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特表2024-520332部品から超硬合金体を抽出するための方法および装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-24
(54)【発明の名称】部品から超硬合金体を抽出するための方法および装置
(51)【国際特許分類】
   C22B 7/00 20060101AFI20240517BHJP
   H05B 6/10 20060101ALI20240517BHJP
【FI】
C22B7/00 D
H05B6/10 371
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023571414
(86)(22)【出願日】2022-04-08
(85)【翻訳文提出日】2024-01-11
(86)【国際出願番号】 EP2022059496
(87)【国際公開番号】W WO2022242959
(87)【国際公開日】2022-11-24
(31)【優先権主張番号】21174416.4
(32)【優先日】2021-05-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520344785
【氏名又は名称】サンドヴィック マイニング アンド コンストラクション ツールズ アクティエボラーグ
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ニルセン, ペッター
(72)【発明者】
【氏名】セルメニウス, クラース ローランド
(72)【発明者】
【氏名】バーリ, ヤーン
【テーマコード(参考)】
3K059
4K001
【Fターム(参考)】
3K059AB24
3K059AD03
3K059CD62
4K001AA42
4K001BA22
(57)【要約】
部品から少なくとも1つの超硬合金体を回収する方法であって、最初に部品をクランプデバイスにクランプする工程と、次いで、部品を同時にまたは周期的に加熱および振動させて、部品から少なくとも1つの超硬合金体を離脱させる工程と、を含む、方法。また、軸方向軸を有する部品から少なくとも1つの超硬合金体を回収するための装置であって、軸方向軸に対して垂直方向に部品を振動させるための振動デバイスと、超硬合金体が軸方向軸に対して垂直方向に振動するように部品を位置決めするためのクランプデバイスと、部品を振動させると同時に部品を加熱するための少なくとも1つの加熱デバイスと、を備える、装置。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
部品(4)から少なくとも1つの超硬合金体(2)を回収する方法であって、
a)最初に部品をクランプデバイス(6)にクランプする工程と、次いで、
b)部品(4)を同時にまたは周期的に加熱および振動させて、部品(4)から少なくとも1つの超硬合金体(2)を離脱させる工程と、
を含む、方法。
【請求項2】
部品(4)を加熱するために誘導加熱が使用される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
部品(4)を加熱するために火炎加熱が使用される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
工程b)において、部品(4)が、600~1000℃の温度に加熱される、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
工程a)と工程b)との間に追加の工程があり、部品(4)が、部品の同時加熱および振動が行われる前に予熱される、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
部品(4)を予熱するために誘導加熱が使用される、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
部品(4)の振動が、圧縮空気によって制御される、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
部品(4)が、工程b)の間に半径方向および/または軸方向に回転される、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
部品(4)から少なくとも1つの超硬合金体(2)を回収する方法であって、
