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特表2024-520342操作要素、手術器具、及び操作器具を製造するための方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-24
(54)【発明の名称】操作要素、手術器具、及び操作器具を製造するための方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 18/12 20060101AFI20240517BHJP
【FI】
A61B18/12
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023571674
(86)(22)【出願日】2022-06-22
(85)【翻訳文提出日】2023-11-17
(86)【国際出願番号】 EP2022066938
(87)【国際公開番号】W WO2022268846
(87)【国際公開日】2022-12-29
(31)【優先権主張番号】102021116216.5
(32)【優先日】2021-06-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500023831
【氏名又は名称】カール シュトルツ エスエー ウント コンパニー カーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100154612
【弁理士】
【氏名又は名称】今井 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】ペーニッシュ ユーディット
(72)【発明者】
【氏名】ケルヒャー ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】レングレ ドミニク
(72)【発明者】
【氏名】メルツ ロビン
(72)【発明者】
【氏名】シュナイダー ヤノシュ
(72)【発明者】
【氏名】シュナイダー スヴェン
(72)【発明者】
【氏名】ウンガー トビアス
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160GG22
4C160KK03
4C160KK37
4C160NN11
(57)【要約】
本発明は、機械的な支承部と電気的な分離部とが組み合わされた力伝達要素、並びに力伝達要素を含む手術器具、及び力伝達要素を製造するための方法に関する。力伝達要素のロッドは、少なくとも1つの凹部を有し、絶縁部は、少なくとも前記凹部に沿って延在する。力伝達要素のスリーブは、形状部を有し、該形状部は、少なくとも部分的に前記凹部内に延在し、手術器具のロック要素と係合するために構成されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
手術器具用の力伝達要素(1)において、
力伝達のために構成された導電性のロッド(2)と、
前記ロッド(2)に沿って、周囲にわたり外側表面部上に且つ少なくとも部分的に軸方向に延在する電気的な絶縁部(3)と、
電気的な前記絶縁部(3)の周りで周囲にわたり配設されており且つ電気的な前記絶縁部(3)に沿って少なくとも部分的に軸方向に延在する導電性のスリーブ(4)と、を有し、
前記ロッド(2)は、少なくとも1つの凹部(5)を有し、前記絶縁部(3)は、少なくとも前記凹部(5)に沿って延在し、
前記スリーブ(4)は、形状部(6)を有し、前記形状部(6)は、少なくとも部分的に前記凹部(5)内に延在し、前記手術器具(10)のロック要素(12)と係合するために構成されていること、
を特徴とする、力伝達要素(1)。
【請求項2】
前記ロッド(2)は、丸棒として構成されており、電気的な前記絶縁部(3)は、前記ロッド(2)の表面部に沿って少なくとも部分的に環状に延在し、前記スリーブ(4)は、円形管として構成されており、電気的な前記絶縁部(3)の表面部に沿って少なくとも部分的に環状に延在すること、
を特徴とする、請求項1に記載の力伝達要素(1)。
【請求項3】
前記形状部(6)は、前記ロック要素(12)の係合時に前記スリーブ(4)の軸方向と平行な軸線の周りの少なくとも回転自由度を阻止するために構成されていること、
を特徴とする、請求項1又は2に記載の力伝達要素(1)。
【請求項4】
前記形状部(6)は、前記ロック要素(12)の平坦な面部(12A)と実質的に平らに当たって接触するための少なくとも1つの実質的に平坦な部分(6A)を有し、該部分(6A)は、前記スリーブ(4)の軸方向と平行に延在し、前記スリーブ(4)の外側表面部に対し、半径方向で更に内側に位置すること、
を特徴とする、請求項3に記載の力伝達要素(1)。
【請求項5】
前記凹部(5)は、前記ロッド(2)の軸方向と平行な少なくとも1つの実質的に平坦な部分(5A)を有し、該部分(5A)は、前記ロッド(2)の外側表面部に対し、半径方向で更に内側に位置し、前記形状部(6)の実質的に平坦な部分(6A)と互いに当たるように、特に平らに当たるように、接触されていること、
を特徴とする、請求項4に記載の力伝達要素(1)。
【請求項6】
前記形状部(6)は、前記ロック要素(12)の係合時に前記スリーブ(4)と平行な方向における少なくとも並進自由度を制限又は阻止するために構成されており、前記形状部(6)は、特に、少なくとも並進自由度を制限又は阻止するための少なくとも1つのストッパ(7A、7B)を有すること、
を特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載の力伝達要素(1)。
【請求項7】
前記凹部(5)は、少なくとも1つのストッパ(8A、8B)を有し、該ストッパ(8A、8B)は、前記形状部(6)とともに、前記ロッド(2)と平行な方向における少なくとも並進自由度を制限又は阻止するために構成されていること、
を特徴とする、請求項1~6のいずれか一項に記載の力伝達要素(1)。
【請求項8】
電気的な前記絶縁部(3)は、少なくとも前記形状部(6)の領域で、その外側表面部において滑り特性を有し、及び/又は、前記スリーブ(4)は、少なくとも前記形状部(6)の領域で、その内側表面部において滑り特性を有すること、
を特徴とする、請求項1~7のいずれか一項に記載の力伝達要素(1)。
【請求項9】
手術器具(10)において、
請求項1~8のいずれか一項に記載の力伝達要素(1)と、
前記力伝達要素(1)が受容されている管状シャフト(11)と、
前記管状シャフト(11)内に支承されており且つ前記力伝達要素(1)の前記スリーブ(4)の前記形状部(6)に係合するロック要素(12)と、
前記力伝達要素(1)を用いて運動可能であるツール(13)と、
前記力伝達要素(1)を操作するために構成されている操作インタフェースと、を有すること、
を特徴とする手術器具(10)。
【請求項10】
前記力伝達要素(1)の前記ロッド(2)は、丸棒として構成されており、電気的な前記絶縁部(3)は、前記ロッド(2)の表面部に沿って少なくとも部分的に環状に延在し、前記スリーブ(4)は、円形管として構成されており、電気的な前記絶縁部(3)の表面部に沿って少なくとも部分的に環状に延在し、前記力伝達要素(1)は、前記管状シャフト(11)内に同心に配設されていること、
を特徴とする、請求項9に記載の手術器具(10)。
【請求項11】
前記ロック要素(11)は、前記形状部(6)の方を向いたその表面部において滑り特性を有し、及び/又は、前記形状部(6)は、その外側表面部において滑り特性を有すること、
