(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-24
(54)【発明の名称】伸長性の糸で形成されている難燃性布地
(51)【国際特許分類】
D03D 15/513 20210101AFI20240517BHJP
D03D 15/208 20210101ALI20240517BHJP
D03D 15/283 20210101ALI20240517BHJP
D02G 3/04 20060101ALI20240517BHJP
D02G 3/36 20060101ALI20240517BHJP
【FI】
D03D15/513
D03D15/208
D03D15/283
D02G3/04
D02G3/36
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023571613
(86)(22)【出願日】2022-05-20
(85)【翻訳文提出日】2023-12-27
(86)【国際出願番号】 US2022030273
(87)【国際公開番号】W WO2022246211
(87)【国際公開日】2022-11-24
(32)【優先日】2021-05-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】505451040
【氏名又は名称】サザンミルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Southern Mills,Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【氏名又は名称】原 裕子
(74)【代理人】
【識別番号】100195257
【氏名又は名称】大渕 一志
(72)【発明者】
【氏名】ダフティ、 イライジャ
(72)【発明者】
【氏名】セルフ、 ロバート
(72)【発明者】
【氏名】レイトン、 マイケル エー.
(72)【発明者】
【氏名】ヒルトン、 ケヴィン
【テーマコード(参考)】
4L036
4L048
【Fターム(参考)】
4L036MA04
4L036MA06
4L036MA08
4L036MA33
4L036MA35
4L036MA39
4L036PA31
4L036PA33
4L036RA24
4L036UA06
4L048AA07
4L048AA16
4L048AA25
4L048AA51
4L048AA53
4L048AB01
4L048AB19
4L048AC14
4L048CA06
(57)【要約】
優れた物理的特性および熱的特性を示す本体糸とストレッチ糸の組合せで形成されている難燃性布地。本体糸は、難燃性材料で少なくとも部分的に形成されている。ストレッチ糸は、難燃性材料で少なくとも部分的に形成されている繊維シースによって囲まれた弾性コアを有するコアスパン糸である。繊維シースは、保護しなければ弾性コアの分解または融解を引き起こすことになる熱および火炎に対する直接的な曝露から、弾性コアを保護する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
経糸方向と緯糸方向を有する難燃性布地であって、前記布地は:
(a)それぞれが本体糸繊維ブレンドでできており、前記布地の経糸方向と緯糸方向の両方に配置されている複数の本体糸であって、ここで、前記本体糸繊維ブレンドは、モダクリル繊維、セルロース繊維、およびアラミド繊維を含む、複数の本体糸と;
(b)前記布地の前記経糸方向または前記緯糸方向の少なくとも一方に、前記本体糸の少なくとも一部の間に伸びている複数のストレッチ糸であって、ここで、各ストレッチ糸は、シースによって囲まれた弾性コアを含み、ここで、前記シースは、モダクリル繊維、セルロース繊維、およびアラミド繊維を含むシース繊維ブレンドを含む、複数のストレッチ糸
とを含み、ここで:
i.前記布地は、ASTM D6413(2015)に従って試験された場合に、炭化長が6インチ以下、および残炎が2秒以下であり;
ii.前記布地は、ASTM F1959(2014)に従って試験された場合に、少なくとも8cal/cm
2のアーク評価を有し;
iii.前記布地は、ASTM F2894(2021)に従って試験された場合に、前記経糸方向と前記緯糸方向の両方において、熱収縮が10%以下であり;および
iv.前記布地は、前記複数のストレッチ糸が伸びる前記経糸方向または前記緯糸方向の少なくとも一方において伸長率(%)および回復率(%)を有し、100回の産業的洗濯であって、各産業的洗濯において、前記布地を、30分間、標準的な華氏140度(140°F)の産業的洗浄にかけ、その布地を、工業用乾燥機内で華氏155度(155°F)以下のスタック温度で30分間乾燥させる、100回の産業的洗濯後、前記伸長率(%)は、少なくとも10%であり、前記回復率(%)は、少なくとも90%である、
難燃性布地。
【請求項2】
前記本体糸繊維ブレンドが、40~55wt%のモダクリル繊維、30~45wt%の非FRセルロース繊維、および10~20wt%のアラミド繊維を含む、請求項1に記載の難燃性布地。
【請求項3】
前記シース繊維ブレンドが、40~55wt%のモダクリル繊維、30~45wt%の非FRセルロース繊維、および10~20wt%のアラミド繊維を含む、請求項1に記載の難燃性布地。
【請求項4】
前記本体糸繊維ブレンドと前記シース繊維ブレンドとが、実質的に同一である、請求項1に記載の難燃性布地。
【請求項5】
前記本体糸繊維ブレンドと前記シース繊維ブレンドが、それぞれ、40~55wt%のモダクリル繊維、30~45wt%の非FRセルロース繊維、および10~20wt%のアラミド繊維を含む、請求項4に記載の難燃性布地。
【請求項6】
前記本体糸繊維ブレンドが、モダクリル繊維、セルロース繊維、およびアラミド繊維のみを含む、請求項1に記載の難燃性布地。
【請求項7】
前記弾性コアが、ポリオレフィンを含む、請求項1に記載の難燃性布地。
【請求項8】
前記複数のストレッチ糸が、前記経糸方向と前記緯糸方向のいずれか一方のみに配置されている、請求項1に記載の難燃性布地。
【請求項9】
前記複数のストレッチ糸が、前記緯糸方向のみに配置されている、請求項8に記載の難燃性布地。
【請求項10】
前記複数のストレッチ糸が、ストレッチ糸と本体糸の比が約1:2~約1:10で、前記布地の前記経糸方向または前記緯糸方向の少なくとも一方に配置されている、請求項1に記載の難燃性布地。
【請求項11】
前記複数のストレッチ糸が、ストレッチ糸と本体糸の比が約1:2~約1:5で、前記布地の前記経糸方向または前記緯糸方向の少なくとも一方に配置されている、請求項10に記載の難燃性布地。
【請求項12】
前記複数のストレッチ糸が、ストレッチ糸と本体糸の比が1:2で、前記布地の前記経糸方向または前記緯糸方向の少なくとも一方に配置されている、請求項11に記載の難燃性布地。
【請求項13】
前記布地が、7~9オンス/平方ヤード(両端の値を含む)の範囲の目付を有する、請求項1に記載の難燃性布地。
【請求項14】
前記本体糸が、スパン糸である、請求項1に記載の難燃性布地。
【請求項15】
前記アラミド繊維が、生産者着色繊維であり、かつ濃色の顔料を含有する、請求項1に記載の難燃性布地。
【請求項16】
前記本体糸の少なくとも一部が、撚られている、請求項1に記載の難燃性布地。
【請求項17】
前記回復率(%)が、少なくとも95%である、請求項1に記載の難燃性布地。
【請求項18】
100回の産業的洗濯後の前記伸長率(%)および前記回復率(%)が、100回の産業的洗濯を開始する前の伸長率(%)および回復率(%)を、5%を超えて下回らない、請求項1に記載の難燃性布地。
【請求項19】
経糸方向と緯糸方向を有する難燃性布地であって、前記布地は:
(a)それぞれが本体糸繊維ブレンドでできており、前記布地の経糸方向と緯糸方向の両方に配置されている複数の本体糸であって、ここで、前記本体糸繊維ブレンドは、モダクリル繊維、セルロース繊維、およびアラミド繊維を含む、複数の本体糸と;
(b)前記布地の経糸方向または緯糸方向の少なくとも一方に、前記本体糸の少なくとも一部の間に伸びている複数のストレッチ糸であって、ここで、各ストレッチ糸は、シースによって囲まれた弾性コアを含み、ここで、前記シースは、モダクリル繊維、セルロース繊維、およびアラミド繊維を含むシース繊維ブレンドを含む、複数のストレッチ糸
とを含み、ここで:
i.前記本体糸繊維ブレンドと前記シース繊維ブレンドは、それぞれ、40~55wt%のモダクリル繊維、30~45wt%の非FRセルロース繊維、および10~20wt%のアラミド繊維を含み;
ii.前記本体糸繊維ブレンドと前記シース繊維ブレンドは、実質的に同一であり;
iii.前記複数のストレッチ糸は、ストレッチ糸と本体糸の比が約1:2~約1:4で、前記布地の前記経糸方向または前記緯糸方向の少なくとも一方に配置されており;
iv.前記布地は、ASTM D6413(2015)に従って試験された場合に、炭化長が6インチ以下、および残炎が2秒以下であり;
v.前記布地は、ASTM F1959(2014)に従って試験された場合に、少なくとも8cal/cm
2のアーク評価を有し;
vi.前記布地は、ASTM F2894(2021)に従って試験された場合に、前記経糸方向と前記緯糸方向の両方において、熱収縮が10%以下であり;
vii.前記布地は、7~10オンス/平方ヤード(両端の値を含む)の範囲の目付を有し;および
viii.前記布地は、前記複数のストレッチ糸が伸びる前記経糸方向または前記緯糸方向の少なくとも一方において伸長率(%)および回復率(%)を有し、ここで、100回の産業的洗濯であって、各産業的洗濯において、前記布地を、30分間、標準的な華氏140度(140°F)の産業的洗浄にかけ、その布地を、工業用乾燥機内で華氏155度(155°F)以下のスタック温度で30分間乾燥させる、100回の産業的洗濯後、前記伸長率(%)は、少なくとも10%であり、前記回復率(%)は、少なくとも95%である、
難燃性布地。
【請求項20】
前記複数のストレッチ糸が、前記緯糸方向のみに配置されている、請求項19に記載の難燃性布地。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本出願は、2021年5月21日に出願された、「Flame Resistant Fabrics Formed with Stretchable Yarns」という名称の米国仮出願第63/191,485号(参照によりその内容全体が本明細書に援用される)の利益を主張する。
【0002】
技術分野
本発明の実施形態は、弾性材料でできている伸長性の(stretchable)糸で少なくとも部分的に形成されている難燃性布地に関する。
【背景技術】
【0003】
防護衣服は、着用者が遭遇するかもしれない危険な環境条件から、着用者を防護するようにデザインされる。このような衣服には、消防士及び他の救助隊員、産業及び電気作業者、並びに軍人によって着用されるようにデザインされたものが含まれる。このような職業は、電気的なアークフラッシュおよび/または火炎に人々をさらす可能性を有する。偶発的な電気アークフラッシュおよび/または火炎にさらされ得る作業員は、適切に保護されない限り深刻な熱傷の危険がある。そのような状況で働いている間に負傷することを避けるために、これらの人々は通常、電気アークフラッシュおよび/または火炎から人を保護するように設計された耐燃性材料で作られた保護衣服を着用する。そのような防護服には、例えばカバーオール、ズボン、およびシャツのような様々な衣服が含まれ得る。
【0004】
危険な状況にある着用者を衣服が十分に保護することを確実にするために、そのような衣服(またはそれを構成する層もしくは部品)の性能を規定する基準が公表されている。
【0005】
ASTM F1506(Standard Performance Specification for Flame Resistant and Arc Rated Textile Materials for Wearing Apparel for Use bp Electrical Workers Exposed to Momentary Electric Arc and Related Thermal Hazards,2022 edition(参照により本明細書に援用される))は、電気作業者が着用する防護布地のアーク評価試験を要求している。アーク評価値は、アーク放電にさらされた場合の布地の性能を表す。アーク評価は、cal/cm2(カロリー/平方センチメートル)で表され、アーク熱性能値(arc thermal performance value(ATPV))またはエネルギー開裂閾値(Energy Breakopen threshold(EBT))の決定値から算出される。ATPVは、ストール曲線(Stoll Curve)に基づいて第二度熱傷を引き起こす、試料を通した十分な熱伝達が予想される確率が50%になる、材料上のアーク入射エネルギー(arc incident energy)と定義される。EBTは、開裂の確率が50%になる、材料上のアーク入射エネルギーである。開裂は、材料における、少なくとも1.6cm2(0.5in2)の、何らかの開放領域と定義される。材料のアーク評価は、ATPVかEBTのいずれか低い方の値としてレポートされる。ATPVおよびEBTは、ASTM F1959(Standard Test Method for Determining the Arc Rating of Materials for Clothing,2014 edition(参照により本明細書に援用される))に規定された試験方法に従って決定され、この試験方法において、センサーは、一連の電気アークにさらされている間の防護布地試料の熱エネルギー特性を測定する。
【0006】
NFPA 70E(Standard for Electrical Safety in the Workplace,2021 edition(参照により本明細書に援用される))は、防護服を、個人用防護具(Personal Protective Equipment(PPE))の複数のカテゴリーを取り入れた、起こり得る曝露レベルと照らし合わせる方法を提供する。防護布地を試験してアーク評価が決定され、測定されたアーク評価によって、布地のPPEカテゴリーが以下のように決定される。
PPEカテゴリーおよびATPV
PPEカテゴリー1:ATPV/EBT:4cal/cm2
PPEカテゴリー2:ATPV/EBT:8cal/cm2
PPEカテゴリー3:ATPV/EBT:25cal/cm2
PPEカテゴリー4:ATPV/EBT:40cal/cm2
よって、NFPA 70Eは、ある特定の環境において作業者が着用するために布地が保持していなければならない保護のレベルを規定する。
【0007】
National Fire Protection Association(NFPA)1971(Standard on Protective Ensembles for Structural Fire Fighting and Proximity Fire Fighting,2018 edition(参照により本明細書に援用される))は、消防士の衣服に要求される性能を規定している。NFPA 2112(Standard on Flame-Resistant Clothing for Protection of Industrial Personnel Against Flash Fire,2018 edition(参照により本明細書に援用される))は、フラッシュ火災から保護する産業労働者の衣服に要求される性能を規定している。NFPA 1975(Standard on Emergency Services Work Apparel,2019 edition(参照により本明細書に援用される))は、消防士が、消防署内で、および出動服の下に着用するステーションウェアに要求される性能を規定している。これらの規格は、衣服および/またはその個々の層もしくは部品が、ASTM D6413(Standard Fest Method for Flame Resistance of Textiles,2015 edition(参照により本明細書に援用される))に規定された試験方法に従って測定した場合に、炭化長(char length)が4インチ以下(NFPA 1971およびNFPA 2112)または6インチ以下(ASTM F1506およびNFPA 1975)であること、および残炎(after flame)が2秒(または2秒以下)であることを含む、多数の異なる性能試験に合格することを要求している。
【0008】