a)第1に、部品をクランプデバイス(6)にクランプする工程と、
b)第2に、誘導加熱を使用して少なくとも1つの超硬合金体(2)を加熱する工程と、次いで、
c)第3に、部品(4)を振動させて、部品(4)から少なくとも1つの超硬合金体(2)を離脱させる工程と、
を含む、方法。
【請求項10】
軸方向軸(40)を有する部品(4)から少なくとも1つの超硬合金体(2)を回収するための装置(8)であって、
軸方向軸(40)に対して30°未満の角度を有する方向に部品(4)を振動させるための振動デバイス(10)と、
少なくとも1つの超硬合金体(2)が軸方向軸(40)に対して30°未満の角度を有する方向に振動するように部品(4)を位置決めするためのクランプデバイス(6)と、
部品(4)を振動させると同時に部品(4)を加熱するための少なくとも1つの加熱デバイス(12)と、
を備える、装置(8)。
【請求項11】
クランプデバイス(6)が、
滴形開口部(18)を有するプレート(16)を備える、請求項11に記載の装置(8)。
【請求項12】
クランプデバイスが、ねじ部品(42)を備える、請求項10または11に記載の装置(8)。
【請求項13】
振動デバイス(10)が、圧縮空気制御振動デバイスである、請求項11または12に記載の装置(8)。
【請求項14】
垂直ブロック(26)と、振動デバイス(10)とクランプデバイス(6)との間に配置された少なくとも1つの案内ロッド(28)と、をさらに備える、請求項11から13のいずれか一項に記載の装置(8)。
【請求項15】
加熱デバイス(12)が、誘導ヒータである、請求項11から14のいずれか一項に記載の装置(8)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、部品から少なくとも1つの超硬合金体を抽出するための方法および装置に関し、特に、排他的ではないが、採掘または建設部品からの少なくとも1つの使用済み超硬合金体の抽出に関する。
【背景技術】
【0002】
超硬合金体は、ドリル工具、切削工具、採掘および加工工具、ならびに高耐摩耗部品などの部品に広く使用されている。しかしながら、超硬合金体が摩耗し過ぎると効果がなくなり、したがって部品は廃棄される。超硬合金中のタングステンおよびコバルトは両方とも戦略的レアメタルであり、したがって、超硬合金体を部品から抽出することができることには大きな価値および環境上の利益がある。超硬合金スクラップは、コバルトおよびタングステン金属の重要な二次資源と考えられている。したがって、これらの部品が廃棄されると、それらは回収され、リサイクルのために処理されてスクラップ超硬合金を回収し、それをリサイクルして新しい部品を製造することができる。
【0003】
米国特許第4170513号明細書に開示されているような既知の抽出方法は、インサートを取り囲む鋼の一部を侵食するために硫酸浴を使用することによって摩耗した部品から超硬合金体を回収し、次いで炉内で部品を加熱し、次いで続いて加熱された部品を振動させてインサートをノックアウトすることを含む。しかしながら、この種のプロセスにはいくつかの問題がある。抽出時間は長く、すべての物体が抽出されるわけではなく、これは、さらなる処理時間およびコストを追加するプロセスを繰り返す必要があるか、または回収の収率が所望ほど高くない、のいずれかであることを意味する。さらなる問題は、加熱された部品を炉から振動デバイスに手動で移動させる必要があることであり、これは健康および安全上の危険である。
【0004】
したがって、1つのプロセスで最大すべての部品を清掃することができ、加熱された部品の手動の取扱いを含まない、より安全で、より迅速で、より高い抽出収率をもたらす、部品から超硬合金体を抽出するための新しい方法を見出すことが望ましい。
【発明の概要】
【0005】
本発明の目的は、より安全で、より迅速で、より環境に優しく、より高い抽出収率をもたらす、部品から超硬合金体を抽出するための方法および装置、ならびに前記方法で使用するための装置を提供することである。
【0006】
これらの目的は、本出願の第1の態様において、部品から少なくとも1つの超硬合金体を回収する方法であって、
a)最初に部品をクランプデバイスにクランプする工程と、次いで、
b)部品を同時にまたは周期的に加熱および振動させて、部品から少なくとも1つの超硬合金体を離脱させる工程と、
を含む、方法を提供することによって達成される。
【0007】