を特徴とする、請求項9又は10に記載の手術器具(10)。
【請求項12】
手術器具用の力伝達要素(1)、特に請求項1~7のいずれか一項に記載の力伝達要素(1)を製造するための方法において、以下のステップを含むこと、即ち、
力伝達のために構成され、凹部(5)を有する導電性のロッド(2)を提供するステップ(S1)、
電気的な絶縁部(3)を、前記ロッド(2)に沿って、周囲にわたり外側表面部上に且つ少なくとも部分的に軸方向に取り付けるステップ(S2)、但しそれにより前記絶縁部(3)は、少なくとも前記凹部(5)に沿って延在すること、
導電性のスリーブ(4)を、電気的な前記絶縁部(3)に沿って少なくとも部分的に軸方向に前記絶縁部(3)の周りで周囲に配設するステップ(S3)、及び、
少なくとも部分的に前記凹部(5)に係合し且つ前記手術器具(10)のロック要素(12)と係合するために構成される形状部(6)を前記スリーブ(4)に対して形状加工するステップ(S4)、
を含むこと、
を特徴とする方法。
【請求項13】
提供のステップ(S1)は、特に変形加工又は切削加工により、前記ロッド(2)に前記凹部(5)を作成するステップを含むこと、
を特徴とする、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記絶縁部(3)を取り付けるステップ(S2)は、前記ロッド(2)上への収縮チューブの縮着、又は前記ロッド(2)のコーティングを含むこと、
を特徴とする、請求項12又は13に記載の方法。
【請求項15】
周囲の配設のステップ(S3)は、以下のステップを含むこと、即ち、
熱膨張により前記スリーブ(4)の内径が電気的な前記絶縁部(3)の外径より大きくなるまで、前記スリーブ(4)を加熱するステップ(S3.1)、
加熱された前記スリーブ(4)を電気的な前記絶縁部(3)上に押し込むステップ(S3.2)、及び、
加熱されて押し込まれた前記スリーブを冷却するステップ(S3.3)、
を含むこと、
を特徴とする、請求項12~14のいずれか一項に記載の方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機械的な支承部と電気的な分離部とが組み合わされた力伝達要素、並びに力伝達要素を含む手術器具、及び力伝達要素を製造するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
手術器具(例えば外科用器具)は、多くの場合、機械的な支承部、特に回り止め部、又はストッパを有する軸方向案内部を有する。更に手術器具は、多くの場合、電気的な分離部(絶縁部)を有する。機械的な支承部と電気的な分離部とは、手術器具の別個の構成部材又は要素により実現される。
【0003】
例えば、管状シャフトと、管状シャフト内に支承された力伝達要素とを有する手術用の管状シャフト器具(例えば内視鏡器具)は、管状シャフトに対する力伝達要素の相対回転(ねじれ)を防止する回り止め部を有する。更にこの種の手術用の管状シャフト器具は、それに加え又はそれに代わり、ストッパを有する軸方向案内部を有することができ、該軸方向案内部は、力伝達要素を、管状シャフト内で、好ましくは中央で、軸方向に案内し、力伝達要素の並進運動を1つ又は2つのストッパを用いて制限する。
【0004】
更に例えば、バイポーラ稼働される手術用の管状シャフト器具(例えばバイポーラツール/付属品を有する内視鏡器具)は、2つの電気的なライン部を有し、これらの電気的なライン部は、通常は、手術用の管状シャフト器具の互いに電気的に絶縁された2つの構成部材又は要素により構成されている。バイポーラ稼働される手術用の管状シャフト器具において、手術用の管状シャフト器具の付属品には、2つの電極(アクティブ電極及びニュートラル電極)が配設されている。この際、第1の電極(アクティブ電極)からは、高周波交流が、直接的に第2の電極(ニュートラル電極)に向かい合い、目標組織内にもたらされることが可能である。
【0005】
第1の電気的なライン部として構成された管状シャフトと、管状シャフト内に支承され且つ第2の電気的なライン部として構成された力伝達要素とを有するバイポーラ稼働される手術用の管状シャフト器具では、一方では、力伝達要素のための回り止め部又は軸方向案内部が管状シャフト内に設けられており、他方では、管状シャフトに対し、力伝達要素の別個の電気的な分離部ないし絶縁部が設けられている。それにより両方の機能、即ち機械的な案内と電気的な分離とを実現するために、そのような手術用の管状シャフト器具内には、追加的な個別部材及び接続部が配設されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
この背景技術から、本発明の基礎を成す課題は、機械的な支承部と電気的な分離部とが組み合わされた、改善された医療器具を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題は、本発明により、特許請求項1の特徴を有する操作要素により、及び/又は、特許請求項9の特徴を有する手術器具により、及び/又は、特許請求項12の特徴を有する方法により解決される。
【0008】
それに応じ、本発明の第1の視点により、ロッドと、電気的な絶縁部と、スリーブとを有する手術器具用の力伝達要素が提供されている。ロッドは、導電性であり且つ力伝達のために構成されている。電気的な絶縁部は、ロッドに沿って、周囲にわたり外側表面部上に且つ少なくとも部分的に軸方向に延在する。スリーブは、導電性である。スリーブは、電気的な絶縁部の周りで周囲にわたり配設されており且つ電気的な絶縁部に沿って少なくとも部分的に軸方向に延在する。ロッドは、少なくとも1つの凹部を有する。絶縁部は、少なくとも前記凹部に沿って延在する。スリーブは、形状部(エンボスメント:Praegung)を有し、該形状部は、少なくとも部分的に前記凹部内に延在し、手術器具のロック要素と係合するために構成されている。
【0009】
更に本発明の第2の視点により、本発明の第1の視点による力伝達要素と、管状シャフトと、ロック要素と、ツールと、操作インタフェースとを有する、手術器具、特に手術用の管状シャフト器具が提供されている。力伝達要素は、管状シャフト内に受容されている。ロック要素は、管状シャフト内に支承されており、力伝達要素のスリーブの形状部に係合する。ツールは、力伝達要素を用いて運動可能である。操作インタフェースは、力伝達要素を操作するために構成されている。
【0010】
更に本発明の第3の視点により、手術器具用の力伝達要素、特に本発明の第1の視点による力伝達要素を製造するための方法が提供されており、該方法は、以下のステップを含む:
力伝達のために構成され、凹部を有する導電性のロッドを提供するステップ。
電気的な絶縁部を、ロッドに沿って、周囲にわたり外側表面部上に且つ少なくとも部分的に軸方向に取り付けるステップ、但しそれにより絶縁部は、少なくとも前記凹部に沿って延在すること。
導電性のスリーブを、電気的な絶縁部に沿って少なくとも部分的に軸方向に絶縁部の周りで周囲に配設するステップ。
少なくとも部分的に前記凹部に係合し且つ手術器具のロック要素と係合するために構成される形状部をスリーブに対して形状加工するステップ。
【0011】
ロッドは、少なくとも部分的に、例えば鋼又は特殊鋼のような金属材料から製造されていることが可能である。ロッドは、特に、軸方向力(引っ張り又は押し込み)を伝達し、またそれに加え又はそれに代わり、トルクを伝達するように構成されていることが可能である。その軸方向力ないしトルクは、操作インタフェースからロッドに伝達され、付属品ないしツールを動かすためにロッドを介して手術器具の付属品又はツールへと更に伝えられることが可能である。
