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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-24
(54)【発明の名称】フローセル及び方法
(51)【国際特許分類】
   C12M 1/00 20060101AFI20240517BHJP
   C12M 1/34 20060101ALI20240517BHJP
【FI】
C12M1/00 A ZNA
C12M1/34 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023571142
(86)(22)【出願日】2022-05-26
(85)【翻訳文提出日】2024-01-12
(86)【国際出願番号】 US2022031129
(87)【国際公開番号】W WO2022256226
(87)【国際公開日】2022-12-08
(31)【優先権主張番号】63/195,123
(32)【優先日】2021-05-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500358711
【氏名又は名称】イルミナ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【弁理士】
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100221501
【弁理士】
【氏名又は名称】式見 真行
(72)【発明者】
【氏名】ブラスタッド,エリック エム
(72)【発明者】
【氏名】シエスラ,クレイグ マイケル
(72)【発明者】
【氏名】フィッシャー,ジェフリー エス
(72)【発明者】
【氏名】ホン,サンキ
(72)【発明者】
【氏名】クラフト,ルイス ジェイ
【テーマコード(参考)】
4B029
【Fターム(参考)】
4B029AA23
4B029BB20
4B029CC02
4B029FA15
4B029GB09
(57)【要約】
フローセルの例は、基材と、基材に沿って延在する複数の反応領域と、複数の反応領域のうちの1つを、複数の反応領域のうちの隣接する1つから分離する非反応領域と、を含む。複数の反応領域の各々は、反応領域に沿って位置付けられた交互の第1及び第2の領域を含む。第1の領域の各々は、第1のプライマーセットを含み、第2の領域の各々は、第1のプライマーセットとは異なる第2のプライマーセットを含む。隣接する第1及び第2の領域のいずれかが、互いに直接当接するか、又は)第1の領域が凸部上に位置付けられ、第2の領域が凸部に隣接する凹部内に位置付けられる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フローセルであって、
基材と、
前記基材に沿って延在する複数の反応領域と、
前記複数の反応領域のうちの1つを、前記複数の反応領域のうちの隣接する1つから分離する非反応領域と、を備え、
前記複数の反応領域の各々が、前記反応領域に沿って位置付けられた交互の第1及び第2の領域を含み、
前記第1の領域の各々が、第1のプライマーセットを含み、前記第2の領域の各々が、前記第1のプライマーセットとは異なる第2のプライマーセットを含み、
i)隣接する第1及び第2の領域が、互いに直接当接するか、又はii)前記第1の領域が、凸部上に位置付けられ、前記第2の領域が、前記凸部に隣接する凹部内に位置付けられる、フローセル。
【請求項2】
前記第1のプライマーセットが、P5及びP7プライマーを含み、
前記第2のプライマーセットが、PA、PB、PC、及び/又はPDプライマーの任意の組み合わせを含む、請求項1に記載のフローセル。
【請求項3】
前記第1のプライマーセットが、ブロックされていないP5及びP7プライマーを含み、
前記第2のプライマーセットが、3’ブロックされたP5及びP7プライマーを含む、請求項1に記載のフローセル。
【請求項4】
前記非反応領域が、前記基材の露出された部分である、請求項1に記載のフローセル。
【請求項5】
前記第1及び第2の領域の各々は、それぞれの前記第1及び第2のプライマーセットが付着しているポリマーヒドロゲルを含む、請求項1に記載のフローセル。
【請求項6】
前記第1の領域が、前記第1のプライマーセットが付着している第1のポリマーヒドロゲルを含み、
前記第2の領域が、前記第2のプライマーセットが付着している第2のポリマーヒドロゲルを含み、
前記第1のポリマーヒドロゲル及び前記第2のポリマーヒドロゲルが、前記第1のプライマーセット及び前記第2のプライマーセットをそれぞれ付着させるための直交官能基を含む、請求項1に記載のフローセル。
【請求項7】
前記第1の領域が、前記凸部上に位置付けされ、前記第2の領域が、前記凸部に隣接する前記凹部内に位置付けされ、
前記凹部の各々の側壁が、それぞれの隙間領域を画定する、請求項1に記載のフローセル。
【請求項8】
フローセルであって、
基材と、
交互の第1及び第2の領域の行及び列と、を備え、
前記第1の領域の各々が、第1のプライマーセットを含み、前記第2の領域の各々が、前記第1のプライマーセットとは異なる第2のプライマーセットを含み、
i)隣接する第1及び第2の領域が、互いに直接当接するか、又はii)前記第1の領域が、凸部上に位置付けられ、前記第2の領域が、前記凸部に隣接する凹部内に位置付けられる、フローセル。
【請求項9】
前記第1及び第2の領域の形状が、円形又は菱形である、請求項8に記載のフローセル。
【請求項10】
前記第1のプライマーセットが、P5及びP7プライマーを含み、
前記第2のプライマーセットが、PA、PB、PC、及び/又はPDプライマーの任意の組み合わせを含む、請求項8に記載のフローセル。
【請求項11】
前記第1のプライマーセットが、ブロックされていないP5及びP7プライマーを含み、
前記第2のプライマーセットが、3’ブロックされたP5及びP7プライマーを含む、請求項8に記載のフローセル。
【請求項12】
前記第1及び第2の領域の各々が、それぞれの前記第1及び第2のプライマーセットが付着しているポリマーヒドロゲルを含む、請求項8に記載のフローセル。
【請求項13】
前記第1の領域が、前記第1のプライマーセットが付着している第1のポリマーヒドロゲルを含み、
前記第2の領域が、前記第2のプライマーセットが付着している第2のポリマーヒドロゲルを含み、
前記第1のポリマーヒドロゲル及び前記第2のポリマーヒドロゲルが、前記第1のプライマーセット及び前記第2のプライマーセットをそれぞれ付着させるための直交官能基を含む、請求項8に記載のフローセル。
【請求項14】
フローセルであって、
交互の第1の高さの領域及び第2の高さの領域を有する基材と、
前記第1の高さの前記領域に沿って延在し、前記第2の高さの前記領域に沿って延在する、交互の第1及び第2の領域と、を備え、
前記第1の領域の各々が、第1のプライマーセットを含み、前記第2の領域の各々が、前記第1のプライマーセットとは異なる第2のプライマーセットを含む、フローセル。
【請求項15】
前記第1の高さと前記第2の高さとの間の差が、少なくとも150nmである、請求項14に記載のフローセル。
【請求項16】
前記第1のプライマーセットが、P5及びP7プライマーを含み、
前記第2のプライマーセットが、PA、PB、PC、及び/又はPDプライマーの任意の組み合わせを含む、請求項14に記載のフローセル。
【請求項17】
前記第1のプライマーセットが、ブロックされていないP5及びP7プライマーを含み、
前記第2のプライマーセットが、3’ブロックされたP5及びP7プライマーを含む、請求項14に記載のフローセル。
【請求項18】
前記基材の周囲の少なくとも一部分に位置した非反応領域を更に備え、前記非反応領域が、前記基材の露出された部分である、請求項14に記載のフローセル。
【請求項19】
前記第1及び第2の領域の各々は、それぞれの前記第1及び第2のプライマーセットが付着しているポリマーヒドロゲルを含む、請求項14に記載のフローセル。
【請求項20】
前記第1の領域が、前記第1のプライマーセットが付着している第1のポリマーヒドロゲルを含み、
前記第2の領域が、前記第2のプライマーセットが付着している第2のポリマーヒドロゲルを含み、
前記第1のポリマーヒドロゲル及び前記第2のポリマーヒドロゲルが、前記第1のプライマーセット及び前記第2のプライマーセットをそれぞれ付着させるための直交官能基を含む、請求項14に記載のフローセル。
【請求項21】
フローセルであって、
基材と、
複数の第1の領域であって、各第1の領域が、第1のプライマーセットを含み、互いの第1の領域から分離されている、複数の第1の領域と、
複数の第2の領域であって、各第2の領域が、第2のプライマーセットを含み、少なくとも1つの隣接する第1の領域及び少なくとも1つの隣接する第3の領域によって互いの第2の領域から分離されている、複数の第2の領域と、
複数の前記第3の領域であって、各第3の領域が、第3のプライマーセットを含み、少なくとも1つの隣接する第1の領域及び少なくとも1つの隣接する第2の領域によって互いの第3の領域から分離されている、複数の第3の領域と、を備える、フローセル。
【請求項22】
前記第1の領域、前記第2の領域、及び前記第3の領域の形状が、円形又は六角形である、請求項21に記載のフローセル。
【請求項23】
前記第1のプライマーセットが、P5及びP7プライマーを含み、
前記第2のプライマーセットが、PA、PB、PC、及び/又はPDプライマーの任意の組み合わせを含み、
前記第3のプライマーセットが、前記第2のプライマーセットとは異なるPA、PB、PC、及び/又はPDプライマーの任意の組み合わせを含む、請求項21に記載のフローセル。
【請求項24】
前記第1の領域、前記第2の領域、及び前記第3の領域の各々は、それぞれの前記第1及び第2のプライマーセットが付着しているポリマーヒドロゲルを含む、請求項21に記載のフローセル。
【請求項25】
前記第1の領域は、前記第1のプライマーセットが付着している第1のポリマーヒドロゲルを含み、
前記第2の領域は、前記第2のプライマーセットが付着している第2のポリマーヒドロゲルを含み、
前記第3の領域は、前記第3のプライマーセットが付着している第3のポリマーヒドロゲルを含み、
前記第1のポリマーヒドロゲル、前記第2のポリマーヒドロゲル、及び前記第3のポリマーヒドロゲルが、前記第1のプライマーセット、前記第2のプライマーセット、及び前記第3のプライマーセットをそれぞれ付着させるための直交官能基を含む、請求項21に記載のフローセル。
【請求項26】
フローセルであって、
基材と、
前記基材にわたって行及びオフセット列に配置された複数の直交捕捉プライマーと、
前記基材の上に位置付けられ、前記複数の捕捉プライマーの各々を取り囲む連続したポリマーヒドロゲルと、
前記連続したポリマーヒドロゲルに付着したプライマーセットと、を備える、フローセル。
【請求項27】
前記基材が、前記基材にわたって前記行及びオフセット列に配置された凸部を含み、
前記複数の直交捕捉プライマーのうちの1つが、前記凹部の各々上に位置付けられている、請求項26に記載のフローセル。
【請求項28】
前記基材が、前記基材にわたって前記行及びオフセット列に配置された凹部を含み、
前記複数の直交捕捉プライマーのうちの1つが、前記凹部の各々内に位置付けられている、請求項26に記載のフローセル。
【請求項29】
前記プライマーセットが、P5及びP7プライマーを含む、請求項26に記載のフローセル。
【請求項30】
方法であって、
第1のポリマーヒドロゲルを多層基材上に堆積させることであって、前記多層基材が、
前記第1のポリマーヒドロゲルに付着するための表面基を含むベース支持体、
前記ベース支持体の上に位置付けられた層であって、前記層が、前記第1のポリマーヒドロゲルに付着することができない材料を含む、層、及び
前記ベース支持体の一部分が複数の凹部の各々で露出されるように、前記層に画定された前記複数の凹部を含み、
それによって、前記第1のポリマーヒドロゲルが、前記複数の凹部の各々で露出されている前記ベース支持体の前記部分に選択的に付着する、堆積させることと、
表面基を有する前記層を活性化して、第2のポリマーヒドロゲルを付着させることと、
前記第2のポリマーヒドロゲルが前記層に選択的に付着するように、前記第2のポリマーヒドロゲルを堆積させることと、
第1のプライマーセットを前記第1のポリマーヒドロゲルにグラフトすることと、
第2のプライマーセットを前記第2のポリマーヒドロゲルにグラフトすることであって、前記第2のプライマーセットが、前記第1のプライマーセットとは異なる、グラフトすることと、を含む、方法。
【請求項31】
前記層が、
前記層に沿って延在する複数の第1の線であって、前記第1の線の各々が、前記層のパターン化されていない領域によって分離された前記複数の凹部のうちのいくつかを含む、複数の第1の線と、
前記複数の第1の線のうちの1つを前記複数の第1の線のうちの隣接する1つから分離する第2の線であって、前記第2の線が前記複数の第1の線の各々の長さを延長する前記層の連続するパターン化されていない領域を含む、第2の線と、を含むようにパターン化されている、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記第2の線が前記第2のポリマーヒドロゲルに付着することができないように、前記層の前記活性化中に前記第2の線をマスキングすることを更に含む、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記層が、前記層の交互の凹部及びパターン化されていない領域の行及び列を含むようにパターン化されている、請求項30に記載の方法。
【請求項34】
前記層を活性化することが、前記パターン化されていない領域を選択的にシラン化して、前記層の交互の凹部及び活性化された領域の行及び列を生成することを含み、前記凹部及び前記活性化された領域が、円形であり、かつ同じ直径を有する、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
方法であって、
基材内に画定された各凹部の側壁上にマスク材料を堆積させることと、
前記基材上に第1のポリマーヒドロゲルを堆積させることであって、それによって、前記第1のポリマーヒドロゲルが、前記複数の凹部の各々で、及び前記複数の凹部を分離する領域で露出されている前記基材の部分に選択的に付着する、堆積させることと、
前記基材上にフォトレジストを堆積させることと、
前記フォトレジストの第1の部分及び前記第1のポリマーヒドロゲルの第1の部分を前記領域から除去するためにエッチングすることであって、それによって、前記フォトレジストの第2の部分及び前記第1のポリマーヒドロゲルの第2の部分が前記複数の凹部の各々内に残る、エッチングすることと、
表面基を有する前記領域を活性化して、第2のポリマーヒドロゲルを付着させることと、
前記第2のポリマーヒドロゲルが前記領域に選択的に付着するように、前記第2のポリマーヒドロゲルを堆積させることと、
前記マスク材料及び前記フォトレジストの前記第2の部分を除去することと、
第1のプライマーセットを前記第1のポリマーヒドロゲルにグラフトすることと、
第2のプライマーセットを前記第2のポリマーヒドロゲルにグラフトすることであって、前記第2のプライマーセットが、前記第1のプライマーセットとは異なる、グラフトすることと、を含む、方法。
【請求項36】
前記基材が、
前記基材に沿って延在する複数の第1の線であって、前記第1の線の各々が、前記領域によって分離された前記複数の凹部のうちのいくつかを含む、複数の第1の線と、
前記複数の第1の線のうちの1つを前記複数の第1の線のうちの隣接する1つから分離する第2の線であって、前記第2の線が前記複数の第1の線の各々の長さを延長する前記基材の連続するパターン化されていない領域を含む、第2の線と、を含むようにパターン化されている、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記マスク材料はまた、前記第2の線が活性化中に覆われるように、前記第2の線上にも堆積される、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記基材が、交互の凹部及び領域の行及び列を含むようにパターン化されている、請求項35に記載の方法。
【請求項39】
前記領域を活性化することが、前記領域を選択的にアッシングして、交互の凹部及び活性化された領域の行及び列を生成することを含み、前記凹部及び前記活性化された領域が、円形であり、かつ同じ直径を有する、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
方法であって、
第1のポリマーヒドロゲルを多層スタック上に堆積させることであって、前記多層スタックが、
基材と、
交互の第1の領域及び第2の領域を画定するように前記基材上にパターン化されたマスク材料とを含み、前記第1の領域が、前記第1のポリマーヒドロゲルに付着するための表面基を含む前記基材の部分を露出し、前記第2の領域が、前記マスク材料によって覆われており、
それによって、前記第1のポリマーヒドロゲルが、前記第1の領域で露出された前記基材の前記部分に選択的に付着する、堆積させることと、
前記マスク材料をリフトオフして、前記第2の領域を露出させることと、
前記第2の領域を表面基で活性化して、第2のポリマーヒドロゲルを付着させることと、
前記第2のポリマーヒドロゲルが前記第2の領域に選択的に付着するように、前記第2のポリマーヒドロゲルを堆積させることと、
第1のプライマーセットを前記第1のポリマーヒドロゲルにグラフトすることと、
第2のプライマーセットを前記第2のポリマーヒドロゲルにグラフトすることであって、前記第2のプライマーセットが、前記第1のプライマーセットとは異なる、グラフトすることと、を含む、方法。
【請求項41】
前記基材が、交互の第1の高さの領域及び第2の高さの領域を含み、
前記交互の第1の領域及び第2の領域が、前記第1の高さの前記領域及び前記第2の高さの前記領域の各々にわたって延在する、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記第1の領域及び前記第2の領域が、前記基材に沿って延在する複数の第1の線に沿って画定され、
前記方法が、前記複数の第1の線のうちの1つを前記複数の第1の線のうちの隣接する1つから分離する第2の線に沿って第2のマスク材料を適用することを更に含み、前記第2の線が、前記複数の第1の線の各々の長さを延長する前記基材の連続するパターン化されていない領域を画定し、
前記第2のマスク材料が、前記第2の領域の前記活性化中に所定の位置に残り、
前記方法が、前記第2のマスク材料をリフトオフすることを更に含む、請求項40に記載の方法。
【請求項43】
前記第1の領域及び前記第2の領域が、前記基材にわたって行及び列に延在し、
前記第1の領域の前記活性化は、前記活性化された第1の領域が円形であり、かつ前記第2の領域と同じ直径を有するように、前記第1の領域を選択的にアッシングすることを含む、請求項40に記載の方法。
【請求項44】
方法であって、
第1のポリマーヒドロゲルを多層スタック上に堆積させることであって、前記多層スタックが、
基材と、
第1のマスク材料及び異なる第2のマスク材料であって、
複数の第1の領域であって、各第1の領域が、前記基材の一部分を露出し、互いの第1の領域から分離されている、複数の第1の領域、
複数の第2の領域であって、各第2の領域が、前記第1のマスク材料によって覆われており、互いの第2の領域から分離されている、複数の第2の領域、及び
複数の第3の領域であって、各第3の領域が、前記異なる第2のマスク材料によって覆われており、互いの第3の領域から分離されている、複数の第3の領域を画定するように、前記基材上にパターン化された第1のマスク材料及び異なる第2のマスク材料と、を含み、
それによって、前記第1のポリマーヒドロゲルが、前記複数の第1の領域の各々で露出された前記基材の前記部分に選択的に付着する、堆積させることと、
前記第1マスク材料をリフトオフして、前記複数の第2の領域を露出させることと、
前記複数の第2の領域を表面基で活性化して、第2のポリマーヒドロゲルを付着させることと、
前記第2のポリマーヒドロゲルが前記複数の第2の領域に選択的に付着するように、前記第2のポリマーヒドロゲルを堆積させることと、
前記異なる第2のマスク材料をリフトオフして、前記複数の第3の領域を露出させることと、
前記複数の第3の領域を表面基で活性化して、第3のポリマーヒドロゲルを付着させることと、
前記第3のポリマーヒドロゲルが前記複数の第3の領域に選択的に付着するように、前記第3のポリマーヒドロゲルを堆積させることと、
第1のプライマーセットを前記第1のポリマーヒドロゲルにグラフトすることと、
第2のプライマーセットを前記第2のポリマーヒドロゲルにグラフトすることであって、前記第2のプライマーセットが、前記第1のプライマーセットとは異なる、グラフトすることと、
第3のプライマーセットを前記第3のポリマーヒドロゲルにグラフトすることであって、前記第3のプライマーセットが、前記第1のプライマーセット及び前記第2のプライマーセットとは異なる、グラフトすることと、を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2021年5月31日に出願された米国特許仮出願第63/195,123号の利益を主張するものであり、その内容は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
(配列表の参照)
EFS-Webを介して提出された配列表は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。ファイルの名称は、ILI213BPCT_IP-2091-PCT_Sequence_Listing_ST25.txtであり、ファイルサイズは、3,002バイトであり、ファイル作成日は、2022年5月26日である。
【背景技術】
【0003】
核酸を配列決定するためのいくつかの利用可能なプラットフォームは、合成による配列決定アプローチを利用している。このアプローチでは、新生鎖が合成され、成長鎖への各モノマー(例えば、ヌクレオチド)の付加が、光学的及び/又は電子的に検出される。鋳型鎖は新生鎖の合成を指示するので、合成中に成長鎖に付加された一連のヌクレオチドモノマーから鋳型DNAの配列を推測することができる。いくつかの例では、逐次的なペアエンド配列決定が使用され得、順鎖は配列決定及び除去され、次いで逆鎖が構築及び配列決定される。
【発明の概要】
【0004】
本明細書に開示される例のうちのいくつかは、隣接する反応領域に異なるプライマーセットを含むフローセルである。異なるプライマーセットは、互いに直交である。直交プライマーセットは、隣接する反応領域からの鋳型鎖が播種及び増幅することを可能にすることなく、異なる鋳型鎖がそれぞれの反応領域上で増幅されることを可能にする。したがって、直交プライマーは、別の反応領域からの異なるアンプリコンによる1つの反応領域における1つのライブラリ鋳型のアンプリコンのクラスタの汚染である、インデックス又はパッドホッピングを低減又は排除する。直交プライマーはまた、反応領域を分離する間隙領域がほとんど又は全くなく、反応領域が互いに近接して配置されることを可能にする。これは、反応面積密度、したがってクラスタ密度を増加させ、また、フローセル表面上の非機能的空間を減少させる。反応面積密度の増加は、配列決定中のシグナル強度を増加させる。
【図面の簡単な説明】
【0005】
本開示の例の特徴は、以下の詳細な説明及び図面を参照することにより明らかになり、図面において、同様の参照番号は、類似なものではあるが、おそらく同一ではない構成要素に対応している。簡潔にするために、前述の機能を有する参照番号又は特徴は、それらが現れる他の図面と関連して記載されてもよく、記載されなくてもよい。
図1A】異なるプライマーセットを含む例示的な活性領域の概略図である。
図1B】隣接する活性領域上での順鎖及び逆鎖の生成を可能にするプライマーセットの概略図である。
図1C】隣接する活性領域上での順鎖及び逆鎖の生成を可能にするプライマーセットの概略図である。
図1D】隣接する活性領域上での順鎖及び逆鎖の生成を可能にするプライマーセットの概略図である。
図1E】隣接する活性領域上での順鎖及び逆鎖の生成を可能にするプライマーセットの概略図である。
図2】フローセルの上面図である。
図3A】各々が非反応領域によって分離された反応領域を含む、フローセル内の表面化学構造の異なる例の半概略斜視図である。
図3B図3Aの線3B-3Bに沿った、反応性反応の1つの断面図である。
図3C】各々が非反応領域によって分離された反応領域を含む、フローセル内の表面化学構造の異なる例の半概略斜視図である。
図4A】各々が交互の第1及び第2の反応領域の行及び列を含む、フローセル内の表面化学構造の異なる例の半概略斜視図である。
図4B図4Aの線4B-4Bに沿った、交互の第1及び第2の反応領域の列の1つの断面図である。
図4C】各々が交互の第1及び第2の反応領域の行及び列を含む、フローセル内の表面化学構造の異なる例の半概略斜視図である。
