。ブリッジされたマルチチップ・モジュールの製造プロセスは、チップ・ハンドラを用いて複数のチップをブリッジ部材で相互接続するプロセスを含む。本実施形態において、
図3A~
図3Eおよび
図4A~
図4Eは、
図1C~
図1Dおよび
図2C~
図2Dの上面図および底面図において線B-B’によって表記される断面に対応する断面図を示す。しかしながら、
図3A~
図3Eおよび
図4A~
図4Eには、2つのチップ100A、100Bと接触する支持面204の中央部分を含む、A-A’線に沿った断面部分も点線によって示されている。
【0068】
図3Aに示すように、製造プロセスは、ボンディング・ヘッドを使用することによって、アライメント・マーク(図示せず)を有する第1のチップ100Aをチップ・ハンドラ200に実装(mount)し、続いて、第1のチップ100Aの前面102Aを、チップ・ハンドラ200の支持面204に形成された第1のサブセットの孔214Aによって吸引するステップを含むことができる。チップ・ハンドラ側のアライメント・マークは、チップ・ハンドラ200の表面204、206Aに形成することができる。チップ側のアライメント・マークは、端子が作製される前面102A(第2のチップ100Bも同様)に形成することができ、これにより、高精度なアライメントが可能となる。チップ・ハンドラ200は、チップ・ボンダのボンディング・ステージ300上に配置される。
図3A~
図3Eおよび
図4A~
図4Eにおいて、太い実線は、真空(減圧を含む)が現在オンになっている孔(および流路)を表すことに留意されたい。第1のチップ100Aは、チップ・ハンドラ200に上下逆さまに(upside down)実装されている。第1のチップ100Aのブリッジングのための第1の組の端子108A、および第2の組の端子106Aは、チップ・ハンドラ200のキャビティ208内に収容されている。
【0069】
図3Bに示すように、製造プロセスは、ボンディング・ヘッドを使用することによって、アライメント・マーク(図示せず)を有する第2のチップ100Bをチップ・ハンドラ200に実装し、続いて、チップ・ハンドラ200の支持面204に形成された孔214Bによって第2のチップ100Bの前面102Bを吸引するステップを含むこともできる。第2のチップ100Bも、チップ・ハンドラ200に上下逆さまに実装されている。第2のチップ100Bの第1の組の端子108Bおよび第2の組の端子106Bは、チップ・ハンドラ200のキャビティ208内に収容されている。
【0070】
図3A~
図3Bに示すステップを実行することによって、第1のチップ100Aおよび第2のチップ100Bは、チップ100A、100Bの前面102A、102Bがチップ・ハンドラ200の支持面204によって支持されるように、チップ・ハンドラ200に実装される。したがって、第1および第2のチップ100A、100Bの前面102A、102Bは、垂直方向にアライメントされる。2つの表面を垂直方向にアライメントするとは、2つの表面が面一であること、またはブリッジ-チップ接合に許容可能な差でアライメントされることを意味することに留意されたい。
【0071】
図3Cに示すように、製造プロセスは、第1のチップ100Aおよび第2のチップ100Bをそれらの裏面104A、104Bからボンディング・ステージ300上に配置するステップを含むこともできる。配置するステップは、チップ・ハンドラ200を逆さまにすることによって、第1および第2のチップ100A、100Bをボンディング・ステージ300上に反転させるステップを含むことができる。ボンディング・ステージ300は、記載された実施形態においてチップ支持部材として機能する。
【0072】
図3Dに示すように、製造プロセスは、ブリッジ・ハンドラ310に取り付けられたブリッジ部材120を準備するステップをさらに含むことができる。ブリッジ・ハンドラ310は、ブリッジ部材120を取り付けるための(ハンドラ)本体と、ブリッジ・ハンドラ310に取り付けられたガス漏れストッパ312とを含む。記載される実施形態では、ブリッジ・ハンドラ310は、チップ・ボンダのボンディング・ヘッドに取り付けられてもよい。ガス漏れストッパ312は、ブリッジ部材120がハンドラ本体によってチップ・ハンドラ200の開口部212を通して挿入されたときに、チップ・ハンドラ200とボンディング・ステージ300とによって形成されたチャンバ空間を密閉するように、チップ・ハンドラ200の開口部212を閉じるために使用される。ブリッジ・ハンドラ310のハンドラ本体は、図示されるように、ガス漏れストッパ312が固定される突出部を有することができる。ブリッジ・ハンドラ310のハンドラ本体に使用される材料の例としては、窒化アルミニウムおよびその材料が挙げられるが、これらに限定されない。ガス漏れストッパ312の例としては、ゴム、シリコーンなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0073】
ブリッジ部材120は、相互接続部が内部に作製された半導体チップまたは有機部材を含むことができるが、これらに限定されない。ブリッジ部材120は、1つのチップに接合される一方の側に形成された各端子を、別のチップにやはり接合されるもう一方の側に形成された対応する端子に相互接続する機能を有することができる。
【0074】
特定の実施形態では、ブリッジ部材120は、Si、SiGe、Ge、GaAs、GaP、InSbなどの半導体材料で作られてもよく、したがって、ブリッジ部材は、ブリッジ・チップである。他の特定の実施形態では、ブリッジ部材120は、有機材料および導電性パターンで作られてもよい。有機ブリッジ部材に使用される有機材料の例としては、エポキシ樹脂、アクリル樹脂などの熱硬化性または熱可塑性高分子材料、PI(ポリイミド)、BCB(ベンゾシクロブテン)、ポリベンゾオキサゾール(PBO)などの感光性絶縁樹脂が挙げられる。有機材料に埋め込まれる導電性パターンは、金属材料(例えば、Cu、Alなど)および他の導電性材料のいずれであってもよい。
【0075】
ブリッジ部材120は、前面122と、前面122の反対側の裏面124とを有することもできる。前面122は、ブリッジングのための第3の組の端子126A、126Bが形成された面である。
図3Cに記載される実施形態では、ブリッジングのための第3の組の端子126は、一組の(マイクロ)バンプであってもよい。第3の組の端子126に含まれる一組のバンプは、第1のチップ100Aに接合するための第1のサブセットの端子126Aと、第2のチップ100Bに接合するための第2のサブセットの端子126Bとを含む、2つのサブセットに分割することができる。ブリッジ部材120は、ブリッジ・ハンドラ310のハンドラ本体によって裏面124から支持されてもよい。
【0076】
図3Eに示すように、製造プロセスは、ブリッジ部材120をチップ100A、100Bの第1の組の端子108A、108B上に配置するように、ブリッジ・ハンドラ310によって、アライメント・マーク(図示せず)を有するチップ・ハンドラ200の開口部212を通してブリッジ部材120を挿入するステップを含むこともできる。アライメント・マークは、端子が作製されるチップ100の前面102およびブリッジ部材120の前面122に形成されてもよく、これにより、高精度のアライメントが可能になる。ブリッジ部材120は、アライメントされたチップ100A、100Bの前面102A、102Bとブリッジ部材120の前面122が互いに向き合うように挿入される。また、第1のチップ100Aの第1の組の端子108Aは、ブリッジ部材120の第1のサブセットの端子126Aにアライメントされる。第2のチップ100Bの第1の組の端子108Bは、ブリッジ部材120の第2のサブセットの端子126Bにアライメントされる。挿入ステップの間、ガス漏れストッパ312は、チップ・ハンドラ200の上部に接触して、ブリッジ・ハンドラ310とチップ・ハンドラ200との間の間隙を覆う。
【0077】