【0012】
ロッドの凹部は、スリーブに対してロッドの少なくとも1つの並進自由度又は回転自由度を制限又は阻止するために用いられる。この際、ロッドは、スリーブに対し、凹部の領域及びそこに係合する形状部の領域において支承され、またそれに加え又はそれに代わり案内される。凹部は、例えばロッドへのフライス加工のような切削法によりもたらされることが可能である。
【0013】
絶縁部は、少なくとも部分的に、例えばポリテトラフルオロエチレン(PTFE、テフロン(登録商標))のようなポリマー材料か、又はセラミック材料から製造されていることが可能である。絶縁部は、導電性のロッドを導電性のスリーブから電気的に分離する。特に手術ツールのバイポーラ稼働では、両方の極のうちの一方が電流を導くためにロッドと電気的に接続され且つ両方の極のうちの他方が電流を導くために、電気的な絶縁部によりロッドから電気的に分離されたスリーブと電気的に接続されることにより、電流を力伝達要素を介して導くことが可能である。
【0014】
絶縁部は、ロッドの表面上で周囲にわたり配設されている。この際、絶縁部は、ロッドに沿った少なくとも一部分に配設されており、該部分は、少なくとも凹部の一部にわたり延在する。絶縁部は、ロッドの表面部に接触し、また絶縁部は、凹部の領域でも、凹部ないしロッドの表面部と接触する。特に絶縁部は、固定で機械的にロッドと接続されている(例えば締まり嵌めないしプレス嵌め)。従って絶縁部は、絶縁部が少なくとも凹部の領域でロッドを周囲にわたり取り囲むように、ロッド上に取り付けられる。この取り付けは、例えばコーティング又は収縮チューブの縮着により行うことができる。絶縁部は、ロッドの周部に沿って実質的に一定の厚さを有することができる。それに対応し、スリーブの形状部は、該形状部が絶縁部と接触状態にあるがロッドとは接触状態にないように、ロッドの凹部に係合する。
【0015】
スリーブは、少なくとも部分的に、例えば鋼又は特殊鋼のような金属材料から製造されていることが可能である。スリーブは、凹部の少なくとも一部分を含んだ、絶縁部を有するロッドの周りの領域で周囲にわたり配設されている。軸方向のスリーブの穴部は、特に同心に配設されている。スリーブは、絶縁部と固定で機械的に接続されているか(例えば締まり嵌めないしプレス嵌め)、又は、スリーブの穴部に予め規定された滑り摩擦を有するスリーブに対し、絶縁部を有するロッドの摺動ないし回転を可能にする。この際、スリーブは、ロッド上に押し込まれ、スリーブが少なくとも部分的に凹部の領域に配設されるように前へ押し込まれる。
【0016】
形状部は、該形状部が凹部に係合するようにスリーブに形状加工され、この際、形状部は、ロッド自体ではなくロッドの周りの絶縁部だけに接触する。特に形状部は、半径方向で凹部に係合する。この際、形状部と凹部は、スリーブに対するロッドのための支承部又は案内部を構成し、この際、絶縁部は、形状部と凹部の双方と接触状態にあり、形状部と凹部の双方を互いに分離する。それによりロッドは、少なくとも凹部の領域及び該凹部に係合する形状部の領域において、絶縁部とともにスリーブ内に支承ないし案内されている。スリーブの形状加工は、例えば、スリーブの周部の予め規定された部分において押込工具(型部材)により行うか、又は全周にわたり回転形状加工(回転型押加工)により行うことができる。
【0017】
力伝達要素は、手術器具の管状シャフト内に挿入される。この際、力伝達要素は、少なくとも、スリーブを介して管状シャフト内に支承ないし案内されている。スリーブは、管状シャフトに対して電気的に絶縁されていることが可能である。特にスリーブは、該スリーブないし力伝達要素が管状シャフトに対して軸方向に摺動できる又は回転できるように、管状シャフト内に支承ないし案内されている。従って力伝達要素は、軸方向力(引っ張り又は押し込み)を伝達し、またそれに加え又はそれに代わり、トルクを管状シャフト内で該管状シャフトに対して相対的に伝達することができる。
【0018】
例えば管状シャフトから力伝達要素のはみ出しをもたらし得る、管状シャフトに対する力伝達要素の望まれない摺動又は相対回転を防止するために、スリーブは、従って力伝達要素は、管状シャフト内でロック要素を介してロックされている。この際、管状シャフト内に支承されたロック要素は、スリーブの形状部に係合する。例えばロック要素は、管状シャフトに対して半径方向で可動に支承されており、半径方向で形状部に係合することができる。特にロック要素は、半径方向で、例えば弾性的なスプリングリングを用い、プリロードされていることが可能である。
【0019】
特に交換可能な付属品の形態で構成されていることが可能であるツールは、力伝達要素を介して管状シャフト内に且つ管状シャフトに対して伝達される軸方向力ないしトルクにより動かされる。ツールは、クランプ、鉗子、ピンセット、つかみ具、はさみなどとして構成されていることが可能である。特にツールは、更に、例えば組織を切断したり、閉塞したりするなどのために、バイポーラ稼働されるように構成されていることが可能である。
【0020】
操作インタフェースは、軸方向力又はトルクが力伝達要素に加えられることにより、力伝達要素を操作するために用いられる。
【0021】
手術器具が例えば外科医などの利用者により案内されるべきであるならば、手術器具は、利用者のための操作部としてハンドグリップを含む。更に操作インタフェースは、利用者によりハンドグリップにおいて適切な操作(例えば可動のグリップ脚部)を介して加えられる力ないしトルクを力伝達要素に伝達する。
【0022】
手術器具が所定のロボットに接続可能であるならば、手術器具は、ロボットのための対応の接続インタフェースを含み、該接続インタフェースには、操作インタフェースを介して軸方向力ないしトルクを力伝達要素に加えることができる。
【0023】
ロッドと、絶縁部と、スリーブとを有する本発明による力伝達要素は、絶縁部をロッド上に取り付け、次いでスリーブをロッド上に配設し、最後に形状部をロッドの凹部の領域に形状加工するだけでよいので、特に簡単に製造することができる。更に本発明による力伝達要素により、手術器具の管状シャフトに対する力伝達要素の案内と電気的な絶縁とのための別個の構成部材を省略することができる。従って有利には、追加的な個別部材と接続部に基づく生産コスト及び製造コストの増加が回避される。更に通常は強く機械的に負荷される前記接続部の機械的な負荷による該当の手術用の管状シャフト器具の故障も有利に回避される。
【0024】
本発明の有利な更なる構成、及び展開形態は、対応の従属特許請求項の対象である。
【0025】
本発明の更なる一構成により、力伝達要素のロッドは、丸棒として構成されている。電気的な絶縁部は、ロッドの表面部に沿って少なくとも部分的に環状に延在する。スリーブは、円形管として構成されており、電気的な絶縁部の表面部に沿って少なくとも部分的に環状に延在する。
【0026】
更なる一構成により、管状シャフトは、円形管として構成されている。力伝達要素のロッドは、丸棒として構成されている。電気的な絶縁部は、ロッドの表面部に沿って少なくとも部分的に環状に延在する。スリーブは、円形管として構成されており、電気的な絶縁部の表面部に沿って少なくとも部分的に環状に延在する。力伝達要素は、管状シャフト内に同心に配設されている。
【0027】
丸棒として構成されたロッドは、凹部の領域を除き、軸方向に沿って実質的に一定の直径を有する実質的に円形の横断面を有する。
【0028】
絶縁部は、特に凹部から離れたところで、環状に且つ特にロッドの周りに同心に配設されている。