図5】第1の高さ及び第2の高さの交互の領域と、領域に沿って延在する交互の第1及び第2の反応領域とを含む、フローセル内の表面化学構造の別の例の半概略斜視図である。
図6】3つの異なる反応領域を含むフローセル内の表面化学構造の別の例の半概略斜視図である。
図7A】指定された位置に捕捉プライマーを含む、フローセル内の表面化学構造の更に別の例の上面図である。
図7B図7Aの構造の異なる例の断面図である。
図7C図7Aの構造の異なる例の断面図である。
図7D図7Aの構造の異なる例の断面図である。
図8A】ともに、本明細書に開示される表面化学構造のいくつかの例を作製するための方法の例を概略的に描示する。
図8B】ともに、本明細書に開示される表面化学構造のいくつかの例を作製するための方法の例を概略的に描示する。
図8C】ともに、本明細書に開示される表面化学構造のいくつかの例を作製するための方法の例を概略的に描示する。
図9A】ともに、本明細書に開示される表面化学構造のいくつかの例を作製するための別の方法の例を概略的に描示する。
図9B】ともに、本明細書に開示される表面化学構造のいくつかの例を作製するための別の方法の例を概略的に描示する。
図9C】ともに、本明細書に開示される表面化学構造のいくつかの例を作製するための別の方法の例を概略的に描示する。
図9D】ともに、本明細書に開示される表面化学構造のいくつかの例を作製するための別の方法の例を概略的に描示する。
図10A】ともに、本明細書に開示される表面化学構造の他の例を作製するための更なる別の方法の例を概略的に描示する。
図10B】ともに、本明細書に開示される表面化学構造の他の例を作製するための更なる別の方法の例を概略的に描示する。
図10C】ともに、本明細書に開示される表面化学構造の他の例を作製するための更なる別の方法の例を概略的に描示する。
図11A】ともに、本明細書に開示される表面化学構造のいくつかの例を作製するための更なる別の方法の例を概略的に描示する。
図11B】ともに、本明細書に開示される表面化学構造のいくつかの例を作製するための更なる別の方法の例を概略的に描示する。
図11C】ともに、本明細書に開示される表面化学構造のいくつかの例を作製するための更なる別の方法の例を概略的に描示する。
図11D】ともに、本明細書に開示される表面化学構造のいくつかの例を作製するための更なる別の方法の例を概略的に描示する。
図12A】ともに、本明細書に開示される表面化学構造のいくつかの例を作製するための更なる別の方法の例を概略的に描示する。
図12B】ともに、本明細書に開示される表面化学構造のいくつかの例を作製するための更なる別の方法の例を概略的に描示する。
図12C】ともに、本明細書に開示される表面化学構造のいくつかの例を作製するための更なる別の方法の例を概略的に描示する。
図12D】ともに、本明細書に開示される表面化学構造のいくつかの例を作製するための更なる別の方法の例を概略的に描示する。
図12E】ともに、本明細書に開示される表面化学構造のいくつかの例を作製するための更なる別の方法の例を概略的に描示する。
図12F】ともに、本明細書に開示される表面化学構造のいくつかの例を作製するための更なる別の方法の例を概略的に描示する。
図12G】ともに、本明細書に開示される表面化学構造のいくつかの例を作製するための更なる別の方法の例を概略的に描示する。
図12H】ともに、本明細書に開示される表面化学構造のいくつかの例を作製するための更なる別の方法の例を概略的に描示する。
図12I】ともに、本明細書に開示される表面化学構造のいくつかの例を作製するための更なる別の方法の例を概略的に描示する。
図12J】ともに、本明細書に開示される表面化学構造のいくつかの例を作製するための更なる別の方法の例を概略的に描示する。
図12K】ともに、本明細書に開示される表面化学構造のいくつかの例を作製するための更なる別の方法の例を概略的に描示する。
図12L】ともに、本明細書に開示される表面化学構造のいくつかの例を作製するための更なる別の方法の例を概略的に描示する。
図13A図12A図12Lの方法によって形成された表面化学構造の上面図である。
図13B図12A図12Lの方法において使用された多深度基材の一部分の概略斜視図であり、異なる表面化学が導入されている表面の六角形形状の幾何学を図示する。
【発明を実施するための形態】
【0006】
本明細書に開示されるフローセルのうちのいくつかは、隣接する反応領域で直交プライマーセットを含む。直交プライマーセットは、隣接する反応領域からの鋳型鎖が播種及び増幅することを可能にすることなく、異なる鋳型鎖がそれぞれの反応領域上で増幅されることを可能にする。したがって、直交プライマーは、インデックス又はパッドホッピングを低減又は排除する。直交プライマーはまた、反応面積密度を増加させ、したがって配列決定中のシグナル強度を増加させる。
【0007】
本明細書に開示される他のフローセルは、基材にわたって行及びオフセット列に配置された直交捕捉プライマーを含む。直交捕捉プライマーは、異なる鋳型鎖が基材表面にわたるそれぞれの領域に播種されることを可能にし、周囲のプライマーセットは、播種された鋳型鎖が増幅されることを可能にする。
【0008】
定義
本明細書で使用される用語は、別段の指定がない限り、関連する技術分野における通常の意味を取るものと理解されたい。本明細書で使用されるいくつかの用語及びそれらの意味は、以下に記載される。
【0009】
単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」、及び「その(the)」は、文脈上明確に別段の指示がない限り、複数の指示対象を含む。
【0010】
含む(comprising)、含む(including)、含有する(containing)という用語、及びこれらの用語の様々な形態は、互いに同義であり、等しく広義であることを意味する。
【0011】
フローセル及び/又はフローセルの様々な構成要素を説明するために、本明細書では、上(top)、下(bottom)、下方(lower)、上方(upper)、上(on)などの用語が使用される。これらの方向を示す用語は、特定の配向を示すことを意味するものではなく、構成要素間の相対的な配向を指定するために使用されることを理解されたい。方向を示す用語の使用は、本明細書に開示される例を任意の特定の配向に制限すると解釈されるものではない。
【0012】
第1、第2などの用語はまた、特定の配向又は順序を示すことを意味するものではなく、むしろ1つの構成要素を別の構成要素から区別するために使用される。
【0013】
「アクリルアミドモノマー」は、構造
【0014】
【化1】
を有するモノマー、又はアクリルアミド基を含むモノマーである。アクリルアミド基を含むモノマーの例としては、アジドアセトアミドペンチルアクリルアミド:
【0015】
【化2】
及びN-イソプロピルアクリルアミド:
【0016】
【化3】
が挙げられる。他のアクリルアミドモノマーを使用してもよい。
【0017】
本明細書で使用されるとき、「活性化」という用語は、ベース支持体の表面又は多層構造の最外層に反応基を生成するプロセスを指す。活性化は、シラン化又はプラズマアッシングを使用して達成され得る。本明細書に開示される方法の各々において活性化が実行され得るが、図は、反応基を描示していない。ポリマーヒドロゲルを下にある支持体又は層に共有結合で付着させるために、シラン化層又は(プラズマアッシングからの)-OH基が存在していることを理解されたい。シラン化プロセスにおいて使用され得る好適なシランとしては、(3-アミノプロピル)トリメトキシシラン((3-aminopropyl)trimethoxysilane、APTMS)、(3-アミノプロピル)トリエトキシシラン((3-aminopropyl)triethoxysilane、APTES)、N-(6-アミノヘキシル)アミノメチルトリエトキシシラン((6-aminohexyl)aminomethyltriethoxysilane、AHAMTES)、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリエトキシシラン((2-aminoethyl)-3-aminopropyltriethoxysilane、AEAPTES)、及びN-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン((2-aminoethyl)-3-aminopropyltrimethoxysilane、AEAPTMS)などのアミノシラン、O-プロパルギル)-N-(トリエトキシシリルプロピル)カルバメート、シクロオクチン、シクロオクチン誘導体、若しくはビシクロノニン(例えば、ビシクロ[6.1.0]ノナ-4-イン若しくはその誘導体、ビシクロ[6.1.0]ノナ-2-イン、又はビシクロ[6.1.0]ノナ-3-イン)などのアルキニルシラン、又は[(5-ビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エニル)エチル]トリメトキシシランなどのノルボルネンシランが挙げられる。
【0018】
アルデヒドは、本明細書で使用されるとき、構造-CHOを有する官能基を含有する有機化合物であり、これは、水素、及びアルキル又は他の側鎖などのR基にも結合した炭素原子を有するカルボニル中心(すなわち、酸素に二重結合した炭素)を含む。アルデヒドの一般構造は、
【0019】
【化4】
である。
【0020】
本明細書で使用されるとき、「アルキル」は、完全に飽和している(すなわち、二重結合又は三重結合を含有しない)直鎖又は分岐鎖炭化水素鎖を指す。アルキル基は、1~20個の炭素原子を有し得る。例示的なアルキル基としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、三級ブチル、ペンチル、ヘキシルなどが挙げられる。一例として、表記「C1~4アルキル」は、アルキル鎖中に1~4個の炭素原子が存在すること、すなわち、アルキル鎖が、メチル、エチル、プロピル、イソ-プロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、及びt-ブチルからなる群から選択されることを示す。
【0021】
本明細書で使用されるとき、「アルケニル」は、1つ以上の二重結合を含有する直鎖又は分岐鎖炭化水素鎖を指す。アルケニル基は、2~20個の炭素原子を有し得る。例示的なアルケニル基としては、エテニル、プロペニル、ブテニル、ペンテニル、ヘキセニルなどが挙げられる。
【0022】
本明細書で使用されるとき、「アルキン」又は「アルキニル」は、1つ以上の三重結合を含有する直鎖又は分岐鎖炭化水素鎖を指す。アルキニル基は、2~20個の炭素原子を有し得る。
【0023】
本明細書で使用されるとき、「アリール」は、環骨格中に炭素のみを含有する芳香環又は環系(すなわち、2個の隣接する炭素原子を共有する2つ以上の縮合環)を指す。アリールが環系である場合、系内の全ての環は芳香環である。アリール基は、6~18個の炭素原子を有し得る。アリール基の例としては、フェニル、ナフチル、アズレニル、及びアントラセニルが挙げられる。
【0024】
「アミノ」官能基は、-NR基を指し、式中、R及びRは各々、独立して、本明細書で定義されるように、水素(例えば、
【0025】
【化5】
)、C1~6アルキル、C2~6アルケニル、C2~6アルキニル、C3~7炭素環、C6~10アリール、5~10員のヘテロアリール、及び5~10員のヘテロ環から選択される。
【0026】
本明細書で使用されるとき、「付着した(attached)」という用語は、2つのものが、直接的又は間接的のいずれかで、互いに、接合、締結、接着、接続、又は結合されている状態を指す。例えば、核酸は、共有結合又は非共有結合によってポリマーヒドロゲルに付着され得る。共有結合は、原子間の電子対の共有によって特徴付けられる。非共有結合は、電子対の共有を伴わない物理結合であり、例えば、水素結合、イオン結合、ファンデルワールス力、親水性相互作用、及び疎水性相互作用を挙げることができる。
【0027】
「アジド(azide)」又は「アジド(azido)」官能基は、-Nを指す。
【0028】
本明細書で使用されるとき、「結合領域」は、例として、スペーサ層、蓋、別のパターン化された構造など、又はそれらの組み合わせ(例えば、スペーサ層及び蓋、又はスペーサ層及び別のパターン化された構造)であり得る別の材料に結合されるパターン化された構造の領域を指す。結合領域にて形成される結合は、化学結合(上述の通り)、又は機械的結合(例えば、ファスナなどを使用して)であってもよい。
【0029】
本明細書で使用されるとき、「炭素環」は、環系骨格に炭素原子のみを含有する非芳香族環式環又は環系を意味する。炭素環が環系である場合、2つ以上の環が、縮合、架橋、又はスピロ結合方式で一緒に接合され得る。炭素環は、環系内の少なくとも1つの環が芳香族ではないことを条件として、任意の飽和度を有し得る。したがって、炭素環には、シクロアルキル、シクロアルケニル、及びシクロアルキニルが含まれる。炭素環基は、3~20個の炭素原子を有し得る。炭素環式環の例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘキセニル、2,3-ジヒドロ-インデン、ビシクロ[2.2.2]オクタニル、アダマンチル、及びスピロ[4.4]ノナニルが挙げられる。
【0030】
本明細書で使用されるとき、本明細書で使用される「カルボン酸」又は「カルボキシル」という用語は、-COOHを指す。
【0031】
本明細書で使用される場合、「シクロアルキレン」は、2つの結合点を介して分子の残りに結合した完全飽和炭素環式環又は環系を意味する。
【0032】
本明細書で使用されるとき、「シクロアルケニル」又は「シクロアルケン」は、少なくとも1つの二重結合を有する炭素環式環又は環系を意味し、環系内の環は、いずれも芳香族ではない。例としては、シクロヘキセニル又はシクロヘキセン及びノルボルネニル又はノルボルネンが挙げられる。また、本明細書で使用されるとき、「ヘテロシクロアルケニル」又は「ヘテロシクロアルケン」とは、少なくとも1つの二重結合を有する、環骨格内に少なくとも1つのへテロ原子を有する炭素環式環又は環系を意味し、環系内環は、いずれも芳香族ではない。
【0033】
本明細書で使用されるとき、「シクロアルキニル」又は「シクロアルキン」は、少なくとも1つの三重結合を有する炭素環式環又は環系を意味し、環系内の環は、いずれも芳香族ではない。ある例は、シクロオクチンである。別の例は、ビクロノニンである。本明細書で使用されるとき、「ヘテロシクロアルキニル」又は「ヘテロシクロアルキン」は、少なくとも1つの三重結合を有する、環骨格内に少なくとも1つのへテロ原子を有する炭素環式環又は環系を意味し、環系内の環は、いずれも芳香族ではない。
【0034】
本明細書で使用されるとき、「堆積」という用語は、手作業であっても自動であってもよく、いくつかの場合では表面特性の改質をもたらす、任意の好適な適用技術を指す。一般に、堆積は、蒸着技術、コーティング技術、グラフト技術などを使用して実行され得る。いくつかの特定の例としては、化学蒸着(chemical vapor deposition、CVD)、スプレーコーティング(例えば、超音波スプレーコーティング)、スピンコーティング、ダンク又はディップコーティング、ドクターブレードコーティング、液滴分配(puddle dispensing)、フロースルーコーティング、エアロゾル印刷、スクリーン印刷、マイクロコンタクト印刷、インクジェット印刷などが挙げられる。
【0035】
本明細書で使用されるとき、「凹部」という用語は、ベース支持体又は多層スタックの層における別個の凹状の特徴を指す。凹部は、表面の開口部において、例として、円形、楕円形、正方形、多角形、星形(任意の数の頂点を持つ)などの、様々な形状をとることができる。表面と直交するように取られた凹部の断面は、湾曲形状、正方形、多角形、双曲線、円錐、角のある形状などであり得る。
【0036】
「各」という用語は、項目の集合を参照して使用されるとき、集合内の個々の項目を識別することを意図しているが、必ずしも集合内の全ての項目を指すものではない。明示的な開示又は文脈がそうでないことを明確に指示する場合、例外が生じ得る。
【0037】
本明細書で使用されるとき、「エポキシ」という用語(グリシジル又はオキシラン基とも称される)は、
【0038】
【化6】
を指す。
【0039】
本明細書で使用されるとき、「フローセル」という用語は、反応を行うことができるフローチャネル、試薬をフローチャネルに送達するための入口、及びフローチャネルから試薬を除去するための出口を有する容器を意味することを意図する。いくつかの例では、フローセルは、フローセル内で起こる反応の検出に対応する。例えば、フローセルは、アレイ、光学的標識分子などの光学的検出を可能にする1つ以上の透明な表面を含み得る。
【0040】
本明細書で使用されるとき、「フローチャネル」又は「チャネル」は、液体サンプルを選択的に受容することができる、2つの結合された構成要素間に画定される領域であり得る。いくつかの例では、フローチャネルは、2つのパターン化された構造の間に画定され得、したがって、パターン化された構造の各々の表面化学と流体連通し得る。他の例では、フローチャネルは、パターン化された構造と蓋との間に画定され得、したがって、1つのパターン化された構造の表面化学と流体連通し得る。
【0041】
本明細書で使用される場合、「ヘテロアリール」は、環骨格中に窒素、酸素、及び硫黄を含むがこれらに限定されない、1個以上のヘテロ原子、すなわち炭素以外の元素を含有する芳香環又は環系(すなわち、2個の隣接する原子を共有する2つ以上の縮合環)を指す。ヘテロアリールが環系である場合、系内の全ての環は芳香環である。ヘテロアリール基は、5~18環員を有し得る。
【0042】
本明細書で使用されるとき、「複素環」は、環骨格中に少なくとも1つのヘテロ原子を含有する非芳香族環又は環系を意味する。複素環は、縮合、架橋、又はスピロ結合式で、一緒に接合されてもよい。複素環は、環系中の少なくとも1つの環が芳香族ではないことを条件として、任意の飽和度を有してもよい。環系の中で、ヘテロ原子は、非芳香環又は芳香環のいずれかで存在してもよい。複素環基は、3~20環員(すなわち、炭素原子及びヘテロ原子を含む、環骨格を形成する原子の数)を有してもよい。いくつかの例では、ヘテロ原子は、O、N、又はSである。
【0043】
本明細書で使用されるとき、「ヒドラジン」又は「ヒドラジニル」という用語は、-NHNH基を指す。
【0044】
本明細書で使用される場合、本明細書で使用される「ヒドラゾン」又は「ヒドラゾニル」という用語は、
【0045】
【化7】
基を指し、式中、R及びRは各々、独立して、本明細書で定義されるように、水素、C1~6アルキル、C2~6アルケニル、C2~6アルキニル、C3~7炭素環、C6~10アリール、5~10員のヘテロアリール、及び5~10員のヘテロ環から選択される。
【0046】
本明細書で使用されるとき、「ヒドロキシ」又は「ヒドロキシル」は、-OH基を指す。
【0047】
本明細書で使用されるとき、「間隙領域」という用語は、例えば、凹部(凹状領域)又は凸部(凸状領域)を分離するベース支持体又は多層スタックの層の領域を指す。本明細書に開示される例では、凹部及び/又は凸部のうちのいくつかは互いに直接当接し、したがって、2つの当接する凹部及び/又は凸部の間に間隙領域は存在しない。他の例では、間隙領域は、互いに対角に位置付けられた凹部及び/又は凸部の間に形成され得るか、又は4つの当接する凹部及び/又は凸部のうちの3つの交点に形成され得る。間隙領域は、凹部又は凸部の表面材料とは異なる表面材料を有する。例えば、凹部及び/又は凸部は、その上にポリマーヒドロゲル及びプライマーセットを有し得るが、間隙領域はこの表面化学を含まない。
【0048】
本明細書で使用されるとき、「ネガティブフォトレジスト」は、特定の波長の光に曝露される部分が現像液に不溶性になる感光性材料を指す。これらの例では、不溶性のネガティブフォトレジストは、現像液中で5%未満の溶解度を有する。ネガティブフォトレジストでは、光曝露は、材料の曝露部分が現像液中で(非曝露部分よりも)低い可溶性になるように化学構造を変化させる。不溶性ネガティブフォトレジストは、現像液に可溶性ではないが、現像液とは異なる除去剤中で少なくとも99%可溶性であり得る。除去剤は、例えば、リフトオフプロセスにおいて使用される溶媒又は溶媒混合物であり得る。
【0049】
不溶性のネガティブフォトレジストとは対照的に、光に曝露されないネガティブフォトレジストの任意の部分は、現像液に少なくとも95%の可溶性である。いくつかの例では、光に曝露されないネガティブフォトレジストの部分は、現像液中に少なくとも98%、例えば、99%、99.5%、100%の可溶性である。
【0050】
本明細書で使用されるとき、「ニトリルオキシド」は、「RC≡N」基を意味し、式中、Rは、本明細書で定義される。ニトリルオキシドの調製例としては、クロラミド-Tでの処理による、又は、イミドイルクロリド[RC(Cl)=NOH]上での塩基作用による、又は、ヒドロキシルアミンとアルデヒドとの反応によるアルドキシムからのインサイチュ生成が挙げられる。
【0051】
本明細書で使用されるとき、「ニトロン」は、
【0052】
【化8】
基を意味し、式中、Rが、水素(H)ではないことを除いて、R、R、及びRは、本明細書で定義されるR及びR基のいずれかであり得る。
【0053】
本明細書で使用されるとき、「ヌクレオチド」は、窒素含有複素環式塩基、糖、及び1つ以上のリン酸基を含む。ヌクレオチドは、核酸配列のモノマー単位である。RNAでは、糖は、リボースであり、DNAでは、糖は、デオキシリボース、すなわち、リボースの2’位に存在するヒドロキシル基が欠如している糖である。窒素含有複素環式塩基(すなわち、核酸塩基)は、プリン塩基であってもピリミジン塩基であってもよい。プリン塩基としては、アデニン(A)及びグアニン(G)、並びにそれらの修飾された誘導体又は類似体が挙げられる。ピリミジン塩基としては、シトシン(C)、チミン(T)、及びウラシル(U)、並びにそれらの修飾された誘導体又は類似体が挙げられる。デオキシリボースのC-1原子は、ピリミジンのN-1又はプリンのN-9に結合される。核酸類似体は、リン酸骨格、糖、又は核酸塩基のいずれもが変化していてもよい。核酸類似体の例としては、例えば、ペプチド核酸(peptide nucleic acid、PNA)などのユニバーサル塩基又はリン酸-糖骨格類似体が挙げられる。
【0054】
いくつかの例では、「の上に(over)」という用語は、1つの構成要素又は材料が別の構成要素又は材料の上に直接位置付けられることを意味し得る。一方が他方の上に直接存在する場合、2つは互いに接触している。図3Aでは、層44は、ベース支持体42の上に直接存在し、かつそれと接触するように、ベース支持体42の上に適用される。
【0055】
他の例では、「の上に(over)」という用語は、1つの構成要素又は材料が別の構成要素又は材料上に間接的に位置付けられることを意味し得る。間接的にとは、ギャップ又は追加の構成要素又は材料が、2つの構成要素又は材料の間に位置付けられ得ることを意味する。図3Aでは、ポリマーヒドロゲル12Aは、2つが間接的に接触するように、ベース支持体42の上に位置付けされる。より具体的には、樹脂層44が2つの構成要素12Aと42との間に位置付けられるため、ポリマーヒドロゲル12Aは、ベース支持体42上に間接的にある。
【0056】
「パターン化された樹脂」は、その中に画定された凹部及び/凸部を有し得る任意のポリマーを指す。樹脂及び樹脂をパターン化するための技術の具体例は、以下で更に説明される。
【0057】
「パターン化された構造」は、例えば、凹部内の、凸部上の、又はそうでなければ支持体又は層表面上に位置付けられた、パターンで表面化学を含む層を含むか、又は多層スタックを含む、単層ベース支持体を指す。表面化学は、ポリマーヒドロゲル及びプライマーを含み得る。いくつかの例では、単層ベース支持体又は多層スタックの層は、表面化学のパターンを生成するために、パターニング技術(例えば、エッチング、リソグラフィなど)に曝露されている。しかしながら、「パターン化された構造」という用語は、そのようなパターン化技術を使用して、パターンを生成しなければならないことを意味することを意図するものではない。例えば、ベース支持体は、その上にポリマーヒドロゲルのパターンを有する実質的に平坦な表面であり得る。パターン化された構造は、本明細書に開示される方法のいずれかを介して生成され得る。
【0058】
本明細書で使用されるとき、「プライマー」は、一本鎖核酸配列(例えば、一本鎖DNA)として定義される。本明細書において捕捉プライマーと称されるいくつかのプライマーは、ライブラリ鋳型のための種として機能する。本明細書において増幅プライマーと称されるいくつかの他のプライマーは、鋳型増幅及びクラスタ生成の開始点として機能する。いくつかの例では、増幅プライマーはまた、ライブラリ鋳型を播種するための捕捉プライマーとして機能し得る。本明細書において配列決定プライマーと称される更なる他のプライマーは、DNA合成の開始点として機能する。プライマーの5’末端は、ポリマーの官能基でカップリング反応を可能にするように修飾されてもよい。プライマーの長さは、任意の数の塩基の長さであることができ、様々な天然に存在しないヌクレオチドを含むことができる。一例では、配列決定プライマーは、10~60塩基、又は20~40塩基の範囲の短鎖である。