図3Eにも示すように、製造プロセスは、第1のチップ100Aおよび第2のチップ100Bの端子108A、108Bまたはブリッジ部材120の端子126A、126Bあるいはその両方を洗浄するために、チャンバ空間内に還元ガスを供給するステップをさらに含むことができる。端子に形成された酸化金属は、還元ガスによって除去することができる。還元ガスとしては、例えば、気相ギ酸(例えば、気相ギ酸と窒素ガスとを適切な割合で混合したもの)、水素(例えば、水素と不活性ガス(例えば、窒素、アルゴンなど)との混合ガス)などが挙げられる。挿入するステップの間、チップ・ハンドラ200、ボンディング・ステージ300、およびガス漏れストッパ312を備えたブリッジ・ハンドラは、好ましくは閉空間であるチャンバ空間を提供するように組み立てられる。チャンバ空間は、第1および第2のチップ100A、100Bの第1の組の端子108A、108Bならびにブリッジ部材120の端子126A、126Bをチャンバ空間内に収容することができる。
【0078】
図4Aに示すように、製造プロセスは、温度を上昇させるステップと、はんだ接合を行うステップと、ガスを不活性ガスで置換するステップと、冷却するステップとを含むこともできる。はんだ接合を行うことによって、ブリッジ部材120とチップ100A、100Bとの間に、第1のサブセットのブリッジ-チップ連結部130Aおよび第2のサブセットのブリッジ-チップ連結部130Bがそれぞれ形成される。記載される実施形態では、フリップ・チップ・ボンディングは、還元ガス環境で行われる。したがって、還元雰囲気での洗浄レス接合を達成することができる。また、チャンバ空間内に還元ガスを保持することができるため、ガスの腐食性によるチャンバ空間外の装置部品の腐食も防止することができる。
【0079】
図4Bに示すように、製造プロセスは、接合されたブリッジ部材120をブリッジ・ハンドラ310のハンドラ本体から解放するステップと、ブリッジ・ハンドラ310のハンドラ本体を、開口部212を通してチップ・ハンドラ200から取り外すステップとを含むことができ、これにより、チップ・ハンドラ200とボンディング・ステージ300との間にブリッジされたモジュール150が残される。
【0080】
図4Cに示すように、製造プロセスは、チップ100A、100Bの裏面104A、104Bの側から、ブリッジ-チップ連結部130A、130Bの周囲の場所にアンダーフィル材料を吐出するステップをさらに含むことができる。
図4Bと比較すると、チップ・ハンドラ200およびブリッジされたモジュール150が反転されていることに留意されたい。好ましい実施形態では、噴射吐出器240を使用して、チップ100A、100B間の間隙を通してアンダーフィル材料の液滴242を注入することができる。この間隙は、一般に、150~450マイクロメートルの範囲にあってもよい。したがって、毛細管アンダーフィルに使用される典型的なニードルのサイズよりも小さいサイズを有する液滴242を注入することができる噴射吐出器を好ましくは採用することができる。好ましい実施形態では、アンダーフィル材料を吐出する前に、プラズマ処理を行うことができる。ブリッジング後にアンダーフィル材料を施すことができるため、NCP(非導電性ペースト)と比較してより良好な材料特性(例えば、より高い接着性)を有する通常の毛細管タイプのアンダーフィルを採用することができ、これにより、連結部の欠陥のリスクが低減する。
【0081】
図4Dに示すように、製造プロセスは、孔214の吸引をオフにすることによって、ブリッジされたモジュール150をチップ・ハンドラ200から解放し、ボンディング・ヘッド320によって、ブリッジされたモジュール150をチップ・ハンドラ200からピック・アップするステップを含むこともできる。ボンディング・ヘッド320は、チップ100A、100Bの裏面104A、104Bを吸引するための一組の孔322A、322Bを有することができる。本プロセスは、吐出されたアンダーフィル材料132をオーブン内で硬化させるステップを含むこともできる。
【0082】
図4Eに示すように、製造プロセスは、インタポーザなどの基板140上にブリッジされたモジュール150を実装し、続いて、リフローを行うステップを含むこともできる。基板140は、ブリッジ部材120と基板140との間の干渉を回避するために、凹部またはキャビティ142を有することができる。リフローを行うことによって、第1のサブセットの連結部146Aおよび第2のサブセットの連結部146Bが、チップ100A、100Bと基板140との間にそれぞれ形成される。リフロー・ステップの後、任意の適切なパッケージング・プロセスを行って、最終的なブリッジされたマルチチップ・モジュールを製造することができる。
【0083】
図5を参照すると、本発明の一実施形態によるブリッジされたマルチチップ・モジュールの製造装置10の概略図が示されている。
図5に示すように、製造装置10は、上述したボンディング・ステージ300と、チップ・ハンドラ200と、ボンディング・ヘッド320とを含む。製造装置10は、制御モジュール20、XY位置決めモジュール30、Z位置決めモジュール40、ならびに吸引システム60、還元ガス供給器70、および不活性ガス供給器80をさらに含む。
【0084】
ボンディング・ステージ300は、その上に配置された物または対象物を支持するために使用される。ボンディング・ステージ300は、ボンディング・ステージ300をX-Y次元で(水平方向に)位置決めするために使用されるXY位置決めモジュール30に取り付けられている。XY位置決めモジュール30は、
図3A~
図3Bに示すように、チップ・ハンドラ200がボンディング・ステージ300上に配置されたときに、複数のチップ100をチップ・ハンドラ200に対して水平方向にアライメントするために使用される。ボンディング・ステージ300は、
図3C~
図3Eおよび
図4A~
図4Bに示すように、複数のチップ100をそれらの裏面104から支持するために使用することもでき、チップ支持部材として機能することができる。
【0085】
チップ・ハンドラ200は、製造プロセス中に複数のチップ100をハンドリングし、担持し、支持し、または保持し、あるいはその組合せを行うために使用される。チップ・ハンドラ200は、チップ・ハンドラ200をZ次元で(Z1、垂直方向に)位置決めするために使用されるZ位置決めモジュール40に回転可能に取り付けられている。Z位置決めモジュール40は、必要に応じてチップ・ハンドラ200を上下に反転させることができる。
【0086】
ボンディング・ヘッド320は、ブリッジされたモジュール150をハンドリングするために使用される。ボンディング・ヘッド320は、ボンディング・ヘッド320をZ次元で(Z2、垂直方向に)位置決めするために使用される任意のZ位置決め手段に取り付けられてもよい。ブリッジ部材120を挿入するために使用されるブリッジ・ハンドラ310もボンディング・ヘッド320に取り付けることができる。
【0087】
吸引システム60は、チップ・ハンドラ200に形成された孔214からチップ100の前面102を吸引するために使用される。吸引システム60は、真空ポンプと、チップ・ハンドラ200および真空ポンプの流路に接続された真空配管と、ガスの流れを制御するためのバルブとを含むことができる。
【0088】
還元ガス供給器70は、チップ・ハンドラ200内のチャンバ空間に還元ガスを供給するために使用される。気相ギ酸が採用される実施形態では、還元ガス供給器70は、ギ酸を保持するためのタンクと、ギ酸を気化させるための加熱チャンバと、チップ・ハンドラ200の入口216Iおよび加熱チャンバに接続されたガス流配管と、ガスの流れを制御するためのバルブとを含むことができる。水素ガス(水素と不活性ガス(例えば、窒素、アルゴン)の混合ガス)が採用される実施形態では、還元ガス供給器70は、水素ガスをチップ・ハンドラ200内のチャンバ空間に供給するためのガス・ボンベを含むことができる。
【0089】
不活性ガス供給器80は、チップ・ハンドラ200内のチャンバ空間に不活性ガスを供給して、チャンバ空間に残留する還元ガスを置換するために使用される。不活性ガス供給器80は、ガスを供給するためのガス・ボンベと、チップ・ハンドラ200の入口216Iおよびボンベに接続されたガス流配管と、ガスの流れを制御するためのバルブとを含むことができる。不活性ガス供給器80は、還元ガスと混合するための不活性ガスを供給するためにも使用することができる。