【0029】
円形管として構成されたスリーブは、形状部の領域以外では、軸方向に沿って実質的に一定の直径を有する実質的に円形の横断面を有する。円形管として構成されたスリーブは、環状に且つ特に絶縁部の周りに同心に配設されている。
【0030】
円形管として構成された管状シャフトは、軸方向に沿って実質的に一定の直径を有する実質的に円形の横断面を有する。丸棒として構成されたロッドと、円形管として構成されたスリーブとを有する力伝達要素は、円形管として構成された管状シャフト内で同心に配設されている。この際、ロック要素は、丸棒として構成されたロッドと、円形管として構成されたスリーブとを有する力伝達要素を、円形管として構成された管状シャフト内でロックするために、半径方向で形状部に係合する。
【0031】
このように構成された力伝達要素及び手術器具は、有利には特に簡単に製造することができる。
【0032】
更なる一構成により、形状部は、ロック要素の係合時にスリーブと平行ないしスリーブの軸方向と平行な軸線の周りの少なくとも回転自由度を阻止するために構成されている。
【0033】
手術器具(以下、手術要素とも称する)のロック要素は、管状シャフトに対するスリーブの回転と、凹部の形態に応じてロッドの回転も、妨げられているように、形状部に係合する。従って、管状シャフトに対するスリーブの軸方向の摺動と、凹部の形態に応じてロッドの軸方向の摺動も、これらに限り可能である。
【0034】
従って、手術要素のツールないし付属品に対しても、スリーブないし力伝達要素全体の望まれない回転を回避し、それによりツール/付属品の正常な機能を保証することができる。
【0035】
更なる一構成により、形状部は、ロック要素の平坦な面部と実質的に平らに当たって接触するための少なくとも1つの実質的に平坦な部分を有する。この実質的に平坦な部分は、スリーブの軸方向と平行に延在し、スリーブの外側表面部に対し、半径方向で更に内側に位置する。
【0036】
この実質的に平坦な部分は、ロッドないし丸棒に例えば平面フライス加工により作成されることが可能である。この実質的に平坦な部分は、平坦な接触面部を形成する。この平坦な接触面部が、スリーブに対して半径方向で内側に向かってプリロードされているロック要素の同様に実質的に平坦な面部により接触されると、好ましくは平らに接触されると、スリーブと、凹部の形態に応じてロッドも、手術器具の管状シャフトに対し、回転/相対回転(ねじれ)に対してロックされている。
【0037】
従って、形状部のこの形態は、有利には、特に簡単に製造すべき回り止め部を可能にする。
【0038】
本発明の更なる一構成により、凹部は、ロッドの軸方向と平行な少なくとも1つの実質的に平坦な部分を有する。この実質的に平坦な部分は、ロッドの外側表面部に対し、半径方向で更に内側に位置し、形状部の実質的に平坦な部分と互いに当たるように、特に平らに当たるように、接触されている(即ち設けられている)。
【0039】
スリーブが、形状部の実質的に平坦な部分と、手術要素の実質的に平坦な面部を有するロック要素とを介し、管状シャフト内で回転ないし相対回転(ねじれ)に対してロックされるのであれば、ロッドも、その実質的に平坦な部分を介し、及び形状部の実質的に平坦な部分を介し、管状シャフトに対し、回転/相対回転(ねじれ)に対してロックされている。
【0040】
本発明の更なる一構成により、形状部は、ロック要素の係合時にスリーブと平行ないしスリーブの軸方向と平行な方向における少なくとも並進自由度を制限又は阻止するために構成されている。
【0041】
手術要素のロック要素は、管状シャフトに対するスリーブの軸方向の摺動と、凹部の形態に応じてロッドの軸方向の摺動も、制限又は阻止されているように、形状部に係合する。一実施形態では、管状シャフトに対するスリーブの回転と、凹部の形態に応じてロッドの回転も、可能にされていることができる。
【0042】
従って、手術要素のツールないし付属品に対しても、スリーブないし力伝達要素全体の望まれない軸方向の摺動を回避でき、それによりツール/付属品の正常な機能を保証することができる。
【0043】
更なる一構成により、形状部は、少なくとも1つのストッパを有する。形状部の少なくとも1つのストッパは、ロック要素の係合時にスリーブと平行ないしスリーブの軸方向と平行な少なくとも並進自由度を阻止又は制限するために構成されている。
【0044】
もしもロック要素がその側面部の少なくとも1つを用いて軸方向で形状部のストッパに当接すると、(ストッパがロック要素に向かう方向で)管状シャフトに対するスリーブの軸方向の摺動は、もはや可能ではない。特に形状部において軸方向で互いに反対側にある2つのストッパが設けられている場合には、管状シャフトに対するスリーブの軸方向の運動は、両方の軸方向の運動方向で少なくとも制限されている。軸方向で互いに反対側にある両方のストッパが、軸方向に指向されたロック要素の両方の側面部に常に当接するように配設されているのであれば、管状シャフトに対するスリーブの並進自由度は、制限されるだけでなく妨げられている。
【0045】
本発明の更なる一展開形態により、凹部は、少なくとも1つのストッパを有する。凹部の少なくとも1つのストッパは、形状部とともに、ロッドと平行な方向ないしロッドの軸方向と平行な方向における少なくとも並進自由度を制限又は阻止するために構成されている。
【0046】
もしも形状部がその少なくとも1つのストッパを用いて軸方向で凹部のストッパに当接すると、凹部のストッパが形状部のストッパに向かう方向で、スリーブに対するロッドの軸方向の摺動は、もはや可能ではない。特に凹部において軸方向で互いに反対側にある2つのストッパが設けられる場合には、スリーブに対するロッドの軸方向の運動は、両方の軸方向の運動方向で少なくとも制限されている。軸方向で互いに反対側にある両方のストッパが、形状部の両方のストッパに均等に当接するように配設されているのであれば、スリーブに対するロッドの並進自由度は、制限されるだけでなく妨げられている。
【0047】
本発明の更なる一構成により、電気的な絶縁部は、少なくとも形状部の領域で、その外側表面部において滑り特性を有する。それに加え又はそれに代わり、スリーブは、少なくとも形状部の領域で、その内側表面部において滑り特性を有する。
【0048】
電気的な絶縁部の外側表面部の滑り特性ないし形状部の内側表面部の滑り特性は、材料の適切な選択(例えば電気的な絶縁部のためのPTFE)により、またそれに加え又はそれに代わり、それぞれの表面部の適切な処理(例えば、研磨、ホーニングなど)により保証されることが可能である。例えば電気的な絶縁部は、PTFEから製造され、スリーブは、特殊鋼から製造されていることが可能である。更にスリーブの内側表面部は、研磨されていることが可能である。それにより特殊鋼から成るスリーブの研磨された内側表面部は、PTFEから成る絶縁部の外側表面部上で良好に滑ることができ、従って電気的な絶縁部に対するスリーブの、滑りによる軸方向の摺動、又は回転が可能である。
【0049】
本発明の更なる一構成により、ロック要素は、形状部の方を向いたその表面部において滑り特性を有する。それに加え又はその代わりに、形状部は、その外側表面部において滑り特性を有する。
【0050】
形状部の方を向いたロック要素の表面部の滑り特性ないし形状部の外側表面部の滑り特性は、材料の適切な選択により、またそれに加え又はそれに代わり、それぞれの表面部の適切な処理(例えば、研磨、ホーニングなど)により保証されることが可能である。例えばスリーブとロック要素は、特殊鋼から製造され、更にスリーブの外側表面部と、形状部の方を向いたロック要素の表面部とは、研磨されていることが可能である。それにより特殊鋼から成るスリーブの研磨された外側表面部は、形状部の方を向いた、特殊鋼から成るロック要素の表面上で良好に滑ることができ、従ってロック要素ないし手術器具の管状シャフトに対するスリーブの、滑りによる軸方向の摺動、又は回転が可能である。