有利には、部品を同時にまたは周期的に加熱および振動させることによって、少なくとも1つの超硬合金体が抽出される時間ははるかに短い。典型的には、部品は複数の超硬合金体が取り付けられ、この方法を使用すると、部品からの物体の抽出収率がはるかに高くなる、すなわち1時間あたりの回収超硬合金体の出力が増加する。この方法のさらなる利点は、加熱された部品の手動の取扱いが不要であり、したがって回収プロセスがより安全になることである。この方法は、超硬合金体の抽出のために加熱が必要な領域で部品を局所的に加熱することによって機能し、したがって部品を振動させる前に部品全体を炉内で予熱することと比較して、必要なエネルギー入力が低減される。さらに、この方法は、より安全であり、必要とされる人力が少ない。
【0008】
一実施形態では、部品を加熱するために誘導加熱が使用される。有利には、誘導加熱は、超硬合金体が取り付けられている部品の特定の領域に加熱を導くことを可能にする。したがって、必要なエネルギー入力を最小限に抑え、これをエネルギー効率の良いプロセスにする。
【0009】
あるいは、部品を加熱するために火炎加熱が使用される。有利には、火炎加熱は、使用するための非常に簡単で安価な加熱方法である。
【0010】
一実施形態では、工程b)において、部品は、600~1000℃の温度に加熱される。好ましくは、700~900°の温度までである。有利には、この温度範囲は、部品の鋼を完全に溶融することなく、または不必要に高いエネルギーを使用することなく、部品からの超硬合金インサートの最も効率的な抽出を可能にする。部品が加熱される温度は、例えば、IRガンを使用して測定され得る。異なる部品は、異なる温度を必要とする場合がある。好ましくは、部品は、可能な限り最低の温度まで加熱される。
【0011】
一実施形態では、工程a)と工程b)との間に追加の工程があり、部品は、部品の同時加熱および振動が行われる前に予熱される。有利には、予熱の追加は、全体的な回収時間を短縮する。好ましくは、予熱温度は、600~1000℃、より好ましくは700~900°である。
【0012】
一実施形態では、部品を予熱するために誘導加熱が使用される。有利には、誘導加熱は、超硬合金体が取り付けられている部品の特定の領域に加熱を導くことを可能にする。したがって、必要なエネルギー入力を最小限に抑え、これをエネルギー効率の良いプロセスにする。
【0013】
あるいは、部品を予熱するために火炎加熱が使用される。有利には、火炎加熱は、使用するための非常に簡単で安価な加熱方法である。
【0014】
あるいは、部品を予熱するために炉加熱が使用される。
【0015】
一実施形態では、部品の振動は、圧縮空気によって制御される。有利には、これは超硬合金体により多くの力を導き、したがって、超硬合金体は最も時間およびエネルギー効率の良い方法で部品から回収されることを意味する。
【0016】
あるいは、部品の振動は、電気モータまたは任意の他の好適な手段によって制御される。
【0017】
一実施形態では、部品は、工程b)の間に半径方向および/または軸方向に回転される。そのため、部品は、加熱されて振動すると同時に回転される。これは、例えば回転円錐の場合に、部品が複数の方向に突出する超硬合金体を含む場合に特に有利である可能性がある。
【0018】
本出願の第2の態様によれば、上記の目的を達成する部品から少なくとも1つの超硬合金体を回収するための代替方法であって、
a)第1に、部品をクランプデバイスにクランプする工程と、
b)第2に、誘導加熱を使用して少なくとも1つの超硬合金体を加熱する工程と、次いで、
c)第3に、部品を振動させて、部品から少なくとも1つの超硬合金体を離脱させる工程と、
を含む、代替方法がある。
【0019】
有利には、部品を加熱するために誘導加熱を使用することにより、超硬合金体が取り付けられている部品の特定の領域に加熱を導くことが可能になる。したがって、必要なエネルギー入力を最小限に抑え、これをより環境に優しく安全なエネルギーおよび時間効率の良いプロセスにする。
【0020】
一実施形態では、工程b)において、部品は、600~1000℃の温度に加熱される。好ましくは、700~900°の温度までである。一実施形態では、部品の振動は、圧縮空気によって制御される。一実施形態では、部品は、工程b)の間に半径方向および/または軸方向に回転される。
【0021】
本発明の第3の態様によれば、軸方向軸を有する部品から少なくとも1つの超硬合金体を回収するための装置であって、