【0090】
製造装置10は、アンダーフィル材料を吐出するための噴射吐出器240をさらに含むことができ、これは
図4Cに示されており、
図5では省略されている。また、製造装置10は、ブリッジ部材120を挿入するために使用されるブリッジ・ハンドラ310をさらに含むことができ、これは
図3D~
図3Eおよび
図4Aに示されており、
図5では省略されている。
【0091】
制御モジュール20は、処理回路および電子部品を含むことができ、XY位置決めモジュール30、Z位置決めモジュール40、ボンディング・ヘッド320、吸引システム60、還元ガス供給器70、不活性ガス供給器80、および噴射吐出器240を動作させる。制御モジュール20は、
図3A~
図3Eおよび
図4A~
図4Eに示す、チップ100をチップ・ハンドラ200に実装するステップ、チップ・ハンドラ200を反転させるステップ、ブリッジ部材をハンドリングするステップ、アンダーフィル材料を吐出するステップ、ブリッジされたモジュール150をチップ・ハンドラ200から解放するステップ、およびブリッジされたモジュール150を基板140に実装するステップのうちのいずれか1つを制御する。
【0092】
ボンディング・ステージ300は、XY方向に沿って移動するものとして説明し、チップ・ハンドラ200およびボンディング・ヘッド320は、z方向に沿って移動するものとして説明したが、ボンディング・ステージ500に対するハンドラまたはヘッド(200、310、320)の相対位置が3次元的に決定される限り、どのような構成が採用されてもよい。
【0093】
図6A~
図6Cを参照すると、本発明の一実施形態による、ブリッジされたマルチチップ・モジュールの製造装置で使用される、チップ・ハンドラ、チップ支持部材、ならびにチップ・ハンドラおよびチップ支持部材に実装されたブリッジされたモジュールの概略図が示されている。ブリッジされたマルチチップ・モジュールの製造装置は、チップ・ハンドラおよびチップ支持部材を用いて複数のチップをブリッジ部材によって相互接続する装置を含む。
【0094】
図1A~1D、
図2A~2D、
図3A~3E、
図4A~4Eおよび
図5を参照して説明した例示的な実施形態は、好ましくは、ほぼ同じ厚さを有する複数のチップ100を相互接続するために使用される。
図6A~
図6Cに示す例示的な実施形態は、好ましくは、異なる厚さを有する複数のチップを相互接続するために使用される。
【0095】
図6A~
図6Cは、チップ・ハンドラ200およびチップ支持部材250と、それらによって担持されたブリッジされたモジュール150とを表す。
図6A~
図6Cに示すチップ・ハンドラ200は、特に断りのない限り、
図1A~
図1Dおよび
図2A~
図2Dに示すチップ・ハンドラ200とほぼ同じ構造を有する。
【0096】
図6Aおよび
図6Bは、チップ・ハンドラ200とチップ支持部材250との組立体の断面図を示す。
図6Cは、チップ・ハンドラ200とチップ支持部材250との組立体の上面図を示す。
図6Aおよび
図6Bに示す断面図は、
図6Cの上面図に示す線A-A’および線B-B’で示す断面にそれぞれ対応していることに留意されたい。
【0097】
図6A~
図6Cに示すように、ブリッジされたモジュール150は、チップ・ハンドラ200とチップ支持部材250との組立体によって担持されている。ブリッジされたモジュール150は、チップ・ハンドラ200に実装された2つのチップ100A、100Bと、ブリッジ・チップ連結部130によって2つのチップ100A、100Bに接合された1つのブリッジ部材120とを含む。
図6A~
図6Cに示すチップ100A、100Bは、異なる厚さを有する。例えば、第2のチップ100Bは、第1のチップ100Aよりも薄い厚さを有するように裏面研削されている。
図6A~
図6Cに示すチップ・ハンドラ200、チップ100、およびブリッジ部材120は、特に断りのない限り、
図1A~
図1Dおよび
図2A~
図2Dに示すものと同じであることに留意されたい。
【0098】
チップ・ハンドラ200は、製造プロセス中に、第1のチップ100Aおよび第2のチップ100Bを前面102A、102Bからハンドリングし、担持し、支持し、または保持し、あるいはその組合せを行うめに使用される。チップ支持部材250は、プロセス中に、第1のチップ100Aおよび第2のチップ100Bをそれらの裏面104A、104Bからハンドリングし、担持し、支持し、または保持し、あるいはその組合せを行うためにも使用される。
【0099】
図6A~
図6Cに示すように、チップ支持部材250は、第1のベース部252Aと、第2のベース部252Bとを有する。第1のベース部252Aは、第1のチップ100Aを裏面104Aから保持するための第1の水平面を有する。第2のベース部253Bは、第2のチップ100Bを裏面104Bから保持するための第2の水平面を有する。第1の水平面と第2の水平面との間の位置関係は、記載された実施形態では固定されている。
【0100】
チップ支持部材250は、第1のベース部252A上に形成された第1の厚さ調整層254Aと、第2のベース部252B上に形成された第2の厚さ調整層254Bとをさらに含む。各チップ100のベース部252の厚さは、チップ100A、100Bの公称厚さに基づいて設計されることに留意されたい。第1および第2の厚さ調整層254A、254Bは、チップの製造に起因する厚さのばらつきの影響を排除するために設けられている。
【0101】
チップ支持部材250は、開口部260も有し、これを通してアンダーフィル材料が吐出される。この目的のために、開口部260は、
図6Cに示すように、ブリッジ部材120が配置される所定の位置に配置される。上から見ると、開口部260および第1のチップ100Aと第2のチップ100Bとの間の間隙を通して、ブリッジ部材120(その前面122)を見ることができる。
【0102】
チップ支持部材250は、チップ支持部材250をチップ・ハンドラ200に着脱するための着脱機構256を含むことができる。チップ支持部材250は、チップ100A、100Bをチップ支持部材250に固定するための一組の孔258A、258Bを有することができる。一組の孔258A、258Bは、適切なやり方で真空ラインに接続され、チップ100A、100Bの裏面104A、104Bを吸引するために使用される。他の実施形態では、着脱機構は、チップ支持部材250の代わりにチップ・ハンドラ200に設けられてもよいことに留意されたい。
【0103】
チップ支持部材250は、チップ・ハンドラ200の材料と同様の、シリコン、金属、セラミックなどの任意の材料で作ることができる。その目的ために、チップ支持部材250の材料は、ある程度の剛性を有していてもよい。チップ支持部材250を作るのに適した材料の例としては、Mo、Ti、Zr、ハステロイ(Hastelloy)(商標)(Ni、Mo、Cr)などを挙げることができる。
【0104】
ここで一連の
図7A~
図7Dおよび
図8A~
図8Dを参照すると、本発明の一実施形態による、チップ・ハンドラおよびチップ支持部材を使用して、ブリッジされたマルチチップ・モジュールを製造するためのプロセスの概略図が示されている。
図7A~
図7Dおよび
図8A~
図8Dは、
図3A~
図3Eおよび
図4A~
図4Eと同様に、
図6Cの上面図および底面図における線B-B’で示される断面に対応する断面図を示していることに留意されたい。
【0105】
図7Aに示すように、プロセスは、アライメント・マーク(図示せず)を有する第1のチップ100Aおよび第2のチップ100Bを実装し、続いて、第1および第2のチップ100A、100Bの前面102A、102Bを一組の孔214Aによって吸引するステップを含むことができる。チップ・ハンドラ200は、チップ・ボンダのボンディング・ステージ300上に配置される。チップ100A、100Bは、チップ・ハンドラ200に実装され、チップ100A、100Bの前面102A、102Bは、これらチップの厚さが異なっていても垂直方向にアライメントされている。
【0106】
図7Bに示すように、プロセスは、チップ支持部材250をチップ・ハンドラ200に取り付けて、チップ支持部材250によってチップ100A、100Bをそれらの裏面104A、104Bから支持するステップも含むことができる。