炭化長および残炎を試験するために、布地試験片を炎上に12秒間、垂直に吊り下げる。布地は2秒以内に自己消火しなければならない(すなわち、残炎が2秒以下でなければならない)。布地が自己消火した後、指定された重量の重りが布地に取り付けられ、その重りが布地から吊り下げられるように、布地が持ち上げられる。布地は、通常、布地の炭化部分に沿って裂けるであろう。裂ける長さ(すなわち、炭化長)は、試験が布地の機械(machine)/経糸(warp)方向と、機械横断(cross-machine)/緯糸(weft)方向の両方で行われた時、4インチ以下でなければならない。布地試料は、通常、洗浄前(したがって、布地が、仕上げ処理に由来する、残留(多くの場合、可燃性)化学物質をまだ含んでいる状態)と、ある特定の回数の洗濯(例えば、NFPA 2112については100回の洗濯、ASTM F1506については25回の洗濯、およびNFPA 1971については5回の洗濯)後の両方において、適合性について試験される。
【0009】
NFPA 1971、2112、および1975は、また、ASTM F2894-21(Standard Fest Method for Evaluation of Materials,Protective Clothing,and Equipment for Heat Resistance Using a Hot Air Circulating Oven,2021 edition(参照により本明細書に援用される))に従って試験された場合に、熱を受けた時に布地が収縮する程度に関する要件も含んでいる。布地に対して熱収縮試験を行うために、機械/経糸方向と機械横断/緯糸方向の両方において、互いにある距離で、布地に印をつける。印のセット間の距離を記録する。次いで、布地を、華氏500度(500°F)のオーブン中に5分間吊り下げる。次いで、印のセット間の距離を再度測定する。次いで、布地の熱収縮が、機械/経糸方向と機械横断/緯糸方向の両方において、布地が収縮する割合(%)として算出され、その熱収縮は、適用規格に規定されている割合(%)よりも小さくなければならない。例えば、NFPA 1971、1975、および2112は、アウターシェル布地が示す熱収縮が、機械/経糸方向と機械横断/緯糸方向の両方において、10%以下であることを要求している。
【0010】
弾性材料から作られた伸長性の糸(「ストレッチ糸」)は、布地に伸長性および屈曲性を与えるために、防護布地の中に組み入れられている。これが、次に、そのような布地から作られた衣服を着用する人に、さらなる動きやすさと快適さをもたらす。弾性材料は、典型的には、バイアス力を与えた後の回復率(%)が高い(すなわち、その材料は、バイアス力が取り除かれた後、元の寸法(またはそれに非常に近い寸法)に戻ることができる)ことによって特徴付けられる。布地の弾性を試験し、布地の伸長率(%)および回復率(%)を計算するための、そのような手法の一つ(「伸張回復性試験」と呼ばれる)には、通常、以下のステップが含まれる。
1. 布地のサンプルを切断(例えば、幅2インチ×長さ14インチ)し、そのサンプル布地をASTM D1776-20(Standard Practice For Conditioning And Testing Textiles,2020 edition(参照により本明細書に援用される))に従ってコンディショニングする。
2. 布地の横幅にわたって2本の線を描き、それらの線の間の距離を測定して記録する。それらの線は、およそ10インチの間隔で、布地サンプルの中央に伸びている(extend)のが好ましい。
3. そのサンプルに重りクランプを付け、次いで、そのサンプルを、試験フレームの頂部から、布地サンプルの縦方向が下向きにぶら下がるように吊り下げる。
4. その重りクランプのセンターホールを通して引っ掛けて、2.2キログラムの重りを付ける。その重りがサンプルによって完全に支えられるまでゆるやかに下げ、タイマーをスタートさせる。
5. 30秒後、2本の線の間の距離を測定して記録する。
6. 重りと重りクランプを取り除き、試料を60秒間リラックスさせる。
7. 60秒後、2本の線の間の距離を再度測定して記録する。伸長率(%)と回復率(%)は、以下のようにして計算することができる。
【数1】
【数2】
初期長さ(I)
引っ張る力をかけて30秒後の変位(A)
リラックスの60秒後の変位(R)
【0011】
先行技術の布地は、難燃性布地の中にスパンデックスまたはゴムでできている伸長性の糸が組み入れられている。しかしながら、そのような布地は、著しい(典型的には、適用規格が許容するものよりも大きい)熱収縮を示す。さらに、ストレッチ糸を形成するために一般に使用される弾性材料は、高温、例えば、産業的洗濯に伴う高温に繰り返しさらされると、分解する傾向がある。そのような経時的な分解は、その材料の弾性(糸が伸長し回復する能力)に対して悪影響を及ぼし得る。さらには、布地を最終的な幅に整え、かつ布地の中のストレッチ糸の伸長特性を活性化するために、伸長性の布地には仕上げ処理を施さなければならず、それによって布地は高レベルの熱にさらされる。スパンデックスまたはゴムなどの弾性材料から作られたストレッチ糸を活性化するために必要とされる高温(典型的には、少なくとも380°Fのオーダー)によって、布地の中の他の保護繊維(例えば、モダクリル繊維)が分解され得る。
【0012】
よって、布地の中にストレッチ糸が組み入れられており、それでもなおNPFA 1971、1975、および2112の少なくとも1つの要件を満たす(それらに限定されないが、そのような布地から作られた衣服のための熱収縮要件を満たすことが含まれる)ことができ、かつ産業的洗濯を繰り返した後に伸長回復特性を維持することができる、難燃性布地の必要性が存在する。
【発明の概要】
【0013】
本特許で使用される「発明」、「その発明」、「この発明」および「本発明」という用語は、本特許の全ての主題および以下の特許請求の範囲を広く指すことを意図している。これらの用語を含む記述は、本明細書で説明する主題を限定するもの、または以下の特許請求の範囲の意味または範囲を限定するものと理解すべきではない。本特許によってカバーされる発明の実施形態は、この発明の概要によってではなく、以下の特許請求の範囲によって規定される。この発明の概要は、本発明の様々な態様のハイレベルな概観であり、以下の詳細な説明の項でさらに説明する概念の一部を紹介するものである。この概要は、特許請求する主題の鍵となる特徴または本質的な特徴を特定することを意図するものではなく、特許請求する主題の範囲を決定するために単独で使用することを意図するものでもない。主題は、この特許の明細書全体、全図面および各特許請求の範囲を参照することにより理解されるべきである。
【0014】
本発明の実施形態は、優れた物理的特性および熱的特性を示す本体糸(body yarns)とストレッチ糸の組合せで形成されている難燃性布地に関する。本体糸は、難燃性材料で少なくとも部分的に形成されている。ストレッチ糸は、難燃性材料で少なくとも部分的に形成されている繊維シースによって囲まれた弾性コアを有するコアスパン(corespun)糸である。繊維シースは、保護しなければ弾性コアの分解または融解を引き起こすことになる熱および火炎に対する直接的な曝露から、弾性コアを保護する。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の実施形態の主題は、法的な要求に合致させるために本明細書で限定的に説明されているが、この説明は必ずしも特許請求の範囲を限定することを意図するものではない。特許請求する主題は、他の方法で具現化してもよく、異なる要素またはステップを含んでいてもよく、他の現存するまたは未来の技術と連動して使用してもよい。この説明は、個々のステップまたは要素の配列の順序が明示的に記述されている場合を除いて、様々なステップまたは要素の中のまたは間の、いかなる特定の順序または配列も意味するものと解釈すべきではない。
【0016】
いくつかの実施形態は、優れた物理的特性および熱的特性を示す本体糸とストレッチ糸の組合せでできている難燃性布地に関する。いくつかの実施形態において、難燃性布地は、経糸方向(warp direction)と緯糸方向(fill direction)を有する。難燃性布地は、布地の経糸方向と緯糸方向の両方に配置されている複数の本体糸を含む。布地は、また、布地の経糸方向と緯糸方向の少なくとも一方(または両方)に、前記複数の本体糸の少なくとも一部の間に伸びている(extending)複数のストレッチ糸を含んでいてもよい。