【0051】
本発明の更なる一構成により、提供のステップは、特に、例えばプレス加工である変形加工により、或いは、例えばフライス加工又は旋削加工である切削加工により、ロッドに凹部を作成するステップを含む。
【0052】
本発明の更なる一構成により、絶縁部を取り付けるステップは、ロッド上への収縮チューブの縮着、又はロッドのコーティングを含む。
【0053】
本発明の更なる一構成により、周囲の配設のステップは、以下のステップを含む:
熱膨張によりスリーブの内径が電気的な絶縁部の外径より大きくなるまで、スリーブを加熱するステップ。
加熱されたスリーブを電気的な絶縁部上に押し込むステップ。
加熱されて押し込まれたスリーブを冷却するステップ。
【0054】
加熱されたスリーブは、少なくとも部分的にロッドの凹部の領域に配設されるように、電気的な絶縁部を有するロッド上に押し込まれる。押し込まれたスリーブが冷却されると直ちに、スリーブと電気的な絶縁部との間に、締まり嵌めないしプレス嵌め、つまり固定的で機械的な接続が得られ、又はすきま嵌め、つまり滑り接続が得られる。
【0055】
上記の形態及び更なる構成は、有意義であれば、任意で互いに組み合わせることができる。本発明の更なる可能な形態、更なる構成、及び実装は、前述の又は以下で実施例に関して記載される本発明の特徴に基づく明示的には述べられていない組み合わせも含む。特にこの際、当業者は、本発明のそれぞれの基本構成に対する改善又は補足としての個々の観点も付け加えるであろう。
【0056】
以下、図面の概略図に記載された実施例に基づき、本発明を詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0057】
図1】手動式の一手術器具の側面図である。
図2】手術器具の縦断面図である。
図3】手術器具の力伝達要素の第1実施形態の等角図である。
図4A】力伝達要素の第1実施形態の第1バリエーションの縦断面図である。
図4B】力伝達要素の第1実施形態の第2バリエーションの縦断面図である。
図4C】形状部の領域における力伝達要素の第1実施形態の横断面図である。
図5】力伝達要素の第2実施形態の等角図である。
図6A】力伝達要素の第2実施形態の第1バリエーションの縦断面図である。
図6B】力伝達要素の第2実施形態の第2バリエーションの縦断面図である。
図6C】形状部の領域における力伝達要素の第2実施形態の横断面図である。
図7】力伝達要素の第3実施形態の等角図である。
図8A】力伝達要素の第3実施形態の第1バリエーションの縦断面図である。
図8B】力伝達要素の第3実施形態の第2バリエーションの縦断面図である。
図8C】形状部の領域における力伝達要素の第3実施形態の横断面図である。
図9】力伝達要素の第4実施形態の等角図である。
図10】力伝達要素の第4実施形態の縦断面図である。
図11】力伝達要素を製造するための方法の一実施形態のフローチャートを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0058】
図面の添付の各図は、本発明の実施形態を更に理解させるべきものである。これらの図は、実施形態を具体的に示し、本明細書との関連で本発明の原理と概念を説明するために用いられる。他の実施形態、及び既述の利点の多くは、図面を顧慮して明らである。図面の要素は、必ずしも互いに縮尺に忠実に示されているわけではない。
【0059】
図面の各図では、特に明記しない限り、同一の、機能が同一の、及び同様に作用する、要素、特徴、及びコンポーネントには、それぞれ同じ参照符号が付けられている。
【0060】
図1には、手動式の手術器具10が概略的に図示されている。手術器具10は、力伝達要素(ここでは非図示、図2から図10を参照)、管状シャフト11、ロック要素(ここでは非図示、図2を参照)、ツールないし付属品13、ハンドグリップ14、可動のグリップ脚部15、及び付属品インタフェース16を含む。
【0061】
力伝達要素1は、管状シャフト11内に受容され、支承されている(図2を参照)。ロック要素12は、力伝達要素1を、管状シャフト11に対する相対回転(ねじれ)に対し、またそれに加え又はそれに代わり、軸方向の摺動に対してロックする(図2を参照)。ここでツール13は、つかみ具として構成されており、つかみ具には、力伝達要素1を介してバイポーラ電流を供給することができる。ここで手術器具10には、利用者(例えば外科医)による手動の案内のためにハンドグリップ14が備えられている。それに代わり手術器具10には、ロボットによる案内のためにロボットのための対応の接続インタフェース(非図示)を備えることができる。可動のグリップ脚部15は、手動の力導入のために用いられる。この際、グリップ脚部15に加えられた力は、グリップ脚部15により力伝達要素1に伝達される。また力伝達要素1は、軸方向力をツール/付属品に伝達する。それに加え、力伝達装置1を介し、バイポーラ発電機(非図示)の2つの電極がツールと接続されている。付属品インタフェース16を介し、ツール/付属品13は、ハンドグリップ14と取り外し可能に機械的に接続されることが可能である。
【0062】
図2には、付属品インタフェース16の領域で図1の手術器具10の縦断面図が図示されている。
【0063】
力伝達要素1は、円形管として構成された管状シャフト11内に受容され且つ案内されている。この際、力伝達要素1は、管状シャフト11内に案内されたロック要素12によりロックされる。力伝達要素1は、ロッド2と、電気的な絶縁部3と、スリーブ4とを含む。
【0064】
ロッド2は、丸棒として構成されており、特殊鋼から製造されている。ロッド2を介し、例えば可動のグリップ脚部15(ここでは非図示、図1を参照)からの軸方向力をツール13(ここでは非図示、図1を参照)に伝達することができる。更にロッド2を介し、バイポーラ発電機の2つの電極のうちの一方をツール13と接続することができる。ロッド2は、凹部5を有する。凹部5は、異なる形状を有することができる(図3から図10を参照)。
【0065】
電気的な絶縁部3は、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)から製造されており、ロッド2の周りで周囲にわたり、ここでは環状に且つ同心に配設されている。その材料は、PFA(ペルフルオロアルコキシアルカン)又は類似の材料としてもよいであろう。電気的な絶縁部3は、ロッド2と機械的に固定接続され、ロッド2を電気的にスリーブ4から分離する。電気的な絶縁部3は、凹部5の領域でもロッド2の周りに配設され、ロッド2と機械的に固定接続されている。
【0066】
スリーブ4は、特殊鋼から製造されており、電気的な絶縁部3の周りで周囲にわたり、ここでは環状に且つ同心に配設されている。スリーブ4は、凹部5の領域に、凹部5に係合する形状部(エンボスメント:Praegung)6を有する。この際、スリーブ4は、その全長にわたり、電気的な絶縁体3とだけ接触状態にあり、しかしロッド2とは接触状態にない。スリーブ4を介し、バイポーラ発電機の2つの電極のうちの他方をツール13と接続することができる。形状部6は、遠位側のストッパ7Aと、近位側のストッパ7Bを有する。
【0067】