【0107】
図7Cに示すように、製造プロセスは、ガス漏れストッパ312が固定されたブリッジ・ハンドラ310に取り付けられたブリッジ部材120を準備するステップをさらに含むことができる。ブリッジ部材120は、端子126A、126Bを含む前面122が下を向くように、ブリッジ・ハンドラ310のハンドラ本体によって裏面124から支持されてもよい。チップ・ハンドラ200、チップ支持部材250、およびチップ100A、100Bは、反転されていることに留意されたい。
【0108】
図7Dに示すように、製造プロセスは、ブリッジ部材120をチップ100A、100B上に配置するように、アライメント・マーク(図示せず)を有するチップ・ハンドラ200の開口部212を通してブリッジ部材120を挿入するステップも含むことができる。挿入ステップの間、ガス漏れストッパ312は、チップ・ハンドラ200の上部に接触する。
図7Dにも示すように、本プロセスは、端子に形成された酸化物を除去するために、チャンバ空間内に還元ガスを供給するステップをさらに含むことができる。本プロセスは、温度を上昇させるステップ、はんだ接合を行うステップ、ガスを不活性ガスで置換するステップ、および冷却するステップも含むことができる。はんだ接合を行うことによって、ブリッジ部材120とチップ100A、100Bとの間にブリッジ-チップ連結部130A、130Bがそれぞれ形成される。記載された実施形態において、フリップ・チップ・ボンディングは、
図3A~
図3Eおよび
図4A~
図4Eに記載された実施形態におけるものと同様の還元ガス環境において行われる。
【0109】
図8Aに示すように、本プロセスは、ブリッジ・ハンドラ310のハンドラ本体からブリッジ部材120を解放するステップと、ブリッジ・ハンドラ310のハンドラ本体をチップ・ハンドラ200から取り外すステップと、チップ・ハンドラ310とチップ支持部材250との組立体を反転させるステップと、チップの裏面104A、104Bの側からブリッジ-チップ連結部130A、130Bの周囲の場所にアンダーフィル材料を吐出するステップとをさらに含むことができる。アンダーフィル材料の液滴242は、背後に配置された噴射吐出器240から開口部260を通して注入される。
【0110】
図8Bに示すように、製造プロセスは、孔214の吸引をオフにすることによって、ブリッジされたモジュール150をチップ・ハンドラ200から解放し、チップ支持部材250によって、ブリッジされたモジュール150をピック・アップするステップも含むことができる。ここで、孔258の吸引をオンにして、チップ100A、100Bの裏面104A、104Bを吸引する。本プロセスは、吐出されたアンダーフィル材料132をオーブン内で硬化させるステップも含むことができる。
【0111】
図8Cに示すように、本プロセスは、コンタクト・パッド144A、144Bが表面に形成された基板140を準備するステップも含むことができる。基板140は、基板140とその上に実装されたブリッジ部材120との間の干渉を回避するために、凹部またはキャビティ142を有することができる。
図8Dに示すように、製造プロセスは、ブリッジされたモジュール150を基板140に実装するステップ、およびリフローを行うステップも含むことができる。リフローを行うことによって、チップ100A、100Bと基板140との間に一組の連結部146A、146Bが形成される。リフロー・ステップの後、任意の適切なパッケージング・プロセスを行って、最終的なブリッジされたマルチチップ・モジュールを製造することができる。
【0112】
図9A~
図9Cは、本発明の一実施形態による、チップ・ハンドラ200を使用せずに、2つのチップとブリッジ部材とを順に接合した場合のアライメント不良の概略図を示す。チップ・ハンドラ200は、複数のチップ100間の精密なプリアライメントを行う機能を提供する。チップ・ハンドラ200を使用しない場合は、外部基板に接合される第1のチップ100Aと第2のチップ100Bとの間のアライメント不良を防止するために、第1のチップ100Aとブリッジ部材120との間、および第2のチップ100Bとブリッジ部材120との間の各アライメント精度は、10倍以上の精度が要求される。
【0113】
図9Aは、第1のチップ900Aにブリッジ部材920を接合する第1の接合におけるアライメント不良を示す概略図である。
図9Bは、第1のチップ900Aに既に接合されているブリッジ部材920に第2のチップ900Bを接合する第2の接合におけるアライメント不良を示す概略図である。第2の接合により、ブリッジ・モジュール950がもたらされる。第1および第2の接合プロセスにおけるアライメント不良は、個々には許容可能であると仮定する。
図9Cは、ブリッジ・モジュール950を基板940に接合する第3の接合におけるアライメント不良の概略図を示す。第1および第2の接合におけるアライメント不良のそれぞれが個々に許容可能であったとしても、ブリッジ・モジュール950と基板940との間のアライメント不良は、許容不可能な場合がある。ある程度の回転アライメント不良が発生することを考慮すると、連結点からの距離が大きくなるにつれ変位が大きくなるため、連結部から離れた位置でのアライメント不良は、許容不可能な場合がある。
【0114】
関連するプロセスとは対照的に、本発明の例示的な実施形態によるチップ・ハンドラ200は、以下のプロセスを可能にする。1つのブリッジ部材が、マスク設計レベルの精度を有するアライメント・マークを有するチップ・ハンドラ200に対して予めアライメントされた「異なるチップ」上の2つの領域に接合され、次いで、ブリッジされた2つのチップが基板に同時に接合される。
【0115】
図10A~
図10Bを参照すると、本発明の一実施形態による、
図6A~
図6Cに示すチップ・ハンドラ200とチップ支持部材250との組合せと同等に機能する一組のチップ・ハンドリング固定具の概略図が表されている。
図10A~
図10Bに示す一組のチップ・ハンドリング固定具は、好ましくは、
図6A~
図6Cに示す実施形態と同様に、厚さの異なる複数のチップを相互接続するために使用される。
【0116】
図10A~
図10Bは、一組のチップ・ハンドリング固定具と、ボンディング・ステージ500と、一組のチップ・ハンドリング固定具によって担持されたブリッジされたモジュール150を有するボンディング・ヘッド510とを表す。
図10Aおよび
図10Bは、本構造の断面図を示す。
【0117】
図10A~
図10Bに示すように、一組のチップ・ハンドリング固定具は、2つのベースライン固定具402、404(第1のベースライン固定具404および第2のベースライン固定具402)と、4つのステージ固定具406、408、410A、410B(第1のステージ固定具408、第2のステージ固定具406、および第3のステージ固定具410A、410B)とを含む。一組のチップ・ハンドリング固定具402~408、410Aおよび410Bは、
図6A~
図6Cに示すチップ・ハンドラ200とチップ支持部材250との組立体を複数の部品に分割して得られる一組の部品に対応することに留意されたい。一組のチップ・ハンドリング固定具402~408、410Aおよび410Bは、ボンディング・ステージ500とボンディング・ヘッド510との間に配置されている。
【0118】
第1のベースライン固定具404、第2のベースライン固定具402、および第2のステージ固定具406(その一部)の第1のスタックは、チップ・ハンドラ200に対応する。第2のステージ固定具406(その一部)、第1のステージ固定具408、および第3のベースライン固定具410A、410Bの第2のスタックは、チップ支持部材250に対応する。特に断りのない限り、固定具(402、404、406)の第1のスタックおよび固定具(406、408、410A、410B)の第2のスタックの機能は、それぞれ
図6A~
図6Cに示すチップ・ハンドラ200およびチップ支持部材250とほぼ同じである。
【0119】