【0017】
本体糸は、スパン(spun)糸、フィラメント糸、または牽切糸であり得る。いくつかの実施形態において、本体糸は、全てスパン糸であるか、または全てフィラメント糸である。しかしながら、本体糸は、全てが同じ種類の糸である必要はない。そうではなくて、(単なる例として)いくつかの実施形態において、布地の中の本体糸の一部はスパン糸であってもよく、一方で、同じ布地の中の他の本体糸は(前記スパン糸と同じ、および/または異なる織り方向に配向した)フィラメント糸であってもよい。
【0018】
さらに、本体糸は、全てが一種類の繊維(例えば、100重量%のアラミド繊維)でできていてもよいが、いくつかの実施形態において、本体糸は、繊維ブレンドでできている。布地の中の本体糸を形成する繊維または繊維ブレンドは、いくつかの実施形態において、同一ではないこともあり得ることに留意されたい。例えば、本体糸がそれぞれある繊維ブレンドでできているスパン糸を含むある実施形態において、その布地の中のスパン糸の一部の繊維ブレンドは(経糸方向および/または緯糸方向の間で、および/または経糸方向および/または緯糸方向の中で)異なっていてもよい。この相異は、繊維ブレンドの中で使用されている繊維の種類、および/または繊維ブレンドの中で使用されている同じ繊維の量によるものであり得る。
【0019】
本体糸は、難燃性(flame resistant(「FR」)材料(単数または複数)で(少なくとも部分的に)できている。いくつかの実施形態において、本体糸は、本質的FRステープル繊維、または難燃性のための処理を施されたステープル繊維で形成されている。いくつかの実施形態において、本体糸は、少なくとも40重量%(「wt%」)の難燃性繊維、少なくとも45wt%の難燃性繊維、少なくとも50wt%の難燃性繊維、少なくとも55wt%の難燃性繊維、少なくとも60wt%の難燃性繊維、少なくとも65wt%の難燃性繊維、および/または少なくとも70wt%の難燃性繊維を含む。いくつかの実施形態において、非FR繊維を繊維ブレンドに添加してもよい。いくつかの実施形態において、本体糸は、少なくとも25wt%の非FR繊維、少なくとも30wt%の非FR繊維、少なくとも35wt%の非FR繊維、少なくとも40wt%の非FR繊維、少なくとも45wt%の非FR繊維、少なくとも50wt%の非FR繊維、少なくとも55wt%の非FR繊維、および/または少なくとも60wt%の非FR繊維を含む。
【0020】
本体糸を形成するために有用な例示的なFR材料および非FR材料としては、それらに限定されないが、アラミド(パラ-アラミドおよびメタ-アラミドを含む);ポリベンズイミダゾール(「PBI」);ポリベンゾオキサゾール(「PBO」);モダクリル;ポリ{2,6-ジイミダゾ[4,5-b:40;50-e]-ピリジニレン-1,4(2,5-ジヒドロキシ)フェニレン}(「PIPD」);超高分子量(ultra-high molecular weight(「UHMW」))ポリエチレン;UHMWポリプロピレン;ポリビニルアルコール;ポリアクリロニトリル;液晶ポリマー;ガラス;ナイロン;炭素;絹;ポリアミド;ポリエステル;および天然および合成セルロース性物質(例えば、綿、レーヨン、アセテート、トリアセテート、およびリヨセル繊維、ならびにそれらに対応する難燃性繊維であるFR綿、FRレーヨン、FRアセテート、FRトリアセテート、およびFRリヨセル)、TANLON(商標)繊維(Shanghai TANLON Fiber Companyから入手可能)、ウール、メラミン(例えばBASOFIL(商標)(BASOFIL Fibersから入手可能))、ポリエーテルイミド、ポリエーテルスルホン、事前に酸化された(pre-oxidized)アクリル、KERMEL(商標)などのポリアミド-イミド繊維、ポリテトラフルオロエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルイミド繊維、ポリクラール、ポリイミド、ポリイミドアミド、ポリオレフィン、ポリアクリレート、ならびに、これらの任意の組合せまたはブレンドがあげられる。
【0021】
パラ-アラミド材料としては、例えば、KEVLAR(商標)(DuPontから入手可能)、TECHNORA(商標)(Teijin Twaron BV(Arnheim、Netherlands)から入手可能)、およびTWARON(Teijin Twaron BVからも入手可能)があげられる。メタ-アラミド材料としては、例えば、NOMEX(商標)(DuPontから入手可能)、CONEX(商標)(Teijinから入手可能)、およびKERMEL(KERMELから入手可能)があげられる。適切なモダクリル材料の一例は、PROTEX(商標)(Kaneka Corporation(大阪、日本)から入手可能)である。PIPD材料の一例としては、M5(DuPont)があげられる。UHMWポリエチレン材料としては、例えば、ポリマー材料VECTRAN(Kurarayから入手可能)があげられる。適切なレーヨン材料の例は、LenzingによるViscose(商標)およびModal(商標)(Lenzing Fibers Corporationから入手可能)である。FRレーヨン材料の一例は、Lenzing FR(商標)(Lenzing Fibers Corporationからも入手可能)である。リヨセル材料としては、例えば、TENCEL G100(商標)およびTENCEL A100(商標)(両方ともLenzing Fibers Corporationから入手可能)があげられる。
【0022】
いくつかの実施形態において、本体糸の中の難燃性繊維としては、アラミド繊維(メタ-アラミド、パラ-アラミド、またはその両方)とモダクリル繊維のブレンドがあげられる。モダクリル繊維は、アラミド繊維よりも著しく安価であり、よって、布地のコストを抑えるのに役立つ。いくつかの実施形態において、本体糸の繊維ブレンドの中のモダクリル繊維の割合(%)は、ブレンドの中のアラミド繊維の割合(%)の少なくとも2倍、少なくとも3倍、および/または少なくとも4倍である。いくつかの実施形態において、本体糸は、少なくとも30wt%のモダクリル繊維、少なくとも35wt%のモダクリル繊維、少なくとも40wt%のモダクリル繊維、少なくとも45wt%のモダクリル繊維、および/または少なくとも50wt%のモダクリル繊維を含む。いくつかの実施形態において、本体糸は、およそ(i)30~60wt%(両端の値を含む)のモダクリル繊維;(ii)35~55wt%(両端の値を含む)のモダクリル繊維;(iii)40~50wt%(両端の値を含む)のモダクリル繊維;および/または(iv)45~50wt%(両端の値を含む)のモダクリル繊維を含む。いくつかの実施形態において、本体糸は、少なくとも5wt%のアラミド繊維、少なくとも10wt%のアラミド繊維、少なくとも15wt%のアラミド繊維、少なくとも20wt%のアラミド繊維、少なくとも25wt%のアラミド繊維、および/または少なくとも30wt%のアラミド繊維を含む。いくつかの実施形態において、本体糸は、およそ(i)5~30wt%(両端の値を含む)のアラミド繊維;(ii)10~25wt%(両端の値を含む)のアラミド繊維;(iii)10~20wt%(両端の値を含む)のアラミド繊維;(iv)15~25wt%(両端の値を含む)のアラミド繊維;および/または(v)15~20wt%(両端の値を含む)のアラミド繊維を含む。
【0023】
いくつかの実施形態において、コストを下げ、快適さを付与するために、セルロース繊維を本体糸の繊維ブレンドに添加してもよい。いくつかの実施形態において、本体糸は、少なくとも20wt%のセルロース繊維、少なくとも25wt%のセルロース繊維、少なくとも30wt%のセルロース繊維、少なくとも35wt%のセルロース繊維、少なくとも40wt%のセルロース繊維、少なくとも45wt%のセルロース繊維、および/または少なくとも50wt%のセルロース繊維を含む。いくつかの実施形態において、本体糸は、およそ(i)20~50wt%(両端の値を含む)のセルロース繊維;(ii)25~45wt%(両端の値を含む)のセルロース繊維;(iii)30~40wt%(両端の値を含む)のセルロース繊維;(iv)35~45wt%(両端の値を含む)のセルロース繊維;および/または(v)35~40wt%(両端の値を含む)のセルロース繊維を含む。
【0024】