軸方向軸に対して30°未満の角度を有する方向に部品を振動させるための振動デバイスと、超硬合金体が軸方向軸に対して30°未満の角度を有する方向に振動するように部品を位置決めするためのクランプデバイスと、部品を振動させると同時に部品を加熱するための少なくとも1つの加熱デバイスと、を備える、装置がある。
【0022】
有利には、この装置は、部品を同時に振動および加熱することを可能にする。さらに、このセットアップは、部品が最も好ましい方向、例えば垂直に、または30°未満の角度を有する方向にのみ振動および移動できるように制限されることを意味する。
【0023】
一実施形態では、クランプデバイスは、滴形開口部を有するプレートを備える。有利には、これは、同じクランプデバイスを使用して広範囲の部品のサイズおよび形状を保持することを可能にする。クランプデバイスの設計は、クランプデバイスに対する部品の移動を最小限に抑える。さらに、このクランプデバイスは、異なるサイズの部品がクランプされても、ヒータに対する部品の中心点が比較的不変のままであることを可能にし、これは、有利には、異なるサイズの部品が処理されるときに加熱デバイスを再配置する必要がなく、処理時間を節約することを意味する。
【0024】
一実施形態では、クランプデバイスは、ねじ部品を含む。有利には、これは、部品を必要な位置に保持するための確実なクランプを提供する。
【0025】
一実施形態では、振動デバイスは、圧縮空気制御振動デバイスである。有利には、これは超硬合金体により多くの力を導き、したがって、超硬合金体は最も時間およびエネルギー効率の良い方法で部品から回収されることを意味する。
【0026】
一実施形態では、装置は、垂直ブロックと、振動デバイスとクランプデバイスとの間に配置された少なくとも1つの案内ロッドと、をさらに備える。有利には、これは、軸方向軸に対して垂直方向に振動を導く。
【0027】
一実施形態では、加熱デバイスは、高周波ヒータとしても知られる誘導ヒータである。有利には、誘導加熱デバイスは、超硬合金体を最も時間およびエネルギー効率の良い方法で除去するために正しい位置で部品を局所的に加熱する必要がある場所に配置され得る。さらに、誘導加熱デバイスは、いかなる熱も振動デバイス内に拡散させず、すべての熱が部品に導かれ得る。
【0028】
ここで、本発明の具体的な実施態様を、単なる例として、添付の図面を参照して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】装置の概略図である。
図2】クランプデバイスの好ましい実施形態の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
図1は、軸方向軸40を有する部品4から少なくとも1つの超硬合金体2を回収するための装置8の概略図を示す。装置8は、任意の回転方向に、より好ましくは軸方向軸40に対して垂直に、軸方向軸40に対して30°未満、好ましくは20°未満の角度を有する方向に部品4を振動させるための振動デバイス10と、少なくとも1つの超硬合金体2が任意の回転方向に、より好ましくは軸方向軸40に対して垂直に、軸方向軸40に対して30°未満、好ましくは20°未満の角度を有する方向に振動するように部品4を位置決めするための固定具としても知られるクランプデバイス6と、部品4を振動させるのと同時にまたは周期的に部品4を加熱するための少なくとも1つの加熱デバイス12と、を備える。クランプデバイス6は、典型的には鋼製であり、フレーム36に固定され、低温の部品4または予熱された部品4のいずれかをクランプするのに好適である。クランプデバイス6はまた、移動可能であり得、その結果、部品4を必要に応じて回転させることができ、回転はプログラム可能な回転器を使用して制御され得る。
【0031】
好ましくは、振動デバイス10は、圧縮空気制御振動デバイス10である。圧縮空気の圧力および流量は、エネルギーが少なくとも1つの超硬合金体2の除去に向けられるように振動を最適化するように制御され得る。好ましくは、振動を最適化するためにPLC制御バルブが使用される。あるいは、振動デバイス10は、電気モータを使用して、または任意の他の好適な手段を介して制御され得る。あるいは、振動デバイス10は、電気モータまたは任意の他の好適な振動デバイスである。
【0032】
インサートを抽出するための洗浄プロセスは、操縦および制御されたパルスプロセスにおいて振動デバイス10によって力および速度が制御された振動運動においてクランプデバイス6および部品4を振動させることによって行われる。