第1のベースライン固定具404は、チップ・ハンドラ200のキャビティ208および支持面204にそれぞれ対応するキャビティ414および支持面405を提供する。第2のベースライン固定具402は、チップ・ハンドラ200の開口部212に対応する開口部416を有する。第3のステージ固定具410A、410Bは、チップ支持部材250の第1および第2のベース部252A、252Bに対応する。第3のベースライン固定具410A、410B上に形成された層412A、412Bは、チップ支持部材250の第1および第2の厚さ調整層254A、254Bに対応する。
【0120】
一組のチップ・ハンドリング固定具には、これらの固定具を吸引力によってボンディング・ステージ500およびボンディング・ヘッド510に対して固定および解放するための一組の吸引ラインが設けられている。
図11A~
図11Cは、一組のチップ・ハンドリング固定具に形成された一組の吸引ライン(書式「V-x-yy-z」として表記される)を示す。
図11Aおよび
図11Bは、断面図も示しているが、
図11Cは、第2のベースライン固定具402の表面の平面図を示す。
図6A~
図6Bに示すガス入口およびガス出口は省略されていることに留意されたい。
【0121】
図11A~
図11Bに示すように、固定具を吸い付けるまたは吸引するための複数の吸引ライン(または流路)があり、各吸引ラインは、固定具、ボンディング・ステージ500、およびボンディング・ヘッド510のうちの少なくとも1つの要素を貫通して形成され、ボンディング・ステージまたはヘッド側からルーティングされている。固定具を吸引するための吸引ラインの機能は以下の通りである。
【0122】
V-h-bf-1によって表記される吸引ラインは、ボンディング・ヘッド510および第2のベースライン固定具402を貫通して形成され、ボンディング・ヘッド側(-h)から第1のベースライン固定具404の表面(-bf-1)に達するようにルーティングされている。
【0123】
V-h-bf-2によって表記される吸引ラインは、ボンディング・ヘッド510を貫通して形成され、ボンディング・ヘッド側(-h)から第2のベースライン固定具402の表面(-bf-2)に達するようにルーティングされている。
【0124】
V-h-sf-1によって表記される吸引ラインは、ボンディング・ヘッド510、ベースライン固定具402、404、および第2のステージ固定具406を貫通して形成され、ボンディング・ヘッド側(-h)から第1のステージ固定具408の表面(-sf-1)に達するようにルーティングされている。
【0125】
V-h-sf-2によって表記される吸引ラインは、ボンディング・ヘッド510およびベースライン固定具402、404を貫通して形成され、ボンディング・ヘッド側(-h)から第2のステージ固定具406の表面(-sf-2)に達するようにルーティングされている。
【0126】
V-s-sf-1によって表記される吸引ラインは、ボンディング・ステージ500を貫通して形成され、ボンディング・ステージ側(-s)から第1のステージ固定具408の表面(-sf-1)に達するようにルーティングされている。
【0127】
V-s-sf-2によって表記される吸引ラインは、ボンディング・ステージ500および第1のステージ固定具408を貫通して形成され、ボンディング・ステージ側(-s)から第2のステージ固定具406の表面(-sf-2)に達するようにルーティングされている。
【0128】
V-s-bf-1/2(略記)によって表記される吸引ラインは、ボンディング・ステージ500およびステージ固定具406、408(およびbf-2のための第1のベースライン固定具404も)を貫通して形成され、ボンディング・ステージ側(-s)から第1のベースライン固定具404(bf-2のための第2のベースライン固定具402)の表面に達するようにルーティングされている。
【0129】
V-s-sf-Aによって表記される吸引ラインは、ボンディング・ステージ500および第1のステージ固定具408を貫通して形成され、ボンディング・ステージ側(-s)から第3のステージ固定具410Aの表面に達するようにルーティングされている。
【0130】
V-s-sf-Bによって表記される吸引ラインは、ボンディング・ステージ500および第1のステージ固定具408を貫通して形成され、ボンディング・ステージ側(-s)から第3のステージ固定具410Bの表面に達するようにルーティングされている。
【0131】
図11A~
図11Bに示すように、チップ100A、100Bを吸引するための複数の吸引ライン(または流路)もあり、各吸引ラインは、固定具、ボンディング・ステージ500、およびボンディング・ヘッド510のうちの少なくとも1つの要素を貫通して形成され、ボンディング・ステージまたはヘッド側からルーティングされている。チップを吸引する吸引ラインの機能は以下の通りである。
【0132】
V-h-cp-Aによって表記される吸引ラインは、要素510、402を貫通して形成され、第2のベースライン固定具402の表面に沿って横断し、次いで、第2のベースライン固定具404を貫通して延在しており、ボンディング・ヘッド側(-h)から、支持面405および第1のチップ100Aの前面102A(cp-A)に達するようにルーティングされている。
【0133】
V-h-cp-Bによって表記される吸引ラインは、要素510、402を貫通して形成され、第2のベースライン固定具402の表面に沿って横断し、次いで、第2のベースライン固定具404を貫通して延在しており、ボンディング・ヘッド側(-h)から、支持面405および第2のチップ100Bの前面102B(cp-B)に達するようにルーティングされている。
【0134】
V-s-tcp-Aによって表記される吸引ラインは、要素500、408、406、404を貫通して形成され、第2のベースライン固定具402の表面に沿って横断し、次いで、第2のベースライン固定具404を貫通して戻るように延在しており、ボンディング・ヘッド側(-s)から、支持面405および第1のチップ100Aの前面102A(tcp-A)に達するようにルーティングされている。
【0135】
V-s-tcp-Bによって表記される吸引ラインは、要素500、408、406、404を貫通して形成され、第2のベースライン固定具402の表面に沿って横断し、次いで、第2のベースライン固定具404を貫通して戻るように延在しており、ボンディング・ヘッド側(-s)から、支持面405および第2のチップ100Bの前面102B(tcp-B)に達するようにルーティングされている。
【0136】
V-s-bcp-Aによって表記される吸引ラインは、ボンディング・ステージ500およびステージ固定具408、410Aを貫通して形成され、ボンディング・ヘッド側(-s)から第1のチップ100Aの裏面104A(bcp-A)に達するようにルーティングされている。
【0137】
V-s-bcp-Bによって表記される吸引ラインは、ボンディング・ステージ500およびステージ固定具408、410Bを貫通して形成され、ボンディング・ヘッド側(-s)から第2のチップ100Bの裏面104B(bcp-B)に達するようにルーティングされている。
【0138】
V-h-cp-A、V-h-cp-B、V-s-tcp-A、V-s-tcp-Bによって表記される吸引ラインのための第2のベースライン固定具402の表面に沿って横断する流路は、第2のベースライン固定具402の表面の平面図を示す
図11Cに描かれている。他の吸引ラインに対応する第2のベースライン固定具402を貫通して形成された垂直孔は、
図11Cでは省略されていることに留意されたい。
【0139】
V-h-cp-A、V-h-cp-B、V-s-tcp-A、およびV-s-tcp-Bによって表記される吸引ラインは、支持面204に形成された一組の孔214に対応する。V-s-bcp-A、V-s-bcp-Bによって表記される吸引ラインは、チップ支持部材250の一組の孔258A、258Bに対応する。
【0140】
V-s-tcp-A、V-s-tcp-Bによって表記される一組の吸引ラインは、ボンディング・ステージ側から支持面405に形成された孔までルーティングされた第1の組の流路である。V-h-cp-A、V-h-cp-Bによって表記される一組の吸引ラインは、ボンディング・ヘッド側から支持面405に形成された孔までルーティングされた第2の組の流路である。