【0059】
本明細書で使用されるとき、「ポジティブフォトレジスト」は、特定の波長の光に曝露される部分が現像液に可溶性になる感光性材料を指す。これらの例では、光に曝露されたポジティブフォトレジストの任意の部分は、現像液中に少なくとも95%可溶性である。いくつかの例では、光に曝露されたポジティブフォトレジストの部分は、現像液中に少なくとも98%、例えば、99%、99.5%、100%可溶性である。ポジティブフォトレジストでは、光曝露は、材料の曝露部分が現像液中で(非曝露部分よりも)高い可溶性になるように化学構造を変化させる。
【0060】
可溶性のポジティブフォトレジストとは対照的に、光に曝露されないポジティブフォトレジストの任意の部分は、現像液に不溶性(5%未満の可溶性)である。不溶性ポジティブフォトレジストは、現像液に可溶性ではないが、現像液とは異なる除去剤中で少なくとも99%可溶性であり得る。いくつかの例では、不溶性のポジティブフォトレジストは、除去剤に少なくとも98%、例えば、99%、99.5%、100%可溶性である。除去剤は、リフトオフプロセスにおいて使用される溶媒又は溶媒混合物であり得る。
【0061】
本明細書で使用されるとき、「スペーサ層」は、2つの構成要素を互いに結合する物質を指す。いくつかの例では、スペーサ層は、結合を補助する放射線吸収性物質であることができるか、又は、結合を補助する放射線吸収性物質と接触させることができる。
【0062】
「基材」という用語は、単層ベース支持体、又は表面化学が導入される多層構造を指す。
【0063】
「表面化学」という用語は、ポリマーヒドロゲル及びポリマーヒドロゲルに付着したプライマーセットを指す。表面化学は、本明細書に開示される例において様々な構造で配置され得る。表面化学は、基材の反応領域(area)又は領域(region)を構成し、表面化学を含まない基材の領域(area)又は領域(region)は、非反応領域(area)又は領域(region)と称され得る。
【0064】
「五酸化タンタル」という用語は、式Taを有する無機化合物を指す。この化合物は、透明であり、約0.25(25%)~1(100%)の範囲の透過率、約0.35μm(350nm)~少なくとも1.8μm(1800nm)の範囲の波長を有する。「五酸化タンタルベース支持体」又は「五酸化タンタル層」は、Taを含み得るか、本質的にそれからなり得るか、又はそれからからなり得る。
【0065】
「チオール」官能基とは、-SHを指す。
【0066】
本明細書で使用されるとき、「テトラジン」及び「テトラジニル」という用語は、4つの窒素原子を含む6員のヘテロアリール基を指す。テトラジンは、任意選択的に置換され得る。
【0067】
本明細書で使用されるとき、「テトラゾール」は、4つの窒素原子を含む5員の複素環基を指す。テトラゾールは、任意選択的に置換され得る。
【0068】
プライマー
本明細書に記載される例のうちのいくつかでは、フローセルは、すぐ隣接する反応領域に付着した異なるプライマーセットを含む。一例では、すぐ隣接する反応領域は、基材表面上で互いに隣り合い、互いに当接する領域である。別の例では、すぐ隣接する反応領域は、基材表面上で互いに隣り合うが、異なる高さに位置付けられているため互いに当接しない領域である。
【0069】
すぐ隣接する反応領域に付着した異なるプライマーセットの例を図1に示す。反応領域10A、10B、10Cの各々は、それぞれのプライマーセット14A、14B、14Cが付着しているポリマーヒドロゲル12A、12B、12Cを含む。以下により詳細に記載されるように、一方の反応領域10A、10B、10Cにおけるポリマーヒドロゲル12A、12B、12Cは、別の反応領域10A、10B、10Cにおけるポリマーヒドロゲル12A、12B、12Cと同じであっても異なっていてもよい。
【0070】
各プライマーセット14A、14B、14Cは、順方向及び逆方向増幅プライマーなどの2つの異なるプライマー16A、18A、又は16B、18B、又は16C、18Cを含む。第1のセット、例えば、14Aのプライマー16A、18Aは、ともに、第1のセット14Aにおける2つの異なるプライマー16A、18Aに相補的な末端アダプターを有するライブラリ鋳型の増幅を可能にする。第2のセット、例えば、16Bのプライマー16B、18Bは、ともに、第2のセット14Bにおける2つの異なるプライマー16B、18Bに相補的な末端アダプターを有する異なるライブラリ鋳型の増幅を可能にするが、第1のプライマーセット14Aに関連するライブラリ鋳型が播種又は増幅されることを可能にしない。いくつかの例では、第3のプライマーセット14Cが、使用される。これらの例では、第3のセット14Cのプライマー16C、18Cは、ともに、第3のセット14C中の2つの異なるプライマー16C、18Cに相補的な末端アダプターを有する異なるライブラリ鋳型の増幅を可能にするが、第1のプライマーセット14A又は第2のプライマーセット14Bに関連するライブラリ鋳型が播種又は増幅されることを可能にしない。
【0071】
例として、第1のプライマーセット12は、P5及びP7プライマーを含み、第2のプライマーセット14は、本明細書に記載されるPAプライマー、PBプライマー、PCプライマー、及びPDプライマーの任意の組み合わせを含む。他の例では、P15及びP7は、第1のプライマーセット12において使用され得る。例として、第2のプライマーセット14は、任意の2つ(又は3つ)のPA、PB、PC、及びPDプライマー、又は1つのPAプライマーと1つのPB、PC、若しくはプライマーPDとの任意の組み合わせ、又は1つのPBプライマーと1つのPC若しくはプライマーPDとの任意の組み合わせ、又は1つのPCプライマーと1つのプライマーPDとの任意の組み合わせを含み得る。
【0072】
P5及びP7プライマーの例は、例えばHISEQ(商標)、HISEQX(商標)、MISEQ(商標)、MISEQDX(商標)、MINISEQ(商標)、NEXTSEQ(商標)、NEXTSEQDX(商標)、NOVASEQ(商標)、ISEQ(商標)、GENOME ANALYZER(商標)及び他の機器プラットフォーム上での配列決定のためにIllumina Inc.により販売されている市販のフローセルの表面上で使用される。P5プライマーは、以下の通りである。
P5:5’→3’
AATGATACGGCGACCACCGAGAUCTACAC(配列番号1)
【0073】
P7プライマーは、以下のいずれかであり得る。
P7#1:5’→3’
CAAGCAGAAGACGGCATACGAnAT(配列番号2)
P7#2:5’→3’
CAAGCAGAAGACGGCATACnAGAT(配列番号3)
式中、「n」は、これらの配列の各々の8-オキソグアニン又はウラシルである。
【0074】
P15プライマーは、以下の通りである。
P15:5’→3’
AATGATACGGCGACCACCGAGAnCTACAC(配列番号4)
式中、「n」はアリル-Tである。
【0075】
上記の他のプライマー(PA-PD)には、以下のものが含まれる。
PA 5’→3’
GCTGGCACGTCCGAACGCTTCGTTAATCCGTTGAG(配列番号5)
cPA(PA’)5’→3’
CTCAACGGATTAACGAAGCGTTCGGACGTGCCAGC(配列番号6)
PB 5’→3’
CGTCGTCTGCCATGGCGCTTCGGTGGATATGAACT(配列番号7)
cPB(PB’)5’→3’
AGTTCATATCCACCGAAGCGCCATGGCAGACGACG(配列番号8)
PC 5’→3’
ACGGCCGCTAATATCAACGCGTCGAATCCGCAACT(配列番号9)
cPC(PC’)5’→3’
AGTTGCGGATTCGACGCGTTGATATTAGCGGCCGT(配列番号10)
PD 5’→3’
GCCGCGTTACGTTAGCCGGACTATTCGATGCAGC(配列番号11)
cPD(PD’)5’→3’
GCTGCATCGAATAGTCCGGCTAACGTAACGCGGC(配列番号12)
PA-PDについての例示的な配列には示されていないが、これらのプライマーのいずれも、鎖の任意の点に切断部位(例えば、ウラシル、8-オキソグアニン、アリル-Tなど)を含み得ることが理解されるべきである。
【0076】
他の例として、第1のプライマーセット14Aは、ブロックされていないP5及びP7プライマー(配列番号1、配列番号2又は配列番号3)を含み、第2のプライマーセット14Bは、3’ブロックされたP5及びP7プライマーを含む。この例では、第2のプライマーセット14Bのプライマー16B、18Bの露出された3’末端に付着するブロッキング基(例えば、3’リン酸)が付加され得る。ブロッキング基は、第1のプライマーセット14Aの増幅中にこれらのプライマー16B、18Bでの望ましくない伸長を防止する。次いで、ブロッキング基を除去して、新たに添加されたライブラリ鋳型及び第2のプライマーセット14Bを用いて増幅のラウンドを実行し得る。
【0077】
更に他の例では、本明細書に記載の1つのプライマーセット14A、14B、14Cは、同時ペアエンド配列決定を可能にする別のプライマーセットとともに使用され得る。同時ペアエンド配列決定を可能にするプライマーセットは、ポリマーヒドロゲルの異なる領域上のプライマーサブセットを含む。図1B図1Eは、ポリマーヒドロゲル領域12A1、12A2に付着したプライマーセット13A、15A、13B、15B、13C、15C、及び13D、15Dの異なる構成を描示する。
【0078】
第1のプライマーサブセット13A、13B、13C、及び13Dの各々は、切断不能な第1のプライマー17又は17’及び切断可能な第2のプライマー19又は19’を含み、第2のプライマーサブセット15A、15B、15C、及び15Dの各々は、切断可能な第1のプライマー25又は25’及び切断不能な第2のプライマー27又は27’を含む。
【0079】
切断不能な第1のプライマー17又は17’及び切断可能な第2のプライマー19又は19’は、例えば、切断不能な第1のプライマー17若しくは17’が、順方向増幅プライマーであり、切断可能な第2のプライマー19若しくは19’が、逆方向増幅プライマーであるか、又は切断可能な第2のプライマー19若しくは19’が、順方向増幅プライマーであり、切断不能な第1のプライマー17若しくは17’が、逆方向増幅プライマーである、オリゴヌクレオチド対である。第1のプライマーサブセット13A、13B、13C、及び13Dの各例では、切断可能な第2のプライマー19又は19’は、切断部位29を含むが、切断不能な第1のプライマー17又は17’は、切断部位29を含まない。
【0080】
切断可能な第1のプライマー25又は25’及び切断不能な第2のプライマー27又は27’はまた、例えば、切断可能な第1のプライマー25若しくは25’が、順方向増幅プライマーであり、切断不能な第2のプライマー27若しくは27’が、逆方向増幅プライマーであるか、又は切断不能な第2のプライマー27若しくは27’が、順方向増幅プライマーであり、切断可能な第1のプライマー25若しくは25’が、逆方向増幅プライマーである、オリゴヌクレオチド対である。第2のプライマーサブセット15A、15B、15C、及び15Dの各例では、切断可能な第1のプライマー25又は25’は、切断部位29’又は31を含むが、切断不能な第2のプライマー27又は27’は、切断部位29’又は31を含まない。
【0081】
切断可能な第1のプライマー25又は25’が、ヌクレオチド配列中に、又はヌクレオチド配列に付着したリンカー33’中に統合された切断部位29’又は31を含むことを除いて、第1のプライマーセット13A、13B、13C、及び13Dの切断不能な第1のプライマー17又は17’並びに第2のプライマーセット15A、15B、15C、及び15Dの切断可能な第1のプライマー25又は25’は、同じヌクレオチド配列を有する(例えば、両方が順方向増幅プライマーである)ことを理解されたい。同様に、切断可能な第2のプライマー19又は19’が、ヌクレオチド配列中に、又はヌクレオチド配列に付着したリンカー33中に統合された切断部位29を含むことを除いて、第1のプライマーセット13A、13B、13C、及び13Dの切断可能な第2のプライマー19又は19’並びに第2のプライマーセット15A、15B、15C、及び15Dの切断不能な第2のプライマー27又は27’は、同じヌクレオチド配列を有する(例えば、両方が逆方向増幅プライマーである)。
【0082】
第1のプライマー17及び25又は17’及び25’が順方向増幅プライマーである場合、第2のプライマー19及び27、又は19’及び27’は、逆方向プライマーであり、逆もまた同様であることを理解されたい。
【0083】
切断不能なプライマー17、27又は17’、27’は、P5、P7、及びP15プライマー又はPA、PD、PC、PDプライマーの任意の組み合わせ(例えば、PA及びPB又はPA及びPDなど)などの捕捉及び/又は増幅目的のためのユニバーサル配列を有する任意のプライマーであり得る。これらのプライマー17、27又は17’、27’は、配列中に示される切断部位(例えば、ウラシル、8-オキソグアニンなど)を含まないことを理解されたい。いくつかの例では、P5及びP7プライマーは、それぞれウラシル及び8-オキソグアニンを含まないため、切断不能なプライマー17、27又は17’、27’である。任意の好適なユニバーサル配列を、切断不能なプライマー17、27又は17’、27’として使用することができることを理解されたい。
【0084】
切断可能なプライマー19、25又は19’、25’の例としては、それぞれの核酸配列中に(例えば、図1B及び図1D)、又はそれぞれの官能化層24,26又は層パッド24’、26’に切断可能なプライマー19、25又は19’、25’を付着させるリンカー33’、33中に(図1C及び図1E)組み込まれた、それぞれの切断部位29、29’、31を有するP5及びP7プライマー又は他のユニバーサル配列プライマー(例えば、PA、PB、PC、PDプライマー)が挙げられる。好適な切断部位29、29’、31の例としては、本明細書に記載されるように、酵素的に切断可能な核酸塩基若しくは化学的に切断可能な核酸塩基、修飾核酸塩基、又はリンカー(例えば、核酸塩基の間)が挙げられる。
【0085】
各プライマーサブセット13A及び15A、又は13B及び15B、又は13C及び15C、又は13D及び15Dは、ポリマーヒドロゲル領域12A1、12A2に付着している。ポリマーヒドロゲル領域12A1、12A2は、それぞれのプライマー17、19若しくは17’、19’又は25、27若しくは25’、27’と選択的に反応することができる異なる官能基を含み得る。
【0086】
図1B図1Eには示されていないが、プライマーサブセット13A、13B、13C若しくは13D又は15A、15B、15C若しくは15Dの一方又は両方が、ライブラリ鋳型を捕捉/播種するためのPXプライマーも含み得ることを理解されたい。一例として、PXは、プライマーサブセット13A、13B、13C、及び13Dとともに含まれ得るが、プライマーサブセット15A、15B、15C、又は15Dとともに含まれ得ない。別の例として、PXは、プライマーサブセット13A、13B、13C、及び13Dとともに、並びにプライマーセット15A、15B、15C又は15Dとともに含まれ得る。PXモチーフの密度は、各凹部30内の多クローン性を最小化するために、比較的低くある必要がある(例えば、図3Bを参照されたい)。
【0087】
図1B図1Eは、ポリマーヒドロゲル領域12A1、12A2に付着したプライマーセット13A、15A、13B、15B、13C、15C、及び13D、15Dの異なる構成を描示する。より具体的には、図1B図1Eは、使用され得るプライマー17、19又は17’、19’、及び25、27又は25’、27’の異なる構成を描示する。
【0088】
図1Bに示される例では、プライマーサブセット13A及び15Aのプライマー17、19及び25、27は、例えば、リンカー33、33’なしで、ポリマーヒドロゲル領域12A1、12A2に直接付着している。ポリマーヒドロゲル領域12A1は、プライマー17、19の5’末端で末端基を固定化することができる表面官能基を有する。同様に、ポリマーヒドロゲル領域12A2は、プライマー25、27の5’末端で末端基を固定化することができる表面官能基を有する。プライマー17、19又は25、27が、望ましいポリマーヒドロゲル領域12A1、12A2に選択的に付着するように、ポリマーヒドロゲル領域12A1とプライマー17、19との間の固定化化学、及びポリマーヒドロゲル領域12A2とプライマー25、27との間の固定化化学は、異なる。ポリマーヒドロゲル領域12A1、12A2は、本明細書に開示される任意の例示的なポリマーヒドロゲル12A、12B、12Cを含み得る。
【0089】
また、図1Bに示される例では、切断可能なプライマー19、25の各々の切断部位29、29’は、プライマーの配列中に組み込まれている。この例では、同じ種類の切断部位29、29’が、それぞれのプライマーサブセット13A、15Aの切断可能なプライマー19、25に使用される。一例として、切断部位29、29’は、ウラシル塩基であり、切断可能なプライマー19、25は、P5U(配列番号1を参照されたい)及びP7U(配列番号2及び3を参照されたい)である。ウラシル塩基又は他の切断部位はまた、切断可能なプライマー19、25を生成するために、PA、PB、PC、及びPDプライマーのうちのいずれかの中に組み込まれ得る。この例では、オリゴヌクレオチド対17、19の切断不能なプライマー17は、P7(8-オキソグアニンを含まない)であり得、オリゴヌクレオチド対25、27の切断不能なプライマー27は、P5(ウラシルを含まない)であり得る。したがって、この例では、第1のプライマーサブセット13Aは、P7(8-オキソグアニンを含まない)、P5U(配列番号1)を含み、第2のプライマーサブセット15Aは、P5(ウラシルを含まない)、P7U(配列番号2又は3)を含む。プライマーサブセット13A、15Aは、増幅、クラスタ生成、及び線形化後に、順方向鋳型鎖を一方のポリマーヒドロゲル領域12A1上に形成することを可能にし、逆鎖を他方のポリマーヒドロゲル領域12A2上に形成することを可能にする、反対の線形化化学を有する。
【0090】
図1Cに示される例では、プライマーサブセット13B及び15Bのプライマー17、19及び25、27は、例えば、リンカー33、33’を介して、ポリマーヒドロゲル領域12A1、12A2に直接付着している。ポリマーヒドロゲル領域12A1、12A2は、それぞれの官能基を含み、それぞれのリンカー33、33’の末端は、それぞれの官能基に共有結合で付着することができる。したがって、ポリマーヒドロゲル領域12A1は、プライマー17’、19’の5’末端でリンカー33を固定化することができる表面官能基を有し得る。同様に、ポリマーヒドロゲル領域12A2は、プライマー25、27の5’末端でリンカー33’を固定化することができる表面官能基を有し得る。プライマー17’、19’又は25’、27’は、望ましいポリマーヒドロゲル領域12A1、12A2に選択的にグラフトするように、ポリマーヒドロゲル領域12A1及びリンカー33の固定化化学並びにポリマーヒドロゲル領域12A2及びリンカー33’の固定化化学は、異なる。
【0091】
好適なリンカー33、33’の例としては、核酸リンカー(例えば、10ヌクレオチド以下)又はポリエチレングリコール鎖、アルキル基若しくは炭素鎖、ビシナルジオールを有する脂肪族リンカー、ペプチドリンカーなどの非核酸リンカーが挙げられ得る。核酸リンカーの一例は、ポリTスペーサであるが、他のヌクレオチドもまた使用され得る。一例では、スペーサは6T~10Tスペーサである。以下は、末端アルキン基を有する非核酸リンカー(Bは核酸塩基であり、「オリゴ」はプライマーである)を含むヌクレオチドのいくつかの例である。
【0092】
【化9】
【0093】
図1Cに示される例では、プライマー17’、25’は、同じ配列(例えば、ウラシルを有しないP5)、及び同じ又は異なるリンカー33、33’を有する。プライマー17’は、切断不能であるが、プライマー25’は、リンカー33’中に組み込まれた切断部位29’を含む。また、この例では、プライマー19’、27’は同じ配列(例えば、8-オキソグアニンを有しないP7)、及び同じ又は異なるリンカー33、33’を有する。プライマー27’は、切断不能であり、プライマー19’は、リンカー33中に組み込まれた切断部位29を含む。同じ種類の切断部位29、29’は、切断可能なプライマー19’、25’の各々のリンカー33、33’に使用される。一例として、切断部位29、29’は、核酸リンカー33、33’中に組み込まれているウラシル塩基であり得る。プライマーサブセット13B、15Bは、増幅、クラスタ生成、及び線形化後に、順方向鋳型鎖を一方のポリマーヒドロゲル領域12A1上に形成することを可能にし、逆鎖を他方のポリマーヒドロゲル領域12A2上に形成することを可能にする、反対の線形化化学を有する。
【0094】
図1Dに示される例は、異なる種類の切断部位29、31が、それぞれのプライマーサブセット13C、15Cの切断可能なプライマー19、25に使用されることを除いて、図1Bに示される例と同様である。例として、2つの異なる酵素的切断部位を使用してもよく、2つの異なる化学的切断部位を使用してもよく、又は1つの酵素的切断部位及び1つの化学的切断部位を使用してもよい。それぞれの切断可能なプライマー19、25に使用され得る異なる切断部位29、31の例としては、以下、ビシナルジオール、ウラシル、アリルエーテル、ジスルフィド、制限酵素部位、及び8-オキソグアニンの任意の組み合わせが挙げられる。
【0095】
図1Eに示される例は、異なる種類の切断部位29、31が、それぞれのプライマーセット13D、15Dの切断可能なプライマー19’、25’に付着したリンカー33、33’に使用されることを除いて、図1Cに示される例と同様である。切断可能なプライマー19’、25’に付着したそれぞれのリンカー33、33’において使用され得る異なる切断部位29、31の例としては、以下、ビシナルジオール、ウラシル、アリルエーテル、ジスルフィド、制限酵素部位、及び8-オキソグアニンの任意の組み合わせが挙げられる。
【0096】
更に他の例では、フローセルは、基材にわたって行及びオフセット列に配置された異なる捕捉プライマーを含む。捕捉プライマーは、異なる鋳型鎖(すなわち、ライブラリ鋳型)が基材表面にわたってそれぞれの領域に播種されることを可能にするという点で直交である。一例では、捕捉プライマーは、PXプライマーである。本明細書中に記載されるPXプライマーは、ライブラリ鋳型分子を播種するが、それ以外の他のプライマーの全てに対して直交であるため、増幅に関与しない捕捉プライマーとして使用され得る。プライマーセット14A、14B、14Cを使用する逐次的なペアエンド配列決定の場合、異なるPXプライマーが、異なるライブラリ鋳型分子を捕捉するために、異なるプライマーセット14A、14B、14Cとともに含まれ得る。
【0097】
PX捕捉プライマーは、以下の通りであってもよい。
PX 5’→3’
AGGAGGAGGAGGAGGAGGAGGAGG(配列番号13)
cPX(PX’)5’→3’
CCTCCTCCTCCTCCTCCTCCTCCT(配列番号14)
【0098】
本明細書中に開示されるプライマーの各々はまた、プライマー配列の5’末端にポリT配列を含み得る。いくつかの例では、ポリT領域は、2個のT塩基~20個のT塩基を含む。具体例として、ポリT領域は、3、4、5、6、7、又は10個のT塩基を含み得る。
【0099】
プライマー16A、18A、又は16B、18B、又は16C、18C(捕捉プライマーを含む)のうちのいずれかは、5’末端で、ポリマーヒドロゲル12A、12B、12Cの官能基との単一の点の共有結合の付着が可能な官能基で終結され得る。使用可能な末端プライマーの例としては、アルキン末端プライマー、テトラジン末端プライマー、アジド末端プライマー、アミノ末端プライマー、エポキシ又はグリシジル末端プライマー、チオホスフェート末端プライマー、チオール末端プライマー、アルデヒド末端プライマー、ヒドラジン末端プライマー、ホスホロアミダイト末端プライマー、及びトリアゾリンジオン末端プライマーが挙げられる。一例では、プライマーは、ヘキシニルで末端化する。いくつかの具体例では、スクシンイミジル(NHS)エステル末端プライマーを、ポリマーヒドロゲル12A、12B、12Cのアミンと反応させ得るか、アルデヒド末端プライマーを、ポリマーヒドロゲル12A、12B、12Cのヒドラジンと反応させ得るか、又は、アルキン末端プライマーを、ポリマーヒドロゲル12A、12B、12Cのアジドと反応させ得るか、又は、アジド末端プライマーを、ポリマーヒドロゲル12A、12B、12Cのアルキン若しくはDBCO(dibenzocyclooctyne、ジベンゾシクロオクチン)と反応させ得るか、又は、アミノ末端プライマーを、ポリマーヒドロゲル12A、12B、12Cの活性化カルボキシレート基若しくはNHSエステルと反応させ得る、又は、チオール末端プライマーを、ポリマーヒドロゲル12A、12B、12Cのアルキル化反応物質(例えば、ヨードアセトアミド若しくはマレイミド)と反応させ得るか、又は、ホスホロアミダイト末端プライマーを、ポリマーヒドロゲル12A、12B、12Cのチオエーテルと反応させ得る。いくつかの例を提供してきたが、プライマー16A、18A若しくは16B、18B若しくは16C、18C、及び/又は捕捉プライマーに付着され得、ポリマーヒドロゲル12A、12B、12Cの官能基に付着し得る官能基が使用され得ることを理解されたい。同様の官能基は、プライマー17、17’、19、19’、25、25’、27、27’のうちのいずれかの5’末端に含まれ得る。