いくつかの実施形態において、セルロース繊維は、リヨセル繊維および/または非FRリヨセル繊維である。いくつかの実施形態において、異なるセルロース繊維のブレンドが、本体糸の繊維ブレンドに使用される。セルロース繊維は、難燃性のために処理を施してもよいが、この処理は必須ではない。むしろ、繊維ブレンドの中に本質的に難燃性の繊維を含有させることによって、十分な難燃性およびアーク防護がもたらされ、また、セルロース繊維の燃焼が防がれる。例えば、モダクリル繊維は、セルロース繊維の燃焼性を抑制および減殺し、それによってセルロース繊維の燃焼が防がれる。このように、セルロース繊維(または、セルロース繊維で作られている糸または布地)は、FR化合物または添加剤による処理を必要としない。
【0025】
いくつかの実施形態において、本体糸は、モダクリル繊維、セルロース(FRおよび/または非FR)繊維、およびアラミド繊維、例えば、それらに限定されないが、およそ(i)30~60wt%のモダクリル繊維、20~60wt%のセルロース繊維、および5~30wt%のアラミド繊維;(ii)40~55wt%のモダクリル繊維、30~45wt%のセルロース繊維、および10~20wt%のアラミド繊維;(iii)45~55wt%のモダクリル繊維、35~45wt%のセルロース繊維、および10~20wt%のアラミド繊維;(iv)40~50wt%のモダクリル繊維、30~40wt%のセルロース繊維、および10~15wt%のアラミド繊維;および/または(v)45~50wt%のモダクリル繊維、35~40wt%のセルロース繊維、および15~20wt%のアラミド繊維から形成される。いくつかの実施形態において、上記のブレンドの中のセルロース繊維は、非FRセルロース繊維である。
【0026】
いくつかの実施形態において、追加の繊維を繊維ブレンドに添加してもよい。追加の繊維としては、それらに限定されないが、(1)静電気を消失させるか、または最小化するための帯電防止繊維、(2)抗微生物繊維、および/または(3)布地の摩耗性を改善するための高強力繊維、例えば、それらに限定されないが、ナイロン(すなわち、ポリアミド)繊維および/またはポリエステル繊維があげられる。いくつかの実施形態において、5~25wt%のナイロン繊維をブレンドに添加してもよい。
【0027】
アラミド繊維は、パラ-アラミド繊維、メタ-アラミド繊維、またはパラ-アラミド繊維とメタ-アラミド繊維のブレンドであり得る。いくつかの実施形態において、繊維ブレンドは、添加剤含有繊維、例えば、それらに限定されないが、米国特許出願公開第2018/0171516号(参照により本明細書に援用される)に開示されているものを含む。例えば、いくつかの実施形態において、繊維ブレンドの中のアラミド繊維は、生産者着色(Producer-colored)であってもよく、生産者着色によって、繊維は、繊維形成後ではなく、繊維自体の製造プロセスの間に着色される。いくつかの実施形態において、アラミド繊維は、濃色の顔料(例えば、黒または濃紺)で着色される。
【0028】
いくつかの実施形態において、本体糸は、モダクリル繊維、セルロース繊維(FRおよび/または非FR)、およびアラミド繊維のみのブレンドから形成され、他の種類の繊維を含まない。いくつかの実施形態において、本体糸は、モダクリル繊維、セルロース(FRおよび/または非FR)繊維、アラミド繊維、およびナイロン繊維のみのブレンドから形成され、他の種類の繊維を含まない。いくつかの実施形態において、本体糸は、モダクリル繊維、セルロース(FRおよび/または非FR)繊維、アラミド繊維、ナイロン繊維、および帯電防止繊維のみのブレンドから形成され、他の種類の繊維を含まない。
【0029】
本体糸の各エンド(end)は、単一の本体糸(single body yarn)でできていてもよく、または複数の本体糸を撚り合わせて、もしくはその他の方法で合わせて、エンドを形成していてもよい。いくつかの実施形態において、本体糸は、8~25の範囲の綿番手に相当する単糸(singles)を有している。
【0030】
本体糸に加えて、ストレッチ糸が布地の中に配置される。ストレッチ糸は、それらに限定されないが、スパン糸、フィラメント糸、牽切糸、およびコアスパン糸を含む、任意の種類の糸であり得る。ストレッチ糸は、布地全体が難燃性であり、および/または難燃性布地のための適用規格または所望の規格を満たす限り、FR材料/非FR材料の任意の組合せを含み得る。ストレッチ糸の各エンドは、単一の糸でできていてもよく、または多数の糸を組み合わせて(combined)、一緒にして(coupled)、もしくは被覆して(covered)(すなわち、撚り(plied)、プライツイスト(ply twist)、包み込み(wrapped)、芯鞘(coresheath)、カバースパン(coverspun)など)、エンドを形成していてもよい。いくつかの実施形態において、ストレッチ糸は、8~25の範囲の綿番手に相当する単糸を有している。
【0031】
いくつかの実施形態において、ストレッチ糸は、繊維シースによって保護されている弾性コアを有するコアスパン糸である。一つの特定の非限定的な例において、弾性コアは、100%架橋ポリオレフィン弾性繊維コア(例えば、商品名XLAで販売されているもの(https://www.xlancefrbre.com)など)であって、その周囲に複数の個別のステープル繊維がスピニングされ、コアを取り囲む繊維シースが形成されるものである。例として、ステープル繊維は、Dref紡績プロセスまたはエアジェット紡績プロセスを使用して、コアの周囲にスピニングされ得る。
【0032】
繊維シースは、保護しなければ弾性コアの分解または融解を引き起こすことになる熱および火炎に対する直接的な曝露から、弾性コアを保護する。繊維シースは、好ましくは、得られる布地に所望のレベルの耐火/耐熱性の保護をもたらし、かつ、そのような難燃性保護を失うリスクを生じることなく少なくとも1つの方向(ストレッチ糸が配置される方向)に伸長可能なように、難燃性繊維を含む。繊維シースにおいて有用な材料としては、それらに限定されないが、本体糸における使用のために上述した繊維と同じものがあげられる。いくつかの実施形態において、コアを取り囲むシースは、本体糸の一部または全てと実質的に同じ、または類似する繊維ブレンドを有する。
【0033】
XLA繊維は、従来のストレッチ材料よりも大幅に低い温度、例えば200°F~220°Fで活性化され得る。よって、このような弾性繊維を含む布地を仕上げるために必要とされる温度は、従来のストレッチ布地を仕上げるために必要とされる温度よりも大幅に低く、よって、布地の中の他の繊維が損傷または分解する可能性が低い。
【0034】
本体糸およびストレッチ糸は、次いで、様々な様式(全て、その産業においてよく知られている)で難燃性布地を形成するために使用され得る。あらゆる所望の織り方(例えば、平織り、綾織り、リップストップ織り、バスケット織り)または編み方(例えば、シングル編み、ダブル編み、プレーン編み、インターロック編み)が使用され得る。一実施形態において、布地は、平織りの布地として形成される。
【0035】
本明細書において意図されている難燃性布地は、本体糸とストレッチ糸を、任意の組合せまたは配向で含み得る。例えば、いくつかの実施形態において、布地は、経糸方向および緯糸方向を含む織布であり得る。本体糸は、典型的には、経糸方向と緯糸方向の両方に配置されるであろう。ストレッチ糸は、経糸方向のみに、緯糸方向のみに、または格子パターンを形成するように経糸方向と緯糸方向の両方に配置され得る。非限定的な一実施形態において、ストレッチ糸は、本体糸と緯糸の両方が緯糸方向に伸び、本体糸のみが経糸方向に伸びるように、緯糸方向にのみ配置される。
【0036】
ストレッチ糸は、布地の中に、本体糸に対して任意の所望の比で配置することができる。ストレッチ糸と本体糸の比は、(1)布地の一つの方向の中で、および/または(2)布地の異なる方向において、同じであってもよく、異なっていてもよい。この比は、糸のエンドを数えることによって算出される。例えば、撚り糸を考えると、比を決定するために、撚り糸の各糸を個別に考慮するのではなくて、撚り糸をまとめて1つのエンドと考える。例えば、以下の糸の繰り返しを有するパターンで織られた布地を考えられたい:2本の双糸の第1の糸(すなわち、第1の糸は、それぞれ、2本の個別の糸を撚ることによって形成されている)、次いで、1本の単糸の第2の糸(すなわち、第2の糸は撚られていない)。このような布地の第2の糸と第1の糸の比は、各糸のエンドに基づいて、1:2である。