【0141】
【0142】
図12Aに示す動作は、
図7Aに示す状況に対応する。
図12Aに示すように、第1および第2のチップ100A、100Bは、第1のベースライン固定具404によって提供される支持面405に取り付けられ、前面102A、102Bは、吸引ラインV-h-cp-A、V-h-cp-Bによって吸引されている。この状況で、吸引ラインV-h-bf-1、V-h-bf-2、V-h-cp-A、V-h-cp-Bの排気がオンにされる。
【0143】
図12Bに示す動作は、
図7Dに示す状況に対応する。
図12Bに示すように、チップ100A、100Bは、一組のチップ・ハンドリング固定具402~408、410A、410Bによって保持されている。この状況で、ボンディング・ステージ側からの吸引ライン(V-s-sf-1、V-s-sf-1/2、V-s-tcp-A、V-s-bcp-A、V-s-tcp-B、V-s-bcp-B)の真空排気がオンにされる。ボンディング・ヘッド側からの吸引ラインの排気が停止される。ブリッジ・ハンドラ520によって保持されたブリッジ部材120は、第2のベースライン固定具402の開口部416を通して挿入することができる。
図12Bには示されていないが、ブリッジ・ハンドラ520が、ブリッジングの後にアンダーフィルを施す場合に好ましくは使用されるガス漏れストッパを有する場合、ガス漏れストッパは、第2のベースライン固定具402の上部に接触して第2のベースライン固定具402とブリッジ・ハンドラ520との間の間隙を密封することができる。
【0144】
【0145】
図13Aに示すように、製造プロセスは、吸引ラインV-h-bf-2、V-h-bf-1の排気をオンにすることによってベースライン固定具402、404を準備するステップを含むことができる。製造プロセスは、アライメント・マーク(図示せず)を有する第1のチップ100Aを実装し、続いて、吸引ラインV-h-cp-Aをオンにして、第1のチップ100Aの前面102Aを、支持面405に形成された、ボンディング・ヘッド側からルーティングされた孔によって吸引するステップを含むことができる。
図13Bに示すように、製造プロセスは、アライメント・マーク(図示せず)を有する第2のチップ100Bを実装し、続いて、吸引ラインV-h-cp-Bをオンにして、第2のチップ100Bの前面102Bを、支持面405に形成された、ボンディング・ヘッド側からルーティングされた孔によって吸引するステップを含むことができる。予め施されたアンダーフィルが採用される特定の実施形態では、チップ100A、100Bは、任意選択で、それらのチップ表面に予め施されたアンダーフィルを有する。
【0146】
図13Cに示すように、製造プロセスは、残りの吸引ライン(V-s-sf-1、V-s-sf-2、V-s-bf-1/2、V-s-sf-A、V-s-tcp-A、V-s-bcp-A、V-s-sf-B、V-s-tcp-B、V-s-bcp-B、V-h-sf-1、V-h-sf-2)をオンにすることによって、ステージ固定具406、408、410A、410Bをベースライン固定具402、404に取り付けるステップを含むことができる。取り付けるステップは、第1のステージ固定具408をボンディング・ステージ500上に配置し、吸引ラインV-s-sf-1をオンにするサブステップを含むことができる。取り付けるステップは、第3のステージ固定具410Aおよび410Bを第1のステージ固定具408上に配置し、吸引ラインV-s-sf-A、V-s-sf-Bをそれぞれオンにするサブステップを含むことができる。取り付けるステップは、第2のステージ固定具406を第1のステージ固定具408上に配置し、吸引ラインV-s-sf-2をオンにするサブステップを含むことができる。取り付けるステップは、ベースライン固定具402、404(チップ100A、100B)を第2のステージ固定具406上に配置し、吸引ラインV-s-bcp-A、V-s-bcp-B、V-s-tcp-A、V-s-tcp-B、V-s-bf-1/2、V-h-sf-1、V-h-sf-2をオンにするサブステップを含むことができる。吸引ラインV-s-tcp-A、V-s-tcp-Bをオンにすることによって、チップ100A、100Bの前面102A、102Bは、支持面405に形成された、ボンディング・ステージ側からルーティングされた孔によって吸引される。
【0147】
図14Aに示すように、製造プロセスは、ボンディング・ヘッド510のすべての吸引機能(V-h-**-*)をオフにし、ボンディング・ヘッド510を固定具から解放するステップを含むことができる。
【0148】
図14Bに示すように、製造プロセスは、ブリッジ部材120を第1および第2のチップ100A、100B上に配置するように、アライメント・マーク(図示せず)を有する第2のベースライン固定具402の開口部416を通して、ブリッジ・ハンドラ520によってブリッジ部材120を挿入するステップも含むことができる。製造プロセスは、温度を上昇させるステップ、はんだ接合を行うステップ、および冷却するステップも含むことができる。予め施されたアンダーフィル材料を採用しない場合は、還元ガスを供給するステップを実行することができる。
【0149】
図14Cに示すように、製造プロセスは、接合されたブリッジ部材120をブリッジ・ハンドラ520のハンドラ本体から解放するステップと、ブリッジ・ハンドラ520のハンドラ本体を、開口部416を通して固定具から取り外すステップとを含むことができる。製造プロセスは、ボンディング・ヘッド510を固定具402~408、410A、410Bに取り付けるステップと、吸引ラインV-h-sf-1、V-h-sf-2、V-h-bf-1、V-h-bf-2、V-h-cp-A、V-h-cp-Bをオンにすることによってチップ・ハンドリング固定具402~108、410A、410Bを吸引するステップとを含むことができる。製造プロセスは、ボンディング・ステージ500のすべての吸引機能(V-s-**-*)をオフにし、ボンディング・ステージ500から固定具402~408、410A、410Bを解放し、ピック・アップするステップを含むことができる。
【0150】
図15Aに示すように、製造プロセスは、ブリッジされたモジュール150を有するチップ・ハンドリング固定具402~108、410A、410Bをキャリア540上に配置し、続いて、吸引によって固定し、吸引ラインを閉じて真空を維持するステップを含むことができる。製造プロセスは、予め施されたアンダーフィル材料を硬化させるステップを含むことができる。予め施されたアンダーフィル材料を採用しない場合は、硬化前に、噴射吐出器を使用することによるアンダーフィル吐出プロセスが行われてもよい。
【0151】
図15Bに示すように、製造プロセスは、チップ・ハンドリング固定具408、410A、410Bをピック・アップしてボンディング・ステージ500上に配置し、吸引ラインV-h-sf-1、V-h-cp-A、V-h-cp-Bをオフにすることによって、ボンディング・ヘッド510によってベースライン固定具402、404および第2のステージ固定具406をボンディング・ステージ500から解放するステップを含むことができる。
【0152】
図15Cに示すように、製造プロセスは、ブリッジされたモジュール150上に基板140を接合するステップを含むことができる。
図16Aに示すように、任意選択で、一連の
図15B~
図15Cで説明したステップをキャリア540上で行うこともできる。
図16Bに示すように、チップ100A、100B、ブリッジ部材120および基板140を含むブリッジされたマルチチップ・モジュールが得られる。
【0153】
一連の
図17A~
図17Dを参照して、本発明の一実施形態による、一組のチップ・ハンドリング固定具を使用して、ブリッジされたマルチチップ・モジュールを製造するためのプロセスの概略を説明する。
図17A~
図17Dは、断面図も示していることに留意されたい。一連の
図13A~
図13C、
図14A~
図14C、
図15A~
図15C、および
図16A~
図16Bに示すプロセスの過程では、チップ100A、100Bは、それらの前面102A、102Bを上に向けて(ボンディング・ヘッド510の方に向けて)実装され、チップ100A、100Bは、プロセス中に反転されない。