【0100】
ポリマーヒドロゲル
本明細書に記載される例のうちのいずれでも、プライマーセット14A、14B、14Cは、ポリマーヒドロゲル12A、12B、12Cに付着している。プライマーセット14A、14B、14Cの結合は、プライマー16A、18A、又は16B、18B、又は16C、18Cの鋳型特異的部分を、その同族鋳型に自由にアニーリングさせ、3’ヒドロキシル基をプライマー伸長のために自由にする。本明細書に開示される例では、プライマーサブセット13A、15A、又は13B、15B、又は13C、15C、又は13D、15Dは、プライマーセット14A、14B、14Cのうちの1つの代わりに使用され得ることを理解されたい。これらの例では、特定の反応領域10A、10B、又は10Cは、(図1B図1C図1D、又は図1Eを参照して記載される様式で)ポリマーヒドロゲル12A、12B、又は12Cに付着したプライマー17、19、25、27、又は17’、19’、25’、27’を含む。
【0101】
いくつかの例では、ポリマーヒドロゲル12A、12B、12Cは、反応領域10A、10B、10Cの各々において同じである。これらの例では、ポリマーヒドロゲル12A、12B、12Cは、化学的に同じであり、本明細書に開示される任意の技術を使用して、それぞれのセット14A、14B、14Cのプライマー16A、18A、又は16B、18B、又は16C、18Cをそれぞれの反応領域10A、10B、10Cに順次付着し得る。プライマーサブセット13A、15A又は13B、15B又は13C、15C又は13D、15Dが領域10A、10B、10Cのうちの1つにおいて使用される場合、サブセット13A、15A、又は13B、15B、又は13C、15C、又は13D、15Dのプライマー17、19又は17’、19’及び25、27又は25’、27’は、本明細書に開示される例示的な技術を使用して順次付着する。
【0102】
他の例では、ポリマーヒドロゲル12A、12B、12Cは、反応領域10A、10B、10Cの各々において異なる。例えば、反応領域10A、10B、10Cの各々におけるポリマーヒドロゲル12A、12B、12Cは、それぞれのプライマー16A、18A、又は16B、18B、又は16C、18Cの末端官能基に付着することができる異なる官能基を含み得る。プライマーサブセット13A、15A、又は13B、15B、又は13C、15C、又は13D、15Dが領域10A、10B、10Cのうちの1つにおいて使用される場合、ポリマーヒドロゲル領域12A1、12A2は、特定のサブセット13A、15A、又は13B、15B、又は13C、15C、又は13D、15Dのプライマー17、19又は17’、19’及び25、27又は25’、27’を付着するためのそれぞれの官能基を含む。いくつかの場合では、異なる官能基は、基材上に堆積されたポリマーヒドロゲルに導入された官能基である。
【0103】
ポリマーヒドロゲル12A、12B、12Cは、液体が吸収される場合に膨潤し、例えば、乾燥によって液体が除去される場合に収縮し得る任意のゲル材料であり得る。一例では、ポリマーヒドロゲルは、アクリルアミドコポリマーを含む。アクリルアミドコポリマーのいくつかの例は、以下の構造(I)によって表される:
【0104】
【化10】
式中、
は、アジド、任意選択で置換アミノ、任意選択で置換アルケニル、任意選択で置換アルキン、ハロゲン、任意選択で置換ヒドラゾン、任意選択で置換ヒドラジン、カルボキシル、ヒドロキシ、任意選択で置換テトラゾール、任意選択で置換テトラジン、ニトリルオキシド、ニトロン、硫酸塩、及びチオールからなる群から選択され、
はH又は任意選択で置換アルキルであり、
、R、及びRは各々、独立して、H及び任意選択で置換アルキルからなる群から選択され、
-(CH-の各々は、任意選択で置換され得、
pは1~50の範囲の整数であり、
nは1~50,000の範囲の整数であり、かつ
mは、1~100,000の範囲の整数である。
【0105】
構造(I)によって表されるアクリルアミドコポリマーの一具体例は、ポリ(N-(5-アジドアセトアミジルペンチル)アクリルアミド-コ-アクリルアミド、PAZAM)である。
【0106】
当業者は、構造(I)における繰り返される「n」及び「m」個の特徴の配置が代表的なものであり、モノマーサブユニットがポリマー構造(例えば、ランダム、ブロック、パターン形成、又はそれらの組み合わせ)中に任意の順序で存在し得ることを認識する。
【0107】
アクリルアミドコポリマーの分子量は、約5kDa~約1500kDa又は約10kDa~約1000kDaの範囲であり得るか、あるいは特定の例では、約312kDaであり得る。
【0108】
いくつかの例では、アクリルアミドコポリマーは、線状ポリマーである。他のいくつかの例では、アクリルアミドコポリマーは、軽度に架橋されたポリマーである。
【0109】
他の例では、ゲル材料は、構造(I)の変形であり得る。一例では、アクリルアミドユニットは、N,Nージメチルアクリルアミド
【0110】
【化11】
で置き換えられ得る。この例では、構造(I)のアクリルアミドユニットは、
【0111】
【化12】
で置き換えられ得、式中、R、R、及びRは、各々H又はC1~C6アルキルであり、R及びRは、各々C1~C6アルキルである(アクリルアミドの場合のようにHではない)。この例では、qは、1~100,000の範囲の整数であってもよい。別の例では、アクリルアミドユニットに加えて、N,N-ジメチルアクリルアミドが使用され得る。この例では、構造(I)は、繰り返される「n」及び「m」個の特徴に加えて、
【0112】
【化13】
を含み得、式中、R、R、及びRは、各々H又はC1~C6アルキルであり、R及びRは、各々C1~C6アルキルである。この例では、qは、1~100,000の範囲の整数であってもよい。
【0113】
ポリマーヒドロゲル12A、12B、12Cの別の例として、構造(I)の反復する「n」特徴は、構造(II)を有する複素環式アジド基を含むモノマーで置き換えられてもよく、
【0114】
【化14】
式中、Rは、H又はC1~C6アルキルであり、Rは、H又はC1~C6アルキルであり、Lは、炭素、酸素、及び窒素からなる群から選択される2~20個の原子を含む線状鎖を含むリンカーであり、その鎖中の炭素原子及び任意の窒素原子上に10個の任意選択の置換基を含み、Eは、炭素、酸素、及び窒素からなる群から選択される1~4個の原子を含む線状鎖であり、その鎖中の炭素原子及び任意の窒素原子上に任意選択の置換基を含み、Aは、H又はC1~C4アルキルがNに付着したN置換アミドであり、Zは、窒素含有複素環である。Zの例としては、単環構造又は縮合構造として存在する5~10炭素含有環員が挙げられる。Zのいくつかの具体的な例としては、ピロリジニル、ピリジニル、又はピリミジニルが挙げられる。
【0115】
更に別の例として、ポリマーヒドロゲル12A、12B、12Cは、構造(III)及び(IV)の各々の反復単位を含み得、
【0116】
【化15】
式中、R1a、R2a、R1b及びR2bの各々は、独立して、水素、任意選択で置換アルキル又は任意選択で置換フェニルから選択され、R3a及びR3bの各々は、独立して、水素、任意選択で置換アルキル、任意選択で置換フェニル、又は任意選択で置換C7~C14アラルキルから選択され、L及びLの各々は、独立して、任意選択で置換アルキレンリンカー又は任意選択で置換ヘテロアルキレンリンカーから選択される。
【0117】
更に別の例では、アクリルアミドコポリマーは、ニトロキシド媒介重合を使用して形成され、したがって、コポリマー鎖の少なくともいくつかは、アルコキシアミン末端基を有する。コポリマー鎖において、「アルコキシアミン末端基」という用語は、休眠種-ONRを指し、式中、R及びRの各々は、同じであっても異なっていてもよく、独立して、直鎖若しくは分岐鎖アルキル、又は環構造であってもよく、酸素原子は、コポリマー鎖の残りに結合している。いくつかの例では、アルコキシアミンはまた、繰り返しアクリルアミドモノマーの一部に、例えば、構造(I)のR位に導入されてもよい。したがって、一例では、構造(I)は、アルコキシアミン末端基を含み、別の例では、構造(I)は、アルコキシアミン末端基と、側鎖の少なくともいくつかにアルコキシアミン基とを含む。
【0118】
他の分子は、それらがそこへオリゴヌクレオチドプライマーセット14A、14B、14C又はサブセット13A、15A、若しくは13B、15B、若しくは13C、15C、若しくは13D、15Dのうちの1つをグラフトするように官能化される限り、ポリマーヒドロゲル12A、12B、12Cを形成するために使用され得ることを理解されたい。好適なポリマーヒドロゲル12A、12B、12C材料のいくつかの例としては、ノルボルネンシラン、アジドシラン、アルキン官能化シラン、アミン官能化シラン、マレイミドシラン、又はそれぞれのプライマーセット14A、14B、14C、又はサブセット13A、15A、若しくは13B、15B、若しくは13C、15C、若しくは13D、15Dを付着することができる官能基を有する任意の他のシランなどの官能化シランが挙げられる。好適なポリマーヒドロゲル12A、12B、12C材料の他の例としては、アガロースなどのコロイド構造、又はゼラチンなどのポリマーメッシュ構造、又はポリアクリルアミドポリマー及びコポリマー、シランフリーアクリルアミド(silane free acrylamide、SFA)、又はアジド分解バージョンのSFAなどの架橋ポリマー構造を有するものが挙げられる。好適なポリアクリルアミドポリマーの例は、アクリルアミドとアクリル酸若しくはビニル基を含むアクリル酸とから、又は[2+2]光付加環化反応を形成するモノマーから合成され得る。好適なポリマーヒドロゲル12A、12B、12C材料の更に他の例としては、アクリルアミド及びアクリレートの混合コポリマーが挙げられる。本明細書に開示される実施例では、デンドリマー(例えばマルチアーム若しくは星型ポリマー)、星状又は星型ブロックポリマーなどを含む分岐ポリマーなど、アクリルモノマー(例えば、アクリルアミド、アクリレートなど)を含む様々なポリマー構造が利用され得る。例えば、モノマー(例えば、アクリルアミド、触媒を含有するアクリルアミドなど)は、ランダムに又はブロックで、デンドリマーの分岐(アーム)中に組み込まれてもよい。
【0119】
ポリマーヒドロゲル12A、12B、12Cは、ニトロキシド媒介重合(nitroxide mediated polymerization、NMP)、可逆的付加開裂連鎖移動(reversible addition-fragmentation chain-transfer、RAFT)重合などの任意の好適な共重合プロセスを使用して形成され得る。ポリマーヒドロゲル12A、12B、12Cはまた、本明細書に開示される方法のうちのいずれかを使用して堆積され得る。
【0120】
下にある基材へのポリマーヒドロゲル12A、12B、12Cの付着は、共有結合を介するものであり得る。いくつかの例では、下にある基材は、例えば、シラン化又はプラズマアッシングを介して最初に活性化され得る。共有結合は、プライマーセット14A、14B、14C及び/又はサブセット13A、15A、若しくは13B、15B、若しくは13C、15C、若しくは13D、15Dを、様々な使用中のフローセルの寿命を通して所望の領域に維持するために有用である。
【0121】
基材
フローセルの基材は、その上に反応領域10A、10B、10Cが形成される単層ベース支持体又は多層構造であり得る。
【0122】
好適な単層ベース支持体の例としては、エポキシシロキサン、ガラス、修飾又は官能化ガラス、プラスチック(アクリル、ポリスチレン、スチレンと他の材料のコポリマー、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリブチレン、ポリウレタン、ポリテトラフルオロエチレン(ChemoursのTEFLON(登録商標)など)、環状オレフィン/シクロオレフィンポリマー(cyclic olefins/cyclo-olefin polymer、COP)(ZeonのZEONOR(登録商標)など)、ポリイミドなどを含む)、ナイロン(ポリアミド)、セラミック/酸化セラミック、シリカ、溶融シリカ、シリカベースの材料、ケイ酸アルミニウム、シリコン及び修飾シリコン(例えば、ホウ素ドープp+シリコン)、窒化シリコン(Si)、酸化シリコン(SiO)、五酸化タンタル(Ta)又は他の酸化タンタル(TaO)、酸化ハフニウム(HfO)、炭素、金属、無機ガラスなどが挙げられる。
【0123】
多層構造の例は、ベース支持体及びその上の少なくとも1つの他の層を含む。多層構造のいくつかの例は、表面に、酸化タンタル(例えば、五酸化タンタル又は別の酸化タンタル(TaO))又は別のセラミック酸化物のコーティング層を有する、ベース支持体としてのガラス又はシリコンを含む。多層構造の他の例は、ベース支持体(例えば、ガラス、シリコン、五酸化タンタル、又は他のベース支持体材料のうちのいずれか)及びコーティング層としてのパターン化された樹脂を含む。凹部及び異なる高さの領域などを形成するために選択的に堆積、又は堆積及びパターン化され得る任意の材料は、パターン化された樹脂のために使用され得ることを理解されたい。
【0124】
一例では、パターン化された樹脂は、蒸着、エアロゾル印刷、又はインクジェット印刷を介してベース支持体に選択的に適用され得る無機酸化物である。好適な無機酸化物の例としては、酸化タンタル(例えば、Ta)、酸化アルミニウム(例えば、Al)、酸化シリコン(例えば、SiO)、酸化ハフニウム(例えば、HfO)などが挙げられる。
【0125】
別の例では、パターン化された樹脂は、ベース支持体に適用され、次いでパターン化され得るポリマー樹脂である。好適な堆積技術としては、化学蒸着、ディップコーティング、ダンクコーティング、スピンコーティング、スプレーコーティング、液滴分配、超音波スプレーコーティング、ドクターブレードコーティングなどが挙げられる。好適なパターン化技術としては、フォトリソグラフィ、ナノインプリントリソグラフィ(nanoimprint lithography、NIL)、スタンピング技術、エンボス技術、成形技術、マイクロエッチング技術などが挙げられる。好適な樹脂のいくつかの例としては、多面体オリゴマーシルセスキオキサンベースの樹脂(例えば、Hybrid Plastics製のPOSS(登録商標))、非多面体オリゴマーシルセスキオキサンエポキシ樹脂、ポリ(エチレングリコール)樹脂、ポリエーテル樹脂(例えば、開環エポキシ)、アクリル樹脂、アクリレート樹脂、メタクリレート樹脂、アモルファスフルオロポリマー樹脂(例えば、Bellex製のCYTOP(登録商標))、及びそれらの組み合わせが挙げられる。
【0126】
本明細書で使用されるとき、「多面体オリゴマーシルセスキオキサン」という用語は、シリカ(SiO)とシリコーン(RSiO)との間のハイブリッド中間体(例えば、RSiO1.5)である化学組成物を指す。多面体オリゴマーシルセスキオキサンの一例は、Kehagias et al.,Microelectronic Engineering 86(2009),pp.776-778に記載されているものであり得、これは、参照によりその全体が組み込まれる。一例では、組成物は、化学式[RSiO3/2を有する有機シリコン化合物であり、R基は同じであっても異なってもよい。多面体オリゴマーシルセスキオキサンの例示的なR基としては、エポキシ、アジド(azide)/アジド(azido)、チオール、ポリ(エチレングリコール)、ノルボルネン、テトラジン、アクリレート、及び/若しくはメタクリレート、又は、更に、例えば、アルキル、アリール、アルコキシ、及び/若しくはハロアルキル基が挙げられる。本明細書で開示する樹脂組成物は、モノマー単位として1つ以上の異なるケージ又はコア構造を含み得る。
【0127】
一例では、基材は、約2mm~約300mmの範囲の直径を有する円形ウェーハを使用して、又は最大約10フィート(約3メートル)の最大寸法を有する長方形シート若しくはパネルから、製作され得る。一例では、基材は、約200mm~約300mmの範囲の直径を有する円形ウェーハを用いて製作される。別の例では、300mmの円形ウェーハよりも大きい表面積を有する、長方形の支持体であるパネルが使用され得る。ウェーハ、パネル、及び他の大きい基材材料は、個々のフローセル基材にダイシングされ得る。別の例では、基材は、約0.1mm~約10mmの範囲の幅を有するダイである。例示的な寸法を提供しているが、任意の好適な寸法を有する基材材料を使用して基材を製作し得ることを理解されたい。
【0128】
フローセル構造
フローセル20の上面図を図2に示す。フローセル20は、ともに結合された2つのパターン化された構造、又は蓋に結合された1つのパターン化された構造を含み得る。フローセル20のパターン化された構造の異なる例を、図3A図7Dに示す。2つのパターン化された構造の間、又は1つのパターン化された構造と蓋との間は、フローチャネル21である。図2に示される例は、8つのフローチャネル21を含む。8つのフローチャネル21が示されているが、任意の数のフローチャネル21がフローセル20に含まれ得る(例えば、単一のフローチャネル21、4つのフローチャネル21など)ことを理解されたい。各フローチャネル21は、あるフローチャネル21内に導入される流体が、隣接するフローチャネル21内に流入しないように、別のフローチャネル21から分離され得る。フローチャネル21内に導入される流体のうちのいくつかの例は、反応構成要素(例えば、DNAサンプル、ポリメラーゼ、配列決定プライマー、標識ヌクレオチドなど)、洗浄溶液、脱ブロッキング剤などを導入し得る。
【0129】
フローチャネル21は、パターン化された構造によって少なくとも部分的に画定される。パターン化された構造は、単層ベース支持体又は多層構造などの基材を含むことができる。図2は、フローセル20の上面図を描示し、したがって、1つのパターン化された構造の基材の上部(例えば、フローセル20が蓋を含む場合)又は第2のパターン化された構造の基材の底部(例えば、フローセル20が、表面化学が互いに対向する2つのパターン化された構造を含む場合)を描示する。
【0130】
一例では、フローチャネル21は、長方形又は実質的に長方形の構成を有する。フローチャネル21の長さ及び幅は、基材の一部分がフローチャネル21を取り囲み、蓋(図示せず)又は別のパターン化された構造への付着に利用可能であるように選択され得る。
【0131】
フローチャネル21の深さは、マイクロコンタクト、エアロゾル、又はインクジェット印刷を使用してフローチャネル21壁部を画定する別個の材料を堆積させる場合、単層の厚さと同じくらい小さくなり得る。他の例では、フローチャネル21の深さは、約1μm、約10μm、約50μm、約100μm、又はそれ以上であり得る。一例では、深さは、約10μm~約100μmの範囲であり得る。別の例では、深さは、約10μm~約30μmの範囲であり得る。更に別の例では、深さは、約5μm以下である。フローチャネル21の深さは、上で指定した値よりも大きくてもよく、それよりも小さくてもよく、又はそれらの間であってもよいことを理解されたい。
【0132】
図3A図7Dは、パターン化された構造の異なる例を描示し、したがって、フローセル20のフローチャネル21内の構造の異なる例を描示する。これらの図の説明は、プライマーセット14A、14B、14Cに言及するが、これらの図に記載されるいずれか1つのプライマーセット14A、14B、14Cは、本明細書に記載されるプライマーサブセット13A、15A、又は13B、15B、又は13C、15C、又は13D、15Dのうちのいずれか1つと置き換えられ得ることを理解されたい。
【0133】
フローセル20のパターン化された構造23A、23Bの2つの例を、それぞれ図3A及び図3Cに示す。フローセル20のパターン化された構造23A、23Bのこれらの例は、基材22と、基材22に沿って延在する複数の反応領域24、24’、24’’と、複数の反応領域のうちの1つ、例えば、24を、複数の反応領域のうちの隣接する1つ、例えば、24’から分離する非反応領域26、26’と、を含み、複数の反応領域24、24’、24’’の各々が、反応領域24、24’、24’’に沿って位置付けられた交互の第1及び第2の(反応)領域10A、10Bを含み、第1の領域10Aの各々が、第1のプライマーセット14Aを含み、第2の領域10Bの各々が、第1のプライマーセット14Aとは異なる第2のプライマーセット14Bを含み、i)隣接する第1及び第2の領域10A、10Bが、互いに直接当接するか(図3Cを参照されたい)、又はii)第1の領域10Aが、凸部28上に位置付けられ、第2の領域10Bが、凸部28に隣接する凹部30内に位置付けられる(図3A及び図3B)。
【0134】
図3Aでは、基材22は、単層ベース支持体42及び単層ベース支持体42の上に位置付けられた別の層44を含む、多層構造である。図3Aに示されるパターン化された構造23Aの場合、基材22は、代替的に、単層ベース支持体42であり得る。図3Cでは、基材22は、単層ベース支持体42である。図3Cに示されるパターン化された構造23Bの場合、基材22は、代替的に多層構造であり得る。
【0135】
図3A及び図3Cの両方では、パターン化された構造23A、23Bは、基材22に沿って延在する複数の反応領域24、24’、24’’を含む。一例では、反応領域24、24’、24’’は、基材22の長さに沿って、及びフローチャネル21の全長に沿って部分的に延在する。各反応領域24、24’、24’は、交互の第1及び第2の(反応)領域10A、10Bを含む。交互の領域10A、10Bのパターンは、反応領域24、24’、24’’の各々の長さに沿って延在する。
【0136】
図3A及び図3Bに示される例では、基材22は、反応領域24、24’、24’’に沿って交互する凸部28及び凹部30を含む。この例では、凸部28及び凹部30が層44に形成されている。これらの特徴28、30を、図3Bの断面図に示す。図3A及び図3Bに描示されるように、それぞれの活性領域10Aは、凸部28の各々の上に位置付けされ、それぞれの活性領域10Bは、凹部30の各々内に位置付けされている。
【0137】
凸部28は、基材22の底部から第1の高さHを延長し、凹部30は、基材22の底部から第2の高さHを延長し、第1の高さHは、第2の高さHよりも大きい。凸部28の各々の表面は、非反応領域26、26’の表面と同一平面上にあり得る。この例では、非反応領域26、26’の表面は、基材22の表面でもある。凹部30の各々の表面は、凸部/非反応領域/基材表面(例えば、層44の表面)から測定された深さで位置付けられる。深さは、少なくとも150nmである。この深さは、500塩基対(bp)長(例えば、0.35nm/bpと仮定する)であるライブラリ鋳型に特に好適である。深さは、約10:1の高さ(深さ)対幅比を超えるべきではない。いくつかの例では、深さは、約150nm~約100μmの範囲、例えば、約0.5μm、約1μm、約10μm、又はそれ以上であり得る。
【0138】
基材22のx-y平面における凸部28及び凹部30の形状は、正方形又は長方形であり得る。凸部28及び凹部30は、同じ形状、したがって同じx-y寸法を有し得る。長さ及び幅の各々は、約150nm以上であり得る。一例では、長さ及び幅は、各々、約150nm~約100μmの範囲、例えば、約0.5μm、約2μm、約10μm、又はそれ以上であり得る。長さ及び幅は、約10:1の長さ対幅のアスペクト比を超えないように選択され得る。凸部28及び凹部30の各々の幅は、反応領域24、24’、24’’の幅に等しい。
【0139】
各凸部28及び凹部30のサイズは、それぞれ、その表面及び開口面積によって特徴付けられ得る。凸部28の表面積及び凹部30の開口面積は、約1×10-3μm~約100μm、例えば、約1×10-2μm、約0.1μm、約1μm、少なくとも約10μm、又はそれ以上若しくはそれ以下であり得る。
【0140】
凹部30はまた、その容積によって特徴付けられ得る。例えば、容積は、約1×10-3μm~約100μmの範囲に及び、例えば、約1×10-2μm、約0.1μm、約1μm、約10μm、又はそれ以上若しくはそれ以下であり得る。
【0141】