【0033】
好ましくは、振動デバイス10は、クランプデバイス6に取り付けられ、その結果、クランプデバイス6を介して部品4の振動が行われる。あるいは、部品4の振動が部品4に直接行われるように、振動デバイス10を部品4に直接接続することができる。
【0034】
任意選択的に、少なくとも1つの垂直ブロック26と、振動デバイス10とクランプデバイス6との間に配置された少なくとも1つの案内ロッド28とがある。典型的には、垂直ブロックは鋼またはアルミニウムから作製されるが、振動を好ましい方向に導くことができる任意の他の好適な材料から作製され得る。
【0035】
任意選択的に、ディスクばねまたはゴムダンパーなどの減衰要素38を、フレーム36に対する振動の衝撃を低減するために、振動デバイス10と少なくとも1つの垂直ブロック26との間に軸方向に配置してもよい。
【0036】
好ましくは、加熱デバイス12は、高周波ヒータとしても知られる誘導ヒータである。誘導加熱は、渦電流によって物体内に生成された熱を介して、電磁誘導によって導電性物体を加熱するプロセスである。誘導ヒータは、電磁石と、電磁石に高周波交流(AC)を流す電子発振器とからなる。急速に交流する磁場は物体を貫通し、渦電流と呼ばれる導体内に電流を発生させる。材料の抵抗を通って流れる渦電流は、ジュール加熱によって材料を加熱する。
【0037】
加熱デバイス12は、手動または自動のいずれかで垂直方向および水平方向の両方に移動可能である。
【0038】
誘導ヒータは、典型的には円形またはU字形のコイルを有するが、処理される部品4の幾何学的形状に適合するように、コイルを任意の他の好適な形状またはサイズに成形することができる。典型的には、誘導ヒータは単一のコイルを備えるが、複数のコイルを使用することもできる。加熱デバイス12は、好ましくは、加熱デバイスホルダ14を使用して所定の位置に保持される。加熱デバイスホルダ14は、加熱デバイス12と部品4との間の最適な距離が達成されるように、すなわち短絡を生じることなく最も効率的な加熱を達成することができるように可能な限り近くで、加熱デバイス12を部品4に対して正しい位置に位置決めすることができるように手動または自動のいずれかで移動可能であり得る。あるいは、加熱デバイス12は、手で所定の位置に保持され得る。
【0039】
あるいは、加熱デバイス12は、手でまたは加熱デバイスホルダ14を使用してのいずれかで配置され得る火炎ヒータであり得る。例えば、アセチレンおよび圧縮空気火炎ヒータを使用することができ、この種の火炎ヒータは、部品4を必要な温度まで十分に加熱するのに十分高温であるが、部品4からの鋼が溶融するほど高温ではない火炎を生成し、超硬合金2インサートの抽出をより困難にする可能性があるが、任意の他の種類の火炎ヒータを使用することができる。あるいは、誘導加熱と火炎加熱との組合せを使用することができる。
【0040】
安全ケージ(図示せず)を設置して、少なくとも1つの高温で抽出された超硬合金体2を漏斗(図示せず)内に誘導し、断熱され得る回収箱(図示せず)内に降下させることができる。
【0041】
図2は、クランプデバイス6の好ましい実施形態を示し、クランプデバイス6は、滴形開口部18を有するプレート16と、この場合には締付けボルト22を受け入れるためにプレート16上に溶接されたナット20であるねじ部品42と、を備え、締付けボルト22は、部品を所定の位置にしっかりと保持するために部品に押し込むための硬化した中心ピン24を備える。硬化した中心ピン24は、締付けボルト22からの力が加えられると自由に回転することができる。ねじ部品42または任意の他の好適な非ねじ式クランプデバイス6、例えばレバー式デバイスの代替設計を使用することもできる。
【0042】
クランプデバイス6への熱入力が最小限に保たれることが好ましい。したがって、クランプデバイス6を水冷することができる。
【0043】
部品4から少なくとも1つの超硬合金体2を回収するための方法であって、a)部品4をクランプデバイス6にクランプする工程を含む、方法。次いで、b)部品4を同時にまたは周期的に加熱および振動させて、部品4から少なくとも1つの超硬合金体2を離脱させること。
【0044】