図17A~
図17Dに示す例示的な実施形態は、プロセス中にチップ100A、100Bがそれらの前面102A、102Bを下に向けて(ボンディング・ステージ500の方に向けて)実装されるプロセスの変形例である。
【0154】
図17A~
図17Dに示すように、チップをハンドリングするために使用される固定具は、
図10A、
図10Bに示すものと同じであるが、固定具402、404、406、408、410A、410Bの積み重ね順序が逆になっている。
【0155】
図17Aに示す状況は、
図13Bに示す状況に対応する。
図17Aに示すように、第1および第2のチップ100A、100Bは、第1のベースライン固定具404によって提供される支持面405に取り付けられている。チップ100A、100Bは、それらの前面102A、102Bを下に向けて固定具402、404に実装されている。
【0156】
図17Bに示す状況は、
図14Bに示す状況に対応する。
図17Bに示すように、チップ100A、100Bは、一組のチップ・ハンドリング固定具402~408、410A、410Bによって保持され、ブリッジ部材120は、ブリッジ・ハンドラ560によって固定具402の開口部416を通して挿入される。ブリッジ部材120は、その前面122を上に向けてチップ100A、100Bに接合されている。
【0157】
図17Cに示す状況は、
図14Cに示す状況に対応する。
図17Cに示すように、ブリッジされたモジュール150および固定具402~408、410A、410Bは、ボンディング・ステージ500に取り付けられ、ボンディング・ヘッド510は、固定具402~408、410A、410Bから解放されている。
【0158】
図17Dに示す状況は、
図15Cに示す接合ステップの直前の状況に対応する。
図17Dに示すように、表面にコンタクト・パッド144A、144Bが形成された基板140が用意される。チップ100A、100Bの第2の組の端子106A、106Bは、基板140のコンタクト・パッド144A、144Bにアライメントされ、ブリッジされたモジュール150が基板140に配置される。
【0159】
一連の
図13B、
図18A~
図18Cを参照して、本発明のさらに他の例示的な実施形態による一組のチップ・ハンドリング固定具を使用して、ブリッジされたマルチチップ・モジュールを製造するための装置およびプロセスの概略を説明する。
図18A~18Cは、断面図も示していることに留意されたい。
図6A~
図8D、
図11A~
図16B、および
図17A~
図17Dに示す例示的な実施形態では、第1のベース部252Aと第2のベース部252Bの表面間、および固定具410A、410B間の位置関係は固定されている。これに対して、
図18A~
図18Cに示す装置は、チップ100A、100Bを支持するための複数のチップ・ボンディング・ステージ500A、500Bと、周辺ボンディング・ステージ500Cとを有する。ボンディング・ステージ500A、500Bは、対応するチップ100A/100Bが支持されている表面の高さを調整するための個々のZ位置決めモジュールによって独立して制御される。周辺ボンディング・ステージ500Cのレベルは、固定されていてもよい。
【0160】
図13Bに示すように、第1および第2のチップ100A、100Bは、第1のベースライン固定具404によって提供される支持面405に取り付けられている。
【0161】
図18Aに示す状況は、
図14Bに示す状況に対応する。
図18Bに示すように、チップ100A、100Bは、一組のチップ・ハンドリング固定具402~408、410A、410Bによって保持されている。固定具402、404、408は、周辺ボンディング・ステージ500C上に積み重ねられている。第1のチップ100Aの前面102Aと第2のチップ100Bの前面102Bは、第1のベースライン固定具404の支持面405によって垂直方向にアライメントされ、高さが調整されたボンディング・ステージ500A、500Bによってバック・アップされている。ブリッジ部材120は、第2のベースライン固定具402の開口部416を通してブリッジ・ハンドラ520によって挿入される。
【0162】
図18Bに示す状況は、
図15Bに示す状況に対応する。
図18Bに示すように、ベースライン固定具402、404および第2のステージ固定具406は、複数のボンディング・ステージ500A、500B上に配置されたブリッジ・モジュール150から解放されている。ベースライン固定具402、404および第2のステージ固定具406は、周辺ボンディング・ステージ500Cからも分離されている。
【0163】
図18Cに示す状況は、
図15Cに示す状況に対応する。
図18Cに示すように、基板140は、複数のボンディング・ステージ500A、500B上に配置されたブリッジ・モジュール150に実装されている。
【0164】
上述の実施形態では、一組の孔が、第1および第2のチップ100A、100Bを支持面(204、405)に固定するための固定機構の一部として、チップ・ハンドラ200の支持面204またはベースライン固定具404の支持面405に作製されている。1つまたは複数の実施形態では、チップ100の第1の表面102A、102Bは、固定部材によって支持面(204、405)に固定され、固定部材は、接着材、金属スタッド・バンプとパッドとの対、およびはんだバンプとパッドとの対からなる群から選択される。
【0165】
図19A~
図19Dを参照して、本発明の1つまたは複数の実施形態において使用することができる複数の固定部材について説明する。
【0166】
図19Bでは、固定部材として、接着材を用いる場合について説明する。
図19Bに示す断面図は、
図19Aの円が指す部分の拡大図に相当する。
図19Bに示すように、チップ表面粗さまたは構造に応じて、接着層またはテープ604を、ガスが通過するための孔または流路602を有する第1のベースライン固定具404上に積層することができる。接着層604の材料としては、マジック樹脂を用いることができる。孔602による吸引に加えて、接着層604は、支持面405へのさらなる接着性を提供する。支持面405とチップ100の第1の表面102との間の固定は、流路602を通過するガスの吸引または排気を利用することによって制御することができる。したがって、孔602による吸引に加えて、またはその代わりに、孔602を使用して、チップ100の前面102に正圧を印加して、適切な温度でチップをより容易に解放することができる(高温であるほど接着性が低下する)。
【0167】
図19Cは、固定部材として、金属スタッド・バンプとパッドとの対を用いた場合を示す。
図19Cに示す断面図は、金属スタッド・バンプとパッドを用いた場合の
図19Aの円が指す部分の拡大図に相当する。
図19Cに示すように、チップ100は、パッド622と、パッド622上に形成された金属スタッド・バンプ624と、チップ100の前面102に形成され、チップ100上に形成されたパッド622を露出させるパッシベーション層630とを含む。第1のベースライン固定具404は、その支持面405に形成されたパッド626を有する。特定の実施形態では、パッド622は、Alパッドであってもよく、金属スタッド・バンプは、Auスタッド・バンプであってもよい。Alパッド622およびAuスタッド・バンプ624は、ダイシング・ストリートまたはチップ周辺部に形成される。パッド626は、Ni/Auパッドであってもよい。金属スタッド・バンプ624とパッド622との対は、固定部材として、真空吸引ラインの代わりに使用することができる。
【0168】
図19Dでは、固定部材として、はんだバンプとパッドとの対を用いる場合について説明する。
図19Dに示す断面図は、はんだバンプとパッドを用いた場合の
図19Aの円が指す部分の拡大図に相当する。