図3Aに示されるように、反応領域24、24’、24’’の各々内の交互の凸部28及び凹部30は、互いに直接当接する。したがって、1つの凸部28の縁部は、1つの凹部30の縁部でもある。この例では、反応領域24、24’、又は24’’のうちの1つ内の交互の凸部28と凹部30との間の基材22の唯一の露出された部分は、そこにポリマーヒドロゲル12A、12B又はプライマーセット14A、14Bが適用されていない凸部28及び凹部30の側壁32(z軸に沿って延在する)である。この側壁32は、活性領域10A、10Bの間の間隙領域を画定する。
【0142】
図3A及び図3Bに示される例では、交互の凸部28と凹部30との間の基材22のx-y平面における間隙領域の欠如は、基材22にわたる活性領域10A、10Bの平均ピッチを減少させる。この例では、平均ピッチは、1つの活性領域10Aの中心から隣接する活性領域10Bの中心までの間隔(中心間間隔)である。平均ピッチは、約50nm~約100μmの範囲であり得る。一例では、平均ピッチは、約50nm~約2μmの範囲であり得る。別の例では、平均ピッチは、例えば、約0.4μmであり得る。
【0143】
この例では、活性領域10A、10Bは、互いに隣り合っているが、一方(10A)が凸部28上に位置付けられ、他方(10B)が凹部30内に位置付けられているので、互いに直接当接していない。
【0144】
凸部28の各々の上に位置付けられた活性領域10Aは、ポリマーヒドロゲル12A及びプライマーセット14Aを含む。したがって、各活性領域10Aのx-y寸法は、活性領域10Aが適用される凸部28のx-y寸法に等しい。凹部30の各々内に位置付けられた活性領域10Bは、ポリマーヒドロゲル12B及びプライマーセット14Bを含む。したがって、各活性領域10Bのx-y寸法は、活性領域10Bが適用される凹部30のx-y寸法に等しい。
【0145】
本明細書に記載されるように、ポリマーヒドロゲル12A、12Bは、同じであっても異なっていてもよく、プライマーセット14A、14Bは、異なっている。一例では、第1及び第2の領域10A、10Bの各々は、それぞれの第1及び第2のプライマーセット14A、14Bが付着している同じポリマーヒドロゲル12A=12Bを含む。別の例では、第1の領域10Aは、第1のプライマーセット14Aが付着している第1のポリマーヒドロゲル12Aを含み、第2の領域10Bは、第2のプライマーセット14Bが付着している第2のポリマーヒドロゲル12Bを含み、第1のポリマーヒドロゲル12A及び第2のポリマーヒドロゲル12Bは、第1のプライマーセット14A及び第2のプライマーセット14Bをそれぞれ付着させる直交官能基を含む。
【0146】
ここで、図3Cに示される例を参照すると、基材22は、平面であり、したがって、凸部28又は凹部30を含まない。したがって、それぞれの反応領域24、24’、又は24’’内の交互の活性領域10A、10Bは、基材表面上に位置付けられる。
【0147】
図3Cに示される例では、活性領域10A、10Bは、互いに直接当接している。したがって、基材表面は、交互の活性領域10A、10Bの間で露出されず、したがって、隣接する活性領域10A、10Bの間に隙間領域は存在しない。交互の活性領域10A、10Bの間の基材22のx-y平面における間隙領域の欠如は、基材22にわたる活性領域10A、10Bの平均ピッチを減少させる。この例では、平均ピッチは、任意の1つの反応領域24、24’、24’’における1つの活性領域10Aの中心から隣接する活性領域10Bの中心までの間隔(中心間間隔)である。平均ピッチは、約50nm~約100μmの範囲であり得る。一例では、平均ピッチは、約50nm~約2μmの範囲であり得る。一例では、平均ピッチは、例えば、約0.4μmであり得る。
【0148】
この例では、基材22のx-y平面における活性領域10A、10Bの形状は、正方形又は長方形であり得る。活性領域10A、10Bは、同じ形状、したがって同じx-y寸法を有し得る。長さ及び幅の各々は、約150nm~約100μmの範囲、例えば、約0.5μm、約1μm、約10μm、又はそれ以上であり得る。長さ及び幅は、約10:1の長さ対幅のアスペクト比を超えないように選択され得る。活性領域10A、10Bの各々の幅は、反応領域24、24’、24’’の幅に等しい。
【0149】
図3Cに示される例では、活性領域10Aは、ポリマーヒドロゲル12A及びプライマーセット14Aを含み、活性領域10Bは、ポリマーヒドロゲル12B及びプライマーセット14Bを含む。本明細書に記載されるように、ポリマーヒドロゲル12A、12Bは、同じであっても異なっていてもよく、プライマーセット14A、14Bは、異なっている。一例では、第1及び第2の領域10A、10Bの各々は、それぞれの第1及び第2のプライマーセット14A、14Bが付着している同じポリマーヒドロゲル12A=12Bを含む。別の例では、第1の領域10Aは、第1のプライマーセット14Aが付着している第1のポリマーヒドロゲル12Aを含み、第2の領域10Bは、第2のプライマーセット14Bが付着している第2のポリマーヒドロゲル12Bを含み、第1のポリマーヒドロゲル12A及び第2のポリマーヒドロゲル12Bは、第1のプライマーセット14A及び第2のプライマーセット14Bをそれぞれ付着させる直交官能基を含む。
【0150】
図3A及び図3Cに示される例の両方では、反応領域24、24’、24’’は、それぞれの非反応領域26、26’によって分離される。非反応領域26、26’は、活性領域10A、10Bに位置する表面化学(例えば、ポリマーヒドロゲル12A、12B及びプライマーセット14A、14B)を含まない基材22の領域である。非反応領域26、26’は、基材22に沿って反応領域24、24’、24’’と同じ方向に延在する。図3A及び図3Cに示される例では、非反応領域26、26’は、基材22の長さに沿って延在する。記載のように、1つの非反応領域、例えば、26は、1つの反応領域、例えば、24をすぐ隣接する反応領域、例えば、24’から分離する。各非反応領域26、26’の幅は、1つの反応領域、例えば、24’における活性領域10A、10Bから、すぐ隣接する反応領域、例えば、24及び24’’における活性領域10A、10Bへの間のパッドホッピングを低減又は排除するのに十分な大きさであり得る。一例では、非反応領域26、26’の幅は、150nm以上であり得る。一例では、幅は、各々、約150nm~約100μmの範囲、例えば、約0.5μm、約2μm、約10μm、又はそれ以上であり得る。一例では、非反応領域26、26’の幅は、約0.3μmであり得る。
【0151】
他の非反応領域26、26’もまた、基材22の最外表面に(例えば、周囲に位置する1つ以上の領域に)位置し得る。これらの領域26、26’は、別のパターン化された構造23A若しくは23Bの非反応領域26、26’に、又は蓋に結合するために利用可能であり得る。
【0152】
図3A及び図3Cに示される例では、反応領域24、24’、24’’の数及び各反応領域24、24’、24’’内の活性領域10A、10Bの数は、反応領域及び非反応領域が位置付けられるチャネル21の長さ及び幅、各非反応領域26、26’の幅、並びに活性領域10A、10Bのx寸法及びy寸法に依存するであろう。基材22のx-y平面における活性領域10A、10Bの間の隙間領域の欠如は、画定された領域における活性領域10A、10Bの密度(数)を増加させるはずである。一例では、活性領域10A、10Bは、1mm当たりおよそ360万の密度で存在し得る。
【0153】
フローセル20のパターン化された構造23C、23Dの2つの追加の例を、それぞれ図4A及び図4Bに示す。フローセル20のパターン化された構造23C、23Dのこれらの例は、基材22と、交互の第1及び第2の領域10A、10Bの行34、34’、34’’及び列36、36’、36’’と、を含み、第1の領域10Aの各々が、第1のプライマーセット14Aを含み、第2の領域10Bの各々が、第1のプライマーセット14Aとは異なる第2のプライマーセット14Bを含み、i)隣接する第1及び第2の領域10A、10Bが、互いに直接当接するか(図4C)、又はii)第1の領域10Aが、凸部28上に位置付けられ、第2の領域10Bが、凸部28に隣接する凹部30内に位置付けられる(図4A及び図4B)。
【0154】
図4Aでは、基材22は、単層ベース支持体42及び単層ベース支持体42の上に位置付けられた別の層44を含む、多層構造である。図4Aに示されるパターン化された構造23Cの場合、基材22は、代替的に、単層ベース支持体42であり得る。図4Cでは、基材22は、単層ベース支持体42である。図4Cに示されるパターン化された構造23Bの場合、基材22は、代替的に多層構造であり得る。
【0155】
図4A及び図4Cの両方では、パターン化された構造23C、23Dは、交互の第1及び第2の領域10A、10Bの行34、34’、34’’及び列36、36’、36’’を含む。一例では、行34、34’、34’’は、基材22の幅に沿って、及びフローチャネル21の全幅に沿って、部分的に延在し、列36、36’、36’’は、基材22の長さに沿って、及びフローチャネル21の全長に沿って部分的に延在する。各行34、34’、34’’及び各列36、36’、36’’は、交互の第1及び第2の(反応性)領域10A、10Bを含む。
【0156】
図4Aに示される例では、基材22(例えば、層44)は、行34、34’、34’’に沿って、及び列36、36’、36’’に沿って交互である凸部28及び凹部30を含む。1つの列34’’における特徴28、30を、図4Bの断面図に示す。図4A及び図4Bに描示されるように、それぞれの活性領域10Aは、凸部28の各々の上に位置付けされ、それぞれの活性領域10Bは、凹部30の各々内に位置付けされている。
【0157】
凸部28は、基材22の底部から第1の高さHを延長し、凹部30は、基材22の底部から第2の高さHを延長し、第1の高さHは、第2の高さHよりも大きい。凸部28の各々の表面は、基材22の表面と同一平面上にあり得る。凹部30の各々の表面は、基材表面から(例えば、層44の表面から)測定された深さで位置付けられる。深さは、約150nm~約100μmの範囲、例えば、約0.5μm、約1μm、約10μm、又はそれ以上であり得る。
【0158】
図4Aの例では、基材22のx-y平面における凸部28及び凹部30の形状は、円形、菱形、又は回転正方形であり得る。凸部28及び凹部30は、同じ形状、したがって同じx-y寸法を有し得る。(円の)直径、又は(ダイヤモンド又は回転正方形の)長さ及び幅の各々は、約150nm~約100μmの範囲、例えば、約0.5μm、約1μm、約10μm、又はそれ以上であり得る。長さ及び幅は、約10:1の長さ対幅のアスペクト比を超えないように選択され得る。凸部28及び凹部30の各々の幅は、反応領域24、24’、24’’の幅に等しい。
【0159】
各凸部28及び凹部30のサイズは、図3Aを参照して説明されるように、それぞれ、その表面及び開口面積によって特徴付けられ得る。凹部30はまた、図3Aを参照して説明されるように、その容積によって特徴付けられ得る。
【0160】
図4Aに示されるように、列34、34’、34’’の各々内の交互の凸部28及び凹部30は、互いに直接当接し、列36、36’、36’’の各々内の交互の凸部28及び凹部30は、互いに直接当接する。したがって、凸部28及び凹部30のうちのいくつかは、側壁32を共有する。凸部28及び凹部30が円である場合、側壁32は、それぞれの円の円周に沿っている。凸部28及び凹部30が菱形又は回転正方形である場合、側壁32は、それぞれの菱形又は回転正方形の角に沿っている。凸部28及び凹部30の(z軸に沿って延在する)側壁32は、そこにポリマーヒドロゲル12A、12B又はプライマーセット14A、14Bが適用されておらず、したがって、活性領域10A、10Bの間の間隙領域を画定する。
【0161】
交互の凸部28及び凹部30は、互いに当接するため、当接する部分の間に直接、隙間領域はない。当接する凸部28と凹部30との間の直接の基材22のx-y平面における間隙領域の欠如は、基材22にわたる活性領域10A、10Bの平均ピッチを減少させる。この例では、平均ピッチは、1つの活性領域10Aの中心から、同じ行34、34’、34’’又は列36、36’、36’’における隣接する活性領域10Bの中心までの間隔(中心間間隔)である。平均ピッチは、約50nm~約100μmの範囲であり得る。一例では、平均ピッチは、約50nm~約2μmの範囲であり得る。一例では、平均ピッチは、例えば、約0.4μmであり得る。
【0162】
この例では、活性領域10A、10Bは、互いに隣り合っているが、一方(10A)が凸部28上に位置付けられ、他方(10B)が凹部30内に位置付けられているので、互いに直接当接していない。
【0163】
凸部28の各々上に位置付けられた活性領域10Aは、ポリマーヒドロゲル12A及びプライマーセット14Aを含む。したがって、各活性領域10Aのx-y寸法は、活性領域10Aが適用される凸部28のx-y寸法に等しい。凹部30の各々内に位置付けられた活性領域10Bは、ポリマーヒドロゲル12B及びプライマーセット14Bを含む。したがって、各活性領域10Bのx-y寸法は、活性領域10Bが適用される凹部30のx-y寸法に等しい。
【0164】
本明細書に記載されるように、ポリマーヒドロゲル12A、12Bは、同じであっても異なっていてもよく、プライマーセット14A、14Bは、異なっている。一例では、第1及び第2の領域10A、10Bの各々は、それぞれの第1及び第2のプライマーセット14A、14Bが付着している同じポリマーヒドロゲル12A=12Bを含む。別の例では、第1の領域10Aは、第1のプライマーセット14Aが付着している第1のポリマーヒドロゲル12Aを含み、第2の領域10Bは、第2のプライマーセット14Bが付着している第2のポリマーヒドロゲル12Bを含み、第1のポリマーヒドロゲル12A及び第2のポリマーヒドロゲル12Bは、第1のプライマーセット14A及び第2のプライマーセット14Bをそれぞれ付着させる直交官能基を含む。
【0165】
ここで、図4Cに示される例を参照すると、基材22は、平面であり、したがって、凸部28又は凹部30を含まない。したがって、行34、34’、34’’又は列36、36’、36’’内の交互の活性領域10A、10Bは、基材表面上に位置付けられる。
【0166】
図4Cに示される例では、活性領域10A、10Bは、互いに直接当接している。したがって、基材表面は、交互の活性領域10A、10Bの間で直接、露出されず、したがって、隣接する活性領域10A、10Bの間に隙間領域は存在しない。交互の活性領域10A、10Bの間の基材22のx-y平面における間隙領域の欠如は、基材22にわたる活性領域10A、10Bの平均ピッチを減少させる。この例では、平均ピッチは、任意の1つの行34、34’、34’’又は列36、36’、36’’における1つの活性領域10Aの中心から隣接する活性領域10Bの中心までの間隔(中心間間隔)である。平均ピッチは、約50nm~約100μmの範囲であり得る。一例では、平均ピッチは、約50nm~約2μmの範囲であり得る。一例では、平均ピッチは、例えば、約0.4μmであり得る。
【0167】
この例では、基材22のx-y平面における活性領域10A、10Bの形状は、円形、菱形、又は回転正方形であり得る。活性領域10A、10Bは、同じ形状、したがって同じx-y寸法を有し得る。(円の)直径、又は(ダイヤモンド又は回転正方形の)長さ及び幅の各々は、約150nm~約100μmの範囲、例えば、約0.5μm、約1μm、約10μm、又はそれ以上であり得る。
【0168】
図4Cに示される例では、活性領域10Aは、ポリマーヒドロゲル12A及びプライマーセット14Aを含み、活性領域10Bは、ポリマーヒドロゲル12B及びプライマーセット14Bを含む。本明細書に記載されるように、ポリマーヒドロゲル12A、12Bは、同じであっても異なっていてもよく、プライマーセット14A、14Bは、異なっている。一例では、第1及び第2の領域10A、10Bの各々は、それぞれの第1及び第2のプライマーセット14A、14Bが付着している同じポリマーヒドロゲル12A=12Bを含む。別の例では、第1の領域10Aは、第1のプライマーセット14Aが付着している第1のポリマーヒドロゲル12Aを含み、第2の領域10Bは、第2のプライマーセット14Bが付着している第2のポリマーヒドロゲル12Bを含み、第1のポリマーヒドロゲル12A及び第2のポリマーヒドロゲル12Bは、第1のプライマーセット14A及び第2のプライマーセット14Bをそれぞれ付着させる直交官能基を含む。
【0169】
図4A及び図4Cに示される例の両方において、非反応領域26は、4つの活性領域10A、10Bの交点に位置する。これらの4つの活性領域10A、10Bは、各活性領域10Aが2つの異なる活性領域10Bに隣り合い、各活性領域10Bが2つの異なる活性領域10Aに隣り合うように、正方形のような構成で位置付けられる。非反応領域26は、正方形のような構成で互いに対角にある活性領域10A、10Bを分離する。
【0170】
他の非反応領域26もまた、基材22の最外表面に(例えば、周囲に沿って)位置し得る。これらの領域26は、別のパターン化された構造23C若しくは23Dの非反応領域26、又は蓋に結合するために利用可能であり得る。
【0171】
図4A及び図4Cに示される例では、行34、34’、34’’、列36、36’、36’’の数、並びに各行34、34’、34’’及び列36、36’、36’’内の活性領域10A、10Bの数は、活性領域10A、10Bが位置付けられるチャネル21の長さ及び幅、並びに活性領域10A、10Bのx及びy寸法に依存するであろう。基材22のx-y平面における活性領域10A、10Bの間の直接の隙間領域の欠如は、画定された領域における活性領域10A、10Bの密度(数)を増加させるはずである。一例では、活性領域10A、10Bは、1mm当たりおよそ630万の密度で存在し得る。
【0172】
フローセル20のパターン化された構造23Eの更に別の例を図5に示す。フローセル20のパターン化された構造23Eのこの例は、交互の第1の高さHの領域38、38’、38’’及び第2の高さHの領域40、40’を有する基材22と、第1の高さHの領域38、38’、38’’に沿って延在し、かつ第2の高さHの領域40、40’に沿って延在する交互の第1及び第2の領域10A、10Bと、を含み、第1の領域10Aの各々が、第1のプライマーセット14Aを含み、第2の領域10Bの各々が、第1のプライマーセット14Aとは異なる第2のプライマーセット14Bを含む。
【0173】
図5では、基材22は、多層構造である。描示されるように、基材22は、ベース支持体42と、ベース支持体42の上に位置付けられた別の層44と、を含む。パターン化された構造23Eのこの例では、基材22は、代替的に、単層ベース支持体であり得る。
【0174】
この例では、基材22、特に、層44は、交互の第1の高さHの領域38、38’、38’’及び第2の高さHの領域40、40’でパターン化されている。層44は、本明細書に記載されるパターン化された樹脂の任意の例であり得、本明細書に記載される技術のうちのいずれかを使用して、様々な高さH、Hでパターン化され得る。一例では、層44は、領域38、38’、38’’及び領域40、40’が基材22の長さに沿って、及びフローチャネル21の全長に沿って部分的に延在するようにパターン化される。
【0175】
第1及び第2の高さH、Hは、基材22の底部から測定され、第1の高さHは、第2の高さHより大きい。いくつかの例では、領域38、38’、38’’の各々は、同じ高さHを有し、領域40、40’の各々は、同じ高さHを有する。他の例では、領域38、38’、38’’の各々の高さが領域40、40’の各々の高さよりも大きい限り、領域38、38’、38’’の各々は、異なる高さHを有し、領域40、40’の各々は、異なる高さHを有する。例のうちのいずれでも、第1の高さHと第2の高さHとの間の差は、少なくとも150nmである。
【0176】
領域38、38’、38’’の各々の表面は、基材表面と同一平面上にあり得る。領域40、40’の各々の表面は、基材/領域38、38’、38’’の表面から測定された深さに位置付けられる。深さは、少なくとも150nm~約100μmの範囲、例えば、約0.5μm、約1μm、約10μm、又はそれ以上であり得る。
【0177】
図5に示されるように、隣接する領域(例えば、38及び40、40及び38’、38’及び40’、並びに40’及び38’’)は、側壁32を共有する。この例では、隣接する領域(例えば、38及び40、40及び38’、38’及び40’、並びに40’及び38’’)の間の基材22の唯一の露出された部分は、z軸に沿って延在する側壁32である。それぞれの側壁32は、そこにポリマーヒドロゲル12A、12B又はプライマーセット14A、14Bが適用されておらず、したがって、側壁32は、領域38、38’、38’’の上に位置付けられた活性領域10A、10Bと、領域40、40’の上に位置付けられた活性領域10A、10Bとの間に間隙領域を画定する。
【0178】
領域38、38’、38’’及び領域40、40’の各々は、交互の第1及び第2の(反応)領域10A、10Bを含む。図5に示される例では、領域38、38’、38’’の各々に沿った領域10A、10Bの交互のパターンは、10A、10B、10A、10Bなどであり、領域40、40’の各々に沿った領域10A、10Bの交互のパターンは、反対、例えば、10B、10A、10Bなどである。したがって、領域10A、10Bの交互のパターンは、領域38、38’、38’’、40、40’の各々の長さに沿って(例えば、図5のy方向)また、長さに垂直な方向で(例えば、図5のx方向)、領域38’’、40’、38’、40、38を横切って、両方で観察される。
【0179】
この例では、領域38、38’、38’’、40、40’(例えば、図5のy方向)の各々における活性領域10A、10Bは、互いに隣り合っており、互いに直接当接している。したがって、特定の領域38、38’、38’’、40、40’の一部である活性領域10A、10Bの間に間隙領域は存在しない。対照的に、隣接する領域(例えば、38及び40、40及び38’、38’及び40’、並びに40’及び38’’)における活性領域10A、10Bは、互いに隣り合うが、隣接する領域間の高さH、Hの変動により互いに直接当接しない。本明細書に記載されるように、側壁32は、領域38’’、40’、38’、40、38にわたって活性領域10A、10B間の間隙領域として機能する。
【0180】
この例では、基材22のx-y平面における活性領域10A、10Bの形状は、正方形又は長方形であり得る。活性領域10A、10Bは、同じ形状、したがって同じx-y寸法を有し得る。長さ及び幅の各々は、約150nm~約100μmの範囲、例えば、約0.5μm、約1μm、約10μm、又はそれ以上であり得る。領域38、38’、38’’における活性領域10A、10Bの各々の幅は、それぞれの領域38、38’、38’’の幅に等しく、領域40、40’における活性領域10A、10Bの各々の幅は、それぞれの領域40、40’の幅に等しい。
【0181】
図5に示される例では、活性領域10Aは、ポリマーヒドロゲル12A及びプライマーセット14Aを含み、活性領域10Bは、ポリマーヒドロゲル12B及びプライマーセット14Bを含む。本明細書に記載されるように、ポリマーヒドロゲル12A、12Bは、同じであっても異なっていてもよく、プライマーセット14A、14Bは、異なっている。一例では、第1及び第2の領域10A、10Bの各々は、それぞれの第1及び第2のプライマーセット14A、14Bが付着している同じポリマーヒドロゲル12A=12Bを含む。別の例では、第1の領域10Aは、第1のプライマーセット14Aが付着している第1のポリマーヒドロゲル12Aを含み、第2の領域10Bは、第2のプライマーセット14Bが付着している第2のポリマーヒドロゲル12Bを含み、第1のポリマーヒドロゲル12A及び第2のポリマーヒドロゲル12Bは、第1のプライマーセット14A及び第2のプライマーセット14Bをそれぞれ付着させる直交官能基を含む。
【0182】
図5に示されるパターン化された構造23Eは、基材22の周囲の少なくとも一部分に位置する非反応領域26を更に含み得、非反応領域26は、基材22の(例えば、層44の)露出された部分である。図5に示される例では、非反応領域26は、基材22の対向する縁部にあり、長さに沿って延在する。これらの非反応領域26は、例えば、フローチャネル21(図5には示されず)を作成するために、別のパターン化された構造23E又は蓋に結合するために使用され得る。
【0183】
図3A図5に示される例のうちのいずれでも、活性領域10A、10Bの位置は逆であってもよい。例えば、図3A又は図4Aでは、活性領域10Aは、凹部30内に形成され、活性領域10Bは、凸部28上に形成され得る。
【0184】