【0037】
布地の経糸方向および/または緯糸方向のいずれか、または両方におけるストレッチ糸と本体糸の比は、織りパターンまたは編みパターンの中で、約40:1~約1:40、または約30:1~約1:30、または約25:1~約1:25、または約20:1~約1:20、または約15:1~約1:15、または約10:1~約1:10、もしくは9:1、もしくは8:1、もしくは7:1、もしくは6:1、もしくは5:1、もしくは4:1、もしくは3:1、もしくは2:1、もしくは1:1、もしくは1:2、もしくは1:3、もしくは1:4、もしくは1:5、もしくは1:6、もしくは1:7、もしくは1:8、もしくは1:9、または、さらには約2:3もしくは3:2~約1:3であり得、または、これらの比の任意の組合せであり得る。ある特定の実施形態において、典型的には、ストレッチ糸と本体糸の織り方向における比が約1:1~約1:10の範囲、またはこの範囲内の任意の中間的な比になるように、ストレッチ糸以上の本体糸が織り方向に配置される。ある特定の実施形態において、ストレッチ糸と本体糸の織り方向(例えば、緯糸方向)における比は、1:1~1:5、例えば1:2、1:3、1:4、または1:5である。いくつかの実施形態において、ストレッチ糸と本体糸の織り方向における比は、変動し得る。単なる例として、ストレッチ糸と本体糸の織り方向における第1の比が1:2であり、次いで、ストレッチ糸と本体糸の織り方向における第2の比が1:3であり得る。このように、布地は、織り方向において、1本のストレッチ糸、次いで2本の本体糸、次いで1本のストレッチ糸、次いで3本の本体糸という繰り返し配列を有する可能性がある。織り方向において、様々な比の任意の数の任意の組合せが使用され得る。
【0038】
いくつかの実施形態において、本明細書において開示されている布地は、3~14オンス/平方ヤード(ounces per square yard(「osy」))(両端の値を含む);4~12osy(両端の値を含む);5~9osy(両端の値を含む);6~8.5osy(両端の値を含む);7~10osy(両端の値を含む);7~9osy(両端の値を含む);8~12osy(両端の値を含む);4~8osy(両端の値を含む);4~7.5osy(両端の値を含む);4~7osy(両端の値を含む);5~7osy(両端の値を含む);5.5~7osy(両端の値を含む);または6~7osy(両端の値を含む)の範囲の目付(weight)を有する。いくつかの実施形態において、布地の目付は、6~9osy(両端の値を含む)であり、および/または9osy以下、8osy以下、7osy以下および/または6osy以下である。
【0039】
本明細書において意図されている難燃性布地は、得られる布地が、(i)NFPA 1971、1975および2112の少なくとも1つの要件を満たす(許容できるアーク評価および低熱収縮性を有することを含む)、(ii)繰り返し洗濯した場合に良好な寸法安定性を示す、および(iii)洗濯後であっても良好な伸長回復特性を有するような、本体糸とストレッチ糸のバランスで構成される。
【0040】
単なる例として、本明細書において意図されているストレッチ布地の実施形態は、(1)ASTM F1506の垂直燃焼性要件(炭化長が6インチ以下、および残炎が2秒以下)、および/またはNFPA 1971および2112(炭化長が4インチ以下、および残炎が2秒以下)の垂直燃焼性要件を満たす;(2)ASTM F1959に従って試験された場合に、少なくとも4cal/cm2のアーク評価、または少なくとも8cal/cm2のアーク評価を受ける;および(3)ASTM F2894-21に従って試験された場合に、機械/経糸方向と機械横断/緯糸方向の両方において、熱収縮が10%以下である。さらに、本明細書において意図されているストレッチ布地の実施形態は、上記の伸張回復性試験に従って試験された場合に、ストレッチ糸が組み入れられている各織り方向において、少なくとも10%、好ましくは少なくとも15~20%の伸長率(%)、ならびに少なくとも75%、より好ましくは少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%の回復率(%)を達成する。いくつかの実施形態は、下記の方法に従って洗濯された場合に、25~150回の産業的洗濯(industrial launderings)(「IL」)、50~125回の産業的洗濯、および75~100回の産業的洗濯後に、これらの伸長率(%)および/または回復率(%)の数値を達成することができる。本明細書において意図されているストレッチ布地のいくつかの実施形態は、100回の産業的洗濯後に、少なくとも10%(好ましくは少なくとも15~20%)の伸長率(%)、および少なくとも75%、より好ましくは少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%の回復率(%)を達成する。
【0041】
ストレッチ布地の特定の非限定的な実施形態は以下の通りである。
【0042】
本発明の布地1:経糸と緯糸で形成されている7.9osyの織布。経糸は、全て、47wt%のモダクリル/37wt%の非FRセルロース/16wt%の黒い生産者着色アラミドの繊維ブレンドを有する13/1ccのスパン糸であった。2つの異なる緯糸を使用した。緯糸#1は、それぞれXLA弾性繊維コアと、経糸と同じ繊維ブレンドの繊維シースとを有する、10/1ccのストレッチコアスパン糸であった。緯糸#2は、経糸と同じ繊維ブレンドの20/2ccの撚りスパン糸であった。緯糸#1と緯糸#2は、緯糸方向に、1:2の比で配置されており、これは、緯糸方向にわたる繰り返しパターンにおいて、緯糸#1(ストレッチ糸)の各エンドの後に緯糸#2の2つのエンド(それぞれ撚りスパン糸)が続いていたことを意味する。
【0043】
本発明の布地2:経糸と緯糸で形成されている8.4osyの織布。経糸は、全て、47wt%のモダクリル/37wt%の非FRセルロース/16wt%の黒い生産者着色アラミドの繊維ブレンドを有する20/2ccのスパン糸であった。2つの異なる緯糸を使用した。緯糸#1は、それぞれXLA弾性繊維コアと、経糸と同じ繊維ブレンドの繊維シースとを有する、10/1ccのストレッチコアスパン糸であった。緯糸#2は、経糸と同じ繊維ブレンドの20/2ccの撚りスパン糸であった。緯糸#1と緯糸#2は、緯糸方向に、1:2の比で配置されており、これは、緯糸方向にわたる繰り返しパターンにおいて、緯糸#1(ストレッチ糸)の各エンドの後に緯糸#2の2つのエンド(それぞれ撚りスパン糸)が続いていたことを意味する。
【0044】
本発明の布地1および2は、後染めし、テンター仕上げした。本発明の布地2を、30分間、標準的な華氏140度(140°F)の産業的洗浄にかけた。洗浄後、布地を、工業用乾燥機内で華氏155度(155°F)以下のスタック温度(stack temperature)で30分間乾燥させた。この乾燥および洗浄プロセスを、合わせて産業的洗濯または「IL」と呼ぶ。
【0045】
本発明の布地1および本発明の布地2の物理的特性と熱的特性を試験した。その結果を表1に示す。
【表1】
【0046】
いくつかの実施形態において、ストレッチ糸が組み入れられている織り方向における100回の産業的洗濯後の伸長率(%)(上記の伸張回復性試験に従って試験された場合)は、その織り方向における産業的洗濯(すなわち、BW)の前の伸長率(%)を、5%を超えて下回らない。いくつかの実施形態において、ストレッチ糸が組み入れられている織り方向における100回の産業的洗濯後の回復率(%)(上記の伸張回復性試験に従って試験された場合)は、その織り方向における産業的洗濯(すなわち、BW)の前の回復率(%)を、5%を超えて下回らない。よって、および単なる例として、ストレッチ糸を含む織り方向における回復率(%)が98%BWであった場合、その織り方向における100回のIL後の回復率(%)は、93%以上であるべきである。
【0047】
本明細書に開示されている布地の実施形態は、それ自体で、または他の布地と組み合わせて、種々の防護衣服の製造に使用することができ、本明細書に開示されている用途のみにおける使用のために限定されるものではない。
【実施例】
【0048】
実施例
【0049】