ロック要素12は、リングスプリング17を介して遠位側の方向で力伝達要素1に向かってプリロードされ、形状部6に係合する。この際、形状部6の方を向いたロック要素12の面部12Aは、形状部6の外側表面部に接している。形状部6の方を向いたロック要素12の面部12Aは、実質的に平坦であることができ、形状部6の外側表面部は、実質的に平坦な部分6Aを含むことができ、それにより、形状部6の方を向いたロック要素12の面部12Aは、実質的に平らに、形状部6の実質的に平坦な部分6Aに接している。それによりスリーブ4の縦軸線の周りの回転自由度が阻止され、従ってスリーブ4は、管状シャフト11に対し、回転/相対回転(ねじれ)に対してロックされている。
【0068】
ロック要素12の遠位側の傾斜部は、形状部6の遠位側のストッパ7Aとともに軸方向におけるスリーブ4の並進自由度を制限する。ロック要素12の近位側の傾斜部は、形状部6の近位側のストッパ7Bとともに軸方向におけるスリーブ4の並進自由度を制限する。図2では、ロック要素12の近位側の傾斜部が形状部6の近位側のストッパ7Bに当接した状態で図示されている。それによりスリーブ4は、管状シャフト11に対して更に遠位側に摺動することはできない。
【0069】
どのようにロッド2がスリーブ4に対して並進又は回転について制限又は妨げられているかは、力伝達要素1のそれぞれの実施形態に依存する。次に力伝達要素1の4つの異なる実施形態について説明する。
【0070】
図3、4A、4B、4Cには、力伝達要素1の第1実施形態が概略的に図示されている。
【0071】
ロッド2における凹部5は、環状に周回しており、凹部5の遠位側のストッパと、凹部5の近位側のストッパとを有する。例えばロッド2における凹部5は、旋削加工により作成されることが可能である。
【0072】
電気的な絶縁部3は、凹部5の領域でも環状に且つ同心でロッド2に接している。
【0073】
スリーブ4における形状部6は、形状部6の遠位側のストッパ7Aと、形状部6の近位側のストッパ7Bとともに、環状に周回しており、例えば1つ又は複数の回転ローラを用いた回転形状加工(回転型押加工)により形成されることが可能である。
【0074】
図4Aには、力伝達要素1の第1実施形態の第1バリエーションの縦断面が概略的に図示されている。スリーブ4は、凹部5全体に係合する形状部6を有し、この際、スリーブ4は、電気的な絶縁部3に接している。スリーブ4の遠位側のストッパ7Aは、この領域でロッド2ないし絶縁部3の遠位側のストッパ8Aに接している。同様にスリーブ4の近位側のストッパ7Bは、この領域でロッド2ないし絶縁部3の近位側のストッパ8Bに接している。それによりスリーブ4に対するロッド2の軸方向の自由度が妨げられている。電気的な絶縁部3とスリーブ4との間の滑り特性に応じ、ロッド2は、絶縁部3とともにスリーブ4に対して回転されることが可能である。
【0075】
図4Bには、力伝達要素1の第1実施形態の第2バリエーションの縦断面が概略的に図示されている。スリーブ4は、一部分だけで凹部5に係合する形状部6を有し、この際、スリーブ4は、電気的な絶縁部3に接している。スリーブ4の遠位側のストッパ7Aは、この領域でロッド2ないし絶縁部3の遠位側のストッパ8Aには接していない。同様にスリーブ4の近位側のストッパ7Bは、この領域でロッド2ないし絶縁部3の近位側のストッパ8Bには接していない。それによりスリーブ4に対するロッド2の軸方向の自由度は、それらのストッパの間でのみ制限されており、しかし完全には妨げられていない。電気的な絶縁部3とスリーブ4との間の滑り特性に応じ、ロッド2は、絶縁部3とともにスリーブ4に対して回転されることが可能である。
【0076】
図4Cには、形状部6の領域における力伝達要素1の第1実施形態の横断面が概略的に図示されている。形状部6は、環状に且つ同心で電気的な絶縁部3に接している。
【0077】
図5、6A、6B、6Cには、力伝達要素1の第2実施形態が概略的に図示されている。
【0078】
ロッド2における凹部5は、環状に周回しており、凹部5の遠位側のストッパと、凹部5の近位側のストッパとを有する。例えばロッド2における凹部5は、旋削加工により作成されることが可能である。
【0079】
電気的な絶縁部3は、凹部5の領域でも環状に且つ同心でロッド2に接している。
【0080】
スリーブ4における形状部6は、周部にわたり均等に分配されたここでは4つの平坦な形状部6.1、6.2(4つの平坦な形状部のうちの2つは非図示である)、並びに形状部6の遠位側のストッパ7Aと、形状部6の近位側のストッパ7Bとを含む。平坦な形状部6.1、6.2は、例えば1つ又は複数の押込工具(型部材)を用いた形状加工により形成されることが可能である。
【0081】
図6Aには、力伝達要素1の第2実施形態の第1バリエーションの縦断面が概略的に図示されている。スリーブ4は、凹部5全体に係合する4つの平坦な形状部6.1、6.3(4つの平坦な形状部のうちの2つは非図示である)を有し、この際、スリーブ4は、電気的な絶縁部3に接している。スリーブ4の遠位側のストッパ7Aは、この領域でロッド2ないし絶縁部3の遠位側のストッパ8Aに接している。同様にスリーブ4の近位側のストッパ7Bは、この領域でロッド2ないし絶縁部3の近位側のストッパ8Bに接している。それによりスリーブ4に対するロッド2の軸方向の自由度が妨げられている。電気的な絶縁部3とスリーブ4との間の滑り特性に応じ、ロッド2は、絶縁部3とともにスリーブ4に対して回転されることが可能である。この際、回転を妨げることも可能である。
【0082】
図6Bには、力伝達要素1の第2実施形態の第2バリエーションの縦断面が概略的に図示されている。スリーブ4は、4つの平坦な形状部6.1、6.3(4つの平坦な形状部のうちの2つは非図示である)を有し、これらの形状部6.1、6.3は、一部分だけで凹部5に係合し、この際、スリーブ4は、電気的な絶縁部3に接している。スリーブ4の遠位側のストッパ7Aは、この領域でロッド2ないし絶縁部3の遠位側のストッパ8Aには接していない。同様にスリーブ4の近位側のストッパ7Bは、この領域でロッド2ないし絶縁部3の近位側のストッパ8Bには接していない。それによりスリーブ4に対するロッド2の軸方向の自由度は、それらのストッパの間でのみ制限されており、しかし完全には妨げられていない。電気的な絶縁部3とスリーブ4との間の滑り特性に応じ、ロッド2は、絶縁部3とともにスリーブ4に対して回転されることが可能である。この際、回転を妨げることも可能である。
【0083】
図6Cには、平坦な形状部6.1、6.2、6.3、6.4の領域で力伝達要素1の第2実施形態の横断面が概略的に図示されている。平坦な形状部6.1~6.4は、電気的な絶縁部3に接しており、例えば1つ又は複数の押込工具(型部材)を用いた形状加工により形成されることが可能である。
【0084】
平坦な形状部6.1、6.2、6.3、6.4の1つに係合し、その形状部の方を向いた平坦な面部を有するロック要素は、管状シャフト11に対するスリーブ4の回転自由度を妨げるが、管状シャフト11に対するロッド2の回転自由度を妨げるものではない。
【0085】
図7、8A、8B、8Cには、力伝達要素1の第3実施形態が概略的に図示されている。
【0086】
ここで、ロッド2は、周部にわたり均等に分配された4つの凹部、並びに凹部の遠位側のストッパと凹部の近位側のストッパとを含む。
【0087】
例えば、ロッド2における凹部は、フライス加工により作成されることが可能である。
【0088】
電気的な絶縁部3は、凹部の領域でも管状に且つ同心でロッド2に接している。
【0089】