図19Dに示すように、チップ100は、パッド642と、パッド642上に形成されたはんだキャップ付きピラー・バンプ644と、チップ100の前面102に形成され、チップ100上に形成されたパッド642を露出させるパッシベーション層649とを含む。第1のベースライン固定具404は、その支持面405に形成されたパッド648を有する。ピラー・バンプ644とはんだキャップ付きパッド648は、はんだ接合プロセスによって接合されている。特定の実施形態では、パッド642は、Alパッドであってよく、ピラー・バンプは、はんだキャップ付きCuピラー・バンプであってよい。Alパッド642およびはんだキャップ646付きCuピラー・バンプ644は、ダイシング・ストリートまたはチップ周辺部に形成される。パッド648は、Ni/AuまたはCuパッドであってもよい。固定部材として、真空吸引ラインの代わりに、はんだバンプ(ピラー・バンプ644およびはんだキャップ646)とパッド648との対を用いることができる。
【0169】
図20A~
図20Dは、本発明の特定の実施形態による、固定部材として、はんだバンプおよびパッドとの対を用いる場合の例示的なプロセス・フローを説明する。
図20A~
図20Dでは、ベースライン固定具402、404および複数のチップ100A、100B、ブリッジ部材120および固定部材のみが記載されていることに留意されたい。ブリッジングや基板との接合には低融点金属が用いられるため、固定部材として、はんだバンプとパッドとの対を用いる場合は適切な温度管理が求められる。
図20A~
図20Dに示す例では、チップ100の前面102を支持面に固定するためのはんだバンプは、融点摂氏199度のSnZnである。ブリッジングのためのバンプは、Cu UBM(under bump metallurgy)上に形成された融点摂氏155.6度のInまたは融点摂氏139度のSnBiである。基板に接合するためのはんだバンプは、融点摂氏221度のSnAgまたは融点摂氏217度のSnAgCuである。
【0170】
図20Aに示すように、例示的なプロセス・フローは、固定用はんだバンプの融点である摂氏199度よりも高く、接合用バンプの融点(摂氏221/217度)よりも低い温度に昇温することによって仮接合を行うステップを含む。
【0171】
図20Bに示すように、本フローは、ブリッジング用バンプの融点である摂氏157度または139度よりも高く、接合用バンプの融点よりも低い温度でブリッジング接合を行うステップを含む。
【0172】
図20Cに示すように、本フローは、アンダーフィルを硬化させるための典型的な温度範囲(例えば、摂氏150~160度)の下でアンダーフィルの硬化を行うステップを含む。既にブリッジングが行われているため、ブリッジング用バンプの金属は、一般に融点の高い金属間化合物に変換されていることに留意されたい。例えば、CuInの金属間化合物は、摂氏300度を超える融点を有する。CuSnとBiの金属間化合物は、摂氏271.4度を超える融点を有する。
【0173】
図20Dに示すように、本フローは、固定用はんだバンプの融点である摂氏199度よりも高く、接合用バンプの融点よりも低い温度に昇温することによって剥離を行うステップを含む。
【0174】
上述の実施形態は、1つのブリッジ部材120によって2つのチップ100A、100Bを相互接続するためのチップ・ハンドリング固定具を提供する。また、第1および第2のチップ100A、100Bの前面102A、102Bは、各チップ100の周辺領域でのみ支持されている。しかしながら、相互接続されるチップの数は限定されず、チップを相互接続するために使用されるブリッジ部材の数も限定されない。さらに、チップ100の前面102は、各チップ100の周辺領域だけでなく中央領域でも支持されてもよい。
【0175】
図21A~
図21Bは、本発明の一実施形態による、
図10に示すベースライン固定具403、404に対応するチップ・ハンドリング固定具の変形例の概略図を示す。
図21Aは、チップ・ハンドリング固定具650の上面図を示し、
図21Bは、チップ100が実装されたチップ・ハンドリング固定具650の断面図を示す。
図21Bに示す断面図は、
図21Aの上面図の一点鎖線C-C’によって表記される断面に対応することに留意されたい。
【0176】
図21A~
図21Bに示すベースライン固定具650は、
図21A~
図21Bには示されていない4つのブリッジ部材によって4つのチップ100A、100B、100C、100Dを相互接続するためのチップ・ハンドリング固定具である。4つのブリッジ部材は、チップ100A、100Bを接続するための第1のブリッジと、チップ100B、100Dを接続するための第2のブリッジと、チップ100C、100Dを接続するための第3のブリッジと、チップ100A、100Cを接続するための第4のブリッジとを含むことができる。
【0177】
図21A~
図21Bに示すように、チップ・ハンドリング固定具650は、実装される各チップ100のためのキャビティ652と、各ブリッジ部材のための開口部654とを含む。各キャビティ652は、対応するチップ100の端子106(および108も)を収容する。例えば、キャビティ652Aは、第1のチップ100Aの端子106A(および108Aも)を収容する。各開口部654は、各ブリッジ部材を挿入するために使用される。チップ・ハンドリング固定具650は、チップ100A、100B、100C、100Dの前面102A、102B、102C、102Dを支持するための支持面651も有する。支持面651は、各チップ100の中央領域に位置する追加の支持面を含む、互いに分離された複数の表面領域を含むことができる。支持面651には、複数のパッド656が形成されており、ここにチップ100のバンプが配置されて固定のためのはんだ連結部660が形成される。
【0178】
前述した実施形態によると、複数のチップとブリッジ部材とを適切にアライメントすることができ、かつブリッジング・プロセスにおいてチップとブリッジ部材とを適切にハンドリングすることができるマルチチップ相互接続技術が提供される。
【0179】
本発明の例示的な実施形態による装置、方法、およびチップ・ハンドラは、チップ・ハンドラが複数のチップ間のプリアライメント機能を提供するため、複数のチップ間および各チップとブリッジ部材との間の正確なアライメントを可能にする。ブリッジ部材は、チップ・ハンドラに対して予めアライメントされたチップ上の領域に配置され、次いで、ブリッジされた複数のチップが基板に同時に接合される。また、複数のチップおよび中間ブリッジ構造は、ブリッジング・プロセス中にチップ・ハンドラの少なくとも1つの支持面によって適切に支持される。
【0180】
本発明による1つまたは複数の特定の実施形態に関して得られる利点を説明してきたが、一部の実施形態は、これらの潜在的な利点を有さないことがあり、これらの潜在的な利点は、必ずしもすべての実施形態に必要とされるとは限らないことを理解されたい。
【0181】
本明細書で使用される用語は、特定の実施形態を説明することのみを目的としており、本発明を限定することは意図されていない。本明細書で使用される場合、単数形「a」、「an」および「the」は、文脈が明らかにそうでないことを示さない限り、複数形も同様に含むことが意図されている。用語「備える(comprises)」または「備えている(comprising)」あるいはその両方は、本明細書で使用される場合、述べられた特徴、ステップ、層、要素、または構成要素、あるいはその組合せの存在を指定するが、1つまたは複数の他の特徴、ステップ、層、要素、構成要素、またはこれらのグループ、あるいはその組合せの存在もしくは追加を排除しないことがさらに理解されよう。
【0182】
以下の特許請求の範囲におけるすべての手段またはステップに加えて機能要素の対応する構造、材料、行為、および均等物は、もしあれば、具体的に特許請求されるような他の特許請求される要素と組み合わせて機能を実行するための任意の構造、材料、または行為を含むことが意図されている。本発明の1つまたは複数の態様の説明は、例示および説明の目的で提示されたが、網羅的であること、または開示された形態の本発明に限定されることは意図されていない。
【0183】
記載された実施形態の範囲および思想から逸脱することなく、多くの修正および変形が当業者には明らかであろう。本明細書で使用される用語は、実施形態の原理、市場で見出される技術に対する実際の応用もしくは技術的改良を最も良く説明するか、または当業者が本明細書で開示された実施形態を理解することができるように選択された。
【国際調査報告】