一実施形態では、加熱および振動を同時にいずれかで行うことができる。別の実施形態では、加熱および振動を周期的に行うことができる。周期的にとは、部品4が最初にその部品4に固有の目標温度範囲に加熱され、次いで加熱が一時停止され、その後直ちにまたは例えば1分未満など直後に、振動が開始され、次いで振動が一時停止され、その後直ちにまたは例えば1分未満など直後に、加熱が再開される場合があるなど、すべての超硬合金体2が回収されるまでサイクルが繰り返されることを意味する。あるいは、同時および周期的な加熱および振動の組合せを使用することができる。少なくとも1つの超硬体2は、採掘インサート、切削ピック、またはブレード形状の超硬ユニットであり得、これらに限定されないが、部品4に取り付けられた任意の他の超硬体2であり得る。
【0045】
部品4は、典型的には採掘または建設部品であり、例えば、トップハンマドリルビットもしくは脚、ダウンザホール(DTH)ドリルビットもしくは脚、コーンビット、切削ピック、立上げ穿孔シェル、ロータリドリルコーンもしくは脚、水平方向ドリル(HDD)ビットもしくは脚、またはリーマブロック脚であり得るが、少なくとも1つの超硬合金体2が取り付けられた任意の他の部品4であり得る。部品4は、典型的には鋼から作製され、すべての超硬合金体2が除去されると、部品4からの鋼もリサイクルすることができる。
【0046】
回収方法は、少なくとも1つの超硬合金インサート2が所定の位置にプレスもしくはろう付けされた、または任意の他の方法で保持された部品4に使用され得る。
【0047】
通常、この回収プロセスは、使用済み部品4から少なくとも1つの超硬合金体2を回収するために使用され、この場合、それらは一般にダル部品4と呼ばれる。しかしながら、必要に応じて、この方法を使用して、未使用の新しい部品4から少なくとも1つの超硬合金体2を除去することもできる。
【0048】
部品4は、軸方向軸40に対して垂直方向に振動し、部品は、超硬合金体2が下向きになるように所定の位置にクランプされる。超硬合金体2が複数の方向に配置されている部品2、例えば回転円錐またはHDD円錐の場合、すべての超硬合金体2がいくつかの点で下方に配置されるように部品4を回転させる必要がある場合がある。
【0049】
典型的には、工程b)において、部品4は、600~1000℃の温度、より好ましくは700~900℃の温度に加熱される。部品4は、すべての超硬合金体2が回収されるまで加熱され続けられ得る。
【0050】
部品4からの少なくとも1つの超硬合金体2の回収率を最適化するために、必要に応じて部品4の異なる領域を加熱するために、加熱デバイス12に対する部品4の相対位置を動作中に変更することができる。誘導加熱が使用される場合、コイルは、最も速い抽出時間で最小限の熱入力が必要であるよりも近くであるが、接触して短絡するほど近くではない、最も効率的な加熱を達成するために可能な限り部品4の近くに配置されるべきである。コイルのサイズおよび形状は、加熱の効率を最大にするように選択されるべきである。
【0051】
処理される特定の部品の幾何学的形状に適合するように回転が実行されるように予めプログラムされるように、プログラム可能な回転デバイスを使用することができる。
【0052】
任意選択的に、工程a)と工程b)との間に追加の工程があり、部品4は予熱される。予熱工程が含まれる場合、これは、超硬合金体2を下向きまたは上向きに、すなわち工程b)と同じ位置で、または反転させてのいずれかで行われ得る。予熱工程は、好ましくは誘導加熱を使用して行われるが、火炎加熱を使用して、または炉内で行うこともできる。必要に応じて、誘導加熱、火炎加熱および炉加熱の組合せを予熱に使用することも可能である。予熱が使用される場合、部品4は、典型的には600~1000℃、好ましくは700~900℃に加熱される。
【0053】
次いで、回収された少なくとも1つの超硬合金体2を回収して、回収箱(図示せず)に落下させることができ、そこで冷却させる。すべての超硬合金体2が除去されると、部品4は解放位置に移動され、そこから部品4は落下して冷却される。
【0054】
あるいは、部品4から少なくとも1つの超硬合金体2を回収する方法は、第1に、部品をクランプデバイス6にクランプする工程と、第2に、誘導加熱を使用して少なくとも1つの超硬合金体2を加熱する工程と、次いで、第3に、部品4を振動させて、部品4から少なくとも1つの超硬合金体2を離脱させる工程と、を含む。
【0055】
本明細書に記載の方法のいずれかでは、少なくとも1つの超硬合金体4を複数の部品4から同時に除去することができるように装置8をセットアップすることも可能である。例えば、複数の部品4は、一度にすべてを処理するために、例えば溶接によってプレートに固定され得る。
図1
図2
【国際調査報告】