スリーブ4における形状部6は、周部にわたり均等に分配されたここでは4つの平坦な形状部6.1、6.2(4つの平坦な形状部のうちの2つは非図示である)、並びに形状部6の遠位側のストッパ7Aと、形状部6の近位側のストッパ7Bとを含む。平坦な形状部6.1、6.2は、例えば1つ又は複数の押込工具(型部材)を用いた形状加工により形成されることが可能である。
【0090】
図8Aには、力伝達要素1の第3実施形態の第1バリエーションの縦断面が概略的に図示されている。スリーブ4は、4つの平坦な形状部6.1、6.3(4つの平坦な形状部のうちの2つは非図示である)を有し、これらの形状部6.1、6.3は、それぞれ、4つの凹部5.1、5.3(4つの凹部のうちの2つは非図示である)のうちの1つに全体的に係合し、この際、スリーブ4は、電気的な絶縁部3に接している。スリーブ4の遠位側のストッパ7Aは、この領域でロッド2ないし絶縁部3の遠位側のストッパ8Aに接している。同様にスリーブ4の近位側のストッパ7Bは、この領域でロッド2ないし絶縁部3の近位側のストッパ8Bに接している。それによりスリーブ4に対するロッド2の軸方向の自由度が妨げられている。電気的な絶縁部3とスリーブ4との間の滑り特性に応じ、ロッド2は、絶縁部3とともにスリーブ4に対して回転されることが可能である。
【0091】
図8Bには、力伝達要素1の第3実施形態の第2バリエーションの縦断面が概略的に図示されている。スリーブ4は、4つの平坦な形状部6.1、6.3(4つの平坦な形状部のうちの2つは非図示である)を有し、これらの形状部6.1、6.3は、それぞれ、一部分だけで対応の凹部5.1、5.3(4つの凹部のうちの2つは非図示である)に係合し、この際、スリーブ4は、電気的な絶縁部3に接している。スリーブ4の遠位側のストッパ7Aは、この領域でロッド2ないし絶縁部3の遠位側のストッパ8Aには接していない。同様にスリーブ4の近位側のストッパ7Bは、この領域でロッド2ないし絶縁部3の近位側のストッパ8Bには接していない。それによりスリーブ4に対するロッド2の軸方向の自由度は、それらのストッパの間でのみ制限されており、しかし完全には妨げられていない。電気的な絶縁部3とスリーブ4との間の滑り特性に応じ、ロッド2は、絶縁部3とともにスリーブ4に対して回転されることが可能である。
【0092】
図8Cには、平坦な形状部6.1、6.2、6.3、6.4の領域で力伝達要素1の第3実施形態の横断面が概略的に図示されている。平坦な形状部6.1~6.4は、それぞれの凹部5.1~5.4に係合し、また電気的な絶縁部3に接している。平坦な形状部6.1~6.4は、例えば1つ又は複数の押込工具(型部材)を用いた形状加工により形成されることが可能である。凹部5.1~5.4は、例えばフライス加工により形成されることが可能である。
【0093】
平坦な形状部6.1、6.2、6.3、6.4のうちの1つに係合し、その形状部の方を向いた平坦な面部を有するロック要素は、管状シャフト11に対するスリーブ4の回転自由度を妨げるが、管状シャフト11に対するロッド2の回転自由度を妨げるものではない。
【0094】
図9、10には、力伝達要素1の第4実施形態が概略的に図示されている。
【0095】
ロッド2における凹部5は、環状に周回しており、また凹部5の近位側のストッパだけを有する。この際、凹部5は、軸方向に対して予め定められた角度のもと遠位方向に延びている。例えば、ロッド2における凹部5は、旋削加工により作成されることが可能である。
【0096】
電気的な絶縁部3は、凹部5の領域でも環状に且つ同心でロッド2に接している。
【0097】
スリーブ4における形状部6は、環状に周回し、近位側のストッパ7Bだけを有するように構成され、例えば、1つ又は複数の回転するローラを用いた回転形状加工(回転型押加工)により形成されることが可能であり、該ローラは、軸方向に対して対応の角度分で傾けられている。
【0098】
図10には、力伝達要素1の第4実施形態の縦断面が概略的に図示されている。スリーブ4は、凹部5全体に係合する形状部6を有し、この際、スリーブ4は、電気的な絶縁部3に接している。スリーブ4の近位側のストッパ7Bは、この領域でロッド2ないし絶縁部3の近位側のストッパ8Bに接している。それによりスリーブ4に対するロッド2の軸方向の自由度は、少なくとも遠位方向で制限されている。電気的な絶縁部3とスリーブ4との間の滑り特性に応じ、ロッド2は、絶縁部3とともにスリーブ4に対して回転されることが可能である。
【0099】
図11には、手術器具のための力伝達要素、特に図2から図10までの力伝達要素1を製造するための方法の一実施形態が概略的に図示されている。該方法は、ステップとして、提供のステップS1、取り付けのステップS2、周囲の配設のステップS3、形状加工のステップS4を含む。
【0100】
提供のステップS1では、力伝達のために構成され、凹部を有する導電性のロッドが提供される。提供のステップS1は、作成のステップS1.2である下位ステップを含む。
【0101】
作成のステップS1.2では、ロッドにおける凹部が作成される。凹部は、例えばプレス加工である変形加工により、或いは、例えばフライス加工又は旋削加工である切削加工により、作成される。凹部の1つだけの(近位側又は遠位側の)ストッパを作成すること、任意選択的に(近位側又は遠位側に)延びる凹部を作成すること、或いは凹部の2つのストッパ(1つの近位側の及び1つの遠位側のストッパ)を作成することができる。
【0102】
取り付けS2のステップでは、電気的な絶縁部が少なくとも凹部に沿って延在するように、電気的な絶縁部が、ロッドに沿って、周囲にわたり、好ましくは環状に且つ特に好ましくは同心で、外側表面部上に且つ少なくとも部分的に軸方向に取り付けられる。特に取り付けのステップS2は、ロッド上への収縮チューブ(例えばPTFEから成る)の縮着、又は(例えばポリマー材料又はセラミック材料を用いた)ロッドのコーティングを含む。
【0103】
周囲の配設のステップS3では、導電性のスリーブが、電気的な絶縁部に沿って少なくとも部分的に軸方向に電気的な絶縁部の周りで周囲にわたり、好ましくは環状に且つ特に好ましくは同心で、配設される。周囲の配設のステップS3は、下位ステップとして、加熱のステップS3.1、押し込みのステップS3.2、及び冷却のステップS3.3を含む。
【0104】
加熱のステップS3.1では、熱膨張によりスリーブの内径が電気的な絶縁部の外径より大きくなるまで、スリーブが加熱される。
【0105】
押し込みのステップS3.2では、加熱されたスリーブが電気的な絶縁部上に押し込まれる。この際、スリーブは、少なくとも凹部上の領域に配設されるまで(軸方向に)押し込まれる。
【0106】
冷却のステップS3.3では、加熱されて押し込まれたスリーブが冷却される。この冷却は、例えば、熱放射、或いは静かな又は動いている周囲空気に対する対流により、或いは冷却媒体を用いて急冷することにより行うことができる。
【0107】
形状加工のステップS4では、少なくとも部分的に凹部に係合し且つ手術器具のロック要素と係合するために構成される形状部が、スリーブに対して形状加工される。スリーブに対する形状部の形状加工は、軸方向に対して平行の又は軸方向に対して傾けられた1つ又は複数の形状加工ローラを用いた回転形状加工(回転型押加工)をよるか、或いはスリーブに対して半径方向に作用する1つ又は複数の押込工具(型部材)を用いた形状加工により行うことができる。
【符号の説明】
【0108】
1 力伝達要素
2 ロッド
3 電気的な絶縁部
4 スリーブ
5 凹部
5.1~5.4 個々の凹部
6 形状部
6A 実質的に平坦な部分
6.1~6.4 平坦な形状部