本明細書において説明されている概念に従った種々の例の形の追加的な説明を提供する、少なくともいくつかの明示的に「実施例」として列挙されているものを含む、例示的な実施形態の集まりを以下に示す。これらの実施例は、相互に排他的、網羅的、または限定的であることを意図するものではない。また、本発明は、これらの例示的な実施例に限定されるものではなくて、発行された特許請求の範囲およびその同等物の範囲内のすべてのあり得る変更および変形を包含する。
【0050】
実施例1.経糸方向と緯糸方向を有する難燃性布地であって、前記布地は、それぞれが本体糸(body yarn)繊維ブレンドでできており、前記布地の経糸方向と緯糸方向の両方に配置されている複数の本体糸であって、ここで、前記本体糸繊維ブレンドは、モダクリル繊維、セルロース繊維、およびアラミド繊維を含む、複数の本体糸と;前記布地の経糸方向または緯糸方向の少なくとも一方に、前記本体糸の少なくとも一部の間に伸びている複数のストレッチ糸であって、ここで、各ストレッチ糸は、シースによって囲まれた弾性コアを含み、ここで、前記シースは、モダクリル繊維、セルロース繊維、およびアラミド繊維を含むシース繊維ブレンドを含む、複数のストレッチ糸とを含み、ここで、前記布地は、ASTM D6413(2015)に従って試験された場合に、炭化長(char length)が6インチ以下、および残炎(afterflame)が2秒以下であり;前記布地は、ASTM F1959(2014)に従って試験された場合に、少なくとも8cal/cm2のアーク評価を有し;前記布地は、ASTM F2894(2021)に従って試験された場合に、経糸方向と緯糸方向の両方において、熱収縮が10%以下であり;および前記布地は、前記複数のストレッチ糸が伸びる(extend)経糸方向または緯糸方向の少なくとも一方において伸長率(%)および回復率(%)を有し、ここで、100回の産業的洗濯であって、各産業的洗濯において、前記布地を、30分間、標準的な華氏140度(140°F)の産業的洗浄にかけ、その布地を、工業用乾燥機内で華氏155度(155°F)以下のスタック温度で30分間乾燥させる、100回の産業的洗濯後、伸長率(%)は、少なくとも10%であり、回復率(%)は、少なくとも90%である、難燃性布地。
【0051】
実施例2.前記本体糸繊維ブレンドが、40~55wt%のモダクリル繊維、30~45wt%の非FRセルロース繊維、および10~20wt%のアラミド繊維を含む、先行または後続する実施例または実施例の組合せのいずれかの布地。
【0052】
実施例3.前記シース繊維ブレンドが、40~55wt%のモダクリル繊維、30~45wt%の非FRセルロース繊維、および10~20wt%のアラミド繊維を含む、先行または後続する実施例または実施例の組合せのいずれかの布地。
【0053】
実施例4.前記本体糸繊維ブレンドと前記シース繊維ブレンドとが、実質的に同一である、先行または後続する実施例または実施例の組合せのいずれかの布地。
【0054】
実施例5.前記本体糸繊維ブレンドと前記シース繊維ブレンドが、それぞれ、40~55wt%のモダクリル繊維、30~45wt%の非FRセルロース繊維、および10~20wt%のアラミド繊維を含む、先行または後続する実施例または実施例の組合せのいずれかの布地。
【0055】
実施例6.前記本体糸繊維ブレンドが、モダクリル繊維、セルロース繊維、およびアラミド繊維のみを含む、先行または後続する実施例または実施例の組合せのいずれかの布地。
【0056】
実施例7.前記弾性コアが、ポリオレフィンを含む、先行または後続する実施例または実施例の組合せのいずれかの布地。
【0057】
実施例8.前記複数のストレッチ糸が、経糸方向と緯糸方向のいずれか一方のみに配置されている、先行または後続する実施例または実施例の組合せのいずれかの布地。
【0058】
実施例9.前記複数のストレッチ糸が、緯糸方向のみに配置されている、先行または後続する実施例または実施例の組合せのいずれかの布地。
【0059】
実施例10.前記複数のストレッチ糸が、ストレッチ糸と本体糸の比が約1:2~約1:10で、前記布地の経糸方向または緯糸方向の少なくとも一方に配置されている、先行または後続する実施例または実施例の組合せのいずれかの布地。
【0060】
実施例11.前記複数のストレッチ糸が、ストレッチ糸と本体糸の比が約1:2~約1:5で、前記布地の経糸方向または緯糸方向の少なくとも一方に配置されている、先行または後続する実施例または実施例の組合せのいずれかの布地。
【0061】
実施例12.前記複数のストレッチ糸が、ストレッチ糸と本体糸の比が1:2で、前記布地の経糸方向または緯糸方向の少なくとも一方に配置されている、先行または後続する実施例または実施例の組合せのいずれかの布地。
【0062】
実施例13.前記布地が、7~9オンス/平方ヤード(両端の値を含む)の範囲の目付を有する、先行または後続する実施例または実施例の組合せのいずれかの布地。
【0063】
実施例14.前記本体糸が、スパン糸である、先行または後続する実施例または実施例の組合せのいずれかの布地。
【0064】
実施例15.前記アラミド繊維が、生産者着色繊維であり、かつ濃色の顔料を含有する、先行または後続する実施例または実施例の組合せのいずれかの布地。
【0065】
実施例16.前記本体糸の少なくとも一部が、撚られている、先行または後続する実施例または実施例の組合せのいずれかの布地。
【0066】
実施例17.回復率(%)が、少なくとも95%である、先行または後続する実施例または実施例の組合せのいずれかの布地。
【0067】
実施例18.100回の産業的洗濯後の伸長率(%)および回復率(%)が、100回の産業的洗濯を開始する前の伸長率(%)および回復率(%)を、5%を超えて下回らない、先行または後続する実施例または実施例の組合せのいずれかの布地。
【0068】
実施例19.経糸方向と緯糸方向を有する難燃性布地であって、前記布地は:それぞれが本体糸繊維ブレンドでできており、前記布地の経糸方向と緯糸方向の両方に配置されている複数の本体糸であって、ここで、前記本体糸繊維ブレンドは、モダクリル繊維、セルロース繊維、およびアラミド繊維を含む、複数の本体糸と;前記布地の経糸方向または緯糸方向の少なくとも一方に、前記本体糸の少なくとも一部の間に伸びている複数のストレッチ糸であって、ここで、各ストレッチ糸は、シースによって囲まれた弾性コアを含み、ここで、前記シースは、モダクリル繊維、セルロース繊維、およびアラミド繊維を含むシース繊維ブレンドを含む、複数のストレッチ糸とを含み、ここで:前記本体糸繊維ブレンドと前記シース繊維ブレンドは、それぞれ、40~55wt%のモダクリル繊維、30~45wt%の非FRセルロース繊維、および10~20wt%のアラミド繊維を含み;前記本体糸繊維ブレンドと前記シース繊維ブレンドは、実質的に同一であり;前記複数のストレッチ糸は、ストレッチ糸と本体糸の比が約1:2~約1:4で、前記布地の経糸方向または緯糸方向の少なくとも一方に配置されており;前記布地は、ASTM D6413(2015)に従って試験された場合に、炭化長が6インチ以下、および残炎が2秒以下であり;前記布地は、ASTM F1959(2014)に従って試験された場合に、少なくとも8cal/cm2のアーク評価を有し;前記布地は、ASTM F2894(2021)に従って試験された場合に、経糸方向と緯糸方向の両方において、熱収縮が10%以下であり;前記布地は、7~10オンス/平方ヤード(両端の値を含む)の範囲の目付を有し;および前記布地は、前記複数のストレッチ糸が伸びる経糸方向または緯糸方向の少なくとも一方において伸長率(%)および回復率(%)を有し、ここで、100回の産業的洗濯であって、各産業的洗濯において、前記布地を、30分間、標準的な華氏140度(140°F)の産業的洗浄にかけ、その布地を、工業用乾燥機内で華氏155度(155°F)以下のスタック温度で30分間乾燥させる、100回の産業的洗濯後、伸長率(%)は、少なくとも10%であり、回復率(%)は、少なくとも95%である、難燃性布地。
【0069】
実施例20.前記複数のストレッチ糸が、緯糸方向のみに配置されている、先行または後続する実施例または実施例の組合せのいずれかの布地。
【0070】