フローセル20のパターン化された構造23Fの更に別の例を図6に示す。フローセル20のパターン化された構造23Fのこの例は、基材22と、複数の第1の領域10Aであって、各第1の領域10Aが、第1のプライマーセット14Aを含み、互いの第1の領域10Aから分離されている、複数の第1の領域10Aと、複数の第2の領域10Bであって、各第2の領域10Bが、第2のプライマーセット14Bを含み、少なくとも1つの隣接する第1の領域10A及び少なくとも1つの隣接する第3の領域10Cによって互いに第2の領域10Bから分離されている、複数の第2の領域10Bと、複数の第3の領域10Cであって、各第3の領域10Cが、第3のプライマーセット14Cを含み、少なくとも1つの隣接する第1の領域10A及び少なくとも1つの隣接する第2の領域10Bによって互いに第3の領域10Cから分離されている、複数の第3の領域10Cと、を含む。
【0185】
図6では、基材22は、単層ベース支持体である。パターン化された構造23Fのこの例では、基材22は、代替的に、多層構造であり得る。
【0186】
この例では、基材22は、平面であり、したがって、異なる高さH、Hの凸部28、又は凹部30、又は領域38、40などを含まない。したがって、活性領域10A、10B、10Cは、基材表面上に位置付けられる。
【0187】
この例では、基材22のx-y平面における活性領域10A、10B、10Cの形状は、円形であり得る。活性領域10A、10Bは、同じ形状、したがって同じx-y寸法を有し得る。直径は、約150nm~約100μmの範囲、例えば、約0.5μm、約1μm、約10μm、又はそれ以上であり得る。
【0188】
活性領域10A、10B、10Cは、基材22にわたっていくつかの列46、46’、46’’に配列され得る。図6に示される例では、1つおきの行46’は、そのすぐ隣接する行46、46’’からわずかにオフセットされており、わずかにオフセットされた行46’における活性領域10A、10B、10Cは、すぐ隣接する行46、46’’における2つの活性領域10A、10B、10Cの間にある。1つの列46、46’、46’’から次の列46、46’、46’’へのオフセット位置は、活性領域10Aが活性領域10B及び/又は10Cと接触するが他の活性領域10Aと接触しないこと、活性領域10Bの各々が領域10A及び/又は10Cと接触するが他の活性領域10Bと接触しないこと、並びに活性領域10Cの各々が領域10A及び/又は10Bと接触するが他の活性領域10Cと接触しないことを可能にする。
【0189】
所与の行46、46’、46’’内の活性領域10A、10B、10Cは、互いに隣り合っており、したがって、所与の行46、46’、46’’内の活性領域10A、10B、10Cの間に隙間領域が存在しないように、(例えば、x方向に)互いに直接当接している。オフセット列46’における各活性領域10A、10B、10Cは、対角にすぐ隣接する行46、46’’における1つ又は2つの活性領域10A、10B、10Cに直接当接し得る。図6に示される例では、オフセット行46’における各活性領域10A、10B、10Cは、行46における活性領域10A、10B、10Cのうちの2つに関連して、及び行46’’における活性領域10A、10B、10Cのうちの2つに関連して45°の対角にある。一例として、オフセット行46’における活性領域10C及び行46における2つの対角の活性領域10A、10Bは、活性領域10A、10Bが(行46において)互いに隣り合い、各々、(行46’において)活性領域10Cに関連して対角にあるように、三角形のような構成で位置付けられる。別の例として、オフセット行46’における活性領域10A及び行46における2つの対角の活性領域10B、10Cは、活性領域10B、10Cが(行46において)互いに隣り合い、各々、(行46’において)活性領域10Aに関連して対角にあるように、三角形のような構成で位置付けられる。
【0190】
1つの列46、46’、46’’から次の列46、46’、46’’へのオフセット位置は、各三角形のような構成の交点で非反応領域26を生成する。他の非反応領域26もまた、基材22の最外表面に(例えば、周囲に)位置し得る。これらの領域26は、別のパターン化された構造23Fの非反応領域26に、又は蓋に結合するために利用可能であり得る。
【0191】
図6に示される例では、活性領域10Aは、ポリマーヒドロゲル12A及びプライマーセット14Aを含み、活性領域10Bは、ポリマーヒドロゲル12B及びプライマーセット14Bを含み、活性領域10Cは、ポリマーヒドロゲル12C及びプライマーセット14Cを含む。本明細書に記載されるように、ポリマーヒドロゲル12A、12B、12Cは、同じであっても異なっていてもよく、プライマーセット14A、14B、14Cは、異なっている。一例では、第1のプライマーセット14Aは、P5及びP7プライマーを含み、第2のプライマーセット14Bは、PX、PA、PB、PC、及び/又はPDプライマーの任意の組み合わせを含み、第3のプライマーセット14Cは、第2のプライマーセット14Bとは異なるPX、PA、PB、PC、及び/又はPDの任意の組み合わせを含む。プライマーセット14A、14B、14Cのうちのいずれも、プライマーサブセット13A、15A、又は13B、15Bなどと置き換えられ得る。一例では、第1、第2、及び第3の領域10A、10B、10Cの各々は、それぞれの第1、第2、及び第3のプライマーセット14A、14B、14Cが付着している同じポリマーヒドロゲル12A=12B=12Cを含む。別の例では、第1の領域10Aは、第1のプライマーセット14Aが付着している第1のポリマーヒドロゲル12Aを含み、第2の領域10Bは、第2のプライマーセット14Bが付着している第2のポリマーヒドロゲル12Bを含み、第3の領域10Cは、第3のプライマーセット14Bが付着している第3のポリマーヒドロゲル12Cを含み、第1のポリマーヒドロゲル12A、第2のポリマーヒドロゲル12B、及び第3のポリマーヒドロゲル12Cは、第1のプライマーセット14A、第2のプライマーセット14B、及び第3のプライマーセット14Cをそれぞれ付着させる直交官能基を含む。
【0192】
フローセル20のパターン化された構造23Gの更に別の例を図7Aに示す。
【0193】
フローセル20のパターン化された構造23Gのこの例は、基材22と、基材22にわたって行50、50’、50’’及びオフセット列52、52’、52’’、52’’’、52’’’’に配置された複数の捕捉プライマー48と、基材22上に位置付けられ、複数の捕捉プライマー48の各々を取り囲む、連続したポリマーヒドロゲル12と、連続したポリマーヒドロゲル12に付着したプライマーセット14と、を含む。
【0194】
本明細書に記載されるPXプライマーは、好適な捕捉プライマー48である。本明細書に記載されるプライマーセット又はサブセットのうちのいずれも、捕捉プライマー48を取り囲むポリマーヒドロゲル12に付着していてもよい。各捕捉プライマー48は、プライマーセット14にわたって増幅する1つのライブラリ鋳型にハイブリダイゼーションする。アンプリコンの異なるクラスタが物理的に衝突すると、増幅が停止し、異なる活性領域10A、10B、10Cが作製される。
【0195】
パターン化された構造23Gの異なる構成を、図7B図7Dに示す。図7B図7Dでは、基材22は、単層ベース支持体である。パターン化された構造23Gのいずれの例でも、基材22は、代替的に多層構造であり得る。
【0196】
図7Bでは、基材22は、平面であり、複数の捕捉プライマー48及び連続したポリマーヒドロゲル12が基材表面に付着している。
【0197】
図7Cでは、基材22は、基材22にわたって行50、50’、50’’及びオフセット列52、52’、52’’、52’’’、52’’’’に配置された凸部28を含み、複数の捕捉プライマー48のうちの1つは、凸部28の各々上に位置付けられる。
【0198】
図7Dでは、基材22は、基材22にわたって行50、50’、50’’及びオフセット列52、52’、52’’、52’’’、52’’’’に配置された凹部30を含み、複数の捕捉プライマー48のうちの1つは、凹部30の各々内に位置付けられる。
【0199】
図3A図4A図4C図5、及び図6に示される例では、基材表面上に形成される活性領域10A、10B、10Cは、代わりに凹部(例えば、30)内に形成され得ることを理解されたい。これらの例では、活性領域10Aは、活性領域10Bを含む凹部30の深さとは異なり、かつ活性領域10C(含まれる場合)を含む凹部30の深さとは異なる深さを有する凹部30内に位置付けられ得る。異なる凹部間の深さの差は、少なくとも150nmである。様々な活性領域10A、10B、10Cが異なる深さを有する凹部に形成される場合(いくつかが基材表面上に形成されるのとは対照的に)、基材の表面は、凹部内の表面化学が無傷なまま、研磨を介して任意のポリマーヒドロゲル12A、12B、12C、及びプライマー14A、14Bなどが洗浄され得る。
【0200】
フローセル構造を作製するための方法
図3A及び図4Aに示されるパターン化された構造23A、23Cの構造は、図8A図8Cに示される方法によって調製され得る。この例示的方法では、パターン化された構造23A、23Cは、多層基材22を含む。本方法は、概して、多層基材(基材22の一例)上に第1のポリマーヒドロゲル12Aを堆積させることであって、多層基材が、第1のポリマーヒドロゲル12Aに付着させる表面基を含むベース支持体42、ベース支持体42の上に位置付けされた層44であって、層44が、第1のポリマーヒドロゲル12Aに付着することができない材料を含む、層44、及びベース支持体42の一部分60が複数の凹部30の各々で露出されるような層44において画定された複数の凹部30を含み、それによって、第1のポリマーヒドロゲル12Aが、複数の凹部30の各々で露出されたベース支持体42の部分60に選択的に付着する、堆積させることと、表面基を有する層44を活性化して、第2のポリマーヒドロゲル12Bを付着させることと、第2のポリマーヒドロゲル12Bが層44に選択的に付着するように、第2のポリマーヒドロゲル12Bを堆積させることと、第1のプライマーセット14Aを第1のポリマーヒドロゲル12Aにグラフトすることと、第2のプライマーセット14Bを第2のポリマーヒドロゲル14Bにグラフトすることであって、第2のプライマーセット14Bが、第1のプライマーセット14Aとは異なる、グラフトすることと、を含む。
【0201】
第1のポリマーヒドロゲル12A及びプライマーセット14Aは、図3A及び図4Aでは凸部28上に示されているが、図8Cでは凹部30内に示されている。同様に、第2のポリマーヒドロゲル12B及びプライマーセット14Bは、図3A及び図4Aでは凹部30内に示されているが、図8Cでは凸部28上に示されている。図8A図8Cに示された方法は、反応領域10Aが凹部30内に形成され、反応領域10Bが凸部28上に形成されるように、又は反応領域10Bが凹部30内に形成され、反応領域10Aが凸部28上に形成されるように、実行され得ることを理解されたい。
【0202】
図8Aに示されるように、基材22は、ベース支持体42と、その上に位置付けられたパターン化された層44と、を含む。一例では、ベース支持部42は、樹脂材料である。
【0203】
層44は、ベース支持体42の上に形成される。層44は、選択的に堆積され得るか、又は堆積及びパターン化されて凹部30及び凸部28を形成し得る任意の材料であり得る。好適な堆積技術としては、化学蒸着、ディップコーティング、ダンクコーティング、スピンコーティング、スプレーコーティング、液滴分配、超音波スプレーコーティング、ドクターブレードコーティング、エアロゾル印刷、スクリーン印刷、マイクロコンタクト印刷等が挙げられる。好適なパターン化技術としては、フォトリソグラフィ、ナノインプリントリソグラフィ(NIL)、スタンピング技術、エンボス技術、成形技術、マイクロエッチング技術等が挙げられる。好適な樹脂のいくつかの例としては、多面体オリゴマーシルセスキオキサンベースの樹脂、非多面体オリゴマーシルセスキオキサンエポキシ樹脂、ポリ(エチレングリコール)樹脂、ポリエーテル樹脂(例えば、開環エポキシ)、アクリル樹脂、アクリレート樹脂、メタクリレート樹脂、アモルファスフルオロポリマー樹脂(例えば、Bellex製のCYTOP(登録商標))、及びそれらの組み合わせが挙げられる。
【0204】
凹部30及び凸部28の配置は、図3Aに示されるようにあってもよい。したがって、一例では、層44は、層44に沿って延在する複数の第1の線(領域24、24’、24”と同様)であって、第1の線の各々が、層44のパターン化されていない領域(図8Aにおいて凸部28として示される)によって分離された複数の凹部30のうちのいくつかを含む、複数の第1の線と、複数の第1の線のうちの1つを複数の第1の線のうちの隣接する1つから分離する第2の線(領域26、26’と同様)であって、第2の線が、複数の第1の線の各々の長さを延長する層44の連続するパターン化されていない領域を含む、第2の線と、を含むようにパターン化されている。凹部30及び凸部28の配置は、対替的に、図4Aに示されるようにあってもよい。したがって、一例では、層44は、層44の交互の凹部30及びパターン化されていない領域(図8Aにおいて凸部28として示される)の行(行34、34’、34”と同様)及び列(列36、36’、36”と同様)を含むようにパターン化されている。
【0205】
層44は、(図8Aに示されるように)活性化されたベース支持体42の一部分60が露出されている凹部30を除いて、(図3A及び図4Aに示されるように)ベース支持体42を覆う。
【0206】
一例では、ベース支持体42の露出された部分60は、第1のポリマーヒドロゲル12Aに付着することができる表面基を導入するために、プラズマアッシングを介して活性化され得る。層44は、影響を受けないように、プラズマエッチングプロセス中にマスクされ得る。別の例では、ベース支持体42は、その上に層44が形成される前に、活性化(例えば、プラズマアッシング又はシラン化を介して)に曝露され得る。いずれの場合も、ベース支持体42の露出された部分60は、ポリマーヒドロゲル12Aに選択的に付着するように官能化されており、ベース支持体42上に位置付けられた層44は、第1のポリマーヒドロゲル12Aに付着することができない。
【0207】
図8Bに示されるように、第1のポリマーヒドロゲル12Aは、任意の好適な堆積技術を使用して多層基材22上に堆積される。この例では、第1のポリマーヒドロゲル12Aは、支持体42の露出された部分60に選択的に付着し、層44の露出された部分には付着しない。
【0208】
次いで、層44を、洗浄し(例えば、NaOHで)、表面基で活性化、第2のポリマーヒドロゲル12Bを付着させる。層44を活性化するためのプロセスは、第2のポリマーヒドロゲル12Bが付着することが望ましい場所に依存し得る。
【0209】
図3Aに示される例では、非反応領域26、26’は、そこにポリマーヒドロゲル12A、12Bが適用されていない。したがって、非反応領域26、26’を形成する層44の連続したパターン化されていない領域を活性化することは望ましくない。最終的に非反応領域26、26’を形成する層44の連続したパターン化されていない領域(第2の線と称される)は、これらの線が第2のポリマーヒドロゲル12Bに付着することができないように、層44の活性化中に(例えば、フォトレジストを使用して)マスクされ得る。図3Aでは、活性領域は、凹部28を有する層44の(第1の)線に沿って交互である凸部28上に形成されることになり、したがって、凸部28を活性化することが望ましい。凸部28は、シラン化を介して活性化され得る。凸部28が活性化されると、マスキング層は、層44の連続したパターン化されていない領域から除去され得る。凸部28は、ポリマーヒドロゲルに付着するための表面基を含有する(図3Aに示される12A又は図8Cに示される12B)。対照的に、非反応領域26、26’を形成する層44の連続したパターン化されていない領域は、ポリマーヒドロゲルを付着させるための表面基を有さない(図3Aに示される12A又は図8Cに示される12B)。
【0210】
図4Aに示される例では、活性領域(例えば、10A)が凸部28の上に形成される前に、凹部30は、層44のパターン化されていない領域によって取り囲まれる。これらのパターン化されていない領域のうちのいくつかは、図8Bに参照番号62で示されている。この例では、層44を活性化することは、(層44の)パターン化されていない領域を選択的にシラン化して、層44の交互の凹部30(その中にポリマーヒドロゲル12A(図8B)又は12B(図4A)を有する)及び活性化された領域62の行及び列を生成することを含み、凹部30及び活性化された領域62は、円形であり、同じ直径を有する。この活性化プロセスは、凸部28上に形成される活性領域についてのパターンを形成する。
【0211】
次いで、他のポリマーヒドロゲルは、例えば、活性化された凸部28に適用され得る。図8Cでは、他のポリマーヒドロゲルは、第2のポリマーヒドロゲル12Bである。一例では、第2のポリマーヒドロゲル12Bは、凸部28上の活性化された部分62に付着する。第2のポリマーヒドロゲル12Bは、任意の好適な堆積技術を使用して適用され得、堆積が高イオン強度下(例えば、10×PBS、NaCl、KClなどの存在下)で実行される場合、第2のポリマーヒドロゲル12Bは、第1のポリマーヒドロゲル12A(すなわち、凹部30内のポリマーヒドロゲル)上に堆積しないか、又はそれに接着しない。
【0212】
本方法はまた、それぞれのプライマーセット14A、14Bをポリマーヒドロゲル12A、12Bに付着させることを含む。いくつかの例では、プライマーセット14A、14Bは、それぞれのポリマーヒドロゲル12A、12Bに予めグラフトされ得る。これらの例では、追加のプライマーグラフトは実行されない。
【0213】
他の例では、プライマーセット14A、14Bは、それぞれのポリマーヒドロゲル12A、12Bに予めグラフトされない。これらの例では、プライマーセット14Aは、(例えば、図8Bで)ポリマーヒドロゲル12Aが適用された後、グラフトされ得る。これらの例では、プライマーセット14Bは、第2のポリマーヒドロゲル12Bに予めグラフトされ得る。代替的に、これらの例では、プライマーセット14Bは、第2のポリマーヒドロゲル12Bに予めグラフトされなくてもよい。むしろ、プライマーセット14Bは、i)第2のポリマーヒドロゲル12Bが、プライマーセット14Bに付着するための(第1のポリマーヒドロゲル12Aとは)異なる官能基を有するか、又はii)第1のポリマーヒドロゲル12Aの未反応官能基が、例えば、アミンへのStaudinger還元若しくはヘキシン酸などの受動的分子との付加クリック反応を使用してクエンチされている限り、(例えば、図8Cで)第2のポリマーヒドロゲル12Bが適用された後、グラフトされ得る。
【0214】
グラフトが方法中に実行される場合、グラフトは、任意の好適なグラフト技術を使用して達成され得る。例として、グラフトは、フロースルー堆積(例えば、一時的に結合された蓋を使用する)、ダンクコーティング、スプレーコーティング、液滴分配、又は別の好適な方法により達成され得る。これらの例示的な技術の各々は、プライマーセット14A又は14B、水、緩衝液、及び触媒を含み得る、プライマー溶液又は混合物を利用し得る。グラフト化方法のうちのいずれかを用いて、プライマーセット14A又は14Bは、ポリマーヒドロゲル12A又は12Bの反応基に結合し、他の層に対して親和性を有さない。
【0215】
図3A及び図4Aに示されるパターン化された構造23A、23Cの構造もまた、図9A図9Dに示される方法によって調製され得る。この例示的な方法では、パターン化された構造23A、23Cは、単層ベース支持体42を含む。本方法は、概して、基材22内に画定された各凹部30の側壁32上にマスク材料64を堆積させることと、基材22上に第1のポリマーヒドロゲル12Aを堆積させることであって、それによって、第1のポリマーヒドロゲル12Aが、複数の凹部30の各々で、及び複数の凹部30を分離する領域62’で露出されている基材22の部分60に選択的に付着する、体積させることと、基材22上にフォトレジスト66を堆積させることと、フォトレジスト66の第1の部分及び第1のポリマーヒドロゲル12Aの第1の部分を領域62’から除去するためにエッチングすることであって、それによって、フォトレジスト66の第2の部分66’及び第1のポリマーヒドロゲル12Aの第2の部分が複数の凹部30の各々内に残る、エッチングすることと、表面基を有する領域62’を活性化して、第2のポリマーヒドロゲル12Bを付着させることと、第2のポリマーヒドロゲル12Bが領域62に選択的に付着するように、第2のポリマーヒドロゲル12Bを堆積させることと、マスク材料64及びフォトレジスト66の第2の部分を除去することと、第1のプライマーセット14Aを第1のポリマーヒドロゲル12Aにグラフトすることと、第2のプライマーセット14Bを第2のポリマーヒドロゲル12Bにグラフトすることであって、第2のプライマーセット14Bが、第1のプライマーセット114Aとは異なる、グラフトすることと、を含む。
【0216】
第1のポリマーヒドロゲル12A及びプライマーセット14Aは、図3A及び図4Aでは凸部28上に示されているが、図9Dでは凹部30内に示されている。同様に、第2のポリマーヒドロゲル12B及びプライマーセット14Bは、図3A及び図4Aでは凹部30内に示されているが、図9Dでは凸部28上に示されている。図9A図9Dに示された方法は、反応領域10Aが凹部30内に形成され、反応領域10Bが凸部28上に形成されるように、又は反応領域10Bが凹部30内に形成され、反応領域10Aが凸部28上に形成されるように、実行され得ることを理解されたい。
【0217】
図9Aに示された例では、凹部30は、単層ベース支持体42において画定される。この例では、多層基材が使用され得る。多層基材が使用される場合、凹部30は、下にある層が露出されないように最外(上部)層において形成される。したがって、単層ベース支持体42又は多層基材が使用されるかにかかわらず、凹部30内の露出された部分60及び領域62’は、同じ表面基を有する。
【0218】
凹部30は、フォトリソグラフィ、ナノインプリントリソグラフィ(NIL)、スタンピング技術、レーザ支援直接インプリンティング(laser-assisted direct imprinting、LADI)エンボス加工技術、成形技術、マイクロエッチング技術などの任意の好適な技術を使用して、単層ベース支持体42において形成され得る。使用される技術は、部分的に、使用される材料の種類に依存する。例として、凹部30は、ガラス単層基材にマイクロエッチングされ得るか、又はナノインプリントリソグラフィ樹脂にナノインプリントされ得る。多層基材が使用される場合、凹部30は、ナノインプリントリソグラフィ(NIL)又はフォトリソグラフィなどの任意の好適な技術を使用して最外(上部)層に形成され得る。使用される技術は、部分的に、使用される材料の種類に依存し、任意の下の層が、凹部30の底部で露出されないように実行されるであろう。
【0219】
凹部30及び凸部28の配置は、図3Aに示されるようにあってもよい。したがって、一例では、単層ベース支持体42は、単層ベース支持体42に沿って延在する複数の第1の線(領域24、24’、24”と同様)であって、第1の線の各々が、単層ベース支持体42のパターン化されていない領域(図9Aにおいて凸部28として示される)によって分離された複数の凹部30のうちのいくつかを含む、複数の第1の線と、複数の第1の線のうちの1つを複数の第1の線のうちの隣接する1つから分離する第2の線(領域26、26’と同様)であって、第2の線が、複数の第1の線の各々の長さを延長する単層ベース支持体42の連続するパターン化されていない領域を含む、第2の線と、を含むようにパターン化されている。凹部30及び凸部28の配置は、代替的に、図4Aに示されるようにあってもよい。したがって、一例では、単層ベース支持体42は、単層ベース支持体42の交互の凹部30及びパターン化されていない領域(図9Aにおいて凸部28として示される)の行(行34、34’、34”と同様)及び列(列36、36’、36”と同様)を含むようにパターン化されている。
【0220】
この例示的な方法は、各凹部30の側壁32上にマスク材料64を適用することを続ける。これを図9Bに描示する。マスク材料64に好適な材料の例としては、シリコンなどの半金属、若しくはアルミニウム、銅、チタン、金、銀などの金属、又はネガティブ若しくはポジティブフォトレジストが挙げられる。いくつかの例では、半金属又は金属は、少なくとも実質的に純粋(<99%純粋)であり得る。他の例では、特定の方法で所望のエッチングのストップ又は他の機能を提供するため、列挙された元素の分子又は化合物を使用することができる。例えば、列挙された半金属酸化物(例えば、二酸化シリコン)又は金属酸化物(例えば、酸化アルミニウム)のうちのいずれも、単独で、又は列挙された半金属若しくは金属と組み合わせて使用され得る。
【0221】