7A~7B 形状部のストッパ
8A~8B 凹部のストッパ
10 手術器具
11 管状シャフト
12 ロック要素
12A 形状部の方を向いた面部
13 ツール/付属品
14 ハンドグリップ
15 可動のグリップ脚部
16 付属品インタフェース
17 リングスプリング
図1
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図5
図6A
図6B
図6C
図7
図8A
図8B
図8C
図9
図10
図11
【手続補正書】
【提出日】2023-12-01
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0093
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0093】
平坦な形状部6.1、6.2、6.3、6.4のうちの1つに係合し、その形状部の方を向いた平坦な面部を有するロック要素は、管状シャフト11に対するスリーブ4の回転自由度を妨げる。
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
手術器具用の力伝達要素(1)において、
力伝達のために構成された導電性のロッド(2)と、
前記ロッド(2)に沿って、周囲にわたり外側表面部上に且つ少なくとも部分的に軸方向に延在する電気的な絶縁部(3)と、
電気的な前記絶縁部(3)の周りで周囲にわたり配設されており且つ電気的な前記絶縁部(3)に沿って少なくとも部分的に軸方向に延在する導電性のスリーブ(4)と、を有し、
前記ロッド(2)は、少なくとも1つの凹部(5)を有し、前記絶縁部(3)は、少なくとも前記凹部(5)に沿って延在し、
前記スリーブ(4)は、形状部(6)を有し、前記形状部(6)は、少なくとも部分的に前記凹部(5)内に延在し、前記手術器具(10)のロック要素(12)と係合するために構成されていること、
を特徴とする、力伝達要素(1)。
【請求項2】
前記ロッド(2)は、丸棒として構成されており、電気的な前記絶縁部(3)は、前記ロッド(2)の表面部に沿って少なくとも部分的に環状に延在し、前記スリーブ(4)は、円形管として構成されており、電気的な前記絶縁部(3)の表面部に沿って少なくとも部分的に環状に延在すること、
を特徴とする、請求項1に記載の力伝達要素(1)。
【請求項3】
前記形状部(6)は、前記ロック要素(12)の係合時に前記スリーブ(4)の軸方向と平行な軸線の周りの少なくとも回転自由度を阻止するために構成されていること、
を特徴とする、請求項1に記載の力伝達要素(1)。
【請求項4】
前記形状部(6)は、前記ロック要素(12)の平坦な面部(12A)と実質的に平らに当たって接触するための少なくとも1つの実質的に平坦な部分(6A)を有し、該部分(6A)は、前記スリーブ(4)の軸方向と平行に延在し、前記スリーブ(4)の外側表面部に対し、半径方向で更に内側に位置すること、
を特徴とする、請求項3に記載の力伝達要素(1)。
【請求項5】
前記凹部(5)は、前記ロッド(2)の軸方向と平行な少なくとも1つの実質的に平坦な部分(5A)を有し、該部分(5A)は、前記ロッド(2)の外側表面部に対し、半径方向で更に内側に位置し、前記形状部(6)の実質的に平坦な部分(6A)と互いに当たるように接触されていること、
を特徴とする、請求項4に記載の力伝達要素(1)。
【請求項6】
前記形状部(6)は、前記ロック要素(12)の係合時に前記スリーブ(4)と平行な方向における少なくとも並進自由度を制限又は阻止するために構成されており、前記形状部(6)は、少なくとも並進自由度を制限又は阻止するための少なくとも1つのストッパ(7A、7B)を有すること、
を特徴とする、請求項1に記載の力伝達要素(1)。
【請求項7】
前記凹部(5)は、少なくとも1つのストッパ(8A、8B)を有し、該ストッパ(8A、8B)は、前記形状部(6)とともに、前記ロッド(2)と平行な方向における少なくとも並進自由度を制限又は阻止するために構成されていること、
を特徴とする、請求項1に記載の力伝達要素(1)。
【請求項8】
電気的な前記絶縁部(3)は、少なくとも前記形状部(6)の領域で、その外側表面部において滑り特性を有し、及び/又は、前記スリーブ(4)は、少なくとも前記形状部(6)の領域で、その内側表面部において滑り特性を有すること、
を特徴とする、請求項1に記載の力伝達要素(1)。
【請求項9】
手術器具(10)において、
請求項1~8のいずれか一項に記載の力伝達要素(1)と、
前記力伝達要素(1)が受容されている管状シャフト(11)と、
前記管状シャフト(11)内に支承されており且つ前記力伝達要素(1)の前記スリーブ(4)の前記形状部(6)に係合するロック要素(12)と、
前記力伝達要素(1)を用いて運動可能であるツール(13)と、
前記力伝達要素(1)を操作するために構成されている操作インタフェースと、を有すること、
を特徴とする手術器具(10)。
【請求項10】
前記力伝達要素(1)の前記ロッド(2)は、丸棒として構成されており、電気的な前記絶縁部(3)は、前記ロッド(2)の表面部に沿って少なくとも部分的に環状に延在し、前記スリーブ(4)は、円形管として構成されており、電気的な前記絶縁部(3)の表面部に沿って少なくとも部分的に環状に延在し、前記力伝達要素(1)は、前記管状シャフト(11)内に同心に配設されていること、
を特徴とする、請求項9に記載の手術器具(10)。
【請求項11】
前記ロック要素(12)は、前記形状部(6)の方を向いたその表面部において滑り特性を有し、及び/又は、前記形状部(6)は、その外側表面部において滑り特性を有すること、
を特徴とする、請求項9に記載の手術器具(10)。
【請求項12】
手術器具用の力伝達要素(1)を製造するための方法において、以下のステップを含むこと、即ち、
力伝達のために構成され、凹部(5)を有する導電性のロッド(2)を提供するステップ(S1)、
電気的な絶縁部(3)を、前記ロッド(2)に沿って、周囲にわたり外側表面部上に且つ少なくとも部分的に軸方向に取り付けるステップ(S2)、但しそれにより前記絶縁部(3)は、少なくとも前記凹部(5)に沿って延在すること、
導電性のスリーブ(4)を、電気的な前記絶縁部(3)に沿って少なくとも部分的に軸方向に前記絶縁部(3)の周りで周囲に配設するステップ(S3)、及び、
少なくとも部分的に前記凹部(5)に係合し且つ前記手術器具(10)のロック要素(12)と係合するために構成される形状部(6)を前記スリーブ(4)に対して形状加工するステップ(S4)、
を含むこと、
を特徴とする方法。
【請求項13】
提供のステップ(S1)は前記ロッド(2)に前記凹部(5)を作成するステップを含むこと、
を特徴とする、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記絶縁部(3)を取り付けるステップ(S2)は、前記ロッド(2)上への収縮チューブの縮着、又は前記ロッド(2)のコーティングを含むこと、
を特徴とする、請求項12又は13に記載の方法。
【請求項15】
周囲の配設のステップ(S3)は、以下のステップを含むこと、即ち、
熱膨張により前記スリーブ(4)の内径が電気的な前記絶縁部(3)の外径より大きくなるまで、前記スリーブ(4)を加熱するステップ(S3.1)、
加熱された前記スリーブ(4)を電気的な前記絶縁部(3)上に押し込むステップ(S3.2)、及び、
加熱されて押し込まれた前記スリーブを冷却するステップ(S3.3)、
を含むこと、
を特徴とする、請求項12又は13に記載の方法。
【国際調査報告】