上記の構成要素の異なるアレンジメント、ならびに、示されていないか、または記載されていない構成要素および工程もあり得る。同様に、いくつかの特徴およびサブコンビネーションが有用であり、また、他の特徴およびサブコンビネーションとは無関係に利用され得る。本発明の実施形態は、限定のためではなく、例示のために記載されたものであり、本特許を読めば、代替的な実施形態が明らかになるであろう。したがって、本発明は、上記の実施形態または図面に示された実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲を逸脱することなく、種々の実施形態および変更を行うことが可能である。
【手続補正書】
【提出日】2024-01-18
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
経糸方向と緯糸方向を有する難燃性布地であって、前記布地は:
(a)それぞれが本体糸繊維ブレンドでできており、前記布地の経糸方向と緯糸方向の両方に配置されている複数の本体糸であって、ここで、前記本体糸繊維ブレンドは、モダクリル繊維、セルロース繊維、およびアラミド繊維を含む、複数の本体糸と;
(b)前記布地の前記経糸方向または前記緯糸方向の少なくとも一方に、前記本体糸の少なくとも一部の間に伸びている複数のストレッチ糸であって、ここで、各ストレッチ糸は、シースによって囲まれた弾性コアを含み、ここで、前記シースは、モダクリル繊維、セルロース繊維、およびアラミド繊維を含むシース繊維ブレンドを含む、複数のストレッチ糸
とを含み、ここで:
i.前記布地は、ASTM D6413(2015)に従って試験された場合に、炭化長が6インチ以下、および残炎が2秒以下であり;
ii.前記布地は、ASTM F1959(2014)に従って試験された場合に、少なくとも8cal/cm
2のアーク評価を有し;
および
iii.前記布地は、前記複数のストレッチ糸が伸びる前記経糸方向または前記緯糸方向の少なくとも一方において伸長率(%)および回復率(%)を有し、100回の産業的洗濯であって、各産業的洗濯において、前記布地を、30分間、標準的な華氏140度(140°F)の産業的洗浄にかけ、その布地を、工業用乾燥機内で華氏155度(155°F)以下のスタック温度で30分間乾燥させる、100回の産業的洗濯後、前記伸長率(%)は、少なくとも10%であり、前記回復率(%)は、少なくとも90%である、
難燃性布地。
【請求項2】
前記本体糸繊維ブレンド中の前記セルロース繊維が、非FRセルロース繊維であり、前記本体糸繊維ブレンドが、
30~60wt%のモダクリル繊維、
20~60wt%の非FRセルロース繊維、および
5~30wt%のアラミド繊維を含む、請求項1に記載の難燃性布地。
【請求項3】
前記シース繊維ブレンド中の前記セルロース繊維が、非FRセルロース繊維であり、前記シース繊維ブレンドが、
30~60wt%のモダクリル繊維、
20~60wt%の非FRセルロース繊維、および
5~30wt%のアラミド繊維を含む、請求項1に記載の難燃性布地。
【請求項4】
前記本体糸繊維ブレンドと前記シース繊維ブレンドとが、実質的に同一である、請求項1に記載の難燃性布地。
【請求項5】
前記本体糸繊維ブレンドと前記シース繊維ブレンドが、それぞれ、
30~60wt%のモダクリル繊維、
20~60wt%の非FRセルロース繊維、および
5~30wt%のアラミド繊維を含む、請求項4に記載の難燃性布地。
【請求項6】
前記本体糸繊維ブレンドが、モダクリル繊維、セルロース繊維、およびアラミド繊維のみを含む、請求項1に記載の難燃性布地。
【請求項7】
前記弾性コアが、ポリオレフィンを含む、請求項1に記載の難燃性布地。
【請求項8】
前記複数のストレッチ糸が、前記経糸方向と前記緯糸方向のいずれか一方のみに配置されている、請求項1に記載の難燃性布地。
【請求項9】
前記複数のストレッチ糸が、前記緯糸方向のみに配置されている、請求項8に記載の難燃性布地。
【請求項10】
前記複数のストレッチ糸が、ストレッチ糸と本体糸の比が
1:2~1:10で、前記布地の前記経糸方向または前記緯糸方向の少なくとも一方に配置されている、請求項1に記載の難燃性布地。
【請求項11】
前記複数のストレッチ糸が、ストレッチ糸と本体糸の比が
1:2~1:5で、前記布地の前記経糸方向または前記緯糸方向の少なくとも一方に配置されている、請求項10に記載の難燃性布地。
【請求項12】
前記複数のストレッチ糸が、ストレッチ糸と本体糸の比が1:2で、前記布地の前記経糸方向または前記緯糸方向の少なくとも一方に配置されている、請求項11に記載の難燃性布地。
【請求項13】
前記布地が、
237~305グラム/平方メートル(7~9オンス/平方ヤード
)(両端の値を含む)の範囲の目付を有する、請求項1に記載の難燃性布地。
【請求項14】
前記本体糸が、スパン糸である、請求項1に記載の難燃性布地。
【請求項15】
前記アラミド繊維が、生産者着色繊維であり、かつ濃色の顔料を含有する、請求項1に記載の難燃性布地。
【請求項16】
前記本体糸の少なくとも一部が、撚られている、請求項1に記載の難燃性布地。
【請求項17】
前記回復率(%)が、少なくとも95%である、請求項1に記載の難燃性布地。
【請求項18】
100回の産業的洗濯後の前記伸長率(%)および前記回復率(%)が、100回の産業的洗濯を開始する前の伸長率(%)および回復率(%)を、5%を超えて下回らない、請求項1に記載の難燃性布地。
【請求項19】
経糸方向と緯糸方向を有する難燃性布地であって、前記布地は:
(a)それぞれが本体糸繊維ブレンドでできており、前記布地の経糸方向と緯糸方向の両方に配置されている複数の本体糸であって、ここで、前記本体糸繊維ブレンドは、モダクリル繊維、セルロース繊維、およびアラミド繊維を含む、複数の本体糸と;
(b)前記布地の経糸方向または緯糸方向の少なくとも一方に、前記本体糸の少なくとも一部の間に伸びている複数のストレッチ糸であって、ここで、各ストレッチ糸は、シースによって囲まれた弾性コアを含み、ここで、前記シースは、モダクリル繊維、セルロース繊維、およびアラミド繊維を含むシース繊維ブレンドを含む、複数のストレッチ糸
とを含み、ここで:
i.前記本体糸繊維ブレンドと前記シース繊維ブレンドは、それぞれ、
30~60wt%のモダクリル繊維、
20~60wt%の非FRセルロース繊維、および
5~30wt%のアラミド繊維を含み;
ii.前記本体糸繊維ブレンドと前記シース繊維ブレンドは、実質的に同一であり;
iii.前記複数のストレッチ糸は、ストレッチ糸と本体糸の比が
1:2~1:10で、前記布地の前記経糸方向または前記緯糸方向の少なくとも一方に配置されており;
iv.前記布地は、ASTM D6413(2015)に従って試験された場合に、炭化長が6インチ以下、および残炎が2秒以下であり;
v.前記布地は、ASTM F1959(2014)に従って試験された場合に、少なくとも8cal/cm
2のアーク評価を有し
;
vi.前記布地は、
237~339グラム/平方メートル(7~10オンス/平方ヤード
)(両端の値を含む)の範囲の目付を有し;および
vii.前記布地は、前記複数のストレッチ糸が伸びる前記経糸方向または前記緯糸方向の少なくとも一方において伸長率(%)および回復率(%)を有し、ここで、100回の産業的洗濯であって、各産業的洗濯において、前記布地を、30分間、標準的な華氏140度(140°F)の産業的洗浄にかけ、その布地を、工業用乾燥機内で華氏155度(155°F)以下のスタック温度で30分間乾燥させる、100回の産業的洗濯後、前記伸長率(%)は、少なくとも10%であり、前記回復率(%)は、少なくとも95%である、
難燃性布地。
【請求項20】
前記複数のストレッチ糸が、前記緯糸方向のみに配置されている、請求項19に記載の難燃性布地。
【請求項21】
前記本体糸繊維ブレンドが、5~25wt%のナイロン繊維をさらに含む、請求項2に記載の難燃性布地。
【請求項22】
前記本体糸繊維ブレンドが、モダクリル繊維、セルロース繊維、アラミド繊維、ナイロン繊維及び帯電防止繊維からなる、請求項1に記載の難燃性布地。
【請求項23】
前記シース繊維ブレンドが、5~25wt%のナイロン繊維をさらに含む、請求項3に記載の難燃性布地。
【請求項24】
前記シース繊維ブレンドが、モダクリル繊維、セルロース繊維、アラミド繊維、ナイロン繊維及び帯電防止繊維からなる、請求項1に記載の難燃性布地。
【請求項25】
ASTM F2894(2021)に従って試験された場合に、前記経糸方向と前記緯糸方向の両方において、熱収縮が10%以下である、請求項1または19に記載の難燃性布地。
【国際調査報告】