マスク材料64は、リフトオフ技術又はエッチング技術のいずれかと組み合わされたフォトリソグラフィプロセスを使用して側壁32に適用され得る。他の例では、化学蒸着(CVD)及びその変形(例えば、減圧CVD又はLPCVD)、原子層堆積(atomic layer deposition、ALD)、及び角度付き体積などの選択的堆積技術を使用して、マスク材料64を望ましい領域に堆積させ得る。代替的に、マスク材料64は、基材22にわたって適用され得、次いで、部分60及び領域62’から(例えば、マスキング及びエッチングによって)選択的に除去されて、側壁32上にパターンを画定し得る。
【0222】
次いで、単層ベース支持体42は、プラズマアッシングを介して活性化され得る。プラズマアッシングは、ポリマーヒドロゲル12A又は12Bを単層ベース支持体42の露出された部分60及び領域62’に付着させるための表面基を導入する。
【0223】
図9Bに示されるように、第1のポリマーヒドロゲル12Aは、任意の好適な堆積技術を使用して、単層ベース支持体42上に堆積される。この例では、第1のポリマーヒドロゲル12Aは、単層ベース支持体42の露出された部分60及び領域62’に選択的に付着し、マスク材料64には付着しない。
【0224】
また、図9Bに示されるように、フォトレジスト66が、マスク64及び第1のポリマーヒドロゲル12A上の単層ベース支持体42に適用される。この例では、エッチングプロセスに曝露され得るようにフォトレジスト66全体を現像して不溶性部分を形成し得る。
【0225】
一例では、フォトレジスト66は、ネガティブフォトレジストである(曝露した領域は現像液に不溶性である)。好適なネガティブフォトレジストの一例としては、NR(登録商標)シリーズのフォトレジスト(Futurrexから入手可能)が挙げられる。他の好適なネガティブフォトレジストとしては、SU-8シリーズ及びKMPR(登録商標)シリーズ(両方ともKayaku Advanced Materials,Inc.から入手可能)、又はUVN(商標)シリーズ(DuPontから入手可能)が挙げられる。ネガティブフォトレジスが使用される場合、ある特定の波長の光に選択的に曝露して不溶性にする。これらの例では、可溶性部分がないので、現像溶液は利用されない。別の例では、フォトレジスト66は、ポジティブフォトレジストである(露光した領域は現像液に可溶性になる)。好適なポジティブフォトレジストの例としては、MICROPOSIT(登録商標)S1800シリーズ又はAZ(登録商標)1500シリーズが挙げられ、それらの両方が、Kayaku Advanced Materials,Inc.から入手可能である。好適なポジティブフォトレジストの別の例は、SPR(商標)-220(DuPont製)である。ポジティブフォトレジストが使用される場合、フォトレジスト66全体が不溶性であることが望ましいため、可溶性領域を形成するある特定の波長の光に露光されない。
【0226】
次いで、時限ドライエッチングプロセスを使用して、フォトレジスト66及び第1のポリマーヒドロゲル12Aの部分を単層ベース支持体42の領域62’から除去し得る。図9Cに示されるように、ポリマーヒドロゲル12Aの一部分及びフォトレジスト66の一部分66’が、凹部30内に残るように、時限ドライエッチングを停止する。一例では、時限ドライエッチングは、反応性イオンエッチング(例えば、CFを用いて)を伴い得、フォトレジスト66は、約17nm/分の速度でエッチングされる。別の例では、時限ドライエッチングは、100%のOプラズマエッチングを伴い得、フォトレジスト66は、約98nm/分の速度でエッチングされる。
【0227】
記載されるように、フォトレジスト66のエッチング中に、領域62’の上のポリマーヒドロゲル12Aもまた除去され得る。燃焼反応が起こる場合があり、ポリマーヒドロゲル12Aは、二酸化炭素及び水に変換され、エッチングチャンバから排出される。
【0228】
次いで、単層ベース支持体42の領域62’を表面基で活性化して、第2のポリマーヒドロゲル12Bを付着させ得る。単層ベース支持体42を活性化するためのプロセスは、第2のポリマーヒドロゲル12Bが付着することが望ましい場所に依存し得る。
【0229】
図3Aに示される例では、非反応領域26、26’は、そこにポリマーヒドロゲル12A、12Bが適用されていない。したがって、非反応領域26、26’を形成する単層ベース支持体42の連続したパターン化されていない領域を活性化することは望ましくない。最終的に非反応領域26、26’を形成する単層ベース支持体42の連続したパターン化されていない領域(第2の線と称される)は、これらの線が第2のポリマーヒドロゲル12Bに付着することができないように、単層ベース支持体42の活性化中に、例えば、マスク材料64を使用して、マスクされ得る。したがって、マスク材料64もまた、第2の線が活性化中に覆われるように、第2の線上にも堆積される。図3Aでは、活性領域は、凹部28を有する単層ベース支持体42の(第1の)線に沿って交互である凸部28上に形成されることになり、したがって、凸部28を活性化することが望ましい。凸部28は、プラズマアッシング又はシラン化によって活性化され得る。活性化後、凸部28は、ポリマーヒドロゲルに付着するための表面基を含有する(図3Aに示される12A又は図9Cに示される12B)。対照的に、非反応領域26、26’を形成する単層ベース支持体42の連続したパターン化されていない領域は、マスク材料64でコーティングされる。
【0230】
図4Aに示される例では、活性領域(例えば、10A)が凸部28の上に形成される前に、凹部30は、単層ベース支持体42のパターン化されていない領域によって取り囲まれる。この例では、単層ベース支持体42を活性化することは、(単層ベース支持体42の)パターン化されていない領域62’を選択的にシラン化して、単層ベース支持体42の交互の凹部30(その中にポリマーヒドロゲル12A(図9C)又は12B(図4A)を有する)及び活性化された領域62の行及び列を生成することを含み、凹部30及び活性化された領域62’は、円形であり、同じ直径を有する。この活性化プロセスは、凸部28上に形成される活性領域についてのパターンを形成する。
【0231】
次いで、他のポリマーヒドロゲルは、例えば、活性化された凸部28(領域62’)に適用され得る。図9Cでは、他のポリマーヒドロゲルは、第2のポリマーヒドロゲル12Bである。一例では、第2のポリマーヒドロゲル12Bは、凸部28上の活性化された部分62’に付着し、マスク材料64及びフォトレジスト66の部分66’の上に適用される。第2のポリマーヒドロゲル12Bは、任意の好適な堆積技術を使用して適用され得る。
【0232】
次いで、フォトレジスト部分66’及びマスク材料64の除去が実行され得る。
【0233】
フォトレジスト部分66’は、超音波処理を使用するジメチルスルホキシド(dimethylsulfoxide、DMSO)、又はアセトン、又はNMP(N-methyl-2-pyrrolidone、N-メチル-2-ピロリドン)ベースのストリッパなどのポジティブ又はネガティブフォトレジスト除去剤でリフトオフされ得る。ポジティブフォトレジスト部分66’もまた、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートで除去され得る。このリフトオフプロセスは、i)不溶性フォトレジスト部分66’の少なくとも99%、及びii)その上の第2のポリマーヒドロゲル12Bを除去する。このリフトオフプロセスは、凹部30内のポリマーヒドロゲル12Aを露出させる。
【0234】
次いで、マスク材料64もまた、リフトオフプロセスに曝露され得る。浸漬、超音波処理、又はスピン及びリフトオフ液体の分配などの任意の好適なウェットリフトオフプロセスを使用し得る。このリフトオフプロセスは、i)マスク材料64、及びii)その上の第2のポリマーヒドロゲル12Bを除去する。この方法が図3Aに示される例を形成するために使用される場合、マスク材料64の除去は、非反応領域26、26’を露出させる。
【0235】
本方法はまた、それぞれのプライマーセット14A、14Bをポリマーヒドロゲル12A、12Bに付着させることを含む。いくつかの例では、プライマーセット14A、14Bは、それぞれのポリマーヒドロゲル12A、12Bに予めグラフトされ得る。これらの例では、追加のプライマーグラフトは実行されない。
【0236】
他の例では、プライマーセット14A、14Bは、それぞれのポリマーヒドロゲル12A、12Bに予めグラフトされない。これらの例では、プライマーセット14Aは、(例えば、図9Bで)ポリマーヒドロゲル12Aが適用された後、グラフトされ得る。これらの例では、プライマーセット14Bは、第2のポリマーヒドロゲル12Bに予めグラフトされ得る。代替的に、これらの例では、プライマーセット14Bは、第2のポリマーヒドロゲル12Bに予めグラフトされなくてもよい。むしろ、プライマーセット14Bは、(例えば、図9Cで)第2のポリマーヒドロゲル12Bが適用された後、リフトオフプロセスが実行される前にグラフトされ得る。グラフトが方法中に実行される場合、グラフトは、任意の好適なグラフト技術を使用して達成され得る。
【0237】
図3C及び図4Cに示されるパターン化された構造23B、23Dの構造は、図10A図10Cに示される方法によって調製され得る。本方法は、概して、第1のポリマーヒドロゲル12Aを多層スタック上に堆積させることであって、多層スタックが、基材22と、交互の第1の領域68及び第2の領域70を画定するように基材22上にパターン化されたマスク材料64を含み、第1の領域68が、第1のポリマーヒドロゲル12Aに付着する表面基を含む基材22の部分を露出させ、第2の領域70が、マスク材料64によって覆われており、それによって、第1のポリマーヒドロゲル12Aが、第1の領域68で露出されている基材22の部分に選択的に付着する、堆積させることと、マスク材料64をリフトオフして、第2の領域70を露出させることと、第2の領域70を表面基で活性化して、第2のポリマーヒドロゲル12Bを付着させることと、第2のポリマーヒドロゲル12Bが第2の領域70に選択的に付着するように、第2のポリマーヒドロゲル12Bを堆積させることと、第1のプライマーセット14Aを第1のポリマーヒドロゲル12Aにグラフトすることと、第2のプライマーセット14Bを第2のポリマーヒドロゲル12Bにグラフトすることであって、第2のプライマーセット14Bが、第1のプライマーセット14Aとは異なる、グラフトすることと、を含む。
【0238】
この例示的な方法では、マスク材料64は、基材22(単層ベース支持体42、又はベース支持体42及びその上の層44の両方を含む多層構造であり得る)に適用される。
【0239】
マスク材料64の配置は、形成される活性領域10A、10Bについての所望の構造に依存する。
【0240】
図3Cに示されるパターン化された構造を生成するために、第1の領域68及び第2の領域70は、基材22に沿って延在する複数の第1の線(図3Cの領域24、24’、24”に対応する)に沿って画定され、方法は、複数の第1の線のうちの1つを複数の第1の線のうちの隣接する1つから分離する第2の線(図3Cの領域26、26’に対応する)に沿って第2のマスク材料(示さず)を適用することを更に含み、第2の線は、複数の第1の線の各々の長さを延長する基材22の連続したパターン化されていない領域を画定する。したがって、マスク材料64は、複数の第1の線に沿って領域68上ではなく領域70上に堆積され、第2のマスク材料は、第2の線に沿って堆積される。
【0241】
この例では、マスク材料64及び第2のマスク材料は、異なる条件下でリフトオフされ得る異なる材料である。したがって、マスク材料64の除去は、第2のマスク材料を除去しないであろう。したがって、第2のマスク材料は、第2の領域70の活性化中に所定の位置に残り、別個のリフトオフプロセスでリフトオフされ得る。
【0242】
この例では、部分70を覆うマスク材料64、及び線(図3Cの領域26、26’に対応する)を覆う第2のマスク材料を有し、基材22の露出された部分68(図10Aの層44)は、プラズマアッシングを介して活性化され、第1のポリマーヒドロゲル12Aに付着することができる表面基を導入し得る。第1のポリマーヒドロゲル12Aは、任意の好適な堆積技術を使用して、活性化された露出された部分68上に堆積される。この例では、第1のポリマーヒドロゲル12Aは、活性な露出された部分68に選択的に付着し、マスク材料64及び第2のマスク材料の上にも堆積する。
【0243】
図4Cに示されるパターン化された構造を生成するために、第1の領域68及び第2の領域70は、基材22にわたって行(図4Cの行34、34’、34”に対応する)及び列(図4Cの列36、36’、36”に対応する)に延在するように形成される。したがって、マスク材料64は、領域70上に円形パターンで堆積され、領域68上には堆積されない。領域68の円形パターンを形成するために、これらの領域68が活性化され得る。この活性化プロセスは、基材22の外周(例えば、図4Cの領域26)並びに4つの第1の領域68及び第2の領域70の交点の領域が活性化されないように選択的に実行される。第1の領域68の活性化は、活性化された第1の領域68が円形であり、(マスク材料64によって覆われた)第2の領域70と同じ直径を有するように、第1の領域68を選択的にアッシングすることを含む。選択的プラズマアッシングは、第1のポリマーヒドロゲル12Aに付着することができる表面基を領域68に導入する。この例では、基材22の外周(例えば、図4Cの領域26)並びに4つの第1の領域68及び第2の領域70の交点の領域は活性化されず、したがって、第1のポリマーヒドロゲル12Aに付着することができない。第1のポリマーヒドロゲル12Aは、任意の好適な堆積技術を使用して、活性化された露出された部分68上に堆積される。この例では、第1のポリマーヒドロゲル12Aは、活性な露出された部分68に選択的に付着し、マスク材料64の上にも堆積する。
【0244】
堆積されたポリマーヒドロゲル12Aを図10Bに示す。
【0245】
この例示的な方法では、マスク材料64は、リフトオフされ、第2の領域70を露出する。第2のマスク材料が第2の線(図3Cの領域26、26’に対応する)に沿って使用される場合、第2のマスク材料は、マスク材料64のリフトオフ中に所定の位置に残る。好適なリフトオフの条件の例としては、シリコンについては、塩基性(pH)条件が挙げられ、アルミニウムについては、酸性又は塩基性条件が挙げられ、金については、ヨウ素及びヨウ化物混合物が挙げられ、銀については、ヨウ素及びヨウ化物混合物が挙げられ、チタンについては、H)が挙げられ、又は銅については、ヨウ素及びヨウ化物混合物が挙げられる。マスク材料64の除去はまた、その上に位置付けられた第1のポリマーヒドロゲル12Aを除去する。
【0246】
次いで、露出された第2の領域70は、活性化され得る。第2のマスク材料が第2の線(図3Cの領域26、26’に対応する)の上の所定の位置に依然としてあるとき、プラズマアッシング又はシラン化を使用して第2の領域70を活性化し得る。マスク材料64が除去され、したがって、第2の領域70、基材22の外周(例えば、図4Cの領域26)、並びに4つの第1の領域68及び第2の領域70の交点の領域が露出された場合、選択的プラズマアッシング又は選択的シラン化を使用して、基材22の外周(例えば、図4Cの領域26)、並びに4つの第1の領域68及び第2の領域70の交点の領域を活性化することなく、第2の領域70を活性化し得る。
【0247】
次いで、他のポリマーヒドロゲルは、例えば、活性化された領域70に適用され得る。図10Cでは、他のポリマーヒドロゲルは、第2のポリマーヒドロゲル12Bである。第2のポリマーヒドロゲル12Bは、活性化された部分70に選択的に付着する。第2のポリマーヒドロゲル12Bは、任意の好適な堆積技術を使用して適用され得、堆積が高イオン強度下(例えば、10×PBS、NaCl、KClなどの存在下)で実行される場合、第2のポリマーヒドロゲル12Bは、領域68で付着した第1のポリマーヒドロゲル12A上に堆積しないか、又はそれに接着しない。
【0248】
第2のマスク材料が使用される場合(例えば、図3Cに示される構造を形成するために)、第2のポリマーヒドロゲル12Bもまた、第2のマスク材料上に適用され得る。しかしながら、第2のマスク材料は、材料のための任意の好適なウェットリフトオフプロセスを使用して除去され得、これは、マスク材料及び第2のポリマーヒドロゲル12Bの両方を除去するであろう。
【0249】
方法が図4Cの構造を形成するために使用される場合、第2のポリマーヒドロゲル12Bは、基材22の外周(例えば、図4Cの領域26)上、並びに4つの第1の領域68(そこにポリマーヒドロゲル12Aが付着している)及び第2の領域70(そこにポリマーヒドロゲル12Bが付着している)の交点の領域上に堆積され得る。これらの基材領域は活性化されていないため、ポリマーヒドロゲル12Bは共有結合で付着しておらず、超音波処理、洗浄、拭き取りなどによって容易に除去され得る。
【0250】
本方法はまた、それぞれのプライマーセット14A、14Bをポリマーヒドロゲル12A、12Bに付着させることを含む。いくつかの例では、プライマーセット14A、14Bは、それぞれのポリマーヒドロゲル12A、12Bに予めグラフトされ得る。これらの例では、追加のプライマーグラフトは実行されない。
【0251】
他の例では、プライマーセット14A、14Bは、それぞれのポリマーヒドロゲル12A、12Bに予めグラフトされない。これらの例では、プライマーセット14Aは、(例えば、図10Bで)ポリマーヒドロゲル12Aが適用された後、グラフトされ得る。これらの例では、プライマーセット14Bは、第2のポリマーヒドロゲル12Bに予めグラフトされ得る。代替的に、これらの例では、プライマーセット14Bは、第2のポリマーヒドロゲル12Bに予めグラフトされなくてもよい。むしろ、プライマーセット14Bは、(例えば、図10Cで)第2のポリマーヒドロゲル12Bが適用された後、グラフトされ得る。グラフトが方法中に実行される場合、グラフトは、任意の好適なグラフト技術を使用して達成され得る。
【0252】
図5に示されるパターン化された構造23Eの構造は、基材22が、交互の第1の高さの領域(例えば、図5に示される38、38’、38”)及び第2の高さの領域(例えば、図5に示される40、40’)を含み、交互の第1の領域68及び第2の領域70(図10A)が、第1の高さの領域(例えば、図5に示される38、38’、38”)及び第2の高さの領域(例えば、図5に示される40、40’)の各々にわたって延在することを除いて、図10A図10Cを参照して示され、説明される方法によって調製され得る。一例では、第2のマスク材料が使用される場合、(他の非反応領域26、26’が存在しないため)第2のマスク材料は、基材22の周囲に適用され得る。別の例では、第2のマスク材料が使用されない場合、選択的プラズマアッシング又は選択的シラン化を使用して、基材22の外周を活性化することなく第2の領域70を活性化し得る。
【0253】
図6に示されるパターン化された構造23Fの構造は、図11A図11Dに示される方法によって準備され得る。本方法は、概して、第1のポリマーヒドロゲル12Aを多層スタック上に堆積させることであって、多層スタックが、基材22と、第1のマスク材料64及び異なる第2のマスク材料64’であって、複数の第1の領域68であって、各第1の領域68が、基材22の一部分を露出させ、互いの第1の領域68から分離されている、複数の第1の領域68、複数の第2の領域70であって、各第2の領域70が、第1のマスク材料64によって覆われており、互いの第2の領域70から分離されている、複数の第2の領域70、及び複数の第3の領域72であって、各第3の領域72が、異なる第2のマスク材料64’によって覆われており、互いの第3の領域72から分離されている、第3の領域72を画定するように基材22上にパターン化された第1のマスク材料64及び異なる第2のマスク材料64’と、を含み、それによって、第1のポリマーヒドロゲル12Aが、複数の第1の領域68の各々で露出された基材22の部分に選択的に付着する、堆積させることと、第1マスク材料64をリフトオフして、複数の第2の領域70を露出させることと、複数の第2の領域70を表面基で活性化して、第2のポリマーヒドロゲル12Bを付着させることと、第2のポリマーヒドロゲル12Bが複数の第2の領域70に選択的に付着するように、第2のポリマーヒドロゲル12Bを堆積させることと、異なる第2のマスク材料64’をリフトオフして、複数の第3の領域72を露出させることと、複数の第3の領域72を表面基で活性化して、第3のポリマーヒドロゲル12Cを付着させることと、第3のポリマーヒドロゲル12Cが複数の第3の領域72に選択的に付着するように、第3のポリマーヒドロゲルを堆積させることと、第1のプライマーセット14Aを第1のポリマーヒドロゲル12Aにグラフトすることと、第2のプライマーセット14Bを第2のポリマーヒドロゲル12Bにグラフトすることであって、第2のプライマーセット12Bが、第1のプライマーセット12Aとは異なる、グラフトすることと、第3のプライマーセット14Cを第3のポリマーヒドロゲル12Cにグラフトすることであって、第3のプライマーセット14Cが、第1のプライマーセット14A及び第2のプライマーセット14Bとは異なる、グラフとすることと、を含む。
【0254】
この例示的な方法では、マスク材料64、64’は、基材22(単層ベース支持体42、又はベース支持体42及びその上の層44の両方を含む多層構造であり得る)に適用される。
【0255】
マスク材料64、64’の配置は、形成される活性領域10A、10B、10Cについての所望の構造に依存する。
【0256】
この例では、基材22のx-y平面におけるマスク材料64、64’の形状は、円形であり得る。この例では、マスク材料64、64’は、異なる条件下でリフトオフされ得る異なる材料である。したがって、マスク材料64の除去は、マスク材料64’を除去しないであろう。したがって、マスク材料64’は、第2の領域70の活性化中に所定の位置に残り、別個のリフトオフプロセスでリフトオフされ得る。
【0257】
この例では、部分70を覆うマスク材料64、及び領域72を覆うマスク材料64’を有し、基材22の露出された部分68(図11Aの層44)は、プラズマアッシングを介して活性化され、第1のポリマーヒドロゲル12Aに付着することができる表面基を導入し得る。この例では、基材22の外周(例えば、図6の領域26)及び3つの第1の領域68、70、72の交点の領域は活性化されず、したがって、第1のポリマーヒドロゲル12Aに付着することができない。第1のポリマーヒドロゲル12Aは、任意の好適な堆積技術を使用して、活性化された露出された部分68上に堆積される。この例では、第1のポリマーヒドロゲル12Aは、図11Bに示されるように、活性な露出された部分68に選択的に付着し、マスク材料64、64’の上にも堆積する。
【0258】
この例示的な方法では、マスク材料64は、リフトオフされ、第2の領域70を露出する。好適なリフトオフの条件の例としては、シリコンについては、塩基性(pH)条件が挙げられ、アルミニウムについては、酸性又は塩基性条件が挙げられ、金については、ヨウ素及びヨウ化物混合物が挙げられ、銀については、ヨウ素及びヨウ化物混合物が挙げられ、チタンについては、H)が挙げられ、又は銅については、ヨウ素及びヨウ化物混合物が挙げられる。マスク材料64の除去はまた、その上に位置付けられた第1のポリマーヒドロゲル12Aを除去する。
【0259】
次いで、図11Cに示されるように、露出された第2の領域70は、活性化され得る。選択的プラズマアッシング又は選択的シラン化を使用して、基材22の外周(例えば、図6の領域26)、並びに第1の領域68、第2の領域70、及び第3の領域72の交点の領域を活性化することなく、第2の領域70を活性化し得る。
【0260】
次いで、第2のポリマーヒドロゲル12Bは、例えば、活性化された領域70に適用され得る。これを図11Cに示す。第2のポリマーヒドロゲル12Bは、活性化された部分70に選択的に付着する。第2のポリマーヒドロゲル12Bは、任意の好適な堆積技術を使用して適用され得、堆積が高イオン強度下(例えば、10×PBS、NaCl、KClなどの存在下)で実行される場合、第2のポリマーヒドロゲル12Bは、領域68で付着した第1のポリマーヒドロゲル12A上に堆積しないか、又はそれに接着しない。
【0261】
第2のポリマーヒドロゲル12Bは、基材22の外周(例えば、図6の領域26)上、並びに第1の領域68(そこにポリマーヒドロゲル12Aが付着している)、第2の領域70(そこにポリマーヒドロゲル12Bが付着している)、及び第3の領域72の交点での領域上に堆積され得る。これらの基材領域は活性化されていないため、ポリマーヒドロゲル12Bは共有結合で付着しておらず、超音波処理、洗浄、拭き取りなどによって容易に除去され得る。
【0262】
この例示的な方法では、マスク材料64は、リフトオフされ、第3の領域72を露出する。マスク材料64’に応じて、任意の好適なリフトオフ条件が使用され得る。マスク材料64’の除去はまた、その上に位置付けられた第2のポリマーヒドロゲル12Bを除去する。
【0263】
次いで、図11Dに示されるように、露出された第3の領域72は、活性化され得る。選択的プラズマアッシング又は選択的シラン化を使用して、基材22の外周(例えば、図6の領域26)、並びに第1の領域68、第2の領域70、及び第3の領域72の交点の領域を活性化することなく、第3の領域72を活性化し得る。
【0264】
次いで、第3のポリマーヒドロゲル12Cは、例えば、活性化された領域72に適用され得る。これを図11Dに示す。第3のポリマーヒドロゲル12Cは、活性化された部分72に選択的に付着する。第3のポリマーヒドロゲル12Cは、任意の好適な堆積技法を使用して適用され得、堆積が高イオン強度下(例えば、10×PBS、NaCl、KClなどの存在下)で実行される場合、第3のポリマーヒドロゲル12Cは、領域68で付着した第1のポリマーヒドロゲル12A又は部分72での第2のポリマーヒドロゲル上に堆積しないか、又はそれに接着しない。
【0265】
第3のポリマーヒドロゲル12Cは、基材22の外周(例えば、図6の領域26)上、並びに第1の領域68(そこにポリマーヒドロゲル12Aが付着している)、第2の領域70(そこにポリマーヒドロゲル12Bが付着している)、及び第3の領域72の交点での領域上に堆積され得る。これらの基材領域は活性化されていないため、ポリマーヒドロゲル12Cは共有結合で付着しておらず、超音波処理、洗浄、拭き取りなどによって容易に除去され得る。
【0266】
本方法はまた、それぞれのプライマーセット14A、14B、14Cをポリマーヒドロゲル12A、12B、12Cに付着させることを含む。いくつかの例では、プライマーセット14A、14B、14Cは、それぞれのポリマーヒドロゲル12A、12B、12Cに予めグラフトされ得る。これらの例では、追加のプライマーグラフトは実行されない。
【0267】
他の例では、プライマーセット14A、14B、14Cは、それぞれのポリマーヒドロゲル12A、12B、12Cに予めグラフトされない。これらの例では、プライマーセット14Aは、(例えば、図11Bで)ポリマーヒドロゲル12Aが適用された後、グラフトされ得る。これらの例では、プライマーセット14Bは、第2のポリマーヒドロゲル12Bに予めグラフトされ得、プライマーセット14Cは、第3のポリマーヒドロゲル12Cに予めグラフトされ得る。代替的に、これらの例では、プライマーセット14Bは、第2のポリマーヒドロゲル12Bに予めグラフトされてなくてもよく、プライマーセット14Cは、第3のポリマーヒドロゲル12Cに予めグラフトされてなくてもよい。むしろ、プライマーセット14Bは、(例えば、図11Cで)第2のポリマーヒドロゲル12Bが適用された後、グラフト化され得、プライマーセット14Cは、(例えば、図11Dで)第3のポリマーヒドロゲル12Cが適用された後、グラフト化され得る。グラフトが方法中に実行される場合、グラフトは、任意の好適なグラフト技術を使用して達成され得る。
【0268】
図6に示される構造はまた、異なる深さの凹部30を有する多深度基材を使用して調製され得る。活性領域10Aは、第1の深さを有する凹部30内に形成され得、活性領域10Bは、第2の深さ(例えば、第1の深さ-(マイナス)150nm)を有する凹部30内に形成され得、活性領域10Cは、第3の深さ(例えば、第2の深さ-150nm)を有する凹部30内又は基材表面上に形成され得る。一例では、これらの凹部は六角形であり、したがって、活性領域10A、10B、10Cも六角形である(例えば、基材の一部分の上面図を示す図13A及び斜視図を示す図13Bを参照されたい)。この構造は、図12A図12Lに示される方法によって形成され得る。方法は、紫外線吸光度を厚さとともに変化させることができる樹脂(例えば、多層構造の層44、44’)を利用する。これらの例では、より薄い部分は、UV透過性であり得、より厚い部分は、UV吸収性であり得る。これは、樹脂が、フォトレジスト材料の裏面パターン化のためのマスクとして使用されることを可能にする。
【0269】
図12A図12Lの方法では、樹脂層44’のUV吸光度を、その厚さを調整することによって変化させ得る。より厚い部分がUV光を吸収し、より薄い部分が、樹脂が所定のUV線量に露光されたときにパターン化のために望ましい量のUV光を透過する限り、先に列挙した樹脂のうちのいずれも使用され得る。一例では、約500nmのより厚い部分及び約150nmのより薄い部分を有する多面体オリゴマーシルセスキオキサン系樹脂は、約30mJ/cm~約60mJ/cmの範囲の線量に曝露された場合に、UV光をそれぞれ効果的に吸収及び透過するだろう。他の厚さが使用されてもよく、UV線量は、それに応じて、より厚い領域における所望の吸収及びより薄い領域における透過率を達成するように調整され得る。
【0270】
図12A図12Lには示されていないが、樹脂層44’は、UV光を透過することができる、本明細書に記載されるベース支持体42の任意の例によって支持され得る。この例では、樹脂層44’の厚い部分及び薄い部分は、所望の吸収及び透過率を達成するように調整される。
【0271】
UV線量、UV吸収定数、及び樹脂層厚さの間の相関関係は、次のように表され得る:
【0272】
【数1】
式中、Dは、樹脂層をパターン化するために必要なUV線量であり、Dは、樹脂層に適用されなければならない実際のUV線量であり、kは、吸収定数であり、dは、樹脂層のより薄い部分の厚さである。したがって、実際のUV線量(D)は、次のように表され得る:
【0273】
【数2】
一例では、樹脂層44’は、ネガティブフォトレジストNR9-1000P(Futurrex製)であり、厚さ0.9μmでD=19mJ/cmであり、フォトレジストのUV吸収定数(k)は、3×10cm-1であり、フォトレジストのより薄い部分の厚さは150nmであり、Dは、約30mJ/cmである。
【0274】
図12A図12Cで、示される方法は、概して、間隙領域74によって分離された複数の多深度凹部30’を含む樹脂層44’の上に第1のポリマーヒドロゲル12Aを堆積させることであって、各多深度凹部30’が、深い部分76と、深い部分76に隣接する浅い部分78とを含む(図12B)、堆積させることと、第1の官能化層24の上にフォトレジスト66を堆積させ、硬化させることと、時限ドライエッチングして、浅い部分78及び間隙領域74からフォトレジスト66及び第1のポリマーヒドロゲル12Aを除去することと(図12C)、を含む。
【0275】
図3Aに示される多深度凹部30’は、任意の好適な技術を使用して樹脂層44’においてエッチングされるか、インプリントされるか、又は画定され得る。一例では、ナノインプリントリソグラフィが使用される。この例では、作業スタンプは、材料が柔らかいうちに樹脂層44に押し込まれ、樹脂層44において作業スタンプの特徴のインプリント(ネガティブレプリカ)を作成する。次いで、樹脂層44は、作業スタンプで所定の位置で硬化され得る。硬化は、放射線硬化性樹脂材料が使用される場合、可視光線若しくは紫外(ultraviolet、UV)線などの化学線への曝露によって、又は熱硬化性樹脂材料が使用される場合、熱への曝露によって、達成され得る。硬化は、重合及び/又は架橋を促進し得る。一例として、硬化は、ソフトベーク(例えば、樹脂を堆積させるために使用され得る任意の液体担体を駆動するための)及びハードベークを含む複数の段階を含み得る。ソフトベークは、約50℃~約150℃の範囲の低い温度で、0秒間超~約3分間行われ得る。ハードベークの持続時間は、約100℃~約300℃の範囲の温度で約5秒~約10分間続けてもよい。ソフトベーキング及び/又はハードベーキングに使用することができるデバイスの例としては、ホットプレート、オーブンなどが挙げられる。
【0276】
硬化後、作業スタンプが取り外される。これにより、樹脂層44’に地形的特徴を作り出す。この例では、多深度凹部30’の地形的特徴は、浅い部分78及び深い部分76を含む。
【0277】
2つの多深度凹部30’が図12Aに示されているが、本方法が、樹脂層44’の表面にわたって、間隙領域74によって分離されたそれぞれの深い部分76及び浅い部分78を含む多深度凹部30’のアレイを生成するために実行され得ることを理解されたい。
【0278】
図12Bに示されるように、第1のポリマー層12Aは、樹脂層44’の上に堆積される。第1のポリマー層12Aは、本明細書に記載のゲル材料のうちのいずれかであり得、任意の好適な堆積技術を使用して適用され得る。硬化プロセスは、堆積後に実行され得る。第1のポリマー層12Aは、樹脂層44’に共有結合で付着する。共有結合は、様々な使用中、フローセル20の寿命全体にわたり、プライマーセット14Aを所望の領域内に維持するのに役立つ。
【0279】
図12Cの構造に到達するために、ポジティブ又はネガティブフォトレジスト66が、第1のポリマーヒドロゲル12Aの上に適用される。この例では、時限ドライエッチングプロセスに曝露され得るようにフォトレジスト66全体を現像して不溶性部分を形成し得る。時限ドライエッチングプロセスを使用して、フォトレジスト66及び第1のポリマーヒドロゲル12Aの部分を間隙領域74から、及び多深度凹部30’の浅い部分78から除去する。図12Cに示されるように、ポリマーヒドロゲル12Aの一部分及びフォトレジスト66の一部分66’が凹部30’の深い部分76に残るように、時限ドライエッチングを停止する。一例では、時限ドライエッチングは、反応性イオンエッチング(例えば、CFを用いた)を伴い得、フォトレジスト66は、約17nm/分の速度でエッチングされる。別の例では、時限ドライエッチングは、100%のOプラズマエッチングを伴い得、フォトレジスト66は、約98nm/分の速度でエッチングされる。
【0280】
記載されるように、フォトレジスト66のエッチング中に、隙間領域74上及び浅部78内のポリマーヒドロゲル12Aもまた除去され得る。燃焼反応が起こる場合があり、ポリマーヒドロゲル12Aは、二酸化炭素及び水に変換され、エッチングチャンバから排出される。
【0281】
次いで、フォトレジスト66の部分66’は、リフトオフされ得る。フォトレジスト部分66’は、超音波処理を使用するジメチルスルホキシド(DMSO)、又はアセトン、又はNMP(N-メチル-2-ピロリドン)ベースのストリッパなどのポジティブ又はネガティブフォトレジスト除去剤でリフトオフされ得る。ポジティブフォトレジスト部分66’もまた、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートで除去され得る。このリフトオフプロセスは、i)不溶性フォトレジスト部分66’の少なくとも99%を除去し、(図12Dに示されるように)多深度凹部30’の深い部分76にポリマーヒドロゲル12Aを残す。
【0282】
次いで、ネガティブフォトレジスト80を、間隙領域74の上、浅い部分78内、及び深い部分76内の第1のポリマーヒドロゲル12Aの上を含む、樹脂層44’の上に適用される。次いで、樹脂層44’の裏面を通して紫外光を照射してネガティブフォトレジスト80をパターン化し、不溶性フォトレジスト80’及び可溶性フォトレジスト80”を生成する。示されていないが、使用される任意のベース支持体は、裏面曝露に使用されるUV光を透過することができる。
【0283】
樹脂層44’の第1の厚さtは、UV光の線量が樹脂層44’を透過することを可能にするように選択され、第2及び第3の厚さt、tは、UV光の線量が樹脂層44’を透過するのをブロックするように選択される。したがって、厚さtを覆うネガティブフォトレジスト80の部分は、UV光への曝露により不溶性(80’)になり、厚さt、tを覆うネガティブフォトレジスト80の部分は、UV光への曝露の欠如により可溶性(80’’)になる。換言すれば、紫外線光線量に曝露されると、不溶性ネガティブフォトレジスト80’が、深い部分76に形成され、可溶性ネガティブフォトレジスト80’’が、浅い部分78及び間隙領域74の上に形成される。
【0284】
次いで、可溶性ネガティブフォトレジスト80’’は、ネガティブフォトレジストについて本明細書に記載されている任意の好適な現像液を使用して除去される。可溶性ネガティブフォトレジスト80’’の除去は、浅い部分78及び間隙領域74において樹脂層44’を露出させる。これを図12Fに示す。
【0285】
図12Fに示されるように、第2のポリマー層12Bは、樹脂層44’の上に堆積される。第2のポリマー層12Bは、本明細書に記載のゲル材料のうちのいずれかであり得、任意の好適な堆積技術を使用して適用され得る。硬化プロセスは、堆積後に実行され得る。第2のポリマー層12Bは、樹脂層44’に共有結合で付着する。
【0286】
図12Gは、不溶性ネガティブフォトレジスト80’の除去を描示する。不溶性ネガティブフォトレジスト80’は、リフトオフプロセスを介して除去され得る。リフトオフプロセスは、本明細書に記載される任意の好適なリフトオフプロセスであり得、使用されるネガティブフォトレジスト80の種類に好適な除去剤を含み得る。図12Gに示されるように、除去プロセスは、i)不溶性のフォトレジスト80’の少なくとも99%、及びii)その上に適用された第2のポリマーヒドロゲル12Bを除去する。この除去プロセスは、浅い部分78内及び間隙領域74の上に位置付けられる第2のポリマーヒドロゲル12Bを無傷のままにし、また、第1のポリマーヒドロゲル12Aも無傷のままにする。ポリマーヒドロゲル12A、12Bのこれらの部分は、部分的には樹脂層44’に共有結合で付着しているため、無傷のままである。
【0287】
図12Hの構造に到達するために、別のポジティブ又はネガティブフォトレジスト66が、第1及び第2のポリマーヒドロゲル12A、12Bの上を含む樹脂層44’の上に適用される。この例では、時限ドライエッチングプロセスに曝露され得るようにフォトレジスト66全体を現像して不溶性部分を形成し得る。時限ドライエッチングプロセスを使用して、フォトレジスト66及び第2のポリマーヒドロゲル12Bの部分を間隙領域74から除去する。図12Hに示されるように、ポリマーヒドロゲル12Bの一部分が、浅い部分78に残り、ポリマーヒドロゲル12Aの部分が、深い部分76に残り、フォトレジスト66の一部分66’が、ポリマーヒドロゲル12A、12Bの両方の上に残るように、時限ドライエッチングが停止される。一例では、時限ドライエッチングは、反応性イオンエッチング(例えば、CFを用いて)を伴い得、フォトレジスト66は、約17nm/分の速度でエッチングされる。別の例では、時限ドライエッチングは、100%のOプラズマエッチングを伴い得、フォトレジスト66は、約98nm/分の速度でエッチングされる。
【0288】
記載されるように、フォトレジスト66のエッチング中に、間隙領域74の上の第2のポリマーヒドロゲル12Bもまた除去され得る。燃焼反応が起こる場合があり、ポリマーヒドロゲル12Bは、二酸化炭素及び水に変換され、エッチングチャンバから排出される。
【0289】
次いで、フォトレジスト66の部分66’は、リフトオフされ得る。フォトレジスト部分66’は、超音波処理を使用するジメチルスルホキシド(DMSO)、又はアセトン、又はNMP(N-メチル-2-ピロリドン)ベースのストリッパなどのポジティブ又はネガティブフォトレジスト除去剤でリフトオフされ得る。ポジティブフォトレジスト部分66’もまた、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートで除去され得る。このリフトオフプロセスは、i)不溶性フォトレジスト部分66’の少なくとも99%を除去し、(図12Hに示されるように)多深度凹部30’の深い部分76にポリマーヒドロゲル12Aを残し、浅い部分78にポリマーヒドロゲル12Bを残す。
【0290】
次いで、別のネガティブフォトレジスト80が、間隙領域74の上、浅部78における第2のポリマーヒドロゲル12Bの上、及び深部76における第1のポリマーヒドロゲル12Aの上を含む、樹脂層44’の上に適用される。これを図12Jに示す。次いで、樹脂層44’の裏面を通して紫外光を照射してネガティブフォトレジスト80をパターン化し、不溶性フォトレジスト80’及び可溶性フォトレジスト80”を生成する。
【0291】
このプロセス中に使用されるUV光線量は、図12Eを参照して説明されたプロセス中にネガティブフォトレジスト80をパターン化するために使用されるUV光線量よりも強いことを理解されたい。したがって、図12Jでは、樹脂層44’の第1の厚さt及び第2の厚さtの両方は、より高い線量のUV光が樹脂層44’を透過することを可能にし、第3の厚さtは、より高い線量のUV光が樹脂層44’を透過することを阻止する。したがって、厚さt、tを覆うネガティブフォトレジスト80の部分は、UV光への曝露により不溶性(80’)になり、厚さtを覆うネガティブフォトレジスト80の部分は、UV光への曝露の欠如により可溶性(80”)になる。換言すれば、より高い紫外線光線量に曝露されると、不溶性ネガティブフォトレジスト80’が、深い部分76及び浅い部分78に形成され、可溶性ネガティブフォトレジスト80’’が、隙間領域74の上に形成される(図12J参照)。
【0292】
次いで、可溶性ネガティブフォトレジスト80’’は、ネガティブフォトレジストについて本明細書に記載されている任意の好適な現像液を使用して除去される。可溶性ネガティブフォトレジスト80’’の除去は、間隙領域74において樹脂層44’を露出させる。これを図12Kに示す。
【0293】
図12Kに示されるように、第3のポリマー層12Cは、樹脂層44’の上に堆積される。第3のポリマー層12Cは、本明細書に記載のゲル材料のうちのいずれかであり得、任意の好適な堆積技術を使用して適用され得る。硬化プロセスは、堆積後に実行され得る。第3のポリマー層12Cは、樹脂層44’に(例えば、間隙領域74で)共有結合で付着する。
【0294】
図12Lは、不溶性ネガティブフォトレジスト80’の除去を描示する。不溶性ネガティブフォトレジスト80’は、リフトオフプロセスを介して除去され得る。リフトオフプロセスは、本明細書に記載される任意の好適なリフトオフプロセスであり得、使用されるネガティブフォトレジスト80の種類に好適な除去剤を含み得る。図12Lに示されるように、除去プロセスは、i)不溶性のフォトレジスト80’の少なくとも99%、及びii)その上に適用された第3のポリマーヒドロゲル12Cを除去する。この除去プロセスは、浅い部分78内に位置付けられる第2のポリマーヒドロゲル12Bを無傷のままにし、深い部分76内に位置付けられる第1のポリマーヒドロゲル12Aも無傷のままにする。
【0295】
本方法はまた、それぞれのプライマーセット14A、14B、14Cをポリマーヒドロゲル12A、12B、12Cに付着させることを含む。いくつかの例では、プライマーセット14A、14B、14Cは、それぞれのポリマーヒドロゲル12A、12B、12Cに予めグラフトされ得る。これらの例では、追加のプライマーグラフトは実行されない。
【0296】
他の例では、プライマーセット14A、14B、14Cは、それぞれのポリマーヒドロゲル12A、12B、12Cに予めグラフトされない。これらの例では、プライマーセット14Aは、(例えば、図12Bで)ポリマーヒドロゲル12Aが適用された後、グラフトされ得る。これらの例では、プライマーセット14Bは、第2のポリマーヒドロゲル12Bに予めグラフトされ得、プライマーセット14Cは、第3のポリマーヒドロゲル12Cに予めグラフトされ得る。代替的に、これらの例では、プライマーセット14Bは、第2のポリマーヒドロゲル12Bに予めグラフトされてなくてもよく、プライマーセット14Cは、第3のポリマーヒドロゲル12Cに予めグラフトされてなくてもよい。むしろ、プライマーセット14Bは、(例えば、図12Fで)第2のポリマーヒドロゲル12Bが適用された後、グラフト化され得、プライマーセット14Cは、(例えば、図12Kで)第3のポリマーヒドロゲル12Cが適用された後、グラフト化され得る。グラフトが方法中に実行される場合、グラフトは、任意の好適なグラフト技術を使用して達成され得る。
【0297】
図7A図7Dに示される構造は、基材22上の所望の領域に捕捉プライマー48を組み込み(例えば、ストレプトアビジン及びビオチンなどの結合対、又は他の好適な付着機構を使用して)、捕捉プライマー48を取り囲むようにポリマーヒドロゲル12を堆積させることによって調製され得る。プライマーセット14は、予めグラフトされ得るか、又はポリマーヒドロゲル12が堆積された後にグラフトされ得る。
【0298】
フローセルの使用方法
ポリマー12A、12B、12Cに付着されたプライマーセット14A、14B、及び場合によっては14Cを含む、本明細書に開示されるフローセル20のうちのいくつかの例は、逐次的なペアエンドリード配列決定方法において使用され得る。フローセル20に導入された異なるライブラリ断片は、活性領域10A、10B、10Cの各々に播種し、増幅することができる。異なるプライマーセット14A、14B、14Cのために、それぞれの活性領域10A、10B、10Cにわたる任意の所与のライブラリ断片の増幅は、隣接するが異なる活性領域10B、10C、10A上で継続することができない。この方法では、特定の活性領域10A、10B、10C上に生成されたそれぞれの順鎖を配列決定して除去し、次いで、それぞれの逆鎖を配列決定して除去する。
【0299】
フローセル20が、(プライマーセット14A、14B、4Cのうちの1つの代わりに)活性領域10A、10B、又は10Aのポリマーヒドロゲル領域12A1、12A2に付着したプライマーサブセット13A、15A、又は13B、15B、又は13C、15C、又は13D、15Dを含む場合、サブセットは、同時ペアエンドリード配列決定方法において使用され得る。本明細書に記載されるように、プライマーサブセット13A、15A、又は13B、15B、又は13C、15C、又は13D、15Dは、切断(線形化)化学が異なるポリマーヒドロゲル領域12A1、12A2で直交するように制御される。これにより、活性領域10Aの1つの領域12A1で順鎖のクラスタを生成することができ、活性領域10Aの別の領域12A2で逆鎖のクラスタを生成することができる。一例では、領域12A1、12A2は互いに直接隣接しており、直交する活性領域10B、10Cに隣接している。これにより、活性領域10A上で同時にペアエンドリードを得ることができる。
【0300】
追記事項
また、以下により詳細に考察される、前述の概念及び更なる概念の全ての組み合わせが、(かかる概念が相互に矛盾しなければ)本明細書に開示される発明の主題の一部であると企図されることを理解されたい。具体的には、本開示の終わりに現れる特許請求される主題の全ての組み合わせは、本明細書に開示される発明の主題の一部であると企図される。更に、本明細書で開示する例のうちのいずれかの任意の特徴を、任意の所望の様式及び/又は構成で一緒に組み合わされ得ることを理解されたい。
【0301】
本明細書で明示的に用いられ、また参照により組み込まれる任意の開示においても出現し得る用語は、本明細書で開示される特定の概念と最も一致する意味が与えられるべきであることも理解すべきである。
【0302】
「一例(one example)」、「別の例(another example)」、「一例(an example)」などへの本明細書全体を通じての言及は、例に関連して記載されている特定の要素(例えば、特徴、構造、及び/又は特性)が、本明細書に記載されている少なくとも1つの例に含まれており、他の例に存在していても、存在していなくてもよいことを意味している。加えて、文脈上明確に別段の指示がない限り、任意の例に関する記載の要素は、様々な例において任意の好適な様式で組み合わせられ得ることを理解すべきである。
【0303】
本明細書に提供される範囲は、そのような値又は部分範囲が明示的に列挙されているかのように、示される範囲及びその示される範囲内の任意の値又は部分範囲を含むことを理解されたい。例えば、約0.35μm(350nm)~少なくとも1.8μm(1800nm)の範囲は、約0.35μm(350nm)~少なくとも1.8μm(1800nm)という明示的に列挙された制限だけでなく、約0.708μm(708nm)、約0.9μm(900nm)などの個別の値、及び約0.425μm(425nm)~約0.825μm(825nm)、約0.550μm(550nm)~約0.940μm(940nm)などの部分範囲も含むと解釈されるべきである。更に、「約」及び/又は「実質的に」が値を説明するために利用される場合、それらは、記載した値からの微小な変化(最大±10%)を包含することを意味する。
【0304】
いくつかの例を詳細に説明してきたが、開示された例は修正され得ることを理解すべきである。したがって、これまでの説明は非限定的なものであると考えるべきである。
図1A
図1B
図1C
図1D
図1E
図2
図3A
図3B
図3C
図4A
図4B
図4C
図5
図6
図7A
図7B
図7C
図7D
図8A
図8B
図8C
図9A
図9B
図9C
図9D
図10A
図10B
図10C
図11A
図11B
図11C
図11D
図12A
図12B
図12C
図12D
図12E
図12F
図12G
図12H
図12I
図12J
図12K
図12L
図13A
図13B
【配列表】
2024520317000001.app
【国際調査報告】